経済安定・通商産業連合委員会 第1号
- 発言数
- 39 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1953/07/09
会議録
○委員長(早川愼一君) 只今から経済安定、通商産業連合委員会を開催いたします。 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案、予備審査、本件につきましては過般緒方国務大臣から本会議におきまして提案理由の説明がありましたので、本連合委員会は公正取引委員会当局からの補足的内容説明及び逐条説明から審議に入りたいと思います。御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(早川愼一君) それでは内容の説明及び逐条説明につきまして政府委員公正取引委員会委員湯地謹爾郎君。
○政府委員(湯地謹爾郎君) 只今審議に上程いたされました独占禁止法の一部改正法律案の提案理由につきましては先般国務大臣から本会議において御説明があつたのでありますが、私からこれを多少補足して御説明を申上げたいと思います。 本改正法律案による改正点の主な第一点は、現行の特定の共同行為の形式的な禁止を、当該行為が一定の取引分野における競争を実質的に制限する場合にとどめるように緩和し、更に不況に対拠するため、又は合理化の遂行上特に必要である場合における特定の共同行為を条件付で認めたことであります。 独占禁止法の法益といたしますところは、要するに自由競争秩序を確保することであります。従つてこの自由競争秩序を侵害するか、又はその蓋然性の高いものが独占禁止法上違法とせらるべきものでありまして、これらの程度に達しない行為は、たとえそれが事業者の共同行為であるにしても、独占禁止法上違法とすべき積極的な理由は存しないものと考えます。ところが現行法におきましては第四条においてこれを競争に対する影響軽微なるもの以外は、すべて画一的に禁止しております。従つて成る取引分野においてなお有効な競争が活溌に行われておるにもかかわらず、或る共同行為を形式上は違法としなければならないという社会通念上不都合な事態が生ずることとなるのであります。よつてこの際共同行為に対する形式的な禁止をやめて一定の取引分野における競争を実質的に制限することとならない限り、これを認めることとしたのであります。 又戦後の日本経済が幾多の脆弱性を持つており、我が国産業が不況若しくに恐慌に対する適応力が十分であるとはいえず、不況が深刻化した場合においては我が国産業が重大な危機にさらされることも予想されるのであります。この時において、この事態の救済を単に自由競争による自動調節作用にだけ求めることは、場合によつては産業界における破滅的競争を招来し、その結果日本経済に回復することのできない損害を及ぼす危険性があると思われます。従つてて、事業者が共同して過剰生産による需給の不均衡を調節し、又は市価の安定を図るなどこの不況に対処すべき必要最小限度の方途を講ずることは必要止むを得ないものと存じます。 又規格の統一、製品の標準化、生産品種の専門化、廃物、副産物の共同利用などのように、むしろ生産費の引下げ、技術の向上、能率の増進等企業の合理化をもたらすような、特定の共同行為は、単に当該事業者に利益をもたらすばかりでなく、我が国産業の進歩発達に裨益する場合もあると思うのであります。 政府は、以上述べました二つの場合における事業者の特定の共同行為を現行独占禁止法の規定によつて、画一的に禁止することの適当でないことを認めると共に、事業者の共同行為がその性質上自由競争の長所を没却し、往々にして関連事業者若しくは消費者等に徒らな不利益を与える危険のあることを考慮いたしまして共同行為を原則的に認め、その弊害のみ規制するという方式、例えば、単なる届出制を採用し不当と認められるものを事後に取締るというような方式によることは妥当でないと考えまして、特定の共同行為について、一定の要件と認可制の下にこれを例外的に認容することにいたした次第であります。 次に本改正案の主な第二点といたしましては、現行法第四章関係の規定を緩和したことであります。 我が国経済の脆弱性の一つとして企業が乱立し且つ、その資本構成が不健全であり、その結果単位企業の経済力が国際的視野において、相対的に弱いことは周知の通りであります。そのために企業の整理統合による合理的な再建、証券消化の促進による資本の蓄積が強く要望されているのであります。この点につきましては、昭和二十四年の本法の改正により、若干の解決をみたのでありますが、なお現行法の株式保有、役員兼任等について、厳格に過ぎ若しくは不当に画一的な制限があることが認められますので、これを是正し、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなるか、又は不公正な取引方法を用いる場合のほか原則的に自由に株式を保有し、役員を兼任し得ることとするのが当を得たものと考えた次第であります。 次に本改正案の主な第三点は、現行法の不公正な競争方法を不公正な取引方法と改めまして、その内容を整備いたしたことであります。本来公正且つ自由な競争は、価格、品質及びサービスの三面を中心といたしまして、事業者の創意と責任と計算によつて行わるべきものと思うのでありますが、競争が激甚になると共に、例えば、特定の事業者を市場から排除するための不当な取引拒絶、ダンピングと称せられる不当な廉売による競争者の駆逐、或いは他の事業者に対する不当な差別取扱い、競争者の取引相手の強制奪取、取引上の優越した他位を濫用する一方的な取引条件の強制又は不当な手段による競争会社の乗取りのような不公正且つ不健全な取引方法が現われて、これが公正な競争秩序を侵害することとなることは、戦前の日本経済の実情に照しても言い得ることであります。従つて、これら不当な競争手段を抑制する必要があるのでありまして、現行法におきましても不公正競争方法として所要の規定がおかれておりますが、最近における競争の激甚化に伴いまして、この種の規定のより一層の整備が強く要望されておりますので、この際現行規定を整備することといたしたのであります。 次に本改正案の主な第四点といたしましては、現行事業者団体法を廃止し、その必要な規定は、これを本法中に収容したことであります。 我が国の事業者団体法は、独占若しくは不当な取引制限がしばしば事業者団体を中心として行われるという過去の事例に徴して、個々の事業者の行為を規制する独占禁止法に対して事業者団体の行為を規制するために生れた補完法規であります。併し、昨年八月の改正によりまして、この事業者団体法の法益は、独占禁止法の法益とほぼ同一となつておりこれを単行法として存置せしめる積極的な理由は存しなくなりましたので、この際事業者団体法の規定でなお必要なものは、独占禁止法中に収容し、団体法はこれを廃止することにいたした次第であります。 又第五点といたしましては、従来、不当廉売、おとり販売等の不当な競争が主として小売面で行われており、これがため小売商の利益を侵害し、延いては一般消費者にも悪い影響を及ぼしている実情に鑑み、一定の日用商品、書籍等に限り、再販売価格維持契約、いわゆる定価拘束制度を独禁法上適法なものといたしたのであります。 以上申述べましたことは、今次改正法律案の主な点でありますが、このほか私的統制団体の禁止に関する規定、事業能力の較差に関する規定を削ることといたしましたが、これはその他の規定によつて取締の実を挙げることができると認めたためであります。その他以上の改正点に伴いまして手続規定、罰則規定に所要の改正を加えると共に、附則として、独禁法の改正又は事業者団体法の廃止に伴う経過措置、適用除外規定の整理をいたした次第であります。 以上が本改正法律案提案の理由及び要旨でありますが、改正法案の詳細につきましては、逐条的にこの際御説明申上げたいと存じます。それではお手許に差上げてあると存じますが、私的独占禁止法改正要綱及び解説資料というこの薄つぺらな印刷物がありますので、これの要綱について御説明を申上げ、それに関連する条文については、国会に提出されてありまするこの条文を見て頂くということで御説明申上げたいと思います。 先ずこの要綱の第一でございますが、この新旧対照表の厚いのを御覧願いたいと思います。その上の欄が現行法でありまして、下の欄が改正案ということになつております。どの要綱の第一に書いてありますことは、この現行法の第四条を見て頂きたいのであります。現行法の第四条におきましては、事業者は共同して、例えば価格決定、或いは生産数量、販売数量、或いは技術、製品、或いは販路の協定というような協定行為、或いは共同行為をいたしました場合に、それが一定の取引分野におきまする競争が、ほんの軽微な影響しか与えないという場合のほかは、これは画一的にそういう共同行為をいたしてはならないという規定になつておるのでありまするが、この点は、これを現行法の第三条を見て頂きますと、「事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない。」その不当な取引制限という定義を、更に第二条におきまして定義をしておるのでありまして、この厚い参考資料の五頁の所にあります。その頁の上の欄が現行法であつて、下の欄が今度の改正案であります。そうして下の欄の傍線を引つ張つておる点が改正になつておるわけであります。この意味は、現行法の第四条であればそういう共同行為はそれ自体で違法とするということを改めまして、この第三条の取引制限に至るような場合でなければやつて差支えないということにいたしたわけであります。そうしてこの第三条の取引制限の例示行為として、第四条に書いておりますような主な方法をこの中に織込みまして、そうして改正をいたしたのでありまして、結局単なる協定自体では違法にはならない。その結果一定の取引分野の競争を自主的に制限することとなる場合に初めて違法にするということにいたしたのであります。この点相当緩和いたしております。 それから要綱の第二、これは「現行法の私的統制団体の禁止に関する規定を削ること。」、これは現行法の第五条に私的統制団体の禁止の規定があります。これは実は占領下財閥の解体等統制団体の禁止といういわゆる占領政策の一環として、そういう私的統制団体を禁止するという政策の下に設けられた規定でありまして、いわば経過的の規定でありまして、殊に最近のように殆んど統制立法というものがなくなつております今日におきましては、たとえこの団体ができましてもその行為に法律的な効果をもたらすためには統制法規が必要であります。併しその統制法規がなくてもそういう効果を及ぼそうといたしますれば、これは同時に或いは独占、或いは先ほど申しました取引制限、不当な取引制限ということになりまして現行法の他の規定で十分に取締ることができます関係上、この規定はこれは削除いたしたわけであります。 それから要綱の第三ですが、「現行法の国際的協定又は貿易協定の禁止に関する規定を、国内の事業者が国際カルテルへの参加を禁止するのみの規定に改めること。」これは現行法の第六条を見て頂きたいと思います。現行法の第六条は外国の事業者と国際協定、或いは国際契約を結ぶ場合の禁止と、そうして更にその次に、その後段に国内の事業者が貿易につきましていろいろな協定をしてはならない、こういう意味の規定があるのであります。今回の改正におきましてはこの対外国際的協定若しくは国際契約、而もそれが不当な取引制限或いは不公正な取引方法に該当するような内容を持つておりまする国際的契約に日本の事業者が参加することを禁止いたしておるのでありまして、それのみに限つて、そうして国内の事業者が貿易等について協定をしてはいけないという規定はこの際これは削除してあります。それは恐らくこの委員会にも付議されることと思いますが、現行輸出取引法の改正をいたしまして、それを輸出入取引法というふうに改めまして、その点におきまして貿易上必要な協定は成る一定の要件の下にこれを認めるということにいたしたのでありまして、実はそちらのほうにこれを移した形になつておるわけであります。 次に第四、「現行法の不当な事業能力の較差に関する規定を削ること。」、これは現行法の第八条を見て頂きたいと思います。現行法の第八条におきましては非常に大きな事業主体ができた場合に、これは得てして独占或いは不当な取引制限をもたらす弊害が考えられますので、そういうふうな非常に力の強い大きな事業者につきましては、いろいろな要件の下に場合によつてはこれを分割するなり或いは解散せしむるというような規定があるのでありまするが、これはもうすでに集中排除法というような法律によりまして占領当時の不当な事業能力を持つておりまする事業者等はいなくなつたと、まあ解釈しておりますし、そうして独占禁止法は将来そういう独占事業体になるような場合をいろいろ制限しておりますので、こういう規定は現在としては必ずしも必要でないのではないか。又同時にこういう規定は徒らに事業者の企業意欲を阻害するという非難等もありましたので、これを削除いたしたのであります。尤も不当な大きな事業能力を持ちましてそれが或いは独占になり或いは不当な取引制限をするような場合にはいわゆる前に申しました第三条等の規定で十分取締ることができるという考え方の下にこの規定はこの際これを削除いたしたのであります。 それから要綱の第五、これは「現行の事業者団体法はこれを廃止し、事業者団体の禁止行為はこれを整理縮小して本法中に収容すること。」これは実は事業者団体法というのはこの印刷の中にはないと思いますが、これを現行法者団体の禁止行為はこれを整理縮小して本法中に収容すること。」これは実は事業者団体法というのはこの印刷の中にはないと思いますが、これを現行法の第八条の中に事業者団体に対しまする禁止行為を並べてあるのでありまして、これは現行事業者団体法で禁止行為といたしております事項のうち、これを相当縮小整理いたしまして、ここに禁止行為を掲げた次第でございます。それからこの際申上げておきたいのは、この現行事業者団体法の規定のうちで必要なものをこの法律の中に加えました関係上、それに伴いまするいろいろな手続規定或いは罰則等の必要なものをこの中に入れておるのでありまして、その関係の条文はほうぼうに現われて参ります。これは単に手続的な改正であります。 それから要綱の第六といたしまして、「持株会社の禁止については、これを本来の意味の持株会社に関する規制に限ること。」、これは現行法の第九条に持株会社の禁止に関する規定があるのであります。この現行法におきましてはいわゆる本当の意味の持株会社と、本来持株会社でないいわゆる保全会社であるが、それが同時に株を持つことによつて持たれた会社の事業活動に重大な影響を及ぼすような場合は、これを持株会社とみなして禁止するという規定になつておるのでありますが、今回の改正におきましては、これは本来の意味の持株会社だけにとどめて、いわゆるそのみなす規定を削除いたしたのであります。 それから第七は、「事業会社の競争会社株式の保有を絶対的に禁止する規定を緩和し、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合及び不公正な競争方法による場合に限ること。」これは現行法第十条であります。現行法第十条におきましてはその第一項に、会社が株式を持つことによつてその相手会社との間の競争を減殺し、或いは制限するような場合には株は持つてはいけない。これともう一つは、その第二項には、競争会社間の株式は、これはたとえ一株といえども持つてはいけないという規定が第二項。又第三項は、これは子会社の場合は競争会社といえども持つてよろしいということ。そういうふうに相当厳格になつておるのでありまするが、今回の改正におきましてはその下の第十条を見て頂けばわかると思いますが、競争会社の間の株式所有といえどもその取引分野におきまする競争を実質的に制限することとならない限りは株を持つてよろしいという規定に改めたのであります。これはその次に出て来ます役員の兼任の場合も同じような考え方を持つておるのでありまして、役員を兼任することによつて一定の取引分野の競争を実質的に制限することとならない限りはよろしい。現行法では一定の取引分野の競争を実質的に制限する場合は勿論いけないのみならず、その当事者間の会社の競争を制限する場合でもいけないという非常に狭く強く禁止をしておつたのを、これは一定のその取引分野の競争を実質的に制限しない限りは競争会社の株式といえども持つてよろしいというふうに改めたのであります。 それから要綱の第八、これは金融会社の持株の関係を述べておるのでありまして、これは現行法の第十一条、二十二頁にあります。金融業を営む会社は同じ事業を営んで競争関係にある金融会社の株は、これは前の事業会社と同じように一株といえども持つてはいけないということと、それからもう一つは、金融業を営む会社につきましては競争関係でない会社の株であつてもその会社の発行株式の五%を超えて持つてはいけないという規定になつておつたのであります。それを今回の改正におきましては、前の事業会社と同じように、競争会社である場合でもやはり一定の取引分野の競争を実質的に制限しない場合はこれはいたしてよろしいということと、そうして他の事業会社の株式を持つた場合は、今までの制限が五%であつたのを一〇%まではよろしい、それから一〇%を超えてなお持つ必要がある場合は、公正取引委員会の認可を受けて持ち得るということにいたしたのであります。尤もその場合には、公正取引委員会は大蔵大臣と協議をしてその認可をするということにいたしておるのであります。 それから第九、これは競争会社間の役員兼任を今まで絶対的に禁止しておつたのを、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合及び不公正な競争方法による場合に限つたのであります。これは現行法の第十三条、二十四頁であります。これは今申しました通り、競争関係にある会社の役員を兼ねることは絶対的に禁止しておつたのでありまするが、これを一定の取引以外の競争を実質的に制限することとなる場合に限つて禁止しておつて、そうでない限りは役員兼任を認めたのであります。併しこれは「不公正な取引方法により、」云々という規定が設けられております。それからいま一つはただ競争会社の役員を兼ねる場合は、場合によつては弊害等も考えられ得るのでありまして、そういう場合に備えまして、改正法の第三項におきまして、そのいずれかの会社の総資産が一億円を超えるような場合には届出をするということは、兼任をせられるかたは、これは一定の取引分野の競争を実質的に制限しないと思つて役員を兼任されるかもわかりませんが、これは相当大きい会社同士の役員兼任でありますと、場合によつては一定の取引分野の競争を実質的に制限するに至る虞れが考えられますので、一応届出して頂いて、そうして場合によつてはその後の情勢によつて或いは御注意を申上げるなり、競争を制限しているというふうに認めれば、兼任をやめて頂くというようなことになろうかと思いますが、一応これは兼任はよろしい、そうしてそういう弊害があつた場合は兼任を禁止するというような考え方になつております。 それから第十の「不公正な競争方法については、現行規定の内容を整備すること。」これは現行法の第十九条、三十四頁でありますが、「事業者は、不公正な競争方法を用いてはならない。」という規定がありまして、そうしてその不正な競争方法の定義は、第二条の第六項、これは七頁にあります。その不公正な競争方法というものの定義をこの第六項の第一号から六号まで掲げているのであります。そうしてその七号に「前各号に掲げるものの外、公共の利益に反する競争手段であつて、第七十一条及び第七十二条に規定する手続に従い公正取引委員会の指定するもの」こういうふうになつておりまして一応不公正な競争方法の手段を一号から六号まで列挙しておりまして、第七号にそのほかに公正取引委員会が更に指定するという制度が現行法であります。言い換えますれば、そこに一種の委任立法と申しますか、そういう立法的権限を与えられておつたのでありまするが、これは余り適当でないという考えの下に、今回の改正におきましては、一号から六号まで並べまして、これは多少抽象的な文句が載つておりまするが、一つの枠をきめまして、そうしてその中からその枠をはみ出ない限度において公正取引委員会が指定をするという立て方に変えたのであります。 それから第十一のこれは新たに再版売価格維持契約を認めたのでありまして、これは全然新らしい規定でありますので、この規定そのものについて御説明を申上げたいと思います。これは改正法の二十四条の二を御覧頂きたいと思います。これはここに書いてあります通り、その商品の品質が一様であつて容易に識別できるものを生産するメーカー、若しくはそれを販売する事業者が、その商品の卸値、小売値を維持せしめる契約をメーカーと卸売業者、或いはメーカーと小売業者、或いは卸売業者と小売業者、この間において、いわば縦の関係において定価を維持するという契約を結ぶことができることにいたしたのであります。ただその商品はこの第二項の一号二号に書いてありますように、これは一般消費者に日常使用せられるもの、例えば歯磨とか或いはその他の化粧品或いは医薬品とか或いは電球とか或いは食料罐詰とかいうふうなものであつて、而もその商品について自由な競争が行われている。言い換えればこの品物が価格が維持されて安くならない。そうすればほかに安い品が、それに代り得る代替品的な商品が同時にあるというようなものについてのみ認めよう。こういう趣旨でありますが、言い換えればその商品が値段について気にくわないという場合には他の別の商品が買えるというような意味の商品について再販売価格維持契約を認めようというのであります。これはそのほかにいま一つは第四項に著作物云々とありますが、これは書籍或いはレコードというようなものを考えておるわけであります。この再販売価格維持契約というのはなぜこういう規定を置いたかと申しますと、若しこの規定がなければメーカーがその売先きの値段を指定して、そうしてその契約に従つてその値段を守らなかつた場合に、お前のところには今後商品を渡さない、或いは罰金をかけるというような拘束的な契約を結びますと、現行法では不公正な取引方法として違反の対象になるわけであります。それでこういうような商品であつて、公正取引委員会が指定した商品についてのみそういう場合にはこの独占禁止法の適用を除外する、言い換えれば違反にしないぞという意味の規定であります。この再販売価格につきましてはアメリカ等におきましてもすでに行われておるのでありまして、アメリカのはこれは一歩進んでおりまして、その維持契約を結ばないものについても法律上この維持価格を強制せしむる規定になつておるのでありまするが、我が国におきましてはそこまで行くのは少し行き過ぎてあるという考えて、契約を結んだ人に対してその拘束力があり得るということにいたしたのであります。それからこの点はこの前の第十三国会に提案いたしましたのと少し違つておるのでありまするが、この第五項というのがそれであります。と言いますのは、これは先般の国会で主に衆議院においてでありまするが、この法案の審議の際に、この再販売価格を維持することを強制することは、例えば消費組合だとか或いは生活協同組合等でメーカー或いは卸売から品物を受けて組合員のために安く販売しておるという場合にこの維持契約が強行いたされますると値段を高く売らざるを得ない。それが組合員の厚生施設等に非常に困るというような意見等もありましたので、ここに列挙いたしましたように法律の規定に基きましてできました団体であつて、而もその組合員の厚生施設等に用いられるものであつて而も員外利用を本質的に制限しておりますような団体についてはこの再販売価格維持契約を強制することはできないということにいたしたのであります。尤もこの再販売価格の維持契約を認めた趣旨は、先ず第一に小売業者に対しまして適正な利潤を確保せしめる、こういうような日用品であつて、而も自由な競争が行われておりまする商品というものは、相当大勢の小売業者によつて取扱われておりまして、その間にいろいろな競争があり、又これはおとり販売等に使われておる関係がありまして、それが同時に消費者にも迷惑をかけるという形になると思います。言い換えますれば、例えば或る有名な銘柄の例えば化粧品があつてそうしてその容器等に定価がついております。そうしてそれが仮に或る店で五十円のものを四十円に売つておる。そうするとそのほかの店で売つておりますものは特に安くしていないにかかわらず、どこで買つても五十円するものをその店では四十円ということにすればほかの商品もそういうふうに安いのではないかというふうな錯覚を与えて、この点におきましても消費者等に迷惑をかけるというような関係もありまして、そうして又そういう有名品等でありますれば、或る程度利潤というものが、そう大きくありません、むしろ無銘柄品については相当利潤の鞘等がありまして、その有名品をおとりに使つて他の無銘柄品等について相当利益を得ようというような弊害等もありまして、この規定を認めることにいたしたのであります。又同時にメーカーの側にとつても自分が創意工夫を凝らして良質廉価の品物を一定の値段で販売するようにいたしたにかかわらずその出先で安売りをされてその名声を落すというような場合等も考えられますので、この規定を適用除外として認めることにいたしたわけであります。 それから要綱の第十二、これは不況カルテルと合理化カルテルの場合でありますが、これについて御説明申上げたいと思います。これはこの資料の四十二頁であります。これの二十四条の三というのはいわゆる不況カルテルの場合であります。この規定を御説明申上げます。これは特定の商品の需給が著しく均衡を失したため次のような事態が生じた場合にその商品を生産する事業者、言い換えればこれは販売業者を含んでおらないで、生産業者又はその団体について一定のカルテル行為を認めようというのであります。そうしてそのカルテル行為につきましては当該産業の主務大臣の認可を受けて、これを認める、そうしてその主務大臣が認可する場合には公正取引委員会の一定の条件に当てはまつておるかどうかということの認定を受けて認可をするという仕組にいたしておるのであります。どういう事態の場合かと申しますと、その第一項の一号二号にその事態の場合を書いておるのであります。即ち「当該商品の価格がその平均生産費を下り、且つ、当該事業者の相当部分の事業の継続が困難となるに至るおそれがあること。」二の二つの要件とそれから第二号に「企業の合理化によつては、前号に掲げる事態を克服することが困難であること。」こういう事態があつた場合にその共同行為をしよう、カルテルを結ぼうという事業者が主務大臣の認可を受けてこの第二項に掲げる共同行為ができることにいたしたのであります。 〔委員長退席、経済安定委員会理事八木幸吉君着席〕 その二項には、前項に規定する事態を克服するため、生産数量、販売数量又は設備の制限についてのカルテルを認めるということにいたしたのであります。更に第三項にこの二項のような共同行為のみでうまく行かない場合、言い換えれば技術的な理由において商品の生産を制限することが非常に困難である場合、或いはその生産数量の制限とか販売数量の制限等が、やつてみたがどうしても不況の事態を克服することができんというような場合には価格協定まででき得るということをこの第三項に書いてあるわけであります。それから第四項は、主務大臣は、前二項の認可をしようとするときは、その申請に係る共同行為が前二項に掲げる要件に適合し、且つ、その共同行為が左の各号に該当している旨の公正取引委員会の認定を受けなければならない。それはこの事態を克服するため必要な程度を越えていない。それから一般消費者及び関連事業者の利益を不当に害する虞れがない。又そのカルテルに参加しているものの間に不当に差別的でないか、それからその共同行為に参加し、或いは共同行為から脱退することを不当に制限しない。こういうような要件を備えておるということを公正取引委員会が認定をいたしまして、そうしてそれに基きまして主務大臣が共同行為申請にかかる共同行為に対して認可をするということになるのであります。それから第五項は、主務大臣の前に認可をした場合の変更若しくは認可の取消の場合を規定しておるのであります。第六項は、公正取引委員会が主務大臣の認可したものを変更し或いは取消する必要があると認めたが、主務大臣はそれをしなかつた場合に公正取引委員会は主務大臣にそれを請求することができる。そうしてその請求については、これは官報に請求した場合は公示をする。そうして公示があつた後一カ月を経た場合にその共同行為に対しまする独占禁止法の適用除外を取消す。取消すと言いますか適用除外にしないで適用することにするということで、その点はこの第一項の終りのほうに、第一項の後段に、又は第七項の規定による公示があつた後一カ月を経過したときはこの限りでないという規定があります。それから第八項、第九項は、これはいろいろの手続の関係を規定したのであります。それから第十項は、このカルテルの認可について不服がある利害関係人はその不服を申立てることができるということを規定したものであります。 それから前回に提案いたしました点と変つておりまする点を御説明申上げますと、この第三項以下のカルテルによつて価格協定ができる場合、第三項の後段の「前項の認可を受けて共同行為をした後において、同項に規定する共同行為のみをもつてしては第一項に規定する事態を克服することが著しく困難である場合においては、前項に規定する共同行為と共に対価の決定にかかる共同行為ということで対価の決定の共同行為をできる場合を追加いたしたのであります。 それからいま一つは、二十四条の三の一番最後の十三項となつたと思いますが、この主務大臣の認可に伴いまして、主務大臣が関係業者から報告を求める、或いは報告を求める権能を与えたことがこの前に提案したものと異たつておる点であります。これを追加したのであります。 それから第二十四条の四、これはいわゆる合理化カルテルの場合でありまして、これも大体前回に提案したのと同じことでありまするが、ただ違つている点は、これは第二項に「生産業者等は、前項に規定する場合において、技術若しくは生産品種の制限、」この「生産品種の制限」ということが新らしく加わつておる点であります。前には生産品質の改善とか、制限とかなつておりましたのを、これを品種ということにいたしたのでありまして、これは単に品質のみならず、生産物の種類の制限、言い換えれば、例えば鉄鋼等で申しますと、或る薄板、何ミリの薄板と、例えばいろいろな規格の製品がたくさんあつた場合に、その各業者がおのおのその種類の規格の製品を作つていいという場合に、これを、その種類をおのおのの最も得意とする、生産業者が、得意とするものを作る。そういうふうに品種の配分をする。言い換えれば生産分野の協定とでも申しますか、そういうことができるということに拡張いたしたのであります。ただ生産品種の制限をする場合に、これはあらかじめ、成る特定の人に最も有利な生産品種を片寄せするということは弊害も生じますので、これの、本条の一番終りのほうに共同行為に参加している者相互間において生産品種の制限の内容が異なる場合においては、特定の品種の生産を不当に特定の事業者に集中してはならないという意味のことを加えておるわけでございます。それから、一応特定の場合におきまするカルテルの認容の点について御説明を申上げたのでありますが、この第十三、これは従来の経験及び前記改正に鑑み手続規定及び罰則等に所要の修正を施す。これは前回の提案にはなかつた点でありまして、これは主に改正法の四十六条以下にある点でありまするが、これはいろいろ手続関係或いは事業者団体法をこの法律の中に含めました関係上、従来事業者団体法の中にありました罰則等の規定をこの中に入れたというような関係の改正でありまして、特に御説明を申上げる点はないかと思います。ただここに一点申上げておいたほうがいいと思いますのは、改正法のこの五十四条の終りのほうに「公正取引委員会は、審判手継を経た後、審判開始決定の時までに、前項に規定する行為がなかつたと認める場合及び審判開始決定の時までに同項に規定する行為があり、且つ、既に当該行為がなくなつていると認める場合には、審決をもつて、その旨を明らかにしなければならない。」、これはどういう意味かと申しますと、現行法の審判の規定の作り方が、大体審判をいたしますれば、大体黒になる場合のみを予想して法律の規定ができておつたのであります。審判してみた結果、違反がなかつた、これをどういう審決をするかということは、単に審決を取消すという処置をするほかはなかつたのでありますが、これは明らかに白なら白という審決ができるということ、いま一つは違反があつたが、審決をもうする時分には、その行為がもうすでになくなつておつて、特に排除措置を命ずる必要がないというような場合には、一応違反なら違反という審決をするが、特別に排除措置はしない、こういう審決もできるということにいたしたわけでありまして、これは何に関係があるかと申しますと、やはり違反があつた、ところが審決をする場合には、まあその行為がなくなつているから特に排除措置はしない。そうしてそういう場合に違反なら違反という意味の審決がなければ、その違反によつて損害を受けた人が損害賠償の請求をいたします場合に、公正取引委員会の審決があつた後でなければ損害賠償の訴えが提起できない規定になつておりますので、違反かあつたが、排除措置をしない場合でも違反という審決はあるとか、これによつて損害を受けた人の損害賠償の請求権を不当にまあ拘束する関係になりますので、そういう排除措置の伴わない審決もできるということをはつきりこの五十四条の改正によつて認めたのであります。そのほかは特に申上げることはございませんが、ただ一点この附則の第三項、これはまあ当然のことを、この第三項に言つておりますが、「との法律の施行前に生じた事項については、改正前の私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律及び旧事業団体法の規定を適用する。」というのを受けて、第四項に「この法律の施行の際、公正取引委員会の審決が確定していない事項については、旧法の規定による不正な競争方法であつて、改正後の私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の規定による不公正な取引方法であるものに関する事項を除き、前項の規定にかかわらず、新法を適用する。但し、既に行つた手続の効力を妨げない。」これは新法ができるまでにすでにきまつておることは旧法による。それから審決が確定していないものについては、これは新法による。ただ不公正競争方法が今度不公正な取引方・法ということに直りまして幾らか今度の改正法のほうが幅が広いわけであります、不公正取引方法に関する限りにおいては……。新法を適用するということになれば少し気の毒だということで、旧法から引続いて来た限りにおいてだけ新法を適用する、こういうふうにしたわけで、その拡張した分については適用しない、こういうふうにしたわけであります。 それからこの独占禁止法に直接関係はないのでありまするが、第九項においてこれは蚕糸業法の改正の一項がこの法律の中に加わつておるのであります。これはどういうことかと申しますと、農業協同組合或いはその連合会が繭価協定をする場合の規定でありまして、これは協同組合のほうはお互いに団体的に値段の交渉ができるのでありますが、これは買取り製糸業者のほうはこれを団体的に交渉するということが、今の独占禁止法では許されていない関係上、繭価の決定につきましてまあ非常な不便があるということで、繭価の場合に買取り製糸業者のほうが共同して団体交渉ができると、それに対しては独占禁止法の適用を除外するという意味の規定を入れたわけであります。これは蚕糸業法全体を改訂するには暇もかかる関係上、この関係の規定のみがこの中に入つておるわけでありまして、これは少し異質的なものであります。 そのほかこの附則は大体従来事業者団体法、或いは独禁法の適用除外をいたしておりまする法律において、大体事業者団体法がなくなりました関係上、その条文を整理いたしたいというに過ぎないのであります。 以上甚だ説明はまずくてお聞き苦しかつたと存じますが、一応御説明をこれで終りたいと思います。
○委員長代理(八木幸吉君) 大体公正取引委員会のほうの御説明は終つたようでありますけれども、今の法律案の逐条でも結構でありますし、又その他の一般的の問題でも結構でありますから、何か御質疑がありましたら……。
○松本昇君 今の独禁法の一部改正法案の中で再販売、これはまあ長年小売業者がいろいろな悩みの種でありましたが、まあこの法律が効力を生ずるようになりますと、自然小売業者が非常に助かることだと思つて非常に結構なことだと思います。そこで今業者側の中で問題になつておりますのは、八幡製鉄所あたりで購買組合がある、まあその購買組合が事業場内で事業場の従業員だけに特別に価格を安くするとか、或いは特別な価格で提供される、これは小売業者としては問題ないと思います。関係はあるにいたしましても非常に被害は少い。ただ八幡製鉄所のごときは公然と外へ売場を作つて、そうして一般の市民に相当安い価格で売られることをあすこの小売業者が非常に前から問題にしておるので、今度はこの法律がそれに対しては適用されることになるのでしようか、その点どうなんですか。
○政府委員(湯地謹爾郎君) その点につきましては実はそういう会社の購買会等についても、普通の消費組合のような場合と同じように、この再販売契約の強制を免れたいという要望もあつたのでありまするが、この法律といたしましてはここに列挙しておりまする、言い換えれば法律によつてできた団体であつて而もその構成員の厚生施設に使われるものであつて而も員外利用について相当法律的に制限のある団体だけに限つたのでありまして、従つて今八幡製鉄の購買会のごときについては、この適用を受けるということになるわけであります。
○委員長代理(八木幸吉君) ほかにどなたかございませんか。
○中川以良君 資料を頂きたいのでありますが、今ここに現行法と改正法の対照一覧表を頂いておりますが、それに関連をいたしまして米国と英国と西独の状態はどうなつておるかというのを、この資料に基いて一つ比較表を出して頂きたい。できますか。
○政府委員(湯地謹爾郎君) 実はこの主な事項につきましてイギリスや日本の現行法及び改正法それからアメリカ、それから西独の場合、この三つにつきまして主な事項についての比較表はすでにできておるのであります。ただイギリスの分につきましては事項ごとにちよつと比較が困難なような法制でありますので、イギリス及びカナダの分については大体その法律の概要を附記した表が、実は衆議院のほうで要求がありまして、印刷したのがありますので、それで一つ見て頂きたいと思います。それを提出いたしますから……。
○松本昇君 もう一度ちよつと確めておきたいのですが、先ほどの八幡製鉄所のような場合には、一般に売つておりまするが、若し仮に、急に会社側のほうで改めない場合にはどういうことになるのですか。それは法律がこう改まれば、当然に会社として改めねばならんと思うのですが、改めなかつた場合には……。
○政府委員(湯地謹爾郎君) 実は例えば化粧品なら化粧品について公正取引委員会でその品物を指定する、そうした場合に、そのメーカーなり卸売業者がその八幡の購買会と再販売維持契約を締結をするわけなんですが、これが若し購買会がその契約の締結を拒否した場合、締結をしないという場合には、これは強制力はないわけでありますが、併しその場合に八幡の購買会に対してその品物はまあ送らないということが言えると思いますが、渡さないということは言えると思います。若し今度は再販売維持契約がお互いにできたという場合に、その契約ができたにかかわらず、その購買会がその定価で売らない、売らなかつた場合に、違約金を取るなり、或いは取引を停止するなりすることは、この法律上違反にならないということになります。
○海野三朗君 関連質問……。只今八幡製鉄の購買について、その法律の適用を受けるというお話でありましたが、現在の購買会の状況は、適用を受けるということはどういうことになりましようか、そこを御説明願いたいと思います。
○政府委員(湯地謹爾郎君) これはこういう書き方をいたしておるのであります。再販売価格維持契約が締結された場合に、その契約に基いて行う行為、而もそれは正当な行為ということになつておりますが、その行為については独占禁止法の適用を除外すると、言い換えれば、こういうことだとお考え願つたらいいと思います。そういう契約をして定価売を強制するわけなんです。ところが定価売をしなかつた場合、違約金をとるなり、今後そこへ品物を供給しないということができる。若しこれは適用を除外しなければ、不公正な取引方法として取締の対象になるわけであります。ところが適用を除外するということにいたしました関係上、独禁法の適用を受けない、従つてそういうことはやつても違反にならない、こういうことです。ところがここに並べてございまする生活協同組合だとか各種の団体、この団体については、その強制と申しますか、強制は、言い換えれば何と申したらよいですかな、今のように、仮に維持契約を結んだ場合でも、今のように取引停止をするとか、或いは違約金を徴収するということでは、独禁法の適用を除外するものではないと、言い換えれば、適用を除外するものでない関係上、そういうことをすれば場合によつては独禁法の違反になりますということです。ところがこの対象の中に、いわゆる購買会のような、まあ私的団体と申しますか、そういうものを含めていない関係上、今の適用を受けないと、先ほど申した通りでございます。
○海野三朗君 その場合に、つまり組合員だけでなしに、その品物が町の誰が行つてもそれを売捌いておるというようなのは、この見地から見てどういうことになりましようか。
○政府委員(湯地謹爾郎君) 実はこの考え方は、まあ購買会等がこの維持契約を結んで、而もそれに定価売をしなかつた場合、メーカーなり、卸売業者が、この違反を問うということが、仮にできないというふうになりますれば、同時に一方町の小売業者については維持契約は結んでおりまして、そうしてこれが定価売をしなかつた場合には、違約金をとられるなり、或いは取引停止なりの措置がやられるということが起るわけであります。それでこの般の同じ品物を取扱つている小売業者、言い換えればこの制度は、小売業者に適正な最低の利潤を確保させようというのが一番の狙いであります関係上、一方に安売をして、而も別に制裁も加えていない。片一方は安売をすれば制裁を加えられるということでは、他の小売業者の利益がいわば害されるというふうに考えるわけであります。
○海野三朗君 そのことに対しましては、政府において、何か監督とか、そういうふうな手を打つておられるのでありますか、そういうことをお伺いしたい。そのまま今日までずるずるになつておる。今まで大分問題を引き起したことがあります。そういう際にちつともその手を打つていないように思つておるのでありますが、その監督と言いましようか、そういうことについては、政府当局は如何ようにお考えになつておりますか、この法律に対しまして……。
○政府委員(湯地謹爾郎君) 実は小売業そのものに対しては、直接公正取引委員会は監督しているわけではないのでありますが、まあそういうようないろいろな問題を生ずるという点にも鑑みまして、こういう再販売価格維持契約の制度を認めますれば、メーカーなり、或いは卸売業者のほうでも、それに対する対策も法律的に立ち得るということになつて、幾らかそこの解決に資することになるのじやないかと、こういうふうに考えております。
○中川以良君 私はなお資料を御要求申上げたいのですが、現在各企業別に生産力の集中度に関しまする御調査の資料があると思いますから、それを一つ御提出して頂きたい。それからもうつは、これも只今繊維とかその他鉄綱一等生産制限をやつているものがございますから、そういう現在の生産制限をいたしておりまするものの状況に関しますもの、それからもう一点でありますが、それは只今いろいろ公取から警告を出しておられるのがございます。例えば百貨店の問題とか或いは最近砂糖の生産の問題とかいうのがございますが、ああいう現在警告を出して取上げておられるところの問題になつておるものに対しまする状況、それに関連した資料を一つお出しを願いたいと思います。
○委員長代理(八木幸吉君) 今中川さんの御要求になりました資料の中で、すでにできておるものもあるそうです。今専門員からそのことを……。
○専門員(桑野仁君) 私のほうから公取に要求いたしまして、生産力の集中、それから会社の合併、譲渡、これは資料をすでに頂きました。それからいろいろな産業のそういう実情ですが、これは衆議院の経済安定委員会のほうの資料として作製しておられたものであります。これは内容を見ておりませんが……。今の御要求に入つているものもあれば入つていないものもあります。
○政府委員(湯地謹爾郎君) 生産の集中度の調べにつきましては、実は公取で印刷物で出したものがあるのであります。ただそれが幾らか資料が古い関係上、それも最近の資料を附加えてこれをガリ版にしたのがありますので、それを差上げたいと思います。それから生産制限をしている実情の資料につきまして、これは実は衆議院に出た資料もあるのでありますが、これは実は御承知と思いますが、公正取引委員会の仕事といたしまして、あそこに経済部というのと審査部というのがありまして、そうして経済部というは、一般的に事業会社の状況を、言い換えれば強制力を持たないで調査をしているところであります。それで審査部のほうになりますと、いわゆる検察官のような立場で法律の強制力のある調査権で以て、或いは調査をやる、そうでない、言い換えれば、強制力を持たないで一応調査した意味の生産制限をしているのではないかという意味で調べた資料がございますが、これで一つ代用して頂きたいと思います。
○委員長代理(八木幸吉君) 成るべく早く一つ……。
○豊田雅孝君 いろいろ問題はいずれお尋ねしたいと思うんですが、ただ一つ伺つておきたいと思いますのは、前回の法案になかつた対価協定を今回追加するようになつたそのいきさつを詳細に一度伺つておきたいと思います。率直にその経緯を伺つておきたいと思います。
○政府委員(湯地謹爾郎君) これは二十四条の三のところであります。二十四条の三の第三項の後段の所にございます。これは実は価格協定ということは公正取引委員会といたしましてはいわゆるカルテルの場合は最もシヴイアに考えておるのでありまして、できるだけ而も不況というのは大体が過去の生産過剰が主な原因となつて現われて来るというふうに考えておりまするのでありまして、従つて生産数量の制限或いは販売数量の制限或いは設備の制限ということでまあ十分じやないか、公取としてはそう考えておつたのであります。そうして価格協定の場合はよくよくのことでなければこれは認めるべきでないという方針をとつておるのであります。ただ前回提出したものの中にやはりこの第三項の一部にどうしても技術的理由で生産制限ができないという人があります。例えば副産物的に出て来るものというものについては、どうしても不況対策としては生産制限のみでは十分でないというので、その場合に限り例外的に価格協定を認めるということにいたしたのでありまするが、その後これは前回にもそういう希望は通産省等からあつたのでありまするが、前回ではその程度で出たわけでありまするが、今回再び改正案を提出するに当りまして相当交渉する時間的余裕もありましたし、どうしてもその生産制限等では不況の事態を克服することができなかつた場合にはどうするのかというような意味において価格協定をその場合には認めてもらいたいという要求が実は通産省からあつたのであります。併しこれもこちらは成るべく認めたくはない。向うはどうしても認めてもらいたいと要求がありまして、結局、まあ妥協と申しては言葉が悪いのでありまするが、ここにあります通りそういう生産制限等で十分目的を達することが著しく困難である場合、そうして而も生産制限と共にでなければ価格協定は認めない。価格協定だけは認めない。価格協定だけで生産制限をしないでいいということではどうしても困る。生産制限をしてなお且つそれと併せて価格協定をする場合にこの共同行為は認可によつて認める。併しその場合にここにありまする通り「第一項に規定する事態を克服することが著しく困難である場合において、」云々、而も認定、許可をいたします場合には、公正取引委員会の認定を受けなければならないという関係もありまして、この公正取引委員会は、どちらかと言いますれば独占禁止法を首肯するという観点に立つて認定をすることが多いかと存じますので、この価格協定が濫用されるということは先ずあるまいとこういうことでございます。
○豊田雅孝君 もう一つ、その経緯だけを伺つておきたいと思いますが、再販売価格の維持契約に関連しまして、これは先ほどの御説明でおとり販売が弊害があるという見地から、その規定の挿入が必要であるという御説明だつたのですけれども、然らば協同組合などについても、特別の価格で販売されるということになれば、やはり同じこととなり、これは広い意味でおとり販売的な結果を招来する、その点においては問題は同じだと思う。何故に協同組合についてのみさようなことを認めなければならないか、これについても衆議院の修正意見か何かにあつたようでありますが、その経緯を率直に伺つておきまして、いろいろこれらに関連いたします根本問題を改めて考えてみたいと思います。
○政府委員(湯地謹爾郎君) この再販売契約について生活協同組合等の例外を認める点につきましては、これは衆議院の審議の過程においていろいろこういう要望等もあつた点と、いま一つは同時に厚生省、労働省のほうからも実は要求があつたのであります。併しこちらはやはり先ほどお話のありました通り、おとり販売の弊害或いは小売業者に対して適正な利潤を確保させるという見地から、この制度を認めたのでありまして、従つてこういう法律において員外利用を相当制限されているのであります。団体について例外を認めても、そうでない先ほどありました購買会等のように、員外利用が必ず法的に制限されてないというような団体における場合よりは、小売業者等に対する弊害が少いであろう、又少いと考えまして、そういう員外利用が法的に制限されているという団体についてのみ認めるといたしたわけであります。
○豊田雅孝君 これは弊害が少くともあるにはあるというふうに、公取としてはお認めになるのですか。
○政府委員(湯地謹爾郎君) 適用除外にしない場合に比べて、幾らかそういう点はあろうかと思います。
○豊田雅孝君 改めてあとでお伺いすることにしまして、資料を一つ希望しておきたいと思います。これは中川さんから御要求になりましたのと幾分重複するのがあると思うのですが、従来公取でお取上げになりました案件の経緯と、それから現に取上げられておりますもの、その進行状況、それからこれは御提出があるかどうかわかりませんが、極力出して頂きたいと思うのですが、今後取上げられんとしているもの、これについて資料を頂きたいと思います。
○委員長代理(八木幸吉君) 政府から何か出ますか。
○政府委員(湯地謹爾郎君) 今後取上げる問題については実はむずかしいのではないかと思いますが、ただ先ほどちよつと中川さんのほうから御要求がありました現在生産制限をしているものの調べが一応あります。そうしてこれは取上げる意味において、言い換えれば、先ほど申しました検察官的立場で調べてはおりませんが、或いはそのうちになるかも知れませんので、そういう見地から一つ御判断を願つて頂けばどうかと思います。
○豊田雅孝君 法案を立案せられたときには、大体こういう立案については実際的にはどういうものに適用するだろうかということはほぼ御見当がついているだろうと思うのでありますが、従つて今回の改正の主なるものについては、例えばかくのごときものを考えておるという程度でも結構だと思います。それを出して頂きたいと思います。
○委員長代理(八木幸吉君) 成るべく御趣旨に副うような資料を至急出して頂きたいと思います。
○永井純一郎君 只今の資料の点ですがね。中川さんなりなんかから注文がありましたが、それを実はもう少し受理件数すべてについて項目ぐらいでいいですが、大体説明を簡単に書いて、そうして主なるものについては、例えば紡績、肥料、鉄鋼、それから実際審査をやり或いは審判をやつたものは勿論のことでありますが、それらについては経緯を詳しく書いてというようなふうに種分けしてもらいたいのです。受理件数全部を当つてみないと、実際これを各条文をやつて行くのにわからん。今までの受理件数があなたのほうにありましよう。実際審判に廻したのはそんなたくさんはないと思います。七十だとか八十しかないと思いますが、併し審査したものはたくさんあると思います。特に通産省が間に入つて勧告したような問題については特にその経過が明らかにする必要がある。通産省側の勧告した分などは産業別、これなどけ特に経過を、なぜ勧告に至つたかよく知りたいわけなんです。そういう問題については特に経過と審査した内容とを詳しく説明して出してもらいたい。それでなければただずつと出しただけじや何にもなりませんからね、資料としては。
○政府委員(湯地謹爾郎君) 今のお話で、例えば各官庁が中に入つて干渉をしたということはわかるのでありまするが、各官庁がどういうつもりでそういう警告をしたかどうかということはまあおぼろげながらわかるのでありますが、それは各官庁の意思でやらされたことで、公取のほうでそういう資料がうまくできますかどうか心配せられますが……。
○永井純一郎君 いや、それは各官庁が干渉というか、私は勧告と言つたのですが、それは自分が持つ行政権に基いてやつておるのだと思う。併しあなたのほうの公取としてはその事件を取扱う際に途中に勧告が行われたことに対して、これは審査の途中でそのことが入つて来ているはずだと思う。そうして審査の過程でそういうことがあつたら、その過程をずつと初めからここまで審査しておつたのに勧告が行われた結果、こういうことになつたというようなことがあると思う。それが審判にまでは至つていなくてもそういうふうに説明を書いて欲しいというのです。そういう事件について正直なところ……そうでなければ参考にならないと思う。そういう意味です。
○委員長代理(八木幸吉君) 今の永井委員の御希望に成るべく副うような資料をお出し願います。
○政府委員(湯地謹爾郎君) 作つてみましよう。
○委員長代理(八木幸吉君) ほかに御質疑がございますか……御質疑もないようでありますから、本日の委員会はこの程度で散会いたします。 午後三時十五分散会