予算委員会 第21号
- 発言数
- 233 件
- 登壇者
- 24 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1953/07/23
会議録
○委員長(青木一男君) これより委員会を開きます。総理に対する質疑を継続いたします。
○松原一彦君 首相に若干懇談的に私は今日お聞き申上げてみたいと思います。毎日のこのうつとうしい空模様のように、日本の自衛問題についてもどうもうつとうしゆうて、はればれとしたものにならないのでありますが、これは自衛というものの本質から言うてもよろしくないと思う。こういう問題は民主的にも全国民が納得するような線がはつきり出たほうが自衛になるのであるから、どうぞ一つ首相、私の疑問を解いて頂きたいと思う。総理がかねて平和憲法の創設者としてこれを守りぬくことに強い信念をお持ちになり、同時に戦争放棄の下における再軍備をしないという御主張については、よくわかつておる。私はそれは正しい御信念であると思つて、今日まで共鳴して参つておるのでありますけれどもが、その後の客観的な情勢が非常に違つて来ておる。世界は動き、国内も違つて参つておる。そうして、この変化に応じてとるべき態度、即ち総理が昨日もお話のように、政治は生物である以上、ここに変化がなくてはならんと思うのであります。そういう意味におきまして、総理がかねて御主張になつておる点はわかつておりますが、現実の情勢に応じ、すでに刻々に動いており、昨日からか、一昨日からは、MSAに対する協定もすでに下相談が始まろうとしておるときでありますから、この際一つ日本の自衛策についての首相の本当のお気持をばお聞かせ頂いて、全国民納得の下にこれをば前進せしむべきものであると私は思いますから、この点につきまして卒直にお話を願いたい。
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたしますが、懇談的にお答えをいたします。私の主張は従来も今日も一貫して少しも変つておらないのであります。私の信念から申せば、独立国としては、みずからその独立を守り、安全を守るべきである。併しながら今日国力がこれを許さないから、安全保障条約によつて、この国力の回復するまでは米国の援助によつて、そして安全独立を守り、又アメリカもその世界政策といいますか、共産主義に対する自由を守り平和を守る義務に対して、いわゆる相互援助という政策をきめたのでありましよう。安全保障条約もその政策の現れであるのであります。然らば、いつまでも米国の駐留を頼み、又これにより独立を維持することは、アメリカ自身も希望せざるところであり、成るべく早く日本から米国兵が引揚げ得るように措置して行くべきである。即ちこれが防衛力の漸増という形になつて言い現わされているのでありますが、現状によつて自衛力を漸増して行く、国力を漸増し、これに応じて防衛力も漸増して行く、漸増した結果、国みずから海陸軍を持つとか、防衛をする体制が整え得るならば結構でありますが、無理をいたして、そうして国力のないにもかかわらず防衛力のみに力を注ぐということになれば、共産主義を防がんと欲して国が共産主義国になる。国力の伴わないのに厖大な国力に相応せざる防衛力を持つ結果、増税をするとか、或いは又戦争以来の日本に対する反感が、悪感がとれないにもかかわらず、みずから防衛……海陸軍を持つということになれば、外国の感じを、日本は再び侵略を始めるのではないかというような、過去の記憶から、日本の政策に対して非常に不信を生ずるということもあるでありましよう。又国内においては親を失い、夫を失つたその遺家族に対する手当も十分せずに、死につぱなし、殺しつぱなし、突きつぱなしというような事態において、再び防衛、再軍備をいたすということになれば、国民としては過去の記憶を振返つてみて、今度は自分の子供たちに対して、自分らの犠牲に対して何らの顧慮がない、それから保護もしないということになれば、国家のために死ねと言つたところが死にたくないというようなことにもなるでありましよう。国民感情から申しましても、国外の感情から申しましても、俄かには再軍備をいたすべきでないと考えるのであります。この線を私は守つて、いわんや憲法において再軍備を否認しているのであります。再軍備をするには憲法も改めて堂々と再軍備に進むのがいいのでありますが、それをせずに、よくひそかに再軍備をしているのだとか、国民の知らん間に再軍備ができつつあると言つておりますが、これは予算において明瞭な通り、予算のない再軍備はできるはずはないのであります。ことごとく国会の協賛を得て国民の了解の下において再軍備をするとするならば、国民も了解し、列国も了解し、そうして国民が進んで再軍備をすべきものであるという輿論もその再軍備の理由を了解するに至つたならばできますが、そうせざる以前においては再軍備などは考うべきものでない。私の議論は終始一貫しております。これに対していろいろ議論あるならば、これはいたし方ないことでありますが、政府として、少くとも私としては終始一貫しているつもりでおります。
○松原一彦君 たいへん懇切な御答弁を頂きましたが、これを要約すれば、首相は、憲法は改正せぬ、再軍備はせぬという今日までの御主張に変りはない、但し国力が増せばそれに応じて再軍備の線にまで進んでもよい、又国民の納得を得て憲法は改正するときもあると’かように承知してよろしゆうございますか。
○国務大臣(吉田茂君) その通りであります。
○松原一彦君 ところが、それがすでに参つておるように思うのであります。実は岡崎外相が七月二十一日の午前に衆議院の外務委員会で以て須磨委員の質問に対しまして、MSAの問題からこういうふうに答弁しておらるる。これは速記録そのままでありますが、「憲法は改正せぬということ、MSAは特別の事情のない限りは受けるのだ、受けたいのだというこういう点では、上と下の枠は改進党と一致していると思います。その中において、自衛軍と言いますか、今は保安隊といつておりますが、名称はいろいろ言えましようが、それが実質的に同じようなものになるのだと、こういうことを只今須磨君がお考えになつても、我々としては止むを得ないと、かように考えております。」と、これを肯定せられておるのであります。この中に一つの誤りがありまして須磨氏は、改進党は、現行憲法の下においても、改正せぬままに再軍備が行えるということをいつておると言われますけれども、これは改進党の中の一部の意見であつて、必ずしもそうではないのでございます。従つて改進党は、かねて主張しておりますのは、全国民の納得の下に、必要が生じた場合においては、憲法は改正する。従つて正道を行くものは、この改正が行われて後でなければ、再軍備は、してはいけないというのが、今日までの主張であつて、従つて再軍備にならない程度において、保安隊の縮小までも改進党は唱えておるのでありますが、一応ここに岡崎さんが肯定せられましたように、昨日この席で木村長官も、二十万までは先ず志願兵で済まされる、それより以上には徴募でなければ応じられまい、かような答えもしておられまするし、なお最近御承知の通りに、政府部内から出ますることは、直接の侵略に対する保安隊の防禦体制、これは大体今日まで肯定せられていると思う。そういたしますというと、改進党の主張と自由党の御主張は全く同じものじやないかと思うのでありまするが、この点如何でございましようか。
○国務大臣(吉田茂君) 私は、改進党の主張については、どの程度にやるか、或いはどういうところに目的といいますか、真意があるのか、私よく存じません。又話合つたこともありませんが、外務大臣は、私が先ほど申した趣意については、閣僚ことごとく了解しているので、その線で答弁いたしておると思います。それで、どこの委員会ですか。
○松原一彦君 衆議院の外務委員会でございます。
○国務大臣(吉田茂君) その経過はまだ承知いたしませんが、私は成るべく各党が了解をして、保安隊についても十分な了解を得て行きたいものだと考えておりますが、根本の趣意は先ほども申した通りであります。それで政治は生き物と申したのでありますが、今日最も国民の要望していることは、政界の安定であり、財界の安定でありますから、改進党の意見であるから、その他の意見であるからと言つて、単に自説を固執するばかりとは考えておりません。成べく協調して参りたい、これが民主主義の本体であると思います。
○松原一彦君 これで首相の御真意もよくわかります。岡崎外務大臣の言われたことは、閣議決定したる政府の方針でおありになる、又MSAの性質から申せば、これは当然軍備の援助でありますから、これを受ける以上は、受けようという御決心をなさつている以上は、その線と、それから憲法を一部においては改正しないでの自衛軍も置かれるという意見も、又吉田首相の、将来は憲法を改正するときがある、そうして軍備を認めるという、この御意見とも、ほぼ一致いたしますので、私はこれ以上はお尋ね申さないのでありますが、一体このMSAはどうしても絶対受けねばならない性質のものでありましようか。これを受けなければ、独立国としての日本が自衛ができないのでありましようか。この見解を伺いたいのであります。
○国務大臣(吉田茂君) MSAの援助についての米国側の考え方については、今日向うの考えを聞いておる程度で、政府としては研究するという程度であります。而してMSAの援助を受けなければ、日本の独立といいますか、防衛ができないという性質のものではないと思います。なんとなれば、安全保障条約で一応の態勢ができておると思うのでありますから、その上にMSAを受けてどうなるかということは、これは米国政府が言つておる通り、日本の判断に委せるのであつて、無理にと言つておることではないと思います。又ライフ誌その他においても、日本の憲法その他についてもよく了解し、日本の国力についても了解し、今日アメリカとしては日本を自立せしめて、完全に自立独立をさせて、経済その他において、立派な自衛力といいますか、自立力といいますか、とに角日本を盛り立てて行きたい、経済的に盛り立てて行きたい、よつて以て太平洋防備の一環にしたいというこの意思は明瞭であります。明瞭でありますから、従つて日本に対して無理をしい、若しくは憲法の許さないことまでもしろとかというようなことは、これは私の感じでありますが、今までの米国政府との話合いにおいて、こうしろ、ああしろ、是非ともこうしろというような無理なことは申しておりません。でありまするから、受けなければならないことはないのでありますが、受けたほうが国家のために利益である。日本のために利益であるというならば、受けるべきでありますので、如何に利益であるか損であるかは、もう少しアメリカの意思を確かめてみませんと、アメリカの法律を読んだだけでは本当の意思はわからないと思います。又軽々に断ずべきではないと考えております。
○松原一彦君 MSAの性格から言うて、これを受ける以上は、直接の侵略に対してアメリカの今日までの負担の部分の肩代りを日本がするという意思の表示であり、又おのずから保安隊の性格も違うということは、木村長官もすでに言明せられ、もう今日、日本国民の新聞を読むものは周知いたしておるのであります。従いまして、今、首相のお話では、この点に触れておられませんが、MSAの援助を受ければ日本の利益になる。ただ条件をもつとはつきりさせなければならんから協議をしておるという御意思であろうと思いますが、日本の利益になるMSAを受入れてやつた以上は、これは当然直接侵略に対する防衛の義務が日本に漸次移るものと心得てよろしうございますか
○国務大臣(吉田茂君) これは先ほども申した通り米国民としては、成るべく早く日本から兵隊を引揚げたい、兵隊を引揚げた場合には、日本としては又別に考えなければならんと思うのでありますが、それがMSAの援助の結果として引揚げる。従つて日本が侵略に対して、これに直接の防衛に当ることを希望するというような協定ができたときに、考うべきことである。今日は安全保障条約の下に日本の防衛計画を立てているのですが、MSAの交渉の結果は、これはどうなるかということは、これは交渉の結果を待つて、又御相談をいたすことになると思います。
○松原一彦君 MSAの交渉はまだきまつておらんからして、今表示するわけには行かないというお話のように承わりましたが、すでに両方から草案を持寄つて今協議をしておられる、交渉の最中であるからして、首相の日本としてとるべき態度については、すでに御決定になつておるものと私は思う。但しそれは協定のことでありますから、いずれ折衝するので、先方の言う通りにもおなりになるまいと思いますが、私は、日本国民をして、ここに一つ自衛の問題に対してはつきりと、うつとうしくないような態度を固めさしてもらいたいと思う。と申すのは、自衛とは、みずから衛るのでありますから、自衛の意思が第一の根本である日本国民をして自衛の意思を持たしむるということである。第二は、その意思に情熱をつけて、自衛の情熱を持つてこれを実現せられるということである。第三は、自力で戦うということでなくてはならんと思う。そうでなくして、他国からの援助によつてみずからを衛るというごときは、私は他衛であつて自衛では断じてないと思う。そういうことで自分の国が衛れるものじやない。現に米国から中国は、国民党政府は夥しい砲弾、武器或いは援助等を受けたけれどもが、遂に今日の現状であります。朝鮮は三年以上に亘つて他衛的に非常な力を受けましたけれどもが、その結果は御覧の通り、朝鮮の悲劇となつておる。私は、痩せても枯れても、独立国の自衛というものは、例えば動物は保護色を以て自分を衛る。或いは擬態によつて己の安全を衛る。琉球は曾て武器を許されなかつたからして、唐手戦術というものをば、唐手術というものを編み出しておる。敗戦後の日本が、一旦戦争を放棄したと言うてかかりましたが、これは必ずしも、情勢の変化に応じて、死んでもよろしいというものではなかつたはずでありますから、自衛によつて立たねばならない。方法は一応この憲法の下で考えなくてはならないものであると私は思う。この点において、首相は今日まで真剣に考えておいでになつたことを私は確信するものであります。併し今アメリカが、日本にMSAを受けさせようと努めておることは、日本を衛る、その分担を日本のほうに委せようというのであつて、それを受け入れれば日本は再軍備になるのは当然であります。してみるというと、米国は一つの矛盾を日本に持つて来ておる。曾ては絶対平和憲法によつて、類例なき、近世史上に類のなき憲法の創定に努め、一方においてはまだ十年経たない今日に、MSAの援助によつて日本を再軍備の国に転換させようといたしておる。このことにつきましては、米国でも良心的な議員は、平和憲法を制定さした手前からも、この身勝手な、知的不正直を恥じ、且つ悩んでおるということを聞いておるのであります。首相はこの点についてどういう御感想をお持ちでありましようか。
○国務大臣(吉田茂君) お答えをします。先ず第一に申さなければならないことは、先ほど申した通り、今日のMSAに関する話は、米国側の意見、法律の解釈等を聞いて日本が研究するという立場にあると思うのであります。即ち、或る案を持つて、互いに持ち寄つて、そして交渉をするという立場ではないのであります。従つて日本政府の案なるものを提示はいたしておりません。又閣議においても外務大臣から話が持出されておりません。故に今互いに案を持出してということはお考え直しを願いたいと思います。それから、第二に平和憲法でありますが、これは憲法制定のときと今日とは時代が違つております。平和憲法を米国側が提案したと言いますか、指示した当時においては、日本は好戦国であり、日本は世界の平和を破つた国である、破る国であるという考えが一つと、それから又、戦後間もないときであつて、そして平和を悉く希望いたしており、ソヴイエト政府といえども平和を希望しておる。戦後の国際情勢と言いますか、国際政治は平和で行きたい、ソヴエトさえもそう考えておつたのであります。その後状況が変化して共産主義国との間の対立が生じ、共産主義国の政策もよほど変つて来たように思います。即ち、朝鮮の戦争となり、或いはその他の東ヨーロツパ等のソヴイエトの政策となりして、そしてソヴイエトの政策も違つておる。そして共産主義との間の対立はだんだん激化しつつあつたのであります。そういうような平和時代にできたのは平和憲法、併しそれが悪いとは思いません。得べくんばそれで行きたいと思いますが、その後、情勢が許さなければ、憲法といえども改正しなければなりませんが、併し憲法の改正は容易にいたすべきものではない。他の法律と違つて、一旦、国憲を定めた以上は、成るべくこれを変えないことに考えることが、政府とし又政治家としての義務でありますから、軽々しく平和憲法を改正するのはよろしくないことである。又今日戦争が済んで何年かになりますが、戦後の日本に対する感情というものは必ずしもよくはないのであります。一部には、戦争の禍い、戦禍を受けた国から言つて見れば、日本国民の、或いは日本の軍人は恐ろしいものである。随分ひどいことをしておる事実もあるのであります。故に、そういう感情が払拭されない間に憲法を改正して再軍備だなどと申せば、ようやく日本に対する反感が、薄らいで来て、そうして戦犯その他もだんだん還すというような時代になつておるときに、かろがろしく再軍備などということを申せば、いろいろな面に影響すると思います。現に東南アジア開発ということを言えば、これは日本のためばかしではないつもりでありますけれども、日本は軍隊を持つたときには武力侵略をやり、今日は再び経済侵略をやるのだろうというような、あらぬ噂も立てられておるというような状態で、再軍備にいたしましても、憲法改正にしても、かろがろしく言うべきときではないと思います。又お話の通り国民がこれを要求してこそ、初めて或いは再軍備の意味合がわかり、独立安全はみずからの手によつて守るべきものであるという国民が確信を持ち、その輿論が打ち立たない間に政府が再軍備或いは政党が再軍備を唱えるということは、やはり国を誤まるものと思いますから、これも慎重に考えなければならないと思います。故に、憲法といえども万世不易のものではなくして、国際情勢、内外の政治情勢によつて、ときに変更することは止むを得ませんが、併し変更する場合にはよほど注意して、慎重に考うべきものであると、私は思うのであります。
○松原一彦君 首相諄々として苦心をお語りなさることについては、私は了解いたします。併しながらその平和憲法では今日どうしても行かれないときになつて来ておる。社会的情勢は変つておる。政治は生き物であるというその動きから申しましても、今日、日本は刻々に再軍備に向つて進んでおる現実がある。首相は非常に御用心なさつていらつしやるけれどもが、それは言葉の上の御用心であつて、現実は、現に先方の要求は十個師団三十五万人ということであり、現にフリゲート艦その他の船は参つておる。そして冨士の裾野の対抗演習では、二十五トン戦車が幾つか動いておる。刻々に日本はそこまで近付いて参つておる。これがMSAの援助を受ける結果によつて、更に強化することは、すでに閣僚が皆承知しでおられる。閣僚の表現は、閣議を経たる首相の御意見であるといいますから、私は、首相が、苦しい、その良心的な、一応の憲法制定者としての悩まれる点においては了解をしますけれどもが、これは、どうも、もはやそれでは割り切れなくなつたのじやないか。現実にすでに動いておるときに、いつまでも、いつまでも、我々の仲間にもありますが、日本が軍備さえしなければ世界が平和になるように考えるような、そういう単純なものではあり得ないと思うのです。併しそれをやるには、やるだけの国民の了解、納得を得なければ、民主主義の国はできないという段階に立ち至つておるときに、首相のおとりになる態度がそういうふうな一体口実のことだけでよろしいかどうか。もうこの際に、このじめじめした梅雨の上らんような態度じやいけないと思う。からりとした晴天の下に、やらなければならんものならはつきり国民と共に進む。こういうふうな態度におなりになることはできないかどうか。一つ是非とも聞かして頂きたいと思います。
○国務大臣(吉田茂君) 御意見でありますが、私は私のとつておる態度が不明朗であるとは考えないのであります。むしろ私は、これは御意見でありますからして、私としては不明朗ではないと思う。この線を貫いて行くということは、何年もこれで行くというのではないのでありますが、国力の漸増によつて日本の防衛力を漸増するということは、これは私は決して不明朗ではないと思う。あとは意見の相違になりますから申述べません。
○松原一彦君 大変御無礼なことを申しましたのは、懇談的にと思つて御無礼を申したのですが、一つ懇談的に申上げてみたいのです。君子は豹変するというのでありますから、豹変してもいいのでありますけれども、併し通俗としてはこれは変説改論であります。首相はそういうふうにおつしやるけれどもが、閣僚はすでにもう直接侵略に当るところの任務を認め、且つ増員をも認め、ことに寄つたらば徴兵にまで行かなければならん点をも婉曲に認めておられる。こうなつて来るというと、私は首相の今日までの態度ではいけん。普通の人間の変説改論ならばこれは許されますけれども、いやしくも戦後の日本を率いて来られた功労ある首相、平和憲法の制定者である首相ならば、これをお変えになるとき、私はこの態度をお変えになるときは、私は人を変えてやるべきであると思います。そうでなければ政治家の信を天下に失うのであります。もはや、動く通りに動いておる。なるようになつて行きつつある。水は低きについて流れる、保守も大合同しなければならん時期に近付いていると私は思う。流れるようになるが、それを逆らつておるものがあるのではありますまいか。如何でしようか。首相はこの点は、あなた大政治家ですよ。一つ本当にお考えになつて、この際もつと、からりとしてやることはできませんでしようか。一つもつとお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(吉田茂君) 私は君子でありませんから豹変は幾らでもいたしますが、併しながら只今申す考え方は決して間違つておらんと思います。併しながら政治は生き物でありますから、事情の変化によつては全然豹変するかも知れません。今日はまだ豹変するときにあらずと考えております。
○松原一彦君 わかりました。次に首相に伺いますが一体首相は、非常に共産主義に対しての強い反感をお持ちのようでありまするし、これを防がるることについては大体異議ありませんけれども、政治家のこれに対するところの日本の自衛力というものの焦点について若干私は重きを置かるる点に違いがあるのではないかと思います。例えば、今、国内を見渡すというと、今、日本の急務は軍備を増すなんという問題ではないのであります。と言いますことは、現に昨年一カ年間の日本の刑事犯罪は百三十九万五千件に及んでおる。なお昨年一カ年間の自殺者が、国警の統計によると、一万六千六百五十五人である。一畳五百円の家賃の四畳半の部屋の中に、二カ年毎におられるところのあの権利金数万円を払つて、六人の家族が泣いておる。その人々は共産党でもなければ、共産主義者でもないが、中国に失業者がないということを伝え聞いて、俄然としてアカハタを読み始めて夢中になつておる事実もたくさんある。かようなときに、一体日本の国内がかくのごとくなつているときに、MSAでもつて、あんな、辻さんに言わせるというとスクラツプにしかならない、せいぜいアメリカが朝鮮で叩かれたといつたようなああいう戦車を持つて来たところで、どうにもならない。私はジャカルタに行つたときに、ジャワでありますが、王国があつて兵隊を持つている。鉄砲じやない。槍を担いで、はだしで教練いたしておりましたが、併しその周囲には城壁があつて大砲がある。その大砲が内を向けてあるのであります。外に向いておらんのであります。今日原子力兵器の威力を持つておるときにああいうことで、一体、自衛力の強化ということが言われるのですか。内が腐つておる。又、首相御承知の通り、今日稀有の大洪水で非常な災害が起つておるのでありますが、これは新しい言葉ができて、天災、震災の上に政災という言葉ができておる。政治の災害だ。それはどうもおかしいと思いますけれども、内閣委員会で調べたところによりますと、国庫補助の対象になつておりまする災害復旧事業は、六割五分の国庫の負担になる。あの災害復旧事業が、会計検査院が調べたところによりますというと、農林省の管轄が最も不正が多く、二十二府県の調査で、そのうち不正と見るものが、九割のものが二件、一割のものが二件、平均しては六割が不正の事実を指摘せられておるという報告を得ておるのであります。政治は楼閣の上にあるのではなく、治山治水、国民生活そのものの第一線の上にある。それがかくのごとき大きな大きな穴を空けておるところに、今回の災害は稀有の雨量ではあつたけれどもが、洗い出されて来られた工事の惨害を見れば極めて不正な事実が歴々として指摘せられるということを、現地視察の議員の同僚から私は承つておる。こういうところに大きな欠陥があるのじやないか。首相、あなたは昭和二十三年十月十五日に第二次吉田内閣をお作りになつて、第一次農林大臣は吉田首相あなたでありました。爾来農林大臣を取りかえられることすでに十人であります。十人の農林大臣の中には一カ月、私の知つておる農林大臣は、新聞に今朝退官ということが出ました、そのあとで新任の挨拶状が廻つております。私は驚くべき事実だろうと思う。吉田内閣は長く続きまするけれども、農林行政の担当大臣は四年九カ月の間に十人変つておる。半年を出ないのであります。平均が……。私はこういうところに日本の禍ソがありはせぬか。自衛力とは国民みずからが守る力であり、みずからが守る力を持つことである。国民生活を安定すること以外にはないと思う。その力一杯のところで全国民が歯を噛みしめて祖国を守らねば、沖繩琉球のごときも唐手で守れる、こういつた擬態もあれば或いは保護色もありましよう。角を借りて来てくつ付けたところで猫は牛にはなりません。私どもはもつと日本民族が本気になつて内を治めて、そうしてみずからを守るという方面に政治の焦点を転換して頂きたいということを熱望するものでありますが、この点につきましての首相の御所感を承りたいと思います。
○国務大臣(吉田茂君) お答えいたしますが、戦争前後を通じて国土は荒廃をいたしており、治山治水も怠つておつたのではなくて手が廻りかねておつたという事実が、今日の災害になつて現われて来たのであると思うのであります。故に政府が責任はないとは申しませんが、併しこれは政府としては、国土の荒廃に備えて、そうしてこれの治山治水に最も力をいたすべきものと考えるのであります。 今、農林大臣を代えること頻繁なり―これは好んで代えたわけではなくてやむを得ずして代えるに至つたものであり、私も兼ねましたが、これは、じきに代えた。適当な人が得られぬというよりは、就任できなかつた事情で兼ねたのであつて、間もなく私は辞めたのであります。又これは適当な人材があればこれは代えて行くよりいたし方ないわけであります。不幸にして代えることが頻繁でありましたが、決してこれは喜んで代えたわけではなくて、事情やむを得ずここに至つたのであります。 それから又、不正がある、それから又いろいろなことも聞きますが、これは不正に対しては行政監察等の手段等を以て十分将来においては注意いたすつもりであります。
○松原一彦君 私の時間がありませんから、もう重ねてお尋ねいたしませんけれども、適任者でなかつたから代えるとおつしやるのは御尤もであります。適任者でないものを一体誰が御任用になつたかという責任を問いたいと思います。昔は運托生であつた。一人の閣僚過ちがあれば、これは制度的にもそうでありましたけれどもが、首相が責任を負つたものであります。不適任者を取つ代え引つ代え御任用になるということに対する政治責任は首相はお考えにならんでしようか。私はどうもおかしいと思う。これは農林行政は、日本の農民、日本の住民の半分は農民でありますが、この農民が、一番大切な食糧を預かる農民の行政、その大事な生産行政を預かる大臣を不適任者を任用して、一月もたたぬうちに取つ代え引つ代えせられて、適任者でなければ、いつでも代えるというておられることは、私は政治家としては甚だ心得ないと思うのですが、如何なものでしようか。
○国務大臣(吉田茂君) お答えをしますが、無論、頻繁に代えるということ’は、先ほど申した通り好まないのであります。又政府が全然責任がないかと言えば、それは責任は感じますが、併しながら不適任者を考えて任命いたしたものではなくて、辞めなければならん事情が発生して辞めたのであります。又一つには、内閣が五遍も代つたという事情もありますが、併し今後においては現在の農林大臣は長く続くと御承知を願います。(笑声)
○松原一彦君 いや、長く続くということを希望しますが、過去の事実はこれをば否認いたしておるのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)どうもその首相のお話には納得が行きかねます。恐らく日本国民すべてが納得行かないだろうと思う。私は梅雨も早く明けて欲しいと思う。そうして日本の自衛力を拡充して、日本国民が日本の国をばみずから守れるような政治的指導をして頂きたい、いろいろなどうもは つきりしないようなことではいかない。すでに首相は、二回の総選挙をば、憲法は改正せず、再軍備はせぬという主張の下におやりになつて、現内閣をお作りになつておるのであります。我々国民がその首相の主張の下に今日首相の政治を受けておるのでありますが、それが壊れるとするならば、いわゆる君子豹変せらるるならば、私は当然その責めはお負いになつて然るべきものであろうと思う。これが真の愛国的政治の道であろうということを確信いたしまして、あえてこれだけを希望申して私の御質問を終ります。 ―――――――――――――
○木村禧八郎君 私は、参議院に廻つて参りました、この衆議院で修正されました予算案は、三つの点において政府の政策の根幹に触れた重大な修正でありまして、従つて政府の予算提案権を侵害している、そういう観点から質問いたしたいと思います。この衆議院が修正して参議院に送つて参りました予算案がなぜ政府の予算提案権を侵害しているか、それは政府の政策の根幹について、三つの点について重大な修正を要求されているからであります。その第一は、政府の米価政策が根本において修正せられているということ、その第二は、政府の物価政策、特に補助金政策をとらないという、この物価政策の根幹が修正されているということ、第三は、政府が財政規模は大きくしないと言いながら実質的には財政規模は大きくなつていることであります。ところが、それを予算の組み方をごまかして、あたかも財政規模が大きくならないようにしている。そういう点から質問したいのでありますが、緒方副総理は昨日この委員会で、政府の予算提案権が衆議院の修正によつてこれが侵されている場合には、政府は解散するか、或いは総辞職しなければならない。どちらかの一つを選ばなければならないという答弁をされましたが、それは単に、形式的に政府の政策が侵されておるだけでなく、実質的に政府の政策の根幹が修正され、そうして内閣の予算提案権が侵されている場合、そういう場合も、やはり政府は解散するか、或いは総辞職するか、しなければならないと思うのですが、その点一について総理大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(吉田茂君) 政府の予算提案権が侵されているかおらないかということは、先日以来、一両日来を通じて議論されたところであります。政府は提案権は侵されておらないということを申しているのであります。緒方君の申すことは原則を言うのであります。提案権は侵されてはならんということは緒方君の言われる通りであると思います。
○木村禧八郎君 そこで、これは単に抽象的に侵されておるか侵されておらないか議論してみても始まらないわけで、私は、只今申上げました政府の米価政策、それから物価政策、それから予算規期、財政規模、この三つについて具体的にお伺いいたしたいと思います。 ごの修正案の第一の重点は米価政策にありましたが、昨日緑風会の井野氏の質問に対して、即ち井野氏が「一石八百円を農民に供出奨励金として出すのは、供出が完遂されなくても出すものであるという意味だと思うが如何」というのに対して、農林大臣は「供出完遂のための奨励金である、」こう言うのです。その点、はつきりして下さい。完遂しなくても出すものであるかどうか、その点、はつきりさして頂きたい。
○国務大臣(保利茂君) 昨日私が申上げましたのは、この供出に対して、供出が、だんだん強権供出から今日の段階に至つて、供出することが非常に困難になつて来ている。従つて三党間において供出を確保するための政治的配慮からこの修正が行われたものと理解いたしております。従つて、三党間に 一致しているところによりましても、供出完遂奨励金ということで交付するということでございますから、飽くまでもやはり完遂せられるものとして、従つて又完遂を確保するという意味において、この奨励金を交付する、いわゆる供出完遂奨励金であると、こういうことであります。
○木村禧八郎君 私はそういうことを質問しているのではないのです。完遂されなかつた場合にはやらないかどうか。参考人として三浦一雄氏から説明を聞きましたが、三浦一雄氏は、こう述べております。「この奨励金は、完遂奨励金ということにいたしてはおりますけれども、これは供出米一石につき八百円を出す、いわゆる割当数量を完遂するにあらざれば出さぬという従来のやり方とは違いまして、供出量一石につき八百円を出すという奨励金の制度をここに又採用し、その二百億円をこれに充てるという二とでございます」と、こうはつきり言つております。ですから、私の質問しているのは、完遂しなくても出すのかどうかということです。これは、はつきり答えて頂きたい。
○国務大臣(保利茂君) 重ねてお答えいたしますけれども、必ず完遂せられるものという期待の下にこの奨励金を扱つて参りたいと思います。
○木村禧八郎君 私、時間がないのでありますから、あいまいな答弁をされては困ります。期待した結果完遂されなかつたときには出すか出さんかです、結果について……。
○中田吉雄君 その点に関連して……、そういたしますと、例えば十石割当てたとして八百しか出なかつた場合には、八石に対してどうなりますか。その点、はつきり答えて頂きたい。
○国務大臣(保利茂君) 十石割当てて八石しか供出せられないというようなことは予期をいたさない奨励金でございます。(「それじや質問に対する答弁にならんじやないか」と呼ぶ者あわ)
○木村禧八郎君 私、時間が少いのですから、はつきり答えて頂きたい。十石割当てたときに八石しか供出されなかつたときに、奨励金を出すか出さんかの問題です。結果を聞いているのです、結果について……。一石でも供出したときに出すのか、完遂されたときに出すのか、はつきりしてもらいたい。
○国務大臣(保利茂君) 三党修正の趣意は、どこまでも十石割当てたならば十石完遂するという期待の下にできておると思いますから、そういう考えで政府は理解をして行きたいと思います。
○木村禧八郎君 それでは完遂しなかつた場合には出さないわけなんですね。
○国務大臣(保利茂君) 突き詰められればそういう絶果になるだろうと思います。
○木村禧八郎君 わかりました。完遂しなかつたときには出さない……、それだつたら修正の趣旨と違うのです。 それでは、はつきりわかりましたから、次の補助金の問題に移りたいと思います。 この予算総則の十条において、外航船の船舶建造利子の補給です。これが政府原案では約十三億であつたのです。これが一挙に十倍以上の百六十七億になつておる。これは大変な増加です。十倍以上であります。私はどうして十三億程度のこの外航船舶建造融資利子を一挙に十倍以上に殖やさなければならなかつたか、その理由をここではつきり説明して頂きたい。それから、政府原案には、「外航船舶建造融資利子補給法第二条の規定に基き、」とあつたのを、今度は第二条を削除しております。この削除しておる理由はどういうところにあるのか。更に又、予算総則十条では、政府原案にありました但書をこれ又削除しております。この三点について、なぜ十倍以上の増額をしたのか、第二条の規定というのを除いたか、但書をなぜこれを削除したのか、この三点についてお伺いしたい。
○政府委員(河野一之君) 百六十七億というのは、これは八年間における利子補給の総額でございまして、修正前の案におきましては十三億になつておつたかと思います。それから金額が殖えましたのは、これはこの前の場合におきましては七分五厘までの利子でありましたものが五分まで下げるということ、それから開銀につきましては三分五厘と五分との差額を補給するということになつたのであります。 それから但書を削除ということでございますが、これは法律のほうにそういう規定がございまするので、これを入れる必要がないということであつたと思います。 それから二条の規定は、そういつたことで開銀のほうの分も併せて法律に書かれるものと考えておりまするので、一応その規定を削除いたしておることだと考えております。
○木村禧八郎君 そういう説明を求めておるのではないのです。なぜ十三億を十倍以上の百六十七億にしなければならなかつたかという政策上の問題を聞いておるのです。
○政府委員(河野一之君) 十三億が百六十七億でありましたか……になつておりますのは、今申上げたように、利子補給の総額が殖えたからであります。
○木村禧八郎君 大蔵大臣、答弁して下さい。そんなことではないのです。総額をなぜ殖やす必要があつたか。而も、原案では二十八年度以降であつたのが、今度は昭和二十五年に遡つておるのです。昭和二十五年に遡つておるのです。ですから、なぜ昭和二十五年に遡るのか、そうしてなぜそういうふうに殖やさなければならんか。これは政策上のことです。これは大臣から責任を持つて伺いたい。それから運輸大臣、これは御答弁願いたいです。
○国務大臣(小笠原三九郎君) これは国会の修正に基きまして直した次第でございます。
○木村禧八郎君 運輸大臣。
○委員長(青木一男君) 今運輸大臣を呼んでおります。
○木村禧八郎君 それまで待ちます。(「進行」と呼ぶ者あり)
○委員長(青木一男君) 木村君、運輸大臣の答弁を留保して、ほかの点に移られたら如何ですか。
○木村禧八郎君 私は昨日から運輸大臣にこの問題について質問するということを要求してあるのです。昨日も今日も要求してあります。ですから、私はこの問題が中心であるからということを昨日から言つてあるのです。今頃運輸大臣が来られないと、そういうことで議事を進行されては困ります。十分私は尽すべきは尽しております。運輸大臣が来なければこの問題は進まないのです。それじやほかの人が説明できますか。
○委員長(青木一男君) それじや木村君もう一度簡単に……。
○木村禧八郎君 私は時間が、ございませんから只今私が質問いたしました趣旨を委員長から告げて頂きたい。時間が私はそれだけ削減されますから。運輸大臣がおらなかつたのですから、責任ですから……。
○委員長(青木一男君) その時間だけ斟酌しますから、あなたから述べて下さい。
○木村禧八郎君 実はこういう質問なんですが、予算総則十条、これは今度の改正案の一番重要な点の一つだと思うのですが、外航船舶建造融資利子補給法によつて政府の原案では約十三億の利子補給であつたのを、修正で百六十七億になつておるわけですね。而も原案では昭和二十八年度以降の分についてこの利子補給をすることになつておりましたのが、今度は昭和二十五年に遡つているのです。そこで、どういうわけでこういうような大幅な十倍以上の利子補給をしなきやならなくなつたか。これは海運政策上どういうふうにお考えで、こうなつたかを伺いた
○国務大臣(石井光次郎君) これは議院の修正に基くものでありまするから、御説明は提案者側がされるべきだと思いまするが、私どもの立場を説明申上げておきたいと思います。 これは本予算は昨年の暮頃にこしらえたのが、実はこの前の解散によりまして、今度の議会には殆んどそのまま提出したのでありまするが、昨年度出から海運界の状況はだんだんと悪くたつて参りました。このままでは海運興は世界の競争場裡において立てないばかりでなく、その業態そのものが立つて行くことができるかどうかという非常に大きな問題にだんだん面して来ておりましたが、またく昨年予算を編成する当時まではもう少し様子をみてというところだつたのですが、併し今度提出いたしまする頃になりますると、更にそれが悪化いたしました。併し一方、日本の海運をどんな地位に持つて行かなくちやならないかということは、総理大臣の演説にも申述べました通りに、是非日本の海運界を盛んにして世界の競争場裡に出て負けないように、昔の海運日本を取り戻さなければならんという大きな狙いを持つておりますので、それにはどんな形かで海運界が立てるような方法を講じなければならない。自分達が自立的にいろいろやつて参るのも勿論でありまするが、世界の海運界の状況を見ますると、殆んど、平和状態の今日において、今の運賃というものが、長い聞の情勢を見ますると、まあここらが落ちつき場所ではないかと思えるのであります。そういたしますると、計算書をいろいろ見ましても、非常に苦しい状態になつておりまするし、このままでは銀行利子その他も払えない状態、償却は勿論、利子も払えない状態でありまするから、そうして一方、又、赤字で、決算状況は皆殆んどマイナスというような状況になつて参りましたので、どんな方法かで援助をしたいと思つておりました。いろいろ研究いたしておりまする際に、議院の方で修正案が出まして、こういう数字が出て参つたのであります。これは前のに比べますと非常に大幅でありまして如何にもおつしやる通りに、何となく予算を提出したものが杜撰極まるように思いますが、経過は今のようなことを辿りながら、どんな方法かで今度の予算の修正が、或いは予算に関係ない方法を、あらゆる方法を取つて海運を助長したいということを考えておつたのでありますから、そういう数字によりまして、今まで財政資金或いは市中銀行等によつて相当高い利子を払つておりましたのを、国際的な利子の基準まで、おおよそ、それに近いところまで、三分五厘の線に近いところまで、この際下げて、海運を思い切り助長するという方針で修正案が提出されましたことだと私は思います。又その線に沿うて私どもも大体において賛成の意を表しておるわけであります。
○木村禧八郎君 どなたでもよろしいですから、一挙に十倍にも殖やしたその根拠をもつと明確に説明して頂きませんと、それは十三億から一百何十億になるのですから、単にそのような御答弁では納得できません。国民の税金を以て補給するのでありまするから、それについては昭和二十五年、二十六年、二十七年に亘る詳細な融資状況、或いは又元利の償還状況、或いは各社別の収益状況、そういうものは、これがよくわかつて、こういう経理であるからこれだけの引下げをして、そうして国が我々の税金を補給しなければならんということを納得させる材料がなきやなりません。私は前から要求しております。従つて、この資料をここに私は提供して頂きたい。それを基にしなければ質問ができないのであります。従つて、ここにできなければ御答弁でもよろしいのです。今、私が申上げたことを、詳細に一つ各社別にこれを説明して頂きたい。時間がなくても辛抱いたしますから、その上で私は重大な質問をすることがあるのです。これは私はスキヤンダルに関係があるのではないか、そういう質問を私はしたいのであります。従つて詳細なるこの各社の収支状況が説明されなければ私は質問が続けられないのであります。この資料を出して頂きたい。
○国務大臣(石井光次郎君) 只今のお尋ねの点につきまして、ここに詳細なる資料はありませんが、私どもの手で出せる限りのものは迅速にお手許まで提供することにいたします。御研究を願いたいと思います。私どもはこれがスキヤンダルになるなどということは毛頭考えておりません。
○木村禧八郎君 それじや私は委員長にお願いしたいのですが、その資料を見てから又質問する時間を保留して置きます。そうしませんと本当の質問ができません。そこで一応そういうことにして頂いて進めますが、その点、御了解を願いたいと思います。
○委員長(青木一男君) それは一般質問のときでよろしゆうございますね。
○木村禧八郎君 そのときは考慮して頂きたいと思います。 それでは、この政府原案で十三億であつたのが百六十七億に利子補給をしたについては、この修正者は、船舶業者の要請によつて、運動等によつて、こういう大幅の修正をすることになつたのではないか。私はそう思うのです。そうであるかないかを、ここで明確に私は承わりたい。
○国務大臣(石井光次郎君) 先ほども申上げましたように、これは国会の修正でございまするから、その発案者のほうにお尋ね願いたいと思います。
○木村禧八郎君 ですから、この取扱いが最初から問題になつたのです。政府は、これを、衆議院修正の予算は一本である、従つて政府が責任を持つて害える。この修正案は閣議で了解しているのだ。而も承認を与えている。ですから十分検討されているはずであります。これが業者の要請によつて、献金その他いろいろなそういうあれによつて、要請によつてこういうことが無理になされたのであるかどうか、十分検討して置かなきやならんはずであります。従つて、私は答弁ができないはずがない。じや責任を以つてそういう。ことはないと言い切れますかどうか
○国務大臣(小笠原三九郎君) この案のときに申上げました通り、私どもは本案の内容については了承したのでありまするから、御説明申上げますが、どういう運動によつて起つたというようなこと等については、これは何ら私も関知しないところでありまして、これは御答弁をいたしかねるのであります。又私は、併しさようなことはないと思つております。
○木村禧八郎君 吉田総理は、この修正については責任を持たれる、修正されたことについての政治的責任を持たれると言われましたが、政治的責任というものは勿論そういうことも含めてであろうと思うのです。そういうことを私はないことを欲します。若しそういう業者の要請により、或いは又その間に金銭の献金とか、そういうものがあつて、こういうことが出されたについては、明らかになり、又今後調査の結果そういう不正事件が、利権的なそういう問題が起つたときまでも、これは政府は責任を負おうという政治的責任でありますかどうか。総理大臣にこれはお伺いしたい。
○国務大臣(吉田茂君) これはしばしば申します通り、不正があつた、スキヤンダルがあつた場合においては、政府は法の命ずるところによつて厳然たる処置をいたします。
○木村禧八郎君 併しそういう場合に、政府もこれを閣議で承謝しておるのですから、政府もやはり責任の一半を分担しなきやならないのではございませんか。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 私も政府の一人でありますが、スキヤンダルを承参認するということは、これはあり得べからざることでありまして、かようなことは法に照してやる以外に私は何も責任はないと存じます。
○木村禧八郎君 併し、そういう結果、仮にこういうものができ上つたとすれば、やはりその過程においては政府にも責任があるのじやないか。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 私どもは国会の修正を了承しただけでありまするから、私はそういう責任はないと思います。
○木村禧八郎君 それから、もう一つ伺つておきたいのは、鉄鋼のほうの補給金ですね、鉄鋼の利下げ。やはり船舶に関連しまして、造船用鋼材の値段を下げるについて製鉄会社が開発銀行から借りている金利を下げるわけです。そうしますと開発銀行の収入が減るわけですが、そういう場合には予算総則にこれは書かなきやならないはずでありますが、予算総則にも出ておりませんし、政府関係機関の予算書にも出ておらないのです。これは一体どういうわけなんです。
○政府委員(河野一之君) 歳入歳出は、これはまあ見積りでございまして、予算総則の問題ではないのであります。今木村さんがおつしやつたようなことについては、その方向で政府部内で今検討をいたしておる段階でございまして、具体的な案はまだ樹立されておるわけでもございません。又開銀の利息収入というものは、数十億に上ることでありますので、特にそのために歳入予算のほうを直すという措置をおとりにならなかつたのだろうと私は思います。
○木村禧八郎君 その点についても参考人として呼びました三浦議員はこう述べております。「これは直接予算に関係はしませんけれども、この海運振興に関する施策といたしまして、外注船及び外航船の造船用鋼材特殊規格割増料をなくするという措置を講ずる予定でございます。これは一つは製鉄会社の日本銀行よりの外貨借入金の現行率を下げること、又開発銀行よりの借入金の現行法の率を引下げることということの措置をとる。」これはこの外航船の建造融資と同じことではありませんか。その利子補給をなぜしないのか。更に伺いたいのは、開発銀行のほうは、外航船のこの利子を下げますと開発銀行の収入は減るはずであります。減らなければならない。ところがこの出された予算案を見ると、開発銀行の収入は減つてないんです、同じなんです、この前と。これは一体どういうわけなんです。その点について明確に御答弁願いたい。
○政府委員(河野一之君) 国会の御修正のことでございまするので、私の申上げる筋合いではないと存じまするが、只今お述べになりました点につきましては、そういう方針でこれは開発銀行が利子を下げるという問題であります。政府が措置する問題では勿論ないのでありますが、そういう方法で物事を考えるというような政策の御協定のように承わつております。 それから開発銀行に対する五分と三分五厘の差額の利子は、これは先ほど申述べました利子補給の額の中に入つております。利子の額として開発銀行は政府から受取るわけであります。その分に関する限り利息収入の減ではないわけです。
○木村禧八郎君 この開発銀行の収入は減らないんですか。
○政府委員(河野一之君) 五分と三分五厘の差額の利息は三億二千万円でありますが、今度の修正に入つておるのであります。それから七分五厘を五分に下げる。この問題はあるかと思いますが、これは開発銀行の利息収入というものは五十数億に上つておるのでありまして、これは歳入というものは一応の見込みでありまして、或いは余計に入つて来ることもございますし、少くなることもございます。これは一応の見積りでありますので、恐らく御修正にならなかつたのではないかと思います。
○木村禧八郎君 それでは外航船腹の利子補給の場合にはどうしてそういう補給措置をとつて、そうして製鉄会社に対する利子補給の場合にはそういう措置をとらないのか、その点、私はわからない。
○政府委員(河野一之君) 製鉄会社に対する利子補給というものはないのであります。外航船につきまして開発銀行が融資しておる利子につきまして五分と三分五厘の差額を補給する、これは一般会計の歳出予算による関係上御修正になつたことと思います。
○木村禧八郎君 そうではないので、三浦議員の御説明によれば、結局造船会社が使う鋼材、例えば今五万円しておるのを四万円にする、一万円下る、その代り製鉄会社が開発銀行から借りておる金の利息を下げる、こういうことなんでしよう。
○政府委員(河野一之君) それでございまするから、開発銀行の、若しそういうような措置が実行されますれば、これは幾ら下るかという問題はあるかと思いますが、そういう措置が実行に相成りますれば、開発銀行の利息収入が当初予定しておつたより減るという面はあろうかと思いますが、これは歳入予算の見積りでございまして、これ以上利息収入が減つてはいけないという歳入予算の性質ではございませんので、これは実行上の問題でもあると思われますので、御修正がなかつたのじやないかと思います。
○木村禧八郎君 私はおかしいと思うのです。これは開発銀行の収入減を補正するという意味においては、外航船の場合も製鉄会社も同じですよ。利息収入が減るという開発銀行については……この点については時間がありませんから、あとで、又、私は質問したいと思います。 そこで更に伺いたいのは、この船全社も鉄鋼会社も、この金利引下げ措置によつて、莫大なそこに利益が生ずるのです。或いは負担軽減が生ずるのです。私はこれは業界の運動によつてなつたと思うのです。で、一つ運輸大臣に伺いたいことは、これまで大きな船会社で元利金を償還しておらなかつた。ところが政府から借り入れた会計で、まじめな会社があつて、元利金を正直に返しておつた。ところが、今度の法律によつて昭和二十五年に遡つて金利を下げた場合、まじめに返した入はその恩典に浴さない、これを元利を償還しなかつた人は恩典に浴するという不公平が出て来る。聞くところによると、大船主が謀議をいたしてそうして政党に運動をして、この外航船の利子をそのうちに下げるから今は成るべく政府に元利金を償還しないようにという申合せをして、故意に償還を怠つた、こういうことが言われておる。そこで、政党に運動してですよ、利子が下げられることを予定しておつて政府にこれを償還をしなかつた、そのことを知らない船会社は正直に償還をした、こういう結果が生じたらどうなりますか。この点について運輸大臣の御意見を伺いたい。
○国務大臣(石井光次郎君) 今の詳細の問題は局長から申上げますが、私が申上げたいのは、大きい会社の運動によつてこれが行われたのじやないかというお話でありますが、この点は、どういう問題につきましても、私どもの関与しておりまする交通万般の問題、まあ苦しい場合は苦しい場合、いろいろなことの陳情はいろいろ受けております。併し、私どもは日本の海運がどうあるべきかということから考えまして、どうしても何とかしてやらなくちやならないということで、私ども自身が自主的にいろいろ船主呼び、或いは造船会社を呼び、或いは金融業者を呼んで、いろいろな状態を調べて、私のほうから進んでいろいろやつた事実もあつておりますので、御了解願いたいと思います。 又最後のお尋ねの点は、海運局長からお答え申上げます。
○政府委員(岡田修一君) 先ほどの御質問、ちよつと誤解があるのじやないかと思うのですが、今度提案されておりまする利子補給の改正は、私ども了解しているところでは、過去に払うべきものに対して利子補給をするのではございませんで、二十五年十二月一日以降に造つた船がこれから払うべき利子について利子補給をする、こういうものでございます。 それから今まで船会社の元利償還状況を見ますと、開発銀行も、それから市中銀行も非常に厳重な取立をしておりまして、仮に船会社がそういう余裕を持とうといたしましても、むしろ約定期限よりも繰上償還をしておるという状況でございまして、御心配のような事例はな、いと思います。
○木村禧八郎君 今のお話によりましても、そのことは私は承知して質問しておるはずでございますので、政府原案では二十八年度以降竣工の分になつておるが、それを二十五年に遡つておる、そういう例を承知して質問しておるのです。で二十五年の着工分についてこれを利子をまけてやれば、それが非常に有利になることは明らかであろう、政府原案よりも……。そこで私はこれは非常に或る特定の昭和二十五、六年当時に着工したそういうところに非常に有利になつておる、こういう意味なんです。 そこで伺いたいのは、これはもう銀行或いは心ある船主でさえも驚いています。愕然としておる、このような大幅な利子引下が行われたことについて非常に憤慨しておる業者もあります。これまで昭和二十五年、六年度のこの建造について政府の融資の割当を受けるために業界では猛烈な利権運動をやつておるということを聞いておる。当時GHQから、総司令部から余りにその利権運動が激しいために注意を受けて、そのために警視庁のこの係の二課で調査しなければならないというふうな議まで出た。ところがいろいろなもみ消し運動が起つて遂に沙汰やみになつたということが言われておるのであります。それほどこの船舶建造の融資というものは非常な利権の対象になつておる。船会社は何ら物を持たなくても、割当を受ければ、割当の特権を受ければそれから融資を受けてそうして船を造つて儲かる。昭和二十五年、六年、七年は殊に朝鮮動乱以後において船会社が非常に儲けた年ではないか。莫大に儲けた、莫大に儲けたときに、儲かつたのを配当を殖やしたり何かして使つてしまつて、今になつて、損したからといつて国民が昭和二十五年度着工分にまで遡つて血税を以て利子を補給しなければならないという義務が一体どこにあるか。業界のこの利権運動については非常な囂々たる非難があります。政府の役人のかたは業界の人たちと一緒になつて飲んだり喰つたりしておるといわれておる。この政府の割当の利権を得たときにはお祝いをやるそうです。待合を一軒借りてどんちやん騒ぎをやる。その待合で遊ぶ費用も銀行から借りておる。その待合で割当祝いというのをやる、五百万円から一千万円を使つておる。或る会社の交際費は一千五百万円から二億円にも達するといわれておる。昨日産業界の交際費の多いという問題が起きましたが、その交際費が多いのはそういうところに利権運動に使われておる。政府は、政府の交際費は僅か四億と言われましたが、政府のこういう補給金みたようなところから業界の交際費が出ておる。政府の役人も一緒になつて、これと一緒になつて飲んだり喰つたりしておるといわれておる。こういう実情であるから、私はなぜこういう一挙に十三億から百何十億までこの利子補給金を殖やしておるかということを聞きたいのです。これは国民が非常に大きな疑惑を持つておる。なぜそういうことが行われておるか。私は法務大臣にお伺いしたいが、法務大臣を私は要求しておりましたが、第五次、第六次船のときに、これは占領中でございましたが、総司令部からこれは注意を受けておるはずでございます。その場合に警視庁のこの係の第二課でこれは捜査するはずであつたところが、揉み消し運動によつて沙汰やみになつたということを聞いておる。従つて犬養法務大臣は当時御関係にならなかつたかと思いますがこの点について調べて頂きたい。 それから今後、この外航船の利子補給について私は重大な利権運動があつたと認められますので、この点について私は法務大臣にこれを調査される意思があるかどうか、この点について私はお伺いいたしたい。
○委員長(青木一男君) 木村君に申上げます。法務総裁は今呼んでおりますから、来られたら今の質問の趣旨を述べて頂くことにして、それを留保をして先へ進みたいと思います。
○木村禧八郎君 こういう問題について運輸大臣はどうお考えですか。これからもあることなんです。これからもあることであつて、恐らく運輸大臣は御承知ないと思います。こういうことはですね、初めてそういうことを私から聞くことだと思うのです。これは業界では専らもう周知の事実なんです。従つてこの外航船の割当融資については、先ほど運輸省御答弁ありましたが、そんな簡単なものじやないのです。これは銀行あたりでももう顔をひそめているのです、最近では……、見るに見かねておるのです。そのいわゆる割当祝い、そのためのいろんな利権の運動です。これについては名前は船舶行政或いは日本の外貨獲得の、或いは外貨節約のために海運政策を伸長するということで、いいのでありますが、内実にはそういうことも行われておるのです。これについてまだ私は質問したいのですが、船会社とドック、船を作る会社とはいろいろそこで又結んで、その間に又実は十億なら十億使つて建造しなければならないものを、九億くらいで上げてしまう。そのためにいい船が造れないという非難があるのです。一億くらい浮かす、浮かしてこれをばら撒く、こういうことが言われておるのです。そうすると、折角血税を以てこういうふうに海運政策の伸長と言つて、我々が一生懸命に税金をそのように出しても、いい船が造れない、こういう問題があるのです。こういう点について私は運輸大臣に所感を伺いたい。これはなぜ私がこういう質問をするかというと、できたことよりも今後のことを私は問題にしたいのです。そのためにやはり今行われているそういう醜事実について私は指摘せざるを得ない。こういうことは私は嫌いなんです。こういうことをあばくのは嫌いです。併し今後の政策を正しくするために運輸大臣に私はここで伺つておきたいのです。
○国務大臣(石井光次郎君) 私はそういう事実があるということを承知いたしませんですが、その前に一つお含みおき願つておきたいことは、これはもう当然御承知のことでありまするが、今度の補助が非常に大幅に利子の補給等が行われましたので、何だかその間におかしなことがあるのじやないかというふうに思われますが、これは私ども運輸省としても、何度も何度もこの海運界の不況になりました際において、各方面に話をし何とかして助成策をしなければならんと言い出したことは、世界の先進国におきまする海運政策を見ますると、今度私どもがとりましたよりも以上のまだ保護政策が行われておると思うのであります。これは利子において漸く先進国と同列になるということだけでありまして、まだ税金の問題その他いろいろな問題において、私どもが先進国との競争においては裸の同じスタート・ラインにつくという問題については、私はまだ不十分じやないかとさえ思うておるのであります。又これはいずれだんだんと御相談を申上げる機会があると思うのでありまするが、さて今の問題でありまするが、私どもは今後の問題にのみ携わるわけでありまするが、そういうふうな今度思い切り助成が利子の面で行われる。又そのためにはいろいろな声もあるでありましよう。そのために一個一個になりますると、多く恩典を受ける、或いは少く恩典を受ける、全然恩典を受けないというものもあると思うのであります。海運業者にしても外航船を造らないものは、全然この恩典はこの際は受けないというような形になりますから、いろいろな声が出ると思います。それだけに、私ども運輸行政を司る者といたしましては、そういう声が起る中において、正しいそうして立派な船ができ、本当の日本の海運政策が正しく遂行されるような線に沿うて行くのが私どもの責務だと思うております。その意味におきまして私ども一生懸命やるつもりでおります。
○木村禧八郎君 この船会社が朝鮮動乱によつて昭和二十五年、二十六年あたり非常に儲けて、べらぼうに儲けているのです。これはどういう経済学なんですか。吉田内閣の経済学は自由経済と言いますけれども、自由経済なら、非常に儲かつたときはその業者のあれになりますが、損したときはやはり業者の損になる、それでこそ自由経済です。ところが昭和二十五、二十六の朝鮮動乱で非常に儲かつているのに、儲けは儲けとして取つてしまつて、さあ今になつて損した、だから国家からこれを補給するというのでは、これは何の経済というのですか。これは私は船会社が昭和二十五年、二十六年にあの儲けた厖大な利益をどう処分したかということを十分検討せずして、こういう補給を認めるわけには行かないのです。これは普通の経済原則から言つてもそうなんです。一般の中小業者が、儲けたときには儲けさして、最近損になつたから銀行から借りておる利子を負けてくれといつたときに、政府がそれを補償を出しますか。専門家の海運業者に言わせますれば、海運界はこうなることは見えすいておる。従つてこの融資を受けるときに、当然海運業者は政府に予定表というものを出すわけであります。こういうわけで損をしないからという予定表を出す。その予定表は皆嘘だということになる。これは政府にも責任がある。海運界がこう不況になることはもう明白であつた。従つて自由経済で行けばそういう赤字を出した会社はつぶさなきやいけません。整理をして責任のある重役はやめ、そういう予定表に基いて融資を認可した役人はやめなきやいけません。そうしてすつかり整理をして新らしい会社を作つて、そこに政府が補給金を出すべきです。こういう形にすれば国民は納得する。ところが儲けたときは儲けにする、配当とか重役賞与とかそういうもに使つてしまう。そうしていろいろな猛運動をして、そうして不景気になつたら金利を下げよう、こういうことは許されましようか。中小業者が非常に困つている。不景気になつたとき、中小業者が困つて来たからといつて銀行から借りた金を私は軽減しないと思うのです。そんなこと政府で補償をいつもしておらない。ところがこういう場合には補償する、これが割り切れん。ですから政府原案の二十八年度からというなら一応わかります、これは一応わかる。それについても問題があると思いますが、併し二十五年に遡つたということに非常な問題がある。非常な好景気のときに造つて儲けてその利益をどうしたか。この点について私は運輸大臣に重ねてお伺いしておきたい。
○政府委員(岡田修一君) 私から代りまして……。船会社が持ちました新造船で朝鮮景気を十分利益した、こういうのは、昭和二十四年度に建造に着手した船であります。こういう船につきましては船会社は殆んど市中から借入れました金の、全部とは言いませんが、大体七割程度返しております。財政資金のほうはこれは三カ年の据置がありますから、まだ返しておりません。市中資金のほうは返しております。今問題になつておりまする昭和二十五年十二月一日からの着工船でありますが、そういう船はおおむね翌年の二十六年の九月頃に竣工して或いは十月頃に竣工しておる。ところが海運の景気は二十七年、昨年の三月頃から急に下つておるわけであります。従いまして今今度の修正で適用の対象としておりまするような船は比較的そういう動乱のまあ景気を受けている点が少い。従つてその金利負担が非常に重いということで対象になつたものと考えます。先ほど運輸大臣が申しましたが、欧米の諸国では非常に手厚い海運の保護政策をとつております。御承知の通り海運というのがほかの産業と違いまする点は、本当に裸になつて同じ区域で競争しております。従つて外国が非常に手厚い保護政策をとるということでありますから、同様にそれに対して日本も同様程度の保護政策をとる必要がある、かように考えます。殊に欧米の海運国は終戦当時相当の船を持つておつたのであります。で、それらはいずれも終戦直後は非常に大きな海運のブームがあつた。それが一度下りまして再び朝鮮動乱のブームが来たわけです。二度のブームを満喫いたしまして、而もその間において相当手厚い保護政策をとつた。現在の海運市況におきましても、欧米の海運国ではむんろこの市況が長引くことを望んでおるような状況でありまして、といいますのは、日本とか或いはドイツのごとき新興の海運国が出て来るのを防ぐのには、むしろ今日の状態が続くことを望んでおるという状態にあるわけであります。従いましてこういう破滅的な状況に追い込まれた海運を監り立てて参りますには、相当程度の国家助成が必要であるということを運輸省も痛感しておるわけであります。これは先ほど運輸大臣も答弁した通りであります。で若し朝鮮動乱がなければ、今日提案されておるがごとき助成策を伴つた海運の拡充を図るべきである、かように考えるのであります。併し一面において海運業者が相当の負担力があるという状態が続く限り海運業者自身の手でやらすべきだ、国の金を使うことはできるだけ避くべきであるというのが運輸省の考えでございます。従いまして海運業者がどうしてもやつて行けないという今日の事態、で今日の海運市況緒当いろいろな面から研究しかおるのですが、これが或る意味においてノルマルの状態だというふうな判断を下しておるわけであります。従いましてこのノルマルな状態において外国の海運と十分太刀打ちできる力を与えてやる。で今日日本を中心とする海運が非常に競争をしかけられております。その一つの原因は、日本の海運会社の力が弱い。従つてこれに対して競争をしかけなければ日本の海運というものは脱落して行くであろうと、こういう考えの下に競争をしかけられているわけであります。従つて日本海運が伸びて行くためには相当の助成を必要とするのでありまして、たまたま今日の修正案はそういう意図の下に盛られたものとかように考えます。
○木村禧八郎君 これは海運政策の根本に関する問題でありますが、日本の海運政策がうまく行かない一つの大きな原因は、建造融資の割当が特権的になつて行くということなんです。会社は何にも持たない。とにかく割当を受ければ船が作れる。これは戦争中の遺産です。そういうところに問題がある。ですから船会社は利権運動ばかり一生懸命になつておる。どうして割当を受けるか。それで銀行に御馳走したり政府の役人に御馳走する、政党に献金する、そうして割当を取るのです。そこに問題があるのです。ですからいい船を作ろうというふうに一生懸命にならない。そこにこれは根本問題かある。どうして私はこれと利権と関係があるかというのに、この前の十月選挙及び今度の選挙を通じて、如何に造船会社が政党にたくさん献金しておるか、この献金表を御覧になつても明らかです。その紙はありますが、これは又あとの質問のときにいたしますが、例えば十月選挙のときに改進党に対して飯野海運は五十万、郵船が五十万、大阪商船が五十万、三井船舶が五十万、三菱海運が五十万、山下汽船が五十万、川崎汽船が五十万円、日産汽船が五十万円、これだけ献金をしております。更に又四月の選挙には日本船主協会は三百万円を改進党に献金しております。自由党に対しては船主協会は十月選挙に五百万円、造船工業会は一千万円、今度の選挙に当つては日本造船工業会は一千万円を寄附しております。これは造船工業です。更に又製鉄会社もこれは私も詳しく言いませんが、八幡、富士などはたくさんに献金しておるのです。こういう献金と今度のこの利子補給との間に関連がないはずがない。一般の通念で選挙管理委員会に提出されるこういう献金は、これはほんの氷山の一角だけで、このほかにどのくらいの献金があるかわからないというのが常識であります。なぜ献金が改進党に集中したか、なぜ改進党が中心になつてこういう非常にたくさんの利子補給案を増額修正を出したか、この間に関係がないか。従つて私はこの関係は十分法務省において調査される義務があると思う。こんな不明朗なものを我々は審議することができません。私はこの問題はもつと具体約に質問しなければなりません。例えば政府の融資する場合の予定表がまだ出ておりません。各社の利益収支状況が明らかになつておりません。そういうような要求した資料がございませんので、私はそういう資料が整つてから、もう一度更に又犬養法務総裁の答弁を私は聞かなければなりませんが、そういう答弁を聞いてから又私もこれはいろいろ専門家について調査してみました。先ほど局長から説明がありましたが、そんな説明で簡単にこれは弁明できるはずのものではありません。私ももつと徹底的に調査いたすつもりであります。従つて政府においてもこれは単にこの場をしのげばいいということでなく、国民の血税をそのように無駄に利権運動や遊興飲食やそういうものに使われてはたまらない、そういう意味で徹底的にこの問題については調査をして、そうして明朗にして、私はこの問題について取つ組んで頂きたいと思う。これは衆議院の修正案だから我々は関知しないという態度では私はいけないのだと思います。政府も十分調査して答弁に臨んで頂きたいと思います。私の質問は今日はこれで終ります。
○委員長(青木一男君) 暫時休憩いたします。 午後零時八分休憩 ――――――――――――― 午後一時二十五分開会
○委員長(青木一男君) 休憩前に引き続いて、会議を開きます。
○三浦義男君 我が国が科学技術の貧困によつて、第二次世界大戦にもろくも破れましたということは、国民が等しく肝に銘記していることでございます。それでその戦時戦後を通じまして科学技術を振興しなければならないということは、全く朝野の間に非常に氾濫したのでありますが、それが、多少目に見えて来ております復興が先ずできて参りますというと、だんだんその声が細つて参りました。で、昨今に至つたのであります。ところが近来輸出貿易を盛んにしなければならない、この輸出貿易が非常に不振になつた、これを何とか挽回しなければならないというような破目に追い込まれて参りますというと、又科学技術を大いに振興して、貿易を盛んにしなければならないというような声が又起つて参りました。何か科学技術の振興という言葉が、我が国が落ち目になつたときに言われるお題目のような気持がしておつたのでありますが、そのところにこの間の国会の再開の日に、総理は施政方針演説で、東南アジアの開発、貿易の振興、これと一緒に科学技術を大いに振興しなければならないということをおつしやつたのであります。これは私共科学技術を修みて参りましたものが、まあ実際手を叩いて喜こんだのであります。そこで私は総理におかれては必ずこの科学技術に対して、どうすればこれは振興し得るか、又どういうふうな立派なお策を持つていらつしやるかということを、もうすでにお肚の中にあると思いますのでその点につきまして、何か現在あります機構或いは、現在あります方針、そういうものをお変えになりまして、この振興策をお考えになつておりますか、どうでありますか、その点をお伺いしたいのであります。
○国務大臣(吉田茂君) お答えいたします。日本の科学技術が戦争前、戦後或いは、戦争を通じて立ち遅れと申しますか、世界の水準以下に下つた、或いは、その以前において、戦争以前においては相当な水準に達しておつたのでありましようが、戦争中、欧米諸国が非常に戦争による刺戟を受けて発達をいたした、そのために日本の科学技術が遅れたということは想像し得ると思うのみならず、又外国人等の話を聞て見ましても、まあ例えば道路の修築とか或いは河川の修築とかいうようなことについて、或る人は私に日本の土木技術、つまり科学技術の一部分である土木技術は、少くとも五十年遅れておるといつて、その例として、高島炭鉱のごときは海の下に炭層がある。これの探鉱をするためには、日本の技術者は二年かかると言つておりますが我々をして言わしむれば、六カ月若しくは三カ月でできると確信している。その三カ月でできるかできないかは別として、日本の技術が退歩したのでなく、世界の進歩に伴わなかつたということが想像し得ると思います。これは今お話のように、事あることに、日本の技術の進歩が遅れていやしないかということについての懸念を持たざるを得ないのであります。これをどうして振興せしめるか、いろいろ案もありましよう。詳しいことは文部省からお話しをいたしましようが、私は外国の技術の導入ということも考えなければならない。又日本の技術者若しくは学者自身が努めて外に出て、そうして広く知識を求めるということが、相応じてしなければならないかと思います。それで学術何と申しますか、日本学術何とか会議から学者の相当な人々を次々海外派遣をいたしております。私は随分尊い外貨を無益に使うのではないかとも懸念いたしますが、併し海外派遣によつて日本の学者が、或いは技術者がみずから海外の技術を吸収する。吸収せられた結果において、ああしたらよかろう、こうしたらよかろうという、自然、提案も出ましようから、そして外国旅行若しくは学術会議、国際会議に列席するということは、必ずしも反対をいたさないのであります。随分学術会議から相当な人が次々出て参ることについて、どうかと思うくらいに出て参ります。まあこれなども一つの科学技術の進歩を助けていやしないかと思いますが、組織的、具体的な案についてはなお研究する時期ではないか。併し何かお考えがあつたら伺わせて頂きたい。詳しいことは政務次官からお答えいたします。
○政府委員(福井勇君) 三浦委員にお答えいたします。お尋ねのように、日本の科学技術の振興については、明治、大正、昭和を通じまして、その都度、口頭禅といたしましては非常に強く叫ばれて参りましたことはお説の通りでございます。それにもかかわりませず、政界などにおきましては、その認識はその予算面に現われたその結果とか、或いは実際に官庁などにおきまして措置されるその結果は、望ましいものではございませんでした。そこで現在御承知の科学技術行政協議会、スタツクなどにおきまして、戦後、曾つて技術院が総合技術官庁として生まれました当時、いろいろ今日顧みますると、やりそこないの点もなきにしもあらずということもございました。今回のスタツクにおきましては、それらの点を是正し、各官庁の、よく聞くのでございますが、科学技術者同士の縄張り争いなどを極力回避するように努力いたしまして、そして国会における各位の御協力を得つつ、スタツクを充実して現在運営しておるのであります。なお学術会議のほうに対しましては、密接な連絡をとつておる実情でございます。
○三浦義男君 只今学術会議とスタツクのお話がございましたが、学術会議の現在のその活動状態を拝見いたしますというと、大体学術会議と申しますのは、年に二回の総会があるようでございます。又スタツク、学術会議には運営委員会がございまして、それが一カ月に一度くらいの会合を持たれまして、そうしてそこでいろいろな審議をされて、それをスタツクを通じて行政官庁にこれを伝えるという如何にも立派な組織を持つておられるようでございます。でございますが、そのいわゆる学術会議の構成メンバーであるとか、或いは委員会の事務局と申しますか、調査機関と申しますか、そういうものはないという現状からいたしまして、どうも学術会議及びスタツク活動が思うようには行つていないのではないかというような気持がしてならないのであります。今申し上げましたその会員のかたというのは、これは皆様立派な学者ではございます。又数も非常に多岐に亘つて多いのでございますが、その方々はほかに立派なお仕事を持つておられ、又大学の先生がたが多分に多いのでありまして、事文部省に関するような会議におきましては、或いは立派な勧告ができるかも知れませんが、ほかの行政官庁につきましては、そう私は立派な勧告がされていないのじやないかというような気持がいたすのでありますが、この点につきまして一つお願いいたしたいと思います。
○政府委員(福井勇君) お答えいたします。 お話の点は学術会議の開今回数は非常に少くて、目標通りに行つておらないのじやないかとお尋ねでございますが、御存じの通り学校の先生、教授連中の職務の問を縫つて開催される関係もあり、なかなか文部省におきましても、これら会議の頻繁に行われることを慫慂いたしておるのでありますが、これらの点についてはなお一層御要望に副うように努力いたしたいと存じます。なお文部省関係においては成るほど学術会議における希望要綱等が十分実施せられるのであろうが、その他の方面の勧告に対してはどうかという御心配でございますが、私は、現在の文部省所管から逸脱いたして恐縮でございますが、現在のスタツクは非常によく活動しておるというふうにに確信いたしております。そしてそのメンバーもしつかりしておりますので、なお一層予算的措置等におきまして御協力が得られますならば、相当私は飛躍するものと期待いたしておるのでございます。
○三浦義男君 只今学術会議のことについてお話がございましたが、私はその欠点は、何としたつてこれを排除しなければならないというような気持がいたしておつたのでありますが、その後いろいろ調べてみますというと、丁度昨年の春でございますが、自由党は科学技術の庁の設置というようなことを発案されて、そうしてこれを閣議にまで持つて行つた。そうして予算化、実現を図ろうというときに、まあ行政機構の改革もあるのだから、これはもう少し研究しようじやないかというようなことで、今行政審議会にかけておるというような話を聞いたのであります。こうなりますというと、学術会議の或いはスタツクの活動については、何か欠如があるが故に、別にこういうものを作ろうというのか、その趣意ではなかつたかと思うのでありますが、その点は如何ですか。
○政府委員(福井勇君) お答えいたします。先ほども申上げましたように、現在のスタツクの予算的措置は必ずしも満足な状況にはございませんと申しましたが、そういうような関係から、なお皆様の御協力を得てスタツクのなお強化を図りたいと申したいと申したことにつきましては、私以前から意見は同様でございます。そこでお話にございました科学庁設置の自由党案ということを承わりましたが、これは文部政務次官からお答えするのはどうかと思いますが、私の聞いておりまする範囲内では、自由党案というのでは出ておらないと思います。これは二、三の科学に非常な熱心なかたがこの企画をされまして、自由党案というものでまつしぐらに進めたという形ではなかつたと私は聞いておりますが、なおよく研究させて頂きます。
○三浦義男君 若しそこに仮称でありましようが、科学技術庁のようなものができなかつたといたしますと、何か今の既存の機構におきまして、これを補強する、或いは予算の措置をもつと考えてやるとかいうようなお考えはございませんか。
○政府委員(福井勇君) お答えいたします。先ほど来、予算的措置の問題について私は言及させて頂きましたが、文部省におきましても初め六億と予定された科学技術振興関係費が、今度八億になるというような希望を盛られて来ているわけでございますが、そういうような関係から、ひいては各省に技術の関係局部はございますが、それらをやはり総合いたしますというと、結局スタツクがこの総合官庁としての監督の役目を果すことになります。そこで私たちは、どうしても今まで日本の技術家、特に官庁技術家が繩張りをずつと続けて来て、曾ては戦時中などは、まあ軍のことは強いて言いませんが、平和産業の面におきましても、技術関係では各省の繩張りというものが相当深刻でございました。そういう点を何とかして是正して、まとめられる一つのテーマのようなものはやはり一つの官庁でまとめて行くという一つの理想をもつているのであります。そこで現在の予算的措置では、なかなか国の予算の枠が希望通りになりませんので、できますれば予算的増額を期待いたしまして、スタツクの強化を図りたいというのが念願でございます。
○三浦義男君 私は予算的措置だけではないと思います。今お話がございましたスタツクは、これは行政の連絡調整を必要とする措置を審議するというような、いわゆる審議するだけのものであります。これは行政官庁ではありましようが、そういうふうに限られた審議をするというだけでありまして、むしろその点は今おつしやつたような趣旨のことは、日本学術会議が担当しているべきであると思います。学術会議はたしかに法律的にもそういうことを書いてございます。学術会議を私は強化することがまず暫定的措置としてはよろしいのではないか。もちろんスタツクの強化も考えられますが、まずそれよりも学術会議を強化するということが必要じやないか、こう考えますが、どうでしようか。
○政府委員(福井勇君) お答えします。スタツクを基本としてお答えいたしましたので、つい学術会議の面を洩らしましたが、お説の通りにやはり学術会議方面においても当然強化して行きたいと思います。
○三浦義男君 そうしますと、何か学術会議を強化するような策をお持ちでございますか。
○政府委員(福井勇君) 現在文部省といたしましては研究中でございまして、恐らくごの国会には間に合いかねますが、よりより協議中の成案ができる予定であります。大体八月中にできる考えでおります。
○三浦義男君 只今のお話しで八月のうちに学術会議の強化の方針がきまるということでございますから、学術会議とスタツクについてはそれだけでやめます。 その次は私は科学技術に関しまして、御承知のように科学には各部門につきましての学会がございます。で、この学会は勿論科学技術をどうすれば振興させるかということに、骨身惜しまず働いているのでありますが、政府の立派な機関でありまするところの学術会議、或いはスタツク、そういうものとの関連は殆んどございません。総理はスタツクの会長でもあられますので、この学会を全面的に御利用になるというお考えはございませんか、お伺いいたします。
○政府委員(福井勇君) 総理に代りまして、お答えいたします。全面的に利用する考えでおります。
○三浦義男君 そうすると、これからあとは、大いに利用してやろうただ過去の経験のことを申しますと、実は私も一学術会議をあずかつておつたこともありますが、まあ殆んど表向きの御相談はないというような恰好でありますが、これが英国におきましてもアメリカにおきましても、学術のことに関しましては、学会はフルにこれを使つております。又総理は産業の方面とか、或いは金融界のかたには、ときどきお話をされたり、又御懇談をなすつたり、意見の交換をなすつているようでありますが、只今申上げました学会の会長というものには、何のお話もなかつた。私はそういうふうに記憶しているのでありますが、今後こういう方方と意思の疎通を図つて、又御懇談をなさるような御気持はございませんか。
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。私は曾つて、二、三年前には、いろいろな学者を特に集めて、毎週一、二回会合をいたした結果、却つて悪く言われまして、学者を尊重するとか、何とか言われましたが、(笑声)そういう悪く言われたことは別といたしまして、学者に対しては只今も非常な尊敬を払つている一人であります。又私のところに誰が来たということはいちいち申しませんが、例えば外国に行かれる学者、或いは又例えば亀山君なんかが、ときどき見えましてお話を承つておりますが故に、学者を尊重しない、お話は一切御免こうむるというような態度はとつておりません。或いは湯川君にしてもその他につきましても、あらゆる機会において会合をすることは心がけております。決しておろそかにいたしているわけではありません。敢えて弁明するわけではありませんが、事実はそうであります。
○政府委員(福井勇君) お答えいたします。吉田総理が科学の面について、学術会議その他の方面について相当の考えを及ぼしているかという意味のお尋ねでございまするが、特に三浦委員に申上げたいと存じますことは、第五次吉田内閣の成立にあたりまして、不肖も技術者でございます、文部省の政務次官に技術者を以てやつたのは明治、大正、昭和を通じて私が初めてであります。なお保安庁の政務次官の前田君はこれは精密機械の権威であります。それから運輸省の西村君は電気のオーソリテイであります。こういうふうに非常に吉田内閣において技術の面を尊重されたということは、私は総理のヒツトだと秘かに存じているのでございますが、それらの点についても御了承を願いたいと存じます。
○三浦義男君 私は何も技術屋をそでにするのだということを申上げたのじやございません。ただ総理がどうもそのために自分は非常に変な評判を立てられたのだというようなお話がございましたが、総理はすでにこの国会の劈頭におきまして科学技術の振興を叫ばれたのでありますから、もうそういうことについての世の中の批判なんということは、何もお構いになることはないと思います。でありまするので、どうぞこの学会の会長とか、或いは学者とか、そういう者ともゆつくり再々一つ御談義あらんことをお願い申上げます。 次は私科学アタツシエのことについて外務大臣にお伺いしたいと思います。 先ほど来、申上げておりますように、我が国は負けて以来、非常に科常技術の面において先進国より低下いたしました。勿論御承知のように湯川博士のような大学者も出ましたし、又過日、新聞に見ますというと、窒素肥料のパテントが英国、米国或いは西ドイツで以て、これを売つてくれという話があつたというような、そういう勿論ヒツトもございますが、科学技術のレベルは低下したことは御承知の通りで、これを挽回する意味におきましても、又輸出振興の一助としましても、又我が国の優れた技術を買つてもらうためにも、又総理が先ほどおつしやいましたように、たくさんの科学技術者が海外に出ておりますが、それらの連中の道標としても、科学アタツシエを要所要所に置きましたならば、非常な助けになると思うのでございますが、この点如何でございますか。
○国務大臣(岡崎勝男君) 実は只今の外交関係の在外公館と申しますのは、本当の必要も満たさない程度の最小限度にやつておるのでありまして、実は普通の仕事にも手不足を感じて困つておる次第でありまして、従いましておよそ余裕は今のところないのでございますが、御趣旨はまさにその通りでございますから、財政的にそういう余裕がもらえますれば、是非そういうふうにいたしたいと思つております。
○三浦義男君 もう一度伺いたいんでありますが、最小限度私は十名内外のこのアタツシエを出したいというふうに、又その場所等を考えておるんでありますが、そういうことになりますと、全体どれくらいの費用をお見込みになつておるんでございますか。
○国務大臣(岡崎勝男君) 普通相当程度の人が参りますと、月にどうしても千ドルくらいは見込まなければなりません。それで一人一年一万二千ドル、十人で十二万ドルということにまあなります。それだけの費用といいますと、つまり先ず四千万円くらいだろうと思いますが、実は只今のところはタイピストとか、そういう本当の仕事をする人も不足いたしておりまして、甚だ科学的でないんでありますが、公信なども急がないものは手で書いて寄こすというような状況でありまするので、一口に四千万円と申しますけれども、苦し何かありますれば、ほかにタイプライター一台でも買いたいというような状態でございますので、ただ、すぐにというわけにはなかなか参らんだろうと思います。
○三浦義男君 そうしますと、外務大臣ぱタイピストのようなものと同じようなレベルで以て、私が申上げたような科学アタツシエをお考えになつておるんでございましようか。恐らくそうではないと思うのであります。
○国務大臣(岡崎勝男君) いや、それ臓もうとんでもないことでありまして、とてもそんなものとは一緒にはしておりませんですけれども、在外公館で報告を作つたりするには、先ず必要なものはタイピストであるとか、先ず掃除をするものであるとか、こういうものが先ず必要になるのであります。で、必要最小限度ということになりますと、どうも先ずどうしてもやらなければならんことが出て参ります。まあそういうことで申上げたんです。
○三浦義男君 まあお考えのほどはよくわかりますが、大体いつ頃からこういうものを置かれるようなお考えでありますか、伺いたいんであります。
○国務大臣(岡崎勝男君) これは勿論この予算が通りますれば、取ることを要求いたしますが、これはお話とは多少違いまするけれども、例えばその東南アジア等には、通産省と相談しまして、コンサルテイング・エンジニアというものを、在外公館にも置こうという話があります。これはむしろ日本の技術を東南アジアに紹介するのでありますから、御趣旨とば多少遠いますけれども、何かこういうふうなことは一種の補助金と、それから重機械工業協会の拠出金で賄うことになつておりますが、そういうわけで決して放つているわけではないのであります。予算が取れますれば、必ずやりたいと考えております。
○三浦義男君 外務大臣なかなかその点についてはお考えになつているが、御答弁はつきりいたしませんが、これば私は是非置いて頂きたいということを申上げておきます。 最後に、予算の問題について、大蔵大臣はいられないようでありますが伺いたいのであります、二十八年度の国庫支弁の科学技術振興費の総額は大体百十七億のようであります。これは修正されておりますので、多少の変化がございましよう。まあ申上げますというと、行政費が減つておりますので、このためには相当減つているのであろう、併し四億の増加がありましたので、まあ百十七億前後であろうという見当だけはつきますが、この百十七億を一般会計の歳出の九千六百五十五億に比較して見ますというと、ほんの僅かの一・二一%に過ぎないのであります。これは勿論、今外務大臣からお話がありましたように、ない袖は振れないのだということではございましようが、総理までが非常に力を入れていらつしやる科学技術の振興費としましては、如何にも情けない額ではないかと思うのであります。科学技術が極度にまで進歩しておりますという感があります米国においてすら、一九五二年度におきましては、五千億の金を出しております。これは一般の予算から見ますというと、二・三一%になつております。で、こんなふうな状態になつておりますのに、遅れている遅れていると申します日本の科学技術に対して、こんなような金の出し方では百年河清を待つのじやないかと思いますが、その点につきまして、大蔵省は、この金を増してやる、そして大いに科学技術を振興させて、我々国民の期待に応え、又総理もおつしやつていることでありますので、その総理の方針にも副おうというお考えはございませんか。
○政府委員(愛知揆一君) 只今三浦さんのお尋ねは御尤もでございます。私どももできるだけ科学技術の振興につきましては、意を用いて予算を編成いたしたいとかねがね考えているのでございますが、今回提出いたしました予算案のほうでは、昨年度に比べて十二億円の増額になつております。勿論これは只今御指摘のごとく、とても十分なものとは思いませんのでありますが、全体の財政の規模や、或いは他の事業に比べまして、総体約に見て、できるだけの骨を折つたつもりでございます。なお今後におきましても十分考えたいと思いまするほか、なお国立学校の運営費等につきましては、その内容が科学技術の振興に充てられている分も相当多いと考えております。
○三浦義男君 もう時間も余りないようでありますから、簡単にもう一つ伺いたいと思います。予算の各省から出て参りました科学技術関係のものにつきまして、大蔵省がこれをまあ一括してよく御覧になると思います。で、この場合におきまして、学掌術会議は、この予算の編成、或いは予算の分配、そういうことにつきまして、政府が学術会議に諮問することができるというのが学術会議法の第四条に書いてあるのであります。これは般の予算の編成につきましては、恐らくそういうことがないと思うのであますが、特にこういう条項を設けてあるということは、如何にその学術会議に、学術の予算につきまして皆さんが特にそういうことを考えてやろうという特別な扱いをされておるのであると思うのであります。これを厳格に実行されるお気持はありませんか。
○政府委員(愛知揆一君) お答え申上げます。只今御指摘の通り、法律上もはつきり諮問脚をすることができるように書いてございます。私どもといたしましては、十分この制度の趣旨を体しまして、二十九年度以降におきましても、できるだけ御趣旨に副うようにいたしたいと思います。 なお、これは御質問外かと思うのでありまするが、科学技術庁の創設というような案も実はございますようなわけで、それと科学技術振興に関する予算の分けかたの問題もどうしようかというようなことも一つの研究課題にはなつているようなわけでございます。
○三浦義男君 私の質問はこれで打切ります。 ―――――――――――――
○新谷寅三郎君 私は極く簡単な問題で総理と大蔵大臣にお聞きしたいと思うのでありますが、先ず総理にお尋ねいたしますが、総理は先般の施政方針演説におきましても、我が国の自立経済を確立する必要を強調せられたのであります。併し、今日我が国の経済自立を達成しますことは、これは非常に容易でないと考えられるのであります。この点は先般政府から発表せられました経済白書におきましても非常に詳細に川らかに述べられているのであります。要するに政府も国民も真剣な努力を結集して行かなければならんと考えるのでございます。こういう点から考えまして、一昨日でありましたか、この予算委員会で伊能議員の質問に対しまして総理から、いろいろの経済政策について計画性を持たせることは、状況によつては必ずしも自分も反対はしないというような御答弁がありましたので、私はそれに関連して少しお尋ねしたいと思います。 総理は従来計画経済というものは余り実効が上らないのだというようなお考えでおられるようでございますが、単にこの食糧政策だけではなくて、貿易政策にしましても金融政策にいたしましても、鉄鋼とか石炭、海運、電力等の基幹産業に対する政策にいたしましても、最もこれを効率的に実施するためには、いわばより高い総合的な見地からこれらの政策の間に相互に一連の関連性を持たせながら、それぞれ一つの目標を持つて進むという工合に考えて行くことが必要であろうと思うのでありまして、これは今日我が国の経済自立達成へのむしろ近道でないかとも考えられるのでございます。もとより日本の経済の状況は非常に海外以存度が強いのでありまするから、諸外国の政策とか或いは経済事情の変動というようなものが非常に敏感に作用いたしまして、日本の政策についてもこれに左右せられることが多いという事実は、これは止むを得ないところでありますけれども、併し少くとも一応の見通しの下に一応の目標を持つて進むということは、これは可能なことでもあり又必要なことでもあると思うのでございます。若しこういつた考慮さえも払わないといたしまするならば、現在各省、各庁で計画しております五ヵ年計画とか、或いは十ヶ年計画、こういつたものは単なる各省各庁のこれは希望に過ぎないというような結果になるのでありまして、ここに経済自立の何か糸口を見出して行こうという真剣な各省の努力、実施計画というものも殆んど意味がなく価値もなくなつてしまうのではないかということを虞れるのであります。殊に、今申上げましたような重要な政策につきましては、これは到底短期間には実効が上らないのでありまして、いずれも相当長い間に亘つて、政府も国民も努力を続けることによつて初めてその効果が上るものでございましようし、更にこれについては一般国民の理解と協力を得て初めてその効果が上るというものが非常に多いと私は考えるのでございます。こういうことはすでに総理も十分これは御承知の点であると思うのであります。又私は必ずしもこう申しましても、いわゆる計画経済を画一的に主張する趣旨でもないのでありますが、少くとも今の日本の現状から見まするならば、その最短期間内に、而も効率的に経済自立を達成するという目的のためには、こういう考慮を払つて行かなければならないと考えるのでありますが、これについて総理の御所見を伺いたいのであります。
○国務大臣(吉田茂君) これはしばしば私がここで申しますが、私は計画経済がいいか自由経済がいいかと一般的に申せば、自由経済がいい。故に計画経済がいかんと申すのではないのであります。又各省がその責任において計画を立てるのは、無論当然いたすべきことであり、又政府全体としては経済審議庁が全般についての計画を立てておりますが、併しこれをよくいきさつを見ると、戦争中に発表された何とか五カ年計画とか三カ年計画、これが一カ年も経つとすぐ改まつてしまつて、何とか計画になるということは、これは人心を迷わすものではないか。迷わした結果いいことがあるかも知れないが、むしろ弊害が多いのではないか。無計画がいいと申すのではありません。各省おのおのその責任において計画を立てて、そうしてその計画が経済審議庁において総合的に考慮せらるるということになつておりますので、現在においても相当の計画性は持つておると思いますが、余り計画経済が計画に重きを置く結果、却つて世間が迷惑するのではないか、と申しますのはよくソヴイエトの例を申しますが、ソヴイエトにおいて五年計画とか十年計画を立てて、そうして計画がうまく行かないと、その計画の或いは委員長が追放されたり死刑になつてしまつたりというような、まあ極端な例でありますが、それで今日のような変転極りない内外の事情に処して、余り計画に重きを置くというと、却つて計画倒れが来、又人を迷わしはしないかという程度の問題であつて、絶対に計画がいけないと申しておる考えではないのであります。 この機会に三浦さんの外務大臣への質問に附加えて申しますが、私が外務大臣をやつておる間に、なるべく外務省の経費は少くする方がいい、少くせよと、殊に敗戦国としては余りだくさんなスタツフを置いて、堂々と自動車を乗り廻すなんということは国辱であつて、敗戦国、貧乏国は、貧乏国を看板にするがいい、なるべく経費を少くして、そうして各自が自分の最も質素な形で執務しろと言いまして、そうして外務省の経費は相当私の時代に切り廻したのであります。又外務省の者にも言つておるのでありますが、陸軍省出身の者が総理大臣になれば、一番初めに削られるのは陸軍省であり、海軍大臣出身の人が総理大臣になれば、一番先に海軍省の経費が削られる、これはこの前の例で明かであります。なぜなれば、自分の出身省が一番よくわかつておりますから、倹約と言えば先ず自分の省に鉈を振り、同じように外務省は、多年貧乏な省として苦しんで来ておるのであります。故に、今日においても、これは外務省の予算は相当切詰めておるだろうと思います。それで成るべく無駄なことはさせない。いわゆるタイピストなども成るべく少くしよう、紙の倹約をせよというふうに申しております。せめて筆墨紙は日本から送れというように申しておるので、外務省の予算は今日今なお相当切詰めて、在外公館は苦しんでおるだろうと思います。敗戦の日本として、金を借りようと思つている日本が、在外公館が余り贅沢な景気のよいことをしては罷りならんという訓令を出しておるのであります。その結果今のいろいろ御希望がありましようが、今現在の在外公館の経費は、非常に切詰めておるものと御承知を願います。
○新谷寅三郎君 総理の言われるように、余りに計画倒れになつちやいけないということは、私も十分了承できるのでありますけれども、只今お話にありましたように、又現実に各省の出しておりまする計画を見ておりますると、どうもその計画について総合性がない。勿論毎年予算編成に当りまして、大蔵省或いは閣議が中心になつて、政策の調整をおやりになることは勿論でございますけれども、今できておりまする各省のこういう計画に対しまして、総合的な見地からこれを眺めて、或る必要なものについては修正を加えて、そうして大体において目標を与えて行くというようなことは、これは可能であろうと私は考えるのであります。これは必ずしも総理の言われるような、いわゆる計画倒れになるというような心配もないのじやないかと思うのです。私はこういうことをやることによつて、いろいろ政策が総合的な見地から眺められて、結果としても非常に実効を挙げ得るでありましようし、又一面から申しますると、国民の協力も非常にこれによつて期待し得るのじやないかということを考えるのであります。この点は重ねて御答弁は要りませんけれども、私どもの申上げている趣旨はそういう趣旨でありますから、十分御考究をお願いしたいと思います。 ただ、これに関連しまして、これは総理も施政演説で触れておられましたが、政府が現在の非常に経済的な難局を打開するために、或いは国民に消費の節約を訴えるとか、或いは不急不要の輸入品の抑制をするとかいうような方針を示しておられまするが、これは恐らく直ちにでも実行せられるだろうと思います。こういつた、まあ一言で申上げますと、国民のいわば耐乏生活を要望するというようなことをおやりになります場合には、同時に今申上げましたような日本の経済の実態、日本の経済力がどういう程度であるのかというような実態を国民によく知つてもらつて、そうしてその基礎の上にでき上つたいろいろな総合的な経済施策というものも国民にその大綱を示し、協力を求められるのが必要であろうかと思うのであります。こういう措置について、特に何か総理としてはお考えがございましようか伺いたい。
○国務大臣(吉田茂君) 御趣旨は御尤もであります。只今も申した通り、計画がいけないと申すのではないので、計画を出して行かなければならんということもよく了承いたします。又そのために経済審議庁なども総合的に断えず政策を立てておりますので、万遺憾なきことを期したいと思います。但しこれが自然予算に、財政膨脹というような傾向がとかく生じまして、総合的計画、それが予算として表面になつて来ますと、相当又厖大を来す。或る計画がたとえ非常ないい計画であつても、予算面から見るというと、非常な厖大な経費を要するために、結局計画は国全体からみてよくない場合もあります ので、これは予算と又照し合して考えなければならんと思いますが、故に総合計画はいけないとは、決して申しておらないと御承知を願います。
○新谷寅三郎君 その問題はこの程度にいたしますが、大蔵大臣がお見えにならないようですが、これは極めて常識的なことでありまして、総理にも伺いたいと思つていたのでありますから、お差支えなければ総理からお答えを頂きたいのであります。 それは金融政策とは申しませんが、金融政策に関連する問題でございます。これは大蔵大臣には余り歓迎されない質問だと思うのですが、終戦以来、銀行とかその他の金融機関が、他の産業経営者に比べますると、法制上の問題は一応別といたしましても、実際的には非常に優位な立場にあることは、これは否定できないと思うのであります。銀行がその融資先のいろいろな事業会社の経営方針に干渉するということは勿論のこと、中にはこの人事に対しましても非常に大きな力を振つておるということも、これ又事実であろうと思います。こういう状態で放つておきますと、我が国の重要産業は人事構成も経営方針も、金融機関の意図のままに動くほかはないというような結果になりかねないと私は考えるのでございます。これがいいか悪いか、これは問題外だと思いますけれども、こういつた状況を何らかの方法を以て私は是正して行くべきではないかと考えるのでございますが、この点は総理としてお答え頂けますか、或いは大蔵大臣からあとで御答弁を願つても結構でございます。
○国務大臣(吉田茂君) これは私にとつては難問題でありますが、素人として考えてみますると、日本の今の銀行制度と言いますか、産業制度が改むべく余りに事業に密接になり過ぎておるということがありはしないか、事実私は銀行は銀行、事業は事業といたしておりますが、大陸に行きますと、産業の経営と銀行とは相当に密接な関係を持つておるようであります。それがいいか悪いかと言えば、私は銀行は銀行、事業は事業として、銀行の目から見て投資すべからざるものは投資しないというのが健全なやり方ではないだろうか、又ドイツあたりように、これが国家のために利益になるとか、経済界のために利益になるというような政治的考慮から投資をするというようなやり方が、これが新興国としては或いは必要であるかも知れませんが、併し経済産業の面から申すと、銀行は銀行、事業は事業、銀行のほうから言えば儲かる、元利の支払いの確実なものには投資するが、その他のほうにはしないというのが、これは健全なやり方ではないか、日本もそういうふうに行きたいものだと思いますが、敗戦後の日本としてはそう理窟ばかり言えないので、自然銀行が事業の経営に参画する、又政治的と言うのもおかしくありますが、事業を奨励するために、或いは事業の復興を助けるために投資をするというようなことが今日現に行われておるようであります。これがいいか悪いかは問題であろうと思いますが、これは銀行、産業界、経済界のその常識に待つよりかいたしかたないと思います。ただ私としてはそう考えますが、併し政務次官もおりますので、政務次官からお答えいたさせます。
○政府委員(愛知揆一君) 只今総理からお答えがございました通りでございまして、結局はこれは良識によつて解決されるのを待つことだと思うのでありますが、併し、金融機関の監督の立場にありまする大蔵省といたしましては、従来から、例えば検査の制度を励行いたしまするとか、或いは最近におきましては非常に銀行の経営が派手に流れることがありはせんかというような点については、銀行の店舗の新設、増設等については自己資本の七割を限度とするとか、いろいろの規制を行なつておるのでありまして、なお又不当に産業界等に対する干渉という問題でございますが、この点についても行過ぎのないように事実上の干渉をいたしておるわけでございます。併し、金融機関とすれば、申すまでもございませんが、根本はやはり預金者の保護ということも大切なことでございますので、その大切なことが行過ぎにならない程度にやるということが要するに肝要な点だと思いまするので、できるだけ今後におきましても注意いたしまして、御懸念のことがないように監督して参りたいと思つております。
○新谷寅三郎君 今政務次官のほうからもお答えがあつたような点を私も心配しておるのであります。ともすると、金融機関が余りに深く各事業会社の経営方針に干渉をいたします結果、産業によりますると、政府のいろいろな政策が行われるよりも、金融機関の考えておる政策が行わるというような点が随所に見受けられるのであります。こういう状態にまでなりますと、これは政府としても相当に金融機関に対する措置をお考えにならなければならんという段階に来ておるのじやないかということを言つておるのであります。この点は今後も十分に御注意を願いたいのであります。 又この金融機関に関する問題についてもう一つお尋ねいたしますが、私から申上げるまでもなく、今日資金の絶対量は非常に不足をしておりまして、各産業とも資金のために非常に困つておることは事実であろうと思います。国の財政資金のほうは、法律とか予算のきめたところに従つて或る程度重要産業にも投資されたり、或いは貸付けられたりいたしておるのでありますけれども、今日の状態から見ますると、この財政資金というものももう陶然に限度まで来ているのじやないかという感じがするのであります。経済白書によりますと、二十七年度の産業資金の供給総額一兆三千九百億という数字が出ておりますが、その中で財政資金のほうは千八十億、僅かに七%七になつております。一般金融機関のほうの供給資金のほうは八千百四十億と、五八%強になつております。従つて問題は、この金融機関が扱つておりまする資金が、これらの金融機関の目前の採算とか、或いは情実、因縁等によつて左右せられる傾向にあることを、どうして国民経済全般の立場から調整するかという問題になつて来るかと思うのであります。ところが、政府のこれに対する態度を見ますると、大蔵大臣が財政演説でも述べておられたのでありまするが、資金の効率的な運用をしなければならん。そこで民間金融機関としては、我が国経済の現状に鑑みて、今後貯蓄の増強を一段と促進すると共に、資金の融通に当つては極力不要不急の資金を抑制し、経済基礎の充実、産業の合理化等に必要な資金の供給に特に配慮せられたいと考えるというように、ただ金融機関のいわば良心に訴えるというような態度をとつて来られたのであります。今日資金の供給量も絶対的には不足しておる。而も金利のごときも、生産コスト切下げの上に非常な障害になるというようなことも言われておるくらい高いのでありますから、今日の状態から見ましても、少くともこの資金の貸出の方針につきまして何らか調整の措置が必要ではないか、そうして適正な利率で重要産業の所要資金が優先的に確保できるような措置を政府としてはおとりになる必要があるのじやないかと私は考えておるのであります。これに関しまして、これは国会で別に御答弁があつたわけではありませんけれども、池田大蔵大臣の当時にも何かこれに類似するような措置について金融機関と話合いを進めておられるようなことを聞きましたが、その結果は余り思わしくなかつたということも聞いておるのでありまするが、今日政府は先ほども申上げましたような経済自立を達成するという一つの大きな目標があるわけでありまするから、それに向つてあらゆる努力をして行くと、そのためには資金もそれに集中して行かなければならないというような点から見て、この資金の調整という問題について何らかの方針をお持ちになつておるかどうか。若しお持ちになつておるとすれば、それはどの程度まで進行しておるかということについてお伺いしたい。
○政府委員(愛知揆一君) お答えいたします。資金の調整について何か考えておるかというお尋ねでございますが、現在のところ法律或いは政令その他の規則によりまして、曾つて戦時中行われましたような甲乙丙に分けて融資準則をやるというようなことは只今のところ考えておりませんのであります。只今も御指摘がございまして、財政資金等の限界が来ておるのではないかというお尋ねもございましたが、我々といたしましては、いわゆるペイイング・ベースに乗らないようなもので而も国家的に必要でありまするものは、中小企業と言わず、大企業と言わず、成るべく財政資金或いはこれに準ずるものでできるだけ見通しをつけて融資をし、或いは融資の呼び水にするという考え方でおるわけでありまして、その他の市中の金融につきましては、必要に応じてはいわゆる勧奨、リコメンデーシヨンと申したほうがよいかと思いますが、そういうことで、日本銀行の政策委員会等を中心にいたしまして、政府が十分に連絡をとつてやつて参りたい。従来もさようでございますが、今後におきましてもそういう方式でやつて参りたいと考えております。
○新谷寅三郎君 もう時間が私は余りないようでありますから、いろいろの問題はもう省きまして、最後に総理に一つ二つ、これは是非実行して頂きたい、又これは実行は総理の御決心では必ずできるという問題につきまして簡単に申上げます。 これは理窟を申上げるまでもない極く簡単なことでありまするが、今度の参議院に回付されました修正予算案によりますると、相当大巾に行政費の節約が見込まれております。相当各省も無理があるでありましようが、これは実行して頂きたいと思うのであります。ところがこういう行政費の節約ということにつきましては、或いは旅費の節約とか、或いは欠員補充の差止めとかいうようなことが恐らく行われるだろうと私は想像するのでありますが、ところがこれは私らは現実に各地で経験しておる問題でありますから、法律の問題でもなく、又予算の問題でもないかも知れませんが、私が目に余るように考えまする冗費と申しまするか……は、最近各官庁で施行せられるいろいろの工事でございますが、例えば道路工事とか、橋を架けたり、或いは何とかを付けたりするという工事でありまするが、その工事をやられる場合に殆んど例外なく、起工式とかいう、或いは竣工式とかいうものをやられるのであります。これは相当派手に大げさにやられる傾向があります。このために恐らく推定では、年間にやはり数十億の行政費が無駄に使われておるのではないかと私は考えるのであります。もとよりその工事に関係する地元の人がお互いに集まつて喜び合うということは、これは結構なことでございましようが、こういうことのためにいつも非常に多くの直接に関係のない人たちが招待をされたり、或いは中央から大臣初め高級官吏が多数出て行くというようなことは、これは今度の行政費の削減という点から考えましても、これは禁止と言いますか、やめるべきであると思うのであります。殊にこういつたお祭り騒ぎをするために工事を担当する何と申しますか、工事施行者というような人から寄附を取るというようなのが少くないというようなことも聞いております。こういうふうなことは、これは総理が御決心になつて、こういつたことは今後やめるとおつしやれば、各省ともすぐにこれはやまるはずであります。こういう冗費を省くような措置を速かにとつて頂くことを希望いたします。 又同じような問題でありますが、これも町村が非常に困つておりますので、この機会に申上げておきますので、国の機関や或いはその外郭団体が何かというと、すぐに市町村に対して寄附を要求することが多いのであります。地方の出先機関が庁舎を作り或いは改築する、或いはその職員の官舎を作る、或いはその買入をする、中にはそういうところで自動車を買うといつたような場合にも関係の市町村に対して何かしら寄附を求める。市町村では止むを得ませんから、非常にふだんからお世話になるというのでしぶしぶながら寄附を受けておりますけれども、これは調べてみますと、非常に大きな金額になつております。推定でございますけれども、年間にこれは百億は優に超えておるだろうと思うのであります。今度の修正予算で増額せられました平衡交付金が存億であります。こういつたものはこういう経費を省くことによつてすぐに浮いて来るはずなんであります。もとよりこれらの寄附も要求せられる役所も経費が足りないでありましようけれども、併しこういつたことを公然と行わせることは非常に地方の行政を不公正にし、不明朗にする元になるかとも考えます。今後政府はこういつた市町村に対する寄附の要請というものは国家機関及びその外郭団体に対して厳禁するという措置をおとりになつて頂きたいと私は考えるのでありますが、総理にこの措置をとつて頂けるかどうか伺いたいと思います。
○国務大臣(吉田茂君) 政府としては絶えず申しておることでありますが、行政の簡素化及び冗費の節減、歳出の縮減ということは常に考えておることであります。ところで、お話のようなことは実際あり得ることと私も考えます。これは誠に困ることであります。よくないことであると私は思います。この点については十分注意いたしますが、なお政府はその点については予算の実施等については、名前は忘れましたが、予算の使い方の監督官を置いて、そうして予算が有効に使用せられるように特に監督官を今度新設いたしたはずであります。なお御指摘の点は注意もいたしますし、調べてもみますが、そういうことはあり得りことと私も想像いたします。
○小林孝平君 本年は災害が頻発しておると思うのであります。本年の気象状態は非常に不順でありまして、只今までの気象状態からいたしますと、今後相当の日照りがありましても豊作にならんことは専門家がほぼ一致してそういう見解をとつておるのであります。従つて今後相当の本年は不作が予想されておるわけであります。そこで現在までに西日本或いは和歌山等の災害に対しましては、内閣においては災害対策本部を設置されまして、総合的に考慮されまして、河川或いは農漁村等に対しましての対策につきましては、目下それその関係大臣が一生懸命に対策を講じておられるのでありまして、私はこの結果万遺漏なきものと信じておるのであります。そこでこの災害とは別に只今申上げましたように相当の不作が予想され、専門家がほぼ一致してそういう見解をとつておるのであります。ところが凶作或いは米の全国的な不作というようなものはその結果が現れてから対策を立てようといたしましても、それは駄目なのでありまして、あらかじめ前以つてこれの対策を立てて置かなければならない。特に今年のごとき相当の不作を予想される場合には総合的に、単に農林省一省だけの対策では駄目であつて、建設省その他の各省が協力してこれに対する総合的な対策を立てて置かなければならないと思うのであります。そこで私は日頃農政について非常に関心を示しておられます総理大臣といたしましては、この米の不作対策につきまして何らかの具体的な対策を講ずるようにお命じになるお考えがあるかどうか、これをお伺いいたします。
○国務大臣(吉田茂君) お答えいたします。本年はどう今後の天候でなりますか、又非常な凶作になりますか、まあそれは将来のことでありますが、いずれにしても日本は年々風水害のために非常な損害を受ける。その天候は如何ともできませんが、併しながらこれは結局国土が荒廃した結果水害、風害等が一層禍いを逞ましうするのであろうから、永久的に考えるべき恒久策を立つべきではないか、今日も実は寄り寄り相談いたしておつたのでありますが、成るべくこの風水害に対しての恒久策を、今年限りのことではなく、今度西日本に水害が起つたからと言つてそれだけの対策ではなくして、日本全国に亘つていわゆる総合計画と言いますか、或る計画を立てたいものと考えております。又作る計画を今進めております。而して凶作の問題についてはこれは今後のことでありますから、今直ちに具体案をということは申しかねますが、併し日本のごとき天災の多い所においては、恒久的にこの災害に対してあらかじめ計画を立てて置くべきではないか。その方法を関係省において研究をしておる、今話合いをいたしております。
○小林孝平君 総理がこの災害に対しまして、恒久的な対策を樹立されるということについては全く同感でございまするけれども、この凶作のことについては今後のことに属すると、こうおつしやいましたけれども、先ほど申上げましたように、凶作になつてからそれから対策を立てようとしても間に合わない。本年は相当なる不作が予想される。これに対してあらかじめ準備をしておかなければならない。こういう一方においては恒久的な対策と同時にこの応急的な対策を、応急的と言つても不作になつてからでは間に合わないので、現在から、只今からこの対策を立てなければならない。このために対策本部というようなものを設置されまして、速かにこれの対策を立てられる用意があるかどうかということをお伺いいたします。
○国務大臣(吉田茂君) 私のお答えは前段の通りであります。
○小林孝平君 次は、今般の修正されました予算で行政費は百一億円節約になつたのでありまして、これは相当大巾な節約であろうと思うのであります。このような削減をやられましたのは、現在相当行政費には無駄があると総理大臣はお答えになつておるのかどうか、お伺いいたします。
○国務大臣(吉田茂君) 相当な無駄があるということを前提といたして予算を組んだはずではないのでありますが、併しできるだけの削減は行いたい。先ほども申した通り歳出を成るべく少くして、そうして負担を減少して、国力を養いたいと考えますから、できるだけのことをいたすつもりで修正に応じたわけであります。
○小林孝平君 現在百一億円の行政費の節約に対しまして、各省の事務当局は相当不満を示しておるのでありまして役所の能率は今後相当低下するのではないかと心配しているのであります。このような大巾な節約をやられるということになりますと、只今の各省事務当局の意見からいたしますと、これは役人は今後じつとして、余り出張もやつてはいかんから、又やる金もな いからじつとしておれ、書類でも書く紙も今後は余り使わないで書類を書くなというような、こういうふうな極めて消極的な事務のやり方になるのではないかと考えておるのであります。そこで現在役所の能率化が叫ばれておる折から、こういうふうな百一億円節約した結果は、却つて行政の能率全体が低下して、非常に不経済な結果になるのではないかと思うのでありますけれども、この点総理大臣はどういうふうにお考えますになりますか。
○政府委員(愛知揆一君) 行政費の節約、約百一億円でございますが、これは当初伝えられましたような百四、五十億に上りまする節約に比しますれば、仕事を執行いたします上に欠くべからざる業務、旅費でありまするとか、或いは時間外勤手当でありまするとか、或いは国際的な行政の執行上止むを得ざるものでありまするとか、かようなものは節約のあらゆる対象からはずし、或いはその節約の比率を少なくしたというようなことで、できるだけの調整をいたしてございます。勿論当初の予算案に比べまして百一億余の節約というようなことは、なかなかこれは各省各庁としては辛いところでありますが、これは我々もよくわかりまするけれども、私は大局的にみまして、堪え忍んで、これで業務を遂行して行かなければならないものと考えておるわけでございまして、これによつて官庁の士気が非常に衰えるというようなことは我々は考えておりません。
○小林孝平君 只今大蔵次官は、百一億円を当初の予算より削減いたしましても大した能率は減らない、低下しないと、こういうふうにお答えになつておるのでありますけれども、そういうように百一億円削つても能率が低下しないならば、なぜ当初の予算にこういう無駄な百一億円という経費を計上したのかどうか、大蔵省には先般も申上げたように河野主計局長以下有能な生計官があられまして、この予算の策定に当つては非常に厳重な査定を加えられておるはずなんであります。ところが現在突如としてこの百一億円削つても、只今のお答えでは全然能率の低下はないと、こういうようにお答おになつておるのでありますけれども、これは一体どういう理由によるのですか。
○政府委員(愛知揆一君) 只今もお答え申上げましたように、これは各省、各庁とすれば非常に辛いことであるということは私も十分是認いたしておるわけでございますが、この予算案を現在の政局の下においてできるだけ速かに成立させたいという大きな立場から申しまするならば、これは各省、各庁の立場におきましても、十分の協力が期待できるものと思いますし、その協力を期待することに私は無理はなかろうと、こういうように考えておるということを申上げたわけであります。
○加藤シヅエ君 只今大蔵当局からこの節約することによつて、大した支障がないというふうにおつしやるのでございますが、今度の節約によりまして、特に旅費の節約というようなことがございますけれども。こういうような場合に、例えば大きな局とか課とかでは何%の節約ということで、成るほど十人とか二十人とかいうようなかたが何者の旅費の節約をされましても、そのかたは全然旅費を使わなくても、一部の三人とか四人とかが旅費を使えば目的を達するというようなことが考えられますけれども、例えば労働省の婦人少年局などは全国に室長がありまして、その仕事は一人の室長がやらなければならん。その室長の旅費がやはり何%というようにほかと同じように節約されますと、例えば一人の室長の旅費が一年に七千円とかというようなことになりますと、九州から東京まで出て来る旅費さえもない、こういうふうな現状になつているのでございますけれども、それでも業務に差支えないとお思いになりますか、そこを御説明して頂きたいと思います。
○政府委員(愛知揆一君) 誠に御尤もな御指摘でございまして、大きな世帯と只今御指摘のような小さい世帯との間では、御指摘の通り非常に不便の度合が又違うと思います。併し先ほども申上げました通り、この辛いところを大局的な立場から忍んで、事務の高率的な効果を挙げるように図つて頂きたい、こういう御協力を関係各省にもお願いしているような次第でございます。
○小林孝平君 中央官庁の、関係の行政費は相当大巾に縮小されたのでありまするが、今回の予算では地方は野放しになつているのでありますけれども、地方にはこういうような無駄がない、無駄といいますか、節約の余地がないのかどうか、一方に中央では相当大巾にやり、地方では野放しになつている、これは一体どういうことでありますか。
○国務大臣(塚田十一郎君) 地方に今組んでおります予算に無駄があるかどうかということは一応別といたしましても、国がこのように国民負担の状態を考え、非常に困難な中から節約をしているということは、やはり地方でも同じような気持で、堪えがたきを忍んでもやはり同じように節約をしなければならない、こういうように私どもは考えておるわけであります。
○小林孝平君 ただやらなければならないというようなことでは私は済まないと思うのであります。行政は中央、地方を通じて一貫してやらなければならない。中央でこういうようにやるなはらば、地方でもこれに伴つてやらなければ、行政全体として非常にちぐはぐだと思うのでありますが、それで自治庁長官はこれを地方にもやらせるお考えがあるのかないのか。若しやられるならばどういう方法で、如何なる権限に基いておやりになるのか、お伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(塚田十一郎君) 御承知のように、地方財政は自治団体それぞれが自主的に運営をいたしますので、国が節約したからといつて、地方でも予算をどのくらい節約しろというようには、予算計画の上ではできましても、個々の団体の予算の上では中央としては何ら指定できないし、又地方の自治団体がそれぞれ地方の予算を組みますときには、自治団体が組んでおります地方財政計画に則つて組んでおりますから、私どもは今度の国の節約と同じ趣旨におきまして、改めて先般の修正に近い財政の線に沿うた新らしい地方財政計画というものを今考えているわけであります。大体の計画といたしましては、今のところ府県は約一割五分、市町村は一割、これも国の比率からいたしますと、かなり少いようでありますけれども、今の御指摘がありましたように、この小さい規模のものはなかなか一律に大きな規模のようには行きませんので、大体府県と市町村はそのくらいの比率を目安にいたしまして、総額で約五十億近くになるかと思うのでございますが、それくらいの節約を新らしい財政計画というものを樹立いたしまして、それに則つて地方に運営してもらう、こういうように考えておるわけであります。
○小林孝平君 私が従来承知いたしたところでは、この中央の百一億に相当する行政費の節約を大体地方において行えば、大蔵当局の考えでは二百二十億前後になるであろうということであつたようであります。又自治庁は百億円程度だと、こういうふうに考えておられたようでありますが、只今の長官のお話、では五十億ぐらい。この当初自治庁の百億から五十億になつたのは、これはどういう経過で以てこういうふうに少くなつて来たか。私はその後行政機関の非常な不満に応じられまして、百億では少し強いから五十億ぐらい、こういうふうにお考えになつたのかどうか、その経過を……。
○国務大臣(塚田十一郎君) 先ほども申上げましたように、国の節約の程度まで行きませんのは、一つは財政規模自体が小さいということ、いま一つはこの国のほうは大体企画の業務が多いのでありますが、地方のほうはこれを実施する仕事をいたしておりますので、企画の面では割に楽にいたしましても、実施をする段階では削ると非常に支障が起るという事情が一つと、それからいま一つは今回地方自治庁で作成しておりました地方財政計画の枠が少し低目になつておつたということも争えないのでありまして、殊に低目にいたしました点は非常に問題になつております給与の面などにあると思うのでありますが、そういうような三つの事情を考慮いたしまして、やはりこの程度が妥当じやないかと、こういうように考えておるわけであります。
○小林孝平君 今回の行政費の節約百 一億円は、これは今後吉田内閣がしばしば主張されておりまするところの、企図されておりましたところの行政整理のこれは前提になるものであると考えていいのかどうか、お伺いいたします。
○国務大臣(塚田十一郎君) この行政費の今度の節約、国会の修正によつて節約がそのまま行政整理の前提になると私ども考えておらんのであります。併しこの行政費を節約しなければならないという根本に流れておる考え方、つまり国民負担が非常に過度になつて苦しい状態になつておるという考えから推して行けば、当然国費の全面に無駄があるものはどこでも無駄を省く、従つて人件費に無駄があるならば人件費の無駄を省く、こういうふうに行かなければならんから、基本の考え方は同じところから出て来る、こういうふうに御了解を願いたい。
○小林孝平君 私は直接関係のない問題ではないだろうと思うのです。このように百一億円も大幅の行政費の縮減をやれば、その結果はこれは旅費がなくて出張はできない、役所で働こうと思つてもじつとしておらなければならない、書類を書こうと思つても紙が足りない、こういうことで遊んでおる人ができて来る。そういたしますと、遊んでおるから今度は行政整理をやらなければならん、こういうことになつて、これは一貫しておる問題なんです。だからこれは直接行政整理に結び付く虞れがあるのでありますから、私はこれを直ちに結び付けられて行政整理の前提とされるのかどうか、こういうことをお尋ねいたします。私は行政管理庁の長官から御答弁を頂くのもいいけれども、これは最も行政整理は首相がかねて熱心に提唱されておるのでありまするから、総理大臣から御答弁を頂きたいと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○国務大臣(吉田茂君) 主管大臣から御答弁いたさせます。
○国務大臣(塚田十一郎君) これは小林委員のお考えになり方は、お考えになる順序が逆になつておるのではないかと思うのでございまして、私どもの考え方は行政費を節約して余計な人間の手を空けさせて、だから無駄だというふうには考えておらんのでありまして、国民負担の立場から考えて、今やつておる仕事にやらなくてもいい仕事があるのではないか、そういう面から言つて、成るほどこれは今日の国民負担からすれば、或る程度の仕事はもう国でやらなくてもいいということになれば、従つて人間が要らなくなるんだから、これを整理しよう。根本的の考え方の順序が私どもと逆になつておるのであります。
○小林孝平君 ちつとも考え方は逆になつておりませんけれども、水掛論ですからやめておきます。 大体今回のこのやり方は天引節約でありまして、極めて無計画であります。先ほど計画的にこれをやつたように大蔵次官は話されましたけれども、私はここに個々の例を挙げて言うことを避けますけれども、この内容を見れば極めて無計画であります。もつと行政費の節約をやるなら緻密な計画を立ててやらなければならんと思うのであります。そこでこういうような天引節約をやつた結果はどういうことになるかと申しますれば、相当の無理が出て来る、どうしても役所の行政能率を挙げるという政府の方針から一生懸命に仕事をやろう、こう考えてもできないから、従つて何とかそこは流用とか何とかいうことで以てこれが行われて来る。そうしますと、それが度が過ぎて来ますと、相当無理が出て来るのであります。そうしますと、今の塚田さんの行政管理庁を初めといたしまして、会計検査院がこの規則通りに今後この検査をやるということになれば、相当今年度は混乱が来るのではないかと私は思うのであります。首相はかねて行政監査を熱心に提唱されておるのでありまするけれども、こういう今後やらんとしている行政監査はこういうような今年度に起きるであろうところのこの混乱を予想して、そうして強化を叫んでおられるのかどうか、この点をお尋ねいたします。
○国務大臣(塚田十一郎君) 私も先ほど愛知政務次官からお答えになつたように、この程度の節約ならば、非常に運営がやりにくくなるかも知れませんけれども、それによつてやらなければならない仕事をやれないというような結果は出て来ないというふうに考えて誉ます。従つて各官庁にいろいろ不満があるようでありますけれども、併しその不満も国民負担の今日の状態というものを併せ考えて頂けば、その節約というものをしなくてはとても済まないというような考え方で、これも要るあれも要ると言つておつたんではとても節約ができません。どうしてもこれしか財源がないんだ、これ以上使つてはならないのだという、気持から省けないものも省いて行くということでなければとても節約はできないのでありますから、今度のような形で節約し、従つてそれに則つて各官庁が事務を遂行して頂くということは必ずできることであり、従つてそのために行政監察の目から見て職務のやり方がまずいという結果は絶対に起きて来ない、又そうあるように各官庁に御協力をお願いしたい、こう考えておるわけであります。
○小林孝平君 大蔵大臣は先ほどおいでになりませんでしたので、もう一度お尋ねいたしますけれども、今回の百一億というこの修正は相当大巾な修正である。ところがこういう私はこれは無駄なのかどうなのかという質問をいたしましたら、この程度なら大した不便はない、やり方によつてはやれる、こういうお話なんです。国の予算はできるだけ節約しなければならんのだから止むを得ない。そこで大蔵大臣にお尋ねいたしますが、大蔵省の、政府の予算の編成に当つては相当余裕を持つて、今の国家財政の、国民所得の現状から考えて相当余裕のある予算を組んでもいいとお考えになつているのかどうか。只今の政務次官のお話或いは自治庁長官のお話では、相当困難ではあるけれども大した不便はない、事務能率も低下しない、そこで節約できるものは節約しなければならんと、こういうようなお話なんですが、これは行政費だけなんですか、ほかのものは相当余裕を持つて組んでおられるのかどうか。
○国務大臣(小笠原三九郎君) ちよつと本会議へ出席中でございまして、御無礼いたしました。実は予算編成に当つては相当厳重に査定をいたすのでございまして、余裕等はないというところまで十分な査定をいたしております。併しながら今度の本予算を差し出しますに当つても、不成立予算に比べましてまあ四十億だけ是非一つ節約しようというので、旅費、庁費等で節約いたしたのであります。併しこの節約は、これはちよつと打明け話を申しますと、どれだけ見ておるかと申しますと、例えば役所の大臣室にある電熱はやめてしまわなければならん、そんなものまでやつておるかとおつしやられるかと思いますが、それほどに庁費等を節約するといたしまして丁度四十億になつておるのであります。その点今度の百一億に上るこの庁費、旅費等の節減は相当大幅なものでありまして、私どもは実務上には差支えが生じてはならんという点から非常に苦慮いたしておるのでございます。併し国会のほうでこの程度を忍ぶべしということで御修正になつたものでございますから、私どもはこの範囲でできるだけのことをやつてみたい、こういうように考えておるのでありまして、この予算の執行については忠実に、私どもも執行して参りたいと考えてはおります。
○小林孝平君 私は大蔵大臣のお考えのほうが正しいのではないか。先ほどの政務次官並びに塚田さんの御意見では、大した支障がないのだ、ところが大蔵大臣は、これは相当あるだろうけれども、まあ国会で修正されたのだから仕方がない、こういうふうな御意見であるわけでありまして、私は相当食い違つておると思う。これは非常に国家全体の行政能率に関係する問題でありますので、果してこれが能率を低下させないか、するものであるか、しないものであるか、しないものであれば、こういうものを予算に組まれた私は大蔵大臣の責任は相当重大だろうと思う。こんなものがあるならほかにも相当無駄なものがあるのではないかと思う。保安庁の経費などについても同様だと思うのであります。併しこれは時間の関係もありますので、又後ほどお伺いいたすことにいたしまして、次の問題に移りたいと思います。 大蔵大臣にお尋ねいたしますが、本年度は補正予算をお組みになることになつておるのですか、どうなんですか。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 先般の衆議院で予算案修正の際に、いわゆる米の完遂奨励金八百円の分については適当な時期にうち四百円だけを一般会計から出すようにということに相成つております。従いましてこれについては補正予算を組む必要があろうと私は考えております。併しながら御承知のごとく米のそういう問題がきまるのは十月でございまするから、又それまでにどうしても補正を組まなければならん分が出て来るかどうか存じませんが、只今のところは、私どもはそういうものは余り予想しておりません。二十七年度とは大分事情が違つております。あのときには補正予算が多額に上つたのであります。今度は事情が相当違いますので、只今のところその金額、時期等については何ら決定はいたしておりませんが、只今申上げました通り、米の問題がきまりますると、これは一般会計で支弁することにあの四百円分についてはなつておりますので、この場合には補正予算を組む必要があろうと存じておる次第であります。
○小林孝平君 今大蔵大臣は非常に重要なことをお話になつたのです。この完遂奨励金の八百円のうち四百円は補正予算で組むことになつておる。こういう重大なことを大蔵大臣は御承知になつておる。先般来この完遂奨励金の問題については一切知らない、勝手にきめたのでどうもよくわからん、こういうお話であつたけれども、そのうちの四百円だけ補正予算に組むというような極めて重大なる問題をちやんと御承知になつておるのです。これは先般来の答弁と極めて食い違つておるのです。これは非常に私は重大だと思う。これは私は大蔵大臣の心中を考えれば、気持はわかりますけれども、又この問題について先般来からしばくお尋ねいたして、又ここで大蔵大臣にこういうことを聞くのはどうかとちよつと個人的には考えまするけれども、こういう重大な補正予算を組むというような問題まで相談されておるのに、この問題を全然知らんとこの間は答弁されておる。これは明らかに大蔵大臣の考え違いというか、相談したのをお忘れになつていたんではないかと思います。この点は如何でございましよう。もう一度お尋ねいたします。
○国務大臣(小笠原三九郎君) あれは御手許に差上げてありまする説明書類には後日四百円云々と書いてありまして、後日というのは本年内と解しまするので、米の問題がきまつたときには補正予算を組まなければならん、こういうことに承知いたしております。又さつき私はそれについて何も知らないと言つたように仰せになりましたが、これは八百円が完遂奨励金であるということは過日来申上げておつて、それ以上知らないとか知つておるということは、申上げなかつたように私は記憶いたしておるのであります。
○亀田得治君 関連して、ちよつと補正予算のことでお尋ねしておきますが、七月の十八日だつたと思いますが、人事院の勧告が出ました。それに関連して補正予算ということをお考えになつておりませんか。これは公務員としては非常に重要な実は状況になつておるわけです。
○国務大臣(小笠原三九郎君) 人事院の勧告に対しましては、私どもも各種の点から十分検討を加えなければならん、考慮を加えなければならんと考えておる次第でございます。只今のところこの勧告に基いて補正予算を組む、予算の組替えをする、こういう考えは持つておりません。
○小林孝平君 今のこの完遂奨励金の補正予算との問題は、後刻大蔵大臣にお尋ねいたすことにいたしまして、次に中共貿易の問題について政府にお伺いいたします。 朝鮮の休戦がやがて成立することと思うのでありますが、成立いたしました際に中共側から呼びかけがありましたならば、こちらではこれに応ずる考えがおありですかどうか、お伺いいたします。
○国務大臣(岡崎勝男君) 実は中共貿易については、戦略物資等を制限いたしておることは、御承知の通りでありまするが、これは国連の決議に基いてこれに準じてやつておるのであります。従いまして朝鮮の休戦ができましても、理窟上は国連の決議が取消されない限りは状況は変らないわけでありまするが、事実上は休戦ができますれば、相当に変る部面があると考えられます。併しながら中共から申入れがあるかないか、まだそういうことを予想してもおりませんし、元来中共との間には国交等も回復しておりませんから、只今申入れがあつたらどうするかというようなことについてはお答えを差控えたいと思います。
○小林孝平君 それならば民間同士の話合いが進んだ場合に政府はこれを援助する考えがおありですか、どうですか。
○国務大臣(岡崎勝男君) 私もたびたび申しております通り、イデオロギーの違いと経済問題とは別でありまするから、現在でも戦略物資でない物につきましては貿易を認めております。従いまして或る一つの国を差別して不当にむずかしくするとか、不当にやさしくするとかということは、政府としてとらないところでありまするから、ほかの国と同様に普通の貿易については便宜を図るつもりでおります。
○小林孝平君 便宜を図ると言われましたけれども、それならば渡航パスの交付を申請されましたならば、これに対してどしどし交付されますかどうか、大いに援助されるというお話でございましたが、只今のところ外務省の援助の範囲というのはこの程度のものであろうと思います。渡航パスを出されるか出されないか。
○国務大臣(岡崎勝男君) 援助につきましては、援助と申しますか便宜という点につきましては、例えば船荷証券をどうするか、或いは銀行でどういうふうにそれを取扱うとか、いろいろの種類があります。ただ一般の中共行きの旅券を出すかどうかということにつきましては、私どもは特にこれは考慮を要する問題であると考えます。というのは、前にも申しましたが、共産主義国家におきましては、経済の問題は経済だけといつて切離しておらない傾向が多分にあるのでありまして、科学にしても教育にしてもすべて一つの主義を達成するための手段として取扱つているような傾きも非常にありますので、我々は共産主義の宣伝というようなことは正直に言いまして好みません。従いましてそういう心配がある限りは旅券を出すことを躊躇しなければなりません。
○佐多忠隆君 関連して……。今のはそういう宣伝その他を目的としたものには出さないけれども、一般的には禁止をしているのではなくて、貿易の伸長その他経済的目的を以て入るものであるならば必ずしも拒否はしない、出すことはやぶさかでないというふうに了解しておいていいのですか。
○国務大臣(岡崎勝男君) 私の申したのはそうじやなのでありまして、こちら側からは普通の貿易のために行く人に対しましても、先方において共産主義の宣伝をやるかも知れん、又先方から貿易のためと言つて来る希望者がありましても、それが真に貿易だけのために来るかどうか疑わしい点もなきにしもあらずと考えて今申したようなことを申しておるのであります。従いまして只今のところは一般的に申しますと、特殊の例は別にありますけれども、旅券を出すことは躊躇せざるを得ないと考えますが、朝鮮休戦の模様によりましては、或いは国連決議等の取扱いがどうなるかによりまして又これは変つて来る場合もあると考えております。
○松澤兼人君 吉田総理にお伺いいたしたいのでありますが、最近新聞紙上におきまして総理が近く外国へ行かれるというお話が伝えられているのでございますが、総理自身にもそういう意向があるようにも新聞は伝えておりますが、この辺の点について総理はどのようにお考になつておられますか、承わりたいと存じます。
○国務大臣(吉田茂君) 新聞が私の知らない間にいろいろな説まで作るので、実は本人が驚いているようなわけであります。私が参るか参らんかということは、内外の事情にもよりますが、参つてお役に立つという確信があれば行かないこともありませんが、只今のところはまだ行くとも行かんとも考えておらん間に新聞のほうが宣伝をしてくれたというのが実情であります。
○松澤兼人君 先般は平和条約の締結に対しまして大変御老体御苦労であつたと思うのでありますが、内外の情勢を考えて見ますと、この際総理が外国へ行かれまして、いろいろの懸案について少くとも話合いをなさることが誠に適当ではないかと、こう思つております。勿論内政の問題や或いは国際的な問題、必ずしも総理が外国へ行かれるような好条件が揃つているとは考えませんけれども、そういう事情の変化がありまして、総理自身が行つてお役に立ちたいというお気持があるならば、私は大変結構なことだと考えるのであります。たた併し私はもう一つお伺いいたしたいことは、特に我々アジア人といたしまして、先ず第一にアジアにおける国際的な親善関係を早急に設定する必要があると存じますので、新聞に伝えられておりますように、アメリカへ旅行せられるということも誠に結構でありますが、むしろ私はそれより前にアジアにおける友好的な関係や或いは親善関係を設定する上において総理に御苦労をして頂いたならばと、こう思うのでございますが、その辺につきましては如何でございますか。
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。 アジアの諸国との間の善隣関係については、かねて申しておりますが、ど、うかしてこの親善関係を増進せしめたい暑えまして、従来もいろいろ二、三、或いは今日は四、五の人になりますが、派遣いたしております。又日本が親善関係を単に口先だけで進めると言いましても、これは相手方としては その言う通りに受取りもいたしますまい。これは実行が伴わないことでありましたならば、相手方は却て迷惑に考えるかも知れません。そこで実際親善を増進するのにはどうしたらよいか、これは結局貿易であるとか或いは事業であるとか、或いは技術者を送り出すとかいう実行の面が伴わないといけないと思います。この実行の面を促進するために更にフィリピン或いはインドネシア、インドとかというようなところといろいろの問題について話をされております。この話が実を結ぶならば、単に親善関係増進という口先だけでなくて、相手方においても日本の政治を信用いたしてくれると思います。又例えば昨日も申したのでありますが、戦犯の釈放についてフイリピン政府は非常な好意のある措置をいたしてくれましたから、私はこの間もフイリピンの上院議長でありますか、見えたときに、感謝をいたすと共に、我々も又賠償問題についても十分に考える。併しながら支払能力のない日本に支払えと言つたつて支払われないのだから、支払わられるようなふうにして、条約にある賠償問題についても実行いたすつもりであると申して置きましたが、ただ口先だけでなくて、実際問題、具体問題についてだんだん話を進めて参りたいと思います。そのために私が参るがいいか悪いか。或いは事情を知つた人が参つたほうが一層有効に話ができるであろう、又従来アジア諸国との間に関係を持つた実業家その他が行かれたほうが一層適切ではないかというような考えもありますが、いずれにしてもアジア諸国とは一層親善関係を進めたいと考えております。
○松澤兼人君 総理御自身はまだアジアの方面に対しましては御旅行の御意思がないようでございますけれども、政府又は総理大臣の代理者、若しくはそれに準じた立場からいろいろと御関係のかたが東南アジアの方面に行つているのでございますが、こういうかたがたの御報告によりまして、更にこういう面を積極的に推進するということを必要とお考えになりますか。或いは又はそういうかたがたの報告によりまして、これは公式な国際会議というものでなくとも、日本におきまして、或いは吉田総理、若しくは吉田個人といたしまして、各国の政界、財界その他の代表者をお呼びになりまして、極くアツト・ホームの気持でお話合なさることは、非常にアジアにおける親善関係の設定に必要であると考えるのでございますが、この辺のところは如何でございましようか。
○国務大臣(吉田茂君) 御意見は御尤もでありますが、私もそういうふうに考えております。現に外務省の中には懇談会でありますか、委細は外務大臣からお話しますが、この問題の実現に……、この問題というのは、アジア諸国との間の親善関係を増進するために特に委員会を設けて研究もさせ、又報告もさせ、又報告に基いて人も派遣するというようなことをいたしております。委細は外務大臣からお答えいたします。
○国務大臣(岡崎勝男君) 今総理がお話になりましたように、この親善関係を如何に具体化するかということにつきましては、我々今仮にアジア経済懇談会という名前を付けまして、各方面の権威の人をお願いしまして、毎週研究を続けております。その結果、具体的な措置も来月あたりからできるであろうと予想しております。ただ、今お話のような個々の、各国の代表者のようなかたを集めて話合をする、これが普通にできれば非常に結構でありますが、ややもしますと、これが又日本のヘゲモニーであるとか、日本の何と言いますか、指導権とかいうような議論も全然無きにしもあらずでありますから、そういうことがなくてできれば、これに越したことはないと思いますが、この点もよほど注意しなければいけないと思いまして、アジア諸国の問題につきましては、日本の経済の進展であるとか、日本の指導権というようなことの、いやしくも疑いのないようにいたしたいと思つて、特に注意をいたして研究を続けております。
○松澤兼人君 ついでに外相にお尋ねいたしたいのでありますが、外相御自身も何か近くアジアの各国のほうにおいでになるという新聞記事が出ておりましたが、喜んでおいでになるということも新聞で読んだのでございますが、最近におきまして、そういうお考えがございましようか、この点を一つ……。
○国務大臣(岡崎勝男君) これも実は種を明かしますると、総理のと同じでありまして、まだきまつておらないのであります。新聞のほうに先に書かれておるようなわけであります。併しアジアとの経済その他の関係を緊密にいたしますことは必要でもありまするし、又強く念願するところでありまするから、若し私が行つて役に立つならば、これは勿論喜んで出かけたいと思いまするが、これはまだ全然きまつておりません。
○松澤兼人君 これは多くの人々によつて指摘されているところでございますが、朝鮮の休戦成立によりまして、特需の問題が大きく浮び上つて参つて来ております。将来特需が減少するものであろうかどうか。或いは特需に代る経済自立の方策として、どういう点が真剣に考慮されなければならないかというような問題が非常に大きな問題となつているのでありますから、特需の将来につきまして、外務大臣としてお考えになつておりますところがございましたら、お聞かせが願いたいと思います。
○国務大臣(岡崎勝男君) 日本のこの外貨の不足が特需で補われておりますることは、これはまあ結構ではありまするけれども、決してこれがいつまでもこの通りで行くべきものでないことは当然でありまして、でき得るならば特需に待たずして、外貨のバランスをとるようにいたさなければならんわけであります。そこで朝鮮の休戦ができますると、勢い今までのような種類の特需は漸減するであろうと思います。すぐには減らないにいたしましても……。そこでこの機会に、一方におきましては貿易のバランスをとるための努力を一層強く国内でいたさなきやならんと考えております。併し差当りはアメリカ側でも、先般朝鮮休戦のできそうになりました際に、日本の経済界等が非常に心配したのを見てとりました結果でありましようが、ドルの注文は全体として二年間くらい余り減らないであろう、実質的には減らないであろうということを発表いたしておりますので、この点は恐らく、例えば朝鮮の休戦によりましても、武器等の注文が減れば、今度は復興資材等が又必要になつて来るというようないろいろの考え方で、全体としての特需の……、まあ特需と言つちや語弊があるかも知れませんが、額が減らないのじやないかと思われまするけれども、私としましては、仮に減る場合も予想いたしまして、この際一層この目立経済のほうに努力を傾けるべきものだと考えております。
○松澤兼人君 窮極におきましては、日本の経済自立ということが目標であろうと思います。併し特需が若し減少した場合に、経済自立を達成する方法というものはいろいろ考えられるのでありまして、一面におきましては、或いはMSAによるところの援助ということも考えられるでありましようし、或いは又は貿易の規模を拡大するということも、その一つの方法かとも考えるのであります。私は政府が何か非常に東南アジアに対して重点を置いて、中国本土の貿易に対して警戒的であつて、これを促進する何らの方法も講じておらないような感じを持つているのでございます。勿論中共貿易につきましては、先ほど小林君から御質問がありましたように、いろいろの制限のあることはよく存じているのであります。併し現在我々が東南アジアを重点に置いて貿易の規模を拡大しようといたしましても、そこに又いろいろの困難があるのでありまして、アジア全体としての貿易の規模を拡大するということが、今後の中心の題目でなければならないと考えるのでありますが、で、外務大臣はこの点につきまして、日本の貿易規模を拡大するという点で、外交上現在までどういうお考えで、どういう交渉をしておられましたか、お伺いしたいと存じます。
○国務大臣(岡崎勝男君) 私のほうは東南アジアとは特に密接な関係があることは、これはもう申すまでもありませんけれども、貿易の輸出入の量の拡大ということになりますと、少ないところでも決しておろそかにできないのでありますから、例えば中南米であるとか、或いはトルコ、イラン、イラク等の近東地方であるとか、或いはアフリカであるとか、こういう方面にもそれぞれ手を打つて、少しずつでもパーセンテージが殖えるようにやつております。それから中共貿易のお話でありまするが、これは私はほかの国と同様にはいたされない。というのは、少なくとも国連から侵略者という刻印を押されております現在におきましては、全然ほかの国と同様だということは私は言えないと考えております。又一概に、あの中共貿易さえやれば日本の困難は一時に回復するのだというような誤解を国民に与え勝ちであります。で、中共の貿易も元の非常に盛んなときといえども、実際は本当の種類の貿易じやなくして、満州における種々の特権に基くものであるとか或いは天津とか、上海とかの投資に基くものが非常に多いのでありまして、純貿易にしますると、それほど言われるほどのことはないというのは統計の示す通りでありますので、こういう誤解を与えないようにいたしておる面もあるものですから、とかく消極的に思われておりまするけれども、併し現に昨年末には九十何品目の貿易品目を除外いたしております。又先般三十数品目除外したようなわけでありまして、決してイデオロギ治の違いを以て貿易を除外するという考えは持つておらない。ただ、今申しました通り、侵略者ということから出てきまする戦略物資等の制限、これはもうはつきりと私どもは守るつもりで、又やつております。これも併し休戦ができ上りますれば変化をする場合もあるかと考えております。
○松澤兼人君 更にお伺いしたいことは、先般も岡崎外務大臣にお伺いしたのでありますが、やはり日本の経済自立のためには、余りこの言葉は岡崎さんの好きな言葉ではないようでありますが、アジアの後進地域の開発であるとか、未開発地の開発であるとかいうことに対する我々の積極的な協力ということが重大な意味を持つて来ると考えるのでありますが、我々の心配いたしますことは、勿論積極的に、アジアの後進地の開発に対して我々が積極的にやると申しましても、とつつきようのないような現在の状態であることはよく承知しているのでありますが、それでも可能なる範囲においてこういつたアジアの開発のために日本が協力する可能性があるとするならば、どういう点に、又どういう手がかりからこれに積極的な協力を与えることができるか、この辺ついてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(岡崎勝男君) これは先ほども申しましたように、とかく日本の経済侵略であるとか、日本の指導権確保であるとかいうような説も行われ勝でありますので、よほど注意しなければなりません。そこで私ども差当り考えておりますのは、政府が先に乗出してこういうことをやることは、徒らに反対の人々に口実を与えることになりやしないか。そこでできるだけ民間の会社がビジネスとしてこういう問題を取上げて、そうしてそれがビジネスとしてはなかなかすぐには成り立たないわけであります。三年、四年経てば別であるが、その間はできるだけ政府において面倒を見て、資金の融通であるとか、或いはプラント輸出の場合にはそれの援助であるとか、いろいろな面倒を見て、数年間は収益が上らなくても先を楽しみにしてやれるような形にいたして、民間の会社のビジネスとしての進出をできるだけ援助する。これが一番適切な方法じやないかと思いまして、その方法で只今各方面に話をいたし、又現地の視察等を奨励いたしております。
○松澤兼人君 それでは少し問題を変えまして、岡崎外相は先般衆議院の外務委員会におきまして、須磨彌吉郎氏との間の質疑応答において、何か注目すべき発言をなすつたように聞いているのであります。私が承わつております節囲内におきましては、憲法の改正はなすべきではない、或いはMSAの援助は特別の事情がない限りは受けたほうがいい、こういうお話のように聞いているのでございますが、大体それに間違いはございませんか。
○国務大臣(岡崎勝男君) 私の考えはその通りであります。
○松澤兼人君 そこで最後はこの憲法の改正をしないということと、MSAの援助は受けたいということとの上下の枠の中で、或いは自衛軍というか、或いは保安隊というか、これが実質的に一つのものとなつて防衛の任務を分担するのだといつたようなことを結論として申されたやに承わつておりますが、この点も大体間違いございませんか。
○国務大臣(岡崎勝男君) 我々は只今申しました通り、憲法では戦力を持つことを禁じられておりますから、戦力に至るものは持たない、即ち憲法を改正しないで日本の防衛をやることにしましても、戦力に至らざるものを持つべきである。こういう考えを持つておりますが、又同時にMSAを、ほかの条件が差支えなければ受けたい。これによつて少しでも装備なり何なり改善をいたしたい、こう考えておる。ところが改進党の須磨君の御質問によりますと、須磨君も憲法は改正をする考え方ではない。又MSAはできることなら受けたいそうであります。そうであるならば、その中間における考え方というのは余り変りがないように思われるという趣旨のことを申しました。
○松澤兼人君 そこで改進党の考え方と、まあ外務大臣の考え方とはほぼ一致点を見出した、こういうことになるのでございますが、その点につきましては、すでにあらゆる機会において繰返し論議されていることでございますが、更にやはり問題は未解決のままの点がございまして、つまりその間の中間的な考え方として保安隊というものになるか、或いは自衛軍というものになるか、一応は二つの前提の中においてこの問題が考えられるということになるであろうと考えるのでありますが、併し私はいよいよMSAの援助を受けるということになれば、保安隊というものは当然変質をするであろうし、若しくはその性格が変つて来ると考えるのでありますが、憲法を改正しないで、そういう保安隊の変質とか、或いは保安隊の新らしい性格というものが果して可能であるかどうかという問題でございますが、如何でございますか。
○国務大臣(岡崎勝男君) 私はちよつと言葉尻の議論のようになりますが、MSAを受ける結果、保安隊の性格等が変つて来るというふうには考えておらないのであります。というのは、アメリカ側では如何ようにきめようとも、それは日本政府のきめ方であつて、つまり自衛力の漸増の態様であるとか、時期というのは日本政府がきめることであつて、アメリカ側が何らこれに容嫁すべきでない、如何ように日本政府がきめられようとも、それに応じての援助をするつもりである、こう言つておりまするから、これは純然たる日本政府なり、日本国民なりのきめゐ問題であると考えております。なお、今おつしやつたような憲法問題は随分言い古されておりまして、私がここで専門的な意見を述べるわけに参りませんが、私の了解するところでは、憲法で禁じられおりますのは、いろいろ前にありますが、侵略戦争とかいうことが……。併しはつきり禁じておりますのは戦力であります。戦力の定義は木村保安庁長官がしばしば申されておる通りであります。我々としては、憲法に禁じておる戦力は持つ意思もないし、又憲法を改正する意思もないわけでありますから、戦力は持つ考えではないのであります。戦力に至らざるものであるならば憲法では禁じておらないと私は考えております。
○松澤兼人君 今後保安隊が変質するであろう、性格が変るであろうということは、最近岡崎外務大臣が先般の外務委員会で述べられた点、これは外海大臣は恐らく何ら自分の考え、政府の考えは変つていないとおつしやることと存じますが、併し見方によりましては、我々はここに多少の変化というものを見逃すわけに行かないと思うのでありますが、更に木村保安庁長官がMASの援助を受ければその内容によつて保安隊の性格は変化するかも知れない、こういうことを言つておられるのでありまして、これも果して従来の保安庁長官が言つておりましたことに対する変化でないという弁明が出て来るかもわかりませんが、政府の各方面の意向がだんだんと従来考えられおりました、つまり保安隊の設置のときに保安隊の目的というものをはつきりと法律的に規定いたしましたものから少しずつずれが来ておるように考えるのでございますが、この点は総理大臣にお伺いいたしたいのでありますが、こういう木村保安庁長官なり、岡崎外務大臣なりが従来と多少違つたような意向を漏らしておられますけれども、総理といたしましては、政府の見解は依然として何ら変化がないものであるとお考えになりますか。多少MSAの関係などにおいて、最近は少しずつ考え方が変つて来たかという点につきまして御見解を承わりたいと存じます。
○国務大臣(吉田茂君) 政府の考え方は、又閣僚の考え方も従来と少しも変つておらんと私は確信いたしますのは、特に外務大臣からもその他の閣僚からも違つた考えは述べておらないのであります。故に政府の考え方は少しも今日において変つておらないということを私は断言して憚らないのであります。
○松澤兼人君 総理大臣にお伺いいたしたいと存ずますのは、最前もちよつとお話が出ておりましたが、総理が何か行政改革に対して御意見をもつておいでになつて、漸次それが具体的な形をとつて来るのじやないかということを想像されるのでございますが、最近の機会に行政改革、行政整理というようなことをお考えになつて御意見をお漏らしになつたことがございますか、どうですか。
○国務大臣(吉田茂君) お答えをしますが、最近の機会において閣議以外において、或いは閣議においても、私は最近において話したということは記憶がありませんが、併しかねてから行政整理、行政機構の整理と言いますか、それからよつてもつて行政費の縮減ということについて自治庁長官において研究してもらいたいということを委属しております。まだ答申が出ませんが、併しこれはいたさなければならんということは申上げております。
○松澤兼人君 総理は非常にこの問題については、固いお考えをもつていらつしやるように承わつておるのでございますが、只今の答弁では非常にまあ確定的なものは何もおつしなやらかつたようでございます、私は行政改革というものは、勿論ある時期においてはやらなければならないと思つております。併し機構の改革であるとか、或いは事務の整理であるとか合理化であるとかという点は、今後もこれは単に政府ばかりでなく、我々に自身もそういう点は考えて行かなければならない問題であると存じております。併し、ともすれば安易な途をとりまして、予算に現われて参りましたような天引き百一億の庁費の節約であるとか、旅費の節約であるとかいつたようなことをすればそれで事が済むといつたようなふうに、極めて安易な考えを取つておられるかにもあるように考えられるの一であります。若しそういつた行政改革なり、或いは行政機構の改革などということをやられるとすれば、これは単なる思いつきばかりでなくて、相当に準備をして大幅な各方面の意向を聞いてなさるべきことであると存ずるのでございますが、総理がそういつた広い意味の慎重審議の上に行政整理と申しますか、そういうものをおやりになるのでございますか、或いは簡単に人員整理ということをなさろうとしておいでになるのか、その辺のところを一つ……。
○国務大臣(吉田茂君) 行政整理のこ」とは、これは思いつきでも、又昨今に始つたことでもないのであります。この前の内閣、前々内閣でありましたか、とにかく着手いたしまして、そうして人員を相当減らしましたが、それで不十分であります、というのは、だんだんやつてみますると、行政の簡素化を計らない限り人を減らし或いは予算を減らしてみても、絶局どつかに転嫁せられるというたけの話で、右から左に移すだけの話で仕事は減らず、機構が減らない限りは行政整理の目的は達せられないのであります。故にこれは前々内閣以来自治庁において研究をいたしておつて成案を得て、そうしてこれを確か委員会があると思いますが、これに付議してそうして広く意見を求め、実行いたしたいと思つて、昨今の思いつきでもなく、昨年以来、確か一昨年以来であるかも知れませんが、自治庁において絶えず研究いたしておる懸案であります。
○松澤兼人君 総理が自治庁とおつしやいますことは、恐らく間違いであつて、行政管理庁の長官或いは行政管理庁であろうと考えるのでありますが、そう了解いたします、そこで勿論現在地方行政の面などにおきましては、地方制度調査会というものがございまして、いろいろと研究しておるようでございます。併しそこで考えなければならないことは、日本の現在の行政機概というものは非常に中央集権的になつておりまして、或る意味におきましては、もつと地方分権ということになつてもいいのじやないかと考えております。そこで極く簡単でよろしうございますが、国それから府県、市町村といつたような団体におきまして事務の再配分をいたすとするならば、どのようなことが適当であると考えでございますか、総理の御意見を承わりたいと思います。
○国務大臣(塚田十一郎君) 只今総理の御指示によりまして鋭意検討いたしておりますのでありますが、まだ具体的な案はまとまつておりませんけれども、大体国におきましては、私どものものの考え方から、国ではやらないでも、もういいというようなものはできるだけ国でやらないようにして、ほうの機構を簡素化して行く、それからして国と地方との関係につきましては、地方の出先機関は原則としてこれは廃止して、そうしてどうしてもやめることのできない事務は地方へもつて行くほうがいいのじやないか、こういうように考えております。只今相当まだ中央集権的だというような御意見のようでございようなけれども、私は必、ずしも今の行政の状態ではそうばかりは言えないので、かなり地方に仕事が多くなつておりますし、人員の数なども中央より地方のほうが遥かに多いのであります。従つて今度の改革で中央は相当見通しがつきましても地方をどういうように整理するかということがなかなか困難な問題になつております。今度の改革で特に気を付けなければならないのは、中央の人間を減らして、何でも地方に押付けてしまうというような形の改革はどうしてもできないので、地方も国のやはり構想に従つて、できるだけ縮減をしてもらう、併し国から地方に移したほうがいいと考える事務は成るべく国から地方に移したい、こういう構想で案を今練つておるわけであります。
○松澤兼人君 塚田君が来られたから重ねてお伺いいたします。先ほども問題がありました中央における庁費と申しますか、事務費、旅費の節約が百一億、中央においてそういう方法をとるのだから地方もこれに準じてやつてもらわなければならんというふうにやつてもらいたいとういようにおつしやつたのであります。併しこれは勿論国民の負担が過重であることもありますけれども、併しこれは当初予算に組まれていたわけではございませんので、たまたま修正の過程において百一億というものが大体出て来たという、これは偶然の結果であろうと思うのであります。それが証拠には小笠原大蔵大臣は当初の予算のほうが、政府の原案のほうがいいと思つているのですから、つまりこれは偶然でこういうことになつたので、その皺寄せをどこへ持つて行こうかというので、まあ庁費の節約百一億ということになつたのではないか、ところが地方のほうはそういう別段の、特別の事情もない。併し国でやつたら五十億というものはこれは地引でやつてもらわなければならん、こういう一方的に押付ける考え方はどうかと思うのでございますが、この点如何でございますか。
○国務大臣(塚田十一郎君) 地方が非常に財政が窮乏しておるということよ久しく唱えられておるところであり、私どもも今まで自治庁が計画をいたし作定をいたしました地方財政計画ではそういう面も確かに考えられるところがあると、こういうように考えておる。それが又中央に向つて地方財政が窮乏しておるという地方団体の声になつておるのです。併しそれと同時に私はやはりそう言いながらも地方財政というもの、それから地方自治体の予算としうものに全然無駄がないということはやはり言えない。だからして地方が非常に財政窮乏しているということと、地方財政にそれにもかかわらず節約すべき面があるということと非常に矛盾しているようであるが、両立している問題だとも考えられる。従つて今度の国会における予算修正においても、地方財政の窮乏している面は五十億の平衡交付金の追加で考える。それと同時に今の冗費はやはり避けるという意味において節約も一緒に地方に考えて頂くということは十分考えられることであると、こういうように考えております。
○松澤兼人君 地方自治庁長官がそういうふうにおつしやるならば地方としてはそれを聞かざるを得ないし、地方が聞かなければ又平衡交付金とか何とかこういうようなもので抑えられるわけでありますから、これは地方自治と言いましても、相当中央の権限というものは末端まで及んでいると考えなければならない。併し国のほうでは昨年末〇・二五の期末手当の増額をやりましたが、併しこれは地方においては十分に財政的な裏付けのなかつたために、いまだそれが渡つていないところもあるわけであります。ですから国のほうがやるからと言つて地方にこれを押付けても必らずしもうまく行かないところもあると思うのです。だからそれのところは余り過大な要求と申しますか要請と申しますか、そういうものを下におだしにならないほうがいいと思うのでございますが、その点如何でござりますか。
○国務大臣(塚田十一郎君) これは国の方針に従つて地方に節約を要請すると申しましても、自治庁としていたしますことは、自治庁が地方財政計画を策定いたします場合に節約というものを織込んで策定をし直し、従つてその新らしい計画に従つて起債や平衡交付金を配分するという形においてしか統制できないのでありまして、個々にお前のところの予算はこれだけ節約して組直せというような指示はできないのであります。従つてそう強く御指摘のような中央からの統制というものはできないのでありますが、併し気持としては、やはり相当強く節約というものを希望としてお願いをしたい、こういうふうに考えております。
○松澤兼人君 総理に最後にお伺いいたしたいと思いますが、MSAの問題は国民がすべて非常に関心を持つております。いろいろな交渉権富であるということも聞いているのでありますが、併し現在国会におきましても、況して国民一般といたしましても、現状はどういう状態で進行しているかということはついては全く暗中摸索の状態でいるのであります。そこで私どもは秘密独善外交であるとかいうようなことをいろいろと申上げているのでありますけれども、併し適当な機会に少もくと国会を通じて交渉の現段階というものが、どういうことになつているかということを政府から御説明なり或いは又発表なりがありましたならば、国民は今後どういう方針で経済自立が進んで行くかというこうとに対して非常に大きな参考になると考えるのでございますが、この点は総理として如何ようにお考えになりますか。
○国務大臣(吉田茂君) 頻りと私が秘密主義で独善だというて攻撃するのでありますが、私は何も秘密が好きでやつているわけではない。いわんや独善が好きで、趣味でやつているわけではないので、交渉は要するにうまく行きさえすればいい、又交渉の結果は、これは今日民主主義国においては政府がひとりこれを秘密にいたしましても、国民が了解しない条約の実行とか或いは実施ということはできないと思いますから、これを私が飽くまでも秘密を好むが故に秘密にいたすわけではなく、又適当な機会において国民の了解若しくは国民の知識を求めるのは必要であり、又いたさなければならんところでございますから、無論或る程度の話合いがつくか、又話合いがついた結果は国民に広く知らしめて、そうしてその協力を求むるという時期において少くとも国会において了解を得ることは、これは無論外務大臣が当然せられることと確信いたしております。その場合私が独善主義のために、待てやめたらよかろうということは決して申しませんから、その点は御安心を願います。 ―――――――――――――
○武藤常介君 私は総理大臣にお伺いいたしたいのであります。問題は教育に関する問題でありまするが、根本的な問題でありますので特にお願いしたいと思います。 政府は資本蓄積や合理化による経済の再建を非常に強調いたしておりまするが、これは目下としては当然なことと私は考えます。併し私の見るところでは物質的な面や目先の効果ばかり余り考えておりますると、今後二十年先、又は三十年の将来を考えるときに、現在の新らしくやつたところの設備機械、或いは新らしいところの技術、こういうものはその二、三十年先には役に立たないものになつてしまうであろうと私は思うのであります。そのときに施策として残るものはやはり教育だけであると私は考えるのであります。ところが教育に対してどのような施策を政府が考えているかと申しますると、或いは日教組が怪しからんとか、或いは法律でこれを何とか動きのつかないように或る種の弾圧を加えようとか、こういうようなことがあるように私は察せられるのでありますが、成るほど地方によりましては日教組などの活動が或いは行き過ぎがあつたかもわかりません。併しながらこれを強圧したからといつてその問題は解決しないと思うのであります。どうしても教育の振興根本は優秀な人材がどんどん教育界に続いて入つて来るようにすることであります。又現在の教職員が誇りをもつてその職に安んじて当つて行くことのできるようにすることである。即ち品位ある生活ができて、教育に本当に専念して行くことができるようにしてやることであると考えるのであります。即ち教員の待遇を引上げるというのであります。然らば教育の待遇は悪いのかというと一般公務員に比して悪いのではありません。或いは表の上では一般公務員より進んでいるかもわかりません。一体この戦争後は知識層の所得は一般的に私は減つておると、こういうふうに思うのであります。併しながらこれを一挙にして上げるということはなかなか困難なことであります。一般的に申しますならば、或いは行政整理等によりまして待遇の改善もして行くということが必要だと思うのでありますが、私はこの教育の重要性を考えまして、この教員の待遇というものを特に切離して待遇することが必要であろう。それも私は給与ベースの問題ばかりではありません。給与の表から見ますというと教育者は決して悪くない。けれども地方の状況から申しますというと種々なる関係がありますが、殊に住宅問題等におきまして、適当にこの人事の異動をして、適当な教育の振興をしようと思いましてもこれがどうしても十分に行われない。これらは要するに住宅等の不足であり、その他種々ありまするけれども、とにかく教員の待遇を何とかいま少し進めて行かないならば、これは重大な問題で、この問題が一年遅れるというと数百万の子弟がもはや一年で卒業してしまうのであります。その禍根というものは数十年にまで影響するのであります。最近非常に問題になつておりまするところの平和条約の締結もどうも非常に失敗に終つたとか何とかいうことがありますが、これも誠に重大な問題でありますが、私は教育の問題はそれ以上重大な問題ではないか、我が国の将来の運命を決定するような重大な問題であるのではないだろうか、こういうふうに私は考えるのであります。かような点から考えまして、総理大臣は何とかこの教育者が本当に力ある教育ができるようにする考えはないか。今までのように単なる作文とか或いは訓示とか、或いは法律であるとか、こういうふうなことを何回繰返しても大しだ効能がないと思うのであります。この点に対しまして総理大臣の教育に対する見解をお聞きしたいと考、んるのであります。
○国務大臣(吉田茂君) ちよつと聞き逃しましたが、力の教育とおつしやつたのですか。
○武藤常介君 力ある活動……。
○国務大臣(吉田茂君) 力ある活動。私も教育問題は国家の運命を支配する重大な問題と考えます。故にこの日本の教育制度の改善といいますか、又完備、これについては政府としては十分の注意をいたしたい、十分の力をいたしたいと考えておるのであります。教育ということになれば、結局この教育者の人柄とか、或いはお話のように教育の聖職に従事するという気持を持つておられたいとは思いますが、いわゆる日教組の行き方については、お話の通り行過ぎがあると私も思います。この行過ぎをどうしたらいいか。これを別に抑圧するとか何とかという考えで臨む考えはありませんが、委細は文部大臣からお話があると思いますが、待遇については、これは教職員ばかりでなく、一般国家公務員の待遇は決して理想的のものではなく、又家の問題については、別に教職員ばかりでなく、国土荒廃の結果住宅難が各地において起つておるのであります。いわんや小学校その他においての教職員の住宅等は不完全なものであろうと思いますが、又校舎についても修復したい校舎があるという陳情はしばしば受けるところであります。併しこれも大戦の結果国土が荒廃せられた日本としては、漸次これを回復するということでなくては、一時に完成を求めるということはむずかしいことではないかと思います。それで政府としては十分そういうふうの改善については力をいたしますが、この力をいたすについては教育者自身の協力、或いは指導といいますか、協力を得なければできないことと思いますので、協力は望みますか、抑圧するというような考えは毛頭持つておらないことを申添えます。委細は文部大臣から……。
○武藤常介君 只今総理大臣の御答弁がありましたが、今回の予算におきまして三本建の給料が大体決定されるかと思うのでありますが、これによりまして高等学校の教員は相当待遇されるようになろうと思います。私もこれは当然なさねばならんことであると思いますが、これに伴いましてこの中小学校の教員が非常に淋しみを持つておる。これはどういうわけであるかというと、従来でも中学校、小学校は非常に事務が煩瑣で而も時間的にも非常に務めが困難で、それにもかかわらず割合に待遇は上らない。最近は非常に上つて参りましたので、大変に喜んで参つたのでありますが、ところが今度の問題から或いは中小学校には優秀な教員が希望しなくなるのではないか、こういうふうな心配を持たれております。私は今回三本建にしたことは至極結構なことであるが、これと同時に将来においで教育者の優遇を必ず、給与ベースばかりではありません、種々なる意味において優遇をどうしてもするように、政府において特段の注意を払われたいと存ずるのでありますが、これにつきまして重ねて総理大臣の御意見をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(大達茂雄君) 私からお答えを申上げます。教職員の待遇の向上、改善につきましては、常に事情の許す限りこれは努めて参つております。三本建の問題でありますが、これは一口に三本建ということを申しますが、それだけでは内容がはつきりしないのであります。只今政府として考えておりまする三本建、これは勿論人事院勧告に基きまして改めて法律案として提出される順序でありますが、私どもが今考ええております三本建と申しますものは、それほど三本建と厳めしく言うほどのことではないのでありまして、ただ現在の高等学校教職員の給与の実情から見まして多少の修正を加える、その修正した関係において中小学校の教職員の俸給と違いが出て来るという程度のものに過ぎません。同じ学歴を以て就職する者は、高等学校でありましようとも、或いは小中学校でありましようとも、同じ俸給でスタートをして参るようなことを只今としては考えておるのでありまして、無論いわゆる三本建になりましても、これがために中小学校の教職員に不利益を及ぼすというようなことはないのであります。中小学校、高等学校を通じて今後とも教職員の待遇の改善に努めて参りたい、かように考えております。
○武藤常介君 時間の関係で実は詳しいことは省略いたそうと思つたのですが、幸い文部大臣がお見えになりましたからいま一、二お伺いいたしたいと存じます。我が国の現在の内閣の方針、これは大体資本主義的な傾向によつてすべてが組まれている。ところが初歩の小学校、中学校を担当する先生の大部分はこれに反対する傾向を持つている。お近くだから御存じでありましようが、東京都内におかれましても相当教育者の態度が変つている。これを文部大臣としてはこれでよろしいとお考えになつておりますのか。それとも又どういうふうに改善しようとお思いになるのか。これにつきまして時間もありませんから簡単に一つお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(大達茂雄君) 私はいわゆる大多数の小学校、中学校の教職員の人々はいわば極めて穏健な考え方を持つており、特に片寄つた考え方を持つておるとは思わんのであります。ただ教職員の団体であるいわゆる日教組と申しますか、この日教組の団体としての動き方には、これは世間にもすでに相当批判もありますし、行過ぎな点があろうかと思います。私どもとしましては、日教組の動向というものが多数の教職員に及ぼす影響力という点から考えまして、常に周密な注意を払つてこれを見ておるのでありますが、先ほど総理大臣からも答弁がありましたように、決してこれを抑圧するとかいうふうな考えは持つておりません。ただ我が国の教育というものと、学校教育に片寄つた政治的な影響が教育の上に持込まれるということは、これは御指摘の通り長い目で見て今後十五年、二十年たつたあとに来たるべき結果に恐るべきものがあると考えておるのでありますが、教育における基本の観念である教育の中立性、これを維持することにはあらゆる努力を払つて参りたい、かように考えておるのであります。私は今日の教職員が直ちにそういう傾向を示しておるというふうには考えておらんのであります。
○武藤常介君 只今文部大臣のお話によりますと、大変に結構なようでありまするが、日教組の影響は相当中小学校の若い先生に私は滲みておると考えるのでありますが、一体この教育者とほかの公務員との給与ベースにつきまして私は考えるというと、こういう差があると思うのであります。官庁にしますというと、例えば各課がありますと、その下には種々なる役目がありまして、最後に給仕までおる。ところが学校の教育者になりますというと、教育者になれば早速一学級を担当する。而もその担当することが初歩の学年を担当するというと、その児童に及ぼすところの精神的の影響というものは実に大なるものがあるのでありまするが、この基礎こそ非常に重大なのでありまするが、これらを考えてみまして、私はほかの一般の給与とおのずがら違うものがあるということを申上げまして、時間もありませんから別に吹答弁は要りません。これで私の質問を打切ります。
○戸叶武君 独立後の日本の外交方針は、独立自主の外交でなければなりません。然るに吉田、岡崎の外交が向米一辺倒と言われておるのは、アメリカ側だけを向いて、ソ連、中共との国大調整を怠つているところにあると思うのであります。今までに吉田さんなり岡崎さんからそれに対する弁解も聞きましたが、インドなり、或いはイギリスなんというものは、積極的に中共との経済的な、文化的な提携交流のために相当な人が中共を訪れて、その国交調整に努めておるのでありまするが、日本においても今後ソ連側との漁業の問題、中共貿易の問題、そういう問題に対して何か積極的な、具体的な手を打つ考えがあるかどうか、それを承わりたいと思います。
○国務大臣(岡崎勝男君) 我々は決して向米一辺倒というような考えを持つているわけじやないのでありまして、世界中のあらゆる民主主義国家と提携強化して行こう、こう考えてやつております。 ソ連側に対しましても、イデオロギーが違いましても、何も国交回復してはいかんということはないのであります。ただサンフランシスコ条約を締結して、もう世界の殆んど大部分の国と国交を回復しておる現在、ソ連側がサンフランシスコ条約に参加して来ればそれは結構でありますが、今のところこの傾向は見えておらないように思います。
○戸叶武君 中共貿易に対して何かMSAの問題をめぐつて、アメリカ側からの牽制というようなことはないかどうか、外務大臣から御説明願いたいと思います。
○国務大臣(岡崎勝男君) 中共貿易に関しまして、MSAで、まだ交渉は今始めたばかりでありまするから、今のところ何もありませんが、今後とも特にあるようには考えておりません。というのは、MSAを受けた国はイギリス、フランス、イタリア、その他ヨーロツパにもたくさんあります。で、受けておりながらやはり或る程度の中共貿易はやつておるのでありまして、むしろ日本のほうはまだ受けておらないのでありますけれども、日本のほうが厳重であるという声が聞かれるのであります。従いましてMSAを受けたからといつて、特に変化があるとは考えておりません。
○戸叶武君 MSAの問題を通じていろいろな国民に疑惑を持たせておるのでありますが、それは政府の態度が外交的な関係に関しては極めて秘密な態度を持していると思うのであります。国民の、日本側の意思によつて問題は解決されるのだとアメリカ側に言われておりますけれども、日本の国民が意思決定を行うべきところの材料というものは、常に政府から報告されていないのは残念であります。憲法第七十三条に、内閣は、外交関係を処理し、「条約を締結すること。但し事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。」という規定があるにもかかわらず、この憲法上の規定は条約を締結する場合、外交上におけるところの協定を行う場合、事前に国会に内閣は御相談するのが当然であります。然るにこの頃は原則的には事後の国会の承認を経ることを必要とするほうのばかりであつて、頬かぶりをしておりますが、この根拠は如何なものであるか、外務大臣から承わりたい。
○国務大臣(岡崎勝男君) MSAの交渉につきましては、隠すようなことをいたしておりません。この国会を通じましても、殆んど大多数の委員会、殊に予算委員会等におきましては、MSAの論議が一番多かつたのでありまして、それに対して政府としてはできるだけのお答えをいたしておりまするし、外務省からはMSAに関する解説のパンフレット等をしばしば出しております。お読みになつたと思いまするが、決して中身を隠しているわけじやないのであります。ただ交渉がまだ始まつたばかりでありますから、交渉自体について申上げることはまだ殆んどないような状況であります。 なお条約なり協定なりを事後に国会に出して承認を求めて参るというのは、平和条約によりまして、平和条約発効後一年以内にこれくの国際条約に加入するという約束をいたしました。その条約を国会に提出しましたところが、解散になりまして御承認を得なかつたからこれらの国際条約に入りましてあとでその加入に対して国会の事後の承認を求めた例はありますけれども、それ以外には事後の承認を求めた例はないのであります。
○戸叶武君 吉田総理大臣に承わります。アメリカにおいてアイゼンハワーが大統領となつて以後共和党政権が確立するや直ちにヤルタ秘密協定の破棄を提唱したのであります。ヤルタ秘密協定に対しては、共和党が在野党であつた当時から、一九四五年の二月に行われたルーズベルト、チヤーチル、スターリンの秘密協定に対して非難を加えて来たのであります。御承知のようにルーズベルトはこの責任を感じて悶死したとまでいわれているのであります。かかるヤルタ秘密協定に類似した戦時中の領土獲得を目的とした秘密協定というものは、一九〇五年のイタリアを連合国に参戦せしめたところのロンドン秘密協定、イギリス、フランス、帝政ロシアがイタリアをいざなつた秘密協定がヴェルサイユの講和会議においてアメリカのルーズベルト大統領によつて破棄されているのであります。この趣旨からするならば、当然サンフランシスコ講和会議においてこの一九〇五年のロンドン秘密協定と同じような趣旨を持つておつたところのヤルタ協定は破棄さるべき性質のものでありますが、サンフランシスコ講和会議の代表として行かれた吉田首相は、如何なる見解をサンフランシスコ講和会議において述べられましたか。
○国務大臣(吉田茂君) お答えしますが、ヤルタ協定は日本国はその参加国でありませんから、これに対して日本政府はとやこう申す権利はないのであります。又講和条約における海外領土についての問題については、事前に政府においてアメリカと、連合国と話を行なつて、海外の領土はこれを放棄するということを規定いたしております。
○戸叶武君 先般東南アジアを旅行しましたときに、東京裁判に出られたパール博士がカルカツタの飛行場に見送りに来て下さつたときにも私の手を握つて頻りに訴えたのは、日本の国が戦争に敗れたりとはいえども領土問題に対する主張は極めて無性格である。今総理大臣はヤルタ秘密協定に対する態度というものは極めて消極的な態度しか表明されておりませんが、樺太なり千島なりの領土権を失つたのに対して政府は如何なる抗議をなしておりますか。
○国務大臣(岡崎勝男君) 我々は終戦当時ポツダム宣言を受諾いたしました。ポツダム宣言の中には日本の領土は本州、四国、九州、北海道とその他連合国のきめる諸小島に限られるという条項があります。その条項を受諾したのでありますから、そうして受諾して終戦になつて講和条約ができましたときに、あのポツダム宣言は無効であるということを政府は到底言うべきでないと考えております。従いまして今日の領土の決定はヤルタ協定によつたものではなくてポツダム宣言によつたのでありまして日本政府としてはこれは信義をもつて守る義務があると考えております。併しながら従来ともにこのカイロ宣言その他におきましては、いろいろ日本が戦争によつて盗取したところであるとか、或いは暴力によつて奪つたところであるとかいうような形容詞がついているのでありますから、樺太にしましても千島にしましても、決して日本が暴力によつて取つたものでもなければ、盗取したものでもないという事情は明らかにいたしております。
○戸叶武君 我々は曾つて日本の領土であつた樺太、千島、沖繩、小笠原の領土権というものは敢然として世界と向つて主張すべきである。日本の保守的政党というものが愛国主義を名としながらも領土権の主張に対しては極めて怯懦なので、当初から外交政策の中において社会党は出しているのでありますが、特に樺太、千島の問題に対して今日の自由党のごとき、或いは改進党においても然りでありますが、日露戦争後におけるポーツマス条約によつて領土を獲得したというような観念で以て領土観念を見ているようでありますが、少くとも樺太等は幕末における間宮林蔵の探険によつてこれが日本領土であることを確認され、文久二年に松平石見守と竹内下野守とがペテルスブルグの交渉において北緯五十度以南は日本の領土であることをグリニツチ天文台、ロシアの天文台の地球儀を証拠としてこれを確認されている。幕末の混乱に乗じて帝政ロシアの南下によつて樺太、千島が侵され、而も明治八年におけるところの樺太、千島交換条約において日本の外交敗北というものが、帝政ロシアの圧力に屈して日本領土である樺太をロシアに譲渡しているのであります。この歴史的な背景を基礎といたしましてアメリカの大統領のルーズベルトがポーツマス条約において、日露戦争の後に日本に樺太を与えているのであります。この歴史的背景を無視して、而もポツダム宣言に何ら書いてないところのこのヤタル協定に規定されたような領土権を我々は奪われた。それに対してポツダム宣言に無条件降伏を我々したといえども、日本の国民代表としてサンフランシスコ講和会議に赴いたところの我が国の代表が正しき領土権の主張をなぜされていないか。その理由を吉田総理大臣から承わりたい。
○国務大臣(岡崎勝男君) 今申上げた通り、ポツダム宣言は日本が終戦をするかどうか、原子爆弾をこれ以上受けるかどうかというときに、難きを忍んでポツダム宣言を受諾するということになりまして戦争が終つたわけであります。そのポツダム宣言の条項の中にはカイロ宣言等は引用しておりますが、それ以外に独立の条項として、日本の領土は本州、四国、九州、北海道及び連合国のきめる諸小島に限られるという独立した一項目があるのでありまして、このポツダム宣言を受諾した日本としては、受諾したあとでもうそろそろよかろうというようなことでこのポツダム宣言を覆えすような立場をとることは国際信義上からも正しくないと私は考えております。又そういう意味で連合国の決定を受諾したのでありまして、ヤルタ協定とは何ら関係ないのであります。
○戸叶武君 時間がありませんからこの問題は後日外務大臣に対して更に追究したいと思いまするが、今問題は九州、西日本、和歌山の風水害を見てもわかりますように、災害が頻りに相次いでいるのであります。これは日本の低調なる政治に対する天の警告だと思うのであります。何も吉田さんの責任だとすべてを転嫁するわけではありませんが、今までの低調なる政府施策というものが治山治水に何ら役に立たない無駄な経費を官僚的なやり方で浪費しておつたという結果を天が裁いているのであります。こういうふうに国内が騒然として天災の前におびえているようなときに、安閑として外敵が襲うて来るからという想定の下にMSAにおける軍事的援助によつて、警察予備隊を保安隊から自衛隊へというふうに増強しようというような考え方よりも、むしろ日本国民の今日の要望というものは日本の国土建設に全力を注げという声が強くあると思うのであります。剣を以て立つところの軍隊様式よりも我々の国土のこの貧困と天災を防ぐために非常な力を注がなければならないのである。今日以後において安閑として我々が警察予備隊を増強するというようなことよりは農村の次男、三男そういうものを国土建設に集中して、この風水害を防ぐためのダムの建設なり、それに伴うところの電力関係なり、産業の復興なり、或いは灌漑用用水の建設なり、そういうほうに向けるように努むべきだと思うのでありまするが、吉田首相はこれに対してどういう見解を持つてやられておりますか。
○国務大臣(吉田茂君) 御意見の通り仕向けるつもりでおります。
○戸叶武君 それでは、この保安隊というようなものを増強しないで、この天災による日本の国民が苦しんでいることをアメリカ側にも訴えて、MSAを単なる軍事的援助でなくて、日本の国土建設のほうの経済的援助に切替えてもらいたいという御主張をなされるつもりでありますか。
○国務大臣(岡崎勝男君) 今総理のおつしやいました通り、国土建設に日本の青年をできるだけ動員して努力してもらう、これは非常に結構でありまして、甚だいい考えだと思います。 併しながら如何に美わしい国土になりましても一旦外国から侵略されて、占領されてしまつては意味はないのでありますから、美しくなれば美しくなるほどこれを国土を大事に守るだけの工作も講じなければなりません。又MSAの援助をそういうように取替えろとおつしやいますが、MSAの援助というものはアメリカの法律でこれこれのものに援助するということになつておりまして、法律の目的以外には使えないのはこれはアメリカとしても当然でございますので、おつしやるようなことにはMSAの援助はできないと思いますが、できるだけそういう方向には訴える考えであります。
○委員長(青木一男君) 本日はこれにて散会いたします。 明日は午前十時より開会いたします。 午後四時三十三分散会