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16回国会参議院1953/07/14

外務委員会 第11号

発言数
41
登壇者
7
会派数
4
開催日
1953/07/14

会議録

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) 只今より外務委員会を開きます。  本日の議題は公法掲載の通りであります。先ずマドリツド協定の加入について承認を求めるの件を議題といたします。質疑のあるかたは順次御発言を願います。

羽生三七日本社会党(第四控室・左)

○羽生三七君 昨日もちよつとお尋ねしたのでありますが、この原産地虚偽表示防止を目的として適当な施策を講じて不正競争を防止するということは、もとより異議のないことで賛成でありますが、この協定の内容を見るとぶどう酒とか或いはぶどうという特定の産物が前面に出て来るわけで、そういうことになると、他に一般の協定と言いますか、すべての物資に対する不正競争防止の何らかの取極めが当然あると思いますが、そういうもので満たされないものとして、特殊な協定としてこういうものが出て来ましたのですか、その辺ちよつと事情を承わりたいと思います。

下田武三外務省条約局長

○政府委員(下田武三君) 昨日も申上げました通り、この協定はフランスでございますとか、ポルトガルでございますとか、ぶどう酒の生産国の主唱でできましたものでありまして、ほかの一般の問題につきましては、万国工業商標権連盟条約で商標権の侵害の問題として公訴されるわけであります。従いまして、この工業商標権の一般条約に対する特別条約としてぶどう生産国が、特にぶどうはどこの国でも大体作れるもので、従つて、そのぶどうから酒を作るということもどこの国でもやることであり、とかく名の知れておるシヤンパンとかボルドーという言葉を使いますので、その弊に堪えかねてぶどう生産国が主唱してこの条約を作つたと、そういう特殊な事情があるわけでございます。

羽生三七日本社会党(第四控室・左)

○羽生三七君 大体了解しましたが、そうすると、他の協定で満たされないものがぶどう生産国にあるために、特殊な立法としてこういう協定を提唱して来たと、こう解釈していいのですか。

下田武三外務省条約局長

○政府委員(下田武三君) 無論それらの国々の主目的はそこにあるのでございますが、単に国際条約としてぶどう生産物だけを取上げて、如何に特別の協定であるといたしましてもその問題だけを取上げて条約を作るには余り問題の範囲が狭過ぎますので、この協定の建前は一般に原産地虚偽表示を防止する即ち、ぶどう生産物に限らず一般に虚偽表示を防止するという建前になつております。ただぶどう生産物に特に重きをおいておると見られます点は、昨日も申上げましたように、第四条でぶどう生産物であればたとえその名前が通有性を持つておるといたしましても、各国の裁判所は、あれは通有性を持つておる名称だからいいのだというような判決はしてはいかんという第四条の特別の規定だけについて、ぶどう生産物が特殊の地位を持つておるわけであります。従いまして、ほかの条文はすべての原産地虚偽表示を防止するというのが建前になつております。

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) ほかに質疑はありませんか。

高良とみ緑風会

○高良とみ君 この条約によつて、日本のようなぶどうの生産額がそう多くない国として非常に利益を得ることがあるのでありましようか。  それからもう一つは、これに参加しておらないアメリカなどから各種の飲料品が日本に入つて来ておりまするが、それらの商品のレツテルについては万国工業商標権として保護するものであつて、十分に国内の飲料品の販売の状態は保護され得るのでありましようか、その二つをお伺いしたい。

下田武三外務省条約局長

○政府委員(下田武三君) ぶどう生産物につきましては、日本でも有名な甲州ぶどう酒がありますので、やはり虚偽表示を使うという規定は絶無ではないと思いまするが、併しながらヨーロツパのぶどうの生産国に比べましては、日本のぶどう生産物の保護の重要性ということは比較にならんほど小さいのは事実であろうと思います。  なお、アメリカその他この協定に入つておらない国があるが、そういう国との間の保護はどうなるかと申しますと、これは原産地虚偽表示の防止ということは何もこの条約に限りませんが、例えて申しますと二国間の条約でもごいます。今日御審議願います日米通商航海条約でも、原産地虚偽表防止の規定がございますし、そういう二国間の条約がない場名においても、多くの国の国内法は殆んど例外なしに、税関でそういういつわりの原産地虚偽表示防止を附した貨物を差押えるとか、輸入を禁止するという措置をとつておりますので、たとえこの協定の当事国になつていない国との間におきましても、国内法において或いは二国間の通商条約によりまして防止の手段はたくさんあるわけでございます。

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) ほかに御質疑はございませんか。別に御発言もないようでありますから質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて質疑は終了したものと認めます。これより討論に入ります。御意見のあるかたはそれぞれ賛否を明らかにして御発言を願います。

杉原荒太無所属クラブ

○杉原荒太君 私はこの協定に承認を与えることに賛成いたします。ただここではつきりとさしておきたいことがございます。政府は今回マドリツド協定に加入した後に国会承認の手続をとられました。本件の場合事情参酌すべき点もあることは認めますけれども、本来条約が対外的には確定して効力を発生じてしまつた後に至つて国会の承認を求めるということは、憲法の条章並びにその精神に鑑がみまして妥当を欠くと思いまするので、本件の承認が今後の先例とすべきものではないということをはつきりすべきだという意見でございます。できるならばそのことを委員会の意見としても、はつきりさしておく必要があるという私の見解でございます。

羽生三七日本社会党(第四控室・左)

○羽生三七君 私もこの協定には異議はありませんが、只今の杉原委員の御発言の通り、事後承認というような形が今後の先例にならないという只今の御発言を何らかの形で当委員会でとりまとめて下さるということを前提にして、本件に賛成をいたします。

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) ほかに御発言はございませんか。

高良とみ緑風会

○高良とみ君 私もこの協定を承認することに異議はございません。ただ希望といたしましては、日本その他の国が守るこういう国際的な信義にかかわる条約に対して、アメリカその他未加盟国がやはり入るようにして、各国間にある原産地からの貨物が正しく消費者に保証をもつて示されるように、今後とも外務省及び政府において努力の上進められることを希望いたします。実情から申しますると、いま日本の国内にありまする飲料水その他においてかなり混乱状態がありますので、特にこのことを希望して今後の努力を期待して賛成いたします。

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) ほかに御発言はございませんか。では……別に御発言もないようでありまするから、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) 御異議ないものと認めます。ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) 速記を始めて下さい。  それでは採決に入ります。千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にヘーグで、及び千九百三十四年六月二日にロンドンで修正された貨物の原産地虚偽表示の防止に関する千八百九十一年四月十四日のマドリツド協定への加入について承認を求めるの件を採決いたします。本件を承認することに賛成のかたの挙手を求めます。    〔賛成者 挙手〕

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) 全会一致であります。よつて本件は承認すべきものと決定せられました。  次に只今討論中に杉原、羽生両委員より動議として提出されました附帯決議を採決いたします。本件について杉原、羽生両委員提出に係る附帯決議を行うことに賛成のかたの挙手を求めます。    〔賛成者 挙手〕

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) 多数と認めます。

草葉隆圓自由党

○草葉隆圓君 その趣旨が私にはつきりしておらない。そこで採決が済みましてから、私どもが採決のあとにこれを一つ、十分御検討頂きたい。そこで趣旨によつては賛成しまするし、趣旨によつては反対せざるを得ない。私はこれは政治的に考えての附帯決議であるならば賛成しても結構である。ところがそうではなしに、立法的な法律論から言うたらこれは憲法と違つて来る。附帯決議は憲法の七十三条に、内閣の行為といたしまして条約の締結権を内閣に与えております。ただその場合に事後又は事前に国会の承認を受くべしとある。そうすると、若しこの附帯決議が今後は事後はいかないぞ、事前じやないといかないぞとなるならば、憲法の条項とは違反する行為をあえて委員会がするという問題になる。従つて私はそうではなしに今後の外交上は努めて政府は時間等を考えながら、事前にやるように努力をせよという意味なら、これは賛成しても私は何にも異議はありませんが、今後一切これは前例にしないぞ、今後の条約は全部事前じやないといかないぞとなると、憲法に明記してある考えとは違つて来る。これを承わつてないとこの採決は無意義じやないかと思う。

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) 今の草葉委員の御発言は草葉委員が採決に加わらなかつた、つまり不賛成であつたというそのモチーフの御説明であろうと思います。というのは、先ほど採決に入つて差支えないかということについて、私は草葉委員にはそうはつきりは申しませんでしたけれども、その意味でちよつと時間をおいて採決に入つたのでありますが、その際には草葉委員から御反対がなかつたので今採決に入り、且つ又多数の挙手があつたのであります。それに対して草葉委員から、今自分のとられた態度に対する説明として、付言されたのだろうと、こう思います。採決は採決としてもはやこれは適法に成立したものと認めざるを得ないのでありますが、草葉委員の今の御説明は、これは勿論会議録には載りまするが、採決のあとで又ここで意見の交換をするということも残されておると思いまするけれども、採決はすでに済んだものと私としては認めざるを得ないのでありますからして、どうぞ御了承をお願いしたいと思います。

羽生三七日本社会党(第四控室・左)

○羽生三七君 先ほど御提案になつた杉原委員に何かお考えがあつたらこの際承わつて、それから御協議願つたら如何でございましようか。

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) 採決はすでにもはやすんだものとしまして、ここにはつきりそのことを会議録にとどめる必要があると思うのでございまするが、そのあとで……。  それでは先ほどの挙手に従いまして本件に対しまする附帯決議はここに可決せられたものと認めます。   速記をとめて下さい。    午後三時十九分速記中止    —————・—————    午後一二時四十一分速記開始

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) 速記を始めて下さい。なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条によつてあらかじめ多数意見者の承認を経なければなりませんが、これは慣例により委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) 御異議ないものと認めます。それから本院規則第七十二条により、委員長が議院に提出する報告書には多数意見者の署名を附することになつておりまするから、本件を可とされたかたは順次御署名をお願いします。  多数意見者署名      加藤シヅエ  杉原 荒太      羽生 三七   鶴見 祐輔      徳川 頼貞   高良 とみ      古池 信三   草葉 隆圓      中田 吉雄   佐多 忠隆   —————————————

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) 次に、国の援助等を必要とする帰国者に関する領事官の職務等に関する法律案を議題といたします。質疑のあるかたの御発言を願います。

羽生三七日本社会党(第四控室・左)

○羽生三七君 この法律の内容に該当するような事例が最近何かありましたら一つお聞かせ願いたいと思います。

大江晃外務大臣官房長

○政府委員(大江晃君) 平和条約が発効いたしましてから今日までにこういう事案の例といたしましては、昭和二十七年に退官をいたしました日本人七名がシンガポールに保護されております。これが困窮いたしまして旅費が出せないということで、当時の日本におりまする英連邦の代表部から日本政府に対して送還方の請求がございまして外務省から経費を出しまして送還をいたしました。  その後中共から香港に引上げました親子三名が、香港で船持ちの間に金がなくなりましてどうしても帰れないというので、これも同様な措置をとりましたが、この場合は一時香港政庁で滞在費を立替えてございましたので、後刻政府がこれを弁済いたしました。  それからヨーロツパにおきましては、終戦前から長くずつと向うに滞在しておりました日本人の一人が精神病者になりましてドイツで、病院に入つた。これに対しましてたまたま日本に参りましたドイツのお坊さんからこういう人がおるという通知がございまして、留守宅その他身寄りもそれを帰すだけの負担能力がないということで政府から旅費を送金いたしまして帰国さした例がございます。  これは最近でございまするが、スペインに興行に多分行つた人だと思いますが、それがうまく行きませんので帰る旅費に困りましてスペインの大使館がら連絡がございまして、これも政府の費用で帰しました。  又フランスにおきましては、やはり長く向うに行つておつた連中で四名ばかり生活の糧が十分でない、フランス政府に迷惑をかけるというような者が四名ございまして、これもいずれも政府の費用で帰しました。  それから最近日本の漁船で海難いたしまして、インドに漂流して、これも金がないというわけで政府の費用で送還した者が二十三名ございます。これが大体沖縄の出身者のものでございます。  今まで判明いたしました例は大体以上のようなものでございますが、だんだん海外の渡航者も殖えましてこの種の該当者がふえて参るのではないか、こう考えております。

杉原荒太無所属クラブ

○杉原荒太君 この法案の一番おしまいのほうに領事官の職務に関する法律を廃止するとあるのですが、あれは全部一掃的に廃止してしまつて支障ないようにほかの各事項について今までの法律で賄えるようになつておりますか。

大江晃外務大臣官房長

○政府委員(大江晃君) お説のように大体領事官の職務に関する法律は、中国におきまする領事裁判の事項が非常に多いのでございまして、これが現在のところすでに実際の必要がなくなつておりますので、ほかには大体新らしい法律ですでにカバーいたしておりますもので、実体的に必要のないものだけ残つておりまするから一括廃止することになりました。

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) ほかに御発言ございませんか。

高良とみ緑風会

○高良とみ君 各国ともこういう問題があると思うのでありますが、これは国際的な赤十字或いは更にほかの法律との関係がどうなつているかを伺いたいのでありますが、と申しまするのは、各国ともこういう法律を持つているだろうと思いますが、それを或る程度まで国際赤十字等が世話をしてくれる、そうしてあとでこれを国が償還するというふうな形が行われるかどうか。

大江晃外務大臣官房長

○政府委員(大江晃君) 各国の例につきまして詳細な資料はないのでございますが、大体今日までの国際慣行といたしまして、その国におりまする外国人に強制退去を命ずる、送還をさせてほしいという場合には、その外国人のとどまつている国の政府といたしましては、送還費用を負担いたしておらないのでございまして、これはみんな被送還者の国がその国の法律によつてこれを受持つということになつております。又お話の国際赤十字の場合は、戦時その他のときにいろいろ面倒をみるということでありまして、平時におきましては、只今申上げたように被送還者の所属国の政府が大体負担いたしております。ただ特殊の或るケースとして、或る国が特別に自分のほうでも金を出して送つてやるというような場合は、これは勿論あるわけでございます。

高良とみ緑風会

○高良とみ君 例えば先ほど御説明のあつた海離後インドに救済された船員、或いは香港に来て船待ちをしておつたというような場合には、まだ講和が発効しない前であればこれは準戦時状態だと思うのでありますが、そういう場合に好意を以て支払つてくれたわけと了承しますが、あとの香港などの場合は、帰還させられたほうの人は別にそういう運命になるとは思わなかつたのですけれども、このことはしばしば訴えを聞くのですが、来るべきはずの船が一週間、二週間も待つても来ない、そのために金を使つてしまつたという場合もあるので、最近はそこに日本の外交機関ができておりまするからいいようなものの、そういう場合にやはり香港の或いは英国の代理機関がこれをよく世話をしてくれると期待していいのでありますか、これは国際問題になると思いますけれども。

大江晃外務大臣官房長

○政府委員(大江晃君) お話の場合は多分領事館なり大使館なりがない所だろうと思うのでありますが、この場合に日本との国交状態と申しまするか、国交関係の如何ということが政治的の面から多少いろいろ差はあると思うのでありますが、原則としては、そういう場合にそこの国の政府の援助ということは期待できる。そうしてそれに対して日本政府は将来これを支払うということになると思います。

高良とみ緑風会

○高良とみ君 了承いたしました。  もう一つ、送還費は全部本人又はその扶養義務者が支払うことになつておるのでありますが、それがどうしてもできない場合には、やはり生活保護法等に転換させるわけに行くのでしようかどうでしまうか。

大江晃外務大臣官房長

○政府委員(大江晃君) これは最後にどうしても本人が払えないという場合には、第七条で規定いたしておりまするように貸付金債権或いはすえ置貸債権といたしまして、国の法律によつて結局国がこれを最後は負担することになるわけであります。

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) ほかに御発言ございませんか。……質疑は尽きたようでありまするからして質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) それでは本案に対する質疑は終局したものと認めます。   —————————————

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) 次に、在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑のあるかたは順次御発言を願います。……別に御発言はございませんか。別に御発言がないように見えますので、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤尚武緑風会

○委員長(佐藤尚武君) それでは本件に対する質疑は終局したものと認めます。  以上両件に対する討論採決は次回に譲ることにいたします。本日はこれにて散会いたします。    午後四時一分散会

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