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17回国会参議院1953/11/20

法務委員会 閉会後第2号

発言数
131
登壇者
11
会派数
5
開催日
1953/11/20

会議録

郡祐一自由党

○委員長(郡祐一君) 只今から、本日の委員会を開きます。  先ず最近の治安状況一般について、公安調査庁次長の高橋君から説明を求めます。

高橋一郎公安調査庁次長

○説明員(高橋一郎君) 最近の治安状況一般と申します中で、やはり一番重要なのは、日本共産党の動向だろうと考えるのでございます。それで、共産党の最近の動向を御説明するに当りまして、昨年来多少表面の動きに変化があります。その変化を要点だけ辿つてみたいと思うのであります。  御承知のように、昭和二十六年の十月の五全協で、いわゆる日本共産党の当面の新綱領を共産党が決定したのでありますが、結論から申しますというと、いろいろ表面上の変化はございますけれども、この新綱領の基本政策というものは少しも現在まで変つておりませんし、それから当分変らないだろうというふうに考えておるのであります。御承知のように新綱領の骨子は、要約すれば、第一が今日本国民を苦しめておるのはアメリカ帝国主義、即ちアメリカ独占金融資本である。それから吉田政府がこのアメリカ帝国主義の日本国民に対するついたてとなつておる。この場合の吉田政府と申しますのは、決して具体的な吉田政府というものではなくて、吉田政府によつて代表されるところの日本のいわゆる反動勢力一般を申しておるのであります。  それから次に今の日本は戦前のいわゆる帝国主義日本というものと違つて、アメリカの植民地乃至従属国になつておる。従つて帝国主義時代においては、資本家というものはあらゆる場合に反革命であるけれども、植民地乃至従属国という立場においては、資本家の中で民族資本家というものはこれは革命勢力の味方に引入れ得るのである。こういうふうに考えておるのであります。ここの規定がいわゆる民族解放というふうに呼ばれるゆえんだろうと思います。  それからスローガンにつきましては、広い大衆を引きつけるために、従来の即ち一九三二年テーゼ以来の土地、銀行、大企業の国有でありますとか、或いはプロレタリアートの独裁といつたような非常に高度のつまり社会主義に移行するためのスローガンというものは、これは差当つてスローガンの中から引つ込めたのであります。それからこのようにして日本共産党の戦略は、いわゆる労働者を指導者とする労農同閥を革命の主体勢力としてアメリカ帝国主義とそれからそれのついたてとなつております吉田政府というものを主要な打倒目標にして、そうしてこの労農同盟のまわりにあらゆる進歩的勢力、それには先ほどの民族資本家というものまで含めた広い国民の統一戦線を作らなければならない。そういうために今のスローガンにおいて高度のものを引つ込めたのであります。そういうふうに戦略を考えておるわけであります。  それからこのような民族解放このような統一戦線を民族解放民主統一戦線と名付けておるわけでありますが、この民族解放民主統一戦線というものによりまして、革命情勢を高揚させて結局暴力革命、これを民族解放民主革命と申しておりますが、その暴力革命を経ていわゆる統一戦線政府を作ろうといたしております。この統一戦線政府を新綱領では民族解放民主国民政府というふうに申しておりますし、最近は新らしい国民政府といつたような表現も用いておるようであります。  それから新綱領は昭和二十五年一月の例のコミンフオルム批判のあとを受けまして、このような政府、つまり民族解放民主国民政府というものが妨害なしに、平和的な方法で自然に生まれると考えることは重大な誤りであるということをはつきり申しまして、暴力革命以外に目的を達することはできないということを規定しております。  以上が新綱領のいわゆる骨子でありまして、なお昨年日本がいわゆる独立いたしましたけれども、共産党のほうではこれは形式的なものであつて、その後においても日本は依然としてアメリカ帝国主義の従属国乃至植民地であるというふうに考えておるのであります。でこのような新綱領の基本政策の上に立ちまして共産党がやつております間に、表面上いろいろ動きに変化があるわけでありますが、これはいわゆる戦略革命勢力と反革命勢力の敵味方の配置という問題にはこれは全然関係しておりません。それからよく戦術転換というような言葉が使われますのですが、正確に申しますと統一戦線戦術というものは非常に幅の広い、いろいろな場合に適用される戦術を総合して一つの統一戦線戦術というものが形作られておるのでありますが、この統一戦線戦術の枠の中で、そのときどきの客観情勢をどう見るか、それでその客観情勢に対してどういうふうに具体的な戦術を適用して行くか、戦術と申しますとつまりスローガンとそれから組織の問題でありますが、そういうふうな具体的に今どういうスローガンなり組織で戦かうかというような戦術の適用の面で若干の変化を来たしておるに過ぎないというふうに考えておるのであります。  それから又そういうふうな戦術適用の面で党はしばしば変更を来たしておるということもございます。それで昨年来と申しますか、新綱領を決定以来のそのような日本共産党の活動の変化を辿つて見ますというと、今日までに著しいものは二つ、二段階あるように考えております。それは一つは昨年十月十五日のアカハタに載りました徳田書記長のいわゆる日本共産党三十周年記念に際してという論文、徳田論文、称せられるもの、これに上るところの批判を契機とするもの、それからその次は本年八月以来非常に顕著に行われておりますところの原則性を一堅持せよいう一連の動きであります。その間にもう一つ数えれば、昨年十月のソ連の党大会の直前に出されましたスターリン論文を契機として、平和擁護運動と革命運動との間に若干の混乱を来たしたように考えておるのでありますが、これはほかの二つに比べますというと余り顕著ではないのであります。昨年の徳田論文を契機とします一連の動きを考えて見ますというと、昨年上期の国際情勢は御承知のように四月の末に日本が独立する、それから五月の二十六、七日に西ヨーロツパで今批准が問題になつております例の欧州軍条約と対独平和条約が調印されて、それで自由主義社会というものが一つの安定を回復しようという時期だつたように思います。で、ソ連側はこれを非常に嫌つておつたというのが当時の国際情勢であります。それで御承知のように昨年上半期に日本でしばしば政治的暴力事件が起きまして、又一方日本共産党の宣伝が極めてそのような政治的暴力を容認し、慫慂し、扇動するというような傾向を持つたのでありますがこれは何も日本に限りませんで、例えば五月十一日西独のエツセンで学生が警官隊と相当の衝突をしておりますし、又五月二十八日パリでリツジウエイ帰れというデモが騒擾化したとかいうような国際的な一連の動きを見せたわけであります。ところがこのようなデモが構成メンバー等におきまして主流労働組合等を包含することができない。結局職業党員であるとか、それから学生であるとか、まあ日本におきましては朝鮮人であるとかいうような人人、一部の人々によつて起されておる、この点はパリにおいても同様であります。  それからその後選挙によつて明らかになつたのでありますが、国民一般に非常に厳しい批判をこれに対していたしておる。こういう点を見ましてそして徳田論文が出されたわけでありますが、このような批判はフランス共産党も同じようなことを一経験しておるのであります。結局徳田論文の批判の骨子は党が大衆から浮き上つてはならない。それから軍事はただ軍事そのものを自的として暴れればいいというようなものではなくて、一定の政治目的に従属しなければならん。そのためには党員の素質を高め、又国民一般に対して議会主義では駄目だ、どうしても暴力革命によらなければならないんだというような、いわゆる革命思想を十分に宣伝しなければならない。それともう一つ徳田論文は国際的連帯を非常に強調してあるのであります。この場合に軍事につきましても軍事が不要であるというようなことはもう全然申しておらない、軍事の運用がよくないのであるということを批判しておのであります。このような徳田論文が出ましてから御承知のように表面的にはああ政治的暴力事犯というものが非常に減つて参つた。それでこの批判に対して党は直ちに書記長論文に応えてという論文を出したのでありますが、昨年十月の第二十一回中央委員会総会でそれが党の意思としてそれぞれ決定を見たのでありますが、その後は党はこの第二十二回中央委員会総会の決定の線でいろいろな活動をして参つたわけであります。例えば従来非合法偏重といつたような傾向がありました点を批判いたしまして、昨年の十月選挙あたりではかなり公然の活動を強めておる。党のほうはこの機会に国民の中に新綱領何万部を持ち込んだというようなことを申しておるのであります。  これが昨年の徳田論文を契機とする一つの変化でありますが、その次に本年八月以降の区原則性を堅持せよ、という一連の動きにつきまして、本年の上期の国一際情勢を考えますというと、昨年十月のソ連共産党第十九回大会に際しまして、スターリン論文は、平和擁護運動の重要性を極めて強調しておるのでありまするが、それと同時に、いわゆる社会主義諸国家と資本主義諸国家との間の対立は無論これは大きいけれども、それよりもむしろ自由主義国家間の矛盾対立が激化する可能性がある。第二次大戦もやはりそのような経過で起つておるのじやないかというようなことを申しておるわけであります。それでそのあとを受けて、日本でも平和擁護運動などが非常に広汎に行われたのでありますが、引続きまして三月にスターリンが亡くなりまして、マレンコフがその跡を継いで、それで矢つぎ早やにいわゆる平和攻勢を打ち出したのであります。でこのときの問題の焦点は朝鮮休戦協定を成功させるという一点に集中しておつたように考えられるのでありまして、国内的にも日本共産党乃至北鮮系朝鮮人団体などの主張は一致してその点に向けられておつたのであります。その朝鮮休戦成立が漸く七月二十七日にできまして、それでそれを待つて八月八日に、ソ連の最高ソヴイエト会議が行われまして、その席上でマレンコフが例の水爆保持声明をやつたのでありますが、マレンコフはそれまでは、若干の変化はありますけれども、大体において努めてアメリカを刺戟つすることを避けるというような傾向があつたのであります。ところが八月八日のこの水爆保持声明の際に初めて、戦争を挑発するものはアメリカであるというような対米反感を露骨に示したのであります。このようなのが、当時の国際情勢でありますが、国内におきましては今度の四月選挙にやはり共産党が非常な国民の批判を受けて、非常に成績が悪かつたわけでありますが、次に例の総選挙中はいわゆる新らしい国民政府というスローガン、つまり最初に申上げました新綱領の民族解放、民主国民政府というものをスローガンに掲げておつたのでありますが、選挙が済みますというと、今度は反吉田、反再軍備統一政府というスローガンを掲げたのであります。そして当時はかなり広い、例えば自由党の中でも進歩的な人はその陣営に繰り込んでいいというような極端な広いことを考えておつたのでありますが、それが端的に現われましたのが、例の重光首班問題であります。吉田氏個人でなければいいというような考え方からして、このような戦術を考えたわけであります。反吉田、反再軍備統一政府と申しますのは、民族解放民主国民政府乃至新らしい国民政府というスローガンの意味するものが暴力革命でなければでき上らない政府のことを言つておるのでありますが、反吉田、反再軍備統一政府という場合には、一応議会主義の枠内で作れる中間的なもので、共産党はこれを戦術政府と名付けておるのでありますが、いわゆる新綱領の戦略に基きます目標としますというと、それに至るまでにいろいろ戦術が変化するその一つの段階で考えられた統一政府であるというふうに考えられておるのでありますが、いわゆる統一戦線政府というふうなものではないわけであります。それでこのような動きを示しておつたのが、八月八日にマレンコフの水爆保持声明がありまして、八月十七日の党つの機関紙の「組織者」の七十一号で、原則性を堅持し統一戦線戦術に熟達せよ、という指導的論文を出したわけであります。これによりますと、先ず反吉田、反再軍備統一政府というものの上に反米というものを特別に附加えてある。この反米ということを附加えた趣旨でありますけれども、要するに国際的に見まして、先ほど申上げましたように七月二十七日までには朝鮮休戦を成功させるということがもう集中的な目標であつたように見える。で朝鮮休戦が成立したあとはどうなつたかと言いますと、今までこの後方予備軍的な日本の立場が第一線作戦軍的な立場になつたというふうに共産党は見ておるのであります。国際的にこの時期においての問題の焦点は御承知のように日本ではMSAの受入れ問題と、それから西ヨーロツパでは欧州軍条約の批准の問題であります。このようなふうにして日本の立場が非常に重要になつた、その場合の敵しというものはアメリカ帝国主義にほかならないというような意味で当然だつたのだけれども、特に反米というものを附加えるのであるというようなことを申しておるわけであります。これは断定できませんけれども、朝鮮休戦成立まではソ連自体がかなりアメリカに対して神経を使つておつたと、いうような状況と対照してこれを見つると、非常に示唆に富んでおるのではないかというふうに考えておるわけであります。それから今の原則性を堅持せよ云々という論文でもう一つ問題にしておりますのは、重光首班は誤りであります。これは非常に重要な誤りでありまして、これは実は戦略的な誤りとも言えるのではないかと思うのでありますが、改進党は再軍備を主張いたしておるようであります。そういうものが如何なる意味においてもいわゆる共産党で言うところの革命勢力の味方とはなり得ないはずのものであります。それを単に吉田個人でなければどうでもいい、吉田氏個人でなければそれでもいいんだというような非常に小手先の、技巧的な動きを見せたのが重光首班論でありまして、この点をやはり議会主義的偏向であつたということを痛烈に自己批判しておるわけであります。このような技巧を弄した結果、一つには保守の統一を促進した、もう一つは再軍備論者というものを社会民主主義者の党に取られたというようなふうに批判しておるわけであります。結局そのような批判の結果、原則に帰れということを強く主張しておるのでありまして、その場合の原則というのは勿論新綱領であります。併し新綱領の中でどの部分であるかと言いますと、統一戦線戦術というものの原則というよりか、むしろ暴力革命に持つて行くための戦略戦術の基本的原則、もつと言い換えますれば、結局労働者を指導者とする労農同盟が革命の主体勢力である、中心勢力が革命化されなければ革命なんかはできるもんじやない、こういうふうな点を原則と……、この場合は原則と言つておるように思うのでありますが、このような批判をしておるわけでありますが、それでこの論文が出ましてから、ここに一連の動きがあつたわけでありますが、この間にあとで又申述べます国際的連帯の強化ということが非常に明らかに看取されるのであります。二、三の例を申上げますというと、先ずこのちよつと前に、七月二十三日の中国本土から出ておると思われまする自由日本放送で、日中貿易運動の正しい発展のためにという放送がなされたのであります。これは要するに、日中貿易運動に関して、日本が例えばこんぶや鞄のような、新中国が必ずしも必要としない物を売り込んで、そうして貴重な開煤炭を持つつて行こうとする、これは昔の帝国主義時代の日支貿易の再現を夢みておるものである。中共との貿易というものは、いわゆる彼らの言う平等五和、平等互恵という原則に立たなければならない、つまり中共の気に入るような貿易でなければならないというようなことを批判しておるのであります。でこれを受けまして、八月十日の組織者の七十号で、日中貿易運動の民族主義的偏向についてという論文が出された、つまり党がこの批判を受けて、党の方針として指示したわけであります。そうしますと、八月の三十日に日中貿易促進会議全国拡大幹事会が開かれまして、そうしてこの組織者の指示した通りのことを決定しております。つまり日中貿易運動を正しく発展させるためには、結局それを妨害している吉田政府の貿易政策というものを変えさせなければいけない。それでいわゆるバトル法と申しますか、あれの輸出制限の枠を緩めるというようなことでは到底これは足らないのであつて、これを全廃させなければならない。そしてそれを例の北京貿易協定というものを政府に承認させなければならない。つまり直接中国のほうに行つていろいろ取引を催促するというのじやなくて、その前に先ず日本の中でやるだけのことをやらなければ駄目だと、こういうことであります。  日中貿易運動についてはこのような経過がありまして、それから平和擁護運動につきまして先ほどちよつと触れたのでありますけれども、党内に若干の論争があつたわけであります。これは党大会当時のスターリン論文の種々の誤解、種々の解釈などにからんで、実践の問題になつておつたわけでありますが、今年の合法機関誌の前衛の一月号で、風早八十二氏が一つのこれに関する論文を書いて、その後五月号で伊井弥四郎その他の人がこれに反駁して、というようなふうに論争があつたわけであります。この論争につきましては、八月十日のやはり自由日本放送の中根五郎という人の名前で一つの解説がなされた。それがその後は日本共産党における決定版になつております。そうしてアカハタその他でこれを引用し、且つ学習にも使つておるというような状況で、これが決定版になつたわけであります。それから更に重要なのは、いわゆる日本の労働運動について国際的批判がなされた。これは端的には九月に日本で開かれましたILO大会の世界労連の代表として書記のウオーデイスというイギリス人が参つたのであります。この人がいろいろな機会に日本の労働組合運動というものを批判して参つたのでありますが、そのことが非常に大きく影響しております。併し本当はこの国際的批判というものはウオーデイスに始まつたのではなくて、やはりこれも自由日本放送が、八月三十九日に我が国の労働運動の当面する問題についてという放送をしておるのでありまして、これを日本共産党の機関紙の日本労働者が取り上げて、そうして自己批判しているのであります。これからずつと一連の問題なんでありましてこの批判の意味するところは、要するに日本の労働組合の一部の幹部は組合を政党にしようとしている。組合員というものは経済的な利害で結び付いておるのであつて、政治や宗教というものとはおのずから同一でない。それを強いて政治的なスローガンなんかで統一しようとしてもそれは無理である。結局組合員が共通に考えるということは、経済的な、部分的な直接の要求、例えば賃上げ要求とか、首切反対とか、労働組合運動の確保というような、そういうことなんであるから、そういうことで、いわゆる行動の統一ということを積み上げて、何回もそれを繰返して、その間に意識を変えて行つて、そこで初めていわゆる統一戦線というものができ上る、統一戦線を作るに近道はない。忍耐が大事であるというようなことを申して批判しておるのであります。というのはつまり日本の労働運動が観念的ないわゆる組織論から、総評に統一されるとか何とか言うているけれども、その足下から、例えば民労連が脱退するとか、それからいろんな争議において組合の分裂を常に来しておるとかというような点を鋭く指摘しておるわけであります。それでその後のこのような国際的批判を受けまして、日本労働者或いは組織者なんかでしばしばこの点を強調して指導しておるのでありまして、現在の組合運動は今その線で大きく動いておると申してよろしいかと思うのであります。今回のいわゆる原則性を堅持せよという一連の動きは、主要点を申しますれば、大体そんなところであります。で、この間の経過でもわかりますように、昨年の徳田論文以降特に今年になりまして、いわゆる国際的連帯ということが非常に強まつて参つております。むしろ国際的連帯というよりは、日本共産党に対する国際的指導といふうにも考えられるのでははいかと思うのでありますけれども、そういうふうな点が非常に顕著な最近の特徴のように考えるわけなんです。  それでこのような動きから現在のいわゆる革命情勢というものを一瞥して見ますというと、統一戦線戦術というものは、大体において党の力の弱いときに打出されておるように、歴史的にはそういうふうに承知しておるのでありますけれども、それじや逆に、統一戦線戦術を使つている限りは、党は弱いのであるかというとそうじやなくて、統一戦線戦術のままで革命情勢を、先ほど申しましたように高揚させて暴力革命へ持つつて行つて統一戦線政府を作るというようなことを考えておるわけであります。それでその間に、大ざつぱに申しますというと、最初はいわゆる部分的経済的直接のスローガンというもので以て行動の統一を達成して、それを積み上げて意識を変革して、いわゆる統一戦線というものを結成するということであります。その過程において革命の情勢が高揚しますれば、いわゆる部分的スローガンから一般的スローガンへ、経済的スローガンから政治的スローガンヘというふうに、スローガン自体が変つて参るのであります。そこで日本共産党は昨年の炭労電産のストライキあたりを経験しまして、昨年暮から本年の一月にかけましては、一九五三年というのは革命勢力、反革命勢力のつば競合いの年である。それで決然として攻撃に転移せよというような論文を出しまして、この年にいわゆるつば競合いの状態から革命勢力優位の態勢に持つて行かなければならないと、こういうふうな指導をしておつたのであります。それに応じまして、いろいろスローガンなんかも政治的なスローガンが常に掲げられて、それから七月のいわゆる総評第四回大会あたりでは、総評が昨年よりはよほど左によりまして、共産党が非常にこれを推奨しておつたのでありますけれども、併しその間にいろいろの分裂なり偏向がありまして、つまり党が観念的に考えておるほど現実の情勢というものは熟していない。そこを国際批判によつて突かれまして、もう一度部分的要求乃至経済的スローガンというものに若干引戻されたような段階にあるのではないかというふうにまあ考えておるのであります。  日本共産党の動きにつきましては、まあ大体の大筋を申上げたのでありまして、あとは個別に御質問にお答えすることにいたしまして、北鮮系の朝鮮人の動きは、これは国際的連帯が強まるのに伴いまして、特に本年の四月選挙頃から日本共産党との関係が非常に密接になつて参つております。従つて北鮮系朝鮮人の動向を支配しているものは、今日日本共産党の方針であると申しても差支えないというふうに考えておるのであります。今度朝鮮休戦ができまして、金日成が、北鮮は民主基地である。これを復興させなければならないといつたような呼びかけをしましたのに対して、日本におります北鮮系朝鮮人の、特に幹部が多数帰郷運動を考えたのであります。つまり北鮮に帰つて、この民主基地の経済復興に協力しようじやないかというような動きを見せたのでありますが、これに対してはやはり共産党の機関紙の組織者が、朝鮮人の闘争についてという論文の中で、それが民族主義的な間違い、偏向であるというような批判をしております。それから同じ論文で朝鮮人の団体の統一体であります民戦の十一回中央委員会で、民族教育ということで、在日朝鮮人だけの総合大学を作ろうということを決定したのでありますが、これなんかも一つの民族主義的偏向であるというような批判をいたしております。この帰郷運動に対する批判は、要するに在日朝鮮人は在日という条件の下で日本共産党と提携して新綱領の線で闘うのが、これが一番正しいのであるということを言つておるのであります。  それから次に右翼の問題でありますが、私ども破防法の観点からすべて見ておりますのですが、破防法は大ざつぱに申しますと、いわゆる暴力革命と、それから政治的テロを対象にすると言えると思うのであります。右翼は政治的テロ団体という意味で問題になるものがあり得るわけであります。ただ今日の右翼は全般的にまだ直接そういうふうな観点から非常に注意しなければならないという段階にはまだ至つていないのではないか。で、右翼と申しましても、これは非常に範囲の確定できない問題でありますけれども、大体において戦前の右翼と、それから戦後の反共を標榜して立つた右翼というように分け得ると思うのであります。それから旧軍人等もやはり右翼ということで、一括すれば入る場合もあると思います。で、戦前の右翼につきましては、現在顕著な動きはいわゆる大同団結の動きであります。今年の六月十三日に、水戸の弘道館で、橘孝三郎、本間憲一郎が中心になつて、救国懇談会を開いて、これに戦前の右翼が担当集まつておるのでありますが、その後、各地方でそういう動きがありまして、現在のところ、最近のそういう動きとしては、九月二十二日に大阪の中ノ島公会堂で救国運動全国協議会準備会というものが持たれております。準備会自体には約百六十名ほど集まつております。そのあとで救国演説会を開いておるのでありますが、これには二千人くらい集めておるようであります。で、この準備金では全国連絡委員として、三上卓、鈴木善一、片岡駿、河上利治、三宅親連、白井為雄といつたような人人を四十一名選んでおるのでありまして、当面の運動目標として、一つは経済における社会性の実現を期す、それから第二に、世界的土地開放を目標として、独立道義外交の確立、第三に、独立憲法の制定、第四に、政界、官界の粛清、第五に、自衛組織の確立、第六に、食糧緊急対策の樹立というようなスローガンを掲げております。で、戰後派のいわゆる反共右翼団体は、主としてこの労働組合対策に重点を置いておるようであります。  最近いろいろ問題になりました李承晩ラインとか、竹島問題なんかにつきましては、どういう動きがあるかと申しますというと、例えば七月八日に大阪で開かれた全関西愛国戦線協議会、結局先ほどの全国的な大同団結の動きの一つでありますが、ここでは竹島問題、火焔壜の判決問題等について関係方面に建白するといつたような動きを見せております。それからその他新潟、大分、東京等において、これらの問題について殉国青年隊とか、それから福岡において、日本革命菊旗同志会島津派などが、いろいろ軟弱外交を糺彈するというような趣旨の動きを見せているのでありますが、具体的にじやあどういうふうにするかというような点については、余り多く触れていないように承知しているのであります。それで李承晩ラインなんかにつきまして、李承晩或いは竹島問題につきましては、在日朝鮮人のほうはどういう動きかと申しますと、いわゆる韓国糸の民団のほうは、この韓国側と同じようなことを常に申しているのでありますけれども、北鮮系の民戦の機関紙などに、李承晩問題や竹島問題というものは、これは撤回すべきものである。これは一つの帝国主義の謀略である、日本の再軍備を促進するためのもので、絶対反対だというふうな論調を示しているようであります。  治安状況の大体について申上げました。

郡祐一自由党

○委員長(郡祐一君) 御質疑のございますかた、順次御質疑を願います。

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○亀田得治君 この資金関係ですね、こういう点はどういうふうにあなたのほうでつかまえておりますか。右も左も……まあ主として左のほうから…。

高橋一郎公安調査庁次長

○説明員(高橋一郎君) 日共の財政関係というのが、実は非常に調査の行届かない一面なんであります。で、規約によりまして、当然一党員は自分の収入の一%を党費として納めることになつているのでありますが、この党費は私は全国的に見て一人月額五十円で、都会地あたりで多少それを上廻るという程度じやないかと見ております。それで党員の数がいろいろ問題でありますけれども、幾ら多く見積りましても、現在党が支出しております経費の一部分をしか、党費では賄えないというふうに考えております。残るところはいろいろ大口或いは小口のカンパでありますけれども、そのカンパによるところが相当多いのではないか。それから外国からの資金援助が大いにあるのではないかというような問題もあろうと思うのであります。又現実に中共からアカハタ復刊のときに資金カンパに応じまして一千万円ぐらい来たこともあるようであります。そのほかにも小口で来ていると見られるものがありますけれども、そのほかに、この共産党の外郭団体、例えば国民救愛協議会の松川事件関係であるとか、或いは西日本水害対策といつたようなものから多額の金額が来ております。そういうふうな資金は、当然日本共産党の財政にも非常に影響するだろうと思うのであります。例えば今回の西日本水害につきましては、千八百万円でありましたか、中共から送るということであります。全額が参つているかどうかちよつとわかりませんけれども、そのうちの一部分は確かに参つております。

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○亀田得治君 右のほうはどうですか。

高橋一郎公安調査庁次長

○説明員(高橋一郎君) 右のほうにつきましては、具体的にどういうところから資金が出ておるかということは十分突きとめておりません。恐らく大口カンパか、大口寄附が多いんじやないかというふうに考えております。

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○亀田得治君 例えば中共からの援助、これなんかどういう形で来るのですか、形式は……。

高橋一郎公安調査庁次長

○説明員(高橋一郎君) どういう形式でと申しますと……。

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○亀田得治君 例えばドルならドルを持つて来ればすぐ使えます。そういうことで又何か取引が幾らか行われておりますが、貿易、そういうものを通じて事実上こちらに金が送られるような形態で行つておるのか、そういつたようなことがわかつておりますか。

高橋一郎公安調査庁次長

○説明員(高橋一郎君) 私は詳細は知りませんけれども、大体において外国銀行を通じて通常の方法で送られておるように思つております。

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○亀田得治君 それから総評との関係ですが、これは共産党でも労働組合が一番重点においておる。それから恐らく右のほうでも、これからの運動はどうしたつて大衆的な規模でなければ駄目ですから、これは大して関係がないと思いますが、主として左のほうもそこに重点を置いていることは常識であります。私どもも勿論共産党が幾ら総評に重点を置いても、そう簡単に共産党の思う通りにこれが変つて行かない、こう考えております。勿論組合員ですから、これはもう政治的な立場では自由党から共産党まであるのですけれども、組合員自身は、なかなか総評そのものも、いろんな現象的な問題が起つて参りますから、そう簡単に基本的に共産必見の思うような壷にはまつて行かない、こういう見通しを持つておりますが、あなたたちはどういうふうにその点を考えておりますか。

高橋一郎公安調査庁次長

○説明員(高橋一郎君) 私も大体そのような感じでおります。ただそれには相当やはり、共産党というものはどういうものであるかというようなことが労働者階級にもはつきりしていなければいけないんじやないかというふうに考えるのでありますけれども、進んだ国の労働者階級というものが共産主義化されるということは、そう簡単なものではないというふうに考えております。

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○亀田得治君 それから御説明がなかつたから、ちよつとお聞きしたいのですが、破防法の適用事件ですね。相当前に一度聞いたことがありますが、最近までのところを一つ簡単でいいですから、聞かして頂きたいと思います。

高橋一郎公安調査庁次長

○説明員(高橋一郎君) 破防法の発動というのは、例のいわゆる刑事事件で現われる個別の事件と、それから団体規正の面とが二つあるわけです。それで公安調査庁は団体規正の面を持つておるわけであります。これは今まで何もありません。それからいわゆる個人犯罪として刑事事件で処理するもの、これは非常に僅かです。つまり破防法ができましてからその前に例の武装綱領、五全協の、我々は武装の準備の行動を開始しなければならない――、ああいつたようなものを各地で破防法のできる前にいろいろ流布しおつた。それが破防法の後になつても若干各地で流布されたのがある。主としてそれが全国で今京都、岐阜、三軍とそれぞれ一名乃至数名起訴されておる。これは一審の進行中であります。それから北海道の事件は武装綱領じやないが、やはり当時の同じような事件であります。それだけです。

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○亀田得治君 個別的な事件に関連して、その背後にある団体との繋がりということから破防法による団体の規正というような問題は起つておらないのですか。

高橋一郎公安調査庁次長

○説明員(高橋一郎君) おりません。それから破防法で刑事事件で処理するものは、破防法という名前でないものでそういうものがあり縁るのでございます。例えば横川事件なんかそうであります。つまり破防法でも刑事事件の殺人なんかでやれる場合には、それでやつたらいいことにして、それで足りない点を破防法で補つたという形ですから、横川事件なんかはやはり暴力主義的云々という問題が起り得ると思います。

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○亀田得治君 それはやはり裁判が終つてからになるわけですか。

高橋一郎公安調査庁次長

○説明員(高橋一郎君) そういうふうに私は考えておりません。これは我々独自の考えでやつて行かなければならない。

赤松常子日本社会党(第二控室・右)

○赤松常子君 ちよつと伺いたいのでございますが、ベリヤの追放事件と日本共産党との関係、伊藤律氏の追放と関係がございましようか。

高橋一郎公安調査庁次長

○説明員(高橋一郎君) ベリヤの追放があつて、それから伊藤律の処分があつたわけでありますが、無論これは関連がございます。ただこれは、共産党はどこでも殆んど定期的に粛清をすべきものであるというように考えておるのでありまして、特に党の力を強めるときにそういうことが行われると思います。ベリヤの追放はたしか七月十日のブラウダで発表されております。共産党はその後暫くこれについては格別の論評を差押えておつたのでありますが、八月三日のアカハタで、党と国民の戦列を強化せよということで、党の強化のために党内の粛清をしなければならんというようなことをここで言い始めたわけであります。それから九月十五日のアカハタで伊藤律の追放を発表したわけでありますけれども、ベリヤの場合と同じように伊藤律の追放の場合も、発表された理由だけを見ましては、一体どこがポイントであるか、ちよつとはつきりしません。で指導的な立場にあるソ連共産党が党の統制強化のためにべリヤを追放したということである。日本共産党は当然これにならつて党内の粛清に着手したと見られるのであります。ベリヤそのものと伊藤律とが直接どうこうということはこれはないと思います。同時にやはり北鮮その他でも粛清が行われておる国際的な問題として考えられるわけであります。で伊藤律の処分後各地方でぽつぽつとこういう粛清が現実に行われております。で伊藤律は、従来相当指導的な立場にあるし、特に農民問題について非常に関係が深かつた。ところが最初申しました新綱領の中で農民問題の点が一番この日本の現実に適応して問題の多いところなんです。それで伊藤律の追放が共産党の農民問題に関する方針に影響するかしないかということが私なども一番興味を持つた点なんであります。併し最近のアカハタを見ますというと、成るほど伊藤律の農民問題の議論の本質を暴露せよといつたようなことを言つておりますけれども、それはずつと過去の問題で、例えば終戦後占領下にあつて農地改革が行われた当時の問題なんかありまして、新綱領以後の方針については何にも触れておりません。このアカハタの記事でも結局この伊藤律の処分の決定的なポイントはスパイ行為であるということを申しておるのであります。でありますから伊藤律によつて党の政策がどうということは先ずないであろうというふうに今考えております。

赤松常子日本社会党(第二控室・右)

○赤松常子君 今の共産党の新指導部の構成ですね、それはどういうふうになつておりますか。それと地下に潜行している人々もやはりそこから指令が連絡されているのでございましようか、如何がですか。

高橋一郎公安調査庁次長

○説明員(高橋一郎君) これはまあ非常に問題の点でありまして、今はつきりこういうところで申上げる段階に実は至つておらない。ただ新指導部と申しますと、現在公然面にしばしば出ておるのでございまして、例えば中央指導部議長としては田中松次郎、それから指導部員としてはその他米原とか岩間とか、これは公然面のアカハタその他にいろいろ載つております。

楠見義男緑風会

○楠見義男君 今年の六月、七月の九州の水害の際に共産系の人々が相当その被害地に行つて、いろいろ運動したというようなことが載つておつたのですが、その後の名地の災害或いは北海道、東北その他の冷害地方ですね、そういう方面にどういうような動きをしておるか、何か情報が入つていましようか。

高橋一郎公安調査庁次長

○説明員(高橋一郎君) 東北方面などの冷害の方面には余り来ておりません。九州それから和歌山、京都あたりの水害のほうでは事実かなりの人数が出かけて行つております。

楠見義男緑風会

○楠見義男君 それでその連中はどういうような具体的な運動方法をやつたのですか。

高橋一郎公安調査庁次長

○説明員(高橋一郎君) この九州水害或いは和歌山水害地あたりに、例えば中国或いは近畿或いはもつと遠くから出かけておるのもありますけれども、それぞれのところから一つの部隊を編成しまして、それでこれを派遣しておるのであります。で、実際にまあ向うへ行つてどういうことをやつたかというと、大体においてはいわゆる労働奉仕であるとか、それから医療というようなことをやつておるようであります。併し要するにこの部隊を派遣していろいろそういう場合の補給の問題であるとか、指揮、連絡の問題であるとかいうようなことの経験を積む。それから向うへ行きまして自分たちで学習をやる、それからその間にいろいろな政治工作、宣伝といつたようなことをやる、こういうふうなことをやつておるのが大体のようであります。それでその間にやはりいろいろ労働奉仕だとか、或いは医療の心得のあるものは医療をやるというようなことをやつておるようであります。で、各水害地あたりに民水対ですね、例えば和歌山県民主団体水害対策委員会というようなものが結成されまして、これは大体総評系が中心なんですけれども、共産党もこれに一役買いまして、和歌山県の場合などにはこれはいろいろな関係でかなり一時は発言権を強めた。併しあとには結局又後退したのでありますけれども、そういうような民水対といつたような組織がありまして、そういうところと連絡しながらいろいろなところに出かけて行つて、まあそういうふうないわゆる闘争をやつたわけであります。それで出かけます者は近畿でも、中国あたりでも、建軍闘争と申しまして、今の軍事組織の建直しの一つの闘争であるというふうに考えて、そう言つております。従つてそういうふうに派遣された人、これは内灘に派遣された場合も同じでありますが、その人々がそれぞれの軍事組織の幹部級に結局なる。現在の軍事組織は上から任命しておりますから、一番下のところはそうまだできておらんというふうに考えておりますけれども、幹部級はそういうふうにして訓練をやつておるというように思います。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 ちよつとお尋ねしますが、高橋さんは公安調査庁の次長という肩書ですが、大体おわかりですね、そういう方面のことは……。

高橋一郎公安調査庁次長

○説明員(高橋一郎君) 私の存じておりますところは……。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 そこでお尋ねしてみたいのですが、ただ、先ほどもちよつとこの問題に触れておられたが、資金ルートですね。これは何ですか、ソ連或いは中共或いは北鮮或いは日本において賄うこの四つの場合が考えられるのですが、その送金の方法或いは送金に代るところの物資の供給、そういうような面について相当御調査になつておられますか。それをちよつとお尋ねしておきたい。

高橋一郎公安調査庁次長

○説明員(高橋一郎君) 調査は無論これはしなければならん問題でありますし、又現にやつておりますけれども、今ここで取り立てて申上げるだけの段階になつておらないのであります。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 私ども民間の巷間でいろいろの問題、そういう点について聞くのですがぬ。これはしかし一つの浮説だろうと我々自身考えておりますが、どうか一つそういう点も抜かりなく御調査を深めて行つて頂きたいということをお願いしておきます。  それから次にお尋ねするのですが、大体革命を起すというときには、ソ連の場合でも或いはドイツの帝国が倒れる場合のときを見ても、一瞬、一晩のうちに成り立つというふうに考えられる。それも通信網と鉄道網、要するに国家の神経系統というものを根こそぎ根源というものを何と申しますか、破壊するということで成り立つと思うんです。通信網とか鉄道網に対するところの建軍工作というものは共産党系においては私は相当進んでおると思うんです。歴史的な結果から見てですね。そこに彼らは重点を置いているように思うんですね。で東京の中心地に対しては、これは公安調査庁、或いは当局としても十分なこれに対して対策を講じておかなければならんと私は思う。東京を離れた所では大した影響はないと思うんですが、東京だけは通信網、鉄道網というものに対する対策というものは講じておかなければならんと思うんですが、そういう手配は済んでおるんでしようか、一つ伺つておきたい。

高橋一郎公安調査庁次長

○説明員(高橋一郎君) 通信でありますとか、或いは鉄道その他運輸関係などという大動脈というものを抑えるということは、これはいわゆる革命の決定的段階においては必ず必要なことでもあるし、当然非常な重要目標になつておると思います。それからそういうためにいろいろ共産党が組織活動をやつておるということは、これはもう間違いないことだろうと思われます。そういうふうな意味でその点も十分注意してやつておるわけであります。ただそういうふうな直接行動というものが、全般の革命情勢というものとかけ離れてそれだけ突き出すということは、これはもう絶対ないとは申せません。事実又いろいろ昨年の上半期或いは昭和二十四年あたりにはあつたんでありますから、共産党のほうで革命情勢が成熟しておるというふうに理解した場合には、当然起り得ることでありますけれども、併しいずれにしてもそのような革命情勢との関連においてそれは非常に可能性が増して来る、こういう問題であろうと考えております。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 そこで一つお尋ねしておきたいんですが、何と申しますか、共産運動のために国家としては少からざるこれに予算というものを組んで、相当の経費を注入しておるわけですね。誠に勤労者、農民というものに非常に同情しておるという立場から、自分はこういう革命的な運動をやると言いながら、結局勤労者、農民大衆の税金によつて、政府に集まつて来る金でこの阻止運動をやらなければならんということは、私ども国民としてどうしても受取れない点が多々あるわけなんですがね。そこでむしろその根源を絶つということが一番一般大衆の税金というものを軽くするゆえんじやないかと実は私は考える。例えば公安調査庁の仕事にしても殆んど仕事はない、只今おつしやつたように、五、六件しかこの破防法の対象となる事件が起ていないという今日において、大変なこれに金が入つておるわけです。むしろ私は一歩進んで、こういう一般大衆に影響の大きなところの行動をするところの根元を絶つということが或る場合には必要じやないかと思うんです。併し憲法の第十九条で思想の自由及び良心の自由を許して、おまけに同様なこれを擁護するような憲法の規定があるわけですから、現在の立場においては私どもは如何とも手の下しようはないわけですけれども、こういう点からも憲法というものを将来相当改正する必要がある、こういうことも考えておるんです。そういう点については何かお考えをお持ちになり、或いは御研究になつておるのか。あなたにこういう質問をするのはちよつとこれは御迷惑かも知れません。大臣か政府の人でないといかんと思うんですがね、公安調査庁自体としても一応やはり基礎材料を提供する責任がありますから、一応お尋ねしておくわけなんです。

高橋一郎公安調査庁次長

○説明員(高橋一郎君) 今の中山さんのお話は御意見が主でありまして、私あたりがお答えすべき限りでないと思うんでありますが、ただ公安調査庁が何にもやつていないんじやないかという点はちよつと一つ釈明をしておきたいと思うんです。私はまあ共産党対策についていろいろ方法が考えられると思います。中山さんのような御意見も当然考えられると思うのであります。併し私としては第一にそういう相手の実態を知る、正確に客観点に知るということがすべての基本ではないかというふうに考えております。そういう意味で私ども今現にこういうふうに考えておりますということは御披露できませんけれども、毎日この点で苦労して調査を積重ねているわけであります。而もその場合に私どもははつきりといわゆる破防法の立場で考えますから、ですからいわゆる議会主義を否定するものと議会主義の枠で行くものというものをはつきりこれは区別して、それで共産党というものをそういうふうに認識して、それでそのものの実態をできるだけ客観的に先ず知るということが先決であるというふうに考えているのであります。それを不当に共産党に対して楽観したり、或いは不当に又恐れたりして措置をとるということは、最もこれは危険ではないかというふうに考えております。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 これはですね、次長のお言葉は御尤もでございますが、大体私の以上三点についての質疑に対して、例えば資金ルートに関しても明確な線というものを私の間に対して打出されない、或いは鉄道網、いわゆる神経中枢に対するところの防衛の点からも具体的な事実を以て御説明がないわけでありますから、殆ど捕捉するに私自身としては苦しむ。むしろこういう場合においてはこういう席においてはその詳細を述べられて国民の注意も喚起するということが政府当局としてはむしろいいのじやないか。少くとも共産党は公党として憲法上にその団結権が認められているわけですからね。而もその公党たる資格を認められながら一方においては国民全体がこれに苦しみ、非常にのたうち廻るというぶざまなことは、私は何としても国家そのもののジレンマだと考える。憲法のジレンマであり、国民全体が苦しむのであると私は考えている。こういうふうな矛盾というものを割切る立場に持つて行くということは、やはり政治の将来のコースでなければならんと私は考えております。そういうふうな基礎問題、基礎になる材料というものを完全に整理して行くということは必要でありまするから、現在の場合においてもただ調査するだけでなくて、これに対する対策はこういうふうに立てたのだということを明確に一つ御答弁を賜らないと、これは秘密事項に属するかも知れませんが、若し秘密事項であるとすれば秘密会を関いて、こういう点を一つ鮮明にして頂くほうが私どものためになるのじやないかと実は考えて質問を進めているわけなんです。それでどうも只今お聞きするところでは、先般犬養法相が検事長会議においていわゆる軍の組織、共産党の健軍組織というものの大綱を述べられておりますけれども、これは国民に対して畏怖の念を起させる。或いは非常な危険なものであるという概念だけが、与えられると思うのですけれども、それじやこれをどういうふうにするのだという、先づ大まかな国民の進むべき道というものは何らそこに明確に示されていないのじやないかという私は感じを持つてあの新聞の記事を読んだのでございます。それで大臣がああいうふうな立場に立つておられるし、あなたの只今の答弁をお聞きしてもその点はどうもはつきりしないように思うのですがね、そういう、まあ非常に私ども国民の一人として心配をいたしますので、まあ併しもう少しこうすればいいのだという希望とか期待とかいうものもお聞きしたいと思うんですがな。

一松定吉改進党

○一松定吉君 私も中山君と同じ意見ですがね。併し今次長にそういうことを追つても、次長も答弁はできないと私は思う。そこでまあ我々の考えでは、本当に国家顛覆の暴挙をあえてするような計画を立てて潜行的にやるなんというようなことは、これは公共の福祉に反する行動なんだ。本当に憲法において保障されている自由の行動じやない。そういう点について、いろいろ矛盾があれば、憲法の十九条も改正するがよろしいし、とにかくこれは取締らなきやならん。アメリカさんがやつて来て、軍隊を全部やめさせてしまつたということは、昨日の副大統領の発表にあるように、アメリカの間違つた政策であつたと同じように、この共産党で十年も二十年も入つておる連中に、すぐ出て来い、出て来い、さあ選挙をやる、代議士になれなんといつてやらしたこと自体が間違つておつた。そういうことをまあ国民もだんだんわかつて来たと見えて、衆議院に一人、参議院に一人しかない。恐らく早晩絶滅しやせんかと思うのですが、今あなたのお話を聞いても、地下に潜つてやつておる。今中山君の言うように、これは何どき勃発して、爆発して、一朝に顛覆しないとも限らんというような、とにかく危機に直面しつつあるならばですね。これは一つその憲法の十九条に違反なんというようなことじやなくて、若しこれが障害があれば、憲法を改正し、こういうものを取締つて、禁止するのが私はいいと思う。そういうようなことについて、次長として、あなたが責任を持つておれば、こうしたいああしたいというようなことをお話になるといつても、それはやはりあなた個人の御意見だろうと思う。そういうことを一つ政府にも話し、又我が委員会でも政府当局のそういう責任者を呼んで、こういうことを大いに検討して、政府と議員とが協力してこういうような禁止規定を設ける必要がある。禁止規定を設けるようにこれは急速にしなければ、ただ共産党が地下に潜つてああやつておるのを、そういうふうに、国という上からはらはらしておるだけでは目的は達せんと私は思う。一つ次長もそういうような方針で局長あたりとも相談して、政府の当路を動かしてやる。そうして我々の聞かんとするところは、本当にこの共産党のいわゆる活動というものは、我々は何もわかりませんから、昔の特高みたようなものでもあつて一々情報も取つておるということであれば、あなたがたもよくわかると思うが、あなたがたもただ破防法の運用について相当に考慮しておるだけであつて、昔の特高みたいに一々その詳細な調査はできないと私は思うが、そういう点もこれは調査する必要があれば、やはり背の特高とまでは行かんにしても、調査機関はやつぱり設けるようにしなければならん。こういうように我々は考えて非常にこれは痛心しておるのです。一つそういう方針で進めて頂いて、そうして成るべく国民の憂慮を払拭して、治安の維持が本当にできるような方針に進んでもらいたいということを私は希望だけしておきます。

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○亀田得治君 今一松さんから御希望があつたのですが、これは私はなかなか慎重に考えてもらわなければいかん問題だと思う。やはり前の特高の弊害とか、そういうことはもうこれは常識であります。

一松定吉改進党

○一松定吉君 そんなことを言うたんじやないよ。

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○亀田得治君 破防法制定のときだつて、これは十分議論になり、随分議論せられた問題であります。だからそれは今日そういう意見が出だからといつて、早速一つ大いに頑張るということでは、なかなか問題があろうと思います。むしろ、私はまあこれもあなたにお聞きするのは適当かどうかわからないと思うのですが、やはりこれは法規だけで取締つたつて、とても行けるもんじやない、基本的には……。そうして何といつたつて、あの運動の対象は生活の問題に結び付けられて来ているんです。だから本当にそういうことを心配されるのであれば、そういうもつと生活問題なんかについて検討して見る必要があろうと思うのです。それは勿論私どもが言うのは、あなたたちに政府の政策を変えてくれとか、そういうことを言うんじやないんです。現在の法規自身が非常に場所によつては無視されて非常に困つておるような状態が地方にあるんです。今日丁度刑事局長に来てもらつたのは、そういう問題について只今どういう一体取締り方針を持つておられるのかね。これは調査庁自身としてもあなたの領域に間接的には関係していることですが、どんな考えを持つているか、これはまあ基本的にはもつと法務大臣なんかに聞きたいと私は思つておるのですが、例えば、私丁度一昨日岩手県、北のほうですがね、九戸郡小軽米村という小さい本当のこれは寒村です。そこへ行つて全くこれは驚いたのですがね。政府が農地法で約十町の土地を買上げておるのです。買上げて、そしてあの辺は名子といつておりますね、小作人のことを……。小作人に貸付けておるのです。小作人に正式に取るまでは貸付けるわけですね。小作人が政府に賃料を払つてそれを耕作しておる。ところがそこに元の地主がもみの木を植えて、落葉松を植えておる。これは二年か三年前からです。落葉松がだんだん大きくなつて行くと、その名子が耕作できなくなる。なんでそんなものを二年も三年も放つて置いたのか、いやそれはもう……といろいろな話をしておりましたがね。ともかく頭が上らないんだね、全然……。そんな問題がそのまま放置されておる。私どもがそこへ行つた機会にひよつとした機縁でそういうことを知つて、現場へ行つてみると、成るほどその通りになつている。こんな問題は取上げて来れば誰でもとびついて行きます。だからこういうことになつて、それがあなた一反歩か二反歩ということではない、五十町歩もの大きな面積です。それからずつと県のかたに伺つたら、県のほうも賃料を取つているのですからね。県が賃料を取つておる土地をそういうふうに荒しておる。元のそこの大地主、それから県のほうの人にも来てもらつて、調べるといろいろなことが出て来たんだね。例えば学校の敷地にするのだからこの農地は開放しないと言うていて、学校はほかに建てて、そうして農地はそのまま開放しないで、現在その地主が取上げてしまつた。こんな問題が出て来た。それはもう少しこれは数字的ななにも整備して、別な機会に何したいと思つておるのですが、むしろこんなことが問題なんですね。そうしてその木を植えるときに先ほども申上げた、今度国と県をごまかして、植林のための補助金を取つておるのです。だから農民から見たら、一方で農地開放だと言つて買上げておりながら、一方の県の係はそういうふうに補助金を出しておる。ところが林産部のほうではそういう事情は知らなかつたから、それはうつかり出した、こういうことを言つておる。そうなるとそこに明らかに国の金をごまかして取つた、詐欺罪も成立すれば、耕作の妨害なんかもこれははつきりしておる。我々が普通のうどん屋だつて看板をとつていたずらすれば営業妨害ですぐやられる。こんな明らかに二年も三年も木を植えてそうして農民をいじめているんだな。これは極端な例ですがね。やはり基本的な問題というのは、一松さんがおつしやつたように、すぐ憲法を改正……、そんなことをすれば、これはもう共産党だけではないですよ、被害を受けるのは……。そんなことをおつしやつておるかたは、逆の人が政権を取つたらその憲法でやられますよ。だからそういうことはなかなか慎重にやられなければいかんので、むしろ基本的にはこういうことが余り眼のつかんところでは行われておるんですね。それから一里か二里離れた所に国警の軽米署という警察がある、その警察が知らないのですね。そんなことを一人も知らんように言うております。私どもこれは大変だと思つて警察にも注意しておきましたが、こういう問題が明るみに出れば当然小作人も強くなるし問題が起ると思つたから警察にも注意しておいた。警察がそんなことは知らんと言うのがおかしい。あとは別の機会にしますが、こういうふうな社会問題、生活問題に関連して実際に犯罪行為が行われておるのです。労働組合とか、農民組合なんかが少し暴力的なことになるとじき引張られる、今までの経験からして……。これは一方じや明かに刑法犯ですからね、そういうのは何か一方で理窟をつけられると余りとり上げられないのですね。そういうことを放つておいて、幾ら共産党対策を法規的な面から考えてもこれは駄目なんですね。それは共産党も社会党も何も知らない。そういう連中はほかに行くところがないですから、やはり尋ねて初めてそういう話がわかる。これは私どもばかりでなくて、共産党の人が行つたつてそういう陳情を受けるにきまつている。だからこういう問題について一体刑事局なんかでどんなような方針をとつているのですか。どうも表に出て来るところを見ると、いわゆる何かというと共産党に対する何か盛んに方針が出されて来るのですけれども、肝心の土台の問題について、もつとこういう問題については徹底的に慎重に、そうしてきつちり取締るというふうなことを私は見たことがない。そういうところの一つ感想を簡単に聞かして頂きたい。私はいずれもう少しこれは数字的なものを整理して大臣にも方針を一つ聞きたいと思うのですが、こういう問題についてのやはり取締当局の考え方というものをはつきりさせてもらわんと、こういう悪地主が反動的な波に乗つてはびこるのです。そういうわけで聞いておるのです。

井本台吉法務省刑事局長

○説明員(井本台吉君) お話のような事実があれば、これは農地法の二十条、九十二条等に触れるようなものでありまして、該当法条を適用して相当処分しなければならない事案であると考えざるを得ないのであります。ただ検察庁も手不足でありまして、犯罪が現に起きているということが現認できませんために、そのまま放置されたものであると考えるのでございます。若し告発等の御処置が頂けますれば、十分調査して適当に処置したいと考える次第でございます。なお亀田さんの御意見は誠に御尤もと私は考えるのでありまして、違法越規行為があれば何も組合だけを取締るというようなことは勿論いたしません。そのほかの一般人につきましても厳重に取締をせざるを得ないと考える次第でございます。

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○亀田得治君 まあこの問題についていろいろ申上げたいことがあるのですが、これは別の機会にいたしますが、一松さんからああいうお話が出たものだから、むしろこのことが大事だと私は現場を見てつくづく思つたのです。それから又事実関係の省略もたくさんしているのですが、そういうことをやつている。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 亀田委員がこの問題について質問をされましたから、私は公安調査庁についてそれに関連してお伺いいたします。  農地調整法が施行されまして、田圃を持つたり、畑を持つたりしているのが、いわゆる政府の公定価格がきめられた。今十五万円しているのが大体四百円ぐらいで全部巻上げられておる。そうしてそういう大きな土地を持つておつたものは大概大きな家をかまえておる。ところが今度は農地を巻上げられて、大きな家屋敷が残つておるけれども、それに対して固定資産税の耐えられないやつがかかつて来た。それは大概託児所とか養老院にしたりなんかしていますがね。そういう大きな固定資産税が納められませんから、そこでその家に住まつておる御本尊はどうなるかと言いますと、こうなれば共産党になろうという人が相当いる。私はこれはそういう人間から直接聞いたのですがね。そこで、長男をはじめ二男、三男坊は殆んでめしが食えないようなことになつておる。そういうようなことから出発して共産党に入つた連中が相当あると思う。私は大阪で見ておるのですが、そういうことについて御調査になつておりますか。

高橋一郎公安調査庁次長

○説明員(高橋一郎君) お話のような経過で入党したといつたような者も或いは中にはあつたかもわかりません。ただ共産党は今年の初め頃から党員倍加運動をやつておりまして、非常に党員の獲得に努めておるのです。勿論まだ全国的な情勢をつかむには至つておりません。おりませんが、部分的には私どもかなり正確なことも承知しておる。それを見ますというと、何と申しましても、まはり非常に若い人が入つております。大体において終戦直後、それから昭和二十四年頃のいわゆる共産党の伸びた時期、それから独立後の今年あたり三段階ぐらいに分けられると思うのですが、大多数は非常に若い、二十歳ぐらいの人が多いようでございます。つまり直接生活の体験から入つたというようなことよりは、まあ共産党の理論に眩惑されて入つたというようなのが非常に多いように考えるのであります。従つてその基礎は必ずしも固くないというふうに見ているのです。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 これは又別の機会に聞きましよう。これはとても御無理でございますあなたには……。(笑声)

郡祐一自由党

○委員長(郡祐一君) それではなお最高裁判所の構成運営について最高裁の事務総長が説明に参りますが、午後一時まで休憩いたしまして、午後一時から再開いたします。    午後零時十八分休憩    ―――――・―――――    午後一時二十九分開会

郡祐一自由党

○委員長(郡祐一君) 只今から休憩前に引続き委員会を開きます。  先ず最高裁判所から扱われます民刑事件等につきまして御説明を願います。五鬼上事務総長。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総局事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) 主としてこの最高裁判所の事件の趨勢から申上げてみたいと思います。  よく新聞等で最高裁判所の事件が七千件を突破して、非常に未済事件が多いというようなことが、世間に相当問題となりましたのは、丁度昭和二十六年の十二月から昭和二十七年の三月頃まででして、昭和二十六年の末には、七千三百九十八件というような未済事件がございまして、最高裁判所といたしましては、この事件の増加した原因にはいろいろございますのでありますけれども、何と言つても、非常に終戦後刑事事件が殖えて参りまして、この刑事事件が一審、二審と上つて来て、そして二十六年頃に最高裁判所に一番多く事件が上つて来た。当事の二十六年の新らしい新受事件が、民事事件は僅かに千六百件程度でありましたのが、刑事事件が八千七百件程度というような非常に厖大な数字を示しておるのであります。これに対してこの事件を何とか早く処理して行かなければならないというので、いろいろ最高裁判所のほうでは内部的に或いはそういう事件処理に対する方法の対策として委員会を設けるとか、或いは裁判の方面に人を廻すとか、調査官の数を殖やすとかいうようなわけでいろいろ対策を講じ、更に司法行政の方面でも手の省ける点は省き、例えば毎週一回やつておつた裁判官会議を原則として月一回として、大体常置委員制度という制度を設けてこの常置委員によつて運営して行くというようなことをいたしてこの事件の処理に当つたのでありますが、ところが幸い何千件というこの件数は、昭和二十六年の暮が未済件数の一番トツブでありまして、爾来だんだんに事件の数が減つて参りまして、新らしく来る事件の数も減ると同時に、処理する事件の数も相当多くなりまして、一時は赤字々々で未済が残つて行つたのが、だんだん二十七年から二十八年に行きまして処理件数のほうが未済件数を上廻るようになりまして、今日では刑事事件が大体この十月末で未済件数が三千五百七十九件、民事事件のほうは幾らか前よりは殖えつつありますけれども、約千九百件、これはすべての上告事件ばかりじやなく、一切の事件を、抗告とかその他いろいろな、例えば保釈の申請というようなものも含めまして、大体総件数五千五百五十七件、これは本月の十二日現在であります。なお、この件数は更に今日では未済が減つておるだろうと思うのでありますが、とにかく二十六年、二十七年の三月頃に七千件の未済件数があつたのが、大体今日では未済件数すべてで五千五百件くらいと、かように減つて参りました。この調子で参りますると、一時最高裁判所の機構はこのままじやいかんのじやないかというて、いろいろと各方面から御意見が出たのでありますが、まあ事件の趨勢から見ると、だんだん刑事事件は一審の方面及び高等裁判所の方面も減つて参りまして、最高裁に来る事件は相当少くなり、民事事件のほうも幾らか増しつつありますが、まあこの情勢ならば何とか普通の状態に復して来ることもさほど遠くはないのじやないか、かように私どもは考えております。

郡祐一自由党

○委員長(郡祐一君) 民事局長、刑事局長からの御説明がありますか。

関根小郷最高裁判所事務総局民事局長

○説明員(関根小郷君) 先ず民事のほうから申上げます。お手許に「民刑事件統計表」を差上げてございますが、これの二枚目に、「地方裁判所民事第一審訴訟事件数表」というのがございます。これはすべて数字でございますが、この数字から御覧頂きますると、最近におきまする民事の地方裁判所に受付けました事件の趨勢がわかりますわけでありまして、二十三年から本年に至りまするまで二十三年が三万件、二十四年が四万件というふうに逐次殖えて参りました。ところが二十六年に至りまして一万件以上減つております。これはなぜかと申しますると、この二十六年から地方裁判所の受付ける事件の範囲を狭めまして、簡易裁判所の受付ける事件の範囲を拡げました。これは御承知の事物、管轄の範囲を、従前五千円までは簡易裁判所で受付けるとございましたのを、三万円に引上げましたために、地方裁判所へ参ります事件が減つたわけであります。従つて二十六年は約一万件減つております。ところが二十七年になりまして少しずつ又殖えております。これは貨幣価値の変動から全般的に又地方裁判所の事件が殖えつつあることがこの数字から出て参ります。それから地方裁判所を一審といたしまする民事事件の控訴、それに対する不服の事件でありますが、それが高等裁判所へ参るわけでありまして、その次の表を御覧頂きますると、「高等裁判所民事控訴事件数表」、これも二十三年から逐次事件が殖えておりまして、ただ只今申上げました二十六年度の地方裁判所の事件が簡易裁判所の事物管轄を引上げましたために減りました余波を受けまして、高等裁判所の民事控訴事件が二十七年は少し減つております。それで二十七年度の事件が、高等裁判所の事件が減つておりまする関係から、それに対しまする最高裁判所へ参りまする上告事件というものがその割に殖えないという結果が出て来ておりまして、その次の表を御覧頂きますると、「最高裁判所民事通常上告事件数表」、これが二十三年から比べまして二十四年、二十五年、二十六年とかなり殖えつつありましたところが、二十七年は更に殖えまして、二十八年になりまして、昨年度の二十七年の高等裁判所事件がその割に殖えなかつたのを受けまして、本年は割に殖え方が衰えているわけであります。その結果先ほど総長から御説明がありましたように、民事の事件が殖えつつございまするけれども、その割に殖えていない。それに対しまして最高裁判所の既済の件数が反比例いたしまして殖えております関係から、全体の未済事件というのはその割に殖えておらず、刑事事件は新受の数が減つて参ります関係から全体といたしますると、非常に減つて来たという結果が出て来ております。  あとは又御質問でもございますれば御説明いたしたいと思います。

岸盛一最高裁判所事務総局刑事局長

○説明員(岸盛一君) それでは私から最高裁判所の刑事事件の処理状況と、今後の見通しについて簡単に御説明いたしたいと思います。  差上げてあります表を御覧願いたいと思いますが、一番後ろのほうにこういう図表が付いております。この表によりますと、これはこう三ヵ月ごとに区切つて、グラフを切つておりますが、昭和二十四年中は大体健全な状態にあるわけであります。この赤いのか未済の人員、黒いのが新受の人員、紫のが既済の人員でございます。二十六年度のところを御覧頂きますと、大体この新受と既済との線が並行しておりまして、だから未済も急に殖えるということがなくて大体均衡状態を保つておるのであります。ところが二十五年のところに参りますと、新受と既済、つまり黒線と紫のような青線との均衡が破れて、新らしく受理する新受のほうがずつと既済を上廻るという状態になつて来ております。従いましてこの赤い未済人員もぐつと上つて来ている、二十四年の末には約二千人程度であつた未済人員が二十五年の末には四千人を超えてしまつた、それが更に二十六年の末になりますとこの通り八千五百人を超えてしまつた、ずつと赤線が上のほうに上つて来た。そういうような状態で、最高裁判所に事件が非常に停滞しているという問題がこのときから起きておるわけでありまして、この上告の申立が昭和二十五年以来急激に殖えましたのは、高等裁判所の判決が昭和二十四年の末から非常に増加したためであります。そしてそのことが又高等裁判所だけを控訴裁判所とする新らしい刑事訴訟法の当然の結果でありまして、最初新法の新刑訴の下での高等裁判所の既済人員は最初のうちは新受人員の半ばにも及ばなかつたために未済の人員はだんだんと殖えて来たのであります。昭和二十四年の九月には三万五千人というふうに控訴の事件が殖えた、これは表の次の第二図のところに出ております。併しその二十四年の十月以降高等裁判所はどんどん今度事件を片付けるようになりまして、新受、新らしく受けた人員数を上廻るようになつております。そうなりますと高等裁判所の未済の人員、つまり赤線はだんだんと減少して来て、昭和二十五年の米には約二万五千人に下つておる。それで二十六年の末頃には一万五千人以下というふうにぐつと下つて来ております。この昭和二十六年には例の旧法事件を急いで処理するという方針で高等裁判所、高等裁判所ばかりでなく全国の裁判所が非常に全国の事件の処理を急いだことがありますが、それがこのように表に現われておるのであります。  このように高等裁判所が処理能率を上げるに従つて、最高裁判所への上告申立が著しく増加したわけであります。それにもかかわらず昭和二十五年、六年の両年中は最高裁判所の既済人員というものは遙かに新受人員の以下であつた。つまり既済が新受以上に出なかつた。そのためこの最高裁判所の未済が増加して昭和二十七年の第一表の初期のところですが、これはもうすでに九千人に近くなつているのです。併しながら昭和二十七年に入りますと、最高裁判所の既済人員というのは漸く新受を超えるようになつた。つまり紫の線が黒線の上に出るようになつております。従いまして昭和二十七年の末のところを見ますと、未済人員は約七千三百人ということに今度下つて来ております。更に昭和二十八年に入りますと、丁度この高等裁判所の控訴事件が均衡状態を保つて来た。それを反映して最高裁判所への上告の申立というものも著しく減少して参りましたために、未済人員は更に急速に減少して、九月末現在では五千人というところへ来ているわけであります。ただ今年の夏に最高裁判所の既済が非常に減つております。これは休暇であるということの一時的な現象で、九月以降は平常に復するのがこれは毎年の例であります。このように刑事の上告事件の処理は昭和二十七年の境としてその後は次第に好転して参つておりまして、二十八年に入つてからは未済事件というものは一層急速に減少しております。  で、これは最高裁判所の表で、第二図が高等裁判所の表ですが、第二図の高等裁判所のところを御覧頂きますと、もう新受と既済というものの殆んど線が一致して既済のほうが上廻つている。未済の赤い線がずつと下へ下つております。二十八年の終りのほうを御覧になりますと、これが非常に均衡の保たれた状態で、この状態ですと今後新らしい事件が来ないと仮定いたしますと、現在高等裁判所に残つている件数では、現在の高等裁判所の処理能力では四ヵ月もあればもう全部事件が片付くというような状態で、これが非常に只今高等裁判所は均衡を保つた状態になつている。この第一図、最高裁判所の表と高等裁判所の関係の図表とを併せて重ねて御覧頂くと、これがつまり丁度最高裁判所と高等裁判所との関係は二年ずれて来ている。丁度二年のずれをおいて高等裁判所が描いたと同じカーブを最高裁判所の図表が描く、そういうような次第でこの状態で参りますと、刑事に関する限りは近い将来において、これも極く近い将来において高等裁判所と同じような均衡を保つた状態になり得るということが相当の確実性を以て推測できるのでありまして、こういう線の動き方というものは、これはこれまで私どももこのカーブによつて大体予想をつけておりましたが、それが図らずも大体予想通りの線を描いておる、そういうことを申すことができると思います。大体以上の通りであります。

郡祐一自由党

○委員長(郡祐一君) 最高裁の機構改革についていろいろな論議があり、又裁判官の中でも私見を発表せられておるかたもあるように見受けられておりますが、機構の問題等について事務総長から御説明がありましたらお伺いしたいと思います。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総局事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) この機構改革の問題の起しましたのは、主として昭和二十六年の年のいわゆる七千件と言つて騒がれた時代に起つて来たものでありまして、もとより最高裁判所といたしましては、最高裁判所の機構のあり方というものについては絶えずいろんな各国の例とかいうようなものについて、最高裁判所自体としては資料をとつて研究はいたしつつあるのでございますが、余りにその事件が、未済事件が多いから何とかしなくちやならん、かようなところから起つて来た議論の主なるものは、最高裁判所の裁判官を増員しろという御意見、これは一般法令の違反についても最高裁判所に対して上告を許す。同時に裁判官を増員しろ、かような御意見であります。それから他の意見として一般の法令違反について上告部を設ける。これも各高等裁判所に設けるという御意見もありますし、或いは東京の高等裁判所に設けるというような御意見もある。それから上告部でなくして上告審査部、この名前は適当かどうかわかりませんが……を設けて、そうしてすべての上告は原裁判所を経由させ、上告審査部で一応審査の上適法の上告理由を具備しない上告は却下する、こういう案、更に、いま一つは現機構を維持して行く、かような案、大体大きなところでこの四つくらいの意見にまとまると思うのであります。その他いろいろこれに関して多少細かい点では進つた御意見もあるようですが、大体さような意見であります。  で若しこれが法務省のほうにおいても法制審議会においてやはり最高裁判所の機構というものを司法制度部会というもので取上げられて、そうして各方面の裁判所関係、或いは法務省関係、或いは弁謹上会関係、又は学者というような人々の委員を集めて参りまして、最高裁判所の制度に対して検討をしつつあるのであります。あるのでありますがなおまだ結論には達していないようであります。と申しますのは、何と申しましても最高裁判所自体が新憲法によつて新らしく作られて、いろんなこの最高裁判所の機能というものに新らしい機能が付せられたというようなところから、そのあり方については相当慎重に考えて行かなくちやならんのじやないかというのが常にこの関係者及びそういう委員会においても問題とされるのでありまして、いろいろ只今申しました四つの案についてもいろいろ一長一短がありまして、根本的に最高裁判所の機構をここまでこう持つて行かなくちやならんじやないかという決定的の御意見というものはまだ私どもは拝聴いたしていないのであります。  これは私の考えになるかもわかりませんが、大体最高裁判所というのは、こういう憲法上の機関である、而も最高裁判所出発以来一応昔の大審院当時の事件を引継いで大体大審院と同じようなものを引受けて、そうして刑訴の改正、或いは民訴特例法というようなものを作つて、そうして最高裁判所にもつて来る上告というものを考えたというところに、一つの私は事件の停滞して来るところがあり、原因があるのでありまして、刑訴の改正は二十四年の一月からであり、民訴の特例法は二十五年からやりました。漸くまあそういうものによつて最高裁判所の取扱う事件というのは、今の日本の現状では大体こういうものじやないかというところに落ちつきつつあるこの際において、一挙に最高裁判所の機構を改革するということは、よほど慎重に考慮しなければならないのじやないか、かように私どもは考えているのであります。

郡祐一自由党

○委員長(郡祐一君) 御質疑がございましたら順次御質疑をお願いいたします。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 ちよつと総長にお尋ねするわけですがこの前、何と申しますか、最高裁判所の不祥事件とも申しますか、誤判事件が一件でございましたね。あれは何でございますか、私どもその内容に立入つてかれこれ申上げるのではないのですが、一応最高裁判所に調査室というものが設けられて、いわゆる調査官と申しますか、そういう人々が法律上の見解、事実の審理というようなあんばいで、法律に照らし合せまして憲法違反があるかどうか、或いは判例違反があるかどうかというようなことを調査されて、その上で裁判官が自己の責任においてああいう判決を出されたのでありますか。又そういうことであるとすれば、そういうふうな事実の状態が現在も続いているものであるのですか。やはり一応調査官というようなものが調査するわけですか、どういうふうにそれはなつているのですか。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総局事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) 一般的に最高裁判所の事件の取扱い方を申上げますと、最高裁判所のほうに、これは民事、刑事によつて細かいところは違いますから、或いは民事局長から刑事局長から別々に御説明を頂いたほうがいいかと思いますが、一般的に申しまして、大体最高裁判所に事件が参りますと、それによつて事件の受付けをし、これは刑事のほうは原審上告を出せるのに、民事のほうは原審に出し或いは最高どちらにも出せるようになつておりますが、民事のほうで申しますれば、さような場合には記録を原裁判所から取り寄せるというようなことでそのために一定の期間がかかる。そうして刑事のほうならば形式を備えておれば記録と共にこれを送つて来る。かようにいたしまして、受付けた上告についてはこれを各誌法廷に、各裁判官に順転と申しますか、順番に配付いたしまして、そうして調査官のほうに廻して、調査官のほうで一応その事実並びにいろいろなそういう法律問題等の調査をしてそうして裁判官の下に廻す。で裁判のほうでこれを審理して、もちろん裁判官自身の責任において判決を下す、裁判をされる、こういう形になつております。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 そういたしますというと、調査官の数さえ増せば、まず一応裁判官が自己の責任において判決を下すということになりますれば、事件というのは相当数堆積しておつても、いわゆる調査官の充実さえやれば判決はそう停滞することはない、こういうふうに考えられるのですが、如何なものでございましようか。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総局事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) 調査官の増員もとより必要なのでありますが、併しこれもこの二十六年及び二十七年の初期のあの異常状態のときにおいて調査官を如何に増員しても、やはり事件はあの当時は相当停滞をしておつたのでありますが、上告として来るところの事件の数が大体安定いたしますれば、私どもは今の調査官の程度で賄つて行けるのじやないか。殊に、刑事の事件がだんだん減つて参りましたならば、刑事のほうの調査官を民事のほうへ廻すとかいうようなことをして行けば大体賄いつつ行けるのじやないか、かように見ておる次第であります。

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○亀田得治君 それは調査官は裁判官とどんな比率なんですか。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総局事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) 調査官の裁判官との比率というのはどうなるかちよつとわかりませんが、御承知の通り、裁判官十五人として調査官は只今二十七人だと思います。

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○亀田得治君 そうすると、最高裁のほうへはいろいろな機構改革の御意見がたくさん各方面から出ておるが、現状でいいという結論ですか。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総局事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) 私どもはそれは最も理想に適した、憲法に要請しておる理想に適した最高裁判所機構の改革がされるならば、それは誠に結構だと思いますが、只今出ておる案においては、いろいろ議論がございまして、殊に政府のほうでは法制審議会までも設けていろいろ検討をされておるときでありますからして、只今現状でいいのだということをはつきり言い切ることはどうかと思いますが、まあ事件の趨勢から見れば、今のところで賄つて行けるのじやないかと、かように考えております。

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○亀田得治君 最高裁の機構が問題になつたのは、事件の数に関連して出て来た意見が多かつたと思います。そういう立場からするならば、現在ではそういう立場からの改革は特に必要ない、そういうふうな結論ですね。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総局事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) まあそういう立場と言われる立場もございましようが、一体この新憲法によつて裁判制度というものは非常に従来から変つた。然るに制度が先に変つて、そうしてそれに対する受入れるものがどういうふうにするかという、いわゆる訴訟法等の改正があとにされた。刑訴は、先ほど申しましたように、二十五年の一月から施行されたのでありますが、民事訴訟法等については殆んどまだ大きな点に改正が向けられていないのであります。これも政府のほうにおいてやはり法制審議会で検討中とは思いまするが、又我々といたしましては最高裁判所の機構について考えるのはもとより必要ではございましようが、併しとにかくこの下級裁判所の管轄というようなこと及び最高裁判所ではどういうものが最高裁判所で上告事件として取扱つて最も適当であるかということを、これを民、刑について考えなくちやならない。そうして一方刑事訴訟法においてはすでに根本的に改正になつておつて、今のところではこの程度で一応見ておつていいのじやないか、かように考えておりますが、少くとも民事においては、例えば簡易裁判所の管轄が只今は僅か三万円になつておりますが、この三万円は昔の区裁判所の千円というものに比べるというと、物価の指数から言つても非常に低いのではないか、もう少し簡易裁判所に事件を移してもいいのじやないか。その事件を簡易裁判所に移すのにどの金額まで上げていいかというようなこと、或いは仮執行制度のようなものについてもつと根本的に考えていいのじやないか、又は仮差押、仮処分というああいう事件については、一体最高裁判所まで持つて来るのが適当であるか、或いはもうそういう本案事件は別にあるのでありますから、そこまで持つて来ないでもいいのじやないかということを、やはり適正な訴訟の処理ということと同時に、訴訟の促進というような面から検討する必要があるのではないか、かように考えております。

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○亀田得治君 大体わかりましたが、最高裁のほうとしては上告制度全般とか審級制度、こういうものに関するいろいろな改正すべき点、これはあるかも知れないが、どのようになつても、とにかく現在の人的な構成、そういうもので処理して行けると、そういうふうな考え方ですね。審級制度とか上告制度でどういうようなものを取扱つて行くか、こういう点についてはやはり改正すべきものはしなければならない。こういうわけですか、はつきり言つて……。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総局事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) 審級制度と申しますと、少し私の申したこととは違うのでありますが、結局一審、二審そうして上告、こういう日本の三審制度の建前というものを、根本的にはこの建前が今の制度として落ちついておるのであろうと、かように思うのであります。そこで一審で取扱う事件はどういうものを、一審の中でも簡易裁判所でやり、地方裁判所でやる。そうすると、どれだけの事件を簡易裁判所で取扱い、どれだけの事件を地方裁判所で取扱うかということが問題として考えていいのじやないか、かように思うのであります。そこで民事で申しますならば、今の一審の事件が簡易裁判所で相当多く取扱うということになれば、この事件の控訴は地方裁判所で、この上告は高等裁判所でというようなわけで、最高裁判所に持つて来るのは、特別の憲法違反の場合は別ですけれども、非常に民事事件についても減つて来るのではないか。事件の減るということばかりを考えておるのではないが、それが最も適当ではないか、かように実は考えておるのであります。

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○亀田得治君 大体お考えになつておるところがわかりましたが、一つ最高裁判所の取扱う事件のことについてお伺いしたいのすが、憲法違反の事件ですね、現在では第一審から上つて来なければいけない。こういう考え方のようですが、これはどうですか、憲法の建前から言つても、最高裁で直接憲法違反の虞れのある法令なんかについて最初から受付けて判決をして行く、こういうことが最も好ましいことではないかと思うのですね。但しそのためには、法的な不備があるということなら、その点の不備はこれはそういう方法がよろしいということになれば、当然法律を改正すべきなんでして、そういう問題についてはどういうふうにお考えでしようか。これは現行法にとらわれないで最高裁が直接憲法違反の法令なんかを審査して行くということについての見解をお伺いしたい。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総局事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) 只今の亀田委員の御発言は、これは非常に大きな問題でありまして、一体最高裁判所を憲法裁判所だけと考えるか、或いは普通の司法裁判所であつて憲法裁判所と考えるか、問題はありましようが、今日の憲法の建前から行きますと、やはり終審裁判所で司法裁判所であつて、そうして憲法の事件を取扱つておる、かように考えておるのであります。そこで憲法事件というようなものについてはすぐ最高裁判所でそれを一審として取扱い、且つ終審としてやつていいのじやないか、こういうような御意見、これはほかの方面にもございますが、成るほどアメリカの制度を見ますと、いろいろなサーシヨーレライ制度とか、或いはその他サーテイケーシヨンとか、いろいろな制度があるように思いまして、私どもも只今そういう問題についても研究をいたしておるのでありますが、今直ちに最高裁判所は憲法問題を一審として取上げてやつて行くというところまでは必ずしも結論が出ないんじやないか、かように考える次第であります。

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○亀田得治君 憲法改正の問題になつておるときですから、今の憲法の建前から行くとそれがしにくいからというふうな考えがあれば、そういう立場からの憲法改正ということは考えていいわけですね、案としては……。だからそういう意味でこれは御研究願いたいのですが、明らかに憲法に違反するような法令でも第一審から遡つて来いということであれば、国民の間においては非常なでこぼこができると思います。そういう間違つた法令の適用を受けて苦しんでいる人でも、それを問題にしなければそのまますんでしまう。これはおかしいと思うのですね。問題にした人だけが長年の年月と費用を使つて、そうして漸く最高裁判所に行つてその恩惠に浴する、これはどうも裁判の趣旨に副わないと思います。でそんな憲法違反ということが打ち出せるようなものであれば、一般的に最高裁が早くこれを国民全部に示したほうがいろいろな意味でよほど助かる。そういう意味から言うならばこれは是非ともそういう事例も外国にもあるわけですから、研究を願いたいと思うのですな。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総局事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) 只今の亀田委員の御発言非常に根本的に重要な問題を含んでおると思うのでありますが、我々としても十分検討いたしてその御意見のあるところについて検討いたしたい、かように考えております。学者のうちでもさような御意見を言われるようなかたも二、三あるように私ども承わつておりますのでありますが、十分今後検討いたしたいと考えております。

赤松常子日本社会党(第二控室・右)

○赤松常子君 私ちよつとお伺いしたいのでございますが、私よくわからないのでございますが、少し遅く来たからでもございますが、事件がこんなにたくさんたまつた理由は、事件が多かつたからでございましようか。それとも下級審の、何と申しますか不信から起きているのでございましようか。最高裁のこの事件が非常にたくさんたまつたというこの理由でございます。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総局事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) 最高裁の事件の一番多くたまつたのは先ほども申したように二十六年の暮、二十七年の初期が七千件、それから順次ずうつと減つております。先ほど下級審の不信というお言葉がございましたが、ちよつと私にわかりかねるのですが……。

赤松常子日本社会党(第二控室・右)

○赤松常子君 つまり上告が多かつたということでございます。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総局事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) 一体その上告が多かつたというのは非常に戦後の刑事事件が多かつたというところに原因しておるのではないかと思うのです。一般の刑事事件もそうでありますし、殊にいろいろな占領政策に基く違反事件とか、或いは統制が残つておつた事件であるとか、こういう事件が多かつたのが最近になつてかような法律は殆んど廃止されておりますので、従つて事件がかなり減つて来たのであります。もう一つお話申上げておきたいのは、上告して来る事件は非常に多いのですけれども、殆んどまあ言つて来ることはどつちかというと、事件の延期という意味において上告される事件がかなりある。上告理由を見ましても誠にそのどつちかと言うと、これが上告理由かというような理由が相当あるのであります。かようなわけで本当に国民が裁判制度を理解して行かれるならば、上告事件というものはそう殖えて来るものではないということを私どもは確信いたしておるのであります。

赤松常子日本社会党(第二控室・右)

○赤松常子君 最高裁で事件をお取扱いになつてそれが解決いたします、判決が下りますまで、およそどのくらい平均時日がかかつているのでございますか。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総局事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) これは民事事件と刑事事件とによつて多少違うと思いますが、主として刑事事件について刑事局長から御答弁願つたほうがわかると思います。

赤松常子日本社会党(第二控室・右)

○赤松常子君 平均でよろしうございます。大体……。

岸盛一最高裁判所事務総局刑事局長

○説明員(岸盛一君) 大体についてでずが、短かいものではやはり半年、これは併し非常に早くてと申しますのは、事件の上告を申立てて上告趣意書というものを当事者から提出いたします。そういう場合ときによつては国選弁護人を選任する。それからそういう弁論に入る前の手続きがそれに相当二、三ヵ月法律上どうしてもその期間かかるわけです。そういう趣意書が提出されて、すぐ裁判になるとしまして、早ければ大体六ヵ月くらい、それから又事件によりまして、これまでいろいろ長引いた例がありました。二、三年かかつた例があります。これは最近最高裁判所の裁判官のほうも非常に注意されておりまして、最近ではそう長くかかる事件はこれはもう極く稀な場合になつております。大体大多数の事件は一年以内で片付いております。これは刑事であります。

赤松常子日本社会党(第二控室・右)

○赤松常子君 十五人裁判官がいらつしやいます。これにおのおの専門というかたがおありになるのですか。手のあいたかたが提訴があればそれの係になるという工合になつておるのでございますか。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総局事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) 最高裁判所においては民事、刑事という専門にはいたしておりません。事件が参りますと順々に拝見して、従つて民事事件、刑事事件、行政事件、憲法事件、すべて順々に取扱つております。

赤松常子日本社会党(第二控室・右)

○赤松常子君 そういう場合どなたがそれを採配なさいますのでございますか。この問題はどの判事になるというようなことは事務局でなさるのですか。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総局事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) それは受付の順で参りますから自然に配付されて来るのであります。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 ちよつとお尋ねいたしておきますが、只今民、刑両方の事件数が約五十七百件くらいに上つておるのですね。表で見ますとそうなつておりますが、大体事務総長の考えでは五千件くらいの事件は何ヵ月くらい時日があれば調査官のほうで調査を仕上げて判事が判決をするというところまで持つて行くことができるのでしようか。今までの御経験から如何でありますか、ちよつとその点もお聞かせ願いたいと思います。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総局事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) これは事件によりましていろいろむずかしい事件と簡単な事件がありまして、むずかしい事件はかなり長くかかるようでありますが、普通の事件では大抵六ヵ月くらいで処理されて行つておるのではないかとかように思つております。殊に上告の理由というのは、刑事事件の理由にいろいろ憲法違反と言つて来ておつても、例えば自分が懲役にやれたら家族が食えない、これは憲法の保障している生活ができない、そういうような例が非常に多い。又中には上告して上告の理由書を出さない、上告の理由を書かすというと、別段理由がありませんけれども上告しましたというのがかなりたくさんございます。

楠見義男緑風会

○楠見義男君 最高裁判所の機構改革の問題とは関係のないことなので、極めて素朴なことをお伺いして恐縮なんですが、この間の苫米地義三さんの提案になつた国会解散権の問題で、新聞等で拝見しますと、直接憲法違反であるかどうかということについては最高裁判所では受理しない。従つて給付の訴えといいますか、歳費の給付の問題として下級裁判所へ行つて、それから今度は最高裁判所へまあ行くならば行くと、こういう手数を踏まなければならんというふうに新聞等では承知したのですが、この問題は先ほど亀田委員の御質問とも関連するのですが、一体憲法でも政府は勿論、裁判官も憲法遵守の義務がある。そこで一つの行政行為或いはその他の法律行為が、憲法違反であるかどうかという場合に、それを訴える場所がない。或いは訴えるにしても今の債権債務の関係のような、他の形でなければ持つて来させないということは、如何にも不思議な感に打たれるのですが、それはどうなんでしようか。真つすぐに受取る所というものはないのでしようかね。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総局事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) 個々の事件に対するお答えは遠慮させて頂きたいと思いますが、先ほども亀田委員にお答えしたように、やはり裁判所は係争事件となつて現われて来たその事件に対する判断として法律を適用して行くというのが今までの建前なんでありまして、いきなりこの法律が憲法に違反している、或いはこの行為は憲法に違反しておると、そういうような判断は今まではいたしておらないのであります。又現機構上においてそういうことは扱えないのじやないかと考えております。

楠見義男緑風会

○楠見義男君 これは議論に亘るかも知れませんが、今申上げましたように、憲法の条章には裁判官もその憲法の規定を遵守するといいますか、それを擁護するという義務付けがされておるわけなんですね。そこで例を変えて申しますと、例えば外国と条約を結ぶ。よく条約関係で国会あたりで審議する場合に、政府はまあ通り一遍といいますか、一つ言葉として言うことは、政府としては憲法に違反するような条約を結ぶはずがございませんと、こういうことで通つているわけであります。併しそれが具体的に憲法に違反するかどうかということを最終的に決定するのは、これは日本の現在のあり方から行けば最高裁判所あたりで決定する以外は当然に決定する所はないと思うのです。ところが具体的な事例になつて来ると、今のように争いのあるところを以てそれを審議して行くと、こういうことになつて来ると、勿論例えば条約が憲法違反であるかどうか、憲法違反なりという訴えを下級裁判所に持出しても、これは問題にならないことだと思う。かといつて最高裁判所もそれは受付けない。こういうことになれば憲法を守るということがあり、そうしてそれが具体的に問題になつた場合に、それをどこが遵守するのかということになると、非常に、何と言いますか、不十分な或いは又不完全な結果に陥るわけですね、そういう場合はどうなるのでしようか。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総局事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) 非常に大きな問題でございまして、憲法と条約との関係等についていろいろ学者等の間にも議論があるように思うのでありますが、現行の制度においては、今のようなことをいきなり最高裁判所に持込んで来ても、今日の要するに裁判所の機構においては取扱いできないのではないか、かように考えておりますが、併しこれをいろいろそういう面においても研究をいたしまして、果してそういう条約の無効、有効をどうするというようなことは、これは非常に大きな問題ですから最高裁判所が一審として例えば或る行政行為に対して受付けるとか、或いは憲法違反の問題を受付けるというようなことは、これは研究すべき問題である、かように考えております。

楠見義男緑風会

○楠見義男君 そうすると結論としては客観的に憲法を最終的に護る機関というものはないと、こういうことは少し言い過ぎかもわかりませんが、これを最終的に決定する機関は現在日本にはないと、こう了解していいのですか。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総局事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) まあその問題は非常にむずかしくなるのでむしろ裁判所で……、私がお答えすべきものではないかと思うのでありますが、一体にこの三権分立の立場からおのおの割当られておる国務というものがありまして、で裁判所は司法の方面を受持つておる。そこで今のような最終的に物を決すると言つても何といいますか、例えば統治行為というようなものに対して、裁判所が果して管轄があるのかないのか、権能があるのかないのか、扱えるかどうかというようなことについては相当これは研究すべき問題ではないかと思つておりますが、私のほうとしてもいろいろ只今の御発言で示唆されることがありましたので、なお一層研究して行きたいと思います。

楠見義男緑風会

○楠見義男君 これは私は実は六年間国会議員をやりましてそうしてつづくく感じたことなんですが、先ほど申上げたように政府がもう客観的に見て、これは神様のごとく間違いのないことのみをする政府であればこれは問題はないのです。併し必ずしも人間の集りですから間違いないとは保せない。而もその場合に先ほどもちよつと例を挙げましたように、憲法違反の行為をするはずはないのだ、こういうことで例えば条約を結ぶとか、或いは解散をやるとか、いろいろのことをやつてそうしてそれが別の形ではありますけれども、一応高等裁判所なら高等裁判所で、先般の苫米地義三さんの事件のようなものが出て来る。そうすると結局間違いないのだからやるのだと言つてやつたことが、実は裁判所では、覆えされる。併し国民は最高裁判所、或いは下級裁所、最終的には最高裁判所ですが、最高裁判所における判断というものに一番信頼をしておるわけですね。又信頼がなければ、司法制度というものが保たれないのですから、従つて少とくも憲法なり或いは法律の解釈の最終的な決定権は最高裁判所であるという国民の信頼によつて法治国家が維持できる、こういうふうに私は思つておるのですが、ところが先ほど申上げましたように、どうもぴんと来ないというか、はつきりしない点が立法府におつて感ぜられるのですが、この点は特に憲法擁護という立場から将来の問題としても十分に御検討をして頂きたい。これだけ希望を申上げておきます。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総局事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) 篤と御意見拝聴いたしておきます。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 ちよつとお伺いしておきたいのですが、これはあの機構と申しますか、運営の面についてちよつと事務総長にお尋ねしておきたいのですが、この頃簡易裁判所が相当数に上つておるようですが、殊に都会地には、例えば東京のような所には相当数の区がある、その区にまあ二区に一ヵ所くらいに当るような比率で簡易裁判所を設けられておるのではないかと思うのですが、この都会地は非常に交通の便がようございまして、裁判所に出廷するについても当事者が経済的にも余り苦痛を感じないというような場合が多いのですが、田舎に参りますというと、非常にそういう点が、裁判をしようと思つておつても、どうもいろいろな関係からできない、交通の不便とか経済上の困窮のためにそれがうまく行かないというような場合が多々あるんですが、そういう点はどういうことを御参考にされて簡易裁判所の設置というものをお取計らいになつておりますか。そういう点をちよつとお聞かせ願えれば結構だと思います。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総局事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) 簡易裁判所は終戦後新たにできた制度でありまして、当時大体全国的に二警察単位で一つの簡易裁判所を設けるというような、これは大ざつぱな方針ですが、私の記憶ではそういうような方針でありたいと、各地の意見を聞いて設置して、只今五百六十一簡易裁判所がございます。おつしやるように成るほど都会においては、或いは非常に便利なために廃止してもいいんじやないかというような御意見も承わつておりますし、弁護士会あたりの御意見もそういう御意見があるのであります。私どもといたしましても簡易裁判所の整理統合というようなことも部内では考えて、部内の意見をまとめつつあります。併し地方に参りますと、何といつても逮捕状の問題等がありますものですからして、一旦置いた簡易裁判所を廃止するというようなことは、非常にその地元の反対が強いため、又地元の人に非常に不便をかけるために簡単には実現できない。むしろできれば予算と定員の許す限りにおいて、できればまだ設置して行かなければならない所が相当数あろんじやないか、かように考えております。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 結局この財政的な逼迫というような立場にありまする家庭においては、非常に裁判をやつてみたいという希望がありましても、結局裁判を起せないというような場合が多々あるのでありまして、こういう点から裁判を受ける権利を憲法上認められておりながら、どうもそれが思う通りに行かないという場合があるのですが、こういう点に鑑みて、この際一つ巡回裁判制度というようなものを何とか法的に措置をして行なつてみたいという気持はございませんでしようか。これはむしろ私は、只今総長がおつしやつたように、都会地の簡易裁判所を廃止してでも、或いは廃止することができなければ、巡回裁判所の制度でもお設けになるほうが、田舎の人には非常に親切な取扱いではないかという気もいたしますが、如何なものでございましよう。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総局事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) 巡回裁判制度についても、私ども研究いたしておるのでございまして、例えば北海道とか東北というような、非常に不便な所で、余り事件は多数はないけれども、さて事件を起すということになると非常に不便であるというような所には、むしろ巡回裁判の制度を考えたらいいじやないかと、かように考えておる次第であります。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 福井にモデル・ケースの立派な裁判所ができて、司法権の威信のために結構なことでありますが、そういうふうなこともあながちこれは非難するというわけではないんですが、それだけの経費がありますれば、むしろ私は一般全国民のためにという意味で、巡回裁判制度というようなものをこしらえて、それに経費を振向ける、このほうが国民にはやはり親切な態度ではないか、又それこそ憲法上裁判を受けるの権利を国民に享有せしめたゆえんにかなうんじやないかという気持もしますが、そういう点は一つ十分お考え下さいまして、御研究をわずらわしたいという希望を私総長に申し上げておきたいと思います。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総局事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) 御意見として拝聴いたし、研究いたします。

赤松常子日本社会党(第二控室・右)

○赤松常子君 ちよつと私今の運営に関連しまして、要望し、お聞きしたいことでございますのですが、先だつて私福島県に参りまして或る農村に行つたときに、こういうことを非常に痛感しておるから、機会があれば発言してくれということを実は頼まれて、今思い出したのございますが、実は呼出状に使つておられる文句ですね。これがまだ非常に官僚的と申しましようか威圧的と申しましようか、そういう文句を使つておる。農村ではとてもそういうことをこわがるというんでしようか。恐れを感ずるというんでしようか、もつと民主的な裁判所であるならば、その辺の心づかいを欲しいということなんでございますが、そういうことを改革されておりますでしようか。

岸盛一最高裁判所事務総局刑事局長

○説明員(岸盛一君) 只今の点私どもとしましても、この新らしい制度の下では、できるだけいわゆる裁判所の民主的な運営というものを実現させたいというつもりで、そういう呼出状の書式なんかも研究して、従前も相当改めておりますが、併し又現在の状態で必ずしもそれで十分でいいというものでもありませんので、なお研究いたしたいと思つております。

赤松常子日本社会党(第二控室・右)

○赤松常子君 何か召喚というかこわい文句で呼び出されたのでびつくりして行つたら、何でもない問い合せだというんですね。そういう場合にも最初から心理的に非常に威圧を感じてびくびくして行くということのないように、どうぞその辺直接に民衆にすぐ接する場合の文句などは、もつと簡易にお改め願いたいと要望いたします。

郡祐一自由党

○委員長(郡祐一君) 先ほど簡易裁判所についての御質疑があつたのですが、簡易裁判所が設置をいたしたが、未だ開庁に至つていないと、奈良の十津川にもそういう例があると聞きますが、全国にそういうものがどのくらいあるんでございましようか。又その理由はどういう点でございましようか。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総局事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) ちよつと今どれだけ未開庁の庁があるか、ちつと数字は私、材料を持つておりませんの申上げられませんが、確かに未開庁の庁がございます。御指摘のなされた十津川はさような点でありますが、これはまあいろいろな事由によりまして、例えば土地がないとか或いはその裁判所の建物がないとかというような点から未開庁になつて、よその庁で事務取扱いをしておるところもそうたくさんはございまんが、数ヵ所あることは私記憶いたしております。

郡祐一自由党

○委員長(郡祐一君) それらのものは早晩開庁されるお見込みでございましようか。或いは何とか全国的な廃合等の考えがあつて手を付けられないという事情があるのでございましようか。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総局事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) まあ簡易裁判所の整理統合ということは、私ども部内として考えているところでございますが、併しながらこれは主たる原因は、先ほど申上げましたような土地や建物等の関係が主たる原因になつて未開庁になつておるところが多くあるだろうと思います。

郡祐一自由党

○委員長(郡祐一君) 設置されましても開庁されなかつたという、まあ大分簡易裁判所というものはできましてから久しいのでございますから、これについてのお扱いを一つ早急にお願いをいたしたいと思います。

楠見義男緑風会

○楠見義男君 私今の質疑応答を伺つておつて、どうも素人には実に不思議に思えたのですが、裁判所の土地もきまらず或いは建物もないのに、裁判所を開設するというのは逆ですね、そういうものができてそして裁判所を開設するというのが順序のように思うのですが、これは逆のようなことをやるのですか。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総局事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) これは簡易裁判所については実は率直に私の記憶なんでございますが申上げます、実は簡易裁判所を設置するかどうかということは、憲法施行と同時にどうするということは、当時占領政策の下にあつて非常に司令部のほうとしても折衝が遅れて参りました。いよいよまあ憲法を施行されるというようになつてから僅か二ヵ月か三ヵ月か前に決定したんだと、そうして数などもこれだけ置こうということでまあきまつたような次第でございまして、従つて今まで区裁判所が全国にございましたが、そういうものの数ではなくてそれのともかく二倍にも三倍にもする。六百くらいの簡易裁判所を置くということがきまつたものですから、従つてそういう法律はできたけれども、さて現実に六百に近い簡易裁判所を置いて、そこに判事を配置するということはそう簡単には参らない。今日もそのような事情で遅れておるものがあると申上げておきます。

楠見義男緑風会

○楠見義男君 これはまあ素人意見ですけれども、憲法が施行されてもう六年以上になるのだし、それにいつできるかわからないというような御意見であるならばむしろそれは一遍やめておいて、もう法律改正が必要とするならば法律改正をしておいて、実際できるときになつて解決したほうがいいのじやないでしようか。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総局事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) もう一遍…、御尤もな御意見であると思いますが、ただ今のところでは非常に事件が少くて開庁しなくてもいいというところが五、六のものがございますが、中には事務移転をやりまして、そうしてまあ土地があり建物があればすぐ開設でき得るが、その間不便を忍んでくれというようなことでやつておるところがございますので、一概に廃止というわけには参らんと思います。

郡祐一自由党

○委員長(郡祐一君) それで今裁判官の配置という話がありましたが、下級裁判官の人事交流は全体に満足すべき状態において行われておりましようか。何かこれについての方策というようなことをお考えでありましようか。これは憲法上数年後には下級裁判官の大多数の任期が満了いたすわけでありまするが、現在人事についてどういう御見解を持つていらつしやいましようか。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総局事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) 御承知の通り裁判官には身分の保障があるばかりでなく、任地の保障もございまして、本人の同意なくしては転任をしないという制度になつておりますのでありますからして、従つて他の一般行政官のような頻繁なる人事の交流ということはそれは行われてはございませんが、併し大体において本人の同意の下に裁判官の人事交流というものが行われておりまして、全国的にはちよつと数字を持つていませんからわかりませんが、殆んど毎週の、一週一回会合されます常置委員会で必ず裁判官の転任或いは、主として転任等でございますが、問題として上つておるのでございます。

郡祐一自由党

○委員長(郡祐一君) もう一つ民事上告の特例の法律でございますね。あれが来年の六月一日には失効するわけでありますが、あの特例法ができます場合にも、その間に恒久的な方策を十分考慮して切替と申しますか、失効いたします際に善処をいたしたいというような説明であつたと思うのでありますが、その間どのような対策をしておられ、手当てをどういう工合に考えておられましようか。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総局事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) この民事特例法はもともとこれは恒久法として国会に政府から提案されたのでありますが、二十五年に提案されたときに国会において臨時立法に改められ、それが二年の期限でありました。その後更に二年の延長をして二十九年の五月には期限になつておる。そこでこの問題は私たちからお答えするよりも、むしろこれは法務省からお答え願つたほうがはつきりするだろうと思いますが、私どものほうとしては民事の上告をあの程度に、要するに恒久化するということは絶対これは必要なのではないか。かような考えからいたしまして政府のほうに向つても是非訴訟法の改正ということを要望いたしておりました。目下法務省の方面ではこれに対する対策を考究中だと思いますが、どのように進展しておるか。その内容についてはちよつと私どもまだ十分関知しているとは言われんからして、これは法務省のほうからして一つお答え願つたほうがよいと思います。

一松定吉改進党

○一松定吉君 ちよつと伺いたいのですが、近頃法的一元化という問題が大分やかましくなつておるようですが、それに対しての御所見並びに実績等をちよつと伺いたい。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総局事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) 法曹一元の問題は理想的に申せば、まさにこれは実現されなくちやならない問題だと私ども確信いたしております。ただ、今日の法曹一元というのは、司法試験を通つて来た者を、司法研修所に二年間入れて修習をさす。これは判事になる者もあり、検事になる者もある。或いは弁護士になる、これを修習する。これが私どもから見れば法曹一元の極く初期の形であろう。今後本当の法曹一元ということは、やはり裁判官を経験のある弁護士から採るのが理想じやないか、大体欧米法規を取入れておるから、そう持つて行くのが当然なことじやないかということで、私どもとしてもその問題についていろいろ検討いたしておるのでありますけれども、今仮に弁護士或いは検事を十年やり、そうしてそのうちから裁判官を任用するといたしまして、果して現在のような機構の下において、現在のような待遇の下において、いい裁判官を得られるかどうかということについて私どもかなり疑問を持つております。弁護士を十年されて非常に優秀なかたが裁判所に入つて、裁判官になろうというのには、相当の待遇、待遇と申しますのは、ただ給与の面だけでなくて、いろいろな方面から相当の待遇をして、裁判所に入るということを、優秀な人が希望されるような、そういう司法制度というものが考えられなければならん。今のようにただ弁護士を長年しておつた人から簡易裁判所の判事を採るとか、或いは極く少数の裁判官を希望する人から裁判官を採用するということでは、本当の法曹一元ではないと思いますが、現在のところではまあそういうような状態であります。

一松定吉改進党

○一松定吉君 そうすると法曹一元化ということについて、今の司法試験を受けて及第した者を弁護士、裁判官、検察官というものに採用するために、二ヵ年間修習させるということが法曹一元化という一つの例であると言うが、私のお尋ねはその意味じやない。今あなたのあとからおつしやつた弁護士におる人から判事若しくは検事に採用することについての実績等を伺つたのですが、そういうことを今あなたのお話でもいいとおつしやるのだが、それが御承知のように実現できないのは待遇問題がこれに関連して、これが一つの障害になつておるということである。私もそう思うのだがね。そこで法曹一元ということが法律を運用する上において理想であるならばですね、この障害である、いわゆる待遇の改善ということをすれば、そういうことができようと私は思う。そういう用意がありますかどうですか。これから待遇改善しようということについて、法務省として一つこういうように改善して、  法曹一元の実を挙げるようにやつて行こうという案でもあるのですか、どうですか、これを一つ……。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総局事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) 私どもとしては、それは裁判官の待遇の改善、現におる裁判官の待遇改善、それから将来司法制度、法曹一元化をした場合の待遇改善、この二様に考えております。法曹一元化した場合には、この辺まで持つて行かなければならんという、趣くラフな、まだ熟していない研究の途中にあるのでございますが、只今資料を持合わしておりませんので的確にお答えができないのですが、のみならず一般に裁判官の待遇ということについては、非常な私ども関心を持つておるのでありますが、何と申しましても、結局これは国の予算の問題とからむのでありまして、いろいろな点において制約されておるような次第でありますが、まあ予算の許す範囲において、そういう方面のことを実現して行きたいと思つておる次第であります。

一松定吉改進党

○一松定吉君 予算の許す範囲内、それはその通りですが、ところが、その予算は、とにかくこれこれのものが国家のために必要であろということであれば、それを前提にして予算を組めばいいわけです。それを前提にせんで、大蔵省や閣議できまつた予算を基にして持越改善をしようとしても一向できやしない。だからしてこういうように待遇改善をすれば、法曹一元の実が上るのだ、それについては予算を一つこういうように請求しよう、そういうことがこの国会で認められれば、それはもう当然、それらの予算というものは国会において通過すべきものであると私は確信するのですが、要は裁判所並びに法務省において、そういうようなことを熱意を持つて考えてやつて、これを国会議員の頭にぶち込んで、閣議の連中にぶち込んでやれば、予算は取れるわけですから、予算の範囲内と言つて、今大蔵省なり、その他法定した予算の範囲内でやろうとしても、できません。幾らやろうと思つても……。それをあなた方のほうで積極的に働きかけなければならない。先ず第一に私ども痛感しておるのは、近頃裁判官の素質がよくない。それはどうかというと、そのいろいろな判事補なんかというようなものが、極くまだ十分の修習を積んでいないような人が重要な事件を取扱わなければならないというようなことが、往々にして見受けられる。そういうようなことは、つまりいい裁判官を得ることができない結果である。いい裁判官を得ようとすれば、今あなたのおつしやつたように待遇改善をしなければならない。待遇改善必ずしも物質だけではない。物質、それと社会上の地位とかいうようなものが、そういうようなものを以て裁判官の地位を向上し得れば、みな喜んで裁判官になる。そういうようなことを一つに考えて、そうしてやれば多数の弁護士のうちでも、希望して裁判官になる人があろう。今ではあなたがおつしやるように裁判官になつても食えない。それよりは弁護士のほうの収入がいいというようなことになつて来ると、如何に法曹一元化が必要であるとしても、裁判官を希望し検察官を希望する者がないということになると、甚だ困る。のみならず裁判官というものに対する国民の威信というものが保たれんという結果を招来する。そこで私の希望は一つそういう消極的態度でなくて、進んで一つ法曹一元をして、裁判官と検察官に立派な人を採用して、その実績を上げたいというならば、そういうようなほうに一つ積極的にやるようにしなければいかんと私は思うのです。それらのことは五鬼上事務総長一人でやるわけにはいかんだろうが、これは恐らく在朝在野の輿論だと私は思う。この間、或る弁護士出の検事長がやめた、弁護士の諸君は、弁護士のほうから採ろうと思つた。ところが検察庁のほうでは、弁護士のほうからは採らんで、在来の検事であつた人からとつたので、大分不平があるということを考いたが、併し私はそのとき言つたのです。成るほど君がたのほうの人が検事長になつておつてやめて、今度君がたのほうから採らなかつたということに不平はあるかも知れないけれども、要するに待遇をよくしなければ、いい人が弁護士会から行かん、弁護士会の中で爪弾きされているような人が、安月給で甘んじて行くということであれば、一向に検察庁の威信を保つことはできない。いい人が好んで司法官になり、検察官になるということについては待遇改善が必要だ。今のようなことではいけないだろうから、一つお互いに、在朝在野、政府並びに国会が協力して、そういう方針に進むことが必要じやないか、こう私は話もし、成るほどそうだということに話のけりがついた。それは私が申上げるまでもない。あなたがたは勿論そういうことに平素御関心をお持ちになつているかたばかりですから、これは成ろたけ一つ強力にそういう方針に一歩一歩前進するように私は希呈するのだがね。そうして一つ本当の立派な裁判官を得、検察官を得、それによつて待遇改善をする予算は、一つ堂々と取る。一体昔から裁判所とか、司法省というところは、正直に予算を組んでおいて、いつも天引で削られて、十分に運営ができんということは、数年来の一つの弊害なんだから、何も要らん金を、たくさん予算を要求するということじやなくて、今のようなことは正々堂々と要求さるべきものだろうと思いますから、そういう方針で今後一つお進めを、私はお願いいたすのでありますが、如何ですか。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総局事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) 誠に御理解ある御発言でして、私ども感銘いたす次第であります。もとより裁判官の待遇の改善については、私どもは及ばずながら常日頃考えつつあるのでありますが、御承知のように、今日政府のほうでは、行政整理とかいうふうなことを考えておりまして、只今我々大蔵省と予算の折衝に当りましても、絶えず決して不必要なものを要求しているのじやないのですが、なかなか満足な承諾が与えられん。それならそれで国会に訴えればいいじやないか、かような御意見もあるのですが、併しながらまあ国の現状から、大蔵省としてもこれだけで一つやつてくれという話もあり、そのために泣く泣く実は私ども今日までやつて来ているのであります。併しながら根本的に、一松委員の御発言のように、裁判所の、司法制度の改善なり、何と言つてもこの裁判官の地位を上げるということが、弁護士会からもいい人を取る、そうして法曹一元化をして、真に国民の信頼する裁判所を持つという点においては、私どももなお今後一層努力したいと思つております。非常に只今の御発言に対して、私ども大変な御援助を得たような気がいたす次第であります。

一松定吉改進党

○一松定吉君 今あなたの御発言を承わつていると、どうも大蔵省のほうで拒むから、思うようにできないというようなお話がある。それは私は甚だ不服なんだね。大蔵省というところは、各省から集めた予算を集計して、そうして案をこしらえて閣議に出すところなんだ。だから大蔵省がこれを採用しなかつたならば、法務大臣が閣議で、国務大臣という地位において、堂々と各閣僚と意見を交換して、そうして大蔵省の出した案が悪かつたら、そこで十分是正して、自分の所信を断行するくらいの勇気がなければいけませんよ。それができなかつたら自分がもう官を賭けて、こういうような閣僚と膝を交えて国政を談ずるくらいの勇気がなければいけませんよ。大蔵省が承知せんからどうもうまくいかんというようなことでは、これはよほど考えが間違いであつて、大蔵大臣だつて法務大臣だつて……この前私は建設大臣に言つたのだが、本当にあなたは国務大臣という地位は対等だからして、閣議において堂々と閣僚を説得してやるような方針を以て一つやつて下さい。これはいずれ犬養法相はそういうことも考えているでしようし、又あなたがたもそういう考えで折衝すれば、必ず私は目的を貫徹することができると思うのですがね、どうです。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総局事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) 裁判所の予算のほうは、これは全く独立していまして、結局政府と折衝したのにその折衝がつかない場合には、結局国会においてきめて頂く、かような建前になつておりますものですからして、予算の点は全く法務大臣との間には連絡がないのでありますが、併し問題によつては、法務大臣等と連絡いたしてこれまで法務省といろいろ打合せをしたり連絡をして、裁判所の主張を政府のほうにも徹底するようにはやつて頂いておるのでありますが、なお一層我々のほうも努力をいたしたいと思います。

一松定吉改進党

○一松定吉君 いや大いに結構です。  どうかそういう方針で本当に遠慮なくやつて下さい。我々は国会に席を持つておる立場から、そういうことに向つては堂々と応援する覚悟がありますから、一つ遠慮なくおやり下さいと、こういう希望を述べまして私の質問を終ります。

郡祐一自由党

○委員長(郡祐一君) 他に御質疑ございませんか。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 最後に一つお伺いしたいのですが、この最高裁判所、それから家庭裁判所、地方裁判ですね。或いは検察庁も同様な階級がありますが、この定年制が違うということは心理的に肉体的に別に変らんのですが、これを統一されるということは必要じやないかと思うのですが如何ですか。その点は何も研究がないのですか。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総局事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) この裁判官の定年は、一般裁判官の定年は六十五才、最高裁判所の裁判官の定年は、これは七十才、これはまあ最高裁判所ができる当時においてどの程度がいいかというのでいろいろ検討した結果、十五人の立派な人を得るためには七十才くらいの定年でよいということから七十才になつたと思いますが、簡易裁判所の判事の定年が七十才というのは、これは実は一般的にすべての判事に法律上はそうなつておりますけれども、というよりもむしろ例えば所長をしたとか、検事正をしたとかいう人で、なお簡易裁判所で働いてもらえるのに十分能力のあるような人、こういう人に入つてもらうというような面から実は六十五才を七十才に延ばしたようであります。御承知の通り憲法では下級裁判所裁判官は十年で任期が来ますから、従つてずつと若い者がそう七十までは行けるということには考えない。運用によつてそこは七十才までをとるには相当の地位にあつた人というようなことを考えておる次第であります。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 地方裁判所なんかどうですか。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総局事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) 地方裁判所は六十五才です。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 どうですか、それを七十才に直したほうがいいんじやないでしようか。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総局事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) 私どもの考え方としては、現行制度でまあもう少しやつて行きたい、かように考えております。

郡祐一自由党

○委員長(郡祐一君) 他に御質疑ございませんければ、本日はこれを以て散会いたすことにいたします。    午後三時三分散会

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