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17回国会衆議院1953/11/17

人事委員会 第3号

発言数
65
登壇者
6
会派数
3
開催日
1953/11/17

会議録

赤城宗徳自由党

○赤城委員長代理 これより人事委員会を開会いたします。  委員長におさしつかえがありますので、私が委員長の職務を行います。  公務員の給与に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。櫻井奎夫君。

櫻井奎夫日本社会党(左)

○櫻井委員 本日の人事委員会は、公務員の給与に関する重要な会議であると思つておるのでありますが、私どもの当面の答弁者である政府が、この席上に出席しておらないということをきわめて遺憾に思うのであります。今出ておられるのは人事院から滝本給与局長だけであります。滝本給与局長に質問することは、結局技術的な問題のみとなるわけであります。本日の質問の一番当面の重要な仲裁裁定、あるいは公務員の人事院の勧告によるベース改訂を、政府がどのように取扱おうとしておるか、この一番重大な問題についての質問の相手がないということは、この人事委員会を開いても、大した意味はないというふうに考えるわけであります。従つて私は、本日の午後あるいはそれが不可能でございますならば、明日あらためてこの人事委員会を開会されて、政府の責任者の出席を求めたいというふうに考えるわけでございます。これはほかの委員の方も御賛成かと思うのでありますが、一応その点をお諮りを願いたいと思うのであります。

赤城宗徳自由党

○赤城委員長代理 ただいま櫻井君から、本日午後政府当局者が出られないとならば、また明日人事委員会を開きたい、こういうお話がありましたが、いかがでございましようか、お諮りいたします。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤城宗徳自由党

○赤城委員長代理 御異議ないようですから、明日人事委員会を開くことにいたします。

櫻井奎夫日本社会党(左)

○櫻井委員 それでは引続きまして、滝本さんおいでのようでありますから、滝本給与局長に御質問いたします。まず地域給の問題でございます。昨日も入江人事官から、大体地域給のただいまの人事院の考えておられる大きな方向というものを、御説明になつたわけでありますが、実際の作業として今どのように進行しておりますか、現在の人事院の作業の実情をお話願いたいと思います。

滝本忠男人事院事務官(事務総局給与局長)

○滝本説明員 人事院といたしましては、当初二段階縮減ということで考えたいということで進めておつたわけであります。また衆議院の人事委員会の小委員会におきましても、従来大体その線でいたしていただいておつたわけでありますが、小委員会と参議院の人事委員会といろいろ御懇談になりました際に、一つのまとまつた意見というものが出て参つておるわけであります。事実上二段階縮減という方法は、予算も相当厖大になることでございますから、ただいまの人事院といたしましては、二段階縮減ということは、もうただいまとしては考えない。従つてでき得るならば一段階縮減、あるいは事実上一段階縮減に近いもの、また二段階縮減を将来やるのに都合のいいような方法で、この際地域給の改訂をやつたらどうであろうということで、大体その線で研究を進めております。二段階縮減にいたしましても、またかりに二段階縮減をあきらめるにいたしましても、将来の問題としては現行三級地というところは、よほど問題になるところでございます。従いまして三級地の基準というものをかつきりやりたい。従来とてもいろいろ考ておつたのでありますけれども、その基準がより明確にされる必要があろうと思いまして、その点の研究を進めております。これは昨日も入江人事官から申されましたように、現在の段階におきましては、まだそれをお目にかけるところまで行つておらないのでございますが、しかし大体結論に近いものまで研究を進めておりますので、これはそのうちにお目にかけることができるであろうというふうに思つております。この基準の作成ということは、抽象的に進めるわけにはもちろん参らないのでありまして、事実上この具体的な作業をやつてみまして、そうしてまた基準の方にはね返つて考えてみて、両々相まつて進んでおります。しかもそれはただいま人事院の事務当局において研究を進めている段階でございますから、人事院といたしましても、まだこの上人事院会議なり何なりで、相当研究する段階が残つておるだろうと考えております。ただいま三級地のところについて申し上げたのでありますが、二級地につきましても同様のことが言えるであめろうと思います。従いまして二級地の基準をかつきりつけるということと、二級地に引上げるものの基準の具体的作業をやるということと、両方相照応しながらやつております。両方とも相当作業は進捗いたしておりますが、しかしまだ現在の段階で、事務当局の作業を終つたというわけには参らぬ、このように考えております。相当進捗はしておりますが、また現在その努力をいたしておりますが、事務当局といたしましても、いましばらく時間がかかるのではなかろうかというふうに考えております。これが現在の実情でございます。

櫻井奎夫日本社会党(左)

○櫻井委員 大体作業状況はわかりました。ただいま三級地、二級地についての作業の状況を、大体具体的の御説明を願いましたが、一級地及び零級地、特に問題になつておる零級地の底上げ、零級検地を一級地に持つて行く、こういうようなことは基本的に考えておられるわけですか。

滝本忠男人事院事務官(事務総局給与局長)

○滝本説明員 零級地を全部一級地にするかどうかということにつきましては、まだ人事院といたしまして、最終的結論がついておりません。しかしでき得るならばその方向にやりたいということは考えております。しかしこれはいましばらくわれわれが具体的に検討いたしてみまして、そうしてその問題を人事宣言の会議で検討しまして、人事院としての決定を出すことになるだろうと思つております。でき得るならば事実上零級地をなくすような方向に参りたい、このようなことで研究を進めております。

櫻井奎夫日本社会党(左)

○櫻井委員 人事官会議等を経まして、人事院の結論が出ましたら、勧告の前に衆議院の人事委員会あるいは参議院の人事委員会、こういうところにお示しになる御用意があるかどうか。

滝本忠男人事院事務官(事務総局給与局長)

○滝本説明員 今最後のお尋ねの、ぎりぎりの点は、本日私がこの席上で、現在の段階ではなかなか申しがたいというふうに私は思うのであります。これは基準の問題を御審議願うことによりまして、事実上そういう目的が達成されるのではなかろうか、このように考えております。

櫻井奎夫日本社会党(左)

○櫻井委員 作業の状況を大体承りましたが、勧告の時期、これは正確なことは、今のような作業状況でございますならば、申されにくいと思うのでありますが、しかし大体予算の編成なんかもございますので、大体の目途は立てておられると思うのでありますが、いつごろの御予定で作業を進めておられるか。

滝本忠男人事院事務官(事務総局給与局長)

○滝本説明員 いつごろということになりますと、これまた私がただいま申し上げがたいというふうに思うのでありますか、われわれ作業が、やつてみましても事実上予算に間に合わなくて徒労になるというようなことでは、これは何のことかわけがわかりませんので、これは二十九年度の予算には間に合うようにいたしたい。

櫻井奎夫日本社会党(左)

○櫻井委員 本予算ですね。

滝本忠男人事院事務官(事務総局給与局長)

○滝本説明員 そうでございます。そのようなことで進んでおります。

櫻井奎夫日本社会党(左)

○櫻井委員 それでは地域給のことはそれだけにしまして、仲裁裁定及び公務員のベース・アツプの問題でございますが、仲裁裁定を八月から実施いたします場合に、幾らの金額を要するかということは明確になつておりますが、公務員の場合、これを一万五千四百八十円のベースで八月から実施したといたしまして三月までに一体幾らの金額がいるのか。いろいろその資料が出ておりますがどの資料も一致していない。これはもちろん適用者の区分等によつて、いろいろ違つて来ると思うのですが、国家公務員及び地方公務員を含めまして、一万五千四百八十円のベースで八月から実施するとしまして一体幾らの金額が必要であるのか、その正確なところをお示し願いたいと思います。

滝本忠男人事院事務官(事務総局給与局長)

○滝本説明員 予算の点になりますると、われわれのところで正確なことは、なくなか申しにくいのでございます。従いまてわれわれといたしましては推算しか申し上げられないと思いまするが、これはむしろ政府当局の方にお尋ねをいただいた方がけつこうかというふうに思います。われわれは年間人事院の勧告を実現していただくといたしまするならば、給与法適用者だけ——これが問題でございますが、それだけでございまするならば、百六十八億程度ではなかろうかというふうに考えております。八月からということになりますると、これの半額よりちよつと多い程度ではなかろうか、しかし詳しいことは大蔵省の方に聞いていただきたいと思います。

櫻井奎夫日本社会党(左)

○櫻井委員 昨日専門員室からちようだいしました資料も、大体国家公務員、地方公務員も入れまして、年間百六十八億という数字が出ております。これは人事院の考えておられる数字と一致する、こういうふうに把握してよろしゆうございますか。

滝本忠男人事院事務官(事務総局給与局長)

○滝本説明員 さようでございます。

櫻井奎夫日本社会党(左)

○櫻井委員 それでは給与局長に対する私の質問はこれで終了いたしますが、重ねて、先ほど確認の通り明日政府の責任ある官房長官なり、あるいはできれば大蔵大臣の出席を求めて、人事委員会の当面の重要なる質問をいたしたい、こういうふうに考えますので、委員長の方でよろしく御配慮をお願いいたしたいと思います。

赤城宗徳自由党

○赤城委員長代理 石山權作君。

石山權作日本社会党(左)

○石山委員 私はきようは技術的な点だけ質問しまして、あとは明日に保留したいと思いますが、今回の人事院の勧告の要素でございますが、そういうことを四つほどお聞きしたいと思います。今回の給与勧告のベースを見てみますと、説明の中に民間の産業の総合の平均をおもに出しているのですが、これに関して事務当局としては、算出方に矛盾を感じてなかつたかという二とであります。総合平均を出して、それが即一般公務員の給与なりとして算定することに、何ら疑惑を感じないでそのまま算定しておつたか伺いたい。

滝本忠男人事院事務官(事務総局給与局長)

○滝本説明員 人事院が新しい給与改訂の勧告をいたしまする際に、従来までとつて参りました方針は、少くも民間の給与と比べまして、あまり逕庭のないもの、それからまた生計費というものを特に考慮してやる、こういうことになつておるわけでございます。これは公務員法にも明記してあるわけでございます。従いましてわれわれはそれをどういうふうに考えたならば、最も適切であるかということにつきまして、いろいろ研究いたしておる次第でございます。民間の給与を参考にするという場合にも、いろいろ方法があろうか思いまするが、われわれはわれわれが考えまする最も適切な方法によつているわけでございます。というのは、少くも公務におけると同程度の職務内容、そうして責任の度合いを持つている人を特に取出しまして、そういう人々の給与の平均を合わして考えることが、適当なのではなかろうか、このように考えているわけでございます。従いまして従来人事院が民間給与を参考にいたしまする際に、たとえば毎月勤労統計の平均給与というようなものを、直接の目当にはとつておらないのであります。これはただ参考にはいたしまするが、直接の目当にはいたしておりません。われわれはただいま申し上げましたように、公務におけると同様の職務と責任を持つておるものをとつて参りまして、そういうものの平均をつくるということを考えておるわけであります。そういうものをとります際に、民間におきまするきわめて小さい事業場等におきましては、制度も完備しておるということは、なかなかむずかしいのであります。従いまして、一定規模以上、たとえば五十人以上というような事業場におきまして、そういう職務を選択して来るということをやつております。たとえば民間における人事課長と申しましても、これは大規模の事業場あるいは中規模の事業場、それぞれ職務の内容の複雑さということも違いますし、また責任の度合いが違うこともあるわけでありますから、こういうものを同一レベルにおいて考えるということをいたしませんで、それぞれ適当な段階で、これを比較するというようにいたしておるわけであります。従いまして、ただいまわれわれがとつております民間給与の調査のやり方というものは、現在におきましては最も適切なものであろうというふうに考えております。しかし過去何回かの勧告におきまして、漸次改良を加えて参つたのでありますから、今後におきましても、なお現在よりも研究が進みますれば、これはより一層改良したものになるであろうということは考えられるのであります。現在のところのおきましては、われわれのやりました調査というものは最良のものである、このように考えておる次第であります。

石山權作日本社会党(左)

○石山委員 人事院ができてから相当の年数にもなるのですし、日本の公務員の性格というものが、そろそろ現われなければならぬと私は思う。その性格に対応したような給与というものが生れて来なければならぬ。特に現業公社が分離された以上は、この性格がもつとすつきり現われて来なければならぬと思つているのですが、現われた結果を見ますと、まだ在来の方針を採用しているやに見えます。そういう点ではもう少し性格をはつきりしていただきたいし、そういうふうな性格があるとすれば、二、三具体的に御説明願えると非常によろしいと思います。

滝本忠男人事院事務官(事務総局給与局長)

○滝本説明員 お示しの点は公務員として独自の給与ということで、考えられるのではなかろうかとおつしやるわけでございまして、これは現在の公務員法におきましても、民間給与、生計費その他人事院が考えまする要件ということが加わつておるわけであります。ただいままでに人事院が採用して参りました方法は、民間給与と生計費そのものでございまするが、今後におきまして、いま一つの人事院が適当と考える条件ということを、いかに発動するかということは、今後の問題としては残ろうかというふうに思うのであります。ただ現在までは公務員の給与を、少くも民間における同程度の職務をやつておりまする、そういう給与水準まで引上げて行くということがさしあたりの問題でございまして、その他の条件ということが従来はあまり考えられなかつた。しかし今後御指摘のように現業公務員というようなものが、一応一般職の範囲から抜けて参るということになつて参りますれば、その他人事院が考える適当な条件ということは、今後大いに考えなければならぬ問題であろう、このように考えております。

石山權作日本社会党(左)

○石山委員 人事院が勧告する場合に、いろいろ含みがあると思うのです。たとえば財政を考えてみたり、あるいは政府がとつておる方針と申しますか、たとえばコストが高いから、コストを切り下げて貿易を盛んにする、そのために官公の給与というものは民間に非常に大きな影響を与えるのであるから、これはある程度押えなければならぬというふうな意思が、たとえば反映する場合もあるわけなんですが、そういうふうなことを考えながら、勧告をしたのであるかどうかということをお聞きしたい。

滝本忠男人事院事務官(事務総局給与局長)

○滝本説明員 われわれが勧告いたします際には、今まで申し上げましたように、その他人事院の決定する適当な事情というものが、技術上において考慮されておらないのでありましてもつばら民間給与と標準生計費を、いかに結びつけて考えて行くかという技術的な方法を考究することにとどまつておつたわけでありまして、それによつて一つの給与水準ができて来るならば、それを政府がのめるかどうかということは、もちろん考えの外にしておつたのでございますし、そういう点を特に俸給表を作成する際には考えなかつたのであります。ただしかしわれわれの言うことは、とつぴようしもないことを申しておるのではないのでありまして、少くとも民間における同程度の職務内容を持つておりますものと同程度の給与水準を実現してもらいたいというのが、前提になつておるのでありますから、それをやるのに最も技術的な適切な方法でやつたということにとどまつておるのであります。

石山權作日本社会党(左)

○石山委員 民間の産業を参考にするということは既成の事実なんです。既成の事実を参照にしたからこれは動かすことのできない一つの要素になり得ると思う。先ほどあなたは算定する場合に、われわれの方法は非常に最良だというような御発言をしたのですが、そういうふうに按分する場合は、技術は最良かもしれませんが、出た勧告案は最低だと思うのです。技術上はあるいは最良かもしれません。あなたのおつしやる通りに最良の方法をとつておるかもしれませんが、勧告されたそのものは、われわれから見ますと、実に最低の線をあなたたちは勧告しておるものではないかという印象を受けるのですが、そういう点ではいかがでございますか。

滝本忠男人事院事務官(事務総局給与局長)

○滝本説明員 われわれはことさら最低の線を出すということはいたしておらないのでありまして、本年三月現在におきまして、民間における平均的な水準というものを抑えることに努力いたしておる次第であります。ただわれわれがやりますことが、三月水準のものを七月に勧告したということのために、時期のずれがあるのじやないかという御指摘が、もしあるといたしますれば、その点はわれわれが統計に基いてやる以上、やむを得ないことではなかろうか、このように考えております。

石山權作日本社会党(左)

○石山委員 最近米が大分値上りしておりますが、米の値段と給与というものを研究されているかどうか。この前の政府の発表の場合は、あのときははつきりしておりませんでしたが、値上りしても、生計費にはね返るのは一%だというふうなことを、どこから出た発表か知りませんけれども、発表しておりますが、われわれから見れば、主食が値上りした場合、すべての価格というものは上るというふうに見ておるわけです。たとえば今回政府は三百十五億の予算を組んで、そうして米価の問題は十キロ当りどうしても七百九十円にしなければどうにもならぬというふうなことを言つていますが、現行が六百八十円で七百九十円と値上りした場合、相当大幅な消費価格の値上りになるので、われわれとしては重大視しておるわけなんですが、こういうふうな米価の値上りというものに対してデータを集めつつあるか、それに対して説明ができるかどうか。

滝本忠男人事院事務官(事務総局給与局長)

○滝本説明員 われわれといたしましても、米価が今後どういうふうに決定されるであろうかということは、やはり公務員の生活に非常に関係のあることでございますから、われわれの可能な範囲でデータを集めまして、いろいろ検討を加えております。それからまた最近のやみのお米の値段というようなものがどういうふうな影響があるかということも、もちろんいろいろ検討を加えておるのでありまするが、かりに消費者米価がいわれるところの十キロ当り七百九十円くらいになつたといたしました際に、それがCPIにどれくらいな影響を及ぼして来るだろうかというようなことも、いろいろ研究いたしております。ただいまのところ十分な研究とは申せませんで、ごく試算程度でありますが、かりに七百九十円程度になつたといたしますれば、おおむね一・五%程度の影響がCPIにあるのではなかろうか、こういうような推算をいたしておる次第であります。

石山權作日本社会党(左)

○石山委員 大蔵省の給与課長が来ておられるのでちよつと御質問したいのですが、よく官庁では予算を切り詰める場合には、不用不急なものを切り詰めて財源を浮かすというような言葉を使いますが、相当課長として公務員の給与が大蔵省の査定の場合、不用不急の中に入つているように感じませんか、どうか。

岸本晋大蔵事務官(主計局給与課長)

○岸本説明員 給与関係の予算が、不用不急に入つておるかどうかということですが、御承知のように、現在の問題として給与というものは、義務費でございまして、法律に基くものは必ず払わなければならぬ、優先的に計上されることは間違いないのでございます。ただこうしたベース改訂のような場合には、給与を引上げる金が優先的になるかどうか。これは何分にも、最近の勧告によりましても、年間七百五十億もいるというような非常に巨額な財源を要するわけであります。その他の財政需要ともにらみ合せるということは、やはり必要になつて来るわけであります。一概に給与だから捨ててしまつて、ほかの方を先にとるというようなことは、もちろんないのであります。そのときどきの経済情勢、労働情勢、その他を参考に考えながら、同時にほかの財政需要も考慮して、おちつくべきところに問題の結論を持つて行くというようなことでございます。頭から公務員だから、つまり公僕だからほうつておけというようなことは、全然ないということは申し上げられると思います。

石山權作日本社会党(左)

○石山委員 民間の産業の財政能力というものと、国家財政というものとは性格が違うといえばそれまでなんですが、人事院が勧告をしている要素をなしているものは、民間産業の既成の事実から出発しているのでございます。特にあなたは若いようですから、私の言わんとすることは、国家財政全般をこう見た場合、矛盾を感じないかということなんです。全般から見て給与の占める位置があまりに少額でもあるし、しわ寄せられる場合が常に給与と米価である。これはたいへんな問題だと思うのですが、あなたたちは担当しておりながら、しわ寄せられる箇所が、特にそういうふうなところへ来ているという印象を受けておらぬかどうか。これは感じの問題になるかもしれませんが、技術上からいつても、そういうふうな要素があるかどうかということをお聞きしたい。

岸本晋大蔵事務官(主計局給与課長)

○岸本説明員 諸般の財政需要の競合関係の中で、給与にしわよせが寄つて来るのではないかということでございますが、これは最近における、たとえば一般会計だけを取上げてみましても、人件費の割合というものは漸次ふえて参つております。戦前の昭和九年が基準時だと言われておりますが、当時は大体一般会計の中で人件費が一〇%でございます。戦後例のドツジ予算が施行されましたと同時に、一時一〇%以下に下つたのでございますが、その後逐次ふえて参りまして、現在では経営的な職員給与だけをとりましても一般会計の一三%ということで、人件費等は逐次ふえているということは申し上げられると思います。

石山權作日本社会党(左)

○石山委員 そうしますと、大蔵省の主流をなしている考え方は、あまり人間が多いということなんですか、どうなんですかその点は。

岸本晋大蔵事務官(主計局給与課長)

○岸本説明員 人間が多いということは一概に言えるかどうか。つまり必要な事務があれば、どうしてもそれだけの人間は置かなければならぬのでありますから。これはまだ現在行革本部でいろいろ検討いたしておりますので、ここで人が多過ぎるとかどうのということは、差控えたいと思います。

石山權作日本社会党(左)

○石山委員 国家の能率ということと、民間の産業のコストという問題はある点から申しますと、私は同じことだと思う。民間の産業のコストが高いと言われる理由を、大蔵省はどういうふうに思つておりますか。

岸本晋大蔵事務官(主計局給与課長)

○岸本説明員 民間産業のコストが高いという問題は、いろいろ原因があろうかと存じます。特に国際物価との比較で、日本の物価が高いと言われる場合、輸入原料が高いとか、あるいは遠くから持つて来るから運賃がかさむとか、いろいろな関係もありましよう。そうした対外的原因もありましようが、同時に合理化と申しますか、技術の後進性と申しますか、そうした面の生産設備の合理化が遅れているという面も、やはり無視できないのではないかと思います。

石山權作日本社会党(左)

○石山委員 私はコスト高の中の人件費というものをお聞きしたいわけなんですよ。人件費が高くてコストが高くなつているかどうか。ということは、人事院の勧告しているのは、民間産業を基準にしているからという意味なんです。

岸本晋大蔵事務官(主計局給与課長)

○岸本説明員 民間産業と申しましても、これはたくさんございまして、人件費が非常に多く占めているものと、人件費の非常に少いものと、いろいろあろうかと存じます。ただいま先生の御指摘になりましたのは、かりに公務員の給与ベースを上げたら、同時に民間産業の人件費もふえるのではないかということを、政府が心配しているのではないか、という点を御指摘のことと存じますが、公務員の給与というものを引上げましても、それでただちに民間の給与が上るということは、数字的にはあるいは例証できないかもしれません。しかし現在のように国民全体として生活水準が低い場合に、あるところに起きた波が、他に波及して行くということは常識的にも考えられることでありまして、最近民間の労働争議がいろいろ調停委員会に持ち込まれておりますその内容を見ましても、公務員が上つたから俺たちも上げてくれという要求はあるのでございます。つまり今の国民の気持からいたしますと、どうせ俺たちの税金で養つているその連中を上げるなら俺たちも上げてくれ、という気持も出て来ているのではないかと思います。心理的にどうしても波及を免れない現実の姿になつている、こういうように解釈しているわけであります。

石山權作日本社会党(左)

○石山委員 民間産業に影響があるかりという御心配がどつかにあるのか。私はやはり大蔵省の査定の中に含まつていると思います。そうでなければたとえば今回の予算なんかでも、当然私は公務員の給与というものは盛られて来なければならぬと思いますが、それが盛られて来ない。そうすると私ら考えてみるに、民間産業の人件費というものが、どんなにコストに対してウエートを持つているかということを調べてみますと、残念ながら日本で一番いいと言われている紡績業、これらをランカシヤと比べてみますと、大体七対一くらいしかわれわれの賃金がない。それからインドよりも安い。ですから、人件費がたとえば少しくらい上下したところで、コストそのものには大きな影響を与えないということなんですよ。こういう点を大蔵省の若い連中は考えているかどうかということ特に為替の問題なんかの場合と引比べてみますと、これは問題にならぬと思うのですよ、そこに思いをするならば、私は民間産業に影響するからというふうに、政府が基本方針をきめているかどうか知らぬけれども、大蔵省でそういう査定の仕方をするというふうなことは、私らとしては理解に苦しむのですが、あなたたちはそういうことにちつとも矛盾を感じていないかどうかということです。

岸本晋大蔵事務官(主計局給与課長)

○岸本説明員 私ちよつと話が片寄つたことを申し上げて失礼いたしましたが、つまり民間産業に影響する、それだけでもつて給与問題を片づけてしまうということはもちろんないのでございます。やはり給与勧告の内容なり、あるいはもつと基本的には国の財政問題、それは結局国民所得の問題とつながると思いますが、そうした問題を考えつ行く際に、他面において民間に及ぼす影響というものを無視できない、こういう考え方で進めているわけでございます。従つて民間に波及するからやらない、これだけの理由ではないが、しかも現在ベース改訂をやるかやらないかということは、まだまだ未決定なのでございまして、来年度予算の編成を通じて、まだ検討している過程であるということを申し上げる次第であります。

石山權作日本社会党(左)

○石山委員 私はどうも大蔵省の給与課長により以上の答弁を求めているようで、はなはだ気の毒に存じますので、この辺で打切りまして、明日でも、もう少し大蔵省の実態をお話できるような方に御出席を願いまして再質問したいと思います。その点は保留いたしておきますと百

受田新吉日本社会党(右)

○受田委員 滝本局長さんは給与準則の勧告がされていることに対して、この勧告を法律として実施する場合に、予算の裏づけがどうされるかを御検討。されておられると思います。従つて、人事院の勧告が実施されるときに、予算の措置を考慮しないで、公務員の生活を保障することができないことは、よく御承知であろうと思うのでありますが、事実上政府はこの勧告を実施するところの用意がない。給与準則に対してもまたベース・アツプに対しても用意がない。こうなりますと、この勧告が有名無実になるのでありますが、政府とその点について予算折衝をある程度されてから後の勧告であつたか、全然人事院の独自の見解に基いてやられたことであるか、それが第一点。  それからベース改訂に要する予算を政府としては相当多額に見積つておるようでありますけれども、人事院としては、この一万五千四百八十円というベース・アツプの中には、給与準則の移行に伴うところの費用というものは考えていないのかどうか、この二点をお伺いしたいと思います。

滝本忠男人事院事務官(事務総局給与局長)

○滝本説明員 人事院が勧告をいたしました際に、これでほぼ予算がどれくれいになるであろうかという概算と申しますか、そういうものは計算をいたしまして、これは政府側に連絡してございまするが、勧告の事前に、予算が、これをやればどれだけになるかという交渉はしていないというふうに、私は確信いたしております。  ベース・アツプは準則と一緒に勧告したのであるが、人事院がいうところの予算増の中に、準則実施のための必要経費が入つておるかどうかということでございますが、これは入つておる次第でございます。すなわち今度勧告いたしました給与準則を見てみますと、現行給与法に比べまして、相当幅も伸びておるわけであります。こういうことで現在のわく外者というものは相当程度、これはほとんど全部といつてもいいくらいだろうと思いますが、解消する予定になつております。そういう人が今後昇給して参りますならば、それは従来非常に間遠い間隔で、昇給いたす予定になつておつたわけでありますから、これがふえるわけであります。また給与準則切りかえの際に、ある種の公務員は特別俸給表の中に入つて参る者もおりまするし、またその格付の際に若干は上の等級に格付されるということのために、給与が増額されるという面もあるのであります。またかりにその人の職務内容から見まして、下の等級に格付されるという場合におきましても、従来の実績だけは保障するという建前に立つておりますから、従いまして、準則施行の際に、何がしかの予算を要するわけであります。これはわれわれがベース・アツプ並びに準則施行の際に要する予算ということで申しておりますが、国家公務員に対する年間百六十八億という数字の中に入つておる、このような次第であります。

受田新吉日本社会党(右)

○受田委員 その百六十八億の予算の中に、給与準則の移行に伴うその予算分は幾らあるのか、その数字をわけていただきたいということ。それから今、事前には予算的な折衝はしなかつたというお言葉でありますが、人事院の勧告がなるべくすみやかに実施されるように、国会及び内閣において適切な措置をとられることを切望するという、あの勧告の前文によるならば、これは予算のぐあいを見て実施することを考慮した勧告ではないかと思うのでありますが、なるべくすみやかにという言葉の裏には、そういうものがひそんでいるかいないかということを、お尋ねしたいのであります。

滝本忠男人事院事務官(事務総局給与局長)

○滝本説明員 百六十八億のうち、約四億くらいが、この給与準則移行のために必要な経費であろうかというふうに推算いたしております。それからまたなるべく早くということは、これはわれわれが俸給表改訂を計算いたしました基礎が、本年三月を基準といたしておりまするから、従つてなるべく早くということを申し上げておる次第でありまして、人事院勧告が実施されるかどうかということを、最終的に御決定になりますのは、国会で御審議の結果、これが御決定になるということでございますから、従いまして、人事院がなるべく早くと申しております趣旨は、本年三月現在において計算したものでありますから、それがずるずるに延びませんように希望いたしておる、このような次第であります。

受田新吉日本社会党(右)

○受田委員 今まで勧告の際には、期日をきめたのもあるし、きめなかつたのもあるのですが、昨年は五月にさかのぼつてこれを実施するように勧告された。このたびはすみやかにということです。そのすみやかにという言葉が影響してか、政府はなるべくすみやかにやりたいが、予算の都合で検討を加えているのだと、人事院の言葉をしばしば引用しておいでになるようでありますが、この点、結局人事院の勧告が期日をはつきりきめておれば、政府もその予算を組む基準が明らかにされると思いますが、人事院の意思を尊重するといつても、なるべくすみやかにというようなことでは、これは意思を尊重するのにたいへん曖昧模糊としているわけです。昨年のごとく五月三十一日というような勧告がされたのと思い比べてみて、今回の勧告はたいへんあいまいであつた。その政府の実施を遅らせておるという、人事院の勧告に対する御反省があるかないか、これをひとつお伺いしたいのであります。

滝本忠男人事院事務官(事務総局給与局長)

○滝本説明員 今回われわれが勧告いたしました、準則並びに給与体系の是正に伴います俸給表があるわけであります。その中にはいろいろな意味が含まれているのでありまして、昨年度御決定になりました給与法改正で、俸給表が改正になつたのでありますが、その俸給表の末尾には、本表はなるべく……、(「それはよく知つてます。」と呼ぶ者あり)というようなこともありまして、当然そういうことはあるというふうに、人事院としては考えておりました。そういう趣旨から申しましても、なるべく早くこれが取上げられまして実施されることを、人事院としては希望している。その言葉に尽きるわけであります。

受田新吉日本社会党(右)

○受田委員 このなるべくすみやかにという言葉は、まことにいい言葉なんですけれども、このように差迫つた段階に来て勧告があつた。仲裁裁定があつた。この毅然たる事実に対してすらも、政府はそれをなかなか実施なさらない。きようは政府側としての立場でなくて、純粋な意味の人事院の最高幹部の局長さんにお尋ねするのですから、その意味でお答え願いたいのですが、この政府のなしつつある行動、措置、人事院勧告の意見も尊重しないで、政府がこれを、昨年の年末などと比べて、はなはだ冷淡であるというこの現実に対して、人事院としては不満の意を表明しておられるかどうか、現状で一応政府としてはやむを得ないものとお認めになつておられるかどうか、この点についてお答え願いたいのであります。

滝本忠男人事院事務官(事務総局給与局長)

○滝本説明員 今のお尋ねになりますと、それはわれわれ事務当局としましては、御返事申し上げるのが適当であるかどうかという点が、ちよつとあるかと思うのであります。人事院が勧告いたしましたのは、仲裁裁定なんか出ますより、よほど前の話であります。政府も尊重するのだということをおつしやつているのでありますから、これは十分に尊重してもらいたいということで、非常に期待いたしておりますし、それからなるべく早くやりてもらいたいということに尽きるわけであります。

受田新吉日本社会党(右)

○受田委員 尽きるという言葉があつたので、もうこれ以上はお尋ねの余裕がありません。従つてこの勧告をなさつた人事院としては、予算的な措置を十分考慮することなくして、政府がすみやかに実施するという見通しがつかなくて、勧告されたという結果に、事実上はなつてしまつたのです。遺憾なことでありますが、そういうことになつてしまつておる。なるべくすみやかにという言葉が、一年もたつた来年度の予算までまわるということになれば、これはなるべくすみやかどころではなくて、なるべくゆつくりということになるので、これはたいへん残念な結果であります。そこで今度、明日政府の大蔵省側の責任の方々及び内閣の責任の方々から御答弁があると期待しておりまするし、本日の閣議の結果も、その全貌が明らかにされると期待しておりますので、その方へ譲りたいと思いますが、もう一つ人事院にここへ筋骨を入れていただきたいことがあるのです。  それは今回ソ連から戦犯が約千三百名帰られて、その留守家族の方に、まことに大きな喜びを与えておるのですが、それも今月末か来月の初頭、すでにナホトカに八百十名の人が集結していて、十日以内には発船の用意をせよという話ができておる。八年以上もお帰りにならなかつたこの戦犯の方々が帰られるというと、この方々の中には、軍人でなくして一般民間人が三百九十名もいらつしやる。この一般民間人の中には、樺太その他の外地関係の職員及び政府職員が相当数おられるはずである。また高級官僚も相当数含まれております。この方々がお帰りになることになれば、当然新しい任務におつきになる。従来こちらで勤務したと同じ立場のポストにおつきになるはずですが、そういうことに対して人事院としては、何らかの基準を持たなければならぬと思います。ところが人事院では、この附則の第三項に、「未帰還職員の給与の取扱については、この法律の規定にかかわらず、なお従前の例による。」という規定がある。これによつて、昨年も特に指摘いたしたのでありますが、未復員公務員の方々は、まことに低いベースに抑えられておる。あのときも指摘した通り、三七ベースのときのベース以上に伸びていません。最高の俸給をもらう人でも一万円の程度です。すなわち局長級の人が一万円程度しか、今未復員公務員の給与を受けておりません。こうなりますと、少くとも現在の給与の四分の一、五分の一という低い線にあるわけです。その低い線の方がこちらへ帰られたら、当然新しい立場の給与に裏づけされるはずだと思いますが、それは明らかにこちらに在任したと同じ線までもどされるかどうか。この点については、もはや十日ばかり後には、そういう職員がお帰りになるのである。そしてその人々はやはり人事院にも影響しますので、人事院の基本的な線からも、この帰られた人々を復職させて、元の職務につかせなければならぬ。そのときのポスト等について、人事院は格付その他について十分努力をされつつあるかどうか。その方面から大量に帰られるので、今までの中共から帰られる人とは立場が違つております。  もう一つは、未復員の政府職員は、去る十六国会で通過した恩給法の改正によりまして、十七年以上勤務した人、すなわち本年の七月三十一日現在で、満十七年以上勤務した人は普通恩給を受けるような規定に切りかえられてしまつておるのです。そうすると、この恩給を受けるに至つた人々が普通公務員になられる場合に、その身分上に伴うそうした給与関係の立場はどうなるのか。普通恩給を受けた期間が八月から十一月の末まで四箇月ある。その期間はどういうふうに計算されようとするのか。これは恩給法との関連がありまするので、一たび恩給を受けるに至つた人は、給与の上においてその四箇月の恩給期間を、どういうふうに計算しようとするのか、これはもはや差迫つた問題で、帰つた人がすぐ心配するはずです。もう普通恩給に切りかえられることになつておるし、また書類も出ておりますし、法律も出ておりますから、書類の審査がまだできていない人々であつても、その期間は恩給受給者としての権利を獲得するわけですから、その期間の法律的な改正の要がないかどうかということも考えなければならぬ。  もう一つ第三点は、この帰つた人々はそういう意味で、とにかく喜びにたえないことになるのですが、まだオーストリアその他へ帰つた捕虜六百名の語つたところによると、日本政府が明らかに資料として獲得しておりまするところの、ソ連地区に昭和二十年九月以後に生存したと確認されるところの者は、証人の言、帰還者の言、あるいは手紙等を通じて一万九百二十二人ほど残留者がいることになつている。その一万九百二十二人のうち多少死んで、千四百八十名がみな帰つたとしても、なおあとに八、九千人残るわけです。これは生存が確認されておるということは、オーストリアの六百人の捕虜が言つているのです。おることは間違いないとはつきりしている。この残る人々はやはり政府職員でありますから、この人々をいつまでも現在の給与で置いていたとしたならば、これははなはだ残念なことで、政府職員であつたその本人は低い給与で待遇されている。しかも自分の犠牲ではなくて、国家が犯した罪、大きな戦争の犠牲で、こつちへ帰ることができない立場に置かれた、まことに不幸な運命になつている人なんです。この未復員公務員の給与を依然として、なお従前の例によるとして、人事院はこの附則第三項を改めようとしないのか。いいかげんな感覚ではなくて、これは非常に重大な人道的な問題であつて、帰らざる人々を久しく古い給与で放任しておつたという、この一般職の職員の給与に関する法律の附則第三項は、はなはだ悲しい現実なのであります。この点について人事院の最高責任者の一人でいらつしやる滝本給与局長さんの御答弁をいただきたいのであります。

滝本忠男人事院事務官(事務総局給与局長)

○滝本説明員 ただいま受田委員から未帰還職員の問題並びに近く帰つて来られる方々の問題につきまして、お話があつたのでありますが、御承知のように、本年八月一日に留守家族援護法が制定されまして、それに切りかわつておりまして、従前の未帰還職員の給与というものがそれで保障をされるということに相なつております。その際に一万二千八百円水準、すなわち昨年の十一月に改訂になりました給与水準に改訂になつております。従いまして現在は規定の上では一般職の職員と大体同様の水準において取扱いをなされるもの、こういうふうに考えられると思うのであります。またお帰りになりました際における受入れ等につきましては、人事院といたしまして関係あることについては、もちろん最善を尽したい、かように考えております。また未帰還職員の援護法が成立いたしまして、十七年経過しておりまする者は、恩給法が発動になるわけでありまするが、その間はやはり恩給法上の恩給の受給権が発生いたしまして、恩給を受けられるわけでございまして、こり期間について、今ただちに人事院がこの問題を、どうしようというふうには考えたくないのでありますが、お帰りになりまして、これが政府のポジシヨンにおつきになるということになりますれば、その際に適当な格付をいたしまして、その以後におきまして、もちろん政府職員として待遇を受けられる、このようなことに相なろうかと考えます。

受田新吉日本社会党(右)

○受田委員 今の留守家族援護法によるところの未帰還公務員の給与が一万二千八百円ベースに切りかえられたということでありますが、これは従来の実績を尊重するという規定になつておると私は思うのです。そうなると一万二千八百円のベース・アツプの形でなくて、従来もらつたものがそのままの形になるというふうに、私は解釈をしております。そういうことになると私は思うのです。それが一万二千八百円ベースに切りかえられたとするならば、今までの非常に低い線であつたものが一躍三倍、四倍というふうに、すでに切りかえをされておるのかどうか。この点特に政府の最高給であつた人々が一万円程度で押えられた、あの当時昨年年末にいただいておつた資料の四、五倍にすでに是正されておるかどうか、これが一つ。それからそうすれば帰られたときも前からずつと引上げをされておるとするならば、何ら別に考慮することもなくして、そのままの給与で就職できるわけですから、この点は心配がないと私は思うのです。この点あの留守家族援護法による給与の基準というものは、留守家族援護法という厚生省所管の法律のベースをきめるときに、人事院としてちやんと数字を交渉して新しいベースで、全部切りかえて実際支給しておるのかどうかを、私はもう一ぺん確認をしておきたいのです。それともう一つは、普通恩給を受けるようになつた人、たとえば十六年の人、十七年に足らぬ人は今のように新しい一万二千八百円のベースの給与をもらつておる。それが十七年になると今度は普通恩給になるわけです。普通恩給になると十七年たつて三分の一に減るわけですから、その普通恩給を与えるということは非常に不当じやないか。つまり十七年たつて普通恩給をもらう人は三分の一に給与を減らされる、そのまま続いて普通恩給をもらわぬと、現在公務員でやつておる方が、はなはだ都合がよいわけです。この点普通恩給というような最初の基準を三分の一に引下げられるようなものに下げられたために、十七年以上勤務した人は急に損害を受けるようになるので、これははなはだ権利の擁護にならぬと思います。一万二千八百円一ベースに切りかえられた未復員公務員が、普通恩給をもらうようになつて三分の一に減らされるということは、ゆゆしい問題であると思いますが、その間の給与の関係はどういうふうになるのか。実際上の待遇はどうなつておるかをお尋ねしたいと思うのです。これは大蔵省でもけつこうですし、他の説明員の方でもけつこうです。

岸本晋大蔵事務官(主計局給与課長)

○岸本説明員 ただいまの受田さん御指摘の点は、留守家族援護法、恩給法、それから一般職員と三つに関連しておりますので、かわつて御説明させていただきます。この留守家族援護法ができましてから、例の未復員援護法によりますところの手当は、一応停止されまして、月額二千百円の留守家族援護手当に切りかえられた。但しその当時までの未帰還職員給与準則でもらつておつた実績だけは保障するということで、留守家族援護手当よりは、余分の手当をもらつた人は、その差額だけを別に特別手当として附加して支給しておるわけです。この未帰還職員が内地に帰つて来るまでは、家族の方は留守家族手当と実績保障の分の特別手当、これだけを与えられておるわけであります。未帰還職員が内地に帰りまして上陸いたしますと、帰還という取扱いになりますので、その日から留守家族手当の支給が、停止になるわけであります。ところが政府職員になつたものにつきましては、これは外地官署でございますと、帰つてから三箇月でございますか、一般の職員は一箇月——何か一定の猶予期間がありまして、その間は身分はつないでおくことになつております。その期間内に再就職するか、やめるかきまるわけでございます。その再就職することが決定するまでの期間が、今度は未帰還職員給与準則によるところの給与に切りかえになるわけでございます。その給与が先ほど滝本給与局長が申し上げましたように、一万二千八百円に改訂されておるということでございます。それで再就職が確定いたしますと、今度は新しい官庁のそれぞれの地位に応じたところの俸給に、それがまた切りかえられて行くという形になるわけでございます。これが留守家族援護法と未帰還職員給与準則の関係でございます。  もう一つ恩給法の関係でございますが、恩給法の関係は、本年の七月三十一日まで満十七年に達しておるものは、恩給法上は一応退職とみなすわけでございます。普通恩給を支給するわけでございます。ただその方があとで再就職いたしまして、新たな給与がきまり、それによる俸給が支給されるということになりますと、この点についてはまだ明確な法制はございませんが、普通恩給は当然停止になるわけでございます。そうしてその方は後にやめたときに、その最終退職のときの俸給を加算して、また普通恩給が改訂支給されるという形になるわけでございまして、この間特に三分の一に切り下げて普通恩給を支給したから、本人は困るという問題は生じないのではないかと思つております。

受田新吉日本社会党(右)

○受田委員 これは重大な過誤があると思うのです。普通恩給を受けるようになつた未帰還公務員は、給与は従前の実績をそのまま生かすことになるのか。つまり恩給法の適用の三分の一に減らされないようにしてあるのかどうか。それと、その恩給を受けた期間は己公務員ではないのですから、公務員でないことによつて——事実ずつと外地はからもどることができなくて、こちらに服務できなかつたのでありますから、実際は公務員として外地に行つておるのですから、普通恩給を受けた期間は、当然これは公務に従事したもとみなすような形にしないと、その四箇月というものが空白になつてしまら。一ぺん退職してまた再就職したというような、普通の退職と同じような形のものになつては、たいへん遺憾だと思うのです。この四箇月の期間を法制的に何か是正するような必要があるかないか、これが一つの問題です。  それから今お言葉の中に、実績を持つ二千百円の未帰還者の給与の手当が、留守家族援護法で一括されておるわけですが、二千百円以上従来もらつておる実績との差等は特別手当を出す。従来の実績というものは一万二千八百円にベース・アツプされたものの実績というように、私は滝本さんの御説明では聞いたのですが、あなたのお話を聞くと、こつちに帰つてから後にすぐに給与が切りかえられて、一万二千八百円ベースに切りかえになるのだというふうなお話のように聞いたのですが、従来の問題——昨年から勤務しておつた人は、昨年の暮れのこの委員会で未帰還公務員の表を見たときには、最高が一万円ちよつと越えたばかりの三七ベースのときのベースであつたと思います。それが一万二千八百円の高いベースにいつ切りかえをされておるか。たとえば局長クラスでは四万円から五万円の給与になつておるはずですが、いつこの給与に切りかえられておるか、その差額の二千万円を引いてあとの三万幾らというようなものが事実支給されておるかどうか、私のお尋ねしようという意図はここなんです。ひとつ明らかにしていただきたいのであります。

岸本晋大蔵事務官(主計局給与課長)

○岸本説明員 第一の点の普通恩給を出すと三分の一に切り下げられるというお話でございますが、この十七年で打切つた場合の普通恩給の計算の基礎となります俸給、は昭和二十一年、つまり終戦当時その者が受けておりました俸給を基礎といたしまして、その恩給法上の例の仮定俸給の改訂がございます。大体現職者並にずつと引上げて行つております場合の仮定俸給を基礎として、普通恩給を計算いたしております。未帰還職員給与準則による従来の俸給を基礎にして計算しておるのではないのでございます。従いまして普通恩給としては当然二十一年当時の俸給を、最近まで延ばしたところの三分の一にはなりますが、未帰還職員給与準則による低い給与を基礎としたものではないということは申し上げられるのでございます。どちらが有利になつておるかということは、これはちよつと個々人によつて違いますので、ここでは申し上げかねるのでございます。  それから第二点のこの八月以降今度十一月に帰つて来て、再就職するその期間を、恩給の基礎在職年数に入れるかどうかという問題につきましては、これは先ほどちよつと申し上げました明確な法制上の規定はないのでございます。ただ恩給法上の常識から考えますと、一応恩給法上は退職とみなして打切つたのでございますから、今度再就職する、その再就職のときからまた恩給法の在職年の計算が始まるんじやないか、かように考えられます。ただその四箇月間気の毒だから何とかしようという問題になりますと、やはり法制的な措置が、必要になるんじやないかと考えられる次第でございます。

受田新吉日本社会党(右)

○受田委員 この帰らざる人々が今度帰れるという喜びの前に、こういうとの関係法規は全部整理しておかなければいかぬと思うのです。従つて今の普通恩給の期間を何とか直さなければならぬ。ことにソ連その他からこんなに早く帰されるとは思わなかつたから、あの恩給法をつくるときは、今後三年間生死不明のときは、恩給の支給を停止するということ、今後三年いなかつたら失跡の宣告と同じことをしようということになつている。これが一つの重大なる問題。それから普通恩給を受ける人は、二十一年の仮定俸給を基準にして恩給額をきめることになるのですが、これは間違いなく非常に低い線です。二十一年の恩給は、この間恩給法の特例の改正をやつたときでさえも、平均が六割とちよつとしか出ていないと思います。そうするとこつちに服務した人の大体六割程度にしかならない。その三分の二というと、ますます少い額になるわけでありますが、その点一万二千八百二十円ベースの給与に切りかえられているというので私は安心したのですが、それによつてずつと来た公務員が急に低い二十一年の仮定俸給表をもとにした恩給を受けるということになると、十六年目ぐらいの公務員の方が一番いいところにおり、十七年目くらいの公務員はどつさりそこで切下げられるわけです。一万二千八百円の普通公務員で進んでおつた者が、二十一年の基準にばつさり下げられるということは、はなはだ矛盾じやないかと思います。現在まで勤務したことにして、恩給額を決定するなら筋が通るが、十六年までは現在の通り一万二千八百円でやつて来た恩給を、十七年からは二十一年でばつさり下げられるということになると、今のように一万二千八百円になつた基準で恩給をきめるのは筋が通つていない。同じ未帰還公務員で十六年以前と十七年以後と前の俸給の算定基礎を差別待遇することは、これは筋が通らぬと思うのですが、この点ひとつ御意見を伺いたいと思うのです。

岸本晋大蔵事務官(主計局給与課長)

○岸本説明員 問題点の第一は、一万二千八百二十円ベースの一般職員の給与準則に切りかえるその俸給と、二十一年七月当時の俸給を基礎にしてそれを伸ばして来たものと、どつちが有利であるかは、これは必ずしも言えないのであります。現在勤めている人にとつては、明らかに両方とも不利でございます。つまり未帰還給与は、昔の給与を一率に伸ばして来ておりますので、恩給法上の仮定俸給の伸ばし方とは、また伸ばし方が違うわけでございます。その点は若干の差異があるわけでございます。その点は根本的に二十一年の七月の最終俸給を、恩給法上の仮定俸給通りに伸ばして来たようにお受取りになつたかと思いますが、現在恩給局で各省にやらしておるものは、二十一年七月を基礎にしまして、その後恩給法によつて仮定俸給が上つて来ておりますが、それを考えながら、もしその者が今日いたならば、どの程度に上つていただろうかという点も加味いたしまして、各省にその現実の級を決定した、現にいたならば受けるだろうという俸給を計算さしておりまして、それを基礎に算定さしておるのであります。恩給法の仮定俸給というのは、算定外になつておるわけであります。それを割らないように各省では、現実にこの期間いたならば、どのくらいだろうということを計算されておるわけであります。

受田新吉日本社会党(右)

○受田委員 この問題は一般の公務員の給与と、それから未帰還公務員の給与、普通恩給を受けるに至つた給与と三本比較した、基本的な数字をあげた資料をお出しいただいて、それに基いて審議をしたいと思いますので、ひとつ御研究の結果を、われわれに配付していただきたいと思います。お願いしておきます。  いま一つ最後に、もうこれで終りますが、未帰還公務員のごとき人々に対して、期末手当を今まで出していなかつた。期末手当はその職にあつた者に出すことになつておる。その職にあつた者がこつちにおろうとおるまいと、帰ろうと帰るまいと、当然支給されなければならぬと思うが、特別に未帰還公務員には期末手当を出さないように人事院がされたことは、この際是正するように、特に一方では今度帰られる人もあるし、帰られない人もあつた場合に、帰られない人でも向うにおるのはわかつておるのですから、おるのがわかつておりながら帰れない人は、もち代ももらえないということは非常にさびしいことですし、ほんのちよつぴりしかいらないのだから、何とか政治的に、人道問題も織り込むという意味からも、この際は未帰還公務員に対する期末手当を出してあげる。これは愛の政治としては、たいへんりつぱな打つべき手だと思います。予算の上には大した額は要しないと思います。ほんのわずかな額だと思います。一億に足らぬものだと思います。ことに政府は一億や二億はいつでも出すということを、去年言われたのを私は覚えている。これは出せるのですから、未帰還者の期末手当を思い切つて出されるように、人事院は政府に対する何らかの意思表示をしていただきたいと思いますが、この点は滝本さんも、御研究の結果というよりも、それは非常にいいことだということで、努力したいということを御答弁願いたい、こう思うのでありまえ

滝本忠男人事院事務官(事務総局給与局長)

○滝本説明員 受田委員のおつしやる気持は、まことによくわかるのでありますが、先般未帰還職員の取扱いにつきましては、これを留守家族援護法の中に含めましてやつて行くという法律が、新たに制定されたわけであります。一般職員の問題と、そのほかの未復員者の問題と、どういうふうに関連して取扱うかということも、この際問題になるのではなかろうかというふうに考えられるわけであります。先般通りました法律でございますので、この法律はやはり尊重されなければならないのではないかと思います。それで未帰還職員につきまして、おつしやるように期末手当を支給しようとするならば、新たなる立法措置を要することでございますから、これは御趣旨もあることでございますから、十分検討いたしたいと思います。

受田新吉日本社会党(右)

○受田委員 もう一つ、人事院が十四日に出された給与法に基く人事院規則の改正ですが、これは教育職員の場合は、この間通つた法律を基準にしてお出しになつておられるのですね。そうしますと事実上これは三本建の線に沿うたものであるということになりますか。

滝本忠男人事院事務官(事務総局給与局長)

○滝本説明員 先般教育職員の俸給表につきまして、給与法が改正されたわけであります。これは来年の一月一日から実施されるということになつております。われわれといたしまして、先ほどから問題になつておりますように、給与準則なりべース・アツプ、これは両方切離して考えられないというふうに思つておるのでありますが、これが一日も早く成立することを、希望はいたしておりますけれども、現に現行給与法のもとにおきまして、法律改正がなされたのでありますから、これに必要な措置というものは、一応しなければならぬということに相なろうかというふうに考えるわけであります。従つて、その意味におきまして、われわれは必要最小限度の措置を、この人事院規則でいたしたわけでございますし、それに伴いまして人事院細則というものを、昨日付で出した次第であります。これは御存じのように先般通りました法律の精神が那辺にあるか、この精神を解釈いたしますときに、拡大して解釈するというようなことは慎しむべきでありますから、われわれといたしましては最小限技術的に必要なことだけをいたしたいということであります。すなわち級別推定表におきまして、高等学校の先生が、従来より一級進み得るということに相なつた次第でございます。具体的に申しますならば十三級、教職員の級で申しますならば十級でございます。ここに新たに高等学校の先生は進み得るということになりましたので、それに進み得る年数につきまして、最小限度必要な改訂をいたした、これは俸給表の改訂が高等学校の教諭だけでなしに、高等学校の校長、中小学校の校長のところにまで及んでおりますから、同様の措置をいたした、こういうことになつております。なお、現在印刷物をわれわれの方で作成中でございますから、その資料ができましたら、御提出申し上げまして、御説明申し上げたい、かように存じます。

受田新吉日本社会党(右)

○受田委員 終りました。

赤城宗徳自由党

○赤城委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次会は明十八日午前十時より開会することにいたします。  これにて散会いたします。     午後零時三十二分散会

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