通商産業委員会 第24号
- 発言数
- 26 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1953/08/08
会議録
○委員長(中川以良君) それでは只今より通商産業委員会を開きます。 前回に引続きまして硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法案につきまして御質疑をお願いいたします。……ちよつと私から伺いたいのですが、これは農林省関係ですけれども、片方の需給安定法案のいわゆる生産費算定ですね、これに相当時日を要するのですが、これは一体どういうことなんですか。この間もちよつと質問したのですが、よくわからなかつたのですが、それをちよつと一つ御説明下さいませんか。
○政府委員(中村辰五郎君) 原価生産質の調査の問題につきましては、先ず最初に政令関係で原価計算要綱という基本の準則をきめまして、各製造業者に対してその計算様式によつてコストの、生産費の内訳を書類を以て報告せしめる、これが第一段階でございます。この原価計算様式を農林、通産両省で決定いたしまして、製造メーカーをしてこれが作成をいたしますのに一カ月半くらいはどうしてもかかるのでございます。従来メーカー自身の計算しております方式によりまして提出をいたさせる場合でも六カ月間を単位としてとりましてもやはり一カ月は少くとも要するのでございまして、政府の原価計算様式に従いましてやる場合は一カ月半以上を要するのじやなかろうかと考えます。なおこれに基きまして更に工場の強制調査をいたします。勿論全工場十七工場に対しましてやりますことは、相当時日を更に要します関係もございますが、数班に分かちまして、これが現地調査をいたすということは、やはり少くも一カ月程度の時日を要するのじやなかろうか。この結果をかれこれ検討いたします期間も相当余裕をとらなければなりませんので、更に硫安審議会に農林、通産両省で取りまとめました一つの試案を提示いたしまして、ここで相当審議いたさなければなりません。そういうようなことを考えますと、生産費を計上した価格を査定いたしますこの作業と申しますものは相当期間かかるのじやなかろうか。正確を期すためにはやはり二、三カ月どうしてもかかるのじやなかろうかということが考えられるのでございます。そういたしますと、やはりこの際、国会を通過しておりますことが春肥の問題として処理する場合でも必要じやなかろうかという工合に考えたことが一つでございます。なお秋肥の問題につきましては、すでに秋肥の時期に入つておりますので、これは途中から価格公定制度を適用するというような事態に今国会で成立いたしましてもなると存じます。生産費の調査の観点からいたします事務的な面は、こんなように私ども考えておる次第でございます。
○委員長(中川以良君) そうするとこの政令の案というのはできておるのでしようか。
○政府委員(中村辰五郎君) 政令の原価計算様式につきましては、通産省としましては農林省とは具体案について打合せはいたしておりませんが、先に物価庁当時原価計算方式がございまして、大体これに準拠するような結果に相成ると思います。事務的に我々が準備いたしまする場合、当時の物価庁といたしまして、原価計算様式というものを前提として考えたいと存じます。なおどういう生産費を基にしてきめるかという点につきましては、現在政府として農林、通産の両省間の意見一致の線で申上げるのでございまするが、内需用に需給調整用の保有数量を加えました数量を賄うに足る原価計算費内の加重平均という工合に考えております。要するに生産費の安いものから積上げまして、内需及び需給調整保有量を賄い得る原価生産費内の加重平均、こういう考えでございます。この点につきましては、両省間の意見は一致しております。
○委員長(中川以良君) これは、生産質を調べるのは誰が調べるのですか。
○政府委員(中村辰五郎君) 需給安定法は農林、通産両大臣の権限にいたしておりまして、これは両者、両省対等の関係におきます権限の立場にいたしておりますが、調査の実態は、法律の建前は飽くまでも共同調査でございます。資料を徴する場合には、両省大臣の共同起案を以ちまして、メーカーの原価計算方式によつて提出する旨を具体的に指示する、或いは逐次必要なる資料を、それぞれ必要とする場合には、両省の共同起案による共同通牒で、資料の徴収をいたします。それから工場に対します実態調査につきましては、両省の担当官で編成いたしました調査団を組織して、これを数班に分けて実施いたしたいと考えております。
○委員長(中川以良君) それから農産物価格その他経済事情を参酌しというのは、これはどういうフアクターが入つておりますか。
○政府委員(中村辰五郎君) この農産物価格その他の経済事情と申します点につきましては、勿論一つの前提としましては、農産物の価格なり、或いは工業製品の価格なりは、一応原材料面、或いは労務の労賃の面に一応客観的には入つておるものと考え得られるのでございまするが、硫安の農産食糧関係に直結いたしております農家の現金収入というような面から考えるべき問題もありまするから、同時に、一般の経済事情から、硫安工業がどの程度の利潤を確保することが適正であるかどうかというような問題も、この一つの硫安の生産者販売価格をきめる場合の要素だと考えるのでございます。その点につきましては、農産物の価格を如何に勘案するかという具体的な方式というものについては、まだ農林省からは我々は具体的に聞いておりません。
○委員長(中川以良君) 何かその公式が、やはり基準になるものが示されるわけでしような。
○政府委員(中村辰五郎君) その点につきましては、農林、通産両省で協議をいたしておりますが、具体的な成案は今のところ持つておりません。
○委員長(中川以良君) するとその県令に、生産費を割るような場合もあるわけですか。
○政府委員(中村辰五郎君) 理論的に申しますと、農産物の価格、或いはその他の経済事情から勘案して、コストを割る生産者価格、販売価格がきまるかどうかということが、一応理論的には考えられまするが、コストを割る場合の措置、例えば補給金的な制度をどうするか、そういつたような根本問題については、本法案については、触れておりませんので、私どもの考える限りにおいては、全メーカーがコストを割るような、一つの生産者価格、販売価格というものは想定しておらんのじやないかと思います。従いまして、農産物の価格、或いはその他の経済事情と申しますものを勘案する場合におきましても、おのずから限度があるのじやなかろうか、こういう工合に考えております。
○白川一雄君 輸出の出血を内地のものにかけていない。こうしますと、製造業者が二割の配当をして、なお且つこの損失をしても二割の配当をしておる、こういうことになるのですが、恐らくその損失は別の処置方法を講じておられるものだろうと思うのでありますが、それについては、経理上どういう立て方になつておりますか。
○政府委員(中村辰五郎君) 只今の御質問の、現在のいわゆる輸出によります損失の処理につきましては、各製造メーカーが、それぞれ経理上欠損として落さずに、繰越をいたしておるのでございます。そういう方法によりまして、いわば損失を次年度以降に繰越しておるというのが実情でございます。ただこのような措置は、現行の税制、その他の面から行きまして、相当数年度に亘る繰越ということは、到底認め得られません。恐らく一時的な措置しかとれないものと考えるのであります。で、輸出会社を作りました場合には、輸出会社が買取る価格は国内の販売価格と同様の価格に制約せられますので、これによりまして買入をいたす輸出価格は、国際情勢によりましてその都度きまるわけでありますが、仮にこの輸出価格が下廻りました場合には、輸出会社にその赤字が残るわけであります。個々の製造メーカーとしましては、輸出会社に従来のような損失は転嫁…、棚上げされる結果になりまするので、製造メーカーとしての立場は、いわゆる金融上、或いは会社経理上、普通の方式で処理するわけであります。一方輸出会社としましては、そのような赤字をどのように処理するかということは、問題が別途残るわけでありますが、これに対しましては、第一段といたしましては、いわゆる赤字の処理というのが、国内生産価格が国際価格よりも高いという現実が一つの重要な原因でございますので、これをできるだけ早期に解決しようという試みをいたすわけでありますが、これがいわゆる我々が硫安工業の合理化、或いは関連……、石炭とか、或いは電源開発の増強という問題に関連いたしまして、コストの低下を図つて、これを以ちまして五カ年間の時限法になつておりますので、大体五カ年間にこの会社自体も黒字に転換し得るのじやないか、こういう工合に我々は考えておるわけであります。ただ過渡期の段階といたしまして、この輸出会社の赤字をできるだけ何か政府の援助によつて軽減しようという努力をいたしたいわけであります。この一つの方法といたしましては、いわゆる優先外貨の制度を適用いたしまして、優先外貨の利用による利益というものをその会社の赤字補填の財源にいたしたいという工合に考えます。なおバーター等の問題もございます。併し私どもの方針といたしましては、バーターによります利益というものを常に考慮するということは、それ自体又この赤字輸出会社の尻を、それ自体政府が何らか見てやるのだということになりまして、一面合理化を阻害する原因にもなりまするし、同時にそういう制度を常に考える体制でございますると、買手国のほうに叩かれるという傾向が常に考えられまするので、政府としましては、どうしても止むを得ない例外的な場合に、こういつたバーター、その他の手段によりまして、赤字をできるだけ少くしようというように努力して参りたいと考えます。なお赤字の金額的な見通しの問題は、これは非常に重大な問題でございますが、勿論国内の生産費に基きまする最高価格、統制価格というものがきまりません関係もございますので、又輸出の価格の動向もはつきり的確に申上げにくい面もございまするので、見通しにつきましては想定という域を脱しませんが、よく国会方面におきましても、年間十億或いは十五億の赤字が出るのではなかろうかということを仰せられるのでありますが、私の考えますところで申上げますと、大体二十七肥料年度におきます輸出の総平均は、価格で一トン五十六ドル三十六セントとなつておりまして、一叺に直しますと七百六十一円でございます。国内の安定帯価格の現在の価格は、中心値が八百六十円でございます。市価は大体八百八十円程度で全購連との間に各製造業者が契約しておる状況であります。そうしますと、この国内の価格と一応便宜上比較勘案いたしますると、国内の安定帯価格は御承知のようにオンレール価格でございます。輸出はFOBでございますので、その間一叺について三十円、輸出のほうが低いのであります。そういたしますと一叺七百六十一円というものと、八百八十円乃至は八百六十円というものを比較いたしますと、三十円下廻つた価格と比較いたしますと、その間に七十円から九十円の値差があると、こう考えるのであります。さようなことを前提にして考えますと、輸出数量が何万トンになるかによつて又トータルは変りますが、仮に二十八肥料年度で考えますと、四十万トン前後じやなかろうかというふうに考えるのであります。そうしますと大体勿論十億は下廻るのでありますが、八百八十円程度が生産者のコストだと考えます場合と、八百六十円くらいがコストである、こういう工合に考えます場合との間には、金額的に申しますと、これで行きますと、大体五億から八億くらいが、初年度における赤字じやなかろうかというふうにも考えられるのであります。一方合理化のほうが進みますので、この合理化は最終段階としてどの程度になるか、情勢の如何によつて変りますが、私たちは、漸次硫安工業の合理化だけでも、まる三年乃至四年目になりますと、六ドルくらいの値下りを考えられるのでありまして、そういう面からかれこれ価格の移り変りを考えますと、大体三年日頃にはその会社は輸出価格が異常に下らない限り、黒字に転換し得る余地が出るのじやなかろうかという工合に私は考えておるのでございます。そういう意味合いで、輸出会社につきましての構想が、従来非常な赤字を累積して、初期の目的に反するような結果になるのではないかという心配する向が多いのでありますが、私はこういう工合に実は考えておるのでございます。
○白川一雄君 外貨を利用してとおつしやるのは、恐らくわかりやすく言えば、バナナを輸入して、国内で儲けてカバーしようということになるのですが、外貨は輸出業者のかたが獲得するのじやないですか。
○政府委員(中村辰五郎君) その点の御心配はあるかと思いますが、実は、バナナの問題は具体的に取上げておりませんが、仮に何かの商品をとると、こういう場合を考えて申上げるのでありますが、実は個々の輸出業者なり或いはメーカーとの契約でやらしておりますと、こういつた優先外貨なり、バーターの利益が輸出業者或いはメーカーとの間の契約になりまするので、完全に吸収するということも、法規的に困難な場合がございます。そこで政府としましては、本立法に輸出会社がそういう場合には委託契約、少くも委託契約、或いは輸出会社が直接契約をして出す、そうして貿易輸出業者はその事務を代行するというような行き方にしまして、輸出会社に利益を吸収するような実際の契約或いは運用にいたしたいと、こう考えております。
○白川一雄君 その点について我々考えさせられるのは、硫安を余り使い過ぎて、我々の郷里のほうの種等も非常に種が傷んで、どうしても有機肥料を使わなければいかん、若しこういうものを輸出するとすれば、西独等の豆粕等と引換えにしてもらえば、あれを家畜の飼料に使つて、更にそれが今度堆肥に使える、大体同じ量の堆肥になる、そうしますと二重の利用価値がありまするので、あれを入れる価格が少少高くても、農家の実際面は助かりますので、我々郷里のほうの農地など見てみますと、もうこの上硫安を使つたのじや、稲のほうがだんだん細つてしまうというような現状になつているので、一歩進んで西独等の豆粕等を買うということを積極的に考えることが、打開する一つの方法じやないか、いずれにしましても我々これを拝見しますと、輸出会社が非常に今の御説明のように、成績が順調に行けば結構ですけれども、そうでないとするとかなり大きな損失がここに集まつてしまいますので、これの処置方法というのが、将来国家で補償するとか、或いは国内品に転嫁するとかということでなければ、処置ができないのじやないか、現在でも会社経理の立て方、我々普通の会社では想像もできない損失を棚上げにしておいて行くというような事柄は、而もそれで二割の配当をするというような事柄は、普通の会社の経理としてはできないことなんで、そういうことも現在あえてやられておるということから考えても、輸出会社というものの将来というものは、非常に困難なものがあるのじやないか。この何か対策委員会かの答申等もよく拝見して見たのでありますが、どうも自分のほうの都合のいいことだけ具体的に書いてあるけれども、その他の点の具体的なものがない。例えば税金のことを考えてもらう、或いは二百何億円の金が要るとか、資金の経理をこうするとかというような点のいわゆる要求はありますけれども、それじや五年後にどれだけ安く買えるという責任的数字の面が一つも上つておらんという事柄は、この対策委員会というものについても、我々何だか変な感じが、一方的な委員会ではないかという感じがするのであります。そういう意味において一応参考人の意見を申上げるのも、私は継続審議になるだろうという前提の下に申上げるので、或いは輸出入協会、農業協会とかというものの立場からこれを見ますと、我田引水ということはあるでしようけれども、意見が出ているので、継続審議なりにおいて一応意見を聞いて、我々が正確な判断をするのが最も正しいのじやないかと、こういうふうに考えているところであります。
○政府委員(中村辰五郎君) 御指摘のバーターのやり方の問題でございますが、実は今大豆の問題のお話が出ましたが、実は中共との硫安の輸出というものは、目下のところ禁製品になつております。勿論我々としましてはできるだけ近いところの地域でもございますので、輸出ということを考慮いたしておりますが、目下のところ実現しておりません。なお大豆の輸入に間連いたしましては、この輸出会社がそういつた農業用品を入れることによりまして、この赤字を補填するということが、農民の立場から見た一つの政治的感情等がございまして、このようなことに相成るかどうか、疑問の点が多いのでございます。 それから次に合理化いたしました場合のコスト引下げということを謳つてはおるが、それが現実に農民或いは一般経済界に対するプラスとして条件付けられておらんのじやないか、こういう御意見の点でございますが、お説は非常に重要な問題でございまして、私のほうといたしましてもそれを実現する一番重要な要素は国内のマル公を公定するという制度であります。逐次合理化の程度に合せてマル公の引下げをいたすこういう方針でございます。勿論法文上は謳つてございませんが、先ほども申上げましたように、国内のマル公と申しますものは只今も説明申しましたように、内部の需給調整用の保有量を合せた数量を賄う生産数量に当る限界生産費の加重平均で、一番考え方としてはシヴイアだと我々が考えております案でこの合理化の利益を一般農民に及ぼして行くという方針でございます。 〔委員長退席、理事松平勇雄君着席〕
○藤田進君 私は実は今日この法案については初めてなものですから、重複してすでに質問もあつて非常に煩わしいかも知れませんが、二、三の点をお尋ねして今後の研究の材料にしたいと思うのです。 第一の点は、この法案を見ると、先ず骨となる所は、提案理由の説明の中にも少々窺えるのですが、条文で見ると、先ず第三条について、合理化の問題ですね。法案のこの第三条には、やはり行政庁としては、これはまあ条文がなくてもこんなことはできるので、これは概念的なもののようにも思うのですが……これが一つです。 それから第四条についてですが、これもどうも斡旋をするという、その他適切な措置を講ずるということなんですが、これも第四条がないからといつてできないことはない、何ら条文として必要性というものを……条文がないからには斡旋をしないのだという人があれば別だが、現行法どこにも差し障りはない、なくても斡旋ができそうに思う。 それから第五条に至つては、会社を作ろうというのだが、これは提案理由によると、生産業者の出資になる、これは条文としてもどこにもないような、これは私の不勉強かも知れませんが、国策会社というような政府出資でも何でもないので、それこそ斡旋して作らないかというので、独禁法なり或いは公正取引法、そういつたようなこと……この間輸出取引法というのができたですね、こういうようなことに関連して出資者の間で自主的にそういつた現行法に違反しない限り作ればいいんで、法律を以てこういう会社をお前たちは作れということを、半額は国庫負担だとか、或いは融資するとかいうことが過去のまあ法律による設立だつたと思うのですね。これは非常に特異な感じがするのであつて、延いてはこれは憲法問題でも起すのじやないかというような疑いもあるのですが、それにしてもこの会社を作つてというか、この間通つた輸出取引法、この関連で解決つくのじやないかとも考えられるのです。そういう……あとはまあ、罰則はそれぞれあるけれども、何だかどうも新らしくここに制定されても……。以上若干の点を指摘しましたが、何らこの目的とするところにこの法律がどんな役目をするかということについて、どうも非常に私はつかみにくいのです。この法律のどこが……これで罰則はあるけれども、この罰則なんというものは条文違反の罰則であつて、どうも本質的なものがないのですね。そういつたような点について一つ……。
○政府委員(中村辰五郎君) 御指摘の点ですが、一つは企業の合理化に関連……硫安工業の合理化に関する規定でありますが、本条文がなくても全然動かんのじやなかろう、というような意味合いの御質問でございますが、勿論政府が行政的にやつております面もございます。ただ硫安輸出問題というものが起りまして、輸出による損失を国内に転嫁しないという問題は、他の企業にもこれと似たような経済現象は相当起つておるのでありますが、他の産業の場合におきましては輸出の損失或いは輸出上の安値を国内の価格に転嫁……という言葉が不適当かも知れませんが、大体経済現象としてはそういうことで動いておる。まあその傾向は特に国際競争の激化しておる最近におきましては、他の諸外国においてもそういつたような傾向をとつておるように見受けるのであります。併し硫安問題につきましては特に一般農民の利害関係というものが重要な因子を有しまするので、この国際価格との競争における不利益を内需に対する価格操作によつて処理する、こういつたような現象を、他産業に見られるような現象をその安定法並びに硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法で処理して行こうというのが両法案を出す大きな理由でございます。このような他産業にない特異な経済的措置をとることには、政府はよほど積極的な施策をする必要がございます。先ずその第一段階としては、根本問題としては、硫安の生産者価格を引下げて行くということがどうしても要請されなければ所期の目的を達成しないわけでございます。その意味合いからいたしますと、硫安工業の合理化というのは普通に考えるような、そういつた程度で事を処理するわけにはできませんので、政府としましては必要があれば勧告をすることができる、こういうような強い態度で臨まなければならないと思うのであります。勿論政府がこれらの合理化に対する資金或いは海外からの技術導入乃至は海外の近代化された設備の輸入、そういつたようないわゆる合理化に対して積極的な努力をこの問題解決のためにしなければならないということは他産業の場合と著しく異なる点かと私は思うのであります。その意味をこめましてここに三条、四条の規定を設けたわけであります。若し他の産業と同じような意味合いにおいて処理されるものであれば法律は……行政の措置によつて鉄鋼業におけるがごとく合理化を進めて、その必然的結果として国内のほうの価格をおのずから安くすればいいのじやないか、こういうことで事は済むのでありますが、御承知のように硫安の輸出問題が提起せられて以来、輸出入の損失を国内に転嫁するのは政策としての間違つておる、むしろこれを遮断して行くべきであるという強い要請がございまするので、この要請に応えるためには、このような政府の施策が当然強く進められねばならないと、こういうことは言えるのでございます。勿論硫安工業の輸出におきます立場というものの実質的な点を附言さして頂きたいのでありますが、昭和二十七年度におきます輸出産業の外貨の取得の状況を見ますると、我が国の長い明治時代から、日本の経済を背負つて立つて参りました綿業は、昭和二十七年度におきましては、四億ドルの支払超に相成つております。最近鉄鋼業の勃興に伴いまして、鉄鋼製品の輸出が非常に尨大になつて参りまして、鉄鋼業が昭和二十七年度におきましては、七千五百万ドルの受取超に相成つております。併しこの鉄鋼製品の輸出につきましても、その後の本年度に入りましての輸出の状況は相当大幅に下廻りつつあります。なお輸出の対象の一つとして言われました人絹、パルプにつきましても、その受取超は四千五百万ドル、著しく低下の傾向をとつております。そのような貿易の状況を勘案いたしまして、我が国の国産原料に基いて輸出するという立場の商品を拾つて見ますると、幸いにして内需百六十万トン以上もある硫安工業が外貨獲得率は百%であります。而も東南アジア、朝鮮等を含めますると、海外の需要は年間百五十万、年間五%程度の需要増を見る状況であります。このような状況を勘案して考えますと、硫安の輸出ということが貿易バランスの上から見て、非常に重大ではなかろうかと思うのであります。昭和二十七年度の硫安の輸出は五十一万トン程度になりまして、その外貨は、ドルで二千八百六十万ドルになつております。今日の輸出の商品で受取超の商品としては、恐らく三位或いは四位を下るものではなかろうと思うのであります。而も硫安工業の操業度維持或いは生産増強が国内に対しては内需を安くする大きな導因でございます。例えば硫安工業のこの操業度を内需の百五十万或いは百六十万に仮に操短をいたしたならば、恐らく今日の二百余万、或いは二百十万の操業度を維持するのに比較して、一割強のコスト高を招来するのではなかろうか、こう思うのであります。そういつたような全般の大局的見地から考えまして、硫安工業の合理化ということも、強く推進したいと考えるのでございまして、それが三条、四条の規定の趣旨でございます。 次に輸出会社の機構の問題でございまするが、輸出についてできるだけ輸出価格を有利に処理するということは、これはほかの物資につきましても、同様かとも思いますが、特に硫安につきましては、海外の買手国は大体一本でございます。輸出の出超を示します台湾或いは韓国或いはその他インド等におかれましても、買手国は一本の買手機構を持つておるのであります。これらの機構に対しましては、貿易の実際問題としまして、輸出側においてもこれを有利にいたします機構を一元化する必要があるのでございます。と同時に、先ほども輸出による損失を内需に転嫁しない、而も肥料対策委員会におきましても、この損失を自主的に処理すると謳われておるのでございまして、そういつた赤字を処理いたしまして、内需に損失を転嫁しない、而もメーカーがこれを処理するという立場にいたしましての一番適切な機構は、この輸出会社の機構が適切だと思います。もとより政府が出資或いは政府が助成金を直接出すという態勢でございまするならば、これは完全な政府機関になるのでございます。併し肥料対策委員会の趣旨、或いは先ほど申しました合理化というものを強く推進するために、飽くまでもこの最終損益の帰属者でありますメーカーをして自主的にやらせることが適当であります。そういう意味合いで国策会社的なものを組織としてとらないのでございます。仮に公団その他の方式によりまして、政府出資或いは赤字補填ということを財政上で見るという立場をとりますときには合理化の阻害にもなります。或いは更に一歩国際的にこれを見ますると、却つて国外の買手側からの買叩き或いはいろいろな国際紛争の原因ともなるのじやなかろうかと考えるのでありまして、飽くまでも製造メーカーの自主的な赤字処理機関というような実態を皆必要とするのでございます。その意味合いにおきまして輸出株式会社という機構を採用いたしたのございます。
○藤田進君 非常に丁寧な御回答でありましたが、言葉を換えて言えば三条がこういうことなんで勧告をすると、そこで四条が受けて、勧告して合理化しろと言えば必ず会社は金がないと来る。融資してくれとか、まあその他の問題が提起されるでしようが、そうすると適切な措置を講ずるというのだから、これはもう講じなきやならないということになるわけですから、努力はしても時の財政収支の関係ではできない場合もあり得ると思うのですがね。そういうふうに私は解釈しておるものですから、四条を、政府がこの法律によつて、政府は云々と書いてあるこの政府が、もう絶対に回避することのできない義務を負うというふうには考えていないのです。斡旋その他適切な措置を講ずるものとするというのですから、そうなれば三条、四条なんていうものは飾り文句で、大体第五条の会社を作らせて、そうしてまあ独禁法とか、そういつたようなことについて、特別な枠を外した形を、窓口を開いた形を作つて行くと、それでコントロールとしては、公正取引委員会の同意を得るとかいう一つの体裁は整えてあるが、結局この目的とするのは、そういつた価格カルテルなら価格カルテルというものを機構的にも整備させて、そうして他の制約されている独禁法その他の面を、特にこの問題に関しては、硫安に対しては緩和をしようという、そういうふうに、こうなるような気がするのですね。
○政府委員(中村辰五郎君) この輸出会社の業務の運営に関連してのカルテルの問題でございますが、この輸出会社は、独禁法の適用を除外いたしておりますのは、第十三条にございます。会社に譲渡すべき硫安の数量、又はその取引条件ということに限定しております。それで価格については、独禁法本条の第二条の適用を受けまして、価格協定は一切できないのであります。買入価格は、国内に先ほども申しましたように公定価格がございますので、これに準拠して買うということに相成ります。輸出につきましては、御承知のように輸出会社が一本で或いは少量数量のもの、或いは輸出業者に任していいと考えられるような部面の輸出問題につきましては、勿論輸出会社は硫安を売渡して、適宜処理せしめるということにいたしておるのでございます。で、買入につきましても輸出につきましてもカルテル協定ということはいたしませんし、同時に独禁法の違反に相成ります。
○藤田進君 この間一部改正になつたのですね。輸出取引法、これが輸出入取引法というふうに変つたと思いますね。あれの関係から言えばこの程度の価格カルテルというようなものは認めてしまつているような気がしますが、これとの関係ですね、今答弁された……。
○政府委員(中村辰五郎君) 取引法との関連でございますが、本問題の処理につきましてこの輸出機構で行くか行かんかというような問題でございましたが、これは先ほども申上げましたこの輸出機構を作りました大きな一つは……而もこれが決定的だと思いますか、これは輸出による赤字を製造業者において自主的に処理すると、こういう大原則を実現いたしますのが建前でございまして、従いまして輸出業者を主体とするような輸出組合法では本質的に合いませんし、同時に運用がつかないと考えているのであります。勿論輸出面に対します価格の協定は或いは輸出組合法の運用でもできるかと思いますが、私のほうはそのような機構問題の処理の仕方をいたすよりも、むしろこの本質問題でございます赤字処理、最終責任者でございます硫安製造家をして処理せしめる、これが必要でございまして、その面から輸出組合法によらない、又より得ない、こういう工合に結論を出しているのでございます。
○理事(松平勇雄君) ちよつと速記をとめて。 〔速記主止〕 〔理事松平勇雄君退席、委員長着席〕
○委員長(中川以良君) 速記を始めて。 それではこれにて散会いたします。 午後零時十二分散会