経済安定委員会 第1号
- 発言数
- 12 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1953/10/30
会議録
○委員長(早川愼一君) それでは只今から経済安定委員会を開会いたします。 先ず本委員会におきましては、先に前国会の終了に当り日本経済の安定と復興に関する調査について継続調査の議決を経て閉会中調査を継続して参つたのでありますが、今期国会も開会されましたので本院規則第五十五条により調査未了の報告書を議長宛提出いたしたいと存じます。つきましてはその内容等委員長に御一任願いたいと存じますが、これらにつきまして御異議はございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ━━━━━━━━━━━━━
○委員長(早川愼一君) 御異議がないと認めます。それでは多数意見者の署名を願います。 多数意見者署名 岩沢 忠恭 永井純一郎 高橋 衛 八木 幸吉 奥 むめお
○委員長(早川愼一君) なおこの機会に前国会におきまして七月九日及び十四日の二日間に亘つて岡野経済審議庁長官から我が国経済の自立に関する構想についてその研究途中における中間報告を聞き、審議を行なつたのでありますが、当時長官も述べられましたように、これは構想の概要であつて、年次別等その細部に亘つては作業中であり、今後の修正又は検討を前提としての中間報告であつたわけであるので、その後の経過及び内容等についてこの際政府から御説明を願いたいと思いますが、如何でございますか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(早川愼一君) それでは一応ちよつと……。渡邊説明員。
○説明員(渡邊逸亀君) 先般の国会で、大臣から御説明申上げました経済自立政策のその後の経過並びに進展状況について簡単に御説明申上げます。 そのときに御説明申上げました経済自立政策の各般の措置につきましては、例えば税制上の措置とか、金融上の措置或いは外交交渉上の措置等につきまして、措置し得る事項につきましては各省においてそれぞれ推進せられて参つておるのでございますが。自立政策の相当重要部分を占めます財政投融資の面に関しましてはその後検討を続けて参つた次第でございますが、その後の経済上の諸条件の変化、例えば水害とか冷害とかいう災害関係とか或いはそれに基く凶作の問題等もございますし、又政府資金の相当の撒超要因に基くインフレーシヨンの気がまえ等の問題もございます。又自衛力の増強に関してもMSAの問題等も交渉進展いたしておりますし、財政上の負担がかなり並々ならんものもございますし、そういうことに基く経済の不安定の要素というものもかなり出て参つたわけでございます。一方二十九年度予算の編成時期も近まりますと経済自立政策を実施するための財政上の投融資の額をどのように予算に織込むべきかという問題がございます。一方において経済が不安定に若しなりますといたしますと物価騰貴ということになりますし、そういうことになりますと自立政策の最も重要な点の一つである対外競争力の増強という点とは矛盾いたして参ることになるわけでございます。そういう点から考えますと経済自立政策を実行して行く上においては日本経済の安定ということを非常に強く打出さなければならないということになつて参ります。そういう点から二十九年度予算編成に関しまして経済自立のための財政投融資をどれほど計上するかということは経済の安定ということと適当な調整をとらなければならないという問題があるわけでございまして、そのために経済自立達成のための目標を実現するために更に副次的な条件として経済の安定ということを今後強く打出して行かなければならんという問題を私どもは取上げて参つたわけでございます。これが先ほど経済審議会から政府宛に答申いたしました経済自立のための三目標、四原則の中の第一の原則となつた次第でございます。なお経済自立を達成するためには、これに伴い実現して行かねばならん手段として経済の安定のほかに三つの原則が必要であると私どもは考えます、その一つは各企業主体の自立という問題でございます。例えば国の財政につきましては国力相応の均衡した健全な財政を組んで行くということ、即ち国民に対しても過重の負担をかけないで、而も経済の安定を図るための財政政策というものがとられなければならない。又地方公共団体につきましては機構の徒らな厖大を図るということは結局地方団体の財政では賄えないということになりまして、国に依頼する程度がますます高くなる、こういうものは断ち切つてやはり地方公共団体はそれ自体の財源で自立して行くということを考える必要があると思うのでございます。 それから企業につきましても現在の資本構成というものは戦前に比べますと非常に不健全になつておる。これを自己資本を増加して健全な経理をやつて行くということが必要でございます。又企業の経理の面においても濫費と申しますか、必要以上の経費を使つているという面もあるわけでございます。こういう点を是正して企業が自立してやつて行くようにしなければならない。又金融機関につきましても日銀の信用に頼るところが多く、徒らに、徒らにと申しますと語弊がありますが、非常なオーバー・ローンになつておる。このオーバー・ローンの傾向も日本の経済を自立するためには是正して行かなければならないと思うのでございます。又個人の生活におきましても必ずしも十分に勤倹節約が行われておるとは限らない面もございます。更に貯蓄を増強いたしまして冗費を節約して経済自立に協力するということが必要でございます。 日本経済の自立ということは面を変えて申しますと各経済の主体が自立して行くということがやはり根本であると考えまして、各経済自体の自立ということを四原則の第二の原則といたしたわけでございます。 第三の原則といたしましては、労使間の問題が日本経済自立の方向に現在向つておるかどうかということはかなり問題があるわけでございまして、生産性を上廻るような賃金要求が行われるというのでは、或いは賃上げ攻勢が年中行事のごとく行われておるということでは、むしろ生産性の向上よりも経済の機構それ自体を危くするような虞れもございますし、又大規模なストでもあるとすればそれは日本経済にかなりな悪影響を及ぼしておる。こういうことにつきましては、労使間の紛争を解決するに当りましては日本経済の実態を認識してその日本経済の発展の方向に、副う方向において紛争問題は解決せられねばならない。そういう意味におきまして労働運動のあり方についても反省を加える必要かございますし、又経営者の企業経営の態度、或いは労働問題に対する態度等につきましても反省を加えて正しい方向に向つての労使問題の調整、解決ということに向うべきであると考えます。 それから第四の原則といたしましては、科学技術の振興という問題でございます。我が国の経済のごとく資本も貧弱であるし、設備も老朽化しておる、従つて労働の生産性も低いというようなところにおいて、国際競争力をつけるためには、技術の進歩改良によつてこれを補うということが必要であると考えます。又国内資源の開発利用ということも貧弱な我が国の地下資源或いは地上資源等を利用する際にやはり科学の技術によりまして、その有効利用を図るということが必要でございまして、経済自立を達成するためには科学技術の振興ということを強く取上げなければならないと、私ども考えます。 経済自立の三目標、三目標…と申しますのは、一が正常貿易の振興、特に輸出の増強。第二の原則は、国内資源の開発による自給度の向上。第三の原則は、資本の蓄積とその有効利用という三つの目標、これを実現するために、四つの原則というものを打出しまして、これを経済審議会にかけて、先ほど答申いたした次第でございます。これは飽くまで根本的な方向を出したにとどまりまして、これが具体的にどう国政において反映されるかということにつきましては、私どもは更に今後検討を重ねて行きますと同時に、各省においても、この線に沿つて政策の立案が行われることを希望いたし、又各省と連絡をいたしておる次第でございます。 なお情勢の変化等によりまして、又四原則を加味したことによる三十二年度の計画がどう変つたかということにつきましては、計画部長のほうから説明を願いたいと思います。
○委員長(早川愼一君) 計画部長の佐佐木義武君。
○政府委員(佐々木義武君) 今年の五月だと思いますが、いわゆる岡野構想と申しますか、長期の自立方策を定めまして、皆さんの御質問、御批判を仰いだわけでございますが、二十八年度、今年度分に限りまして、その後どういうふうな推移になつておるかという点を計数的に申上げたいと思います。 二十八年度があの金額の見通しの基礎になつておりましたので、二十八年度の現状が変つて参りますと、おのずから将来の見通しも変つて来るわけでございまして、前提条件が仮に同じだといたしましても変つて来るわけでございますので、現状を主として申上げまして、今後の扱い等に資したいと思います。 この四、五月頃に予想いたしました二十八年度の問題と、現在十月に入りまして、まだ年度は暫らくあるわけですが、現存で見通される本年度の見通しというものを勘案して比較して参りますと、一番大きく違つて参りましたのは鉱工業生産でありまして、前の案では、九—十一年を一〇〇とした基準に比較いたしまして、今年は一四四・四くらいまで行くであろうという見通しだつたのでございますが、現状におきましては、今年度恐らく一四八・一くらいまで、もつと伸びるのじやなかろうかというふうな、年間を通じてでございますが、考えに至つております。その主たる原因でございますが、なぜ予想よりもそういうふうに伸びたろうかという面に関しましては、供給面と需要面と両方から考えるのでありますが、供給面からの要因といたしましては、皆さん御承知のように今年は非常に、雨が多うございまして、電気からの制約というものが殆んど上半期においてはなかつた。非常に豊富だつたということでございます。それから石炭或いは石油等も、初めは石炭に関しましては貯炭等も繰越しの貯炭等が多うございましたし、生産も割に順調であつた。石油の輸入は非常に順調でございましたが、全般として生産に対して何ら制約がないのではないかということが一つ数えられるのじやないかと思います。第二点として原材料の輸入面でありますが、これも非常に順調に行われまして、予想以上に順調に行われたという点が一つ。それから第三点といたしましては、設備の拡張が相当活溌に行われましたこと。その他合理化による生産増とかその他若干思惑的な要素もございますが、いずれにいたしましても供給面からいたしましては、そういうような状況で伸びたようなわけでございます。 それから需要面におきましては、まあ輸出の面でも年初以来若干上向きの傾向を辿つたのが、これが僅かのようでございますが、主としてございます。尤も量的に見ますと、相当伸びてございますが、それからもう一つ特需契約が非常に初めの計画よりは旺盛でございまして、それほど本年に関しては悲観的に見んでもよろしいのではないかという見通しがついて参りましたことと、それから内需の面でございますが、設備投資はさつきも申上げましたように割合に財政資金の供給にいたしましてもあるいは銀行の貸出しにいたしましても、あるいは、株の、自己調達にいたしましても伸びまして、自己調達の面は非常に旺盛だつたというふうな面と、それから個人消費の面も都市農村を問わず、少くとも上半期におきましては相当に上昇した。殊にこの都市面におきましては相当上昇の傾向を辿つておりますが、そういう需要面の強い要因が働きまして、鉱工業生産というものは予想外に今年度伸びましたので、当初の予想よりも遥かに生産のほうは上廻るのではないかという見通しが立ちましたのが一つでございます。 それからもう一つは農林水産業でございますが、これは、当初は七—十一年を一〇〇にいたしまして一〇八・二という予想でございましたのですが、御承知のように今まあ米におきましては非常に凶作だというばかりでなしに、繭、果実あるいはその他の野菜等にいたしましても、或いは水産等にいたしましても、相当減産の兆が見えられまして、一〇八までは到底行かずに九九・三くらい、農林、水産総合してとどまるのではなかろうかという見込みでございます。 それから輸出に関しましては、これは先ほど申上げましたように、若干当初の予定よりは伸びる見通しでございます。当初は十一億八千万でございましたが、十一億九千九百万と約十二億円まで伸びるのではないかという計算をしてございます。 それから輸入はこれがまあ非常に予定とは違つたんでございますが、初め十七億八千万くらいで、成るべくは奢侈品等を中心といたしましての輸入はさつき申上げましたように国内資源の活用によつて自給度の向上を図つて置換えて行きたいという数字でございましたのですが、そのほうの自給度の向上の面は早急にはなかなか予定の通り達成できませんし、あるいは又食糧のほうに逆に天候の加減で滅産になるという点もございまして、物価に対する考慮等も加味されました関係上、逆に二十億一千八百万ドルくらいの輸入というものは今年度予定されるのじやなかろうかというふうになつております。但し特需のほうは初め七億くらい見込んでおつたのでありますが、まあ去年と同様八億或いは若干それよりも上廻る八億一千万くらいまで伸びるのではなかろうかという関係に立ちますので、輸入の思わざると申しますか、予想以上に伸びましたその差をこれで若干埋めまして、当初はですな、まあ国際収支はほぼとんとんという見通しだつたのですが、今年度あるいは八千万ドル程度の逆調になるのではなかろうかというような気持もございます。その他物価等に関しましても若干従来考えましたよりはCPI等は高まつてございますか、こういう当初の四月、五月くらいの考えから見ると、その後のいろいろな原因が重なりまして、実際は特に鉱工業生産、或いは輸入貿易等に関して相当大きい相違が出て参りましたので、二十八年度の修正したのを基礎にいたしまして、国際的な前提、或いは国内的な前提条件等に関しましては、それほど大きな変化は今のところ見当りませんので、仮に一定といたしましても、将来の見通しといたしましては相当計数的には整理の要がございますので、只今折角二十八年度の新らしい見通しを基礎にいたしまして将来の見通しを計数的に洗い直しておる最中でございます。近くできるのじやなかろうかと思つておりますが、大体現状はその通りでございます。 それから先ほど渡邊氏から申されました、自立経済の目標の中で一番大きいものとして輸出の増大と国内自給度の向上を図りたい、或いは奢侈品の輸入抑制という点でございますが、その後これに対してどういうふうな措置がとられたかという点を極くかいつまんでお話申上げますと、輸出振興の措置といたしましては皆さん御承知のように輸出取引法を輸出入取引法に変えまして、そうして輸出振興のために業者間の協定の範囲というものを相当大幅に変えたというような点、或いは租税特別法の改正を行いまして輸出所得控除制度というようなものを作つた、或いは輸出信用保険法、或いは日本輸出入銀行法、それから損失補償に関しての輸出振興のための既存の法規を改善いたしまして、この面からの促進を図つたというような点、或いは相当程度合理化が、例えば造船に関しましても、鉄方面におきましても進捗して参りましたので、そういう方面から割合に輸出の伸びる素地ができて来たといつたような点が大きく考えられることだと思います。 それから自給度の向上に関しましては、皆さん御承知のように災害復旧等も含めまして、食糧増産対策費というものは財政、金融面からも相当程度大幅に計上されまして、進めてございます。それから合成繊維が一つの繊維原料の輸入をセーヴするという意味で大きく打出した線でございまするが、二十七年度七百七十万ポンドの生産実績だつたのに対しまして、本年度は千七百万ポンドぐらいまでは生産が出せるのではないかという、相当大幅な上昇傾向を辿つています。資金面につきましても、合成繊維に関しましては特に融資の必要を認めまして開発銀行から後年度二十五億ばかりの融資を見込みまして、五カ年間で一億五千万ポンドの増産をしたいという線に一生懸命になつて努力している最中であります。 それから奢侈品の輸入抑制に関しましては、二十八年度の下期の外貨予算の編成に際しまして相当大幅に削りまして、数百万ドルカツトいたしました。そうして奢侈品の輸入抑制を図るというような考えであります。具体的な数字と申しましても、二十八年度のまだ最終段階に達しませんので、それも……。
○奥むめお君 今の輸入が目標よりも大分殖えていますね。その主なものは……。
○政府委員(佐々木義武君) 主なものは食糧でございます。それから別に衣料品が若干夏場に高まりまして、相当羊毛なり、原綿の手当を至急にしたというのが原因になつております。併し一番大きい原因は、今度の凶作によりまして食糧の輸入を相当大幅にしたという点が一番大きな原因でございます。
○委員長(早川愼一君) 速記をとめて下さい。 午後二時十七分速記中止 —————・————— 午後二時三十九分速記開始
○委員長(早川愼一君) 速記を始めて下さい。 それでは一応この程度に打切りまして、又後日改めて御説明を伺うことにいたします。 なお閉会中に常任委員会で国土開発特定地域のうちの北上川、天竜東三河、木曾、飛越、この四地域についてその状況を調査しましたので、その説明を専門員から……、お手許には調査書を印刷してお配りしておきましたが、ざつと概略口頭で御説明を願います。それでは速記をとめて下さい。 午後二時四十分速記中止 —————・————— 午後三時二十三分速記開始
○委員長(早川愼一君) それでは速記を始めて下さい。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時二十四分散会