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17回国会衆議院1953/10/31

海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第2号

発言数
50
登壇者
14
会派数
5
開催日
1953/10/31

会議録

山下春江改進党

○山下委員長 これより会議を開きます。  本日は、遺家族援護に関する件、海外同胞引揚に関する件及び引揚者住宅に関する件について議事を進めます。  遺家族援護に関しましては、恩給法の成立により、戦傷病者戦没者遺族等援護法による一部を除いて、打ちかえられたのでありますが、戦傷病者、戦没者のうち、死因等について公務の認定がいまだになく、年金等を受けられない家族が多数ありまして、多くの嘆願、陳情が参つております事情であります。これについて何らかの措置が必要であろうと思いますし、また戦犯服役者に対する恩給受給の問題もありますので、この際、遺家族援護について、恩給法成立後の状況並びにこれらの問題について政府当局の意向を聴取いたしたいと思います。  なお、海外同胞引揚げ促進並びに戦犯服役者完全釈放運動の国民行事が現在計画されているのでありますが、これについて、政府当局として、補助等の意向についてお話を願いたいと思います。田邊次長。

田邊繁雄厚生事務官(引揚援護庁次長)

○田邊説明員 戦傷病者戦没者遺族等援護法によります遺族年金及び裁定の状況につきまして御説明申し上げます。本月の十七日現在におきまして、受付けました総数が、軍人軍属の分を合せますと百九十一万三千くらいになつおります。その中で裁定済みのものは約百八十五万でございまして、未裁定の件数が六万四千くらい残つております。もつとも、未裁定件数の中には戦没者柱数だけでなしに、同一人に対して二人以上請求者があつた場合も含まれておりますので、若干減少すると思います。また、この中には裁定のための準備をしているものもあり、また、たとえば船員のごとく、船員保険法との調整、つまり船員保険でもらつている金がございますので、二重重複を避けるために、その間若干の調査を要するという関係から遅れておるのがございます。裁定をいたしました百八十五万の中で、却下になりましたものが二万件くらいございます。その中には、遺族関係におきまして戦没者の遺族として該当しないために却下されたものもございます。また軍人軍属としての身分を備えないために却下されたものもございます。また、弔慰金関係におきましては、昭和十六年十二月八日以前の受傷、罹病の結果却下になつたものもございます。全部含まれております。死因関係で却下になつたものは、大部分は内地死亡のものでございます。御承知の通り、援護法は、主として軍人恩給の復活するまでの間の暫定的な措置という意味合いで実行されたものでございます。この点は、御承知の通りでございますので、支給事由であるところの死因というものの範囲は、恩給法の場合と同様に、公務に基因する傷病ということに限定になつているのでございます。ただ、その裁定にあたりまして、公務上の範囲をどの程度に考えるかという問題につきましては、太平洋戦争の特殊性を十分考慮いたしまして、実情に即するように取扱つてはおるのでございますが、何分にも、恩給法というのが、多年の実績として公務を裁定した基準というものがある程度でき上つておりますので、それとの関係も考慮いたさねばなりませんので、どうしても傷病の中から公務外として裁定されるものがあることもまたやむを得ないのでございます。今度の戦争の特殊性からいたしまして、十分なる資料のないものでございます。しかしながら、われわれといたしましては、従来にない戦争の様相ということも十分考慮に入れまして、戦地における傷病につきましては、でき得る限りよく取扱いたいと考えておりますが、戦地と申しましても、いろいろございます。時期及び場所によりましては、内地と同様の環境にあつたものもございますので、その辺は公平に取扱いたいという見地から、個別的な審査を加えておる状況でございます。ただ、実際裁定をいたしますわれわれの立場、気持からいたしましても、また遺族のお気持からいたしまししも、国家防衛の任に当つて在隊中罹病した方につきましては、援護法の公債と裁定されない場合でありましても、何らかの形において国が弔意を表するということが望ましいと考えるのでございます。実際、実情を見ましても、また裁定に当たつておるわれわれの立場からいたしまして、まことにお気の毒な事情が相当多いと考えますので、国家財政が許しますならば、こういう方々にも弔意を表すようにいたしいと考えておる次第でございます。その範囲方法等につきまして、目下慎重に検討いたしておるような次第でごいます。  なお、戦犯服役者に対する恩給支給につきましては、恩給局の所管でございますので、恩給局の方からお答えをいたすのが適当であると考えております。

山下春江改進党

○山下委員長 ただいまの御説明に対して質疑を許します。佐々木委員。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 ただいま田邊次長から御報告のありました遺族等援護法の適用の問題に関連をいたしまして、私は、未裁定者の問題につきまして、政府の基本的な物の考え方というの、並びに援護法の現行法の持つ欠陥につきまして、政府の所見を承つておきたいと思います。  ただいまお話のありましたように、支那事変並びに大東亜戦争に召集されて軍務に従事中疾病または傷痍によつて死亡した者は、内地、外地の区別なれ、公務死として、その遺族に対して弔慰金並びに年金を支給されたいという観点に立つてお伺いをするわけであります。申すまでもないことでありま3るが、軍人は一たび出征をいたしまするときには、いかなる命令に対しましても絶対に服従をしなければなりま牡ん。内地または外地の勤務というものは、個人の都合や自由によつてきめられたものではなくして、これはまつく軍の作戦上の都合によつてきめらたものであります。従つて、応召中発病した者は、在隊中または帰郷後二箇年以内に死亡した場合は、すべて戦病死、公務死として取扱うのが当然ではなかろうか、こういうふうにわれれは考えておるわけであります。たとい過失または不注意によるところの感冒や伝染病等でありましても、応召中のことであつたならば、直接、間接に公務に基因をしておるという根拠からであります。応召の際にもしもからだが繊弱であつて軍務にたえない、あるいは疾病で軍務にたえないというような者は、即日帰郷せしめられたはずであります。応召後数箇月、あるいは数箇年軍務に従事し、その後に発病し、または傷庚によつて死亡した者は、これはいずれも戦病死、公務死とみなすのが当然ではなかろうか、このようにわれわれ考えるわけでありますが、これに対して、どういうふうな基本的な考え方に立つておられるかということを承りたいことがまず第一点であります。  それから、一つの例を申しますると、海軍に召集された者の中に、艦艇にも乗らず、陸上で雑役に使用される、あるいは遠く離れた南海の孤島で壕を掘つておりますうちに発病いたしまして死亡した者が、戦時勤務でなかつたとか、あるいは病気が脚気であつたとか、あるいは胃潰瘍であつた、肺浸潤等であつたという場合には、これは単なる平病死であつて戦病死ではないといつて、区別して扱いがされておる。しかし、これは元をただしますと、その病気の原因というものがいずれも軍務すなわち公務による過度の無理やあるいは栄養失調等が原因をいたしておるわけでありまして、まことにわれわれといたしましても、お気の毒にたえないわけであります。しかるに、その扱い方に対しましては、犬死同様の扱いを受けておる。これらは一体どういうふうな物の考え方に立つておるのかという点も、あわせて承つておきたいと思います。  それから、もう一つ例を申し上げてみますが、それは、陸軍の衛生兵として応召数箇月、内地勤務の後に、急遽出動準備のために、連日徹夜の作業をやりまして、乗船間ぎわになつて発病いたしまして、戦友とわかれて無念にも下船を命ぜられた者が、クルツプ性肺炎と診定され、死亡いたした。まつたく出動準備のため徹宵勤務いたしたことに基因いたしておることは、きわめて明らかであります。このような場合におきましても同様平病死として取扱つておられて、何ら援護法によるところの恩典にあずからないというようなことも、一体これはどういうふうな考え方であろうか。今日労働基準法のもとにおきまして、労働者が普通の賃金をもらつておりまする上に、あやまつてけがをするとか死亡するようなときには、ただちにこの労働法規に基きまして賃金の何百倍とか何千倍の慰藉料を雇用主から払われることは申すまでもありません。戦争中またはそれ以前におきましては、労働基準法というものがなかつたのではありまするけれども、民間におきましても、雇われた者がけがをしたり死亡したときは、雇い主は相当の慰藉料や弔慰金を贈つておつたことは申すまでもありません。こういうふうな観点からいたしますと、遺家族の立場から申しますると、未裁定者の遺家族はもとよりのことでありますが、未裁定者でなくして、すでにこの法の恩典にあずかつた者の立場から申しましても、ひとりこういつた理不尽な取扱いを受けておりますことに対しては、ともに共通の立場に立つて、ぜひともこの法の欠陥を是正してほしい、こういうふうな運動が今や全国にほうはいとしてわき起つておるようなわけであります。従いまして、私は、以上申しましたようなことにつきまして、まず政府の基本的な考え方を承つておきたいと思います。そうして、政府として法の欠陥というものを認めて、近い将来におきましてこれを改正するとか、何らかの対策を講ずるというような意思があるのかどうか、これらの点をあわせて承つておきたいと思います。

田邊繁雄厚生事務官(引揚援護庁次長)

○田邊説明員 ただいま援護法の根本の考え方について御質問があつたわけでありますが、軍人が応召または現役勤務中に公私のために受傷、罹病する、あるいは死亡した場合におきましては、国家の処遇としては、恩給法という法律によつて傷病恩給あるいは公務扶助料というものを差上げることにきまつておつたのであります。これは、先ほどお話がありました通り、終戦後できました労働基準法あるいは国家公務員災害補償法とまつたく同一の理念でございまして、いやしくも業務上または公務上公務員が災害を受けた場合におきましては、国が使用主として当然責任を負わねばならぬ、こういう理念から出発しておると思います。ただ、この場合における公務上と申しますのは、国家公務員災害補償法なり、あるいは労働基準法の場合と同じでありまして、業務上ということになつております。業務との間に因果関係があるということに限定されておりまして、その認定は各法律の場合におきましては相当厳重なるものがあるのであります。もちろん在隊中けがをし、または病気にかかつたという場合におきましては、広い意味におきましては公務との関係なしとはしないのであります。但し、恩給法における公務によるという言葉には特別な意味がありまして、公務との間に直接の因果関係あるいは相当因果関係があつたということが恩給法上の建前になつておりまして、今日までその建前で運用されて来ております。ところが、遺憾ながら、終戦後御承知の通り占領軍の指令によりまして恩給がストツプせられたわけであります。ようやく講和、独立を迎えまして、この指令が失効いたします関係上、早急にこれに対して措置をしなければならぬということに相なつたわけてございます。しかしながら、講和、独立早々、恩給法の規定をただちに復活するということにつきましては、財政上も厖大な経費を要しますし、また制度的ないろいろの事情の変更——民法の改正、その他いろいろの改正がございましたので、制度的にも検討を要するということでございますので、とりあえず恩給の方は一年間ストツプをいたしまして、その間、恩給を復活するやいなや、あるいは恩給を復活する場合に、どういう方法で復活するかということを十分検討することといたしまして、とりあえず援護という形におきまして、その暫定措置として援護法が制定せられたわけでございます。そのことは、法律の第一条にも明らかにありますように、恩給法の場合と同じように、公務により受傷、罹病または死亡した場合に限定しておるのは、その立法の理由によるものだろうと考えております。この点は、国会におきましても十分御審議を得た上で制定せられたものと考えるわけであります。従つて、われわれといたしましては、この公務というものの認定をいたしますにあたりましては、恩給法の場合にならいまして、平たく申しますれば、恩給法でやるならばこうであろうという場合を考えまして裁定をいたしたわけでございます。先ほど申し上げましたように、恩給というものには従来多年の実績がございまするので、それを一応基準の考え方に置く、しかしながら、今度の戦争の特殊性というものを考えました場合に、従来の恩給の基準というものは必ずしも妥当ではないと考えられますので、その辺は融通をきかせまして、できるだけ実情に即するようにとりはからつておるわけであります。百九十一万何がしの申請数に対しまして、短期間の間に百八十二万幾千の支給の裁定をいたしますためには、相当の考慮を払わなければこれだけの裁定はなかなか短期間にはできないと考えまして、できるだけ実情に即するように扱つたわけであります。しかしながら、短期間に相当厖大なものを裁定するわけでありまして、しかもその裁定は旧陸軍関係と旧海軍関係とはどうしても機構的に別々に行わざるを得ないということ、また陸軍関係、海軍関係におきましても、一人のところで全部を見るというわけに参りませんので、個々の部課にわかれてこれを裁定しなければならぬ。その間の均衡ということも十分考えなければならぬのであります。しかも早くやらなければならぬ、また実情に適するようにやらなければならぬというので、ある程度の基準をきめて、相当大幅に裁定をいたしたのでございます。従つて、すでに裁定した中には、個々に見ますれば、あるいは公務として認めてもよいものが、場合によつては公務からはずれている場合もなきにしもあらずと考えております。現に不服の申立てが出ております。援護審査会において個々に裁定審査をいたしました結果、従来否決にしておりましたものでありましても、援護審査会において、これは公務と見るのが至当であるという見地から、それをさらに取消して、公務と裁定いたした事例もあるのであります。今後そういうことをだんだん重ねて行くに従いまして、すでに裁定をしたものの中におきましても、もう一ぺん見直しまして、公務に裁定せられるものもだんだんと出て来ると考えておるのであります。  なお、先ほどお話のありましたように、国のお召しに応じて軍務に精励した結果死亡した場合におきまして、いろいろな観点から公務と見がたいという場合におきましても、これは国として何らかの弔意を表すべきではないかという御意見、まつたく御同感でございます。過去の制度を調べてみましても、必ずしも恩給法上の公務でなくても、いわゆる広い意味における公務に該当する場合におきましては、国として特別賜金とかあるいは転免役賜金という特別の恩典があつたのでございます。援護法におきましては、公務か公務でないかにわけまして、公務でないものは恩給法の例にならつて遺族年金を差上げない、同時に弔慰金も差上げないということになつておるわけであります。この点は確かに考慮を要する点でありまして、現実の遺族の実情を見ましても、また過去の制度との関係に見ましても、国家財政が許す限り何らか特別の弔意を表するのが至当ではないかと考えられますので、これらの点につきましては、将来法律の改正によつてそういう道が開けるように努力したいと考えておる次第であります。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 もう一点これについて承つておきます。たとい国家のためであるとはいいながら、赤紙一枚で召集されまして、ほんのわずかの小づかい銭をもらつて、当時のきびしい軍律と申しますか、あの当時の軍隊内に横行いたしておりました非常な制裁や悪い習慣等によりまして、さんざんなぐつたりけつたりされまして酷使された上に死亡した、そのときに、内地で死んだから、あるいは死因がどうも直接の公務のためではないからというようなことで放任しておくことはもはや遺族たちの立場からできないというような声がわれわれのところにも参つておるようなわけであります。戦時中同じように応召し死亡した者が、一方は偶然戦時勤務中に死んだから弔慰金や年金が支給される、一方、本人は戦時勤務だと思つておつても、事実が戦時勤務でない場合には弔慰金や年金が支給されないということは、どうしてもふに落ちない片手落ちの措置である。遺族や英霊たちは、世をのろい、国を恨んで、おそらくは悲憤の涙をしぼつておるであろうとわれわれは考えるわけであります。そこで、すでに百九十一万の中から百八十五万までが裁定済みになつており、未裁定の分が今日わずかに六万四千だそうでありますが、この中からも当然まだ裁定されて弔慰金や年金の支給される者が相当数出ると思います。そういたしますと、あとに残ります者は、ほんのわずか数万の人々が残るわけだと思うのでありまして、国家財政の立場から申しますならば、私はさほど大した問題ではないだろう、このように考えるわけであります。一方、この理不尽な取扱いに対して全日本の遺族たちが要求いたしておりますことを考えますと、この間に十分政治的な考慮を払い得るのじやないだろうか、そのくらいは国家財政のやりくりにおきまして十分なし得るのではなかろうか、われわれはかように考えるわけであります。厚生大臣は、何らかの機会におきまして、現行法に基いて、直接の公務死とは見られない場合においても、なおかつ三万円くらいの弔慰金は支給するようにいたしたい、このことについてすでに大蔵当局と交渉中であるというようなことを意思表示をなさつたやに承つておるようなわけでありますが、それらの点につきましてはどういうふうにお考えになつておりますかという点を承つておきたいと思います。なお、私の基本的な考え方から申しますと、少くとも応召中に死亡いたした者は、特殊の例外を除きましては、これは当然公務として扱うのがあたりまえではなかろうかと思うわけです。たとえば、栄養失調で倒れたから、これは公務死でないというのは、これはとんでもない話でありまして、何が栄養失調にならしめたかというならば、前線におきまして食糧が十分でなかつたというような結果栄養失調になつた。その結果倒れたわけですから、これは当然その公務に従つておる間に国が殺したわけなんです。国が栄養失調にならしめたわけなんです。従つて、これに対しては国が責任を負うべきが当然であると思う。従つて基本的な考え方から申しますと、単なる一片の涙金というような考え方ではなくして、他のすでに裁定を受けた遺家族と同様の年金や弔慰金を支給するのが当然であろうという根本の考え方に私は立つておるわけでありまするか、しかし、当面の問題といたしまして、大臣におきまして、さしあたつて三万円くらいのものを何とかして差上げてお慰めをしたい、こういうふうな丸持というものも、また政治的立場かり申しますと、私も了解しないわけでもないのであります。従つて、それらの問題につきましてはどういうふうになつておるかということを承つておきにいのであります。  ただいまの田邊次長の話によりますと、政府におかれましても、援護法の失陥というものに十分考慮を払われました結果、近い機会におきまして法の改正を行いたい、こういうふうな御趣旨のようでありまして、その点につきましては私も大いに多とするものであります。ややともすると、当局が認められておりますように、従来の恩給法にあまりにもこだわり過ぎておる。あまりに旧来の恩給法にこだわり過ぎた結果、現実の政治的な解決ができていない。これが今日遺族の憤激を買つておる。こういうように私たちは思うわけでありますから、どうか、あまりに恩給法のみにこだわらずに、そうして近い将来にこの法を改正されることを私は特に要望しつつ、先ほど申したことに対する政府の考え方を承つておきにいと思います。

田邊繁雄厚生事務官(引揚援護庁次長)

○田邊説明員 弔慰金の問題につきましては、国債で差上げるわけでございますので、直接厚生省関係の予算には計上されません。国債の元金及び利子の償還という形で大蔵省の予算に計上されるわけでございます。かりに三万円で五万人といたしますと、十五億ということになります。十五億の元金償還及び利子ということに相なるのでございます。これは来年度の予算にできるだけ計上できるよう、大蔵省当局とも十分折衝し、今後も努力を続けて行きたいと思つております。  なお、恩給法にあまりにとらわれているのではないかという御意見でございますが、援護法というものを制定するときに、その点は非常に問題とされたわけでございます。戦争犠牲者に広く援護を行うという考え方も一つあるわけでございます。社会保障制度的見地に立つて、戦争犠牲者に対してできるだけ広く援護を行うという観点からすれば、厚生省らしい考え方になるわけでございます。しかし、この点は、生活保護法との関連もあり、なかなか困難な問題かと考えます。もう一つの考え方は、恩給の暫定措置という考え方でございます。これは当然既得権として遺族の主張される権利でありますから、これに対する政府の態度でありますが、去年の立法にあたりましては、やはり既得権に対する国家補償という線が強く打出されまして、それを根本として遺族援護法というものが制定になつたのであります。遺族援護法という名前は必ずしも実体を表わしていないと思いますが、実は軍人恩給の復活するまでの間の暫定措置という性格を持つているのであります。それではたくさん金がかかるから、援護という立場からいろいろの点を制限したというのが援護法の性格になつております。援護をやるのならもつと金を出したらいいじやないかという御意見はごもつともでありますが、どうも名前が援護法という点から多少誤解を受けておるわけでありまして、あくまでも性格は軍人恩給の復活するまでの国家補償の精神に基く暫定措置だ、かように考えております。

福田喜東自由党

○福田(喜)委員 ただいまの同僚佐々木委員の質問に関連して、私も一点だけ質問いたしたいと思います。ただいま同僚佐々木委員が法律に関する改正の意見を述べられましたが、私もまつを同意見でございまして、われわれもそうした要求を選挙区に帰りましたときに訴えられるのであります。かつまた、本法の適用に関しまして、公務による傷病ということのこの問題でございまするが、田邊次長は、直接並びに相当因果関係説を主張されたわけでございますが、私もその説はまことにごもつともと思うわけでございます。公務に直接あるいは相当因果関係があつたと認定したものに関しては本法が適用される、こういうお考えのようでございますが、この因果関係というものをどの程度に認めるか。現実の姿を見ますると、これは、あそこに書いてある病名だけから見て、これがはたして因果関係の認定をなしたるものなりやいなやということは、はなはだ疑わしい部分が非常に多いだろうと私は思います。一個の例を申し上げますと、これは部隊が對馬におつて演習中、その小部隊の指揮官が急性盲腸炎を起しまして、わずか四日目に死亡しております。しかも現地には衛生隊もおらぬ、軍医も看護卒もおらぬ。船で下關の陸軍病院に運んだと同時に、もはや手当が遅れておつて死んでしまつた。そうしてこれは該当せずとして認定しておるのであります。これははたして、次長のお考えにおいて、直接あるいは相当の因果関係というものの範疇内に入り得るものなりやいなやということの御意見を承りたいのであります。こういう点が今非常に多かろうと思います。この点につきまして、幸いにその道の専門家であられる田島事務官もおられるのですが、ただ病名だけで、ちようどマル、チヨン式で試験をやるように片づけられては、遺族の気持がそこなわれることがはなはだ多いと思う。幸い相当の因果関係というものも見られるということならば、因果関係の認定というものを真剣にまじめにやつておられるか。かつまた、遺族のためを思つて現行法の範囲内においてもこの因果関係の認定をほんとうにやつていただきたいということを特に強調いたしたい。具体的な問題についてはあとからお願いに上りますが、こういう場合には直接あるいは相当の因果関係、いずれの説をとつても当然入るべきものと思いますが、いかがでありましようか。

田邊繁雄厚生事務官(引揚援護庁次長)

○田邊説明員 実は、因果関係ということを厳密に追究して参りますと、当然資科というものを要求されるわけであります。昔は病歴書及び事実証明書という詳細なものがない限り恩給局は受付けなかつたのであります。しかし、そんなものを一々今度の戦没者について請求しておつたならば、とうてい裁定などはできるものではありません。それは、今度の戦争の特殊性から、短期間に大量のものを処理したいという考えから、ある程度の基準をつくりまして、その基準に該当するものは無条件に裁定をしておるという関係から、実は時期、場所、病名というものを掲げたのであります。従つて、それに該当するものは裁定する、それ以外のものは裁定しないというのではありません。それ以外のものにつきましては、今お話のありました通り、個別的に因果関係をできるだけ詳細に見きわめる。そのために援護審査会というものもつくつておるのであります。こういう考え方でありまして、病名だけで判定しておるということを言われますが、そういうことはないのであります。なお、ただいまお話のありました通り、公務によつて負傷したか死亡したかという問題の結論を出すにあたりましては、やはりその当時の医療体制が十分であつたかどうかということも重要視しなければならないと思います。内地でありますならばただちに病院に収容して十分な手当を加えることができるのに、支那事変当時などでも、前線と後方病院との関係も、交通その他の不便がありましたので、ただちに手当をすれば命が助かつたかもしれない人が、それが不備であつたために手当が遅れて、なくなつたという方もあろうと思います。これは国の責任という点からは公務かいなかを判定する上において非常に重要な要素としてあげなければならぬと思います。ただいまお話がありましたような対馬の例等、もし事実でありますならば、十分考慮しなければならない例であろうと思います。

福田喜東自由党

○福田(喜)委員 今の次長の御答弁はまことに感謝にたえません。御答弁の趣旨を総合いたしますならば、こういう場合におきましては、おそらくあなたの主張される因果関係——それは相当の因果関係であろうと、直接的な因果関係であろうと、認めるということでありますが、私はただいまの点について一点だけ御当局にお願いしておきたいことがある。ただいまの現実の事例で申し上げますならば、これは部隊の演習中に指揮官として兵を指揮しておるうちに、打つて、それが原因で、医療施設もない、看護卒もいない、軍医はもちろん何らの、医療施設もない現地において発病し、始末に困つて伝馬船に乗せて陸軍病院に送る途中、着いたところで死んでしまつた。これは明らかに演習に原因しておると思うのでありますが、現地では盲腸炎とか何とかいう診断で、該当せずといつて来た。こういうものは非常に多いのでございます。この点について私が一点御当局にお願い申し上げたいのは、この間に敗戦という事実が介在しておる。敗戦という事実によつて、一切の資料もなくなつてしまつた。かつ一切の証拠書類と申しますか、われわれの立場で言いますならば証拠資料とでも申しましようか、こういうものがないので、これを立証するような立証資料というものは非常に薄いのであります。こういうときに、せつかくこういう制度ができたならば、いかにしてその申出を撃退するかということばかりをお考えにならずに、どうしたならばできるだけ援護法の恩恵と申しますか、施設と申しますか、国家の恩恵を施してやれるかということを、御当局からあたたかい手をもつて御指導いただきたいのでございます。現在におきましては、遺憾ながら、どうしたらこれを撃退するか——こういうものを持つて来い、こういう資料を持つて来い、何かこれを立証するものはないかと言つて、ただ撃退するだけでございます。何かこういうものを証明する資料はないものだろうか、たとえば当時の軍医の証明書はないだろうか、何かこういうものさえあればすぐ上げられるのだ、こういうふうにして、誘いの手をかけていただかなければ、一切の資料が消滅し、敗戦の事案によつて当時の関係者というものも全部その地位を奪われ、かつまた軍の解体に伴つて一切の人というものがちらばらになつておる今日になつては、明らかに客観的事実があつても、立証する資料が非常に乏しいということを御認識いただいて、ただ撃退するのではなくて、当局が国家の定めた恩典をこの該当者に該当せしめるようにして行くにはどうしたらよいかということを考えていただいて、できるだけ御当局に援助していただくようにしていただかなければ、非常に不幸な人々が現在の法律の制度のもとにおいてもできるので、このことをお願い申し上げまして、私の質問を終ります。

山下春江改進党

○山下委員長 厚生大臣があとの委員会の都合でお急ぎのようでございますから、大臣に対する御質問を先にいたしたいと思います。

高橋等自由党

○高橋(等)委員 私は、簡単に厚生大臣に希望を申し述べまして、なお政府部内におきまして善処していただきたいことが一つございます。それは、援護法が実施せられまして今日まで一年有余の期間がたつております。その間厚生省におきましては不眠不休の努力を払われまして多数の案件の裁定をなされまして、現在わずかなものが残つておるという御報告を承りました。これはわずかと申しましても六万とかなんとかいう多数であります。しかも、受ける方の遺族の側から申しますと、この裁定が遅れておりまするために非常に焦躁の念にかられるようになり、ために非常に不安な気持、あるいは不満を感じておる者が多数あるのであります。そこで、このたび恩給法が改正になりまして、いよいよ黒の裁定が新たに始まることになつたのでありますが、この恩給裁定にあたりまして、手続を極端に簡易化してもらいたいということ、これは提出書類その他についての要望であります。また政府部内における取扱いにつきまして、厚生省がすでに年金等を裁定いたしまするのに非常な努力を払い、またそのほか、関係遺族も非常に煩雑な手数を実はいたしておるのであります。今度恩給局で裁定をいたしますにあたりましては、少くとも厚生省で年金が出ておるものにつきましては、そのままこれを恩給に書きかえるくらいの英断を持つた措置をしていただきませんと、ここでまた日にちを非常に費やすということは、私は、関係者としてはたえられないことだと思います。国としても二重の手間をいたすことだと考えるのであります。その点につきまして、実は私自身としてもいろいろと政府に申入れをいたしておつたのでありまするが、このたびの恩給の請求等におきましては、相当な簡易化をはかられてはおりますが、まだいろいろな形式にとらわれた点があるように考えます。これはもちろん恩給局の方の立場でありましようが、厚生省の方の立場と恩給局の立場というものを政府部内で統一をしていただきまして、恩給の裁定にあたつては少くとも迅速果敢にやつていただく、これがせつかく恩給法を制定した精神を生かすか殺すかの一つの分岐点になると私は考えております。この点につきまして、政府部内のいろいろなお話合いの模様なり、あるいは大臣のお考えについて承りますとともに、特に強い希望を私は申し述べさせていただきたいと思うのであります。

山縣勝見自由党厚生大臣

○山縣国務大臣 援護法が暫定措置としてできまして施行されて、それが先般恩給法の方で救われることになりましたのでありますがお話の通り、同じ事象について援護法の適用についていろいろ裁定をいたしたことでございますから、恩給法でそれを拾います際に、同じような手数を再びしないで、それをすぐに恩給法の適用の対象にするようにというお話につきましては、私どももまつたく同感であります。またさようなふうに今後とも——御承知の通りこれは総理府でやつておりますが、ただいまの御意見の通り、私も閣内においても強調いたし、またさようなふうに行くように努力はいたしたいと考えております。ただ、先ほど来他の委員からのお話もございましたが、従来とも、恩給法の適用については、いわゆる公務傷害という点は、これは国民の税金によつて支出いたしますものであり、なおまた会計法上から申しましても厳格に——厳格というのは、いたずらにきびしくという意味ではなくして、適正にその法規に合うかどうかということを、国としてもしなくちやいけないということでやつて参つております関係上、なおまた、援護法の適用につきましては、先ほど来のお話もございましたが、ことに援護法は恩給法の暫定措置であり、従つて、恩給法というものが基幹になつての考え方でありますから、公務傷害ということがどうしても基本に相なるのであります。そこに、先ほど来いろいろお話のような、同じく戦地において傷病死された人でも、援護法の対象になつていない現実がありますが、そういうような人を何とかして大きな網を拡げて拾いたいということは、私もいろいろ事務的な検討をいたし、また事務当局の話を聞きますと、なかなかむずかしいこともありますけれども、しかし、大きな見地から見て、大きな網を拡げて拾いたい。公務の認定にあたつても、先ほど来お話がありましたが、できるだけ適用をはずすという意味で査定をするにあらずして、何とかして適用に入るようにという心構えでこれを拾うように、これは私も、就任以来、いろいろ困難な事情があつても、押してさようなふうな考え方で行つてもらいたいということで、事務局も今やつておるのであります。なおまた、この公務傷害、あるいは厳格な意味の公務傷害以外のものについても、今後援護法の適用について考えたいと思つて、今事務的にその範囲等につきましても検討をいたしておるのでありますが、そういう点から言うと、実は痛しかゆしであつて、場合によつては、公務傷害以外のものについても援護法の精神から見て適用したい、そうなりますると、恩給法はどうしても公務傷害ということをはずすことはできない。そこに痛しかゆしの点はありますが、われわれの立場といたしましては、できる限りこの援護法で拾つたものは恩給法で拾い得るように、なおまた、別の面において、援護法においては、公務傷害という認定についてできれば許す範囲において範囲を拡げて何とか考えてみたい、こういうように考えております。その面から申しますと、逆に申しますと、ただ育ちに恩給法の方に援護法の裁定がそのまま及ぶということになりますと、今申した後段の方に支障があるのであります。しかし、お話の点は、われわれもまつたく同感でありますので、重ねてくどいようでありますか、恩給の適用については、いたずらにさらに手続を重ねないように、できるだけ恩給の方で拾い得るように、なおまた、一面においては、援護法の適用については、先ほど来各委員からのお話のあります線に沿つて最善の努力をしてみたい。この点は閣内においても話を強く進めて行きたいという心構えでございます。ほかの問題は、財政上、予算上問題でありまするけれども、大蔵大臣にもできるだけ話をしてみたいと考えております。

高橋等自由党

○高橋(等)委員 実は再質問、再希望というものを申し上げるつもりはなかつたのでありますが、ただいま大臣の御答弁を伺いまして、一言だけ特に申し上げておきたいと思います。私は議論するのじやありませんが、なるほど、公務死の問題につきまして、この範囲を拡大すると従来の恩給の裁定とぶつかる御心配があるということをおつしやるのも了解ができるのであります。しかし、従来の恩給の考え方と、今次戦争の様相という要素を考えに入れましての恩給の裁定というものを考えますと、何も昔通りの恩給裁定をやらねばいかぬというりくつは成り立たぬと私は考える。そこで、この公務死の範囲を拡げるといたしましても、これはある場合は弔慰金だけでごかんべん願う場合もあるでありましよう。ある場合は年金という形をとる場合もあるでありましよう。この年金という形をとるものにつきましては、そのまま国家としてこれを公務死と認定いたしまして、恩給の方でこれを出すというような腹で行かなければ、私は現状に合つた解決ができぬのじやないかということを考えております。そういう意味で、大臣もいろいろお考えもあると思いまするが、あまり恩給裁定との関係を心配のもとに公務死の範囲の拡大がしぶられても困ります。また公務死の範囲を拡大しまするために恩給裁定が遅れても困るというようなことを考えますので、ひとつ恩給裁定の考え方について、今度の戦争の様相を考えに入れまして、公務死というものの範囲を国がはつきりと確立して、それについて公務死の範囲を拡大したものですべてを解決する、こういうようなことを私は希望いたしておるのでございます。これは御答弁いただかぬでけつこうでございますが、委員長にもお願いしておきますが、いずれも恩給局長、それから官房長官の御出席をこの委員会で求めて、なおこれはわれわれの総意だと思いますので、意のあるところを政府に伝えていただきたいのであります。どうぞ、厚生大臣におかれましては、政府部内において御善処方をお願いいたします。

山下春江改進党

○山下委員長 柳田委員。

柳田秀一日本社会党(左)

○柳田委員 私は直接大臣の御答弁を願いますが、本委員会が昨年の十二月に発足いたしましてから大体一年、たまたまけさの新聞によりますと、中国からの引揚が、今次の第七次船で一応集団帰国というものは打切つて、あとは個別的な帰国になる、こういうふうに承知したのであります。そこで、われわれ、この委員会の任務にかんがみまして、従来帰つて来られました方の住宅問題あるいは就職問題、その他集団入植あるいは個別入植、そういうような開拓地に対する入植問題等がいかがになつたであろうかということを、われわれ委員会としては一応ここで再検討する時期に来ておると思うのであります。とかく、最初の引揚げのときには、非常にはなはだしく、われわれも出迎え、声を大にいたしますが、あとはなおざりにしてしまうというのが日本人の欠点でありますけれども、この問題はわれわれ委員会の非常に重要な任務でありまするがゆえに、従来のそういう住宅、就職、入植等に関しまして当局の方で御調査のものがありますならば、ここで一応明らかにしていただきたい。われわれ、今後この委員会を継続する意味におきましては、それに対するところの再検討をする時期に来ている、同時に来るべきソヴイエトからの引揚げに対してもまたわれわれはこれを一つの参考にして、さらにこの引揚げなり留守家族援護に関する万全な手を打つときが今来ていると思う。かような意味におきまして、そういうような資料がありましたならば、ここで御発表をいただきたい。なお、そういうような資料に対しては、御当局におかれてもこれを調査することはなかなかやさしいわざではないと思います。それぞれ引揚げて来られましてから、定着地に散らばつた者を再び調査するということは非常に至難であると思うのであります。もしもそういうような資料を集めるのに多少の時日がいりますならば、早急とは申しませんから、ひとつ十分詳しい資料をお示し願いたい。もしも現在でもわかりますならば、ここでお示し願つたら、たいへんけつこうだと思います。

山縣勝見自由党厚生大臣

○山縣国務大臣 ただいまの柳田委員からのお話、ごもつともでございます。就職率その他住宅の建設等につきましては資料がございまするけれども、お話の点もございまするから、さらに資料の的確を期しまして、できるだけ早い機会に当委員会において御報告申し上げます。

長谷川峻自由党

○長谷川(峻)委員 今度恩給法が前の国会で通りまして、われわれ地方を遊説しながらも非常に感謝されているのですが、先ほど来次長のお話を伺つている間に感じたことは、今弔慰金、年金などに該当しないところの遺族の悩みとして、既得権に対する国家補償ということが原則になつているけれども、そうじやないものも非常に皆さん感じている。たとえば、私先日あるところに参りましたところが、朝早くお母さんがまくら元へ来て泣いて訴えた。その実情をさつそく復員局の方に持つて行つて聞いてみました。ところが、これが自殺者である。これらの人人は、ほかの人々が年金なり弔慰金などをもらつている場合に、自分の一人の子供が応召して行つたにかかわらず、何ら国からそうした手当がないということに対する、既得権の国家補償ということよりも、自分のうちの誇り子供が犬死にじやないということに対する国家の了承といいますか保証、そういうものがほしいということなんです。私は、支那事変から大東亜戦争までの、あの長い無謀な戦争において、四、五百万の兵隊が前戦を馳駆して、大勢の者が自殺して倒れたことがわかるのであります。こういう者が公務死にならずして、今日恩給制度が復活して恩典が与えられているにかかわらず、全然顧みられていない。この遺族の方々は金がほしいというのじやない。国家がそういうことに対して、自分の子供に対して何ら見てくれないという精神的な嘆きが多いのであります。この点などについて、私はあらためてひとつ当局に大きくわくを拡大してもらいたいということが一つであります。そういう意味において、この自殺者は、やはり軍に服務している間に起るところの、神経衰弱とか、軍に関係した精神的な病気でありますから、こういう者などについて一体どうお考えになつているか、これをお伺いしたいと思います。  それから、厚生大臣が短かい時間おられるそうでありますから、この際に私ちよつとお願いしておきたいのですが、先日も臼井委員とともに厚生大臣のもとまで陳情に上りました。それは、年々やつております抑留者の完全救出と巣鴨戦犯の全員釈放についての国民運動の計画であります。もうすでに独立後二年半になりまして、抑留者の一日も早く帰つて来ることを願つておりますし、さらにまた、巣鴨にいる戦犯諸君は、おそらく終戦当時と同じようにあそこに大量に入つておつて、頼つておるものは日本の政府並びに政治家であり、そして一日も早く過去のものを払いのけて自分の国に帰つて生活を築くという希望からいたしまして、おとなしくあそこにいるものだと私は思うのであります。そういう意味合いにおいて、先日来有田さんあるいは委員長などがそちこちを歩いて世界各国に向つてそれぞれ要請はして来ましたけれども、これはもう最後的な国民運動の線にまで持つて行つて、国民運動のバツクにおいて世界の輿論を動かして、どうしてもわれわれ独立の事実を得るとともに、国民全体に、政府並びに政治家、国会が信頼されるようなものにならなければならぬと思うのであります。そういう意味合いにおいて、昨年も政府当局から多大なる補助が出ているようにも聞き及んでおりますが、今日もすでにそちこちにおいては、なけなしの金を出し合いながら各地において三千万の署名嘆願運動を始めているような実情であります。こうしたときにおいて、従来とつて来ておつた政府の態度、補助関係、またこれを慫慂し、そしてまた自分たちの国論を起す、そのバツク・アツプをする意味において、一日も早く当局が手を出されることをお願いするとともに、本日厚生大臣が御出席でありますから、政府のお考え、厚生大臣のお考え等をお伺いいたしまして、これらの運動をやつておられる方々に失望を与えさしていたたきたくない。そしてまた、ぜひとも今度のこの冬の運動を日本の最後の運動にして、国民全体、留守家族並びに抑留者、さらに巣鴨にいる方々に対する大きな希望のきずなにしていただきたいと思うのであります。この点について二つ御質問し、御答弁を煩わしたいと思うのであります。

山縣勝見自由党厚生大臣

○山縣国務大臣 御質問の第一点につきましては、先ほど来申し上げておりますところによつて御了承願つたことと考えますが、自殺者の点は、従来もたびたび陳情を受けます。心情といたしましては、何とかしてこれもほんとうのいわゆる公務死に該当するものにいたしたいということは御同様に考えるのでありますが、これらの点については、恩給法ができたことでありますから、その裁定につきましては恩給局のやることでありまして、これは私の現在の所管ではないかもしれませんが、厳格なる意味では、自殺者等はいわゆる従来の観念における公務死には診当いたしませんが、先ほど来申し上げておりますような考え方から、何らか——ことに戦地においてのものは、病気のいかんにかかわらず、あるいはまたさような自殺とかなんとかいうことにもかかわらず、何らか救い得る道はないかということは、これは厚生省のいわゆる援護の立場として考えて行きたいと実は考えているのであります。恩給法の適用が直接に今仰せのような自殺者にも該当いたしますならば申分ないことでありますが、もしもできません際においては、何らか援護の点において考え得られないかと、実はわれわれの所管において考えている次第でございます。  なお、第二の点につきましては——私は、その前に、この委員会の席上をお借りいたしまして、先般国連の捕虜特別委員会に御出席くださいました、またそれによつて非常に世界の輿論をわれわれの同胞の引揚げに対して喚起していただきました当委員会の委員であられます有田、山下両議員に対して、この機会をかりまして衷心から感謝と御礼の言葉を申し上げる次第であります。それらに関して、今お話のございました戦犯の釈放、減刑、あるいはまた抑留同胞の一日も早く帰られんことを希願する意味の大会についてでありますが、先般来御陳情を受つけております。率直に申し上げますならば、予算的に事務的に申しますと、いろいろ問題がありますけれども、何とかして無理をしてでも出し得る道がないかということを、先般来副総理なり大蔵大臣とも相談をいたしておるのであります。額等の問題につきましてもいろいろありますけれども、私の気持といたしましては、何とか御趣旨に沿い得るような結果をもたらしたいと思つて、せつかく実は努力をいたしておるよりうな次第であります。御了承を願いたいと存じます。

有田八郎小会派クラブ

○有田(八)委員 関連して。今厚生大臣から仰せになつた第二の問題でありますが、私は戦争犠牲者の問題については多年非常に関心を持つて来たのであります。従いまして、この在外同胞の帰還促進の問題、また戦犯者の釈放の問題についてもその通りであります。過般政府の意を受けましてジユネーヴに参つた際にも、政府の関係ということでなしに、一国会議員、また一国民の立場として、関係国に対して陳情をして来た次第であります。従いまして、こういうふうな運動はもちろん賛成いたす次第でありますが、ただ、やり方いかんによりましては、かえつて戦犯者釈放というような問題について効果を得るゆえんでないような気がいたすのであります。関係国の政府に対して進言いたしましたときにも、全面釈放ということについては相当難色がある。難色がある理由はどこにあるか申しますと、われわれ国民の立場から訴えるときには十分同情をしておるのであります。よくわかつておるのでありますが、ただ、彼らの国内関係か言うと、いろいろな困難な問題がある。というのは、戦犯裁判判決の理由等によると、向うの方では、あるいは虐待、あるいは虐待のために死んで行つた、けがをした。そのけがをした者が今日生きておる。それらの当人、家族、友人というものは、いまなおこれらの点について抜きがたい感情を持つておるのであります。個々の事件としてこれをできるだけ早く処理をすることはもちろんでありますが、何といつても、全面的に、ことに日を期して釈放するというような点は、非常に困難である、こういうふうに見て帰つたのであります。     〔委員長退席、臼井委員長代理着席〕  そこで、この戦犯の全面釈放ということでありますが、どういうような意味でありますか、あるいは期日を切つてというのでありますか、明らかでありません。しかし、そういうふうな点を明らかにしないと、会を持つた際の運営の上においていろいろな混乱を起すおそれもないではないと思います。従いまして、これは国民が国民運動としてやるということは非常によろしいことだと思います。政府関係ということになりますと、どういうようなことになりますか。政府が政府として交渉するとかなんとかいうことは別でありますが、国民運動として政府がこの問題に関係されるということになるとどうかというふうな多少疑問を持つております。そこで、この運動の計画の全面釈放という意味が一体どういうことであるかを、一応ここで明らかにしておいていただきたいと思います。私は、決して全面釈放の問題について反対であるどころではない、できれば非常によいと思つているわけであります。しかし、目的は戦犯の釈放にあるのでありますから、釈放を困難にするようなことは、われわれとしてもはなはだ心外でありますので、そういう点を政府としてお考えくださることか必要であると思います。私は目的の達成ということが最も望ましいことであると思いますので、その点、誤解のないように願いたいと思います。

山縣勝見自由党厚生大臣

○山縣国務大臣 ただいま有田委員からのお話は、私も同感に思います点がございますが、先ほど私が申し上げましたのは、政府がこの際国民運動を指導するとか、あるいは政府が表面に立つてどうこうするということではなくして、未帰還同胞が一日も早く故国に帰れることを国民的の感情をもつて推進する、なおまた戦犯の方々の一日も早く減刑釈放されることを祈願する、それを国民的のすなおな感情において祈願するという動きに対して、政府がすなおな気持で、表面で動くのではなくて、陰で、たとえば会場を借りられる費用が足りないとか、そういう費用を困つた遺族あるいは留守家族の方に負担せしめることについてもし遺憾の点があれば、政府がどうにかする、わずかでもひとつ援助しようという意味でございまして、仰せの全面釈放を時期を切つてどうこうするということについては、まだいろいろ政府としての立場もございますが、何とかして御援助もいたしたい——これもできるかできぬかわからぬのでありますが、しかし、私の気持としては、何とかして閣内でも極力話をして、わずかでも御援助をいたしたいという気持でございまして、ただいま有田先生のお話のような全面釈放に対する国際的の関係につきましては、政府はもとより十分注意をしているのでございます。御了承を願います。

山下春江改進党

○山下(春)委員 ただいま有田委員よりの御発言に対しまして、私もお供をして同行いたしました者といたしまして、有田先生は申し上げるまでもなく長い間の外交官、外務大臣等の外交の最も大きな御経験をお持ちの方でございますので、私のようなしろうとがとやかく申しますことはいかがかと存じますけれども、人間はやはりおのおのがいろいろな感じを受けて帰りますので、外国で受けました感じにつきまして、私の感じを皆さんに披瀝して、御批判を得たいと思うのであります。いろいろな国をまわりましたが、その中の一つのアメリカの外務省と法務省と軍部と三人からなつております、日本の戦犯の処理をいたしております三人委員会の委員長スノー氏に会いましたときの話を一例にとつてみまするならば、私はそこでこういうことを申し上げてみたのであります。日本のあの若い戦犯たちが裁判を受けました状況というものは、まつたく未曽有の混乱状態にあり、人間が異常な興奮状態にあつたときであつて、しかも何としても負けた日本が勝つた者に裁かれたという実情に照してみて、あなたはあの戦犯は無罪の者が多いということを認められましようかどうでしようかと聞つきましたところが、それは認められる。しかしながら、自分の方にあるこの判決書がまつたく無効なものだとあなたが言うのには、やはりそれにはそれだけの資料がなければならない、あなたが言うそういうことも認めるけれども、これも八年を経過した今日ではなかなか材料が集めにくい、このように、この判決書が無効であるということも、お互いが資料を集めることは非常に困難であるから、これはお互いが善意に立つて努力を積み重ねて、早くこの不幸を払拭したいものだ。こういう返事でございました。私は、このことに対しましては、ごもつともなことだと思いまて、われわれが今夏で勧告書出し方その他について多少の手おちがあつたならば、そういう点を一生懸命改善をして、そしてあなたのよき資科になるようなものを提出することに努力いたしますから、どうかスピードト・アツプしてもらいたいということを言つて参つたのでありますが、その前に、英国のレデイング外務政務次官は、あなたが言うことは全員のことか、個別のことかということもございました。そのときに、私は、お願いすることは全員釈放であります、とこう申し上げました。私は不幸にして英語もよくわかりませんし、外交上の経験もないものでございますから、そのことが非常にレデイング外務政務次官を不愉快にさしたかどうかということは、私のただ言葉なき感じ以外にはわかりませんけれども、ただいま御出席の鶴見五課長も御同席でございましたから、後ほど参考に承りたいと思いますけれども、私はそのことは無理だとは、それは当事者としておつしやいました。しかしながら、そういうことはまつたく不可能なことだということではなく、やはりお互いができるだけ努力を積み重ねて、こういう不幸を早く取除かなければならないということには、異議はなかつたように思うのであります。あるいは言葉の上では、そんなことを、今全面釈放をただちにしろと言うても、それは国民感情がそうは行かぬというようなことが、文字の上、言葉の上ではあつたと思います。しかしながら、ただいま有田先生から御発言がありましたように、そのこと自体がわれわれの究極の目的である釈放を妨けるということの感じは、私は受けなかつたのでありまして、それらの不幸な問題を、国民がこんなにも、全国民が世界に向つて訴えているのだという姿はつくるべきであつて、それは私は遠慮をすべきものではなく、しかもこれを政府が慫慂してやらしたのでも何でもなく、盛り上つた気持によつて、もはやどんどんことしの未曽有の冷水害を排しながら、ほんとうに握り飯をかじりながら努力をしておる一般の姿を見ましたときに、私どもも、政府がこのことに積極的に正面切つてという意味ではございませんが、遺憾ながらこれまで民間団体が出し合つてやつておりましたけれども、ことしは、いかにも、またこれを出し合つてやつておるという姿を黙つて見ていることができないものですから、ただいま大臣がおつしやつたように、正面切つてではなく、こういうことに対して、ことしは、つらい中からこうやつているんだから、政府としても何らかの手伝いをしてあげましようという、ほんとうの意味のあたたかい気持でやつていただくことをお願いするものであり、そのやつていただいたことは国際関係に何ら悪影響を及ぼさないものであるということを、私は確信いたしておりますので、どうか厚生大臣におかれましては、有田先生の御意見をも御勘案されつつでけつこうではございますが、ぜひとも差迫つております、もはや日にちもないことでございますので、そういう意味におきまして、御努力を賜わりまして、この民間団体の要望いたしておりますことに何とかこたえていただくことを、ひたすらお願いいたすものでございます。

有田八郎小会派クラブ

○有田(八)委員 今、山下議員の発言される前に、私かららよつと発言したいと思つたのであります。厚生大臣のおつしやるような形においてやつていただくことであれば、それは非常にけつこうです。しかし、政府の関係を表面に現わされるということは、なるべくしないようにお願いしたい、こういう趣旨であります。     〔臼井委員長代理退席、委員長着席〕

庄司一郎自由党

○庄司委員 厚生大臣にひとつ私見を述べて御回答を得ておきたいと思います。恩給法一部改正法が実施されまして、全国の元軍人軍属恩給該当対象者及び夫を失つて半額をもらい得る有資格の未亡人等は、その交付の日を鶴首して待つておるのであります。時まさにおいおい寒冷を加え、年末に迫つておりますので、多数の御調査であるから、なかなか厚生省関係、あるいは恩給局関係の調査も遅れるのではございましようけれども、全力をあげて、これこそスピーデイをもつて御調査を進めて、でき得るならばこの年末に、第一回の御交付といいましようか、それがかなうように全力をあげてほしい。なかんずく、優先的には少くとも七十歳以上の高齢の元軍人軍属の御諸君、新聞でごらんのように、たとえば阿部信行大将のように、老齢の元軍人で当然恩給該当者の御諸君が、刻々御逝去されておるような状態でございます。ゆえに、取急ぎ全力をあげていただく。そのためには、定員法もございましようが、ひとつ臨時雇いでも何でも雇われて、事務の進捗をはかつていただく。これは恩給局当局に対しても同様に御願いしたいのでございますが、どうかそう願いたい。ところが、その反面において、先ほど来問題となつております未裁定者関係の調査であります。軍人恩給方面に百パーセント全力をあげられることはけつこうでありますが、反面に未裁定者がたな上げされるようなことがあつてはならないことでありますので、これは両面作戦をもつて万全を期していただきたい。未裁定者の中には、私どもの宮城県の選挙区から申し上げて恐縮だが、第一区の私の方だけでも二百余名の陳情、請願書が私の手元に参つておるような次第でございます。さような関係を、それぞれ復員局の方にも願い出ておるのでございますが、未裁定着の分もぜひ、大臣が先ほどおつしやられた大きな網をもつて、なるべく拾い上げてやろうというような、おおらかな心持をもつて御善処を願つておきたいと思うのです。あらためて御答弁も必要ございませんが、くれぐれも、七十歳以上の老齢の軍人には、優先的と申しましようか、優先中の優先にやつていただいて、せめて一、二回の恩給を交付してこの世を去らしめたい、かような意味から、ひとつしかるべくお願い申し上げておきたいと思います。

山縣勝見自由党厚生大臣

○山縣国務大臣 御答弁がいらぬようでありますが、ただいまのお話の第一点につきましては、これは恩給法の裁定の問題であろうと思いますが、これは所管ではありませんが、しかし、恩給法の裁定につきましては、何と申しましても、従来の経験またはいろいろな資料等の関係から、私どもの援護庁の方の職員がこれに全力的に応援をしませんとできませんので、この点はさように指示をいたしております。なおまた、恩給局の方にも、私からもお伝えをいたします。  それから、第二の点でございますが、それによつて未裁定云々という話がございましたが、現在、大体御承知でありましようが、昨年の今ごろは数十万件でありましたが、現在百九十万の裁定になつております。残つておりますのは、先ほどの高橋先生のお話のように六、七万でございますが、これはほとんど、手続が遅れているというにあらずして、公務傷病認定云々によつて遅れておりますものが大部分であります。従つて、先ほど来お話のような点を早く解決をして、そして仰せのような者が一人もなくなるようなふうに努めたい、かように考えておるわけあります。

山下春江改進党

○山下委員長 受田委員。

受田新吉日本社会党(右)

○受田委員 大臣の御答弁になつたことと重ならないようにして、次の問題を一問だけお尋ねいたします。今回出された援護法関係の提出書類の府県から出されたものが、今次長の答弁では二万却下されたということであります。その二万却下された中には、遺族に該当しない、あるいは内地において死亡したというものが入つておるのですが、こういう人々の救済のために、再び何らかの書類を整え直して、そこで新しい事情が発見できたものが再提出された場合、これを再審査して裁定する用意があるかどうか。一ぺん却下したものについては、ほうりつ放しで、救う道がないかどうか。これはきわめて重大な問題でありまするので、この点をお尋ねしたい。何らかの形でできるだけ一人でも多く救うてやるという線を政府がおとりになるならば、すでに出された書類の中の不備な点を再び整え直して出して来た場合には再審査して認めてやるような、そういう大きな気持を持つておられるかどうかをお伺いしたいのであります。

田邊繁雄厚生事務官(引揚援護庁次長)

○田邊説明員 従来、該当せずとして却下いたしましたものに対して、新たなる資料を添えて不服の申立てをしておる事例がございます。それを審査いたしました結果、これは援護審査会に付議をいたすのでありますが、当然公務であるという結論が得られまして裁定になつた事例がございます。遺族の中には持つておられる資料を提出しない方もあられます。できるだけそれをつけていただくようにすれば、それだけ裁定が有利になるわけでございます。お話のような場合には、当然受付けまして、再審査をいたす方針であります。

受田新吉日本社会党(右)

○受田委員 日赤の従軍看護婦に一例をとつてみても、当然軍属であつた者がこの適用を受けていないために、府県ではそういう者の書類を軍属該当者として出しておるような場合があるのです。こうした問題について援護法の解釈をできるだけ広範囲に、愛情のゆたかな解釈にしてもらうような措置をとつてもらつて、こうして残された少数の、予算的にもごくわずかのものである人々を大幅に救済するような方針をとつていただけないかどうか。この法律を改正しないでも、行政措置としてそれをやるという用意をしてもらいたい。特に残された未裁定の数万についても、そうした意味で、ひとつゆたかな気持をもつて裁定に臨んでいただきたい。これを要望いたしまして、質問を終ります。

中川源一郎自由党

○中川(源)委員 先ほど高橋委員からお尋ねになり、希望をお述べになりましたが、それは、すでに下されました援護法による裁定を、そのまま恩給局の方に書類を渡して、そうして裁定されたものはもうすぐに恩給の支給がなされるように、手続を簡便な方法をとりたいということについてお尋ねになりまして、大臣も努力するとお答えになつたのでございますが、これは、法的に見まして、その書類をそのまま引継いで行こうという法律をつくつておく必要があるかないかということを承つておきたいと思います。そのまま引継いで何らさしつかえないということでございましたならば、ひとつすみやかにその書類が利用できるように御処置を願いたいと思います。これは、すでに十六国会に起きまして恩給局長にも私がお尋ねいたしましたら、その書類は引継ぎができますならばたいへんありがたい、けつこうでございますということでありましたし、また田邊次長も、その書類を渡せることにしようという御答弁をなさつたということが速記録の上にあるわけでございますが、もうすでに恩給法の調査が始まりかけておるのでありますから、今度恩給局の申し出られる内容を見ますると、病歴書とか、あるいは戦歴書とか、あるいは軍歴書というものを書かなければならない。いつ幾日どこで戦争してどこに行つて位階勲等をもらつたというようなこと、どこで病気してどこの病院に入つたというようなことは本人はよく知つておつたのが、死んでおるわけでありますから、役所でわからないならば、戦没者の家庭といたしましてもそういう事情がほとんどわからないと思います。軍隊手帳でももどつておりましたならば、それを見たならばわかるわけでございますけれども、もうそうでない方々はほとんどわからない。わからないことを書かなければならぬというわけでございますので、厳密な意味から調査を始めるということでありますならば、恩給法は二年も三年もかかつてもまだ完成しないと思うのであります。先ほど各委員から申されましたように、すでにこの戦没者の家庭はだんだんと死に絶えて行く者が多い。先日も、四名の戦死者を出して今度の恩給法によると十五万円からの恩給がもらえるおばあさんが、せめてこの恩給の顔を見て死にたいと言いながらなくなつて、だれにも恩給の渡る人のない家庭があります。そういうような気の毒な貧乏をして苦労をしてござる人がたくさんありまして、毎日平均三百人ほどの遺族が死んでおるわけであります。終戦後遺族の中から五十万を越える死没者を出しておるのでございます。こういうふうで、一日も早くこれらの方々に恩給を支給するということにしてもらわなければならぬと思いますので、お役所の方で、ことに最近恩給局では千人も新たに人をお雇いになつて調査を進めようというようなことでありますならば、その人々に教育するだけでも半年もかかつてしまうのではないかと思うのであります。もつとも、大臣のおつしやつたように、厚生省からお手伝いをしてもらわなければならぬのでございますが、それよりも、一番早いのは、前の書類をそのまま引継いでもらう、そうして有効にこれを事務簡捷能率増進の上から生かしてもらうということが心要ではないかと思うのであります。  それから、先ほど各委員からお尋ねになつておる事柄は、すべて病気の種類ということとか、内地、外地という問題が多いのでございますが、いやしくも軍務に服しまして服務中になくなつた方々は、当然公務死亡としての取扱いを受くべきものであると思うのであります。何か病気の種類が二十四の種類に該当しないと、たとえば脳溢血とか心臓麻痺とかあるいは胃がんとか精神病とか、こういうものは該当しないというようなことで書類は却下されるということでありますが、その原因がどこにあるか。はたして、肺病のごときものでも、公務でない、業務上の直接関係ではないという解釈がされますかどうか。結核でも、自分のうちでありましたならばそれは直るべき性質のものであつても、軍務に服したために死没したというようなものは多うございます。また精神病にかかりましてなくなつた者でも、戦争に負けてびつくりして精神病になる方もありましようし、自殺者のうちの多くは精神分裂になつているのではないか、また中には、りつぱな自殺者があつて、たとえばサイパン島などで、もうすでに戦争に負けたのであるから、敵のたまに撃たれて死ぬよりも、自分で腹かき切つてしまうという方や、また刺し違えて責任をとられた方々に対して、弔慰金も年金も渡らないということは、まことにお気の毒であると思います。自殺者といえども、中にはけんかして殺されて、それでも上官の報告よろしきを得て恩給をもらう人があるのに、責任をとつた人が恩給をもらえないということはまことに気の毒であると思います。これまでの援護法では、病気の種類というものに眼目を置いて御調査になりましたために、あなたの方は該当しない、審査中であるというような書類がたくさん返つて来るわけです。これは、病気の種類というものにどこまでも拘泥されるのかどうか。今後はそういう病気の種類ということによらずに裁定をしていただくことが最も必要なことではなかろうかと思います。この点について、今後は該当しない人を援護法によつて救う道を考えたいというふうに大臣も仰せになつておりますので、軍属でさえも、また戦犯者でさえも援護法によることになつたわけでございますから、すべての人が該当するようにしていただきたいと思うのでございます。中には、却下されてそのまま書類を出さずにおる人がたくさんあります。もうあきらめてしまつておる人もあります。これはまことに気の毒であると私は思うのです。どうぞ、そういう人のないように御配慮いただきたいと思います。

山下春江改進党

○山下委員長 厚生大臣、簡潔にお願いいたします。

山縣勝見自由党厚生大臣

○山縣国務大臣 ただいまいろいろお尋ねがございましたが、第一点は、先ほど来御答弁申し上げておる通りでございまして、恩給法がせつかく施行されたことでございまするし、何とか早くこれらが遺族の方々に渡り得まするように、私どもの所管でございませんが、厚生省も極力応援をいたし、なおまた恩給局の方にも申しまして、事務的にも簡捷を期して、早く遺族の方々に恩給が渡りますように努力をいたしたいと考えております。  第二の点につきましても、先ほど来、私の気持と申しますと言葉が適当でございませんが、今後政府としてもそういうふうな公務の認定についてはできるだけ多くの遺族の人々にこれらの恩典が及ぶようにという心構えで臨みたい、それについて今後ともせつかく検討いたしたいと申し上げた通りでございます。なおまた、その中に病気の二十四種類云々のお話がございましたが、これはせつかくのお尋ねでございますけれども、お話のような実情はございませんで、それらのものについては、むしろ裁定にあたつて手続上かれこれ手数を要しませんように、ある一定のものについては何ら調査しないで無条件で認める、しかし、ある一定のものについては、認めないにあらずして、個々に審査をするというだけの基準でございまするから、病気によつて公務云々ということは全然ございませんから、念のために申し上げておきます。  なお、その他の点につきましても、先ほど来たびたび御弁申し上げておる通りでございまして、御趣旨の点はよくわかつておりまするので、十分に誠意をもつて善処いたしたいと考えております。

小平久雄自由党

○小平(久)委員 私は、先ほどちよつと中座いたしましたので、あるいは他の委員からすでにお尋ねがあつたかと思いますが、簡単に一、二点だけ承りたいと思います。  ただいま御質問がございましたが、今すでに給付されております弔慰金あるいは年金等の問題ですが、それについて一番問題になつておるのは、死亡原因と申しますか、公務の範囲ということのようでありますが、この点については、先ほど来いろいろ当局の御意見等も伺つておりますので省略いたしますが、今後当局がおやり願うについては、私は、死亡原因と同時に受給資格者の面についても大いに検討してもらわなければ困ると思います。元来弔慰金は、あの援護法ができる当時におきましても、最初、年金をもらう者には弔慰金はやらぬというようなことでもあつたのを、なくなつた方には一人一人弔慰金を全部やるというのが当時議会でのほとんど全員の気持だつたと思います。ただ、それを書いたものにして法律になりますと、一方には資格のない者が出て来る。資格のない者が出た原因は、死亡原因の面もありますが、一方には受給資格者の面でも弔慰金が出ない英霊が出てしまつたという、両面からなつておると思う。そこで、援護法の改正を今後当局がお考えくださるならば、せひ死亡原因とあわせて受給資格者の面も考えていただきたい。一例で私が承知しておるのを申しますと、兄弟三人戦死しておる、しかしその中の二人は独身である、両親もない、こういう場合には、未亡人のある長兄の分だけ弔慰金が来て、独身であつた弟の分は出ない。一家に三人の戦死者があつても、長男の分しか出ない。弟の分は弔慰金も全然出ない、そういうことが現にあるようであります。こういう点はせひ改めてほしい。また中には全然家族もわからぬというものがあるかもしれませんが、そういうものも、町村長あたりに調べさせることによつて、少くとも一人々々について弔慰金は必ず出る、こういう方法に改めてほしいと思うのですが、この点、いかがでしよう。

山縣勝見自由党厚生大臣

○山縣国務大臣 この点も、従来たびたび問題になつておる点でありますので、検討して、できればそういうふうにいたしたいと考えておりますが、ただいまはつきりそういたすということは申し上げかねますけれども、従来とも、遺族の方々から見ればごもつともな点もありますから、十分考慮して、検討を重ねてみたいと思つております。

小平久雄自由党

○小平(久)委員 この点は、くどく申しませんが、よく事情はわかると思いますから、せひ御考慮を願いたいと思います。  それと関連してお願いしたいのですが、よくわれわれが受ける相談は、公債を担保にしての借入れの問題ですが、これは、当局では、どのくらい申込みがあつて、どのくらい現に国民金融公庫を通じて借りておるかということはおわかりですか。わかりますれば、そういうことをお示し願いたい。例の町の金融機関など、こういう状態ですから、年末などを控えて遺族の方はよほどお困りだろうと思う。そういう点からも、特に遺族公債による金融という面に一段と御配慮を願いたいと思います。

山縣勝見自由党厚生大臣

○山縣国務大臣 その点は当委員会においてもたびたび申し上ておると存じまするが、昭和二十七年度で二十億、昭和二十八年度二十億のわくをとりまして、大体これはこのわくを使い、昭和二十九年度においてはまだどれほどのわくということはきめておりませんが、現在まで大体五十億のわくを使つて割当をしており、ことに今回の風水害につきましては、たしか三億数千万円の割当てをいたして、府県にも通知をいたしました。大体、大蔵省としては、この程度で困窮者に対する借上げはいいのじやないかと言つておりますけれども、なおまた、今回の風水害については、困窮者の程度をあまり厳格に見ないで、償還もいたしております。厚生省の立場といたしましては、できるだけ償還をして、政府が借りておる金であつて、別に差上げる金でないからということで、いつも大蔵省とやり合つておりますが、十分実情を徴つして、もしも困窮者にして、あるはそれに近い人で償還を希望する数が現実にありますれば、大蔵省ともさらに折衝して、昭和二十九年度においてもわくの設定に十分努力いたしたいと考えておりますが、一応、大蔵省としては、この程度で困窮者の償還はいいのじやないかと現実には申しておりますが、今後われわれの立場としては、先ほど来申しておりますように、現実にさらに調査して努力いたしたいと考えております。

山下春江改進党

○山下委員長 長谷川委員。

長谷川峻自由党

○長谷川(峻)委員 実は、けさの新聞に李徳全女史が、わが中共からの集団引揚げがすでに終つたように言明したと書いてあります。さきに外務省から、九月に、中共に向つて、残つている数の照会をしたと思うのです。にもかかわらず、本日の新聞によりますと、もう集団引揚げは終つたような報道をされた。これは、残つている人々を迎えようとするわが国におけるところの家族にとつては大問題なのでありまして、外務省には今まで九月の照会に対してどういう情報が入つておるか、これがお尋ねしたいところの第一点。  第二点は、先ほど、この国民運動について、有田八郎氏から、さらにまた山下委員長から、それぞれ外国をまわつている間におけるところの受けた感じについての御意見がありました。いずれもこの国民運動を完遂させたいという意味においての発言で、非常に了解はしたのでありますけれども、あれだけの大きな使命を持つてお二人がおいでになつた際に外務省から随行された鶴見君がここに出席のようでありますから、その立場から、一体今度こういう運動をやつてどういうふうに外国が受取るか、それとともに、ずつとあなた方がまわられたところの印象を承つて、われわれが将来の運動の参考にしたいということが第二点。  もう一つは、援護庁の方に対しまして、南方の遺骨の引揚げが従来あつたと思います。残つているのは、アメリカ関係は終つたと思いますけれども、イギリスその他がまだ終つていない。最近いなかの新聞を読んでいて非常に感じるのですが、ガダルカナル周辺の遺骨を迎えようとする運動が、あちらの方から帰つて来た諸君によつて地方ですでに起されている模様であります。ガタルカナル関係についての遺骨引取りの手配なり準備が当局としてあるかないか、それについてお尋ねしたいと思います。

鶴見清彦外務事務官(アジア局第五課長)

○鶴見説明員 御質問の第一の点でございますが、三十日夜の北京放送によりますと、中共の紅十字会の李徳全会長が、第七次の邦人の帰国でもつて集団引揚げは終つた、それまでに二万六千二十六名帰つたということを申しておりまして、その後の引揚げについては、北京におきまして三団体の代表と紅十字会のとりきめました共同コミニユケの第十二条、いわゆる集団引揚げ後の帰国の援助というその第十二条によつて処理されるだろうといつた旨報道されておりますが、私どもの方の情報といたしましては、第七次までに帰りました者が二万六千百二十七名でございまして、その間百一名の違いがありますが、これは大体船内出生者及び外国籍の者がその数に当りますので、その数の違いは大きな問題ではないと存じます。この李徳全会長の貿易促進議員団に対する言明のことでございまするが、この点に関しましては、三団体から九月三十日付で電報を打つておりまして、その第二点の中に、今後の引揚げの見通しについて照会をしておるわけであります。しかるに、突然こういう李徳全会長の、その筋道ではない通商議員団に対する言明があつたわけでございますので、私どもといたしましては、当然九月三十日の、三団体から中共紅十字会にあてた電報に対する返事がなければならないと思つておりますが、いまだにその返事がないわけであります。当然それによつてはつきりされるのではないかというふうに考えております。さつそく、三団体に対しましては、外務省としましても、けさほどの北京放送のことを伝えまして、三団体としてすぐ電報で照会するかどうかということを確かめてみましたところが、現任第三次の華僑及び遺骨送還で、その宰領として日赤の川合会計室主任、井出外事課長が行つておりまして、その方々が大体三日ごろには北京に入つて向うの紅十字会の人にも会う機会があるので、その人々からも何らかの情報を得られるだろうと考えております。従いまして、三団体といたしましては、現在のところは、すぐ打切り照会の電報を出さずに、もう二、三日待つてみようという態度をといつておるようでありまして、外務省とたしましても、その態度に異論はないというふうにしております。他方、御承知のように、昨年十二月一日の北京放送によりますと、帰国を希望する在留邦人は約三万といつておりますが、私どもの調査では二万六千百二十七名帰つております。片方、紅十字会長の言明では二万六千二十六名でありまして、いずれにいたしましても約四千名という数の者がいまだに残つておるのじやないかと考えられます。この李徳全会長の突然の言明ということが一体どういうものか、現在のところまた判断に苦しんでおります。その点は、先ほど申し上げましたように、第三次華僑及び遺骨送還の宰領の方からの連絡、あるいは九月三十日付の三団体の中共紅十字会あての電報に対する返事というものを待つて明確になるのではないか、こう存ずるわけでございます。  第ニ点でございますが、私、山下、有田両先生のおともをいたしまして、ジユネーヴの国際連合俘虜特別委員会第四会期に出席して、それを終了した後、各方面をまわつて帰つて参りました。その際の印象といたしまして、戦犯の問題については、それぞれの国民感情がございまして、全面釈放はなかなか容易じやないということを感じて参つつております。かたがた、今回国民運動としまして、戦犯全面釈放及び海外抑留同胞の全面帰還促進ということをおやりになるということでございますが、ちようど、御承知のように、ソ連の抑留者につきましては、現在日赤の代表団がモスコーで、きようあたりから打合せを始めるという段階でございまして、なかなか問題としましては今デリケートな時期に至つているのではないかと私は考えます。従いまして、国民運動のやり方というものもなかなか重要になるのではないか。あまりに関係国ソ連あるいは戦犯につきましては米英その他の国々を不要に刺激するような方法は現在避けたい。しかしながら、国民の盛り上る気持というものを率直に表明するということばいいかと思いますが、先ほど申し上げましたように、不必要にそういう関係国を刺激するような形になることはおもしろくないのじやないかというふうに考えます。従いまして、政府は、直接あるいは間接にでも、表面に出るような形になることは避けたいというふうに私どもは考えております。

田邊繁雄厚生事務官(引揚援護庁次長)

○田邊説明員 遺骨収集の点についてお答えいたします。御承知のように、海外戦没者の遺骨の現地の慰霊と、それから収集でございますが、これは、まず第一にニユーギニア、ソロモン群島関係の人をやりたいと思いまして、これはイギリス、濠州の関係だけでありますが、この両国に対して外務省を通じて申入れを行つております。援護庁といたしましては、できるだけ早く実現したいという希望を持つて、外務省を通じてせつかく努力をいただいております。

受田新吉日本社会党(右)

○受田委員 局長に対する質問が残つておりましたので、これを片づけます。  戦犯釈放運動がこうして強力に展開されようとしているときに、巣鴨におられる方々の家族に対する援護対策でありますが、恩給法の適用を受けるその日まで、この方々はまだ帰らざる未復員者の留守家族として、その援護法の適用を受けるわけでありますが、それに対して、厚生省と援護庁といたしまして、海外から釈放されてお帰りになられる方々が今まで帰還手当をもらつておるということに今後も異状がないかどうか。今後ソ連から帰られる戦犯ももちろんこの帰還手当が出るという政府の意向でありますが、巣鴨におられる方々のお帰りになる際のそうした態度については、今まで声明されたと同じような立場か、あるいは進歩しておるか、個別釈放が続々あるようですから、この点をお伺いしておきたいと思います。  もう一つは、この援護法の中の公務傷病の範囲には、いわゆる恩給法で指定する方と、もう一つ、援護審査会がきめた場合には特別にこれを認めるという二つの規定がありますが、公務傷害でずつと治療しておられた方がなくなられた場合、普通の恩給法の適用者の分は遺族年金の受給者になるわけです。ところが、今の援護審査会の方で公務上の傷病として取扱われた分は、何ら救済を受ける道がないのであるかどうか。この公務傷病の範囲と、それから、それに基く死亡の場合の措費等の関連をお伺いつしておきたいと思います。

田邊繁雄厚生事務官(引揚援護庁次長)

○田邊説明員 巣鴨の拘禁者が釈放になつた場合に、中共帰還者に対する一万円の帰還手当の支給と同じように出るか、その点その後進展しておるかというお尋ねでございますが、実は進展いたしておりません。その点は、私ども大蔵省とだびたび祈衝をいたしたのでありますが、意見がまとまりませんで、今日までのところ、その方針は決定いたしておりません。従つて、外地から帰られました戦犯者——最近マヌス島、フイリツピンからお帰りになりましたが、これらの戦犯者に対しましては、釈放になつた場合も、また巣鴨に入つておる方も、全部お渡ししてございます。それ以外の方につきましては、まだ大蔵省と話合いがついていないという状況でございます。  それから、援護審査会において認定した公務という点についてのお尋ねでございますが、これは、公務ではないけれども、しかし公務と同視すべきものと議決になつた場合には援護法を適用することができる、こういうことでございます。従つて、それは公務でないということが第一点、しかしそれば公務と同視すべきものと議決になつておるということが一点になつている。これは恩給法の中にあるものをそのまま取入れたわけであります。従つて、援護審査会において公務であると決定した以上は、援護法では他の公務の場合と同じように扱えるわけです。

受田新吉日本社会党(右)

○受田委員 もう一つ次長さんにお伺いしておきたいことは、未裁定者が六万幾らあるのですが、この人々の審査の進行があまり芳ばしくない。非常に念を入れておられると思うのですけれども、この方々は、今却下された二万の人々と比べて、事情が非常に複雑で、判定に苦しんでこうして残つておるのか、あるいは、この未裁定者の中には該当者があるのはわかつておるのだが、手続上遅れた分があるのか、この点をお伺いしておきたいと思います。

田邊繁雄厚生事務官(引揚援護庁次長)

○田邊説明員 六万四千と申します中には、実は同一人についてニ人以上の請求があるという場合がございます。たとえば、戦没者が一人ありました場合に、妻と両親の両方から請求が来る。これは、各人ごとに権利があるわけでございますので、各人ことに請求してさしつかえないのであります。私の方では、できるだけ一本で請求してほしいということにしてございますけれども、分割して請求される場合がございまして、こういう場合に、二件として勘定されている場合がございます。しかし、ネツトとしてはもつと減ると思いますが、その中には、先ほど申しました通り、船員関係が全然裁定してございません。船員関係が大分含まれております。これは、現在船員保険で金をやつておるものでありますから、そのやつておる金と今度やる金とを調整しなければならぬ部分がございますので、その点で遅れておるものが相当ございます。その他にもルートによつて着々審査を進めておるのが相当数ございます。まあこの中で死因関係でずいぶん審査を要するものというのは二万見当ではないかと見ておりますが、正確なことはまだ調査したわけではありませんが、その分については二通りございまして、一つには、全然資料のないのがございます。死んだ場所、どういう原因で死んだのか、これにつきましては、先ほどお話しましたように、できるだけ関係者から資料を集めていただきたいということをお願いしておるわけであります。しかし、その資料がないから却下するというわけではございませんで、資料があるだけ集めまして、その資料に基いて最後の裁定を下すわけであります。また、すでに資料があがりまして、どこでいつごろこういう病気にかかつてなくなつたということがはつきりわかつておる場合に、それを公務と判定するか、公務でないと判定するかということについては、慎重に検討して、他の事例との関連を考えながら、一つだけぽつんとやるわけにも参りませんので、まあ先ほどもお話がありました通り、何とかならぬだろうかという気持で、実は慎重に審査しておるわであります。これは、却下するのは簡単でございますが、そうではなしに、りくつのつく限り公務と認定できないだろうか、そういう考え方から、ずいぶん慎重に審査をいたしておるわけでございます。

受田新吉日本社会党(右)

○受田委員 外務省関係で一点だけ。中共へ流された戦犯が千名足らずあることはタス通信によつて一昨年示されたところでありますが、ソ連関係の戦犯は、今度帰られる中共関係の戦犯から何らかの形で情報が入つていないか、あるいは今度中共から帰られた方方の中で戦犯関係とおぼしき方があるかどうか、こういう点が第一点。  第二点は、今課長が申された、三団体との交渉などによつてまだ望みがかけられておるようなお話もあつたのですが、李徳全のあの声明によつて今後集団引揚げが期待できないという形に一応なると思います。この場合に、政府としては、今後、李徳全声明があるにもかかわらず、約束の三万人まで、あるいは日本国の強い願いからこの集団引揚げを希望するような、そうした外交上の努力をされる用意があるかどうか。あるいは、今後個別引揚げということになつた場合におけるその引揚げに関する措置については、万一個別引揚げで少数ずつ帰るという場合に、船賃とかいろいろ問題が今まで議論に上つたわけですが、こういうことに対する外交的な措置に対する心構え、これを外務省としていかがお持ちになつておられるかを伺いたい。  もう一つは、援護庁としては、今後の個別引揚げも、従来の集団引揚げと同じような形にその待遇をされるようになるのか、そういう研究をされておるのか、あるいは従来個別引揚げについては何ら政府はおかまいなしであつたのであるか、こういう点について、李徳全声明に対する今後の援護庁としての用意をお聞きしておいて、明るい見通しをできるだけつけて行きたいと思うのであります。  以上二つ、一つの問題について外務省、一つの問題について厚生省の御答弁をいただきたいと思います。

鶴見清彦外務事務官(アジア局第五課長)

○鶴見説明員 中共関係の戦犯ということで九百七十一名が中共の方にはたして引渡されたのか、引渡されないのかその点につきましては、的確なる情報がないのでありまして、御承知のように、一九五〇年の四月二十二日のタス通信では、九百七十一名が中共人民に対する罪のかどでもつて中共に引渡さるべきものということになつております。ところが、ことしの八月三十一日のプラウダの発表によりますと、これが引渡されたとは書いてございません。他方、私どもの方に入つて参ります情報でも、はたしてそういう人々が中共に渡されたかどうかということが明確でございません。ごく断片的な情報では、たしか永年だつたと思いますが、ちよつと名前は忘れましたが、そこに急に新しい屋根のついた、煙突のついた家を建て始めて、そこへどこからともなく日本人が入つて来たというような、非常に断片的な情報があります。あるいはそれが、九百七十一名に該当する方々がそこへ移されたのじやないかというようなことは、非常に断片的ではございますが、出ております。しかしながら、断定せられるような情報はございません。最近帰つて来られた方々のうちには、特に第六次の方々の中に、いわゆる戦犯者とみなされる方々の家族というような方が帰つて来られておりまして、その方々の話によりますと、大体西陵あるいは永年、太原あたりにおられるのじやないかということでございますが、その方方がはたしてソ連側から引渡された九百七十一名の方々に該当するかどうかということは、明確な資料がいまだつかみ得ない状況でございます。  続いて、李徳全声明によりまして集団引揚げが第七次で終つたということになつて後の対策でございますが、先ほど来申しましたように、北京におきます三団体代表と紅十字会とのとりきめた共同コミユニケの第十二項によつて先方はその帰国を援助する、一体具体的にどういうふうに援助するかということがいまだにわからないのでありますが、この点につきましては、さらに必要があれば三団体を通じまして確かめ、それに応じた態勢をとる必要があるのじやないかと考えております。他方、個別引揚げにつきましては、従来の香港のルートというものを復活いたしまして、そちらの方面を通ずる引揚げをもあわせて考えて行くということに現在のところでは考えております。

田邊繁雄厚生事務官(引揚援護庁次長)

○田邊説明員 個別引揚げに対して援護庁はほつたらかしておるということでございますが、そういうことはございません。これは集団引揚げが始まる前に個別引揚げがございました。これに対しては援護庁は船賃を負担しておりまして、これは中共の残留者に対して非常にいい影響を与えております。続々と個別引揚げを希望する者が向うでたくさんあつた。そのときに集団引揚げがあつたのであります。帰つて来た場合におきましても、従来から、それぞれの港には検疫所があつて、そこで援護関係の職員がおつてお世話をいたしております。物心両方面からいろいろ援助いたしております。今後集団引揚げが終つてあとの個別引揚つげがありました場合には、従前と同様の取扱いをいたしたいと考えております。

受田新吉日本社会党(右)

○受田委員 舞鶴の援護局はソ連関係の引揚げを受入れられることにしておられるように政府の御答弁があつたのでありますが、今後外国関係の引揚者が非常に減少されるという見通しのもとに立つて行政整理その他に関連して何らか政府として期するところがあるのではないか。この問題について、援護庁の最高責任者の一人である次長の舞鶴援護局に対する措置についての構想をお聞きしておきたいと思います。

田邊繁雄厚生事務官(引揚援護庁次長)

○田邊説明員 今後の引揚げの見通しとも勘案いたしまして、慎重に検討したいと思つております。

山下春江改進党

○山下委員長 本日の議題の一つでありました引揚者の住宅に関しましては、万場者住宅の疎開が打切られて以来、集団住宅の荒廃と補修の不足により、引揚者住宅については悲惨なものがあります。これについては、先ほど柳田委員よりも発言がありまして、大臣より、よく調査してという御答弁もございましたので、次会に譲ることにいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時五分散会

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