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16回国会衆議院1953/07/16

労働委員会 第13号

発言数
42
登壇者
10
会派数
3
開催日
1953/07/16

会議録

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 これより会議を開きます。  日程に入ります前にお諮りいたしますが、山村新治郎君が去る十三日に委員を辞任されましたので、ただいま理事及び港湾労働に関する小委員がそれぞれ一名欠員となつております。この際、理事及び小委員の補欠選任をいたさなければなりません。これは前例によつて委員長より指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕     —————————————

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 御異議なしと認め、中助松君を理事及び港湾労働に関する小委員に指名いたします。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 これより西日本水害地の労働対策に関する件を議題といたします。現地の福岡の労働金庫の江口義美君と、それから炭労の蛯谷武弘君を参考人として意見を聴取いたしたいと思います。江口義美君。

江口義美福岡県労働金庫理事長

○江口参考人 貴重な時間を拝借いたしまして、西日本の今回の水害に対しまして国会でいろいろ……。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 ちよつと参考人、待つてください。ただいま大野国務大臣が出席されておりますが、御承知のように西日本水害対策本部の責任者でございます。そのつもりで参考意見を述べていただきます。どうぞ続けてください。

江口義美福岡県労働金庫理事長

○江口参考人 いろいろ応急的な対策並びに恒久的な施策について御考慮願つておりますことを、厚く御礼を申し上げます。  私は、労働組合と違いまして、組合がつくつておりますところの、全国に三十一の金庫がございますが、そのうちの福岡県の労働金庫の理事長をやつております。  今度の災害が非常に大きかつたために、私どもだけの県の問題を考えましても、とうていこれは西日本で水害を受けた労働者諸君の生活の安定については、いろいろ至らぬところがあるであろうと思います。従いまして、熊本県にただいま金庫ができておりませんために、長崎と、それから佐賀、福岡、山口、大分、この五県が集まりまして、一応対策を練つたのでございます。ここに皆さんのお手元に災害の状況その他につきましては、参考書類を差上げてありますから、それで御検討願うといたしまして、いまだに、きのう保利農林大臣のおつしやいましたように、佐賀の県庁だけでも、まだ三〇形ぐらいの出席者しかない。職員の中で、自分の家の流失の処理、あるいは着物のぬれている、あるいはよごれているものの処理、その他家計に追われて、三〇%しかまだ出席がないというようなことであります。私ども県下におきましても、全労働者の中で、特にひどかつた久留米地区あるいは遠賀川の鞍手職安地区、直方地区、それから北九州の門司、小倉、八幡地区、これらにつきましては——あそこはわが国の産業の重要な動脈です。そこの職員が、まだみずからの家の処理のために、あるいは生活の処理のために出席をしておりません。そのために産業が非常に遅滞を来しておるという現状であります。私ども、何とかしてこういう人たちに救済の手を差延べる必要があると考えまして、さきに、御出席願つております大野国務大臣に、西日本水害対策本部を私ども訪問いたしまして、このことについて、何かひとつ政府では御考慮の余地はないだろうかというお願いをいたしたのであります。そのときに国務大臣は、それは重要なことであるけれども、現在こういうふうに非常に困つておる人たちが、跡を断たずつめかけておる現状であるから、書類をもつて一応その状況並びに皆さんの要求を出してもらいたいということでありました。私どもありがたくその御意向を承りまして、ただちに書類を作成いたしまして、十三日にこちらヘ持つて来たのであります。ところが各省と折衝いたしましたが、農民その他については、営農資金その他を出しておるけれども、それには生活資金というものは出しておらない。だから労働者の生活補助のために生活資金を出ずということになれば、全西日本水害地の被災者に対する全般的な問題であるから、事務的にさようなことはむずかしいというのが、私ども折衝いたしました現在までの経過でございます。  また、けさ緒方副総理にもお会いいたしまして、特に出身地が水害地でございますし、また私どものためにお働き願わなければならぬという立場から、いろいろお話を申し上げました。大野国務大臣も、それから緒方副総理も、何とか政治的に解決をしなければならぬ問題であるが、あと大蔵当局の事務的な問題が残つておるので、そこが何とか話がつけば、自分たちとしても何とかやつてやりたい、こういう意向であるということをちよつと承りまして、私ども非常に感激をいたした次第であります。  さて、こういう人たちを救済するということ——生活資金か、生育資金かという問題でございますが、私どもの考え方といたしますならば、労働者は、これは今の災害地の状況にたとえて申しますと、農地にたとえますと、稲田の苗みたいなもので、病害にいためられ、あるいは水害でいためつけられておるから、それを直すにはやはり肥料をやらなければならない。土地改良をやらなければならないというような問題が残つている。そういうことで、農民には肥料の営業資金その他を融資されるということになり、また工場その他につきましても、産業施設の復興のためには、機械だけが復興いたしましても、これに伴う、その機械を動かす動力がない、労働者がないということになれば、これまた機械は動かない。そこで、こういうふうにお考えになつていただいたらいいのではなかろうか。労働者といえども、これは機械設備の一環として、工場施設を復興する、こういう立場から、生活資金というのではなくして、生業資金のうちに入れてもらいたい、産業資金のうちに入れてもらいたい、こういう私どもの要望であります。  しかし何と申しましても、広い範囲の水害でございますから、私どもが全体の人たちにそういう資金を出すと申しましても、私どもの資力、あるいは現状においては、さようなことはできかねるのであります。従いまして、私どものできる範囲、実力の備わつたところで、政府からお借りした金を責任をもつてお返しをしなければならぬ。そういう立場から、一応全体の被害の状況を集めてみますと——各県で要求をして参りましたものを集計いたしますと、約十六億になるのであります。この十六億というような莫大な金は、西日本の水害に対して三億のつなぎ融資しか出ないという現状では、そういう要求はできぬであろう。また私どももさような力はない。かように考えましたときに、早急に私どもで救済をしなければならぬものは、はたしてどのくらいあるかということを検討いたしましたところ、結論といたしまして、この五県で一億二千万という数字が出たのであります。しかし、これは政府だけに私どもがたよつておつても、できないことでございますから、できますならば自分たちの力で、わが国の産業復興のためには、労働者みずから立ち上るという援助を私どもでやりたい、かように考えまして、検討の結果、この五つの金庫でできる融資の範囲が五千四百万ばかりございます。これは福岡県におきましては、ただいま七千四百万円の預金と一千流百万円の出資金を持つておりまするから、額におきましては約一億の金がございますが、それに支払い準備金、あるいは一般生活資金のために貸し出す予約のものがございまして、そういうものを差引きますと、ただいま福岡県だけで三千万円の金しかない。そこで、五県で動かす金が五千四百万ということになりますから、まず全国の労金で、この西日本の災害に対してどういう救済の手を差延べることができるかということを、十三日に私ども参りまして相談いたしましたところ、全国の労働金庫から五千万円出してくれる。これを締めまして、私どもの力でできるのは約一億であります。この金を貸し付けることになるのでございますが、何と申しましても、現状におきましては夏場でございますから、着物の点についてもそう心配はいらない。家の問題につきましても、そんな心配は今のところしないでいい、野原に寝ていてもしのいで行ける。しかし、それでは生産のために立ち上ることができないから、それに対してひとつ融資をして生産に立ち上らせたい、かように考えた次第であります。しかし、これが冬場に向いますと、また着物の問題とか、家の問題が本格的な問題になつて参ります。さような場合には、また第二段の工作として対策を考えなければなりませんが、さしあたつて二億二千万の金を国家の資金運用部資金の中から預託していただくか、あるいは貸し付けていただくか、そういう方法をとつていただきたい。  しかし、これは短期でも私ども困るのであります。今申しましたように、冬場を控えておるという関係から考えますと、相当長期にわたつて融資をしていただかなければ、私どもとしても困るということになるのであります。そこで私とも、三年間、政府でこれに無利子でお貸し願えないかという御相談を申し上げておる次第であります。しかしながら、ただいまも申し上げました通り、どうしてもこの金を事務的に出す方法がない。私どもが折衝いたしました結果は、そういうふうになつております。ただ、そこだけが残つておりますから、労働委員会でも、労働政策の一環といたしまして、さような事務的な処理もございましようが、かかる非常の事態に対する特別措置として、資金運用部資金の一部をおさきくださいまして、ひもつきで、ひとつ労働金庫の方に預託をしていただきたい、かように考えております。  以上でございます。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 蛯谷武弘君。

蛯谷武弘日本炭鉱労働組合九州地方本部法規対策部長

○蛯谷参考人 私は炭労九州本部の法規対策部長をやつております蛯谷でございます。大体一般的な状況はすでに新聞などにも報ぜられておりますし、また政府におきましても十分なる調査をやつておられますので、ここで一般的の問題について、くどくど申し述べる必要もないと思いますが、現在、特にわれわれ関係いたしております炭鉱関係の水害が、非常に大きいのであります。その炭鉱関係の水害並びにそれから起つて来ておるところのいろいろな問題につきまして、重要な問題を若干申し述べてみたい、かように考えております。  一般的な状態といたしましては、当時の状況におきましては、非常な混乱を招いておりまして特に炭鉱社宅の浸水その地によりますところの状況、特に通勤者の関係におきましては、ほとんど浸水あるいは家屋の流失、倒壊その他によりまして、就業不能のような状況に陥つております。また一部におきましては、特に仕事に行く作業衣さえも全然ないというような形から、そのための就業不能も相当出て来ておるような状況でございます。この点は、時六の経過とともに若干緩和されて参つておるわけでありますが、現在におきましても、社宅居住者における従業員は大体就業いたしておりますが、通勤関係の従業員その他は、いまだ約半数が就業しておらないというような状態になつております。  なお、このいわゆる個人的な通勤不能、就業不能におきますところの補償の問題でございますが、協約その他で、補償されておるところにおきましても、わずかに二日ないし三日という形でございます。ところが、実際問題として家屋がなくなつたり、あるいは浸水を受けたりして、日常の生活にさえ困つておる状態におきましては、二日や一二日の休業においては、当然就業状態に立ち至ることが非常に困難でありますので、実質上は何ら補償されずに、この休業が続けられておるというような状態になつております。これはただちに今後の、何と言いますか、生活不安をもたらす一つの大きな原因になつておりますので、この点、何らかの早急な対策が講じられなければならない、かように考えております。  なお炭鉱の水没も政府において詳しく調査されておりますように、莫大な数に上つおります。ことに中小炭鉱関係におきましては、今度の水害で被害のない炭鉱というものは、数えるくらいしかございません。一般的な問題といたしましては、当然水没した炭広におきましては、従業員の全員解雇、あるいは完全復旧まで一部解雇という形か、現在のところ全面的にわたつて出て参つております。この全員解雇あるいは一部解雇の、そもそもの水害における原因いろいろ考えてみました場合におきまして、中小炭鉱は、御存じのように平常時においてさえ鉱山保安法が完全に実施されておらない。このような状態におきまして、もし鉱山保安法が平常において完全に実施されておつたならば、少くともこのような水没という現象かなかつただろうと考えられる炭鉱が非常に多いのでございまして、この点、経営者の平常におけるところの保安業務、あるいは保安施設の不完備、あるいは経営者の怠慢によるところの水没か非常に考えられる。この面に対しましても、私どもは十分に関心を持つて今後の措置を考えなければいけないのではないか、かように考えております。  なお、水没から来るところの全員解雇、一部解雇における労使間の紛糾が随所に起つております。特に現在佐賀県の岩屋炭鉱等におきましては、千二、三百名の炭鉱でございますが、現在当所におきましては、復旧を要する期間だけ、千名程度解雇する形で話合いが進められておつたのでありますが、これが予告手当その他の問題で紛糾を招いた結果、会社の方から、会場員解雇する、復旧の見込みが立たないというようなことまで申して参つておるというように、紛糾を続けております。このようりに全員解雇、一部解雇のこの根本的な原因そのものに対しましても、われわれは十分な関心を払うとともに、この解雇の条件が、さしあたつて労働者にとりまして大きな問題となつて来るのでございます。  この解雇の条件と申しましても、いわゆる基準法にあるところの予告手当の問題でございます。これは経営者は、今度のような場合には、一律に予告手当を出さなくてもよいということになつておるから出さないというので、現在予告手当を出して解雇したというような事例は、われわれは見ておりません。ところが、この予告手当そのものも、たとえばただいま申し上げたような事情で、あるいは会社でも出してやりたいが金がないというような状態だと、会社でも言つております。これに対しましても、何らか政府として緊急な対策を立てていただきたい。といいますのは、平常時におきましても非常に就職難の今日、このような水害におけるところの失業者が現在続出いたしておりますが、これらの失業者が早急に就業の見込みが立たない、その上に予告手当がもらえない、家財道具を全部なくしてしまつておるというような状態におきまして、これは一つの社会的な問題としてまた考えられる必要があるのではないか、かように考えております。  なお、これは直接復興関係には関係ございませんが、退職金も当然その解雇条件の一つの問題として出て参つております。会社はこのような天災あるいは水害の場合におきまして、出す、出さないの退職金規定のあるなしにかかわらず、会社は現在水没によつて払う能力がないから払わないのだ、このようなことを申して参つておりますが、協約で定められ、あるいは就業規則で定められる退職金であるならば、当然支払うべきでありまして、その点労働省その他関係官庁において、十分なる関心を払つてもらいたい、かように考えております。  なおこの予告手当は、当然基準局その他におきましても、いわゆる除外申請がなされるのでございますが、私どもの考えといたしましては、これが先ほど申しましたように、平常時からの経営者の怠慢その他によりましての水害が非常に考えられる。また実際に現在のところ、復旧の見込みがあるのにもかかわらず、復旧の見込みがないという形でもつて一応解雇してしまおうという、水害による便乗的な一時休業というような状態が非常に考えられますので、この点に関しましても、予告手当の除外申請には、関係官庁は十分慎重を期してもらいたい。でき得るならば、今度の水害によるところの予告手当の除外申請は認めないという措置をとつていただきたい、かように考えております。  なお、水没炭鉱以外の炭鉱におきまして、特に大手筋の炭鉱におきまして出て参つておりますのは、臨時休業の問題でございます。これは会社のいわゆる山元の貯炭能力と、それから輸送困難の二つが理由にあげられておるのでございますが、実際問題として山元——いわゆる炭鉱周辺は非常に山が多い。あるいはまた空地が非常に多いのでございまして、実際問題といたしましても、山元の貯炭能力は、単なる季節的な貯炭能力ではなくして、平常的な貯炭も相当考慮されなければならないのにかかわらず、一般的な貯炭能力か三千トンしかないのに、現在山元の灰が一万トン近くなつておるから、臨時休業をやらなければならぬという形によつて、会社が臨時休業を申し入れて参つております。このような臨時休業も、先ほど申し上げましたような経富者の貯炭施設というものの完備その他が十分になされておらないこと、その他がいろいろ考えられるのおります。この臨時休業に関しまして、特に組合の方から基準局あたりに聞きに参りますと、あなたの方の会社は、会社の事情を聞きましたところ、現在のような状態では臨時休業はやむを得ませんというような、通り一片の返事しかもらえないという状態です。直接基準局の人が現場に来て十分なる調査をやつて、その上でもつて、この炭鉱は臨時休業もやむを得ないのだというような、一つの適切なる基準局としての措置をとつていただきたい、かように考えております。  なお、臨時休業におけるところの、これも補償の問題でございますか、一応基準法におきましては、天災地変の場合は、出さなくてもよいという規定はございませんが、一応大体の解釈といたしまして、従来そのような解釈がとられておつたのであります。しかし今度の臨時休業は、このような異例の一つの場合の臨時休業でございますので、これに対するところの補償をやつていただきたい、かように考えております。  なお、その他の問題といたしましては、失業保険金その他の関係の一時免除、あるいはまた延納という形もひとつ考えていただきたい、かように考えております。先ほど労金の江口さんからも申されましたように、当時百五十円程度の米一升が、現在三百円程度を前後いたしまして、全然下つておらない。ごぼう一本か十円程度のものが、現在三十円から四十円になつて、全然それが下つておらないというように、平常時においてさえ生活困難なる炭鉱労働者が、今度の水害によるとろこの減収、あるいは衣料の損失に伴うところの補填その他のためにも相当な出費が予想されますので、わずかではございますが、この保険料の免除あるいは延納その他を考えていただきたい、かように考えております。  なお、この災害によるところのいわゆる労災法関係の問題でございますが、現在すでに死亡者が三名も出ております。そのうち二名が——二名だつたと覚えておりますが、死体が全然わからないという形から、労災法あるいはまたその他の、いわゆる保険金がもらえないというような状態になつておりますので、このような点も早急に何らかの措置を講じていただきたい、かように考えております。なお一般的に作業所における今度の水害によるところの災害、あるいは社宅内部における水害、あるいは水害に対する防止対策に従事中の災害その他に対しましても、労災法の完全適用、あるいはまた労災法かどうしても適用されない場合におきましても、いわゆる健康保険の完全適用を早急にやつていただきたい。これが認定その他の問題において、現実に個々の問題におきまして相当の紛糾が現在出ておりますが、この点、関係方面におきまして、十分明確なる一つの線を出して、これを適用していただきたい、かように考えております。  大体、特に山元において現在起つておる問題を、先ほど申し上げましたように水没炭鉱の問題、それから臨時休業の問題、それから保険料の問題として、分離いたしまして申し上げたのでありますが、概括的に申し上げまして、現在中小炭鉱の従業員が、非常な不安に陥れられております。特に、実際に経営者が休山する意思がないのにかかわらず、休山を組合員に伝える。あるいは臨時休業をやる必要もない、またはやる意思もないのに臨時休業をやるからという形が現在出て参つておりますので、これらに対しても十分なる政府としての指導といいますか、監視といいますか、この点も措置を講じていただきたい、かように考えております。  大体以上で、私の考えております水害対策についての意見を終ります。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 これより参考人及び政府に対する質疑に移ります。  それから特にお願いしておきますが、労政局長は参議院の方があり——労働大臣は歯が痛いということで出ておらないのですが、まだ労政局長に対する質問が全然行われておりませんし、それに大野国務大臣も急いでおられますから、労災保険その他の問題は基準局長かおられますので、先に労政局長及び大野国務大臣等に対する質問をできるならばしていただきたいと思います。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 大野国務大臣並びに労働局長にまずお尋ねいたしたいと思います。  労働者に対する災害補償の面において、労働金庫から要請が出ておりますが、政府としては一体労働金庫に、いかなる方法でもけつこうですが、やる意思があるかどうかということ、さらに労政局長には、事務的にどういうように現在運んでおられるか、この点についてお尋ねいたしたい。

大野伴睦自由党国務大臣

○大野国務大臣 労働金庫に対する二億三千万円の融資の問題、これは私はごもつともである、かように考えて、でき得るならば何とかいたしたいというので、きのうの中央総合対策本部の議題と相なりましたが、私はぜひともこれを何かの形において実現させたい。ところが、労働金庫に対しては、大蔵省みずからがこれを指導しておる金庫ではないそうです、府県が指導してできた金庫だそうであります。ところが今日まで政府の資金、国家資金を預託した先例はないそうでありまするが、私はきのうその委員会において、二億三千万円は何とかひもつき融資ができぬか——ということは、府県知事に責任を持たせてこれをひもつきで労働金庫に融資するという方法がないだろうかというて、大蔵当局に実は今検討を命じておるのであります。できるならば、ぜひこれを実現させたいという気持でおる。これはもつともの要求である。ことに、これはここで言うていいか悪いかわからないが、従来自由党は、保守反動だと言われて来た。ところが、われわれはそうではない、労働者に対して十分な救済の手を差延べなければいけない。この際ひとつ、先例はないだろうけれども、何とかひもつきでもこれをやれということを強く要望して、どうかしてこれを実現させたいと、せつかく現地本部長としては努力の最中であります。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 ただいま大野国務大臣からおつしやつた通り、いろいろと事務的には問題がございます。御承知のように、これは信用協同組合の一種でありまして、地方の知事さんが監督しておられるという関係で、これに直接融資ということはなかなかむずかしいので手としては、今おつしやいましたように、府県を通じてやる。ただ、この金庫を利用し得る者は金庫の組合員だけということになる。さらに熊本あたりには金庫がない。そこで、まあ、なけなしの国並びに地方の資金をどういうふうに使うのが一番いいかということで、いろいろ大蔵省も考えておられるようでありますが、大野国務大臣は非常に御熱意があり、われわれとしても、金庫が活用されれば、それに越したことはありませんので、ただいま大蔵省でその方がやれるかどうか研究をしていただいておる、こういうことでございます。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 大野国務大臣の御熱意に対して、非常に敬意を表する次第であります。どうぞ保守党の労働政策のお手並を拝見いたしたい、かように考えております。  ことに労政局長並びに大蔵省の方にお願いしたいのですが、事務的にできない、こういうことでこの大きな問題が不可能になるということを非常に悲しむわけでございます。これは今までにない異例な処置として、ぜひ実現方にお骨折りを願いたいと考えます。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 ほかに労政局長に対する御質問はありませんか。——大野国務大臣より異例な発言をいただきまして委員長も、感銘いたしております。  さらに質疑を続行いたします。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 参考人にお尋ねいたしたいと思いますが、労災の問題で、三名ほど死傷者が出ておるということですが、具体的にどういうことですか。

蛯谷武弘日本炭鉱労働組合九州地方本部法規対策部長

○蛯谷参考人 直接私がタツチしたのではございませんので、詳しくは存じませんが炭鉱のいわゆる社宅におきましての家屋流失に伴つての死体の判明しないものと、それから坑内落盤あるいは坑内におきましての死体の不明だろうと予想されるのと、大体この二通りがあると考えております。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 労働省にお尋ねいたしますが、従来でも基準監督署の役人は、われわれから見ます非常に手不足であります。ことに筑豊炭田の中小の業者というのは、非常に悪辣と申しますか、よく夜逃げをしたりするわけであります。労働者が解雇せられたからというので、予告手当も何ももらわないということを言つて来ますから、組合等で基準監督署に行きます。基準監督署では受付けてはくれますが、帳簿を見せて、こんなに行事がたまつておる、こういうことをよく言うわけです。われわれ実際にみますと、ずいぶん無理な日程が組んであります。でありますから。どうしても五日ないし十日ぐらいは現地に行くのが遅れる、こういう状態が今までの状態であります。現地に行つていただきますと、実際業者はどこかへ行つていない、こういうことで、今まで休山及び廃山をした場合に、退職手当、予告手当等において非常に困難を来しておるのが現実でございます。ことにこういうような非常災害になりますと、これに籍口いたしまして、ずいぶん便乗解雇とか、あるいは休山、廃山が起つて来ておるということは、十分想像できるわけでありますが、これに対して、基準監督署の役人を増すというような方法で一体対処されておるかどうか、その点をひとつ承りたいと思います。

亀井光労働基準監督官(労働基準局長)

○亀井政府委員 監督署の職員についてのお話がございますたが、事実そういう事例もたまにはございます。それは役人の数ももちろんでございましようが、それよりも役人の質の問題が相当影響があるわけでございます。現在の場合におきましては、一応水害地の各署の職員を動員をして、今そういう跡始末の問題の処理に当つております。ただこれを足らない場合に、ほかの県から応援をさせるかどうかということにつきましては、まだ現地からそれほどの要望は出ておりませんので、もしそういう要望が出て参りましたならば、われわれとして十分その点は考慮したい。また一般的の御質問もございましたが、監督官の数ももちろんでございますが、質の問題につきましては、十分われわれとしまして、その能力を上げるための研修その他の措置を講じて、その手不足を質の点から是正をして行くように努力いたしたいと考えます。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 この際お諮りいたします。大野国務大臣も他に所用があるようでございますから、そこで福岡労働金庫に対する融資の問題につきましては、格段の配慮をひとつ払つていただくことを委員会として強く要望して、大野国務大臣に対する質疑を打切りたいと思いますが、御異議ございませんか。

中原健次小会派クラブ

○中原委員 ちよつと一言だけ……。大野国務大臣の先ほどからの御答弁で、大体積極的にその対策を進めていただいていることを感謝いたします。ただいま委員長から、委員会の総意で決定するという御意見がありましたので、一言それに賛成する意味で、国務大臣にお願いしたいことがあるのです。  それは大野国務大臣は、おそらく御記憶でもありましようし、御経験でもあつたと思いまするが、かつて大正十二年でしたか、関東大震災のときに、時の逓信大臣犬養毅氏が、なくなりました貯金通帳をせんさくすることなしに、貯金をしておるというみずからの主張のできる者は、遠慮なしに貯金の払いもどしをしてよろしい、こういう特例を出されたことを、今私は思い起すのであります。これらも、考えようではまつたく乱暴な措置でございます。しかし、あの関東大震災の当時の状況から考えまして、被害者諸君は、そういう措置でもして補償されぬことには、その日がどうにもできなかつたと思うのです。そういう状況をくみとつた逓信大臣は、そういうまことに破格の措置を講ぜられた過去の実例があるわけでありまして、これは大野国務大臣の方がよく御存じだと思いまするが、私はそのときの印象をいまだに深く残しております。やはり一国の政治は、その時の状況によつてそこまでやらなければならぬし、またそこまでの大英断をやることによつて、民心をほんとうに政府の信頼につなぐことができるということをしみじみ思うのであります。それと今度の西日本の災害の問題は、あまりその事情を異にしておらぬと思います。あの西日本の状況を見ますと、関東大震災より過ぎるとも及ばないものではないというふうに考えますので、ぜひともただいまの預託措置につきましては、ほんとうにあなたの太つ腹に私は期待いたしまして、絶対にこの点は実現せしめていただきますように御要望を申し上げまして、委員長の御提案に賛成するわけであります。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 犬養さんでできることが、大野国務大臣にできないわけがないと思います。その政治力に強く期待いたしまして、質疑を打切りたいと思います。

大野伴睦自由党国務大臣

○大野国務大臣 私は十分そういう力もありませんが、しかし当時の犬養逓信大臣のあの英断は、私、震災当時の東京市会議員で、帝都復興委員をやつて、あのときのことはよく存じております。これに準じてというほどの力はありませんが、不肖、私の力の及ぶ限りは、大英断をもつて処したい、かように存じて、今の金庫の融資の問題は、及ばずながら全力をあげて努力をいたしたい、かように存じております。(拍手)

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 それでは多賀谷真稔君。     〔委員長退席、山花委員長代理着席〕

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 量よりも質だという話がありましたが、少し本筋からはずれますけれども、私もそう思います。しかし現実は、労働者が監督署の監督官に対して非常に信頼を持つておりません。それは現地に調査に参りますと、炭鉱あたりでそこのクラブでとまつて、そうしてそこでごちそうになつて帰つて行くのであります。これは非常に注意をしなければならない問題である。たとえば裁判所あたりは、どういうことをしておるかと言いますと、現地の実地検証に参りましても、同じ炭鉱に来ても、その炭鉱にはとまらないで、別の炭鉱にとまつている。そのくらいの配慮をしておるわけであります。ところが、監督署の監督官は、必ずその事件のあつたところに行つて、そこで飲み食いをして宿泊して帰る。こういうことは、労働者がそこにおるのですから、その申告した労働者が、そういう事実を見ておる。ですから、正当にやつた判定についても、非常な疑惧の念を持つておるわけであります。こういう点は、十分ひとつ御注意願いたいと思うのでございます。  そこで、さらに続けて質問いたしますが、今参考人の方から休業補償の問題、ことに炭鉱における貯炭場がないという理由で、臨時休業をしておる。これは御存じのように、なるほど炭鉱には貯炭場の少い炭鉱もあると思いますけれども、空地があるのでありまして、どこでも貯炭をすることができる。あるいは守衛の二、三人を置いておけば、十分できると思う。ところが炭鉱は、なぜそういうことをしないかと言いますと、それをわざわざ貨車に入れるだけの労働力が惜しいからであります。労賃が惜しいからであります。そこで休業した方がいい、こういうことになると思うのであります。こういう点は、明らかに使用者の責に帰すべき事由である、かように私、考えるわけですが、基準局としてはどういうお考えであるか、お尋ねいたしたい。

亀井光労働基準監督官(労働基準局長)

○亀井政府委員 今お話のありました問題は、具体的な実情につきまして事実の認定の問題だと思います。従いまして、抽象的にイエスあるいはノーというふうな御返事は申しかねるのでございます。われわれの考え方としましては、いやしくも使用者が尽すべき手段を尽さずして休業に陥るということは、これは明らかに基準法第二十六条の違反であると私は考えます、使用者の責めに帰すべき事由であるというふうに考えております。個々の具体的な問題になりますれば、その具体的な問題として、事実の認定を行いませんければ、お答えがしにくいと存じます。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 労使双方のために帰すべからざる事由による、純然たる水没等による臨時休業の場合でございますが、この前、労働事務次官は、失業保険の適用を考慮するという話がありましたが、その後失業保険の適用を考慮されて、適用されておるかどうか、政府委員にお尋ねいたしたいと思います。

江下孝労働事務官(職業安定局長)

○江下政府委員 お答えを申し上げます。失業保険の適用でございますが、失業者が離職票を持つて安定所に参りますれば、一応現在は、その形式的な点を審査いたしまして、ほかに就職口がなければ、失業保険金を支給しておるわけであります。もちろん今のお話が、現実に解雇されまして——一時的でもいい、解雇されたということで、安定所へ行きまして所要の形式を具備した離職票を出しますれば、もちろん失業保険金は支給されるのであります。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 江下さんは、この前の質問を聞いておられなかつたので、そういう御答弁かと思うのですが、実は、労使双方の責めに帰すべからざる場合、ことに基準法二十六条の制定の当時にさかのぼつて、私は議論をしたわけであります。あの際労働者の責めに帰すべからざる事由ということになつておれば、こういう問題は起らなかつたわけですが、その際の修正案か否決され、さらに労務法制審議会の答申案は、労使双方の責めに帰すべからざる場合の休業を考慮して、政府においては十分に措置されたいという附帯条件がついておつたわけです。それに対して、その後政府において、何らの措置も歴代の内閣がしなかつたところに、こういう問題が起きた。こういうことを、私はこの前指摘したわけであります。それに対して、なるほど解雇すればいいのですけれども、解雇はされてないから失業者ではない。しかし炭鉱あたりが全部水没した場合は、ポンプ方以外は、あまりいらないのであります。そこでほかの者か出て行つても、仕事かない、こういうことになる。そこで当然例の労使双方の責めに帰すべからざる休業に入つて行く。これを長くこういう状態で放置すると、これは失業者でもないから、失業保険ももらえない。どういう場合にも該当しないということは、これはむしろ政府の政策の欠陥ではないかと、こういうことをつきましたところが、その点については、失業保険を何とか適用するくふうをしてみたいという話があつたわけであります。それで、その後どういうふうになつておるかということをお尋ねしておるわけです。

江下孝労働事務官(職業安定局長)

○江下政府委員 私、前に出ておりませんで、少し答弁が食い違つて失礼いたしました。今の問題でございますが、失業保険法の建前は先ほど申し上げましたように、これは解雇されるということが前提であります。ただ、こういう緊急の際でございますので、何らか失業保険法の臨時の運用によつて、そういう方法ができはしないかということを検討してみるということで、目下検討はしております。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 この問題は、きわめて緊急を要する問題でして、いわば政府としては、そのままほうつておいて、研究中々々々と言えば時間が解決をする、われわれから見れば、こういうように考えられるような問題であります。と申しますのは、研究するといいましても、弔う方法は、やるかやらないか、どうしてやるかということしかないのでありまして、政府さえ意思をきめて、そうして保険財政とにらみ合せてやるということになれば、私は運営でできる、かように解釈しておるのであります。でありますから、これにつきましては、もう質問いたしましてから十日以上たつわけですから、返事があつてしかるべきであると考えますので、再度お尋ねいたしたいと思います。

江下孝労働事務官(職業安定局長)

○江下政府委員 水害後の、被害を受けました各事業所の実態も、各種各様でございますから、現地で耳下安定機関その他労働省の出先機関を督励しまして、実態の調査等をやらせております。こういう点を急ぎまして、今の点につきまして十分検討を加えてみたい。しかも、失業保険法の建前が、一応解雇という建前をとつております以上、やるにいたしましても、できるだけそういうような形を、私どもとしてはやはり考えて行かなければならないというふうに考えております。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 昨日の毎日新聞に、偽装解雇の件か出ておりましたが、そういう考え方でありますから、偽装解雇という問題が起つて来る。むしろ私は、そういう臨時休業の場合は、失業保険の適用を運用の面でやるんだということになれば、何も偽装解雇という犯罪のような取扱いを受けなくてもいいし、また、世間から誤解を受けるようなことをしなくてもいいと思うのであります。あくまでもそういう形式論理にこだわつておられる政府におかれて、むしろ偽装解雇を奨励しておるようなものだと私は考える。そこで私は、そういう場合には、臨時に異例の措置としてやるんだということになれば、かような偽装解雇が、私は行われはしないと思うのであります。はたして事実が偽装解雇であるかどうか、われわれも行つてみないからわかりません、新聞の報じておるのが、はたしてその通りであるかどうか、疑問を持つものでありますけれども、私は再度、労使双方の責めに帰すべからざる事由による休業の場合の失業保険の適用を、早急にひとつ考えていただきたい、かように要望して、この問題の質疑を打切ります。  さらに基準局長にお尋ねいたしますが、予告手当の問題であります。そういう中小企業の脆弱なる上に悪質と来ている業者は、おそらく予告手当を払わないと思います。退職金の規定すら、今話がありましたように、払つていないということですから、予告手当は払わないと思いますが、こういつた場合に、ことに事業を継続しておるような場合、一坑だけを閉鎖して、他の坑は継続して行く。こういう場合に、二十条の予告手当を払わない除外例に該当するかどうかということをお尋ねいたしたいと思います。

亀井光労働基準監督官(労働基準局長)

○亀井政府委員 基準法の適用につきましては、一つの会社を適用するのではなくして、事業所ごとに適用をいたしております。従いまして一つの事業所が溢水のために廃坑せざるを得ない、今度の災害にあつて廃坑せざるを得ない。池の山は、それほどの被害がないので、これを継続するという場合におきましては、その水害によりまして廃坑せざるを得ないものだけにつきましての問題が、生ずるわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 では適用の事業所というのは、実際はどういうような解釈をされておるのですか。私が申し上げますのは、東京に本社があつて、各地に事業所がある、こういう関係ではございません。一つ山で一つ鉱業所、基準法も当然一つの事業所の認定しておる所で、三坑なら三つの坑口がある。その一つの坑口だけが水没したので、一つの坑口だけを閉鎖する。ですから、三分の一ほどの解雇者が侮る。そういつた場合に、事業は継続しておる。その場合に、適用除外になるかどうか、お尋ねいたしたいと思います。

亀井光労働基準監督官(労働基準局長)

○亀井政府委員 それはその坑の独立性の問題その他いろいろ諸般の事情を検討しなければわかりませんが、先ほど申し上げましたように、一応事業所というものが、独立性を持ちまする以上は、その事業所ごとに基準法を適用しておるという考え方でございます。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 この予告手当あるいは臨時休業、退職手当の場合もそうですが、これは直接監督下にはないと思いますが、こういう場合に、基準監督署としては、法ではあるいは強制できないかもしれませんが、行政官庁として、どういう異例の措置をとられておるか、これをお尋ねいたしたいと思います。

亀井光労働基準監督官(労働基準局長)

○亀井政府委員 二十条の法律上の正面解釈から申しますと、監督署が認定をいたしますれば、予告手当を支払わなくてもよろしいという規定でございますが、この問題は、使用者の方で払いたいという意思かありながら、金融その他の関係で、せつぱ詰まつて払えないという場合もあろうかと思うのであります。そこでわれわれとしましては、これらの中小企業に対しまする融資の問題を、今別係方面と折衝をいたしておるわけであります。炭鉱自体につきましては、通産省が、大手、中小炭鉱ひつくるめまして、一本の炭鉱の融資の問題を取上げまして検討いたしております。従いまして、われわれとしましては、その融資の中で、そういう休業手当なりあるいは賃金の遅欠配というふうな問題につきましては、ひもつきでこれを融資してもらうように、折衝をいたしております。  そのほかの工場、事務所、商店等の、いわゆる一般中小企業につきましては、すでに通産省におきまして、国庫余裕金の預託を十五億円いたしておりまして、商工中金、市中銀行、相互銀行、信用保険というふうなところに一応預託をいたして、その対策をとつております。また、六月で期限の来ております預託金につきまして、約三億二千万円ほどでございまするが、これの政府引揚げを一箇月延期をいたしまして、その間のつなぎをいたしております。また国民金融公庫からは、六億を中小企業関係の水害対策として、わくをすでに出しております。なお、国民金融公庫から従来借りておりました元本並びに利子につきましても、六箇月間の償還延期をいたしております。今回の六億につきましても、六箇月すえ置きを、臨時措置としてとつておるわけであります。これにつきましては、熊本、福岡等から資金の不足を訴えて来ておりますので、通産省におきましても、目下このわくの増額につきまして、努力をいたしておる次第であります。また商工中金におきましては、目下十億の別わくを用意いたしまして、ただちにこれを出し得る態勢を今ととのえております。ただ貸付け条件その他につきまして検討をいたしております。  また、目下国会におきまして審議をされております中小企業金融公庫法、これが成立しまするまでのつなぎとしまして、開発銀行が五億五千万円を、その中小企業金融公庫ができまするまでの肩がわりとして今金融措置をやつております。さらに一昨日成立しました中小企業信用保険法の改正によりまして、従来保険料の負担が三%でございましたものを、国がそのうちの三分の一を負担するということによりまして、二%の利子に引下げをいたしております。また目下この信用保険のわくは、一般において二百四十億、指定法人につきまして百八十億のわくを持つております。このわくで操作をして行こうという、一応こういう段階であります。  われわれとしましては、こういう資金がどんどん中小企業に流れるにしましても、それが賃金の遅欠配なり、あるいは休業手当等の資金として、確実に経営者の手に渡り、あるいはそれが労働者の手に渡るように、目下折衝をいたしております。またわくの拡大につきましても、同様に目下折衝いたしておる次第でございます。災害対策中央本部におきましては、小委員会をつくりまして、この問題を今検討いたしておる次第であります。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 私は、基準法の解釈、ことに基準法の制定によつて、これは払わなくてもいいじやないかということで、実際に払う能力のある会社が、それを拒否しておるという事実を、幾らでも見るわけであります。ことに休業補償の件について、こういう点が非常にあると思います。そこで、これはむしろ労政局の仕事かもしれませんが、基準法というのは、やはり最低の限度であつて、それ以上、こういう異例の災害の場合は払つてやる、こういうような、払う能力があれば払つてもやれというような処置ぐらいは、当然出されてしかるべきだと思うのですが、現地においては、一体どういう指導をされておるか、お尋ねいたしたいと思います。

亀井光労働基準監督官(労働基準局長)

○亀井政府委員 法律上の義務としまして、使用者に要求しますことは、事実の認定を経まして、明らかに使用者の責めに帰すべき事由であるということが明確になりました場合には、法律の条項に従いまして、その支払いを強要し得るのであります。それ以外の場合におきましても、労働者の生活の困窮は十分了解し得まするので、われわれとしましては、基準法上の休業手当でなくても、何らかそこに見舞金その他の形におきまして労使双方で話合いがつきますならば、出すことが望ましいという一応の態度は、もちろん持つております。従いまして、地方の局署におきまして、そういう話合いの中に直接入りますることは、いかがかと思いますが、そういう場合におきまする相談を受け、あるいはそうした場合におきましては、そういう指導といいますか、勧奨と申しますか、そういう措置をとらしております。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 災害地における失対事業は、具体的にどういう方法がとられておるか、お尋ねいたします。

江下孝労働事務官(職業安定局長)

○江下政府委員 災害地におきましては、今後相当数の失業者が発生することが予想されるのでありますが、現在のところ、跡片ずけその他、まだはつきりした数が出て来ません。いずれそういう全般的な数字がまとまりましたら、その際に的確な手を打つて行きたいと思いますが、とりあえず、私どもの方でできます失業対策事業の割当の追加を、被害地の各県にいたしまして、緊急の問題は、これである程度緩和されたのではないかと思つております。なお、現地に労働省から職員を派遣しておりますので、その連絡によつて、適宜的確な手を打つて参りたいと思つております。

山花秀雄日本社会党(左)

○山花委員長代理 ほかに質問はございませんか。——次会は公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時十五分散会

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