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16回国会参議院1953/09/02

農林委員会農業災害補償制度に関する小委員会 閉会後第2号

発言数
11
登壇者
5
会派数
2
開催日
1953/09/02

会議録

松浦定義改進党

○委員長(松浦定義君) それでは只今から農業災害補償制度小委員会を開催いたします。  本日は本制度の改正に関しまして参考人の御意見を伺うことにいたしたいと存じます。  この際参考人のかたに対しまして一言御挨拶を申上げます。御承知の通り現行農業災害補償制度は、これが実施せられましてまさに六カ年になんなんとしておるのでありますが、その間本制度に関しまして種々な問題が起つて、すでに数次に亘つてこれが改正を見ておるのでありますが、諸般の情勢は今やその根本的な改正の必要に迫られておるのであります。従いまして衆議院農林委員会においてもそうでありまするが、参議院農林委員会におきましては、特に農業災害補償制度に関する小委員会を設けて制度の根本的改正について検討いたしておるのでありまして、これがため今日この問題に御造詣の深い御両氏の御意見を伺うことにいたした次第であります。御両氏におかれましては腹蔵のない御意見をお聞かせ願いたいと存じます。なお本日の小委員会は、先ず御両氏の御意見を伺い、続いて質疑に入り、午後の委員会の都合もありますので、午前中にできるだけ終りたい予定でありまするから、あらかじめ御了承願います。なお参考人として今回は当初は東京農工大学大谷教授と三重県庁奥井農政食糧課長の御両氏を煩わす予定でありましたが、都合によりまして農林省農業総合研究所山内農林技官と奥井農政食糧課長を煩わすことにいたしました。  では、只今から最初に奥井課長からお伺いいたすことにいたします。

奧井亮三郎三重県農政食糧課長

○参考人(奧井亮三郎君) 只今御紹介頂きました三重県庁農政食糧課長奥井であります。共済の事業につきましては、特に専門的に研究しておるものでもございませんし、ただ県庁の農政食糧課という立場におきまして検査その他の事項を通じまして共済組合事業に触れておるものであります。従いまして、お呼びを願いましたけれども、皆様方の御期待に副えるようなお話ができるかどうか甚だ危惧の念を持つておりまするので、その点をあらかじめ御了承おき願いたいと思うのであります。只今申上げましたように、私の立場といたしましては、県庁におきまして農業共済組合を検査し、又いろいろな機会に調査するということを通じまして共済事業に触れておるわけであります。従いまして、これから申上げますことは、検査の結果我々の知り得ました実態、その他我々がしております仕事のやり方等を勘案しまして、非常に困難な面でありますとか、まあこの辺のところがもう少しどうにかならんかというように感じておりますことを申上げてみたいと思うのであります。  先ず検査の実情でございますが、県におきましては、常例検査と精密検査と特別検査に分けまして、六名の係員を督励いたしまして、検査をいたしておるのでありますが、県下約三百の組合に対しまして、昭和二十七年度におきまして百六十五の組合の監査をいたしたのであります。百六十五の組合の監査をいたしますために、県の六名のものが、延べ百三十二人、それから地方事務所の係が百十二名、合せまして延人員二百四十四名のものが百十二日を費しまして百六十五の組合の監査ができたのであります。一日当りにいたしますというと、一・五組合をやつておるわけでありますが、厖大な事業内容を持ちます村の共済組合の監査日数といたしましては誠に少いものであります。この程度の監査を以ちまして村の実態が隅から隅までわかることはむずかしいのでありますが、陳容の関係上やむを得ずこういうような形で施行をいたしておるのであります。それで先ず第一に監査の結果に基きまして順次申上げたいと思いますが、先ず村の農業共済組合の役員その他の実情を申上げたいと思います。私のほうの県におきましては、役員が三千九百十二名、一組合当り十二人でございますが、専任の役員は僅かに五%でありまして、農業協同組合と兼ねております数が八三%、村長と兼任をいたしております役員が一〇%、その他二%となつておるのであります。従いまして農業共済組合の役員は殆んどすべてが農業協同組合の役員を兼ねておるという実態に相成つております。  次に職員の状態でございますが、一組合当り二・一人でございます。で、専任職員が七〇%、兼務をいたしております、役場、農協等と兼務をいたしております職員が三〇%でございます。三〇%の内訳を更にいたして見ますというと、農協と兼務をいたしておるのがそのうち六五%、役場職員を兼務いたしておりますものが三〇%、その他五%と相成つております。それでこの兼務の状況は一応表面に現われております数字でありまして、我々の推定におきましては専任職員というのはもつと少いのではないか、実質は農業協同組合なり、役場の職員等を兼務しておるパーセントはもつと多いのではないかと推定いたしておりますけれども、一応表面上の監査におきましては、只今申上げたような実態でございます。  それから事務所の所在地を見ますというと、農業協同組合の中におりますのが八三%、役場に一三%、独立事務所を持つておりますものが二%、その他が二%あるのであります。三百二十六組中大部分が農業協同組合におる実態であります。  その他組合の職員の素質と申しますが、そういうような点について簡単に触れますというと、大体職員の五六%は中等学校卒業程度でありまして、四〇%が高等小学校であります。従いまして九六%、まあ殆んど全部が高等小学乃至は中学卒業程度の素養しか持つていないということが言えると思うのであります。  それから年齢におきましては、殆んどすべてが二十六歳以下と申しますか、二十乃至二十五歳程度の者が三五・三%を占めております。年齢的に見まして、事業上村内の有力者に対する組合の事業を完全に遂行する能力というような点から申しまして多分に疑問を持たれるのであります。それから職歴を見ますというと、職員の職歴は五四・三%までは農業、農業教員、会社員とか、そういうような者でありまして、一三・七%は農会の技術員をしておる、又二七・三%は農協なり農業会におつたという者であります。従いまして内訳を見ますというと、職歴から見ますというと、相当技術的な素養のある者があるということでありますが、半面そのために組合の簿記、経理に関する素養が職員においては乏しいように考えられるのであります。  それから次に組合員でございますが、組合員につきましては、数字的な調査を持つておりませんが、只今も申上げましたように、法人組合ではありますけれども、事務所を殆んど持たない、役員は殆んど兼務であるというような実情から見まして、組合員は自分たちが相互扶助のために作つておる共済組合に対する認識と申しますか、自覚が乏しいのではないかということを考えておるのであります。  それから勿論事務所の備品等は殆んど借物が多いのではないか、又農協、役場等と兼務しております関係上、仕事の上において援助を受けることもありますけれども、事務の限界、農業共済組合と兼務をいたしております農協なり、役場との間の事務の限界もはつきりしない点が相当あるのではないかという工合に考えておるのであります。こういう組合の役員なり職員によつて非常に複雑多岐に亘る厖大な事業分量を持つ共済事業が運営されておるのであります。このことが組合の、後ほど申上げるような運営上の困難なり、疎漏なりというようなことになつて現われて来ておる一つの原因ではないかと思われるのであります。  次に組合の規模と業務、財政の内容について簡単に申上げたいと思います。これは共済事業面ではございませんので、組合の事務的な面、即ち業務方面の収支の状況と組合の規模の問題でございます。これは一口に結論を申上げまするというと、組合の区域内の農業資源と申しますか、田の面積なり、麦の作付面積なり、そういうような共済の対象となる田畑が少く、作付が少い。従いまして引受面積が少くなつている、こういうようなところにおきましては、業務財政としては成り立たないと申しますか、そういう実態を調査いたしたのであります。調査の結果を見まするというと、相当引受の広面積を持つております組合におきましは、掛金総額に対する賦課金総額の割合を見ますというと、引受面積の多い地域におきましては二八%乃至三二%程度になつておるのであります。掛金総額に対する賦課金総額の割合であります。ところが水稲なり、麦の作付面積の非常に少い地帯におきましては、掛金総額に対する賦課総額の割合は四〇%以上を占めておるのであります。即ち事業に対するコスト高ということになりますが、掛金総額に対する賦課総額の比率が非常に高くなつて来ておるのであります。各組合について調査いたしました結果によりますというと、引受面積二十町歩程度の組合におきましては、業務財政の内容におきまして差引き不足三万七千円程度持つております。それから二十町歩程度のところにおきましては、職員が倍になつておる関係上、差引き赤字は八万一千円、この百町歩乃至二百町歩程度の引受面積を持つておる組合が赤字の金額が最も大きくなつておるのであります。これは、職員数が増加しておる関係でございますが、七万五千円から八万一千円の赤字を持つておりまして、これらの赤字に対しましては借入金はいたします、又無理な寄附金を役場から仰ぎますということでやりくりをやつておる実情であります。業務内容の状況は只今申上げた通りでありまして、こういうような実態であるということは、結局第一番目に申しました職員の兼務を促すと申しますか、兼務状況を促進することにもなりますし、又役職員の仕事に対する熱意と申しますか、積極性を失わしめる原因にもなつておるのではないかと思うのであります。  次に監査の結果に基きまして、集計の問題でありますとか、それから損害評価の問題でありますとか、こういう面に触れて見たいと思うのであります。私のほうの県におきましては、引受け面積は水稲一戸当り平均五反三畝であります。麦は二反四畝に過ぎないのであります。こういうような水稲、麦におきまして、文水稲は五反の面積を持つておりますけれども、麦になりますというと極めて狭小な面積の引受しかないのであります。こういうような引受の状況に対しまして、監査をした結果を見ますというと、組合員からの申込書に基きまして、引受記録をすべきいろいろな共済細目書が、殆んど明確になつておらない、不備である組合が三〇%あります。又引受に伴う掛金の問題でありますけれども、掛金徴収簿の不整備の組合が約三割ございます。それから徴収時期が定款の規定日に徴収されていない。九八%の組合におきましては掛金徴収は時期を遅延をいたしておるのであります。それから現実に掛金を徴収しませんで、共済金支払の時期におきまして相殺して掛金が入つたことにしておるというようなものが三五%ございます。まあこういうような実情を見ますというと、掛金の実態はなかなか規定通りに行つていないということがよくわかるのであります。  それから次に損害評価の問題でございますが、私のほうの県におきましては、筆数を調べて見ますというと、一番多い町村におきまして約一万七、八千筆に相成つておるのであります。平均いたしまして、水稲で約三千六百七十筆ぐらいに相成つております。畑地の筆数にいたしまして二千五百四十七筆、こういう厖大な筆数に対しまして、明確な損害評価をするということは、単に職員の能力から申しましても、又事務分量と申しますか、物理的な面から考えまして、この厖大な筆数に対しまして、一々損害評価を確実にするということは困難な仕事であると思うのであります。勿論損害評価員が廻るということになつておりますけれども、それに基いて評価野帳に正しく評価しておらない組合が四〇%もある実情であります。又評価野帳には記帳ができておりましても、実際損害評価に廻りました場合におきましては、農家の頭、又損害評価員の頭としましては、農家のこれだけとれるであろう、災害がなければ、これだけとれるであろうと思われる数字に対する減収というものが頭にあつて、それが結局損害評価額になる場合が多いのでありまして、基準反収という抽象的な数字というものを基礎にして、それからの損害額というものが正確に見積られていないようであります。従いまして損害評価の問題は、一応基準反収に基きまして、個々の農家のものができてはおりますけれども、実際の損害評価に当りましては、それによらないものが相当多い実態であるのであります。  それから次に共済金の問題でありますが、共済金支払と掛金徴収と相殺されておる組合は六〇%ございます。それから組合員の共済金領収書の備えてない組合、組合員に共済金を渡したことが明らかになつていない組合が四〇%くらいもある実情であります。従いまして組合員に支払われるべき金が、正確に時期通りに行つておるかどうかというところに甚だ疑問が持たれるのでありますが、帳簿が正確にできておつても、実際行つておるかどうか疑問の場合もあると思われるのであります。  ここで特に申上げておきたいことは、私のほうの県におきまして、昨年あたりから監査を相当厳重に、強行に係を督励いたしまして遂行しておるのでありますが、その結果が逆に却つて、まああからさまに申しますれば、県の監査員に見せるために帳簿を整備しておるというようなことを促進した面もなきにしもあらずでありまして、実態が却つて見にくい、わかりにくいようなことに相成つた点もあるのでありまして、ここへ挙げておりますパーセントは一応表面的に監査をした結果の数字でありまして、事実が更に不明確な点が多いのであります。それから経理の面におきましても、先ほど申しましたように、職員の素質等から考えまして、こういう結果になると考えるのでありますが、勘定科目の誤まつておる組合が七五%もあり、資産表の誤まつておる組合が五〇%もあるというような実態であります。  こういうような調査の結果に基きまして、私のほうの県の共済組合を、A、B、C、Dの四段階に分けまして、監査を終了いたしました百六十五の組合についてパーセントを見ますというと、Aに属するものは九%、Bの段階に属するものが五五%、Cの段階に属するものが二三%、Dに属するものが一三%程度であります。で、これを取りまとめて申上げますと、Aに属する組合は比較的耕地が多い村の組合である。即ち引受対象が多い組合である。そしてその地域は中庸な、どちらにも偏しない中庸な農村でありますということと、且つその地区内の町村なり農協が経営の状態が非常によろしい。即ち共済組合がうまく経営されるために、単に共済組合だけでなしに、それを取りまく村なり、又他の農業団体の経営状態のよいということが、同時に共済の経営をよくしているようであります。これはまあ財政的な面から申しましても、他の農業団体の経営のいいということは、その村の経済的基盤が強いということでありますから、当然のことかも知れませんけれども、こういう実情が出ておるのでありまして、更にAに属する組合におきましては、職員が非常に積極的であり、且つよく努力しておるということは申上げるまでもございません。Bに属する組合は、中庸の耕作地の農村組合又は山村、漁村のような経営上の欠陥を持つております地帯においても、その欠陥を補う程度に役職員が積極的に努力しておる地域という工合に考えられるのであります。それからC、Dに属する組合は、海岸地帯の耕地の最も少い地帯でありまして、一方役職員の努力というようなものも十分ではございません。こういうようなところにおきましては、物質的な条件も欠けておりますし、役職員の努力も欠けておる。両方相待ちましてC、Dクラスにあるというような実情であります。  最後に申上げたいことは、これらの結果に基きまして検査を徹底的にやるかどうかという問題であるのでありますが、検査の結果で見出しました欠陥を指摘して我々は一応実行を強いておると申しますか、法律乃至は指示事項通りに役職員に実行することを強要をしておるのであります。併しながら、それが只今申しましたようになかなか実行されていないということは、結局現在の農村なり農家の実態に対しまして、共済制度が非常に緻密、複雑、厖大な組織と申しますか、機構が受切れない、事務的にも受切れないし、物理的にも、能力的にも受切れないし、又農家の側から見ますというと、共済事業に対する痛切なる必要性と申しますか、それを感じておる農家、感じていない農家、農家の中に種々多様なものがあるということだと思うのであります。先ほど申しましたように、こういうような、役職員としまして少し努力すれば到達し得る程度の事務分量なり、むつかしさということであれば役職員の努力を促し、又役職員も希望を持つてやれると思うのでありますが、現在の役職員の気持としましては、大体努力してもなかなか指示されるように、又制度が要求しておるようなことを現在の農村において実行がなかなかむつかしいというような気持が、積極性乃至は熱意を喪失させておるのではないかというような気がいたすのであります。その意味においては、我々が検査を強行することが帳簿なり、それらの上において又嘘を書かす結果になると申しますか、そういうような心配をいたしておるのであります。これを更に強行することは役職員が手を挙げるようなことになりはしないかというような心配もしておりますが、そうかと申しまして、ルーズな検査をやるということであれば検査の権威を失うことは申すまでもないのであります。この辺のところに第一線で監査の任に当つております我々の困つておるという問題が潜んでおるのであります。  それから意見がましいことを申上げるようでございますけれども、現在の農家の中には、農業経営上保険の必要を痛感しておる農家もあると思われますけれども、保険の必要を感じていない農家もあることは申すまでもございません。又掛金能力の点から考えて、更に受取る共済金が農家の被害に比べまして十分でないというような点から申しましても、痛切に保険の必要を感じていない農家もあると思われます。又同じ稲作面におきましても、経営面積の大小によつて、或る農家は保険を必要と感じておるでしようし、或る農家は経営面積が非常に少いことに対して痛切に保険の必要を感じていないという農家があると思うのであります。又農家の作つております水稲なり、麦なりの商品化率と申しますか、水稲のごときは私のほうの県におきましては商品化の程度は五〇%足らずでございます。これは一応供出量から考えまして五〇%足らずなのでありますが、麦に至りましては全生産量の僅か三分の一が商品化するに過ぎないのであります。こういう商品化の面と保険の必要生というような関連がどういうことになりますか。勿論食糧自給のために米を作つておる農家といえども、米ができなければ生活には困るということはございますけれども、品物に対するこの保険の需要と申しますか、必要性と申しますか、その辺のところにも疑問があるように思うのであります。それから一方先ほどから申しておりますように、事務分量の問題に対しましては役職員を殖やせばいいということになりますけれども、先ほど申しましたような程度の引受面積の地帯におきましては、役職員を増加することはますます赤字を増大することになると思うのであります。こういうような点から申しますというと、組合の立つておる区域内の経済的基盤が弱い。これは農業協同組合においても言われることであると思うのでありますが、これらの経済的基盤の弱さというものを補強するためには、統廃合ということが考えられるのであります。併し現在の行政区域をそのままにいたしておきましての統廃合ということは、結局役場なり農協との間の依存関係が薄くなる。場合によつては恐らく広区域の数カ町村を合せた共済組合を作ることによりまして、完全にその村の役場なり農協との繋がりは切れるかもわからんというような心配があるのであります。こういうことになれば、区域が広くなつたプラスよりも、むしろマイナスのほうが大きいかもわかりません。こういうことになると、結局経済的基盤の弱さを補強する問題は、先ず現在の段階におきましては、町村の区域が大きくなるという前提の下に、その区域ごとに共済組合なり協同組合が設立されるということになつて初めて組合の持つ経済的基礎が強くなるということになるのではないかと思うのであります。こういうような意味におきまして、共済の経営におきましても、農業協同組合の経営のためにも、町村の区域が大きくなるということに多大の期待を持つておるわけであります。  それからもう一つ、ここで我々がこの農家の共済事業に対する関心の薄さの理由になつておるのではないかと思われます点は、この農家乃至は保険対象の農作物に対しましては、国なり、県なりはいろいろな角度から補助なり、助成なり、融資をいたしておるのであります。保険という仕事にのみ危険が起りました場合のカバーを依存しておるという状態ではないのでありまして、農家の稲作りに対しまして技術的な問題は勿論、融資その他いろいろな補助、助成を別の角度からいたしております。この補助、助成は御承知の通り直接であり、且つ端的に農家に金が渡るという形態であります。これに対して一方保険事業が同じ又農作物に対して行われておるわけでありますが、このほうは時間的なズレもあり、金の支払われる時期が相当遅れるというようなことも一つの原因ではないかと考えております。その他農業共済組合の仕事を制度通りに実行することがなかなか困難である理由といたしましては、村の中にあります経済問題、物理的な問題以外にいろいろな条件があると思うのであります。即ち他の農業団体との関係でありますとか、村の政治的な問題でありますとか、例えば町村長と共済組合長との間のトラブルでありますとか、そういうような問題もございますし、又供出制度が現在のような形で続いておる限りは、その損害評価の面におきましても、供出との睨み合せというようなことも起つて参りますし、農村内におきます他のいろいろな条件も又制度通りに実行されることを阻んでおるのではないかと思うのであります。こういうような角度から見ますというと、共済事業のみを切り離して、これのみをすつきりするということはなかなか困難な点もあるのではないかという気がするのであります。結局我々が、末端のこの事業に携わるところの事務能力、又現在の我が国の農業のいろいろな実態、自給農家、零細農、貧農、中農、富農、又商品化率の高い農家、低い農家、いろいろな実態を睨み合せまして、制度は結局その段階に応ずるような簡素化と申しますか、やり得るような範囲内のことを確実にやらすというような方法はないものか、現在の農村の人的能力というような点から申しまして、今の制度がなかなか実行しにくい点から考えまして簡素化の方法はないものか、もつと端的にわかりやすく実行のできる方法はないか、そうして実行のできる範囲をはつきりして、きめた以上は確実にやれるような制度の改廃が可能なのかどうかということを考えているのであります。そのためには一応下から農家の希望なり、こういうふうにしたらどうかというような意見も聞いてみる必要もあるのではないか。農業共済組合が一応自主的な相互扶助の組織として存在する限りは、やはり農民自身がお互いの共同の力で、お互いに困つたものは助けるのだという意識を持たすような、そうして又そういう持つた意識を生かせるような運営方法というものを取入れる必要があるのではないか。現在のところでは、上のほうで作られました極めて複雑な、微に入り細を穿つようないろいろなやり方を比較的上から下ろす一方という恰好になつておりまして、下のほうではとても努力しても飛びついても手が届かんという形ではないかと考えます。何にいたしましても、現在の農村を取巻いているいろいろな条件を考えました際におきましては、法令の改廃にいたしましても、まあ五十歩百歩の改廃に終るということでなしに、本当に農村の実態に合うもの、農実に愛される共済組合となりますためには、農業政策の対象である農村なり、農家の実態を十分研究把握せられまして、共済の効果を十分挙げられますようにお願いを申上げたいと思います。  早口で申しましたので、おわかりにくい点が非常に多かつたかと思いますけれども、一応感じておりますことを申上げ、御参考になれば非常に幸いと思う次第であります。

松浦定義改進党

○委員長(松浦定義君) それでは引続いて農業綜合研究所研究員の山内君にお願いいたします。

山内豊二農業綜合研究所研究員

○参考人(山内豊二君) 私只今御紹介にあずかりました山内でございます。私は一応研究者といたしまして、本制度を研究者の立場から述べて見ます。問題点を最初に挙げますと、最初の問題は農業災害法の基本的な問題はどこにあるかということを申上げまして、そうしてその基本的な問題、現在問題になつているものがどうして起つて来るかという理由を御説明いたしまして、それから又現在の農業災害補償制度が、他の特に食糧政策といつたものに関して如何なる役割を果したかということ、そうしてそれの持つている矛盾に対してどういう解決の途があるか、大体こういうことをお話申上げて見たいと思います。  御承知のように災害補償法の問題点は府県の収支がバランスがとれない、いわば赤字が累積をしているということが一つであります。それからもう一つは、制度自体に対する農民側の問題があります。それは制度が強制加入を前提にいたしまして、全農民を全国的規模において加入せしめているということであります。従つて私が後ほど述べますけれども、日本の災害の構造というものと、強制加入に対する矛盾ということが一つの現在の問題として挙げられるわけであります。そこでこういう二つの問題が先ず何故起つて来るかという原因について申上げます。日本の農業、いわば農業者というものが非常に零細農、小農であるということは御承知の通りであります。その小農、日本の小農は只今もお話が出ましたように極めて商品化率が低くて、殆んど自給生産を行なつている農家が極めて多いわけであります。従つていわば企業的な農業をやつている場合に比べまして、その意識は極めて非資本主義的な考えを持つており、例えば災害が起りますと生活水準を切下げて行つて、極めて消極的でありますけれども、これに対応して行く、こういうふうな一つの構造を持つていると思います。従つてこのことは極めて近代的な保険というふうなことに対しまして小農はそういう必要性を感じないというふうなことが窺われるわけかと思います。そういう小農に対しまして、一つの強制保険というものが実施されていることが、先ず農民にとりまして一つの問題ではないかと、私はこういうふうに思います。それからもう一つでありますが、日本の災害の発生する構造と言いますか、これを申上げますと、大体日本の災害は二つに大別できるではないかと思います。一つは、過日の北九州の災害或いは昭和二十二年でありますか、関東地方に起りました利根川の災害、ああいつた大規模な災害であります。これはこの災害発生の状況を見ますと、これはまさに治山治水の面から一つの構造的に見られるべきもので、いわば自然の地盤というものが崩壊して行く、こういうふうな問題であります。もう一つの農業災害特有なものは、これは極めて災害の発生が地域性を持つた災害ということが言えると思います。例えて申しますと、冷害は北海道或いは東北というふうに起つて参りますが、その災害の発生の構造を仔細に調査いたして見ますと、村によつて災害の程度に差が出て来る、更に部落によつてその差が出る。特に日本の災害の場合、水害或いは旱害というものが、特に水害が大部分でありますが、その水害は先ほど申上げましたような大水害と異なりまして、地域的にきまつた災害というものがあります。例えば水害ですと、利根川の沿岸なんかを見ますと、いわゆる排水不良地というものがたくさん存在いたしております。それもやはり農家にとつては災害であります。それから又旱魃地を歩いて見ますと、旱魃地に参りますと、非常にこの村は旱魃が激しいと申しましても、それは日本の特有な水田耕作ということから参るところの水の秩序、そういつたことに規定されまして、同じひどい旱魃村といえども部落によつて差がある。或いは部落内部における水の秩序といつたようなものに規定されまして、それによつて相当差が出て来るというようなことによつて起つて来る災害が大災害に対するところの地域性を持つた災害ということが言えると思います。普通大災害が起つて参りますのは極めて毎年起るのではなくて、例えば昭和二十二年から今度の大災害というふうに一つの時間的な差がございます。ところが地域的な災害というものは頻発的にやつて来る。而もその地域は危険度或いは危険性地それ自体が残されているわけでございます。このことは勿論農家から見ますと、無災害地と安定地とがそういつた意味において区分されているというわけでございます。従つてそういう不安定地、いわゆる地域的にきまつた地帯を耕作している不安定地の農民にとりましては、本制度は相当願わしいものであると思いますけれども、同じ村におきましても、安定地と言いますか、そういつた無災害地の農民にとりましては、不平ということがあります。いわば掛金というものに対しまして掛捨というような不平が起つて参ります。併しながら制度は無事戻し制度を以て救済をいたそうとしておるわけでありますけれども、現在の保険会計におきましては、これは不可能であります。こういう掛捨ということは無災害地農民にとりましては、特に小農が現金を出すということに対しては非常に苦しいということであります。そのことは、いわば損害評価における或いは過大評価に導くところの一因であるとも理解されるのではないか、要するに日本の小農というものと、日本の農業災害の発生の構造という二つの点から、現在の強制加入制度自体が持つている矛盾が現在の問題を出しているのではないかというふうに考えられます。併しながら今度は現行制度が今まで理論的に或いは現実問題を除きまして、現行制度がそのまま正しく機能した場合、どういうふうな形において他の政策との関係において結びついているかということであります。で、私は強制加入という一つの保険方式、それから相当部分が保険料の国庫負担をしていて、而もその国庫負担は、災害の強いところほど多くの国庫負担が、比率から言いまして出されております。それから又基準収量、その基準収量は村、例えば共済金を出す場合におきますところの村の基準収量というものと、それから個人の基準収量という二つの問題がありますけれども、こういつた諸点と現行制度との作用というものを見ますと、その間の詳しい説明は省略いたしますが、要するに現行制度は或る意味におきましては不安定地の危険費用というものを、国或いは安定地農民が負担している面が極めて大きいのではないかということは言えます。従つてそのこと自体が安定地の農民に対する一つの不平になつているわけであります。併しながら不安定地の危険費用というものを国及び安定地農民が負担しているということはどういうことであるかということでありますが、これは農産物価格が限界地においてきまるわけでありますが、日本の過去の食糧政策は低米価政策というものがとられているわけであります。制度はたまたまそこまで考えておつたかどうか知りませんが、今から見ますと、いわゆる不安定地を一つの限界地或いは限界地に近いものとして見ますと、その危険費用を国或いは農民というものが負担をいたすわけでありまして、結局そこの危険費用がずつと軽減をするわけであります。そのことは生産費の低下、低米価政策というものに一致している、こういう形において一つの現行制度というものは動いて来たのではないかというふうに私は理解をいたしております。併しながら、それに対しまして相当安定地農民という立場から非難が出て参ります。そのことが制度というものに対する一つの混乱条件を作つているようにも思います。それから、なおそういう不安定地或いは準限界地と申しますか、そういう不安定地の危険費用というものを国或いは安定地農民が負担しているということは、或る意味ではその地帯の農家を何と申しますか、いわゆるそういうふうな不安定地の地帯に農業を営まざるを得ない形において、即ち過剰なる日本の小農民というものをそういう不安定地から引上げることができないような農民を、そういう意味で維持しているというふうなことが言えると思います。少し戻りますが、先ほどの地域性を持つた災害地帯というものは、これは要するに日本の過剰人口というものがそういう不安定地の耕地をも耕作しなくてはならないような条件に入つているわけで、従つてそういう形において地域性を持つた災害地が出ているわけであります。従つて現行制度はこの二つの大災害というものと、そうして制限された危険性地を持つたような災害という二つを保険或いは共済の対象にいたしまして、そうして全国的規模で共済保険を実施している、このことが結局問題になるわけであります。  それでこれに関しまして私の私見を申上げますと、先ず地域性を持つた災害地、いわば災害激甚地、非安定地と申せましようか、この地帯に関しては一つその地帯を確定をする、そうしてそれについて一つの強制作物保険を実施する、但しその場合に国庫が手厚い保険料の保護をするということであります。このことは、この持つ意味は、そういう不安定地帯において農業を営まなければならないような小農の生活を保護し、そうして日本の不足する食糧の絶対量を確保するという一つの意味があるのではないかと私は思います。これが一つであります。それからもう一つ考えられますことは、そういう先ほど申しました地域性を持つた災害と申しますのは、主として旱害、冷害、水害についてでありますが、その他各種の災害がございます。それで、それはその他の災害につきましては、まさに偶然的な形で起つて参ります。そこでそういう不安定地を除きました他の地帯に関しまして、現在考えられておりまするところの農家単位作物保険を任意加入の形で実施するということであります。但し小農に私は先ほど保険事業がないということを申上げましたが、これを起さしめるような方法を考えるわけであります。それはいわゆる最低限度はどこになるか、これはわからないですが、或いは農家の総所得の一〇乃至五〇%あたりまで、その低い段階の災害というもの、いわば収穫の変動によつて起る災害というものを保険をして行く、而もその場合に保険料は現物保険というものを採用をする。現物保険或いは現金でもいいわけですが、二本建にして行くというふうなことであります。これは日本の小農というものが極めて非資本主義的であり、現金支出というものが困る場合が多いわけでありまして、現物の持つ意味というものは日本の小農については非常に意味があるのではないかというふうに思います。そういうふうな形において、一つの全国的な保険制度が実施されるのではないか、それから日本の少くも水田というものは非常に安定作物でありますので、今度の大災害のような場合におきましては別途の考慮が必要ではないか、それは大災害は対しましては、現行制度以上のもつと国家の手厚い、まさに補償と言いますか、そういう形にまで伸ばして行く必要があるのではないかということであります。  要するに私は現在の制度が強制と、そうして災害の構造というものとの矛盾、そのことから起つて来る問題を強制と任意加入の使い分け、それから大災害については別途の考慮という三つの形において私見を述べたわけであります。  以上であります。

松浦定義改進党

○委員長(松浦定義君) 以上で参考人の御両氏の御意見を拝聴することができたのでありますが、引続いて各委員のかたがたからの参考人に対して御質疑がありましたら順次御発言を願いたいと存じます。この際小委員外のかたがたも御熱心に御列席を願つておりまするので、只今の参考人に対して御質問等がありましたら是非御発言を願いたいと思います。

佐藤清一郎自由党

○佐藤清一郎君 私は奥井さんから地方の三重県下においての熱心な共済事業についての指導的な尊い資料に基く御意見等を拝聴いたしまして、全く私たちが常に感じておりましたことを要領よく要点を話して頂きまして感謝に堪えません。全く今の災害補償法による共済事業というものは農家の琴線に触れておりませんということは全国的に言い得ると思います。従いまして、そこにはいろいろな、いわゆる方法によつて補償法の狙う目的通りに行つておらないということはかくれもない事実であると考えます。従つてこれを強制加入をするという上におきましては、本当に社会保障制度の線まで持つて行かなければ駄目であるということも私たちは常に叫んで参つたわけでありまして、今日までの共済事業が、むしろ更に竿頭一歩を進めて零細な小農に日本が転落せられました今日において、而も食糧増産の面から非常な重責を与えられている農民として、又一方においては低物価政策によつて農民が非常な犠牲的な経済事情に追込まれておるというような面から、国家はよろしく大きな救済の途を講じて、そうして農家の食糧増産に再生産ができるように精進をさせねばならないと考えます。この意味におきまして、尊い監査資料に基く御意見を承わりまして私は感謝するものであります又山内先生の学究的な御意見に対しましても全く私は感服するところでありまして、ここに我々が改正をせねばならんという要点を把握することができると思います。かような意味におきまして、両氏にお忙しいところをおいでを願いましたことは、且つ貴重な御意見を承わりまして、本制度の改正の上に非常に役立ちいたしましたことは感謝に堪えません。質問はございません。

宮本邦彦自由党

○担当外委員(宮本邦彦君) 私先ほど課長さんの御説明で非常にいいことを承わつたのですが、簡素化するということなんですね、その簡素化ということを私実は現地の末端の事情に余り詳しくないのでございますが、簡素化する方法ですね、それは何か一つのモデルのような地帯を調べて、そうして或る一つの公式みたいなもので以て簡単にそれを表現するというような方法が簡素化の一つの方法としてとられる可能性がありますか、どうですか、

奧井亮三郎三重県農政食糧課長

○参考人(奧井亮三郎君) 細かい研究はいたしておりませんけれども、私は順序としてやはりモデル的な村を選びまして、先ほど申しましたような、いろいろな条件の下においてどの程度のことまで可能であるか。併しその場合におきましては、今の非常に精密な計算の上へ築かれております補償制度から見ますと、まあ或る程度の誤差と言いますか、というものを勘定に入れた上での簡素化になると思うのです。併し尤も現在の制度そのものは非常に数字的に制度的に隅々まで行き届いた制度でありますけれども、それが実際村において、どこまで実行されておるかということと比べますと、簡素化した場合の誤差的なもののほうがと言いますか、まあどうなるかわかりませんけれども、そうやりがたいことを強行するのがいいのか、多少簡素化して精密な計算的な点から言うと、必ずしも隅隅まで合理的、科学的ではないかも知れんけれども、実行のできることをやるということと、まあどちらが行政的にいいのかというようなことになると思うのですけれども、具体的に私は簡素化をどこをどういう工合にするということは研究はできておりません。

宮本邦彦自由党

○担当外委員(宮本邦彦君) もう一つ承わりたいのですが、これは現地の農家のかたがたのお考えにあるかどうかという問題なんですが、今佐藤さんもおつしやつたように、日本の農家は非常に小農の多い農家で、お話によつても、小農ほど、何と言いますか、この共済保険制度に対して期待が薄いというようなことがあつたのですが、お話を承わつておると、これは保険制度というものは農作物を対象にしておるという全く経済的な面の保険制度ですね、これと、それから社会政策的な、ともかく農家経済を保険制度によつて共済して行くんだという考え方と多少私この保険制度の中でごつちやになつておるようなお話があつたように思うのです。むしろ現在の制度は強制加入の対象は米麦とかいうような、或いは養蚕とか、特殊なものに限られているのですね。そうしますと、元来は農家の農業経済とか、或いは農家経済というものを補償するのだという広い意味の社会政策的なものじやないのじやないかということなんです、本質的には……。例えばこの共済保険制度の全く対象にならない農家だつてたくさんあるわけです。例えば蜜蜂を飼つている、そして米というものは全く自家用も足りないというような農家になつて来ると、これは全く興味を持たないのが当り前なんですね。そういうものまでこの制度に取入れられなければならないかという問題ですね、こういう問題が私あるのじやないかという気がするのです。そうしますると、やはり農作物を対象としたはつきりした制度で以て一応考えて行くという制度のほうが、簡素化という意味から行けばはつきりするのじやないかというふうに私は考えるのですが、実際に現地でお仕事をなさつて、やはり農民の希望と言いますか、それは農業の対象になるものは、これは恐らく希望としてはできるだけ広範囲に共済保険の制度を取入れてくれというのが私実情じやないか、農民の感情じやないかと思うのです。けれども実際そういうことは不可能じやないかという気が私するのですが、そうしますと、皆さんのお考えとしては、或る線を引かなければならないのじやないか、その線を引くということになると、やはり社会保障的な意味は薄れて行くのが本当じやないかというような気がするのですが、現地の実情を私知りませんので、皆さんの御意見が承われれば適当だと思います。

奧井亮三郎三重県農政食糧課長

○参考人(奧井亮三郎君) 非常にむずかしい問題で、私ここで相当割切つた御返事をすることは困難だと思います。やはり農家の性格と言いますか、例えば耕作面積は少いが、それのみに依存している小農と言いますか、というものと、それから耕作面積が少くて、私のほうの県で行きますというと、漁村地帯におきましては二反、三反、四反作つておりますが、それは家内か、おじいさんか、おばあさんに作らせておいて、最も労働力のある青壮年は漁業をやつている。又山村に行きますと、やはり同じような状態で、現金収入の源は山林労働に依存している。都市周辺のものであれば、やはり二、三反あるけれども、工場労働収入に依存している、又場合によると息子は県庁に行つているということで、耕作面積だけから見るというと、それは零細農というか、貧農というか、とにかくそういう形ではありますけれども、生活そのものから行きますと、必ずしも、生活程度はまあ低いにしましても、そう我々が貧農とか、零細農とかいう観念で考えているほどの困窮した状態ではないと思うのです。そういうものにとりましては、やはり災害補償制度というものに対する関心は必ずしも痛切ではないのではないかということを考えておりますし、それから先ほども申しましたように、殆んど全水稲面積の半分が自給水田でありまして、家で食べるための食糧なのであります。家で食べるということは、結局現金収入にはならないわけなんですが、現金収入に究極においてならないものに対して現金を支出するということですね、こういうことは農民の心理というようなことにも関係しておるかわかりませんが、現金は成るべく出したがらないという実態があると思うのです。私のほうの県では、最も災害の多い地帯が同時に海岸乃至山村の零細貧農地帯です。災害地帯が零細貧農地帯なんです。そうして比較的災害を受けない地帯は富農と申しますか、経営面積の多い米作主要地帯なのであります。従いまして全県的に相当私のほうの県ははつきりしているのですが、その米作主要地帯が零細貧農地帯をいわば助けているような恰好に事態はなつているのですが、今申しましたように、災害頻発地帯が零細貧農地帯でありますから、掛金率を高くして零細貧農地帯は、お前らはもらう一方だから掛金を高くするぞと言つてみたところで、掛金能力はないという実情であります。それで結局まあ私らが末端でいろいろな各種の農業行政に携わつておる場合に痛感することの一つが、今おつしやられたことでありまして、要するに対農民政策なのか、農業政策なのか、端的に言えば農産物を、特に食糧を増産する。再生産乃至増産ということを目標に各種の農業政策が行われるのか、又農民という農業をやる人の生活を維持向上させるということが主眼なのか。各種の農民の生活を維持向上させるということは、間接に農業生産を維持増強させるということが主眼だから、農民生活を貧窮に陥れてはならんということなのか。一方農産物の生産を確保することが間接に農家の生活をよくすることになるから、農業生産の確保増大というておるのか、その辺のところが、いろいろ政策が上から下りて来ますけれども、どつちかはつきりしない点もあるのですね。食糧増産という面から言えば、誰が作つておろうと、田というものに対して、その田からは少しでも米がたくさんとれるように技術指導も、耕土培養も、肥料の合理的施用も何もしなければならんと思うのです。併し個々の農家生活という点から見ると、必ずしもそこまで世話を焼いておらんでもいいような人たちの田畑も相当あるわけなんです。単に生活という面から申しますなら、先ほど申しましたように、兼業収入のほうが多いようなものが相当あるのですから、その辺のところのはつきりしない面は、やはり共済の事業の、先ほどからいろいろ話が出ました混乱と申しますか、そういう点も現われて来ているのですが、その辺のところはむしろ上のほうから我々が御指導を頂いて、ここに重点があるのだということをはつきりして頂いて、末端の行政をやつて行きたいということを常々考えているわけなんです。

松浦定義改進党

○委員長(松浦定義君) それでは各委員のかたがたのいろいろまだ御意見もあると思いますが、午後の本委員会の時間等にも関係がありますので、一応参考人の御意見に対する質疑等はこれを以て終了したことといたしたいと思います。  なお参考人の御両氏に対しまして、本日わざわざ遠隔の地からおいでを願いまして、特に長時間に亘りまして非常に貴重な御意見を御発表願いましたことにつきましては、先ほど佐藤委員からも懇切なお礼の意味のお言葉がありましたように、本委員会といたしましては、御指摘になつたような点等につきましては、十分皆様方の御意見を含めまして、本制度の改正上におきまして政府をして十分な処置あらしめるように最善の努力をいたしたいと考えております。従つて只今の御両氏の御意見等は、本委員会といたしましては末端の御意見といたしまして、十分これを了承の上、特に衆議院に対しましても十分な連絡をとりまして、本委員会の持つ使命を急速に達成いたすように取計らいたいと、かように考えておりますので、心から本日の御意見に対しましては厚く御礼を申上げる次第でございます。  大体以上で以て参考人に対する質疑等を一切終了いたしまして、今後の本委員会の方針等につきまして、あとから皆様方の御協議を煩わしたいと、かように考えますので、参考人のかたに対しましては、これを以てお引取りを願うことにいたしたいと思います。  それでは今後の取扱いにつきましては、昨日衆参両小委員会での打合せの結果もございますので、両院の小委員長に御一任を願つたような経過もありますから、そのように進めたいと、かように考えまするので、小委員会はこれを以て散会いたしたいと思います。    午後零時二十三分散会

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