外務委員会 第1号
- 発言数
- 43 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1953/10/31
会議録
○上塚委員長 これより会議を開きます。 まず国政調査承認要求の件についてお諮りいたします。本委員会といたしましては、本会期の国政調査として調査する事項を一、外交に関する事項、二、移民に関する事項、三、行政協定の実施に関する事項とし、調査の目的を 一、外交方針を検討し、わが国の対外政策の確立に資する 二、わが国の人口問題にかんがみ、移民対策の確立に資する 三、行政協定の実施に関する状況を調査し、国民生活に及ぼす影響等を検討することとし、調査の方法を、関係各方面より意見の聴取及び資料の要求、調査の期間を本会期中といたしまして、ただいまの国政調査の承認要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上塚委員長 御異議なければさようとりはからいます。 ―――――――――――――
○上塚委員長 ただいま日本国における国際連合の軍隊に対する刑事裁判権の行使に関する議定書の締結について承認を求めるの件が本委員会に付託せられました。本件をただちに議題といたしまして、その審議を進めたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上塚委員長 御異議なければさよう決定いたします。日本国における国際連合の軍隊に対する刑事裁判権の行使に関する議定書り締結について承認を求めるの件を議題といたします。政府より提案理由の説明を求めます。岡崎外務大臣。
○岡崎国務大臣 ただいま議題となりました日本国における国際連合の軍隊に対する刑事裁判権の行使に関する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 政府は、国連軍のわが国における地位を規定する協定を締結するため、昨年七月関係国政府と交渉を開始し、爾来極力折衝を続けて参りましたが、刑事裁判権問題及び若干の財政経済問題等について双方の主張対立のため、今日まで妥結を見るに至らなかつたのであります。 幸いNATO協定が本年八月二十三日に発効し、それに伴つて日米行政協定の刑事裁判権条項がNATO方式に改訂されましたので、右改訂実現後ただちに国連軍協定の刑事裁判権条項の問題についても、かねてのわが方主張通り、NATO方式の採用により解決することとしたい旨を国連軍側に申し入れました。 さらに、国連軍の地位に関する全般的な協定の妥結には、なお多少の時日を要する反面、日米行政協定の刑事裁判権条項の改訂は、本月の二十九日から実施されまするので、わが方にとつて有利なこの条項のもとにおけると同様の刑事裁判権を国連軍についてもすみやかに獲得し、かつ、米軍の取扱いと国連軍の取扱いとの間に不均衡の生ずることを防止するため、他の懸案とは切り離して刑事裁判権に関する議定書だけを締結し、これを行政協定の改訂実施と同時に発効させることとして、後日全般的な協定の妥結を見た場合には、これに包含させることについて国連軍側と折衝の結果、先方もこれに同意いたしましたので、去る十月二十六日わが国と統一司令部としての米国政府並びに英、加、濠及びニユージーランドの四箇国政府との間でこの議定書に署名を行つた次第であります。なお南阿連邦はその後本月二十九日にさらにこの議定書に署名をいたしました。従つてこの議定書は、これらの国々について十月二十九日から効力を生じたわけであります。従いましてこの議定書はまず署名をいたし効力を発生させて、しかる後に国会の審議をいただいて承認を求めることになるのでありますが、ただいま申しました事情で、米軍との取扱いの均衡と、またいずれにしましてもわが方に有利な裁判管轄権は一日も早くこれを獲得する方が適当であるという考慮から、こういう臨機の処置をとりました次第を御了承願いまして、本件についてすみやかに御承認あらんことを希望いたします。
○上塚委員長 これより本件に関する質疑を許します。並木芳雄君。
○並木委員 ただいま大臣から提案理由の説明をお聞きいたしました。ところがまず私どもに不審に思われますのは、日米間の安保条約に基いて行政協定ができておつて、その行政協定は国会の承認を得ることを必要としないとの政府の態度でございました。この提案された国連との間の議定書は、その実質的内容は行政協定に盛られた刑事裁判権の問題と同様であります。従つて形の上からは、行政協定の刑事裁判は国会の承認を求めない、国連との間は求めるというような非常な不均衡なのです。私どもはかねてから行政協定も国会の承認を得べきであるという立場をとつておつたのでありますけれども、はからずもここに政府のちぐはぐなあり方というものが露呈されたわけであります。実質的に同じものを、何ゆえに一方は国会の承認を求めないのであるか、お伺いいたします。
○岡崎国務大臣 行政協定の問題については、いたずらに、議論をするようになりますので、前にさんざん議論を尽したのでありますから、なるべく申し上げたくないのでありますけれども、せつかくの御質問でありますから念のため申しますと、日米安全保障条約の第三条に、この条約に基く行政協定は、両政府間でとりきめる、こういうことになつておりまして、この点はこの条項に基きまして、今後両政府間にとりきめて国会の御承認を仰がないのである。但しその内容としては、この安保条約に規定されておる範囲内の軍隊の地位に関する問題であつて、それ以外のものにはわたらないのであるということを再三説明をいたしまして、その上でこの安保条約の承認は圧倒的多数で得られたものでありますから、われわれとしてはとにかく親の条約がある、これはその条約に基いた規定であるから国会の承認を求めない、こういうふうに申しておるのであります。他方国連に対する協定は、国連軍を日本の国内及び周辺において支持するということに対する同意は、例の吉田書簡で申しておりまして、これについてはサンフランシスコ平和条約と同時に国会の御承認を得たのでありますけれども、その中には安保条約の三条に言うように、国連軍の地位を規定するような行政協定を両政府間で規定するというような規定がないものですから、新しい国連関係国との協定になりますので、これはどうしても親条約がない以上は、国会の承認を求めなければならぬ、こういう見地から国会に提出しておるのでありまして、矛盾といえば矛盾でありますけれども、これは親条約があるなしの問題でありますので、政府としては国連協定まで国会に提出を必要としないという考えにはなれませんから、提出したようなわけであります。
○並木委員 親条約の方は大体いつごろまでに締結の運びになりますか、特に問題になつている点とともに御説明を願います。
○岡崎国務大臣 今申すのは、親条約というのはそういう意味じやありませんが、おつしやるのは、財政経済を含めた一般的条約ということだろうと思いますが、これは実は内容的に申しますと、国連側はアメリカ駐留軍の受けておる待遇と同様の待遇を国連側にも受けたい、こういう主張であります。それに対してわれわれの方は、従来は駐留軍は日本の方で頼んで来てもらつておるのだし、国連の方は特に頼んで来てもらつておるわけでもないから、家賃とか地代とか税金等は多少そこに差別をつけて、少しこつちへとるものはとつても別に、それでもずいぶんの便宜を供与しているのだからいいじやないか、こういうような趣旨で話をいたしておるのでありますが、裁判管轄権につきまして、こういうふうに国連軍と駐留軍と同じ待遇を規定するようになりましたので、他の問題につきましても国連側にせつかく好意的にいろいろの便宜をはかつておりますものについて――わずかというわけにも参りますまいが、年に数億の家賃なり地代なり税金なりという問題でありますので、これもなるべくならば均等の待遇を与えるようにしてはどうかと思いまして今研究中であります。そのくらいのことでせつかくの日本の好意が誤解されるようなことがあつては、かえつて本来の意味を誤解させることにもなりましようかと思いますので、ただいませつかく検討中であります。その問題が、もしかりに日本の方で均等待遇を与えるということになりますれば、あしたにもこれは話合いがつくのであります。少しでもこつちにとつてやれということになりますと、かなりの時間がかかりはしないか、こう思つております。
○並木委員 この点はわかりました。そこで国連軍も長いことはないでしようから、そういうことで一般協定が遅れているのだつたら、場合によつてはそんなところは譲つてやつてもいい、そういうふうに感じます。問題は国連軍の滞在の見通しなのですけれども、これは今行われております朝鮮の休戦会談と非常に密接な関係があると思います。そこでこの際大臣に朝鮮の休戦会談の見通しをお聞きしてみたいと思うのであります。たしか二十九日かで例の政治会議招集の三箇月の期間が来ていると思うのであります。どういうものでしようか、むずかしい問題だとは思いますが、日本に非常に関係のある朝鮮の休戦会談ははたして成るかどうか、大臣としての専門の立場からひとつ御説明を願いたいと思います。
○岡崎国務大臣 これは今のデイーン大使が話をしておりますが、例の中立国を入れるかという問題、これでまずひつかかつておるようであります。デイーン大使は、報道によりますれば日時と場所をきめるために相談に行つたということでありますが、先方はその前に中立国を入れるかどうかの問題というようなことで議論しております。今後もいろいろな問題、ずいぶんごたごたするだろうと思いますが、私は大体ドイツの問題と朝鮮の問題というのは、一つの似通つた傾向があるように見ております。それは何かと申しますと、ドイツは東西にわかれ、朝鮮は南北にわかれておりますが、いずれにしましても両方の陳営が半分ずつこれを押えているという点、従つてどちらの国についても統一問題が一番中心になつておるわけであります。そこで統一問題については両方の考え方がずつと過去七、八年わかれております。たとえばドイツで申しますと、国連軍側と申しますか、自由主義諸国側では、ドイツ全般に対して総選挙を行つて、そして民意のあるところがわかつたら、その多数を得た政党に政府をつくらせて、そうしてドイツ統一を実現する、こういう立場をとつて来ておるようであります。これに対しまして共産陣営の方では、まず西ドイツ、東ドイツを一緒にした統一的な政府をつくつて、その政府のもとに今後選挙をやらせよう、これが違いのようであります。これはどうしてそんなふうに非常に強い意見の相違があるかといいますと、この間の西ドイツの選挙でもおわかりのように現在のところでは、もし選挙をやりますれば西ドイツでは民主陣営がうんと勝つということ、これは明らかであります。東ドイツにおきましてもかなり民主陣営の力が自由な選挙を行えば強いというふうに予測されておるのでありまして、もしドイツ全般としてこれを見る場合には、共産陣営は一番多くても一五%くらいの投票しか得られないのじやないかというのが一般の観測でありまして、ある人は五%くらいとも言つているくらいであります。従いましてただいま選挙をやつてそして民意を得た政党に政府をつくらせるということになりますれば、自由主義陣営が圧倒的多数をとつて、西ドイツ、東ドイツを一緒にしてその政府をつくる、こういう可能性が非常に多くなつて来るわけであります。これに対して共産陣営側では、まず連立内閣をつくつて、これで政治を行つて、適当の時期に選挙を行う、こうなりますと、東ドイツ側の共産政府側から連立内閣に半分の閣僚が半分というのははつきりしませんが、相当数の閣僚が出て来る、そして今の西ドイツの政府からの閣僚が半分程度出て、一緒になつて連立内閣をつくる、そうなりますと、共産陣営側の閣僚が大びらで西ドイツ側でも共産主義の宣伝なり、共産主義的な施政もある程度行われる、これでだんだん地歩が固まれば、ある時期に選挙をやつても今度は十五%だとか、一〇%だとかいうことでなくしてもつと共産陣営に有利な選挙が行い得る、一般にこう考えられるわけで、先に選挙をやるか、先に連立内閣をつくるかということが、両陣営の議論のわかれ目だと思うのです。そこで朝鮮の問題でも、結局南北朝鮮の統一ということが中心になりますから、いろいろの問題はありましようが、突き詰めてみれば、やはりそういうところへ落ちて来るのじやないか。つまりどうやつて統一をやるか。一体選挙を先にやつてやるのか、それとも何かそのほかの方法で一ぺん南北の統一をはかつておいて、その後に選挙をやるか、これがやはり議論の中心になるのではないかと思いましてこれは両陣営の力の反映でどちらがどうなるかということは、今のところ予想がつきませんけれども、結局この問題はどちらかが譲歩するような力関係の差が出て来ないと、なかなかこれは解決しないのじやないか。そこでいろいろの問題が出て来まして、たとえば中立国の問題でつかれてあるのか、捕虜説得の問題でつかれておるのかいろいろの問題がありましようが、結局とどのつまりは、今申しましたような、選挙を先にやるか、政府を先につくるかということに最後は落ちて来るのではないか。これは結局共産陣営の力が強いか、自由主義陣営の力が強いかによつてきまるのでありまして、なかなかこれは見通しとしてどつちになるということは、今申し上げられないような状況だと私は見ております。しかしヨーロツパの態勢から見ますと、ドイツ問題については、選挙を先にやれというのが、非常に民主主義的に訓練されてずつと教育されて来たヨーロツパの一般の輿論から言えば、自然にそちらへおちついて来るので、今では選挙を先にやるべしという声の方がよほど圧倒的に強い、こうは見れるのであります。しかしそれを共産陣営側が承知するかどうかということは、ちよつと予想はつかない。そこで長く申しましたが、結局そういうような勢力関係のいかんに将来はかかつて来る、今のところ政治会議がうまく行くかどうかということは、りくつよりも、実際の勢力の問題になつて来るのじやないかと思われますので、予測はちよつとつきかねる、こういうのが私の見方であります。
○並木委員 見通しがむずかしくなるというと、なかなか私どもも問題が複雑になつて来ると思うのです。前から今度の政治会議にも日本の政府の代表を送つたらどうだということを、大臣にも私ども要望しておつたのですけれども、今度の政治会議に日本の代表を送るという話はどうなりましたか。
○岡崎国務大臣 ただいままだ政治会議の構成員につきましては、議論があるようでありますが、それにしましても国連側の主張は、朝鮮に軍隊を送つた国のうちの主要国ということであり、そうして何と申しますか、それに中立的なものをオブザーヴアーみたいに加えるかどうかという程度でありまして、日本側がこれに加入するということは、ただいまのところは実現はないと私は見ております。
○上塚委員長 並木君、外務大臣は参議院の方へ参ります。から……。
○並木委員 それでは局長にお尋ねをいたします。今度の国連との刑事裁判権の行使に関する議定書の内容と、アメリカとの間の刑事裁判権、二十九日に効力を発した刑事裁判権に関するとりきめとの間に、何らかの相違があつたらお尋ねをいたします。それから両者とNATOとの間に何らかの相違があつたら、この際明らかにしておいていただきたい。
○下田政府委員 今回の国連軍とのとりきめと、日米間の先般のとりきめとの差異、第二にはNATO協定との差異いかんという御質問でございますが、実質上の問題といたしましては、その三者はまつたく同一でございます。わが方はアメリカに対してもNATO方式の採用を主張いたしましたし、また国連側に対してもNATO方式の主張を当初から要求して参つたのでございます。わが方のその目的は完全に達成されております。ただ相手が片方は米軍であり、片方は国連軍でございますから、主語が違うのは当然のことでございます。それから実質とは関係のない点で形式的の差異がございます。それは日米間との差異は、この付属文書になつております附属書というのが、刑事裁判権行使に関する具体的な規定でございますが、それが十一項目ありますが、最後の第十一項でございます。この表現が多少違つております。日米間の議定書におきましては、行政協定二十四条、つまり日本区域で敵対行為が発生した場合には、またこの刑事裁判権の規定をかえるということを予想しております。国連軍協定はまだ一般的協定ができておりません。それですからそういう規定が国連軍については全然ないわけであります。そこで今度のとりきめでどういたしましたかと申しますと、日米間の行政協定第十七条の規定が、先般のとりきめで改正されましたが、これがさらに将来改正された場合には、この国連軍のとりきめも同様の改正を行うものとする。そういうことを入れたのでございます。つまり国連側は当初から米軍との均等待遇を要求しておりますので、日米行政協定が先般のとりきめで改正されましたが、また将来それがかわつた場合には、国連軍のとりきめもそれと同様な改正をしてくれ、そういうことをこの第十一項でとりきめたのであります。それが日米行政協定、日米間の新とりきめとの唯一の差でございます。 それからNATO協定との差はやはり形式的な差が二点ございますが、第一点は、派遣国側の軍人、軍属、家族が裁判された場合に、裁判所の規則が許すときは、派遣国側の立会人を認める、裁判所規則が許すときはという言葉がございます。ところが御承知のように日本憲法は裁判公開の原則をとつておりますので、裁判所規定が許したときはということは不必要なまくら言葉なのでありまして、これは削除いたしております。それから第二の差異は、先ほど日米間との比較で申しました最後の第十一項目であります。これはNATO協定にないのは当然でありまして、この新とりきめだけにある条項でございます。従いましてこれらの二、三の形式的な点を除きましては、実質的内容はこの三者完全に同一でございます。
○並木委員 公務執行中とか、その他いろいろな日本の裁判権に服さない場合の例外規定があるように承つております。そこで私どもが心配するのは、公務のために出ているときに犯した罪であるというようなことで、せつかく日本の官憲が逮捕しても、裁判権が向うに移つてしまう場合が、現実の問題として多いのではないかと思います。その欠点についてどういうふうに政府としては対処されるつもりであるか。
○下田政府委員 国際法の一般原則におきましても、外国に軍隊が駐屯を認められた場合には、軍の公務に基く犯罪は派遣国側にまかすのは、これは国際法の原則になつております。従つてNATO協定もその国際法の原則を採用しているわけであります。そしてわが方の主張もそ向うに裁判権を認めるごくわずかな場合の例として、この公務執行中の犯罪は派遣国側に行つてもさしつかえないということは、当初からのわが方の建前であつたわけであります。そこで公務執行中であつたかどうかということが、具体的に問題になりました場合にどうするかという点があるわけであります。それは御参考に配付いたしました公式議事録というのがございますが、その公式議事録におきまして、一応は先方の司令官なり何なり当該当局者が指揮者が発給いたします証明書――この者はジープを公務で運転していて、確かに公務執行中の犯罪であつたというような証明書を指揮官に出させまして、それが一応の証拠資料になるわけであります。そのことを議事録で書きまして、そのあと一へ、「但し日本国の刑事訴訟法第三百十八条を害するものと解釈してはならない。」としている。日本国の刑事訴訟法第三百十八条によりますと、「証拠の証明力は、裁判官の自由な判断に委ねる。」つまり一応は向うの証明書ということでけりをつけますが、その証明書がはたして十分な証拠力を持つものかどうかということは、日本側の裁判官の自由な判断にまかせるという刑事訴訟法の建前を留保しているわけでございます。
○並木委員 国連軍との協定も、また母体となる一般協定ができないうちにできた一つの不自然なあり方である、こんなふうに考えますが、最近ガツトの問題でも、仮加入ということになつております。仮加入というものの効力などについて私どもつまびらかにいたしませんけれども、これはやはり国会の承認を求むべきものじやないのですか、ガツト仮加入の効力についてお伺いしたいのと、もう一つは国際連合に加盟しておらないのに、国際司法裁判所規程に参加する申入れを政府はしたということでありますが、その通りであるかどうか、国際連合に加盟しておらないのに国際司法裁判所規程に参加するというのは、どういう効力をもたらすものであるか、あわせて国連加盟の申込みに対する経過説明、見通し、それなどもこの際お伺いしたいと思います。
○下田政府委員 ガツトの問題につきましては、この次の委員会でも、お許しを得まして御報告申し上げたいと思つておるのでございますが、この仮加入の仮という意味は、日本が国会の承認を得てないからという意味ではございませんで、当然のことといたしまして、日本はまだ正式加入ができないのであります。ガツトの規定によりますと、ガツトの締約国になりますためには、すでに締約国になつている三十幾つかの国々と一々関税交渉をしなければならない。その関税交渉ができて初めて日本が正式加盟国になれるわけであります。ところでその関税交渉がいつになつたら行われるかわからないということで、日本はそれまで待つておられない。それをやらずして日本がガツトに加入する道はないものかといつて、日本側でいろいろ研究し、関係国と相談しまして採用されましたのが、このうるさい関税交渉なしで日本を入れてやろうという案でございます。そこで先月の二十三日にジユネーヴで採択されました決定というのはどういうことかと申しますと、日本はガツトの関係の会議に全部出席し得る、そしてむろん発言権がある、その点は締約国とまつたく同じでございます。もう一つは、日本とガツトの締約国との間の関税その他の規律は何でするかというと、このためにもう一つの宣言という文書ができておりまして、その宣言に署名する国と日本との間には、ガツトの規定をそのまま適用する、そういうことなのであります。でございますから、仮ということは関税交渉を経ないで、ガツトの締約国の地位に準ずる地位を日本に与えるという意味において、仮ということを使つてあるわけであります。そこでそういう約束をしながら国会になぜ出さないか。これは実は会議出席者が飛行機で大急ぎで帰つて来ることになつておりますが、まだ帰つておりません。それに会議で採択されました認証謄本がありまして、それによつて印刷をいたしまして国会にかけるのが常なのであります。ところが、まだその認証謄本すら着いておりません状態で、物理上本国会に提出して御承認を仰ぐことは不可能なのでございます。そこで次会にその内容の経緯のあらましを御報告いたしましてあらかじめ御了承を得ました上、次期国会におきまして文書を完全に整えまして御承認を仰ぐことになると思います。 次に国際司法裁判所の当事国となる申入れをしたのに、それを国会の承認を経ないでやつたのはなぜかという御質問でございますが、これは国際連合憲章に、国際連合の加盟国でない国が裁判所の当事国になろうとするためには、まずどういう条件で当事国になれるかという、ことについて、その条件を国連の安保理事会と総会できめなければならないという規定があるのでございます。そこで日本が現実にやりましたことはどういうことかと申しますと、国連事務総長に対しまして、沢田大使から一体日本はどういう条件で司法裁判所の当時国になれるかという伺いをたてただけのことであります。ある国際問題についてその条件いかんという伺いを立てることは、これは政府が外交上の常務としてなし得ることでございます。従いまして伺いを立てる前に国会の御承認を受ける必要はないと考えているのでございます。いずれこれは安保理事会が勧告いたしまして、総会の決議できめるわけでございますが、国連側からこういう条件で日本を当事国として迎えるという返事がございましたら、その返事を受諾するかどうか、これはまた日本の意思決定を要するわけでありかすからその条件がはつきりいたしましたら、その条件の受諾につきまして国会の御承認をお願いいたしたいと存じております。
○並木委員 一点最後に伊関さんに伺いたいと思います。伊関さんにお尋ねしたいのは、最近また問題が出ている妙義山ですが、それがどうなつているか、これからどうなるか。それからもう一つ、最近東京天文台で七十五周年記念の式典があつた。そのとき私も呼ばれて行きましたが、すぐ近くに旧調布の飛行場がございます。あの返還をたしか政府はアメリカ駐留軍に申入れをしているはずなのですけれども、その返還の見通しはどうであるか、返還されたあかつきにこれを使われると、天文台の観測に非常に迷惑を及ぼすのだそうです。私はしろうとですからよくわかりませんけれども、例の軽井沢で起つた地震の問題とよく似た大問題が起るわけですが、返還されたあかつきにこれをどういうふうに使用して行く予定であるか、その辺のところがわかつておりましたら、ひとつお知らせ願いたい。
○伊関説明員 妙義山の問題につきましては、今月の十五日でございましたか、閣議決定をいたしました。その前に県の方の見解といたしまして絶対反対でありましたのが、条件によつては、地元の要求を入れてくれれば応じてもいいというふうな態度に意見がかわつて参りました。地元の二箇町村につきましては、依然として反対しておりましたが県の態度もかわつて参りましたので、閣議決定をいたしました。現在地元側と民有地につきまして契約すべて交渉を始めておりますが、大体地元の態度は条件によつて賛成しようというものと、あくまで反対して行こうというものとの二つにはつきりわかれております。逐次条件付で賛成しようというものが大勢を制して来るのではないかというふうに思つて見ております。あまり急ぎまして――条件付で賛成すとるいうものだけを相手にいたしまして、話を進めてもいいわけでありますが、てれでは将来村にしこりが残るというふうな点もあるかと考えまして、大体大きな動きが賛成に傾いて来るのではないか、ここ一両日のうちにそうした働きが起きるのじやないかというふうな情報が入つておりますので、今のところ静観しておりますが、近く円満に解決できるのじやないか、こう思つております。 それから調布の飛行場につきましては、これは現在あそこは一つは水耕農園、化学肥料で野菜をつくるというのに使われておりまして、それから同じ区域内に滑走路がありまして、格納庫が二つぐらいあります。そこで米軍が小型飛行機の組立てをやつておりますが、日本側としましては、羽田が非常に混雑して来た。そこで羽田で小型飛行機の発着をやらすことは、羽田の大きな飛行機の動きにさしつかえるというので、一箇所どうしても小型飛行機のための飛行場がほしい、これは新聞社等も大いに使いたいといつているわけであります。それで航空局等がぜひあれを返してもらいたいということを申して来ておりますので、今羽田をもう少し有効に利用する方法いかんということと、調布の返還ができるかどうかという二つの問題を討議いたしますために、合同委員会に特別に臨時の飛行場委員会をつくりまして、航空局長が日本側の委員長になりまして、米側と折衝しております。それで調布につきましては、どこか近くにかわりの同じようなものをつくつてやれば、原則として米軍は動くことに異議はないのじやないか、こういうふうな見通しでおりますが、交通の便を考えるとか、あそこに働いております技術者の中には、日本側の技術者もおりますので、こういう技術者が遠くに離れますと、こういう技術者はやめるということにもなりますので、この技術者が通える範囲、いろいろな点を考えまして、大体どこか近いところであれの代替のものを考えようということで今相談しているわけであります。ところが、その間に天文台の方から抗議が出たわけであります。これは私の方にはまだ何も申して来ておりません。航空局の方で研究しておるのじやないかと思いますが、どういう結論を出しておりますか、まだ私のところには何も参つておりません。どのくらいの支障があるか今私は存じません。そういう程度でございます。
○並木委員 それでは伊関局長、一ぺん旧調布飛行場並びに東京天文台の近在の現地を見ておいていただきたいと思うのです。返還を受ける場合に、こういうふうに使用するのだから返還してくれということを、国際協力局長としては当然アメリカに言わなければならないでしよう。使い道がそれで縛られてしまつて、あとから思わぬ破綻を来すと困ると思うのです。学術会議でしたか、あの決議でも東京天文台の近くに飛行場があつてはだめだということになつたと思うのです。ですからぜひ近いうちに見ておいていただいて、あとからトラブルが残らないようにしておいていただきたいと思います。それを約束しておいていただきたい。
○伊関説明員 飛行場そのものは見ておりますが、天文台は私はまだ見ておりません。いずれにいたしましても、そういうふうな特別な分科委員会をつくつておりますから、そこから何か私の方へ言つて参ります。それをまちまして報告することにいたします。
○上塚委員長 福田篤泰君。
○福田(篤)委員 まず委員長に本委員会運営について御注意を喚起いたしたいと思います。本日は本議定書に対する政府側の提案の説明があつて、それだけで質疑は来週になつておりましたが、突如こういうことになつた。これは各委員の方々も非常に迷惑かと思いますので、そういう場合には理事会を開いて、運営の変更については承認を求めるよう御注意を申し上げたい。 法務省の方に伺いますが、今度の議定書につきまして効力が発生したわけでありますが、実際上の運営面につきましていろいろ心配する向きがたくさんございます。実は二週間ほど前に横田基地の司令官とある席で話し合いましたときに、法務関係の将校が参りまして、非常に心配して私に訴えたわけであります。その二、三について法務省側の御意見と御準備を伺いたい。 まず第一に留置場の問題であります。これは本日某有力紙にも、正木博士が論文を発表しておる通り、現在のわが国の留置場の設備は、文明国としてははなはだひどいものである、問題にならない。それでしばしば刑法学的に見ましても議論されておるのでありますが、むしろこれをいい機会にこの際留置場を改良せられまして、文明国にふさわしい留置場にされる御用意があるかどうか。またしなければ必ず問題が起ると思いますが、この点について予算、またそれに対する具体的な御準備、方法について伺いたい。
○津田説明員 今回の日米行政協定の改訂条項並びに国際連合軍の軍隊に対する刑事裁判権の行使に関する議定書の実施につきまして、いろいろ準備を進めた次第でございますが、ただいまお尋ねの留置場の件でありますが、これは管理といたしましては二つになつております。つまり警察署にあります留置場、俗に留置場と言つております。これは法律用語でいえば代用監獄ということになつておりますが、これの管理は国家地方警察の関係は、国警本部が行い、各自警のものは自治体警察が行うことになつております。それから法務省の所管といたしましては、全国の刑務所があるわけでございます。これにも未決監といいまして、判決の確定しないもの、すなわち受刑者ではないものを入れておく場所があるわけでございます。私どもといたしましては、法務省所管の関係だけを一応申し上げたいと思いますが、これにつきましては、従来から設備の改良等には十分意を用いております。なお従来とも外国人の入監者、つまり未決囚あるいは既決囚いずれもございますので、これらに対しましては、外国人の犯罪の多い場所につきましては、ある程度の設備をいたしております。今回さらに日米行政協定並びに今回の議定書の執行に伴いまして、それらの人々を収容する場合も生ずるわけであります。それにつきましては寝台等の設備あるいは毛布等につきましては十分配慮をいたしております。何分にも予算関係がございますので、なかなか思うようには行かないようでございますが、いずれにいたしましても、設備といたしまして寝台は必ず用意するということにいたしております。それから給与等の面につきましても、日本人と差別待遇をするということには参らないのでありますが、しかしながらパン食、つまり主食等につきましては、別段の配慮をいたすということにいたしております。
○福田(篤)委員 ただいま法務省関係の所管に関しまして御説明をいただいたのでありますが、私の申し上げたいのは、この問題は必ずクレームが出る。ことに基地のあるのは大体いなかでありますので、何か問題が起つた場合に、必ずそういう待遇問題につきまして、あるいは人権とかその他の問題で文句を言つて参りますが、私は日本全国の留置場あるいは刑務所等の設備を文明国並に改良するいい機会として、この際御奮発願えないかということをお尋ねしたわけであります。これは外国人だからといつて日本人と差別待遇をして、特に優遇することは、独立国として、はなはだこつけいでございますので、この際改良する具体的措置に入られた方が賢明であり、適切であろうと思います。国警、自警よく御相談の上に、具体的にひとつ予算措置をとられまして、この点は改善していただきたい。 次にお伺いしたいことは、これも実際、駐留軍の法務関係として非常に心配することの一つでありますが、裁判が非常に長引く。御承知の通り、これは日本の国内の刑法関係から申しましても、非常に長引くことは常識になつております。この場合にもし軍人が、たとえば転勤を命ぜられるというような場合にも、やはり軍側の要求をしりぞけて、日本の裁判が完結するまで、それを調べることのできる措置を、どういうふうにとられるか、この点についてお伺いしたいと思います。
○津田説明員 裁判が長引く問題につきましては、一般刑事事件の処理といたしまして、すでに相当問題になつていることは御承知の通りでございますが、今回のこの外国軍隊要員に関する裁判につきましては、法務省としては確言申し上げられませんが、最高裁判所事務当局におきまして、何らかの促進措置を考えておるというふうに想像いたしております。もとより裁判の進行につきましては、個々の事件に関する裁判権の専権に属することでありますので、通牒等によつて、とやかくいたすことのできないことは当然でありますが、おそらく最高裁判所事務当局におきまして、さような措置について、何らかの考えがあるものと期待いたしておる次第でございます。 なお、もし日本側に起訴されまして、審理につきまして相当日時を要する場合に、当該兵員を軍隊当局に引渡すかどうかの問題でありますが、これはやはり日本側が裁判をするということにきまりまして、起訴いたしました以上、当然裁判完結まで日本側で勾留をいたしますか、あるいは日本側に勾留いたしませんまでも、日本国内のアメリカの適当な管理者のもとのカストデイに移すということは当然でありまして、その点につきましては従来の交渉の経過によりましても、アメリカその他において異存がないように思つております。しかしながら、何と申しましても他国に参つておる兵員でありますので、できるだけ早く裁判を済ませまして、あるいは刑を執行するものは、当然早く執行せしめなければならぬということは考えておりますので、法務省の所管といたしまして、でき得る限りのことはいたしたいと思つております。
○福田(篤)委員 大体御説明はわかりましたが、もちろん司法権の建前からこれ以上申し上げることは御無理でありましようが、第一、第二の問題について、最後にお尋ねしたいと思う。実際留置場その他につきまして、国警、自警と関係当局と協議して、具体的に改良されるお考えがあるかどうか、もう一つはつきりお伺いしたいと思う。それから裁判を早くずることにつきまして、もう少しはつきりした何らかの措置を考えておられるか、二つだけもう一度お答え願います。
○津田説明員 ただいまの留置場の改良の問題につきましては、具体的に予算等につきましてはまだ協議いたしておりませんが、これをできるだけ改良するということにつきましては、国警本部と話合いをいたしております。さらに今の御趣旨によりまして国警本部、それから自治体警察連合会、これは警視庁が主体になつておりますが、それとも相談をいたしまして、できるだけ御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。 それから、裁判の時間を要する問題につきましては、これも法務省といたしましては、最高裁判所に対しまして、できる限り促進方を申し出るようにいたしたいと考えております。その点で御了承願います。
○福田(篤)委員 私が今心配しておりますのは、実は横田基地だけの関係で、毎月十数件ございます。これは全国的に基地関係を見ますと、現在法務省並びに国警、自警の実施に伴う対応準備ができていないと私は心配しておるのであります。たとえば通訳の問題一つにいたしましても、実は非常な不便を感じている。これはおとといもう発効したのでありまして、第一号もすでに発生したようなこともあるようであります。今後全国的にいろいろ起りましようが、どうも心配していることは、いろいろな点で実施に伴つてのわが方の対応準備ができていない。この点についてぜひとも至急対応措置を急がれて、つまらない国際紛争の種をまかないよう、十分御注意願いたいと思います。これで終ります。
○上塚委員長 穗積七郎君。
○穗積委員 私は内容についての質問は、理事会の申合せによりまして来週月曜日にいたしたいと思いますが、きよう御提出いただきました資料の中に連合国各国の国名がございますが、これらの国の日本に駐屯いたします兵数と、それから最近一箇年間にわたりまして、日本人に関連いたします犯罪容疑件数をお示しいただきたいと思います。もしきようお手元になければ、来週の月曜日までにこの委員会にお示しをいただきたいと思いますが、いかがでございましようか。
○下田政府委員 国連軍諸国の日本駐留兵数でございますが、ただいま資料を持つておりませんので月曜日にお出ししたいと思います。ただ、ただいま言えますことは、もう大部分が英連邦軍、つまり濠州、イギリス、カナダ、ニユージーランドでございまして、他の国は――少い国はもう数人、せいぜい数十人くらいで、多くて、二、三百人というところでございます。国連軍兵士の犯しました犯罪の件数につきましては、八月末までに国警本部で集計いたしたところによりますと、全部で五百二十件でございす。月平均に直しますと、大体三十件から三十五件、三十二、三件見当と把握することができると思います。これは八月末現在でございまして、九月以降の数字はまだ集計がまとまつておりませんが、平和条約発効前に比べ、発効後は少くなり、また最近はますます減少の傾向にあることは御承知の通りでございます。
○穗積委員 今の犯罪件数はいつからでございますか。もう一つは犯罪の確定件数でございますか、容疑件数ですか。第三には、もとよりアメリカ軍を含んでおると思いますが、その三点について……。
○下田政府委員 ただいま申し上げました数字は平和条約発効後、つまり日本が独立国になつてからの件数でございます。それからこの五百二十件というのは、発生件数でございます。これは国連軍所属の兵士だけでもつて、米軍は含んでおりません。
○穗積委員 米軍の様子がわかりましたら……。
○下田政府委員 米軍の方は大体二千四、五百見当でございますが、これも詳細な数字は月曜日にお示ししたいと思います。
○穗積委員 兵数のあれをお尋ねいたしましたが、アメリカ駐留軍の兵数も加え、最近の現在数でけつこうですから、それを加えてお願いいたします。
○伊関説明員 米軍の兵数につきましては、機密事項になつておりますから、差上げられないと思います。おそらく国連軍につきましても、これははつきりした兵数は、雑誌等にも出ておるのがございますから、そういう程度になるだろうと思います。大体御説明いたしますと、国連軍は呉と広地帯、まあ五、六千おるというふうにお考えになつたら間違いないと思います。米軍につきましては、大体海軍はしよつちゆう移動いたしますが、空軍、陸軍で十万ちよつとくらいとお考えになつたらいいと思います。向うで発表しておりますのは、極東――日本、朝鮮、沖繩等を含めまして、米軍が陸海空で約五十万、こういうふうな数字が向うの雑誌等にも出ております。それ以上の詳細になりますと、おそらく発表できないのじやないかと思います。大体当つておると思います。大体朝鮮、日本、沖繩で五十万、日本は十万ちよつと越すのじやないかと私は思つております。
○上塚委員長 他に御質問ありませんか。――ほかに御質問がないようですから、今日はこれをもつて散会いたします。 午後零時二分散会