法務委員会 第8号
- 発言数
- 156 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1953/07/07
会議録
○委員長(郡祐一君) 委員会を開きます。 先ず逃亡犯罪人引渡法案について御質疑のあるかたは前回に引続き御質疑を願います。ちよつと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(郡祐一君) 速記を始めて。 法務省のほうに私から一、二の点伺いたいと思いますが、この法案五条の逃亡犯罪人の拘禁のところでございますね。これが五条によりますと、東京高検の検事長が逃亡するおそれがあると認める場合は、その判断は裁判官を拘束して、裁判官は拘禁許可状を発付しなければならないことになつているようでありますが、現行憲法の令状主義の精神から考え、人権擁護の立場から適当だと考えられるものでありましようか。又かような例と申しまするか、同様な場合等があるのでございましようか。
○説明員(津田實君) 只今お尋ねの点でございますが、第五条の但書におきましては、東京高等検察庁の検事長が、逃亡するおそれがないと認める場合に限りまして拘禁させないということになつております。元来この逃亡犯罪人の引渡につきましては、これが条約上の義務といたしまして、各国の立法例におきましては、かなりこれを尊重しております。従いまして、各国の立法例におきまして多くは必ず拘束をするということにいたしておるのであります。併しながら我が国におきまして、これを立法いたします場合におきまして、要するに終局の目的は引渡の義務が完全に履行し得ればよろしいのでありまするから、定まつた住居があり、且つ逃亡するおそれがない場合には、必要的な拘禁といたさない、かようにいたした次第でございます。憲法の令状主義におきましても必要性の認定その他につきましては、必ずしも裁判所に任しておるというふうにはなつていないと解釈されておるのでありまして、この逃亡犯罪人が逃亡するおそれがあるかどうかというような点につきましては、この場合本来申せば裁判所の側には何らこれを判断する資料がないという場合が多いと思います。従いましてこの逃亡するおそれがありや否やは、結局検察官によりまして内偵等によつて了知するよりほか方法がないのであります。従いましてさような意味におきまして、この認定を東京高検の検事長に委ねた次第でございます。
○委員長(郡祐一君) 今お話のうちにもありましたが、新憲法の令状主義というものでございますね、これについて一般論としてどんな工合にお考えになるか、承わらして頂きたいと思います。
○説明員(津田實君) 憲法の令状主義といたしまして理解いたしまするところは、全く公平な第三者であるところの裁判官に、発付の要件があるかどうかということを判断した上で発付せしめる。それによつて人身の拘束をする、かような建前だと考えております。で、本件の逃亡犯罪人の引渡に関しましては、本来申しますれば、憲法三十三条以下の刑事手続に関する規定は直接これが適用がないものというふうに考えておるのでありまして、併しながら事身柄の拘禁に関しまするので、できるだけ憲法の三十三条以下の規定に則りたいと、かような趣旨でこの裁判官の令状によつて拘禁をいたす、かようにいたした次第でございます。本来の憲法そのものの令状主義によつておるというのではないのでございます。
○中山福藏君 ちよつとお尋ねしますが、これは政治犯と普通の犯罪と競合しておる場合ですね、而も日本のこの犯罪構成要件から見て、それが相手国で多分に刑事犯、だと見ている場合に、日本ではこれは政治犯だと、この国家意識の上に犯罪の構成要件に対する判断が違うというときは、大体これはどつちによつて処理されるというようなことになつておるのですか。これは私はまだこれをはつきり読んでおりませんから何ですけれども、そこにはどつちの判断に従うのですか。
○説明員(津田實君) その点でございますが、もとより従来政治犯罪と申するものの範囲につきましては、主観説、客観説、いろいろな説がございます。併しながらこの逃亡犯罪人の引渡におきましてとられておる各国の先例におきましては、政治犯罪の認定は主として引渡をなす国、つまり引渡の請求を受けた国においてするという大体の説に一致いたしております。従いまして締約国から請求がありました場合におきましては、それを日本国におきまして政治犯である、かように認定いたしました場合には、一応それによつて引渡を拒絶するということが国際的に認められるというふうに了解いたします。尤もその判断はもとより合理性がなくてはならないことは当然でございます。
○中山福藏君 その引渡拒絶が殆んどこの境界線がわからないというような場合がままあると思うのです。そのときには外交折衝によつて決定するのか、或いはやはり今おつしやつたように主観的なところからこれを判断されるのか、そこはどつちですか。
○説明員(津田實君) その点につきましては、もとより条約の解釈は、場合によりましては両当事国の合意というものがかなり有力に考えられるという場合はございます。併しながらかような逃亡犯罪人の引渡に関しましては、おおむね裁判所の審査を経るわけでございます。裁判所におきまして絶対的に政治犯であると、かように認定いたしました場合には、国内的にはもはや引渡の方法がない、かように相成るわけでございます。従いまして裁判所は何ら拘束されることなく合理的に条約を判断いたしまして、而も法律を判断いたしまして、政治犯であるかどうかを決することができるのであります。その場合のつまり裁判所の判断が即ち引渡しの請求を受けた国の判断、かようになるわけでありまして、それは一応その国の判断に任されておる、かようになるわけであります。併しながら更に問題を掘下げますると、或いは国際司法裁判の対象になる場合もあり得る、それは条約の解釈として国際司法裁判の対象となり得る場合もあり得る、かように考えております。
○中山福藏君 これは裁判管轄権のある国によつて裁判が進行します場合に一審、二審、三審という相当の時日がかかつてその最後の判定というものがきまるまで客観情勢で相当この犯罪の対象になるところの何と申しますか、その対象に対するところの判断というものが客観的に変つて来る場合ですね、例えば時間的に今までは犯罪であつたものが犯罪でないというような、いろいろな問題が起きて来る場合には、結局その間に条約が改訂されずにおればそれは結構なんですけれども、条約なんかいろいろこう変つて来る場合には、最初そういうもくろみでやつたものが、最後にはそれと反する結果に陥るようなことが生れて来る、生じて来ると思うのですがね。そうするとこれはまあ変なお尋ねですけれども、その最後の判定を待つてこれは判断するわけなんですか。それはどうなるのですか。
○説明員(津田實君) 逃亡犯罪人の引渡につきましては外務大臣が窓口になつております。で外務大臣に参りました場合に正式に受付けると申しまするか、受理をいたさずに、政治犯罪であるからそれは受付けられないというようなことを、事前に事実行為として相手国と議論することは当然あり得ると思うのであります。併しながら一旦それにもかかわらず相手国において正式にそれじや引渡の請求をする、かようになりますると、国内手続に載せて処理せざるを得ないのであります。さような場合におきましてはこの法案にもございます通り逃亡犯罪人を拘束し、そうして審査の請求をするわけでありますが、その審査の請求の期間は二箇月と限定されております。而も東京高等裁判所において決定がありました場合においては、これに対する上訴の方法を認めておりませんので、従いまして二箇月で裁判所の判断が下ることに相成ります。従いましてさように長期間に亘つてこの事件が国内手続の上で係属いたす、かようなことはないというふうに考えられております。
○中山福藏君 その今の手続に関しては、やはりこの法案の中に織込んでありますか。今の二箇月という規定は……。
○説明員(津田實君) さようでございます。この二箇月と申しますのは、この法律の九条の第一項にございます。八頁のところ、第二行日あたりのところ……。
○中山福藏君 そうするとこの決定については抗告を許さんということになつておりますか。
○説明員(津田實君) さようでございます。この決定には上訴は認めておりません。この決定は第十条に書いてございます通り、引き渡すことができない場合に該当する、或いは引き渡すことができる場合に該当するという判断のみでありまして、その引き渡すという処分をする決定ではないのでございます。或いは引渡をしないという処分をする決定ではないのであります。元来各国の法制におきまして承認されておるところによりますると、逃亡犯罪人の引渡と申しまするのは、行政権の専権に属することである、かように相成つておりますので、ただ人権を擁護する面におきまして、裁判所の審査を経ることが文明国の多くに行われておる、かように相成つておるわけであります。従いましてこの決定そのものができる場合、或いはできない場合ということを宣言しているに過ぎないのでありまして、条約上の問題とかそういう問題でありますので、できるだけ早く結末を付けしめるという意味におきまして上訴を認めない。かようにいたし、而も東京高等裁判所という上級の裁判所に全部の管轄を認めた次第でございます。尤も法務大臣が最後に引渡の処分をいたすわけでありますが、その引渡の処分につきましては、これは当然引き渡すということの処分でございますから、これに対して行政訴訟が許されることは当然でございます。
○中山福藏君 もう一つ念を押しておきますが、その二箇月の規定ということは、私今朝今汽車から降りたところで、読まずにお尋ねしておるのですが、二箇月の間でも、時間的にこういう例えば国内革命が起るというような場合に、政権というか、或いは政治体制というものが全然変つた場合においては、二箇月の間にででも、相手方で事実上条約というものはそのまま存置しておつたとしても、政治犯になるかならないかということは国情の変化によつて違つて来る場合がこれはあり得ると思います。これは極めて短時間でございますけれども……。そうすると空白状態というものに一応なつて来るのじやないかというようなことを考えてみるのですが、そんな場合においては、何と申しますか、一つの猶予的な暫定期間というものを心待ちにして、その政情が落ちついて、果してそれまでの従来の政府の考え通りに政治犯として認めるかどうかということを次の政府によつて考える。何と申しますか犯罪に対する最後の決定というものは同じであれば結構ですけれども、変つて来るというような場合は、これは一応考えられることだと思うのですか……。
○説明員(津田實君) 御指摘のような問題は、確かに存在し得る場合があると思うのでございますが、その場合におきまして、仮にこれは締約国つまり相手国の場合というふうに考えてみました場合に、相手国の政治体制が変つたために従来政治犯でなかつたものが政治犯と考えられるに至つた、かような場合があるかと思われるわけなんです。そういうふうにいたしました場合におきましては、一応相手国はこの規定にございます、第十一条に予定いたしておりまする政治犯というふうに相手国が理解したならば、第十一条の前提となります請求の撤回ということを相手国がするのが普通であろうというふうに考えるのであります。でありますから、請求の撤回がありましたら、当然もはや引渡はなされないということに相成るのでありますが、仮にさようなことをいたしません場合には、実際の処置としては、日本側におきまして、それは政治犯と認められるに至つたのであるが、なお請求を維持するやということを問合す等の方法があると思いますが、若しも撤回をいたさないということであれば、当然政治犯でないものと相手方は理解して、請求を進めているというふうに解釈すべきでありまして、その場合は従いまして、もつぱら日本の裁判所で、それが然るや否やということを決定するものだ、かように考えるわけであります。従いましてその場合に勿論政治犯として引渡を拒絶するというふうに理解してもよろしい、かように相成ると思います。
○委員長(郡祐一君) 中山君よろしうございますか……。では私からも一点伺いますが、今の中山委員への御答弁中にも言つておられましたが、最後に法務大臣が処分をいたしますね、法第十四条で、それで裁判所が引き渡すことができる旨の決定を更に法務大臣の裁量によつて実行に移すか否かをきめますことはいささか適当を欠くと思うのでありますが、その点についてはどういう工合にお考えになりますか。
○説明員(津田實君) 先ず英米独仏の立法例によりますると、先ほども若干触れましたところでございますが、逃亡犯罪人の引渡というのは行政権の専権に属するものであるということに相成つております。而もこれら文明諸国の立法例におきましては、最後にやはり行政権が逃亡犯罪人を引き渡すかどうかをきめ得るという趣旨の規定をおおむね置いておるのでございます。アメリカにおきましては、これは先例として承認されておるところで、立法にはしかく明らかには現れておりませんけれども、さような手続によつて行われております。ドイツ法あたりにおきましては完全にさような規定を設けておるわけであります。フランス法におきましてもたしか同様であつたと思います。さような次第でありまして、国際的に見まして逃亡犯罪人の最終の引渡をするかどうかということはもつぱら行政権に留保されておる、かように考えるわけであります。かようにいたしますと我が国にもその国際的な立法先例に則るのが妥当であるというふうに考えまして十四条の立法をいたしたわけでありまするが、第十条の決定と申しまするのは、第十条そのものが示しておりますように、引き渡すことができる場合である、できない場合であるということを宣言しておるに過ぎないのでありまして、引き渡す場合引渡すべしという処分をしておるわけではないのであります。従いましてそのほかの当時総裁の資料、或いは対象とならなかつた事項などを加えまして、当然法務大臣は最後の引渡に関する留保権がある、かように実体をきめるのが先例に適したことだと考えられる次第でありますので、第十四条におきましてはさようなふうにいたしたわけであります。従いまして裁判所の裁判の内容を再審査するという形ではないのであります。引渡、まあ実質的に申せば、引渡の許可があつたというふうに理解してよろしいかと思います。今日の逮捕等におきましても、逮捕状と申しまするのは逮捕の許可なんでございます。さようなわけでありまして、逮捕状が出ましても、逮捕するか否かは全く行政権がきめられる次第でありまして、さようなふうに十条を理解いたしますると、決して現行の司法制度に対して行政機関が云々するというような問題ではないというふうに理解できると思うのであります。
○中山福藏君 これは二箇月と……、法務大臣は検察庁、検察官に対して審査請求というものを東京高等裁判所でするということになつて、その審査期間というものは二箇月の間だ。ところが逃亡犯罪人にはこれに対していろんな資料を提供して意見を述べる機会を与えなければならない。大体その二箇月ぐらいで、審査請求に対して対抗するというところの資料が集められるでしようか。これは非常識だと思うのです。私は人権尊重という点から言つて日本の裁判ですらも、一審、二審、三審と全部で七箇年以上に亘るということもままあるわけです。二箇月ぐらいの間に幾ら逃亡犯罪人だからと言つて、お前さんは資料を提供して、これに争う気持があれば、争えと、その間に外国といろいろな通信をして資料を送つてくれとか、何とか言つても到底二箇月ぐらいじや、これは集められんと思うのです。二箇月に限定したのは外国の立法例とか、いろいろなものを参酌しておきめになつたのですか。或いは単独にこういうことがきまつておるわけですか。この二箇月は非常にただ単に形式に過ぎないという感じがするのです。二箇月ぐらいでは、本当に人権尊重とは言えんのじやないか。
○説明員(津田實君) 二箇月といたしましたのは、今ちよつと具体的に覚えておりませんが、おおむね各国の先例に従つたところでございます。で元来勿論お説の通り逃亡犯罪において防禦する時間があるかどうか。特に他国に来ている者が大体の場合であるからという点については、誠に御尤もな点がございますと思いまするのでありまするが、元来この逃亡犯罪人引渡条約を結んでおりまする相手国は、一応対等の文明国を標準にして結んでおるということになります。従いまして国内におきますこの犯罪人の処罰は手続そのものにつきましては十分の信用ができるという前提に考えられるべきものだと、かように思います。併し逃亡犯罪人を引き渡すということは一応の逃亡犯罪人に犯した嫌疑がある。大体申しますれば、逮捕状が出る程度の犯罪の嫌疑があるということが日本の裁判所に認められる場合が、犯罪の実体については中心になるわけでございます。従いましてそれによりまして引渡をいたしまして向う側が更に本来の国内手続によつて裁判をし、それについては相当の上告を認めて裁判をいたすわけでありますので、もつばら本人の当該犯罪そのものに対する審査と申しますか、そういうもの自体は当該相手国の司法機関に委ねる、引渡をする国におきましては、一応の嫌疑があるということを認めれば、引き渡すべきだというふうに考えるべきものだと思います。従いましてそれを打ち破るたけの資料を勿論持ち合わせておれば、そこにそれを行使して、裁判において引き渡すことができない場合であるという決定をもらうのが本人にとつては至当でありますが、併しながらこれを期間を長期にいたしまするということは非常に問題があります。殊に逃亡犯罪人につきましては、身柄を拘束して引渡を確保するというのが、無条件に拘束するというような過去の先例になつております点から見て、おおむねこの審査の期間或いは引渡しまでの期間というものを今申上げましたような程度に制限している立法例が多いと、かように理解いたしております。
○中山福藏君 これはなんでしよう、第九条の第二項ですね、「逃亡犯罪人に対し、意見を述べる機会を与えなければならない」とこう書いてある。第三項を御覧下さいますと、「東京高等裁判所は、第一項の審査をするについて必要があるときは、証人を尋問し、又は鑑定、通訳若しくは翻訳を命ずることができる。」とこうあるのですよ、ところが証人でも要るようなことになつた場合において、若しその証人が絶対必要なものである場合に、重病にかかつた場合には二箇月でできんような場合が生ずるのじやないか。そういうことがこの証人とか翻訳とかを許すということになつておりますれば、これはやはり一種の審査要求の本髄というものに副う態度をここで作り上げなければならんと思う。ただ形式的にですね、二箇月ときめておいて、どうでもこうでも相手国は文明国だからまあ間違いなかろうというような、そんな単純なことでこういう規定を設けられることは、これは一種の机上の裁判をしておるような感じを受けるのですがね。たとえ文明国であろうがなかろうが、日本は日本として独自の見地に基いて、やはり人間としての尊重すべきゆえんを法律に調うことが本当じやないか、余りに無意味だと思うのですね、こういうことは……。
○説明員(津田實君) その点でございますが、本来の当該国の犯罪に対する実体の裁判は当該国がする。その当該国が裁判するために本人の身柄の引渡しを求めるというのがこの本件の制度でございます。従いまして日本国におきまして、全部有罪無罪を確定するまでに審判をいたすということは、これは証人の所在、証拠物等の所在等の関係から、非常に困難であつて、むしろ不可能に近いというような場合が普通ではないかと、かように思うのであります。従いまして日本の内地におきまして集まる資料の限度はおのずから制限される。かようなことになるわけであります。而してこの「一箇月以内に決定をするものとする」という規定は、決定するのが建前であるという、かように制限いたしておるのでありまして、絶対にこの期間が延長をし得られない、かように解釈はいたさないのでございます。他の現在の日本国内の立法例におきましては、何日以内に裁判するよう努めなければならないとかような立法例もございますが、本件の「二箇月以内に決定をするものとする」という意味は、「努めなければならない」よりは多少拘束力が強い。併しながら二箇月は不変の期間である、絶対に延長を許さない、かようなふうには解釈いたさないのでありまして、裁判所といたしましては、証拠調べその他のものから二箇月を超えて後において決定いたさなければならないと考える場合におきましては、当然二箇月は超えて審理を継続し得る、かように解釈いたす次第でございます。
○中山福藏君 私はですね、その犯罪の実体的な問題を取扱うことを云々するのじやない。それは決定するものであると書いてありますが、これは絶対要件ともまあ任意要件とも解し得られる。要するに「二箇月以内に決定をするものとする」ということは、これは決定することを得るという、元の規定があれば格別ですが、どつちだかわからんですね、この規定は……。私はくどいようですけれどね、別に私は実質上の問題をかれこれ言うんぢやありませんよ、「証人を尋問し又は鑑定、通訳、若しくは翻訳を命ずることができる」とこう書いてあるのですからね、これはどういう場合を想定してお書きになつておるのですか。今御返事を承わつておりますと、犯罪問題についてのみこういうことを本国でやるのだからと聞こえるのですが、それを言つておるのじやない。こういう規定があります以上は、どういう場合を想定して証人を許すということになつておるのかという、若し証人が重病にかかつて二箇月以上、例えば脳盗血とか脊髄とかいうような重い病気は二箇月ぐらいすぐ経つてしまう。そうするとこの一項ですが、「二箇月以内に決定をするものとする」という条文を、明白にここにこれを謳わない以上、非常な疑問を生ずる。この三項の規定から推して行きますと、これは条文の成文上に心を一つ用いて頂いて、もう少しはつきりしないと、あとでいろいろな問題が起きるのじやないかと思いますが、もう少し三項の証人を許すということは、どういうことを想定してどういう場合にどういうふうな事柄についてこれはお書きになつておるのですか。この証人という字は、場合を一つ例示して下さい。
○説明員(津田實君) 先ほども申上げましたように、国内で証拠調べをするには、おのずから限度があるとかように申しましたわけでありますが、証人につきましてはたまたま当該犯罪に関係ある証人が日本内地におつた場合、或いはおらなくても今日アメリカでありますれば二十四時間経てば参り得る可能性があるわけでありますから、そういうような証人の出頭を求め得れば出て来てもらつて調べる、かようなこともできると思います。それから又鑑定につきましては、これは当該犯罪人が犯罪を犯したときに心神喪失であつたというようなことを今の当該逃亡犯罪人について医学的に考察を加えまして、これは当該犯罪を犯したときには心神喪失の状況にあつたのだ、従つて責任がない、かような点があるかないかというようなことも場合によつては鑑定を命ずる、かような場合を想定いたしましてこの規定を設けた次第でございます。従いまして裁判所が必要と認めればかような訊問或いは鑑定を命ずることもあるし、又逃亡犯罪人或いは弁護士、それを補佐する弁護士から裁判所にかような訊問を促す、職権発動を促すような請求があつた場合においても、裁判所が適当と認めればさような証拠調べをする、かようなふうに考えております。 それから第一項の二箇月の問題でございまするが、これは二箇月以内に決定しなければならないといつたような用語例ですと、絶対的にしなければならないのでありまして、それ以後は不適法になる、かように考えるのが通常かと思いますが、「するものとする。」というのは、通常の用語例に従えば大体訓示的規定でありまして、そういうような建前であるというような規定である、かように用語例を考えておりますので、一応その後者をとつてここに規定いたした次第でございます。
○中山福藏君 私のほうは考え方が違うんですね、「決定をするものとする。」このようにこれは今日口語体になおしましたけれども、この点はまだはつきりしてないのですよ、今日この用語が……。だからそのようにあなたが主観的におきめになつても、これは文理解釈は自由ですから、これは間違いのないようにしておいて頂かないと困る。それから証人云々、精神喪失の状況にあつたかどうかということは、これは実体上の犯罪の、犯罪ありや否やを確定するときはそれはそういうときには、それは前におつしやつたことと違う。そういうことをやるということになると、これはおかしい。二箇月以内には、そういう問題ではないと私は考えるのです。ここに謳つてあるのはそういう場合の召喚じやないんじやないか、これは精神喪失者は裁判にかけてこれをきめる問題である。そこまでこれは及ぶんですか。それだとすればなお更のことこれは問題になる、二箇月や半年でそんなものきまりやしない。殊に鑑定等はむずかしいのであつたならば、立派な学者であればあるほど、立派な思想家であればあるほど慎重期してなかなか二箇月くらいじや私は判断を下して立派な鑑定はできんと思うのですが、これは違うんじやないですか、あなたのおつしやるのは……。
○説明員(津田實君) 只今御指摘の点でございますが、これはこの第二条の第三号に規定がございます。第二条の第三号によりますると、「逃亡犯罪人の犯した引渡犯罪に係る行為が若しも日本国内において行われたとした場合においては、その日本国の法令によつて逃亡犯罪人に刑罰を科し、又は執行することができないと認められるとき。」即ち日本でその犯罪を犯したとすれば、日本の裁判によつて刑罰が科せられない、つまり双方処罰主義と、かような原則がとられておるわけです。従いまして日本でもつて処罰できない場合、刑罰を科し得られない場合は引渡してはならないということになるわけであります。従いましてもとより先ほど申しましたように、犯罪の実体そのものを究明することを本質とするわけではないが、併しながらいろいろな状況によつてそれが疑われる場合は当然そのような点にまで審査の内容が及ぶというふうに解釈せざるを得ません。従いましてさような通常の場合は、そういうような例は非常に少いと思いますが、非常に珍らしい例としてさような場合があれば鑑定を命ずる、鑑定は只今御指摘がありましたように、相当日数を要することは十分存じておりますけれども、さようなことでありますれば、当然二箇月は超えなきやならん、その場合に二箇月を超えるということを禁止しておるわけでは無論ありませんので、従つてその際には二箇月を超えて決定をいたしても勿論適法である、当然であるというふうに考えておるのであります。
○中山福藏君 お尋ねしておきますが、今日この質問はお終いになりますか。
○委員長(郡祐一君) いいえ、お終いにいたしません。
○中山福藏君 私どもまだ十分研究しておりませんので、なかなか何ですが、お差支えなければもう一回一つお願いいたします。
○委員長(郡祐一君) そういう工合にいたします。それでは只今の中山委員のお話もございましたし、この逃亡犯罪人引渡法案については更に質疑を次回に継続することにいたしまして、本日はこの程度にいたします。 ━━━━━━━━━━━━━
○委員長(郡祐一君) 次に、航空機抵当法案についての質疑に入ることにいたします。航空機抵当法案について御質疑のおありのかたの御発言を願います。
○楠見義男君 一点だけ伺うのですが、航空機について質権の設定を禁止しておりますね、これはどういう理由なんですか。
○説明員(谷伍平君) 質権は御承知の通りに債権者が占有を保有して設定されるものでありますから、こういう航空機につきまして近代的な抵当制度を認めました以上は、今のところ実情は債権者は銀行その他の金融機関でございますが、金融機関に占有を継続させるということになりますといろいろ不都合がございますので、その点で抵当制度を設定いたしまして、債務者たる航空機の所有者が相変らず使用を続けるという抵当制度を認められました以上は、質権の設定を認める実益もありませんし、それから抵当権と質権とミングルして、ごちやごちやに設定されるというようなことになりますと、法律関係も複雑化を予想されますので、質権の設定を禁止したわけであります。
○楠見義男君 ほかの法令で新らしい動産抵当のようなものを設けた経済立法はあるのですが、その場合には必ずしも質権というものは設定を禁止しておりませんけれども、特に航空機についてそういう質権設定を禁止したのは、今おつしやつたような実益問題とか或いは経済問題とかいう問題のほかに、何か航空機として折角そういうものがあるのだから、それを交通のために活用させるというような公益的なそういうような理由が特に強調されておるんですか。
○説明員(谷伍平君) 最近の立法例で申しますと、自動車抵当法が昨年から施行になつております。やはり自動車抵当法は抵当権の設定、動産抵当制度を創設しますと同時に質権の設定を禁止しております。で、今おつしやいましたように、事業者と申しますか、航空機なり自動車の使用者に占有を継続させることが、その交通の用具としての航空機なり自動車なりの効率を発揮するのに非常に望ましいというのが主眼でございまして、特に公益的な見地を非常に強く見ての質権の設定の禁止ではないと思います。
○委員長(郡祐一君) 私から一、二お伺いいたします。航空機抵当による金融の実情がどういう工合になるというふうにお考えになるでしようか。殊に航空機抵当の担保力であるとか、償還期限、金利であるとか、借入金の使途であるとか、これは金融の場合に問題になります点が、航空機抵当では如何ようになるものだと当局では考えておられますか。
○政府委員(粟澤一男君) 只今の実情では一番大きなところは日本航空でございますが、日航ではBC・四と申しますあの御承知の飛行機を六機持つております。それから現在抵当制度がございませんので、譲渡担保の方法で銀行から金を借りておりまして、その金額が大体十八億をちよつと欠ける程度になつております。その他も使用事業と申しまして小型の飛行機を使つている会社が相当ございます。これらも若干の同じような形体で金融機関から金を借りているというわけでございます。大体二十億前後の金融を受けているというのが実情でございます。今後これをこの制度をお認め頂きますれば、航空会社といたしましても非常に便利な方法になりますので、大いに活用されるだろうということを私ども予想しております。大体その使途といたしましては、これから相当飛行機の機数を整備いたさなければなりません。例えば本年度といたしましても、日本航空だけでも三十六億という飛行機買入の資金が必要でございまして、それに対しましてやはり現在ある飛行機、それから新らしく買つて来る航空機を抵当に入れて金融を図るというふうになると考えられます。現在行なつております譲渡担当の方法は非常に不備でございまして、実際譲渡と言いながら、所有権は契約上移つているというだけでございまして、一般社会の通念といたしましては相変らず日本航空の飛行機ではないかということもございます。それから又実際その占有といたすこともできません。そういう関係で非常に窮屈でございます。実際止むを得ずやつておりますので、こういう制度を早く布きまして、実際のこの金融を円滑にしたいというのが私どもの願いでございます。
○委員長(郡祐一君) 航空機抵当がこの法律によりまして、担保附社債信託法の物上担保と認められます結果、相当長期の金融の担保となることが予想されるのでありますが、航空機というものが耐用年数が短く、償却も大きい特殊な性質を持つていると思います。担保としてどのように考えられますか。これは航空機というものを扱われる上にどんな工合に実際考えられるか伺いたい。
○政府委員(粟澤一男君) 大体現在償却いたしております状況では、大型飛行機になりますと、六年、七年、或いは八年といつたような現状でございます。ただ実際の状況といたしましては、償却はそういうふうにいたしておりますが、御承知のように、航空機は非常に使用時間によりまして、オーバー・ホールと申しまして、機体或いはエンジンにいたしましても、殆んど全部分解いたしまして、磨滅した部分は、全部取替えるというようなことで再組立をして使つております。従いまして実際の状況では償却期間八年が切れましても、まだ十分使用に耐える、十年以上使つておる飛行機は幾らでもあるという実情でございまして、従いまして相当やはり長期の担保力があるというふうに私ども考えております。先ほど御説明申上げました借入金は、そういう制度がございませんものですから、一年ごとに切替える。若し幾ら長くても一年までしか認めないというような状況でございまして、その点でも非常に不便を感じておるという実情でございます。
○委員長(郡祐一君) 航空機の耐用年限というものを、これを航空機の種類と申しますか、もう少し細かく話して頂きたいと思います。
○政府委員(粟澤一男君) 大変恐縮ですが、只今その資料を持つて参りませんので、機種によつて耐用年限が変つておりますが、後ほどこれは資料を提出いたしたいと思いますので、御了承願います。
○中山福藏君 これはちよつとお尋ねいたしておきますが、抵当権の実行ということは、差し押えるということでしようが、そのときは登録上差押をするということにまあなるわけでしよう。そうなんでしようね。物を差押えるというのですか。
○説明員(谷伍平君) これは御説明申上げますと、抵当権の実行の方法であるから、強制執行なんかにつきましては、この法律では自動車抵当法と同じ行き方で最高裁判所規則に委ねております。最高裁判所規則につきましては、この法律が通過いたしましたら最高裁判所のほうで規則を制定して頂くわけになるわけでありますが、それによつてきまつて来るわけでございます。御参考までに自動車抵当法の、大体自動車に対しまするところの最高裁判所規則、強制執行に関する最高裁判所規則に大体ならつて制定されるのではないかというふうに予想しております。自動車につきましては登録上差押をやりますと同時に、執行吏に占有を移すということによつて執行の確保を期しております。
○中山福藏君 そこが一番大事なところなんですがね。これは自動車の場合でもそうでございまして、運転手と債務者と話合つておれば、実行できないんです。どこへ行つたかわけがわからなくなつちまつて、転々として運転手を変えますというと……、運転手と債務者が話合つておれば実行できない、本当は……。この場合でもそういうことがあり得るという見通しをつけてこれはお尋ねしているんです。だから一応この法律というものを作られるには、これに附帯してこういう案文のものを先ず後日出すつもりだということだけは、骨組だけはこれはやはり同時に大体参考資料とでもして出して頂かんと、私はこの自動車のこの抵当は実際十分見ているんです。これは何もならんのです。空文になつてしまいますよ。
○説明員(谷伍平君) 今の点、御指摘のように、自動車につきましては非常に困難な面もあるかと思いますが、自動車抵当法を施行しまして、昨年の四月一日から施行しておりますが、それにつきまして実行上の非常なこの法律の致命的な難点と申しますか、そういう程度の抵当権の実行が困難であるというまだ実績は出ておらないのでございまして、それから今の自動車と比べまして、航空機は実行上非常に困難ではないかという御疑念だと存じますが、これは成るほど飛行機は自動車よりは非常にスピードが比較にならんほど速い交通用具ではございますけれども、この移動につきましては、自動車は非常に移動性が激しい。併し航空機につきましては発着の個所が一定されている。それから又現在これは航空交通管制が厳重に布かれておりまして、航空機が勝手にそういう交通管制の組織を使用せずに勝手に飛んで行くということは実際上不可能な状態でございます。これを又自動車のごとく簡単に素人が解体しまして、どつか山の奥の納屋に入れておくというふうな恰好でこの執行を免かれるというような簡便な、簡単にこれを解体して隠匿するということは実際上不可能でございますので、自動車に比較しますれば、例えば船舶の抵当がございますが、恐らく船舶抵当の実行の程度と同じが或いはそれ以上に確実ではないかというふうに我々としては考えておる次第でございます。 それから最後に執行の規則、どういうものを出すか、資料を出せというお話でございますが、我々もできればそういう段階にまで持つて行きたいのでありますが、何分にも最高裁判所規則が行政府でない最高裁判所でお作りになるものでございますので、あらかじめこの法律が制定されることを予想して最高裁判所のほうと規則制定について打合せをするという正式な段取りに参らないものでございますから、まあ船舶の抵当権なり或いは自動車抵当の執行の方法なりを参酌して恐らく向うで立案されるものと思いますので、ちよつとはつきりした案をここでお示しするということは残念ながらいたしかねると考えますので、あしからず御了承頂きたいと思います。
○中山福藏君 全くそういうことは困るのですよ、国民は……。それは抵当法というものをおこしらえになる以上は、抵当というものの狙いは自分の債権が完全に担保せられるというところに狙いがあるのですからね。ただ抵当権を設定する、併しこの担保力というものはこれを執行に移したときにどうなるかわからんというのでは、これはもう法律を作る必要はないのです、実際から言つたら……。それで大体これは船舶の場合が一番類似しておると私は考えておるのです。どうせそういうことにのつとつて最高裁判所はいろんな規則をお作りになるのでしようがね。これは例えば私は自動車を持つておりまして、府庁にちやんと登録はしてある。併し運転手がどこへ持つて行つたかわからん場合がたんさんあるのです。殊に対外的な飛行機の場合を考えますと、これは簡単に国内だけを飛んでおる飛行機の場合だけを考えるわけには行かん。そういう場合もこれは船舶によく似ておるのです。若しこれをお作りになるならば、これは最高裁判所はどういうものを作るかわからん、そういう無責任なことをおつしやらずに、一応内意だけは一つ聞いて頂くということが親切な態度じやないかと私は思うのですよ。そこまでおやりにならんと、これは誠に法律をもてあそぶもの、観念遊戯に過ぎない、こういうことに私は思うのです。口頭遊戯に類するものじやないかと、こう思うのですがね。どうかそういう点はお考え下さらんと、ただ徒らに議会にこういう法案を出してそうして有終の美を遂げられないようなことをやつちや却つてもの笑いになるのじやないかということを考えますから、何とか二、三日のうちに一つ最高裁判所の御意向でもお聞きになつて、大筋を一つ御報告できないでしようか、お願いしておきます。
○説明員(谷伍平君) 大変お叱りを受けて恐縮でございますが、最高裁判所との関係は、勿論これは私どもも法律を立案いたしまして国会の審議を受けます以上は、全然最高裁判所と話合をせずに法律案を出したわけではございませんので、最高裁判所の内意もいろいろ聞いておりますけれども、こういうふうな恰好で最高裁判所規則が出るであろうということを国会にお約束するような恰好になつては、甚だ最高裁判所の、まあ行政府でない性格もありますので、一応行政府としてこういうふうに予想せられるという予想の程度の手続でございましたらば、これはお出しできると思います。 それからなおついでに、今国内ばかりの問題ではないという御指摘もございました。これについても御尤もでございまして、国外に執行を逃がれるために隠匿するのではないか、こういうふうな御疑念もあると考えるわけであります。ただ、これは国際民間航空条約によりまして航空機につきましてはそれぞれの国においての国籍を取得して使用することになつておりますので、これを簡単に国外に持つて行きましても、国籍の取得ができない。その国において国籍のないものを運行するのには非常に限られた限度にしか使用できませんので、単にこういう航空機のごとき高価なものを国外に持去りましても、全然それは財産として寝てしまうという結果になりますので、まあ実際上は、船舶の場合でも同様でありますが、そういう単に執行を逃がれるために国外に持去るというような例は甚だ稀有ではないかと想像する次第であります。 只今の最高裁判所の規則の内容につきましては、これは大体の抵当権者の権利の内容というものは法律できめられておりまして、あとは手続上どういうふうにしてそれを裁判所で実現して行くかという単なる手続でございますので、法律の中には謳つておりませんが、その手続の概要につきましては、我々としてこういうふうであろうと予想するものを資料としてお出ししたいと考えます。
○中山福藏君 是非ともそれをお出しにならんと、誠に児戯に類した法律だということになり、私ども国会を軽んずることになりはせんかと実は思いますから、念のためにお願いしておきますが、公簿上の差押えいうものは登録すればすぐできるわけですけれどもね。飛行機で例えばイランならイランに飛んで行つて、その執行のときには、これは裁判所に任してあるとおつしやるから、そこまで突つ込んで聞くのはどうかと思いますけれども、イランに着くときにこれをどういうふうにして執達吏の責任に移すか、又その手続はどうするかというようなことは、これはこういう点は船舶に似ているのですけれども、これは船舶なんかというのは海の上をのろのろやつて行くのですから、これは押えるのには工合がいいのですが、飛行機はそういうふうに行きませんからね。よほどお考えになつておかんと、私はどうも変なものになるのじやないかと思うのですが、あなたのほうでお作りになつた文案というものを一応最高裁判所が見て、まあ殆んどそれを法律として法文化するのじやないかという考えを持つておりますから、あなた方のお考えがやはり執行の方法については最後の決定権を持つというようなことまで考えていいと私は思つております。どうか一つその文案をこの次にはお示し願いたい。いつ頃できますか。これはこれと並行して睨合わして一応考えなきやならんと思う。
○説明員(谷伍平君) 最高裁判所規則につきましては我々の立案したものがそのままというわけには参りませんので、我々の作りますのは、極く要綱程度のものになると思いますので、その点は御了承頂きたいと思います。一最高裁判所の内部で規則を制定しますにつきましては、相当慎重な内部的ないろいろ手続があるのでございまして、いろいろな段階も経て規則を制定されておりますようでございますので、最高裁判所の意向をも十分採入れました技術的な細部に亘る要綱となりますと、相当の時間がかかると思いますので、我々が予想します程度の極く簡単な要綱で御了承頂きたいと思います。それは数日中にお出しできると思います。
○楠見義男君 この抵当権の設定によつて先ほどお話があつたように、金融業者としては或る程度の安心といいますか、金融の疏通上は有利だと思うのですが、併し問題は航空機事業が事業としてぺイするかどうかということに私はかかつておると思うのです。若しペイしない事業であるならば、幾らこういう抵当法を設けましても、金融業者としては貸す者はないと思う。そこで御提出頂いておるこの資料でも一応わかるのですが、今のところはなかなか楽じやないですね。例えば日航なら日航について現状それから将来の見通しというものを若しできればお話頂ければ非常に仕合せと思います。
○政府委員(粟澤一男君) 御承知のように只今日航は赤字を出しております。相当まあ経営は余り良好でないということは言えると思います。ただ最近の実情によりますと、大体搭乗率の七〇%を超える、或いは特別なときには八〇%を超えるというふうな成績を示しております。これはまあ大体世界の通常の考え方で行きますと、六五%くらい乗客率があれば、大体航空事業というものはこれからはペイして行くのだというような状態です。現在の状況で日本航空がずつと続けられまするならば、近い将来は黒字になるということは言えると思います。それからお手許に差上げてある資料の三枚目と思いますが、日航の三カ間の収支状況がお示ししてあると思います。これによりましても大体国際線を開設当初は相当まあ赤字が出るという覚悟はいたしております。これはどこの外国の例を見ましても大体そういう実情でございます。これをまあ事業を改善いたしまして大いに勉強をして、大体国際水準に乗客を吸収し得るという程度までには三年くらいかかるだろうということで、大体三年の後半期くらいからぼつぼつ黒字が出るのじやないかというような予測をいたしております。又各国の状況を見ましても、一流会社ですでに或る程度黒字を出しておるという会社が相当ございます。今までは航空事業というものはもう赤字が出ることはきまつておるというようなことを言われておりましたが、現在の状況では黒字を出しておる会社もございますので、必ずしも航空事業はペイしないだろうというようなことは言えないと思います。又日航としましてできるだけそういう実績を挙げて行きたいという計画をいたしております。
○楠見義男君 日航の国内航空で駐留軍の施設といいますか、行政協定で日本側が提供した施設を日航が又借りているというようなところがありますね、それはないのですか。若しある場合にそれは賃借料みたいなものを払つているのでしようか、どうなんでしようか。
○政府委員(粟澤一男君) 賃借とおつしやいました意味がちよつとわかりませんのですが、日本は今アメリカへ提供いたしておりますのは御承知のように飛行場でございます。飛行場は日本航空もまあ使つております。使つておりますが、現在はまだその使用料といつたようなものは特に日本航空は払つておるものはございません。それからラジオ・ビーコン等も駐留軍の費用で今経営しておりますのもございます。恐らく同じ空を飛んでおりますから日航も当然やはりそれを使つております。これの使用料といつたようなものは払つておりません。
○楠見義男君 例えば賃借問題は岩国なら岩国には非常に厳重で、日航の乗客も一応はあそこで非常にやかましく、見送りの人なんかも入れませんね。完全なよその飛行場の中で日航が営業をやつておるというような形なんですが、ああいう所はやはり使用は日航とそれから駐留軍とやつておるのでしようか、どういう形式になつておるのでしようか。
○政府委員(粟澤一男君) 只今日航が使つております飛行場は相当ございますが、場所によりまして非常に今おつしやいましたようなやかましい所、それから非常に理解がありまして殆んど自由にしてもらつておる、いろいろございます。使用につきましては大体今までの例といたしましては、私どもの役所のほうで駐留軍と話をいたしまして、大体これは民間航空に共同使用しようということをきめまして、そのきめによりまして日航が今度は実際にそれでは例えばどんな場所に建物を造る、或いは自動車をどこへどういうふうに入れる、飛行機はこのエプロンに入れるのだということは具体的に向うの現場の隊長ときめるわけでありまして、大体大筋は共同使用をする、日航もここに入れようということは役所のほうと駐留軍のほうと相談いたしましてきめることになつております。
○赤松常子君 最近アメリカからいろいろの飛行機を買入れておるようでございますけれども、この間のもく星号みたいに非常にボロ飛行機を買わされる場合がございますですね。ところがそういうボロ飛行機をこういうふうに抵当にするというふうな場合に、うつかりそんなのに当つたら大変だと思うのですが、そういう場合にこの飛行機の性能とか何とかいうことはどこで証明されますですか。
○政府委員(粟澤一男君) 御承知かとも思いますが、もく星号はまだ日本で買つた飛行機でございませんので、借りておつたものでございます。多少そういうお話もありますし、まあ評判も悪いものですから、あの型の飛行機は現在は、全然使用いたしておりません。それから現在買つております飛行機は全部運輸省の航空局で厳重な検査をいたしまして、これならばという安全度を見込んでなお且つ十分使用に堪える、実際又飛ばしても安全であるというふうな検査に合格いたしませんと使用させないことになつております。従いまして日航で、まあ保険会社でもそうでございますが、実際買う場合には厳密に向うに行きまして調べもし、場合によつては役所の人間も行きましてこれならば大丈夫だというものでなければ買わないように努力しております。実際人間が見ましてもわからないような個所が万にありましたら、それはわかりませんけれども、現在考え得る限りの厳密な検査をいたしております。そういう点では抵当に取つたが非常に変なものをつかまされて金融機関が損するといつたようなことはないと思います。 なお蛇足でございますが、金融機関が抵当に取ります。今の場合もそうでございますが、大体その飛行機を航空会社が保険に付けることを条件にしております。従いまして万一の場合がありましても抵当権者が保険金を取るごとによりましてそう損害をこうむらないということにいたしております。
○中山福藏君 ちよつとお尋ねしておきますが、この飛行機の定義ですね、飛行機並びにヘリコプターとなつておりますが、これは発動機とか何とかいうものは、これは全然考えのうちに入れてないのですか。単に飛行するものであればよろしいというふうになるのですか。どういうふうになるのですか。
○政府委員(粟澤一男君) 飛行機或いは回転翼航空機の定義は御承知かと思います。去年制定いたしました航空法に載つております。
○中山福藏君 あの通りですか。
○政府委員(粟澤一男君) あの定義です。 それから只今お話のありました発動機でございますが、勿論航空機の中に入つております発動機は航空機として入つております。発動機だけ例えば予備という状況になつております発動機のようなものでございます。こういうものもできるだけ対象にいたしたいのでございますが、何分複雑でもありますし、たくさんあります、又登録原簿等の記載の技術上の問題もございまして、只今までの研究ではそれまでに及ばなかつたのであります。私どもの希望としてはできればそこら辺まで拡張いたしまして、特に大きな発動機とかプロペラとかいうようなものは成るべくこれの対象にいたしたいと思つておりますが、今日の段階ではそういうものは入れておりません。
○加藤武徳君 今の第二条に関係してですが、今の御答弁は航空機の中に飛行船が入るものだと、こういう御答弁のように理解をしたわけですが、その通りでこれはよろしうございますか。こういうふうな航空法の第二条第一項に航空機の定義を明示して、その中には明らかに飛行船が入つているわけなんですが、この第二条のいわゆる航空機は航空法の第二条第一項の航空機と同じ意味であつて、ここへは飛行機と回転翼航空機、この二つを明示してございますが、この中にどこに飛行船が入るのか、この点を……。
○政府委員(粟澤一男君) ちよつと言葉が足りなかつたと存じますが、私申上げましたつもりは、飛行機及び回転翼航空機という定義が、航空法の定義と同じであるということでございます。従いまして、この法律の言います航空機と言いますのは、航空法で言う航空機から滑空機、飛行船等を除いたもの、要するに航空法の航空機の中の飛行機と回転翼航空機だけを、この法律では航空機と称することになつております。
○加藤武徳君 そうしますと、この航空機抵当法の、このいわゆるこの航空機の定義の中には、滑空機や飛行船は入らないのだ。従つて抵当権の目的物にはならないのだと、こういう具合に解釈してよろしうございますか。
○政府委員(粟澤一男君) さようでございます。
○加藤武徳君 そういたしますと、大変これは理屈ぽい議論になるかも知れませんが、飛行機や、それから回転翼の航空機と、飛行船を区別する必要があるかどうか、又滑空機や飛行船をこの法律から除外いたしまする理由はどこにあるのでしよう。
○説明員(谷伍平君) 滑空機、それから飛行船につきましては、これは構造が…、滑空機は特にそうでありますが、構造が非常に簡単でありますので、抵当権の対象といたしまするのに、同一性を把握するといいますか、同一性を確保することは非常にむずかしい場合が予想されるわけであります、普通の飛行船につきましては、そう簡単にこれを解体したり、骨格の部分を簡単にすり替えるというようなことはできませんのでありますが、グライダーにつきましては非常に簡単なものであります。それから、飛行船につきましても、構造上非常にいろいろなものがありまして、袋の中に単にこの酸素なり、何なりを充填するというような簡単な構造でありますので、これ又同一性の把握が非常に困難になるわけです、実際問題としましても、グライダーにつきましては、価格も非常に普通の飛行機に比べまして、そんなに高価でありませんので、航空機の抵当権を認めて、抵当権の対象にするというような実際上の必要も非常に稀有なわけでございまして、又飛行船につきましては、現在我が国に一つもないといつた状態でありまして、これが民間航空に、大勢に利用されるということは、先ず定義の上では、こういうふうに、航空法に掲げられておりますが、余り予想できない。こういうような、今申上げましたような、いろいろな理由から、二つ除外しておるわけでございます。
○加藤武徳君 実は我々は素人のことで航空機と、それから飛行船の概念的な区別はできても、専門的な区別はまあようしないわけなんで、今の説明て大体はわかりましたが、併しやがて日本にも飛行船が作られ、又大いに利用される、こういう段階がやがて来ると仮定すれば、勿論そのときに法律の改正を行なつて、二条に、グライダーなり、飛行船を挿入しても勿論いいわけだが、併し今のうちに飛行船等は第二条のこの定義の中に更に含ませて、航空法第二条の航空機と同じような観念で、第二条を編む、こういうお考えはありませんですか。
○説明員(谷伍平君) 飛行船の将来につきましては、私もそれほど確たる技術的な見通しを持つておるわけではございませんので、お説の通り、或いは将来そういうものが非常に日本においてよく利用されて来るという時代があるわけですが、…とも考えられるわけでありまして、今の世界の情勢としましては、ソビエイトあたりはいろいろな観測用に飛行船を使つておるというようなことを聞きますが、全体的の趨勢から見ますと、スピード、その他安全性の点から言つても、余り利用される趨勢にないということだけは申上げられると思います。 それからなおこれを認めませんでしたのは、現在飛行船の利用率が低いからということが唯一の理由ではございませんので、先ほど説明が不十分でございましたが、要しますのに、この航空機登録原簿にしつかりとした登録をいたしまして、飽くまで同一の飛行機である、或いは同一の回転翼航空機であるということを、はつきり債権者も、第三者も確め得る状態にあるところの、構造の確りした飛行機とヘリコプターだけを抵当権の対象にいたしまして、抵当権が侵害されるといいますか、いつの間にか飛行機が変つているというふうなことがないように、先のほうに打刻という登録記号の打刻という制度もこの法律できめておりますが、登録記号をしつかり飛行機に、航空機に表示いたしまして、債権者なり、第三者なりにはつきりした同一性を登録上も、機体上も公示できる機種に限定したわけでございます。
○中山福藏君 それは大体グライダーなんか、一台に五、六万円以上かかるのじやないですか。それがやはり債権の担保とするためには、グライダーなんかやはり飛行機練習の初歩だと思うのですが、こういうものを非常に瀕繁に、私は将来学生なんかが練習用に使う時期が来るのじやないかと思うのですが、これなんかを抜くというのはちよつとふさわしくないように思うのですがね。どんなものでしようか。
○説明員(谷伍平君) 御説のように、グライダーにつきましては、五、六万というふうな、普通の動産にしますと割合同価なものではございますが、只今も申上げましたように、グライダーについて構造が簡単であるということは、どうも債権を設定した場合に、いろいろな問題が起りやしないかという、いろいろな危惧が持たれるわけでございます。又実際の金融面から申上げましても、グライダーを買う、例えばいろいろな公益法人、その他新聞社というものが、おおむね自己資金でこれを買うというような形体が多いのでございまして、又銀行から金を借りて、そういうものを買うというふうな融資の対象、融資を受けて買うという例が非常に少ないわけでございます。又全体この航空機抵当法を作ります趣旨から申上げましても、今の七億円というふうな大きな金融に対する担保力を作るということが狙いでございまして、成るほど先ほどからお話がございますように、飛行船なり、或いはグライダーにつきまして、こういう抵当制度の設定が受けられるようになるということは、あながちまあ利用価値が全然ないという断言はできませんのでありますが、法律の目的から言いまして、先ず確実なところを抑えて、やつかいな法律問題が起りそうなのを回避して、そうしましてまあこれをいろいろこの航空機抵当法ができまして、いろいろ実施して参つて、事務手続の面から申しましても、或いは法律問題から申しましても、疑念がないということになつて、又実際将来もそういうものを買うために融資の問題「担保の問題が起きて来れば、将来研究すべき課題だとは存じますが、現在のところは確実な構造、形質を有する飛行機に限定したわけでございます。
○楠見義男君 今の問題に関連しているのですがね。この抵当法の設定のゆえんは、抵当法を実行したときに、その被世保物が比較的容易に処分せられるということが主になる狙いでなくちやならんと思うのですが、そこでグライダーとか、一般の新聞社の飛行機だとか、そういうものが抵当権の対象になつて、それを実存したあとの処分というものは、私はなかなか融通性は比較的とぼしいのではないかと思うのですが、それでお伺いしたいのは、現在の金融取引において譲渡担保の形式において金融が行われておるという現在の実情、将来抵当法ができた後において、抵当権の下における金融の対象になる見通し、こういうものについてお調らべがあつたらお伺いしたい。
○説明員(谷伍平君) 今の抵当権を実行した場合の、つまりうまく行けるかという御質問につきましては、現在民間航空に用いますところの飛行機は国内生産が殆んどありませんので、大体外国から買つておるわけであります。軍需生産の影響もあると思いますが、非常に供給力に対しまして、世界的に需要が上廻つておりまして、例えばイギリスのコメツトのごときは昨年発注いたしましたのですが、これの入手が三年先になる、三年先でなければ入手できないというふうに、発注順位によつて時間がかかるわけであります。又ダグラス型につきましても、今回新らしく設立を予定されております日本航空が、国際航空用に使用する目的を持ちまして発注いたしました飛行機につきましても、発注順位から申しますと到底今年の秋に飛行機を飛ばすというような順位ではなかつたわけでありますが、向うのほうでいろいろと考察しまして、他の発注者に順位を譲つてもらつたという状態でありまして、国際的に非常に市場性が高い。むしろ機種によりましては新品よりも中古品のほうが高いというような状態でありますので、恐らく抵当権の実行という段階になりまして競売をいたしましても、国際的に或いは国内的に、機種によりまして買手が殺到するということも予想されるわけであります。それから現在どういうふうな状態になつておりますかということは、先ほども粟澤監理部長から御説明がございましたが、補足して申上げますと、現在の譲渡担保契約が三件でございまして、現状の現在日航機が使つておりますところのDC・4が六機ございましたが、最初に買いました二機が日本開発銀行から譲渡担保で融資を受けまして、これは四億五千万円譲渡担保の契約によつて融資を受けておるわけであります。あとの四機につきましては二機ずつ時期は異りますけれども、これは日銀の手持外貨資金の外貨貸付によりまして、アメリカから買入れたものでありますが、それぞれ興業銀行ほか十二銀行が協調いたしまして、六億四千八百万円と六億七千五百万円のそれぞれ譲渡担係を締結いたしております。従いまして総計十七億七千三百万円というものが財産権の譲渡担保契約によつて融資をされておるわけであります。今後どういうふうな形態で融資が行われるだろうかということは、確たる数字的にはつきり私はつかめませんが、大体我々が予想しますところでは、今年中に購入を予定される四発の大型の飛行機の四機、これは国際路線より国内路線に使用するわけでありますが、これが二十六億二千万円、そのほか不定期航空運送事業、航空機使用事業、ビラまきをやつておりますが、或いは自家用の飛行機、大体今お話がありましたのを総合いたしてみますると、二十六機、総計約四億五千万円程度の融資が予想ざれるわけであります。勿論これが全部借入になりますか、或いはそのうちの一部分が自己資金で賄われますか、そこいらはまだはつきりいたしませんのでありますが、要するに今年度中に今申上げました日航の四機とその他の事業の二十六機と合せまして三十機、三十のうちの何がしか、何割かが、殆んど大部分だと思いますが、この抵当制度を利用して融資を受けることになると考えるわけであります。資金の使途につきましては、航空事業は、固定資産のうちの殆んどが航空機でありますので、航空機購入資金、普通の事業の設備資金になるわけであります。併し運転資金の融資を受けるために、この抵当制度が利用されるということも十分考え得るというふうに予想されるわけであります。
○楠見義男君 これは法案の内容ですが、六条の「抵当航空機に附加して一体となつている物に及ぶ。」という「附加して一体となつている物」というのはどの程度のものを言うのですか。
○説明員(谷伍平君) 御承知のように飛行機は、いろいろな部分が合成いたしまして一つの物件を構成しているわけでございますが、この「附加して一体となつている物」と申しますのは、飛行機を大きく分けますと、機体とそれから発動機、プロペラ、艤装、こういうふうに分け得ると思うのでありますが、そのうち発動機、プロペラ、艤装、これらは航空法の取扱いにおきましても、「航空機に附加して一体となつている物」、航空機に装備されて一体として航空機を構成する物、こういうふうに考えられております。艤装と申上げましても、例を挙げて御説明したほうがよろしいと思いますが、例えば無線機でございますとか、いろいろな計器がございます。或いは機体の中の燃料、潤滑油のパイプの系統でありますとか、発電機等の電機系統でございますとか、こういうものが艤装でございます。発動機、プロペラ、艤装、これが附加物であります。
○楠見義男君 それが一体となつている物というふうになるのですが、座席とかそういうものは入らないのですか。
○説明員(谷伍平君) 座席は、固定的なものは機体の一部分だと考えます。ただ物によりましては取外しが簡単に利くような程度のものは、艤装と考えてよろしいと思いますが。
○楠見義男君 そうすると座席はいずれにしても、機体か或いは艤装かどつちかへ入るというわけですか。
○説明員(谷伍平君) 只今申上げましたような固定的な、つまり機体と切離せないものは機体だと思いますが、簡単に取外せるものは従物であるというふうに考えております。でありますから附加物ではなくて、飛行機の常用的に使う附属物、従物というように考えております。御参考までに従物というのはどういうものかという御説明を申上げますと、例えば落下傘でございますとか、或いは火事が起つたときに消します消火器、それからそのほかに例えば救命のブイなんかと搭載しているものがございますが、それから只今御指摘のございました座席の、機体に固着していないもの、それから敷物とか、或いは中にいろいろお茶なんかを出す器具などがございます。こういうものは従物というふうに考えております。
○加藤武徳君 これ又素人の質問で大変恐縮なんですが、今、附加して一体となつた、いわゆる附加物と従物との区別だけは承わりましたが、附加して一体となつておる今の機体や発動機やプロペラ、それから艤装、そのほかの今の従物として落下傘や消火器や、それからブイ等が挙げられましたが、こういうものの価値ですな、極く素人にわかるような、例えば航空機全体を一〇〇とすれば、その割合はほぼどういう工合になつておるか、これをお示し願いたいと思います。
○説明員(谷伍平君) これは全部の機種につきましてのものと言いますか、平均的なものを御説明すると、今資料がございませんのでありますが、御参考までに、例えば今先ほどから話が出ておりますDC・六Bという機種をとつて、機体と発動機とプロペラの価格がどうであるかということを御参考までに申上げますと、DC・六Bの機体の価格は三億五千七百万円でございます。発動機の価格、これは四発でございますが一千三百万円、それからペロペラの価格、これが三百万円、合計いたしまして、これは端数を今申上げませんでしたので、きつちり合いますかどうですか、計合しまして飛行機全体の価格は四億二千五百万円、それから極く小さい飛行機で申上げますと、セスナ、これは航空会社で使つておる、或いはよく上空をビラ撒きをやつておる飛行機でございますが、セスナの百九十九という型で申上げますと、機体の価格が五百三十一万円、それから発動機の価格が二百七十九万円、プロペラの価格が三十六万円、合計いたしまして八百四十六万円、こういうふうになつております。
○加藤武徳君 今伺つたので、発動機の価格が一千数百万円ということがわかつたわけですが、自動車の価格の優に数倍に相当するという工合に考えられるわけであつて、どうなんですか、この発動機を飛行機から取外した場合に、発動機に対して抵当権が及ぶかどうか、この点は如何です。
○説明員(谷伍平君) 発動機は、これは例えば今のDC・六Bというような大きな機体の飛行機につきましては、或る一定の時間、数百時間これを使用いたしますと、発動機のオーヴアーホールをやりまして、予備の発動機を付ける、こういうふうな整備の操作をやるわけでございます。その場合に発動機の積替をやりました場合には、これは言うまでもなく新らしいその飛行機に装備した発動機について附加して一体となつておるもの、一体となすものということになりまして抵当権が及ぶわけでございますが、積卸された発動機については、これは予備発動機になるわけでございますが、これについては航空機の抵当権は及ばない、こういうことになるわけでございます。然らば積外し放しにしたらどうかということになりますが、これは勿論抵当権の追及の対象になつて来るわけであります。ただそういう正常な整備ではなくて、これが何が不当な目的を以て、この発動機が切離して外に持出されたというような場合につきましては、民法第百九十二条の即時取得の適用を受ける第三者が出現したときは、これについては対抗力が及ばないというふうに考えますが、そうでない限りは抵当権が依然としてこれに追及できる、こういうふうに考える次第でございます。この発動機を単に切離して正当な整備を怠つて発動機を第三者に譲渡したということになりますと、刑法の担保物損壊罪ということに該当いたしますので、その点はいろいろ民事上の損害賠償請求権とか或いはその他抵当権に基く物権的な請求権がございますが、そのほかに刑法で以てもそういうことが防止されるように措置いたしております。
○中山福藏君 これは航空機の定義みたような定義みたいでないような第二条の規定でありますが、この航空機そのものは如何なる構造設備というものを備えておれば、いわゆる一体としての航空機という実在がそこに現れて来るのですか。例えば発動機とか翼とかプロペラとかいろいろありますね、その条件というものは我々の常識でわかるあの見たままの例えばタンクでも何でもそのままきちつと揃つていなければ航空機と言えんのですか。一時取外したら、その分だけあけたらそれは航空機の、何といいますか、これは航空機の資材という単なる物になつてしまうのですか、そこはどういうことになるのでしよう。航空機という認定を与える資格ですね。
○説明員(谷伍平君) これは航空法ではちよつと我々の常識と違つた規定をいたしておりまして、これは国際民間航空条約がこういうふうになつておりますのでそれに則つて我が航空法もできているわけでありますが、発動機、プロペラ、その他の装備品をつけない前の状態を航空機と一応抑えて規定いたしているのであります。併しながら実際におきまして例えばこの航空機は飛べるものであるかどうかという航空局において耐空証明を下ろします場合には、勿論発動機、プロペラその他今日本の空で飛び得る状態で抑えて耐空証明を出します。実際問題としては非常識なことにはなりませんが、一応規定の表現としては航空機という形を発動機、プロペラその他装備品のつかない機体の状態ということで航空機を規定いたしております。
○中山福藏君 そこが大変大事なところだろうと思いますが、あれなんでございますか、ちよつとそれはそれだけを取外して別個に債権の担保とするというような始末をしてもいいということになりますね。航空機でなければ……。
○楠見義男君 ちよつと関連して、今のお話は航空法の第二条で「人が乗つて航空の用に供することができる飛行機、」云々とありますね。だからジエツト機とか、プロペラはないのでしようが、発動機とか、通常プロペラがなければ、飛行機とは言わないのでしようが、これは人が乗つて航空の用に供せられるのですから……。
○中山福藏君 そこがはつきりして頂かんと大変困ることになる。
○説明員(谷伍平君) 今申上げましたのは、航空法の定義の航空機と航空法上の用語の航空機は、この発動機、プロペラがない状態の航空機を押えて規定されておるということを申上げたわけであります。今、楠見委員の御指摘の二条の、人が乗つて航空の用に供することができるということは、そういう形状を備えたそういう性質の航空機であるということを押えたに過ぎないのでありまして、例えば無線誘導飛行機でございますが、ああいうものは入らない。これはまあプロペラ、発動機を積めば、人が乗つて航空の用に供することが可能であるというようなそういう飛行機であるということを、そういう用途と申しますか、そういう性質を押えたわけでございまして、必ずしも現実に、今すぐ飛べるというものでなくても航空機になるわけでございます。それは御参考までに例えば航空法、お持ちでございましたら、十七条、十八条あたり見て頂きますと、「当該航空機の用に供するための発動機、プロペラその他運輸省令で定める安全性の確保のため重要な装備品」或いはもつと十八条のほうがはつきり書いておりますが当該航空機に装備する発動機、プロペラその他運輸省令で定める安全性の確保のため重要な装備品」とこういう工合にわけて常識とはいささか違うわけでございますが、航空法はそう規定しております。なお、そうでありますが、それでは発動機のない物を抵当権の設定をできるかというふうに申しますと、登録の取扱いといたしまして発動機、プロペラのない機体だけを持つて参りましても、これは航空機の登録をいたさないように登録の手続上きめられておりますので、その点は、発動機、プロペラがなくてそれを債権の担保にするということは、実際上手続上できないわけでございます。
○楠見義男君 実際の経済的には同じことなんでしようが、法律的に言つても今おつしやつた航空機に装備する発動機、プロペラとこういうふうになつておるのですが、その装備された、発動機とかプロペラを装備したものを、それ自体を航空機と言つてですね、航空法二条の考えから言つても、ただ包括観念として航空機という言葉を使つておるが、併し、それには二条から行けば当然運航の用に供すると、こうなる。それには発動機、プロペラというものが当然随件するものだと、こう解釈するのが常識的じやないでしようか。ここに十八条に言う「航空機に装備する発動機、プロペラその他」云々とありますが、それらのものを装備したものを航空機と言うと、このように理解すべきではないでしようかね。
○説明員(谷伍平君) 実際には、これは立案しましたときは、そういうふうな頭で書いておるんでございますが、実際は、今御指摘のように読んでも、結論は同じではないかというように感ずるのでございます。ただ概念整理上そういうふうな頭で書いたんでございますが、あとでこれを読みますと、どちらにでも読めるような表現になつておるんでございます。非常にずるい答えで恐縮でございますが……。
○中山福藏君 ちよつとお尋ねしておきますが、航空機抵当法というものを活かすためには、航空法の第二条ですか、飛行機の定義とおつしやるのは、そのプロペラとか発動機を取りのけたものに、登録価値があるでしようか。
○説明員(谷伍平君) 先ほど申上げましたように、航空機登録原簿に登録いたしますのには、発動機、プロペラを除いた機体だけで登録はいたしませんので、その点は御心配のようなことはございませんので、つまり登録をいたします際に、発動機、プロペラの登録欄に、登録の原簿の中に、発動機、プロペラについての記録の欄がございまして、そこが欠けてれば登録できませんので……登録してから抵当権の設定ができる。
○中山福藏君 自動車の場合と同じですね。
○説明員(谷伍平君) さようでございます。
○加藤武徳君 そうすると、まあ航空機とは、機体のほかに発動機もプロペラもくつついておらなければいけないのだ。こういうことになれば、今の第六条の、何が附加物か、又従物かということに又返るわけですが、これは発動機やプロペラは附加物ではないのだという考え方が正しいのじやないですか。
○説明員(谷伍平君) 航空機の登録の際におきましては、発動機、プロペラがなければ登録をいたしませんので、その点は、六条の問題はないじやないかという御疑念も御尤だと思いますが、その後におきまして、先ほど申上げましたように、発動機、プロペラ、艤装品につきましては、しよつちゆう手入れをいたしまして、場合によつては積み替えということが起つて来るわけでございます。積み替えした場合に、新らしく抵当権の設定された後におきまして積み替えられたものに抵当権の効力が及ぶかどうかという疑問がやはり起きて来るわけでありまして、最初の登録の際には、成るほど六条の問題は起らないのでありますが、あとからそういう積み替えたものについての抵当権の効力を規定する必要上、六条の規定があるわけであります。
○加藤武徳君 その点は、抵当権の効力の及ぶ範囲が附加物と従物によつて異なるわけですが、従物に関しては抵当権が設定された前後によつて異りますが、併し附加物の場合は、前後による違いはないのですから、今のような説明を無理になさらなくてもよろしいのじやないですか。
○説明員(谷伍平君) 勿論、時期の如何ということは、附加の時期は問いませんですが、相変らず取外しできるものが、前についておつたものが取外されたというものに、相変らず抵当権が及ぶのか、或いはそれに及ばなくなつて、新らしくついたものに抵当権が及ぶかどうかという点についてのやはり規定が必要だと思われますので、この六条があるわけでございます。
○委員長(郡祐一君) 航空機抵当法案につきましては、更に質疑を次回に継続することにいたしまして、一時半まで休憩いたします。 午後零時十八分休憩 午後一時四十五分開会
○委員長(郡祐一君) これより委員会を再開いたします。 先ず小委員の設置についてお諮りいたします。先ほど委員長及び理事打合会におきまして、検察及び裁判の運営等に関する調査中、売春問題に関して調査を行うため、売春対策に関する小委員を設けることに決定いたしました。つきましては、打合会決定の通り、売春対策に関する小委員を設けることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(郡祐一君) 御異議ないと認めてさよう決定いたします。 なお、小委員の数及び人選につきましては、委員各位の御希望を参酌した上、委員長において決定、指名いたしたいと存じますが、さようにいたして御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(郡祐一君) 御異議ないと認めます。さように取計らいます。
○委員長(郡祐一君) 次に参考人より意見聴取の件についてお諮りいたします。本件も先ほどの委員長及び理事の打合会におきまして決定いたしたところでございますが、只今審査中の刑事訴訟法の一部を改正する法律案につきまして、参考人の御出席を願い、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(郡祐一君) 御異議ないと認めます。 なお、参考人の人選、及び意見聴取の日取等につきましては、便宜委員長、及び理事にその取扱いを御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(郡祐一君) 御異議ないと認めてさよう決定いたします。
○委員長(郡祐一君) 只今より検察及び裁判の運営等に関する調査につき、人権擁護に関する件を議題に供します。 ちよつと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(郡祐一君) それでは速記を始めて……。本件については、発言の通告がありますので、発言の通告によつて御発言を願います。亀田君。
○亀田得治君 初めに人権擁護局のほうから何か御説明願つたほうがよければ御説明頂きましようか。
○政府委員(戸田正直君) 先般人権擁護の組織と活動状況という印刷物をお届けいたしたんですが、若しそれで御覧になつておわかりならば、若し御質問でもございますればお答えいたしたいと思います。
○亀田得治君 それでは印刷物は見ておりますから、できるだけ印刷物について御質問することにいたします。 この書類によりますと人権擁護部或いは人権擁護課、こういうものが置かれたのは昭和二十四年以後となつております。それから又擁護委員の数が殖えて来たのは昭和二十四年以後になつているようです。それと私人権侵犯事件の数と比較してみましたところ、今里げたようなういういろいろな機関が設けられたのに並行して侵犯事件の数が非常に殖えて来ております。私はこれはあなたのほうではどういうふうに解釈されておるかわかりませんが、やはり人権侵犯事件というものは全国に非常にたくさんある。あるんだけれども必要なやはり機関というものが揃いませんと、それが問題になつて来なかつた。これらの機関が昭和二十四年以後逐次できて来たので、それでそれじやあそこへ一つ一遍行つてみようかと、こういうことで数が急にその後殖えていると思います。そういう点が一つ、それからもう一つは、同じく昭和二十四年以後の侵犯事件の数の殖え方を見ましても、委員の増加以上に増加の率が件数としては多くなつているようです。でこういうところから見ますと、まだまだ現在の施設並びに委員の数、これは侵犯事件に比例して少いんじやないか、こういうふうなまあ想像を私この数字によつて持つたんです。そこでお尋ねしたいんですが、こういう状況だといたしますと人の面でも或いは予算の面でももつと強化して殖やして行く、こういうことが是非必要だと考えるんです。ところが聞くところによると人権擁護局、こういうものが法務省にあるが、これを格下げして課ぐらいにしたらいいんじやないか、こういうふうな御意見も相当あつたように私、聞いているのですが、この間の一ついきさつを少し具体的に知りたい。今一体誰がどういう方面が、そういう御意見を持つているか、それが正しくないとすれば、我々としてもそれを一つ心を入れ変えてもらう必要があろうかと思う。これはもう当り障りもあろうと思いますが、ざつくばらんに具体的に一つお話しを願いたい。
○政府委員(戸田正直君) お答えいたします。只今人権擁護局が発足して以来、機構の整備と比例して数がかなり侵犯事件の取扱件数が殖えて来たことは、お説の通りであります。その理由として、只今亀田先生から申された、今まで人権を侵害されても、どこへ持出していいかわからなかつたものが、人権擁護局というものができ、又地方に地方法務局それに人権擁護課、地方人権擁護委員制度というものがあるということを国民が知つて来て、これを侵犯事件の救済を申入れたというような例が殖えた理由だと存じております。それで決して従来より人権侵犯事件というものが、戦後急に殖えたのかどうかということなんですが、これは私、実質的にはそう殖えたとは考えられない。今申上げたように、今まではどこへ持ち出してもいいかわからんでおつたものが、人権擁護局というものが、或いは人権擁護委員というものが存在している。その場合どうも泣寝入りしてはいけないのだ、先ずみずからの人権をみずから守らなければならん、泣寝入りすることが、いわゆる封建的な考え方なんだということを人権擁護局、各法務局、人権擁護委員が協力して、かなりの啓蒙活動をいたして参りました。その数字等はお届けしました人権擁護局の活動状況の中に書いてございますが、こうした啓蒙活動が相当効果を挙げたのではないか。従来ならばもうそのままにしておく、例えば警察の例を取上げても、どうも警察の問題を持出すことは、あとがこわいというようなことを従来考えておつたものが仮にあつたとしても、そういうことはもういけないのだ、先ず自分から努力して、人権を守らなければいけないのだということが大分わかつて来たのではなかろうか。そういうことが、実質的な数が殖えたのじやありませんが、届出の件数というものがその結果殖えて来たんだというふうに考えております。それから委員の数が殖えた割には事件が殖えておらないというお説なんですが、これはどうも委員の数と事件が並行して行くというわけにも参りませんので、委員の数が仮に百に殖えた、従つて事件もそれに比例して殖えるというわけには、これは参りませんので、で、現在のところで侵犯事件としては大体或る程度のところまで、決して泣寝入りせずに持出して来ておるんではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。 それから今の人権擁護局の予算機構等が貧弱だ、これでよろしいかどうかというお説なんですが、これにつきまして御参考までに申上げたいんですが、人権擁護局の現在の職員、これは局長から給仕に至るまで全部入れまして僅かに十四名、当初は二十四名でありましたが、その後行政整理によりまして二十名になり、更に十四名というふうに整理の関係上減らされて参りまして、現在はそうした僅かの職員でやつております。それで一課、二課、三課とありまして侵犯事件を取扱つておりまするが、これは第二課でやつております。それから啓蒙活動等の仕事を第三課でやつておる。一課は人権擁護委員会制度の運営と、その他の庶務的な仕事をするというようなことになつておりまして、三課で十四名という極めて僅かな人数、又各地方における、地方機関である法務局或いは地方法務局におきましても、実情を申上げますとこれは僅かの数でありまして、大体地方法務局では二、五名ぐらいの職員かと思います。法務局において又大体多いところで十名ぐらい、中には専属でなく、登記とか、供託とか、戸籍等の仕事を兼任しておるものが各地にかなりございまして、大蔵省から認められております予算人員としては五十六名かと存じました。五十六名になつておりますが、実際の職に携つておりまするのは大体百五十名か六十名ぐらいかと存じておりますが、さような僅かの人員と、それに伴つて予算も極めて僅かでありまして、さような機構で仕事をいたしておりますが、従つてこの程度で万全な策とは毛頭考えてはおらないのであります。 それから先ほどお説のありました局を課にするという問題が、多分昨年でございましたか、事実その問題が起きまして、衆議院は課に縮小することに通過いたしました。参議院におきましてこれが修正されて現在のままに残つたといういきさつでございます。その内容についてということになりますと、私も実は詳細なことを存じておりませんし、又そう内輪の話もちよつと申上げにくいのでございますが、御承知の木村法務大臣のときに、この局を課にする問題が出たことは御承知の通りであります。これは木村大臣のその当時のお考えとしては、人権擁護の仕事というものは、本来民間においてやるべきものだという前提から、日本弁護士連合会、いわゆる弁護士というものの本来の使命というものは人権擁護ということが弁護士の使命でもあるし、又弁護士は長年そのために闘つて来た経歴を持つておる。従つて弁護士連合会がこの人権擁護の仕事をやるべきであつて、人権擁護局としては局を課にしても何ら差支えないというようなお考えであつたように承知いたしておりますが、さようなことでございましたが、先ほど申上げたように参議院としてはやはり現状通り局として、これを小さくするということはよろしくないという考えで御修正になつて、これは現状にとどまつた次第であります。ただ人権擁護局長としての私の立場からは申上げにくいのでありますが、これは私の立場からすれば大きくいたしたいということは言うまでもないことでありまして、又この機構がこのままでいいとは私自身は率直に申上げて、考えておりません。人権擁護という困難にして非常に重大な、而も又歴史の浅い、国民に非常に重大な影響を与えるこの仕事というものは、もつとそれに即応できるような機構を備えなければならんものだということは私自身としては十分考えております。又政府としても従来のこの機構で万全な策だとは考えているわけでございませんで、人権擁護のために更に適切な方策を十分研究して、政府の人権擁護の機構及び施策を強化いたさなければならんものだというふうに考えております。
○亀田得治君 木村法務大臣のときに大臣のお考えがこういう仕事は本来は民間の弁護士なんかを中心にやるべきだ、だから機構を縮小してもいいというふうな理由でそういう考えを持たれたようでありますが、これは私大変間違つていると思います。これは現在の機構を弁護士会が完全に引継いでそうしてそういう仕事をもつと強化して行くという措置が民間の人、政府もその考えになつてそういう機構ができた上で、だから俺のほうはやめる、こういうことならわかるのです。従つてそういう手当は少しもしないでこれを交代させれば、結局は折角この出発した人権擁護という動きが非常に弱くなることは私明白だと思います。そういう意味で理窟だけから言うと、成るほど民間の人が中心だ、これは私も本質的にはそういうことがわかります。そうして勿論いずれはそういう時期が来るかも知れませんが、併し今日の段階では民間でそれじや費用を注ぎ込んでやるとしても、なかなかむずかしいし、今日の段階では、これをうんと強化してということのほうが非常に大事だろう、こう考えるのです。そういう立場で一つ局長も今後進めてもらいたいのです。 これは今回の昭和二十八年度の予算、これを法務省から大蔵省に提出されて、その結果人権擁護関係の予算が十分の一に減らされております。要求額に対して、どこでも各省各庁の予算というものは大蔵省に行けば減らされるということは普通なんでありますが、これは全体の国家予算から見れば小さい部分かも知れないが、十分の一に減らされた。これはおよそ非常に重大だと思います。金額が少くても重大問題であります。それで十分の一にされることによつて、あなたのほうで当初計画された仕事、どういう面が結局はできないことになるのか。大まかなところをお答え願いたいと思います。
○政府委員(戸田正直君) 人権擁護局の予算が非常に少いということは只今お説の通りでありまして、人権侵犯事件の調査に要しまする費用、いわゆる調査旅費というものは、これは割合に十分だとは申上げませんが、そう困らないようになつております。ただ一番私どものほうで困つておりますのは、人権擁護委員の運営に関する費用というのは、余りというより殆んどございません。啓蒙活動、これは人権擁護局にとつては一番大きな仕事なんです。一般国民に自由人権の思想というものを普及徹底させるということは、これは非常に容易ならん仕事なんでありますが、これに要する費用というのがそう余りございませんので、一番予算上是非私どもで欲しいと思いますのは、啓蒙活動面と人権擁護委員の運営に関する費用、この点が多少窮屈になつております。調査旅費のほうは割合に、ほかの今の啓蒙活動だとか、人権擁護委員の費用というものから比較いたしますと、比較的十分に頂いておりますので、このほうは困らないわけであります。
○亀田得治君 それからこの報告書ですね。これの第二表、このところでちよつとお尋ねしたい。この表によりますと、持出された事件の処理の状況が右のほうに書いてあります。これを見ますると、1から5、主としてこれはいろいろな特別公務員の職権用とか、こういう公の権力による人権蹂躙の事件ですね。こういうものですが、これに関する処理の結果というものが非該当とか、不問に付するとか、こういう結論を出したものがほかの人権蹂躪よりも非常に多いのですね。これは私は局長として相当検討されておるかと思うのですが、相手が公務員ですから、恐らく人権問題として出して来る人でも、よほど用心して出して来ると思います。なかなかそうでたらめなことは、普通の事件よりも気を付けて慎重にかまえて出して来るにもかかわらず、その結果の処理の仕方が非該当、不問、これが随分多いのですね。これは私やはり人権擁護委員自身が公務員に対して一つの遠慮、そういつたものが現れているのじやないかと思うのですが、この点どういうふうにお考えですか。
○政府委員(戸田正直君) 非該当であるとか、不問というのが数字の上では成るほど多くなつておるのでありますが、これは人権擁護委員とか、或いは人権擁護局、法務局の職員が公務員に対して遠慮をしておるというようなことは、私の知つている範囲では毛頭ないと考えております。ただ多少御説明しなくちやならんのは、この不問ということなんですが、これは言葉が必しも熟しておりませんので、余り適当な言葉だとは私どものほうでも実は考えておらないのですが、なかなか適当な言葉がありませんので、従来使用していた不問という言葉をそのまま使つているのですが、この不問という意味は、平たく申上げますれば、検察庁でしたら起訴猶予、事実は認められるが極めて軽微であるとか、或いは諸般の状況上、これを勧告なり或いは告発するにはいささかどうかというような、又その後の結果等から考えて、或る程度の事実は認められるが、それ以上追及しなくてもいいのではなかろうかというのを不問処理ということでいたしておるのでございます。言葉だけから見ますと、何かもう全然問わないのだ、問題にならないのだというふうな言葉に誤解されやすいのでありまして、これはもう少し研究した上で言葉を訂正いたしたいというので現在よりより研究中でございますが、かような意味であると御承知願いたいと思います。又非該当も、全然これは事実が何もないのだという場合と、或る程度事実はあるんじやなかろうかと思われるが、証拠、裏付けるものがないというような関係から非該当にしておるというような二種類のものがこの中に含まれておりますが、先ほど警察の問題等を持ち出すことはよほどの勇気が要るから、出す以上は実際にもうそういう問題があるのではなかろうかというようなお話でございましたが、私たちが事実取扱つた面では、さようとばかり言えない場合が実はございますので、勿論大半のものはさようなことはございませんが、中には人権擁護局を利用して、これを自分の現在裁判所に係属しておる事件を有利にするために人権擁護局を利用するという、言葉は少し悪い言葉ですが、悪用するような傾向のものも中にはないことはございませんし、それから多少頭が変だと思われるような、いわゆる精神異常者のような者がいわゆる濫訴の嫌いのあるものを持つて出るというようなことも多分にございまして、決して公務員であるから遠慮するというような結果では決してございませんので、ただ役所の仕事としては、いろいろ調査してこれを裏付けるべき証拠等がございませんと、これは止むを得ず非該当なり、或いは場合によつて不問にするというような場合が多くなりますことは、これはもう止むを得ないのじやないかと思います。決して公務員等に遠慮しておるために不問、非該当の数が多くなつておるというようなことは毛頭私どものほうではいたしておりませんし、又人権擁護委員、又各法務局においても、さようなことはないと考えております。
○亀田得治君 只今の説明ではちよつと納得が行かないのです。それは濫訴とか、そういうことは私人同士のこういう人権擁護の訴えにもいろいろあろうと思うのです。だからそういうことは結局同じなんで、ただ余りにも公務員関係のものが非該当、不問の数がほかの場合よりも多いから、これはやはり相当人権擁護という問題が日本ではこれから問題になるということは、つまり権力に弱いということなんですから、だからこれはやはり大いに慎重に個々の事件についてもう少し御研究を願いたいと考えるのです。なおこの特別公務員となつていますね。1、2、3と……。これはどういう公務員ですか。
○政府委員(戸田正直君) これは司法警察の職を持つておる者を特別公務員、これは御参考までに申上げますと、甚だ遺憾ですが、この中の大部分のものが大体警察官の人件侵犯事件と見て大体誤りないのではないか。大体九割くらいまではこの特別公務員というものは警察官の事件と御承知願つて差支えないかと思います。それから今の非該当の点、これは慎重に調査いたしますことは、これは十分了承いたしましたが、先ほどちよつと言い洩しておりますが、この非該当、今の人権侵犯だと言つて持つて来ます中に、実はまだ人権蹂躪がどういうものか、人権侵害というものがどういうものかということ、実は人権というものをまだ本当に知らない者もかなりあるのじやないか。そこで全然人権侵害にならないような問題も人権侵害になるのだというふうなことで持つて来ている事件も実は相当ございますので、人権侵犯の事件としてその中でいわゆるまあ程度がそれほどでないからというので不問に付するとか、或いは法律上の解釈から人権侵害にならないのだというようなものばかりでなく、全然人権侵害に関係ない事件までも人権を侵害されたのだというような考えから持つて来ているというような事件もこれに多分に含まれておるかと思いますので、この点も一つ御了承願いたいと思います。
○亀田得治君 まあその説明はわかるのですが、そういう素人の人の誤解は、ほかの場合だつてこれはあるのです。警察官の場合にはむしろ間違つたものを出したらあとから又怨まれやせんかとか、これは一般に持つておる現在の日本人のやつぱり通有性です。それだけやつぱりほかの場合よりも慎重にかまえなければならん。それがなお且つ非該当だとか不問等、こういうのが随分多いということは、やはり相当ここに泣き寝いりというようなことがあるのじやないかと私は考える。これが個々のケースを具体的にじや我々が一遍再審査してみようということができれば、これは恐らく相当そういう事案も予想されるのじやないかというふうに、まあ数が余り多いものですから、そういうふうに実は思つているのです。だからこれはどこそこをつつくとか、そういう意味じやなしに、やはり人権擁護の問題として十分御研究を遍特にお願いしたいと思うのです。 それからもう一つお聞きしたいのは、指示とかそれから一般勧告、こういう処分の仕方がございますね、これはどういう内容のことをされるのですか。
○政府委員(戸田正直君) この指示という言葉も実は余り適切でないのでございますが、人権侵害には関係ないのですが、こういうふうにしたらどうだろうかというようなことが指示という中に入つております。ところが私もこの表を見て実は指示が多いので多小意外に私自身も思つたのです。これはまあ四十九法務局から参りますので、一年に約一つか一つ半、二つまでは行かないのですが、合せますと七十四というようなかなり大きい数になりますので、私もこれはどういうわけかと多少意外に思つたのです。一例を申上げると、例えば人権侵犯事件だと言つて申告した人が、その法務局管内の者でなく他の管内の人であつて、而も被害者本人でなく友達であるというような人が来て、こういうような事件に対してどうしたらいいでしようかということを聞きに来る、それに対してそれではその管轄が何々地方法務局であるからそこへ早速行つて申出しなさい、こう言つてやつたものも指示にしておるというような事例もございまして、この指示の取扱が多少まああいまいになりがちなところが事実ございますので、この指示という点も将来研究しまして改めたいと実は考えておりますが、まあ指示というのは、侵犯事件にはならないがこういうふうにしたらどうかということをまあ教えてあげるということを指示として処理しておるというような実情でございます。それから一般勧告というのは、処分勧告と違いまして、処分勧告はこれこれの事実があるので人権擁護上これは処分されるのが相当でないかというような勧告をするのが処分勧告なんですが、一般勧告というのは、その処分を要求しない、将来再びそういうことのないように注意してもらいたい、例えば部下職員のかようなことのないように一つ十分注意をせらるるような方法をとつて頂きたいというようなことを一般勧告というように私のほうでは処理をいたしております。
○亀田得治君 それからあなたの御意見を聞きたいのですが、現在の処分の仕方としては、一つの強制力を持つた処分はできませんね。で、まあ裁判所で処罰されるようなことは制度の趣旨から言つて不適当だと考えますが、或る程度本人たちが納得しないけれども強制的に一つの処分をする、丁度例えば労働争議の場合に当事者が何といいますか納得はしないけれども併しこれしかもう手段がないという場合に一つの強制仲裁制度のようなものも考えられておる。それと同じようなことが何かないと、人権擁護委員として非常にやりにくい点があるのじやないか。勿論そういう処分をする場合には適当な委員会か何かに審議することになろうかと思いますが、そういつたような点のお考えはどうでしようか。現在のままでよろしいか、もう少し何かそういう点で考えるとか、例えば被害者の何といいますか名誉回復の手段ですね。名誉回復の手段として加害者はこういうふうにしたらどうかと言つてもなかなか応じない場合もあるでしよう。そういう場合には、人権擁護委員としてこれはもう誰が見てもそうするのが当然だと思われるような場合には、そういう具体的な手段をとつてこれは少しも差支えないことだと思うのですが、そういうふうな一種の強制力を与えるようなことはどうでしよう。
○政府委員(戸田正直君) お説のように、人権擁護局の職員或いは人権擁護委員というものは、強制的な権限を持つておりません。法務府設置法とそれから人権擁護委員法に基いて侵犯事件を調査し処理いたしておるのですが、これが強制的な権限を持つことがいいかどうかという問題でありますが、これは非常にむずかしい問題であります。私のほうでも多少考えないでなく、従来考えては参つておるのでございますが、権限を持つとなりますと、検察庁、警察等の関係上権限を持つことがいいかどうかということと、それから人権擁護委員の何といいますか、仕事の性質上直ちに権限を持つことが果して心配ないかどうかということなんでして、この人権の問題は御承知のように非常にむずかしい問題で、戦後これは初めて国民が人権或いは自由人権であるとか基本的人権というようなことが漸く言葉の上で熟した程度で、まだまだ本当のものをつかむまでには至つていないのじやないか。人権擁護委員といえども、勿論各地方における立派なかたをお選び申上げているし、できる範囲では弁護士さんのかたを大体委嘱いたしておる状態なんですが、この人権擁護委員を各市町村に置く、町にも村にも置いておくということになりますと、町村の委員というものはそう弁護士さん或いは法律家等もおりませんで、勢い余り法律には馴れておらないかたを委員等に御依頼するような、これはもう当然そういう結果になつて参ります。そうしますとこの人権というものを本当にまだ身につけておりません人たちにこの権限を持たした場合に、果して人権擁護しようとして人権蹂躪するようなことが若し起きやしないか、人権擁護しなきやならん君がこの権限を持つが故に人権を却つて蹂躪するようなことが若し起きるとしますと、この人権擁護委員制度に重大な欠陥になるのじやないかというようなことから、先ず現在の段階では私はむしろ権限を持たないほうがいいじやないか。権限を持たずして人権擁護という一つの高い旗印を掲げて正義を以て事に当つて行くということが、やがて関係当局からも又一般国民からも信頼されて行くというほうが、事件を処理する上においても却つていいのじやなかろうかというふうに考えておりまして、権限を持つことが仕事をする面において非常にやりいいということも十分承知はいたしておりますが、先ず今の段階ではこの機構、組織又日本の現状におけるこの人権擁護の仕事の性質上からは、いま暫らく権限を持たずにいるほうがいいのではなかろうかというふうに私自身としては考えております。
○亀田得治君 それじや局長に対する質問は一応この程度でとどめておきます。で国警長官に一つ……。
○委員長(郡祐一君) ちよつと速記をとめて……。 〔速記中止〕
○委員長(郡祐一君) 速記を初めて…。
○中山福藏君 ちよつとこの宣伝……人権擁護に関する人権の絶対性といいますかね、そういうふうな宣伝の方法はどうなつておりますか、ちよつとお聞きしたいと思います。尊重すべきゆえんを宣伝しておられるのですか、そういうことはやつぱりあなたのほうに入つておるのですか。
○政府委員(戸田正直君) 御承知のように日本におきましてはこの人権というものは戦後まあ言葉は適当ではありませんが、もらつたといいますか押与えられたといいますか、さような状況から終戦後人権の問題が非常に強く叫ばれるようになつて、人権擁護局というものもそういう意味から設置されるようになつた。それで自由人権という思想は日本にとつては勿論従来ないことはありませんし、又相当自由民権の先覚者も相当過去におりましたが、一般的にはまだなつておらない。そこで先ず日本が民主主義国家として立つて行く以上は、その基本をなすものは言うまでもなく人権の擁護でなくちやならん、この基本的人権というものを本当に身につけることが先ず何物よりも急務であると考えまして、人権擁護局としては先ず日本の段階では人権思想、個人の尊厳というものを本当に理解してもらうというところに重点を置きまして、この啓蒙活動はかなりいたしておりまして、大体二十七年度におきましても講演会であるとか、研究会であるとか、或いは討論会であるとか、或いは人権相談所であるとか、或いは座談会というような行事を年間通算して大雑把に申上げて大体二千回は越えておるかと思います。それまでにいたしておりまするがなかなかこの啓蒙活動というものは実はいたしましても、どこま行つてもなかなか思うように参りませんので、例えば最も重要だと考えまする農村等を考えましても、農村においては朝暗いうちから夜暗くまで働いておる。新聞もろもろ見ておらないというようなところもかなりあるようですし、又ラジオも聴いておらないというようなところも相当世論調査によつても現われて来ております。例えば講演会を開きましても講演会に出て来るものは、大体その出て来ようというかたは、大体人権というものを、よく理解しなくても大体わかつておる人であります。来て欧しいというような人は今申上げたように講演会、或いは座談会にもなかなか出てもらえないというようなことで、なかなか農村の隅々までこれを普及させるということは、これは相当長い年月が必要だろうと思います。ただ自由人権の思想というものの絶対性、個人の尊厳が如何に重要なものであるということをできる限り一つ知つてもらうために、できるだけの努力を各法務局、又は人権擁護委員にも協力を願つては参つておりますが、但し今の段階ではまだまだ努力はいたしておりますが、まだ十分だとは認めませんので、今後相当な期間やはり努力を続けなければならん問題だと思つております。
○中山福藏君 この人権尊重の基本というものが憲法第十一条、十二条、十三条というものに根ざして、強力に推進せなきやならんということはこれはもうわかつております。併し下手にまごつきますと、この間も私が予算委員会で質問したように、従来の日本の生活様式というものはことごとく旧憲法時代の思想から発足しているのですよ。だから人権擁護、人権擁護と言つても、この新憲法と旧憲法との差異から生ずる思想上の判別というものがなかなか一般国民にはつきにくいと思うのです。例えば二千回おやりになつてもその内容、系統というものがどういうことをやつておられるのか、これによつて元来から言うと旧来の日本の生活様式に引戻すことになる。下手に行きますと例えば忠君愛国一本調子に還るのです。これは非常な、二千回おやりになつてもそういう努力をされた、新憲法の基本的人権というものは全然別個のコースを迫るということになつて、この点が非常に大事なところだと私は見ているのです。で相当の予算を取り、予算置措を講じて、そういう講演とか或いは。パンフレツトを配るとかなされることはこれは結構でしようけれども、どういう種類の講演、いわゆるその内容ですね、どういうことを一体おやりになるのですか、一遍聞いておきたいと思う。徒らに人権擁護、人権擁護と言つて、お前さんは頭を殴られちや権利を侵害されるからそれはいかんというような、単純なことではいかんのです。どういうところにあなたの基礎的な基本を置いておられるのか、一つそれを聞いておきたい。
○政府委員(戸田正直君) 思想の問題は非常にむずかしい問題でございまして、我々が啓蒙活動をいたします場合にも、対象によりまして憲法或いは法律の説明だけでは十分わからない対象もございますので、勢い平つたい話をして成るべくこういうものだ、人権というものはこういうものだということをわからせるようにしなければならない対象もございますし、又学校生徒等を対象としたような若い人たちには、いわゆる憲法に規定されておる基本的人権というものはこういうものであるというような説明をする場合もございますし、一般を対象とした場合或いは特殊の人を対象とした場合にいろいろ宣伝の方法等も違つて参つております。人権擁護局としては、成るべく広く一般の知識人、或いは自由人のかたから人権思想というものを講演して、一般の人の認識を高めたいという意味から、人権に非常に興味を持つておる先生に非常に進歩的な方のお話を願うということを極力いたしまして、大体五月の憲法記念日、それから御承知の十二月八日から十日にかけてのあの世界人権週間等を利用しまして、そういう期間は成るべく今申上げたような自由人だとか知識人のかたに、進歩的な考え方を持つた人の講演を願うというふうにして、人権というものがどういうものた、自由というものはどういうものであるかということを一般の人にわかるような御講演を願う。人権の問題は非常に範囲が広うございまして、今中山先生のおつしやつたどういう方針であれしているかという御質問に、ちよつとむずかしい答弁なんですが。
○中山福藏君 私わかりいいように、もう一遍あなたに答弁しやすいように一つお尋ねしておきます。これは容易にする意味でお尋ねするのですよ。これは一番大事なことだと私は思う。知識人だとか、有名人だとかいうことをおしやられた。これは一応お考えにならないと大変なことになる。日本人という人種は、有名人とか知識人とか、新聞雑誌にちやほやされている人は、日本の一般大衆はえらい人だと思つている。それだけ幼稚なものです。ですから知識人とか何とかひねくれて新聞雑誌にうまく善かれる人も知識人のうちに入る。そこを一つお考えになつておかんと、日本人は大変なことになつて来ると思う。それは大体憲法の狙いどころの基本的人権というものは、天から授つたとか、マツカーサーからもらつたとか、それはどうでもいいのです。新憲法というのは結局国民のよりどころですから、この大きな木の陰に寄つて我々は憩わなければならない。この骨に肉をつける仕事をお互いにしているわけです。だから憲法の真髄というものがわからなければ、基本的人権はわからない。だから知識人とかいろんな連中がおつても、例えば哲学的にえらい人、これは非常な哲学者という立派な思想家がたくさんおられて、有名な人を連れて来て、この人がどういう話をするかということを考えてみますと、或いはその思想というものはかたよつたものかも知れないのでして、昔の考え方かも知れない。併し国民全体のよりどころは新憲法以外にはない。新憲法の第十一条の基本的人権、これから出発した憲法第十五条公務員の罷免権、或いは憲法第十九条の思想及び良心の自由、或いは二十条の信教の自由だとか、二十三条の学問の自由だとか、或いは二十八条の労働者のストライキの権利だとか、こういうものは全然わからない、そこをやつておらんと……。だから国民全体に手つ取り早く、日本人に必要なものの新憲法というものの大体の要旨というものをお話にならなければ、人権というものは出て来ない。知識人だとか有名人を連れて行つて講演なさつても、これが外れたら何にもならない。実際に言うと、国民の生活様式というものは過渡的な動きは示しておりましたけれども、これは下手をすると逆転する。だから逆転するのだつたら、もう一遍憲法を改正して国民の生活に合うようにしてもらわなければ、日本人の社会制度というものはできて来ないと思う。新憲法を擁護するならば擁護するように、この中に盛つてあるところの基本的人権というものを徹底しなければならないということになる。この意味においてあなたの仕事は文部大臣以上の大きな仕事です。これを局を廃して課に直すということは、以てのほかだと思う。これを若し直すということにあなたが甘んぜられることになれば、あなたは意気地なしである。よつぽどしつかりしてもらわなければならん。又木村法務大臣が何と言つたか知らんが、そんなことは頭が古い。そんなことを恐ろしがることはない。だからあなたのやりよう次第では、非常な影響をもたらす。あなたは若い人だから気骨を持つて頂きたい。そして蛙の頭に水をかけるような仕事をしても駄目だと、そのことをしつかり頭に打込んで、基本的人権のよつて来たところを憲法十一条に求めて、これを徹底させるお説教をやらなければ、何年経つてもらちがあかんのです。だから基本的人権は一体何だろうかという国民は疑いを持つている。それよりも新憲法というものはこうたというところをお示しにならなければ、これは本当に予算が泣きますよ。どうかそういう点を一つ御注意下さつて、十分、新らしい憲法に盛られた基本的人権はごうして成り立つた、十二条によつて、不断の努力をして盛上げなければならない。そして生命と自由と幸福を追求する権利が十三条に書いてある。それをするために国民はこうしなければならんということを教えて頂かなければ、知識人だとか有名人が幾らお働きになつても、とんでもないということになると思うのです。どうかそういうところをよろしく願いたい。
○政府委員(戸田正直君) 御注意と申しますか、お説有難うございます。十分拝承いたしました。先ほどもお話ありましたように、まあ各講師のかたをお願いする場合は、講師の自由ないろいろな演題でやつて頂いておりますが、役所の立場としては、今中山先生のおつしやつたように、なぜ新憲法ができ上つたか。又新憲法の精神とする狙いは一体どこにあるかということは、これは大体役所としては各法務局とも打合せをしております。それで新らしい憲法の特色は何かと言えば、御承知の通り主権在民、主権は国民にある。これを頭に入れてかからなければ国民に憲法の本当の精神はわかりません。それから基本的人権の保障又擁護ということが憲法と違つて非常に強力に而も詳細に生きておる。その中にも基本的な自由権又経済的な自由権等この新憲法によつて新らしく規定された経済権的な、社会権的な自由という問題までもできる限りわかりやすく実は説明いたして参り、又今後とも先生のお説のように新憲法の本当の精神というものを国民に十分にわかつてもらうように今後とも努力いたしたいと思います。
○亀田得治君 只今中山さんからお話がありましたので、私も重ねてちよつとその点に触れておきたいと思うのですが、あなたのほうで、全国で二万件近くの事件が最近一年間に出ておるのですが、この処理の結果を書類か何かで検討をされたことがありますかに処理の仕方が適当であるかどうかということを……。ただ報告を受けておるだけですか。
○政府委員(戸田正直君) 二万件の事件の中には、単なる法律相談的なものもかなり含まれております。人権擁護局としては一種二種と実は分けております。第一種事件は調査を要する事件、第二種事件は調査を特に必要としない事件というようなものも全部含まれて二万件となつております。そこで第一種事件として調査を要するもの、これは大体各法務局、地方法務局から法務局に報告が来まして、法務局から人権擁護局のほうに報告をする。又結果書類についても法務局を通じて人権擁護局のほうに報告して来る。その報告に基きまして、第二課でこれは詳細に調査いたしまして、勿論先ず最初は書面による調査でありますが、事件によりましては再調査させる。又人権擁護局から直接出張して調べるというふうにしまして、事件によつては、これが相当社会に反響を及ぼす事件、相当の重大な事件と思われるものは、直接やるようにいたしておりますが、さようなことで大体の一種事件として調査を要しまする事件は、人権擁護局において一応自を通し調査をいたしておりまして、慎重を期しておる次第でございます。
○亀田得治君 中山さんのおつしやつた基本的な考え方を明確にして、これはもう是非一つはつきりしてやつてもらいたいと思う。同時にやはりこういう人権事件というのは、その地方においてはともかくみんなが注目して見ておるんです。あれは一体どうなんだろうと、その際に、百の説法よりもそれに対してびしやつとした処置を一件確立する。もうこれで平常から聞いておる説教と、この具体的な処理と二つマーチしてはつきりするんですね。そういう意味で一つ具体的な処理というものについては、絶えず一つ注目をしてもらいたいと思うのです、放任するようなことでなしに……。で、時間が余りなくて、長くなりますとあとのかたが困りますので、この程度にいたしておきます。それで国警長官に先ず、いろいろたくさんあるんですが、お尋ねしたいのは、被疑者の各警察署における面会所ですね。法律によりますと、被疑者と弁護士は警察官の立会のないところで、そして自由に会える、こうなつておるわけですね。で、それにはそれだけの設備を各警察署で完備しなければ、警察官がたくさんおるところで、今から会うからちよつとあちらへ行つてくれと、こういうことはなかなか言うべくして実行しにくいことです。で、これは絶えず法曹界では問題になることなんですが、未だにそういうことが完備しておらない。特にこの国警の関係で、これが完備しておらないように思います。で、お尋ねしたいことは、従つて現状ではどの程度そういう設備ができておるのか、そういう点を先ずお聞きしたい。
○政府委員(斎藤昇君) 御意見のように、留置場における接見室の、私のほうは接見室と申しておりますが、これの必要でありますることは我々も十分に認めておる次第でありまして、新刑事訴訟法実施以来接見室の設置に非常に努力をいたしておるのでございます。ただ御承知のように、警察署等が非常に狭いところが多いものですから、それに新たに接見室を設けますることは、ただ接見室何坪作ればよろしいというだけでなしに、署全体の構造を変えなければならないというようなことにも相成りまして、相当予算も必要といたしまするので、なかなか思うように参らないので、非常にこれは遺憾に思つておる次第であります。ただ新らしくできまする留置場等におきましては、必ず接見室を作るという一つの何といいますか署としての見本的な設計を示しまして、これは必ずさように実施をいたしておるのであります。で、又接見室を模様替によつて作り得るところは作らせるという方針を立てまして、大蔵省にも予算を要求いたしまして、現在では国警の県本部及び警察署の留置場全部で九百四十六でございますが、そのうち接見室と、いう特別の部屋を持つておりまするのが三百三十四でありまして、約三五・三%ということに相成つているのでございます。なお今後少しでも予算の許す限りこういうものを設けて参りたいと努力をしたしている次第であります。
○亀田得治君 これは新刑訴ができてから随分すでに時間が経つているわけですから、今のお話になつたような数では私は少いと思うのです。それで一つお聞きしたいのは、長官は被疑者ですね、被疑者というものに対してはどういう基本的な考え方を持つておられますか。
○政府委員(斎藤昇君) 被疑者に対する基本的な考え方と申しまするのはどのようにお答えしたらよろしいか、我我といたしましては有罪の最終判決があるまでは被疑者といえども犯罪人の扱いをしてはいけないという、根本の考えといたしましてはさように考えております。
○亀田得治君 国警長官のお答えを聞いて大変私は力強く思うのです。ところがそういうあなたの指導方針といいますか考え方というものが随分不徹底なんじやないか。そういうことを私ども感ずるのです。まあ犯罪を捜査するという立場から、被疑者がいろいろ拘束を受ける、これは止むを得ない、法律に規定しておるのですから。併しそれをのければやはり今長官のおつしやつたようにそれは完全な人格を持つた人間なんです。ところが到底ほかではお互いに使われないような言葉を使われる。そういうことが随分やられておりますが、第一そういうことが未だに行われている、全部ではありませんが、相当行われているということについては長官はどういうふうにお考えになりましようか。
○政府委員(斎藤昇君) 被疑者を調べる際の警察官の言動でありますが、これは私はいわゆる基本的人権の尊重という意味から申しましても、或いは只今申しました犯罪人扱いをしては相ならんというこの基本観念から申しましても、警察官教養の一番大きな一つの眼目といたしているのでございます。今回御指摘のように必ずしも十分に徹底しておらんではないかというお叱りもございましたが、私もさようにもう完全無欠になつているとは思つておりません。日夜このことにはあらゆる場合を通じて教養に努めて行かなければならないと考えているのであります。ただ学校その他におけるお説教というだけでなしに、にちにちのその仕事の監督において実物教育と申しまするか、あらゆる面からこれに力を注がなければならないと考えているのであります。ただ非常にむずかしいことは、取調べに当りまして、取調べの対象に応じて適当な言葉を使つて行くということが、非常に私は実際問題としてむずかしいと思うのであります。勿論人権尊重といいますか、他人の人格を傷けない言葉使い、態度ということは、いつ如何なる場合においても必要でございまするが、併し中には相手によりまして、窃盗、強盗何犯を重ねておるというような人たちに対しましては、普通我々がお互いに話をするような話し方ではむしろ通じないというような場合もあるのであります。そこいらは緩急度を得る、又相手相応な言葉を使うということが取調べを進めて行く上からも必要といたすのであります。これらの点は非常にむずかしいのでありますが、併し只今御指摘のような点はまだ私は完全になつておるとは申上げかねると、今後更に更に力を注いで行かなければならない問題だと考えております。
○中山福藏君 ちよつと関連して……。私は、国警長官がおいでになつておりますが、特にお願いしておきたいんです。弁護士というものが被疑者に面会に実は警察にまま行くのです。そうすると接見室の設けられておるところは、そこで面会させて頂くということになつておるんです。併しそれに案内することすらも嫌がる刑事たちがたくさんいる。殊に多くは警察官の溜りですが、刑事の溜りというところに連れて行つて、まあここでちよつと話をして下さいと言つて、自分らのおる目の前で会わせるのが普通です、現在は……。ですから被疑者は言いたいことをあつち向いたり、こつち向いたり、うしろ向いたりしてなかなかよう言わないのです。こういうことは従来のあり来りのままなんです、本当は……。ですから、三百幾十からの接見室をこしらえたということで、まあそれも結構でしようけれども、まあこんな貧乏国ではそんな贅沢を言つておられませんから、せめて刑事室の一隅で、刑事が傍に寄らんように、衝立でも立てて、そうして面会をするような方途を講じてもらわなければ、だんだん今逆戻りをしつつあつて、面会を非常に渋るんです。これは国警長官は、一一そういうふうに思われることがないから、御存じないと思うのですけれども、そういう点は一般の弁護士も非常に困つておりますから一応その訓示の方法か何かお考え下すつて、全国の警察に対して何らかの一つ方法を講じて、そういう点を忠告して頂きたいと思つております。これは一般弁護士会で現在こういうことが問題になつておるんです。だからそういう弁護士会なんかからやかましく騒ぎ出さん前に、国警本部において一つ何らかの方法を講じて頂くように、私は特にお願いしておきます。
○政府委員(斎藤昇君) 只今の点は、私も気付いておりますし、弁護士会のほうからもお話を承わつております。これは誠に尤もな次第と存じております。で、我々といたしましては、只今お示しのように、面会の際に接見室がない場合におきましては、警察官がそこにいないように、いないところで面会させるように更に注意を十分喚起をいたしたいと存じております。ただ弁護士会等においても問題にされておりまする点は、面会させるのはまだいい、殆んどさせないじやないかということが、只今これは警察の逮捕時間中においてもそうであります。又検事の勾留中においてもそういうようなのが多い。まあ警察は二十四時間でありますが、検察官勾留は、二十日まで勾留ができますが、これは私は検察庁のほうとも話しまして、やはり取調べに支障のない限りは、やはり原則として面会を許すということでなければいけないじやないか。これをもつと励行するようにいたしたい。その場合に、面会させる際に、或いは通謀しやしないか。こういう懸念を持つんだと思う。留置所で面会いたします場合でも、もう検察庁送りとなつている被疑者を警察で預つておりますから、恐らくそのほうが長いと思う。これらは検事の指揮を仰いで面会するということになつておりますが、検事、警察両々待ちまして、只今のようなことのないように、更に注意を喚起いたすように努力いたしたいと思います。
○亀田得治君 最後に私も、これは是非具体的な一つ指示を改めてこれは出してもらいたいという要求をしたいと思つていたのですが、これは一つ中山さんがおつしやつたように、抽象的な書き方じやなしに、一つ相当考えてきつちりしたものを出してやつて下さい。随分紊れていると思うのです。接見室のないところなんかについては、できるだけそういうふうにしてやつてくれというふうなことだけではちよつと効目がないのじやないか、必ず接見室がなくとも、衝立で一カ所を区切つて、そうして弁護士が面会に来たら、まあ私ども割合心臓が強いから、警察官がいると、ちよつとのいてくれんか、こう言うのですが、なかなかそういうことを言われない弁護士さんもいらつしやる。そうすると、やつぱりあとから帰つて来ると、あそこの警察はけしからん。こういうことになつて行くのですね。それじややはり非常にお互いに困るので、そんなことはもう、言わんでも、ちやんと来たらさつとそういうふうに準備しておくというふうなことに、具体的な指示をしてもらいたい。 そこで少し具体的な問題に入りますが、これはいろいろあるのですが、残つたところは、又委員会外でよく一つお話したいと思います。この内灘村の事件ですね。これはまあみんな注目している事件ですから、長官のほうにも逐次いろんな情報が来ておろうと思う。それでお尋ねしたいことというのは、こういうやはり一つの社会問題ですね。これはやはり日本人として非常な関心を持つている問題、こういう問題について、警察官が乗り出す場合には、普通の犯罪人を捜査するとか、そういうことをやつぱり少し違つた考え方というものを絶えず肚の中に入れてかかつておらないと、結果において非常に不適当なことになるのじやないかと私ども思つているんです。で、それは御報告があつたと思いますが、五月の十四日に、内灘の役場で少し紛糾が起きております。まあそのとき、少し村長、村会議員なんかでどつかれたのもあるようです。ところがまあその逮捕を先月の何日でしたか、月末にやつております、それに関連する逮捕を……。こういうことなんかはずい分私非常識だと思うのですね。恐らくその間ずつと一月以上もかかつていろいろな材料をお集めになつたのだろうと思います。そういうような客観的に材料を集めておれば、何も特に逮捕する必要は私はないと思う。被疑者は必ず一度は逮捕して、そうして軽いやつは起訴せんで放して行く、そんなことを何もする必要はないのです。初めからわかつているものであれば、別に逮捕しないで調べて行くのが一番いいわけです。任意出頭でも行けるわけです。それをずい分長く経つてから突然に逮捕された。これはやはり地元民としては非常にシヨツクを与えられると思います。自分たちの動きが動きであるだけに、シヨツクを与えます。これはちよつと無理じやないか。でそういう無理な逮捕をするから、今度はそれが契機になつて、又県庁なり警察の本部に村民が押しかけて、又いろいろ紛糾が起りますね。こういう問題については、あなたはどういうふうにお考えになりますか。私としては何か犯罪があればそれは取締る、そういう条件が出て来れば逮捕する。当り前だ、こうおつしやつてしまえば、これはそれきりの話なんですが、これはほかの労働事件でもあることだと思いますが、その辺のおおまかなところを、私としては初めて聞くわけですから、お聞かせ願いたいのです。
○政府委員(斎藤昇君) 今御例示のような、例えば内灘のような事件と申しますか、事態になりました場合に、警察の対処する態度というのはこれはお話のように非常にむずかしいのでございます。ただそこで犯罪があれば必ず検挙すればよろしいのかというと、必ずしもそうでもございません。又それじや全これを知らないで放つたらかして無警察のような状態にしておいていいのかというと、そういうわけにも参りません。そこの緩急の度合を考えて事態の推移と睨み合せながらやつて行くということが非常にむずかしいのでございます。内灘問題はいろいろ内部に何といいますか、反対をしている人もあれば賛成をしている人もある。中間の人もある。いろいろの状況もあります。ただ村内でそういつた議論を闘わしておられるということならば、これは警察としては全然放置しておつていいわけでありますが、それが或いは何らかのはずみで暴力行為に出るというような場合に、警察がそこにそういう事態が起つていることを知つていながら、全然出していないというわけにも参りませんから、事前にやはり警察官は置いておかなければならない。併し警察官はそこに行くことによつて事態を刺激する。却つて要らない紛争を起すということも考えられる。従つてどうしても警察官を出しておかなければならんという場合におきましても、警察に対しましてはできるだけ隠忍自電して、如何に罵倒されようとも、とにかく今申上げたような事態をよく認識して、辛抱強くしておらなければならないということは常々申しているわけでありますが、先般の内灘事件の際にもそういう点を細々と示達をいたしておつたのであります。従いまして五月の十四日でありましたか、役場ではずみから殴り合いの事件になりましてけがをした人もありますが、ああいつた際に激論の結果手が出るということも自然の勢いでもありまするから、直ちにこれを枚挙する。そうして更に反対側賛成側に火を注ぐというようなことにも相成つてはいけないというので、ただ内面捜査はしておりましたが、これを表面的に捜査活動に移すということは事態の推移を見ておつたのであります。その後だんだんと内部におきましても成るほど目に見えた暴力事犯はありませんが、反対側の人たちは賛成側の人たちの何と申しますか、この言論、行動をそれとなしに圧迫する、或いは尾行を付けるというようなことも聞き、まるで村の中は無警察のような状態じやないかということを一方のほうからも、言われるというような状況にも一時あつたのであります。それで当初はできるだけ村の人たちに対しては穏便正義というような指示をいたしておつたのでありますが、さような村内において無警察状態だ、成るほど暴力は振わないにいたしましても、そういつた言論の自由が許されないというような状況においては、これは大問題でございまして、やはり基本的人権に関する問題でありますから、若し法に触れるようなことが今後あるならば、相当厳重に取締るということを事前によく徹底をして、それから今後そういうことがあれ、は今までとは態度を変えて、相当取締をきつくするという態度をとらざるを得なくなつたのであります。私からもそういう指示を与えたのであります。そうこうしておりまするうちに、又何かのときに今度は内灘賛成側の人が反対側の人を撲つたという事件が起りまして、かねがね言つておつた通りでありますから、直ちにそれを警察に引張つて来て取調をいたしたのであります。そういたしますると、前に反対側が賛成側を撲つた。そうしてけがをさせたのを放置しておいて、そうして賛成側が反対側を撲つた。而もこれは大したけがじやなかつたんですが、前のほうがひどかつた、それを前のやつを放置しておくというわけにはいかない。さような関係から前のやつをかねてわかつておりましたから警察に逮捕いたしまして、一晩留置をして取調をした、取調が終りましたから翌日釈放をしたというような状況であります。さようなわけでありまして、我々といたしましては只今お述べのような点深く心にとめまして、そうして警察のあり方というものについて十分心を配りながらまあやつて行つているつもりでございますが、外部から御覧になりまして、まだいろいろと御批判を頂く点もあろうかと存じますが、これはそういう点は虚心に承わるつもりでおります。
○亀田得治君 ともかくそういう事態になつている場合には、警察はよほど慎重に動いて欲しいと思います。下手に動くと……、絶対に動いてはいかんという意味じやありませんよ。下手な動き方をすれば、何か警察が一方の片棒を持つていることになる、そういうことになりがちだと思います。厳重にこれはお願をいたしておきます。 それからもう一つはですね。これはよくあることなんですが、何か紛糾が起きている。そこでいろいろな暴力なりそういうことがあつちやいかんからというので、事前に警察官が現場へ行くのですね。ところが今警察官が入ると余計皆んながいきり立つて妙になるから帰つてくれというようなことがよくあるのです。ところがそれを押切つて入つて行く場合がよくあるのですね。その押切り方が、相手がまあこう並んでおつたら、それをかき分けて行くというふうなのはいいのですが、押切るためにひどいのは棍棒で殴つたりして、そうして道をあけて行く。こういうのがあるのですね。これは私警察官としては何か起るかもわからんから、それを事前に防ぐためにというふうな一つの正義感を以て入つて行かれることかも知れませんが、まあ放つておいてもそうその負傷者を出すとか、そんなようなことは出ないかも知れない。ところがそのことを防ぐために、みずから国民の中の誰か傷けたのでは、これはプラス、マイナス一緒だと思いますね。で内灘の場合でも私のほうに四人診断書を送つて来ております。これもあそこの地元では警察のほうに話をしておるはずです。ところがまあ警察のほうでは恐らく調べると言つているのでしようが、なかなか誰が殴つたか、そういうたくさん人込みの場合にはよくわかりません。これは又知つておつても、なかなか自分で名乗り出て来る人は少なかろうと思う。調べると言つたつて警察官全部を並べて、外部の人が調べるわけには行かない。警察の責任者が君らは誰かを毆つたのではないか、そういうふうな程度の調べですから実際わかりにくいと思うのですね。私どもは間違いは間違いとして仕方ないから、本当に自分で毆つた自覚のある警察官がおられるのなら、実は俺が興奮しておつてやつたの、だけれども、誠に済まんというふうな出方をされれば、毆られたほうでも非常に又気持が変るだろうと思うのです。若しあの国民のほうが警察官に対してそういうふうな暴行をして傷を負わしておれば、これは相当追及されて来ると思うのです。でそういうふうな介入の仕方ですね。何か防ぐためだと言つて入りながら、而も傷を負わすような介入の仕方ですね。これは非常に私間違いじやないかと思つているのです。それで診断書は一つお渡しておきますから、地元の隊長もお知りになつておられるのじやないかと思いますが、是非何とかこれは納得の行くような一つ御説明をお願いしたいのです。結果が出ていることは間違いないのですから、結果が出ている以上誰かが傷を負わせたのに間違いない。この点若し、お聞きになつておりませんか、こういう問題は……。名前は樋口誠也、後藤清、西光之輔、星野啓次郎、この四名です。何かお聞きになつておりましたら、一つお答え願いたいし、お開きになつておらんようでしたら、地元のほうをよく一つお調べ願いたいと思います。
○政府委員(斎藤昇君) 内灘は非常に長いことでありますからいつのことか存じませんが、いつか警察官に毆られたということを言つているということを聞いたごとがございます。その際には警察は何ら殿つてはいないというふうに聞いておりましたが、それでありますかどうでありますか……。只今お持ちの資料をお見せ頂きまして、且つどこでどうということがはつきりいたしますれば、更に調べてみたいと存じております。たださような際によくあるごとなんでありますが、私はけがをされたかたを疑うわけではありませんが、さような際に非常にわかりにくい場合があるのであります。我々としては十分誠意を以て調べたいと存じておりますが、只今お話のような立証が更に他からつけられるような実情であれば、非常に有難いのでございます。
○亀田得治君 それから次に熊本県の事例ですが、日産化学鏡工場の争議です。これも御承知だと思いますが、スラトイキに労働組合が入りまして、品物の搬出を拒否するためのピケツト・ラインを張つていたわけです。これに対して品物を搬出するということが業者によつて強行されたのですね。で、業者が強行する場合に、これは裁判所の仮処分が出ている事件です。会社側から申請した仮処分が……。その仮処分の執行として強制的に搬出して行くということであれば、これは裁判所が執行吏を中心にしてその仕事をやればいいのですね。ところがそういう形をとらないで関係業者が自主的に物を持ち出そうとした。こういう事件なんです。それじやおかしいじやないか。ストライキ破りだということで、労働組合の諸君が門の前にずつと頑張つていた。これに対して警察のほうが実力で介入して、そうしてこの垣を分けて行つたわけですね。こういうことなんかもストライキの場合には随分あろうと思います。で、何といいますか、私はたとえ裁判所の正当な仮処分が出ておつて、その仮処分の執行のために強制力を用いている。これはまあ止むを得ないと思うのです。ところがそういう場合でも、それじやその強制力を用いるために傷まで負わさなければならんかどうか。これは私国全体の立場から考えたら一方は助かつても一方が傷ついてはどうかと思うのです。いわんやそういう仮処分の執行としてじやなしに、事実行為として業者が物を持ち出そうとして、それに対して警察官が傷まで負わして道を開けてやることは、これはちよつと私事案の性質からして間違つているのじやないか。こういうふうに思つているのですが、あなたのほうではこれをどういうふうにお考えになつておりますか。
○政府委員(斎藤昇君) この事件は、本院の地方行政委員会、労働委員会合同で地元の関係者もお呼びになつて詳細にお調べになつておられる事件でありますので、いずれそのお調べの結果が我々にもお知らせがあるだろうと存じておりまするが、我々は、警察の態度といたしましては労働争議というものに介入する意図は毛頭ありませんし、介入することは極めて悪いと考えております。これは十分全国にその趣旨が徹底いたしていると私は確信をいたしているのであります。併しながら労働争議も法律に許された範囲でやつて頂かなければならんのであります。そこに違法な事柄が行われるということになれば、警察もその違法状態をなくするというようにしなければならないと思うのであります。労働争議につきましては、労働者側に加担することもいけないと思う。同様に又経営者側に加担することもいけないのであります。積極的に加担することはいけないのみならず、又消極的に加担することもいけないと思うのであります。かような際には、やはり私は法律の許された範囲内で、堂々たる争議をやつてもらいたいということを申上げておるのであります。熊本の肥料工場の鏡肥料工場におきまする事件は、これは警察が今お話の通り、労働組合員のピケラインを張つているのを、これを除去したのでありますが、併しこれは仮処分の執行としてやつたのではございません。仮処分はこの問題についてあつたのではなくて、工場自身が肥料を搬出するということについて、これを妨害してはならないという仮処分が別に出ておつたのであります。で我々といたしましては、工場自身が搬出することを妨害してはならないという仮処分が出ておる。又今現在の問題は、全購連が倉庫渡し契約で買取つておる。その肥料を持出すという場合に、ピケツト・ラインを長期間に亘つて張つていたという事件でありまして、この場合も我々は違法である、これを持出すことを阻止するのは違法であるという解釈に立つておつたのであります。これは検察庁とも打合せ済みであつたわけであります。さような事態におきまして、農民側は肥料を早くもらわなければ、植付に間に合わない。労働組合側におかれては、今肥料を持出されては困るというので、この折衝が数日に亘つて行われておる。農民側はもう待ち切れないということで、大勢全購連の肥料搬出のトラツクにも同乗してやつて来るというので、現場はこのまま放置しておけば、或いは血の雨が降るかも知れないという事態に相成つたのであります。さような際の警察の判断といたしましては、不法なピケツト・ラインを除去するということが、最も適切な解決方法であると、かような判断に最後に立至つたのであります。勿論当日におきましても、警察側におきましても、肥料搬出をしようという農民側と、これをさせないという労働者側との間の斡旋に十分努めたのでありますが、その解決を見なかつた結果、さような結果になつたのでありまして、私はこの処置に対しましては、警察が誤まつておるとは只今考えておりません。又この際に怪我人を出したということで医者の診断書を添えて出して来ておられますが、これは警察を告発しておられまするから、いずれ検察の手において、はつきりいたすと思うのであります。併し当時の映画に撮つてありまする点を見ましても、警察が故意に又不必要に怪我をさせたとは、私は現在のところは思つておりません。ピケツト・ライン除去の方法は、極めて穏やかな方法で排除をいたしておるのでありまして、怪我が果して警察官の、そういつた警察官が直接腕力、或いは暴力を以て故意に怪我を与えたものというようには私は印象付けられてはおりませんが、併しこれは又検察庁の調べ等によりまして、更に判明することと存じております。
○亀田得治君 まあ、労働委員会の審議状況も私全部知つておりますし、書類もここに一件書類が今あるのです。でまあここで品物の搬出を拒否したのが、法的にどうなるか、一方は争議行為の範囲内の合法的な行為だと言つておる。一方はそれを超えておる、まあ、こういうことで、非常にこれは議論のある問題です。でまあそういう法律論につきましては、ここで簡単にお互いにやりとりしたつて、なかなか解決はつきません。ただそういう、今あなたがおつしやつたように、直接その点に関しては仮処分命令すら裁判所が出しておらない。仮処分は別個な対象に出されておる。そういうものに対する介入というものは、これはよほど考えて行かないと、立場を変えますと、随分これは判断がつきかねるという問題なんですよ。簡単に各警察や検察庁のかたがたは割切つておられますが、労働関係の法律学者から見れば、随分これは疑問の多い問題だ。あそこに泥棒がいるとか、強盗をしているとか、はつきりしたものなら、それはまあ棍棒で一つや二つ叩いても突破して行かなければならないでしようが、そういう事案に対する介入の仕方というものは、よほど考えて行かなくちやいかん。でこの熊本の鏡工場の問題については、あなたは警察官のやり方は間違つておらなかつたというふうな断定を下しておられるようですが、私は簡単にそうは行かないと思います。ただまあ告発の結果、告訴の結果を持つて、私どもも、これはこういうふうに公けの問題になつたことですから、もう少し研究したいと考えておりますが、ただ負傷の結果というものが出ておるのですね。で、これがいつもどこでも問題になるのです。負傷させられたほうは、誰かにさせられておることは、これはもう間違いがない。負傷させたほうはたくさんですから誰かわからない。而も同じ仲間の検察官が調べるわけですから、これは実際出て来にくいわけなんですね。先ほどの人権擁護の問題でお聞きしたように、何といつてもこの警察官に対する問題の提出というものは、これは非常にむずかしい点がある。恐らくこの人権擁護の、先ほど不問、或いは非該当、こういう処分を最後にされておることについても、これは涙を呑んで残念がつておる人がたくさんあろうと思う。そういう私どもが絶えずタツチする、いろいろな社会問題について、そういうことを絶えず見るものですから、例えばさつきの人権擁護の表についてもそういう考え方を持つわけなんですが、これはやはり日本の警察の信用を高めて行くためには、そういう間違いがあつた場合には、それは誰だつてあることなんだから、それはお互いにざつくばらんに、どういうことが真相であるかということを明らかにして欲しいと思うのですね。非常に暗い印象を私どもに与えると思います。あなたが絶対間違いないというふうに断定されたつて、負傷された人が、全然傷もないのに自分で傷をつけて、診断書を取る。こんなことまでは想像されませんよ。お互いに日本人として、だからそこは……、断定されておりますが、もう少し突つ込んで鏡工場の問題についても、一つお考えを願いたいと考えております。 それからもう一、二件、これは昔からよくあることですが、警察が地元のボス、これと結び付いて、調べるべき事件を余り調べない。まあこういうことは以前よりも随分少くなつておると思うのです。併し現在でもやはりそういう感じのすることがままあります。こういうことは、抽象論では、そんなことはないはずだと国警長官必ずおつしやると思いますから、一つ具体的な一、二の点を申上げてお考えを願いたいのですが、例えば、これは奈良県の事件です。奈良県で衆議院議員の八木一男君、これは同じ社会党の左派の代議士ですが、この人が五月三日に、これはまあ札つきの暴力を振う相手ですが、服部憲春、この男から何らの理由がなく撲られたのです。これはもう事件は極めてはつきりしているのです。これが警察の問題になりまして、そして奈良地検の葛城支部で現在調べております。事案は町制の祝賀会に八木代議士が臨んでその帰りに撲られた。ほんの一、二分の出来事です。これはもう全く八木君も相手には以前に町で話したこともない男です。ほかに恨みを持つていたようです。これはいろいろな悪いことをやる男ですから相手は……。八木代議士はこれを一つの社会問題として追及したことがあるようです。そういつたような関係から平常から狙つておつたようですが、それがポカポカと来て負傷さしたのです。その結論は全く簡単ではつきりしている。それが現在まで起訴されないでそのままでおる。ほかの事件でしたらこんなことはないでしよう。恐らく私もこれは地元では随分大きな問題になつておる。新聞にも出るし、被害者は代議士です。そういう名誉を持つた人が一種の暴漢に襲われて、それがそのままになつておる。だから地元では、例えばあそこの検察庁の庁舎の改築とか、そういうことについて服部という男が随分寄附したのだとか、そういうことも事実らしいのですが、そういうことに結び付けてやはり地元の人は考える。こういう事件はお聞きになつておりますか、長官は……。
○政府委員(斎藤昇君) 私のほうは、これは全然聞いておりません。只今のお話を承わりますと、地検の葛城支部で調べているというお話でございますが、そういたしますと、一応警察で調べて検察庁に送つてある事件だと思います。
○亀田得治君 それでこういう事件は、警察としても、検察庁としても、やはりいろいろな誤解をなくするためには、一日も早く処理しなければいけないと私ども思つておる。催促もしておりますが、慎重に調べる、こう言つているようです。慎重にと言つたつて、本人も撲つたことは、これは認めておるのです。それを見ておつた人もおるのですし、見ておつたのは、もう一人社会党の右派の伊瀬幸太郎という代議士がおります。その秘書が一緒でしたから、それを見ておる、はつきりしておる簡単な事件ですよ。一、二分そこそこの事件です。そういうものは、これは検察庁と警察の間の関係がどうなつておるのかわかりませんが、地元の新聞には何回も出ておる。私も新聞を見せてもらいましたが、それが未だにこういう状態になつておる。これは一例ですが、やはり長官の目の届がない所で、いろいろボスとやはり検察官或いは警察官なんかとの繋がりというふうなものを心配させる事案だと私考えております。それでお知りにならんようですから、一つ至急地元のほうにこれは照会してもらいたいと思います。これはむしろ法務大臣がおられれば、そちらのほうの関係かと思いますが、法務省のほうで一つすでに警察から渡つておると聞いておりますがお調べになつたのですか。
○政府委員(戸田正直君) これは検事局のほうで、警察の調べは終つて検察庁に移つております。検事局のほうに移つております。又結局検察庁が何らかの理由で……さようなことはないと思いますけれども、ぐずぐずしておりましたら、私のほうからも一応検察庁のほうに督促なり出したいと思います。
○亀田得治君 これは一つ経過を知らせてもらいたいのです。どういうふうになつておるか。それからもう一つはこういう問題がある。これは或いはお知りにならんかも知れませんが、京都府です。綴喜郡の井手町です。これも随分長くかかつておるのですが、昨年末井手町の町の財政の都合で山林を町会で議決をして売払つた事件がございます。ところが町長が実際にこれを処分する場合に、町会の議決と違つた処分の仕方をしておる。町会の議決を超えて不当な処理をしておるのですね。これは地元の町会議員なり、町民があとからそのことを知つて、随分新聞なんかでも騒いでおる事件なんです。地元の国警の綴喜地区警察署ですね。これにはいろいろ問題を持出しておりますが、未だにそのまま白とも黒とも言われない。これは一種の民事的な関係もあろうからむずかしい点もあるのじやないかとも私も直感しておりますが、併しそれならそれで調べ、だけはして、こうだということを明白にしてやらんといかない。そういう態度をとつておるものですから、署長と町長との関係とか、いろいろなことがやはり地元で噂をされて、やはり誤解を生んでおるのですね。こういうことはお知りですか。
○政府委員(斎藤昇君) この問題は他から聞きまして、今京都の国警本部からいろいろ詳しく調べさせておりますが、わかつた点申上げる必要がありますなら……。
○亀田得治君 私もいろいろ書類はもらつておるのですけれどもね、お知りでしたら結構なんです。至急こういう問題も明らかになるように早く御指示を願いたいのです。いろいろたくさん具体的な問題があるのですが、時間も相当たつておりますのでこの程度にいたしておきますが、今日はああいう留置所の問題、接見所の問題とか、いろいろな人権に関する私どもの問題について具体的に長官の御意向を聞いたり、考えも申上げたわけですが、私いつもこれは感じておることなんです。先ほども申上げたように、人権という問題はもうお説教ではないのです。一つケースができた場合に、みんながこれを最もよく解決して行く、もう警察に関する問題なんというのは、随分その場所では噂します。警察官の人が、ずつと警察だけにおられる人はよくわからないのです。私ども民間におりますと、随分いろいろなことを聞くのです。それだけにこの権力の行使というものは随分大事な問題で、随分慎重を要する問題である。そういうことを感ずるのですが、今後ともいろいろな具体的の問題があればつつつくとか摘発するとかそういう意味ではなしに、長官のほうにも持ち込んで、或いは我々のほうで持ち込み方が間違つておるものは、これは改めさせる、いろいろ協力してうまく運用されて行くようにしたいと思つておりますので、然るべく一つお願いします。
○委員長(郡祐一君) 本日はこれを以て散会いたします。次回は七月九日午前十時から開会いたします。 午後三時五十二分散会