図書館運営委員会 第1号
- 発言数
- 22 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1953/11/06
会議録
○委員長(高橋道男君) それでは図書館運営委員会を開きます。 本日は国立国会図書館の組織規程の一部を改正する規程案と、国立国会図書館の建築設計懸賞募集に関する件を議題といたします。 先ず国立国会図書館組織規程の一部を改正する規程案につきまして金森図書館長の御説明を求めます。
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) 只今お手許に出しておりまする案は、この図書館の組織規程の一部を改正するというものでございまするが、その着目しておりまするところは、新たに二つの支部図書館を作るということであります。今まで最高裁判所や各行政部局に二十七の支部図書館を設けております。おのおのの役所の従来から発達しておりまする図書施設を拡充し、完備いたしまして、この二十七のいわば小さい図書館でありまするが、それを全体的に運営をするということにしております。全体的運営というのは言葉から来る語弊もございまするが、その各官庁で十分お使いになると同時に、よその官庁もそれも簡単に借出を受けまして自由に使う、こういう方法でやつております。今までの効果から見ますると、一年間に本をお互いに借り出したり読んだりいたしまするのが四十何方という数になつておりまして、かなり大きいものでありまして、私どものほうの上野の図書館等の数よりもむしろ利用率は多く、形の上で申しますると、利用率が多くなつておるという形になつておりますが、そこでそういう状況の下におきまして、今回法制局の図書館と工業技術院の図書館との二つを支部図書館にいたしたいという考え方であります。 法制局の図書館の蔵書は、性質は法律関係の専門書でありまして、蔵書数は約八千冊ぐらいのところでありまするが、これはこの古い沿革を持つておりますのと、従来終戦後などの書物の各官庁間の動きによりまして相当よき蓄積ができておるのであります。次に工業技術院は、工業技術に関しまする国内及び外国の図書の資料を収集して広く各官庁の利用に供しておるのでありますが、専門の技術図書館というものは今後ともかなり重要な意味を持つて来るようになりまして、殊に国立国会図書館にPBリポート、或いは各種の科学に関しまする資料等が漸次収集整備されるに従いまして、一戸連携を取りまして、その利用が増進せられるように希望しておりますので、そこで支部図書館の一つに加えることにいたしたいと思つております。蔵書の数は図書と雑誌とを通じまして約二万五千五百ございます。まあ一般的に言えば多いとは言えませんが、それが専門図書であるという点におきまして一つの特色のあるコレクシヨンであると考えております。 なお、御参考までにお手許の議案の中に法制局及び工業技術院からの支部図書館の設置についての申請書の写しを附けておりまするが、両図表館の概要を併せて付記いたしてありますが、御覧を頂きたいと思つております。 なお二つの支部の図書館の担当者もこの席に出ておりますので、御質疑の点等があれば更に御説明を申上げることにいたしたいと思います。 そこでこの支部図書館というものを改めて作るというのは実は法律上の名義でありまして、実際におきましては各官庁に自然発生的にでき上つて来ております。その職員も従来の職員、その役所にありまする職員がこれを担任しております。従つて又図書の購入その他の経費もその当該官庁で担任をしているのであります。で支部図書館にこれを組合せまするとき、一つの有機的な総合体の一部になると効果が非常に増して来るというところが狙いでありまして、例えばその図書館の運営が今まで孤立的でありまして、技術もそんなに進んでいなかつたというのが、今後一般の官庁図書館の標準に倣つて図書の整理などもうまくやつて行くとか、或いは又よその図書館との連絡等の便宜も非常によくなりまして、どういう書物がどこにあるかということが、この中央の図書館で総合目録によつて楽にわかります。それに基づいてお互いに貸出、借出をすることができるというふうの機能を完備せしめるというところに直接の重点があるわけでありまして、支部図書館におきましては、更にその職員の数の最低限をきめるとかいうような法律上の制限も起り得るわけでありますけれども、今この段階ではそこまで行つておりません。で、そういうことにつきましては別に法律が、ございまして、今度その法律の中に正式に国会の議決を、経て加えられますると、今度一層完備した支部図書館にまりまするが、今日お願いをしておりますのは、そこまでの法律的制限はございません。ただ図書運営の面におき化してお互に歩調を揃えて行くという院うな段階でございます。今申上げましたような事情によりましてこの二つの支部図書館ができましても、直接には国の予算は何ら新らしきものを必要とするわけではございません。こういうふうの仕組の中に入つて来るに従つて、いよいよその組織を完備したい。今までの行き届いていないところも改善をしたいということになりますので、その面におきまして、今後予算の面におきまして関係部局にお願いをする、或いは関係部局が大蔵省等と交流されるという段階が出て来る途は開けますけれども、直接には予算増額の問題には関係ございません。さようなわけでございまして、何とぞ御審査の上御承認をお願いたしたいと存ずるのでございます。
○委員長(高橋道男君) 只今の問題につきまして御質問のある方は逐次御発言を願います。
○石黒忠篤君 別に大した質問はないのですが、法制局の図書館が支部図書館となつて行くことが余りにも遅いように思うのでありますが、金森館長は非常に深い関係をお持ちになつているので、第一に支部にならなければならんところだと思うのですが、どういう事情で遅れたのですか。
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) これは誠に私どもの過去の経験を申しまするとお恥かしいことでありまするけれども、しばしば図書を整備して、実際法律の基礎を固めるというときには、調査しないで法律を出すというような、そんな図々しいことはできることではございませんけれども、併しこの附属書類にもありまするように、明治の初めからえらそうにかまえ込んでおつたような気がしますけれども、どうもだんだん世の中が世知辛くなつて来るにつれて、図書費なんというものはよその事務費に廻してしまいまして、少しは来ても本がまとまつて来ないというような状況で長く過しておりましたために、立派な図書館になりそこねたという点かございます。但し終戦後の情勢といたしましては、ものが非常に科学的になつて来るというふうになりまして、そうしてほかのなくなつた役研から、そこの蓄積を譲り受けるということになつて一応完備いたしまして、ここに申上げました八十冊くらいになつたのでありまするが、実際八千冊では何か短し長しの譬にありまするように、思うところには行きませんので、案外ここは法律の本はまだ少いと思いますが、まあ国会図書館それ自身から相当御利用になつておるようで、これが今後完備して、そこだけでうまくまとまつて行くようにありたいものと思つておりますけれども、法制局の関係の人に怒られるかも知れないけれども、本当のところを言えば、非常に進歩が遅かつたわけでございます。
○委員長(高橋道男君) ほかに御発言ございませんでしようか。
○大谷瑩潤君 これは一緒になりますと、図書行政といいますか、そういうものは一本になることになるのでございますか。
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) これが集中主義と孤立主義とまあ仮に分けると、物事について何事も二つの考えが起りますけれども、行政関係というのはどうしても分れなければならんということになります。この分れておるのを一つにするというような気持を誰も持ちやすいのですけれども、これは従来悉く失敗をしておりまして、思うように行つておりません……政策を伴つておりますから。けれども書物というものは、これは何もそれ自身が政策を、持つておりませんので、おのおの専門に従つて一つ所へ関係の書物を置く。例えば特許局には特許関係の書物を置き、大蔵省には財政関係の物を置く。こういう態度でやつて行きますと、ほかのものと違いまして争いは少ないのでございます。ただそれが発達して来まして、どこに何があるかさつぱりわからんということで面倒くさいから、連絡の悪いために利用価値が減つておるのであります。場合によりましては貴重な本を幾つもの役研で同じ物を買つておりましたり、皆分れている場合は、職員の一般教養に使いまするような書物、つまり比較的手軽に買える書物を各支部図書館が皆自分で買つておるとか何とかで、これは随分経済的にも余り好ましいことではございません。そこで事務的に各官庁の図書事務を或る程度統一する。併し或る程度はやはり独立にしておかなければならん、こういう面もありまして、どこまで統一するかということが問題になりまするけれども、これが私どもの経験から行くと、一本調子にこれを統一するといつたら、それはとても円滑に行くものじやございません。で、今国立国会図書館でこれを或る程度連絡調整を図るという場面に行きますると、要するに目録を整備するときにはどうするか、それから書物の分類をするときにはどういう標準を以て行くか、こういうことによつて集書的統一といいますか、そういうことをやりまして、それから今度はいろいろ人の数も充実しなければならん、本を買う金も充実しなければならんというときに、直接のことはその省の人が熱心におやりになるということで、国立国会図書館の中心のほうからいうと、その世話係をしておりまして、例えば大蔵省のほうへ陳情をしまして、少くともこのくらいの図書購入費は出してもらいたい、こういうような努力をいたしまして、今生で若干効果を収めているというような面がございます。それから図書を手軽に借出すということは、これは非常にうまく行つておりまして、今のところ一年に四十何万冊が動いておるということでありまして、非常に気長な仕事でございますけれども、思つたより、過去僅かに五年の経験でございますけれども、これがよくなつて、そうして例えば新聞紙なんかの……古新聞でございます。明治の初め頃の古新聞なんというものは、時と場合には非常に貴重なものでございます。上野図書館だつて完備しておりません。というときに、どこに一体何年何月の何新聞があるだろうということは、そうわかるものじやございませんが、これがこういう支部図書館制度ができましてから、皆知識を持ち寄りまして、そうしていろんな関係目録を整備いたしましたから、今ではすぐ出せるようになつておりまして、何か気の長いようではありますけれども、現実に役に立つておるような気がしております。
○委員長(高橋道男君) ほかに御賛同はございませんか。……御質問かなければ採決をいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(高橋道男君) それでは本案全部を問題といたしまして、これに承認を与えることに御賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(高橋道男君) 全員の御賛成でございます。よつて本案は原案通り決定いたしました。 —————————————
○委員長(高橋道男君) 次に、国立国会図書館の建築設計懸賞募集に関する件について図書館長からの御説明を願います。なお本会議等の関係がございますから、簡潔に御説明願いとうございます。
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) 丁度今日のようなよきお集まりを得ました機会に、一種の経過報告的意味におきまして、この建築の関係のことを御説明申上げておきます。 去る九月の十日に、第一回の建築協議会を開きまして、重要な点は三項目そのときに御決議を得たわけであります。 一つは、建築の実施をどうするか。これは或る段階から先は建設省に任せてやつてもらう、こういう点であります。それから第二に、小委員会の設置ということをおきめ願いましたが、これは先ず主として専門家の建築及びこれに関係いたしまする技術面の小委員会の設置を願いまして、これは種々物事をお諮りする、こういうことをおきめを願いました。第三には、新たなる建築をいたしまするについては、一般に懸賞設計を募集する、まあこういうふうにおきめを願つたわけでございます。 それに基きまして、だんだん実施方法をやつておりましたが、なかなかそう物事が捗りません。いろいろ予算はきまりましても、現実にこれか使えるという段階にはいろいろ手数を要しまして遅れましたが、併し、だんだんものはまとまつて参りまして、去る十月十四日に小委員会を開きまして、関係技術家の参集を願つて、そうしてその懸賞募集要項案を議題にいたしまして、別紙案のような要項を得たわけであります。これを又再び全体の協議会に付議をいたしまして、早速官報、広告その他の方法で周知せしむるようにいたしたいと思つております。まあ予算か十月の初めから使えるということになりましたので、大急ぎでかようなことをやつておるのであります。大急ぎというのは、実質的には前からやつておりまするが、具体的には大急ぎでやつておる、こういう意味でございます。 そこで建築用地の実測や、それからそこに柵を作ることも、それから用地の標示を立てるということも先週から取掛りまして、外柵や用地標示は本日完成する予定になつております。それから地質検査、地耐力試験というものも建設省の建築研究所に実施を委嘱いたしまして、もうこれも先週の初めから現地で調査を進めておりまして、成る期間の後には報告が出て来るものと思つております。ところかまだこうやつておりますると、多少は面倒な問題も起りまして、今ちよつと大きい問題といたしましては、敷地の予定になつておりまするドイツ大使館の元の建物には非常に堅固な防空壕ができておりまして、その設計図がどこかへ失われたものとみえまして、なかなかわかりませんでしたが、やつとその設計者が判明いたしまして、いろいろ調査をしてみますると、大体その防空壕には四百トン程度の鉄筋が使つてありまして、非常に堅固ではございまするけれども、これを片付けるということは容易なことではございませんので、建築研究所等の意見を聞いてみますると、この防空壕を取りこわすだけで八百万円以上を要するということになつておりまして、これはもとよりやらなければならんことでありまするから、今後研究を進めて行きたいと思つております。これは別に可否とか何とかいうことではありませんで、今差当り起つておりますちよつと目立つた問題を申したわけであります。 そこで設計の懸賞募集に移りまするが、先に小委員会しおいて大体案の一致ができまして、これに基いていよいよ本日これから協議会のほうにお諮りをして先の方途をきめたいと思つておりまするが、少しく長いものでございまして、若しお許しを得ますれば朗読をいたしまするか、如何にしていいものか、お指図を得たいと思つております。 大体さようなことで一応の経過報告を申上げた次第でございます。
○委員長(高橋道男君) 只今案について朗読をしようかというお話でございましたが、如何でございますか……、併せて御質問がございますれば御開陳願います。
○石黒忠篤君 ドイツ大使館跡の、大変に鉄筋を使つてある防空壕というものは、どうしても取除かなければならんのでありますか、それを利用するようなことはできないのでありますか。
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) いろいろ技術家に研究してもらいましたけれども、図書館というものは地下のほうに相当の部屋を作らなければならないので、そして上のほうに背の高い建物を作りまする基礎工事がやはりできなければなりませんので、今のところそういう堅牢な防空壕がありまするのを、そのままではどうも技術家は非常に困難だと、こう言つております。それをそのまま脇へ引越すという手はないかと、こういう研究もしてもらいましたが、引越すということになりますと、経費はこわすよりも余計かかるようなことになりましてしようがないと、それでいろいろの意見がございましたけれども、その鉄筋か四百トンもあるのだから、それが多少の価値を持つておつて、破壊作業がそれで幾らか経費の点で補われるのじやないかというような議論もございましたが、そうなかなかうまいことには行かんものでございまして、勿論鉄は幾らかお金になつて戻つて来るのはございましよう。併しそれもほんの一部で止むを得ませんので、今のところはとにかく除去するという方針に一応きまつております。なお今日の午後も専門家の委員会等でよく御意見を伺いまして、何かもつとうまい方法があるならばその方法も研究したいと思つております。
○石黒忠篤君 それからこの募集要項に書いてあるのでありますが、各種の設備、装置を施した、有機的にして而も清新な、気品の高い、世紀の代表的建築を完成しようとするものであるというのでありますか、こういう触れ出しで募集をされて、財政上の非常に困難なときに少々私は不適当に思いますか、世紀の代表的建築をすることよりも、もつとできるだけ簡素な、そうして而も国会の議事堂と極めて調和するような建築をなさることか必要じやないかと思うのであります。
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) その御指摘の点は、ちよつと作文が派手やかにできておるという感じがないでもございませんが、併し理想としてこういうところに行こうというのであり、一方において経費は先ず相当制限されているということは中にも示してございまするので、そんなに贅沢なものを作るという考えは毛頭持つておりません。この中にも示されておりますが、国会の建築に調和させる、これはどうしたつてこの地区の形を整えます上に必要だろうと思います。それから中にできて来ますものは、形というものは智慧の問題であつて、そうそれ自身には経費を要しない、極くそれはできるだけの僅かの文化的な考えしかできんと思いますけれども、これは直接にはそう経費に響くことはないと思つております。中のほうの施設は、これはもう図書館を作りますれば、何百年続くか予測はできませんけれども、少くとも数百年以上そのまま持つものでと作文の御指摘を受けると工合が悪いのですけれども、有機的にして而も清新な気品の高い世紀の代表的建築、これはもうこういう刺激をいたしまして、成るべくいい懸賞の結果を得たいというだけであつて、できるものは絶対に贅沢なものを予想はいたしておりませんのです。
○石黒忠篤君 募集をする以上は募集の要項というものが、応募をする人の心理に非常に私は関係があると思います。何らの注意を加えなかつた結果、広島における或る建築物のごときは、建てて困つているような恰好のものがあり、中途で全部が採用ができなくて、問題が起つたようなところもあるように思うのでありますから、その点については館長におかれて十分に御注意を願いたいと思います。
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) さように私どもも非常に注意をしようと思つております。
○委員長(高橋道男君) ほかに御質疑なり御意見はございませんか。御質疑なり御意見がなければ、本件は先ほど図書館長のお話のように、建築協議会で決定される運びになると思いまするので、本委員会におきましてはこの趣旨の説明を承わり置く、特に只今石黒委員から御発言のありましたことにつきましては、図書館長から建築協議会にもその趣旨を通されるような甘味において、御考慮願うことにいたしたいと思いまするが如何でございましようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(高橋道男君) それではそういうように決定いたします。 本日の委員会はこれで散会いたします。 午後一時五十九分散会