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17回国会衆議院1953/10/31

本会議 第3号

発言数
37
登壇者
16
会派数
8
開催日
1953/10/31

会議録

堤康次郎無所属議長

○議長(堤康次郎君) これより会議を開きます。     —————————————

荒舩清十郎自由党

○荒舩清十郎君 この際暫時休憩せられんことを望みます。

堤康次郎無所属議長

○議長(堤康次郎君) 荒船君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

堤康次郎無所属議長

○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。  この際暫時休憩いたします。     午前十一時二十五分休憩      ————◇—————     午後二時三十八分開議

堤康次郎無所属議長

○議長(堤康次郎君) 休憩前に引続き会議を開きます。      ————◇—————

堤康次郎無所属議長

○議長(堤康次郎君) 国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。石橋湛山君。     〔石橋湛山君登壇〕

石橋湛山自由党(分)

○石橋湛山君 私は、われわれの党を代表いたしまして、大蔵大臣その他関係諸大臣に、なるべく昨日の同僚議員諸君の質問と重複しない限りにおきまして、若干の質問を申し上げたいと思います。  まず大蔵大臣に対する質問からいたしますが、大蔵大臣は、一昨日の演説で、財政の健全性の強化ということを述べられ、また昨日の御答弁の中において、健全財政ということを強調されました。そこで、その健全財政とは何かということをまずお尋ねいたしたいのであります。大蔵大臣の説明によりますと、健全財政とは、既定経費の節約をはかり財政規模を圧縮することによつて実現されるものというふうに了解ができます、そして、その目的は、通貨価値の安定を確保し、いわゆるインフレを防ぐにある、かように理解できると存じます。思うに、大蔵大臣は、この方針に従われまして、歳出を極力圧縮し、またその歳入においては、つい先日成立したばかりの昭和二十八年度予算の歳出の中から百六十六億円の減額をはかられたものと思うのであります。のみならず。今後の二十八年度補正予算及び二十九年度予算においても同様の方針のもとに編成されようというもののように存じます。私は、この二十八年度予算を百六十六億円減額されたということは、これは大蔵大臣としてきわめて無責任なことであると存じます。つい先日できたばかりの予算をこれだけ減ぜられるなら、なぜ最初から減ぜられなかつたか。(拍手)また、その歳入においてわずかの時間の問に自然増収を三百億円見積られたということも、また同様に無責任ではないかと思います。(拍手)それほどの余裕がわずかこの七月からこれまでの間に急にできたものと思えませんので、これもふしぎであります。だが、この点については私は本日これ以上あえて言及いたしません。  私のお尋ねいたしたいのは、かような財政規模を圧縮するというだけのことで、はたしてそれを健全と言われるかどうかということであります。あるものが健全であるかどうかということは、抽象的にはわからないのでありまして、そのものの用いられる環境を同時に考えなければ断定はできないと思います。たとえば、ごく卑近な例を申しましても、われわれの食糧にいたしましても、ある体力、ある健康を有する者に対して健全な食糧が、必ずしもすべての者に対して健全な食糧とは言えないでありましよう。活力に満ちた若い者にとつて健全な食糧は、病人に対しては決して健全な食糧ではございません。しかるに、何でもかまわず財政規模を圧縮しさえすれば健全財政であるというのは、あたかも病人に対して健康な青年の食糧をしいるとか、あるいはその逆の場合と同じことで、ここにはなはだ危険があると、かように考える次第であります。(拍手)  今回の補正予算について見ましても、大蔵省は今年度の風水害対策国庫負担の所要額を千五百六十五億円と査定せられたのであります。この千五百六十五億円にも問題がございますが、これはしばらくおきまして、かりにこれを認めるとしまして、さて現在わが国の国庫負担によつて行われなければならない災害復旧はどのくらいあるかと申しますと、二十八年度予算によつて推計いたしますと、二十七年度までの分でいまだ予算処置の行われてないものが五百九十億円ほどあるように思われます。そういたしますと、千五百六十五億円の今年新たに生じた災害と合せて二千億円以上の国庫負担を要するだけの事業がいまだ残つておるわけであります。この莫大なる所要災害対策費に対して、わずかに三百億円を補正追加するということでありましたら、はたしてそれでどれだけの災害の復旧ができるか。金額から申しましても、わずかに一割五分にすぎないのではありませんか。もつとも、今日に至りまして、そのほかに特別の処置によつて百四十四億ほどの歳出が行われるように認められたようでありますが、それにしても決してこの大いなる災害を復旧するに足るものではない。このことは、昨日の与党の代表者の演説の中にも述べられておりますし、また昨日この壇上から答弁された諸大臣の言葉の中にも、ことごとく今回のこの大蔵大臣の補正予算については不満の意を漏らされておる。大蔵大臣に対してはお気の毒でありますが、与党からも、他の閣僚の諸公からも、ことごとく、この予算では不満である、これでは責任が負えないというほどの反撃を受けておるように思われるのであります。これは、私から見ますと、もつともであります。かくのごとき災害の復旧工事は、労力、資材等の供給が許す限り最も迅速にこれを進めてこそ、生産を回復し、通貨価値を安定し、インフレを防ぎ得るものだと思うのであります。(拍手)戦後のわが国のインフレが防止できましたのも、いわゆるドツジ・ラインによつてとも申されますが、そうではなく、実はわが国の戦後の生産が復興したからであります。(拍手)だが、それとも大蔵大臣は、財政規模を縮小さえすれば、災害工事は進まずとも、国の生産は興らずとも、通貨の価値が安定し、インフレは防ぎ得るとお考えになるのでありましようか。この点について、私は第一にお尋ねしたいのであります。  あるいは財源がないということを昨日もしばしば大臣は述べられましたが、私は財源はあると思います。それは前年度剰余金が何百億円かあるはずであります。法律によつてその半分を国債償還に充てるとしましても、なお相当のものが財源に充てられると思います。剰余金というものは、かような場合にこそ使うべきであります。もしそうでなければ、公債を償還するか、減税に充てるかすべきものであります。元来が、剰余金をつくるということが、もうすでに財政のミスであります。(拍手)できたところの剰余金はいたし方ありませんが、これをなぜお使いになるという考えを持たれないか。但し、御説明によりますと、剰余金のごときを用いてインフレ要因をつくることがいけないから、あえてこれを用いないとありますが、もしそうであるならば、大蔵大臣は、今後もこの剰余金はお使いにならないと、ここで言明をされるかどうか、この災害対策に用いてはインフレになる懸念がある剰余金であるならば、今後の補正予算もしくは二十九年度予算にも剰余金は繰入れられないお考えではないかと思うのでありますが、はだしてさようなお考えを持つておるかどうかということも承りたいのであります。  近来、新聞や、または私どもに直接に、東西の大企業と大金融業を代表すると思われるところの諸団体から、しきりに政府ないし大蔵大臣を応援して、今回の災害対策費の支出増加に反対する声があがつております。大蔵大臣は、あるいは、かようないわゆる財界の声をもつて国民の世論を代表しておると誤解されておるのではありますまいが。現に非常の災害に打ちのめされておる農民、あるいは中小企業者等の困難をそのままにし、また災害復旧が遅れればそれだけ生産が減るのでありますが、それを無視して、大企業家等の、これはおそらく物価を下げ、もしくは安定して輸出を増進しようというような希望であろうと思いますが、これはあとでも触れたいと思いますが、きわめて誤つた、かつ危険しごくの希望でありますが、さような一部の財界の声なるものに支配ざれることは、この際詳されないと思うのあります。(拍手)この点について、はつきり大蔵大臣の御意見をお聞かせ願いたいのであります。  次に、大蔵大臣は、一昨日の説明の中で、世界経済の基調と比較して、わが国の経済ば多少インフレ的傾向があると判断されました。その証拠として輸出はわが国商品の価格が割高であるために阻害せられ、国内需要の増大に伴い輸入は増加しておる状況であると言われております。そこで大臣は、これが対策として、緊縮政策、いわゆる健全財政、いわばデフレーシヨン政策をとられんとするもののようでありますが、一体今日のわが国の商品が外国の商品と比較して割高であるのはどういう原因によるものと大臣はお考だになりますか、この点を伺いたいのであります。国内の景気がよく、需要が過度に盛んなるために、わが国の物価は高いのでありましようか。それとも、商品の原価が高いためにわが国の商品が割高になつておるのでありましようか。大臣はこのいずれとごらんになるか、この点を伺いたいのであります。  その御答弁を伺うまでは、大蔵大臣がいずれのお考えであるかわかりませんが、かりにもしわが国の今日の商品の割高が、景気がよくて需要が過度に多いためにそうなつておるとするならば、デフレーシヨン政策も一応合理的と申せます。何となれば、デフレーシヨンによつて過度の需要を減ずることができると考えられるからであります。しかしながら、もしもわが国の商品がそのコストの高いために割高であるならば、ここにデフレーシヨン政策は一体どういう作用をなすとお考えでありましようか。商品のコストを形成する最も重要なものは賃金、俸給でございます。昔はデフレーシヨン政策によつてこの賃金、俸給を相当に下げ得た。だから賃金、俸給には弾力性があつたといわれておつた。それは、しかしながら、労働組合もないとか、あるいはあつてもきわめて微力である場合であります。今日の経済社会においては、デフレーシヨンによつて世の中の需要を下げでも、賃金、俸給はきわめて弾力性を失つておりますから、これを下げることは困難であります。まだ人減らしも非常に困難であります。ですから、コストが高い場合に、デフレーシヨン政策で賃金、俸給を下げてコストを下げるということは現在は望み得ませんし、かりにまた、多少は望み得たとしても、決して選ぶべき政策ではないと私は考えます。(拍手)  次に金利であります。金利については、前国会中、予算委員会において私はかなり詳しく大蔵大臣にお尋ねいたしたのでありますが、残念ながらその際満足な御返答は得られませんでした。しかし、少くともわが国の今日の商品の原価の中にきわめて多額の金利が含まれておるということは疑う余地がございません。おそらく、すべての商品を平均して二割以上三割は金利ではないかと思われるのであります。しかるに、デフレーシヨン政策によつて、その金融を一層締める、日銀の高率適用をやる、信用を引締める、こういうことをなされば、この金利はますます上るだけであります。先日不始末を発表いたしました保全経済会というようないわゆるやみ金融機関がいよいよ活躍をするでありましよう。とすれば、ここにおいてもまたデフレーシヨン政策によつてコストを下げる望みはない。のみならず、むしろこれを高騰させるだけでありましよう。  さらに設備であります。設備の能率、能力をよくするということは、コストを下げるつの重要な手段でございますが、デフレーシヨンにより物の需要が減り、不景気の場合に各生産者がその生産設備を改造改良するということは、これまた不可能でありましよう。いわんや、金融が引締められるという場合に、この改造はまつたく行き詰まるものと思います。  こういうわけでありますから、もしも、かような場合に、なおデフレーシヨン政策によつて商品の原価を下げようとするならば、これはよほど思い切つた手段をとりまして、片つぽしから事業をつぶす、ごく能率のいい事業だけを残して、あらかたの中小企業などというものはつぶれてしまう。そうして、いやおうなしに賃金が下り、いくら労働組合が騒いでも、実際に失業者が非常にふえ、何ともならぬというほどの状況をつくる。しかれば、これは賃金も下りましようし、それから資金の需要は激減いたしますから、また金利も下るでありましよう。しかしながら、このようなドラスティックの政策をわが大蔵大臣ははたして実行する勇気があられるかどうか。もしそこまでの勇気がないとするならば、今日の場合において、いわゆる健全財政、緊縮政策によつてどうして商品のコストが下げられるとお考えになりますか。もしも今日の日本の商品の割高がコストのためであるというならば、どういうプロセスを通して、健全財政主義によつてその商品の割高を訂正されるおつもりでありますか。その点のプロセスについて明らかな御説明を願いたいのであります。この点は、大蔵大臣のみならず、同時に通産大臣もぜひ御意見をお述べ願いたいと存じます。  次にお尋ねいたしたいのは、わが国の最近の物価の状況であります。大蔵大臣及び政府関係者は、日本は物価が高い高いと非常に悲観されて、今申すような緊縮政策をとられるのであります。日本銀行の物価指数を見ますと、昭和二十七年、昨年の一月から今日まで決して上つてはおりません。多少下つておる。あるいは少くも横ばいであるというのが現状でございます。今年に入つて、少し二十七年の初めごろに近づきましたが、これは御承知の繊維原料が政府の政策のために不当に制限されるというような思惑から、繊維品がにわかに高騰したというようなこと、あるいは米の不作ということの影響でありまして、これは政府の政策によつて幾らでも下げられるものであります。また、日本銀行の輸出品物価を見ますと、これは驚くべきものでありまして、二十六年三月には一八六という指数でありましたのが、本年の七月には一二六と、三割二分以上の低落をいたしておるのであります。これはむしろ恐慌状態と申してもいいほどの物価の低落であります。そのほか、物価については、一体朝鮮事件以来日本の物価は非常に上つた上つたといわれますが、実は朝鮮事件発生以前の日本の物価の低落というものは非常な猛烈なものでありました。昭和二十四年に三百六十円の為替レートをつくりましたときから朝鮮事件の発生直前までの日本の物価の下落は四割一分以上に上つておるのであります。そこで、当時は、このために日本の経済界は非常な騒ぎをしておつたのでありますが、これは、その意味においては幸いなのです。世界全体のためには不幸でありましたが、朝鮮事件が起つたために、その後需要がふえ、物価はやや回復した。しかしながら、それでも決して昭和二十四年の程度までには日本の物価は回復しておりません。それで、爾来、今申すように、横ばいの状況で低いところにあるのであります。この物価の状況を大蔵大臣及び通産大臣等はどういうふうにごらんになりますか。現に、わが国の生産物は、石炭までも生産過剰状態といわれております。また、最近しきりに過剰投資あるいは過剰設備ということがやかましく論ぜられておりますが、もし国内の景気が、大臣のごらんのごとく非常によくて、物資の需要が盛んであるなら、どうして過剰投資というものがありましようか。また石炭のごときも、もつと需要が多くあるべきであります。どうもこの点において、私は単に大蔵大臣だけとは申し上げませんが、政府のわが日本の経済界の観測は、どこかやぶにらみのところがあるのではないか、何か間違つておるのではないかと考えるのであります。(拍手)  次にお尋ねいたしたいのは国際収支の問題であります。大蔵大臣は、国内の需要の増大に伴い輸入が増加した、この関係から、本年度の国際収支は、特需等の外貨取入を含めても、なお相当の赤字が予想されると、きわめて悲観的な御説明をなさつております。そうして、ここにまた日本がデフレーシヨン政策をとらなければならぬ根拠をお求めになつておるのであります。だが、はたしてわが国の輸入は国内需要の旺盛のためにさように不当に増加しているのでありましようか。デフレーシヨン政策によつて削減をしてもさしつかえない、削減を可能とするというような輸入、言いかえれば不急不要の輸入がそんなにふえておるのでありましようか。政府の発表いたしました経済白〇書等によりますと、たとえば昭和二十七年の輸入総額二十億ドルの中から、国内経済に及ぼす影響の比較的少い不急品の輸入を削減するとしても、せいぜい七千万ドル程度である、すなわち三・五%程度のものしか削減する余地がないということを、昨年の貿易について経済審議庁の発表物は示しておるのであります。それが、本年になりまして、さように不急不要のものが非常にふえておりましようか。そうだとするならば、それを明示していただきたいのであります。もしまた、さように不急不要の輸入がふえておるとするならば、外貨の割当は政府自身がおやりになつておるのでありますが、どうしてその外貨の割当にあたつてこれを削減されないか。そうして、みずからなすべきことをなさずにおいて、ただ緊縮政策、健全財政で、災害にあつた農民や中小企業者を苦しめるということは、どうも筋が通らぬよう思う。このことも大蔵大臣と同時に通産大臣にもお聞きしたいのであります。  次に、大蔵大臣は、わが国際収支関係を悲観されて、いかにも月々の調子が悪いように言われております。確かに昨年十一月から本年の上半期までは、為替の受払い勘定を見ますと、支払い超過が続いておりました。しかしながら、本年七月から傾向がかわりまして、本年七月には八百五十九万三千ドル、八月には一千百二十三万三千ドルの受取り超過を示しております。これはまだ二月のことでありますから、あとはむろんわかりませんが、大蔵大臣は九月以後逆転するとお考えになつておるのか、あるいはまたその事実をお持ちになつておるならはお示しを願いたい。私が思うに、今わが国が十億ドル近い外貨を持つております。これを持つておるということが、実ははなはだふしぎなんです。敗戦後の日本は、何をおいても足りない物資を必要とする状況にあるのであります。ところが、はなはだぜいたく千万にも、十億ドルにも及ぶ外貨を死蔵しておるということがふしぎなんです。しかしながら、これは特需等によつて得たものだというふうに、はなはだ手軽にこの十億ドルを片づけますが、特需等といえども、ただではない。すべて物資、労力を提供して、その対価として得た金でございます。われわれは、朝鮮事件発生以来、かように十億ドルともいわれている莫大な物資、労力を提供してこの資金をかせいだ。従つて、十億ドルの外貨がここに存するということは、それだけの物資、労力が日本の国内からなくなつたことを意味する。もし日本の物価がいまだ世界的に高いといたしますなら、私はここに一つの大いなる原因があると思う。十億ドルの物資、労力を失つて、それにかわるところの物資、労力は入つて来ない。そしてその金が政府の手に死蔵されておる。(拍手)こういうことでありますと、これは国内の物価が割高であるわけであるし、また従つて、ややもすれば国際収支が逆調を呈する理由だと思うのであります。でありますから、これを訂正する道は、適当にこの十億ドル前後の所有外貨を利用して物資の輸入を行い、すみやかに日本の生産力を向上せしむるよりほかにはない、かように考えるのでありますが、この点について大蔵、通産両大臣の御所見はどんなものでありましようか。  ところが、政府はさような処置に出でず、はなはだしき苛酷の条件をもつて、わずか四千二十万ドルの火力発電借款をつくつて、大いにこれを誇つておられるようでありますが、私などには、まるで利子も何もまずとれないところの外貨を死蔵しておつて、一方でかような四千万ドル程度の借款をなぜつくられたか、わからないのであります。あるいはこれが呼び水になつて、今後大いに有利な条件で外資が日本に導入される見込みがあるというような説明も新聞等で伺いました。はたして大蔵大臣はさようなお見込みを持つておられますか。つまり。この四千万ドルの借款は条件が必ずしもよくはないけれども、これは呼び水で、今後大いに外資が導入されるのだというならば、どうかその見込みと、できるだけ具体的に、どのような外資が入つて来るかということをお示し願いたいのであります。  こう申しましても、私は単にインフレーシヨンがいいとか申すのではございません。不当の財政の膨脹を防止する、ことに不生産的歳出を厳に削減するということは、ぜひとも必要なのであります。だが、インフレーシヨンをほんとうに防止するのには、さような不急不要の支出を減少するということもむろん必要でありますが、それはただ減少するということがいいのではなくして、それによつて大いに生産事業を起す、ここに意味がある。単に予算の削減だけが目的ではない。この生産を増すということが何よりも大切だと思うのであります。それには、いたずらに健全財政、健全通貨とかいうような、教科書にあるような抽象的な文句にとらわれておつては、これでは生きた経済は処理できないと考えるのであります。(拍手)のみならず、ここに非常な危険が存すると存じます。大蔵大臣はむろん御記憶でありますが、昭和四年に、当時のわが政府はやはり非常な緊縮政策をとつて、いわゆる金解禁をいたしたのでありますが、その結果は単に経済界を非常なる困難に陥れたのみならず、それが基盤になつて満州事変が起り、五・一五事件が起り、二・二六事件が起り、遂には太平洋戦争にまで発展したのであります。私はこれと同じ経過を今後たどると申すのではありませんが、今日の日本においてもこれに似通つた危険がはなはだ多いということを痛感するのであります。かような意味において、ぜひとも大蔵大臣その他の御注意を願いたいのであります。先ほども申しました保全経済会の事件というようなものは何を意味するか。正常なる金融機関を通しては中小企業者等がその生業を続けることができないために、ここにやみ金融が横行するのであります。しかるに、この上にもさらにデフレーシヨンを強行して、はたして国の安寧が保たれるとお考えになりますか。私は、今年末から明年四、五月にかけてわが国の中小企業はさんたんたる状況に陥るのではないか、やがては大企業といえども決して安泰たるを得ない、同時に、地方財政はおそらく非常な行き詰まりに陥るのではないかと思うのであります。その場合に、はたして政府は、今後危険なく日本の安寧を保ち得ると考えられるか。これらについては、大蔵、通産両大臣及びあわせて総理大臣にもお伺いをいたしたいのであります。  時間がはなはだありませんから少し省略いたしまして、次には岡崎外務大臣に簡単に一、二点だけお尋ねをいたしたいと思います。外務大臣の一昨日の演説を伺つておりますと、日韓会談の決裂は一に韓国側の高圧的態度にあるというふうにして、責任を韓国に帰しておるようであります。私も韓国の態度が必ずしもよいと申すのではありません。しかしながら、韓国の態度がどうあるにしましても、この大切な日韓関係をかような行き詰まりに陥れたという責めは、これはどうしてもわが政府が負わねばならぬところと存ずるのであります。(拍手)そこで、具体的にお尋ねいたしたいのは、どうしてもかような大切な外交交渉を、政治的に責任のある外務大臣かまたは総理大臣がみずから陣頭に立つておやりにならぬか。(拍手)一事務官にすぎないところの者にまかせて、そしてあえてこれを決裂せしむるに至つたということは、私は日本国民でありますが、日本政府自身はどれだけの誠意があつたかということを疑わざるを得ない。(拍手)新聞の記事でありますから正確にはわかりませんが、しかもその事務官は、この会談において、三十六年間の総督政治はかえつて韓国に利益を与えた、そういうようなことを、そこで、どういういきさつで言つたのか知りませんが、とにかくかようなことを申せばその会談が非常に困難に陥るということは、外交官ならずとも、われわれしろうとでもわかつたことでありますが、そういうことを言わせて、そしてかような事態にさせたということは、どうしても私は理解ができない。外務大臣及び総理大臣は一体どういうわけでかようなことをなさつたのでありますか。その責任をどうおとりになるのか。この点をお尋ねいたしたい。(拍手)  政府の発表によりますと、李承晩ラインによつてわが漁業が受けるところの損害は一年百三十億円にも上るそうでありまして、漁業者はそのために強硬に出漁をしたいと、いきんでおるようであります。しかも、岡崎外務大臣は、一昨日の演説の中で、場合によつては強行出漁もするかのごとき口吻も漏らされたように私は耳にいたしましたが、真にこの漁業について強行出漁をするという覚悟を政府は持つておられるか。その場合の日韓関係の見通しはどうなるか。私から言わしめれば、だだに韓国に対してだけではございませんが、もつと、わが国としてはいわゆる大乗的見地に立ちまして、十分韓国の精神的、物質的要求をも尊重して出直さなければ、この問題は解決しない。もしそうでなければ第三国の干渉をまつ、かようなことであるならば、これは独立国の外交とは申せぬでありましよう。でありますから、どうしても日本は日本独自にこれを解決すべきものであるが、単に強気をもつて行くということは、これは外交ばかりでなく、内政においても同様でありますが、最も間違つたやり方と思うのであります。この点について、外務大臣及び総理大臣は、今後韓国に対する交渉を、私がここで申しましたいわゆる大乗的見地に立つてやるお考えがあるのかどうか。それとも、どこまでも今のような決裂状態で行くのか。これをお伺いしたいのであります。(拍手)それから、少々小さな問題になるようでありますが、これは利害関係の大きいことであるから申しますが、この李承晩ラインのために拿捕された漁船、それから船員というものは、なかなか少くない数であります。この漁船が拿捕されておるために、船主が非常な損害を受けることは言うまでもありませんが、船主のことはしばらくがまんをするといたしましても、その船員、ことに残つておる船員の家族の生活というものは、今非常な窮乏に陥つておるのであります。漁船を奪われた船主が、その船員の生活をどうやら維持してやらなければならぬというようなことでありまして、非常な困難に陥つております。これは彼らの過失から起つたことではなく、国の政治がかようにしたのでありますから、(拍手)当然補償をいたすべきと思う。もつとも保険もあるのでありますが、その保険はまだ割合に新しくできたもので、十分徹底しておらず、ことに漁村のごときは、さような知識が進んでおりませんから、損害の保険に入つておる者はきわめて少数なんで、事実問題として今この船員の家族の生活がたいへんなことになつておりますからして、この補償をぜひともしていただきたいが、これについて政府はすでに何かのお考えを持つておるか伺いたいのであります。(拍手)  次に、総理大臣に、これはほんとうにまじめにお尋ねいたしたいのでありますが、(発言する者あり)今までのもむろんまじめでありますが、どうかほんとうに総理大臣の御答弁を願いたい。  私ども、実は今度の臨時国会の劈頭において、総理大臣から施政方針の御演説があるものと期待しておりました。国民一般もまた同様であります。だが、どういうわけでこの演説をなさらなかつたか。ひそかに聞くところによりますと、施政方針演説をする用意がないからなさらなかつたというふうに言われたと聞いておりますが、いやしくも国会を開き、この重大な時局に際し演説の用意がないというようなことがもしほんとうとするならば、これは驚くべきことでありますが、ほんとうでありましようか。かようなことは、総理大臣はいかなるお考えか知りませんけれども、ししば言われるいわゆる国会軽視と言われても、弁解の辞がないのではないかと思うのであります。(拍手)この点についで、なぜ演説をされなかつたか、それで今後これに対して善処するお考えがあるかどうかを伺いたいのであります。  次は、これに関連したことでありますが、総理大臣は、前国会の予算委員会において、私の質問に対して答えて、超党派外交には反対である、民主政治は討論により事の経過を国民に知らしめ、また事の可否を判断せしめるにある、外交を政争のほかに置くことは主義として自分はとらないところであるという意味の言葉がありました。今日においても同様なお考えを継続しておるのでありましようか。もしそうだとするならば、私は、今日の国会及び今後の国会において、吉田総理が総理である限り、みずから陣頭に立つて討論をせられるものと存じますが、総理はこれをここでおやりくださる、必ずそれをやるということを、ひとつ御言明を願いたい。これが私の切なる希望でございます。  それから、先般改進党の重光総裁を訪問して、外交問題についての協力を求められたということであります。これはもちろん私の申しますカテゴリーの中の超党派外交とは違うと思う。しかしながら、外交を政争のほかに置こうという努力であつたとは考えられるように思うのであります。もしそうであるならば、吉田総理は、さらに一歩を進めて、私ばかりでない、多くの国民の希望するところの、外交は超党派でできるだけやる——外交ばかりではない。内政問題についても、今日は超党派的に考えなければならぬものがたくさんある。そこまで一歩進めておやりになるお考えがありませんか。今日は小党分立だから政局が安定しないと言われますが、どこに一体政局が安定しない原因があるか。時間がありませんから詳しく述べませんが、日本は小党分立になるべき運命を持つておると思います。これはなかなか直らない。しかしながら、小党分立であつても、前国会においてもわかるように、またこの二、三日たいへんもんだようでありますが、今回の補正予算にも現われた通り、決して政局の不安定はない。政府のやり方が、ほんとうに虚心坦懐に国民に訴える、全部の党に訴えるという態度をおとりになれば、政局はこれで十分安定するのであります。(拍手)この点をぜひお考えになつて、いたずらに改進党工作とか分自党工作なんという、その暗中の工作はおやめになつて——これはおそらく総理大臣がやられたのではなく、ほかの方だろうと思いますが、とにかくさような不明朗なことでなく、堂々と超党派政策をおとりになるように願いたいが、それをはたしておやりになる気があるかどうか、はつきり伺いたいのであります。  それから、憲法改正についても、今度は保安隊を外敵対抗にまで自衛隊として進めるというお話でありますが、これは、今の総理の方針の防衛力漸増ということでありましても、外敵に対抗する自衛隊をつくろうという場合には、どうしても憲法改正の必要がある。私どもは、今憲法改正の調査をいたしておりますが、それでなければ、今の保安隊もしくは自衛隊というものの運営はできないと考えております。政府は、国民の盛り上る意思を待つてやるならやると言われておりますが、それには、国民から盛り上る意思というものは、政府自身が陣頭に立つて指導するという熱意を示して初めて国民の力が盛り上るのです。消極的にひつ込んでおつて、決して国民の気持は盛り上るものでございません。そこで、憲法改正については、いかなるお考えを今日持つておられるか、そのことを伺いたいのであります。  それから、もう一つ最後に伺いたいのでありますが、前国会以来、決算委員会において鉄道会館問題が取上げられておることは、御承知の通りであります。これは今司直の問題になつておる。司法の問題になつておりますから、それが違法であるかどうかということは、やがてはつきりするでありましようが、それはとにかくとして、今日の国有鉄道の経営がいかに不明朗であり、ずさんであるかということだけは、はつきりしておると思います。これは単に鉄道会館だけではない。弘済会その他のものも、もしもほんとうに調査したならば、容易ならざる問題が起るのではないか。そこで私は総理大臣に伺いたいが、総理大臣はかねて鉄道を民営に切りかえるというお考えを持つておつたように承知いたしますが、ひとつ思い切つた方法でこの鉄道の経営の改革をされる意思はないか。民営でもけつこう。社会党は反対かもしれないが、民営でもけつこうである。とにかく鉄道の思い切つた改革をされる意思はないかどうか。これをお尋ねしまして、時間がないようでありますから、私の質問を終ります。     〔国務大臣吉田茂君登壇〕

吉田茂自由党内閣総理大臣

○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。  超党派外交を主張せられましたが、私は、かつて申した通り、議会政治、民主政治からいえば、内外の重要問題を議会において討議するということが民主政治、政党政治の基本と考えるべきものであるから、ゆえは、議会において超党派外交ということは、ただちに賛成はできないのであります。また、討論において率先してみずから立つか。現に立つておるのであります。  また重光総裁との会談についてお話がありましたが、国務あるいは国会の議事あるいは国政の運用を円滑ならしむるために改進党総裁のお話も伺う、これは当然なことであると私は考えるのであります。  また、鉄道問題について民営に移したらということは、私は民営に移したらよかろうと思います。またこの方が鉄道の運営を円滑ならしめ、また経済的に行くと考えますが、今日においてその時期であるかどうか、これは考えるべきものでありますが、得べくんば、機会があれば民営に持つて行きたいと私は考えておるのであります。(拍手)     〔国務大臣小笠原三九郎君登壇〕

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 最初に、石橋議員から、通貨価値の安定を確保し、物価騰貴ないしインフレを防止することを目的として既定経費の節約云云ということでございましたが、私どもは、実は財政の健全化というのは、通貨価値維持安定の一方法であつて、国庫収支の均衡を得るにあると考えておるのであります。しかして、今日の段階では、必要な経費を支弁するため、既定経費の節約をはかつて、ひいて財政規模の圧縮をはかるほかないと思うのであります。財政規模の圧縮が即財政の健全化であるとは考えていないことはもちろんであります。  なお、既定経費を節約するのは無責任ではないかというようなお話がございましたが、これは、石橋議員もよく御承知のように、本年は予算成立の時期等が遅れた関係上、その後のいろいろな状況の変化もありまして、いろいろ変化が起つておる。そこで、災害予算に振り向け得る余裕を生ずる見込みの分を繰延べた次第でありまして、これは財政当局として当然なことと考えるのであります。  さらに、災害対策費は三百億をもつて十分だと考えるか云々というようなお話がございましたが、これは私は十分と考えていないことは過日も申し上げた通りであります。ただ、今お話がありましたように、労力、資材の許す限り急速にこれを進めて生産を回復するのがよいではないかとのことでございましたが、これはよくお考えを願わなければならぬことは、工事量に比べまして一時に金が出まわりまして労力、資材を集めることになりますと、その結果は、一時的な需要の高進によりましてインフレになるということは、当然お考えになることと思うのであります。私も、でき得ればもう少しと思いましたけれども、財源の関係から三百億円の予算措置を講じた次第でございましたが、防災の必要上特別なものについては、個々の場合に実情を調査して融資その他の方法を講ずるということは、昨日申し上げた通りであります。  なお、財源としての剰余金のうち半額を使うべきではないか云々とのお話でございましたが、これは、従来の例によつて、翌々年度に使うべきものであつて、二十八年度はすでに二十六年度の分を使つておるので、二十七年度の分を使うということは、これはさつきも申した通り、インフレの要因をなすものとして、私どものとらないところであります。  さらに、財界の要望に対して何か考えでおるのじやないかというようなお話でございましたが、これもまた輿論の一部でありましようが、私どもは予算編成にあたつては信念をもつてこれを編成しておる次第であります。  次に、商品の割高の原因についてのお話がございましたが、日本の商品の割高は、御承知のごとくに朝鮮事件後の産業の近代化、合理化を怠つたという点が最も大きなものであり、さらに国内消費の旺盛ということも主要な原因であると考えるのであります。これは、ごらんくださればわかる通りに、日本の鉱工業生産が一四七にも増加しておるのに、しかも輸出貿易はというと、四〇足らず、三〇幾らにとどまつておりますことは、すなわちこれを意味するものでありまして、この点から、私どもは、産業の近代化、合理化を進めますとともに、国内消費の節約をはかつて、国民がある程度耐乏生活をすることが必要だと考えておるのであります。国費の使用に緊縮の方針をとり、それの効率的、重点的な使用に注意いたすべきことはもちろんであります。金利低下の必要についてのお話がございましたが、私どもも、金利低下の必要を認めて、すでに輸出入銀行の金利等を初めとして着々その措置をとつております。  なお、やみ金融の跋扈についてのお話があり、保全経済会の例をおあげになりましたが、これは、石橋議員も御承知のごとく、保全経済会は各人からいわゆる投資する機関であり、株とかあるいは地所を買う機関であつて、金融機関でないことは御説明するまでもないのであります。  なお、設備の改善についてどうかというようなお話でございましたが、これは、昨年は優良機械五千万ドルを輸入いたしてこれをやつており、そうして外貨の措置をとつておりますほかに、財政投融資を大幅に行う等で、産業の近代化、合理化等をやつておることは、御承知の通りであります。  さらに、物価の低落傾向についてお話でございましたが、これは御指摘の通りと思いますが、しかしなお、国際的に見まして、日本の品物が高いことは争えない事実であります。従いまして、引続き国際競争力をつけるよう十分なる措置を講ずべきことは、もちろん御同感くださることと思うのであります。  外貨割当は政府のやつておることではないか。さような通りでありまして、従つて私どもは、一方には日本に緊急必要な品物、生活必需物資あるいは所要原材料等の輸入を確保しますとともに、特に不要不急と認められる外国製日用品、高級自動車等の輸入を抑止する措置をとつておることは、御了承の通りであります。  また、最近貿易が受取り勘定になつておる云々というようなことでございましたが、一両月はそうでありましたが、これはきわめて少額のものでありまして、全年を通じますれば、御承知のごとく、本年は少くともやはり八千万ドル近い、あるいはそれ以上に上る支払い超過になることはよくおわかり願つておることと思うのであります。あるいはそれについて十億ドルから持つておる保有外貨を使つたらどうかというような御議論でございましたが、これは私は賛成いたしかねます。日本の輸入額は年間二十億を越ゆることは御承知の通りであります。正常貿易を営むにもその程度の外貨は必要であるのでありまして、いわんや、その外貨を今入れるということによつてインフレになりますならば、これはたいへんなことでありますから、さような措置はとりかねるのであります。  なお、火力借款の担保は云々というお話がございましたが、この火力発電の借款は、御承知のごとく、私どもは、日本が世界の金融市場への一歩を踏み出したものであつて、ブラツク世界銀行総裁が申した言葉のように、これを第一の子供として、次々に水力電気等わが国産業の助けとなる子供を生みたいと考えておる次第であります。なお、条件についてはいろいろお話が、ございましたが、御承知のごとく、これは約五十箇国からなつており、日本もまた理事を送つておるような次第でありまして、借入れの条件その他のものは、いずれの国に酷、いずれの国に寛ということは許されないので、一視平等であるということを御了承願いたいと思うのであります。  さらにまた、健全通貨のみを政策とすることはというお話がございましたが、通貨の健全は、その国の財政、経済、産業、貿易等のシンボルであります。通貨によつて象徴されるものでありますので、すべての基礎は民生安定を事とするのであることは、ここに申すまでもないことであると存じております。  右にて御了承を願いたいと存じます。     〔国務大臣岡崎勝男君登壇〕

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 日韓会談につきまして、決裂の責任は政府にあるではないかというお話でございましたが、これは、しばしば申します通り、韓国側の理不尽な態度によりまして決裂いたしたのでありまして、韓国側に責任があるものと考えております。(拍手)政府は韓国側の責任まで背負い込むわけには参らぬと思つております。ただ日韓間にはいろいろ政治的に解決する問題もありましようけれども、ただいま話合いをいたしておりましたものは、従来からずつと続けておりました例の五項目でありまして、いずれも具体的な問題で、懸案ではありまするが、これは普通の方法で解決でき得るもので、政治的解決を要するものとは考えておらないのであります。もつとも、決裂にあたりましても、わが方の代表は、われわれは常に門戸を開いて、いつでも会談に応ずる態度をとつておる、こう申しておる通りでありまして、漁区の困難とか、あるいは今後の漁業の問題につきまして、場合によつてはでき得る限りの保護を与えなければならぬ場合も生ずるかもしれませんが、同時にわれわれは、常に日韓間の会談を円満に解決しようという努力を怠つてはおらないのであります。     〔国務大臣保利茂君登壇〕

保利茂自由党農林大臣

○国務大臣(保利茂君) 石橋議員御心配の、韓国に不当抑留をせられております日本漁夫の留守家族の状態が今日きわめて深刻な状態に陥つておるということは、私もよく承知をいたしておるところでございます。しかしながら、この大型の漁船につきましては、あるいは漁船特殊保険、あるいは漁船乗組員給与保険にみな加入いたしておりますが“ただいま抑留せられておりまする漁船は小さい漁船になつております。いずれも、お話のように、こういう特殊保険に加入していない者が大部分でございます。従つて留守家族の打撃はきわめて深刻だと存じます。そういう考えから、大体漁船乗組員給与保険に準じまして、すみやかに適切な措置を講ずるようにいたしたいと、ただいま協議いたしております。     〔議長退席、副議長着席〕

原彪無所属副議長

○副議長(原彪君) 須磨彌吉郎君。     〔須磨彌吉郎君登壇〕

須磨彌吉郎改進党

○須磨彌吉郎君 一昨日の外務大臣の演説等に関連いたしまして、私は、ここに改進党を代表いたしまして、当面の重要問題について政府の方針をただしたいと思うのであります。  まず第一、吉田総理大臣に対しましてお伺いをいたしたいのでございまするが、今日の状況におきまして、われわれの最も大きな関心は、何と申しましても防衛の問題だろうと思うのであります。この防衛につきましては、最近の極東における形勢というものをわれわれは忘れてはならぬと思うのであります。これは今にわかに起つたわけでもございませんが、朝鮮におきまする休戦協定であります。できましてから三箇月にして開かれるはずでございまする高級政治会議は、すでにその時期には達しておりまするけれども、今まだ開かれておりません、米国側の伝えまするところによりますると、北朝鮮側では、休戦後におきましても、三月の間に飛行場も飛行機も相当数が増築されまたは補強されているという次第でありまするから、われわれは隣邦韓国の平和の到来の日がすみやかならんことを願うものではありまするが、実情はにわかに楽観を許さないものがあるのであります。また他方インドシナ方面におきましても、事態は決して安定を見てはおりません。こうして東亜の形勢まことに風雲が予想されるのでありまするが、そのときにあたりまして、竹島の問題でありまするとか、李承晩ラインの問題にまつわる情勢に至りましては、まつたくわれわれは晏如たるを得ないような状態でございます。国民は、このときにおいて、わが国防衛の必要に対する認識がいよいよ高まつて参つたように思うのであります。これを要しまするに、政府が、防衛の問題につきまして、今日までのように荏苒ただ時を過しておるという態度は、もはや許されないであろうと思うのでありまして、私は、吉田総理大臣におかれまして、いよいよわが国防衛の措置に踏み出さるるの決意を固められたことを看取するものであります。  総理大臣の先般保安大学におきまする御訓辞の中では、将来日本は再軍備をするというようなお言葉があつたようでありまするが、国民一般に対しましては、まだ当分は再軍備はしないというお言葉を使い、また本日発表されましたロバートソン・池田会談によりますると、米国に対しましては今ただちにするがごとき口吻も見ておるのでありまするが、かくのごとく微妙なる使いわけをもつて糊塗せられるようなことは、もうおよしになりまして、今度こそは防衛問題に明瞭なる態度を御表示になることが必要な時期に到達したと私は思うのであります。(拍手)これにつきまして総理大臣の率直な御見解を承りたいのであります。  次に、池田勇人氏の渡米でございます。吉田総理大臣の個人的な代表と言われておるのでございまするが、もちろん私どもはさように信ずるのでございます。ところが、本日発表せられました池田・ロバートソン会談の合同コミユニケによりますると、その折衝をいたしましたる内容は実は重大なるものであります。わが国の防衛のみならず、わが国の経済万般に対しまして実に大きな影響を持つような問題について具体的な交渉をなすつておられた様子であります。しかも、その文言の中には、協定に達することはしなかつたと申しておりまして、もし協定ができればするような資格もあつたかに認められるのであります。今までの外交というものを見まするときにおきまして、古くはルーズヴエルト時代にハリー・ホプキンズという人が私設代表としてよく参つたのでございますが、このような人でも、かくのごとき重大なる問題をきめたことは、私はまだ不聞にしてなかつたと思つておる次第でございます。しかも、二十七日のワシントンからの電報はよりますると、十九日に提出いたしました池田勇人氏の覚書が外部に漏れたというような問題が出ておるようでございます。かようなことは、事態が判明いたしませんからわからないのでございますが、交渉中に池田勇人氏から出した覚書が、しかも自分の方から極秘にしてほしいということを申したにかかわらず、アメリカ側ではその点を重要視しておる様子でございますが、それがどうも日本側から漏れたというようなことも申されておるのでございますが、かくのごときことは、どうも今後の日米関係の上におきましても決して好ましくない印象があると思います。要しまするに、この共同コミユニケの中にあるような重大なる内容を持ちますることが、はたして池田氏によつてきめられたといたしまするならば、国民の関心これよりも大なるものはないのでございますから、吉田総理大臣におきましては、この内容並びに経過について広く天下に御発表に相なつて国民の認識に訴えられることは、私は絶対に必要だと思うものでございます。(拍手)  さらに伺いたいのはMSA援助の問題でございます。岡崎外務大臣におかれましては、九月の末ごろまでには調印になるだろうというようなことを申しておられましたが、今もつてその運びに至りません。本日の報道によりますると、これも池田氏からの電話が新聞に記録されておるのでございますが、それによると、外務省では、このMSAは軍事援助だけであると言つておるそうだが、そんなばかなことはないと申しておるようでございます。また、このMSAの協定については、池田勇人氏自身が準備を整えて参つたと申しておるのでございますが、かくのごときことを総合いたしますると、今回の池田勇人氏の渡米によつてMSA交渉がいよいよまとまることになつたのでありまするかどうか。その点について、このMSA交渉の重大なる段階にありまする今日において、お漏らしを願いたいと思うのでございます。また、これに関連しまして考えられますることは、重大なる障害が何かしらあるのではなかろうか。なるほど、考えますると、わが国の制度におきましては、わが国は防衛のいかなる施設をいたしますとしても、その予算は来年の四月からでございます。このMSAの援助は、アメリカの年度によりまして七月から始まつて六月に終るわけでございますから、その間にも大きな開きが出て参りまするから、さようなことがあるいは障害の一つになつておりはしないだろうかということも、われわれ国民としては考える次第でございまするから、この点等についても御所見を承りたいのであります。  さらに承りたいのは、このMSA交渉に関連しまする防衛計画の問題でございます。この点は、木村保安庁長官におかれましては常に研究中という一点ばりでございますが、事ここに至りますると、すでにこの池田勇人氏の言によりましても、東京において近く日米両政府の会談が始まる、それによつてすべての問題が解決するという御発表でございまするから、いまさら隠すには及ばないと思うのでございます。このときにあたつて、断然として、この国会を通じて、大村保安庁長官から、いつも男ならば対決しようと申されますが、今度こそは男らしく勇気をもつてこの御研究中の計画を御発表になることが、まさに保安庁長官の義務であろうかと信ずる次第でございます。ことに、最近新聞紙の伝えるところによりますと、数週間の間に一回くらいずつ違つた報道が、あるいは政府筋から出たかもしれないというような形で、出されておるのでございまするが、これのごときは国民を惑わすことはなはだしきものがございまするから、この不安を除きまする上からいたしましても、どうしてもすみやかにこの実体について木村保安庁長官からきわめて率直なる御所見の御発表を得たいと思うのであります。  さらに伺いたいことは、池田氏と相前後して小笠原大蔵大臣が渡米されまして、経済問題の折衝に努められた様子でございまするが、このことは、わが国対外貿易の現状から見まして重要なことではありますけれども、米国に対して常に何でもすがればよいというような気持は、私はこの際捨てなければならぬのじやないかと思うのであります。最近に至つても、日本財界の動向は、占領時代の情勢からいまなお抜け切れないような風のあることは、最も遺憾に存ずる次第でございます。(拍手)しかるに、米国の対外経済援助の動向というものは、米国の対外政策とともに今や微妙なる変化を見せておることを無視するわけには行かないと思うのであります。過般ニユーヨークで行われました米国極東商工評議会年次総会で、池田勇人氏の交渉相手でありましたこのロバートソン国務次官補が、米国の対アジア政策には基本的なジレンマと申しますか、すなわち進退両難の状態が現われて参つたと演説をいたしておりまして、そのことは、一方においては、アジア人に対していかなる種類の援助をすべきかと探し歩いて、アジアを助けることに骨を折らなければならぬと同時に、他方、消極的方面から、米国は早くアジアから手を引いて、アジア国民がみずからの手で均衡の保てるように仕向けることが必要であるという場面が出て来たと申しておるのでございます。このことは日本につきましても同様でございまして、特にMSAでありますとか、その他いろいろな借款の要請に関連して、最近日本人の間には複雑な打算的感情が胚胎しつつあることでありまするが、これは大いに考えなければならぬのであります。その顕著な例としては、ただいま御指摘もあつたのでございまするが、十五日に正式に調印をされました、あのいわゆる世界銀行から借り入れました火力借款の問題のごときも、この一つの例でございまして、こうした米国経済政策の新しい傾向は、十六日ハンフリー財務長官がほんとうの資格におきまして演説をいたしておりますが、この演説を見ますると、米国政府は、今後米国と競争関係に立つ外国企業に対しては融資や援助を与えることは反対であると言い切つておるのでございます。これは、先ほどのロバートソン氏の談話とあわせて考えますると、まさにこの世界銀行のこれからの動きにつきましても、MSAの援助方針につきましても、かくのごとき米国の財政方針の微妙なる変化が今後著しい影響を及ぼすことは当然であろうかと思うのであります。米国が日本の経済自立に対しましていまなお好意を持ち続けておるということは、私は疑いたくないのでありまするけれども、同時に、米国の対日経済政策の背後には米国自体の利益もまた大きく横たわつておるのであります。ハンフリー長官やロバートソン次官補等の声明に相当支配されることは争われないことであります。すなわち、池田氏なり日本政府が政治借款的な考えをもちまして、政治借款はこれから来る、よく総理大臣が申されるように、外資導入がだんだん来るというようなお考えの方は、これは今後、今申しました新しいアメリカの対アジア政策に基きまして、考え直す必要があろうではないか。すなわち、米国資本にたよろうとするような安易な考え方は、もはやかえなければならない時期に到達しておると私は思うのであります。この意味におきまして、池田氏の渡米のうちに横たわる政府の考え方が、いまなお従来通り甘過ぎるものがないでありましようか。この点からも、池田氏の渡米がいかなる結果になるかということは、先ほど総理大臣にお願いしたように、発表いたしてもらわなければいかぬのでございますが、その前にあたつて、大蔵大臣並びに通産大臣からも、この間の形勢につきましての御見解を承りたいと思うのであります。  さらに私が承りたいのは、岡崎外相の東南アジア三国訪問の問題でありますが、さきにアイゼンハウアー大統領は、日本経済の支柱であります輸出貿易が日本において最近不振である。その日本貿易の不振の原因は四つあると言つて、日本商品のコスト高、英国連邦諸国の輸入制限、賠償問題の未解決、東南アジア諸国の反日感情というような、四つの大きな原因をあげておつたようでございます。日本にとつてまことに鋭い警告と思いますが、この示唆にも合するのが今回の外務大臣の御旅行であつたかもしれません。しかしながら、その旅行から今ただちに具体的な結果を見ようとすることはもちろん無理でありましようけれども、今現われましたる新聞報道等によりますると、インドネシアでは、日本は賠償問題に対してはちよつと笑顔を見せただけだという論文が出ております。またもう一つは、経済提携というものは賠償の添えもの、おみやげではないのだというような論法も出ておりますから、かような批判も大いに考える必要がありますが、それはそれといたしましても、三国側から出ました厖大なる賠償額——賠償額でありますか、少くとも損害額であるかもしれませんが、さような厖大なる額は、わが国は、ないそでは振れるものではございません。そこで、きよう伺いたいことは、第二次世界大戦に敗れましたヨーロツパの五つの国の中の私は最も顕著な一つの例を申し上げたいのでございますが、たとえばイタリアでございます。イタリアは、第二次戦争中における賠償として払いますものはすべて物資をもつてする。ソ連邦には一億ドルであります。ユーゴスラビアには一億二千五百万ドル、ギリシヤには一億五百万ドル、エチオピアには二千五百万ドル、アルバニアには五百万ドル、合せまして三億六千万ドルでございますが、この三億六千万ドルを物資だけで七年間にわたつて支払うということが、これが第二次世界大戦における賠償の一つの標準でございますが、外務大臣は、今回の旅行によりまして、東南アジア三国について、何らかこのような見当がおつきになつたものでございましようか。その点はわれわれの今後の生活について大きな影響を持つものでございますから伺いたいのでございます。  さらに私がもう一つ伺いたいのは、一昨日から発効をいたしました、国連軍が日本におります間の刑事裁判権に関する規定を含むあの議定書でございますが、この議定書は、刑事裁判権は、国連軍に関するものでも、アメリカの日本におります駐留軍に関するものと同様、わが日本の裁判権に服せしめることをきめておりますから、わが国のためには決して悪くない協定でございまして、これは一般の問題として知られておりますが、国連軍に対する営繕でございますとか、その他の費用に関する問題が省かれているのでございます。これがなぜ省かれたのでありましようか、私はつまびらかにしないのでございますが、もしその理由が、日本におる米国駐留軍と国連軍とはこれは話が違う、もし日本においては差別待遇をすべきであるというような考え方であるとしますならば、私は、日本は今後国連にも加入せんとする国でございますから、さようなる小さな気持であることは、まことに将来に対して悲しむべきことと思いますから、この点について事情を承りたいのでございます。  最後に日韓問題でございますが、一衣帯水の韓国との間には、日本として、他のいずれの国にも率先して、ぜひとも友好なる関係を設定することを望むことは申すまでもないのでございます。しかるに、竹島の問題と申しましても、李承晩ラインの問題と申しましても、これは実に解しがたい暴挙でありまして、かかることが起りましたことは、返す返すも残念で、遺憾でございます。これらの韓国の主張が理不尽でありますことは、どなたも御異存がない。国際法を無視しました暴挙であることは言うをまたないのでありますが、しかしながら、その設定いたしました李ラインを越えたかどをもつて、四十二隻の漁船がすでに拿捕せられており、四百七十四人を数えている乗組員がすでに監禁をされている。毎日新聞紙一枚を買う値段にひとしいような金で一日の食をあてがわれている。裁判にかかつても弁護士の立会いができない。かようなる事態は、私は日本人としてまことに義憤を感ずるものであります。(拍手)日韓の間は最も親しかるべき間柄ではございまするが、事ここに至りましたる幾多の原因、また幾多の事情のあることはもちろんでありますが、ここに私が一つ注意を申し上げたいと思いますことは、日韓関係の根底に横たわるものは、両国民の間に長年にわたつて結んで解けなかつた感情があるということを忘れてはならぬのであります。いな、むしろ日韓両国民の間に長い間わだかまつております感情上のしこりを取去るということが、まことに重要な問題でありまして、この点に対して政府の施策がよろしきを得なかつたことは、私はまことに痛嘆にたえない次第でございます。  韓国現前の行動は、もちろん不都合でございます。これに対してとるべき措置についてはいろいろ見方があろうかと思うのでございますが、ただ荏苒として会議の決裂のまま待つているわけには参りません。何かとるべき措置があるかと思いますが、私に想定されます一つの外交手段としましては、どうしてもこの日韓の間の友好関係につきまして防衛上、経済上最も痛切な関心を持つている国は申すまでもなくアメリカであります。ことにアメリカは、わが国との日米安全保障条約によりまして、わが国を守る義務を持つているのでございます。もしこの竹島の問題あるいは李承晩ラインによつて不祥なることが起るといたしましたならば、アメリカはただちにこれを発動いたして、わが国を助けなければならぬ運命にあるわけでございます。はたしてしからば、この点、われわれは深くアメリカに対して注意を喚起することが必要ではなかろうか。しかも、八月八日仮調印を経ましたアメリカと韓国の米韓相互援助協定によりますと、韓国の防衛の義務はまたアメリカが負つているのであります。そうしますと、アメリカは、日韓双方に対して、有事の際は防護の義務を負うのでありますから、われわれはアメリカに頼むというわけではございません、アメリカの利益のためにも、このような危局に対しては、アメリカはただ黙つてはおられないだろうという注意を喚起しても私はよかろうと思うのでございます。私は、率直に訴えまするならば、アメリカは決して逃げまわるはずはないと信ずるものであります。この米国に対する外交こそは、今回の危局に備えます一つの有効なる手段かと思われるのであります。それはひとり日韓のためのみならず、先ほども申したようにアメリカのためでございますから、われわれはいたずらにアメリカに頼むのではありません。アメリカに対してこの注意を喚起するという指置がとられておりますかどうかを伺いたいものであります。(拍手)  また、事実上十一月ごろからようやく盛んになろうとしますのは、あの底びき網の漁業でございますが、この運行につきましては、これは千数百隻が出まして、三、四万の人が参るのでございますから、この保護の任務は尽さなければならぬのでありますが、コンヴオイと申しますか、防護、これを護衛するような措置につきまして、私は保安庁長官に伺いたいのでありますが、韓国の保安機関との衝突は百方避けなければなりませんが、これらの安全なる漁業の防護措置についてすでに対策が講ぜられつつあるかどうかを私は伺いたい次第でございます。先ほども農林大臣からお話がございましたが、このことによつて、百三十億円に上る損害のみならず、日常生活においても漁民の見るに忍びざる状態があるということは、先ほどもお話がございました。われわれは、今回の救農国会と称せられますこの国会で、天然自然から起りました災害に対する救済の方法を議しておるのでございますが、今回のこの李承晩ラインによつて生じましたる損害は、外交の失敗より生じたるための国家の犠牲であります。(拍手)そうするならば、同じ意味において、これはやはりこの国会の議に早くおかけになつて、具体的な方法を私どもにお示しを願いたいと思うのでございます。  最後に、国際間の情勢について一瞥いたしますと、東西の両陣営は元のままでございます。もちろん、今日——十月一日におきまして、ステイーヴンソン氏が、アメリカの大統領に対して、アメリカはソ連邦に対して不可侵条約を提唱すべきものであると言い、その考え方が西欧諸国の賛成を得て、あるいは不可侵条約が結ばれるかもしれないという論説も出ておりますが、皆様、注意をしなければなりませんことは、不可侵条約が唱えられるときは、まことにむずかしいときであり、不可侵条約の提唱こそは危険信号でもあるのであります。ただ、マレンコフ・ソ連邦首相が、八月五日から開かれましたソ連の最高会議におきまして、水素爆弾はソ連にもあるという声明をいたしましたが、そのときの施政演説におきまして、国際緊張を緩和せんとするソ連の努力をあらためて強調いたしておるのであります。われわれはこれに乗つてはいけませんけれども、隣接諸国との友好も呼びかけておりますばかりでなくて……。

原彪無所属副議長

○副議長(原彪君) 簡単にお願いいたします。

須磨彌吉郎改進党

○須磨彌吉郎君(続) 今日、日本赤十字社の介入によりまして、在ソ邦人の帰還も近く実行されんとしている次第でございますが、政府はこの間の情勢に対しまして何らか見解をお持ちになつておられるのでございましようか。これを私は承りたいと思うのであります。  以上数点につきまして、総理大臣初め関係閣僚のきわめて率直なる御意見を承りたいと申し上げまして、私の質問を打切りたいと思うのであります。(拍手)     〔国務大臣吉田茂君登壇〕

吉田茂自由党内閣総理大臣

○国務大臣(吉田茂君) お答えいたします。  わが国の防衛については、お話のごとく、国際情勢及び国内の人心の帰趨等を考えて、これに即応いたすべきことは当然であります。ゆえに、政府としては、今後国際の情勢及び国内の情勢にかんがみて漸増いたす考えであります。漸増して遂に戦力に至れば憲法改正ということになりますが、今日においては、ただちに再軍備もしくは憲法を改正いたす考えはございません。池田特使の資格については、しばしば申すごとく、これは私の個人代表といたして、日本の事項を述べ、また米国の事情を聞き、彼我の間の意見交換のために出したのであります。また、その意見交換の結果については近日発表いたす考えでおります。この際明らかに申しますが、機密漏洩というようなことのお話がありましたが、これは断じてございません。  その他は主管大臣からお答えいたします。(拍手)     〔国務大臣岡崎勝男君登壇〕

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) MSAの交渉につきましては、大体この協定その他につきまして話合いがついております。もつとも、まだ二、三の点については最終的にはなつておりませんが、大体のところは話合いはついておりまして、少し遅れましたけれども、大体予定に近いところで行つております。但し、これは、たとえて申しますれば、水の流れる土管のようなものでありまして、その中に実際上いかなる援助が流れて来るかは、これは実質問題でございまして、今後とも話合いを続けるつもりでおります。  なお、東南アジアの各地におきましての賠償の問題でありまするが、これは、お話のように、私もイタリアの例は各地において話して来たのでありまして、これに基くというわけには参りませんが、一つの非常な参考にはなると思つております。われわれの考えておりまする賠償の実施におきましても、これは物資を供給するということになるのでありまして、現金ということにはならないと信じております。また今回のいろいろの方面との話合いの結果は、ただちに具体的には出て参りませんけれども、すでにインドネシアとは、沈船引揚げについて話合いを始めつつありまするし、またフイリピンとは、沈船引揚げが、最終的に、一昨日ですか、きまりました。インドシナ方面とも、話合いは大分具体的になつて来ておりまして、漸次こういうふうに具体的な結果が現われるようになるのじやないかと期待をいたしております。(拍手)  国連軍協定につきましては、今まで話合いのつきませんでした財政経済問題につきましては、これは、日本といたしましても、国連協力の趣旨から、なるべく便宜をはかりたいのでありまするが、政府としましても、乏しい財源でありますので、財政上、また地方税等、いろいろこまかい規定もありまして、できるならば、ある程度の地代とか地方税とかを支払つてもらつた方一が簡単に済むと思いまして、今まで話合いを続けて来たのでありまするが、なかなかこれはむずかしいようであります。お話の趣旨のように、国連協力という大方針もあるのでありまするから、できるだけ御説のような方針で早く話をまとめたいと考えております。  日韓問題につきまして、感情のしこりがあるのであろう。これはその通りであります。われわれもできるだけ謙虚な態度でこれに進んでおります。またアメリカが日韓双方に対しても非常に大きな利害関係を持つておるのは、これは当然でありまして、お話のように、アメリカ側にも十分事情は説明をいたしております。しかし、同時に、国連軍を派遣しておりまするおもなる国々に対しましても、同様利害を感じておると思いますので、これに対しても、できるだけ説明を加えております。  国際情勢につきましては、前議会で申し上げましたように、大体戦争の危険は遠のきつつあるように考えておりまするけれども、しかし、いろいろ細部につきましては変化が多いのでありまして、ことに東亜におきましては、政治会議の動向というようなものがまた大きな影響を与えると思いますので、大体この大きな方角はかわらないと思いまするが、政府としては、できるだけ注意をいたしまして、その動向を観察いたしておるような次第でございます。     〔国務大臣小笠原三九郎君登壇〕

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) お答えいたします。  私が世界通貨基金の会合に行つた際に、世界銀行に対して火力発電を初めとして水力電気関係の長期借入れ等について努力したことは事実であります。また六千万ドルのいわゆる綿花借款等を輸出入銀行に対して交渉し、さらに民間外資の導入についてニユーヨークの財界人等と話をいたしましたが、いずれもこれは、日本の財政経済の実情をよく説明して理解を求めるとともに、アメリカ側官民の意向を聽取するに努めた次第であります。総じてこれを申しますると、きわめて友好的でありますが、しかしアメリカの利益もまた考慮せられていることは、須磨議員の御指摘の通りであると存じます。  さらに、不法に拿捕されました漁民につきましては、これはまことにお気の毒に存じ上げております。困窮に陥つておる漁民に対しまして、たとえば代船建造の資金融通その他必要なる保護について努めたいと考えております。     〔国務大臣木村篤太郎君登壇〕

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 須磨君にお答えいたします。  防衛計画を示せというお言葉であります。防衛計画を立てるためには、きわめて慎重にあらゆる角度から研究に研究を重ねる必要があることは言うをまたないのであります。しこうして、われわれは、この問題と取組んで、しきりに研究いたしております。しかし、研究すれば研究するほど、むずかしい問題はあとから続々と出て来るのであります。ただいまのところでは、まだ成案を得ておりません。成案を得ましたら、率直に私はこれを提出して御批判を願いたい、こう考えております。  次に漁民の出動の問題でありまするが、御承知の通り、保安庁法第六十五条には、明白に、海上における人命、財産について危害を生ずるおそれがあつた場合には、警備隊の警備船は必要な措置をとることになつておるのであります。従いまして、漁船が出動いたしまして、不法に侵略をされ、危害を加えられるような場合においては、警備船はこれに対して保護をするところの権利と義務を持つておるのであります。従いまして、今度さような漁船が出動する場合にあたつて、この規定によつていかなる活動をするかということにつきましては、これはいろいろ重大な影響がありますから、ただいま、せつかく、きわめて慎重に研究中であります。

原彪無所属副議長

○副議長(原彪君) 八百板正君。     〔八百板正君登壇〕

八百板正日本社会党(左)

○八百板正君 私は、日本社会党を代表して、災害関係等の根本問題について政府の所信をお尋ねいたしたいと存じます。  その前に、政府の出した予算がかわるそうですが、撤回するのか、どう扱うのか、この点を、吉田総理の施政方針とあわせて、大蔵大臣から説明し、演説のやり直しを要求いたします。(拍手)良心ある内閣なら、予算を出して二日とたたないうちにひつ込めたり直したりすることは責任ものでありまするが、いかがでございましようか。また、国会に出した予算を、議場の審議によらないで、外で取引をして直すというようなことも許されることでございましようか。信念をもつて出したという小笠原さんも、この点、信念の修正を出すのか、辞表を出すのかを、ともに明らかに伺つておきます。(拍手)吉田さんではございませんが、仮定の予算には質問もできませんが、一応一般的態度についてお尋ねをすることにいたします。  災害は、わけても農業災害は、科学的に分析して考えますると、人間の力で避けることができる、克服し得ると信ぜられる面が多いのであります。だから、災害は、低い社会状態や、みじめな生産様式の結果起るものと言えるのであります。日本列島は細長いので、同時に同じ災害に全部やられることはなく、この点では、自然的な危険分散の保険作用もあり、調整される面もあつたのでありまするが、これは古くから日本が滅びないで長持ちした理由ともなつていると思います。今日のように、ゆとりのない国土と経済のもとでは、百パーセントに利用してもなお足りないようなことでありまするから、災害は天災だなどと手放しであきらめる考え方は許されないと思うのであります。西日本の災害も、さような意味で、防げば防げる面が相当にあつたことは、いろいろの点で具体的にわかつて来たわけであります。やらなかつたのは政治の責任だとは、識者の一致した見方であります。(拍手)  東北の冷害についても、これまた同じことが言えます。昭和九年の凶作も冷害ですが、この原因等については、自然科学的説明はすでにすでに幾多の専門家の研究で明らかにされております。オホーツク海、千島、カムチヤツカ近海の冬の氷が解けて、春かち夏にかけて太平洋に流れる。このための寒流のもたらす低温、その結果発生する高気圧、濃霧、曇天、日照り不足、そんなのが原因で、これは数年目に必ず来るものであるということは、否定されないところの定説となつておつたのであります。もう来るか来るかと待たれておつたのでありまするから、かような災害に対する克服の対策は、政府として手を打たなければならなかつたのであります。(拍手)このなすべきことをなさず今日を招いた政治の責任は大きいと言わなければなりません。(拍手)しかし、これは、政治の責任ではあるが、ひとり吉田政府の責任ではないと思います。何となれば、自由党は、個人の利益を守り、個人の資本の蓄積を第一の使命とする資本主義政党だからであります。現に政府の災害対策を見ますると、それがよくわかるのであります。すべて対策はその根本に触れておらない。ただ結果だけを見て、その傷口にこうやくを張るというやり方であります。冷害対策について見れば、被害農家の困る者には金を貸す——実はこれは、金を貸すといつても、農家に貸すというよりは、農手などで貸した金が返らないと中金あたりも困りまするから、その分を貸すというのでありまするが、まあとにかく金を貸す、飯米に困る農家には米を貸す、農林漁業金融公庫には政府出資金を十億ふやす、この三つの法律を出すという。これが救農国会と銘打つた政府の骨格的対策であることは、一体何たることでございましようか。(拍手)困る者には金を貸す、米を貸すというのはあたりまえのことであります。子供の頭でも考える程度のものであります。要は、間に合うだけ用意するかどうか。この程度ならば、村役場の勧業主任の方がもつともましな対策を立てております。(拍手)こんなものは政策でも政治でもありません。日本の政府の当然の行政事務であります。措置にすぎないのであります。政治は災害を克服する方策にあるのであります。試みに農林省の対策から一、二の点を拾つてみましよう。何とみじめな対策でございましようか。人造米を奨励する。一体、これが食糧の上で、またはカロリーの面でどれだけプラスになるのですか。麦を食え、粉を食え、畜産酪農と結びつけよと言いながら、この時代逆行の、粒食欲に迎合して粉を米粒にまるめる加工機械に——これが特許権だなどと、特許料を払わして、高いものを食わせる。まるで弱みにつけ込むゆすりのたぐいであります。(拍手)それに政府は資金を出す、税法上の特典を与えて奨励するなどとは、何という愚劣なる対策でございましようか。また第二には、わせをつくらせ、百姓に褒美を出して早く供出させて、早食いで切り抜けるというのであります。これが吉田大政府の救農政策だとは、何とまあみみつちい政策でございましようか。(拍手)  林野庁の、被害農家に三百五十万石の薪炭林の払下げ、けつこうです。だが、木を切つて燃やす、これで食いつなぐ、こういうことだけでなく、植樹、樹種の改善等々、治山治水の根本的、積極的政策を結合させた、もつと伸びる政策がないものでございましようか。芸のない話であります。農林大臣、いかがでございましようか。農林大臣のお答えをいただきます。  米の供出がきつ過ぎるから、少しでも多くとりたいと思つて、安全を犠牲にして、収穫の多いおくてを東北農民は植えました。そして冷害にやられました。そしてまた、多くとりたい一心に肥料は硫安を多く用いた。カリを使えばよいことはわかつておつても、値が高いから、貧乏な病人が高貴薬が使えないように、よいと知りつつ使えなかつたのであります。政府は、価格政策をあやまり、早場米や超過供出米の奨励金などで臨んだために神奈川あたりでさえ、わせをつくつて、減収となつております。こういう奨励金でつるやり方は、およそ近代的な意味での米価政策でも農業政策でもありません。米の単なる集荷政策である。政府の頭は、鶏のおしりだけを見て卵をよけいとろうとする愚かなる養鶏家と同じであります。対策には明るさがない。明日への展望がないのであります。もう少し胸に一ぱい息を吸つて、おおらかな政治の方策を立てることができないものでありましようか。  西日本の風水害対策しかリ、冷害しかり、山も川も生きものであります。また農業ほど高い知能を必要とするものはありません。すべて有機体である。国土は生物であります。この災害は、ちようど人体の不摂生、不注意、無知、貧困から来た栄養不足、これにとりつかれた病気のけがにひとしいのであります。飲み薬やこうやくの処方箋だけで、病人が鉄砲だけかつぎた拭つてもしようがありません。これでけ再び同一の災害にかかることを待つにひとしいのであります。根本をきわめるに策なく、科学的研究、試験、そういう方面に一銭の金を計上するでもなく、品種、技術、気象普及等々、どこに総合された近代政治の感覚と叡智を見つければよいのでございましようか、教えていただきたいのであります。  食糧の需給計画を見ても、ごまかすことだけ考えている。供出すれば損だと農民が思うような米価、そういうものや、保有米、飯米不安のやり方をもつて、どうして米が集まりますか。けちけちして、小出しに、追目々々に手を打つことになろうと思いますが、そのときはもうおそい、ぽんと基本米価を一万二千円にする、そういうことをきめるという方が得策であります。また、内地の米の確保もできない政府が、外国の米を思うように確保できる道理もございません。輸入計画を発表し、見込みのついたようなことを言つておりまするが、あれは買いたいと思う相手国の名前がきまつたということで、何もきまつてはいないのであります。万事この通りであります。  李ラインの問題にしても食糧問題でもあります。外交がまずくて魚もとれない。日ソ漁業協定がないために、日本は北洋のさけ、ます、こんぶがとれない。イギリスはちやんとソ連沿岸三海里まで行つてとつているのに、日本の方はソ連の遠方十二海里までしかとれない。フイリピン、インドネシア、いずれもだめです。下手な外交は四面海の日本をなお狭くして、このために何百億の不漁となり、蛋白食糧給源の道をも断つているのであります。寒流で魚がとれないだけではありません。政治の災害は、陸上だけでなく海にまで及んでいる。外務大臣もひとつ対策を考えてお示しをいただきたい。万事対策は場当りであります。二度とこんな目にあわないように、どんな対策を用意しているのであるか。  建設大臣は、国土保全にいかなる構想を持ち、応急恒久の道をいかに進めつつあるのであるか。そのためにどれだけの重要性を大蔵大臣は考え、財政の用意をしようとするのであるか。  農林大臣は、災害を避けながら、なおかつ食糧の増産をはかるにいかなる科学的政策樹立の用意があるのであるか。そもそも災害の補償は、だれがいかなる限度に補償し、予防の処置をとるべきものか、こういう基本方針も確立されておらないのであります。MSAで小麦を入れるというのは、一体どういうわけですか。この見返り資金の使途について、米国側の示した条件に賛成できないというが、それは一体どういう条件ですか。アメリカの余つた小麦を押しつけられて、食つた分だけ保安隊をふやして、日本の青年をアメリカヘの支払いに義務づけられるとしたならば、あまりにも高い代価であります。食べものにひもをつけられるほど悲惨なことはありません。それよりも、日本内地の失敗した麦の政策を改めて、米と一緒に管理して増産することが本筋であります。こういう政策は、米の自由販売などというような看板をすなおにおろさないとだめです。政策の根本ですから、この点もはつきりお答えをいただきたいと存じます。  西日本の災害、十三号台風、東北、北海道等の冷害等、これらのためには、これだけ金がかかる、出しなさいと言うと、そんなに金はないと言う。ないないと言つて、押されると押された分だけ金を出す。そしてインフレになるとつぶやくのであります。しかし、世上、冷水害対策や給与改善費の増額をインフレ要因として排斥する意見の中に、この防衛費については、いくら増しても財政上のインフレの弊害がないかのごとく片面だけを言う者がある。政府の主張はその尤なるものであります。通貨価値を安定させたいというならば、まつたく消費的支出であり、生産を伴わない防衛費を削ることが先決であります。この削つた金は、他に国土の保全や農業の生産性向上のために使われ、また能率と技術、健康と創意を増すための給与改善に向けられるならば、それは決してインフレの要因とはならない。経済の拡大向上のために好ましき財政支出と申すべきであります。この点、通貨安定を説く政府の言は逆であります。防衛力のための支出増大を不問に付して、冷水害対策の金は出せないというのでは、しよせん防衛費を多くとるために災害、給与等の費用を削ろうとしているとしか思えないのであります。アメリカは日本にそう期待しておることはわかりまするが、日本政府もそうであるのでありますか。アメリカ帰りの大蔵大臣小笠原さん、アメリカの意見はあなたの意見とどう違うか、ほんとうのところを国会で話していただきたいと思います。  総理大臣に申し上げます。きのうは、総理は、朝鮮を見に来たアメリカの陸軍参謀総長リツジウエイ大将が日本に立ち寄られたので、その夕食会に出られて大将と会見するので、今日今まで国会は開かれないで来たのであります。そのために審議も延びたわけでありますが、私は何もいやみを言うわけではありません。ほんとうのことを申し上げますが、吉田さんは、アメリカの方にだけ笑顔を見せて、こそこそと再軍備の相談をして、さて国会に来ると、がらりとかわる。まるで内づらが悪くなつて、つつけんどんになる。再軍備はいたしません、憲法の改正はいたしません、いたしませんと言つたらいたしません。(笑声、拍手)こういうふうな御調子でございまするが、これでは何べん言われても国民にはわからないのであります。ワシントンでは、あなたの特使なるものが、日本の兵力を十八万にするという日米共同声明を出すと報ぜられておる。ほんとうなら、また国会が終つてから発表しろと電報でもお打ちになるのでございましようか。政府の頭と目はワシントンにくぎづけになつておる。日本には風水害があろうが、冷害、凶作があろうが、何を見ても、心ここになければ、ものみな見えず、という形であります。(拍手)そうでないと。きつぱりとお答えができますか。ありませんと言われても、国民はそうは思つておらない。心配しておるのであります。いつも、われわれは、あるいは自由党の代議士さんも含めて、総理にしかられたり、にらまれたりし通しであります。これでは、総理がアメリカの棒頭で、われわれは監獄部屋でどなられておるような感じがしてならないのであります。これは私だけの思いではないと思います。総理の国民を愛する懇切なる態度を、その顔と言葉を通じて国民に示して、安心さしていただきたいと存じます。  私は、凶作地の農村をまわつて、冷たい水のために青立ちになつた田をながめながら、ここに温水ため池が一つあればなあと嘆きながら、ため池は保安隊一人をふやす百万円の金があればできるのにと言つて口ごもつた農民を思い出します。国民の意思ではない、国会の意思ではない、他国の指示で日本の重要国政がきめられつつあると見られていることは、今日国民のひとしく嘆いているところであります。国会とは、答弁をごまかして通すところ、政府はうそをつくもの、そんなふうに、もし小学校の子供までも思うようになり、これが五年続き、七年続きますならば、この罪はあなた方がやめただけで償われるものではないのであります。(拍手)災害にあつた国民は、精神的にもとげとげしくなつております。風水害を、冷害を、国民の精神的凶作にまではさせないように、精神対策、あたたかき親切が必要ではないでありましようか。おやじがばかやろうと言うと、子供もそう言う。日本中食えない、足りないで、家内中けんかになります。昭和九年、十年の東北冷害凶作では、後進地東北の農業を救えと叫ばれて、東北振興法という特別立法がなされたのであります。そして、東北振興の肥料会社がつくられ、電力会社がつくられたのであります。ところが、それがすぐ忘れられ、肥料会社は逆に農民をしぼる会社にかわり、電力会社は、今や、かわりかわつて東北電力株式会社として、吉田さんゆかりの白洲会長がいらつしやる。結果はまずかつたが、着想は一応昭和九年、十年の際につけたわけであります。東北のような後進地、常時災害地、そういうところには、これに対する開発政策というものが特に考えられてしかるべきと思うのでありまするが、こういう点についてどんなお考えを持つておられるか、これも伺つておきたいと存じます。  日本に大砲もバターもというような道があるのでございましようか。日本を災害から守るどんな大方策をお考えでございましようか。自由党の信条とする資本主義から言つても、国土の荒廃と消耗に対する減価償却、後進地東北の開発等は当然の対策ではないでしようか。資本の蓄積は、いかなる内外の変化にあたつても失われることのない国土そのものの生産性を高めるために、またよき人をつくり、よき技術、科学を植え込むためにこそ、惜しげなく払わるべきであると思うのであります。この国土の保全と培養のために、また災害克服のために使うお金が、日本の場合、防衛費よりも重要でないとは一体どうして考えられるのでございましようか。国土の荒廃、この対策と科学の貧困を放置して、何の外敵の防衛でありましようか。国土と国民は荒れくたびれているのであります。災いも三年たてば福となるという言葉があります。しかし、手放しで福となるのではありません。顧みて、戒めて、努力して、初めて災いを転じて福とすることができるのであります。大災害に当面しての総理大臣の、内閣を総理する国土の大計、国政の大計と決意のほどを承りたいと思うのであります。どうか御老体御苦労ですが、ごきげんよく国民のためにお答えいただきたいと存じます。(拍手)     〔国務大臣吉田茂君登壇〕

吉田茂自由党内閣総理大臣

○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。当面の災害については、このたび災害予算に組み入れております。また恒久的設備については、治山治水委員会において、十分考究をして、恒久的措置を講じて国会の審議を問うつもりでおります。(拍手)     〔国務大臣小笠原三九郎君登壇〕

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) お答えいたします。  三党から要望の次第もありましたので、政府においても研究し、本日の閣議でこれを決定いたしました。明日の本会議に修正承認の手続をとることにいたします。  その次に、第二の問題についてお答えいたします。インフレを抑制する国民経済にするためには、非生産的な防衛費を大幅に削減すべきではないかというお尋ねでございますが、これは私どもは、この程度の防衛支出金は、国際信義の上においてこれを実行すべきであり、自衛力漸増は、日本の国際的確約であると信じておりますので、これを削減する意思は持つておりません。  以上お答えいたします。(拍手)     〔国務大臣保利茂君登壇〕

保利茂自由党農林大臣

○国務大臣(保利茂君) 冷害対策あるいは食糧対策に対しましては、昨日申し上げておりますように、また予算書に計上いたしておる通りでございますが、八百板君の御意見は、多くはこれに対する御批判であつたかと存じます、冷害対策、食糧対策につきましては、昨日申し上げた通りでございます。ただ、麦の管理を復活する考えはないかという御質問でございますが、今日今年の不作により米の供給はきわめてきゆうくつになつております。また、私どもといたしましては、一般の正常なる配給を確保いたしますために、やみ米の流通に対しては厳重な取締りをいたしております。従つて、米に対しては、おそらく消費大衆の方々もきゆうくつであろうと存じます。しかしながら、そうであるにもかかわりませず、食糧の窮迫感が伴わないゆえんは、私は麦の統制が撤廃せられて、麦に対する消費の自由が保障されているからであると思うのであります。(拍手)すなわち、もし麦を、かつての統制時代のように、消費者がいかようなものを好もうと好まざるとにかかわらず、あるものを強制的に配給をして消費を押えつけるというようなことをいたしますならば、私は今日の食糧事情とは全然違つて来ると思います。そういう意味におきまして、麦の統制を再び復活するという考えは絶対にとらない考えでおります。(拍手)     〔国務大臣戸塚九一郎君登壇〕

戸塚九一郎自由党建設大臣・北海道開発庁長官

○国務大臣(戸塚九一郎君) お答え申し上げます。御説の通り、単なる災害の復旧のみではほんとうでありません。政府は治山治水並びに海岸保全の恒久策につきまして目下成案を急いでおるのであります。災害の復旧を早くするとともに、総合的、根本的に国土を保全するための施設をいたしたいと考えております。

原彪無所属副議長

○副議長(原彪君) 八百板君、これでよろしゆうございますか。戸叶里子君。     〔戸叶里子君登壇〕

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶里子君 私は、日本社会党を代表して、岡崎外務大臣の外交演説に対し質問を試みんとするものであります。  第十六国会終了後、刻々かわりつつある国際情勢を見るに、朝鮮政治会議、四国外相会議の遅延、朝鮮における中立国委員会の難航、国連総会におけるヴイシンスキーの演説等から見てソ連の平和攻勢が必ずしも真の平和を約束するものでないとの感を抱かざるを得ないのであります。(拍手)民主主義国家においては、その団結を強め、平和へのチヤンスを積極的にとらえて、具体的政策を通じ、戦争への不安をもたらさんとする国際間の緊張を緩和するべく全力を尽すべきだと思うのであります。(拍手)ところが、政府は、複雑な国際情勢に対して緻密な分析をすることなく、平和への何らの努力をも払つていないことは、国民の最も遺憾とするところであります。(拍手)そこで、総理大臣並びに外務大臣から、国際情勢の見通しと緊張緩和に対して、一体いかなる外交基本方針を持たれているかを明確に示していただきたいのであります、(拍手)  次に、わが国にとつて直接関係のある緊張の焦点、朝鮮の問題であります。さきの国会でわが党の河上委員長が述べられたことく、朝鮮は一日も早く南北の武装対峙から解除せられ、南北両鮮を通ずる自由選挙の実施と民主的統一朝鮮の実現に向つてあらゆる努力を払うべきであります。しかるに、政府がこれに対する努力を怠つているのは、まさに平和に対するサボタージユであると言わざるを得ません。(拍手)  一日も早く、世界に、この公正な、しかも建設的な平和公式を訴え、かつ政治会議あるいは国連総会等において本問題の討議に進んでわが国の発言権を主張すべきであると思うのでありますが、総理大臣並びに岡崎外務大臣の御所信はいかがでありましようか。(拍手)  一昨日の外交演説において、また今日の石橋議員に対する答弁におきましても、日韓会談は韓国の高圧的な態度によつて決裂したと、その責めを韓国側に負わせんとしているのであります。問題は、今日の政府のように、いたずらに独裁的な李承晩氏との事務折衝にのみよつて問題の解決に当ろうとせずに、さきに述べたような朝鮮に対する根本的な政策を背景にして、誠意をもつて臨むことが必要であります。日韓国交調整の全般はしばらくおくにしても、一日もゆるがせにできないのは、李ラインの実力強行と、わが漁業及び漁民に対する不法圧迫であります。今日までに捕えられた漁船四十一隻、乗組みの日本人四百八十四名に対して差入れを考えていると外相は述べられたのでありますが、抑留せられた人々は、差入れというようなものでなく、一日も早く帰還を望んでいるのであります。また、これらの危険を知りつつも、漁夫の人たちは、十一月から三月の漁獲期を目前にして、じつと李ラインをながめ、手をこまねいているわけには参りません。これらの漁夫の働きなくしては、日本国民も蛋白資源たる魚の不足に悩まざるを得ないでありましよう。この速急解決の要ある諸問題をいかにして解決せんとするのでありましようか、岡崎外務大臣の回答を求めたいのであります。(拍手)  李ラインの問題あるいはアラフラ海における濠州政府の大陸だなの主張のごときは、いずれも国際法上断じて許すことのできないものでありますが、彼らがかかる主張をする一つの原因は、日米加漁業条約においてなされた吉田政府の譲歩、すなわちべーリング海のまん中に引いた禁止線にあることは疑いのないことであります。(拍手)この卑屈外交の失敗が今日かくのごとき重大な結果をもたらしていることを、よもや岡崎外務大臣もほおかむりできないと思うのであります。(拍手)一体この責任をいかにとられんとするのでありましようか。  これらの問題の対策として、政府は、実力行使、報復等の強硬手段を考慮中であるかに伝えられており、政府の一部には、韓国からの物資の買付停止、在日韓国民の生活保護の打切り等等のごとく、強硬意見を述べているとのことでありますが、これらに対して真相を詳しく承りたいのであります。私どもは、あくまでも実力行使には反対であり、平和的手段による外交の推進を望むものであります。この際この重大な危機を乗り切るために、吉田李承晩会談によつて政治的に解決する勇気を吉田総理大臣はお持ちになつてはいかがでございましようか。(拍手)  朝鮮問題の解決とともに、さらに進んで国を接するソ連、中国との国交調整、特に中国貿易の打開をはかるべきでありますが、岡崎外務大臣は、いかなる理由によつて、かかる重大な問題に言及しなかつたか、その理由を承りたいのであります。(拍手)  岡崎外務大臣は、九月末から今月半ばまで、フイリピン、インドネシア、ビルマ等、いまだわが国と正式国交の回復していない国々を訪れ、大いに親善の役割を果したと自画自讃されたのであります。しかし、世間では、向米一辺倒外交とMSA援助受入れによる再軍備のカムフラージであると言い、また一種の逃避旅行であるとさえ評したのであります。世間の批判は何でもかまわないといつて片づけることのできない理由は、正式国交回復に先だつて、賠償問題について確固たる見通しなく、かえつて相手国に失望を与え、何ら具体的な解決をも見ずして帰つたという点であります。私どもは、いまさら、いたずらにこれを追究しようとはいたしません。むしろ、今後東南アジアとの国交回復及び賠償問題に対して、いつごろまでに、いかように解決されんとするかを承りたいのであります。(拍手)あわせて私たちが知りたいことは、東南アジアの開発の必要性が説かれておりますが。一体いかなる積極的な具体策をもつてこれに臨まんとしているか、この内容については、外務大臣のみならず、通産大臣からも、これをつまびらかに説明していただきたいのであります。  次に日米関係に移りますが、吉田政府の秘密外交と対米依存主義のため、今や日米関係は終戦後最悪の状態に陥つております。幸いにして、今回、かねてからの私たちの主張のごとく、日米行政協定の改訂が行われ、裁判管轄権が北大西洋条約並になつたのでありますが、まだ改訂を要する箇所が多々あるのであります。たとえば、軍事基地の不法接収、労務提供、物資及びサービスの調弁に関する問題等であります。これらをも改正して国会の承認を求むべきであるにもかかわらず、そのまま放置してあるのは、日米行政協定はもはや改訂の必要なしと考えられるのか、それとも近日中にこれらの改訂を考えているのか、この際はつきりしておいていただきたいのであります。  先ごろダレス長官の発表により、奄美大島が今回日本に返還されることが明らかにされたのでありますが、まだ、その実現を見ないのは、その原因がどこにあるのでありましようか。もしその原因が日本側にあるならば、吉田内閣はその罪をいかにして国民に謝するかを明らかにすべきであります。これと同時に考えられることは、小笠原、沖縄についてであります。独立後八年を経過しても、まだこれら諸島に完全なわが国の立法、司法、行政権の行使が認められぬということは、何という情ないことでありましよう。それらの諸島の様子を漏れ聞くところによると、次代をになう若い世代の人たちが、はつきりとした日本をつかみ切れず、中途半端な立場に置かれており、親たちの悩みの種となつているとのことであります。この小笠原、沖縄の返還に対しては一体どのような考えを持たれているか、外務大臣から説明していただきたいのであります。(拍手)  最後に、MSA協定とわが国の防衛に関して政府の所信をただしておきたいと思うのであります。先国会において、外交論議の中心であつたMSA協定に対して政府のとつた態度は、実に秘密の一言に尽き、その線を守らんがために、委員会の答弁において終始一貫性がなく、いかにして適当なごまかしの言葉を見出すかに政府が苦慮していたことは、国民のひとしく知るところであります。(拍手)すなわち、MSAは経済援助であるとの言を、いつの間にかはつきり軍事援助であると切りかえ、保安隊の数は増加させないと言いながら、その後間もなく漸増の線をはつきり出し、MSA協定は防衛力とは関係ないとの主張は、遂に最も深い関係あるものにかわつてしまつているのであります。このような変節を見たときに、一体これは政府が初めからわかつていて国民を欺いたのか、あるいはアメリカとの交渉過程においてだんだん押しつけられて来たのか、ここではつきりしておいてほしいのであります。(拍手)  岡崎外相の説明によりますと、大体MSA協定の交渉は一致点に達した、しかし軍事顧問団、五百十一条の(a)項、日本経済とMSAの安全性の問題等三点にわたつて、いまだ多少意見の食い違いがあると述べられたのでありますが、これらの点こそ、いずれも最も大切な点でありまして、これらの諸点の食い違いが、先方の圧力によつて、うやむやに従わざるを得ない立場に追い込まれはしないかと、在来の軟弱外交のあり方から想像して危惧の念を抱くのは、私のみではないでありましよう。外務大臣は、委員会において、十月初旬にはMSA協定に署名するやに発表していたにもかかわらず、今日その交渉すら停頓状態にあるのは、一体いかなる理由によるものでありましようか。池田特使とロバートソン氏、増原長官とパーソン氏との防衛力についての意見の一致しないことに大きな理由のあることは、今日だれでも知るところであります。政府がいかにこの点を否定してみたところで、これに関連して生ずる国民の次の疑惑はどうして解かれるでありましようか。すなわち、一国の防衛計画というような重大な問題、しかもそれは憲法と密接な関連があり、一国の国家性格に影響を及ぼすにもかかわらず、これを国民に諮ることなく、外国の政府とはかり、その結果、ある線をわが国に押しつけるというような自主性を失つた不面目な態度を、独立国家における政府がどうしてとらなくてはならないのでありましようか。かくのごとく、MSA協定によつて隷属的防衛計画がここに起つて来たということは、見識なき現政府がその責任を外国に転嫁せんとするものであつて、私たちは断じてかかる屈辱的態度を許すわけには参りません。(拍手)政府に防衛計画があるならば、外国よりもまず日本国民に諮り、かつその上に立つて、MSA協定に対する態度を国会を通じて国民に諮るべきであります。これに対する総理大臣並びに岡崎外務大臣のお考えを承りたいのであります。  昨日の吉田総理大臣の答弁によりますと、日本の防衛計画をアメリカ政府に示し、これに対して意見を求めたことを否定し、池田特使の使命は、吉田氏個人の特使として、日本の経済の実情を訴えるとともに、先方の実情を知ることであると答弁されたのでありますが、信頼するに足る日本及びアメリカの報道機関を通して、国民に対し、すでにわが国の防衛計画並びにアメリカの日本に対する軍備の要請が示されており、さらに、今明日中に池田・ロバートソン両氏の共同声明が発表されるとのことであります。しかるに、この事実をも御存じないとして否定されるのでありましようか。しからば、これを否定されるべきいかなる根拠をお持ちになつているのですか。それを今国会に率直に吉田総理大臣がごひろうくださるならば、昨日の答弁を私たちは了承するでありましよう。  今日、国民は、保安隊という名のもとに政府がひそかに再軍備の既成事実をつくり上げていることに対して、非常な不安を感じております。ことに、今国会の使命は、相次ぐ風水害の災害及び冷害に打ちひしがれた農民を救済する目的を持つたものであります。堤防の決壊によつて家を流失し、耕地を失つた人々及び収穫皆無の農民の悲惨な姿を想像していただきたい。吉田首相は、たびたび保安隊を訪れているが、いまだかつてこれらの災害地を親しく訪れ、悲嘆に苦しむ人々に激励の言葉を与えられたことがおありになりますか。(拍手)もしもこの惨状をまのあたりに見るならば、必ずや吉田首相といえども、防衛費に使う予算はまずこれらの人々の救済に使わなければ民生の安定はあり得ないことを自覚されると信ずるのであります。(拍手)衣食足つて礼節を知るという言葉は、東洋古来からの政治の要諦であります。日本の安泰を望むならば、国民の欲せざる防衛費の膨脹を押え、国民をして喜んで明日の生産にいそしむことのできるような希望を与える政治を実現されんことを私は心から要望して、この質問を結ぶものであります。(拍手)     〔国務大臣吉田茂君登壇〕

吉田茂自由党内閣総理大臣

○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。ただいま、日本の防衛計画について、あるいは漸増の計画につきましては、先ほど保安大臣からお答えいたしました通り、慎重に研究いたしております。いずれ成案を得ましたならば国会の協賛を経るつもりであります。     〔国務大臣岡崎勝男君登壇〕

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 国際情勢の分析、検討につきましては、戸叶さんほどではありませんが、政府もできるだけのことはやつております。ただいまの情勢につきましては、お話のように、一面平和攻勢で何か静かになつて来るように見えますが、実はなかなかむずかしい問題がたくさんありますので、政府としては常に注意をもつてその経緯を見守つております。この間に処しましての方針は何だとおつしやいますれば、これは国連憲章にのつとつてすべてのことを解決する、この方針を政府は一貫して持つております。  なお、政治会議の構成国は大体においてきまつておるようでありまして、われわれはしいてこれに入ろうという、考えはないのであります。わが国としては、それでなくても、自国の問題の処理に一切をあげて努力すべき時期なのであります。  なお、日韓の問題につきましては、とりあえず漁夫等に差入れをいたしておりますが、もちろんこれで全部ということではないのでありまして、抑留者の帰還とか出漁等につきましても、できるだけの努力をいたすつもりであります。これにつきまして、場合によつてはいろいろの保護も加えなければなりませんし、また先方の反省を促すべき措置も考えなければならぬこともありましようけれども、同時に、日本としては、できるだけの建設的な解決案も用意いたしておりまして、常に門戸をあけておるのであります。  なお、日米加三国の協定につきましては、これは魚族の保護を主眼といたしておるのでありまして、李承晩ラインやアラフラ海の主張とは違うのであります。しかし、朝鮮海峡におきましても、アラフラ海におきましても、魚族とか真珠貝の保護についての話合いならば、これは政府として当然に応ずる立場にあります。  東南アジアの旅行につきましては、一度ですべての問題が解決するというわけには参りませんけれども、漸次具体的な結果が現われると信じております。  なお、東南アジアの開発ということをおつしやいましたが、これはいろいろ先方でも考えがあることでありますので、われわれとしては、それらの国々の先方の案に基きまして、また生方の希望によつて行うことにいたしまして、こちらから案を押しつけたり、こちらから押売りをしたりすることはいたさないつもりでおります。  行政協定につきましては、他の問題ももちろん検討中であります。しかし、その他の問題と刑事裁判権と一緒にいたしますると、勢い刑事裁判権の方が遅れますから、まず刑事裁判権の方を先にやつたのであります。  奄美大島の問題につきましては、いろいろ引続いて複雑な事項がありますことは一昨日申し上げた通りでありますが、しかし、そうおそくないうちに返還の見通しはついておりまするから、そこで今国会にも予算とか、法律案とかを提出したわけでありまして、他の島嶼につきましても漸次解決して行きたいと考えております。  MSAにつきましては、これはどうも戸叶さん非常に誤解をお持ちになつておるようでありまするが、私は防衛計画をMSAの必須の要件ではないと申したのでありまして、MSAと関係がないとは申しておりません。また調印をするということは申しておりませんで、大体十月の初めころまでには話合いがつくかというような予想を申したのであります。  なお、池田君の使命につきましては、今おつしやつた共同声明なるものはすでに出ております。これにもはつきり書いておりますが、池田君と先方との話合いは、事態を検討するのである。エクスプラナトリという字が書いてあります。そうして何ら協定等に達するものではないかということが、冒頭にはつきり書いてあります。     〔国務大臣岡野清豪君登壇〕

岡野清豪自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○国務大臣(岡野清豪君) お答え申し上げます。御説のように、東南アジアはわが国の貿易上非常に重要なパーセンテージを占めておりまして、たとえて申しますれば、本年の一月から八月までにおきまして、輸入は総額の二八%、三億八千万ドルになつております。また、輸出は総額の四〇%で三億二千万ドルになつております。今後わが国の貿易の市場といたしましては、最も重要視せねばならぬところであります。特にその地域におきましては、工業化意欲が非常に旺盛でございますので、工業化資源開発にわが国も協力いたしまして、貿易の振興をあわせてはかりたい、こう考えております。またそのためにいろいろ助成策をやつておりますし、まだ各地の鉱山の開発もやつております。これは、例示申し上げれば、ポルトガル領のゴアの鉄鉱石の開発、またフイリピンのララツプの鉄鉱石の開発、またフイリピンのラプテプの銅の鉱石の開発、またインドのマドラスにおきますところのマグネシア・クリンカーの焼成とか精製というようなもの、またインドネシアと提携いたしまして真珠貝の採取と真珠の養殖等をやつております。こういうことが、やはり向うとよく提携しまして非常に成績をあげつつある次第でございます。しかしながら、御承知の通りに、これらの地域は賠償問題が未解決でございまして、フィリピン、インドネシア、ビルマなどにつきましては、まだ正式の国交が回復されておらぬ実情でございますので、通商貿易の拡大を阻害することが非常に多いのでございます。しかしながら、先般岡崎外努大臣がこれらの地域を歴訪いたしまして、相互に意思の疏通を見つつありますので、今後同地域の民族感情にも十分の考慮を払いながら、外交折衝によりましてこれらの問題をすみやかに解決し、さらに積極的な経済協力、貿易拡大を推進する施策をとりたいと考えております。お答え申し上げます。(拍手)

原彪無所属副議長

○副議長(原彪君) 中原健次君。     〔中原健次君登壇〕

中原健次小会派クラブ

○中原健次君 私は、およそ六つの点につきまして、総理大臣並びに大蔵、外務両大臣ほか関係各大臣に質問をいたしたいと考えます。  第一は、本年の累次にわたる風水害、さらに広汎な地域の冷霜害及び漁虫害、そのために生じました何十年来といわれる凶作についてでございますが、今日その凶作地方の農民たちは、まつたくうどんで露命をつないでおり。ただいま国会でこのように論議されておりまするまつ最中に、岩手県の遠野地方では、食糧を手に入れるために、農民は山に入つて、くり、あるいはどんぐりを拾いながら——山で木の実も実らないままに、くまが里近く下つて参つておりますが、農民たちは山に入りまして、乏しい食糧をくまと奪い合いながら生活を営んでおるという状態であります。まことに悲惨と申しますか、何千年も昔の原始状態がここに再現をいたしておるのであります。災害地では、耕地が河原になり、住むに家なき人々の大部分はいまだになおざりにされたままであり、わずかに親類縁者をたよりましてその日を送つておるというありさまが実態であります。  これらの被害の数額はとうてい調べ尽すことはできがたいでありましようが、民間団体や全国知事会及び各府県の調査によりまして、ただいままでに判明いたしましたものだけでも優に一兆円に達しておるといわれております。しかるに、政府各省の対策費要求額は二千七百八十二億円と聞いておりましたが、予算説明書によりますると、二千六百二十億円になつているようであります。これは一体どこから何を根拠に割出した数字でございましようか。国民は納得の行く説明を求めてやまぬのであります。なお、右の各省要求額に対する大蔵省の査定額は二千十一億円といい、また予算説明書では千五百六十五億円となつておるようであります。これらの数字の根拠もこの場合聞いておかなければなりません。  問題は、いわゆる三・五・二の比率にばかりあるのではなくして、この査定自体がまず問題であります。大蔵省査定額は各省要求を大見当で天引きしたのか、それとも調べられたのか、調べたといたしまするならば、どのような方法によつてお調べになられたのか、この点を具体的に説明してもらいたいと思うのであります。これでは、でたらめの各省の要求に始まり、でたらめの大蔵省の査定が行われ、でたらめの予算化がなされたというのが、まつたく政府の災害対策の実態であると言うことができると思うのであります。この際災害復旧事業の実施状況について政府の明瞭なる説明を承つておくことがまた必要であると考えます。治山治水関係、農地関係などの未復旧災害分は今日までどれくらいに上つておるか、この金額と年度別の工事実施率をお示し願いたいと思います。  なお、一昨日大蔵大臣は、災害に対する復旧、冷害に対する救済等のために、まさにそのために補正予算を提出したと、いささかもつたいをつけて御演説になりましたが、しかし、聞くところによれば、ただちに明日また根本的な組みかえの御提案があるそうであります。いずれにいたしましても、この国会は巷間救農国会などと盛んに宣伝をされておりまするが、はたしてそうであるのか、どうであるのか、以上につきまして政府の答弁を求めるものであります。私は、そういう大蔵大臣の演説や救農国会などという放送は、災害に対する政府の無誠意と無能力とを押し隠すための宣伝としか受取れません。  質問の第二点は、大蔵大臣の言うインフレ抑制の議論についてでありまするが、初めにお尋ねいたしたい点は、予算規模が大きくなることはすなわちインフレというようにお考えになつているのかどうかという点であります。私どもはそのようには考えておりません。問題は予算の質的内容でありまして、その予算が生産的な支出を多く内容としておるものであるならば、単純な予算規模の増大はインフレ要因となるものではございません。それがインフレになるのは、予算が政府の二十八年度予算のように非生産的な内容を多くかかえ込んでおるからでございます。この最たるものは、防衛関係費といわれている直接間接の軍事費、軍事的経費でありますが、これらは軍需会社と武器商人への支払いや、保安隊員の養い扶持の費用であり、またアメリカ軍の駐留費であるのであります。いずれの場合も、これらは日本経済に一物をもプラスしないだけではなくて反対に、国民が汗して働いてささえておる日本経済から大きな部分を食いつぶし、盗み出すだけのものであります。だからインフレになり物価が上つて参るのであります。もちろん、小笠原大蔵大臣がこれを知らないわけはございますまい。ちやんと政府こそインフレの張本人であることは承知しておるのであります。にもかかわらず、臆面もなくインフレ抑制をぶつているのはどういうわけなのか。それは国民各層の予算と金融に対するせつぱ詰まつた要求を押えつけるための口実ではないのか。私どもはそう考えざるを得ないのでありますが、大蔵大臣の御所見はいかがでございましようか。  この場合、私は、いわゆる防衛関係費の現在までの支出の実績の御報告を承りたいと考えるものであります。おそらく本年度もまた少くとも一千億円以上が繰越しとなるものと予想されまするが、この際、これを財源といたしまして、冬を控えて住むに家のない罹災者諸君や、山の中でくまと食糧を奪い合つている凶作地の人々を漏れなく救済するお考えがあるかどうか。救農国会を宣伝する政府の決意をこの場合承つておきたいと考えるものであります。  また政府は、公務員の給与改訂を行わんとせず、人事院勧告はまつたく無視されており、公務員からスト権を奪い、人事院の勧告はこれを尊重せぬというのであつては、公務員諸君はいずれによつて問題の解決を求めたらいいのであろうか。また、昨日本会議において、労働大臣は、公共企業体の八団体に対する仲裁裁定について、関係各省間において目下検討を加えておるという御答弁でございましたが、もういずれ見当がついておる問題のはずであるから、完全実施を本日この議場において明確に表明されたらどうかと考えるのであります。特に関係各大臣の御答弁を求め、かつ大蔵大臣のこれに対する御所見、御決意を承つておきたいと考えるものであります。  政府は、今回の補正予算において、財源措置として住宅公庫への出資、食糧増産費、公共事業費の節約によらんといたしておりまするが、これは明らかに国民大衆の既得権を侵害するものであると私は考えざるを得ません。まつたくこれと軌を一にいたしまして、まさに法的には当然その義務を履行せなければならないはずの今回のこれらの給与問題に対して、これをもし万一実施せないならば、ここにもまた既得権の剥奪があると言わなければなりません。  第三の問題点は、いわゆる世界銀行からの火力借款についてでありますが、この借款には周知のように問題点が多いのでありますが、私は以下の三点について政府の見解を聞きたいと思います。  最初に、日本開発銀行の場合、世界銀行との借入れ契約によつて、開銀は三つの電力会社に対し優先融資の義務を負うことになるわけであります。ところで、電力会社の事業計画及びその重要なる変更は、電力会社と世界銀行との合意によつて行われ、政府、開銀はただこれに同意するだけであるから、世界銀行に対する政府、開銀の現実のあの弱い態度からいたしましては、事業計画を左右する世界銀行は、実際上容易に日本最大の金融機関である開銀の融資計画を規制することができ、その面から日本の金融は外国人の手に握られてしまうことになると考えられるが、政府の所見はいかがでございましようか。  次に、世界銀行と電力三社との事業計画契約の内容について明らかにしてもらいたいと考えるのであります。伝えられるところによりますと、電力配分の具体的な点まで世界銀行が干渉をしており、たとえば、ひる石開発に幾ら使うというようなことも、この中に含まれているといわれているのであります。ひる石というのは、申し上げるまでもございませんが、塗料にいたしまして壁などに塗ると、原爆の放射能を防ぐと聞いております。ペンタゴンの建物にはこれが塗られているといわれておりますし、また、日本でこれを生産して、保安隊の戦車や米軍の基地施設に使うのではないかととりざたされておる向きもございます。はたしてそのようなことがあるのかどうか、計画の内容を知らしていただきたいと考えるものであります。  また、三つの電力会社の事業計画を事実上世界銀行が左右することになりますと、全国の電力計画、さらに全生産計画もまた実際において世界銀行の掌握するところとなりはしないかどうか、政府の見解を聞きたいと存じます。  さらに、最後にもう一点、いわゆる第一債務者としての政府が世界銀行に提供する担保の問題でありますが、聞くところによりますると、国有財産はもちろん、地方公共団体の財産もその対象になつているということであるが、国有財産のこのような処分については国会の承認を必要とするのではないか、この点に関して責任ある御答弁を求めておきます。また、昨日総理の答弁によりますると、借款条件はきわめてひどいが、これは世界各国並であり、特に日本だけが苛酷なのではないとありましたが、これは戦後の日本が吉田政策により各国とはまつたく段違いの対米従属関係にあるという現実を無視した議論ではなかろうか。この現実の中で、このような担保権の設定は、実際においてきわめて大きな力を持つことになるであろう。たとえば、政府はもちろん、地方公共団体の今後の外国借款、外債の募集等の場合に、世界銀行は強力な発言権を発揮することになり、そのことによつて、これらを左右することができるのではなかろうか。これらの点について政府の見解を承つておきたいと考えます。  質問の第四点、これは竹島の領有問題でございますが、私どもも竹島が日本領土であることを確信いたしておるのであります。これは歴史的に明らかであり、今日の竹島をめぐる紛争の原因の大半が李承晩政権にあることは疑う余地のないところでありまするし、彼らはまた一方をひたすらアメリカにすがりながら、他方で常にそれ以外の国と国際的紛争を引起していなければならないのであります。さもなくば、彼らはその政権を維持することができないからでありましよう。彼らはそのため南朝鮮人民の反日感情を積極的にあおつて来たのでありますが、しかしながら、竹島紛争の責任の他の一半は吉田政府にあると考えられるのであります。戦後吉田政府のとつて来た朝鮮人政策は、戦前とほとんどかわるところなく、弾圧と侮蔑の一語に尽きております。これは事実が示しておるところでありますが、李承晩の露骨な反日政策は、実は吉田政府のこのような反動的な朝鮮人政策によつてささえられて参つたのであります。竹島紛争についての政府の責任は、単にそればかりではございません。ちようど今から二年前、サンフランシスコ条約の審議された第十二回国会の両条約特別委員会において、吉田政府の草葉政府委員は、山本利壽委員の質問に答えて次のように申しております。「現在の占領下の行政区画には竹島は除かれておりまするが、今度の平和条約におきましては、竹島は日本に入つて来ると申しますか、日本領土であるということをはつきり確認されたものと存じます。」この答弁はまさにあいまいしごくであります。それだけではございません。続いて立つた西村政府委員は、「御質問は全部お取消しを願いたいと思うのであります。私どもの答弁も速記から取除いていただきたいと思います。」と、このように申しておるのであります。しかも、この委員会に配付された日本領域参考図を見ても実に不明瞭であり、このようなあいまいさ、不明瞭さを今日までそのままになし来つておるのでありますが、このごとき問題は、国民の利益のために、本国会においてその基礎を明確にさるべきであります。この点について、総理大臣の責任ある御答弁を承りたいと存ずるものであります。  第五の質問を、いわゆるMSA援助の交渉に関連いたしまして端的に申し述べたいと思います。MSA軍事顧問団について、どのような点がどのように現在問題になつておるのか、お答えを願いたいと思います。なお同時に、今日保安隊におりますところの米軍顧問の法的根拠をお尋ねいたしておきたいと考えます。米軍顧問は、何月何日、どのような文書によつて、かれらがいわゆる顧問になつておるのか、具体的に御説明を求めたいと考えます。  次に、政府は、上陸用舟艇を多数アメリカから借り受けていることは周知のことでございまするが、このような種類の兵器を必要とされる政府のお考えと、使用するとせば一体どこへ使うと予想されておるのか、いわばその戦闘構想とでもいうべきものについて、この際承つておきたいと存ずるものであります。  ここで、ワシントンにおけるいわゆる池田・ロバートソン会談について若干政府の御答弁を煩わしておきたいと考えます。それは、二十五日付の朝日新聞は、池田氏らのいわゆる特使団がアメリカ側に手渡したという日本側議事録草案なるものをすつぱ抜いております。これは、政府の見え透いた従来の、ただいままでの国会答弁などとまつたく異なりまして、きわめて興味あるものでございますが、時間がありませんから、その中の一間だけお尋ねいたします。すなわち「日米双方の当事者は日本国民の防衛に対する責任感を増大させるような日本の空気を助長することが最も重要であることに同意した。」云々という点であります。これは、日本政府とアメリカ側が協力して、日本人の武装意識、軍国意識を大いにあおる必要があるということでありましよう。この手段方法については別に何とも言つてはありませんが、もちろん、あらゆる方法手段をもつてということであろうと考えます。そうすると、今起つておる李承晩ラインの問題、竹島の問題などは、そのために大いに利用されることなしとは言いがたいと考えます。いや、すでに利用されておると私どもは判断さえするものでありますが、現に政府は、昨日来、本会議においても、実力出動を誇示するがごとき言辞を弄しておるのでありますが、まことに遺憾しごくと存ずる次第であります。もちろん、私どもは李ラインの不法は断じて認めることはできないのであるが、それだからと申しまして、正しい国民的な利益の立場からではなくて、特定の目的意識、軍国主義涵養の立場からこの問題の取扱われることに対しては絶対に反対しなければなりません。このようなやり方では、日韓両国民が友愛と平和を保障するような美しい解決はとうていできがたいことであろうと考えるからであります。(「時間だ」と呼ぶ者あり)総理並びに外務大臣の、この点に関する責任ある御答弁を求めたいと考えるものであります。  最後の質問は、岡崎外務大臣の先日の東南アジアヘの旅行について、これはごく簡単に質問いたしておきたいと考えます。率直に申しまして、外務大臣は、今度の旅行がたいへん気持のよい、歓迎されたものであつたと考えられておるのであるかどうか、この点をまずお尋ねいたします。国家のために、外交辞令など抜きにされて、率直にお答えをいただきたいを考えます。聞くところでは、外務大臣は、特にフイリピンとインドネシアでは、武装兵に守られて歩かれたと伝えられておるが、はたしてそれが事実かどうか、そうでなかつたのか、この点についての真相を承つておきたいと考えるものであります。また、このような事態の原因が一体どこにあると考えられるのか。また、このごとき現実を克服するについて、はたしてどのような自信を持つておいでになるのか。すでに経験されたことをもとにして御検討済みのことと考えますので、この点をぜひこの際お聞かせ願つておきたいと考えるものであります。  以上をもちまして私の質疑を終ることにいたします。(拍手)

原彪無所属副議長

○副議長(原彪君) 総理大臣は所用のため退席されましたので、副総理緒方竹虎君。     〔国務大臣緒方竹虎君登壇〕

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) お答えを申し上げます。  冷水害対策に対する各省の要求額について大蔵省はどういう基礎によつて査定をしたかという御質問でありましたが、これは大蔵大臣からお答えをいたします。  次に竹島の問題でありまするが、竹島は、歴史的に見ても、国際法から申しましても、わが国の領土であることに間違いばないのでありまして、これに言いがかりをつける韓国側の態度はまことに遺憾であります。しかしながら、これが解決にあたりましては、最後まで平和的に話をつけることを旨といたしておる次第であります。なお、韓国側の出方によりましては、今後この帰属について国際司法裁判所に提訴することをも現在研究中であります。  なお、お尋ねのMSAあるいは池田特使のことにつきましては、外務大臣よりお答えをいたします。(拍手)     〔国務大臣小笠原三九郎君登壇〕

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) まず算定の基礎になつた被害報告について申しますると、実は被害報告額の日付も各省各事業種別に異なつておりますので、査定にあたりましては、一応各省の報告の出そろつた十月五日現在の数字によることといたしまして補正予算の計数を算出することといたしました。すなわち、十月五日付の風水害による復旧事業関係の被害報告額は約二千六百二十億円であります。このほか、災害に関連しました治山とか、砂防とか、水防あるいは道路修繕、こういうものもございますけれども、これは、予算の編成上、災害復旧事業とは全然別個に取扱うことといたしておるのであります。この被害報告額二千六百二十億円に対し、過去三箇年間の平均査定率によりまして、推定災害復旧事業費額を千七百七十五億円と推定し、これに事業種別に国庫負担率まだは補助率を乗じ、さらに前の国会で成立いたしました災害特別立法による増加を見込みまして国庫負担総額を一応千五百六十五億円と算定した次第であります。  未復旧災害分工事実施状況はどうなつておるかということでございますが、昭和二十七年度末で国費で千九百九十二億円でありますが、二十八年度の予算でこのために四百四十五億円が計上せられ、復旧工事が行われておりますので、二十七年度災害以前のもの二十八年度内未復旧のものが約千二百億程度でないかと思われますので、かれこれ全体では二千億円となるかと存じます。年度別の進捗率につきましては、過去の災害復旧の実績について見ますると、ほぼ五箇年くらいを要することになつておりますが、今後でき得るだけ改善促進して参りたいと考えております。本国会については、御承知のごとくに救農国会といわれておりまするが、災害対策費のみを盛り込んだ——冷害ももちろん含んでおりますが——ものになつておることは、すでに提出予算で御了承の通りであります。  政府のインフレ抑制論について、予算規模の圧縮が即インフレ抑制ではないではないかとのお話がございましたが、この点については先ほど石橋議員に詳しくお答え申し上げましたから省いておきます。  さらに、軍事費の支出総額が大体千億円も繰越しになつておるではないか、これを向けたらどうかというお尋ねでございましたが、本年度の保安庁経費は繰越額を加えて九百三億円となりますが、十月二十日現在、すでに三百九十四億円の支出負担行為と相なつておりまして、本年度予算は、御承知のごとく、まだ実施後三箇月しかたつていない現在でございまするので、今後の繰越し見込額を推定いたしますことは困難であります。ただ、本年度の予算執行状況及び予算の計画的使用等にかんがみますると、大きな繰越しは生じないのではないかと考えております。なお、防衛支出金の二十八年度予算額は、二十七年度よりの繰越金を合せまして七百十一億円となるのでありますが、このうち米軍交付金五百五十八億円は、行政協定に基きまして当然年度内に支出をされますので、来年度に繰越されるものはございません。また残りの百五十三億円は私有区域の借料その他の補償に充てられるもので、これも年度末までにおおむね支出される考えであります。  なお、軍事費を削つて凶作じりを救う考えにないかというお話でございましたが、これはたびたびお答え申し上げた通りであります。  さらに、公務員の給与改訂を見送るつもりかということでございましたが、これは人事院の勧告その他については尊重する考えでおりまするけれども、諸般の点より目下検討中でございます。  住宅金融公庫出資の削減についてお話がございましたが、これはすでに御答弁申し上げた通りでございます。火力借款についていろいろな点のお話がございましたが、何も開発銀行の資金について世界銀行に握られるというような御懸念はさらにございません。またこの電力関係の借款は、よく申し上げまする通り世界の五十数箇国、特に日本でも代表者を出しており、一様にどこの国とも公平に、いずれに重くいずれに軽いというのではないのでありまして、従つて、この契約に定められている事柄を誠実に履行する債務を誠実に履行する限りにおいては、世界銀行が電力会社の経営に干渉するというようなことはございません。従つて、それに支配されるというようなことはないのでありまして、この点は債務を忠実に履行さえすれば何ら懸念はない、かように御了承願いたいと存じます。     〔国務大臣岡崎勝男君登壇〕

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) MSA顧問団の問題につきましては、その費用総額であるとか、あるいは滞在の場所とか、その他どういう待遇を与えるかというような問題を今研究中でございます。  池田特使の問題についてのお話でありますが、これはいろいろ御推測のお話がありましたが、本日その会談の要旨を文書で発表しておりまして、すでに夕刊に出るはずでございますから、それをごらんくださればはつきりいたします。  私の東南アジアの旅行につきましては護衛等がつきましたけれども、これは儀礼的にどこでもつけるのでありまして、米国副大統領が日本に来られれば、やはりその種類の護衛はつけるので、何らかわつたことはございません。

原彪無所属副議長

○副議長(原彪君) 中原君より、吉田総理大臣の答弁を適当な機会に求めたいとの申出がありました。  これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。明十一月一日は日曜日でありますが、午前十一時より特に本会議を開きます。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時五十五分散会

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