P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
16回国会参議院1953/07/23

建設委員会 第16号

発言数
136
登壇者
14
会派数
4
開催日
1953/07/23

会議録

石川清一改進党

○委員長(石川清一君) それでは只今から建設委員会を開会します。  先ず土地収用法の一部を改正する法律案につきまして質疑の続行をいたします。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 政務次官にお伺いしまげが、政務次官は七月十六日の委員会において小笠原君の質問に対しまして、斡旋制度ができても、これは行政協定に基く土地の収用の場合には適用しないという言明がありましたが、政務次官の御見解は結構でございます。これに伴つて調達庁並びに外務省の関係政府委員をお呼び願いまして、その方々に質疑をしたいと思いますから、委員長お願いいたします。

石川清一改進党

○委員長(石川清一君) 只今田中委員から政府委員の出席の要求がありましたが、調達庁並びに外務省関係に連絡をしまして、至急出席するように要求をいたします。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 先般資料の要求をしておりました分がここに出て参りましたが、或いは私前回の委員会に欠席したために伺つておらないかとも思つておりますが、この資料について説明を願いたいと思うのです。

渋江操一建設省計画局長

○政府委員(渋江操一君) 資料について御説明を申上げます。  先ず第一は収用委員会の取扱つた事件でございますが、これは事業認定を受けた事業と、それ以外に補償の裁決まで行つた事件と、新しい収用法ができまして収用委員会の取扱つた事件を、それぞれ具体的な事業の内容につきまして御覧に入れることにいたしております。これを御覧願いますと、一部和解による解決をいたしておるものもございます。それから最終的に裁決の段階に入つたものもございます。それから群馬県の東京電力の起業等につきましては緊急使用の決定を行いましたが、その後に補償問題につきまして当事者間に協議による解決が出て来ております。それらの事件をそれぞれ一応件名として挙げたわけであります。それからそのほかに事業認定で取扱いましたのは二つに分れておりまして、一つは都道府県知事が事業認定を行なつた事件、それから更に公共団体等が事業主体であるがために建設大臣の事業認定を受けた事件、それぞれここに掲げておりますので、これによつて御覧を願いたい、かように存じております。  それから次には収用委員会の現在の顔触れでございますが、御指示になりました各県につきましてそれぞれ委員の顔触れ並びにその経歴を御覧に入れております。これで御覧願いますとわかりますように、収用委員の顔触れは多種多様でございまして、実業関係の人が入つておりますものもございます。それからかなり新しいところとしては弁護士、それから学校の先生が入つております。それから県会議員、これが相当参加いたしております。実業界方面は更に本当のその町で事業をやつておられる方々もございますし、そのほかに銀行の支店長等で勧銀或いは地元の有力銀行、そういつたような支店長の方が入つておるケースもございます。顔触れから参りまして非常に多種多様であるというふうに考えております。そのほかに現在までにこの事実上の用地補償問題につきましていわゆる何と申しますか、仲裁機関その他が設けられまして、この解決の衝に当つたというケースを、主としてこれは河川の改修事業乃至はダムの建設事業につきまして例を挙げましてお示しいたしたわけでございます。  これを御覧願いますとおわかり願うと思うのでございますが、銅山川にいたしましても、木屋川にいたしましても或いは赤川のケースにいたしましても、いずれにいたしましてもこれは県乃至は建設省が直接間接に起業主体である関係のケースを挙げておるわけでございますが、この仲裁機関と申しますか、補償問題の調停に当ります機関は、主としてこの起業者としての立場において地元のこの補償問題に対する了解にいろいろ努力する一つの方法といたしまして、こういう補償委員会その他を設けるというような関係になつております。第三者的な立場でこういう補償委員会が働いているというよりも、むしろ起業者側が中心になつてそれに対する地元の補償に対する和解工作というか、そういう形で努力をいたしておりますというふうな関係が非常に顕著な特色として出ておるのではないかというふうに存じます。それからもう一つ物部川の河水統制事業につきましては特に詳しく、この補償問題が非常な紛争をいたしまして、この補償委員会というものが設けらるるに至りました経緯乃至はその間における補償委員会の活動振りというものを印刷いたしましてこれに入れたわけであります。詳しい内容はむしろこの起業の直接の衝に当つております主として河川局等からお聞き取り願つたほうがよろしいかと思つております。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 この福島県の知事起業の浪江都市計画街路事業の和解の内容はわからんのですか、これは計画局長に伺いたい。

渋江操一建設省計画局長

○政府委員(渋江操一君) 詳しい調書を今手許に持つておりません。一応関係として取りまとめた程度にいたしまして、各案件の内容について詳しいまだ調べをいたしておりませんので、若し必要がありますれば、あとから資料を取りまして詳しい御説明をいたします。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 それならば河川関係のもので結構なんです。今計画局長お持ちかと思つて伺つたのです。そこで伺いたいのは、大体この補償委員会には地元の利害関係者の代理が、代理といいますか、調停委員ですね、調停委員は入つております。そこでその委員が、今御説明になつたような種類のものを見ますと、大体地元の利害関係者が一応話合つているというようなのが今までの前例のようです。そこでこの法案にあるところの斡旋委員というものは全然地方長官が任意で公正なる人を選ぶのでしようけれども、こうなつておりますね。「あつ旋委員は五人とし、事件ごとに、収用委員会がその委員の中から推薦する者一人及び学識経験を有する者で収用委員会が推薦するものについて、都道府県知事が任命する。」、従つてその利害関係者の代表といいますか、そういう者は全然入つておらないわけです、従つてその意図は、大体において地元民の意思を汲んで交渉しようというのが実体です。それが全然中間的な、それも学識経験というだけでは漠たるもので、少くとも利害関係者の代表が調停委員会と同じようになければならんと思うのです。この点については再三再四伺つておりますからもう御答弁は……。併しながらなお今まで資料がたくさん出ているので、最後的なこれに対する御見解を伺いたいと思うのです。

南好雄自由党建設政務次官

○政府委員(南好雄君) お答え申上げます。この斡旋委員の選考の基準でありますが、これをその法律の言葉に現わして参りまする際においては、田中先生の御質疑のように参ります場合には大体こう学識経験という言葉を使うのであります。これは今までもお答え申上げたのでありますが、斡旋委員に選考さるべき人は直接のいわゆる利害関係人では私は困ると思う。間接的にいわゆる利害関係人と見られる人を双方から入れて、そうして中立的の人をそれに加えまして、客観的に納得できるような案ができました際にその斡旋が効果を生ずるのではないかというふうに考えております。従つて県知事に斡旋委員選考の標準につきましてはそういう趣旨の通達はいたしますけれども、どういうような法律用語を使つていいかという点になりますると、大体現在の法律は、運用に期待いたしまして、学識経験者という言葉を使つておるのが通例でありますので、その例に従つて学識経験者ということを入れたのであります。これも再々御返事申上げておる通りでありまして、直接利害関係者ではないが、間接に利害関係を代表する人たちを双方からとつて中立の人を入れて構成する、そういうふうに斡旋委員会を構成するように通達をするつもりであります。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 先般の委員会においても政府委員はこの土地収用法というものは強権だ、強権発動だということを再三繰返しておられるのです。私は土地収用法は決して強権ではないと思う。この土地収用法の精神というものは、国民全体の利益を図るための収用という大きな目的が一つ、それから国民の私権を擁護するという建前の精神がこれに流れております。この二つが土地収用法の制定の主眼と思うのです。従いまして途中に何らの斡旋機関というものを必要としない。国は国民のために事業を行う。或いは民間起業者が公共事業を行う、これは国民のためです。これはもう結構です。よくわかるのです。従つてかかる法律はなくちやならんのです。同時に国民の私権というものを、国民の権利を擁護するための法案だと私は了解しておるのです。曾つて計画局長もこの点については再三再四お述べになつていらつしやる。若しそれならばすべての事業というものは法律に規定して……、これが一番正しいことなんです。途中で何ら機関を設ける必要はございません。全部法律に照し合して行動するのが公務委員の役目です。又国民としてもその法律を守るのが役目です。義務でございます。従つて土地収用法というものの精神、これは何かということを吉田内閣として責任ある御答弁を願いたい。

南好雄自由党建設政務次官

○政府委員(南好雄君) お答え申上げます。私も土地収用法に流れる思想と申しますものは、公益又公共的なものと国民のいわゆる私権との調整にあるのでありまするから、そこで土地収用法は一種の強権発動だと申上げたのであります。土地収用法の手続につきましては田中さんの言われる通りです。戦後の立法といたしまして非常に民主的にできておりますので、手続そのものにつきましては何も私は強権的だと申上げたのではなくて、収用法の根本精神は公共のために私権を制限する点にあるのだということを申上げたのであります。  なおこの土地収用法の中にいわゆる本手続に入る前に斡旋制度のようなものを設けることが、どうせ土地収用法による調停委員制度もあるのだから屋上屋ではないかという田中さんの考え方も一つの考え方だと私は存じております。併しこの斡旋案と申しますものは何ら当事者を拘束するものではないのであります。これで気に食わなければ本手続に入つて土地収用の段階に入つて行つて差支えないのであります。こういう制度を設けることによつてとかくうるさくなる問題を簡単に解決できれば非常にいいではないかという意味合いで斡旋制度を土地収用法の一つの制度として織り込んで参つたのであります。これが若しこういう手続をすることによつて土地収用法に盛られておるいろいろの民主的の手続を省略するとか或いは飛ばすとかいうようなことがございますれば、私も非常に田中先生の説に賛成するのでありますが、これは全然土地収用法そのものの手続を省略するのではなくて、若しこの調停委員を設けなくても、いわゆる本改正によつて簡易な制度の下において斡旋ができて、それが効果ができればこれ又一つの考え方であり、やつてみていいことではないかというのが今度の法律の改正なんであります。これは決して私権を擁護する立場からも後退しておりませんし、それから又一部の立場を特に擁護するような意味に使われるものとも考えておりません。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 斡旋委員会を設けるというこの法律の改正につきまして、証人をお呼び願いたいと思うのです。それは赤石川関係の地元の人間、只見川関係の人間、藤原ダムの人間、私はたくさん事例を知つております。従つて若しも委員長から御相談があれば何人かを私は指名いたしますから、斡旋委員会というものができて、それで非常に幸いだという考え方を持つかどうか。それからもう一つ、事業を遂行する起業者側の証人、これも二、三お呼び願いたいと思うのです。それで実際に行つておるものにつきましてはこれから河川局長から伺います、実態に対しては……。今日の斡旋委員会的な斡旋をしているということはどこにもあります。ことごとく初めから交渉もせずにやつていることはございません。従つて交渉をやつております間に中に人が入つてやつております。その実情を河川局長に伺うのが一つと、それからその後に来るのは、その証人をお呼び願つて、実際に土地収用法に流れておりますところの二つの思想、私権を取上げる問題と私権を擁護する精神、この二つの流れておるものを双方からこれが妥当なものという考えが出るかどうか、一点伺いたいと思うのです。それを提案いたします。要求いたします。

石川清一改進党

○委員長(石川清一君) 只今田中委員からお話のありました利害関係者、主として土地を収用される側に立つ人並びに起業者筆の参考人を呼ぶことについては後刻懇談をして、範囲或いは日時その他についておきめした上で御了解願いたい、こういうふうに思います。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 河川局長から、おいでになつたようですから、実際一つの事例、どの場合にどういうような事業遂行するための交渉並びに第三者の斡旋等が行われたかどうか。殊に只見川の問題は御承知の通りに大きな政治問題にも発展しましたから、これを伺つてもどうかと思うのです。従つて私は非常に弱い、法律も何も知らないような農民が知事或いは起業者等と折衝している事例がたくさんあると思いますから、そのうちの一つを河川局長から詳しく御説明を願いたいと思います。

米田正文建設省河川局長

○政府委員(米田正文君) 現在各地でやつております堰堤築造に伴う水没補償ということについてはなかなか簡単に解決をしないのが一般であります。で、各地ともそれぞれ起業者と地元の水没を受ける側との間に相当紆余曲折のある折衝をいたしておる現状であります。若干殆んどみなそれぞれの特殊な事情を持つておりまして、一様ではありませんが、どの場合でもそういう斡旋に似たところの行為が行われて、私、最近の事例としては十津川の問題、それから藤原の問題等がございます。その他もたくさんございますが、十津川の問題について簡単に申上げてみます。  それは地元とそれから地方建設局とが用地の折衝を始めたのは昨年の秋でございます。そのときから直接地元に測量調査をしたいというので入ろうとしましたのですが、先ず補償の問題の基本の問題について協定ができない間は現地の調査等は待つてくれというような意見が強く出ました。そこで地建、地方建設局としては、当時奈良県に総合開発委員会というのがございましてそれとその委員会と相談をして、それから県議会に総合開発に伴う補償委員会というのがございます。その県議会の補償委員会とも話をして現在のところは主としてこの総合開発委員会が、県の理事者と県会議員からなる総合開発委員会が中心になつて両者の事実上の斡旋に今努めております。これは今年度の六月一ぱいにその両者の斡旋をするという予定で進んでおりましたけれども、それが七月に持越して、本月内にはまとめたいというように現在進行中でございます。主なるその中の問題になつておりますのは道路のつけ換え問題、それから一般補償基準の問題、基準と申しますのは特に単価の問題、それから精神的補償の問題、それから居住地計画の問題というようなものが折衝の要点でございまして、これらを個々について今折衝をいたしておる実情で、それについては県の総合開発委員会が必要に応じて地元に行つて地元と懇談をし、或いは県が地方建設局と懇談をし或いは三者懇談をし、或いは地建と地元が直接懇談をするというような折衝を重ねております。だんだんこの斡旋が効果を奏しまして、日がたつにつれて、折衝を重ねるにつれて両者の歩み寄りといいますか、妥協点がだんだん出て来ておる実情であります。そこで我々としては今月中にはこの両者の斡旋が成立をするというような見込にまで来ておるのでございます。  藤原堰堤については、これは二十七年度から事業の一部に着手をすることにいたしまして、現地で準備工事に着手をいたしておつたのでございますが、二十七年度早々からであつたのでございますが、その暫らくの間何も問題はなかつたのでありますが、併し突然昨年の暮頃から藤原部落の水没者のほうから非常な異議が出ました。これはどういう異議かと申しますと、我々はこの工事に今まで反対はしなかつたのだ。併しその後当局は一向に詳細に説明をしてくれない。こういうことでは我々は非常に不安だ。こういう不安なものには賛成できないというような申入れがあつたのであります。そこで一面地方建設局のほうとしてはまだ本格的な予算がきまらない。今用地折衝をすぐしてもその予算を持つておらん。或いは他に非常に緊急なものがあるというようなことで用地関係の調査が遅れており、従つて工事内容の説明等が遅れておつたという一面があつたのであります。そこでそういう地元の反対が地方建設局及び建設省の本省及び県当局に対して表明せられたのであります。そこで群馬県知事は非常に驚きまして、今までこういう問題はないと思つていたのが、突如そういう事態になりましたので非常に驚いて、群馬県知事は早速その間実際上の調停の役目を引受けられて、数回県の首脳部と一緒に現地に出かけて行つて、地元の反対の人たちと懇談をし、それと同時に地方建設局側も局長以下が現地に行つて折衝をする。三、四回の折衝をした後において条件を地元が出しまして、工事を、特に水抜き工事の一部を中止してくれというようなことがありまして、それはたしか三日間くらい一時工事を中止して、他の工事は依然継続をしたのですが、水抜き工事だけを一応三日ほど中止をして、そうして向うの条件を入れたので、じや交渉に応じる、用地交渉に応じるということになりまして、今は具体的に買収基準、単価等について折衝をしておるのであります。多くの場合地元の水没者はこういう場合にはやはり水没者組合というようなものを結成をするのであります。そうしてその団体の代表者が起業者及び県の当局或いは村の当局というところと折衝をするというのがまあ大体揆を一にいたしております。その間に国が起業者の場合には県の知事が調停に当る、或いは村の当局もその調停の一員に加わるというような実情であります。我々としては、そういう実際上の調停というものは必ず行われる、又行わなければ話がスムースに行かないという実情でありますので、できれば一つの形のきまつた斡旋をする機関というものが確立をせられて、それが全国的に揆を一にして折衝の段階を経るというように持つて行くのが今日の実情に合う。そういうような委員会のような制度を正式に認めますと、実はいろいろ経費の上等に非常に便利になると思うのです。なぜならば今は任意団体でいろいろな水没組合を作つておりますけれども、これらの人たちが会合する会合費或いは会合するために一日休むというようなために収入は減り、或いは経費を要するというようなものに対して補償する、起業者としてそれに補償して行くような方法がない、現在のところは手続の上からはないのでありますが、こういう制度ができれば、正式に特に国の場合等はこれを認めて、そういう会合の場合にはその経費を持つというような制度が確立されると、私は非常に今後の運営がうまく進むではないかというようなことを強く考えております。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 今河川局長の御説明を聞きますと、事実斡旋委員会的な機関があつて、それが中に入つて話合いをしているという実情でございます。私は大体において国土総合開発論者なんです。ただ、国土の開発、資源の開発ということをしなければならん、貿易至上主義を絶対排撃しているのです。党内において……。従つて国土開発によつて国民は一応の生きるという自信を持とうというのが僕の持論です。先般鹿島委員からパンフレツトをもらつて、同感です。併しながらそのために土地収用法というものが納得ずくの形で新しく生れたわけなんです。そこでこの斡旋委員会というようなものを持つという思想は、今言う通り知らしめないでよらしめようというのです。斡旋委員に、おれに任してくれ、我々は君たちの利益を守るからおれに任してくれ、これは曾つて封建時代の政治行政の思想なんですよ。知らしむべからずよらしむべしという思想なんですよ。私はそれはとりたくない。私は知らしむベし……。君らに対してこれだけのことをするのだ、少くとも土地収用法一というこの法律に照し合せて君たちに対してかかる不便のないようなことをするのだということこそ民主政治です。何ら根拠のない斡旋委員が、おれに任してくれというようなその思想はよくございません。今日の憲法の精神からいつてよくございません。尤もこれには権限がありませんから、あつてもなくてもいいようなものでございますけれども、少くとも法律をよく知らしめて、国が、政務次官の言葉を借りれば一応の強権だ、私権を取上げられるけれども、このようにするということを明かにすれば、今河川局長の言うようなことも毛頭起きません。やつて御覧なさい。土地収用法で以てすべてをやつて御覧なさい。起きません。納得します。但レ土地収用法の場合に、補償がきまらないようなものに対しては実行できません。これは曾つて計画局長がはつきり言明しております。補償がきまらずしてそれに対して私物を損壊するということはありません。土地収用法の精神はたしか僕はそのように了解しておるのですが、それを緊急措置としていろいろな例外を設けております。例えば一応これは百万円おれのほうは補償するつもりだ、ところが拒否する、少い、二百万円くれというような場合には一応百万円ときめた場合には百万円を供託する、供託すれば起業者はそれに立ち入りなり何なりできる、あとは行動の問題なんですよ。これも納得すればでぎるのです。斡旋委員がおれに任せろというような封建的な機関をおいて、そうして法律の内容を篤と知らせないでやるということは間違いです。私は政府がこの土地収用法を作つて国民に周知せしめて徹底的に知らしめるという措置がとられてあつたかどうか、これを河川局長に伺いたいと思うのです。私は今までいろいろな問題についてはそうしたトラブルの話を聞いて、又現場を見ております。土地収用法そのものすら教えない。例えば六月二十四日か五日に閣議決定になつたところの水没者に対するいろいろな補償要網、これすら地元民に知らせておりません。そのようにして政府が国会において制定したところの法律をその利害関係者に見せずして、或いは説明しないで、少しでも補償金そのものを軽くしよう、或いは公共事業にいたしますとこれは予算の制約を受けます。一年たち二年たてば無論物価も上るでしよう。地価も上るでしよう。そういうものに対しましてなかなか思うようにならん。従つて前年度の予算で以てそれを遂行しようとするからそこに無理も生れます。そこで電力会社その他の民間起業者側もやはり高いものよりは安いものがいい、そこに無理がある。私は斡旋委員などを設けずして、直接にすべてに土地収用法を発動する、我々が作つた法律です。国民の納得の下に我々が作つた法律です。我々が作つた法律が若し悪いのならば我々は選挙されないだけです。この法律一つ一つのものを徹底的に知らしめて、そうして事業を遂行することが一番正しいと思うのです。これに対する政務次官、計画局長並びに河川局長の御見解を伺います。

南好雄自由党建設政務次官

○政府委員(南好雄君) 只今田中さんからすべての問題について土地収用法の規定する手続による土地収用をやるほうが最も民主的だ、こういう御見解を承わつたのであります。併し先ほど河川局長が説明いたしました通り、実際問題におきましては、今私たちが考えておりまするような、つまり法律に準拠した斡旋制度をとらずに、いわば地元の顔利き、そういうような人たちが入つて却つて斡旋をむずかしくしている実例も聞いておるのであります。そういう場合に一つの枠に入れた、土地収用に入るまでの前提条件として、法律に規定するいわゆる斡旋制度を設けましても、私は土地収用法そのものを何ら後退させるような心配もありませんし、却つてこういう簡易制度を設けることによつて今まで、例えば先ほど河川局長も申しましたように、地方建設局の局長と犠牲者の組合の人たちと直接に話合つて、その話の言葉の内容から、却つてこの問題の解決をむずかしくするというようなことのないように、知事の任命した斡旋委員によつて、そうして両方の見解がよく説明されてその一つの案を出して来る。そうしてなお且つその案に不満足である場合は、田中先生あたりが参画されて立派にでき上りました土地収用法の手続に入つて行つても少しも差支えない、こういうように考えますので、むしろ今日のようにもやもやとして、事実上の顔利きが行つていろいろなことが行われている場合に、斡旋がうまく行く場合もありますが、却つて何と申しますか、うまく行かない場合が生じて来るということのないように、法律にちやんと規定いたした斡旋制度を設けたほうが、田中さんの言われるような私権の保護の上においても、又最近のように尖鋭化して行く場合の一つの調和剤としても却つて効果があるのではないか。これを何か特定の法律効果をして、そうして土地収用法のいろいろの手続を省略する、この問題のために一定の手続を省略するというような、そういう意味を持つた斡旋制度でございますならば、お言葉のように却つて逆効果も出て参りますと思いますが、これは全然そういうことなしに、今右往左往しております事実上の斡旋制度を一種の法律によつて規定して、そうして正しいすべり出しを与えて行こう。つまり土地収用に入る一つの準備行為を法律に規定して行こうというのでありますから、田中さんの御心配になつていることを却つて少くするような効果を持つているのじやないか。私は率直にこの法案の説明をして、そうしていわゆるお答えしなければならん立場にある、そういう心がまえをする上におきましても、この法律の根本精神というものを立案者その他からよく聞きまして、土地収用に入る一つの準備行為だ、これが却つて事実問題の解決に非常にスムースに行く助けにもなるのだというふうに本当に確信を得ましたから、こうやつて御説明を申上げておるような次第でありまして、先生の心配なさつていらつしやることを却つて少くするのじやないか、こういうふうに今日に至るまで私は強い確信を持つておるような次第であります。

渋江操一建設省計画局長

○政府委員(渋江操一君) 只今斡旋制度が一つのよらしむべしという考え方の基礎に立つのではないかという話もございました。その点はかなり細心の注意を払つたつもりでございますが、御注意願いたいと思いますことは、斡旋委員の活動が当事者の要請がなければこれは活動できない形になつておるのです。そういう点については当事者の意思を無視して斡旋が自動的に動くということは、私はこの制度の上からは考えられて来ないのではないかというふうに考えております。仮に起業者側からの要請によつて活動をして行くという場合も勿論ございます。こういう場合が、或いは犠牲者の立場から申しますれば、一面において一方的であるというふうなお感じをお持ちになるかも知れませんが、これに対しても先ほど次官からも申上げましたように、当事者、即ち犠牲者側の利害を代表すると思われる人の参加も認めましてこの斡旋の運営をして行こうというのでありますから、そういう点についても私は当事者の意思というものは、犠牲者側の意思というものは十分反映される形になつて私は運営されて行くというふうに考えます。この土地収用法の実体をできるだけ知らせようという点につきましては私も同感でありまして、こういう制度が生れたことによつてむしろ土地収用法の本体が忘れられるというようなことにはしたくないというふうに考えておりますので、それらにつきましては今後ますます担当者といたしましてはできるだけの努力を払いたい、かように考えております。むしろ土地収用法を御審議願いました当時よりも現在の補償問題についての一般の認識といいますか、こういうものは私は進んで来ておるというふうに申上げてもいいんじやないかと思つております。そういう関係もあるかと存じますが、今の電源開発に伴う補償要綱にいたしましても、建設省のいわゆる公共事業に対する補償要綱にいたしましても、かなり従来の点から見ますれば犠牲者側にとつては相当まあ有利と言つては語弊がありますが、いわゆる適正な補償の線にできるだけ近付きつつ持つて行こうという努力は払われているというふうに私は考えております。そういう点からいたしましても、私はこの斡旋制度ができるがためにむしろ補償問題に対する従来の考え方が、いわゆる田中さんのおつしやるようによらしむるべし的な後退の点に持つて行かれるというふうには考えておらないのであります。そういう点につきましてはますます努力を払いたい、かように考えております。

米田正文建設省河川局長

○政府委員(米田正文君) 私は先ほどからも申上げましたように、要はこの問題は非常に内容が複雑であり、且つ個人的な非常な犠牲を伴うものでありますので、十分両者、起業者と水没者との意思の疏通と申しますか、それをやることが一番必要であつて、だから一回よりも二回、二回よりも三回と、だんだん私は回を重ねることが必要だということを実際現地におつて見てそういうことを痛感いたしております。そのためにはまだ具体的に事務的な手続が進まない前からももうすでにこういう問題については協議をする必要があると思うのです。そういう意味では土地収用法で行く前に、もうできるだけの回数両者で会つて懇談をする、或いはその間に斡旋者がおつて両者との間に折衝を重ねるということが必要だと思うのです。そのためには水没者に今お話のありましたような土地収用法の関係だとか或いは他の実例だとかというようなことをいろいろ一般的なことも話をしなければならんので回数が非常にかかると思うのです。それには直接当事者である起業者と水没者の間の話よりも、やはり中に斡旋をするという人がおつて話を進めるほうが、直接に言いにくいこともあるし、地元の人もやはりいつも問題があるときには誰か斡旋者のところに持ち込むのが今までの経過を見ても例でございますので、やはり直接でなく、斡旋者が中に立つて両者を懇談させるという行き方が適切で実際に合うと思うのです。私は先ほど申しましたように何回も回を重ねるほどいい。重ねるほど両者の了解が行くし、特に地元の水没の人たちは将来の非常な不安がありますので、十分水没後の状態を知るということは非常に時間がかかると思うのです。それをやるためにも回を何回も重ねてやるためにやはりこういう斡旋制度というものがあつて事前の工作をするということが必要だと思います。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 従来話合いで以てやつておつて一応妥決がついた。そうしてそれを今度は収用委員会にかけて仕上げをしたという例があるよう聞いておりますが、河川局長ございますか。

米田正文建設省河川局長

○政府委員(米田正文君) 私はまだそれは聞いておりません。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 計画局長に伺いますが、収用委員会の決定によつてなされた補償というものに対しては課税はされませんか、されますか。

渋江操一建設省計画局長

○政府委員(渋江操一君) いわゆる補償の結果受けた所得、これに対しては免税されるということになつております。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 斡旋委員会が斡旋をしまして、それで妥決されるものに対しては課税されますか、されませんか。

渋江操一建設省計画局長

○政府委員(渋江操一君) これは大蔵省、殊に国税当局からの通牒その他によつて免税措置を講ずるかどうかということがきめられておるわけでございますが、いわゆる公益事業、土地収用法に認めておる三条の各号の一に該当する事業についていわゆる補償上受ける所得については免税措置をとつて行こう、こういう一応通牒が出ております。それによつて運営されて行くのであります。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 私の了解するところでは、大体大蔵省が主税局のほうでそういう扱いをするということであつて、何らそれにはその根拠がないのです。恐らくですよ、仮に収用委員会が百万円と補償を認定した。ところが税務当局は百万円は多い、あれは八十万円だという場合には、その余分に対しては課税をする例があるのです。そこで政府がなぜこの土地収用法に全部乗つけてしないかということには、先ず一番大きな問題は、仕事がスムースに行かないことです。計画が杜撰だということです。市街地で以て一年中仕事ができるところは少くて、やはり積雪地や寒冷地が多いと思うのです。山間僻地が多いのです。従つて一応起業者が計画を立てたならばその通り何でもかんでもやつてしまう、一日早ければ一日早いだけ利益があるのです。そこで斡旋委員会で斡旋中にすぱつと土地収用をかけるということがこの法文には明白になつておるのです。斡旋委員会にかけてその斡旋によつてこれをきめるということなら又別です。これはたしか三カ月になつております。それから殊に斡旋委員会が活動しているうちにあつても土地の細目とか権利細目、物件細目等が公告されればこれは全部やめてしまわなければならないのです。そのようにどう考えても、そうしたものよりも本法にすべて照し合わせてものをやつたほうが一番いいと思うのです。無論そういう緩衝地帯があるということは、仕事を進めて行く上にはうるさくなくていいですよ。うるさくないのが一番いいですよ。若し本当に斡旋によつてものを解決しようという意図、やはりいわゆる河川局長のような思想があるならば、斡旋委員会に権限を持たせなさい。無論土地収用法という法律を後楯とするところの権限ですよ。それで殊に民間の起業者側のほうでは、実際において自分で計画したものを、山の中ですから十分なる調査が行届かないのは当り前です。ダム・サイドをきめて、これにこうしようああしよう、輸送計画もしなければならん、資材の輸送とかあらゆる問題で初めから終りまでの一応の計画は立ちますけれども、なかなか実施計画は立つものじやないですよ。その間に時間がかかるから問題が起きて来る。結局これは起業者の側のほうの仕事をスムースにさせようという意図の下に作られたことに間違いはないのです。私はまあそう断定しているわけなんです。これは御尤もな話なんですよ。例えば今の赤石川の問題にいたしましても、一カ月工事着手が遅れればこれは一年間待たなければならんという事態もあるのです。併しながら補償とか何とかいうものを全部隠して、何も言わずにしてお前には心配かけないよ、心配かけないよ、こういう立場を以てすべてを遂行しているのが現状です。これであつては土地収用法ができた効果は何もないのです。土地収用法によつてこそ仕事を進めるのです。何も斡旋委員というものは権限も何もない。そうして三カ月交渉しているうちに仕事はどんどん進めて行きます。既成事実を作つてでき上るものは何か。仕上げられたものは、全部その既成事実によつて農民その他の利害関係者は黙殺されるというのが現状なんですよ。私もこの斡旋委員制度の持つ思想に対しては反対しません。現に話合いでやれ、話合いでやれと僕も言つております。併しながら何も権限がなくて、そして一方仕事の計画はどんどん進んで来て、そうして三カ月でしたか過ぎるとぶつつと打切られる、そんな馬鹿な話がありますか。問題をだまして処理して行こうという意図にほかならないのですよ。本当に斡旋というものが必要ならば、身を挺して知事なり何なりが斡旋委員となつて、あらゆる毀誉褒貶を身に受けて、問題解決の遂行のために立つというような条文がほしいです。これはすべてを逃げようという法律なんです。そうして既成事実を作つて、被害者に対してその既成事実によつて押しつぶそうというような考え方なんです。すべてこの発動は起業者の意見によつて出されるものと私は考えております。あえて発電会社とは言いません。政府もその通りです。政府としましてもすべての補償額というものが全部きまつて、そうして事業を遂行するには供託なら供託をして事業を遂行できるのです。それをせずにやつて行こうというところにこの狙いがあるのじやないか。河川局長、実際に藤原ダムなら藤原ダムの例を以て本当に御説明願いたいと思うのは、前年度に編成された予算が幾らあつて、現在の物価その他によつて施行にはなかなか困難な面がたくさんあると思うのです。その場合に実際藤原、ダムなら藤原ダムの一つの例をとつてもわかる通り、あなたは、最初の計画に幾ら取つて、暫定予算を幾らもらつて、そうしてこの事業を遂行するために実際の補償金というものを本法では交付しなければ事をしてはならないとなつています。金をやらない場合には供託をすることです。そうすれば事業の遂行ができるのです。そういうことを怠つて、斡旋委員でうやむやにしておいて、その間に既成事実を作つて行こうという思想は、これは私はとりたくない。こういう気持から私は申上げておるのです。補償の問題ですが、補償額をきめないで仕事をやろうというところに問題があると思う。それが伸びようが縮まろうが、一応の見通しを立てて仕事をしなければ誰だつてこれは承知しませんよ。結局問題は、地元の利害関係者も、被害者のほうもその事業には全部賛成しています。これが唯一の日本が生きる途だということをよく知つております。外国から物を買わないで、自分の土地から自分たちが生きて行こうという思想は、丁度若い青年男女の反戦主義、再軍備反対の気持と共通しています。アメリカなんかに頼らずに、自分で実際に自分の土地から物を生み出して生きて行こうという考えを国民みんな持つております。この思想に安心感を与えることが一番正しい政治のあり方なんですよ。今言うようにこの土地収用法によつて当然しなければならないことを怠つておるのが今の政府なんですよ。そうしで仕事のしいいように都合のいいような斡旋委員会という緩衝地帯を設けて、そうして斡旋しているうちにどんどん仕事の既成事実を作つて行くというような考え方があるのではないか、私はこう考えるのです。従つてこれは、計画局長は法律家で法律のことばかり言つておりますが、私は河川局長は率直に言つて、これは実際において総合開発を一日も早く促進するために、新しいダムを作るためにどうしても必要なんだからというような気持でおられると思うのです。個人的にも河川局長が本当の気持を出して、私も大賛成です。併しその場合には当然この土地収用法に示されておるところの起業者が持たなければならん義務というものを履行してやつて下さい。当面している問題はたくさんあります。河川局長も非常に苦しいと思うのです。従つて局長から本当の本音を聞かして頂きたいと思うのです。この斡旋委員会を作らなければならない意図というものをですね。

米田正文建設省河川局長

○政府委員(米田正文君) このダム建設に伴う用地補償問題は、もう現在の一番重要な而も非常にむずかしい問題でありますので、私どもこれの解決に非常に苦心をいたしております。その間の経緯については先ほどから申上げましたように、先ず第一に地元の水没者に十分事業の内容と、それからその水没者の移転先或いは補償の方法という問題を十分納得させて了解してもらう。その上で向うの判断を基礎にしていろいろ御注文を聞くということがまあ第一段階としても絶対必要だと思うのです。その他の手段をいろいろと現地で講じておる、水没者も非常に今日の事態を認識しておりますので、お話のように大部分は総合開発に対する問題は認識しております。認識はしておるけれども、個々の問題になると自分の将来に関係するので、自分の将来がどうなるかということが問題になつて来るのは当然であります。この問題を片付ける方法としては、やはり私は当事者同士とそれから中に入つた者が会つて本当に肚を割つて話をするということが必要じやないかと思うのです。これは当事者、二者の交渉になりますと、どうしても起業者のほうは成るべく無駄を省いて安く補償をしようとするし、又一面水没されるほうは、できるだけ高く補償してもらいたいというのがこれはもう私は人情の当然だと思う。そこに非常な折衝が行われるのでありますから、その間当事者同士ではどうしても話がうまく行かない点が生まれて参ります。さような折衝をやつておると、その間にうまく行かないところが出て来るのはどの場合でもそうであります。私どもは両方の言い分を最も適切なところで妥結させるという方法が必要だと思う。それには先ほどからお話のありましたように、まだ事務的には十分整つておらない、だからこういう話を進めることが必要だと思つておるのです。それで土地収用法の事務に先立つてこういう斡旋委員制度というものができて、そこで膝をつき合せて回を重ねて懇談することが必要だと固く実は思つておるのであります。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 私は河川局長の意見に同感です。必要なんです。必要ですが、それは何かと言いますと、法律が必要なんです。決して斡旋委員が必要なんじやないのです。公務員は少くとも法律というものに照し合せて仕事をすればいいのです。この本当の土地収用法の精神というものを国民に知らせない、無論知らせますと仕事がやりにくいでしよう。予算もなかなか思うように中央から送つて来ない。そうした場合には現場ではやりにくい、この点はどうなんです。

米田正文建設省河川局長

○政府委員(米田正文君) 予算の問題については、実はお話のように第一年度ですぐ補償を全部支払うというならいいのですが、予算を計上していない場合も多いので、一年、二年或いは三年という年月に亙つて補償して行くことになるのであります。又実際問題としての移転買収にはそれくらいた期間をかけてもいい場合が多いのであります。それで予算を一番最初の年に全部移転補償をするというわけにならない場合、二年或いは三年という年月をかけてやるのですから、予算面はそれに従つて工事費については幾ら、補償費は幾らと区分を前年立てて、全体の補償費は、当初事業を設定するときには、当初その中で或る一定の金額を補償費として見込んでおりますけれども、これが二年、三年やつておりますと、物価の値上り等も起きて参りますので、多少の修正は最後になつてすることにいたします。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 その通りです。実際において……。例えば藤原ダムには数十億かかるという予定に従つて進めております。これが初年度には調査費五千万或いは一億円、二年度には三億乃至四億と出て来る。その予算の範囲内において補償を行なつて行くということだけなんです。併しながら当該水没地方の人たちは、もう三年の後、四年の後には当然この地は水没されて行くのだということは既定の事実なんですよ。自分の感情論は言いませんけれども、当然二年たてば……或いは予算が余分に来れば一年半で以て自分の土地を放棄しなければならない。移転しなければならない。新らしい職業を求めなければならないということは既定の事実なんです。その事実の前に漫然と腕を拱いて、自分の将来はどうするか、どこへ行くにも金がない。そして二年、三年と暮している農民の気持を考えてもみて下さい。政府はかかる土地収用法ではつきりときめてあるところの法律そのままを事実に照し合せてやるならば、全体の予算としては大きな問題が残るというところに……これがこの法案を作つたもとです。若しも国が本当にその仕事をやるならば十分なる、二年後、三年後の犠牲者に対して逸早く生産資金をやつて、土地を求めてやり、家を建ててやつて移してやるならば何ら問題は起りません。国民は、今日の敗戦日本の国民というものは、先ほど言つたように、国土の開発に対しては非常な熱意を持つております。国の政治が悪いからそのような問題が起るのです。国の政治が悪くなければ決してそのような問題は起りません。喜んで立退きます。犠牲になります。併しながら土地収用法、この法律によつてやると、政府としてはなかなか予算措置その他において到底これは応じがたいものがある。それでこのような強権をとつて行く。精神的な犠牲というものが二年、三年と続くのです。そこに斡旋委員というものを作つて、緩衝地帯にしようというのがこの法律の狙いじやないか。私は河川局長の言葉を聞いているとますますその感を深める。併し私はこの程度にして、私の質問は留保して、河川局長並びに計画局長に対する質問は中止します。次の質問がありますが、留保して中止します。

石川清一改進党

○委員長(石川清一君) 田中委員に申上げますが、外務省関係は見えておりませんが、調達庁の堀井次長が見えております。

石川榮一自由党

○石川榮一君 只今田中君から熱心な質疑、斡旋委員の設置問題について意見が開陳され、非常に傾聴する点があると思います。  私は別の角度から一応伺つてみたいのですか、この土地収用をしなければならんような場合に、絶対反対を唱えておる場合と、絶対反対でなくして、補償に中心を置いて争うのと、二つあると思う。絶対反対の立場をとつております場合のいわゆる地元民に対しては、斡旋委員が斡旋する余地があるかどうか。これは反対を緩和するために斡旋委員が活動するのであるが、飽くまで絶対反対を唱える場合は自然斡旋委員というものは殆んど意味をなさない。こういうような場合における斡旋委員の活動はどうするのかということが一つ。  いま一つは、この斡旋委員が斡旋する場合、土地収用法による補償、今は非常に進歩的に最近合理化した、私権を尊重し、生活権を護るようにできております。非常に立派に収用法ができております。併しそれは今田中委員から指摘されたように、一般は知らない人もあるでしようが、最近の情勢では、これらの程度のものに対しては、期成同盟も作つておりますから、法律も相当研究する、決して私は知らないとは言いません。土地収法用、この枠内において活動するのならばこの委員の活動は生ぬるいくらいです。補償以外に、道路法或いは林野庁から林野を払下げろというような、土地収用法に関係ないものも、この問題を解決するために斡旋委員が斡旋することができるか。若しそれが斡旋委員が当つた場合に、これを犠牲者或いは起業者が呑むような……呑ませるような強い斡旋委員は権能を持つておりますかどうか。この二つを伺つておきたい。

南好雄自由党建設政務次官

○政府委員(南好雄君) 第一段の、つまり絶対反対を唱えておるような場合、それから絶対反対はせぬが、補償金額その他いわゆる手続に異議があるという場合と二つあるだろうと思います。御説の通りそうなつて来ると思います。いずれの場合におきましても、斡旋はやつて悪いことはないので、斡旋をやつても結構なのでありますが、本当は絶対反対をしているような場合なんかには斡旋をやりましても、ただ単に感情を融和するだけでありまして、そう効果はないと思います。金額の点になつて参りますと、かなり斡旋委員は役に立つのではないかと、こういうふうに考えております。  それから斡旋委員の作りました斡旋案と申しまするものが土地収用法から離れて大きないろいろな手を打つ場合も含むかどうかという御質問でありますが、これはなかなかむずかしい問題で、斡旋委員がそういう案を作りましても、起業者のほうが呑まなければどうにもなりませんし、或いは又斡旋委員の案に対しまして犠牲者のほうで承知しなければどうにもならないのでありますが、併しそういう案を作つて、歩み寄りをした案を作つたのでありますから、出た案としては斡旋委員として責任があると思いますが、法律的には林野庁の払下げまで私は力を持つものではない、むしろやはり斡旋委員といたしましては、かける斡旋案というものは、土地収用に至る準備段階というふうに私は考えるのが穏当ではなかろうかと思います。

石川榮一自由党

○石川榮一君 そういたしますと、この斡旋委員会を設置しました目標は、土地収用に至る準備行為であつて、要するに一応斡旋機関というものを設けてしまおうというところに落ちてしまうのではないか。若しそういう斡旋委員制度なら、犠牲になるほうの側からこれにかける希望は出て来ない。できるだけ土地収用法による補償よりも、それは勿論基準でありますから守らなければなりませんが、或る程度まで広い意味において斡旋委員が活動して、政治的に他のほうまで奔走して頂いて、あとあとも利益になるということも考えられまして、その機能が運営されますような場合には喜んで斡旋委員の手を経ようとしますが、土地収用のそれ以外は斡旋委員の活動範囲はないのだということでありますと、地元民は勿論土地収用を忌むという形になるのでありまして、この点につきましては斡旋委員の性格をここではつきりしろとは言いませんが、或る程度まで政治的な活動を斡旋委員に委ねておかないと、勿論これは不可能なことは……。この斡旋委員というものは人物を選抜するようでありますが、併し政治面におきましては、あらゆる面からその土地の利益になるようなものを、林野の放にしても或いは道路の建設にしてましても、その事業に直接関係がないも解のまでも斡旋して、それに関連して考慮して行くという方法が講じられないものか。土地収用法の枠内においてのみ活動するということであつては何だか物足らないような感じがするのですが、それははつきり法文には書けないとは思いますが、運営においてそういう方面を考えられているのかどうか。これらの点もはつきりしておいて頂きたい。  もう一つは、先ほど田中君から指摘されました土地収用にしましても、斡旋委員の活動にしましても、三年も四年もたつてから金が入るということでは意味がない。事業を遂行するには、水没家屋を考えて、これらに対する補償が先決だ、それなくして工事をやることは不都合だ。これは私も田中君の意見に同意するのでありますが、収用法にはそういう点まで謳つておりませんが、少くとも運用の面においては、大蔵省から予算を取る場合において先ず犠牲者に対する補償、これが先決だ、これに対して予算は先に取る。準備期間として、調整手段として、若干経過が過ぎて仕事に入るまでにこれに手を打つ、これを払うということにしなければ効果が薄いと思う。これらの運用に対しての御意見を伺いたい。

南好雄自由党建設政務次官

○政府委員(南好雄君) 第一段の石川委の御意見については全く私も同意見あります。斡旋委員の選考が我々の員考えておりますように参りますならでば、斡旋委員の出して来る斡旋案というものは、私は収用法より広い面も出て参ると思う。そうしてそういう広い範囲についての実現に努力して頂いたほうが、本当に本制度が活きて来る大きなことにもなりますので非常に好ましいことだと思うのでありますが、法律的にはちよつとそういうことは書けないと思います。併し斡旋委員の斡旋案というものは、制度としては土地収用までの準備段階でありますから、これが本当に活きて参りますと、又うまく活きて参りますには、政府のあらゆる面における総合助成があつて本当に効果が挙がるのではないか、こういうふうに考えております。そういうふうに運用させて行くことについての指導は怠らないつもりでおります。  それから第二の水没補償を先ずやれ、犠牲者に対する補償をやつてから本格的な事業に入るべきが本当だという御見解につきましても私全く同感であります。財政当局のややもするとない袖は振れないというような、何と申しますか、近視眼的な見方からしばしば私たちがどうすることもできないような場合に遭遇するのでありますが、今後は御趣旨に副うように、こういう重大問題については補償の問題の解決に十分かかり得るように、御注意は十分に政府側といたしましては心にとめて今後善処して参りたいと思います。

石川榮一自由党

○石川榮一君 現に藤原ダムの問題でありますが、田中君が指摘されたが、私どもも見て、藤原ダム反対期成同盟の諸君に会つております。最近見ましたところのこの期成同盟の方々の主張は非常に合理的で、むずかしいことを言つていない。第一は物心両面の最高度の補償をしてほしい、希望する。それから水面漁業使用権、漁業権を地元に認可せられたい。国有林の払下げを懇請する。利根川下流地域に藤原ダムの真意を徹底せしめてほしい、更に鉄道を藤原に敷設してもらいたい、こういうような条件なのであります。殆んどこれは斡旋委員が若し活動すればすべきことだ。土地収用でなくしてこういうものをすべきだ。土地収用だけのことだつたら斡旋委員は要らない。土地収用法でたくさんだ。それ以外に活動範囲を拡げて政治的に考慮するものは考慮して生活権を護つてやる。今よりも生活が向上するように護つてやる、そうでなければ国家犠牲として、私どもは犠牲という言葉を使いたくないのですが、少くとも犠牲でしよう、こういう犠牲者に対しては物心両面において本当に心からなる施策でなければならんと思う。そういう点から考えまして、今ダムの建設等について反対運動が動いておりますのは、今までの封建的な動きに対して反対しているのであります。今後こうしたダム等がたくさんできる。藤原ダムのごときは非常にやさしい希望を出しております。こういうふうなものまでが議会にまで来て活動しております。小さな村、僅か五、六十戸の村の人たちが陳情に来なければならないという有様、こういう点をお考え願いまして、先ほど御言明になりましたように大巾に土地の補償をできる限りしてやる。土地の補償以外にも、斡旋委員の活動範囲を拡げてもいい、不可能なことはできませんが、可能な範囲においてやるということができるという性格ずけがなければ、この斡旋委員制度は効果がない。地元民も利用しないと思う。利用するのは起業者だけだ。一つも斡旋委員会にかけないということになることを私は心配する。これはダムの建設や道路の建設、土地、その他あらゆる建設行政につきまとつております。こういう点をこの際はつきりしておいて頂かないと、私どもはこの問題に対してやはりもう少し検討を要すると思います。要はスムースにこのダムの建設等が行われるためには、先ず我々が今まで考えております封建性を破りまして、地元民の要望に、何も議会活動まで待たない、こちらから行つて、彼らの言わんとするところをよく聞いて、そうしてできるだけの仕事をしてやるという心がまえがなければ、私は斡旋委員の価値はないと思います。そういう意味で、土地収用法できまつたものはきちつとやる。非常に困難な土地収用でありますか、しなければならん問題だ、それを解決しなければならん。そういう意味におきまして一つ次官から責任ある答弁を、先ほど伺つておりますが、斡旋委員に対しては活動範囲を拡げまして、あらゆる団体、或いは事業等につきましても広汎に亘つて地元民の生活が豊になるようにして上げるような斡旋委員は活動をすべきだということをこの際はつきりして頂きたいと思う。  それから先ほどの金の問題。金の問題は私は政治でやれると思います。建設省がそれがなければダムができないと言えば大蔵省はわかると思う。三年後に水没するものを、そのときになつて金を払うのでは話にならない。先に払つて生活の基盤を与えて、その事業に協力してもらうということでなければこの仕事はできません。この点から考えて、勿論河川局長にもいろいろありましようが、大蔵省がややもすると官僚の殻に閉じ籠りまして、財政法の建前が何だとか言つてやかましく言うのでありますが、仕事はそういうことでは解決がつきませんから、建設省も決意を以て当つてくれれば、この斡旋委員にしてもいいと思います。この二つの問題を取上げまして善処願いたいと思います。私の意見を終ります。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 もう余り長くなるから私は質問したくない。たくさん質問があるのです。ですけれども、河川局長にお願いしおきますが、土地収用法をそのまま適用してやると、現在の財政法、その他吉田内閣のやつている公共事業費編成のどこに困難があるかということを知りたい。土地収用法という立派な法律があります。この法律を適用してやるとどこにやりにくい点があるのかということを卒直に何章の何条の何項がこうなつているからこうなるということを一つ、答弁の形式でなくてもいいですが、今すぐわかるのならお調べになつて、次回の委員会に御答弁願いたいと思うのです。土地収用法の、本法の今のような機構で行けばどこがやりにくいのだということをお調べになつて、次回の委員会に御報告願いたいと思います。一々質問しますのに困りますから……。

米田正文建設省河川局長

○政府委員(米田正文君) 先ほど予算の関係の御質問がありましたので一言お答え申上げておきます。私どもは予算が一応きまると今の斡旋委員会にかけたいと思つております。そうしますと実はその基準が斡旋委員会で、仮に斡旋委員会ができて、それで話合いがついて一応の基準ができますと、総額の補償費というものが初めてはつきりします。それまでの我々のほうの大体の見込でやつておりますので、その間多少修正することが起きて参りますということと、収用法ではそれからすぐに移転地の造成等にかかるわけであります。そうするとすぐその年に全部払うというところまでは事実上行かぬ場合が多いのでありまして、勿論その年に全部できるような場合にはその年一年に用地補償費を全部払うというふうにやらなければいかんことでありますが、事実上の問題でありますと一年ではなかなか行かないことが多いのであります。今言つたように換地の造成に時間がかかつたり、或いは又十津川の場合を例にしますと、そこは半商半山林という商売をしております。そういうところではできるだけダムが完成する直前までおりたいという希望が勿論あつて、それまでは今の部落で商売を続けて行きたいという希望があるのであります。そういう場合には、勿論ダムが完成する前までに支払をするということになると思います。そういうふうに各地でいろいろ情勢が皆違いますので、むしろ居残りを希望する場合も多いのでありますから、それは話合いをした結果、それによつて計画を立てて、その計画に従つて補償費というものを払うというようにして行きたいと考えております。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 今河川局長にお願いしましたことは、次回の委員会で御報告願えますか。

米田正文建設省河川局長

○政府委員(米田正文君) 調べて参るつもりでございます。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 特調にちよつと御質問したいのですが、七月十六日の委員会で、この土地収用法の一部改正、つまり今提出されている法案の斡旋委員というものは、例の日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法、これに関係がないという御発言がありましたが、特調はどういう御見解を持ちますか。

堀井啓治総理府事務官(調達庁次長)

○政府委員(堀井啓治君) 特別措置法の第十四条に土地収用法との関係を規定しております。従いまして今回改正案が制定されますれば、それは自動的に特例法にも適用になることと思います。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 今堀弁君の答弁に対して政務次官はどう考えておりますか。

南好雄自由党建設政務次官

○政府委員(南好雄君) 私は田中委員の御質問で、行政協定に基くいわゆる収用の場合には法律が違うのだ、こう申上げたのであります。今調達庁の次長の御返事のように、十四条に排除すべき条文を規定してありますので、最後の結論になつて参りますと、法律改正を可決になつた場合におきましては排除しておりませんから、法律の建前は違つておりますが、規定が適用される、こういうことになります。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 私は重大なる……これは委員会の速記録を見なければなりませんが、重大なる次官の説明の足りなさといいますか、問題が大きい、今日内灘の問題、その他全国に亘るところの駐留軍によるところの土地収用の問題につきましては、基地問題につきましては、国民が挙げてこれに反対する運動、又は真剣に陳情をやつております。前回の委員会、今日先ほどからの委員会を通じまして、水没者その他は発電用総合開発によるところの問題が多いのだと言う、我々の考え方は、そのほうに向けてこの委員会の論議が尽されて来た。心配になりますのは、今日国民的な感情で、米軍の使用する基地問題につきまして挙げて論議をしております。これに対しまして先般の政務次官の御答弁というものは、これには適用されないという御発言があつた。この問題についてはますます私はこの斡旋委員会を設けるという政府の法律改正の意図がどこにあるか疑わしくなつて来る。政務次官も御承知のように、国民挙げてやつている問題です。これには適用されない……。先ほど言つたように斡旋委員会で折衝している間にどんどん既成事実を作つて、国民を圧迫して行く、強圧するというような考え方がここに織り込んでなかつたのですか。基地問題に全然触れないというのがこの法改正の建前であるという言明から、米軍の規定からは、除外すべきだ、問題は除外するという前提の下に我々は論議している。それが適用するということになると大きな問題です。この点について政務次官は政府を代表する提案者として、早速速記を調べてみますけれども、実際私たち発言の印象としては適用しないというふうに了解しました。それが適用するというような今の堀井君の答弁を聞きますと重大なことです。この改正法案を出すということが奈辺にあるかということを疑うわけです。責任ある答弁を願いたい。

南好雄自由党建設政務次官

○政府委員(南好雄君) 田中さんの御質問或る意味においては御尤もであります。私たちのこの改正につきましては、駐留軍関係の問題には別個の法律がございます。その法律に従つて処理されるはずということをお返事申上げました。よく法律の内容を見ますと、十四条のうちに土地収用法の規定を除外する規定があります。従つて若し別個の見解で、あの法律でこの斡旋制度を除外するという改正案が出ない以上は、あの法律の効果としては、いわゆる斡旋制度もたまたまいわゆる駐留軍の土地使用について何と申しますか、準用と申しますか、適用を受けるような結果になります。こういうことを私もはつきり申上げておるのであります。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 では先般来の質疑の過程において次官の説明というものは、ウエートを水没地その他の電源開発にあるということを縷々御説明がありましたが、今のような御説明は一遍もないのです。初めから政府委員は、この敗正法を出すならば、駐留軍の接収に必要だから旋旋委員を作るのだと言いなさい。国民を欺瞞するのもほどがある。実際初めからいろいろな説明のうちに一遍でもその発言がございませんでした。これに対しては計画局長どう考えますか。あなたは立案されたのだから……。立案の真意はどこにあつたのですか。

渋江操一建設省計画局長

○政府委員(渋江操一君) 土地収用法の建前はもうすでに田中委員も御承知の通り収用法を発動するかしないかということを具体的な処理の上では、やはり起業官庁と申しますか、国の場合においても、当該公共事業の遂行を図ろうとする担当機関がむしろそれを運用して行くかどうかということをきめて行く。だから駐留軍関係につきましては別個の規定がそれによつて設けられ、事業認定の方法その他についても取扱いが違つております。違つておりますが、土地収用法の一部をやはり準用する建前になつております。従つて先般田中委員の、私卒直に申上げますが、御指摘のありました当時におきまして、具体的に駐留軍関係の補償の問題を頭に描いてこの改正をするのだという気持は毛頭持つておりませんでした。持つておりませんでしたけれども、そういう御指摘があつた以上は十分念を入れて調べる必要がある。そういう関係におきましては、一体この法律改正が出たならば起業官庁、即ち補償の先ず第一の監督官庁、調達庁はどうして行く考えであるかどうかということがきまらなければ、ただ形式的に適用があるないという……、解決する根本的な問題としてそういう意図があるかどうかということを確かめる必要があつた。そういう観点におきまして、只今堀井次長から御言明になつたような結果が出て来た。従つて私たちは作為的に委員会に対してもそういういわゆる改正の一つの根本原則の上に立つて、駐留軍関係を想定において改正をしたという事実は毛頭持つていなかつた。併しながらこれが特調なり或いは外務省なり、そういう補償問題に現在又将来当つているところで、これも準用したいという考えを持つておりますならば、これは一つの政府の方針として、土地収用なりそういう補償問題の一つの手続、受入態勢を作つておりますから、そういう担当官庁においてこれをどうしても準用して行くという考え方であれば、これは規定上現在の所管がはつきりしている以上は、それに基いて運用せられるということを次官から申上げたと思います。立案過程における段階におきましては、田中委員から今御指摘がありましたけれども、そういうことを中心にしてこの改正を考えたということははつきりございません。その点申上げておきます。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 では初めから立案過程においてはその意図がなかつたとおつしやるならば、あなた方のほうの与党の委員から何かその点のみに対して修正案を出させるという意図がありますか。或いはこの委員会に対して、立案過程において意図がなかつたから、その除外する条文を入れても差支えございませんか。

南好雄自由党建設政務次官

○政府委員(南好雄君) お答え申上げます。私は石川さんの御質問の際において、駐留軍関係の土地使用或いは収用につきまして別個の法律がある、こういうことを申上げたつもりでした。それがこの本制度の斡旋が、何と申しますか、別個の法律になつた十四条の規定の書き方が、私も迂濶にはつきりしておらなかつたのは甚だ申訳ないのでありますが、土地収用法の規定を除外する形をとつております。その除外になつていないものは土地収用法の規定を適用するという建前になつておりますので、当然斡旋制度が向うにも規定されるような結果になつて参つたわけです。御承知の通り何と申しますか、政府としても全体的の答弁をしなければならん立場におりながら、その点に十分注意をしていなかつたことにつきましては甚だ申訳ないと思つておりますが、今日になつて考えてみますと、駐留軍関係のあれにも斡旋制度があつてもいいように考えております。考えておりますが、それを頭において君らはだからしてこの法律改正を出したのだろうというのは、少し田中さんの何か考え違い、思い過しをしていらつしやるようです。卒直にそういうことは全然考えておりませんでした。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 私はそういう御意見を伺つているのではないのです。この法案は立案過程において意図が違つた結果になつたから、議員の立場で修正して下さいというのか、その御答弁を願いたいのです。それは無論与党の方もいらつしやるから、全会一致で修正するような気持に持つて行きたい。立案者の意図でないから、それは修正したい、その点だけでも取上げましてもよいかと伺つているのです。

南好雄自由党建設政務次官

○政府委員(南好雄君) お答え申上げます。御承知の通り駐留軍関係のことは外務省或いは特調のほうでやつております。建設省だけの意見でここですぐお答え申上げることは申上げかねます。後ほどよく政府部内で連絡をとりまして、意向を確めましてお返事を申上げたいと思います。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 時間も大分経過しておりますから、今日はこの程度で打切つておきたい。私は質問がなおございますから、継続して質問さして頂きたいということを希望しておきます。

石川清一改進党

○委員長(石川清一君) それでは休憩いたします。午後は二時から再開いたします。    午後零時五十三分休憩    —————・—————    午後二時三十四分開会

石川清一改進党

○委員長(石川清一君) 午前に引続いて再開をいたします。  建設業法の一部を改正する法律案について前回政府の説明を承わつておりますので、本日は質疑をいたしたいと存じます。質疑のおありの方は逐次発言を願います。

鹿島守之助自由党

○鹿島守之助君 私はこの建設業法改正案につきましては、政府の説明を十分了承いたしまして賛成いたしますが、併しこれに満足するものではございません。建設業法が制定されまして、従来全く放任されておりました建設業に登録制度が布かれ、又片務契約是正の目的を以て中央建設業審議会において工事請負標準契約約款ができましてから数年になりますが、その運営の実際を見ますに、登録制度は全く形式に終り、標準契約約款の実施も勧告をなし得るにとどまり、強制力が伴わないために容易に一般に普及されない憾みがあります。更にその内容につきましても考慮を要する問題が多々ありますが、次に述べます諸点について政府、特に建設省御当局の深甚なる御考慮を煩わしたく存じます。  先ず第一に、工事請負契約に関して生じます紛争の処理について、従来建設業者は異議を申立てる、いわゆるクレイムの機会が与えられていないということであります。御承知のように建設業は一つの総合産業とも申すべきものでありまして、工事の着手より完成までに長時間を要し、契約書におきまして如何ほど詳細な規定を設けましても、施工に当つては往々にして当初予想もいたさなかつたような種々の問題に遭遇するものであります。これらの問題がすべて注文者と建設業者の間の協議により円満に解決ができますれば甚だ結構なことでありますが、実際におきましてはややもすれば注文者の一方的な不条理な解決方法を強いられるのが実情であり、建設業者は自己の正当なる主張を申立てる機会すら認められず、仮に強いてこれを申立てても、何ら回答すら与えられないのがしばしばであります。これは建設業法第十八条の根本原則に明らかに違反するものと考えられるのであります。即ち同条には、「建設工事の請負契約の当事者は、各々の対等な立場における合意に基いて公正な契約を締結し、信義に従つて誠実にこれを履行しなければならない。」と規定されておるのであります。御当局におかれても十分御研究、御承知のことと存じますが、米国の請負契約書におきましては、おおむねこのような紛争の処理については極めて公正なる紛争処理条項を設けているのであります。例えば沖縄の米軍工事乃至JCA関係工事の契約書第六条によりますれば、紛争の解決につきまして五万ドル以下の場合には、先ず契約官の裁定に付し、これに不服ある場合は三十日以内に司令官に上訴し、その裁定を求めることができます。この裁定は最終且つ決定的効力を有するものと定められておるのであります。又五万ドルを超える場合には、右司令官の裁定に不服があれば更に軍長官に上訴し、その裁定を求めることができるのであります。この裁定は最終且つ決定的効力を有しますが、いずれの場合にも建設業者は裁定に際して証拠書類の提出、証人の喚問等を求める機会が与えられているのであります。而してこの上訴手続とは別にコート・オブ・クレームズ、即ち請求裁判所に上一訴する途が開かれているのであります。なお米軍工事の実際に徴しますに、この種紛争は五万ドル以下の少額のものが極めて多く、これらが右の紛争条項によつて至極簡単且つ迅速に処理されているのであります。従いまして、私は是非ともこのような紛争処理に関する建設業者のクレームを法制化して頂きたいのであります。これは日本の全建設業者一同の強い希望であり、すでに本年三月二十八日付全国建設業協会長並びに土木工業協会長の連名にて建設大臣へ請願しているのであります。これがためにはかかる紛争処理に関する規定を建設業法中に設けることが最も望ましいのでありますが、少くとも標準契約約款を速かに改正せられ、請負契約に関する紛争処理について建設業者がクレームし得る権利を有することを明らかにせられると共に、その手続規定を設け、同時にクレームしてもこれがために将来不利不公平な取扱いを注文者より受けないことを保障する規定も設けて頂きたいのであります。この点に関する政府御当局の御意向を承わりたく存じます。これが質問の第一でございます。

南好雄自由党建設政務次官

○政府委員(南好雄君) お答え申上げます。  御質問の第一点は、建設工事につきましての紛争処理に関するクレームを法制化する必要があると思うがどうだろうかという御質問と拝聴いたします。政府といたしましては、御趣旨御尤もの点もございますので、今度の改正法案が成立いたしましたあとにおきまして、中央建設業審議会に提案をいたしまして、そして標準約款等にクレーム条項を加えまして、業者に不利不公平のないように成案を得てから法律改正の手続をとりたいと、かように考えております。

鹿島守之助自由党

○鹿島守之助君 どうぞよろしくお願いいたします。  次にクレームだけを取扱うコート・オブ・クレームズ、これを……。

南好雄自由党建設政務次官

○政府委員(南好雄君) 現在建設業審議会におきまして、請負契約についてのクレーム解決の斡旋を行なつておりますことは、鹿島さん御承知の通りであります。建設業法公布以来、約五百件の斡旋をいたしまして、四百九十件ほどが円満解決をみております。非常にいいことだと思いますが、これがために特別に裁判所を設けるということにつきましてはもう少し研究してみなければならん点も多々ありますので、考究しておくような次第であります。

鹿島守之助自由党

○鹿島守之助君 御尤もだと思いますが、どうぞ一つ研究をお願いいたします。アメリカのコート・オブ・クレームズは、ただ請負契約だけでなしに、政府の発注するすべての車輌だとか、その他あらゆる注文に対するクレームを総合してやつております。建設業法だけの問題でないと思います。どうぞ一つこの点御記憶のほどをお願いいたします。  第三に、御承知のように中央建設業審議会の作成した標準契約約款は、注文者に強制することができません。これではたとえ紛争処理条項を加えましても、従来の経緯に鑑みまして余り多きを期待しがたいのであります。従つて標準契約約款に拘束力を持たせるためには、これが法制化が必要と考えますが、御当局におかれてはそのような御意向がありますかどうかを伺いたいのであります。私たちは是非これを法制化して頂きたいと思うのであります。

南好雄自由党建設政務次官

○政府委員(南好雄君) お答え申上げます。政府におきましてはいわゆる標準約款と申しますものを工事請負当事者が用いて頂くことは非常に望ましいことであります。併しこれを法律に強制するということになりますと、当事者の契約内容を完全に縛つてしまうということにもなりますので、大分研究しなければならん点もあるのじやないかと考えております。現在の状態におきましては、やはり当事者の自由意思に一応任せておきまして、そして御承知の通り行政指導或いは啓蒙、その他によりまして、そういうふうに持つて行かせようと努力して参ります。どうしてもこの努力が奏功をする見込がないという場合でなければ、法規的にこれを強制して行くというような機運にまでなかなかなか納得が得られんのじやないかというふうに考えております。

鹿島守之助自由党

○鹿島守之助君 第四に、建設業審議会の委員は建設業法の第三十五条第二項におきましては、「関係各庁の職員、学識経験のある者、建設工事の需要者及び建設業者のうちから、中央建設業審議会にあつては、建設大臣が、都道府県建設業審議会にあつては、都道府県知事が建設大臣の承認を得て、命じ、又は委嘱する。建設工事の需要者及び建設業者のうちから命じ、又は委嘱する委員の数は同数とし、これらの委員の数は、委員の総数の三分の二以上であることができない。」と定められておりますが、従来の例によりますと、各庁職員四名、学識経験者八名、需要者六名、建設業者六名となつており、建設業者の委員がやや少いように考えられるのであります。御承知の通り労働組合法によつて定められております中央労働委員会の委員については、使用者を代表する者三分の一、労働者を代表する者三分の一、公益を代表する者三分の一と定められております例に鑑みまして、建設業者の委員を三分の一程度に増加して頂きたいと思うのであります。如何でございましようか。

南好雄自由党建設政務次官

○政府委員(南好雄君) お答え申上げます。御質問の趣旨は建設業者の委員が少いため、審議会のいろいろの決定事項が建設業者に不利な判定がなされはしないかと、こういう御懸念からだと存じます。御承知の通り三十五条第三項によりまして、需要者と建設業者は同数でなければならないことになつておりますので、その他がいわゆる関係各庁の職員及び学識経験者であつて、建前といたしましては中立になつておりますから、法律の趣旨としましては、特に建設業者に不利な決定がな、されるようなことはないものと考えております。現実に委員の数が少いという御質問でございますならば、これは三分の一くらいまでは建設業者の数を殖やして行つても必ずしも法律に違反せんのであります。そういうような趣旨の下において今後委員選考に当つて行きたいと考えております。

鹿島守之助自由党

○鹿島守之助君 現実の問題といたしましては、この建設業者及び需要者を殖やして行くよりも、官庁や学識経験者の数をもう少し減らして頂いたほうが実際に適するのじやないかと思うのであります。

南好雄自由党建設政務次官

○政府委員(南好雄君) お答え申上げます。結構な御意見だと思いますから、委員の任期もありますので、いずれその任期が参りまして、再選考というような場合になりましたときには御趣旨のように選考して参りたいと存じております。

鹿島守之助自由党

○鹿島守之助君 どうぞよろしくお願いいたします。  次に第五といたしまして、建設業の振興と海外進出に関する質問並びに要望について申述べたいと存じます。  我が国の貿易については、その振興策として輸出取引法があつて、原産地の虚偽表示又は工業所有権侵害のような不正行為を防止し、無秩序な輸出競争を抑圧するために輸出業者間に協定を結ばしめ、不正取引の防止並びに輸出業者の共通利益増進のため輸出組合の設立を認め、又輸出振興外貨資金制度では、輸出によつて獲得された外貨の一定割合を輸出業者のために保留し、その自由な使用を認めて、貿易業者の輸出意欲を増進せしむる方途が考慮せられております。他方輸出貿易の金融措置としては、輸出貿易手形優遇制度があつて、手形の割引率が軽減されており、輸出入録行の金利引下げがあり、設備輸出為替損失補償法でプラント輸出の促進が図られております。又輸出信用保険法では、仕向国の戦争、その他輸入制限等に対処して、契約後に生ずる非常危険を保証し、後払代金を担保し、且つ前貸金融を行なつた機関の損失や宣伝広告費を補償する制度も備わつております。又輸出代金後払方式があつて、相手の信用状態が良好である国には、信用状を用いないで輸出を認めるということになつております。更に外国為替引当貸付制度では、外国為替銀行に輸出業者の振出した期限付輸出手形の買取りを行わせるため、日本銀行がロンドン又はニユーヨーク等の決済地において低金利で為替銀行に資金の貸付を行わしめることとなつております。そのほかにも経済外交の手段又は行政的の措置がいろいろ講ぜられております。然るに我が国の建設業については、海外において多くの工事をなし、貿易業者と同じ効果を挙げ得るにしても貿易業者に対するような振興上の制度又は金融上の保障措置が少しも講ぜられていないのであります。御承知の通り我が国建設業者は、米軍基地、その他の渉外建設工事において過去数年来外貨の獲得に非常な貢献をして来たもので、現に沖縄においてはすでに約一億ドル以上、JCAドル貨工事においては数千万ドルの工事をしているのであります。若し沖縄において建設業者に対し貿易業者に対するような保護が与えられていたならば、更により以上の成果を挙げていたことは疑いありません。アメリカ、イギリス、フランス、イタリーのいずれの国においても、建設業者は海外に進出して、多くの外貨を獲得し、その国の国際貸借の改善に寄与せざるはない実情であります。我が国の建設業者に対しても、最近東南アジア諸国から頻りに入札の参加を求めて来ております。タイ国のごときは最も熱心であります。目下入札の招請を受けている二、三の例を挙げますと、イランの道路、インドのボンベイ海軍ドツク・ヤード及び西アフリカのゴールド・コーストの新築港工事約八百万ポンドがありますが、この種外貨払の工事は世界各国に亘り、工事金額も決して少くありません。この種工事は多くの場合、日本の資材、機械を用いて行われる、輸出を伴うものでありますから、外貨獲得上極めて重要であります。ついては政府御当局においてもこれが促進に関し十分御考慮を願いたく存じます。我が国建設業者がこれら海外の入札に応ずるのには、外貨の保証金を要する場合があり、又落札して施工するに当つても相当の資金を準備する必要があります。かくして外貨の獲得を図るには、貿易業者に対すると同様な資金面の援助及び危険に対する保障を必要とするは勿論のことであります。政府御当局においてこれに関し何らか適当な措置が考慮せられているかどうか、伺いたく存じます。未だ何ら考慮せられていないならば、この際建設業が単なるサービス業でなく、総合設備輸出をなす産業であることを認識せられ、且つこの種建設が貿易外収入として重要な財政上の位置を占めるに相違ないと考えられますから、前述の買場に関する振興措置や金融上の便宜や危険保障の諸制度を至急建設業にも適用せしめられたい。この点に関し建設省御当局の格段の御配慮をお願いいたしたく存じます。

石破二朗建設大臣官房長

○政府委員(石破二朗君) 私がお答えするには余りに問題が大きいのでありまして、不適当かと思いますが、一応答弁さして頂きますならば、お話の通り、建設省として建設業の海外発展について従来余り関心を払つていなかつたというのは仰せの通り事実でありまして、誠に申訳なく思つております。お話を伺つておりますと、建設省限りでできることは非常に少いようでありますが、よく更に業界の御要望なり実情を十分調べまして、明日からと言わず、今日からでもできるだけの努力をしてみたい。建設省が中心になつて努力をしてみたいと、かように考えております。

鹿島守之助自由党

○鹿島守之助君 これは私簡単だと思うのです。貿易上に関する規定を、海外に進出せんとする請負業者に準用する附則一項を設ければそれで簡単に済む問題じやないかと思います。いろいろ研究しますと、非常に貿易業者に厚く、海外に進出せんとする建設業者にきつい、この際是非建設省としての、我々建設業法でいろいろな建設省の指導監督を受けておりますので、是非一つ建設省御当局のお骨折りを願いたいと思います。

石破二朗建設大臣官房長

○政府委員(石破二朗君) 十分努力したいと思います。

鹿島守之助自由党

○鹿島守之助君 次に第六として、国土総合開発に振り向くべきMSA経済援助を受くるごヒについての要請でございます。  MSA援助を米国より受くることについては、現下大に反対があるようであります。これは日本が負う軍事的義務が、日米安保条約に基いて引受けている義務以上に更に強化されるような防衛上の義務を負わされるにあるものと解しての反対がその主なるものと考えられます。元来米国の対外援助はマーシヤル・プランとしての欧洲経済復興援助計画から進んで後進地域の経済開発を目的として援助を行う、いわゆるポイント・フオア計画で、アジアの後進国がダム、灌漑等建設による国土の総合開発援助を受け得られたのであります。もともと米国の対外援助は、世界の経済復興、後進地域の経済文化の向上を目的としておるものであります。たとえMSA援助がいわゆるダレスの巻き返し政策を加味され、最近軍事援助の傾向が加わつて来たとしても、日本としては日本の防衛力の培養源となる経済力の確立なくしては相互保障は完全に行われないばかりでなく、国連に日本が加入した際にも完全に協力できないことは何人も否みがたいものと信じます。防衛力の増強には工業力の増強と食糧の確保が必要であります。これがためには治水、灌漑、電源開発を目指す国土総合開発に先ず以て日本は全力を注ぐべきであると思います。米国の一九五一年相互安全保障法第二条(a)には、同法の目的として挙げられた三点中の一に「友好国の資源を開発する」という字句があります。日本に対するMSA援助は、第一に少くとも防衛問題と併行して国土総合開発に向けられるべきものと確信いたします。米国側からしても、MSA援助は相手国の国情に応じて行われるものだから、日本の国土総合開発が、やがては相互安全保障条約が求めておる条件に合致するものなることを了解するに至らば、かかる経済援助をなすことに異存はないはずであります。  もとよりMSA援助の主たる目標が、米国側においては軍事援助にあることは申すまでもないことでありますが、この他防衛支持の経済援助並びに技術経済援助もあり、特に東洋においてはこの後者の援助が多いのであります。本年度の米国MSA援助は、東洋に対しては昨年度の八億八千六百二十万ドルに対し、その倍額十七億ドルにもなつているのでありますから、交渉の余地は十分あると思います。アメリカの国内的立場よりすれば、MSAは軍事的援助に目標が置かれてあるにしても、我ら日本人から見れば、それだけが目標だとすれば、アメリカの手先に使われるのではないかとの疑いも生じ、憲法違反という問題も持ち出されて、政府は困つた立場に置かれる虞れもある次第で、この際政府、なかんずく建設省御当局において、MSAの援助をインドにおけるように国土の総合開発に向けられるならば、日本国民のMSAに対する反対も消え、政府の立場も非常によくなるし、又MSA援助による利益が、単に一部の資本家、なかんずく兵器生産者に局限されず、国民全体が均轄することとなります。よつて国土総合開発を第一の目標とする経済並びに技術援助を米国より受くることについて政府は慎重に考慮を払い、米国に対してMSA援助の交渉をなすべきものと考えます。建設省御当局においては特にこの点を考慮に入れ、外務省その他関係当局とも御協力の上、是非ともこれが実現に全力を尽されんことを切望いたします。  米国の一九五四年会計年度の対外援助計画案について見ると、直接の軍事援助は七〇%、防衛支持の経済援助が二〇%、純然たる経済技術援助が残りの一〇%であるが、仮にかような比率で我が国に援助が与えられるとしても、我が国土総合開発上に裨益するところは甚だ大であり、目下九州、和歌山等の大洪水被害で緊急対策を要する治水の大計画に対する資金もここから出て来る次第でありますから、建設省御当局の御健闘を切に祈るものであります。是非MSAを軍事援助に限らないで、国土総合開発にも分けてもらえるように申込んで頂きたい。これをお願いいたします。

石破二朗建設大臣官房長

○政府委員(石破二朗君) これは先ほどの御質問よりか更に大きな問題でありまして、私ごときが答弁する問題ではありませんけれども、御趣旨はよくわかりまして、私どもといたしましても至極賛成であり、御意見の通りなすべきものと考えます。今日は大臣も不在でありますので、大臣にもよく伝えますと共に外務省その他関係方面にも十分要望をいたしたいと、かように考えておりますので、何分又御援助も頂きたいと考えております。

石川清一改進党

○委員長(石川清一君) 只今政務次官は衆議院の本会議に出ておりまして、暫らく中座するというお話でございます。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 議事進行についてちよつと。今鹿島さんからいろいろお話があつたのでありますが、今日はこの法案を審議するのですか、それともどういうことになつておるのですか。

石川清一改進党

○委員長(石川清一君) 建設業法の一部を改正する法律案について御審議を願つております。

赤木正雄緑風会

○赤木正雄君 これは何ですか、法案の提案理由だけを聞きましたが、あとは各条項によつて政府が説明しろという考えか、又いきなりこつちから突つ込んで行くのはどうなんですか。

石川清一改進党

○委員長(石川清一君) 総括質問を願つております。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 今何か大分問題が外れたようでありますが、打合せはどうなつておりますか。これからこの審議に入つていいのですか。

石川清一改進党

○委員長(石川清一君) 速記をとめて。    〔速記中止〕

石川清一改進党

○委員長(石川清一君) 速記を始めて。

小沢久太郎自由党

○小沢久太郎君 建設業法の改正の中に、入札に際して落札価格の最低制度が入つておらんのですが、これは私はこの改正に関して一つのミスじやないかと思います。これは昔は道路工事執行令ですか、三分の二かの限度があつて、各工事はそれに順応してやつたということですが、最近はそれがなくなつた。非常にダンピングが行われた結果、業者の競争によりまして利潤というものが非常に少くなつた。或いは監督上非常に困難を感ずるというようなことから、私は最低限度を作るべきじやないか、そういうように思います。政府の御見解を一つ伺いたいと思います。

石破二朗建設大臣官房長

○政府委員(石破二朗君) お話の通り、御意見の通り今回建設業法の一部を改正するに当りましては、建設省といたしまして最も慎重に且つできるだけの努力を費やしまして検討いたしました点は、入札価格に最低制を設けるかどうかという点でございます。いろいろ研究の結果、政府といたしましては現在のところ最低制は未だとるべしという結論に達しなかつたのでございますので、今回はその分の改正は提案いたさなかつたのであります。  なお審議過程、研究過程においていろいろ問題になりました点を御参考までに申上げてみたいと思います。御承知の通り道路協議会がありました際には勅令で道路工事執行令というものがありまして、内務省令がありまして、これには従前は三分の二を下るものには落札しないということでありましたその後改正されまして、八割を下るものには、落札しないということになつております。これが道路法の改正と同時に失効いたしたわけでありまして、現在はそういう規定がないわけであります。現在どうやつておるかと申しますと、地方公共団体におきましてはおのおのその条例によつて八割とか八割五分とかそういうような最低価格制を設けておるところが多いようでございます。国の発注する場合におきましてはずつと昔から最低価格制という制度はなかつた次第であります。そこで今回考えましたのは、大局的に見まして、我々が工事費の予算を組みます場合に大体総予算のうち八割程度は本工事費であつて、二割程度がその他の諸経費であるというようなことで組んでおりますので、先ず考えましたことは、それは全部勉強して頂くのも結構だけれども、予算のうち本工事費を割るようなことがあつては、つまり八割を下るような札をお入れになつた方々があつては落札者の方もお困りになる場合もありましようし、又政府といたしましても如何に監督を十分すると言つても、みすみす足の出る金額でお請負になつておるのだから、監督もなかなか面倒というようなことで、先ず八割見当の最低価格制を入れたらどうだろうかということを考えた次第でございますが、さてそれじや過去の実例はどうなつておるのかということで調べてみたのでございますが、資料もなかなか地方庁の工事などでは出さないものですからよくわかりませんので、極く僅かな例で大変恐縮でございますが、昭和二十六、二十七両年度において関東地方建設局が請負わせましたその状況を調べてみたのでございます。昭和二十六年度の実例を申上げてみますと、政府の予算の八割以下で注文を受けた、落札したというような例は、建築木上併せまして総発注件数七百三十四件に対して十七件程度に相成つております。又安く取つたものは事故が非常に多いんじやないかということで調べてみましたところが、まあ件数の少いせいもありますが、十分の八以下で取つた工事で事故を起しておるというのは実はない。そういう状況でございます。昭和二十七年度について調べてみますと、総発注件数が関東地方建設局におきまして七百二十四件あります。このうち八割以下で落札したものが三十四件あります。やはり安いもので取つたほうに事故があるかと思つて調べてみたところがこちらには全然ない。八割以上で取つたものの中に却つて九件の事故があつた。勿論こういう数字が出たということは、必ずしも最低価格制を否定するのではなかろうと我々は考えております。と申しますのは業者のほうは同時に数工事を手持ちされるわけで、安いもので取つたからと言つて手を抜くとかいうことはなしに、ほかのほうといろいろ計理も相互融通になることでありましようし、こういう数字が出たからと言つて最低価格制は要らないという結論にはなつておりませんけれども、と言つて八割以下で事故が起るという、積極的にロワー・リミツト制を入れにやならんという根拠には勿論ならん。又そういうようなことで結論がなかなか行かなかつたので、更にもう一つそういう制度を設けるとしても、これは国の会計に関するものであるから会計法系統の法令に入れたほうが適当じやなかろうかというような議論も出て、結局結論に至りませず、今回はこの点に触れませんで一部改正を提案した次第であります。

小沢久太郎自由党

○小沢久太郎君 只今石破官房長の御説明を伺つたのでありますが、結論として、政府は最低限度を作る必要はないというのですか。それともまだ研究の余地があつて、今後の法律の改正のときにでも研究の結果出す必要があれば出すというお考えでありますか、どちらですか。

南好雄自由党建設政務次官

○政府委員(南好雄君) お答え申上げます。建設業法にロワー・リミツトの規定を置くのが本当はいいんじやないかという考えは、卒直に申上げますと私などは規定が要るんだと思います。ただ御承知の通り会計法等の関係がございまして、できるならば事務当局の十分な了解ができてから政府としての一定の結論を出したいということで、事務当局がいろいろ折衝をしたのであります。ところがなかなか事務当局の間に意見の一致ができにくいような状態で、この法律案を提出しなければならん時期が参つたのでありまして、将来におきましてはどうも損をするような工事を続けて行くようなわけはないのであります。どこかで必らずいわゆるヵバ一をするということになつて、その工事自身が文句が出なくても、高い工事で却つて事故を起すという原因にもなるのであります。むしろ今官房長が説明したような事件はますますロワー・リミツトの規定が要るのじやないかという積極的な理由になると思います。併し何と申しましても会計法との関係におきまして十分に事務当局の連絡がとれておらなければなかなか改正しにくい点もございますので、一つこれは私たちの懸案事項とさせて頂きまして、将来の改正にはできるだけ私などの考えております見解が実現いたしますように皆様方の御協力をお願い申上げたいと思つております。

小沢久太郎自由党

○小沢久太郎君 これは全国建設業協会では最低限度を是非作つてくれというような声も実はあるわけであります。それから会計法との問題がいろいろありますが、これは会計法の中に入れるか建設法の中に入れるかということは、法律技術の問題として解決できればいいと思いますが、これを最低七割、八割にするというような問題が実はあるわけでありまして、この点は政府もよく御研究を願つて、この次の機会までにこの最低限度を数字的にどうするかということをお示し願いたい。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 関連して伺います。今の小澤君の質問ですが、私も同感です。そこで審議会の答申案として契約約款の要綱ですか、あれを建設省は地方の都道府県に指示しております。地方の都道府県はおおむねああした形の入札制度をとつております。これに対して政府は矛盾を感じませんか。今度はそういう案を都道府県に対して別に指示したわけではないでしようが、案を送つております。曾つて一昨年の暮でしたか、道路法施行令が、三分の二以下ではならないということの政令がありましたが、それを取消すというので改正したことがあります。従つて今地方においては大体において八割程度の最低価格の線を引いて入札を実施しておりますけれども、これに対して政府は矛盾を感じませんか。

南好雄自由党建設政務次官

○政府委員(南好雄君) お答え申上げます。先ほど官房長からもお答え申上げております通り、又私が今お答え申しましたようにロワー・リミツトというものは要るのだとういふうに考えております。併し何にいたしましても、私などはまだ素人でございますので、果してロワー・リミツトの限界をどこに持つて行くか、即ち七分五厘が本当か、八分五厘が本当か、その点にまだ本当に確信を持つておりません。そこでもう少し事務当局で研究を続けて行きまして、成案が出たらぱと、こういうふうに私お答え申上げたいのであります。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 官房長が今説明なさつた八割以下のものの件数は、その資料はどこの県から来たものですか。

石破二朗建設大臣官房長

○政府委員(石破二朗君) お答え申上げます。先ほど申上げましたのは関東地方建設局に、おきまして昭和二十六年、二十七年に発注した件について御説明申上げた次第であります。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 そうしますと地方、都道府県の入札の予算並びに結果の資料を至急に頂戴できませんか。

石破二朗建設大臣官房長

○政府委員(石破二朗君) 地方公共団体の総発注件数、事故の件数、而もそういう事故がどの程度の札で落したものにそういうものがあつたかという資料かと思いますが、実はこの点についてはかねてから照会したのでありますが、どういうものか、地方庁はいろいろぼろを出すのを嫌がるせいでしようか。どうしても資料が集まりませんが、これは今国会中に集めろとおつしやいましてもとても不可能であります。又いつまで待つて果して出すかどうか、これも自信がありません。ここに建設業課長が今持つて参つておりまして、非常に少い例でございますが、建設業課長から説明さして頂きたいと思います。若干の資料はあるようでございます。

宮内潤一建設省建設業課長

○説明員(宮内潤一君) 今官房長から御説明申上げました通り、田中委員御質問の御趣旨に副うような資料を考えましたけれども、なかなか集まりませんので、止むを得ず、こういう調査を行いました。それは昭和二十六年度の工事のうち会計検査院が不当、若しくは出来高不足その他の理由で、要するに不正工事として摘発したものが全部で百九十六件ございます。これは国会に報告になつておる数字でございます。この内訳につきまして、価格との関係を調査いたしたのであります。その結果、事故件数百九十六件のうち、国が三十二件、地方公共団体が百六十四件ございます。その地方公共団体の百六十四件の不正又は不当と批難されたもののうち、八割以下の価格で請負つておるというものは二十件でございます。従いましてその比率は一二・一九%、こういう数字になつております。なお、私ども今後この問題を論議いたします際に、どうしても田中委員の御質問のような数字が必要なので、今後も一つ督促をして、できるだけ早く整えたいと思います。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 大体鹿島さんとか清水さんとかいう大きな組は、八割割つた契約をしたつて仕事はちつとも心配なしにやつて行けます。従つて会計検査院だけの資料では実態はわからんです。そこでロワー・リミツト制をどうしても必要とする対象業者というものは地方の中小業者なんです。おおむね今の全国業者のほうは大体において自分の手持ちの仕事その他を勘案して、辞退するものは辞退する。或いはほしいものはほしいと言つておるというような非常に円滑な運営をされておる次第であります。そこで結局中小業者の場合はそのしわ寄せがどつかに行くわけです。調べて見ますと、大分県などは県工事というものを請負うには六十回見積りをしてたつた一回取るわけです。これは間違いないわけです。昔の金銭授受という不法な談合はないわけです。謙譲の美徳を発揮したりされたりして、少くともいい仕事をするという努力をしておられましようが、今言う通り中小業者は六十回くらいの見積りをして初めて一回を取るという現状では、結局今建設業課長が言つた通り不正工事か、工事に対するしわ寄せか、さもなければ他業者並びに材料業者に対するしわ寄せをするという結果になるのです。むろん一ぺんけつを割れば、県庁の仕事は任して指名してくれませんから、何と言つたつて仕事をうまくごまかしてやつておるということになるのであります。従つてその数字というものは現われた結果の現象ではつかめないと思います。せめて資料として集めて頂きたいと思うのは、今言う地方の業者は何べん入札して、それから見積費が幾らかかるかということであります。建設業審議会の大体の古い資料にあつたと思いますが、百万円の工事のとき二万円の見積費が、つまり二分かかる、こういうように聞いております。そうすると仮に三十回入札するとすれば六十万円かかるというのです。百万円のものをやるには六割かかることになりますね。その金はどこに行くかというと、一つのものに打ち込まれて、そごから利潤を出さなければならないことに必然的になるわけです。そこで衆議院において自由党の田中角榮君など随分大臣に突込んだそうですが、参議院においてその実情を、もう少し時間がありますから慎重に実態を調べて頂きたいと私は思います。批難事項その他の結果ではわかりません。従つて入札と予定価格というものをお調べ願つて、参議院においてそういう修正案が出るとしたならば、これは立法府の権限範囲において修正する場合、これは政府としてはそれに対するどういうお考えを持つか、伺いたいと思います。

南好雄自由党建設政務次官

○政府委員(南好雄君) お答え申上げます。田中さんにいつもいつも御質疑を受けるのでありますが、政府といたしましても先ほどから御説明申上げておるように、まだ本当の実体価格のコンビクシヨンが持てんものですからそこで跡略しておるのであります。立法府において踏み切つてそういう結論か出て参りますならば、私どものほうといたしまして毛頭異存はございません。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 よくわかりました。一つ官房長にお願いしたいのは、入札件数並びにその予算と落札価格というものだけを集めるならば、決して地方公共団体でぼろが出ないわけでありますから、これは報告すると思います。けつを割つた割らないの問題は論外です。このけつを割つた割らないのは、この業者の好まない問題であつて、一億のものを二千万円安く取つても一億以上のものを作るのがこれが常識です。業者でもこの努力はしております。これは大業者はいろいろ仕事がありますからカバーできます。併し小業者はそうは行きません。従つて大体一つの例でかまいません。東京なら東京は何回どのくらいの工事を見積りして何回取れるか、これはすぐわかります。指名権というのは起業者が持つておりますから、これをどこでもいいから一つ取上げて、それだけをお示し願いたい。それは国会としてどうしてもそういう現状では修正案を出さなければならないという結論に達するだろうと考えます。従つて時間がありますればそれを一つ出して頂きたいと思います。

石破二朗建設大臣官房長

○政府委員(石破二朗君) 只今の資料でございますが、あとで十分具体的にもう少しはつきり伺いたいと思いますけれども、実は何回指名して何回取つたという資料は、私のほうで末だ調査しておりませんので、これから、今国会がいつまであるか、私存じませんけれども、早急にというお約束はちよつと確約しかねると思います。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 どうも政府てはそういう資料が足りないから出せないのだというので、何か一つその資料を出して頂ければ、恐らく委員会で判定されると思います。東京都で以てこれは業者がよく知つておると思いますよ。或いは建設業協会の資料をお調べになつても何カ所か出て来ます。ただ大業者の場合はこれは特命工事その他がありますからそうば行きませんが、ただ入札専門の、地方公共団体、都道府県の工事をやつている業者を一人つかまえて来ればすぐ出て来ると思います。一つ至急にこれをやつて頂きたいと思います。

石破二朗建設大臣官房長

○政府委員(石破二朗君) お話のような御趣旨の資料でございますと、非常に不備なものであるかも知れませんが、集めてみたいと思います。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 それは今の見積りの問題なんです。これはすぐ出て来ると思いますが、建設業協会は二分くらいは見積費がかかると言いますから、そうすると何回、何十回指名を受けて何回見積をしたかということになると大体一分五厘か二分かという金額が出るわけです。それを十何回目か二十回目か出して、最低価格の競争入札じや堪まらない。そうすると判定する資料が出て来るからお願いするわけです。それから第十一条の登録拒否の点ですけれども、これを一つお願いしたい。逐条説明の資料の中に入つておりますが、会社の無責任な営業所長等が不誠実な行為をしながら、独立して登録して来るのを防止するためにという目的になつておるのであります。然らば不誠実なる会社そのものが止むを得ずつぶれた場合、或いはその会社の幹部が非常に不誠実である、こんな会社はもういられんと言つて、自分から正しい意欲の下に新らしく登録申請をした場合、これはどうなりますか。会社自身が不誠実なんですね、従つて自分は良心的にいい会社を作ろうとしてやめて登録した場合はそれは拒否されますか、されませんか。

石破二朗建設大臣官房長

○政府委員(石破二朗君) お尋ねの点、会社が不誠実な行為をやつてそしてつぶれたのでありましようか。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 つぶれた場合……。

石破二朗建設大臣官房長

○政府委員(石破二朗君) つぶれて新らしい会社を作るという場合ですか。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 その従業員がです……。

石破二朗建設大臣官房長

○政府委員(石破二朗君) 現行法におきまして第十一条、只今の田中委員の御質問の点でありますが、第十一条の二号と五号によりまして、それは登録しないことになつております。さように解釈いたしております。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 では、無責任なのは会社であつて、自分はどうもこの会社にいたのでは良心的な仕事ができない。従つて自分が新らしく会社を作るという営業所長、これは重役ではありません、営業所長というのは重役を兼務しておる者は今の二号、五号で制限されますけれども、そうでない会社員が、営業所長が、自分の会社は非常に不誠実だ、又不正工事もやつて摘発された。併し自分が良心的な会社を作ろうと思つてやつた場合は、どういうところの基準かち登録を拒否するしないの問題が生まれて参りますか。この案によりますとですよ。

宮内潤一建設省建設業課長

○説明員(宮内潤一君) 御答弁申上げます。御質問のような場合は今度の改正法によりましても側限を受げないことになつております。拒否はいたしません。御承知の通り今度の改正法では政令でそういう責任者の範囲をきめることになつておりますが、今政府の予定いたしておりし工する政令では、この法律の現在の十一条の二号、これは不誠実な行為をした場合をいうのであります。そこで登録を取消されたという場合、それから第三は、そのために罰金以上の刑に処せられた、こういう場合でございますが、そういう事実の発生について相当の責任を有する者、こういう工合でございまして、今の御質問のように、会社が下誠実だから自分はいいことをしたいからやめる、或いはやめたというような場合についてはこういう拒否の条件は働かないようになります。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 それは政令できめるのですか。

宮内潤一建設省建設業課長

○説明員(宮内潤一君) その範囲は政令できめると思います。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 私はそれは非常に危険だと思います。そうしますと各業者、重役が仮によくても、取れ言います。そうすると何か問題が起きると、従来のように会社員が大抵のことは背負つちやうんです。すべての問題は。今度会社の命令でやられたときには、困ると言つてどこまでも頑張ると、これはどうも建設業そのものに対する障害になりやせんかと思いますがね。

宮内潤一建設省建設業課長

○説明員(宮内潤一君) 只今の点は、命令されたとか何とかいう事実があれば、その従業員、使用人には適用はございません。又命令したところの重役であるとか、そういう業務執行社員の責任は、これは現行法そのもので押えて行きます。こういうことになつております。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 そうするとした、しないの問題は、これは裁判にかけて判定する以外はありません。じや裁判にかけて一貫任分野がどつちにあるかということをきめるまでは、登録を拒否しないと了解してよろしうございますか。

宮内潤一建設省建設業課長

○説明員(宮内潤一君) これは一つ一つの個々の具体的なケースになりますが、疑いがあれば一応は認めてやるということが筋だと思います。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 疑いがあればということは、仮に裁判の結果を待たなければ拒否はしないということですね。

宮内潤一建設省建設業課長

○説明員(宮内潤一君) そのように運用したいと思います。

石井桂自由党

○石井桂君 私もロワー・リミツトの条項を是非近い将来に入れて頂きたいという意見を持つております。只今政務次官の御説明によりまして、ロワー・リミツトの件については研究がまだ十分にやられていない上、その内部のほうのお話合いも十分ついていないから自信が持てないというような御説明があつたと思います。ロワー・リミツトの研究は私はもう十分なされていると思いますが、一方的な全建の資料を土台として判断するのは冒険だと思いますか、全建か中心になつて、官庁の営繕或いは建設に関する諸機関が全部、大蔵省の当局までも入つて研究してできた資料なんです。ですから最後は私は内部の大蔵当局との話合いだろうと思います。そのことの片鱗を政務次官がこの席で御披瀝なさつたことは非常に正直で私は好感が持てると思います。従つて政務次官のほうで、建設省のほうでロワー・リミツトの必要を十分お感じだと思いますから、非常に最短距離でロワー・リミツトのことを研究し尽して、そうして建設業法の中に是非入れたいと思います。こういうように希望いたします。  私自身は営繕の関係の仕事を最近約十年やつて参りました。その節やはりダンピングによるところの不健全な競争によつて工事が安く落ちて、その中で中絶して、これを如何にして完成せしむべきかという事件に私自身随分苦労した経験があります。田中委員の資料の要求等の一端にもなりますから、私自身の経験はあとで整理して御参考にしてもよろしいと思いますが、そういうことで結局不健全な競争によるところの中小業者の倒産ということもありますし、それから工事が非常に悪くなるということもございます。監督するほうは年がら年中ついておるわけじやありません。非常に人員に限りがありますから、数件の工事を一人で現場監督が持つているという実情にあります。請負が本当に悪いことをしようと思えばできる機会はいつでもあります。そういうことで、請負というものは営業でありまして、適正な利潤がなければやつて行かれないものでありますから、やはり利益を度外視した競争を自由にさせて、その結果一番安いものに工事を任せるということはどうもこれはいけないように思います。ですから自由過ぎる不健全な競争によるところの工事の低下とか、或いはそれによるところの業者が倒産するということを防ぐためにも、又工事をよくするためにもロワー・リミツトの設置は強く要望する者の一人であります。その点小滝委員、田中委員と考えは全く同じであります。それを只今政務次官の言を私はいいほうに解釈して、そうして近き将来出るものと存じますので、その点は強く要望して触れないことにいたしますが、この機会に、私は今回の改正理由の中に、一番初めに、所期の成果を納めて今日に至つたということが書いてあるのでありますが、相当に成果を納めたことは私も認めます。併し現在の建設業法の対象は、この法令が制定せられた当時の、一つの工事三十万円以上のものに適用がある。たしかあとは変つてないだろうと思うのでありますが、今日はその当時の物価が二倍くらいになつておるはずです。従つて適用範囲が非常に広くなつておる。そういう点においては業種別の登録範囲を殖やした点においても、やはり政府の御方針も自然に適用範囲が殖えたようになつておるのですが、どうも実際街の状況を見ますと、無登録業者が街の仕事を殆んどやつておる。これが皆三十万円以上の仕事なのです。そういう者に対して現在の法律だけで一生懸命で地方でやつておるようでありますが、なかなか実際はわかつておりません。つまりもぐり業者が自由に手を振つて仕事をしていることによるところの工事上の紛争ということは非常に多いわけですね。これに対してどんな手をお考えになつておるのか、承わりたいと思います。つまり正規に登録している人は割合に正直者が多い。不正直者の登録していない人が、実際はお金は半分或いは殆んどもらつてしまつて、工事を二、三分やつて逃げてしまう。こういうやつの紛争事件が私の覚えによつても建設業法施行以来東京には一千件くらい紛争事件がある。そういう事情ですから、つまりもぐり業者を登録制で以て防ぐつもりでおやりになつたのですけれども、実際地方でも一生懸命にやつているんだが、実際にはなかなか効果が挙がらないのです。それをどういうふうにして挙げようと思つていらつしやるか、又この法律でどういうふうに苦心して、そういうこともお考えになつているのか、その点を伺いたい。

石破二朗建設大臣官房長

○政府委員(石破二朗君) 只今の御質問の趣旨は、そうでなくてさえもぐりがたくさんおる。物価騰貴によつて、自然業者の数も殖えるし、適用の範囲も殖えるわけです。業種を拡張すれば更に殖える、どうして監督するか、こういう御質問のように拝聴したのでありますが、実はその辺がこの建設業法が非常に弱い法律だと言われるもとであります。御承知の通りこの法律ができました際には相当画期的な法律で、一応世間の評判もよかつたわけでありますが、だんだんやつてみますと、我我も現在のようなやり方で所期の目的を達しておるというような大きなことを言えた義理じやなかろうと思います。ロワー・リミツトの問題然り、登録要件を強化する問題然り、クレイム制度然り、もう少し骨を入れなくちやいつまでもこういうままで放つておいたら有名無実の法律になつてしまうというような虞れを多分に持つております。従いまして今回はこの程度の改正案にとどめましたけれども、これはもう少し本気で法律があれば法律があるだけの本当の効果が挙がるような法律を簡素明確にして作つてもらうことにして、所期の目的を達成し得るように十分次回までには研究いたしたいと思います。先ほど来申しておりましたロワー・リミツトの問題もこれと関連する部分もあるように思いますし、そういう点も併せて研究したい、かように思つております。

石井桂自由党

○石井桂君 非常にまじめな御答弁で満足するわけでございますが、大体研究するというお答えは普通どなたもお答なさいます。どうぞ一つお言葉の通り実を挙げるように御研究を要望して私の質問を終ります。

鹿島守之助自由党

○鹿島守之助君 ちよつとそれに関連して一つ。このロワー・リミツトの問題は全国建設業会でも、私が会長をいたしております土木工業協会でも慎重に検討いたしました。これに対する反対派は、実際にロワー・リミツトを設けると、業者はまじめに見積りをしないで、予算が幾らあるかを騒ぐ、八割だと言うとそれにかけたものだというのでぴたつと落札する。それで二人も三人も同じ票が現われる。そうするとくじ引きできる、これが実情でございます。これは甚だよくないんじやないか。これを考慮に入れた上賛否を求めましたところ、ロワー・リミツトを置くべしというほうが数が多い。この事実を申上げておきます。それで私もそういうような点を考慮に入れまするというと、学者としてそのほかいろいろ考慮を要するものがありますけれども、やはり民主政治というものは最大多数の最大幸福、つまり建設業者が大部分がそれを希望するならば、それは皆さんの希望であるということをこの際申上げておきまして、どうぞ御当局は大多数の希望に副うように御考慮をお願いいたします。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 今まで当局の取消しとか或いは処罰の問題は、全国業者のその資料は集まつておりますか。

石破二朗建設大臣官房長

○政府委員(石破二朗君) 建設業法施行以来の登、録件数でございますとか、処罰の件数というものは一応調べております。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 若しできたならば調べてほしいのですが……。

石破二朗建設大臣官房長

○政府委員(石破二朗君) 次回には差上げるようにいたします。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 地方公共団体の賢録の抹消とか、そういう条件についての資料はどうなつておりますか。

石破二朗建設大臣官房長

○政府委員(石破二朗君) 大臣賞録は勿論私のほうで持つております。地方のほうもその都度報告さしております。完全無欠とは保証できませんけれども、一応の数字は参つております。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 もう一つこれは次官に伺いたいのです。先ほどちよつと問題に触れたのですけれども、見積りをする、入札をする場合には、先ほど鹿島委員が言つたように勘で、頭金を納めて、いろいろな調査料等で以て予算を引張り出して、それに頭から当てはめて入札するということを除外して、まじめに見積りをするならばどのくらい見積費というものはかかるかということは、もうお調べになつたと思いますが、どうなりますか。

宮内潤一建設省建設業課長

○説明員(宮内潤一君) その点は十分な調査までいたしておりませんが、一応の結論といたしまして、全建その他の考えは、田中先生がおつしやつたような意見を言い出しております。併しこれは業者により又は地方々々によりまして、先ほどの例では六十回に一回という例をおつしやいましたが、それよりかひどいところ、或いはそれよりかずつと割合がいいところという工合に、大分差が激しいようでございます。従つて標準的なものとしてどうなるかということにつきましては、今後更に調査してみなければ、私どもとしては何とも申上げられない、こういうことでございます。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 見積費というものは指名を受けた業者のサービスでありますか。それともそれは工事費の額に織り込まれるものでありますか。

宮内潤一建設省建設業課長

○説明員(宮内潤一君) 只今までの通常の観念は、そういうものは経費とはしないというのが一般取扱い、発注者……特に国が発注する場合の考え方だと思います。例えて申しますと、この間も業者が見積りに参加する場合は官庁は旅費を支給すべきじやないか、こういう意見もあつたのでありますが、現在の旅費その他の関係から見て国では旅費を支給しないということで御了承願つております。従つて経費は一般に最低を盛つておるということであります。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 今の三十回に一回、二十回に一回でもかまいませんが、少くとも二分程度かかるという見積費は一体どこにしわ寄せされるかということを考えましたとき、これはもう少し考えた形に持つて行かなくちやならんということに帰着するわけなんです。そこで国が卒先して、旅費その他は別として、入札をさせた場合に最小限度の実費は必ず支給するというような考え方に対してはどういう御見解を持つておりますか。

石破二朗建設大臣官房長

○政府委員(石破二朗君) 只今のお話、どうも六十回札を入れてたつた一回しか取れん。これを防ぐにもう二つの方法がある。一説には、業者の現在の登録制を許可制にしたらどうかという意見。それから更に会社の規模によつてこれを階級といいますか、一級、二級というふうに分けて指名する。事業をきめてやつて、誰にでも札が入れられないようにしたらどうかという御意見もありますし、又只今の御意見のように見積りに関する経費をその都度発注者側で持つというようなやり方もあると思います。私どものほうといたしましては、只今いずれともきめがたい、これがいいというような意見はここではちよつと申しかねると思います。十分研究さして頂きたいと、かように思つております。

三浦辰雄緑風会

○三浦辰雄君 どうでしようか、これはいろいろな資料の要望もありましたが、この審議を一応ここで打切つて、あと所要の日程に入り、その前に何か水害のお話もお聞きする。こういうように運んだら如何かと思いますが、如何でございましようか。

石川清一改進党

○委員長(石川清一君) 三浦委員から資料の提出等の要求もあるので、資料が提出されてから審議が当然行われるので、本日はこの程度で建設業法の一部を改正する法律案の審議を打切つて、所要の日程、その他の懇談会をしたらという動議が出ましたが……。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 三浦委員の御提案に賛成です。

赤木正雄緑風会

○赤木正雄君 丁度私廊下に出ましたら、和歌山県から見えておりまして、水害の状況を是非皆さんにお話したい。こういうようなお話でありますので、適宜の時間、三浦さんの動議もありましようし、田中さんの御了承もありますので、和歌山県の状況を聞きますとよろしいと思います。

石川清一改進党

○委員長(石川清一君) 赤木君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶものあり〕

石川清一改進党

○委員長(石川清一君) では本日は建設業法改正案の質疑はこの辺で打切りまして、水害の……。ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕

石川清一改進党

○委員長(石川清一君) 速記を始めて。では明日午後一時から委員会を開きます。  本日はこれで散会いたします。    午後四時十三分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗