厚生委員会 第12号
- 発言数
- 38 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1953/07/09
会議録
○委員長(堂森芳夫君) 只今から厚生委員会を開会いたします。昨日御決定になりました、らいに関する小委員の定数は五名といたしまして、小委員及び小委員長の氏名を申上げます。小委員は柿原委員、廣頼委員、藤原委員、山下委員、有馬委員の五氏にお願い申上げます。小委員長には廣瀬委員をお願い申上げます。
○委員長(堂森芳夫君) らい予防法案を議題といたします。昨日参考人喚問につきまして御決定になりました。東京都衛生局長与謝野光君を本委員会に召喚することといたします。御報告申上げます。御質疑をお願いいたしまするが、昨日の榊原委員の質問に対して山口公衆衛生局長が補足答弁をいたしたいと言つておりますので、発言を許します。
○政府委員(山口正義君) 昨日榊原先生からお尋ね頂きました本法第六条におきまして、らいを伝染させる虞れある患者というのをどういうふうに考えているかということございましたが、このらいを伝染させる虞れある患者と申しますのは、らい菌を証明いたしますか、或いはらい菌を証明いたしませんでも、臨床的にらい菌を保有すると認められる患者でございました。例えば皮膚及び粘膜にらい症状を呈するもの、神経らいで神経の肥厚を伴うもの、神経らいで肥厚を認めないけれども、委縮麻痺を認める、それが限局していないというようなものを考えているわけでございます。 それからもう一つ公共の福祉という点につきまして、一人でも対象にするのか、公共福祉という際に大勢の人でなければそういうことを考えないで、或いは一人でもそういうことを考えるかというお尋ねでございましたが、私どもといたしましては一人でもこの疾患の患者が殖える、つまり一人にでも伝染させることがあつてはいけないというふうに考えております。
○委員長(堂森芳夫君) 他に御質疑ございませんか。
○大谷瑩潤君 このらい患者に対しまする取扱いについては、遠く光明皇后がらいの患者に対する人間としての極度の同情からして、非常に一般が恐れておるこの病気に対しまして、みずからを犠牲にして患者たちの疾患の部分の化膿しておるようなところを口をつけて膿を吸い出して治癒を図られたという伝説が残つておるわけであります。故にこのらい患者に対しまする措置といたしましては、普通の病人を扱うような法律上の規定ばかりでこれを処理して行こうとしても、非常に難病であるだけにこの病気にかかつている人たちは一種の厭生観と申しまするか或いは又僻みと申しまするか、精神的に非常な痛手をこうむつておるということを考えますると、この法律を定められまする上においても、普通の態度でこれを以てしては到底患者に対する人権の擁護並びに一般社会からの同情というものが十分に認識せしめられて納得の上で、この法律に従わして行くということが困難であろうと思います。殊に御承知の通り貞明皇后におかれましても、昭憲皇太后におかれましても、このらい予防面から患者の救済の面には少からざる御配慮を垂れられまして、非常なる下賜金を以てこれの整備に当てよという思召しまであつたということを我々は記憶をいたしておりまするが、法律上にありまする通り、従来の予防ということは公衆に対する予防であろうと思います。それと共に患者の医療という点では、その個人の幸福を全うせんがために万全の治療を加えることであろうと思うのであります。併せてその福祉ということは、本人の福祉ばかりでなく、家族の人たちに対しましても十分なる福祉を図つて参らなければならんということを規定しておられるのだろうと思いまするが、この法律の二十一条には、家族のものの生活保護ということは書いてありまするけれども、その他の条項に家族の福祉という点ではもう一つはつきりしたものがないように考えられるのであります。本人の福祉の面につきましては、物心両面に亘つて、十分考慮を払つて頂かなければならんと思いまするが、精神の面においては、この法律においては規定の中に何にも書いてないように思われるのであります。併し我々仏教徒の方面におきましては、各収容所に布教師を派遣いたしまして、常に絶望的な人生観を持つておる人たちに対しまして、あらん限りの慰問を宗教の面からやつて行つておることは、御当局も御承知の通りだろうと思いまするが、その点についても厚生省としてどういう工合に、将来精神面の取扱いをして行かれようとしておられますか、その予算或いは具体的な案に対しましてお伺いを申上げたいと思うのであります。即ち個人に対する精神方面の問題と家族に対しまする福祉の面についての御意見を承りたいと思います。
○政府委員(山口正義君) 個人に対しまする精神的な方面、これは患者に対するお尋ねと存ずるのでございますが、或いはこれは医務局長からお答え申すのが適当かと存じますが、本法の第十二条におきまして福祉増進の項で、教養を高め、その福祉を増進するように努めるということが書いてございますが、その具体的なことといたしましては、収容施設などを考えているのでございます。予算面につきましては或いは医務局長から申上げることになるかと存じます。家族の福祉、二十一条にこれは生活援護のことが書いてございますが、そのほかに法によらないいろいろの福祉を患者の家族に対して行うという点につきましては、昨日も申上げました貞明皇后の御遺金を元といたしまして募金をいたしました藤楓協会におきます基金を活用いたしまして、患者の家族の慰問或いは援護を行うというようなことを考えております。又私どもこの法には規定されておりませんけれども、予算措置によりまして二十八年度にはそういう事項がはつきり出ておりませんけれども、将来二十九年度などにおきまして、予算措置によりまして家族の慰問援護というようなことを考えて参りたいと、そういうふうに考えております。
○大谷瑩潤君 第四条のところをちよつと承わりたいと思いまするが、この医師の診察の結果受診者が患者であるという診断をする云々、ということが書いてあります。この患者は外聞を極度に虞れておる患者でありまして、それと共に患者の家族というものに対する問題もよほど考えて、医師がその取扱いをいたしませんと、むしろ患者の家族からは軽々に取扱つたために非常に反感を買うというような憂いが多分にあると思うのであります。そこでこの医師というものが普通、町に散在しておる医師というもので果して診断が確定するのか、或いは収容所等の医師でなければ検査その他の設備或いは診断の準備等に対しましても万全を期することができないというような憂いがあるように考えられるのです。その点一つお伺いをいたしておきます。
○政府委員(山口正義君) 医師が患者を診察いたしましてその届出をいたしますというような場合に、患者の家族の秘密というような点を十分考慮しなければならないということは只今御指摘の通りでございまして、私どもといたしましてはその届出の方法等によりましても普通の伝染病でございますれば保険所長を経由してやることになりますが、保険所長を経由せずして直接都道府県知事に届出る。その届出のやり方などにつきましてもこれは奨励事項になるかと存じますが十分な配慮を払つて参りたい、そういうふうに考えております。そこで只今お尋ねの医師を、どういう医師であるかというお尋ねでございますが、この最初に診察される医師はらいの診断に対して十分の経験のおありになるかたもございましよし或いはおありでないかたもございましよと思います。十分の経験があつてらいと診断されたかたはそういうふうにお届けになると思います。らいに対して十分の経験をお持ちにならないではつきり診断を下せないという、そういうときは疑いのある患者としてお届けになると思います。そういう場合には、疑いのある患者のお届けがございました場合には、昨日も申しましたように第五条によりまして都道府県知事が指定医によつて診察させるということになると思うのでございます。
○大谷瑩潤君 次に第六条の第二項、第三項についてちよつとお伺いいたしたいのですが、この勧奨という、勧めるという程度、入所をさせるという、これは強制入所だと思ますが、その二つの間に、命ずることができる、という一つの項目があるのでありまするが、命ずるということと入所させるということとの程度でありますが、その程度がどういう意味において、命じたけれどもそれに従わないものは入所させるかという点に対して、私どもの考え方としては十分勧めてそれすら受入れないような人ならば、当然入所をさすというところへ行つていいのであつて、命ずるという中間のものは要らないと思うのでありますか、その点一つ承わりたいと思います。
○政府委員(山口正義君) 第六条の第三項の入所させるというのは即時強制を意味いたしておりますので、只今御指摘のように勧奨に応じないものを直ぐ、即時強制に持つて行つてはどうかという御意見もございますが、併し即時強制という措置は成べく取らないようにしたい。これは患者の希望もございます。又そういう即時強制などという措置は成べく取らないようにするのが行政上正しい運営ではないかというふうに考えますので、勧奨に応じないものは非常に手間取るようには感ぜられますけれども、第二項によりまして命令書を出して、それでも言うことを聞かない場合には、即時強制をするというように持つて行く、これは少し丁寧過ぎる措置かもしれませんけれども、患者の意向もございましたので、特にそういう点を配慮を払つたつもりでございます。
○大谷瑩潤君 第十三条と第十四条の二項とに、最後に何々することができる、と書いてありますが、これは、できる、でなしに、そうしなければならぬという規定法にされたらいかがなものでしようか。
○政府委員(曾田長宗君) この初めに十四条について意見を最初に申上げますれば、第十四条が第一項と第二項とに分れてございます。第一項は必要な措置を講じなければならない。第二項は、講ずることができる、というふうに書き分けてございますのですが、これは義務教育というものの関係から、どうしても療養所におります患者に対してでも、軽症なもので教育を受ける力があるというものには、どうしてもその機会を与えなければならぬという意味で、ならない、というふうにいたしました。それに対しまして二番目の第二項となりますると、高等学校の教育でございまして、これは勿論大多数のものがこれを希望しているとは考えられぬのでございますけれども、一般に今日の状況から考えますというと、療養所外の人たちにおきましても、高等学校に全部のものが入り得るというわけでもございませんし、又勿論この中におります者も、全部が高等学校に入ることを希望するという意味ではございませんけれども、一人でも二人でも希望者があつたら高等学校を作らなければならんじやないかという議論も成立ちますけれども、この数が必ずしもさように多くない、これに該当するものがそれほどまで多くないというようなことを考えましたりいたしますと、多数の患者のおります大きい療養所というようなところでは、できるだけこういう措置を講じて参りたいというふうに考えられるのであります。けれども、これを各療養所に必ず置かなければならんというふうに規定いたしますことは、現状として少し行き過ぎではなかろうか、ということが考えられておるわけでありまして、十三条につきましても、この入所患者に対しまして、軽症者或いは将来治癒の見込みが非常に多い患者に対して、社会的更生のために必要な知識、技能を与える。たとえば授産場式なものを設けるということが必要でありまして、そういうことに努めたいと考えております。けれどもすべての施設にこういうようなものを作らなければならんということを、今言い切つてしまうことは如何かというようなことで、入所患者に対して如何なる療養所におきましても、すべてこういうことを希望いたします入所患者のために、かような措置を講じなければならんというふうにいたしますことは、少くとも直ちにというわけにはその規定が実行に移し得ませんので、できるだけさような措置を講じて参りたいというような意味で、「ことができる。」という処分にいたした次第であります。
○大谷瑩潤君 附則の第五でありますが、この意味をちよつと一応教えて下さい。
○政府委員(山口正義君) お答え申上げます。附則の第五の出入国管理令第五条の方は上陸拒否の事項でございまして、らい患者の外に精神障害者その他が含まれておりますが、第二十四条のほうは退所の命令という条項でございます。
○大谷瑩潤君 それはどこの国の人でもそのような扱いをするという二とですか。
○政府委員(山口正義君) 外国人に対してそういう措置を講ずることになつております。
○大谷瑩潤君 わかりました。
○中山壽彦君 この救らい事業の募金が完了しているということを聞いておりますが、どのくらいの数が集りましたか。私どもはかねてよりらいの研究所を拵えて貰いたいということを要望しております。この基金によつて集まつた募金によつてどういうことを当局では計画をされておりますか。一応承わりたい。
○政府委員(山口正義君) お答え申上げます。貞明皇后の救らい事業募金は、御承知のように昭和二十六年の八月二十五日から約一年間に亘つて行われました。目標額が二億二千万円でございましたが、二億二千八百万円余り集まりました。そのうち事務費を差引きまして二億七百万円余りを募金委員会から元のらい予防協会が改組されました藤楓協会に引継がれまして、それに貞明皇后の御遺金二百万円を加えますと二億九百万円余りになるわけでございます。そのうち御遺金二百万円と募金額の一億五千万円を基金として一応積立ててございます。昭和二十七年度に実施いたしました事項、それからそれに使用いたしました金額の主なものは第一は金額は僅か三十万円でございますが、昨年の六月二十四日に貞明皇后を偲ぶ会というのを日比谷公会堂で実施いたしました。その際にらいに関します思想普及についてのパンフレツト、リーフレツト等を作成して配付いたしました。第二は患者の慰安費といたしまして、療養所に収容しております患者の慰安のために映画、演劇、図書購入などの経費のために三百万円を各療養所に配付いたしました。それから救らい映画の作製、これは「希望への道」という映画でございます。これは救らい思想啓蒙のための映画を作製いたします。それに三百万円使用いたしました。そのほかに只今中山先生から御指摘のございましたらいの治療薬の研究を実施いたしたいという目的を以ちまして、三鷹市にございますコンクリートの建物を四千万円で購入いたしまして、そしてそれを研究所にできるように現在整備しつつあるわけでございます。只今まで実施いたしました事業、それに使用いたしました金額は只今私ども申上げました通りでございまして、今後の計画につきましては、藤楓協会に理事がございますので、その理事会で運営して行くということになつておりますが、厚生省からもその理事会のなかに入りまして、政府としてのいろいろ意見を述べて、そして政府の行いますらい予防対策に呼応して、藤楓協会の事業をやつてもらいたいというふうにしております。
○中山壽彦君 私は地方に参りまして、らい療養所を大分ほうぼう視察して参りました。一昨年七月、丁度今より約二年前に堂森君らと出張いたしまして、青森の療養所に視察に行きました。患者代表と会見をいたしました。堂森君や有馬君も同席をして来ておられたのでありまするが、そのときに患者の代表から私どもに申しましたことを記憶を辿つて見ますというと、らいの療養所には外科医がない、外科的の施設が非常に不十分である、こういうことを訴えておつたのであります。次にこの被服の支給でありますが、年に二色支給される。単物と袷、冬は随分東北地方は寒いのに綿の入つた着物を着ることができない。従つて冬期になりますというと、北のほうから南のほうの療養所に移動する者がある。どうか温かい着物をもらいたい、こういう希望を述べております。次には只今もお話にありましたが、自分ども外界と遮断されておりまして、所内における娯楽機関を欲しい、今日までそういうことが極めて少い。なおほかにあすこは特別な関係から水道施設がないので非常に困るということを訴えておられたのであります。こういうような問題につきましては、当局としては全国的にそういうような配慮がされておるかどうか、又それに関連する予算措置等も適当にやつておられるかどうか、この点伺つておきたいと思います。
○政府委員(曾田長宗君) 最初に外科医の不足という点が指摘されたのでありますが、確かに最近に至りまして、殊に新らしい治療方法の普及によつて患者の症状が非常に軽くなつて参りました。軽快いたします者の数も殖えて来るということになりますると、外科医、特に整形外科の専門的な処置というものを必要とする患者が逐次殖えて参つております。この方面の専門のかたがたに、専門医の比較的容易に得られますところ等ではすでに非常勤職員としていろいろ御指導を願うという措置をとつており、又医員にもその方面の勉強をしてもらうというようにしておるのでございますが、確かに現状といたしましてはまだその点が非常に不十分でございまして、将来といたしましては癩療養所の職員全般にこの職員の不足が感ぜられておるわけでございますが、この医員の増員ということを図ります場合に、特にその方面の考慮を十分に図りたいと考えております。 次に被服の問題でございますが、この被服は昭和二十六年度に比較いたしまして二十七年度に若干単価増をして頂いたのであります。これだけでも不十分だと考えられますので、将来例えば二十九年度予算の要求といたしましては、それのほぼ倍くらい二十七年、八年は以前より若干殖えましたけれども、なお年間一人に対して三千五百円程度の予算単価になつておるのでありますが、二十九年度にはこれを六千円程度に増額いたしたいというふうに努力いたしておる次第でございます。なおその他のいろいろな患者の慰安或いは生活の補助というような問題につきまして、前回も簡単には、お触れいたしたかと思うのでございますが、又皆さんも或る程度御承知と考えますが、いろいろな所内におきましての公会堂だとか或いは理髪店或いは美容師の店と申しますか或いは学校でありますとか、或いは教会堂というようなもの等の設立ということにつきましては、或る程度予算も増額し或いは他のいろいろの関係団体の御援助も得まして、極力患者の福利厚生のために努めておるような次第であります。予算面につきましては、昨日山下先生からも御案がございましたので、いろいろ細かい点は資料として準備いたしておりますので、今日中にでもお手許に差上げられるかと存じております。おおむね只今のような考え方で進んでおります。
○中山壽彦君 私が視察した療養所を見ますと、職員のかたが殆んど献身的に働いておられる。視察した場合には、非常に感に打たれるようなことがあります。こういう特殊のところに勤務しておられる職員に対しては、何らかの待遇上に特別の措置をとつているのでございましようか。又そういうふうに優遇するということが、おのずから患者に対しても非常な温かみが殖えるのじやないかというような気持がしておるのですが、そういう問題についても、今までの状況を承つておきたいと思います。
○政府委員(曾田長宗君) 癩療養所の勤務職員に対しましては、その仕事が非常に厳しいものでもございますので、一般職員に対しまして、より優遇の途を講ずる必要があるというふうに考えられますので、この職員に対して特別の加給をいたしておるのです。それは大体多いものが六号、少ないものが二号の加給になつております。多いものは患者に直接接しておりますものでありまして、癩療養所に働いております事務職員という事務系統の人たちは、その一番低い部分でございまして、二号俸だけ加給になつております。その仕事のいろいろな繁忙、或いはその種類の難易、或いは患者に接する度の多少というようなことによりまして、その中間の号俸だけ加給するというようにいたしております。
○湯山勇君 私最初に、以前にも御説明があつたのですけれども、ハンゼン氏病という病名を採用しない理由をもう一度御説明頂きたいと思うのですが。
○政府委員(山口正義君) 癩予防法、癩という代りにハンゼン氏病という名称を使つてはどうかという御意見につきましては、従来いろいろのかたからそういうお話を承わり、又患者のほうでもそれを希望しているということを承知しておるのでございますが、らいと申しますのは学名でございまして、これをほかの名称に変えるということは学問上からもなかなか困難な点であると存ずるのでございまして、ハンゼン氏病というのが現在、らい菌を発見した人がハンゼンであるからというのでそう言つてはどうかというお話があるのでございますが、世界中で、あまりこのハンゼン氏病という名称が使われてはおりませんし、又先般国際連合の一つの機関であります世界保健機関から通達が廻つて参りましたのによりましても、らいというものは学名そのままの、原語で申しますとレプロシーという言葉を使つてほしいという通達が廻つて参りました。癩という文字そのものにも非常に悪い意味がある。例えば曾つてらい病に対して、らいという疾患に対して用いられました天刑病というような言葉でございますと、それは言葉そのものに非常に悪い意味がございますので変えなければならないと思うのでございますが、癩という字そのものには悪い意味はあるのではございませんので、むしろ一般の人たちからいというものを正しく理解していないという点に根抵があるのではないかというふうに考えられるのでございます。ハンゼン氏病というふうに若し変えてみますと、そうすれば、ハンゼン氏病とは何だというふうに必ず言われると思うのでございます。そういう場合にそれはらいのことであると申しますと、らいという名称に対して一般の人たちの考えが変わらない限り、やはり同じような心配が起つて来るのではないかというふうに考えられるのでございまして、私どもといたしましてはハンゼン氏病というふうに名称を変えるということで事は解決するとは考えられないというふうに存じておりまして、むしろ本法の第二条にもございまするように、らいという疾患に対して従来遺伝性の疾患であるというふうに考えられておりましたのを、これを伝染性の疾患であり又早期に発見して適当な治療をいたしますれば相当警戒し得るものであると、いうふうな正しい知識を一般の人達に普及させる方が、より重要なことであるというふうに考えておりますので、直ちにらいという 一 一名称をハンゼン氏病という名称に変えなくてもいいのではないかというふうに考えておるわけでございます
○湯山勇君 少し意見になりますけれども、学名というのはレプロというのはこれは国際的な名前ですから問題はないと思うのです。併しらいというのは学名じやなくて和名にしか過ぎないので便宜上使つている言葉なんですから、これを変えるということは何も国際的な影響はないと思います。それから今おつしやつたように、旧観念を成るほどいろんなふうに内容的に直して行くというお考えは勿論ですけれども、そういうことをするため、手取り早いためにこのように病名を変えるということをして行かれれば、なぜ変えたかという疑問が一般に起つて来るわけです。そういうことから自然にこの啓蒙の機会も掴まえられるというようなことなども考えられますし、昨日の榊原委員に対する御答弁の中にも、結局遺伝性のものではなく伝染性のものだ。従つてこのような予防法案が必要だという御答弁の一切の要素は、この菌の所在にあるというようにまあ新らしい考え方では受取れたわけです、とするならば、このハンゼン氏が菌を発見したということは一つのらい療養に関しても、或いはこういう予防法が生まれたことなどにつきましても、一つの画期的なことである。で、こういうふうな考え方からすれば、むしろ今国際的な、そういうことを考える段階よりも、どのようにして一般に啓蒙ができて行き、どのようにしてこれの予防の目的が達せられるかということが今の日本としては重要な問題だというような考え方に立つて御再考の余地がないかどうか。これは大変意見になつて恐縮なんです。
○政府委員(山口正義君) 湯山先生の御意見の点につきましては私ども従来いろいろ考えて見ましてやはり名称を変えて、ことは解決するものではなくて、名称を変えるよりも、先ほども申上げましたように、正しい知識を普及さして行くというふうに、そちらに持つて行かなければならぬのではないかというふうに私どものほうでは考えているわけでございます。
○湯山勇君 もう少し意見を述ベさして頂きますと、局長はこの名前を変えることと啓蒙ということと対立さしてお考えになつていらつしやる。私が申上げているのは両者を対立させるのではなくて、啓蒙をより有効にするためにも病名を変えたほうがいいのではないか。つまりらいという言葉には、さつきお話のありましたように、かなり天刑病的な要素を持つているわけです。まあ一般社会の受取り方ですが、そこでうそいうことも含めて、両方今のような対立的にでなくて、同じ立場に立つて考えることができないかどうか、こういうことをお尋ねしておるわけです。
○政府委員(山口正義君) 私の先ほど申上げましたのは患者が非常にらいという名称を嫌がるという点に立脚いたしまして、先ほど正しい知識を普及するほうがいいのではないか、というふうに申上げたわけでございますが、先ほども申上げましたように和名では、らいは学名になつておりまして、学問的にらいというふうにきまつておりますものを、日本だけでハンゼン氏病というふうに変えて参りますということは、適当ではないというふうに私ども考えます。
○湯山勇君 ちよつと御趣旨が今の学問的な見地に立つての考えと、それから啓蒙的な立場と混同されて、御答弁になりましたので、私なおこの点についていろいろ意見がありますけれども別の機会に又申上げ、御意見を承わりたいと思います。 なお次にこれも簡単なことですが、第二十八条の左の各号の一に該当するものは、拘留又は科料に処するという条文がございますが、一般の法定伝染病ですね。実験的にも臨床的にも感染するということがはつきりしている一般の法定伝染病、それに対しても、やはり、隔離されているところから出て行つた場合には罰則があると思うのです。それとの関係はどうなつておりますか。どちらがどうなるのか、御説明頂きたいと思います。
○政府委員(山口正義君) 急性伝染病、現在法定伝染病に対しましては罰則はございませんで即時強制になつております。もし出て参りました場合には、又直ぐ掴まえて容れるという即時強制になつております。
○湯山勇君 何か百円以下の罰金でございませんか。
○政府委員(山口正義君) 罰金はございません。
○湯山勇君 ございませんか、じやそういうふうに非常にはつきりした、而も危険性から言えば、これよりもつと危険な状態の伝染病に対しては今のように罰金もなければ別にこういうものがない。これに対してもこういうものが適用されるというのはどういうことになるわけですか。
○政府委員(山口正義君) 現在の伝染病予防法におきましては、罰則がございませんので、即時強制という措置によつて直ちに又容れるという措置を取つているのでございますが、そのやり方につきましては現在伝染病予防法を検討いたしておりまして、成案を得ますれば、いずれ国会に御審議をお願いしなければならないというふうに考えておるのでございますが、その際には即時強制でなしに或いは罰則を設けるというようなことも考えなければならないのではないか、これは現在検討中でございまして、それから同じように急性伝染病を取扱います検疫法の中には罰則がございます。その検疫法によりまして、隔離されておりますものが、逃亡いたしましたというような場合には、一年以下の懲役と、それから十万円以下の罰金というふうになつております。
○山下義信君 この時間は小委員でないかたのお使いになる時間だと思いますから控えるのですが、一応皆さんと一緒に私は向つたほうがいいと思うのです。そこで資料も一つ二つこの際要求しておきたいと思うのです。この法案の審議に当つてずつとこうして伺つているというと、公衆衛生局長と医務局長とがこもごも答弁する。これは素人に分らんのでんよ。公衆衛生局がそのらい予防に対して、法律で言えばらい予防法、このらい予防行政に対して公衆衛生局はどことどこをやるのか、それで医務局はどことどこをやるのか、一つの法律の中にどこのところは公衆衛生局長の答弁、どこのところは医務局長が答弁するということは、言い換えれば法律の中に、受持の分担は、ほかの行政の分け前もあるだろうと思うのですが、これを表にして私にわかるように資料として頂いてもよし、簡単なことならここで御説明下さつてもいいのですが、わかるように表にして頂きたい。どうしても分けなければそのらい予防行政というものができないのか、公衆衛生局で一本にしたのではできないのか、或いは医務局一本で受け持つたのではできないのか、どうしても二局が分かれてやらなければできないのだということを我々が納得するような資料を貰いたい。私どもの考えでは一つの行政は、一つの局が責任を持つてやつたほうがいいだろうと思うのですが、ダブつて二重にしなけりやならんわけを表でわかるように一つ資料で下さらんか。ここで説明を聞いていると時間がかかりますから、行政分担表か何かの上に簡易な説明をした、或いは備考欄でも付けて下さつていいですから一つお願いしたい。国立療養所関係等の関連の点においてはさようであろうと思いますが、私はこれはさつき湯山委員が質問しておつたが普通伝染病として扱うのじやないでしよう。これは根本的な理念の問題ですが、当局の方針ですが、先ほどから国民のらい病に対する考え方を認識を深めるのだ。昨日ば横山委員から御質問があつたが、国民に対して正しい知識を普及するとはどういうことかということの御質問があつたが、要するところは最近の何とか菌の発見で遺伝というようなものでなくて、伝染病だということになつたということは、らい病に対する考え方はらい病というものは軽いのだという考え方を持たせるというのですか。そうでなくて、恐るべき伝染力があるのだから従来の考え方とは変つて伝染をしないように十分注意せなければならんという考え方を持たせるのか灯昨日からの答弁を聞いて見ても、軽いようにも考えられるし重いようにも考えられる。非常な重度のものに対しては強制的な隔離をする必要もあるし、軽いものは差支えないということにも聞こえて見たり、そうかといつて普通の伝染病以上の扱いをしようとするということは怪しからん、何だかんだといつたつて普通の伝染病と同じように取扱うのならばこんなに特別法を作る必要はない。常識でも分つているのですよ。ますます十分に注意を払う、こういうのでしよう。だから従来の簡単なお粗末な法律では役に立たんから完全なものにしてその病気を絶滅して行こう、とこういう考え方なんでしよう。十分注意をして、協力して絶滅に持つて行こうというならば、この病気に対する万全の注意を払うという方法を考えて、注意を払うという点については重く考えて行く。病気そのものにも十分注意して伝染病ということになつたから、といつて軽いのだという意味じやないでしよう。ですからこれは私は同じ伝染病の中でも特殊行政だと思うのです。私は常識で言うのです。常識論です。特殊行政ならば普通伝染病が医務局と公衆衛生局の二局にまたがつて、両方が相談しなければならん特殊行政ならば一本にして筋を通して頂きたい。さつきから二人の方からどこを尋ねたらどつちが重きを置くという答弁をするのか分らん。けれども私は両方の局の受持を法律の受持の第何条は公衆衛生、第何条は医務局、大体これも私も今初めて厚生委員になつたのじやないですから、何とか私は想像はつきます。けれども一遍表にして、要するにこういうことも将来行政機構の改革のときに改革して貰つてはどうか。依然として同じ古い機構の両方が重なり合つて責任を持つのは一体どつちの行政の受持であるのかわからんですよ。一つ両方の受持区分を表にして下さい。長いことを言うと時間がかかりますから表にして、この両局の、この法律に関して、業務の受持区分表を資料として出して下さい。 それから大切なことは従つて伝染病の経路だろうと思うのです。そのデータを一つ資料として出して下さい。先ほど私はこの御提出になりましたらい関係の統計をずつと見ておつたが、一人患者の出た、その家族の感染の状況の、我々にわかるようなデータを一つ出して頂きたい。それによつて患者の出た家の家族をどうしなければならんということも、おのずと法律の必要なこともわかつて来まするから、わかるような当局の御調査の資料を要求したい。これはもう一つの資料でありますが、生活保護の必要がある、このあなたのほうから下さつた資料では患者の家族の五〇%は生活保護の必要のある世帯だという数字が出ておる。この生活保護法の適用がこの法律のなかの一つのポイントになつておる。これはどの程度の生活保護がしてあるかということを社会局を通じてお調べなさつてあなたのほうにそれがちやんとわかるならば、どの程度の生活保護を与えておるか、一世帯どれだけの生活扶助を与えておるかということを、これを資料で頂戴したいのです。それだけあなたのほうの両局の行政事務の分担表、備考欄に、法律の両局関係の箇条があればそれを書いて下さつて、それで今私がお願いした点を摘要欄に書いて頂きたい。今の伝染の経路に関するデータ、それから生活保護法適用状態、この資料を一つ至急に出して下さい。お願いいたします。
○政府委員(山口正義君) 只今山下先生から御要求の資料は至急に整えてお届けいたします。たた一言この法律におきましての医務局と公衆衛生局との分担の問題でございますが、医務局と公衆衛生局との仕事の分担につきましては、只今御要求になりました資料のなかに整えて提出いたしますが、この只今御審議を願つております法律につきましては、国立療養所に関します第三章関係の事項につきましては、御質問がございますれば医務局長がお答え申上げ、その他の部分につきまして特別御要求のない限り、私、公衆衛生局長がお答え申上げるということにいたしております。
○委員員(堂森芳夫君) 本日はこれくらいで委員会を閉じます。 午前十一時四十二分散会