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第16回国会衆議院1953/07/25

労働委員会公聴会 第3号

発言数
12 件
登壇者
7 名
会派数
1
開催日
1953/07/25

会議録

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 これより労働委員会公聴会を開会いたします。  この際公述人の皆さんに、私より委員会を代表いたしまして、一言ごあいさつを申し上げます。  本日は公私御多忙のところ、わざわざ御出席をいただきまして、厚くお礼を申し上げます。本日、御意見を聴取いたします公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案及び地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案につきましては、ただいま当委員会に、おきまして審議中でありますが、何分にも重要な法案でありますので、本日公聴会を開会いたしまして皆様の腹蔵なき御意見を拝聴いたすこととした次第であります。  なお、審議の都合もありますので、はなはだ恐縮でございますが、御意見の公述は大体十五分ぐらいでお述べになりますようお願いをしておきます。  この際お諮りいたしますが、本日出席予定の公述人の横川正市君及び占部秀男君より、それぞれ衆議院規則第八十五条により、代理人森孝保君及び橋田正武君をして意見を述べさせるとの申出がございましたが、これを許すに御異議がございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 御異議がなければ、さよう決定いたします。  それでは森孝保君より意見をお述べ願います。

森孝保全逓信従業員組合中央執行委員

○森公述人代理 全逓信従業員組合に所属いたします森孝保でございます。  今回、公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案及び地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案につきまして、意見を申し上げるわけでございますが、冒頭申し上げたいところの第一点は、たとえばストライキ制限法などの衆議院における成立、こういう状態、あるいはもろもろの労働関係に対する非常に大きな制約が課せられつつあることを、私どもが考えます場合におきまして、不当に労働基本権が圧迫されつつある現在の日本の状態の中において画期的な公労法の改正という問題が、当委員会におきまして審議されておりますことにつきましては、絶大なる敬意と感謝の意を表するものであります。  まず全体的に申しまして私ども公共企業体等労働関係法を——以下公労法と略して意見を述べたいと思いますが——総体的に私どもはこの改正案をぜひ通過させていただきたい、こう考えておるわけでございますが、多少不満なり疑義を持つておるものであります。その第一点は、この公労法は、実質的には占領中にできました軍令ともいうべきものではないかと考えておるわけでありまして、臨時の法律である。こういう観点から、基本的にはこの法律を廃棄してもらつて、労働関係の法律体系としては、国家公務員あるいは地方公務員あるいは一般の民間の勤労者という区別なしに、一本の法体系の中に処理していただきたい、こういう希望を持つておるわけでございます。  それからそれと関連いたしまして、非現業関係の公務員につきましても、今回の改正においては全然触れられておらないわけでございますけれども、これらの方々が団体交渉をするということと、国民に対するサービスを全然怠るものではないということとの関係から、非現業関係の国家公務員についても、この際労働関係について改善をしていただきたいという二点の問題があるわけでございますが、諸情勢などから考えまして、この公労法の中で、このような改正が行われるということは、やむを得ないことでもあるし、今回取扱われない非現業関係の国家公務員につきましても、別の機会に、早急にこの点の御善処をお願いしたいと思うわけでございます。  従つて全面的に、この公労法の改正につきましては賛成でございますが、具体的に意見を述べますと、まずこの法律で提案されております争議権の復活でございます。もともと国家公務員あるいは公社の従業員は、終戦以来争議権が認められておりまして、一般民間の労働条件と同じように、労働基本権は憲法に従つて尊重されておつたわけでございます。ところが、これを否認するいろいろの理由として、国家公務員は、憲法十五条にいう国民全体の奉仕者である、あるいは国家公務員法の九十六条にいう公共の利益のために勤務するものであつて職務の遂行にあたつては全力をあげてこれに専念しなければならないという国家公務員の性格から、労働基本権は制約せらるべきであるということが言われておるわけでございますけれども、私どもは、その意見には全面的に反対でございます。これを卑近な例をあげて御説明いたします。郵政省においては、郵便物の取集めや配達などを、一部の民間の会社に請負わせております。そういつたところの従業員の諸君は、ストライキ権が十分認められ保護されておるわけでございまして同じ配達、取集めの仕事をしておる、国家公務員という身分を持つておる労働者の私どもは、ストライキができないというわけでございます。例ば国鉄、私鉄の関係も同じでございます。教員の場合を例にとりましても、国立、公立の関係の諸君は争議権を否認せられ、民間の私立の教員の方々は争議権がある。こういう矛盾が出て来るわけであります。林野の例をとりましても、あるいは印刷局の従業員の例をとりましても、まつたく内容の同じ職務を遂行しておりながら、一方は争議権が認められず、一方は自由である。これが結局因由するところは、先ほどから申しましたような点からの相違だそうでございますけれども、私どもが考えます場合、国家公務員が全体の奉仕者であるということと、あるいは仕事に専念しなければならないということは、身分関係の基本的なことを定めたものでありまして、労使関係に、あるいは労働問題にそのことをすぐ当てはめて、憲法が、一方において認めておる労働基本権を、かような理由で制限するのは不当であるし、またそれを認めたからといつて、主張されるような点の危惧は全然起らない、こう考えるのでございます。諸外国においても、公務員の労働関係を規定する、たとえば公労法に準じたような法律のある国は、オランダ、スエーデン、南阿連邦の三国だけだそうでございます。イギリスなどにおいても、労働基本権は完全に認められていると聞いているわけでございます。従いまして公務員に対して民間労働者と同じように基本的に争議権を認めるというこの改正案には、大賛成でございまして、労調法の中の緊急調整、あるいは十日間の争議の予告制度、これをとることは冒頭申し上げましたように、論議が多くかわされている現段階においては、まことにやむを得ない点であろうと考えるわけでございます。  この際、この関係でぜひ具申しておきたいことは、現在の公労法の中における労使関係において、公労法以外の会計制度、あるいは行政組織のあり方などから、いろいろな制約があります。従いまして、一般的な常識上は、当然そうあるべきであるという団体交渉の中の結論が、そういつた政府側あるいは企業体側のいろいろな制約のために、実現せられない場合が多々あるわけでありまして、私ども労働関係の一方の当事者としては、たといストライキの制限があるにしても、不当な、しかもストライキ権を奪われた側のいろいろな保障が、完全に法律通り実施されない場合には、ストライキでも敢行して、その実現をぜひはかるべきである。また公労法あるいは国家公務員法などによつて制限せられているストライキ権が、その制限にかわるべき人事院の制度なり、公労法の中の仲裁制度が完全に政府から否認せられるということは、これは結局ストライキをやつてもいいという逆の論法も出て来るという考えを、いつも持つわけでございます。どのように、法律の中でストライキがいけないということで禁止されましても、やむにやまれない情勢が現われました場合は、そういう事態の起ることもやむを得ない場合が多いのでございまして、いかに法律の中で争議権を禁止いたしましても、実態からは絶対それを払拭するわけには行かないという労使関係の柔軟性といいますか、そういうものをおくみとりくださいまして、提案されております争議権の復活については、ぜひ実現するよう御努力をお願いしたいと思うわけでございます。  次に問題となる点は、十六条の予算上、資金上不可能な資金の支出についての関係でございます。この関係につきましては、三十五条の削除と関係するわけでございまして、この点につきましてはほかの方からの詳述もあろうかと思いますが、公労法の生命は、この予算上、資金上不可能な資金の支出を内容とする調停なり、仲裁裁定の取扱いにあると思うわけでございます。過去の例を見ますと、政府のかつてな解釈によりまして仲裁裁定が実施されなかつたり、あるいは当事者の一方を企業体側が予算上の制約によつて既定予算のわく内だけの団体交渉の能力がないかのように運営されております。しかも運営せざるを得ないような、いろいろの法規上の不便があるわけでございまして、それについても、別個の機会にぜひ改善を加えるような措置を講じていただきたいと思うのでございますが、改正されようとしております点の実現を、ぜひとも希望するわけでございます。特にそういう調停あるいは裁定が出た場合、それを忠実に政府の方は履行するという建前で国会の御審議を願い、こういう義務をぜひ政府の方に負わせていただきたい、かように考えるわけでございます。  次に、公労法の四十条で五者の現業公務員につきましては、国家公務員法の適用を一部分排除しておるわけでございます。これは公労法の八条に団体交渉事項が明記されておりますが、それの関係する部分の条項だけを五者の現業の国家公務員には適用しないという建前で、八条に明記されております団体交渉をフルにやらせる、こういう建前でございます。     〔委員長退席、山花委員長代理着席〕 ところが、これをしさいに検討し、過去の私たち七箇月の団体交渉の中から考えてみますと、建前は国家公務員法が適用される部分は身分関係だけであり、労働条件に関する公労法第八条に掲げてある問題にはこの条項は適用しない、こういう建前でございますけれども、いろいろこの団体交渉事項等を明記されてありながら、国家公務員法の適用をなお排除されておらないために、団体交渉上非常に不都合を生じておるわけであります。従いまして、時間の関係もありますので、簡単に具体的に申し上げますと、たとえば勤務評定制度でございます。公労法八条には、昇職、降職、転職、こういつたものの基準は団体交渉事項であると、明確に規定してあるわけでございますけれども、これの運用について重大な要素を持つ勤務評定制度などにこれが適用されておるわけでございまして、それが昇職あるいは降職、転職、こういうものに関連する部分につきましては、いささか不備な点があるわけでございます。そのほか、述べますと、いろいろの不備の適用漏れの条項があるわけでございまして、改正案の中にありますように、現業の公務員を全部特別職ということにして、国家公務員法の適用を全部はずしてしまい、身分関係以外の問題は、一切を労使双方の団体交渉の中で解決して行こうという方向、特別職であるというために特別の身分関係の法律を別個にりくつてこれを取扱うという方向につきましては、現在における公共企業体等労働関係法の中における労使関係から見ますと、まつたく当を得た措置だと考えるわけでございます。従いまして特別職にし、身分関係についても相当の考慮を払われるよう、私どもは考えておるわけでございますが、身分関係以外の労働条件に関しましては、すべてを団体交渉の中で労使が自主的に決定して行く、こういう方向にはまつたく同感でございますので、ぜひ実現方をお願いするものであります。  最後に、もう一点触れたいことは、この団体交渉事項をいろいろ列挙してありますが、管理運営事項が現行の法律の中では除外されておるわけであります。抽象的に、管理運営事項が団体交渉の中で処理されてはいけないじやないかという論拠につきましては、私どももあえて全面的に反対するものではございませんけれども——たとえば郵便局をどこに設置するあるいは駅をどこに開く、こういうことについて、こういう問題が団体交渉の中で解決さるべき問題かどうかということについては、組合としてはそうだという意見を持つておるわけではございませんけれども、ただこれから考えていただきたいことは、たとえば郵便物を民間の会社に請負わせる、こういう計画は管理運営事項である、こういう主張がなされるわけでございますが、その結果といたしまして、今までその仕事をしておつた人が配置転換をしなければならない、あるいはその職がなくなるのでやめなければならない。こういうふうに、すぐ従業員の身分、労働条件に関する問題が派生するわけでございまして、ただ管理運営事項であるから、これが絶対に団体交渉事項ではないという処理が、労使関係の中において行われておる現状につきましては、大きな不満を持つておるわけでございまして、このような趣旨におきましても第八条の改正案に賛成する次第でございます。  以上をもちまして、公共企業体等労働関係法についての意見を終るわけでございます。

山花秀雄日本社会党(左)

○山花委員長代理 次に橋田正武君より意見をお述べ願います。

橋田正武全国自治団体労働組合協議会書記長

○橋田公述人代理 私は全国自治団体労働組合協議会の橋田でございます。まず最初に、全国自治団体労働組合の業務の内容はいかなるものであるかということを申し上げたいと思います。  それはいわゆる地方自治体の行政事務を担当いたしまして、地方住民の福祉の増進のために、一般の業務を行つておるという形になつておりますけれども、実際には、具体的の面を見ますならば、いわゆる清掃事業とかあるいは土木事業とか、その他上水道、下水道というように、実に民間の労働者と何らかわりのないような実態が行われておるわけでございます。そこで一応、昨年の八月におきまして、わが組合の委員長が西欧に旅をしたわけでございます。そのときの西欧の公務員組合の実態を申し上げたいと思います。  まずイギリスにおきましては、いわゆる地方公務員法というようなもの、あるいは地公労関係の法規というものは、まつたくございません。従つて一般の労働組合と同様に、労働三権というものは保障されておるわけでございます。だから、必然としてストライキ権も生じて来るという形になつております。さらにドイツにおきましては——これは西ドイツでございますけれども、ドイツにおきましては、警察官が労働会館の中に労働組合の事務所を持ち、ストライキ権を持つておるというような状態になつておるわけでございます。このことは同じように敗戦国であるドイツとわが日本を比較いたしてみまして実に大きな懸隔があるということを感ずる次第でございます。  もう一つは、国学院大学の北岡教授のお話によりますれば、アメリカにおきましても、州の従業員につきましては、やはりストライキを禁止するというような法律その他身分を拘束するような法律は、ほとんどないということを言われております。従つてその実態というものは、労働組合の代表者と州の代表者との間に、正式の団体交渉というものが持たれて交渉が進められておるという形になつております。  今申し上げた三つの国の状態につきましては、しからば具体的にストライキ権を行使してどしどしやつておるのかということになりますと、事実はそれに反しております。と申しますのは、ストライキ権を有する、有しないについては、具体的に団体交渉においてきめておるわけでございます。団体交渉において労働協約を締結してその中にストライキ権を持たないという条項がうたわれておるところもあります。それは、ストライキ権を持たないかわりに、いわゆる正式の団体交渉権というものがありまして、ストライキを実際に行わなくても、ストライキを行つた以上の効力を団体協約の中で発生しておるという形になつておるわけでございます。  そこで、私は具体的に現在の地方公企労法関係の問題について、意見を申し上げたいと思うわけでございます。  まず第一に、現行の法律の規定というものは、非常にわれわれの基本的人権並びに労働三権を束縛いたしまして、いわゆる憲法違反のおそれというものが多分に見られるわけでございます。その具体的例を申し上げますと、先ほどから申しました通りに、第十一条の争議行為の禁止条項並びに十二条の争議行為を行つた場合の罰則規定というのが問題になつて参ります。これはスト禁止法の問題のときにも、相当論議されましたことく、公共の福祉という名のもとにこの問題が出ておるということは、事実でございます。われわれ労働組合側が考えた場合に、いわゆる公共の公というのは、何であるかという問題になります。公共の公というのは、いわゆる国民大衆をいうのであつて、国民大衆には基本的人権が認められておるから、公共の福祉の名のもとにストライキ権あるいはその他の身分の拘束を行い、労働三権を剥奪するということにつきましては、明らかに基本的人権を蹂躪するものであるという考え方を持つておるわけでございます。しからば基本的人権を蹂躪するということは、いわゆる一方の側に非常に不利益を生ぜしめ、一方の側に利益を生ぜしめるということになります。その一方は非常に少い資本家側の人たちでありまして一番困るのは一番多い労働者側にあるわけでございます。そこでこういう問題が具体的に提示されました場合に、明らかに公共の福祉という名のもとに基本的人権を束縛しておるという観点から、これは憲法に認められた基本的人権そのものを拘束しておるという形のものが結論づけられると思うわけでございます。さらにこのような制限につきましては、先ほど申し上げました通りに、諸外国の例と比較いたしまして、明らかに矛盾があるわけでございます。それはストライキを、争議行為を禁止すること自体が、今までの問題と現在の問題とを見まして、非常に危険性があるという想定のもとに、争議行為の禁止がなされておるわけでございます。ところが現実には、現実的にも、かつ具体的にも、争議行為を行つて地方の住民に対してはなはだしく危険を生ぜしめるというような忌まわしい事実というものは、まつたく現在までに行われていないわけでございます。そこで私は、ここに書かれておりますところの、改正案に出されておりますところの争議行為の禁止条項の削除につきましては、全面的に賛成いたしたいと思うわけございます。  さらに、もう一つにつきましては、いわゆる自治体の中には、全繊同盟という組合がありますように、それと同じような業種を担当しておるところがあります。実例を上げますと、ある県には繭検定所というものがあります。繭検定所におきましては、紡績工場と同じ仕事を、同じような形で、同じような給料をもらつてやつておるわけでございます。ところが、一方におきましては明らかに労働三権が適用されて、一方には地方公務員法あるいは公企労法の形において束縛されておる、こういうような矛盾が非常にたくなん出ておるわけでございます。これらの具体的な実例をここで申し上げる余裕はございませんけれども、このようにして、同じような労働者が、別個な形で法によつて拘束されておるということにつきましても、どうしても、われわれとしては納得できない問題であります。  そこで、若干条項の問題について具体的に申し上げますと、当面全国自治団体労働組合としては、いわゆる単純労務者——地方公務員法の附則によつて除外されました単純労務者の問題が、一番大きな重要問題となつておるわけでございます。なぜならば、たとえば単純労務者は、現在の法律では、横割現業という形になつております。従つて一つの現業庁の中においても、その現業庁自体が、いわゆる地方公企労法の適用になるのではなくして、その下の下級職員の部分のみが、横割という形で地方公企労法の適用を受けておるわけでございます。ところが、それを公企労法の適用の組合と比較しますと、全林野あるいは全逓あるいは電通のように、一つの縦割の現業で来ておるわけでございます。しからば地方自治体においても、清掃局とかあるいは清掃局以外の小さな局がたくさんありますが、そういう部面においても、明らかに全林野、電通、全逓のような形で、一本の現業庁という縦割現業にいたしまして、それを地方公企労法の適用下に収めるのが当然な原則と考えております。この点については、改正法案の中にもうたわれておりませんけれども、われわれとしては、あくまでこの点について反対せざるを得ない状況にあるわけであります。  それから、現行法の第十条にあります予算上、資金上不可能な支出を内容とする協約の問題でございます。これは実際に労使対等の立場において自主的に円満な協約を結びましても、それが予算上、資金上支出が不可能であるという原則のもとに、効力を発生しないということにつきましては、労使の自主的な解決をはかるという、いわゆる労働立法の原則に反するものであります。このような点につきましては、一応改正案の中にも若干出ておりますので、納得できるわけでございますけれども、もつと明瞭にしていただきたい、かように考えておるのであります。  それから団体交渉の範囲につきましては、先ほども申された通りでございますけれども、いわゆる管理運営にはタツチできないという現行法であります。しかし管理運営というものの範囲は、いかなるものであるかと申しますと、実に微に入り細に入り、その判定がむずかしいような現状にあります。清掃局におきましても、実際に現場に従事する職員が、管理運営の面にも口を出さなければ、その業務の民主的な推進ができないというような実例も多々あるわけでございます。こういう点におきまして、管理運営という問題につきましても、団体交渉の範囲に当然入れらるべきが至当であると考えております。  さらに、現行法の第五条には、現在オープン・シヨツプ制が採用されております。これにつきましては、われわれといたしましては、ユニオン・シヨツプ制をとつていただきたいというように考えておるわけでございます。そこでそれに付随しまして利益代表者、つまり組合と理事者側との範囲をいかに決定するかという問題でございます。この問題につきましては、いわゆる労働組合法第二条の規定によりまして、人事権とかあるいは管理運営の上層部にタツチする者につきましては、明らかに利益者といたしまして、理事者側とする必要がありますけれども、その点の問題につきましても、自主的にはかるというよりも、労働組合法の規定によつて準用していただきたいというように考えておるわけでございます。  具体的に意見を申し上げるならば、個々の問題について、たくさんあるわけでございますけれども、現在の国会の情勢あるいは社会の情勢というものを考慮いたしましてわれわれ組合といたしましては、この改正案についても不満な点は多々あつて、原則としては労働三法を完全適用していただきたいけれども、現在の情勢においては、この改正案でやむなしという考え方を持つております。どうか御審議されるにあたりましても、よろしく通過さしていただくようにお願いしたいと思います。  なお争議権の復活については特によろしくお願いしたいということを申し加えまして、私の公述を終りたいと思います。

山花秀雄日本社会党(左)

○山花委員長代理 次は野々山公述人より意見をお述べを願います。

野々山一三中央執行委員

○野々山公述人 私は国鉄労働組合中央執行委員をいたしております野々山一三でございます。ただいまから、今本院に提案をされております公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案について、意見を申し述べたいと思います。  公共企業体等労働関係法が、一体どういう姿の中で生れて来たかということにつきましては、すでに皆さん方御承知の通りであります。一言に言つて、戦時中における占領政策の申し子であつた、こういうふうに言うことができると思うのであります。ことに政令二百一号から出発をし、国家公務員法に発展をし、公共企業体等労働関係法に移行して行つた状態の中で、ひとり私ども労働組合の者のみならず、多くの学識経験者は、この法律をつかまえて、憲法に違反するのではないかと心配をいたしたことは、御承知の通りであります。今日この憲法違反の疑いを持つ公共企業体等労働関係法が、占領が解除をされて日本が一人前の国際的国内的なつき合いができる状態の中で、しかも議員各位の提案によりまして、憲法を守り、正しい法治国家の法律秩序を確立しようという熱意と努力に対して、ひとり労働組合の役員のみならず、国民という立場から、深甚なる敬意と謝意を表し、かつ心から本案が通過をいたしますことを希望をいたすのであります。私は特に実務家の立場から、今までの公共企業体等労働関係法が一体どんな役割を果し、どんなことをして来たかということを御参考に申し上げ、今提案をされておりますものの内容について原則的に賛成の意を表する次第であります。  第一は、団結権に関する問題であります。公労法第二条を見てみますと、公共企業体等の労働組合に加入をする者は、二箇月以上の雇用契約を持ち、しかも公共企業体等の職員でなければならぬときめられておるのであります。本来、労働組合の団結権のみならず、憲法十八条でいつております自由権に属する結社の自由も、すべてはきわめて広汎にして自由な自主な意思によつて結成をさるべきものである、こういうふうに憲法は指導しておるものと思うのであります。公共企業体等労働関係法の中で、組合を結成する者を規制をするといつたことは、すでにその趣旨にはずれておるのではないかと思うのであります。さらに役員の身分に関する件にいたしましても、職員でなければならぬ、こういうようにいつておることについても、団結権、自由権を制限しておるものではないだろうか、こういうふうに思うのであります。ことに国鉄の中で見てみましても、解雇あるいは組合加入というような場合に、それぞれ現実的にきわめて深刻な争いが起つて来る。その争いを通して、実は憲法二十八条にいつております団結権を経営権が侵害するというような危険性も起つて来ることは、ここに法二条、四条を通じての問題であります。さらに問題としなければならぬのは、オープン・シヨツプ制を法律は強制しておること、こういうようにいわなければならぬと思います。ぜひともこの点を問題にしなければならぬ、こういうように思うのであります。  さらに第六条では、労組法に定める規定を備えなければ、この法律にいうところの権利を行使することができないといつて、労働組合法第五条から比較してみますと、労働組合法第五条では、手続に参与することを排除しておるのみでありますが、公労法の場合には権利を制限しておる。一体それでは、その関係の労働者の個々の労働条件、団結し、行動する権利を制限するのか。もしそうであるとすれば、これまた憲法二十八条の本旨にもとるものになるきらいがあるのであります。  さらに第七条の組合事務専従者の規定もそうであります。専従者は役員でなければならぬといつておるのでありまして、組合運営に直接法が関与をしておる顕著な例といわなければならぬと思うのであります。  第八条は団体交渉の範囲について問題にしておりますが、これは実は三つの問題を提供するのであります。法が規定をしておる条件は、制限列挙と見る考え方例示列挙と見る考え方と、さらにこれにおいかぶさりまして、管理運営に参加してはならないという規定のために、実は労使直接の関係者の中では、窓口できわめて深刻な議論をするというような、労働関係法が予想上なかつたような事態が今日起つておることを見のがしてもらいたくないのであります。  さらに第九条、第十条の交渉単位制の問題であります。本法が提案をされた二十三年当時の論議といたしましては、公共企業体等労働関係法の中で、交渉単位制をとることによつて、組合の運営がスムーズに、しかも経費がかからないで、しかも労働者本来の団結という方向にさらに一歩前進をはかることができる規定であるから、これをぜひとも入れるべきだと提案をされておつたように記憶いたしますが、今日この規定が、実は労働関係者、労使双方にきわめて無理な現実が起りかけておるのであります。さらに労働組合が団結するのみならず、分裂をして行く。そのために、経営者といえどもむだな時間を使わなければならぬ、むだな労働関係行政というものを行わなければならぬといつたような現実が起つておるのであります。  さらに十六条と三十五条の関係では、すでに議員各位は御承知の通りと思うのでありますが、公労法が施行以来、完全に仲裁裁定が十六条によつて履行された事実はございません。争議権を禁止するといつた当時の規定のつくり方の論理といたしましては、公共の福祉を維持推進するために、国ないしは国の全額出資をしておる企業体等の従業員の労働関係については、争議権を禁止して、仲裁制度によつて完全に生存権、労働権を保障して行くんだ、こういう論議がされたものと記憶をいたしておるのでありますが、実際にはこの十六条の規定が実は誤つて使われ、そのために仲裁裁定も実施をされない、しいて言えば労働権を一方において制限をし、一方において生存権を侵害をするという役目を果しておつたといわなければならぬことは、きわめて遺憾であります。しかしながら、これらの点についても今回問題にされておることについて、私どもは敬意を表するものであります。  十七条と十八条の関係を見てみますと、この法律では作業所閉鎖といわゆるストライキを禁止しておる。そうしてこれを行つた者については解雇することができる、こういう処分の規定をつけておるのでありますが、一体先ほども申し上げましたように、十六条と三十五条の関係で生れて参ります仲裁制度、少くとも労働者が信頼をし期待をしておる仲裁制度が、実際に生きて使われていないために、生存権が侵害されるのみならず、ストライキ権は禁止されておる。一体法益権衡があり得るか、労使平等の原則があり得るか、この点にも多大の疑問を持つし、これは正常な労働関係をつくり上げるといつた気持からはずれ、法の趣旨からはずれて、きわめてラジカルなセンチメンタリズムの労働関係が生れて来る。これは実際問題として先生各位も御承知の通りであります。こういう宿命的な場面に労働者が追い込まれて行くといつたことは、法が最もきらつておるものと私は見るのであります。  さらに、先般改正になりました不当労働行為制度の問題に目を移しますと、一歩前進をいたしまして、不当労働行為制度は採用をされました。しかしこれまたまだ不十分ではないかと思うのであります。それは労働組合法第七条の但書が排除されておることと、現行法の三十六条によりまして、不当労働行為制度が採用されてもし不当労働行為が行われた場合には、仲裁委員会が取消しの指示または命令をすることができるといつた言いつぱなしの規定のきらいがするのであります。この点のために、不当労働行為制度を本法において採用されましたが、実際に活用がきわめてむずかしい。もつと積極的な言い方をすれば、団結権を保護育成をしようとする憲法二十八条の精神が、不完全な不当労働行為仲裁制度の採用によりまして、完全に実施がされない。従つて、団結権が侵害をされるといつたような形が生れて来ておるのであります。  以上が今日まで公労法全体を通しまして私ども実務家が扱つて参りました経過として申し上げたい基盤の点であります。  さて今回提案をされております公労法全体について、一体どういうふうに考えるのか、こういうことについて答えを出したいと思うのでありますが、私は最初に申し上げましたように、本法の改正案の内容全体については賛意を表するのである。一刻も早く当然のルールに帰つていただきたい、憲法が指向しております精神にもどつてもらいたいという意味で、早くその方向に進めていただきたいとお願いをするのである。しかしながら本法の内容を見てみますと、三、四の点で問題としなければならぬ点があることを遺憾に思います。ぜひとも審議の中で私どもの意見を採択していただきたいとお願いを申し上げるのである。それは第七条の規定である。特に第七条の二項でありまして「前項の一定数は、あらかじめ公共企業体等と組合とが協議して定めるものとし、」とあるが、一体専従者というものは何か。平たくいえば組合役員である。そのものを公共企業体等と組合とで協議をしてきめるということは、どういうことになるのか。役員の指定について、経営者が発言権を持つということになるのである。もつと積極的な言い方をすれば、実は不当労働行為の疑いがある規定を法の中へ入れることになつてしまう、こういうふうに思うのである。労働組合法のベースで論じていただくことを、ぜひお願いしたいと思うのである。  第二点は、団体交渉の範囲であります。現状からいたしまして、団体交渉の範囲を一般的に規定をすることについては、私どもも了解をいたしますが、第八条の五号の中で「専従職員に関する事項及び組合活動中公共企業体等との交渉を必要とする事項」をしいて入れて行くことは、直接組合の専従者に関係すること、組合活動に関係することを団体交渉の対象事項として義務ずけることは、ややもすると管理者がそれを通して労働組合の運営、あるいは役員の指名について介入、干渉をする。労働組合法第七条第三号の規定の趣旨に反することになるのでありましてこの点はぜひともはずしていただくことが妥当だと思うのである。  次に第十六条の点であります。一歩の前進として私は了解をいたすのでありますが、特に第三項の中で「第一項の協定は、当該協定に記載された日附の属する会計年度内又は翌年度内において、予算上履行可能となつたときは、その限度において、当該協定に記載された日附にさかのぼつて効力を生ずるものとする。」——この規定を見ますと、実は仲裁裁定そのものが、労調法に示しております仲裁裁定、もつと積極的にいえば、ILOの内陸運輸委員会の決議、国際労働条約のいかなる趣旨においても、労働協約ないしは公正な機関が裁定をした仲裁裁定というものは、法律手続、両当事者間において協約と同等の趣旨において履行されなければならぬといつた趣旨に反するような気がするのである。もつと具体的にいえば、仲裁裁定の施行期限に条件がついておる。従つて有効期限がきめられておつて、しかも保留条件があつてそして裁定が議会の裁量によつてきめられるとすれば、公正な行政機関であります公共企業体等労働委員会の下しました最終的決定であります仲裁裁定が、両面から制限をされる。実施時期の方で制限をされ、最終的に裁定の実施効力においてしりが抜けておる。この点では、やはりまだまだ不完全であつて、多少問題としてさらに改正をお願いしたいと思うのである。私どもの希望を言えば、国会で議決がなされるといなとにかかわらず、仲裁裁定は永久に両当事者を拘束するものである。しかしながら、国会で予算手続がなされたならば、その時をもつて裁定の出された日にさかのぼつて効力が発生する、これだけでいいのではないか、こういうふうに思うのであります。  最後に第十八条の四の、労働委員会の下しました不当労働行為の取消しの指示または命令の、いわゆる不当労働行為救済の規定であります。労働委員会が行為の取消しを指示し、または命ずるということで不当労働行為制度を強化されたことについては、前回の改正で一歩の前進と私どもは了解をいたしますが、さらにお願いをいたしたいのは、労働組合法の一般民間産業における不当労働行為救済の手続、積極的に言えば、二十七条の六項以下の規定をこの際ぜひ採用していただかなければならない。特に皆様も御承知のように、公労法で経験した最も大きな、賃金に関する、生存権に関する仲裁裁定が、軽々しく取扱われたものではないだろうかというふうな事実が残つております現状において、不当労働行為なりとして取消しを指示され、命令をされても、その通り履行されるかどうか。この点は、賃金の問題でさえも、生存権に関する問題でさえも問題にされた公労法でありますから、より軽く扱われる心配があるのであります。従つて、特に公共企業体等の関係においては、これを完全に救済する規定を置かるべきではないだろうか、こういうふうに思うのであります。  特に、ここで最後に結論として申し上げておきたいのは、すべてを通しまして公共企業体等の労働関係において、法は一体公法上の関係として労働関係をながめているのか、私法上の関係として労働関係をながめているのか、大きな疑問を私どもは持つておるのであります。過去の経験からいたしまして、一つの争いといたしましては、日本国有鉄道初め公共企業体等の労働関係は、すべて公法上の関係なり、従つて民事訴訟も請求することができないのだ、行政措置の訴訟で債務の不履行を請求しなさいといつた論議が大ぴらに議論されたことは御承知の通りである。私どもは、こういつた議論はないと思うのであります。もしこういつた議論がないとすれば、不当労働行為制度の救済に対しても、当然の行為として強制の規定が採択される思想に立つてもよいと思うのである。この点を特につけ加えておきたいと思うのであります。  以下細部について多くを申し上げたいのでありますが、時間がございませんので、あとは省略いたします。  最後に申し上げたいのは、今や日本における労働関係法は、私どもの目から見れば私どもの目だけではなくて有識者、学識経験者の目から見れば、何かだんだんと反動化して行くんじやないだろうか、公共の福祉の名において、抽象的な公共福祉論の名において、具体的な権利が侵害をされて行く形が生れている。こういつた現状の中で、具体的に憲法が指向する精神、憲法が命じている具体的な精神を生かして行く気持に立つて、しかも議員の提案としてここに提案されました公労法は、一つの大きな歴史的な意義を持つと私は理解するのである。多少私どもの疑問とするところ、不満とするところもございますが、一歩手をつけられたこの法案を、ぜひとも本院が採択されるよう最後につけ加えまして、私の公述を終る次第であります。

山花秀雄日本社会党(左)

○山花委員長代理 次は坂本公述人より御意見をお述べ願います。

坂本喜一全国水道労働組合連合会中央執行委員長

○坂本公述人 私は全国水道労働組合連合会の坂本でございます。  本日、地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案に対して意見を申し上げるわけでありますが、まず全体的に申しましてこの法律は、憲法第二十八条におきまする勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利、これを保障していないということが、従来の法律の中におきましてはいえたわけでございますが、本改正案におきましては、この点について進歩的な内容を持つているという意味におきまして、相当改善せられているということがいえるという点におきましてまず原則的に賛意を表するわけであります。  次に、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とするいわゆる憲法第十三条におきまする公共の福祉と団結権との関連の問題でございますが、現行の法律におきましては、公共の福祉という美名を利用いたしまして、第二十八条の基本的権利を奪つておるというふうにわれわれは考えておるものでございます。従つて、こういう点から申し上げまして、この法律をことさらにわざわざつくる必要がない、従つてわれわれは、労働関係のいわゆる労働三法を完全に適用してもらえば、それでよいという考えを持つておるわけでございます。特に地方公営企業におきましては、過去あるいは今後将来にわたりましても、破壊的な暴力的な、そういつた労働運動が絶対にないというところから、公共の福祉に反するということはないということが、はつきり言えるわけであります。現行の地方公営企業労働関係法(第二百八十九号)におきまして、われわれが経験いたしましたところでは、公共企業体等労働関係法と、ほとんど法律の趣旨内容が同一でございますし、またその欠点、欠陥というものにつきましても、従つて同様な欠点を持つているというふうに考えておるわけでございます。  まず第五条におきまして組合の自主性を封殺している点、あるいは第七条の第一項におきまして「管理及び運営に関する事項は、団体交渉の対象とすることができない。」このような規定あるいはこの第二項本科におきまして「労働協約を締結することを妨げ、ない。」というような点、あるいは第十条におきまする団体交渉権と議会の議決権との調整に関する点、あるいは第十一条、第十一条、十四条、十五条あるいは第十六条におきまする予算上、資金上の法文、あるい第十七条における法文等、すべてこれらが労働組合上におきまする労使対等の立場、労働組合の自主性を侵害しているという欠点を、われわれは持つておるというふうに考えておつたわけでございます。従いまして、これらの点が、本改正案におきましては、百パーセントとは行きませんけれども、大体におきまして改善せられておるという点から、先ほど申しましたように、本改正法律案に賛意を表するわけでございます。  そこで、従来こういう欠陥を持ちました地方公営企業労働関係法におきまして、それではどういう具体的な事案が現われておるかという点を申し上げますれば、まず団体交渉権と団体協約を締結する権利というものが、法律の通り生かされていないということであります。たとえば、管理者の地位というものは、われわれからいたしますれば名前だけの地位であつて、実質的には、管理者の地位というものは確保されておらないというような点、さらにこれは現在の政治情勢、社会情勢全般からいたしまして、いわゆる政府の中央集権化の方針というものが、地方自治権を圧迫をしている。そういう観点から、地方公営企業の管理者を含めまして、地方自治体の自主性というものが著しく侵害されておる。従つて労働運動のすべてを一片の法律、一片の通達等によつて政府の方針に右へならえをさせられるという関係にあるわけであります。こういうことから行きまして、たとえば具体的に申し上げますならば、賃金にいたしましても、夏季手当あるいは年末手当その他あらゆる経済的労働条件にいたしましても、すべて中央の方針に左右されて、従つて現行の地方公営企業労働関係法におきまして、法律上は、十分とまでは行かないまでも、労働者の立場というものを擁護しておる形になつておりながら、実質的には、なきにひとしい情勢にあるといえるわけでございます。そこでわれわれとしましては、この改正法律案につきまして、従来の欠陥をできる限り直して行こうという精神の上に立つて出されたものであると了解いたまして、以上申し上げました点から、若干の不満はありますけれども、この改正法律案に賛意を表するものでございます。  なお、具体的な内容につきましてさらに詳しく申し上げればよろしいのでございますが、時間の関係もございますし、ほかの公述人の方々と重複する点もたくさんございますので、私は以上申し上げまして本改正法律案に賛意を表しまして公述を終るわけでございます。

山花秀雄日本社会党(左)

○山花委員長代理 次は徳善公述人より御意見をお述べ願います。

徳善義光東京都水道局長

○徳善公述人 れだいま御紹介を賜わりました徳善でございます。東京都の水道局長を拝命いたしております。このたび当労働委員会におかれまして地方公営企業労働関係法の改正案が審議されるにあたりまして、その重要性におかんがみいただいて、慎重御審議の必要上、特に公聴会を開催され、不肖私をお招きいただきましたことは、まことに感謝にたえないのであります。同時に、責任の重大なることを深く感じておるものでございます。以下改正案の最も重要なる点につきまして、本直に卑見を申し上げまして皆様方の公正な御批判を賜わりたいと存ずるのであります。  提案の理由を伺いますと、この改正案は、地方公営企業としての地方鉄道事業や軌道事業等に関する労働関係を、一般民間における公益事業のそれと、原則的に同様に取扱うという点に骨子を置かれて提案されておるように見受けられるのでございますが、いやしくも地方公営企業労働関係法として改正されます場合におきましては、公営水道事業も、当然にその適用を受けることに相なるわけであります。しかるに、同じ地方公営企業と申しましても、御承知の通り水道事業と他の公営企業とを比較いたしました場合におきましては、その公共性と申しますか、市民の日常生活との直接のつながりと申しますか、これがいかに深いものであるかは、あらためて呶々いたさなくても御了承いただけることと存ずるのであります。たとえて申し上げますならば、まつたく不可抗力なやむを得ない事故により、ほんの短時間水道の水がとまつたという場合でも、いかに都民が難儀するかは、御想像いただけることでありましてその結果は、十分御了承いただけることと存ずるのであります。従いまして、私はそういう特殊の性格を持つた水道事業の管理者たる立場から、いま少しく申し述べてみたいと思うのであります。  一般的に申しまして、公営企業に従事するものでありましても、労働力を提供し、その対価として給与を受けるという意味から考えますと、一般労働者と違いないものであることは、あらためて申し上げるまでもありません。従いまして、憲法のいわゆる基本的人権としての労働力は、当然これを尊重しなければならないと存ずるのであります。しかしながら、一面市民の公僕として、市民全体に奉仕しなければならないという精神もまた、憲法に十分に織り込まれておるわけと存ずるのであります。問題は、この二つの重要なる立場をいかに調整するかということでありまして、これはきわめてむずかしい問題であろうと存ずるのであります。私一個の見解をお許し願えるならば、先刻申し上げましたような水道事業の特殊な立場、少し大げさな言い方かも存じませんが、直接市民の死命を制するとでもいいましようか、他のものをもつてかえがたい重要な特殊の立場からいたしまして、きわめて素朴に考えまして市民に奉仕すべき立場にあるものが、その市民に対して計画的、意識的に水の供給を断つというようなことを、かりに想像するといたしますならば、いかがごございましようか。これは、決して好ましいとお考えの方はないと存ずるのであります。もし争議行為なるものが、そういうことを予想し、含んでおるといたしますれば、これはやはり何らかの措置をとらなくてはならないではないかと考えるのであります。現行の地方公営企業労働関係法の争議行為に関する規定の趣旨も、またこの辺にあるのではないかと存ずる次第であります。従いまして、この根本をかえるということは、私といたしましては、現段階においては、とうてい賛成いたしがたいのであります。  しかしながら、私は単に労働権を制限することをもつて能事終れりというような考えは、毛頭ないのでありまして、公営水道事業の従業員であつても、本質的には先刻申し上げましたように労働者である以上は、しかも、水道事業のように特に重要な事業に従事いたします立場にあればあるほど、われわれ管理者といたしましては、常に市民の意を体し、全体の福利の増進を考えまして十分これらを常に念頭に置き、一方市民によつて認容される限りにおきましては、従業員の労働条件の改善に努力し、従業員諸君が安んじて業務に精励し、よつて公共の福祉の増進に寄与することが十分できるようにしなければならないと存ずるものでございます。こういうふうに考えますならば、また絶えずこのことを念といたしまして努力いたすことによりまして、先刻申し上げましたところの、きわめて困難なる問題も解決せらるべきものであると信じますので、公共の福祉と労働権の調整ということは、法の改正をいたさなくても、現段階においては、現行法の十分なる活用とこれが運用によつて目的が十分達せられるものと信ずる次第でございます。  なお、改正案の各条項について、いろいろ意見等を申し上げたいとの存じますが、主要な問題を申し上げまして、おのずからこれによつて私の抱懐する意見の御了解あることと存じますので、以上をもつて私の公述を終ります。表現その他はなはだ不十分でございますが、ただ一に重要事業を都民に奉仕するという建前から申し上げたのでございます。まことに意を尽し得ないことを恐縮に存じますが、どうぞ私の微意の存するところを御了承願いまして、お考えのほどをお願い申し上げる次第であります。

山花秀雄日本社会党(左)

○山花委員長代理 それではただいまから公述人各位に対する質疑を許します。——御質疑はございませんか。  それでは、公述人各位におかれましては、御多忙中にもかかわらず、長時間にわたつて御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員長より厚く御礼を申し上げます。  本日はこの程度にとどめまして、明後二十七日午後一時より再び公聴会を開催いたします。  本日の公聴会はこれをもつて散会いたします。     午後三時九分散会

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