法務委員会 第24号
- 発言数
- 190 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1953/07/28
会議録
○委員長(郡祐一君) 只今から本日の委員会を開会いたします。 刑事訴訟法の一部を改正する法律案の質疑を続行いたします。 なお、この機会に委員各位に御被露し御了解を得ておきたいと存じますが、犬養法務大臣はメリアル氏症候群と申します病名の病気のために、三日間はどうしても静養しなければ相成らんという診断書を添えて総理大臣宛申出られておられる、先ほど法務省の関係官からその書類を持つて見えましたので、重要な審議の際でありまするから可及的委員会に出席されることを要望はいたしておきましたが、そのような事情でございますので、どうか御了承をお願いします。 それでは前回に引続き御質疑を願います。
○亀田得治君 それでは昨日に引続きまして、一応私の疑問としておるような点について、成るべく早く一通り触れてみたいと思います。 そこで「二百八条ノ二」ですね、これを一つ対象にいたします。これは原案よりも非常な改正になりましたが、原案では余りにも五日間延長の対象になるものが多う過ぎるということで、被告人の立場を守るために、これは大幅修正が行われたものかどうか、どういう考え方でこれが出て来て結論がついたか、これを少し詳細にお答え願いたい。
○政府委員(岡原昌男君) 「二百八条の二」の修正につきましては、当初長期三年以上の者について特殊な条件の下に再延長を許すというふうな考え方で起案されたものでございますが、その具体的ないろいろな場合を想定してみますと、例えば多衆の選挙違反の事実が入り得るとか、或いは窃盗でも相当の者が入るとか、だんだんいろいろな議論がありまして、現在の二十日間の期間でなお且つ賄えないというのは、恐らく内乱騒擾といつたような全国的な規模の、或いは少くとも一地方の静謐を害するというような、大きな犯罪だけでいいのではないかというふうな議論が多くなりまして、それでこういうふうに罪を限つて特殊の場合だけにこれを許すというふうになつたように聞いております。
○亀田得治君 それで法務省の考えとしては、このことによつて人権の尊重が非常に強くなつた、こういうふうにお考えですか、被告人の立場が有利になつておるとお考えですか。
○政府委員(岡原昌男君) 原案がいろいろの罪について適用し得るという建前になつておるのから比べますと、極く、極く限られた内乱、騒擾等の場合だけであるという意味において、有利の修正であると、かように理解しております。
○亀田得治君 私はこの改正条文を見まして、何か特殊の犯罪に対して特別な扱い方をしておる、こういう差別的な感じですね。こういう感じがいたしますが、そのようなことは相当論議になりませんでしたか。
○政府委員(岡原昌男君) そういう点も御議論があつたようでございますが、結局こういう場合だけに限るというふうな結論になつたようでございます。
○亀田得治君 何かこれの経過において破防法関係とか、暴力行為の関係、こういうものも五日間延長の対象にする考えが最初あつたようですが、その点は如何でしようか。
○政府委員(岡原昌男君) 私どもの希望といたしましては、それのみならず、例えば当初これが考えられました大掛りな貨幣偽造団とか文書偽造団とかいつたような事件、或いは全国的にまたがるその他の犯罪等についてもかような勾留の再延長の必要な場合があるのではないか、こういうようなことを申上げましていろいろな場合を想定した、つまりこういう罪をいろいろと書き並べて私も申し出たのでございますが、まあそれでは少し広過ぎるのではないかというふうなことでこれだけになつたわけでございます。
○亀田得治君 法務省はどういうふうにお考えでしようか。私どもは五日間延長を若し認めるのであれば、すべての犯罪に飽くまでもすべての犯罪に法律としては認める。但しその法律を実際に運用する場合には必要に応じておやりになる。従つて今ここに書かれておるような犯罪が主として対象になるかも知れませんが、飽くまでも法律というものは国民を平等に取扱つて行くということが、私憲法が平等の取扱いを堅持しておる建前にも合致すると確信しておるのですがね。それで大した理由もないのにこのような書き方をここに出して来られるということは極めて疑問があろうと思うのですが、どのようにお考えでしようか。
○政府委員(岡原昌男君) 理論といたしましては確かに疑問がございます。刑事訴訟法の中に、特殊な犯罪について特殊な手続をするということは、それは確かに疑問はございますが、ただ現在でも何年以上の罪についてはこういうような取扱い、或いは何年以下の罪についてはこういう取扱いということがございまするし、必ずしもそれは理論的に全然成り立ち得ないというほどのものではないのみならず、まあ立法は妥協とも申しまするので、この点が妥協の線ではないか、かように存ずるのであります。
○亀田得治君 ここに挙げられておるような問題は誰が見ても、いわゆる政治的な関係の犯罪です。そういう犯罪は自分がその立場に同意するしないは、これは別として、立場の相違というものは別として、お互いの人権を尊重して行くということは、私はより一層必要な対象じやないか。逆ではないかと私考えておるのですがね。一般の強盗とか放火とか、これはもう人間の自然の道義心からみたつて、絶対に許されない、間違つておることはもう明確だ、そのようなものより以上にこの違つた取扱いをされる。これは私はほかの場合に、刑法なり刑事訴訟法が重罪なんかについて違つた取扱いをしておる場合と少し違うかと存ずるのです。ほかの場合でも私疑問がある場合がございますが、併しまあそういう細かいことまで今申上げるときではございませんからそういう問題には言及いたしませんが、少くともこの場合には、私そういうともかく立場は違つても、大いに国家、社会のことを考えておる諸君であれば、罪は罪、罰するものは罰してよろしい。併しながら調べだけはできるだけ早くやつてやろう、この立場こそが私民主的な立場じやないかと実は確信しておるのですが、皆さんはどういうふうにお考えですか。
○政府委員(岡原昌男君) おおむねここに列記してあるような犯罪は、多数の者が同時にやるというふうな性質のものであろうと思います。そこでそれを研究いたしまして、調べをする際にどうしても二十日では調べが付かないという場合の最も大きい犯罪ではないかと思います。のみならず国家の或いは一地方の静謐を害するというふうな大きな犯罪でございますので、その調べについてはやはりほかの細かい犯罪と違つた一種の扱いをしても、これは止むを得ないことではないだろうかというのがこの考え方であろうと思います。
○亀田得治君 そういう考え方をとれば一例えば集団的にいろいろ偽造をしたとか集団的な智能犯ですね、こういうものなんかもつと複雑な場合が考えられます。そういうもの以上に私悪くとり上げる、これはどうしても筋が通らんと思うのです。困難性がある、これは捜査自身はこれはもう困難性のあるものであるけれども、如何にして能率的に早く調べるか、そういう立場でかかつておるわけです。だからいたずらに困難性があるからということで而もそれを特殊の犯罪にだけそのような例外を認めると、差別待遇だと、そういうふうに公平な第三者は必ずそうとると思うのです。本当に困難性があるのであれば、むしろ原案のようになんでしよう、「犯罪の証明に欠くことのできない共犯その他の関係人又は証拠物が多数であるため検察官が前条の期間内にその取調を終ることができないと認めるときは、その取調が被疑者の釈放後では甚しく困難になると認められる場合に限り、」この原案のほうがもつともつと私被告人の立場を考えておるように思うのですが、ところがこういうものを外してしまつて、そうして特殊の犯罪についてだけは、そういう条件すらも全部抜きにしてしまつて、無条件に二十五日、この改正案の規定からいうならばもう二十五日がこれらの諸君に対しては、この原則でいいんだ、こういう感じを与えますが、これはどうお感じになりますか。
○政府委員(岡原昌男君) 我々は原案を作りました際の気持が亀田さんによくわかつて頂きまして、私も非常に満足しておるのでございますが、ただ修正案というものができて参りますと、その読み方といたしましては成る程お話の通りかようなものだけに限つて特殊の手続をするということは、又一つの考え方が出て来ると思います。ただ原案におきましても長期三年ということで一応打切りまして、これは罪名として何々とは書いてございません、刑法のその関係の罪名を挙げて見れば、結局数が多いか少いかというので、長期三年を境にして取扱が違つて来るわけでございます。従つてその考え方といたしましてはその長期三年を更に特殊のものだけに限つた刑法の二章、四章或いは八章というふうにするという考え方もこれは一つ成り立ち得るのではないかというふうに考えるわけでございまして、これは言わば立法の妥協ではないか、かように理解しておるわけでございます。
○亀田得治君 立法の妥協とあなたはおつしやるけれども、この適用を受ける対象はみんなあのばらばらです。百なら百という適用を受ける対象があるとして、そのうち五十のもののためには重くするから、あとの五十のものに対しては軽くしてやる。これは私はいわゆる普通の意味で言う妥協にならないと思う。妥協というものは対象が一つであつてそのことについて両者の問題を調和する、例えば補償金を幾ら出すか、その金額を出すほうはこれしかないと言う、出しもらいたいほうは、どうしてもこれだけは損害から見て必要なのである。そこに妥協というものがあり得る。併しこういう条文の場合には、一方のほうは軽くなつて一方のほうは重くなるのですから、これは適用される人権の立場から考えるならば、妥協というものではない。それをずつと縛り上げるほうから言えば、一方を軽くしたのであるから一方を重くする、これは成るほど一種の妥協かも知れません。私は人権というものはそんな軽く扱われる問題じやなかろうと思いますね。それで二百八条の二の修正に私は実は極めて不満なんですが、要約いたしますると、二つになるのです。で、先ほど刑事局長は何かこの修正案によれば原案よりもよりよくこの被告人のためにはなつたのだと、こういうふうなことを言われましたが、私は非常な疑問を持つているのです。その一つは今申上げたようにこの理由ですよ。条件が全く緩和されておるのですね。五日間延長するためには、これは例外の措置なんだからということで、刑事局の原案には先ほど読み上げたような強い条件が付けられておるのです。私どもこれだけの条件が付いておれば、これは成るほど例外であるという感じを持つておりました、原案を見たときに……。ところが今度はこれを抜いてあるのですよ。私はこういうことがどうして被告人のためになされた改正であると言えるか。私はとても言えないと思うのです。これは刑事局長自身もその点だけは私の意見に同感だと思いますが、如何でしよう。
○政府委員(岡原昌男君) 当該の例えば騒擾なら騒擾の事件が起きて、騒擾の事件として起訴せられるような、調べを受けておるその人間について一人ずつ見て行けば、それは亀田さんのおつしやるような議論になると私も思います。ただこの法案全体の建前が、あらゆる犯罪について、長期三年以上のあらゆる犯罪について包括的に適用し得るという点を、特殊の刑法二編の二章乃至四章又は第八章の罪だけに限定したという意味においては、その適用範図が非常に狭まつて来るという意味で、包括的に有利だと、こう実は先ほど申上げたような次第であります。
○亀田得治君 あなたのおつしやつたのは、全体として見て有利と思われると、そういう意味だろうと思うのです。併し私がこういう刑事関係の問題というものは全体として漠然と判断できない問題がたくさんあるのです。そこで細かく分けてお聞きしておるわけですが、少くとも五日間延長のための原案における厳重な条件、これを抹殺したという点については、これはもう明らかに被告人に不利です。これは今刑事局長もお認めになつた通りです。 それからもう一つこの点に関連して私お聞きしたいのは、成るほどこの改正案によりますと、範囲を特定の罪名に限つて来た点は被告人側に有利です。併しながらこれを細かく検討して見ますると、例えばこの第八章の罪ですね、騒擾罪の百六条の三号です。これを見ますると、附和随行者は五十円以下の罰金なんです。五十円以下の……。これは一例ですよ、私今申上げているのは……。あなたの原案のほうでは長期三年以上の懲役若しくは禁錮に当るような重大な、何といいますか、被告人に対してだけ、例外的にこれを認めてくれと、こういうことであります。ところがこの改正案を見ますると、単に第八章の罪とこう書いてあるのですから、私が、今申上げた五十円以下の罰金に該当するような人までこれに含まれるのですよ。これはあなた、何ですよ。対象から言いましてもあなたは原案よりも縮まつているんだと、こうおつしやいますけれども、この点ではむしろ原案よりも巾が拡がつておるのですよ。原案ではそういうものを考えておらない人たちまで、この改正案によりますと五日間延長の対象に入つて来るのです。而も私それが長期一年或いは二年以上というような人たちまで含めたというのであれば、まだ了解できますが、いやしくも体刑から外されておる、罰金の対象にしかならないと、こんなような人まで、どうしてこの修正案というものがここへ入れて来たか。この点はあなた、どうお考えですか。これでも全体として被告人の立場に有利だとあなたはお考えになりますか。
○政府委員(岡原昌男君) 刑法第二編第八章の騒擾の罪でありますが、そのうち御指摘のように第三号の附和随行については罰金の刑だけになつております。で、こういう場合にどうなるかということでございます。実際問題として、例えばメーデー事件の場合などのやり方と申しますか、勾留の仕方を御覧になりますとおわかりだと思うのでございますが、いわゆる附和随行、単純なる附和随行といつたようなものについては勾留期間が非常に短くなつております。大体ただ付いて行つたに過ぎないということがわかりますと、直ちにこれを釈放いたしまして、先般の調べによりましてもいわゆる勾留の更新をしたというのは極めて蓼々たるものでございます。で、実際にこれを今度は捜査を終了いたしまして起訴した場合には附和随行以下、勿論身柄不拘束のままでこれを起訴しておるのでございまして、実際の身柄の取扱いとしては御心配のようなことはないと私は考えております。 なお、先ほど全般的に原案の厳格な条件を今度の修正案がつけていないために不利な面が出て来たのじやないかというお話は、字句上は確かにその通りでございます。ただ私ども考えましたのは、長期三年以上の比較的重い犯罪について、これを何でもかんでも勾留の再延長を認めるということは妥当ではないので、これを主として非常に困難な事件、殊に多数の者が関係し或いは多数の証拠物があるというような事件に限るにはどうしたらいいだろうかというのがその条件を付すのに至つた考え方でございまして、従つてその考え方の基本としては、この修正案と必ずしも違つていないのでございます。そういう意味におきまして具体的な扱いとしては結局似たようなものになろうかと、かように私どもは考えております。
○亀田得治君 これは私、そのような御答弁をされますが、実際そういう罰金に当るような諸君についてはなお勾留はしておらない。これは私もそういうことは、今までの事実も認めます。それであればなお更この改正案というものは、実際の現象にふさわしくないのですよ。私はそういう点で原案のほうがよほどその点を注意して、考えて書かれたものだと実は考えておるのです。恐らくは修正案を作られた際に、一体そういう第八章の騒擾という中には大きいのもおれば小さいのもおる。そういう罰金に該当する程度のものも含まれておるんだと、そういつたような点については相当な論議があつたのでしようか。
○政府委員(岡原昌男君) 修正案の作成の現場には私勿論立会つておりませんので存じませんけれども、恐らく事の性質上当然論議があつたものと私は考えております。
○亀田得治君 まあ私の想像ですが、恐らくなかつたんじやないかと思うのですね。国交とか内乱とか騒擾とかこういうふうな言葉が出ますと、ともかく一番重い死刑とかそういう諸君のことだけが頭の上へ誰でもぴんと来るのですよ。そうしてそういうものについては五日間程度の延長はいたし方ない、そういうことでさつさと進んだんじやないかと思います。恐らく誰かが……。併し罰金五十円以下というようなことを書いておるようなものにまで、改正案を作つた人がこの例外規定を広めようとは私考えておらないのが真意じやないかと思うのですね。私今からでも反問してみれば、恐らくいやそんなつもりではなかつたんだとおつしやるかも知れないと思う。私このままこの二百八条の二というものが参議院を通れば、随分社会的にいろいろな非難を受けると思うのです。いわんや原案があのように厳重な書き方をされておるそれとの比較においてね。これはいずれこういう明らかな間違いですね……、これは私は間違いだと思います。恐らく本当に罰金五十円程度でも、これはもう普通の詐欺とか窃盗とかそういうものよりももつと強く取扱わなくちやならんのだ。そんな気持でやられたものじやなかろうかと私は思うのです。従いまして、私はまあ今度の刑事訴訟法改正全般については、私の毒からとしてのいろいろな考え方を持つております。併し今そういう広汎な立場でものを言つたんでは余りにもものことが複雑になり過ぎますから、これは成るべく慎しんでおるのでございますが、ただ修正案が作られた、その修正案を作つた人たちの立場に鑑みましても、私はこの二百八条の二というこの第八章の罪、これは何らの但書も付けないでこのままにしておくことは、甚だ私は不穏当だ。そう確信しておるのです。まあ間違いがあれば、これは誰だつてあとから訂正したらいいのですから、忌憚のない一つ、これは法務総裁が本日御病気で御出席になれませんので、大変そういう点に対する根本的な気持がお聞きできないのは残念でございますが、私も問題がなければもう……。ほかの法案についてもそうです。自分で言いたいことでもむしろ遠慮しているくらいにしておるのです。併しもう法律家が考えて明らかにもう不均衡、釣合いがとれないのですよ、とても……。こういうことがあるのに、いやしくも法務委員として末席を概しておる以上は、これはどうしても何とか救済をしてもらわなくちやならない。こういうふうに思つているのですが、これは一つ大臣に代りまして政務次官のお考えをちよつとお聞きしたいと思うのです。
○政府委員(三浦寅之助君) 改正する場合のこれはまあ内容については自分は余り関係しませんから、詳しくは申上げることは出来ないと思うのですが、要は非常にこの修正案が御承知の通り議論になつて、非常に練りに練つてできたことでありまして、そういうような条文の体裁から見てこう書かなければ工合が悪かつたようなことと同時に、やはり従来の例でやはりそういうような今あなたの御指摘になつたような問題については、実際の問題としてはそういうような延長をされるようなことは恐らくないだろうと思うのでありまして、そういう観点からこの法文の体裁をこしらえる意味においても、又実際においては御心配がなかろうというようなことから、これはこうできたものだと私は思うのです。
○亀田得治君 私のお聞きしたいのは、原案では長期三年以上の懲役若しくは禁錮、本当の重罪ですね、こういうものだけを対象にしておりながら、一挙にして罰金にまでなり下つて来た。被告人の立場を考える立場で改正をしながら、一部の被告人に対しては実に苛酷な取扱いなんですね。私そこまでせんでもいいじやないかと思うのです。国交とか内乱とか騒擾とかそういうようなものをお取上げになる気持もわかりますよ。それにしても罰金とかそういう本当の末梢的なものまで含まれるような規定の仕方は、私非常に間違いだと思うのです。それは感情的に末端の警察官なり、そういう諸君がしやくにさわるから一つここまでやつてやれということで、そういう人たちまでこの特別の措置をやつた場合に、これは違法だとは言えないのですよ。ちやんと規定があるのですから、私必ずそういうことになると思うのですね、法文があれば……。いつもなるとは思いませんが、なることもあり得るのですよ。何もそういうことはこの第八章の罪とここに書いてありますが、そこに但書を付けて但し罰金に該当すると思われる程度のものは例外である。こういうふうな規定でも入れれば、それではつきりすることなんです。これはまあどういうふうにこの審議がなるかわかりませんが、どうしても原案の通りで行くということであれば、私はこの点は少くとも修正案を出してでも、皆さんと意見を闘わしてそうして明らかにしてみたいと思つておる一つの点なんです。法務省のほうが自発的に、それはそうだと、そんなところまで拡げるのはこれは少し、言われてみれば尤もだというふうにお考えであるならば、私自発的に直すようなことを一つ発案者の諸君とも御連絡を願つて、御努力願えないかと実は思つておるのです。そのほうが一番おだやかでいいわけですね。そういうお考えはないでしようか、もうこのままでいいということでしようか。これは政務次官に一つお願いします。政治的な問題ですから……。
○政府委員(三浦寅之助君) 御承知のようにこの改正は、集団犯罪の点に重点を置いてやつたことでありますし、殊に又国会の委員会で練りに練つてそうして決定したことでありまして、政府当局として今御意見のようなことにするということはできないだろうと考えますので、今ちよつと考えておりません。
○亀田得治君 それは修正するとすれば、ちよつとしたところでも手続上厄介でしよう。会期も迫つているからというわけで、そんなような厄介なことは避けたい、そういうお気持はわかりますよ。併しそういうことを、これはもう誰が考えて見ても、これは原案でも予想しておらなかつたことなのですからね。これは少し行過ぎだとお感じになろうと思うのですね。私は是非一つこれは御再考願いたいと思うのです。この点は十分みんなの意見がまとまればそう面倒なことをしなくてもさつさと修正は私はできる問題ではないかと感じているのです。
○政府委員(三浦寅之助君) 御承知のように、勾留は原則としては罰金のときには殆んどしないということは御承知の通りでありまして、実際の運用の場合に、又取調べている場合に、御心配のような点は恐らくないであろうと思います。運用上は支障はないと思うのです。ですからそう特に御心配にならなくても、又法案の体裁を壊さなくてもいいだろうと思います。そういうふうに運用上支障はないものと考えております。
○亀田得治君 そういう考え方であれば、刑事訴訟法というものは取調べる側から見て、必要以上に権限を持つような考え方があつちでもこつちでも出て来ると思う。これは必要最小限度のことにしておいてもらわんと困るわけなんですね。刑訴というものは明らかにそういう立場に立つて作り上げられていると思うのです。そのために例えば科学的な捜査とか、そういつようなことも又半面強調されるわけなんですね。こんな罰金五十円程度のものにこんな重大な例外を適用するということはおかしいですよ。私は本当に衆議院における発案者がそれをも含める意味でやつたものかどうか。実は確かめたいと思つているのですが、これはあなたのほうでそういう私が申上げたような議論の立場からお確めになつたことがあるのですか、単なる想像でございましようか。
○政府委員(岡原昌男君) 単なる想像というよりは、想像を若干超したものでございますが、どういう罪について一体勾留を延長する必要があるだろうかという点について若干のお尋ねがあつたことは事実でございます。それで私どもが当初考えておりました内乱騒擾といつたようなものから始まりまして、例えば偽造の場合とか、詐欺の場合とか、いろいろな場合がある、或いは暴力行為の場合とか、あつたのでございますが、そのうち最も勾留の再延長の必要のあるような場合、而も罪が相当複雑、困難、或いは多衆共同といつたような形で行われるというようなものを選りすぐつて、先ほど申上げましたような第二章乃至四章、又は第八章、こういうふうに書かれたのであろうと思います。ですから恐らく衆議院ではその第二章から第四章の罪、或いは八章の罪について一応全部検討されたのではないかと思います。ただ立法技術上御承知の通り第何条、第何条、第何条というふうに全部書き上げるということはかなりむずかしいと申しますか、法文が汚なくなると申しますか、そういうような関係で章で括つたという立法技術上の問題があつたのだろうと思いますが、私どもといたしましては、こう書いてございましても、実際の運用として、単なる罰金の事件についていつまでも身柄を拘束する、それは最初の逮捕はございます。事実の真相を或る程度明らかにするために最初の逮捕はこれはあり得るわけでありますが、或る程度事件の内容がわかつて来れば、これは附和随行だということがはつきりした以上は、これは三日なり五日なりで当然放すことになると思います。実際そうやつております。この前のメーデー事件なんかでも、そういう簡単な罰金に該当する事件をいつまで抑えておつても仕様がありませんから、いわゆる石を投げたといつたもの或いはだんだんとなぐりつけたが烈しいといつたようなものを中心として調べが首魁のほうに及んだというような点から申しましても、かような附和随行的なものについては、実際上は再延長……、延長もそうでありましようし、いわんや再延長といつた問題は起らんのではないかと、私どもはかように考えております。
○亀田得治君 そこなんですよ。必要がないことなら書く必要がないじやないか。それからもう一つあなたが今御答弁になりました中で、第何条或いは第何条の第何号というようなふうにいちいち書き出すと非常に面倒くさい、法文も汚なくなる、こうおつしやいますけれども、やはりそういうふうに書いてある場所も刑法や刑訴の中にところどころ散見するわけですよ。そんな書くのが少し長くかかるからというようなことでは、ともかく法律の対象になつている人から見れば、これは大変な問題なんですからね、そういう便宜的なことで、まあ一つ取扱上は注意するから、ここは簡単に書かしておいてもらうからと、そんな権威のないもので私はあつちやならないと思う。法律を作る以上は、必ず必要性がある、そうして必要性があつて作るのですから、必ずそういう事件がが起きたら、その対象に対して適用されるものでなければいかんですよ。私は作る以上は適用してもらいたいと思う。ところが初からそんなあなた問題にならないようなものを何で入れて置く必要があるのですか。私は決してこれは発案者の意図はそんな悪質なものではなしに、これは単なる過失ではないかというふうな感じもいたしているわけです。で、この点だけで余り時間を取りますと、ほかの時間に触れる時間が少くなりますから一応この程度にこれはいたしておきます。
○委員長(郡祐一君) 速記をとめて下さい。 午前十一時十一分速記中止 ―――――・――――― 午前十一時三十七分速記開始
○委員長(郡祐一君) 速記を始めて下さい。
○説明員(岸盛一君) この百九十九条の第二項に逮捕状発付の要件として消極的な規定として明らかにその必要のないときは、明らかに必要のないときにはこの限りでないという規定になつたようであります。そこで逮捕状発付についての必要性の判断ということにつきまして、裁判所としての考え方を御説明申上げて御参考に供したいと思います。 この逮捕状の制度は御承知のようにアメリカのヴオラント・オブ・アレストの制度と申しますか、アメリカの逮捕状制度をとり入れたものらしいのであります。で捜査の最初の段階において、裁判官の逮捕状、令状によつてでなければ逮捕されない、そういう意味で非常に捜査手続における、殊に逮捕手続における国民の人権の保障という ことが考えられていることは当然であるわけであります。殊に憲法が令状主義、人身の拘束についての令状主義という建前をとつておりまして、それを受けてできているのがこの逮捕状の制度である、さように考えられるわけであります。 ところでこういう制度になりまして、逮捕状は常に裁判官が出すということになつて、果してどの程度国民の、被疑者の人権が保障されるかということは、この逮捕状発付の制度だけではなく、これと関連する捜査手続の全体の仕組、それから逮捕状の性質というものと関連して考えなければならない問題なのでございます。同じ逮捕状という名前を持つておりますけれども、アメリカにおける逮捕状と、それから新刑事訴訟手続における逮捕状というものは、その性質がまるで違つているということが一つ大きな点なのでございます。この憲法が裁判官によつて捜査の行過ぎをチエツクするというやり方、これが新刑訴では、この逮捕の段階では、逮捕状の制度というものとして現われております。これは確かに旧刑訴に比べますと、例の行政検束とか、或いは違警罪即決処分を利用して被疑者の取調べをしたというようなことは、この逮捕状制度の下では行われなくなつたという意味で、旧刑訴法に比べますと非常に人権保障の線に添つていることは明らかであります。鶴が併しながら御注意頂きたいことは、捜査手続、殊にこの逮捕状を出すときに、裁判官がどの程度捜査事件にタツチしているかという点なのでございます。アメリカの逮捕状と申しますのは、これは捜査機関がやはり裁判官に請求して発付を受けますが、この逮捕状の内容というものは、逮捕をしたらその被疑者を裁判官の面前に連れて来い、自分の面前に連れて来いという意味の命令なのでございます。捜査機関がその逮捕状を受けて、そうして被疑者を逮捕しますと、裁判官の面前にその被疑者を連れて行つて、そこで証拠を出して、そうしてこの逮捕者がこういう犯罪を犯したということを一応立証しなければならないわけなんです。その手続は公開の法廷でやる。つまり予備審問というふうに申しております。アメリカでも逮捕状は多くは書面審査で出されている。而も逮捕状発付の要件は、被疑者が犯罪を犯したことを疑うに足る合理的な理由があればそれを出す。州によつてはそれが裁判官の義務であるという規定も置かれている。逮捕状のほうはそういうふうに書面審査で出しております。それは必ずしも書面審査でなくて、証人をそこへ連れて来るということもやれるような立法の州もあるようでありますが、併し全体的には逮捕状発付の要件は、新刑訴の逮捕状発付の要件として変らないのであります。併しながら大事なことは、裁判官が行過ぎをチエツクする、大事な点は逮捕状発付の点ばかりではなくて、先ほど申しました予備審問です。逮捕状によつて逮捕した人間を裁判官の面前に連れて来て、そこで逮捕した者に対して或る程度の立証をさせる、裁判官がそこで提出された証拠、これは場合によつては証人を連れて来て、そこで証言をさせるということもやるわけですが、つまり公開の法廷でやるわけでありますが、その際に、裁判官がこれは将来有罪の判決を得る見込がないというふうに考えますと、すぐ即座にそこで被疑者の釈放を命ずるわけであります。そこで被疑者は釈放される。でそうでない有罪の見込ありという者、これに対して裁判官が勾留状を出す、そうなりますと検察官がすぐ簡単な、簡易の起訴手続による場合もありますし、又更に事件の種類によつては起訴陪審にかける。そうして被疑者が起訴されて被告人にかる。こういうふうな仕組でありますから、その予備審問の段階で裁判官が被疑事件のほぼ全貌を調査して、そうしてこれから先手続を進めることを許すかどうかということを審査して、そういうことがいかんというときには、直ちに釈放を命ずる。これこそが本当の裁判官による捜査の行過ぎを抑制する作用だということができるわけなんです。このように捜査の機構がそうなつております。又逮捕状の性質も、それをつかまえて警察へ行つて調べていいという日本のような逮捕状ではなくて、先ず裁判官のところに連れて来いという裁判官の命令なのです。そこに大きな違いがあるということを一つ御留意願いたい。 それからこの新刑訴の手続は、これは逮捕状の制度というものを取り入れましたけれども、今申上げましたような事情で、これはいわば換骨奪胎してとり入れた制度と言つても止むを得ないと思います。而も捜査の仕組みは、先ず逮捕状によつて警察で四十八時間調べる。それから検察庁へ送つて二十四時間、検察官が更に勾留を請求して、勾留状が出ますと十日、それが更に延長されると十日というふうな仕組み、これは旧刑事訴訟法時代の捜査の仕組みとそう大して変つていない。つまり裁判官が捜査手続に介入する余地というものはアメリカと比べますと格段の相違がある。日本の仕組みの下では、裁判官はただ令状を出すだけである。そしてその令状がどう使われるかということについては、裁判官は何らそれを、もう一旦令状を出した以上は何ら捜査手続に介入する権限、余地というものは認められていない。そういう点に大きな違いがあるわけです。ですから逮捕状の性質というのがアメリカのような制度になりますと、逮捕というものは捜査の終りなんです。捜査機関がいろいろ捜査して、これに間違いないといつて証拠を揃えてとにかく逮捕状を得て、そうして裁判官のところに連れて行つて裁判官の面前で、公開の法廷で立証するという仕組みですから、捜査の終りと言つて差支えないと思います。ところが日本のこの新刑訴訟の捜査手続の仕組みの下ではそうは言えない。むしろ逮捕は捜査の始まりというふうに見られるべきものじやなかろうか。そこに非常に逮捕状制度についての非常な違いがある。一番憲法が考えております裁判官によるつまり捜査の行過ぎのチエツクということ、これが現行刑訴の下では十分に考えられていないと言わざるを得ないと思うのであります。ただこう申しまして、も果してどういうふうに捜査手続きをこの際やるかということはこれは又別問題で、これは又大きな問題、捜査の技術とかそれから捜査の実態、そういうものがアメリカと日本とでいろいろ事情が違うと思いますから、すぐアメリカ式のものを日本に持つて来て、それでうまく行くとかと、そういうことは簡単には結論することはできないと思いますが、併し少くとも捜査手続の仕組みについて、もつと根本的に考える余地があるのじやなかろうかということは申上げることができると思うのであります。 そこで、次に現行刑訴の百九十九条を見ますと、逮捕状発付の要件とし凌しては、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があれば逮捕状の請求ができるとだけを規定してある。つまり逮捕状発付の要件は、犯罪の嫌疑について相当の理由があればよいというふうに規定されておるのです。その百九十九条の規定から、その際に犯罪の嫌疑があつたということのほかに、つまり逮捕状を出して身柄までも拘束しなければならんかどうかの判断、つまり逮捕状発付のつまり必要性の判断というふうに呼んでおりますが、その必要性の判断が裁判官にあるかどうかということが議論になつておるわけなんです。その議論になります理由は、百九十九条の逮捕状の規定と六十条の勾留状の規定と比較して見ますと、勾留状の発付要件としましては、罪を犯したことを疑うに足りる相当の理由のほかに、被告人が住居不定である、或いは逃走の恐れがある、或いは罪証隠滅の恐れがある、そういう六十条の一項の一号から三号までに規定されているそういうものが勾留の理由として更に附加されている。ところが逮捕状についてはそういうような規定がない。先ほど申しましたようにただ「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」、犯罪の嫌疑だけしか規定されていない。そういうような条文の規定自体からそういう逮捕状を出す場合に、被疑者は住居がはつきりしておつて逃げる恐れがない、或いは罪証の隠滅もないから逮捕状を出さなくてもいいじやないかというような判断権が裁判官にあるかどうかという、この点が議論になつておるわけなのであります。学説の傾向としましては裁判官に判断権がないという考えが強いように思います。その反対に必要性の判断権があるという学説、これも無論有力な学説もあるわけであります。併し有力な必要性の判断権があるという学説も、やはり無条件に必要性の判断ありとは申しません、と言いますのは、つまり裁判官はその段階において事件の全貌を知ることができないことから、逮捕の必要があるかどうかについては十分捜査機関の意見を尊重しなければならない、そういうふうに説明するのであります。これは必要性の判断権があるという学説でも、ただ野放しに裁判官の自由にきめるのだというふうには申しませんで、やはり捜査の過程においては、捜査機関の意見を十分に尊重しなければならない、そういう制限付きの判断権というものを認めておるわけなのであります。これが本当の裁判官による捜査の行過ぎのチエツクに果してなるかどうか、そういうことになりますと尊重しなければならん。どうかと疑われる場合には、やはり捜査機関の意思を尊重しなければならないということになりますならば、事実上必要性についての判断権がないということと同じになりやしないかというふうに思われるわけなのであります。 ところで裁判所の実際も、この点は非常に逮捕状の濫発という世間の声、これはもう常に問題にしていろいろ考えておるのですが、規定の正面から言えば、先ほど申しましたような理由で勾留状発付のときのような要件まで調べることはできない。併しながらただ必要性の判断権がないと言つただけでは、折角憲法が令状主義というものを、原則として裁判官によつてチエツクしようという趣旨が全然無視される。そこで実務の大体の傾向としましては、条文上の根拠がありませんけれども、明らかに逮捕の必要がないと思われるような場合、これは逮捕請求権の濫用であるという考えで、逮捕状の請求を却下する、そういう考え方をとつておるわけなのであります。 どういう場合がそういう場合に当りますかと言いますと、よく実務の上で問題になりますのは、いわゆる例のたらい廻しといいますか、たくさん、先ず一つの罪で逮捕状を請求した。それが起訴の途がなくなると、今度又別な罪で逮捕を請求してやるというふうにして、事実上そうやつて逮捕による拘束の期間を長引かせるというやり方、そういう疑いのある逮捕状の請求がありますと、これは逮捕権の濫用であるというふうに考えて却下するのであります。そのほかにも犯罪の軽重とそれから情状等から見て全然拘束までして調べなくてもいいじやないかということが明らかな場合にはこれも却下する。実例上はそういうふうにして逮捕状による捜査の行過ぎというものをチエツクいたしておるわけなのであります。併しそう申しましても、何分にも条文上の根拠があつた上ではないことでございますので、この点が今度条文の上にはつきりなりますと、裁判官は勇気と決断を持つてそういう場合をどんどん処理することができる、さようなことになるわけであります。その際に捜査の仕組みが先ほど申しましたような捜査の仕組みになつております。裁判官がちよつとおかしいと言つただけで、必要性についてちよつと疑義を持つたということだけでぼんばん逮捕状を蹴るということになりますと、これは又捜査を妨害するというような虞れも起きるわけです。そこでアメリカの予備審問における裁判官のように、事件の全貌をすつかり調べ上げた上で判断するという仕組みなら格別、そうでない先ほど申しましたようなこの性格の現行捜査手続の下では、捜査手続の冒頭の逮捕状だけによつて、それだけによつて捜査の行過ぎを十分にチエツクできるということは、制度自体から言つてやはり無理な点があるのじやなかろうか。又こういう仕組みの下で、余り捜査の段階で裁判官が捜査手続に介入するということも、今のこの仕組みを前提としては、これはむしろ不可能である、疑問であると言わざるを得ないのであります。そういうわけで、この但書のようなことがはつきり条文化されますならば、従来解釈で、裁判官の頭の中の操作だけでやつたことが、条文上の担保を得るということになりまするので、この点が非常に改善されることになろうと思うのであります。 そこでなお御参考のために先ほど申上げましたようなこのアメリカの逮捕制度の下においても、やはりアメリカでも逮捕状は無差別に執行されるという非難があるのです。まあ日本で言いますと、逮捕状が濫発されているという非難がアメリカですらあるわけなんですが、それは何を言いますかといいますと、その捜査の当初の段階においてそう裁判官にチエツクしろと言つても事実上できないと言う、捜査の最初の段階ですから……。これが公判手続のように裁判官が事件について審理を進めて行きますと、この被告人の身柄を釈放していいか、もつと勾留を継続しなければならんかということが裁判官にはよくわかる。ですから、勾留中はもう保釈とか執行停止ということは、裁判官の責任において自由にできるのであります。事件の実体について審理しない、裁判官が審理しない捜査手続の下においては、そういうことを裁判官に期待するのは、まあ十分に期待は持てないと言わざるを得ないと思うのであります。そこでアメリカでも逮捕状の濫発という非難がありますが、この濫発というのは裁判所が出すという意味の濫発じやなくて、逮捕権の無差別な執行という言葉でそれを言つております。法律上の逮捕権が認められたからと言つて、それを無差別に執行するのはよくない、そういう意味の逮捕状の無差別に対する濫発ということが言われておりますが、それに対する対策としてアメリカで考えられておることは、一つは逮捕状の請求を受けた裁判官が逮捕状に代えて召喚状を出す、身柄を拘束しなくても強制的に出頭を命ぜればいいじやないかという意味で召喚状を出すというやり方でございます。併しこれは先ほど申しましたように、アメリカの逮捕状は裁判所に被疑者を連れて来いという命令ですから、召喚ということも可能なわけであります。 それからもう一つの第二の方法としてとられておりますのは、逮捕状の請求をするについては検察官のアプルーヴを得て来い、そういう制度であります。これは立法として条文が出ておるかどうかはつきりいたしませんが、まあ文献によりますと、ミズウリー州では、すべての犯罪について逮捕状を請求するときは、先ず検察官のアプルーヴを得た上で請求しろと、そこでつまり法律的な教養のより高い検察官の手を経て不当な逮捕状の請求をチエツクするというやり方、それから又或る州ではすべての犯罪ではなくてまあ重罪、重罪については必ず検察官のアプルーヴを得なければならない。そういうふうなことをやつて、この逮捕状濫発に対する対策ということを考えられておるのです。 それからもう一つ、この逮捕状について御注意願いたい点は、この日本の制度の下における逮捕状は、アメリカのように裁判官のところに連れて来いという命令ではなくて、逮捕の権限を付与するという、まあ許可を与える、一種のこれは広い意味では裁判になりますが、逮捕権があるということを認めてやるという性質のもので、逮捕しろという命令ではないわけなんです。でありますから、逮捕状を得た捜査機関がそれを、逮捕状を行使するかどうかということは、やはりその捜査機関が十分考えて行使しなければならない。逮捕状を得た当時は逮捕しなければならんような情勢であつたとしましても、一週間たち二週間たつて、逃亡の虞れもなければ、罪証隠滅の虞れもない。身柄を拘束するほどのこともないということがはつきりした場合には、むしろそういう場合には捜査機関が令状を行使しないで、自由な任意な捜査をやつて然るべきものじやなかろうか。殊に逮捕状についての必要性ということを問題にいたしますが、逮捕状の必要性についての一番大事な点は発付についての必要性、もとよりこれは、必要のないものをどんどん出すということはいけませんが、更にその先の段階の執行のときの必要性、それをやはり考えなければならん。これは併し捜査機関の内部のやはり自粛によつてやつてもらう以外にはない。 まあさようなわけで、この同じ逮捕状という制度を持つて来ましても、その内容というものはまるで違う。性質が違う。根本的に捜査手続の仕組みが違うと、そういうことを併せてお考えの上この法案についていろいろ御審議頂ければと、まあ御参考までに申上げたわけであります。
○中山福藏君 私の申上げることを明確にしておかんといかんと思うのですがね。私は只今一極委員のおつしやつた通り、この起訴前に騒擾罪の一、二、三、のうちのどれに該当するかということを決定するまで勾留されるわけですから、この決定されたときすでに二十日以上にあと五日、二十五日で調べ上げたときには、もうこれは手の付ようがないわけですね。そこへ決定ということはたくさんの、多衆の人が個々別々にやられるときは、これははつきりして、この条項のどれに当るということはよくわかるのです。ところがこれを一時に決定する、最終の目に決定するという場合には、これは二十日のが二十五日になる場合があると思うのですね。そういうときには取返しのつかないようなことが出て来て、誠に被疑者に対してお気の毒という立場にあるわけですが、そこを私どういうふうにしてそれを、一つその弊害、或いはその何と申しますか、陥りやすい弊害を除去することができるかということを、もう少しこれを研究する必要があるのじやないかと思うのですが、どうでしよう。
○委員長(郡祐一君) 一つその点は只今岸刑事局長が申しました百九十九条二項但書の岸君の説明ですと「明らかに」ということになつたほうがよろしいという意味ではないかと私は思います。これは御質疑によつて明らかにして頂きたいと思います。 それから勾留期間の延長の問題は、先ほどのお話のように別途その審議に当りました衆議院の委員の諸君と委員会を離れて懇談をいたしてその間の事情を明らかにして、又各委員から先ほどのお話のようにお尋ねを願いたいと思います。それでよろしうございますか。後段の……。
○一松定吉君 「明らかに」はやはり衆議院の連中もやはりそういうものを中に入れて懇談をすると、今岸さんのお話だけでは明らかに入れるのがいいかどうかというまだ問題の解決になつておりませんから……。
○委員長(郡祐一君) 岸君もそれに触れておるようでありましたから、若し御質疑があれば別途向うの委員会に申込みをしておきながら、その点について一つ御質疑を願いたいと思います。或は岸君に御質疑がなければ結構ですが……。
○亀田得治君 岸さんにちよつとお尋ねしたいのですが、今度こういう刑事訴訟法の改正案が逮捕状の濫発に対する一つの抑制の意味で設けられる。こういうことになりますと、あなたの見込みでは、従来抑制しておつたよりももつと多く判事が抑制するだろうと、まあ従来私どもの経験でも先ほどあなたがおつしやつたような立場で警察官から請求があつても逮捕状を出さない、こういうふうに蹴つておる判事も相当あるわけです。そうしてそれよりもあなた随分殖えると、そういう場合にね、そういうふうにお考えですか。
○説明員(岸盛一君) その点は先ず第一に、こういう法律ができますと規則のほうで、今度逮捕状を請求するときにはどうも疎明資料を、従前のただ罪を犯したことを疑うに足りるというだけ、まあ嫌疑事実だけの疎明資料じやなくて、やはり逮捕を必要とするということの疎明資料の提出を求めることになりますと、先ずその点で制附するほうが先ず従来よりもずつと慎重にならなければならないということになります。それから裁判官のほうとしましては、先ほど来御説明しましたように、又只今お尋ねのありましたように、条文上この点がはつきりしますれば、従来よりも遥かに決断を待つて不当なものは却下する、そういうことになることはもう明らかであると申上げてよろしいと思います。むしろ従来裁判官は法律の解釈については疑義を待ちながらやつておつたわけなんです。そういうことをむしろやりたいと思つているくらいなんです。
○亀田得治君 私もそういうことを期待しているわけですがね。併しそのためにはこれは裁判所の機構自身として相当考えるべき点があるのじやないか。逮捕状関係の判事は随分たくさんの事件を扱つております。東京とか大阪とかそういう場所ではね。従つて自然に盲判になりやすいのです。そういう点に対して丁度仮処分事件のために、この専任の判事を民事関係で置いておりますね、重要なところは……。大阪、東京といつたような特別なところには何かそのような措置までお考えになりませんと、この法律の条文の改正だけでは、まあ初め少し意気込んでやりましても、結局過労で駄目になつてしまう。こういうことを私関連して心配していたんですが、丁度直接その関係を指揮される最高裁のほうからお越しになつたから聞くのですが、それはどういうふうにあなたのほうでお考えですか。
○説明員(岸盛一君) その点は今後裁判官が逮捕状を出しますときには必要性の有無について判断を加えることになりますから、裁判官としてはまあ従来法律上規定されてなかつた以上の仕事が殖えるというふうに一応は考えられますけれども、併しこれまででも令状発付についてやはり裁判官がそこに頭を悩ましておつたわけなんです。ただ条文の上ではつきりしないからそれがはつきりできなかつた。これがために特にこの令状発付係の裁判官の負担が殖えるというふうには考えられませんのです。従来むしろこの点をやりたいのだけれどもというのがむしろ実情だつたのです。こういう点を、相当性の判断をもつと十分にやりたいのだけれどもというのが実情だつたわけなんです。ただその点はまあ令状請求の数でもどんどん殖えて来るとか、そういうことになりますならばこれは又別問題で、負担過重の問題になりますけれども、最近は次第にこの事件が減つて来ておりますので、まあ当分は特にこのために判事の増員なんかをしなくても大丈夫やつて行けるというふうに只今思つております。
○亀田得治君 私はやはり外から見ておる関係上、そういうふうには実は思わないのです。非常にまじめな判事さんは必要性という問題で悩んでやつておりますが、まあ不まじめな判事さんはおらないと思いますが、まあ併し幾らかこういう問題について、ほかに仕事が多いために軽く考えておられたかたがあるかも知れない。そういうかたたちはやはり簡単に判を押して行つていると思います。ところがこういう規定が動いて来ると、これは、国家の意思というものが判事に非常に希望を持つておるのであります。こういうことが現われて来るわけですね。だからどうしてもこの仕事のために相当、全体の判事の仕事を考えますと、全体を一緒にこう並べてみると、仕事の分量が殖えると思うのです。それで、これは一人や二人についてはさほど弊害は出て来ませんが、よく考えておきませんとやはり無理が来ると思うのですね。無理が来たんでは結局駄目なんでしてね。まあこの法律が通りましても施行までに暫く期間があるようですし、私は必要であれば来年度の予算を組まれる場合に、これはやはり費用の面でのバツクがありませんとものになりません。で、「明らかに」という文字がどのようになるか、これはまあ先ほどのあなたの御意見を参照にして私どもも知らないことも知りましたから、一つよく考えますが、どのようになろうと、これを実効を挙げるためには、是非その点を考えて欲しい。で、特に今あなたもおつしやつたように、こういう条文ができれば、刑事訴訟規則の中に疎明資料として必要なものを何か少し書き込んで行くと、このような計画もおありのようです。そうなれば、もうそれだけから言つてもこれは判事の負担が殖えますよ。それから熱心な判事であれば、必ずやはり人によつては直接警察に電話をして、こういうようなふうになつているのは、一体これはどうなのかというふうなこともお聞きになるでしようし、そういうことがやはりできやすいように予算措置をも同時に考えてやつてもらいたい。こういう点を一つ特に要望いたしておきます。
○説明員(岸盛一君) 只今の御趣旨はよく了承いたしました。で、若し、どうなりますか、こういう条文の改正が行われますと、これはもう当然のこと、いつも又やつていることなんですが、この趣旨についての徹底のために中央の会同ばかりでなく、今度全国の会同もやりまして、この趣旨は十分に徹底するようにいたします。従来でも裁判官の会議があるたびごとに、いつも話に出るのはこの逮捕状の問題です。そうして裁判官の立場として、現行制度の下でこの程度までしか行けないのは困つたことだという意見が出ているくらいで、裁判官も十分この条文の改正にはもうすぐにぴんと来るわけであります。なお私どもも十分その点は注意いたします。
○委員長(郡祐一君) ちよつと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(郡祐一君) 速記を始めて下さい。
○中山福藏君 折角あなたがお見えになつておりますので……第一の捜査官というのは司法警察官、それから公訴官のほうは検察官と、こうなりますね。連絡がよくとれない場合があるのじやないかと実は心配しているのですが、そこで例えば検察官よりも頭の程度の低い、知識の少い司法警察官がこういう罪名に当るのだ、この事件はだから、この勾留というものは、改正刑訴の通りの期間勾留するとという場合に、公訴官のほうでは、俺の見込みでは、それは全然違うのだ、罪名或いは公訴の実体というのは違うのだという場合には救済する方法というようなものは考えておられるのですか。
○説明員(岸盛一君) これも最近この改正案めぐつていろいろ議論いたしております。只今のような場合ですと、まあ裁判官自体でもこの法律上の要件が備わつていないようなものは、すぐ不当な請求としてこれは却下することになろうと思います。問題はこの程度の事件を一体人身の拘束をしていいかどうかというような場合、それについて疑いを持つた場合に、裁判官は一つの手段としてやはりこの公訴維持の責任者である検察官に意見を求めるというようなことをしたらどうか。若しこういう百九十九条の改正が行われますと、それと、その関係の規則と一緒に裁判官は必要に応じて逮捕状発付について検察官の意見を求めることができるというふうな規定を置いたらどうかということを考えております。併しその場合でもこれはやはり逮捕状は裁判官が出すものであります。検察官の意見を聞いたからと言つてそれに拘束性を認めるということは、これはもう当然そういうことはないわけで、従来でも検察官からの請求でも却下されている例もあるのであります。ただ先ほど申しましたように、アメリカでもこの逮捕状の請求が余り濫用されるというので、すべて検察官の手を経ろ。まあ検察官のアプルーヴを得て来いというようにやつているところがあるわけですから、やはりそういうことも参考にして、検察官の手を経れば不当な捜査がそれだけ又チエツクされるという可能性が大きくなる。かようにまあ考えるわけです。
○中山福藏君 私はだからそこをこの司法警察官のかけ出しの者がこの逮捕状を求めて、それで警察でその被疑者を取調べると、その間に相当の勾留期間というものが長引いて非常な迷惑がかかるんじやないか。だからこの勾留するかしないかということを決定するということについての危険性というものがそこに非常に伴うのじやないかということを非常に心配するわけなんですがね。その今おつしやつた程度で救済できるものでしようか。そういうことを……。どうです。
○説明員(岸盛一君) 慣れない警察官の逮捕状請求は、今度何か改正案によりますとレベルが上つております。警部以上でなければならん。それからお尋ねの勾留の問題になりますと、これは逮捕状の発付についてこういう改正になつたんですから……。
○中山福藏君 もう一つ尋ねておきますが、今自治警のほうではまで百カ所くらい国警と合併していないところがあるそうです。従つてそれについてやはり警部補の署長というものが法規上は許可されるということになつておるらしいのですね。警部以上の逮捕状ということになりますと、暫定措置はどういうふうにそこはなさるのでしようか。この間齋藤長官が来られて、明らかにまだ百カ所あるとおつしやつたんですが、ちよつそれがなくなるまでは救済できんのじやないですか。そういうことになりますと……。
○説明員(岸盛一君) ちよつと警察関係のことは私はよくわかりませんので。
○中山福藏君 いやここに警部以上と書いてありますからね。今度これが改正になりますれば……、それであなたにお尋ねするわけなんです。暫定期間というものに対する暫定措置はどうなるかというお尋ねをするわけです。
○説明員(岸盛一君) 暫定措置がとられるということも私承知しておりませんので、ちよつとこの点はむしろ国警なり法務省のほうへ……。
○中山福藏君 いや百カ所あるでしよう。まだ合併していないのは僅か百カ所だと言いましたよ。はつきり。殆んど合併しておると、こう言うんだ。
○委員長(郡祐一君) 国警から中川刑事部長が参つておりますから、その点は中川刑事部長から一つ……。
○政府委員(中川董治君) 町村警察で住民投票の結果合併しない点について長官がお話になつたんだろうと思うのであります。国警の警察署長の現行警察法では、警部補というのはなり得ないことになつておりますが、自警につきましては、法律上警部補以上の者を似て署長にするということになつておりますので、法律上は確かに警部補の署長があり得ると、こういうことになりますが、本年四月現在で、私どもが自警と連絡して調査した結果によりますと、現実に警部補の署長を置いている警察署はない、これが結論でございます。
○委員長(郡祐一君) 百カ所あるというのは、町村の自治警が百カ所あるということで、署長はいずれも警部だという……。
○中山福藏君 それで私が聞きたいのは、そこなんですよ。法規上警部補を以てこれに充て得るということになりますと、できるだげ経済的に安く置こうという疲弊した町村ではあるわけです。そうするとこれは法規上明らかに絶対にないということは言えないのです。それで私この間も質問したのはそこなんですよ。万一警部の署長が脳溢血にでもなつたら……、これは保証できない。そのときに逮捕状の請求をするのは何人がやるか。法規上あり得る警部補の署長というものがここに一応想い起されるときにおいては、絶対にこれはない、そういうことをしないということをあなたがたがおつしやつても、町村の自由ですからね、これは……。そいつがどうなるかということをお尋ねしているのです。
○政府委員(中川董治君) 先ず警察署については確かに法律上警部補の適用があるのではないか。当該市町村警察の警察そのものには、必ず警察法によつて警察長というものがある。警察長というものが警察以上の階級にあるものというふうに読めますので、先ず警察長というものがその警察に必ずおり得る。最小限度如何なる警察においても警察長一人は法規上あり得るということ、こういうことが先ず第一に言えると思うのです。
○中山福藏君 警察長というものは警部補を以て充てるということができるということになつておるらしいのですが、警部ということに限つておりませんね。
○政府委員(中川董治君) 警察長というものは警部とか警部補という階級よりも上の階級であると、こういうふうに理解ができるのであります。
○中山福藏君 それは理解できるのじやなくて、現実に警部補で警察長という肩書を持つておるものがおるということを齋藤さんが又ここで言われたんですよ。あなたはそれをはつきり聞いておられるかどうか知りませんがね。
○委員長(郡祐一君) 警察署長と警察長の……。
○中山福藏君 警察長というのは警部補であり得るということを言いましたよ。
○委員長(郡祐一君) 警察署長でなく警察長のほうは……。
○政府委員(中川董治君) 警察長のほうは……。
○中山福藏君 警察長というのはこれは署長と違うのです。併し警察長というものは又別の存在としてここにあると、こういうわけですね。それは、警部補でもあり得るんだと、こういうことを齋藤さんが明らかに言われておる。それは楠見さんも聞いておるのですから、はつきりそう言つたのです。あなたの言われるのはもう全然それは違うのです。
○政府委員(中川董治君) ちよつと細かい点になりますが、警察長という観念と警部補という観念とは別の観念でありますので……。
○中山福藏君 それは勿論そうです。
○政府委員(中川董治君) それで警察長という観念は、衆議院で改正されました案の警部以上のものというふうに読めると私は理解しておるのですが、御研究を願いたいことが一つと、それからもう一つ、仮に非常に小さい自治体が観念上あり得まして、警察長一人しか百九十九条による逮捕状の請求をし得るものがないと、こういう場合が法律上あり得ると思います。そのかたが、まあ欠員になるとか病気なさるとか、こういつた場合が考えられる。こういう場合におきましては、当該市町村公安委員会は国家地方警察に応援を要請することができる。応援の要請を受けて国家地方警察の警部以上の者がそこへ応援して、当該の市町村内のいろいろな警察要務をする。こういう場合もありますので、いろいろなケースを考えましても、そういう応援要請というものを考え合せると、逮捕状請求が不可能になるという事態は法律上も起り得ないと、こういうふうに私は理解しております。
○中山福藏君 それは、あなたのおつしやることは私はようわかるのです。併しこれはもう被疑者にとつては緊急状態なんですからね。これはすべてを速急に処置をして頂かんと、非常にこの人権というものは侵害されるわけです。あなたのおつしやるような呑気な方法でやれば、これは手段方法は幾らでもあるのです。それはあるのですよ。併し観念上その警察長には警部以上でないとあり得ないということは、現実と、又そういう考え方とはこれは別個の問題ですから、観念上は……。だからそういうわけには行かんと思います。だから私はそういうお互いに議論でこれを抑え付けて行こうということを考えないで、現実の問題としてどう被疑者のために取扱つたほうがいいかという立場からお尋ねしておるわけでございますから、どうか一つそういう点は考え違いのないように、一つ即座に被疑者にどういうふうにしたら一番親切になるだろう、人権というものが侵害されずに事が処置されるだろうかということを実は主眼において私はお尋ねしているわけなんです。
○政府委員(中川董治君) 只今の中山先生のお尋ねに対しまして、やや法律技術的な点を申上げましたから誤解を生んだんだろうと思いますが、要するに市町村警察におきまして、成るべく質のいい、而もいろいろな法令も詳しいし、常識も発達した人間を置くということが問題解決の根本的要件だろうと思いますので、そういつた点につきましては自治体の公安委員の皆様も非常にそういうことのお考えでございますので、そういつた点を大いにお考え願えることと考えておるのでございます。それも非常に財政上等について困難な向きにおかれては、現行警察法で住民投票の結果を待つて国家地方警察に統合されるという途もございますので、そういつた点両方、いずれかの方法をとられまして、だんだん立派な充実した警察組織が整備されるということを私どもは非常に期待しているのですけれども、当該市町村の公安委員会の皆様、町村長その他のかたがたもそういう方法でやられるということを、まあ想像にかたくないのでございますので、そういつた点申上げておきます。
○中山福藏君 どうぞ一つ、そういう点は善処されて万遺漏なきを期せられんことを私は切に心からお願いするわけなんであります。
○委員長(郡祐一君) ちよつと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(郡祐一君) 速記を始めて。この程度で暫時休憩いたします。 午後零時二十六分休憩 ―――――・――――― 午後三時二十九分開会
○委員長(郡祐一君) 休憩前に引続き委員会を開きます。質疑の続行をいたします。
○亀田得治君 それでは引続いて質疑をいたします。修正の百九十八条二項、これは原案とどれだけ違うかという点ですね。
○政府委員(岡原昌男君) 告知の内容が今回の修正案は、「自己の意思に反して供述をする必要がない旨」というふうに変つただけでございます。原案は「自己に不利益な供述を強要」されないというふうになつております。原案の考え方といたしましては、憲法の条文をそのまま引用しましてその内容を告知する、つまり不利益な供述を強要されないという点に重点をおいて、これを告げるごとに理解しておつたわけでございます。ところが衆議院でその点問題になりましたのは、不利益であるかどうかという判断は一体誰がするのかというようなことになります。それは勿論調べられる本人である、ただ本人が果してそれが不利益であるか利益であるかということの判断がむずかしい場合があるのじやないか、それは時によつてむずかしい場合もあり得る、そういうお答えをいたしましたところが、そういうふうなむずかしい場合があるようなことでは困るからというような、簡単に申すとそういうようないきさつで、それでは結局「自己の意思に反して供述をする必要がない」というふうな平易な言葉にしたらどうか。現行法の「拒むことができる」といういわゆる供述拒否権といつたような考え方を少しやわらげて、「必要がない」という表現にしたほうがいいのじやないかというのが修正の考え方のようであります。
○亀田得治君 原案とは実際上の効果としては非常に違つて来ることは今御説明の通り了解します。そこで現行法とこの修正案、これは違うのですか、違わないのですか。
○政府委員(岡原昌男君) 内容的に、つまり告知の内容を観念的に言いますと若干違つておるように伺われます。と申しますのは、「拒むことができる」といういわば供述拒否の一つの、俗に供述拒否権と申しておるそういうふうな立場と、こちらの修正案は「自己の意思に反して供述をする必要がない」という程度において、自分の自由が認められておるという表現をした違いが即ち観念的に違つて来るのじやないだろうか、かように考えております。
○亀田得治君 私これはちつとも違わないような気がするのですが、どうでしようかね。無理に違うという理窟を付ければ違うようにも思いますが、「供述を拒むことができる旨」というそういう旨ですから、その通り言うんじやないんだから、そういう意味のことを言うんですから、それと「自己の意思に反して供述をする必要がない旨」、これは殆んど実際問題としては違わんのじやないか。現在でも取調官が君はまあ言いたくなかつたら別に言わんでもいいんだと、こういうふうに判事も法廷で言うのもたくさんある、そうなりますと殆んど現行法と改正案というものが同じように感ずるのですがどうでしよう。
○政府委員(岡原昌男君) 只今も申した通り、「できる」という積極的に本人のほうにそういうふうな権利的な地位を認めたというふうなことと、それから「必要がない」という消極的なそういうふうな立場を認めたこと、こういう違いはあると思います。
○亀田得治君 これは併し供述拒否権というものを改正案においても否定するつもりじやないんでしよう。
○政府委員(岡原昌男君) 供述拒否権といういわゆる権利としてのあれがあるかどうかということは大分争いがあるところでございますが、ただ現在の普通の平易な言葉といたしまして供述拒否権と俗に言つております。それから御承知の二百九十一条の関係におきましては、黙秘権という言葉を使つております。それはいわゆる権利であるか自由であるかということについて若干争いはございますけれども、それはともかくとして、その告知の内容が違うことによつて、その言わざることの自由の程度がいわゆる権利的なものであるか、或いは単なる自由の少し毛の生えた程度であるかという違いだけはあると思います。それがどういうふうに実際問題として違つて来るかと申しますと、告知の実際の際に、その内容がいわゆる権利的にお前は喋らん権利があるというようになるか、喋る喋らんはお前の勝手だというふうになるか、その辺の気持の上に若干違いが出て来るだろう。従つて逆から申しますと、いわゆる取調官が矛盾を感ずる度合が少くなる、さようなことにはなろうかと思います。
○亀田得治君 現在でも大抵言いたくなければ黙つておつてもいいのだというふうに言つていますよ。それで現行法の「供述を拒むことができる旨」それに少しも私違反してないと思うのですがね。それで殆んど同じようなことであれば、特に法律を改正する必要がないのじやないかと私思つておるのです。というのは、同じようなことになつておるのに法律を改正しますと、改正した以上は、何か意味があるのだろうということで余計な要らない解釈が出て来ると思います。そういうことを非常に必配するのです。原案を修正されることに政府が了解を与えておられるのであれば、むしろもうこんな改正はやめてしまつて、そのほうがよほどすつきりするのじやないかと思うのです。というのは、あなた自身がすでに現行法より少し違つた意味がこの改正案にはあるようにちよつとさつきから説明されておる通り、これは逆に考えますと、君が述べたいと思う場合には大いに言わなければならんのだぞというふうになつて来る。これは「自己の意思に反して供述をする必要がない」というのだから、逆に見ますと、君が述べる考えがあるなら大いに述べよ。述べよという物の言い方が命令的になつて来たら、だんだん義務的になつて来るのです。そんなに強制する気持はないのだということなら、大体原案のようなやり方では憲法の黙秘権がどうも曲げられる虞れがあるという立場から修正が起きて来たのですから、いつそのことここの部分の問題は現行法通りやつておくということのほうがさつぱりしていいのじやないかと考えておるのですが、如何でしようか。
○政府委員(岡原昌男君) 憲法の趣旨が曲げられるということで原案が変つて来たわけではないのでございます。先ほど申上げました通りの事情で、原案に対する修正意見が出たのでございます。「自己の意思に反して供述をする必要がない」ということを、反面から自己の意思に反しない限りは供述する義務があるということにも又この条文上はならんわけでございます。
○亀田得治君 自己の意思に反しない限りは供述の義務があるということになるでしよう。
○政府委員(岡原昌男君) さような読み方にはならんと思います。
○亀田得治君 そういう虞れは十分ありますよ。そういう虞れがなかつたということであれば、むしろ現行法通りにしておいたほうがいいんじやないかと思います。必ず現行法をこのように変えたということであれば、今私が逆に解釈したような考え方が必ず出て来るだろうと思います。その点あなたは保証できますか。そういう逆説は出て来んでしようか。
○政府委員(岡原昌男君) 殊更に曲つた読み方をいたしますと、それはできないことはないと思いますが、普通のいわゆる法律の条文の読み方としてはそういうことにはならんと思うのでございます。
○亀田得治君 その点はその程度にしておきましよう。それから八十九条ですね、この八十九条では原案の多衆共同というのが削除をされました。この点はまあ非常にいいわけなんですが、これを削除された、又それに対して大体同意を与えておられるそのお気持はどういうことなんですか。
○政府委員(岡原昌男君) 折角、国会でいろいろ御審議の上で是非これを削れということでございますから、それは審議権を尊重したという趣旨でございます。
○亀田得治君 衆議院のほうでこの四号はいけない、こういう理論的な根拠はどういうことなんですか。
○政府委員(岡原昌男君) 余り理論的な根拠があると私は考えませんが、主としてこういう点であるようでございます。第四の、多衆共同して罪を犯したものであるという考え方は、たびたび私の申上げました通り、多衆の犯罪を犯すようなものは、又出た以上は多衆を以て証拠を隠滅する蓋然性がかなり強い、これは従来の一般の犯罪の傾向でございます。その傾向を取上げてここに法文化しようとしたのでございますが、その点につきましてそれは現在の第四号の証拠隠滅の虞れがあるという点で賄えるのじやないか。虞れあり虞れありとやつておれば、それで何も第四号を新たに加える必要がないのじやないかというのが議論のようであります。私どもとしては現在の第四号の運用が拡がることを実は厭がつておつたわけでございます。やはりそれには相当の理由がなければいかん。そういう理由なしに何でもかんでも理由があるというふうに、第四号の現在の適用を必要に迫られてこれを拡げるというのは妥当ではないだろう。これはやはりそれの犯罪によつてもたらすところの一つの蓋然性、証拠隠滅の蓋然性というものを中心にして考えて、これを合法の線に乗つけようというのが第四号を新たに私どもが附加えるという考え方であつたのでございます。で、これは現在の第四号を少しぐらい広くあれしてもいいともおつしやらなかつたのですけれども、何とか賄えるじやないかという御意見が多うございました。それでよければ私のほうもまあそういうふうにいたそうかということで折れたということでございます。
○亀田得治君 それから第五号ですね、修正案の第五号です。これはまあ政府の原案がそのまま生かされておるわけですが、これは非常に質的に違つたことが二つここに一緒になつておるように私感ずるのです。で、被害者に対する問題とそれから事件の審判に必要な知識を有すると認められる者とこの二つは、場合によつては非常に違つて来ると思うのですね。で、あの例のお礼まわりを禁止する意味だ、そういうような政府側の提案の説明であつたと思うのです。この条項はそういう提案の趣旨がぴつたり当てはまるのは、私は上のほうの被害者に関する部分である、こう考えるのですね。あとの部分はそういうものも一部含みますが、併し冷静に考えて見ますと、随分この集団的ないろいろな犯罪ですね一そういうものに及んで来る危険性が随分あると考えておるのですが、局長どういうふうにお考えですか。
○政府委員(岡原昌男君) 八十九条の第五号、修正案の第五号、いわゆるお礼まわりの点につきまして私どもが考えておりましたのは、脅喝事件の被害者が結局被告人から脅かされるというふうな点を中心に考えておつたわけでございますが、併しこれは今お話のようで、その他事件の審判に必要な知識を有すると認める者、証人として後日公判廷に出るようなもの、或いは場合によつてはまあ特殊な場合でありましようが、鑑定人等も含み得るそういう事件については、鑑定人は何名限りいけないという場合も考えられるわけでございます。そういうような場合にあらかじめこう手を廻してやつておく、不利な鑑定をしたら承知しないぞということをやつておくということが考えられるわけでございます。そういつたようないろいろな場合を考えまして、その他事件の審判に必要な知識を有するものは、事件の真相を明らかにするために公判廷にその知識を提供するような人という意味で含めたわけでございます。
○亀田得治君 そういたしますと、被害者の部分は別として、被害者以外の点は、この多衆共同を衆議院のほうで改正案から削除した、若しあの多数共同を削除するのであれば、実質的には多衆共同を削除されたそのことが、この第五号のその他事件の審判に必要な知識を有する云々、削除されたものはここで活かされて適用の対象になるんじやないか、集団犯罪では当然こういうふうに解釈できますよ。共同してやつおるような犯罪はいろいろな連絡があると思われる場合、そういう矛盾をお感じになりませんか。
○政府委員(岡原昌男君) これは八十九条のお礼まわりの規定と第六号の規定と、それから元の四号、これとは何にも直接の関係はないのでございまして、これはいわゆるお礼まわりをされるような事情があるというふうな場合に初めて問題になるわけでございます。で、先ほども申しました多衆共同という場合であつても、多衆共同の事実から直ちに何も権利保釈の除外事由にならない、これは修正案の結果、多衆共同という事実それ自体は除外事由にはならない、これはお認め願えると思います。そこでただ問題は、共犯同士で何かそういう場合があり得るんじやないか、これは普通の事件についてもあり得るわけでございます。例えば若し自分のことについて不利なことを言うようだつたら承知しないぞというような、共犯同士で二人で話合うというような場合もそれは困るという趣旨であるのでございます。その意味においては、この二人以上の犯罪については、この新たな第五号で、これが適用の余地があるという意味においては、これは私ども同意いたしますけれども、ただ多衆共同という意味とは直接の関係は何もないわけでございます。
○亀田得治君 そうですね。多衆共同全部がここへ入るとは私は考えていないのです。ところが具体的に例えば集団事件とか選挙違反の事件とか、こういうものは成るほど多衆共同にも入るかも知れんが、この改正案の五号の後段にも私入つて来ると、こう考えるのです、或るものは、相当部分は……。それはお認めになるでしよう。
○政府委員(岡原昌男君) 私はさようには考えません。というのは、これは非常に特殊な場合でございまして、共犯の中の一人が相手側の者に対して不利益なことをしやべるようだつたら俺は承知せんというふうな場合だけでございまして、これは別に多衆であろうが二人であろうが問題は同じでございます。
○亀田得治君 例えばそれじや何か特殊な団体、そういうものが何か一つの犯罪を犯した。それはそういう団体の仲間というものについて考えますと、この新らしい改正案の第五号の中に相当入つて来るのじやないですか。団体の性格というものを考えますと……、その性格を考える場合にゆるく解釈すると、例えば選挙違反なんかの場合でもつまりこれらのものを畏怖させると疑うに足りる十分な理由、こうなつておるのですから、単に財産に対する害を加えるとか、そういうのじやなしに、相当巾の広い概念なんですね。だからそれで単なるお礼まわりじやなしに、そういう集団事件についても相当考えられるのじやないかと思います。が、どうでしよう。
○政府委員(岡原昌男君) それだけでそういうことは考えられんと思います。ただ非常に特殊な場合で、例えば一種の血盟を結んだような連中が、若し人のことをしやべつたらお互いにリンチをするというふうな誓約でもいたしまして、その誓約の下に行動しておるというふうな場合に、それが他に出れば或いはリンチを加えるのかも知らんという意味においてはこの条文にひつかかつて来るかも知れませんけれども、それはそれとしまして、ほかの一般の場合にはそういうことは考えられない、かようなことでございます。
○亀田得治君 政府がそういうふうに非常に狭く解釈をしていられれば、それで非常にこちらもいいと思います。この条文についてはまだいろいろお聞きしたいことがありますが、省略します。それから修正案に対する問題は大体この程度にしておきます。 修正点以外の点で二、三点ちよつとお聞きしておきます。これは質疑応答のあつたような問題は省略しておきますが、原案の百五十三条の二ですね。例の証人の留置の問題ですが、現行刑事訴訟法の三百十九条、これとの関係なんかを提案者はどのように考えられておられるかちよつとお聞きしたいのです。
○政府委員(岡原昌男君) 直接の関係はないものと思つております。
○亀田得治君 直接関係はないのでございますが、刑事被告人に対してすら何といいますか自白を強要されるような状態の下における証拠ですね。こういうものを排除しております。これは刑事被告人に対して一番危険性があるから言つているので、ほかの証人とか、そういうものはこれは被告人以外ですから、そんなことに当然予想しておらないことですね。予想しておりませんよ。これは証拠の大原則である自由な状態でしやべて行く。併しその状態が侵されるのは被告人が一番強いから、現行刑事訴訟法の三百十九条で保護をしていると私は考える。その精神に立ちますと、どうも私この証拠人をたとえ一時的にしろ警察署に留置しておく、このことは非常に間違つた処置だと考えておるのですがね。これは二週間ほど前に総括質問のときにあなたにもちよつとお聞きしたのです。あなたのほうのお気持も聞きましたが、どうしてもこれは納得が行かない。
○政府委員(岡原昌男君) 刑事訴訟法における証人と被告人の地位の違いはいろいろあるわけでございますが、証人につきましてかような手続で勾引状が出るというのは、御承知の通り召喚を受けて出頭しない、二度目も出て来ないという場合に、初めて勾引することができる。これは百五十二条に規定してある通りでございます。証人というのはその事件について、或る点については本人でなければわからんというふうな知識を提供する人物でございますが、従つてこれに対しましては間接強制の方法が加えられる。それがまあ勾引状であり、或いは出頭しない場合の過料であるとか、百五十一条の正当な理由がなくて出頭しない場合の罰金又は拘留というふうな罰まで加えられておるわけでございます。さような地位にある証人でございますから、これをどうしても裁判所がその知識を吸収したい、法廷に顕現したいという場合に、若干の強制力を使うのは止むを得ないというのが勾引という形になつて現れて来るわけでございます。勾引状は、その性質上当然若干の強制力を持つ、いやと言つてもしようがない、ひつばつて来るわけでございます。ひつぱつて来る方法でございますが、今までの刑事訴訟法ではこの新らしい百五十三条の二というふうな規定を予定しておりませんので、いやが応でも休むいとまもなくひつぱつて来なければいかん。丁度公判の開廷のときに間に合うようにひつぱつて来なければいかんということになるわけでございます。そうしますと、これは単に証人に不利益であるのみならず、護送の人にも非常な肉体的な苦痛を与える、結局ふらふらになつて、証人が付いて公判廷でふらふら……、ふらふらとなるかどうか知りませんが、とにかく相当疲れたような状況で供述しなければならないというようなことも考えられるわけであります。そういうふうな人権の擁護に欠ける点をもよりのところに一時泊めるというような形で救うというのがこの立案の趣旨でございます。「警察署その他」とございますが、これは被告人の勾引の際のもよりの監獄というのを若干やわらげたという趣旨がここに織込まれておるわけでございますし、又他面その他適当の場所というのは、その地位身分等に応じて、ある場合には裁判所又は検察庁の宿直室或いは又場合によつては宿屋等に泊めてもいいじやないかというふうに思つております。さようなことを予定いたしておるわけでございます。
○亀田得治君 これはやはり勾引状の執行を受けるという証人の心理状態はしやべりたくないのですね、その事件に関して、必ず……。でそういう証人であるが故に警察署にとめておく。これはいろいろな意味が私は弊害が出るのじやないかと考えております。成るほど裁判所から喚問を受けて出ない、これは私非常にいかんと思うのです。そういうことを是認するわけではないのですよ。併し犯罪を立証するということは、これはよくあることでして、あの証人を使いたい、この証拠を使いたいと思いましても、それが使えない場合がよくあります。それが使えないからと言つて、それじやむりやりにそいつを引ずり出す、これは非常に例外だと思うのです。もつとほかの方法でやるべきだ、欲しい証拠が揃わん場合がよくあるのです、一般に……。それでそういう状態の証人を、丁度警察官に監視させるような状態でとめて、そうして翌日裁判所に出さす、私はこれはそういう場合の証人は、必ず右か左か、非常にその事件については岐路に立つておるきわどい問題だろうと思うのです。だからそういう人であるが故に、警察なんというところはやつぱり無理であるのじやないか。そういうふうに思うのですが、今の御説明によると、場合によつては、身分とかいろいろなことによつて宿屋に泊めてもいいのだと、こういうふうな御趣旨のようですが、併しこういう条文になつておりますと、どうも警察が一番使われるのじやないかと思うのですが、どうでしようか。
○政府委員(岡原昌男君) 百五十三条の二でかような措置を講じましたのは、私どもといたしましては、証人のいわば肉体的な苦労を除いてやろうというつもりでやつたのでございますが、証言したくないから出て来ないのだろうと、そうしたらそれで放つて置くという考え方は勿論できないわけでありまして、証人というものはどこにもここにもあるというものではないのでありまして、場合によつてはその証人だけが事件の真相を知つておるという場合も勿論ございます。ほかの証人でもいいというような場合には、裁判所が適当に証人申請を取消して、証拠決定を取消して、場合によつてはほかの証人を喚ぶということも、これはあり得るわけであります。ただ証人が拒んだからと言つて、二度と召喚しない、しようがないということで、その事件の真相を究めずして事件の判決をするということは許されないところでございます。さればこそ、この証言をすることを、宣誓を拒絶した場合、或いは証言をしないというその事実に基いて、百六十条或いは百六十一条の罰則がかかつておるわけでございます。そういうふうな証人の立場でございますから、これを勾引状で引つ張るのは止むを得ない措置であろうと思います。でその際に勾引状というのは一種の強制力を持つておるのでありまして、これが逃げられては困る。御承知の通り逃亡罪というものの対象にも相成るわけでございます。さようなものを何でもかんでも野放図に放つて置くということは許されませんので、先ず最もわかりやすい警察署というようなところを一つ例示に挙げまして、その他適当な場所というのは、勾引状執行官の判断によつて適当にやるという趣旨でございます。
○亀田得治君 これは併し私の質問を非常に誤解されておる点があると思うのです。どうしでも要る証人は連れて来る。これは私も必要性を認めておるのです。併しその連れて来られた証人が法廷に立つてしやべる場合には、自由な状態でしやべれるように環境をしておいてやらなければならない。それを言つておるのです。それと矛盾しないような扱いをやつてもらいたい。前の日にどうも警察にとめられた、で主としてこれはやはり検察側の証人がこういう場合多かろうと思うのです。そういう人たちに取巻かれてとまつておる。そうして翌日朝法廷に立つ。これでは私、弊害が起る場合を予想するから言つておるのです。連れて来る、又国がそういう真相をつかみたい、そういうことに皆協力してもらいたい。これはあなたと気持は少しも変らない。併し自由な気持でしやべらすには、取扱が少し酷なんじやないか、こう思うのです。むしろこれは被告人じやない、見ようによつては大変これは国家のそういう仕事に協力してくれる人なんです。成るほど一遍呼出してすぐ来ない、これはそういう点から言つたら悪いかも知れない。併しその人としてはよほどいろいろな事情があるわけなんです。だからその点を強制することはよろしいが、併しそういう証人台に立てる前には、やはり警察なんというところを避けて、むしろお礼の言葉を述べて、まあ一つ宿屋にでも泊つて下さいということで扱うのが、私は証人に対する国家の態度じやないかと、こう思つております。実際上そういうふうにおやりになつてもらえばいいのですが、警察ということだけがここに先ず出て、その他適当な場所となつておるから、どうも警察が多く使われるのじやないか、こういう心配があるわけです。
○政府委員(岡原昌男君) 冒頭の逐条説明の際に申上げました通り、警察と申しましても、例の監房というより保護室というように考えておるのであります。それはともかくといたしまして、証人というかけ替えのない者を呼出して調べるのでございますから、而も若干の事情はございましても、いわゆる正当な理由がなく出頭しないということで勾引状が出ておるのでありますから、それに対して若干の強制力を以てやることは、勾引状の性質上止むを得ないのじやないか。そのために法廷における陳述が自由にできないということは、これは当然避けるべきでありまして、法廷においては自由な立場で証言できるように、それでもなお証言を拒絶したり偽証したというときは例外でございますが、それは当然別個の配慮をすべきであるというように考えております。
○亀田得治君 これは勿論法廷において証言を拒絶したり、或いは偽証すれば、それに対する処置は当然別個にあります。その前の段階を私申上げておるのです。これは何か検察官なり国家というものが証人を呼出して、出て来んのは怪しからん、そういう気持があるのじやないかと思います。何らの理由なくして、どうも足がしぶつて行かない、こういう人は余りありませんよ。勾引状の執行を受けるというような証人の扱いは、私はそういう何といいますか、怪しからんという気持じやなしに、非常に言いにくいことだが、結局しやべつてもらうのだということなんですから、この扱いは特に慎重にするのが本当じやないかと思いますね。そう思われませんか。
○政府委員(岡原昌男君) いわゆる勾引状の執行につきましても、被告人の勾引状の執行と大分違つて、慎重な態度をとつたつもりでございます。
○亀田得治君 これはまあ一つ私どもの心配が現実にならないように、十分御注意をお願いしておきます。 それから次の二百八十六条の二について簡単に触れておきます。これはちよつとお聞きしますが、被告人が出頭しない場合に裁判を進める。その際には勿論刑事訴訟法で規定されておる証拠法上の手続、そういうたようなものは、勿論それを無視してやられるわけじやないでしよう。その点どうですか。
○政府委員(岡原昌男君) もとよりそのほうは普通の手続でやるわけでございます。
○亀田得治君 そういたしますと、こういうような問題が起る場合の裁判としては、余り実益がないのじやないか。証人調をやつたつて反対尋問を許さないというわけに行かないし、証人調をして次に又反対尋問だけを許すというのでは二重の手間でしよう。そういつたようなことはどのようにお考えになつているのでしようか。
○政府委員(岡原昌男君) 反対尋問の権利はその日に限つて本人は放棄したものとみなされるわけでございます。実益は次のような点にございます。多数の共犯、例えば四、五人、或いは十人、何人でも結構でございますが、そのうちの一人がこの公判期日において、故なく出頭しない、監獄官吏による引致を著しく困難にしたという場合には、この新らしい条文によりますと、普通の手続ではそのまま他の被告人について進めて行くわけでございます。そうしてその進めた効果が本人にも及んで行く。これは丁度現行法の三百四十一条に「被告人が陳述をせず、許可を受けないで退廷し、又は秩序維持のための裁判長から退廷を命ぜられたときは、その陳述を聴かないで判決をすることができる。」。という場合と同様の関係に立つわけでございます。
○亀田得治君 あなたの提案理由書では、三百四十一条とは関係ないと誓いてありますが……。
○政府委員(岡原昌男君) 「の場合と同様である」と……。
○亀田得治君 どうして同様になるのですか。これは在廷しておつたのが出て行く場合でしよう。これは初めから出ないのでしよう。同様ではないとあなたの書類に書いてありますよ。
○政府委員(岡原昌男君) 一旦出て来て退廷したというときと、それから初めからおらないという点を除いてはということです。つまりその証拠調の効果が本人は勿論、他の者にも及ぶというわけであります。その点については同様であるという意味であります。
○亀田得治君 これは非常に重要な問題だと思いますが、何か事務的な裁判の進行だけをやるということなら、了解できる点があるのですが、反対尋問権を放棄したものとみなす、そういつたようなことは訴訟法との関係では相当疑義があろうかと思うのです。例えば簡易裁判の場合でも、やはりこれは明確に条文を揃えてやつておるわけですね。それを単にこういう一つの、いわば法廷秩序に関連するような問題にひつかかつて出て来ておるようなこの条文で、そういう重要な証拠法上の刑訴の原則を簡単にこういう条文で一体例外を設けられるものかどうか。私はそんなことまでは考えていないのだと思つていたのですが、そういう内容が入つているとしたら、随分ちよつと行き過ぎだと思いますが、どうですか。そういうことを企てられるのなら、もう少し条文を詳細にして、そのことを明記しなければならないのじやないですか。
○政府委員(岡原昌男君) 現行法にも三百四十一条について同様に解せられておるわけでございます。要するにこれとの違いは、一旦出て来てから騒ぎ立てるか、或いは出て来ない前に騒ぎ立てるか、逆から申しますると、この新らしい条文のない場合に本人を、例えば担架にくくりつけてでも一応在廷させて、そうしてそこでもわめき立てるので、文房に帰して、それで手続をやるか、或いはそういうことをやらんでも初めから騒ぎ立てているのですから、それをその程度でやるかという違いだけでございます。
○亀田得治君 これは現行法でもこれを平たく読んだ場合に、もうすでに判決の段階に来ておる、そういうことを予想しているのと違いますか。証拠調を証拠法上の原則を無視してどんどん進めていいのですか。
○政府委員(岡原昌男君) それはあらゆる段階においてさようでございます。
○亀田得治君 ではそれと同じ考え方を二百八十六条の二にも持つて来るわけですか。
○政府委員(岡原昌男君) その通りでございます。
○亀田得治君 それは大変なことですね。それじや判決の言渡もやるわけですね。
○政府委員(岡原昌男君) この点について特段の規定がございませんから、これはさようなことでございます。
○亀田得治君 これは大変な規定ですよ、そういうことになりますと……。
○政府委員(岡原昌男君) ちよつと誤解があるのじやないかと思うのですが、大変なことと申しまするのは、そのあばれた日の公判期日についてはこれをやめていい、これは期日ということになつておりますから、一回やつたら永久に出なくてもいいというわけではないのでございますから、その点は……。
○亀田得治君 勿論そうなんです。そういうふうに僕も解釈している。例えば現行刑訴の二百八十五条ですね、これなんかでも出頭の義務というものを書いておるのです。そうして出て来ない、併しその判決だけは出頭させて裁判をしよう、言い渡そう、こういう趣旨になつておると思うのです。でこれは私は当然な原則だと思うのです。にもかかわらず、こんな一つの行政的な秩序のような問題で大事な判決の言渡まで行けるのだというような意味には、恐らくこの条文をほかの人は解釈しないのじやないですか。私も或る程度この問題はいろいろな問題が起きておりますから、了解のできる点もございましたが、併しどうも判決の言渡まで含んでおるというようなことでありますと、二百八十五条との関連なんかから見て、一体こんなことをできるのかどうか、非常な疑問を持つておるのですが……。
○政府委員(岡原昌男君) 二百八十六条の二に「被告人が出頭しなければ開廷することができない場合において、」という、その「場合」というのは、只今御指摘の二百八十五条とか、或いは二百八十六条に書いてあるわけでございます。それを受けて参りまして、その場合を外す、それで結局現在でも退廷を命じて、例えば非常にあばれて退廷を命じたような場合には、不在のままでも言渡ができるということになつておるわけでございます。
○亀田得治君 これは併しちよつと問題ですね。二百八十五条なんかはこれは極めて軽微な事件なんですよ。軽い犯罪なんですよ。殆んど勾留なんかされておらないような人の場合なんですよ、主に……。そういう人でも法廷に来るのを待つて判決を言い渡そうと、こう言つておるのですね。にもかかわらずこういうような問題は、好き嫌いは別ですよ、裁判所はそんな政治的な立場でいろいろ右左しちやいかんと思うのです。好き嫌いは別なんで、こういう犯罪は二百八十五条なんかで予定しておるようなものよりも、勾留されおるのですから、もつともつと犯罪自身としては重いものですよ。そういう者に対して、出て来なければ普通の手続だけは進めて行く、これは私は了解できるのですが、最後の結論までぱつと言い渡してしまえるのだ、こんなことは、私よく憲法のことを言いますけれども、そんなことは実際無茶も通り越しておると思うのですが、この条文は恐らく私ども弁護士会で研究会を開いたときでも、そんなふうにはまさか誰も思つておりません。それは本当にそういうふうな何でもやれるような大きな考え方で、政府の考えというものはさまつておるのでしようか。
○政府委員(岡原昌男君) 現行法の三百四十一条ですでにさような公判のその日の期日に許可を受けないで退廷した、黙つて出て行つた、或いは非常にあばれて結局退廷を命ぜられたというような場合には、その判決ができることになつておるわけでございます。若しこの二百八十六条の二の新らしい規定がないということになりますと、とにかく暴れておれば永久に判決の言渡しができない、今の判決の際に在廷しなければいかんということになれば、暴れておれば永久に判決が言渡せない、さようなことになるわけでございます。ところが現在の三百四十一条では、とにかく一応出て来ましても暴れて何にも裁判長が判決の言渡しをしない前にその言渡し期日に出て来ながらそこで暴れたというふうな場合には、そのまま、不在のまま判決の言渡しをする、さような手続になつておるのでありまして、それと比べまして特に著るしい考え方の相違はないつもりでございます。
○亀田得治君 これは大変な違いがありますよ。三百四十一条の場合には、一旦法廷へ入つておるのですよ。もうその日の何といいますか裁判に関与しながら出て行つておるのですね。ところが頭から出ていない何もわからん者に別個な手続をばんとやつてしまうと、これは私とても無茶だと思いますがね、無茶じやないですか。
○政府委員(岡原昌男君) とにかく現行法の三百四十一条はそういう建前をとつておりますので、その点はちつとも差支えないと私どもは考えております。
○亀田得治君 そういう考えであればこれは私、これも非常に問題にしなければならんと思うのです。欠席裁判なんということは、これは飽くまでも例外の現象ですからね。そうしてそういう考えであるというのであれば、条文の中にそのことを明記しなければならんのですよ、そういうこともできるというふうにしたいというのも一つの考えでしよう。若しそういう考えを持つておるならこれを書かなければいかんのですよ、この中は……。そんな解釈だと、そんなことによつて含めるというふうなことじやなしに……。併しこれは政府の考えは一応わかりましたから、あとから修正案について御相談をするときのやはり一つの問題にしたいと思います。 それからもう一点だけにします。八十四ですね、昨日一部お聞きした点なんですが、この改正案による相当と認めるとき、これはあなたのほうではどういうふうに御解釈ですか。
○政府委員(岡原昌男君) 裁判所が相当と認めるときと、かように解しております。
○亀田得治君 その内容はどんなような場合ですか。
○政府委員(岡原昌男君) 意見の陳述を口頭で……、書いて書面でやつたほうがよかろうと、こういうふうに認めるときだろうと思います。
○亀田得治君 私のお聞きしたいのは、例えば非常に口頭で申し開きするのは不得手だ、こういうような人にはこういう書面でやらすのはいいことなんですね。併しあなたのほうでお考えになつているのは、そういう場合も含むのでしようね。
○政府委員(岡原昌男君) 勿論含むと思います。
○亀田得治君 それ以外の場合を主としてお考えになつておるのでしようね。こういう立法が出て来た源に……。でそういたしますと、騒々しい場合、これは私現在の裁判所法の七十一条の法廷に対する裁判長の指揮権とかそれから先だつて成立した法廷秩序法とかこういうもので十分処理できる問題ではないかと実は感じておるのでありますが、というのは、そういうことが問題になるような被告人でございますれば、たとえ書面に限つておりましても、やはり騒ぐ者は騒ぐのですね、結局最後にそれを処理するのは、裁判所法の規定なり法廷秩序法による処置だと思うのです。そういうふうに私感ずる、どうも余り意味がないような気がしますがどうでしようか。
○政府委員(岡原昌男君) これは理窟を抜きにいたしまして、現在の裁判所法の七十一条の或いは法廷秩序維持の法律の適用だけでは賄えないというふうな実務家からの要望がかような法案になつて来たのであります。成るほど裁判長はこの法廷の秩序を維持するためにいろいろな手段を講ずることでしよう。又法廷秩序維持に関する法律で或る種の行政罰を加えるというようなこともできるわけであります。実際問題として法廷の秩序維持の法律を発動いたしますと、それ自体で実はそういう人たちは、却つて騒ぐ、それをきつかけに却つて騒ぐというふうなことが多いために、結局まあ法廷秩序維持法というものを機を見て適当に動かす、いわば内輪に控え目にやつて行くということに実際なつております。で結局いわゆる勾留理由の開示手続というのは、そういうふうなもめることは非常に好まないのでございまして、一応開示の手続をしたら、さつと引上げてしまうというのが恐らく裁判所の考えておるところであろうと思います。で実際問題として憲法の解釈につきましてこの点は亀田さんといろいろ意見が違つて来るわけでありますが、我々としましては、開示すればよろしいという、理由を申立てればよろしい。その際に非常に意見を口頭でやりたい、まあ単にやりたいということを静かに申す分には差支えないのでありますが、それをきつかけに意見を陳述するというその権利を主張するの余り、法廷を混乱に陥れ、そうしてそれがいわば手と申しては少し何ですが、それを手にして法廷の混乱を導き出して、そうして事件の進行について一つの態度を明らかにするというふうなことが、いわば濫用的になつておる。この面をチエツクしようというのが今度の立案の趣旨なんであります。従つて今度のようにまあ書面で出してくれ、まあ或る程度聞いて、これから先は書面で出してくれと、その辺の判断を裁判長に委ねるというふうな考え方でございます。
○亀田得治君 まあ私は、これはやはり基本的人権に対する制限だと思つておるのです。こういう規定はそれでまあたとえ制限規定を設けるにしても、これは必要最小限度じやないといけないと思うのですよ、制限規定を設計る場合は特に……。それであなたの公共の福祉と基本的人権との見解を出して来ておるのです。その中にも終りのほうにはやはり書いてあるのです。基本的人権の制限は真に止むを得ない事情がある場合に、その必要の最小限度にとどめるようにしなければならない。これはもうまさにこの通りだと思うのです。ところがその最小限度、真に止むを得ない場合に最小限度にとどめると、これは具体的に言えばこういうことにもなろうかと思うのですよ。ほかに有効な手段がある場合にはそんなことをしてはならないのだ。それは成るほど道具がたくさんあつたほうがいいですよ。だけれども、ほかにも道具がある場合にはそんな新らしい道具を集めてはいけないと、こういうものにしなければあなたのこの基本的人権制限の精神が活きて来ないと思うのです。そうすると書面にこれを限定して行くというふうなこの考え方がすでに、今まででき上つておるより有利な道具があるのですね。裁判所法の七十一条なんというのは随分広汎な強い権利です。裁判官が一つの権力を以て臨んで行つたら相当なことができますよ。私は裁判官の権限自身の中に場合によつては一部書面でそれは出しなさいというような権利すら含まれているのじやないか。全然口頭による陳述を剥奪するのでなければ、それくらいにすら考えているのです、法廷の指揮権というものは……。ところがどうも今までにでき上つておる立派な憲法とか、或いはそういう基本的な、よく考えて作つた裁判所関係の法律とかそういうものをじき忘れてしまつて、何か問題があるから一つそれに対応するような手つ取り早いいいものはないかと、こう来るのですが、どうも私はそういうものは感心しないと思うのです。これまでにできている法律が泣いてしまいますよ。で、そんな勾留事由のああいう開示、公判の多少の揉めごとくらいでこんな改正をするようなことは一つもないと思う、こう実際確信するのですがね。こんなこと書いておつても騒ぐ者は騒ぎますよ。騒いだ場合に結局裁判長が法廷秩序を維待しようと思えば、これが最後に出て来るわけでしよう。指揮権がそういうわけですからね。冷静に考えてみればどうも要らんような規定であつて、そして真にどうも納得の行かない勾留をされておる、その理由を示してもらいたいと冷静に要求しておるような人、そういう要求をする場合には、何か判事が間違つて判を押している場合ですよ。それでなければそんな要求は出て来んでしよう。そういう場合に判事が自分のほうの欠点を衝かれるのを虞れて、それじや君のほう書面で出しなさい、こんなふうに逃げられます。一問一答で本当に法廷で真相を明らかにして行くという大事な一般の国民の権利というものが剥奪される場合に、私は大変なことになると思つているのです。そんな事件は余計はないでしようが、あり得るし、考えられます。どうも要らんような気がするのですが、どうしても要るのですか。
○政府委員(岡原昌男君) 憲法第三十四条の後段に関する解釈について若干意見の相違があることは先ほど申上げた通り、これはまあ見解の相違でありますから止むを得ませんが、それから流れる従つて考え方が若干違つて来るのもこれ又止むを得ないと私は考えます。ただ私の考えたのは、三十四条というものは意見の陳述を書面でやるにせよ、或いは口頭でやるにせよ、そこまで憲法は保障したものでない、いわゆる基本的人権としてそこまで考える必要はないという一般の学者の説をとるわけでございます。で、ただ現行法においてこれを口頭でやらせるというのを急に一切合切意見の陳述はできないのだというふうな改正は、これは如何なものであろう。こういうのが我々の書面を塚てこれを出させるというように考えた趣旨なのであります。その点について修正案は書面というものを例外にして口頭で、つまり現行法のままの口頭でやることを原則としたのでございます。その原則と例外とを丁度取り違えただけのことでございますが、まあこの但書が付いたことによりまして実際問題として非常に法廷を混乱に陥れるといつたような場合におきましては、裁判長はそのときの判断によつて、じやあまあ余り騒ぎが大きいようだから、これから先は一つ書面で出してくれというようなことに変えることもできるというような点においては、これは運用が違つて来るだろうとかように考えるのでございます。もとより本当にこの勾留理由についてどうも腑に落ちない。で、それについて御尤もだと思われる節がある、又法廷を別に混乱に陥れるような様子も見えないといつたような場合には、これは進んで裁判長も口頭でこの原則通りに意見を述べさせるということになることは間違いないだろうと思います。
○亀田得治君 それからこういうことはあなたのほうでお考えでしようか。裁判長の勾留理由の開示を受けて初めてこの被告人側は意見の陳述ができるわけですね。あの大事な意見の陳述はそういうことになります、主として……。そうなりますと書面で述べさせるようなことを若しその際命ずておるとその場所ですぐできないですよ。結局あの公判がもう一回延びるということになるのですよ。そうなりますよだつてすぐそこで書面ですらすらと書くわけに行かんですよ、どんな達者な人でも、口頭では述べれても……。で、少しもそういう面からいつてもあの判事の負担を軽減することにもならないし、大体こんな程度のことは、まあ裁判長の訴訟指揮権、法廷秩序維持法もあるんですから、恐らく法廷秩序を作られた立場はいろいろおありでしようが、出来上つた以上はそういうふうな問題も、こういうものがあれば適当に処理して行ける、こういうふうなお考えであろうと思うのです。それ以上に少しも、何かこう憲法のそういう一つの陳述権といいますか、そういうものを制限するような印象が与えられるようなことは要らないのじやないかと私は考える。無駄ですよ。実際そういう法廷の時間の節約というような面から言つたつてどうしても要りますか。
○政府委員(岡原昌男君) 書面で意見を出してくれというふうな場合に、二度公判を開く必要はない、公開の法廷を開く必要はないわけであります。それはただあとで出しておきなさいという存のことであります。もともと騒がなければ問題はないのでありまして、騒ぐ者だけについて特にこういうふうな非常の手当をしたというようなことでございます。
○亀田得治君 そういう考えをだんだん強めて行きますと、それじやああなた民事事件は審理書面で出しておきなさい、だから普通の公判で言いたいことがあつたら君書面で出しておきなさい。それを見ておいてやるからと、そういう思想にだんだん深まつて行きますよ。あなたは勾留理由開示制度は普通の公判廷と違うのだとこう言つておりますが、大部分の学者はそんなことは考えておりません。手続が少し違うかも知れんが、やはり納得行かないで勾留されるということを継続することはいけないのですから、そういう精神では同じことですよ。飽くまでも法廷に臨めば、どういう者でも対等にいろいろな真相を明らかにし、これが原則ですよ。もう止むを得ない本当に例外としての制限は、私どもも或る程度は認めて行きますが、あなたのおつしやるようにそれはもうともかくそんなのは書面で出さして判事があとから見ておけばいいんだ、こんな思想にだんだん移つて行くような気持を持つているのだから、まあ場合によつちやあ賛成しておいてもいいなあと思つておつても、却つて妙なことになりますよ。一般の人が聞かれた場合にただ現われておる現象面を見て成るほど政府がこういう立法をするのも、特定の事件についてはしようがないかと、こう思つておるだけだ、併しそういうことを何というのか大胆に言われますと、非常に制度との釣合上おかしいと思うのです。先ほどの欠席裁判の問題だつてそうです。これは今在野法曹でも決してあなたがおつしやつたような意味の通りにはとつておりませんよ。まあ併しこれ以上やつても意見が余り並行線を迫るだけですから、一応この程度にしておきますが、十分政府側でもそれは考えてもらいたいと思います。それからたとえこういう法律が通つても、そのように何か拡張されるようなお考え方は、これはもう是非慎んでもらわなければいけないと思います。相手がけしからんから当り前だ、当り前だということによつて訴訟制度の大事な基本を忘れないようにしなければいけない。国家がそんなあなた、一人二人の被告人に対して怒つてみる必要は私一つもないと思う。冷静にどういう場合でも静かにやつて行くのが私当り前だと思う。これは私の希望もありますが、この程度にして、随分長い間いろいろ御質問しましたが、一応私の質問を終ります。
○説明員(岸盛一君) 只今の勾留理由開示手続についてちよつと裁判所としての見解を申上げたいと思います。勾留理由開示手続の本質はどこにあるかということが非勝に問題であるわけであります。この勾留理由開示手続は憲法三十四条の要請に従つてできたものである。つまり憲法上の制度であるという考え方と、そうではなくて憲法三十四条はいわゆる英米法流のヘビアス・コーパスの思想を規定しておるので、人身保護法がすでに制定された以上は、この勾留理由開示手続は人身保護法に吸収されて然るべきだ、そういう考え方が対立しておるわけであります。併しこれは憲法の問題になりますので、そう急速には、そう簡単にはきめることのできない問題なのであります。そこで現行法の勾留理由開示手続八十三条以下の規定によりますと、裁判官が勾留理由を開示したあとで請求者その他関係人に意見の陳述をさせるということになつております。つまり現行法の建前は、裁判官の勾留理由の開示のほかに、請求者並びに利害関係人の意見陳述がなければ、理由開示手続は終つたことにならない、そういう建前なのであります。 そこでこの勾留理由開示の手続の従来の実情を見ますと、殆んど大部分の事件がこの手続が法廷闘争の具に供されておる。全国の裁判官の率直な意見感想は、勾留理由開示手続はとんでもないところへ来てしまつた、そう申しております。つまり勾留理由開示手続というものは世界に例のない手続でありますが、又日本の勾留理由開示手続ばかりでなく、一般の法廷闘争の様相も又世界に例のない様相であります。法廷で乱闘騒ぎが起る、裁判官を口汚く罵るというような現象は、どこの世界の法廷にも見ることのできない現象なんであります。而も法廷闘争は公判手続におけるよりもこの勾留理由開示手続において非常に猛烈を極めておる、そうしてこの意見陳述は必要だからという名の下に質問に名をかりて意見陳述をする。その意見たるや手続とは関係のない自己の政治上の意見をその場で宣伝する、甚しい例としては意見を述べる場合に、裁判官のほうに向かずに傍聴人席に向つて意見を述べる、そういう例もあつたのであります。なおこの開示手続の法廷において乱闘騒ぎが起るということは、もう全国的にしばしば起き薫る例でありまして、その最も顕著なのは昨年の広島の法廷における被疑者の奪還事件として現われたわけであります。又裁判官が法廷警察権を行使して不当なる行状をする者を退廷させようとした場合に、それを執行する廷吏と傍聴人との間に乱闘が起きて、裁判所職員が怪我をしたという例もあります。このように勾留理由開示手続の実際というのは随分とんでもないほうへ走つてしまつた。 ところでこの勾留理由開示手続の本質は何かと申しますと、これはやはり勾留理由の開示である。つまりその手続で勾留の当不当を判断する手続では云いのであります。つまりこの勾留されておる被拘禁者がどういう理由で勾留されたかということを公の法廷でこれを示す、それがこの手続の本質であります。つまり勾留されている者は逮捕状とか或いは勾留状を見せられて、自分がどういう理由で逮捕勾留されるかということは一応は承知しておるわけです。併し又改めて請求しますと、これを公の法廷で傍聴人がいる前で、而も弁護人が付いておるときは、弁護人の前でその理由を開示する。それから被拘禁者自身ばかりでなく、被拘禁者の親族とか或いは一定の利害関係人に勾留理由開示の請求権が認められておる。つまりあの男は、あの人はどういうわけで一体勾留されておるのかということを公の法廷で明らかにしてもらいたい。そういう請求があつた場合に、公の法廷でその理由を開示する。それがこの手続の本質でありまして、勾留そのものが妥当であるかどうか、勾留の当不当を争う手続は別の刑事訴訟法の八十七条、九十一条に規定しております勾留の取消の請求、或いは刑事訴訟法の四百二十条、四百二十九条で規定しております勾留そのものに対する抗告の申立てでその勾留の当不当を争うのが法の建前なわけであります。そのことは法律の三百五十四条という規定を御覧になりましても御了解できると思うのでありますが、つまり三百五十四条というのは一般の上訴権者についての規定であります。勾留に関しては一般の上訴権者の間に勾留の開示があつたときは、この勾留開示の請求をした者も上訴することができるという規定があるわけであります。つまり一般の控訴上告等の上訴権者のほかに、事件と関係のない第三者であつても、利害関係人のような場合が主になりますが、そういう人たちであつてもつまり裁判を受けた者でないものであつても、勾留理由の開示の請求をしたときには勾留理由の開示のあつた後に勾留について上訴の手続をすることができる。つまり不服の申立をすることができる、こういうような規定があるわけであります。こういうような法の全体の建前から見ましても、勾留理由開示手続というものは、その手続において相手方を納得させるという手続ではないわけであります。どういう経過でこの勾留状が発せられて被拘禁者が勾留されておるか、この経過を勾留理由開示手続で明らかにする、これが勾留理由門示手続の本質であるわけであります。でありますから、仮にこれが憲法三十四条に由来するものとしましても、憲法のそのことを規定しておるそのほかに、意見の陳述権を認めるかどうかということは、憲法を離れた立法政策の問題である。そういうことになるわけで、この見解は只今の憲法学者の大多数は勾留理由開示手続は、憲法は勾留理由開示手続において意見の陳述をなさしめるということは、決して憲法上の要請ではない。そういうことの意見がむしろ、じやなくそのほうが多数説で、この点についての違憲説は専門の憲法学者でなく刑事法学者に極く少数あるだけであります。さような点から私どももこの意見陳述権というものは、決して憲法上の請求権ではない、憲法上認められた憲法上の権利ではない、そういうふうに考えるわけであります。 そこで勾留理由開示手続における意見の陳述において非常にこれまでの経験によりますと、世界に例のないような事柄が言われ行われておる。昨年問題になりました弁士に対しての懲戒問題が起きましたが、その事件もこの勾留理由開示手続の意見陳述の過程において起つたような次第でありまして、この勾留開示手続というものは、本来法が考えている線とは全く別な方向へ走つてしまつておる。この手続をもつと合理化して濫用を防止するというためには、憲法上の請求権でない意見陳述というものを削除することも又止むを得ない、さような考えからこのような改正案が考えられたわけであります。併しこの改正案によりましても従来の口頭による意見陳述権はやはり依然として認められておる、それは確保されております。ただ例外の場合に口頭を以て意見陳述させることが適当でない場合には書面で意見書を提出しろ、そういうことになつたわけであります。この意見の陳述が書面になりましてもそれから口頭陳述になりましても、この意見陳述というものは何ら訴訟法上の効果のないものであります。これはただその手続だけの問題で、その意味でこれがこの意見陳述権について例外が設けられたからといつて、そうひどく人権の保障を害するというふうには、そう簡単には考える必要はなかろうか、さように思うわけであります。
○亀田得治君 ちよつと今最高裁判の刑事局長の御意見があつたので、私も少し申上げておきますが、私はこれが憲法上の権利であるかどうか、この点は一応抜きにして、ちよつと申上げたいのですが、あなたの今おつしやつた考えによりますと、法廷における勾留理由を開示するのはそれだけなんだ、ほかの制度とあまり脈絡がないのだ、とにかくこういうことで勾留しておるのだ、これだけ言つておけばいいのだ、こういうようにとれるのですけれども、私はそんなものじやないと思うのです。やはりこういう制度がある以上は、まあ完全な意味で納得ということは行かなくとも、了解をしてもらうという意味が含まれておるだろうと思うのです。国家として君を拘束をしておるのは、こうこうこういうことだという意味が含まれておると思うのです。それでその勾留理由開示公判によつてそれが正式に理論的に行われれば、場合によつては裁判所の片手落ちが明らかになるでありましようし、そういう事実関係がともかく明らかになることが非常に大事な意味を持つているのですね。それで勾留を取消すためには被告人側から取消の請求も訴訟法によつてできるでありましよう。又裁判所のほうでもどうも初めはけしからんと思つて勾留したのだが、いろいろ言われてみるとちよつとこちらでも思い過ぎだつた、こういうような点も出て来るでありましよう。若しそういうことがあれば、その開示公判で明らかにされることが私はやはりこの制度の意義だと思うのです。最初お作りになつたのは、やはりそうだろうと思う。そういうことが明らかになれば、その開示公判が済んだあとに、裁判所が積極的に自発的にお取消しになるか、或いは又こちらが取消を成規の手続で要求して行くか、つまりそういう公判がなければわからん、事実関係が……。こちらにしたつて、拘束されておるほうにしても、よくわからないのです。で、そういう意味で単に独立した事実関係だけを述べるに過ぎないものだ、これは私は勾留開示公判を認めた意義と少し違うように思うのです。明らかにあとのいろいろな公訴手続に発展して行くやつぱり一つの段階だろうと思う。ほかの手続のように厳格なものでなくとも、ただそれが濫用されるものですから、あなたのほうで成るべくこう意味のないようなものに狭く解釈しようとするお気持が出て来ておるのだと思いますが、制度を作つた場合にはやはりそんなものだと私は思うのです。どうでしようか。
○説明員(岸盛一君) 勾留理由開示手続はやはりそこが意見の分れめになると思いますが、理由開示というのは、どういうわけでその身柄が勾留されているか、その理由を法廷で開示する、法廷で告げるということにあるのです。その程度もありますけれども、そこで納得させる手続じやないのです。これはなぜかと申しますと、裁判手続でもなければ、弁論手続でもない、検察官の立会つまり当事者の対立という仕組をとつておりません。検察官の立会は法律上の要件とされておりません。そういうことから見ましても、手続自体の性格として理由を告げるのだ、成るほど理由を告げられますと、その告げた理由が非常に納得ができないという場合には、その理由に対して勾留の取消の請求なり或いは不服の申立てをする。そういうことは可能なわけで又そのための前提の手続ということになるのです。意見の陳述そのものによつて、その手続で勾留の当否を争うという性質のものではないということを申上げたのです。それとそれから例えば今度意見書が出るということになりますと、意見書の内容如何によつては、その意見書が勾留の取消の変更を請求していると認めるときには、それに対して裁判官がそのいずれかをきめる、そういうことになるわけです。その点は実質上何らの妨げにはならないと思います。
○赤松常子君 ちよつとお伺いしますが、百九十八条でございますね、あの供述拒否権を知らせる場合でございますが、これでちよつと私心配なんですが、それは調べる人が直接調べられる人に不利益なことを供述する必要がないと告知するわけですね。警察であれ、検察官であれ、或いは裁判官であれ、そういう場合の空気なり或いはその調べられる人の心理状態までを考えて、これで果してこの目的とするところが達せられるだろうということが心配なんでございますが、例えば原案と修正案がそう変らないと思うのでございますが、結局はその調べられる人の権利が守られればいいのであつて、不利益な誘導訊問にひつかからないようにするということが目的だろうと思います。それからその前に不利益になることは別に言う必要がないということを、調べる人が告知するということが果して正当に調べられる人に受入れられるかどうかということが心配なんでございますが、こういう点はどういうふうに……、むしろ私は調べる人、調べられる人という関係でない人が、もつと親切丁寧にここにこういう権利があなたにあるのですよということが告示されるほうが、調べられる人に有利であるし、人権が守られやしないか、そういうもつと親切な考え方があつて欲しいと思うのであります。
○政府委員(岡原昌男君) 現在の訴訟法の建前といたしましては、調べる人が調べられる人に対しまして只今のようなことを告げるわけであります。そのときの雰囲気でどうもそれが響きが悪かつたり、或いは聞え方が悪かつたりするということを私ども心配しておるわけでございます。でそれらの点を何と申しますか、いわゆる啓蒙運動と申しましか、それをやるために、よく検察庁や警察の調室の前の廊下のところで、ビラや何かでいわゆる供述拒否権のあるといつたようなことを広告みたいに出ておることがございます。これは一つの啓蒙運動の現われでございます。要するに百九十八条、或いは憲法で言います三十八条は、いわゆる今おつしやつた誘導訊問に引つかかつたり、或いは無理に自白をさせられたり、或いは不当に長く勾留されて、止むを得ず自白したということのないようにするという担保の規定であります。取調官も成るべくそれを親切にわかりやすく告げるべきであるというのが、私どもの考えであります。実際問題として取調官が告げますので、いわば取調べる人と調べられる人という地位の違いから、いろいろな問題といいますか、今の雰囲気が出ることは事実でございます。私どもといたしましては、御注意の点もございますし、成るべくそういう点が納得の行くように、或いは徹底するように努めたいと思つております。
○赤松常子君 私戦争前にいろいろ調べられた経験もございまして、こういうことを調べる人からその前に説明されたつて、正しくそれを解釈するということもできませんし、こういうことをうまく言つて又引つかけるのじやないかという疑惑も、聞かれる側にはあるのですよ。ですからそういう告知の方法がもつと親切丁寧に色の付かない人から言われて欲しいと思うのでありますが、そういう点もつと御研究願いたいと思います。
○中山福藏君 ちよつとお聞きしておきますが、勾留理由開示の手続で一番長く日数を要したのはどのくらいですか。ちよつと参考のために聞いておきたいのですが……。
○説明員(岸盛一君) 正確なことはわかりませんが、つまり勾留の理由の開示だけですと、そう長くかかるはずものではございません。ところが朝の九時頃から夕方の三時、四時まで、何と申しますか、食い下るといいますか、いわゆる吊し上げが続くのであります。これは極く最近一月ぐらい前に、京都の或る裁判官がそういうことを申しておりましたのを覚えております。そのほか勾留開示手続が本来要すべき時間よりも遥かに長時間を要して、そのために鐵若宮が非常なエネルギーを浪費しておるわけであります。これは明らかな事実であります。ちよつとやそつとの生ぬるい法廷闘争ではないということをはつきり申上げておくことができます。
○中山福藏君 それは大概一日で終りますか。或いは日を重ねてやることがありますか。
○説明員(岸盛一君) 大抵一日で終ります。
○亀田得治君 それが長く続くということは……。
○中山福藏君 人数が多い場合はどうでしよう。
○説明員(岸盛一君) 勾留理由開示は一人ずつでもやれるわけですから……。今私が申しましたのは一人の場合、一人の場合ですら朝から夕方まで……。
○中山福藏君 私はたくさんの場合のことを一緒に併せて聞いておるのです。
○亀田得治君 一人ずつやるのですか。
○説明員(岸盛一君) 必ずしも一人ではありません。
○中山福藏君 集団的な犯罪の場合は……。
○説明員(岸盛一君) 大抵数人、三、四人が多いのじやなかろうかと思います。
○楠見義男君 衆議院において付けられました附帯決議の問題について、法務省とそれから国警の側のほうにお尋ねいたしたいのですが、それは先般の委員会でも実はお伺いしたことなんでありますけれども、附帯決議で「検察官の定める一般的指示を行う場合には、検察と警察とが、あらかじめ、緊密に連絡し相互に協力することを政府は建前とせられたい。右の一般的指示により個々の事件の捜査を直接指揮しないよう留意されたい。」こういう附帯決議が付いております。そこで先般この委員会に、衆議院の委員長はじめ各党の理事のかたがたがお見えになつて私どもにお示しになつた。これは本日も伺いましたとろ、一つの案であつたそうでありますが、それには「検察官の定める一般的指示の準則は、司法警察職員の職務を統轄するものと協議の上作成すること。」「前項の準則については、検察官は個々の事件を目的とし、又は、犯罪の種類を特定し、」この「又は、犯罪の種類を特定し、」というのは善いたのをわざわざ消してありますが、「これにつき捜査を指揮する結果となつてはならない。」そこでこの二つの文章につきまして、実はこの前刑事局長、それから齋藤国警長官の御両人に、若し附帯決議ができる場合に立会つておられたとするならばお伺いしたいというのでお伺いしましたところ、デリケートな問題であるのみでなしに、立会つておらなかつたのでよくわからないという御説明でございました。本日衆議院の委員長及び又理事のかたがたがお見えになりまして、この点についてお伺いいたしましたところ、一人のかたは、私も大体二つの文章は同じ意味だと理解をしておる。それから他のかたは、極めてデリケートな問題であるから、政治的に調整をとる場合には、これはこういう言葉をお使いになりませんでしたが、あいまい模糊としたほうがむしろ政治的だというように受取れるような御答弁がございました。この問題は政府のほうも言われますように、デリケートな問題でありますけれども、同時にこれが施行された場合において、又両者の間にいざこざが起るようなことがあつては、折角衆議院で、或いは又参議院でこの問題に相当精力を注いで論議したことが一向役に立たないことになるわけであります。そこで私がお伺いしたいことは、これはどういう意味かというようなことは、先般御答弁がございましたように、これはお聞きするほうが無理だと思いますが、こういう附帯決議が附せられて、これを受取られた政府側、即ち検察側或いは警察側が、どういうふうにこの附帯決議を受けて実際の運営上おやりになるか。この点がお伺いしたいし、又そういうようなことであるならば、お答えも頂けると思いますので、従つて今申しますような意味で、どういうふうにこれをお受取りになり、そうして又どういうふうに今後運営されようとしておられるのか。このことは或る程度明らかにしておいたほうが将来におけるいざこざが生じないよすがともなろうと思いますので、御両者からこの点をお伺いしたい。
○政府委員(岡原昌男君) この附帯決議も、前段の「検察官の定める一般的指示を行う場合には、検察と警察とが、あらかじめ、緊密に連絡し相互に協力することを政府は建前とせられたい。」というのは、百九十三条の第一項の一般的指示を検察庁から出す場合におきまして、あらかじめ警察と十分建絡をとつて、そうして仲よくやれよ、急に出すなよと言つたような趣旨であろうと思います。それから後段の「右の一般的指示により個々の事件の捜査を噴接指揮しないように留意されたい。」これは一般的の指示の名に借りて、具体的な個々の事件を指揮してはならないという第一項の精神をそのまま書いてあると、かように考えております。
○楠見義男君 いや刑事局長にお伺いするのは、こういうことをあなたにお聞きするのは、この前お伺いしたように、それは無理であり、又あなたもお答えせられる範囲外だとこういうふうに私は思つたものですから、これを受取られてどういうふうお受取りになるか、どういうふうに運営されるかという今後の運営上の心がまえというか、態度というか、それをお伺いしたいというのが本日の質問の趣旨なんです。
○政府委員(岡原昌男君) そういうふうに読んでおりますので、その趣旨に則つてやりたい、かような趣旨でございます。
○政府委員(斎藤昇君) 私のほうといたしましては、附帯決議が付けられまする際に、大臣もいろいろと言明しておられます。それでそれと併せ考えまして、この決議はこういうように私どもは解釈をしたい、かように考えております。その第二項の「緊密に連絡し、相互に協力することを政府は建前とせられたい。」という趣旨は、勿論一方的に出すというようなことは法務側はされないであろう、そのことは勿論であります、十分連絡した上でやる。併しながらその次に相互に協力することを政府は建前としてくれというこの文句は、互いに連絡をしてそうしてこの指示をされようという内容はよくわかつた、これは相互に協力するということを建前とするのでありますから、警察側でその内容は、警察側の訓令なり或いは規則に書き入れて、そうしてこれを保証するからということであれば、その建前をとるという趣旨だと考えております。勿論この一般的指示を出そうとされます際に、警察側は緊密に連絡はしたけれども、併し了解が得られないという場合においても、私はこれは出せるものと思います。そうであるから指示でありまして、警察側の同意がなければ出せないという、そういう性格なものとは考えておりません。警察の同意がなくても出せることは出せる、併しながら十分意見を交換し連絡を逐げた上で出す、警察側も同意をしこれを警察側の規則にし、或いは訓令にして実行されるように、検察側の意図が実現するようにやるということであるならば、できるだけその法の建前をとつて、そうして指示ということによらないで、相互協力ということを建前にする、かように私は解釈をいたします。 それから次の「一般的指示により個々の事件の捜査を直接指揮しないよう留意されたい。」これはこれをどう解釈するかの問題でありますが、この一般的指示という百九十三条の一般的指示は、その指示の内容に、結果として個々の事件の捜査に検事の一々或いは承認を受けるとか、或いは報告を求めるとか、そういうような検事の意図が、その事件処理に警察が捜査をしている間に入つて来て、そうしてその捜査を規制をするというようなことのないようにという趣旨でありますから、そういつた指示は今後出されないものと、かように考えるものであります。そういうような個々の事件の捜査を直接指揮するような結果になる。そういう指示はこの解釈として出せるのか、出せないのかというところには、この決議には私は残された問題があると思います。若したとえ出せるといたしましても、さような指示は将来しないようにしたほうがよろしい。これをすると、この指示の濫用だと議会のほうでは認めるから、そういう指示はしないようにしてほしいと、こういうように読みたい、かように考えております。
○楠見義男君 今の刑事局長の御答弁と、それから齋藤国警長官の御答弁は、私は総論と各論のようなふうに受け取れて、実質的には変りはないように了解されたのですが、刑事局長、或いは国警長官ですね。お互いに若し違つておる点がございますれば明らかにして頂きたい。
○政府委員(岡原昌男君) 各論まで入りますと大分違つて参るわけであります。これはこの点について大臣が一応法務委員会において言明をせられ、その趣旨に則つて国警長官と検事総長と大臣との間でこの案文ができたのでありまして、これはこのままむにやむにやと私どもは呑んだつもりでございます。各論までお聞き頂きますと、もう一度理論闘争をやらなければならんので、御勘弁願いたいと思うのでございます。
○政府委員(斎藤昇君) この決議には、私と大臣、法務次官の間でできた案ではございません。大臣が言明をされようというので作られました案文はこれとは別であります。ただ別でありますが、その案文を基にして、その案文に抵触をしないようにというので、この決議案は作られたと思いますが、決議案自身は私どもはタツチしておりませんから、その点は明確にいたしておきたいと思います。
○楠見義男君 今日も衆議院の各位のかたがこの問題に大分精力をとられたということを述べておられます。私は実はそういうような立場で或いは又そういうようなことで相当特別の意見を持つて、自分自身の意見を持つてお聞きしておるんじやなしに、そういうふうに衆議院の多数のかたがたが精力を相当これに取られ、又参議院でもこれについて多少審議をとられたことから鑑みて、これほど人騒がせ、というと言葉は悪いが、人騒がせをさせた問題であるだけに、国会としては審議の過程において折角できたものがいい悪いは別として、明らかにできるものだけは明らかにしておかないと、いざこざが将来に残ることが、却つて捜査の上において或いは行動を遂行して行く上において将来に禍根を残すと、こういう純粋な立場からお伺いをしておるのでございます。そこで刑事局長は勘弁してくれというお話なんですが、私は実は両方の御意見を伺つて総論と各論と余り変らんと思つたのですが、ということは問題は例えば齋藤長官の言われる、一方的には指示をしない、これは刑事局長のおつしやつた、急に出すことはない、仲よくやりたい、やる、こういうことで自分たちもそう思つておる。それに対して齋藤長官は一方的にしないでおくことは勿論だが、十分連絡をとると、これは全く同じなんです。それから同意がなければこれは出せないというのじやなしに、それは指示ということから言つて同意がなくともこれは出すんだと、併し出す場合には一方的にしない、指示又は十分連絡をとつてやつて行こう、こういうことでしたらこれはまあ変りはないと思う。ただ最後に言われた個々の事件を指揮する結果となつてはならないことは、これは問題だと思うのです。というのは準則は一般的指示をやる場合に、それはその一般的指示の中に個々の犯罪が当然包含されることですから、従つてこの事柄の上から言えば、捜査を指揮する結果となつてはならないということは、論理的に言えばすべて包含されるというようなことになるからこの点は問題だと思いますが、それ以外の鳥は余り、余りじやない全然変りがないと思うのですが、やはり変つていましようか。
○政府委員(岡原昌男君) だんだん細かい質問に引きずり込まれるようなことでございますが、大体あなたのお気持の通りでございます。
○亀田得治君 この一般的指示を行う場合に恐らく附帯決議の精神から言つて事前に連絡される、これは当然だと思うんですね。併し意見が合わないでも出す権限はあると思うんですね。で、相互の意見が合わないままで出された場合、国警側といたしまするとそんな場合にはどうなりますか。あなたのほうの受取り方は、或いは又それをずつと下部のほうへそれが生きるように処置をとらなきやいかんわけでしようが、そういつたような点ですね。
○政府委員(斎藤昇君) 勿論意見の合わない場合もあり得るだろうと思いますが、意見が合いませんでも、個々の合法的な指示であると考えられれば、やはり私はそちらの指示に従うべきだと思います。従つてそれに従うように指示する私のほうは措置をとるべきだと存じます。
○政府委員(岡原昌男君) 今の点ざつくばらんに申上げましよう、破防法のときに問題になりました点は、結局こういう点なんです。私どもが破防法の成立の過程に鑑みまして、何とか捜査の着手を統制止とりたい、それからまあ出発したわけでございますが、あのときに国警側と一応事務的に打合せして、一応話がついたのが去年の七月七日であります。その後その日の夕方でしたか、次の日に至つて異議があるという申出がございまして、それから事が操めたのでございますが、私どもの主張といたしましては、各自治警或いは国警の各県のそれぞれの地区警察がてんでんばらばらにあの破防法というむずかしい事件をあばかれては、これは国民がたまつたものではない。だからこれはやはり中央において見る必要があるのじやないか。ところが中央ということになると、御承知の通り、国警におきましては運営管理の権限を持つおりませんので、幾らばたばたやつて見たところで、地方の統制をとるわけにいかんわけでございます。いわんや自治警に対してこれを統制をどるということは法律的にも不可能でございます。ところが国警ではそれもやりたいというから、それは法律的に全然できないことじやないか。それは法律的に事を処理するために百九十三条第一項で事をやるほか方法はないということを申上げたところが、捜査に立入りするのはけしからんとか、いろいろなこれはここまで余り言いたくないんですが、というようなことから事が操めたのでございまして、私どもは法律的に事を処理したいという一念から、それは方法としてはそのほかないではないかということなのでございます。内容的には国警のほうも御異存なかつたと私は思つておりましたので、国警からそういう指示を受取るなというふうな各署に指令が飛んだということで、実はびつくりいたしました。全国数カ所から受取りを拒絶されたという電報が翌日参りましたので、びつくりしたような次第でございますが、それは過去のことでございますから、一つこの辺は何分よろしくお願いいたしたいと思います。
○政府委員(斎藤昇君) 少し実情を鮮明にする必要があると私は認めますから申上げます。破防法の場合に、検察側と着手前に、事前に打合せをしてそして検察側に異存がなければやる、異存があつたときにはやらない、この申合せはしましよう、この点につきましては私のほうは異存がなかつたのであります。事務当局はそういつた意味で、そういう内容については異存がないと言つて帰つて来たわけであります。そこで私はそれはどういう形式においてやるのかと言つたところが、検事総長或いは検事正の指示でやる、指示の形でやる、百九十三条の指示でやる、指示によつて行うということでありましたから、そういつた個々の事件に着手する前に、検事の承認がなければ着手ができない、或いはこういつた破防法関係の被疑者を逮捕するときには、検事と協議が整わなければ逮捕することができないというようなことをこの百九十三条の指示でやられるということであれば、百九十三条をそういうように解釈をするならば、百九十三条は今後警察の捜査をしようとする事柄をばらばらにやられては困るだろう、或いは人権擁護の見地から或いは捜査の適正を期する上からという意味で、この指示が出せられるのだという解釈になつては、これは非常に私は警察と検察の刑事訴訟法の原則を、この百九十三条で如何様にも破ることがあると解釈をされたらそれはどうであろうか、このことは私は反対であるということを言つたのであります。私の反対のあることを岡原さんは御存じなかつたかのように言つておられますが、これは私は誠に心外でありまして、私が反対しておる点は事務のほうではよろしいと言つておつたから、これを出して私のほうがこれには承服できないと言つたのを非常に意外に思つたと言われましたが、それは当然のことであつて、私は大臣の前でこの点を法務府側と私の意見と両方聞いてもらつて、そして本当に目的を達するように相互協力の建前でやろうじやないかということを申入れたのでありますが、その機会を与えられずに発せられたという経過をとつておるのであります。従いまして大臣と私及び法務政務次官の間に案を練つて、最後それではこういうようにいたしましようというので、大臣は必要があれば国会でそれを言明をするとおつしやつたわけです。一般的指示により個々の事件の捜査を直接指揮しないものとする、破防法のときの一般的指示は万止むを得ざるに出たものであるが、今後この種のような場合には事前に緊密に連絡をして相互協力によることを建前とすると、こういう文章であつたわけであります。従つて、ああいう場合におきましても相互協力ということを建前にして一方的な指示というものは今後は行わない。で、私のほうとしましては、破防法のときの指示は、適法であつたか、違法であつたかということは詮議だてはしなくてもよろしい。今後はああいうことを繰返さないからという大体の保障がもらえればよろしいと、かように考えておつたのであります。そういう意味から申しましても、この附帯決議は先ほど私が申しましたように私どもは理解をいたしております。
○亀田得治君 それからこういう場合に、やはり記録の上にちやんと載せておいたほうがいいと思います。気になるような点ははつきりと記録の上にとめておいたほうがいいと思います。 それからちよつとお聞きしておきますが、この個々の事件というものは、これはどういうふうな御解釈なんですか。本当に甲野太郎がこういう事件を起して、事件になつていると、こういう意味の個々の事件か、もう少し広い意味で言われておるのですか。どうなんでしよう。
○政府委員(岡原昌男君) 個々の具体的な事件というふうに理解しております。
○亀田得治君 そうすると被疑者の名前も対象になつていて、そして本当の具体的な事件、そういう意味ですね。一般の、例えば破防法に関する事件全体とか、そんな意味じやないのですね。
○政府委員(岡原昌男君) さようです。
○政府委員(斎藤昇君) 只今の破防法のような事件全体という事柄は、全体についていつておつても、それが実際の場合になりますと個々の事件になつて来るわけです。それを捜査段階になつて参りますと、そうしますと、これは個々の事件になつて来るわけです。そこで抽象的に破防法、或いは選挙違反事件については警察は事前に検事の承認がなければ捜査に着手してはいけないというようなことであれば、それはやはりそういう結果になりますから、個々の事件について捜査を直接指揮するということになると私どもは解釈をしております。
○委員長(郡祐一君) ちよつと速記をとめて。 午後五時三十四分速記中止 ―――――・――――― 午後五時五十六分速記開始
○委員長(郡祐一君) 速記を始めて下さい。 刑事訴訟法の一部を改正する法律案につきましては、質疑はこれを以て終了いたしたものと認めますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(郡祐一君) 御異議ないものと認めますので、さよう決定いたします。 ちよつと速記をやめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(郡祐一君) それでは速記を始めて下さい。 本日はこの程度を以て委員会を閉じることにいたします。次回は明二十九日午前十時から開会いたします。 午後五時五十九分散会