外務委員会 第3号
- 発言数
- 127 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1953/11/02
会議録
○委員長(佐藤尚武君) では只今より外務委員会を開きます。 議題は日本国における国際連合の軍隊に対する刑事裁判権の行使に関する議定書の締結について承認を求めるの件であります。先ず政府より提案理由の説明を求めます。
○国務大臣(岡崎勝男君) 只今議題となりました、日本国における国際連合の軍隊に対する刑事裁判権の行使に関する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 政府は、国連軍のわが国における地位を規定する協定を締結するため昨年七月関係国政府と交渉を開始し、じ来極力折衝を続けて参りましたが、刑事裁判権問題及び若干の財政経済問題等について双方の主張対立のため今日まで妥結を見るに至らなかつたのであります。 幸いNATO協定が本年八月二十三日に発効し、それに伴つて日米行政協定の刑事裁判権条項がNATO方式に改訂されましたので、右改訂実現後直ちに国連軍協定の刑事裁判権条項の問題についても、かねてのわが方主張どおり、NATO方式の採用により解決することとしたい旨を国連軍側に申入れました。 更に、国連軍の地位に関する全般的な協定の妥結にはなお多少の時日を要する反面、日米行政協定の刑事裁判権条項の改訂は、十月二十九日から実施されるので、わが方にとつて有利なこの条項の下におけると同様の刑事裁判権を国連軍についてもすみやかに獲得し、且つ、米軍の取扱と国連軍の取扱との間に不均衡の生ずることを防止するため、他の懸案とは切り離して刑事裁判権に関する議定書を締結し、これを行政協定の改訂実施と同時に発効させることとし、後日全般的な協定の妥結を見た場合これに包含させることについて国連軍側と折衝の結果、先方もこれに同意いたしましたので、去る十月二十六日にわが国と統一司令部としての米国政府並びに英、加、豪及びニユージランドの四カ国政府との間でこの議定書に署名を行なつた次第であります。従つて、この議定書は、これらの国について十月二十九日から効力を生じたわけでありますので、この事情を御斟酌の上に慎重御審議いただき本件についてすみやかに御承認あらんことを希望いたします。
○委員長(佐藤尚武君) 外務大臣は今予算委員会からぬけ出して来られて、すぐお帰りにならなければならんそうでありますから、本日はこの提案理由の説明だけ外務大臣からお聞きしたことにいたしまして、大臣はこれでお帰りになること、これやむを得ないと思います。 それではこれに引続きまして、外務省から三宅参事官が出席されておりまするので、本件の内容についての概略の御説明をお求めしたいと思います。どうぞ。
○説明員(三宅喜二郎君) では内容につきまして概略重要な点だけを取りあえず御説明申上げます。 この議定書は、議定書本書と、刑事裁判権に関しまする実質的な条項を記載しておりまする附属書一通とから成つておるのであります。 先ず議定書でありますが、前文におきまして、日米行政協定十七条を改訂いたしまする議定書と同様の規定を定めるということが先ず書いてございます。 議定書の本文第一項におきましては、日本に駐在しておりまする国連軍に対する刑事裁判権の行使に関する規定は、この附属書に定めるところによるのであるということで、附属書に内容がきまつているということが書いてございます。それから御承知のように、国連軍協定に関しまする問題は刑事裁判権だけではございませんで、ほかにまだいろいろ問題があるのでありますが、それらはなお折衝中でございまして、それらの問題も定まればこの刑事裁判権の規定もその全般的協定に統合されることになつておる。その際改めて全般的協定を結ぶという趣旨が謳つてございます。 第二項におきましては、この議定書に署名し得る資格のある国と、それらの国について効力が発生する時期が書いてございます。最初の第二項の中の前段におきましては、この議定書は、日本国政府と国連軍の統一司令部としてのアメリカ国政府と、朝鮮事変に関連いたしましてなされました国連の安保理事会、それから総会の決議に従つて朝鮮に対して軍隊を派遣した国の政府によつて署名されるということが書いてございます。従いまして韓国は除かれる次第でございます。それからそれらの国につきましては、最初に署名した国につきましては去る十月二十九日に効力を発生する、即ち日米議定書と同日に効力を発生するということになつております。その際に署名しなかつた国でも、先ほど申しました通り国連の決議に従つて朝鮮に現在軍隊を派遣しておるか、又今後派遣する国は、その際に日本国の政府の同意を得てこの協定に署名することができるということが書いてございます。それらのあとから署名する国については署名の日から効力が生ずるということを謳つてございます。 議定書の主なる点はそれくらいでありまして、次は附属書に関する説明に移りたいと存じます。附属書は大ざつぱに申しまして第一項から第四項までは裁判権の管轄について規定してございます。どちらが裁判権を持つかということが書いてございます。第五項から第十一項に亘りましては司法警察権、裁判における被告の権利や利益の保障、保護のこと、刑の執行に関すること、それから軍事警察行動に関する事項が規定してございます。第十一項におきましては、この規定の改訂に関する規定がなされております。逐次御説明申上げます。 先ず第一項におきましては、この国連軍の軍隊に対して国連軍当局、又日本当局が裁判権を持ち得るということ、又誰に対して持ち得るのかというような原則が書いてあるのでございます。第一項におきましては派遣国の軍当局が、その派遣国の軍法に服するすべての者に対して、自国の法令によつて与えられた政府の刑事及び懲戒の裁判権を日本で行使し得るということが書いてございます。(b)におきましては、日本国の当局は国連軍の軍人、軍属、家族に対してその日本国の領域内で犯した犯罪に対して裁判権を持つておるということが書いてございます。 第二項におきましてはいわゆる専属的裁判権に関する規定がございます。これも又二つに分れまして、(a)におきましては、派遣国の軍当局が持つておる専属的裁判権を書いてございます。専属的裁判権と申しますのは、(a)項におきましては派遣国の法令によつては処罰することができるが、日本国の法令では処罰し得ない犯罪について、派遣国の軍当局が裁判権を持つておるということが書いてございます。例えて申しますれば、派遣国の政府を転覆するような陰謀を軍人軍属がしておるという場合には、派遣国の法令では罰し得ますが日本の法令では罰し得ませんですから、これは派遣国がもつぱら裁判権を行使する、まあ当然のことが書いてある。(b)項におきましてはその反対に日本国の法令では処罰することができるが派遣国の法令では処罰することができないものについては、日本国のみがもつぱら裁判権を有するということを書いてございます。これも同様の種類の犯罪でございます。(C)におきましては、国の安全に関する罪というのが第二項にも書いてございますし、あとの第三項にもございますが、それは大体どういうものを指すのかという観念上その種類に属する犯罪が書いてございます。(1)としては当該国に対する反逆、例えば内乱とか外患に関する罪でございます。次は妨害行為(サボタージユ)とありますが、これはただ怠けるというだけでなしに積極的な妨害行為であります。次にちよう報行為、スパイ行為、又は当該国の公務上或いは国防上の秘密に関した法令の違反、こういうものが国の安全に関する罪に含まれるものの主なものであるということが例示してある次第でございます。 第三項はこれが一番大事な規定で、ございまして、いわゆる裁判権が双方競合する場合にどうするかという問題であります。この第一項の規定からいたしまして、当然に或る一つの犯罪が双方で裁判し得るということになるのでありますが、その場合にどちらが先ず裁判する権利があるかということであります。それはその犯人の身分及び犯罪の種類によつてどちらが有するかということをきめてある次第でございます。 (a)におきましては、派遣国の軍当局が軍人、軍属に対して先ず裁判し得る権利がある場合が書いてあります。その一つ(a)のほうは少しややこしく書いてありますが、要するに被害が向うであるという場合であります。即ち派遣田の軍人、軍属の犯した罪の被害者が、先方の国家か或いは先方の当該国の軍人、軍属又は家族である場合であります。例えて申しますれば或る軍人が同じ国に属するところの他の軍人、軍属、或いは自分の家族を殺したというような場合は向うのほうが優先的に裁判権を持つ、第一次的に裁判権を持つということであります。これは実質的に日本にとつて利害関係が薄いからでございます。或いは殆んどないと言つていいのかも知れませんですがそういう場合であります。第二は、公務執行中の罪であります。公務執行中の作為、不作為から生じた罪、例えば或る軍人が東京から横浜へ行く命令を受けて自動車を運転して行つて途中で人を殺した、或いは傷害を与えたというような場合であります。そういう場合は向う側が第一次の裁判権を持つ、こういうことになつております。 (b)は日本が第一次の裁判権を持つ場合でございます。これは(a)に掲げました犯罪以外はすべて日本が第一次的に裁判をする権利があるということであります。 (c)項でございますが、これは第一次の裁判を有する国、いろいろな事情を考えて自分のほうでは裁判しないということを決定したときにはできるだけ速かに先方の国に通告をするということであります。そうすれば第二次の権利を持つておりまする先方が裁判をすると、こういうことになるわけであります。これは自発的放棄に関する規定と言つております。(c)の次の文章は、相手国の要請によつて裁判権を放棄する場合のことが書いてあるのであります。例えば我が国が第一次の裁判権を持つておる罪に対して、日本で裁判せずに自分のほうで裁判することが特に重要と認める場合は、相手の国は日本に対して裁判権の放棄を要請することができる。その場合日本はその要請に好意的考慮を払わなければならないと、こう謳つてあります。好意的考慮でございましていろいろな事情に対してできるだけ好意的考慮を加えるということであります。必ずしもこれを放棄するという義務はないのでございます。好意的考慮を払うことが雑務の内容でございます。 次の第四項は、如何なることがあつても派遣国の軍当局は日本国国民、或いは日本に通常居住しておる者に対してぱ裁判権は行使し得ない、これが原則であります。ただその者が軍隊の構成員、つまり軍人になつているような場合は向う側は裁判できる。自分が第一次の裁判権を持つておれば、これを行使し得る、第二次の権利を持つておればそれを行い得る、こういうことであります。こういう場合は余りないわけでございますが、ただカナダと日本との二重国籍を持つておるような場合には、それがカナダの軍人であるということは実際上もあり得るわけでございまして、その場合には向う側が裁判権を行使しようと思えばできる、こういうことであります。 それから第五項は逮捕や引渡についての日本側と先方との協力の義務が書いてございます。(b)の場合は日本側で軍人、軍属、家族を逮捕したときは、先方に速かに通知しなければならないということが書いてあります。(c)におきましては、日本が裁判権を行使し得る軍人、軍属が先ず向う側の手にあつたときは、日本で公訴を提起するまでは身柄は向うにとどめておいてよろしいということであります。併し日本側が取調のために必要があるときは日本側に田頭せしめ得ることけ公訴を提起する前でも勿論であります。公訴を提起された後においてもなお裁判所に出頭せしめ、或いは身柄を拘束せしめ得る、こういうことは又当然であります。 第六項におきましては捜査の実施、証拠の収集提出について、互いに援助しなければならない、こういうことであります。(b)におきましては裁判権が競合するような事件については、要するに両方が裁判権を持ち得るような場合においては、お互いに自分のほうでとつた処置について通告しなければならないということであります。 それから七項は刑の執行について書いてあるのでありますが、日本の法令で死刑の処罰をなし得ないような犯罪については、向う側で裁判したときでも死刑の執行自身は日本の国内でしてはいけない、こういうことが書いてあります。自分のほうの国に連れて行つて、死刑を執行しようと思えば、やらなければならない、こういうことであります。それから(b)は、派遣国の軍当局が自分の裁判の結果、軍人に対して自由刑を宣告したが、自分のほうで行う場所等がないような場合は、日本側に援助を求めることができ、その場合日本側は好意的考慮を払わなければならない、こういうことであります。日本の監獄に一時預かつてくれとかそういうようなことを意味するわけでございます。 それから八項でございますが、一事不再理の原則が書いてございまして、日本の当局か又は派遣国の軍当局が裁判をいたしましてその結果無罪になつたか、或いは有罪の判決を受けまして服役を現にしておるか、或いは服役を終つたか、若しくは赦免をされたときは、他方の当局は同一犯罪について重ねてその者を裁判してはならないということであります。併し日本が例えば裁判いたしまして、その者が前記のような服役をしたとか赦免をされたとかいうときでも、先方の軍紀違反ということについては先方はなおあとで処罰を行い得る。刑事処罰はできませんが軍紀違反の懲戒処置等はとり得るということが書いてあるのであります。その次は軍人、軍属、家族が日本の裁判権に基きまして公訴を提起された場合のその権利或いは利益の保護、補償に関する規定でございます。「(a)遅滞なく迅速な裁判を受ける権利、(b)公判前に自己に対する具体的な訴因の通知を受ける権利、(c)自己に不利な証人と対決する権利、(d)証人が日本国の管轄内にあるときは、自己のために強制的手続により証人を求める権利、(e)自己の弁護のため自己の選択する弁護人をもつ権利又は日本国でその当時通常行われている条件に基き費用を要しないで若しくは費用の補助を受けて弁護人をもつ権利、(f)必要と認めたときは、有能な通訳を用いる権利、(g)派遣国の政府の代表者と連絡する権利及び自己の裁判にその代表者を立ち会わせる権利」これはもう日本の憲法や刑事訴訟関係の法令で大体皆認めておるところでございます。 それから第十項は軍事警察権に関する規定でございます。(a)は施設、区域内における警察権に関する規定でございます。施設、区域内におきましては軍隊の軍事警察は秩序及び安全維持のために適当な措置をとることができる、こういうことでございます。この点で特に申上げたいと存じますのは、従来米軍の施設におきましては向うが専属的な警察権を持つておつて、日本の警察権は及ばなかつたのでありますが、先般の改正の結果、日本側も警察権を行使し得る。ただ行使するに当つて双方の官憲の間に無用の摩擦の生じないように十分考慮するということになつておりまして、その点は十項に関する議事録に書いてあります。議事録による同様の規定はこの国連軍協定にも採用せられたのであります。この十項の(b)は施設の区域外における軍事警察権について書いてございますが、それは先方の軍人の間の規律及び秩序維持のためだけに用いる。用いるに当つては日本国の当局の間に取極をすることが必要であり、又日本国の当局と十分連絡して初めてなし得るというふうにいろいろ条件を書いて強く縛つてありまして、濫用を防いでおるのでございます。 第十一項はこの規定の改正に関する規定でございます。日米行政協定の裁判権の条項を改正する議定書が、将来更に改正せられたような場合は、同じ事情が国連軍についてもあれば同様の規定に改めるということを規定している次第でございまして、これによつて双方の軍隊の取扱の均衡を図ることになつておるのでございます。 以上簡単でございますが一応説明を終らして頂きます。御質問に対してお答えいたしたいと思います。
○委員長(佐藤尚武君) 只今提案の内容の説明を頂いたわけでありまするが、これに関します点の質問は、皆様方とお諮りしましてこのまま続行するかどうかということをきめたいと思います。
○佐多忠隆君 その前に大臣に対する質問が非常にたくさんあるのですが、これはどういうふうになりますか。
○委員長(佐藤尚武君) これはこの前の会議のときに、止むを得ざれば外務大臣に夜分にでも出て来てもらつて質疑をすることにしてはどうかと、そういう話がありました。そこで外務大臣にその目すぐ私会いまして委員会の希望を伝えましたところ、外務大臣も何とか都合しようということであります。そこで今更に確めましたところが明日三日の晩出て来られるだろうと言つておられますが、そうでもないと外務委員会として比較的ゆつくり外務大臣とお会いするという機会がないように思われます。若しくはもつと先に延ばされるというのならそれでもよろしうございますが、そうすると四日になります。会期が延びれば四日でもいいわけかも知れませんけれども。
○佐多忠隆君 それは一遍更に調整してもらつて適当な時期に出て頂くことにして……。
○委員長(佐藤尚武君) 適当と言うと三日にやつてもいいということになりますか。委員長は一向差支えないのですけれども委員方の御意向で……。
○佐多忠隆君 今日の議運の決定を見てから……大体三日でいいと思いますが……。
○委員長(佐藤尚武君) 時間も皆様方の御都合できめたいと思います。併し食後六時頃になるだろうと思います。若し外務大臣が三日でも差支えないということであつたらば委員会としてはおやりになつては如何でしようか。休日ではありますけれど……。
○羽生三七君 それならば、休日なら昼間でもいいと思うのですけれどもね、ですが議会をやるようになれば昼間は明かなくなるから……。
○委員長(佐藤尚武君) それでは議運での明日の工合を見ましてそうして又お諮りする、時間がなかつたらば理事のかたがたとお諮りし、そうして皆様方に御通知申上げる、こういうことでよろしうございますか。
○佐多忠隆君 はい、そうお願いいたします。
○委員長(佐藤尚武君) それじやそうお願いいたします。 それでは本日は質疑はどうですか。
○佐多忠隆君 少しやりましようか。折角来て頂いたのだから。
○羽生三七君 大臣には改めて伺うことになりますが、その前に事務的ということにしては少し意味が重いかとは思いますが、事務当局にお尋ねしたいことは、この日本国における国際連合の軍隊に対する刑事裁判権の行使に関する云々という、この本日の案件ですね、これは日米行政協定に伴う刑事裁判権の管轄関係にならつてこれが出て来たわけですが、その本来の日米行政協定のほうは明確に規定されたものがあつてその結果今度の改訂になつたわけです。ところが国連軍との関係は明確なものが何もなくてただ吉田アリソン交換公文というだけで今日まで来たわけですが、そのほうの刑事裁判権に関する問題が議会のほうへ出て来て本来の日米行政協定に伴う刑事裁判権の問題は、これは全然議会のほうへは出て来ないということは何か非常に矛盾したように感じるのですが、これはどういうことなんで、ございましようか、先ずこの点を伺いたい。
○説明員(三宅喜二郎君) その点は、日米行政協定のほうは、御承知の安全保障条約第三条で、日本に駐留するアメリカ軍については、この配備を規律する条件は行政協定できめるということになつておりましてこの配備の規律と申しますか条件に基きまして政府間で行政協定を結んできめた次第でございます。先般の議定書もこの行政協定を改訂する議定書でございますから、親の行政協定が政府間でできるということになつておりますから、これを改訂する議定書も政府間のみの行政協定でできる、こういうふうに考えております。それでそのほうは国会の御承認を得るための提出をしなかつた次第でございます。
○佐多忠隆君 手続は法律的に言えばそうだと思うのですが、併し今の御説明にもありましたように国連軍の刑事裁判権の行使に関する議定書は、むしろその前にアメリカ駐留軍に関する行政協定の改訂に準じてやられたと思うのです。従つてその説明がなければ、それらに準じたこつちのものだけでははつきりしない。外務省としてはその準ずる元になつたほうのものを御説明になるあれはあるのかどうか。むしろそつちから一つ御説明を願いたいと思うのですが、その点を一つ。
○説明員(三宅喜二郎君) 両議定書は実質的な内容は全く同一で、ございまして、国連軍のほうの議定書を説明いたしますれば、行政協定のほうの議定書の内容の説明にも実際上はなる次第でございます。併し日米のほうについて特に御要求がありますれば、勿論御説明申上げます。
○佐多忠隆君 それではこの国連軍の議定書に関する説明書が文書になつて配付されておりますが、それと同じようなものが、行政協定の改訂に関する説明書もできていると思いますが、それも一つ御配付願つて、そのほうも一度次の機会でも結構ですから御説明を願いたいと思います。
○説明員(三宅喜二郎君) 行政協定のほうの議定書に関しましては、ここに御配付申上げましたような印刷された説明書というものはできておりませんのでございます。
○佐多忠隆君 それは至急に作つて御説明を願いたい。
○説明員(三宅喜二郎君) できるだけ早く作りまして配付を申上げたいと思います。
○佐多忠隆君 その説明書だけではなく、それに関連する文書があると思いますから、それも一括至急御配付を願いたいと思います。
○説明員(三宅喜二郎君) 承知いたしました。
○梶原茂嘉君 今の問題に関連するのですけれども、私今よく勉強してないのですが、アメリカとの関係は行政協定によると、従つて国会との関係はないと、それのよつて来たる因は安全保障条約の三条にあつてその委任になつておるからと、こういうような御説明に承わつたのでありまするが、他の国連関係の場合と実質的には全然同様なんですね。実質的に全然同様であつて、又ときによつては変り得るわけなんです、アメリカの場合とそれから他の場合と変り得るわけです。そういうことを考えますると、本質的には行政協定の場合といえども、やはり国民の何といいますか裁判権に関連する重要な問題であつて実質的にはやはり国会の承認を得るというふうに考えるのが道理じやなかろうかと、こう感ずるのですけれども、それらの点についての当局の御意見をもう一遍お伺いしたいと思います。
○説明員(三宅喜二郎君) その問題につきましては、行政協定が結ばれましたとき及びその後に随分議論がございましたのでございまするが、政府のほうでは第三条で委任されているから、行政協定は国会に承認を求めるためには提出しないする必要はないし法的に不適当だと、こういう見解であつたと存ずるのでございまして従いましてそういう協定を有利に改訂する議定書でございまするので、行政協定のほうは承認のために提出いたさないと、こういうことになつておるのでございます。国連軍のほうは、吉田・アチソンの交換公文に政府に対する委任条項はございませんので、従いまして、こちらのほうは憲法の規定に従いまして承認を求める次第でございます。
○梶原茂嘉君 第三条を見ますると、日本国内およびその附近における配備を規律する条件とあるのですけれども、刑事裁判権に関連する事柄は必ずしもこの表現には該当しないのじやなかろうかと思われますけれども、その点はどうなんですか。
○説明員(三宅喜二郎君) 政府のほうといたしましては、裁判権とか警備とか施政、区域に関しまする問題も、すべてこの第三乗に書いてありまする通り配備を規律ずる条件というふうに解しております。先方もそう解している次第でございます。
○高良とみ君 只今のアメリカ合衆国と日本との間の安全保障条約第三条に基く行政協定に伴う刑事特別措置法のことなんでありますが、ここに御配付になつた中に刑事特別措置法の一部を改正する法律案の提案理由説明というのがあるのでありますが、ですから安全保障条約第三条に基く行政協定に関しては、国会にお諮りにならなくていいと了承して間違いないのですか。
○説明員(三宅喜二郎君) その点につきましては行政協定の際にも、国民の権利義務や予算に関することは、国内立法の措置として国会に提出して御承認を得るということを政府もたびたび言明いたしております。従いまして刑事特別措置法制定の際も国会に提出いたしました。今回新協定ができました結果、刑事特別措置法を改正する必要ができましたので、それが国会に提出する措置をとつております。
○高良とみ君 どうもわからないのですが、そうすると刑事特別措置法の一部を改正する法律案という司法関係のものは国会に御提出になるけれども、それの元になつている、今回の国連軍に対する刑事裁判権の行使に関する議定書に似たようなアメリカとのかようなるものは、それは国会に御提出にならないというふうに了承していいのですか。
○説明員(三宅喜二郎君) その通りでございます。
○高良とみ君 その理由が、どうも先ほどの御説明ではわからないのでありまして、行政協定に基くものでそれは行政当局に委任されているから、その後どういうふうに裁判権の行使が変つて行こうともそれは行政当局限りにおいてやつて行くのであつて、国会はこれを少しも了承しなくてもよろしいというお考えなんですか。
○説明員(三宅喜二郎君) 刑事特別措置法の改正は、国会の承認を得て定められまし法律の改正でございますから、これはどうしても国会の承認を得なければ制定できない次第でございます。日米の議定書のほうは政府に委任されて、政府限りの権限で結ばれた行政協定の改訂でございますから、親協定のほうが政府の権限で許された行政協定でございますから、これの改訂でございますから国会に提出しないでよろしい。こういう解釈をとつているのであります。
○高良とみ君 そうするとそういう法的な解釈はわかりますが、国際関係一般調査の議員の責任におきまして、一体アメリカとの行政協定の内容はどう変つておりますかということに対する質問に対しては、最近にこういうことに変りましたという御説明は頂けるものでありますか。
○説明員(三宅喜二郎君) それは勿論御要求があれば申上げます。
○高良とみ君 そういう形においてならば、政府はこれを国民の前に、或いは議会の前につまびらかにされ、成行及び内容を、書類を揃えて提出することにはやぶさかでないと了承して間違いないでしようか。
○説明員(三宅喜二郎君) その通りでございます。
○高良とみ君 それならば、そういう意味で行政協定は国会の承認の権限外であるが故に、それの改訂に対しては国会に提出しないと言われることに十分我々は納得しないものでありまするけれども、それならば一般国際情勢の、殊に国民と関係の深い問題として、アメリカ合衆国との行政協定の内容の変化に関する経過及びその結果についでは書類を揃えて御提出を希望いたします、この次の機会にでも一つよく御説明頂ければ非常に参考になると思いますので。
○説明員(三宅喜二郎君) その点は承知いたしました、なお大臣は数日前に本会議で行政協定改訂の経緯と、その改正の要点について報告いたされましたから。
○佐多忠隆君 一体アメリカの駐留軍と国連軍との地位ですね。そういうものは全然同じだと見ておられるのか。或いは何か相違があると見ておられるのか。その辺についての先ず御説明を願います。
○説明員(三宅喜二郎君) アメリカのほうは御承知のように安全保障条約に基いて駐留いたしております。国連軍のほうは先ず第一に日本は平和条約第五条で、日本は国連のとる行動に対してあらゆる援助を与えることを約束いたしております。それに基きまして平和条約締結と同日でありましたが、吉田・アチソン交換公文というのが行われましてそこで国連加盟国が極東の平和と安全維持のためにとる行動につきまして日本は日本の領域内又はその附近において軍隊を支持することを許し且つ容易にする、つまり駐屯を認め、それに対して便宜を供与するということをお約束いたしております。そこに、日本圏に国連軍が駐在し日本がこれに対してあらゆる便宜を供与するという、義務の根拠があるわけでございます。
○佐多忠隆君 そうすると駐留する法的な根拠は違うけれども、駐留している地位は実質的には違わないんだというふうな御意見ですか。
○説明員(三宅喜二郎君) 日本が駐留を認め、これに便宜を供与しなければならないという義務を有する点においては同一でございます。
○佐多忠隆君 今ちよつと吉田・アチソン交換公文そのものを持つておりませんのではつきりしないのですが、この議定書の説明書の冒頭に書いてありますように、私の記憶ではここでも書いておられるように、朝鮮における軍事行動に従事する国連加盟国が、その軍隊を日本国内及びその附近において支持することを許し且つ容易にすることと訳しているので、一般的な意味における極東の平和等々の意味でこれを許したんじやないと思うのですが、その点をもう一遍はつきり。
○説明員(三宅喜二郎君) 吉田・アチソン交換公文は、広く極東の平和安全のために国連行動がなされる場合、日本が領域内若しくは附近で軍隊を支持することを許し且つ容易にするということを約束しておりまして、朝鮮の軍事行動はその一つの実例であるということになつております。今度の協定は、国連軍の朝鮮の事変に関連してとられておりまする国連活動のために日本に駐屯している軍隊についての裁判権を規定するものでございます。吉田・アチソンは広い意味でございます。今度の協定は朝鮮事変に関連する国連軍の地位を定めるものでございます。
○高良とみ君 そういうことがどこかに書いてありますか、朝鮮における行動とか何とか。
○説明員(三宅喜二郎君) それは議定書の本文の第二項に、国連の安保理事会の決議と国連総会の決議に従つて軍隊を派遣している国はこの協定に署名することができるとありまして、そこで資格が制限されておる次第であります。
○高良とみ君 大変に佐多さん失礼いたしました。御質問中だつたのかも知れませんが大丈夫ですか。
○佐多忠隆君 いや、まだあるのです。
○高良とみ君 ちよつと一つだけ。そうすると、この第二項はアメリカ合衆国軍隊の場合にもこの枠がはまつていると了承して間違いないのですか。
○説明員(三宅喜二郎君) アメリカ合衆国軍隊につきましては行政協定の規定がございますから、それのほうで規定することになつております。併し実際上は内容は同じでございます。
○高良とみ君 もう一遍確かめておきますが、そうすると、やはり合衆国軍も日本に駐留して、この刑事裁判権の行使は朝鮮における国際連合安全保障理事会決議の期間及びそれを限つて行われるのですか。それともそれはいわゆる行政協定全般であるかどちらですか。
○説明員(三宅喜二郎君) アメリカ軍のほうは安保条約に基きます行政協定、このほうが適用されるわけでございます。従いまして、アメリカ合衆国がこの議定書に参加といいますか、署名いたしましたのは統一司令部としての資格においてでございます。統一司令部としてのフアンクシヨンを行うについては、この国連関係の議定書の規定に従う次第でございます。それ以外の点は両者同様でございまして、重複して規定する必要はなかつた次第でございます。
○高良とみ君 なお質問がありますが、それはアメリカ合衆国との材料を頂いたときに比較することにいたしまして、どうぞ佐多先生にお返しいたします。
○佐多忠隆君 そうすると、アメリカ駐留軍以外に国連軍として現在日本に滞留している国連軍の状況、それを一つ詳しく御説明願いたいと思います。それは何か文書になつておりませんか、簡単に表なんか。まあ一応御説明を聞きますがそうして表なり何なりして御配付願いたい。
○説明員(三宅喜二郎君) アメリカ以外の国で現在までに軍隊を派遣した国、或いは現に派遣しておりまする国は連合王国、つまり英国、カナダ、オーストラリア、ニユージーランド、南阿連邦、デンマーク、スエーデン、ベルギー、ルクセンブルグ、コロンビア、エチオピア、フランス、ギリシヤ、インド、イタリー、オランダ、ノルウエー、フイリピン、タイ、トルコの諸国でございます。併しそのうちで軍隊の数からいきまして、大部分のものは英連邦の諸国の軍隊でございます。数につきましては軍機に亘りますのでちよつと申上げにくい、あしからず御了承願いたいと思います。
○佐多忠隆君 それから現に日本に滞留しているというのはどことどこなんですか。それからどういう形において日本に滞留をしどういう活動をしているのですか。
○説明員(三宅喜二郎君) 軍隊というこの大きい組織で滞留いたしておりますのは、イギリス、豪州、カナダ、ニユージーランドでございます。そのほかの国は国連軍司令部に対して代表が派遣されておりましたり、或いは朝鮮で戦つた軍人が負傷して療養のために来るとか、或いは休養のために来るのが主なる例でございまして数は多くはございません。そうしてその軍隊の大きい組織として駐留いたしておりまするのは岩国と呉地区と東京のエビス・キヤンプでございます。休養のためには東京と奈良とか宮島でございましたか、そういう所にリクリエーシヨンのセンターがございます。そこに滞留いたす次第でございます。そのほか国内を旅行して歩くというようなことはございます。
○梶原茂嘉君 これまでアメリカその他の国際連合の軍隊なり、それの軍属、家族等、この今回の協定に関連する何と申しますか刑事上の犯罪件数ですか、これはどれだけあつて、大体どういう種類のものか適当に分類してもらいまして、これまでの大体の概況を一つ御報告願いたいと思います。
○説明員(三宅喜二郎君) 平和条約発効以来、今年の八月までに国連軍関係の犯罪件数は約五百件でございます。つまり月平均約三十件くらいということに相成ります。国警本部で統計を作つておりますので御要求がございますれば御要求に応じまして提出いたしたいと存じます。私の記憶では大部分はまあ暴行でございますね。或いは無銭飲食とか交通規則の違反とか、そういうものが数において多くを占めているというふうに記憶いたしております。
○佐多忠隆君 十月二十六日にこれが調印されたときに何か共同コミユニケを出されたことがありますね。あれが一つありましたら御配付願いたいと思います。
○説明員(三宅喜二郎君) 承知いたしました。
○佐多忠隆君 これを議定されることに関連して何か予算的な措置を必要とするのかどうか。若し必要とするならばその問題はどういうふうに取扱われているのか、その点を伺いたい。
○説明員(三宅喜二郎君) それは法務省の関係で留置場、拘置所等の設備を改善するのが主な費用であると私は記憶いたしております。それは法務省で予算的な措置をとりつつあると存じます。
○佐多忠隆君 それは新らしい補正予算か何か、今度の補正予算で審議することになるのか、予備費程度のもので済むのか。その辺はどういう扱いになつておりますか。
○説明員(三宅喜二郎君) 正確には記憶しないのでございますが、来年度予算で要求し、それで足らない場合は予備費で出すようなことになつているかと存じます。
○佐多忠隆君 一遍その点を関係当局に一応説明してもらうようにお取計らい願いたいと思います。 それからこれは大体、NATO方式に従つてやつたんだということになつておりますが、この議定書とNATO方式との異同、特にこの点が違つているんだという面があつたらそれを詳しく御説明願いたいと思います。まあこれはできればNATO方式に準じて日本案なるものをお作りになつたはずだと思います。その日本案の原案とこれと対照しながら、審議の過程においてどういうふうに変更ざれたかという点を、一つ詳しく御説明願いたいと思います。
○説明員(三宅喜二郎君) 先ほど申上げました通り実質的には全く同様でございます。ただ差異を申上げますれば、第一にはNATO協定第七条九項(g)の規定によりますれば、軍人、軍属、家族たる被告人は「裁判所規則が許すときは自己の裁判に」自国の「代表者を立ち会わせる権利」を有する、こうなつておるのでございます。「裁判所規則が許すときは」という規定があるのでありますが、この議定書にはその部分が削られておるのでございます。これには経緯がございまして、我が方の原案にはNATO方式通り「裁判所規則が許すときは」と入れてあつたのでございますが、日米議定書の際にそれを削つたのでございます。そこで国連軍の議定書におきましてもその削つたままになつておる次第でございますが、そこで日米議定書の際になぜ削つたかという経緯を御説明申上げます。 それは米国の上院かNATO協定を批准、承認いたします際に、いろいろな政府に対する希望決議をいたしたのでございますが、そのうちの一つに一の問題があつたのであります。で、それは米軍の要員がNATO諸国の外用の裁判所で裁判される場合には必ず米国の政府の代表者が立ち合うようにせよという強い要望を米国上院がいたしましたので、国務省におきましてはこの前記「裁判所規則が許すときは」という字句を是非削除してもらいたい、こういうことを強く申したのであります。我が国においては御承知のように裁判の公開ということが原則につておりまするので、その字句を削除しても実質的には一向差支えないと考えましてこの本文から削除することに同意したのでございます。併し第九項に関する議事録を御覧下さるとわかるのでありますが、議事録におきまして、裁判の公開に関する日本国憲法の規定を害するものと解釈してはならない。この本文の規定は日本国の憲法で認められている裁判の公開に関連する裁判所の権限を害するものではない。こういう意味の議事録をつけまして実際上は「裁判所規則が許すときは」ということがあるのと同じようにしたわけでございます。従つて、特に必要がある例外的の場合においては、裁判所の権限で立会を断ることもできる、こういう仕組になつておるのであります。 それからNATO協定と違いまする第二の点は、NATO協定の第七条が刑事裁判権を規定しておるのでございまするが、そのほかにNATO協定の第十五条二項に、裁判権に限らずNATO協定の規定というものは、敵対行為が発生したときは六十日の予告を以て停止を要求する権利が各締約国にあるのであります。従いましてこの裁判権に関するNATO協定の規定もそういう停止条項はくついておるものと見なければならないのであります。で、日本のこの国連軍に関する議定書には敵対行為が発生した場合云々というその字句は使つてございませんけれども、アメリカのほうについて将来改訂されたときは国連軍についても議定書を同様に変える、こういうふうに米軍との均等待遇という原則から改訂がなされるという趣旨の規定が入つているのであります。以上の二点がNATO協定の規定と実質的に異なる点でございます。
○佐多忠隆君 第七条の規定ですか、違うのは第九条ですか。
○説明員(三宅喜二郎君) 国連軍の規定では第九項の(g)に、「派遣国の政府の代表者と連絡する権利及び自己の裁判にその代表者を立ち会わせる権利」。この「自己の裁判に代表者を立ち会わせる権利」というところに、NATO協定では「裁判所規則が許すときは」というのが入つております。それを日米議定書におきましても、この議定書におきましても削除いたしたものでございます。
○佐多忠隆君 それはアメリカの上院のまあ附帯決議ですか何ですか、あの強い意向を入れて新しくそういうものの総意を主張したのでしようが、アメリカとしてはそれに基いてNATO協定自体も改正する意図があるのかどうか、その辺の事情はどうなつておるんですかね。と、それを聞くのはアメリカとしてはこつちから裁判権の問題を出したときも、NATO協定が新たに改正をされるし、而もそれが効力を生したときに、それに準じて日本のほうの行政協定なり何なりも変えるんだということを固執したと思うのですね。あのときにはそれならば日本側は反対的に、成るほどそういう御意向があるならばNATO協定も改訂されるだろうから、それと関連してこつちもその要求を盛るようなものは将来考えるとしても、一応はやはりNATO協定の方式に合わすということでいいじやないかという主張はあのときの経緯に鑑みてできるはずだと思うのですが、それらの点はどういうふうにお考えになつておりますか。
○委員長(佐藤尚武君) 都合によりまして速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(佐藤尚武君) では速記をつけて下さい。
○高良とみ君 先ほどの質問でありますが、そうしまするとこのアメリカ合衆国と日本との刑事特別法は、統一司令部としての米国政府と日本とが、この刑事裁判権を改訂したというふうに了承してよろしいのでございますか。つまりそれは国連軍の決議に基いてできたところの統一司令部としての軍隊に関して、こういう刑事裁判権の改訂をした、というふうに考えてよろしいのでございますか。それとも純粋に前からあつた安保条約第三条に基く行政協定によつて駐留しておる軍隊の刑事裁判権と考えてよろしいのか。どちらでありましようか。
○説明員(三宅喜二郎君) アメリカのほうは日米間の行政協定の十七条を改訂いたしたのでございます。それはアメリカ軍が日本に駐屯しております場合に、両方の資格、安全保持の軍と国連軍と両方の資格で駐屯しておる。併し実態は同じようなものでございまして、これにつきましては専ら行政協崇の改訂議定書が適用される次第であります。今度のほうはアメリカ以外の国連軍の軍隊に対する刑事裁判権に関する規定でございます。併しアメリカは、そういつた国連軍の軍隊に対する司令部と申しますか、統一司令部としての資格と任務を持つておりまして作戦のことについて又軍人軍属に関する監督等の面におきまして、最高の司令部たる資格を持つておりますから、国連軍に対する刑事裁判権についても全然関係がないわけではないのでございます。いろいろ協力する面があるのでございますから、その面でアメリカは今回の協定に入つた次第であります。
○高良とみ君 そうしますると、この国連軍の軍隊の裁判権に関するほうにはアメリカも入つておるし、又行政協定の十七条の改訂のほうは日本政府と別途に調印した。こう二つにアメリカが調印したというふうに了承してよろしいのですね。
○説明員(三宅喜二郎君) その通りでございます。
○高良とみ君 そうしますと、あとのほうは先ほど御説明のあつた議定書の第二項にありまする、国連軍の決議に基書くものでありまするから、この国連軍の決議のほうが動いて来た場合には根本的に又立場を改めて考え直さなければならないと了承して間違いないでしようか。
○説明員(三宅喜二郎君) その通りでございます。
○高良とみ君 それから提案理由にもありますところの、国連軍との話合いが国連軍の地位についてまだ妥結しておらないということにつきましての説明は、これは大臣のほうから直接に伺つたほうがいいと思うのでございますが、併しこの提案理由にありますので、それに関する幾らかの資料を頂くわけに行かないのでしようか。どういうことを主張し、どういうことが対立の根本であるかということについての材料は伺えないのでしようか。
○説明員(三宅喜二郎君) なおその問題につきましては交渉中でありますので、書いたものではちよつと提出しにくいのでございますが、先方との話合いもございまして、交渉中の事項は双方合意の上で発表することになつているもの以外は発表しないということになつておりますので、書いたものではちよつと工合が悪いのでありますが、ここで私から口頭で申上げます。その主なものは財政経済問題でありまして、例えて申しますれば施設の使用料を取るか取らないか、取るならばどの程度取るのかという問題、それから関税、消費税の免税をどの程度にやるかという問題。それから国連軍が公用で使う電気ガスの、使用料は勿論払つておりますが、その使用料にかかる税金を取るか取らないかということ等が懸案の主な問題であります。それにつきまして従来国連側は行政協定下における米軍の取扱いと同じようにしてもらいたいという要求であります。我が方は国連軍を、行政協定下においてアメリカに与えておる待遇よりも、いま少し落ちる待遇をしたいということの主張して参つたのであります。両一方の主張が相譲りませんでしたので今日までそれらの懸案については妥結に至らなかつた次第であります。
○高良とみ君 そういう財政経済の問題以外に、何かもつと施設をふやしてもらいたいとか、その他の国連軍の行動に関する、例えば娯楽機関とかそういうことについても、やはり行政協定においてアメリカ合衆国軍が享受しておるものを全部もらいたいというような要求もあつたのでしようか。
○説明員(三宅喜二郎君) そういつた施設区域につきましては、国連軍は現在以上にふやしてほしいという要求はいたしておりませんで、逆に日本側がそれをできるだけ返還してほしいという要求をいたしております。施設区域の問題につきましてもまだ折衝中でございまして最終的な決定には至つておりません。
○高良とみ君 先ほど御説明のありました、小さい国がたくさんありますが、そういう国のやはり刑事裁判権も同じく国連軍の署名した国々と同じように取扱う可能性があるでしようか。
○説明員(三宅喜二郎君) やはりそれらの国もひとしく同一の国連の決議に基きましてそういつた軍人、或いは軍の附属機関を派遣しているのでございましてやはり同一に取扱うべきものと存じております。
○佐多忠隆君 さつきの国連軍の地位に関する一般取極めに関連する財政経済条項の問題ですが、それらについてはアメリカ駐留軍とは違つた扱い方をしたいというのがこれまでの御主張だつたと思うのですが、そうなるとさつき言われたアメリカの駐留軍と国連軍との地位というようなものは、おのずから違つたものだというふうにお考えになつているのかどうか。その辺はどうなんですか。先ほどのお話ではどうも同じだというような感じを受けたのですが。
○説明員(三宅喜二郎君) 先ほど申上げましたのは、国連軍も日本のすでに結びました条約に基いて日本の要するに同意の下に駐屯している。その点で同一だということを申上げたのでございまして、日本との間のその他の法的の関係はおのずから違つております。特に申上げれば、アメリカは日本が直接、間接の侵略を受けたときは日本を防衛する義務を負うております。国連軍は、法的にはそういう義務を現在の国連の決議の下におきましては、まだ負つておりませんです。
○佐多忠隆君 それはアメリカは義務を負つているというふうに考えているんですが、あのときに非常に問題になつたと思うのだが。
○説明員(三宅喜二郎君) その目的のために駐留するということになつておりますから、我々は義務を負つているというふうに解しております。
○佐多忠隆君 それから附属書の第三項の、派遣国の軍当局が第一次の権利を有する規定、これはNATO方式ではこうなつているんですか。
○説明員(三宅喜二郎君) NATO方式でその通りになつております。
○佐多忠隆君 何かNATO方式では派遣国の軍当局が持つている裁判権は、もつばら当該国の財産若しくは安全のみに対する罪等々であつても、一応形式的には駐留されているほうが持つておるという方式になつておるのじやなかつたですか。
○説明員(三宅喜二郎君) いや、そうじやございませんで、ここに読上げまするが、(1)のほうは「もつぱら当該国の財産若しくは安全のみに対する罪又はもつばら当該国軍隊の他の構成員若しくは軍属若しくは当該国軍隊の構成員若しくは軍属の家族の身体若しくは財産のみに対する罪」となつております。全く同様でございます。
○佐多忠隆君 第何条でございますか。
○説明員(三宅喜二郎君) NATOの第七条三項(a)の(1)でございます。
○杉原荒太君 この国連軍との協定は問題の内容からすると、いずれももうずつと前に実は協定ができておらにやならん性質のものだ。それが殊に今度の刑事裁判権の問題のごときは日米行政協定の問題との関連などもあつてこう延びておるのだが、そのほかの問題、いわゆる財政経済というかいろいろ税金の問題とか地代の問題とかあるわけですが、こういうことは今まで未解決なものはこちらから何もそういうものはとつていないのですか。
○説明員(三宅喜二郎君) 未解決の問題につきましては、この協定できまればそのきまつたところに従うということで懸案(ペンデイング)にしてある次第であります。
○杉原荒太君 それだからそういう問題はもう事柄からすれば実におかしな話で、もうあなた、国連軍だつて朝鮮事変が終つてしまえば、その間の問題なんで、もう実際は事態というものはそれつきりで済んでしまつて問題だけ残つて非常に僕は残念なことだと思う。こんなことをまだ一つも全然何というか、つまり税金とか、地代、そういうものは何もこつちでとれていないわけなんですね。 それから一方僕は奇異に感ずるのは、この刑事裁判権の問題なんかのごときも、今度アメリカ側との間をいわゆる均等待遇ということで解決されるわけですね。これはいろいろ駐留の目的とか何とかの上からすれば両者別だけれども、いやしくも日本に、目的は別にしても駐在を認めているという事実は同じで、そうしてあとの待遇の問題になつて来て向う側が差別待遇は困るということ言うのは、向う側からすれば僕は尤もなことだろうと思う。 それから又何かほかの外交交渉などについてのこつちのやり方などからしても、いろいろなことに均等待遇の大原則ということは日本としてやはり主張して行かなければならない一つの大きな原則だろうと思う。 それで今度刑事裁判権についてこういうふうに解決するのは僕は非常に結構だと思うのですが、今のいわゆる財政条件のごとき、もうお互いに双方の主張はわかり切つていることだろうが、いつまでもこれが未解決のままなのは非常に僕は残念なことだと思うが、これから一体どうこれを処置しようというお考えですか。
○説明員(三宅喜二郎君) 只今杉原委員から仰せのように、日本としては明治以来、均等待遇、均等主義ということは日本自身も主張して来たところでございます。それから国連に対する協力というものはできるだけすることが、日本の国連加盟等も促進するゆえんでございまして、そういう点から考えまして、できるだけ早く他の問題についても相互互譲の精神によりまして解決したいと思いまして、只今関係省の意見も調整中でございます。 経済問題のうちでも防衛分担金のようなものは、これは出すことはできませんですけれども、その他の問題につきましてはできるだけ米軍と同様な待遇に同意して又同意しなければいつまでも解決しないと思います。同意するようにしたいと思いまして関係省の意見も調整中であり、又そういうほうに向つて対策を研究中でございます。
○高良とみ君 先ほどの主張対立ということの内容は一応伺つたのでありますが、今のお話によりますと、この問題が解決した場合には、主として財政経済問題であるならば、これは長い今までの滞留の、つまり昨年の四月二十八日以後まで遡つて種々の懸案が解決する見通しがおありでございますか。それともここで何か国連軍の日本における地位を規定する協定が改めて調印されて、それから先のことになるのでありましようか。どうでしようか。
○説明員(三宅喜二郎君) 財政経済問題を含めました全般的協定をできるだけ早く結ぶように努力しておりまして、それができますればその規定が平和条約発効の際まで遡つて国連軍に適用されるという方式を考えております。ですから全般的協定ができますれば、それで全部の期間を通じ、問題を通じて懸案が解決する次第であります。
○高良とみ君 そこにその交渉を開始したのは昨年七月のように書いてありますね。そうしまするとそれまでに何にも交渉を始めなかつた期間があるのでありますが、今の御説明によりますとそういう新らしい協定を作つて、そうしてそれで今までのことを全部解決しようというのでありますが、先行きの見通しが、先ほど杉原さんからおつしやつた通りならば事態が変つて来るような場合には、このままになつてこれで捨ててしまうという可能性もあるのでしようか。
○説明員(三宅喜二郎君) 今後まあ事態が変りましても、例えば朝鮮の政治会議が成功いたしまして国連軍がいよいよ引揚げる際になりますれば、やはり今までに懸案になつておつたようなことは両国政府間で定めなければ懸案のままになる次第でございます。どうしても事態が変りましてもその際には少くとも清算的な協定のようなものは必要になる次第でございます。
○佐多忠隆君 今の問題ですが、吉田・アチソン交換公文で、国連軍の国内における駐留ですか滞留を一応許して、それにいろいろな支持を与えることを約束したのでしようが、事態は朝鮮の休戦成立その他によつて非常に変つて来ているのですが、とすれば国連軍の地位に関する一般条項、そういうものの交渉もさることながら、もつと大乗的に国連軍自体はもう帰つてもらうのだ、特に講和条約に基いた規定通りに帰つてもらうのだというような主張なり意見なり、そういうものは外務省としてはお持ちになつているのか、お出しになつているのかどうか。これはまあ大臣に対する質問かも知れませんが、どういうふうにその点は……。
○説明員(三宅喜二郎君) 成るほど休戦協定はできましたけれども国連決議の目的はまだ最終的に達成せられておりませんので、国連の決議には単に武力侵略を反撃するだけのことが書いてあるのじやございませんで、朝鮮における平和と安全を回復するために国連の行動をとるのだということが書いてございます。休戦はできてもそういつた目的を達するために未だ必要だと考えて国連軍は朝鮮に留まつておるのでありますから、その目的のためにおる国連軍を日本は支持する必要が吉田・アチソン交換公文から見てもあるのだと考えるのでございます。
○佐多忠隆君 朝鮮における国連軍の駐留の必要等々の問題は、今度の政治会談その他ではどういうふうに扱われ、どういうふうに解決して行くというふうに外務省のほうではお見通しになつているのか。特にその点に関するアメリカ側の意向、イギリスその他ヨーロツパ諸国の意向、それから中国或いはソ連の意向、そういうものはどういうふうになつているのか、それらの点を少し御説明願いたい。
○説明員(三宅喜二郎君) ソ連や中共のほうでは従来からアメリカ軍その他国車幅は早く撤退せよと、こういう要求を持つておるのでございます。併しアメリカ及びその他国連軍側は、朝鮮で自由選挙が行われてそれに基いて南北の統一ができ、国連側において朝鮮における平和と安全は回復した、こういうことが確信されなければ撤退はできない、こういうふうに考えていると思うのであります。従いまして政治会議におきましては朝鮮における平和の問題と、それに伴なつてそのあとで国連軍の撤退という問題を考えよう、こういうふうになつており、両方の議題があるわけであります。併し従来の経緯から考えまして、この解決は余ほどの双方における努力と申しますか誠意が要ることと思うのでありまして、非常にむずかしい問題だと私どもはひそかに存ずる次第であります。
○佐多忠隆君 国連軍の朝鮮における駐留の問題については、今アメリカの意向は御説明によつてわかつたのですが、イギリスを先頭とするヨーロツパ諸国においては若干違つた空気なり意見をもつているのじやないかと思うのですが、その辺は外務省ではどういうふうに判断しておられますか。
○説明員(三宅喜二郎君) ここで記録に残していいかどうか存じませんが、英連邦諸国は政治的に考えても経済的に考えてもできるだけ早く退きたいということは考えており、又私的な話合い等で漏しているようでございますけれども、併し自国のそういつた事情以上に、武力侵略が起り又その脅威がある場合には国連の共同的な力でこれを防ぎ護るということが、より大きい国連の使命でございまするから、これから逸脱するというようなことは考えていないように私どもは観察いたしております。
○佐多忠隆君 この場合は中国の軍隊というのは義勇軍であるにしろ何であるにしろ、今朝鮮ではどういう状態になつておるのですか。
○説明員(三宅喜二郎君) なお北鮮のほうにおることは明らかでございます。
○佐多忠隆君 両方おのおの駐留軍と国連軍との数的な配置なり何なりは、ほぼどういうものだというふうに調査しておられるのですか。
○委員長(佐藤尚武君) 速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(佐藤尚武君) 速記を始めて下さい。
○佐多忠隆君 議定書の第三項説明の末尾の所に、(c)は第一次の裁判権不行使の場合の通告の義務と、第一次の裁判権放棄の要請に対し好意的考慮を払う義務を規定しておる。これは一応形式的には、相互的にこの義務を負うということになるのでしようが、具体的ないろいろな場合として、実際上アメリカ側がこういう義務を負うというような場合が起きて来るのかどうか。その辺少し御説明願いたいと思います。
○説明員(三宅喜二郎君) 例えば公務遂行中の犯罪として、東京から横浜へ行く命令を受けた軍人がスピード違反をやる。これは公務遂行中でありますから向う側に本来第一次の裁判権があるのですが、この犯人がたび重なる交通違反者であるというような場合には、向う側に対して裁判権の放棄を求めて、日本側で厳重に処罰するというようなことも一応考えられることでございます。 それから公務遂行中の犯罪でも、日本側の国民感情を著しく刺激するような悪質なものであつたような場合、これはやはり日本で裁判をしたいという場合があるかと思います。
○佐多忠隆君 それからこの議定書附属書によつて犯罪捜査をする場合は、軍事基地内における犯罪捜査は日本ができるわけですね。
○説明員(三宅喜二郎君) 先方の同意がもる場合、それから重大な犯罪につきまして、現行犯人を追跡中の場合は同意なくしてできることになつております。
○佐多忠隆君 その同意を必要とするということは、NATO方式でもそうなつているのですか。
○説明員(三宅喜二郎君) NATO協定にはこういつた形の議事録はついておりませんでございます。併しNATOの協定は、多数国間の最大公約数を集めたような協定でございまして具体的な協定は二国間でやることも考えている。或いは受入国で一方的にそういう措置を取るということも考えられておるのでございまして、NATOのこの本文の規定だけか見てNATO方式がどうだということは言えない次第でございます。日本の場合は実際上の便宜といいますか必要から考えまして、警備している所へ先方の了解もなしに日本の警官が入つて行くと、いろいろ実際上摩擦紛糾が起りまするので、こういう議事録をつけた次第でございます。権利としては日本は持つておるのでございます。実際の運用の面においてこういう自制的な制限を設けた次第でございます。
○佐多忠隆君 それは例えばNATOの協定にはないとしても、実際の運用上、今は例えばイギリスなりフランスあたりではそれはどういうふうに規定しているのですかね。軍事某地といえども、日本の土地なんですからね。それからそういう犯罪というような特別な場合なんだから、一々許可を得てどうというようなことは、むしろ基地内に対する警察権ですか何ですか、そういうものを全然実質的には放棄しているという結果にしかならないような気がするのですが、その辺はどうお考えですか。
○説明員(三宅喜二郎君) イギリス、フランスはまだNATO協定を批准いたしておりませんので、従いまして実質的な取極もまだできておりません。 実際上放棄しているのじやないかというお話でございますが、これは御承知のここの本文にも書いてございます通りに、犯人の逮捕については広く協力義務を定めておりまして、犯人を逮捕するというその目的の達成においてはこれで私ども遺憾ないと存ずるのであります。向う側に依頼すれば向うけ必ず逮捕して日本に引渡さなければならんということになつております。それから同意を得れば直接やることもできるということになつておりますから、これで実際上は差支えないように思つております。
○委員長(佐藤尚武君) では本会議のベルが鳴りましたから今日の質疑はこの程度にとどめておきまして、残りは次回に譲ることにいたしたいと思いまするが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(佐藤尚武君) それではそういうことに決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時三十八分散会