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16回国会参議院1953/10/20

水産委員会 閉会後第6号

発言数
87
登壇者
7
会派数
3
開催日
1953/10/20

会議録

森崎隆日本社会党(第四控室・左)

○委員長(森崎隆君) それではこれから委員会を開会いたします。  遠方から御参集頂きまして有難うございました。議題の順序は多少変りますが、取りあえず海上保安庁のほうから、その後の韓国水域の状況等につきまして中間の御報告を願いたいと思います。それでは島居保安庁次長さん一つお願いいたします。

島居辰次郎海上保安庁次長

○説明員(島居辰次郎君) それではその後の経過の要点を申上げたいと思います。  海上保安庁におきましては、引続き巡視船五隻を済州島の東方と東南方海域に行動いたさしておりまして、水産庁監視船と協力して拿捕及び紛争の発生防止に努めておるのでありますが、最近に至りましては、この方面の海域に出漁して主として李承晩ライン内において操業する日本の漁船は殆んどその影を見ない状況でありまして、又韓国艦艇もその後は時折り一隻か二隻程度哨戒に当つておる模様であります。従いまして最近は拿捕連行されるもの、或いは臨検、退去措置を受けた漁船はないような状況でありますが、その後海上保安庁におきまして船名を確認したものを加えますと、九月以降現在、即ち十月二十日、今朝の八時までに拿捕されたものが三十二隻、臨検、退去命令を受けたものは九十二隻に上つておるのであります。なお拿捕連行されましたものは釜山或いは済州島に抑留されておる模様であります。  次に海上保安庁といたしましては、今後も日本漁船が李承晩ライン内は勿論、その附近の海域に出漁いたしております間は引続き巡視船をその附近に行動させまして、できる限り操業の維持に努め、拿捕及び紛争の防止に努力いたす考えでおるのであります。

森崎隆日本社会党(第四控室・左)

○委員長(森崎隆君) なお、御報告に対して質疑その他がございますれば、警備救難部長も来ておられますから、質疑をお願いいたします。

秋山俊一郎自由党

○秋山俊一郎君 ちよつとお尋ねいたしますが、只今の御報告によると、最近では拿捕又は抑留されておる船はないということでありますが、一時は御存じのように非常にたくさんな混雑をしておつたのであります。そこで海上保安庁としても巡視艇を出して警戒に当つており、且つ連行されておるものを取り戻したというようなこともあつたようでありますが、多少の漁船が現在拿捕されて行つておる。で、巡視船が拿捕されておる、連行されておる船を行つて取り戻したという例もあるようですが、取り戻すことのできないような例もございますか、その点は……。

島居辰次郎海上保安庁次長

○説明員(島居辰次郎君) 一、二ございます。

秋山俊一郎自由党

○秋山俊一郎君 それはどういう状況でありましたでしようか。巡視船が向うの軍艦だか警戒船が連行して行く船に乗つて取り戻そうとしても、よこさないで連れて行つてしまつたという状況でありますか。

島居辰次郎海上保安庁次長

○説明員(島居辰次郎君) 私のほうから、向うのほうに船のほうから交渉を何遍もしたのでありますが、それにもかかわらず連れて行つたような例が一、二あるわけでございます。

秋山俊一郎自由党

○秋山俊一郎君 そうすれば、結局向うが好意的に返してくれればいいけれども、返してくれなければ巡視船が行つておつても何の役にも立たないということになるわけでございますね。

島居辰次郎海上保安庁次長

○説明員(島居辰次郎君) そういう例もありますが、併し今まで随分と私のほうが極力折衝いたしまして、向うの艦艇に乗り込んでいろいろと話をした結果、返してもらつた船も相当あるわけでございます。又連れて行かれている船を追跡いたしまして、そうして取り返した例もありますので、向うの船の模様にもよりますし、又当時における向うの何らかの指令にもよるかと想像されます。

秋山俊一郎自由党

○秋山俊一郎君 その連行されておる船を交渉して返してくれなかつた、返さなかつたという場合には、何か拿捕されている船が特に海域の奥深く入つておつたというようなことが、何かそういう特殊の返せないという事情があつたのでしようか。

島居辰次郎海上保安庁次長

○説明員(島居辰次郎君) 私のほうの調査では、そういうふうには思つておりません。

森崎隆日本社会党(第四控室・左)

○委員長(森崎隆君) ほかに何か保安庁に対して、今の中間報告に関しまして御質疑があれば、この際御発言願います。

木下源吾日本社会党(第四控室・左)

○木下源吾君 李承晩ラインといいますか、そのほうを一体警備しておるのは、目的は何ですか。

島居辰次郎海上保安庁次長

○説明員(島居辰次郎君) 目的は、私のほうとしましては、従来の遭難の救済もありますが、拿捕及び紛争の発生を防止することを目的にしておるわけでございます。

木下源吾日本社会党(第四控室・左)

○木下源吾君 その拿捕ですが、巡視船が行つていれば向うは拿捕はしないという、そういう状況にあるのですか。

島居辰次郎海上保安庁次長

○説明員(島居辰次郎君) そのときの状況によるのでありますが、最初の頃は巡視船が向うの艦艇に接触いたしまして話合いをつけて、拿捕で連れられるのを逃れさしたり、又ついて行つているのを、追つかけて行つてそれを逃がさしたような事例もございます。

木下源吾日本社会党(第四控室・左)

○木下源吾君 巡視船が行つておれば拿捕されないという何か確信があるのですか。

島居辰次郎海上保安庁次長

○説明員(島居辰次郎君) 私のほうの確信といろ意味ではありませんが、できるだけ平和裡にこれを日本の操業維持に努めさそうと思つて、向うにそういう交渉をしておるわけでございます。

木下源吾日本社会党(第四控室・左)

○木下源吾君 そうすると保安庁は交渉しておるのですか。

島居辰次郎海上保安庁次長

○説明員(島居辰次郎君) はあ。

木下源吾日本社会党(第四控室・左)

○木下源吾君 どういう交渉をやつておりますか。

島居辰次郎海上保安庁次長

○説明員(島居辰次郎君) 向うの船に、ここは公海である、日本としては李承晩ラインというものは認めていない、だからここで操業するのは適当でなかろうかと、お前さんのほうが引張つて行くのはそれは不当であるという、そういう交渉を私のほうの巡視船は向うの船に乗込んでいろいろやつておるような状況でございます。

木下源吾日本社会党(第四控室・左)

○木下源吾君 その方針はどこできめたのですか。

島居辰次郎海上保安庁次長

○説明員(島居辰次郎君) いや、きめたのではありませんで、現地の私のほうから、そういう公海における自由通行というものは国際法上認められておりますので、それに基きまして、そういう事件がありましたら進んでやつているようなわけでございます。

木下源吾日本社会党(第四控室・左)

○木下源吾君 その出先でそういうことをやつても紛争が大きくなるということにはならないのですか。

島居辰次郎海上保安庁次長

○説明員(島居辰次郎君) 私のほうの努めとしましては、成るべく大きくさせないようにと思つて、私のほうの任務の限りにおいて努めさしておるわけでございます。

木下源吾日本社会党(第四控室・左)

○木下源吾君 あなたたちが非常に大きくさせないように安全にしようと思つているが、そういう交渉は役立つのですか、現地で。

島居辰次郎海上保安庁次長

○説明員(島居辰次郎君) 私のほうとして若しできない場合は警備隊のほうに言うわけでありますが、今のところ私のほうでできる限りのことをやつているということでございます。

木下源吾日本社会党(第四控室・左)

○木下源吾君 そういうおやりになることについても、政府の方針というものを体してやらなければいかんのではないのですか。

島居辰次郎海上保安庁次長

○説明員(島居辰次郎君) 申し遅れたかと思いますが、私のほうでは外務省及び水産庁と事務的に連絡いたしましてそういうことをやつておるわけでございます。

木下源吾日本社会党(第四控室・左)

○木下源吾君 今の場合は事務的の問題ではなくして、政治的の問題が重要ではないですか。

島居辰次郎海上保安庁次長

○説明員(島居辰次郎君) なお閣議その他におかれましてやつて頂くことを私どもからも大臣にお話したいと思つております。

木下源吾日本社会党(第四控室・左)

○木下源吾君 あなたのほうは事務的にやりにくいだろうと私は思つてそれをお尋ねしておるのですが、今日は大臣は見えておりますか。

森崎隆日本社会党(第四控室・左)

○委員長(森崎隆君) 今日は大臣は来られません。

木下源吾日本社会党(第四控室・左)

○木下源吾君 それではよろしうございます。

森崎隆日本社会党(第四控室・左)

○委員長(森崎隆君) それでは次に外務省からその後の日韓会談の模様をできるだけ詳しく御報告願いたいと思います。

小滝彬自由党外務政務次官

○説明員(小滝彬君) 先の委員会で先方へ厳重な抗議を出しており、いろいろ外交的に折衝している点は申しましたから、日韓会談の進行工合について本日は申述べたいと思います。但し今会議が進行中でありますので、速記をとめて頂いてしたほうが、漁業会談は他の請求権などの問題にも関係がありますので、多少そういう点にも言及したいと思いますから……。

森崎隆日本社会党(第四控室・左)

○委員長(森崎隆君) 速記をとめて。    午後一時四十二分速記中止    —————・—————    午後二時一分速記開始

森崎隆日本社会党(第四控室・左)

○委員長(森崎隆君) 速記を始めて下さい。

木下源吾日本社会党(第四控室・左)

○木下源吾君 私は一、二政務次官にお尋ねいたしますが、今の李ラインの問題は、これは見通しはどうなんですか。

小滝彬自由党外務政務次官

○説明員(小滝彬君) むずかしい問題でありまして、何ともはつきりしたことは申上げられませんが、私個人の考えを申上げまするならば、現在行われておる日韓会談の空気から申しますると、あの会談を通じて万事を解決するということは、或いは不可能ではなかろうかと思います。或いはその他の方法で、そういうことは解決が見出せるかも知らんけれども、現在のあの空気からは、少くとも現在の日韓会談を通じては非常に困難であるというのが私の個人的な見解であります。

木下源吾日本社会党(第四控室・左)

○木下源吾君 その他の方法というのは、どんな方法がありますか。

小滝彬自由党外務政務次官

○説明員(小滝彬君) 或いは別個に特別な使節を以て更に政治的な交渉をするということも一つの方法でありましようし、アメリカ側は、実はこれの斡旋には非常に逡巡いたしておりまするけれども、事態がこういうふうに悪化するということになれば、米国も東洋の平和に重大な関心を持つべきであつて、いろいろアメリカとしては困難もありましようが、そうした面の斡旋も、更に強力に依頼するということも一案ではないかと存じます。

木下源吾日本社会党(第四控室・左)

○木下源吾君 政治的にというと、どんなことを考えられますか。

小滝彬自由党外務政務次官

○説明員(小滝彬君) 今の会談も政治的な会談ではありまするが、実際問題として、会議の空気が現在のような状態では非常にむずかしいので、日本側としてもこれを一刻も早く解決しなければならないわけでありまするから、相当具体的な国内的な考えをまとめて、そして特定の有力人物が直接交渉に当るというような方法もあるのではないかと思います。これはもう先ほどから申しますように見通しとか、そういう点でありますから、私の個人の考えであります。そういうことも考えられると思います。

木下源吾日本社会党(第四控室・左)

○木下源吾君 政治的の問題としては、具体的にはいろいろあるでしようが、これを解決するために、只今の何か、向うに日本でやられるところの問題もあつたり、いろいろ政治的の問題でなければ解決できないというのであるならば、それを糾明して行つて、そういう方向に導かなければならんのじやないか。

小滝彬自由党外務政務次官

○説明員(小滝彬君) 勿論漁業の問題だけを取上げて解決できれば一番結構でありますが、先ほど申しましたような向こうの態度に鑑み、又事実いろいろな問題が錯綜しておりますので、そのほかの方面でも、相当具体的な話をしなければいかん。それがなかつたならば、一応漁業関係のことは暫定的にこれを切離しても、最終的にそれを実施するという段になれば、ほかの問題もこれに引つかけて、向うとしては一つの武器として、この漁業関係を利用するというような態度に出るでありましようから、そういうほかの問題も同時に解決しなければならないということが困難だと思います。

木下源吾日本社会党(第四控室・左)

○木下源吾君 それを同時に解決する段取りになつておりませんか、ほかの問題も。

小滝彬自由党外務政務次官

○説明員(小滝彬君) 日本としては、これまでの会談においても、日本側の意向は開陳しておりますが、できる限り互譲妥協の精神でこの問題を解決しようというので、そうした方向に話を持つて行つておりますが、根本的に余り大きな懸隔があるので、まだそれがそういつた行為に達するという点まで達していない。又現在の空気ではその線までも持つて来るようになるには非常に重大な犠牲も払わなければならんということになるだろうと思います。

森崎隆日本社会党(第四控室・左)

○委員長(森崎隆君) お尋ねいたしますが、海上保安庁の方々はもう御退席を願つて結構ですか。

木下源吾日本社会党(第四控室・左)

○木下源吾君 もう一つあります。

森崎隆日本社会党(第四控室・左)

○委員長(森崎隆君) では暫らくお願いいたします。

木下源吾日本社会党(第四控室・左)

○木下源吾君 この李承晩ラインでは随分困つている。犠牲を払わなくてはできんならば、どんな犠牲を払うのですか。(「もう一回」と呼ぶ者あり)今、ほかの条件を解決すれば、殊に漁業の問題も解決するだろうという見通しを話され、それには大きな犠牲を払わなければならん、こう今言われた。その犠牲はどういう犠牲か。この漁業の問題も相当にこつちのほうでは困つていることです。

小滝彬自由党外務政務次官

○説明員(小滝彬君) 甚だ申訳ないのですが、そのことでしたら速記をちよつととめて下さい。

森崎隆日本社会党(第四控室・左)

○委員長(森崎隆君) 速記をとめて。    〔速記中止〕

森崎隆日本社会党(第四控室・左)

○委員長(森崎隆君) 速記を始めて。

木下源吾日本社会党(第四控室・左)

○木下源吾君 これは私は今日ほかの問題をちよつと聞きたいと思つて、大臣をお願いしておつたのであります。それを一つあなたに伺います。  それは北洋漁業といいますか、ソ連に関する漁業の問題で国会にも関係者から請願が出ておるが、根室地方の漁民が非常に困つておる。勿論今日まで国境地方ではいろいろ困つておる問題がある。なかんずく最近根室地方の漁民も非常に困つて、現地方面でも、いろいろ住民大会などが開かれまして、ここにも請願書、皆署名持つて来ておるが、ソヴイエトとの漁業がもう大分長くいろいろ問題になつておつたが、今日では到底向うさんと話合いをつけなければ、この地方の漁民はやつて行けない。殊に今年のように、「さけ」「ます」の海洋漁業が不漁のときには困る。こういう状態で、一口に言えば、政府にソヴイエトと一つ交渉してもらいたいという要請をして来ておる。この点についてこの間、あなたのほうの島参事官、あなたにもお会いしようと思つて行つたのだけれども、出張中でおられんし、大臣が犬養大臣の時であつたが、もう今晩か明日岡崎大臣帰るという時で、まあいろいろ実情を話して来ました。で、返事をもらうことにしました。どういうことにしてくれるか。ところが大臣が帰つて来て交渉した結果だろうと思うのだが、根室地方の漁民の困難な事情は深く同情するが、日ソ間にはいろいろな懸案があつて、今直ちに漁業問題のみを交渉することはできない。交渉できるようになるまで待ちたい、こういう回答があつたわけであります。併しこれでは到底その関係地方の者は納得できないのです。と申すのは、根室地方のなにはですね、今年は鮭鱒はもう非常な不漁で、僅かに「こんぶ」の時期、これは向うの領分へ行つて、今年取つたわけです。これはいろいろまあ懇請をしたけれども、なかなかそういうわけに行かん。もう立ち行かんものですから、貝殻島ですね、この前新聞に出ておつた、あそこへ行つて取つたのです。これはこつちの監視は相当籔重たけれども、向うのほうはそれまでに余り厳格ではなかつた。五千石ほど今年取つた、漁期に。その後「ほたて」を取つておるのです。これももう過ぎたことですが、「ほたて」漁はこつちの領海附近であれば、もう取れないのです。まあいい所にぶつかつても、一艘か一日で七、八十貫目、ところがそれから少し向うへ行くと一千貫目も取れる。一日に一艘で一千貫目も取れるという、これは国後の南端のほうの沖合です。でありますから、行くなと言つたつて漁師はもう自然々々に向うのほうに行かざるを得ない状態になつておる。それほどに漁民は困難をしておるわけですから、この「ほたて」漁も、漁期中はまあ幸いに今までのように苛酷ではなく、まあ取らしてもらつた。取らしてもらつたというような承諾すくじやありませんが、人のものを取つたのですから、よくはないけれども、生さるためには止むを得ないという事情です。それから今度は進んで参りますと、これから「さめ」漁になる。御承知の通り「さめ」漁は水道のような海域の所でなければ、つまりそういうような所でなければ漁がうまく行きません。殆んどその附近の「さめ」の取れる所は向うのつまり領分になつておるわけです。この間うち現地で住民の大会を開いて、そうしで代表諸君が上つて来て、一方においてはこういうことは言つておるが、何とかしてこれを話合いでやつてもらいたいというので、外務省やら水産庁やらいろいろ頼んでおる。昨日か一昨日の新聞にありますように、この「さめ」漁の船が二艘ほど拿捕された。新聞ですからどういう事情になつておるかわからないが、そういう困難なる事情になつておるから、これは何とかして早く話を進めてもらいたい、こういうのが現地方面の、いわば北海道関係の全体としての要望です。漁民の要望です。三国条約のつまり鮭鱒、或いは四十七度線南の漁から皆ひつくるめての尖端になつて来ておるので、皆漁民の要望です。そこで是非政府はこれを漁業問題のみで一つソヴイエトと交渉をやつてもらいたいというのが強い要望なんです。この点については、外務大臣が十六国会で衆議院の予算委員会で我が党の和田博雄氏の質問に答えておられるのは、大要こういうことです。ソヴイエトとの漁業交渉を行うことは決して反対しておるものではない。若しソヴイエトが応ずるなら交渉するつもりであるが、ソヴイエトは漁業交渉のみに応ずるとは思われない。こういうことをまあ言つておるわけです。併しながら私どもはそうは考えません。最近の国際情勢の客観情勢をいろいを考えてみまするのにそうは考えない。すでに戦犯問題で大山氏とモロトフ氏との会談が行われまして、殆んど不可能と考えられておつたような問題が今これらの戦犯送還というようなことが具体的な日程に上つて来ておる。大きな客観事実は朝鮮との休戦が今行われておるということ。殊にソ連の拿捕船については従来は非常に苛酷であつたが、本年度は四十四隻の船があの方面で捕つておるのです。四十二隻までは帰つて来ておる。今度の場合などはあわてて逃げるときに一隻、もうそのままぶつ飛ばして来たというようなのを入れて二隻です。  こういう情勢を見ますれば、私は漁業問題だけでも話合いにソヴイエトは応ずるものと考えております。現地の人々も政府がそれを進んでやれば応ずるだろう、こういうなにを持つております。当時の岡崎大臣の答弁では、ソヴイエトが応ずるならば交渉するつもりがあるというような意味のことを言つておりますが、ソヴイエトがあの辺の漁のことでは何も大した日本にそんなこと言うて来ませんです。こつちのほうなんです。みんなオホーツク海からカムチャツカ沿岸、千島沿岸、みんなこつちのほうで積極的に出なければ、向うからどうぞこつちの魚を取つて下さいなどということは考えられないです。そこで私どもはこのような情勢にあるときだから、必ずや私どもは応ずると思うのです。政府はこれに一つ積極的に乗り出すという考えはないのか。今ないなんと言つておりましても、我々は是非これは乗り出してもらわなければならない、こう考えるわけです。何も講和条約を結んでおらんからというて躊躇することは私はないと思う。すでにサンフランシスコ条約を結ばない前にカナダとアメリカとの両条約交渉が進んでおつた。今だつて講和条約を締結しないみたような国との交渉もほかのほうでは進んでおる例は幾つもあるでしよう。私が申上げるまでもない。なぜ一体このような、この漁民が困つておるこの問題について、政府はそういうような態度であるから本当にこれは懸念に堪えないわけなんです。これで私は今日水産の問題は農林大臣と、そうして外交面における外務大臣にここに来て頂いて、そしてこれを一つお尋ねしようと、こう考えておつたわけです。幸いに今日は政務次官が見えておるので、あなたからこれを明確な見解を一つ御答弁願いたいし、若し今ここで我々の満足するような御回答ができないならば一早急に政府としての政治的な態度を坂極めてこれを一つ御答弁願いたい。書面でも何でもよろしいから。で、現地の事情は只今私が申上げた通りです。この点は政府といえども私は欲しておるであろうということを察知することができることは、すでに北洋の今の母船の独航船の問題でも昨年接岸七十海里、本年は四十、来年は更に三十というように、向うの、つまり接岸の希望を強く持つておることは私どもは察知できるわけです。こういう実情に鑑みましても、進んで話合いをできるならば、今のような姑息なつまり手段でなくして私はできるだろう。それで、李承晩ラインの漁業も勿論大切であります。或いは東支那海の漁業も大切であります。併し、北方の漁業はこれは何といつても中心です。北から流れて来る潮流は親潮というのです。これはさかなの親なんです。そういう潮の源です。であるからして、あの母船の独航船のごときは、これは潮に乗つて、そうして漁をして来ておる。政府の誠意によつて、努力によつてこのソ連と話合いをつけることができれば、ひとり関係漁民ばかりではない、日本の蛋白資源の問題、或いは北洋漁業によつての経済的潤い、これは日本の心臓、現在の心臓の問題と我々は考えて差支えないと思うのであります。かかる理由によつて、どうか一つ政務次官はいろいろ難問題はたくさんあつてお忙しいでしようけれどもが、政府の態度をそういう方向にきめて行つて努力してもらいたいと同時に、成るべく速かな機会にこの御返事を願いたい。今現地では、先ほど申しましたように、「さめ」の漁に乗出しております。勿論漁民は自分たちの全財産を張つてそうしてやつておるのである。つかまることも覚悟でありましよう。併しながらこれはひとり漁民の問題ではない、経済上の問題では……或いはそうかも知れません。蛋白資源の問題、或いは国民全体の問題である。そうしてこの問題はそういう糸口によつて解決されるならば、カムチヤツカ全体の漁業問題である。或いは又樺太の方面における漁業の問題でもある。いわんや拿捕の問題に関しましては、この影響するところが非常に大きいと思うのです。どうか日ソの漁業協定といいますか、このような事情を直接ソ連に手を伸ばして政府がやるということの決意を一つ持つてもらいたい。それをするかしないかということを早急に一つ御回答願いたいというのであります。

小滝彬自由党外務政務次官

○説明員(小滝彬君) 只今木下さんがおつしやいました点は私ども十分了解し得るところであり、又現地の困難ということも同情に堪えないところであります。北洋の漁業についてこれを等閑視しておるのではなくて、御承知のように米国やカナダとは協定をいたしました、ソ連のほうもでき得ることならばそうした事態が来るように、一日も早く来るように我々は希望いたすところであります。が併し、現在の状態を申しまするというと、法律的には戦争状態、併し法律的に戦争状態であつてもフイリピンであるとか、或いはインドネシアとも話合いをしておるじやないかとおつしやるかも知れませんが、これらの国はまだ平和条約ができていないけれども、代表者を交換していろいろ話合いをするチャネルがある、一つの筋があるけれども、ソ連のほうはそうした筋がない。これが私どもの直面しなければならない困難であります。思想が違うからとか、或いは平和条約ができていないからもう漁業関係のことも全部そういう国を相手とした問題に関する限りは放つて置くという気はないのでありますが、このような交渉のチヤネルを持つていないということが一つ。もう一つは、成るほど最近漸く戦犯の問題についても向うの意向がはつきりいたしまして、近く日赤から代表者を出すことになつておりまするが、併しこれなども今後はどういうふうに展開するかも知れませんが、又最近におけるソ連の日本漁船に対する態度を見ましても、ソ連の一般の対外政策を反映したものが相当寛大になつて来たということもありますが、併しながらそういう交渉というようなものについて、今までの例から見ますと、正式な方面から政府の色のかかつた者は相手にしないという事実があつたことも木下さん御自身お認め下さることだろうと思います。戦犯につきましても、三人委員会というようなことで、この前有田代表も行かれましたが、ああいうふうな形式によつたもの、即ち政府が直接関与したようなものに対しては代表者も出さない。国連のほうであれだけ日本人の送還というようなことを主張したけれども、そういうのには相手にならないで、特定の人で、向う側の意向を体して向くような人にそうした問題を持つて来るというような経過があつた点から考えましても、外務大臣が前の議会で申しましたように、ソヴイエトのほうで本当に日本の政府としての話合いに応ずる意思ありや否やという点には一応疑問があるだろうと存じます。勿論日本としてはすでに貿易もいたしております。いろいろの関係から必ずしも円満には行つていないけれども、そうした途もすでに開かれておるように見える。漁業の点でも何らか実費的な了解ができるということになれば、これは誠に結構なことでありますが、現在の情勢からすると、今直ちに直接交渉を開始するという段階には至つていない。従つて又代表者と交渉するような途も開かれておらないという事情がありますので、先ほど仰せになりました点は十分体してそうした方面の打開に努めなければならんと思いますけれども、今すぐこれが実際的な措置に入るということは非常に困難があるということを御了解願いたいと思います。

木下源吾日本社会党(第四控室・左)

○木下源吾君 それはよく了解できるのです、事務的には。そこでこのような困難な問題、而も日本としては是非必要な問題ですが、どうすればいいのか。あなたは、みんなはなかなか用心深くて向うが応ずるとは考えられないと、こういうことを前提にしてみんな話しておられるが、私どもはそうは考えない、この最近の情勢において。そこで政府は何も直接向うへ手紙をやることも、談判することも要りません。今の段階では、公の国会のこういう席で、政府はそういうことを希望するのであるということでいいのです。従来のように千島でも或いは色丹でも歯舞でも、そういう所での沿岸漁業でも漁民のつまり困つておるのを救われることを何とかしてソヴイエトが了解してくれることを望むのであるというようなことを言明されれば、ラジオは向うへ通じますよ、ラジオは。何もそんな裃を着てそうしてあの条文ではこの条文ではと、或いははんこを押さなければいけないなんというむずかしいことは私は要らんと思うのです。そういうつまり決意とその誠意があれば打開する途は私は幾つもあると思うのです。ただ今までの情勢では向うさんは受入れてくれないだろうということを前提にしておる。日韓会談でも私はそうだと思うのです。あらゆるいろいろの問題を見ますというと、まるつきり相手を軽蔑しておるような、そうして今新聞を見ますというと、向うは不法だとか何とかそんなことを書いておる。そういうことでは円満な話合いはつくまいと私どもは考えます。今色丹、歯舞、千島返還の運動等のいろいろ出版物を見ますると、ソヴイエトは強盗だとか、強奪しておるとか、いろいろもう我々日本においても、それは日本人としてもひどいことを書いておるような、そういうようなことをもやはり反省せにやいけません。本当に、政府は真にこの漁業の問題を解決し、そうして漁民の状態、この沿岸漁民の苦しい状態を、一歩ずつでも新らしい漁場の開拓に向わなければならないというこの実情を、それを一方においてはいろいろ底曳を制限したり、そういうことはやるけれども、一方においてはちつとも積極的に漁場の開拓ということに熱意を示しておらんというようなことでは国民は困つてしまう。ですから私は今申上げたそれだけでもよろしい、何とかしてそれを努力して、そういう問題を向うに一つ聞入れてもらいたいと思つている。これだけで私はたくさんだと思う。頭から中共が或いはソヴイエトがといつて否定してかかつておる態度ではなく、私は今のような問題は決して今に始つたことではないと思う。昔、後藤さんがいわゆる共産国とあれをやつたというあの態度を改めて考えてもらいたい。国民はごうごうとしてこれ反対したかも知れない。共産ロシアに対しては好感を持つておらなかつたかも知れない。国民は或いは要路の人々もそうであつたかも知れない。後藤さんはあれを敢行せられた。そうして最近の時期までこれを継続して来ておる。このことを厳正に一つ、忙しかろうけれども、やはりその当時の状態を一つ調べてみて欲しい。共産国とやつても何ら支障もなく、そうしてカムチヤツカの漁業はできたのです。ですから今のごとく日本の漁民の困つておることはありません。その態度さえ政府が表明されるならば、恐らく私は東支那海における漁業の問題も解決するであろうし、そういう方向に行けば必ず李承晩ラインも私は必ず解決すると思うのです。ですから、賢明な政務次官は、事務的な手続上の問題などの、そういうことをおつしやらずに、政治的にこの問題を解決するために私は乗り出されることが日本の国民の幸福のためだと私はこう考えて申上げておるのです。今のような御回答では済まされない。どうか一つ政府内部における意見をもう少し検討して練つて、そうして御回答願いたい、かように考えます。)

小滝彬自由党外務政務次官

○説明員(小滝彬君) 縷々木下委員から申されましたが、実は私は今日御回答いたしましたのも、政府は北洋漁業に対して無関心であるのではなくして、こうした事態が改善されることを熱望するという意味で先ほどのお求めに応じた答弁をしたつもりでございます。その俘虜の問題、戦犯の送還というような問題につきましても、これまではいろいろやつていたのでありますけれども、政府は直接手を出してもうまく行かないという、いよいよそういう意向がはつきりしたので、日赤から代表者をソ連に派遣するということにも政府としては十分協力いたしておるのであります。漁業につきましても、現在多少話があるということを知らないわけではございません。それに対しては私どもは反対するというような態度は全然とつておらないものであります。今後機会がありまするならば、勿論木下委員のおつしやつたような方向に努力することは考えておる次第であります。

木下源吾日本社会党(第四控室・左)

○木下源吾君 只今あの戦犯の問題など、捕虜の問題などは、あれはいわゆる連合国を通して日本は今度独立した国だという建前から行けば、直接お話になつていいのですよ、私はそう考えますね。それで現にこの間は政府の代表を認めないというけれども、あの向うから来た船、船長を公判しているあれは向うはどんどん政府に言つておるのです。それで何も同じ人間を、お前は代表者を認めないとか何とかかんとかそういうことじやなくして、もつと実質的の問題に入つてもらつたらどうかと私は思う。独立の、つまり独自の立場から、これは政府がそういう構想を希望するのだという一つの言明をしてもらえば、これはその途は自然に開けてもう早急に解決すると私は思うのですよ。どうかそういうようなことに努力されるように一つお願いいたします。現地はもうこれを非常に、今「さめ」の時期で、それで今大きな問題の、この拿捕だとか何とかいうことが起きないことを戦々兢々として皆心配しておる。どうか一つもう少し積極的になられるようにあなたを通して政府内部の一つ意見をまとめて頂きたい、こういうふうに考えます。

森崎隆日本社会党(第四控室・左)

○委員長(森崎隆君) 対ソ漁業の問題が途中で議題となりましたが、この程度で一応この問題は……

千田正無所属クラブ

○千田正君 今日の委員会は、一つ順を追つてやつて頂きたい。外務省に操業権について質問するのであれば、今日は外務大臣が来なくても、外務政務次官に対して今木下委員の言うような北洋問題もあります。或いは濠洲問題とか、東南アジアの問題とか、いろいろたくさんあります。一応李承晩ラインからスタートしておりますから、一応この点について、外務省に質しておきたいと思います。それでちよつとの間時間を頂きたい。  それは現在不法監禁されておるところの漁民、私が言うまでもなく、韓国は日本に対して宣戦を布告した国でもない。それから勿論現在条約国でもない。併しながら現実においては日本の漁民が不法に監禁されておる。而も向うの法律によつて懲役六カ月であるとか、追徴金何千円とかいうものを科せられておる。こういう刑罰が我々から言えばあり得ない、このように考えられます。なぜかと言うと、公海の自由の原則から言つて、公海上に行なつたところの善良な一つの国民が、何ら相手国の領海を侵犯したものでない者に対して科せられた罪というものに対しては、将来外務省においては韓国との折衝の間において、これに対する賠償、その他の問題が起きて来ると思いますが、どういうふうに考えておられるか。もう一つ、この平和条約の中に、これは韓国も、日本もまだ国際連合に参加しておりませんが、一九四八年の十二月の十日の国際連合第三回の会合で採択しておるところの世界人権宣言の第二条の第二項に「個人の属する国家又は地域が独立地域であると信託統治地域であると、非自治地域であると、その他の何らかの主権の制限の下にあるとを問わず、その国又は地域の政治上、管轄上又は国際上の地位に基づくいかなる差別も設けてはならない。」と、而も第五条には「何人も、拷問又は残虐な、非人道的なもしくは体面を汚す待遇もしくは刑罰を受けることはない。」と、国際上の、この世界人権宣言の中に、国際連合が採択したこうした誠に道義的なる文がありますが、現実においては、今の公海の自由の原則に立つて、日本の漁民が何ら制限されるところない海上における漁撈をやつておるものが、一方の国において不法監禁されておる。こういう問題につきましては、日本としては将来どういうふうに考えておるか。特に我々が漁業者の立場、或いは漁民の立場から考えた場合において、水産庁その他行政官庁は漁船保険、若しくは船員保険その他において不幸な災害を除去しようとしてあらゆる努力を払つておりますけれども、こういうような不法監禁に対しては我々は方法がない。こういう点についても日本の将来において考えなければならん。外務省の立場としてあなた方の見解はどういうふうにとつておられるか。この点を政務次官から承わりたいと思います。

小滝彬自由党外務政務次官

○説明員(小滝彬君) 千田委員のおつしやること、誠に御尤もでありまして、九月の九日に奥村次官から金公使に渡しました口上書にも、この点をはつきり主張いたしまして、日本側としてはこのような裁判というものは承認することはできない。そうして又将来の賠償の権利も、日本は当然留保するものである。至急これを送還するように、船と共に返すようにということを申入れたわけであります。又今度の会談においても、その会談が始ります前にも、先ずあれを返えさなければ、こういう人道に反するようなことをされては会議を進行することはできないということを言い、又民間代表者の方も、先ほど申しましたように通信の問題であるとか、差入れの問題と共にこれを早く返してもらわなければならんということを強く主張したのであります。尤も先方のこちらにもたらしましたところの外交文書によりますと、三海里内の領海で捕えたということを言つております。第一大平丸の裁判につきましても、公文を読んで見ますと、そういうことを言つておる。ということは、やはり公海で漁業していたのを抑留する、而も裁判に付して厳罰に付するという点については、韓国側といえども多少良心の苛責と申しますか、十分国際的に認められない虞れがあるという懸念からか、そういうような文書をよこしておりますが、日本側としては、これは単に李承晩ラインという向うの勝手にきめたラインだから、即ち公海で漁業しておつたものであるからして、そのような裁判というのは飽くまで不当、不法なものであるということは強調している次第であります。今度の交渉中においても、まだ向うからはつきりと何とも言つて参りませんから、機会あるごとにこうした点は強調して、同時にでき得れば言論機関も利用し、且つ又この関係国へもこうした情報を流して、国際的輿論も喚起するように努めるというやり方をしておりますが、まあそれにしましても先ほど木下委員から、非常に向うだけが悪くて日本がいいといつたようなことをやるのはよろしくないという御意見がございましたが、併しこうした点につきましても、飽くまでも我々の主張は正しいということを堅持いたしまして、今申しましたような方針で進んで行く考えであります。

千田正無所属クラブ

○千田正君 今のいわゆる公海であるか領海であるかという非常に微妙な問題が将来の日韓会談ばかりでなく、或いは日米のこの間の太平洋における拿捕問題もありますし、北洋における問題もありますが、この問題に対するその疑問点を明瞭に、当方のいわゆる主張できるような立場に十分の調査ができているかという点において、海上保安庁及び水産庁から一応その点においても明確にお答え願いたいと思つております。

森崎隆日本社会党(第四控室・左)

○委員長(森崎隆君) それでは海上保安庁島居次長から。

千田正無所属クラブ

○千田正君 果して領海侵犯であるか侵犯でないか。外務省の見解としては領海侵犯でないということで堂々と只今交渉中でありまするが、その問題は将来非常な国際紛争のいわゆる解決の鍵でありまするので、当時立会つているところの、或いは調査しているところの海上保安庁若しくは水産庁等においてどういう材料が、はつきりしているかどうか。その点を一応御説明願いたいと思います。

島居辰次郎海上保安庁次長

○説明員(島居辰次郎君) 私のほうで拿捕されるとか、或いは臨検されているものについて直接接触したものについては、その場所は記録してございますから、それは公海であることは言えるのでありますが、私のほうが見ておらんという所で拿捕して連れて行つたものについては、これは直接の記録承ございませんので、明確なるものはないと申上げるよりしようがないと思います。

千田正無所属クラブ

○千田正君 それでは非常に弱い立場になるのであつて、早い話が結局監視船員やその他の僚船がいない所でつかまつたという場合においては、向うのいわゆる威嚇的な強制の下に或いは承認されているかも知らん。大体において今までの過去の状態を見るというと、威嚇されて強制的に向うのいわゆる言われるがままに捺印したり、或いは血判をしたりして向うへ提出して、それが証拠となつて向うにおいて刑罰に処せられているというような実情があるように思われますが、その点はどうでありましようか。

島居辰次郎海上保安庁次長

○説明員(島居辰次郎君) 向うの船に拿捕されておる人にまだ直接私のほうも照会はできませんのでございますが、併しながら普通の軍艦が商船を臨検する場合においては記録に留めなければならんのでありまして、その場所を若し拿捕された漁船が記録に留めておいたならば、その場所はここは何度であるということを記録に留めておいたならば、それが確かな証拠になると思うのであります。

千田正無所属クラブ

○千田正君 それが確かな証拠になるということならば、今小瀧政務次官の言うような日本の正しい主張はなかなか通らなくなる。ということは、今まで我々が拿捕された船舶の船長或いは漁夫というような人たちをたびたびこの委員会に呼んで、そうして勿論これは還された人たちでありますが、その当時の事情を皆聞くというと、発砲されてそうして運航の停止を命ぜられ、而もそのラインが公海のいわゆる自由操業できる所にあるにかかわらず、強制的な無抵抗な状態においていろいろなる犯罪を止むなく自認しなきやなない態度におし進められて拿捕されておつたというのが大部分、殆んど九九%なんです。そういうことであるとするならば、今ただそれだけの向うの言い分において北緯何十何度、或いはういう地点であるという向う側の主張のみが通るというのであるならば、恐らく小瀧政務次官が言うような外交の折衝は容易に解決できないと思うのでありますが、そういう点につきましては、どういうふうな方法によつて正しい地点を明確に主張して日本の外交折御に十分なる成果を得させしめるような方法を講ずるか。こういう点につきましては外務省の御意見と並びに水産庁或いは海上保安庁の御見解はどうでありますか。今の海上保安庁のおつしやることであれば、軍艦が正しい位置を示しておる。相手方の軍艦だけの問題では私は到底承服できない問題である、かように思いますが、その点はどういうふうに考えられますか。

森崎隆日本社会党(第四控室・左)

○委員長(森崎隆君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕

森崎隆日本社会党(第四控室・左)

○委員長(森崎隆君) 速記を始めて。

秋山俊一郎自由党

○秋山俊一郎君 李承晩ラインにおいて不法に拿捕されて元も子も取られてしまつたという多くの漁船があるのであります。この漁船につきましては勿論保険に付していないものもあると思いますが、特殊保険に付した船もあるはずであります。その特殊保険に付した船に対しましては水産庁は直ちに保険の給付をするのであるかどうか、その点をお伺いしたいと思います。

岡井正男水産庁次長

○説明員(岡井正男君) 只今手許に的確な資料は持合せておりませんが、御指摘の点につきましては、関係業者は非常に迷惑であるから、できる限り作業は迅速にやろうという申合せを関係の課、部でいたしまして、目下進捗していると思いますが、この次の機会にでもいつ幾日どういうふうに支払した、或いはどういう点で残つておるというように答弁の洩れた点は次にお答えいたします。考え方としては、右のような次第であります。

秋山俊一郎自由党

○秋山俊一郎君 かように多数のいわゆる保険事故があるといたしますと、政府のほうにおいても今までの保険金では間に合わない。併し保険というものは御承知のように、万一のときに備えた保険でありまして、これが政府の手許の都合でどうのこうのということになりますと、折角業者のために設けられた保険の将来というものに非常な暗影を投ずることになりますので、この点は至急に適切なる措置を講じて頂くように要望いたします。従つてこの次の機会にどういうふうな状態になつておるかということの御報告を得たいと思います。

森崎隆日本社会党(第四控室・左)

○委員長(森崎隆君) ほかに何か、ございませんか。速記をとめて。    〔速記中止〕

森崎隆日本社会党(第四控室・左)

○委員長(森崎隆君) 速記を始めて。

小滝彬自由党外務政務次官

○説明員(小滝彬君) この小笠原方面で漁船がつかまつている事実は私どもも承知しておりますし、アメリカの大使館もこれには重大な関心を払つておりまして、できるだけ近くへ漁船が入らないように日本側でも警戒してもらいたい、こういうことを言つている次第であります。この領土権につきましては、私どもはこの平和条約第三条によつて、日本が領土権を持つておることは間違いないことであり、アメリカもそれは認めておるところでありまして、ただ「合衆国は、領水を含むこれらの諸島の領域及び住民に対して、行政、立法及び司法上の権力の全部及び一部を行使する権利を有する」というので、行政上の権利を、地域は領水を含んでの地域に行使しているわけでありまして、その権限によつて、軍の必要上そこへ立入ることを禁止しておる。領土権を持つておるからでなしに、この平和条約第三条によるところの行政権の発動であるというふうに解釈しております。

千田正無所属クラブ

○千田正君 しばしば南方の殊に小笠原、曾つての日本の領土であつた土地との間の漁業について、向う側も或る場合においては日本と一緒に陸上設備の製氷とか或いは冷凍もやつて、そうしてお互いに漁をしたいという希望をたびたび伝えて来る場合もある。そういうような場合も相当ありますので、アメリカ側の一方的なそういうことだけで拿捕されるということは誠に遺憾なことでありますが、こういう問題において向うの住民と日本の業者との間、或いは漁民との間に話合いを十分付けさせるようにアメリカ側をして運ばせるような折衝をやる意図がありますかどうか、その点をあなたにお聞きしたい。

森崎隆日本社会党(第四控室・左)

○委員長(森崎隆君) 加えてお聞きしますが、新聞で見たところでは、軍事的な理由というのは書いていないのですね。それによつて島民が生活を依存しておるところのその漁場を侵犯するというのは非常に困るという何か理由があるのですね。だから島民の漁業は許すが、島民以外の日本人の漁業は許さないというので拿捕したというように新聞を読んだときは受取れたのですが、そういう関係はどういうふうになつておりますか。千田委員の御質問と一緒に御説明願いたい。

小滝彬自由党外務政務次官

○説明員(小滝彬君) 向うと提携してやるような話を進めておるかどうか。それは只今のところまだ何もいたしておりません。或いは水産庁あたりからそういう意見が出ますならば、我々としては喜こんでそうした折衝に当りたいと思つておりますが、そういう話は進めておりません。  それから委員長が今おつしやいました点につきましては、向うからの申出には飽くまで軍事上の点があるのでありまして、住民の保護ということは或いはあるかも知れませんが、直接には軍事的な点を言つております。  それから今まで十数回警告を与えたけれども、幾らでも入つて来るからしようがないから拿捕せざるを得ないのだということを言つておるから、又そういうことが起らんように是非日本の当局は協力してくれということをアリソン大使が言つて来ております。

千田正無所属クラブ

○千田正君 今の日本の水産という問題、この漁業の問題は、非常な必死な立場で、いわゆる漁民の戦いというよりも、漁場の不足、それから漁獲不良等について、あらゆる角度から懸命な漁獲その他に対する努力をしておるのであります。ところがなかなか容易じやない。今や日本の漁業は沿岸からいわゆる遠洋へと伸びて行かなければ到底日本の漁民の生活は確保できない。そういう場合に立至つておるので、当然独立もし、又現在のところ平和的な状況に立至つておる今日、なおそういう面においてでき得るならば、仮にアメリカが行政権を持つておるとしても、そこの島民との間の物的交換であるとか、共同漁業であるとか、そういう平和的産業に対して伸びて行くことを考えなかつたならば、日本の漁業の育成というものは誠に憂慮すべき問題ではないか、我々はこう考えるのであります。只今政務次官からは、水産庁から、或いは業者その他からそういう要望があるならば、アメリカ側とも交渉を開始してもいいというようなお答えでありましたが、これは是非開始してもらいたい。そうしてむしろ紳士的な立場において、不祥事件が起らないというような方法によつて、善良なる漁民が善良なる立場において労働して行くような、島民の漁業も妨げないで、そうして両々生きるような方途においてやつて行くということであるならば、必ずしも私はアメリカの同意を得られないはずはないと思います。この点について特に私どもとしては、そういう不祥事件を起さないような了解の下に漁業ができるような方途に交渉を願いたいと、私はさように考えます。  もう一つ、濠洲におけるところの、最近この日本漁業の、特にアラフラ海その他に対する真珠貝の採取等に対するいろいろな問題が起きておりますが、その点において外交折衝したことがありますか、どうですか。その点を伺いたい。

小滝彬自由党外務政務次官

○説明員(小滝彬君) 最初の点につきましては、千田委員の仰せを承わりまして、政府側のほうはその段階になりましたら、勿論外務当局としてはそうした折衝に、できるだけそうした希望を達成いたしたいと考えます。  それから濠洲の大陸棚の問題は、真珠貝の問題につきましては、御承知のようにこの四月からずつと交渉しております。ところが七月に日本の出した案というものに対しては何ら返事もよこさない。そこで八月の初めに、大体これまでの話の内容を盛り込んだところの案で、この区域へ日本のほうは出て行くのだ、これまでとにかく二十五隻、千二百五十トンを取るということは了解を得ておつたけれども、それはまだそのほうの採取高も十分でないのでへそのまま返すということになれば、非常に業者のほうも損害が大きい。そうした通告をいたしましたところ、これに対して先方のほうは、日本がもうすでにこの交渉を継続する意思がないものというように見たかの、ごときことを申しまして、あの真珠貝採取に関する法律の改正をし、且つ又大陸棚についての宣言をしたことは御承知の通りであります。そこで我がほうといたしましては、これの不当な点を西大使を通じ、又ここのウオーカー大使に対しまして通達して、そしてこれを日本としては絶対に承認することができないという点を明らかにした次第であります。が併し、先方は正式の回答は何らよこしておりません。が、日本の真珠貝採取業のほうへ直接的な損害を大きく与えるようなことは、成るべくこれを避けるようにするために、御承知のようにM地域においては、許可を受けなくとも採取を継続して差支えないというような布告も出したようなわけでありますが、併しこれにつきましては、向うのほうは、あの大陸棚の宣言というものを撤回しようとする意図は持つていない。日本のほうは勿論既得権を持つてもう六十年も開拓をし、そうして非常に多数の犠牲者も出して、あそこを開拓したのだから、その実績を持つている日本を排除するようなことはいけないという、不法であり、不当であるということに対しては、いや、日本のほうも許可を取付けようとするならば、当然許してやるというようなことを言つて、余り高圧的でない態度には出ておりまするが、原則は変えようといたしておりませんので、いろいろ我々のほうで検討をいたしました結果、この問題については、国際司法裁判所に提訴すると同時に、実際的には、その裁判がまとまるまでは、一方的にこのような措置をとることのないようにというような趣旨を申入れたわけでありますが、先方のほうからまだ何ら回答をよこしておりません。こういう法律上の問題を司法裁判所で解決するということは、濠洲側でも異議のないはずであります。そうしなかつたならば解決できないことなんだから、相互に話合つて、向うへ、司法裁判所のほうへ提訴しよう、日本もただ単に交渉の問題についてのみ司法裁判所の管轄権を認めるというのでなしに、一般に今後日本は司法裁判所に加入するという意向も持つておるのだから、その手続が済んだら、一つ濠洲ももう少しこの問題を忌憚のない立場から司法的に解決して行こう。但しそのきめるまでは一つ勝手に、一方的に又国際法上、果して承認せられるか、せられないかわらないような措置を日本に加えることのないようにという、一方で外交的な交渉、一方でそれに並行して、司法的に解決を求めるというやり方にしまして、向うへ申入れておりますが、先ほども申しまするように、何ら回答はまだよこしておりません。これが現在の状態であります。

千田正無所属クラブ

○千田正君 濠洲側の意見としては、濠洲側の出す法律を一方的に作つたのだから、日本がその国際司法裁判の判定の結果を待つまでは、一応濠洲側の許可を得て採取しろというように我々は受取るのでありますが、そうしなくとも、一応この国際裁判の決定するまでは、自由に、或る程度向うを刺激しない程度であつたならば、採取を継続してもよいという観点に立たれておりますかどうか。外務省の関係はどうですか。

小滝彬自由党外務政務次官

○説明員(小滝彬君) 向うの許可をとつてやるというのでなしに、とにかくこれは実施しないようにしてくれ。その代り日本としては交渉するということを濠洲側で認めるならば喜んで交渉に応ずる。日本のほうで自主的な、自発的な制限措置はこれを講ずるにやぶさかではないから、一つ立法的な、法律的な国内法で以て許可をとつてやれということは撤回しろというのが我がほうの趣旨であります。

森崎隆日本社会党(第四控室・左)

○委員長(森崎隆君) 今日はこれで閉会いたしまして、明日は午後一時にいたしまして、本日はこれを以て閉会いたします。    午後三時三十一分散会

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