通商産業委員会 閉会後第5号
- 発言数
- 95 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1953/10/28
会議録
○委員長(中川以良君) それでは只今より通商産業委員会を開きます。 本日は先ず最初に先に視察をされました各班よりの御報告を伺うことにいたしたいと思います。
○黒川武雄君 第二班の視察の報告をいたします。第二班は白川委員と二人で九月五日、六日、七日、八日の四日間名古屋、大阪、神戸の各工場を視察いたしました。名古屋では新三菱重工の小牧工場で飛行機の修理の状態を視察し、それから四日市の燃料廠跡にできております東海硫安工場について硫安について視察をいたしました。それから大阪では小松製作所の枚方工場におきまして砲弾の製作状況を視察し、又尼崎の関西電力の第二火力発電所におきまして火力発電についての状況を視察いたしました。それから神戸は神戸製鋼所の砲弾工場につきまして視察して、そうしていろいろ小松製作所の枚方工場との比較等について大いに考えさせられるものがございましたが、次いで川崎重工の川崎造船所並びに神戸港の視察をいたしまして視察の日程を終つたのでありますが、詳細につきましては書類を以て御報告いたします。私の報告はこれを以て終了いたします。
○委員長(中川以良君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(中川以良君) 速記を始めて。 それでは次に……。
○海野三朗君 ちよつと委員長にお尋ねしますが、時間はどのくらいよろしうございますか。
○委員長(中川以良君) 二十分くらいで御報告願えれば結構でございます。
○海野三朗君 それでは只今から東北班の視察の経過を御報告いたします。派遣されました議員は酒井委員、藤田委員、海野委員の三名で、派遣期間は九月十五日から二十日までの六日間でありましたが、日程を延長しまして全行程八日間の視察をいたしました。本班の視察は硫安関係二法案に関する化学肥料工場の視察と、電力問題に関する部門とに区分することができます。前者につきましては昭和電工鹿瀬工場、東北肥料秋田工場、日東化学八戸工場を視察し、後者につきましては只見川筋の電源の開発状況、新潟県営による三面川筋の電源開発状況及び電源開発会社の開発にかかつている北上川の胆沢、猿ケ石両発電所の建設現場を視察いたしました。 先ず最初に法案審議と直接関係のある調査でありましたので化学肥料部門について御報告申上げます。化学肥料関係は冒頭にも申上げました通り、昭和電工鹿瀬工場、東北肥料秋田工場、日東化学八戸工場の三工場を視察いたしましたが、そのうち昭和電工鹿瀬工場はカーバイド及び石灰窒素の製造工場で、当面問題となつておる硫安は生産しておりませんので、報告を省略し、東北肥料秋田、日東化学八戸両工場について申上げたいと存じます。 一、東北肥料秋田工場 本工場は現在電解法二万トン、ガス法五万七千トン、計七万七千トンの年産能力を持つており、昭和二十七年度の生産実績六万一千トン余の小規模工場であります。そこで本工場の合理化目標も、工場の経済的ベースと称せられる年産十万トンを前提とし、最近需要の漸増しつつある高度化成肥料たる硫燐安及びこれが副生の石膏法硫安製造を行い、硫安単肥製造のみによる経営に弾力性を附与し、同時にこれと不可分関係にある既設設備の合理化を行い、最小の資金を以て最大の効果を挙げようとするところに計画の特色があり、当社のような小規模工場の合理化計画としては、一応妥当のように認められます。問題はこの所要資金で、硫燐安製造設備新設工事費二億五百万円余、既設設備整備工事費一億八千五百万円余、合計三億九千一百万円に対し、開発銀行より二億五千万円、市中銀行から一億四千一百万円の融資を期待し、自己資金によるものは全然計上していない。従つて、開銀の融資が実現しなければ、当工場の合理化計画の見込はつかないというのが現状であります。政府提出の資料に挙げられておりますコツパース式粉炭ガス化装置、(所要資金が十億円)これについては、当社としては研究段階で、未だ計画策定というところまで行つてはいない。当面の合理化計画が達成され、年産十万トンが実現した暁には、トン当の七ドルから八ドルのコスト引下げも可能であろうとの見通しを持つておるようであります。 次に硫安輸出会社に対する当社の見解でありますが、当社は、すでに一言したごとく、生産規模小さく、又立地条件から見ても、輸出硫安とし填は不向きであり、現に先頃まとまつた台湾向け輸出二十五万トンの中にも当社は仲間入りしていないのであるが、輸出会社が実現し、滞貨が輸出会社によつて買取られる場合には、滞貨による内需市場の圧迫が解消せられるであろうという見通しの下に、間接的な効果を期待して、輸出会社の実現を歓迎しておるもののようであります。 二、日東化学八戸工場本工場は御承知のように横浜工場と並んで日東化学における硫安生産の主柱を形成している工場で、電解法三万一千五百トン、ガス法九万六千トン、合計十二万七千五百トンの生産能力を持ち、昭和二十七年度の生産実績は十一万二千七百トン余に達しておりますが、渇水期の電力事情を考慮に入れると相当の実績であると申せましよう。現在は特約料金制度によつて電力量の確保に努め、割当量以上の受電実績を挙げております。 さて当工場の合理化計画でありますが、政府提出の資料によると、コツパース式微粉炭ガス化装置の新設ということになつておりますが、実際に当つて調査して見ますると、コツパース式を採用するか、それとも又当社横浜工場で目下中間工業試験中の粉コークスガス化の方式をとるか、最終的に決定していないようであります。両式いずれにいたしましても、多量の酸素を必要とし、従つてリンデ工場の増設を要するのでありますが、当工場としては現有電解槽をフルに運転することによつてリンデ工場の増設を省略したいという意向を持つており、それには電力の確保が絶対要件であるため、現在のような電力事情の下においては果して可能かどうか相当の疑問を持つているようであります。コツパース式粉炭ガス化の場合には硫化鉱流動焙焼炉、硫酸除害塔、飽和槽廃熱回収など一連の設備を含めて、合計所要資金八億円、粉コークスガス化の場合には同じく一連の設備を含めて五億四千二百万円程度を計上しております。 次に輸出会社案に対する見解でありますが、当工場は本年四月以降七月末までにすでに朝鮮向けとして二万一千三百トン余の輸出を行なつており、輸出に対する関心も頗る強く、可及的速かに輸出会社が実現すべきことを期待しているもののようであります。 以上両工場の合理化計画の概要並びに両社の輸出会社案に対する見解を簡単に御報告申上げた次第でありますが、今回の視察を通じて特に感じました一、二の点を申添えておきたいと存じます。 その第一点は、政府が参考資料として提出した「硫安工業合理化五カ年計画」なるものは、各企業体において如何なる程度まで具現性あるものとして計画されているのかいささか疑問なきを得ないということであります。従つて、今後の法案審議において、各社別、工場別の合理化計画は十分に再検討されねばならない、そのことによつて、今まで概略二百億円と称せられていた資金量も相当動く数字ではないかと思われるのであります。 その第二点は、法案とは直接関係はないかと存じますが、硫安問題一般を論ずる場合見逃してならないのは、国内の硫安の販売地区の問題であります。一例を日東化学八戸工場にとつて、当工場の硫安府県別出荷明細表によりますると、地元東北六県は当然として、北は北海道から南は関東一円、西は遠く岐阜県にまで及んでおり、逆に東北地方には関東その他の工場から硫安が入り込んでおる。全国的にこれを眺めますと、誠に不経済な交錯輸送と申さなければなりません。硫安工業の合理化の目標は、どうして生産コストを引下げて、消費者である農民に豊富な而も廉価な硫安を供給するかという点にあるわけであるが、仮に合理化が実現されて生産コストが引下げられても、現状のような販売出荷が続けられ、又販売手数料などにおいて改善が加えられない以上、その効果は十分に発揮されないであろうと思われます。臨時硫安需給安定法案と関連して検討せらるべき問題であると存ずる次第であります。 次に、電力部門につきまして御報告いたします。視察いたしました河川は、冒頭申しました只見川筋、三面川筋、北上川筋でございまして、 先ず只見川筋について申上げます。只見川の包蔵しておる水力は約二百万キロワツトと言われ、既設発電所九カ所四十万六千七百キロワツト、工事中二カ所九万四千六百キロワツトで、なお百五十万キロワツトの水力エネルギー源が未開発になつておるわけであります。視察いたしました発電所は順次下流より、片門発電所(既設出力最大三万八千キロワツト)柳津発電所(既設出力最大五万キロワツト)宮下発電所(既設出力最大六万四千二百キロワツト)沼沢沼発電所(既設出力最大四万三千六百キロワツト)を視察いたしました。これより上流のほうは東北電力対東京電力との間で、水利権移譲で紛争を続けた上田、本名の開発地点があり、昨年九月東北電力に水利権が与えられ、直ちに着工された上田(最終出力最大六万三千九百キロワツト)本名(最終出力最大七万八千キロワツト)の開発工事現場の視察をいたしました。現場における開発意欲は実に盛んなものでございまして、最新の技術と機械を導入し、我が国電源開発の先端を待く経済的開発に全力を傾注されている現状には、一同敬意を表した次第でございます。併しながら本名のほうは本年七月の豪雨によりまして、工事中現場は完全に水浸しになり、締切り後の工事に非常な支障を来たし、発電所の建設現場は今も浸水し、ポンプ・アツプをしながら工事を継続している状況で、そのため工事は約一カ月遅延、目下工期の短縮に所長初め請負業者ら一丸となつて努力されていた次第です。なお現場所長に「開発工事遂行上、何か甚だしい支障はないか」との質問をいたしましたところ、「現在は資金、資材、労務、機械など一応満足される状況にあり、天災地変でも起らない以上、両発電所とも、二十九年八月には、運転開始ができるようになると思う、ただ請負側から見た場合、請負金額と、実際には相当の開きが出ているので、これは改めて請負業者との再調整契約をするようになるのではないか」との答弁がありました。 御参考までに九月十五日現在の上田、本名の開発進行状況をお伝えいたします。上田のほうは、土木工事八一%(予定七九%)、建設工事六七%(予定五五%)電気工事五九%(予定六二%)。本名のほうは土木工事六〇%(予定六八%)建設工事三五%(予定五〇%)電気工事四七%(予定四七%)になつております。 以上のように本名のほうは工期にして約一カ月の遅延になつています。これより上流は未開発で、調査の結果は、その包蔵水力は上流開発に伴い下流増設分をも含めると百五十万キロワツトに達するとされており、これの開発方式をめぐり、只見川本流に沿つて開発する本流案と、奥只見より信濃川に流域変更する分水案とが対立して、長い間その早期開発が叫ばれつつも着工に至らなかつたのは御承知の通りでありますが、先に政府案決定により一部分水(信濃川流域に対して奥只見より年間約七千三百万立方メートル分水)して本流案による開発方式を決定、電源開発会社によつて開発されることになつたことは、当委員会に詳細な資料を提出説明された通りであります。その開発予定地である滝地点(出力最大九万キロワツト)田子倉地点(出力最大二十二万五千キロワツト)及び田子倉地点の開発により水没する田子倉部落四十五戸を視察いたしました。 本年度着工予定とされている田子倉地点の開発促進の状況は、本年九月十日付で田子倉建設所の幹部人事を決定、その殆んど全部が東北電力会社の現役から出向することになつています。この田子倉部落を視察いたしましたが、四十五軒というその家は、なかなか相当な農家でありまして、その四十五軒のうちに立派な旅館が二軒もございまして、そこでそれを調査いたしましたところが、やはりこの山間の行商がたくさんやつて来る部落になつておるのでございまして、相当裕福な部落のように見受けられたのであります。 さて予算はすでに本年度十八億八千万円(仮設備十五億その他三億八千万円)を計上してあります。併しながら現場には未だ建設事務所もなく、田子倉部落の補償問題が複雑になりましてその見通しが困難なため、本年度着工は不可能とされています。なお東北電力からの下級幹部の出向も遅れている状況です。これらはすべて電源開発会社が直接の技術陣容を持たず、電力会社の協力なくしては開発事業が促進されないこと、又将来、その発電所の所有権に対する問題が残されたままにされていること、及び発生電力の配分等が明確にされていないこと、又開発のために電力会社から出向した人の身分の問題がすつきりしないこと等幾多の問題が山積しています。 なお参考までに申上げますが、その上流に当る奥只見の開発については、目下東京電力を主軸としてその建設陣容が整備されている状況です。これらのことを総合的に考慮しますと、電源開発会社の開発、延いては会社のあり方等、今後大いに研究されるべきだと思いますが、ともあれ只見の宝庫が一日も早く開発されることを関係者一同に要望いたしたいと思います。 次に阿賀野川水系鹿瀬発電所、出力最大三万一千キロワツト、この鹿瀬発電所と、それと密接な地位にある昭和電工鹿瀬工場を視察いたしました。昭和電工としてはかねてから鹿瀬発電所の復元を要求していたのでありますが、この問題は歴史的、法律的に両者の関係が複雑で、将来の問題として必要が生じた場合、検討されるべき問題だと思いました。 次いで新潟県営による三面発電所(既設出力最大三万キロワツト)を視察いたしました。新潟県としては、昭和二十二年より三面川の総合開発事業として、多目的な計画の下に、調査に借手、二十四年着工、現在第一期工事として三面発電所を完成運転されているわけです。併しながらその効果は水量の六〇%を利用するにとどまつているので、上流部の開発により、経済性ある発電を強く要望し、第二期工事に着手されている状況です。その費用は、約二十五億円で、発電所の出力は最大二万二千キロワツトとなつています。第一期工事は約三十五億円で、すでに完成、発生電力は発電端でキロワツト当り二円四十五銭で、東北電力に売られております。公営発電所の建設は最近ますます盛んになつており、地方産業の振興と国土総合開発に寄与しているところは大なるものがあり、県の熱意に対しては心から敬意を表して参りました。併し現実の問題としては幾多の問題が残されていることも認めなければならないと思います。即ち直接問題となつている県と買電側になる電力会との間における料金、及び発生電力の配分問題、莫大な県費の支出とその経済効果の検討、電力技術者の育成強化と緊急時における県営発電所の運転技術の問題、財政補助と県費分担の問題、公営事業としての組織下における能率的な運営の検討など、これらの問題については行政措置の適切なるを要望すると共に、今後国会としても公営発電所については大いに研究されるべき問題だと思いました。 次に電源開発会社の開発地点である北上川筋の猿ケ石発電所(出力最大二万七千キロワツト)及び胆沢発電所(出力最大一万四千六百万キロワツト)の工事現場を視察いたしました。両発電所はいずれも北上川総合開発の一環として建設省で施行した田瀬堰堤及び石淵堰堤の貯水溜を利用して発電しようとするもので、両発電所は本年五月着工、来年三月には発電が開始される予定で電源開発会社としての第一号発電所となるもので現場においてはその意義においても非常な熱意を以て工事が進められておりました。本視察を通じて工事費の負担について調査いたしましたところを参考までにお知らせいたします。猿ケ石の場合を例にとりますと、電源開発促進法第六条第二項の規定に基く政令により負担すべき金額は建設省二十億一千万円、農林省三億円、電源開発会社四億四千万円となつていますが、農林省の負担の分が規定通りの支出がなく、そのしわ寄せが電源開発会社の負担となつているとのことでありました。この傾向は胆沢のほうにも現われ、それによりキロワツトアワー当りの発電原価は若干予定より上廻り、かかる前例が今後も慣習として行われるとすれば開発上の問題となるのではないかと言われている状況でございます。総合開発に伴う各省費用の支出について今後検討されるべき問題だと思いました。 以上で大体視察しました報告は終りたいと思いますが、本視察途中各方面から電力問題についての要望がありましたが、その要望の一つは供給力の増大であります。それに関連いたしまして十和田湖使用水深の増大に伴う湖面低下が文化財保護法に基く名勝天然記念物指定との競合問題が起り、その使用許可については東北電力に対し建設省、厚生省はそれぞれ向う三年間の使用許可を与えているにもかかわらず、文化財保護委員会からは未だその使用許可がもらえないで、この冬からの使用の目安が立たずに困つているとの陳述がございました。この問題につきましては当委員会におきまして先に鉱業法の一部を改正する法律案審議の際に鉱業権との競合問題を検討し、文化財保護委員会の善処を要望したこともあり、本問題も併せて今後文化財保護委員会の善処を要望いたしたいと思います。
○委員長(中川以良君) ではその次に西川君。
○西川彌平治君 ちよつと伺いますが、実はちよつと原稿用紙二十七枚ほどございます。時間が恐らく二十分以上かかると思いまするが、全部を申上げましようか、如何しましようか。
○委員長(中川以良君) ちよつと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(中川以良君) 速記を始めて。
○西川彌平治君 中国、四国班の現地調査報告を申上げます。 本班は東北班と同様に硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法案及び電源開発その他の電力事情の調査を目的として、松平、武藤及び西川の三委員にて構成されているのでありますが、人員制限の関係から特別参加の形式をとられた中川委員長も全行程を共にせられ、熱心に調査に当られましたのであります。なお行程の終りに追加されました奈半利川電源開発の調査に当りましては、通産政務次官の古池信三君、水産委員の平井太郎君及び労働委員の加藤武徳君も特に参加されましたことを御報告申上げます。 視察の順序は、東京を九月十五日に出発いたしまして、先ず宇部に参り、宇部興産株式会社において硫安工業合理化法案に関する意見の聴取及び硫安工場視察を終りましてから、中国電力の小野田火力発電所増設工事を視察し、広島におきましては、予定通りに中国電力株式会社にて電力事情の調査をいたしましたほかに、東洋工業株式会社にて自動三輪車及び鑿岩機その他機械器具の製造状況を、又三宅製針株式会社にて縫針の製造状況を視察いたしました。 四国に渡りましてから、住友化学工業新居浜製造所におきまして、硫安工業合理化法案に関する意見の聴取及び工場視察、同社菊本製造所におけるアルミニユウムその他の製造状況、住友鉱業株式会社における選鉱場等を視察し、住友共同電力よりは、同社供給電力と関連産業との関係、奈半利川開発計画等の説明を聴取いたしました。 次いで琴平にて、四国通産局及び四国電力より電源開発及び中国四国送電連絡問題につき説明を聴取し、四国電力の竣工近き松尾川第一及び第二発電所、住友共電と四国電力にて競願中の奈半利川水力開発計画地点の視察を行い、現地解散をいたしたのであります。 以上視察個所の大部分は、それぞれの報告に数時間を要する内容を持ち、時間の関係上到底これを尽すことはできませんが、今回の派遣目的に照応して、重点的に順次御報告をいたします。 (イ)宇部興産窒素工場 宇部窒素工場は硫安換算設備能力年産三十万トンでありまして、昭和電工川崎工場、東洋高圧大牟田工場、住友化学新居浜工場に次いで第四位にありますが、昭和二十七年度生産実績は十九万三千七百トンでありまして、住友化学新居浜工場、東洋高圧大牟田工場に次ぎ第三位であります。全国硫安生産高の一〇・九%を示しております。硫安の主要原料は、御承知のごとく石炭、電力及び硫安化鉱でありますが、本工場は宇部炭田の石炭鉱業を母体として発展し、宇部炭田の特殊性として、五千乃至五千五百カロリーの上質炭と、三千乃至三千五百カロリーの低質炭とを産出しますので、前者をアンモニア合成用の水素源として利用し、後者を発電用炭に使用し、ガス法のみによつて業績を挙げて来たのであります。 戦時中の機械装置の酷使による老朽化並びに戦災等のため生産は著しく低下したのでありますが、終戦後直ちに復旧に着手し、生産も逐年上昇して来たのでありまするが、戦後は石炭価格の著しき値上りによつて、ガス法による硫安工場は大きな影響を受けているのでありますが、ガス法といえども、必要とする電力については、生産量の増加に伴う電力割当を得ることができず、そのため当工場はコストの高い自家用火力発電の大幅な運転を強要される結果となり、非常な窮境におかれているのであります。即ち本工場の本年度生産計画に対する所要電力約二億二千万キロワツト時に対し、割当は約一億キロワツト時にて四五%に過ぎず、自家用火力発電をも有するが故に、他の硫安工場に比して著しく不利な状態におかれているのであります。 硫安の原価引下げは国際競争力の増強と、国内向け適正価格供給との両面から極めて重要でありまするから、当工場もこれに即応するようにガス製造設備、アンモニア合成設備及び硫酸製造設備等の改善に努力して来たのでありますが、現在なお叺当り八百五十円を要しているのであります。よつて当工場ではこの要請に応じて、合理化五カ年計画を樹立して諸設備の合理化を行う予定であります。その内容は、ガス製造設備及びアンモニア合成設備合理化、硫酸製造設備合理化、蒸気関係設備合理化、尿素製造装置新設、副産物製造設備その他合理化、以上でありまして、その所要資金総額は十二億一千七百万円、当年度所要額は三億二千八百万円でありまして、これらの合理化の完成により、硫安トン当り二千三百五十四円、叺当り八十八円の原価引下げを企図しております。合理化用資金は多額に上り、企業経理上調達が困難でありますので、全額を政府資金より借入を予定しております。 工場内設備の合理化と共に重要なのは電力割当に関することであります。前述のごとく、割当は四五%に過ぎないので不足分は自家用火力で供給することになりますが、自家用火力の原価をキロワツト時当り六円、標準料金を二円七十五銭として、割当不足分に対する電気料金差額を算出しますと、硫安一トン当り千五百四十円、一叺当り五十七円となります。これを前述の設備合理化による叺当り原価引下げの八十八円と比較しますと、割当不足による電気料金の影響が如何に大きいかが判明するのであります。 以上は比較の対象を中国地区料金においての話でありますが、電気事業再編成以後中国地区は電気料金の最も高い地区となつておりますから、他地区との比較となりますとその差は更に大きくなり、割当量の増加と共に電気料金の地域差についても考慮が要求されているのであります。地域差との問題は別としましても、自家用火力を有する電力消費者に対する割当の問題は、従来より電力政策上の盲点になつていたところでありますが、硫安関係の法案が成立しますと新たなる観点に立つてこの問題を解決する必要があると考えられます。 硫安関係二法案に対する意見といたしましては、この法案は硫安の国内への供給と輸出問題とをめぐつて硫安対策委員が提出した答申に基くものであり、従来からの硫安問題の経緯から見ましても妥当なものとしています。但し自由経済の下に生産される硫安が国内には統制価格にて販売され、消費者に対しては、一種の保護政策をとられるが、生産者に対しては何らの保護政策の含まれていない点を不満としています。 輸出会社につきましては、内地価格と輸出価格とを切離して処理するためには、新会社の設立は止むを得ないものとしております。そして輸出会社が出血輸出をした場合にこうむる損失を会社に積立てておくことはよいとしても、その損失を内地に転嫁し得ない場合に、果して赤字の処理をどうするか、業者の自主的な処理に待つことになつているのであるが、その点につき輸出会社には期待できず、最終的には政府による国家補償ということに落ちつくのではないかとの意見がありました。輸出会社に関連して硫安輸出の困難な理由の一つとして、為替レートの問題が話題に上りました。現行為替レートは諸般の情勢から変更は困難でありますが、輸入に有利で輸出に不利であることは事実であります。他方硫安は全部が国内原料によつていますから、その輸出は国際収支面において外貨の純手取額が高いのであります。この点を考慮してドイツでは硫安輸出に五〇%の優先外貨を認めていますが、我が国においてもこの程度の優先外貨を認めれますならば、特別の保護政策を行わないでも硫安輸出は伸張するであろうとの意見がありました。かような妙手が実現しない限りは本法案を実施し、その裏付として電力割当の増加、低金利資金の供給による合理化工事の推進及び合理化工事完了までの期間の各種税金の減免等を総合実施して、一歩々々合理化する以外に方法がないものと考えられます。 何住友化学工業新居浜製造所 住友化学の硫安製造事業は、別子銅山の硫化鉱を活用するために設立され、石炭は九州方面より供給を受けています。新居浜製造所の硫安換算設備能力は年三十二万七千トンでありまして、業界における地位は第三位でありますが、昨年度生産実績は三十二万四千トンにて、業界第一位の生産を示しています。 生産設備の九割はガス法で、約一割の電解設備を有していますが、製造所全体としては年々生産量を増していますが、電解法の生産量は過去三年間漸減を続け、昨年度の稼働率は約一割四分程度に過ぎず、電力事情の窮屈なことを物語つております。ガス法としての設備合理化の内容は宇部の場合と大同小異でありますが、使用炭種の相違その他によりまして、肥料用尿素設備の増設、コツパース式粉炭ガス化設備新設、電動圧縮機改造、硫酸工場合理化等が予定されております。一部はすでに着工されいるものもありますが、その所要資金は約四十億円を超え、工事完成後の合理化の効果として、金利五%の場合には硫安トン当り二千七百五十七円、金利七%の場合には二千五百十二円のコスト低下が見込まれております。 電力問題に関しましては、住友化学は、新居浜地区に肥料工業、軽金属、カーバイド、苛性ソーダ等の化学工業を集中的に経営しておりまするが、そのうちアルミニユウム、硫安、苛性ソーダ等の電気化学工業は電力を大量且つ原料的に使用し、電力の量、質及びコストの如何がこれら事業の死命を制しておるのであります。このような関係から、この種化学工業の主要なものはみずからの手で電源を開発し、これと工場の操業とを有機的に連繋させて一貫作業を実施しているのでありまして、これによつて初めて電力の状況に即応して生産を適当に調節し得る上に、一般電力需用の面より起る電圧、サイクルの低下、配電ロス擅用等による配電費の不当な割掛けを排除して、発生電力を無駄なく使用することにより電力コストの低下を来たし得ると主張されています。 かような観点から住友化学は鉱業その他関係会社と共に住友共同電力株式会社を設立していますが、これを以てしてもなお豊富低廉且つ良質な電力の確保に困難していることは住友共同電力の項で申述べます。 硫安関係二法案に対する意見としては、結論的には政府原案通り通過することに賛成でありました。但し巷間伝えられるように、需給安定法案の定義に化成肥料を含ませることには反対でありました。化成肥料はその成分の配合により種類多く、規制の対象としては不適当である旨の意見がありました。 輸出会社については、政府は三年乃至四年には赤字が解消される見通しであると説明しておる由でありますが、今後の国際経済情勢その他によつて果して赤字が解消するかどうかは疑問である旨の見解が述べられました。 合理化工事完了までの期間に対する金利、税制等に対する特別措置の要望は宇部窒素の場合と同様でありまするから省略いたします。 (ハ)住友共同電力会社住友共同電力会社は新居浜地区における住友化学、住友鉱業、住友機械その他の大品電力のみを供給する特定供給電気事業者であります。これら事業の発展に伴い、共同電力は順次水力発電所十カ所、合計九万八千二百キロワツト、及び火力発電所を建設所有して前述の事業に供給していたのでありますが、昭和十四年日本発送電会社の設立に伴い、水力発電所七カ所の出資を命ぜられ、現在は出資を免れた高籔、端出、大保木の水力発電所及び新居浜第二火力発電所、昨年新規に開発されました兎之山水力発電所、合計水力最大出力二万九千四百キロワツト、火力六万キロワツトを所有し、不足分は出資設備に見合う量まで日発より受電し、特定供給電気事業者として営業をして来たのであります。 〔委員長退席、理事海野三朗君着席〕 日発へ出資当時は、出資の条件として受電電力量及び料金について或る程度の了解が守られて来たのでありまするが、終戦後はそれもゆるんで来たのであります。四国電力発足の昭和二十六年以降住友共電が日発設備の継承者である四国電力から供給を受ける電力は、一般供給用電力の需給困難の事情もありまして、三年間年間三億三千三百四十万キロワツト時に固定され、新居浜地区諸工場の需用増加に対しては、火力発電を増加するか、水力を開発するかの段階に至つたのであります。化学工業用の電力は原料的に使用するものが多く、火力発電にては料金面にて賄い得ないことは明らかでありまして、共電としては差当りの需用増加に対しては火力発電の増加で繋ぎ、水力開発の地点を求めていたのでありますが、先に那賀川、吉野川の川崎地点等はいずれも不調に終り、今回は奈半利川の開発計画が問題になつていることは、後に申上げる通りであります。かように四国における水利権の紛争の多い根本原因については新居浜における産業用電力需用の伸びが大きいにもかかわらず、これを満たす途が与えられていない点を考慮せねばなりません。 (ニ)中国電力株式会社 中国電力は現行電気料金にて全国平均に対し一・四一倍、最低の北陸地区に対し二・八四倍という最も高い地区であります。よつて電気料金に関する意見を先ず聴取したのであります。本地区が最も高い料金であるところへ、更に従価一割にて電気税を徴収されることは需用家として納得の行かないことでありまして、その撤廃が第一に要求されました。地域差の主要原因である石炭代に対しては国による補償を希望しておりました。今後の料金値上げを防止するためには電源開発会社の供給電力の配分方法につき特に考慮されたい旨の意見がありました。その意味で江川の開発は電源開発会社にて行われることを希呈し、新宇部火力発電所も成るべく電源開発会社にて担当されることを希望しています。当地区の工事中の発電所は水力四カ所、火力二カ所でありますが、そのうち本年度竣工予定のものは明塚二万五千キロワツト及び長門峡七千五百キロワツトの二カ所でありまして、いずれも十月には竣工を予定されております。火力には小野田の第三期増設工事三万五千キロワツト及び三蟠の増設工事二万五千キロワツトがあり、いずれも本年十一月には運転開始の予定となつております。今後開発着手予定のものは水力では玖波二万キロワツト、柴木川第一の二万四千五百キロワツト、柴木川第二の六千四百キロワツト、神戸川三万七千キロワツト、竹市の五千五百キロワツト等があり、地元補償関係も順調に進んでいる由であります。特に柴木川発電所は文化財保護法との関係で問題があつたのでありますが、これも近く解決の見込との話でありました。最後に江川でありますが、これは中国第一の河川でありまして、地形の関係上大水力発電所のない中国としてはサイクル調整等の必要からも、この河川の大規模開発により大容量の発電所のできることを望んでおります。但しその開発には多額の資金を要することでありますから、電源開発会社にて開発されることを望み、中国電力の計画には載せてないのであります。本河川の開発計画はなお調査を要すると思われるのでありますが、中国電力の計画によりますと、竣工後には最大出力約二十三万キロワツト、年発電量約九億キロワツトに及び、電源の貧弱な本地区に一大威力を加えるのであります。これに要する工事費は約二百四十三億円と見込まれ、キロワツト当り十万五千円にて単価も割安になつております。ただ一つ欠点は水没が多く、人家千四百四十戸、耕地三百六十町歩が水没するのでありまするが、当地区電力の情勢に根本的改善を来たすことを考えますと、補償問題も地区内協力して解決せねばならんものと考えられます。本河川に並行して国鉄三江線の建設が近く始まる予定となつておりますので、開発の第一準備として早急に鉄道路線との調整を行う必要があると考えられます。火力発電の計画としては小野田の第四期三万五千キロワツト及び新宇部の五万キロワツトが考えられておりまするが、後者については当地区に産出するところの低品位炭を燃焼する高温高圧のボイラーを考究いたしております。 電源開発に関連して中国、四国の送電連絡問題があります。これは四国の豊富な水力を開発して、瀬戸内海横断の送電線路により中国に送り、更に九州までこれを送電しようとする計画でありまして、四国電力の提唱により関係地区で研究中のものであります。これに関しては中国電力では鉄塔の振動、碍子に対する塩分の影響、その他の技術的問題に関して研究中でありまして明確な意見は得られませんでしたが、横断送電線のルートについては波止浜より三原に渡る案が台風の風速を考えると有利であるという旨の意見があり、なお開発順序としては地区内の開発を優先したき旨の希望がありました。 (ホ)四国電力株式会社 四国電力は種種の意味で特別な会社であります。電力供給の規模において九電力会社中最も小でありまして、その地域内に住友共電という有力な特定供給電気事業者を有することは他に類例を見ないのであります。電力料金については中国電力に次ぐ高料金地域でありまして、他方未開発包蔵水力については西日本三地区中最も恵まているのであります。このような客観情勢によりまして、当社の料金対策として今後は安い金利の資金を使つて原価の安い発電を行うこと、即ち開発会社に開発せしめるという方針をとつているのであります。会社にて現在工事中の水力発電所には松尾川第一の二万キロワツト、松尾川第二の二万五百キロワツト、伊尾木川の七千七百キロワツト及び高野の五千二百キロワツト等がありますが、松尾川はすでに運転を開始し、伊尾木川及び高野は本年十一月に完成の予定であります。火力発電所は西条発電所の二万キロワツト増設工事を行なつており、明年未完成の予定であります。 今後の開発計画としては奈半利川に主力を注いでおりますが、料金対策の面から四万十川及び吉野川と共に工事の実施は開発会社に期待しており、会社の工事としては松尾川ダム工事の継続及び祖谷川の水をこれに取入れる工事その他を予定しております。 四国の電源開発と不可分の関係にある計画に、中国四国送電連絡計画があります。この計画は中国電力の項にて申上げた通りでありますが、この計画を経済的に可能ならしめるためには低金利資金を必要とするのであります。 飜つて開発会社の既往の開発地点を見ますと、佐久間、只見川等東日本の低料金地帯に多額の投資を予定していますが、これでは東西の地域差をますます拡大するばかりであるから、西日本三地区のため四国に電源開発会社の資金を重点的に投入せよということが四国電力の強い主張であります。四国電力の試算によりますと、電源開発会社の金利四分の資金を用いまして奈半利川十三万キロワツト及び四万十川十六万キロワツトを開発いたしますと、電力単価は高知県にて二円十八銭、新居浜にて二円四十七銭、宇部に送つて三円七銭となり、火力に代り得るのであります。この構想は今後技術的及び資金的の裏付けを必要といたしまするが、それらが解決すれば西日本電力事情の改善に大きな助けとなりますことは明らかであります。 (ヘ)奈半利川電源開発問題 奈半利川は高知県東部を太平洋に南流する中河川でありますが、水源地帯は雨量が多く、森林も良好なので電源地としては有望視されております。本河川には現在四国電力の轟発電所八百キロワツトが一カ所あるのみでありますが、昭和二十六年三月に住友共電が水利使用許可申請をしましたところ、翌二十七年三月に四国電力よりも許可申請がなされ、競願となつております。出願の順序は前述の通りでありますが、住友共電の計画地点には現に四国電力の轟発電所及び他に既得水利権があり、四国電力が強く反対しておる現在では裁定に困難な状態であります。併しながら現地における測量及び地質調査は両者共におおむね完了し、両者間の意見の調整及び補償関係が済みますならば急速に着工し得る状態にあるのであります。 次に計画の概要を申上げますと、住友共電案は本流沿いに轟、平鍋の二ダムを建設し、本流沿いに魚梁瀬、二又、長山の三発電所を造り、安田川の正弘発電所と合せて最大電力十二万四千四百キロワツト、年間約五億九千万キロワツト時を発生しようとするものでありまして、四国電力案に比して貯水池容量及びダムの体積が少く、工事費、補償費が少くてキロワツト時当り工事費は約十八円三十銭となり安いのでありますが、貯水池容量が少いために常時化が不足し、常時電力は三万五千六百七十キロワツトになるのであります。これに対して四国電力案は魚梁瀬、轟、安倉の三貯水池により調整した水を流域を変更して野根町に落す分流案でありまして、発電所は本流沿いに魚梁瀬、新轟があり、その下流が分流発電所の奈半利川発電所となるわけであります。本流最下流の長山は従つて分水後の残流を利用する発電所となるのであります。以上三発電所の合計最大出力は十万九千キロワツト、年発電量は五億七千七百万キロワツト時でありまして、総工事費を百二十九億八千万円としますと、キロワツト時当り工事費は約二十二円となり、住友共電案より約二割高くなりまするが、常時電力は約五万キロワツトとなるのであります。 以上両案の比較概要を申上げたのでありますが、四国電力は一般供給を使命とする関係から、多少工事費は高くても常時電力の多きを望むことは当然でありまして、住友共電が主として化学用電力を求める立場から、季節的の電力の変動は忍んでもキロワツト時当りの工事を低く設計するのも当然であります。かように性格の全く異なる競願者の中から一方を選択するためには、需用の緊急性及び重要性によらなければなりませんが、これも相当困難なことと考えられるのであります。併しながら電力の緊急開発は国民の強い要望でありまして、本地点のごとく調査の進んだ地点を前にして徒らに論議に時日を空費することは許されないのであります。我々としては政府が本地点の開発方式を早急に決定して、電源開発会社に開発せしめ、電力の配分についてはその間に慎重に考慮されんことを望むのであります。 〔理事海野三朗君退席、委員長着席〕 (ト)その他の事項 広島の東洋工業でマツダ号自動三輪車の製造工場を視察いたしましたが、月産三千両にて我が国生産量の三〇%を占める由であります。組立作業は流れ作業により能率よく仕事を進めていました。相当合理化されていると認められたのでありますが、輸出に発展するためには三割のコストの引下げを要する由であります。鉄鋼の値段引下げの必要を痛感した次第であります。 住友金属鉱業視察の際には、減耗控除制度の実現方につき陳情を受けました。鉱山の鉱床は採掘に従つて減耗して行くから、それと同等以上の新鉱床を獲得して行くためには、米国でやつているように収益より一定の控除を認め、法人税を免除する制度を制定されたいとの趣旨であります。二百六十年の歴史を有する別子鉱山にてこの陳情を聞いたことは感慨深いものがありました。 以上を以て私の報告を終ります。終りに臨みまして我々一行が調査に廻りました際は、行く先々で多大の便宜を与えられ、お蔭で大変成果の挙つたことをここに厚くお礼申上げます。
○委員長(中川以良君) 有難うございました。只今までの各報告につきまして御質疑がございましたらどうぞ御発言をお願いいたします。
○豊田雅孝君 西川さんにお伺いいたします。奈半利川の開発の問題なのでありますが、只今の住友の共同電力ですか、それともう一つ四国電力との競願について、いろいろ詳細報告になつたのでありますが、結論としてこれの解決案としてはどういう方向に向うべきであるかという点を率直に伺いたいと思います。
○西川彌平治君 これは私ちよつと端的に申上げて見まするならば、只今四国電力におきましてははつきりとこれを電源開発会社において開発してもらいたいということを申しておりまするし、住友電力におきましては、いろいろ我々はその技術的な問題やその他を聞いて見ましたが、最も私らが関心を引きましたことは、この工事費の問題でございますが、工事費が住友共電において賄い得るかということになりますると、その点については誠に悲観的な答えしか我々は頂いておらんのであります。従いまして今日も電源開発を一日も早く開発しなければならんということはわかつておるのでありますが、資金面にはつきりとした裏付けを持つておらない住友共同電力に対しては、どうも何だか任せることは私は非常に危険性があるのじやないか、それよりも電源開発会社にこれは任してやらしたほうが一日も早く電源を希望しておる今日、妥当ではないかというふうに、かように私は考えておる次第であります。
○豊田雅孝君 私先例を存じないのでありますが、かような報告の際には政府から関係当局が来てこれを聞いておるということが必要じやないかと思うのでありますが、その点については如何なものでしようか。
○委員長(中川以良君) これは一応この報告書を今日出ておらない関係方面には、一つ委員長のほうから廻しまして、よくこれを検討させて、又御質疑があればその関係担当者を呼びまして御質問にお答えをさせるようにいたします。
○豊田雅孝君 普通の場合書面報告になりますと、大体それは一応積んで置くということになる傾向があるのでございまして、特に政府内部でもそれぞれ調査をしておることでありましようから、折角参議院の委員各位が御努力になりましても、片隅に寄せられるということでは非常にその意義が薄くなると思うのでありまして、かような際には関係当局に来てもらいまして、そして只今西川委員からお話がありましたような端的率直な意見をお述べ願つて、それを取入れてもらうということが必要じやないかと思うのであります。実は住友共同電力と電源開発会社の競願については、非常に問題になつておるようでありまして、すでにお話のように調査も完了しておるにもかかわらず、これが開発にまだ着手できないというようなことは、非常にこの西日本の電源開発を急速にやらんならんという際におきまして、甚だ遺憾だと思うのでありまして、そういう点において特に西川委員にお願いしておくのでありますが、書面報告におやりにならないで、その点につきましては直接政府関係当局に率直に御意見をお述べ願いまして、只今お話のありましたように資金面等の関係から、電源開発にやらすことが必要だと、適切だということであれば、その線で急速に解決を図るようにお願いいたしたいと思うのであります。
○西川彌平治君 承知いたしました。
○委員長(中川以良君) ちよつと私から申上げますが、私といたしましても実は御一緒に視察したのでありますが、只今の西川委員の御意見に全く同感でございます。この点は委員長からも一つ申上げたいと思います。すでに大臣にはその旨を申述べております。一刻も早く、これは四国のみならず殊に電源の少い、電気料金の高い西日本地区を考えまする場合に、奈半利川は第一着に着手しなければいかんというふうに痛感されております。 —————————————
○委員長(中川以良君) それではこの際にちよつとお諮りをいたしまするが、本委員会は閉会中も通商産業一般に関する調査に従事をして参りましたが、まだ調査を完了するには至つておりませんので、この際調査未了報告書を議長宛提出いたしたいと存じます。又閉会中継続審議をいたして参りました硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法につきましても同様調査未了報告書を提出いたしたいと存じます。その内容、手続等につきましては、いずれも委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんでしようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(中川以良君) 御異議ないものと存じます。 それから調査報告書には多数意見者の署名を附することになつておりますので、順次御署名をお願いをいたします。 名数意見者署名 岸 良一 豊田 雅孝 三輪 貞治 西川彌平治 酒井 利雄 海野 三朗 武藤 常介 藤田 進 小林 英三 —————————————
○委員長(中川以良君) それから次に本日の議題になつておりまするところの外貨事情と輸出振興に関する件につきまして調査をいたします。本件に対しまして議題といたしましたことは、申すまでもなく、これらの問題が只今貿易の中心問題でございまして、外貨保有の情勢が昨日も議題となつて、いろいろ御調査、御論議を願つたあの火力電力借款をも生ぜしめた次第でありまして、又輸出振興の問題が、現在継続審議になつておりますところの硫安二法案を生んでおるというようなことに相成つておるのであります。かような意味におきまして貿易の問題はつとに検討を要する問題なんでございまして、現に先頃吉田総理大臣より貿易振興策につきまして通産大臣に強く要望をされたというようなことを私ども仄聞しておるのでございまして、本日はこれらをそういうような観点から特に取上げたのでございまするが、本件に関しましては、大体の問題となりまするところの事項をお手許に差上げました印刷物に列記をいたしておりまするので、御参考にして頂きたいと存じます。そこで先ず政府側の説明を聴取をいたしたいと存じまするが、最初に外務省黄田経済局長から最近御承知のごとき我々が熱望しておりましたところのガツトの仮加入を認められましたので、これの問題、この経緯並びに各国の通商政策の動向等につきまして御説明を承わりたいと存じます。
○説明員(黄田多喜夫君) ガツトの加入問題は一昨年以来の懸案でございまして、ガツトと申しますのは御承知の通り関税及び貿易に関する一般協定でございますが、これは二つの部分から成立つておりまして、第一は関税事項に関する最恵国待遇、それから貿易の量的制限の一般的除去及び無差別待遇適用に関する規定というものを含みますところの一般条項であります。それかれそれに基きまして締約国間の関税交渉の結果お互いにどのくらいの関税譲許をやろうということを表にいたしましたところの関税譲許の表というのがございますが、この二つから成つておるわけであります。このガツトと申しますのは無論申上げるまでもなく通商貿易に関する一番大きな世界の機構でございまして、只今のところ三十三カ国がこれに参加いたしております。アイアン・カーテンのほうからはチエコ・スロバキアだけが出ておりまして、あとの三十二カ国は自由国家群というものから成立つているわけでございます。一九四七年ジユネーヴにおきまして一般関税交渉会議がございまして、そのときに入りましたのは二十三カ国でありましたが、その後十カ国入りましてこれらは全部アンシーとそれからトーケイの両個所におきまして一般的な関税交渉をやりまして、それで入つたわけでございます。我が国もこのガツトに早く加入したいという念願を持つておりまして、第三回の関税交渉会議に招請を受けたいということを熱望いたしておつたのでありますけれども、それの望みが達成できませんで暫らく待たされたわけなんでありまするが、一昨年のガツトの締約国の会議で一般関税交渉を待つことなしに加入する簡易手続というものがきめられましたので、我が国もこの簡易手続によつて加入いたしたいということを申入れたのでありますけれども、その簡易手続は、若し三カ国以上が反対である場合にはその次の締約国団の会議を待たなければいけないということになつておりまして、而も三カ国以上が反対いたしましたために簡易手続による加入ということの実現ができませんので、更に又待つということになりまして、昨年の七月十八日にガツトの事務局に対しまして加入を目的とする関税交渉開始の申請を行つたのであります。それが数カ国が日本の加入については次期締約国団会議で審議することが妥当であるということを言いましたので、昨年の十月の第七回の締約国団会議にこれが付託されまして、それでそこで審議いたしました結果、我が国の加入の時期とそれから条件というものは、これは中間委員会というものがございますけれども、その中間委員会でよく審議しようということになつたのであります。その中間委員会というのが今年の二月に開かれまして、それでその二月の中間委員会で日本の加入の条件とそれから時期というものを議しました結果、条件に関しましては二月にきまりまして、それはどういうことをきめたかと申しますと、或る一国が加入をして、その国の商品が他国の市場に氾濫するというふうな場合には、その被害を受けた国は適当な自衛手段をとり得るというふうな条文を二十三条というものに加えようということがまあきめられたわけなんであります。それで、そのときに、それが日本一国を目的とするものであるということでは非常に困るというので、一般的の宣言の形にいたしまして、日本を特別に指向しているのではないというような了解に達しまして、大体条件というものはそれで片付きました。それから加入の時期、これはその次の時期に関しましては、締約国団会議でやるということになりまして、それが今年の八月に始められたわけなんであります……八月じやございません。八月の前に、もう一つ一般的な関税交渉をやろうと、そのときに日本の加入を審議したらいいだろうということになつたのであります。そういたしましておるうちに、アメリカの民主党から共和党への政権の授受がございまして、そこで共和党のほうはアメリカの対外貿易一般に関する政策というものは、これはとつくり考えたいということをきめたのでございます。ガツトと申しますのは、冒頭に申し上げましたように、お互いに関税に関する譲許を行なつて、それで貿易量の増大を図ろうというのが建前でございまするけれども、各国が狙つておりますのは、これはアメリカの関税を低くさせまして、それでアメリカに物をどんどん出して、それでドルを稼いで各国のドル不足を緩和しようというのがこれが狙いなのでございます。ところがその肝心のアメリカの対外貿易政策一般に関しては、一年間とつくり考えると、それでとつくり考えて結論に達するまでは、重要なる関税交渉は行わないということをきめたのであります。それが五月の初めぐらいでありました。そういうことをきめました、従いましてアメリカには互恵通商協定法というものがございまして、その法律に基きまして大統領が一定の範囲においては他国と関税の譲許に関する交渉をなし得るという建前になつておるのでございます。今申しましたような大方針に基きまして、アメリカはその互恵関税通商法を単にシンプル・エツクステンシヨン、一年間の延長をやるということだけいたしまして、旧法における譲許の幅というものを広くするということはやらなかつたのであります。そしてランドール委員会というものを設けまして、ランドール氏を会長とするところの委員会を設けてそれが一年間の間に、つまり来年の上半期までにアメリカの関税政策一般というものは如何にあるべきかということをきめるということをきめたのであります。従いまして日本が加入いたしますために必要といたしまするところの関税交渉というものはこれはできなくなつたわけであります。従いまして初めは日本の加入はイギリス或いは濠州、ニユージーランド、英連邦諸国を初めとする国々の一団によりまして阻止されていたのでありますけれども、それらの国国に対してやつと説得が成功いたしましたと申しますか、加入の条件はこうこう、時期はこうこうということをきめ、その後になりまして今度は思わざるところのアメリカであります。つまりアメリカが日本の加入を非常にサポートしてくれていたのでありますけれども、それがそういうことから日本が入りにくくなつたということになつたのであります。そこで我々が考えましたのは、それならば一つ仮加入というふうな方法を用いてやりたい。つまり日本の加入は許してもらう。現在の規則によりますと締約国の三分の二の賛成がなければ入れないということになつております。締約国が三十三ございますので、二十二カ国の賛成がないと入れないのでありますが、関税交渉を行うことなしに日本には日本の加入を認めてもらう。つまり日本のほうは関税交渉をやりたくてしようがない。やつて早く入りたいのだけれども、自分の責に帰すべからざる外的の理由によつて日本の加入が阻まれているのである。それは日本の責任ではない。だからどうか日本の加入を許して、そして実質的に日本はガツトの加入国であると同じような待遇を与えて欲しい。その代り日本は関税定率表に載つておりますところの税目の相当部分を据置く、これは関税交渉ができないのでありますから、だからやりようがない。従つて相当部分を据置く、入場料を払うから日本には仮加入という方式で実質上加入国と同等の待遇を与えてくれということを申出たわけであります。その会議が今年の九月の何日でありますか、九月の十七日からジユネーヴで開かれました第八回の締約国団会議に上程されまして、種々論議されました結果、日本の仮加入に関しては、二十七カ国が賛成いたしまして、六カ国が棄権したという状況で仮加入は許されたということになつたのであります。棄権いたしました国はイギリス、濠州、ニユージランド、南面、南ローデシア、これが英連邦関係の国でありますが、そのほかの第六国がチエツコであります。これは御納得行くべき理由によつてチエツコは棄権したのでありますけれども、英連邦を構成いたします国が日本の加入に反対したということは、これは我々非常に遺憾に存じているのであります。イギリス側においてもなぜそういう必要があつたかということに関して相当の批評、批判の声があるようでありますが、とにかく現実はそれらの五カ国が棄権した。カナダはこれは英連邦の国でありますけれども、日本と特別に話合いをいたしました結果、カナダは我がほうの加入に賛成いたしまして、英連邦ではカナダが賛成しているという恰好になつております。 今まで長く加入を望んでおりまして、これが今度実現を見たということになつたわけでありますが、ガツトが今までどういう状況になつておりますかと申しますと、先ほど申上げましたように、量的制限なんかはやめようというふうなことも無論ガツトの主要目的の一つでございますけれども、戦後の過渡期におきまして、まだ各国ともいわゆる外貨不足、殊にドル不足という状況でありますために、量的制限或いは為替、外貨のほうから来るところの制限というものは各国とも決して自由にいたしておりません。我が国又然りで、御承知のようにドル地域、オープン・アカウント地域、ポンド地域というふうに分かれまして、外貨の予算を組んでいるような状況であります。従いまして只今のところガツトがやつておりますのは、これはお互いに関税の譲許をきめて最恵国待遇で関税を成るべく低くして商品の流通の増大を図ろうということだけに大体限られているような状況なんであります。ぼつぼつ戦後の過渡期的な現象を脱却して、そうしてガツト本来の目的に返つて貿易上の諸制限を撤廃しようじやないかということが非常に強く各国によつて考えられているのであります。従いまして日本が今度このガットに加入いたしまして、世界貿易の流れがどちらに向つて進んでいるかというふうなことを内部に入つて各国と共に研究するということ、これが私非常に大きな利益であろうと思うのであります。それは一般的な利益でございまするが、それと並びまして、すでにこれらの日本の加入を認め且つ日本との間に最恵国的な取引をしようという国との間におきましては、無論その譲許されたる点まで日本が均霑し得るということで、これは非常に実質的な利益であります。只今でも例えば日本の加入に反対いたしました英本国でありますが、この英本国は事実上のガットの税率を日本にはくれているのでありまして、ただそれを法律的に権利として日本に与えることはいやだということを言つているわけでありますが、これにはいろいろ事情が向う側の言分にはあるのでありまして、例えば日本は戦前において非常に悪慣習と申しますか、商売上のいやなやり方をやつて来た、それに特別な待遇を与えるということになると、又これの繰返しをやることなきやということを恐れる。従つてその前に十分な手当をしておきたいというふうなことが理窟になつているのだろうと思うのであります。然れども御承知のようにイギリスとの間には一般支払協定というものを結びまして、貿易上の量の増大ということを望んでいるのでありまするからして、イギリスが、大体英連邦諸国が日本にガツトの待遇をくれないということは、これはやはり飽くまで遺憾なことだと存ずるのであります。それから日本にガツトの税率の適用をくれるということになりますと、これは今まで諸種の事情によりまして通商航海条約の締結が遅延していたというふうなことも、通商航海条約の関係国でありますところの関税上の最恵国待遇ということがすでに除かれるわけでありますからして、通商航海条約の締結というものもこれは促進されるということになりまして、そのほうから来ますところの実質上の利益というものもこれ又ないがしろにできない大きな問題だろうと存じております。 ガツト加入に関します大体の概略はそういうところでございます。これは十月二十四日に松本大使が調印いたしまして、今日までに宣言のサイン、それから一般的決議というのとございまして、二十七カ国が署名いたしましたのは決議のほうでありまして、これは二十七カ国が署名して日本の仮加入が実現されたというわけでありますが、宣言のほうにサインした国々との間においてのみこの低い税率の適用があるというわけになるのでありますが、只今までのところ宣言のほうに署名いたしましたのは十二カ国であります。アメリカ、インド、デンマーク、フインランド、ドイツ、イタリー、オランダ、ベルギー、それからオーストリー、トルコ、スエーデン、チリーというものが只今のところ宣言のほうに署名いたしておりますが、まだ相当数の国々がこの宣言に署名をいたしまして日本との間に低い税率によるところの貿易をなそうということを申入れて来るであろうということを期待しております。概略申上げましたが、これがガツトの加入に関する経緯と存ずるのであります。
○委員長(中川以良君) 各国の通商政策の動向を伺いたいということなんですが、簡単に特に最近のガツトの動向について一つ伺いたい。
○説明員(黄田多喜夫君) そのほう実は私資料を持つて来るのを忘れまして詳しいお話を申上げることはできませんが、今年の初めから現在までのところ日本の輸出はこれはドル地域とオープン・アカウント地域、この地域に対しまして、むしろ去年に比べまして貿易は伸びております。然るにポンド地域でありますが、これが只今日本のガツトに反対した国のみならずインド、パキスタン、ビルマ或いはセイロンというところを含めまするけれども、このポンド地域に対する輸出が非常に減りまして、そのためにこれを全体的に考えますと、日本の輸出は今年は去年よりも減つております。従いましてこの理由は大体ポンド地域が日本の物を買わないということに帰り得ると思うのであります。これはいろいろ理由があるのであります。それは去年の七月に日本のポンド保有高が一億二千七百万ポンドでありましたか、になりましたときに端を発しまして、ポンド地域が日本の貿易、日本品に対して非常な輸入制限措置を課し始めたということから、去年の七月をピークといたしまして日本のポンド保有高というのは漸減の一途を辿りまして昨年末においてどのくらいになりましたか、相当減り、それから現在でもまだ減る趨勢にあるのであります。従いましてこのポンド地域との貿易を促進するということになりませんと今の禍根は断ち得ないのでありますが、イギリスを初めとしてポンド地域のほうと話合いまして、日本品に対する輸入制限措置の緩和乃至撤廃ということは全力を上げてやつておりますし、その結果例えば濠州におきましては、今度やりましたので第四回目の日本品に対する輸入制限の緩和措置をとりましたし、或いは南アフリカ、東アフリカ、西アフリカというふうなところでも日本品に対する輸入制限措置の緩和ということはやつております。それからイギリスの植民地におきましては日本品の輸入を昨年の或る時期に対して何割増すというようなところまで上げまして、日本品の輸入の促進ということをやつているのでありますけれども、未だにその効果が十分であるほど現われておりません。これは輸入制限措置の緩和をとつた時期がまだ十分早くなかつたためにその効果の現われ方が遅いということも一つの原因ではないか。それから成る種の品物に関しましては日本のコスト高或いは物価高ということのために日本品に対する需要がないということもこれも事実だろうと思います。或る品物に関しましては事実であります。例えば日本の綿布なんかは十分競争できる地位にあるのでありますけれども、東アフリカのごときにおきましては、日本の品物が十分ストックがあり過ぎてまだ日本品に対する需要がないのだ、ストツクがあり過ぎたために従つて実需がないということも原因の一つになつております。そういう状況でありまして、これを如何に今後打開して行くかということが一番大きな貿易の課題であろうと存じております。 ドルの地域に対しましては、ちよつと触れましたように、最近の輸出は伸びておりまして、殊にアメリカ等に対しましては、去年の暮に比べましては相当伸びております。従いまして、そつちのほうでは向うのほうがどうやつているが故にどうということはございません。又アメカリでは日本のシルクスカーフ、木ねじ、まぐろというものに関して流入を防ぐために関税を引上げようという声が起つたのでありますけれども、これも大統領のほうでそれをヴイートいたしまして、関税を上げるということはしなくて済んでいる状況でございます。将来アメリカがどういうふうにするかということはこれは先ほど申上げましたが、ランドール委員会がどういうふうにやるかということできまる問題であるのでありますけれども、只今まで現われました兆候によりますと、やはりアメリカは低関税政策というものをとつて、それによつて各国の品物のアメリカヘの流入を増大して、そうして幾分でも各国のドル不足に資しようという政策を以て進んでいるわけで、援助よりも貿易という各国夫に望んでおりますところの方向でありますけれども、その方向に向つて進むであろうということを今までの実績から申しますと言えるのではないかと思うのであります。東南地区におきましては、これは平和条約の未締結各国が未だ正式には国文が回復していないということが貿易のほうにどのくらに障害をなしているかという問題がございますが、私はフイリピンに関しては或いは幾分そういうことが言えるかも知れないと考えるのであります。但しフイリピンはアメリカとの間に非常に緊密な関係がございまして、今でもアメリカの商品に対しては税をかけない。これが今年がたしか最後で、来年からだんだん関税をかけることになつておりますけれども、それにしても、アメリカのものは日本のものよりも有利な地位にあるということから来る制約はございます。それから日本との間に国交が開けていないということなんでございますけれども、国交の開けていないということが非常に大きな貿易を阻害する原因になつているとは認めておりません。インドネシアとビルマにつきましてはなお更そうでありまして、国交の未解決ということが非常に大きな貿易上の阻害になつているということは認められません。殊にビルマ等或る種のポンド国、殊にインド等に関しては非常に有利な関税体系になつたのでありますが、それを九月の末廃止いたしまして、一般的なものに新らしい関税を作りまして、それをどこの国でも適用するということにいたしております。その結果日本品が従来はそれらの国に比べまして、非常に不利な状態にあつたのでありますけれども、九月末から関税率を変えまして、一般的な関税一本にするということになりましたので、ビルマに対しまする日本品の輸出は相当伸びるということになるだろうと考えております。大体それで勘弁して頂きます。
○委員長(中川以良君) ちよつと申上げまするが、外務大臣の出席を要求しておつたのでございまするが、出席いたしがたい事情があるようでございます。なお通産大臣は、先ほど委員長みずから電話で以て交渉いたしまして、四時に出席をされることに相なりました。只今外務省関係の問題につきまして一つ御質疑をお願いいたします。
○海野三朗君 黄田局長にお伺いいたしますが、このガツトというのは一体どこから出て来た語源でありますか。ガツトはどこの言葉ですか。
○説明員(黄田多喜夫君) ガツトと申しますのは、GATTと書きまして、ジエネラル・アグリーメント・オブ・タリフ・アンド・トレードの略語であります。従いましてそれをつめまして、ガツトというふうに言つておりますが、ジエネラル・アグリーメント・オブ・タリフ・アンド・トレードという頭文字だけとりまして、ガツトと言つております。
○海野三朗君 只今の御説明の中に、国交回復していないと、輸出の貿易関係がどうなると言われたのですか。僕はあとのほうがよく聞えませんでしたが……。
○説明員(黄田多喜夫君) 国交が回復いたしませんと、いわゆる通商航海条約というものはこれは結びようがございません。通商航海条約がございませんと、通商航海条約に必ずなくてはならないところの最恵国待遇という取扱を受けることができません。従いましてその最恵国待遇というものがないと、従つて商売というものはやりにくいというわけであります。従いまして国交のない国というものは大体原則としては貿易が伸びないというのが原則であります。ところが今ビルマ、インドネシア、それからフイリピン等とは国交がございませんので、そういうことから来ますところの商売のやりにくいことが必ずあるはずであります。幸いにいたしまして、ビルマとも、インドネシアともそれらの点に関しましては、例えば船舶が行く場合に、ブランケツト・クリアランスと言いますか、必ず、早く文句を言わずに入れてくれるとか、或いは入国の制限というふうなことに関しては、或る程度の話合いをいたしております。但しインドネシアにおきましてもたしか一年二十五航海までに向うは限つております。今のところそれを超過する場合には一々の場合にあらかじめ許可を得てくれということを言つておりますが、これらのことが通商航海条約ができますれば、従つて国交が回復いたしまして、通商航海条約ができますれば、そういう制限、制約はなくなることは予見され、希望されるのでありますけれども、それができておりませんために、今みたいな制約を受けていることは受けているのであります。併しそれが果して日本との貿易に非常な害になつておるかと言いますと、御承知のようにインドネシアは五千万ドル以上でありますか、只今出ております。非常な害になつているということになりますと、それほどでもないということが言えるだろうということを申上げたのであります。
○海野三朗君 日本の物価はこの輸出価格でも非常に高いことになつておるのですが、その主な原因は、たくさんございましようが、政府当局としてはその主なる原因はどんなものであるとお考えになつておりますか。物価高でございます。日本の物品は高い、アメリカのものは安い……。
○委員長(中川以良君) ちよつと海野委員に申上げますが、今外務省関係で特に御質疑を願いまして、あと通産省関係から一応又輸出についての説明がございますので、それは通産省関係で通産省のほうでお答えしたらいいと思いますので、そのときに御質問願つたらいいと思います。一応外務省関係だけにお願いいたします。
○小林英三君 この日本の輸出に対しまして、現在特に日本品のみに関税の障壁を設けておるような国がありますか。
○説明員(黄田多喜夫君) 例えば頭に浮びますのは英連邦各国でございますけれども、イギリス自身は日本にガツト税率の規定の適用を認めてくれておりますので、イギリスは実際上はそういうことをやつておると思いますけれども、その他の英連邦下の国におきましては、特恵関税とこのガツト税率と一般税率とこの三つに分かれております。日本は例えば濠州なんかにおきましては、特恵関税には無論均霑し得ない、ガツト税率にも均霑し得ない、一般税率というものの適用を受けますので、濠州は日本のガツトヘの加入を認めなかつたのでありますから、日本は一般税率の適用を受けるということになりまして、それは必ずしも日本を指向したものではございませんけれども、実質的に言うならば適用の国になる。ほかの国はガツトに加入しておる国が大部分でございますので、実質的に申上げますと、これは日本に対する差別待遇ということに相成ります。それらの国は今度日本に加入を認めなかつたところの英連邦関係の諸国というものがそれらに入つております。その他では日本にのみ高い関税を今日課しておるという国は、そういうものはございません。
○三輪貞治君 ガツトの加入国とすることについて二十六カ国の賛成と六カ国の棄権があつたということでありますが、一般の会議ではとにかく何分の幾つの投票によつてそれを決定するというようにきまつておれば、たとえ反対をしてもその決定に従うというのが普通の慣例でありますが、この場合にはこの六カ国は依然としてガツト加入が二十六対六によつて認められても、この六カ国はやはり依然としてガツトの関税を課せないということが許されるのですか。
○説明員(黄田多喜夫君) これは例えば今度のような仮加入でなしに、一般的な関税交渉をいたしました場合においても、自分はいやだという国はそういうことを言えるような仕組になつております。今度の仮加入の場合におきましても、先ほど御説明申上げましたように、一般的決議と宣言に対する署名というものに分かれておりまして、例えば今度フランスなんかは一般的決議のほうには賛成をしてくれまして、二十七カ国のうちに入れておるのでありますが、例えばフランスが宣言のほうにサインするのはいやだと申したと仮定いたしますならば、フランスは恐らく日本に宣言のほうにもサインしてくれるものと期待いたしますけれども、仮にそういうことをやつたといたしますと、フランスに関する限り効力は発生しないと、こういうことになるのであります。
○委員長(中川以良君) ちよつと私からお伺いいたしたいのですが、対ソ貿易の問題なのですが、最近新聞紙上等を見ますると樺太炭が輸入されておる。これといわゆるバーターの形式でソ連の船の修繕を日本で引受ける。ところが樺太炭はこれは原料炭として輸入すべきと考えておつてこれを輸入したのでありますが、一般炭と混炭をされておつて非常に品質が悪くて、原料炭にならん。そのために大倉商事、もう一社ですか、数千万円の損をしたというようなことがあつたのでありまするが、而もこれはクレームの持つて行き場がないということであつたのでありますが、こういうような問題は契約の不備であるか、或いは日本の業者の思惑的行為がそういう損失を来たしたのか、或いはソ連のいわゆる国家管理貿易であるがために一方的な手段をとられて、それに対して外務省としても何らクレームをつける交渉の相手がないから如何とも仕方がないというようなことであるかどうか、この辺の経緯を一つ伺いたいのです。
○説明員(黄田多喜夫君) 内容が果して一般炭とあれと混入されましたためにそういうことになりましたのかどうか、私は事実の実体を把握いたしておりませんので、お尋ねになりましたことに回答になるかどうか存じませんけれども、ソ連の船を修理して、それと交換に石炭を入れるということでございますので、それは各当事業者間の話合いによつて解決できる問題であります。つまり船の修理のほうにそれをかぶせるというふうなこともできるのじやないかと存じます。それから私契約に基くものでありますが故に当然解決は私契約の当事者同士がやるべき問題と存じますけれども、若しそこで解決できない、而も相当の正当な理由があるということになりました場合には、これは交渉の相手がたといたしましては、直接交渉することができませんけれども、第三国の介入を以てそれに代えるということもできないわけではございません。
○委員長(中川以良君) 同様なことが中共の開らん炭にもあるわけでありますが、これは両方とも国交が回復していないためにこれは政府がいわゆる介入して、そういう貿易上の障害を是正をし、日本の不利な立場を正しく直して行くというようなことは、今日としてはまだ第三国を通じてやるという手よりないわけですか。
○説明員(黄田多喜夫君) 外交上の手段といたしましてはそうであります。ただ開灘炭の場合におきましては、これは向う側に言わしめますと、スペシイフイクーシヨン通りのものを出しておるので、何もそれ以下のものを出しているのではないというように言つているようにも聞いておりますし、若しそうだといたしますと、両当事者間の問題に帰着するのではないかと存じます。当事者の間でやつておるようでありますので、向う側の言い分はスペシイフイクーシヨン通りのものを出したので、それ以上のものを期待されているのだとすれば、それは少し虫がよすぎるので、スペシイフイクーシヨン以下のものを出しているのではないからということを言つているようであります。この点はどつちがどうなるのか、まだ究めておりませんけれども、只今のところそういうことを言つているような状態と承知いたしております。
○委員長(中川以良君) この問題は後ほど通商局のほうから話を伺いたいと思いますが、恐らく実体は通商局のほうでやつておると思いますが……。もう一点お伺いしたいのでありますが、只今李承晩ラインで日韓会談が決裂し、いろいろな面において大きな支障を来たして誠に我々も遺憾に堪えないのでありまするが、これに伴つて、つまり報復手段として日韓のいわゆる経済断交をすべきであるというような意見が外務省方面にあるかのごとく伺つたのでありまするが、この問題は只今どういうふうになつておりますか。
○説明員(黄田多喜夫君) この問題はどういうふうに申上げましても必ず向うのほうにすぐに重要なはね返りがありますので、申上げかねるのでございますが、外務省としてそういうことを強力に押しているということではございません。
○三輪貞治君 先ほどビルマの関税の改正について簡単にお触れになつたのですが、これは非常に今まで不利な関税を押し付けられていたことに対して、我々非常に不満に思つておつたのであります、いろいろと御努力頂いて平等になつたということは同慶に堪えない次第であります。これはどういうふうに解釈したらいいのでありますか。このコロンボ・プランに日本が将来入り得るこれが一つのステツプである、或る関連性があると考えていいかどうかということ、もう一つはその関税が平等になれば、その打撃を受けるのは恐らくインドなり、イギリスだと思うのでありますが、その場合にインド、イギリスは近いのでありますから、運賃、或いはコストの引下げ等で以て又対抗して来るということも考えられると思うのですが、どういう種類のものがどういうふうな好影響を受けるか。今までそういう関税をかけられていなかつたものもあると思います。そういうものは余り影響を受けないわけでありますから、そういう種類のものがどういう好影響を受けるかという、その二つについて伺いたい。
○説明員(黄田多喜夫君) 御承知のようにビルマは一昨年でありましたか、一昨々年でありましたか独立いたしましたけれども、それまではインドの一部であつたわけであります。従いましてインドとの間には非常に深い関係がある。而もインドのみならず、いわゆる英連邦との間に非常に深い関係がある。その深い関係のある間に作られましたところが関税率というものが最近までそのまま引継がれて来たわけであります。それを今度一本に直したということでありますが、そのはね返りが日本をたまたま利するということになるわけなんであります。従いましてコロンボ・プランとの関係で、これが参加に役立つかどうかということはビルマのほうは従来とも日本がコロンボ・プランに参加するということに関しましては、これは全面的に支持をいたしておりまして、今度の関税率の改正というものがコロンボ・プランに直ちに変化があるというふうには考え得られません。コロンボ・プランは、これはそのほかの国にも相当関係のある問題でありまして、ほかの国がどういうふうに考えるかということの問題に帰着いたしまして、ビルマに関する限り、直ちに関税率の改正というものがコロンボ・プランヘの参加にどう響くというわけのものではございません。それからどういう品種ということは、これはもう私のほうといたしましてもどの品目がどのようになつて、どの品目が幾らになるかということは発表いたしておりまして、只今ちよつと手許に持つておりませんけれども、詳細な品目と税率の書いたものがございまして、若し御希望でございましたならば差上げます。
○小林英三君 今の委員長から日韓、日本と朝鮮との関係について質問があつて、御答弁を差控えるということでありますが、それと関連をしないという意味でも結構ですが、朝鮮と日本との経済的の関係といいますか、或いは輸出入の関係といいますか、はつきりした数字でなくてもよろしい、大体主だつた品物がどのくらいなものがありますか。
○説明員(黄田多喜夫君) これは今年の一月から八月までで約五千万ドルくらいであります、月にいたしまして六百万ドルくらいのものがこつちから向うに出ております。向うから買つておりますものは、今まで全部で何百万ドルくらいというような状況で、従いまして今のところ非常な片貿易、日本側のほうからの輸出超過による片貿易であります。朝鮮との間には、いわゆるオープン・アカウントというものを結んでおりますが、そのオープン・アカウントによるものと、それから小麦粉をドル・キヤツシユで買つております。それを両方合せました数字でありますけれども、そういう数字でありまして、貿易に関する限り我がほうの非常に大きな輸出超過の片貿易であります。
○小林英三君 なお今の六百万ドルと三百万ドルとの主だつた品目でありますけれども、これは主だつたものは……。
○説明員(黄田多喜夫君) 六百万ドルというのは月のあれであります。それから何百万ドルというのは今まで全部であります。従つて月にいたしますともつと少い数であります。
○小林英三君 六百万ドルというのは一カ月でありますか。
○説明員(黄田多喜夫君) その通りであります。
○小林英三君 輸入のほうの三百万ドルというのは一カ月ではありませんか。
○説明員(黄田多喜夫君) 今まで八カ月間の輸入は六百万ドルくらいであります。こつちから出ますものは小麦粉、それがドルで出ますものの大宗であります。それから出ますものは石炭と人絹とか機械、そういうものであります。それから向うから入りますものは、これは例の「いりこ」と申しますか、例の「じやこ」であります。それから海産物、海苔、そういうものでございます。
○小林英三君 米は入つておりますか。
○説明員(黄田多喜夫君) 米は入つておりません。
○豊田雅孝君 中共貿易促進の問題なのでありますが、漸次こういう禁輸は緩和するという方向のようでありますが、禁輸を緩和して見ても、もうその頃には欧州諸国からすでに市場が確保せられておるというようなことになつたのでは殆んど効果がない。そういうような意味において、今のところ禁輸緩和のできそうな品目というのはどういうものをどうお考えになつておるか、それらの点につきましてお伺いしたい。 それから先般中共貿易促進議員連盟からあちらに視察に行つた影響というのは、どういうふうに見ておられるか。 それからもう一点は、東南アジア方面に大分産業が勃興しておるということを前々から聞いておるのですが、これについて特に日本の通商政策上考えなければならんような問題、殊にあちらでとつておる保護貿易政策というようなものもどんなものかというような点についてお伺いしたい。
○説明員(黄田多喜夫君) 前の二つの問題はむしろ通商業省のほうからお答え願つたほうがいいのじやないかと思います。第三点でございますけれども、これは東南アジア地方におきましては主として軽工業の発達、これがやはり目だつた現象であります。例えばインドにおきましては、これは戦争中からでございますけれども、繊維工業の発達、これはえらい勢いであります。それからパキスタンにおきましても繊維工業を育成しようという機運が相当強くなりました。これはまだ言うに足るような日本のコンペティターというようなところまでは無論行つておりませんけれども、その機運というものは十分醸成されつつあります。それからインドの紡績は、これは無論もう日本よりも錘数も多いような状況でございますので、これは間接にか、直接とは行きませんが、少くとも間接的には相当日本の貿易に関係するところが非常に多いということが言えるであろうと思うのであります。インドにおきましては、軽工業のみならず、鉄鋼業に対しても建設機運が非常に強いのでございまして、最近も、日本が例の熔鉱炉を建てようという共同事業を考えたのでありますけれども、それが遂に実現いたしません。却つてドイツとの間に話がついた。五十万トンということでありますけれども、銑鉄を出すというふうなことを計画しておりますし、又、更にもう五十万トンの銑鉄を作るだけの設備を整えようということを考えているようであります。従いましてこれらの国々におきますところの将来のポテンシヤリテイというものは、これは相当警戒を要すると申しますか、日本の貿易に与える影響という用のは考慮しなければならないと考えるのであります。ただこれらの国々は、今でも盛んに申して来るのでありますけれども、日本のコテツジ・インダストリイ、家内工業でありますけれども、これを日本を範としたいということを盛んに申して参ります。それから水産業に関して、日本と手を握りたいということを盛んに申して参ります。これらの二分野において日本が経済的な提携をし得る範囲、分野というものは相当あるのじやないかと思います。それから農業であります。けれども、これも日本的の集約農というものをやりますと、米の増産、これが相当できるのじやないかと思います。インドの或る州で、或いは成る町で、試みましたところによりますと、日本的な栽培法をやつたところが何十倍でありましたか、えらい大きな数字の収穫があつたということが言われております。農業の方面におきましても、先ほど申上げました家内工業、水産業と相並びまして経済提携をなし得る分野が相当あるのじやないかということを考えております。
○豊田雅孝君 今お話の、あちらの軽工業が勃興しておるが、日本のコンペテイターという程度ではないだろうというお話、それからもう一つ、鉄鋼業が相当なもので、これは私御尤もだと思います。むしろ本当にあちらの力強さというものは、鉄鋼業などに出て来るのではないかと考えますが、軽工業関係は、日本のほうでより高級のものをより安く生産して行くということになると相当まだ行ける途があるのじやないかと思いますが、政府のほうから流れる情報といいますか、余りにあちらのほうで軽工業の勃興が激しいということのために、日本の輸出品は化学工業に向けなければならないという声のほうが非常に強いために、軽工業の合理化の意欲というようなものを傷つけておるように私は思うのでありまして、この点について、インドが軽工業の勃興をやりましても、より高級なものをより安く生産する、軽工業の合理化のほうに向けて行くように政府のほうで御注意を願わないと、これの及ぼす影響が非常に大きくなるということを考えざるを得ないのであります。それからもう一つは、今の家内工業、この家内工業をむしろ向うへ移すというか、その面の協力、これは或る程度やらなくちやならんでしようが、やりようによるというと、曾つて朝鮮に日本内地から軽工業が移植せられたために、朝鮮の軽工業と阪神方面の軽工業が真正面から競争の立場に立つて、非常に又厄介な問題を起したものでありますが、同じ領土内にあつてもそういうことが非常に深刻にだんだんになつて来るわけなんですから、そうでない、同じ領土内にないような場合においては、前途というものは非常に長期に亘つて細心なる注意を払いつつやつて行かないと、特に日本の中小企業に及ぼす影響が非常に大きいと思うのですが、これは日本の人口問題の処理の問題とも関係して来る大きな問題であろうと思うわけなんですが、そういう点でどうか今後外務省でもあちらの軽工業と競争的立場に立たんような意味において、日本の軽工業を大いにのさして行くという点について十分に御考慮願いたい。その点特にお願いしておきます。
○委員長(中川以良君) それでは外務省関係に対する質疑は他にございませんか。
○海野三朗君 この間中共に視察団が行くに当りまして、帆足計君の旅券の交付、するような、しないような、あとからしたというようなことを新聞ででも見ておるのでありますが、国会議員が中共に行くというときに当つて、それは私事であるから与えないというような理由なんでありますが、つまり国会議員たちがこれを相談をしてこうしようというときに、外務省がその旅券の交付をどうこうするということは、本末を顛倒した態度ではないか、こういうように考えますが、外務省側としての見解を伺いたいのであります。
○説明員(黄田多喜夫君) 旅券のことは、実は私管轄しておりませんので、ほかの、欧米局でやつておりますので、私からどうもお答えいたしかねます。
○委員長(中川以良君) それでは外務省関係に対する質疑は一応これを以て打切ります。有難うございました。 それでは次に通商局から只今お手許にお配りをしている資料について説明を聴取いたします。
○説明員(松尾泰一郎君) お手許に国際収支一覧表、以下貿易金融協定一覧表、それからグラフ、輸出入統計、それから対中共との通商貿易の実績等、お配りしておりますので、これにつきまして簡単に御説明を申上げます。 先ず第一に、最近におきまする貿易及び国際収支の状況でございますが、この国際収支一覧表で御覧願えればわかりますように、先ずこの表の中の輸出及び輸入の欄のところから御覧願いたいのでありますが、二十五年度におきましては、輸出が九億二千万ドル、それが二十六年度になりまして十四億五百万ドルと増加し、二十七年度にはそれが減退いたしまして、十一億六千八百万ドルに減つて参つております。それから二十八年度の見通しといたしまして、十一億八千万ドル、こういう情勢でありました。尤もこの二十八年度の見通しは、最近の情勢を酌みましてこれを十二億程度に修正をすることに相成つております。併しながらこの表で御覧願いますように、二十六年を頂点といたしまして、二十七年はかなり減少をいたし、それが二十八年度になりまして若干回復の傾向を辿つておる、こういう状況でございます。それから輸入のほうは、支出の欄の輸入のところを御覧願いますように、二十五年度が九億六千二百万ドル、二十六年度が十六億五千九百万ドル、二十七年度が十七億九千万ドル、こうなつております。二十八年度の見通しといたしまして十七億八千万ドル、こういう見通しでありますが、この二十八年度の輸入見通しも二十億弱程度に相成るのではないかというふうな見通しを立てております。従いまして輸入はこの輸出の一高一低にもかかわりませず、貿易外収入に支えられましてかなり漸増の傾向を辿つているわけであります。仮に今申しまするように、二十八年度の見通しが、輸入が二十億ドル、それから輸出の見通しが十二億九千万ドルといたしましても、ここで八億ドル弱の正常貿易について見れば輸入超過になるわけでありまして、これはその表でも御覧願うように、貿易外収入によつてそれが支えられているという状況でございます。 なおこの輸出入の最近の情勢等につきましてはあとで御説明を申上げることにいたしまして、この外貨のバランスの状況を申上げますると、この本年九月末で、ドルにおきまして、八億三千五百万ドル、ポンドは八千二百六十万ドル程度。それからオープン・アカウントは、これはいろいろ輸出入を合計をして考えて見ますと、四千五百二十万ドル程度になりまして、それを合計いたしますと、九月末の日本の外貨手持、厳密に申しますと外貨手持とも言えませんが、まあオープン・アカウントに対する債権等をも含めまして申上げますと、合計で九億六千三百七十万ドル程度になるわけであります。それを昨年十二月末の情勢と比べて見ますると、昨年の十二月末におきましては、ドルの保有が七億三千二百七十万ドルでありましたので、ドル関係におきまして、一億ドルと若干程度増加いたしているわけであります。ポンドについて見ますると、十二月末は一億一千三百九十万ドル程度でございますので、非常な減少を示しております。一億三千万ドル程度の減少になつております。オープン・アカウントも昨年末は一億二千百七十万ドルでございましたので、これ又八千万ドル弱の減少に相成つております。昨年十二月末の全体の外貨手持が十億六千八百三十万ドルでありましたので、先ほど申しますように、本年九月末は九億六千三百七十万ドルでございますので、約合計におきましては、一億ドル程度の外貨手持の減少ということになつているわけであります。 なおこれを若干ブレーク・ダウンしまして、最近の輸出状況を御説明申上げます。最初から五頁目の輸出為替統計というのがございますので、これを御覧願いたいのでありますが、その輸出為替統計の四頁目の合計というところを御覧願いたいと思います。二十七年度の一月から十二月までの輸出の合計が十二億八千九百万ドルでございまして、これを月平均に見ますると、約一億七百万ドル程度の毎月の輸出になつておるのであります。それが二十八年度になりまして、この一月から八月までの数字の最後のところで御覧願いまするように、一月が非常に悪くて四千百万ドル、それから二月には八千六百万ドルに回復し、それから三月、四月、五月は大体九千万ドルから九千四百万、まあ九千万前後を往復いたしておるのでありますが、六月、七月は一億台に回復をして参つております。で八月には若干一億ドル台を割つておりますが、九千九百万ドル程度に相成つておりますが、この今後の九月、十月以降を見ますると、大体現状を以て推移すれば一億ドル程度は維持し、若干それを上廻るのではないかというふうな考え方をいたしておるのでありまして、従いまして先ほど申しましたような国際収支の二十八年度輸出見通しにおきまして、この国際収支のほうは四月——三月の会計年度による一年間をとつておるのでありますので、若干輸出為替統計で申しました暦年の数字とは食い違いますが、まあ大体十二億ドル台、月平均にしまして一億ドル程度に回復するのではないかという見通しをいたしております。 でその中で品目別、地域別に若干の変つた点を申上げて見ますと、先ほど外務省の経済局長からも御説明がありましたが、ドル地域、オープン・アカウント地域につきましては、昨年に比べまして本年は大体増加の傾向にあるわけでございまして、この一月—八月と昨年の一—八月の数字から見ましても、かなり増加の傾向を辿つておるのでありますが、スターリング地域につきましては、最近のスターリング諸地域の輸入制限の緩和が若干ずつ効果を現わしてはおりまするが、予定のような増加振りを示していないがために、結局昨年度に比べましてはかなりの減少になるのではないかというふうに見られるわけであります。それはこの一頁目の国際収支一覧表の二十七年度実績と二十八年度見通しを比較して御覧願えばわかるのでありますが、昨年の輸出十一億六千八百万ドルに対しまして、今申しますように十二億一千九百万ドル程度の輸出見通しを立てておるわけであります。その場合におきまするドルの……ちよつとこの輸出見通しの上にお書き加え願えれば幸いかと思うのでありますが、この十一億八千万ドルのところを十二億一千九百万ドル、それからその次のドルのところは四億三千万ドルとありますが、これを四億八千万ドルと……。
○委員長(中川以良君) どこですか。
○説明員(松尾泰一郎君) 二十八年度の見通しのところの数字の上から二行目であります。
○小林英三君 一番上ですか。
○説明員(松尾泰一郎君) 第一頁目の国際収支一覧表というところを今申上げておるのであります。
○小林英三君 輸出のところですか。
○説明員(松尾泰一郎君) 輸出の欄のところです。もう一遍申上げますと、合計十一億八千万ドルという見通しを立てておつたのでありますが、それを最近の情勢から見まして十二億一千九百万ドル程度に考えておるわけであります。従つてその場合におきますドル、スターリング、オープン・アカウントと地域別にブレーク・ダウンをして見ますと、その横のところのドルの四億三千万ドルが四億八千万ドル、それからスターリング地域の四億二千万ドルが三億六千万ドル、それからオープン・アカウントの三億三千万ドルが三億七千九百万ドルという程度の見通しを現在のところ立てておるわけであります。従つてこの数字とその左側の数字の二十七年度実績を対照して頂きますれば、ドル地域、オープン・アカウント地域につきましては非常な増加になるわけでありますが、スターリング地域につきましては相当の減少に相成るということであります。 それから品目別に見ますると、繊維関係がかなり躍進をいたしております。その他食糧特に水産物なり罐びん詰類がかなり増加をいたす傾向にあるわけであります。その他雑貨類につきましてもかなりの増加をするのではないかというふうに見ておりまして、今の見通し上前年に比べてかなり減退を予想されますのは鉄鋼関係ではなかろうかというふうに判断をいたしております。なお機械類につきましては内容的に見て非常に殖えつつあるもの、或いは減る傾向のものもありますが、概して昨年度並み或いは若干これを上廻る程度ではなかろうかというふうに考えております。 なお輸入のほうでありますが、お配りいたしておりまする輸入為替統計の一番最後の頁即ちお配りしております一番最後の紙でございますが、そこの合計というところを御覧願いたいのでありますが、二十七年度一月—十二月の輸入の合計が十七億一千八百万ドルでありまして、これを月平均にいたしますと大体一億四千四百万ドル程度に相成るのであります。それが二十八年度一月から八月までの趨勢を御覧願いますると、一月が一億七千八百万ドル、二月が若干減りまして一億四千万ドル、以下一億五千或いは一億九千、大体一億四、五千を最低にいたしまして一億八、九千の線を現在までのところ維持しているわけでありまして、先ほど第一表の国際収支の輸入見通しで申上げましたように約二十億ドル程度の輸入に相成るのではなかろうかというふうに見ておるわけであります。この輸出の数字を若干修正を願いましたので、輸入のほうの数字もちよつと書き直しておいて頂きたいのでありますが、この第一表の支出という欄がございますが、その次の輸入というところで、十七億八千万ドルというのを十九億九千七百万ドル、それからその次のドルの九億を九億五千万ドル、それからその次のスターリングの五億ドルを五億七千六百万ドル、それからオープン・アカウントの三億八千万ドルを四億七千百万ドルというふうに御訂正を願いたいと思います。従いまして一言に申しますと、輸出のほうはドル、オープン・アカウントにつきましてはかなり順調に伸びておる。スターリング地域につきましては、なお先般の日英会談の結果にもかかわりませず不振を続けておるわけでありますが、ここ二、三カ月は若干ではありますがこのスターリング地域も輸出は増加の傾向を辿つておるわけであります。輸入のほうは先ほど申しますように、まあ非常に順調と申しますか、二十億ドル近い輸入が実現をせんとしておるという状況でございます。 それから次に外貨予算の概況を御説明申上げますが、お手許に昭和二十八年度下期輸入貨物外国為替……。
○委員長(中川以良君) それでは只今松尾次長の御説明中でございまするが、通産大臣がお見えになりましたので、通産大臣よりいわゆる最近唱えられておる日本の貿易振興策についての大臣の御所見を先ず承わりたいと存じます。
○国務大臣(岡野清豪君) 昨日お呼出しを受けましたが、よんどころないいろいろ今度の臨時国会のための準備をしておりましたので、誠に相済まんことをいたしました。只今委員長からお話のございます通商貿易政策について只今私の考えておることを一応述べさして頂きたいと思います。 御承知の通りにだんだんと国際情勢殊に貿易情勢を見ておりますというと、各国の貿易競争というものは日に日に月に月に深刻を加えておるような感じがいたします。それにもかかわりませず、我々といたしまして非常にまあ焦つておるにかかわらず十分なる効果が挙らんということは実に残念なことであります。これにはもう今までたびたび皆様方に申上げた通りにいろんな隘路がございまして、その隘路を何とか打開して行かなきやならん、こういうことにまあ努力しつつあるのでありますが、この情勢は今もやはり変らないわけでございまして、戦後特に東南アジアのほうに我々が商売の方向を向けておるのであり、又向けざるを得ない情勢になつておるのでございますが、何を申しましても外交的に元の日本になつておらんというようなことが非常な欠陥をいたしておる。そのために先般外務大臣にも東南アジア方面の訪問をして頂きまして、外交的にいろいろ商売の隘路を打開して頂くというような努力をして頂いておるのでありますが、御承知の通りに何を申しましても今フイリピンとかインドネシアとか、ビルマあたりは賠償問題が引つかかつておりますので、その賠償問題というものが片付かなければどうも正常な国と国との商売上の関係がうまく行かんのじやないか、又行かないような様子になつております。そこでこれは私個人の考えでございますが、今むしろ禍を転じて福としなければならない情勢、即ち賠償問題ということは、これは各国には例がないことです。日本だけが義務を履行しなければならないことであつて、而もその賠償を何とか片付けるということによつて他の国よりはむしろ有利にものが運べるのじやないか、こう私は独善的に禍を転じて福となすということを考えておるのであります。と申しますことは、無論我々といたしましては平和条約によりまして役務賠償とかいうことで限られておりまして、それを向うに何とかして協定しよう、併しながら向うではそれをしない。何とか資本財とか、甚だしくは現金賠償とかいうことも思つておるようでございますが、併し私の考えといたしましては役務賠償という言葉を少し広義に解釈すれば資本財の賠償というものもできるのじやないか、同時にこれをしておけば将来の商売というものに非常に役立つのじやないか。そういう意味におきまして、又同時にこれが一年とか半年とかいう間にまあ日本の国力としちや非常に厖大なる額のものを提供しなきやならんということじや無論今の日本の経済としては立ち行かん次第でございますが、成るべく長い期間に年賦とか半年賦とかいうようなことにいたしましてそうして相当の額を提供し、同時に日本の国内の経済に与える影響というものはそのときそれには大したことでないというようなことにしまして幾分向うに花を持たせまして、そうしてそれによつて一面貿易協定、通商航海条約というようなものをよく一ついい条件でまとめてもらつたらどうか、こういうようなことを考えておる次第でございまして、まあ無論個々別々のお話は恐らく外務大臣からお聞きになつたと思いますが、フイリピンあたりは曾つて八十億ドルとか何とかいうような大きな要求をしておつたようでございますけれども、只今のところでは与党も野党もそう大してそんな大きなことは考えてはおらない。ただ問題はフイリピンに関する限りは十一月に選挙がございますので、これが片付きませんというと国内が安定しません。又我々といたしましても相手方であるべき将来を担つて行くところの責任者としつかりした条約、協定を結ばなきやならん、こう考えますので、これはまあ時期といたしましてはこの選挙の済みまして向うの政局の安定いたしました後のほうがいいと考えておる次第であります。それからインドネシアあたりの様子を聞きますというと、これは無論あの国とは二カ国協定でも平和条約を結ばなきやならん、こう思いますが、ただインドネシアに関しては非常にむずかしい点がございます。それと申しますことは賠償を一つの手段としまして協定を結びたいのでございますけれども、その賠償額が大変な額に上つておるようでございます。向うの言い値から申しますと百七十二億ドルとか何とかいうようなことを言つておられるそうですが、併しそれは結局向うの人にとつては多いほうがよいでありましようが、内閣の性格の問題であろうと思います。聞くところによりますれば、あの内閣は党派が別の党派で、十党から各一人ずつ、即ち十党連立内閣ということになつておるのでございますから、しつかりした国策若しくはこれが一番よいというようなことが行い得ないということを語つています。と申しますことは、一番右から左まで、而も閣外協力を共産党のかたまでやつておるというような話でございますから、最も最大公約数によつて出て来たものしか国策としては遂行できない。即ち賠償条約にいたしましても、Aの人が百億と言えば、Bの人は百十億と言うでしようし、その次には百十五億、百二十億というふうに行きますというと、一番高い値段をつけた人のところへ落ちつくというようなことで、百七十二億ということになつておるのだそうでございますが、そういたしますと、仮にこれをいろいろ考えましてどうしろ、こうしろというようなことを考えましても、内閣がもう少し安定していなければ相手にならん、こう思います。何かほかの例を見ますというと、百七十二億ドルという厖大な数字を言われましても、それに驚くことはない。ほかの例を見まして、たしかイタリアでございましたか、ユーゴから三百四十億ドルの賠償を要求されておる。併し交渉の結果は一億二千何百万ドルという三百四十分の一くらいになつた例がありまして、初めの言い値に対して驚くことはないと思いますけれども、ただ相手の政府がどうも余りにも多数の連立内閣であつて、確たる条約ができないというような憾みがあるようであります。それから又ビルマあたりに行きますというと、これは又一ついいことは非常に国内の工業化を計画しておるようでありまして、その工業化につきましては、水力電気とか、鉄道とか、若しくは通信施設というようなものをぐんぐん復旧並びに拡大して行きたい、こういうような意欲を持つておりまして、それに対する日本の技術とか、又日本から物を入れるということに興味を持つておるように外務大臣は感じて来ておりますが、そうなりますると、そういう方面にはそれ相当なことをやればこれはうまく行くと思いますが、何をいたしましても、そういうふうになつておりまして、賠償問題を早く片付けまして、その賠償問題を片付けて行くということによつて、外交交渉をなだらかにし、同時に商売の進出に役立たせるということにして行きたいというふうな考えを持つておる次第であります。只今のところ十分努力はいたしておりますけれども、まだなかなか思うように行つておりません。そこで我々といたしましては、それかと申しましてそれを待つておるわけにも行きませんから、まあ隊商、キャラバンを送りましてやるとか、又いつも申上げておりますように、技術相談室を設けるとか、どんどんいいカタログを作つて向うに廻すというようなことをして、一つ向うの買い意欲を発揮させる、こういうことにしたいと考えております。そういうふうにしまして、外交交渉によつて外国の市場を確保し、同時に拡張して行くということが先ず第一のことであります。 その次に最近私が一番心配しておりますことは、日本の物価高が相変らず下らない。下らないと申しますよりは、どうも一般の国民の間に瀰漫しております思想がインフレ気がまえが多い。インフレが来るのではないか、こういうことでいろいろ物価が下げ抑えられておるように私は感じておるのであります。これは日本としては誠に残念至極なことでありまして、どうしても外国と競争いたしますのには、只今のような外在的の隘路もありますけれども、内在的にはやはり物価を安くして、而もいいものができる、こういうことにしなければならない。然るにもかかわらず、朝鮮動乱以来日本の物価が上り放しでございまして、それが下らない。下らないばかりでなくて、なおインフレ気がまえで下る多少の理由、原因もあるにもかかわらず、これが抑えられておるということは非常に残念なことでありまして、お互いにインフレは輸出貿易は別といたしましても、日本の国民経済というものを全く破滅させる虞れがあるものでございますから、これを防がなければならないということでございます。曾つてここでも申上げましたが、私経審長官といたしまして日本の自立経済を考えておつた次第でございますが、自立の前に先ず安定をしなければならないというようなことに非常に重点を置かなければならん点になつて来ておるような次第でございます。この点におきましてできるだけインフレを抑えるということに努力し、同時に物価を下げることに努力いたしまして、物価を下げますにつきましては、いろいろ考えもございますが、無論それらに対しては詳しいことは只今通産省事務当局で研究しております。まだ未定稿でございまして、いずれ近いうちに確たる案もできるとこう思いまして、作つておる次第でありますが、いろいろとその方向に向います点には無論困難もございましようが、併し要するに今後若し企業の合理化をするとか何とか、物価を下げるとかいう方向を打立てましても、併しそれがやはり即座に物価に影響するということにはちよつとならんのではないか、計画は計画といたしまして、今後の方針といたしましては、或いは二重価格制というものを間接的にでも認めて行かなければならんのではないか、こう考えます。この二重価格制度に対しては非常な悪い点もありますし、又面白くないのでございますが、併し何と申しましても世界の市場獲得戦は丁度潮の満ちるごとくじくじくと、我々が足踏みしておるわけに参りませんので、できるだけ早い機会に日本は商品を広告し、同時にこれを入れ、そうして一つの先例を作つてやる、同時に市場を確保する、こういうことにはやはり今物を売らなければなりませんから、売る点につきましては、或いは権道とは申しませんが、二重価格制度なんかも考えなければならんと思います。そのほかいろいろ商社の微力であるということ、又金融が逼迫しておるというようなこともありますので、それで輸出貿易に対しては金融の面でも相当な優遇措置をやり、又商社の貿易につきましては相当な融資斡旋、若しくはほかに方法があれば金融方面の便宜を図るというようなことで一つ考えて見たいと思います。 要しまするに今、日本といたしましては各方面において世界各国とも輸出競争で血眼になつております。同時に新市場を開くために非常な犠牲を払つてやつておる。外国もやつておることでありますから、我々といたしましてもできるだけの犠牲を払つて市場の確保をしておいて、その市場の確保をしながら同時に正々堂々と日本の物価を安くし、よい物を作つて、そうして出して行く、こういう方向に進んで行きたいのでありまして、いろいろ詳しい細目につきまして只今検討中であります。これが検討でさましたら、来年度予算につきまして、相当に輸出貿易振興のための予算をお願いし、皆様方に御援助を願いたいと、こう考えております。大体私の只今考えておりますことにつきまして一応御披露申上げた次第であります。
○委員長(中川以良君) それでは只今の通産大臣の御所見につきまして御質疑を願います。なお申上げておきますが、大臣は五時から重要な会議があるそうでございますので、会議中特に私先ほど電話で以て大臣の出席を求めたわけでございますから五時少し前には退席されますので御了承頂きます。質疑が残りましたら次回に廻します。
○海野三朗君 日本の物価高の原因はどういうところにあるというふうにお考えになつておりますか、その物価を下げるには如何なる方法をおとりになつておりますか、それをお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。日本の輸出貿易が伸展しませんところの二つの原因は、対外的に十分なる商権を発動させることのできないいろいろな隘路があるということと、対内的には日本の物価が高過ぎる、こういうこと、これが二つ、内外揃つて悪い条件でございます。
○海野三朗君 対外的の理由といたしましては、例えば中共に対する貿易、鉄材は向うに輸出を禁止されておるのであります。これはつまりアメリカとの協定によつて売出すことができないのでありますから、その損害というものに対するアメリカの賠償ということはお考えになつていないのでありますか。
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。中共の問題でございますが、これは御承知の通りにアメリカの制約によつて中共貿易が伸展していないとか、できていないということではございませんで、今パリに本部を持つておりますココム、つまり十三カ国の自由国家群がいろいろ相談をしまして、そうして中共並びに朝鮮附近あたりに出す輸出貿易のいろいろのことを考えておる次第でございます。併し日本といたしましては私就任以来数回に亘りまして今まで禁輸物資であつたものを解除いたしまして大体私の考えるところでは、只今のところでは西欧並みの物資が向うへ送れるということになつておる次第でございます。
○海野三朗君 漸く西欧並みになつたのでありまして、今日まで鉄材の状況を見まするというと、こんなことでは日本の製鉄事業のごときは立つて行けません。自滅の一途を辿つておるのであります。そういうふうな、つまり十三カ国との約定、それも結構でありますが、今日本が食うか食われるかというときに当つて、そういうふうな制限に入つて日本が約定するということは日本民族の将来に対しては甚だ憂うべきことであつて、私どもはそういうふうな約定に加わつておるということ、それ自体がみずからを細らして行く途ではないと考えるのでありまするが、それを政府御当局はどういうふうにお考えになつておりますか。
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。これはまあ御承知の通りに大きな国策から考えまして、我々は今どういう立場に置かれておるかと、こう考えますと、やはり我々は自由主義国家群が一団になつて世界の平和を求めて行こうじやないか、こういうようなことになつております。そういう国家群と歩調を合せて商売のほうもして行くということは止むを得ないことじやないか、こう考えております。
○海野三朗君 つまり日本のこうむる損害に対しまして如何にお考えになつておるか、それを私お伺いいたしたい。十三カ国の約定、対外的につまり約束したのだから仕方がないのだ、それもいいでありましようが、今日本がこの輸出の関係から見ましても、本当に細りつつある、そうして物価高になつておるという主なる原因は、私はそういうふうなところに原因があるのではないか、同じく働いておるのです、日本人は……同じく働いておるのに、日本人の生活程度がどうであるか、その点から考えますと、働いておりながらもやつばり程度の低い生活をして行かなければならん、そういうようなことは、私はあり得ないことじやないか、根本においてその輸出貿易に制限を加えられ、そうして青息吐息で日本人が生活して行かなければならない、そういうことはどうも私どもは不合理であり、間違つておるのではないか、こう考えるのでありますが、政府御当局はそれは当然である、その規則を守つて死んだつてかまわないのだ、この前、戦争の直後に配給の規則を守つて死んだ判事があるのであります。そういうふうになつてもかまわないお考えであるかどうか、その辺を私はお伺いいたしたい。
○国務大臣(岡野清豪君) 決してそういうような考えは我々持つておりません。特に又中共貿易が自由自在にできるから日本は栄えて行く、若しくは今自由国家群のごとく制限して行くから日本がかつえて行かなければならない、国民が非常に困つて来るというようなことは私は少し考えとしては物事が大きく考えられ過ぎるのじやないか、こう考えます。と申しますことは、御承知の通りに、中共は先般五カ年計画によりまして自分のところで適当に要するというものはちやんときめておりまして、そうして又出すものも相当制限をしております。それから又中共貿易を財界のかたも日本の業者のかたも非常に鯉憬されておるようでありますが、これは全くの自由主義経済時代、殊に日本と支那というものが非常に仲よく行つておつたときの状態の古い夢でございまして、只今のところでは中共の情勢と中共と日本との貿易のあり方というものは、私はそう安易なものじやないと考えておる次第であります。と申しますことは、先般も、もう御存じだと思いますが、曾つて日本が最も重大なる、又重点を置き、又量的にも金額的にも非常に大きな輸出品であつたところの繊維品なんというものは中共は只今のところじやこれは嘘か本当か知りませんけれども、全く綿花も自給できるのだ、綿糸、綿布も自給できるようになつたのだ、これは中共の有史以来の歴史的な事実である、こういうことも言われておる。そういたしますと、我々といたしまして繊維品を出そうと思いましてもその簡単に出せるわけのものではありませんし、又只今のところ国交が回復しておりませんから、商売人といたしましても金融的にどういうような決済方法をするとか、若しくはクレームをつけるならどうしたらよいとか、こういう技術的な面もありまして、なかなか簡単にはできないと思います。その簡単にできないことをできるだけ日本の業者が進出できるようにしましてせめて政府ができるだけのことをしたいと思いまして、禁輸物資の解除もいたします。又申請があればこれに対してできるだけの許可をして行く、又只今までは中共貿易につきましていわゆる制限物資以外のものに対してはフリーに通産省といたしましては輸出許可を与えておる、こういうような情勢であります。
○海野三朗君 制限物資が香港を通りて中共のほうにぼつぼつヨーロツパの物が入つておることを耳にするのであります。そうして日本だけが漸く西欧並みになつたということを聞くに至つてはそれは十三カ国の自由国家群といたしまして日本がいつでも貧乏くじを引いておるよりに考えざるを得ない。漸く西欧並みになつたというのはとんでもない話だというように私は思つておる。それで制限物資も香港を通つてぼつぼつ入りつつあるやに聞いておるのでありますが、そういう点につきましては御当局は如何ようにお考えになつていらつしやるか、又西欧並みに漸くなつた、そのときには西欧のほうが一歩進んでやつておる。即ち中共における日本の市場というものはいつの間にか西欧諸国から蹂躙されておるものであると私は思うのでありますが、その点についての御所見を私は承わりたい。
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。これは御承知の通りに、日本は国家貿易をしておるわけではございませんので、政府といたしましては、できるだけ業者のかたに貿易をして頂くと、又貿易をするのが、これが趣意であります。それで政府ができます範囲と申しますのは、折角売りたい人があるのだけれども、これは国として制限しておるのだから、お気の毒だけれども出しては困るというようなことで、御迷惑をかけるようなこと、その御迷惑をかけないようにすることが今の政治組織のあり方でございます。そこで私どもは、今までは制限物資を西欧よりは少しきついような制限を受けておりましたけれども、これをできるだけ外しまして、そうして自由に輸出ができると、こういうことにしておる。あとは国民の皆さん並びにメーカーのおかたに商売をうんとやつて頂くということに我々は期待をかけておる次第でございます。
○海野三朗君 私が今お伺いをいたしましたのは、今政府当局が非常な骨を折つてこの貿易の範囲を拡めた。その結果が漸く西欧並みになつた。それを私は非常に情けないことではないかと思う。これで以て漸く西欧並みになつたということにつきましては、政府御当局は怠慢であると私は考えざるを得ない。努力して漸く西欧並みになつたのだと、それを私は申上げるので、自由諸国と歩調を同一にしておるならば、初めから同調でなければならないのに、漸く西欧並みになつたというお言葉を聞くに至つては、非常に私は情けない感じがするのでございまするが、そういうふうにお考えになつてはおりませんか、その点をお伺いいたしたい。
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。御承知の通りに、日本は昨年の四月の二十八日までは被占領下であつたのでございます。占領下におきましては、皆様御承知の通りに、我々が何することもできなかつた。いわゆる最高司令官の指示一本ですべてのことはやられたのであります。昨年の四月二十八日に独立しまして、初めてフリー・ハンドが振るえるようになつたわけであります。そこで政府といたしましては、この西欧並みにするために努力して、その努力のために九月にココムにちやんと加入しますし、同時に昨年中六十何種の制限物資を、この一月には四十何種解除いたしまして、六月にも何十種か最近にもいろいろ解除して来たわけですが、私は政府が独立の権限を以てやり得る時期に達しましてからというものは、不断に努力をし、今日に至つておる次第でございます。この点は、被占領下に昨年の春まであつたということを御了承願いたいと思います。
○委員長(中川以良君) ほかに御質疑がございますか。
○藤田進君 ほかになければ、二つだけ先ほど御説明になりました中のことについてお尋ね申上げたいのですが、まだ未定稿だと言われておるので、その時期でないかと思うのですが、物価に関連してコストの切下げ、この案と、もう一つは二重価格制の問題に言及していいかと思うのですが、要は賠償の問題とかそういつた国際間の大きな問題の解決が大前提ではあろうけれども、当面いわゆるコスト高であるので、物価を下げることと二重価格制が言われておるのですが、およそのアイデアというか、構想をお知らせ願いたいのであります。
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。物価引下げにつきましては、これはいろいろ苦労しておるのでございますが、これは当面の問題と、それから長い目で見た問題とございます。これは一例を申上げますれば、この八月でございましたが、大阪で綿糸布の騰貴が起きまして、綿糸がぐんぐん上つたことがございますね。ああいうときに、これを放つて置きますと、あれは何から来ておるかと申しますと、結局下期の外貨割当が少いので、原綿の輸入が少くなるだろう、同時に日本では消費水準が相当旺盛なものですから、買気がたくさんあるだろう、それでは一つ品がすれになつて上るだろうというので、綿糸がどんどん上つたわけでございます。そういう場合に、当面の問題といたしましては、私は絹物とか羊毛とかいうものは、これは相当な階級の人がお買いになることで、値段が上つても一向影響せんと思いますけれども、綿花、綿糸、即ち綿糸布類というものは一般国民大衆が使用するものであるから、これがなかつたならば、やはり庶民の生活安定も欠くし、又同時にそれがためにインフレ要因にもなりやせんかということもありますものですから、そういう場合にはできるだけそういう心配をなくするという意味におきまして、私は外貨予算が非常に苦しいときでございましたけれども、綿花を百三十五万俵入れるという決定をいたしますし、又即座に十万俵早食いをさせるために輸入を急いでさせた。そうして而もその数量というものは、大体六月、七月が十九万二千梱ぐらいな生産でございました。併しながら、これは大体内需が十三万五千梱、輸出が六万梱というふうに踏んだわけでございます。それが果して続くか続かんかということは、紡績業者の主なる者もはつきりした見込はついていなかつたのです。併しながら、これを要るだけのものを出してやるという、又これを確保してやるという態勢を整えたならば、騰貴はしないだろうというので、外貨予算の苦しいのを忍んで綿花を輸入するということをきめた。それによつてさすがに非常に綿糸布の相場の高くならんとしたのを抑えられたわけでございます。又そういうことにつきましては、一面日銀総裁あたりからも金融の相当な措置をするということも考えられて、そうして両々相待つて今日落ちついておるわけでございます。これはそのときそれのやり方であります。併し今私どもが考えております一般の物価の引下げということにつきましては、これは総合的にやはり計画しなければならないので、総合的に計画しますのには、これは一つのことだけをやつてもしようがありませんから、大きく打たなければなりませんが、併しそれかと申しまして、補給金を出して輸出貿易を助けて行くかとか何とかいうことはいろいろな弊害もあるものでございますから、できるだけ今まで負担が多過ぎたというようなものを政府の手で軽くして差上げられることならやつて行くと、こういうことです。それにはまあできるだけ国家資金を一つ必要な方面に廻す、又市中の銀行の資金を廻すのにも重点的に……、奢侈とか何とかいう方面に廻らないように、又投資でも二重投資とか過剰投資とかというようなものには廻らんように金融的の措置をする。そうして而も、その措置をしまして金融を確保すると同時に、その金利が、世界的に比較しまするというと、日本の金利は非常に高いものですから、これは世界的に日本の経済を対等に持つて行つて競争するのには、やはりコストの重大部分を占めるところの金利も外国の金利の市場相場に余りかけ離れないようにして行こうというわけで、統制のとれる金利については下げて行く、又市中の金利に対しても下げて頂くようにお願いすると、こういう方向で、その他税法上の措置とか何とかいろいろ考えてもおりますが、まあ大体例を挙げて申しますればそういうことであります。 二重価格の問題は、これは実は二重価格というものは、経済的に見ますというと余り好ましいものではないのです。併し只今のところ、合理化をするとか、そういう措置をしましてコストを引下げるというのには相当時間もかかるものですから、それを待つておりましたら、西独とか何とかいう方面でどんどん東洋市場、東南アジア市場に進出して来るので、いわゆる販路を独占されてしまうという危険がありますから、その販路に対して日本が競争的に出て向うの商売と太刀打のできるようにするのには、やはり国内物価と輸出の価格というものが二重価格になるということは、これは止むを得んと思います。それでこれはいろいろ、日本がダンピングするとか何とかいうことがありますけれども、外国の例を見ましても、実は今詳しい例を持つておりませんけれども、外国でもやはりそれをやつておるのでして、国内物価はそうだけれども、国外的は競争するときにはこれを値下げして出して行くということもやつておりますから、或る程度そういうこともやはり大目に見て行かなければならんのではないかと、こう考えております。
○藤田進君 ちよつと関連して今の点、二重価格制という構想でしたらどうなんですか。経済の部分的にしろ、統制という問題を抜きにそういうことができますか。
○国務大臣(岡野清豪君) 統制はしなくても、税法上の措置とか何とかということで、やはり金利なんかの点で、内地のものを作るためには金利はこうだけれども、外国輸出の場合にはうんと金利を下げてやるとか、若しくは内地で消費するときには今までと同様な税金をやつておるけれども、輸出するものに対しては税金をうんとまけてやるとか、無税にするとか、もう一つは原料を……、これもまだ熟してはおりませんけれども、外国から輸入しまして、これは保税工場を作りまして、そうしてもうこれは輸入税をかけずにおいて、そうして加工しまして出す場合には輸出税をかけないということで、全く向うの原材料を自由に輸入して、それにできるだけの日本の創意工夫を加えたものを生産しまして、そうて出すときには税金なしでどんどん出して行く。而もそれに対しては相当な金融上の便宜を与えてやるということをすれば、これは日本内地で消費するものと、そういうふうに外国に対して輸出するものの間には二重価格になる、こういうわけであります。
○豊田雅孝君 大変お急ぎのようでありますから、今日はむしろ御遠慮申上げておつたわけでありますが、年末金融の問題が非常に差迫つておりますので、これは臨時国会の劈頭あたりに年末金融問題についてよくお話を聞く機会をお作り願いたいと思います。
○委員長(中川以良君) 委員長から大臣にちよつと申上げますが、只今臨時国会前で大臣御多忙のことはよくわかつておるのでありますが、昨日も特に休会中本委員会を開きまして、火力借款の問題等につきまして調査をしたのでありますが、委員諸吾はことごとく大臣の御出席をお待ちになつておつたのでありますが、遂に御出席頂けなかつた。従つて責任ある御答弁をお聞きすることができなかつたことは、非常に遺憾であります。本日も僅か一時間の御出席を頂いたわけでありますが、明日から臨時国会も開かれまするので、どうぞ当委員会の当該直接担当の大臣であらせられるのでございますから、次回には相当な時間を一つ当委員会のためにおあけを頂きまして、十分委員諸君の質疑に対します御答弁をお願い申上げたいことを、これは委員諸君の皆さんの総意として委員長より特にお願いを申上げる次第であります。
○国務大臣(岡野清豪君) 昨日私が出席をよういたしませんことは、特にお詫び申上げます。殊に藤田さんからいろいろお話がございましたが、遂にどうしても出られませんで、どうも失礼をいたしました。無論通産委員会と私どもとは一心同体になつて国政をやつて行かなければならん立場にありますので、できるだけ長い時間出さして頂きまして、皆さんがたの御指導を受けようということは、私勿論考えております。ついいろいろ御承知の通りな政情でございまして、何かとよんどころない外出がございまして、よう出席いたしませんでしたことを、お詫びいたします。
○小林英三君 なお今大臣もこの次は必ず出席せられて十分に我々の質問に応ずるというお話でありましたが、なおその機会に輸出入その他の問題につきまして関係の局長もできるだけ多く一緒に出席して頂きたいと思います。
○委員長(中川以良君) お諮りいたしまするが、本日は大分時間もたつておりますので、一つ今の通商局次長の御説明は次回にいたしたいと存じますが、御異議ございませんでしようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(中川以良君) 次回につきましては、明日午後一時に理事会を開きまして、理事の皆様がたと御相談いたしました結果、公報によつて御通知申上げることにいたしますので、さよう御承知を願います。 それでは本日はこれにて散会をいたします。 午後五時六分散会