本会議 第2号
- 発言数
- 32 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1953/10/30
会議録
○議長(堤康次郎君) これより会議を開きます。 ――――◇―――――
○議長(堤康次郎君) 国務大臣の演説に対する質疑に入ります。綱島正興君。 〔綱島正興君登壇〕
○綱島正興君 私は、自由党を代表いたしまして昨日の大蔵大臣の補正予算に関する演説に対し、大蔵大臣に対しましては、第一、このたびの補正予算編成の基礎理念の問題、第二は、二号台風、西日本水害、南近畿大水害、十三号台風その他の水害に関する予算三百億円、冷害予算七十億円、農業共済予算百三十億円の予算編成がはたして妥当なりやの問題、第三には、現地における復旧工事に支障なからしむるためには、現地においての工事の進捗の結果資金に不足を来したるときは、これに対する処置を講ずる意思ありやの問題、この三点をお尋ねいたします。なお農林大臣に対しましては、農地・農業施設復旧に関する問題、罹災農林漁業者に対する経営資金及び復旧資金に関する問題、土砂排除、海水流入耕地の塩抜き問題、農薬、種子代補給、その他裏作増産、北海道の温冷床補助復活の問題、肥料問題、治水、灌漑、畜産上の見地よりの林制の問題、冷害地帯の救農土木問題、農業共済問題、米価その他農産物価安定に関する問題、特に二十八年度凶作に伴う国民食糧問題の解決、これらの十箇条をお尋ねいたします。次に建設大臣に対しましては、水害及び地すべりによる堆積土砂排除の問題、及び河川岸堤、海岸堤防の復旧の問題等をお尋ねいたします。なお外務大臣に対しましては、李ラインの問題その他についてお尋ねいたすのであります。 第一に、補正予算編成理念の問題でございますが、昨日の大蔵大臣の演説を伺いますると、財源が乏しい、従つて五百十億円以上の補正をなすには赤字財源に求むるほかはない、赤字財源によるときはインフレーシヨンを誘発する、このインフレーシヨンの誘発は絶対防止せねばならない、こういう御趣旨でございます。なるほど、インフレーシヨンを避けねばならないという御意見については、これは国民いかなる者も異議はなかろうと存じます。問題は、はたしていかなることがインフレーシヨンを醸成するか、この見地において、このたびの予算編成がはたして妥当であるか、予算編成の基礎理念がはたして正しいかいなかということが、お伺いをいたさなければならぬ根本問題でございます。 敗戦後のいずれの国におきましても、ほとんど漏れなく経験いたしまする事情にありますインフレーシヨンというものは、わが国は二十三年のドツジ方式による対策によりまして、一応終止したような形をとつたのであります。ところが、その際に最も心得なければならぬ重要なる施策を閑却いたしたきらいがございます。それは何であるかと言えば、低金利政策を伴わなかつたという事情でございます。いかなる場合におきましても、必ず必要とすることは、基本的生産増強措置の拡大と、低金利政策の早急なる実行ということで、これがインフレーシヨン処置問題の基本問題でございます。この生産増強と低金利政策とは相まつて成果を収めるものでありまして、低金利に擁護されないところの生産増強施策は砂上の楼閣にすぎないのであります。しかるに、とられましたる政策は、生産増強の結果であるところの資本の蓄積を生み、しかる後に低金利政策を出来するという考え方であります。この低金利政策は、国民意思に基く政府の施策として、物価、賃金の横ばい政策と同時に併用すべきものでありまして、漫然拱手、低金利時代の招来を待つということは最も戒めなければならない事柄に属するのでございます。特に任を財政の衝に置く人は、財源の涵養に意を注がなければなりません。財源の涵養は、生産を正常なる形において増強いたし、輸出を増加し、かつ国内資源を開発し、輸入を防遇せなければならぬ。特に注意を要すべきことは、加工いたしても商品化することのできないところの食糧の輸入を極力防止しなければなりません。すなわち、食糧自給の度を高めることに第一に努力いたさなければならぬのであります。このたびの補正予算の用途は何であるかと申し上げますと、このたびの補正予算はことごとくみな食糧生産手段の復旧増成に充てる予算でございます。この不可欠必要なる予算を縮減いたし、わずかに国庫負担総額の二割を計上いたされたことに対しては、全国の罹災農民はその真意を疑わざるを得ないであろうと存ずるのであります。(拍手) 大蔵大臣は、インフレーシヨンの誘発は増税または赤字財源にありというもののごとくでありますが、私の所見によりますれば、昭和二十三年に行わねばならなかつたところの低金利政策を放置し、金融業者のなすがままにまかせた積年の失政が高金利時代を出現いたし、(拍手)そうしてこの不労利得の拡大と、従つて起る縮小生産の結果が不健全経済の横行を招来いたしたのであります。 顧みまするに、わが国の年間を通ずる平均貸出額は大体四兆億円前後でございましよう。ところが、この貸出金の利息は、諸外国の金利と対比いたしますと、少くとも年平均一割以上の高利でございます。(拍手)従つて、四兆億円の一割、四千億円は金融資本所有者のふところにころげ込む。(拍手)反面、国民は年間四千億円の不労利得を奪い去られるのであります。(拍手)国民産業の中に不労利得が大幅に拡大されることは、国際競争場裏に立つ産業の全面的敗北を招来する原因となるのであります。(拍手)ここに基本的なインフレ要因が厳然として所在するのでありまして、このことに意を用いず、必要生産要素である農地及び農業施設その他河川、河岸堤防の復旧を看過いたしまする結果をもたらす予算を編成いたしましたならば、インフレーシヨンは高金利による縮小生産と必要生産の消滅の競合によりまして致命的の段階となり、手をつけられないように相なることをおそれるのであります。この点に関する大蔵大臣の御所信を伺いたいと存ずるのであります。 さらに私は、水害や冷害、共済等に対する五百億円の予算が妥当であるかどうか、あまりに僅少ではないか、寒心にたえないのであります。(拍手)そこで、特に大蔵大臣にいま一応この予算についての御一考を煩わしたいと存ずる次第であります。(拍手) 本年は、六月五、六日の二号台風、六月二十六、七日の西日本大水害、七月十八日の奈良、和歌山の大水害、七月三十一日の北海道の水害、八月十五日の兵庫、京都、滋賀、三重、奈良の水害、九月二十五日の十三号台風等によりまして、西日本五県、山口等の各河川の堤防の決壊、土砂の流入、地すべり、護岸の崩壊、奈良県、和歌山県等の土砂流入、埋没、十三号台風による静岡、愛知、三重の海岸の決壊、地盤沈下による海水の流入等、ほとんど名状すべからざる被害をこうむつております。さらに冷害と病虫害による北陸、東北、東海、信越、北海道の凶作と、あげ来れば、実に古今に絶する大災害の凶年であると申さねばなりません。(拍手)しかるに、大蔵大臣は、冷害、病虫害、農業共済、土木、それらに関しまして幾らの予算を一体計上いたされたか。この点について、大蔵大臣には、さらにほんとうな意味における御再考を煩わさなければならないと存じます。(拍手) 大蔵大臣の見解によれば、この補正予算をもつて復旧工事に支障なしと考えておられるごときでございますが、現実に支障を来しましたるときには、起債であるとか、またはつなぎ融資等の配付、その他応急の特別財政措置をなされる御意思がありますかどうか、この点を特におただしをしておきたいと思います。このことは、ほんとうに国民の名においてお尋ねをいたさにやならぬ。 これを要するに、第一点は、予算編成の基礎理念に間違いがありはせぬか。すなわち、高金利による不労利得の全面的横行を黙過しながら、必要生産資源の復旧を怠ることは、その点よりのインフレーシヨンを誘発しないか。(拍手)第二は、五百億円では不足ではないか。第三は、復旧工事に支障を来しだならば、これに対して重ねて施策をなす意思ありやいかん。この三点を大蔵大臣にお尋ねをいたします。次に、農林大臣にお尋ねをいたします。 先ほど十箇条の項目をあげておきましたが、第一番に農地及び農業施設復旧に関する問題。このたびの非常に僅少なる予算、これで責任をもつてこの復旧の衝に当り得られるかどうか、これをお尋ねいたします。同時に、この予算の範囲内でいかように処理される御意見であるか、この点を具体的に伺いたいのであります。 第二は、農林漁業者の経営資金と復旧資金の問題であります。第三は、土砂排除や耕地の塩抜きの問題。第四は、農薬、種子補給、裏作増産、北海道の温冷床補助復活の問題。これらも、第一の問題と同様に、このたびの予算でこれができるかどうか。また、この予算の範囲でどうしようと思つておられるか。この点をお尋ねいたします。 第五は肥料の問題でございます。このたびの冷害で、化学肥料のみにたよつておることがまことに危険であるように思われるのであります。有機肥料を併用いたしましたる地域においては、冷害も虫害も割合に僅少であつたようであります。この点に関するこの後の肥料政策に対する御所見を伺つておきます。さらに、肥料価格に対する問題、輸出肥料と内地消費肥料の価格差問題について、前段申し上げましたる問題とあわせて御所見を伺います。 第六には、治水、灌漑及び畜産の見地より見たる林制の問題であります。わが国の林制は、治水に関するもの、灌漑に関するものについては、いろいろ農林省でも従来諸説がございまするが、畜産に関する限り、まつたく顧みられておらないのであります。そこで、畜産に関する林制の問題は、実はわが国は古来より非常に尊重してあつた問題であります。人里を離れた峯山も、軒先に連なる里山も同様なる林制であるために、里山の若芽を牛馬の飼料に供したり堆肥に供したりすることがほとんどできなくなつてしまい、採草地としての里山の若木立ちの効用と牛馬の飼料及び肥料の問題を困難になしております。このことは農家の興廃に一大影響をもたらすものでございますので、これに関する御所見を伺つておきます。 第七に、救農土木問題の構想を伺います。これは主として灌漑地域に対する問題であります。これにはどういう構想を持つておられるか。 それから次に農業共済の問題。これは非常な難問題でございますが、このたびの農作物の被害が甚大である上に、組まれたる予算は百二十億と、わずかばかり残れる共済基金だけでございますが、これをどう処置されて、このたびの冷害、虫害地域に対する処置をいたされるかを伺つておきたいのであります。 第九は、米価その他農産物価安定に関する問題でございます。これも実は大問題でございます。米価は、農家の再生産保証可能な生産者米価の決定の問題、あるいは二重価格問題等折り重なつておりますので、ことに、かてて加えて今年の凶作でありますが、これに対して一体どういうふうに最後まで処置して行かれる御所存でございましようか、この点を伺つておきます。次に、米以外の主要農産物の価格安定に関する問題でございます。特にかんしよ切りぼしその他の澱粉の基準価格はいかように御決定になりますか。本月二十二日にこの件に関して御諮問を受けました際の食糧庁の考え方は、二割以上も昨年より値下げをいたすという考え方でありましたが、昨今判明いたしたところによれば、かんしよの出来高は三割以上の減収ということであります。この価格処置に対していかようになされる御所存でございますか、これも伺つておきます。 今年の凶作に伴う国民食糧問題、これを一体どうなさるおつもりであるか。日本の食糧の自給問題と海外食糧の輸入問題、国民経済と外貨支払いの問題、これは容易ならざる問題であり、ことに、この際承つておかねばならぬことは、農業施設及び農地復旧その他河川復旧に対する予算を縮減されて、しかもこの問題の根本を定めなければならないということが、実はこのたびの予算と関連いたして非常なる重要性を帯びるのでありますから、農林大臣の御所見をこの点について伺つておきます。 さらに、建設大臣に伺います。 水害地及び地すべりによる堆積土砂排除の問題、これは一日もゆるがせにすることのできない問題でございます。聞くところによると、このたびの補正予算には、これは組まれておらないように伺つておりますが、一体これで建設大臣は責任をお持ちになることができるかどうか。(拍手)もししかりとすれば、和歌山、熊本、長崎等の、あるいは土砂埋没の点、地すべりの点等の処理をどうしてなさるか、この点をとくと伺いたいのであります。 次に、河川堤防及び海岸堤防復旧問題でありますが、三重県、愛知県等、地盤沈下を伴う海岸堤防の壊滅の結果、ほとんど見るに忍びない状態が海岸一帯をおおつておるのであります。一体これを閑却することが、内閣として所管大臣としてできるかどうか。(拍手)この問題を特に私は伺わなければなりません。これに対する御処置いかん。これを予算関係とあわせて御説明願いたいと存ずるわけであります。(拍手) 最後に、外務大臣にお尋ねをいたします。 九月以降の李ライン問題で、実に中国の漁船、北九州の漁船等が四十二隻、人員にして四百八十四名が韓国に不法に抑留され、没収されておるのであります。しかも、船は没収され、漁民は禁錮に処せられ、強制労働を受けておると聞いております。ところが、この李ラインで指定されましたる地域は、かつて公海自由の原則に従い沿岸漁民の積年にわたる生命線として漁業を営みましたる地域でございます。一にこの地域において生活をいたすことを前提とする漁民は、その数無慮に及ぶのであり、実にこのための出漁船は毎年二千隻に及び、揚げる漁獲は実に百三十億円の多きに及ぶのであります。それが、しかも一片の李ラインの声明と無謀なる強行策によつて非常な被害をこうむつておるのでありますが、これに対しての御処置をいかがなされるか。ことに朝鮮との会談が打切られたる後の再開の見込みがございましようか。もしないとするならば、他にいかようなる適切なる御処置をお考えくださるか。ことにこれは農林大臣その他にもあわせて伺わねばならぬことは、家の柱ともいうぺぎ漁師がみなとらわれの身となつておりますために、留守家族はほとんど朝夕の生活にも窮乏いたしておる実情でございます。これに対してどういう御処置をなさるお考えでありますか。なお、現地におきましては、かくなつた上は強行出漁も辞せずという輿論が、海岸民の向う見ずの考え方とあわせて勃発いたしておるのであります。これに対して一体どういう御処置をなさるお考えであるか。 以上、それぞれ関係諸大臣の、それこそ党派を離れた、ほんとうにまじめな御答弁を要求いたしたいのであります。(拍手) 〔国務大臣小笠原三九郎君登壇〕
○国務大臣(小笠原三九郎君) 綱島議員の御質問にお答えいたします。 第一に、補正予算編成の基礎理論に間違いがないかということでございますが、間違いはございません。国庫の許す財源の範囲内において、でき得る限りの措置をとつたのでございまして、この点よくお調べくだざれば何ら間違つておりません。あるいは、るる二十三年における低金利の問題等についてお話の次第もございましたが、これはあらためて適当な機会にお答えすることにいたします。 第二に、五百十億の災害、冷害費等は少きにすぎはしないか。私どもも決してこれを十分と思つておりませんけれども、しかしながら、これは現在の日本の財政の許す、財源の許す最大限度でありまするので、まことにやむを得ぬことと存じておる次第でございます。 第三に、復旧事業に支障を生じたる場合の措置いかんということでございましたが、大体過去の例等に見ましても、また本年の災害の時期等の関係に見ましても、約二割ありますればほぼ足りることじやないかと思うのでございまするが、万一にも再び災害が起るようなことのためのものがございますれば、再災害防止の見地から、個々の実情について取調ぺ、その必要やむを得ざるものと認める分については、あるいは金融上の措置等で事業に支障なきを期したいと考えております。 〔国務大臣保利茂君登壇〕
○国務大臣(保利茂君) 順次お答えをいたします。 農地の復旧について今回の災害予算が非常にきゆうくつを感ずることは、もうお説の通りでございます。しかしながら、私どもといたしましては、少くとも農地の復旧につきましては、個個の農家のためにとりましても、またわが国食糧確保の上からいたしましても、応急手当を尽しましても来年度の植付に間に合うようにはどうしてもいたさなければならぬ、こういう考えをもつて重点的に応急措置を講じて参るつもりでございます。 営農資金につきましては、御承知のように、春以来の数次の災害に対しまして、凍霜害に二十億円、二号台風で四十五億円、六、七月の災害に対しまして百億円、八、九月の災害に対しまして百億円、今回の冷害等の措置に対しまして百五十億円、合計四百十五億円の営農資金の融資を計画いたし、着着準備を進めておることは御承知の通りであります。しかしながら、今回の相次ぎまする災害が農家に相当激甚な被害を与えておりますることは、私どももよく承知をいたし、どうかしてこれらの被害農家の方々の再生産す確保いたしまするための農業経営についての処置は、今後とも各般の施策にわたつて講じて参るつもりでおります。 なお、種子対策、あるいは特に北海道の冷温床対策等につきましては、これは復活をいたして参る考えでおります。なお種子対策といたしまして、特に今回の冷害地帯の対策としまして、今回の冷害が――御承知のように中晩稲が多く栽植をされた、これはすなわち過去二、三年の天候が非常に恵まれまして、相当わせをつくらなければならない地帯も、やはり農家の増産意欲が中晩稲に集中しましたがために、冷害の被害の一段と深刻になつて参ることは御承知の通りであります。従いまして、この早生種の種子確保につきましては万全の措置を講じ、明年の早生種を奨励いたしまするとともに、明米穀年度の需給関係におきましても、この早生種を大きく奨励することによつて需給の上に寄与して参るような処置を講じて参る所存であります。 肥料の関係につきましては、今日需給上の不安はございません。国会に御審議を煩わしております需給安定法のすみやかなる成立を願いまして、農家に対して十分の肥料を提供し、かつまた価格の安定をはかつて行く所存であります。 なお、畜産上の問題に関連する林野制度の問題については、これは御所見の通りであります。できるだけその趣意に沿つて実行いたして参るつもりであります。 なお、救農土木事業をいかなることでやろうとするのか。今回のいわゆる冷害対策としての救農土木事業の考えは、まず広汎かつ深刻にわたつておりまする冷害地に対して、特に凶作度の高い冷害農家、被害農家に対しましては、まず飯米の確保をいたすということが第一であり、営農資金と次の再生産を確保いたして参るということが第二であり、しこうしてまた、それぞれ特に単作地帯等におきましては、一年一回の中心の収入の道をとざされているわけでございますから、できるだけ、高率の被害を受けた地帯に対しては、いかような手段か、適地適応の手段を講じて現金収入の道をはかる、その上に救農土木事業を考えているわけでございまして、従いましていろいろあると思います。客土をいたしますとか、あるいは暗渠排水をいたしますとか、いろいろの処置があろうと思いますが、これは村なり町なり、着実にその村の最も適応する計画の上に立つて実施をして参るように努めて参りたいと存じます。今年の凶作によりまして、食糧問題がきわめて重要でありますことはお説の通りであります。従いまして、私どもといたしましては、この凶作下にはございますけれども、全国農家の御協力を得まして何といたしましても内地米の最高限の確保をいたすということが第一であり、むろんこれをもつてしては今日の配給量を維持するということは不可能でございますから、従いまして当初既定計画の外米輸入計画を大幅に拡張いたしまして、着々その輸入計画の実施を進めておる次第でございます。これによつて、明米穀年度はきわめて苦しい状態ではございますけれども、一般配給に支障を来すことのないように格段の努力をいすたす決心でございます。(拍手) なお米価の問題につきましては、基本米価、生産者の米価は、すでに決定をいたしている通りでございます。消費者米価の問題につきましては、すでに米価審議会にも諮問をいたしたのでございますけれども、私どもの考えといたしましては、農家から買い入れまする価格に所要の経費をかけて、そうして消費者に御負担を願うということが最も妥当な考え方であるということは、今日も依然として持つておるのでございますけれども、今年の食糧事情は特に通常見ることのできない異常の様相を呈しておることにかんがみまして、消費者米価をいかように決定いたすかということは、ただいま慎重に検討を加えておる次第でございます。 なお、朝鮮海域におきまして不法にも抑留せられている漁夫、その家族の保護処置につきましては、私どもといたしましては、すみやかに家族保護の適切なる措置を講ずる考えでございます。(拍手) 〔国務大臣戸塚九一郎君登壇〕
○国務大臣(戸塚九一郎君) お答え申し上げます。 今年の災害による地すべりと堆積土砂の問題は、ことしの災害の特性とも考えられるようなものでありまして、まことに深刻な被害があつたことはお話の通りであります。この二つにつきましては、いずれも前国会において成立した水害特別法の趣旨に基きまして、現在それぞれ調査、計画をいたしておるのでありまして、地すべりについても、緊急なものにつきましては、すでに工事に着手をいたしております。また堆積土砂につきましては、各県からの報告も相当多額に上つておるのでありまするが、これについては現在査定を実施中でありまして、近く確定の数字を得たいと考えております。このたびの補正予算のうちで、これにさしあたり八億円を計上いたしておりまするが、これではとうてい不足であることはよくわかつております。いずれ確定の数字を得た上で善処いたしたいと考えます。 なお海岸及び河川の堤防について、これは本年の災害についても特に重点的に考えて行かなければならぬものであることは申すまでもありません。ことに伊勢湾、三河湾の海岸堤防の決壊は実に大きな被害でありまして、その惨状は、ただいまお話のあつた通りてございます。これが災害の復旧について約百億円、さらに単なる原状回復でなくして、これに改良を施して将来の不安を除くために、改良費としてやはり約百億円の事業費を考えております。従つて、この事業はとうてい本年の予算で足りるわけのものでもありませんが、本年の予算で割当てておりまするのは約二十億程度でありまして、またこの海岸の締切り工事完成までには、ただいま申し上げましたように二百億を要するのでありますが、そのうち本年度において五、六十億円を費さなければならぬ、またそれによつて来年の出水期までにようやく一応の復旧がされることになるのではないかというふうに考えておりまするので、この足らず分につきましては、あるいは地方の借金のあつせんをするとか、あるいは特別な融資等の方法を考えるといたしまして、少くともこの事業が、金が足りないために仕事が中絶する、あるいは延びて手持ちをするというようなことのないようには心がけて参りたいと考えておるのであります。(拍手) 〔国務大臣岡崎勝男君登壇]
○国務大臣(岡崎勝男君) 朝鮮近海の漁業の問題につきしては、われわれも非常に心を痛めております。もちろん、政府といたしましては、平和的にこれを解決することに全力を尽すのでありまするが、いつまでも先方が不合理な行為をいたしますれば、これに対し強く反省を促す方法も講じなければならないかと思つて、ただいまいろいろ検討中でございます。(拍手)
○議長(堤康次郎君) 竹山祐太郎君。 〔竹山祐太郎君登壇〕
○竹山祐太郎君 私は、改進党を代表して、主として大蔵大臣の演説に関し、内閣総理大臣を初め関係大臣に質問をいたさんとするものであります。(拍手) 質問の第一は食糧問題であります。今日国内の最重要問題の一つは食糧問題であります。われわれが今回臨時国会を早期、短期に要求いたしましたおもなる理由の一つもここにあるのであります。六十年来ないという風水害、冷害、病虫害等、たび重なる天災に直面して、農民諸君には実にお気の毒なことはもちろんでありまするが、国民ひとしくこの食糧問題に深憂をいたしている次第であります。 〔議長退席、副議長着席〕 この結果は、一日も早くこれに対処する食糧対策を確立して、国民全体が安心をするよう理解を求むべきであります。このために要求した今回の国会において、昨日の大蔵大臣の演説は、所管違いとは言いながら、この問題には全然触れておりません。内閣総理大臣の発言もなかつたのであります。これは国民のひとしく失望いたしたところであります。(拍手)首相は、外交の問題が重要であつて、国民生活や罹災民、農民のことなどは考えのほかとは、まさかお考えになつておらないと思います。この際、食糧を初め、この大天災に対して、国民に対しいかなるお考えをもつて対処しようとするか、首相の率直なる御所見を伺いたいのであります。(拍手) 次に、一体政府は本年度食糧政策をいかにしようとするのか。数日前閣議に御相談になつたようでありますが、政府はインフレ防止の予算のわくに固勃されて、食糧の安定については非常に安易な考え方でおられるのではないか。われわれは、前国会以来、米価の問題について、手放し自由の自由党の主張に対して強くがんばつて来た結果が、今年のこの異常な情勢に対して米価の安定をはかり得た基礎をつくつたものと考えておりますが、政府の考え通りやつておつたならば、今年はたいへんなことであります。今日国民のおそれておるやみ米の高騰は政府の政策の不手ぎわからであつて、今年の状況よりすれば、昨年は暮れまでに約二千五百万石以上の政府買入れをいたしておりましたが、今年はおそらく二千万石には達しないと思います。従つて、こういう状況からして、ただやみ米だけが問題ではない。インフレの問題は、今綱島君からいろいろお話がありましたが、われわれから見ても、決して政府はただインフレだけを予算のわくだけに限定して議論しておるときではない。むしろ今年は、この暮れまでに米代金の散布は数百億円昨年よりは少くなつて、地方の中小企業はもちろんのこと、すでにインフレの様相は濃厚なものがあります。この間の一時的な繊維の暴騰も政府の処置の不手ぎわからであつて、今日はすでに暴落の状態にある。水害で木材が暴騰したときも、国有林の放出を早くやるならば防ぎ得たのでありましよう。食糧問題についても、先般来小麦粉が連続高騰をしております。政府の払下げの麦の価格はかわらないにかかからず、この製粉会社の思惑にまかせておるがごときは、政府の自由放任政策のゆえとは言いながら、今日の食糧情勢から見て、はなはだけしからぬ次第であります。われわれは、単なる通貨安定政策のお題目だけで、これらの問題を解決しないでおくならば、予算のわくだけに固執して、一部の諸君にだけ潤うような施策では、国民の立場を考えたとは言えません。この意味において、まず食糧問題を早急に解決いたさなければならない。今、農林大臣は、外米の輸入を非常に誇張して言つておられる。われわれも米の不足に対して外米の輸入の必要はもちろん考えておりますが、これは戦争直後とは非常に違う。外米の輸入を多量に見込んで、今政府が考えておるような状態を無理にやるとすれば、世界の自由市場における米の半分を日本が買わなければならない。これによつて外米価格の引上げは当然起つて来る。すでに従来でも財政負担が重く、またロスが多くて、内外に非常に非難の多い外米だけにたよろうとする政策は、非常な問題であります。また、外国では人間の食わない大麦をむちやくちやに買い入れようとしておる。これによつて、また価格は高騰するでありましよう。このために、外貨はもちろんのこと、国内における価格補給金の負担は厖大なものになることは当然であります“この金を国内の食糧増産費に振り向けるならば、今大蔵大臣がばかにがんばつて、わずかの金で力んでおられるけれども簡単に解決する問題であると思います。これらの問題について、大蔵大臣はいかにお考えになつておられるか。政府は、いたずらに外米の輸入の宣伝をやめて、小麦の大量輸入を急速になすべきであります。この小麦の無制限放出を都市及び農村を通じて行うならば、私は、今の外麦の価格からして、小麦粉の価格は少くも一割は引下げが断行できると信じますが、早くこれをやることによつて国内食糧の転換をしなければ、外米だけをもつて今年の食糧を維持することは困難であると私は考えるものであります。(拍手)同時に、われわれの早期臨時国会召集要求の眼目は、内地の麦の大増産をこの際断行せしめんがためでありました。今や時期は遅れて、大半の目的は逸しつつありますが、今からでもおそくはない。まかぬ種子ははえない。この冬で今年の食糧問題の勝負は決するのであります。政府は何らの手も打つていないが、この凶作に打ちひしがれておる農民諸君に元気をつけて、経済的裏打ちを行い、全力をあげて麦の増産をはからしめるように、国民全体の要請に応じて、ほんとうに農民の奮起を要請するのが、今日の政治の大眼目であります。(拍手)農民は、農地改革で農地の担保力を失い、凶作のために収入減となつて、麦の肥料を確保することはできないのであります。この際、肥料や金融、税金等、思い切つた方策を集中するときであります。 今回の不作がいかに国内経済の根底をゆるがし、国民全体に深刻な影響を及ぼしたかは、国民のひとしく身にしみて感じたことであります。いかに日本経済自立の根本がまず食糧自給度の向上にあるかということを確認させられたのでありまして、この際において、消費者の国民生活の安定のためにも、農民諸君の信頼を得る食糧増産のための重大なる施策をいたさなければならない重大な段階にあるにもかかわらず、この悲惨な農民の窮状に一掬の涙も流さず、予算がないからしかたがないとする首相を初め政府の態度で、はたして日本再建を果し得るかどうか。(拍手)国の基礎を安泰ならしめるものは、一部の財閥の諸君の力ではありません。(拍手)全国の農民の黙々として天と闘い地に生きる力であることを――政府はもちろん自由党の諸君は認識を改めていいだきたいのであります。(拍手)われわれの言う食糧対策は、単なる農民だけの問題ではありません。国民の基礎的問題であるということをしつかりと考えて、これに対する大蔵大臣及び農林大臣の確固たる所信を承りたいのであります。(拍手) 第二は、風水害対策であります。今年のたび重なる風水害の惨状は、いまざら贅言を要しません。国民ひとしく憂慮をいたしておるところであつて、今日こそ相互扶助、共存共栄の民族の熱情をもつてこの天災を克服しなければならないときであります。それには、政府が、国民一致の協力を得て、一日もすみやかに狭い国土の喪失を回復するために絶大なる努力をいたさなければならない。いつの時代にも、政治がまず水を治めるということは、時代にかわりはありません。たび重なる災害に、政府も国民もだんだん感じが薄らぎがちであります。その結果取残された罹災民だけが一番お気の毒にたえません。ことに僻遠の地ほどひどい。災害対策に政党がばかに熱心なのは党略のためであつて、議会政治の悪弊のごとくに言う人もあります。もちろん、議会は常に反省をすべきところはどんどん反省をいたさなければなりません。しかし、今回の災害は農山漁村に多い結果、声なき国民の窮状を無視して、金がないからしかたがないということで片づけられる政治は、独裁政治の変形であつて、これこそ民主政治の危機を招くものであります。(拍手) ことに、今回のごとき、政府、与党は、緒方、大野大臣を初め陣頭指揮をして、金は幾らかかつてもいいからどんどんやれと激励されて全国を遊説された諸君は、いつまでたつても予算を出そうともせず、また今回われわれの矢の催促によつてようやく腰を上げて議会を開いても、相かわらず金はないという大蔵大臣に、何と大野さんや緒方さんはがんばつたか。私は新聞を通じて少しもそれが感じられません。これでは大いに激励をされた国民はたまつたものではありません。国家財政の苦しいことは、財界にさしずをされなくとも、われわれは十分承知をしております。(拍手)しかし、天災は頼んでやつてもらつたのではない。ことに、国民に公約をされた政府、与党の諸君が、その政治信義をどうするか。われわれは、ばか正直に、この信義を守るために、この災害に全力をあげておれば、世間はインフレ政党だと言う。私は、むしろ、今までビルの建設や、ぜいたくさんまいをして来た政治の跡始末がつかないために、通貨の価値安定のお題目のもとに、この災害に金がないという、そういう政治的な良心では、決してこの困難な日本を押し通すわけには行かないと思うのであります。(拍手) 一体、われわれの要求は、決して初めから無理を言うておるのではない。与党の諸君ともよく話し合つた結果、各党薮の方針をわれわれは主張いたしておるにすぎません。災害復旧の金額のごときも、初めから見ると、大蔵省は大分削減をした。しかしながら、われわれは、大蔵省の査定を無理とは思うけれども、一応それを是認して、その金額のもとに立つてまず実行をすべきだということをむしろ主張しておる。従つて、その額を三、五、二の比率にしろということは、政府、与党も認めておるところであります。この三、五、二の比率に対して今年度三百億に打切つた根拠は、われわれにはわかりません。従つて、これらのこまかい点はもちろん予算委員会等において十分論及をいたすべきでありますが、今自由党を代表しての綱島君も言われた通り、ことしの三百億で決して三の比率になつておらないことも明白であり、堤防が半分しかできない場合も起り得る。そのときは、食糧増産のためにも、来年度予算を繰上げ施行をしてでも、何としてでも解決をしなければならぬ。国民の熱望に応ずることが政府当然の処置である。(拍手)われわれはかりに百歩譲つて、今日の政府の三百億のわくをそのままとするといたしましても、その残りの百数十億の額は、当然来年度予算につながるという意味において、政府が全額利子補給をして金融措置をするならば、地元からいえば予算と同じ価値を持つのでありますから、この金融措置ができないはずはない。銀行の金を借りようと、預金部の残金を使おうと、親切があるならば、このくらいの金がないということはりくつが通らない。これを今日なお大蔵大臣ががんばつておるという。私は、その心境は何としても政治的には理解ができません。単なる官僚の言うことを取次いでおる大蔵大臣ならば、やめてもらつた方がよいと私は思う。(拍手、発言する者多し)われわれは、政府は決してそんなわからぬことを考えてはおらぬと信ずるから、今日まで根気よくこの問題に努力をいたしてる。 われわれは、この災害凶作に関する限り、綱島君も言われた通り、でき得る限り政党の立場を超越して、でき得るならば国会一致の立場において、すみやかにこの対策の樹立をいたしたいという念願から、根気強く主張をいたしておるのであります。われわれは、まだ決して賢明なる自由党の諸君が話に応じ得ないとは考えておりません。(発言する者あり)災害の復旧は決して農民だけの問題とはわれわれは考えておりませんし、またそれを裏返せば、今日の食糧増産確保のためには、一日もゆるがせにできない重大な問題であると考えておりますが、この点に関して、こまかい点をこの壇上からかれこれ申す考えはありません。予算委員会に譲りますが、しかし、これに関する大蔵大臣の率直なる所見と、緒方本部長、大野国務大臣のこれに関する御所見を伺えれば伺いたいものと思います。 第三は、冷害対策の問題であります。風水害に加えて、今年の冷害はまつたく農民のために驚くべき異常現象で、ほんとうにお気の毒な限りであります。しかも、病虫害は前例もなく激甚をきわめて、農薬に使つた額はまつたく前古未曽有であります。しかも、その結果、まつたく収穫皆無という、農民には泣くに泣けない窮状であります。しかし、この間、農民諸君の最後までの努力にはまつたく感謝のほかはないのであります。これもまつたく打算を越えた農民の天命から来た努力であつて、これに対しては、政府も勘定ばかり言わないで、この何十年にしかない天災に、農民に対する十分なる対策をなすことは当然であると考えます。ことに、農地改革後の農民が土地担保の金融力を失いましだ今日、今後の新たなる営農資金の十分なる確保は困難であります。農林大臣は営農資金を何百億出したと言つておるが、はたしてそれがどれだけ消化されておるか、私は、今の金融機構からして、はなはだ疑問なきを得ません。どうしてもわれわれの主張する自作農維持のための特別金融の施設をこの際しつかりやらなければ、せつかくやつた農地改革の裏打ちはくずれるのであります。 なお、幾多の冷害に対する諸問題は予算委員会に譲りますが、われわれはこの臨時国会を早期、短期に開くべしという主張をした立場からいたしまして、今日の質問は、以上食糧、冷害及び災害対策に限定をいたしますが、今日緊急をきわめておる諸多の問題は、今後各委員会を初めその他の機会に譲ることにいたしまして、この臨時国会を早期に終了せしめ、続いて第二次臨時国会を開いて、中小企業、勤労者の問題、MSAの問題、その他の問題について、政府の政策について十分なる審議をいたしたいと考えておるのが、わが党の態度であります。 以上をもつて今日の私の質問を終る次第であります。(拍手) 〔国務大臣小笠原三九郎君登壇〕
○国務大臣(小笠原三九郎君) 竹山議員の御質疑にお答え申し上げます。 私は、食糧問題については、竹山議員とともに、きわめて大切であることを痛感いたしておるものであります。従いまして、これに対する財政上あとう限りの措置は講じたい所存であります。特にただいま外麦の買付問題等についてお話がございましたが、これは私がたまたまアメリカにおりましたときも努力いたし、今後もこれに努める所存であります。なお、治山治水等について根本的なお話がございましたが、これは、御承知のごとく、内閣に今その対策協議会ができまして、すでに各省から素案が持ち寄られておりまするので、目下総合的にこれを検討いたしておりまするから、その点で根本的に近く相当な措置をとり得ることと確信いたしております。 なお、今度の災害対策費等は非常に少額ではないか。私どもも、財政上ごれ以上の措置をとり得ないことをまことに遺憾とするものでありまするが、政府としては、現在持つておる財源の許す最大限度においてこれを予算に計上したのでございまするから、従つて私は、国民に対する公約を果したものであり、また政府の意の存するところは国民各位によく了解していただけることと考えておるのであります。 さらにまた、それがためにインフレ云々というようなお話でございましたが、私どもはインフレーシヨンをもつて、お話のごとくお題目などとは夢にも考えておりません。現在の日本を何としてもインフレに持つて行つてはならぬという趣意から、まず第一には、何と申しても財政面から資金散布超過となつて、その財政面から起り来るインフレを阻止しなければならぬと思います。第二に、金融面から起り来るべきいろいろなことをまた考えまして、その金融面から起り来るところのインフレを断ち切らなければならぬと思います。第三に、企業の合理化、近代化等を促進して、いわゆる生産のコスト低下をはかり、そうして輸出貿易の拡張をはかつて、それに基いて、一方に食糧を初め国内自給度の向上を高め、もつて輸出入の貿易振興をはかるべきであると考えておるのでありまして、さような面から、私どもは、諸般の政策をば健全財政、健全経済、健全通貨をもつて貫くべきであるという信念をもつてこれに臨んでおるのでありまして、多分皆様方も私のこの心持には全部御賛成、御協力をくださることを確信いたしておるものでございます。 さらに冷害等についてのお話がございましたが、冷害対策費につきましては、これも決して十分と申しておりませんが、しかし事情まことにやむを得ないところがございますので、その点から被害農家に一日でも早くこの損失を受けた救済をはかりたいという所存から、第一に農業の共済保険金の概算払いをできるだけ早くする意味で、今回一般会計から百三十億を特別会計に繰入れることといたし、まだざらに今までの基金のほか積立金等をとりくずす等の立法措置を講じまして、百六十億円をこれに充てておる次第であります。また営農資金を百五十億円融通す一ることにいたしました。それに対する分について、被害農家が六分五厘または三分五厘の低利息をもつて金融機関から円滑なる資金の融通を受けられるよう措置いたし、また融資額の四割までの損失補償の措置をとることにいたしまして金融機関の貸付を円滑ならしめることといたしております。さらに、今の営農資金百五十億円につきましては、大体北海道においては一戸当り二十万円、内地十五万円を予定しておるのでありまして、利子補給金として二億四千八百万円をこの予算に計上しておるのであります。そのほか被害農家の飯用米麦の不足に対処するため、政府手持ち米麦の払下げを行うとか、価格の引下げ及び代金延納措置を講ずる等、こういうような処置で、さらに一億六千万円を予算に計上し、さらに被害地農家の現金収入の減少によつてこうむつた打撃を緩和するために、救農土木事業費等として農林漁業金融公庫への出資金十億円を合せまして五十億円を計上しておる次第であります。私どもは、これは十分とは申せませんけれども、それによつて被害農家に賃金収入を得る機会を与えることによつて再生産の確保ができ得るものと信じておる次第でございます。 〔国務大臣保利茂君登壇〕
○国務大臣(保利茂君) 本年の相次ぎまする災害によりましで、食糧問題はきわめて重大な様相を呈しておりますことは御承知の通りであります。従いまして、私どもといたしましては、明年度の食糧需給をいかに調整しつつ消費大衆に不安なからしめるかということにつきましては、十分研究をいたし、事前から用意をいたして参つておるわけであります。まず何を申しましても、凶作ながらも農家の御協力をいただいて、できるだけ多くの供出を確保して参ることが最大の課題であると思います。従いまして、農家の供出に御協力を願うにつきましては、特に東北地方等単作地帯に対しましては、精麦等を特別の価格で払い下げまして、そうして飯用米を節約して供出を願うというような処置も講じて参つておるわけであります。さらに、かような内地の供出を確保いたして参りますとともに、それでもどうしても不足を来す分につきましては、お話のように今日経済自立達成への重大な段階にありまするわが国として、外地食糧に安易に依存して行くという行き方は絶対に許されない。食糧増産の必要なるゆえんはそこにあるわけであります。けれども、現実の今日当面いたしておりまする国民食糧を確保いたして参りまするためには、食糧増産に手を打つて行くことはもとより重要でありますけれども、今日の消費には間に合わないわけでありますから、従いまして、必要最小限度の外米の輸入はどうしてもはかつて行く決心でございます。これにつきましては、すでに着々と計画を立て、そのとりつけを進めておるわけでございます。この場合、私は少くとも外米の百六十万トンは確保いたしたいと思いますが、その百六十万トンの計画の中には、今日供給余力ありと伝えられておりまする韓国の分は、私どもとしては期待もいたしておりませんし、計画の中にも入れていないということを御承知願いたいと思います。従いまして、一方におきましては米の供給力が減つておるのでありますから、全体の生産者におかれても、消費者におかれても、今年は異常凶作であるという深い御認識をいただくということは、これは当然であります。従つて、今日あるいは米のきゆうくつを感ぜられる向きにおきましても、麦に対する消費、これに御協力をいただいて行くという政策は強くとらなければならぬ。そういう意味におきまして、麦に対しましては竹山さんと同様に私どもは考えております。従つて、この価格の安定につきましては、原料小麦を無制限に放出いたすことによりまして現在の小麦価格の安定をして参りたいと考えております。 麦の増産につきましては、この春の長雨によりまするあの災害対策の中にもすでにとつておりまするように、麦作不良の結果にかんがみまして、種子確保の処置は御承知のようにとつて参つております。さらに、今回の補正予算におきましても、麦の増産に対する所要の経費を計上いたして来ておることは御承知の通りであります。今日、私どもは、米の凶作に遭遇いたしながらも、終戦後のような緊迫した事情に立至つていない感じがございますのは、一に麦の供給力が国内的にも国際的にも非常に豊富になつておるというところにあると思います。従いまして、麦に対します増産並びに麦に重点を置きました食糧政策につきましては、竹山氏の御所論の通り私どもも考えて、ここに重点を置いて今後の施策を講じて参るつもりであります。(拍手) 〔国務大臣吉田茂君登壇〕
○国務大臣(吉田茂君) 食糧問題の重大性については、ただいま農林大臣から御説明を申した通りであります。政府としては、あくまでも食糧の確保及びその価格の暴騰に対しては極力これに立向う考えであります。 また災害対策については、本年の災害に対する応急措置及び恒久措置と二つに考えまして予算措置を講じ、また恒久政策については十分慎重なる審議を加えるつもりであります。(拍手)
○副議長(原彪君) 勝間田清一君。 〔勝間田清一君登壇〕
○勝間田清一君 私は、日本社会党を代表して、昨日行われた小笠原、岡崎両大臣の財政並びに外交に関する演説に関連いたしまして、わが国内外の重大問題につき、総理大臣垣下関係各大臣に対して質問せんとするものであります。 第一に私が吉田総理にお尋ねいたしたいことは、日本の自衛方式につき、総理が第十六国会までになして来た答弁、これを一変して、重大なる転換をなさんといたしておることに対して、それが経緯、真相並びに総理の現にとりつつある態度についてであります。過般政府は、岡崎、木村両大臣にひそかにアメリカのアリソン大使等といわゆる四者会談を開かしめ、次いで吉田・重光会談を行つて、それぞれ日本の保安隊の大幅な増強と、これが性格の変更につき協議いたしたことは、もはや周知の事実であります。(拍手)しかも、いかなる資格においてであるか、きわめて不明確なる形において池田勇人君をアメリカに派遣し、アメリカ首脳部と現に日本の再軍備計画につき重大なる交渉をなさしめておるのであります。一体、総理が池田氏を通じて現に交渉せしめておる日本の自衛方式、参すなわち再軍備構想は、はたしていかなるものであるか、ここにまず全国民に対してその内容を公開すべきであると確信いたすものであります、(拍手)そもそも総理は、過ぐる第十六国会において、日本の国防は日米安全保障条約で、治安の維持は保安隊をしてこれに当らしある、この方針を一貫してかわらぬと答弁をされたが、国会の終了間もなく、早くも日本の施大なる再軍備を交渉するに至つては、吉田総理によつて国会の権威はまさに蹂躪されんといたしておると言うても過言ではないのであります。(拍手)秘密外交の弊はまさに今日その極に達しておると言わなければなりません。(拍手) 去る九月三日、ダレス国務長官は、その記者団会見において、日本政府が国内の安全を保障するために従来以上に断固たる処置をとると語つておるが、その断固たる処置とははたして何か。またダレスは、日本の再軍備が遅遅として進まぬことに対して、日本政府に対して不満の意を表明し、しかも八千五百万の人口を持つている日本は、みずからの安全を守るため現在よりももつと負担を負うべきであると称し、また、日本は厳重なる節約政策をとつていないとわれわれを非難いたして、耐乏再軍備を強要いたしておるのであります。また、ノーランド上院院内総務は、日本のように八千五百万の人口を有する重要な国家が、人口三千万の韓国、八百万の台湾よりも小規模な防衛隊によつてソ連帝国主義から守られると期待することは意味をなさないと述べて、人口に比例した日本の再軍備を要請し、しかも援助を、話合いではなくして結果に基いてやれと、日本の再軍備が援助の前提、先行条件であるかのごとくにこれを押しつけつつある今日の状態に対しては、われわれ日本国民は不愉快きわまりなきものと言わざるを得ないのであります。(拍手)今こそ、日本の再軍備は、戸締りのためにでもなく、自衛のためにでもなくて、アメリカのローリング・バツク政策の、それから強要せられたる傭兵再軍備以外の何ものでもないということがここに露呈せられたことを、われわれは遺憾しごくに存ずるのであります。もしこれに屈服するといたしまするならば、国力に相応して自衛力を漸増すると称し、国民を偽つて参つた吉田内閣の責任はきわめて重大であると存じます。よつて、吉田総理は、こうしたアメリカの首脳部の相次ぐ強要に対して、いかなる態度をもつて臨みつつあるのであるか。池田氏の携えて行つたと称する自衛能力に対する案の内容をここに公開して、すみやかに国民にその批判を求むべきであると確信いたすものであります。(拍手) しかも、保安庁長官は、去る十六国会の予算委員会におきまして、保安隊を現在の十一万以上に増加する考えはないと言明されながらわずか三箇月にしてすでに三十二万の計画をなし、これがために保安庁法の改正を考えていると伝えられておるが、はたして真実いかん。しかして、もし保安庁法の改正をはし、直接侵略の防衛に保安隊を当らしめることにでもなるならば、必ず自衛の名において出兵することになることは、第一次大戦、第二次大戦が自衛の名にかりて出兵したる経験に見て明らかであります。(拍手)また、アメリカが今日ねらつておる太平洋軍事同盟の構想は、西欧におけるNATO協定に照して、双務協定の名における出兵の義務に発展するであろうことは明白であると私は確信いたします。(拍手)吉田総理の今日のかかる状態に処しての所見を再びお伺いする次第であります。 第二に吉田総理及び外務大臣に質問いたしたいことは、池田特使をして当らしめておるアメリカとの経済交渉ははたしていかなるものであるか、その内容と成果について、ここにその報告を求めんとするものであります。岡崎外務大臣がMSA援助を経済的援助と誤認し、遂に日本をしてどろ沼のごとき再軍備の中に巻き込ませた責任は、これまたきわめて重大と言わなければなりません。(拍手)しかして、MSA援助が軍事援助であるのみならず、アメリカの強硬なる再軍備要請に当面いたして、遂に池田特使の派遣となり、MSAとは別個に域外買付、外資導入、さらに今朝の外電によるならば、対日援助の返済に関する交渉となつて現われておるようでございます。しかも、新聞紙上には池田特使のこれらの交渉の失敗が報道されて、政局はために動揺しつつあるというのが、今日のおおうべからざる事実であると存じます。(拍手)まさに吉田、岡崎外交は致命的な行き詰まりに当面しておると断言してはばからないのであります。(拍手)吉田総理は池田・ロバートソン会談における今日の交渉の状況をここに報告すべき義務があると私は確信いたします。 さらにここに、特に外資導入について吉田総理の態度をお尋ねいたしたいと存じます。吉田総理は、今日まで機会あるごとに外資導入を強調されて参りました。しかし、その結果が今日いかなるものであるかは、すでに過般におけち火力借款のあの事例をもつて明白であると存じます。屈辱的な条件が新聞紙上に発表されたとき、期せずして、労働界はもちろん、財界、言論界あるいは農民の間に怨嗟の声がほうはいとして巻き起つた事実をわれわれは忘れることができません。(拍手)電力を安くする目的のためになされたはずであるが、電力料金値上げを条件としなければならぬという皮肉なる事態に立ち至つたことも、われわれは遺憾しごくと考えざるを得ないのであります。(拍手)すでに火力借款の調印がなされたと聞いておりますが、すべからくこれらの条件をここに明白にお示し願いたいと存じます。しかも、こうした火力借款の対象になる設備は、アメリカの設備を買わされるのであつて、かえつてこれがために国内の産業を圧迫することであることは今日明白でありましよう。国内には幸いに六億ドルないし七億ドルの外貨を持ちながら、これが合理的運営は等閑に付されて、さらに国内には生産し得る工場設備を持ちながら、これが利用をはからずに、いたずらに不明確な外資導入を事といたして、苛酷な条件でアメリカ製品を押しつけられつつある今日の外資導入の仕方に対して、われわれは断固排除すべきであろうと存じますが、吉田総理はいかにお考えであろうか。すでに火力借款に次いで、水力発電についても同様の計画があると存ぜられますが、その真相をここに明白にお示し願いたいと存じます。 そもそもアメリカの援助を期待する外交はすべて失敗に帰しておるのであります。懇請すれば懇請するほど、日本をして軍事的かつ経済的にアメリカに従属せしめて行くという吉田内閣の外交を、われわれは断じて許すことはできません。西ドイツのごとくに、生産、貿易ともに戦前の水準を三割以上も突破いたしておることから見まして、日本は日本の足によつて立つて行くという真の自立外交を吉田内閣に要求してはばからないのでございまして、援助よりも貿易、このスローガンは今日ほど重大なるものはないと私は確信いたすのであります。(拍手)時あたかも中共貿易促進議員団諸君は三千万ポンドの貿易協定を調印したと今朝の新聞は報道いたしております。しかしながら、他面MSA協定においては、中共貿易制限の条件がアメリカ側から強く主張されておると聞いておるのでありまして、一体吉田内閣は中共貿易をいかに考えておるか、外務大臣と通産大臣のはつきりした統一せる態度をここに御表明願いたいと存じます。 また、池田特使がアメリカで朝鮮特需の懇請をやつておる最中に、東京では日韓会談が決裂いたしたことは、まことに岡崎外交の無定見を現わしたと言うべきでありましよう。久保田それがしをその任に当らしめた、きわめて拙劣な事務官外交もさることながら、朝鮮の特需なくしては日本の経済自立が不可能であるという従属経済外交に日本を持つて行つて、他面において李承晩ラインとの強硬外交を望むことは、矛盾もはなはだしき外交と言わなければなりません。(拍手)今日さらにアラフラ海における真珠貝採取、北洋漁業及び李ライン問題等、一連の漁業問題の紛争は、いたずらにアメリカの援助にうき身をやつしつつある岡崎外交の失敗であつて、岡崎外交はこれら諸問題について今後いかなる政策をとらんとするか、ここに明白に御表明を願いたいと存じます。 第三に小笠原大蔵大臣に対してお尋ねいたしたいことは、日本の財政危機、通貨価値破綻寸前の経済に処して、いかなる政策を行わんとするかという問題でございます。蔵相は、ここに、追加五百十億円を含め、二十八年度予算を一応九千九百九十九億円と、あたかも一兆億円を一億でも縮めればそれでインフレにならないかのごとき予算を出されました。(拍手)まさに児戯にもひとしい官僚編成の予算としてまことにほほえましき姿でございます。もし蔵相が真にインフレを懸念し、通貨価値維持を強調されるといたしまするならば、何ゆえに今日の財政を脅かしておる根本問題にまつ正面から取組んで行かないのであるか。このこともきわめて遺憾にたえません。今日の財政は、一面においては二千億に達する再軍備費と、他面においては冷災害の復旧費、国民生活の安定費及び資本蓄積との対決であることは明白であると存じます。国民所得五兆六千億円、国民生活水準戦前の八、九割、対外正常貿易わずかに十二、三億ドルの経済の規模において、一兆数百億円の予算を編成し、再軍備もやり、冷災害対策もやり、生活確保もやり、そして資本蓄積をはかつて行くという、しかもそこにインフレを阻止せんとするごとき政策を要求することは、まさに経済を無視したる議論と言わなければなりません。(拍手)しかも、かかる政策を自由放任の経済でやつて行くところに、さらに重大なる矛盾ありと言わなければなりません。(拍手) 財政経済の危機の真の原因は、対外的には輸出貿易の危機、対内的には総計二千億円に達する軍事費の圧追であることは確かであります。さらにこれを突き詰めて参れば、再軍備費による日本経済の再生産構造の破綻を意味するものでありましよう。軍事費を削除すること、このことに今日の財政の主力を注いで初めて小笠原大蔵大臣は財政的良心を傾けたと称すべきでありましよう。かつて英国の労働党内閣が、アメリカから要請されたる再軍備計画に対して、わずか入れ歯とめがねの社会保障にこれが影響を与えたために、当時のペヴアンその他の閣僚が総辞職してこれに抵抗いたしたることは、あまりにも有名なる事実であります。しかるに、今日安全保障費及び保安隊等の予算は、はたして幾ら残されておるのであるか。これを削除してこそ未曽有の財政危機に処しての蔵相の良心と言うべきでありましよう、しかるに、蔵相は、このことには一切耳をおおうて、インフレと通貨価値の危機とを唱えて、あたかも冷災害の予算がインフレの原因であるかのごとくに指摘しておる点は、まことに言語道断と言うべきでありましよう。(拍手)既定経費の節約を、平和回復処理費、特定道路の整備事業費等の削減に求めたことは当然といたしましても、公共事業費、食糧増産対策費並びに住宅金融公庫出資にその削減の五十九億円を求めたことは、まさに木を見て森を見ざるの財政と言わざるを得ません。(拍手) 日本がここに全国土をおおう未曽有の冷災害にあい、田畑は流され、橋梁、堤防は失われ、実に千二百万石の不作にあいながら、ただ単に均衡財政と通貨安定の必要を強調し、あるいは金融引締めを手段とするのみであつて、今日の再軍備費に何ら一言も触れ得ざる政府の姿を遺憾に存じます。(拍手)われわれは、先ほど来の、三百億円の災害、七十億円の冷害対策の費用を、十億、二十億充てることに今日熱心になつておるが、数百億、数千億の日本の再軍備費に手を触れざる議論、今日のこの国会の姿はきわめて遺憾にたえないと存じます。(拍手)今日ここに明白なることは、この再軍備費を削除するか、しかしてこれを財源として、第一に、冷災害と、すでに累積しておる過年度災害とを総括して、これが克服のための根本的施策を施し、農業をして正常なる生産条件に返らしめることであります。第二には、輸出産業をしてコストをおよそ二割引下げ、産業の近代化に努力すべきごとであります。第三には、勤労階級の最低賃金を保障して労働の再生産条件を確保することでございます。しかるに、政府は、災害に対してわずか三百億円、冷害に対してはわずか七十億円を計上したにすぎないのであります。給与改善費や、すでに深刻となりつつある失業対策費に対しては何ら顧みられておりません。さらにインフレ懸念は輸出貿易をいよいよ脅かしつつあるのでありまして、一体農林大臣、労働大臣、通産大臣は何をしておるのであるか。 ましてや、今日、労働大臣に対して私は一言申したいと存じます。仲裁裁定はすでに八団体に対して裁定をされました。しかも、このうちにおける六団体は今日すでに資金上可能であることは明白であります。何ゆえに今国会に対してこれらの予算上、資金上の措置をとつて参らぬのであるか。労働大臣は、スト規制等の労働者の権利を奪うことにはきわめて熱心であるが、労働者の利益を守ることにはきわめて怠慢であると指摘せざるを得ません。(拍手)われわれは、人事院勧告の完全実施、期末手当の二箇月支給、地域給の不均衡是正等をあわせて、ここに仲裁裁定の完全実施を強く要望するものでありまして、大蔵大臣はこれに対する予算方針をいかに考えつつあるか、それを明白にせられんことをお願いいたしまして、私の代表質問を終りたいと思います。(拍手) 〔国務大臣吉田茂君登壇〕
○国務大臣(吉田茂君) 勝間田君にお答えいたします。 池田特使を米国に派遣いたしましたのは、日本の事情及び米国の事情を相互に研究せしめたい考えをもつて派遣いたしたのであります。再軍備のためではないのであります。またダレス氏が再軍備を強要したことくに言われますが、そういう事実はかつてありません。にもかかわらず、事実のないことを、無根の事実を大声疾呼される勝間田君の気持が、私は了解ができないのであります。(拍手、発言する者あり)また火力借款については……(発言する者あり)だまつて聞きたまえ。火力借款についてお話でありましたが、火力借款については、借りるには担保を供給するのは当然であります。これはもし元利償還を怠つた場合の問題でありまして、日本あるいは関係会社は元利を払わないつもりはないのであります。払う決心をもつていたしておるのでありますから、その条件がいかになつても、実は私は問題にならぬと思いますが、のみならず、この担保の条件は、世界銀行として、いずれの国に対しても要求しておる問題で、日本にだけ要求いたしておるのではないのであります。 また、水力借款の問題については存じませんから、お答えいたしません。(拍手) 〔国務大臣岡崎勝男君登壇〕
○国務大臣(岡崎勝男君) 防衛問題につきましていろいろお話がありましたが、直接間接の侵略に対応するために自衛力を漸増するというのは、安保条約以来の政府の方針であります。ただ、それには、国内の政治、経済、社会状況等を十分検討して具体案をつくるわけであります。これにつきまして米国から強要されたとか、これが再軍備だとかいうのは、今総理からのお話のように想像であります。また、これをもつて米国の傭兵であるとおつしやるようなことは、これはまじめに職務に尽瘁しております保安隊員の実情を御存じないものであります。また、西ドイツの例を引かれまして、日本は西ドイツのごとくしろとおつしやいますが、西ドイツは日本よりもよけいに米国から援助を受けております。 中共貿易についてのお話でありますが、MSAの協定の中には、一般に世界の平和を脅威する国に対する輸出の統制方を考慮するという条項がある場合が多いのでありますが、これは別に中共と断つているわけではないのであります。また今回の中共との貿易協定なるものは、政府がやつたものでございませんから、これは別段条約でも何でもないのであります。 漁業問題に関しましては、韓国に対しても、濠州に対しても、またその他の国に対しましても、公海の自由ということを政府の一貫せる方針といたしております。 〔国務大臣岡野清豪君登壇〕
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申し上げます。ただいま外務大臣から答えました点でけつこうだと思いますけれども、通産大臣の立場といたしましてお答え申し上げます。 御承知の通り、この国会で中日貿易に対しましてはこれを促進するという御決議がございましたので、政府といたしましては、鋭意努力いたしまして、九月以降三回にもわたつて、今まで禁輸しておりました品目の解除を行いました。その中には、最も向うでほしがつておりますところの硫安とか、苛性ソーダとか、薬品だとか、自動車のある種類とかいうような重要品目を、相当な範囲について輸出禁止をしておりましたのを解除いたしたわけであります。これにつきまして、いろいろ商談が出て来ておりますから、おそらく今後そういう方面の業界の輸出がたくさん出て来ることと、こう私は考えます。 それから、きよう新聞で見たのでございますが、中日貿易協定というものがございますが、これは実は中共と日本とはまだ国交が回復しておりませんから、政府といたしまして直接契約上の義務は負えないものでございますが、しかし、これを契機といたしまして日中貿易が促進されることは、これはまことにけつこうなことでございます。われわれといたしましては、禁輸品目の解除をした、またこういうような協定ができたということを機会に、ますます中共貿易が盛んになつて来ることを希望いたします。ただ、しかし、これには、わが国は御承知の通り現在国連協力の立場におりますので、この国連協力という国際的な義務に対しては、厳然と一つの範囲があるわけであります。これは十分尊重しなければならぬと思います。しかし、先ほど申しましたように、西欧各国もやはり中共と貿易をしております。それと同じ立場におきまして、むしろ非常に近い立場におる日本が、中共貿易に相当な力が入り、同時に相当な輸出入ができることは、これは当然であつて、また喜ばしいことと存じます。(拍手) 〔国務大臣小笠原三九郎君登壇〕
○国務大臣(小笠原三九郎君) 勝間田議員にお答えいたします。 今度の補正予算を合せて九千九百九十九億円となつたことについて、あまり児戯に類するというお話でございましたが、予算内容について御承知のごとく、これは災害対策費五百億円、奄美大島の十億円を加えた結果として五百十億円、たまたま数字の暗合をいたした次第であつて、私どもが予算編成に対する方針については、全然この数字というものは関係のないものであるということを御了承願いたいと思うのであります。 さらに、通貨価値の維持安定の問題についていろいろお話がございましたが、このことは、さつき竹山議員にお答え申し上げました通り、私どもは財政金融その他各般の処置を講ずることによつて通貨価値の維持安定をはかりたいと考えておる次第であり、従つて災害対策費、冷害対策費等の費用につきましても、これは私ども十分と申されぬことはもちろんでありますが、しかし、現在の財源の関係上、やむを得ずさように処置いたしたということを御了承願いたいと存ずるのであります。 なお、財源問題について、平和回復処理あるいは特定道路等はよろしいが、公共事業費、食糧増産対策費等についての御非難の点がございましたが、これは勝間田議員も御承知のごとく、本年の予算は七月三十一日に通つておりまするので、多少時期的にずれを生じて、実はあるいは五分ちよつと強につくかと思いますが、それを減じますることは何ら事業上の支障とならないので、さようにとりはからつておる次第であります。 さらにまた、住宅金融公庫出資の減少は、住宅金融公庫は、その後の契約に対してこれはお払いをしておるのでありまして、その契約件数、そういつた金額等の余裕から、本年度内には大体四、五十億の余裕が見込まれるのであります。これは前年度も同様でございましたが、しかし、もしこれらが計画通りに――これは進行いたしておりますけれども、つまり金の支払いがそういうふうに遅延するのでありまして、必要がございますれば適当な処置をとり得るのでございますから、この御非難も当らぬように考えるのであります。 さらに、貿易関係の諸費を何で減額できないか云々、その根本をつくべきであるというお話でございましたが、これは根本に考えが違う点でございまして、この点は私は何とも申し上げかねます。(拍手) 〔国務大臣小坂善太郎君登壇〕
○国務大臣(小坂善太郎君) お答えいたします。仲裁裁定につきまして国会の議決を求める案件は、十一月二日までに国会に提出すべく目下準備中であります。政府といたしましても、仲裁裁定はこれを尊重いたすべきものと考えまするが、御承知のごとく、災害その他におきまして国家財政はきわめてきゆうくつな現状にあり、またインフレ防止のため真剣な考慮炉払われておりまりする際でございますので、その間の事ゆ情を目下関係各省において慎重に検討いたしておる次第でございます。ベース・アツプ、年末手当等につきましても、同様国家財政とにらみ合せて、目下慎重に考慮をいたしておる際でございます。(拍手)
○副議長(原彪君) 川島金次君。――川島君しばらくお待ち願います。保安庁長官木村篤太郎君。 〔国務大臣木村篤太郎君登壇〕
○国務大臣(木村篤太郎君) お答えいたします。 去る十六国会において、私はただいまのところ保安隊員を十一万以上に増員する考えは持つていないということは、言つた事実は確かにあるのであります。但し、その後いろいろの情勢を検討いたしまして、これ以上に増員する必要ありと認め、ただいま、せつかくこの計画を立案中であります。しかしながら、その数につきましては、まだはつきりきまつておりません。なお勝間田君は三十二万云々の計画と申されましたが、さようなことは計画中にはありません。 また保安庁法改正につきましては、アメリカ駐留軍が撤退する場合を考慮いたしまして外敵の侵入にも対処し得るよう、せつかくただいま保安庁法正を立案中であります。しかしながら、いまだその結論を得ておりません。(拍手)
○副議長(原彪君) 川島金次君。 〔川島金家君登壇〕
○川島金次君 私は、日本社会党を代表いたしまして、この機会に吉田首相並びに関係経済閣僚に対し、当面重要と思われまする若干の問題につき質疑を行おうとするものでございます。まず私の問わんとする点は、何ゆえに今国会の召集をかくも遅延せしめたかということでございます。われわれは、さきに西日本、南近畿及び京都地方等各地方を襲つた風水害と、さらに全国に及んだ近来まれに見る冷害にかんがみ、さらに来るべき歳末を控え、公務員初め現業関係諸君の年末手当の増額支給、人事院の勧告、公共企業関係のベース・アップ、中小企業への強力な金融対策、さらには池田氏を特使とするMSA交渉と、これと不可分の関連にある防衛計画、電力の借款、日韓会談等々、国民のまさに聞かんとする重大事件が山積いたしておつたので、これに対し早期国会を召集して、これらの諸問題に対する政府の政策や方針等を明らかにする責任があると主張し、その早期召集を強く要求して来たにかかわらず、政府は、あるいは言辞を構え、あるいは不自然なる他党工作にうき身をやつし、遂に今日に至つてようやく国会を召集した不誠意と怠慢は、まさに政府がこれらの諸問題に対して確固とした方針も自信も持ち合せなかつた何よりの証拠であると申さねばならぬ。(拍手)国民に対する責任また重大と申さなければなりません。政府は、災害冷害復旧のごとき最も火急を要する事態に対する具体的対策を立てることを、何ゆえに今日まで遷延して来たのか、その理由をこの機会に伺つておきたいと思うのであります。 また、今次国会を、ひとり災害冷害対策に限定し、これと同じく最も重要でありまする公務員に対する年末手当の支給とか、同じく公企業に対する裁定の実施、中小企業金融対策について何ら触れるところなく、まつたくのほおかむりで一時をのがれようとしておるのは、われわれの断じて承服がしがたいところであります。政府は右の問題についてはいかなる方針を持つているのか、私からもここを明らかにされたいことを強く要求するのでございます。ただいまの小坂労相の説明によれば、目下慎重考慮中と言うけれども、その慎重の考慮は、この問題に対する積極的な立場において考慮しているのかどうか。平たく申しますれば年末にベース・アップ及び手当の増額支給をするという確固たる方針に向つて、慎重協議を続けておるのかどうかということについて、具体的に明確にこの機会に承つておきたいのであります。(拍手) 次に、今次補正予算直接の問題でありますが、そもそも政府は、財政規模が一兆億円を越えることに対して、あたかも虎穴に入る危険を冒す思いのようであり、汲々としてこれをおそれて来た様子であることは、まことにあわれむべきかつこうと言わなければなりません。元来、財政の規模の拡大は、生産、物価、金融等、いささかの計画性もなく、まつたくの野放し政策でありますときにおいて最も恐るべきインフレを誘発するのは、これまた当然でなければなりません。(拍手)さすがに小笠原蔵相も、この放任政策と財政の膨脹との恐るべき関連にかんがみまして、ぎりぎりの九千九百九十九億で補正予算を組み、あと一億円で一兆円の大台になることを辛うじて食いとめたようでありますが、一方で既定方針では減税国債二百億、電電及び国鉄においては合計二百二十億の債券を発行しており、しかもこれは、当初政府が言明いたしたにかかわらず、必ずしも今日において市中では消化しきれないという皮肉な現象を呈しており、いずれにいたしましても、直接間接、ひつきようするには日銀の背負い込みを必至といたしておるようであります。といたしますれば、予算において数字上一応は一兆円を辛うじて押えたとは申せ、もはやその事実においては、はるかに一兆を越える赤字財政となつていることは実にまぎれもない事実でありまして、このことはまさに頭隠してしり隠さぬ欺瞞財政と申さなければなりません。(拍手)いわんや、政府みずから近く米価の引上げ、国鉄運賃も上げるやに伝えられ、さらにやみ米相場はかつてない高値を呼んでおり、その他生活必需品の多くも、横ばいどころか、漸騰傾向にあるのであります。国際物価はようやく下降を示しておるときにもかかわらず、わが国の物価がひとり漸騰の傾向にあるということは、これ実におおむね政府の経済財政に対する無方針、無計画のしからしめるところであつて、政府にはもはや国際経済に対応するわが国賊政経済担当の資格なしと断じても過言ではないと思うのであります。(拍手)次に、政府は、この国際物価格に対応する物価引下げを、通貨安定を前提として行うやに説明をいたしておるのでありますが、この機会に、はたしてしからば政府に物価引下げの具体的な確固たる方針と政策があるかどうかを明らかにすべきであろうと存じます。(拍手) 次に、政府は、今次の災害冷害対策に対し、早期国会の召集をことさらに遅らせて来た不誠意をそのまま今次の補正予算にも反映いたし、財源云々に籍口いたしまして、その類わずか五百億を計上したにすぎない点であります。今次の風水害、冷害は、その被害の広汎にして、かつその影響の深刻なこと、実に前古未曽有と申すべきであります。これがため、あるいは一命を失い、家産を流し、耕地を失い、あるいは傷ついた者、冷害によつて収穫皆無となり、農実でありながら飯米の一粒をも口にすることのできなくなつた者、牛を、馬を、モーターまでも売り尽して、耕作地を事実上人の手に手渡す者、実にその数を知らないという実情であります。また地面、山はくずれ、橋は落ち、田野はいまなお一面のどろ海と化して、そのまま放置されておるところさえもあるのであります。これがため、ある地方においては、昼食の弁当を抜いて登校するという可憐なる学童もあり、またある地方では、いまだにかんじんの校舎が罹災のままで捨てられてあるという惨状であるのであります。しかも、これに対し、政府の応急対策はまつたくの手遅れであり、冷酷そのものであつたと申さなければならないのであります。(拍手)われわれは、この災害対策に対しまして、政府の原案である三百億円に対して最低八百億円を必要とし、また冷害対策に対しましては、政府原案の百億に対しまして最低限度二百五十億を必要といたしておるのでありますが、政府ははたしてこのような程度の政府原案対策をもつてして、十分に、広汎な、かつ深刻をきわめた災害、冷害地の惨状にこたえ得るとの確信を持たれておるかどうかについての意向を、この際聞いておきたいのであります、また、このような状態であつて、はたして政府は明年における食糧増産にいささかのさしつかえがないと考えておるかどうかということについても、ついでに尋ねておきたいのであります。ことに政府は、この際食糧増産に関する既定経費を、先ほどもどなたかから触れられたところでございますが、二十七億も削減しておることでございます。このようなことで、はたして食糧の増産対策に遺憾なしと言えるのかどうか。よし、かりに一方冷害対策において考慮したとはいえ、かんじんの既定経費をたとい一銭たりとも削るというこの処置に対しては、農家の心理に及ぼす影響はきわめて重大であるばかりでなく、政府の増産対策に対する熱意のほどを疑わざるを得ないと思うのでございます。(拍手) また、われわれの見のがすことのできない点は住宅公庫資金の削減であります。この問題は、ただいま勝間田君からも触れられた問題でありますが、住宅金融は、政府も御承知のごとく、最近都会及び近郊において近来にない地価の暴騰を見ております。そして建築費の値上りもまたきわめて著しいものであることは言うまでもございません。従つて、むしろこの際は住宅金庫資金の拡充こそ最も必要のときであると言わねばなりませんのにかかわらず、たとい若干なりとも、余裕金の名にかりてこれを削減したということは、政府の住むに家なき者に対する無慈悲のほどを立証する以外の何ものでもないのでありまして、(拍手)この削減の理由と、今後の政府における住宅政策の根本方針について、この機会にあらためて明らかにしてほしいと思うのでございます。 さらに、中小企業の窮迫は、またしても年末を控えいよいよ危機が伝えられているのであります。最近東京手形交換所における不渡り手形は、一日実に千数百枚に及ぶといわれております。しかも、この不渡り手形は順次零細化の傾向にあるともいわれておるのであります。この零細手形は、言わずと知れた、ことごとくが中小企業に属するものと推測されておるのでございます。かくして、今や、政府の高率適用に名をかり、あるいは金融引締めに名をかるところの大企業集中の金融政策のしわがいよいよもつて中小企業に寄せられ、今や破産倒産の一歩手前に追い込められつつある中小企業、これまたその数が知れぬという、さんたんたるありさまであるのでありまして、(拍手)まさに未曽有の中小企業界における危機が来たと叫ばれておるのであります。政府はよろしくすみやかに中小企業に対する特別金融の諸政策を積極的に講ずべきであると思うが、この点、大蔵、通産両相の所見を明らかに伺つておきたいと思うのでございます。(拍手) 最後に、総理大臣に一言お伺いをいたして、私の質問を終りたいと思います。 吉田総理は、相かわらず再軍備を否定いたしながら保安隊の増強を強行いたしております。しかも、今回は、MSAの交渉と相まつて、いうところの防衛力の画期的増強が伝えられ、少くとも当直においては、陸上兵力十八万、海上十五万トン、空軍においては九百機という構想があるやにも伝えられ、しかもこの最低線は、アメリカから強き要求を受けておるとも伝えられておるのでありまするが、はたしてこの点について政府はいかなる構想を持つておるのか。従来政府が繰返して言われたことく、保安隊の増強はこれ以上はたして絶対にしないという立場をとるのか、その点について、この際明確に総理からお答えを願いたいと思うのであります。 さらに、かりにこのような軍備計画を遂行いたしました場合には、憲法を破壊する事柄でありますることは言うまでもございませんが、わが国土の総合的復興はもちろん、国民生活の安定を目途とする日本経済の自立達成は、遺憾ながら中途挫折のやむなきに至りますることは必至であろうと思います。しかして国民負担は加重され、国民生活の低下はこれまた免れないとわれわれは懸念をいたすのでありますが、政府は、この防衛力の計画と国民生活の維持とに対抗いたしまして、いかなる方策と、いかなる見通しとを持つておられるか、この点について、ことに吉田総理大臣かち承つておきたいのであります。 最後に、近時わが国の災害は風力と雨量の増大によるところであることは言うまでもございません。ことに、戦前戦時を通じ巨大の物資と資金とが軍需に投入せられ、肩然の大地と山河、この国土を守り育てるということを置き忘れて来た結果でもあると言わなければなりません。しかも、戦後今日まで長く政権をとつて来た吉田内閣もまた、このことにいささかも積極方策を講ぜぬのはもちろん、今や戦時にも比すべき多額の資金と物量を再軍備に投入しようとする企てがあるに至りましては、わが国の風水害はさらに繰返され、これを最小限度に食いとめることすらまつたく不可能と言わなければならないのであります。(拍手)昔から国破れて山河ありという言葉がございますが、今やわが国は、政府の無策と、打続く災害と、さらに政府の強行する再軍備と相まつて、真に国破れ山河ためについえんとする由々しき事態に直面し、まさに文字通り国土の危機に立つておると申さなければならないのであります。(拍手)政府はこの際、今からでも決して遅くはないのでございまするから、平和憲法のもと、防衛力の増強を思いとどまり、ひたすらに平和国土の復興と国民生活安定にその全力を傾くべきであると私は信じておるのでありますが、はたして吉田総理大臣の所信はいかがであるか、お伺いを申し上げまして、私の質問を終る次第でございます。(拍手) 〔国務大臣吉田茂君登壇〕
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。 この災害に対する国会の召集を故意にあるいは怠慢によつて遅らしたかのごときお話でありますが、政府はそういう考えは毛頭持つておりません。災害については、応急の手段は、その当時において、あるいは融資により、あるいは特別措置法等によつて、臨機の処置をいたしております。さらにこれ以上の問題については予算の措置を要するために、このたび国会に提出いたしております。さらに恒久対策については、政府においてその恒久策を研究いたしておりますから、やがて国会に提出いたして、諸君の協賛を得るつもりであります。 ただいま、政府はあたかも再軍備をなし、あるいは画期的保安隊の増強をなすかのごときお話でありましたが、政府としては、そういう考えは断じてないのであります。(拍手)保安隊は、わが政府の方針は国防の漸増であります。漸増の趣意を一貫とて、その趣意のもとに、その線のもとに保安隊の増強を考えておりますが、画期的増強とか、あるいはこのために厖大なる予算を請求いたす考えは毛頭ございません。(拍手) 〔国務大臣小笠原三九郎君登壇〕
○国務大臣(小笠原三九郎君) ただいまの御質疑にお答え申し上げます。 先ほども申し上げました通り、補正予算編成にあたりましては、財源の関係より、災害対策と冷害対策とに限り、特に奄美大島関係を入れた以外にはやむを得なかつたのであります。一兆円の問題にこだわつた次第では何らないのであります。なお、申すまでもなく、日本の財政の全貌というものは、いわゆる財政投融資とあわせ考うべきものでありまして、一補正予算のみをもつて考うべきものでないことは御了承の通りであります。 さらに、災害対策費三百億円、冷害対策費七十億円ではいかにも少いではないかという増額の御意向がございましたが、これまた財源の関係上やむを得ず措置いたしておる次第でございます。 さらに、財源中、食糧増産対策費を若干でも削つたのではないかというお話でございましたが、これは、先ほどもお答え申し上げました通り、本予算の通過が七月三十一日であつて、時期的に相当ずれを生じておるので、私どもは、その金を重点的、効率的に使つてもらえれば、それで所期の目的を達成し得るとの考えから出ておるものでありまして、食糧増産に対する熱意を何ら欠くものではありません。 さらにその次に国防の問題につきましては、所見が違うのでありますからお答えをいたしません。 さらに、中小企業に関することでありますが、これは財政資金の方は、御承知のごとく中小企業金融公庫ができまして、この九月十一日に出発いたしております。従いまして、この九月十一日にできた中小企業金融公庫がだんだん機能を働かすことによつて、年末には相当長期資金の面で働くのではないかと考えております。なお国民金融公庫も、これは零細な生業資金でありますが、小口金融の円滑を期するために、この方面にも資金源の充実に努めている次第でございますので、この点からも相当な潤いにもなろうかと考えております。さらに、皆様の御協賛で、前国会で信用保証協会法が成立をいたしました。従つて、信用保証制度の改善を見ておりますので、中小企業者に対する信用補強策がこれでできることになりますから、今地方及び普通銀行等が相当大きな中小企業に対する金融の役目を果しておることは皆様御承知の通りであります。金額から申しますと、これが最も多いのでありまして、それにこの信用保証協会法が成立して、この保証制度が成り立ちまするから、金融を円滑にするのではないかと私ども考えており、またさように市中銀行を指導して参りたい所存であります。なお、相互銀行、信用金庫等のいわゆる中小企業の専門の機関に対しましては、これまた指定預金の預託とか、その引揚げを延期するとかいうような措置を講じて参る考えであり、さらに商工中金におきましても、中小企業金融公庫の代理貸しをさせるとか、積極的に金融活動を助成する考えで、年末金融には遺憾なきを期して参りたいと存じております。なお、国庫指定預金の操作につきましては、計画通りにこれを実行する考えでございますけれども、年末にかけましての金融情勢いかん等によりましては、適宜引揚げを延期するとか、あるいはまたそれら適当の処置を講ずる等で、年末金融に、は遺憾なきを期したい所存でございます。 これをもつてお答えといたします。 〔国務大臣岡野清豪君登壇〕
○国務大臣(岡野清豪君) 中小企業の年末金融につきましては、ただいま大蔵大臣からるる御説明がございましたので、私の申し上げることはございませんけれども、所管大臣といたしまして申し上げますれば、現在の経済情勢から見ますれば、中小企業にある程度の経営上の圧迫が加重される、これは見のがすことのできない事実と私は見ております。政府は、そういう点をよく考慮しまして、中小企業協同組合法とか、中小企業法の適切な運用と有効な中小企業金融対策を実施して行きまして、これをできるだけ軽減して行きたい、こう考えております。特に金融対策といたしましては、ただいまお話の通り中小企業金融公庫ができましたが、この一番大きな特徴といたしましては、ただいままでは設備の融資であつたのでございますけれども、運転資金というものに長期化して、すなわち長期運転資金を出すということに一つの特徴を見ていただきたいと存じます。商工中金なんかも、やはりことしの九月の末でありましたか、自己資金を増加いたしまして、債券の発行高も増大しておりますからよいとは思いますけれども、しかしながら、御承知の通りに、一般の金融政策といたしましては、預託金の引揚げとが、日銀の高率適用の強化とか、いろいろな措置ができまして、いわゆる健全金融、健全財政をやつて行かなければなりません。中小企業金融に対する立場におきましては、これは純金融政策だけで割切るわけには参りませんで、やはり社会的に中小企業というものをいかに見て、いかに救済し助成して行くかということを考えなければならぬと思いますので、われわれといたしましては、一般の純金融政策の中でも、先ほど大蔵大臣が言いましたように、政府の指定預金を引揚げる場合でありましても、あるいは中小企業に対しては新規の預託をしていただかなければならぬ、こういう考えをもつて臨んでおりますことは御承知を願います。(拍手) ――――◇―――――
○荒舩清十郎君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明三十一日午前十時半より本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会せられんことを望みます。 ――――◇――――― 〔「賛成々々」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然〕
○副議長(原彪君) 動議の採決前に、国務大臣の答弁が残つておるそうでございますから、これを許します。 〔国務大臣小坂善太郎君登壇〕
○国務大臣(小坂善太郎君) お答えいたします。御質問の仲裁裁定、ベース・アツプ等につきましては、先ほどもお答えいたしました通り、財源、インフレ問題との関連におきまして関係各省において慎重に検討しておる最中でございます。(拍手) 〔国務大臣保利茂君登壇〕
○国務大臣(保利茂君) 今回の予算を編成するにあたりまして、食糧増産対策費から既定経費の節約を余儀なくせられたことについての御意見がございました。御意見としてはまことにその通りでございますけれども、しかしながら、災害対策並びに冷害対策は、結局いたしますところ、これはやはり食糧増産に強く結ばれておるところでございまして、従いまして、この予算をつくり出します必要上、ただいま大蔵大臣が申し上げましたように、食糧増産をゆるがせにする政府の方針では断じてございません。今後といえども、治山、治水、食糧増産につきましては格段の力をいたして参るつもりであります。 さらにまた、冷害地等におきまして、いわゆる文明国にふさわしくない人身売買等が行われるという、かつての不幸な姿を断じて今回繰返すようなことがあつてはならない、かような意味におきまして冷害対策を講じておる次第でございます。(拍手) ――――◇―――――
○副議長(原彪君) 先刻の荒船君の、明日午前十時半より本会議を開くこととし、本日はこれにて散会すべしとの動議につき採決いたします。荒船君の動議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(原彪君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時四十八分散会