大蔵委員会 第17号
- 発言数
- 53 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1953/07/10
会議録
○委員長(大矢半次郎君) これより大蔵委員会の税制改正に関する公聴会を開きます。 公述人といたしまして一橋大学教授木村元一君、日本租税研究協会常任理事金子佐一郎君、日本財務職員労働組合連合会中央執行副委員長熊谷豊四郎君、三君がお見えになつております。公述人のかたには非常に御多用のところお繰合せ御出席下さいまして有難うございました。時間の都合上、大体お一人三十分程度を目標にお述べ願いたいと思います。 先ず最初に一橋大学教授の木村先生にお願いをいたします。
○公述人(木村元一君) どんな租税制度でも資本の蓄積と、それから負担の公平、この二つの要求が非常に調和がむずかしいものでありますが、最近の租税学説の上では、能力に応じて課税をすることが公平であると一応言われております。ところが能力を測定いたします段になりますると、結局地代とか利子とか、利潤等の所得を得ます高額の所得者にかけざるを得ないのであります。ところが同じ資本蓄積の原則という観点からいたしますというと、そういう高額所得者の蓄積が資本の蓄積に廻る、従つてこれに課税することはいけないという結果になりまして、ますます二つの原則の調和ということが非常にむずかしいことになるわけであります。そのほかに我が国において最近特に重要視されます資本の蓄積という観点を税法に活かします場合、今申しました二つの根本的な対立以外に、もう一つ二つ考慮に入れなければならん問題が生じて来ております。それは国家の経費が非常に多くなり、国民経済との関係が密接になつて参りますにつれまして、景気の進行を財政のほうで担当して行く。例えば非常に不景気の時には企業にかかります税金のほうは免除しなければなりませんが、貯蓄に向う高額所得者に対しましては、成るべく大きな税金をかけたほうがいい。従来の資本蓄積の擁護という観点からいたしますと、若干食い違つた見解も出て来るのであります。更に第二の点といたしまして、最近の資本蓄積のやり方が、単に従来の民間の蓄積を促進するという以外に、国家の手でもつて蓄積を促進するという考え方がかなり強くなつて参つておりますし、それから従来の民間の資本蓄積を促進する場合にいたしましても、考え方としては二つあるかと思うのであります。一つは分配されました国民所得のうち、家計を通じて、一旦家計に入つたものから蓄積をさせて、或いは蓄積を進行させ、これを金融機関が預つて、預つた金融機関から投資させるという行き方と、それからもう一つは企業の内部留保というものを尊重して、これを擁護して行くという行き方とございます。もう一度申しますというと、政府が担当する場合、それから民間が担当する場合、民間が担当する場合に直接企業の留保を擁護するという行き方と、それから金融機関を通じて間接に資本の蓄積、資本の形成を図るという行き方があります。従つて我が国の現下の問題であります資本蓄積の擁護を図ります税制を作ります上に、どの方法を主として考えるべきかという点が最初に重要な問題となるのではないか、このように考えるのであります。少し話が前に、昔のことに戻りますが、現行の税制は、シヤウプさんが参られて。シヤウプさんの勧告に従つて相当大幅に改正せられました。そのシヤウプ税制で資本の蓄積と公平な課税ということに対して、どの程度の考慮を払つておつたか、その極くあらましを、もう皆さん御承知かと思いますが、考え方の違いを明らかにするためにちよつと申述べさして頂きたいと思います。 シヤウプ税制におきましては、先ほど申しました資本蓄積の行き方の中で、家計を通じて自発的な貯蓄を擁護して行く。これを銀行が預つて銀行の観点から適切なる企業に投下して行くということを主体に考えておるように思うのであります。勿論、他方におきましては、企業資本の資本構成の是正を図る。それから企業負担の軽減を図るということもかなり考えられておりましたけれども、併しむしろ家計に入りました所得を擁護して、累進税率を例えば五五%に止めて、一般の投資家を擁護する。それから政府の干渉を成るべく排して税制面から資本関係を阻害し、歪曲させるようなことは成るべくやめようという趣旨を強調いたしまして、今までありました流通和系統の租税並びに消費税に非常に大きな鉞を振いまして大部分これを廃止して、結局酒税とたばこの税金、この二つを残す程度にとめようとしたのであります。そういう趣旨に基きまして、法人企業は自分の社内の蓄積を殖やして、配当を減らして資本の蓄積を図るということを、むしろそれに対して反感を持つくらいにいじめておるのでありまして、社内留保の分に対してまで二%の課税、これは当然納付すべきものを留保の形で残しておくのだから延納になる、税金の延納になるというような趣旨を述べまして、二%の課税まで要求しておつたのであります。これの事実と理論とどちらが正しいかは別の問題といたしまして、シヤウプ税制におきまして附加価値税が地方税の事業税に代つて置かれることになりましたけれども、これもシヤウプの考えで行きますというと、企業に優劣があつて、これに比例的な附加価値税をかけますると、劣等の企業はむしろ産業の合理化を図つてその租税に耐えて行こうとする傾向を持つだろう。従つて新らしい機械なども附加価値税が加わることによつて、却つて促進されるのじやないかというようなことをシヤウプは考えておつたのであります。併しながら今申しました資本蓄積のための要請と並んで、シヤウプの考え方の中に、先ほど述べました能力に応じて課税をするという原則、これを活かそうとして努力した面もありました。この二つの原則、蓄積と公平の二つの原則をいろいろな形で調和させようと努力しておつたのであります。シヤウプ税制において、先ほど言つたように、最高税率を五五%にとどめましたけれども、その代りといたしまして富裕税を作りまして、この富裕税につきましても、シヤウプ勧告はこういうことを言つている。五百万円超の財産に〇・五%くらいの税金、最高がこれが三%まででありますが、〇・五%の税金をかけるというと、個人がその財産を死蔵して、ただ持つているよりもそれを有益に使おうとするであろう。こういうことを述べまして富裕税の設置を理由付けておつたのであります。更にシヤウプ税制において、特徴のあることは、所得を厳密に総合課税をするという点でありました。これについては後ほど又述べますが、繰返すようになりますけれども、シヤウプ税制では、高額の所得者の自発的な貯蓄意欲を促進する。そうしてその人たちが銀行へ預けるなり、或いは株式へ間接に投資する。銀行に預ける代りに株式を買う。そういう方向で資本の蓄積を図ろうとしておつたことがわかるので、国家の投資や企業利潤の留保、自己投資という線は殆んど否定せられて来ておつたのであります。私どもの経済学のほうで申しますと、いわば正統な資本蓄積、自由主義的な、正統な、正統学派の資本蓄積の考え方がシヤウプには非常に強かつたのであります。勿論この線が完全にシヤウプの場合実現せられておつたということはできません。殊に地方税を非常に重要視いたしまして、かなり高額の住民税であるとか、固定資産税であるとか、或いは先ほどの附加価値税などを設けておりますので、必らずしも完全によく調和した税制であつたということは私も申上げることはできないのですが、とにかく考え方としてはそういう線を強く出しておつたのであります。ところがシヤウプ税制が実際に動き出し始めますというと、日本の税務行政上の問題、或いは資本主義の発達が余り高度でないというような理由その他によりまして、実施当時からいろいろ修正が加えられた。シヤウプさんも二度目にこちらへ来られまして、業界や日本の税務当局の考えを入れてかなり譲歩して行つたのであります。このシヤウプ税制の譲歩と申しますか、シヤウプが初めに考えておつたところをだんだん譲歩して行つた。その譲歩の事情というものが、実は今回ここに提案になつておりますいろいろな租税の改革の前触れのような意味合を持つておつた。従つて今回の改正は、日本の現状からする非常に強い要求を裏に持つておるということが言われるのであります。 少し細かなことになりますが、附加価値税が先ず実施を見ないで、ずつと今日まで延ばされております。ついででございますが、附加価値税は私どもの方の考えかたから申しますというと、大体大企業に不利でございまして、中小企業には有利な税金である。併しこれもこの課税方式についていろいろ実施上の問題がありまして、今日まで延期されております。 それからシヤウプ勧告は無記名預金制度の廃止を主張しておりまして、これは総合課税の趣旨から来るのでありますが、これはもうすでにその廃止を見送つておりまして、現在盛んに無記名預金が使われておる。それからシヤウプ税制ができましたその翌年には、預貯金に対する源泉選択課税がもうすでに復活して参りました。但しこの際は、源泉選択のときには五〇%という税率でございましたけれども、これが復活して参りました。それから株式の名義書換の強制、これもシヤウプが非常に強く主張しておつたのでありますが、株式市場関係だとか企業界の代表者のほうからこれに対する強い反対がございまして、これも見送つてしまいました。そのために株式の譲渡所得の把握、それを一般所得と総合して課税するという方式がすでに崩れて参つたのでございます。他方におきまして、この所得税の補完税として創設せられました富裕税、これが僅か税収十一億円程度しか挙げられませんで、なお一層徴税方式を改善するなり、記録の保存などにもう少し努力を払つたならば、この税金は将来非常な意義を持ち得るんじやないかと私の方も思つておつたのでありますが、反対に廃止論の声が絶えず出ておりました。他方におきましてシヤウプ税制では考えられておらなかつた資本蓄積のための要求が出て参りました。今日までにかなりそれが実現せられて来ておるのであります。シヤウプの考え方から言いますというと、企業の内部留保は余り許さないという建前でありますし、それから業種ごとに国家が優劣を判定いたしまして、或る企業には租税を減免し、或る企業には減免しないというような干渉をすることをシヤウプ税制はむしろ排除しようとしておつたのでありますが、間もなく一九五一年、一昨年度になりまして特別償却制度というものが設けられまして、新らしい指定した機械について三カ年間の償却率を五〇%高める。これは全企業に共通の措置でありますが、産業合理化促進法に基きまして、国家が重要だと認めます特殊な企業三十一種の企業につきまして、機械の取得時又は次年度に五〇%の償却を認めるというようなことを実行いたしました。そのほか減価償却や貸倒準備金、特別修繕費引当、退職手当引当、価格変動準備、渇水準備等の規定も殆んど実施せられまして、それから無税の預金の範囲などもかなり拡張せられて来たのでございます。併しこれらの減税措置、資本蓄積のための減税措置ではまだ不十分だという声が強うございまして、その後経済界の事情が、朝鮮動乱の終結の予想とか、世界的な物価の低落の傾向などに刺激せられまして、租税の減免を要求する声が非常に高まつて参りました。少し旧聞に属しますが、昨年の十一月でございましたか、経済同友会から資本蓄積促進法を作れというような案が発表せられまして、それにはかなり明確に企業界の意向が反映しておりました。それによりますると、資本の蓄積のためには国民所得の増大が根本であるが、更に金利問題や資本市場の育成等いろいろ問題もある。併し企業の自己資本の充実に限定してその対策を検討することが重要である。企業財政に対する最大の圧迫は租税による蓄積の収奪であるから、その対策の重点はおのずから税制面に向けられざるを得ない。こういうふうな前置きをいたしまして、企業資産の充実、それから資本構成の是正、増資を容易にする措置その他に関しましてかなり立入つた税制改革の要望も出ております。この案はただ経済同友会のみならず商工会議所方面或いは租税研究協会のそれぞれの部会など、或いは通産省の税制改革案など大体傾向を同じくしておるのであります。で、これらの要求が全部とは言えませんけれども、かなり強く反映せられまして、今回ここに提案されるような幾多の租税改革の法案となつて現われて来たように私どもは見ておるのであります。勿論経済同友会の案では、五百五十億くらいまで減税を要求しておつたのでありますから、今回の税制改革がそれらをすべて受け入れたと申すのではございません。併し重要なことは、シヤープ構想の本質的な要素でありました当時の改革が非常に大幅に崩されて来たということであります。 先ず今回の税制改革は富裕税の廃止を規定しようとしております。それから他方では流通税及び消費税の復活乃至は引上が非常に行われております。後に数字をちよつと申上げますが、直接税中心主義はこのために非常な危機と言いますか、ひびが入るような状況になつて来ておるのであります。但しその富裕税の廃止に関連して、今まで五五%にとどめておりました所得税の税率を、五百万円超の部分について六五%まで引上げるという計画になつておるのでありますが、昭和二十七年度におきます五百万円超の所得者というものは日本全国も約二千人程度でございまして、所得額も八十五億ばかりでございますから、実収の上ではそれほど増額になつておらないのであります。それから総合課税を要求したシヤウプ案と今回は非常に離れまして、有価証券の譲渡所得はこれを所得税の中に入れないということに、ここに提案されておるわけであります。それから山林所得その他の譲渡所得に対しましても、それぞれ個別に控除をいたしまして、総合課税の趣旨を緩和しようとしておるのであります。有価証券の譲渡所得を課税外に置く代償といたしまして、昔ございました有価証券移転税が名前を変えまして今回提案になつております。それから預貯金利子に対する源泉選択税率が先ほど五〇%と申しましたが、これを今回の改正では四〇%に引下げようということも提案されておりまして、かなりこれもシヤウプの考え方から離れた結果になつておるのであります。先日頂きましたこの改正要綱の数字を拝見いたしますると、今申しましたいろいろな減税、それから逆に間接税関係の増税によりまして、直接税関係は二百一億円の減税になつておりますが、間接税はたばこの益金まで含めますというと四百九十三億、約五百億円の増加になつておるのであります。そこでほかにも今回の税制改革についでは要望がございまして、たくさん改革がされる予定でございますが、それはここに省略させて頂きまして、最後にこういう減税の要求が、特に資本蓄積のための減税要求が正当であるかどうかについて私の判断、というよりまあ判断の材料というものを若干ここに申上げたいと思うのでございます。 私は租税原則の立場から申しまして、直接税がだんだん減つて来るということ、間接税が増加するということは、一般論としてはどうしても退歩であると考えなければならん、かように思うのであります。更に直接税の中で能力に応じて公平にかけるという趣旨と、それから資本蓄積のために持に減税を考えるという考え方、これの調和をどこに求めるか、むずかしい問題でございますが、今回の特に所得税の改正について考えてみますると、かなり所得税は税法の上では減税になつておるのでございますが、併し御承知のように所得税には源泉課税の分と申告納税の分とがございます。この割合が年々源泉分に苛酷になつて参りまして、申告分の税収予定額はだんだん減つております。古い話でありますが、五年ほど前には源泉で徴収します給与所得の所得税が三十二くらい、申告分が五十九、それに法人税が九という程度の割合であつたのでありますが、それが今回では逆に申告分がだんだん減つて参りまして、源泉徴収分が非常に殖えておる。大分時間が参りましたので簡単に申上げますが、源泉分は所得額の九五%を税務署のほうで捕捉できるという計算でございます。そして課税率は大体九・二%だという報告が出ております。これに反しまして申告分のほうは営業関係の所得税捕捉率は七七%くらい、農業が九二%、その他が平均して約八割程度を捕捉いたしまして、所得額に対して約一割、一〇・四%を徴収するという数字になつておるのであります。これを戦前の一九三四年から三六年頃の数字を調べて比較いたしてみますというと、当時におきましては丁度現在源泉分を納めておるような人たちは全然その当時は所得税から排除せられておつたということは、所得税を納めないで済んでおつた。そういう階層が逆に最近はだんだんたくさんの税金を納めさせられるようになつて来ておる。最近は若干その傾向が鈍つたかも知れませんが、一時個人営業主が非常にたくさん法人企業に転換いたしました。これなどは申告納税と源泉納税の差が烈しいので、税金のがれに法人に組替えをしたということが一つの大きな原因になつたように思われるのであります。こういう点を考慮に入れますると、今回の税制改革が、税法の上ではそれぞれかなりの減税となつておりますけれども、減税の要求のうちどちらが、即ち企業方面の要求と、それから一般の生活水準を含めない能力に応ずるという原則から来る要求と、どちらがよりよく考慮されているかと申しますると、どうも私の今の考えでは、法人関係、高額所得関係に強い考慮が払われ、勤労所得層に対する考慮が比較的薄いのではないか、こういうふうに考えられるのであります。 最後に資本蓄積のための減税ということが最近の標語のようになつておりますけれども、一体何に蓄積するのか、どういう形の資本の形成を促進するのかということに対しましては、余り問題が意識されていないような感じがするのでありまして、一体独占的な企業が自己資本を流用するという場合には、国民経済全体から見て間違つた方面に誤つた投資をするという危険があるということは経済学の教えているところであります。最近の利潤の社内留保に対する相当大きな優遇というものは、その危険を或いは助長することになりはしないか、そういう心配が一つあるのであります。しばしば西ドイツその他の国におきまして、輸出であるとか、重要産業について減税措置が講ぜられ、これを日本の税制の上にも反映しなければならんという声も聞かれますが、ただその場合に注意しなければいけないのは、ドイツにおきましては、単に減税措置だけが行われているのではございませんで、重要物資については相当な配給の統制をやる、価格の統制もやる、或いは労使協調制度を採用する。いろいろな政府の統制を混えての効果を挙げておるのでありまして、その点を無視して、税制の改革、社内留保の優遇をその点だけに求めるのは、若干片手落ちの考え方ではないか、こんなふうに私は思うのであります。今後ますます取りやすいところから税金を取るという形になつて行くといたしますると、或る意味では日本の実情に合うのでありますが、そのほうが合うのでありますが、真の経済の基盤を強めて行くという目的からいたしますというと、危険が伴うのではないか。殊にこれは税制の面とは若干離れますけれども、一般に財政の規模が国民所得よりも非常に大きくて、どうもデフレだとか言いながら、財界一般又国民一般が財政によるインフレーシヨンを絶えず考慮に入れる、期待しておるという傾向が強く現われております。これらの点を含めて、日本の経済界を本当に再建するためには、消費税を増徴し、下層の給与所得者に強く当るような税制にだんだん持つて行くということは本来の目的に反するのではないか、このように考えるのであります。
○委員長(大矢半次郎君) 質問のあるかたは御発言を願います。
○菊川孝夫君 木村さんに一点だけ……。先ほどのお話のうちで、附加価値税は大企業に不利であつて、中小企業にとつてはむしろ有利である、こういうお話でございましたが。
○公述人(木村元一君) そうです。
○菊川孝夫君 そうすると附加価値税を設けるについては、いずれも両方、中小企業のほうも反対だ、大企業のほうも反対だというので、これは見送ろうと言つて、一年延ばしに延ばして来たのでございますが、その点の理解が十分中小企業のほうにいつていないのではないかと思うので、有利不利の点について、もう少し御説明願いたいと思うのでございます。
○公述人(木村元一君) 附加価値税方式でみますというと、大企業のほうが実質的には負担が多くなるということは計算の上で明らかなんです。ところが中小企業関係の商工会議所あたりの御意見を伺いますというと、地方団体が税金を取る、こうなるというといざこざが起きてしようがない。むしろ高くてもいいから、事業税の形で、国税の附加税でございませんけれども、国税に準じて取つてもらうほうが、安全だ、要するに変化が来て、課税基準や何かが変ることによつて、個々の企業によつてはやはり殖えるのもありますし、減るのもありますし、危惧が相当強いのでございますね。少し投げやりの気持で、どちらにしても取られるのだから変えないほうがいいという意見だということでございます。ですから実際には附加価値税のほうが大企業に不利でございます。徴税機構に対する不満と言いますか、地方の徴税機構に対する不満がそういう形になつて出ておるというふうに私は聞いております。
○土田國太郎君 ちよつと先生にお尋ねいたしますが、附加価値税は今どこでやつておられるのでございますか。
○公述人(木村元一君) 純粋の意味の附加価値税はございませんですから結局労賃税と、それから資本税、これを合したようなもので、一つにしたものがございませんが、労賃税の形で、アメリカのペイ・ロール・タツクスなんかが附加価値税の一つの部分を取つておるのであります。ただ加算税方式をとりますと、非常に何と言いますか、営業税的なもの乃至は取引間税的なものに変つて参りますから、シヤウプの、初めの全部加算して行くというふうな控除方式を取れば、これは世界に類例のない税金であるかと思いますが……。
○森下政一君 富裕税は今度廃止されることになつた。ところがこれを存置して改革すればもつと所期の目的が達成できるのじやないかと思うのだがというようなお言葉があつたのですが、どうすればいいのですか。今非常に税収が少い、だからこんなものはもう止めちやつたほうがいいじやないかというぐらいの考え方じやないかと思うのですが、ところが実際は徴収するほうもそう綿密に調査をして徴収するなんという熱意がないと私は見ているのですが、これの改革、存置しておいたほうがいいと考えて、改革するとしたらどういう点を改革したらいいとお考えですか。
○公述人(木村元一君) それは一般の申告所得税の査定についても把捉率七〇%しかない、こういう税務機構全体の問題で特に富裕税についてどういう措置を講じたらいいかということは、私も具体的には存じませんでございますが、併し国民所得統計その他から考えまして、十一億円という税収はこれは少しおかしいじやないか、国民の側のほうでも納税意識が低いということもありましようし、今申しました税務署のほうの立場も割合にルーズであるということが言えるかと思いますけれども、ただ折角今まで三年なり四年なり記録が保存されておる、これをまがりなりにでも存置しておけば、何かの機会には大いに利用ができるのじやないか、税制の体系の上から言つても経営財産税というものを一つ置いておくことは、所得税の補完税として非常に私は進んでいる税制だと思うのです。
○森下政一君 それからもう一つ、これは私の聞きそこないかも知れませんが、今度の改正で直接税は二百億円減、間接税はたばこの益金まで含めると五百億の増になる、こういうふうにおつしやつたのですが、その間接税が増になるというのはどういう点ですか。
○公述人(木村元一君) それはお酒の税金が六十九億、砂糖の税金が九十一億殖える、揮発油税が三十五億殖える、物品税が殖える、有価証券取引税が今度殖える、これは新設でございます。それからたばこの税金が幾らでしたか二百億ばかり殖える、これは全部が昨年度の実収見込より殖えて来ておるわけです。ですから直接税、間接税の割合が非常に間接税に有利になつて来ておる……。
○菊川孝夫君 無記名預金、これは一番、富裕税とも全然関係ないとは言えないと思いますけれども、無記名預金を一時やめておりましたが、復活したということは、高額所得者に対する租税を逃れる一番いい道を与えたのじやないか。それから投資信託にしても無記名、これは成るほど二〇%はとれますが、総合の面におきまして非常に有利な条件を与えているというふうに思うのでございますが、それともう一つ今のお話の株式の譲渡所得税をやめまして、今度有価証券取引税に代える、譲渡所得税は、実は実績を見ますともつと我々は取れなければならないと、何回も追及するのだが、ここの担当税務署は日本橋の税務署だと思うのですが、日本橋あたりで調べて見ますともつと取れそうだと思うのだがどうも取れておらない。実際問題としてそういうことはむしろ税務行政上のよくいろいろの事故が時々新聞その他で発表され暴露されますが、そういうような因縁も多少これにはつきまとつているのじやないかというふうに考えるのですが、あなたがた、学問的に考えて行つた場合どうでございますか。
○公述人(木村元一君) 学問的と言うほどでございませんけれども、要するに名義書換の実行をやるということが証券業者の現在の設備能力とか、事務能力からできんというのがあの当時名義書換をやることを反対した一つの理由になつておるのでございますが、これは私はアメリカの証券制度をよく知りませんのですが、あちらでは名義の書換が機械的に非常に簡単に行くようになつておりまして、一日、二日で書換はすぐすむようなシステムがあるそうです。ですから若しそのシステムが必要である。又そつちのほうまで持つて行くということを考えれば追々改善の道があつたのじやないかと思うのです。そこまで行かんうちはとても取れないし、そうしてこの株に投資する人たちの気持を、非常に税金負担を嫌がるというので元へ戻してしまつたのでございますけれども、税務署のほうも調査ということと同時に、書換事務の励行ができるかどうか、そのほうに依存していると思うのです。
○菊川孝夫君 それから無記名頭金ですね。これが復活することによりましてあなた方が推定されました場合に、所得税の申告書のほうでもつとこれは上つて来にやならんと思いますが、税率は……。
○公述人(木村元一君) 無記名の……
○菊川孝夫君 無記名をやめちやつて認めないということにしたら、この点については、どれくらいこれによつて逃れているというふうに算定されますか。
○公述人(木村元一君) その調査はわかりませんです。
○菊川孝夫君 これは相当無記名や、それから投資信託、それからもう一つはあの特別定期預金と言いますか、いろいろの名前をつけてやつておられる、あの特別定期預金、これもちよつと僕らから考えると行き過ぎですが、まあ銀行預金を集めるための一つの手段として認めるということを、大蔵省は資本蓄積の一環だと言つて盛んに説明答弁をしておりますが、これも殆んど皆割増金に対して税金をかけないということになつて、あれは全部今では殆んど割増金にしちまつているのじやないですかな、こういうような点を非常に優遇して置いて、今度は逆に所得税に対する控除については優遇かたは少いというふうに私は考える。扶養家族の控除であるとか、或いは勤労控除といつたものについては、どう考えても少いと思うのですが、そうすると今日御出席願いまして、どの程度までが今のこういう無記名預金を許したりその他の無記名を許すとするならば、これと見合うためにはどの程度まで控除の問題を、源泉徴収に対する控除を考慮したならば、大体見合うようになるかということについて御検討されておりましたらお伺いしたいと思います。
○公述人(木村元一君) 無記名のものだけだと、ちよつとわからないのでありますが。
○小林政夫君 そればかりではなしに……。
○公述人(木村元一君) 先ほどちよつと申しましたが、申告所得税の基礎比率が一方は営業の場合は七〇%、源泉の場合は九五%その差額を埋めるのに勤労所得控除というものが設けられておる、一割五分、今度最高で三万円から四万五千円に上げることになつておりますが、そこのところで調節がつくのかどうかということが問題なんです。シヤウプからの勧告では勤労所得控除なるものはやめろ、その代りに申告納税を正確に取れという方法を示したのであります。従来二割であつたやつを一割五分に下げて、大蔵省と交渉して勤労控除をやつたのであります。私も全般的にいつて、税はもつと下げたほうがいいので、下げて正確に取つて、勤労控除もやめる、アメリカのようにただ本人の控除と、それから家族控除だけ、それだけ、その代り一人が六百ドルでございますから、子供が五人家族であると三千ドルまでは税金を納めなくてもいい、一番すつきりした形になる、それは税率が小さいということが、それを可能にしておるのですが、日本の場合は税率が高いものですから逃げることにもなるし、手心も加えなければならんという悪盾環が若干あるのではないか、併し税務当局の側としては、税率を下げて十分取れるという自信があるかというとやはりないので、税率をこれ以上下げることについては恐らく疑問があるのではないかと思うのです。従つて捕捉率が少いということを若し前提におけば、勤労控除の率をもう少し上げていいのじやないか、そういうことが言えるのです。それからほかの税金との関係では、所得税と法人税との関係では、先ほど言いましたように未だにまだ個人営業者が法人に切換えをしようという傾向が強いという事実によりまして、負担関係だけからみれば、法人税のほうがまだ軽いのだ、ということが言えるのではないかと思います。
○小林政夫君 法人と個への負担の問題ですが、私の調べるところでは、国税の方面においては勿論会社にもよりますが、個人のほうが軽いという事例が相当起つておりますが、むしろ地方税の面で非常に違うので、これは国税に関する限りにおいては、法人と個人との比較においては、法人のほうが軽いと言えないと思う。その点お調べ願いたいと思います。
○公述人(木村元一君) 私の調べたのでは、具体的に例えば法人所得の出しかたそのものが何を必要経費と認めるかというところに問題がある。税率だけではどうしても言えないので、個人の場合に、特に勤労所得の場合でありますると、全額に対してほぼ完全に徴収されておる、ですからいわゆる所得と、こう両方並べまして、法人の所得に対する地方税、国税のパーセンテージは四二%の十何%、それに住民税がかかりますので、六十何%、相当大きな金額になり、元の所得の計算のところでかなり甘いところがあるのではないか、帳簿組織の整つております大企業ではそういうことはありませんが、何分まだ青色申告の普及率も法人でさえ半分もないような状況でありますから、そこで税率がこの方面以外の控除が入つておるのではないか、それだけでは法人に組織替えが非常に行われるという事実がちよつと説明できないように思うのであります。 —————————————
○委員長(大矢半次郎君) 次に日本租税研究協会の金子佐一郎さんにお願いいたします。
○公述人(金子佐一郎君) 只今提出されました予算の中で租税及び印紙収入が七千百六十億円計上されております。これはいろいろの角度から見積られたものでありましようけれども、財界全体の不況の度合から考えますると、或いは法人税、所得税等に対する見積りが過大であるかどうかというようなことは、一面において一つの意見として指摘されているところでありますが、併しこれは見通しの問題でありまするので、相当これを論ずることは困難でありますが、多くの場合過大に租税収入を見積られますと、結局徴税の面で、若しもその通り収入がない場合には、勢い強い徴税の形になりまして、混乱を起すことが多いのでありまして、この点は相当に慎重な検討を必要とするのではないかと考えるのでございます。この減税を要望いたします財界一般の声、又国民の声、これはこのところ税が高くなりましてから常に言われているところであります。併し如何に税の安いことを望みましても、結局この減税を期待するのは、あくまでも財政の歳出面を削限できるかどうか、それから又国民所得がそれだけ増大をして行くかどうか、若しも国民所得が増大すれば、勢い税率等を下げましても、税収入は何ら支障がないということは明らかなことでございます。こういう点が、今後の私は税の問題を解決して行く、それ以外になかなか容易に減税を望めないのだと考えるのでありますが、併し企業の立場から言えば、非常な税負担を与えると考えております。いつも申すことでありますが、収益に対して山分けということが仮にあるといたしましても、山分け以上税に持つて行くという現状においては、これは非常に私は重いといつても差支えないのじやないか、曾つては超過所得等の場合を除きますれば、平均して二割五分乃至三割という程度にとどまつた、従つて収益のうち七割は稼いだ者の手に帰したのでありますが、今は半分以上の税金によつて、四割数分しか手に残らないということ、この問題を早く解決しなければ到底資本蓄積或いは資本構成の是正というようなこと、自己資本を増大するというようなことは容易に望めないのじやないか、こういう点で、常に税制の改革を要望しているのであります。ただ私は、税制の改革というたびごとに思うのでありますが、どんな税制でも理論的に非常に立派なものであるといつても、経済界或いは社会の実情に合わない場合には、全くこれは実施しても混乱を来たすだけで、うまく行かないのであります。それはここで論じられておりますような富裕税の廃止或いは取引高税の廃止、或いは譲渡所得税の廃止、或いは先ほども少しお話が出ましたが、附加価値税の実施がなかなか困難でなかつたかというふうな問題、これはやはり相当理論的には、シヤウプ勧告によりまして裏付けはあるでありましようが、さてこれを実施してみるとなかなか社会の実情と合わない、従つてその徴税の結果も意のごとく行かないばかりでなく、却つて煩瑣と混乱を伴なつている、こういう点が私はこの税制改革をする場合によほど留意して頂かなければならないのじやないか。従つて税制というものの改革は、或る意味においてはそのときの経済政策なり或いは社会政策なりを多少考慮して、理論的には無理があつても、そのほうが税としても効果的であり、又その国の経済なり国民の繁栄を来す原因となるのではないかと思うのであります。そういう意味合いにおきまして、今度の税制改革の主なものを拾つてみますと、所得税の軽減ということは、これは大蔵省でも一番重点を置いているようであります。それは当然でありまして、曾つての所得税の負担の割合等を見ますれば、私はまだまだ所得税としては相当重いのじやないか、まあ漸く二十万円の所得者が、家族その他の扶養関係はいろいろ条件はありますけれども、漸くまあ税金をどうやら免がれて来たという程度までこれは戻つて参りましたが、もう一歩進める必要があるのではないか。まあ今回は基礎控除とか或いは扶養家族控除というような問題についても相当これを引上げてありますので、こういう点については相当努力が払われたようにも思うのであります。特に給与所得につきましては、しばしば問題になりますように、源泉徴収という形でこれは正確に税がとられておるということが言われておりまするが、正確に税をとられるということは当り前な話だと、こういうように考えられるのであります。併し世の中に、当り前であることが一つの例外である場合には、その当り前のことが何らかの形において又考えさせられなければならないというわけであります。ですからすべての問題においてそれが当り前であるならば、そういう問題について特別な考慮の必要はないのでありますが、申告納税という問題についていろいろ問題が起つている際に、源泉徴収において正確にとられるというならば、そういう段階においては、多少それらのバランスを考えて給与所得等に対しますところの勤労控除というようなものは、今回も三万円から四万五千円に引上げられましたけれども、この点についてはいま少しく考慮をする必要があるのではないかというような感がいたすのでございます。 特に強調いたしたいのは、どうも申告納税というものが低調である。先ほどもお話がありましたが、源泉徴収が正しいものとするならば、それに応ずるだけの申告納税の結果が現われて来なければならんのに、どうも申告納税がうまく行かない、これは何であるかと言えば、やはり一つのむしろ徴税の面の、税務行政の面においてもう少し考えなければならん点があるのじやないか。それは差しおきまして、政府は青色申告制度というものを実施いたした。これは帳面を、大体規定に基きまして正しく記帳するということなのであります。従つてそれによつて計算された所得というものが、青色申告の規定によつて算出されたものであれば、これは政府のほうでも、大蔵省といたしましても十分尊重して、そうしてこれに基いていろいろとその所得を検討して行こう、こういうわけでございます。然るにその実施の結果はどうであるかと申しますと、まだ納税者の一割しか青色申告をやつていない。それで而も又法人ということになれば、商法の規定で帳面を備え付けていなければならんことは明らかであるのに、法人の青色申告の採用している者が六割しかない。これを見ましても帳面をつけていながら、正規な帳面、正しくその帳面をつけるということになると今のように誠に低調である。そうすると納税者の九割が仮に青色申告でないとするならば、九割は本当の所得が自分自身にもわかつていないということも言えるのです。まして徴税側のほうから見ればわからないのは当り前であります。そこでいわば査定をいたしまして、まあここに更正決定その他の混乱や論議があるわけであります。これは納税者側から言つてもおかしな話であります。自分も正しい帳面をつけて、これだけの所得があるというならば、徒らに更正決定で不当な課税を受けないで済むのじやないかということも半面言えるのでありますが、私はこの青色申告を皆採用したがらない裏は、やはり青色申告をしては損だという感じがあるのではないか。なぜ損かというと、正しい所得を出して正しい課税を受けるよりも、どうも所得がよくわからないというので、適当に所得を申告しておけば、却つてそれが政治的の折衝によつて何かそれが得だという感じが残されているのじやないか、こういうように感ずるのであります。ここで大蔵省におきましても先般税務行政懇談会を作りまして、非常に簡単な帳面でこの青色申告をさせるようにして、少くともこの一割を三割、五割まで持つて行こうという措置を考えられたようでありますが、併し私はそういう記帳だけの問題ではうまく行かないと思う。むしろ先ほど申しましたように、正しい申告をすることは当り前でありますが、そういう正しい申告をした者に、正直者が馬鹿をみないように、或る程度まで青色申告者に対しては天引一割とか或いは一割五分というような工合に、方法はいろいろありましようが、何かの形において一つの記帳に対する報酬というような形でもよろしいから、恩典を与えてこそそこに一つの解決点があるのじやないか、このように一応考えておるわけであります。 それから有価証券の譲渡所得税の廃止は、これは初めから問題でありまして、シヤウプ勧告によれば、これは本当ならば非常に強化して、できるだけ正確にとるべきであつたでありましようが、現在日本の実情においてはこれはとれない、而も殆んどがいろいろな形において混乱を来たしておる際、こういうむしろ税制は、先ほど申上げたように、実情に即さない、而も徴税能力は上らない、而も半面から言えば、株式の流通を或る意味において円滑化を阻害しているというようなことならば、この際思い切つて撤廃されたほうが賢明であろうと思うのであります。 それから富裕税の廃止の問題でありますが、これも私は理論的には所得税の補完税として設置されたという意味から申しまして、考え方として一応は納得できたのであります。併し日本にはまだ富裕と称せられるような階級というものは余りないのではないか。従つて徴税いたしました結果も非常に低調であつたということも言えるのでありますが、もう少しこれを掘り下げて見ますれば、この富裕税というものは少くとも財産税であります。で私の考えでは、財産税というのは或る一定の時期に、これを一回とるということならば考えられるのであります。併し毎年々々財産税を継続するということは、仮に不動産を持つているというような者でありましたならば、その富裕税を支払うのにどうするかというと、家であるならば、家の一部を売らなければ富裕税が払えないというような、極端な例でありますが、そういうことも一応考えてよろしいのではないか。つまり所得が伴わないという場合におきまして富裕税を払う、而もそれが株式等のようなものであれば、一部ずつ売つて納税して行くという手もありますが、不動産或いはその他建物、特に不動産中の建物等のものであれば、これはなかなか税を払う担税力が出て来ない。自然問題は一層困難になる。又骨董その他のような問題に対しまして課税価格を査定するということだけでも容易ならざる問題であります。特に一番不合理なのは、昨年度あたりでごさいましたか、例えば非常に株価が高騰する。その十二月三十一日に非常に株価がその附近高かつたという場合においては富裕税として高い税をとられる。併しその後株価が非常に低落したという場合に富裕税は返してもらえない。そのときに売つてしまえばいいのでありますが、一応売らなければ高いところだけで税をとられるというようなことも出て参りますので、こういう問題は非常に論議が納税者側にもあるのじやないか。ただ仮に富裕税を行うとするならば、少くとも富裕税を行うすべての他の条件が合理的でなければならないのであります。先ほども話が出たように、無記名預金或いは投資信託というような問題が今日如何に資本蓄積のために大きな役割をもつているかということは、投資信託のごときは非常に成功している。又無記名預金のごときも相当累増していると考えられる。これはやはり現在の資本蓄積の方法としては、一番蓄積を誘致しやすい方法であるのであります。併し仮に無記名のこういうようなものを残しておいて富裕税を存置するということになれば、そこにおのずから富裕税というものに対して完全なる徴収ができないということを明らかに示唆するものである。そこに大きな矛盾がある。そういう矛盾を解決してこれをすつきりするならば、今の段階において私は税といたしましても十九億ぐらいしかとれないというような、最高の徴税額でもその程度でありまして、而もそれをとるために調査いたします負担というものは相当にあるように聞いております。こういう点はむしろすつきりして、そうして活かすべきほうを活かしたほうが賢明ではないか、このように考えているわけであります。 それから法人税の問題につきましては、いつもながらいろいろ財界からは要望があるのであります。この要望の一番の眼目は、先般来三五%という法人税が四二%になつた。これは少くとも全体の国民所得が増大するか、或いは財政上の関係から所得税に次いでこれが減税が可能となつた場合においてはその税率は旧税率程度まで戻すべきではないかと考えられているのであります。併し一概にこの七%上げるときは上げても、下げるときに不可能であるならば、これを二段階くらいに漸次逓減して行くということも考えられるのであります。現在の法人税の負担軽減は、税率というよりも、むしろ資本蓄積を狙つて、これに該当するような目的のために法人が経理上の措置をした場合には税の軽減ができるようになつている。それが御承知の通りの貸倒れ準備金とか或いは価格変動準備金とか、特に問題になりました特別償却の範囲を拡大するというようなことが考えられる。これは結局税を下げるというにしてはそれだけ財源がないし、併し法人税を合理的に幾らかでも負担の軽減をさせるならば、資本の蓄積をやらせようという半面の狙いと併せて減税も幾らかでも考えているということは言えるのでありまして、従つて何か目的がなければ現在のところは減税をさせてもらえない。従つてそういう条件を持つた法人は幾らかでも税の軽減を受けるけれども、これらの措置が可能でないような企業については必ずしもこれは関係がない。従つてこういう恩恵が受けられないということになるのであります。従つてこういうような減税の総額が、少くとも税率を相当額引下げられる額に達したときにはむしろこの問題は税率を引下げることに置き換える。そうして一般の法人が均霑してその減税の恩典に浴するということのほうが今後の狙いとしてはよろしいのではないかと思います。従つて現在の過程においては一応条件付の措置を考え、その条件に当てはまつた者について税負担の軽減を図ろうというような趣意が見受けられるのでありますが、将来は少くともやはり税率の引下げ、こういう方向に向うべきではないかと思うのであります。 特に現在の財界が要望しておりますのは、資本の蓄積を何とかさせなければならないということであろうと思います。併しそれには今度の法人税の改正、並びに法人税ばかりではありませんけれども、一つの措置といたしまして第三次の再評価が認められることになつたのであります。これは財界で要望いたしておつたところでもありますし、又これは明らかに資本蓄積並びに資本構成是正の大きな役割を持つものとして、我々としても期待をかけられるものだと思います。併しながらこれについてはやはり相当のまあ問題がある。以下私の私見を少しく述べさせて頂きたいと思います。 この再評価というものは、第一次、第二次を実施いたしましたけれども、企業の実施いたしましたものは甚だ少い。これは私どもから考えれば非常におかしいのでありまして、再評価をするということは帳簿価格を時価を基準として直しまして、それがために減価償却が余計できることであります。従つて減価償却が増額いたしました部分は、今までは名目利益が出ておりまして、本当の利益でない利益がバランス・シート上出るわけであります。従つてそれに又税金がかかつて、勢い資本食いつぶしをされているのでありまして、これを正しく直そうというのでありますから、企業の経営者としてこれをやらないということはおかしいのであります。私個人といたしましては、これは企業にとつて誠に栄養価値のある御馳走だと言い切つているわけであります。その御馳走を第一次、第二次をやりましたけれども、僅か三万四千社しかやらないのであります。併し再評価申告を出されました企業の数は十六万六千と聞いております。こんな工合でありますので、この問題は一体何故やらないのかというのは、再評価をするのは、収益力があつて、この再評価を実施することによつて減価償却が増して、その経費の増大にも堪え得る企業でなければこれはやれないのであります。やらないのではなくて、やれないのであります。従つてそういう企業が多ければどうしてもこの再評価というものはなかなか容易に実施はできない、こういうふうに考えるのであります。従つて今度の第三次の再評価は仮に認めましても、私は殆んどやる企業はないのではないかということが考えられるのであります。財界から第三次再評価をやらせろと言つて、やる企業が余りないのじやないかということをおかしいじやないかと仮に考えるならば、それは丁度第二次の再評価をいたしましたのは一昨年でございます。それから経済界は不景気で不況でございます。従つて収益力はどちらかと言えば減退しているのであります。第二次の再評価のときに見すごした企業が、今ここで再評価を許して下さいましても、これに飛びついてやるという力が只今では増大しておらないのであります。若しもその後景気がよくなつていたら恐らくやるでありましようが、収益力はむしろ減退しておりますので、これは恐らく低調であろう。そこで私の特に主張いたしておりますのは、この第三次の再評価は、いつでも企業が再評価できるときにさしてもらえるように機会を長く与えておいてもらいたいという主張でございます。従つて私どもは、財界といたしましては、最初は五年くらいの期間を置いてくれ、それでいけなかつたら三年、少くとも期間を置いてもらいたい、こう申したのでございますが、今回は二年ということでございます。これは今年、来年のうちに私はそう経済界が好転するとは考えられないと思いますので、恐らく第三次再評価は、これは折角よい御馳走を目の前に出されても、病人には手が出せないというようなことで、健康回復の時期をもう少し将来に期待しなければならんのではないかと考える。従つて今回仮に二年といたしておきましても、その期間までに非常に低調であつた場合においては、更に期限の延長をあらかじめ考慮しておく必要があるのではないかと思うのであります。そこでこういうふうな意味合から行けば、再評価を企業としてはできれば是非やるべきである。こういうふうに私は考えておるだけに、再評価の強制という問題についても、その理論的の立場から言えば賛成であります。それはシヤウプ博士も最初の勧告においては明らかに強制しておるのであります。併しその強制がなぜ実施できなかつたろうかというと、六%の税をとつたからであります。それは再評価の強制ということは、どうも一般には一概に言われておりますが、私は再評価の強制は三つの段階があるということをよく認識して御判断願わないと誤りが出るのではないか。 第一番は再評価をするということ、これは全く伝票を起しまして経理上の簿記的の処置にとどまるわけであります。これを強制するということになりまするならば、再評価積立金が貸方にできまして、自己資本も増大し、又借方の固定資産の価格は時価に引直されるのでありまして、これは何にも企業にとつて差支えないことではないばかりでなく、当然やつてよろしいことではないでありましようか。併しこの差額に六%の税をとるということになりますと、このことからすら私は強制は無理だと思います。というのは収益力が非常に少い赤字会社、若しも伝票を一枚起しましたために、五百万円或いは千万円というような巨額の税を負担しなきやならない会社も多くありますので、そういう税の担税力が出て来ない関係であります。従つて私は今の、第三次の強制を実施するならば、少くとも再評価税は絶対に撤廃を必要と主張するものでございます。それから第二の段階と申しますのは、その再評価をいたしまして、帳簿価額が増大いたしましたならば、それに基準した減価償却費をその経費に計上するということであります。これを強制するかどうか、これを強制いたしますならば、忽ちのうちに今までの黒字会社も或いは赤字になるかもわからない。又名目利益で殆んど賄つていたような企業は、名目利益だけが激減いたしますので、これは非常な利益の大きな減少となるでありましよう。勿論そのために配当ができなくなるかもわかりません。これは正しい姿でありまして、その点は本来ならば当然だと言い切つてしまえば当然でありますが、それでは企業というものの息の根をとめてしまうということを考えなければならない。つまり今の敗戦後の日本の今日まで再建した企業の姿は、決して……、形だけはどうにかやつておりましても、なかなかそう一概に内容的に充実しておりません。従つてどうにかこうにか表面づらを糊塗して今日に及んで来ておるのでありますけれども、若し一度ここでそういう強い措置を今講じますと、忽ちいわば風呂敷をかぶせた部分がはつきりして参りますが、理論的には正しい姿でありますが、経営上は忽ち金融に詰り、或いは株価は暴落し、そして企業経営はそれがために、折角どうにか糊塗してやつておつたものが行詰つてしまうということは明らかである。従つてこういう措置については、やはり或る程度までは企業の本当の実力が養成されて、現実にもう少し暫く将来に待つことが当然だと思うのであります。更に第三段階目の強制は、資本に繰入れることであります。これは資本に繰入れますならば、資本はそれだけ適正になります。従つて現在言われている三割とか或いは二割だとかでございますならばよろしいが、もつとひどくなりますと、四割も五割も配当できる、こういうようなことでは、これは本当でないから、少くとも資本をそれだけ修正して、配当率を下げて、正常化して行くということが望ましいことは望ましいのであります。併しながらそういうことに簡単には考えられない問題があります。それは電力会社のバランス・シートをこの前見たのでありますが、某電力会社のごときは、資本金は四十五億でございます。併し再評価積立金は六百億以上持つている。そういう場合には現在一割五分の配当をしておりますのに、若しもそれを一概に資本に繰入れて、七百億近くの資本に急激にいたした場合において、果してそれがどういうことになるでありましようか。勿論これはそれだけ電力料は安いのだ、従つてそれに伴う収益力がないのだということは言えるだろうが、それだけ一概に電力料を増すことができましようかどうか、それらの問題は一つの示唆であります。従つてそれは電力会社ばかりでなく、あらゆる多くの企業がそういう皆悩みを持つているために再評価を躊躇しているのでありまして、この問題は企業の本当の実力と相待つていたすべきである。従つてそれができる会社は断じてやるべきでありますが、これは強制するという問題は非常に無理であります。私は強制する理論的な立場においては賛成でありますが、実際のこの現状から行けば、まだ強制するということは非常に困難であろうと考えます。ただ仮に一段階の再評価だけするということを考えましても、再評価税の撤廃ということが伴わなければ、これはできない。この問題は今度の税制改革におきましては、再評価税を第一次、第二次同様にとるという以上はこの強制も困難であろうと思います。積極的にこの再評価税を撤廃してもらいたいというようなことは、これは財界等でかねてから要望しているところでありますが、なかなかそれが通らない。で私ども仮に一歩を譲りましても、今度の再評価、第三次の再評価は、少くとも前の最高限度額よりも、土地は別といたしまして、普通の償却資産は五割増すということになつております。ですからこの五割増した部分は、全くこれは再評価税をとつておらないのでありますから、この部分についてだけも再評価税を免除をすべきではないか、このように主張しておるのでありますが、これもこの改革においては問題になつておらないのでありますので、この点は更に機会があれば検討をし得る余地があるのではないかと思うわけであります。 まあ、このようにいたしまして、第三次再評価についてはできるだけ期間を長く与えて、そうしてできる企業には十分再評価をなし得る機会を与えるという狙いでなければならない。従つて税を廃止するならば一応再評価はやりやすくなり、そうして少くとも再評価をするというところまで行きまして、更に機会があれば減価償却の強制資本組入れも将来においてこれは又可能性も出て来るのではないかと思うわけでございます。 それからなお一般のこの資本構成是正の面においては、今のような再評価を続けていたす場合のほかに、増資を以てこの資本構成をしようということも当然考えてよろしいのでありますが、なぜ増資が思うようにやれないか、そして借入金に依然頼つているかというと、やはり増資をいたします場合には、配当を伴わせなきやならない。配当を支払うのも、一割の配当金額を考えますならば、それは二割に当る利益を割かなければ、税込で考えなければなりませんので、これはたつた一割の配当を考えても、利益から減らす分は二割でございます。そして一割強を税金に払いまして、残りの一割で配当を考えると、こういうことになるわけであります。従つて仮にこれを一割で借入金をしている場合には、その利息は経費に入つて一割でありますので、これの比較を考えますと、相当に収益力がなければつい増資を躊躇するということになる、ましてやそれが一割どころでないのでありまして、二割或いはそれ以上の配当を考えている企業におきましては一層の負担が出ますので、そこで経済同友会あたりで先般一定率、言い換えれば一割程度の配当をする部分について免税にしてもらいたい、こういうようなことを申したのもそこに理由があるのでありますが、これは配当の現在二割五分控除というものと絡み合つて参りますので、その点はよほど検討を要するだろうと考えております。更にできるならば会社が社内保留をいたしました利益金については幾分なりとも法人税の軽減を考えてもらいたいというような考え方もあります。 又今日風水害というようなことになりますと、いつも治山治水という問題からいたしまして造林という問題が強く叫ばれておる、こういう意味におきまして特殊関係のことではありますが、造林積立金制度というようなものも関係方面において強く要望しているようでありますが、こういう点は日本の森林政策の将来を考えましても御考慮頂く余地があれば幸だと思うのであります。 なお先ほども出ましたが、預金利子に対する課税は今後利子引下げの問題と絡み合せてそうして考慮をさるべき問題であろうと思うのであります。従つて今回は五〇%から四〇%に低減いたしたようでありますが、更にこの問題は相当論議がここに集中され、将来の問題として指摘されてよろしいと思うのであります。 以上丁度時間が参りましたので、この辺にとどめまして公述を終ります。
○委員長(大矢半次郎君) 質疑を願います。
○小林政夫君 只今の御公述の法人税に関する部分は、方向としては私も全く同感なんですが、一般的税率引下げの時期の問題、金子さんは、将来今の特別軽減措置による軽減が相当の程度に達した場合には四二%の一般税率を下げるべきである、こういうことでありますが、その時期は私はもうすでに来ているんじやないか。最近主税局に対して資料を要求いたしておりますが、まだ出ないのでございますが、私の計算するところによると、的確な数字は言えませんが、併し先国会においてのたしか資料等から類推をすると、退職給与積立金、貸倒れ準備金、価格変動準備金、特別償却による減収された結果の法人税収というものは三五%になつております、四二%に無理をして引上げたけれども、その結果同時に併用されたそういう特別軽減措置によつて実質的に国家の法人税収は三五%に減つておるわけであります。そうなつて来るともう今の段階において一応三五%に直して出直すか、或いはお説のように再評価を強制的にやらす、勿論再評価税をとらずにやつて、自己資本の水準を整え、超過利得税のような逓増的な法人税を設ける、最低税率を下げて累進課税にする、それと特別軽減措置を併用する、こういう二つの方法を考えるのですけれども、後者のほうは相当税法が複雑になると思いますが、一応今の段階においては振出しに戻つて、少くとも三五%という税率でスタートをすべきだと、こう思うのですが、如何ですか。
○公述人(金子佐一郎君) 只今お話がございました点は、私といたしまして本当にその通りだと思います。ただ現在所得税並びにその他の租税との絡み合せで、法人税だけを直ちに税率を下げると影響等もあるので、躊躇されているかもわかりませんが、今資本蓄積という条件付で、先ほど申上げましたようないろいろな策が考えられています。併し少くとも三五%に下げても、それはこの減税がそれに当るのだということが今御指摘がありましたが、私はそうならばむしろこの際法人税は一応三五%に引下げるべきじやないか、その上で更に将来ともまだ高いのでありますから、減税の機会があればそのように是非とも再び条件付の減税を許して行くという段階に一つ下げてもよろしいのじやないか、このように考えております。ただ私はこの税制の問題を論ずるときに、法人税だけそういうようなことでいたしますと、ほかの問題が如何にもアンバランスのように考えられるということであるならば、一つの方法論でありますが、実質的には私はそういう三五%に下げられるだけの財源があれば三五%に下げるべきじやないか、というのはやはり法人にはいろいろな条件がありますので、できるならば全般にそれを下げたことによつて税負担を軽くすることが更に有利じやないか。特別なそういう条件のよい、当てはまるようなところだけが税負担の軽減をされるということになるよりは更に一層有効的な結果が現われる、こう信ずるからであります。
○小林政夫君 ちよつと関連して聞くのですけれども、前の木村先生のお答えに対して質問してもいいですか。 先ほど今の点に触れましたが、木村先生のお説は、どうも恐らく少額所得法人のことを頭に置いての御発言であつたと思いますが、法人になつて相当脱税的なことをやつて、従つて中小法人においてはかなり実質的な所得に対する税負担よりも軽くなつておる、そういうことができやすいから法人において減少した、こういうふうにとれたのであります。間違つてあなたのおつしやつたことを了解したかも知れませんが、そうだと思います。それは私はやはり今の大法人は特別軽減措置を受けられる、中小法人は受けられない、四二%という税率をまるまる課けられる、その税率が非常に高いからとにかくそういうことも起るのであつて、これは事実上質の悪い中小法人であるとか、そういう脱税をやつていいことにしておる……、こういうことで法人税の軽減をする必要はない、こういうことはちよつとまあ学者の先生あたりがそういうことは余り……少し理論的に考えて頂けるほうがいいのじやないか。そうして今の、よくその場合に個人と比較されまして、法人のほうが、むしろ法人なりの減少が多いという説をなされるのでありますけれども、私は具体的に計算して、先ほどもお話のように、国税の面においては断然法人のほうが重い、即ち個人よりも税が多い、地方税があるから所得階層によつて……それも地方税を合わせても所得階層によつては法へのほうが重い階層があるのであります。併しこれは個人と法人を如何に比較するかということなんですけれども、結局その比較の対象としては、本来余り的確に比較するということは不適当なものを比較するわけですから、法人の場合において、法への所得が全部一人の株主に帰属するというような仮定の下に比較せざるを得ない。そうやつた結果は明らかにそうなつておる。ですからその点は余り制度外の裏の要件を加味して、或いは特別な控除をするとか何とかいうときには、今度から勤労控除というのは給与所得控除というように名前を変えたのですが、その給与所得控除等の場合においては、そういう徴税上の不公正は考える必要があるけれども、税率の面においては、その点はもつと別の観点で行くべきじやないかと思うわけですが、如何ですか。
○公述人(木村元一君) 御尤もだと思います。先ずどちらを減税すべきかという……、いわゆる抜け道があるから前の高いのでいいという意味ではないのでございます。給与所得とのバランスから考えると、もつと給与所得税は減つてもいいじやないかというだけのことで、財政規模をもつと減らして法人税を下げるということは私ども賛成でございます。
○土田國太郎君 金子さんにちよつとお伺いいたしまするが、法人税で、何と言いますか、都民税ですか、あれは利益金から出してありますね。あれは所得割と均等割とありまするが、あれは利益金処分でなく、利益金からでなく、つまり事業経費として出すことについて、私は均等割はこれは止むを得ないから利益金から出してよろしいが、所得割は、あれは事業のための経費として支出するほうが理論的ではないかというような考えを持つておるのですが、お考えは如何ですか。
○公述人(金子佐一郎君) これは、今の御質問の要点は地方税の問題でございますが、根本は法人税を経費と見るか、経費と見ないかという問題と相絡んでおるように思います。これは多分昭和十五年頃だと思いますが、法人税は一応経費に見ておられましたのを、今度あれは全部経費を否認いたしました。各会社とも現在納税の引当金を利益処分の中でとつておるのはそのためだと思います。従つて、法人税であるとか、或いはそれに伴うものもこれを経費に見ないということになるわけでありましようか、併し、この問題は飽くまでも私はこういうものは最初一回限りの問題で、あとは税務の是否認でずつと続いておるわけであります。従つて、これはときどき問題になるのであります。法人税は少くとも経費に見てくれ、そうして経費に見て、それを引いたものとして考えなければならんじやないか、それで今事業税は現在経費に見ておる筈でございます。ですから、事業税は経費に見ておりまして、各会社とも翌期に払うものでありますから、その期の決算には一応引当金でとつて置いて、翌期で課税を受けておるという実情は、これは税法上止むを得ないと考えます。併し、法人税についても経費に見べきであるという議論は一部にはあるようでありますが、これは昔に還るということになるのではないかと思います。そうすれば、明かに一応その絶対額の負担というものは幾分なりとも軽減されるということはたしかでございますので、そういう要望はあることはあるのであります。
○土田國太郎君 それから貸倒準備金でございますな。今百分の三だと思いますが、今度百分の五になるのですか、あれは損がなかつた場合には取りくずすというようなことになつておるのでしたな。それに対して、私は損金は毎年平均に損金は出るべきものではない、不時の災難というものもありますし、又百分の三ぐらいのものでカバーできるのはあえて恐れませんが、大きな損害が往々にありがちなんでありますから、そういうときに救済するためにあれは取りくずさないほうがいいのではないかというようなふうに考えますが、如何ですか。
○公述人(金子佐一郎君) おつしやる通りでありますが、ただ、税法で私どもが考えておりますのは、貸倒準備金をいたしておきまして、それで期末までに事実の貸倒れが起つた場合には、勿論それから引当てて、その損をそれによつてカバーするのであります。併し損がなかつた場合には改めて前のもをの一応御破算にいたしまして、その期末の条件によつて又それを算出いたしまして、その引当金をとる、こういうので、実質的には差額、差額が今までは増すか減るかという、差額だけが問題になつておるのであります。形式的には一応前のを御破算にして、新らしい計算規定によつて出しましたものを積み立て行く、こういうことでありまするので、まあその間損がございません場合は御破算の形になりまするが、直ちに新らしい条件で算出されたものがとつて代るのでありまするので、結局はそれが継続して行く。ただ売上代金の掛売り、売掛金勘定、売掛金勘定なりその他の債権が減つたならば、そのときに計算したものが減る、これは基準がそうなつておりますのでやむを得ない。ただ累積しないという形になつております。
○土田國太郎君 今累積しますか、累積しない、累積しない関係上、莫大の損があつた場合に、極く小範囲しか処分できないという、会社に対して不利益な場合が往々にしてできるじやないかというような必要から御意見を伺つているのでありますが、価格変動資金も大体そんなふうな傾向になつておるじやないですか。
○公述人(金子佐一郎君) 価格変動準備金は、御承知の通り時価の九〇%を基準に置きまして、それより手持の材料勘定なりが高い部分については、それまで一応引下げをいたしまして、その差額を積立てる、こういうことができました。今度はそれが九〇%というところが、今までは、九〇%まで参りませんで、二分五厘ずつ区切つてやつておりましたのが、今度からは時価より一割までは格安に計算し得るという形になりますので、この問題は、そのまま各期末期末に計算して、それだけのものを措置して行けばいい、こういうふうに思います。併し、それはやはり毎期々々累積するとは考えられない。
○土田國太郎君 累積はできないわけですね。
○公述人(金子佐一郎君) はあ。
○土田國太郎君 先ほどあなたのお話の社内保留の分に対しては何ぼか法人税が軽減されたがいいじやないかということは私は同感に考えますが、今御承知の四二、これを昔の全部三五まで行けば、それは結構な話だが、それはなかなか財政上許されないということでありますれば、保留金だけでも三五なら三五に低率にするというようなことは、これは理論的にどうお考えになりますか。実際的にどう会社経営の面から言つて。
○公述人(金子佐一郎君) 会社といたしますれば、利益が出れば、社外に出ますのは、配当金なり、役員賞与ぐらいなものでありまして、あとは一応法定準備金、或いは別途準備金というような形で社内保留されておるわけであります。そうして若しも法人税が高いから何かこれを引下げるような条件を考えるならば、そういうように、できるだけ資本蓄積を助成しようという一般の考え方ならば、その社内保留をできるだけさせる。こういう意味からいつても、このような条件のついた積立金に対しては幾分なりとも税の軽減を考えることが、今のような資本蓄積を対策とした税制改革ならば考えられるのではないか。まあそれが先ほどお話も出ましたように、一般に三割五分に引下げるのだということになれば、或いはその問題のほうがすつきりしておるかもわかりませんが、それができにくいならば、そういう条件は今の税制改革の基本方針に合うと思いますので、そこで、その点を考慮されたら会社も大変税負担が軽減されるし、又税法改革の面から言つても一応理屈が立つし、実質的に減税の問題をここで取上げられるのじやないか、こう考えたものですから要望したわけです。
○土田國太郎君 私の質問はこれだけですが、再評価の問題ですね、再評価の問題は誠に結構な御意見だと拝聴したのですが、この問題に関連して、地方税である固定資産税というものが御承知の通りである。あの固定資産税の課税方法は、再評価額と市町村で査定します固定資産の評価額と比較して、いずれか高いほうのものに固定資産税として課税する、こういうことになつておりまするので、大会社は別として、中くらい以下の会社は固定資産税が高いので、非常に再評価ということを躊躇している会社がたくさんありまするし、又我々が考えても、いずれか高いほうに固定資産税を課税するというのは、固定資産税を再評価へ絡ませるということは、私どもは余りすつきりしない話じやないか、こんなふうに素人考えに考えるのですが、あなたのお考えは如何ですか。
○公述人(金子佐一郎君) その御意見は誠に私は御尤もだと思います。というのは、この固定資産税というものが再評価の評価額とどうも絡み合う、そういう印象が一般の納税者に強いものですから、再評価なんぞうつかりやれば固定資産税で非常に高くとられる、こういうようなことで、再評価をそういう面からだけでも躊躇させたことは明らかでございます。併し、今回のごとく更に五割を増して再評価をさせようという場合に、この再評価をした会社は又五割だけ基準が上がりますので、そうしたらば、又固定資産税が増すじやないか、そうすれば再評価をしないで置けばそれだけ固定資産税が御利益がある、而も再評価をすれば、今申上げたように却つて経営者の楽な立場から言えばしないでいたほうが楽かも知れません。むしろ名目利益だけでも余計出るのですから、ついやりたがらないということになるかもわかりません。そこで、私は飽くまでもこれは地方税のところで主張すべきでありましようが、固定資産税の課税対象は再評価額というものが一応基準になりますが、再評価をやらなくても、やはり適正なる時価を求めてこれに課税すべきだ、つまり再評価と無関係な基準を独自に持つべきだ、再評価をしないからといつて、時価が百万円するものが仮に一万円に記帳されていたつて、固定資産税を一万円にかけるということはあり得ない、従つてその点は再評価をしたから固定資産税を損するという印象を取除くようなはつきりした基準を設けるべきである、こう私は考えております。
○土田國太郎君 それをやはり別にしたほうがよろしいというのですね。絡ませないでですね。
○公述人(金子佐一郎君) 絡ませてはいけない。
○前田久吉君 ちよつと金子さんに伺いたいのですが、さつきの一割以下の配当に対しては税金はとらないほうがいいだろうというお話、二五%と絡み合つてそれをもう少しちよつとお伺いしたい。
○公述人(金子佐一郎君) 実はこの二五%を配当から控除するという税法は、これはシヤウプ勧告の考え方でありまして、法人と個人とは全く一体であるという考え方から出ておるわけであります。即ち、法人と個人、言い換えてみれば、株主と一体であるから、法人でかけた税金は株主に配当として渡されたならば、これにいきなり課税することは二重課税になります。従つて、法人でとつた税金だけは二割五分控除という形で戻そう。そしてその個人の所得が累進課税を受けるならば、それはその人の立場において課税をされるのはこれは別でありますけれども、配当としては一応会社で税をかけたものを又いきなり個人に全部かけることは二重課税になる、こういうことで二割五分控除というものを一応考えておるわけでございます。従つて、若しも配当を一割基準として、その部分に対しては課税をしないならば、会社で税をとらないのだから、その部分に配当された場合に又二割五分を控除するという理由がなくなるということになる、そこで問題は、若しも一般に片方だけを要望する場合に、反対の点で不利益があるかどうか、そこを検討すべきである、こう申上げたのです。例えば、会社側から言えば配当を一割するのだから、その配当をする金額については税をかけないでくれ、よろしい、株主のほうはその配当金をもらいますと、今までは二割五分を引いてもらつたのが、今度はそれが会社で免除したのだから、その配当は二割五分引かない、こう仮に言われた場合、株主の立場から言つたら理窟は通つておりますが、そのほうが喜ぶのか、或いはそれが株式の投資ということにどれだけ影響するかということは相当研究してみなければならんのじやないか。これは欲を言えば、二割五分は依然控除する、会社のほうのそういう減税措置はそういう理論を離れた、別個の増資を奨励する意味の借入金の利子代の考え方だけでそれを非課税にするのだ、こういうことになりますると、これは問題は別だと思います。若しも先ほどの理論を一貫いたしますと、会社で税をとらなければ二割五分控除する理由がなくなる、こういう点を大蔵当局あたりは相当考えておられますので、一応そういう問題を論ずるときには考えてみなければいけないのじやないか、こう申上げたのです。
○前田久吉君 その点はやはり何ですね。一割といえば現に利子でも一割なんですから、一割以下の配当は課税しない。株主から税をとるということならばしつくりしますね。会社の内容もしつかりするし、延いてはそれに一割くらいしか配当できない小会社も相当将来やつて行けるということになつて行くから、そのほうがしつくりしますね。
○公述人(金子佐一郎君) さようでございます。そうしてその場合は、増資を考えるのでそういうことになるのですから、増資によつて株主も利益を得られます。配当の額も率は一割であつても、実質配当は殖えるということも考えられますので、これは睨み合わして研究すべき問題だろうと思います。 —————————————
○委員長(大矢半次郎君) 次に日本財務職員労働組合連合会中央執行副委員長熊谷豊四郎君にお願いいたします。
○公述人(熊谷豊四郎君) 私は、今度の税法改正について幾つかの税法改正案が出ておりますが、この改正案の要綱に述べられておりまするように、今度の税法改正は所得税の軽減、従来臨時特例によつて実施せられていた所得税の軽減措置の平常化、更には相続税の負担軽減等を行うことによつて、これによつて国民負担を一層軽減合理化する、或いは租税負担を調整し、課税の簡素化をし、更には資本の蓄積等に資するのだ、このように謳つているわけでございますが、果してこのような目的を達成するために今度の改正案の内容は適切であつたかどうか、こういつたような観点から一つ所見を述べさして頂きたい、このように思うわけでございます。 先ず第一番目に、所得税についてでございますが、従来の所得税はすでに御承知のように高い、こういう一語に尽きようかと思います。即ち国民大衆としては最低生活費に食い込むような重税に対する怨嗟の声が巷に満ちております。更には中小商工業者においては正直に納税すれば企業が立行かないという非難が多いわけでございます。そして一方我々税務官吏の場合に申しますと、みずからこの高い税を負担しつつ、更に業務執行の面においては世人から白眼視せられるというジレンマに立至つているわけでございます。政府は税法改正のたびに資本の蓄積ということは口にいたします。併しながらこれと反対に民生安定のためにとは言つていないように思うのであります。即ち国民負担の軽減という程度には言うけれども、国民生活安定のためにという考え方に税法改正が赴いていないというところに我々としての不満があるわけであります。而も我々は、かく言つたからといつて資本の蓄積が必要ではない、こう言うものではないのですが、併しながらその資本の蓄積が国民大衆の犠牲によつてなされるのでは困る。政府はもつと国民生活の安定及び国民生活水準の向上に目を向けて努力をしてもらいたい。こういうふうに考えるわけでございます。こういつたような観点から今次の税制改正、今次のいわゆる所得税の軽減を見てみますと、更にその改正点を中心に意見を申上げますならば、先ず第一番目に基礎控除が六万円ではまだ低いのではないか、こう言わざるを得ないわけでございます。それではどういう観点からかと申しますと、要するにこの所得税のかくあるべしという姿については、いろいろな考え方もあるわけでございましようけれども、我々がこれについて考える点は、要するに基礎控除の問題については少くとも独身生活者の最低生活費が保障せられ、免税せられる点までこれを引上げてもらいたい。言うならば、現在問題になつております最低賃金法案において、労働組合の個々のいろいろな主張はもともかくとして、最低賃金法案という形で国会に或る政党から提出せられようとしておりますが、こういつた程度の額、即ち月八千円程度の額については基礎控除の基準として然るべきではないか、こういつたような考え方を持つているわけでございます。 次に扶養控除の問題でございますが、この扶養控除については、今度の改正点は最初の扶養親族一人について三万五千円にするんだ、従来の二万円から三万五千円に引上げるのだ、こういう点の改正でございますが、この問題については所得税法の十一条の二の第二項にも、これと若干関連いたしますが、青色申告を提出する納税義務者はその事業に専ら従事する親族に支払つた給与で……これは法文通り読むよりむしろ別に言葉を換えて申しますと、要するに青色申告をすればその事業に従事する親族に対しての必要経費を認めてやる、こういう考え方が述べられておりまして、そのうち扶養親族の中には配偶者を除く、このように書いてあります。この点についてでございますが、我々としてはこの括孤書きを除いてもらいたい、配偶者についてもその労働の対価を認めてよいのではないか、こう言いたいわけでございます。殊に農民の場合において然りでございます。更には中小企業の場合においても然りでございます。更には給与所得者の場合においても、夫の労働力再生産に従事する労務者としての立場を考えていいのではないか、こういつたような観点に立つてこの配偶者を除くという第十一条二の第二項を削つてもらいたい。ここまで行かないにしても、即ち現在の括孤書きを生かしておいた場合においてもこの考え方を相当程度受入れてもらつて、要するに受入れてもらうならば、今度の三万五千円という金額は低きに失するのではないか。こういつたような最初の扶養家族、これは大体において妻でございますが、妻の場合の労働の対価を考慮に入れるならば、今度の三万五千円は若干引上げたといえどもまだ低きに失するのではないか、このように考えるわけでございます。 次に税率の問題については、現行八万円以下となつているのに対して二万円以下という基準を設け、更には現在二百万ということで最高になつている点については、上に二段階を設けて超過累進をやつたということについてに、その方向としては我々としては是認できるものがあるわけでございます。 所得税についていろいろと二、三点申上げたわけでございますが、要するに我々労働組合の者に言わせれば、恐らくお聞きになつている各位におかれては、常に減税々々、何でもいいから減税さえすればいいんだ、こういうような主張のみするというふうにおとりになるかも知れないが、この問題について言い得ることは、要するに減税に伴つての歳入の減をどのようにしてカバーしたらいいのか、こういつたような問題も考慮せざるを得ないわけでございましよう。従つてこれについては、この減収をカバーするために、現在の税率を引下げることによつて、要するに現在は重税であるために所得があつてもそれを隠しておりますが、こういつたような状態をなくして、みずから進んで正常な実態に即した申告をするということによつて歳入の減が相当程度にカバーできるのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。 以上大体所得税の問題について申上げたわけでございますが、次の相続税の軽減についてでございますが、これに対する我々としての先ず基本的な考え方といたしましては、一部の金権階級の温存をするということは我々労働者のとらざるところでございます。今度の相続税の軽減という方向はこの我々の意図と逆行する形でありまして、我々としては賛意を表しかねるものがあるわけでございます。こう言つたからといつて、我々は直ちに私有財産制度というものを根底から否定しよう、こういつたことではないのでございまして、中流階級の育成擁護については考慮すべきであろう、こう考えます。この意味合いにおいて、今度の改正案の中で基礎控除額を三十万円から五十万円と引上げたということについては、一応その方向としては是認できるものがある、このように考えます。なお、相続と贈与の包括課税から個別課税をやつたということについては、その方向としては一応認めておいてもよいかと思うのでございます。 大体以上のように、今度の税制改正は所得税、相続税の軽減を中心として、これから要するに租税の負担の軽減、調整、或いは課税の簡素化或いは資本の蓄積を実現したい、このように言つているわけでございますが、こういつた今言つた所得税、相続税の問題を中心とする税制改正によつて、果して政府が所期しておる目的を達し得るかどうかということについての若干の疑義がございますので、これについて申上げたいわけでございますが、今回の減税措置については要するに物価の上昇等を勘案するならば、実質的な減税としては多きを期待できないのではないか、こう考えます。又租税を通じて貧富の懸隔を調整しようという意図がみられない。従つて貧しい者の最低生活を保障し、国民生活を安定しようとする施策は不徹底であると、このように言わねばならないわけでございます。然るに一方資本の蓄積の面を見るならば、富裕税を廃止し、更には租税特別措置法の一部改正、或いは資産再評価法の一部改正、或いは特別減税国債法等の立法化によつて、この面については相当程度の考慮が払われておる、こういつたような点について、こういつたようなことで我々としては租税の負担の軽減調整がなされ、期待せられるかと言えば、今度の一連の税制改正を通じてはその点は看取できない、このように申上げられ得るわけでございます。 次に租税の簡素化ということを謳つておりますが、これについて政府が一応富裕税を廃止したということについては、勿論それだけ簡素化せられた、このように言い得るでございましよう。更に相続税について、相続税の軽減というところで、相続税と贈与税を分離した、こういう点については租税課税の簡素化という点が見受られるわけでありますが、併しながらこれらの問題は別の意図から出た複次的な産物に過ぎないのであつて、課税の簡素化のためのこれに固有の努力が殆んど払われていない。この点について殊に我我税務職員としては遺憾に堪えないところでございます。又課税の簡素化と逆行する問題もあるわけでございまして、殊に特別減税国債法等は我々の税務職員の事務量の増加は必至である、こういうふうに言わねばならないと思います。 次に資本の蓄積については、この要綱に冒頭に謳つております資本の蓄積の問題については、上述のようにいろいろな多くの配慮が払われているにもかかわらず、我々労務者並びに庶民階級としては無用の改正が多い、このように言わねばならないわけでございます。 以上のような観点からこれを総括的に申上げますならば、今次の税制改正はおおむね微温的又は不徹底の面が多く、その最大の目的であるところの租税負担軽減、合理化、調整に資するところが少くて、国民大衆の税に対する不満を緩和することができないのではないか、このように考えるわけでございます。 以上が今度の税制改正に対する私の意見でございまするが、更にこの機会に税務職員として議員各位にお願いを申上げたいと思う点が二、三点ございますが、これを述べさせて頂きます。 先ず第一点は、今度の九州の災害について殊に痛切に感じられたわけでございますが、源泉課税を受けている者については、被害をこうむつても、従来通りきちんきちんと納めねばならない、そしてこれに対する減免は最後に確定申告のときに至つて初めてこの減免が認められて、そこで過誤納として還付される、こういうような手続を現在の税法においてはやらねばならないわけでございます。即ちこれは被害者にとつて酷であると共に、税務署職員自体としてもこういつた二重の手間については至急に排除するように御高配を願いたいと、このようにお願いを申上げたいわけでございます。 第二の点といたしまして、健康保険医の課税標準率についてでございますが、この問題について実は健康保険の健康保険医が診療の場合においては一点単価が安いわけでございます。従つてこれも一点単価の価格向上のために国庫負担を増額してもらいたい、こういうことで要望を大蔵省当局に対して行なつたわけでございますが、この単価引上げがなされないならば、要するに課税の面で考慮をしてくれ、こういうような考え方で政府当局から税務当局に対してこういつたような要望を織込んで圧力が税務当局に向つている。そうして我々第一線職場においては、このため相当な迷惑をこうむつている、こういうような事態があるわけでございまして、こういつた面について、要するに現在健康保険医の場合においては、勿論単価の引上げを要請はせられておりますが、内容を考えて、内容を実査いたしますれば、現在の段階においても相当の収益を挙げている。要するにぼろい儲けはできないかも知れないが、相当の収益を挙げ、そうして彼らに対する課税は決して酷でないにもかかわらず、自分たちの要求が容れられない、単価の引上げの要求が容れられない代りに課税の軽減をしてくれということで政治的な圧力を加えて来ている、こういつたような問題について十分御考察をお願い申上げたいわけでございます。 第三点の問題点は、我々税務職員としての本当に心からのお願いでございますが、即ち税務職員が以上のように重税の執行を担当するために、我々の社会的立場は非常に苦しいわけでございます。併しながら自分の生活を守るためには止むを得ずこの仕事に従事をして来ております。そしてこの公務に忠実ならんとして努力すればするほど、言い換えるならば、税法の忠実な執行者として努めれば努めるほど、納税者大衆から嫌悪され白眼視されておるわけでございます。最近は若干よくなつたと申上げられ得るわけでございますが、曾つては税務官吏は泥棒のようだ、或いは税務官吏の子供と遊ぶな、或いは税務官吏には嫁に行くな、こういつたようなことが言われて参りました。そしてこの声は現在においても跡を絶ないわけでございます。この半面納税者は重税を免れるため何とかして税務官吏を誘惑しよう、このようにしております。税務官吏も誘惑せられるという点については、税務官吏自体も十分に自粛自戒すべきものがあるわけでございますが、低生活に呻吟するものにとつて金銭的な誘惑に負けやすいというのは世上の常でございます。そういつた観点、そういつた現実に立つて何とか我々税務官吏として、殊に人に爪弾きせられないように、間違いを起さないようにという考えで努力はするわけでございますが、この第一番目の大きな難点は現在の税が高いというところにあるわけでございまして、本当に税務官吏も皆世間の人たちと同じように苦楽を共にし、共に楽しみ共に苦しむ生活の中に融け込もうとするためには、現在の税法がその隘路になつておる。このように言わざるを得ないわけでございまして、こういつた面から十分な御高配をお願い申上げたい。 更にもう一つの問題は現在の税務執行について公平、適正な課税を実現するためには現在の税務官吏では人員的に不足である、非常に忙しい仕事に連日追われているというのが実情でございます。そして更にそのためにも超過勤務が連日連夜続いております。こういつたような超過重労働のために病人が続出する。更には病人が続出するにもかかわらずこれに対する対策が十分にとられていない。更にもう一つはこういつたような超過勤務をするにもかかわらず対価が十分に支払われていない、こういつたような問題があるわけでございます。勿論徴税費の節約ということはよく言われております。併しながら今申上げましたこういつたような面を十分に御勘案下さつて、人員の配置の問題、更には超過勤務に対する対価の支払の問題、或いは病気になつた職員の医療の問題等についても十分な御高配を煩したいとこのようにお願いを申上げまして、私の意見に代えたいと思う次第でございます。
○委員長(大矢半次郎君) 御質疑のあるかたは御発言を願います。 公述人のかたは長時間に亘りまして、いろいろ有益なる御意見を述べて下さいまして、誠に有難うございました。厚くお礼を申上げておきます。 本日の公聴会はこれを以て終ります。 午後四時十三分散会