外務委員会 第9号
- 発言数
- 48 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1953/07/10
会議録
○委員長(佐藤尚武君) 只今より外務委員会を開きます。議題は公報掲載の通りであります。 先ず国際小麦協定を修正更新する協定の受諾について承認を求めるの件を議題といたします。政府委員として外務政務次官小滝彬君、外務省条約局長下田武三君、外務省欧米局長土屋隼君並びに説明員といたしましては外務省経済局次長小田部謙一君、食糧庁業務第二部長寺田庄次郎君、これらの方々が出席されております。質疑のある方は順次御発言をお願いします。 別に賀疑はおありでございませんか。……質疑も尽きたようでありまするから、質疑は終了したものと認めます。これより討論に入ります。御意見のある方はそれぞれ賛否を明らかにしてお述べ願います。
○羽生三七君 只今議題になつておる国際小麦協定に関しては、我々としては希望を付して原案に賛成しようと思うのであります。 その希望というのは、先ほど農林委員会からも、当委員会、特に委員長宛二、三の点に関連して申入れがあつたようでありますが、それとも若干関係することでありますが、御承知のように、この日本の食糧輸入は、年額千数百億に達する我が国の外貨支払の中の一番多額を占めるものであるし、且つ又食糧の問題の重要性の上に、この問題についての対策の万遺憾なきことを期するのは、これは当り前のことだと思うのであります。而も本年は非常に災害等もありまして、本年の食糧需給上種々問題もあると考えますので、これらの点を勘案して、十分食糧需給上の対策を確立されることを第一に希望いたします。 次にこの協定に加入して、外国からの小麦を買入れる場合、その価格をやはり仔細に検討して良品を安価で入れるような対策を講ぜられることは、これは又緊要は要務であることは申すまでもありません。特に我々は、単に協定に参加しておる国のみに限定することなく、協定以外の国についても、十分市場等の勘案に最善の配慮をされることを希望するわけであります。特にまあソ連関係等についても、これは別段その思想には関係のないことで、全くビジネス・イズ・ビジネスという立場に立つわけでありますが、そういう点から我々はソ連の小麦の価格等については全く今のところ不明でありますけれども、併しイギリス等の動きを見るならば、若干これに対して我々に示唆するものがあると考えますので、小麦の供給源についてはこれ又十分配慮されることを希望するわけであります。なおこの食糧の国際価格はいま米については非常に差額がまだありまして、特に我が国が割高になつておることは言うまでもありませんが、小麦については若干我が国の買入価格と国際価格との開きがなくなつて参りましたのみならず、場合によつては逆さやの傾向すらありますので、この場合外国輸入小麦によつて、日本の農業経済に与える影響を或る程度遮断するような処置も、一面において講ぜられることを希望いたします。併し又同時に国際価格が割安になつて来た場合に、我が国の買入価格はいつまでも割高であつていいということのみを我々は言うのではないのでありまして、その場合には飽くまでも日本の農業生産物の生産コストが十分合理的に引合うような、生産費の低下ということを十分考慮する必要があると思います。ほかの一般産業においていわゆる合理化問題が取上げられておりますけれども、農業については増産を先決にすることはもとよりでありますが、同時に国際価格の競争に対応できるような、我が国農業生産の基礎的な条件を作り上げるように、十分な財政的その他技術上の配慮が行われなければならないと思うのであります。以上のような点を政府が特にこれは食糧庁の関係でありますけれども十分配慮されまして、この外国輸入の小麦について、我が国の国内産麦、或いは食糧自給上の問題等万般を勘案して、遺憾なき対策を期せられることを希望いたしまして、本案を原案通り可決することに賛成いたします。
○加藤シヅエ君 私は国際小麦協定を修正更新する協定につきましては、三つの附帯条項を付しまして賛成いたすものでございます。 その附帯条項は先ず国内の小麦生産者の意欲を減退せしめないように、政府は十分な考慮を払うこと。 第二に国内の小麦価格の不当な値下りを来さないように配慮すること。これがために農産物価格安定法を早急に制定するように考慮されたいこと。 第三番目に米国の小麦の過剰生産を解決する手段としてのみこれが利用されないように、十分な注意を払われたいこと。 以上の三つの項目を希望条件として付しまして賛成をいたすものでございます。
○委員長(佐藤尚武君) ほかに御発言はございませんか。……別に御発言もないようでありますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(佐藤尚武君) 御異議ないものと認めます。それではこれより採決に入ります。 国際小麦協定を修正更新する協定の受諾について承認を求める件を採決いたします。国際小麦協定を修正更新する協定の受諾について承認を与えることに賛成の方の挙手を求めます。 〔賛成者挙手〕
○委員長(佐藤尚武君) 全会一致でございます。よつて本件は承認すべきものと決定いたしました。 なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条によつて、あらかじめ多数意見者の承認を得なければなりませんが、これは慣例により委員長に御一任願いたいと存じます。御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(佐藤尚武君) 御異議ないものと認めます。 それから本院規則第七十二条により、委員長が議院に提出する報告書につき、多数意見者の署名を付することになつておりまするから、本案を可とせられる方は順次御署名を願います。 多数意見者署名 徳川 頼貞 古池 信三 草葉 隆圓 中田 吉雄 佐多 忠隆 高良 とみ 加藤シヅエ 羽生 三七 小滝 彬
○委員長(佐藤尚武君) なお先ほど羽生委員の討論の中にも引用されましたが、参議院農林委員会から、国際小麦協定を修正更新する協定の受諾について承認を求めるの件に関する申入れといたしまして、本日付を以て外務委員長佐藤宛文書が参りました。これは先ほど各位のお手許に差上げた通りでございまするが、議事録の中にこの全文を掲載することにいたします。御了承をお願いいたします。 —————————————
○委員長(佐藤尚武君) 続いて、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にへーグで、及び千九百三十四年六月二日にロンドンで修正された貨物の原産地虚偽表示の防止に関する千八百九十一年四月十四日のマドリツド協定への加入について承認を求めるの件、並びに、戦争犠牲者の保護に関する千九百四十九年八月十二日のジユネーヴ諸条約への加入について承認を求めるの件、更に、日本国とフランスとの間の文化協定の批准について承認を求めるの件、以上三案を一括して議題といたします。政府の提案理由及び内容を概略御説明頂きます。
○政府委員(小滝彬君) 只今議題となりました、原産地虚偽表示の防止に関するマドリツド協定への加入について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 この協定は、千八百九十一年六月十四日にマドリツドで最初に成立し、その後三回修正され今日に至つています。今回我が国が加入いたしますロンドンで最後に修正されたマドリツド協定は、千九百三十八年八月一日に効力を生じ、現在その締約国は、十六に上つています。 この協定は、締約国の一又はその中にある場所を原産地として虚偽に表示した生産物をその輸入に際して差押え、輸入を禁止し又は国内において差押える等の措置によつて不正競争を防止することを目的としたものであります。即ち、この協定は、すでに公私の貿易及び通商において国際的に承認された公正な慣行を取入れたものにほかならないのでありまして、我が国がこの協定に加入することは、我が国の国際信用を高め、国際通商における我が国の地位を向上せしめるゆえんであると存ずるのであります。 我が国は、一昨年九月八日にサン・フランシスコにおいて平和条約の署名に際し、平和条約の最初の効力発生の後一年以内にこの協定に加入する意思を宣言しておりますので、政府は、この協定を第十五特別国会に提出し、加入について承認を求めたのでありますが、審議半ばにして衆議院が解散されました。従つて右加入について事前に国会の承認を得ることができませんでしたので、政府の責任において、平和条約附属宣言の期間内にこの協定への加入の手続をとり、国会に対しましては憲法第七十三条第三号但書の規定に従いまして、事後にその御承認を求めることとした次第であります。 右の事情を了承せられ、慎重御審議の上本件につきまして速かに御承認あらんことを希望いたします。 次に議題となりました、戦争犠牲者の保護に関する千九百四十九年八月十二日のジユネーヴ諸条約、即ち、(一)戦地にある軍隊の傷者及び病者の状態の改善に関する条約、(二)海上にある軍隊の傷者、病者及び難船者の状態の改善に関する条約、(三)捕虜の待遇に関する条約並びに(四)戦時における文民の保護に関する条約への加入について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 これらの条約は、第二次大戦の経験にも鑑がみまして、赤十字国際会議が行なつた研究を基礎として、千九百四十九年四月二十一日から同年八月十二日までジユネーヴで開催された外交会議において作成されたものでありまして、千九百五十年十月二十一日に効力を生じ、その締約国は、本年四月二十日現在で、二十三箇国に上つています。 これらの条約の目的は、戦争又はその他の武力紛争の場合におきまして、戦争犠牲者、即ち傷者、病者、難船者、捕虜及び文民を戦争の危険から保護し、以て戦争の惨禍を国際的協力によつてできる限り軽減しようとすることにあるのであります。我が国が本件諸条約に加入することは、不幸にして国際紛争が発生した場合、我が国民の保護に資し、且つ積極的に国際的人道主義の立場から他国の戦争犠牲者の保護のための活動を容易ならしめるゆえんであると存ずるのであります。 我が国は、一昨年九月八日にサン・フランシスコにおいて平和条約の最初の効力発生の後一年以内にこれらの条約に加入する意思を宣言しておりますので、政府は、これらの条約への加入について事前に国会の承認を求めるため第十五特別国会に提出する準備を進めていたのでありますが、これらの条約を国会に提出する直前に衆議院が解散されました。従つて、右加入について事前に国会の承認を得ることができませんでしたので、政府の責任において、平和条約附属宣言の期間内にこれらの条約への加入の手続をとり、国会に対しましては、憲法第七十三条第三号但書の規定に従つて、事後にその御承認を求めることとした次第であります。 右の事情を了承せられ、慎重御審議の上、本件についても速かに御承認あんことを希望いたします。 次に、日本国とフランスとの間の文化協定の批准について承認を求めるの件について提案理由を御説明いたします。 政府は、昨年八月フランス政府より文化協定締結方の提議に接しましたが、先方では、日本が戦後最初に結ぶ文化協定を是非日仏間のものとしてもらいたいとの熱心な態度を示し、我が方ももとよりこれに異存がありませんので、積極的にこの申出に応ずることとし、昨年十月から東京で具体的交渉を行なつて参りましたところ、本年五月両国政府の間に意見の一致を見るに至つたのであります。よつて五月十二日、外務大臣と在京フランス大使との間において、この文化協定の署名調印を了した次第であります。 この協定は、申上げるまでもなく、我が国とフランスとの間に伝統的に存在しております密接な文化関係を今後も維持すると同時にいよいよ緊密化することを目的といたしております。この協定を実施いたしをますと、両国間の文化交流を通じて日仏両国民間の相互理解は従前にも増して深められ、延いて両国間の政治的友好関係の増進に資すべきことを信じて疑いません。又、現にヨーロツパ文化の中心地たるフランスを通じて、間接に欧州諸国に対する日本文化紹介の機会を増進するの効果も期待できることと存じます。 よつてここにこの協定の批准について御承認を求める次第であります。何とぞ慎重御審議の上本件につきまてしも速かに御承認あらんことを希望いたします。
○政府委員(下田武三君) それでは私から極く簡単に三種の条約の内容の御説明を申上げます。 只今政務次官が申されましたように、この三つのうち初めの二つ、つまりマドリツド協定とジユネーヴ諸条約は、平和条約との関係がございまして、平和発効後一年以内に加入しなければならないということで、すでに加入の手続をとりまして事後に御承認を求めておるものでございます。これに反しまして第三の日仏間の文化協定は、つい最近署名いたしました全然新らしい条約でございます。 先ず第一の原産地虚偽表示の防止に関するマドリツド協定でありますが、これはどういうことを目的としたかと申しますと、御承知のように特許権でございますとか、商標権でありますとか、工業所有権の保護のためには万国工業所有権保護同盟条約というものがございます。ところがその条約の保護による商標権の保護だけで不十分だとする国々がございまして、それはどういう国々かと申しますとフランスでございますとか、ポルトガルでありますとか、ぶどうの生産物を出しておる国でございますが、これがどうもシヤンパンとかポルトーとかいう自国産の名称の酒を他国で偽つてシヤンパン、ポルトーとか称して自国の本物のシヤンパン、ポルトーが非常に不利な影響をこうむるというようなところからこの虚偽表示の防止を非常に主張いたしまして、工業所有権の一般条約と別個に特別の条約の締結を主唱いたしました結果でき上つたものでございます。 この協定の内容は大体二つの部分に分れておりまするが、一つはそういう嘘のレツテルをはつたものが入つて来たらどうするかというその取締の趣旨であります。これは税関が入つて来るときに差押える、或いは税関で気がつかないでも国内でそれを見つけられたときには、それを差押えるとかいうような取締措置を規定しております。 第二はこの原産地虚偽表示の防止に関するものでありまして、これが商標権の保護と違う広範な範囲の問題を含んでおるのでありますが、例えばレストランにおいでになりましてワイン・リストというものがございます。そのワインリストは公衆をまどわさせるような表示をしてはいかん、或いは広告看板等に偽りがあつてもいかんという、そういう現実に嘘のレツテルをはつた商品の取締だけでなくて、広告だとか看板とかワインリストに嘘を記載することを取締る、それを押えて防止しようという二つの面があるのでございます。 第一の協定の御説明はそれだけにいたしまして、第二のジユネーヴ諸条約でございますが、これはそれぞれ昔からのいろいろな試みがありまして、又条約としても昔から存したものでございます。このジユネーヴ諸条約の第一は、戦地における傷者、病者の状態改善に関する条約と申しますか、これは同種の条約が一九二九年にできたものがございまして、これは我が国も参加しておつたのであります。又海上における傷者、病者の状態改善に関する条約、これは前には違う名前で赤十字条約の原則を海戦に応用ずる条約と称して日本も入つておつた条約であります。それから捕虜の待遇に関する条約はこれも同じ名前の一九二九年の条約がございます。これは我が国は署名はしておつたのでありまするが、帝国陸海軍軍人は絶対に捕虜にならんというような旧我が国軍の建前から批准いたさなかつたものであります。併しながら我が国にはよく知られた条約であります。全然新らしいのは、新らしいと申しますか、独立をした条約として新らしくできましたのは、第四の文民の保護に関する条約でありまするが、これは実は前にありました陸戦の法規慣例に関する条約、それの中味を拾つて参りまして、詳細に規定したものに過ぎないのであります。でございまするから、別にこの四つの条約は我が国に全然目新らしいものは何一つないのでございます。 ただ前の条約と多少変つたところがあるのでございまするが、どういうところが変つておるかと申しますと、これら条約の適用の場合を非常に拡げまして、つまり戦争に限りません、宣戦布告がなくても現実に敵対行為があれば、やはりこういう傷者、病者とか、文民は保護されなくちやならないというので、そういう場合もこの条約を適用する。又占領された場合、たとえその占領軍に対する抵抗がなくても、おとなしい国を占領した場合でも文民、傷者、病者等を厚く保護しなくちやいかん、そういうように条約の適用をされる場合が拡張されております。なお細かい相違はいろいろございまするが、大体前との大きな差違はそれだけでございますので、いずれ内容の詳細につきましては御審議の際に御質問に応じて御説明したいと存じます。 最後の日仏文化協定でございますが、これは先ほど政務次官が申されましたように、フランス側が実はイニシアチヴをとつて参つたのでありますが、戦後日本と最初に文化協定を締結する国はフランスにしてくれと、他の国はとにかく、文化の分野においてはフランスが一番先に結ばしてくれという非常に熱心な主張がありまして、我が方も伝統的な日仏間の文化関係に鑑がみまして喜んでこれに応じまして、交渉為も何ら困難がなくすらすらと運びまして、この協定が締結されたわけでございます。この協定でどういうことをやろうかということは第一条に書いてあることだけでございます。第一条にいろいろなことが書いてございまするが、これはいずれお読み下さればわかることであると存じます。内容の中で取立てて申上げることも格別ないのでありまするが、この協定の附属書に日仏文化機関が挙げてございます。実は日本にあるフランスの文化機関の方がフランスにある日本の文化機関よりも多いのでありまして、御承知の通り東京には日仏会館、日仏学院という二つの文化機関がございます。関西に参りますと、京都に関西日仏学館というのもあります。フランスにある日本の文化機関といたしましては、薩摩さんの御寄附によつて創立いたしましたパリのシテ・ユニヴエルシテールにある日本会館というのがございます。勿論これらの既存の文化機関をこの協定でもとり上げまして、更に必要があるならば他の機関の設立というようなことも考えております。又ちよつとも色の変つておる内容といたしましては、日仏両国に大学がありまして大学の卒業者、日本の学校を出た卒業資格を持つておる者は、フランスに参りましてもその卒業資格を認めていろいろな便宜を図ることを一つ研究して行こうじやないかというような規定もございます。最後にこの協定の実施を容易ならしめるために、東京とパリに日仏混合委員会というものを一つずつ設置して常時相談して行つて両国民の文化交流を図つて参ろう、そういう仕組も考えられております。 甚だ簡単でございまするが概要の御説明はこれだけにいたさせて頂きます。
○委員長(佐藤尚武君) 今議題に供せられました三件についての質疑は如何いたしましようか。このまま続行されますか、又次回にお延ばしになりますか、質疑の用意がおありでしたら……。
○羽生三七君 次回にお願いいたします。私どもの方の他の委員の諸君はそういうふうに希望されておりましたから……。
○委員長(佐藤尚武君) 質疑は次回に延ばすことにいたしまして御異議ございませんか。……それではそういうようにいたします。 —————————————
○委員長(佐藤尚武君) なおその次に議題となつておりますのはMSAに関する件でありまするが、実は外務大臣の都合は先ほど来ずつと大臣はつまつておりまして、目下は予算委員会に入つておられるそうであります。従つて当委員会に出席するのは暫らく遅れるという見込みでありますので……。
○羽生三七君 遅れるのも例えば何十分とか、わかつておればですが、わからなければ私どものほうの希望としては、参議院の予算委員会の始まる前、できれば月曜あたりというのが私どもの関係している委員の諸君の御都合でありますが、併し時間がありましたならば外務政務次官がおられるようですから若干お聞きしたいことがあるのです。
○高良とみ君 外務大臣が遅れられるようなら政務次官がおられますので、こちらから通告しておきましたことについて、なお伺つてよければこれは捕虜の保護に関する法案と多少関係がありますので伺いたいと思います。一般質問……。
○委員長(佐藤尚武君) それでは羽生、高良両委員から外務大臣の出席がなくても政務次官がおられるので若干質疑をしたい、こういうことでありまするからして、ではMSAに関する質疑をするごとにいたします。そこで外務大臣に対しては月曜日ということにいたしましようか。
○羽生三七君 その辺は、日取りの点は、例えば本会議とかち合つてまずければ、参議院の予算委員会の開かれる前適当な時期ということでお委せいたします。
○高良とみ君 私の質問はむしろMSAというより、前の、先ほど御提出になつた三法案の関連事項かと思いますので、この一般質問は後にお廻しになつたと思いますが、私としては、ちよつと先ほど通告しておきましたが、特にソ連地区における抑留同胞の件について外務省の方針を政務次官から伺えましたら、こう思います。
○委員長(佐藤尚武君) 外務大臣に対する質問は今のお話のように、来週参議院の予算委員会が始まる前適当な時期を見計らつて大臣の出席を求めて、そうしてMSAに対する質問をするこういうことにしたいと思います。
○羽生三七君 高良さんのは相当時間もかかるんじやないかと思うんです。私のほうは簡単ですから、先にMSAに関連して政務次官にお伺したいと思います。よろしうございますか。
○委員長(佐藤尚武君) 衆議院の外務委員会から須磨彌吉郎君の緊急質問で小瀧政務次官を要求しているそうでありますが、しばらくのことならば……。
○羽生三七君 お尋ねしたいことは、今日の新聞にアメリカの上院の歳出委員会の聴聞会で、ダレス氏の証言として、日本政府は保安隊を十箇師団に増強することを目標としており、この点を考慮して新予算を組んでいる、こういうことが言われておるのであります。これは政府としてはどういうふうにお考えになつているでしようか。
○政府委員(小滝彬君) ダレス長官の言明につきましては、私どももこのUPの通信で見たばかりでございまして、まだ何らの公電にも接しておりません。目下ワシントンの大使館へ電報で照会いたしているような次第でございます。
○羽生三七君 勿論多分そうではあろうと思うんですが、ここで問題になることは、この前の本会議或いは当委員会で、各委員諸氏からアメリカと日本との本問題に対する解釈が相当異なつたものであるということが指摘されているわけでありますが、恐らく日本の政府でも昭和二十八年度予算に十箇師団を想定して予算を組んであるということは、これは常識上我々としても考えんわけじやないんですが、併し向うとしては、我が日本の今の保安隊の装備と申しますか、或いは自衛力漸増というものを陸軍と想定してそうしてそこから十箇師団というような言葉が生れて来る。従つてそれはアメリカから回答がなくてももう明らかにアメリカとしてはMSA問題、或いは日本の保安隊等に対する解釈は日本の保安隊を陸軍として想定しているという、こういうことが、こういうような報道からもいよいよ明瞭になつて来たように考えますが、これは如何でございますか。
○政府委員(小滝彬君) 自衛力の増強ということは私どもも常に考えているところでありますが、保安隊はあくまでも国内の治安維持のためであるという立場には全然我々のほうには変りはないわけであります。このダレスの言つているところでも、この報道について正しいとすれば日本国土の防衛、ホーム・デイフエンスというような意味であろうと思いますが、治安だけに使用されるものだということを前置きしている点を見ましても、非常に大きな解釈の差があるのではないか。ただ便宜師団というような言葉を使つたかも知れませんが、どういう趣旨で十箇師団ということを言つたか知れませんが、その前に書いているところを見ましても、いろいろな解釈、見方の差があるのじやないかとも考えられるというように私はこれを読んだのであります。その保安隊は純粋に防衛的なもので、日本本土の防衛及び治安だけに使用されるという言葉を使つている点であります。
○羽生三七君 いずれこの点は次回に、外務大臣御出席になつたときにお伺いしたいと思いますから、本日はこれで引取りたいと思います。
○高良とみ君 私は伺いたいのは、今回のジユネーブ条約の捕虜或いは文民の保護、病人の保護というような協定は、国が戦争及び戦争類似の場合国民を保護する、而も国際的にというような趣旨に了承しますが、してみると、端的に申上げますが、日本の国民にして戦争犠牲者となつております人たち、特に戦犯として外国に残留しております人に対して政府がやはり責任を持つ意思を持つておられるか、第一それを伺いたい、簡単なことでございますが。
○政府委員(小滝彬君) 私どももできるだけこの戦犯の減刑、釈放されるということにつきましては努力いたして来たつもりであります。これまで幸いにフイリピンであるとかフランス、又濠州、尤も減刑はしてくれなかつたのでありますが、マヌスにいるのをこちらに帰してくれるというようになつて、だんだん好意的態度を示しているようでありますので、今後とも努力し、殊にこうしたいい例も三カ国にもあるのでありますから、関係各国へできるだけの手を伸ばして政府として戦犯の釈放又減刑ということに力をいたしたいと考えております。
○高良とみ君 未だ日本と国交調整をしない国として、まあインドネシア、ビルマ、フィリピンもございまするけれども、特に中国及びソ連には相当数の戦犯が残つておりますることは国際放送等によつて明らかなことでありますが、これに対しまして、ほかのことは別としましても、国の名においてこれを調整するための僅かなる努力でもなすつたことがあるかどうか、伺いたい。
○政府委員(小滝彬君) 御承知のように只今国交関係がないので非常に不便でありまするけれども、国連の俘虜特別委員会などを通じて向うから帰つて来れない人たちを早く帰してもらうように手段を尽したつもりであります。又近くこの特別委員会が開かれるはずでありまするから、その際には再びこの問題を提起してできるだけ早く不幸なこれらの方々が帰つて来られるように最善を尽したいというふうに政府のほうでは考えている次第でございます。
○高良とみ君 国連には日本はまだ未加入でありまして、オブザーバーとして入つており、その幾つかの下部機関にはWH○その他には入つておりますが、そういう間接な方法をとらずして直接に国交調整の意思がおありになるかどうかということ、現に未調整の国とも貿易は行われ得るのでありますし、又昨日かなんかの衆議院における答弁によりますと、水産に関しても成るべく隣国との調整をしたい御意思のようでありますが、特に私の申上げたいのは、戦犯釈放に関し、特に刑期の終つた国民が他国の領域内におりまするのに対しまして、これを幾らでも国の名において、政府の名において努力をなさる意思があるかないか、伺いたいと思います。
○政府委員(小滝彬君) 政府としてはあらゆる手段を尽してこうした人たちが釈放せられるように努力をしなければならない。事実そうした努力を続けたつもりでありますが、何分直接の国交がない。そこで先ほど申しましたように、国連を通じてこれらの人が帰られるようにやつたのでありますが、今後適当な機会がありまするならば、それは人道上の大問題でありますので、そうした政治上の見解の相違というようなものを離れまして手段を尽したいと、こういうふうに考えておるわけであります。
○高良とみ君 いろいろな国が戦犯を大分祖国に帰しておりますが、そういう場合に機会というものをこちらが作る努力をなさる意思があるかないかということを伺いたいのです。こちらから自分たちの国民がかような不幸なことにおいて向うの国境内にあるのだが、これについて実情を知らせてもらいたいとか、或いはこれの帰還のことについて幾らでも努力をやつて行こうという意思がおありになるか、それはまつぴら御免だという意思であるか、それを伺いたい。
○政府委員(小滝彬君) 私どもとしては勿論積極的なそうした調査もし、そうしてこちらからそうした申出もしたいということを考えておるわけであります。
○高良とみ君 そういう意思がおありになるということならば大変結構だと思うのでありますが、終戦後たまたま運悪くして酷寒の地或いは非常に僻陬の地に行きまして、それに対して戦争の跡始末を付ける国の名において未だそういう証拠を拝見しておらないのでありますが、それだけの誠意がおありになりますならば、文書或いは使いを以て政府みずから同胞の救出に御尽力になる意思はないのでしようか。
○政府委員(小滝彬君) これは相手のあることでありまして、こちらからいろいろ照会したのに対してまだ返事が来ないというような関係もありますので、これが一概にこちらの怠慢というのでなしに、これまで国連などを通じて向うへ聞いてもらつたのがそれに対するはつきりした応答がないというような事情もありますので、その点も御了承を願いたいと存じます。
○高良とみ君 間接でなく、じかに文書或いはラジオを通してソヴイエト政府に対してお呼びかけになつた実績があるのですか。
○政府委員(小滝彬君) そういう措置をとつたことは今までございません。
○高良とみ君 それができない理由はどこにあります。
○政府委員(小滝彬君) 例えば中共にいたしましても、日本は国連軍と協力しておる、併し中共は国連軍と戦つておるというような関係もありまするし、ソ連にいたしましても、俘虜の数でも向うで公表したものとこちらで考えておるものとは非常に大きな開きがある。こういうような関係でありまして、相手がこれまでの呼びかけに対して、たとえ間接でありとは言え、それに対して誠意ある態度を示してくれたならば、或いは直接呼びかけることも効果があるかも知れませんが、これまでのところでは先方がそうした呼びかけに応じてくれるような様子が見えなかつたのは事実であるというように私どもは考えておるわけであります。併しこれは重大な問題でありまするからして、今後ともあらゆる方法を以てこの戦犯者の引揚、又向うで戦犯であるかないかは問わず、日本に帰れないで残つておる八が引揚げて来れるような方向に努力をする手段を尽すという考えにおいては我々ちつとも変るところはないのであります。
○高良とみ君 衆議院の本会議における五月二十九日の岡崎外務大臣の言明でありますが、都合によつては人民管理のような方式でもいいというようなお話でありますが、これはいささかソヴイエトと中国では様子が違うように私どもは承知いたしておりますので、やはり責任が国にある限り、国において直接にこれに呼びかけて行かれる努力、私どもはその効果を期待してもう一遍御尽力願いたいと思うのであります。 更に第二段としては国際赤十字連盟というものがありまして、これにソ連も入つておりまするので、これを通してやりなさるということもいいでありましようが、今までのような国連を通して、而もそれの正式メンパーでない日本がそういうふうに間接に行くところに問題解決に非常に時間がかかつていると思われます。どうか、残つている者は日本の同胞でありまするので、もう一段の努力を政府が責任をおとりになることに躊躇はないと思うのでありますが、躊躇があるならお聞かせ願いたい。
○政府委員(小滝彬君) 占領中には最高司令官を通じて申入れをしたこともありまするし、又占領中戦後に先ほど言及せられました赤十字を通じてもこういう資料を出しましたけれども何ら反響がないというような事情もありますので、私どもは最善を尽したいがなかなか向うが応じてくれなかつたという事情をお含みの上、政府の今後の施策を鞭撻願いたいと考えます。
○高良とみ君 もう一つ二つ、それは最近のスターリン死亡後マレンコフの方針が変つているやに見える点もあるのでありまするし、その他ヨーロツパ諸国の浮虜、戦犯をも大分釈放解放しているというニュースが入つておりまするので、たえずこういう事情及び気候の変りました際にもう一段の御尽力を願いたいと思うのであります。季節のあることでありまするからこの機を逸しますならば又冬が来て老いたる者は死んで行くのであります。もう一度御尽力をこの気候の変化と共になさる意思はないかどうか、これを伺いたい。
○政府委員(小滝彬君) 今後ソ連の政策或いは措置がどういうように動くかということは私どももまだはつきりつかめませんけれども、ソ連でそういう態度に出て来るということになれば、勿論我々としては万全を尽してそうした人は帰してくれるように努力いたしたいと考えております。
○高良とみ君 希望いたしまして私の質問は終ります。
○委員長(佐藤尚武君) それでは本日はこの外務委員会を散会いたします。 午後三時十一分散会