大蔵委員会 第9号
- 発言数
- 79 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1953/06/30
会議録
○委員長(大矢半次郎君) これより第九回の大蔵委員会を開会いたします。 一、特別減税国債法案、二、資産再評価法の一部を改正する法律案、三、産業投資特別会計法案、四、設備輸出為替損失補償法の一部を改正する法律案、五、厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案、六、関税定率法等の一部を改正する等の法律案、七、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案(いずれも予備審査)以上七案を一括議題とし、政府提案理由の説明を聴取いたします。
○政府委員(愛知揆一君) 只今議題となりました特別減税国債法案ほか六法律案につきまして、提案の理由を説明いたします。 先ず特別減税国債法案でございますが、政府は、前国会に本案とほぼ同様の案を提出し、御審議を願つたのでありますが、審議未了となりましたので、今回施行期日の遅延に伴う必要な調整を加え、改めて本案を提出した次第であります。 その内容について申し上げますと、今回設置を予定しております産業投資特別会計の財源に充てるため、昭和二十八年度において、二百億円を限つて特別減税国債を発行することとし、その利率は年四分、償還期限は五年以内といたしております。 而して、特別減税国債の消化を促進するために、これを購入した者に対しては一定の減税を行うこととし、個人が購入した場合には、昭和二十八年分の所得税からその税額の二〇%相当額を限度として、購入額の二五%に相当する税額を軽減し、又、法人が購入した場合には、昭和二十八年四月一日から昭和二十九年三月三十一日までの間に申告期限の到来する法人税から、その税額の年換算額の二〇%相当額を限度として購入額の二一%に相当する税額を軽減することとしているのであります。 以上の減税措置を考慮いたしますると、特別減税国債の実質利廻りは、個人の場合には年一割二分、法人の場合には年一割五厘程度となるのであります。なお、特別減税国債の利廻りをこの程度に止めるために、法人が特別減税国債を譲渡した場合の損金算入について一定の制限を設ける等所要の措置を講ずることとしております。 以上が本法律案の大要でございます。 第二に、資産再評価法の一部を改正する法律案につきましてその提案の理由を説明いたします。 政府は、昭和二十五年に資産再評価法を制定して第一次資産再評価を実施し、更に昭和二十六年に資産再評価法の一部を改正して第二次資産再評価を実施したのでありますが、その実施の状況を見ますと、必ずしも十分に再評価が行われなかつた実情にあり、且つ又、その後物価も或る程度の上昇を示している状況であります。従いまして、現下の急務である資本蓄積の促進に資するために、今回更に資産再評価の機会を与え、現下の物価水準に応じた基準によつて再評価を行い得るようにすることが必要であると認められますので、ここにこの改正案を提案することとしたのであります。 次に本法律案の大要を申上げます。先ず、今回の再評価は、法人につきましては、昭和二十八年中に開始する事業年度の開始の日のうち、いずれか一の日において一回、又昭和二十九年中に開始する事業年度の開始の日のうち、いずれか一の日において一回、合せて二回再評価を行い得ることとし、又、個人の事業用資産につきましては、昭和二十八年一月一日において一回、又昭和二十九年一月一日において一回、合せて二回再評価し得ることとしております。なお、譲渡所得に対する課税の調整を図るため、個人の有する家屋、土地、非事業用資産等の譲渡があつた場合には、これらの資産については、昭和二十八年一月一日現在で再評価が行われたものとみなすことといたしております。 次に再評価の対象となる資産は、第二次再評価を行うことができた資産と同種の資産で、昭和二十八年一月一日に有している資産としております。而して、再評価の基準は、第一次及び第二次再評価の基準設定の基礎とした昭和二十四年六月以後の物価の上昇を勘案して、土地については約十六割、減価償却資産については約五割、非事業用資産等については約二割を、それぞれ先きの再評価の基準から引上げることとしているのであります。なお、第一次再評価の基準日である昭和二十五年一月一日に所有していた減価償却資産のうち、昭和二十五年において定められていた耐用年数がその後短縮されたものについては、一般の再評価の基準によらず、第一次再評価の基準を一、五倍した金額から、昭和二十五年一月一日から再評価日までの減価償却額の限度額の累計額を控除した金額を再評価の基準とすることも認めております。 次に、再評価税につきましては、今回の再評価が第一次及び第二次の再評価と同様の性質のものであること等を考慮して前回と同様に再評価差額に対して百分の六の税率といたしておりますが、併しながら再評価税の納付につきましては、できるだけ再評価を十分に行い得るようにすることを考えまして、法人の減価償却資産の再評価税は、従来初年度二分の一、二年度及び三年度四分の一ずつ納付することになつていたのを五年間に均分して納付することといたしております。又、減価償却資産の再評価税の延納は、前回の司評価税額と合せた総額によつて、法人については昭和三十六年十二月三十一日を含む事業年度まで、個人については昭和三十六年までこれを認めることとしております。なお、法人の土地等に対する再評価税は、再評価目から五年を経過するまでの間に譲渡等が行われない場合には、更に三年間に亘つて分納を認めることとすると共に、新たに再評価税の繰上納付の途を開くこととしているのであります。 次に、個人の有する資産について再評価が行われたものとみなされる場合には、従来再評価差額から十万円を控除して再評価税を課税していたのを、十五万円を控除することに改めております。なお、公益法人が収益事業に属する資産について再評価を行いました場合には、収益事業の所得に法人税を課税している点に鑑み、今回の再評価による限度引上分については再評価税を課税することといたしております。 更に、再評価の申告は、法人については再評価目を含む事業年度終了の目から二カ月以内に、又、個人については、再評価日を含む年の九月一日から十月三十一日までにしなければならないことといたしておりますが、再評価を行わなかつた法人は申告書の提出を要しないこととし、又、再評価を行わなかつた資産についての市町村別明細書の提出も要しないこととしておるのであります。 次に、再評価積立金の資本組入につきましては、再評価積立金の金額から納付すべき再評価税額を控除した金額の十分の九に相当する金額までは直ちに資本に組み入れることができるようにし、又、再評価税を完納した法人は、昭和三十二年一月一日以後においては、再評価積立金の金額を資本に組み入れることができることとしているのであります。なお、社債の発行限度につきましては、再評価積立金の十分の九に相当する金額を直ちにその発行限度に算入することとしているのであります。 以上、この本法律案の大要を申上げた次第であります。 第三に、産業投資特別会計法案についてその提案の理由を説明申上げます。 我が国経済の再建、産業の開発及び貿易の振興に必要に資金につきましては、政府は従来から財政資金により積極的にこれが確保を図つて参つたのでありますが、今回新たに産業投資特別会計を設置し、財政投資の一層の充実強化に資することとした次第であります。 この会計におきましては、米国対日援助見返資金特別会計の資産、並びに一般会計の日本開発銀行及び日本輸出入銀行に対する出資金を承継してこれを資本とし、これが運用による収入金と、特別減税国債の発行による収入金とを主要財源として投資を行うことといたしているのであります。 昭和二十八年度予算におきましては、特別減税国債の収入金二百億円を含め約四百億円の財源を以て日本開発銀行及び電源開発株式会社に対する資金供給を予定し、重要基礎産業に対する投資に特に意を用いております。 次に、この法律案の概略について申上げますと、この会計の歳入は、特別減税国債の発行による収入金、出資、貸付金からの収入金等とし、歳出は、出資金、貸付金、国債償還費等とすることとする外、この会計の予算及び決算に関し必要な事項を規定しております。 なお、この会計の設置に伴い、米国対日援助見返資金特別会計法を廃止する等、関係法律について所要の規定の整備を図つております。 以上が、この法律案の提出の大要で、ございます。 第四に、設備輸出為替損失補償法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明いたします。 設備輸出為替損失補償法は、設備を本邦から輸出する者が外国為替相場の変更に伴つて受ける損失を補償する制度を確立することによつて、本邦経済の維持及び発展に寄与する重要物資の輸入の確保に貢献する設備輸出の促進をはかることを目的としたものでありますが、国法の適用範囲が極めて限定されておりますため、この法律に基く補償制度は利用されていない実状であります。併しながら、設備を中心とする輸出の振興は、最近一段とその重要性を加えていると認められますので、今回設備輸出為替損失補償法の一部を改正し、政府が輸出者に対して締結する為替損失補償契約の適用範囲を拡張することといたしたいのであります。 改正の要点を申し上げますならば、先ずその一つは、政府が輸出者に対して為替損失補償契約を締結することができる対象は、現行法では重要物資の輸入市場を国際収支上有利な地域に開拓し、又は国際収支上より有利な地域へ転換することに役立つと認められる場合の設備の輸出に限定しておりますが、この制限を撤廃してすべての設備輸出に拡張すると共に、別途御審議をお願いしております日本輸出入銀行法の一部改正法案により新たに日本輸出入銀行の融資対象となる設備以外の重要な物資の輸出についても、これを適用することとしたことであります。 その二に、最近の設備輸出の実情を見ますと、契約のときから代金の回収時までの期間が極めて長期に亘るものが多く、補償契約の期間の限度を延長する必要がありますので、これを現在の五年から十年に延長することといたしました。 その三に、補償契約の適用範囲の拡張に伴い、補償契約締結額が増大することが予想されますので、政府が締結する補償契約の締結総額の限度を現在の百億円から二百億円に引上げることといたしました。 以上がこの法律案の提案の大要で、ございます。 第五に厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案の提出の理由を御説明申上げます。 今回、政府は日雇労働者の業務外の事由による疾病又は負傷及びその被扶養者の疾病又は負傷に対して保険給付を行うことによつて、その生活の安定に寄与することを目的として、別途、今国会に日雇労働者健康保険法案を提出いたしまして、御審議を願つているのでありますが、この日雇労働者健康保険事業の経理を明確にするため、厚生保険特別会計に新たに日雇健康勘定を設けることとするため、この法律案を提出した次第で、ございます。 この法律案の内容につき概略御説明いたしますと、日雇健康勘定におきましては、保険料、一般会計及び郵政事業特別会計からの受入金、借入金、附属収入等を以て歳入といたしまして、保険給付費、借入金の償還金及びその他の諸費を以て歳出といたしておるのであります。なお、経理上必要のありますときは、この勘定の負担において借入金又は一時借入金等をすることができることとし、更に、業務勘定におきましては、本勘定の設置に伴い所要の規定の整備を図つております。 第六に、関税定率法等の一部を改正する等の法律案につきまして、その提出の理由を御説明申上げます。 この法律案は、現下の情勢に鑑み、若干の品目についての関税率を引上げると共に、暫定的に輸入税を免除しております品目を整備し、且つ、その免税期間を延長して我が国における当該産業の維持育成を図ることを目的とするものでありまして、その主要な点は三点ございます。 その第一点は、セメンシナ外六品目の輸入税を引上げて当該産業の維持育成を図ろうとするものであります。即ちセメンシナの現行輸入税率の無税を一割に、麦角の無税を一割に、サントニンの無税を二割に、群青の二割を二割五分に、カーボンブラックの一割を二割に、テレビジヨン受像機の二割を三割に、及びこんにやく芋の一割五分を四割五分に引上げようとするものでございます。第二点は、児童給食用乾燥脱脂ミルク、重要機械類、大豆、原油、重油等の諸品目につきましては、暫定措置として本年七月三十一日までその輸入税を免除しているのでありますが、これらの物品につきましては、諸般の事情に鑑み、引き続き昭和二十九年三月三十一日までその免税期間を延長すると共に、こうりやん及びとうもろこしにつきましては、畜産業を保護するため、飼料の製造に供せられるものに限つて免税することとし、落花生については採油産業を保護するため、採油用に供せられるものに限り免税することとし、又菜種及びからし菜の種等はこの種国内産業を保護するため、船舶については国内造船業を保護するためそれぞれの免税措置を廃止し、他面、企業経営の合理化を促進するため、せん孔カード式統計会計機械を新たに免税品目に加えると共に、重要機械類については若干その免税機械類の範囲を拡げようとするものでございます。 第三点は、鉄鋼の需給及び価格の状況等に鑑み、その輸入税を免除する必要がないと思料されまするので、特定の場合を除き鉄鋼に対する免税措置を廃止しようとするものでございます。 以上がこの法律案の提出の理由並びにその概要であります。最後に第七に、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案の提案の理由を御説明いたします。 日本輸出入銀行は昭和二十五年十二月に設立せられまして以来、その適切な融資活動によつてプラント輸出を中心とする貿易の振興に努めて参つたのでありますが、最近における貿易の状況及び同行の業務運営の経験等に顧みて、同行の機能の拡充を図ることが適当であると認められまするので、今回日本輸出入銀行法の一部を改正し、日本輸出入銀行の業務の範囲を拡張すると共に、その融資の条件等に改善を加えることといたしたいと存ずるのであります。 改正の要点を申上げますれば、その一つは海外投資のための資金及び海外における生産事業を営むための設備資金を融資の対象に加えたことであります。輸出の振興を図り海外市場を確保するためには、国内産業と海外市場との資本による繋がりを緊密にすることが極めて有効であり適切な方法であることは申すまでもありません。これがための資金は、その回収に長期間を要することが通例でありますので、この融資期間は一年以上十年までとし、止むを得ない特別の事情があるときは十五年まで認め得ることといたしたのであります。第二には、輸出金融業務の範囲の拡張であります。現行法では日本輸出入銀行は、設備の輸出のために必要な資金の融資を行なつておりますが、最近の国際貿易の傾向に対処し、設備以外の製品であつても、その輸出が我が国の輸出市場の開拓若しくは確保又は輸入市場の転換に特に緊要な場合には、その輸出のための資金を日本輸出入銀行の融資対象に加えるようにいたしたのであります。又輸出振興のため特に緊要な場合には、輸出契約の締結前でありましても、売さばきの見込が確実である、及び設備等の輸出に関して入札保証金が必要であるときにも融資し得ることといたしたのであります。設備等の輸出契約の国際入札の場合における入札保証金は、金額においても、その期間においても、市中金融の対象に取上げられがたいことが多く、かねて各方面からこの点について強い要望があつたもので、ございます。 第三は、輸入金融業務の拡張で、ございます。現在、日本輸出入銀行の輸入金融は、我が国の輸出の振興を図りますために必要な重要物資についてその輸入のために海外における当該原材料等の生産事業を拡充する必要がある場合における前払金の融資のみに限定されておりましたが、今回、この制限を緩和いたしまして、経済の発展のために緊要な物資で前払金をしなければ輸入が著しく困難であります場合には、その前払金について融資し得るようにいたしたのであります。 第四に、融資期限を延長すると共に日本輸出入銀行が単独でも融資を行い得るようにしたことでございます。最近の輸出入契約における決済条件の長期化に対応するために、現在の最長五年に制限しておりました融資期限を、極めて特別な事由のある場合には十年まで延長すると共に、現在市中銀行との協調融資の方法によらなければ日本輸出入銀行が融資しない建前になつておりますのを、特に事情止むを得ない場合には、例外的に同行が単独で融資し得ることといたしたのであります。 第五に、日本輸出入銀行が、その業務を行うに必要な範囲内に限りまして、認可を受けて外国為替業務を営み得ることといたしたのであります。 なお、以上の改正に伴いまして、この際日本輸出入銀行が設立後五年を経過した後は、新規融資を行なつてはならない旨の制限を除くことといたしました。 以上が七法律案の提案の理由で、ございます。何とぞ御審議の上、速かに御賛成あらんことをお願いいたします。
○平林太一君 只今この日本輸出入銀行に対する一部改正法律案の説明を聴取いたしたのでありますが、これに重要な関連を持つのでありますが、今回政府はこの融資額の増大、それから融資期間の延長等、大巾に処置をいたしたのでありますが、これに対して国会といたしましては、これを日本輸出入銀行を先ず第一、それからこれに関連して日本開発銀行でありますが、これの融資先ですね。それからその融資先に対する融資期間、それから融資額、こういうものが明確に資料としてここに上つて来ないというと、それを審議する上におきまして、当委員会といたしましては、いわゆる仏像を築いて眼を入れないと同様の結果に立ち至ると思います。特にいわゆる融資としてこれに対する国家財政資金として明年は二千四、五百億を予定いたしておるようでありますから、これ全体といたしましては、これの融資の先が明確に相成つておりませんというと、何らこの国会としての審議の意義を生ずることができません。それでありますから、早急にこの日本輸出入銀行及び日本開発銀行が今日まで貸付をいたしました貸付先と、それからその貸付先に対するその貸付期間、そういうものに対しまして、逐一詳細なる資料として提出をせられることを委員長を通じまして要求いたします。
○委員長(大矢半次郎君) 愛知政務次官から何か……。
○政府委員(愛知揆一君) ちよつと速記をとめて頂けませんか。
○委員長(大矢半次郎君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(大矢半次郎君) 速記をつけて。 公聴会についてお諮りいたします。本委員会に付託されております所得税法の一部を改正する法律案、その他税制改正案について、国会法第五十一条の重要なる歳入法案と認め、公聴会を開きたいと存じまするが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大矢半次郎君) 異議ないと認めます。 つきましては、公聴会の日時は大体七月十日とし、公述人の数、選定方法等は委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。 なお、公聴会の開会につきましては、本院規則第六十二条により、議長に対し公聴会開会承認要求書を提出しなければならないことになつております。本件につきましての手続等を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんですか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。 午前はこれで休憩いたしまして、午後は一時より続行いたします。 午後零時一分休憩 —————・————— 午後一時五十二分開会
○委員長(大矢半次郎君) 午前に引続きまして、会議を開きます。 所得税法の一部を改正する法律案、富裕税法を廃止する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、相続税法の一部を改正する法律案、資産再評価法の一部を改正する法律案、及び特別減税国債法案の六案を一括議題とし、順次内容の説明を聴取、いたします。
○説明員(泉美之松君) 只今提案になつておりまする税法改正のうち、直接税関係の六法律案につきましてその内容を御説明申上げたいと存じます。 お手許に昭和二十八年度税制改正法律案要綱というものを印刷して差上げてございますので、それを御覧頂きたいと思います。 先ず所得税法の一部を改正する法律案の要綱から御説明申上げます。所得税の改正につきましては、先ず第一は、すでに昨年御審議を願いまして実施いたしております臨時特例法によりまして、実施いたしましておつた控除及び税率の改正を本法にとり入れ、そうして平常化するということでございまして、基礎控除を六万円に引上げ、扶養控除を最初の扶養親族一人について三万五千円に引上げ、給与所得の控除の最高限度額を四万五千円に引上げ、更に昨年から実施いたしておりまする社会保険料の控除を行い、そうして税率を従来八万円以下二〇%となつていたのを、二万円以下一五%というふうに五%引下げまして、二万円と七万円の間は従来通り二〇%にし、七万円を越えて十二万円までにつきましては二五%とするのであります。従つて七万円と八万円との間は従来二〇%であつたのが二五%というふうに五%殖えるのでございますが、二万円以下の金額につきまして五%下つておりますので、七万円と八万円の間が五%上りましても、全体としては税額の軽減は一万円分について五%だけ下つた効果があるということになるのでございます。 なお、税率につきましては、富裕税を廃止いたしますので、新たに課税所得金額三百万円を超える部分に対しまして六〇%、五百万円を超える部分につきまして六五%というふうな税率を設けることにいたしております。この臨時特例法によつて実施いたしておりまする控除の税率の平常化が、今度の所得税の改正の中心になるのでございまして、今回の税制の改正によりまする減税額の千二十三億のうち所得税では九百二十四億を占めておるのでありますが、そのうちこの平常化によりまする分が八百四十四億、正確に申しますと、八百四十三億八千二百万という減税額になつておるのでございます。これらのことはすでに御承知のことでございますので、極く簡単に御説明申上げます。 第二は扶養控除の最初の扶養控除を、最初の一人につきまして三万五千円に引上げる関係からいたしまして、扶養親族の範囲を従来納税義務者と生計を一にしておる配偶者、その他の親族で年間の所得が二万円以下の者を扶養親族といたしておりましたのを、三万五千円以下の者を扶養親族とするということに改めることにいたしております。これが八条一項の改正で、ございます。 それから八条一項の但書で、二人以上の扶養親族が二人以上の納税義務者と生計を一にしておるときには、若し従来通りにておきますと、二人以上の納税義務者にくつつけることによりまして、同じ生計を一つにしておる者のうちで、最初の扶養親族控除三万五千円を受けることのできる者が二人以上できたりする虞れがあるのでございます。それは、今度扶養親族の控除を、最初の一人についてだけ三万五千円に引上げることといたしております趣旨に反することになりますので、そういつた場合におきましては、扶養親族は原則としてすべて一人の納税義務者の扶養親族にする。併し、若しそういたしますと、今度は又逆に所得が少いというような場合におきましては、扶養控除を全額引き切れないというような事態も生じて参りますので、そういつた場合におきましては、もう一人の納税義務者のほうから控除を認める、併しその場合におきましても、新たにもう一人の人の最初の扶養親族として三万五千円を引くのではなくて、最初の納税義務者につきましてきめられておりまする扶養親族の順位に従つて例えば最初の納税義務者について、第三番目或いは第四番目の扶養親族であります場合には、三人目でありますれば二万円、四人目でありますれば一万五千円しか控除しないということにいたしておるのでございます。この関係は、ちよつと厄介になるのでございますが、扶養控除を適正にするためにこういたしているのでございます。 それから第三番目は、生命保険料の控除限度額を、従来の四千円から八千円に引上げておるので、ございます。これは十一条の六の改正であります。 それからその次は医療費の控除の改正でございまして、これは十一条の四の改正でございます。従来医療費の控除については、医療費の額が総所得の一割を超える場合に十万円を限度として控除を認めておつたのでございますが、今度は五%を超える部分を医療費として認める。同時に控除の限度額を十五万に引上げるということにいたしておるのでございます。 その次は、勤労学生控除についての改正でございますが、これは控除そのものは引上げないのでございますが、勤労学生の控除の適用を受ける勤労学生の範囲というものを拡張したのでありまして従来は年の所得が十万円以下で、且つ自分の勤労以外の不労所得が五万円以下のものに限ることになつておつたのを、十万円というのを十五万に引上げ、又自己の勤労以外の所得額六万円まではいいというふうにしたのでございます。第八条の五項の勤労学生の定義のところで、その改正をいたしておるのであります。 それからその次は、いわゆる専従者控除と言つておるのでございますが、青色申告書を提出する納税義務者が、その事業に専ら従事する親族に支払つた給与を事業上の経費に算入することができることにいたしておりますが、その事業上の必要経費として認める限度額が従来五万円でありましたのを基礎控除の引上げに応じまして、六万円にまで引上げる。それから又親族の範囲につきまして従来は高等学校の卒業年令などから十八歳以上の者でないと、そういつた専従者控除の適用を受ける親族に入らなかつたのでございますが、今度は中学校の卒業年令と合せまして十五歳以上の者につきましては、専従者控除が受けられることができるというふうにいたしておるのでございます。これは十一条の二の二項の改正でございます。なお配偶者の専従者としての控除につきましては、いろいろ検討いたしたのでございますが、従来通り配偶者につきましては、専従者控除を認めないということにいたしておるわけでございます。 それからその次は、退職所得についての特別控除の金額を十五万円から二十万円に引上げております。これは九条の一項の六号のところで改正いたしておるのでございます。退職所得につきましては、すでに現行法におきまして他の所得と分離して課税することにいたしておるのでございますが、今度の改正におきましては控除の十五万円を二十万円に引上げる改正を行うだけでありまして、その課税の方式につきましては、現行法通り他の所得と分離してその特別控除を行ないました残りの金額の半額に対しまして、法律の十三条できめられておりまする税率を適用して、その税額を算出するということにいたしておるのであります。 なお、念のために申上げますが、今度の控除税率の平常化に伴いまして、給与所得の場合におきましては、すでに臨時特例法によりまして、本年の一月から源泉徴収税額の軽減を行なつておりますので、このほうはこの改正法が成立いたしましても、毎月の源泉徴収税額は変化ないのであります。ただ年末調整に当りまして生命保険の控除限度額が殖える。或いは確定申告によりまして医療費の控除が殖えて来る。こういつた関係で軽減されることはあるのでございますが、毎月の源泉徴収税額そのものは変りはありません。ただ退職所得につきましては、控除を十五万円から二十万円に引上げますので、その関係で退職所得を支払う場合の源泉徴収税額は、この法律が八月一日以後施行されますと、今までの軽減のほかに、更に軽減になるのであります。 その次は、山林所得、譲渡所得及び一時所得についての改正でございますが、このうち先ず山林所得につきましては、九条の一項の七号と、十三条の二、それから十四条、ここにはちよつと落ちてございますが、十四条とで改正を行なつているのでございます。簡単に申上げますと、従来は山林所得、譲渡所得及び一時所得のこの三つを通じまして十万円を引いて、その残りの金額を他の所得と総合して課税し、変動所得として五年間平均課税するという方法をとつておつたのでございますが、今度は山林所得についてだけから十五万円を控除する。そうしてその控除後の金額を五分五乗の方式と言つておるのでございますが、その方式によつて他の所得と総合課税するということにいたしておるのでございます。五分三乗の方式というのを簡単に御説明申上げますと、例えば普通の所得が二十万円で、それから山林所得が十五万を控除した残りが百万円であるといたします。そういたしますと、百万円の山林所得を五分の一にいたしますと、二十万円になります。そこでその二十万円と、普通所得の二十万円との合計額の四十万円につきまして、基礎控除、扶養控除を行います。例えば、扶養親族が四人であるといたしますと、基礎控除と扶養控除を合せたものが十五万円になる。そこで四十万円から十五万円引きますと二十五万円になります。二十五万円の課税所得の場合の税額を所得税の別表の第一で御覧になりますと、六万六千三百円ということになるのでございます。そして別表を御覧頂きますと、六万六千三百円の隣りに二十六という数字が書いてございます。そこでこの二十六という数字を、先に百万円から二十万円を引いた残りの八十万円がございます。その八十万円に掛けるのでございます。そういたしますと、二十万八千円になります。その二十万八千円と六万六千三百円とを合計いたしました二十七万四千三百円というのがこの場合の税額になるということで、ございまして、山林所得の五分の一と普通所得とを合わせて税額を出し、そのとき出て来た課税所得に対する税額の割合を、残りの五分の四に掛けて、そうして税額を算出するということを、簡単に五分五乗の方式と言つておるのでございます。 それから譲渡所得及び一時所得につきましては、先ほど申上げましたように、従来は山林所得と譲渡所得、一時所得を通じて十万円を控除しておりましたものを、今度は譲渡所得と一時所得のこの二つから十五万円を引いて、その引いた残りの半額を他の所得と総合課税する。先ほどのように例で申上げますと、普通所得が二十万円ありまして、譲渡所得が五十万円あるといたしますれば、その五十万円から十五万円を引いた三十五万円の半額十七万五千円を二十万円と合計してそれから基礎控除、扶養控除を行い、税率を適用して税額を算出するということになるのでございます。このほうの改正は九条の一項の本文で行なつております。ちよつとわかりにくい改正の仕方でございますが、九条一項の本文のほうで十五万円を引くということにして、そうしてその半額を他の所得と合計するということにいたしております。半額というのは十分の五に相当する金額という文字で現わしておるのでございます。 次は、有価証券の譲渡所得につき非課税といたしているのでございます。これにつきましては、いろいろの考え方があるのでございますが、現在の税務行政の実情から考慮いたしまして到底正確に課税が行われませんので、この際、むしろ譲渡所得の課税を廃止いたしまして、別途それを機会に、有価証券取引税を設けるということにいたしておるのでございます。有価証券の譲渡所得に対しては、所得税を課税しないということを六条の第五号で非課税所得として掲げて規定いたしておるのでございます。それから同時に有価証券の譲渡による損失も損と見ないということは、九条の二項の一号でそういうふうにいたしておるのでございます。それから、こういうふうに有価証券の譲渡所得を課税しないことに伴いまして、法人の解散、合併があつた場合に、株主或いは出資者が解散又は合併によつて取得する金銭或いは金銭以外のものなどにつきましては、従来は個人の段階でみなす譲渡所得或いはみなす配当所得として課税いたしておつたのでございますが、譲渡所得を課税いたさないことになりますので、みなす譲渡所得としての課税ができません。従いまして、あとで申上げますように、法人の解散、合併の場合におきましては、法人の段階で清算所得を課税する、そういうことにいたしまして個人の段階では課税しないということにしておるのであります。それは六条の六号、七号に非課税所得として掲げているのでありまして、六号のほうが解散の場合、それから七号のほうが合併の場合であります。 それから資本の減少又は株式の消却によつて株主、出資者が金銭或いは金銭以外のものを取得する場合におきましては、従来は取得価格を超える部分をみなす配当としておつたのでありますが、今度は額面金額を超えてもらつたものをみなす配当所得としまして、それに課税するということにしておるのでございます。その際には、その減資又は株式の消却によつて取得する金銭などのうち、法人の資本金、再評価積立金額等の以外の部分を配当所得とするのでありまして、それ以外の部分につきましては所得税を課税しないということにしておるわけであります。これは五条の一項のところでそういうふうに改正し、同時に六条の八号でそういう非課税の部分を規定しておるのであります。 それから有価証券の譲渡所得を課税しないことに伴いまして、証券投資信託の終了又は一部の解約によりまして、支払いを受ける収益につきましては、そのうち有価証券の譲渡によるものにつきましては、所得税を課税しないということを六条の九号及び十号に非課税所得として入れているのでございます。これは御承知のように、従来は証券投資信託の収益の分配につきましては、配当所得が六割程度であるものと見まして六カ月ごとに収益の分配を行いますが、その際には二〇%の源泉徴収を行う。併しその収益の分配のうち六割は配当所得でありますので、その六割に相当するものについて二五%の配当控除を認める必要がありますので、全体に対しましては一五%の配当控除を認めるということにしておつたのでございますが、今度はその点を改めまして証券投資信託について途中で六月ごとに分配いたします際におきましては、全部配当所得と見まして二〇%の控除を行い、二五%の配当控除を認める。併し証券投資信託の終了又は一部の解約の際におきましては、譲渡所得の部分、それから配当所得の部分、利子所得の部分というふうに三つに分けましてそのうち譲渡所得の分については課税しない、配当所得と利子所得には二〇%の源泉徴収をする、同時に配当所得については二五%の配当所得を認めるというふうに、ちよつと厄介になるのでありますが、そういつた改正をいたしておるのであります。 それからその次には外国の税額の控除の制度を設けたのであります。これは十五条の八の改正で、外国に源泉がある所得についてその国で所得税に相当する税の課税を受けました場合には、その所得に対する日本の税額を限度として税額控除を認める。従来は営業者などでありますと、外国に納めた税額は損金に見ておつたのでありますが、税額から引くことはしていなかつたのであります。これを改めて税額を控除して、国際二重課税の防止を図り、同時に邦人が海外に発展することを促進するということにいたしているのでございます。 その次は、確定申告書の提出期限と所得税の第三期の納期限を、先に臨時特例法によりまして、昭和二十七年分の所得税につきましては二月二十六日から三月十六日までに直して頂いたのでございますが、今度は所得税自体におきまして、第三期分の納期限及び確定申告書の提出期限を二月十六日から三月十五日までにするという改正を二十六条と三十条の一項で行なつているのでございます。 それから次は賞与に対しまする源泉徴収の税額の計算の方法を簡単にするために、新たに別表を設けたのであります。賞与に対しまする源泉徴収額の計算に当りましては、従前は前月分の給与を基礎にいたしまして、それに賞与の支給期間に応じまして賞与の金額を大分の一或いは十二分の一したものを前月分の給与に足し、そうして出て来た税額と、前月分の給与に対する税額との差額を更に六倍又は十二倍することによつて、源泉徴収の税額を計算することになつていたのでありますが、こういうふうに計算をいたしますと、非常に複雑になりまして、源泉徴収義務者に相当の手数になりますので、簡単に源泉徴収税額の計算ができるように、新しく別表第三というものを設けまして、前月分の給与を基礎にいたしまして、扶養親族の数に応じて、前月分の給与が幾らあれば、それに対して直ちに賞与に対して幾らの率を掛けたらいいかという表を作つているのでございます。別表第三を御覧頂きますと、例えば扶養親族が四人という場合に、前月分の社会保険料控除後の給与の金額が二万六千円であるというような場合には、二万四千百円と二万六千三百円との欄を左に辿りますと、三〇%という税率が出ますので、賞与に三〇%という率を掛けて源泉徴収をすればいいということになるのでございます。これの賞与に対する源泉徴収税額の改正は、三十八条の一項七号と、別表第三というので行なつているのでございます。 その次は所得税の源泉税額が過納となつたために還付又は充当の請求が起る場合があるわけでございます。例えば文士が原稿料について源泉徴収を受けた、ところが源泉徴収の率は一五%になつておりますので、確定申告で計算いたしますと、それが取り過ぎになつたという場合があります。そこで還付の請求がある、或いは他の税金に充当して欲しいという請求があるわけであります。これにつきましては、従来は源泉徴収義務者が徴収して政府に納付していることを確認しないと、還付或いは充当をしないというふうな取扱になつておるのでございますが、そういたしますと、例えば文士のかたが原稿を書いて原稿料を受取つた、源泉徴収はされたけれども、その雑誌社が経営がうまく行かないために金繰りに困つて政府には払込まなかつた、使い込んでしまつたというような場合に、文士としてはその雑誌社にその金を払込ませるという手段は別段持つておりませんので、雑誌社が払込まないから文士のほうに返さないというのでは酷になります。そこで今回の改正では雑誌社である源泉徴収義務者が徴収して納付すべき日に納付があつたものとして、一応文士のかたには還付し、或いは他の税金に充当する。ただ雑誌社のほうは滞納になつておりますと、政府のほうでは雑誌社のほうに向つて強制徴収、滞納処分を執行するということにするというふうにいたしておるのでございます。 それから、その次は給与所得につきましては年末調整を行うわけでありますが、その年末調整の結果税引手取額が非常に少くなり、切角年末に賞与をもらつてもそれが非常に少くなつて困るといつていろいろ非難があるのでございます。そこで年末調整の際にそれによつて税引手取額がその年中の税引手取額の平均に対しまして非常に少くなるというような場合におきましては、年末調整に際して徴収すべき税額の一部を猶予して、翌年の一月、二月において徴収することができるというふうに、年末調整に関しまする四十条の規定のうち第四項を設けまして、そういうふうに改正いたしておるのでございます。 それから最近闇金融といつたようなものに関連いたしまして、匿名組合契約に基いて利益の分配を行う、或いは匿名組合契約そのものではありませんけれども、それに類似した契約が行われる。御承知のように匿名組合契約と申しますと、営業者と出資者とが契約を結びます。ところが営業を行わない、例えば不動産の買入を行う、或いは株式の買入を行うということは直ちに営業ということになりませんが、やはり株式を買つて値上りを待つて儲ける、或いは土地を買つて値上りを待つて儲けるという一つの事業を行うことになるわけでありますので、そういうふうに匿名組合契約或いは匿名組合に類似した契約に基いて利益の分配を行うという場合がかなり殖えて参つております。でこれにつきましては、別途金融関係の取締を行いますほかに、税の面からも改正いたしているのであります。本来でありますと、匿名組合契約であつても出資者が誰かということは営業者又は事業者にはわかつておるはずでありましてそれから資料を得て出資者に向つてその利益の分配を受けた額に対して課税を行えばよいのでありますが、従来の経過を見て参りますと、その資料の提出がありません。又資料の提出を受けましても、住所或いは氏名を偽つたものばかりでありまして、適正な課税が行われませんので、利益の分配を行います際に、百分の二十の税率によつて源泉徴収を行うということにいたしておるのであります。この規定は一条二項の三号におきまして制限納税義務者の場合に課税するという規定を入れ、同時にそのことが一条の五項のほうにも響いて来るというようになり、更に十七条、十八条で源泉徴収の税率が定めてあり、四十一条を四十二条の三項においても源泉徴収の義務について規定いたしておるのであります。 それから次は外国の公益法人で日本の非課税法人に類似するものにつきましては、相互条件の下に所得税を課税しないということにいたしておるのであります。これが三条の二項の改正でございます。 次は、企業組合その他これに準ずる法人に対する課税の適正化を図る措置をいたしまして、先ず第三条の二という規定を設けまして、所得税は従来から明文はありませんでしたけれども、実質に従つて課税するので名義の如何を問わない。例えば会社の株が重役の名義になつておりましても、実質会社の所有に属するものであつて、会社の決算におきまして、その配当金を会社の所得に計上しております場合におきましては、名義は重役になつておりましても、会社に対して課税する、いわゆる名義株の場合などにもそういうような課税を行なつて来たのでございます。その趣旨が明文がありませんでしたために、いろいろ争いの種になる虞れがありますので、今回明文を設けまして、新しく規定をいたすことにしておるのでございます。 それから四十六条の三という規定を設けることとなつております。これは法人に五以上の営業所がありまして、その三分の二以上に当る営業所におきまして、その営業所の所長、主任或いはこれらの者と特殊の関係にある者が、前に個人として事業を営んでおつた事実があり、且つその所長、主任という者が現にその営業所における事業を主宰しているという場合におきましては、明らかに法人の取引と認められるという場合を除きましては、政府はその所長などは当該営業所から生ずる収益を享受する者であると推定して、更正決定をすることができるということになつておるのでございます。これは前回は六十七条の二の規定として提案いたしておつたのでありますが、その後国会での御審議の経過に鑑みますと、すべての場合に推定するということは適当でないというふうに認められますので、それらの営業所におきまする資金の預入、借入、商品の仕入、販売その他の取引のすべてが法人の名前でなされておるというような場合は除きましてそれ以外の場合に所長、主任などが営業所から生ずる収益を享受する者と推定して更正決定をすることができるという規定にしたほうがよいと思われますので、そのように更正決定ができるという規定にするとすれば、更正決定に関しまする章のところに移したほうが適当であると認めまして、四十六条の三という規定にいたしておるのであります。 その次は六十七条の三項でございますが、これは同族会社の行為、計算否認の規定が六十七条の一項、二項に規定されておるのでありますが、企業組合には直接に余り関係がないのでございまするが、企業組合に類似する法人で三以上の営業所におきましてその二分の一以上の営業所の所長などが以前に個人として事業を営んでおると同時に、営業所の所長などがその法人の株式又は出資の金額の三分の二以上を持つておるという場合におきましては、その法人と同族会社に類する法人との間におきまする行為、計算を否認したほうがいいという場合が考えられますので、同族会社についての行為、計算の否認の規定を準用することにいたしておるのであります。で四十六条の三というほうは、一応課税の関係に当りましては、その所得は法人の所得として認めないというのであります。六十七条の三項のほうは、法人そのものの所得として認めることもあるわけでありますが、併し行為を否認し、或いは計算を否認する。例えて申上げますと、所長などがその営業所に非常に安い価格で自分の持つておるものを法人に売る。そういたしますと、本来譲渡所得、或いは営業上の利益が出て来るわけのものでありますが、安い価格で売るために、それが出て来ないというようなことが起きて来る。そういつた場合には正常な価格で売つたものとして、利益を計算するというふうにいたすことができることにしておるのでございます。 そのほか所得税につきましては、五十五条の四項と七項におきまして、利子税の計算方法を簡素化いたしまして、本税の税額が十万円未満である場合におきましては、簡易利子税額表というものを設けまして、それによつて利子税の計算を表で簡単に行う。同時に従来利子税は百円未満であるときは徴収しないということにいたしておりましたのを、簡素化するために三百円未満のときには徴収しないということに改めることになつておるのでございます。なお簡易利子税額表につきましては、前回提案いたしましたときは、本税額が十万円未満で、且つその利子税の計算の期間が百八十日未満という限定をいたしておつたのでありますが、今度は百八十日未満というほうは落しまして本税額が十万円未満であるという場合をすべて取りこんだほうが、税務行政の簡素化になり、納税者も又税務官庁のほうの手数も省けますので、そういうふうにいたしたいと考えております。 それからその次は重加算税の徴収について適正化を図ることとしております。重加算税は、御承知のように確定申告書を提出する、或いは提出しないという場合に、課税標準の計算の基礎になる事実の全部、又は一部を隠蔽仮装するといつたふうに、不法な行為を弄することによつて税金を免れるという行為があつた場合に、税額の五〇%を重加算税として追徴するということにいたしておるのでございますが、いろいろ実例を調べて参りますと、不法行為に基かない部分の税額も相当にあるわけであります。従つて不法行為に基かない税額の部分につきましては、過少申告加算税、或いは無申告加算税を徴収することにいたしまして重加算税のほうは、課税標準の基礎になる事実を隠蔽又は仮装したということに基く部分についてだけ取る。そういう事実のないものにつきましては、無申告加算税、或いは過少申告加算税だけですますということにしたほうが懲罰的な意味が明確になりますので、そういうふうに改正する。そのほか三条の非課税法人の整理を行ないますとか、それぞれの規定の整備を行なつているのであります。 次は法人税の改正でございますが、法人税の改正につきましては、実は法人税法の一部を改正する法律案以外に、価格変動準備金とか、輸出損失準備金などのように租税特別措置法の改正によつたり、或いは特別消却などのように租税特別措置法に基く省令の改正とか、企業合理化促進法に基く政令の改正によつて行われる部分と、更に貸倒準備金の限度引上のように、法人税法の政令によつて改正を行う部分とが相当あるので、ございまして、実は法人税法そのものの改正によるよりも、むしろそういつた部分のほうが相当重要な改正があるのでございますが、差当り措置法のほうはいずれ提案になりましてから御説明申上げることにいたしまして、法人税法の一部を改正する法律案について申上げますと、この法人税法の改正の先ず第一は、新らしく清算所得に課税するということにした点で、ございまして、これは先ほど申上げましたように、個人の有価証券に対する譲渡所得を課税しないということにいたしますと、個人有価証券のみなす譲渡所得も課税できないということになります。そこで従来は法人が解散して清算に入りますと、法人の段階では積立金だけしか課税しないで、清算によつて分配しますと、その際には個人の段階でみなす譲渡所得とし、或いはみなす配当所得として課税を行なつておつたのでございますが、その課税ができなくなるのであります。そこでやり方としてはシヤウプ勧告の趣旨を貫いて、飽くまでも個人の段階で譲渡所得でなしに、みなす配当所得にしてしまつて課税するということも考えられますが、なかなか課税の実情からいたしますと、個人の段階で課税するということには非常に手数も要しますし、又うまく参りません。そこでシヤウプ勧告前に帰りまして、もう一度法人の段階で清算所得を課税するほうが適当ではないかというふうに考えられますので、法人の段階で清算所得を課税するということに改めることにいたしておるのであります。で五条の二におきまして、従来は法人の清算中の各事業年度に生じた所得に対しては法人税を課さないということにいたしておつたのでありますが、今度は法人の清算中に生じた所得には事業年度の所得に対する法人税は課さないけれども、清算所得に対する法人税を課税するということにし、又五条の三におきまして、五条一項の非課税法人と申しますか、収益事業に対してだけ課税する法人の清算所得に対しては、課税を行わないというふうにして、清算所得はいわゆる公益法人には課税しないことを明らかにし、更に八条のほうにおきまして、法人税の課税標準は各事業年度の所得、それから各事業年度の積立金、それから清算所得というふうにいたしておるのでございます。 それから十七条で、その清算所得に対する税率を規定いたしております。普通法人の場合におきましては、積立金と法人税を課せられない所得から成る部分につきましては二〇%、それからその他の部分につきましては百分の四十六、特別法人につきましては二〇%と四一%というふうにきめております。これは清算所得というものの定義を、このプリントはちよつと急いで作りましたものでございますから、条文が抜けて恐縮なんでございますが、十二条の二というので、法人の清算所得は、左に掲げる金額であるというふうにして定義を与えております。つまり、解散した場合には、その残余財産の価額が解散当時の資本又は出資の金額、資本積立金額及び再評価積立金額との合計額を超える場合のその超える金額が清算所得である。合併した場合におきまして、合併法人が被合併法人の株主、社員又は出資者に対し交付する株式、又は出資の価額の総額及び金銭の総額との合計額が、被合併法人の合併当時の資本又は出資の金額を超える場合の、その超える金額のなかの、非合併法人の合併当時の資本積立金と再評価積立金以外の金額からなる部分ということにいたしておるのであります。従つて清算所得として課税になるのは合併又は解散の際にある積立金と清算中出て来た秘密留保金とになるのでございます。その積立金につきましては、すでに法人税を課せられておりますので、あとはそれが個人に配当された際に、個人の段階で課税する上積みの部分にだけ課税すればいいわけであります。又法人税を課税されない所得につきましては、各事業年度の際におきまして法人税を課税されないのでありますから、清算所得のときにも法人税を課税しないということにいたしまして、やはりこれも個人の段階で課税すべきものについてだけ課税すれればいいので、これらにつきましては、配当所得に対する個人の平均税率四五%から配当控除の二五%を差引きまして、二〇%を課税することといたしているのであります。次に、その他のいわゆる秘密留保の部分につきましては、まだ法人税が課税されておりませんので、その法人税の部分と、それから個人について上積みで課税すべき部分というものを、法人の所得から事業税を経費に引き、或いは市町村民税を引くと、留保の金額が出ますが、それについてこのような計算をいたしますと、普通法人の場合にはその税率は四六、特別法人の場合は四一という税率になるのでございます。勿論これは四六幾らとか、四一幾らと出るのでありますが、端数は切り捨てまして、四六或いは四一ということにいたしておるわけであります。以上が清算所得に対する法人税の課税でございます。 それから先ほども申上げましたように、個人の場合には有価証券の譲渡所得に課税しないのでありますが、法人が有価証券の売買を行いました際におきましては、法人には有価証券の譲渡によつて所得が出れば課税する、又有価証券の譲渡によつて損が出れば認めるということになるわけであります。そこでそういうふうにいたしますと、例えば配当真近になりまして、配当含みで株の値が上ります。そこで株式を個人から法人に売るのであります。そうすると個人は本来配当含みで株が相当上つておつて若し個人がそのまま持つていれば、個人の段階で配当所得として課税されるのでありますが、それを譲渡所得の形にすることになります。そうすると本来ならば、ずつと持つていれば配当所得として課税できるのでありますが、譲渡所得の形になつて全然課税を受けないことになります。これは当然予想されることでありますので、いたし方ないのでありますが、片一方法人のほうを申上げますと、法人は配当含みで値が上つたところで買う、そして配当期が来まして、配当金を受取りますと、株が御承知のように下ります。そうしますと、下つたところでもう一ぺん個人に売り戻すのであります。そうすると法人のほうが本来配当含みで買つておりまして配当をもらうのでありますから、別に損得はないはずなんでありますけれども、もらう配当は御承知のように益金に入れないということにいたしております、又配当落で売ればこれは損金に認めるという制度を継続することになつておりますので、そういうふうに配当期の株価の値上り値下りを利用いたしまして不当なことが行われる虞れがありますので、そういうことを防止する方法を考えたほうがいいということになるわけであります。その場合にいろいろなやり方が考えられるのでありまして一つは個人から法人に売つた、又法人から個人に売り戻したという場合には、ずつと個人が持つておつたということにする、そうして配当金を法人が受取つたのではなしに、個人が受け取つたというふうにみるということも一つの方法であります。併しこれは技術上非常に困難がありまして、前の株とあとの株と配当の同じものを取換えさえすれば引続いて持つていていいというわけには参りません。そういつたこともありますし、又配当率が違うというような株についてそういうことが行われますと、とても計算ができないというようなことになります。そうかといつて配当控除をやめてしもうと、角を矯めて牛を殺すことになります。そこで今度の改正におきましては、会社の配当の計算期間の末日前一カ月以内に取得された株式について法人が配当を受取つた場合に、その配当の益金不算入の規定に一定の制限を設けて、そうして所有期間に相当する部分だけしか益金に算入しないことにしたのであります。例えば四月一日から九月三十日までの決算期の会社の株があるといたしますと、その株を九月十日頃になつて買いますと、大体十一月頃になりまして配当を受取るわけであります。その際におきまして、九月一箇月間しか株を持つていなかつたのでありますから、その配当金額のうち六分の一だけは益金に算入しない、あとの六分の五は益金に算入するということによつて、配当真近に法人が株を買つて、そういう操作によつて不当に儲けることを防ごうというふうにいたしましておるのであります。ところが株を長く持つ意思があつて、決算期前一箇月以内に買つたけれども、決算期が過ぎて二箇月以上経つてもずつと持つているというような場合におきましては、そういつた不当な行為ということでなしに、本当のその株を持ちたいという意思があつて持つていることになりますので、又そういうふうな長い期間になりますと、配当含み或いは配当落ちということによつて操作をして設けるチャンスというものもなくなりますので、配当の決算期後二箇月以上更に持つております場合には、たとえ一箇月以内に株を取得した場合におきましても、その場合の配当は金額益金に入れないというふうにいたしておるのでございます、少しややこしいのでありますが、それが九条の六の改正でございます。 それからこれは先ほど申上げましたが、証券投資信託の終了又は一部の解約によりまして収益の分配を受ける場合には、そのうち内国法人の利益の配当又は剰余金の分配の部分についてだけは、これは個人の場合に、配当所得について配当控除を認めると同様に、法人の段階におきましては、益金に算入しないということにするのでございます。これも九条の六で改正いたしてございます。 それからその次は、日本の法人が外国に支店を持つておりまして、外国で儲けた所得に対しまして外国の税金、日本の法人税に相当する税金を課税されるときにおきましては、従来は日本の法人税を計算する場合には損金には認めておつたのでありますが、税金のほうから引きませんので、所得そのものに対しましては二重課税になつておつたのでありますが、先ほど個人の場合に申上げましたと同様に、外国税額を日本の法人税額から控除するということにいたしまして、二重課税を防止しようということにしておるのであります。これは十条の二と二十六条の七の改正であります。勿論外国で納付した法人税がその所得に対する日本の法人税より多い場合には、日本の法人税を限度にするわけでございます。又外国の法人税が日本の法人税より軽いという場合には、実際納めた外国の税額だけしか引かないということになるわけであります。 それから外国の法人で、日本の非課税法人と同じような法人につきましては、相互条件の下に法人税を課税しないこととしております。それは四条と五条との改正で行なつているのであります。 それから法人につきましても個人と同様に、利子税の計算方法を簡素化する、或いは重加算税の徴収につきまして、課税の計算の基礎になる事実を隠蔽又は仮装した部分についてだけ重加算税を徴収する。それから個人についての所得税法第三条の二の規定に類似するような規定を法人税法第七条の三に設けまして、法人税につきましても、名義の如何を問わず、実質に従つて、資産又は事業から生ずる収益の実買上の帰属者に対して法人税を課税するという規定を設け、同時に所得税法の六十七条の三項に相当する規定といたしまして、法人税法の三十一条の三の第二項に同族会社の行為否認の規定、一定の同族会社に準ずるような法人、つまり三以上の営業所がございまして、そのうちの二分の一以上の営業所について、営業所の所長、主任等が個人として前に事業を営んでおり、又その所長などの株式又は出資の金額が法人の全部の株式又は出資金額の三分の二以上を占めておる場合に、そういつた営業所の所長、主任などとその法人との間の行為、計算の否認ができるということの規定を設けておるのでございます。なお個人の場合の四十六条の三の規定に似た規定は法人のほうには設けておりません。これは申すまでもなく、個人の所得として推定して課税するわけでありますから、所得税だけのほうで規定すればよいことでありまして、法人税のほうでは規定が要らないということになるのでございます。 次は相続税法の一部を改正する法律案でございます。
○森下政一君 ちよつと休んだら如何ですか。説明者がくたびれはしませんか。
○委員長(大矢半次郎君) 十分ほど休憩いたします。 午後二時五十二分休憩 —————・————— 午後三時十三分開会
○委員長(大矢半次郎君) それでは開会いたします。
○説明員(泉美之松君) 先ほど説明申上げた印刷物の六頁の一番初めに書いてございますが、法人税のほうで、外国税額の控除をするということの引用条文に、二十六条の七とだけありますが、これは誤まりでして、その上に十条の三というものを加えて頂きたい。十条の三が控除を受ける場合の規定でございます。二十六条の七のほうは控除を受け切らない場合には返してもらえるという、規定で、この二つの規定によつて動くことになりますので、補足して申上げます。 では次に相続税の改正でございますが、相続税につきましては、実は昭和二十五年にシヤウプ勧告に基く改正によりまして、人の一生を通じて相続、遺贈、贈与によつて取得した財産をだんだん累積して課税して行くという制度を設けたのでございますが、その後実施いたしました結果を見ますと、人の一生を通じまして相続、贈与、遺贈によつて取得した財産を課税するということはなかなか実行が困難であります。殊に人の一生ということになりますと、相当長い期間に亘りますので、その期間全部の課税資料を保存するということは、税務署のほうにおきましても大変でございますし、又納税者自身のほうにおきましても、一生の間その資料を持つていなければならないということになりまして、どうも実行上難点があります。それと共に年が経つにつれて税負担が重くなるという欠点もありますので、今度の改正におきましては、相当根本的な改正になるのでございますが、従来の累積課税の制度を先ずやめまして、相続と包括遺贈によつて取得した財産につきましては、その都度相続税を課税し、それから贈与と特定遺贈によつて取得した財産につきましては、一年間分を合せまして、年々贈与税を課税して行くというふうに改めることにいたしておるのであります。従いまして、第一条の納税義務者というのを相続税の納税義務者に改め、一条の二に贈与税の納税義務者の規定を設けるというふうに、従来の一条を二つに分けまして先ず納税義務者の定義からそういうふうに分ける、それから又従来第二条で課税財産の範囲を規定しておりましたが、これも二条の二というのを設けまして、二条は従来通り相続税の課税財産の範囲、二条の二は贈与税の課税財産の範囲というふうに分ける。それからあと課税価格、税額及び税率及び控除のところにおきましても、従来一まとめでありましたのを、第一節を相続税にし、第三節を贈与税にするというふうに、相続税と贈与税をそれぞれ分けまして規定を設けているのでございます。それから十一条のほうにおきましても、相続税の課税価格について、相続によつて取得した財産の価格の合計額を以て相続税の課税価格にするのだというふうな規定を設け、それから又二十一条の二で、贈与税の場合の課税価格は、相続、贈与又は遺贈によつて財産を取得した者が、その年中における贈与又は遺贈によつて取得した財産の価額の合計額とするということに規定しておるのでございます。ただそういうふうに相続税と贈与税とを分けることにいたしますと、相続と言いますか、死期を予期いたしまして、その生前に贈与をするということによつて、実際相続が行われました際におきまして、相続財産がないように負担の軽減を図るというようなことも行われますので、余り遡ることも適当ではありませんから、相続開始前二年以内に、被場相続人から贈与によつて取得した財産の価額は相続財産に加算して、相続税の価格を計算するというようにいたしております。これは十九条の改正でございます。 それから被相続人から相続人に特定遺贈いたす場合があるわけでありますが、これは遺贈と言いましても特殊の遺贈でございますので、被相続人から相続人に特定遺贈いたしました場合には、それは相続があつたものとして相続税を課税するということにいたしてございます。これは一条の一号で「相続(包括遺贈及び被相続人からの相続人に対する遺贈を含む。)」というように改正しておるのでございます。実は前回提案いたしましたときには、この一条のほうはそうなつておりませんで、三条のほうでそういうふうにいたすことになつておつたのでございますが、一条を見てそれから三条へ行つて初めてそういうふうになるということではわかりにくいじやないかと考えられますので、今回提案に当りまして、一条のほうに規定いたしまして、第三条からははずしてございます。 それから相続税につきましては、そういうふうに累積課税の制度を廃止すると同時に、最近の財産価格の値上りを考慮すると同時に、相続税の負担がまだかなり高めになつておりますので、その負担の軽減を図るということからいたしまして、相続税の基礎控除額を従来三十万円であつたのを五十万円に引上げる。それから又贈与税につきましては、新らしく十万円の控除を設けるということにいたしております。前者が十七条の改正でございますし、後者は二十一条の四の改正でございます。なお印刷物には書いてございませんが、従来相続、贈与又は遺贈によつて財産を取得した場合におきましては、年三万円を限度といたしまして、少額控除の制度がありましたが、今度相続税と贈与税とに区別して参りましたので、少額控除の三万円というのはやめまして、基礎控除額一本にいたしまして相続税は五十万円、贈与税は十万円というふうに限度を引上げたのでございます。 それから死亡保険金と退職金に対する控除が、従来二十万円でありましたのを三十万円に引上げる、これも負担の軽減を図る趣旨でございます。これは十二条の一項、四号と五号の改正でございまして、四号のほうが保険金、五号のほうが退職金の改正でございます。 それから相続税の税率につきまして、先ず相続税のほうが、従来二十万円以下の課税価格の部分につきましては二〇%でありましたのを、最初の段階で一五%に落す、それから三千万円を超える金額と五千万円を超える金額、一億円を超える金額についての税率はそのまま据置いておるのでございますが、それ以下の段階におきまして、大体五%乃至一〇%ずつ税率を低めにいたしまして、特に現在の税率からいたしますと、課税価格が三百万円乃至千万円の段階でかなり相続税の負担が重くなつておりますので、その間の税率の調整をいたしまして、税率の引下げを図つておるのでございます。この改正は十八条で行なつております。 次に贈与税の税率のほうは二十一条の五で新らしく税率を設けておるわけでございますが、このほうは先ほど申上げましたように、生前贈与を行うことによつて相続税の負担を免れるということが行われますので、たとえ五十万円の控除に比べまして十万円というふうに控除を小さくしておりましても、何回も回数を多くして贈与いたしますと、低い税率を適用することができて、負担の軽減を受けるということになりますので、贈与税のほうの税率は大体従来の税率と同じ程度にいたしております。 それから相続税のほうの税率は最高税率の七十というのは一億円を超える課税価格の場合にそうなるのでございますが、贈与税の場合には三千万円を超える場合には七十になるというふうにして負担の均衡を図ることにいたしておるのでございます。 以上申上げたように改正することに伴いまして、申告納付等の規定が相当変つて来ておりますが、これは技術的な改正で特に申し上げるほどのことはございません。 その次には相続税につきまして、延納制度を改正いたしております。これは三十八条の一項と二項に分けまして、従来延納を認められますのは、相続税の税額が三万円以上で、そうして金銭を以て一時に納付することが困難な事由がある場合に限られておつたのでございますが、今度は相続税の場合におきましては、その税額が一万円を超えれば、納税義務者の申請によつて延納をすることができるというふうにいたしまして金銭を以て一時納付することが困難であるという事由を制限から外すことにいたしております。それから延納期間が一般の場合は五年、不動産とか立木などが財産の十分の五以上のときには十年ということは従来と同様でございますが、もう一つ、従来は大体年賦延納の観念でありましたけれども、五年以内、或いは十年以内で必ずしも年賦延納でなくてもいいということになつておりましたのを、今度は五年或いは十年以内で年賦延納にする。但し延納税額が五万円以下であつた場合には延納年割額は一万円を下つてはいけない。従いまして五年間延納ができると言つても、税額が三万円でありますと、三年間しかできない、五年間はできないというふうにいたしておるのでございます。 それから贈与税のほうにおきましては、これは従来と大体同様でありますが、ただ従来三万円以上の場合と言つておりましたのを、今度は一万円を超えればいい。但し相続税の場合と違いまして、金銭で一時に納付することが困難な事由があるときに限つて認める。又、延納期間は相続税の場合には十年になることがありますが、贈与税の場合は五年しか認めないということにしております。 それから従来相続税の延納の申請があつた場合におきましては、長い間延納するかどうかということの決定を放置するという傾向がありまして、非難がございましたので、今度は税務署長は、延納の申請があつた場合には、その条件を満たしておる場合におきましては、当然許可しなければいけない。ただ担保の種類につきましては、その変更を求めることができるということにいたしまして、税務署長が許可しなければならないという規定を新らしく入れてございます。これは三十九条の二項でございます。 以上が相続税についての主なる改正でございますが、そのほか相続税におきましても、所得税、法人税と同様に利子税の計算の方法を簡素化する、或いは重加算税を徴収する場合は、課税標準の計算の基礎となる事実を隠蔽又は仮装した部分についてだけ重加算税を徴収するというような規定を設けておるのでございます。これらは、所得税、法人税と大体同様でございますから、余り申上げる必要がなかろうかと思います。 それから次は富裕税法を廃止する法律案でございますが、これはもう御承知のごとく極く簡単でありまして、富裕税法を廃止して、昭和二十八年八月一日から施行する。併しその結果課税しなくなるのは課税時期が本年末でありまして、来年二月末までに申告納税すべき富裕税から廃止されるのであります。昭和二十七年の十二月三十一日を課税時期とし、今年の二月に申告納税した分は勿論廃止されないのであります。でこの廃止に伴いまして、所得税、相続税、それと租税特別措置法、災害減免法、それから行政協定に基く特例法、税理士法、地方税法などでそれぞれ富裕税という規定がありますのを削ることにいたしております。なお、税理士法につきましては、富裕税が従来試験科目でありましたのを、試験科目でなくなることにいたしたのでございますが、この試験科目のうち一定数以上のものに合格しないと税理士になることができないということになつておるので、すでに税理士試験のうち富裕税の試験に合格した者、或いは本年七月に行われまする税理士試験のうち、富裕税の科目に合格した者につきましては、合格科目を計算する際に今後は試験科目でなくなりますけれども、従来通り試験科目であつたと同様に計算をするということの改正をいたしております。 それから次は資産再評価法の一部を改正する法律案でございますが、これは先ほど提案理由で御説明がありましたように、昭和二十五年に第一次の資産再評価を行い、又昭和二十六年に第二次の資産再評価を行なつたのでございますが、当時は収益の見通しが十分でなかつたというような事情からいたしまして、十分再評価を行なつていない業種或いは事業がかなりあるのでございます。それと同時に前の再評価の際におきましては、昭和三十四年の六月の物価を基準といたしまして再評価の倍数をきめたのでございますが、その後相当物価が上つておりまして、特に卸売物価では七割程度、土地価格でございますと十六割余り、CPIのほうは余り上つておらないで、二割程度なのでございますが、そういうふうにかなり上つておるのであります。従つて現在最も緊要とされております資本の蓄積を図ると同時に、資本の食いつぶしを防ぐという意味からいたしまして、今度新たに第三次の再評価を行うということにいたしておるのでございます。で第三次の再評価の基準日は、昭和二十八年の一月一日ということにいたしております。前回の再評価の基準日は二十五年の一月一日であつたわけでありますが、三年間ずれたことになるわけでございます。それは三条でそういうふうに改正をいたしておるのでございます。 それから第三次再評価を行うことができる資産の内容は六条に規定しておるのでございます。そこで再評価できる資産については、基準日において法人、個人が有する資産について再評価ができることにしているのでありますが、株式その他の有価証券は再評価を行うことができないというふうにいたしております。これは第一次資産再評価の際には株式についても再評価を行なつたのでありますが、その実施の状況を見ますと余り再評価が行われておりません。それは、株式については値上りということが余りなかつたことなどのせいもあるわけでありますが、そういう関係からいたしまして、株式については再評価を行うことができないということにいたしております。 それから第三次再評価は原則として二十八年中において一回、二十九年中において一回、合せて二回行うことができるようにしておるのでありますが、これは前回は一回限り行なつたのでございますが、実際はなかなか再評価を行うという決断をするのに時間がかかるわけでございますので、短期間に再評価を行わなければならないということにいたしますと、結局十分に再評価が行われませんので、法人、個人に十分再評価による損得を計算させまして、納得行つたところで再評価ができるようにということで、二回機会を与えておるのでございます。つまり、十三条の一項のほうで、法人につきましては、二十八年中に開始する事業年度開始の日のいずれか一の日、これは事業年度が一年でございますと、一回しかないわけでございますが、六カ月事業年度でございますと二回ございますので、そのいずれか一の日においてできる。それから同じく昭和二十九年中に開始する事業年度の開始の日のいずれか一の日においてできるということにいたしておるのでございます。従いまして一月に事業年度が開始され、七月に事業年度が開始するというようなことでありますと、一月一日の現在において再評価ができる、又そのときに行わなければ七月一日においても再評価ができることになるのであります。最終になりますと、昭和二十九年の十二月三十一日に事業年度が始まる会社もあり得るわけでありますが、まあ普通は月の初めに事業年度が開始するといたしますと、昭和二十九年の十二月一日に開始する事業年度につきましては、昭和三十年の五月末日に事業年度が終了するわけでございます。そうするとそれから二カ月後に再評価の申告ができるわけでございます。その場合に再評価日は昭和二十九年の十二月一日ということになつて、昭和三十年の七月三十一日までに再評価の申告をすることができるということになるわけでございます。個人につきましては、二十八年の一月一日現在において一回、それから二十九年の一月一日現在において一回、事業用資産について再評価を行うことができるということにいたしております。それから個人が基準日において持つておりまする事業用資産のうちの家屋と非事業用資産につきましては、今年の一月一日以後譲渡、贈与又は遺贈があつた場合におきまして、みなす再評価が行われるということにいたしてございます。相続の場合にはみなす再評価を行わないということは、この前からそういたしておりまして今回も相続の場合はみなす再評価は行いません。その改正を八条の二項と九条でいたしております。なお基準日の当時には事業用資産でなかつたものを基準日後事業用資産にいたしたものにつきましては、再評価を行うことができるということを十条と、それから第十三条の四項で規定いたしております。 それから再評価の限度額につきましては、先ほど申上げましたように、土地と土地の上に存する権利につきましては勧銀の土地価格指数を基礎にいたしまして、前回のときの指数を十六割七分引上げたところまで再評価できるということにいたしております。それから個人の有する事業用産資のうち土地と減価償却資産以外のもの、それから非事業用資産で財産税調査時期後に取得したもの、これらは消費者物価指数で計算いたすことにいたしておるのでございますが、消費者物価指数が約二割上つておりますので、前の再評価限度額から二割引上げる。それからその他の資産につきましては、卸売物価指数で計算いたすことにいたしておりますので、卸売物価指数は七割程度上つておるのでございますが、御承知のように朝鮮動乱後の日本の物価指数の上り方は、諸外国の物価指数に比べまして相当高めであります。七割引上げということをそのまま認めるのは妥当でないというふうに思われますので、五割ということにいたしておるのでございます。ただこの五割の適用を受けますのは大部分が減価償却資産でございますが、減価償却資産につきましては、御承知のように取得時の取得価格に、取得時後今度の再評価の基準日までの物価の騰貴率を乗じまして、それから減価償却額を引いておりますので、五割と申しましても、その場合減価償却額を引かれますから、実際は五割までは引上げることになつておらないのであります。ただ計算の基礎を五割引上げて、それから減価償却額を引く、それで三年間の減価償却額が加わりますので、五割引上げということにはならないということになるのでございます。それから二十八年中に再評価する場合はそれでいいわけでありますが、二十九年中に再評価いたします場合におきましては、一年間の減価償却額を更に控除した額にする、そのために別表の第二と別表の第五というふうに、二十九年中に再評価いたします場合の再評価の倍数を違えておるのでございます。 それから前回提案いたしたときにはなかつたのでございますが、第三次再評価の場合の別表第一、或いは別表第二というふうな再評価の倍数の計算は現在の耐用年数表によつて作つておるのでございます。ところが昭和二十五年の再評価のときにおきましては、その当時の耐用年数を使つたのでありましてその後昭和二十六年と二十八年に耐用年数の改訂を行いましたので、その耐用年数の改訂によりまして、前の再評価のときの耐用年数よりも短くなつておる減価償却資産については、現在の短い耐用年数で計算いたしますと、先ほど申上げましたように、取得時の取得価格に物価騰貴率を乗じたものから差引く減価償却額というのは耐用年数が短くなればそれだけ多くなるわけであり、それが多くなりますと、再評価の限度額が低くなるという関係になるのであります。これにはまあいろいろの見解があろうかと思うのでございまするが、耐用年数の短縮を行いましたのが、先ほど申上げましたように二十六年でございます。その後実際短縮されました耐用年数によつて減価償却を行なつたのは二カ年足らずということになつておりまするので、その点からいたしますと、耐用年数が短くなつたからもうそれだけの減価償却額を全部引いていいということはなかなか言い切れないのではないか、というふうに思われますので、現在の耐用年数で計算せずに、そのときどきの耐用年数で計算した減価償却額を引こうということにいたしておるのであります。即ち十七条の一項の但書におきまして、そういうふうに前の再評価のときから耐用年数の短くなつた資産につきましては、第一次の再評価の限度額を一・五倍した金額から、その金額を取得価格と見て計算した場合の昭和二十五年一月一日以後第三次再評価を行うその再評価日までの償却額の限度額の累計額というものを控除する。従つて事業年度ごとに耐用度数がきまつておりますので、その耐用年数で計算した減価償却の限度額を引く。これは勿論会社によりましては、限度額一ぱい減価償却を行なつていない場合があろうかと思いますが、これは従来とも限度額を引くという計算をいたしておりますので、減価償却額の限度額の累計額を控除することができる。それによつて再評価の限度額にするというふうなことにいたしておるのでございます。但書でそういうふうになつておりますので、ちよつとおわかりにくいかと存じますが、御了承願いたいと思います。 それから、これは前回の提案の際にもあつたわけでありますが、企業合理化促進法とか、租税特別措置法に基いて特別償却をしておりまする減価償却資産についての第三次再評価の限度額の計算に当りましては、減価償却額のうちこの特別償却によつて増加した部分の額は控除するということにいたしております。これは十七条の四項であります。こうしないと二重に償却できることになるからであります。 それから個人のみなす再評価の場合におきましては、再評価差額から従来十万円を控除したものに対して再評価税を課税するということにいたしておつたのでありますが、譲渡所得の控除の引上げに応じまして、十万円というのを十五万円に引上げ、再評価の限度額を引上げるほかに更に小さな再評価差額の場合には再評価税をとらないし、又再評価税の負担の軽減を或る程度図ろうということにいたしておるのでございます。 それから第三次再評価税率は前回同様百分の六というふうにいたしておりまして、四十四条は改正しないで、そのままにいたしてございます。ただ再評価税の納付につきましては、あとで申上げますように、相当緩和して、できるだけ納付が容易になることによつて再評価が十分行われるようにというふうにいたしてございます。 次に、再評価の申告は従来通り、法人につきましては再評価を行なつた事業年度が終了をしてから二カ月以内にする。個人につきましては、減価償却資産については再評価を行なつた年の九月一日から十月三十一までの間にする。それからみなす再評価の場合には翌年に所得税の申告と一緒にするということを規定いたしておるのでございます。なお、再評価の申告につきまして、前回のときには固定資産税との関係がありまして、再評価を行わなかつた法人につきましても、申告書を提出するように規定しておつたのでありますが、その四十五条の七項を削除いたしまして、再評価を行わない法人は申告書を提出する必要がないということにいたしてございます。 それから再評価税の納付につきましては、先ほど申上げましたように、第三次再評価ができるだけ十分行われますように、法人の減価償却資産についての再評価税の納付の方法を緩和いたしておるのでございます。つまり従来でございますと、再評価を行いますと、第一年目に六%のうちの半分の三%、それから二年目と三年目に四分の一ずつ、つまり一・五%ずつ納めるということにいたしておつたのでございますが、最初の年度に三%納めるということになりますと、再評価によつて受ける特典が勿論あるわけでありますけれども、納めるほうが相当苦しいという事情がありますので、今度は個人と同様に法人につきましても五年間に均分いたしまして、一・二%ずつ納めればいいということにいたしておるのでございます。従いまして、一月にいたしますと、〇・一%ずつ納めればいいという計算になるわけでございます。それを五十一条の改正で行なつておるのでございます。従来の規定は相当複雑でありましたのが、今度は極めて簡単になつております。それから法人が再評価を行いました減価償却資産以外の資産再評価日以後五年を経過した日の前日を含む事業年度終了の目までに譲渡し、又は贈与しなかつた場合の納付の方法を改めております。譲渡又は贈与いたしました場合におきましては、それだけ所得が生じますから、その際に一度に再評価税を納めるわけでありますが、五年経つても贈与又は譲渡しなかつた場合におきましては、従来はその五年経つた事業年度のときに一度に納めなければならないとなつておつたのでありますが、そういたしますと、特に土地などにつきましては再評価が十分行われないという憾みがありますので、更に三年間分納を認めるということにいたしております。土地につきましては、実際は何十年先きになるかわかりませんが、譲渡したときに取ればいいじやないかという見解もあるのでございますが、余り長い期間放つておくということも適当でありませんので、三年間の間に分納してもらうというふうにいたしておるのであります。 それから再評価税の延納の規定につきましては、五十六条と五十八条で若干改正をいたしておるのでございますが、これは第三次再評価の再評価税も第一次及び第二次の再評価税と合せましてその再評価によつて減価償却が殖える額までの所得がないと延納ができるということにいたしてございます。ただ従来は第一次再評価のときの法人税の税率が三五%でありましたので、その延納ができるかどうかの計算の際に三五%で計算いたしておりましたが、今度は法人税の税率が四二%に直つておりますので、再評価によつて減価償却額の増額ができる計算を四二%の税率で計算して行くということに直してございます。そうして五年間に延納できるわけでございますから、昭和三十六年十二月三十一日を含む事業年度まで延納ができる、個人については三十六年までできるということにいたしておるのでございます。それから片一方では再評価税を早く納めて片付けてしまいたいというような向きもありますので、その場合には繰上納付ができるということを六十条で新らしく規定いたしてございます。 それから先ほど提案理由にありましたように、再評価積立金を資本に組入れることができるのを、従来は「再評価積立金として積み立てた金額からその納付すべき再評価税額を控除した金額の四分の三」ということになつておつたのでございますが、できるだけ資本組入れが容易にできるようにということで、再評価後直ちに組入れることができる限度額を十分の九に引上げ、そして十分の一のほうは再評価税を全額納付した後できるということにいたしてございます。それが百九条の改正でございます。それと同時に社債の発行限度の計算に当りまして同様に十分の九まで社債の発行限度が引上げられるということを百十二条で改正いたしてございます。 そのほか再評価税につきましても、重加算税の計算を簡単にする。それから利子税につきまして、三百円未満の利子税は取らないということにいたしてございます。これらは大体法人税、所得税と同様でございます。 それから、租税特別措置法はいずれ提案になりましてから御説明申上げることにいたしまして、特別減税国債法案について簡単に御説明申上げますと、特別減税国債は先ほど提案理由で御説明がありましたように、昭和二十八年に限つて二百億円を限度として特別減税国債を発行するのであります。そしてその収入を産業投資特別会計の財源に充てることになるわけでございます。 先ず第一条におきまして、発行することができる特別減税国債の利率は年四分で、償還期限は五年以内ということにいたしておりまして、又特別減税国債の応募者に対しましては、あとで減税の手続をとる関係からいたしまして、特別減税国債減税票というものを付けて応募者に渡すということにいたしております。それから特別減税国債を購入することによつて軽減を受けることができるのは所得税と法人税でございますが、先ず所得税の軽減につきましては、第二条で昭和二十八年分の所得税の二割を限度といたしまして特別減税国債の購入額の二五%に相当する税額を軽減するということを規定いたしまして、それから三条と四条と五条とでその場合の手続を規定いたしてございます。三条は申告納税の場合の所得税の軽減でございましてこれは予定申告の段階、或いは確定申告の段階におきまして、特別減税申請書というのを提出することによつて今申上げましたような減税を受けることができる。確定申告の場合にできるのは勿論でございます。 それから四条のほうの給与所得又は退職所得の場合におきましては、源泉徴収義務者を通じまして特別減税申請書というものを出しましてそれによつて源泉徴収税額について軽減を受ける。但し源泉徴収税額について軽減を受けることができますのは、源泉徴収額の二割を限度としておりましてそうして更に確定申告によつてその他の所得がありますれば、その他の所得を合せたところで二割の軽減を受けることができるということにいたしてございます。 それから五条は、予定申告の段階で軽減を受けた場合に、あとで災害などがありますと、所得税額が少くなるときがあるのでございます。そういたしますと、一旦減税を受けたけれども、その減税を受けた額が、先ほど申上げましたように所得税額の二割を限度するというその限度を超えてしまう場合があるわけであります。その場合に、それじや軽減し過ぎになつたからその税額を返せということにいたしますと、災害その他止むを得ない事情によりまして税額が減つたのでございますから、気の毒になる場合が考えられますので、その場合におきましては、そういつた部分につきましては、軽減を認めるということにしておるのでございます。 それから六条は法人税の軽減でございます。六条、七条が法人税の軽減でございまして、特別減税国債を購入した法人につきましては、特別減税申請書を出しましてその申請書を出したときに、購入額の二一%に相当する金額の法人税を軽減する。但しその軽減額というのは法人税の二割を限度にするということにいたしているのでございますが、事実上特別減税国債が発行されますのは、この法律が施行された後になりますので、この法律が施行されてから二十九年の三月三十一日までの間に申告期限が到来する法人税について、特別減税国債を購入した金額の二一%に相当する税額を軽減する。但しそういたしますと、六カ月事業年度の法人でございますと、この法律が施行されましてから来年の三月三十一日までの間に申告期限が一回しか来ない場合が考えられます。そういたしますと、個人の場合は昭和二十八年分の所得税の全額の二割について軽減を受けられる。事業年度が二回来るような法人につきましては、その両方の法人税について二割軽減を受けることができる。一回しか申告期限が到来しない法人でありますと、その一回分について二割だけしか軽減が受けられないということになりますと、権衡を失することになりますので、そういつた法人につきましても、昭和二十八年の四月一日から昭和二十九年の三月三十一日までの間、つまり、まる一年間の間に申告期限の到来する法人税の二割に相当する額までは軽減を受けることができるということにいたしてございます。六条の括弧の中でそういうふうに書いてあります。括弧が三重括弧になつておりまして、ちよつとわかりにくいと思いますが、そういうふうになつておるわけでございます。 それから七条のほうは、法人税の軽減を受けようとする場合には、特別減税申請書に個人と同様に、特別減税国債減税票というものを添えて、法人税を納付する日までに提出せよということを規定しております。 それから八条と九条は、特別減税国債を購入したものにつきまして、所得の計算などに特例を設けているのでございます。先ほど申上げましたように、特別減税国債の年利率四分、償還期限五年以内、それから又二五%或いは二一%の軽減ということによつて特別減税国債を購入いたしました場合の実質利廻りを計算いたしますと、結局個人でございますと、額面百円のものを七十五円で、また法人でございますと、百円のものを七十九円で買つたと同様の計算になりますので、それで利廻りを計算いたしますと、個人の場合には約年一割二分、それから法人の場合におきましては年一割五厘程度の利廻りになるのでございます。そこでその程度の利廻りを超えるような結果になりますと、余り有利に過ぎるということになりますので、法人が特別減税国債を購入いたしましてから四年以内にその特別減税国債を売るということになりますと、最初購入したものはすでに法人税の軽減を受けているわけでございますが、二度目に購入するものはもうすでに特別減税国債減税票というものが使用済でありまして減税を受けることができません。そこでその場合の値段というのは当然下るということになるわけでございます。その値段が幾らになるか、なかなか計算ができにくいのでございますが、少くとも法人の場合でありますと、二一%の税金の軽減を受けますから、額面額の百分の七十九よりちよつと下るということになろうかと思うのでございます。そこで特別減税国債を発行いたしましてから一年以内に譲渡した場合には、その譲渡価額が額面価額の百分の七十九を下廻る場合の、その下廻る額だけは損金に見るけれども、額面金額と百分の七十九までの間であれば損金に見ないということにいたしているのでございます。それが一年を経過して二年になりますと八十五、二年以上になりますと九十、三年以上になりました場合には九十五というふうに、今の七十九というのを直してございますがこれはだんだん償還期が近づくに従いまして値が上つて参りますので、そういう計算にいたしているのでございます。それぞれの額を下廻つて売れたときにだけ損金にするが、それを上廻つたときには損金にしないということになるわけでございます。それから法人が特別減税国債を購入いたしまして、法人税の軽減を受けた特別減税国債を評価減いたしました場合におきましては、これは四年ということでなしに、償還を受けるまでの間に評価減を行いました場合は、すべて評価減はこれは損金にしません。若しこれを損金に算入いたしますと、先ほど申上げました一割二分或いは一割五厘という利廻りが、減税が更に多くなりまして利廻りが高くなりますので、その程度に制限するということにいたしておるのでございます。それからやはり同様に特別減税国債を購入して減税を受けた法人、個人が特別減税国債について価格変動準備金を設けるという場合におきまして、この場合には御承知のように価格変動準備金は時価の九五%と帳簿価額との差額について設けることができるわけでございます。その時価というのを、今申上げましたように七十九円とかいうことになりますと、相当差額が出て参つて、また利廻りがよくなり過ぎることになるのであります。そこで購入価格を時価と見て、百円で購入したものにつきましては、百円と九十五円との差額の五円分についてだけ価格変動準備金を積立てることができるけれども、七十九円の九五%までは見ないということにいたしておるのでございます。 それから十条におきましては、特別減税国債を購入いたしますと、所得税、法人税の軽減を受けるわけでございますが、その所得税、法人税を申告はしたけれども滞納しておつたとか、申告が少なかつたとかいうような場合には、あとで利子税の計算をするとか、過少申告加算税、無申告加算税、或は重加算税額の計算をいたします場合におきましては、その軽減されないところの税額を基礎にして計算するということにしておるのでございます。 そのほか細かい減税を受けるときの手続の規定は政令に委任してございます。 以上六法案につきまして内容の説明をいたしました次第でございます。
○委員長(大矢半次郎君) 以上六法案の質疑は都合によりまして後日に譲ります。 —————————————
○委員長(大矢半次郎君) 次に国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律案を議題といたしまして、質疑を行います。
○小林政夫君 前回主計局長が御不在のために質疑を保留しておいたのですが、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律の適用を排除して法人に特別な財政援助をする。この対象となつておる会社というものの資料を要求したのでありますが、一応私はもらつておりますが、皆に配つてありますか。一応話を進める都合上、これは主計局長からでなくても法規課長でもいいですが、何と何の会社に適用されているかということを言つて下さい。
○政府委員(白石正雄君) 法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律の第三条に対しまする例外規定を現在まで設けておりまするが、その規定といたしましては、只今お配りしておりまする刷りものの中に載つておりますが、電源開発促進法の第二十七条にその規定があります。それから日本電信電話公社法の六十二条に同じ規定があります。それから国際電信電話株式会社法の第八条にあります。現在その三つがその例外規定に相成つております。
○小林政夫君 国民金融公庫及び農林漁業金融公庫については、一般の法人とは違つて政府の助成によつて貸付利率等を特別に安くするということができることになつております。一つの特別なる法人に対して政府の財政援助という点から行くと、これも財政援助なんです。ですが、そういうことについてはこの法律の適用を排除せずにこういうことが講ぜられるということはどういうわけですか。
○政府委員(白石正雄君) 国民金融公庫法の第二十二条の二には、貸付金につきまして政府が国民金融公庫に対してなすところの貸付金につきましては、利息を免除し、又は通常の条件より公庫に有利な条件を付することができるという規定がありまして、お説の通り、これは一つの財政援助であると申さなければなりません。併しながら法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律に関しましては、特殊法人に対しまする政府の財政援助を禁止した趣旨から成立つている法律ではありまするけれども、これは三カ条明文がありまして、その第一条におきましては、いわゆる配当の平等、第二条におきましては配当を一定の割合に達せしめるための補給金の禁止、第三条におきましては、只今問題になつておりまするところの保証契約の禁止という、こういう三点について規定をしているわけであります。従いまして、国民金融公庫法の第二十二条のような条項につきましては、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律の適用はないわけでありまするので、その適用の排除を規定していない、こういうことになつているわけであります。
○小林政夫君 そこで主計局長にお尋ねしますが、成るほどこの法文の条章にはないけれども、明らかに政府の財政援助をやつている。で、そういう法律があつても、そういうことが一方においてはただ条章に当らないからということで行われる。その条章に合致するもののみについて排除するというようなことであれば、この法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律を制定した趣旨から言つて、そういう特別な無利子の金を貸すとか、或いは貸付条件を緩和するとかというようなことも一般的には排除するという改正規定を、この法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律の中に入れるべきである、若し置いておくならば。併し今の実際を見ると、政府がやりたいと考え、国会がそれに賛成をすれば、一応こういう法律があつても無意味であつて、何でもやれるのです。特にもう原則として絶対にやらないということなら、こういう法律があつても意味があるだろうけれども、だんだんその範囲が拡まつて来て、今もすでに三法人について行われておる。又今後その範囲を拡張する含みがある。そういうようなことについて、この法律についての取扱について一体主計局長はどういうふうに考えますか。
○政府委員(河野一之君) これは甚だ御尤もな御意見だと拝聴するのでございまして、この政府の財政援助の制限に関する法律というものは、実は新憲法施行前、財政法前の法律であるのでございます。これは御承知でもございまするが、戦時補償の打切りの一環として司令部の占領時代におけるメモランダムでできました法律でございまして当時戦時中の法令といたしまして満鉄でありますとか、その他特殊会社につきまして、劣後配当、政府に対して劣後配当するといつたような規定もございましたし、それから配当補給金をやるといつたような規定もございました。それから債券について元利保証をするとか、或いは政府が又公共団体に対して中小企業の損失補償をする。これは予算外契約でやつておつたのですが、こういうものを一切合財打切つてしまう、こういう趣旨でできました法律でございまして、その後におきまして憲法もできまして、すべて財政については国会の議決に基くということになりましたし、又財政法におきましても、財政の基本法としまして、今小林さんのおつしやつていましたように利息の免除、或いは国の債権の条件を変更するには法律に基くことを要すると、こういうふうな基本方針が出ました結果、この法律の当初の目的はすでに達成いたしまして、新たなる事態からいろんな必要が出て来ているわけであります。併し形式的にはこの法律が生きております関係上、今申しました三公社について、この規定にかかわらずというような規定をせざるを得なくなつておるのでございまして、これは大分情勢も変りましたので、これを最近の機会におきまして廃止をいたしたい。実はそう考えているわけであります。ただ今までいろいろ議会も、この政府が保証いたすとか何とかというのは、この一両年ちよつと問題になつて参りましたので、この法律を廃止いたしました結果、まだそういつた特殊会社に対する……閉鎖機関として指定されているわけでありますが、これが清算の結了しないものもございますし、若しこの法律をそれまでに廃止いたしました場合に、そういつた関係においてどういうことになるものだろうかというような、法律的な疑義も多少ございましたので、ここ数年こういうことでやつて参りました。小林さんのおつしやる御議論は誠に御尤もでありまして、今後のものとしましては、こういうものは個々に法律なり、或いは予算外契約で国会の御議決を頂かなければできないことでありますので、この法律を廃止しても差支えないと思います。最近の機会においてそういうような措置をとりたいと考えております。
○小林政夫君 それでは只今の主計局長の説明によつて私は了承をいたします。成るべく早く整理を願います。 次に、この予算書にある五百八十八億、二十八年の一般会計予算の元本については五百八十八億、利子及び手数料の債務について四百八十八億ということになつておるが、この利子及び手数料が非常に元本に比べて多いのですが、暫定予算の場合においてもそうですが、これの計算の基礎を明らかにして頂きたいと存じます。両方説明して下さい。暫定予算のほうで百四十八億に対して利子及び手数料が百十一億、本予算のほうでは五百八十八億に対して、利子及び手数料が四百八十八億。
○説明員(大月高君) お答え申上げます。只今の暫定予算における総則第六条におきまして、元本については、百四十八億円、利子及び手数料の債務については百十一億円を保証する、こういうことになつております。この計算の基礎は百四十八億につきましては四千百二十万ドルであります。今般の火力関係の借入れの元本に相当するわけでございます。で、その計算の基礎といたしましては、その下にございますように基準外国為替相場で換算した金額になつておりますので、三百六十円レートで計算してあるわけでございます。この計算の基準といたしましては、二十五年間借りるといたしまして、年五分の割合で借りる、こういう計算の下に百十一億という数字が出ているわけでございますが、そのうちで利子及び手数料と書いてございますこの手数料と申しますのは、世界銀行から開発銀行が借入れの契約をいたしまして、それから現金が出るまでに若干の日にちがかかるわけでございます。その間もやはり承諾の手数料といたしまし七、若干の金額は払うわけでございますが、それは形式上手数料という名目になつておりますけれども、実際には借入契約ができましてから償還するまでの利子に実質上相当するものでございますので、そういうものを全部含めまして年五分と、こういう計算で百十」億の数字が出ているわけであります。それから一般会計の予算総則第九条におきまして五百八十八億円、四百八十八億円の数字がございますが、これはやはり計算の基準は同様でございますけれども、元本におきまして火力関係の四千百二十万ドルのほかに、現在水力関係で希望いたしております一億二千万ドル、この分を加えたものを円貨に計算したものが五百八十八億になつているわけでございます。利子及び手数料の四百八十八億は、その全体の元本に対しまして、今のような計算で払うと、これだけの計算になります。
○小林政夫君 手数料と利子とのなにはどうなつているのですか。手数料はどれだけですか。手数料というのは誰に払うのですか。「
○説明員(大月高君) 具体的な問題といたしましては、借入人でございます日本の開発銀行が世界銀行に対して払う手数料でございます。手数料だけといたしましては、年七厘五毛の計算になります。
○小林政夫君 世界銀行に対して手数料七厘五毛を払う、利子も世界銀行に対して払うのでしよう。手数料と利子とを世界銀行が区別するのはどういうわけですか。東条さんから……。
○政府委員(東条猛猪君) 今の大月課長からの説明の通りでありまするが、具体的に手数料と申しますのは、借入契約が整いまして、実際の現金が引出されるまでの間、いわば世界復興開発銀行といたしましては、資金の用意をいたしておるわけであります。それをこちらが現実に使いませんが、借入契約が成立いたしまして、現実の資金の引出しが行われますまでの部分を、いわゆる手数料と世界銀行のほうでは呼んでおります。実際のレートで言いますと、それが七厘五毛でございます。現実に資金の引出しが行われましでからの元本の金利は年五分ということに計算してある。併しながら事実問題といたしましては、どの期間が七厘五毛であるか、或いは五分でありますか、これは今後の契約の内容によつてきまる問題であります。
○小林政夫君 七厘五毛の分も、七厘五毛に実際はなるべきものも、一応五分として計算していると、こういうことですね。手数料の原語は何ですか。
○政府委員(東条猛猪君) 実は今手許に和文しか持つておりませんので、間違つておりましたらお許しを頂きたいのでありますが、コミツトメント・チャージというのが英語だつたと思つております。
○小林政夫君 先般緑風会で電源開発株式会社当局の説明を聞いた際にも、この火力発電施設のほうは、一応契約は確定したようであるが、水力発電のほうの関係は現在政府は交渉中であつて、まだはつきりはさまつておらない、こういうように聞いたわけなんです。その点はきまるであろうという前程の下に、きまつてもやれると、併しまだはつきり一億二千万ダラーのものが借りられるかどうかということについては、現段階においてははつきりしておらないのでしよう。これは政務次官に……。
○政府委員(東条猛猪君) 便宜お答え申上げますが、あと政務次官が参りましてから本格的に申上げます。火力発電関係のほうの約四千万ドルにつきましても、現在のところではまだ契約は成立を見ておりません。只今開発銀行のほうから部長が二名行かれまして、三電力会社の代表と一緒に今ワシントンで交渉をいたしております。勿論大使館とも連絡をいたしまして交渉をいたしております。従いまして、契約も成立しておりませず、具体的な条件等もまだ決定は見ておらないわけであります。それから水力発電のほうでございますが、これはお言葉のございました通り、政府といたしましては水力発電の系統の資金の借入を是非実現をいたしたい、こういうことをかねて説明をいたしております。しておりまるが、この火力発電のほうは私ども近い将来に実現を見るという機運が非常に濃いというふうに考えておりまするが、水力発電につきましても折角努力いたしておりまするし、国際復興開発銀行のほうも十分日本側の説明もいろいろ聞いてくれておりまするけれども、この席を以ちましてはつきり成立の可能性ありということを政府として断言いたすまでの運びには至つておらない次第であります。
○小林政夫君 それにしては手廻しがよいと、今のような説明を聞いて思うのですが、常にまあ吉田総理は施政方針演説にまで、いつだつたか、この電源開発株式会社ができる前の施政方針演説で、外資導入をやりますと、こういうことを言いながら、今日までやつとこのケースが最初のケースである、そういうことであるのだが、まあえらい手廻しがよいと思つているのですけれども、どの程度の確信があるのか、一ぺん政務次官に聞きたいのです。
○森下政一君 その間に……今お話になつた手数料ですね。それはなんですか、そうすると一ぺん切りのものですか。
○政府委員(東条猛猪君) 先ほども申上げました通りに、借入契約が整いまして、実際の金を引出すまでの間の、いわば繋ぎの部分の期間の分でございますから、その意味におきまして、まあ一回限りと言えば言えるわけでございますが、若し契約の内容といたしまして四千万ドルを或る程度分括して引出す、無駄な金利は払う必要はございませんから、分括して成る程度引出すという話合いになりますれば、又一回限りでなくて何回も又起こるということになります。要するに借入契約が成立いたしまして、現実にいつ金を引出すということをいたしましたのにかかわりませず、契約が成立して、そのときまでの間の経過期間に関するいわば一種の金利なんです。そういうふうにお考え願いたいと思います。
○小林政夫君 関連して……。銀行局長に聞きますが、輸出入銀行が第三十九条によつて政府から借入をすることができる、こういうことになつておるが、これで一般会計から輸出入銀行が若し借入をしようとする場合においては、予算総則等においても一応こういうような……まあこれは違いまするけれども、幾ら幾らの金額は二十八年度において輸出入銀行に貸すことができるという総則か、そういうような予算措置が講じられなければ、一般会計からの資金を借入れるということは空文になるのではないか。
○説明員(大月高君) 御案内の通り昭和二十八年度の予算におきましては、輸出入銀行に新らしい財政資金を、出資の形におきましても、借入の形におきましても、投入する条件になつておりません。従つてそういう規定は入つておりませんが、仮に何らかの形で政府からの借入をいたしまする場合には、予算総則に載せましてそれと共に一般会計から出しまする場合には、一般会計の歳出として当然その金額は予算の中に含まれる、こういうことであります。
○小林政夫君 はつきり貸す金額が百億とか五十億とかきまつているときは別なんです。ちやんと歳出になるのはこれは当然。が、要るか要らないかわからないが、まあ借りる場合もある。資金繰りの都合で輸出入銀行でうんと仕事が殖えて行き、借ろうという場合に、一般会計からも出せるという措置を講ずるためには、これだつて今のことだつて実際のケースが起るか起らないかわからない。だからそういう場合にはやはり予算総則で、百億なら百億、或いは二百億なら二百億は輸出入銀行に貸し得るという不確定な貸付を規定する場合においては、そういう予算総則でやるべきだと思うのだけれども、その点はどうですか。
○政府委員(白石正雄君) 只今の御質問に対する正しい答えになるかどうかわかりませんが、三十九条の趣旨は政府が日本輸出入銀行に対して資金の貸付をすることができると、こうなつておりまするから、政府といたしましては一般会計から貸付をやることもできますし、或いは資金運用部等の資金を貸付けることもできるわけであります。従いまして、一般会計から貸付ける場合におきましては、歳出予算を通じなければできないわけでありまするが、資金運用部の場合におきましては、予算に関係なしに支出できるということに相成るわけであります。従いまして三十九条の規定はこれ自体としては一応これで適当であろうかと考えるわけであります。
○小林政夫君 その適、不適を言つているわけじやないので、資金運用部資金からは当然借りられるが、一般会計からその弾力性を持つた借り方をするということを予算措置でどうやつたらできるかということを言つておるわけです。だから総則でやつておけば、まあ例えば政府余裕金がある、自然増収があつたというような場合に、その総則の定めた範囲内においては、百億でも五十億でも二十億でも出せることになる。その必要が起つた場合には必ず予算の歳出に一々上げなければならない……。それで弾力性のある規定の運用ができないものかということです。
○政府委員(白石正雄君) 一般会計の歳出から貸付をやるということに相成りますれば、これは必ず歳出予算に計上しなければできないと考えます。ただこのことは、単なる法律問題として議論いたしますならば、予備金の中から、若し輸出入銀行に対する資金の貸付が非常に緊急を要するもので、予備金支出を適当とする、こういう事態は先ず予想されないのでありますけれども、若しそういうことが予想されるといたしますれば、予備金支出でやるということにすれば、これは或いはできるかと考えるわけでありますが、併しそういつた支出は恐らく予備金の支出としては適当ではなかろうというように考えるわけであります。従いまして、先ず原則とい しましては歳出予算に計上しなければ資金の貸付はできないと、こういうように考えるわけであります。
○小林政夫君 そうすると、銀行局長にお尋ねいたしますが、これは一般論だからそのつもりでお答えを願いたい。輸出入銀行が若し今の二百十億の金では少い、どんどんプラント輸出ができて、どうしても二十八年度中にもう百億ほど金が欲しい、百億でも五十億でもいいですが、とにかく欲しい、併し資金運用部資金も金がない、こういうような場合には一体どうしたらいいか。今度緊要物資輸入基金特別会計法を改正して、十五億取上げて二十億になる、併し必要な場合には債券を発行して一時補足する、こういう規定がある。そういうようなやはり輸出入銀行債券を発行して調達すること以外に弾力ある資金の調達ということはできないものかどうか。
○政府委員(河野通一君) 国内に関する限りにおきましては、今現行法として政府からしか資金の借入はできないわけであります、そういたしますると、債券を発行いたしましても、結局それを引受けるのは政府が資金運用部等の特別会計に入れまして、政府の機関でないとこれを引受けるわけには参りません。そういたしますと、債券の発行という途を認めましても、政府からの借入金しかできない場合におきましては、政府の一般会計だけでなく、政府のすべての資金の収支から見て余裕があるかないかということにかかるわけであります。それから形式的には先ほど申上げましたように、予算総則に借入の限度を誰つておりますので、二十八年度予算には、ございませんけれども、本来であれば謳うべきもので、その謳う場合に、これは政策論でありますけれども、非常に大き目にとつておく、まあ五十億くらい要るか要らんかという場合に、例えば五百億借入れられるという規定を置くといたしますならば、これは余りに不確実なことを予算総則に書くということもこれは適当なことでない。やはり程度問題であろうと思いますけれども、相当に確実性がないとそういうことは書けないのじやないか、そういたしますと、やはり具体的にはそういつた必要が起つて参りますれば、国会に諮つて予算の総則なり或いは歳出の規定の中に、新らしい資金の需要が要る場合にはそれをちやんと掲げてそうして国会の議決を得た上でそれを施行するというふうにいたすのが適当であろうと思います。現行法としてはそうせざるを得ない、かように考えております。
○小林政夫君 それは今の私の設けた仮定を前提として債券を発行するということになれば、三十九条を改正しなければならんと思います。そういう輸出入銀行のような政府機関が債券を発行するという場合に、三十九条の改正をするときには、一体借入先、債券の調達先というものをどういう範囲まで拡げられるとあなたはお考えですか。
○政府委員(河野通一君) 私は、借入先が政府機関に限つております場合におきましては、恐らく債券を出すということは余り意味ないと思います。然らば開発銀行とか輸出入銀行等の政府機関が、大体これは金融機関だと思いますけれども、民間から債券の形で資金を集めることがいいか悪いかの問題にかかつていると思います。現在の金融財政の状況から見ますると、私どもは政府の金融機関がいろいろな仕事をやつて参りますための財源は、やはり民間からこれを吸収するという形は面白くないのじやないか。これはこの法律にも書いてあります通り、原則はできるだけ民間の資金を集める、それは民間の金融機関によつてやつて行く、それが民間の関係でできない場合におきまして、初めてこれを政府金融機関がその民間の金融機関を補完するという立場においてこれらの金融でやつて行くという建前になつておりますから、その資金を民間から集めて、それを金融の補完作用としての政府金融機関がその金を使つて行くということは、少くとも現在のように市中金融が非常に詰つておる場合においでは、私は適当でないと考えます。併しこれは財政金融の状況が変つて来ますれば、非常に資金がダブついて来るという場合においては、場合によつては市中金融機関はやらない。併し金が余つておる場合には、それを債券の形を通じて政府にその金を吸い上げてもらつて、それを市中の金融機関が融資をいたさないような種類の融資先にこれを投資するということはあり得ると思いますけれども、現在の財政金融の状態においては、そういうことは適当でないと私どもは考えております。
○小林政夫君 私は輸出入銀行が若し債券を発行する場合というか、本来財政資金として持つておる資金以上に資金需要が起つた場合、その金を調達すると言つても、これは二十八年度に起つたとすれば、それが二十八年度、つまり二十九年三月三十一日まで繋ぐつもりで金を調達する。それだけのものは次の二十九年度の予算において一般会計その他政府財政資金で埋めす行くという考えを以て、一時的なその間の繋ぎの金を調達するという方法として、今のようなことを尋ねておるわけです。そうずるとどうも私の考えるところでは、日銀引受という手がよいのじやないかというような気がするのですが、そのほかの方法がありますか。
○政府委員(河野通一君) 年度内の資金の需要と申しますか、不足をいたしました場合に一時借入をするということは、その限りにおいて年度内において片付く場合においては、現行法ではできませんけれども、立法論としては考え得ると思います。併し御承知のように、開発銀行にいたしましても、輸出入銀行にいたしましても、その融資の期限というものは相当長い。従つて短期の商業金融をやつて参ります場合には、それは年度内には還つて参りますから、その資金を、更に年度内に帰つて来た回収金で以てその短期証券を還すという操作がこれはできると思う。併しこういうような開発銀行とか、輸出入銀行のような長い資金を融資しております場合には、年度内に一時繋いでおいて還すということは、これは事実上できないと思います。そうすると、二十九年度以降に対する財政負担、これは一般会計の負担に限りませせん。或いは政府資金に繋がるかも知れませんが、そういつた長い負担を将来にかけることになるわけであります。そういつた場合には、私はこれらの金融機関の長期の金融をいたしておるという性質から見て、そういつた短期で繋ぐということは適当であるかどうか、私は非常に疑問に思つております。これは特に国民金融公庫等の中小企業金融につきましても、政府機関につきましても、やはり同じ問題があると思います。一時繋ぎますことは、その年度内の財政によつて必ず長期の資金に置き換へられるといつたようなことでもありますならば、私はこれはできると思いますけれども、来年度の予算は御案内のように、私が申上げるまでもなくこれは全体の収支計画を見た上でないとこれはなかなか言えません。これは来年度に亘つて必ずそれだけのものを財政投資として追加しなければならんという見通しを立てる、つまりいわばその限りにおいては二十九年度の予算を縛るという結果に事実上なると思います。そういうことが果してこういう長期の金融機関の場合においては必要であるかどうか、私は疑問であると考えております。
○委員長(大矢半次郎君) ちよつと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(大矢半次郎君) 速記をつけて。
○野溝勝君 二、三それではお伺いをいたします。 最初国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律案ですが、先般開発銀行の頭取から一応お話を聞いたのでございますが、大体事務的な話でございまして、この法案そのものの性格並びに運営等に関しましては、質問を政府当局にお聞きしたいと思いまして留保しておきました。そこでこの復興開発銀行等からの融資受入ですが、これは政府の保証にきものでりまして、ますます日本の税収入とも睨み合せまして非常に私は深刻にこの問題を考えなければならんと思つております。そこで取りあえずお聞きするのでございますが、大体この借入の対象とも成るべき為替の問題につきましては、依然として三百六十円というものを骨子において考えられておるようでございますが、すでに政府におきましては、この為替の改訂と言いましようか、為替問題につきまして、特に検討をされておるやのことが。新聞にも伝わつて出たのでございますが、こういう問題はすでに勘定済の上に立つてこの外資の受入に対する考えを特つておられたのですか、その点をちよつとお聞きしておきたいと思います。
○政府委員(東条猛猪君) 外資導入と、為替相場の関係についてのお尋ねでございますが、先般の大蔵大臣の財政演説にもございましたように、政府といたしましては、現在の三百六十円の為替相場を改訂するということにつきましては全然考えておりません。従いまして、この本件の外資導入の問題につきましても、為替相場につきましてては、当然変更という事柄を考えないで、すべての事柄を考えておる次第でございます。
○野溝勝君 そうすると、朝鮮の休戦の具体化に伴つて、我が国の外貨収支の先行きが相当問題になつている際、特に在日外貨を含む為替管理、為替管理と言いましようか、銀行間の外国為替の取引ですね、こういう点は非常に貿易収支の逆調を反映すると思うのです。そういう点からみると、私はこの輸出入銀行の問題にしろ、開発銀行が中心になつてこの受入をやる場合に、輸出為替の売物が少いために、需要が多くなつたにかかわらず出合いが極めて不円滑になる。そうするとドルやポンドに大きく乱調と言いましようか、相当変化を来して来ると思うのです。そういう点についてもこの為替問題については考える必要がないとお認めになつておられたのですか、その点を一つお聞きしておきたいと思います。
○政府委員(東条猛猪君) 朝鮮休戦の見通しが実現性が非常に濃くなつて参るというような事態に顧みて、日本の貿易関係、或いは広く国際収支の関係等において相当政府として戒心して措置しなければならないのじやないかという御趣旨を中心としてのお尋ねでございますが、仰せのように、現在の日本の国際収支が多少の受取超過になつており、或いは収支の均衡がとれておると申しましても、駐留軍関係、特需に基くところの貿易外の収入が非常に大きな取勘定のウエイトを占めておるということはお話の通りでございます。で、只今まで政府部内でいろいろ検討をいたしました結果によりますと、昭和二十八年度の国際収支の見通しとしては、この駐留軍関係或いは特需等の関係約七億ドルを見込みまして、国際収支はとんとんであろう、かような見込を立てておるようなわけであります。従いまして、今野溝委員のお話のような正常な輸出に大いに努力をしなければならんということになつて参るわけでありまして、この点はこの正常輸出に非常な力を尽さなければならんということはまさにお説の通りでありまして、関係大臣のいろいろの機会における発言にも現われておりますように、成るべく良質の品物を安く生産いたすことができますように、合理化でございますとか、或いは設備の近代化、そういうような基本的な点にもいろいろと努力しなければなりませんし、又財政金融の全体の基調をこの輸出振興という観点に置かなければならんということも、関係大臣から御説明を申上げた通りであります。又この輸出振興のために輸出入銀行法の改正でありまするとか、或いは設備輸出為替損失補償法でありまするとか、或いは輸出信用保険法でありまするとか、いろいろの改正をお願いをいたしておりますることも御承知の通りでございます。そこでそれらの輸出の努力は大いにいたすわけでありまするが、当面先ほどのお話のように、国際収支の先行き等を見て、思惑その他で輸入為替に殺到し、輸出入の出合いがつかなくなるようなことはないかという点でございますが、そのために御承知の為替管理があるわけでありまして、貿易及び貿易外を通じまして、運用よろしきを得て、さような思惑が殺到いたしても、輸出入の出合い、或いは受取り、支払いの出合いがつかないようなことにならないように為替管理の運用に万全の注意をして参らなければならないと思います。くどくど申上げましたが、昭和二十八年度の見通しとしては、何とか収支とんとんまで持つて行けるのじやないか。併しながら輸出の振興につきまして格段の努力を要しますることは御指摘の通りでありまするし、受取り、支払い為替の出合いがつかなくて、その結果為替に圧迫を来さないようにいたしまするためには、為替管理の運用に万全の注意を期して参りたいと思つております。
○野溝勝君 今東条さんの御説明を聞いておりまするというと、誠に尤もらしく聞えるのでございますが、まあ政府で発表されたこの資料の中にも、実際問題として銀行間の為替取引というものは円滑に参つておらないのです。この五月のまあ取引状況の、何と言いますか、銀行の調べを見ても、東京ではドル為替の出合いは、月の出合いは約百四十四万ドル、ポンド為替が約二十二万六千ポンド、括弧して、約六十三万三千ドルと書いてあります。大阪ではこの三分の一以下となつており、ドル、ポンド合計した取引は一日平均十万ドルを下廻つている、こういう数字が出ておるのですね。この数字は当らずとも遠からずと思うのですが、特に専門家の最も新しい資料を持つておられる為替局長さんにお聞きするのですが、その点は如何でございますか。
○政府委員(東条猛猪君) お答え申上げます。只今野溝先生のお話の数字はインター・バンクの為替取引の数字をまあ捉えてのいろいろのお話と思いますが、今更申上げるまでもなく、インター・バンクの取引は結局銀行と顧客との為替取引のいわば裏を反映いたす取引であります。最近の状況におきましては、まだ為替銀行の、インター・バンクの為替取引は遺憾ながらまだ十二分の活動をいたしておるという……インター・バンクの取引が銀行対顧客の取引をカバーして遺憾なく機能を果しておるという実情には参つておりませんことは、これは事実でございまして、この点は御指摘の通りだと思います。ただ先ほどの本邦のこの国際収支全体を通じて、受取り支払いの出合いはなかなかつかないのではないかという点に関連をいたしまする最近までの数字を、この銀行対顧客のいわば本邦の国際収支の実態を現わす数字を申上げますると、昭和二十八年の四月から大月の上旬までの為替銀行の窓口の為替扱いだけを申上げますると、受取りにおきまして、これはドル、ポンド、オープン決済地域を通じてでありますが、受取為替が四億百万ドル、それに対しまして同じく四月から六月の上旬までの支払為替の合計額は四億九千二百万ドルに相成つております。従いまして、この間に約九千万ドルの支払為替の超過が起つております。この四月から大月の上旬までにドル、ポンド、オープン地域を通じまして九千万ドルの支払超過になつておるということは、私どもといたしまして非常に実は注目をいたしておりまするし、こういう事実が現われておりますればこそ、先ほど来申上げておりまするように、是非とも貿易の拡大均衡という意味におきまして、この輸出振興には大いに皆様がたの御努力を必要とする、又政府としましても、できるだけの努力を払つて参らなければならんということを申上げた次第でございます。
○野溝勝君 これは為替局長さんでも銀行局長さんでも、どちらでもいいのでございます。どうでしようか。私まあ専門家でないからよくわからんのですが、実際まあ正常輸出と言いましようか、正常輸出というものが今の私どもの見当では到底それはできるものじやないと思つています。なかなか容易でないと思つています。そこでまあ何と言つても政府がたびたび発表しておりまする年度間における輸出入貿易の額でございますが、どの大臣も数字だけは出してくれるのですが、それが予定通り一つも行つておらない。まあ数字は勝手に手でできるものだから、どうでもいじることは御自由だから簡単ですが、実際私はさようなことに対して、皆さんとは言いませんが、よく恥しくなく、まあそういう数字を出せるものだと思つているのです。まあいつのときでもそうですが、輸出入貿易計画の数字のバランスが立てては崩れる、こういう姿は、実際誰がこういうものを策定するのか知りませんが、実際まあ内閣ができるそのつど大蔵大臣が変わるのでよろしいが、これが長年勤めて来た大臣であるとすると、全く恥かしくて私はその席におられんのじやないかと思います。今東条さんがお示しになりました、又七億ドル特需の問題を出しておりますが、一体八億何千万の特需があつたものが七億の特需でそれが正常貿易に復活するなんて考えれば、それは又ちよつとおかしいと思う。更に何と言つても原料関係においても依然として高相場を続けられておる。更にバトル法の改正も完全にできておらない。東南アジアへの貿易をやると言いましても、大体ポンド地域になる。なかなかそう簡単には伸びないと思う。それじや中国貿易、我々は中国貿易中国貿易と言いますが、そんなに私どもも過大評価しておりません。けれどもまあいずれにしても安い原料を何とかして入れたい、そうして貿易を正常化して行きたい、こういうことも考えておるが、これもなかなか容易でない。してみると、そのしわ寄せをどこへ持込むかというと、やはり為替問題ということを何とかこれは考えなければならんのじやないか。こういう私どもは深刻な場面にぶつかるのでございますが、そういうことに対してこれは為替局長さんでも銀行局長さんでもどちらでもよろしいが、一つ常識的に素直なところ、政策的でなくて実際に何とかしなければならんというような考えが、良心的な皆さんの中から私は案件としても相当まあ課題になつておるのじやないかと思うのですが、こういう点について一つお示しを願いたいと思います。
○政府委員(東条猛猪君) お答え申上げます。政府で立てておりまするところの国際収支の見通しが、年度当初に立てたものと実際のバランスを突き合してみると、非常に食違いがあるじやないかというお叱りでございますが、この御指摘に対しましては誠に仰せの通りで恐縮に存じます。ただ野溝委員御承知のように、国際収支、特にこの貿易の問題はやはり一つの商売でございましているく海外の事情が今日のように変転いたして参りますると、購買力の関係から申しましても、或いはマーケットの関係から申しましても、或いはいろいろの相場の問題からいたしましても、なかなか年度の当初にこの程度の輸出貿易は是非達成したいものだ、或いはこの程度の輸出貿易は行くであろうという確信を持つて作りました数字が、その後の情勢の変化によりまして、一結局当初の目標が目標に終り、或いは輸出計画が達成できないということも、これは何分広い又いろいろと模様が変りまする国際情勢を相手にしての取引の問題でございまするだけに、何ともしがたい面も相当あるということを御了承頂きたいと思います。 それから為替相場の問題でございまするが、よく只今の仰せのごとき再検討したらどうだという御意見を拝聴いたすのでありますが、私どもといたしましては、為替相場を改訂いたしましても、その効果は極めて一時的であり、又日本のような貿易構造の国におきましては、結局仮に切り下げをいたしましても、廻り廻つて輸入原材料も又価格の値上りを来すというような事情も、ございまして、それらの効果は極めて貿易の面から考えましても、一時的にとどまる効果しか持たないのではなかろうか。いわんや為替相場の改訂に伴いまするところの財政金融、或いは各種の物価全般に及ぼしまするところの影響を併せ考慮いたしますると、現状におきましては、先ほども申上げましたように、為替相場の改訂ということはとるべき策でないというふうに事務的にも考えておる次第でございます。
○野溝勝君 そこで私はまあ為替の問題とは少し違うかも知れませんが、先ほど同僚小林さんからもちよつと質問に触れておつたように見受けますが、大体この輸出入銀行法の一部改正の法律案の内容を見ても、又この間示された資料の中から見てもですよ、実際において現在の銀行の取扱は五十二億なんですね。そうするとまあ二百億からの見通しを両方計上しておりながら、まあ如何に行つても四分の一ぐらいの量ぐらいが動いておるだけなんですね。で、こういうことはまああとで同僚小林委員から詳細に質問なり意見があると思うのですが、この点から見ても、政府はでたらめと言つてはまあ失礼でございますが、とにかくどうも余りにもその数字の違い過ぎるものが計上されて、更にこんなに四倍もの額が余つているにもかかわらず、それを又この国際復興開発銀行から外資を受入れて一体どういうふうにこなせるのか、そのこなし方についてさぞ政府当局は頭を痛めておりはせんかと思うのですが、こういう点に対してはどういう一体お考えで今後これをこなそうとするのですか。その点について御所見を承わつてみたいと思います。
○政府委員(河野通一君) 御指摘のように、現在の輸出入銀行の融資状況は必ずしも活発に行われておりません。これは先般山際輸出入銀行総裁からも御説明がありましたように、誠に遺憾なことでございます。輸出振興、殊にプラント輸出の振興を図ることが非常に必要であるということで私ども努力はいたしておるのでありますが、何分にも国際市場の状況、或いは競争相手国の出す条件等との関係から競争が非常に激烈になつて参つております関係上、なかなか相手のあることでありますので、うまく進んでおりません。併し私どもは今般御審議頂いておりますような輸出入銀行法の改正を行うことによつて輸出入銀行の業務を大いに拡張して頂き、そうして輸出入銀行がこれらの非常に現下の必要なるプラント輸出、或いはこれに準ずるような長期の輸出金融、及び或る種の輸入金融につきまして、今後その業務をやりやすくするようにいたして参りますなうば、今後の努力と相待ちまして、私どもは今年度におきましては相当程度この輸出入銀行の融資活動というものは拡大いたすと申しますか、伸びると私は考えておるのであります。具体的にそれではどの程度かということでありますが、これはなかなか先ほど来申上げておりますように、相手のあることでありますので、的確なる見通しは申上げかねるのでありますけれども、私どもは今後輸出入銀行当局及び政府当局の努力と相待ちまして、輸出入銀行の業務も拡大されるならば、相当程度私は融資活動が拡大されると期待いたしておる次第でございます。 なお御指摘のように輸出入銀行の業務状況が、従来私たちが期待いたしておりました通りに実は伸びて参りませんのにつきましては、いろいろな実は原因があると思うのであります。それらの原因の排除と申しますか、これの是正につきましては、今後ともできるだけ努力をいたして参りたいと思つております。政府といたしましては、輸出振興策の一環として、できるだけそれらの障害を除去して行くように努力をして行きたい。これらの政策と相待つて、輸出入銀行の努力によつてできるだけ融資活動を拡充いたして参りたい、こういうことにいたして参りたいと思います。
○小林政夫君 今の問題はいずれ私から、野溝さんは小林君から詳細に質問があるだろうということであつたけれども、それは日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案のときに十分やりたいと思つております。特に政務次官の出席を求めたのは、先ほど来東条局長とは質疑応答したのでありますが、今度の暫定予算で予定されておる外資導入というものは、相当のもう殆んど内定したと言つてもいいような確実性がある。が今度の水力電気関係のほうの本予算において五百八十八億というものから暫定予算の百四十八億を引いた四百四十億ですか、まあ一億二千万ダラーというものについてはそう確実性がないのじやないか。で一体外資導入ということはお題目であつて、まあこの予算措置を講ずるということまでにかなり具体化して来たということは御同慶の至りだが、一体政府としてはどういうような確信を持つているのか。この水力電気関係の一億二千万ダラーというものは必ず獲得すると、こういうことなのかどうか。これは特に大蔵大臣の出席を求めて聞くべきであるけれども、審議促進のために政務次官が代つて答弁をなさることを要求いたします。
○政府委員(愛知揆一君) 一億二千四百万ドルの外資の問題につきましては、私どもといたしましては相当有望であるという期待の下に、その成果が挙がることを期待しておるのであります。併し何分にも、申上げるまでもないことでありますが、相手方のあることでもございますから、私がここでこれは確実だと申上げることはできないと思います。
○小林政夫君 まあ確実に、ここで必ずという受合いはできない、こういうことですが、まあそういうふうに全力を挙げて努力する、こういうことですね。
○政府委員(愛知揆一君) これからますます以て努力するということは勿論申上げるまでもありませんが、二、三日前にも当委員会で中山開発銀行理事をお招きになつて、私も聞いておりましたが、その衝に当つた人といたしましては、私ども政府側がかねて報告を受けておりますと同様か、或いはそれ以上に非常に詳細に中山君が報告されたように聞いております。で、私どもとしてはああいう交渉の折衝に当つた人たちの印象を通じて我々の見通しを立てておるわけでございますから、ああいうふうな接衝に当りました人たちの話なり、御報告なりを聞きまして、これを聞いた人々によつては消極的に解する人もありましようし、積極的に解する人もありましようし、我々としては更にアメリカに残つて、或いは新たに派遣されてその交渉に当つておる人たちに対しては、更に一層の努力をするように随時督促し、訓令をしておるということで、交渉事でありますから、その程度で御了承願いたいと思います。
○小林政夫君 もうこれ以上追及はいたしません。とにかくこれは責任になつてはいかんということはなかなか上手な答弁ですが、併し今の点は予算の措置にも関係するので、今の質疑応答の内容は委員長報告の中に是非織込んで頂くことを希望しておきます。
○野溝勝君 いろいろ、聞きたいところがたくさんあるのですが、委員長は急がれておるようでございますから、成るべく簡潔に御質問をいたしたいと思います。 この国際復興開発銀行からの受入れの問題ですが、一体日本の開発銀行の現在やつておる仕事と言いましようか、運営の内容を見ますると、渡された資料の中にも示されておるごとく、融資の対象は重要産業が主なのですが、そうすると、この重要産業は資金の面でも援助を受け、税金の面でも援助を受け、その他何かに便宜を受けておりますが、保護政策が多分にとられておるのでありますが、かような保護政策をとられておる。特に巨大なる企業家を中心としての特権階級擁護の法案でありますが故に、一応疑義を持つたのです。併し何と言いましても日本の民族資本は弱いのでございますから、そういう点で一応考えられる、開発をしなければいかんという趣旨においては一応賛成しておるのでございます。それにしても、余りに大きな産業にのみこの資金の融通分布が行われておるのでありまして、これを中小事業のほうに相当量流すということができないでしようか。例えば電力の総合開発、これは絶対性の至上命令でございますから、日本のような資源の少いところにおきましては、電源開発はこれは絶対的だと思つています。併しほかに並べられたところの資料の中を見まするとですよ、例えば繊維工業、それから化学工業、木材工業、電気業、ガス業、建設業、農林業、水産業、運輸業等がきめられているのですが、この中には分析をしてみると、大体農林関係の方面の額が少いのです。ところがこの数字だけ見ると、農林資金の関係人は多いが、併し実際この借入れた業者の実際個々に当りますと、借入の比率分配の関係から見るというと、非常に少くなつておるのでございますが、勿論これには貸出の枠というもの、内容というものがあるのであつてその簡単に廻すと言いましても、その内容なり、枠なりが改まらん限り、さようなことはできないのですが、そういう点について、重要産業、勿論必要でもありますが、更にもつとこの比率按分の関係、特に政府保証による国際復興開発銀行からの外資受入に対して、特に政府は今後開発銀行との間に、融資の農林方面へ善処してみようというような気持があらわれるかどうか、そういう点について一つお聞きしておきたいと思います。
○政府委員(愛知揆一君) 中小企業の金融の問題につきましては、もう全く御尤もでございます。私どもも何とかしてもつといい手はないかということを前々から検討いたしておるようなわけでありまして、一連のいろいろの法案なり、或いは政策なりを出しておるつもりではございますが、まだまだ不十分であるということは自覚しておるわけでございます。例えば国庫預託金の問題などにいたしましても、我々としては、例えば普通銀行などが日本銀行からの貸出が受けられる状況にある以上は、もつと中小の庶民金融機関のほうに重点を置くべきであるというようなことも考えておるようなわけであります。そうして只今野溝さんの後段に言われましたことにつきましては、私もちよつとその本当の御趣旨が汲み取れなかつたかも知れないと思いますが、例えば大規模の電源開発その他については外資が導入されるというようなことであるならば、反射的に国内で調達し得るような資金は、より多く中小企業に廻すべきではないか、こういうようなことも含んでおるかと思うのでありますが、そういう点につきましては、幸いにして今度外資の導入が現在見通されておるよりももつと多くを期待できるということになれば、当然そういう方向に、中小企業の国内資金の調達という方向に重点を置いて参りたいと思つております。
○野溝勝君 政府から御答弁がありましたので、私は強く中小企業並びに農林関係等に対しては、外資を導入される場合におきましては、特に市中銀行から来るか来ないかということは、これは勿論皆さんに御配慮願わなければなりませんが、取りあえずどういう形においてでもよろしうございますから、一つこの中小企業の方面に、或いは農林関係の方面に、是非この開発資金が量の比率よく廻るように一つ御配慮願いたい。この点は特に委員長報告の中に強く私は織り込んでもらいたい。 最後に一点お伺いしておき」たいのですが、今も愛知政務次官からもお話があつたのですが、実際、日本の銀行業者というものは、私は失礼な話でございますが、成り上がりと言つては失礼でございますが、戦後の育成で利益した金融機関で、再出発のような形でございますから、その運営の仕方にもいろいろと困難な点もありましよう、併し実際問題において、私はざつくばらんに言えば、不都合だと思つております。まあ昨日、一昨日の新聞にも、一万田君が通貨の発行額が四千七百四十一億ですか、それから五月までの貸出高が二千九百億です。どうも市中銀行がオーバー・ローンをすることを戒ましめている、一体どこへオーバー・ローンをしておるか知らんが、我々庶民は貸借したことがない。担保がなけりやいかんとか、何がなければいかん……。それはまあ一つの条件ですから、やたらにああそうですかと言つて、貸して上げましようというわけにはいかん。それはよくわかります。よくわかりますが、そんな確実な担保があるなら、オーバー・ローンがなく回収ができているはずだのに、現実はどうか。国民金融公庫のような有難い金融機関なら、私どもは全く政府様々に考えるのですが、市中銀行なんというもののやり方は、ざつくばらんに申せば、全く度しがたきものと私は思つている。銀行局長は就任以来一年ばかりでございますから、愛知さんも銀行局長をやつておつたのだから、前々からのことでございますから、ひとり銀行局長を責めるのもどうかと思いますが、とにかく預金をする。預金をすると、今度はそれを引出し、ところが今度は借りに行く。借りに行くというと今度は五分利積みと言つて、それだけ積まなければ貸出さない、即ち差引くのです。そのあとを貸す。それから五分利積みをちよつと置いておくとどうなるか、その金を他人に融資するのほか、利子は誰が儲けるかというと、銀行のほうで儲けるのだね。こんなうまい商売がありますか。それをへいちやらでやつて、御承知のごとくぼろい儲けをしてみる。今日全国至る所へ行つても、どんな町へ行つても、村へ行つても、目抜きの場所へ建物ができたと言えば、みんな銀行の支店です。どうですか、この東京のど真中へ最近地方あたりの銀行の支店がどんどんできておる。どこかで儲けておるに違いない。これは儲けるのはそれはいいといたしましても、こういう金融機関も国民の資金を二千九百億も貸出しをしておつて、そしてそれがどこへ流れておるかというと、実際大衆のためになつておらない。いわば庶民階級である農民や中小企業のためになつておらないで、それは今愛知政務次官もその点は卒直に認めておられましたから、私はこれ以上言いません。こういうことを言つておりますが故に、この中小企業は金融の遂に杜絶えまして、特に今のところ、インフレとデフレとが相交錯しておるような状態で、兵器産業のような関係のもの、特需関係のものは大体は金融の途もつく、併し一般の平和産業、特に中小企業などはもういかん。そこで今回問題になつたような、高金利ではあるけれども、相互金融業あたりから借りなければいかん。私なども借りたそのうちの一人のメンバーです。実際はしようがない、貸してくれないから……。だから少し高いと思つても、生きんがためには仕方がないですよ。あとはどうあろうと、その場だけは一つ切抜けなければならないというようなことになるので、銀行局長なぞも、非常にこの点は心配されてやつておるようでございすまが、なにがかようにせしめたかということについて、一つこの際、答弁は要りません、是非一つ普通の政務次官と違つて、特に事務当局出身の政務次官であり、特に明敏なる両局長がおられるのでございますから、金融界と庶民生活の実態の点十分検討の上、善導方一つ十分御配意を願いたいと存じます。これで私は……。御答弁は要りません。
○政府委員(河野通一君) 小林さんちよつとおいでになりませんが、先ほど小林さんの御質問にお答えしたところで、違つておりましたところがございますので、ちよつと訂正さして頂きます。開発銀行、輸出入銀行が政府から借入金をいたします場合に、この借入金の限度を予算総則に書くと申し上げたのは、これは間違いで、ございまして、借入金をいたします場合には、予算総則に書きませんので、訂正いたします。
○委員長(大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。 それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
○野溝勝君 簡単に見解を述べます。 本法案は電源開発その他日本における総合開発等々を目指して国際開発銀行より外資を導入せんとする法律案の内容であります。この点は戦後における日本の弱小経済の下におきましては、一国経済として成り立たないのでございますので、私どもはこの点は十分諒とするものであります。ただこの国際開発銀行からの外資受入れの体制でございますが、これがややともすると兵器生産の事業に誘導されるようなことがありはしないかという点を一部では案じておる人もあります。そういう点におきまして、私どもは十分警戒もし、又検討もして参つたのでございますが、政府の答弁によつて明らかにされたのでございますので、この点は我が党の疑義というものが一応払拭することができたと思います。特にこの際希望しておきたいことは、この開発資金の受入れに当りまして、農林業並びに中小企業、まあ事業といいましようか、その方面に対する融資等々が非常に弱体なんでありまして、この開発資金の性格から言いますると、それは無理じやないかという意見もまああるのでございますが、併しこれはその内容を変えることもできないことはないんでございまして、そういう点について本日政府当局との間に質疑をかわしましたところ、そういう点におきましても十分努力するという点がここに明確になりましたので、この点私といたしましても法案の趣旨を了承して、ここに賛意を表するものであります。
○小林政夫君 私もかねてより開銀或いは輸出入銀行等が外資の借入れができるという規定を創設したときから政府保証が要るであろうということを主張しておつたわけでありまして、私の主張を裏付ける法案でありますので、賛成をいたします。特に当面の問題はこの電源開発資金の導入でありますが、目下の情勢から言つて、外貨ポジシヨンから言つて、強いて昔の電力債等を外国に持つてもらつたような事情とは違い、外貨ポジシヨンをよくするために、当面外資導入ということは必要ではないか。併し将来の外貨ポジシヨンということを考えて、その途を開いておくという意味においては結構なことでありますが、当面の問題としては安い金利の金が使えるということが一番意義がある。で、そうなつて来ると折角こういうふうにいろいろ国が犠牲を払つて外資を導入し、安い金利の金が使えるような状態になつたが、併しその金によつて電源開発をし、電力ができた、併し電力料金は下らないというようなことでは困るので、この安い金利の金が使えるだけに見合う程度の電力料金の値下げということについては、政府は一段と監督上努力をされるようにお願いし、曾つての入場税は下げたけれども、一向に入場料は下らないというような結果にならないように、十分な監督をお願いしたいと思います。
○委員長(大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。 それではこれより採決に入ります。 国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(大矢半次郎君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。 なお、本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条により、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨は慣例によりまして委員長一任ということにあらかじめ御承認を願うことに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。 それから本院規則第七十二条により、委員長が議院に提出する報告書に附する多数意見者の御署名を願います。 多数意見者署名 野溝 勝 堀木 鎌三 小林 政夫 前田 久吉 安井 謙 土田國太郎 青柳 秀夫 山本 米治 森下 政一 藤野 繁雄 西川甚五郎 —————————————
○委員長(大矢半次郎君) 本日はこれを以て散会いたします。 午後五時三十七分散会