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17回国会衆議院1953/11/07

文部委員会 第3号

発言数
64
登壇者
11
会派数
5
開催日
1953/11/07

会議録

辻寛一自由党

○辻委員長 これより会議を開きます。   お諮りいたします。閉会中審査に関して、ただいまその申出書を読み上げます。    閉会中の審査申出書  一、閉会中審査すべき事件   一、学校教育、社会教育及び教育委員会制度に関する件   二、僻地の教育及び学校給食に関する件   三、教育施設に関する件   四、文化財保護に関する件  一、閉会中審査の目的    学校教育及び教育制度を検討し、文部行政の適正をはかるため右により閉会中もなお審査をいたしたいから、しかるべくとりはからい願いたい。   昭和二十八年十一月七日       文部委員長 辻  寛一  衆議院議長 堤 康次郎殿ただいま朗読いたしました申出書を議長に提出いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

辻寛一自由党

○辻委員長 御異議なしと認めます。よつてさように決しました。     —————————————

辻寛一自由党

○辻委員長 次にお諮りいたします。義務教育学校入学児童生徒数の異常増加に伴う教育施設の整備に関する決議をいたしたいと存じます。ただいまその決議の案文を朗読いたします。   義務教育学校入学児童生徒数の異常増加に伴う教育施設の整備に関する件  昭和二十九年度における義務教育学校、特に六大都市の新入学生徒児童が近来になく激増する実情にあるが、地方財政窮乏の現状にかんがみ、その収容施設を整備し、義務教育の遂行に支障なからしめるため、政府において緊急に起債その他の適切なる財政措置を講ずる必要がある。   右決議する。 ただいま朗読いたしました決議案のごとく決議するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

辻寛一自由党

○辻委員長 御異議なしと認めます。よつてさように決しました。     —————————————

辻寛一自由党

○辻委員長 次に、閉会中委員を派遣して調査するの必要が起つて来ると存じますので、衆議院規則第五十五条による承認申請書の提出、人選等に関しては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

辻寛一自由党

○辻委員長 御異議なしと認めさように決しました。     —————————————

辻寛一自由党

○辻委員長 次に文部行政に関する件を議題といたします。前回に引続き質疑を続行いたします。田中久雄君。

田中久雄改進党

○田中(久)委員 先般来相当問題になりました学生の選挙権の問題について、自治庁が通牒を出されたことから相当騒ぎが大きくなつて、その後にまたそれを緩和するような通牒を出されたということを聞いておりますが、これは非常な大問題でありまして、軽々に一役所で自由に決定すべきものじやないと思いますので、私から簡単ではありますが、大事な点についてその間の様子を伺いたいと思います。私は新しい憲法ができるときの委員をいたしておりまして、この点のたいへんやかましい論議を今も思い出すのでありますが、前文に、「日本国民は正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。」前文にうたつております精神は、古い日本の、何千年といわれた天皇主権の観念から離れて、国民に主権があることを宣言し、そうして国民は自分の代表者によつて自分らの幸福のために国政を信託したものである、こういう重大なる宣言をしておることは、すでに御承知のことと思います。さらに第一章の第一条におきまして「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。」ここに再び宣言を繰返して、日本国民に主権があるということをさらに宣言しております。憲法草案が国会に提出せられたときには、国民の総意を至高とするというような言葉が使つてあつたものでありますが、はつきりしないというところから、国民に主権が存するということに訂正をして、当時の国会は宣言をいたしたのであります。こういうふうに考えますと、主権を行使するという一般国民の最大の権利は何によつて行われるか、申すまでもなくこれは選挙であります。選挙というものを、普通に考えておるよりももつと重大なこととして新しい憲法が扱うておることは、これは当然であります。さらに第三章の「国民の権利及び義務」に及びまして、いろいろありますけれども、第十一条、「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。」第十二条は、「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。」さらに第十三条におきまして、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」第十四条におきましては、「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」これがまず私の述べんとする基本になる考えでありまして、選挙は一般の人が簡単に考えておるようなものでなく、新しい憲法の大精神として主権在民という根本をきめておるのが選挙であります。そこで、選挙はいかなる法律、政令もしくは規則におきましても、これはいかにして選挙せしむるか、選挙権を行使するにあたつて最もやりやすいように、一人でもでき得るならば棄権をする者のないように、あらゆる点において配慮が行われなければ、この憲法の精神は守られないのであります。選挙の投票日に日曜日を選んだりするゆえんのものも、いかにして一人でも多くの国民にこれをやりやすくせしむるかという配慮に基くのでありまして、憲法の考え方からいつて当然のことと思うのであります。そこで先般来問題となつております、満二十歳に達した学生が選挙権を行使するという場合に、これは一々個々調査をやつて選挙人名簿をつくりますと、非常に不安定なものがあることは想像せられます。容易な努力ではなかろうと思いますけれども、これをその本籍地に選挙権があるものとして、本籍地の有権者名簿に登録せしめるというがごときは、これはまつたく実態を無視したことであつて、この点につきましては私どもとして断じて承服できないのであります。単に手続が複雑であるとか取調べが困難であるとかいうだけでは済まされない問題であります。この点につきましてすでに訂正をせられたやに聞いておりますけれども、最初の通達はどういうものであるか、その次の通達はどういうものであるかということも、この機会にお示しを願つて、さらに一歩進んで、いかにすれば一人でも多くの学生が選挙権を行使しやすいようにできるかという配慮に対して、政府としてそれだけのお考えがあるかどうか、こういう点について文部大臣並びに自治庁の方から御答弁を願いたいと思います。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 学生の選挙権行使の関係につきまして、自治庁通達についていろいろ世間でも問題になりましたことは、私どもよく承知しておるのであります。選挙法の解釈という点につきましては、これは自治庁のお扱いになることでありますから、私どもその点についてどうこう言うわけではありませんけれども、ただこれは御承知のように学生を相当刺激する結果になりまして、実はかねて御存じのように、各大学の当局におきましては、学生の補導という点については従来とも相当苦心をして参つておりますので、あの問題がきつかけになつて学生を刺激することによつて、大学の学生の補導の面において遺憾な点を生じやしないか、こういうことを各大学の当局においても心配をいたしまして、その意味において文部省もいろいろ大学の当局と話合いをいたしまして、選挙法の法律的解釈はともかくとして、その点自治庁に申入れをいたしまして、善処方をお願いしたのであります。自治庁におきましてもこの点いろいろと研究をいたされ、また世論のあるところにもかんがみまして、お考えができておると承知しております。文部省としましてはその点だけをお答えを申し上げまして、この選挙法規そのものの関係は自治庁の方から御答弁申し上げます。

金丸三郎総理府事務官(自治庁選挙部長)

○金丸政府委員 六月の十八日に出しました通達は、従来、と申しますのは、昭和二十一年の通達でありますが、これは学生生徒の住所は原則として寮、寄宿舎等にあるものとするというふうになつておりました。その結果現実には、ほとんどすべて寮あるいは下宿に住所があると認定をして、名簿に載せておつたのでございます。ところがほかの同じような状況にあります、たとえば癩とか結核の療養所というところに長い間入つて療養しておるとか、あるいは御承知のように保安隊の隊員、こういう人は数千人一箇所に同じような共同生活をいたしております。それから集団的生活をしております者は、ほかには会社の寄宿舎とか寮等におる者がございます。こういうものにつきましてはどちらかと申しますと、具体的にその人その人につきまして、住所が病院にあるか、あるいは保安隊の営舎にあるのか、そういうことを認定をして選挙人名簿に登録をいたすようになつておるのでございます。ところが学生につきましてはそのように一律の扱いになつております関係上、個々の学生について住所を認定せよ、こういう趣旨の通牒でございます。ただその認定の基準といたしまして、学生について個々に認定せよというだけでは認定が困難でございますから、私どもが郷里にあると認められます典型的な場合と、寮、下宿等に住所があると認められる典型的な場合とを通謀に掲げまして、そして郷里にあると認められます例として、学資の大半を送つてもらい、かつ休暇等に帰省するような学生については郷里の方にあると認められる、自活をしておるような学生につきましては原則として寮なり下宿なり現住している所に住所があると認められる、こういう通達を出したのでございます。これが六月の十八日の通達でございます。その結果あたかも学資の額、いわゆる仕送りによつて選挙権の所在が決定されるというふうな批評と申しましようか誤解と申しましようか、そのような見地からこの通達が間違いであるというふうの声が非常に高くなつて参りました。それからもう一つは、当時自治庁で通達を撤回するのではないかというようなことが大分新聞に報道されました関係上、全国の府県や市区町村の選挙管理委員会におきまして、通達通り選挙人名簿を調製すべきか、あるいは撤回されるようなら調査の方法をかえるべきかと思つて迷つておりました。従いましてその誤解を解きますことと名簿の調製を進めますという二つの意味合いから、次官会議、閣議の了解等を経まして、通達を次長名で出したのであります。その誤解を解こうといたしました趣旨は、たとえば保安隊の隊員につきましては、独身の場合でも、両親がある、あるいは仕送りをしている、その仕送りによつて両親が生計を営んでおると認められます場合には、隊には住所はない、その両親のところに住所があると認めるべきだ、私どもはこういう考え方をとつております。また妻子がございます隊員は、かりに仕送りを全然いたしませんでもやはり家族のいるところに住所があるというべきではないか、妻子に仕送りをしておりますような者は、私どもはほとんどそちらの方に住所があると認定すべきではないか、かように考えておるのでございます。従つて学生の場合には、両親から仕送りを受けているからそちらの方に住所があると申しますと、それでは仕送りをしておる者はすべてそうなのかというと、逆に仕送りをしております関係上、むしろ受けておる者の方に住所があると認定する場合があるのであります。これは住民税を徴収いたします場合に、家族から離れて単身よそへ勤めております場合、やはり家族に仕送り等をしております場合に、家族の方で住民税を賦課するか、現在住んでおる市町村で住民税を賦課するか、これはよく争いになります。同じ県内でございますと知事が、二府県以上にまたがりますと自治庁で、意見を言つてきめることになつておりますが、この場合にも、やはり家族との関係を考慮して住所の認定をしなければならないのでございまして、仕送りというのは、住所がどちらにあるかということを考えます重要な要素の一つだと私ども考えておるのでございます。仕送りだけによつて住所が認定されるというような誤解もございますが、そういうことはない。それは住所認定の一つの資料でございまして、総合的にいろいろな要素を考えて判断しなければならない、こういう趣旨で九月に通達を出したのでございます。住所の問題につきまして、私どもは民法の住所であると考えておりますけれども、先ほどお述べになりましたような選挙の意義、選挙権を与えても行使しやすいようにするためには、何も民法の住所といわないでよろしいではないか、行使しやすいように住所を認定してもいいではないかという御意見がございます。しかし公職選挙法の住所の規定は、地方自治法の第十条、第十一条の住所あるいは住民の規定を受けて規定されているのでございまして、やはりこちらと総合して考えなければならない。地方自治法の住所と申しますのは、私どもはどうしても民法の住所と解釈しなければできないのではないか。また御承知のように住民登録法という法律が現在できております。この住所も民法の生活の本拠を考えておるのでございまして、住民登録が選挙人名簿の調製の重要な資料でございますことは御承知の通りであろうと思います。従いまして私どもの考えております民法の住所であるという意見と、選挙法は選挙権が行使しやすいように住所を考えていいではないかという御意見とございまして、私どもに対します反対の御意見はそういう見地からでございます。しかし今申し上げましたように、従来そのように考えて参りましたことと、現実に実定法として施行されております住民登録法との関係から考えましても、どうも私どもはややりそのように考えざるを得ないのではないかというふうに思うのでございます。しかしそのような反対の御意見もございますし、個人主義の憲法、またそれに基く民法のもとでは、もう少し考えをかえてもいいではないかという御意見もございます。私どもといたしましては、まだそれを踏み切るだけの自信がございませんので、実は学生の立場から、大学の総長、それから民法、行政法、そういう権威の学者の方々も入つていただきまして、選挙制度調査会を現在開いておりますが、そこで十分にこの問題を御研究いただきまして、できますならば通常国会においてこの問題を立法的にはつきりと解決いたしたい、かように考えておる次第でございます。

田中久雄改進党

○田中(久)委員 御答弁は一応あなた方の立場としてはそういうことにならなければならぬのかしらぬが、住所というところに非常にこだわつておられるのじやないかと思います。ことに親が学資を送つておる。それから休暇といえば夏休みが一番長いのでしようが、五十日ほど、夏冬合わせて二月半ほど帰る。ちようど帰つておるときに選挙があれば、これはまことに好都合であるかもしれませんが、実際において一年のうちの七割もおる場所であれば、選挙をする場合もやはり一年のうち七割おるところの方が多いと見なければならない。それを仕送りをしてもらつておるということ、休暇に帰るということで、住所が郷里にあるから選挙権は住所に置くということは、私はむしろ不当に選挙権を圧迫しておると思う。学生諸君の中には、どちらかと申しますと、保守的な政党を好まない傾向の者が多い。これはやむを得ぬことで、私ども若い時分には——今は多少ぼけておりますが、その当時はやはりそうだつた。おそらく大臣なども青年時代にはやはり相当左だつたと思う。(笑声)それくらいの元気がないとやはり大臣にはなれないのであります。そこで学生諸君の集団しておる大都会において、これらに選挙権を使わすということは保守政党に不利である。そんなことはなかろうと思いますけれども、万一そういうような疑いを国民が持つというだけでも、私は重大な選挙権、国民主権の行使ということについて非常に不愉快な結果になると考えるのであります。そういうわけでありますから、こういう問題は少くとも一官庁が、行政府の一部課で御決定になることはむずかしいことである。やはりこれは正当に選挙せられたる国民の代表である。この国会の審議にかけて判断を求めるのが正しいと思う。大学の先生方であるとか、その他の学識経験者の御意見を聞かれることももちろん必要でありますが、同時に、むしろ国会の審議にまかせて決定すべきではないか。公職選挙法の第九条の「日本国民で満年齢二十年以上の者は、衆議院議員及び参議院議員の選挙権を有する。」、これが根本であります。選挙権は便宜上住所というものを規定しております。浮浪者には選挙権が与えられない。選挙人名簿に登録するわけに行かないから一定の住所ということになりますが、根本は、日本国民であつて満二十歳以上の者には、男女の性別を問わずすべての者に選挙権がある。これがすなわち憲法の精神であり、選挙法で申しております精神であつて、あまりにしやくし定規的な住所にこだわられることは、この根本の主権在民の大原則を滅却するおそれがあると思うのであります。明治憲法の頭で、行政は天皇の御命令によつて行うものであるという考え方なら、あるいはそういうことがあつて、選挙権は制限を受けることが許されるかもしれませんが、新憲法においては断じて許すべきではない。     〔委員長退席、原田委員長代理着席〕 一行政官庁の一係官が、次官会合を開いてもらつて通牒を出して、何十万という選挙権を左右するというがごとき考えは恐るべき考えである。わが国憲法の大精神を躊躇するものであると私は考える。かようなことがそのままに許されるならば、日本の将来はめちやめちやである。住所の規定も、第九条第二項では「日本国民たる年齢満二十歳以上の者で三箇月以来市町村の区域内に住所を有する者は、その属する地方公共団体の議会の議員及び長並びにその教育委員会の委員の選挙権を有する。」とうたつております。従来は公民権と称して二年間同じ住所にいなければ選挙権がなかつたものであります。しかるに今日はわずか三箇月おれば選挙権を有する、名簿を作成するときに三箇月おればそれでよろしいということは、一人でも多くの者に選挙権を行使さしたいというこの憲法の大精神から来ておるものであります。私は多くあなたと議論をする必要はありません。あなたのお言葉の中に、私どもの説に反対をするということでありましたが、それは少し言葉が過ぎると思う。われわれはあなた方に反対するほどけちな根性は持つていない。日本の憲法をどうするかという問題です。憲法にうたつておる主権在民、この大精神を古い憲法の頭で一行政官が左右できるなんということをもし考えておるとするならば、ゆゆしき問題である。私の家の近所に結核療養所がある。そこに長い者は終戦以来ずつと八年も入つておる。それが昨年のいつ出したのか知りませんが、何か通牒があつたというので、そこで選挙権が行使できない、妻子や家族のおるところで行使せよということになつたというので、中には長崎から三重県へ来ておる人もある、富山から来ておる人もある。そういうことはできることではありません。旅費をやろうといつたつて本人は病人である。そういう乱暴なことが二、三年来行われておるということは、私は許すべきでないと考える。ここは文部委員会でありますから、そういう人の選挙権の問題までも私は議論しようとは思いませんが、説明はいりませんからすみやかに国会の審議に託さるべきであると私は考える。

野原覺日本社会党(左)

○野原委員 関連して——学生の選挙権に関しまして、田中委員から申されましたことに私はまつたく同感でございますが、そこでひとつお尋ねしたいことは、このことがすでに公職選挙法特別委員会でございますか、そこで問題になりまして、そうしてこの国会のこの特別委員会で、自治庁に対してすみやかに——ただいまあなたが説明されましたあのような日本の憲法を否認するような、学生の基本人権を剥奪するような、しかも学生の選挙権行使に弾圧を加えるような、ああいうでたらめなむちやくちやな法律というものは撤回すべきである、このような決議を上げたやに聞いておるのでありますが、もしこの決議が上つたことが事実であるといたしまするならば、なぜ自治庁はすみやかに撤回しないのか、その理由を承りたい。

金丸三郎総理府事務官(自治庁選挙部長)

○金丸政府委員 そういう決議があつたということは承知いたしておりますけれども、定足数の関係でございましようか、私当日委員会に出ておりませんでしたので、正確に存じませんけれども、そういうこともございましたのか、通知を受けておらないのでございます。

野原覺日本社会党(左)

○野原委員 ただいまの点は実は私も公職選挙法特別委員会の委員ではありませんから、何月何日にどういうような方法で決議が上げられたかということはここで申し上げることはできませんけれども、必要があればこの委員会にこの特別委員のどなたでもよいから出て来てもらつて、私は証言をしてもらつてもよいと思う。とにかくこの決議が上げられたという報告を私は受けておるのであります。しかるに国会の特別委員会が、しかもこの選挙に関する特別委員会が決議をされておるにもかかわらず、その決議に沿おうともしないで、自治庁の方でつくられておるところの選挙制度調査会で研究をしてもらつて、そうしてそこで何とかつじつまの合うようなりくつが出たならば、次の国会にでも出して、自治庁の責任追究ということにならないような方法でごまかそうというような態度は、私はまつたく了解ができない、従つてこれは確かに決議が上つておるということを聞いておりますので、あなたがそのようなことをいまだに知らないような御発言でありますが、私はこの点も了解できない、従つてこの決議に対してはすみやかに沿われるように要望をいたしておきます。

小林信一小会派クラブ

○小林(信)委員 今の問題ですが、とにかく選挙人名簿がつくられてこれが告示されておるわけですね、これは今どういうふうになつておるか、その事情をひとつお聞かせ願いたいと思います。

金丸三郎総理府事務官(自治庁選挙部長)

○金丸政府委員 六月の通牒に基きまして、十月三十一日までに選挙人名簿はつくらなければならないことになつておりますので、全部名簿の調整は終つております。そうして十一月の五日から十五日間選挙人名簿を一般の選挙人の縦覧に供することになつておりますから、その際に住所の認定にもし誤りがある、自分の住所はこちらにあるから名簿に載せててほしいというような、異議の申立てと申しておりまするか、それがございますれば、それを調査して、その通りであると選挙管理委員会で認定いたします場合には、名簿に登録をすることになつております。

小林信一小会派クラブ

○小林(信)委員 それは今の一般的な問題でもつて——私の尋ねておるのは、これを地方自治庁等の通達等が影響して地方においてなされておる、その問題と、それから実際学生諸君の要望する問題と、これらがいかに処置されておるかということをお尋ねしておるわけであります。

金丸三郎総理府事務官(自治庁選挙部長)

○金丸政府委員 これは個々の認定は全国の市町村でいたしておるのでございますが、学生の寮等で非常に反対が強うございまして、調査に参りましても応じないというような箇所がございました。従いましてそういうところにもなるべくその趣旨をよく説明をいたしまして協力を求めておりますが、若干調査ができなかつたところがあるようでございます。ところによりますれば、住民登録とか配給台帳等を参考にいたしまして、やはり住所がこちらの方にあると市区町村で認定をいたしましたところは載せるような措置をとつているところもあるようでございます。またやはりそれでは自信がないというようなところでは載せていない、但しこの十五日間にそのような異議の申し出がございますれば、それを調査して載せるというような措置を講じつつございますし、また数日前に重要な市の選挙管理委員会の会合がございましたが、学生諸君の要望に応じて、でき得る限り載せるようなつもりで名簿の調整に当つておりましたし、また異議の申立て等がございますれば、できるだけそういうふうにはかりたい。こういうふうな状況でございました。

小林信一小会派クラブ

○小林(信)委員 この問題は先ほど田中委員が一般の人たちの要望しておることをよく表現されたことで尽きておるわけですが、やはりこういう見解というものがあつて、そうしてこういう措置がなされる。そのためにはせつかくの選挙権がこういうことから失われるようなことがあると思うのですが、これは非常に重大な問題でございまして、もし一人でもこの混乱のために、大事な選挙権が失われるようなことになりましたならば、重大問題ですが、そういう点に対しましては自治庁としては何らか措置されるようなことを考えておられるのか。あるいはどこにおきましても絶対に選挙権というものが獲得されて、一人も漏れるようなことは絶対にない、こういう自信を持つておられるのか、あるいはこういうようなことからどうしても問題が起きるかもしれないというような場合には、こういうふうに善処して、一人でもせつかくの選挙権というものが行使できないというようなことのないようにするという措置があるのか。その点をお聞きしたいと思います。

金丸三郎総理府事務官(自治庁選挙部長)

○金丸政府委員 市区町村の選挙管理委員会の間におきまして、二重登録になりましたり、あるいはどちらにも載らなかつたりすることがございませんように、郷里の方に載つたか載らないか、あるいはこちらの名簿に登録したからそちらの方には載せないようにというように、お互いに連絡をいたして、おりますが、何分一万の市町村でございますので、絶対に一人も登録漏れがないということはないと思います。従いまして若干の誤載がございましたり、あるいは登録漏れが生ずると思います。但し御承知のように市町村の選挙が行われましても、衆議院や参議院の選挙が行われましても、選挙を行います直前にもう一ぺん補充選挙人名簿というのを調製することになつております。これは本人の申請によつて調製するのでございますが、かりにこの基本名簿に載つておりませんでも、もし来年の一月か二月に市区町村の選挙がございまして、その際に名簿に登録すれば、それによつて衆議院の選挙にも参加ができますので、そのような選挙が行われます際に、十分な配慮を加えるようにいたしたい、かように考えております。

小林信一小会派クラブ

○小林(信)委員 それは普通の場合縦覧する期日がございますので、個人個人の義務としてもその名簿を見て、自分の漏れているのを発見して、それ相当の手続をしなければならないのでございますが、問題は今度のことは学生に限つては、自治庁に相当責任があると私は思うのです。学生諸君も親なり何なりに手続をしてもらつて、縦覧期日に自分の名簿の漏れているのを発見することも、義務としてなさらなければならぬかもしれないけれども、やはり先ほど田中委員等が申されましたように、学業に出ていて、その期日に自分が郷里に帰ることができるかどうかわからない。こういうふうなことを考えれば、私は自治庁には大いに責任があると思うのです。そういうあとの一般的になされる手続以外に、自治庁としてはこの問題は相当考えてもらわなければ、私は選挙を行使することができないような事例がたくさん出て来ると思うのです。そういう場合に何らか手配をするというふうなお話があつたのですが、考えていただかなければならぬと思います。もちろん先ほどお二人の述べられたような基本的な問題については、私ももちろん要望するものですが、とにかくこの際混乱しておりますために、いろいろな手続上の欠陥があると思いますが、そういうことに特に御善処願いたいと思います。

原田憲自由党

○原田委員長代理 前田榮之助君。

前田榮之助日本社会党(右)

○前田(榮)委員 私は文部大臣に文部行政についてお尋ねを申し上げたいのですが、その前に今問題になつております学生の選挙権について、一言自治庁の態度について御質問を申し上げたいと思います。今小林君からの質問の御答弁によりますと、選挙名簿縦覧期日があつたり、自治庁の方から選挙権の行使に漏れのないように居住地と在籍地との二重登録、あるいは両方に漏れるというようなことのないようにする、こういうことに十分注意をいたしておる。こうおつしやつた。いかにもここで聞いておりますと、非常に至れり尽せりの処置をとられたようにおつしやるのでありますが、すでに新聞やその他で御承知だろうと思いますが、表面的に事務的にそういうことを処理されたから、選挙権の行使が粗漏のないようにできるとお考えになつておること自体、またそういう人が自治庁におつて処置をされることに一つの不安を持つておるのであります。これは田中君からも申された通りに、選挙権というものをあなた方は古い日本の観念であまりに軽視されておる傾きが私は十分にあると思う。私はアメリカの大統領選挙の前に日本へ来ておりました向うの軍曹に会いましたが、その軍曹は、私は今度大統領選挙に帰れるのでたいへんうれしゆうございます、こう言つていかにも宝の山でも探したような気持になつて語つて喜んでおる。何を君は考えておるのだ。——君一人がアメリカの大統領の選挙をしたからといつて、それでアイゼンハウアーが当選するとか、トルーマンが当選するとかいうほどのものではない、はるばる太平洋を渡つて選挙権があるとかないとか、投票できるとかできないとかというほどのものじやないじやないかというような心持で、何を考えておるか。こう言つたところが、日本人は何を言うのだ、大統領の選挙をすることはアメリカの国民にとつては最上の光栄であり、権利である、われわれがこれを果すことが一番人生に生きがいのあることなのだ、こう言つておるのであります、私は憲法政治、民主政治の徹底せる国民はここまで来なければならぬと思う。それを行政官庁の方で、実際にその結果がどういうようになるかということを十分に考えなければならぬ。あなたの方で第一次の通牒を発し、第二次の通牒を発せられた。そのことによつて地方庁はどういうようになつておるか。町村選挙管理委員会の方では、十分に選挙権の漏れぬようにしなければならないという取扱い方をしておる選挙管理委員会もあります。ところが選挙管理委員会の方では、自治庁が発した一次、二次の通牒を見ても不徹底だから、これで後に問題があつたときには、選挙管理委員会がそれを行使したことに責任があるのだから、そう簡単に登録するわけに行かぬといつてがんばつている委員会もある。事実そういう結果になつておる。それをただ単にあなた方は縦覧期日があるから間違いがないと言うが、必ず間違いがあると私は思う。それは一万人あるか、二万人あるか、その数の程度はわからぬのでありますが、私は今あなたに申し上げておきたいことは、第一次の通牒が誤つておるから第二次の通牒を出された、それで修正をしようと考えられたものだと思う。従つて第一次の通牒は取消すべきものだ。それを官僚的頭の置きどころから、依然としてそれを置いて、それをいかにも訂正しておきさえすれば第一次の通牒の失敗であつたということが補われる、こういうような取扱いをされたところに根本的な原因がある。だから私は第一次の通牒は取消すべきものだと思う。今後どういう処置をされる考えであるか。このままでほうつておくのか、この点を明確にしてもらいたい。それから文部大臣にも御答弁を願いたいことは、このことによつて学生が動揺いたしておつて、数日来もう盛んにわが党へも来ておりますが、各党へ来ておると思いますが、陳情、請願等の行動を起している。非常に不安がつておる。こういうことでは安心して勉強できないと思う。こういうことは文部大臣といたしましても、ただ自治庁にまかせるだけでなしに、ほんとうに学生が安心して勉強できるようにしてやるべきものではないかと思う。文部省としては、自治庁の通牒が正しいのだ、ほうつておけばいいのだとお考えになつているのかどうか。この点をまずお二方から御答弁を願いたいと思うのであります。

金丸三郎総理府事務官(自治庁選挙部長)

○金丸政府委員 第一次の通達と第二次の通達の関係は、先ほど御答弁申し上げましたように、第一回の通達の与えます印象あるいは解釈等から、学資ということに非常にとらわれると申しましようか、真意がつかまれにくいような点もあつたりいたしました関係上、第一次の通達を補足する意味と、次官会議、閣議等の了解を得ましたので、そのような趣旨で名簿をつくるようにしましよう、こういう二つの目的を持つて出したものでございます。従いまして第二次通達を出したから第一回の通達を撤回するという筋合いのものではございませんで、相まちまして一つのものになるというわけのものでございます。それからすでに再々申し上げましたように、今回の通達の法律上の解釈の問題としては、次官会議、閣議等の了解も得まして、政府としてその方が正しいという結論から出ておりますので、その通達の線で名簿等も調整をいたしておるわけでございます。ただ先ほど来お話もございますようにいろいろ御意見もございますので、選挙制度調査会に諮りまして、そこで公正な結論を得て国会へ出しまして御審議を受けたい、こういうふうに考えておる次第でございます。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 この問題は本来が法律の解釈の問題でありまして、従つて自治庁において通達を出されましたのはきわめて事務的な考え方で出されたものと私は想像しております。率直に申し上げますと、その点多少政治的な考慮が欠けておつたのではないか、こう思うのであります。ただこれが学生に非常な動揺を与えて、大げさに言えば勉強にもさしつかえるという情勢となり、私どもその点から心配をいたしまして、自治庁の方にもいろいろこの点の事情をお話して善処方を要望して参つたのであります。ただいまも御説明がありましたが、これは法律の解釈の問題でありますから、この点疑義を一掃して、学生が安んじて選挙権行使ができますようにするためには、どうしても立法的な措置によつてはつきりきめるということが必要のようであります。自治庁におきましてはその意味において成案を急いで、次の国会で立法措置によつてこの点をはつきりされるということでありますから、私はなるべく早くその点を明瞭にしていただきたい、こういうことを希望しておる次第であります。

前田榮之助日本社会党(右)

○前田(榮)委員 今の答弁を聞いてみても非常に不満な点があるわけでありますが、この前公職選挙法特別委員会において議決されたことが、ある一部の党が退席したために全会一致ということになつていないということから、多少そこの効力に疑義がある、こういうことで自治庁としては、それぞれの諮問機関に諮問をして、新しい法律をいかにすべきかということを次の国会ではかりたいという御答弁のようであります。このことは国会においてすでに担当の公職選挙法特別委員会において議論になり、退席等の問題があつても、明確にされておる。衆議院においてそういう態度がされておるのであつて、それは議決にすぎないのでありますが、特別委員会はやはり立法機関としての委員会でありますから、次には必ず立法処置が行われなければならぬのでありまして、その立法処置が行われるようにするために、その準備をされておるのかどうか、それはただ単に自治庁の参考に諮問をしておるのか。自治庁がそういうことをせずに、ただちに衆議院の特別委員会にこの問題を提議して、ことに文部大臣は議席は参議院にあつても自由党に籍があられる。一面国会の立法機関に参画しておられるのであるから、そういうことについてもむしろ積極的に早く立法処置をとるようにしなければならぬと思いますが、これを必ず次の国会には出すというお考えがあるかどうか、この点をはつきりさせていただきたいと思います。

金丸三郎総理府事務官(自治庁選挙部長)

○金丸政府委員 自治庁といたしましては、選挙制度調査会の答申によりまして、法律の改正案として国会へ提出しまして御審議をいただきたい、かように考えております。これはできるだけ通常国会に早く提出するようにいたしたい、こう考えております。

田中久雄改進党

○田中(久)委員 ちよつと関連して……。選挙人名簿の閲覧期日はすでに余すところあと、一週間ばかりであります。しかもなおこれは釈然といたしておらぬことでありまして、混乱は続けられておるのであります。私は選挙というものは予想せられる選挙もありますし、予想せられない選挙もあるので、やはり一刻も早く、出た通牒はしかたないとしても、名簿作成中においてでも、一人でも名簿に漏れないようにする配慮は必要であると思つております。そのために全国的に知らしめる意味からしましても、私は文部委員会としてここに一つの決議をして行きたいと思うのでありますが、理事会の招集をひとつお願いいたします。

原田憲自由党

○原田委員長代理 速記をやめて。     〔速記中止〕

原田憲自由党

○原田委員長代理 速記を始めて。山崎始男君。

山崎始男日本社会党(左)

○山崎(始)委員 前会に引続きまして地方教育委員会制度のことで文部大臣にお尋ねいたします。前会、現在の地方教育委員制度というものに対して文部大臣は育成をしたいという言葉で御表現になられました。私たちも民意を直接文教に反映させるこの地方教育委員会制度というものに対して、もとより反対するものではございません。実にりつぱな民主的な教育制度だと思つておりますが、大臣の育成をしたいというこの言葉の中に、どういうふうな具体性があるかということが私は一番問題じやないかと思うのでございます。と申しますことは、小林委員からもこの点には触れておられたようでありますが、現在の地方教育委員会の実態というものが、はたして真に民主的な目的を達しておるかいなかという一つの問題、いろいろわれわれから見ますると、欠点が非常に多い。教育的な本来の姿、効果をあげるというよりは、むしろ欠点が幾多見受けられるのでございます。大臣の育成をするというこの具体性の中には、こういうふうな欠陥はいましばらくほうつておいて、このままの姿で育成をしたいといわれるのか、それとも制度自体は実はりつぱな制度だから、ただ現在の欠陥を大いに補つて育成をして行かなければならない、言いかえますと、行政規模の問題もございましよう。今日のように学校の先生が七人か八人かの小さな村に教育委員が五人もおる、あるいはまた教育委員の五人の中には、あまりにも選出される行政規模が狭いために、選出される人をはたして得ておるやいなや、こういうような疑問の点が私たちにはたくさんあるのでございます。そういうふうな幾多の欠陥、あるいはまた財政的な予算面のことになりましようが、財政的にも非常に弱体である。こういうような育成という事柄の中には、もつと予算をふやして、うんとこれらが活動できるように、教育的の効果があるように仕向けなければならぬというような育成という考え方もございましようし、私は先日の大臣の育成という言葉の中のそういう点についての具体的なお考えをいま少しお承りしたいと思うのでございます。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 申すまでもなく教育委員会制度というものは、従来わが国には全然なかつたまつたく新しい、いわば画期的な制度であります。ことに市町村教育委員というものはまだ実施された直後でありまして、従つてこれが発足して以来いろいろの点で欠陥と申しますか、十分に制度の精神を生かして参ることができないというようないわゆる欠陥というものが私もあると存じます。育成と申しますことは、いわゆる欠陥があつてもそれはかまわぬ、何でもこれを維持して行くのだという意味ではありません。育成という意味は、やはり欠陥のあるところはどういう点が原因であるかということを個別に研究いたしまして、欠陥が除かれて、真に制度の期待しているような働きを地方教育委員会がして参り、健全なる発展を遂げて行く、そういうことにしたい、私はそういう意味で育成ということを申し上げたのであります。そこで欠陥があり、あるいは他の地方の機関との間に、たとえば町村長の間に摩擦が起る、いろいろな点が世間から御指摘されておるのでありますが、これにつきましてはどういう点が原因であるかということを見きわめなければならぬ。実はその主要な点は、生れたばかりの市町村教育委員会というものが、十分に機能を発揮するに足るだけの予算の裏づけがない。そこで市町村側ではそういうものをつくられたけれども、それだけ市町村としても負担が増す、はなはだ迷惑だ、しかも十分な働きもしておらぬじやないか、こういう点がよほどあるんじやないかと思うのであります。でありますから、私といたしましては、とにかくちやんと動けるような、動けるだけの必要な予算の裏づけだけはぜひして行きたい、こういうつもりであります。ひとり予算の点のみならず、いろいろ欠陥が指摘され得ると思います。そこらにつきましても、できるだけその原因をきわめて、その欠陥を排除して、そうして地方教育委員会の委員諸君が、その法律が所期しておる重大な任務というものをよく自覚されて、せつかくわが国としては画期的な教育制度でありますから、十分に制度の精神を生していただけまするように、その将来の発達を期待する、こういう意味で育成という言葉を使つたのであります。

山崎始男日本社会党(左)

○山崎(始)委員 予算上のお気持はいささかわかりましたが、私たちは教育委員会制度自体に対して反対でないと最初私は申し上げておきましたが、現状の姿は、むしろ予算も予算でございまするが、先ほどちよつと私が触れました行政規模の上から見て、はたして今日の教育委員会制度というような、わずかな人口の分野で、わずかな生徒数で、学校の教員組織でもつて、地方の自治体の末端にまでこういう民主的な制度が行われておるというところは、おそらく諸外国にその類がないんじやないか。最も民主的なという点において、一番その先端を走つておるのが日本の現状であると申し上げても私は過言でないと思うのであります。その反面に、日本の民主化というものがいまだならざるときに、非常に制度自体は民主主義的な教育制度をとつている。ここにこの地方教育委員会制度が所期の目的を達しないところの、いわば半身不随的な点が多々ある。これを直して行かなければならない。予算の上の金銭的な面で直して行くことも一つの方法、と同時にその金銭的以外の行政の規模の面——大臣は四時までで時間があまりないようでありますから、私も簡単に申し上げますが、この行政規模がはたして適正か適正でないかという面が、今日の地方教育委員会制度というものを今後りつぱに育て上げるか上げないかという最大条件だと私は見ておるのであります。この点は片山内閣の時分にできまして、この制度が三年間か二年間かの準備時間——研究期間といいますかがあつたはずでございます。それが昨年の七月に、御承知のように参議院選挙でもつて、もう一箇年研究期間を延ばすべきであると、最初参議院で決議されて可決されておりながら、衆議院へまわつて、この問題が、いやもう即刻実施するんだといい、あるいは半年もう少し様子を見ようじやないかといい、あるいは一箇年延ばそうじやないかというたことは、大臣も御承知の通りだと思うのでありますが、それが八月のあの例の解散で畸型児として生れて来ている。その点は大臣の御答弁では、ようやく一年間たつたばかりだから、まだ試験期だとおつしやいまするが、ほんとうは私はそうじやないと思う。この試験の準備、研究の時間というものは、今日まで多分にあつたはずであります。そういう畸型児的に生れて来たものを、現状の教育委員会制度そのままの姿でいつまでもほつておかれるということは、世間に非常な混乱を起すもとじやないか。地方から上つて来ておりまする地方教育委員会の委員の人たちの意見を聞いてごらんになつても、私はそうだと思いまするし、世間一般も地方教育委員会は廃止すべしという意見を出している。文部大臣は文部省本来の建前から廃止はしないんだ、むしろ育成をするんだという、まつたく正反対のままの姿でおつて、中に育てられているところの子供は、一つの畸型児である現状にあるという——私はこの点はただいまの大臣の御答弁で、金銭的な予算的なお気持はよくわかりましたが、この点はもう少し行政的な面から、——これは直接文部省の所管とはいささか違う点もあるかもしれませんが、少くとも教育効果をあげさせるという点においては、即刻文部省は文部省として、この地方教育委員会の今の姿をどうするんだ、いま少し様子を見るんだという考え方でなしに、こうしたいんだ、こうしようと思うんだという具体性を早く持つていただかなければ、非常に混乱を起している、不安を与えている、このように私は考えますので、時間がございませんから、私は単なる要望にとどめておきまするが、どうぞ一刻も早くこの現在の地教委の姿というものに対して鋭い御処置を、育成をするならするようなふうに、ひとつやつていただきたいと思うのであります。  次に日本教職員組合が、先月でありましたか中央委員会を開きまして、従来までの日本教職員組合のあり方自体に対する反省をやつた。それに対して、従来の行き方の悪いところは悪いという一つの反省の結果、いわば戦術の転換といいますか、そういうことをやつたということを、私も直接聞いたわけではございません、新聞その他で見たのでありますが、十六特別国会の、特に日教組の人たちが文部大臣室を占拠いたしましたあの直後、それから後の世間の日教組に対する気持、特にこの文部委員会における空気、並びに大臣御自身の御答弁から来るところの日教組に対するお気持というものも、われわれはある程度察知いたしているのでありますが、かりにもそういう一つの反省をしたということに対する大臣の今後の日教組に対するお気持を卒直に伺いたい。私は前国会のときにもちよつと申し上げたところでありますが、なるほど日教組という建前から見ますと、これは文部大臣と対立の姿になる当然の性格を持つておりますが、その個々の五十万の教職員というものは、教員であるという立場からいえば大臣とは切つても切れない緑があるんだということを私は申し上げたつもりでありますが、そこらの団体としての行き方に関する反省に対する大臣のお気持の一端をお聞かせ願いたいと思うのであります。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 これは地方の教育委員会に限らず、非常に理想的な民主的の制度として戦後考えられたいろいろの制度が、そのまま法律となつてわが国に施行せられて、それがはたして日本の現状とマツチして、所期の効果をあげておるかどうか、この点はひとり地方教育委員会に限らず、他のいろいろの制度にもしばしばそういう点が指摘されておるのでありまして、一度制度ができた以上は、やはりできるならばその制度を現状に合うように、こまかいところは改訂を加えつつ、日本の現状にマツチさせながら制度を育てて行くのが筋であろうと思います。なるほど地方教育委員会のいろいろな機能が非常に不活発で——お言葉によると畸型児の状態におる、半身不随のような状態におるという一つの原因として、行政区域といいますか、規模が小さ過ぎるところがあるという点は、私も確かにあると思うのであります。しかしこれはひとり地方教育委員会だけの問題ではないので、御承知のように、わが国は国民の生活上の伝統も歴史も古い関係もありまして、非常に小さい貧弱町村と申しますか、非常に小さい村が諸所にあるわけであります。それがためにいろいろな面において末端における地方行政というものが思うように行かないという点は、しばしば指摘される通りであろうと思います。これはなかなか困難な問題でありますけれども、自治庁において町村合併をして、そしてむだなことのないように、町村行政の機能がのびのびと発達して行くようなことにしたい、それにはあまり規模が小さいのではいろいろの面からうまく行かないから、規模を大きくしたい、こういうことであろうと思います。同じ問題がやはり教育委員の場合にもあるのでありますが、教育委員会は、やはり大体わが国の従来及び現在においての地方の行政単位としての町村があるのでありますから、それが教育の面における、たとえば学校施設であるとかその他の費用もその団体が負担する、その団体において処理するという仕組みになつておりますし、町村団体というものとかけ離れて、教育委員会の区域だけをつくるというと、また今度は町村との関係においていろいろめんどうがあり、不便な点が起るのではないか、その点は私ども同感でありますが、せつかく町村合併ということが最近強く打出されておつて、これからひとつ十分力を入れてやろう、こういうことになつておるので、実はそれに非常に期待をして——便乗をするといえばおかしいですけれども、非常に期待をつないでおるわけであります。それはなるほど特に町村組合のようなものをつくる、あるいは学校組合をつくつて行くということも考えられますけれども、しかしそれだけでは今お話になつたような不十分の点は容易に是正されないと私は思います。こういうことは今後も研究、検討を続けて参りたい。  それから次も日教組の問題でありますが、日教組が先月でありましたか、先々月でありましたか、いわゆる地方の代表の諸君が集まられて、従来の行き方について検討されて気持を一ぺん改めてやつて行く、こういう意味のお話合いがあつた。これは私は詳しいことは知りませんが、新聞でそれを承知しております。私は日教組は日教組としての行き方があることでありまして、それがどういう行き方をするのがけしからぬとか、どういうやり方ははなはだけつこうであるとかということを批評すべき限りでもありませんし、それについていいとか悪いということは少くとも文部大臣としては批評がましいことは申し上げられない。ただ先ほどのお言葉のうちにすわり込みといいますか、文部大臣を占領したというようなこともあつて——はつきりそうはおつしやられなかつたけれども、さような事実があつても、私自身は全然日教組に対して感情的には物を考えていないというつもりでおります。どういうふうにごらんになるか知りませんが、私自身としてはああいうことは何も私が大臣になつたから特に私を困らせてやろうということでやつたわけではなし、これは昔からあつたのですし、またよそでもやつておるのです。それに私が特別に腹を立てるとか感情的になるということはありません。また今度日教組が形をかえて、これは私が好ましいことである、こう思つたから、今まで日教組に対しては少し感情を害しておつたが、今度それが直つた、そういうことはないのであります。御承知のように日教組は教員の団体でありますから、日教組の動きについては、これは先生の団体である限り十分関心をもつて、見られる限りはこれを注意して見ておるつもりでおります。しかしそれは関心は非常に持つておりますけれども、日教組がどういうことをするのはけしからぬとか、日教組の組合としての動きに対して、これはいくら先生の組合であろうとも、私の考えのように日教組に方向転換をさせたり、私の考えのように日教組にこつちを向いてもらいたいとかあつちを向いてもらいたいというような制約を加える気持は初めから毛頭ないのです。でありますから、今度のことにつきましても、もちろん新聞で読んだ程度ですから、詳細はわかりませんが、いいとか悪いということはここでは答弁は差控えますが、私個人の感じを申しますとたいへんけつこうなことだ、実はそう思つておるのであります。くどく申し上げるようでありますが、私は日教組をどういう方に向かせようとか、どういうふうに動かして行こうとか、そういう考えはまつたくないのであります。この際でありますから、私が日教組を目のかたきにして、日教組という何か特殊のものを対象としていろいろなことを考えておる、あるいは研究しておるというふうに伝えられておる面もあるようでありますが、私は教育基本法の第八条第二項ですかにあります学校における教育の中立性というものはあくまでも堅持せらるべきものである、これが私の最大の関心事でありまして、いかにすればこの基本法第八条第二項の根本精神が学校において十分確保されることになるであろうかということを考えておるのでありまして、日教組というものを対象として、ああいうことをやつたのはけしからぬとか、これは非常にいいとか、そういう立場はとつておらないのでありますから、そういう点はお尋ね外でありますが、御了承いただきたいと思います。

山崎始男日本社会党(左)

○山崎(始)委員 前国会のときにああいうふうなすわり込みがございましたが、あれも私が冷静にそばから見ておりますと、やはり人間は感情の動物でありますから、いささか日教組としても、大臣に面会を申し込んだ時間を短かく切られたというようなこの最初のいきさつが必要以上にああいうふうに世間を騒がしたことになり、あのこと自体が日教組にとつてプラスかマイナスか私は批判したくございませんが、前国会の文部委員会でああいうふうな空気をかもし出したことは、ひいては大臣と五十万教職員との間に阻害ができたかのごとく世間にも伝えられて来たんじやないか。前岡野文部大臣のときにも、やはり日教組は年中行事のごとく議会の当初には自分らの要望事項を出したのであります。これはいわゆる先生という立場から見れば、いわば親にも比すべき文部大臣に聞いてもらいたいというこの気持は私はわかるのであります。いつも年中行事のごとく議会の前にはこれがあるのでありますが、岡野文部大臣のときにも十五国会でありましたか、会わせろ会わないで、私もその仲介の一役として、大臣そう十分二十分と言わずに、三十分くらい会つてやりなさいと言つたこともあるのであります。たまたま前国会にあなたが大臣になられまして、いまだかつてああいう例はないといわれるほどの事態を引起した。私は日教組からこれから先も——頼まれたわけでもございませんが、おそらく次の国会には日教組は日教組として意図する要望事項を一ぺん文部大臣に聞いてもらいたいという申入れも、私は必ずやるのじやないかと思つておるのであります。私が大臣に戦術転換したあとの日教組に対する御所見をお伺いしましたのは、大臣とすれば、先ほどの御答弁で何も自分は感情にこだわらぬと言われましても——これは人間ですから、私はこだわられても何らふしぎはないと思うのでありますが、私はむしろ戦術転換をした——言葉をかえて言いますれば、自分の悪いところは悪いと率直に認めたこの団体に対して、次の国会が始まりましたらまた大臣は忙しくなるのでありますから、ここで休会になりましたならば、あなたの方からどうかといつてむしろ逆に面会をする、今ならひま——ひまといつては語弊かあるのでありますが、今なら議会中でもないし、やがて議会も始まるのだがどうか、お前の言いたいことを言うてみろ、私は何ぼでも聞いてやるからというふうな気持をあなたが持つていただくことが、私は日本の文教行政を円滑におやりになる上に必要じやないかと思う。まして先ほども言いますように、反省をしたあとの日教組なのでありますから、また前国会のああいうふうな感情的なこだわりもあるのでありますから、むしろ大臣からそういう機会をつくつてやるということをしていただきたいと私は思うのであります。あなたに対して、その気持がありますかという質問を私はあえていたしません。してくださることを私は要望いたしておきます。私はこの点は日教組から一ぺんも頼まれたことはございません。はつきり申し上げておきますが、私は文部委員の一人といたしまして、文教行政を円滑におやりになるためにはやはりそういうことも大いに必要じやないかという気持がございますので、この問題では私はあえて質問をいたしません。この点を要望いたしておきます。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 お尋ねではないということでありますが、関連をして申し上げておきます。実はもう一月以上前かもしれません。日教組の代表の諸君が十人くらい私の部屋に見えた。見えていろいろ話を聞きもし、話をしたのであります。そのときに、どうもお互いに——日教組の代表の諸君の言われる言葉でありますが、大臣はわれわれを誤解しておるように思う、また私どもの方でも大臣を誤解しておるかもしれぬ、であるから今後十分文部省と連絡をとるというか意思の疎通をはかるというか、従つて御用のときはどんどん呼び出してください。それからまた私どもの方であなたに話をしたい場合にはどんどん伺いますから、どうぞそういう気持でひとつやつてもらいたいという。ちようど今お話のような話があつたのであります。そのときに私は、それはたいへんけつこうだからぜひそういうふうにありたいと思うということを当時言つたのであります。じようだんまで言つて——私は話を聞いたりするには、せいぜいきようくらいの人数が一番話もよくわかつていいけれども、百五十人も二百人も押しかけて来たんじや、話をしようにもよくわからぬし、私は気が弱くてつるし上げを食らうのは困るからというじようだんも言つてわかれたのでありますが、私の気持は今申し上げたように、日教組だから会わぬというような固苦しい気持は持つておりません。

原田憲自由党

○原田委員長代理 前田榮之助君。

前田榮之助日本社会党(右)

○前田(榮)委員 文部大臣はさきに文部行政の問題から、教育内容の刷新、義務教育の充実、学術振興、理科教育等の学術の振興等四項目をあげられて予算説明等の場合にも強く主張されておるのであります。その中の義務教育の充実については、特に四つの項目の中でも日本の教育の機会均等その他の観点からして重要な点であろうと思う。そこで文部大臣にお尋ねを申し上げておきたいのは、さきに自由党内閣では義務教育の全額国庫負担を計画されたことがあるのであります。これは一面義務教育学校職員法等とも関連をいたしておるかと思うのでありますが、その方面は別といたしまして、当然義務教育は憲法が規定いたしておるように、全額国庫負担はできれば正しい。われわれもやりたいものだと思う。この点については文部大臣も心持については御同感いたしていただいておると思うのでありますが、かつて自由党内閣において計画されたことがあるので、私はこの際文部大臣は近い将来において提案をし実施をしようという御意思が今日あるかどうか、この点をまず第一にお尋ね申し上げておきます。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 義務教育費をどの程度まで国庫で負担すべきものであるか。教育は申し上げるまでもなく次代の国民を育て上げる大事な国の仕事でありますから、その意味におきましても国庫においてその負担をすべきものである、ということははつきり言えると思うのであります。しかしその地方等の負担区分と申しますか、その割合を全額負担をすべきものであるか、あるいはどの程度に負担をすべきものであるか。これは何と申しますか中央と地方との財政の問題も考えなければなりますまいし、そうりくつの上でこうあるべきだという筋は出て来ない。そのときの実情によつて決するべき問題だと思います。御承知のように義務教育の国庫負担の問題は、数十年来種々政治上の問題となつて今日まで来ているのでありまして、国の事務であるからすなわち国が負担すべきものである、こういうりくつにはなかなかならないのであります。国の事務とはいいながら、それぞれの市町村、それぞれの府県のその地方々々の子供を育てるのでありますから、その地方団体がある程度の負担をする、これもりくつとしては成り立つのであります。そこで問題は、現在半額負担ということになつておりますが、進んでこれを全額負担にすべきものかどうか、これはただいま申し上げましたように、中央と地方との財政の点をにらみ合せて、各般の事情を勘案しなければ簡単に結論が出ない問題でありまして、私としては今簡単に全額負担すべきものである、こういう議論はなかなか出せないと思います。それがいけないということも言えないので、これは今後十分検討を続けるほかしかたがない、こういうふうに思つております。

前田榮之助日本社会党(右)

○前田(榮)委員 今の答弁はどこをつかまえていいやら訳のわからない答弁です。実情によつていろいろ考えなければならない問題だと申されますが、しかしかつて、そう五十年も百年も昔ではない、ほんの二年ばかり前に自由党の内閣は、一応半額国庫負担ということを国会がきめた直後に、それを乗り越えて全額負担をしようという決議をされた。このことは自由党から考えますと、実情が全額負担の実情のところまでもう進展している、こう観察されたものであると思う。従つて実情によつて考えられるのは当然でありますが、今文部大臣は、今日の実情の上に立つて全額負担をもう進めてもよいときだ、これはもちろん国家財政や地方の事情その他の関連性も含めての観点に立つて、もう今日まで来ると全額国庫負担を進めるべきときである、従つて進めようと考えている。しかしそれは今年度はむずかしかろうから、来年度あたりにそれを考えている、こういう点の観察を聞いているのであつて、そのときどきの事情によつてやつたりやらなかつたりを考えるのだということになるとその考えならだれでも考えているものであつて、もう少しつかまえどころのある答弁をしてもらわなければ質問をしたかいがないことになるのでありますが、その点もう少し実情をいかに考えているかということを含めてひとつ御答弁を願いたい。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 義務教育費の全額国庫負担法が国会に提出せられましたときの事情については、私は詳細には承知いたしておりません。しかしその当時は当時、今日これはたいへん大きな、国庫負担金額として非常に多額なものに上りますから、これだけの金が今日いつでも用意してあるというわけではない、これは御承知の通りであります。いわんや二分の一負担すらも富裕県に対して何とかまけてもらおうというような、まあ財政的にいえばそういう事態であることも御承知の通りでありますから、私の方で全額負担ということを言つてみたところで、これは非常に多大な財政の面とつながることでありますから、これをそうしたいとか言うてみたところで、それだけの予算措置ができないということであれば、これは無意味になるのでありますから、それらの点をとくと検討いたしたい、こういうことで御承知を願いたい。

前田榮之助日本社会党(右)

○前田(榮)委員 全額国庫負担の問題はこの程度にいたしておきますが、少くとも私は、今文部大臣にお尋ねすることは一面文部大臣は行政庁の長官であり、一面内閣の国務大臣として、国会にあるいは国民に対しての責任をもつて国政を担当するという立場で御答弁を願いたいと思うのであります。御答弁の中にもありました富裕県の交付金をもう少しまけてもらわなければならぬということまで考えているとのことでありましたが、私はこの義務教育費国庫負担法の特例法については、実は御承知の通り、私広島県でございますが、中国地方の各府県知事が強硬にこの特例法を通過するように努めなければ、富裕県以外の府県は間接的に教育費等に影響を来すことになるからというておるのです。ことに大阪府知事あるいは東京都知事が、他の四十三府県の知事も賛成したなんていううそを言つている、こういうことは不都合千万だ、こういう強硬な議論まで出ているので、一つ心配な点は、もしこの富裕県の交付額を減額せなかつたならば、その結果として他の富裕県以外の府県の半額負担というものに影響があるのかどうか。私はあるべきではないと思う。またそれがひいては富裕県以外の府県の平衡交付金等にそのしわ寄せが来るという結果になるのでございますか、これは教育費との関連性において重要な点であるので、明確に御答弁を願いたい。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 これは法律にはつきりきまつたいわば法律上の国の義務として支出しなければならぬものでありますから、特例法が成立してもしなくても、他の府県に交付されるといいますか、他の府県に関係して国で負担すべき額がそのしわ寄せを受けて減らされるというようなことはないのであります。

前田榮之助日本社会党(右)

○前田(榮)委員 その次にお尋ね申し上げたい点は、この特例法がよつて来るところの原因となる問題は、いわゆる固定資産税やその他の富裕県の租税財源というものから来る平衡交付金の交付の関係で、これらの均整をいかにするかという点を、その方ではうまく調整ができないから、従つて義務教育費半額国庫負担の負担額においてこれの均衡を調整しよう、こういうところにあると思うのであります。ところが御承知の通りに義務教育費というものは、国民の重要な子弟が教育を受け、その子弟の数に正比例して教職員というものが置かれておつて、その教職員の給与等の半額負担を国庫が見るという憲法の方針、教育精神、こういうものに織り込まれて半額負担をやる、その負担は富裕県である東京都、大阪府、こういうものには、お前のところでは金があるらしいから半額やらないのだ、こういうかつこうにおちついて来る結果になつておると思うのであります。そのこと自体は税法のどこかに不均衡があるか、あるいはまた交付金制度に欠陥があるか、そういうところから来ておるのであつて、教育費そのものが生徒数に応じ、それに応ずるところの教職員の数に応じて交付される義務教育費、たとい富裕県だといいながらもここへ甲乙をつけるべきものではないと私は思う。甲乙をつけるならばほかの方でやるべきだ、すなわち教育というものを軽んじてそういうところにしわ寄せをしてほかの欠陥をこの教育費で補おう、ここに来ておるところに教育担当をしておられる文部大臣が——これは必ずしもそういうことを文部大臣が地方税法やその他すべてを今までやられたのではないから、根源は今の大達さんに責任があるとは申し上げませんが、現実に文部行政をあずかつて、そして国務大臣として国会に責任をもつてやらなければならぬ立場の文部大臣が、あなたの行政官庁にしわ寄せをされてここで富裕県と、富裕県ならざる間の調整をしようということを軽んじて見ているわけには責任上行かないと思う。もしこれが前の帝国憲法時代であるならば陛下に対して腹を切つて申訳をするか、みずから責任をもつて辞職をするかというところまで来ると思うのでありますが、今の憲法はそういう点がきわめて不明確だと思わぬのではありますが、最近の国務大臣の態度というものは、前の憲法のもとで古いわれわれの先輩あたりがとつた態度、責任という点において多少差ができておると思うのであります。それでそういうことは別といたしまして、文部大臣はこの富裕県と富裕県ならざる間との調整というものは教育費ではやらないこういう立場を明確にしなければならないにもかかわらす、文部大臣がみずからこの文部委員会においてまけてもらわなければいけませんということを言われるに至つては、われわれ文部委員として心細くなつたわけですが、もつと腹を立てて生命を賭して日本の教育制度を確立させる、こういうことの決意ができるかできぬか、そういう点での見解をお尋ね申し上げたいと思います。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 前の国会において特例法が提案されまして、それによつて富裕県に対する負担を暫定的にやめる、あるいは減額をする、こういう提案かできていることは御承知の通りであります。その趣旨はただいまお話になりましたように、地方団体の間の財源の配分というものが現状きわめてアンバランスであつて偏在をしている。これをあらためて適正な公平なものにするためには、やはり中央、地方を通ずる財政、税制の改革をしてそれによつてこういう偏在をなくすることにしなければならぬ、それが本筋である。それができるまでの間、暫定的に特例法によつて財源が非常に片寄つて比較的楽であるところのいわゆる富裕県に対しては負担をしない、こういう趣旨で提案されたのであります。これも御承知の通り遂に結論審議をいただきませんで、握りつぶしによりこうなつております。今度の国会におきましては、これは災害予算あるいは冷害予算ということに一応限定した予算でありますから、前国会においてこの特例法が握りつぶされた結果、当然に四十八億円というものが補正として追加されなければならぬ、こういう筋合いになる。そこで今度の補正予算にそれを盛り込むというのも一つのやり方でありますが、それは今度の補正予算は災害と冷害とに一応限局されて編成されたから、第二次補正の問題となるわけであります。ただ当初から御承知のように、現在非常に財政困難であるという立場から、大蔵省としてはすでに交付したものは別として今後交付すべきものだけはひとつ交付しないで済むように、つまりあの特例法をもう一ぺん御審議を願つて、少しでも財政的な苦しいところをひとつ緩和させてもらいたい、こういう強い希望があるのであります。しかしこれは要するに第二次補正のときの問題でありまして、なおこの点につきましては、関係の方とよく話合いをしなければ、ただいま特例法を再び出して富裕県に対する交付額を減らすことにするのか、あるいは現行法の建前通りはつきり実際決算額の二分の一を負担するということにするのか、この点この次の第二次補正の問題として実はまだ内輪で話がきまつておりません。むろん文部省としてどうしても特例法を出さなければならぬという立場はとれません、とれませんが、一面政府全体として、それほど予算化が難儀なのだから、政府の全体としての考えで協力しなければならぬことも考えられます。その点はまだ何とも結論的には申し上げられません。

前田榮之助日本社会党(右)

○前田(榮)委員 今政府全般を考えなければただちにはつきりした答弁はできないとのことであります。その点は私も了承はいたしますが、ただ先日の当委員会において、坂田君その他からも非常に論議が出ておりまますが、最近のいわゆる児童、学生の激増した、こういうものから来る明年度の学校施設の急激の増築を行わなければならぬという事情から考えましたときに、特にこの富裕県というものが学校教育費に非常な困難を感ずるということが現実に見えておるのであります。文部大臣は、前に実情によつてという言葉がありましたが、都会集中的な人口増から来る問題と、それから終戦後外地へ出ておつた壮年が帰つて来たことによつて入学率がふえて来たということからいたしまして、富裕県の財政不均衡がこういうところへ現われて来たのでありますから、これは一文も値切らないで、半額国庫負担でやつて、そのかわり条件を付して、教育施設を十分に充実するようにしようということをやればちようど地方財政の均衡等もこれで調整ができるのではないかと思うのです。来年度予等編成のときに、実情はここまで来ておるということを考えてこの点をひとつ強くがんばつて、閣内で十分に大蔵省やその他をよく説きつけて、半額国庫負担を甲の県と乙の県との差異をつくらないように、教育費だけは、半額国庫負担あるいは全額国庫負担あるいは三分の一国庫負担ときめたら、その通り全国の都道府県に一文も値切らずに行われるということが、教育を尊重しておるというか、国民には非常に精神的に価値がある問題なので、この点を実情に応じてやられるように、大臣としてはそれを十分に加味して考えられるかどうか、この点御答弁を願いたいと思います。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 実際から申しますと、お話の通り結局それだけ地方の財政としては余裕ができるというか助かるわけでありますから、学校の生徒数の急激な増加に対応する施設の方にもそういう金がまわるということになれば、よほど財政が緩和されるという点はあろうかと思います。ただ建前といたしましては、これは教育費といいますか教員の給与に必要な経費を半額国庫負担をするのでありますから、この金は一応教員の給与の方にまわる金、こういう建前でありまして、実質はともかくとして、これでもつて施設の方を大いに充実してもらいたいとか、増加児童に対する施設をこれでまかなつてほしいとかいう筋道にはちよつとなりかねるのであります。実は、東京大阪方面では二部教授をしておるところが非常に多い、これは早く解消しなければならぬ。それから戦災校舎の復旧ができていないところがたくさんある、これも早くやらなければならぬ。さように学校の施設についての経費が非常に必要で、それがなかなか現在の団体の財政費ではまかないきれない実情であるから、そういう富裕県に対しては半額負担をまけてくれとかなんとかいうようなことを言わないで、ちやんとあたりまえにもらいたいという意見が非常に強かつたことは御存じの通りであります。ただ、決してりくつを言うわけではありません、その通りだと思いますが、陳情が下手と言つては悪いのですけれども、あの金は教員の給料に払う金だ。だからそれだけ交付を受けても、普通の県ならば教員の給与に払う金にも困つておるから、半額負担によつてそれのまかないをつける。東京ではそれはもうかまわぬそれはもう自分の手元でできるから、二部教授の方を解消するというようなこと、それは非常にけつこうであるが、そこにまた富裕県は富裕県として、思わず知らず余裕のある点が見えておるわけなんです。これは私たちは非常にけつこうだと思うのです。そういう経費が東京なり大阪に渡つて、校舎が早く建てられて、二部教授などという不自由なことは早く解消することを非常に希望するのでありますが、私どもがそういうりくつを財政当局に持つて行くとやられてしまう。一応これは教員の給与の経費ということに考えております。私どもはどうしてもこれら富裕県には渡さないという線を維持する立場でもなければ何でもありません。できるだけ法律上支出されるようにやつて行きたいと思つております。

前田榮之助日本社会党(右)

○前田(榮)委員 半額国庫負担は給与の関係であるから、給与の金を生徒の増加による増築等に使うということを文部省として公式に支持するわけにも行かないというお説は、これは当然だと思うのです。ただ問題は、出す方の都道府県の方から言いますと、都道府県の方は、もし値切るといたしますと、国から半額来るべきものが来ないために、その方へ学校の増築等に使おうと思つた金まで出さなければいけないということになる。従つて、学校職員の給与の半額はこれこれで国から出るのだ、これは正しくやるやるが、このたりに君の方は財政上多少のゆとりができるわけだから、これを学校の増築等にやつたらどうか。こういうことになれば、何も給与の半額をどうするというのでなく、給与は給与、増築は増築で話はつくと思う。先日東京都からもわれわれのところに陳情がありましたが、五大都市で、生徒数の増加による増築等による費用負担が非常にふえておる。その点をわれわれも話をいたしたのでありますが。どうかその点を十分にお考え願いたいと思うのであります。  国務大臣に対する質問はこれで一応終ります。

原田憲自由党

○原田委員長代理 高津委員。

高津正道日本社会党(左)

○高津委員 私は前田委員の教育を思われる一念からの質問を謹聴していたのでありますが、私も教育行政に関して大達文部大臣に質問をいたします。今日政治的、経済的に困難をきわめる内外情勢の中にあつて、いかにすれば敗戦の日本国を新しく文化的、平和的に再建できるかについては、学者により政治家により政党により種々なプラン、政策が提案されておるのでありますが、私はこの重要なる時期に同僚諸君の席末を汚して国会に議席を与えられておる者の責任にかんがみまして虚心にそれらの諸政策を留意し、検討しておるのでありますが、かりにその最大なる国是について見ましても、親米あり、親ソあり、自主中立政策と、三つに分裂しておつて、国論は帰一していないのであります。しかしながら提案されておるあらゆる諸政策の中で、ここにふしぎにも、各党各派において原則的に異論のない一つの政策がございます。それはほかでもありません。敗戦日本の再建は教育の力にまたなければならないという一つの方策であろうかと存じます。ここまでは各党各派に異論がない。さて偉大なるその教育の力をいかにして発揮させるかという方法論になると、また遺憾ながら説がわかれて参るのであります。私はその多くの方法論の中で、最も根本的なと申しますか、最も効果的と申しましようか、教職員の給与の問題について、本日はただ一点質問をいたします。  各位の御存じのごとく、教職員の給与を規定する法律は、昭和二十五年四月三日に成立を見たあの一般職の職員の給与に関する法律でありまして、この法律は昭和二十七年十二月二十五日に最終改正を見ていたものでありましたが、それを本年八月第十六国会で、自由党、改進党、鳩山自由党の保守三党の多数をもつてさらに改正されたのでありますが、これがいわゆる教員給与の三本建であります。この改正によつて、高等学校の職員のみはようやくにしてあれだけは待遇改善の曙光を認める立場に立たれたのであります。しかしながら給与の二本建を三本建にしたこの立法措置は、全国の教職員中の絶対多数を占めるところの義務教育に携わつておられる小学校、中学校の教職員諸君のひどい憤懣を買つており、その怒りと不満とは、今日に至るもなお解けないでおるのであります。私は同僚諸君とともに、本日も、今月五日に開かれたる全日本中学校長会大会の決議によつて、この問題に関する陳情を受けたのであります。短かいから、その一部分を引用させていただきます。「教職員の給与に関し、かねてから不合理に陥らないよう要請して来たものでありますが、その意図に反し、第十六国会においていわゆる三本建給与が実施されることとなりました。これは義務教育の尊重、給与公平原則などからして、まことに遺憾にたえないところであります。一般職の給与に関する法律の備考に「本表は、暫定的のものであつて、なるべく速やかに合理的改訂を加えるものとする。」と付記されてあるように、一日もすみやかに同一学歴と同一経験年数、同一資格の者については、小、中、高の学校種別により差等をつけないよう、公正妥当なる合理的法律に改訂され、五十万義務教育職員の安んじてその職を全うするよう御措置方、全日本中学校長会大会の決議により、ここに懇願する次第であります。昭和二十八年十一月五日、全日本中学校長会長野口彰。」以上であります。そうしてもちろん小学校長会議においても、御意見はまつたく同様であります。文部大臣は、この法律の備考但書の趣旨を尊重されて同一学歴と同一経験年数、同一資格の者については、小、中、高の学校種別により差等をつけないよう、公正妥当な合理的法律になるよう、すなわち小、中を高等学校のそれと同様に改訂される意図をお持ちになつておるかどうか、この点をはつきりお答え願いたいと存じます。これは捨てておけない問題であり、全国の小学、中学の教職員の現下最大の関心事でありますので、明確なる御答弁をいただつきたいと存じます。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 教職員の給与を二本建とするか、三本建とするか、これはそれぞれ議論のあるところであり、どつちにする方が合理的であり、公平なことになるか、これにつきましても論議のあることは、御承知の通りであります。いずれにいたしましても、前国会においてこの三本建の法律案が提出せられて、そうしてこれが衆参両院を通過して、法律として成立したのであります。私どもといたしましては、ただいま国会において成立したその意図に沿うてこれを実施に移すべく、事務的にそれを進めておるのでありまして、できたばかりで、まだ実施も見ておらぬのであります。これを今不合理なる法律として改正をして、また元の通りにもどすことは、少くともただいまのところは考えておりません。

高津正道日本社会党(左)

○高津委員 二本建か、三本建か、どつちが公平妥当か、それは問題になつておるけれども、今のところ国会の決定の線に沿つて処置しておるところであつて、元にもどす考えはないという御答弁でありましたが、私の申すのは、高等学校の教職員に関するその扱いを取消すというのではなくて、小、中学校のそれを高等学校のそれの線にまで引上げるという思いをいたされないかどうか、こういう御質問なのであります。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 私がただいま答弁いたしましたのが、あるいは言葉が足りなかつたかと思いますが、元へ返すという意味は、制度として三本建になつたものを二本建にもどす。これは議論がありましようが、とにかく職域差というものを認めて、三本建にするのが妥当であり、これが実情に沿うものである、こういう御意図のもとにおいて国会においてこれが成立した。でありますから、今度小学校、中学校の先生の方をこれまた引上げて、高等学校と同じにするということになれば、結局において小学校、中学校、高等学校を通じての待遇改善になつて、これはその点においてはけつこうだと思いますけれども、制度としては、いわゆる三本建の趣旨は没却される、こういうことになるのじやないかと思います。従つて先ほど申し上げました意味は、さような三本建の法律ができて、それをまだ今実施のための準備を進めておるのでありますから、これが事実上二本建にもどるようなことは、結局全体の教員の待遇の向上には非常に役立つけれども、制度としてはこういうことは、今私どもとしては考えていない、こう申し上げたのであります。

高津正道日本社会党(左)

○高津委員 私は、文明諸国の現在の政治の中心のねらいは、完全雇用と、それからもう一つは勤労大衆の生活向上という点に主力が注がれておるように考えるものであります。従つてそういう場合には職域差を設けて、上と下とを差別あらしめるようなやり方でなしに、下を上げて、そうして一番上の部分をたたく、こういう形が正しいのであつて、私は、職域差を固執されるのは世界の新しい政治の方向と違つておるように考えます。それから国会の決定であるからという言葉をお使いになりますけれども、その国会に決定されるような原案を文部大臣はのんで御提案になつたのであつて、その点を私は問題にしておるのであります。文部省及び文部大臣はいやだいやだと言うのに、野党の多数で押しつけたんだというのではなしに、文部大臣がそのような職域差主義というようなものを正しいと認めて、二本建を三本建に、さらに差等をつけられたのであつて、私はそこが問題だと言うのであります。私は、職域差をだんだん少くすべきである、それには下の方をだんだん上に上げるようにすべきだ、そういう方針で教員の給与、ことに義務教育に当つておる教員の給与をお考えになるべきであろう、こう申し上げているのでありますが、文部大臣の所見をあらためてお伺いする次第であります。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 先ほど申し上げましたのは、三本建の法律案というものの考え方が、職域差を認めるという考え方に基いてできておるということを申し上げたのでありまして、職域差を認める方がいいか悪いかという点についての私の意見を申し上げたわけではない。この間成立した法律の考え方が、職域差を認めるということを基本的な考え方としてでき上つた、これを申し上げておるのであります。それからこれはあるいは高津委員の御記憶違いじやないかと思うのでありますが、この法律は御承知の通り文部省あるいは政府として提案した法律ではありません。議員提出で、議員立法として成立した法律案であります。ですから文部大臣がいやだと言えばそれで出ないで済んだものでもなく、あるいは文部大臣が賛成したから、不賛成であつたからということは関係のないことでありましてこれは議員立法として国会においてこれが多数をもつて成立した、こういうことであると私は記憶しております。

高津正道日本社会党(左)

○高津委員 自由党からできておるところのこの内閣が、最初そういう提案を出そうとしていろいろもんだ結果、最終の形式が保守三党の提案という形になつたのであつて、この内閣がそれに賛成し、最初考えておいたところのものがそういう形をとつたにすぎないのだ、私はこのように理解しております。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 これは高津委員がさように御理解になり、御判断になつていることでありまして、私から別にどうこう申し上げることはないと思います。

高津正道日本社会党(左)

○高津委員 もういいです。     —————————————

原田憲自由党

○原田委員長代理 先ほど田中委員から、学生の選挙権の問題について、学生生徒の選挙に関する要望、六月十八日の自治庁通達が学生生徒の選挙権に混乱を起しておることはまことに遺憾である。政府はすみやかに国会の審議に付すべきであるという御要望がありましたが、本件については目下公職選挙法特別委員会で同問題を審議中でありますから、当委員会としてはこの要望の趣旨を公職選挙法特別委員長に文部委員長から申し入れることにいたしたいと思いますが、御了承願います。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原田憲自由党

○原田委員長代理 さように決定いたします。     —————————————

原田憲自由党

○原田委員長代理 それでは前田さんに質問を続行してもらいます。

前田榮之助日本社会党(右)

○前田(榮)委員 過半の災害は、西日本を初めとし近畿その他の災害が教育施設に甚大な被害を与えたことはまことに残念なことでありまして、文部省におかれましても非常に御心配されておる点は心から敬意を表する次第であります。この問題は災害対策委員会の方でももちろん取上げて相当論議になつたのだろうと思いますが、当文部委員会においてもいろいろ取上げられて来たと思うのでありますが、今日まで過般の災害をいかなる程度まで処置されておるか。学校施設についてはそれぞれ法律等に基いてやられておると思うのでありますが、その経過を御報告願いたいと思うのであります。  それとあわせて教科書その他の処置はいかなることになつておるか。こういう点をもし調査ができておりますならばお知らせ願いたいと思います。

近藤直人文部事務官(管理局長)

○近藤政府委員 災害が発生いたしまして直後、まず第一に応急措置をいたしまして、災害救助法の発動によりまして、児童の教育用費につきましてはこれを救済したわけであります。従来単価が低かつたのでありますが、それを相当大幅に引上げまして遺憾のない処置をとりました。  なお教科書につきましては、現地の教科書の配給所に連絡いたしまして手持ちの在庫のものを至急に調査いたしましてそれを罹災児童に全部配給いたしまして、この方も遺憾ない措置をとつたのでございます。なお罹災児童につきましては、従来学校給食を実施しておりましたが、このために非常に困難を来しておりますので、これにつきましてはユニセフから無償のミルクの寄贈を受けて、これによりまして現地の児童を救済する措置をとつてございます。大体応急に処置をいたしましたのは以上のような点でございます。そのほか恒久施設につきましては、御指摘の通り学校の建物の復旧でございますが、これにつきましては、今回御審議を願つております予算によりまして、総額といたしまして西日本並びに十三号台風を加えまして二十三億二千六百万円、このうちには国立学校も公立学校も私立学校も、また社会教育施設あるいは文化財等全部を網羅いたしておりますが、総額が二十三億二千六百万円でございまして、これを二十八年度、二十九年度の二箇年にわかちまして負担するわけでございます。その割合も御承知と思いますが、災害関係につきましては特別措置法が制定されまして、通常の場合におきましては学校施設の復旧につきましては三分の二の補助でございますのに対しまして、この特別措置法におきましては四分の三の補助といたし、また社会教育施設につきましては初めて三分の二の補助をいたすことに相なつております。それから関連いたしまして申し上げますが、私立学校につきましても、これも御承知と思いますが、特別措置法が設けられまして、私立学校の復旧につきましては二分一の補助をする。なお残りの二分の一につきましては、これは私立学校振興会から貸付をすることになつております。それからなお特別措置法につきまして申し上げますると、そのほかもう一本、学校給食用の物資が流出したり、あるいはいたんだというものにつきましては、国が全額補償するという法律ができまして、これによりまして学校給食用の物資、小麦粉とかあるいはミルク等が配給されるようになつております。以上によりまして文教施設並びに文教関係の災害復旧につきましてはほぼ手当がついておるのではないか、かように考えております。

原田憲自由党

○原田委員長代理 本日はこれをもつて散会いたします。     午後五時十三分散会

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