中共地域からの帰還者援護に関する特別委員会 閉会後第1号
- 発言数
- 43 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1953/10/28
会議録
○委員長(常岡一郎君) 只今より委員会を開会いたします。 先ず引揚促進に関する件を議題といたします。ソ連地区からの引揚げにつきまして、現在までの経過を当局から説明をお願い申上げます。
○説明員(鶴見清彦君) それではソ連からの引揚げの最近の経過を御報告申上げます。 最近の経過につきましては、今年の七月二十二日にモスコーからの外電で大山郁夫教授がモロトフ外相と面会した際に、ソ連のほうでは国際赤十字を通じて在ソ邦人の抑留者を、戦犯と申しましたが、戦犯を帰す意向があるとの印象を大山郁夫教授は受けられたという外電が七月二十二日に入りました。早速、先方の印象によれば国際赤十字の線を通じてというのでございましたので、日本赤十字社のほうに連絡いたしまして、日本赤十字社からジユネーヴにある国際赤十字委員会とそれから国際赤十字連盟に対して、こういう情報があつたが、ソ連のほうに連絡してもらいたいということで電報を打ちました。国際赤十字委員会は早速それに応じてソ連の赤十字のほうに連絡をいたしました。同時に日本赤十字社は直接ソ連赤十字社にも同様趣旨の電報を打つて照会いたしました。ところがその後それに対するソ連赤十字社の反応というものがなく、時日を経過いたしておりましたところ、九月十九日になりましてモスコーに寄られた大山郁夫教授から、ソヴィエトの赤十字は戦犯の帰国問題について日本赤十字と協力の用意あり、具体的提案を以て直接ソヴィエト赤十字に交渉されたい、委細後便という電報が日本赤十字に到著いたしました。そこで日本赤十字社では九月二十一日に、十九日の貴電を感謝します、成るべく速かにソ連赤十字社に連絡しますが、貴電における後便を待つていますという趣旨の電報を取わあえず打つたわけであります。それから更に同日日赤からソ連の赤十字社に宛てて、大山郁夫教授からの電報によれば、こうこうこういうことだから、貴社の斡旋に対してあらかじめ深甚の謝意を表します、大山教授からの詳報を待つて、更に具体的に連絡いたしたいと思いますという趣旨の電報を更に打ちました。ところが九月二十五日になりまして、今度は北京から大山郁夫教授の名前で、ソ連赤十字は日本赤十字と協力する用意がある、ほかに絶対条件はいという電報が参りました。そこで十字社では九月二十九日にソ連赤十字社に宛てて、直接そういう事情に鑑みて、一体ソ連の赤十字社のほうからソ連のほうで釈放するという、送還するという意図を持つておる戦犯という者の数は何人であるか、又いつどういう港に船を差向けるべきであるかについて御回答頂きたい。又必要とあれば赤十字社の代表を派遣して打合せいたしたいという趣旨の電報を打つておつたのであります。その後大山郁夫教授のほうから詳細ないわゆる後便という手紙が到着いたしておりましたが、十日になりまして、十月の十二日にソ連赤十字社から今度は直接に日本赤十字寿に宛てて電報が参りました。それによりますと貴社の代表をソ連に派遣する用意あることを表明された九月二十五日の電報を受取りました。ソヴィエト赤十字の実行委員会は日本人捕虜で戦争犯罪のために刑の宣告を受け、すでに刑期の終つたもの及び赦免を受けたものの送還について打合を行うために、日本赤十字社の代表と首都モスコーにおいて会見することを同意します。ソヴィエト赤十字実行委員会では、日本赤十字社の代表及び出発予定月目についての通報をお待ちいたしますということの直接日赤宛に電報が参りました。そこで日本赤十字社は早速この電報に応えて、十月十四日に三人の代表島津社長、工藤、木内三代表、ほかに二名という者が二十四日に出発してストツクホルムを経由してモスコーに向いました。ヴィザについては、入国査証についてはストツクホルムで取るようにいたしたいという趣旨の電報を打もました。ところが十六日に迫つかけて先方からそれに同意するという趣旨の電報が来まして、ただ旅券の査証につきましては東京の代表部で受けてもよろしいし、又スウエーデンのストックホルムのソ連大使館で受けてもよろしいという趣旨の電報が参りました。それで一応ソ連の赤十字社と日本の赤十字社との直接連絡がついたわけでありまして、これに基きまして十月二十四日に日赤の代表団五名のかたが出発して、本日あたりモスコーに到着される予定になつております。この電報の往復によつてわかりますように、ソ連のほろでは日本人捕虜で以て戦争犯罪の判決を受けた者で、而も刑期を満了した者、或いは赦免を受けた者を帰すということのようでありますので、先方のソ連側で一九五〇年の四月二十二日のタス通信によつて発表した数というものが、御承知の通りソ連関係の戦犯として千四百八十七名、そのほか病気の者が九名、そのほかに中華人民共和国に対する犯罪のかどで中共に引渡さるべき者の数が九百九十一名、合計二千四百八十七名というものがそのときの発表ではソ連側が認めておる数でございまして、先ほど申上げました電報の内容によりますと、今度ソ連側が帰国させようという日本人の数は、その内数になるのではないかというふうに考えられます。ただ日本側といたしましては、その内数になるべき人ができるだけ早くとにかく帰つて来られるように手続を早急に打合せて、その方々の帰国というものを早めるということが、先決の条件でございますが、そのほかに今度は向う側の言つておる数字の中で、今度帰つて来られない人というものについては一体どういうわけであるか、或いはその方々の氏名というものを併せて聞く、そのほかに又抑留或いは残留している人もあるかと思いますから、そういう人々の氏名とか或いは所在地、抑留地というものも聞きたい。更には死亡者というもの、現在までソ連側は何ら死亡者については触れておりませんが、死亡者についても知らしてもらいたい等のことを併せて要望するはずになつてございます。従いまして今回の日赤代表団の現地における打合せによりまして、帰国される方々の数というものは、先ほど申上げましたように、ソ連関係の戦犯として刑を受けた人、或いは千四百八十七名の内数じやないかという感じがいたしております。 それにつきまして御参考にちよつと申上げますが、今年の八月二十二日に東独のグロテボール首相とソ連のマレソコフ首相との間に取極められたドイツの戦犯の送還の事情を簡単に御報告申上げます。それによりますと、戦争中の犯罪のかどにより判決を受け服役中のドイツ人捕虜を一定の手続に従つて釈放する措置をとる、但し平和及び人道に対する重罪犯罪者はこれを除くということになつております。そしてその際のソ連側の話によりますと、送還対象人員は一万二千七百五十名と言われておりまして、そのうち四千二百五十名というものを本年の十二月十五日までに帰すということになつている模様であります。実際問題としまして九月の二十六日でございますかに第一回の送還が行われまして、それでは約一千七百五十名という人が送還されておりまして、爾後今年の十月の初めに約千名が送還されたという報道が入つております。現実の問題として、今までに四千二百五十名全部がすでに送還されたかどうかということにつきましては、まだ確実なニュースはございませんが、少くとも三千名近くの者はすでに送還されたのではないかと想像されております。今度の送還につきまして特に特徴のある点は、すべての人が戦犯として判決を受けた、ドイツ人の場合でありますが、戦犯として判決を受けた者であつて、それ以外の人は全然含まれておりません。それから大部分の人々が二十年以上の長期の受刑者であることでありまして、五、六年の短期受刑者というものは今度送還されたドイツ人の中には比較的少いということがございます。このドイツの例によつて考えますと、日本の抑留者の送還の場合にも、刑期が二十年或いはそれを超える人も全然望みがないというわけではなくて、むしろそういう人も今度は帰つて来れるんじやないかという感じがいたしております。 以上で簡単でございますが、現在までのソ連からの引揚についての経緯を申上げます。
○千田正君 今鶴見議長からの御説明は一応伺つて、試にまあ長い間我々はこれだけ努力をしたのでありますが、一応とにかく何名かの人たちが帰つて来れるというところに非常に明るい気持を持ち得たということは、閉ざされておつたソ連からの引揚が、千名にしろ五百名にしろ、帰つて来ればその実態が把握できるというところに、我々として非常に希望が繋げると思います。そこで私どもは特に伺いたいのは、先般いわゆるスイスにおけるところの捕虜委員会に対しまして日本のいわゆる代表といいますか、衆議院の有田八郎君、或いは改進党の山下さんというような人たちが出て行つたのですが、あのときの一体人員の選考に当つて、参議院においては長い問特別委員会を開いて、而も衆議院よりも早くから我々はこの中共及びソ連からの引揚問題に対してこれだけ苦心惨溶しているにもかかわらず、我々のほうの参議院に対する何らの人選のいわゆる推薦もなければそうしたこともないということは誠に不思議に思うのですが、これは一体どこで選考したのですか、その点も一応承わつておきたい。
○説明員(鶴見清彦君) 先般の国際連合捕虜特別委員会第四会期に対する代表派遣の問題でございますが、有田代表が首席代表になられたのでありまして、有田代表は全協の会長ということであり、而も衆議院の議員であられるということで、政府といたしまして首席代表になつて頂くようにお願いいたした次第であります。それから山下議員につきましては、従来第三会期の際もそうでありましたが、御婦人の代表が出られることが委員会の会議の際に、特に非公開会談に際しまして日本側の実情を訴えるのに非常に何といいますか、効果的であるという考え方もありまして山下議員が代表の中に加わられた経緯と存じております。
○千田正君 誠にそういう点は我々はに落ちないのであります。有田八郎君の全国引揚連盟のいわゆる理事長ということは、これは一応頷けられる、併しながら有田氏は曾つての戦犯者である、追放解除者である、而も全国の引揚の理事長になられたのは趣く最近のことであります。それから只今の山下春江女史の問題からいえば、参議院にも山下女史より遥か優れたところのそういうような才能を持たれた委員の人たもが参議院の特別委員会にたくさんおる。何年となく、而もこの問題については国民のいわゆる道徳的な気持を反映するために幾多の苦闘を続けて来たところの婦人議員がたくさんおる。にもかかわらず衆議院からだけ出して、参議院の特別委員会に何らのそういうような事前の打合せもなければ、或いはそういう懇請もなければ推薦もなかつた、非常に我々はそれは不満に思う。それで私が伺いたいのは、このたびの捕虜委員会においてそういろ方々はどれだけの一体成果を収めて来られたのか、どの程度に一体国民の意思を代表してこの引揚に対しての問題を解決の緒にまで持つて行かれたか、その点の事情があつたら一つ御報告願いたい。
○説明員(鶴見清彦君) このたびの国際連合捕虜特別委員会の第四会期には有田代表と、それから山下代表と、それに駐仏大使の西村氏が代表として出られました。私自身随員として出席いたしました。すでに御承知かと存じますが、今度の会期におきましては、当初私どももそう期待しておりましたし、委員会当局も非常に期待しておつたのですが、今度の会期にはソ連が、最近のソ連の態度にも鑑みまして、代表を送つて出席するのではないかというよろな期待を持つておつたわけであります。そのために捕虜特別委員会といたしましても、ニユーヨークにおりまする国際連合の事務総長ハマーシヨルド氏に頼みまして、ニユーヨークにおいてソ連のヴイシソスキー代表との間に、この捕虜特別委員会にソ連側が代表を送るようにということについて随時折衝をしておつた次第でございますが、結局ソ連のほうでは本特別委員会というものを国際連合の憲章に違反出してできたものだという理由によつて、出席をしなかつたわけであります。従いまして私どもも期待し、且つ国際連合の特別委員会自身も期待したソ連代表出席ということは実現しなかつたわけでございますが、他面私どもといたしましては、この特別委員会に対して日本の引揚の状況はこうなつておると過去の一年間の経過を報告し、又八月一日現在で政府で調査しました数字等について説明をいたしました。ソ連は出席して来ないけれども、この特別委員会が引続き存続をして、第二次大戦の捕虜抑留者問題というものが根本的に解決するまで、国際連合がこの問題を取上げるように努力してもらいたいということを訴えた次第でございます。その結果といたしまして、捕虜特別委員会といたしましては、昨年の八月の第三会期の最後には、どうもソ連側の協力が得られないから特別委員会の仕事が十分できない。従つて第四会期を以て最終報告を作成して、委員会の活動を打切ろうではないかという意見が出ておつた次第でございますが、今度の第四会期の結論としましては、この問題が解決するためには、やはり活動を続ける必要がある。特別委員会としては従来この問題に取組んで来たと同じ精神で以て引続き活動を継続する用意があるということを明らかにいたしました。又その反射的な効果とも言えますが、捕虜抑留者問題というものが国際連合の現在行われております第八総会の議題として上程されまして、近く審議されることになつております。 我が国の立場からいたしまして、国際連合の捕虜特別委員会或いは国際連合における審議というものはソ連或いは中共等からの引揚に直接に影響をしたかということにつきましては、いろいろ議論があると思いますが、少くとも国際連合或いは捕虜特別委員会というものがこの問題を取上げているということが、間接にはソ連及び中共からの日本人の引揚というものを先方が実現しようという気を起させる一つの要素になつたことは間違いはないと私ども確信いたしております。その意味におきまして、今回代表が行きまして、国際連合捕虜特別委員会の第四会期において事情を訴え、又懇請したということは一つの効果があつた。直接の効果ではなかつたかも知れませんが、少くとも間接に効果はあつたというふうに確信いたしております。
○千田正君 我々が第一回から第三回までの捕虜特別委員会に日本の代表を送つて、いろいろいわゆる国際的な人道上の問題として訴えて来たことに対しては勿論多とするし、このたびの有田氏或いは山下氏の御奮闘も大いに感謝しているのであります。ただずつとこの引揚問題を考えて、特にソ連、中共地区における抑留者の帰還問題に関しては、実際において全国の留守家族の人たち、或いは外務省或いは引揚援護庁、衆参両院の特別委員会が懸命なる努力を払つて来たにもかかわらず、中共側の引揚の場合は何らこうした国民的な我々の動きに対しては、中共は応えてくれなかつた。早い話が日中友好協会或いは平和連絡会或いは赤十字、こういう三団体に限つておる。このたびは大山郁夫氏のいわゆる懇請によつて、日本赤十字と、それからソヴィエトの赤十字との間の交渉ということになつた。あなたの今おつしやるような、いわゆる間接的には何らかの響きを与えたということは我々もそういうふうに考えます。併しながら従来とつて来た国民の要望というものに対して、何かしら我々がとつて来たような考え、或いは我々の要求或いは要望した答えとは違つた答えが出て来たような感じがするのでありますが、外務省としてはどうでありますか。今度の場合は外務省なんか全然発言権もないように思うが、どうですか、ソ連との間の問題に対して……。
○説明員(鶴見清彦君) 発言権と申しますか、事の起りが先ほど簡単に御報告申上げましたように、大山郁夫教授のモロトフとの会見に関する外電ということから起つておりますが、発言権と申しますことの意味が必ずしも明確ではございませんが、先方が赤十字の線で出て来ておりますし、政府といたしましてもとにかくできるだけ多くの人ができるだけ早く帰つて来られるということを切望している次第でございますし、日本の赤十字社の代表団が向うへ行きまして、先方が帰すと予定している人員の引受に関する手続というものを打合せするに際しまして、政府としてすべき事項ということについては、全面的にこれをいたそうという考えでおります。又現実にそういたしておる次第でございます。ただ直接にこの打合せに政府が関与するということは、先方の出方もあることでありますし、現在の段階ではなし得ないので、その点は万止むを得ないかと存じております。
○千田正君 我々もあなたがたも、それから引揚援護庁としましても、とにかく終戦後過去八年に亙る長い間、この問題に対しては国民と共に取つ組んで来ただけに慎重に考えねばならないと思います。そうして勿論一日も早く一人でも多く帰つて来ることに対しては、我々は双手を挙げて迎えなければならないと思うが、ここに年次別の引揚統計表が出ておりますが、これは一般国民と、それから軍人というようなことを何も分けておらないのですが、これは軍隊も一般人も一緒に含めた数ですか。
○説明員(鶴見清彦君) 全部を含めた数でございます。
○千田正君 そうすると、この数によると、軍人は大多数と思うのですが、どうなんです。……今お答えができないとすれば、やはりこれは一般邦人とそれから軍人軍属との数をはつきりしてもらいたい。ということは、今鶴見課長の御説明があつた通り、ドイツの状況を見ましても、帰される者はいわゆる戦犯者及び刑期の長い者、或いは刑期が終えた者、いろいろあると思いますが、やはり今後日本赤十字社の交渉の結果、戦犯者とすれば大体は軍人か軍属が多いと思います。ところが今日本の留守家族のソ連におるであろうと思つて大いに促進運動をやつておる向は、戦犯者のみならず、一般邦人も相当含まれておりますので、その数がはつきりせんというと、今後の引揚の進捗状況によつては、更にソ連側、或いは赤十字側に交渉しなければならない。そこでこのまま漠としたこういう数字であつては、一般邦人は何名で、軍人軍属はこのうち何名であるかということはわからない。この点をはつきりとしたものを我々はもらいたい。これじや杜撰極まる表ですよ。これはどつちからか出してもらいたい。どうですか。
○説明員(鶴見清彦君) 只今お手許にございます年次別引揚げ統計表といいますのは、今までに引揚げて来られた人々の数を地域別に分けて集計したものでございまして、特にソ連地域につきましてはやはり軍人軍属と一般邦人というものとの別が必ずしも明確にできない状況もあるのでございますが、未引揚者、いわゆる未帰還者につきましては一応の見当は出ておるのであります。従いまして、只今御指摘のような問題が起ります場合には、政府といたしまして対処し得るかと考えます。
○千田正君 どうもそれが明確じやないから、我々はこの前から言うておるのであつて、不明確であるにしても、大よそこれくらいなことであるということでなければ……。向うへ請求する前に我々国民にも知らしてもらいたい。いいですか、あなた方が例えば捕虜委員会に持つて行つて何万人いると言つても、タス通信のようにそんな日本の言つておる数じやないのだと、ああいうように一方的に発表されても、それを攻撃するところのデーターが揃つていないのならば何になるのですか。この前にあなた方がやはり集積したものがあると思うのです。だからこういう数、現在はこれだけ残つているということを、やはり、例えばこの間スイスのジユネーヴへ持つて行つた表もあるでしよう。そういうものをはつきりしておかんというと、今後ソ連との引揚が開始されて、そうして大体こもらの集積した数はこうであるということをやはり我々に明示してもらわんというと、今後の対処する方針が出て来ないじやありませんか。
○説明員(鶴見清彦君) 実は御要求の資料が年次別の引揚統計表ということであつたと思いますのでこれを差出したわけでございまするが、いわゆる今年の八月一日現在で集計しました統計表というものはございます。それは早速差上げることにいたしたいと存じます。
○千田正君 それがわかりますと、大体今までに引揚げて来た数とこの中で仮にあなたのほうで軍人はどれだけ、一般邦人はどれだけ、一応不分明であつても入れて頂くというと、大体残つたものに対しても軍人軍属関係のものは何名、一般邦人は大体これだけという推定がつくと思います。それによつて交渉のしようがあると思います。 それからもう一つお伺いしたいことは、この日赤が行つて向うの赤十字との間に交渉が成立して、そうして引揚が開始される、開始される場合においては、一体その受入態勢が引揚援護局がやるのですか、外務省がやるのですか。それとも日赤自体がやつて、それを外務省と引揚援護庁がバツクアツプするという態勢で進んで行くのですか。その点の日本の受入態勢に対して、どういうふうに現在の段階においては考えておられますか。
○説明員(田辺繁雄君) 受入態勢につきましては中共の受入の場合と同じようなやり方にいたしたいと思つております。つまり船は中共の場合は政府が直接チヤーターしたというやり方をとつております。この点は向うとの交渉で、日赤に委託をして日赤の船の形にして出すという場合も考えられるわけでありますが、これは大した問題ではないと思います。受入はどうしても舞鶴になると思います。舞鶴に上陸されたあとのお世話、援護は国で責任を持つてお世話いたしたいと存じております。
○千田正君 そうしますとあなたのほうの予定としては、援護庁のほうで引受けてやる。そうしますと援護庁の予算としては二十九年度の予算の中に繰入れてもうすでに申請してあるのですか。それとも今度の補正予算の中に、厚生省の一部の予算の中にそうした問題を入れて組んでおるのですか。
○説明員(田辺繁雄君) 予算の点につきましては、今のところ中共からの引揚が三万名分取つてございます。これが現在までのところ二万六千五百名くらい引揚げておりますので、まだ三千何がしかの余裕があるわけでございます。今後中共からの引揚がどうなるかわかりませんが、見当といたしましてはこの中共引揚の三万名分で賄なつておきまして、将来中共からの引揚の状況が残りでやれないという場合におきましては、予備金の支出を決定しなければならんじやないかと、かように考えております。
○千田正君 これは鶴見課長さんでもいいし、田辺次長さんでもいいのですが、大体今のような状況で今日あたりモスコーに入つた。そこで仮に打合せに一週間なら一週間、十日なら十日かかるが、開始するのは大体早くても来月なら来月という予定をきめなければならんと思いますが、あなたがたのほうの考えておるところの推定予想は一体どういうふうに考えておるのですか、いつ頃からという予定ですか。事前にそういう点については島津団長その他とあなたがたと打合せて行かれたと思いますが、できるだけ早くということは間違いないでしようけれども、用意としてはいつでもできる、受入態勢はいつでもできるということですか。
○説明員(田辺繁雄君) 船はいつでも向うに差向けることができるような態勢になつております。
○千田正君 船はいつでもできるのだが、受入港はやはり舞鶴ということですか。
○説明員(田辺繁雄君) 舞鶴にいたしたいと存じております。
○千田正君 現段階においては島津団長の報告によるよりほかにどうしようもないわけですから、一応の今までの二人の説明によつてわかつたと思いすすが、長い間の監禁生活を受けて来られた人たちでありますし、その取扱についてもいろいろあると思いますが、仮に戦犯とすれば、まだ刑期が残つておる。その残つておるということに対して向うはどういうふうに出るか、この間のいわゆるフイリピンの戦犯のように、残余の刑期は東京において日本側が監督の下に刑期を済ませる。或いは釈放という形で来るのか、そういう点も考えられるのですが、そういう点に対しては一体どういうふうに考えておりますか。
○説明員(鶴見清彦君) 先ほどちよつと触れましたドイツ人の戦犯者の送還の状況を見ておりますと、二十年以上の長期刑を受けた人でも帰つて来ておりまして、その人たちに対してドイツに帰つてから更に服役しろという条件は付いていないようでありますし、今度の向う側からの電報によりましても、満刑者或いは赦免を受けた者ということになつておりますので、只今御指摘のような事態は起らないのじやないかというふうに考えております。ただ万一起つた場合には、政府といたしましては、この問題は非常に微妙な問題でございまして、フイリピンとの場合以上に内地での服役をどうするかということにつきましては改めて考え直さなければならないのじやないか、そういうふうに考えております。
○千田正君 まあ我々の要望するのは、単に刑期が終つた者、或いはもう釈放に値いする者というばかりじやなく、仮に刑期がいわゆる終身刑であつたとするならば、その長い刑の人たちでもフイリピンの場合と同じように日本において服役できるような、そういうような方法を我々は考えなければならないと思うし、そうすべきのが又国民感情として当然だと思うのです。それで、そういうことも十分に考えて、いずれは島津団長からそういう点においてもいろいろな連絡があると思いますので、我々としてはもう現在ソ連におるところの日本の人たちを全部引取りたい。こういうのが我々の希望であるから、その点は十分にまあ連絡の場合においては皆さんもそういうことを考えて頂きたいと我々は思つております。 いずれほかの議員からもいろいろ御質問があると思いますから、一応これで私の質問はとどめておきます。
○委員長(常岡一郎君) ほかに質疑はございませんか。
○藤原道子君 ちよつとお伺いしますが、今度帰る者は戦犯とかというものに限つてあるのですか。婦人なんというものは全然含まれていないのでしようか。抑留されておる中に婦人も相当いると思うのですが、そういうデーターはどうなつているのでしようか。
○説明員(鶴見清彦君) 断定的なことは申上げられませんが、私どもの承知しているところでは、御婦人のかたはソ連にはおられないのじやないかというふうに感じております。更にその点はもう少し我々のほうに持つております資料について詳細に調べたいとは存じますが、今のところではないのじやないかと存じております。
○藤原道子君 更に調べたいとおつしやるのですが、今まで婦人はもうソ連にはいないというふうなつもりで今日まで来ておるのですか。それとも婦人はいるかもわからないが、その調査が未だにできていないということになるのでしようか。
○説明員(田辺繁雄君) ソ連から通信のあつた人の中には御婦人は一人もおりません。それから、私どものほうでソ連の中にいる未帰還者の調査をいたしておりますが、その中にも婦人はおりません。だだ樺太関係の残留者の中には御婦人のかたもおります。シベリア関係につきましては御婦人のかたは入つていないと思います。
○千田正君 歯舞、色丹等のああいう所は平和占領されたような恰好になつておるので、実際はもう直ちに向い側がソ連領だというような、ああいうふうな問題に対してはあなたがたはどういうふうに考えておりますか。現在はただ戦犯であるとか、そういう人たちの問題だけがこの問題の議題に乗つておるようでありますけれども、併し、今の子供も女もいないということは、結局戦犯、戦争の参加者に限られておるようにしか我々は推定できない。併しながら現実においては歯舞や色丹には平和産業に従事している者、或いは漁業に従事している者が相当残されておる。こういう方々に対しては将来どういうふうに考えておりますか。
○藤原道子君 要するに今引揚の対象になつた多くの者は、今千田先生がおつしやつたような戦争関係の者だけが取上げられておるのですか、そういうわけではないと思うのですけれども……。
○説明員(鶴見清彦君) 先ほどちよつと申上げましたように、今度の代表団の先ず第一の打合せ条項といたしましては、先方が帰すという者、従つてそれは恐らくいわゆる戦犯者の人々に限られるとは存じますが、それ以外にも一般通信で邦人のかたと思われるかたから通信などもありますので、その方々以外についても改めて情報をもらう。例えばどこに抑留されている、或いは氏名はどうだ、そういうことを、向う側が帰すという人々の送還或いは引揚についての手続を先ず済まして、そのあとでそれ以外の方々で抑留せられている人の氏名とか或いは抑留地、或いはその抑留理由というような事項についての併せて先方から聞き、又これらの人々の引揚の時についても先方こ話をするという考え方で代表団は行つておるわけであります。
○千田正君 非常に困難なことは、私は仮に今帰されるという立場の方々は人体シベリアであるとか、或いはウクライナであるとか、あつちの大きな大陸のほうのいわゆる監獄におられた人が主だろうと思う。ところが樺太であるとか、千島であるとか、ああいう所はもう監獄らしいものはないように我々は考えるのです。そういうような所で且つ又平和産業に従事しておりまして祖国に帰りたいという希望をする者は相当いると思う。こういう問題が将来残る問題であるので、特にそういう点についてどういうふうに考えておられるかという点を我々は聞きたいし、又現実にソ連領であつて、戦犯者でないが日本へ帰りたいのだという者に対して帰されるかどうか、これは一つ考えて行かなければならない問題だろうと思います。或いはあなたがたとしては、今の日赤の交渉の結果でなければわからないと言うよりほかないだろうと思いますけれども、そういう場合においての用意を十分しておいてもらいたい。
○委員長(常岡一郎君) それじや別に質疑はございませんか……。 —————————————
○委員長(常岡一郎君) それでは次に派遣議員の報告を議題といたします。 閉会中に委員長は北海道における中共地区からの帰還者の住宅及び就職状況の調査をいたしましたから、その御報告を申上げます。 北海道全土における中共地域からの帰還者は第五次船団まで四百四十四世帯、九百二名であります。これらの者に対する援護対策は北海道庁民生部が中心となつて行なつています。今回の調査は主として帰還者の住宅、就職の問題に重点を置いて帯広市、釧路市、北見市、美唄市、旭川市、札幌市、及び函館市の実情調査を行なつた次第であります。麟帯広市には、中共地域からの帰還者は四世帯十四人で、いずれも縁故先に一応落ちついているが、これは一時的であつて、而もその住居は狭駐であり、長期に亙り居住することは、到底困難な実情にあります。且ついずれも未就職の状態であり、そのうちの一世帯は生活保護法の適用を受けております。 釧路市には、中共地域からの帰還者は十五世帯、二十六人で現在公営住宅に一世帯五人、引揚者住宅に三世帯七人、縁故先に二世帯六人、自宅に九人がそれぞれ居住いたしております。病院に入院中の者を除き、商業、農業、水産業等に従事しております。目下病院で加療中の者で、中国で医師をしていたが、日本では医師の免許が得られないため、退院後の職について市当局も頭を悩ましているが、中国で得た技術を活かしてやる方法を何とか講ぜねばならんと思われています。概して釧路市の状況は他の都市に比べまして良好でありますが、それでも目下住宅を必要とする者は二世帯六名であります。 美唄市には、中共地区からの帰還者は現在十一世帯十八名で、縁故先に入世帯十二名、炭鉱住宅に二世帯二名、引揚者住宅に一世帯四角が入居しております。このうち縁故先に入居中の七世帯十一名は、いずれも住宅狭院で、早急に他に移転を余儀なくされております。就職関係は青森鉄道監理局に復職した者一名を除き他は定職なく、殊に調査当時は炭鉱は人員整理を行なつておりまして、美唄市においては市当局の努力にもかかわらず、就職は極めて困難の状況であります。生活保護法を適用している者は四世帯十一名であります。 旭川市に定着した中共地域からの帰還者は二十四世帯六十人名であります。縁故先に入世帯十一名、一時収容所に七世帯二十五名、引揚者住宅に六世帯二十二名、個人住宅間借り一世帯五名、職場住宅に二世帯五名が居住しております。帰還者は商業、工業、会社及び医師見習い等に就職しておりますが、病気中の二世帯二名を除き、七世帯九名の者が未就職の状況にあります。生活保護法の適用を受けている者が五世帯に及んでおります。住宅を必要とする者は九世帯二十七名であります。 北見市には、中共地区からの帰還者は四世帯十五名であつて、そのうち二世帯二名は自家の農業に従事しており、一世帯五名は近々病院に勤務の予定で、それまでは弟の家に同居を続けている状態であります。他の一世帯八名は就職準備中であつて、それまで妻の実家に一応落ちつき、目下生活保護法の適用を受けております。北見市の住宅状況は、目下のところどうやら住いを得ているが、市自体として現在八百戸不足しておりますので、第六次以降帰還者がある場合には、住居は不足することになりますので、この面の解決を急いで行わなければならんという状況であります。 札幌市の定着者は四十五世帯百十一名であります。札幌市の就職状況は極めて良好であつて、官公署、会社或いは自営等のそれぞれの方面に就労しておりまして、一〇〇%の就職率を示しております。併し住宅は十分でなく、現在住宅を希望する者は四十五名であります。なお札幌市は就職率が良好のために、他に一応定着した者がだんだんと札幌市に集中する傾向が見られまして、急速な住宅の建設が叫ばれている次第でございます。生活保護法の適用を受けている者は四世帯であります。 函館市における中共地区からの帰還者は三十入世帯五十三名でありまして、これらの帰還者は会社、工場等に就職した者並びに理髪業、海産物商等を自営いたしております。就職率は七七%に相当しておりまして、これら帰還者は引揚寮に五世帯、自宅に二十一世帯、間借り十一世帯、借家一世帯となつております。その中に目下住宅を必要とする者は入世帯であります。殊に旧東日本造船株式会社工員寮を転換した港寮は六畳一間に七人が生活しておるところもあり、風紀上、衛生上からも至急疎開することが急務であると考えました。 中共地区からの帰還者に関連して見逃すことのできないことは、無縁故者り集団施設の問題であります。これは即ち終戦後、海外より引揚げて参りましで、各市町村が国の要請に基いて旧軍の兵舎を利用して受入れた無縁故者の集団施設であつて、これらの大部分の引揚者は現在引揚当時そのままの姿で寮生活を営んでおる現状であります。而もこれらの施設はいずれも耐久年限を遙かに経過いたしました老朽建柔物でありまして、消耗の程度も誠に甚だしく、殊に狭隘の部屋に雑居生活で、昼でも廊下は暗くて歩けないものが多いのであります。このまま放置しますことは誠に許しがたいものがあるので、緊急分散、疎開しなければならない現状だと見て参りました。併しながら疎開住宅の新設は昨年度を以て打切られ、本年度からは公営住宅の枠内で実施されることになつております。併しこの公営住宅は疎開住宅に比べまして相当高額な建築費を要しますので、地方自治体ではその負担に堪えられない。従来通り疎開住宅を継続し、その間の施設の補修に格別の国の援助を願うという趣旨の陳情が旭川市当局から提出された次第であります。かかる問題は旭川市を初めとして函館市、小樽市及び豊平町において起つておる問題でありまして、今回の調査に当り旭川市の集団施設も視察いたしましたが、この陳情の趣旨は極めて妥当であり、国としてもこの問題を早急に解決せねばならんと存ずる次第であります。住宅問題の解決、これが帰還者接護の最重要課題であると痛感いたした次第であります。 右御報告いたします。 只今の報告について援護庁当局より御発言がありますならばお願いしま、
○説明員(田辺繁雄君) 只今委員長から中共地域引揚者の北海道における実情について詳細なる御報告がございまして承わつた次第でございまするが、先ず就職の問題につきましては、北海道で七七%というお話もございましたが、これを全国的に見まするというと、九月十九日現在で六二・五%の率を示しております。そのほかに役所のほうでわかつております自己就職の数が千五百四十四名ございます。わからないで就職しておるかたもおられると思いますが、わかつただけでそれだけでございます。これは他の一般の失業者に比べまして相当高率でございまして、国民の皆様の御理解と御援助によるところが非常に大きいものと感謝いたしておる次第でございます。 住宅につきましては、中共からの引揚者の分としまして三千四百余戸用意してございます。これは従来からの引揚げに比べますれば遥かに高率でございます。相当優遇的な措置をとつたつもりでございますが、この割当につきましては特に慎重を期しまして、実際必要な所に建てられるというふうにいたしたいと思つております。予定で建てまするというとその予定が外れまして、折角建つた所に引揚者が入らずにほかの者が入つてしまうということがままありまするので、そういうことがないように就職その他の定着状況をよく見届けた上でそこに建てるというふうに指導いたしておりますから、若干建設は遅れておる面もございますが、すでに千七百数十戸建設が終りまして、残りのものも目下完成を急いでおるわけでございます。なお若干のとめ置きもございます。これは特に中共の引揚の場合につきましては、大都会特に東京に集中する傾向が非常に顕著でございまして、東京で従来用意しておりました一時寮を更に拡張いたしまして、お寺等を借りまして一時そこに収容をしておるような状況でございます。これも近く東京都の分が二百戸ばかり完成いたしまするというと、その分だけ空きまして、そういうものが解消すると思います。そのほかにも現在手持ちのものを更に各地方の状況を見た上で配分いたしまして、住宅の措置を講じたいと考えております。 それから只今北海道の集団住宅の問題につきまして委員長よりその必要性を力説されたのでございまするが、実は終戦直後樺太からの引揚者は、他の地区の引揚者に比べまして、無縁故者が非常に多かつたのでございます。これは無理もないことでございまして、樺太には祖先、祖父の代から樺太に定着しておるという人が帰つて来るわけでございますので、内地に縁故のないかたが相当多数あつたのでございます。こういう方々を受入れるためには、寒冷地が適当だと考えまして、北海道、東北大県にお世話を願つたのでありますが、特に北海道は大量に無縁故者を引受けて頂きました関係上、それらのかたを収容するための施設といたしましては、旧軍の施設等のあるところにまとまつて受入れられたという実情になつております。それが年月と共にその施設が腐朽いたして参りまして、修繕するだけでも相当な金がかかるし、又修繕することは、又すぐ破損いたしまして無駄である、こういう実情になつて参つたわけでございます。これはひとり北海道に限らず、全国にありまする集団施設についても同様の実情でございましたので、厚生省といたしましては、引揚同胞対策審議会の御研究を頂きまして、基礎堅牢であつて補修いたしますれば当分の間使用できるものにつきましては補修してこれを使つて行く。補修しても役に立たないと認められるものは、急速にこれを疎開いたしまして、新設の住宅を建設して行くということの御決定を頂きまして、この方針に基いて二十六年度において、又二十七年度において、ニヶ年に亙つて全国にある集団収容施設を疎開するという事業を実施したのでございます。その際、北海道は数の多かつた関係上若干残りまして、二十八年度に持越されたのでございますが、又数の多かつた関係上、二十七年度で私のほうで割当てた数だけ北海道はこなして頂けなかつたという実情もございます。いずれにいたしましても、こういつた事業は北海道においては二十八年度も継続する必要がありましたので、我々も予算の折衝をいたしたのでありますが、第二種公営住宅の中で特別の枠を作ることによつて、北海道のその疎開をしようということに建設省厚生省大蔵省と意見がまとまりまして、それでやつてみようということになつたわけでございます。と申しますのは、この引揚住宅は、疎開の場合だけに限つて単価を上げ立派なものを建てるというわけに参りませんので、従来からの規模構造によつて建てるということになるわけでありまするが、この点が地元のほうの御意見もあり、又政府のほうの部内の意見もありまして、やはり第二種公営住宅程度のものを建設することが恒久的な住宅としては適当ではないかという御意見がありましてさようにいたしたのでございます。ところが、本年度は北海道の実情はなかなか、政府で割当てた分だけでもこなし切れないという状況でございます。いろいろの行き違い等もございまして、政府の割当てだけでも建設できなかつたわけでございます。その間、北海道では各地元のいろいろな要求があり、又いろいろ御検討になりました結果、やはりこれは地元として相当の負担をかけてもやらなければならんということを決意されておつたのでありまして、目下政府に対して、いろいろの御意見なり陳情があるわけでございますが、ただ困ることは、昨年北海道に建てる建築住宅は防寒住宅でなければならんという法律がきまつたわけでございます。防寒住宅と申しますると、現在の第二種公営住宅よりも一層単価が高くなるわけでありまして、それだけに地元負担というものも高額になつて、地元負担が高額になれば、家賃も高くなるというわけでございます。北海道から御提出になつています資料によりますと、九坪で二戸当り五十万円になるわけであります。それが公営住宅法による三分の二補助、つまり三分の一地元負担ということになりまするというと、家賃は二千五百円になるわけでございます。かような高い家賃では、到底引揚者、疎開を要する集団施設に入つておる引揚者のかたがたの到底負担に堪えないところでございますので、又かような住宅では地元の財政負担が持たないという苦しみがあるわけでございます。そこで、これをどうするかという問題でありまするが、補助率を特別に上げてやるということができれば一番望ましいわけでございまするが、これには法律の改正を要するわけでございます。従いまして、私のほうといたしましては、取りあえず引揚者の疎開住宅の予算を大蔵省に要求はしてございます。これは今後の折衝に待たなければなりませんが、現実の事態がそういう雨漏りのする不衛生な、使用に堪えないような状況にある所に置いておくということも、これも文人道上の問題でもございますので、多少施設は粗末でございましても、我々のほうの引揚者疎開住宅を建ててやるのも一方法ではないかと考えるわけでございます。併し一面から申しますれば、余り粗末なものを造つて、又近い将来においてそれを又どうかしなければならんということになるのも如何かと思いますので、この際恒久的な、立派な、立派というか、防寒住宅を建てることが望ましいのではないかという御意見もあろうかと存じます。その点につきまして、引揚援護庁としては、先ほどお話がありました通り、国としてもこれは責任のあることでございますので、何とか来年度においてできるだけの施設をいたしたい、かように考えて努力をいたしたいと存じております。
○千田正君 北海道の場合のみならず、引揚者に対してはやはり全額国庫負担というのが本当であると私は思う。ということは、北海道は土地が広いから、東北が土地が広いから、それだからこれだけの人たちを引受けるというようなことで引受けさして、そうして今度はどうも法律がこうだからとか、或いは単価が前のやつとは違うからということでは私はいかんと思うのですね。こういう点はやはり私は北海道なら北海道に引受けてもらつた以上は、北海道あたりの意見を聞く必要があると思う。それでなければこういう問題は解決しませんよ。この前の無縁故者の引揚げのときでもそうです。とにかく東北、北海道が土地が広いのだから、縁故がなかつたらそこへ住めばいいじやないか。そこで引受けてくれと言つて、北海道、東北六県に引受けさして、あとは雨漏りをしない程度のものを建てて、然るべくやれというようなことでは、私は本当の親心ではないと思う。こういう点はもう少し積極的に厚生省としても大蔵省と折衝して予算を獲得することをやつて下さいよ。
○大谷瑩潤君 ちよつと委員長に伺いますが、帰つて来た人の思想的運動といいますか、そういうものを委員長見ましたかどうか。それから又どこかへ就職しまして、就職先に対しまするグループの間にそういう思想運動等が起つておるかどうかというふうなことに対してお気付きの点があつたら知らして頂きたい。
○委員長(常岡一郎君) 私は各地でその点はお尋ねいたしましたが、現在のところでは、まあ報告される程度でありますから、報告にはそのほうの心配はないとこういうふうな報告であります。まあ北海道は特に我々がこちらのほうで考えておりますことは、非常に思想的に危険な状態ではないだろうかと、こういうふうに想像いたしますけれども、事実一般の市民などに会いまして話を聞いておりましても、それほど考えている点とは違うようであります。だからその点で私はその報告をまあその程度ならばと思つております。特にこれという特殊なそうした傾向は見られなかつたようであります。速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(常岡一郎君) それでは速記を起して下さい。 次に中共地域からの帰還者の援護に関する調査報告書を議題といたします。閉会中の委員会の活動について議長宛報告書を提出しなければなりませんが、その案文の作成及び事後の手続等すべて委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(常岡一郎君) 御異議ないものと認めてさよう決定いたします。 なお、調査報告書には、多数意見者署名を附することになつておりますから、署名をお願いいたします。 多数意見者署名 藤原 道子 林 了 山下 義信 大谷 瑩潤 竹中 勝男 千田 正 榊原 亨
○委員長(常岡一郎君) 本日はこれを以て散会いたします。 午後三時四十九分散会