法務委員会 第30号
- 発言数
- 47 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1953/08/07
会議録
○委員長(郡祐一君) これより委員会を開会いたします。先ず理事補欠互選の件についてお諮りいたします。 理事亀田得治君が委員を辞任されましたので、理事に欠員が一名ございましたところ、一昨日再び亀田君が委員となられましたので、理事に亀田君を指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし上と呼ぶ者あり〕
○委員長(郡祐一君) 御異議ないと認めてさよう決します。 —————————————
○委員長(郡祐一君) なお、売春対策に関する小委員にも同様の理由で亀田得治君を再び小委員に指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(郡祐一君) 御異議ないと認めてさように決定いたします。 —————————————
○委員長(郡祐一君) 次に、昨六日接収不動産に関する借地借家臨時処理法案、衆議院発議が当委員会に予備審査のため付託されましたので、法務省民事局参事官平賀健太君から法務省側の意見を一応聴取いたしたいと存じます。
○説明員(平賀健太君) それではこの問題に関しまする法務省の意見を極く簡単に申上げたいと思います。 占領軍が日本に進駐して参りました際に、占領軍に対しまして土地、建物を提供しなくちやならん必要が生じたのでありますが、その民有の土地、建物を提供いたします際には、国のほうにおきまして、この土地、建物を借上げまして、これを俗に接収と申しておるのでありますが、借上げまして進駐軍に提供いたしたのでございます。その際国が借上げます仕事は、都道府県知事がやつたのでございまするが、相手として交渉いたしましたのは、殆んど全部が土地の所有者、建物の所有者でございまして、その土地、建物について権利を持つておりますところの借地権者であるとか、借家権者というものを交渉の相手に殆んどしてないのであります。従いまして借地権者であるとか、或いは借家権者というものの権利が、事実上無視されるという結果になつておるのであります。而もこの接収が相当長く続きまして、現在もなおそれが引続いて駐留軍のほうで使用しておるのもあるのでございますが、接収されております期間中に借地権であるとか、借家権が、期間の満了によつて権利がなくなつてしまつたのがあるわけであります。それから又借地権などでありますと、接収されております間に建物が焼けてしまう、或いは進駐軍のほうにおきまして、建物が邪魔になるということで建物を取壊したという事例があつたと予想されるのでありますが、御承知の通り借地権につきましては、その借地の上に登記をした建物がございますと、借地権自体の登記がなくても第三者に対抗し得るという建物保護の規定があるのでありまして、建物がなくなつてしまいますと、その第三者対抗力がなくなつてしまいまして、結果的に見ますと、なお観念的には借地権はあるにかかわらず、第三者にその借地権を対抗できない状態にありますので、借地権はなくなつたのと同一の結果になつてしまう、そういうことでもつて借地権、借家権が法律上或いは事実上接収期間中に消滅してしまつたというものがあると予想されるのでございます。 そこでなお借地権、借家権が残つておりまして、第三者にも対抗できるというものでありますと、接収が解除になりますと、当初の借地権者、借家権者は又もとのところに帰ることができるのは、これは当然でありますが、接収期間中に借地権、借家権がなくなつた人たちは、もう法律上は当然もとのところに帰るという権利がなくなつてしまつておるのでありまして、これを何とか保護しなくちやならんという必要が生じて来るわけでございます。これをどういうふうにして保護するか、二つの途が考えられると思うのでありますが、一つは丁度現在ございますところの罹災都市借地借家臨時処理法、あの法律の体裁にならいまして、昔の借地権者或いは借家権者に土地或いは建物の賃借の申出を現在の所有者に対しさせる、そうして実質上菅の権利の復活を認めてやるという行き方と、もう一つは補償してやるという二つの途があるだろうと思うのであります。 今衆議院の法務委員会におきましてお考えになつておりますところの案は、最初に申しました案でございまして、土地又は建物の賃借の申出をさせて、実質上菅の権利の復活を認めてやるという行き方なのでございます。ところがこの行き方は、やはり第三者の権利というものに非常に重大な影響を及ぼすことになるのでございます。で、当時接収されました土地、建物で、現在すでに接収解除になりまして私人の手に戻つておるのもかなりございますし、又接収解除になつていないのもかなりあるようでございます。少くともすでに接収解除になつておるものにつきましては、当然所有者が変るとか、或いはその土地の上に借地権を設定する、或いは抵当権を設定するとかいう工合で以て権利関係が相当変動しておることが予想されるのであります。で、そういう土地なり或いは建物につきまして権利を取得した人は、借地権なり或いは借家権はないものとして権利を取得しておるわけでございます。そういう人たちが突如として昔の借地人、借家人から賃借の申出をされるということになりますと、思わない損害を受けることになるわけでございまして、どうも第三者、そういう過失も何もない、法律上当然適法に権利を取得した第三者が、こういう見えない、隠れた昔の借地人、借家人のために強制的に借地権なり借家権なりを設定されるという結果になるということは、甚だ好ましくないのじやないか。こういう法律を作りますに当つては、よほど第三者の権利の保護というものを慎重に考えないと、憲法違反にもなる虞れがあるのではないかというふうに考えておるのであります。 で法務省のほうといたしましては、昔の借地権者或いは借家権者を保護しますのには、やはりそういう第三者の権利を侵害する結果になるような措置を講ずるという方法を選ばずに、補償をするということが一番妥当ではないか。これは丁度現在駐留軍のために土地、建物等を提供いたします際には、土地収用法を準用しました特別の措置法ができておるのでございますが、この特別措置法に基きまして、土地、建物を駐留軍に提供いたします場合には、やはり借地権者、借家権者というものに対しては補償をするということになつておるのであります。で駐留軍の使用がやみました際には、当然昔の権利を復活させるというような措置を講じないのでございまして、補償で以て片付けて行くという建前をとつておるのであります。で占領中のものも実質はやはり進駐軍に提供する土地、建物について、事実上は国が使用権を設定したような関係になるのでございまして、現在の駐留軍に土地建物を提供するのと実質は同じであると言つていいのじやないかと思うのでございます。従いましてやはり補償で解決をするということが一番妥当な方法ではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
○委員長(郡祐一君) 何か民事局のほうに御質疑がございましたらお願いいたします。
○中山福藏君 これは何でございますか、事実上法律問題を抜きにして、今あなたのおつしやつたような結論に到達した前例はありますか、全然ないのですか。
○説明員(平賀健太君) 私どものほうでは事実関係はよくわかつてないのでございますが、調達庁のほうで所管いたしておりまして、事実関係はつまびらかにいたしておらないのでございますが、私どものほうの考えといたしましては、こういう強制的に借地権或いは借家権を設定するというふうな方法ではなしに、接収が解除になりました際には、調達庁が元の所有者にこれを返すわけでございますが、返す際に借地人、借家人を呼びまして、そうして調達庁と所有者と借地人、借家人が寄りまして、十分協議して話合いで解決をして行く、こういうふうにしてやるというのが一番妥当ではないかというかうに考えておるのでございます。
○中山福藏君 これば私の考えでは、すでに善意にこういう建物を買取つたり或いは土地を買取つたり、今おつしやつたようなことができておるのが、全然そういう事実が現われていないのと、二つの面が現われて来ると思うのです。法律案によりますと、そういう点が余り考慮を払つていないように思われるのであります。従つてこの法案はこのままに一つ伏せておいて頂きたいと希望するのであります。
○委員長(郡祐一君) 暫時休憩いたします。 午前十一時十四分休憩 —————・————— 午後二時四十分開会
○委員長(郡祐一君) それでは休憩前に引続き再開いたします。先般お話に出ました大阪地方裁判所におけるいわゆる吹田事件の公判中に起りました黙祷を許しました状況について刑事局長から御説明願います。
○政府委員(岡原昌男君) 去る七月二十九日の吹田事件の公判廷におきまして、被告人たちが黙祷を捧げた、拍手をしたというふうなことがその翌々日でございますか新聞紙上に出たことがございます。この点につきまして私どものほうで調査して得ました結論と申しますか、大体の事情だけを御報告申上げたいと存じます。 御承知の吹田事件は、昨年六月二十四日の晩数千名の群衆が吹田の駅附近を騒擾したという騒擾事件でございます。それが約百十名ほど起訴になりまして、目下大阪地方裁判所で審理中でございます。この公判が昨年の九月十一日に第一回を開きまして、八月の五日までに三十回の公判を開いております。問題の起りましたのは二十九回目の公判でございまして、その公判の冒頭において被告の一名から、朝鮮における休戦の成立はソ同盟、中共義勇軍を中心とする全世界平和愛好者勢力の勝利であるとして、勝利の歓喜の拍手と、戦死者に対する黙祷を捧げるために全員の起立を望むというふうな発言がなされたのでございます。この際立会検察官から直ちに裁判長に対しましてその不当を述べて禁止すべき旨の要求をしましたところ、裁判長は、裁判所は禁止いたしませんというふうに回答いたしましたため、被告並びに傍聴人の殆んど全部が起立して黙祷並びに拍手を送つたというふうな事情なのでございます。なお、これに関連しまして、この吹田事件の公判におきましては、第一回の昨年九月十一日最初の公判の際に、全被告が起立して暫らく黙祷をした。それは全世界の平和の戦士のために一分間の黙祷をしようというふうな発言の下に、実際は五、六秒の間だつたそうでございますが、黙祷をした事実があるのでございます。そのほか本年三月十一日の第十一回公判においてはスターリンの死亡に際しまして、その追悼のための黙祷というようなことをいたしております。それから六月二十四日の第二十四回公判におきましては、同様ローゼンベルグの夫妻の処刑に際し、その追悼のために黙祷するというふうなことをした事実がございます。ただ前の三回はいずれも裁判所に許可を求めて発言したというのではなくて、従つて検察官においても発言の余裕がなくて、裁判所にも別に何らの意思表示をしなかつたというふうな状況の下に行われたもののようでございます。 なお、この黙祷、拍手に続きまして、今度は別の被告から、九州と和歌山における水害の問題についての発言がございまして、これも関連性がないという検事の反対にかかわらず、裁判長は関連性があるかないか聞いて見ましようというようなことでその発言を許したところが、結局最後には事件と関係ないと私どもは思うのでございますが、長々と一席ぶつております。そういうふうな状況がございましたので、一応検察庁といたしましても、法廷の整理が悪いと申しますか、開廷中にさような、事件に全然関係のないことを許す、或いは禁止しないということが、訴訟の進行上、法廷の指揮の上からどんなものであろうかというふうなことで、現地のほうでいろいろ問題にしておつたようでございます。 なお、これに関連しまして、これが新聞にとり上げられた翌日でございましたか、裁判所のほうでこれに対する釈明をいたしておるようでございます。更に第三十回の公判の際にも、夢判長からこの点の黙祷を許した点についての釈明があつたわけでございます。このように問題がいろいろ大きくなつたのでございますが、私どもといたしましては、開廷の最中においてこのような発言を被告にさせることを禁止しないということは、やはり法廷の全体の威信を保つゆえんではないという観点から、遺憾なことであろうというふうに考えておる次第でございます。 なお、詳細には只今その当時の公判廷の録音がございまして、それを速記に直したものがここにあるわけでございます。若し御希望ございましたらその部分を今読んでもよいと思うのでございますが、一応簡単ながら御報告いたします。
○委員長(郡祐一君) 御質問がございましたら、更にこの事件について詳しく調査いたしました川井参事官も来ておりますから、どうぞ御質問を願います。
○一松定吉君 これは新聞の報ずるところによりますと、その翌々日か何か、笠松とかいう別の裁判長で同じことがあつた。それを許可しないということで、このために大分ごたごたしたので、然らばというので、開廷をして法廷を開いたということにせずして退廷したのちに、判検事や事務官のいないところで黙祷したということがありましたね。それはあつたのですか。
○政府委員(岡原昌男君) それはお尋ねのような事実がございます。事件は枚方事件のほうでございますが、笠松裁判長の係りで目下開かれている事件でございます。それは例の吹田事件と相前後して枚方の或る者の自宅に殴り込みをかけたという事件でございます。それについて八月六日の大阪地方裁判所の第一号法廷の模様でございますが、開廷に先立ちまして、被告人から原爆記念日に際して黙祷したいという申入れがございました。裁判長は黙祷は誤解を招く虞れもあるから禁止するというふうに述べたようでございます。被告人は開廷の前でもあり、原爆記念日の黙祷であるから一分間ほど開廷を延ばして許されたいというような要求をいたしました。結局裁判官が退場し、その間被告人が約三十秒ほど黙祷をしたという事実でございます。
○一松定吉君 何かこの初めの吹田事件の裁判長佐々木というのですか、その人の、昨日あたりの夕刊等の記載によると、若し国会で問題になつて召喚されても出る義務がないのだ。国会が裁判権に干渉するということはこれは不都合だから出ないと、こういう意見を発表したということが新聞に出ておりますが、そういうような事実があるのですか。
○政府委員(岡原昌男君) まだ承知いたしておりません。新聞には確かに出ておりました。
○一松定吉君 それから佐々木判事という人の思想はどうなんですか。
○政府委員(岡原昌男君) これは私もあまりよく存じませんので、裁判所のほうでよくおわかりだと思いますが、特にまあ右左ということはないと私考えておりますが、あまりよく存じませんのです。
○一松定吉君 それは会議制ですか、単独ですか。
○政府委員(岡原昌男君) 会議事件です。
○一松定吉君 それについて、他の両陪席はどういうような考えであつたのですか。
○政府委員(岡原昌男君) 両陪席はたしか今中判事と吉川判事と承知しておりますが、その方々の思想、経過その他もあまりよく存じませんので、特にお答えするほどの材料は持合せをいたしておりません。
○一松定吉君 それから、これは丁度キリストがいろんなことを始める前に、アーメンという拝礼をするのと何も変ることはないのだから、自分としてはこれを禁ずる必要がないと思つたから禁じなかつたのだということを言つたようなことが新聞に出ておりますが、そういうようなことを言つた事実があるのですか。
○政府委員(岡原昌男君) 実はそういう細かい点につきましても、私ども大抵新聞が書いておりますし、若干問題にいたしまして、詳しく今問合せ中でございますけれども、まだその詳細のあれは承知いたしておりません。
○一松定吉君 それから仮に国会で自分を召喚しても、自分は出る義務がないから出ないのだというようなことを言うたかどうだかまだわからないのですか。
○政府委員(岡原昌男君) どうも新聞によりますと、そういうふうなことが書いてございますので、どういうお考えでそういうことを述べられておるのか、又言つたことがあるかないか、実は私どもも意外に思つたような次第でございます。
○一松定吉君 私は裁判所が法廷を開いておるときに、その法廷における出来事は、事件の真偽に関係すること以外について濫りに発言をしたり、行動をしたりするようなことは、法廷の秩序維持に反することでありますがために、それは当然裁判所若しくは裁判長は、法廷の秩序維持に関する法律の規定によつてそれを取締らなければならない。然るに事件に関係あつてもなくても禁じません、許しますというようなことを言つたとすることが本当だとすると、相当にこれは裁判長の資格において、法廷の秩序維持におきまして考えなければならないということだと私は思うのですが、政府の御意見は如何ですか。
○政府委員(岡原昌男君) その当時の録音なども聞いておりまして、いろいろ私どももこの事件の判断をいたしたわけでございますが、まあ法廷の全体の何と申しますか、雰囲気と申しますか、それなどについては特に喧躁に亙るとか、そういう行状はなかつたようです。割に静粛にやつております。ただ私ども考えますことは、どこまでも法廷においては、その事件を中心にして弁論が取交わさるべきものである、或いは証拠調その他がなさるべきものであつて、事件に関係のないものがやたらに飛び出すということは、本来の法廷の指揮権が全うされたことにはならないと、かように考えております。
○一松定吉君 ちよつと……、事件に関係のないことに関するものは、法廷指揮権の範囲外だということをおつしやるのですか。
○政府委員(岡原昌男君) そういうことがやたらに飛び出すということは、法廷指揮権を全うするものではないというふうに考えております。
○一松定吉君 だから当然法廷等の秩序維持に関する法律の規定によつてこれを取締らなければならないものだと思うのですが、政府の御意見は如何ですか。
○政府委員(岡原昌男君) 法廷等の秩序維持に関する法律、いろいろ構成要件が書いてございますが、あれに反する限りにおいては、やはりこれは取締るべきかとも思います。ただ具体的にその状況がまだ十分に私どもにわかつておりませんので、果してその取締といいますか、行政罰を加える程度に秩序が紊つたかどうかということについては、やはり若干問題が残るのではないかというふうな疑問を持つております。
○一松定吉君 あまり本当のことはわからんそうで、追究してみてもしようがないから、この程度にとどめておきましよう。これは私の意見を申上げますが、とにかく法廷の秩序維持に関しては重大な出来事であると思いますから、委員長におきまして適当にこれを一つ、その事実を明らかにして、国会の態度を決定することのできるような方法をおとりたまわらんことをお願いいたします。
○委員長(郡祐一君) 承知いたしました。本日も最高裁判所のほうに連絡をいたしましたが、たまたま裁判官の会同をいたしておりまして出席できない旨を申して参りました。この問題についての態度の決定だそうでありますから、いずれ御報告申上げます。 ちよつと速記止めて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(郡祐一君) 速記を始めて。
○中山福藏君 私どもは敗戦という誠に悲惨な場面に追い込まれて、非常な精神的な卑屈を国民全体が覆いかぶされているというような憂えを抱いているものであります。この場合日本の敗戦という問題にぶつかりながら、日本の面目を維持しておつたというのは裁判制度だという自信を私は持つているわけです。その裁判所がややもすれば被告に媚びるというふうな感じを国民に与えているのじやないか。我が道を行くという堂々たる自主性を保持しておらないというような感じを私どもは受けております。又単に裁判所だけの問題ではなく、検事局もそういうふうな傾向を見る場合があるのじやないかということすらもまま私は感じられるのですが、そういう点について裁判所や検事局において相当の措置を講じておられるのかどうか。或いはその方面についての各地方検察庁並びに裁判長の意見を徴せられた事実があるかどうか、一遍それを聞いておきたいと思います。
○説明員(桃沢全司君) 裁判所の関係は私ども敗戦後新憲法の施行から関係がなくなつたということになりますので、詳しくお答えをするわけに参りませんが、検察庁の検事は敗戦直後の混乱状態のときは別でありますが、最近におきましては厳然たる態度をとつて参つておりまして、只今の中山委員の御心配の点はないと確信いたしております。なお私ども仄聞いたすところによりますと、最高裁判所においても法廷の秩序を維持するということについては非常に関心を持つておつてその問題をめぐつて、裁判官の会同も催しておられるということも伺つております。ただ、この被告たちはいわゆる確信犯と言われる人でありまして、そのいわば狂信的とも言われるような特殊な考え方、これがどうしても行動に現われて、なかなか裁判を順調に進行させるということについて裁判所側においても非常に苦労をしておられる、これは我々もよく了承できるところなのであります。裁判所によつては非常に厳正に訴訟指揮を行なつていい結果を招いているところもあります。又我々から見ますと、どうもその態度が弱いのではないか、もう少し強くやつて頂きたいという裁判所もあるわけであります。
○中山福藏君 私はふだんから考えているんですが、大体この事案の内容によつて裁判官というものをそれに適応せしめるようなこの選定を行なつて、そうしてその事務を鞅掌せしめるということは必要だと思うのですけれども、裁判官という独立性を帯びた立場からそう簡単には行かないと思いますけれども、その地域々々によつてこの地方にはこういう事態が惹起せられる虞れがあるというような場合においては、あらかじめ裁判官の同意を得て、君はこういうふうなところが得手だからこういうふうな所に一つ転任してくれないかというような事前工作というものがやはり裁判所においても行われて、適不適によつてそういう事務を処理せしめるということがいいんじやないかと思うのです。殊に今日裁判官のまあなんですかね、本会議で言つた社会的通念ですか、そういういわゆる常識の豊富な裁判官というものがおらなければいかんと私はふだんから思つております。殊に近頃は共産主義と社会主義と国家社会主義というものの区別というものすらも、裁判長の成る者はこれを画然と自分の頭に割り込むということができない人が相当にあるのじやないかと思うのです。従つてそういう今回のような間違いというものが起りやすいということになるのじやないかと私は心配しておるのでございますが、たとえそういう問題を割り切つたとしても、これは法廷秩序の維持の上から、今度のような場合は断固として裁判官というものが威厳を保つてこれを阻止するということは必要だと考えるわけですが、私は第一その裁判官の頭の問題というものを一応最高裁判所において相当研究して考えておいて頂くのが第一。第二はそういうふうな虞れのある地域に対してはこういうような裁判官というものを置いたほうがよかろうということをお考えになつておく必要があるのじやないか。その裁判官を選定になりまする基準は、只今申上げたようにいわゆる一種の主義に関するところの割り切つた頭を持つておる人を選定されるということが何よりも必要じやないか。又それこそ裁判所の権威を保つと同時に、被告に対してはそれが一つの親切、親心になるのじやないかと私考えておるわけでありますが、そういう点については一向配慮が行われていないのじやないかと思うのですがね。そういう点は如何なものでございましようか。
○説明員(桃沢全司君) 只今中山委員の仰せられました点は、私どもの管轄外のことでございまして、最高裁判所のほうで独立してやつているものでございますから、若し必要がございましたら、最高裁判所のほうから一つ……。
○中山福藏君 そういう点は刑事局から裁判所との懇話会というものに持出してそういう話はないのですかね、ふだんから……。それは当然あるべきものだと思う。これはもう刑事政策の上から言つても、世道人心を指導する上から言つても、誠に一番重大な問題じやないかと思うのですがね。懇話会で相当出なきやならん問題だと思うのですが。
○説明員(桃沢全司君) 只今のお話の、或る裁判官を選んでこの種の事件をやらせるというような方法については、やはり裁判権の独立という点に非常に重大な影響を持ちますので、或いは最高裁判所でもつ非常に困難ではないかと考えられますし、又そういう問題に立入つて検察庁のほうから働きかけるということは、これは遠慮いたしております。
○中山福藏君 憲法上保障せられた裁判官の地位というもつのは当然そうあつて然るべきものだとは考えまするけれども、そこは、表と裏ですから、やはり先ほど申されたように最高裁判所と検察庁というものはときどきお互いに相研磨する意味において懇話会を開かれて、こういう問題については国民から何をしておるのだという感じを持たれないような措置をふだんから準備しておくということは、これは当然検察庁においても、裁判所においてもとられなきやならん態度だと実は考えておるからお尋ねするわけですが、この思想問題について或いは思想問題から発生したこういうふうな事態についても、おのおの判事はおれはこういう問題についての自信を持つておるというような人が相当あると私は考えるのです。従つて転任する場合においても事前において承諾を、勿論判事ですから承諾を得なきやならんと思うのですが、これは吹田といえばもう十年ほど前から全国の共産主義の何と申しますか、中心地と言われるような地域なんですね。そういうような所でございますから、一つやはりそういうような所に適した人をあらかじめ選定しておかれるということは、これは別に独立性を侵すという意味にはならんと思うのです。事前に承諾さえ得れば判事の転任はできる。こう私は考えておるものでありますから、最高裁判所でやはりそういう措置をとる、又検事においても単にその人をひつくくつて牢屋にぶちこめばいいというような簡単な考を持たないで、一つの自分の何と申しますか、相当の理解を以て学問も当然相当ありやなきやならんし、又思想的にも自分の自主性というものを、頭にはつきりと把握しておるというような検事を選んでおやりにならんと、大変私は間違いができるのじやないかと思うのですがね。まあこれだけを一つ申上げて希望いたしておきます。
○委員長(郡祐一君) ちよつと速記を止めて。 午後三時十七分速記中止 —————・————— 午後三時三十八分速記開始
○委員長(郡祐一君) 速記を取つて……。 この際委員の各位にお諮り申上げます。閉会中における検察及び裁判の運営に関する調査のために法廷等の秩序維持に関する法律の運用に関する小委員会を設置することといたし、その小委員の人選は委員長にお任かせを頂きたいと存じますが、小委員会の設置並びに小委員の人選につきまして、只今お諮りいたしました件について御異議ございませんでしようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(郡祐一君) 御異議ないものと認めまして小委員会を設置することにいたし、小委員の選任は直ちに委員長において取扱うことにいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時三十九分散会