労働委員会 第16号
- 発言数
- 167 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1953/07/24
会議録
○赤松委員長 これより会議を開きます。 まず公述人選定に関する件についてお諮りいたします。本委員会において審議中の公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案及び地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案についての公聴会の公述人を、この際選定しておきたいと存じますが、諸般の状況より勘案いたしまして、その数は総員十四名といたしまして、国鉄労働組合中央執行委員野々山一三君、全専売労働組合執行委員長平林剛君、全逓信従業員組合中央執行委員長横川正市君、全国自治団体労働組合協議会中央執行委員長占部秀男君、日本都市交通労働組合連合会中央執行委員中山一君、全国水道労働組合連合会中央執行委員長坂本喜一君、東京都水道局長徳善義光君、慶応大学教授峯村光郎君、早稲田大学教授野村平爾君、東京大学助教授磯田進君、公共企業体等仲裁委員会委員長今井一男君、都立大学教授沼田稻次郎君、公共企業体等中央調停委員会委員小林直人君、東京都交通局労働部長瀬口琢君、以上の方を公述人として選定いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 (「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○赤松委員長 御異議なきものと認めまして、さよう決定いたします。 ―――――――――――――
○赤松委員長 これより公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案、地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案、労働金庫法案及び労働行政一般に関する件を一括議題といたします。 なお昨日の委員会において日米労務基本契約に関して意見を聴取いたしました参考人市川誠君が本日も出席されておりますから御了承願います。 お断りしておきますが、外務省の方の出席がないので、龜井政府委員に対する質疑を行いたいと思います。質疑を許します。多賀谷真稔君。
○多賀谷委員 西日本水害後の労働事情について、再度質問したいと思います。ことに二十条の適用並びに二十六条の適用についてであります。私は一昨日帰つて来たわけでありますが、この問題について、次のような問題が起つております。すなわち水害によつて解雇する場合に、たとえば、ある炭鉱におきましては、百名の従業員中二十六名解雇する、こういう場合におきまして、二十条除外の申請手続が行われている。ところが申請は却下されている。そこで当然予告手当並びに予告期間を置かなければならないということになるわけでありますが、実際問題として、仕事がないのであります。そこで休業補償の対象にはならない。せつかく法で救つてもらつて予告手当をもらえるようになつておりまして、あるいはまた予告期間を設けられることになつておりましても、仕事がない。そこで三十日間ぶらぶらしなければならぬ、一銭ももらえない。おかげで失業保険金の資格を受ける認定が遅れて、三十日損をしたというような実例が起つておる。この二十条の但書の適用と二十六条の関係について質問いたしたいと思います。
○龜井政府委員 今の御質問の中にございました監督署が二十条の但書の認定をしなかつたという理由が、どういう理由か存じないのでございますが、この二十条の但書の規定と二十六条の使用者の責めに帰すべき事由によらざる休業というものとの関係につきましては、言うまでもなく二十条の場合におきましては、ここに列挙しておりますように「天災地変その他やむを得ない事由」云々と出ております。二十六条の方は、使用者の責めに帰すべき事由による場合だけを規定して、事由によらない場合を規定いたしておりません。従つて二十六条の方の場合の解釈といたしましては、天災地変ももちろん入りますが、それ以外にもいろいろの事由がそこに入つて来ようかと考えられるのであります。従つてこの範囲というものは、必ずしも一致しない場合が生じておるのだろうと思います。
○多賀谷委員 監督署が二十条の但書の申請を却下したということに対しまして、私は異論はない、賛成でございます。これは少くとも官名からの従業員の中で、二十六名解雇しておる、事業が継続されておる、こういう状態において、これは当然但書の適用を受けさすべきでないという、かような監督署の処置は、私はきわめて妥当であると思うのであります。ところが現実問題としまして、この解雇の予告をやります。そうすると、仕事に行きましても仕事がない、天災でできない。こういうことで、せつかく却下していただいても何にもならない、こういうことになつておるわけでありまして、むしろ労働者側から言いますと、かえつてそのだめに失業保険を受ける資格が遅れて来た、こういうことに現実の問題として起つておるわけであります。そこで私はこの矛盾をどういうように――労働省としてはそれは法律の不備であるからというので片づけられるのか、一体どういうように考えておられるのか、この点もお尋ねいたしたいわけであります。
○龜井政府委員 この問題は、やはり事実の問題につきまして解決しなければならぬと思いますが、今のお話のような一応の矛盾というものは、法律的に考えられ得ると思います。しかし、それかといいまして、それに対するどういう措置をとるかということになりますと、これは事実の問題として、その事実について解決して行かなければならぬ。具体的に申しますと、そういう場合におきましては、使用者と労働者との話合いにおきまして、解雇の日付を確定する前三十日の間に依願退職のような形をとりまして、それが失業保険法の給付制限を受けない趣旨の依願退職という措置も、行政運営上とられるわけであります。そういう措置をも考えて参りますれば、失業保険の資格というものもついて行くのではないかというふうに私は考えます。
○多賀谷委員 龜井局長は失業保険をよく御存じないようですが、依願退職になりますと、非常に給付が遅れるわけであります。事業場の都合でやりますと、早く給付を受けるわけであります。こういうことになるわけでありますので、依願退職というのになりますと、あまり効果がない、こういうことになるわけであります。しかし、私は解雇予告のこの適用除外をなるべく多くやれという意味ではありません。逆の考え方でございますので、その点について、あまり二十条の解釈の問題については触れたくないわけであります。むしろ二十六条の休業補償を何らかの形で救うてやることが、私は至当であろと思うわけであります。和田監督課長は、西日本の対策に行つておられたという話でありますが、一体どの程度この休業補償の対象になる者があつたか、この状態をお知らせ願いたいと思います。
○和田説明員 今手元に数字を持ち合せておりませんので、数字についての御説明はちよつとできかねますが、休業補償の手当支給をば行えということを具体的に述べられて、その数が何人というのは、実は私の方で正確に把握はできなかつたわけです。具体的に労使の間でそれぞれ話合いをしていただきまして、それで問題をケースごとに解決をして行くという態度で、私、現地で処理をいたしまして、私の処理に当りました件数に関する限りは、失業保険と基準法との間に今御指摘のような若干のずれと申しますか、そういう問題のないように実際的に処置をして参る。数字を申し上げられませんで恐縮でありますが、実際の処理はそういうことで行つております。
○多賀谷委員 この休業補償の問題をめぐる労使の協議は、大きな炭鉱では実際行われておりますが、小さな炭鉱では、ほとんど問題にされていないのであります。この休業補償を要求して持ち出すこと自体が、解雇を促進するということになりまして、実際はほとんど不問に付されておるのが現状でございます。そこで、炭労とか日鉱の組織に入つております組合には、比較的まだ少いのでありますが、その組織に入つていないような労働組合並びに労働組合の未組織の炭鉱に非常に多いのでございます。福岡県の工務課の調査によりますと、少くとも完全水没坑が八十五坑、従業員が一万三千九百八十八人、一部浸水が百二十二坑、従業員が三万七千七百十八人を推定しておるわけでありますが、これら完全水没が復旧まで七十日、それから一部浸水が十五日と仮定して数字を出しております。その金額が大体八億程度に上る。これは福岡県だけの炭鉱でございますが、推定をしております。こういう事情から申しますと、相当多くの従業員が非常に困つているということが言えるのでありまして、ことにこの状態は、社会問題を惹起するような憂いが非常に多くなつておるのであります。 また失業保険の問題につきましても、今職業安定局長が見えておられませんので、あとから質問いたしますが、この前、基準局長に監督官の数が足りないのではないかということを私はお尋ねしたわけであります。現実に行つて見ますと、監督官も足りません、また失業保険の関係に携わつている者が足らない。ある安定所におきましては、三百人なら三百人一ぺんに解雇されて来ては困るので、少くとも十名程度ずつ一日ずつ言つて来てくれ、そうしなければ事務が処理できないということで、各炭鉱に割当てたということも聞いておるのであります。十名ずつ行きますと三十日かかるのでありまして、実際首を切られて三十日間は失業保険をもらえない。こういう状態で非常に困つております。また和田監督課長は、自分たちが直接携わつたものというお話をされておりましたが、現実にどうなつておるか、現地の監督署はよく把握しておりません。その休業補償の問題が起る、あるいは解雇手当の問題が起る場合はタツチしておるのであります。しかしそれが二十条の適用除外ができないということになりますと、そうですかというので引下つて、その後はどうかよく知りませんということでありまして、これは監督署として、はなはだ不親切であると思います。その後はどうやつておるかというと、こそつと行つて失業保険をもらつている、こういうのが現実でありまして、せつかく法があつて法の保護をしてやろうという監督署が、その後全然放置をしておる。――放置しているわけではないのでありますが、実際は人が足らなくて、わざわざ言つて来る分だけについて話を聞いておるだけでも時間が足らない、こういう状態でありまして、この点は何とか早く処理してもらいたい、かように考えております。 そこで問題は、前にもどるわけでありますが、一体休業補償の件で、労働省としてはこれを放置しておくのかどうか、失業保険の適用を受けさすのかどうか、この点についてお尋ねいたしたいと思います。
○龜井政府委員 労使双方の責めに帰すべからざる事由によりまして休業を余儀なくされた場合におきましては、これは基準法の外の問題になるわけであります。その場合に、使用者としましては、労働者の生活の窮迫の状況に対しまして、何らかの形において見舞金なり、あるいは手当なりを出したいという気持がありながら、単に資金がないために、そういう操作ができないというものにつきましては、結局これは融資の問題になつて来ると思います。融資の問題につきましては、先般の本委員会においても申し上げました通り、通産省と今タイアツプいたしまして、従来出されました中小企業関係のいろいろな融資、たとえば国庫の余裕金の預託、国民金融公庫、商工中金、開発銀行あるいは信用保険、こういう機関における貸付については、運転資金として貸付の対象になつておるものには、賃金の遅払いその他のための資金としての貸付を認めるという話合いが実は進みまして、金融機関におきましては下部の金融機関にこれを伝達せしめ、通産省はまた通産省から伝達してもらうよう要請をいたしました。われわれはまたわれわれの機関にこれを通達いたしまして、その間の融資の円滑な処理を期待いたしておるわけでございます。失業保険をどうするかという問題は私の所管でございませんので、はつきりした答弁を申し上げかねますが、しかしできるだけそういう場合における失業保険の運用という面の処理は、労働省としても考えて行くべきではないかという気持を持つておる次第であります。
○多賀谷委員 いかに商工中金なり開発銀行を通じて中小炭鉱に融資をされましても、労働者のこの休業補償までは絶対に行かないと私は確言しても間違いないと思う。現に賃金でさえ十分くれてないのに、法的な義務のないものをやるはずがない。われわれは今までの例から考えて、さように思うのであります。これは現実にこういう問題が起つておる山に行つてみますと、休業補償と言うことすらあぶないのだということを言つておる。あぶないということは、いろいろな意味がありますけれども、あぶないのだということで、労働組合はおくびにも出さないでいるというのが現実であります。そういうような近代的な労働関係にないような中小炭鉱において、こういう見舞金を出すということは、労働省は机の上で考えておられるかもしれませんが、およそ現実の炭鉱、ことに中小炭鉱においては、考え得られないのであります。これと同じような事件がありました。日通関係、ことに鉄道の破損によりますところの日通関係が全部五日、六日休業をやつております。しかし、日通はほとんど払つておるのです。しかも金額払つておる。こういう会社におきましては払うでしよう。しかし炭鉱のような状態においては、ほとんど払われていない。また見舞金すら全然やらない。そこで、融資をすれば見舞金をやるだろう、こういうような労働省の考え方は、非常に甘いと思うのであります。私は法的な根拠のない休業補償、融資をしたから何とかやつてくれるだろう、こういうことでは、絶対に救われないと思うのであります。そこでこの法的な措置、法の運営によつて、あるいは法の運営の中で、できなければ立法措置を当然考えられなければ、この休業補償の問題は片づかないと考えるのであります。ことに一般の現実の工場をながめますと、休業補償の問題はあまり起つておりません。これはなぜ起らないかというと、復旧だけ、取片づけだけで従業員の手が足りないという状態で、実際はそういうことが起つていないという状況であります。ところが現実に炭鉱の場合、坑内では大体一三%ぐらいしか人がいらない、あとはあぶれておるという状態になつておる。そこで炭鉱の場合はことに休業補償の問題が大きくクローズ・アツプされるわけであります。ぜひこれは法的な運営並びに法的な措置によつて解決しなければならない、かように考えるものでありますが、私は、基準局長以外に見えておりませんので、関係政府委員が見えましてから再度質問をいたした、かように考えます。
○赤松委員長 この際委員の皆さんに御報告しておきますが、持永委員より要求のございました大蔵省銀行局特殊金融課長の有吉君がただいま出席せられるよう連絡中でございます。なお日米労務基本契約に関する昨日以来の質問につきまして、本日外務省の伊關国際協力局長の出席を求めたのでございますが、MSA第三次会談に出席のため、かわりまして国際協力局の次長關君が出席をするということになつておりますが、時間の御都合で四時にしていただきたいという申入れがございまして、齋木説明員が来ておられます。また通産大臣は、参議院の予算委員会に出ておりまして、向うが済み次第こちらへ出席するという回答がございました。それから労働大臣は今呼んでおります。
○黒澤委員 労働行政一般につきまして、労働大臣にお尋ねしたいのでありますが、今見えませんので、時間の関係上基準局長にお尋ねしたいと思います。なお、お尋ねのあとで、労働大臣にお尋ねする点がありましたら、その点だけをあとに留保しておきたいと思います。 御承知のように労働基準法は、その第一条に規定してあります通りに、労働者の労働条件の最低の基準を定めまして、これを遵守することによりまして労働者の生活の安定と地位の向上をはかり、わが国産業の正常な発展に寄与することが、本法の根本精神だと私は考えております。従いまして、労働基準法の執行の結果労働者の職を奪つたり、不利益な結果をもたらすがごときことがあつてはならないと私は考えております。またたとい労働者に、法に抵触することがありといたしても、法の執行にあたりましては、労働者の生活を脅かすがごとき結果を招くことは、極力避けなければならないと考えておるのであります。ところが、このように本法の執行によりまして多数の労働者が職を失いまして、非常に生活の困窮に陥つている事態が起つているのであります。それは宇都宮市から六キロほど離れましたところに大谷石の石材採掘場がありますが、ここには大小の事業場が百三十七箇所あります。使用者が百二十二名という非常にかわつた事業場でございます。そこで働いている採掘労働者は、半農、半商の人もありますが、それを合せますと約三千名の労働者がこの大谷石の採掘場で働いております。小さい事業場におきましては、労働者が五、六名、多いところで百五、六十名内外の事業体であります。この従業員の中に女子及び年少の労働者が約六百七十名ほどおるのでありますが、その大部分がいわゆる坑内労働者であります。坑内と言いましても、炭坑あるいは金属鉱山と違いまして深いところでありましても八十メートル内外、浅い坑内は数メートルしかないというような坑内であります。この女子、年少者の坑内労働に対しまして、栃木労働基準局におきましては、五月三十一日を限つて女子、年少者の坑内就労の禁止命令を出しまして、これを徹底的に今断行しているような次第でございます。申すまでもなく労働基準法の六十四条には、満十八歳に満たない者または女子は坑内労働を禁止せられているのでありますから、他の事業場の女子、年少者が本法の坑内就労の禁止の条項を適用されますならば、これはやむを得ないのでありますが、かようなかわつた石材採掘場に働いている女子、年少者を、炭鉱あるいは金属鉱山に働いている女子、年少者と同様に取扱うべきものであるかどうか。また労働基準法が施行されましてから、相当な年月がたつのでありますが、その間引続き数百名の女子、年少者がこの石材採掘場で坑内労働脅しておつたのでありますが、今日まで何らの手を基準局あるいは監督署においてやつておりませんのが、今回突如としてかような全面的な坑内労働を禁止したという、そうしなければならないという理由、原因が今日起つておるのかどうか、まずその点についてお伺いしたいと思います。
○龜井政府委員 大谷石の問題につきましては、今お話の通り、労働基準法の六十四条の規定によりまして、女子の坑内の労働は禁止をされておるわけであります。従いまして、法施行以来この監督を行つて参つたのでございますけれども、実情を申し上げますと、監督官が参りますと、一定の合図をされるのか何か知りませんが、坑内における女子の労働者が見当らない、こういうことがずつと引続いて参つて来たのであります。しかし、一般の世論なりあるいはそのほかの情報では、坑内で働いておる女子の労働者がおるということは、耳にはするのでございますが、現実に参りますと、そういう状態であつたりするのです。ところが、昨年の暮れになりまして、地元の新聞社の主催によりまして、この問題が大きく社会的に取上げられた。そこで労使双方の懇談会を開きました際に、女子の労働者が坑内で働いておる実態が明確に明るみに出たわけであります。そこで基準局といたしましても、この問題を放置しておくわけには参らなくなつたわけでございます。また現実にそういう問題が起つたわけでございますので、使用者側、労働者側双方を集めまして、どういう処置をすべきであるかということの対策につきまして、話合いを進めたのでございます。使用者側としましては、事の性質につきまして十分了解をつけますし、また労働組合側も、この法律の規定に違反するということを十分承知をされまして、何らかそれに対する対策を講じたいというので、話合いを進めて参つたわけでございます。その結果できるだけ坑内に働いておる女子の労働者を、露天掘りその他坑外の作業にこれを職場転換をさせるという話合いができ上つたのでございます。さらにまた、もし他に転職をする希望があります者については、地元の公共職業安定所を通じまして就職のあつせんをするというふうなことで、話が進んで参りました。そうして徐々にその配置転換が行われて参つて来ておりました。そこで基準局としましても、何か一定の目標を立てなければならないと申しますのは、その実施をしますために、実は普通以上の監督と申しますか、指導と申しますか、実施して参りましたので、これを普通の状態にもどしますためには、一定の期日を限ることが有効ではないかということで、使用者側と話合いをしました結果、五月末日までに何とか全員の職場の転換を行いたいということで、話を進めて来たのでございます。その結果は、大体うまく参つておるということの報告を受けておるわけでありまして、現在におきましては、職場の配置転換が行われ、あるいは安定所を通じまして他に就職した人もあるという話も聞いております。ただしかし、先般来の長雨によりまして、坑外における労働が十分行われがたいという実情からいたしまして、ここ最近、多少の女子の労働者が坑内でまた働いておるんじやないかという話も聞いておりますが、これまた現実に監督に参りますと、やはり坑内にはいないようでございます。 そこで、これらの問題を考えますと、やはり何か別個の問題としての対策、すなわちこれは生活問題になるわけでございますが、こういう問題をひとつ考えたい。たとえば、失業対策事業を起そうというので、地元の村とも相談をしたのでございます。地元の村としましては、道路に使用します土地の買収、その他につきまして、まだ十分の見通しがつかないというふうなことで、失業対策事業もまだ着工いたしておりませんが、こういうふうな方法も今後進めて行きまして、この生活問題を処理して参りたいというふうに考えております。
○黒澤委員 この大谷の石材採掘場につきましては、私も三十年以上あの近くに住居しておりますので、実は最近の状況も、基準局長もおると思うのでありますが、よく承知しておるのであります。今申されますように、坑外の労働あるいは他に転職が非常にできたという報告が、現地から参つておるようでありますが、実態は、そういうことはほんの一部分でありまして、大部分の女子、年少者は、今なお就職の道がなく困つている状況であります。私はかような特殊な事業場におきましては、五月三十一日というような期間を切つて坑内から全部排除するというようなことでなく、やはりそこの実情に即して、生活を脅かさずに順次他に転職なり就労の道なりをやつていただく。そういう一つの便法といいますか、事情をよく御了解願つて――私は一概に違法行為だというやり方でなく、特殊な事情をお考えになつて、政府におきましても処置をしてもらいたいと思うのであります。 ことに私奇怪にたえないのは、かように労働者に対しては法の厳正なる適用をされておるのでありますが、しかしここに労働基準法できめられております使用者側の責任ある基準法違反が行われております。そういう方面については、現地の基準局あるいは監督署においてはあまり手をつけないように私は見受けます。その事実を私は申し上げたいのであります。この事業場の労働者は、大体請負の石切りをしておるのであります。石の大きさによりましてその単価は違いますけれども、大体一日十時間から十五時間の重労働である石切りをやつております。それで一箇月を通じまして、二十日か二十二、三日働けば、非常に稼働日数の多い労働者でありまして、さように非常な重労働をやつておる状態であります。一日八時間の労働として計算してみますと――大体普通の労働者が一日三百六十円程度の賃金にしかなりません。そうしますと、一箇月の賃金が七、八千円の低収入であります。この低収入のために、家族をかかえている人たちの生活がむずかしいために、自分の女房あるいは年少の子供までも動員しなければ、生活がやつて行けないというところに、こうした女子、年少者の坑内労働というものが、非常に多くなつて来ていると思うのであります。しかも、今度禁止されました女子坑内労働者の中には、私の方の調べによりますと、百三十四名の未亡人がおります。この人たちが非常に生活に困る状態に置かれておりまして、今日におきましても、監督署あるいは基準局、県庁等に陳情、嘆願に来ている状態であるのであります。しかもこの事業場の労働者は、賃金の前借りをやつております。それで、月末の賃金を受取るときに現金を受取ることのできる労働者は一〇%ぐらいしかありません。あとの九〇%は前借りをしておるのであります。それで大部分の労働者が、使用者から少くも二、三万円、数万円の前借りをしているのであります。そのために、甲から乙に職場をかえることもできない状態にあります。もし甲から乙に職場をかえるということになりますと、乙の事業主から前借りをしまして、それを甲から前借りをしておるのを埋めて行かなければ、事業場をかえるというようなことができないものでありますから、こういうようなことが今日公然と行われておるのであります。それから使用者の監督者が山におりまして、労働者の切りました石一本について幾らという中間搾取をしております。こういうことが現在各山々に現われて来ておるのでありますが、こういうふうに幾多の基準法違反が公然と行われておるというのは、偽りのない事実であります。私は議会の前にはときどき行つて、ずつと実情を調査して参つたのでありますが、かような状態になつておるのであります。もちろん、福利厚生施設などは全然ありません。しかも、この事業場における――これは基準局の調べで、本省の方にも参つておると思うのでありますが、毎年の死傷の統計を見ますと、昭和二十五年には落盤で三名死んでおります。二十六年にも三人、二十七年に四人死んでおります。それから負傷者でありますが、これも監督署に届出のあつたものだけで、四箇月以上の治療を要するものが、二十五年には六十八人、二十六年には八十人、二十七年には百十八人というように、その数が非常に増して来ているのであります。その事業場を見ますと、しかも宇都宮県庁所在地から六キロぐらいしか離れていない、かようなところに、まさに監獄部屋同様の事業場があるのであります。かように、使用者側におきましては、幾多の基準法違反を犯しておるのでありますが、これに対して監督署や基準局が積極的な手をつけないで、労働者側にだけ厳正な、数百人に余る女子、年少者の坑内就労を禁止するというこの二つを対照して見まするときに、地方の心ある人たちは、かくのごとき基準局のやり方に対して、非常に奇怪の念を持つておる。私自身も持つておるのでありますが、そういうへんぱなやり方が現実において行われておる。こういうことでは、労働者は納得しないのでありまして、そういうような違法な点がありますならば、われわれは改めることをやつてもらうことは当然でありまするが、しかしながら、かように使用者が、まさに現在の日本にはその例のないような監獄部屋同様の基準法違反をやつておるのでありまして、それに手をつけないということは、私は了解ができかねるのであります。こういう使用者側の基準法違反に対しまして、どういうふうにお考えになつておりますか、お伺いしたいと思います。
○赤松委員長 黒澤幸一君にお願いいたしますが、ただいま通産省の石炭局長の佐久政府委員が御出席になつておりますが、水害対策委員会並びに通産委員会の方へ出席しなければならないので、ひとつできる限り早く質疑をやつていただきたい、こういう申出がありました。なおただいま労働省の職業安定局長の江下政府委員もお見えになつております。そこで龜井基準局長から答えていただきまして、なお労働大臣は間もなくやつて参ることになつておりますので、労働大臣が出席した際に、なおあなたの蘊蓄を傾けての御質問をさらに展開していただきたいと思います。
○龜井政府委員 今いろいろ御指摘のありました使用者の側の基準法の違反につきましては、具体的な問題につきまして実はまだ報告を受けていないのでございます。もしそれが事実であるとしますれば、これは断固として是正させなければならない性質のものでございます。至急地元の栃木の基準局に連絡いたしまして、その是正方をはかりたいと思います。また労働者の側の問題につきましても、お話のような御指示につきましても十分検討いたしまして、無理のないような措置をとつて参りたい、かように思つております。しかし、これの坑内労働を許すということは、現在の法規あるいは国際労働条約等の関係もございまして、無理かとも思いますが、それまでの配置転換その他のための必要な措置につきましては、十分実情に合うような措置を講じて行きたいと考えております。
○赤松委員長 それでは黒澤君、先ほど御相談申上げたような取扱いにしていただきたいと思います。
○多賀谷委員 石炭局長にお尋ねいたします。休業補償の問題でございますが、このたびの水害によつて、労使双方の責めに帰すべからざる事由によつて休業が起つております。この休業の問題は、ただに炭鉱特有の問題ではございません、これは一般の工場の問題でもございますが、ことに炭鉱は非常に大きな問題となつております。これは御承知のごとく、他の工場でありますと、復旧作業に人員がいります関係で、休業補償の問題はあまり起りませんけれども、炭鉱の坑内が水没いたしますと、ほとんど作業人員はいらない、十三%ぐらいしかいらない、こういうことが言われておるわけです。そこで現在筑豊炭鉱の各山では、大なり小なり休業補償の問題で非常に紛糾いたしておる状態が起つております。また紛糾しなくても、黙つて泣寝入をしておりますけれども、これはやがて社会問題として大きくなりつつある現状でございます。福岡県の調査によりますと、推定休山補償額が、一人平均賃金を大体一万五千円といたしましても、大体八億といわれております。福岡県だけでありますから、山口、佐賀、長崎の炭鉱を入れますと、相当の数に上ると思うわけでありますが、石炭局長は、この休業補償の問題について、一体どういうふうに考えておられるか、また労働省にどういうように折衝されたか、この点についてお尋ねいたしたいと思います。
○佐久政府委員 炭坑が非常に被害を受けまして、坑内の全坑水没あるいは一部水没のために、働きたくても場所がないという実情は、お話の通りであります。それでその労働者に対して休業補償をどうしたか、労働省をどういう相談をしたかというお尋ねでございますが、私の今までの考え方は、もちろん休業補償の問題まで及べば、たいへんけつこうでございますけれども――これは新しく法律を定めるとか、あるいは従来の法律の改正とかいうような方法もあるかもしれませんが、その前に、とにかくその炭鉱に仕事のできる形態を与えなくちやいかぬ、つまり炭鉱の復旧融資の問題を、われわれとしては先にやらなくちやならぬということで今日までやつて来ておりますので、休業補償について、具体的にまだ労働省と相談の段階に至つておりません。
○多賀谷委員 石炭局長がそういう答弁でありますので、先ほど龜井基準局長からお話のありました融資の問題も、残念ながらそこにはとうてい行かないと思うのであります。そこで、私はこの問題につきましては、あとからまた質問をいたしたいと思います。 せつかく石炭局長が見えておりますので、現在起りつつある企業の整理の問題について若干お尋ねいたしたいと思います。すでに新聞で発表されております推定で、四万数千名の者が解雇されることになつておる、こういうことが言われております。今までの政府の石炭行政をながめて見ますと、国管の間は若干違いましたけれども、ほとんど労働者の犠牲において行われておる。非常に出炭を要請される場合は、労働者を雇用して行く、出炭が抑制される場合は、必ずまず第一に首切りが行われておる。私はこの前の労働委員会で数字を申し上げました。日露戦争以来の日本の石炭鉱業における労務者の数と出炭の状況について、私は話したわけでありますので、本日は省略させていただきますが、そういう現状で、すでに労働者の犠牲において、解雇においてこれが行われておる。こういう状態に対して、一体政府はどういうような石炭行政を持つておられるか、お尋ねいたしたいと思います。
○佐久政府委員 四万数千人の行政整理をやるというお話は、私は初めて伺いますので、具体的な計画が各社にあるかどうか、つまびらかにいたしておりません。ただ石炭鉱業が、今日までは整備された形になつておりません。終戦直後から今日まで、もつぱらその場当りの政策をとつて来たというふうに私考えております。たとえば終戦直後においては、それまでに五千四、五百万トン出ておりました石炭が――あるいは数字にちよつと違いがあるかもしれませんが、二千万トンくらいに落ちました。その後また急激に石炭の需要を満たさなければならぬということで、職場の合理化とかいうことよりも、まず人間で掘り出すのだというようなことのために、かなり無理な人間を入れまして数字を申し上げますと、昭和二十三年には四十五万七千人炭鉱労働者がおつたわけであります。そのときに出ました石炭の数字は三千三百七十二万トンであります。ところが今日は、労働者の数が大体三十六万五、六千という程度になりまして、出炭は四千四百万トンくらいになつております。つまり一時非常に出炭を急ぐ関係で、もつぱら人間を入れて、その体力で掘り出すというような措置をとつたのであります。それに付随いたしまして炭住の問題なども出たわけでありますが、今後は石炭の年度の需要というものが大体どの程度のものか、それには各産業の将来の伸びとか、あるいは需要の平均化とか、あるいはまだその動力源として、石炭にどの程度依存するか、重油にどの程度依存するか、あるいは電力開発によつて動力源を電力にどの程度依存するかということが、だんだん明らかになるに従つて、石炭の生産計画というものは、恒常的な形になるだろうと思います。そういう姿になつて、急にいるときには、ただ人間を入れておるだけだ、いらなければ人間を減らすのだというような均整のとれない形はなくして行きたい、こういうふうに思うわけであります。それの一つの考え方といたしまして、昨年の秋に石炭の長期政策というものを石炭局で発表いたしました。ただ、これは今後の石炭の需要がどのくらいかという見通しがつきませんので、数年前に経済安定本部で発表されました石炭の五箇年計画というものを基礎にしてつくつたものであります。ところが、今日の石炭の需要の状況から見ますと、その五箇年計画というもの自体を再検討しなければならぬという段階に至つておるように思いますので、先日も新聞にちよつと出ておりましたが、日本の産業の動力源というものの再検討を、通産省としてはしたいという考えでおるわけであります。 〔委員長退席、矢尾委員長代理着席〕
○多賀谷委員 具体的に動力源の計画がなければ、石炭対策が立てられない、こういうお話であります。そこで現在の問題として、たとえば本年度の重油の輸入の外貨の割当あるいは輸入炭の状態、こういう問題についてわかつておればお伺いしたい。
○佐久政府委員 本年度の外炭の輸入は、一般炭については、計画には全然載せておりません。昨年度におきましては、長期にわたるストの関係で、鉄道用炭として一般炭を若干入れましたが、本年度においては、その計画は入つておりません。計画として入つておりますのは、本年度の三百六十万トンが一応の計画でありますが、その中の二百八十万トンくらいが強粘結炭であります。これは本年度の鉄の出銑計画に見合いまして、国内の北松で供給される三十八万トンほどを除いて、どうしても足りないという数字が二百八十万トンくらいになるわけであります。そのほかに弱粘結炭としましては、ガス会社用として五十万トンほどの計画がございます。そのほかの計画としては練豆炭あるいはコークス用の無煙炭を計画し、合計して三百六十万トンくらいになつております。 それから重油の計画でありますが、現在輸入されております重油の大体半量は漁船に使われるものでありまして、私どもとしては、国内の石炭産業を保護するというか、国内資源を活用するという観点から、できるだけ重油の輸入を抑制してほしいという見解を持つております。一方漁船関係の方からどんどん重油を入れてもらいたい、そして重油の値段を下げてもらいたいという強い要請がございますので、その辺を調整しまして、本年度の石炭にかわる、つまりバーナーで使うところの動力源としての重油は、大体九十万キロリツトル程度と記憶しております。
○多賀谷委員 ことに石炭の問題は、労働者の雇用量が非常に大でありますので、この石炭行政というのは、労働行政にきわめて関係があると思うのであります。そこで、今後これらの問題につきましては、労働委員会で十分審議いたしたいと思います。今、休業補償の問題に関連をしておりますので、石炭の問題につきましては、本日はこれで質問を終りたいと思います。 続いて職業安定局長にお尋ねいたしたいと思います。休業補償の問題で、失業保険を適用させたらどうか。こういう問題は、この七日三日の労働委員会の席で討議され、またその後も私質問しておるわけでありますが、その後労働省としては、いかにお考えであるか、お尋ねをいたしたいと思います。
○江下政府委員 休業となつております今度の水害地の事業場の労働者に、失業保険を臨時的に適用させられないかという問題でございます。先般来御質問もありましたので、部内でも検討してみたのでございますが、現行法の建前といたしましては、休業という形をとつております以上、その労働者に失業保険制度をそのまま使うことは、やや困難ではないかと考えております。
○多賀谷委員 では失業保険法を適用さすという点については、現在政府としては、できない、こういう見解ですか。
○江下政府委員 ただ、もちろん水害地におきまして、離職という形で、労働者が安定所に参りまして、職業がない場合には、もちろん失業保険の適用があるわけであります。
○多賀谷委員 失業して、そうして窓口に行けば、失業保険法の適用があることはわかつておるわけです。私が聞いておるのは、休業補償を失業保険法の適用を受けさせるかどうか。この点についてどういうように考えておるかということを、質問しておるのです。本日の答弁によりますと、どうも見込みがないようでありますが、それではこの基準法ができました当初にさかのぼつて、私は再度質問したいと思う。労務法制審議会で附帯条件まで付して、将来において労使双方の責めに帰すべからざる休業が、しばしば起り得る日本経済の情勢にあるので、政府としてはこの場合に対処すべく考慮、処置されたい、こういう強い条件のもとに通過しております。それが今日まで全然放置されておりまして、しかも今日こういうような事態が起り、多くの労働者が非常に困つておる状態において、失業保険法の適用を、運用の面においてもできないということであれば議員立法を出せば、政府としては保険経済の面からどういうようになるか、調査があつたらお知らせ願いたいと思います。
○江下政府委員 今までの私の申し上げましたのは、もちろん災害地におきます失業しました労働者の措置には、万全の措置を講じたいという趣旨はあるわけでございます。ただ形の上で、休業という場合には、なかなか困難な事情がある。それから、もし新しく立法措置を講ずるとしますと、かりに二万人の者がこの適用を受け、月数にしまして二月ということに限りますと、大体二千万円程度の経費がかかります。
○多賀谷委員 保険経済として、政府から特別の融資を受けなくても、現在の保険経済でやつて行けるかどうかということを聞いておるわけです。
○江下政府委員 保険経済の面からいたしましたら、現在余裕金がありますから、従つて、もし法律でそういう措置をとつてもよろしいというということになりますならば、可能と存じます。
○多賀谷委員 政府としては、臨時立法としてこれを入れる意思があるかどうか、それをお尋ねいたします。
○江下政府委員 私から答弁しますのもなんでございますが、国会に提案されまして法律が通りますならば、労働者としましては尊重いたして参りたい、かように考えております。
○多賀谷委員 再度お尋ねいたしますが、政府としては、政府みずから立法措置を講ずるというような意図はないかどうか、これをお尋ねいたします。
○江下政府委員 政府といたしましては、できるだけ失業保険制度の運用によりまして、これをやつて行きたいという気持は持つておりますけれども、現在のところ、政府で提案するという気持はまだございません。
○多賀谷委員 労働省にお尋ねいたしますが、水害による労働者の生活の保障といたしまして、二億三千万円の労働金庫からの融資を請願しておるはずでありますが、この点については、大野国務大臣は努力をするということであります。非常に熱意を持つて努力するということでありましたが、その後事務手続上どういうふうになつて進捗しておりますか、お尋ねいたします。
○有馬説明員 この前の委員会におきまして、大野国務大臣が、水害地の労働者に対する労金の融資については、極力努力をするというお話がございましたので、われわれ事務当局としては、すぐ大蔵省と折衝いたしまして、大蔵省においても、今回の災害に対しては、非常の措置として、資金運用部資金を府県に短期融資しようということに大体了解がつきまして、そうしてわれわれの方からは関係の府県知事に対して、書面でもつて、そういう了解がついたから、短期融資の手続をとるようにという連絡をいたしております。金額の点につきましては、これは現在のところ幾ら幾らという額は、まだはつきりいたしておりませんが、実情に沿つたような考え方で、好意的に大蔵省では考えているということでございます。
○多賀谷委員 それは労働金庫としてのひもつきの短期融資でございますか。その点を再度お尋ねいたします。
○有馬説明員 これは府県に対する短期融資でございますので、労働金庫があるところは、労働金庫に対して府県が全責任を持つて預託すると思います。しかし今回の災害府県には、労働金庫のないところがございますので、それは府県の責任において、労働金庫にかわるような手続をもつて貸付の措置を考えることになるだろうと思います。労働金庫のあるところにおいても、労働金庫の手の及ばないところもあるかと思いますので、その辺の措置は、当該府県において適宜考慮されることと思います。
○井堀委員 ただいまの多賀谷委員の質問に関連してでありますが、前回私から質問申しました場合に、労働大臣は、事務当局に十分検討せしめてというお話でした。今の説明によりますと、府県にこれを融資して、府県から労働金庫へ適当な処置をという意味に伺つたのでありますが、たとえば預託の場合には、どのような条件で預託されるか。さらに預託する範囲等について、どのように労働省からそれぞれの関係当局との間に了解工作なり、お約束なりができておるかを伺つておきたいと思います。
○有馬説明員 今回の預金部資金の短期融資は、金利は一銭八厘で国から県に貸す。県がさらにこれを労金等に預託するわけでございますが、その際は県もその間において、さらに県が利子をとるというようなことはやらないだろうと思います。そうしますと、かりに一銭八厘で国が短期融資しました場合に、金庫が預託を受けて金庫がさらに個々の労働者に貸し出す場合におきましては、一銭八厘程度の金利でもつて貸し出せるのではないか、かように考えております。そういたしますと、現在平均的に見まして日歩四銭で貸しておるのが平均でありますので、今回の災害地に対しましては、相当有利な条件で貸付が行われるのじやないか、かように考えております。
○井堀委員 ただいま金額としてはどの程度のものが予定できるか、わかつておりましたらお答え願いたいと思います。
○有馬説明員 先ほど多賀谷委員にお答えいたしましたように、現在のところ、金額についてはつきりしたことを、ここで御答弁することは、ちよつとできかねる状態でございます。しかし、大蔵省としましても、できるだけ御要望には沿いたい、こう言つておりますので、各県別のそれぞれの具体的な折衝でもつて、できる限りの金額、要望に近い金額にわれわれも持つて行くように努力したいと思います。
○井堀委員 労働省としては、大蔵省にどの程度のものが妥当だというような線をお示しになりましたかどうか。
○有馬説明員 労金側の要望資料、それから県側の要望資料に基きまして、大体二億三千万円から二億五千万円程度の要望があるということは、率直に申し述べてあります。
○井堀委員 その点に対して、大蔵当局としてはどのように考慮なさつておるかというような点について、あらかじめ知つておきたいと思います。
○有馬説明員 これは私資金課長と直接話し合つた感じでございますが、資金課長は極力好意的に考えようということでございます。金額的に、今ここで何億というふうにはつきり申し上げることはできません。
○井堀委員 それではこういうふうに解釈してよろしゆうございますか。二億ないし二億五千万円が当該金庫の要望であるということを相手に伝えて、その要望に対して好意的な判断で大蔵当局がその道を開く、こういうように確答を得られておるというふうに理解してよろしゆうございますか。
○有馬説明員 そういうふうに理解していただいてけつこうだと思います。なおその点をもう少し大蔵当局の責任者からお答え願えば、より確実だと思うのです。
○井堀委員 大蔵当局の御出席の機会をいただいて、なお確認をいたしたいと思いますので、委員長の方で適当な機会をお与えくださいますように希望いたしまして、私の質問を打切ります。
○安井政府委員 ちよつと御説明申し上げます。すでに答弁があつたかと存じますが、この貸付につきましては、実は政府部内で、大野国務相が対策本部長として非常に強い要望をされまして、それに対しまして、最初事務的にはいろいろと、まだ労働金庫法が成立していないこの際、どうだろうかという議論があつたところ、この非常時だからといつていろいろと折衝して、今のような進行になつておりますので、今政府に対しましてあまりこれがどうだ、あれがどうだと突き詰めて御追究くださいましても、ちよつと御答弁がしにくい面があろうかと思いますので、この間の事情をちよつと御了承いただきたいと思います。
○井堀委員 事務当局の答弁で、ある程度満足しておりましたが、次官の発言で非常に私は疑義を持つのであります。前回の委員会で、労働大臣からかなり強い決意の上に御答弁があつたことで、事務当局に検討せしめてしかるべく結論を出すというお約束でありました。そのお約束に基いて今行動が行われたことの報告があつたものと思うが、それを打消されるような意味の回答を得たことを、私は非常に遺憾に思う。と申しますのは、この事柄は、何も多くの説明を加える必要はないと思うのです。すでに多くの労働者が、こういう天災のために非常な困窮を、しかも雇い主と労務者との間に解決のできない労働関係、社会問題が起つておるのでありますから、政治的責任、政府の政策をもつて救済しなければならない事柄であることは、多くを申し上げる必要はないのであります。従つて、その責任の衝にある国務大臣からは、かなりはつきりした答弁が行われておるのであります。それと今の次官の御答弁とは、はなはだしく食い違うと思う。私どもは、大野国務大臣の答弁が誠意あるものと理解してお尋ねをしたのです。こういう事柄については、多くを述べる必要はないと思うのであります。労働者のこういう場合における消費資金、生活困窮の場合の救済の唯一のこの金融機関を、私どもからいえば、当然大蔵当局がこの金庫を通じて労働者の苦況を救うという措置が妥当であるとすら考えて質問いたしたのであります。それを、今事務当局の答弁によりますと、はなはだ不満足ではあるけれども、ややわれわれの希望に近い形を打出されておりましたので、質問を打切ろうと思いましたところ、突如次官から、それを打消すというようなことで、はなはだ遺憾と思います。何かの誤解ではないかと思いますが、確認をする意味で、お尋ねを次官にいたしておきます。
○安井政府委員 私の突然の補足説明が、非常に誤解をいただいて恐縮に存ずる次第であります。決して今おつしやいますように、私の意思がブレーキをかけるということではなく、今の政府のそういつた大野国務相の強い要望のために、われわれが事務上多少法律ができないという問題で、話があつたにかかわらず、努力をいたしているという衷情をお認めいただきたい、そういうつもりで申し上げたのであります。金額その他の点につきまして、地元からまだ正確な数字の要求などないものでありますから、その点について御満足の行く御答弁ができないことを、たいへん残念に思つている次第を申し上げたのであります。決して他意あるものじやございませんので、御了承を願います。
○井堀委員 それでは、ただいまの答弁を、こういうふうに理解いたしたいと思います。事務当局のお答えになりました事柄については、何ら変更を要しないのみならず、積極的な意思において希望が十分いれられなかつた、その点を次官から弁解されたという意味での発言であつたというふうに理解してよろしゆうございますか。
○安井政府委員 十分いれられなかつたと申しますか、大いに努力をいたしておりますが、まだ十分な結論に到達しない点をたいへん遺憾に存じておる次第であります。
○井堀委員 それでは今後一段と努力をこの点についてお払いになる御意思があるというふうに理解してよろしゆうございますか。
○安井政府委員 おつしやる通りです。
○矢尾委員長代理 山花秀雄君、国際協力局次長の關守三郎君が見えましたから、どうぞ。
○山花委員 外務省の政府委員がおいでになつておりますので、ちよつとお聞きしたいと思うのであります、その前に基準局長にちよつとお聞きしたいと思います。前国会のこの労働委員会におきましても、また今国会の労働委員会におきましても――これは特別調達庁極東海軍関係の例の首切りの問題でありますが、この前の政府当局の御答弁によりますと、明らかにこれは不当労働解雇である、しかし問題がアメリカとの関係にあるので目下折衝中であるというような御答弁をなすつて、比較的すみやかに解決できる目途がある、こういうふうにお答えをなすつたようにこちらは了承しておるのでございますが、問題は、これは去年の暮れからの問題で、たとえば失業手当を国からいただきましても、これは半年で大体打切りになりますので、目下路頭に迷うというような状態です。またこのままこれを放置しておきますと、いろいろ生活窮乏から、やむを得ぬというようなことで、不祥事態がそれらの人々の生活の上に現われて来るということも懸念されますので、この問題につきまして、基準局の方ではどうお考えになつておるかという点を、もう一度お聞かせを願いたいと思います。
○龜井政府委員 この経過につきましては、御承知と思いまするので省略しますが、この前の委員会で申し上げました通りに、外務省といたしましては、日米合同委員会にこの問題を提出しまして、できるだけ早く処理をしたいというので、外交折衝を進めていたのであります。昨日外務省と連絡いたしました結果、昨日の合同委員会に提案されたそうでありまして、まだ結論に到達しなかつた、きのう一日では結論に到達しなかつたということを聞いておりますが、外務省としましても、極力この問題についても早期の解決に努力をされておるようでありますし、われわれもまたお話の通り失業保険の切れました労働者に対する生活の安定を、すみやかにはからなければならぬということも御承知の通りでございます。外務省にお願いをしまして、早期の解決を期待いたしておる現状でございます。
○山花委員 この問題につきましては、あるいは私の記憶違いか聞き違いかわかりませんけれども、この問題を早期に解決するために、政府の方で、場合によれば立てかえ払いの便法があるやに伺つておりますが、その点は一体どういうふうに取扱いができるものであろうか、お尋ねをいたしたい。
○龜井政府委員 私は調達庁の問題だと思いますが、われわれも実は、あまりこの問題が長引きますと、労働者の生活の問題もありますので、立てかえ払いの方法はないかということを、調達庁に強く申入れをした事実がございます。しかし、そのときの調達庁の研究の結果は、現在のところではむずかしいという結論だつたのでございまして、今国会におきましては、そういう答弁はいたしませんが、そういう交渉の経過のありますことを、この機会に申し上げておきます。
○山花委員 きようは外務省からどなたがお見えになつておられましようか。
○矢尾委員長代理 外務省の国際協力局次長闘守三郎君が見えております。
○山花委員 それでは外務省からおいでになつております關さんに、お尋ねをいたしたいと思うのでございます。合同委員会でいろいろ折衝にお骨折りをいただいておると思いますが、大体の見通しとして、いつごろ解決するのでございましようか、お見込みのところをひとつお答え願いたいと思います。
○關説明員 実はこの問題を含めまして、すべて労働委員会その他の準法律的な機関の裁決と申しますか、支払い契約と申しますかそういうものに関して、日本政府が支払つたものは、米軍は全部これを償還するということが、今の契約にははつきりしておらぬわけであります。この点を確保しなければ、いかに話合いをしてみても、むだだと思いまして、この点は大分交渉しておるのであります。その話合いが、今月の初めにつく予定であつたのでございますが、それがいろいろな事情がございまして大分遅延いたしまして、いまだに解決いたしておらないのでございます。その全般的な話合いの中にこの問題も取含めまして、遡及した請求権を認めさせるというように話合いをつけるつもりであつたのでございます。それが不幸にしまして、いろいろな事情がございますが、大分交渉が遅延いたしましたが、その方の交渉はきのう大進歩をいたしましたので、来月の十日ごろまでには話合いがつくものと思つております。しかしながら、労務者の方々も非常にお困りのようでございますので、全般的な話合いとは別個に、個々の問題を個別的に先方と話合いをいたしておるわけであります。おつしやる通りに、立てかえ払いという問題につきましても、一応話したのでございますが、現在全般の問題につきまして話合いが停頓しておるわけでありまして、その関係もあるから、向うももう少し待つてくれということで、立てかえ払いをいたしかねる状況になつておるわけであります。しかしながら、今後も特にこの点に重点を入れまして、もう少し従来より以上に努力したい、こういうふうに考えております。
○山花委員 公のこうした会場の話合いではございませんが、せんだつて労働省の方にお伺いをいたしましたならば、大体合同委員会で懸案になつておる話が五つある。そのうち三つは解決をした。三つのうちの一つはこの問題であるから、一応この問題としては解決しておるけれども、あと二つの問題が解決していないので、これは一括解決する、そういう事務的手続になつているので、この問題に関しては、はなはだ気の毒であるけれども、あと二つの問題が解決すると同時にこの問題が解決する。こういうふうに私は伺つたのでありますけれども、これは公の席上ではありませんから、それをどうこう申し上げるわけではございませんが、ただいま關さんのお話によりますと、まだこの問題が懸案になつておるようなお話でございました。若干行き違いがございますので、どちらがほんとうか、ちよつと私は迷います。ひとつもう一度この問題は解決したが、あと二つほどの問題が解決しないと一切解決しないのか、あるいはこの問題がまだ懸案になつて解決していないのかどうかという点を、お答えを願いたいと思います。
○關説明員 労働省の方とどういうお話をされたか、私は存じ上げませんけれども、事実この問題はすつきりした形では解決しておらないのであります。ただ、先ほど申し上げました通りに、この種の支払いは日本政府がやる、そうしたら、その金を米軍が返してくれる。――御承知のようにああいうような今の労務関係でございますから、まず日本政府が米軍と了解した範囲内において払いまして、それを向うから払いもとしてくれる、こういう仕組みになつております。ところが、現在この種のものは、一々個別的に米軍の同意がなければ払えないようになつております。当然起るべきケースでない特別の金でありますから、従つてそれが現在の契約の一つの欠点になつておるわけであります。それを是正するために、私は今まで努力をして、その努力がほぼ解決する見込みがつきまして、今月の初めごろに話は一応つきそうであつたのであります。それで、しめたと思つておりましたところが、その後いろいろな事情ができまして、話合いがおそくなつて来た、こういうぐあいになつております。これはおそらくあと一、二週間のうちには話がつくだろう、こういうふうに考えております。
○山花委員 この問題は、りくつの上と実際の問題と、いろいろ違つて来ると思いますが、労働基準局では明らかにこれは基準法違反だという裁定を下しておるわけであります。米軍の方では、一体これを基準法違反と認めておるのか、それとも日本政府の行つたこの基準法違反を不服に考えておるのかどうか。こういうところに、この問題の解決の難点が出て来るのではないかと私は思いますけれども、折衝の過程においては、この問題に関する基準局の裁定に対して、米軍の方ではどういう態度をとつておるか、おわかりになりましたらお聞かせを願いたい。
○關説明員 申し上げます。その点に関しましては、米軍側に若干の疑義がありまして、その点を目下相談しておるわけでございますが、それが実情でございます。
○山花委員 ただいま關さんのお答えになりました若干の疑義が、労働基準局で裁定を下したように解決すれば、この問題は比較的円満に解決の段取りになると思いますが、その疑義が解けずに、あくまで違反でないとかりに米軍が――かりにというよりも、事実そういう態度に出たならば、そういう場合における立てかえ払いができるのかどうか、あるいは、国がそれだけの金額をなげうつて、損してでも、日本の法律上の建前から、これを履行するような態度に出るのかどうかという点でございますが、これはいかがなものでございましようか。
○關説明員 私は、米軍も筋のあるものであれば、第一に納得するであろうということを確信しております。もう少し話をつけてみないとどうなるかわかりませんが、私は現在のところでは、そういうふうに話がつき得るのではないかと考えております。
○山花委員 この問題に関しましては、私はこの問題に関係のある多くの労働者の諸君から、いろいろ話を承つております。たとえば、關さんのそれらの労働者との折衝の過程における話も承つております。それは公の席上の公の話でないので、私は聞き流しておりますが、ただいま關さんのお話によりますと、米軍もわからないものじやない、そして、極力その疑点を一掃するために努力する、こういうふうに關さんは言明されておるのでございます。私は、その公の席上における關さんの熱意ある弁明を信用する以外に道はございません。 そこで、私はお願いしたい。もう八箇月にもなつておる問題でございますから、この際一馬力をかけて、大体来月の十日ごろと言われましたが、それまでにこの問題が円満に解決するように、ひとつ御尽力を願いたいということをお願いいたしまして、この問題に関する質問を終りたいと思います。
○矢尾委員長代理 ほかに御質問はございませんか。
○中原委員 外務省の国際協力局次長にお尋ねいたします。昨日来から本委員会で問題になつております日米労務基本契約の改訂の問題について伺います。これについて、政府当局としても、いろいろ御心配が出ておるようでありますが、合同委員会がこの跡始末をせられるような場合がたくさんあります関係上、外務省のお立場としてのこの基本契約に関する基本的な御見解を、この際承れたら幸いと思います。
○關説明員 お答え申し上げます。私どもは、労働法その他についてエキスパートでございませんので、これは単に常識で判断してやる以外にないのでありますが、労働省、調達庁という直接のこの問題に関する責任官庁が言われることを貫徹するように努力するのが、われわれの根本的な立場でございます。現在交渉に関しては、あまりお話しないことに、米軍との間に大体の話ができているのでございまして、ほんとうは速記をとめていただいた方がいいのだろうと思いますが、若干の範囲において、私どもが考えても不満の点がございます。これはぜひ改めなければならぬというふうに、私どもも現在感じておる次第でございます。できるだけその趣旨に沿つて、米軍を納得させるように努力したいと考えております。
○中原委員 専門の立場でないからという前提でありまして、この基本契約の改訂について、不満の点が若干あると言うが、若干どころではないのです。日本の労働者としてよりもむしろ日本の国民としての基本権がことごとく剥奪せられるようなことが、契約の中核になつておる。そこで、外務省の立場でお考えを願いたいと思うのですが、この前提にもありますように、基本契約が、そのよりどころを、行政協定に求めておることは申すまでもありません。特に向うが指摘しておりますのは、行政協定の第十二条第四項でありますが、そのすぐ次の第十二条第五項に、労働者の権利は、日本国の法令で定めるところによるという条項があるのです。そうしますと、行政協定は、最初からある程度そのことを気にして、日本国内法の定めるところに従うということを誓つておると見ることができるわけです。しかるに、行政協定の第五項にうたいましたこの条項は、いわゆる独立国家になつたと政府が宣言いたしましてから今日までの間、まつたく生きていないように私は思うのです。しかも、さらにそれを裏づけするかのように今度契約が改訂されようとしておるわけであります。そういう観点から考えますと、第十二条の第四項に基いてこれを持ち出して参つておるのでありますが、第五項との関連はどうなるのかという点を、ひとつお聞かせを願いたい。
○關説明員 どうもその辺になりますと、私の領分ではなくて、これはむしろ労働省の方の実質の問題でございまして、私どもがとやかく申し上げるのは、必ずしも適当でないとは存じますが、十二条の五項にも、別段の合意なき限りという前提が入つておることは御承知の通りであります。しかし、別段の合意があるなしにかかわらず、実質的に不満な点があれば、できるだけ米軍に要求いたしまして、これを撤回させるようにするのがわれわれの仕事でありまして、そういう所存でやつて行きたい、こういうふうに考えるわけであります。
○中原委員 私があえて外務省の御見解をただしておりますのは、本行政協定は、御存じのように、当時の岡崎国務大臣が鼻高々とわれわれの前で報告した事項なんです。私どもは、そのころからこのことを予想いたしまして、もしこの行政協定が締結されるならば、日本人はまつたくアメリカの植民地政策のもとに蹂躙されるであろうということを指摘したのでありますが、当時の岡崎国務大臣は、傲慢にも、そうではないということを言い張つたわけであります。そういう関係がありますので、協力局長にかわつて御出席をいただいたようなわけでありまして、的違いのお尋ねをしておるのではないのであります。そういう関係でお尋ねしておるわけであります。 そこでもう一言つけ加えておきたいと思いますが、ただいま御指摘の点は「別に相互に合意される場合を除く外」というのがあるから、その含みで、かりに日本の国民の権益が蹂躪される場合があろうとも、そこに一つのよりどころがある、こういう御解釈のように思います。なるほど、確かにその含みがあることは間違いありません。しかし、これはもとよりつけ加えられた一条の条文にすぎないのでありまして、これが基本的なものであろうとは、だれも理解いたさないのであります。そうでありますならば「別に相互に合意される場合を除く」というその「合意される場合」の中に、実は駐留軍関係のものは全部入るということは、もつてのほかだと思います。そういう除外例の場合をおもんぱかつてか、そういう用心深い一筋の条項を加えたことによつて、駐留軍のもとで働く日本の労働者全部が追い込まれて、その対象になるという結果が出ておるわけでありまして、そうであつてみれば、行政協定締結にあたつて、約一月ばかりだつたかと思いますが、毎日のように協議された当時の国務大臣であつた現外務大臣としては、ここに大きな責任問題が出て来ておると思うのであります。従つてこの問題は、もとより労働省が、これに対する解釈とかいろいろな認識については、直接の中心にならなければなりませんし、あるいは調達庁自身がこれの第一線に立たなければならないことは、申すまでもないと考えますが、しかしながら、その一番の根底になるものは、やはりあくまでも行政協定締結の際の当事者の責任にかかつて来ると思うのであります。従つて、そうであるならば、こういうような事実の問題が提起された場合には、当時の協定の第一線に立つた責任者である外務省としては、少くとも国民の側に立つてそれに対する有利な解釈なり、相手方との折衝に対する方針なりが出て来なければならぬのじやないか。きのう労働大臣も、この基本契約はまつたく不本意である、困つたものだということをしみじみ言つておりましたが、そうであればなおさらのこと、こんなものはいささかたりとも受付けてはならないのであります。これを受付けなければならないようなことになるとすれば、やはり問題は、さかのぼつて行政協定の締結当時の責任問題にかかつて来る。国民としては、少くとも不本意ならざるを得ないのであります。そういう意味からお尋ねしておるわけであります。しかし、次長さんにそんなことをあまりおつかぶせて申し上げるのは、あるいは適当でないかもしれないと考えますが、せつかくの御出席でございますので、あなたの御所見を承つておきたい。
○關説明員 それほどひどいものであるかどうかという点につきましては、私もちよつとはつきりしたことを申し上げかねますが、かりに、もしそれほどひどいものであるということが、エキスパートによつてはつきりそうだということになりますれば、確かにそういうことになつて来るのじやなかろうかと考えますが、その点につきましては、われわれといたしまして、はたしてそれほどひどいものであるかどうかということにつきましては、今日までのところ、それほどひどいものでなく、相当程度向うの言うことを押えつけて改善させておるのが現在の状態であろうと思います。しかしながら、先ほど申しました通り、決して満足すべきものでない、その点につきましては、中原さんと同意見であります。
○中原委員 もちろん感覚的にこういう問題については、ただいまの御答弁のようなことが出るのかもしれませんが、そうなりますと――私はあなたを外務省の少くとも首脳部の一人として考えておりますが、これはたいへんです。そんなのんきな考えで今後の対米関係を取扱われたのでは、日本の国民はたまつたものではありません。今問題になつておりますのは、簡単に申し上げますと、憲法を蹂躪しておる。日本の憲法は、もう問題になつておりません。同時に、その憲法と関連いたします労働関係諸法規は、まつたく無視されておるわけなんです。従つてわれわれとしては、そういうようなとりきめが米軍側と、法律上の雇用者といわれておる調達庁長官との間にとりきめられなければならぬ、いや、とりきめられるようなおそれがあるような状況になつておるのでありますが、そうなつて来ますと、私はやはりもう一度、これは傍観者のような立場ではなしに、労働省、調達庁、外務省の三者が寄つて会議されて 一体どの点が日本としてはがまんのならぬ点であるかの観念の統一をやつていただきたい。その上に立つて、三者が向うとの折衝に関して、何といいますか、共同闘争をやつてもらいたい。国民としてもこれは考えておりますが、まずもつてその直接の衝に当られる皆さんの方で、この点を私は真剣にお考え願わないといけないと思う。私がさつきから申しますように、ことにこれは行政協定によるのでありますから、行政協定を承認させるために、何といいますか、いろいろ巧みな言葉をもてあそばれた今の外務大臣、その外務大臣の所管する外務省としては、もちろん予想のことは言われないだろうと思うが、予想のことどころじやなくて、まつ先に心配されるべきだと思う。もしこういうことを実は予想しておつたのだとするならば、行政協定締結に際して、日本国民を裏切つたといわなければならぬと思います。おそらくそうじやありますまい。その点、どうしても解釈上大きなあやまちを犯しておるのであります。向うは容赦なく行政協定の条項をあげてぴしぴしと迫つております。この条文によつてこのことを契約する、ちやんといろいろとりきめをやつております。そうすると日本政府としては、ぐうの音も出ないということになります。それではたまらぬのでありますから、この点は特に外務省の当局に御忠言申し上げておきます。 これ以上申し上げるのもいかがかと考えますので差控えますが、なお私のお尋ねしたいことは、さらに調達庁長官、あるいは長官の代理でもけつこうです、並びに労働大臣が出席されましてから質疑を続けます。
○井堀委員 市川参考人に一、二お尋ねをしておきたいと思います。先日日米労務基本契約につきましての経緯につきましては、十分理解することができました。ただ、この機会にぜひ具体的な点についてお尋ねを試みたいと思います。それは従来――従来といいましても、独立後きわめて短かい期間でありましようが、その間にそれぞれの場所において、日本の労働三法に基いて、労働協約ないしは労働条件の問題において、交渉がたびたび行われたものと思うのでありますが、その際に、参考人の所属する団体といたしましては、日本の労働三法とはなはだしく食い違つた不合理な圧制的な条件が、どのようなものがあつたか、数多いものと思いますが、ごく端的な一、二の事例でけつこうでありますから、お述べをいただきたいと思うのであります。私自身、直接従業員から伺つておりますことも、かなりたくさんあります。たとえば、だれでもわかりますように、日米の基本的な契約については、詳しくわれわれのうかがうことができないものがかなりあります。ことに安保条約の内容につきましては、国民全体が容易に知ることのできない領域のものもかなりありますので、その範囲内で起つて来る問題は、おのずからこの種の契約の中においては、大きな役割を持つものと思うのであります。そういう意味におきまして、われわれはできるだけ、抽象論ではなく、具体的な事実をとらえて、いかに戦勝国であろうとも、人格の平等についてまでこれを圧迫するというようなことは、私どもはあり得ぬと思う。私どもの残念ながら承知しております多くのものは、民主主義の原則であります人格はあらゆる場合において平等であるという点までが侵されておるということを、これは例外として見送ることのできないものであると思うのであります。こういうような事柄をできるだけわれわれは広く一般に知らしめ、その上に立つて基本的な条約についても、かかる事態が発生しないような万全の方策を要請するという意味でお尋ねをいたすのであります。お答えの便宜のために、私の方から一例をとりますと、労務者の中で、たとえば歩哨のような役――どういう名称か私は詳しくは知りませんが、守衛であるとか門衛であるとか、あらゆる基地の周囲に立ち番をしております多くの労務者が、八時間の間食事の時間も与えられないで、寸暇も休憩を許さない。たといその間一回でも腰かけるような事例を発見されますと、即座に解雇処分をされる。こういうようなことは、日本の労働三法を一一説明するまでもありません。八時間ぶつ続けで起立をさせるということは、戦時中の軍隊生活なら、しばらくおくとして、一般人がそのような扱い方を受けるということは、確かに労働法の精神から考えても、非常に不合理である。戦時体制の中にあつて、軍隊と同じ行動を余儀なくされるという場合にありましては――軍隊と同じであるかどうかということにつきましても、われわれの知る範囲においては、あちらの歩哨なら、二時間も三時間も立てば交替が許される。こういうような極端な事柄は、私は公正なる労働条件として認めることはもちろんできぬのでありますが、これらのものが随所にあろうと思いますので、市川参考人から多くを申していただかなくてもけつこうであります、一、二の事例を聞かせていただきたいと思います。
○市川参考人 参考人の全駐留軍労働組合の中央執行委員長、市川誠でございます。ただいまのお尋ねは、駐留軍労働者の関係における、日本の労働法等から見まして、圧制的な条件のもとに行われておるような事例をあげよ、このような御趣旨の御質問と解釈しまして、お答えを申し上げます 事例的に申し上げまするならば、たとえば勤務時間制の問題でありますが、現在の駐留軍労働者の勤務時間制は、一応週の勤務時間と一日の勤務時間がその基礎になつております。一日の労働時間といたしましては実働八時間、週の勤務時間制におきましては四十時間を下らず四十八時間を越えない、こういうように勤務の時間がきめられております。今例としてお話のありましたようなガードの勤務につきましては、各部隊によつて、若干その勤務制に差がございます。確かに御指摘になつたような八時間勤務でありまして、その間に、労働基準法上で当然に与えるべき休憩時間をも与えずに勤務せしめているというような勤務状態が今なお若干残つております。従いまして、それらの勤務についてから勤務が解かれるまでの間は、休むことができませんので、食事等も立つたまましなければならないというような、非常に気の毒な状態にあるわけです。それらの問題の解決のために、労働組合といたしまして――当面交渉の当事者は、日本政府側におきましては調達庁になつております。また地方におきましては県知事、その下におきましては地方労務管理事務所長が当面の代表者になりますので、組合側から、これらの事例の改善について交渉を申し入れまして、最終的には、いろいろ基準法違反という関係でありますので、これは基準監督官の現地調査というような形にまで発展して参るわけですが、その場合に、監督官が実態調査のために施設の中に立ち入ろうといたした場合に、現行の契約におきましては、あるいは監督官等が施設の中に入りましての実態の調査を申し入れたにいたしましても、立入りを許可する権限は軍側の司令官に属しております。従つて、拒否せられますれば、実態調査もできない。このような状態のままに、現実に労使間の交渉の問題として、確かに事実としてそういうことが確認できるのでありますが、基準法違反と断定するところのきめ手が出ないというような状態で、未解決のままになつている事例がなお残つております。行政協定の三条の施設の管理権という問題につきまして、日本の労働法の実施上における実際の参与というものは、それらの点において非常にはばまれている。こういう点については、私どもといたしまして、現実的な問題解決のために、非常な障害になつているということを痛感いたしている次第であります。 次の事例として申し上げますならば、労働関係法によりますれば、駐留軍の労働者も、労働組合等を組織する自由というものはやはり与えられております。しかし、実際に組合をつくり、また組合活動をするというような場合には、これは一般産業でももちろんでありますが、やはり職場が基礎になるということは申すまでもございません。休憩の時間というものは、基礎法の趣旨から申しますれば、労働者の自由に使用される時間であるというふうに考えています。従つて、この種の時間には自由な組合活動が、当然施設内においても許されるべきであろう、かように考えているわけです。特に労働組合が軍の安全を害するとかいうような目的を持つている場合なら別でありますが、そのような労働組合はあり得ないわけであります。それにもかかわらず、労働組合の組織等にあたりましても、たとえば組合結成に努力したというような理由で、他の理由をつけられて解雇せられた事例等があります、これらの点については、明らかに不当労働行為というように私どもは考えまして、この救済の問題を取上げておりますが、実は労働委員会に救済の申立てをいたしましても、かなりの時間がかかるのが現状であります。特に最近ようやく駐留軍の労働の問題について、各中央の労働委員会なり地方の労働委員会でも、かなり御理解をいただいて、積極的に取扱つていただく傾向には相なつて来ておりますが、なおかつ非常にむずかしい問題であるから、さわらないようにしておこうというような傾向がありまして、かなり時間がずれて参りますために、これらの救済が非常に遅れて参ります。従つて、私どもといたしましてはやはり労使当事者の交渉によつて解決をいたしたいと考えまして、調達庁並びにその下部組織系統といたしましては、知事なり地方労務管理事務所長にこれらの問題を申し入れて交渉いたしましても、今度は政府対軍の折衝の場合におきまして、なかなか人事権等に関する軍側の権限というものを主張されまして、具体的に問題が解決しないというような経過になつております。最近の事例におきましては、米軍側の調達部の東京支部におきまして、組合組織に関する端的な不当労働行為が起つておりますが、すでに一箇月近くなりますが、まだ現実には解決されていない事例もございます。 さらにまた、一番困る問題といたしましては、これは保安上の解雇の問題であります。もちろん使用者側が労働者に対して解雇する場合には、いろいろとその事由があるわけですが、保安上の解雇につきましては、その理由が明らかにされないわけであります。またいろいろ政府を通じ、政府代表を通じ、あるいはまた直接軍に折衝すれば、ある種の理由を提示されますので、その事由に対する反証的な立証の資料を労働者側で日本の官辺等からもらつて整えて、そうして保安上の理由による解雇に対して、このような反証、立証があるので、不当であるから撤回をして原職に復帰するように向うと折衝いたしましても、これまた軍側の人事権に関する権限の主張によりまして、政府側が折衝いたしましてもなかなか具体的に解決しない、こういうような問題が若干の事例であります。 その他の一般的な労働条件の切下げ等の問題、たとえば賃金の引下げとか、あるいは勤務時間制の一方的な変更とかというようなことによつて、いろいろな事例が出て参りますが、それらの点については一応省略いたしまして、以上三点の事例を一応御質問のお答えとして申し上げたわけであります。
○井堀委員 たいへんよくわかりました。 それで労働省と外務省にちよつとお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、今市川参考人からごく一部の例があげられております。この例のほかに、私どももごく最近に承知した事柄でありますが、経歴を偽つたということで解雇処分をして、労働委員会に提訴になり、不当解雇の判定をしたわけであります。そういう事柄のごく卑近な例でありますが、無燈火で警察の取締りの対変になつた。われわれ日本人の慣習からいたしますと、こういう前科などということは経歴の中に書き込まないのが常識になつておる。そのことが実は履歴書に記載してなかつたために、経歴を偽つたどいう理由で解雇を言い渡されておる。これは単なる事例にすぎぬのでありますが、労働委員会も不当労働行為の判定をしたものの、その間には相当の期間を過ぎておりますから、救済の道は実質的にはあり得ないのであります。こういうようなことは、悪意にとりたくはないのでありますが、外務省に特にお聞きいただきたいと思うのは、人情や習慣や言語を異にいたしております、しかも相手はおおむね軍人であります。いかに民主主義の国であるといえども、やはりその職業から来るものは、どうしても労働問題に対しては、極端にいえば反動的な要素を持つものが多いと見るべきであります。こういうところにおける協定は、日本側の立場を代表する者としては、よほど懸命の努力を払つても、なおかつ困難なものであるにもかかわらず、どうも日本側のこういうものを担当する人々の――他の条約については、よく知りませんけれども、どうしても私は日本側の責任が相当重いもののように理解するのであります。というのは、何ぼ何でも無燈火で警察で取調べを受けたということを、前科として経歴に入れなかつたということでもつて、経歴を偽つたとし、しかもいきなり首切りという、労働者にとつては一番重い処罰をしておる。こういうことは、協定の際に日本側の政府が十分に相手方に理解をさせる努力の欠陥であると私は判断しております。すでに先ほども述べたように、相手方が軍人でありますから、専門的な知識のないことは、もとより承知の上でなければならぬわけであります。占領下にありましてはGHQの中に専門的なスタツフがありまして、それがこういうような問題の解決に、かなり大きな役割を遂げて来たのであります。現在においては、こういう機能というものもまつたく失われておるときでありますから、そういうことをあらかじめ考慮されて協定というものがなされるべきである。今回日米労務基本契約を結ぶ場合における重要な課題になつて来ると思うのでありますが、この点に対して、一体労働省当局は、日本の労働の習慣なり生活様式、あるいはこれにつながる労働関係というものを、相手に理解させるための努力を払われておるかということを伺つておきたい。ことに、きようは外務省国際協力局の關次長も見えておられますが、こういう問題をおきめになる場合に、ぜひひとつ専門家の意見を十分尊重されて、ことに労働組合の代表者が相手方に直接訴えるような機会をお与えになるということ――これは日本の場合でもあると思う。大きな組織の上に乗つかつております会社の社長、重役というものは、労働者の実情については、非常に関係が薄いものでありますから、誤解がありましたり、あるいは一方的な解釈を押しつけるというために、たまたま問題が起るものでありますが、事実をよく理解せしめるということは、非常に大切なことだと思います。こういうような場合における市川参考人のような実際問題を直接処理しておる人たちを、そういう会議のどういうところに立ち会わせたり、意見を述べさせたりすればよいかについては、よく理解ができませんけれども、そういう道をお開きになる必要があると私は考えますが、そういうことに対する労働省なり外務省当局の御見解を伺いたい。
○龜井政府委員 お話の通りでありまして、言語、人情、風俗等を異にします両者の間におきまして、いろいろ意思の疏通を欠くために、またそういう人情、風俗、言語を異にするために起りました摩擦というものは、過去にもあつたわけであります。今回の労務基本契約の改訂の会合においては、できるだけそういう点の摩擦あるいは誤解というものの排除に努めて参つておるのでございまして、これまた直接折衝に当られます調達庁なり、あるいは外務省にも、われわれとしましても、そういう点は極力申し上げておるのであります。さらに今回の協定におきましては、そういう点から生じますいろいろな紛争につきまして、労働委員会等に提訴いたしますと、相当の期間がその解決にかかりますので、アピール制度を設けまして、そういう軽微な事項と申しますか、お互いの誤解から生じますような事柄につきましては、できるだけそのシステムによりまして早期に解決して、お互いに誤解を解いて行くというふうな道を講ずるように折衝を進めるつもりでございます。
○井堀委員 労働省の方から答弁をいただいたのでありますが、せつかくここに外務省の国際協力局次長も御出席になつておられますので、今私が申し上げたような問題の取扱いについては、直接いろいろ御苦心をなさつておられることと思いますから、ひとつ率直な御意見をこの際承つておきたいと思います。
○關説明員 言語、風俗、習慣から来る誤解というものは、まことにおつしやる通り、計数的に見ましても七〇%程度あるということは、私どももさように見受けておるのであります。しかし、これは私どもが最初から飛び出すべき筋合いではなくして、直接の責任者である調達庁の地方労務管理事務所とか県庁などで話をされ、それぞれ相当の解決を見ておるように私は思うのであります。ただ解決しないものは、順序を経て私どものところへやつて参りますが、そういうことを話しますと、なんだそういうことかというので、割に話がわかることが多いのであります。ただ、従来それに手間をとつておるというようなことがありますので、今後は手間をとらないように、問題が起きたときに、あまり現地で長いことあたためないようにして行きたい、そういうことを申合せの中に入れておきたいというふうに実は考えております。 それから、市川さんのようなもののわかつた人に米軍と話をさせろという趣旨につきましては、従来もそういう機会は相当ありましたし、現在においても米軍と直接お話になる機会もあるように私は聞いておるのでございます。また今後もそういう専門家の意見をとるようにして行きたいと考えております。
○井堀委員 今の回答でよくわかりましたが、もう一つお尋ねしておこうと思いますのは、今のお答えの中にもあつたように、誤解に基く問題はかなり多かつた、七〇%ぐらいそうであろうということでありましたが、まことに遺憾なことであります。というのは、労働者にとりましては、単なる誤解では済まされない事柄が多いのであります。生活の問題は、ひとり個人の問題ではなくて、一家をささえておるその根底から生活がくずれるという非常に大きな問題であります。また気の弱い諸君は、労働組合の手にかかることを煩わしく思いまして、みずから責任の地位を離れるといつたような多くの実例をわれわれは承知しております。こういうことでありましては、労働三法どころか、民主主義の権利を享有することをみずから放棄するものであつて、これは単なる敗戦国のみじめな姿だといつて見送ることは許されぬ。ことにそれが公式の日米労務基本契約の不備から起るということになる場合におきましては、これは単なる誤解として見送つたりしてはならない。この機会にこそ徹底的にその欠陥を補う措置が取運ばれなければならぬと私は思うのであります。そこで市川参考人のような人をと私申したのは、問題が起れば、当然折衝なさるはずでありますが、しかし、事後においての折衝では、こういう問題の解決にはならぬのであります。事前に労働委員会がこのような参考人を招聘して意見を求めたというのも、ひとり当事者にまかされぬと思うから、労働委員会が取上げたわけであることは説明するまでもないと思う。この点に対する御処置がおありであるかどうかということを聞いておるのでありまして、誤解があつた、しかも七〇%近いものがそうであつたというのですから、今後そういう誤解はこういう方法で一掃されるという御所見があるはずであります。その点をわれわれに理解できるよう御説明願いたい。これは労働省と外務省の両方にお伺いいたします。
○龜井政府委員 結局問題は、直接の労務管理を担当します日本人側の職員の問題、また米側と直接折衝します日本人側の労務管理者、こういうふうな方の間に立つて誤解を解いて行くという問題が、次第に現場においては残るかと思います。従いまして、この点は調達庁の労務管理事務所の職員ということに、結論的にはなろうと思います。この点は、われわれとしましても調達庁にお願いしまして、これらの労務管理事務所の方々の質の向上をはかつていただく、そうしてそういう点におきまする折衝能力を養つていただくという点を、われわれとしては要望をいたしておるわけでありますし、また今後も、さらに要望を続けて参りたいと思います。また先ほど申し上げましたように、今回の改訂の機会にアピール制度をつくりまして、そういう誤解に基く紛争の早期処理というものもあわせて考えて参りますならば、従来のようなそういう誤解に基くいろいろな紛争というものは、割合早期に片づくのではないかというふうに考えております。
○井堀委員 關次長に同様の意味で御意見を伺おうと思うのですが、調達庁の方がお見えになつておりますので、そちらにまず伺います。調達庁側としましては、当面の衝にお当りになるわけですから、いろいろと苦い経験がおありになるだろうと思うのですが、そういうことに対する解決をどうなさるか。今後の方針を伺つておきたいと思います。
○中村(文)政府委員 ただいまの御質問でありますが、過去の経験から考えましても、まさに御指摘の通りでありまして、言語、風俗、習慣なるものがいろいろ違いまして、その間に立ち入つて働く事情にありますので、いろいろと予期しないような問題を数多く起しております。その解決のために、われわれも及ばずながら努力して参つたのでありますが、今後再々かようなことが繰返されるようなことのないようにいたしたいという考えをもちまして、実は、処理委員会といいますか、これらの問題が起りますれば、できるだけ早急に解決を見るような案をつくりたいというふうにまとめるために、目下苦労いたしておるのであります。従いまして、この試案が軍のよく受入れるところとなりますれば、われわれの期待するところは、相当実績をあげ得るのではないかというふうに考えております。
○井堀委員 まだ他の方の御質問もあると思いますから、私の質問はこれで打切りたいと思いますが、今の御答弁で、ある程度のみ込めました。ことにお願いいたしておきたいことは、少くとも誤解に基く紛争は、今後再び繰返すことのないように努力され、そのための措置をこの機会にとつて行きたいというふうに御答弁がありましたが、ぜひそういう目的が達成されますことを希望いたしまして、質問を打切ります。
○持永委員 私は労働金庫法について質問したいと思います。これはほんとうは提案者に御質問するのでありますが、提案者がお見えになつていませんから、政府側に御答弁願いたいと思います。労働金庫は、すでに二十数府県に行われております。従つて、見方によりましては、わざわざこういう法案をつくらなくても、実際上やり得るのではないかというような意見も立つわけです。今度参議院の方からまわつて来たのでありますが、この法案を制定実施しなければならない理由、これは提案者からも一応聞きましたが、政府側としましてはどういうお考えを持つておられますか、それをお聞きしたいと思います。
○安井政府委員 お答え申し上げます。これは本来議員立法でありまして、政府があまり深入りすべき性質のものではないと思うのですが、政府としてのこの法案に対する意見はどうであるかというお尋ねといたしますれば、御存じの通り、現在各都道府県でそれぞれ自主的に運営されておりますものが、相当実績を上げて来ております。だから、これは国の法律として相当まとめた今後の指導もやるようになれば、なおそれはその方の向上のためにもけつこうであろうと思つておる次第であります。
○持永委員 それでは少し各条文についてお尋ねいたします。第一条の規定でございますが、この労働金庫をつくつて、各労働者から集めた金をもつて、労働争議の資金としてこれを利用するのではないかというような誤解を持つておる人もおるようであります。そこで特にお尋ねしてはつきりしておきたいと思うのでありますが、この第一条にあります「この法律は、労働組合、消費生活協同組合その他労働者の団体が協同して組織する労働金庫の制度を確立して」――その次が問題であります、「これらの団体の行う福利共済活動のために金融の円滑を図り、」云云とありますが、この言葉の中に、直接争議資金のために融通されることを予想されておるかどうか、その点をお聞きしたいと思うのであります。
○安井政府委員 ただいまの第一条でありますが、御存じの通りに、この法律の目的が、労働者の団体の行う福利共済活動のために金融を確保したいというのが目的になつております。従いまして会員たる労働組合が争議を行つた場合に、一体争議資金をどうするのかというお尋ねであろうかと思いますが、これは直接争議資金というものを供給するということはしない建前になつておる。ただ、争議をやつたと申しますか、やつておる、あるいはそれに多少関係のある労働組合員の生活資金の問題につきましては、これは福利資金と同様の見解をもつて、生活資金に対しては金融をやる。しかし、直接争議のための活動の資金を提供することはしない、こういうふうに政府では解釈いたしております。
○持永委員 大体わかりましたが、昨年の秋の争議の際に、労働金庫の活動についていろいろと疑惑を伝えられておる向きがあります。そこで、石炭労働組合関係あるいは電産労働組合関係等におきまして、労働金庫から労働の生活資金として出ました金が、どういうふうに流され、またどういうふうに使われ、それがどういうふうに回収されているか。特にそれがいわゆる庶民金庫としましての経験を通じて、今後こういう金庫を認めることが適当であるかどうかという点につきまして、特に大蔵省側の御意見をお聞きしたいと思います。
○有吉説明員 先ほどのお尋ねの中の第一点であります、労働金庫ができたあかつきにおいて、その目的として福利共済活動のための金融の円滑をはかるということが、どういうふうに解釈せられておるかという点につきまして、先ほど労働省の方から御答弁がございましたが、これにつきましては、大蔵省もまつたく同じように解釈いたしております。本来労働金庫といたしましては、あくまでもその資金の融通は、労働者の福利共済活動のためにのみ限定せらるべきものだ、かように解釈をしている次第でございます。現在のところ、労働金庫が中小企業協同組合法に基く信用協同組合として活動をいたしておりまして、すでに昭和二十五年の九月に岡山県に始まりましたが、その大部分の組合は最近に始まつたものでございまして、その経営内容その他につきましては、大蔵省といたしましても的確なことを申し上げかねますが、特にまた最近に至つてできました労働金庫の大部分が、府県知事の監督に属している関係上、ストライキ資金その他につきましては、府県知事その他の方からの連絡、あるいは各地の財務局からの報告等を総合いたしますと、御心配の趣につきましては――もちろん今後の労働金庫の発展の推移その他もございすが、さして心配の要はないのではないかというように考えている次第であります。先ほどのお話のように、北海道における炭鉱のストにつきましても、先ほど労働省側の政府委員からの御答弁がございましたように、生活資金というものの供給はございますが、それ以外の点についての争議に関連する資金の供給というものにつきましては、私どもとしまして、それが確実に行われているというだけの資料を持つておりません。生活資金だけに限つて行われておるのではなかろうかというように考えられる次第でございます。かかる資金が、北海道におきましては一金庫では十分でないような点もございますが、この点につきましては、各地の労働金庫が相互に資金の融通を行いましたのもございます。かかる場合におきましても、労働金庫の経営の健全性を害するおそれもなかつたようにも解せられる次第でございます。また資金の回収の点につきましても、最近に至りまして順次順調な回収ぶりを見せているようにわれわれとしては聞いている次第でございます。
○持永委員 それでは、次に第五条でございますが、第五条の第一項に、「金庫は、営利を目的としてその事業を行つてはならない。」それから第三項には、「金庫は、その事業の運営については、政治的に中立でなければならない。」――こういう規定は、もちろん普通の銀行とかあるいは信用金庫等にはない規定でありますが、この二項を特に加えられた理由、また政治的の中立を破つた場合に、どういう監督方法をもつて政治的中立の維持をはかられるつもりか、それを伺いたいと思います。
○有馬説明員 今の第五条の原則でございますが、第二項の「特定の会員の利益のみを目的としてその事業を行つてはならない。」こういう趣旨の規定は、すでに中金法等にもございます。それからまた第三項の「金庫は、その事業の運営については、政治的に中立でなければならない。」この表現自体は、この法案に初めて出て来た表現で、ほかの法律には見られないのでありますが、その趣旨とするところは、現在の中金法においても、特定の政党のために利用されてはならないというふうに、大体のねらいは同じ観点から規定されておりますので、実質的には、この規定は必ずしも目新しい規定だとはわれわれも考えておりません。そこでこの諸原則に違反した金庫の運営がなされた場合にどういうふうな監督になるかという御質問でございますが、それはこの法案の九十五条だと思いますが、ここで非常に強い監督権限が規定してあります。最後には免許の取消しまでできるというふうな強い監督権限がございますので、これによつて法案が成立いたしましたら、十分監督して行きたいと思います。
○持永委員 こまかい問題でありますが、二十二条の三項に「労働金庫の設立に当つては、会員(個人会員を除く。)を構成する者を合計した実人員の数が二万人以上となるように努めなければならない。」――これは二万人を欠けても、場合によつては認可条件に認めるというような趣旨だと思いますが、そういう趣旨でございますか。
○有馬説明員 これはお説の通り、実人員ががつちり二万人に達していなくても、設立要件としてはかまわない、こういう趣旨でございます。
○持永委員 もう一点。三十六条の「金庫の常務に従事する役員又は参事は、会員の資格として定款で定めるものに該当しない金庫その他の法人又は団体の常務に従事する役員又は支配人(支配人に相当する者を含む。)である者であつてはならない。但し、大蔵大臣及び労働大臣の認可を受けたときは、この限りでない。」こういう規定は、銀行法及び信用金庫法等にもあるようでございます。従つて労働金庫が庶民金庫として、いわゆる金融機関である限りは、やはり金融機関としてのこういうような規定が必要だということは認めるものでありますが、特に労働金庫としてこの三十六条の規定をされたのに「会員の資格として定款で定めるものに該当しない金庫」というような文字があるようであります。この点につきまして、もつと具体的に、ひとつはつきりと御説明を願つておきたい。これは現在の労働金庫の実情を基礎にして、具体的に御説明を願いたいと存じます。
○有馬説明員 この点は、提案者の方が詳しいと思いますが、われわれが現在までに調べたところによりますと、この規定でもつて、会員の資格として定款に抽象的に定められている場合には――たとえば労働組合は金庫の会員になり得るという規定が定款の上にございますが、その場合には、現実に会員になつていなくとも、この規定の解釈で行きますと、かりにその組合の常務役員であつても兼職の制限にひつかからない。従つて現在、金庫のこれまでの生い立ちからいたしますと、理事長は大体組合出身者が多いのでありますが、かりに理事長が常務役員だというふうな勤務体制をとつておつたにしても、この兼職の規定の三十六条には概当しない、従つて兼職ができるというふうにわれわれは解しております。
○持永委員 ただいまの解釈で大体わかりましたが、これについて金融機関としての業務運営の立場から大蔵省側の御意見はいかがでございましようか、その点、特に大蔵省の意見を聞きたい。
○有吉説明員 先ほどの御質問にもございました通り、金融機関に関係いたしました法規におきましては、すべてにわたりまして兼職禁止の規定を設けておるのでございます。ただ一つ例外的にございますのが信用協同組合でございます。信用協同組合につきましては兼職の禁止規定がございません。本来金融機関の兼職禁止の趣旨と申しますものは、あくまでもその事業に専念してもらうという点にあろうかと思います。つまり、金融機関の常務に従事する役職員につきましては、特にその金融機関の業務に専念してもらつて、ほかの職業についてもらいたくないという趣旨が、兼職禁止の規定の趣旨かと存じます。しかるに、いわゆる協同組織的に行われる金融機関の中には、現在信用協同組合または信用金庫がございます。また労働金庫もその一種であろうと存じますが、特にこの協同組合的の色彩の強い信用協同組合につきましては、やはり協同組合の性質上、そこまで徹底しては考え得られないという場合がございます。特に信用協同組合の場合におきましては、兼職禁止の規定がございません。そこで若干その色彩が弱くなりますのが、信用金庫でございますが、これはすでに中小金融専門の機関としての使命をになつておりますので、やはり兼職禁止の規定がございます。これは先ほど申しましたように、あくまでもその事業に専念してもらうという意味におきます兼職禁止の規定でございます。この三十六条の兼職の禁止の規定も、かかる意味から解すべきものであろうかと、われわれは提案者の意図を了解しておる次第でございます。かようになりますとこの規定にございますように、また先ほど労働省の説明員の方から御説明ございましたように、この規定で十分ではなかろうか。と申しますのは、労働金庫の常務に従事している役員というものは、特に他の事業に従事してもらうということは、やはり専業の点からぐあいが悪い。ただその役員が会員の資格として定款の定める団体等の常務に従事するという場合には、その間に密接な関係がございますので、やはり兼職を禁止するまでのこともなかろうというように考えて、この程度の規定で十分に目的が達せられるのではなかろうか、かように考える次第であります。
○持永委員 疑問の点は、以上で大体わかりましたが、最後に、政府とされてはこの法案通過につきまして、相当積極的に御希望を持つておられますか、あるいはどうでもよろしいというお考えですか。大蔵省並びに労働省の御意見として、今まで以上に進んでやりたいというお考えかどうか、その辺はつきりしていただきたい。
○安井政府委員 たいへんむずかしい御質問でありますが、これは御存じの通りの議員立法でありまして、政府が今ただちにその可否を総体的に論ずべき筋のものではないと思つております。ただ一般論として申し上げることができるとすれば、今日、金庫は実際上すでに各地区に実績を残しております。少くとも個々ばらばらにそのまま放置しておくよりは、一つの体系にまとめて国の指導監督もあわせた方が好ましいのではなかろうかという考えを持つております。
○山花委員 調達庁の方がおられますので、公務員の夏季手当の年末に予定されたものから〇・二五の繰上げ支給が決定されましたことについて、駐留軍関係の労働者は、公務員ではないが、大体給与の体系は公務員に準じてということになつていて今までその体系により賃金、諸手当の関係が支給されていると聞いておりますが、公務員に〇・二五の繰上げ支給があつたのと同様、駐留軍関係の労働者においても、そのような措置が従来の慣習に従つてとれるものかどうか、この点をお尋ねしたい。
○中村(文)政府委員 お答えいたします。その点についてはすでに数度の団体交渉の席上においても、いろいろと取上げられた問題でございます、軍の係官の出席せられた席上におきましても、従来の軍の方針としては、政府に準じて扱うという方針のかわらない限りにおきましては、その問題は十分な見込みがあると考えるという答弁が出ております。従つてわれわれとしても、昨日衆議院の本会議におきまして法案が御可決に相なつた次第でありますので、ただちに軍の方にその状況を伝え、同時にこれらの実施方につき正式な交渉を始めております。さよう御了承願います。
○山花委員 前に外務省の極東海軍関係のことでお尋ねいたしましたが、ただいまの賃金体系から、若干に関係があろうと思うので、お尋ねしたいと思います。行政協定第二十五条二項の(b)点でありますが、日本政府から約一億五千五百万ドルに相当する額の提供をアメリカ合衆国に行つておりますが、これはどういうように使われているのか。私どもしろうと考えから申しますと、ある程度これが便宜的に使えれば、先ほどの極東海軍の問題、あるいは今度の賃金体系の問題などの解決は、比較的容易であろうと思われますが、この点どういう方面にどういう形でどういうように使用されているか、おわかりでしたら御説明願いたいと思います。
○關説明員 あの金は、私がお答えするより、大蔵省の方にお尋ねしていただくのがほんとうなんですが、あの資料はちよつと持ち合せておりませんけれども、限定されて、こうこういう目的のためにというように書いてございます。これは主として米軍に交付し、米軍の物資労務その他の調達に使うとなつておりますが、これを使うことになりますと、つまり両方の共同の金みたいなものですから、日本側でその金をかつてに使うわけには行かないわけであります。米軍に一旦交付する金で、そこがやはりひつかかつて来るわけでありまして、その金は駐留軍関係の労務には、おそらくかつてには使えないものと覚えております。従つてその財源の点から申しましても、かりにその財源の点が解決されましても、そういう用途に使うということは、米軍と話合いをしなければ使えないのではないか、こういうように私記憶いたしております。
○山花委員 ただいま説明によると、率直に申しまして、はつきりした答弁ができないような立場にあられるような答弁のように承りましたが、これはあらためてまた当該のはつきりした答弁のできる方にお尋ねしたいと思います。 本日労働大臣がおいでになれば、いろいろ聞こうと考えておりますけれども、今幸い次官が来ておられるので、一応次官にお尋ねしたいと思います。昨日の会議で、小坂労働大臣は、基本的労務契約の問題に関して、閣議に諮つて八月一日の実施を延期してもらい、われわれの意のあるところを強く主張して行きたい、こうはつきり断言をされたのでありますが、この問題の解決は、一応見通しとして、大体何箇月ぐらいの余裕があれば解決ができるお見込みであるか、もし次官におわかりでしたらお答えを願いたい。
○安井政府委員 昨日大臣のお答えにありました通り、本日の閣議でもう決定したように私も承つている次第であります。従つて、八月一日からしばらくの間延期をする。しかしその期間については、でき得る限り努力して可及的すみやかに解決をはかるということで、特別期限をつけてないように思います。
○山花委員 重ねてお尋ねしますが、きのう労働大臣は、一応断固たる決意を披瀝されたように私ども伺つたのであります。そこで私どもの希望としては、その期間の長い短かいを別に論ずるわけではございません。その断固たる決意が、この日本側の主張が通つて、りつぱに解決するように努力をしていただきたいと思うのであります。そういう意味において、期間が短かく解決すれば、これほどありがたいことはないけれども。若干長引いても、従来世にいわれているような、俗にいう軟弱的な態度ではなく、あくまで強い意思で、相当長い期間かかつても、この問題を解決してみせる、こういう決意でやつていただきたいと思うのであります。これは別に答弁は要求いたしませんが、現行契約のもとにおいて、不当解雇が――ただいま井堀委員の質問においても、大体事件の七〇%ぐらいが不当解雇と思える諸点に該当するのではなかろうかというお話もございました。ただいまでも、軍の一方的措置で行われ、未解決のものが山積しているような状態でありますが、現行契約をさらに延長して、これらの問題の解決がこの期間中に行われるかどうか、そのお見込みのほどをお聞かせ願いたいと思います。
○中村(文)政府委員 ただいま御指摘の点のいろいろな事件の七〇%が不当解雇だという御趣旨のようでありますが、私はそれほど多いとは考えておりません。ただ先ほどもお尋ねがありましたとき、お答えいたしましたように、風俗、習慣、ものの考え方が非常に違つておりますので、非常に遺憾な事態がしばしば行われております。この問題につきましては、もちろん労働省とも緊密な連絡をとりまして、行政協定の線で国内法の遵守を誓つている次第でもありますので、できるだけこれらは国内法が保護いたしております線を獲得するように努めて参つております。なお今後ともこれらの問題につきましては、われわれは十分なる努力を払いまして、さような事態は極力ないように努めたいという考えを持つております。
○山花委員 次にお尋ねいたしたいことは、警備員と消防夫のストライキの禁止条項の問題でございますが、これは政府と軍だけで、この基本契約によつて制限をしようとしておるのでございますか、それでできるとお考えになつておるかどうかという点。先ほど井堀委員の質疑の際にも、実情をよく知つている、たとえば駐留軍労働組合の委員長市川君のごときような者を参考者として、そういう会合に列席せしめてやつた方が、すべて実情に明るく、うまく解決するのではなかろうかというようなお話もございましたが、政府と軍だけでこの問題の解決ができるとお考えになつて、これらの問題を協議なさつておられるのかどうかという点、御所信のほどをお尋ねいたしたいのであります。
○中村(文)政府委員 この問題は、非常にデリケートな問題でございまして、われわれといたしましても、かようなことが契約の内容になるかどうかということについて、相当の疑義を持つております。従いまして、労働組合ともある程度、私は私的な立場で話合いも進めてみたのでありますが、非常に困難な事情でもありますので、これらにつきましては、関係方面、つまり外務省なり労働省なりとも十分な連絡をとりながら、適当な対策を考えなければならぬのではないかという考え方を持つておるわけであります。この問題は、たとえば、雇用されますときに部外秘の誓約をいたしましても、法律的には何らの責めを負わぬような結果に相なるのではなかろうか。すなわち言葉をかえますれば、きわめて意味のない措置が講ぜられまして、かえつてその間に労働者の気持を刺激するような悪結果になるのではなかろうか、かような心配を実は持つておるわけであります。従いまして、そうした措置につきましては、十分研究した上に解決しなければならぬのではなかろうかという考え方を持つておるわけであります。
○山花委員 あと一点だけお尋ねしたいと思いますが、去る二十二日に、今度のこの基本契約の問題を中心に、全駐労の臨時の全国大会が開催されました。その大会におきまして、アメリカ軍から示された基本的労務契約なるものは、まつたくもつて日本の国内法を無視した、独立国家にふさわしくない。植民地に対するような態度で示された案の内容である。こういう見地に立つて、場合によれば、これに対抗するため、全国的にゼネストをもつて対決をする、こういう決定が、しかも全国から参集した代議員百九十九名のうち、百九十五名がこの趣旨に賛成し、残り四票は反対でなく白紙という形で、言いかえれば、全会一致の形でそういう態勢を整えたということを聞いておるのでございますが、そういう事態が立ち至ろうとしておる今日のこの情勢に対して、政府としては、この情勢の解決のためにどういうようにお考えになつておるか、どういう対策を立てておられるか。これが万一事実として現われます場合には、非常な不祥事が起きるというふうに私どもは考えますが、ひとつ政府の忌憚ない、これらの問題に対する対策をお聞かせを願いたい。これは、対策がないとは言えない段階に、今日来ておるのではなかろうかと考えておりますので、この点を質問した次第であります。
○中村(文)政府委員 調達庁の立場としてお答えいたします。さような決議が行われ、今お話のような機運のもとに議事が進行して参つたということにつきましては、われわれとしても十分な報告を受けております。昨日も市川委員長から、この点につきましては御説明があつたと記憶いたすのでありますが、もしさような事態が起りますれば、われわれといたしましても、非常に遺憾なことと考えますので、十分な検討をした上で態度を決定することを望むわけであります。と申しますのは、われわれ政府自体といたしましても、いまだ十分に軍の説明も聞いておりません。それから、われわれのそれに対する改正案につきましても、いまだ提示するところまで至つておりません。われわれと軍とが十分に話合いをいたしました上で、労働組合を交えました上で、さらにこれらの問題を十分に検討して、意思の疏通をはかつて、遺憾のないようにしたいものである、それによつて、ただいまお話がありましたような事態は極力避けたいという考えを持つておる次第であります。
○山花委員 全駐労の組合は、世にいわれておりますところの民主的労働組合でございます。その考えは、きわめて穏健にして着実なる労働組合でございます。共産党の指導による破壊的な行為をやるという組合では断じてないことは、政府も従来の実績を通じて、十分御承知のことだろうと私どもは考えておるのでございます。今度の問題は少くとも独立国家日本としてのいわゆる労働協約をアメリカ側と結ぼうというのが、この労働組合の大体の趣旨でございます。おそらく政府も、独立国家の雇用条件あるいは労働協約をお考えになつておるものと私たちは考えておるのでございます。そこでこの問題の円満なる解決は、独立国家としての雇用協約が成り立つかいなかによつて、不祥事態が起きるか、あるいは円満解決するかという焦点に立つていると思うのでございます。私は答弁を求めようとは考えておりませんが、政府としてそういう御認識を十分持つておられて、アメリカ軍当局と折衝されるかいなやということだけを、お答え願えればけつこうだと考えておるのでございます。
○中村(文)政府委員 ただいま御指摘がありましたように、全駐労の組合につきましては、私も長いこといろいろと接しておりますので、十分に認識しておるつもりでございます。これほどの穏健な労働組合が、かような決議を見るような事態に立ち至りましたことにつきましては、われわれとしても、きわめて遺憾な次第だと考えております。従いまして、これらの組合の意のあるところは十分に体しまして、われわれといたしましても軍と慎重な折衝を遂げまして、できるだけ早い期間において、これらの懸案の解決を見るようにはかりたいと考えておる次第であります。
○井堀委員 労働金庫法について、時間がたいへん少いようでございますから、ごく簡単に労働省にお尋ねしてみたいと思います。先ほど持永委員から御質疑がありましたことに関連してでありますが、本日は提案者側の御出席がありませんので、十分な回答をいただけなかつたことを遺憾に存じます。持永委員の御質問の際にも、労働省並びに大蔵省の熱意のほどをお尋ねになつておりましたが、その御答弁は私どもからいたしますと、たいへん熱意の欠けた御答弁のように伺つたのであります。このたびの労働金庫のような制度については、今、日本の労働行政をどういうふうにお考えになつておるかという点から、その具体的な一つの政策の現われとして、われわれ日本の国民は、強く見守つておると思うのであります。この金庫法の総則にもよく表われておりますように、これが労働者の相互扶助的な、俗にいう建設的な労働組合の事業活動であることは、一点の疑いもないのであります。もし労働者が相互扶助的な建設的な事業に努力しようとする立ち上りがあります場合には、労働行政というものは、どういう立場をとる政府でありましても、これを押えたり、あるいはこれに冷淡であろうはずはないのであります。そういう点からいたしますと、何も予算的措置を必要とするものでもありません、労働者自身が零細な金を預貯金するのであります。ことに日本の貯蓄の問題は、資本蓄積の上にとりましても、重大な政策として、たといそれが保守政策であろうと革新政策であろうと、このことは何人も異論をさしはさむことのできない重大な問題で、特に日本の置かれております実情からいたしまするならば、あらゆる熱意、あらゆる犠牲を払つてそのことのために努力をせなければならない時期であると思うのであります。それを労働者自身が、しかも組織をあげてそういう零細な預貯金を吸収しております。しかも理論ではなしに、三年にわたる実績を見てもおわかりのように、何人からの要請がなくても、せつせと努力をして、今日その集積は実に驚くべき金額となつておるのであります。もしこれを従来の金融機関や政府の貯蓄奨励の政策にまかせておきますならば、かくのごとき実績はとうてい望み得ないと思うのであります。こういう実績をあげておりますものに対しては、政府自身が進んで保護政策をとり、あるいはこういう政策を極力推進して行く立場にあると私は思うのです。いかに口で労働組合の健全化を要求し、労働組合の民主的な行動を願つたところで、お説教では労働運動の健全化などはあり得ません。労働省が莫大な経費と莫大な人を擁して、労働組合の健全化のために、勞働組合民主化のために努力されておりますことは、われわれ敬意を表するところでありますけれども、それがから説法になつてしまう。たとえば「労働週刊」その他、労働省の直接間接に国の財源で発行しておりまするかかる文集、あるいはこれに伴う労働省のお仕事は、一体どこに目をすえているのであるか。こういう具体的な立ち上りにこそ取組んで行くということが、私は最も望ましい姿だと思うのです。せつかく持永委員から、こういうものに対して政府の所見をおただされになつたときに、まあ大臣でありませんから、たいへん御遠慮なさつたと思いますが、大胆に積極的に御答弁があるものと期待しておつたのでありますけれども、たいへん遠慮ぎみであつたのであります。しかし、それを遠慮ととらないで、こういう場合におきましては、熱意を欠いたものというふうに、労働者側、あるいは日本の民主化を、日本の労働組合の健全化を、また日本産業の発展を期待しております国民の側からは、疑いの目をもつて見られると思いますので、この点についてあらためて次官の決意のほどを明らかにされんことを、私は期待して、質問いたしているわけであります。 (矢尾委員長代理退席、委員長着席〕 なお具体的な点につきまして、この金庫が争議資金を貸し付ける機関ではないかという疑いを持たれることは、一応わかるのであります。これは申すまでもなく労働金庫もまた、今日の経済仕組みの外にあつて経営のできるものではありませんが、ことに零細な、労働者の汗のにじむ非常に大切な金でありますから、一般の営利投資に見合うような高い利潤を求めて金融をはかる営利事業とは異なりまして、最も健全で、最も堅実で、いかなる場合においても零細なる預貯金に迷惑を与えることのないようにしなければならぬことは、その経営の衝に当り、その組織に参加する労働者が一番熱意を持つている。そういうものでありまするので、ぜひ私はその労働行政の衝に当る立場の人が、いつでもそういうものに対する意思表示のできる御用意があつてしかるべきだと考えておるのであります。事務当局は、もちろん提案者でないという点については申すまでもありません。しかし、この法案を提案するとしないとにかかわらず、このことは労働行政の一環であります。そういうものに対する見識を持たないようなことでは、日本の今日の労働行政を担当することについてすら、疑いを持つくらいの問題でありますから、何もこの法案に対してだけでなしに、そういう御趣旨に対して、私は率直な意見をお聞きいたしたいと思つて質問をいたすのであります。 さらに、昨年の炭労、電産のストに対する資金が、金庫から貸し付けられたのではないかという疑いが持たれたようでありますが、これは大蔵当局からの御答弁で、そのような心配はなかつたという消極的な御答弁でありましたが、明らかになりました。また監督が地方庁すなわち府県知事の直接監督下に置かれておるのでと言つて逃げられたのですが、これはおかしな答弁だと思う。今日地方庁に監督権が直接移管されておりますけれども、大蔵省は厳然として金融機関に対する監督権も、あるいはあらゆるこれに対する強い決定権も握つておることには間違いありません。一次監督か二次監督であるかは別といたしまして、報告はみな大蔵省に集まつております。それはとにかくといたしまして、当時労働金庫に対して、大蔵省は積極的な調査をされております。そういううわさが立ちましたので、文書だけではなく、人を派し、あるいは機関を動かしてお調べになりまして、そういう事実のないことはきわめて明確になつておる。こういうようなことも、疑いを持つて質問される場合に対して、はつきりした答弁をしていただくことが、私は行政官庁の任務だと思います。 それから、さらに役員の資格の問題なんかについてでありますが、こういうことに対して、立法の精神がどこにあるかというお尋ねであつたようでありますけれども、この精神はそうむずかしいことでもありませんし、こういうものが生れて来るときに、労働行政とどういう関係を持つて来るか、金融会社との間にどういう関連があるかということには、一番強い関心を持ち、直接の責任の地位にある立場でありますから、そういう疑いに対しては、きつぱりとお答えができるような御用意が私はあるべきだと思いますが、そういう点について伺つてみますと、どうも自信を欠いておるようなお答えのように聞きましたので、この法案の立案者の意思ではなく、労働省並びに大蔵省としての見解を明らかにされてほしいという意味で、私は質問をいたしておるわけであります。でありますから、どうぞ一つ一つ区切つて明確な御答弁をお願いしたいと思います。
○安井政府委員 労働省に熱意がないというおしかりのようでございましたが、私は先ほど申し上げましたように、議員立法である建前から、政府があまりとやかく深入りした所見を述べますのもどうかと思いまして、御遠慮申し上げた次第であります。今の御説は、政府といたしましても傾聴いたしておりまして、御趣旨に全然同感いたしておる次第でございます。もし決定に至りましたならば、御趣旨の線に沿つて政府も十分その責めを尽すつもりでおります。
○井堀委員 たいへんはつきり御答弁いただきましたので、満足いたしております。 次に、委員長にお願いをいたしておきたいと思うのでありますが、私の質問通告は、すでに二日前に出ておる。通産大臣並びに労働大臣の御出席を求め、しかも当面しておる重大な事柄についてお尋ねをいたしたい。何回も督促をいたしていただいたようでありますが、今日まで御出席のないことは、まことに遺憾に思います。ことに従来労働委員会に対する政府委員の皆さんの熱心な御出席で、しかもやつさもつさと審議をお進めになつておりました先々日までの態度に引比べまして、こういう態度はあまりにも問題に対する理解が足りないと思います。言いかえますならば、国会の権威にも関することと思いますので、委員長から厳重に申し入れて、政府の責任者に出席させるように希望をいたしておきます。
○赤松委員長 ただいま政務次官に話をしまして、龜井政府委員が呼びに参りました。大臣が出席しませんと散会しません。労働大臣の出席を一昨日以来要求されておりますから、やはり労働大臣が出席して答弁するように、今強く要求しております。どうぞそれまで他のそれぞれの政府委員に対して質疑を続けていただきます。
○中原委員 それでは労働省に対する質問に関連いたしますが、外務省の關次長にお尋ねしておきたいと思います。あわせて調達庁にもお尋ねします。 それは、ちようど行政協定が調印されました翌日でしたか、一両日あとであつたかと思いますが、当時の占領軍総司令部の方から覚書が出まして、当時の進駐軍の労務者関係の争議に関しては、その争議の処理解決に関して労働委員会の介入することを認める、こういう覚書が発表になつたのであります。そのことは、先ほども申し上げましたように、行政協定の各条項から考えますと、さすがに当時のアメリカ政府並びにアメリカの司令部としても、はなはだ無理な点が多々ある関係から、日本の労務者がこれではがまんせぬであろう、こういうことを予想して当時頻発いたしました紛争、争議等の問題解決の方策として、そういう覚書が出たのであります。ところが、その後において、この出ました覚書が、十分その効果を発揮することができなかつた。と申しますのは、せつかく提訴いたしましても、アメリカ軍側がなかなか労働委員会の招きに応じて出席しない。しばしばこれを拒むというような実例もありまして、せつかくの覚書ではありましたが、これは単なる空文のごときものに終つたかのようになつたのであります。しかしながら、少くともこの覚書がわざわざ行政協定調印の翌日あるいは翌々日でありましたか、とにかく発表されたということの意味するものは、どこまでも日本の当時の進駐軍の労務者に対して、何らかの円満な処理を期待する意味で出たものであろうと考えるのであります。そうなつて見ますと、今日ここに出ましたような基本契約の問題等に関連しまして、この内容からうかがわれまするところは、その当時の労使関係等は、最もきつい対立状態が当然誘発されるような条件になつております。そうなつてみますれば、今日の両国政府の間のとりきめのままでは、駐留軍関係の労務者諸君の要求が保護されない、あるいはそれを救済する最後の手段が講ぜられない、当然こういうことにつながつて来ると思うのであります。ところが、この基本契約の草案を見ますと、そういう紛争になつた場合に、まず、問題が両者の了解によつて解決しない場合には、この調整並びに調停のために、この問題を、向うの軍と日本の都道府県知事にこれが付託されるというのが最初の項であつて、さらにそれがうまく行かない場合には労働委員会に付託されるものとする、こういうふうな条項が草案を見ると出ているのです。このような機関がこの間の労使問題を処理解決する機関として適当であるかどうか。これははなはだ適当でないということに当然なるわけであります。従いまして、この救済解決のための方法が、やはり国内法の示すような、直接労働者の代表も交えた機関にそのことを付託して行く、こういうことになつて来なければならぬし、またその機関の権威を裏書するようなはつきりしたものが規定されなければ、意味がないのじやないか、こういうふうに私は考えるのであります。そのことについて、まず調達庁の御見解を伺いまして、さらに外務省の御見解を得ておきたいと思います。
○中村(文)政府委員 ただいまのお話でございますが、確かに御指摘のような事例が出まして、今後とも積極的に国内法を遵奉して、国内の機関を活用して行こうという考え方を披瀝したというふうに思つております。この問題につきましては、その後の事例にかんがみますれば、軍といたしまして積極的な態度が見えておると、われわれは判断いたしております。なお実際の問題になりますれば、あるいは軍のさような委員会その他の出席等について、いろいろな事情も起らぬことはないのでございますけれども、今日まで積極的に出席しなければならぬような事態があつたとは記憶いたさないのでございまして、将来かようなことにつきましては、もちろんわれわれも必要がありますれば出席方を要求して、十分な事態の究明をはからなければならないと考えておる次第であります。 なお、後段におきまする御指摘の、運び方についての遺憾の点があるのではないかということでございますが、これらにつきましては、もちろん先ほどの御質問にもお答えいたしました通り、今後の政府間の話合い並びに軍との折衝そのほか関係労働組合の参加しました会議等を持つというふうなことによりまして、これらの意向は十分に生かして行きたいという考えを持つております。 それから念のために申し上げますが、関係労働組合との団体協約のうちには、これらのことがはつきりとうたわれております。というのは、もちろん事態はできるだけ現地で解決することが一番望ましいことでありますので、第一段階といたしましては、われわれの機関でありますれば、労管単位の段階でできるだけの解決の措置をはかりたい。さような事態がもし望みがなければ、県の段階で解決をはかりたい。それからさらに中央に持ち込まれるという段階を踏む計画を立てております。その間において、もし中央に行きますのを避けて、地労委その他のあつせんあるいは調停をしようとする場合におきましては、中央の段階を省略してもいいというふうな協定も実は現在あるので、それらも考慮せられるものと考えます。従いましてかような機関において軍の必要な出席、発言等も得られるように、極力先ほど申しましたような線で進めたいと考えておる次第であります。
○關説明員 大体今調達庁の方からお話になつたことと同様に存じておる次第であります。
○赤松委員長 ちよつと御相談申し上げますが、労働大臣は参議院の労働委員会等に出席しなければなりませんので――委員の中から強い要求が昨日もございまして、特に委員長に対する要望として、労働大臣の出席を要求しているにもかかわらず、出席がないのはけしからぬじやないかというお話もございまして、今労働大臣が出席いたしましたので、労働大臣に対する質問を先にやつていただくというようなとりはからいに、御協力願いたいと思うのであります。
○中原委員 実は私も労働大臣の御出席を待ちあぐんでおりました。だからと申しまして、そうたくさん質問があるわけではございません。ただ一点だけお尋ねをしたいと思うておつたのであります。それはほかではないのでありまして、ただいま調達庁並びに外務省にお尋ねしました問題に関連するのでありますが、労務基本契約の問題について、昨日、労働大臣の御決意はよくわかつたのであります。しかし、その御決意にもかかわりませず、問題ははなはだ手が込んでおりまして、とうていかようなことでは、労働者諸君の要請を忠実に保護し、あるいはその権益を確保することがむずかしいのではないか。しかもそのことは、先ほども申しましたように、ひとり労働者という立場だけではなしに、日本の国民全体に対してゆゆしい事柄だと私は思うのであります。言いかえますなれば、日本の国民が、まつたくアメリカの駐留軍によつて人間扱いされていないのではないか、そういうことになるのではないか、こういう事柄が実にたくさん盛り込まれているからなのであります。一々指摘いたしましたのでは時間がかかりますので、ただそういう抽象的な言葉ですべてを証言さしていただきますが、内容はすでにおわかりのことと考えます。ただ、そのうちで一点だけ指摘いたしまして、私の抽象的な言葉の内容を裏書きしたいと思うのでありますが、第四条の人事管理の問題につきまして、ずつと各条項が並んでおります。その前段の方は、いろいろこまかに救済措置も、向うなりの見解で規定されているのでありますが、C項に例外条項がちやんと書かれてある。その例外条項で(1)(2)(3)(4)とずつと並べられているのを見ますと、たとえば、遠慮容赦なく人員を整理し、首を切り、あるいは就業を停止する、こういうことができる条項があるわけであります。それは「保安」について、あるいは「人員の整理」について、あるいは「好ましからざる者の就業の停止」等等、並べられておりますが、こういうような条項を指摘いたしまして、向うの一方的な意思で、独断で労働者を首切り処分して行く。しかもその点については、日本国政府側は「次に掲げる人事措置を実施し、且つ、B側は」――日本国政府側は「異議を唱えず、且つ本条のa項及びb項に定める調停の手続を利用する権利を有しないことに相互に同意された。」こういう文字が出ているわけです。従いまして、これは思う存分ということなのでありますが、こういう恐るべき労働権の蹂躙の規定がちやんと出ているのであります。これに対して、大臣が昨日お示しになりましたこれに対する労働者を守る立場からの真剣な抗議といいますか――それは適当ではありませんが、いずれにしましても、日本の国民の立場から、この問題に対してあくまでこの不合理を是正するために努力する、いわば闘う、こういう御宣言でありましたが、従つてその御観点から、御決意から、このような条項について、具体的にはどのように御決意をお持ちになるのであるか、そのことをこの際承つておきたい。
○小坂国務大臣 お答えを申し上げます。昨日、本委員会におきまして御答弁申し上げました通り、労務基本契約に関しまして、われわれとしましても、労働法規も、また労働政策全般から見ましても、非常に重大な日米間の国民感情上からも、思わしからざるような点が生ずることを懸念いたしまして、またいわゆる駐留軍労務者各位におかれましても、気持よく作業に従事せられることが最も望ましいことでございますので、この内容につきまして、われわれとしましても、今申し上げたような見地から不満の点があるというので、これをさらに折衝する必要を認め、その折衝期間も、七月三十一日という期限をつける場合には、なかなか困難であろうと存じまして、これを延期するということを申し上げたのでございますが、本日の閣議におきましてこれを確認いたし、さらに先方に対してその事を言う手はずにいたしている次第でございます。ただいま御指摘の点は、そうしたような私どもの意図からいたしまして、できるだけ例外の範囲というものを狭めまして、人事措置が円滑に、かつ合法的に行われますように修正いたしたく、強くこれを折衝する考えでおります。
○中原委員 この項は、一つの例にあげたにすぎませんが、私の見解では、この条項を取上げましても、この原案の精神が生きるようでは、意味がないことになるのであります。従つて、いわば日本の労働者が、今日憲法並びに労働関係諸法律で保障されている基本的人権、あるいは労働権の保護の諸条項を生かすということが基本になつて、これらの基本契約がなされなければ、意味がないことになると考えます。従いまして、私は労働大臣におかれても、その御決意で臨んでいただきませんことには、労働者がせつかく期待申し上げても、その期待にこたえたことにならないという結果が起るおそれがあると思います。この際労働大臣の良識に訴えられまして――私は決して階級的な立場で言おうとするのではないのです。日本の国民として、これではがまんがならないということを申し上げているのであります。そういう観点から、ほんとうにほぞを固めていただきたいと思います。 それに関連しまして、一点だけ労働大臣並びに外務省当局にお尋ねするのでありますが、このような協定の出て来る一番の基礎は、やはり協定の前文にありますように行政協定である。そこでこの際、行政協定の改訂ということが一応言われているわけです。政府としては、はなはだ不都合なことについては、改訂を用意しておいでになるだろうと思います。これは一々取上げては、時間が三時間あつても五時間あつても尽きない問題です。ただ私は結論だけ申しますが、その改訂の場合に、いろいろ質疑応答のございましたわが日本の労働者の権益を侵すことのできるようなことになつている行政協定の各条項について改訂を加える。さらに新しい条項を挿入せしめる、こういう行政協定改訂への一つの環として、この労働関係の諸条項を取上げる、こういう御決意をお持ちであるかどうか、この点伺いたい。
○小坂国務大臣 御承知のように、行政協定の第十二条におきまして、労働三法は当然に日本における駐留軍関係について適用されることが規定されておるのでありまして、駐留軍労務と米軍との関係におきまして、いろいろ問題が起きるということは、全般的には、米軍といたしましても、非常にこの点は注意しておるようでありますし、ことに上層部においては、非常な注意をもつて臨んでおると信じておるのでありますが、やはり大勢の中でございますから、そこに何かの行き違いも生ずるおそれなしとはしないわけであります。そこで、特にそういうおそれの絶対に起らないような考え方を、行政協定全般についてしろということでありますけれども、私どもの考えでございますと、労働立法関係におきましては、特に行政協定を全体に改訂しなければならぬというような点はないと考えておるのであります。われわれは、今中原さんの言われた、わが国の労働者諸君を守る、法律の規範によつて、それに何ら不安を感ぜしめないで勤労し得る条件をつくり出すということにつきましては、私もその熱意は少しも劣らないつもりでございます。それよりも、ただいま御指摘になつております労務基本契約につきましては、私はむしろこの問題については、ある程度甘いかもしれませんが、楽観的な見通しを持つております。われわれとしては、駐留軍労務者各位の御要望も十分わかりますし、その御要望をいれるべく交渉し得ると考えておるのであります。しかし、相手のあることでありますから、ここに掲げてありますこと、駐留軍労務者各位の言われていること全部が全部、その文字を一字一句たがわずということは、これは交渉ごとでございますから、そこにいろいろの交渉の過程を経てみないとわからないことがありますが、精神としまして、その御主張について駐留軍労務者各位の納得を得られるような話合いが、調達庁と米軍との間になし得られるものであるという確信をもつて、またそれを実現すべく努力する決意を持つている次第であります。
○關説明員 まつたく同意見でございます。
○赤松委員長 中原君、労働大臣に対しての御質問を、なるべく簡潔に願いたいと思います。それから外務省の方も、やはり外務省としてのあれがありますから、もう少し親切丁寧に答弁していただきたい。そんな答弁ではだめです。
○中原委員 労働大臣のこの問題についての、やや楽観的な御観察、まことに期待いたすものであります。しかしながら、それにもかかわらず、私は非常に困難性のあることを予想するのであります。と申しますのは、私も幾たびか指摘いたしましたように、行政協定第十二条第四項では、こういう内容のものが平気で出される。そうしてその次の五項では、日本の国内法規は守らなければならぬと、まことに殊勝にもうたつておるのであります。そういう手品ができるのは、いかにもアメリカの政府らしい。しかもその手品をやるためには、但書でもつて、本文よりは強いものをちやんと含ましている。但書の方が強い、だから第十二条第五項でも――但書は、特別に定めたるものの場合のほかは、という意味でありますから、その特別に向うきんが協定したもののほかは守るんだ、しかもその但書の、いわば例外として取上げた問題の方が主体になるというところに、問題があるのです。一体法律というものは、私は法律家でないから、法律のりくつは申しませんけれども、私はやはり主文の方が主体になると思う。ことに、法律は常に善意に解しなければならぬと私は思う。そうすると、これは労働問題であるからには、労働者に対する保護的な立場を先行させなければならぬ。そうであつてみれば、労働法規は守らなければならぬというように言つているが、しかるにそのあとの例外規定の方に重点を置かれた。だから、駐留軍の労務者にも、その例外規定の方の一つとして、こういうものが押しつけられる。二十数万の関係労務者諸君は、それで制約を受けてしまう、手も足も出ない、こういうかつこうになるのでありますから、私はその基礎になる行政協定それ自身に対して、相当きつい攻撃を加えて――攻撃ということが適当でなければ、これに対して質疑せんさくを加えて、われわれの当然の権利を確保できるように、協定の中へ改訂を持ち込んで行く。そのためには、極端な表現をしますれば、首を投げ出してもこれを貫き通してみせる、これだけの気魄がなければ、今日のアメリカを相手としての交渉というものは成功しない。ただいい子になつたのでは、これは解決いたしません。アメリカから憎まれても、八千万国民の権利と幸福と自由を守る、こういう観点にお立ちにならぬことには、私はとうてい大臣が今おつしやつた言葉に値するような結果を見ることは、むずかしいだろうと思う。この点は特に強調しておきます。 外務省も、同感だという御見解であります。外務省は、特に繰返して申し上げますけれども、昨年の正月の岡崎国務大臣の工作が、こういう結果をもたらした――あの人一人の責任とは申しませんけれども、それがこういう結果をもたらしているということを十分御反省になつて、この問題は、身をもつて解決しなければ国民に申訳がない。こういうことは良心の上に立つて、厳粛な立場で行動して行かなければならぬ、こういうように思うのです。従つて、労働省としては直接の労働階級に対する所管官庁としての責任がありますので、強くやつていただかなければならぬことはもちろんでありますけれども、その労働省の熱意をそのままにくみ上げて、外務省は徹底的にこの問題の基本的な解決のために努力を尽す、こういうことに私は繰返してお願いをいたします。委員長は、時間のことについて非常にお困りのようでありますから、これ以上はもはや申しませんけれども、もちろん現地のいろいろな実際の仕事を担当する調達庁当局におかれては、これは言うまでもないと思います。これはもう労働省の権限をそのまま自分がひつかぶるという気持で、どこまでも努力を続けるということでなければ――官吏としていろいろな方面に気がねをするという気持があつたのでは、こういう大きな問題は私はとうていうまく行かないと思います。そういう意味で、当局にそれぞれ私の要望を熱を込めて申し上げておきます。これに対する御見解いかん。
○小坂国務大臣 御要望はよくわかりますが、私はいわゆる駐留軍労務というものについては、こういうように考えておるのであります。これは敗戦後の占領という事実が進駐軍というものを生み、進駐軍労務者というものにつきまして、その敗戦後の講和会議、またその後における日本の国際的な、また日本国自身の、その結果によるところの状況によりまして、行政協定による駐留軍を必要とするという状態があつて、それから生れたそういうような特殊の労務者であるのでありますから、非常にテンポラリーといいますか、やや一時的な、特殊的な所産であるのであります。そこで、こういう方方に対して、私どもとしては、できるだけの配慮、愛情というものを注がなければならぬと考えておるのであります。先般も本委員会において御決議を願つたわけでございますが、進駐軍時代の退職手当等につきましても、米軍との関係でなかなか行かぬということでありましたが、これは努力すればできる。私もこの労務基本契約については、それほど深刻に考えていない。いわゆる攻撃を加えるとか、あるいは死力を尽すという悲壮な形でなく、やはりよく話合いをすることによつて、私は納得を得られるというふうに考えておるのであります。と申しますのは、やはり日本においてこうした関係を持つておる米軍自身において、決して日本人に反抗心を抱かせ、あるいはこれを憤激せしめることが、彼らの利益になるというふうに考えていないことは当然であろうと思いますし、また世界全般の情勢から見て、日米両国の友好関係というものは必要であつて、これが世界の平和に貢献し得る道であるというふうに、われわれとしては考えておりますし、アメリカにおいてもそう考えておると思いますので、そうした無理なことを日本にしいることが、彼ら自身の利益でないということは、先方においてよく了解し得るところであろうと考えておるのであります。しかし、交渉でありますし、相手のあることでありますから、また彼ら自身のアメリカにおける慣行というものもあるでありましようから、そういう点もいろいろ話合いをしてみて、解決することが必要ではなかろうかと思うのであります。駐留軍労務者の各位、また代表の市川君もここにおられますが、この方はやはり交渉ということについて、その経過をもう少し知つていただくような地位に置かなければならぬのではないかと私としては考えており、今後交渉をまた強くいたしますその際には、駐留軍労組の各位にもそれぞれお話をして、その間に一歩々々了解を深め、そうしてアメリカ軍の方においても満足し、もちろんわが方においては、これならばいいという案ができるように、私は考えておるのであります。御趣旨はよくわかりますから、できるだけ努力いたしますが、ただアメリカを敵として、非常に悲壮な決意で当るというような、そういう考え方ではないのでございます。これは何とかできるというふうな気持を持つておるのであります。
○赤松委員長 きのう以来労働大臣が本委員会でいろいろ答弁されて、きようの閣議において非常に努力されたということは、やはり認めなければならぬと思います。また今後のそういう努力も期待されると思うのです。それで、ただ問題は、やはりMSAについての問題もありまして、いわば米軍の労働基準法なんというのが出されようという重大なときですから、外務省の關政府委員がおりますので、私は外務省に対してその経緯やいろいろな問題について、ゆつくり質問してみたいと思います。労働大臣は参議院が要求しておりますから、できるだけ簡潔にお願いしたいと思います。
○中原委員 労働大臣の御見解はごもつともであります。しかし、ただ私が申しましたのは、そういうなまやさしい期待では解決せぬのではないかと思う。見解の相違であるかもしれません。話合いで何とか解決点に到達できるであろうという期待を持つておいでになるようであります。私はそのお言葉に、もちろん期待いたします。しかしながら、繰返して申しますが、そのことは、この内容が生きたのではいけない。このことははつきり申し上げます。この内容の精神が生きたのでは――いかに向うの慣習がありましようとも、日本の国内における労務の提供でありますから、この点は十分了解していただきたい。今赤松委員長の言われたように、MSAの問題がありまして、何か五百十一条にもむずかしいことが書いてあるようです。われわれとしても、MSA問題に関連いたしまして、今後ますます労働行政の重要性を痛感いたしておる。こういう段階でありますから、大臣の一層の御奮闘を祈ります。あなたから言えば、そういう言葉は適当でないかもしれませんが、私はそれくらいの心構えでなくては解決せぬと思うために、一言つけ加えておきます。
○赤松委員長 井堀繁雄君。
○井堀委員 質問いたします前に、どうも労働大臣の委員会に対する態度は遺憾に思います。政府提案の行われております間は、非常に熱心に御出席なさいましたが、議員提案の重要な、しかも公企労法、地方公企労法、労働金庫法といつたようなきわめて重要な法案が上程されておりますのに、たびたびの委員長からの催告にもかかわりませず、怠慢をいたしておりますことは、これは国会を軽視する傾向であると思いますから、十分御注意を願いたいと思います。何も答弁を要求するわけではありません。 私のお尋ねいたそうとすることは、昭和二十八年度の予算は、一応衆議院の通過を見ておりますが、この二十八年度予算が執行ざれる場合に政府が主張いたしておりまするわが国の経済の自立態勢は、国際経済に伍してこれを遂行しようとする前提であり、内容であるようであります。そこで日本の経済が国際経済に伍するような形において、今後経済政策なり財政の執行が行われまする場合に、そこに起つて来ます労働問題についてお尋ねしようと思うのであります。その中でも、ことに国際的にきわめて関係の深い繊維工業、さらに今後日本の市場として一応予定のできるいろいろな物資の生産を担当するであろう中小企業のもとにおける労働問題、この二つの問題について、できるだけ実際的な事柄についてお尋ねをいたそうと思うのであります。 そこで繊維工業の問題につきましては、いつでも日本が国際貿易を考えまする場合には、戦前のように、日本の武力が非常に強い保護をもつて貿易が遂行されたときと異なりまして、日本の現在の貿易を、特に海外に市場を開拓して行こうとする時期に起つて来る問題は、国際的な、特に労働関係につきましては、日本の強力なる帝国主義的なといつていいほど強い背景を持つた保護貿易の中にありましても、御案内のように繊維産業につきましては、ソーシヤルダンピングの形をもつて、世界から袋だたきにされたことがあります。今日、もし依然として日本の繊維産業におけるチープ・レーバーが国際市場に乗り出したときに、問題にならないはずがないと思うのであります。現にイギリスにおきましては、国会においてもすでにこのことは大きな討論の対象となつております。今後日本がどの国を競争相手として貿易を開拓して行くかは、いろいろとり方はあると思いますが、こういう角度からいたしまして、繊維工業に対する労働政策というものは、非常に重大になつて来ると思うのであります。こういう問題について、私は具体的な例をあげてお尋ねをいたそうと思うのでありますが、まず第一に、日本の繊維産業の労働条件についてお尋ねをいたそうと思うのであります。全部をここで一々お尋ねすることは、時間の関係もありますので、後日資料を提供していただくという方法をもつてしてもけつこうだと思います。しかし、重要な点だけについては、ここで討議を重ねておきたいと思います。それは、繊維産業は、戦前のそれに比べますと、賃金はかなり上昇いたして参つております。しかし、国際水準に比較いたしますと、はるかに低いものであります。また国内のあらゆる産業に比較いたしまして、繊維産業の労働者の賃金というものは、非常に低いものであります。それが女子労働者だけにあるいは農村の若い労働力を豊富に持つ日本といたしましての関係もあろうと思いますが、ここに日本の労働行政というものは、重大な任務があると思うのであります。こういう自然環境の中において、どうしてもチープ・レバーの傾向というものは強くなつて来るのでありますから、それを行政面においてチエツクし調整して行かなければ、また再び世界からソーシヤル・ダンピングの汚名を着せられる恐るべき傾向というものを招来すると思うのであります。とりわけ、一昨年だと思いましたが、二十三名の女工さんの圧死事件が起りまして、これが端緒になりまして大きな問題になりました近江絹糸の事件であります。そのことが原因になりまして、今まで隠れておりましたきわめて拙劣な、しかも低い悪い労働条件で労働者を酷使しておりましたものが、明るみに出て参りました。現にこの工場における不当労働行為の問題については、地労委において不当労働行為の裁定が行われ、あるいは労働基準法違反については、すでに摘発されて今起訴中であるのであります。こういうような問題が、かなり山積しておるのでありまして、労働省がこの問題についてどれだけ資料をお集めになつておいでになるか。同時に、その資料に基いて適切な行政監督の処置がとられておるかどうかを、お尋ねしようとするのであります。まず第一に御答弁を願いたいと思いますのは、不当労働行為がどのように進行しておるか、またそれに対する労働省の所見、次は、基準法違反によつて告発されております。告発されておるから、裁判所にまかせるということになると思うのでありますが、それ以外に、まだ告発はされないけれども、これに類似するものがかなりたくさんある。現に労働団体従業員の中から投書の形ないしは陳情書の形において訴えられて、私の手元にも一工員から切々たる投書が寄せられております。そこで、こういう労働条件の内容について、詳しく伺おうとは思いません。たとえば、賃金については、この絹糸紡績会社が肩を並べまする紡績十社の現在賃金とどれだけの相違があるか。初任給については、一応私どもは承知しておりますが、その後の昇給の率、その結果が、他社に比べてどういう状態であるかということを発表願いたい。 それからこの工場が、労働管理として世間に公にされ、昨日委員会に全国繊維労働組合から資料が頒布されておりますように、きわめて封建的な不当労働行為の数々の線をたどつて労働管理が行われておる。あるいは仏教の名に隠れて労働者の信教の自由が奪われておる、就学の自由が押えられておる、集会の自由に制限がある、こういうものに対する労働省の監察はどういうものであるか、そういう点について詳しく伺つておきたいと思うのであります。なお答弁のいかんによつて続行いたしたいと思います。
○小坂国務大臣 ただいまの御質問の点につきましては、労働省といたしましても、基準監督署を通じまして、基準関係につきましては非常に注意をいたしております。また不当労働行為につきましても、それぞれ関心を持つてこれを見ております。私から一々お答えいたすよりも、事務当局からお答え申し上げる方が適当かと思います。
○中西政府委員 まず私から不当労働行為の事案につきまして申し上げます。近江絹糸の中岡良一という青年でございますが、昭和二十五年四月に彦根工場に入社いたしまして、その後二十七年の四月に津の工場に転勤いたしました。その後会社側は、成績が不良であるということを理由に、五月四日に解雇した事件でございますが、これは工場内に近江絹糸民主化闘争委員会というものを、本人が大体主になりまして結成して活動いたしておりまして、こういうことが結局問題の中心になつたのでございます。解雇されましてから、滋賀の地労委におきましては、これが本人から持ち込まれましたので、何とかあつせんをしようというので努力いたしましたが、あつせんが不調になりまして、その後さらに和解を勧告いたしたのでありますが、これも不成立に終りました。そこでこれを正式に不当労働行為事案として審査いたしました。八月の二十六日に決定を出しております。その決定によりますと、結局申立人すなわち餓首されました中岡の行為に多少の欠点は認められるが、この程度のさ少な欠点は、しさいに探索すれば、一般労働者につき、おおむね指摘される事柄であるから、この事実を理由として解雇するがごときはとうてい首肯し得ないところであり、被申立会社すなわち近江絹糸の就業規則所定の懲戒事由にも該当しないことは明らかであるから、申立人には解雇に相当する理由がなかつたものと認むべきであり、従つて労組法第七条一号に該当する不当労働行為だという判定をいたしております。これに対しまして、会社側が不服といたしまして七月三日に中労委に再審査の申請を行つて来ております。中労委におきましては、目下佐々木委員が主査でこれの審査に当つておりますので、この中労委でいかなる判定が下されますか、われわれとしましては、しばらく中労委の決定にまちたい、かように存じております。
○龜井政府委員 御質問の労働基準法違反の関係につきまして御説明申し上げます。本工場におきまする監督の状況は、毎月一回多いときは二回程度の監督を各事業場につきまして実施いたしております。昭和二十三年におきまして、労働時間その他相当の実質的な違反がございましたので、送検をいたし、第一審におきまして有罪の判決を受けたのでございます。使用者の方から控訴いたしまして、控訴に係属中、大赦によりまして免訴になりました事案が一つございます。また昭和二十六年の六月四日に、彦根の工場が御承知のように火災を起しまして、二十三名の女子労働者が死亡した事件がございます。そういう方面におきまして、私どもとしまして特に厳重にこの工場の監督に当つたわけでございますが、その火事は、使用者に対しまして非常に精神的な打撃を与えたと申しますか、非常に改俊の状明らかなるのがあると申しますか、その後違反がございません。安全衛生規則等、軽微なものはございましたが、これらのものにつきましては、その都度是正をしておる状況でございます。それがずつと参りまして、昨年の十一月から、傘下の事業場におきまして生産競争というものを行つたのであります。その生産競争に対しまする経営者側の強い要望もあつたのかと思いますが、深夜業の違反が発見されたのでございます。従いまして、こういう問題につきましては、ただちに警告を発しましてその是正をせしめた事例もございます。 現在の全般的な各事業場の状況を申しますと、定期監督で参りますと、多少の事務的な形式的な違反のある場合もございます。そして違反がありました場合は、ただちに是正をせしめて参つております。津の工場あたりでは、責任者を全部かえまして、遵法の態勢を整えておるというようなことも聞いておるわけでございます。われわれとしましては、いたずらに違反についてこれを司法処分にすることは、必ずしも当を得た施策ではないのでございまして、違反はできるだけ是正せしめて、実質的に労働者の労働条件を維持向上させて行くというところに主眼を置いて、指導監督を行つて参つておるのでございます。監督に毎月、あるいは月によつては二回行つておりまして、違反があれば、その都度直させて行くということでございまして、われわれは今後も引続き事業場についての監督は継続して参りたい、かように思つておる次第であります。 また、お話のございました寄宿舎における信教の自由の制限、あるいは教育を受ける権利の制限というお話も、実は前々から聞いていたわけでございまして、監督官が事実上寄宿舎に参つてその問題を確認いたしますと、強制はいたしていないようでございます。従いまして、仏教を信ずる、あるいは仏壇を拝むということについては、何ら強制はいたしておりません。あるいは工場外の定時高校に通いますことも認められてはおるのでございます。ただ寄宿舎内における生活の上におきまして、多少何か暗いものがあるのじやないかという気がするのでございますが、そういう強制をし、また強制を受けたという事実は、監督官として発見できないのであります。
○井堀委員 今の不当労働行為の問題についての中西政府委員の答弁は、地労委の判定についての発表でありますが、それはもうすでに心得ております。私が伺いたいのは、その労使の関係にだけまかせておくというのであれば別個ですが、このような不当労働行為が地労委の手にかからなければならないという事態が発生したときには、少くとも労働行政を担当する者がその確認なりをし、また――今も基準局長から報告だけを伺つたのでありますが、再三にわたる違反が、しかも有罪として判決を受けたという事実がある。軽微なもの、こう言つておりますが、その後今お認めになつただけでも、二回にわたる違反が出ておる。さらに、仏教の問題についての今の龜井政府委員の答弁は、少し私見が入つておるようであります。寄宿舎生活をする女子工員、特に年の低い人々の生活というものは、基準監督行政の中で、一番やかましくいわれておるものであります。寄宿舎の生活は、労務行政の上だけではないのでありまして、発育盛りの刺激の強い女子工員でありますから、そういう点に対しても、慎重を期さなければならないという精神部面があるわけであります。その監督の総元締めにある方が、このような事実に対して、強制をしていないと言う強制ということは。むちをもつて強制することも強制でしようが、何もそればかりが強制ではない。仏壇をすえ、会社の社訓というものをつくり、一室に集めておる。しかも室長なりあるいは工場の上司に当る人々が、命令を下して仏間に集めておる。これは私は明らかに強制だと思う。こういう事実について、監督署の出先から報告があつたはずであります。これに対する解釈はしばらく別といたしまして、そういう事実はお認めになるか。舎監あるいは監督の地位にある工場長もしくはこれを代行する人たちが、工員を仏間に招集しておるという点について、なお明らかにしておいていただきたいと思います。
○龜井政府委員 その場合も、監督官が監督しましたときに発見したところでは、事実上会社が使用者としての立場から強制をしていないことは事実でございます。ただ、寮の生活の中における寮母と本人との関係において、多少そういうことがあつたのじやないかということが推察される程度でありまして、会社はこれに対して強制をしていないことは事実であります。
○井堀委員 強制ということを、何か特別の定義でもおありのようにしきりにおつしやつておるようでありますが、私が例を申し上げたように、強制か強制でないかということは、これは相手方とこれを行う者との間の主観としての問題で――客観的な事実も問題になると思いますが、おもに私は主観的なものになると思います。その点については、多くの投書が行われております。工員の多くがそう申し立てておることも事実であります。監督署が調べたところでも、その点はあがつておるはずであります。会社の社長が直接に、ここに集まつて仏壇を拝めというようなことは言わないかもしれませんが、しかし室長でありますとか、あるいは作業場の上司から、これから拝みをやるから集まれということを言えば、これは明らかに相手方に対しては強制になると思います。そこで寄宿の自治に対する見解について、今日の基準監督署の総元締めである龜井政府委員からお伺いいたしたいと思います。
○龜井政府委員 寄宿舎の自治の問題は、寄宿舎規定によりまして、その寄宿舎において共同生活をいたすについての時間割なりその他について、お互いに話し合いまして、そこできめて行く、そうしてその時間割に従つて共同生活をして行くというのが、現在の基準法に規定しております自治の範囲だと思います。従いまして、その時間に応じてそれぞれ本人の自由というものが当然そこにあるわけでございます。そうしてその自由に従つて寄宿舎生活をすることが、寄宿舎の自治というふうに解釈しております。
○井堀委員 今龜井政府委員がお答えになりましたことについて、大臣の見解を尋ねようと思うのであります。強制をしているかいないかということについて、私は自治の問題にその答えを求めたのでありますが、今の龜井政府委員の説明では、少くとも部屋の中の活動について、おのおのがそれぞれ話合いの上で起居に関する方針をきめるというのが自治であるというように言われた。ところが実際は、仏間に集まらせたり、あるいは朝晩の教訓に社歌、誓願、社憲などを読ませているわけです。そういうものを読まなければ罰を加えるとかなんとかいう規定は、もちろんないのであります。そういうことを自治的にやるとすれば、申合せで行うべきことであつて、たとい一人でもそれに反対の者があれば、多数決できめてはならないと思います。こういう強制であるとかないとかいう判断の事柄は、今後の労働行政の面に対する重大な問題であると思いますから、政府委員の見解とあわせて、労働大臣の責任ある見解を伺つておきたいと思います。
○小坂国務大臣 龜井政府委員の見解を支持いたします。その通りだと思います。
○井堀委員 龜井政府委員の見解と同じだと言われますが、龜井政府委員の答弁は、一つのことを二通りに答えておる。強制していないという事案を言うておるが、その事実に対して相違があれば別であります。それではお尋ねしますが、一体その女子工員がそういう申合せをしたという事実を、お取調べになつたかどうか。
○龜井政府委員 そういうたとえば仏壇を拝もうというような申合せをしたかどうかということは、私は具体的に存じませんが、会社側から、あるいは寮の方から、何時から何時まで仏壇を拝めというような命令は、何らなされていない。従つて、本人が仏壇を拝まなくても、それは本人の自由意思でございまして、それに対する会社の拘束なり、あるいは処罰というものはあり得ない、そういう形であります。
○赤松委員長 参議院から今また請求が来たようですから、労働大臣に対する質問をなるべく先に願います。
○井堀委員 たいへん時間も遅くなつて申訳ありませんが、これは近江絹糸に限つた問題ではありません。今後女子工員をどうして行くかということに関する非常に重要な事柄だと思いますから、近江絹糸の事実についてお尋ねをしておるのであります。もし今のような解釈をそのまま承知するならば、室長でありますとか寮母は、一方は自治的に選ぶ、一方は経営者側が任命するが、その集合命じているのは会社側の任命した人です。その点に対する出先の報告をどういうふうにおとりになつているか。もしそれが違つていますと、えらい違いになる。会社の命令になるかならぬかということは、会社が任命しているところの役員、あるいは自治的に選んでいるところの役員ということによつて異なつている。その点の報告はどう受取つておるか。
○龜井政府委員 具体的に、だれが命令したというふうな報告は受けておりません。従いまして、私が先ほど来申しますように、これはだれの命令によつてやつたというふうなものではない。ただ軽い、寮母なりあるいは舎監なりが、集まらないかと言つたというふうなことではないだろうか。これは私としても、現地の局長なり監督署長にもう少し事実を確かめてみたいと思つております。今まで受けました報告では、そういう抽象的な報告しか受けていないのであります。ただ問題は、寮母なり何なりの精神的な威圧というふうなものがあるように、私は聞いておるわけでございます。これがはたして法律違反の問題になるのかならぬのかということになりますと、非常にデリケートな問題であるということは、私も含みを持つて先ほど申し上げたのであります。
○井堀委員 私の言つておりますことは、非常に大事な点だと思うのです。法律違反になるかならぬかを構成する根本問題になります。こういう事実が累積して来て、その原因をたずねて行くときに、私は率直に言いますと、封建的な労務管理だと思う。これはひとり労働行政だけではありません。宗教の名に隠れて、宗教を弱者と強者の間に用いるようなことになりますと、混乱を生じて来るのです。信教の自由ということは、私はそう単純なものじやないと思う。ことに年の若い、まだ意思も思想もきまらない人々が対象になるのです。それを、あなたが今大胆に会社の命令じやないと言うことは、私は少し言い過ぎた言い方だと思う。というのは、どちらが命令したかという事実を、あなたはまだはつきりおつかみになつていない。私は、そういう考え方が、こういう事態を発生せしめる一つのすきになるのではないかという感じさえするのです。こういう労務管理が行われているのは、私なりの見解ですが、一つの信念を持つてやつているのだと思う。おおむね労働基準法の違反というか、不当労働行為というものは一つの場合は、経済的な、背に腹はかえられぬという追い詰められた場合に、知りつつやる場合、一つは、ずるく構えて上手に法網をくぐろうとする場合に、くぐりそこなつてひつかかる、こういう場合が多い。しかし、これはいずれも良心的なものは持つておりますから、問題の解決には、存外合理的な結論を出すことができます。しかし島原の乱をとる必要はありません、一つの宗教的な信念を持つておる者は、自分のやつた行為を悪いと思つていません。だから、現に労働組合の行為や労働者側から立ち上る運動に対しては、お前らは仏様の言うことと間違つている、おれの言うのが正しいのだ、こういう見解をとつておりますから、この問題をほぐして行くためには、今の問題が重要でありますからお尋ねをしておるのに、一番公正冷静な立場をとらなければならぬ龜井政府委員のような人が、軽々に、相手方が強制していないのだと言うことは、私は慎むべき言葉ではないかと思う。こういう点は十分慎重に調べて、しかるべき処置を講ずるということでなければならぬと思う。これは今後もほかの問題に出て来る。もし寄宿舎に集めてこの種の経営をやられたら、日本の繊維工業の労働者は一時に参つてしまうと思う。こういう問題をまだ正確につかんでおいでにならぬようでは、問題があるということを私は究明したいと思います。しかし、最初から食い違いを生じておるということは、まことに残念であります。 それから次に、お尋ねしてまだお答えを得ておりませんが、他の繊維工業との賃金の比較であります。ここに全繊同盟が明らかにしておる報告書がありますが、これを読みますと、大体同規模もしくはそれ以下の工場の例をとつておる。近江絹糸よりは工員のやや少い日清紡、あるいは同一地域にあります鐘紡彦根工場の例をとつております。これを見ますと、初任給においてはやや近接しております。近江絹糸は四千四百六十六円、鐘紡彦根は四千九百九十六円、日清紡は六千六百五十六円、敷紡の草津工場は五千円というのが出ております。それが二年目には、四千九百円であるのに対して鐘紡は六千円に上つておる。敷紡草津は五千円が六千二百八十五円に上つておる。三年目になりますと、平均にいたしまして、皮肉なことに二年目の平均数字である四千九百円から下つて四千八百三十円。ところが鐘紡彦根は六千八百十九円に上昇しております。日清紡が八千五百六十七円、敷紡のごときは七千五十九円。五年になつても依然として六千七百円しか払つてないのに対して、日清紡は九千三百四十円、敷紡草津は八千三百円というように、上になればなるほど開きが広くなつておるということは、いかにこの工場が他の同業に比べて低い賃金であるかということでありまして、この事実が否認されるか是認されるかは、あとで御答弁をいただこうと思いますが、こういう数字の食い違いは、私が冒頭に申しましたチープ・レーバーの一つの事実としてつかまれる。たとえば、イギリスで論議されておりますように、日本は再び基準法の裏をくぐつて、チープ・レーバーを始めたと言つております。その場合、こういう生きた事実はいかんともしがたいことになるのでありまして、これは今後の繊維の市場開拓、貿易の面に重大支障を来すものと思うのであります。そういうことについて、通産大臣の見解も伺おうと思つております。また、ことにこの会社は、今度は羊毛を始めようとしております。羊毛のごときは、その原毛がどこから入つて来るかということを考えてもわかるように、濠州は一番この問題をやかましく言つておる。こういう点に対する労働行政というものは、ひとり近江絹糸の問題ではない。非常に大きな問題に発展するのであつて、そういうものをかばつたり、庇護することはもちろんないと思います。そういうような大乗的な立場からこの問題は処理さるべきものだと考えておりますが、労働大臣は、この点に対していかなる所見をお持ちでありますか。またさつきの数字について違いがあれば、その差異を明らかにしてもらいたい。
○小坂国務大臣 先ほどからのいろいろな御質疑でございますが、やはり問題は事実の認定が一番大切だと思いますので、そういう点につきましてなおよく調べまして、本委員会に御報告するようにさせたいと思います。
○井堀委員 この問題につきましては、事実を正確に把握することが前提になるようでありますから、最も近い機会に事実を明らかにしていただきたい。できますならば、現場において責任ある方がそれぞれ実情調査をされて、正確な報告をされることを期待いたしております。
○多賀谷委員 実は労使双方の責めに帰すべからざる場合の休業であります。ことに水害の場合であります。これは、実は基準局長と職業安定局長と石炭局長から答弁を得たわけでありますけれども、意見の相違もありますので、労働省の責任者である労働大臣について、私は一応お尋ねしたいと思います。 実は基準局長にお尋ねいたしましたところが、今度の融資のわくから見舞金をひとつ出してもらうようにするということでありました。ところが、石炭局長にお尋ねいたしましたら、いや、とてもそこまでは手が届かないから、私としてはまだ労働省にもかけ合つたこともない、こういうお話でありました。そこで一体今度出される中小炭鉱のわくについて、休業その他の問題で一体ひもがついておるのかどうか、この点を第一点にお尋ねしたいと思うわけであります。 その次は、職業安定局長にお尋ねいたしました失業保険法を適用するとすると保険経済としては一体やつて行けるのかどうかということを質問いたしました。ところが保険経済としては十分成り立つ、受入れ態勢は、立法さえあればできるということでありました。そこで政府としては、一体立法を提出する意思があるのかどうかということを尋ねましたところが、政府としては立法を提出する意思はない、こういうことでありました。労使双方の責めに帰すべからざる休業の場合の救済方法のないことは、政府も十分御承知の通りであります。ところが、現実に非常に困つておる状態において、保険経済においては成り立つ、受入れ態勢はあるという事情において、一体どうして労働者保護の上に立つておる政府としては立法を出さないか、この点について質問いたしたいと思います。二点であります。
○小坂国務大臣 まず第一点の問題でございますが、現在石炭局とも話をいたしまして、賃金の遅欠配なからしむるような、融資にひもをつけるということは話しておるのでございます。なお、この問題は、大蔵省との最終的な折衝段階にある状態でございます。 それから第二点の、労使双方の責めによらざる場合の失業保険の活用の問題であります。これは事実問題といたしまして、休山の場合の扱いにつきましては、労使双方の状態を見て、山の状態を見て、それぞれの地域の安定所において認定をいたしましたものについては、失業保険法の適用を現実に行つておるのでございます。これを法制化しろという御意見を聞くのでありますが、そういうことをいたしますと、失業保険法そのものの本質に触れるのでありまして、これは行政措置として行わしていただいた方が、むしろ円滑に行くのではないか、こういうふうな考えを持つておるのであります。ただいわゆる擬制解雇といいますか、そうした場合につきまして、ほんとうに擬制解雇を認めるのだというかつこうもとれません。やはりその場合その実情に応じまして、当局の認定を待つて行うというのが、一番実情に即した行き方ではないか、こんなふうに考えておるのであります。
○多賀谷委員 実は行政措置として、現地においていろいろ事情を勘案して考慮しながらやつているという話でございましたが、現地では、必ずしもそういうようにやつておらないようであります。やはり法律がないからということである。それは法を遵法するいい面もあるわけでありまして、必ずしも私はそれが不当であるということを言つておるわけではないが、先ほど基準局長にも申しましたが、実にお話にならぬようなことが現実にございます。これは天災地変であつて、事業が継続不可能であるから、解雇手当をやらなくてもいいような方法にしてみたいという申請が出ております。ところが、基準監督署では、その申請をけつております。申請を却下してくれましても、現実には仕事ができないのでありまして、かえつて失業保険を受給する資格が三十日延びたということにしかなつておりません。こういう実情がありまして、私は基準監督署の処置が、不当であるとは考えておりませんけれども、現実にはきわめてそぐわない。これはどこに原因があるかというと、二十六条に原因があると思うわけであります。そこで離職票を持つて行つて運用するということではなく、離職票を持つて行くことになりますと、またこれに便乗する解雇が続々起つて来るわけでありまして、二十条の精神が無効になるという状態を呈するわけであります。それで離職票でなく、労使双方の責めに帰すべからざる休山――これは第三者が当然認定する問題でありますが、そういう場合に何とか考うべきものである、かように考えるわけであります。単に運用とかあるいは行政措置でやるということは、かえつてまた弊害をかもし出すのではなかろうか、かように考えるのでありますが、政府としては、立法措置を講ずる意思はないか、もう一度お尋ねいたしたいと思います。
○小坂国務大臣 先ほどもお答えした通りでありまして、失業保険の本質とやや背馳するというのも大げさですが、多少そこに疑点を感ずるものでありますが、政府として積極的にするということには、省内の意見も必ずしも統一されておらない。またかりに、するとしても、財政負担を伴いますので、大蔵省との折衝にも手間どると思います。そこで問題は、こういう緊急の際、できるだけ給料のとれぬというような不安を除くことを解決する点にあると思いますので、さしあたり行政措置でやつているわけであります。しかし、先ほども安定局長がお答えしたということでありますが、われわれといたしましては、議員立法としてお出しになる場合には、別にそれに従うということよりほかはないというふうに考えております。
○多賀谷委員 私は失業保険の性質上、なるほど必ずしも適用がいいというわけではありませんが、その立法をつくられた当時までの経緯からかんがみて、全然救済の方法がないといつてそれを放置することは、いけないと思うのであります。何でもいいのですが、とにかく補償をしてやればいいわけです。そこで何らか考慮していただきたい。ことに、保険経済上十分やつて行けるということでありますので、何らか考慮をしていただきたい、これを申し述べて質問を打切ります。
○赤松委員長 本日はこの程度にとどめまして、二十五及び二十七両日ともに、午後一時より公聴会を開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後六時五十六分散会