水産委員会 閉会後第1号
- 発言数
- 103 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1953/09/10
会議録
○委員長(森崎隆君) それでは只今から委員会を開会いたします。 御案内申上げたところ、お暑い中、委員各位の御出席を頂きまして御礼申上げます。本日の議題は、和歌山県下の水害による大阪、兵庫、徳島三府県下の水産被害救済の件、日韓漁業協定の交渉の経過及び朝鮮水域出漁に関する件並びに竹島に関する件、昭和二十九年度水産庁所管予算に関する件、船員法適用範囲に関する件、演習地の被害補償に関する件等を一応議題として挙げておきましたが、そのほかいろいろ御要望がありますれば、今明日に亙りまして逐次案件を審議したいと思います。 この中で、本日取りあえず日韓関係の漁業の問題が非常に重大な段階に至つておるようでございまするので、只今からこの状況等につきまして、この問題を先に取上げたいと思いまするが、如何でございましようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(森崎隆君) 御異議ないと認めまして、それでは今日は政府委員の方々、大臣も要請しておりましたのですけれども、取りあえず御出席頂いておりますのは、海上保安庁長官山口君、水産庁の長官清井君、運輸省の船員局長武田君並びに保安庁政務次官前田正男君が来られております。外務大臣にも是非とも御出席頂くように要請しておりまするが、何か用事とかでまだ来られておりません。現在交渉中でございます。 それでは取りあえず政府委員からいろいろ現在までの状況を御報告頂きたいと思いますので、海上保安庁長官の山口君から経過の御報告を一応承わりたいと思います。
○説明員(山口伝君) 只今議題となりました朝鮮海域の拿捕問題につきまして、これまでの経過を概略御説明申上げたいと思います。 朝鮮海域におきまして、本年に入りましてから去る八月までに拿捕事件として起りましたのは四件であります。ほかに臨検、追跡等に類する事件は三十三件発生しております。拿捕の四件のうち、未帰還のものは二隻という状態であつたのであります。なおこれらの事件が八月までに起つておりまするが、四月から八月までの五ヵ月の間は拿捕事件は幸いにして発生しなかつたのであります。僅かに臨検等の事件が四つあつたのみであります。かような状態であつたのでありまするが、去る八月二十七日の国連軍によつて設定されました防衛海域の実施が停止されますと共に情勢が変つて参りまして、韓国政府においては、この措置に対して国連軍に抗議すると共に、いわゆる李承晩ライン水域の保護のため実力を以て警備する等の声明をしばしば行なつていたので、同方面行動中の海上保安庁の巡視船に対しましては厳重に警戒を指示し、併せて操業中の日本漁船に対しましても注意を喚起しておりましたところが、九月に入りまして韓国側は艦艇十余隻によりまして済州島周辺海域の警備を強化し、日本漁船の李承晩ライン外退去措置を講じて参りました。現在、即ち本日の十日午前八時までに判明しました分で拿捕三隻、臨検、立退警告等を受けたものが三十五隻に達しておるのであります。海上保安庁といたしましては、従来から同方面海域に巡視船一隻又は二隻を常時行動せしむると共に、これは昨年の閣議決定に基いて特別哨戒として行なつておつたのでございますが、このような状態になりましたので、更に東支那海方面の哨戒の巡視船の復航の途次、即ち朝鮮海域の方面の警戒に当らしめる水産庁の漁業監視船と協力して拿捕その他の事件の発生未然防止ということに努めて参つたのでありますが、今回韓国側の艦艇による一斉取締に対しましては、直ちにこれらの従来からやつておりました警備力のほかに巡視船を同方面に増派しまして、只今のところ現地に五隻哨戒に当つております。これが水産庁の監視船の三隻と相共に拿捕及び紛争防止等に努めているのが目下の状況であります。巡視船は現場において操業中の日本漁船に対しては韓国艦艇の動向等を周知し、拿捕等の危険防止等を注意するほか、これらの巡視船のうちすでに新聞紙上で御承知だと思いますが、「ながら」、「くさがき」等の巡視船は韓国側の取締艦艇とも再三接触いたしまして、その都度相手の艦長に対し、いわゆる李承晩ラインは不法なものである、従つて日本漁船に対する退去措置は不当な措置であること及び正当に操業する日本漁船に対する生命、財産等の尊重につき注意を喚起するなど、でき得る限りの直接交渉を行うなど、操業のやすきに努めているのでありますが、韓国側は本日の二十四時以後は李承晩ライン内に操業する日本漁船は逮捕するとの強硬な方針を依然として改めず、同海域を遊弋しておりますので、今後操業中の日本漁船は、目下李承晩ライン外に退避中であり、同海域におきまする日本漁船による操業は事実上不可能のような状態になりつつあるのであります。海上保安庁としては関係機関とも協議の結果、目下のところ状況の許す限り引続き巡視船を現場に派遣し、でき得る限り拿捕及び紛争防止等に努力する所存であります。 なお巡視船は、先ほど申上げました通り、現在現場に五隻配備いたしておりますが、更に三隻を最寄りの基地、即ち厳原、福岡、浜田のこの三基地に即時待機せしめております。これらが今後水産庁と十分連絡いたしまして、現場における監視船と共に事態の推移に備えているのが現在の状況でございます。
○委員長(森崎隆君) 次に、この水域はさばの漁業が中心であろうかと実は聞いているのですが、今日までの朝鮮水域における日本の漁業関係の方々の実績、特に現在使用されているところの漁船数、又従来韓国自体の手で出漁されておりました能力等につきまして、水産庁長官から一つ御説明、お報告を頂きたいと思います。
○説明員(清井正君) 只今お示しがありました点につきまして、私から水産庁の関係事項を御説明申上げます。 現地におきます経過につきましては、只今海上保安庁の長官より御説明いたしましたことに尽きているのでございますが、更に私より補足をいたしたいと思う点は、水産庁といたしましては、当初第一成洋丸という監視船を派遣いたしておつたのでございますが、この事態に当面いたしまして取りあえず黄海方面に出動しておりましたところの巡視船を直ちに当海域に回準せしめ、更に待機中の他の一隻を派遣いたしまして、只今三隻の水産庁監視船が現場において海上保安庁の巡視船と密接なる連絡をとりつつ漁船の保護に当つている次第であります。当漁場は申すまでもなく、只今はさばの釣り漁業及びまき網漁業の最も盛んな時期でありまして、それに従事いたしております漁船は恐らくまき網及び釣り漁業合わせまして五百近い数になるのではないかと推測できるのであります。而も関係の県は関東沿岸各県より太平洋沿岸各県及び九州等極めて広範囲に関係県が亙つているのでありまして、関・係の漁業者の数も相当莫大な数に及ぶものと考えているのであります。而も本年のさば漁業はつい最近まで海況の関係上不良であつたのでありますが、最近特にさばが漁獲が良好になつて参りましたので、これでは行けるというふうな気持になりまして、関係業者が大いに張切つた矢先にかかる措置がとられたのでありまして、以て関係漁業者に及ぼすところの悪影響は深刻なるものがあると私は考えているのであります。連日私の所へも関係の漁業者が直ちに安全操業ができるよう措置してもらいたいということを陳情に参つておられるのも、私も誠に尤もなことであると思いまして、何とかして私は現在折角取れ始めたところのさばを今後も引続きやりたいものと考えているのであります。更に同方面の漁場は、さばのみならずこの秋には底曳及びトロールの漁場であるのであります。それに従事する秋には一千隻を超えるかとも思うのでありますが、とにかく同方面に一千数百隻の漁船があじ、さば、トロール、底曳漁業等に従事いたしておりますので、かかる良好なる漁場が不当な措置によつて漁業が不可能になるという事態に相成りまして、これは我が水産界に及ぼす影響は極めて甚大なるものがあると私は考えるのであります。現状といたしましては、只今申上げました通り、我が水産庁の監視船は保安庁の船と十分な連絡をとりつつ現場の漁船の保護に当つている次第でございます。
○委員長(森崎隆君) 有難うございました。次に外務省の小瀧政務次官から、外務省の立場からの御報告をお願いいたしたいと思います。
○説明員(小滝彬君) 外務省のほうにおきましては、李承晩ラインの問題について昨年の一月以来数次に亙つて韓国側へ抗議をしていることは御承知の通りであります。この李承晩ラインそのものについては二回、又は大邦丸事件、いろいろな事件に関連いたしましても数回この問題を取上げまして、それが不当であることを指摘して、これが撤廃方を迫つておつたわけであります。然るに今般このような非常に不祥な事態を生じて参りまして、いよいよ事態が急迫して参りましたために、昨日午後四時三十分に、これも新聞に出ておつたと思いまするが、韓国の公使を外務省に招致いたしまして、この李承晩ラインが国際法上認められないところのものであつて、これに対してはこれまで数次申入をしておつた通り、この主張というものは直ちに撤回せらるべきものであるということを第一に指摘いたしまして、且つ今般拿捕されたことがはつきりわかつておりますところの漁船の第一大福丸及び第二億島丸、二隻の船と船員とを即時釈放するようにという点、又将来この種不法行為の再発を防止するために速かに有効適切な措置を講ずるよう要請いたした次第であります。なおその際には奥村次官からも詳細事情を述べて、この措置を速かに停止する、又日本側の関係者に考えたところの損害に対しては妥当なる補償を要求する権利を留保するものであるというような点を指摘いたしたのであります。韓国の公使のほうは、本国政府に請訓するというので帰つて行つたような状態でありまして今のところ外交交渉として実際の成果を挙げておらないということは非常に遺憾に堪えないところであります。どうして承直接交渉で十分な勧果が期待できない、韓国政府の態度がこれまでのような状態であつてはどうしてもそうした期待をかけ得ないとすれば、これは或いは他の方法も早速考慮しなければならないのであろうというふうに考えまして、他の方法、即ち国際司法裁判所の問題であるとか、或いは第三国の斡旋というような点、或いは又国連総会にこれを提起するとかいうような点についても、目下慎重に考慮をいたしておるような次第でございます。
○委員長(森崎隆君) 只今海上保安庁、水産庁並びに外務省御当局から一応の御報告を頂きましたが、一応以上の報告に関連いたしまして、委員各位から御質疑があれば頂きたいと思います。
○千田正君 議事進行について。このような重大な問題に対して、私は外務大臣に対して政府の所信を質したいと思つてこちらから申込んでおるはずでありますが、外務大臣の出席もなければ、当面の農林大臣の出席もない理由はどういうわけでありますか。
○委員長(森崎隆君) 末日委員会を開会することにつきましては、相当期日以前にすでに決定しておりましたので、強く両大臣の御出席は要請してあつたのでございます。現在のところの報告では何か会議があるとかいうことで出席が不可能のような報告があつております。私もその点は遺憾だと思います。
○千田正君 何の会議か知らんけれども、現在現に起つておるところのこの李承晩ラインの問題は、日本の国民にとつては非常に重大な問題であり、同時に操業しておるところの漁民に対しては、生活に最も急迫した問題であつて、今の政府において仮にこれが社会党政府くらいならば、中止してまでもこの委員会に来て現実の問題に対して政府の所信を明らかにすべきである、私はかように考えるのであります。如何なる一体会議を開いておるのか、その点を一応伺つておきたい。
○委員長(森崎隆君) 現在農林大臣のほうは予算の問題で省議をやつておるというような御報告でございます。外務大臣のほうはMSA援助の問題等で何か話合いがあるというような話で現在ちよつと居場所がわからないような現状でございます。
○千田正君 そういうことではいかんので、私は飽くまで本日の水産委員会に外務大臣と農林大臣の出席を要求いたします。でありまするから、只今各委員の質問の最中でもよろしいから、所在を突止めて本委員会に出席を強要して頂きたい。特にごれは日本国民の要望としてお願いします。
○秋山俊一郎君 質問よろしうございますか。
○委員長(森崎隆君) ちよつと待つて下さい。今の千田委員の御発言について、各位にお諮りいたします。委員会の名前で特に両大臣に早急に御出席を頂くように再度要請いたしたいと思いまするが、如何でございましよう。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(森崎隆君) 御異議ないと認めまして……
○青山正一君 両大臣を是非とも呼んで頂きたいのですが、私も国内における韓国人の経済違反につきましていろいろお聞きしたいこともありますからして、一つ法務総裁もお呼びして頂きたいと思います。
○委員長(森崎隆君) それでは委員会の名前で法務総裁を併せて三大臣に早急に御出席頂くように要請を只今からいたしますから、このように一つお願いいたします。 只今から質疑を始めます。
○秋山俊一郎君 只今議題となつておりますところの李承晩ラインの問題、これは昨年の一月十八日に李承晩大統領がこのいわゆる李承晩ラインなるものの設定を声明いたしまして、我々日本の国民並びに漁業者にとりましては一大衝撃を与えたのでございまするが、この問題は元来国際法を無視したところの暴挙でありまして、勿論我が国といたしましても絶対に承服することのできない問題でございまするので、当時の政府といたしましては、直ちにこれに対する反対の抗議を提出いたして今日に及んでおります。然るにかかわらず韓国政府はこのラインを厳守するという建前から、爾来日本の正しい行動をいたしております漁船に対しまして拿捕、抑留或いは銃撃等の暴挙を加えて参つたのであります。その数等につきましては、只今それぞれの関係当局より御報告のあつた通りでありまするが、越えて同年九月韓国における国連軍の司令官より朝鮮の作戦上の理由からいたしまして防衛水域というものを制定されまして、俗にいわゆるクラーク・ラインと唱えておる線であります。この二つの線ができまして、そうしてわが日本の漁業は大きな制約を受けて参つたのでありまするが、このクラーク・ラインなるものは必ずしも絶対に漁業を禁止するのではなくして、防衛上有害でない方法に対しましてはなお漁業をすることも認められて参つたのであります。ところが最近八月二十七日に相成りまして朝鮮の休戦に伴いまして、この防衛水域の機能は今日なお継続する必要なしという理由の下に、この機能停止を国連軍によつて発表されたのであります。この発表に対しまして、日本の漁業者は非常な喜びを以て迎えまして丁度只今は先ほども水産庁長官より御報告のありました通り、日本と朝鮮の間における水域におきましては、あじ、さば、この最も大事な盛漁期に当つておりまして、千葉県以西の各県の漁業者、九州は勿論のこと、約七百隻に近い漁船がこの水域において日夜操業を継続し、いずれも大きな漁獲を上げて参つておるのであります。然るにこの防衛水域の機能停止を声明せられた直後において、韓国政府はこの李承晩ラインを更に新らしく声明いたしまして、この水域内において日本の漁船が操業するにおいては厳重なる処置をする。実力に訴えてもこれの取締をやるということをしばしば声明されて来たのであります。勿論我が国といたしましては、この線は問題にしておらん、不法なる線であるということにおいて我々はこれを無視しておるのでありますけれども、韓国政府は本日の二十四時を期しまして、それまでに撤退せざる漁船は砲撃もあえて辞さない、砲撃、拿捕いわゆる実力行使をするという声明を発しておるのであります。そこにおきましてこれらの多数の日本漁船が非常な驚きと恐怖の下にこの盛漁期を如何にするか、元来今日まで漁業の経済は非常に切り詰つておりまして、赤字続きのものをこの盛漁期において取返すべく一生懸命で操業いたしておりますさ中にかような声明が発せられましたので、その去就に非常に迷つておるのであります。昨日も千葉、東京都及び神奈川、静岡の漁業者の方々が上京されまして非常な沈痛な面もちで我々に訴えておるのでございますが、この措置に対しまして日本の政府はこれらの漁船に対して如何なる処置をとるのか、この水域から撤退せよというのであるか、或いは又これは意に介せずに操業を続けよというのであるか、我々は如何にすればいいかということを強く尋ねておるのであります。この点につきまして、日本政府はこれらの漁業者の心配しておる点を如何に御答弁になりますか、私は代つてこの点をお尋ねいたしたいのであります。 それから只今海上保安庁より御報告のありましたように、直ちに巡視船の増派を行いまして、水産庁の監視船と共にこの水域における十分なる保護を加え、又不祥事の起らないように警告を発し処置をしておるということでございますが、これらの巡視船並びに巡視艇は若し拿捕、襲撃のあつた場合に果して日本漁船を如何にして護られるのであるか、その護られる方法をお尋ねしたいのであります。 それからなお私どもといたしましては、今日まで不法拿捕、抑留或いは大邦丸のごとき拿捕に続く人命の殺傷というような問題が起つております。又竹島の問題も起つております。これらの我々の絶対に首肯し得ない韓国政府の行動に対しまして、我が外務当局は常に折衝を重ねておりますけれども、一として解決したものはないのであります。かような交渉によつてこれらの問題が今後早急に解決せられる見込も誠に薄いのでございまするが、この不法に、区域を一方的に制定いたしましてこれを強行して、無事の日本の漁船を害しようとする行動に対しまして、日本政府はただ外交交渉によつてのみこれを解決するということが可能かどうか。国連の総会に提訴するとか、或いは国際司法裁判所に提起いたしましても、その解決は二年乃至三年を要するものでありまして、その間これらの漁業者を如何にするつもりであるか。なお又我々は不十分ながらも国費を投じまして海上警備隊を持つているはずであります。これらの警備隊の出動によりまして日本漁船の保護を十分にやつて行くという考えがあるかどうか。先ずこの三点につきましてそれぞれ外務、保安庁及び海上保安庁の当局にお尋ねをいたします。只今千田委員上り御質問のありました当の最高責任者である大臣の御出席のないことを私も誠に遺憾に存ずるのでありますが、今日御出席の政府当局は、大臣に代つて責任を持つておいでになつていることと存じますので、そういう意味におきまして、御出席の政府委員に対しまして一応以上三点をお尋ねする次第であります。
○委員長(森崎隆君) 只今の御質問に対して外務省の小瀧政務次官から先ず御答弁を願います。
○説明員(小滝彬君) 直接の外交交渉がこれまで何ら成果を収めておらないということは、私どもも非常に遺憾に思つているところであります。外務省といたしましては勿論厳重な抗議を申出て、そうして先方の反省を促すと同時に、実は御承知のように韓国との漁業交渉によりまして、何とか問題を円満に妥結したい、平和条約第九条の趣旨によるところの協定によつてこれを解決して行くという方法をとつたのであります。ところがこの会談は長期に亙つて行われましたけれども、依然として韓国側からは具体的な提案も出さず、いたずらに日本側の提案に対して反駁を加え、これに批評を加えるというような態度に終始しておりましたために、この会談も一時中止せざるを得ないというような状態になつた次第であります。そこでどうしても直接の交渉によつて話合いはできないということになれば、先ほど御指摘になりましたような国際的な輿論に訴える方法、又法律的措置に訴える方法ということも考えなければならないし、又事実韓国に対して重大なる発言権を持つておる国の斡旋を頼むというようなことも一つの方法であろうと考えます。この意味におきましてすでに李承晩ラインに関する情報は関係各国に始終遅滞なくこれを通達いたしまして、関係国の注意を換起しているのでありますが、併し今こう差迫つた事態をこうした交渉ですぐ解決できるかと申しますると、秋山委員も仰せの通り、実際問題としてそこに非常に大きな困難がありまするので、この点につきましては実際上のこの措置、現地における措置ということも同時に必要になつて来ることだろうと考えます。外務省といたしましては、勿論外交上の措置も同時に今後とも強力に推進いたしまして、できるだけ早くこの問題が解決するように最善を尽したい考えでおります。
○千田正君 今の秋山委員の御質問に附随して外務次官にお伺いするのですが、只今委員長の説明によるというと、政府当局においてはMSA援助に対するところの問題その他の予算措置について重大会議をやつておるという拾答えがあつたのでありますが、特に私が聞きたいのは、これは小瀧政務次官がお答えできるかどうかわかりまけんけれども、今度のMSA援助の内容において、防衛体制を確立するその範囲の中に朝鮮との問題、今の韓国との間における海域に対する防衛という問題に対してはどういうような、アメリカ側との間に何かその点においてMSA援助を受諾するに際して韓国水域の防衛態勢についての日本側の態度、或いは今後の防衛に対する、殊に海上防備に対する所信について、政府としてはアメリカ側との特別な何か条件を持ち出すというよなうな意向があるのかどうか、その点はどうでありますか。
○説明員(小滝彬君) MSAの交渉におきましては、只今相互防衛条約というものを、即ちMSAの援助を受ける前提となる相互間の関係を律する条約の交渉をいたしておる次第であります。これはすでに各国と米国との間にも例がありますように、個々の具体的な問題を取上げて取結ぶものではなくしてMSAの援助を受けるからには相互にどういう義務を負担するかということを規定するものでありますからして、この交渉において、海域についての防衛態勢をどうするかというような話は全然出ておりません。ただこのMSAの援助を受けるということになりますれば、それによつて海上の警備力もより充実し得る利点がありますので、折角この交渉を妥結に導くように努力している次第であります。
○千田正君 今の小瀧政務次官の最後のお答えの中の、海上の警備力を増強するという問題がありましたが、海上の警備力というのは、現在のいわゆる海上保安隊に更に何らかの装備を加えて、只今現在行われておるような韓国の無法なるところの襲撃に対して対抗するだけの準備をしようというような問題に対しても言及しようというのでありましようか。その点はどうでありますか。
○説明員(小滝彬君) 私の申上げました趣旨は、MSAの援助を受けるということになれば、それは保安隊に対してのみならず、海上警備隊に対する装備の点も当然考慮せられるであろうから、その意味において海上保安隊の装備も強化し得るだろうということを申上げたつもりであります。従いまして現在はまだそうした内容に立入つた交渉には至つておらないのでありましてその基礎となるところの相互援助条約の内容を相互に話合いをしているという段階であります。
○委員長(森崎隆君) それでは秋山委員の御質疑に対しましての御答弁を願います、保安庁側から。
○説明員(前田正男君) 保安庁といたしましては、保安庁の法律に定めてありますところによりまして人命及び財産を保護するために特別の必要がありました場合においては、行動するのが責任であり、義務であります。併しながら現在の段階におきましては、皆さん御承知の通り外交折衝をやつておりまして、同時に警備につきましては、運輸省の海上保安庁及び水産庁の方たちが当つておられる段階でありまして、現在のところまだ保安庁といたしましては行動する段階ではないと思つておるのであります。併しながら成り行きの次第につきましては、私たちも十分注視をいたしたいと思つておる次第であります。
○秋山俊一郎君 只今の御答弁の中に、人命、財産の救助、保護をする任務を持つておるが、今のところそういうようなことに直面していないというような御答弁と受取つたのでありますが、現在すでに拿捕をされておるものが財産を持つて行かれておるのであります。人命こそまだ失われておりませんけれども、財産はまさしく朝鮮に持つて行かれておるのであります。更に今日の段階は、本日二十四時を期して一斉に実力行動をするということをはつきり声明いたしておりまするので、これが危険は誠に目睫の間に迫つておるのであります。生命の危険があり、又財産の危険も予想されるのでありますが、それでもなお日本の警備隊は出動ができないのでありますか。我々国民は、日本に海上警備隊があつて、海上における我々の人命、財産というものは保護してくれるのだという感じを持つておるのに、かような事件が起つてもなお且つそれができないということになりますと、国民は非常な不安を感ずるわけであります。現に先ほども私が質問をしておりますように、ここに出ておる漁船は、この大事な一日を争う盛漁期におきまして操業していいのか悪いのか、日本政府は如何なる態度をとつてくれるのかということを切実に見ておるのであります。この際に生命、財産を保護する機関であるところの海上警備隊の出動を見ないということは、私は誠に残念でありますが、この点について今一応御答弁願いたい。
○説明員(前田正男君) 保安庁といたしましては、特別の必要がある場合に行動することになつておりまして、従いまして運輸省の海上保安庁、水産庁で現在やつておられる範囲におきましては、まだ外交折衝もやつておられるところでございますが、未だに特別の必要があるというふうな要請、或いは又そういう事態に立至つていないと考えておる次第であります。なお保労庁のことにつきましては、皆さんすでに御承知だと思いますが、保安庁は武器使用につきましても、或いは又直接侵略等の問題につきましても、御承知の通りいろいろと制限があるのでありまして、文保労庁の船舶は、御承知の通り船舶でございますので、その点いろいろな点にも問題があるわけであります。併しながら我々は特別の必要があるという段階に至りました場合におきましては、又海上保安庁その他の任務が離れて参りました場合におきましては、考えなければならぬ問題だと、こう思つておる次第であります。
○千田正君 今の秋山委員の質問のお答に対して、特別の必要というその特別の必要の限界はどういう限界でございますか。
○説明員(前田正男君) これは政府において相談してきめるわけでございますけれども、大体今までのところは警察関係の方たちや、或いは海上保安庁の方たちにおやり願いまして、それにおいてまだ不十分であるという段階に至りました場合において、要請或いはそういう事態に至りました場合において、特別の必要を認めるというような慣例になつておるわけであります。
○千田正君 保安庁としては、要請がなかつた場合には出動しない。実際特別の必要が生じておるにもかかわらず、何らの要請がなかつた場合には自主的な出動はしない、かような見解をとつておられるのでありますか。
○説明員(前田正男君) それは私の説明がちよつと足りなかつたかも知れませんが、要請の場合も出動する。又政府におきまして、すでに警察関係の方たちの範囲を超えておるというふうな、特別の事態であるというふうに政府が認識いたしました場合においては、又政府として出すことになります。両方できるわけであります。
○千田正君 それでは只今の段階においては特別の必要を認めてない。且つ又要請もないから現在の段階においては出さないのだ、こういうようにあなたは見解をとつておられるわけでありますか。
○説明員(前田正男君) 現在の段階におきましては、先ほどお語いたしました通り、外交折衝をしておる段階であると政府は見ておるわけであります。
○委員長(森崎隆君) 海上保安庁から秋山委員に対して御答弁……。
○説明員(山口伝君) 現地における日本漁船に対する保護の方法は今後どういうふうにするのかという点にお答えいたします。海上保安庁の巡視船並びに水産庁の監視船も同様だと思いますが、今日の段階におきまして、なお李承晩ラインの中にとどまりして、日本漁船の保護に最後まで当るつもりで残留をしておるわけでありますが、今後期限が来ましていろいろと紛争事態発生するかも知れませんが、その場合の処置といたしましては、その紛争の中に入りまして、現場に立会いまして最後まで平和裡にこれを防止する交渉を続けます。併し事態が実力行使等による気配があつてどうにもならないときには、止むを得ず引下がりますが、最後まで日本の漁船と行動を共にすべくやつております。実はこの巡視船等についての取扱が今のところはつきりいたさないのですが、或いは巡視船、監視船につきましても、李承晩ライン外に出るというような話も一部あるようでありますが、我々としてはかような場合には、向うの取締の艦艇と接触して、この地点は航海上東経何度、北緯何度の地点である、何らどく必要はないはずだと、併し向うが実力行使をあえてしてでも退けということならば、如何なる理由に基くか、その点を究明して、止むを得ないときだけは退こう、それまでは依然として頑張つておるという形に相成つております。
○松浦清一君 今の点は非常に重要なんですが、今晩の夜中の十二時まで韓国側でも延期されておつて、十二時までライン内に操業することを守つて行くと、若しそれが守り切れなくなつたら、あとに引下がるようにするという御答弁なんですが、これは政府の全体の一致した御意見なんですか。
○説明員(山口伝君) 私の説明が少し足らなかつたかも知れませんが、我々のほうとしては、飽くまで折衝を時間一ばい続けて行く。で、時間後において実力行使でもされるような状態になれば、止むを得ず退こうと、併しそのときには向う側の主張なり何なり、証拠を残して、止むを得ず退こうと、それまでは退かないでおるという形をとつております。
○松浦清一君 それは海上保安庁独自の御意見ですか。それとも政府の一致した御意見なのですか。
○説明員(山口伝君) その点は昨日の関係官庁の会議で、さように最後まで我々事故を未然に防ぐために踏みとどまつて交渉を続けるという形をとることにいたしたはずでございます。
○松浦清一君 最後まで踏みとどまつて操業を続けて行くということはいいんですが、事態が、今晩の十二時になつて非常に危険になるという事態に直面したときに、あとに引下がるということは、今日までに李承晩ラインというものが韓国のほうから声明されて以来、日本国としてはこれを認めないと、こういう態度をとつて来た方針とは若干違うように思うのですが、その方針をいつの頃の閣議で変更されたのですか。
○説明員(山口伝君) 別に従来の方針と変らないと思うのでありますが、今回の事態に対応して、相談の結果、こういう危険な状態になりつつある状況につきましては、無論日本漁船に対して周知徹底を図ると同時に、我々は、その場合における紛争は立会つて平和裡に解決したい。その証拠には、実は私のほうの巡視船が先方の艦艇と昨日あたり接触しました際に、万一危険に置かれるような場合も、どうしても我々のほうでは向うの主張には承服できない。万一撤退を強要する場合には手荒なことをしないようにしてくれ、向うの海軍の艦艇におきましては、それは或る程度考えておこうというようなことも会談の中に一応出ておるわけでありまして、我々はそういう事態が発生する場合には、万一の場合にはこれは退避せざるを得ませんけれども、十分事故の起らないようには努力する建前でおる次第であります。
○松浦清一君 そうしますと、現在のライン内に操業しておる船は約五百隻ぐらいあると、先ほど清井長官の御説明もあつたのですが、その船が危険になつたから退避をするということになりますと、無線機を持つておらない船もありますが、そういう船に伝達するか、命令をするか、指示をするかしなければ退避することが不可能になりますが、政府は、危険であるから退避しろということを指示するおつもりになつておるのですか。
○説明員(山口伝君) 政府としては退避命令はまだ出しておりませんが、事態の変化を刻々情報を伝えております。それから無線を持たないような船につきましては、現在二十四時までの間には、まだ中での行動は無論許されておるわけでありますから、それらに対してもできるだけそういつた情勢は伝えることに努めておるわけであります。
○松浦清一君 そうすると、今晩の十二時が来て、そして退避をしなければならんというように海上保安庁の船がそれを判定をして、その実情を現認して、そいつを船に伝えるということは、政府側の指示になりますか、警告になりますか、命令になりますか。
○説明員(山口伝君) まあそういう危険な状態が出て来て……、現地で指導しておりますが、そういう状態が発生して来れば、その場合には命令をする考えはないのでありますけれども、それの危険が迫つたということであれば、そのことを伝えて、判断してもらうつもりでおります。
○松浦清一君 まあ、日本政府が李承晩ライン内で操業する漁民に対して、今まで与えて来た指示というものは、李承晩ラインは日本政府はこれを認めないのだから、その中で操業してもよろしいということであつたわけなんです。で、今度の問題が起りましてから、非常に危険であるから退避せよというような指示を与えるということになれば、今までの指示とは全然違つた指示になり、又その結果は李承晩ラインを肯定をするという結果になる危険が非常にあると思うのですが、その点については政府はどうお考えになつておりますか。
○説明員(山口伝君) お話の通りでありまして、私どもとしては飽くまで李承晩ラインを認めないのでありますけれども、危険状態が発生するような場合には、それを早く知らして、それからだけは逃れることのできるように最善の努力はするというような関係でございます。
○松浦清一君 先ほど山口長官の御説明によりますと、ラインの周辺に韓国艦艇が十四、五隻海泳をしておつて、警戒をしておる、こういう御説明であつたのですが、一旦退避をしてしまいますと、その艦艇が依然としてラインの周辺を警戒して、再びライン内に日本の漁船が入ることができない、解決がつくまで入ることはできない、こういう結果になりますと、事実上李ラインを日本が肯定をして、ライン内では操業ができない、こういう結果になると思うのですが、その点についてどういう御見解を持つておいでですか。
○説明員(山口伝君) 私もその点非常に苦心をしているところでございまして、現地における巡視船と、先方の取締艦艇との間の会談等におきましても、我が方としては李承晩ラインは未だに認めておらないわけであります。そういうことは強く表明しておりますが、事態が危険が迫るような場合には、これはそれを退避することも止むを得ないのでありまして、その辺の現地指導は今後に残るわけでありますが、我々としても李承晩ライン内の操業ということについて、下つてしまつたのだという考えではないのであります。ただ一時の緊急事態避難をするというような考えでなくちやならんと思うのであります。
○松浦清一君 その物の考え方とか、予想とかいうことは別問題として、実際にそのライン内で操業している船が一旦引下つて、再びその中に入ることができないという現実に直面した。その後はもうその中では仕事ができない、操業できないという結果になるうとは、これはもう自明の理なんですう誰が考えてもですね。それをどうするかという対処方針はもうおきめになつているのですか。これは保安庁長官でなしに、水産庁長官どうですか。
○説明員(清井正君) 只今松浦委員よりいろいろ御質問がありましたが、私もかかる措置がとられましても、これは李ラインを認めているということでは絶対にないのでありまして、ただ漁船を保護するという立場から、仮に漁船の危険が高まるというような事態がありますれば、現地におきます臨機応急の措置として適切な指導をするということであると私どもは考えております。ただ御指摘の通り、一旦下れば又入つて漁業ができなくなるのじやなかろうかと、こういうお話でございまするが、この点につきましては、先ほど私が申上げました通り、当該海域におきます漁業が極めて重要であるという考え方から、一時も操業を中止するということは重要な影響がある次第でありますので、この点につきましては、私ども政府部内におきまして緊急に相談をきめまして、適切なる手を打つて行かなければならんと、こういうふうに考えておる次第であります。
○松浦清一君 この海域における漁業の重要性という問題については、もはや申上げるまでもない、周知のことでありますが、今保安庁の長官、水産庁の長官がおつしやいますように、非常に危険な状態であるから一時的に退避するのだという考え方を一応肯定して退避さしたと、そういうことになりますと、外交上の問題が解決をしない限り、再びライン内に入つて操業をすることが不可能になると、こう見なければならん。その点について外務省は早急に外交交渉ができてそうして再びライン内に入つて行くと、日本から言えばラインはないわけですが、対象海域に入つて行つて操業ができるという見通しが立ちますか。
○説明員(小滝彬君) これは相手のあることでありまして、果していつ如何なる方法で解決できるかということは、ここで確言できないわけであります。殊に李承晩政府の最近の行き方を見まするというと、国際法の原則なり、或いは国際法の慣例を無視したようなやり方もしておるように見受けられまするので、交渉によつて早急にこの問題を解決するということは非常に困難があろうと考えます。併し今緊急の事態に対して、その緊急状態から逃れるために緊急避難の措置をとつて一時その場を逃れた、出て行つたということが、直ちに海洋自由の日本の主張しているこの原則を撤回したということにはならないだろうと考えます。例えば家の中に泥棒が入つて来て、凶器を持つていたらしようがない、一時逃れるが、その所有権を全然放棄したというわけでないのと同じように、そうした措置がとられましても、それで以て直ちに外交上の交渉に非常に不利が生ずるというようなことはないであろうというふうに私は考えております。
○松浦清一君 冗談言つちやいかんですよ。中で現在やつているものさえもう追い出されようとしているのに、一旦追い出されることを承認したような形をとつて、そうして早急にそれが又元に帰つて操業ができるというようなことは、これは素人が考えて想像ができないことなんですよ。第一に日本の朝鮮に対する外交のやり方が、先ほどから小瀧次官は積極的に外交をやつているとか、交渉をしているということを言つておりますけれども、先ほどの説明を聞きますと、李承晩ラインが昨年の一月十八日に引かれて、たつた二回しか抗議をしておらない、こういうことなんです。大邦丸事件が昨年の七月に起つて、それ以来数回口上書か何か知りませんが、文書による抗議をやつておる。それから今年の七月ですか、今年の七月の十二日に竹島の周辺で、保安庁の船が韓国の警備兵様のものから射撃を受けたと、そういう事件が起つている。これに対しても口上書のような書類を向うに送り届けただけで、我々から見ていると積極的に外交交渉が行われたという跡が一つも見えないわけなんです。昨日か一昨日か、韓国の金公使を外務省に来てもらつて、話をしたことによつて、漸く日本外交が韓国に対して積極的に交渉を始めたのだというようなことを、誇らしげに吹聴しているような恰好が、韓国に対する日本の外交なんです。そういうようなことをやつて、これから先まあどういう手を打つか知りませんが、国際司法裁判所に提訴するとか何とか言つているけれども、これは専門家の倭島局長に答えてもらいたいが、若し提訴したとしても、二年も三年もかかるということなんです。実際にこのラインの中に入れないという韓国の態度が変らない限りは、国際司法裁判所に提訴するかどうか知らんが、そういう方面からの、外からの解決の曙光が見出されて妥結するまでは、日本の漁船が入れないと、今までの外務省のやり方のような、そういう手を打つ以外に、解決の途はほかにないと思うんだ、失礼な言い分だけれども。そうなると或いは退避をするということは、ここ数年間日本の漁船が朝鮮の海域で操業を中止する、日本みずからが中止すると、やらないのだと、こういうことを意味すると思う、こういうふうに思うのですよ。だから外交に相手のあることは、これはもうあなたに教えてもらわなくてもよくわかつているが、一体今までのように、去年の一月に起つたのに李承晩に二回しか文書を出していない。それで積極的に外交をやつているのだ、そういう物腰では解決がつかないのだから、どういう態度をきめて、どういう強硬な方針で、外交をこれからやろうとしているのか、こういうことを一つ明確に答えてもらいたい。あなたが答えられなかつたら、大臣を連れて来て答えてもらいたい。
○説明員(小滝彬君) 二回と申しましたのは、昨年の一月二十八日及び昨年の九月二十六日でありますが、併しその後いろいろ松浦さんも御指摘の通り、漁船の問題とか、竹島の問題等が起りまして、その都度この李承晩ラインに関係がありますので、日本側の立場を先方へ通告して、そうして先方の反省を促す措置をとつて来ているわけであります。昨日金公使がやつて来た、それが初めて外務省べ呼びつけたかのような印象を与えたようでありますが、そうでなくして、これまでも或いは文書によつて向うへ送ることもありますし、又外務省へ出頭してもらつて、話合いをしてこちらの立場を十分説明して、先方に警告を与えるということもしばしばあつたわけであります。ところが今のお話では、一度退避したならば、それでもうすつかり事実上李承晩ラインを認めることになる虞れがあるということでありますが、併しこれは飽くまで李承晩ラインを承認しないという態度をとつておりまするからして、十分に安全な措置をとつて、そうして重大なる危険をこうむる虞れがない場合には、当然これに入つて行き得る余地は残されているわけであります。又これで以て直ちに李承晩ラインの承認ということにはならないであろうと考えます。私どものほうといたしましては、今後勿論韓国側と直接交渉を続けて行かなければなわませんが、同時に先ほどから申しまするように、直接交渉でどうして承相手方の態度が変らない、泣く子と地頭には勝てないと申しますが、本当に遵法精神を以て当つてくれて、そうしてこの国際法に従つたやわ方をするということになればでありますが、それが直接交渉において到底期待することができないということになりますれば、直接交渉と同時に他の方法も考えなければならない。これは或いはすぐ一ヵ月や二ヵ月で効果が出ないにしても、最終的にこの海洋自由の原則を堅持して日本の主張を貫徹するのには辛抱も必要であり、そうした間接的な方法というものも是非考えて行きたいというのが私どもの態度であります。
○松浦清一君 それで直接交渉でいけなかつたら、ほかの方法というのは、一体どういう方法を考えているか。国際司法裁判所に提訴するということは私は新聞で見て知つているだけで、外務省の正式のなにを知りませんが、どういう方法を考えておりますか。
○説明員(小滝彬君) 国際的な事件上取扱うものに国際仲裁裁判、国際司法裁判とあることは御承知の通りでありまするが、問題の性質上仲裁判というこの方式は比較的不適等であるので、司法裁判の問題となりますれば、平和条約第二条の解釈という点になつて、これが司法裁判所の管轄に適した案件だというふうに考えられますので、この点も我々としては早急に研究して、どうしてもそういう必要があれば司法裁判所に訴えるということもやらなければならないというように考うております。ただこれは両方とも応訴の義務は日韓とも持つておりませんが、併し訴えたのに対してそれを拒否するということになれば、自分のほうの弱味を示すようなものでありまするから、司法裁判所に提訴した場合、韓国側が絶対に応じないだろうというように見るのも早計であろうと考えます。又直接話合いで済まないということになれば、国際的な輿論を喚起し、そうして各国の協力によつて国際正義を堅持して行くということも一つの方法でありまして、その意味におきましては国際連合の総会あたりの議題にするように関係国と折衝するということも一つの方法として考え得るものであります。又我々としては飽くまで直接交渉で、他国に頼るというようなことなしにこれを推し進めて行きたいのでありまするが、実際の情勢からして、それが著しく困難であるという場合には、関係国の協力を得るということも一つの方法であろうというふうに考えておりまするので、これらの方策について十分検討いたしましてこの事件の進行振りとも睨み合せて、そうした措置をとるということになれば、早急にそうした決定を見まして、その方法を進めて行きたいというように考えておる次第であります。
○千田正君 外務大臣がまだ出席しておりませんが。
○委員長(森崎隆君) 今交渉しておりますが、まだ返事が来ておりません。
○千田正君 それじや小瀧外務政務次官に伺いますが、今までの御答弁を聞いておると、まるで緊迫したこの現実というものを掌握しておらないように感ぜられます。というのは、先ほども秋山委員が言うた通り、本日の二十四時を期して一斉に日本の漁船の退去を命じておる。仮に我々が自主独立を以て今日本の漁船が公海自由の原則の下に公海において自由操業しておる、これが当然の姿である。それに対して一方的に刺激的な、挑戦的な行動によつて退去を命ずるというようなことがあつたとしても、若しも我々が生活権を擁護するために五百の漁船がそこから一歩も退却しないで操業しておつた場合において、どういう事態が起るか、そういう事態が起きたとするならば、あなたがたはあと七時間しかないのだが、どういう外交折衝をしておられるのですか。現実を掌握するのに余りに遠ざかつておるように我々は考える。僅か七時間しかありません。我々の漁船が日本の公海の自由の原則の下に、日本の自由な国民が自由に操業しておるのだ、それに対して一方的なほかの国から退去を命ぜられて退去する必要はないのだ、これは平和に操業しておるものに一方的に挑戦するのはそのほうが悪いのだから、我々は、世界のいずこに向つてそういうものを宣言しても、我々の操業は何ら落度はない、こういうものに対して我々は一歩も退却しない、あすこで操業するのだ、漁民の意思がそこへ行つた場合に、あなたがたはどういうふうにこの問題を解決するか。これが現実の姿ですよ。今日の二十四時になつてどくということ、仮に海上保安庁長官からの、もうあぶないから君らは去れ、向うも退去しろ、こういうことを言つておるにかかわらず、我々は生活の権利をどうしても守らなくちやならない、日本の漁民はここを先途と、操業しなかつたならば直ちに明日から食えなくなるのだ、こういう意味において自由な操業をしておることは何ら恥かしくないのだから堂々とやつて行く、こういう態度に出て退去しなかつた場合はあなたがたはどうするのですか。どういう外交折衝を現在やつておられるか。現実の姿においてやつておられるか。それを一応お伺いしたいと思うのです。
○説明員(小滝彬君) 千田さんの心配せられる点誠に御尤もでありまして、私どももできるだけ早くこの問題を解決いたしたい、いよいよこういう実際的な実力を以ての行動に出て、そうして李承晩ラインの主張を貫徹しようとしておるのでありまするからして、先ほども申しましたように、昨日も公使と会談が行われ、又関係国に対してもこの事態を通報するという措置をとりまして、できるだけ速かに韓国政府のほうへ、こちらの真意が到達しまして、そうして先ほどから心配せられておりまするような実力行使というようなことがないように、速かにこの問題が解決されるようにというので直接交渉並びにその他の方法も現にとりつつあるのが現在としての外務省のとつておる措置であります。
○千田正君 小瀧政務次官の今のお答えは、あなたの立場からとしては御尤もでありましようが、仮に私が所を変えて、政府の要人でもなければ、一日本の国民として日本のこの自由の操業を守らなくちやならない、こういう態度に一命を捨てても我々は日本の漁民のために、日本の産業のために、日本の国土の防衛のために、武器はなくとも、平和なラインだけは我々は生命を賭して守るのだ、これが日本の漁民の今与えられておるところの使命であるというような考えの下に、我々は一歩もあの海域から退かなかつた場合には、これこそ日本国民が忠実に平和を守るゆえんなのでございます。そういう立場に立つた場合において果して現段階において海上保安庁長官が直ちに退去しろと命令しても動かなかつた場合においてはどういたしますか、その点を長官から一応伺つて置きたい。今の漁民の諸君はあなたがたよりも忠実に日本のこの国の主権を守ろうとしておるのでありますよ。大砲がなくとも、銃剣がなくとも我々は生命を賭して自由な操業の下に、日本の国民の権利を守ろうとしておる。あなたがたよりももつと忠実ですよ、1日本の国民は。
○説明員(山口伝君) 先ほどから申しますように、巡視船並びに水産庁の監視船は最後まで漁船と共に残るつもりでおります。それで事故のところには直接立会つて依然として交渉を続けるという状態で行くつもりでおります。
○委員長(森崎隆君) ちよつと問で一言中間報告を申上げまするが、外務大臣はMSAの件について今アメリカ大使館に行つているそうでございます。追つて来られるだろうと思いますからいま暫らくお待ち頂きます。
○秋山俊一郎君 水産庁長官にお尋ねいたしますが、只今海上保安庁では飽くまでも線内にとどまつて操業を続ける、漁船を保護するということでありますが、もはや六、七時間の目睫に迫つておる際に、あすこに六百艘以上の漁船が操業しておつたのでありますが、それらの船が現在どういう姿にあるかということか把握しておられますか。なお殆んど全部が線内で操業をしておるのであるか、或いは一部分は相当退避しておるのであるか、この点を一点お伺いいたしたいのであります。 それからもう一つ海上警備隊の関係で、保安庁の政務次官にお尋ねいたしますが、先ほどからお聞きの通り、車熊は刻々に緊迫して参つております。一方海上保安庁としては、飾くまでも踏みとどまつて漁船の保護に当る。ところで韓国政府は二十四時を期して一斉に実力行動を起す、実力の行使をするということを数次に亙つて声明しておる。この状態をどういうふうに見ておられるか。この事態は単なる脅しであると見ておるのか、或いは韓国が実力行使をするのであるか。若し実力行使をするような場合になつたならば、遺憾ながら海上保安隊は引揚げるという。そうするというと、そこにおつた漁船はどういう目に会うか。共に警告を発して引揚げるといたしましても、飽くまでも残るべきであるという立鶴をとつている場合に、拿捕されて連れて行かれる、或いはまごまごしているものは銃撃を受けるという場合に、なお且つ要請もなし何もないから警備隊の出動はしないといつた態度に出られるのでありますか。その要請はどこの要請によつて如何なる手続によつて行くか。勿論総理十臣の認証を得る問題であることは保安庁法に出ておるのでありますけれども、その事態は緊迫したときに直ちに行動ができるものであるかどうか。その点も一応お伺いしておきたいと思います。
○説明員(清井正君) 漁船の動向についてのお話でございますが、私が只今まで知つております状況によりますと、一部退避したものもあるようであります。なお併し相当隻数が残つておるという巡視船からの報告が私のところに参つております。正確な数字はわかりませんが、なお操業に従事しておりますものが相当隻数あるのではないかと、こういうふうに考えております。
○説明員(前田正男君) 先ほど千田委員の御質問にもお答えしたのでありますが、らよつと誤解があるように思いますけれども、海上警備隊の出動は、要請のある場合だけ出動するのではありませんで、内閣総理大臣が特別出動の必要があると認めたときは出動でまるのでありまして、このときはどちらかというと、内閣総理大臣が特に必要であると認めた場合に出動する可能性が多いと実は考えておるのであります。要語がなくても内閣総理大臣がそういうふうに認定すれば出動できることになつております。 それから人命、財産についてこれを保護するのが保安庁の責務でありますから、当然そういうふうに内閣総理大臣におきまして、特別の必要があると認められる場合におきましては我々は行動するわけであります。併しながら現在のところ政府は外交折衝の段階であり、又海上保安庁の折衝する段階にありますので、現在のところ行動しておりません。併し現在の事態は相当重大な事態であるということは私どももよく認識しておるところであります。又私たちが行動いたしますに当りましても、武器使用等いろいろの規定があるわけでありますが、この規定に準じまして行うわけであります。併しながら要は内閣総理大臣が特に必要があると認めない限りは、現在のところまだ行動するわけに行かないわけであります。
○秋山俊一郎君 しつこいようでありますけれども、外交交渉によつて今解決を図りつつあるというお話でありますが、幾多の問題が外交交渉によつて今日まで行われたのでありますけれども、先ほども私が指摘しましたように、殆んどその効果が今まで挙つておらん。今回に限つてその効果が挙るということは私どもは認めるわけに参りません。今回も従来と同じようになかなかその結果は出て来ないだろう。そこに外交交渉をやつているからとして便々としておることは今日の段階では許されるべきものではない、かように考えるわけであります。勿論海上警備隊が出て行つて、完全なる保護ができるかどうかということは、これはどなたも保証ができないのでありましようけれども、日本に人命、財産を保護するべき任務を持つた海上警備隊がある以上は、これは要請に基くか、或いは総理大臣の特別な認証に基くか、いずれにいたしましても、現在の日本国民はこの事態は決して軽々には見ておらんと思う。私は後ほどもう一度外務当局にお尋ねいたしたいのでありますが、竹島の問題にいたしましても、目元の領土をああいうふうに侵されておりながらも何ら施すすべなく、ただ外交交渉で文書の往復をして、まるつきり正反対の申分を交換しておるというような状態で、決してこれは外交交渉の域では今日即急な解決がやれるとは思いません。そこで先ほどから松浦委員からもいろいろと質問をされましたように、この漁場というものは古来から日本の漁船の操業しておる大事な漁場でありまして、何ら朝鮮に独占さるべき漁場ではありません。いわゆる公海であります。その公海を日本の漁船が我々自分たちの権利として、これは日本人ばかりではありません。いずれの国民も公海における権利はあるわけです。その自由があるわけです。その自由のうちに操業しておるものを脅すものに対して国が何ら施すすべがないということは誠に遺憾であります。実際に何ら施すすべがないか、或いは何らかの方法を持つておるが、今日ここに発表すべき段階でないとおつしやるのか、この点を若しお差支ない限りお答えを願いたい。
○説明員(前田正男君) 先ほどお答えいたしました通り、現在のところ政府は外交折衝の段階で、まだ漁船に対する保護は海上保安庁並びに水産庁等の船舶によつて保護できると、こういうような認識を持つておる段階でございます。先ほど申しました通り、我々は決して事態を軽く見ておるわけではありません。併しながら水産庁乃至は海上保安庁等のほうの措置では十分でないというような、こういうような特に必要があるというふうに認め、又外交交渉においては十分に解決が困難であるというような認識に至りますならば、総理大臣が命令を下すこともあると思いますけれども、現在のところ政府といたしましては、先ほど来申しております通り、外交折衝の段階であり、海上保安庁並びに水産庁において保護しておると、こういう段階であります。こういうふうに考えております次第であります。
○秋山俊一郎君 もう一度お尋ねいたします。前々国会でありますか、竹島問題が起りましたときに、私どもは当時の保安庁政務次官にお尋ねいたしたときに、漁船の保護については相当強い線を出しておるわけであります。海上警備隊の船が出動してこれを保護し、若し向うで暴挙に出る場合には緊急退避の方法によつて、止むを得ず発砲することもあるであろうという、相当強い言葉を出されておるのでありますが、今日は大分弱つておるように考えられる。誠に私どもは心淋しく思うのであります。そういうふうにだんだん日本が独立を回復して、だんだん世間の熱も上りつつあるときに、だんだんあとへ戻るような感じもしないではないのであります。こういう点につきましては、一つ私はそれに対してはつきりした御答弁を得ようとは思いませんが、いま少しく国民が安堵のできるような措置を講じて頂きたい。然らざればひとり漁業のみならず、いろいろな面において絶えざる不安に陥れられて、生業が手につかんような事態が出て来るではないか。今日の漁業の問題は単に漁業者の問題だけではなく、日本国民全体に覆いかぶさつておるところの大きな不安であると私は考えるのであります。この際保安庁も、海上警備隊も、又外務当局におきましても、この国民の不安を除去するようにあらゆる角度から速かなる措置を講ぜられんことを特に私は要望いたしまして、この水域の問題につきましては質問を私はこれで打切りたいと思います。
○説明員(山口伝君) 只今竹島の問題にお触れになりましたので、竹島のその後の情況につきまして、取締に当つております海上保安庁として御報告申上げます。御承知のように七月の十二日に海上保安庁の巡視船が同島の取締を行いました際、韓国側は武装警察官の保護の下に約三十名の漁夫が操業しておるのを発見したのであります。その際退去を要求いたしましたが、拒否され、なお且つ同島警備隊の武装警官が巡視船に対しまして発砲するような事件が出たのであります。その後一時巡視船の派遣を中止いたしましたが、関係官庁とも十分対策を協議いたしました結果、竹島問題は飽くまで平和裡に解決する方針の下に外交交渉を一方ではやつて頂くと共に、その際我が国の立場を不利ならしめないために巡視船による同島周辺海域の哨戒をできる限り継続実施することといたしたのであります。それでその後八月、即ち先月中に四回に亙り巡視船を派遣いたしまして取締を実施いたしましたが、すでに同島からは韓国の漁夫は引揚げて姿を認められません。最近においては来島した形跡がない。今後も巡視船は逐次派遣取締に当ることにいたしております。この点御報告いたします。 なお、昨日夜来から今日までの間に巡視船からの報告によりますと、これは農林漁区の番号で甚だなんですが、済州島の東方海上でありますが、二百四十四区等に百隻以上の日本漁船がいる。それから二百四十三区におきまして四十五隻程度、これが巡視船から入りました情報の一番新らしいところであります。
○秋山俊一郎君 私の発言中に竹島と申しましたが、あれは第一、第二大邦丸の場合の私の質問でありましたことを訂正いたします。 それからこの水域問題でなしに竹島の問題につきまして只今御報告がございまして、今日では韓国がこれに何ら手を触れていないということでありますから、さように将来も収まつておれば結構でありますが、しばしば新聞等に報ぜられるところによりますと、依然としてあれは韓国領であるということを向うは主張しておるようであります。先国会の末期におきまして、あの問題を外務当局、たしかアジア局の第二課長であつたかと思いますが、お尋ねした際に、私は明らかに日本の領土に対して外部からの侵入である、不法侵入である、不法占領である、そういう場合にはアメリカ駐留軍によつてこれは処理さるべきものじやないか。日本の領土に対して侵略する外国の侵略に対しては日本の官憲が、政府が手をつけることができない現状であるならば、駐留軍によつてこれをやつてもらうように要請すべきではないかということをお尋ねしましたときに、いや、これは我々は不法入国とみているとお答えがあつたので、私は実に意外に思いまして、当時それはどうも話が違いはしないか。だからしてこれは外務当局の御意見をまとめられてそれが果して不法入国というお扱いをしているのであるかどうか、そのことを改めてアジア局長からお答えを願いたいということを要望いたしましたところが、丁度病気というわけでアジア局長おみえにならずにそのまま会期が終了したわけであります。若し不法入国であるならば、行つてその入国した者をどんどん捕まえて来い、それは日本の保安庁の任務じやないか、或いは海上保安庁の任務であり、又警察の任務である。それを外国船もへつたくれもないじやないかということを我々は他の委員と共にお話して、それは恐らく何かの考え違いであろうと考えたのであります。外務当局はやはりあれはあの当時の行き方は、不法入国と認めておられるかどうか、この点をお尋ねいたします。
○説明員(小滝彬君) 韓国の漁船が許可なしに入つて来て漁業をする、或いは洞穴に入つているというのは不法入国として法律上は認めるべきものであろうと私どもは考えております。ただ併し砲を積んだ艦艇がそこへ無害航行権の発動でなくして、通路でも何でもないのにそこにぶち込んで実力を似てそこを占領するというような行動をするということになれば、これは勿論別個の問題でありまして、日本の自衛権によつて、これを法律的に言えば、退去せしめる措置もとり得るわけであります。併しこれまで入つて来ておりましたときは、ただ漁民が入つて来てそこで漁業に従事しているといういわゆる不法入国の形式でありますから、その問題として取扱わざるを得なかつたわけであります。その後発砲したという事件が起つたのでありますが、これは先方をして言わしむれば、自分の領地であるから、そこへ入つて漁業をしてけじからん、そこで本部のほうへ連れて行こうとしたのを拒否したから威嚇発射をしたということが向うの言い分であります。でありますからして、こちらのほうは竹島の従来の歴史なり法律上の地位を述べてこれに抗議を続けて来たわけでありまして、この漁民が入つて来るという問題だけをとれば不法入国というようにアジア第二課長が説明したのは、外務省としてまとまつた考え方であるというように御承知願いたいと存じます。
○秋山俊一郎君 それはそのときにすでに発砲の問題が出た。私のは、単に向うの漁船が来るとか、人が入つて来るということは、しよつちゆう対馬からどんどん密入国があるから、当然不法入国と聞かなくても感じておるわけです。併し日本の巡視船が日本の領土を哨戒しているのに対して発砲して、これを追いのけておいて、向うの漁夫が上陸しているということは、私はこれは単なる不法入国と認められない。あそこにたまたま日本の住民がいないからそういうことが言えるけれども、住民がいたらどうなるか。我々はここまで質問をしたのであります。従いましてこの問題が相変らず、そういう事態があるにもかかわらず不法入国と認めるということになりますと、我々は考え方をがらりと変えなければならない。そこでお尋ねしているわけであります。当時お伺いしたがつたのは、先ほど申しましたように、アジア局長が病気のためにおいでを願えなかつた。今改めてお伺いするわけであります。
○説明員(倭島英二君) 今政務次官から答えました点に附加えますれば、向うの船が、又それに乗つている官憲が発砲したというような事件が起りました点は、これは不法入国というよりも或いは不法侵入といいますか、そういうほうが適当かと思います。ただそれが直ちにその領土の問題と引つかかりがありますし、これの解決といたしましては、直ちにそれが武力を以て我が領土が組織的に侵略或いは武力攻撃を受けたかどうかという問題とはこれは多少すぐ結びつかない問題ではないか。ただ併しながら領土に対してそういうような不法侵入を受けておる、或いはそういう点についての取扱方は今慎重研究しておるところであります。
○千田正君 竹島の問題はいずれ慎重に考えて外交折衝に移るというんだが、第一番の二十四時に撤去せよと、撤退を求められたという現段階の問題を、外務省ではそれに対して韓国側にどういう折衝をせられておるか。私が先ほどお伺いしたところによると、単に、いわゆる李承晩ラインを認めない、その程度じやないかしらんと私には考えられる。むしろ二十四時以後に日本漁船の李承晩ライン内において操業することを認めないで撤退を命ずるという向う側の一方的宣言に対しての撤回を外務省は要求しておるかどうか、この点はどうでありますか。
○松浦清一君 ちよつと議事進行について。私は大臣が来るというので、若干結論的な質問を保留しているんですが、大臣はどうですか。
○委員長(森崎隆君) ちよつと中間報告します。外務大臣はMSAの問題で交渉して、次の臨時国会の準備をしておるので、今日は出られないということであります。
○松浦清一君 小瀧次官のどうも事務的な答弁だけではこの重大問題の結論をつかむことはできないので、僕は大臣が来なければ今日は質問しな、明日は時間をかけても出席してもらいたい。
○委員長(森崎隆君) 農林大臣と法務大臣はまだ返事が来ません。ちよつと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(森崎隆君) 速記を始めて下さい。
○説明員(倭島英二君) 現在までの外務省の交渉しております点は、先ほど小瀧政務次官から説明された通りでありまして、私はただそれをもう一回繰返すわけでありますが、こちらの抗議を奥村次官から渡すに当りまして、発砲或いはその他退去を命ずる、強制力を以て退去を命ずるという点については厳重に警告を与えてあります。これに対してどういうふうに韓国側が応じて来るか、これはわかりません。これが現在までの状況であります。それからもう一つ、これには関係の諸国もあることでありますし、先ほど小瀧政務次官からは説明が出ましたが、現在相当緊迫した状況になつておるという点は、私の承知しておるところでは関係国へ十分話が伝わつておると存じます。
○千田正君 先ほど前田保安庁政務次官からの御答弁の中に、保安庁管轄におけるところの保安隊の活動については、特別の要請ある場合、或いは内閣総理大臣の要望による以外には発動しない。現段階においては、外務省におけるところの外交折衝に待つておる次第であるという御答弁があつたわけであります。只今の段階においては、今の倭島局長の御答弁以外には進捗しておらないようである。併し実際は現地においてはそういう生ぬるいような状況ではない、一触即発の事態にすでに来ておるんだ。この一触即発になつた場合はどうするかということを、今日憂慮するからかくのごとく皆さんに対して質問しておるのであります。若しも二十四時を過ぎた場合において、日本政府から警告を発したことに対して何ら肯んずることなく、日本の平和な産業に従事しているところの漁船が捕獲される、或いは海上保安庁の巡視船が捕獲される、或いは水産庁の監視船が捕獲されるような不祥事件が起きた場合でも、外務省は今の状態のままを続けて行つたのでは、日本の屈辱的な外交であるということを考えた場合に、そんなことをいつまでやつていたのでは大変な問題になる。殊に漁船の諸君が、さつきも言う通り、我々は武器を持たないのだ。日本国民は大砲も何も持つていないのだから、何も持たない者が武器を持つている者に対抗するのは、平和なら正義と自由しかない、生活権の擁護しかない。あそこで頑張つているということを認識されてもう少し強く撤回を要求してもらいたい。一方的な韓国の声明の撤回を要求してもらいたい。私は要望します。
○松浦清一君 あした、この会を継続してそして是非とも外務大臣と農林大臣の一つ出席を求めて頂きたい。そのときに外交上の問題についての責任ある御答弁を頂きたい。今から一つ手配して頂きたいと思います。丁度十二時までに必要な問題についてだけ私は質問申上げますが、今までの委員各位からの質疑応答の過程を通して問題を判断しておりますというと、一つも結論がまだ出ていないように思うのであります。ぐつとこれを冷静に判断して行くと三つの場合が想定されるわけだ。 第一番は、今日の十二時までの間に、積極的な、倭島局長の話によりますと、抗議を申込んであつて、外国の輿論も漸次高まりつつあるというお話を承わつたのでありますが、十二時までの間に外国の輿論が高まり、韓国側の反省を求めることができて解決がつくかどうかという見通しについての問題であります。私は到底解決はつかないと思いますが、局長としての見通しを伺つて置きたいと思います。 それから若し十二時になつても解決がつかない場合には、先ほど山口保安庁長官が御答弁になりましたように、危険な状態になつた漁船に対しては、退避するような指示を与えるというがごとき御答弁がございまとたが、若しそういうことをされても、今まで千田委員が質問されたように、自分たちの生活を守るために退避しないといつて頑張る漁船が出て来た場合に、それをどうして守る措置を講ぜられるか放任せられるのか、守る措置を講ぜられるのか。この三点について伺いたい。 十二時までの経過的な外交の見通しについては倭島局長から、それから退避を指示した場合に、退避しないという漁船が出て来た場合に、その漁船の安全をどのようにして守るかということについては海上保安庁の長官並びに保安庁の前田さんにお伺いしたい。
○委員長(森崎隆君) 第一点について倭島局長。
○説明員(倭島英二君) 見通しの問題でありますけれども、これは率直に申上げて私としてもどういう結果になるかということを現在からはつきり予言することはできません。併しながら従来の折衝から考えますと、本件の重大性、特に今日の夜の十二時頃から従来のやり方を変えると韓国側は言つておりました件については、日本側のはつきりした考えを表示して、韓国側の慎重なる反省と当方の警告を発しておりますからして、これについては韓国側も十分考えて来るだらうと私は存じます。それから先ほども国名をはつきり申しませんが、関係国に対しては現在の緊迫しておる事情を十分説明してあります。従つてそういう関係からも、私は従来の折衝しました感じから申しますと、私個人としては、韓国も関係国も十分考えてくれるということで、将来を予言するわけじやありませんけれども、不祥なる関係は生じないのではないか、そういうふうに持つて行きたい。今後も又努力するつもりであります。
○委員長(森崎隆君) 第二点以下について山口保安庁長官。
○説明員(山口伝君) 李承晩ライン内に本日の十二時以後漁船が残留する限り、巡視船並びに監視船は残留して、これが事故の事前防止の直接折衝を続ける考えであります。
○説明員(前田正男君) この問題につきましては、外交交渉その他平和的な交渉によりまして解決されることを期待しておりますが、併しながら事態が非常に緊迫しておることについては、我々もよく認識をいたしております。従いまして保安庁法に明記せられております通り、人命財産の保護に特に必要であるというふうに総理大臣が認証された場合におきましては、保安庁も今後出動することがあり得ると思いますが、併しながら我々といたしましては、成るべく平和的な交渉によつて解決されることを期待しております。
○松浦清一君 これは十二時以後の結果を見なければわかりませんが、現在操業している船が五百隻と推定される。それから先ほど海上保安庁長官の説明によりますというと、韓国の艦艇は十四隻という説明である。それからこちらのほうは保安庁の船が五隻、それから水産庁の船が三隻、これは武装していない船で、両方で八隻、そうすると、向うが積極的な行動に出た場合に、武装していない海上保安庁の巡視船五隻と、それと水産庁の船三隻では、どれぐらい残留するかという実情はそのときになつて見なければわからないわけですね。それだけではその守備は、安全を守るということは不可能だと思うのですが、どうですか、その点。
○説明員(山口伝君) 先ほど御説明したように、現在お話の通り、巡視船五隻が現地にある。それから水産庁の監視船が三隻、なお私のほうではほかに申上げたように、福岡、厳原、浜田に一隻ずつ、今晩の夜半の場合に備えて待機しておりますが、これだけで極力やります。これ以上の船の動員は今のところちよつといたしかねますので、これだけでやります。
○松浦清一君 海上警備隊の船は総理大臣の認定によつてこれを出動することがあるということは御承知の通りですが、総理大臣がそれを認定するに至るまでに、その認定を申請するのは誰がやるのですか。
○説明員(前田正男君) これは保安庁の長官であります木村大臣等が認定をいたされまして、そうして内閣総理大臣の指揮と指示を受けまして行動をするわけであります。勿論政府の、外務省でありますとか、或いは又海上保安庁、水産庁等の各方面からの情報によリまして、勿論木村保安大臣がいろいろと判断を下され、そうして総理大臣の指揮命令を受けて行動をするわけであります。併しながら先ほど申しました通り、ただ一つ別個に要請によつて行動することはあり得るのでありますが、今回の事態に対しては、すでに中央政府が動いているわけでありますから、外務省であるとか、海上保安庁であるとか、動いているわけでありますから、大体今申しました命令による出動というふうな形になるのではないかと思うのであります。併し最後においはて内閣総理大臣の、特に必要であるということを認めることは必要になつております。これは法律に明記してあるのであります。
○松浦清一君 今までいろいろ説明がありましたように、非常に緊迫した事態にあるのですが、外交の最高責任にある岡崎外務大臣がMSA交渉や、これも必要なのか知りませんが、来年度分の予算に関する省議をやつたりしていて、そして数時間に迫つておるその危険な状態というものを打開するために献身的な努力が払われていないというのは一体どういうわけなんですか。重ねて私は言いますけれども、ストライキをよくやつたことがあるけれども、ストライキをやるというと、夜通しでその問題を解決するために、やつぱり他のことはすべて抛擲して、一生懸命にその解決のために当るということはこれは常識なんだ。これだけの問題が起つておるのにほかのことをやつて、文書を出して恬としておるというのはどうも不思議に堪えないのだが、どういうわけなんですか。
○説明員(小滝彬君) 外務大臣も一時この問題が解決せられるように七日以来努力を続けている次第であります。ただ併し同時に放つておけない仕事があれば、余裕を見てそれをしなければならない。これは大臣の任務であろうかと考えるのであります。
○松浦清一君 あと数時間に迫つておるこの問題とMSA問題、来年度の予算問題と比べて見て、どつちが重要だと考えておられるか、時間的に考えて。
○説明員(小滝彬君) 時間的に非常に迫つた問題でありますから、後ほど大臣の要務が済みましたならば、我々も早速連絡いたしまして、本件につきまして十分の措置をとるように話をする考えであります。
○委員長(森崎隆君) ほかにこの問題について御質疑はございませんか。
○松浦清一君 大臣が来るまで質問は保留しておきます。
○委員長(森崎隆君) どうも最近の委員会に対して大臣の出席が非常に思わしくないのですね。これは委員会を軽視しておるはずじやないと思いますが、今松浦委員から申されましたように、MSAの問題は、これは重要だと思いますが、併し相当時間がある。特に今日はアメリカ大使館でこの問題で協議して、次の臨時国会の準備をするとおつしやる。そうしますと、相当時間があるのです。一時間か二時間ぐらいの時間を割いてここに来られて、重大な全漁民の重大関心事の中に、而も期限付のこの問題に政府の最高責任者がはつきりと所見を披瀝して、これに対する善処の決意を現わすということが当然所管大臣のとるべき責任だと思うのです。それが成規の委員会の手続を経まして要請してありますが、まだ出て来られないという理由も何にも来ていないのですが、これは私は非常に遺憾だと思うのです。そういう点は一つ政務次官におかれましても、そういうことを大臣に対して教育する、補佐することも政務次官の勤めだと私は考えます。特に奥村次官すら姿を見せていない。あなたと倭島局長二人きりなんです。これは非常に重大な私は問題だと思う。病気なら何も申しません。そうでない限りは、一応数時間時間を割いてこの委員会に出席される誠意だけは、当該所管大臣としては当然の責任じやないかと私は考えます。特に一つ政務次官は、こういう問題について大臣に御薫陶あらんことを要請いたします。(「賛成」と呼ぶ者あり) この問題に対して大臣に対する御質疑は明日に保留さして頂きます。明日は午後一時から開会いたします。 次に、濠洲関係の漁業問題が、濠洲の態度が非常に硬化した関係上、これ又非常に重大な問題だと思いますので、これは如何いたしましようか。今日はこれでやめまして明日にいたしましようか。 〔「明日」と呼ぶ者あり〕
○委員長(森崎隆君) それではあとの審議事項につきましては、明日再開いたします。 それでは本日はこれを以て委員会を閉じます。御苦労様でした。 午後三時四十二分散会