法務委員会 第4号
- 発言数
- 20 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1953/06/26
会議録
○委員長(郡祐一君) 只今より委員会を開きます。
○中山福藏君 ちよつと私審議に先立ちまして、一言委員長にお願いがあるのでございます。それは、岡部委員長のときに戦犯釈放に関する勧告使節を外国に派遣したらどうかということの提案があつておるのです。その後、衆議院でもこれは問題となりまして、大体同意を得た。併しながら、本年度のこの本予算が不成立になつたというわけで、旅費がないということで、一応見合せになつておる。そのことを非常に待望しておる人が多いようでありますから、委員長において善処せられたいということをお願いしておきたいのであります。
○委員長(郡祐一君) 只今中山君のお話の点については、私の手許にもそれぞれ熱心な向から申出もございますので、この点については、又委員の皆さんとよく御相談をいたして善処いたしたいと思います。 —————————————
○委員長(郡祐一君) それでは本日は、只今まで本院に付託され、又予備付託されておりまする各議案について、政府の提案理由の説明を求めて参りたいと思います。 これより議案の審査に入ります。先ず、人権擁護委員法の一部を改正する法律案を議題に供します。政府より提案理由の御説明を願います。
○政府委員(三浦寅之助君) 只今議題となりました人権擁護委員法の一部を改正する法律案の提案理由の説明を申上げます。 憲法に保障された国民の基本的人権擁護の重要性に鑑み、人権擁護委員法は、全国の市町村の区域に人権擁護委員を設け、人権侵犯の予防とその救済並びに基本的人権思想の普及高揚に当らしめて参りましたことはすでに御承知の通りでありますが、同法の施行後今日までの実績に鑑みまして、この法律の本来の目的を達成するため必要な改正をなすことが本法律案の趣旨であります。次にその主たる要点を御説明申上げます。 先ず第一点は、人権擁護委員の推薦手続におきまして、現行法第六条において、市町村長が定員の倍数の人権擁護委員の候補者を推薦しなければならないとなつておりますが、市町村長において、その市町村の議会の意見を聞いて推薦したものが法務大臣の委嘱に際し、常にその半数が委嘱より落されるということは、運用上支障が多いので、この欠点を取り除きまして、市町村長は単に人権擁護委員の候補者を推薦すれはよいという規定に改めたわけであります。従いまして、市町村長の推薦が殆んど人権擁護委員を決定することになりますので、若し市町村長の推薦が誤つた場合、例えば法第七条の欠格条項に該当するものとか、法第十五条に規定する解嘱条項に当てはまるものが推薦された場合には再推薦をさせる救済規定を設けたのであります。第二点は、市町村と人権擁護委員との関係の緊密化を図つた点であります。人権擁護委員は、その推薦せられた市町村の区域において、その職務を行うのでありまして、その市町村の協力なくしては、その目的を達成することが容易でないのであります。従いまして本案におきましては、第六条におきまして人権擁護委員の委嘱があつた場合は市町村長は、法務大臣が人権擁護委員の氏名、職務等を関係住民に周知せしめるため適当な措置をとることに協力しなければならないという規定を設けることといたしております。 第三点は、人権擁護委員の任期の延長であります。従来二年の任期でありましたが、人権擁護委員が、この仕事を習熟した頃は任期が到来して十分に人権擁護委員としての活動を期待し得ない実情にありますので、その任期を一年延長いたしまして、人権擁護委員の能力発揮を十分ならしめようとするものであります。 第四点は、全国人権擁護委員連合会の規定を設けて人権擁護委員の全国的団結の基礎を置こうとするものであります。現行規定におきましては、都道府県ごとに人権擁護委員連合会を組織いたしまして、人権擁護委員の職務の自治的な連絡調整及び研究をいたしておるのですが、人権擁護活動の普及化に伴い人権擁護委員の自主的全国的統一が是非とも必要となりましたので、第十八条の二として全国人権擁護委員連合会の組織及び任務に関する規定を設けたのであります。 以上が本法律案を提案する理由であります。何とぞ慎重御審議下さいますよう願います。 —————————————
○委員長(郡祐一君) 次に、司法試験法の一部を改正する法律案について御説明を願います。
○政府委員(三浦寅之助君) 只今上程に相成りました司法試験法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明いたします。 本案は前国会に提案したものと全く同じ内容のものでありまして、大別して三つの事項をその内容といたしておるのでありまして、その第一は司法試験第二次試験の試験科目の調整、第二は受験手数料の増額、第三は弁護士法との関係の法文の整理であります。 先ず第一の点から御説明いたします。御承知のように昭和二十四年五月第五回国会において旧高等試験令に代えて司法試験法が制定施行されまして以来、逐年受験者の増加を見、昭和二十七年度第二次試験においては約五千五百人が受験し、本年度においては受験願書提出者数六千人に達する状況と相成つているのでありまして、かように多数の法律学徒がこの試験を目標に研鑚に努めておりますことは、国家のため喜びに堪えないところであります。併しながら、これら受験者のうち第二次試験選択科目として商法を選択する者の数は、この半数に満たない有様でありまして、司法試験に合格して司法修習生を経て裁判官、検察官、弁護士となつた場合に、刑法、民法、訴訟法と共にその必要性を認められる商法の学識において著しく欠ける者が多く、過去四年間の実績を検討した結果、第二次試験の試験科目の調整を図るため第六条第一項及び第二項を改正して従来の必須科目に現在選択科目とされておりまする「商法」を加えることといたしたのであります。従いまして試験科目の数は現行通り七科目でありますが、そのうち六科目が必須科目となり一科目が選択科目ということになりますので、受験者にとりまして若干の負担が加重せられることになりますが、裁判官、検察官、弁護士の取扱事件のうち商事関係事件の占める割合等を考えますと、この措置は必要止むを得ないものがあると考えるのであります。又第六条第一項及び第二項の改正に関連いたしまして附則第四項を改正して高等試験行政科試験に合格している者に対しても、試験科目を整理し憲法、刑法並びに民法及び商法のうち受験者のあらかじめ選択する一科目、民事訴訟法及び刑事訴訟法のうち受験者のあらかじめ選択する一科目合計四科目を受験せしめることといたしました。 次に第二の点でありますが、司法試験受験手数料は、現在第一次試験が二百円、第二次試験が五百円となつております。昭和二十四年司法試験法制定当時の物価事情と今日のそれとを比較いたしますと、各位御承知の通り諸物価は著しく上昇いたしておりまして、各種国家試験例えば公認会計士試験、弁理士試験及び税理士試験、医師国家試験及び薬剤師国家試験等においても物価事情に対応して受験手数料を五百円乃至千円といたしておりますので、第十一条第一項を改正して第一次試験を五百円に、第二次試験を千円に改めることといたしました。 第三は、第十三条第二項中「弁護士会」を「日本弁護士連合会」に改めたことでありますが、これは司法試験法が制定せられました後に弁護士法が改正せられましたので、この際両法の関係を整理することといたしたものであります。 なお、この改正案は、本年度の試験がすでに第一次試験を終り第二次試験の実施段階に至つております関係上、明年度施行の試験から適用することといたしております。 以上大略でありますが提案理由の御説明を終ります。何とぞ慎重御審議のほどをお願いいたします。 —————————————
○委員長(郡祐一君) 次に、刑法等の一部を改正する法律案について政府の御説明を願います。
○政府委員(三浦寅之助君) 只今上程に相成りました刑法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申上げます。 この法律案は、刑法、刑事訴訟法、犯罪者予防更生法及び更生緊急保護法の一部を改正し、犯罪対策に寄与せんとするものであります。 終戦後犯罪の激増に伴い受刑者の増加と共に、執行猶予の言渡を受ける者も激増し、同時に執行猶予の取消も激増しましたが、現行の執行猶予制度においては、何ら本人に必要な保護と指導を加えることができないし、一方執行猶予の要件が厳格で、前科のない者か、前科のある者は執行終了後七年を経なければ執行猶予を付けることができないこととなつているのであります。従つて執行猶予中の者は、例えば軽微な窃盗を犯しその事情酌量すべきものであつても、必ず実刑を科し、前の執行猶予を取り消さなければならないこととなつているのであります。以上のような点に鑑み、本法案は執行猶予の要件を適当に緩和すると同時に、執行猶予中必要のある者に対しては裁判の言渡により保護観察に付することとし、これに必要な手続を定めるものであります。即ち、刑法の改正案におきましては、先ず刑法第二十五条で執行猶予に付し得る条件として規定された、前に禁錮以上の刑に処せられたことがあつても其執行を終り又は執行の免除を得た日より七年以内に禁錮以上の刑に処せられたることなき者という制限を五年以内に短縮し、又執行猶予中の者であつても、軽微な犯罪により刑期一年以下の懲役又は禁錮に処すべき場合であつて、情状特に憫諒すべきものあるときは再度の執行猶予を与え得る規定を設けて、執行猶予に付し得る場合の幅を拡張緩和し、同時にその裏付けとして、再度の執行猶予に付された者はその猶予期間中は必ず保護観察に付することにし、その他の執行猶予者については、必要ありと認める場合、保護観察に付し得ることにしているのであります。 刑事訴訟法の改正案は、右の刑法の改正に伴いまして、刑の執行猶予に加えて保護観察に付することにする場合は、刑の言渡と同時に判決で言渡すことにいたしますると共に、保護観察中の遵守事項違反を理由として執行猶予の言渡を取消すことができることとし、その手続として、検察官はその者の保護観察を担当した保護観察所の長の申出に基き裁判所に請求することにし、なお、裁判所の審理についても本人の請求があれば口頭弁論を経ることにし、且つ、其の場合は弁護人の選任を許すことにし、又執行猶予の取消決定に対しては即時抗告を許して、その者に不測の不利益を帰せしめないようにするものであります。 犯罪者予防更生法の改正案は、以上の改正により執行猶予中保護観察に付された者をこの法律によつて保護観察に付すことを明らかにし、次に保護観察に付された者が、保護観察中守らなければならない遵守事項に違背した場合には、他の種類の保護観察対象者と同じように、裁判官のあらかじめ発する引致状により引致し得ることにし、更に現行法の仮退院少年の再収容を審理するときと同じように、執行猶予取消の要否を審理するため引致後十日以内これを留置し得ることにし、検察官から執行猶予の取消請求があつたときは、裁判所は、その請求について決定をするまで留置を継続することができるものとし、但しその留置の期間は、引致後通じて二十日を越えることができないものとし、又本人の請求により口頭弁論を経て決定すべき場合には、裁判所は、決定で更に十日間に限り留置の期間を延長することができるものとし、なお右の期関内に刑の執行猶予の取消決定があつたときは、その決定が確定するまで留置を継続することができるものとし、これらの留置期間はすべてこれを刑期に算入するものとするものであります。 更生緊急保護法の改正案は、執行猶予者で保護観察に付されない者が身体の拘束を解かれたのち、或いは帰住先がなく或いは就職口がなく再犯に陥る危険がある場合に、本人の申出に基き一定期間に限りこれを保護し得ることにするものであります。 なお附則においては、此の法律を施行する日を規定するほか、この法律の施行前に罪を犯した者及び既に少年で刑の執行猶予に付せられ現行法で保護観察に付されている者に対しては、此の法律の施行により不利益を帰せしめないようにする経過規定を設けているのであります。 以上申述べましたように、犯罪をした者の改善更生には、できる限り刑の執行を避けてこれを保護観察に付し、その成績に応じて刑の執行を考慮することが最も必要であると考慮して、この法律案を提出いたした次第であります。何とぞ慎重御審議の上、御可決あらんことを切望する次第であります。 —————————————
○委員長(郡祐一君) 次に、少年法及び少年院法の一部を改正する法律案について御説明を願います。
○政府委員(三浦寅之助君) 只今上程になりました少年法及び少年院法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明いたします。 この法律案は、少年院法第二十一条の規定による代用少年鑑別所、代用特別少年院等の特例的措置が、本年七月三十一日までで廃止されることになつておりますので、これに伴う立法上必要な措置をとろうといたすものでありまして、その趣旨及び内容におきまして、さきに第十五回特別国会に提出され審議未了になりましたものと同じものであります。 先ず、少年法の一部改正について申し上げますと、この八月一日から家庭裁判所が観護の措置をとつた少年を収容する所は、本来の少年鑑別所だけとなるのでありますが、少年鑑別所の所在地からかなり離れた所にある多くの家庭裁判所支部の事件について、家庭裁判所が少年鑑別所送致の観護措置をとつた場合において、交通事情等の理由から、直ちに少年鑑別所に収容することが不可能であるか、または著しく困難である場合が少なからず生ずるものと考えられるのでありまして、かような場合に、家庭裁判所が決定を以て、少年を最寄りの少年院又は拘置監の特に区別した場所に一時、仮に収容する措置をとることができるものといたしたものであります。併しながらその仮収容の期間につきましては、鑑別少年の性格に鑑みまして、少年院又は拘置所に収容したときから七十二時間をこえてはならないものとして制限し、且つ本人の利益のために、この期間を観護の措置によつて少年鑑別所に収容した期間として計算するものとしておるのであります。 なおこれに関連して、第二十六条を改めてこの仮収容の決定の執行に関する規定を置くことといたしました。その他附則中に、この改正に伴う経過措置として、この一部改正法律の施行前に観護の措置を受けて少年院又は拘置監に収容されている少年であつて少年鑑別所へ移送するいとまのない者をこの仮収容の措置をとられた者とみなす旨の規定を置いておるのであります。 次に少年院法の一部改正について申し上げます。この改正の要旨は、医療少年院について、男女を分隔する施設がある場合には、必ずしも男女の別に従つて設ける必要がないものとすること、及び少年院に収容中の者を移送等のため同行し、又は少年鑑別所に収容中の者を審判等のため同行する場合において、止むを得ない事由があるときは、これを最寄の少年鑑別所若しくは少年院又は拘置監の特に区別した場所にそれぞれ仮に収容することができるものとすることの二点であります。その第一点の医療少年院の施設のことにつきましては、御承知のとおり、現在少年院は、少年院法第二条第六項の規定によりまして、男女の別に従つて設けることになつておりますが、医療少年院につきましては、その施設が十分でないため、同法第二十一条第三項の規定により、この七月三十一日までの特例措置として、男子の医療少年院の一部を特に区別して女子を併せて収容することができるものとされているのでありますが、医療少年院につきましては、従来の経験に徴しますると、男女別にそれぞれ独立の施設を設ける必要性も少く、且つ同一施設内であつても男女を分隔することができれば十分であると考えられるのであります。従つてこの際医療少年院については、男女を分隔して収容する施設がある場合は、必ずしも男女の別に従つて別々に設置する必要がないものといたしたのであります。 第二点の少年院又は少年鑑別所に収容中の者の仮収容のことにつきましては、この八月一日から、家庭裁判所支部係属事件の少年で現在代用少年鑑別所に収容されているような者も、すべて本来の少年鑑別所に収容されることとなるのでありますが、家庭裁判所の支部は、おおむね少年鑑別所の所在地からは遠隔の地にありますので、審判等のため少年を家庭裁判所支部に同行した際、交通事情その他のため、その日のうちに帰つて来ることができない等の止むを得ない事情が生ずることもあるものと考えられるのでありまして、これらの場合に、これを最寄の少年院又は拘置監の特に区別した場合に一時仮に宿泊させることができるようにすると共に、又少年院に収容中の者の移送の場合につきましても、やはり同様のことが考えられますので、この際少年鑑別所に収容中の者についてと同様な措置をとり得るようにする旨の規定を置いたのであります。その他八月一日からその効力がなくなります経過規定の整理をいたしております。 以上が、この法律案の提案の理由であります。何とぞ慎重御審議の上、速かに御可決あらんことを希望いたします。 —————————————
○委員長(郡祐一君) 次に逃亡犯罪人引渡法案につき政府の説明を願います。三浦法務政務次官。
○政府委員(三浦寅之助君) 只今議題となりました逃亡犯罪人引渡法案につきまして提案の理由を御説明申上げます。 日本国との平和条約第七条(a)に基き、アメリカ合衆国は本年四月二十二日我が国に対しまして、日米犯罪人引渡条約を同日より三カ月後であります本年七月二十二日から引続いて有効とする旨を通告して参つたのであります。御承知の通り犯罪人の引渡とは、外国の政府の請求により、その外国の法令にかかる罪を犯した犯罪人の現在する国の政府が、当該犯罪人を、審判又は刑の執行の執行のために当該外国の政府に引渡すことを申すのでありまして諸外国におきましても、おおむね、犯罪人の引渡に関する条約に基き他国より犯罪人引渡の請求があつた場合についての国内手続を定めた立法を有しているのでありますが、我が国におきましても、明治二十年八月十日に制定された逃亡犯罪人引渡条例が現存しているのであります。併しながら同条例は制定以来今日に至るまで殆んどその改正が行われず、従つてその規定のうちには現在の事情に適合しないものが多々あるのであります。そこで今回日米犯罪人引渡条約が引続いて効力を有することとなるのを機会といたしまして、最近の諸外国の立法例を参酌し、逃亡犯罪人の引渡に関する国内手続を整備するため右条例を廃止し、新たに逃亡犯罪人引渡法を制定すべく、この法律案を提出することといたしたのであります。 この法律案は、三十三カ条と附則から成つておるのでありまして、ここにこの法律案の主要点を申上げます。 先ず、第一条におきまして、締約国、引渡犯罪及び逃亡犯罪人についての定義規定を設け、この法律案の適用範囲を一応明らかにし、第二条におきまして引渡に関する制限として、引渡をしない場合を列挙し、第三条乃至第二十二条におきまして、締約国から逃亡犯罪人の引渡請求があつた場合におけるその請求の受理から当該逃亡犯罪人の引渡までの手続及び逃亡犯罪人の拘禁について規定し、第二十三条乃至第三十条におきまして引渡請求前における仮拘禁手続について規定し、第三十一条乃至第三十三条におきまして、最高裁判所の規則への委任に関する規定、東京高等裁判所の管轄区域に関する特例及び引渡条約発効前に犯された引渡犯罪に関して引渡の請求があつた場合の特例について規定したのであります。附則におきましては、この法律の施行期日、現行の逃亡犯罪人引渡条例の廃止及びこの法律を遡及適用する場合について規定し、更に逃亡犯罪人を拘禁するについて必要な監獄法の一部の改正及び日本国が締約国に対し、逃亡犯罪人の引渡を請求した場合において締約国がした当該逃亡犯罪人の抑留又は拘禁について刑事補償法を適用するための同法の一部の改正を定めたのであります。 次に、現行の逃亡犯罪人引渡条例と異なる重要点につきまして御説明申上げます。 第一は、同条例によりますと、逃亡犯罪人の身柄を拘束するには、検察官の発する逮捕状によることになつているのでありますが、この法律案におきましては、裁判官の発する令状によるものとした点であります。 第二は、同条例では、検察官が、逃亡犯罪人の取調をいたしましてその結果を法務大臣に報告し、この報告を受けた法務大臣が当該逃亡犯罪人を引渡すべきか否かについて決定することとなつておるのでありますが、この法律案におきましては、東京高等裁判所の審査により同裁判所が当該逃亡犯罪人の引渡を行うことができる旨の決定をした場合に限り、法務大臣がその逃亡犯罪人の引渡をなし得ることとした点であります。 第三は、現行の条例におきましては、逃亡犯罪人の身柄の拘束は、必要的なものとなつておるのでありますが、この法律案におきましては、逃亡犯罪人が定まつた住居を有し、且つ、逃亡の虞れがないことが認められる場合には、当該逃亡犯罪人の身柄を拘束しないものとした点であります。 以上この法律案につきまして概略御説明申上げたのでありますが、何とぞ慎重御審議のほどをお願いいたす次第であります。 —————————————
○委員長(郡祐一君) 次に航空機抵当法案を議題に供します。先ず政府の説明を願います。西村運輸政務次官。
○政府委員(西村英一君) 只今提案されました航空機抵当法案について、提案の理由を御説明いたします。 我が国の民間航空は、昨年平和条約の発効に伴い、漸くその自主性を回復したのでありますが、戦後七年有余の空白時代を経ており、その間において飛躍的発展を遂げた世界の航空界に比べて、著しく立ち遅れている現状であります。従つて、我が国としては、この立ち遅れた民間航空を速かに再建し、この健全な発達を図るために、直接及び間接の育成措置を講ずる必要がありますが、特に高価な航空機の購入資金の確保を容易にすることは、今日極めて緊要であります。 併しながら、現行の金融取引におきましては、航空機を担保に供するためには、譲渡担保の形式によるほかはないのでありますが、譲渡担保は、法律上極めて不備であり、取引の安全を害する虞れも少くないのであります。 この弊を除去するためには、動産たる航空機について最も近代的な担保方法たる抵当制度を利用する途をひらく必要があるのでありまして、先般、航空審議会も「わが国民間航空の再建方策」についての答申におきまして、この航空機抵当制度の創設を強く要望しているのであります。 以上の理由によりまして、ここに航空機抵当法案を提出する次第であります。 次に、航空機抵当法案の要旨について申上げます。 第一に、航空法による登録を受けた飛行機及び回転翼航空機をもつて、抵当権の目的といたしております。 第二に、航空機の抵当権の得喪及び変更は、航空法に規定する航空機登録原簿に登録を受けなければ、第三者に対抗することができないものといたしております。 第三に、航空機の抵当権の内容、効力等に関し、ほぼ民法の抵当権に関する規定と同様な規定を置いております。 第四に、本法案の附則において、現行の航空法の一部を改正いたしまして、国籍取得の要件たる登録に、航空機の所有権に関する対抗力を付与し、更に登録記号を打刻する等によりまして、抵当制度の基礎条件たる公示方法の確立と航空機の同一性の把握について、万全を期した次第であります。 以上、この法案についてその大要を御説明申上げた次第であります。 何とぞ、慎重御審議の上、速かに御可決あらんことをお願い申上げる次第でございます。
○委員長(郡祐一君) 本案につきまして政府委員より概要説明を聴取いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ看なし〕
○委員長(郡祐一君) 御異議ないと認めます。
○政府委員(粟沢一男君) 航空機抵当法案の概要について御説明申上げます。 第一にこの法律の制定の目的でございますが、第一条に規定しております通り、航空機抵当制度を創設して、資金調達を容易にし、もつて航空の発達を図るということであります。 第二に、航空機抵当権の意義及び性質についてでございます。航空機抵当権は、物権即ち一定の物を直接に支配して利益を受ける排他的な権利でございますが、民法に定める物権ではなくして民法第百七十五条によりますところの他の法律、即ち航空機抵当法によつて創設せられる物権でございます。抵当権は、民法第三百六十九条第一項に規定いたしておりますように、債務者又は第三者が、占有を移さずして債務の担保に供した目的物に対しまして、抵当権者が他の債権者に優先して、自己の債権の弁済を受ける権利でございますから、本法案第四案におきましても、航空機抵当権につきまして民法と同様な内容を規定したのでございます。 第三に、航空機構当権の設定についてでございます。第二条及び第三条は、航空機抵当権の目的となり得る航空機は登録を受けた飛行機及び回転翼航空機に限ることを規定したものでございますが、登録を受けた航空機にいたしましたのは、抵当権の公示方法といたしまして、航空法に規定する航空機登録を利用します関係上、同法による登録を受けていない航空機は公示の方法がないからであります。 なお、第二十三条で質権の設定を禁止いたしましたのは、法律関係の錯綜を防止いたしますとともに、質権の設定によりまして航空機の使用を休止し又はその効率的な使用を阻害することは社会的、経済的見地から望ましくないという観点からでございます。船舶抵当、自動車抵当におきましても同様の趣旨で質権の設定を禁止しております。 第四は、抵当権の効力についてでありますが、航空機抵当権は、その本質におきましては民法の抵当権と何等異るものではございませんので、第四条の「抵当権の内容」、第六条の「抵当権の効力の及ぶ範囲」、第七条の「不可分性」、第八条の「物上代位」、第九条の「物上保証人の求償権」、第十条の「抵当権の順位」、第十二条の「担保される利息算」、第十五条の「代価弁済」、第十六条の「第三取得者の費用償還請求権」、第十八条の「一般財産からの弁済」等につきましては、民法の抵当権に関する規定と同様に定めたのでございます。 ただ抵当権の実行に関する第十九条及び第二十条の規定についてでありますが、航空法第八条第一項第三号の場合のまつ消登録の原因は、抵当航空機の登録要件の欠如でございまして、例えば所有者が外国人となつたというふうな場合でありまして、この場合には、物上代位権の行使が困難となる虞れがございますので、抵当権者の保護のために特に規定したものであります。 第五は、抵当権の処分でございます。担保物権の附従性から申しまして、抵当権は被担保債権と共に移転すべきものでありますが、被担保債権の弁済期が比較的長期なものでありますときは、抵当権者にとりましては、弁済期前に抵当権を処分しようという必要が生じて参ります。第十三条及び第十四条はこの抵当権の処分について規定したものでありまして、民法第三百七十五条及び第三百七十六条と同様な規定でございます。 第六は、第十七条の共同抵当に関する規定であります。債権者が同一の債権の担保として、数個の航空機の上に抵当権を有します場合には、この共同抵当権者と次順位の抵当権者との間に、複雑な利害関係を生じますので、これを調和せしめまして、航空機の担保価値を最高度に発揮せしめる必要がございます。第十七条は、右の共同抵当の場合の代価の配当に関する規定でありまして、民法第三百九十二条及び第三百九十三条と同様な規定でございます。 第七は、抵当権の消滅でございます。抵当権は、被担保債権の消滅、競売の完結、代価弁済(第十五条)、混同(民法第百七十九条)、目的物の収用等によつて消滅するものでありますが、第二十一条及び第二十二条は抵当権の消滅に関します特殊の事項を規定いたしましたものでありまして、これも民法第三百九十六条及び第三百九十七条と同様な規定でございます。 最後に、附則につきまして御説明申上げます。 先ず本法の施行期日を公布の日から起算して六カ月を超えない範囲内において政令で定める日といたしました。これは、一般に周知徹底させますと共に、航空機登録の切替整備等本制度の実施のために相当の準備期間を要するからでございます。 第三項は、国税徴収法によりまして航空機を差押えた場合には、収税官吏は差押の登録を運輸省に嘱託することを規定したものでありまして、航空機登録についての公示原則の確保を期したのでございます。 第四項は、航空機抵当法によります航空機抵当を社債の物上担保とする途を開き、航空事業者等のために多額の資金確保を図りますために、担保附社債信託法の改正を行なつたのであります。 第六項は、航空法の改正に関する規定でありますが、本法によりまして航空機抵当制度を確立いたしますためには、其の基礎条件たる公示制度の確立と航空機の同一性把握の確保とを期する必要があるのであります。よつて航空法の一部を改正いたしまして、飛行機及び回転翼航空機の所有権の得喪及び変更は、登録を受けなければ、第三者に対抗することができないことを定め、又航空機抵当制度の基礎条件であります航空機の同一性の認識を容易ならしめるために、運輸大臣は新規登録を受けた飛行機又は回転翼航空機に職権を以て登録記号を打刻することを規定したものであります。 以上によりまして、航空機抵当法案の概要についての御説明を終ります。
○委員長(郡祐一君) ちよつと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(郡祐一君) 速記を始めて下さい。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時二分散会