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16回国会参議院1953/08/03

労働委員会 第26号

発言数
137
登壇者
14
会派数
5
開催日
1953/08/03

会議録

栗山良夫日本社会党(第四控室・左)

○委員長(栗山良夫君) 只今から労働委員会を開会いたします。  本日の案件は電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案、公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案(予備審査)、地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案(予備審査)でございます。先ず電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案を議題に供します。  本日は要求の大臣といたしまして総理大臣、通商産業大臣、法務大臣、労働大臣の出席を求めておりまするが、まだいずれも御出席になりません。従いましてこのままの状態において暫らく休憩いたします。    午後二時十一分休憩    —————・—————    午後三時一分開会

栗山良夫日本社会党(第四控室・左)

○委員長(栗山良夫君) では再会いたします。本日の案件について御質疑のおありの方は順次御発言を願います。

田畑金光日本社会党(第二控室・右)

○田畑金光君 それではこの間上條委員から質問が継続されておりましたが、私から二、三労働大臣並びに所管大臣に対して質問したいと思います。  先ず第一にお尋ねいたしたいことは、今回のスト規制法案というものが昨年の炭労と電産のストの経験に鑑みて提案されたわけであります。そこで私の第一にお尋ねいたしたいことは、昨年の争議のあとを振り返つてみたときに、一体政府はあの両争議に対してどういう対策を持つて臨んで来られたかということを第一にお伺いしておきます。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) お答えをいたしますが、この問題につきましては、先般もお答えをいたしたところでありまするが、政府としましては、労使の間の争議行為というものに第三者が徒らに介入することは避けまして、労使双方が責任を持つて自主的に解決するのが最も望ましいのであつて、政府としましてはこの基本原則に則りまして両争議に対処して参りましたのであります。同時に併しこれについて如何に解決されるか、又政府としては如何にしてこれを早期に解決するかということにつきましては重大関心を持つて、時宜に応じた適正な措置をとつたものと考えております。即ち電産につきましては、中労委の調停案及び斡旋案提示に際しましては全面的にこれを支持し、又推進するよう再三に亘りまして労使双方を招致いたしまして、中刀委の案を基礎に早期解決を図るよう勧告をいたしたのであります。又炭労につきましては、自主的交渉の途が杜絶しまするや、労使双方に対しまし中労委の斡旋によるべきことを勧告いたしまして、中山会長にも斡旋乗出しを要請いたしたのであります。その後斡旋案が提示されまして、組合がこれを拒否するや、代表者を招きまして斡旋案の受諾勧告を行なつたのであります。かくてストの長期化によりまし国民経済並びに国民生活に与えまする影響の甚大化と、更に最後の段階に至りまして保安要員引揚げの準備指令という重大な事態に立至りましたので、遂に緊急調整の決定によつて事件の解決を図つたのであります。そのような手だてをいたしたのでありまして、なお政府としましては、公正な労使関係の維持確立という建前に立ちまして、事態の推移に応じて事件の解決のためにあとう限りの措置をとつておるのであります。

田畑金光日本社会党(第二控室・右)

○田畑金光君 只今労働大臣からお話がありましたが、私のお尋ねしたい第一点は、今労働大臣のお話によりますると、政府としてはできるだけ本争議が早期に解決でき得るように中労委等にも働き掛けたし、その他の具体的な行動を通じてこの争議の円満解決のたのに努力したのだ、こういう御説明でありましたが、具体的に申しますならば、一体政府は本争議開始後幾ばくの日数が経過した前後にそのような手続をとられたか、中労委等に対する働き掛けをなされたか、これについて電産と炭労の両争議の場合を具体的にお示し願いたいと思います。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 政府委員からお答え申上げます。

田畑金光日本社会党(第二控室・右)

○田畑金光君 小坂労働大臣と一問一答をしたいので、事務局のほうから資料がありますならばもらつてどうか御答弁願います。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 事実問題でございますから、説明員から詳しく御答弁させたいと思つたわけでございます。いけませんでしようか。

田畑金光日本社会党(第二控室・右)

○田畑金光君 それでも労働大臣、私は差支えないと申上げたいのでありまするが、お互いに一つ一問一答の形式でこの問題の質疑を続けて参りたいと思いますので、もうそういう、この間山崎課長の話したような詳しいことはこの間説明を受けましたから、そうじやなくて、一体スト経過後どのくらいの日数を経てから措置をとられたかということをお尋ねしているわけです。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 電産争議に経過につきましてはすでによく御承知だと思いますが、三月二十八日に電産及び電経会議がそれぞれ労働協約の改訂を申入れまして、その後しばしば交渉を持つたのであります。なお四月以降五月十日までに八回に亘りまして団体交渉を行なつたのであります。四月十四日に至りまして電産は、四月以降の本格的な賃金に関しまして次の要求書を会議に提案したのであります。その後その基準要求については、これは先般もお話いたしましたが、現行一万二千八百円に対して五六・二%、即ち二万五十五円、これを四月一日から実施することということで、電経会議は拒否回答を行いまして、その後いろいろ交渉の過程を経たのでございます。るが、政府といたしましては、その間の事情はもうすでに御承知のことでもあり、本委員会においても先般来から申上げたことでもありまするし、政府としましてのとつた措置を特に引き出してもう一度申上げますと、十一月十三日に労使双方に対しまして労働大臣が調停案を基礎に交渉再開を勧告いたしたのであります。労働組合側は即日、又経営者側は十四日に、中労委会長の斡旋に応ずる旨を回答いたしたのであります。その後十一月の二十八日に労働大臣が労使双方に対して早期解決を要請いたしました。経営者側は斡旋案の受諾を回答いたしました。十二月十三日、労働大臣が労使双方に対して早期解決を勧告いたしたのであります。御承知のように十二月十八日に電産関東地本が単独に妥結いたしまして、電産のほうも中山斡旋案受諾を回答いたしまして、午後九時に労使間に中山斡旋案に一項目を追加した仮協定書に調印されまして、電産は午後九時十五分スト中止の指令を発したのであります。こういうふうに前半は政府は不介入の方針をとつておりますが、これは先ほど申上げたように、労使とも自主的に解決することを強く要望しているのであります。又労働争議は自主的交渉によつて解決することが望ましく、第三者が濫りに介入することは避けるべきであるという基本原則に則つたわけであります。  なお炭労のほうについて申上げますとこれもすでに申上げたことでありますが、七月十六日から二十一日の間、炭労の第六回臨時大会におきまして、十月以降賃金闘争方針を決定いたしまして、賃金要求額は半物量方式によつて算出する、なお交渉方式は中央大手十七社を中央ブロックとして対連盟交渉をする、その他の各社は地方ごとに中央に準じて地方連盟対炭労地方ブロックの組織交渉をすると、こういうことで打出しまして、なお八月十七日に炭労が連盟に対しまして、中央大手十七社の十一月以降の賃金につきまして次の要求書を提出したのであります。基準賃金につきましては、坑内一方当り千六十円、現行は五百五十円であります。坑外一方当り五百六十円、現行三百四十円であります。家族給は一人について月額八百円、標準作業量は、現行のものを拘束八時間のものに対応するごとく修正する、協定期間は一カ年、こういうことで、その後八月二十五日に第一回の団体交渉が持たれまして以来、しばしばの交渉を続けたのでありまするが、その後の経過についてはすでに御承知でありましようし、省略いたしまするが、十二月の二日に至りまして、労働大臣が労使双方を個別に招致いたしまして、中労委員会長の幹旋を受けて早期解決するように要請いたし、中山会長斡旋を申入れたのであります。更に十二月十日に炭労が斡旋案拒否を中労委に回答いたしまして、いわゆる保安要員就業拒否準備指令第十七号というのを発したのであります。そこで労働大臣から炭労代表に対しまして中山斡旋案の受諾を勧告いたしたのでありますが、なお十二月十五日に政府は緊急調整発動につきまして中労委の意見を聞くことを閣議決定いたしまして、官房長官談を発表し、併せて保安要員撤収に関する警告声明を行なつたのでありますが、十二月の十六日に中労委は総会におきまして、緊急調整はこの事態では止むを得ない旨を決定いたしまして首相宛に答申をいたしました。政府は総理府告示二百八号を以て十七日午前零時から緊急調整を発動する旨を告示いたしまして、官房長官はこの旨を労使双方に通達いたしました。炭労中闘会議は午後十一時四十分、二十八対十六で緊急調整を受けることを決定いたし、直ちに満場一致の決定でストの中止指令を出したのであります。中山会長は午後十一時半に次の第二次斡旋案を提案し、斡旋案はそのままとし、一時金五千円を支払うということを申入れました。翌十七日、炭労は第二次斡旋案の受諾を決定して、その旨を中労委に回答したというような次第で、これ又政府が今申しましたようなできるかぎりの措置をとつておるのであります。

藤田進日本社会党(第四控室・左)

○藤田進君 関連して……。大変な政府としては御努力されて争議解決に援助をされたように聞くわけですが、二、三の具体的な事例を挙げまして大臣の御答弁を得たいと思います。  昨年の電産に関する調停案が九月六日提示されておりますが、その調停案が提示されるまで……、昨年の調停案が九月六日ですが、その前の八月におきまして、政府の時の吉武労働大臣が非常に奇妙なことに使用者側の立場に立つて中労委に圧力を加えている事実があるのであります。これは当時吉武労働大臣にも直接会つて、その事情を明らかにし、電産は抗議をいたしておりますが、その内容とするところは、昨年九月選挙の前に開いておる電気事業経済者会議は、一千万円の自由党に対する献金をいたしました。その選挙の直前の八月に吉武労働大臣は関西にも行つた模様です。勿論関西の電気経営者、関西電力社長太田垣氏にも会つていると伝えられております。問題になるところは、中山会長に対して労働大臣吉武惠市氏の命令で以て富樫総務課長を中労委に遣わし、今度出されるであろう電話の調停案には会社が言つている企業別賃金の調停案を是非出してもらいたい、こういう強い申入れを中労委にいたしておりますし、その後当時電話の調停担当者である中山委員長病気でありましたが、漸くにして全快されて中労委に出られるや、中山会長を招致いたしまして、同様吉武労働大臣は会社の主張している当時の企業別賃金の調停案を出せ、こういうことを言つているし、中山会長はそういういわば電産の組織をこわす結果になるようなそういう企業別賃金というものは自分としては出せない、こういうように言われているようであります。これについて勿論今申上げた富樫総務課長も現存しておりますし、吉武労働大臣も現存しておりますが、例えば富樫総務課長は当時私に対して、大臣の命令によつて子供の使いと同じように使いをしただけで、百分には何ら意図がなかつたということを私にも述べているのであります。これに関しては勿論当時の中労委事務局長中西さんも御存じないはずはないのでありますし、このことは極めて確実な権威ある方から私は、一名ではございません、二名の方から直接聞きまして、そしてこの問題は労働大臣に質したらこうこうだ、そうして又爾後の成行きについても、中労委自身の責任ある方にもお話をして、そして当時の模様は明らかにされていたのでありますが、この政府の、労使の間に立つて公正に中立に事の円満解決に処して来たと言われる半面に、そういつた裏の実にいまわしい状態が当時あつたという事実を御存じかどうか、この点をお伺いいたしたいのであります。  第二の点は、資料である昭和二十七年秋の電産争議経過、こういつた日附を追つてここに記録が提出されておりまして、これだけ見ればその真相は明確でありませんけれども、十二月の十七日、十八日かけていよいよ解決の大詰の際に、電産労組が斡旋案を受諾したというその刹那において、そのときまで斡旋案を受諾したと対社会的にも発表していた電経会議、経営者、資本家側が、電産が斡旋案を受諾するや斡旋案を否定して出て来た、事情が非常に変つて来たのだと称して、労働協約についても斡旋案の通りを肯定しないで、これを否定して来た。又賃金についても同様に、労働条件その他の合理化についても企業別に交渉をするのだと言つて、斡旋案を、これ又事実上の否定の態度に出て、電産の斡旋案を受諾することによつて直ちに仮協定ができるはずであるし、延いてはストライキの中止指令が直ちに出るはずのものが、非常に長時間、会社が斡旋案を事実は呑んでいなかつたためにその協定が非常に混乱に陥つて、争議がその最も重要な段階に到達しているにかかわらず、中止指令が出せなかつた。これに対して当時の斡旋者であつた中山中労委会長は、会社が今となつて、つまり電産が斡旋案を呑んで来た、この時点においてかようなことを言うことは、これは世間を会社が欺くにもほどがある、そうであるならば中労委としてはその会社の態度を非難し天下に声明する、それでもよいかと問い詰められて、遂にそれでは中山先生暫らく待つて下さいということで、急遽関西電力からは飛行機で大阪から東京へやつて来る、それまでは首脳者は殆んど集まつていなかつた。その飛行機で東京にやつて来たりするために非常な長時間を要して集まつて来た。会議の結果、遂に中山会長の御努力と、今申上げたように、天下を欺くにもほどがあるとお叱りを受けて遂に斡旋案を十二月十八日に呑んで解決した。このことは中労委の事務局長であつた中西さんも当時の模様は十分御承知だと思いますし、中労委のやはりこの構成組織というものは当然労働大臣の下にあるわけでありまするので、この点を明確にして頂きたい。更に若干附言いたしますと、昨年の十二月十八日のこの解決は、本当に協定ができるかどうかというこのいよいよ押迫つたところに立ち至つて、中労委としては、会社がここまで押して来れば手を打つ術がないとまで言われて、実に意外な場面が展開されていたのでありました。それほどな状態を経て遂に電産は既得権であつた勤務時間は延長され、そして社会保険、家族給の支給範囲等に幾多の労働条件を会社の主張通り譲つて、事実上ベース・アツプというものは一〇%内外、当時公労法その他については三〇%のベース・アツプがあつたけれども、そういつた状況になつていたという、こういう当時の事実を承認されるかどうか、これによつてあの昨年の争議というものが、その本質というものが奈辺にあつたかということが私は明らかになると思いまして、ここにお尋ねする次第であります。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 御質問の第一点は、政府が不当にこの争議に介入し、中労委に対して何か圧力をかけたのではないかということでございまするが、そのような事実は私は存じませんのです。いずれにいたしましても、中労委は独自の判断で公正な立場において判断を下したと思つております。  第二点は十八日の交渉のことでございましたが、先ほども申上げましたように、組合側は十二月十八日特に早朝、関東地本は地方交渉によつて単独妥結いたしましたのであります。又組合は十八日早朝斡旋案を受諾いたしまして、会社側にこれを同日夕刻には受諾の回答をいたしまして、同夜九時仮協定書に調印を行うことになり、組合側は同日夜九時十五分スト中止指令を出しまして、ここに電産争議は解決いたしたのであります。

藤田進日本社会党(第四控室・左)

○藤田進君 これは事実問題ということですから、中西さんの御答弁、今の二点についてそういう事実があつたかないか、これは十分御承知と思いますし、私はいよいよどうもならなければ、まだまだ名前を挙げて何月何日に誰がこう言うておると全部話してもいいのですが、そこまで行かんでも、大体当時の模様はよく御承知でありますから、特に事実問題として、労働大臣は、おれは知らんが中労委は公平にやつたというような御答弁ですが、こつちは公平どころじやない、えらいことをやつておるのだが、こう聞いておるわけですから……。

中西實労働事務官(労政局長)

○政府委員(中西實君) 当時のことでお引合いに出されますのは迷惑でござ  いますが、私はそういう話を逆に神山当時の副委員長から言つておられたということを誰でしたかから間接に聞いたのでございまして、昨年の争議に終始中山会長を補佐しておりましたことは、実は直接には私全然存じておりませんです。結果におきまして御覧になりますとわかりますように、統一賃金の調停案が出ております。勿論最後に支払能力について疑問のあるところは協議すべしということが付いておりますけれども、これは独立採算制になりました九社分割後の会社に対する調停といたしましては当然ではなかろうかと思うのであります。従つて私は正式にそういうことを事実聞いておりませ十んし、又結果におきまして、中山会長と、私ども補佐しております者の間におきまして、政府がどう言つたからこう言つたからというようなことで、私が在職中も左右されたことはございません。昨年の例もそうでございます。  それから第二点でございますが、その裏の話は、私は丁度表に出ておりまして、不眠不休でやつておりましたので、よく存じませんが、併しそういたしましても、あの段階におきましては労働省、更に労政局、又労政局長あたりが如何様なことを申しましてもどうにもなる段階じやございませんので、結局表におきまして、つまり中労委で解決が運んで行つたというふうに考えております。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 先ほどから政府の責任が問われておるのでありますが、政府は自主的交渉に任して数十日を空費させたということは事実なんでありますが、その間における政府の責任ある行動として、企業別賃金なり何なりを推進したのではないかと、こういう質問に対して何ら誠意ある答弁がないのであります。そうすると私尋ねたくなるのでありますが、或いは労闘ストの場合に、吉武労働大臣が或る労働組合の幹部を切崩したというか、或いはどつかに引つ張つて行つて買収したというか、そういうことが行われたということは、これは天下周知の事実でありますが、そういう過去の労働行政として、労働争議を切崩し、或いは関与したという事実はないと言われるのかどうか、その点を一つ明らかにして頂きたいと思います。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) そういう事実は存じません。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 事実を挙げて先ほど藤田君から答弁が求められておるのです。私も労闘ストに関する問題を挙げてここに尋ねておるのでありますが、そうするともう少し具体的に挙げなければ答弁ができないと言われるのか、それからそういう過去においては間違つた労働行政がなされたという点について認められるか、それから更に電産、炭労にだけ争議の責任を課せられようとしておるけれども、そのストの影響のよつて来たるところ、或いは争議の長期化については政府自身にも責任があると考えられるか、その点について誠意ある答弁を求めます。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) いろいろおつしやつたのですが、私ははつきりお答えいたしておりますように、私としてはそういう事実はないと思います。なおこの争議について電産及び炭労にばかり責任をかぶせるとおつしやいますが、しばしばこの願については申上げておるように、私どもは決して責任問題を言うておるのではないのであります。ただその苦い経験に鑑みて、本来不当であり或いは社会通念上非とされておつたものを、ここに不当であると確認するという必要を認めたから、ここにストライキの方法の規制に関する法律案というものを御審議願つておるわけであります。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 個人としては知らんという話でありますが、個人としての発言は過去においても問題になりました。吉田内閣の労働大臣としてここに出席になつて御答弁願うのでありますから、吉田内閣の労働大臣として、過去においてそういう聞違いがあつたと申しますか、或いは干渉すべからざる争議に干渉した事実があるかないかということをお尋ねしておるのであります。それから更に政府として、この争議の長期化について責任を感じないかどうか、こういう点を尋ねておるわけであります。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 私はそういうことを引つくるめてお答えしておるわけであります。

田畑金光日本社会党(第二控室・右)

○田畑金光君 労働大臣にお尋ねいたしますが、私の質問に関連して、当時の電産委員長であつた藤田君からも、裏面における政府の行動、或いは更に掘下げて参りますならば、電気経営者の団体と政府、或いは石炭鉱業連盟と政府との取引等が行われたような経緯というものがはつきりと浮び上つて来たわけであります。併しこの問題について我々が追及いたしましても、政府としては逃げて責任を回避することも、これは明らかであります。私のお尋ねしたいと思うことは、あの深刻な争議に対処して、例えば炭労の場合に例をとりますならば、政府が初めてこの争議に関与して参りましたのは、十二月の二日に争議が始まりまして、すでに四十数日たつておるわけであります。労働大臣が労使双方個別に招致して、中央労働委員会会長の中山さんの斡旋を受けて、早期解決するように要請されたというのが、政府のとられました最初の措置であります。而もその聞四十数日の時日が経過しておるわけであります。一体政府はなぜ荏苒としてこういう長い日数を傍観して、深刻な争議を継続させていたのか、一体どういう判断の上に立つて政府は傍観しておられたのか、これについてお尋ねをしておきたいと思います。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 御質問が同じでありまするから、お答えも又従つて繰返すことになると思いますが、私どもは争議というものについては、飽くまで労使双方とも自主的に解決するということが建前でありまして、第三者、殊に政府の介入ということはできるだけこれを避けるべきである、こう考えておるのであります。  そこでこの争議につきましては、労使双方とも経済的要求を掲げて争うわけでありしまするが、従来長きに亘つた占領の期間中、ともすれば占領軍が介入して参りまして、争議というものが十分になし得なかつた、両方ともそういうような考えを持つておる。そこへ占領が終つたから解放された、この際自力によつて問題を解決しよう、そういう強い気持において双方とも突つ張るだけのものは突つ張る、こういうような恰好で非常に長引いて参りました事実は、私はいなめないと思うのであります。併しその際政府があわててこれに介入するということがいいか悪いかと言いますると、私はやはりあの際に政府のとつた態度というものはあれで妥当であろう、こういうふうに思つておるのであります。

田畑金光日本社会党(第二控室・右)

○田畑金光君 そこで私がお尋ねしなければならんことは、政府があの長い争議の過程において、労使の問題は飽くまでも労使の慣行により自主的に解決を見出させるべきである、こういう態度の上に立つて処理されて来たといたしますならば、その言葉の表現の意映する限りにおいては我々は了承するわけであります。飽くまでも労使関係というものは労使の自主的解決により処理さるべきである、殊に我が国のように終戦後の組合運動は僅かに八年、従つて労使の慣行というものも、労働関係法の下における労使の解決の手段方法というものも、やはり或る年数をみずからの自主的な努力によつて見出すべきが至当だと考えるわけであります。そういう限りにおきまして、私は只今の小坂労働大臣の答弁は了承されるのであります。  然らばどういうわけでそういうような基本的原則を確立しておられた政府が、労働大臣が、争議が終るや突如としてこういうスト規制法案というものを、立法を提案されたのか、少くとも今の原則を貫こうとおつしやるならば、今回のスト規制法案を提案する理由というものは私たちは見出すことができないのでありまするが、先ほどのお話と、考え方と、政府のとつて来た態度と、争議前における政府の国民大衆に訴えた労使関係に対する基本的な原則というものと、争議が終るやこの法案を出された原則というものは、百八十度の転換を試みておる。理論的にどうそれを結び合せようとするのか、どこに筋が通つておるのか、これについて一つ労働大臣の御答弁をお願いしたいと思います。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) この際御審議を頂いておりまするこの法案は、たびたび申上げまするように、労働争議についてこれを否定するのではないのでありまして、石炭におきまする争議の場合、保安要員の引揚げというものは御遠慮を願いたい、或いは電気事業の争議の場合におきましては電源スト、停電スト、給電指令所の職場放棄というようなものは御遠慮を願いたい、こういうことでございまして前者につきましては労調法三十六条を待つまでもなく、労組法一条二項におきまして、まじめな労働者の方々が山を愛し、又帰るべき職場を争議が終つたあとに失わしめるような争議行為というものは、争議行為としてでも違法性を阻却されない、こういうことを明確にする考え方であります。  なお電産の場合におきましても、従来とも困つたものであると考えられておりましたものが、昨年の争議の苦い経験に鑑みまして、これは社会通念上不当とする考え方が成熟いたしまして、これをここに明確化しようという  のでございまして、争議行為そのものを規制するということではないのであります。

栗山良夫日本社会党(第四控室・左)

○委員長(栗山良夫君) 只今小坂労働大臣は衆議院の本会議において岡崎外相の不信任案の決議案が上程せられますので、衆議院の本会議に出席をするために退席をされる由であります。

田畑金光日本社会党(第二控室・右)

○田畑金光君 それでは私は労働大臣に先ほど申上げましたように一間一答でこの問題を究明して行きたいと思いますので、労働大臣のおいでになるまで私の質問は保留しておきます。

栗山良夫日本社会党(第四控室・左)

○委員長(栗山良夫君) 速記をとめて。    午後三時四十二分速記中止    —————・—————    午後四時五十五分速記開始

栗山良夫日本社会党(第四控室・左)

○委員長(栗山良夫君) 速記を始めて。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 私は議事進行につきまして発言を許して頂きます。  私は、偶然でございますが、労働委員会と議運の委員並びに議運小委員とを兼ねております。丁度本委員会に席を連ねておりまする加藤武徳君と同じ立場にございます。今朝ほど議運小委員会が開かれまして、突然自由党の寺尾君を初めとする何人かの方が、成規の賛成を得て、国会法第五十六条によりまして、労働委員会の審議の経過並びに現在の状況について中間報告を求めたいとの動議が提出されることとなつて、これが議運の小委員会に諮られたのでございます。幾つかの議論はございましたけれども、御案内の通り、議運小委員会は各派交渉会としての性質を持つておりまする関係を以て、満場一致制ということになつておりまするので、その議が相整わず、同一の問題が現在議運の委員長、理事の懇談会に持ち込まれて、議運委員長室において先ほど来長きに亘つて議論が繰返されておるのでございます。  従いまして、私は議事進行上委員長にお尋ねしたいのでありますが、この状態を委員長は知つておるのかおらないのか、これが第一点。第二点は、御承知のように五十六条の国会法の規定によつて、自由党の各議員が中間報告を求めるという挙に出るのにはやはりそれ相当の理由と根拠があろうと推察されるのでありまして、問題は、中間報告だけでなくて、中間報告の後に、国会法は、「前項の中間報告があつた事件について、議院が特に緊急を要すると認めたときは、委員会の審査に期限を附け又は議院の会議において審議することができる。委員会の審査に期限を附けた場合、その期間内に審査を終らなかつたときは、」云々と規定されておるのでありまして、明らかにこれは非常手段でございます。私乏しくはありまするが、資料を只今調査してみますると、これは委員会が混乱の極に達し、議案の審議がすでに不可能となつたような場合、乃至はその常任委員会の委員長の議事取扱が、各常任委員会を構成している各常任委員会の意思を一方的に無視して、全く問題にならないというような場合止むを得ずとられるこれは緊急措置であろうと思うのであります。私は本日より労働委員会に席を連ねたので、前後の事情を或いはつまびらかにしないかも知れませんが、私の知つている範囲内においては、今朝ほどの委員長理事会において問題はあつたといたしましても、何とかしてこの法律案の審議に当つて誠意を尽そうという、議論は分れてもそういう意思は十分私は委員長にあろうと考えられるのでありまするが、中間報告というものは委員長に対して求められるものでありまして、ところがその中間報告を求められた委員長も現在の段階においては一方的に報告する資料を揃えてこれを本会議に報告する自由を持つていないと思うのです、この状況を見ますると……、確かに与党側からはその立場において、野党側からは又その立場においてそれぞれの報告すべき案件についての内容が規制されるのではないかとすら考えておるのであります。で、問題は、議運においてさようなる問題となつておりますることは、本常任委員会として不名誉極まりないことでございます。即ち本委員会が何らかの意味においてこれは問題にならないという観点に立つのではないかと一応推測されるからなのであります。従いまして委員長においては先ほど私が申したことについて何か御意見があるならばおつしやつて頂き、同時にこの常任委員会を構成している委員も賛成して、中間報告を求めておりまする自由党に対しまして委員長からその間の事情の説明を求めて頂きたいと思うのであります。大事な議案の審査の途中でありまするが、本委員会が事と次第によつては全機能を失うか失わないかという重大な段階でございまするので、議事進行の名目の下ではありまするが、以上の私は質問をし、そのお答えを聞いた上で又別して議事進行上の提案をしたいと思うのでございます。(「賛成」と呼ぶ者あり)

栗山良夫日本社会党(第四控室・左)

○委員長(栗山良夫君) 相馬君から御質問が出ましたが、念のためにもう一度私が答弁を申上げる前に相馬君にお尋ねを申上げます。  中間報告を要請する成規の手続をとられた方の中に労働委員が入つておられるということを初めて伺いましたが、それはどなたでございますか。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 それは他党の問題でございまするし、その発議した者もその直前においても名前は変えることができます。従つてこの委員会において私が見た名前は誰と誰であるということを申すことははばかります。但し確かにこの委員会を構成している人の名前がその中にあつたということを私は確認しております。

栗山良夫日本社会党(第四控室・左)

○委員長(栗山良夫君) それでは順次お答えを申上げます。  相馬君から委員長に発せられた質問の第一点は、本日自由党の方面から成規の手続を経て労働委員長に本会議における中間報告を求める手続がとられておる。而も議院運営委員会或いはその委員会の中にありまする小委員会、理事会等においてこの議が進められておるが、委員長は承知しておるかどうかというお問であつたと存じます。委員長は今朝ほど委員長及び理事打合会を開きまして、その後その打合会において議がまとまらないままに午後一時から労働委員会を開くお約束をいたしまして、当委員会室にずつと席をとどめておる次第であります。午前の委員長及び理事打合会におきまして、議のまとまらなかつた点につきましては、本日の委員会散会後改めて委員長及び理事打合会を開きまして御相談申上げることも各理事に御賛成を得ておる次第であります。本日さようなことが当委員会の外において行われておりますることは、私は噂としては聞かないでもございませんけれども、少くとも議長なり或いは議院運営委員長なりその他正視の機関から労働委員長は何ら伺つておりません。只今労働委員会において相馬君が御発言になり、そうしてつぶさにその事情を知つたというのが最初でございます。  それから第二点は、中間報告を求めるような事態というものは、相馬君の御意見によりますると、委員会が混乱をいたしまして、そしてその結論をつけがたいような情勢に立至つたとき、或いは又労働委員長の議事取り廻し等が極めて不穏当でありまして、このままでは円満なる委員会の運営ができないと認めたとき、こういうような二つの場合であろうということを指摘せられまして委員長の態度をお質しになつたと思うのであります。私は当委員会はスト規制法案が審査付託せられまして以来、極めて厳正公平に各委員諸君の御協力を得まして、会期末までには必ず本会議に報告する義務を感じつつ熱心に審議に当つて参りました。恐らくこれは委員長個人の感じであるかも知れませんが、当委員会におきましては委員会が収拾すべからざるような混乱状態に陥つたことは一回もございません。又委員長は、自分のことを自分で申すのは如何かと思いまするが、体の続く限り、先ず各会派の御意見の調整はあとうる限り今日までやつて参りました。意見の不一致等のために私が一方に偏した議事の進行を図つた覚えはございません。又今日における態度といたしましては、本日も労働委員会を開きまして、休憩に入つておりまするけれども、これは回帰がだんだん切迫して参りましたのに、要求大臣の御出席が得られないために目下休憩をしておるような次第であつたわけでありまして、今後の見通しといたしましては、委員長は八月七日を以て終りますところの第十六国会の会期末までには責任を以て本会議にスト規制法案に対する審査を終えまして御報告を申上げ、委員長としての責任を諸君の御協力を得て果したい、こういう工合に考えておりまして、何らそこに確信に動揺を受けておるような点はございません。  更に第三点といたしましては、仮に中間報告を求められるような場合がありましたときに、委員長といたしまして、中間報告の内容について各会派の御意見を十分に尊重する意思はあるかどうかというような御質問であつたと思いまするが、私は非常に重要な問題であると考えます。勿論委員長の中間報告はそうでありまするが、成規の通りに最終の審査を終了いたしましたところの委員長の報告にいたしましても、これは国会法並びに参議院規則第百四条によりまして、多数意見者の承認を得ることにもなつておることは諸君が御承知の通りであります。従いまして私といたしましては、若し中間報告をいたす必要が生じました場合には、その中間報告の内容につきましては、やはり各会派選出の委員諸君と十分に御協議を申上げなければならんと考えておる次第であります。  第四点といたしましては、本日のこの労働委員会の問題を、労働委員会の外において取扱いについて議論をせられておる。私委員長自身といたしましては、甚だ以てその真意が奈辺にあるかは了解に苦しむのでございまするけれども、少くとも本日の午前中に行われました委員長及び理事打合会において、当労働委員会の議事の円満なる進行のためにあらゆる努力を重ねて参り、而も本日委員会終了後には明日以後の議事の進行についてもよく打合せを申上げよう、こういうことによつて話合いがついておりましたにもかかわらず、その間において当労働委員会に所属せられる委員がそういう手続の署名に参画せられておるということにつきましては私は初耳でございますが、委員長といたしましては、若し相馬君の言われることが事実であるといたしまするならば、これは若干考えるところがなければならんと、こういう工合に考える次第でございます。

藤田進日本社会党(第四控室・左)

○藤田進君 労働大臣が暫らくおいでになりませんでしたので、質問が途中で切れておりましたが、私は継続して質問を続けたいと思つておりまするし、なお、関連いたしまして、御答弁が明確でありませんので、この点明らかにして頂きたいと思います。  その点は、要するに政府が昨年の紛争議に対して極めて公正中立な立場から自主的な解決を促進するべく努力したと、こう言われて、成るほど資料にあるところの日程を繰つて大臣から読み上げられたのでありましたが、併し私が指摘いたしましたように、昨年の、殊に電産争議に関する限り、炭労も恐らくそうであつたと想像いたしまするが、政府は公正中立な立場ではなく、日経連や経営君の人たちと一丸となつて労働者に立向つて来た。この事実は調停案が出る前に吉武労働大臣はかくかくの動きをやつているが察知かと、こういうことを申上げ、若干の人の名前も指摘したはずであります。これに対して全然承知していない、こう言われておりまするが、成るほど労働大臣はその後戸塚更に小坂、こういうふうに変遷を極めておりますけれども、今日若干の氏名を挙げて質問いたしておりまする限り、おのおのこういつた向きについて御聴取願えれば明白になると私は考えるのでありますが、知らぬ存ぜぬというだけでなしに、真に誠意ある御答弁というふうに我々が期待いたします場合に、当然今日実在する省内の人でありまするから、速かにこれらに質して、更に吉武労働大臣に対して、後任の大臣としては時の事情を聴取されて、責任ある御答弁を私は求めたいと考えて以上のような質問をしたわけでありまするので、どうか再度今質問しておりまする通り、誠意ある、而も当時の実情を御調査の上でお答えが願いたい、このように要求するものであります。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 先ほども申上げましたように、私の了解しますところではそのような事実はない様子であります。

田畑金光日本社会党(第二控室・右)

○田畑金光君 先ほど労働大臣は私の質問である昨年の争議の過程においては、労使関係の問題は飽くまでも労使の自主的な解決に待つべきであるという考え方の下に政府は対処して来た、こう申したわけであります。私のお尋ねに対しまして労働大臣は、今回の立法というものは争議権の禁止というものではなくして、だた従来に不当或いは妥当ならざるものとして考えられたことを、単に争議行為の限界を規定したに過ぎない、こういう答弁を以て報いられたのであります。私のお尋ねした事項に対するこれは私は答弁とは受取れないのであります。と申しますのは、少くとも昨年の争議のあつた前後においては、こういうスト規制法案というものは現実に存在していなかつたのであります。今労働大臣は、ただ単に従来の不法妥当ならざるものとされていたものの争議行為の限界をきめたに過ぎないとおつしやるけれども、すでに先般来の質問を通じ、どういうことが明らかにされたかと申すと、労働大臣自身がお認めのように、行政解釈によつて、従来判例等においては正当な争議行為の範囲に属する事項についても、今回のこの立法を以て明確に犯罪の対象となる違法行為に質的に変つて来たわけです。そういたしますならば、単にこれは争議行為の限界を示したものではない、私の尋ねたいことは、現実に昨年の争議のときにこういう法律がなかつたじやないか、若し政府の言うがごとく、労使の関係というものは飽くまでも労使の慣行と自主的な解決に基くものであるとするならば争議解決後の今日においても当然にその建前を貫くべきである。然るに今回突如としてこの立法をなされた。一体先ほど労働大臣の御説明の中にあつた労使関係というものは労使の自主的な解決に待つべきであるというその原則が、どうして今回このように質的に変つて来たか、今回の立法とその原則とはどう繋ぐのか、これについて私はお尋ねしておるわけでありまして、この点についての御答弁を煩わしたいと考えます。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 先ほどの御質問に対してのお答えの中で、私の申上げたことをそのままにお取りになつていらつしやらないと思いまするが、私は先ほどこういうことを申上げたのであります。本来不当であり或いは社会通念上非とせられていたものをここに明確に不当であると確認するんだ、こういうことなんであります。例えば石炭争議の場合に保安要員の引揚げというものはこれは不当である、或いは電産争議の場合にスイツチ・オフは違法であると明定されておる。ところで電源スト或いは給電指令所の職場放棄というものは、これは社会通念上非があるという考え方であつたが故に、これを昨年の争議の過程を通じて、その社会通念がそれを不当なりとするように成熟した、こういうことであるからこの問題をここに明らかにするというのがこの法案の趣旨である、こういうことを申上げておるのであります。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 先ほど私委員長に質したことは、議事進行上の問題についてでありました。取扱い方がちよつと混言いたしまして藤里さん、田畑さんから質問が加わつたわけなのですが、私は問題にしたいことは、先ほど申しまする通りに、常任委員会の意思が無視されて中間報告が議院において、ハウスにおいて決定するということになれば、本法律案に賛成であるとか反対であるとかいうことは別個の問題として、この労働委員会の権威上これは極めて重要な問題である。従つて中間報告を求められるような委員長に行動があるならば、これは問題であると存じたので、私はその点を委員長に質しましたところが、委員長から極めて懇切丁寧な答弁があつて、本員は了承いたしました。委員長の答弁の限りにおいては、委員長が中間報告を要求されるような条件をなすことはなしていないと、私は確認せざるを得ないのです。  第二段に私が尋ねましたことは、然らば中間報告の動議が提出されておりまする自由党からも本委員会を構成している委員が出ておるので、これらの人は一体本委員会の審議の状態というものをみずからの党にどのように御報告になつておるのであろうかということが、又私は一つの問題であろうと思うのであります。自由党内部のことについてこの委員会がとやかく言うべき筋合のものではない。ただ私は問題にするのは、この委員会を構成しているそれらの万々の見解或いは今までの報告というものが、一体どのようになされて、不幸なる状態が予見されるようなこの段階に来たのであろうかということを私は心配いたしまして、本員は議事進行上委員長に協力する意味で、私は念のためにこの際どなたでも結構でありまするから、与党の労働委員の方から所見を拝聴しておくことのほうが念のためよろしいのではないか、かようなわけで委員長、その発言を委員長を通じてこれが取りなしをお願いしているわけなのであります。議事進行上委員長においては何とぞ本員の申していることに一応の理があるとされるならば、この際それらの間の事情を明らかにされることを重ねて希望いたします。(「賛成」と呼ぶ者あり)

田畑金光日本社会党(第二控室・右)

○田畑金光君 井上さんからでも説明れ覆うがよろしいじやないですか、この際……。

井上清一自由党

○井上清一君 只今相馬委員から委員長に対しまして御質問があつたので、自由党の委員として一応御答弁を申上げることが必要と存じますの、私から申上げたいと存じます。  本委員会が本国会において活動を開始いたしまして以来、栗山委員長極めて熱心且つ又非常な努力を傾倒されましたことにつきましては、私は深く敬意を表するものであります。本委員会において只今問題になつておりまするところの電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案につきましては、御承知の通り昨月の十一日衆議院より回付になりまして、十三日より本委員会にその審議を委ねられ今日に及んでおるわけでありますが、会期末を過ぐること三日に至りまするけれども、現在なお審議を進めておるというような状況であります。私どもはこの委員会の審議の状況につきましては、党のほうには十分に連絡をいたしておりまするけれども、本法案の重要性に鑑みまして党幹部といたしましては是非とも一つこの法案についての中間報告を承わりたいという意向が非常に強かつた。私どもいろいろ説明をいたしましたけれども納得に至らず、先ほど相馬委員からお話がありましたような緊急動議が出るに至つたような次第であります。私どもも労働委員といたしまして、本委員会の運営その他については十分詳しくお話はしたつもりであります。  なお又動議について署名して廻つた委員があるのではないかというお話であつたようでありますが、この点につきましては、これは党において決定いたしましたことであり、私は恐らく党員全員が緊急動議には署名をする習慣になつておりますので、党議において決定いたしました場合には、これは署名をせんというわけには行かないという意味合いにおいて署名はされておると思いますが、この点は明確じやないかと思いますが、多分そういう事情じやないかと思います。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 だんだんと井上さんのお話ですが、全く本員は了解に苦しみます。それは御承知のように中間報告というのは中間報告と、こう聞きます。と、話が長くなつたからこの辺で話を聞きたいというふうに聞えますが、先ほど私は煩雑を顧みず長々と読上げましたように、国会法第五十六条の三の規定というのは、中間報告を求め、その結果について必要ならば委員会の審査に期限を付し或いはこの委員会からスト規制法なるものを取上げることもできるのです。而もこの二つのことを前提として中間報告をしなければならないのです。そういう重大な意味合いを持つておりますから、常識的に考えてみますならば、中間報告を求める案件というものは、第一に議題が日切れの法案であるということが数えられなければならない。明日にどうしても通らなければ国家的損失があるというような場合、にもかかわらず委員長が不手際でこれを通さないという場合、第二は会期がいよいよ今日なら今日で切れる、或いは明日で切れる、どうしてもこれは緊急に何かこの法案を考えなければならないというときにおいて、委員会の意思を無視して、初めて中間報告が求められると思うのです。そういう意味で私は特にこの委員会を構成している自由党の方の御意見を尋ねたのでありまするが、井上さんのお言葉とも思えないことは、この常任委員会を否定される内容を含んだ、而も又そのことの成行によつては単なる中間報告でとどまらない、そういう案件につて、井上さんは一方では理事として、緑風会、改進党の諸君を交えて、特にあなたたちの意に満たざる発言をしがちの野党議員を押えながら交渉しているという努力をなさつておる。一方にはもうこれは駄目だから打切れということに署名をしているということになりますと、どうも党内の事情のことについてはとやかく言うべき筋のものではございませんけれども、納得しがたいのです、私は。そこで一体自由党の諸君はどういうお考えであるかということをまあお尋ねしたのでございますが、慣例上云々と言いますけれども、党内の事情を私はわかりません。わかりませんが、このこと自体は極めて不幸である。この委員会の意思にかかわりなく議運においてはこの委員会を無視されるようなことが着々と進んでおるということ自体を私は知りまするが故に委員長にその所見を質したわけであります。委員長の所見を質せば、委員長は全く知らないし、委員長としては懲罰的な意味におけるこれは動議だと思うのです。そういうものが出ておることは極めて意外であるとおつしやつております。従つて私は井上さんのお話を聞いて納得するならば、成るほど中間報告も止むを得ないと、ここで自分の胸に聞かせようと思つてこのことを申したのでございまするが、本員が満足できないことを極めて遺憾といたします。ただ私は委員長に厳粛に申上げますが、かようなわけで、一方においてはこの委員会が事と次第によつては無視されるようなことが他の常任委員会において議せられておるという現実を委員長はよく了解されて、本委員会の権威を守るために善処されんことをこの際希望しておきます。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 今朝来理事及び委員長打合会で質疑をやるということで質疑を続けておりますので、私はそういう話がこの委員会の進行を御存じになつておる人から、たとえその資格がどういう資格でありましようと、議運の委員でございましようとも、そういう話が出るはずがないと思つております。これは会派の方針によつて云々というお話がございましたけれども、私はそれは少くともこの常任委員会の運営の中に連なつておられる方としてはそういうことはあるはずはない、かように考えております。そこで問題は、今そういうお話が委員会にございますか、私は常任委員長の意向も聞かないでそういうことを決定されるとも思いません。或いはお話の途中でそういう質疑等がほかから出て来るかもわからんと思いますけれども、それはそれとして、そのときになつて委員長として或いは委員会として善処すればいいことであり、委員会としては質疑を続行されることを私は提議したいと思います。

田村文吉緑風会

○田村文吉君 私はこの機会に相馬さんからお話が出ましたことについて一言申上げたいと思います。それについて委員長からのお話もあつたようでありますが、ただ私は、相馬さんが最近に、今日からですか、この委員会にお入りになつたので、或いは事情をよく御存じないかも知れない、かように考えますので、私は申上げておきたいのでありますが、私どもの恐らくは緑風会の議運の小委員も中間報告に賛成しておるかも知れません。ということは、私は元来三十一日に予算の終結がつくだろうから、それと絡まないように、その前日までには遅くも一つ我々の結論を得ようじやないかということで、各種の出張旅行もできるだけ切詰めてやろうということで切詰めて頂いて、そうしてそういうように運んで参つた。最後には三十日を以て討論採決に入るというところまで行つたのでありましたが、たまたま予算の問題がいろいろこじれたというようなことの理由で、とうとう三十日の日にこの結論を得ることができなかつた。従いまして私は三十日にできなかつたが、果して三十一日に国会が延長されるかどうかもわからんから、できるだけ一つ質疑等を進めようじやないか、それには同じような人だけ質問しておるようだが、市川先生のごとき、一人でも二人でもまだ質問をなさらない方があるのだから、そういう方に質疑を先におやらせするというようなことをやつてはどうかということもしばしば発言いたしたのでありまして、そういうふうになつて参つたが、遂に不幸にして会期は延長せざるを得ないような状況になつた。そこで私は会期延長になつたならば直ちに一日二日と、我々はこの法案のために会期延長になつたとは思いません。思いませんが、少くともこの法案が審議未了でまだあるがために会期の延長を促進した問題であるということには間違いないという考えを持つておりまするから、是非私どもはその責任を持つて、今日ぐらいには全部結論を得るようにしたい、すでに三十日の日に討論採決を終ろうというところまで一旦行つたのでありますから、そういうような考えでおりましたところが、もう日が延びたのだから審議は又延ばそうじやないか、全部今までの日程というものは作り直してこれからやろうじやないかと、こういう過程にありますから、私は決して今の相馬先生がおつしやるように、すべてがこれは懲罰的であるとか、或いは又最後の結論をどうするというようなことを考えないで、虚心坦懐に当委員会としてはこういう事情によつて延びておるというようなことを話されるのが本筋であるのではないかと、こういうことを考えますので、従つて委員のうちの而も理事である私として、又私どもの緑風会の議運の委員としては、止むを得ないのじやないかというような話をしておるだろうと考えますので、私はこの際はつきりと緑風会の立場からそのことを申上げておきます。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 そうすると田村先生に聞きますが、田村先生は理事の立場から、委員長及び理事打合会というものは結論に至らず、決裂の状態になつておるという立場をここに認識しておいででございますか。

田村文吉緑風会

○田村文吉君 曾つて理事委員長会議が決裂したということを一言も申上げておりません。毎日々々やるんですが、理事、委員長会議というものはもう半日は必ずそのためにつぶれる。殆んど審議の時間よりは、如何にして会議を進めるという時間のほうが二倍以上の時間を取つておるのであります。こういうような議事の運営というものは非常に私は遺憾に考えまして、正式な理事及び委員長打合会というものを持つことを幾たびか要求しておるのでありますが、すでに多数の方が御参加になりまして、ああでもない、こうでもないということで、毎日々々小田原評定が続けられて来たということは事実であります。そのことだけを申上げておきます。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 私ははつきり田村さんに申上げておきます。相馬君は今日代つたのであるから前の事情をつまびらかにしないであろうというのは、見識高き田村先生の言葉とも覚えません。私は十分研究して、或いはあなたほどに至らないとしても、前の事情を大体つまびらかにして来ております。私がここで問題にしたのは、中間報告がいいとか悪いとか、私は言うんではない。従来中間報告というものはこういうような性格を持つておるが、この委員会の意思にかかわりなく、一方でこういうことが議せられておるから、私はあとでこれが紛争の種になつたり、思わない状態になつてはいかないから、これらの事情をつまびらかにし、委員長にも一本善処方を要望しておくというのが私の趣旨なのでございまして、中間報告はけしからんと、今度の中開報告はなさせるべきでないという私は討論めいたことをしていないので、ただ私の了解する条件だけを掻き集めるならば、中間報告というものを今議するということは、この委員会として迷惑であると考える人もあるであろうという立場から、私は議事進行上委員長にそのことを申上げておいたのでございまして、あとの分は田村さんと私との見解の相違でございますが、前のことの、知らないからそういうことを言うのであろうというようなことは、いささかもさようなことはないのでございまして、その点は御了解願つておきたいと思います。

田村文吉緑風会

○田村文吉君 わかりました。いや、あなたは多分議事規則も知らないのじやないか、中間報告というものはこういうものであるぞということをよくみんなに呑み込ませる意味で、委員長にもよくそれを伝えるという意味で御発言になつた、そういうようなことを今仰せになりましたが、それは……。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 私はそんな生意気なことは、速記を調べて下さい。一言も言つていない。

田村文吉緑風会

○田村文吉君 そういう言葉が書いてあればどうか知りませんが、そういうことは説明してやろうと思つて、議事進行によつて私は発言した、こういうお話でありましたね。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 そういう意味も含んでいます、内容的には……。

田村文吉緑風会

○田村文吉君 少くともそういうような意味であつたので、私は結構だと思うのです。結構だと思うのですが、同様にあなたはもう出ておらんでもすべての情勢はおわかりだとおつしやるが、一応私は過去はこうであつたということをあなたにやはり御説明することが、今後の議事進行の上に都合品がいい、そういう考えで申上げたのでありまするから、どうかお互い他意のないところで今後の審議を進めて頂きたい。なお、今後私は議事進行について、今の問題に触れないで、質問があるなら質問に入つて頂きたいということを希望いたします。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 了解。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 質問に入りたいと先ほどから申上げておるのですが、今お話の田村先生のお言葉の中で、午前中の委員長及び理事打合会で、そうしたことと関連して申上げたいのですが、過去のことは言うまい、それから又過去のことについて、今言葉の中にありました議事進行の打合せが時間を取つたということについては、それは私どももですが、併し与党のほうでも早く打切ろう、打切ろうということがあつたから、そこで議事進行についての相談が長くなつたのだという点は、私も午前中の委員長及び理事打合会で明らか  になつたと思うので、それらの点は抜きにして、それから又進行については、後刻委員長及び理事打合会を委員会が済んだ後やるということになつておりますから、それに従つて、取り進めを願うように願つて、私は委員会をお始め願うことに賛成をいたします。

田村文吉緑風会

○田村文吉君 今日はこの委員会が終つてから委員長及び理事打合会を開くことは、昼前に御決定になつておりましたようなお話でありましたが、私は不在でありましたのでお聞きしておりません。おりませんが、併しいつでも私は委員長及び理事打合会をお開きになることには異議がないのであります。ただそれは承わつておりません。おりませんが、若しそれが開かれたあとで、結了をしましたあとで又お開きになるというなら喜んで出席します。どうか議事をお進め下さることをお願いいたします。

田畑金光日本社会党(第二控室・右)

○田畑金光君 それでは私質問を継続したいと、こう思うのですが、先ほどの労働大臣の答弁は、どうも私の聞きたい要点から常にそれる感じがするわけです。今の御答弁によりますると、昨年の争議の経過によつて、従来不当であり違法とされた争議行為に関し社会通念が成熟したので今回この立法を出したのだ、こういうような御答弁があるわけであります。それじやお尋ねいたしますが、社会通念が成熟したので、昨年の争議の少くとも前半から中期に亘る間に、労使関係については政府は不介入の原則をとつておられたわけですが、そうしますと労働大臣といたしましては、或いは政府といたしましては、社会通念の成熟ができたので、政府の不介入の原則というものは一応御破算にして、この際本立法を出したのだということに態度が変つて来たのかどうか、この点について私は御質問をしておるわけであります。御答弁をお願いいたします。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) お答えをいたしますが、争議自体の解決については、できる限りこれを自主的にやつてもらうという原則については、毫も変つておりません。ここに御審議を願つておりまするのは、繰返して申上げまするが、不当なものを不当であると明確にする、或いは従来社会通念上非とされていたものをここに不当であると明確にする、こういうことでありまして、いわば経済闘争でありまするから、これを如何に解決するかは自主的にやつてもらいたいという原則に変りないのでありまして、その土俵を公正に作つて、第三者に迷惑をかけることをとめる、こういう趣旨なんであります。

田畑金光日本社会党(第二控室・右)

○田畑金光君 どうも労働大臣は、率直に考えられたことを御答弁願いたいと思うのであります。あなたの提案理由の説明の中にもこう明確に謳つておるわけであります。「労使関係につきましては、法をもつてこれを抑制規律することは、できる限り最小限とし、労使の良識と健全な慣行の成熟にゆだねることが望ましいことは言うまでもないことであります。しかしながら政府としては、かかる基本原則のみを固執し、いたずらに手をこまぬいて当面の緊急問題に対して必要な施策を怠ることは許されないと考えるのであります。」こういう工合に御説明なさつておるわけであります。そこであなたの提案理由の説明の中にも明確に謳われておるのであります。従つて私は、あなたは昨年のあの争議からして社会通念が成熟した、そうして従来政府は労使関係というものは労使の良識と健全な慣行の成熟に委ねるという基本原則をとつていたけれども、この段階に至つては基本原則のみを固執して、徒らに手を狭くことは、政府の立場として許されない、こういうことで立法をなされたのかどうか、あなたはこの提案理由の冒頭に述べられたことをお認めになつておるのかどうか、こういうことを私は先ほど来お尋ねしておるわけであります。御答弁をお願いします。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) お答えいたします。提案理由の説明は飽くまでもその通りなんでありまして、繰返して申しておりまするが、この法案の意図するところは、不当のものを不当であると確認する解釈法規のようなものをここに明定するのだというのでありまして、従来ともこの炭鉱の保安要員引揚のごときは、労調法三十六条を待つまでもなく、或いは労組法一条二項において、当然争議が終つて帰つて行く職場を失わしめるというようなものは、争議行為としても妥当でないという考え方があるわけであります。併し一方において、争議行為としてならば如何なることをしても遵法性が阻却されるということがあるか、それを明らかにするということでありまして、決して労使間のことに政府が不当に介入するということではない、範囲を明らかにしよう、こういう趣旨でございますから御了承願います。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 ちよつと恐れ入りますが、私は大臣の答弁の中に矛盾がある点を指摘をしておると思います。自主的な解決に待ちたい、或いは法で以て抑えつけることはやりたくない、御遠慮願いたいという言葉を使われておりますが、そうしてそれは行政解釈だ、こういうことです。それならば何も法をここに作る必要はないじやないかというのが第一点、それから保安要員の引揚げ或いは電源職場の放棄のごときは不当であるという社会通念が成熟した、或いはこの法律を待たないでも、不当、或いはそれは不当と違法ということは同じですけれども、違法だということは今まで明らかであつて、それを念のためここに解釈するのだ、その解釈をこの法律で作るのだ、こういう御説明ですが、今までの質疑で明らかになりましたように、或いはスイツチ・オフでさえも必ずしも違法でないという判決がある、或いは保安要員の問題についても、鉱山保安法上違法であると考えられておりますものと、或いは労調法三十六条に入らないものがあるということも認められておる、従つて第二点の不当である或いは違法であるということと、今までの法律関係とは違つておるのじやないか、これは今までもお認めになつた。そうするならば、第二点の不当であるから、或いは社会通念が成熟したからこれを違法なものとしてそういう解釈を念のためにここに置くということは、これは理由がなくなるのじやないか、この二点だと思います。もう少し法理的に一つ御回答を願いたいと思います。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) この問題はしばしば本委員会開始以来ご説明をしておるのでありますが、一方においては不当であると明らかに政府は行政解釈を下し、又現実に不当であるという声明も出しておる問題について、例えば保安要員の引揚げのごときも争議行為としてならば違法でないのだ、こういう考え方が一方にあるわけですね。そこで現実に又そういうことが今後行われないかというと、そういう解釈がある以上その虞れもある、それでこういう法律を出してこの範囲を明確にしようというのが第一点の問題です。第二点の問題は、何か電気の関係のものは全部従来から違法であると、こういう話もあるようにおつしやいましたが、これについても何回も申上げている通りスイツチ・オフは従来とも違法であつたのですね。併し電源スト或いは停電スト或いは給電指令所の職場放棄というものは、これは従来社会通念上非である、非と考えておる。併しそれが昨年の争議の結果を通して、あの苦い経験に鑑みて、社会通念がこれを不当とするに成熟している、それでこれを明らかにしようというのでありまして、何ら私どもの言つておりますることは矛盾はございません。

田畑金光日本社会党(第二控室・右)

○田畑金光君 小坂労働大臣は提案の内容についてはその通りだと御承認になつておるわけであります。従つて私が先ほど来指摘いたしておりまするように、政府としては或いは労働省としては、労使の良識と健全な慣行の成熟に委ねて労使関係を期待して行くという問題は、昨年の争議の結果、社会通念の成熟を待つて今回これを変更せざるを得なくなつたのだ、こういうことをお認めになつたと見るのであります。これは提案理由の冒頭に載つておりまするので、若しこれをすらもお認めにならんといたしますならば、誠に政府の立場、考え方というものは日和見的であり、或いは又便乗的であると指摘せざるを得ないと思うのであります。と申しますのは、一例を炭鉱の場合にとりましても、四十数日間、昨年の争議におきましてはこれを放擲しております。どういうわけでこれは放擲したか、即ち政府は、独立後、講和発効後の最初の争議である、資本家陣営においても日経連を背景にして新しい陣容が整つて来た、こういうことが一つの情勢観察であつたでありましよう。同時に又貯炭というものが石炭の価格というものを下押ししていた。従つてこの争議を通じ長期ストライキをやることは、何ら経営者陣営にとつても政府にとつても痛手でない、こういうことで以て当初は傍観していた。そうして輿論の批判が強くなつて来たので渋渋ながら政府は手を出して来た。而もつとに客観的な情勢は一方的に労働者に責任があるかのごとく輿論というものが形作られて来た。そういうような客観的な情勢を背景にして、争議解決後にこの立法というものが提案された。これは事の真相を知る者が少くとも容易に認識できることの経過だろうと私は考えるわけであります。  そこで私はこの際更に問題を進めてお尋ねいたしたいことは、先ほど来電気に関連して、たとえこの法律ができても電気関係労働者にはなお争議が残されておる、こう言われております。炭鉱労働者についても同様に申しておるのであります。ところが電気と石炭の場合を分けて考えなくちやならんことは、先ず石炭についてお尋ねいたしますならば、一体昨年国民大衆が迷惑を受けた或いは公共の福祉に影響をもたらした。これは保安要員の引揚げという争議の手段によつて公共の福祉が阻害されたのか、或いは六十三日に亘る長期の争議のために石炭が出ない結果、石炭の規制を受ける工場の煙が減らざるを得なくなつたという、石炭が出なかつたというがために公衆は迷惑を受けたのか、どつちが真相なのかということを先ず一点承わつておきたいと思います。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) その只今の御質問の前段ですが、政府の言つていることは、交渉内容というものは自主的にやつてくれとそう言いながら、法律をここに提案しているじやないかということですがこれについては大体御説明がついたと思います。御了解を頂いたと思いますが、(「まだつかんつかん」と呼ぶ者あり)例えば労調法の三十六条を御覧頂いても、ああいうもので人命の危険のあるようなものはやつてはいかんという法律を出しておるわけです。併し政府として、交渉はできるだけ自主的にやつてもらいたい、労使間の良識と慣行の成熟に待ちたいと言つている考え方は少しも変つていない、その間の矛盾がないと同様に、この法律案、今私が提案理由で言つているとお述べになりました点には少しも矛盾がないと私は考えております。  なお第二点の御質疑ですが、保安要員の引揚げがあつたから公共の福祉を阻害したのか、或いは石炭が出なかつたから公共の福祉を阻害したのか、こういうことでありますが、これは両方だと思うのです。非常に長期に亘る罷業の結果、ガスが出なくなつた、或いは石炭の貯炭が非常に少くなつた、国鉄においても終戦直後の状態に列車の運行がなるのじやないか、こういうことが現実に恐れられましたので緊急調整をいたしたわけなんです。併しそのときにこの保安要員の引揚げということも時を同じうして行われている。そこで考えてみると、保安要員の引揚げ準備指令というものは、こういうものは労調法三十六条を待つまでもなく、先ほどから言つているように、労組法一条二項に照してもこれは違法と考えられる。併しそういう解釈があるとしてもなお且つそうした指令が出るということは、これはもつと解釈を明瞭にする必要があるということでこの法律が提案されているということはしばしば申上げておる通りであります。

堀眞琴無所属クラブ

○堀眞琴君 ちよつと田畑君の質問に関連して、社会通念という問題についてお伺いしたい。これは一昨日の梶原君の質問のときにも出ておつたのでありますが、労働大臣はいわば条理である或いは一般的な法意識ともいうべきものだ、こういう御説明をなしておる。その社会通念が成熟した、ところがストが終つてからこの法案と同じ趣旨の法案が一カ月或いは一カ月半くらいの間をおいて国会に出ておるわけです。その一カ月乃至一カ月半の間に果して社会通念の成熟と言えるかという点が第一点。  それから社会通念の成熟の根拠を、労働大臣は選挙において自由党に対する投票の多数によつてこれを証明することができると、こうお話になつているのですが、それを一応確認するために先ずその点について質問いたしたいと思います。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) この問題につきましては、先週この委員会でやはり堀委員から御質問がございまして、そのときもお答えを申上げたのでございまするが、私どもこの社会通念というものは、非常に健全なる常識と申しますか、社会一般に是なりと認識されるその内容が、社会全般の公共の福祉のために破るべからざると認識せられておるような、そうした概念、健全なる概念であろうと思うのです。それで一カ月で社会通念が変つたのかというお話でございますが、この考え方は、あの争議の苦い経験を通して逐次成熟して参つた、こう考えておるのであります。然らばその根拠如何、こういうことでございますが、それにつきましては、政府といたしまして、二月において公聴会を行いました。そのとき何ら、電気の直接の生産或いは販売、或いはその電気というものに面接の関連のない一般の消費者におきまして、全員(「全員じやないよ」と呼ぶ者あり)法案の趣旨に賛成をされまして、一日も早く成立を待つ、そういう事実があつたのでございます。なおそういう問題に対しましてこれはいかんということで取上げた政党は、その後において選挙をくぐつておる、又選挙前といたしましても衆議院において圧倒的な多数を以てこの法案は可決されておる、そうしたようなことをいろいろ勘案いたしますと、やはり社会一般の良識というものは非常に素朴なる大衆の観念の中に求められる、政治家というものはそれを正しく把握しなければならん、素直にとらなければならん、こう考えておる次第であります。

堀眞琴無所属クラブ

○堀眞琴君 自由党が圧倒的に支持された、そのことが社会通念の成熟を証明するものだ こういうお話でありますが、確かに自由党は昨年の選挙においても、今年の選挙においても第一党になつております。併し数字を調べますと、昨年の選挙では四七%の投票数を獲得した、今年の選挙では三八%の投票数を獲得いたしております。この点から申しますと、多数には違いない、併し圧倒的な多数ということは言えないと思います。それからもう一つ、自由党がそれだけの票数を獲得したということの最大の理由がこのスト規制法を提案しておるからだということにはならんと思います。それから輿論そのものについて見ましても、自由党の集めた票数というものが、私はこの前にも労働大臣に質問したのでありますが、決して公正な輿論の上に立つて集められた票数ではないということは、例えば選挙違反等の事実に徴してもこれは明らかだと思います。従つて輿論の根拠としての大臣の説明は、我我としては納得しがたいわけであります。その点であります。  それからもう一つ社会通念の成熟の問題に関しまして、私は法務省の方にお伺いしたいと思うのであります。一般的な法意識と、こう労働大臣は説明されておる。一昨日梶原君の質問に対して説明されておるのです。一般的な法意識というものがそんな一月や二月で果して成熟するものかどうか、私どもは社会的な慣行なり或いはその他の判例等が積み重なつて、初めて社会通念というものが成熟して来るものだと思うのでありますが、その点に関して法務省の見解をお伺いしたいと思います。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 先ず第一点の御疑義に対してでありまするが、私ども自由党のみが圧倒的に勝つたということは申しておりません。又そのよつて以て来るところの原因がスト規制法案ばかりであるということは申しておりません。併しこのスト規制法の必要性を訴えた政党が自由党のほかにも衆議院におきましてはあるわけであります。それらを合せますと三分の二の多数になるのでございますから、そうしたものを取上げるべきではないか、こういうことを申しておる次第でございます。  なお一般的に法意識が一カ月で云々ということですが、これは先ほど私の言葉が或いは足りなかつたかも知れませんが、これは従来ともどうも困つた、ものだという考え方の素地があるわけであります。そのある素地がああいう経験を通してそごに成熟するということは当然あり得ることであるかと、こう考えております。

桃澤全司法務省刑事局公安課長

○説明員(桃澤全司君) 私ども社会通念というものに対しましては、普通の法律、これを特殊な具体的事実に適用する場合におきまして、その判断の基準に普通条理或いは信義誠実の原則ということを非常によく見ておるものでありますが、それよりもつと砕けた考え方、先ほど労働大臣が仰せられましたような一般の人々の常識、法意識と申しますか、そういうふうなものを社会通念と考えておるわけでございます。従いましてこれがそのときどきの問題に、具体的の問題につきましていろいろの条件を勘案しまして社会通念があるかないかどうかということがきまるのでありまして、幾ばくの期間を要するかというような問題ではないと考えております。

堀眞琴無所属クラブ

○堀眞琴君 只今の法務省の見解では期間には関係がないというお話でありまするが、併し常識的に考えてこれが社会通念であり、そうしてこれが成熟したというからには相当の根拠がなければならんと思うのです。労働大臣は公聴会等において消費者の大半がこれに賛成しておつた、それから又自由党に対する投票も圧倒的に多かつた、それだからして社会通念は成熟した、こう申しておるのでありますが、法学者としての立場において法務省としては果してそれで社会通念の成熟と言われ、るかどうか、その点をもう一度念を押してお尋ねしたいと思います。

桃澤全司法務省刑事局公安課長

○説明員(桃澤全司君) 私どもこれまでの、単に昨年のストというだけでなくて、これまでのずつと長い間のことも考えまして、同時に昨年のストの結果、或いはその事情、或いは石炭業、電撃の持つ重要性、それらいろいろの点を考慮されてこの法律ができたと、こういうふうに考えております。

堀眞琴無所属クラブ

○堀眞琴君 どうも明確に答えて下さらんのでちつとも腑に落ちないのですが、法律を司る立場にある法務省としてはもつと明確に、これはもう法律の知識のABCなんです。私はですから何も深く申上げなくても、法務省の見解としては、社会通念というようなことについては十分できておるのだろうと思う。一定の社会通念がある、それが成熟するというためにはその成熟の根拠がなければならんわけです。自由党が圧倒的に多数を取つたから成熟したとか、或いは消費者の多数がどうも電気が切れては困るのだと言つたから社会通念が成熟したというので、果して法務省としてはそれを正しい見解であるとして持つことができるかどうか、これをもう一遍お尋ねしますからお答え願いたいと思います。

桃澤全司法務省刑事局公安課長

○説明員(桃澤全司君) 先ほど労働大臣の仰せられました選挙で多数を取つたということ、或いは公聴会で多数の者が賛成した、これだけで社会通念が成熟したという断定を下すことは少し甲過ぎると思いますが、これらのものもすべて含めてそのほかののいろいろの要因を考えまするならば、私どもとしても……。    〔「ほかの要因も答えて下さい」と呼ぶ者あり〕

堀眞琴無所属クラブ

○堀眞琴君 私は一般的な法意識だと言つているのです。労働大臣は一般的な法意識がそんな簡単なことで果して成熟すると思われるか、今あなたは、その他の条件等も勘案してというお話でありますが、その他の条件というのはどういうことですか、それも併せてお答え願いたいと思うのです。    〔「明確に答弁しろ、法務省らしく」と呼ぶ者あり〕

桃澤全司法務省刑事局公安課長

○説明員(桃澤全司君) 先ほどもちよつと触れたのでありまするが、電気事業或いは石炭事業の重要性或いはそれが社会に及ぼす影響、それと昨年のあの電産炭労のスト、それらのものをいろいろ考え合せまして〔「誰が考えた」と呼ぶ者あり〕 それが社会通念になる、(「冗談じやない」と呼ぶ者あり)こういうふうに考えたのであります。

堀眞琴無所属クラブ

○堀眞琴君 そうすると社会通念が成熟したということにはならんわけですね、社会通念は成熟したとは言えないわけですね、法務省の立場からいうと、法律家の立場から答えて下さい。単に常識的な回答でなくて、私は法務省は法律の専門家だという考え方を持つておりますから、明確にお答えを願いたいと思うのです。

桃澤全司法務省刑事局公安課長

○説明員(桃澤全司君) 甚だ未熟な答弁で誠に申訳ありませんが、大体この社会通念というものは、そういう常識的なものでして、(笑声)これを……。

堀眞琴無所属クラブ

○堀眞琴君 一般的な法意識という問題を私は中心に出しているのです。

桃澤全司法務省刑事局公安課長

○説明員(桃澤全司君) 法意識、これは非常にむずかしい言葉になりますけれども、簡単に申上げますと、先ほど申上げましたように法の解釈、具体的なケースに当てはめる上において法の解釈をする、その判断の基準となる健全な一般良識、こう申上げていいのじやないかと思います。法意識という言葉になると非常にむずかしくなりまするが、簡単に言えば健全なる一般良識、それが社会的に通用するもの、こういうことになると思います。

堀眞琴無所属クラブ

○堀眞琴君 それが成熟したとは少し早過ぎるという見解だというお話でしたね。

桃澤全司法務省刑事局公安課長

○説明員(桃澤全司君) 成熟というのは、これは私はもう社会通念かそこに成熟していると、こういうふうに申上げたのであります。

堀眞琴無所属クラブ

○堀眞琴君 成熟しているのですか。

桃澤全司法務省刑事局公安課長

○説明員(桃澤全司君) これは言葉の使い方、表現の……。

堀眞琴無所属クラブ

○堀眞琴君 先ほど成熟していると考えるのは早過ぎると、そうおつしやいましたね。

桃澤全司法務省刑事局公安課長

○説明員(桃澤全司君) 違います。これは選挙の結果多数を占めたということだけで判断するのは早い、或いは公聴会だけで、公聴会で多数の者がそういう判断をしたそれだけで、(「多数が賛成しておらん」と呼ぶ者あり)社会通念の成熟を見た、こういう結論を下すのは早いが、その他の条件を勘案して……。

堀眞琴無所属クラブ

○堀眞琴君 その他の条件を話して下さい。

桃澤全司法務省刑事局公安課長

○説明員(桃澤全司君) それは先ほど申上げたことになるのですが、石炭産業或いは電気産業の重要性とい

堀眞琴無所属クラブ

○堀眞琴君 それだけですか、そうじやないでしよう、そうじやなく、その他の条件というのは別個にあるわけでしよう。従来電気や石炭のストは不当であるという考え方があつた、それがこのスト規制法案を出そうという自由党に対して圧倒的に輿論がこれを支持した、だから社会通念が成熟したというのが小坂労働大臣の言なんです。あなたはそれだけでは成熟したというのには早過ぎる、こういうお話です。それを私は電気や石炭のストに関する従来の見解以外の他の要件があるかどうか、あるならばその要件を具体的にお話し願いたい、こう思うのです。

桃澤全司法務省刑事局公安課長

○説明員(桃澤全司君) 只今申上げたところで大体労働大臣の仰せられたことと余り違わないのではないかと考えております。

堀眞琴無所属クラブ

○堀眞琴君 違わないことはないのです。非常に違うのです。(「違わない」と呼ぶ者あり)投票や或いは公聴会等における消費者の賛成意見だけでは社会通念は成熟したと言うことはできないと、こう言つている。ところが小坂労働大臣は、社会通念の成熟の根拠は何かと言えば、消費者の大半が賛成しているということ、自由党に対してこれを支持しているのだ、投票等に現われたところから見て支持している。    〔国務大臣小坂善太郎君「違わないじやないか」と述ぶ〕

栗山良夫日本社会党(第四控室・左)

○委員長(栗山良夫君) 大臣は私語をやめて下さい。

堀眞琴無所属クラブ

○堀眞琴君 大臣とあなたの考え方はまるで違うのです、この点も。(「同じだ」と呼ぶ者あり)なお私は追及したいのですが、それからもう一つやはり私の発言で問題になりましたが、輿論の問題がある。素朴な輿論は民の声です、これを聞くのが政治家だ、そうして私が、輿論は作られるものだと、こう言つたのに対して、私が如何にも独裁政治を考えているかのごとくにあなたはおつしやつておられる。宮澤君から又異論が出た。議員を侮辱するものじやないか、こういうお話がございましたが、併し輿論はあなたが考えられるような素朴な自然発生的なもので作られるものではない。誰かが何らかの意見を発表する、これに対して大衆が支持する、こういう形で輿論ができて来るのです。殊に日本のように民主的な慣行においても日の浅い我が国の社会においてはなおのことそうなんです。私はそういう意味から申しまして、自由党が昨年の選挙でも或いは今年の選挙でも第一党になつたからといつて輿論が絶対的に支持しておるということは私は言えないと、こういうことを申しておるのであります。(「議会主義じやないか」と呼ぶ者あり)あなたは議会主義なんて言つて知つておりますか、私は議会主義なんか信じておりません。(笑声)私は議会主義については若干の知識を持つておりますから余りうるさいことを言わないで下さい。輿論と社会通念を小坂さん混同しておられる。この前の御意見でも輿論と社会通念を全く混同してお話になつておるが、その区別を労働大臣からお答えを願いたいと思うのです。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 私が輿論と社会通念を混同しておると極付けておいて、そうしてこの区別を明瞭にせい、こういうお話でありますが、私は混同もしていなければ、別に非常に懸け離れたものとも思つておらないのであります。社会通念とは何かといいますと、これは非常にむずかしい問題で、一言にして表現することは非常にむずかしいのでありますが、先ほどもお話がありましたように、民法で申しまする条理とか或いは信義、誠実の原則とかそういつたようなものに近いもので、まあ結局社会の健全なる日常生活における良識、そういつたようなものであろうと思うのであります。  それでは世論というのは何かといいますならば、私は世論というのは、やはりよつて以て作られるものではないという考え方を持つております。やはり国民はすべて日常生活、又それの関連するところの経済生活、又政治というものに対して非常に関心を持つている。これは生活することから来る必然であろうと思う。そうしたものに対して当分の考え方はどうだということがおのずからそこに自然発生的に現われて来るものがあるのです。そういうものがおのずから形成せられて行くものが輿論であろうと、こういうふうに考えております。

堀眞琴無所属クラブ

○堀眞琴君 余り学問上の意見を述べ合うのはここの委員会の本旨ではないと思いますから、そう深く咎める必要はないと思いますけれども、もう少し私は、労働大臣も経済学をやられたのですから、輿論の性格というものについて勉強されるほうがいいと思うのです。  それから一昨日梶原君は社会通念には今日二つあるのじやないか、一つは新しい憲法の下において認められた基本的人権、わけても労働権を尊重するという社会通念、これに対してこれを非とする、或いは非とするというか、ストライキ等を禁止しようという社会通念がある、こういうことを話しされた。これに対する答弁は少しもなかつたわけです。ところが労働大臣は又一方では、ストライキについては従来政府としてはこれを不当と考えて来た、併し中にはこれを不当と見ない向きもあるんだ、こういうことをお話になつておる、そのためにこのスト規制法を出してそれを明確化する、こういうお話なんです。そういう場合に、ストライキに対してこれを是とする或いはこれを不当とするものがある場合に、どうして一般的な社会通念或いは一般的な法意識というものがそこに成り立つているということを我々は言うことができるか、少くとも社会において利害関係が相対立しているというような今日のような状態においては、一般的な社会通念とか或いは一般的な法意識というものをどういう判断によつてあなたはそれをこうだという工合におきめになるか、その点をお尋ねしたいと思うのです。ですから、第一は、一昨日の梶原君の質問に対する回答を私も求めるし、それからもう一つは、どうして共通或いは一般的な法意識というものをあなたは判断されるか、このことをお尋ねしたいと思います。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 社会通念に二つあつて、一つはスト権というものを無制限というか、非常に尊重しなければならないという社会通念、一つはスト権というものを制限するということを考える社会通念というのでありましたが、私は一般的に一つの意見としてはそういうものはあり得ると思いますが、いわゆる社会通念として把握される場合には、その両者が渾然一体となつたものがあろうかと、こう思います。即ちその何といいますか、良識に基くところのスト権のあり方というものを判断する社会的な基準、そうした観念というものがあると思います。ここに申上げておりますこの法律の趣旨というものは、大体、労組法を見ましても、労調法を見ましても、争議行為としては不当だという考え方はあるわけです。正当ならざる争議行為というものはある、こういう考え方はあるんです。併し一方において争議行為であるならばそれは何をやつてもその違法性は阻却されるという考え方もあるんです。そこで私どもは政府として、その刑事上の或いは民事上の免責のなされ得る争議行為の範囲というものはどこまでであるかということを明定しようと考えておるのでありまして、これで以て私お答えになると思いますが、ならなければ又お答えいたします。

堀眞琴無所属クラブ

○堀眞琴君 どうも関連質問で、田畑さんこれでやめますからあとやつて下さい。今のお答えでは、結局前の言葉をただ繰返していられるだけで、本当に一般的な法意識というものをつかまえる、あなたはつかまえられたわけですね、そのつかまえられた根拠を私はお尋ねしているわけです。ところが社会は利害関係が対立している、何も私はここに階級とは申しませんが、いろいろ利害関係が対立している異質的な社会、同質的な社会ならばあなたも御承知のように、そういう意見の対立とか利害の対立というものはないはずであります。ところが今日のような異質的な社会ではそれが対立している。その対立している社会において一般的な共通の法意識をあなたはどういう工合にしてとらえられたか、若しそれを具体的に御説明を願えるならば、非常に幸だと思う。併しこれは学問上の議論に若干なるかも知れませんが、あなたの素朴なお考えで一つ率直にお話を承わりたいと思います。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 私も学問がないので、非常に素朴なお答えしかできませんで恐縮でございますが、私今まで御意見を伺つておりまして、対立社会という構想と、堀さんの抱懐される構想と、私どもの考えておりまする総合した信頼と和解と友愛の上に立つ社会という考え方とが違うんだということをしみじみ思うんであります。従つてその間にはつきり割切つて、堀さんも納得され、私もこうだと言い切れる調和点がなかなか見出し得ないではないかという、そういう印象を受けるわけであります。それで私どもといたしますると、やはり対立した考え方が一方において極端にとられる場合に、私どもとしましては、その間の調和を図りたい、こういう考え方を持つておるのであります。それで何によつて調節するかというと、やはりこの民主主義の原則ではなかろうかと思います。何物にも捉われざる意思の表明せられるその結果において、それがどういうことにおいてとられるかというと、やはり最終的にはこの選挙によつて構成せられる国会において判断する、これがやはり民主主義の原則、最終判断の基準ではないか、こういうふうに考えております。

田畑金光日本社会党(第二控室・右)

○田畑金光君 私の質問に対しまして、関連として堀君から御質問がありましたので、又私は私本来の質問に戻りたいと思うのですが、只今の社会通念と輿論の問題に関連して、私もこの際一つ伺つておきたい事項が生まれたわけであります。只今労働大臣は、社会通念の一つのバロメーターとして選挙ということをおつしやつたわけであります。従つて我々といたしましても、民主主義社会における選挙或いは輿論、従つてその機能の重要性というものについては認識し、その権威というものを認めざるを得ないのであります。ただ先般来の労働大臣の答弁を聞いておりますると、選挙において支持を得た、そうしてこれが社会通念として今回の立法等の正当性を根拠ずけておるというような説明がなされておるわけであります。これに対しまして先般堀木君からも、選挙というものが公明に行われておるかどうか、買収選挙というものがやられておりませんかどうか、買収によつてやられた選挙が果して国民の公明な意思を表明しておるかどうか、こういうような疑問が出されたわけであります。私も同様な感じを持つわけであります。例えば昨年の十月、岡崎外務大臣は悪質な選挙違反をやつて、あの選挙後なお現在に至るも選挙責任者が逃亡して捕まらないのであります。これがために岡崎外務大臣の選挙違反というものは起訴、不起訴の決定ができん始末になつておるのであります。一体これも、こういう選挙を通じて出て来た結果も、これは公正な国民の輿論を表明しておるのかどうか。本年四月の選挙においては内閣官房長官の福永さんが選挙違反を起して、市会議員が十四名、町村会議員を入れると数十名、而も市会議員の一名は自殺をしております。こういうだらしない選挙をやつて来て、これでもなお且つ公正な民意の反映とこれは見られるのかどうかということです。  更に私はお尋ねしたいことは、こういう悪質な選挙違反を犯して、なお且つ信然としてこれが台閣の重要な地位に坐つておる。これは一体国民の道義に対しまして、国民の素朴なる感情に対してどういう影響をもたらしておるかということは、あなたの提案理由の説明の中にはこういうことが言われております。よくお聞き願いたいと思うのであるが、「けだし停電スト、電源スト等は、これに携わる人員は全電気産業労働者中少数に過ぎず、他の大多数の労働者の争議行為は、何ら制約せらるるものではないと同時に、労働者の失う賃金及び使用者のこうむる損害は、これによつて無罪の需要者が不可避的にこうむる物質的、精神的損失に比較いたしますると、きわめて僅かなものである。」、精神的損失ということをあなたは謳つておるわけであります。而も先般来の説明を聞いておると、公共福祉の中には、物質的、精神的両面があると、こう言われておるが、今社会悪からいろいろ論議れおるけれども、一番手取り早いものは、こういう悪質な選挙違反者が今日の閣僚の枢要な地位を占めておるということは、これはその犯罪性からいつても、悪質性からいつても、道義心の欠如からいつても、社会通念から欠如しておる、こういうものこそ私は国民の法意識からすると糾弾すべきであるという社会通念が成熟しておると考えておるのでありまするが、いろゆる社会通念の成熟というものは一例をとるとこういうふうなものであると私は考えるのであるが、労働大臣は如何ようにお考えになつておるか、この点について先ずお尋ねして置きたいと思います。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 関連質問が重なりましたために、一問一答は遅れまして申訳ありません。(「何を謝るんだ」と呼ぶ、者あり)  只今の御質疑でございまするが、日本の国会は非常に不正なものではないか、民意を正確に反映していないのではないかというお話でございますが、私はそのようには考えません。

田畑金光日本社会党(第二控室・右)

○田畑金光君 小坂労働大臣は私の質問にお答えになつていないと思うのです。即ち一般的な社会通念の成熟というものが一般的な法意識の成長であるといたしますならば、今申上げましたような悪質な犯罪行為、こういうようなものこそこれを糾弾すべし、こういうような一般世人の法意識が成熟しておると思うのでありまするが、こういうようなものは、こういうようなものこそ社会通念として呼んで然るべき内容と私は見受けるのであります。不幸にして自由党の例をとりましたが、先ず自由党の例は別にいたしまして、社会通念というものは、こういうような明確な犯罪性を内包したものに対して一般的に生まれて来る法意識である。断罪するところの法意識である。私はこういうように解釈しておるのでありまするが、この点についてはどういうふうにお考えでありますか、お尋ねして置きたい。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 正しいものを正しくし、不正なるものを不正として断定すべしということが社会通念であります。

藤田進日本社会党(第四控室・左)

○藤田進君 ちよつと関連して。どうも大臣の御答弁は、時間が経てばそのうちにまあ与党が数が多いのだしという感じを、私のひがみかも知れませんが、非常に受けるのであります。従つてもつと論理的にやはり御答弁があつて然るべきだと思いますので、その意味でお答えを願いたい。  先般通産大臣に対して質問をいたしました際に、通産大臣は、お答えの用意がないものか、お答えができない良心を持つておいでになつておるのか実に逃げ去るごとく立去られたわけで、御答弁を頂いておりません。それと只今の社会通念の成熟、不当なるものを不当として規制して行くんだ、こういうことについての根拠が私にはどうしてもわからない。素朴にわからない点があるのであります。その点は先ず石炭産業について言えば、要するに自分の職場を再び帰つて来ることができないようにすること、これは何といつても許しがたいものである、三十六条を待つまでもなく、こうおつしやつております。更に一面、日本の貴重なる鉱物資源を滅失するがごときは、これ又社会通念に照らして許されないことである、ましてや保安要員であるこの人命云々、こう並べられまして、よつて不当である、こう言われておると思うのであります。その通りでございますか、その点は。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) この法律案をお読み下さいますと書いてございますのですが、「電気事業の事業主又は電気事業に従事する者は、争議行為として、電気の正常な供給を停止する行為その他電気の正常な供給に直接に障警を生ぜしめる行為をしてはならない。」、これが第二条であります。第三条には、「石炭鉱業に従事する者は、争議行為として、鉱山保安法に規定する保安の業務の正常な運営を停廃する行為であつて、鉱山における人に対する危害、鉱物資源の滅失若しくは重大な損壊、鉱山の重要な施設の荒廃又は鉱害を生ずるものをしてはならない。」、こういうことでありまして、大体御趣旨のような……。

藤田進日本社会党(第四控室・左)

○藤田進君 おおむねその通りだとおつしやればよろしい。そこで問題は、争議行為としてはいけないが、争議行為でないならばよろしいということが私にはわからないと言つているのです。つまり今日石炭産業を例えて見ましても、多くの山が休止し或いは廃止されている、この事実はお認めになると思います。相当の数になつております。いや、この第三条は、そんな小さい中小炭鉱にはこれは適用しないのだとおつしやれば別だが、如何なる山元であろうとも、この第三条は適用になる。いやしくも鉱山保安法の適用になつておるいわゆる鉱業、こういうふうに考えるのであります。今日多くの山が休廃坑になつておるが、これはむしろ争議手段としてではない、ところがその経営の事情によつて、所有者が独断に休廃坑するというこの結果は、取りも直さず日本の貴重なる資源を、これを滅失するというか、休廃止するわけでありますから、山全体が、これはやはり公共の福祉だという政府の提案から見れば、これは許さるべきことではないと考えられるし、更に又職場に再び労働者が復帰できないようにすることは、公共の福祉、社会通念として許されないと労働大臣は言つておるのです。いいですね。休廃坑されておるところの山というものは、今日再び労働者が職場に復帰することができない状態が起きておるわけです。このほうはこの法案の提案理由と全く別の理由がどこにあるのか、延いては過般お尋ねいたしました労働権と財産権、二十八条と二十九条、憲法の、どちらが上でどちらが下なのか、或いは横の関係かと言つたときに、上下の関係ではない、これは相共に調和を保つて行くところの対等の立場であつて、決して上下の関係ではないとおつしやつておるわけです。併し現実にこの法案第三条を見ると、以上申上げたように所有権、財産権に対しては、その鉱物資源を滅失しようとも休廃坑しようとも、これは所有者の自主的な意欲に任されておるし、労働者が再び職場に帰ることのできない状態は、これは許されておる、これではこの法第三条提案の理由というものは全く失つてしまうことになるが、憲法二十八条、二十九条に関連して一体どういう説明をなさるのか、これを通産大臣にお尋ねいたしましたが、未だそのお答えがありません。労働大臣は提案担当者として、この関係をどう考えておいでになるか、これをお伺いしたいと思う。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) お答えいたしますが、二十九条の財産権は、争議行為によつてこれが侵されることはよろしくない。ただ、経営者の炭鉱の採掘又は保存の措置を講じておりまする場合に、労働者が保安業務を放棄するということは憲法が保障いたしまするところの争議権の濫用である、こう思います。又経営者に対して受けるべからざる損害を与えるものでありまするし、又労働者が争議を終つたあと帰るべき職場を失わしむるということでありまして、法益権衡を著しく失するものであるというように考えられるのであります。こういうような争議行為が許されないということは労働組合法第一条、第二条の法理上から明らかなところでありまして、本法案の第三条はこうした本来不当な争議行為の方法を確認的な意味で明らかにしたものであります。従いまして経営者が炭鉱を休廃止するということと、不当な争議行為の方法の範囲を明らかにしようとする本法案とは、一応関係のない事項であると考えるのであります。  なお、体廃止に伴う労働者の生活の保障につきましては、失業保険法その他によりまして、別箇の見地から対策を講ずべきものである、こう考えております。

藤田進日本社会党(第四控室・左)

○藤田進君 そういたしますと、ストライキなどではいけないが、資本家がぶちこわすやつはこれはいいのだ、それは失業保険があるから、労働者が職場に復帰しなくたつてそんなものは問題ないと、こうおつしやつておりますが、失業保険は一〇〇%ではない、六〇%しか支給しないし、而も六カ月です。而もその間に職業が与えられたのを断わつたらそれきり失業保険はもらえないというような状態にあるわけであります。私が申上げておるのは、まさに今大臣の申されておる御答弁では、憲法二十九条の財産権は、これは実に超越したものであつて、二十八条の労働権などはこの二十九条の前にはもはや及ばん権利であつて、その下である。何故ならば、争議手段として所有権者である事業者に対してそのような対抗するということは、これは法益権衡の面からして余りにも所有権を侵害するも甚だしい、調和が保つていない、こうおつしやつている。一方労働権については、これは失業保険があるということで、すつかり経営者の責任というものはなくなつてしまつているわけです。失業保険というものは、御承知のように労働者も負担しているのでありまして、こういう法益権衡、二十八条、二十九条の法益権衡というものは全然無視されているという点が第一点。第二の点は公共の福祉、国家資源の滅失というところに理由を持たれているけれども、事経営者の休廃鉱についてはその論旨というものは全部消え去つてしまつている。所有権一点張りで来ておられる。この二点がすつきり解明されていないという点を遺憾に思います。これ以上申上げてもお答えになるお持合せがないでありましようし、それほどこのスト規制法なるものが不当であるという点は何人もこれは否定できないと思うのです。なぜならば、さように日本の鉱物資源が大切であり、再び復帰しなければならないほど労働者の立場が大切であるとするならば、無論私は大切であると考える、とするならば、今日北海道から九州に亘る多数の休廃鉱になつているこの炭鉱業者に対して休廃鉱の規制法なるものが出なければならんはずですが、これは何らの用意もないし、又今までの答弁からすると、出される気配どころか、一方的に資本の側だけを擁護して、労働者の側はこのような規制法で以て弾圧法で以て臨まれようとしている。これがこの質疑を通じて明らかになつたというふうに断ぜざるを得ないのであります。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 討論でございますね。……よろしうございますね。

藤田進日本社会党(第四控室・左)

○藤田進君 それでは以上の点について所見を伺いたい。幾ら聞いたつてろくなことを言えないのだ。時間はかかつてもいいと思う。それに対するはつきりした所見を伺いたいと思います。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 本法案は争議行為の方法についての問題であります。只今の御議論を伺つておりまして、お答えをいたします点は、私はこの私有財産制を基調といたします今日の社会において、その財産処分をどうするかという問題は一般的な経済政策の問題であろうと思いまして、本法案の審議とはちよつと問題が違うと思います。(「違いませんよ」と呼ぶ者あり)

堀眞琴無所属クラブ

○堀眞琴君 只今の藤田さんの、質問に関連して一点だけお伺いしたいのです。憲法二十八条と二十九条の関連であります。これは法務省の見解も伺つておきたいと思う。御承知のように権利というものは歴史的に発展変遷をして来ているものです。曾つての時代において所有権というものが絶対的な権利であり、一切の基本的人権に偏越するものであつたということは、これはフランス革命或いはその前のイギリス革命を通じて見るならばはつきりしていると思う。併し最近の権利に関する考え方が特に所有権に関する考え方は違つて来ているのです。そのために憲法二十九条には第二項、第三項が付けられているわけです。つまり個人の所有権であるけれども、それが社会化的な方向を辿つているというのが最近の考え方だろうと思うのです。するとあなたは労働に関する権利、これとどのように比較考量して考えておられるJか、やはり所有権というものは絶対的なものであり、労働権というものはその前には規制されることも止むを得ない、このように考えられるのかどうか、その点をお伺いしたいと思う。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 所有権が漸次社会的な考え方の変化に伴いまして社会化といいますか、その社会化という言葉の意味がいろいろ、ありますのですが、社会一般の公共のために用いなきやならんという趣旨の意味に解しまして、その方向を辿つておるということについては私も同感であります。それと同時に争議権というものもこれは万能ではない、無制限ではない、やはり社会一般の公共の福祉と関連し、その調和を図つて行かなけりやいかんと、こう思つております。

堀眞琴無所属クラブ

○堀眞琴君 法務省の見解を一つ。(「法務大臣はどうしているのた」と呼ぶ者あり)

桃澤全司法務省刑事局公安課長

○説明員(桃澤全司君) 所有権と争議権との関連でありますが、私どもはこれに上下の差はないと考えております。その間の調和を図ることが問題であると、かように考える次第であります。

堀眞琴無所属クラブ

○堀眞琴君 所有権の最近の性格について話して下さい。少くとも十八世紀時代の所有権と最近の所有権の性格とは違つておると思いますが、その点はどうですか。(「勇気を以て答弁しろよ、ぐずぐずせんと」呼ぶ者あり)

桃澤全司法務省刑事局公安課長

○説明員(桃澤全司君) 只今の御質問に対して私のほうから御答弁するのは如何かと思うのでございまするが、仰せのように財産権というものは非常に客観的に絶対性を持つておるものではなくて、その時代々々によつて変つて来る、これは異論のないところと存ずるのであります。従いましてこの所有権が公共の福祉によつて制約せられる限度はそのときの社会情勢によつて変つて来るということも申されると同時に、この所有権という問題と、特に戦後認められました労働権と申しますか、争議権と申しますか、これらとの関連においても絶対不働のものではないと考えております。

栗山良夫日本社会党(第四控室・左)

○委員長(栗山良夫君) ちよつとお待ち下さい。  委員諸君にお諮りを申上げます。只今委員部長を通じまして参議院議長から、労働委員長に対しまして、議院運営委員会の小委員会に出席せよとの要請がありました。その要請の内容はわかりません。恐らく本日、先ほど相馬君から提議せられました中間報告を求める緊急動議に関することであろうと委員長は想像いたします。これにつきまして、非常に重要なことでございますので、委員長は出席すべきかどうかお諮りを申上げます。

宮澤喜一自由党

○宮澤喜一君 その要請に応ぜられまして、小委員会に御出席のため、その間本委員会を暫時休憩せんことの動議を提出いたします。(「賛成」と呼ぶ者あり)

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 今田畑君と労働大臣或いは政府委員との間に質疑が続けられておるのでありますから、それは続けられておるという確認の上に、その間暫時休憩して出席する、こういう意味でございますか。

栗山良夫日本社会党(第四控室・左)

○委員長(栗山良夫君) はい。  では暫時休憩いたします。    午後六時四十八分休憩    —————・—————    午後九時三十七分開会

栗山良夫日本社会党(第四控室・左)

○委員長(栗山良夫君) 休憩前に引続いて会議を開きます。  先ほどの会議におきまして田村君から、当委員会のスト規制法案の審議に要した時間は極めて少いということを数字を挙げて説かれました。委員長及び理事打合会の時間のほうが、議案の審査の時間の二倍以上要しておるという御発言がございましたが、私はさように考えませんけれども、数字的な根拠を持たなかつたので、そのときに発言をいたしませんでしたが、その後事務当局に計数の整理をさせましたところ、委員長及び理事打合会に要した時間は十八時間五十二分、スト規制法案の審議に費しました時間は、すべての時間を入れまして三十三時間三十七分でございます。従いまして田村君の御発言は事実と相違をいたしますので御報告申上げますと同時に、田村君から御発言があれば伺いたいと思います。

田村文吉緑風会

○田村文吉君 若し、私は自分の直感的に感じたことが、毎日々々会議の進行について公式或いは非公式の委員長及び理事打合せ会というものが開かれておりましたのが、恐らくはその時間が正味の審議時間の二倍にもなつておるのじやなかろうかと、こういうことを自分が直感しておりましたからそのように申上げたのでありますが、若し委員長のほうで詳細お調べになつて、或いは正味のスト規制法だけに関するそういう質疑でございますが、それだけの時間が今仰せになつたような時間に間違いないということであれば謹んで私は自分の発言を訂正することにやぶさかでございません。

宮澤喜一自由党

○宮澤喜一君 先刻休憩前の会議におきまして、たしか相馬委員の発言に対しまして、これはまだ仮定の問題でありますが、中間報告云々というお話がありました際に、私の記憶に間違いがなければ、委員長はたしか参議院規則百四条を御引用になりまして、そういう場合には無論委員会に諮つて云々という意味のことを……、たしか参議院規則百四条とおつしやつたと思いますが、たしかそのようにおつしやつたかと私記憶をいたしておりますが、記憶の誤りであればこれは無論問題になりませんで、この発言をやめさして頂いて結構でございます。

栗山良夫日本社会党(第四控室・左)

○委員長(栗山良夫君) 今事務当局の話では、私百四条ということを申上げたかどうかちよつと記憶にないので、若しあれでしたら速記録を調べます。調べますが、今事務当局の解釈では、百四条は中間報告には関係がないということでございます。

宮澤喜一自由党

○宮澤喜一君 それで結構でございます。ありがとうございました。

田村文吉緑風会

○田村文吉君 なお先刻私が申上げました時間の問題については、後ほど事務当局につきましてどういうふうになつておりますか、私の日記と突き合せをしてみたいと思いますから、それだけは御了承願いたいと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)

伊能芳雄自由党

○伊能芳雄君 今田村委員からお話の時間の積算の参考のために私らも見たいと思いますが、十三日以降どういうふうにやつたか、謄写版か何かで刷つてもらえませんか。

栗山良夫日本社会党(第四控室・左)

○委員長(栗山良夫君) 日にち別にとつてあります。而も只今申上げました中には現地出張のときに費しました時間は入つておりません。

田村文吉緑風会

○田村文吉君 併せて、公聴会もないでしようね。

栗山良夫日本社会党(第四控室・左)

○委員長(栗山良夫君) 公聴会は入つております。

田畑金光日本社会党(第二控室・右)

○田畑金光君 労働大臣に質問を継続したいと思いますが、先ほど私の質問に対しまして……。先ほど私が、石炭の場合を考えてみると、昨年の争議においては保安に関する限りは十二月十日に炭労は保安要員引揚げの準備指令を出した。これだけが事実であります。そこで今回の立法は、昨年の争議に鑑みて争議行為の範囲を規制するといたしますならば、少くとも石炭に関する限りは現実にそういう争議戦術はとられていない、行われていない、従つて昨年の争議を通じ公衆に迷惑を及ぼした或いは公衆の便益を害した、こういうことがあるとするならば、単なる指令という現実に行われなかつた事実でなくして、争議の結果石炭が出なかつたという事実に起因するものであるとみなさざるを得ないがどうかと、こういう質問に対しまして、労働大臣は、両方の場合とも考えられると、ういうような御趣旨の答弁があつたわけであります。私は先ず事実を事実として共通の認識を固めて行くことが先決だと思いまするが、一体昨年保安要員の引揚げということは現実に行われたのかどうか、この峠について労働大臣の御答弁をお願いしたいと思います。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 引揚げの準備指令が出たと、こういうことであ旅ま七

田畑金光日本社会党(第二控室・右)

○田畑金光君 準備指令が出たということは、それだけの事実が社会の便益を害し或いは公衆に迷惑を及ぼしたという結論になるのかどうか、この点についてお伺いいたします。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) この問題  については、先ほども申上げたことでありますが、非常に争議が長期化いたしまして、家庭のガスもとまりまして、鉄道の運行状態も終戦の面後に戻ると、こういうような状態で、非常にあの争議の結果というものは公衆の便益を著しく害した、そこで緊急調整の発動を見たわけであります。一方炭労としまして保安要員の引揚げ準備指令を発したのでありまするが、こうした保安要員の引揚げというようなことは、これは政府声明におきましても言つておりまするが、労調法三十六条を待つまでもなく違法でもあり、又争議の終了後に労働者の帰るべき職場を失わしめるという意味において労組法一条二項の正当性を……、正当なる争議行為であるから違法性を阻却されるという場合に適用されない、こういうことであります。この法案におきましては、石炭争議の場合においては保安要員の引揚げというようなものは、これは争議行為としてでも正当でない、こういう解釈を明瞭にしようと、こういうことなんであります。

梶原茂嘉緑風会

○梶原茂嘉君 ちよつと関連ですけれども……、保安要員の引揚げの準備指令というものは労働争議の一つの行為とこう解釈していいのでしようかどうでしようか。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 引揚げ準備指令が出たということは、労働争議の一つの形態におきましてそういう準備の指令が出たということであると思います。

梶原茂嘉緑風会

○梶原茂嘉君 一般の鉱山の現場の労働者は、保安要員の引揚げのごときは、これは事実実行する考えもないようであります。又、鉱山保安法の関係から見てもそれは違法であろうというふうに認識されておるように思われるのであります。政府のしばしば言われる、そういう違法の労働争議、違法の行為を準備指令という労働争議の一つの形において行われたのでありますが、こういう準備指令そのものを取締る。そういう行為は違法であるというふうに立法化して行くということが一つの私は行き方ではないかと、かように思うのでありますけれども、そういうことは考えられないことでありますがどうか、その点を一つ。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 準備指令というものは一つの争議の、争議行為をする準備をするということでありますから、これは前提であるということであろうと思います。これは先ほどの私御答弁の恐らく言葉が足りませんことかと思いますが、そこでそういうようなことは考えないと、こう言われる向きがあることは事実でありますが、併しそういうふうなことを平常において申しましても、争議行為の過程におきまして、非常に熱して来ると申しますか、勢いの赴くところそうした準備指令が出るということでありましては、やはりこれは何か指令を出せば……、あのときは事なきを得ましたけれども、勢いの赴くところその保安要員の引揚げということをやはりなすということにならんとも限らん。そこで要するにそういう範囲を明確にしておいたほうがよかろう、こういうふうに考えておるわけであります。又その後におきましてやはりこういうことはなすべきじやなかつたというような、公式なこの意思の表示というものはないわけでございます。

梶原茂嘉緑風会

○梶原茂嘉君 私のお伺いしているのは、保安要員の引揚げ準備指令が準備ということで、大臣の今お答えのように、これは労働争議の形態の中に入らないということは……、でありますれば保安要員引揚げの指令となれば、これはやはり労働争議になるかどうか、その一つの形になるかどうか、私はそほうの知識は薄いのでありますけれども、保安要員の引揚げの準備指令或丁は又保安要因の引揚げの指令もやはりこれは労働争議の一つの形であろうと思う。全体の組合員を抑えると申しますが、それを対象にして違法の点をはつきりする意味で三条が立案されておるわけでありますけれども、去年の実態からだけを考えれば、そういう指自体がもともと違法な行為……まあ政府の説明を借りれば違法な行為を指令する一つの争議形態だとすれば、そういうのをこの違法の対象にはつきりして行くということも一つの私は考え方ではなかつたか、かように思うのであります。労働争議は勿論一つの組織としての行為でありまするから、全体の組合員を対象に考える場合、又指導面を考える場合、おのおの分れて行くかと思うのでありますが、組織形態であるけれども、むしろ場合によつては指導面ですね、そこを一つ対象にして行くということもあながち見当外れでもあるまいという感じがいたしたので質問したわけであります。

田畑金光日本社会党(第二控室・右)

○田畑金光君 ちよつと私、本会議のベルが鳴つているようだから、質問について、私今日の質問をあなたにやつた要点はどこかというと、一体公衆に迷惑を及ぼしたとか便益を害したというのは、石炭が出なかつたというものとの因果関係なのかどうか、それとも保安要員の引揚げを準備指令した、単なる準備指令というものが公衆の迷惑、便益との因果関係を持つているかどうか、どちらかということをお尋ねしたのです。あなたの答弁は、ガスがとまつたり汽車がとまつたりしたということの説明がありましたが、そうしますと、石炭が出なかつたということが、対公衆の迷惑と因果関係を持つておるということを御答弁なされたのであります。私の問わんとする保安要員引揚げの準備の指令というものと公衆の迷惑とはどういう因果関係を持ち得るのか、それは争議戦術としての一つの手段ではないか、こういうことは、今梶原委員からも御質問になつたのでありまして、この点については明日私重ねて質問を継続いたします。  同時に私先般来吉田総理に御出席を願つて、総理に対しこの法案の根本的な精神についてお伺いしたい、こういうことを申しております。殊にこの法案の立法の淵源というものが吉田首相の一月三十日の演説から来ておる。而もステツプ・バイ・ステツプという、これを拡大する意向は確かに吉田総理の肚の中にあるということも私は先般の資料を以て質問したわけであります。小坂労働大臣よろしいですか。従いまして私は明日労働大臣に対する質問の継続と共に、吉田総理の出席を重ねて要請して、総理に明日質問を継続したいと思つております。

栗山良夫日本社会党(第四控室・左)

○委員長(栗山良夫君) 本日はこれにて散会いたします。    午後九時四十大分散会

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