労働委員会 第15号
- 発言数
- 47 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1953/07/23
会議録
○赤松委員長 これより会議を開きます。 日程に入ります前にお諮りいたします。委員持永義夫君が去る二十日一旦委員を辞任されております。また高橋禎一君も去る十六日委員を辞任されましたので、ただいま理事が二名、けい肺病対策小委員及び港湾労働に関する小委員が、それぞれ一名ずつ欠員になつております。この際、理事並びに小委員の補欠選任を行わなければなりませんが、これは先例によりまして、委員長より指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○赤松委員長 御異議なしと認めます。 それでは理事には持永義夫君及び佐藤芳男君を指名いたします。 またけい肺病対策小委員には持永義夫君、港湾労働に関する小委員には佐藤芳男君を指名いたします。 なおまた持永義夫君が委員を一旦辞任されたことに伴いまして、けい肺病対策小委員長も欠員となつておりますが、これも委員長より指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○赤松委員長 御異議なしと認めまして、持永義夫君をけい肺病対策小委員長に指名いたします。 ―――――――――――――
○赤松委員長 これより公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案、地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案、労働金庫法案及び労働行政一般に関する件を一括議題といたしまして質疑を許します。 なおこの際お諮りいたしますが、日米労務基本契約に関しまして、市川誠君を参考人といたし、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○赤松委員長 御異議なければさよう決します。 参考人市川誠君。
○市川参考人 全駐留軍労働組合の中央執行委員長市川誠と申します。委員長の御指名によりまして、ただいまから日米労務基本契約の問題に関しまして、参考人といたしまして陳述を申し上げます。 日米労務基本契約は、現在駐留軍に提供されておりますところの労働者の賃金その他いろいろな労働諸条件に関しまして、日本政府とアメリカ政府との間に契約をされておるものであります。現行の契約は一九五一年の七月一日から実施をされておりますが、昨年、講和条約の発効以前に、私どもは、この占領時代の契約のうち、独立後におきましては、不適正な条項の改訂に関しまして、日本政府側に申入れを行つたのであります。この契約の中には、第七条等には、アメリカ政府の利益に反するものに対しましては、軍が一方的に即時解雇でき得るような条項が載せられております。このために、いろいろ保安上等の理由不明な解雇が、きわめて多数続出いたしまして、非常に大きな紛争をかもしておつたのでございます。さらにまた、この契約の中におきましては、契約全般を通じましての紛争の問題等に関しまして、一方的に軍側が裁定を下し得る、こういうような条項があり、さらにまた、極東軍の総司令官が承認をしない限り、この契約については効力を生じないというような条項がありましたので、私どもは、独立後におきましては、これらの条項は不適正でありますので、その削除または改訂をなすべきであろうと政府側に申入れを行つたのであります。改訂の問題につきましては、政府側からも軍側に申入れを行つたのでありますが、なかなか軍側が応じないために、独立後におきましても、この占領時代に締結せられた契約が、そのまま延長実施をされて参りました。たまたま昨年の八月に、アメリカ側から新しい契約案というものが提示をせられまして、それ以後、日本政府側の調達庁と、アメリカ軍側の横浜にあります米軍調達部との間に契約改訂の交渉が行われたのでありますが、この交渉は昨年の九月から十一月まで行われましたが、遂に意見の一致を見ることができなかつたのであります。そのため十一月の二十四日にアメリカ軍側からゼネラル・パーンズのレターが出されまして、この契約改訂の交渉を、より高いクラスにおいて交渉する、こういうような書簡が寄せられました。さらにまたこの契約の中には、労働者に直接関連するところの諸条件というものが含まれておるので、労働者代表を加えて、交渉の会議を持つ、このような示唆が与えられまして、日米合同委員会のもとに、契約改訂に関するところの特別の小委員会が持たれました。この小委員会の中に、私どもも政府代表、軍代表とともに契約改訂の交渉に携わつて参つたのでありますが、十二月三日に第一回の会議が持たれましてから、本年の三月の十日まで本会議が十六回ほど続けられました。この三者の会議は、本会議のほかに四つほどの分科会を持ちまして、それぞれ三者構成で具体的な事項についての協議をいたしたのであります。この間におきまして、根本的な問題といたしまして、駐留軍の労務の管理に関しましては、日本政府とアメリカ政府側とが共同して管理に当るという線が出されて参りました。私どもの立場からは、独立後の駐留軍労働におきましては、間接雇用制度である限り、日本政府側が一元的な労務管理権を掌握することが、最も労使関係の円満を期する点から望ましいと考えて、三者会議において主張して参つたのでありますが、いろいろな、条件等を考慮いたしまして、この共同管理の原則を一応認める立場をとりました。 その後この会議はとざされてしまいまして、現在に至るまで三者会議は開催をされておりません。私どもはこの開催されていない期間に、今まで四箇月の間に、組合側は、新しい労務基本契約の要点に関しまして、われわれの主張、意見を十分に会議席上におきまして、主張いたしておりましたので、政府側あるいは軍側がこの組合側の主張に対して、どのような取入れ方をするかということを見守つておつたのであります。たまたま不在の六月中旬に至りまして、軍側の最終的な案と考えられますドラフトが日本政府側に提示されたのであります。しかし遺憾なことには、この軍案は組合側には公開をされなかつたのであります。私どもはその公開方を促したのでありますが、容易に公開されませんので、七月の十四日に正式な文書によりまして、日本政府側の調達庁、外務省並びに極東米軍総司令部に対しまして、この軍案の公開と交渉の再開を申入れたのであります。その結果、翌日政府側から軍案が組合側に提示をされましたが、交渉の再開の点につきましては、いまだ何らの回答もないのであります。 この軍案を私どもが政府側から提示した条件を見ましたときに、私どもはあまりにも劣悪な条件を押しつけるような、改悪された契約であることにむしろ驚き入つたのであります。新しい軍側の最終的な案の大体の構成は、契約の主文と附属書さらに労働政策というように大きくわけることができます。お手元に参考資料として差上げてありますが、主文の中におきましては、基本的な条項が定められております。附属書の中には、附属の一といたしましては給与表が載つております。附属の二には職務分類表が載つております。この二つによりまして、駐留軍労働者の給与を新しい職階職務給に切りかえて行くという意図が、はつきりと打出されております。附属の三に関しましては、いろいろな管理手続の細部がきめられております。なお附属の四といたしまして、船員関係の取扱い手続が出されるように承つたのですが、これは正式文書としてまだ示されておりません。労働政策につきましては、このような契約注文、あるいは附属書できめました事項に関しまして、軍側で実施をする場合のいろいろな指導の要綱が示されておるようでございます。 私どもがこの軍案の中において、特に重視をいたしました点は、先ほど申し上げました三者会議四箇月の交渉の中におきまして、私どもも軍側も政府側も、一応日米両国政府の共同管理の原則というものを合意確認したにもかかわらず、新たな軍案の中におきましては、この共同管理の原則を無視しまして、軍側があまりにも一方的な人事管理権の掌握を強く打出しておるという点を重視せざるを得ないのであります。もし軍案のようになつたといたしますならば、まさしくこれは占領時代の労務管理の実態と何ら相違ない実態を、ここに現出することが予想されるのであります。特に保安の解雇等に関する人事措置の問題、人員の整理に関する条項なり、好ましからざる者の就業停止の条項、労務者の指名及び採用に関しましては、軍側が一方的に権限を行使いたしまして、日本側に何らの異議を唱えさせず、また何らの調整の手続をとることを許さないというような、きつい表現がなされております。これらの条項につきましては、私ども過去の実際の経験に基きまして、このような事態になりましたならば、あまりにも多くの紛争がさらに出て来るということが予想されるのであります。少くとも三者会議の発足にあたりまして、この三者会議の意義、性格というものを私どもは確認をしておるのです。それはこの軍、政府、労働組合代表の三者で合意された事項は、日本政府とアメリカ政府との間においては、それが労務基本契約の内容となり、日本政府と労働組合との間におきましては、それが労働協約の内容となる実質対等性の会議である、こういうことが確認されておつたのです。それにもかかわらず、三者が合意したところのこの共同管理の原則を、一方的に踏みにじるような最終的な軍案に対しまして、私どもはきわめて大きな不満を表明せざるを得ないのであります。 さらにまた、主文の中で役務の範囲につきまして規定をされておりますが、この点につきましては、日本人でありますところの労働者が、駐留軍労働者として提供されますこの地域は、やはり日本国内を原則とするという点がはつきりとし、また日本国の領海内、あるいはまた日本国と極東における他の地点との間を合衆国により運航される船舶上における使用のためというように、役務の従事する地域的な範囲というものは、やや明らかになつて参つたのでありますが、この役務の範囲と関連いたしまして、基本契約の軍案の中には、駐留軍労務者が、日本の国内法によつてどのような身分と、どのような給与並びに勤務条件で取扱われるかという点について何ら触れておらないのです。駐留軍労働者の身分とか勤務条件につきましては、昭和二十七年の法律第百七十四号によりましてはつきりと明示をされております。身分に関しましては、国が雇用する者であつてもそれは国家公務員ではない。さらにまた給与とかその他の勤務条件につきましては、公務員の給与あるいは民間の給与または一般の生計費等の条件を勘案いたしまして調達庁長官がこれを定める、このように法律によつて明らかに規定されているのです。しかしこの契約案の中におきましては、そのような国内法の関係が何ら明示をされておりません。私どもは、少くとも新たに改訂される契約の中におきましては、このような労働者の国内法の取扱い関係が、日米両国政府によつて、はつきりと確認されるような措置がとられない限り、将来に大きい紛争の根本的な問題を残すものではないかと考えます。このような法律に反する条項を、はつきりアメリカ政府にも確認せしめる必要がある、かように考えておるのであります。 さらにまた契約主文の中におきましては、特需の契約においてもいろいろと問題になつておりますが、保安関係の問題が出て参ります。保安の関係につきましては、第五条に軍案といたしましては、a、b、cと三つの保安解雇等の基準が載せられております。そのa項といたしましては「作業の妨害行為、間諜軍事情報保護に関する規則違反あるいはかかる企画又は準備」、さらにb項といたしましては「起源、指導、統制、目的、方針あるいは活動に基き単独に、あるいは結合して合衆国軍隊の保安に害ありと思われる方針を採用し、支持し、あるいは承認する如何なる破壊的団体又は会の一員たること」、c項といたしまして「前記a項記載の活動に従事すると信ぜられる者、あるいは前記b項記載の団体又は会員である者と常習的に、あるいは密接に接触して、合衆国軍隊の保安に反して行動するとの結論を是とする程度までに至る行動」、このような三つの基準によりまして、軍側が一方的にこういう危険ありと認めた場合には、その者は解雇をされるというような条項が出されております。 これらを見た場合に、過去の例から見まして、私先ほど申し上げました三つの条項の適用解釈等に関し、かなりの拡大解釈がなされて、広範囲の労働者がその危険にさらされるという点、さらにまたこれを軍が一方的に行使するというような場合に、広い範囲の濫用的な状態を現出するのではないかと予想されますので、これらの条項については、もつと基準を明確にし、そしてまた緩和すべきではないかというように考えているのです。 〔委員長退席、山花委員長代理着席〕 さらにまた次には、保安と治安関係の労働者並びに消防関係の労務者に関して、大きな誓約条項を打出しております。それは保安と治安並びに消防関係の労務者は、その任務の正常な遂行に影響を及ぼすようなストライキ活動に従事をしない旨を書面で同意しない限り、または同意するまでは一切採用しない。さらにまた、現在勤務いたしております労務者も、保安並びに治安、消防関係の労務者は、六十日の間にそのようなストライキを行わないという署名をしない限り、もはやその後の勤務につかしめないというような条項が出されております。このような条項につきましては、私どもは、明らかにこれは憲法によつて保障されています労働者の基本的な権利の侵害ではないか、かように考えて反対をいたしているものであります。 さらにまた、労使関係当事者との団体交渉の問題につきましては、軍案の中におきましては、交渉権というものを無視いたしておりまして、軍側あるいは政府側と労働組合が交渉いたしますその交渉とは、単に労働協約締結の目的とか、あるいは締結となる見込みの目的を持つた協議あるいは話合いの意味である、このように規定をいたしているのです。このような条項は、明らかに労働組合に対して、法律によつて保障されている団体交渉権を否認している条項のように私どもは見受けるのであります。 さらにまた、裁判関係の争訟の問題に関しましては、労働組合が労働委員会に不当解雇の問題等について救済を申し立てて、労働委員会から救済命令が出た場合、ないしは不当解雇等に関しまして、裁判所に対して身分保全の仮処分等を申請した場合に、その判決が出た際、その最終的な執行力について明らかにされておらないのであります。それらの条項は、従来もいろいろ紛争の問題になつておりましたので、新しい契約の中にはその点を、より明確にする必要があるのではないかというように考えております。 以上が、主文関係の重要事項についてでありますが、管理手続の中において私どもが無視できない点は、ストライキを行つた者に対しまして、休暇とかあるいは期末手当の支給に関して一般の労働者と異なる差別待遇を行うような条項が附記せられております。これは明らかに不当労働行為に該当するものと考えられるのであります。 さらにまた管理手続の細部については、すべて軍側が諸事項の人事措置というものを一方的に取扱う、その間においては日本政府側の容喙する余地がほとんどないというような軍案であります。 次に、労働政策の問題を見てみますと、この中には、政策の第二号といたしまして「組織された従業員団体との関係」という労働政策が出されております。ここには労働組合及びその他の従業員団体との関係について述べられておりますが、私どもは、この労働組合法によつて組織された労働組合以外の一般的な親睦団体等をもつて、労働組合と同等に取扱うことについて、すこぶる疑念を持つものであります。同時にこの労働政策の中におきましては、組合の活動に関しまして、きわめて制限がなされております。私どもは、かつては政府の給与負担によりましての専従者制度があつたのでありますが、昭和二十二年に、日本の一般公務員の中で最も早くこの制度を打切られたものであります。現在組合費の負担による専従者が、組合活動の一切を担当しておりますが、そのような専従者が、施設内に入ることが一切認められておらない。さらにまた、文書の配布等に関しましても、極端に制限をされておる。アメリカ政府あるいは日本政府の個人、機関または活動に反対する宣伝を含んでおるもの等は、一切中で配布することができない。また従業員の休憩時間の使用につきましても、自由に使うことが許されるというように書いてありますが、それは秩序を保つという条件がつけられ、またこの規定に定める範囲内ということに局限をされておりまして、その実態は、自分の働いている場所以外どこへも行けないというような状態になつておりまして、最小限度の組合の活動も、施設の中ではほとんどできないというような状態が、この労働政策の中から予想されるのであります。 さらにまた労働政策の中で、制裁の規定の関係におきましては、労働者のいろいろな措置につきまして制裁の基準がきめてありますが、これがきわめて苛酷なものであります。一例を申し上げますならば、一年間に三回職場の中でうろついておつた場合には解雇であるとか、一年間に三回上役の悪口を言つた場合は解雇であるとか、こういうような苛酷きわまりないような制裁の基準を出しております。しかも、その制裁の決定は、日本政府側の代表というものは、何ら左右することができなくて、軍側が一方的にこれを実施し得る。こういうような条項を軍側が出しております。 以上の点は、軍側の案につきまして、きわめて概要の問題点だけを申し上げたのですが、このような文案について、私どもが今までに得た情報といたしましては、軍側といたしましては、八月一日にこの軍案を強行実施して日本政府側に調印をせしめて、これで契約を新しくして行く、こういう情報を得たのです。さらにまたもう一点の情報といたしましては、もし労働組合等がこの契約案に反対する場合におきましては、軍側といたしましては間接雇用の制度をやめて、軍直用制度にすべて切りかえて行くという態度を決定したとの情報も聞いておるのであります。現在、政府が雇用いたしまして軍に提供しております労働者は、約十九万人ほどおります。万一軍直になりますような場合におきましては、現に昨年独立後、英連邦軍関係において一万三千ほどの労働者が軍直制度によつて雇用されておりますが、きわめて悪い条件でありまして、昨年も二回ほどのストライキ等を行つておりまして、まさに大きな労働問題なり、あるいは国際問題が、ここに発生して来るのではないかというように予想されるのであります。情勢といたしましては、契約の改訂の問題について、そのようなことが一応予想されておるのであります。 私どもはこの軍案の問題点についていろいろ検討いたしておるのでありますが、もちろん軍案を検討する場合の態度といたしましては、いろいろな角度から見ることができると思うのであります。まず第一に重視いたします点は、労働者が憲法によつて保障せられている権利というものが、はつきりこの契約の中において確保されているかどうか、また行政協定の中におきましても、日本の労働法を完全に適用するということをうたつておりますが、その通りになつておるかどうかというような点、さらにまた先ほどちよつと触れました駐留軍労働者の身分とか給与等に関する法律百七十四号の事項が確認をされておるかどうかというような点、さらにまた一般的には、日本の法律関係において、特に裁判所の判決等の拘束力の問題が、どのように契約の中に明らかにされているかというような点、さらにまた行政協定との一般的な関連におきましては、行政協定第三条あるいは第十二条ないしは第二十五条等の条項との関連において、労働者の権利というものがどのように確保されているか、さらにまた現行契約との比較、あるいは現に行われておりますところの労働者の労働の条件がどのように確保されているかというような、いろいろな角度から見なければならぬと思うのですが、一応私ども集約いたしました意見といたしまして、駐留軍の労働の問題につきましては、間接雇用制度というものを堅持して、そうして将来とも契約労働というものを継続する立場をとつて行く。特に契約案に対しましては、三者会議の交渉の経緯等もありますので、不満ではありますが、一応日本政府とアメリカ政府との共同管理というこの原則までは認めて行く。さらにまたいろいろな事項につきましては、分科会等で合意された事項を基礎といたしまして、契約に対する修正を要求して行く。最後の一点といたしましては、現在行われております契約は、先ほど冒頭に申し上げましたように、占領時代の契約そのままを延長実施されておりますので、このような契約はすみやかに改訂をいたさなければならない。こういうような基本的な態度をもちまして、契約に対しまして組合側の立場から修正を政府並びに軍側に要求いたしまして、なるべく早い時期に改訂を行つて行きたい、かように考えておるのであります。 もちろん問題の主要点につきましては、先ほども触れましたように、主文関係におきましては、やはり大きな問題としては、警備消防員に対するところのストライキ制限の問題なり、あるいは保安上の解雇の基準の問題、また人事管理に対するところの軍側の一方的な権利の行使の条項なり、あるいは団体交渉権の確立という条項、さらにまた労働組合の権利といたしまして日本の労働法によつて設けられております労働委員会のあつせんとか調停とか、このような事項に関しまして軍側が十分尊重するような事項を、やはり契約の中に確認すべきではないか。さらにまた裁判所の判決の関係についても、より一層明瞭にしなければならない、かように考えておるのであります。 その他、附属書の関係におきましては、共同管理といいながら、日本政府の管理権というものを一切無視して、ほとんどノータツチというような状態にせしめるような事態は、絶対に反対をしなければならない。労働政策の条項につきましては、これは軍側がたとい現地部隊を指導するところの政策、指令でありましようとも、それによつて直接の被害をこうむるものは十九万の労働者でありますので、この政策、指令に関しましても、徹底的に修正あるいは削除を主張しなければならない立場に置かれておるのであります。 軍案のうち、主要な事項につきまして一部申し途べた次第でありますが、このような軍案に対しまして、しからば日本政府側はどのような態度をとつておるかという問題であります。私どもの観察によりますれば、きわめて自主性のないところの立場をとつております。すでに一部の機関におきましては、この軍案の受諾やむなしというような態度をとつておるというようにも聞いております。このような情報につきましては、私どもはまつたく不満であります。独立した後の政府といたしまして、しかも対等の立場において締結すべき契約の中において、独立国の政府といたしまして当然要求すべき権限をも、あえてこれを放棄するような態度については、私どもは絶対に是認することができないのであります。特に三者会議におきまして合意した共同管理の原則について、あまりにも多いアメリカ側の特権的な要求に対しまして、もし政府機関がそのような態度をとるといたしましたならば、ここに大きな問題を惹起することが予想されるのであります。 もちろん私どもも、この契約というものは、やはり行政協定と大きな関連があるということも、よく承知をいたしておりますが、特に一番最終的に問題になります点におきましては、たとえば不当解雇の問題につきましても、労働委員会が原職復帰の救済命令を出した場合、あるいは裁判所が原職復帰の判決を出した場合、軍側が行政協定三条による施設の管理権を主張いたしまして、そのような救済命令あるいは判決を拒否する場合においては、日本の法律は最終的にこれを拘束、執行する力がないので、未解決の問題を残すような事態が予想されますので、契約の中においては、これらの問題について、やはり将来紛争を起さないようなことを明らかにすべきではないか。しかも政府側としては、それはやむを得ないというような態度をも聞いておるのでありまして、きわめて遺憾に感じておるのです。 以上が、軍案の問題点について述べたのですが、次の項といしましては、この問題が労使間の問題としてどのような事態に立ち至つておるかという点について、大よそ申し述べまして、国会の議員の皆様方に十分の御理解をいただきたいと思うのであります。 まず、万一契約を強行いたした場合には――私どもといたしましては、このような事態はおそらくないであろうとは予想しておりますが、過去の例から考えましても、日本政府側が労働組合側に何ら協議することなく、軍側と協定をとりかわした事実等がありますので、予想されないこともないのでありますが、この契約強行の場合には、私どもは徹底的に反対の闘争を行う。さらにまた、軍が直接この制度を打出した場合についても、やはり契約労働を主張する立場から、徹底的に軍直制度への反対をいたして行くという態度をきめております。私どもの組合は、昨日臨時全国大会を持ちまして、このような軍案が強行される場合、あるいは軍直に切りかえられる場合ないしは組合側の修正案が拒否せられる場合におきましては、実力行使をもつてこれに対して闘うという決定をいたしております。昨日の代議員会において、無記名投票によりまして、百九十九票の投票のうち百九十五票の賛成という圧倒的な多数をもつて、このストライキをもつて契約の改訂闘争を行うということを決議いたしておるのであります。以上が労働問題といたしまして、日米労務基本契約の改訂問題がきわめて重要な段階に置かれているという事態であります。 最終的に要約して申し上げますならば、昨年来の契約改訂交渉でありますが、私ども自身も早期改訂の立場をとつております。そしてまた私どもが主張する範囲は、日本の憲法によつて保障されておるところの労働者の権利なり、日本の労働法によつて完全に保障されているところの権利を主張する範囲を出ておらないのであります。そのような状態におきましても、なおかつ単側が軍の特権を一方的に主張いたしまして、われわれの修正意見対して十分な考慮を払わない場合におきましては、私どもはやはり独立国の労働者といたしまして、十九万の労働者の権利と、さらにまた四十万ほどの家族の生活を守るために、この基本契約の改訂にあたりまして、組合側の修正意見を貫徹するために、徹底的に闘わなければならないという態度をきめておるのです。 駐留軍の労働の問題につきましては、これ以外に、現在各地方において軍側の一方的な措置によつて、あまりにも多くの紛争が起つております。過日も十六日に虎ノ門のモーター・プールで四十八時間のストライキが行われましたが、現在も九州におきましては、福岡地区において、今すぐにでもストライキが行われようとしておるような事態がございます。なぜこのような事態に到達するかと申しますと、軍側が特権を主張する。それに対して日本政府側が、要するに何ら自主性を持つたところの解決措置を講じないというところから、労働者の大きな不満といたしまして、このような大きな実力行使の問題が出ておるのであります。さらにまた現在朝鮮の休戦協定が近く締結される情勢もありますが、すでにこの具体的な兆候といたしまして、空軍関係におきましては、数千にわたるところの労働者の首切りが現われております。こういうような点を考えますと、契約問題をめぐつて、さらにまた休戦協定成立によるところの駐留軍関係の大きな労働問題がここに続発して来る、こういう事態が予想されるのであります。当面の問題としまして、駐留軍関係の労使関係の基本となりますところの日米労働基本契約の問題につきまして、ぜひとも自主性のない政府に対しまして、国会におきましては、過般参議院の人事委員会あるいは本会議等で可決されましたような、日本の労働法が基本契約あるいは特需契約における人事条項に優先するというような決議も行われておるのでありますが、このような趣旨と同等な趣旨におきまして、ぜひとも労働委員会におきまして、契約問題について十分御検討を賜わりまして、十九万の労働者が切実な要求として掲げておりますところの、契約に対する修正意見等の貫徹につきまして、十分な御配慮と御支援を賜わりたいということをお願い申し上げまして、公述を終りたいと存じます。
○山花委員長代理 各委員に御質疑がございましたら……。
○黒澤委員 ただいまの御説明で、労務基本契約改訂の経過並びに軍側の案の内容、組合側の主張等は、大体わかつたのでありますが、三月十日の第十六回の三者会議後、三者会議は開かれていないようでありますが、今日まで政府におきましては、この三者会議を再開するためにどのような努力をされたか、組合側でお知りになつておりましたら、お聞きしたいと思います。
○市川参考人 お答え申し上げます。三月十日に三者会議の本会議が開かれて以来、ずつと本会議は開かれていないのでありますが、先ほど申し上げましたように、本会議のほかに四つの分科会がありまして、この分科会のうち、一つは四月に三回ほど開かれております。私どもは分科会が最終的に開かれなくなりましてから、この点につきましても、契約を早期に改訂をすべきであるというように政府側にも申し入れたのでありますが、この三者会議が開かれなくなつた原因につきましては、労働組合側の主張と軍側の主張が完全に対立しておる、こういう点が一点でありまして、軍側と政府との二者の意見の調整、さらに軍側としましては総司令部がこの交渉に当つておつたのでありますが、特に陸海軍の司令部等からかなり強いて不満等が出されまして、軍内部の意見の調整も必要だというような情報も承つておつたのであります。政府側といたしましては、若干の期間、軍との意見調整を行つたように聞いておるのでありますが、それ以外に積極的に三者会議の開催についての努力をなされたという向きには、私どもは遺憾ながら了承できない状況であります。
○黒澤委員 それではこの本会議が中絶しましてから今日まで、政府と軍の間で何かの交渉が持たれたようなことをお聞きしておるかどうか。
○市川参考人 本会議がとざされましてから、その後におきまして、私どもは情報といたしまして、政府と軍側におきまして一部意見の調整を行つたということを聞いております。それ以上のことは承知いたしておりません。
○中原委員 組合側の御説明は、大体よく了解することができました。かんじんなことは、この問題に関連して、日本国政府としては一体どういう見解を持つておるのか、そのことを聞きたいと思うのでありますが、おそらく向うとの折衝に直接当るであろう外務省が見えておりませんから、従つてこれは必ず外務省側の出席を要請して、その席上でこの点をただしたいと考えます。しかしながら、やはりこれは駐留軍関係の労務者も、日本国内の労働諸法規の適用を受けておるということを、幾たびか繰返して参りました労働省当局のこの問題に関する見解を聞いておきたいと思います。――次官は見えるのですか。
○山花委員長代理 次官はきようは来ておりません。
○中原委員 大臣は……。
○山花委員長代理 大臣は後刻こちらへ来るそうです。
○中原委員 事務当局ではまずいのです。やはりこういう重要な問題が提起されておるときは、その正常な責任のある人が来ないのはおかしいと思う。
○山花委員長代理 来ることになつております。
○中原委員 そうすると、ほんとうは質疑する必要はないのです。わかり切つておるのです。そこで、日本国政府としては、一体どうするつもりなのか、これが大事だと考えます。従つて、どうしようとする責任ある当局者が出席せられなければ、この問題に対するこの会議の目的は達成されない、そういうように私は思うのであります。
○山花委員長代理 中原君に申し上げますが、大臣は後刻来ることになつておるそうであります。来てから質疑していただきたい。
○中原委員 それではそれで……。
○山花委員長代理 それでは市川参考人に対する質問は別に、ございませんか。――別にないようでございますから……。 なお市川参考人に申し上げますが、明日の委員会にも御足労ながら御出席願いたいと存じますから、御了承願います。それでは質疑を続行いたします。井堀繁雄君。
○井堀委員 明日通産大臣と労働大臣の御出席を願つてお尋ねいたしたい点がございますので、この点は明日にまわしまして、事務当局に一、二お尋ねをいたしておきたいと思います。 それは最近の労働基準法の監督行政について、種々労働者側から、ことに各地に労働基準監督署を中心にしまして民間の協力を得るという建前で、基準協会というような名称の団体ができまして、この団体の活動の中には、大いに歓迎すべき点もございますが、また非常に大きな弊害を認めるものがございます。こういう点について、労働省はどの程度御承知で、またそういうものに対してどういうお考えでおいでであるかを一応伺いまして、時間がありますれば、具体的な事実について申述べたいと思います。
○亀井政府委員 各監督署にございます団体の点でございますが、当初法律を制定しまして、これを施行するにつきましては、やはりこの法律の周知徹底というものが大事でございましたので、当時の情勢におきまして、監督署だけの力では十分その周知徹底が期しがたいということから、自然発生的にできて参つております。当時は司令部の指示もございまして、これにつきましては、われわれといたしましては消極的な態度をとつて参つたのでありますが、しかし自然民間の中で盛り上つてできますものについて、これをとめるといいますか、その機運に対して水をぶつかけることはおわれわれの立場として困る関係にありましたので、ある程度大目に見て参つたのが現状であります。しかしながら、お話のように、中には当初の設立の目的を逸脱して活動いたしておるものもありますが、これらのものにつきましては、その都度是止をさして参つております。今後これらの団体をどうするかという問題につきましては、すでに当初の目的を達しました団体もございますので、これらのものにつきましては、できるだけその団体を解散するようにわれわれとしましては勧奨して行きたい。従つてまた今後とも残さなければならない団体につきましては、これはこれに関する監督を厳重にいたしまして、間違いのないような方向に導いて行きたいというふうに考えます。
○井堀委員 そこで、私も多くを知りません、あとで材料を提供していただきたいと思いますが、大体いずれの地域においても、こういう種の団体は現存しておると思つております。そうしてこの団体はそれぞれ予算を持つており、おおむねその基金が――最近地方の基準監督署の活動状況や、あるいは労働省の予算を通ずる活動費などについて、非常に地方の基準監督署における活動ははばまれているということはお認めだと思いますが、この中から多額の補助を得ておるというような形が相当露骨になつて来ておると、私は承知しておるのであります。そういう点に対して、労働省はどのようにお調べになつておるかを承つておきたいと思います。
○亀井政府委員 国の予算で執行しますべき問題と団体自体の活動に待つべき問題と、これは截然と区別すべきものでありまして、そこに公のものと私的の団体のものとの混同は許さるべきでないというのが、私の考えでございます。従いまして、そういうふうな経常的な監督署の経費につきまして、団体にこれを依存するというふうなことは、私としては避くべきことであるし、もしそういう事実があれば、これを是正させるつもりでございます。団体は団体としまして、たとえば、具体的に申しますと、安全週間等の場合、役所の経費としまして、安全週間に要します経費は流すのでございます。その啓蒙宣伝に要しますポスターとか、あるいはパンフレツト、こういうようなものにつきましては、団体みずからこれを会員に配るというふうなことはございますが、そのために必要な職員の旅費とか、あるいは庁費というようなものを団体が見ますことは、われわれとして今までないと思つております。もしありとすれば、そういうものは是正させなければならぬと思つております。 〔山花委員長代理退席、委員長着席〕
○井堀委員 一度ぜひ労働省のお調べになつている資料を見せていただきたいと思いますが、私の承知しております実例によりますと、もちろん表面は国の当然負担すべきものを協会が負担するはずはありません。しかし、実際上の問題については、その判別の困難な事情を、労働省はどの程度お調べになつているかということが問題になるのであつて、こういう点は、監督権を持ち業者に対する監督の地位にある者が、どういう形であつても、援助を受けるとか恩恵を受けるというようなことがあつては、監督行政の上に障害が起ることは申し上げるまでもないのであります。でありますから、こういうものについては、細心の注意を払つて御調査が行われておると思うのでありますが、そういうものに対する資料を御提出願いまして、その資料について、私の承知しておるものと、労働省のお調べになつているものとに食い違いがあれば別でありますが、同一であれば、それを中心にして意見を伺いたいと思います。この点につきましては、打切つておきたいと思います。 次に、同様基準監督署の最近の地方の実情ですが、今度も二十八年度の予算を見まして、大体あれでは現在の基準監督署の活動というものに対して、私ははなはだしく制約を受けるという心配をしておる立場からお尋ねするのです。今私の、協会の援助を受けておるものの問題も、この点に関連すると思うのですが、これは明日もありますので、その節詳しくお尋ねをし、御意見を伺おうと思うのでありますが、私どもの考え方からいたしますと、基準監督署の仕事は、どういう点から判断いたしましても、もつと積極的な機能を要望されるのではないかと思います。監督は、必ずしも違反を摘発、処分することを目的とするものでありません。いかにしてそういう違反を未然に防止するかというきわめて重要な労働行政の第一線にある機関であります。この機関が、今日のような予算で――私が一々申し上げるまでもないと思いますが、一人当りの受持職場といいますか、事業場といいますか、そういうものを、多いところにおきましては、一人の人が全部まわつてしまうということはもちろんできません、所長以下全員をあげて現場を臨検するということになりますと、相当の人員を要する。言いかえれば不可能な仕事を背負つて立つているという傾向が露骨であります。こういうようなものに対して、一体あの予算でどういうように消化して行かれるか、そういうものに対する見解を具体的に伺つておきたい。
○亀井政府委員 お話の点は、主として監督に要します旅費を主体としてのお話だと考えますが、本年度の予算の積算の基礎としましては、監督官が月に二十月外に出て監督し得るだけの予算が監督官について計上をされております。ただ御承知のように、予算の修正によりまして、さらに一般の旅費と同じ程度の減額を受けましたために、その点が多少の圧迫を受けるわけです。従来の実績といたしましても、この二十日の旅費の基礎の上に立ちまして、統計資料によりますと、大体十二日から十三日、一人の監督官が出ております。あとは内部事務の整理等に当つているわけであります。そこで、修正を受けました予算をどういうふうに効率的に使つて行くかという問題が、実は悩みの種でございまして、また機会がありますれば、われわれとしてこの増額に努力したいということはもちろんでございます。ただそれまでにどうするかと申しますと、結局はこれは監督の方法につきまして、もう少し検討を加えるべきではないだろうか、たとえば中小企業の一人、二人を雇つております事業所を一々まわりますことは、現在の予算では十分でないことはもちろんでございます。従いまして、そういうところでは協同組合、あるいは使用者の団体というふうなものを通じましての、いわゆる団体的な監督と申しますか、そういうことも考えております。あるいは商店街等につきましては、そういう商店連盟とか、商店街というふうなものの団体でお互いに話をして、基準法の遵法をして行くというようなこと、あるいはさらにまた監督官の質の向上につきましては、かねてやつているところでありまして、研修制度その他によりまして再訓練をし、監督技術の上にあらゆる手を打ちまして、不足を補つて参りたいというふうに考えている次第であります。
○赤松委員長 実は労働大臣が参議院の予算委員会でなお質問があるようですから、できれば労働大臣に対する質疑を先にやつてください。
○井堀委員 明日通産大臣、労働大臣の出席を求めてそこでやりたいと思いますから……。
○赤松委員長 それでは他に労働大臣に対する質疑があれば許します。
○山花委員 労働大臣は出席をされていなかつたために、ただいまの全駐留軍労働組合委員長市川誠君の参考意見をお聞きになつていないから、多分無理だろうと思いますが、その他の諸君から一応お聞きくださつて、御所見を承りたいと思います。ただいま市川君が、アメリカ軍当局と、これに雇用されておりますところの、俗にいう駐留軍労務者関係における雇用の基本契約、通称日米労務基本契約といつておりますが、その政府とアメリカ軍との折衝過程を、つぶさにここで御発表なさつたのでございますが、市川君の発表の中に、もし市川君の意見があればこれを除きまして、その他はその発表に間違いがないかどうかという、政府の御確認を願いたいと思います。
○小坂国務大臣 ただいま山花委員からお話があり、市川君から公述があつたという問題につきましては、私も非常に関心といいますか、心配をしておる問題なのであります。私は、今日この俗にいう駐留軍労務者諸君が、気持よくやつていただくために、われわれとしては、できるだけのことをしなければならぬ、こう考えまして、ちよつと長い表題になりますが、日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊に対する日本人及びその他の日本在住者の労務提供に関する基本契約の問題、それにつきまして七月三十一日に期限が切れるということになつておりまして、その間、いろいろ私どもとしてみましても、できるだけ進駐軍労務者各位の御意向も入れるべき点もあると考えますので、率直に、結果から申しますと、明日の閣議に諮つて延長をしてもらいたいというふうに考えております。新しい契約を結ぶには、目下外務省を通じて折衝を依頼しておるのでありますけれども、その折衝とても相手のあることで、なかなかそう簡単にも行かぬようでございますし、さりとて、私どもはそれをそのまま承認するわけにも行きませんので、ひとつわれわれの満足するまで延ばしてもらおう、こういうふうに考えておりますので、八月一日から新しい契約に入ることはない、こういうことだけはつきり申し上げておきたい。 それからなお、今政府委員からメモをまわしてもらいましたが、それによりますと、問題点はスト回避条項、いわゆる保安条項、それから団体交渉権の確立、こういう問題点につきましての修正意見といいますか、市川君の駐留軍労務者を代表しての御希望というものはごもつともと考えられますので、労働省としましては、外務省を通じて、さらにこれを強く折衝してもらうように要請する考えであります。
○山花委員 私のお尋ねいたしましたのは、ただいま政府が、駐留軍労務者の要望に対して、これがもつともかどうかという、その意見を聞く一つの段階といたしまして、市川君のここで説明されました従来の交渉の経過のいきさつの発表に、政府当局としては聞違いがないかどうかという、その確認をお聞きしておるのであります。もし間違いがございましたら、ここで審議をするにつきましても重要な支障を来しますから、審議の正確を期するために、市川君のただいまの話に間違いがあるかないかという、労働省当局の御見解をお聞きしておるのであります。
○小坂国務大臣 私あとを急がれておるので、結論を申し上げましてたいへん失礼いたしましたが、この問題は、主として調達庁がその契約の相手方のようなかつこうになつておりまして、調達庁からただいまの問題についての確認を得たいと思います。中村労務部長がおりますから……。
○中村(文)政府委員 お答えいたします。先ほど来市川委員長より御説明のありましたわれわれの交渉の経過につきましては、あれでおおむね尽きておると思つております。ただ立場が違いますので、あるいは見解の問題につきましては、多少の違いがあるかと思いますが、おおむね尽されておると思います。
○山花委員 私のお尋ねいたしましたのは、この交渉のいきさつの発表に際して、もし市川君が意見をはさんでおるというような場合は、その意見を除いて、交渉のいきさつについて正確であるかどうか。だから、立場が違うとかなんとかいうただいま政府当局の説明でございましたが、そういう立場を聞いておるのではないのであります。交渉の過程のいきさつを話されたことが間違いがあるか、ないかという政府の見解を御披瀝を願いたい。今後この問題について私どもが真剣に討議する誤りない一つの判断の資料として、お聞きいたしておるのであります。
○中村(文)政府委員 お答えいたします。昨年の八月以降の交渉経過それから十二月以降三者会議を持たれました。これにつきましては、おおむねその通りでございます。ただ、三月初旬打切られました後におきまして、日本側から一応の修正案といいますか、これを提出いたしております。このことにつきましては触れておらぬように考えました。それから四月六日になりまして第四次の軍案が出ております。それからさらに四月十三日に日本政府の修正案を一応二者で話合いをしております。この関係は入つておらなかつたと考えます。その他のことにつきましては、おおむね市川委員長のお話に尽されておると思います。
○山花委員 ただいま政府当局からの御答弁によりますと、おおむね正確なことをここで発表しておるが、三月初旬以降若干のものについては、市川参考人から発表されてなかつた、こういう御答弁でございますが、この点に関しまして、もしそういういきさつが漏れておるかどうかという点につきまして、市川参考人にお聞きしたいと思いますから、委員長、よろしくおとりはからいのほどを願います。
○市川参考人 お答えを申し上げます。三月十日の本会議が最終的に開かれまして、その後催されたものにつきましては、本来ならば政府側といたしましては、当然軍との折衝経緯につきまして、労働組合側にも通知さるべきであろうとわれわれは考えておるのですが、それらの事項については、公式に何ら組合側には通達を受けておらないのであります。従つて、今中村政府委員から述べられました日本政府側からの修正案というようなものは、私どもには一切提示されたことはございません。そのような状況そのままに相なつておるような次第であります。
○山花委員 ただいま市川参考人の答弁によりますと、三月十日以後の日本政府側から提示された内容については、組合としては報告を受けないし、全然知らない。従つてそれをここで参考意見として申述べるに至らなかつた、こういう御答弁でございました。 そこで私は政府当局にお尋ねしたいことは、市川参考人がこの席上で開陳された従来のいきさつについては、おおむね誤りない、こういう御答弁でございました。そこで今回軍側の方から駐留軍労務者に関する労務基本契約を政府当局の方に指示しておりますが、この軍側の提示された内容は、日本国政府として妥当な内容であるかどうかという、政府の御見解をひとつ御披瀝を願いたいと思うのであります。
○中村(文)政府委員 最後案として出ましたのが六月十一日の案でございますが、この案につきましては、いろいろとわれわれも検討いたしおります。先ほど来市川委員長から御指摘がありましたようないろいろな問題につきましても、われわれは検討をいたしまして、ひとりこれは調達庁だけではございませんので、関係各省の会合を煩わしまして、数次にわたつて意見の調整をいたしております。近くそれらの成案ができますれば、外務省を通じて軍の方に申入れをして、一応先ほど来から話が出ましたように、軍と調達庁はいわゆる合同管理、共同管理といいますか、そういう立場にありますので、それらで一応の意見の調整をして、その上で必要な措置を講ずる必要があるのではないかという考え方を持つておりますので、政府部内での調整ができますれば、一応軍に提示したいという考えを持つております。
○山花委員 調達庁とアメリカ軍との間において一応の調整を行いたい、こうい御回答でありましたが、調整を行いたいということは、アメリカ軍当局が発表いたしました最終案である日米労務基本契約に対して、これを不合理なものと認めて、その認識の上でこれを調整して行こう、こういうふうにお考えになつておるのかどうか、もう一度お尋ねしたいと思います。
○中村(文)政府委員 そのことにつきましては、問題がいろいろわかれると考えます。たとえば法律上違法である、あるいは妥当でない事案もあります。また事務処理上きわめて不合理と考えられるような事案もあります。さようでございますので、法律上不合理な、あるいは違法な問題につきましては、もうろんこれは向うの注意を喚起いたしまして、国内法を重視するという行政協定の線に沿うて是正方の話合いをしなければならぬと考えます。また事務処理上いろいろな措置を講ずる上から行きまして、実施できないような困難なこともあると考えられますので、これらにつきましては、双方話合いの上で調整をはかつて行きたいという考え方を持つておるのであります。 〔赤松委員長退席、持永委員長代理着席〕
○山花委員 国内法に関連していろいろ不合理な点があるので、改正して行きたい。先ほど労働大臣も、結論といたしましては、八月一日からの発効を延期して行きたい――延期して行きたいということについては、やはりこの問題について不合理な点がある、こういう御認識に立つておられるがゆえに、この問題の善処処置として、その延期の期間中に努力して行こうというふうに私どもは受取つたのでございますが、こういう私どもの受取り方に間違いがないかどうか、労働大臣にお答えを願いたいと思います。
○小坂国務大臣 お答え申し上げます。軍の設備及び区域におきます保安上の臨時措置、あるいは保安要員及び消防夫のストライキ回避、あるいは労務管理の保障とかいうような、その他数点重要な問題点があると思いますが、これらの問題に対しましては、われわれといたしましては、労働者保護の見地から見ましても、国内法上の点もございますし、労働政策上の見地からいたしましても調整を要すると考えておるのであります。従つてこれらの点について、今後折衝をいたしたいと考えておる次第であります。なお附属書につきましても、細部にわたつて、違法あるいは不当と解せられる条項があると考えております。そういう趣旨であります。
○山花委員 私の質問はこれで終ります。
○持永委員長代理 ほかに労働大臣に対して御質問はありませんか。――なければ、次会は明二十四日午後一時から開会することとし、本日はこの程度で散会いたしたいと思います。 午後四時五十五分散会