労働委員会 第23号
- 発言数
- 113 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1953/09/04
会議録
○赤松委員長 これより会議を開きます。 日産自動車株式会社の争議関係について調査を進めます。 本日参考人として日産関係は益田参考人、川崎参考人、小林参考人を呼んであります。まず益田参考人よりこの争議の経緯につきまして御説明を願いたいと思います。益田参考人。
○益田参考人 争議の経緯については、ごく簡単にいたします。 五月二十五日に要求を出して、現在までひつかかつておるわけでございますが、自動車産業の労働者が、今何を望んでいるか、何を考えているかということを最初に申し上げておきます。それは、結局日本で自動車産業は成立するかどうかということにしよつちゆう脅やかされておるわけでございまして、この辺に自動車産業の労働者の闘いの特徴がございます。そうして、ときに、たとえば朝鮮事変なんかが起りますと、特需生産というようなことをやられるというようなことが、自動車産業が平和産業としてやつて行けるかどうかということの疑問の中心でございます。それからもう一つは、たとえば今中国なんかに行つた人の話などを聞きますと、アメリカの最近の型の高級車がどんどん走つておる、私どもがつくるのは、なかなか中国に出せないが、あれはどうしたわけかというと、スイス、オーストリアその他の中立国を通じて出されておる。自動車産業が成立するためには、簡単に申し上げまして材料が安く入り、たくさんつくらなければ成り立たないわけでございまして、その辺を労働者が非常に心配しておるということであります。もう一つは、日産の争議で、われわれの賃金が非常に高いのに、労働者がこれを要求しているということでございますが、労働者が賃金が高いのを遠慮しなければならぬということはないと思います。昭和二十四、五年ごろに二千人の首切りがございましたが、現在はその首切り以前より以上の生産をあげているわけでございまして、それから見ても、賃金が若干高くなるのは当然な話だと思つております。もう一つは、われわれが職場組織を持つておつて、そこでいろいろ会社と交渉することが、職場闘争と称して何だか違法であるかのごとく会社側は言うのですが、この職場組織というのは、終戦後われわれがずつとつくり上げて来た組織でありまして、たとえば残業をやらせようとするときは、その残業の協定を職場でやる、それを会社も認めておる。あるいは手当の交渉もやる、団体交渉の一環でやつていることでございます。ただそういうことは、日産の企業内における労使の自主的な交渉におまかせ願いたいわけですが、この争議中特に問題になりました点を二、三指摘して御報告にかえたいと思います。 一つは、経営者が団体交渉を徹底的に拒否していることでございます。労働者に与えられた団体交渉の基本権を経営者は無視している、蹂躙している。これは憲法違反でさえもあると思います。七月十六日に第十六回の団交がとぎれて以来、一箇月以上も何だかんだと文句を言つて団体交渉をやらないということでございます。中労委あるいは仮処分の申請を受けている裁判長あるいはその他外部の方々が、全部経営者に対して批判の目を向けている中心がここにございます。憲法違反、労働組合法違反、不当労働行為等、名称をつければいろいろな違反があると思います。それのみならず、日産の経営者がやつている法律違反は、たとえば人夫を使うのに職安法の違反がある、消防規則の違反がある。もう日産の企業の中の経営者のやりぶりを見ますと、ここ一箇月ぐらいは、法治国でないような感じが非常にいたしているわけでございます。その点をまず御報告しなければなりません。これに対して労働者が大勢で、いわゆるつるし上げをやると称してこれは暴力行為等処罰二関スル法律違反だということで、組合幹部その他を大勢検挙しておりますが、この法律は、承りますと治安維持法と同じころにできた法律で、こんなものはとつくに廃止されておつてしかるべきものだということでございますし、また労働運動をやるについて、多衆の威力を基本にしない労働運動というものはちよつとむずかしい。資本家の数と労働者の数を考えてみますと、労働者が多いわけでございまして、その労働者多衆の威力を基本にしない労働運動というものは、非常にむずかしいわけでございます。この点は特に御報告いたしておきます。 第二番目は、警察関係の不当干渉がひど過ぎると思います。たとえば八月七日に組合長以下たつた六名を逮捕するに、約二百名の警官を動員するというようなことは、非常に非常識なことでございまして、こんなことは、よけいなことはなさらぬ方がよろしい、組合の組織がありますから、逮捕するなら連絡をとつておやりになれば、秩序正しくできるわけでございまして、こんなことは全然だめでございます。 もう一つは、これはまことに不可思議なことですが、最近個人々々の家に私服刑事なる者が出向きまして、思想調査をやつている。お前はどうも赤じやないか、お前は共産党じやないか、お前の思想はどうだ。こういうことは許すべからざることだと思います。特にこれは神奈川県厚木地区及び横浜市において、非常にこの例が多いということでございます。 もう一つは、検察庁、裁判所の不当干渉が非常にはげしい。労働組合がストライキをやつたときに、会社が工場閉鎖をもつてこれに対抗する場合、労働組合に認められたストライキの基本権と同じ程度、同じ意味で、資本家の工場閉鎖ということが、権利として法律上擁護されているかどうか、まことに疑わしいことでございます。そんなものが認められておつたら、もうストライキ権はないにひとしい。ストライキの規制法どころでなしに、ストライキ禁止だと思います。しかも、その工場閉鎖をやつて、裁判所の仮処分を執行してもらつて、仮処分がおりたならば会社はどういうことを主張するかといいますと、工場閉鎖中の賃金は一銭も払わないということを、仮処分がきまつたことによつて正当づけようということでございまして、これはまことに行き過ぎであり、また裁判所がこれに応ずるならば、まことに法律フアッシヨといわざるを得ないところがあると思います。今横浜と鶴見の約四千人の工場について、仮処分がおりる危険性がございますが、静岡では八月二十一日に工場閉鎖の仮処分が決定しております。そのときの戸塚裁判長の話では、お前たちは工場閉鎖中の賃金は全部支給されておると思つたのだが、一銭ももらわぬのだつたら、ちよつとあの仮処分をやることについては問題がある、だから異議の申請を早くやれというようなことがございまして、検察庁あるいは裁判所のこういう労使関係の不当介入というのは、まことにゆゆしい問題だと思つております。 以上簡単に御報告いたします。 —————————————
○赤松委員長 労働行政一般についての件をあわせ審議いたします。 大蔵省の有吉特殊金融課長が来ておりますので、先般来御要求のございました井堀君の質問を許します。
○井堀委員 労働金庫法が去る国会で両院を通過いたしまして、いよいよ施行されるのも間近だと思うのでありますが、この金庫法が通過いたしましたことによつて、今後労働者に与える福利は、決して少いものでないと思うのであります。ことに日本の労働団体あるいは労働者の組織する団体活動、労働運動すべてに、かなり大きく貢献するものになろうと思うのであります。われわれは労働団体の建設的な分野に労働金庫の貢献することを高く評価し、期待をいたしておるわけでありますが、かような期待の上から、この法律の精神が、運営にあたつて、われわれの予期した結果を生むことができるかどうかということは、かかつてその出発にあると思うのであります。今後施行の衝に当る行政庁の立場にある人人としては、こういう議員立法については、その運営にあたつて目的と背馳するようなことのないように、十分な御注意を願わなければならぬと思うのであります。かような意味から二、三お尋ねをし、かつ要望いたしたいと思うのであります。 そのお尋ねいたしたいおもな点は、いつごろから施行になりますか。施行にあたつて、いろいろな準備があろうと思います。その準備について、できるだけわかつておることを御報告願いたいと思います。それから、われわれの懸念いたしておりますことは、この法律は大蔵、労働の両大臣の管轄を規定いたしておりますので、とかく役所が二つにわたります場合には、その官庁同士のなわ張り争いということは言い過ぎかもしれませんが、役所の立場をめいめいに固執されますために、思いもかけない被害を金庫が受けることがありはせぬという懸念であります。従いまして、こういう法律施行にあたりましては、できるだけその役所の持つ職域といいますか持分を明らかにいたされまして、そういう弊害の起らないようにという、老婆心であるかもしれませんが、これは金庫を経営しております労働団体のひとしく心配するところであります。でありますから、この点について、ひとつ、それぞれの所管についての明確な方針が定められることを希望すると同時に、そういうものに対するお考え方を、この際明らかに大蔵・労働両省の立場から確答を願いたいと思うのであります。 御案内のように、この法律の趣旨は、法文の目的にも明らかにされておりますように、労働団体すなわち労働組合、生活協同組合といつたような団体が構成単位になると同時に、団体の行います。福利共済活動の金融機関としての使命が明確になつておるのであります。でありますから、あくまでその目的とするところは、一般の金融事業と異なりまして、労働者の福利共済に重点が置かれているのでありますから、この意味で、私は、労働省の所管になります理由はきわめて明確であろうと思うのであります。そこで、金庫が行います事業は、まつたく金融事業でありますから、金融事業としての一切の監督あるいは指導の地位に立たれるのは、大蔵省になるかと思うのでありますが、この辺の関係について、実は割り切でおるようで、実際の上においては割り切ることが困難ではないかと思うのであります。たとえて申しますと、金融機関の立場からというので、管理、監督その他の問題で、大蔵省の主張が強くなつて来ますと、まつたく労働省は浮いてしまうことになりますし、また労働省がこの目的に規定されておりますような趣旨を大上段に振りかぶつて主張しようとすれば、実際的な権限は監督の上に力を求めようとして来ることになりまして、金融機関としての監督権を持とうとする主張が出て来るのではないか。こういうようなものが最初に明らかになつていないと、後々になりまして、いろいろとめんどうを起して来ることになると思うのでありまして、この点、金庫に関係しております人々の間で、寄り寄り心配をいたしておるわけでありますが、こういう点について、この機会に両省の立場をひとつ明確にしていただこうと思うのであります。 なお、ついででありますからお尋ねをいたしておこうと思いますのは、この金庫は、まだ古いもので三年、新しいところでは二、三箇月といつたような、きわめて浅い経験しか持つておらぬのでありますけれども、大体において労働金庫の性格は明らかになつておると私ども思うのであります。そこで金融機関としての労働金庫をあまり期待し過ぎますと、経営しまつたく成り立たないような悪条件がたくさんあります。それは預金の対象が労働者のふところでありますから、今のような低い収入、すなわち低賃金の現状にありまして、われわれが余裕金を期待することは、最も不可能なことであります。しかし貯金は、必ずしも余裕があるから貯金されるというのではなしに、生活の合理化によつて、今までたんす預金、がま口預金といわれたものを、この機関の中に活用せしめようという新しい意図はありますけれども、しかし、一般の金融機関の理念からいたしますと、そういうものをねらうということは的はずれのことでありますし、ましてや貸付が労働組合、生活協同組合といつたような、まつたく営利を度外視した立場に立つているものに貸付をするのでありますから、そこから多額の金利をとるというようなことは、もとより望まれるところではないのであります。こういう建前の上に立つております金庫でありますから、これが一般の金融機関と同列にいろいろな取締りや指導をされることは、もちろん許されないと思うのでありますが、こういう点にも、大蔵当局としてのいろいろな見解もあろうと思います。そこでこれに関連してでありますが、こういう種類の金庫を今後労働省としてはどのように育てて行かれるかということについても、いろいろと見解をお持ちであろうと思うので、この点について、できるならばこの機会に伺つておきたいと思うのであります。 そこで、伺う前に私の見解を述べますと、以上申し上げたような性格でありますから、一般の利潤追求を目的とする投資は、全然考えられぬ性質のものでありますから、他の方法によつて金融機関として成り立つて行く道を、やはり行政的な立場で考えていただく必要があると思うのであります。そこで、こういう観点から、この金庫が当然手を染めて行く将来のものとしては、労働者自身の福利あるいは共済的な使命を持つておりまする私の団体、公の団体を加えてでありますが、たとえば健康保険あるいは厚生年金保険、失業保険、労災保険、こういつたような労働者の保険制度があつてここには多額の積立金や余裕金があるわけであります。一部はもちろん今日労働者の福利厚生のために還元融資が行われておるものもあります。こういう還元融資を行うことを、当然われわれは期待しておるのでありますが、実際には、その融資にあたつて障害になるのは、そういう性質の積立金や余裕金が労働者にまんべんなく還元することが困難だという理由もあるでしようし、またそういうきわめて重要な積立金や余裕金でありますから、もし万一という危険についての心配もありますことは当然でありますが、こういう条件さえいれられれば、私はこういう機関がそういう余裕金を預かるというようなものに成長して行くべきではないかと思うのであります。もちろん、今すぐというわけには参らぬと思いますが、将来こういうような労働者のための余裕金や積立金が、こういう機関で合理的に、しかも堅実に金融されるというようなことについても、やはり法施行にあたつては、あらかじめ御留意願わなければならぬことではないかと思うのであります。こういう点について、労働省の立場からの見解もありましようし、大蔵省の立場からの方針もおありであろうと思うのであります。もし、ないとするならば、そういうものに対してどうされるかについても、返答いかんによつてはお尋ねをいたしたいと思つております。 それから、すでに法律になりました産業労働者住宅資金の問題であります。あの法律によりますと、銀行その他の金融機関が、窓口に規定されておるようでありますが、たとえばこういう仕事は、労働金庫の窓口を活用される御意思があるかというような点についても、お答えを願いたいと思つております。 一応以上お尋ねいたしましたが、またあとで御質問いたしたいと思います。
○有吉説明員 労働金庫法が制定いたされましてこの法の目的に従いまして、行政当局といたしましては、十分にこの法の趣旨が生かされますように今後運営して参りたい、かように存じておる次第でございます。先般来、労働金庫法制定の後、ただちに労働省と協議をいたしまして、法の施行に関する諸手続につきまして、現在検討中でございます。何分にも労働金庫法は相当内容的にも部厚い法律でございますし、また施行にあたりまして各種の問題もございますので、慎重にわれわれとしては対処して参りたい、かように考えておるわけでございます。また一方、労働金庫側におかれましては、一刻も早く労働金庫法によるところの労働金庫に転換したいという御希望もあろうと存じますので、できるだけ早い機会にこの法の全面的な施行に持つて参りたい、かように考えておるわけでございます。一応目安といたしましては、十月一日にこの法の施行を行い、それとあわせまして各種の政令なり省令等をそろえたい、かような気持でいるわけでございます。ただこの際に問題になりますのは、やはり法を施行いたします際においては、労働金庫側の御意見なり、御要望なりを十分に反映して参りたい、かように思うわけでございまして、労働金庫側におきますところの希望条件等も入れて参る必要もございますので、さように折衝、研究を重ねて参りたい、かように存じておる次第でございます。 次に権限の問題につきまして、労働省と大蔵省との間の権限の調整というものをどう考えるかという御質問でございます。われわれといたしましては、労働省との間にいやしくもなわ張り争い的なことがないようにすることはもちろんのことでございます。なお一層強調いたしまして、この間のバランスをとつて参りたい、かように存じておるわけでございます。先ほどお話がございましたように、大蔵省側といたしましては、労働金庫が一つの金融機関といたしまして、金融機関の使命に徹するように指導して行くことはもちろんのことでございますが、ただ労働金庫は、法の目的にございますように、労働者のための労働金庫でございます。その福利厚生をはかるという、ほかの金融機関よりも違つた特殊の使命を持つておる。この使命を生かしながら、しかも金融機関としての使命を達成させるということにつきまして、その間の調整ということは、われわれといたしましては、他の金融機関に対する関係よりは、なお別個の感覚を持ちましてこれに処して参りたい、かように考えております。ただ問題は、あくまでも労働金庫といたしましては、一つの金融機関でございます以上は、金庫の安全、つまり預金者の安全、公共性という立場を重んじまして、これが指導監督に当つて参りたい、かように考えております。具体的な問題になりますが、たとえて申しますならば、検査等の問題は、労働大臣と大蔵大臣が、これは単独に権限を行使することができる法律の規定になつております。法律の規定そのままでございますと、その間に労働金庫にあるいは迷惑を及ぼすというような事態も考えられるおそれが出て来るわけでございます。この点につきましても、かねてから労働省側と大蔵省側におきまして、検査等におきましても、権限の調整をはかつて参るということの具体的な協議を進めて参つた次第でございます。まだはつきりした結論にまで到達いたしておりませんが、われわれとしては、一応の考えの筋といたしまして、金融機関の安全性という立場におきましては、大蔵省側が検査をするということの方に重点がかかつて参ろうか、かように考えております。もちろん労働省の側におかれましても、その目的に従いまして、検査をなさるという筋でございまして、両者が同時に一つの労働金庫に行くというようなことのないように、事前に検査の打合せをして参るということは、これまた当然のことでございます。また両者が共同して一つの労働金庫に検査に参るということもございましよう。その際においては、労働省側の見方と大蔵省側の見方に食い違いがないように、しかも重点がどちらか、どの点を見るかという重点の置き方等についても今後研究して参りたい、かように考えておる次第でございます。 さらに労働金庫の育成の問題でございますが、われわれの立場から申しますならば、あくまでも労働金庫は金融機関としての健全性、安全性というものをねらつて参りたい。これがありませんと、労働金庫にせつかく預金をしようとする組合はもちろんのこと、他の一般的にこれに資金を出そうという考えも、労働金庫の安全性がそこなわれておる際におきましては、それを出す意欲を渋られるということにもなるわけでございますから、あくまでもそのねらいは労働金庫の経営の安全、安定をはかるということが、まずもつて第一のことではなかろうか、かように考えております。労働金庫が内容的に十分に充実しておるという状態にございますならば、単に労働金庫の傘下の会員の預金のみならず、法律に定められてございますような外部からの預金の吸収ということもはかり得るのじやないか、かように考えているわけでございます。 なおこの点に関連いたしまして、産業労働者のいわゆる産労法の窓口の問題でございます。この点は住宅金融公庫の制度の趣旨から申しますと、住宅金融公庫が委託の金融機関を指定いたしまして、それに対して主務大臣でございますところの建設大臣と大蔵大臣とが認可を与えるということに相なつております。住宅金融公庫及び建設省との関係がございますので、私一存ではお答えできかねるのでございますが、私といたしましては、労働金庫が労働者の方々のための金庫である以上、その主たる住宅というものを供給するところのこの法律の委託機関に労働金庫を指定されてしかるべきではなかろうか、かように考えているわけでございます。ただ、その際問題になりますのは、労働金庫の本来の目的なり、あるいはその健全性を害するというような貸付の内容であつては困るということになりますので、おのずからその間におきましては、一件当りの金題等につきましての制限は考えて行かなければならぬかと存じますが、一応筋といたしましては、産業労働者住宅の資金融通の窓口といたしてもさしつかえないのではなかろうか、かように考えている次第でございます。いずれこの点につきましては、住宅金融公庫なり、あるいは建設省と密接に連絡いたしまして、さらに折衝を重ねて参りたい、かように考えている次第でございます。
○中西説明員 ただいま特金課長から説明がございましたのに、つけ加えるところはないのでございまして、労働金庫法の精神にのつとりまして、真に労働者の福祉共済に役立つよう健全な発展をいたしますよう育成し、さらに監督いたしたい。先ほど大蔵省から言われましたように、監督その他の業務につきまして、絶対にダブるということのないように、十分調整して参るつもりでございます。 なお、最後に井堀さんのおつしやいました、各種の労働保険の積立金が相当ございますが、これをこういつた金庫にもどして活用するというお話でございますが、この点につきまして、われわれとしましても、さらにいろいろの方面から検討いたしまして構想を練りつつございます。どういうふうにその問題を実現いたすようになりますか、今のところちよつとまだ申す段階でございませんけれども、今後十分に問題として研究いたしたいと存じております。
○井堀委員 重ねてお尋ねをいたしますが、先ほどの権限の調整の問題について、大蔵省の方のお考えは、経営の安全性にもつぱら重点を置いての検査権を御主張のようでございます。そこで、当然のことと思うのですが、経営の安全性を確保いたしますためには、現在の労金は、まだその経営形態としてはごく過渡的な金融機関として、ごく幼稚な、まだりつぱな性格をつくり上げておるものと判断することが、私ども自身としてもできないのです。というのは、今労金一般の実績を見ますと、預金は、かなり莫大な頭金を吸収することに成功しております。しかも零細な預金なんですが、それに今大体匹敵いたしまして六割ないし七割の貸付が行われているのです。その貸付の対象も、もつぱら生活消費資金です。ですから、この金利必ずしも安いものではありませんが、今まで生活資金の金融機関といえば質屋くらいのものだつた。ですから、質屋は七分といつて一割ぐらいとつている。あるいはやみ金融、高利貸しから借りるのですし、それは不当な高利で苦しめられでおつた直後ですから、うまくやつていたと思うのですが、だんだん今日のように全国的に労働金庫というものの実態が労働者の間にも理解されて来ると、市中銀行より高い利息でこういう種類の貸付が行われるということは、実際通らなくなつて来るということは、当然覚悟しなければならぬと思うのです。そこで貸付の金利を市中の銀行より低くするということになりますと、預金者のための健全な経営の立場もありますが、良心的な管理をするということになると、そこに矛盾が必ず起つて来ると思うのです。こういう点で、私はもう将来をそう考えないでも、大蔵省が一般の金融機関に対する経営の健全性という考え方では、やはり検査監督することについても、私は無理が起つて来るのではないかと思う。だから、そういう点について、あらかじめ大蔵省としては、この種の金融機関に対する育成を一方にやりながら、厳重な検査を行うという両建てで行かなければならぬと思うのです。そういう意味で、私はさつき具体的な事例をあげてお尋ねをしたわけです。そのためには、今たとえば厚生年金保険の積立金が、たしか八百億円以上に上つておると思うのです。それが大蔵省の資金運用部に一括して管理されておるわけです。この金利は非常に低いもので、かなり長期の積立制度になつておるようであります。合理的にこの金庫を利用するというような道が開けて、初めてさつき申し上げたような経営上の問題についてやはり方針が成り立つと思うのです。こういう点が立法者の間には期待されながら来たのではないかと私は思うのですが、それを執行する際に、急にはもちろん行くべきものではありませんが、漸次労働省の方としては、そういうものをできるだけこういう金庫に託したいという希望的な御回答があつたのですが、これはもう労働省としては、がま口を握つておらぬ役所が何ぼそういうことを言つてみたつてこれは希望にすぎなくなるのです。こういう点については、むしろ大蔵省としてのお考え方が重要だと思いますので、こういう点について、ひとつできるだけはつきりした見解をこの機会に聞かせていただきたい。それがないと、私は今言われるような検査の面で矛盾した結果が起つて来て、金庫も苦しむが、監督者の方でも無理をしなければならぬという事態が見通せるのではないかと思うのですが、こういう点に対する大蔵当局の所見を伺つておきたいと思います。
○有吉説明員 大蔵省の立場という点につきまして、私から答えろというお話でございますが、この各種の保険の金を入れるという関係におきましては、私金融課長といたしましては、労働者と同じように、受ける方の立場としてお答えせざるを得ない。出す方の立場はまた別の所管がございますので、その点は申し上げかねるわけでございます。受ける方の立場から申し上げますと、労働金庫があくまでも経営に従事することが、一つの刺激になるのではないかということを、先ほど申し上げたわけであります。私は労働金庫に対しまして、他の金融機関と同じような経営の安全性とか、あるいは預金者の保護というものを徹底しろということを強く言うことは考えておりません。これは先ほど申し上げました通り、労働金庫といたしましては、特殊の金融機関である、特殊の見方をもちましてこの労働金庫の監督をやつて行かなければならぬということは、かねてから私ども考えておるところでございます。その点は、他の金融機関とは違つた角度から見てしかるべきだ、また見るべきものだ、かように考えております。ただその際に問題となりますのは、そういつた各種の資金、自分の会員の金でないものを集めるという際においては、一層経営の健全性安全性というものがはつきりいたしておりませんと、自分の方は安全でございますから受けられますということが言えなくなるじやないかということを、申し上げたわけであります。あくまでも金融機関として、労働金庫がやはり経営の健全性安全性をはかつているということを、実際は十分つけて参りたい。その点は労働金庫であるから若干ゆるやかに考えるというようなことでございますと、他の関係におきます資金が入つて来る意欲を失うのではないかということを申し上げた。私は大蔵省の立場と申しましても、あくまでも受取る方の立場で申し上げたのであります。 もう一つ、労働金庫といたしまして、なかなか経営はむずかしいということは、先ほども井堀さんの申された通りであります。要するに、消費金融であるということが一つ、対象が零細なものである。非常にむずかしいわけでありますが、しかしそのむずかしさも、他の金融機関と違つた特色を備えることによつて、私は相当カバーされて来る面があるじやないか、かように考えている。と申しますのは、労働金庫は、あくまでも組織の力を利用している、組織の力によつて資金を相当集め得るのだ。現に労働金庫の資金量の点から申しますと、一人当りの資金量は、他の金融機関に比して大して遜色はない。むしろ遜色はということより、一部の金融機関より多額であるということが言い得ると思う。これはあくまでも組織の力を利用されているということが、非常にプラスになつているじやないか。また貸付の回収の点においても、やはり組織の力がものを言つている。普通の金融機関では容易にとれないが、組織の力を持つていて、金の回収がうまく行つている。こういう面がございまして、労働金庫の業務内容はむずかしい。しかし、その組織の力によつてカバーし得る面が、非常に多いじやないかという気がするわけであります。同時に、労働金庫は、労働者のための労働金庫である、自分ら会員のための労働金庫であるという意欲に燃えますならば、これはみずからがみずからを愛する金庫であり、金融機関であるということになろうと思います。これは他の金融機関とは全然異なつた一つの非常にいい点じやないか。こういつたような組織の力なり、あるいはとり方が、お互いに愛し合つて行く金融機関であるということによりまして、業務の内容の複雑性、困難性というものを乗り越えて、将来十分発展して行く余地があるじやないか、かように考えている次第であります。われわれといたしましても、そういつた点に着目いたしまして、金融機関として安全をはかる以上に、さらにより一歩を進めまして、これが十分に育成し発展し得るものに育てて参りたい、かように考えている次第であります。
○井堀委員 ほかの関係もありましようから、簡単にお尋ねいたします。 権限の点について、まだ両省の間にも話合いがついていないような模様でありますが、もう十月も間もないことですから、これは私どもの立場からすると、はつきりしてもらわないといけないじやないかと思うのです。というのは、検査権を労働省と大蔵省が両方で持つということが、今のところどういうぐあいに割切れるのか、どつちか一方でやつてもらいたいという希望が、かなり労金側の方では強い。この点に対する労働省の見解と大蔵省の見解を、もう一度はつきりひとつ聞かせていただきたいと思います。
○中西説明員 結局は両者の検査権の、監督権のダブることが、一番御迷惑の話であります。そのことは絶対しないという基本方針。そこでいろいろと両省の組合せ方がある。たとえば、農業協同組合の検査の場合には、大蔵省と農林省が交互にやつておる、そして一年にあるいはある一定の時期にダブるということがないようにやつておるようでありますが、そういうやり方も一つあるでございましようし、それから検査の項目をある程度協定いたしまして、労働省の方はこの点を見る、大蔵省系統ではこの点を見るというふうに、項目をわけてするのも一つであります。さらに常に検査の場合には、両方から同時に出て行きまして、そうしてそこでいろいろ話し合つて、双方共同で検査をするという方法もあります。それらの点、細目実はまだ協定いたしておりませんが、いずれにいたしましても、御迷惑のかからないように、しかも法律の趣旨が守れますように調整して行きたいというふうに考えております。
○有吉説明員 労働省側の御答弁によりまして、すべては尽きておるわけでありますが、われわれといたしましても、特に大蔵省におきましては、先ほども例に引かれましたように、農業協同組合の検査、これは農林省と共管になつておりますが、単独に権限を行使し得る立場になつておることにつきましても、農林省側と事前に協議をいたしまして、事後の打合せ等もやつております。二、三年来の体験によりまして、決して農業協同組合に現在御迷惑をかけていない状態にまで立ち至つておる次第でございます。この経験等も生かし、十分に注意をいたしまして、労働省側との間に何ら摩擦のないように、労働金庫の側に何ら迷惑のかからないように、十分に注意して配慮して参りたい、かように考えております。
○井堀委員 そういたしますと、監督権は両方に持ちたいという主張のようになるわけですが、私どもの経験したのでは、今、農林省と大蔵省側の農協の信用組合の検査の状況は、一般に非常に不評判だ、非常に迷惑だ、こういう声が高い。われわれは、ああいうことになることは実は困る、できるなら、はつきりどつちかに一方づけてもらえぬかという協会側の要望なんです。この点ははつきりできぬものですかどうかを伺いたい。
○中西説明員 別に両方で検査したいというのじやございませんが、法律でそうなつておりまして、検査する権利を放棄するわけに行かないのでございます。そこで問題はやり方なんで、先ほど言いました趣旨に沿いまして、御迷惑のかからないようにいたしたいというふうに考えております。
○井堀委員 それでは要望いたしておきますが、大体両方の検査を受けなければならぬという労働金庫側の立場からいたしますと、交互にやられるという、あのやり方は困る。できるなら、同時に打合せをして検査を受けるということであれば調整がとれるかもしれません。その辺をひとつはつきり答弁願えませんか。
○中西説明員 おそらく同時に行きまして、そうしてそのときどきにちやんと協定いたしまして、あるいは共同でやるというのが、一番実際に合うのじやないかと思います。大体労働金庫側におきましても、それが一番よさそうだということなら、そういう線でひとつ話してみたいと思います。やつてみまして、悪ければ何どきでも直せますので、ある方針で始めまして、悪いところは逐次是正して行きたい、こういうふうに思つております。
○井堀委員 それで、いまひとつ要望いたしておきたいと思いますのは、政令や省令でいろいろ規定されて来ると思うのでありますが、先ほど御答弁がありましたからなお念のために要望いたしておきますが、労働金庫側の意見をできるだけ尊重していただくという意味で、機構その他の手続の前に、打合せ方をなされることを要望いたしておきます。
○赤松委員長 なお皆さんの手元に労働白書が全部渡つていますか。——渡つていなければ委員部の方へそう言つてください。 —————————————
○赤松委員長 日産争議の質疑に移りたいと思いますが、本日は小林横浜市警察本部長も参考人で呼んでおりますので、御質疑を願いたいと思います。なお参考人の方で、議員の質疑中、もし発言したい意見があれば、委員長に発言を求めていただきますならば、それを勘案して、できるだけ許可したいと思つております。 それでは質疑に移ります。島上善五郎君。
○島上委員 最初に益田参考人に二、三お尋ねしたいと思います。この争議は、私の聞き及んでいるところによりますと、当初賃金値上げの要求と夏季一時金の要求に発足した。ところが途中で会社側がかねて会社側から提案しておつた労働組合の活動を制限するという問題を持ち出して、それを先議しなければならぬということを会社側が強硬にがんばつた。その問題に入りまして、それも七月の半ばには組合が相当譲歩して、ほとんど妥結の段階に近づいた。このとき会社が新たに、組合の方針に対して、これは本来組合が自主的に協議決定すべき事柄で、資本家及びその他の第三者が干渉すべき事柄でなく、組合の方針が問題であるということを言い出して、それ以来この交渉が頓挫と申しますか、暗礁に乗り上げた形となつたと聞いているのであります。そういたしますと、少くとも資本家側の考えというのは、組合の活動の内部に干渉し、組合そのものを御用組合にしよう、もしくはこわしてしまおうというような意図が背後にひそんでおり、それが争議が長期化している大きな原因ではないかと察せられる。そういうふうにして会社の態度が組合の方針を問題として来て、それが、今日争議が長引き、かつ妥結に至らない大きな原因であるかどうかという点を益田参考人にまずお伺いしたいと思います。
○益田参考人 お答えします。今御指摘の事実は、六月四日から第一回団交が開かれたのですが、七月十六日第十六回団交があつて、——これが現在最後の団体交渉ですが、その席上会社側から不当な提案があつたということで裏づけがされております。組合活動の覚書と申しますのは、一種の労働協約でございまして、それは昭和二十四年十月七日、会社が二千人の首切りをやるために、労働協約があると協議承認の線がなければいけなかつたので、一方的に破棄して、それ以来無協約だつたのですが、今度それについて組合活動の覚書という名前で、労働協約の一環を締結しようということでございます。ただこれは、そういう労働協約の一種である覚書を締結しようという協議を組合に持ちかけるということでございますと、組合は何ら異存がないのでございますが、会社が今度やつたのは、六月四日の第一回団体交渉が始まり、そのときから会社が提案しておる通りを実施したというところに問題があるのでございます。協議したのではなくして、それをもう実施に移して、組合員の賃金を組合に何ら協議をすることなく引き始めたというところにこの争議が相当悪化した原因がございます。 それからもう一つ御指摘になつた、組合自体の賃金方針についての会社の変更要求は、これは組合はけつておりますけれども、七月十六日の団交で組合活動の覚書は一応意見の一致を見そうだ。しかしそれは、そのときの浅原社長の発言をそのまま言いますと、コップの中の小さい問題であつて、実は賃上げ方針自体が問題だ。マ・バ方式が問題だ。マ・バ方式に基く賃上げ要求が問題なんで、これがあるところ常に闘争は激化する、こういう発言がありまして、爾来その変更を組合に要求している。これが必要以上に労使の紛争を激化させている原因だと考えております。
○島上委員 その会社が協議がととのわないのに、かつてに実施したということは、在来組合活動として認められておつた部分の賃金を、会社がかつてに引いたということであるかどうか。それからその賃金をかつてに六月分並びに七月分の月給から引いた際に、その引き方がきわめてでたらめであつて、たとえば一人で職場大会をやつたようなかつこうになつたり、その日は休んでおつたのに、工場へ出て組合活動をしたようになつておつたりというようなでたらめな引き方をして、それが職場の人々をして非常に憤激せしめたということを聞いておりますが、そういう事実があるかどうか、伺います。
○益田参考人 六月四日以降の会社の賃金の差引は、これは非常にあくどいのでございまして、組合を圧迫するなんというのではございませんで、組合員一人々々をねらい撃ちにして、何らか動けば賃金を引くというような非常に念入りな方法でございます。その引き方、引くこと自体に問題がございますが、その引く内容となつているのは、従来労使の紛争解決のために協議する時間、交渉する時間は、これは正当な組合活動として認められておつたものでございまして、これを片つぱしから引いて行つたということにほかなりません。組合がかつてに組合活動をやつて、その賃金を会社に支払わせようとしているというようなことは、全然ないわけであります。 それからその引き方の内容でございますが、これは明らかに会社自体が認めておりまして、七月四日の東京における団体交渉のときに、職場の代表二、三十名が、一々その引き方の誤れる点を指摘したのであります。それを担当の部課長が一々立つて答弁したのですが、全部の質問に対して、間違つておりました、間違つておりましたというようなことで、これはもう会社自体が七月四日の団交で認めておる誤れる引き方でございます。たとえば、Aという人とBという人とは、同じ交渉に参加したのに、賃金の引き方が千八百円も違うのは何事ぞと聞きますと、それは職場を間違えてほかの人と間違つておりました、あるいは途中病気で死んだ人について組合活動の時間と称して十八時間を引いておるが、これは何事かと聞くと、それは間違つておりました。この答弁が三時間にわたつて全部会社が認めたところであります。
○島上委員 そういうような会社自身が認めるようなでたらめな引き方をしたことに対して、職場の人々が憤慨するのは当然ですが、そのいわゆる職場の交渉の際に、暴力事件があつたと称して告訴しているそうですが、その交渉の際に、大勢で多少大きな声を出したり、あるいは多少言葉がはげしくなつたりするということはありがちなことで、別に何でもないことだと思いますが、その際に交渉の相手をなぐつてけがをさせたとか、そういうような事実があつたかどうか、お伺いします。
○益田参考人 一つの事実が起つたときに、それを法律的に見て法律違反であるかどうかというようなことは、非常にそのことだけを取上げて言われるので、たとえば医者が私の手に注射をやる、腕をつかまえて針を打込んでおる、医者である、患者であるということを除外してそのことだけを見ると、それは何か傷害事件を起しているみたいに思われます。われわれが職場で団体交渉をやつているのは、ここ八年間ぐらい、ちようど労働省その他から勧告されておりました紛争処理機関として、われわれが職場にずつと積み上げて来た職場委員会と会社の部課長その他の職制との間に、数年間にわたつて築き上げられた労働慣行でございます。そうしてそこで協議された、たとえば残業の問題の処理とか配置転換とか、あるいは処罰に関する問題は、全部中央の経営協議会あるいは団交に報告されまして、会社、組合双方が正式にいいとか悪いとか判断を下しておる実績がございます。ただ、われわれが多数で部課長と交渉したからといつて、その辺どこか歩いている部課長をとつつかまえて、労働者がわつと集まつて、おい、お前というような行き方で、何かひどい激論をやつたというふうにはとれない。場所も職場でございますし、部課長も、きようはゆつくりみんなと話したい、ぼくも電車を利用する必要のないところに住宅を持つているから、ひとつきようは徹底的に話そうというので、時間の制限なしに両方で申し合せてやつた。しかもその話し方というものは、神奈川市警の保安関係の係長と申しますかその責任者の方、あるいは鶴見市警なんかと連絡をとつて——ややともすると、こういうことは夜中になると労働者がいきり立つて、暴力行為と思われる事件や刑事事件が起りやすいから、そのことについてはくれぐれも注意するようにということで、連絡をとつてその都度々々 やつたことでありまして、神奈川地検等によつても調査しておりますが、われわれは暴力行為が起つたなんということは毛頭考えておりません。むしろ会社側を罰する法律は世の中にないものかということを、労働者は考えておるわけでございましてかつてに何かしたといつて賃金を引き、組合がストライキをやつたといつて工場閉鎖をやり、一銭も賃金を払わない。しかも無期限である。こういうやり方について会社側を罰する法律は世の中にないものかということを組合は考えておる状況でございます。
○島上委員 八月七日に益田組合長外五名の検挙がございました。これについては市警等の関係者にあとでお伺いしますが、その前にまず益田参考人にお伺いしたいと思います。その検挙のあつた時間は、すでにもう相当おそい、私の聞いているところではもう七時近い時間で、組合員は全部帰宅した後であつたということ。それから益田組合長は帰宅しようとして停留場でバスをおりたところである。そういう状況の中で、武装警官が二百名も動員されて来たということを聞いております。が、それが事実であるかどうか、その状況と、さらにこの検挙が起る二日前に、地検では組合に対して、秩序ある争議だからこの争議には介入しないということを言明したこと。それから組合は、常に警察にも連絡して相互に相当の了解が成り立つておつたということを聞いておりますが、そういうような連絡あるいは争議に介入しないという約束をしておつたような事実があつたかどうかということも、あわせてお伺いしたいと思います。
○益田参考人 八月七日に組合長以下六名が逮捕された状況について、私自身の場合は私自身が知つております。今御指摘があつた通り、工場からバスで約五分間ぐらいの地点で私がおりたときに逮捕令状を受けたのですが、その場所に組合員は五名ないし六名おりました。なお、そのときに警察官の動員は、トラックのようなのに乗せられまして三台はおつて、遠いところに何台か待機しておつたと思います。念入りな組合員がおつてそれを数えておつたときに、二百名近くおつたという報告を私あとで聞きました。それからそのほかの者は組合事務所その他で検挙されたのですが、そのときは御指摘の通り、組合員はほとんど全部帰つておつて、中に残つておつたのは、そうたくさんの人数ではなかつたはずでございます。 それから、今度の争議が、ややともすると職場で、いろいろな交渉が時間外に長くなりますので、そのときには神奈川警察、あるいは神奈川の市警、横浜の市警には、その都度連絡をとつておりました。そのときに神奈川の市警及び鶴見市警は、絶対に介入しないことを確約するという、一札は入れませんでしたけれども、日産の組合は割合に常識的にやつておつてくれるから、介入しない。ただ連絡だけはしておいてくれというので、その都度連絡はいたしました。組合としては、来て見ていただいた方がいい、むしろおいでになりませんかということをお願いした。ところが、やはり警官が現場に行くと、かえつて労働者の誤解を受けるからわれわれは行かないが、連絡だけはしてやつてぐれというので、両方にやつておりました。地検に対しては、会社が告訴したという情報が頻々と起るものですから、組合の代表が行つて、闘争中組合の責任者、執行部が逮捕されたり、ぶち込まれたりいろいろなことをすると、組合の闘争自体が不利になるので、もしそういう最悪の事態でも、自宅で取調べるというような穏便な処置をとつてもらいたいということで、それは聞いておきましようということがあつたそのあとでございます。
○島上委員 労働大臣はお見えになら尋ので、これは見えたらあとで大臣に対してもう一度質問したいと思いますが、益田参考人が先ほど述べられたことや、今の私の質問に対して答えられた事実をもつて判断すればわかりますように、この争議が今日まで非常に長引いておるということと、それから今日なお解決の軌道に乗つていないということにつきましては、どうも会社側の態度が非常に理不尽であると申しますか、要するに賃金あるいは夏季手当といつたような経済上の問題よりも、組合そのものを何とかしよう、要するに組合の力を骨抜きにしてしまおうというような考えが強く会社側に動いているのではないか。そうしてその背後には、自経連とかいう自動車産業の資本家の連合体、あるいは日経連というようなものが強く動いているのではないか、こういうふうに思われる節が多々あるのであります。こういうような、いわば資本家の態度のために、争議がまさに軌道をはずれたような形になつて、いまなお団交も拒否されたままでおる。今日の新聞によりますと、中労委が両者を呼びましても、使用者側は出て来ない。昨日この衆議院の労働委員会へも出て来ませんでしたし、今日もまだ見えておりませんが、こういうようなことのために争議が長引き、かつ悪化しておる。これはかなり大きな影響を与えておると思う。下請工場の中には、もうすでに手をあげて降参しておるところも相当ある。また聞き及ぶところによりますれば、九州その他の水害地では、トラックを非常に必要としておるが、この日産の争議のためにトラックに不足を来しておつて、プレミアムつきで売られておるというようなことさえもあると聞いておりますが、このようにして、この争議はもう社会的にも大きな問題を含んでいるように思われる。これに対して労働省は一体どういうふうに考えておるか、またこれが解決のためにいかなる手を打つたか、もしくはこれから打とうとしておるかということに対して、労働大臣の考えを伺いたいのですが、まだ見えないし、あとでぎりぎりに来て、時間がないからといつて逃げられては困るので、次官でもけつこうですから、あとで大臣が来たら、また大臣にもう一ぺん伺いたいということを保留して、この点に関して労働省の御意見を承りたいと思います。
○中西説明員 日産自動車の争議が世間の耳目を引いておるのは、おつしやる通りでございますが、労使双方にそれぞれの主張があるために、現段階に来ておるのだと思うのであります。労働省の立場といたしまして今争議が進行中の際に、いろいろの意見がましいことは差控えたいと思つております。この争議が、現段階において団交が非常にスムーズに行つていないという関係で、中労委に提訴されましたのは御承知の通りでございます。きようも労使を呼んで事情を聞くというようなことで、調整機関として公正な中労委がこれにタッチしまして解決に努力しておりますので、われわれとしましては、とにかくやはり双方それぞれかたい主張の上に立つて、かくもんでおるのだという以上には言えないと思つております。
○島上委員 御承知のように、八月五日に使用者側が無期限の工場閉鎖を宣言して、それから七月十六日の団交を最後として、その後団交を全然拒否しておる、こういう状況であります。私の聞いておるところに誤りがないとすれば、この八月五日に、使用者が工場閉鎖を一方的に宣言する当時の状況というものは、組合においてはいまだ部分的ストライキをやつておつたにすぎないし、組合は八月三日には、生産態勢に入るという指令を出しておる。さらに四日には、部課長と話し合つて生産に入ることを申し入れておる。こういう状況のときに、一方的に八月五日に全体の工場閉鎖を宣言し、それから当時は、もうすでに七月十六日以来ですから、団交を拒否して全然応じなかつた。こういうことであるとすれば、労使双方が、いろいろ意見がととのわないために、争議が長期になつておるのだというよりは、むしろ資本家側があまりにも、何というか争議解決に対する誠意がなさ過ぎた。どんな争議だつて、最後には団交をしないことには解決しないのですが、その団交を拒否しておいて、工場閉鎖を一方的にやつた。こういうことは、労使双方にお互いさまだというようなものの見方は、成り立たぬのではないかと思います。これに対して労働省は、今までまつたく何にも手を打たなかつたようであります。今中労委が動き出したとはいうものの、この中労委の呼出しに、労働組合は喜んで出て行くのに、使用者側が出て来ない。こういう状況なのですから、だれが第三者が公正に考えてみましても、この争議が長引き、悪化している原因は、あるいはその責任は使用者側にある、こういうことにならざるを得ないように思うのです。それなのに、どうも労働省の今の答弁によりますれば、労使お互いさまで、そのうち時が来たら解決するであろうというような、ずいぶんいいかげんな方針のように思われますが、そういう点に対して、中西さんにこれ以上聞いてもしかたがないと思いますから、あとで労働大臣が来たら、もう一ぺんしつかりと聞きたいと思います。これは御答弁を願わぬでもけつこうです。 そこで、使用者側が見えておりませんから、残念ながら市警の方にお伺いしたいのです。先ほど益田参考人から、私が念のため伺いましたが、組合は常に警察及び地検と連絡して、会社が告訴するというような事態があつても、そういうことに対しては、お互いに了解し合つてひとつやろうじやないかという話さえしておつたというのに、しかも七時近い、六時四十分という時間で、組合員のほとんど大部分が帰宅しておつた、そういうときに、バスからおりた組合員をつかまえるために、あるいは組合事務所におる数名の者をつかまえるために、武装警官をものものしくトラック三、四台に乗せて逮捕に行つたということは、どう考えても行き過ぎである、組合運動に対する不当な弾圧と解されてもしかたがないじやないかと思うのです。この検挙の直接衝に当たられた市警の本部長に、この点に関して、いかなる理由によつてこういうものものしい、組合に対する弾圧と思われるような措置をとつたのか、お伺いしたい。
○小林参考人 ただいまのお尋ねにお答えいたします。日産の争議が始まりましてから、警察がこれに不当な介入にわたることのないよう、十分注意して、その成り行きを見ておりましたことは、先ほど益田組合長からお話があつた通りであります。また私どもも、とかく組合の方によけいなことを聞きますと、不当に警察が動いておるというふうに見られる節もありますので、争議の問題については、慎重な態度をもつて臨むように注意いたしておつたわけであります。従いまして、八月七日に検挙する少し前までは、検挙になりました事件の内容のような事犯があつたということは、大体市警の方としては知つていなかつたわけであります。ところが、たまたま七月一日に地検の方に告訴が出されておりまして——市警の方には告訴が出されておりません——それで地検の方で関係者をお調べになりまして、令状をとつて、私の方に逮捕について協力してもらいたいという申出がありましたので、私どもはこの逮捕状の執行に対して協力をいたしたのが、今回の事件の検挙でございます。時間は、大体益田組合長を逮捕いたしましたのが、六時三十分、ころと承知いたしております。武装警官をあまり多数に持つて行つたことは、不当の弾圧ではないかということのお話でございますが、検挙にあたりましては、的確に六名の指示を受けました以上は、それを短時間のうちに逮捕するというような方法を考えなければならぬのでありまして、そのためには、不測の事態というものが起つても、これを阻止して執行し得るというような場合も考えて、われわれは準備いたさなければならないのであります。検挙いたしてみましてからは、ばかにおとなしいじやないか、あんなものにあれだけの数を持つて行かなくともよかつたということは、結果において判断いたされるのでございますが、当初においては、まんべんなく考えて、われわれはこれを逮捕するということが、大体計画としてなされなければいけないと思うのであります。しかし、あまりに二百名も動員したそうじやないかとおつしやいますが、これは各所へ分散いたしたのでございまして、益田組合長を逮捕いたします場合には、私服警官四名ぐらいでございました。それで大体後方にはおそらく二個分隊ぐらいの制服がおつたと思います。しかし、それはその逮捕に直接関係をいたしたのではございません。それから組合の事務所には私服が十二名、検事側の方が五名一緒に行つておるはずでございます。制服が二個分隊、一個分隊十一名でございますから、二十二名制服が行つております。それから日産子安の寮には私服が七名、制服が一個分隊、それから鶴見の工場の事務所の方には私服五名と制服が二個分隊、こういうふうに分散して行く途上に一緒になつてそれからわかれるところでたくさんおつた状態をごらんになつて、一応二百名と御判断になつたのでございまして、各所に分散いたしました数は、大体以上のような検挙要員をもちまして、六名のうち、正名は大体その場で逮捕いたしまして、一人岡本というのが、翌朝自宅の方において逮捕したというような状況でございます。従つて、検挙いたしてみますと、別に大きな問題も起りませんので、第二回目、八月二十二日に二名を検挙いたしましたが、これも検察庁からの令状によりまして、逮捕状の執行に私どもが協力いたしました。この場合には、私服警官が十三名事務所へ参りまして、制服を用いずして検挙した。従つて、状況がよく判断できれば、私の方はあえてものものしい動員をいたさないのでありますが、まだそういう状況が判断つきません場合においては、遺憾のないように考えるという点で、今のような動員をいたしたのでございます。この数を合計いたしましても、二百名にはならない、百十名程度警察官を分散したという実情でございます。先ほど益田組合長からもお話がございましたし、また島上さんからもございましたが、私どもは、介入いたすというよりも、こういう問題で事件が起ることは、はなはだ迷惑なことでございまして、もちろんできるだけこの労働争議がお互いの権利を合法の線の最大限において行使をせられるということは、私どもも承知いたしております。介入などということは毛頭考えず、それよりも回避さえいたしたいくらいに考えて、事態を見ておるわけでございます。今回の日産の争議の検挙の指導権は、大体検察庁がお持ちになりまして、私どもは刑事訴訟法に基く協力を求められまして、これに協力いたしたというのが実際でございます。
○島上委員 逮捕してみたら、案外おとなしくてあんなにものものしく行く必要はなかつた、それは結果からそう判断された。こうおつしやいますけれども、いわば市警の人々は、そういうふうにして逮捕をするということは重要な仕事の一つですから、まあわれわれから見れば、しろうとじやない、商売へですから、大体前々から組合の方がみずから進んでいろいろと警察とも連絡をしておつた、そういう検挙しなければならぬような事犯があつたということ、それすら知らなかつたというわけですから、大体非常に大きな抵抗にあつて、たくさんの武装した警官を持つて行かなければならぬような状況であるかないかということは、専門家としては当然事前に判断できるはずだと思うのです。それを今伺いますと、ほとんど何らの抵抗なしに逮捕できたようなことにわれわれ伺いますが、そういう際に、かりに二百名でないにしても、武装警官をトラックに数台乗せて行つたことは事実ですから、これは私は、その状況の判断を間違つたのだといえば、あるいはそうかもしれませんが、何としても警察側の労働組合の運動に対する考え方自体が、もうすでに間違つているのではないかと思います。労働組合は、何も警察に対して武器を持つて、あるいは凶器を持つて抵抗しようなんということは考えてもいなかつたろうし、そういう準備もしていなかつたろうと思われるのに、そういう状況のときに、トラックに武装警官をたくさん乗せて持つて行くということは、これは労働組合の運動に対する大きな弾圧という言葉がもしはげしいとするならば、労働組合の運動に対する大きな威圧であることは間違いない。かつて戦争中や戦争以前の組合運動においては、こういうことはしばしばつきものであつたけれども、少くとも戦後の労働組合運動においては、こういうことは私どもあまり聞いていない。そういうことをいたしたということは、私は今後の労働組合運動全体の上からいつても、大きな問題であろうと思うのです。今市警の本部長の御答弁によりますれば、結果から見てあれほど動員しなくてもよかつた、つまり結果から見れば行き過ぎであつたということを、みずから認めているようなことでしたが、これは私ども判断するに、組合運動に対する大きな威圧を加えた、そのことのために、かえつて労働組合員の感情を激化せしめるというような結果を生んでいる。こういうことに対しては、今後厳に慎んでもらわなければなりませんし、このこと自体は、かりに結果から見たにせよ、何にせよ、何らの抵抗なしに検挙できる状況であつたのに、その判断を誤つてこういうようなものものしい動員をしたということに対しては、どうも納得行かない。これに対して、今結果から見て、これほどしなくてもよかつたというふうにおつしやられましたので、私は、そのことは行き過ぎであつたということを別の言葉で言つているにすぎない、こう判断いたします。そして先ほどの益田参考人の供述によりますれば、個人々々の思想調査を厚木、横浜地区においてされた、家庭を訪問して個へ々々の思想調査をしたというようなことを言われておりますが、これはおそらくこのような場所ではつきりおつしやるからには、もちろん十分に事実があつてのことだと思いますが、そうだとするならば、これははなはだしき越権行為、あるいは組合運動に対する不当な介入、弾圧であつて、許すことのできない問題だと思います。そういうような個人々々の思想調査は一体どこの警察で、だれが指揮してやらせたものかわかりませんが、この思想調査の問題に対して、市警においては関知しておるかどうかという点。それから前言つた益田組合長外五名の検挙に対して行き過ぎであつたとお思いにならぬかどうかという点を、最後にお伺いしておきたいと思います。
○小林参考人 ただいまの第一の思想調査の問題ですが、これはいろいろ私の方でそういうような争議関係について、個々に思想を調査しろというようなことは、もちろん命じておりません。事実何かあつたとすれば、何かの誤解、別の面における何かの判断の誤りかどうか、私は聞いておりませんし、また私指示した覚えもございません。また署長の方でもおそらく争議に関係して組合員の各戸を訪問しで、どうやれというようなことは、常識上考えられない問題でありますが、そういう事実云々ということをここで公然おつしやるわけですから、後日また益田組合長からでも状態を承りまして、実際の状況を調べて善処するようにいたしたい、こう考えております。 それから弾圧と考えるかどうか、行き過ぎと考えるかどうか。先ほど申し上げました通り、必ずしも検挙に向つて組合の方で妨害を加えないということは、これは保証できないのでございまして、検挙する場合には妨害しないから、ぜひ呼びに来てくれというような話合いをしたわけでもございませんし、事実連絡をとつておりながら、あれだけのつるし上げがあつた。——告訴の事実が真実であるとすれば——私の方で調べておりませんで、検察庁でお調べになつて起訴されておりますから、それが真実であるとするならば、それをさえ隠して連絡しないのでございますから、向うの言うのを一々ほんとうに受けて検挙をやつておりましたら、これは後手を踏むということがあり得るわけでございます。従つて、私どもの方で万全を期してやつた態勢でございまして、結果から見るというのは、この事件ばかりではございません、あらゆる検挙の場合に、相当抵抗があると考えてやつた場合に、案外すなおに出て来てしまつた、あれほどにしなくてもよかつたということが多々あるわけでございます。従いまして、これは誤判であつたということにお考えになれば、これは別の問題でございますが、決して弾圧するとか、行き過ぎをやるとか、牽制をするとかいうような意図をもつてやつたものでは全然ございません。逮捕を的確にするという趣旨をもつてやつたものでございますから、その点ひとつ御了承をお願いしたい。先ほどつけ加えましたように、後日検挙の場合において、やはりそういうふうに間違いないと判断さえつけば、適正に是正して、われわれの方でこれを実施いたしておるような状態でございますから、その点をおくみとりくださいまして、最初から私どもが弾圧ということを念頭に置くとか、あるいは不当に干渉するというような考え方をもつてやつたものでないということを御了解していただきたい。また今後につきましては、さらに一層慎重な態度をとつて、いささかでもそういうような判断を受けることのないように十分検討し、判断を誤りないように努力いたしたいと考えます。
○赤松委員長 個々の人たちに対する思想調査がなかつたかどうかというような点について参考人の証言を得る前に、ひとつ私労働省の方の見解を聞いておきたいのですが、先般来スト規制法を審議する過程におきまして、政府の労働政策というものが明らかになつた。小坂労働大臣によれば、絶えず労使の間に望ましい慣行をつくり上げる、そうして正常なる状態において労働問題、労働紛争等を解決して行きたい。従つてその場合は、労使あくまで対等の立場に立つて、自主的な交渉にまつて行くのだ、その場合いやしくも権力によつて、あるいは第三者によつて労働者の権利が侵害されてはならぬ。これは労働法の原則でもあり、憲法二十八条には団体行動権を明確に規定し、労働者の権利を保障しておるわけですね。それで、私は一警察官が判断を誤つたとかなんとかいう問題ではないと思う。少くともそういう生存権に関する重大なる労使紛争の中において、たとえば自治体警察なり検察庁なりが誤つて日産の社長を何らかの嫌疑でもつて逮捕する、そのために労働者側に著しく確信を与え勇気を与え有利にする、そうして憲法二十九条で守られておる財産権を侵害するような結果を客観的に招来する。主観的にはどうあれ、客観的にはそういう結果を招来するという場合には、明らかに経営者に対する権利の侵害だと思う。反対の場合を言えば、労働者は裁判を経なければ罪は確定しない。たとい検察庁の令状に協力したといつても、トラックに二個分隊の武装警官を便乗さして、客観的にはそのストライキに威圧を加え、労働者の団結権を侵害するような結果を招来したということになるならば、これは一地方自治体の一警察官の犯罪捜査の問題ではなくして、私は労働者の権利の上の基本的な重要な問題であると思うのです。もしこういうことが看過されて、今後捜査権の建前から、刑事訴訟法の建前から、どんどん憲法二十八条が侵害されて行くということになりますれば、再び戦前のような状態が生れて参りますので、この際、こういう問題についての政府当局の、特に労働省の考え方を明らかにしておいていただいて、そのあと益田参考人から発言を求められておりますから、個々の問題につきまして一応お伺いしたいと思います。
○中西説明員 労使の関係の基本的態度につきましては、ただいま委員長から言われました通りに私どもも考えております。そこで正当な労働組合活動は、当然擁護されなければなりませんが、そうだと申しまして、いかなる行為でも争議中は許されるというものでないことは、労組法一条に、正当な労働組合活動として最小限の暴力も許されないというように規定されておるところからも明らかでございます。従つて、暴力あるいはそれ以上のいわゆる刑事的な行為がありました場合、それすらも争議中はいかんともしがたいということにはならないのでございます。ただ、今委員長が言われましたお心持はよくわかるのであります。そこでもし検察当局が間違つて、そういうことを濫用するということがたび重なつて行われるということになりますれば、やはりこれは大きく取上げて問題になるかと存じます。今、日産の場合に、はたして検察当局の判断が誤つたかどうか、これは実相がわかりますまで、何とも言えないのであります。しかし、新憲法下、検察当局も労働組合活動についての理解を十分持つておられますので、おそらく検察当局として適正な判断としてやられたものだと思うのであります。われわれといたしまして、争議中不当な官憲の干渉によりましてどちらかに有利になるということは、絶対にないようにお願いしたいところでありますが、そうだからといつて、やはり暴力以上の犯罪的な行為が放任されていいということは言えないというふうに考えております。
○益田参考人 若干飛び飛びになりますが、思想調査の問題については、例をあげればたくさんありますが、齊藤心一という組合の青年部の者に対して、私は警察の者だがという証明を出して、お前は共産党員じやないかということをまず言つて、そうじやない。——そうじやないと言うのもどうかと思いますが、そうじやないと答えた。それではお前の組合の幹部あるいは組合にはこれだけの共産党員あるいは祕密党員がおる、その思想はこうだ、お前はそのうわさを知つておるかということをいろいろ言いまして、年とつた母親がそのそばで聞いておつて非常にくやしがつておつたというような明確な事実がございます。それから市警ついて、いろいろ判断して慎重にとつておられることはわれわれも知つておりますが、少くとも片手落ちはずいぶんあると思います。これはどういうふうに市警なんかとられるか知りませんが、たとえば、日産の争議に、ある夜中の午前二時に、横浜では風太郎といいますが、えたいの知れない労働者が百名くらい手に手につるはし、シヤベルを持ち、あいくちを持つておつたのが組合員の認定したところでは二名、それがわつと喊声を上げて、きようはけんかだけんかだということで押しかけて来て、われわれが職場を守つおるところを追い散らそうとした。何しに来たと言つたら、くぎを打ちに来た、けんかの相手はいないのかと言つたが、こちらは統制をとつて挑発に乗らなかつたので、きようはけんかの手当をもらえなかつたと酒気を帯びて帰つた、それは逐一警察には報告したにかかわらず、何ら取上げない。あるいは会社側の部課長が、酒を飲んで組合の事務所に来て、さんざん悪口雑言を言つて酒を飲んだまま自動車を運転してどこかへ出て行つた。酒を飲んで車を運転することが、一体許されるかどうか。あるいは横浜のバリケードというのは、二百五十万円かかつたと会社が称するものだけに、ものすごいもので、あれでは家が必ず四軒建つほどの材木だそうでありますが、あれを見ますと、ねこの子一匹入れるすきのないように厳重に築かれ、鉄条網が張られ、その中には竹やりになるような竹を組んでおりまして、今の世の中に想像も及ばない気違いざたでありますが、もし一朝あの中に火事が起つた場合に、警察などはどうされるのか。全然関知されないのか。私どもは、戦車でも使つてあれを引倒さない限り、相当困難ではないかと思います。 もう一つ、八月十九日に、組合の幹部が神奈川市警に呼ばれまして、あなた方がもしあれだけの重大なバリケードを破るのだつたら、今度は絶対に検挙するからというようなことを言われました。こういうことを言われますと、組合の幹部は、実に脅迫されたととるのです。今度は検挙するから用心しろと言われますと、まことにこれは脅迫としかとれないと考えます。 それから、これは全然別のことでありますが、私どもの組合員で、分裂しておる者があります。この者が、きのう、きようの労働委員会に、なぜ会社側は出ないのだということを聞いたときに、炭労争議のときに資本家代表が行つて、非常に不利な立場にあつたので、会社側の代表を出さないということを明言したそうです。それがきよう文書で出おります。われわれに対する回答としては、社長、専務が急に病気になつたので出ないということだつたのですが、組合員は、社長、専務はあれほど元気であつたのに、衆議院で労働委員会が開かれるときに二人とも急にそろつて病気になるというのはおかしいという話をしておる現状であります。
○中原委員 労政局長の今の御答弁ですが、この問題は仮定ではない、現実の問題です。御答弁の中に、何だか暴力団でもあつたかのような印象を与えるような表現があつた。暴力行為あるいはそれ以上のことがあつた、それはもうきまりきつたことです。この問題に対してそういう御答弁がここであえて用いられるということになりますと、日産の争議そのものの中に、ことに団体交渉の経緯の中にそういうものがあつたかのような印象を振りまくことに効果があるのです。これはあなたの意思はそうでなかろうとも、そういうことになる。そうすると、これがすでにこの日産の争議に対して不当扱いにするという思想があると思います。これがやはり地検なり市警なりに反映しておるのだ。そういうことが地検の、たとえば逮捕の令状の執行についても、必ずしも関連がないとはいえない。従つてそれによつて市警が動いたことにも、今、本部長が言つたように、これは用心深くやられるに越したことはございますまいが、それがどのような釈明の材料だつたにしましても、やはりそういう思想がずつと一貫して流れておるところに、日産争議に対する不当干渉があつたり、圧迫があつたり、威嚇があつたりするということが出て来るわけであります。本来この労働争議の当面の責任者をかりに検束するにいたしましても、これはめつたにやるべきことではない。よほど慎重に慎重をきわめた結果、放任しておけば一大事件が勃発するかもしれないというような恐るべき事件が予想されておるときは別としまして、そうでないときにそういうことを取上げるということは、おそらく戦前といえども、そういう例はほとんどない。大体ここらで争議が目安がついた、済んだ、そこで責任者ひとつ来てくれ、こういうことはあり得るけれども、それをあらかじめまずひつぱつておいて、争議全体の空気に動揺を与えて、いわば労働側に不利な条件を醸成する。こういうことが予想されるような態度というものは、態度自身が一応検討されなければならぬということに私はなると思いますが、そのことはよろしい、今地検がおられないから、別にどうこうと言つてもしかたがない。そういうことでありますから、労政局長の立場で、ただいまの御答弁は必ずしも適当でない。その御答弁に他意はなかつたにしても、やはり私はただいま申しましたようなことに関連性を持つて来るおそれがあると思います。だから、労働省当局はもつとほんとうに第三者的に冷静な御答弁が願いたい。ことに、議の責任者ということになりますと、これは非常に問題が大きいのでありましてそれにうかうかと手を出されたのでは、争議自体が、何といたしましても労働者側に不利におもむいて行くということは必定なのであります。ですからこの点に関しましては、ただいまのような御解釈ではなくて、やはり労働権を確保し、労働権を防衛するという見地からお考えにならぬことには、労働省としては適当でない、私はそう思います。それについて、なお御見解を聞いておきたいと思うのであります。 なお、益田組合長の御説明から想像いたしますと、どうも会社側にかなり気構えがあると思うのです。これは私どもから言いますと、また言うかと言われるかもしれませんが、最近の日経連の労働対策というものが、やはりここに出ております。そういうものが明らかに出ていますから、その線に沿うてやつておる経営者側の態度というものは、政府がほんとうに第三者なら、そういうものから離れて高い見地から見ておるのならば、私は検察当局といえども、市警当局といえども、相当慎重にお考えにならなければならぬと思うのです。どうも経緯から考えますと、たとえば、先ほどの賃金を差引いたという事実の場合でも、それもあやまちであつた、これも誤認であつたといわざるを得ないような不当のことをやつておいて、そうしてひたすらに労働側に公正を欠いておいて、たまたま団交をやつておると、その団交が不当なつるし上げだ——団交ですから、つるし上げといえば、つるし上げになるかもしれませんが、団体交渉というものは、何も向うのおつしやる通りに、さようでござるというのでは、意味がありません。団体交渉をするからには、経営者側の不当な点はもちろん追究するでしようし、労働者側の要求すべき点についても、かなり強硬に要求するのが当然である。団交が許されているのは、合法的である以上は、いささかも問題ではないと思うのですが、これをつるし上げでもあつたかのように、あるいは不当な行きがかりでもあつたかのようにこじつけて行くところに問題がある。これはかつていわゆる暴力行為取締法が活発に動いた当時、弁解を求めて行つても、それが暴力行為取締法に抵触する、そういう扱いを受けた場合もあるのです。ちようどそのことが、今ここで再現されておるような感じです。感じではなくて、それが再現されておると断言してもかまわぬように見える状態を、私どもはたくさん見聞するのです。第三者のいわゆる商業新聞の報道だけで見ましても、これは確かに経営者側が日経連の例の七原則、その他の労働対策そのままにここで実践しておる。この際大いに追い込んで行つて、労働組合側の行動力を萎縮せしめて行く、こういうことが実はうかがわれると思うのです。これは、さらに具体的な問題を通して検討を要すると思いますけれども、一応そうえ見る。そうすると、ちようど私どもから考えますと、国家公務員法以来だんだん労働者の行動権を圧縮して来て今日に至つているわけですが、つい最近にスト規制法がああいう形で無理押しに通過された。こういうことを背景として、結局経営者側並びに政府側もそれを容認しながら、このスト規制法の労働組合に対する圧迫、干渉あるいは侵害、こういうことがだんだん慣行づけられようとしておる。労働大臣のいつもの言葉ですが、労働慣行ということをしきりに言われますが、労働慣行ということは、今までの健全な労働慣行を踏み破つて、とんでもない慣行を醸成しようとしておる、こういうことさえうかがわれるわけです。これらのことを考えますときに、今度の日産の争議に関する場合、政府としても、もう少し真剣に御判断願わぬことには、一大事だと思う。こういうことで軽々しく憲法の条章が蹂躙されて来るのでは、これは憲法あるがごとくにして、なきがごとくです。そういうことではたいへんなことです。ですから、労働省としては——局長にあまり無理を言うようですけれども、次官もおいでになりますので、どうですか、その点について、もう少し政府は、特に労働省は冷静な御判断の結果としての御見解をお述べになる。もしその見解を述べることができないとすれば、一体だれに遠慮なさるのか、こう言いたくなる。なお益田組合長のただいまの御説明で、これは島上さんから質問になりますから控えますが、とにかく市警の本部長の思想調査に関する御答弁は、さもありなんというような御答弁でありましたが、どうもこれは真相と違う。言葉の先でこの場をとにかくうまく説明づけるというのでは困るのであつて、事実は依然としてあつた事実として、その事実に対する責任者の責任ある答弁を当然私たちとしては要請いたします。それができぬようでは——一体そういう実態がなぜあつたか。おそらく警察官がかつてにやることはないと思う。何かの筋からそういう命令が下つておらなければ、やる必要もなし、またやる意欲も持たないと思います。こういうことは、その場のがれではなしに、ほんとうに責任ある御答弁が願いたい。これは益田組合長の御答弁と市警本部長の御答弁との間に、大きな食い違いがありますので、具体的には、島上委員の御質問にゆだねまして私は控えますけれども、以上のことを申し上げまして、究極はサービス官庁と特にいわれる労働省の、これは局長には無理なことだと思いますが、その点について次官の御見解はいかがですか、お尋ねいたします。
○安井説明員 原則といたしまして、ただいまおつしやる通りであろうと存じます。ただ、先ほど労政局長が申しましたように、争議であれば何をやつてもいいのだということは、いえない場合がございます。正規の手続をふみました場合には、そういつたこともやむを得ない場合もあるということを御了承いただきたいと思います。しかし、原則といたしまして、ただいまおつしやつたような趣旨で、第三者機関として、十分なサービス機関としての政府の態度は保つて行きたい、こういうふうに考えます。
○中原委員 原則としてはそうなつておる、しかしそれだからといつて何をやつてもいいというわけのものではない。これは、ためになされる答弁だと思います。労働組合は、何をやつてもいいとは考えておりません。労働組合法に規定されておることはよく理解しておる。そんなことはいらざる御答弁です。しかも、そのいらざる答弁が、そうであるかのような印象を流すことになる。これは危険です。おそらく労働組合の指導者は、そんなことは考えておりません。特にこういう争議に直面した場合には、やはり指導者というものは夜の目も寝ずに慎重に考えております。その指導者自身の個人のあやまちではない。その組合だけのあやまちではない。これは全労働運動に対する責任者ですから、そんなことはやるべきことではない。私はやつていないと断言し得ると思います。ことに、この日産争議の経過を具体的に聞いてみますと、そういうことは私どもとしてはうかがい得ない。これはやはり政府自身がみずから省みて、ほんとうに純粋な気持に立ち返つて御判断を願わなければならぬと私は思う。そうでないと、結局はわれわれが常に感じさせられておりますように、やはり日経連の労働対策がかわつて来ると政府の労働対策がかわつて来る、こういうこととやはりつながつて来ることは否定できなくなるのじやないか。だから、この点は特に強調しておくのです。決してこれはためにすることではない、日経連の方針が動く通りに、政府の方針が実際に動いているということが事実なんです。それがたまたま日産のストの場合に出て来ておる、これは否定できません。でありますから、ただいまのような、そういう仮説になるようなことはお差控えを願いたいのです。そういうことを一体どこがやつておるか。日産の争議がそういう逸脱した行為であつたのかということが指摘されなければならぬ。この点については、やはりそういうことを考慮の中に入れて御答弁を願いたい。
○安井説明員 今の、例外をすぐ一般へ広げるという危険がある、こういうことのないように、十分注意をいたして考えて行きたいと存じております。
○多賀谷委員 関連して労働省と市警にお尋ねいたします。労働省に対しましては、今行われております日産のロック・アウト——八月五日から工場閉鎖が行われておると聞いたわけでございますが、かように一箇月以上にわたる長い工場閉鎖が実際許されるものであるかどうか。私は労働者のストライキ権と工場閉鎖とは、同じ基盤においで考えらるべきものではないと考えるわけであります。なるほど工場閉鎖は、現行の労調法に若干規定してございますけれども、これはやむを得ない経営者の最後の手段であるといわなければなりません。たとえば生産あるいは就労をするという申し出なくて、あるいは就労してもすぐストライキに入るだろう、こういうような状態、しかもこれは長期的に許されるべき性格ではないと思います。またある人の説によりますと、労組法の第八条の民事上の免責の規定は、工場閉鎖の場合は排除すべきだという議論さえあるわけでありまして、当然かかる場合は、むしろ使用者の権利の濫用ではなかろうかと考えるわけであります。これに対して一体労働省はどういうふうにお考えになるか、お尋ねいたしたい。 さらに続いて、七月十六日から団交が拒否されているやに聞くわけでありますが、この団交拒否は、不当労働行為ではないかと思います。この点に対してどういうふうにお考えになるか、お尋ねいたしたいと思います。 続いて、市警の方にお尋ねいたしたいと思いますが、今益田組合長の話によりますと、暴力団の話がありました。しかも市警に対してはそれは通告してある、こういうことでありますが、しからば、なぜ暴力団に対して検挙をするという態度に出られないか、この点についてお尋ねいたします。 さらに、争議中に組合幹部をひつぱるとか、あるいは経営者の幹部をひつばるということは、これは先ほども労働委員長が言われましたように、厳に慎まなければならぬ行為であります。われわれが争議に参りますと、組合の方でも、会社側の悪いことをいろいろ知つております。しかしながら、そういう刑事上の問題をここに告発して、いたずらに紛糾をさすことはフェア・プレーでないということで、われわれは組合を常に指導して来たものであります。そういうわれわれの意図にもかかわらず、経営者並びに警察の方にも——むしろ今度のような場合でも、私は、いやしくも組合幹部でありますから、警官が押しかけて検挙する必要はない、任意出頭でけつこうであると思います。一体、なぜこういうように警官を連れて検挙に出られたか、この点をお伺いいたしたいと思います。
○中西説明員 労使の紛争裡において、実力行使は最後の手段でありまして、これが短期間であり、できれば行われないのが望ましいことは申すまでもありません。ロック・アウトとストライキと同じではないというお説でございますが、私どもは、やはり双方対抗手段として、法律上も同じに考えていいのじやなかろうかというふうに考えております。一方だけが何でもできて、片一方は控えて対抗しなければならないというのは、かえつてフェアではないと考えております。 それから、団体交渉が最近とだえているという点でございますが、これは私も情報で実情を聞いているので、ほんとうのところは私らも、いろいろと争議に携わつておりまして、渦中に入つていないと、その間の事情はよくわからないのであります。この際は、たまたま組合から団体交渉を申し入れて、会社は断つているという事態でありますが、われわれはかつてにおきまして、この逆の、会社からいくら言つても組合が応じないというような場合も、争議の過程においては幾らも経験し、また見て来たわけでございます。従つて、事情を十分調べなければわかりませんが、今の段階においてと言いますのは、争議の最中に団体交渉がとぎれます場合、それがいわゆる不当労働行為になるかならないか、たいていの場合は、私は不当労働行為というものは、むずかしい場合が多いのではなかろうか、これは事実をよく調べなければわかりませんが、そう考えております。
○小林参考人 ただいま暴力団をなぜ検挙しないかというお話でございましたが、私どもは別に暴力団と考えてはおりませんし、会社側がいわゆる立入り禁止の工作をするために、人夫を雇つて来たというふうに承知しているわけであります。それは、その連中がどういう大きなことを言いましたか知りませんけれども、まさか暴力団を使つて片一方に云々ということは、会社といえどもやらないと思うわけであります。しかし、そういうお話がありましたから、会社の方には、事を構えてそういう暴力ざたを起すようなことがあつてはいかぬということを注意をしておいたわけであります。何か内部云々というようなことがございましたから、それは捜査を続行中でありますが、組合側の方に聞きますと、それが判然して、こういうふうにしてこういうやつがやつたというようなお話もございませんので、捜査は途中になつておりますが、決して私の方では等閑に付しているというようなことはないわけでございます。 争議中に幹部をひつぱるという、この検挙については、検察庁に御判断を聞いていただかないと、私は警察官を連れて現場に行つたわけではございません、警察官を協力せしめただけでありまして、検事の意図に反することを私ここで申し上げますと、また非常に御迷惑をかけるわけであります。おそらく争議中に不当と思われるようなことをしてはいかぬということは、これは重々何へも考えているわけでありまして、ここに一大決意をもつて検挙されたということは、それに相当する根拠があるものと考えて、私は心から協力いたして参つて来ているわけでございまして、任意出頭させてなぜ調べなかつたかどうかということも、ぜひ検察庁の方にお調べを願うようにお願いいたしたい。制服の警察官がよけい出なかつたかどうかというような問題は、私自体の判断と実施の問題でございますが、争議中にいやしくも新たに逮捕する、それも多数というようなこと——しかしながら、第二回目にも検挙がありましたような事態から考えると、相当に決意を持ち、検討せられた上に検挙をせられたものであると、私は考えておるものであります。
○多賀谷委員 労政局長から、労使の争議行為は平等である、法規上そういうことになつておるというお話であります。それでは法規上どういうところに明文があるか、お尋ねいたしたいと思います。
○中西説明員 労調法の何条でございましたが、七条ですか、その辺に争議行為の定義が書いてございます。これは双方が主張を貫徹するために正常な業務の運営を阻害する行為、これを争議行為だというふうに規定をしておりまして、すべて争議行為は、その定義でずつと行つておる。それには労使双方の実力行使、これが入つておるわけであります。
○多賀谷委員 第七条の関係は例示をしてあるだけでありまして、別に平等であるということにはなつておりませんが、第八条には使用者の争議行為については書いてありません。労働者の争議行為の場合にのみ民事上の免責があると書いてある。法律上は平等になつていないのですが、どうですか。憲法の規定においてもしかりです。
○中西説明員 法の規定におきましては、一応憲法の二十八条は、労使を平等の関係に立てるためにあるのだというふうに解釈されております。従つて、労働者側が一応保護されるという立場で規定ができております。従つて、憲法におきましては特に経営者側のことを書く必要はないというので、ただ労働者の団結権、団体交渉権、争議権というものが規定されておるのでございます。そういう関係は、ほかの労働関係の法律にも出ておりますが、しかしながら、争議におきまして労働者側の争議行為、それから経営者側の争議行為両方があり得るということは、これはもう一般の考え方じやなかろうかと思います。
○多賀谷委員 二十八条は、労使対等というような言葉は書いてないのであります。これは労働者の権利しか書いてありません。それから、私は第八条の関係をお尋ねしたわけでありますが、これは労働者の争議にだけ民事上の免責があると書いてある、使用者の争議については書いてない。私は、法規上それは平等になつておるということでありますから、法規上明文をもつて示していただきたい。法律上の根拠を聞いておるわけであります。
○中西説明員 ちよつと今条文が出ませんけれども、大体すべての関係におきまして、特に経営者の方は書く必要がないということで、書いてないようであります。今申しました憲法二十八条は、平等ということが書いてないことは承知いたしております。平等にするためにあの規定が設けられておるのだということを、申し上げておるのであります。
○多賀谷委員 私はこの工場閉鎖については、非常に異論があるわけであります。これが無期限にやられると仮定しますならば、これはたいへんなことになる。工場閉鎖をやる場合には、法的にやむを得ないという事実上の客観的な条件がなくちやならぬと思います。なるほど、工場閉鎖をやつても、賃金を払えば別であります。賃金を払わない工場閉鎖というのは、やむを得ない場合である。これのみしか許されない。あとは不当なる権利の濫用であると考えるわけであります。その場合において、労働省においては、どうも法規上もはつきわされていないようでありますが。私は、こういう問題は法規上の明文をもつてしか制限できないものである、かように考えるわけであります。これにつきましては、法律解釈でありますし、その他裁判上の問題にもなる可能性がありますが、本日は時間もありませんし、私はまだ炭鉱争議の問題もありますので、一応やめておきますが、この問題については十分研究していただきたい、かように考えます。
○中西説明員 この八条の問題は、労働組合だけを書いてございますので、例の争議団につきましても、この精神で適用があるというふうに、これは精神の最小限度を規定しておるのでありまして、使用者側の争議行為につきましても、当然この精神がもとになる、そういうふうにわれわれとしては考えております。
○多賀谷委員 第八条の問題は、英国のタフベール事件という大きな事件から発しておる条文であります。これは非常に歴史的な条文であります。これは労働者がかちとつた条文であります。でありますから、これは簡単に使用者に適用するのだというような条文の歴史的な性格を持つていない。私は、本日議論をしようとは思いませんけれども、そういう条文でありまして、これはわれわれ労働者の方でかちとつた条文である、こういうことをひとつ考えていただきたいと思うわけであります。この問題については、これ以上申しません。
○中原委員 時間もたちますからきわめて簡単にお尋ねいたします。私は法理上のりくつを言うために立つたのじやないのです。これは労使の対等の問題なんです。これはいまさら申し上げるまでもないと思うのですが、そのままでは資本家が有利になることははつきりしておるのです。一資本家は、いつの場合でも、このままでは有利です。そこで法律によつて、労働と資本を対等の立場に高めさせるため、対等の交渉をし、対等の関係を取結ばせるために、保護関係が法的に出ているわけですね、こういうことになると思うのです。そうであつてみれば、争議をする行為、交渉する行為、あるいは団結すること、こういう労働三権がある。これは極力最大限に保護されて、初めて労使間が対等の立場に立ち得るわけです。こんなことは説明せぬでもわかつておることなんですけれども、どちらが対等とか平等ということじやなくて、労働者側に非常に有利にこの法律自身が解釈できなければならぬのは当然です。労働関係諸法規の解釈は、労働者側に善意の解釈をもつてして初めて通ずるということになると思うのです。そうなつて来ますと、今度の日産の争議の進行過程に不当な干渉があるということになれば、これは逆になつて来る。そこで今の原則の問題として、やはり日産の問題については、経営者側の方に非常に問題があるし、その経営者側の言う通りにもし行くとすれば、その方に対等感を蹂躙するものがやはり助長されて来る、こういうことを私は思うのです。ですから、このことを特に、——これは皆さんの御認識になつておることなんで、決して私は無理を言つていないのです。その通りになつておるはずなんです。そのために、労働争議はやはり法的に守らなければならぬ立場にある。それがちようど日産争議では逆の現象が出ている、こういうことなんです。これは私の見解ですが、いかがですか。どういうふうにお考えになりますか、その点ひとつ……。
○中西説明員 原則論は、先ほど政務次官も申されましたように、確かにそういうことがあると存じます。またよけいなことをくつつけるというおしかりを受けるかもしれませんけれども、しかし、それだからといつてあらゆることが許されるということではないのであります。現実の日産の場合はどうでありますか、これはさらに検察並びに裁判所の判定を待たなければわかりませんけれども、抽象論、一般論といたしまして、やはりいかなることでも許されるということはないと思います。
○赤松委員長 山本勝市君。
○山本(勝)委員 益田参考人に伺いたいのでありますが、その前にちよつと政府側に伺いたいのです。今度の日産争議の、どちらの主張が正しいとか、間違つているとかいうことは、これは今わからぬでありましようが、ただ政府として、先ほど来のお話を聞いておると、何だか労使双方の主張が一致しないでやつておるのだから、手を触れないで介入しないのがいいんだというふうに、非常に消極的な態度をとつておるように響くのです。しかし、政府というものがあり、労働省というものがある以上は、そういう争議行為が起らないように、起れば早く解決するように、やはり積極的に乗り出して——もちろん不公平なことをしてはいけませんが、公正に解決するように努力するということが当然ではないか。しかも、今日の日本の置かれておる現状から申しますと、こういうふうなことが起ることは、非常な不幸な事態である。なおさらそういうことが起りそうだということになれば、やはり大臣が素裸で飛び込んで行つて、両方の言い分もよく聞いて、そういうことがないように努力すべきだと思う。現に労働関係調整法の第三条にも、そういうことが規定されておる。御承知の通り、政府の態度としてはつきりと「政府は、労働関係に関する主張が一致しない場合に、労働関係の当事者が、これを自主的に調整することに対し助力を与え、これによつて争議行為をできるだけ防止することに努めなければならない。」と書いてある。ですから、それは政府の当然の義務だろうと思う。これに対して先ほど来私が聞いたのでは、全然手を触れていないような印象を受けたのですけれども、そうではなくて、この第三条の目的に沿うて努力をなされたのかどうか。これは詳しく伺う必要はありません。一応伺つておきたいと思います。
○中西説明員 労働省はサービス省だというようなことで、争議の際に何かこれを解決するように積極的な努力をすべきのような御意見でございますけれども、この点は、十分御理解いただきたいのですが、労使の争議の場合は、なるべくこれを自主的に解決さすというのが望ましいのでありましてこれが公共の福祉その他に関係して参りますれば、あるいは緊急調整その他法律上労働大臣の権限になつておりますいろいろなことも考慮いたしまして発動について配慮しなければなりませんけれども、そうでない限りは、争議関係に入つておりますような問題につきましては、できるだけこれは双方の自主的な交渉に待つべきだ。これの解決調整機関といたしまして労働委員会がございます。労働委員会も、現にさらにこの問題について努力をいたしております。従つて個々の争議の場合に労働省が入りますことは、かえつて世間からいろいろな誤解を受け、非難を受ける場合が多いというので、できるだけ差控えておるのであります。もちろん労使双方から、今度の日産につきましても、事情は聞いております。当事者直接にも聞きましたし、また所管の神奈川県からも聞いております。聞いてはおりますが、この問題は、やはり原則的には労使双方、さらにこの調整を行うとすれば、その専門機関である、これもやはり政府機関でございます労働委員会にやつていただく、これがやはり正常な姿ではなかろうか。それ以上出まして、とかく労働省が介入いたしますことは、かえつてときに非難を受けるのではなかろうか。双方にとりまして、決して歓迎されることではなかろうというふうにわれわれは考えております。
○山本(勝)委員 ただいまの御答弁ですと、争議行為に対しては、政府は手を触れない方がよろしいという考えのようであります。もちろん、自主的に解決するということは必要です。しかし、自主的に解決するように助力を与えなければならぬ、また争議行為を防止するように努めなければならないというのですから、権力でもつてどちらかを押えるというふうなことは、もちろん絶対に許さるべきでないし、先ほど問題になりましたけれども、検挙をしたというようなことは、これは検事局に事情を聞いてみなければわかりませんけれども、横浜市警の話を聞いてみると、それだけがほんとうだと仮定すると、少し私は行き過ぎじやないかと思います。これは実情を両方から聞いてみないと、一方だけ聞いてもわかりません。しかし、そういう権力を発動するというようなことは、よくよくの場合であります。しかし争議行為が起りそうだ、あるいは起つたというときに、労働大臣がまる裸で飛び込んで行つてそうして日本の実情を説き、双方の言い分を聞くだけでなしに、そういうことが起らぬようにできるだけ努力をするということは、必要でもあるし、そのために誤解を受けることは何もない。今日の日本の実情は、そういう消極的な、なるべくさわらずに置いて、訴えがあつたらやるというふうな法律上の規定一点ばりで解決できるような事態ではないと私は思つているが、どうですか。 労働大臣が来られましたので、労働大臣にちよつと伺いますが、私は何も大臣を責めるのでもなんでもない。ただ、先ほど来次官やら局長の説明を聞いていると、労使の主張が一致しない場合には、労働省はできるだけそこに手を触れない方が、誤解も受けないし、また自主的に解決するに都合がいいというので、さわらずにおる。それが、むしろ積極的に故意にさわらずにおるというふうに響いたので、労調法第三条の趣意というのは、労使の双方の主張が一致しない場合には、政府の態度としてはいかにあるべきかというと、自主的に解決させるために助力を与えなければならぬ、また争議行為を防止するために努力をしなければならぬというのですから、むしろ飛び込んで行かれて、そうしてひとつ抱き合つて解決するということが必要ではないかと思うのです。これまでそういうことをこの争議に関してやられたかやられないかということは追究しません。ただ、今後もそういうことはさわらずに行くという方針で行かれるのか、それともそういう場合にはやはりまる裸で飛び込んで行つて、解決しようという心構えで行かれるのか、その点を労働大臣から伺いたい。
○小坂国務大臣 山本委員の御意見も傾聴いたしますが、労働争議をどう扱うかということについては、やはり従来のやり方といたしまして、必要があれば、もちろん私ども出て参ります。必要というものを、どういうきつかけで認識するかという点につきまして、とかく誤解を受けやすいということで、労働委員会もあることでありますし、労働委員会の建前が、提訴をまつて発動するという建前にもなつておりますから、その気持はわかりますし、私はお気持は尊重いたします、また私自身そういう熱意を持ちますが、これはよほど慎重にやらなければならぬと思うのであります。最近ヨーロッパから帰つて来た中山氏などの話を聞いてみますと、西ドイツにおいて非常に争議が減つているということが言われるのでありますが、もちろん実際の統計を見ますと、減つていない、やはり争議は争議としてあるのです。しかし、それをどう解決するかというその取扱い方につきましては、今の山本君の御意見も十分了承はいたしますが、扱い方はよほどむずかしいのではないか。その気持はございますが、制度の運用というものも十分その妙味を発揮して行きたい、こういうふうに考えております。
○赤松委員長 山本君にちよつと御相談ですが、今理事会を開いたのです。自由党側からの申出もございまして、ほんとうを言うと、きようはやらないことになつておつたのですが、ぜひということで自由党にも譲歩してもらつてきようはやるということにしました。しかし、きようは四時までという理事会の申合せだつたのです。ところがたくさん問題があつたものですから、四時まで来てしまつたわけです。今四時でやめろといお話がございましたけれども、駐留軍関係の問題等も残つておりますし、また一般労働行政について若干質問があるようですから、その方をやりますと、もう時間がなくなるわけでございます。それで御相談ですが、今の小坂労相に対する質問はそのときに譲つていただいて、特に日産の参考人に質問していただきたいと思います。
○山本(勝)委員 それなら労働大臣に対する質問は留保いたしまして、日産労組の益田参考人にお伺いいたします。 おそらく労組側としては、絶対に自分たちの主張は正しいのだ、自分たちのやつている方法も、要求の内容も微塵も間違いはないのだ、間違つておるのは相手方の資本家側だ、こういうふうに思い込んでおられるのではないかと思います。私は資本家側にも申したいのでありますけれども、きようはおりませんから益田さんに伺うのですが、会社の資本金はどれくらいですか、御存じでしようか。日産自動車の会社の資本金はどれくらいのものでしようか。
○益田参考人 五億六千万円でございます。
○山本(勝)委員 会社の経理状況でも、会社がうんともうかつて、将来どんどん栄えて行くというような状況にあるのか、あるいは会社の経理も相当困つておるのか、その辺は御研究になつたことがありましようか、漠然とでもいいのです。
○益田参考人 会社の経理状況については、昭和二十四年、五年のドツジ・ライン下のへ員整理があるまでは、相当公開しておりましたが、その後は全然公開しません。だから、はつきりお答えできませんが、朝鮮特需の車の生産、その後の自動車の国内の需要の増加、その他を見まして、相当な成績をあげているというふうにわれわれは判断しております。それからまた、現在の三割配当その他も、少し高いという世評もございますが、もうかつていないということはいないというふうにわれわれは判断しております。
○山本(勝)委員 私はこまかく会社の経理状況を調査したわけではないのですけれども、やはり一般のほかの会社と同じように、相当困つているじやないかというように考えているのです。なぜそういうふうに言うかというと、益田さんも御承知ですけれども、終戦直後に日本の産業がすつかりやつつけられてしまつたときに、これを急速に復興しなければならぬというので、政府が資金を出して復興金融金庫をつくつた。これは昭和二十二年の春でありますが、それが、ドツジが来たのが昭和二十四年の春で、わずか一年余り二年足らずの間復興金融金庫が各種の重要産業に金を貸し付けて、それで設備をして復興したのでありますけれども、その昭和二十四年の春までの約一年余りの間に、日産自動車というものが国家の金を借り受けて復興に使つた金、それも支払つたのもあるでしようが、残額が三億一千五十万円残つている。資本金五億円というが、三億一千五十万円というのは、いわば国民の税金というか、国民の犠牲の金を、要するに当時で使つたのが三億一千五十万円、今日なお残つている。払えない。今の貨幣価値から言いますと、その当時の三億一千五十万円というのは、今どれだけになるか、相当まだ大きな数字になると思う。その後日本輸出入銀行というのができまして、それの貸付で日産自動車に貸しているのが、二十八年の六月三十日調べで五千七百九十万円というものの借金の残高がある。両方寄せますと三億六千八百四十万円という要するに国家の金を借りてやつている。ですから、ほかの点を調べてないので、みなはわかりませんけれども、とにかく二十四年以来取立てられている金が、今日なお三億一千万余にも残があるということは、これはやはり会社としても相当苦しいじやないか。ですから、皆さんとしての要求は、もちろん私は十分言い分があつてやつておられるであろう、こういうふうに考えるので、ストライキそのものをどうこうというのではありませんが、しかし、一般に日本の今日の産業の実情から考えますと、やはりストライキをされるにしても、会社が一体今日どういう状況にあるか、あるいは自分たちのやることによつてよくなるか悪くなるかというふうなことも考えてやらないと、ストライキそのものが成功しないじやないか、共倒れになつてしまいはせぬかということを私は老婆心ですが考える。 なお第二点でお伺いしたいのですけれども、つるし上げ云々ということがありましたが、おそらく益田さんの方から見るとつるし上げじやないが、訴えた方の側から見るとつるし上げだ、こういうように意見がわかれているに相違ない。資本家側のやり方で、私はいかぬ点がたくさんあると思うので、これはあらためて資本家側に追究いたしますけれども、とにかく国家の金を使つて復興というかでき上つたといつてもいいくらいの会社であるから、われわれも国民の代表として、資本家並びに労働者諸君に、国民にかわつて尋ねることは尋ね、要求することは要求しなければならぬ。組合側として団体交渉をされるときのやり方、あるいは要求の内容というようなもので、行き過ぎとかあるいは少し無理があつたというようなことでお気づきになる点はありませんか。もう一分一厘も間違いはない、こういうふうに考えておられるか。やはり考えてみると、向うもけしからぬが、こつちも少しやり過ぎの点があつた、こういうふうに多少ゆとりを持つて反省的に考えられておるか。いや、おれの方には一分一厘も間違いはないのだというふうに思い詰められておられるか、その点をひとつ参考のために伺いたいと思います。
○益田参考人 最初のことはお答えが必要ないように思いますが、ただ、労働者はあまりものを知りませんから、最近の会社みたいに、バリケードをつくるのに二百五十万円も使つたり、いわゆる花火をあげたりして、月に五百万円も広告宣伝費を使う、こういう会社は、私どもはもうけておるからやつておるというふうに簡単に判断しております。 それからもう一つは、労働組合の要求に対してでございますが、終戦後今日まで、労働組合の要求が完全に通つたのは、たつたの一回でございます。一時金で一回ございました。インフレ時代でございます。そのほかは大体五割か六割、その都度われわれはわれわれの要求を反省し、次の要求についてはどういう態度をとるかということを考えておるわけでございます。今度の日産の要求が非常に不当なものであるかどうかは、もし御要求があれば御説明してようございます。
○山本(勝)委員 益田さんの自分の気持として……。
○赤松委員長 山本さんに申し上げますが、今また理事会を開きまして、これからの運営について話し合つたのでありますけれども、あなたは質問中だつたので出席をいただかなかつたので、山花君とでもよく打合せを願いたいと思いますが、そのおつもりで質問を続けていただきたいと思います。
○山本(勝)委員 質問を打ち切るのですか。
○赤松委員長 そのまま続けていただいてけつこうです。
○山本(勝)委員 ただりくつじやなしに、資本家のやり方について、いろいろ欠点はわかつておりましようけれども、あなた自身として要求の内容とかあるいはやり方については完全無欠と考えられておるのか。そうでなくて、やはり多少は無理があつたというようなことも反省しておられるかどうか、気持を聞きたいのです。こういうことは不幸な事態なんですから、もしあなた方の要求は一点も間違いないのだというふうに考えておられる場合と、そうではなくてやはり自分たちも人間だから、考えてみるといろいろ行き過ぎもあつたというふうに考えておられるかでは、よほどわれわれの受取り方も違つて来るのですよ。
○益田参考人 組合は常に自己批判をやつております。だから、われわれのやつておることは、一点批判の余地のない完全無欠なものと考えたことは、今まで一ぺんもございません。ただ相対的な問題でございまして、社長が七月十四日の団交で言つた通り、今度は会社も若干ゆとりがあるから、いわゆるレール戦術というような戦術は、全部一ぺんやつてみて、自分で自分をテストしなければならぬが、自分はしろうとであるから、やるだけのことはやるから、お前たちはくろうとだから注意すべきことがあつたら途中で注意しろよ、こういうことでやられますと、そのときは私はそれじや社長、会社をつぶしますよといつても、いやつぶさぬ、おれの責任でやる、こういうことを言われた場合は、われわれとして労働者の基本権に立つてやるだけのことはやらなければならぬということでございますが、心理的に気持の上でどうかいうことは、常に自己批判しておるつもりでございます。一点の間違いもない完全無欠なことが、日本の労働者としてできるなどという思い上りは決していたしておりません。これから数百年たたなければ、そういうことはできないのじやないかというふうに考えております。
○山本(勝)委員 私はここに希望を申し上げておきますが、今日の日本の経営者は、確かにずさんな点があります。ですから、そういうむだな金を使うような点は、大いに労働組合の側も監視して、そういうむだなことはしないで、もつと会社のため、日本の産業のために役立つようにやつてもらいたいということは、どしどし会社側にも言つてもらいたいと思うのです。しかし、日本の今の事態というものは、容易ならぬ事態です。ですから、階級的立場に立つたり、ただ労働者の権利で考え、向う側のことは向う側で考えるのだから、おれたちはおれたちの利益が少しでもよくなればいいのだというような立場で進んで行かれると、これは両方とも参つてしまう。日本の産業もとても持ちこたえられぬ。ですから、むだな点はどんどん指摘していただきたいが、結局は会社及び日本の産業が復興するように、その観点に立つて正当な主張をして行く、こういう立場に立つてもらいたいということを私どもは希望申し上げて、私の質問は一応終ります。
○赤松委員長 島上善五郎君。
○島上委員 この問題は、一日産の争議といつて片づけるには、あまりにも重要な問題で、質問したいことはたくさんありますが、時間の関係や他の問題もありますので、最後に一、二だけ伺つて済ましますが、この日産の争議は、今後の労使関係あるいは今後の争議に対して重大な影響を及ぼす問題であります。しかし時間がありませんから次の機会に保留しておきます。 市警に対しては、質問というよりは、私は強く要求しておきたいのですが、今まで質問並びに御答弁で明らかにされたところによつて判断しても、私は明らかに警察においては行き過ぎがあつた、少くとも片手落ちであつたということは、はつきりと言い得ると思います。夜の夜中に酒気を帯びて会社の暴力団が凶器を持つてけんかを吹つかけて来た。これは争議団が自重して相手にならなかつたから、ひとり相撲ができなかつたので事件にはならなかつたのですが、もし多少でもこれに応ずるということになれば、相当大きな問題になつたであろうと思う。まさか資本家が暴力団を雇うようなことはあるまいという考え方自体が、もうすでに間違つておる。資本家は常に暴力団を雇つて労働組合に対抗させておる。現にそういう事実は幾らでもある。まさかそういうことはあるまいという考え方自体が甘過ぎる。こういう点においても、私は片手落ちであつたということが言える。また個人々々の家に行つて思想調査をしたなんということは、とんでもないことであつて、こういうことも自分は関知しない、そんなことは万あるまい、こう言つておりますが、しかし争議ではないけれども、現に山形では税務署の役人が農民の思想調査をしておる。どの党に入つてどう関係しておるかということを、書類をもつて調査をやつておる。そういう想像を絶するような事実さえ現にあるのです。警察官が争議に介入して個人の思想調査をしたり、干渉がましい行為に出るということは、決してあり得ないことではなくて現にあつたという報告がされておるのですから、こういうことに対しては、私は十分事実を調査されて——先ほども善処すると言われましたが、厳重に処断して、断じてそのようなことのないようにしていただきたいということを、強く要望しておきます。 労働大臣がお見えになつたので、この日産の争議について一点お伺いしておきたいと思います。先ほど大臣のお見えになる前に局長から伺いましたけれども、この争議は、単に賃金値上げ、夏季一時金の支給ということから入つたのですけれども、会社が今まで組合に認めておつた組合活動のいわゆる既得権を中途から制限しようという問題にすりかえて来ている。その問題も、最後に妥結の一歩手前に来て、組合の方針が問題だ、方針をかえて来い、こう言つている。組合の方針というのは、言うまでもなく組合自身が自主的に協議して決定することなのですから、そういうことに干渉するような、要するに組合の方針をかえろという無理難題をふつかけて来て事態が紛糾して来た。そうして、すでに七月十六日以来団交を拒否しておる。団交を拒否して八月五日からすでに一箇月間工場閉鎖をして、その間は給料を払わぬ。先ほど工場閉鎖とストライキとは対等のものであるというようなことを局長が言いましたが、これはいろいろ議論のあるところですから、しばらくおくといたしましても、工場閉鎖をして、その期間中は給料を一銭も払わぬ、団交はしない。これでは、争議は一体どうして解決するのですか、争議の解決のしようがない。こういうような資本家の態度、行動を労働省においては当然なりとして是認しておるかどうか、これを労働大臣に伺いたい。
○小坂国務大臣 局長からもお答え申し上げたと存じますが、政府といたしましては、労働争議の場合これに介入するということは、極力避けて、やはり労使双方の良識にまつて自主的に話合いを進めて参りたい、こういう立場をとつておるのであります。その意味は、もちろん言うまでもありませんが、そういう中にいたずらに介入して行くということは、よきにつけあしきにつけ、とかくの誤解を受けるというので、中央労働委員会あるいは地方労働委員会においてあつせん、調停の労をとるという建前をとつております。日産の場合、御承知のように一昨日中労委におきまして、総会においてあつせんをすることにいたしております。本日もいろいろ様子を聞いてみますと、労使双方を招致して団交を再開するということのあつせんをしておる、こういうように聞いておる次第であります。
○島上委員 それは労働省がいたずらに労働争議に介入することは、もちろんいけないことで、自主的に解決することが好ましいことです。しかしながら、今言つたように給料を払わぬ、そして一箇月も工場閉鎖して団交はしない、こういうことでは、自主的解決のしようがないのです。結局解決するには、団体交渉してそこから糸口を見出して行くよりない。今の資本家の態度というものは、公平な第三者が考えても、まつたく是認さるべきものではない。中労委があつせんに乗り出した、これはまことにけつこうであります。その中労委のあつせんにも、少くとも中労委が来てほしいというのに対して、腹が痛いとかなんとか言つて出て来ない。こういうような資本家の態度は、徹底的に糾弾されなければならない。これでは争議の解決のしようがない。私はこういうような状態なのに、争議は両者自主的に解決することが望ましいといつて高見の見物をしているような労働省の態度は、是認できない。この資本家の態度は、明らかに権利の濫用であり、不当労働行為である。この権利の濫用、不当労働行為を、そのまま指をくわえて見ているようなことではなしに、中労委その他の政府機関もあることですから、政府機関を大いに督励鞭撻をしてこの争議の解決を軌道に乗せるように努力してほしいしそういうお考えがあるかどうかということを、最後に承つておきたい。
○小坂国務大臣 御承知のように、この争議は相当に紛糾して来ておるので、この段階において政府がどうこうということは、誤解を招くだけであると思います。従いまして中労委において団体交渉を早くするようにというあつせんをしておるわけでありますから、一日も早く団体交渉が再開せられることを期待しておるわけであります。またそういうことになりますと、今お話のような場合も、いろいろな観点からいろいろな批評もできると思いが、やはり事実の究明の上に立つて、事の正邪を判断しないといけないと思うのであります。そういう観点からだんだん問題も明白になると思いますから、そのことを期待しておるのであります。今日においてとかくの批評をするということは、やはり一方的な判断をする何かの素材を私が提供するようなことになりますから、これは差控えたいと思い。
○赤松委員長 多賀谷真稔君。
○多賀谷委員 労働大臣に炭鉱の解雇についてお尋ねしたいと思います。一応通産大臣には質問いたしましたので、私は労働行政の面からお尋ねいたしたいと思います。 炭鉱におきましては、増産を要請されときには人を雇いますが、貯炭が少しふえて参りますと、すぐ簡単に首を切る、こういうのが政府の石炭政策のようにわれわれは感じておるわけであります。また同じ機械化にいたしましても、採炭切羽の機械化ではなくて、むしろ労働密度を濃化させるための運搬系統の機械化、むしろ休むひまなく働かすという、こういう方面の機械化が炭鉱においては常に行われておる、こういうような実情でございます。そこで今度の解雇の問題につきましても、コストが下るというような通産大臣の認識でありましたけれども、私は逆に出炭抑制されてコストは下らないだろう、こういう見通しを持つているもので、むしろ現段階維持の政策ではなかろうか、こういうことを昨日も私は通産大臣に質問いたしましたが、通産大臣からは十分なる御答弁がなかつたのでありますけれども、かように雇用量が資本金に比しまして非常に大きい炭鉱におきましては、ちよつと景気がよくなれば会社が興り、ちよつと景気が悪くなれば会社は全員解雇して資本家はどこに行つたかわからないような場合がある。また中小炭鉱においては、景気いかんによつて百を切られるというような状態でございますが、今度の炭鉱の解雇について、一体労働大臣はどういうように認識されておるか、お尋ねいたしたいと思います。
○小坂国務大臣 石炭の需給状況につきましての責任者は、昨日皆様にお答えいたしておりましたように通産大臣でございますので、私としましてその通産行政についてとやかく言うことは権限外のことだと思います。今回のこの整理の問題は、私といたしましては希望退職の線において会社が呼びかけておるというふうに承知しておるのでありますが、そのやり方等につきましては、会社それぞれにおいて、あるいは妥結を見たところもあり、また妥結に至らざるところもあり、あるいは紛糾を見つつあるところもあり、それぞれでございます。私といたしましては、事態ができ得る限り平穏に推移するように、その事態の都度々々において適切なる措置を考えるということが労働大臣としての立場である、こう思つておる次第であります。
○多賀谷委員 まず希望退職である、こういう認識であるそうですが、それは大きな間違いで、純然たる希望退職ではございません。今起つておる三井の問題につきましても、やはり職種別にわくがございまして、そうしてそのわく内で足らない場合は、退職勧告が来ておる状態であります。その退職勧告の基準もいろいろございまして、昨日も指摘いたしましたが、不当労働行為になりはしないかというような基準すらあるわけでございます。でありますから、これは単なる純粋な希望ではなくて希望退職におきましても、ほとんど労務がいろいろな関係を通じて行つて退職勧告をしておるというのが実情でございまして、そこで、こういう紛糾が起きておるのでございます。時間がございませんから多くを申しませんが、私はかような大量解雇が行われる場合、これは公共の福祉の面からいつても重大な関係があると思いますが、大量解雇について規制をされるお考えはないか。ことにドイツにおきましても、御存じのように解雇制限法が出ておりますし、またドイツのヴイルテンベルグ・バーデンでは大量解雇における従業員保護に関する法律という特別法も出ております。フランスにおきましても、解雇制限法といつて、大量解雇においておのおのその規制をしておるのでございます。そういう状態でありますが、労働大臣におかれては、公共の福祉の面から、ストライキ制限法の語句をかりて言いますれば、大量解雇における方法の規制に関する法律とでもいいましようか、そういう法律をつくられるお考えはないかどうか、そういう精神を盛られた法律をつくられるお考えはないかどうか、お尋ねいたしたい。
○小坂国務大臣 大量解雇ということでございますが、どの点を一体大量というか、日本の人口それ自身に対するところの雇用の関係、それから見てどのくらいの規模以上が大量ということになるのであるか、その間の認識が非常にむずかしいと存じますので、画一的に法律によつてそういうことをするということは、非常に研究問題だと思います。よく研究してみたいと思います。
○多賀谷委員 この問題は、たとえば地区別に見ますと、非常に重大な問題を発生しております。飯塚地区におきましては、わずか三十万くらいの人口でございますが、現在労働者が五万人からおります。これが六千四百人から失業保険を受けておる。それで今度発表になつております解雇だけでも四千三百人ですから、一万以上の失業保険で食つて行く連中が出ておるような状態であります。また大牟田地区におきましては、御存じのように三井系統だけの産業が林立しておる状態でありますので、解雇されたら六箇月目には、失業保険の給付金が終りますと必ず日雇いで出て行く、こういう状態が非常に顕著であります。そこで私は失業対策の面にも十分考慮していただきたいと考えるわけであります。 続いて、同じ解雇の問題で、現在五千名の家族が、全員死活の問題として、非常に騒いでおります。岩屋炭鉱の問題について、お尋ねいたしたいと思うわけであります。この取扱いにつきましては、私は労働省はきわめて不親切であつたと思うわけです。和田監督課長は、現地に行つておりましても、この岩屋のところに行つておりません。あるいはまた、監督署が事業継続不可能であるという認定をする場合にも、十分現地に行つて調査もしておりません。また石炭部に対して照会を出しておりますが、その石炭部がまた現地に行つて調査をしないで、単なる水害直後に行つた調査資料で出しておる。こういう官吏の非常な不親切、不熱心が、今度のような問題を惹起しておるわけであります。そこで今再開の問題につきまして、非常に議論をされております。経営者の方では、ほんとうは再開したいのであるけれども、監督署の方が事業継続不可能という認定を出しておるので、むしろ再開をはばんでおるようなところさえ見えます。と申しますのは、従来復旧要員として、あるいは三交代、四交代で出しておりましたのが、一交代とか二交代に削られておる。こういう面から見ても明らかであります。しかも、出炭は一万トンから出ておりました。可採炭量は百五十万トンからあり、そのほかの埋蔵量が五、六百万トンあるという状態の中において、一体どうしてこういう二十条但書の除外申請を認定したのか、これを承りたいと思うわけであります。高倉鉱業は、別に長崎には平田山、さらに福岡には三矢炭鉱、筑紫炭鉱という炭鉱を持つておつて、業界としては大きな業社であります。その業社の一部がそういう事態になつたというので、継続不可能であるということで、予告もしておりません。こういう状態は、一体どういう認識でされたのか、お尋ねしたいと思います。
○小坂国務大臣 ただいまの問題は、やや具体的でありますから、基準局長からお答えいたします。
○亀井説明員 岩屋炭鉱の御質問でありますので、その衝に当りました当該監督署の報告に基きまして、その経過につきまして、私たちが入手しております情報につきまして、御報告申し上げます。 現地に出張しなかつたというお話でございますが、私の受けております報告では、七月九日にも参つておりますし、その後にも一、二回現地には行つて、調査をいたしております。第二十条の認定の申請に対しまして、事業の継続が可能であるかどうかという問題を、現地の監督署としましては、一番重要な問題として取上げたのでございます。そのためには、いろいろ水害の結果の状況、あるいは今後の再開の見通し等につきます技術的な判断が必要とされるわけでございます。一監督署の監督官だけの判断では十分でありませんから、唐津の監督署長としては、福岡の通商産業局の石炭部長に対しまして、岩屋炭鉱の水害によるその後の復旧の見通し等につきまして、公文書をもつて質問をいたしたのでございます。それに対しまして、福岡通商産業局の石炭部長からは、岩屋炭鉱につきましては、非常に復旧が困難である、少くとも最良の条件のもとにおいて約六箇月を要する見込みであるというふうな回答を得たのでございます。また一方監督署といたしましても、この問題の労使双方の円満な解決をはかることが望ましいのでありますので、当時労使双方で、この問題について団体交渉が進められていたわけでございます。その結果を見まして、この問題の処理に当るという基本方針をとつておりましたところ、七月二十二日になりまして、こういう条件で大体交渉が妥結したという議事録に基きまして、二十二日、同日において二十条の認定をいたしたのでございます。その条件といたしましては、両者の了解点としてあげられておりますのは、正当な理由の解雇とする、保安要員二百八十名ぐらいを除き、全員解雇する、坑内事情の変化等によつて万一復旧可能の場合、増員の必要があつたときは、次の通り処理する、大体解雇された者を優先的に採用するように努力する。そのほか二、三ございます。こういう状況によりまして、監督署としましては、二十二日解雇の認定をしたわけでございます。 最後に御質問のございました、監督署の認定があつたから、経営者は復旧を怠つておるのだという御質問でございますが、これも現地からの報告によりますと、融資その他の条件が整うならば、できるだけ早く復旧に努められたいということを、佐賀の基準局長から経営者に対して申入れをいたしておるような事情でございます。
○多賀谷委員 具体的な問題は、また別個に労働委員会において取上げたいと思いますが、一応労働大臣に次のことを質問したいと思います。それは二十条あるいは十九条の認定の問題でございます。現地で取扱つております状態は、基準監督署が常にいろいろの場合において、きわめて不親切だとは私は思わないのでありますが、非常にむずかしい面が出ておる。たとえば認定をしなかつた場合、すなわち水害その他によつて事業継続が不可能ではない、こういうことを考えた場合においても、実際は水害で働けないから、賃金がもらえない。こういう状態で、それならば早く失業保険をもらいたい、こういうことになつておるようであります。ですから、認定と関係なく、失業保険をもらいたいというのが、いろいろの場合において行われておる。これは根本的にはどこに問題があるかといえば、やはり水害によつて休労になつた場合において、賃金が補償できない、こういうところに法体系が全般的にくずれておるわけでございます。たとえば、福岡におきまして除外認定を却下いたしておりましたのも、事実上は、その後監督署は承知しておりませんけれども、安定所ではちやんと失業保険をもらつておる、こういうのが事実でございます。これは大きな法の欠陥であると考えるわけであります。今後の問題といたしまして、労働大臣は、この法の不備に対して、どういうようにお考えであるか、お尋ねいたしたいと思います。
○小坂国務大臣 多賀谷君御承知のように、今回の水害につきましては、特例法を国会で通過さしていただきまして、そうした問題は、この水害に関する限りは除去せられた、こう思つております。さらに今後の根本的な問題につきましては、種々検討いたしておりますが、現在はつきりと申し上げる段階にはないのであります。
○赤松委員長 多賀谷君、よろしゆうございますか。 それでは井堀繁雄君。
○井堀委員 約束の時間でございますので、簡単にお尋ねいたしますが、日米労務基本契約締結にあたりまして、労働大臣、調達庁長官並びに労働組合の幹部のお骨折に対しましては、深甚なる敬意を払つておるものであります。と申しますのは、この問題は、ひとり労働問題だけではないと思うのであります。きわめて重大な日本人の人権について、アメリカとの間に協定を結びます際に、私は大きな欠陥を発見せざるを得ないのであります。それは前会も調達庁の係の方から伺つたのでありますが、今回日本の労働者をアメリカの軍隊に使用せしめるということは、これはきわめて重大な国際契約の内容を持つことは、あえて喋々するまでもないのであります。従つて、政府は行政協定の中において、日本の労働者を米軍に使用せしめる際には、日本の国内法である労働法を守ることを約束させておるはずであります。またこの量は、たびたび明らかにされたことでありますが、もしこの国内法を、労働者を使用する際に履行するということになりますならば、幾多の問題が、この委員会に参考人によつて報告をなされておりますが、その大部分は、私は日本の労働法の違反に関連を持つ事案であると断定しても言い過ぎではないと思う。もちろんこの中には、言語を異にし、人情、習慣を異にいたしております人々であり、ことに相手が軍人でありますために、そこには誤解も多分にありまして、いろいろな事件の発生の要因をなしておることも認めるのであります。しかし、ここで取上げなければなりませんことは、労働大臣、調達庁長官等の御努力は、まつたく言葉だけではありません、敬意を表しておるのでありますが、何ぼ努力をされましても、日本の国内法が当然実行されるということになりますならば、ああいうやり方でなく、すなわち団体協約というものが先に締結されて、その労働協約に従つて日米関係の基本労務契約というものが結ばれて行くのが、私は国内法の正しい解釈の仕方であると思う。もちろん行政協定がそれに優先するといえば別であります。そうすると、この行政協定と国内法を守るというこのいきさつについて、大きな問題が発生するわけでありまして、これはひとり労働問題だけではなく、日本の多くの労働者の基本権をまつたく売り渡すような恐るべき行政協定という結果にもなるのでありますから、この点の関係について、私は責任ある御答弁を伺つておきたいと思うのであります。
○小坂国務大臣 日米労務基本契約につきまして、政府のとりましたことについて、いろいろお言葉をいただきまして感謝をいたします。なお、この労務基本契約に、団体協約が先行して、その慣習の上に立つて基本契約が結ばれるべきじやないかという御意見もございましたが、御承知のように、行政協定に伴う駐留軍労務の関係でございまして、やや一時的と申しますか、駐留軍の存在することに伴つて生ずる労務関係でございますので、そこにおける長い間の慣習の成熟というものは見にくい性質のものなのであります。従いまして、われわれとしましては、現在までとつておりました建前のもとにおいて、でき得る限りこれを改善して行くという努力をすることがよかろうというので、今までやつておるのであります。 なお、御心配の点につきましては、私どもも同感なので、労働三法の適用ということについては、十分先方にもそのことを強く申し入れ、先方もそれを了承しておる次第でございますので、従来とかく問題のございました保安解雇の問題あるいはまた総体の人数あるいはペイロールをきめるような問題につきましても、これは今までのような一方的な問題だけではなく、相当厳格なわくがあり、またそのわくをつくる際にも日米共同管理の原則というものを尊重するという点について、十分了解を得たつもりでございますので、その基本契約成立後におきましては、よほど事態も改善されることを期待しておりますし、その実行について十分われわれとしても努力して行きたい、こう思つております。
○井堀委員 これは重要なことでございますので、はつきりさせていただかなければならぬ点がたくさんありますが、時間がありませんので、一点だけ明確にしていただきたいと思います。それは国内法を守るという行政協定を、そのまま額面通りに受取つていいかどうか、受取つていいということになれば、言うまでもなく、国内法では契約よりは協約の方が優先いたすのでありますから、その点では今日の団体交渉の形というものは、私は変形的なものだと思う。労働者が拘束されて公正な立場における労働協約は行われておらぬと思う。この点は重要でありますから、ひとつ明確な答弁をいただきたい。
○小坂国務大臣 労働三法を尊重することは当然でありますが、と同時に、行政協定の趣旨を曲げるものでもない、こういうことになつておるのであります。
○井堀委員 もう一度そこの点を明らかにしてもらいたいと思います。国内法を守る上から、行政協定にわれわれ疑いを持つのでありますが、一体この点はどつちにとるべきか。たとえば、行政協定の十二条においては国内法を守るという約束をして、二条でもつてこれが相殺されるということが非常に議論されておるようであります。そういう点をそのまま受取ることになりますと、国内法はその面においては相殺を受けるわけでありますが、その点はつきりひとつお答え願いたいと思います。
○小坂国務大臣 御承知のように、十二条において労働三法の尊重がうたつてありますが、その場合に、合意に基く場合を除くのほかとこう書いてありまして、合意がなければ労働三法尊重ということが明確になつておると思います。なお三条におきまして、管理権は米側にあるということがうたつてあるのでありますが、私どもの解釈では、管理権というものは、施設に対する管理権である、こういう解釈をしております。
○井堀委員 それで異なつた答えを聞いたような感じがいたしますが、管理権の問題は、もちろん人権にまで及ぶはずはないと思います。ことに日本の労働者を米軍に使用せしめるのに、人格まで売り渡すようなことはないと思います。こういう立場から行きますならば、当然駐留軍労組と政府との間に労働協約を結ばれて、その労働協約の精神に基いて日米労務基本契約というものが結ばれて行くのが妥当な行き方であると思う。その点、一体どういうわけではつきりしないのか、伺いたい。
○小坂国務大臣 基本契約におきまして大筋を通す、そうして各現地におきまして労働協約を締結する、こういうわけであります。そこで契約でございますから、やはり双方の納得理解協力ということが主になると思うのであります。その場所々々におきます慣行なり、理解なりを基礎にして、現地に即応した協約を結んで行くことになるかと思いますが、しかし、これは大筋が通つておるわけでありますから、今までのようなことはなかろうと考えております。
○井堀委員 それは私の伺つておることに対する答弁ではないと思います。私の伺つておりますのは、基本契約というものは、労働協約妥結の後に結ばれるべきものであるということが国内法の解釈なんです。この解釈に間違いがあるならば、明らかにしていただきたい。間違いがないということになるならば、労働協約を先に結んで、その労働協約に基いて基本契約が結ばれて行くのが順序である。基本契約が、今説明されるように大骨だということならば、労働協約というものは拘束を受けるわけであります。そんな労働協約はございません。
○小坂国務大臣 先ほどお答えしたつもりでおりましたので、そのあとのことを申し上げたわけでありますが、御承知のように、この駐留軍労務というものは、最近にできたものでありまして、その間に労働協約によるところの慣行というものは期待できない。そこで、政府といたしましては、調達庁が所管となりまして労務を充足するという役割を持つておりますので、その間におきまして、慣行というものの成熟を期待できない期間であるけれども、行政協定もあり、その趣旨を尊重しつつ、国内法の建前において大筋を通すこれが日米労務基本契約の趣旨であるわけであります。
○井堀委員 どうも徹底いたしません。この問題は、私はきわめて重大だと思います。と申し上げますのは、今の大臣の御答弁は、あいまいでありますけれども、あいまいなだけに、何だか行政協定によつて拘束を受けて、思うように行かないというふうな答弁にも受取れるわけであります。これはここだけでは決定できないと思いますので、委員長に希望いたしておきますが、いずれ時間の適当なときにお取上げいただいて——この問題は行政協定と関係が非常に深いと思います。一体行政協定というものを、日本の労働法においてどのように理解されておるかということが問題になると思います。もちろん日本の国内法を知らないわけではありませんから、日本の労働者の人格を売り渡すような基本契約を結ばれるようなことは、よもやきめておらないと思いますが、あるいはきめておるかもしれない。この辺の事態を明らかにしたいために質問をいたしたのでありますが、明確な御答弁がいただけませんので、保留いたしておきます。
○赤松委員長 井掘君の問うておるのは、こういうことなんですよ。団体協約が基礎になつて、その上にあるそういう国際的な特殊な労務上の問題ですから、基本契約というものが生れて来るのが自然なんだけれども、しかし、こういう国際情勢のもとに先に基本契約がつくられてそれから今度は団体協約ができる。その場合に、団体協約が労働者の基本的な人権を蹂躙されないようにしてもらいたいという意味が含まれているのではないかと思うのです。基本契約を結んだのがけしからぬじやないかという質問じやないでしよう、どうですか。それならはつきりするじやないでしようか。
○小坂国務大臣 私の言葉があるいは足りないかもしれませんので、もう一度重複する点があるかもしれませんが、申し上げますと、御承知のように現在の駐留軍労務というものは、いわゆる間接雇用の形をとつておるわけであります。従つて、日米間においての基本線というものを結ぶ必要があるわけであります。しかしその場合に、あなたの御心配になるような労働者の基本権を侵害するような行為が行われるということは、私どももとより考えてもおりませんが、そういうおそれがもしあるといけませんので、いわゆる三者会談というものを開いて、労働者側の意見を十分聞いてやつておるわけでございます。従つて、私どもとしては、その労働者側の意見というものを十分に尊重するように、できる限り努力したつもりでございますし、この点につきましては、公開の席ではちよつとおつしやりにくいでありましようが、ある程度以上に御納得も得ておる次第でございますから、その点は御心配ないように、ひとつ政府を信頼していただきたいと思うのであります。
○井堀委員 まだ徹底いたしませんのですが、この議論は時間も必要かと思いますので、他日にいたしたいと思います。今、大体明らかになつて参りました。私もわからぬわけじやないのです。こういう契約を結ぶときに、むずかしい。なるほど雇い主が竹本の政府で使用主が米軍だ、こういう関係ですから、労働者側からいえば、性質の異なつた雇い主が二つ出て来たような形になるわけです。それだけに、労働者の基本権というものは、ややもすると侵されやすくなるものです。だから、細心の注意を払わなければならぬものです。ところが、公正な団体交渉というものが拘束を受けておるという実際の姿を知つておるから、三者協定——あなたが今言われましたが、三者協定というものは、ある意味においていいと思う。しかし、ある意味においては労働者側にとつては二つの圧力を受けることになるのです。おわかりでしよう。雇い主の方の意見も入り、使用主の方の意見も入つて、しかもそれに国際的なバツクがある。そんな不合理な団体交渉というものは、国内法においては考えてないはずです。でありますから、ほんとうのことをいいますと、別個に日本政府と日本の労働者との間に、一般の労働者と同様な団体交渉の形において基本権を認めているとあなたは言うけれども、日本の今の労働者の基本権というものは、自主的立場において人権が保障されておるのです。昔のように、上の人が下の人に対して権利を守つてやるという時代ではありません。だから、どれが基本権かということは、労働者自身が主張するものが基本権の中に通つておる。労働者の意思を通じないものが基本権になるはずはない。だから、団体交渉が締結されて、労働者の人権が労働協約の上に盛り込まれて来るというのが、労働法の精神です。ところが、使用主の方は、別な意味で命令して使おうというのでありますから、そこは非常にむずかしい問題ではありますけれども、何か三者会議をやつていることが、きわめて合理的なもののような考えでおやりになるということは、労働者側にとつては不当な圧迫を感ずる。この事実をよく認識されて今度はおやりになつたものと思うのですけれども、しかし建前が悪いと、何ぼ努力されましても、結果はきわめてささいな効果しかしげられません。この根本的なものについては、非常に重要でありますから、お尋ねしておつたのであります。
○小坂国務大臣 必要ないかもしれませんが、申し上げますと、この問題については、私も組合側の意見というものは十分に入れたつもりでおるのであります。なおあまりにいろいろなところへ話してもしようがないから、一番上へ行つて話して、そうして話をつけたつもりです。これについては、組合側としても、ここまで政府がやつてくれるということは、あるいは考えておらなかつたのじやないかと思うくらい、私は努力したつもりであります。そこまでおつしやられると、私は言いますけれども、現在においては、これ以上のものはできぬと確信しておりますし、非常に良識ある組合の方々ですから、その点は十分御了解願つたと思うので、これをまたさらにほじくりまわすと、それからいいものは出て来ないようにも思うのです。建前の問題として現在やり得る最善のことをしたように考えておる次第でございますから、御了承を願いたい。
○赤松委員長 井堀繁雄君の御意見、非常にごもつともなんで、そういう点を十分参酌していただきたい。なお、非常に近い将来井堀君の御希望が実現するように、理事会においても十分相談いたしまして、また発言していただく機会もあろうかと思いますので、御了承願います。
○中原委員 ただいま井堀君の非常に重大な御質疑があつたわけですが、日本の労働者の労働の基本権を守るためには、大きな力をもつてしなければならぬと思います。ところで、今度の労務基本契約が提示されましてこの方、駐留軍関係の労働組合員諸君が、数え切れぬほどの数々の不当労働行為を浴びせかけられているわけであります。その不法にしてかつ不当なアメリカ軍の日本労働者に与えました行為についてまた今後の労働基本権を保障するために御努力願う前に、現実に起つているこの問題の御処理について、どのような御努力が願えておるのですか、一応その間の経過を拝承したいと思います。これは労働大臣に主としてお尋ねしたいのでありますが、もし関連しますれば、特調当局の御意見も兼ね合せて承りたいと思います。
○赤松委員長 中原君、時間ですから、ずつと質問されますと私も困つてしまうのです。
○中原委員 約束通りです。
○赤松委員長 約束通りですけれども、時間が一応制約されているので、あなたは非常にしわ寄せされて来て犠牲者で気の毒ですが、できる限り発言してもらいたいのですけれども、そういう点も勘案して……。
○小坂国務大臣 在来のストライキに関連して発生した問題のうち、不当と認められることについては、その都度これを調査するように、また不当不法行為に対しましては、これが是正あるいはそれについての処分について善処されるよう、極東軍司令部の三軍司令官それぞれに対しまして要望いたしております。
○中原委員 実はこの具体的な例証をあげて申し上げますれば、一番はつきりいたしますが、ただいま委員長が言われましたように、時間が許されておりませんので、それは省略いたしますが、もうすでにあがつております件数は数十件に及んでおります。でありますから、この数十件に及んでいるこれらの不当かつ不法労働行為に対して、積極的にれが処理のために、ほんとうに腹をすえてもう一度——これの具体的な例証が処理されて行かぬことには、今後の労働基本権を保障するために御努力願うことに対して心もとなく感ずるわけです。このことが解決の前提になると思います。これは労働組合の委員長の方から、おそらく具体的なデータを提出されると思いますから、一々それぞれの問題について、適切な処理が願いたいと思います。その他いろいろあるのですけれども、これはまた別の機会に御質問申し上げまするし、追究もしたいと思います。今日はそういう関係で、この問題についてはあつさり発言をよしますけれども、次の機会をきわめて早い時期につくつていただきたいと思います。これは単なる労使問題ではなく、断じて国際問題であります。なお発展しては行政協定との関連もありますから、その機会をぜひとも確保していただきたい。これは委員長に要求しておきます。
○赤松委員長 それは、終りましてすぐ一ぺん理事会を開きましていろいろ御相談申し上げまして、今の中原君の希望が実現するようにいたします。 最後に私から政府当局に対しまして、五点一般労働行政につきまして御質問申し上げたいと思います。要約して申し上げます。 まず第一点でございますけれども、最近の経済情勢は、インフレ高進の情勢にある。これは一般に認められるところでございまして、すでにその現象は随所に現われております。またきようのラジオ放送によれば、来年一月一日から米の消費者価格の値上りというようなことも報道されており、このインフレ高進によつて、労働者の実質賃金は低下されて行く。これに伴いまして、賃上げ闘争というものはますます激化して行くと思います。これに対して政府及び小坂労政としては、どういうふうに対処されるのであるか。この点をまず第一にお聞きしたい。 第二には、これは一般的な失業対策の問題です。労働白書を拝見して驚いたわけですが、いろいろな潜在、顕在失業者、半失業者等を含みまして、われわれはすでに一千万近いところのそういう人たちをかかえておる、こう考えておりますが、これにつきまして、MSAの援助等によりまして、防衛生産を通して雇用量をふやして行こうという考え方もございます。政府の方では、生産規模の拡大とおつしやつておりますが、これはいわゆる貿易生産で行くのか、あるいは防衛生産で行くのかという点でも問題でありますけれども、そういうことはしばらくおきまして、現在出ております失業者の質というものは、非常にかわつて来ておると思います。戦前出て参つておりました失業者の質というものは、いわゆる産業予備軍だつたと思うのです。今日は、もう産業予備軍的な性格を持つていない、一旦首切られますと、永久に就職の機会がないというところの恒久失業者に転化しつつある。従いまして、ただ貿易を促進するとか、あるいは産業規模を拡大するとかいう抽象的な問題だけでは処理できない。どういたしましても、これに対して国として大規模な失業対策というものが必要である。これは門司亮君から昨日も指摘されましたけれども、炭労で出ておるところの解雇の問題は、ひとり労使の問題ではない、結局国民それ自身がこういう問題を負担しなければならぬ。従つて政府としては、これに対する根本的な対策がなければならぬはずである。単に失業対策費の増額あるいは失業保険制度だけでは不十分である。これに対してはどうか。 第三点は、現在進行しております企業整備、企業合理化の過程におきましては、広汎なる失業問題が続出しておりますけれども、これに対しまして、先ほど多賀谷君から大量解雇を防止するような、あるいは調整するような方法を政府は考えていないと言われた。国会といたしましても、当然この問題につきましては無関心ではおられません。しかし、議員の立場から立法するか、しないかということはさておきまして、やはり政府当局としては、この問題につきましてどうするか。労使の問題であるから政府は知らないというわけには行かない。現に先ほど多賀谷君が例に出されましたが、西ドイツにおきましては、こういう法律をつくつて労働者を守つておる、従つて西ドイツにおけるところのストライキが非常に少い。あるいは労使関係が非常にうまく行つておるということは、たとえば共同決定法に基いて、それが監査にしろ経営参加を認めるとか、あるいは解雇制限法——これは一九五一年八月十日に西独連邦法としてできた法律でありますけれども、こういう法律もできておる。大臣は基準のことも問題にされておりましたが、ちやんとここには基準が出ておる。たとえばこの中には、第一には一般解雇の制限としては、満二十歳以上の労働者で引続き六箇月以上雇用されておる者に対し、労働者の責めに帰すべき事由または労働者を継続使用できない経営上緊急の必要に基かず解雇告知をすることは社会的に不当とし無効とする。こういうふうに明瞭に第一条でうたつておる。それから労働者が解雇告知を社会的に不当と認めるときは、告知後一週間以内に経営協議会に異議の申立をすることができ、経営協議会がその異議に理由ありと認めるときは使用者との了解の成立に努め、また協議会の意見を書面をもつて労使に通告する。労働者が解雇告知を社会的に不当であると主張しようとするときは、告知後三週間以内に労働裁判所に訴えることができる。その権利を裁判を通して守つてもらうことができる。あるいは大量解雇の場合における解雇制限は二十一人以上五十人未満の労働者を使用する経営にあつては六人以上、五十人以上五百人未満は常勤労働者の一〇%または二十六人以上、五百人以上は五十人以上の解雇を四週間以内に行わんとするときは経営協議会の意見を添えて邦労働局に届け出なければならない。そして届け出まして一箇月を経過するまでは邦労働局の認可がなければ解雇の効力は生じないというような法律によつて、資本家の不当なる大量解雇というものが厳に制限規制されておる。労働者の権制は擁護されておる。この基準も明確に法律でうたわれておるわけであります。従いまして、政府といたしましては、同じ敗戦国の西ドイツにおいて実施しておるかような労働者の権利を擁護する法律が、日本においてできないわけはないと思うのでございますが、こういう点について政府はどのようにお考えになつておるか。これが第三点であります。 第四点でありますが、これは労働委員会におきましてただいま国政調査をお願いし、またこれからお願いをするわけでありすけれども、われわれといたしましては行政整理一般に対してただ反対であるというような機敏的な態度はとりたくはないのであります。たとえば保安庁の整理なんかは、たいへんけつこうであります。これはやはり国がどういう経済政策に基いて何をやるかという経済政策、国策に基いて行政機構を簡素化し、その人員の配置、配列を考えなければならない、こういう考え方の上に立つておりますが、少くとも私地方を歩きまして——労働省の下部の職員の中にはとかくの批判もございましようけれども、全般的に言いますならば、労政あるいは職安、あるいは基準監督等は、非常に少い人員でもつてかなり効果をあげておる。この事実は、やがて労働委員会で正式に報告をしたいと思うのでありますが、中には、鳥取県におきましては、わずか二名の婦人少年局の分室で二名の婦人が三十万円の予算をもつて非常に広汎な啓蒙活動を展開しておる。これは労働組合も非常に感激しておりました。またある地区におきましては、基準監督をするのに、完全にやるのには三年目に一回ぐらいしかできないということが、現地において告白されております。労働省の予算というものがだんだん縮小されまして——予算だけでない、その人員の上に、機構の上にこれが縮小されつつある。前の監督官の整理の問題につきましては、私ども反対をいたしまして努力をしたわけでありますが、今度塚田氏の手元でこのいろいろな企画が行われておるようでありますけれども、私といたしましては、事労働行政に関する人員整理の問題につきましては、全面的に反対の考えを持つておるわけでありますが、ただいま政府の方はどのように考えられておるか。もし労働省に対して、行政整理か、あるいは行政機構の改革が何らかの影響ありとするならば、これに対して労働大臣はどのような態度をおとりになるか、その御見解をひとつ述べていただきたい。 第五番目といたしましては、先般来労働大臣は、労働問題協議会の提唱をなさいました。この労働問題協議会は、一つの新しい行き方でありまして、いわば、従来ややもすれば反動的だといわれておりました吉田政府といたしましては、一つの新しいテスト・ケースとして各方面から注目をされておるわけです。私どもも、できる限りこういうような諸機関をつくつていただいて、そうして労使の公然の交渉、あるいは意見の交換、あるいは産業復興に関する合意、こういう相撲の場を欲しておるわけでございますけれども、この協議会の機能、役割、そうして政府は、この機構から何を期待しようとしておるのであるか。こういう点を明確にしていただきますならば、私どもも、その機構なり役割なりが納得の行くものでございますならば、全面的に御協力を申し上げたい。かように考えておりますので、以上五点につきまして、この際労働大臣から明確なる御答弁をいただきたい、かように思うわけでございます。
○小坂国務大臣 お答えいたします。まず第一点は、財政資金が散布起過される。それに伴つてインフレーシヨン的傾向を伴うと考えられるけれども、それによつて労働者の実質賃金の低下はおおいがたいのではないか、こういう点でございました。財政資金の散布超過の問題につきましては、確かに年末に向いまして相当に散布される見通しがあるのでありますが、これは農林中金その他の金融機関に、供米代金その他は吸収されるのでありまして、さらにこれを日銀への返済資金にするようにして、インフレ要因の除去に努めることにいたしております。すなわち、財政資金の散布超過を、金融によつて吸い上げて行くということを考えておりますので、インフレーシヨンの激化ということは考えておらないのであります。なお、その他貸付金に対しまする高率適用の問題、あるいは指定預金の引上げの問題、そういうような金融措置をいたしましたり、あるいはぜいたく品でないものに対するところの輸入の楽観的見通し等によつて、たとえば最近毛織物が非常に高価になつている。そういうものも、輸入が一部非常に少くなるということに対しての思惑買いのようでございますから、そういうものについては現実を知らしめて、そうして極大インフレーシヨンの傾向を防止するように努めておりますから、私はインフレーシヨンの著しい危険はないと考えておるのであります。 次に、賃金と物価の関係でございますが、前年の一月から六月に対しまして、本年同期間の賃金というのは、名目賃金で一四%上昇しております。これをさらに二十七年度の統計で見ますと、名目賃金はたしか二五%であつて、実質賃金は一五%上昇しておると思います。そういう非常な賃金上昇のさ中にありまして、昨年度は個人景気が非常によかつたというふうなことがいわれておりますが、その間にCPIは四%の上昇にとどまつておりまして物価も大体横ばいの状況でございますから、実質賃金は約一〇%増となつております。その状況下におきまして、賃金上昇の傾向はやはりレギユラー・ペイでの上昇でありますから、相当に確実なものがありまして、今後においてもこの傾向が継続されるものと考えます。これに対しましてCPIは、食糧、衣料、住宅、そうした全部にわたつて、従来の傾向と著しくかわるものと思われませんから、実質賃金がこれによつて低下することはないと考えているのであります。 次に、雇用量増大の可能性と失業者の関係という問題についてお答えいたしますが、失業の問題は、国民経済に直接つながる問題でありまして、経済政策とも基本的な関連を持ちますことは言うまでもございませんが、政府としましては、従来とも輸出貿易の振興によりまして日本経済の拡大を考え、その間におけるところの雇用量の増大、また一方において公共事業を活発にすることによつて、失業問題の解決をはかる。しかしてその間においての谷間は、失業対策事業あるいは失業保険によつて埋めて行く。こういう三本建の対策をとつているのであります。本年におきましても、御承知のように電源開発、干拓、治山治水事業等、大規模な土木事業によつて、国内資源を開発すると同時に、雇用量の積極的な増大をはかりまして、失業者の吸収をはかることに努めておりますが、また公共事業につきましても、失業者を積極的に吸収しようと、組織的、計画的な移動充足を行い得るように、敏活な行政をしたいと思つております。なお、失業対策事業につきましても、建設的な効果を確保するとともに、雇用吸収量の維持増大に努める考えであるのであります。なお、失業保険制度については、さらにこれを充実強化したいと考えております。 なお、最近の企業整備状況が、石炭産業初め各方面に見られまして、失業者の増大が必至であると思うが、これが対策、さらに西ドイツのことについて言及されたのであります。企業合理化のために、石炭部門におきまして人員整理を行つていることは、現在問題になつておりますが、他の産業においてこれと同等な傾向が行われるかどうかということについては、つまびらかでありませんが、最近の雇用情勢の停滞的な傾向にかんがみまして労働省といたしましても、全機能をあげてこれに対処したいと考えているのであります。私どもの方針といたしましては、予算成立の時期の遅れた関係上、公共事業を積極的に、本格的に実施します事業活動の活発化は、下半期に予測せられるのであります。それで労働省といたしましては、これらの部門に必要な雇用労働を円滑に充足するために、職業安定行政の重点的、計画的、積極的な雇用調整を考えたいと思つております。 なお、西ドイツの場合についていろいろお話がございまして、傾聴いたしましたが、御承知のように共同決定法にいたしましても、あるいは先ほどお話のありました解雇制限法にいたしましても、まだ五一年からの、むしろ試験期にあるかとも思われるのであります。こういう問題につきまして、種々先方の情勢も見たいと思いますし、また西ドイツにおいては、マーシヤル・プランを受けたという関係もありますので、経済の回復の速度というものがある程度違つているのでありまして、労働組合運動それ自身につきましても、相当に違う経験を過去において持つているし、戦後においても相当違う経験を持つているので、これをただちにどうこうということは考えませんけれども、なお研究題目としては十分検討したいと思います。ただちに日本に、これが必要かどうかということについては、私はむしろ消極的な考えを持つております。 さらに、最近の行政機構改革とそれに伴う人員整理について、塚田構想と関連して、労働行政部門について、種々御理解のあるお言葉をいただきまして恐縮いたし、また感謝するのでありますが、この行政機構の改革と人員整理の問題につきましては、行政管理庁並びに内閣に設けられました臨時行政機構改革本部におきまして慎重検討中でございますが、まだ具体的な結論は出ておらないと聞いております。私といたしましては、わが国経済自立達成のためには、労働問題こそ最も重要な問題であり、その適切な措置が絶対に必要であると考えております。従つて労働行政は、むしろこれを強化すべきものであるという信念を持つておりますので、従来もそのように主張しで参りましたが今後においても、そのように主張する考えでございます。 さらに、労働問題協議会のことでございますが、先般来いろいろ御協力をいただきましたので、おかげをもちまして大体基礎構想も固まつて参りました。本日実は、閣議の決定をいただきましたので、大体この二十日を目途として第一回会合を準備する考えでございます。委員は三十人程度といたしまして、労使並びに各階層から、広く国民経済及び労働問題について識見を有する方々に委嘱したい考えでございます。私どもといたしましては、政府がこれをリードして行くということよりも、むしろ盛り上る機関として、一般の声をこの中において十分闘わせていただきたい、こういうような考えでおります。政府はその間に誤りない資料を提供する、そしてその判断を適切にそこから吸収して行く、こういう考えであるのであります。なお、そうしたような考えで、とかく疎隔されがちな労使間の意見というものの間を風通しをよくしよう。その間にふすまをとつぱらつて、お互いに腹を割つて十分に話し合つてもらおう。いよいよどん詰まりになつてどうにもしようがなくなつて、あるいは国会の問題となり、あるいは政府として何かしようというようなところに追い込まれるよりも、むしろ事前に問題を処理することこそ、労働問題であるというような考え方に立つて、十分この協議の場を活用していただきたい、かように考えております。
○赤松委員長 この問題につきましては、インフレの高進の見通しの問題、実質賃金低下の見通しの問題等、あるいは失業対策その他意見がございまして、私は今の労働大臣の意見とまつたく反対の意見を持つでおりますけれども、しかし、これは当面する重要な問題でございまして、ぜひ政府と国会とが協力して、こういう問題の善処に当らなければならぬと思つております。やがて次の機会には、こういう問題につきまして政府の考え方をさらに究明をいたしまして、私どもの意見を詳細に述べたいと思います。 それではたいへん長い間協力をいただきまして、どうもありがとうございます。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時二十二分散会