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16回国会参議院1953/09/12

労働委員会 閉会後第3号

発言数
20
登壇者
5
会派数
3
開催日
1953/09/12

会議録

栗山良夫日本社会党(第四控室・左)

○委員長(栗山良夫君) 只今から労働委員会を開会いたします。  昨日石炭鉱業における労働問題の調査を当委員会はいたしましたが、その調査の過程を通じまして、只今通商産業省の所管になつておりまする石炭産業のいろいろな政策というものを再検討をいたしまして、もつと石炭産業が安定した経営を行い得るようにしなければ、産業界全体のためにも好ましくないと、こういうような空気になりましたので、出席せられた古池政務次官の意見等も尋ねたのでありますが、大体その考え方には大差はなかつたわけであります。ただ新らしいそういう観点に立ちまして、政策をやる場合についての具体化について若干問題が残りましたので、本日岡野通商産業大臣の出席を求めまして、責任ある所信の表明を願いたいと、こういう工合にいたしたことは、委員各位の御案内の通りであります。従いましてさような意向に基きまして、岡野通産大臣の発言を求めたいと、こう考えます。

岡野清豪自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。石炭行政につきまして、私就任以来、石炭業に限らず、すべての日本の経済につきまして、相当突込んだ研究をしなければならん、こう考えまして、たまたま経済審議庁の長官を兼任いたしておりますので、両者を合せまして、事務当局にいろいろ研究をさせ、同時にこれを急がしておるわけであります。余り大したことでもございませんが、新聞で御覧の通りに、経済審議庁におきまして将来の五カ年計画というものを私試案を作りまして、まあ研究し、毎週財界並びに学界の有識者を委員としますところの審議会を開きまして、個々別々に小さい問題から大きな問題を取上げて審議を進めておる次第でございます。と申しますことは、先ほど委員長からもお話の通りに、自由経済で進んで行くのが我々自由党の政策でございますが、併しこれはもう申上げるまでもなく、又皆様がたがすでに御承知の通りでございまして、只今世界各国共手放しの自由主義経済を実行しておるところはどこにもないのでございまして、ただそれがどの程度において規制をされておるかということによつて、その色合が違つて来るわけでございます。併し私どもの考えといたしましては、少くともこの小さい四つの島に八千五百万以上の、又これが年に百二十五万人も殖えて行くような、とにかく人口増加の傾向を持つておる民族といたしまして、そして資源はないし、よそから原料材料を輸入し、これを加工して、そうして自分が生きて行かなければならん、而も食糧、衣料の殆んど……、食糧のほうは別でございますが、衣料なんかは殆んど九〇%以上も外国の原料を入れたければ立つて行けない、こういうようなところにおきましては、どうしても経済には或る種の計画性を持つてやつて行かなければならんということは、これは仕方のない、止むを得ざる現状であると思います。併しながら、これを全面的のいわゆる統制計画経済にしてしまつて、国家がこれを経営して行くということには、我々はどうも承服できませんので、少くとも自由に任て、そして自由の範囲を狭めることは成るべく少くして、そして各個人の創意工夫を発達させる、そして最も経済的に運行して行くというような経済に持つて行くのでありますが、ただ先ほど申上げましたように、非常に限られたるところの資材を以て我々が生きて行かなければならんという意味におきまして、一つの計画性を持ち、或る種の規制も行つて行かなければならんと、こう考えるのでございます。  そこで、我々といたしましては、このすべての経済につきましていろいろ研究をいたしておるのでございますが、今日は石炭のことにつきまして一応の私の考え方を申上げたいと思います。石炭は、御承知の通り、戦時中最もと申しますか、唯一の動力源でございまして、非常な無理をして増産に努めさしたものでございます。戦時中相当に無理な掘り方をいたしましたものでございますから、能率の悪いところへ無理やりに発破をかけ、又あとはどうでもいいとは思わんのでございましようが、自然の勢い上あとのことは考えておる余地なく濫掘いたした、こういうような情勢で相当に山は荒れておつたのでございます。併し、戦争が済みましたからと申しまして、石炭の需要がすぐ減るわけでもございませんので、むしろだんだんと日本の経済が復興いたしますにつきまして、石炭の需要、即ち動力源の需要が旺盛になつて参りまして、只今のところでは、終戦後いろいろ増産の計画並びに増産を奨励する点に拍車をかけまして、年約五千万トンぐらいな出炭ということに漕ぎつけたわけでございます。ただ問題は、その後の世界経済の情勢並びに日本の経済のあり方におきまして、この石炭の需要供給というものがどうも見すえがつかん。そのために、増産は四千万トン並びに四千二、三百万トンまでは、これは必ずどんなになつても日本では要ると、こう思つておりますけれども、併し五千万トン要るということは予想しておりませんのでございますが、併し鉱工業の生産指数をずつと見てみますというと、これは又非常な勢いで進んで行つておりまして、我々が途中で五千万トンも要らんじやないかと思つたのが、むしろ五千万トンでも足りんじやないかと、こういうようなことになりまして、まあ非常に迷つた。迷つたと申しますのは、内外の情、勢、経済界の変化につきまして、需要供給がどうもはつきりした見通しがつかんと、こういうことで今日いたしておる次第でございます。ただ問題といたしまして私どもは今後の石炭行政をどうして行くかにつきましては、こういうような観点をよく検討しなければならんと思います。これは朝鮮事変が起きまして以来の日本の経済の発展のし方というものは、これは異常な発展でございまして、これがそのまま朝鮮が休戦になつてからもずつと続いて行くかどうかということにつきましては相当の疑問があると、こう私は考えております。それからもう一つは、これは国内的の情勢でございますが、又国際的に見ましても、世界の貿易並びに世界の平和産業活動というものが如何になつて行くか、それに応じて日本の貿易というものがどうなつて行くかということに又相当の観測を必要とするのでございまして、そういうこともございますし、又一面から申しまして、日本の産業が発展して行きますにつきまして、一体石炭だけを取上げて考えるべきであるか、若しくは重油とか電力とかいうものも同じ動力源でございますから、これを考えなければならんか、こういう問題が起きて来ます。無論私どもといたしましては、只今までの経済界の趨勢からいたしまして、これは石炭並びに水力電気並びに重油という、この三つのものをよく勘案いたしまして動力源の政策を打立てなければならんと、こう思います。それでございますから、石炭一つを取上げましてこれを検討すると申しますよりは、世界の経済の動きかどうなつておるか、それに対応する日本の今後の経済のあり方がどういうことになるであろうか、それにつきまして、動力源といたしまして、石炭を重油並びに水力電気を合せまして勘案いたしましてどのくらいの計画に立つて行つたらいいだろうかということにつきまして、先般来非常にいろいろな資料を集めますし、又いろいろな学識経験者のお智恵を動員いたしまして、只今極力この検討を続けておるわけでございます。これは無論動力源ばかりではございませんで、全部の日本の産業に対する目安をつけまして、その目安の中の一環といたしまして一番有力なる動力源、その一番有力なる動力源の中でも石炭というものに対して、如何にあるべきかということを検討しようとしておるわけでございます。私はできますならば、やはり今月一杯若しくは来月中旬頃までの間にその考え方を一応まとめたいとこう考えまして、実は経済審議庁で極力勉強さしてもらい、又勉強して頂いておるわけでございます。通産省もそれに参加いたしましていわゆる現実の通産行政の上から、経済審議庁とタイアツプしましてこれが見込を立てておる、こういうような只今の状況になつておることを御報告申上げたいと存じます。

栗山良夫日本社会党(第四控室・左)

○委員長(栗山良夫君) 今のお話の中で、日本が非常に資源に乏しいので経済のやりくりに難儀をしておるというお話がありましたが、資源的に乏しいことは事実ですけれども、その乏しい資源の開発をやろうとしても、それすら今のところ頭打ちをして、石炭の減産をしなければ石炭の経営が成立たない、従つて雇用量も滅さなければならん、こういう非常に矛盾に満ちた恰好が出ているので、従つて、この委員会が考えておりますことは、国内資源の完全且つ有効な活用を政策的にどういう工合に進められるかというところが、一番私は問題になつていると思うのです。ただ国際価格との関連だけで、価格問題だけで、乏しい資源だと言いながら、乏しい資源の開発すらも抑制して、大切な外貨を使つて輸入しなければならんというようなことは、政策的におかしいじやないか、そういうことが中心になつているわけです。従つて、その点についてのお考え方をちよつと私聞き洩したのですが、重ねて……。

岡野清豪自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。これはやはり経済の自立というものを考えて見た上におきまして、総合的に我々は考えておる次第であります。乏しい資源を開発しなければならん、又不要な外貨を使つちやいけない、即ち外国から買うものは成るべく倹約して、そうして乏しい資源をうんと活用して行きたい、これはもうお説の通り最も必要なことと思います。ただ問題は、只今当面しておりますところの、日本の一番困難な途は、朝鮮動乱というものがありまして特需というものが出て来、そうして日本の経済が甚だ安易な途を踏んで今日の繁栄と申しますか、振興を来しておるのでございますが、併し今後朝鮮休戦ができまして、世界的に貿易競争の激化が起きて来る、こういうことになりますというと、今度は乏しい資源を開発するのも一つの手でございますが、併しもう一つ考えることはコストをうんと安くしまして、そうして外国貿易で外貨を稼ぐ方向に進めなければならん、こういうことが一つの重要なる役目を持つわけでございまして、只今いつも言われておりますように、外国の商品と比べまして約二割ぐらいのコスト高で、どうも外国の商品と競争ができない、外国貿易におきまして競争ができない、輸出ができんということになりますというと、今度は我々が生きて行くために必要なものを買う資金、即ち外貨がない。そこでまあおかしな話でございますけれども、安い原料を外国から入れてそうしてその安い原料で又幾らかコストでも安くして外国へ出して行つて、そうして外貨を獲得するという手も使わなければならんのでございます。そこでそれかといつて、国内の大事な、例えて申しますれば石炭産業のように大事な重要産業をぶち壊してしまつて、外国から一番安い重油を入れて、そうしてあのくらい能率のよくてコストの安いものを材料にすれば、作つたものが少くとも外国と太刀打ちができるからというような意味で、重油に転換してしまつて行けば、当座の間には合いますけれども、それでは今後日本の石炭産業は潰れてしまうということが出て来ますので、これはまあ兼ね合いでございまして、乏しい資源を十分活かして使うのでございますが、併し又コストの引下げということにつきましては、或る程度の外国のものを入れなければならんというので、重油転換なんかが二、三年前にちよつと盛んになつて来たわけでございますが、我々といたしましては、今委員長の仰せのごとく、日本の資源開発の事業というものを潰してはいけませんから、その意味におきまして幾らコストが安く、又外国へ出す品物のコストを下げるゆえんになる重油ではございますけれども、これに対しては相当な制約をしまして、そうして外貨を直接使わないように、而も入れれば幾らか国内において他産業を刺激しまして、石炭のコストも自然に下るというような調子に行きはしないか、こう思つております。  それからもう一つ、私は一番大事だと思いますことは、今後やはり水力電気というものが相当に開発されまして、これはもう全く日本の資源でございまして、この水力電気の開発ということは結局石炭産業と成る程度の関連がございますから、この水力電気の開発と同時に、石炭というもののあり方というものも考えなければならん、それから私の今やつております石炭行政といたしまして、粘結炭即ちガスとか鉄鋼に要するところの石炭は、日本で十分これに間に合うほどのものが出ませんから、その意味におきまして外国からそういう石炭を入れております。併し一般炭は絶対に入れないで国内資源を確保して行くというふうにまあ考えて行つております。そういう意味におきまして、少くとも乏しい資源を開発することには努力して行きたい、又しなければならんと思いますけれども、当座、ものを外国に売る点におきましては、幾らか外国の材料、資源を入れれば、それによつてコストが引下げられるから、二十六年度には十四億ドルの輸出があつたのが、二十七年度には十一億六千万ドルに滅つております。今年は十一億八千万ドルぐらい輸出したいと思つて目標をつけているのでございますが、一—五月ぐらいな見込でございますというと、その十一億の輸出も或いはむずかしいのじやないかというような悲観的な数字が出て来たものでございますから、我々といたしましては、輸出貿易振興の意味におきましても、すべてのことを総合的に考えなければならん、こう考えている次第でございます。

堀眞琴無所属クラブ

○堀眞琴君 只今通産大臣から御所信のほどを伺つたわけですが、併し問題は非常に広汎なものを含んでいるわけです。この委員会は労働委員会でありますから、特に経済問題に集中してお話を願うということもどうかと思いますけれども、併し労働問題そのものも日本の経済と緊密な連繋があるのでありまして若し日本経済がこのままジリ貧になるというようなことがあれば、勢い労働問題もその影響を受けざるを得ないというようなことに考えられますので、二、三の点を質問いたして見たいと思います。  先ほどの話で、日本の経済が朝鮮事変後非常に発展をした。併しこれは非常に異常なものだ、決してノルマルなものじやないというお話、つまり特需というものは日本経済のいわば首ねつこを捕まえてぎゆうぎゆう言わしている、或いはそれを左右しているものが特需ではないかというように考えられるわけです。この特需をどのように今後通産行政の運営の上において大臣はなさろうとしているか、依然としてこの安易な、而もアブノルマルな特需というものを、日本では相当期待するということになりますというと、大臣のお話になりました総合的な観点から日本経済の自立を図るということが、なかなか困難になつて来やしないか、こういうことが第一点であります。  それから第二点の問題としては、今後貿易を盛にしなければならない、特に輸出振興については、極力これは努力すべきであるというお話御尤であります。そのためにはコストを引下げなければならん、日本の国内物価は、国際的に見るというと、どうしても二割前後価格が高い、国際水準にまでコストを引下げる必要がある、これも御尤のお話なんですが、コスト高ということはどこから来るかというような点を第二点としてお伺いしたい。  それから当面の輸出産業と関連して、資源開発の問題でありますが、これは只今お話を伺いますと輸出産業のほうに重点を置き、できるだけ資源開発はやつて行くのであるが、併しながら現在の情勢下においては、ともかく十一億ドル前後までの輸出を何とか実現しようとするところに重点を置くのであつて、従つて資源開発としては、水力電気等を当然開発しなければならんし、それらと見合つて今後の石炭等についても考えなければならんというお話ですが、どうも第二次的なような印象を受けたのでありますが、それらの点について岡野さんの御所信を伺いたいと思います。

岡野清豪自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。  第一点の特需をどう考えるかという御質問でございます。私は実はこれは私の考えでございまするから、或いは一般的にどうかと思いますけれども、実は朝鮮事変というものは人類としても非常に不幸なことでございます。それから日本といたしましても実は不幸な結果を来たしたのじやないかこう思つております。と申しますことは、若しあの朝鮮特需がございませんでしたら、日本はもつと早く自立経済に建直つたのじやないかと思います。併しあの特需、即ち朝鮮事変があつて、この隣国、殊に東洋において血を流すようなことがあつて、人類の不幸がある上に日本の経済の建直しができなかつたのがあの朝鮮事変だと、こう思つております。そういうような考えでありますから、将来朝鮮復興、無論復興はこれは今度は逆にいいことでございますから助けなければならんと思います。又助けるべき立場におる我々でございますけれども、併しこういうような臨時的な収入、若しくはよその災害というものによつて自分の経済が立つて行く基礎になるということは、これは我々としては取らん点でございます。でございますから、経済審議庁の長官といたしまして、先般来ずつと研究をさしておりますことは、この特需というものを絶対に考慮に入れてはいけない、特需を抜きにして、そうして日本の経済が立行くように計画をしようじやないかということで、只今までもMSAの問題があれだけ問題になつておりますけれども、私はこれは若しあつて日本に経済上の利益を与えるならばこれは景物である、バイプロダクトで、余計なものであるという考えで日本の経済を建直して行かなければならんという方針で私はやつております。これが私の特需に対する態度でございます。  それから輸出振興のコスト引下げ、これは御承知の通りに朝鮮事変以来イギリス、アメリカ辺りの物価の騰貴から考えますると、イギリスがまあ二〇%ぐらい上つたとか聞いておりますし、アメリカも一〇%ぐらい上つたと言いますけれども、日本では五〇%物価が上つております。この結果というものが、私が先ほど申上げました、余りにも特需というものにあぐらをかいて、安易な気持で日本の人が経済の経営に当つておつたという不幸から出て来た結果である。それで我々といたしましては、その安易になれて今日の物価高になつておる日本の経済を如何にしてコストを引下げて行くかということに非常な苦心をいたしおる次第でございます。これにつきましては私はこう申します。労働委員会で申上げると甚だ当り障りがあるかと思いますけれども、あらゆる犠牲を払つてこのコストを引下げて、いわゆる特需を当てにしないで、自立的に日本の品物が外国と正々堂々と五分々々で戦いができるという程度まで切下げて行かなければならんと考えております。その具体的なことにつきましては、先ほど申上げましたように案を立てまして、あらゆる角度からこのコストの引下げに努力をしておる次第でございます。  石炭なんかにおきましても、これは今日の問題になつておりますから、これだけ利益がありますと、まあ竪坑の開発ということがございますけれども、これは五年先のことでございまして、只今直ぐ結果が現われるというわけに参りませんから、来年度の予算あたりには機械のいい能率のいいものを輸入しまして、そうしてこれを政府が炭鉱に貸してやつて、そうしてコストの引下げでもやつたらどうかというようなことも考えております。そんなことで輸出の振興のためには、やはりコスト引下げが一番大事なことと思いましていろいろなことを研究さしております。  それから第三番目の、資源の開発の点の御質問の御趣旨をちよつと聞き漏らしましたので……。

堀眞琴無所属クラブ

○堀眞琴君 それじや結構です。第一の問題、特需を当てにしないで日本の経済の自立を考えて行きたいというお考え、非常に私どもも賛成なのであります。ところが実際の財界、業界を見ますと、特需に期待する面が非常に多いのです。丁度あの朝鮮の休戦が成立するというような声が起つて聞もなく、アメリカのほうでも、特需については一年とかあと二年とかこれをなお続けるのだというような声明をやつたり、乃至は関西の業界の何とか協力会というところから大統領宛に質問を出しまして、これに対する回答でもそういうような意味のことが述べられておる。まあ朝鮮の直接特需は減るかも知れんが、併し例えば復興特需であるとか、或いはMSAの枠外買付とかいうようなことで以つて、今後とも日本経済に相当のプラスになるというようなことが期待されており、又政府の面でもそういうことを期待させるような方向をとつておるのではないかと思う。そうしますと非常に業界の考え方というものは、通産大臣の考え方から行くと間違つておるように思うのですが、通産大臣がお考えのようなお考えを業界にも徹底させることが必要です。日本経済の自立のためにどうしても特需を当にしないところの自主的な、自立的な経済というものを再建する、それには外国貿易並びに資源開発ということが必要になるということに持つて行くべきだと思う。通産行政の重点はそこに置かれなきやならんと思いますが、その点についてもう一度通産大臣のお考え方を伺いたい。  それからコストの引下げの問題ですが、コスト高というものはどこに原因しているか、これが私は非常に重要な問題だと思う。ともすればいろいろと労務費がコスト高の原因になつている。勿論労務費もコスト高の一部になつておりましようけれども、それが非常に強調されておる。その結果、結局は人員整理ということに一切の企業整備というものがかかつて来る、こういう傾向があると思うのです。併し日本の場合のコスト高というものは何と言いますか、価格のカルテル化と言いますか、或いは独占価格といつたようなものが相当大きな要素を占めているのじやないか、このように思われる。そういう点に関して通産大臣としてはどのように考えられるか。つまりコスト高の原因はどこにあるか。この先ず二つの問題をお尋ねしたいと思います。重ねてお尋ねします。

岡野清豪自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。第一点の、財界がMSAの問題なんかにつきまして、今後もああいう特需というようなものを期待しておる。これは一部の財界では相当張り切つてこれを待つておるようでございます。ただ私どもといたしまして考えますことは、この鉱工業生産、即ち日本の産業活動の全般から見ますというと、これは世間で言われているほど日本の産業全体に占めるパーセンテイジは少いのじやないかと思います。この前私は、数字は忘れましたけれども、大体朝鮮事変がありまして、向うに兵器とか軍需品というものを売りまして、そうしてまあ特需が入つたということが、それがどのくらいな日本の産業活動のパーセンテイジを占めているかと申しますと、鉱工業生産の約五%にしか当つていな、いというようなことを経審で調べてくれたことがあります。この点私ははつきりいたしませんからいずれ間違つておりましたら訂正さして頂きますけれども、これはこの前の国会に御答弁申上げた時に聞いたことでありまして、うろ憶えでございます。少くとも五%であるということだけは確かでございますが、そういう意味でございまして、大きな面から見ますと、この特需というものは実は日本の生産活動から行けば大したことはない。併しながら景気の上から言いますと、これがやはり心理的に、又活動的に日本の財界を刺激し、又日本の消費というものに対して相当な加速度的な影響を与えていることは事実でございます。そこで先般もお通しを願つた武器等製造の法律でございますが、あれでもやはり今仰せのごとく財界が非常に張り切つておりまして、MSAでも決まつたら、うんと軍需生産でもできるのだろうということで会社を濫立しまして、而もその濫立したほどの需要はないということで、設備の不当な増加とか、或いは資金を二重に使つたりなんかするということがあつてはならんと思いまして、実はあの武器等製造法を作りまして、我々が見通しをつけまして、このくらいな設備若しくはこのくらいの会社を認可しておいたならば、余り無駄がなくて行くのではないか、こういうわけで作つたわけでございます。  それからコスト高につきましては、これはいろいろ堀さんあたりは、どうも私むしろあなたにお伺いしたいほどのことでございますが、私どもの考えといたしましては、これはやはりいわゆる外貨が不当に入つて来まして輸入がまあ日本の力以上にできるというようになつて、そして或る程度品物が外国にも売れるし、同時に日本の内地で消費というものが旺盛になつたということ、即ち内外における消費が非常に旺盛になつたということが今日のコスト高になつたと私はこう判断しております。そこで外国へ輸出ができないというような現状になりましても、只今国内における消費というものが相当な力を以て消費水準が高くなり、又消費意欲があるのですから、外国で売れなくても日本の内地でうんと高く売れるじやないか。そこで生産業者がこれを作つて又高く売れて行く。又高く売れて行くという点については、いろいろその購買力について分析しなければなりませんけれども、只今の情勢はなぜコストが高いかとこう申しますれば、先ほど申上げましたように、不当な臨時的外貨の収入があつたために輸入がたくさんでき、品物が殖えると同時に内外共に消費が旺盛である。ところがそのために上つて来たのでありまするが、上つたら今度は外国に対する物は売れなくなつた。外国に物が売れなくなつたというのは、輸出貿易が十四億ドルから十一億ドルに減つたということでおわかりでありましようけれども、併し内地においてはその外国へ売れて行つたときと同じ、若しくはそれ以上の消費購買力が非常に強くて、まだ物を下げなくても内地で堂々と高いものが売れる、こういうような結果になつておりますので、この消費を若し抑制するとか、或いは何とか貯蓄のほうにその購買力を向けて行くという手段を取らない以上はコストは下らないのではないか、こう考えましていろいろそういう方面で私ども研究いたしております。これも研究々々で時日を延ばしましたら、これはやはりインフレーシヨンになる虞れがありますので、私はこれも急いで結論を出し、打つべき手は相当の手を打つて、そしてやつて行きたい。こう考えておる次第であります。

堀眞琴無所属クラブ

○堀眞琴君 通産大臣としては、かなり私は思い切つた御所信をお述べになつたと思うのです。私も拝聴いたしまして、大体は賛成なんです。ただ特需の関係もそうですし、コストの問題もそうなんですが、例えば特需の場合、日本の鉱工業生産の上に占める割合は非常に少い、私もその通りだと思う。五%より少し多いと思いますけれども、そんなに多くはないと思います。但しそれが日本の景気に及ぼす影響というものは、これは非常に大きい。これもおつしやる通りだと思います。国際収支の面などではかなり大きな部面を占めている。これは私から申上げるまでもないのでありますが、ところがその自立経済のいわば一番目安になるものは何かといえば、これは国際収支のバランスということにあると思う。そういう点から申しますと、どうしてもこれは特需というものを抜きにして、現在の日本の経済、現在の経済政策を遂行して行く限り、これを抜きにして考えることができない、こういう状況になつている。結局私どもの立場からいえば、これに対して相当強力な経済政策の転換ということが必要になつて来る。こういうことにまあ私どもは考えているわけなんですが、それはまあ別個の問題といたしましても、併し現在のような情勢で経済政策を推し進める結果は、やはり特需に或る程度期待せざるを得ないということになる。ところが通産大臣はこれを当てにしてはならんということになりますと、その間の調整というものはかなり私は問題になつて来るのではないかと思う。若し岡野さんが非常に正直な政治家であつて、お考えをそのまま通産行政の上に反映させるように御努力なさるということになさるならば、私は相当思い切つた経済政策の転換がここで行われるだろうと思います。そういうことについての果して岡野さんに十分の御自信があるかどうかというようなこともお尋ねいたしたい。  それからコストの引下げの問題、これも今のお話の通り内外の消費は非常に増大した、或いはドル貨が思わずも入つて来た、いろいろの原因があると思いますが、それも推し進めて分析すると、結局価格のカルテル化の問題があるのではないか。勿論労務費等の問題も考慮しなければなりませんけれども、それよりもその方面の考慮というものがより以上に日本の自立経済のために必要ではないかというようなことが考えられるのですが、この点について通産大臣として今後それらの点についてどのように勘案されてやつて行かれようとされるのか、もう一度お尋ねいたしたいと思います。

岡野清豪自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。  第一の特需の問題でございますが、先ほども申上げましたように、自立経済を立てて行きたいと私が申しますのには、特需というものを当てにしてやつてはいかん、こう私はきつぱりときつく申上げますけれども、併し事実は只今のところそれが直ぐ実現は不可能のようでございます。と申しますることは、今あの七、八億ドルの特需があるために、綿花とか、羊毛とか、食糧とかいうようなものが少くとも入つて来ておるわけでございます。これを今勘定に入れずに、すぽつと切つてしまつたら、これは食べることも着ることもできないという情勢であります。これは理想といたしましては、その方向に進まなければならんためにそういう計画を立てますけれども、併し現実といたしましてはやはり特需が二、三年続いてくれなければこれは食おうにも食えない。これが現実なんでございます。そこで私の申しますこと、同時に決心といたしましては、特需が二、三年はつくというか、二、三年続くならば、これを一年か一年半ぐらいで切上げて、そして自立経済に持つて行くようないきのいい政策を立てまして、そして実行面につきましては恐らく二、三年ではないかと考えている次第であります。でありますから先ほど申上げました理想は理想、併し今現実の問題といたしましてはこれをすぽつと切つてしまつて、食糧も輸入できなければ綿花も輸入できないという状態に追い込められたくはないと思います。  それから第二段のカルテルになつておるからコストが引下げにならないのではないかという仰せでございますがが、実はこれは私、あそこではこれはカルテルじやないか、あれもカルテルじやないかということでよく人から質問を受けるのでございますが、併し只今の公正取引委員会というものが通産省とは独立の別個のものになつておりまして、そしてあれだけの、相当なスタツフがおつて眼を光らせてくれておる以上は、その方面ともよく連絡して見ておりますので、いつか化繊がどうであるとか、去年の綿糸の操短がどうであるかというような議論もありましたのですけれども、大体においてカルテルがあるために日本の物価が高くなつて、そして下らんのじやないかということは、私はそうは認めませんで、或いはカルテルに類似したことか、或いは又疑いがあることがあるのではないかというようなことも感じまして、公正取引委員会によくお調べ願い、又公正取引委員会も自主的にお調べになつているようでございますが、全般としましては私はカルテル化によつて物価が高くて、それが引下げられていないということには私は考えておりませんということを申上げます。

栗山良夫日本社会党(第四控室・左)

○委員長(栗山良夫君) ちよつと、大臣退席を求められております。大体約束の時間が過ぎておりますから、この辺で質問を打切りたいと思います。  ただ私が最後にもう一言だけ伺いたいのは、先ほど動力源として電力、石炭その他を総合的に考えたいというお話でございましたが、私はエネルギー源としては電力、石炭その他から全部同じ系列に入ると考えます。併しその中でやはり燃料源としては石炭を中心にして考えなければならんと思うわけです。特に最近の傾向を見ますと、電力計画から言いましても火力発電所の創設機運はちつとも止んでおりません。恐らく私は火力用の石炭が殖えておると考えます。そういう観点から考えた場合に、今非常に困つておることは、石炭ならば石炭の経営者が、政府の行政政策というものが固定をしないために、その経営について若干その長期の見通しというものは全然立てられない。非常に不安定な中に経営をしなければならんというところにこういう問題が起きておると思う。そこで最近の事情にありますように、輸入炭にしましても重油の輸入にしても、率直に申せば半ば無計画的な輸入が行われておると極言してもいいような状態、こういうようなことが安定を非常に阻害していると思う。だから先ほど大臣が言われた今経審と連合して新らしい計画的な政策の作業を行つておる、こう言われたのでありますが、九月末頃を期して成るべくまとめたいというお話がありましたが、それには今私が申上げましたような、或る計画性を織り込んで、そして経営者が安定した見通しを持つて政府の政策に信頼をしてやつて行かなければならない、そういうような状態のものか、或いはただペーパー・プランのように、紙に書いた経済白書のような恰好で発表される程度のものか、その辺の構想をちよつと伺つておきたい。

岡野清豪自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○国務大臣(岡野清豪君) お説の通り、エネルギー源と、それから石炭、重油なんかとちよつと区別をしなければならないかも知れません。経済安定本部時代に実は石炭の増産の計画ができておるわけでございます。、それによりますというと、三十三年に五千六百万トンぐらい、三十四年に五千二百三十万トンぐらい出すということになつております。併しその後の朝鮮特需も一つの何でございますし、又世界の貿易情勢の変化もそうでございますが、少くともこの計画では私は足りないじやないか、不正確なんじやないか、こう考えまして、安定本部そのものの計画にメスを入れまして、そして仰せのように業者が安心して、とにかく自分の事業に没頭して行ける、こういうふうにしなければならんと思います。又これはどさくさ、ごたごたやつております時に作つた案でございますから、たくさんできればいい、特に朝鮮動乱で需要が非常に殖えた時に考えた案でございますから、この点は私考えます。そういう特需とか特別の臨時的収入とかいうものがないときにおきまして日本の経済を立つて行くのにはどのくらいにしたらいいかということは、おのずから別の観点から検討すべきだと思います。そういうことを只今実は折角検討中でございます。

栗山良夫日本社会党(第四控室・左)

○委員長(栗山良夫君) 続きまして労働情勢の一般調査としまして、実は前国会に当委員会が調査の結果として、労働省当局に善処を要望しておりました事件が四つございます。そのうちで、特需関係の労務者に関する問題は、昨日までで一応終りましたので、その残りの問題三点についてどのように処置せられ、又現在進行しているかということについて御説明を願いたいと思います。  第一点は、郵政職員の給与に関する問題、第二点は日雇い労務者の待遇改善、保険管理その他の問題であります。それから第三点が今年の夏ありました水害対策に関連する労働問題の処理であります。安井政務次官。

安井謙自由党労働政務次官

○説明員(安井謙君) お答え申上げます。第一点の郵政職員の給与問題につきましては、各方面のいろいろ御心配を頂いておりましたが、両者の団体交渉が妥結いたしまして、これは今日問題を残しておらないように伺つております。  第二点の日雇労務者の賃金ベースの問題につきましては、これは今日お手許に書類を差上げたかと思つておりますが、予算措置ができませんために、これを正式に幾ら幾らにするという正式の交渉ができないことは大変残念でございますので、実際上の措置といたしましては、これを約一割方平均賃金を上げるという措置をとりまして、九月十六日以降実施いたすように取り運ぶことに相成つておる次第でございます。  それから第三点に、水害対策の状況につきましても、これはお手許に資料を差上げておると存じますが、第一の失業対策事業につきましては、水害に伴う離職者に対し七月以降においてその状況に応じ、次のごとく失業対策事業の割当人員を増加したが、その後災害復旧事業の進展に伴い、漸次この面に吸収され、割当数は減少する見込みであるということに相成つておるのでありまして、増加人員は別表の通りでございます。それから更に失業保険の関係につきまして、水害を受けた失業保険の適用事業主に対して、保険料の納期限延長の措置をとつた。更に七月三十一日現在納期延長の措置を受けた事業主数及び納期限延長の期間についてお手許に別表の通り差出しておる次第であります。  なお、失業保険の受給資格者が水害を受けたため、公共職業安定所に出頭できなかつた期間の失業保険金の支給は官公署の証明を提出せしめて支給するよう措置をいたした次第であります。

栗山良夫日本社会党(第四控室・左)

○委員長(栗山良夫君) その中で一つ抜けておりますのは、日雇労務者の給与改善等の委員会の決議の冒頭にありました事件ですが、今日行われておる失業対策は臨時失業対策で行われておる。あの法が作られたときは、今日の状態とは大分事情が変つておるので、法そのものの検討をせられたいということが主になつておつたと思うのですが、これについてどういう工合になつておるかを一つお述べを願いたいと思います。  それから更に、当労働委員会は九月下旬から十月上旬にかけて、もう一度開会いたしたいと思つておりますが、その時はまだ皆さんにお諮りしておりませんけれども、委員長の気持としては、失業問題に集中して調査をしたいと大体思つておるわけです。ですから、労働省として広汎な国内の失業問題の実態の分析調査、それに対する対策等について、是非共一つまとまつたものを研究しておいて頂きたいということを申上げるわけです。

安井謙自由党労働政務次官

○説明員(安井謙君) 承知いたしました。それから今の日雇労務者に対する政策の恒常化についての根本対策はどうかというお話でございました。これは前回の委員会でもいろいろ議論の出たことは、よく拝承しておりまして、当局でも鋭意研究中でございますが、更に詳しい経過につきまして所管局長から……。

江下孝労働省職業安定局長

○説明員(江下孝君) 冒頭にございました緊急失業対策法の改正の問題でございますが、これは私どもといたしましても、現在の失業の実情から見まして、若干問題点もあるように思います。併しまあ多くの点はあの法律の運用によつて大体カバーできる面がある。併しなおこれは実際の日雇労働者の就労の実情を今細かく調べておりますので、その実情の調査と相待ちまして、今後検討を重ねて参りたい、かように考えております。  就労日数の増加につきましては、本予算が成立いたしまして、二十日のところが二十一日ということになつております。夏季対策につきましても、御承知の通り当初二日の予定であつたのを三日ということにいたしました。それから賃上げにつきましては、先ほど政務次官からお話した通りでございます。

栗山良夫日本社会党(第四控室・左)

○委員長(栗山良夫君) 御質問もないようですからこの辺で打切つてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

栗山良夫日本社会党(第四控室・左)

○委員長(栗山良夫君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕

栗山良夫日本社会党(第四控室・左)

○委員長(栗山良夫君) 次回の委員会につきましては、御懇談を願いました趣旨に則りまして、委員長に御一任を願いたいと存じます。  本日はこれにて閉会いたします。    午後零時十三分散会

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