文部委員会 第20号
- 発言数
- 113 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1953/08/06
会議録
○委員長(川村松助君) 文部委員会を開会いたします。 青年学級振興法案を議題にいたします。荒木君から質疑の通告があります。荒木君から発言を求めます。
○荒木正三郎君 現在青少年の教育につきましては、学校教育法に則つて教育が行われておるのが我が国の現状でございます。勤労青年の教育に対しましても又学校教育法の枠内において行われておるのでございますが、今度提案されました青年学級振興法は、この学校教育法の枠の外において勤労青年の教育を行うことに相成るのでございまして、これは全く新らしい例を開くものだと解釈せざるを得ないわけでございます。で、そういう意味において、この法案を提出されるに当りまして、今後の教育の在り方について、文部大臣は我が国の青少年の教育については学校教育法の枠内では賄い切れないという観点に立つてこういう法案の提出を決意されたのか、或いは又将来学校教育法の枠をこういう方面にまで拡張いたしたいという考えを持つておられるのか、私は提案理由の中にも、こういつた説明もございませんでしたし、事柄は小さくない問題であるというふうに考えますので、文部大臣の所見を伺つておきたいと思います。
○国務大臣(大達茂雄君) 御承知の通り、今日の世の中の状態では、義務教育を終えて上の学校に進むだけの経済的にも又時間的にも余裕のない青少年が圧倒的に多い。併しながら若い人々が向学心に燃えておる、これは当然なことであります。ただ今日の社会環境の上からその向学心が満たされない、数字は多少違つておるかも知れませんが、我が国の十五歳以上二十五歳未満のいわゆる青少年の数は約千六百万ですが、そのうちで高等学校以上の、いわゆる学校教育を受けておる者は三百万人、二割そこそこの数字になつておるかと思います。なお五十万乃至六十万人の者がいわゆる定時制教育を受け、残りの殆んど大部分の青少年というものは教育を受けぬ、これに教育を与えるという制度がないままに今日放置されておるというのが現状であります。御承知のように、義務教育というものをいわゆる六・三以上に延長する、これは事実上不可能な問題であると、こう思います。又これには無論非常な困難がありまして、これらの青少年をすべて学校教育の枠にはめて行くと、これは義務教育を延長しなければできない、これはまあ問題にならない。いろいろな点からいつて今どうしようもない問題であると思います。そうするとあとは義務教育ではないのでありますから、父兄からなり本人が高等学校に進学するということでなければ、これを無理に学校教育に収容するわけには参らん。で、申上げるように、働きながら学校に通うだけでありまして、比較的恵まれた状態にある青少年というものは非常に数が少いのである。大部分は義務教育を終えると同時に働かなければならんという、こういう状態にあるのであります。 そこで今の御質問でありますが、この青年学級振興法というものは、これらの恵まれない而も向学心に燃えておる青少年が、自然発生的に勉強をして先生を頼んで勉強する、こういうことが事実あるのでありますから、そうしてこれを取上げてこれを助成して参りまして、少くともこの種の恵まれない勤労青年の向学心に対して、多少なりともその望みを満たして上げたい、こういうことでありまして、学校教育は学校教育としてますますこれは教育の本筋としてやつて行かなければならない、青年学級はそういう意味で設けたものでありまして、今すぐ学校教育とこれがどうかという問題ではありません。
○荒木正三郎君 多くの青少年が経済的その他の理由によりまして、教育を受ける機会を失つておる実情にあるということは私もよく知つておるところでありまして、今日それらの青少年に対する教育の必要は極めて重要であるということも、これは文部大臣がお考えになつているのと同様に私もその必要性を考えているわけなんです。併しこれは、学校教育法においてそれらの経済的に恵まれない子弟の教育、言い換えれば働きながら学ぶ青少年のためにいろいろの方途が講ぜられておるわけであります。その一つは定時制でございます。定時制の高等学校或いは通信教育というのはそのために設けられたものであると思うのであります。併しこれが十分の効果を挙げておらないのも又実情でございますが、併し現在の制度においてこれらの青少年を指導する制度がないということは私は文部大臣としては考え違いをなさつておるのではないかと思うのです。経済的に、言い換えれば働きながら学ぶ制度がないというふうにお考えになつているのは少しおかしいと思うのです。むしろ私はこの際こういう定時制の教育或いは通信教育等を充実して、そうして勤労青年の教育を振興して行く、これが本筋であつて、学校教育法に規定されておらない新たなものを設けるということはさして必要でない、これを法制化することはさして必要でないとまで私は考えておるのですが、そういう制度は十分あると思うのですが、大臣はどういうふうにお考えになつておりますか。
○国務大臣(大達茂雄君) これは荒木議員もよく御承知の通りに、定時制教育ということになりますと、やはり相当な時間をこれに割かなければならん、青年の側において、併しその余裕すらもない青年がたくさんあると思うのであります。だから定時制教育という一点張りで、これで今日の千三百万人に及ぶところの青少年に対する教育を定時制教育で済ましてしまう、こういうことは実際できない相談だと思います。
○荒木正三郎君 これは私は従来からの文部省の努力の跡を考えて見ると、むしろ努力の足らない点が多かつたのではないかというように考えるわけであります。一昨年までは定時制の教職員の給与に対しまして四割の国庫補助金を出しておる、ところが一昨年からはこの国庫補助金制度をなくして、或いは定時制に対する国家の予算を見ましても実に微々たるもの、これを育成しようという努力というものは殆んど見られておらない、義務教育を受けて、そうして勉学の途についておらない青少年が幾百万ある、こういうことを文部省はおつしやるけれども、こういう莫大な数に上る青少年があるということを認識される以上は、もつとこれに予算を注いで、そうして定時制教育の振興を図つて行くべきであるのにもかかわらず、国の予算においては殆んど努力の跡が見られない、そうして定時制ではやれないんだ、こういうことでは、これは私はどんな制度があつても努力しなければそれは何にもならないと思う、もつと努力をして、そうしてやれないというのならばそれはほかに欠陥があると見なければなりませんが、必ずしも今日青少年の教育制度について大きな欠陥があると私は思わない、若し欠陥があるとするならば学校教育法を改正するということになるわけですが、文部大臣はそういう点を考えておられるわけなんですか。
○国務大臣(大達茂雄君) 定時制教育を更に拡充して青少年の向学心に応えるということ、これは仰せの通りであります。この青年学級振興法というものは決してこれを出したから定時制のほうはいいんだ、こういう意味では毛頭ないのであります。ただ併しながら、定時制教育の振興充実を図ることの必要なのは言うまでもないことであります。併し如何に定時制教育というものを拡充いたしましても、それに入ることのできない青少年があるのであります。現に今日は義務教育で少くとも小学校、中学校、これは国で教育をしなければならん義務がある。又父兄においてはこれを学校にやらなければならん義務がある。それにもかかわらずなお若干の児童というものは、いわゆる不就学児童というものは数字が上つておるのであります。でありまするから、義務教育においてすらも、その家計の状態、いろいろな事情からして学校に出せないという若干の生徒もおるくらいでありますから、いわんや義務教育を離れて学校に入るか入らんかは定時制の場合におきましても、これは青年自身の発意によることであります。だからして定時制教育は受けたくてもそれを受けるだけの時間的にも経済的にも余裕のない、こういう青少年がたくさんあると思うのです。ですから定時制教育を拡充するということも必要であることは、これは言うを待ちません。併しながら、それだからといつて青年学級の振興というものをそのまま放つて置いていいと私はこう思わないのであります。これは両々相待つてその千三百万人に及ぶ多数の勤労青少年の教育を少しでもその向学心に応えることにしたい、こう思うだけであります。定時制教育を振興すればみんなそれで満足を与え得るんだというふうな状態では私はないと思うのです。
○荒木正三郎君 私の質問はこれで打切ります。
○委員長(川村松助君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(川村松助君) 速記を始めて下さい。
○相馬助治君 荒木君の質問に連関して文部大臣に一点お尋ねしておきたいのですが、私の考えでは、この青年学級振興法案を読んで受ける印象からいたしましても、こういう立法化が勤労青年のためになされるのだと、そういう文部省の気持は十分わかるのですが、むしろ私どもの考えを以てするならば、こういう青年学級振興法案というような半官制の青年学級を奨励して行くということによつて、学校教育の体系に載つておる定時制教育に対してむしろ悪影響を持たせるのではないか、即ち青年学級というこの魅力的な名前によつて、当然定時制で学び得る子弟がこのところに低迷したり、或いは雇主が定時制高等学校に入れるべき状態にあるにもかかわらず、自分の都合によつてお前は青年学級に学んでおれというようなことで、勤労青年の向学心を抑圧するというための道具にこの青年学級がなりはせんかと、こういうことを虞れるので、本筋から言えば、今の生半可な定時制に対する国家の補助を、法律の改正によつてむしろ強化して、そうして行くことのほうが勤労青年に対する教育としては肝要なのではないかと、かように私は考えるのですが、これらについて文部大臣の所見を承わつておきたいと思います。
○国務大臣(大達茂雄君) これはまあ見込みの問題であると思いますが、問題は青少年自身の向学心の問題であろうと思います。でありますから、ただ青年学級で講義を聞いた、時間にして幾時間か講義を聞いた、話を聞いたというたけで、これでもう教育を受けたのだから、もう定時制にも行く必要はない、定時制で教育を受ける必要はない、こういうことには恐らく私はならんだろうと思う。むしろ青少年の向学心を刺戟して、青年学級というものが……。それで更に進んで定時制教育を受けたい、こういうことになつて向学心を刺戟する関係はできても、これでもういいのだという、それほどのものではありませんから、まあ私の見込みとしては更に進んで定時制教育を受けたい、こういう気持になるほうが強いのではないか、こう考えます。
○相馬助治君 まあ見込の問題だとおつしやればそれまでですけれども、あらゆる政治的な問題は来たるべき結果を予想して見込の上に立つて誤りなきを期した議論を重ねられてその上に立法がなされて行かなくちやならないと思うので、私はあえて尋ねたのですが、では別な面で一つお尋ねしたいと思うのですが、この青年学級においてはカリキユラム等においても青年自身の参加した青年学級運営委員会でとりきめられるのだと、こういうふうになつ出ておるようですが、この基本的な物の考え方は非常に私は結構だと思うのです。併し如何に言おうとも青年学級に学ぶ人たちは、比較の問題ですけれども、より未成熟者であることは間違いない。そこで文部省はこれに対して特目等を設定した何か一定のカリキユラム基準のようなものを出す予定はありますか。
○国務大臣(大達茂雄君) 文部省はその点は考えておりません。
○相馬助治君 この問題は考えていると言えば問題はいよいよ紛糾して、それは官制だというようなことになつて更に大きくなるので、併し又そういうふうに木で鼻を括つたように考えていないと言われるというと、どうもこれはあつけなくて折角国庫の補助を以て青年学級をやるのに、カリキユラムは青年自身がきめるのだというけれども、その一定の基準、拠りどころというものは参考ぐらいにはどこかの線から出してもよさそうじやないかという議論がもう出て来ると思うのです。で、基本方針としてはそういう基準は出すつもりはないといたしましても、それじや事務当局としても何かこのカリキユラムを作つて行く場合において、或いは青年学級運営委員会の栞とでもというようなものを現在予定しておりますか。
○政府委員(寺中作雄君) 教科内容としての基準のようなものは別に全然作つてもおりませんし、作る気もありませんが、ただ地方において青年学級をいろいろやつております実例というふうなものを集めまして、こういうふうにやつておるのだということを地方に廻すというようなことは、或いはやる必要があるのじやないかと考えております。
○相馬助治君 これはまあよしあしなんですけれども、最近の映画なんかにテーマとして取扱われているものに、この青年学級というような名前は付けていないですが、そういう青年の集りがあつて、そこに男女共学が行われて、而も指導者というものが確立していないという場合に起きる幾つかの社会悪、悲劇というものをば私どもは見ておるわけです。従つて青年学級というものを格付することはもう非常に危険なんですが、さればと言つてこれを野放図に放置しておくことにもどうも危険を感ずるので、その辺については一つ局長の手許において十分青年の向学心を満たす民主的な運営を阻害しないことを目途として、而も又より正しいものに向つて行けるような基準めいたものが私は必要な段階が来るのではないか、本法案が成立すればですよ。そういうことを考えるので、本法案が、私どもはそこまで申しちや申し過ぎですが、只今から熱心に討論をいたしまして、大方諸君の賛成を得てこれは踏み潰したいと思つているのですが、不幸にして本法案が通つたならば、そういうことまで一応考えておいて欲しいと思う。
○成瀬幡治君 資料を頂いたのですが、大達文相は荒木委員の質問に対しましても定時制高校においてもこれを救うことのできない多くの勤労青年がある、だからこういうものが必要だというような御趣旨の御答弁がございましたが、全くそういう点において勤労青年が定時制高校にも学べないという人があるということは私も認めます。併しその前に私は問題になるのは義務制である小学校中学校においてその教育すら受けない生徒が約二十四万名あるというふうに材料が出て参りました、そうしてそれに対しまして四点の対策が上げられているわけでございます。こうした対策は非常に結構なことだと思いますが、簡単にどのくらい成績を数の上において上げて来たかということを御説明願いたいと思うのです。
○委員長(川村松助君) 速記を止めて。 〔速記中止〕
○委員長(川村松助君) 速記を始めて。暫く休憩いたします。 午前十一時二十一分休憩 —————・————— 午前十一時四十一分開会
○委員長(川村松助君) 再会いたします。
○政府委員(田中義男君) 先ほど不就学児童生徒について、文部省がどんな実績を上げておるかと、こういう御質問であつたと思うのであります。それにつきましてお手許に差上げましたような方法において努力いたしておるのでございますが、なかんずく不就学児童の一番大きい原因は御承知のように貧困であるとか、或いは身体上の欠陥、或いは病気、又中には学校へ行くことが嫌いだと、或いは又父兄の理解足りないというような、いろいろな事情があるのでございまして、案外父兄の無理解とか、又子供が学校へ行くことを嫌つておる、こういうパーセントが相当予想以上に多いのであります。これらにつきましては、第二に書いてございますが、相当の教員のかたがたが十分父兄等々と連絡をして、そうしてこれを啓蒙し啓発して行く、こういうことが非常に必要であり、又有効であるようでございます。なお貧困の点につきましては、第四のところに書いてございますように、生活保護法による教育扶助、こういうふうなものを頼りにいたしまして、その適用を適正に行うように実は指導いたしておるのでございます。その結果だんだんとその成果を上げつつございますけれども、必ずしもまだかような数字に上る不就学児童がございますので、更にその点については一層努力をいたしたい、かように考えておるのであります。
○成瀬幡治君 私は終戦後よりもだんだんこういうものが少くなつて来たと思われます。そこで若しお手許に、数字がだんだん減つて行つた、実績上減つて行つたというようなものがございましたら、お示しを願いたいと思います。
○政府委員(田中義男君) 只今ここに逐年の数字を持たないのでございますが、正確には更に私調べまして御返事をいたしたいと思いますが、大体減りつつあるということは申上げられると思います。
○成瀬幡治君 次に罰則との関係でございますが、実施機関ですね、青年学級におけるところの実施機関、ここの表によりますと、学校が五千三百二十一、公民館が五千四百十五、こんなふうになつておるわけでございますが、大体青年団であるとかその他と、こうなつておりまして、この法案で言うところの実施機関に該当せないところの実施主体があるわけなんです。こういうところは当然学校なり、或いは公民館に移行して行くということになると思いますが、その切替えというものに対しては、文部当局としては奨励をする、補助の対象にならなければ、切替えなければならんと、こういうことを慫慂するかどうかという点が一つと、それからもう一つは、罰則との関係でございますが、学校と、こう申しましても、学校長があり、それから何か担当教師も私はできて来るだろうと思います。或いは兼任と申しますか、講師というようなものができて来るが、そうした場合に、講師などが実施機関で言うところの罰則対象になるかならないか、公民館で申しますなら、私は館長と事務員というように分れると思いますが、そうした場合に、その事務員は罰則で言うところの実施機関に当るか当らないか、この二点をお答え願いたいと思います。
○政府委員(寺中作雄君) 学校又は公民館が実施機関になることを原則とするということになつておりますが、それ以外のものが実施機関になり、或いは町村以外のものが開設主体になるということは、何らとめるものではありませんし、この法案の建前からいたしまして、ただ、本法に言う青年学級とは市町村が開設するものを言うというだけでありまして、それ以外に青年団或いは工場会社等が青年学級のようなことをやつておるという事態に対しましては、これは自主的にやられておるのでありますから、非常に結構なことでありまして、そのままの形で奨励をすればいいのであつて、特にこれを学校、公民館に切替えてやらせるということを奨励するつもりは全然ございません。 それから罰則との関係でございますが、この十一条の関係で、非常に営利的なやり方をする、或いは政党的に片寄つたやり方をした場合には、これを禁止して、その禁止を聞かなかつた場合に処罰するということになつておるわけでございますが、その誰を処罰するかということになりますと、一般的に申しますれば、実施機関の責任者を処罰するということになるのでありますが、特にその事態を起しております処罰の対象となるその事情に対する責任が、特定の講師とか、特定の職員とかに帰すべき原因が多い場合、例を挙げますると、或る職員が特に営利的にやること、或いは偏政党的にやることを中心になつてやつておつたという事態があつた場合には、その人をも罰することができるという建前になつております。
○成瀬幡治君 今会社などにおきまして、相当私は定時制高校に通つておる人が多いと思うのですね。そこで今度会社がこういう青年学級などをやつて、お前ら行くことをやめよ、こういうようなことが私はやはり心配されると思うわけです。定時制高校に通うことをやめたらどうか、これは相馬委員なども盛んに言つておりましたのですが、子供の親が、まあ定時制高校なんかに行つて、月に授業料をたくさん出すよりも、或いはPTAと申しますか、生徒自身が負担するところの金もかかるのだからやめよと、芽を摘むことを大いに指摘されております。私が一番心配しておりますのは、会社などがこういうことをやりまして、芽を摘むことが多くなりやしないかということを心配するものでありますが、そういうものに対して何か対策というようなものを考えておられるのかどうか、全然ほつたらかしておこうとされておるのか、若し何か対策めいたものがあるなら、この際お聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(寺中作雄君) 本法による青年学級とは、只今申しますように、市町村が開設するものを言うのでありますが、会社、工場、その他私立の団体等がやりますものに関しましては、ただ第二十四条によりまして、青年学級類似事業といたしまして、文部大臣或いは教育委員会がこれに指導助言を与えることができるという形になつておるだけでございます。一方法の中には第四条に「青年学級による教育を受けようとする勤労青年に対しては、できる限り、その機会が与えられなければならない。」ということがありまして、この青年学級には、市町村の開設する青年学級のことを言うのでありますが、この精神は私立の場合にも同様でございますから、文部大臣或いは教育委員会におきましては、第四条の精神によりまして、できるだけその教育の場に青年が臨むことをとめないように指導助言をするということはいたしたいと考えます。
○須藤五郎君 さつきの荒木さんの罰則の対象になる実施機関に対しましてちよつと伺つておきたいのですが、先ほどの答弁によりますと、実施機関というのは公民館とか学校とかいう機関の公民館長とか学校長というものが罰則の対象になるのでございますか。そういうふうに私たちは理解していたのですが、今の答弁によりますと講師までその罰則の対象になるということを伺つたのですが、そうですか。
○政府委員(寺中作雄君) 只今申しましたように、一般的にはその機関の責任者、即ち館長或いは学校長ということでございます。普通の場合はそれで済むわけでございますが、特に特別の講師がその処罰の原因となるような仕事をやることに中心の働きをしておつた、即ちその人に対して責任を帰すべき原因が非常に多いという場合にはそのものも処罰に付することはできるということでございます。
○須藤五郎君 この青年学級はきまつた常任というのですか、講師だけで構成されるのか、時にはよそから臨時に一回だけ講演を頼むというようなこともあり得ることだろうと思うのでありますが、その場合その講演を頼まれて来た講師がそういう講義をやつたときは、罰則の対象になるのですか。
○政府委員(寺中作雄君) 青年学級の講師はお話のように、いわゆる講師団として任命をされておる者以外に、そのときそのときに頼んで来る講師は多いと思うのでありますが、その人の場合に処罰の関係はどうなるかということでございますが、第十一条にありますように、これは青年学級の授業全体が客観的に見まして、公正な立場から見まして、非常に営利的になり、非常に偏政党的になるということを禁止しておるのでありますから、そのいわゆる雇い講師をした人が、一回の講演において特に偏頗な行動があつたというような場合は、実際的には処罰の対象になることはないと思います。
○須藤五郎君 僕もそう思うのですが、この処罰の対象になる場合は、責任者がその講師に対して注意を与えて、なおそれを聞かない場合に処罰の対象になるのですから、一回だけの講習に対して処罰するということはむずかしいと思うからそういうふうに僕は理解したのですが、それでいいわけですね。
○政府委員(寺中作雄君) はあ。
○委員長(川村松助君) ほかに御質疑ありませんか。青年学級振興法案に対する質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(川村松助君) 御異議がないものと認めます。
○剱木亨弘君 ちよつと速記をとめて懇談に入つて頂きたいと思います。
○委員長(川村松助君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(川村松助君) 速記を付けて。 暫く休憩いたします。 午後零時八分休憩 —————・————— 午後二時七分開会
○委員長(川村松助君) それでは開会いたします。 これより討論に入ります。 先ず青年学級振興法案を議題といたします。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
○須藤五郎君 私はこの法案に対しまして反対の意見を述べたいと存じます。反対の点は多々ありますが、それは委員会における質疑の中で、もう殆んど明らかになつておりますので、この際くどくどしく申上げませんが、最も私の反対の中心点となる点を一点だけ申上げておきたいと存じます。それは十一条と十七条の関係であります。十七条におきますところの罰則の、「命令に違反する行為をした者」、この命令に違反した行為が、誰によつて判定を受けるかという点でありますが、これは市町村の教育委員によつてなされるということであります。そうしますとこの十一条の「特定の政党その他の政治的団体の利害に関する事業を行い、」という罰則の対象になる条項が、市町村の教育委員の認定のみにおいて満足に行い得るかどうかという私は大きな疑念があるわけです。今日のような状態におきまして、保守党の盛んな市町村におきまして、恐らくそこにおいて、この教育委員の判定というものが、果して正当な判定を下し得るかどうかという点に私は大きな疑点を持つのであります。そうしますると、たとえ保守政党に有利な政治活動がこの機関においてなされても、それを判定するものがその立場にある人ならば、これを問題にすることができない、そうすれば、問題にしなければ、それが罰則に、罪にならないのでありまするから、従つて十一条のこの第二号というものは死物になつてしまうと思うのであります。そういうところでこの法案に大きな矛盾が私はあると思います。十七条と十一条を如何に調整して行くかという点で非常に大きな矛盾があると思います。而もこの判定を市町村の教育委員会がして、そしてそれを告発して、而もこの告発によつて一年以下或いは三万円以下の罰金に処せられることになるのでありますが、単にそういう教育をしたということによつて逮捕されるとか、そういう状態が起るということは私は青年教育の立場から面白からざることだと思うのであります。ですから、私は願わくばこういう罰則のごときものは、こういう法案からは私は除外すべき性質のものではないかと思うのでありますが、そうは皆さんのほうでなかなかなさらないようでありますから、従つて私はこの点に関してでもこの法案に賛成することができないのであります。ほかにたくさん申上げたい点がありますが、それはこの際もうくどくど申上げないで、その点だけ申上げて私は反対の意思を表明しておきます。
○相馬助治君 私は只今議題となりました青年学級振興法案に関しまして、社会党第二控室を代表して反対の意思を表明するものでございます。 終戦後勤労青年の教育の問題につきましては各郷土々々においてそれぞれの試みが行われ、自然発生的に青年学級乃至はこれに類するものの発展をみて参つたのでありまして、この際文部当局がこれらに何らかの援助の手を差延べるためにこの法案を上程するとする趣旨は私にもよく了解されるのでございまするが、日本の学校教育並びに社会教育のそれぞれの分野における抜本的な体制をこの際確立いたしまする観点からいたしましても、且つ又ここに議題となつておりまする政府提案の本法の草案を見ましても、多くの首肯しがたき点を発見いたしまするので、政府当局の積極的の意図を了としながらも、我が党はこれに不幸にして賛成の意思を表するわけに参らないのであります。本法案を我々は受取りまして特に青年学級の経営委員会の問題、或いは罰則の削除の問題等に関しまして積極的に各党派閥の政調会等にこれを持込み、適正な修正の意図を持つたのでありまするが、不幸にいたしまして我々の力足らず、その修正は実現し得ない状態に相成つたものでございまするが故に、原案を対象といたしまして私どもは反対をここに決したのでございます。 御承知のように青年教育の機関としてこの青年学級は定時制高校の教育のようなものと違いまして、自然発生的に発展して参つたものでありまするが故に、むしろこの際生半可の立法を以てこれを律することなく、自発的発展の勢いに任せて、官僚的統制を極力排除いたしますることが、むしろ現在の不幸な勤労青年の自発的なる学習に対してこれを民主化し、これに寄与することができるという考え方も発見せられまするので、私どもは現在の段階においてはその発達を見守り、将来において立法の良否を決定する態度がむしろ妥当であるとの見解にここに到達いたしたのであります。 従いましてこの際我々の見解を申述べまするならば、現在の学校教育体系の拡充を図り、具体的には財政的に今日非常に脆弱な立場に立つておりまする定時制高校の財政的援助を厚くし、これが設備を充実せしめ、これが機能を拡充せしめることによりまして、包括して学び得ないところの気の毒な青年を抱込む意図を表明し、これがために努力することこそが肝要ではないか、かように存ずるのであります。而して残された面に関しましては社会教育の体系にこれを包含し、現在の社会教育法のうちにおいてこれを律し、具体的に申しまするならば、公民館或いは図書館等に財政的援助をすることによつてこの種の、即ち青年学級の種類に属するところの教育の機構を拡充することのほうが大切ではないかと存ずるのであります。さような意味合いにおきましてこの法律を立法しましたところの政府の意図は、先ほど来申しまする通りわかるのでありまするが、仮にこの法律をどうしても必要とするならば、少くとも次の要件は備えていなければならないと私は思考するものであります。 第一には、国又は地方自治体による補助率を確保するということ、特に地方自治体の財政負担の区分を明瞭ならしめまするために、現行の地方財政法の一部を改正して、その費用支出を義務付けることが必要であるということ。 第二には、上級学校進学の資格を与えるための施設ではないといたしましても、一定の規格を備え、一定のレベルに達し、一定の学習を修めたものに対しては、上級学校に進学する資格を与えるための単位の認定をする積極的な規定が必要ではないかと存ずるのであります。 第三には、定時制高校の正常なる発達を飽くまで阻むことなく、国又は都道府県の補助は青年学級に関しては新らしい基盤と新らしい財源によつて確保されなければならないということであります。 第四は、質疑の段階において私は寺中社会教育局長に意見を付して申上げ、その答弁を得たのでありまするが、この種の教育に当つて官僚統制を強化し、一定の枠と基準を与えてこれを一つの規格の中に当嵌めることは誠にまずいことではありまするけれども、望むらくは、自由裁量の余地を残して、やはり一定の枠に飽くまで国の費用においてこれを補助するという建前からいたしましても、教育の本質的な使命からいたしましても必要であると本員は考える。本法のうちにもこれが規定を私は絶対不可欠なものではなかろうかと思考するものであります。従いましてこの定時制高校と異なるところの教育目標と性格を持つておりまする故に、市町村における有力者、又は団体等が政治的目的に利用しないという一片の規定だけではなくて、実質的には市町村長というものが現在公選されておるという形から、この政党化或いは一つのイデオロギーに支配されるということの弊を救うためには、何らかの、より積極的なる規定が必要ではなかつたかと考えるのであります。従いまして本法案が、幾つかの不備を蔵していると私は断定せざるを得ないのであります。尤も現在の日本の財政規模からいたしまして、文部当局はそれらのことを考えながらも、現実的にはそれらのことを果し得なかつたと仮に申するのでありまするならば、前段において私が申しましたように、今日の青年学級に関して、これが振興を立法によつて企画することなく、現実を静かに見守り、立法の機会を近き将来において捉えるの努力が必要ではなかつたかと存ずるのであります。従いまして本法が法制化いたしたといたしましても、現実の問題といたしましては、農村或いは漁村においては、設備、指導者が十分でなくて、有名無実化する心配があります。又法制化及び補助等が行われるといたしましても、現在の段階ではその監督統制が具体的にはどのような形で発せられ、どのような形で受入れられるかが極めて問題であつて、今日まじめな日本の青年団の団体が超党派的な意味でイデオロギーに左右されることなく、本法に対して断乎反対の意を表明していることがこれを立証していると思うのであります。筋道から申しますならば、これらの青年団の団体は本法を観迎しなければならない。然るにもかかわらず、その全力を上げてこれが阻止に当つているという事実は、依然として本法は今日立法の時期でないと私は考えざるを得ないのであります。そのことは曾つて戦争に協力した青年学校的なものにこれが発展する危険性なしとしない一つの懸念をも含めての反対であろうと存ずるのでありますると共に、今日地方におきましては、定時制高校の費用については全く困つておる、而も又六・三制に対する予算も十分でない、そこへ持つて来て、この青年学級設置が今のような形で義務付けられたといたしましても、不幸にして本法の成立を見ましても、勤労青年の益するところ誠に大なるものを望むということは、私をして言わしむれば望み得ない、むしろその反動的悪弊の面が強く露呈するのではないかということを私は虞れるのであります。従いまして私は前段に申上げましたように、文部当局が本法を積極的に立案いたしまする精神は深く諒といたしながらも、現実の日本の姿並びに将来置かれるであろうところの日本の勤労青年の運命を考えますために、私の党は残念ながら本法に対しまして反対せざるを得ないのであります。 以上簡単に申述べまして、私は社会党第二控室を代表して本法案に反対の意思を表明するものでございます。
○深川タマヱ君 今日日本の青年時代を経過いたしつつある世代の人々は、未曾有の敗戦に終つた戦争、戦後の混乱時代に、不完全なる学校教育と憂うべき社会環境のうちに育てられた人々でございますので、目にはさやかに見えなくとも、その知的内容並びに道徳的情操におきましては、誠に物足りんものがあると存じます。これらを補習教育するのでなければ、到底安心して次代の日本を任すことができない事情にあると存じます。この時に当りまして、遅蒔きながら国家が青年学級の創設に思い付かれましたことは、誠に時宜を得た措置であると存じます。併し惜しいことには、この法案はただ向学心のある青年のみの欲求に応えんとするものでございます。もとより勉学でございますので、その受入れるほうの側に欲求があるということは必要でございますけれども、今日なお日本はただそれだけでは捨ておけぬ事情にあると存じます。向学心、向上心のない者にも、いやむしろそうした人ほど余計国家が進んで奨励し、再教育し、すべての青年を大した欠陥のない人間に育て上げることが絶対に必要であると存じます。それには当然各市町村に一つ一つあらかじめ青年学級を作りおき、さまで向学心のない者までもが近寄つて来るように、学習内容その他に格別の注意を払い、当分の間は健全なる娯楽などをも交えて向学心をそそるようにいたし、一方極力入学を勧奨することが必要であろうと考えます。従つて経費などにつきましては、文相はできるだけ多くの予算を獲得されますよう努力されることを希望いたします。 第三番目には、この大切な青年学級が成功するか否かは相当大きくその主事の人物にかかつておると存じます。青年慕われ、尊敬され、魅力のある人で、人格、識見、指導力共に備わり、且つその思想的傾向につきましては格別留意されて人選されるよう、文部省は各府県の教育委員会を指導する必要があると存じます。 又青年学級の学習内容が全くその学級を構成いたしておる青年の希望によつてのみ決定されるようでございますけれども、それも必要には違いございませんが、今日日本の青年に補習教育をするということにつきましては、当然日本の国家的要請がはつきりとそこに存在いたしておるわけでございます。これにつきましては文相が市町村の主事補を講習されますときに、そういうことをも教えるのだろうと存じますけれども、青年の意欲にのみ任すことなく、必ず国家的要請に副いますような学習内容も含めることを強く要望いたします。 なお当然男女共学になると存じますので、年令から考えましても地方の実情によつては夜学になるところもあると存じまするので、風紀問題が懸念されます。性のために一生を誤るようなことのないように、明日になつては遅過ぎないような指導が必要であると存じますと同時に、各府県には一人の主事は必ず女性、或いは主事補の名前でもよろしうございますから、経費がなければ当分の間は名誉職でもいいから、その市町村内におる人望あり能力ある婦人を必ず一人は青年学級の中の女子青年の指導に当らせることを強く要望いたします。かくて身も心も共に頼もしい第二国民を養成されますことのために万全の措置を払われることを強く要望いたしまして、改進党を代表いたし、賛成いたします。
○安部キミ子君 私は只今議題に上りました青年学級振興法案に対しまして社会党第四控室を代表いたしまして反対の意見を表明いたします。 先ほど相馬委員から非常に当を得た反対意見がございましたが、私も同じでございます。今国会を通して私が反省いたしてみまするに、自由党乃至政府御当局が出されました提案は概して再軍備に繋がる提案が多いように思います。そこには何か国際的な、或いは国内的な一貫した軍備を中心として政治が動いているという感じを深くいたしておる次第であります。その観点からいたしましてもこの青年学級法案というものが再び戦争への一段階としての教育の場として使われようとしているのではないか、ということを強く心配いたしますが故に反対をいたします。以上であります。
○高橋道男君 私は青年学級振興法案に賛成をいたします。 勤労青年の勉学の意欲の旺盛なことにつきましては、質疑の段階におきまして質疑者からも又政府からもそれぞれお認めになつた強い御発言があつたと思うのでございまして、これについては改めて触れる必要はないと思うのであります。ところが、現在の我が国の社会におきましては、財政その他いろいろの理由からいたしまして、この勤労青年の勉学の意欲を満たすための十分の施設がない、或いは直ちには設けられないということは誠に遺憾なことでございます。相成るべくはこういう青年に対しましても正規な学校教育法による学校におきまして勉学の機会が与えられるならば誠に仕合せとするものでございますけれども、現在直ちにはこれが行い得ないというような状況におきましてはこの法案に盛られたような青年学級を各地の青年の意欲に応じて設けて行くというようなことは、私は当を得た措置だと思うのであります。併しながら、先ほど相馬委員も触れられましたように、この青年学級といえどもだんだんと組織化し、体系化するに従いまして、現在においてはこれを求めんとする青年の間におきましても、ただ単に勉学ができればいい、勉学の後において何ら資格を与えられる必要はないというようなことを申しながらも、だんだんとこれが体系づけられるに従いまして自分の身分とか、資格とかというものに対する欲求も自然に起つて来ると思うのであります。そういうようなことも勘案いたしまするならば、学科課程などにつきまして適当な配慮を加えて定時制の高等学校なり、或いは全日制の高等学校への連絡を考える。或いは試験によつて上級の学校への進級の方法も考慮するというようなことも考えられるべきものでありまするし、又一方定時制、全日制の学校が普及するに従いまして、そちらへの転移というようなことも当然考えて然るべきことだと思うのであります。 なおこの際一言申しておきたいのは、この法案を見る人の一部にとりましては、これが或いは官僚統制を招くと、或いは旧時代的な指導を与えるというような懸念を与えるために反対をされる向きがあるのでありまするが、この法案を素直に受取るならば、そういうような意図は私は少くとも感じ得ないのであります。但し、そういうようなふうに考えられる向きもあるということを施行当局がよく勘案されまして、そういうような虞れのないように、学問の自由というような上からこの法案の第一条の目的に掲げられている通りの目的を果し得るように十全に運営せられんことを希望して私の賛成意見とする次第であります。
○剱木亨弘君 私は自由党を代表して本法案に賛成をいたすものでございます。 賛成の理由といたしまして一言申述べたいと思いますのは、勤労青年を対象といたしまする教育の歴史を私ども振返つてみますれば、産業に従事いたしまして教育を受ける機会のない青年に対しまして、何とかして教育の機会を与えたいということが産業教育の振興と相伴つて起つて参りました。その初期におきましては実業教育補習学校というような形におきまして起つて来たのでございます。これは皆さん御承知の通りでございますが、その発展の過程におきましては、全くこの民間におりまする有識者が本当にこの教育のために身を投げ出して草鞋履きで各青年を説き、又業者を説いて産業青年に対しまする教育の機会を与える努力が払われまして、この実業補習教育というものが次第に発展いたしまして、大正の末期、昭和の初期におきましてこれが常態になりました。その後これが今、相馬委員も戦犯のごとく言われましたが、青年学校として誕生して参つたのでございます。私は青年学校自体に対しまして、我々教育的見地から申しますと、青年学校それ自体が、この勤労青年の教育として極めて有効なる役割りを示して参つたのでございますが、戦時中において不幸にして青年訓練所、いわゆる兵事訓練を主とするものに合併をいたしまして、いわばそれに乗取られまして参つて、ここに青年学校の性格が軍国主義に傾いて来たというようなことになつて参りました。不幸にして青年学校が今日戦犯のように言われておりますけれども、青年学校教育そのものの受ける非難は、いわゆる青年訓練所との合併がなかりせば青年学校教育に対しまするところの非難はこれはすべての小、中学校、高等学校、大学等と同じように明治憲法下におきます学校の教育内容及び方法等につきます、いわゆる一般的に受くべき非難は共通に受くべきものがあるといたしましても、青年学校自体が飽くまで青年教育の対象であつたということはこれは間違いのない事実でございます。私は軍事訓練所と合併した途端においてその長年の苦心の正しい勤労者の教育という面はそこで滅びてしまつたというふうに考えておるのでございます。従いまして今青年学校が終戦と同時に、全くこれが廃止されまして、僅かに定時制という形を以て残つて参つたのでございますが、従いまして勤労青年に対する教育はまさに根こそぎ御破算になりまして、今ここで初めて我々は再び再建をして行かねばならんという実情にあるのでございます。従つてこの青年学級という形におきまして、自然発生的に青年がこの向学心を満たす一つの努力が行われて来たということは、ここに私どもは新らしい意味の勤労青年の教育というものがここに発足をして来つつあると思うのでございまして、今、高橋委員からも申されましたが、これがやがてはこの勤労青年の教育について大きな体系が与えられて行くという一つの発足点といたしまして、これはその発足当初におきまして法的根拠を与え、又国の援助の途を開いて、この発展に国がやはり協力して行くという形が生まれましたことを心から喜ぶものでございます。ただ先ほど須藤委員からお話がございましたが、この十一条と十六条の関係でございますが、私も又この青年学級が一つの政党色を帯び、又一つの政党、特定の政党に利用される形になりましたならば、この青年学級は失敗をいたすものと考えるのでございまして、この両条の運営につきましては、極力十分の御留意を願いたいと思うのでございまして、その希望を述べまして本案に賛成いたすものでございます。
○委員長(川村松助君) 別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(川村松助君) 御異議ないと認めます。 それではこれより採決に入ります。 青年学級振興法案を議題といたします。本案を可決することに賛成のかたの起立を願います。 〔賛成者起立〕
○委員長(川村松助君) 多数でございます。よつて青年学級振興法案は多数を以て可決することに決定いたしました。なお以下事務的の処理は慣例によりまして委員長に御一任願うことにして、本案を可とされるかたの御署名を願います。 多数意見者署名 高橋 道男 高木 正夫 谷口弥三郎 剱木 亨弘 吉田 萬次 瀧井治三郎 上原 正吉 長谷部ひろ 深川タマヱ 三好 英之 大谷 贇雄 —————————————
○委員長(川村松助君) 次に高等学校の定時制教育及び通信教育振興法案を議題といたします。
○高橋道男君 私は只今の法案に賛成の意見を申述べたいと思います。勤労青年に対しましていろいろな施策が考えられて参りますことは誠に結構なことでありまするが、その学校教育における面を考えまするときに、それは主として定時制の教育にかかることが多いと思うのでございます。そういう観点に立ちますときに、今回のこの提案がなされましたことは、誠に当を得たことと申さなければなりません。この法案によりまして今まで施行されて来た勤労青年を対象とする定時制教育が、更に一つの強い拠点を得て将来への力を得ることになることを希望するものであります。ただここに考えなければならんことは、この法案が提案された一つの大きな理由は、法的措置を与えて予算の獲得に資したいというようなところにあると思うのでありまするが、そういう点から考えまするときに、この法案は或いは極めて微弱なりと批判せざるを得ないかと思うのであります。提案者におかれては、あつてもなくても、ただあつたほうがよいというようなふうに質疑の段階において御発言があつたかと記憶するのでありまするが、私はあつたほうがいいというようなことではなしに、只今予算を獲得する上について法的措置が必要だ、法的措置がなければ予算獲得に十分な力を得ることができないというようなことから考えまするならば、私はやはりこの法律はなくてはならんというように考えるのであります。併しながら今申すように、極めて微弱であるというような点から考えまして、私は次のごとき附帯決議をこれに附したいと思うのでございます。その附帯決議はお手許にそれぞれお配りしてあると思いまするが、これを一度朗読いたします。 高等学校の定時制教育及び通信教育振興法案に関する附帯決議 本委員会は、高等学校の定時制教育及び通信教育振興法案に対して次の通り決議する。 一 高等学校の定時制教育及び通信教育の施設についても速かに国庫補助の措置が講ぜられるよう考慮すること 二 公立高等学校の定時制教育及び通信教育に従事する校長及び教諭、養護教諭、助教諭、養護助教諭、講師並びに事務職員に対する給料その他の給与に対しても速かに国庫負担の措置が講ぜられるよう考慮すること 三 高等学校の定時制課程に通学する生徒の雇傭主が生徒の修学を積極的に援助するように政府において奨励する措置を講ずべきこと 以上であります。なかんずくこの第二の項目につきましては、定時制教育を盛んならしめようとするためには、是非ともとられなければならない措置でございます。後刻審議に付されるべき勤労青年教育法案というものが議了されますならば、当然こういうことは含まれて来るのでありまするが、只今の段階において議了できるか否かもわからないこの段階におきましては、私はこの項目を強い意思を加えて是非実現するというような意味を以てこの決議の一項目にしておきたいと思うのでございます。 以上簡単でございますが、私の意見を加えまして、衆議院から私立学校をも加えて修正されて参りました本法案に賛成の意見を表する次第であります。
○須藤五郎君 私は日本共産党を代表いたしまして、この法案に反対の意見を述べたいと思います。 この法案の性質そのものは反対すべき筋合のものでもないと思うのでありますが、この法案自体が非常に不完備な法案であるという点で強く反対を申したいと存じます。提案者自身も大変お気の毒でありますが、おつしやつておりましたように、この法案は最低限の法案だということをみずから認めていらつしやる。これまでの委員会におきまして私は再三述べましたように、最低の法案を出すということはどうかと思うのであります。特にそれが議員立法であるだけに問題は私は大きいと思うのであります。なお、社会党の荒木君から、勤労青年教育振興法案というものがこの委員会に提出されて継続審議になるということを聞いておりますが、この両法案を比較し、更に青年学級振興法案、この三法案を検討いたしますと、私は一〇〇%満足するものではありませんが、勤労青年教育振興法案のほうが優れた法案だということを感ずるものであります。ですから先ほども申しましたように、この三法案を休会中の継続審議として一つの法案にまとめて、よりよき法案を作ることがこの委員会としての使命ではないかということを私は再三申上げて参つたのでありますが、私の申上げることは通らないのでありますが、そういう立場からも、私は二の最低の法案を通すということに対しましては、大きな異議を持つものであります。なお、提案者は予算がなかなかとれない、もつといい案を作りたいんだが、予算がとれないからこの最低線で満足するのだということをおつしやつていますが、僅か一千万円余りの予算しかとれないということは、如何に政府当局がこれに対して熱意を持つていないかということを表わしているのじやないかと思うのです。一千万円と言えば保守党の議員さんならば選挙費用に過ぎないと思うのであります。その一議員の選挙費用に過ぎないような金を出して、それでこの法案に紐を付けて、そうして日本の勤労青年に対して如何にもよきプレゼントをするがごとき顔をなさるというのは少しどうかと私は思うのであります。金を出そうと思うならば、保安隊で使う飛行機一台始末すれば何十倍の金が立どころに出る。本当に日本の政府が教育に熱心なのならば、飛行機一台、戦車一台を犠牲にして金を出すことは何でもないことだと思うのでありますが、そういうことを少しもしようとしない、そうして一千万円足らずの金で青年に大きなプレゼントをしたというような顔をされては、私は日本の青年を代表しましてもつと大きな不満を述べなくちやならんと思うのであります。ですから、そういう点からも又もつとじつくりと考えてよき法案を作らなくちやならんという立場からも私は反対の意思を表明しなければならないのであります。
○深川タマヱ君 私はこの定時制高校は今日の日本の諸般の要請に応えて生れた大切なものだと存じております。併し地方財政の困窮に加えまして国庫の補助が少いために折角制度といたしましては存在いたしておりましても、その教員の質と量並びに設備の点で遺憾なところが多いように存じますので、今後国庫の補助を増額いたしまして内容の充実を図り、所期の目的を十分達成いたしますために、高橋さんのお出しになりました附帯決議を付けまして原案に賛成いたします。
○成瀬幡治君 九州、和歌山を中心として二大水害が起りました。この被害が余りにも大きいところから、政治に対して批判と申しますか、批判の声が起りまして、結局政治力が欠如して陳情政治になつてしまつて、予算が食い散らされてしまつて、危険であるというようなことがわかつておつても、それに対して何ら手を施すことができない、政治力の貧困である、こういう声が起り、そうして水害は天災ではなくて人災であるというような声すら起つておるのでございます。そういうことが私はこの文部省において言えると思う。食い散らしである。何を全体やろうとしておるのか。勤労青年の教育について重要性があるということは、どなたも異議のないことであると思います。私たちも必要と認めまして多くの人の御賛成を得まして勤労青年教育振興法案というものを提出いたしております。本委員会には同時に提案理由が説明されて、付託もされておるわけでございます。本当にやろうとするなら、私は私たちの出しておるような法案でなければ、私は期待を持つことはできないと思います。本法案が勤労青年の要求に応えるところの申訳のものであつたり、或いは定時制高校に携わるところの教員諸君の要望に応えてごまかすような法案であつてはならないと私は思う。高橋委員が附帯決議として施設の問題であるとか或いは高校教員の給料の問題であるとか、或いは事務職員の給与などにつきまして、或いは雇用主が若干の補助を与えて、定時制高校に進学する場合の援助をするような政府の措置を講じなければならないというような附帯決議を付けられたというのは、私は尤もだと思う。この附帯決議は私は飾りものじやないと思う。この附帯決議が生きてこそ恰好がつく法案であると思います。私は高等学校の定時制教育及び通信教育振興法案にこの附帯決議がくつ付いて併せて一本になるものである。従つてこの決議は法案と同じように生かされるものだ、こういうふうに確信をいたしまして、只今議題となつておるところの法案に対しまして賛成の意を表するものでございます。
○剱木亨弘君 私は自由党を代表しまして高橋委員の附帯決議を含めて本法案に賛成するものであります。なおこの機会に定時制のいわゆる勤労者を対象といたします教育は、終戦後殆んど根こそぎなくなりまして、僅かに定時制として残つて参つたのでございますが、これが私は将来大いに発展することを念願する一人でございますが、この予算の措置等におきましては、極めて困難を極めて、なお曾ては義務教育と同じように教員俸給等が半額国庫負担でございましたのが、現在平衡交付金の中に入り込んでいた関係で定時制高等学校及び通信教育の発達を非常に阻害していると思うのでありまして、この附帯決議にありますように、これは国庫負担を再現することを念願いたしておるものでございますが、少くとも現段階におきまして、その設備等におきまして国及び私立学校を含めましてその補助の道を開くことをはつきり法律できめて頂いたという努力に対しまして、私は提案者に対して少くともその努力に対して感謝の意を表して本法案に賛成するものであります。
○長谷部ひろ君 私はこの法案に賛成をいたします。併しながらこの法案におきましては、国の負担及び補助金につきまして給与の面は何ら考えられませんし、又施設設備に要する費用につきましても、十分に考慮が払われておりませんことは、卒直に認めなければならないと思います。で、今後はそれらの点を十分に考慮せられまして、勤労青年教育の機会を拡充せられましてなお勤労青年振興法案が一日も早く実現されることを期待いたしまして賛成するものでございます。
○委員長(川村松助君) 討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(川村松助君) 御異議ないものと認めます。 それではこれより採決に入ります。高等学校の定時制教育及び通信教育振興法案を議題といたします。本案を可決することに賛成のかたの御起立を願います。 〔賛成者起立〕
○委員長(川村松助君) 多数であります。よつて高等学校の定時制教育及び通信教育振興法案は多数を以て可決することに決定いたしました。 次に討論中にありました高橋君提出の附帯決議を採決いたします。高橋君提出の附帯決議を付することに賛成のかたの御起立を請います。 〔賛成者起立〕
○委員長(川村松助君) 多数と認めます。よつて高橋君提出の附帯決議を付することに決定いたしました。 なお慣例によりまして事務的処理は行わせて頂きたいと思います。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(川村松助君) それから本案を可とされるかたの御署名を願います。 多数意見者署名 高橋 道男 高木 正夫 谷口弥三郎 剱木 亨弘 吉田 萬次 瀧井治三郎 上原 正吉 長谷部ひろ 八木 秀次 安部キミ子 荒木正三郎 成瀬 幡治 深川タマヱ 相馬 助治 大谷 贇雄 —————————————
○委員長(川村松助君) 次に財団法人労働科学研究所に対する国有財産の譲与に関する法律案を議題といたします。 提案者より提案の理由を求めます。
○衆議院議員(橋本龍伍君) 提案者の橋本であります。財団法人労働科学研究所に対する国有財産の譲与に関する法律案につきまして、提案の理由を御説明申上げます。 財団法人労働科学研究所は大正十年当時の続発いたしておりました社会問題、特に労働問題と時の労働事情とに鑑みまして、その対策の科学的基礎を打ち立てるために倉敷紡績株式会社の社長をやつておられました岡山県の大原孫三郎氏が考え始められまして、自分の経営しておつた倉敷紡績株式会社の一工場を研究実験場に開放して出発いたしたものであります。当時は工場の内容等は非常に秘密といたしておりましたので、これは非常に新らしい試みでありましたが、その後十余年間に亙りまして、医学並びに心理学を中心として労働の諸条件、労働者の生活の諸条件を科学的に究明をいたしまして、改善の方途を講ずる研究を各方面に亙つて集積をいたしまして、次第にその研究が国家的に認められるようになりまして、昭和十二年に日本学術振興会からの勧めがごさいましたので、大原氏は更に私財の追加をいたしまして、これを学術振興会の処分に委ねたのであります。振興会の意見によりまして、その肝入りで新たに財団法人日本労働科学研究所が創設をされまして、東京の祖師ヶ谷大倉に今日の研究所の基を築いたわけであります。その間研究所は施設設備の充実と研究業績を上げるためにずつと努めて参りました。当時は今日の労働省は勿論、厚生省の設置も未だございませんでして、労働行政が内務省、農商務省その他の各省に分散されておりまして、其だ不完全でございましたが、その時代からすでにこの研究所は我が国唯一の先駆的存在といたしまして、労働行政並びに労働現場の条件の改善に関する指導的な役割を果して貢献いたして参りました。その後厚生省の設置後におきましても、その労働監督、指導、保護といつた行政に関する科学的資料の殆んど唯一の提供者でありました。過去におきまする業績といたしまして女子の深夜業撤廃に関しまする資料、それから戦争のために企てられて中絶いたしましたが、義務教育の年限を十二年から十四年に延長しようといたしましたときの文部省の資料、又労働最低年令の引上等の科学的根拠の資料は一に本研究所の研究であつたのであります。このように科学的な資料作成についての国の代行機関的な役割を果しておりましたために、太平洋戦争が始りましてから、政府の勧奨によりまして、労働に関する唯一の中央研究機関といたしまして、大日本産業報国会の傘下に統合をせられたのであります。まあ政府の勧めというより命令によりまして、この法人の所有財産は無償で大日本産業報国会に譲渡をいたしまして、この両団体は昭和十七年一月十日に正式に統合せられました。この報国会が特殊法人でありましたので、譲渡資産の研究所の物的資産等は財団法人産業報国会財団というものを設立して、その所有に帰したのであります。この際の附帯条件といたしまして、将来産報が解散をいたします際には、無償譲渡された全財産は再び労働科学の研究の目的のために、研究所を作つてそのほうへ移すということが申合してあつたのであります。戦さが終りまして、昭和二十年九月三十日に産報が解散いたしましたので、当時の財産は厚生省監督の下に労研に移されることになりまして、労研は一度産報と合体をいたしましたが、戦後再び財団法人労働科学研究所といたしまして、新たな法人を文部省監督の下に作つたのであります。この財産は全部一応ここに引継がれることになりましたが、御承知のように産報が解散団体に指定をされまして、解散の団体の財産の管理及び処分等に関する政令の規正を受けることに相成つたのであります。その第三条に解散団体の動産、不動産、債権その他の財産は国庫に帰属し、これを目的とする留置権、先取得権、質権、及び抵当権は消滅することと相成りました。従いまして、この研究所のいろいろの研究設備でありますとか、図書その他の文献も全部没収されて、普通ならばこの譲渡処分をしてしまうということに相成つたわけでありますが、これでは困りますので、当時総司令部としても、又日本政府の側におきましても、そういうことをする気は毛頭ございませんので、いろいろ研究の結果、この政令の第十一条の中に国又は地方公共団体において公共用又は公用に供すべきものとして連合国最高司令官から指定されたものについても法務総裁はこれを各省各庁の長に所管替えして監視させることができるという規定を適用いたしまして、事実は労働科学研究所が昔の研究をやるわけであります。一応の形として、この研究所は文部省所管の行政財産で大部分は今まで通りに使う、ただ公用財産としての形を整えまするために、たまたまその当時建物がなくて困つておりました文部省の直轄研究所であります統計数理研究所に一部を使わせ、それから労働省の仕事を一部代行しておりますので、まあ衛生課に一部を使わせる、それから図書については国立国会図書館にこれを使わせるということを総司令部で指定をいたしまして、日本政府もそのように措置をいたして参つて今日に至つたのであります。戦後におきましてもいろいろな多難な労働事情の下にありまして、労働行政の実施基準でありますとか、いろいろな点につきまして、やはり労研はいろいろと半国家的仕事を続けて参りまして、例えば職業別食糧配給の基準を定めましたり、農家の保有米の基準を定めましたり、或いは電通省、郵政省その他の労働基準を定めましたり、いろいろな点において本研究所は働いて参りました。ところが今日の状態で誠に困りますのは、従来から引続いてずつと研究所がやつておるのですが、財産は全部国有ということに相成つたのであります。形式的には約年に二十万円ばかりの借賃を払いまして、文部省のほうは、やはりそれに相当するくらいの極く僅かな維持費を国家において払つておるような恰好でありますが、何分にも全部国有財産でありますので、勝手にまあ手が着けにくい、それかと申しまして、文部省のほうでは格別自分の仕事ではないわけでありますから、予算をとつてこの設備の改善拡充をやるわけでもないということでありまして、その後新規の研究、設備の改善拡充ということなどにもいろいろ支障がありますので図書の研究につきましては、国会図書館に非常に御厄介になりまして予算を追加して頂いて、いろいろ戦時中乱雑になつておりました図書の整備をいたしたり、いろいろな点で恩恵をこうむつたので、感謝いたしておるところでありますが、ただやはりこれにつきましても、従来からありました図書が一応国にとられた形で国会図書館が持つておられ、その後国会図書館が買わされたものであります。 なお又労働科学研究所の研究のレポートと引替えに全世界の各国から集つて参ります労働科学研究所で新規に集めた書籍とか、いろいろなふうにごちやごちやいたしまして、これもやはり末長い将来の問題としては、本来の研究所がやはりこれも持つて利用するという形が一番便利なわけであります。こうした事情から見まして、いろいろ大蔵省、文部省、国立国会図書館その他の方面とも御相談を申上げました結果、単に戦時中国に移つたものを返すというふうな趣旨の問題ではありませんけれども、やはり従来からずつと研究所が利用して参り、今後といえどもやはり研究所に利用させるより仕方がないし、又、研究所にフルに利用させることによつて国家的にも非常に工合がいい、今の犠牲的な関係をおいておくことは非常に困りまするので、本法の第一条に書きましたように、唯一の労働科学研究機関でありまするこの研究所を助成して、労働科学に関する研究調査の発達に資するために、本来の財産を研究所のものにして行きたいというのがこの法律の趣旨でございます。なお図書或いは統計数理研究所と、現在労働科学研究所の施設を御利用願つておる分につきましては、引続いて国が使用することを必要とするときは引続いてやつて行けるようにこの規則で書いてある次第であります。 なお簡単にこの研究所の今日の形を申上げます。この労働科学研究所は文部省所管の財団法人でありまして、財団法人として文部省の監督を受けておりまするほかに、予算的にも約年間三千万円ばかりの予算の中で六百万円ばかりが文部省の科学研究費その他政府のいろいろな機関からの委託調査費であります。この科学研究費の面から通じても、文部大臣の監督を受けておるのであります。理事長が松岡駒吉、理事が大原総一郎、桐原葆見、工藤昭四郎、森戸辰男、野田信夫、提案者でありまする私、進藤武左衛門といつたような人、東畑精一、永田清といつたような人々でありまして、全部理事の給与は、無給であります。今日までかなりな業績を挙げて参りまして、今後におきましても相当な働きをすることができると考えられておるのであります。何とぞ御審議の上、御賛成あらんことをお願いいたします。
○委員長(川村松助君) 只今提案の理由並びに説明を承わりました財団法人労働科学研究所に対する国有財産の譲与に関する法律案につきまして質疑に入りたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(川村松助君) 御異議がないようでありますから質疑に入ります。なお質疑は総括、逐条と分けず、一括して質疑を行いたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(川村松助君) 御異議ないようでありますから、さよう決定します。
○深川タマヱ君 最初この機関が国家に接収されたときは、全然無料で接収されたのですか。それから今回又払戻すというのですか、そういうふうになりますときも全然無料でなさるのですか。
○衆議院議員(橋本龍伍君) 最初政府に接収というよりも、政府の命によりまして、無償で大日本産業報国会に譲渡をいたしまして、報国会と財団法人労働科学研究所が統合するという形をとつたわけであります。無償で譲渡されたわけであります。それから今回も無償でこの関係を元へ戻して頂くというのであります。
○深川タマヱ君 もう一つ、今後この機関の運営費は一体どこから出るのでございますか。
○衆議院議員(橋本龍伍君) 大体年々の予算はいつでも大体形がきまつているのでございまするが、昭和二十七年度の収支決算書によりますると、収支とも大体三千万円の中で、文部省の科学研究費、農林省だとか、郵政省だとか、いろいろな所からの委託調査費、こういうものが合計いたしまして約七百万円弱であります。それから或いは船員厚生協会とか、日本化学繊維協会といつたような団体或いは各会社の労務関係の調査をやつておりますところの委託調査で約千百万円ばかり、そのほかに特にこの研究所の仕事を助成するための維持会員というのがありまして、これが今約三百五十万円、そのほか出版収入その他がありまして、合計して約三千万円ばかりの収入であります。支出は大体研究所の人件費でありまするとか、そのほかの実験関係の費用であります。例年大体同じような状態でありまして、文部省の監督下に理事団がいろいろ苦心をいたして今日の運営をいたしておるのであります。
○高橋道男君 簡単なことをお伺いいたしますが、国有になつてから後に、国費を以て施設、設備、図書など追加されたものがあると思うのでございまするが、この法案によりますと、そういうものも一切含めて無償譲渡というふうに書いておられますが、そう解釈してよろしいのですか。
○衆議院議員(橋本龍伍君) この法案には第二条に、これこれを譲与することができると書いてあるのであります。この点に関しましては、この研究所のほうとしては政府のお考えによりまして、国会図書館のお考えによりまして、全部御譲与を願えれば結構でありまするし、それから又この国会図書館の予算を以て附加せられました部分については御留保願つて、元のものをお返し願つてもそれは非常に結構なのであります。ただこのいろいろ今までに閲覧施設ですとかその他についてもいろいろ御面倒を見て頂いて、これは国家的にも非常に結構でありまするので、今後も若し国会図書館のほうでやはりこれを国会図書館としても利用しようということでありまするならば、附則の第二号の規定で引続き御使用願うということで、一体としての効果を発揮できると考えておる次第であります。ただ私たちの考えておりまするのは、これがどこかよそへ持つて行かれますと非常に困りまするので、研究所の物理学、化学、医学といつたようないろいろな実験設備等一体で文献を使用するために、その傍に置きたいというのが我々の念願でございます。今仰せられましたことについては、どつちでも決定ができまするので、国会図書館の御意見に従つて善処いたしたいと思います。
○委員長(川村松助君) ほかに御発言ありませんか。御質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(川村松助君) それでは質疑は終了したものと決定いたします。ちよつと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(川村松助君) 速記をつけて下さい。 財団法人労働科学研究所に対する国有財産の譲与に関する法律案につきまして、討論を省略いたしまして直ちに採決することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(川村松助君) 御異議がなければさよう決定いたします。 財団法人労働科学研究所に対する国有財産の譲与に関する法律案に賛成の諸君の起立を願います。 〔賛成者起立〕
○委員長(川村松助君) 全会一致でございます。よつて財団法人労働科学研究所に対する国有財産の譲与に関する法律案は、全会一致を以て可決することに決定いたしました。なお以下事務的の処理は慣例によりまして委員長に御一任願うことにして御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(川村松助君) 御異議がないようでありますから さよう決定いたします。なお本案を可とされたかたは順次御署名を願います。 多数意見者署名 高橋 道男 高木 正夫 谷口弥三郎 剱木 亨弘 深川タマヱ 吉田 萬次 瀧井治三郎 上原 正吉 長谷部ひろ 須藤 五郎 八木 秀次 相馬 助治 成瀬 幡治 大谷 贇雄 —————————————
○成瀬幡治君 田中さん先ほどお見えになつたわけですが、社会科のことについて大臣から御答弁頂きましたのによりますと、社会科を全然なくする意思はない。併し教育課程審議会の答申が間なく出て来る。そうしたなら文部省としては肚をきめるつもりである、こういう御答弁を頂いた。これだけでは少しわかりませんから、もう少し具体的に御説明が願いたい。
○政府委員(田中義男君) 教育課程審議会の答申につきましては、只今大体社会科並びに道徳教育に関する分科会の意見がまとまりまして、そうして一昨日総会を開きまして、その総会にその分科会の答申をかけまして、そうして一昨日、昨日と更に検討されまして、なお字句等の関係もございまして本日も恐らくその修正についての相談がなされつつあると思うので、それでその答申の内容ですけれども、社会科に関しましてはその当初の狙いそのものはこれは非常に結構なことであつて、その目的、或いはその本旨についてはこれを育てて行きたい。ただ併し現実只今の状況を顧みます場合に、非常にそれが誤解をされたり、或いは運用の面で行過ぎたり、足りなかつたり、いろいろ改正、改善すべき点があるので、それらの点については十分なこの際検討を加えて改善をなすべきである、かような大体において趣旨になつておるのでございます。それでその答申案が恐らく総会においてそのまま認められるだろうと思いますけれども、それが文部省へ答申として参ります場合に、文部省がそれをどのように具体的に対策を立てて進んで行くか、こういうことは今後の問題でありまして、その答申を得ました上で当局としても検討をいたしまして具体化いたしたい、かように考えるわけでございます。
○成瀬幡治君 そうしますと答申を得てから文部省は受入態勢を考えると、こういうお話でございますが、そうした場合にこれはやはりあなたのところのこれは担当になるわけですか、責任は主として。で、もうそれに対して実際は内々として受入態勢の組織めいたと申しますか、機構と申しますか、組織みたいなものがあるわけじやないですか。
○政府委員(田中義男君) その所管といたしましては主としてやはり高等学校、中学校、小学校の社会科の問題でございますから、初等中等教育局になります。それでもうすでに何か受入態勢といいますか、受けた場合の処置について具体的に考えているのじやないかというお話ですが、別に今そのための特別な受入態勢と申しますか、どうしようかということを具体的にまだきめておりません。
○成瀬幡治君 念を押すようで悪いわけですが、その社会科に対して答申案というものの内容に若干触れると思うのですけれども、全然社会科というのをなくしちやつて修身……、まあ道徳教育ですから何という名前になるか知らんが、それから歴史、地理と、こういうような三本建が内容であるのか、そういうものをやりつつ片一方では社会科というようなものが結構であるから、それも育てなくちやならない、こういう形になつておるのか。まああなた内容は若干知つておいでになると思いますから、少し御説明して頂きたい。
○政府委員(田中義男君) これは一つ答申案がいずれすぐ出ますから、出た上で十分御覧頂きたいと思つておりますが、お話のような意味でこの三本建に分けて、つまり昔のような形においてこれを分割してしまうのだというようには答申案は書いておらないと記憶しております。
○成瀬幡治君 まあそれ以降文部省はどうだなんということを聞くのも野暮だと思いますから、私は一つ慎重に……、確かに社会科が設けられたその狙いというものは、私はこれは一つの教育の上において重大な意味のあるものだと思うのです。それをあつさりいけないからと、こういうふうに右から左に移るような調子に移るのもいかんと思いますから、慎重に取扱つて頂きたいということをお願いして、次に私などの手許に給食のことについていろいろと陳情と申しますか、そうしたような手紙が来ておるわけでございますが、今現に給食を受けておる対象となつておるのは全児童の何%ぐらいで、何人ぐらいになつておるかということを伺いたい。
○政府委員(近藤直人君) 只今給食実施の対象人員は、これは二十七年の十一月現在の調査でございますが、五百八十五万、全児童は教員を入れまして千百五十万といたしますると、約半分ちよつと、これに若し中学校を加えますると、約千七百万になります。只今のところ実際やつておりまするのは小学校だけでございまして、これが先ほど申上げた五百八十五万、そのうち完全給食と申しますか、ミルクとパンを共にとつておりますのがそのうち四百二十三万、残りがミルクだけをとつておるものであります。
○成瀬幡治君 予算関係はどんなふうになつておりますか。
○政府委員(近藤直人君) 只今の予算は農林省所管の食生活改善費の項に計上してございます。食生活改善費といたしまして、パンに使います原麦の二分の一を負担する意味合いにおきまして十六億五千万円、これは食管特別会計へ繰入れるという目でございますが十六億五千万円、それからミルクにつきましてはこれは父兄負担でございまするが、金融機関から一時金を借りますので、その利子補給金といたしまして約五千六百万円計上してございます。これもすべて農林省の予算に計上してございます。
○成瀬幡治君 まあ小学校の生徒の約半数を対象にして約十六億五千万と五千六百万円ですから、約十七億のお金が使われておるわけでございますが、あとの半分については何もやつておられないのか、承わるところによると、あなたが何か全国の給食の会長か何かやつておいでになるようでありますが、会長さんは自分の会関係の生徒だけを対象にしておればそれで結構だ、あとは放つたらかしておいて結構だと、こういうふうに考えてはお見えにならないと思う、そこでほかの問題についてはどんなふうな今後施策をとろうとしてお見えになるのか、或いは現にこういうことをやつたことがあるとおつしやるならば、一つここでそれを聞かして頂きたい。
○政府委員(近藤直人君) 只今は先ほど申上げましたように、約半数の児童を対象にしておりますが、理想といたしましては、これはすべての義務教育学校の児童生徒に及ぼしたい、なお、先ほどちよつと私申上落しましたが、そのほかに厚生省関係の保育所につきまして、これはちよつと数字は忘れましたが、保育所の児童につきましてもこれは実際に予算上に見ております。それで理想といたしましては、義務教育の学校の児童生徒すべてを対象にいたしたい、かように考えております。それから只今学校給食会のお話がございましたが、この財団法人学校給食会の私只今会長をいたしておりまするが、この財団法人学校給食会の仕事といたしましては、これはミルクを外国から買付けまして輸入いたしまして、それを各府県の教育委員会に輸送いたしまして配分をする、まあこれが主たる仕事でございます。その他学校給食の普及宣伝、或いは学校給食関係職員の講習会、そういつた仕事が主でございます。まあ一番大きな仕事は、先ほども申上げましたミルクを買付けましてこれを配給する、これが主なる仕事でございます。私まあ会長になつておりまするが、決して適当であるとは考えておりませんので、これは他に然るべき人がございましたらそれに譲りたいと、かように考えております。
○成瀬幡治君 いやいや、私はあなたが給食の会長さんだが、それがいいとか悪いとかということはここで言うべきことでもなし、又私も言うだけのことについて研究は実はいたしておらないのです。私の聞きたいのは、児童の約半数が恩典に浴しておるわけです。ですから、あとのものに対して何か文部省としてはやつたことがあるのか、計画があるのか、こういうことについて承わりたいと思います。
○政府委員(近藤直人君) 先ほどお答えが少し足りませんでございましたが、そのほかに現在自主的給食と申しまして、例えばこれは長野県で主として行われておりまするが、殆んど長野県では全県下に行われておるそうでございますが、要するにパンとミルクを用いませんで、味噌汁と米を給するというような自主的給食が非常に行われておるのであります。これを我々考えておりまする学校給食の範疇に入れるかどうかという問題が一つあるわけでございますが、これはまあ一応只今の判断といたしましては、これは学校給食とは見られない、漸次これを文部省が指導する学校給食と言えば、やはりパンとミルク、それから副食、これをとる学校給食に改善して行きたい、こういうふうに考えております。と申しますのは、学校給食と申しますのはいろいろ目的がございます。教育的な目的もございますが、更に栄養的な目的がございます。例えば児童に対して一食当り六百カロリーをとらせるということが今きめられております。六百カロリーをとるためにはパンを一食当り百グラム、それからミルクを二十二グラム、そのほか副食を若干とりまして、これによつて六百カロリーがとれるというような栄養的な見地からも配慮されておりますので、その自主的給食が果してこの六百カロリーとれるかどうかという点につきまして検討しなければならんということになつております。
○成瀬幡治君 その自主的給食に対しましては全然補助が行つていない、悪く言えばあなたのところでミルクなんぞを飲まないから、これはちよつとえらい失礼な言い分でございますが、ミルクなどを飲まないから、何というんですか、補助対象にしない、どうもひがんで私は解釈されるというようなことがあるといけないと思います。確かに一つの規格があるということは私も認めますが、こういう所に対してもう少し何とか折角自主的にやつているんですから、目をかけてやるというようなことは考えてお見えにならないんですか。
○政府委員(近藤直人君) 折角自主的に、殊に長野県のごときは県の条例を出して非常に立派にやつておるそうでございます。それで私のほうから実は実地に見学に参つたこともございます。こういつたものに対しまして全然文部省として放つておくということも、誠に御指摘の通り如何かと思いますので、今後これらに対して何とか方法を考えまして、その物資に対して補助するというようなこともこれは考えるべき問題だと思つておりますが、それに先立ちまして先ほど申上げましたように、やはりこれは栄養的な意味もございますので、果してそういう自主的給食を今後政府が勧進する、いわゆる給食の体をなすかどうかということにつきましては相当問題があろうかと思います。例えば東北の農村におきまして米が非常に多い。新潟は米がとれるから米を食つて、そうして味噌汁を吸わせる、これが自主的給食だ、これに対して政府から何らか補助をもらいたいという話がありました場合に簡単にそれはやるというわけにも行かない問題ではないか、こう考えるのですが、一応私どもの考えております学校給食につきましては、先ほど申しましたようにパンとミルクとそれから副食というような、一応これは長年の経験並びに研究の結果、そういう一応方式が出ておりますが、併しながら例えば農山村に対してパンをやることはどうかという意見もこれは間々ございます。それらにつきましてはまあ取りあえず漸次ミルクを飲ませる、これはミルクは御承知と思いますが、動物蛋白質を多量に含んでおりまして、而も廉価で、廉価と申しますのは、これは普通の牛乳との比較になりますが、廉価で而も多量に手に入るものでございますので、これを先ず農山村に普及して行つて漸次米食を粉食に切替える、これは食生活の改善の趣旨になりますが、そういつた方向で実は指導しております。先ほど申しました五百八十五万のうち、四百二十三万が完全給食と申しましたが、これは主として都市でございます。従つてミルク給食は都市が主でございます。郡部のほうがミルク給食が現実的には普及されておりません。勢いそういう結果にならざるを得ないのであります。将来の形としてはやはり完全給食を漸次普及して行きたい、かように考えております。
○成瀬幡治君 私は何かミルクとパンでなければならない、食生活の改善というようなことがあつて……、これはよくわかりますが、実際私の生れましたところの農村であるとかいうようなところは、実際お米も若干余裕があるとは申せませんけれども、とにかくパンを買つて食べる金よりも、家から例えば米を若干持つて行つて一緒に食べるとか、或いは味噌も自家用に作つております関係上、そういうものを持つて行つたほうがやりいいわけです。生徒は救われるわけなんです。そういうことに対して全然見向きもせないということは何かすつきりせないものがあると思う。やはり私はこうした問題については、私は少し政治的にも考慮してもらわないといけないのじやないか、こう思つておるわけでございますが、これは私の要望でございますから、これに対しての私は御答弁を煩わす必要はないと思うのですが、もう一点私は承わつておきたいことは、例えば私は成るたけならば十七億という予算を折角使われるなら、そして而も都市の児童が救われておる。都市は今のところ生活がえらいと言えばえらいと思いますが、片一方ではああいう都市の俸給生活者を考えて見るならば、地域給というものがついて案外恵まれているという見方も実はあるわけなんで、私はこれはどちらがどうだというように軽々に言えないと思いますが、何にしましても都市偏重の問題であるということが考えられる。給食なんかについては特に然りだ。そこで残つておるところの生徒に対しまして何か私は文部省が年に一遍や二遍は私はこういうことをやつたというような手を打つて然るべきだと思う。ですから、計画があるのかないのか、こういう質問に対してあなたは答えておいでにならない。これは私は意識的に計画は実はしておるけれども、ここで軽々に言うべき問題でない、こんなふうに考えて、意識的にお答えがないかと思いますが、私は政務次官に一つそういう点で関連してお尋ねしたいと思いますが、やはり自由党としても私は一つ政策的に……、政党としてと言つちや大変失礼な言い分でありますが、文部次官としてはこういうやり方はよいことじやないかと思う。文部省でも政務次官でも同じだと思う。ですからこうういう問題について何とか一つ努力をしなければならない、こういうふうにお考えになつておるのか、飽くまで頬被りで一つ行こうじやないか、政務次官は一つ就任されてここであとの五百万の者に対して何とかしてやろうというような意見をお考えになつておるのかどうか。これは政務次官に一つお答え願つて、それから関係の管理局長にもお答え願いたいと、こう思うのです。
○政府委員(福井勇君) 政治的に考慮をせよという先の御質問の最後にもお言葉がありましたし、政務次官に一つ所信をという非常に強い御発言がありまして、私もお答えしたいと存じますが、この学童給食のことは御説の通り実に重大でございます。本日成瀬委員がこういうことを非常に御心配下さるということは、さすがに教育方面の専門家としておられる立場から割出されたと承わりまして、敬服しておるわけでありますが、突然御質問が通告いたされましたので、実は心配しまして係りの者を派しまして、どんな御質問でございましようか、私たちの平生の普通の建前では内容を少し知らせて頂きたいというようなことを習慣上やつておりますものですからお尋ねしたのですが、何ら一切言えないというようなことでありまして、私としても十分な用意ができなかつたのが誠に残念至極でございますが、この件につきましては勿論今まで通りそれが金科玉条で現行通りだというようなことは、私の立場としては勿論考えておりません。憲法といえどもそのときその時代の変遷で変わることがありますので、憲法とこの学童給食を並べるのは若干どうかという気がいたしますが、まあ物のたとえがそうでございますが、そのときその時代によりまして十分検討いたしまして成瀬委員の御発言の要旨を体して一つ検討してみたいと思います。なお担当局長をして詳細な数字のことについては答弁さしたいと存じます。
○政府委員(近藤直人君) これは私どもの力が足らないせいですか、まだその普及度が約半数程度で甚だ、遺憾に思つておりますが、是非こういういい制度を全児童生徒に及ぼしたいということで折角努力しております。これは御承知と思いますが、すべて全国の教育委員会のほうを通じてやつておりますので、絶えず教育委員会とは連絡をとりまして打合せ会をいたしましてやつております。又この学校給食会の理事も、全国の教育委員会の課長さんが理事になつております。そういう意味におきましてそういう全国的な連絡は密にとつております。それでこの普及につきましては、絶えず苦心をしているところでございますが、どうも我々の力が足らないせいかまだ伸びが悪い。で、結局これは煎じ詰めますと、財政負担の問題になると思います。これはいつも我々は頭を悩ます問題でございまして、是非この問題を解決いたしたい。今回も予算の要求の際はいつも小麦の二分の一の補助のみならず、ミルクのせめて二分の一をもらいたいということが我々の念願でございまして、こういう要求は絶えず続けてやつておりますが、まだそこまで参つておりません。このたび衆議院のほうで御提案になりました給食法案につきまして初めてミルクにつきましても二分の一以内の補助をするという規定がございますので、こういう法律案ができますれば、今後非常に予算においても結構ではないか、かように考えております。 それからもう一点は結局自主的給食をやつているものに対して全然こつちは手を出さないということではないのでございまして、できますればせめてミルクを農山村の児童生徒にも飲ませるように是非これは御指導願いたいと思いまして、実は絶えず全国の連絡協議会におきましてはこのことを持出すのでございますが、まだそこまで及んでおりませんことは甚だ遺憾に思いますが、せめてミルクを飲ませるということを、この線を強く打出しまして今後指導したい、かように考えております。で、やはり自主的給食になりますと、東北の農山村で米がとれるから米を昼に給食する、又味噌汁を給食するというようなことでは、児童生徒の栄養的な見地から申しまして、必ずしも政府の勧奨するいわゆる学校給食ということにはどうもうまく該当しないのじやないかという考え方に今なつております。勿論この仕事につきましては、文部省だけの問題ではございませんので、厚生省並びに農林省とも密に連絡をとつております。厚生省は主として栄養的な見地から指導されております。農林省は物資の面で協力しております。文部省は学校を管理する立場から三者手を握つてやつております。それでまあ厚生省の意見というばかりではございませんが、やはり学校給食の主たる効果という点からいたしまして、栄養的な見地ということを非常に重視されておりますので、従いまして先ほどの自主的給食に対してどうするかという問題につきましても、簡単にそれをそのまま認めまして、物資に対して或いは国が何らか補助の手を出すということはそう簡単には私は行かないのじやないか、かように考えております。
○成瀬幡治君 予算がすべて伴う問題であつて、私も軽々にこの問題は解決するとは考えておりません。併し父兄のほうの側になりますと、給食の部屋を負担しまして、これを作つておるわけです。そうして乳母車に焚き物や或いは味噌、そういつたものを積み込み、或いは野菜も積み込んでやつておるというのが事実なんです。そういうものに対して少しも見てやらないというのは、私は非常に遺憾だと思う。問題は、厚生省や農林省との関係があるからできないとおつしやるが、文部省がこうした問題に対して本当にやる気があるなら私はできると思う。できないとするなら、それは私に言わせれば熱意が足らんと思う。現に父兄は自分の子供のために、自分の子供なるが故に、乳母車で一里の道を遠しとせずいろいろなことをやつておる、私はこの熱意があつたならば必らずこの問題は解決すると思う。それから先ほど一点触れたわけですが、併しそれも今困難であるとするなら、残つておるこの恩典に浴さないところの生徒に対して、年に一度や二度は、文部省は何とか安いミルクならミルクを配給するとか、或いは倉庫にどうなつておるとかいうようなことを知つておらないとは申しませんけれども、私は物資がないとは決して思わない、やる気があるなら、少くとも文部省が親心があつたならば、私はできると思う。ですから、年に一度や二度は、全児童を対象としたところのそうしたようなことを考えておるかどうか、この点については御説明がないのです。政務次官は御尤もないい質問だなんて私を煽て上げておいて、これをやられずにしまつては何にもならない、ですからやるかやらんかということを私はしつかり御答弁が願いたいのです。
○政府委員(近藤直人君) 只今の御意見識に御尤もな御意見で、実は私ども全く気がつきませんものでございますから、御尤もな御意見でございますので、一つそういう方向で更に考えたいと思います。
○剱木亨弘君 ちよつと速記をとめて頂きたいのですが。
○委員長(川村松助君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(川村松助君) 速記をつけて。
○高橋道男君 先ほど教育課程審議会の話が出ましたが、その審議会で宗教教育或いは具体的に宗教科というようなものについての御審議はどうなつておりましようか。
○政府委員(田中義男君) 教育課程審議会におきまして、宗教科或いは宗教教育という問題について、特に具体的な検討をされておるということは、私はまだ承知いたしておりませんのでございますが、大体教育課程といたしましても、従来いろいろ御承知のようにございますものの範囲で、それを更に新らしい事態に即応するように検討しようということが主になつておりまして、特に宗教科の問題が論議されておるということは、これは新たな問題になると思いますのですが、私承知をまだいたしておりません。
○高橋道男君 これは宗教情操教育に関する決議というのが数年前、これは衆議院がなされたことがあることを承知しておるのですが、そういうような決議があつたことを知れば、なお更審議会などにおいて問題にされなければならんと思うのですけれども、これは問題が、取扱いがむずかしいというようなことで敬遠されておるのか、或いは文部省に何らか別の御方途があつて、別にお考えになつておるのか、その点についてお伺いいたします。
○政府委員(田中義男君) 宗教教育について御承知のように教育基本法も一条を設けまして、はつきり宗教に対する涵養の態度、或いは社会生活上、非常に宗教が大切なものであるというようなことについては尊重しなければならんことは御承知の通りであります。従つていわゆる宗教的情操の涵養ということは、これは教育上、昔からやはり非常に大切なこととして言われておるところでございます。従つてこれは教育課程というよりも、実は教育内容の問題として、そうして取扱うのが最も適当だと考えるのであります。そういつた意味で、教育内容につきましては文部省として全般的に今後十分改善をしなければならん点も検討を加えておりますので、そういつたふうな領域において、私はやはりこの宗教的情操の涵養も考えなければならんと思いますし、さように当局全体としても考えておるのでございます。
○高橋道男君 私は具体的にここで詳しく追求したくはないのでありますが、私の極く狭い見解といたしますと、最近神社に関連して、今申しましたように私の狭い観点では、結果としては憲法違反になるのではあるまいか、というような施策が出て来たと思うのであります。そういうようなことが現在の憲法なり或いは宗教法人というような点からいたしますと、信教の自由或いは政治と宗教との差別というような点にも触れて来る虞れがあると思うのでありまするが、これは宗教に関する教育が徹底していないというところから起つて来ると思うのでありまするが、そういう点につきましては、私立学校だけでなしに、公立学校にもこれは相当具体的にそういう問題を検討して頂かねばならんと思うのでありまするが、信教の自由というようなことに関連いたしまして、何か局長なり或いは次官等にお考えがあればお伺いをしたいと思うのであります。
○政府委員(田中義男君) 信教の自由ということは、これはもう憲法上の重要な問題であります。従つてその自由を犯すような虞れのある行為が、特に教育上あるということはこれは重大な問題でございまして、私どもとしては具体的にどういうふうなことについてのお示しか伺つておらんのでございますけれども、併しさような点については十分留意すべきものと考えます。
○高橋道男君 この問題については、なお私も検討を加えて行きたいと思いますので、本日はこの程度にして、又別の機会に伺います。
○成瀬幡治君 近藤さんにお尋ねするわけでないが、近藤さん或いは政務次官にお答え願いたいのですが、今度の災害で、私は矢嶋委員長からも種々聞いておるわけですが、教科書はまあ送られた、或いは衣料は生徒には特別対象にしていないが、或いは地方全体の人に配つておつて、学童に特別に私は何か手を打たれる、特に農山村まで渡るというか、物質的に子供を慰めてやるというようなことを私は、これは一つ研究してもらいたいと思うのです。これを今すぐここで約束せよということは非常に酷かも知れないが、私は先ほどの給食や何かでも非常に生徒が機会均等を得ていないわけです。やはり教育も機会均等が得られるというようなふうに、今度の災害の子なんか、特に可哀そうだと思いますから、こういうようなことについては一つ万全な救済をして行くというようなことを、途を講じてもらいたい。私は本当にやる気なら或る程度いろいろの摩擦は若干出て来るかも知らんと思うが、併しそのことが官僚と言つては大変失礼なことになりますが、とかく責任のある仕事は実はおやりにならないでしまうのじやないかと思いますから、そういうことではなく、或る程度一つ肚を据えて、親心になつてやつて頂きたいということをお願いするわけでございますが、十分一つ研究して頂きたいと思います。
○政府委員(近藤直人君) 水害地に対しまして児童生徒に対する物資の輸送でございますが、学用品等は輸送してございます。鉛筆とかノートとか或いは地図とか、そういつたものは全部文部省から寄贈を受けまして、現地にすでに発送しております。 それから例の学校給食者のミルク、これは現地の在庫を放出しまして無料で渡しております。で、只今災害地関係の立法化といたしまして、災害地関係における倉庫にありまする給食用の物資のまあ損失補償ですか、そういつた立法もされておりますので、給食のほうに関係いたしましては相当感謝を受けておると思うのでありますが、なおお示しのようなまあ児童、生徒を喜ばすようことにつきましては、今後とも研究いたしたいと思つております。
○成瀬幡治君 私は先ほどの高橋委員に関連して、私も実は社会科の問題ですね。これについては、まあ今日はやめまして、明日文部委員会があるそうでありますから、そのときに質問をしたいと思います。
○委員長(川村松助君) 大いにやつて下さい。本日はこれを以て散会いたします。 午後四時十一分散会