農林委員会 第6号
- 発言数
- 25 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1953/06/29
会議録
○委員長(片柳眞吉君) 只今から委員会を開会いたします。 第一に、議員派遣報告を議題に供します。派遣議員の報告をお願いいたします。第一班上林委員。
○上林忠次君 去る土曜日に一応ここでデイスカツシヨンがなされましたときに、私参りました県、即ち兵庫県、山口県につきましては、大体の状況を話したつもりでありますが、そのときに申しましたように、今回の被害は、我々東京におりまして、新聞なり、或いは地方の代表者からいろいろ聞いております報告で、我々が承知します以上の大きな被害があつた。而もその被害は農作物が大部分でありまして、それが報告後刻々被害額が増加しつつあるというようなことを、ひしひしと現地を見て認識したのであります。今回の風水害の元は、結局丁度農作物が麦或いはその他の蔬菜類、すべてが収穫時期に達して、特に麦につきましては、収穫の真最中であります。刈り上げた真中に大きな増水が来た、氾濫したということで、その麦なり農作物全体が腐敗したというようなことで、凍霜害におきますような被害とは大体傾向が変つておるのであります。その原因は、一時的な出水による原因でありまして、結局何と申しますか、治山治水、これが完全でない、欠陥がある。それから出た一時的な氾濫のために、冠水或いは浸水した、これが原因になつておるのであります。被害の大体の額はすでにいろいろな報告で参つておりますが、兵庫県の金額は、土木施設被害額が四億六千万円、農作物の被害額が二十億二千六百万円、農地の被害額が五億、開拓地の被害額一千六百万円、水産関係の被害が約六百万円、林業関係被害が五千二百万円、総計三十億六千万円というような統計になつております。この兵庫県の被害は県全体に及んでおるのでありますが、特にひどいのは姫路市を中心とする加古川を囲んでのあの地域であります。加古川に流れ込んでおります小さい川の一時的な氾濫によつて農作物が被害を受けたというのが一番の大きな被害であります。勿論土木関係或いは農地の農業、水産施設の被害も相当ありますが、大部分は農作物の被害だという状況であります。特にこの兵庫県というところは溜池によつて農作物が栽培されておる。溜池に依存しておる。その溜池の数が三万とかを超える。はつきりした数字を忘れておりますが、三万とかいうようなことで、溜池の耕作地でありまして、その溜池が決壊或いは氾濫したようなことで、それらの施設が相当今度は決壊被害を受けております。又川からの頭首工或いは土手の決壊、これらの被害も相当あるのであります。何と申しましても、大きな被害の額を占めておるのは農作物であります。ここで我々がまだ地方からの報告で気が付かなかつた被害の大きなものに「たまねぎ」があります。「たまねぎ」の被害は、これは淡路島でありますが、丁度収穫前でありまして、これが冠水を受けて「たまねぎ」の軸が、あの茎の根元が腐つた。そのために懸吊乾燥ができない。又乾燥したものもあの球の中に水が浸入しておつて、それが元になつてどんどん腐つて来る。そういうようなことで、早急に市場に出さなければならん、出すうちに腐るというようなことで大きな損害を受けております。あすこはできますと「たまねぎ」は東南アジアのほうにこれまで相当輸出があつたのでありますが、輸出ができない。農村の被害は勿論のこと、又これが冬季の大きな日本の食糧になつておりますために、これが腐つた結果は冬の蔬菜類の大きな値上りを来たすのではないかというようなことも考えられるのであります。特に「たまねぎ」の被害は相当大きい。又「びわ」の被害も相当あつたということを聞いておりましたが、私が調査して参りましたときはまだ「びわ」の被害は一定していなかつたのであります。さような状態でありまして、この治山、河川の改修、これは早くやらなくちやいかん。もうすでに夏の例年の風水害の時期も近付いておりまして、早急に今の被害の個所を復旧しないと、大きな次に又被害が出て来るということで、応急措置を急いでやるということをやらなければならんと思うのであります。 次に小さい問題でありますが、附加えて置きますが、姫路の近くには「しようが」がある。「しようが」の種代が相当な金目になつております。資本を寝かしておる。約七万五千の種代、又肥料代にしても二万五千円寝かしておる。約十万円の種代、肥料代を寝かしておるために、この「しようが」の被害に対しても十分考慮してもらいたい。農林省から救済をされるときには、ほかの蔬菜に比べてその「しようが」の大きな現金支出を含んで考えて頂きたいというようなこともあつたのであります。 それから山口の被害でありますが、大体あすこは佐波川を中心とします山口市の周辺、この辺が一番被害が多いのであります。勿論全県に亘つて被害はあつたのでありますが、これも山崩れの害或いは農業諸施設の損害もありますが、主とした被害は麦が大部分であります。又一部分「なたね」、そういうようなものが大きいのであります。被害を金額に現わしますと、土木の施設の被害が七億、耕地が七億、山林関係が三億、農作物関係が七億、その他一億六千万円、総計しまして、二十八億という程度の被害になつておりまして、この原因はやはり兵庫県と同様に、小さい小川がにわかに氾濫した。それが低い畑に流れ込みまして、このために丁度収穫時期の農作物が腐敗或いは流亡したというようなことが大きな被害額を占めておるのであります。それでいろいろな救済措置について要望がありますが、大体政府で現在考えております十項目のあの項目に一応全部入るのじやないかと考えております。細かく申しますと、まだ要望はたくさんありますが、大体あれに入る、併しながら営農資金にしましても、或いは施設の救済にいたしましても、早くやらないといかん、時期が遅くなると効果がないのでありまして、早急にその救済施設を実施しなければいかんと考えるのであります。一応地方の要望事項を申述べます。 農業関係におきましては、営農資金の補助及び融資、これは農業災害を受けて現金収入がすつかり途を断たれた。今後の営農に重大な支障があるので、肥料、農薬、農具等の営農資金を速かに融資して頂きたい。又県で特別融資をしておるものもありますが、これらに対する利子の補給或いは損失補償について国において補助されたいということ、これが農業関係の一番であります。 二番目が農業共済金の概算払であります。すでにこれは決定しておる分でありますが、成規の手続を踏んで行きますと相当日数がかかりますので、被害率にかかわらず共済金の全額概算払を速かにやつてもらいたいということ。 又三番目に、被共済農作物の救済措置でありますが、「なたね」とか、馬鈴薯、「そら」豆、蔬菜、除虫菊、果樹等は農業災害補償法の適用から除外されておりますので、特別な救済措置を講ぜられたい。 それから四番目が麦、「なたね」等の種子がすつかりなくなつた、来年作に対する種子の確保について、一つ購入費或いはその種子の導入について援助を願いたい。 それから五番目が被害麦類の政府買上料、又その検査手数料も免除してもらいたい。これは五等麦の問題がすでに政府において買上が決定しておりますが、何とかしてその検査規格を緩和してもらいたい。又検査標準品を作るときには生産者代表も入れて一つ願いたい。従来のようなあの規格と同じ規格でやられると、殆んど救済ができないのじやないか、規格を落すか、或いは価格差を少くせられたいということを言つております。 それから六番目、政府所有の麦を特別価格で払下げてもらいたい。これは販売の問題であります。食用麦がなくなつておりますために、これを現物で政府は貸与してやる、そして来年作でこれを返してもらう、こういうことになつておりますが、供出した価格において、これで自分たちは買いたい、これを買込むための金を政府で融資して頂きたい、而も無利子で融資して頂きたい、そういう要望があります。 七番目に融資金の償還延期でありますが、これは土地改良事業等に要した農林漁業融資金並びに開拓事業に対する開拓者の資金、信用基金、農業手形等の現金及び利子償還の一カ年繰延べをしてもらいたい、延期をしてもらいたいという要望であります。 それから八番目が農地及び農業用施設の応急工事費補助並びに復旧繋ぎ資金の融資であります。丁度これから水害の時期を迎えまして、被害箇所の応急復旧を要する、これが工事費の補助並びに国庫補助の決定までのその繋ぎ資金として融資をお願いするというようなこと。 それから九番目は開拓者の資金の貸付であります。開拓地の入植者はまだ経営の基礎が確立しておりませんので、今回の災害による打撃は特に大きいのであります。今後の営農に重大な支障がありますので資金の長期融資を頼みたい。 それから十番目、災害荒廃地、災害林道の復旧についてであります。林地の荒廃、林道の崩壊、橋梁の流出などが相当出ておりますので、これが復旧について緊急に処置して頂きたい。 それから家畜衛生、飼料の確保の問題であります。家畜の伝染病発生の虞れがあるというので、畜舎の消毒、又健康検査というようなことをやらなくちやいかん。これに対する措置、又家畜飼料の特配、購入に要する資金の斡旋、特にその利子の補給というようなことを要望しております。 それから課税の問題でありますが、まあこの被害によりまして再生産がむずかしい、営農がむずかしいというような状態に引込められております現状でありまして、地方税或いは国税共に何とか軽減の処置をぜられたいということ。 以上が農業関係でありますが、土木関係におきましても、将来暴風雨の時期を迎えまして、今回の被害につきましては応急の対策を講じたい、本格的な工事にすぐ着手したいので、災害復旧費を早急に予備費から支出して頂きたいということであります。山口県で聞きましたのでは、昭和二十三年度の災害につきましても、まだ大体三〇%程度しか復旧していない。残りがまだ残つている。その後の過年度の分の災害復旧が全体で三四%ぐらいというようなことで、二十三年度もまだ残つているというような状態でありまして、この土木施設の復旧が遅れているということが一つの大きな災害の原因になつておりますので、何とかして早くこれを処理して頂きたいということであります。 それから財政関係につきましての要望が次にあるのであります。災害の復旧のために地方負担分の融資を考えなくちやならん、それに対して全額地方債の許可をもらいたいと要望しております。地方債の要望に対しましては、全額一つ許可を願いたいというようなことを要望しております。それから災害対策並びに復旧費に対する特別財政需要額に対して平衡交付金の増額を願いたいというようなこと、大分長くなりますが、殆んどこれが地方の要望のすべてであつたようであります。すでに政府で考えております分と一応同じような要望ではありますが、細かい点においては相当我々は考慮しなければならん点があるのではないかと考えるのであります。 詳細は又のちほど質問して頂くことにいたしまして、一応先般災害調査をして廻つて参りましたときの状況と地方の要望を申上げまして私の報告に代える次第であります。
○委員長(片柳眞吉君) 第二班清澤委員。
○清澤俊英君 第二班の被害地の視察の結果を御報告いたします。 私どもが参りました地区は、岡山県及び愛媛県の両県でありましたがたまたまその中間に香川県がありまして、香川県につきましては視察はいたしませんでしたが、往復共に汽車或いは連絡船等の時間を利用しまして、香川県からの御陳情をよく聞いて参りました。そこで詳しい数字はこの際省略いたしまして、大体の点を御報告申上げたいと思う。それでこの三具とも大体災害の事情は一致しておりますが、いずれも共通しておりますのは、南海地震によりまして耕地が沈下したことによつて災害を大ならしめた、こういうことが三県とも言われておるのであります。その上先ほども一班の報告にありました通り、このたびの災害は表から見ますと余りその深刻さはないのでありますが、内容に入つて見ますると、その深刻さは実際想像以上のものがありまして、殆んど麦作一作は三県とも殆んど投げたと、こう見て差支えないような状況で非常な深刻さを持つていることを私どもは見て参り。 そこで視察の方法としましては一応県庁並びに地方事務所、役場等につきまして、それぞれの机上の御説明は聞きましたが、それを基礎にいたしまして、外からは到底被害の状況をつぶさに知るわけには参りませんので、従つて無警告に農民の実際仕事をしております納屋に入りまして、現に取入れて積んである麦の状態、それを引出しまして一々農地事務局並びに検査員等立会の上でつぶさに農民諸君からその実情を聞き、見て参りました。或いは調製の現場に車を止めて調べるとか、或いは農倉の前で受入検査をしておりまするそこに車を止めて調べるとかいうような、実際上の調査方法をとりまして参りましたその結果を大体申上げてたいと思います。 そこで大体の御報告としましては、それらの人たちから、若しくは各関係当局者等からのいろいろな要望を申上げて見ますならば、もう昨日の懇談会で大体出ております通り、被害農家に対する営農資金の特別措置を一つやつてもらいたいとか、或いは農業共済並びに農業災害補償法におきますところの特別の手当が渡るようにしてもらいたいとか、或いは被害麦の検査の格差を緩和して等級の価格差等を縮小して等外麦等の政府の買入或いは食糧にならん麦がありましてもそれらの麦を飼料等にしてでも全部買上げてもらわなければ、到底この後の営農は成り立たんというような強い要望を受けて参りました。農業協同組合が従つていろいろな貸出資金に窮迫を来たしておるばかりでなく、非常に僅かな積立でありまする金さえも、どんどん払出しになつているような状態でありますので、農業協同組合等に対する融資も相当考えてもらいたい。その次には被害農家に対する減税措置を急速に農林委員会等から大蔵省方面へ申込んでもらいたい。あとは農業施設災害復旧の緊急措置を講じてもらいたいというような問題が主に取上げられておりましたが、第一の営農資金特別措置につきましては、凍霜害対策営農資金と均衡を保つた措置と共に、開拓者営農資金等の償還金及びその利子補給というような要望がありました。殊に開拓者の営農資金の問題は、現に岡山県の第七区でありますが、ここにおきましては、開拓約三年ぐらいでありまして、開拓資金も全部使い尽しており、過去二ヵ年におきます結果といたしましても、開墾地に入つたばかりでありまして、まだ利益を上げるというような状態になつておりませんので、実際の営農を取扱うことができないで、漸くにして児島湾の埋立、現に行われておる開拓事業の土工等になつて生活しておる者が、たまたま今年あたりから漸く麦を作り出したが、その麦が全部流れてしまつた。加うるに借りる金は殆んどなくなり、このままで置きますれば、全部が開拓事業を放棄するか何かしなければならんというような非常な窮乏の状態にありますので、この地点に対しましては特別の補償をやつて、そうしてその土地に住みついて、その後も農民としての生活ができるように一つ特別の考慮を願いたいという強い要望がありました。その数は戸数にして百三十五軒かと思いますが、家族総負約七百名ほどでありまして、而もこの地区の特異性としましては、まだ海面の中にできました新らしい土地でありますために、岡山県人であり、日本人だということはきまつておりますが、何郡の何村の所属というようなものさえきまらないような開拓農民でありまして、従つていろいろなこういう要素等を事実達成して参りまするのに、基本点もないというようなことで非常に困つておつたことを附加えておきます。 第二の農業共済金につきましては、被害率三割程度以上の麦に対しましては、概算払をすぐ行なつてもらいたい。今のような普通の手続で参りますれば、少くとも八月下旬にならんければ金が入らないが、実際金の要ることは今現実に要るのであるから、もう一日も早く金が入るような方法をとつてもらいたいということが痛切な要望になつておりました。これが一つ。そのほかには凍霜害対策にもありましたのですが、「なたね」であるとか、馬鈴薯であるとか、除虫菊、果樹、「たばこ」、蔬菜等に対しましても、これは共済対象になつておらん上に、除虫菊であるとか、馬鈴薯であるとか、「なたね」等は殆んどこれは全滅の状態になつておりますので、種さえないというような状態になつておりまするので、これはどうしても特別な共済の方法を考えてもらいたいという強い要望がいずれの地区におきましてもありましたことを強く附加えておきたいと思います。 第三には被害麦の政府の買入処置の問題でありますが、特に検査の規格の決定につきましては、生産者代表を参加せしめてもらいたい、検査手数料の免除をしてもらいたい等、受検の促進の点よりも要望しておりました。又当該麦については先ほども申しまする通り、これを飼料としてでも一つ何とかして全部を買上げるような方法をとつてもらわんければならない、こういう要望が強く行わておりました。 第四は、農協の繋ぎ資金の融資は被害農家の資金貸出と農協の諸支出の要求の増大のため、麦の共同販売及び稲作の必要資金が枯渇しておる現状に鑑みまして、もう一日も放つておけない情勢でありますから、何とかして早目に廻してもらいたい。殊に言われておりますのは、大体今まで買いました差肥の支払は、この麦を売つて支払うことになつておりましたのが、麦がこういう状態でありますので、その支払ができない上に、なお稲のほうの肥料の買入が重複して参りまするので、従つてその点には非常な困難な状態が生じておるし、一つ間違いますれば非常に高い肥料を農民が商人等から無理な買い方をして、災難の上に災難を重ねるのではないかというような心配が伝えられておりますことを附加えておきます。 第五の被害農家に対する減税措置の問題でありまするが、農作物被害の数字などについては、何割の収穫減というような単なる量的被害のみでは到底本当の損害にはなりませんので、従つで質的にどはだけあつて、帰価価値としてどれだけ実際の価値が今残つておるのだというようなところから被害数量を出してもらいませんと、これが税金の問題に直ちに及ぼしますから、一つ共済組合等の被害決定の際には直ぐ問題を非常に重く見て、それと同時に減税等の問題で、これを間違いないようにしてもらいたいということと、先ほど申しました通りに減税の措置に対して、農林委員会から一つ大蔵省等に厳重に交渉をしておいてもらいたい。 その次には労働問題でありますが、このたびの災害が大体先ほども一般に御報告いたしました通り、殆んど耕作期を終つて、金はもうかけるだけかて、いよいよこれから刈入れをするのだというときに受けました被害でありまして、出すだけをもう全部出した、そういうところに受けた被害であつて、而もその被害を復旧して参りますために過重な労働力をかけましたり、或いは調製に自家労力だけでやらないで雇入れ人夫を使いましたり、又は一時に急速にやりました等のために、急に調製の石油が現に四割方も値上げになるというような思わざる経費等もかかつておりまするから、これらの点も一つよく農林委員会等で取上げて、税金対象等の問題に対しては大蔵省へ厳重な申入をすると同時に、農林省におきましても、そのかかりました経費というものは、ただ単に災害によつてかかつたという考え方でなく、結局いたしまするならば、自家労力だけで金をかけずにやつてしまうのだというようなことをしますれば、それは同時に田植を遅らせたり、適期の植付を遅らせたりいたしまするので、結局いたしますれば、国家的に見ますれば相当の減収になるのでありますから、従つてそういうような解釈をして頂いたり、或いは現に納屋に積んでありまする、まごつきましたらみんな傷んでしまいまするとしろの麦を人夫を使つてこれの処理をするというようなことは、まあ傷んで参りまする麦を生かして、そうして国家的に見ますればそれが一つの大きな食糧政策の問題になることであるから、そういうような見地に立たれるならば、この過重労力のかかりましたものに対しては当然の補助が頂けるんじやなかろうか。農民としましては、長い間供出等によりまして、国家の食糧のないときには自分の飯米をも割つて、而も無理な、農民の納得しない価格で供出の重責を果して参つたのだから、もうここらへ来たら少しぐらい米も余つた、各産業も落着いた、この程度にまで参りましたならば、そろそろ農家のこういう困つておるときには国家からお返ししてもらつてもいいのじやないか、こういうような露骨な感情を或る農民は私どもに申しておりましたことを、農林当局等はよくお考え下さいまして、大蔵省に抑えられることなく、一つ農林省の立場から、こういう実際の被害に対しまして、実際にかかつた特別の費用をかけることによつて、勿論それは農民個人の利益にはなりましようが、従つてそのこと自身が国の生産の減退を防止し、或いは腐つて参りますものを生かして参るということになりましたならば、考え方は別様になるのだと考えますので、特段の御努力をお願いしますと同時に、この委員会におきましても、この問題に対しては特別の一つ御決議をお願いしてくれ、こういうような農民の強い要望のありましたことを附加えておきたいと思ます、 第六は農業施設災害復旧緊急対策の問題でありますが、これは大体早くやつてくれ、それに対する復旧資金を早目に廻してもらいたい、いつでも復旧は直ぐやるというが、ひどいのになれば二年も三年も放つてあるようなことでは、これは何にもならんから、一つ大急ぎでやつてもらいたい、こういうような要求がひどく出ておりましたが、災害の現地に対しましては、あまりこのたびの長雨に対する被害に対しましてはひどいものもありませんが、ただ岡山県におきます甲の浦の溜池が決壊いたしまして、死亡一名、負傷者数名を出しました。決壊家屋が一、流出三、こういうような随分ひどい溜池の惨害であるから一つ視察して頂きたいというので、この視察に参りましようといたしましたが、突風のため海が荒れておりまして、この視察を見合せなければならないので、これは見合して参りましたが、こういうようなものに対しましては、一つ特別早く復旧してもらいたい、この溜池の決壊によりまして、耕地の埋りましたのが約二十町歩だと言われておるのでありまするけれども、土砂を出し、そうして復旧すにには相当な経費もかかりますことでありますから、一つ特別な御審議を願いたい、こういうような陳情を受けて参りました。その他恒久施設地区とでも申しましようか、この雨で、特に岡山の開拓地区おきますところの排水の問題でありましたが、ここには数カ所の排水ポンプが付いておりますが、現在の排水施設では到底こういうような大雨は勿論のこと、通常な、先ほど申しまする南海地震の耕地の沈下等によりまして、常の雨でも災害を受け勝ちであるので、従つて今一つ、二つくらいは排水を増設したいが、今現在使つておりまするものが、すでに耕地はちよつと面積は忘れましたが、その一基の排水機だけの経費が百万円かかる。それでちよつとそばにおりました土木の関係のかたに、一反歩どれくらいかかるのだという質問をいたしましたところ、大体一反歩について千円くらいかかる。こういうようなお答えがありまして、これ以上の経費がかかれば、成るほど排水を敷設することもよろしいが、併しそれをすることによつてなお数百万円の金がかかるようなことであつては、これも営農上成立たんことであるから、従つてこういう排水の非常に金のかかるものに対しては、特別の補助金等の方法を以て耕地が完全に使われるようなことを十分考えてもらいたいという、強いこれも要望がありましたのと同時に、西大寺地区でありましたか、邑久地区でありましたかの地区におきましては、山を切開いて約四百メートルほどの山に隧道を作りまして、これで排水いたしますれば約三十町歩かと思いますが、三十余町歩の耕地が完全に排水ができる。而もこの耕地が山の上のほうの水を全部受けまする関係上、雨にさえなれば水がたまるということは、先ほど申しまする南海地震の耕地沈下から出て参りました最近の様相なのでありまして、従つてここ十五年くらいの統計を見ましても毎年約二割乃至三割の減収率を示しておりますので、その減収率等から考えて見まするならば、そこで聞きましたが、たしか総工事費等は、減収が若しその工事ができて直るものとしまするならば、復活後二年くらいの増収で以てその工事費は出るのでありますが、これらのものを放つてあるがと、こういうようなことで非常に県庁を非難するのでありましたが農林省のほうへ、しばしば耕地課のほうへ、農地局のほうへしばしば申請してあるけれども、それがどうも取上げられないというので非常な憤慨をした御要請があつたように考えております。 その次の施設問題としましては、愛媛県におきまして大津という町がありますが、その附近を中心にして先ず三百年以来、肱川という川の丁度二又になつた合せ口が非常に狭いために、而も海岸との高低でありますかが、約十メートルくらいで非常に流速が緩いというような関係で、約三年に一遍か五年に一通ずつは三十尺、二十尺の水が出まして、平年でも少し水が出ますれば、最近の九州の水害では新聞に出ておりますように、皆屋根のこずらまで達するような水で、現に壁が落ちているのを見て参りましたが、これに対して国としましては、肱川のダムの建設をやつて、そうして水害を除去するのだ、こう言つておられますが、このダムの建設に対しましては非常な期待を持つておりますと同時に、一日も早くこのダムの建設をやつてもらいたい、こういう強い要望がありましたことを申上げておきたいと、こう思います。 そのほか少し附加えて申上げておきますことは、「い」草の被害の問題でありますが、岡山県におきましては「い」草が水災に遭いまして非常にふとりが悪くて、普通の「い」草としての使用に恐らくできまい、こういうような状態でありますので、従つて「い」草自身の損害としては、千五百億ぐらいのものが、先般冷凍害で栃木におきます大麻の被害のために附近の農家における家内工業としての鼻緒の仕事等が非常に減つて、農家経営の上に一大障害を来たしておるということと同じように、「い」草の原料は成るほど一億五千万円ぐらいの損害でありますが、これを織つて畳表にすることによつて約五十億円ぐらいの収入があるのだそうでありまして、それが全部まあ殆んど見込みがないとしまするならば、これは農業経営上の一大脅威であるが、今の場合、「い」草に対しても肥料を入れるということもなければ、植替えをするということもないので、直接の何らかの補給をして頂きたいということができない。その上共済の対象にもなつておらんということで、経済上の面から見ますと被害程度は麦に劣らんほどの深刻さを持つておりますが、この救済の途が殆んどないので、まあ税金でも何とかしてもらうというようなことではおさらないかということで、何とかこの点に対して、別な補給の途を考えてもらいたいという要求が相当にありましたことを附加えておきたいと思います。 そのほか稲の移植の輸送費の問題であるとか、いろいろの問題が細かく出ておりましたが、取分け申上げたいことは、麦種の買入の問題だと思います。これは岡山も、香川も、愛媛におきましても、共に麦種をどう保留と言いますか、来年の麦種を間に合せるかということに非常に頭を悩ましておられまた。大体いろいろな関係上、よそから参ります麦種では到底間に合わんから、その種子はどうしても県内のものを補給したいが、それが大体どれぐらい間に合うんだか、合わないんだかというような事情もわからない。まあこれに対しては思い切つた処置をとつて、麦種だけは県内のものだけを一つ集めたいというので、いろいろな考え方を申されておりましたが、大体種になるような麦を買入れまするには、約一升百円ぐらいで集まるか集まらんかわからん。だがまあ百円ぐらいの見積りをしておきましたがというようなお話を承わつて参りました。ところが今日こちらへ参りました麦種子購入費の補給金というようなものを見ますと種子代を二千八百八十円に見られて三分の一になつておる。これじや実際の種子の補給に対しまする県の実情とは余りに、かけ離れた実情だと思いますので、この点は一つ農林当局から御再考をお願いしたいと思います。気が付きましたから余分のことを申上げておきます。その他融通資金に対しまする利子の補給であるとか、或いは少くとも三カ年ぐらいは据置いてもらわなかつたならば、このたびの融資に対しては何ら効果がないというような陳情もありました。それから飯米の問題等は第一区の要望と大した変りはありませんので取立てて申上げません。 ただ一つ取立てて申上げたいことは、岡山県の児島湾の埋立工事を今現に農林省の直営で進めておられましたが、その際ちよつと出て参りました議論は、今ここですぐ間に合力ん、埋立にあれだけの大仕掛の金をかけてどんどんやつておられるが、それがいいことか、現にこういう沈下をして、広汎な面積において非常な危険状態において、現にもう減産をしておる。そうして営農の急機を来たしておる、こういう面をほつたらかしておいてまで、こういう埋立をやつていることがよいのかどうかというような、一つ議論を聞いて参りましたが、これはどちらがいいとか悪いとかということでありませんので、その点をはつきりさして、そういう議論も言われているほど、現在の埋立地の沈下状況等、被害が年々恒常的に現に来ておるということを一つ御報告申上げたいと思います。 その次には、大体町村役場等で心配しておられたのは、こういうような災害で恐らく税金は、村税等は満足にとれまい、従つて村の財政上大きな赤字が出ることは、もうわかりきつておる、従つて平衡交付金の処置を十分考えてもらうよう、やはり農林委員会等から一つそういう方面に向つて強力な御交渉おきを願いたいというような御陳悟がありました。 大体概略を申述べまして、第二班の報告を終りたいと思います。
○委員長(片柳眞吉君) (第二班雨森常夫君。
○雨森常夫君 第三班は鈴木委員と松浦委員と私と三人で参つたのでありますが、本日は両委員とも御欠席でありますので、私から極く概略御報告申上げます。 なお私どもの参りました福岡、大分両県を含みますところの九州地方は、御承知の通り数日来の大水害で農作物或いは農業施設等の被害が非常に大きかつたのでございます。私どもが参りましたときの様相とは全く一変いたしておるだろうと考えます。例えて申しますれば、足で蹴飛ばされて、立上ろうとしたところを又倒されて踏みにじられたというような恰好に相成つておると思うのであります。従いまして、私どもが参りましたときに強く要望せられました点、これらも他の地方と大体同じでありますから、條項だけを申上げまして、なお二、三私どもが参りまして痛感いたしました点を附加えて御報告申上げます。 先ず第一に、現地で強く要望せられましたのは、被害麦類の政府買上及び検査手数料の免除については特別の処置を講ぜられたいということが非常に強く要望いたされました。 第二には、営農資金の補助及び融資を急速に願いたい。これは勿論利子補給も含んで要望せられたわけであります。 第三には、農業共済金の概算払及びこれに利子補給をお願いしたい。 第四は、「なたね」、馬鈴薯等、非共済農作物の特別補償の処置を講ぜられたい。御承知の通り、福岡県は「なたね」が非常に栽培面積も多く産額も多いのでありますが、今度の被害の額から申しましても、小麦が十一億、裸麦が十七億というのに対して、「なたね」の被害が九億以上ございました。非常に「なたね」の被害が悲惨な状態であつたのを見て来たのであります。 次に第五に、政府所有麦類の適時適切な売却に対して価格の調整並びに食生活の安定をお願いしたい。 第六に、農地及び農業施設の応急工事費の補助をお願いしたい。並びに復旧資金の融資をお願いしたい。 第七に、開拓者資金の長期貸付をお願いしたい。 第八に、災害荒廃地、災害林道等の復旧の補助を速かに頂きたい。 第九に、農村課税の減免並びに平衡交付金の増額をお願いしたい。 かような点が特に要望せられた強い点であつたのであります。このほかにも、共済金を増額せられたい。即ち九〇%被害の場合と全滅の場合が同じの現在、特に全滅の場合の増額をお願いしたい。 協同組合の法人税の免除をお願いしたい。 農業災害補償法を実情に即するように拡大強化の改正を願う。或いは又飼料にもならないような麦を収穫の数字にされないように願う。以上のようなことが附加えて要望せられたのであります。 最後に、私たちが現地へ参りまして痛感いたしました一、二の点を申上げます。 先ず第一に被害麦の点でございます。食糧になるような被害麦が殆どないというような現状でありますが故に、総生産量から買上可能のものを引いた他の麦は収穫皆無として処置をして補助すべきではないかと考えられるのであります。又五等麦の規格を拡大しまして、できるだけ買上げてやるべきだと痛感いたした次第であります。被害麦の買上問題については、当委員会といたしましても特に御考慮をお願いしたいと存ずをのであります。 第二には、気象予報の迅速正確化であります。福岡県で我々参りましたと、きに耳にしたのでありますが、長雨がが続いて、もうこれで明日は雨が上る、麦を刈りなさいというような気象通報で農村に出たそうであります。それで百姓がみんな一斉に出て麦を刈つた、或いは「なたね」を収穫したということであります。麦を刈つたがためにそれを押流された量が莫大でありまして、遠賀川流域が特に甚しいのであります。かような気象の誤報と申しますか、というようなことをやられたのでは、被害を倍か三倍にするというような結果を来たすものと思うのであります。現在気象関係は運輸省で所管されておるようでありますが、これは農林水産に特に関係の深い気象観測でありますので、農林所管にすべきが至当ではなかろうかと痛感いたしたのであります。なお又福岡県の浮羽郡は筑後川と巨勢川に挟まれた狹小な郡でありますが、これが常時冠水をする地域でありまして、本年のごとく五月の末から六月の初めに長い雨が降りまして、そう大した豪雨ではないのでありますが、長い雨が降れば必ず浸水するるのであります。堤防が決壊しなくても冠水数日に及ぶということが普通でありまして、これが毎年この時期に雨が降れば毎年この被害を受けることは当然なのであります。かような地方におきましては、排水ポンプを据え付けるとか、土地改良事業を起してこの被害を繰返さないようにすべきであると考えます。 第三には、治山治水の徹底化の問題でありまして、大分県の例のように、治山治水のなされておるところの大きい河川の周辺は被害が殆んどなくて小さい小川程度の川の周辺が無改修でありますがために、重大な被害を受けたことを見ましても一考を要する問題だと考えられたのであります。 以上が私たちが現地を調査いたしまして大要でございますが、現地の要望事項等は尤もなことばかりでありますが故に特に当委員会といたしましても格段の御考慮をお願いいたし、適当な措置を講じて頂きますようにお願いいたす次第であります。先ほど申述べましたように、第三班の参りました地方は、今回の大惨害を再び繰返して受けた地方でございますので、以上申上げました六月初旬のこの水害に対する処置をでき得る限り早く講じて行くようにいたしたいと考えます。再び受けた水害と併せて考慮するということでなしに、特に迅速にやるべきじやなかろうかと考えます。 以上簡単でございますが、第三班の報告といたします。
○委員長(片柳眞吉君) 只今御報告がありましたが、この問題は一昨日大体懇談会でもいろいろ御相談をしておりまするが、なお何か右の報告或いは政府に対して御質疑がありますれば御発言を願います。
○上林忠次君 ちよつと先ほどの報告に漏れておりますところがありますので附加えますが、車中に広島県のかたがたが出て来まして、広島県は衆参両院とも調査に行かないことになつておりますので、被害の状況をちよつと聞いて見たのであります。広島県の被害は土木関係が三億五千万円、耕地関係三億四千万円、それから農作物が十四億九千万円、計二十二億円でありますが、農作物のうち麦が九億、除虫菊が一億、柑橘の被害が一億という工合で、よそに余り見られないような除虫菊とか、柑橘の被害が相当あるというので、この点、この災害の処置に対しましては、政府において特に考慮して頂きたいという希望がありました。 それから「たばこ」でありますが、「たばこ」はこれはもう全国にありまして、今回の政府の被害におきましても相当な被害がありますが、これにつきましては監督官庁が大蔵省にありますために、大蔵省のかたに来て頂きまして、ほかの作物と同様に何とか救済措置を講じたいと希望するのでありますが、呼んで頂けますか。
○委員長(片柳眞吉君) 大蔵省の関係官を呼んでおるそうです。
○川口爲之助君 風水害の対策費は、まだ極めて多方面に亘り、被害程度も調査中であろうと存じまするので、予算措置は考えられておらない。かように考えますが、その点は如何なものですか。先の凍霜害対策費というものが、直ちに予算措置ができて各府県に配付せられたのでありますが、只今御報告にあります通り、急速な処置を要望されておるようでありますから、この予算措置を速かにやつてもらいたいと希望いたします。
○委員長(片柳眞吉君) 一昨日の懇談会で、非公式ではありましたが、農林省の今考えております予算措置については御説明があつたわけであります。
○国務大臣(保利茂君) 先ず冒頭に、私は数日前突然農林大臣の重職をお引受けいたしました。非常に責任の大を痛感して微力を恐れておるものであります。併しながら皆様方の御意見を十分伺いまして、我が国農政のために渾身の努力をいたしたい所存でございますから、何とぞよろしくお願いを申上げる次第でございます。 六月初旬のいわゆる台風第二号によります災害につきましては、只今各班の御報告を頂きましても、その被害の状況がかなり深刻広汎に亘つておりますことはよく承知をいたしておるところでございますが、現在までのところ、農林省といたしましては、各被害県からの報告のありました被害状況を集計しますと、農作物につきましては総額三百一億二千万円、そのうち主なるものは麦の二百六億、馬鈴薯四億四千万円、「なたね」二十五億八千万円、果樹二十億、水稲三億五千万円等に上つておるわけでありますボ、又施設の災害について見ますと、総額百十六億円、そのうち主なるものは農地の七十二億、林野の二十一億でございまして、その他漁船、漁具等に相当の被害があつた模様であります。そこで農林省としましては、直ちに災害対策の方針をきめまして、それに必要な経費といたしまして、災害融資利子補給金等、総計十九億九千万円余を災害対策予備費より特別に支出して頂きまするよう、只今折角交渉をいたしている段階でございます。なお、雨森委員からお話がございましたように、今次の北九州を中心として襲つております大豪雨につきましては、その惨害実に空前というような状態でございまして、直ちに内閣から戸塚建設大臣を代表として視察に送り、農林省からも篠田政務次官及び農地局建設部長その他係官を只今派遣して実情調査をいたしております。今日は非常な危険を冒して福岡から佐賀に入つておるようでございますけれども、未だ災害が続いておる状態でございまして、的確な状況を捕捉することはできませんけれども、その惨害は想像に絶するようでございまして、必要な措置を誤まらないように努力をいたしておるところであります。ただ、この食糧の関係につきましては、幸いに九州各地にございます政府手持米の在庫はかなり豊富にございますから、処置を誤まらなければ、この点についその不安は万ないであろうと、万全を期して行く所存でおるわけでございます。
○河野謙三君 今大臣のお話によりますと、今度の北九州の災害につきましては、政府は建設大臣初め、関係の係官を派遣して目下調査中である。これは非常に臨機の措置として結構だと思うのでありますが、ただその間において、農林大臣がここですぐ腹をきめなければならんことは、今度のような災害は従来の災害と違いまして、この災害の対策として、単なる農業共済の制度であるとか、その他一般の従来の災害に対したところの対策では、これは救済できないのですよ。これはおわかりだと思う。でありますから、この調査の期間において、速かに農林大臣は、当然その莫大なる災害の額というものが出て来るのですから、これに対して如何なる法律を作り、又如何なる制度を作つてこれに対処するかという準備が私はなければならん。これは数字が出て来て、それから農業共済をどういうふうに改良しようとか、農業共済の制度をどういうふうに拡張解釈しようとかいうことをやつておつては、二カ月も三ヵ月も経つてしまう。これは当然お考えのことだと思いますけれども、若しそれについての、農業共済その他の対策について如何なる臨機の措置をとられるか。これについてお考えがあつたらお示しを願いたいと、こう思うのです。
○国務大臣(保利茂君) 河野委員と私は全く同感でございます。この災害が尋常でないということを看取しまして、もはや今日の状態は、災害というようなことで表示できない事態に至つておるのではないか。従いまして、この対策を迅速に而も適切にやらなければならん政府に責任があることはもう当然でございます。その措置につきましては、内閣内部におても御相談をいたしておりますが、心からお願いいたしたいことは、今回の災害に対しまして、どうか一つ国会側におきましても、この災害に対処して頂く、御協力をお願いを申上げたい。必要な措置は、或いは河野委員の御示唆になりましたようなことまで考えなければならないかと、只今研究をいたしておるところでございます。誤まらないようにやつて行くつもりであります。
○河野謙三君 私もつと具体的に伺いたかつたのですが、例えば今度の災害は特別大きいのですが、今までの災害にいたしましても、先ほど御報告によりましても、先ず御就任前に、すでにこの委員会でもたびたび政府当局に要求しておりますことは、五等麦の拡大解釈であるとか、更に等外品を買付けしなければならんというようなことをいろいろ言つているわけです。併しその間において漸く今までに具体的に政府から答えのあつたのは、五等の甲と乙を入れて、そうして乙に従来の規格外品を多少附けてやろうという程度のことがきまつただけなんです。ところがそんなことを論じている間に、すでにもう規格外品は大量買上げなければならん。更に従来の農業共済の量的の共済でなく、質的の共済にならなければ、もうこれはいけないというところの現実に来ておる。災害なんていうものは考えていたら何にもならんので、いわゆるあとになつて気が付くのは、あとで繕うのは福助の頭で、今のうちから用意しなければならん。報告を待つまでに……。北九州にはどれくらいの被害があるかということはわかつておる。今の農業共済の尺度では当てはまらない。これは具体的に規格外品は即座に考えて買う。更にその他の拡大解釈についてどういうふうにするかということは、ここに準備ができていなければ私は困ると思うのです。それらについて、私はあえて就任早々の農林大臣に今細かく伺いませんから、若し何でしたら、局長なり、その他の関係のかたが、これについてどこまで前進した災害対策について用意ができておるか、これについて伺いたい。こういうふうに思う。
○国務大臣(保利茂君) 私からちよつと申上げたいと思いますことは、先般の六月の台風第二号による災害は、これは主として農業災害に中心がありました。それを中心として災害対策を講じて参つて来ております。今回の北九州を中心とする水害は全面的の大災害になつておりますから、全体の問題として緊急に措置をとらなければならん。そういう観点に立つて心配をいたしておることを御了解を願つておきたいと思います。
○河野謙三君 私くどいようですが、御心配になつておるのは結構ですが、その対策は一つの制度がなければできないわけですね。どういう制度を新らしく作るか、又従来の制度をどういうふうに拡大解釈をしてやるか、そういう一つの入れ物を作つて置かなければ何にもならん、今のようなことで、入れ物がなくて、それでただ調査をしておる、今度調査の結果が来てそれで初めて何か一つ制度を作ろうじやないか、又今の制度を改良しようじやないかということでは、私は従来の経験に徴しても今後二カ月も三カ月もかかる、特に被害調査が二元にも三元にもなつて、御承知のように農業共済からも被害の数字が出て来る、各府県からも出て来る、又農林省の統計調査からも出て来る、三つも四つも被害調査が出て来て、そうしてこれが鉢合せして、一つの政治問題になつて、そうして被害調査の数字さえもなかなかまとまらない。これを出すのにも一ヵ月も二ヵ月もかかる。でありますから、この被害数字も、私は敢然として、あなたの直属の統計調査にやらせる、統計調査が農林省の直属の機関であるから、これを大いに信頼し、又これに人員が不足するならば、臨機これに人員を加えるなりして、こういう場合には臨機の処置をとるなりして、農林省が直接やらなければいかん。勿論県の数字なり、農業共済の数字を信用してはいかんとは言わないが、農林省の直属の機関において一応の数字を出して、そうしてこれに対処しよう、そういう腹がなければならん、これは早いか遅いかということは、私は多少の不満足があつても早いのが一番いい、ところが一番この対策が遅れるのは数字が出て来ないことですから……。これは従来作報と言いまして、非常に農民から非難されて来た機関でありますから、統計調査と名前は変りましても非常に農民からは恨まれて来た。併し今は統計調査というものは決して農民を圧迫したり、これを搾取したりするような出先機関でないのであつて、本当に農民の側に立つての協力機関でありますから、これは農民は理解すると思う。でありますから、私は何とかもう少し早く結果を出して、その結果が出るのを待つている間は、あなたが容器を作つて、制度を作つて、又制度の改正をやつて、そうして数字の出て来るつのを待つているというくらいにしなければ、私は災害対策というものは壷にはまつて来ない、こう思う。これを私は希望しているわけです。
○上林忠次君 ちよつとそれに関連したような問題でありますが、これは風水害というものは、東北地方の冷害のように年々繰返す問題でありまして、今年の風水害の原因を除去しない限りは年々大きくなつて来る災害の元になると思うので、何とか政府も年々来る風水害に対して善後処置を早急に講じなくちやいかんじやないか、それに対しては災害復旧法とか、或いはそれに対する金融金庫を作るとか、何とかその根本的な風水害の原因を除去する対策を講じなくちやいかん。そういうようなことについて政府はどういう工合に現在お考えになつておりますか、お聞きしたいのですが。
○国務大臣(保利茂君) 尤もでございます。いわば泥棒をつかまえて縄をなうというような形では、その災害の南がないときには北があるというような、常時災害が発生する国の制度として不十分だということは私も御同感でありますから、御意見の点は十分考えさせて頂きたいと思います。
○委員長(片柳眞吉君) ちよつと申上げますが、只今議長から申出がありまして、本会議に出席を求められまして、委員会を暫時休憩して本会議に出て欲しいというような申出がありましたから、この問題だけをできれば片付けて休憩に入りたいと思います。
○上林忠次君 簡単に一つ動議を提出したいと思います。 五月下旬から六月上旬に亘る過般の風水害の対策につきましては、去る六月十七日当委員会から申入れしておるのでありまして、政府においては遺憾なく処置されておることと思うのでありますが、今回の現地視察の結果によりまして、改めて皆さんのお手許にお配りしてありますような申入をすることの動議を提出したいのであります。念のために一応申入の案を朗読いたします。 昭和二十八年五月下旬から六月上水旬に亘る西日本における雨害対策に関する申入(案) この件について去る六月十七日申入してあるが、政府は速かに既に農林省において計画せられた対策を完遂し、特に左記の事項に関して遺憾なく措置せられたい。しかしてこれ等実施の経過並びに結果を随時当委員会に報告せられたい。 なお、今次の豪雨による九州地方の水害は、報道によれば、稀有の激甚なものと思われるので、これが対策について万善を期せられたい。 記 一、右の西日本雨水害は麦類等鎌入以後において特に甚大な災害をもたらし、収量の激減に併せて、その品質の低下を来し、且つ収獲物の調整等のため生産費が著増している特異事情を考慮して充分な対策を樹てること。二、被災地の麦類は、政府において、極力緩和された規格と格差とを以て出来るだけ大量を買入れること。 なお、これが飼料としての買入利用についても充分考慮すること。 三、政府の買入が困難な麦類については、これを収獲が無かつたものと見做しに、農業共済金に準ずるような措置等適当な救済措置を講ずること。 四、農業共済金の仮払い及び概算払いの実施及びその資金の手当について遺憾なく措置すること。 なお、右の資金については農業共済基金に対する政府出資の増額その他国庫から利子を補給するよう措置すること。五、開拓地の災害に対しては、その特殊性にかんがみ、特別の措置を講ずること。 六、農地及び農業施設の応急施設費の助成及び急速な金融措置を行うこと。 七、苗代並びになたね及び玉葱等重要農作物の被害の救済に関しても遺憾なく措置すること。 右当委員会の総意を以て重ねて申入れする。 昭和二十八年六月二十九日 参議院農林委員会 内閣総理大臣 吉 田 茂殿 農 林 大 臣 保 利 茂殿 大 藏 大 臣 小笠原三九郎殿
○委員長(片柳眞吉君) 只今の動議につきまして御意見如何でありますか。
○河野謙三君 今の買入措置のところですが、規格内品とそれから規格外品、それから餌、こういうのですが、結論は殆んど皆買つてやれ、こういうことですが、私は趣旨は大差ないのですが、規格内品は勿論のこと、規格外品といえども、災害地に限つてはこの際買入措置をすること、こういうふうにはつきりしたほうがいいと思う。そうしないと幾らか弱くなつている。結論として、そうしなければ私は救済できないと思う。何か少し餌を買つてやつてくれとか、そういうことでなしに、規格内品は勿論のこと、そのほか規格外品も特に買つてやれ、こういうふうにしたらいいじやないか、こう私は思う。ただ少し意味の強いと弱いの違いだけだと思う。
○委員長(片柳眞吉君) ちよつと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(片柳眞吉君) 速記を始めて。 それでは議長のほうから督促がありますので暫時休憩いたしまして、追つて再開することにいたします。休憩いたします。 午後三時四十五分休憩 〔休憩後は開会に至らなかつた。〕