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16回国会衆議院1953/07/04

予算委員会 第15号

発言数
178
登壇者
16
会派数
5
開催日
1953/07/04

会議録

尾崎末吉自由党

○尾崎委員長 これより会議を開きます。  昭和二十八年度一般会計予算外二案を一括議題として質疑を継続いたします。  この際申し上げます。昨日の資料要求に関する決議につきましては、ただちにその旨を政府に申し送つておきました。御報告いたします。  北れい吉君。

北昤吉自由党(分)

○北委員 私は憲法問題とMSA援助の問題及び保安隊の問題について、憲法制定当時の事情にさかのぼつて御質問を申し上げ、あわせて希望を述べたいと思います。国家というものの根本定義について私の所見を述べて、政府の答弁をいただきたい。  国家というものは、普通の社会と区別をすれば、国家は国内の治安を維持し、国民の安寧幸福をはかるために法律を励行する暴力である――暴力という言葉が正しくなければ、力である。法律の権威は、結局は財産差押えと身柄監禁という力の励行、力になつて来る。また外国の侵略に対して防衛力を持つておる。これは国家の根本定義であると考えます。あらゆる国家学者でも、普通の社会と区別するには、この二点からである。私は日本が防衛力がなくて、アメリカに防衛してもらうという状態では、独立という言葉を用いておるが、実際は不完全国家であると考えます。これは吉田総理に質問すべきでありますが、御所労のために欠席でありますから、緒方副総理の御答弁をいただきたい。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 お答えをいたします。国が独立する以上、自衛力を持つことは当然であります。その点につきましては、ただいま北君からお述べになりました趣旨は全然同感であります。ただ自衛力の解釈、自衛力の内容につきまして、それが一国だけで防衛するだけの自衛力を持ち得るかどうかということは、兵器の非常な飛躍的な進歩に伴いまして、今日ではやや不可能になつて参つたのではないか。それは敗戦後の日本がそうであるばかりでなく、今日いわゆる強国といわれますイギリスでも、アメリカでも、すべての国が一国だけで一国の防衛をすることができぬというのが実情ではないかと考えておりますので、私は一国だけの一国で防衛力、防衛軍を持たない場合もあり得る、さように考えております。

北昤吉自由党(分)

○北委員 それは平凡な御答弁でありますが、かつての満州国と現在の日本といかなる相違があるか。満州国は関東軍が防衛の責任者で、満州国軍はそれの補助部隊である。ただ独立国と称して日本の弟分の国という宣伝はされたが、日本は神道を少し押売りをした。アメリカはキリスト教を押売りしないことに、多少違うところがありますが、防衛をアメリカ軍がやつて、基地を七百も設けて、日本の保安隊は直接侵略に対しては補助部隊である。かつての満州国軍と同じ役目をしておるように思いますが、満州国を独立国と見なすことと、アメリカの保護を受けておる日本を独立国と見なすことと、どこに差がありましようか、お伺いをいたします。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 日本は一昨年のサンフランシスコの平和会議におきまして、独立を獲得いたしましたその後におきまして、アメリカと日本の間に二つの独立国が平等の立場に立ちまして、日米安全保障条約を締結いたしました。その条約に基いて、基地を許しておる、あるいは日本の防衛の一部を担当してもらつておるということで、満州国があつた時代の日本と満州国の関係とは違うように解釈いたしております。

北昤吉自由党(分)

○北委員 どうも日米安全保障条約は、満州国成立当時の日満議定書に相似たるものがあると私は考えますが、てこにいかなる差別があるのでありますか。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 相似たるとごらんになる点があるかもしれませんが、これはあの条約の締結されました由来において違つておると私は考えております。

北昤吉自由党(分)

○北委員 これは見解の相違でありますから、あまり深くつつ込みませんが、私は保安隊の問題並びに自衛力増強の吉田さんの御議論、MSA援助等は、日本の現行憲法と相当に矛盾があるように感ぜられますので私は現在の憲法は不満足しごくと思うて、改正の要求が強いのでありますが、いやしくも現在の憲法がある限りは、憲法の精神との矛盾を指摘したいと思います。  かつて日支事変のたけなわのころ、翼賛会問題で、あの忙しい中で約一箇月、憲法との関係でもみました。ちよつとその議論を回顧いたしますと、当時は全体主義体制が必要である。近衛さんが翼賛会を設けた動機は、軍部の横暴を押えるためには、国民組織で押えよう、その動機はりつばでありました。しかしながら、あの翼賛会の体系は、全国民を翼賛運動に参加させて――全国民という以上は、軍人も司法官も議会人も皆入つて、近衛さんが会長である。私はこれは日本の当時の明治憲法の精神に反する。軍人が大政を翼賛するには、統帥部が独立であるから、軍令部長あるいは参謀総長を通ずべきものである。司法官が大政翼賛をやるには、やはり大審院長を通じてやる。議会が大政翼賛をやるには議長を通ずべきものである。それから行政官ならば、近衛さんを通ずるのはけつこうであるが、当時の明治憲法の建前からいうと、内閣総理大臣は、内閣大臣会議の議長、行政の最高長官である。そこで一まとめにするのは間違つた精神である。ことに明治天皇の御詔勅では、議会と内閣とを大政翼賛の二大機関と明言されておるから、私は憲法の精神蹂躙であると、最後まで反対して、遂には非推薦で苦しんだのであります。私は吉田内閣に対して他意は少しもありませんが、公権主義ということについて終始一貫したつもりでありますから、私はその立場から今度の防衛、自衛力増強の問題、並びに保安隊、MSAの問題を質問したい。時局すこぶる緊迫しておりますが、その戦争中に翼賛会の問答が一月もかかつた。ことに条約の問題は日本の将来の死活の問題である。三国同盟について平沼内閣は数十回も内閣の会議を開いている。それから大西洋条約の問題についても、フランス議会で一年もかかつている。これはすなわちドイツが強くなると困るという心配から来ておる。西ドイツの方もまた東ドイツとの統一という最大目的を害してはいかぬというので、いまなお論議を続けて批准ができない、日本では三国同盟のことでも簡単にこしらえ、さらにまた今度のアメリカの申込みについても、すくに受入れたいと考えているようでありますが、これは日本の将来に重大な関係があるから、私はこの議会ぐらいで必ずしも承認する必要はない、徹底的に論議を要すると思う。元来この憲法の第一の草案の発表は、終戦の翌年の二月六日に発表された、議会へ上つたのは六月でありますが、この憲法草案が発表された場合に、マツカーサーが声明を発している。この声明文を読みますれば、世界の信義と公正に日本は信頼すべきである、従つて戦争はやつてはいかぬ、また戦争の源となる陸海軍その他の軍事的潜在力という言葉でマツカーサーが発表いたしておりますが、それは持つ必要なし、こう述べております。当時の憲法草案は、御承知のごとく、マツカーサー司令部が承認したのみならず、当時ソ連が有力な一点であつた極東委員会の承認済みのものであります。言いかえてみれば、今日の憲法はソ連とアメリカと中国の蒋介石政府、英国、おもなるメンバー四つが承認した問題で、この四つが日本の安全を保障するという前提のもとに書かれたものであります。ところが今日では、御承知のごとく、ソ連と米国との対立がはげしく、幾年かにわたつて冷戦が続いているのであります。この前提がすでにくずれておる。憲法は前文からすでに書き直さなければならぬ運命に立ち至つておる。これは平和時においては役立つ憲法であるが、戦時は――ということは言わなくても、非常時にはむしろ有害な憲法であります。今日何人も世界諸国という中にソ連を入れて、これの信義と公正によつて日本が安全であるという議論はあり得ないと思いますが、緒方副総理のお考えを承りたい。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 現行憲法が制定せられましたときの由来につきましては、ただいまお話のありましたような事情があつたことは、私も了承いたしております。でありますが、今、北さんの御議論は、その事情から今日の憲法を改正しなければならぬという結論に導かれるようでありますが、政府といたしましては憲法が現に行われておる間、どこまでもその憲法を尊重して参りたい。その憲法についていろいろ批判があることは承知いたしておりますけれども、その最初の前文の起草者の中にソ連が入つておつて、その後の国際情勢の変化によつて、ソ連の立場は非常にかわつておる。そういうことから、すぐ憲法改正の結論に結びつけることは、どうであろうかと考えております。

北昤吉自由党(分)

○北委員 私はこの憲法を正直に解釈すると、社会党の左派の議論が正しいと思う。それは国家の必要からいえばまた別な議論がありますが、この憲法を正直に曇りなき眼で読めば、社会党左派の議論、たとえてみれば、日本は国防力を増強しない、アメリカに基地も与えない。――基地を与えるということは、ソ連並びに中共の同盟に疑心暗鬼を持つている、二つの世界を予想しておる。現に吉田総理も、ソ連のごときものは共産主義を宣伝するおそれがあるからつき合いにくい、貿易もやらない。中共に対してもアメリカのバトル法に忠実であつて、貿易には非常に消極的である。してみれば憲法の前文にある世界各国の信義と公正に信頼するという前提を破つているものは、すでに吉田総理であります。これが事情に適せぬという緒方副総理のせつかくの御説明も私はふに落ちないのであります。どうしてもこの憲法を正直に解釈すれば、アメリカは敗戦国をまる裸にして、われわれが君方の安全を保障してやるという意味、ソ連と仲のいい当時である。すなわちポツダム宣言を入れたのは八月九日ですか、その翌年のはや二月時分に草案ができておる。六箇月目くらいに草案ができておる。私はどうもふに落ちない。緒方さんはそのときには議会には関係がなかつたようでありますが、私どもは議会でこの憲法はいやいやながらこれを認めなければ講和条約が促進しない、腹の底では方便的の意味でわれわれは承認したのであります。私どもは自由党の代表として質問演説もやり、賛成演説もやりました。今も君らがどうしてあんな憲法に賛成したかと詰問されます。私も苦しい思いであります。しかしポツダム宣言は乱暴しごくな宣言 で、日本を四つの島にしてしまうような宣言である。しかしながらあれを入れなければ、もつと爆撃されて日本人の殺傷が多くなる。陛下の御詔勅にあるごとく、日本国民族の絶滅を憂えたので、涙をのんでやむを得ずして受入れた。この憲法もこれを承認しなければ、講和条約などは絶対にできないから承認しただけである。われわれの苦衷を察してもらいたい。私は吉田さんも相当の苦衷があつたことは、マツカーサーと吉田総理あるいは幣原さんこの会見の話を聞いて失しております。どうしてもこれは日本国民の手で直さなければならぬ。現にこういうことを言うと、北はまたフアツシヨを企てるなんと思われるかもしれないが、せんだつて水戸で百五十名ばかりの愛国団体というか、右翼陣営というか、巨頭が集まり、日本再建についての意見はまちまち、アメリカ製憲法の束縛を離れて、日本人の手で憲法をつくれということには満場一致賛成しております。御手洗君が数日前に読売新聞に書いておりました。こういう方面からいつテロが起きるか何人も保証できない。少くとも政府としては今急に改正をやるといつても、議会の三分の二以上、国民の過半数の賛成を得にくい状態で、吉田さんは不徹底の立場において選挙で第一党を獲得したと私は考えておる。ところが政府としても民間の有志としても、改正の準備に着手するくらいの腹構えがなくちやいかぬ。明治天皇が明治憲法をおつくりになるときに十数年も苦心をしておられます。日本はわずかの間にこれをつくつたのであるから、一々欠点を申し上げれば誤訳もたくさんあるし、ボロだらけであります。これを独立日本の国としてこのまま維持して行こうという心根がわからない。私は緒方副総理にあなたのお考えでもよろしい、吉田総理の代理としてでもよろしい、承りたい。     〔委員長退席、小峯委員長代理着席〕

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 憲法制定当時におきまする北さんの御苦衷はよくわかります。そもそも占領下において国の根本構造である憲法を制定したところに、すでに私は無理があつたと考えるのでありますが、しかしながらこの制定当時の事情のいかんにかかわらず、とにかく今日は国家の最高の基本の法律であります。当時の事情を詳しくお知りになつておる方からはいろいろ御不満の点が起ると思いますけれども、ただいま御指摘になりました当時の四大国でありますか、それが日本の安全を保障するという中には、ソ連がおるでないかというお言葉もありますが、しかし憲法の前文には別に国の名前はあげてないのであります。私かなりほど遠い理想ではありますけれども、これは理想として掲げておつて、あえてさしつかえないのではないかというような気がいたします。そういう点からいたしまして、この制定当時の由来、事情というものとは離れて、今日の憲法を改正すべきか改正する心要がないかということは、冷静に慎重に考えなければならない問題であると私らは存じておりますけれども、それならば今これを改正すべきであるということにつきましては、今は改正する考えを持つておりません。

北昤吉自由党(分)

○北委員 実はこの憲法制定当時、貴族院と衆議院とあまり結論が違つてはぐあいの悪いというので、徳川家正公、それから緒方さんの先輩として緒方さんも私淑し、私どもも敬意を表しておる古島一雄さん、山田三良博士、山川端夫博士四人が衆議院側と相談会を開きたいというので、非公式に八日相談会を開きました。古島さんは老体を押して毎回出席になりました。当時の国務大臣の齋藤隆夫さんと植原悦二郎さんは憲法問題に相当の造詣があるので絶えず立ち会つておりました。社会党では片山君が出たり鈴木義男君が出たり、進歩党では原夫次郎君その他の諸君が代表でいつでも論じ合いました。そしてその四人の代表として山田三良博士が手記を私によこした、その手記のうちには、憲法第九条第二項を削除することを書いてあります。当時の貴族院は滅びる前であります、人の死なんとするやその言うことやよし、緒方さんの大先輩が第九条の第二項を除いている、その他いろいろあります。適当な修正案で、私はこれを入れることに非常に努力いたしました。あなたは、先輩も非常にこれを憂えておることをどうお考えか。どこかに緒方さんの個人のお考えで、憲法第九条第二項は適用しないように希望するというようなことが新聞に出ておりましたが、いかがでございましようか。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 私が憲法第九条第二項についてただいま御指摘になつたようなことを、はつきり今のお言葉と同じことを申した記憶はないのでありますが、もしあちこちの座談会等で憲法第九条第二項に触れた話をしておるとしますれば、第九条第一項は自衛軍を否定しておるものではない、従つて憲法改正必要なしという議論がありますのに対して、第一項はなるほどさように解釈ができるかもしれないけれども、第二項に陸海軍その他一切の戦力を保持しないということを書いてあるので、第一項をかりにそう解釈するにしても、再軍備をする上において、その第二項がある以上無理ではないか、第二項はその場合でも削除すべきではないかというようなことを私は言つたような気がいたします。第二項につきましては、ただいま御指摘のように、陸海軍その他一切の戦力ということがあるだけでなく、私はうろ覚えでありますが、その一切の戦力というのは英語でウオー・ポテンシヤルという言葉を使つてあるそうであります。これがそのまま現実に守られるとすると、どうしてもあの条項では困るのではないかというような気がいたします。これを私は今すぐどうという意見は持たないのであります。

北昤吉自由党(分)

○北委員 吉田総理の代理としての緒方さんの意見ではなさそうでありますが、個人としての気持は私と同じく、さすが古島一雄さんの信頼を受けた方として慶賀の至りにたえません。どうかそのお気持を維持していただきたい。  ところがちよつと飛びますが、木村さんにお尋ねいたします。木村さんは戦力というのを原子爆弾のごとく解釈いたしておりますが、これはマツカーサーの声明書を読んでみても、芦田君の委員長としての報告書を見ても、それからマツカーサーが国務省へ憲法制定の事情を報告したものを見ても、原子爆弾なんという高級の戦力じやないのです陸軍、海軍、空軍及びその他の戦争潜在力の附帯的のものです。従つて原子爆弾を持つことは陸軍が持つか、海軍が持つか、空軍が持つので、から手の陸軍、海軍、空軍はないのであります。原子爆弾は陸軍、海軍、空軍のうちへ入れなければならぬ。戦力は、特別に原子爆弾を入れなければ戦力ではないという議論は、お取消しを願いたい。むしろこれはヴエルサイユ条約でドイツが十万の兵隊に制限された。ところが吉田内閣と同じくやみ軍備を設けた。名前もよく似ている。ジツヘルハイツ・ポリツアイ、公安警察隊、今の警察予備隊と保安隊をちやんぽんにした名前です。それを二十万設けて、すぐに正規に兵隊に繰込んだ。それから軍需工業もあまり破壊しなかつた。そういうことがあつたので、ちようどポツダム宣言に、平和産業はどんどん伸ばすが、軍需産業はこの限りにあらずといつて、軍需産業をどんどんデイスマントル、すなわち解体した。たとえばポーレー委員が委員長となつて来、その次ストライク委員長が来ました。ストライク委員など私は懇意の人があつて会いましたが、日本の軍需産業をみんな差押えて破壊する。あるいは戦禍をこうむつたフィリピンや中国へわけてやる。ボロくそであるからアメリカはほしくない。私はハアヴアード大学時代友達がおつたから、私のところへ直接来て一緒に御飯を食べながら話をした。その当時の状態においては、保安隊のごときもの、軍需産業、軍事訓練、みな禁じておるのです。すなわち剣道のごときものを禁じたのも、いわゆる木村さんならおわかりであろうと思うが、尚武の気性を養い、軍事訓練に多少貢献のあるもの、と聞いてあなたも身に覚えがあるでしよう。戦力とはそういうものを言つているのです。原子爆弾などじやありません。原子爆弾を持たざる限りは軍隊でない――戦争潜在力というのは陸軍、海軍、空軍に何どきでも転化し得る力を言うておるのです。ポツダム宣言は生きておるということです。佐藤法制局長官にも一応弁明を求めますが、この前ここで質問したときに、ポツダム宣言はもう無効であるというようなことを言つたが、その前の年の八月九日にポツダム宣言を入れて、この憲法の成案が日本に第一回に発表されたのは三月六日であります。まだポツダム宣言は生きて、ポーレー委員やストライク委員が来ておる盛りのときです。私は木村保安庁長官と佐藤法制局長官の両方から御答弁を承ります。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 お答えいたします。日本の憲法第九条第一項は、要するに、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」そこでこの建前は何を意味するかと申しますと、要するに、侵略戦争のよううな愚を再び繰返すことをしない、させないということが、建前になつておるとわれわれは考えております。そこでこの精神から申しますと、自衛力を持つということは一向憲法に触れていない。もとより独立国家となつた以上は、自衛力を持つことは当然なことである。しかしながらこの自衛力を持つにあたつても、その持ち方いかんによつては、あるいはまた侵略戦争のような愚を再び繰返すようなおそれもあるかもしれぬというので、二項において戦力の保持を禁止している。自衛力は持つてもさしつかえない、ただその自衛力は戦力に至らざる程度の自衛力である。  そこで戦力とは何ぞやという問題が出て来る。要するに、新憲法の建前からいたしますと、侵略戦争に使われるような大きな総合実力を持つことはいかぬということであります。「陸海空軍その他の戦力」というのは、結局、侵略戦争に使われるような大きな組織総力である。一面から言うと、近代戦争を遂行し得るような装備編成を持つた実力組織である、こう私は解釈しておるのであります。そこで保安隊のごときものは、これは私は常々言つておりますように、近代戦争には一つも役立たない。その一例として、近代戦争においては、ジエツト機や原子爆弾さえある。そういう装備を持つたものに比較すれば、われわれの保安隊は微々たるものである。決して戦力に至らないということをわれわれは常に言つておる次第であります。もとより保安隊は自衛力の一部を構成することはわれわれも考えておる次第であります。しかしながら今申しますように、これは戦力に至らざる自衛力であるから、何ら憲法に抵触しないとわれわれは考えております。

佐藤達夫法制局長官

○佐藤(達)政府委員 私も憲法改正当時から北委員らのお手伝いをしておりました関係から、その当時の情勢についてのお話はひしひしと身にしみて感じます。ただ今日から振り返つて考えてみますと、率直に言つて、今お話に出ましたように、憲法改正は占領下において行われました。ポツダム宣言の有効な間に行われたということはお話の通りであります。従いましてその周囲を取巻いておつた雰囲気というものは、やはり占領政策というものが取巻いておつたと思います。われわれの家家に保管しておりました伝家の宝刀の正宗も取上げられた。これも今お話に出たような次第であります。そういうような極端な武装解除という気持が、占領政策としてそこにみなぎつておつたことは権かにその通りだと思います。  ただ憲法がそれをそのままに表わしているかどうか、これは私は考える余地があると思うのであります。憲法の一部に占領政策が入つていることは否認できませんけれども、そこにたとえば当時憲法改正も議会においての御指摘がありましたように、昔軍隊のあるころであつたならば、大規模な内乱騒擾が起つたとき、これは軍隊が鎮圧したではないか、それがなくなつ新憲法下においては、これはどう処置するかという御懸念の質問がたくさんあつたわけであります。それに対しては、それに対応する力というものは警察力を充実して目的を達します、機関銃のごときも許されると思うというような答弁をしているという事実も一方においてあるわけであります。要するに、その当時における戦力なり何なりという考え方は、今日ほど裸の形で考えられていなかつたのではないか。何とはなしにはつきりしたところをつかんでおられないままに来ておつたのではないかという見方が、私は一番率直な見方ではないかと思います。そうして今日になりまして、この占領政策のもやもやした零囲気がなくなつてしまつて、色ガラスがとれてしまつたという場合においては、この憲法の規定のその文字の表わすまま、その条理の示すところに従つて解釈すべき真空の雰囲気ができていると私は思います。その眼から見ました場合には、ただいま木村保安庁長官から申し上げたような結論が、憲法の文理上及び条理上出て来るというふうに私は考えるわけであります。

北昤吉自由党(分)

○北委員 私は自衛力というもののうちに戦力は入らぬというような木村長官の説明に対しては、絶対に条理上反対します。それは吉田総理の言うごとく、自衛力というものは、経済の安定あるいは国民の愛国心の向上、道義高揚、断じて祖国を守らなければならぬという精神的な要素が非常に強いことは同感であります。しかし戦力というもののない自衛力はあり得ない。すなわち自衛力増強ということは、戦力増強を中心とせずには考えられ得ないと思いますが、木村長官はいかがに考えますか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 お答えいたします。自衛力とはわれわれが常に申しておりますように、物心両面においての総合国力だとわれわれは考えております。そこで精神的の面と力の面と両方から考えなければならぬ。自衛力を増進する上においては、いわゆる日本の経済力、技術面その他あらゆる面から日本の国を守るという力、それと同時に一面において警察力その他保安隊のごとき、内地の平和と治安を維持すべき実力部隊、この両面が考えられるのであります。これを双方だんだん増進して行くことが、いわゆる自衛力の増進だろうとわれわれは考えております。

北昤吉自由党(分)

○北委員 どうも木村さんの答弁は、まあ露骨に言うと、少し弁護士のくせが出て、自衛力の中心に戦力があるというのを物心両面だというて、精神的の面を大いに言つて物質的の面は言わないで、警察隊や保安庁、こういつておりますが、これは戦力じやないですか、これを増強すれば戦力である。私は自衛力の中心はやはり戦力だと思いますが、いかがですか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 自衛力と戦力とは別個の観念であろうと思います。自衛力は戦力に至らざる自衛力である。戦力るに至らざる自衛力はあると思います。これは戦力に至らざる自衛力、要するに先ほど申しました通り、侵略戦争の具に使われるような大きないわゆる総合戦力をわれわれは持たない、こう考えております。

北昤吉自由党(分)

○北委員 とてもこれは質疑応答に問題にならぬほどわけのわからぬことである。ちようど翼賛会問答のときに、これは政治運動じやない、高度の政治運動である。広義の政治運動ならわかるが、高度の政治運動であるというて、とうとう追い詰められて、これは公事結社で、衛生組合のごときものだといつて翼賛会を規定されたのですが、これはとつちめれば結局そうならざるを得ない。戦力がない自衛力はあり得ない。  そこでまた質問を展開します。ドイツが第一次大戦に敗れたときに、クリーグス・ミニスター、戦争大臣という名前をやめました。ドイツは国防に専念するという意味で、ライヒス・ウエヤー、国家防衛、ちようど日本の自衛軍に当ります。木村さんよくお聞きください。それから陸軍大臣に当るものをウエヤ、ミニスター、防衛大臣、ちようど保安隊がラィヒス・ウエヤに当つて、ウエヤー・ミニスターが木村さんに当ると思うておる。ウエヤー・ミニスター、防衛大臣、自衛力増強であるといつてドイツがごまかしをやつてだんだん兵力を増強したと同じことをやつておる。私はそれはけつこうだと思うが、こそこそやらぬで堂々と、独立国なら自衛権はある、自衛力を持たさるを得ない、自衛力は戦力が中心である、なぜそう言いませんか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 自衛力というものは、これは独立国家として当然持つことはわれわれは認めております。また日本の憲法においても自衛力を持つことは何も否定されておりません。ただ自衛力の限度をどこに求めるか、これが問題であります。日本の憲法ではいわゆる侵略戦争のようなことを再び繰返してはいかぬというので、憲法第九条第二項において戦力保持を禁止している。そこで戦力に至らざる自衛力は持つてもさしつかえない。また日本の保安隊はこれは決して外国と戦争をするために設けられたものではない。保安庁法第四条において明確に規定されておるごとく、日本の平和と秩序を維持するために持つことを許されておる。その装備内容の点から申しましても、決していわゆる近代戦を遂行するような能力、すなわち裏から返しますれば侵略戦争に使われるようなそういう大きな装備を持つているものではない、こういうことになつております。

北昤吉自由党(分)

○北委員 侵略戦争はやらぬということは、この第九条第一項でわかる。第二項を削つて何の不都合がありますか、それをひとつ聞いておきたい。現に高柳賢三君のごときは、フランスの公学者に笑われたからあれはたな上げをした。第二項がなくてどうして不都合でありますか。かえつて便利ではありませんか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 私も高柳君は学生時代からの親友で、あれの意見もしばしば聞いておるのであります。一つの学説としては大いに傾聴に値するでありましよう。しかしながらわれわれといたしましては、やはり大きな総合戦力を持つようなことになりますれば、ややともすると侵略戦争の具に使われるような危険がなきにしもあらず、そういう懸念から憲法第九条第二項において戦力の保持は禁止されておるものと、われわれは解釈しております

北昤吉自由党(分)

○北委員 これはいくら質問応答しても、翼賛会問答と同じで、根気が尽きますからこれ以上追求いたしませんが、現に金森さんが憲法制定のとき非常に活躍いたしましたが、国家の基本的権利としては自衛権はある。しかしこの憲法では自衛力は持つてはならぬ と、あなたの先輩の金森さんは言つております。現にここに私は書物を持つて来ましたが、これはアメリカのデモクラツト党の歴史であります。ハトリツク・ヘンリーがこういうことを言つておる。正当防衛権は基本的人権である。ところがほかの動物とは違つて、身に武器を備えておらない人間の基本的人権の正当防衛権を実際有効ならしめるには、武器携帯権が基本的人権の中に入ると、武器携帯権を基本的人権の中に入れております。当時はこれがために武器の自由販売が行われ、さらに各州には州権擁護をするがために、ミリシヤアという州兵を置いた。中央政府が州権を侵すときには実力を行使しても防衛するといつた。自衛権と武器というものは不可分である。たとえてみれば国家の場合においても、自衛権というものは憲法に書いてあろうがなかろうが、よく木村さんが言う通り、攻めて来た場合にはわれわれは刀を持つて、まさかりを持つても戦う。これは自衛権の行使です。しかし自衛力というのは憲法で禁止されている、これはどうしたわけですか。自衛権がある以上は自衛力がなくちやならぬ。アメリカの憲法のかけ出しでもちやんとこういう言葉がある。あれは侵略する国じやない。アメリカは当時は英国から独立したばかりで、ようやく自国の存在を保つばかりのような国柄であつたけれども、こういうことをちやんと書いてある。われわれ合衆国人民は一層完全なる連合組織、各州から出発して連合を強化する。国内において正義を確立し、国家の安全を保持し、外防に備え、衆庶の福利を増進し、われわれ及びわれわれの子孫に自由の恵沢を保障する目的をもつてアメリカ合衆国に対しこの憲法を制定する。すなわち国家の本質に触れておる。国内において正義を確立し、国家の秩序を保持し、そうして外の防衛に備え、州民の利福を増進する。そうして自由の恵沢を増して行く、すなわち国家の本質上国内の秩序を保つ。ところが保安隊なら国内の秩序を保つても、外に対する防衛には役に立たぬ。アメリカの独立したての、ようやく一人前になつたときでもこれだけの意気があつた。日本は一たび戦争に敗れたからといつて、憲法までこしらえて自己をつくる必要はない。人が縛つた、ところが縛つたままで安心して、なわが解ける時代が来てもなわが解けないで、友達から縛つてもらつておるような状態、自縄自縛、私はこの憲法をこのままに解釈すれば、社会党の左派のように、国防は絶対反対、軍事基地反対、ロシヤが来るか来ないかによつて、私は意見が違うだけで、ロシヤや中共が来ないという前提のもとで、世界の諸国の公正と信義に信頼するという憲法の建前からいえば、社会党の左派の議論や、共産党の議論まで行かなければならぬ、不徹底です。私は国家というものの本質上、国内を維持する力がいる、外国の侵略に対するある程度の力、それに日本だけで守り得なければ、アメリカその他の民主国の援助を受けて、共同防衛をやる必要がある。私は自由党の代表演説としての質問をしたときに、こういうことを言つた。日本は無防備の国であるから、少くとも局外永世中立の宣言をやつて、憲法を押しつけた諸外国から全部認めてもらいたい。当時社会党の代表としての鈴木義男君の演説では、局外中立は古くさい。もちろんベルギーは侵略され、スイスは幸い侵略されませんが、国際連合に早く入つて、国際連合から擁護してもらいたいという説を述べました。結局は無防備の国であるならば、国際連合から擁護してもらうか、それとも局外永世中立を宣言して、ソ連、中共、アメリカ、イギリスから認めてもらうよりほかしかたがない。そういう性質の憲法です。二大陣営にわかれて、一方の陣営に加わつて、アメリカから守つてもらうと、いつまでもアメリカが守つておつて、日本は属国、保護国の立場になる。経済がかわつて、五年、三年ではたして経済が回復しますか。私は今のような自由党内閣のような気持でやれば、吉田さんは死んでも、アメリカの兵隊が基地を持つておる。一日の安をむさぼつて、政権に執着しておるものならば、それでもやれるかもしれぬが、われわれの子孫に申訳ない。ヨーロツパの大国でも、戦争に負けてほとんど首府を占領された、そうでないのはアメリカだけです。それでも立ち上つて来ておるじやないか。一たび負けたからといつて、ぺちやんこになつて一日の安を盗むということについて、大臣諸公に私は深刻な不満を感じます。やはり天はみずから助くる者を助く。集団保障であつても、日本は外の防衛をしてもらいたいから憲法を改正することを唱える。しかしこの憲法を自由党のごとく正しいもので、このまま維持するというならば、私は社会党左派の議論に全面的に同調せざるを得ないから、あるいはMSAの援助の問題について、われわれの態度はどうなるか疑問であります。緒方副総理からお答えを願います。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 お答えしますが、憲法改正につきましては、先ほども繰返して申し上げましたように、今のところ政府でその意図は持つておりません。現行憲法に対するいろいろな批判は、北さん初めいろいろあるようでありますけれども、この憲法の改正ということにつきましては、よほど慎重にやらなければならぬことは申すまでもないことでありまして、政府といたしましては、民論がこの改正に向つて、非常に強くなつて参りました場合に、そこで慎重に考究いたしたいと考えております。

北昤吉自由党(分)

○北委員 これ以上質問してもだめで、われわれの態度を最後にきめるときでありますが、岡崎外務大臣にお伺いします。私の手元にはMSAを受けた国の状態が掲載されておるところの資料がありますが、相当深刻な事情があります。たとえば事業会社が行き詰まつて、銀行から金を借りると監査役が来て事業の経営内容を徹底的に取締る、それと同じような現象が起きて来ると思います。これはフランスの材料で、これは共産党系のものが出しておるが、責道具には共産党も利用しなければならぬ。 (笑声)今パリには一これはインテリがやつておるからそううそはありません。今パリには十七のアメリカ政府機関が駐在し、役人がそこで仕事をしておる。大使あるいは大使級の高官が四人、全権公使が三人、現役、退役将官が十二人、佐官級の軍人、経済顧問、外交官、米連邦検察局の検事など数十人というようなアメリカ代表たちがパリにごろついているといわれる。パリは小ワシントンになつてしまつたとUSニユーズ・アンド・ワールド・リポート誌が報じておる、私はこの雑誌はとつておるから、もし必要があれば、午後調べて材料として提供いたします。こういう状態です。それで私はMSAなどはちよつと飛びつきやすいかもしらぬが、行き詰まつた会社が悪質銀行から金を借りる、監査役が来て事業を乗つ取る可能性が将来なきにしもあらず、北大西洋同盟条約について、フランスや西ドイツでいつでももんでおる、これは軽々にうのみにできません。こういう事情がある、その他まだいろいろあります。映画館あたりでもハリウツドから来て宣伝をする。ハリの映画館は三十七館かあるが、フランス人の手にはわずか七館しかない、日本の映画の状態もかくのごとき状態です。あなた方の一生は大丈夫であるかもしれぬが、われわれの時代に戦争に負けて、勝つた国に絶えず永久に差押えをされるような国を子孫に残すわけに行かぬ、私は国民に毅然たる独立心があり、不法に対してはレジスタンスの精神が旺盛であれば、やはり差押えも寛大になると思うから、ここで徹底的に話し合つてもらいたい、岡崎外務大臣の御所見を承り たい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 私もMSAのみならず、アメリカが北大西洋条約その他ヨーロツパのいろいろの施策におきまして、とかく内政干渉めいたことになりがちだという批判のことは、直偽は別としましていろいろの論評も見ておりまして、また最近においてたとえばインドネシアがMSAは受けたくない、TCAなら受けたい、国連の技術援助なら受けたい、こういうような意見を述べておる実情も調べております。われわれとしてはお話のように実情ともに独立国たるようにすることは、まつたく同感であります。この意味では北さんのお話もありますが、お話をまたずとも私どもできるだけ努力するつもりでおります。但し一方におきましては、もう御承知のように、今のこの国際情勢によりましては、ずつと昔、たとえば経済問題にしても、自由主義といつても、アダム・スミスの自由論は今通用しないと同様に、自国だけでもつて、ほかと孤立して防衛もやれば何もやるという状況ではないのであります。お互いに助け合い、お互いに譲り合つて行くべき国際情勢でもありますので、その間におきまして、日本の国内の力を一日も早くとりもどして、内政干渉にならざる範囲においては、受けるべき援助は受けたいと思いますが、お話の趣旨もありますから、今後とも交渉にあたつては十分御意見を尊重して行きたいと考えております。

北昤吉自由党(分)

○北委員 岡崎外務大臣にお伺いしますが、私は岡崎さんの答弁には一番満足する一人であります。吉田さんのような立場の人を総理大臣にいただいてアメリカと交渉するには、総理が不徹底の立場をとつておるからして、ずいぶん骨の折れることだと思います。私はその点において同情を表します。アメリカと日本との行政協定のことについて簡単に述べますが、せんだつて上院議員の――名前は忘れましたが、アメリカに帰つて、アメリカは日本の領土が狭いのに、基地をあんなにたくさん持つては困る、日本人が迷惑がるだろうという演説をしております。今まで七百くらいの基地を持つておるようですが、われわれしろうとから考えれば、その十分の一でもたくさんだと思うのです。どうして七百も持たなければならぬか、都合によれば八百になるかもしれぬといううわさがあるようでありますが、これは軍事専門家の立会いのもとで厳密に研究したのでありますか。私はどうも日本の政治家や外交官は軍事知識が乏しいために、今まで負ける戦争でも勝つなんと言うておだてられて、小磯内閣、東條内閣あたりの閣僚がみんな協力したので、もう懲り懲りしております。私は軍事専門家にはつきり意見を聞いて、減らすものは減らすべきではないか、そう思いますが、いかがでございますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これもお話の通りであります。ただ今六百とかいう数を言われましたけれども、これは全部の数でありまして、いわゆる基地と称せられるものの中には、たとえば一軒の家も入つておるわけであります。その中には大きな演習場もありますし、一軒の家も勘定して、すべてを一つとして勘定すると六百余りになる。あるいはレーダーの施設なども、山の上にごく小規模な、面積の少いところにありますのが各地にありますが、これなども入れてでありまして、演習場とか飛行場というものがそれだけあるわけではないことは御承知の通りであります。但しわれわれも考えておりまして、今の程度でも量り国内から見ますれば多過ぎる感もあるのであります。他方アメリカ側の見地からいえば、能率を上げて演習を十分するためには、できるだけよけいほしいという考えはございましようけれども、また日本を防ぐためにはその必要もあるかもしれませんが、同時に国民によけいな反感を起すようでは、結局日本を防ぐ目的にもかなわないのでありますから、私としては今後減らすことはありましても、大規模なものをふやす意向はないのであります。

北昤吉自由党(分)

○北委員 私は日本の今日の政情はだんだんフランスの政情に似て来はしないかと思う。すなわちフランスは支配階級はアメリカの援助で、その日の 安をむさぼつておる。それに対して右翼のド・ゴール派は反対的であり、愛国的である。左翼は共産系で第一党に現になつて、インテリもこれに加わつております。私は日本もこのままで親米にあまり傾けば、吉田内閣はもとよりその他の保守党系統も、右は右翼からド・ゴール的なものが出て来て、攻められ、左は労働組合の左翼分子に攻められまして、その結果は中間派になつて、右翼と提携するか、左翼と提携するかしなければ政界安定ができない。現にフランスはド・ゴール派と提携して、ようやく政権を維持しております。その危険性が十分にあると思いますが、これは外国との関係から来ると思います。アメリカとの関係において、そういう国情になりはしないかと私は心配いたしますが、どうお考えですが。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 われわれとしましてはアメリカはもちろん大切でありまして、できるだけ親善関係を深くしようとは思つております。しかしほかの国をそれじやほうつておくかというと、決してそういうつもりはないのでありますが、とかくそういう誤解を受けがちであります。従いましてこれは日本のためにもならず、アメリカのためにもならないのでありますから、今後とも国民にできるだけ理解を深めまして、われわれのやつておることは、世界の自由主義諸国ひとしく提携して行く、もちろんその中には経済的に緊密なところと緊密でないところは自然出て参りましよう。特にアメリカだけを念頭に置いてやつておるのじやないということを、できるだけ理解を深めるようにやりたいと思つております。

小峯柳多自由党

○小峯委員長代理 北さん、外務大臣は前から申入れがありまして、フランス大使との会見があるということですから……。

北昤吉自由党(分)

○北委員 外務大臣はよろしゆございます。  私は緒方副総理に一般的の問題について質問いたします。御承知のごとく日本は国民主権である。国会が国民主権の代表であつて最高機関である。私は最高機関ということについてはすでに疑問を持つておりますが、憲法にはそう書いてあります。従つて主権というものの内容に司法、行政、立法以外に軍隊がある国は統帥すなわち兵馬の権、外交権、課税権、この六つがどこの国でも主権の内容です。明治憲法では御承知のごとくこの六つのうち二つ、――議会は課税の問題、立法の問題だけに関係しておりました。ほかの四つは天皇の大権でありました。それであるから私は上杉さんの天皇主権論は間違いで、私は参政権として主権を分有しておる、バーテークしておるという論であります。今日は主権が全国民で、われわれはその最高機関である。政府は最高機関じやなくて、われわれの決議を執行する機関になつてしまつておる。従つて外交の大権も兵馬の権も――保安隊も重く見て兵馬の権、これは全部国会の審議によつて決すべきものである。国会が決議機関であつて内閣はその執行機関である。この憲法の根本精神を生かせば、秘密外交とか祕密五箇年計画ということは断じてあり得ない。こういうことをやる諸君は憲法の根本精神を蹂躙するものであると私は考えますが、いかがお考えでありますか。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 国会は国権の最高機関であるということは申し上げるまでもなく、憲法に明記されておるところであります。従いまして外交につきましては批准権を持つておるのは国会でありまして、その国会の承認を求める準備行為といたしまして、行政府である政府がいろいろな交渉に当りますけれども、その効力を発生せしめるかいはかにつきましては、国会が最後の権力を持つております。その意味におきまして国会はその場合においても最高の機関であるということが言い得ると思います。

北昤吉自由党(分)

○北委員 国防は統帥権の範囲に入るか、兵馬の権に入るか入らなぬかわからぬが、ともかくも保安隊というものの長官は木村さんでありますから、これも主権の内容をなしておる。すなわち議会に徹底的に報告する。国民が主権で、最高機関が議会であつて、政府はその執行機関である。プランなどは議会と相談して立てるべきもので、執行のときにあなたが長官になつてもいろしい。ところが、プランを見せることがいやだというのは、議会の権能を奪つたものである。予算の伴うプランを議会と相談して立てるのが本式で、議会に隠して政府内でこそこそやることは――明治憲法の第十一条は用兵作戦の統帥独立、それから十二条は編成大権、これは政府にあるか軍部にあるか、これは濱口内閣で大問題になつた、共管事項だと私は解釈しておりますが、明治憲法においてすら十二条は軍部のものかあるいは政府のものか、政府と両方の共管事項であるかということが大問題で、濱口さんが殺されたのも多少これに原因があります。私は、明治憲法のごとき感覚を木村長官が持つておられるのじやないか。これは編制大権に属するので、大権は国民の手に移つたから、議会がプランを立て、予算を伴うべきものである。こそこそあなたが立つて、見せるとか見せぬとかいうことは末の問題で、議会と相談して立てるべきではないか、いかかですか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 むろんこの案はできますれば国会に御審議をお願いいたしたい。成案を得なければ、とうていそういう運びには至らない、その点御了解を願いたいと思います。

北昤吉自由党(分)

○北委員 どうも政府の秘密外交といい、秘密計画といい、憲法ではアメリカ政府の憲法を金科玉条としておりながら、なすところは明治時代の藩閥政治家、官僚政治家の遺習を大いに受けておつて、今の公明政治の時代には適せぬと思いますが、どうか今までの戦時内閣の命令服従の関係で来た遺習を一蹴して、公明正大な政治をやられんことを希望条件として申し上げておきます。  これで終ります。

小峯柳多自由党

○小峯委員長代理 午前はこの程度にいたしまして、休憩いたします。午後は一時から再開いたします。     午前十一時五十二分休憩      ――――◇―――――     午後三時三十八分開議

尾崎末吉自由党

○尾崎委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  質疑を継続いたします。古井喜實君。

古井喜實改進党

○古井委員 私は地方行財政の問題について政府にただし、関係諸大臣の御所信を伺いたいと思います。問題はまことにじみでありますが重要であります。また相当切実な問題だと私は思つております。  まず第一に地方制度調査会の問題であります。地方行財政制度の改革の問題は、まことに急を要する諸問題が含まれておると思つております。地方制度調査会はむしろ改革をはばんでおる、遅らせる結果になつておると私は思つております。政府の、あるいは自由党の御所信に基いて、是なりとする提案をなさつて、そして国会で論議して著々と改革を実行して行かれることが、むしろ適切ではないかと思うのであります。この意味でいつそのこと、この地方制度調査会を廃してしまうというお考えはないか。また廃しないというならば、この審議を一体どういう時期にけりをつけて、どういう時期に必要な改正を実行しようとされるのか、こういう点であります。この調査会には各方面の権威者をお集めでありましようけれども、ここでまとまる案というものは、おそらく最大公約数でありましようから、大した案はまとまりはしません。これは大体わかり切つておる。またまとまつたところで、これをそのまま政府がのむものでもありますまい。そういたしますと、これは何のことかわからぬ結果になつて、結局改革を遅らせるだけの結果になる。また昨年の例を見ましても、政府は調査会を設けておりながら、自分が必要だと思えば、調査会を抜きにして改革をやる。警察制度しかり、義務教育費国庫負担の問題しかり、つまり都合の悪いことたけは、これは調査会で一生懸命調査審議をしておりますと言つて、言訳をする、責任回避をなさる、かつてなときには自分だけで提案をされる、こういうことであるのでありますから、むしろかかる調査会はやめてしまわれたらどうか。やめられないならば、いつめどをつけて、いつ改正を行おうとされるか、この点をお伺いしたいと思います。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○塚田国務大臣 地方制度の改革は、古井委員も御存じのように、非常に重要な問題でありかつ急を要する問題である、こういうふうに考える。しかもこれだけ重要な問題でございますから、できるだけたくさんの人の意向を伺つて、今度は誤りのない改革をしたい、こういうふうに考えて、地方制度調査会を設けたのでありますから、政府といしましては、今これを廃止するという意向は毛頭持つておりません。しかし御指摘のように、これが審議が非常に遅延いたしまして、もしくはまた意見がまとまらないということのために、かえつて地方制度調査会がこの緊急を要する大問題の解決をはばむということになつてはたいへんである。またそんなことにはなるまいと、私どもは期待しておるのであります。そこで、そういう意味におきまして、私も先般来なるべく早く結論を出していただきたい、おそくも八月中には制度調査会が結論を出していただきたい、こういうふうにただいまお願い申し上げておる。もしまたその時期までにまとまつた一本の意見が出ませんならば、これは多数意見、少数意見というように、並行して意見をお聞かせ願つてもけつこうだ、こういうふうに申し上げておるわけであります。しかしそれと同時に、地方制度調査会から出て参りました意見が、政府において十分取入れられないということが起きると非常に困りますので、もしそういう事態が発生するとすれば、地方制度調査会の進行の過程におきまして、自治庁が政府側の意見を同調査会の委員の方々に十分お知らせ申し上げて、そうしてそういう考え方をくんでいただくという努力をしなかつたところにも原因があると考えられますので、地方制度調査会側に意見を早急に出していただくということをお願いすると同時に、事務当局といたしまして、また自治庁といたしましては、少くとも事務当局の考えられる考え方というものは、いろいろ参考意見として提出をいたしまして、そうしてそれとあわせて並行審議していただく、こういうふうにお願いいたしておりまして、なるべく早く目的を達したい、こういうふうに努力いたしておるわけであります。

古井喜實改進党

○古井委員 そうしますと、八月中には何らかの結論に到達して、とにもかくにもそこを一区切りにして、必要な改正はするということになりましようか。そうすると、臨時国会はどうか知りませんけれども、一番早い国会には提案される。とにもかくにも八月限りで、ここを区切りにして必要な改正がないなら別であるけれども、必要とするなら必ずされる、こういうことでありましようか。念のためにもう一ぺん伺つておきます。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○塚田国務大臣 御承知のように、制度改革、そうしてその中の重要な問題点になります地方財政の改革は、予算に関係をいたしますので、二十九年度の予算編成時期までには、どうしても大体の改革の構想というものは出て参らなければなりません。それで二十九年度の予算のときに間に合わない、またこれまで延び延びになつていることは申訳ないので、八月と申し上げましたのも、二十九年度の予算編成の時期に間に合うようにということを考えておりますので、二十九年度の予算の編成までには、必ずこの問題は目鼻をつけたい、そういうところに目標を置いて努力いたしたいと考えております。

古井喜實改進党

○古井委員 それではその時期まで待ちまして、どういう結果が得られるか拝見をすることにいたします。  次に、地方財政に冗費が多い、濫費が多いということが、しきりに言われるのでありますが、この点について、この問題をどうお考えになつているか。もし冗費が多いというなら、どういう点に冗費が多いというふうにごらんになつているか、またその根源はどういうところにあるとお考えになつているか、またこれに対してどうしようというお考えであるか、この点についてお伺いをしたいと思います。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○塚田国務大臣 地方財政に冗費があるという考え方は、私も一般的なものの考え方としては、やはり同じ考え方を持つています。ただ世間一般に地方財政に冗費があると考えられているほど、大きな額では冗費はない、そういうように私は了解しております。地方財政に冗費があるというこの一般的なものの考え方の中には、近年地方財政がぐんぐんと大きくなつている、その大きくなるものの中には、相当理由があつて大きくなるものもありますが、この地方財政が非常に急速度に膨脹する傾向は、みな冗費があると考えている以上に、多分に理由があるのでありまして、そういうものまで地方財政の冗費であるというようにわれわれが判断することは、地方財政の正鵠な判断ではない、かように考えているのであります。しかし冗費がないということは絶対にないと思うのでありまして、ことに私どもが非常に冗費があるのじやないかと考えますのは、とにかく地方団体が中央に出て来る機会が非常に多過ぎる。出て来るということばかりでなしに、たとえば東京に常駐する人たちもあり、また各府県の例で申し上げますれば、東京にそれぞれの県が事務所を持つている、こういうところにやはり一つの冗費があると考えられる。しかしこの冗費は金額にしてどれくらいになるか、正確に計算をしたことはありませんが、金額はどうであつても、これは確かに冗費であるということに間違いありません。しかしかりにこの冗費を押えるということであるならば、その冗費が生ずる原因は制度自体にあると私は思う。今のように、地方が何でも中央に来て頼んで行かなければ問題が解決しないというところに、その冗費の大きな原因がある。従つて国全体から見れば冗費である、国民の立場から見れば冗費であるといいましても、その金を使う個々の団体の立場から見れば、それを使つた方が、やはり自分の府県なり市町村に、プラスがよけい来るという意味において、やはりやむを得ない悪として、こういうものが出て来ると思うのでありますから、こういう面の冗費は、やはり制度自体の改革とあわせまして、それぞれの理事者のものの考え方の改革、こういうふうに持つて行かなければ直らぬのじやないかと思う。  そこでそういう問題と全体とをひつくるめまして、地方財政が冗費を生じないようにするには、どうするかということでありますが、御承知のように、地方団体は自治団体ということになつているのでありまして、一人前の人格者なのでありますから、これをやかましく言つて、そして冗費を押えるようにいたしましても、とても効果が上るべきものではありません。そういうようなやり方をするということは、地方自治の本質にむしろ逆行するものと考えますから、事態の判断において、これは当然締めなければならないし、締まるように、制度なりその他を持つて行く方がいいじやないか。そういうような意味におきまして、私は地方財政の財源というものを、あまり国から出すということでなしに、独自の財源でまかなうという方向に、今度の改革では持つて行く方がいいじやないか、そういうふうに考えているわけであります。

古井喜實改進党

○古井委員 ただいまの御答弁によりますと、冗費というものは結局大してないのだ。これは制度上やむを得ぬ出費であるのだ。若干の度を越した点はあるにしても、これは大体制度の結果として起つて来るやむを得ぬ経費であるというふうに伺えるのでありますけれども、そういう意味になるのでありますか。つまりそう大きな冗費はないのだ、こういうことになりましようか。もう一度伺います。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○塚田国務大臣 少し言葉が足りませんでしたが、それほどの意味でもないのであります。しかし世間一般に考えられているほどの冗費は自分はないと思う、こういうふうに御了解願いたいと思います。もちろん今申し上げましたやむを得ざる冗費以外の冗費がないかということでありますが、それはやはり冗費はある、何にいたしましても、だんだんと地方財政も大きくなつて参りましたから、年に八千億、九千億の財政規模の中に冗費がないということは絶対にあり得ない。この意味におきまして、私は行政監察の立場から、国の費用自体にも相当な冗費があるのではないかという考え方を持つております。そういうようなものも含めてこれを押えるのには、やはり制度の改革によつてやるのが一番正しい、一番有効な方法である、こういうように考えておるわけであります。

古井喜實改進党

○古井委員 府県にしても市町村にしても、特に府県でありますが、終戦後機構がはなはだしく厖大になつている、分裂を来しておる、行政人員もおそろしく増大を来しておることは御承知の通りであります。昭和八年ごろに比べると、行政人員が約二倍になつておるようであります。機構、行政人員、こういう方面については、どういうふうにお考えになつておるか、この点をお伺いいたします。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○塚田国務大臣 この点も古井委員の御指摘の通り、私も痛感をいたしておりますので、何とかならないかということを非常に考えておるわけであります。しかしまたそういうものが発生した原因を見てみると、それができますときには、やはりそれぞれもつともな理由があつてできておるのでありまして、これをどういうぐあいに整理をするかというときになりますと、具体的な考え方としては非常に判断に迷うわけであります。しかしそういうものの考え方をしておつたのでは、いつまでたつてもこういう厖大なものは整理できない。この状態は国の行政機構の中にも、相当まだ残つておると考えておりますので、そういう国の方は行政審議会の御意見を伺い、地方の方は地方制度調査会の御意見を伺つて、こういう方面にも大幅な何らかの措置ができる方法はないかということを、せつかく考えておるわけであります。

古井喜實改進党

○古井委員 地方の機構の問題あるいは行政人員の問題は、長官のおつしやる通りに、ひとり地方の機構の問題だけではないと思います。われわれはむしろ中央の行政機構の中に大きな冗員があると思つております。われわれは行政経費の節約を相当思い切つてやることが必要であると思つておるのでありまして、中央の行政機構についてもでありますけれども、同時に地方の行政機構、行政人員についても、相当思い切つた縮減をしなければならぬという考え方を持つておるのであります。これについては八月一ぱい、来年度の予算までにほかの諸問題と一縮に御研究になるものかどうか、また結論をその時期までにお出しになるお考えがあるかどうか、これは相当取急いでやらぬと、いつになつてもできないことになるのではないかと思うのでありますが、どうお考えになりますか。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○塚田国務大臣 これはやはり二十九年度の予算までに、何とか目鼻をつけたいということを考えておりますので、先ほどもちよつと申し上げましたように、行政管理庁に付置されております行政審議会に国の方の行政機構の改革というものをいろいろお考え願つて、この方も八月までに何とか結論を得たいということをお願いしております。一貫して地方制度の改革、国の機構の改革、従つて財政の改革、これをみな二十九年度の予算に間に合うということを目標に、努力をいたしております。

古井喜實改進党

○古井委員 ただいまの点は一通りの御努力でなしに、これはいつの日か必ず実行しなければならぬ問題でもありますし、それから今の国費の前途を考えてみましても、これはほんとうに思い切つてやらなければならぬ大事な方面だと思うのであります。私どもは今年度の予算から行政費の節約を、ぜひやつてもらいたいという強い希望を持つのであります。地方のことにつきましては、これをどうして実行させるか、むずかしい点があるかもしれぬと思うのでありますが、これをぜひ考究していただいて、実行ができるようにお願いしたいと思うのであります。  そこで先ほど地方から東京に集まつて来て、むだな金がかかるという点について、東京に来なければ仕事ができないのだ、いわば中央に依存をしておる地方財源が非常に多いのだという意味を裏面でおつしやつたように思つております。これはなるほど数字から見ても、まさにその通りのようであります。補助金、平衡交付金、起債を合せてみると、地方の歳入の約半ばを占めておるのでありまして、これらはいずれも中央の規制を受ける財源だ、こういう状況でありますれば、東京に来なければ地方の財政はまわつて行かない、仕事はできないということになつてしまう、補助金を何とかもらいたい、平衡交付金を少しでももらいたい、起債のわくを少しでももらいたい、このためにやつて来ておるのであります。  そこでこういう中央依存、中央規制の財源を今のようにしております限りは、これはむろん解決にならぬと思うのであります。この辺について何か考え方があるものかないものか、まつたくこれは白紙でおいでになるものか、何かの方向でもお考えになつておるものか、この点について抱負をお伺いできれば拝聴したいと思います。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○塚田国務大臣 抱負と申し上げるほどのものもないのでありますが、一応自分の考え方だけを申し上げます。私はできるならば平衡交付金というものも、補助金というものもなくつて済めば、一番よいと考えておることは間違いないのであります。ということは、独自の財源がそれにかわつて十分与えられれば非常にいいのでありますが、しかしこれは地方財政の財源を、いろいろな税目について検討いたしてみても、どうしてもこれはやはりどこかに偏在をする、非常に普遍的にどの府県にも市町村にも同じように財源が与えられる税目が、なかなか考えられないということになると、どうしても調整をする機構か何かなければならないので、そういう意味におきましては平衡交付金制度というものは、やはり残しておかなければならない、しかしこれにあまり重点を置くという考え方は、中央依存の考えを強くする、これはやはりよさなければならぬ。そこでこれを残しておくとしても、なるべく最小限度の数にして残しておくということ、それからもう一つは、平衡交付金制度はまだできてから間もなかつたために、いろいろ配分の方法が年度の途中にかわつたりしておりまして、中央へやつて来ると何とか動く、配分の大体の目安のつく時期なども、年度の中途になつてりまして、地方が財政計画を組むときは、むしろまだ平衡交付金がどれだけもらえるかわからぬというような状態になつておるものでありますから、一応予算はこれくらいもらえるだろうというので、目安をもつて予算を組むのですが、だんだん調べてみると、それだけはもらえそうもないということで、盛んに陳情に出ていらつしやるということになるのですから、かりに平衡交付金制度を残しておくにしましても、もつときちんと法律できめて、自治団体が予算をお組みになるまでには、来年は幾ら平衡交付金がもらえるということがはつきりしておつて、あまり中央へ陳情に来る必要がないように、その点はくふうすれば何とかできるのではないか、こういうふうに考こております。平衡交付金制度も何年かやつてみて、だんだんおちつきまして、できるならば、ここ両年のうちに、あのいろいろな配分の単位費用でありますとか、そういうものを法律の中にきちんと書き込んでしまつて、そうして裁量の余地を少くして、そういう弊害をできるだけないようにしたいと考こておるわけであります。

古井喜實改進党

○古井委員 若干の改善の点はあるかもしれませんけれども、補助金あり、平衡交付金制度あり、起債の問題があつて、これについて中央に折衝を要する以上は、ほとんど解決になぬと思う。今のお話のようにいたしますならば、結局改革の道はないのだ、こういう結論に帰するように思うのであります。もつと大きく考えをかえて、この問題を抜本的に解決するという方法は、お考えになつたことがないものかどうか。結局これはしようがないという結論になりそうに伺つたのであります。私は、こういう財源を中央からもらつて来るためのいろいろな折衝、そういうこともありましようし、そのほか、要するに現在行政が中央に集中し過ぎていると思うのであります。すべてのことが東京に来なければきまりがつかない、こういうことであると思うのであります。この行政事務を思い切つて大幅に地方に委譲するという以外に、方法はないものであろうかどうか。そういう点については、何かのお考えはないものかどうか。そうでもいたしませんければ、とても解決がつかぬではないかと思うのであります。どうお考えになりますか。この行政事務の大幅な地方委譲という問題について、お伺いをしたいのであります。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○塚田国務大臣 この点は制度改革のやり方の一つの重要な問題点だと思うので、私も考え方としては同じ考え方を持つておるのであります。一つは、中央の出先機関をなるべく整理して、それらの仕事を自治団体にお願いするということがいいのじやないか。それから中央と地方の事務の配分の上でも、なるべく地方にお願いできるものはお願いして、中央を減らして行くということの方がいいのじやないか、そういうように考えております。従つて、考え方の方向としては、おそらく古井委員と同じじやないかと思うのです。ただそれをどういうぐあいに実現して行くかということは、ちよつと今具体的に案を申し上げる段階に至つておりませんが、考え方はそのようでございます。

古井喜實改進党

○古井委員 行政事務を地方に委譲するという問題は、新しい問題でもない。御承知のように、長い開議論になつている問題であります。それにもかかわらず、これが実行できない。これはどこにその原因があるかということであります。私は、現在の府県という機構、あの機構を現在のままにしておいて、あれに対して行政事務を大幅に委譲せよ、委譲しようと言つて、はたしてできるかどうか、ここに根本的な問題があるのでにないかと思うのであります。そこで、この府県を相手にして事務の委譲ということをお考えになつても、私は大した結果が得られぬと思う。そこに一つ別の構想を立てて、新しい構想のもとにおいてこれを考えないと、不可能ではないかと思うのです。その点について私長い問疑問にして来ており、むしろ消極的な考え方を持つておつたのであります。またきようも結論を得ておるわけではありませんけれども、やはり各般の点を考えると、一方において、従来から議論のある、広地域の行政単位を考えるという問題に迫られて来ているのではないかという気があるのであります。広地域の、財政の単位としても相当大きな行政単位を考え、そこは大幅に行政の事務をおろして行くほかは、方法がないではないかという気がするのであります。これが従前州道の問題と言われた問題かもしれません。こういう点について、すべてこれは調査会まかせの問題でありましようか、論じておつても切りがない問題であるかもしれませんが、塚田長官はどういうふうにお考えになるか。私はむしろそういう以外には道がないではないかという考え方に、だんだん陥つて来ておるのであります。御意見を伺います。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○塚田国務大臣 この点も、私もそう強く、深く考えたことはまだないのでありますが、大体今私が漠然と考えております考え方――しかもそれは今すぐの改革にできるかどうかということは、私も自信がないのでありますが、少くとも日本の自治制度の将来のあり方としては、そういう方向に持つて行くように目標を置いて、今度の改革をする必要があるのじやないか。将来の地方制度改革の努力目標としては、少くとも今の自治体、ことに府県自治体というものを、もう少しまとめて大きなものにする方がいいのじやないかというように考えております。そういうように考えます非常に大きな私の動機は、現在平衡交付金でありますとか、地方債でありますとか、そういうものを自治庁の手で府県に配分をいたしておるのでありますが、その配分の様子を見ておりまして、おそらくこの傾向は、公共事業費や、その他、国から地方に補助金やそういうものを出すときも、同じように一つのこういう傾向になつていると思うのですが、どうしても府県単位に、総花式になりがちである。そうすると、非常に大きな北海道でありますとか、東京、新潟というような府県の大きさからいえば、地域的の大きさ、人口的の大きさが二分の一、三分の一しかないところも、やはり起債のわくでありますとか、公共事業費というものを配分いたしますときに、やはり二分の一、三分の一というわけには行かない。そういうところに、そういう地域的な配分が府県という単位にこまかくわかれておりますために、むだができる、こういう傾向が非常に看取されます。そういう面を直しますにも、もう少しこれを大きくして、大体同じくらいの大きさのものを並べえおくということが、そういうむだを少くする上においてもいいのじやないか。もちろん国の事務を地方にお願いするとしても、御指摘のように、その委譲を受ける団体が大きい方が便利であり、かつ安全であることは間違いないのでありますから、そういう意味においても、やはり、これはできるならば大きくしたい、こういうような考え方を私は持つております。ただ今度の改革にそこまで行けるかということになりますと、率直に申し上げて、まだそこまでは自信がない、しかし将来の方向としては、そこに目標を置く方がいいのではないか、こういうふうに自分としては考えておるわけであります。

古井喜實改進党

○古井委員 ただいまの問題は、塚田長官にとつても問題が大き過ぎまするし、ここであまり深く論ずるのもいかがと思いますので、その程度にいたします。  そこで目の前の問題でありますが、院地方財政の赤字は何のために生じたか。その原因についてどうお考えになりますか。先ほど冗費の問題についてお話がありましたが、一体何が原因でこの赤字が生じたと思うか。しかもたまたま二十七年度に生じたのではなく、連年生じて来ておる。最近の状況を見ますと、地方財政というものは、極度に逼迫しておるのみならず、危機に瀕しておるような気がするのであります。こういう連年の赤字、先ごろの横路さんに対する御答弁でも、二十七年度は実質上の赤字は百五十億だろうと、長官はおつしやつていたようであります。二十六年度も百億、二十五年度は百五十四億という赤字になつておるようであります。この赤字が一体何が原因で生じたか、どうお考えになるか、これをお伺いしたいと思います。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○塚田国務大臣 これは、この間横路委員のお問いに対してお答えしたのでありますが、実は国の地方財政計画の上では、赤字が生じないように一応なつておるはずなのであります。過去二十五年、二十六年も生じておりますし、二十七年度もおそらく生じるであろう、二十七年度の数字は、私は先般約二百億程度になるのではないかと想像しておると申し上げた、そこでこれは、本来ならば生じないつもりで、財政計画を組んであるのだけれども、現実に生じておる。ただ現実に赤字が生じておるといいましても、この百五十億、二百億という数字は、地方団体平均に生じておるわけでははないのでありまして、一万有余の団体のうち七百か八百の団体が赤字が続いた、その赤字の集計が二百億というような数字になるのでありますから、そういう個々の団体に固有な理由でも赤字が生じておるのじやないか。あるいはやむを得ない理由のものもありましようし、また中にはもう少しお考え直し願つたら、こういう赤字が生じなかつたのじやないかと思われる理由のものもきつとある、こういうふうに考えおるわけであります。そこでそういうような個々の赤字とは別に、地方財政が非常にやりたいこともやれずに困難をなさつておる、地方財政が苦しいという意味の広い意味に考えますならば、これも赤字と言えると思うのでありますが、そういうような赤字は確かにあると思う。そういうような意味の赤字の中に、やはり給与費が不足しておるということが一つ考えられる。これは財政計画で組んでおります給与費の予算と、それから現実にお支払いになつておる地方団体の給与費の総額というものとの間に、かなり開きがありますから、これは確かに原因の一つになつておる。もう一つは、やはり長年地方団体がいろいろやりたい単独事業その他をおやりにならずに、しんぼうしておられます。それがもうしんぼうできない時期になつて、どうしても早急に解決しなければならぬ。それに地方団体が首長も議員もみな民選ということになりましたので、議会と首長との相関関係でもつて、なるべくよけいに仕事をしたいという気持がどうしても首長の側に出て来て、多少無理をして仕事をしておられるのじやないか。そういうことも手伝いまして、非常に財政が窮乏するということが考えられるそれでは今政府が全体として考えております地方財政計画のわくが十分なものであるかどうかということになりますと、私は国の財政のわくの大きさと、地方の財政のわくの大きさから考えて、相対的にはもう少し地方財政のわくが大きくなつても、決して不当に大きいということはできない、こういうように考えられるのじやないかと思つております。その辺については、今度の改革でどうしても直さなければならぬと考えます。

古井喜實改進党

○古井委員 昨年度の赤字は、私は前回約二百億であろうということを目の子で申し上げておつたのでありますが、やはり二百億ですね。そこでこの赤字が生ずる原因は、ただいまの御答弁にもありましたように、これだけの赤字が生ずるということは、それだけの大きな原因があると私は考える。要するに私は中央が地方に必要な財源を与えないというところから来ておると思つておるのであります。たとえば学校の建築費に対しまして、国家が三分の一とか二分の一とかいう補助をする。その場合に、補助する基準の単価、たとえば木造なら二万四千円、鉄筋なら五万七千円という、その単価が問題になつて来る。必要なだけの単価を見ない、こういうこともやまやまあるようであります。また学校の規模の問題についても、補助する場合に十分な坪数を見ないでいる。小学校の建築の問題で言えば、何を対象にして補助するかといえば、御承知のように教室と廊下と便所であります。職員室であるとか、特別教室であるとか、あるいは講堂であるとか、こういうものは補助の対象にならぬのであります。これは小学校をつくる以上は必ずつくる部屋なのであります。こういうものは、地方が自分でもつてかかえ込みになる。こういうふうで、補助自身についても、必ずかかえ込みを生ずるようになつておると思う。また残りの補助を受けないで自己財源でやる方についても、これに対する平衡交付金を算定する場合、あるいは起債を見ます場合にも、補助の基準が大体もとになつて、財源を見るとこういうになるのでありますから、どうしてもここにかかえ込みの財源不足、赤字が生ずるのであります。これは当然生ずるはずなのであります。そういう仕組みになつておると思うのであります。また、同じようなことですけれども、たとえばこのごろよく問題になつておる積寒地帯の屋内体操場などを見ましても、坪数を見ますのに、過去の生徒数をもとにして坪数を見て、これに対して補助する。今回の場合などを調べてみると、二十七年の五月一日の生徒数を基準にして補助を与える。ことしの補助でありますから、完成して使えるのは二十九年度であります。二年も前の生徒数が基準になる。これをつくる方の側から見ますと、でき上つたときを目標に置いて坪数も必ずつくるにきまつておるのであります。そこで必ずそこにかかえ込みが起つて来る。こういうことは枚挙にいとまがないくらい例があると思うのであります。先ほど職員の給与のことをおつしやつておりますが、これもその通りで、昭和二十六年でありましたか、いわゆる調整と称して三百五十円低くした給与をもとにして、平衡交付金を算定した。それ以来若干の調整はあつたようでありますけれども、今日までまだ跡を引いて十分な解決を得ていない。今回の義務教育職員の給与の問題についても、やまやまの問題があると思つております。こういうことでは赤字が生ずるのはむしろあたりまえである。いわば中央の財政の御都合で、十分な財源が与えられぬために、いわばしわが地方財政にみな持つて行かれておるような気がするのであります。この態度を中央財政当局がおかえにならぬ限りは、赤字を生ずるのはあたりまえであり、またこれに対して中央政府において解決を与えるのが、当然の責任だと思うのであります。先ほど塚田長官も、冗費といつてもいわばやむを得ぬ結果であるという、自治体に対しては理解のあるお言葉があつた。まことに大きく言えばその通りでありましよう。そこで過去に生じた赤字については、国において責任をもつて解決しなければならぬと思うのであります。この特別国会になつてからの六月の暫定予算の会議のときに、赤字が一体生ずるのか生じないのか、私はおそらく二百億生ずると思うが、どうお考えになるか、この赤字に対してどういう措置をされるか、見殺しにされるのか、始末をおつけになるか、おつけになるとすれば、いつおつけになるかということを、塚田長官にお尋ねをしたのでありますが、あいまいきわまることをおつしやつておりました。とどのつまり何とかすると言わんばかりのお言葉で、あのときは終つてしまつたのであります。一体この二百億の赤字に対して、今回の予算でどういう措置をおとりになつておるか、またどうされようとするのか、これについてはつきりしたお考えをぜひ伺わなければならぬと思います。お答えを願います。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○塚田国務大臣 この前のときもお答え申し上げたと思うのでありますが、私の今の考え方としましては、過去の赤字、つまり二十七年度までの赤字は、ことしの予算では考えない。それは制度改革のときに、全体の改革の一環として考えたいというふうに考えており、現在も考えておるわけであります。  それからどういう形でこれを解決するかということは、いろいろ考えておるわけでありますが、原因を研究してみて、これはほんとうに国が責任を負うべきものであるということが、きわめてはつきりしておるということであれば、それは相当程度国が肩を入れて解決をしなければならぬ。しかし一応地方が責任を負わなければならぬ問題であるといいましても、赤字が現実に出ておりまして、府県なり市町村の財政が、その赤字のために、非常に無理な金を借りておるということでありますと、それを今度の制度改革で早急に解決するという方法は、これはあり得ないと思うのでありまして、やむを得なければ一時長期債か何かでもつて借りかえをして、相当長期間に元利ともに返済のできる計画にしたい、こういうふうに考えております。

古井喜實改進党

○古井委員 地方が自分で解決する道が一体あるでありましようか。つまり平衡交付金も特別には考えてやらない。それからまた、そのための起債のわくも格別見てやらない、こういうことにしておいて、地方が自分でこれを解決して行く道がありようはずはないと思うのでありますが、どういう方法で一体地方はこれをしのいで行くか、解決して行くか、私はその方法がないと思うのですが、どうお考えになりますか、お伺いいたしたい。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○塚田国務大臣 これは二十九年度の予算を組みますときに、必要なものがあればそういうもののために、総額の中からやはり起債のわくというものをとらぬといかぬと思います。それから平衡交付金ではもちろん見るという考え方はないのでありますが、しかし平衡交付金と税制をひつくるめて、将来その赤字を生じておる団体が長期債に借りかえたもので、長い期間に元利を逐次分割して返済して行けるというような方法で、これは解決しなければならぬ、こういう意味であります。

古井喜實改進党

○古井委員 二十九年度まで待たなければならぬのはどういうわけでございましようか。起債を認めるというのなら、二十八年度から認めてやつたらどういうものでありましようか。どういうわけで二十九年度とおつしやるのか。またその他の措置、赤字の問題はあとまわしという理由は私にはわかりません。この年度においても必ず赤字が生ずると思つている。また来年は重なつて来るのであります。これがふくれて来て大きくなる一方であつて、あとにまわすというお考えが、一体どういう理由であるのか、これをひとつお伺いします。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○塚田国務大臣 これは一つは予算を組みます時分に、十分赤字の確定した数字がわかりませんのと、それからもう一つは今年の起債の総額が十分ないのでありまして、御承知のように二十七年度以来二十八年度は三百億からの起債のわくを拡充いたしておりますけれども、それらはすべていろいろその他の事業に割振つて、なおまだ足りないという状態でありますので、とても資金的にもそういうゆとりがない。かたがたまたこういうように過去に生じたものは、今後生じないように本格的な解決をする際に解決をするということの方が、ものの考え方としてもいいのじやないか、こういうように考えております。

古井喜實改進党

○古井委員 将来は赤字が生じないように、根本的な策を講じられることはむろんけつこうであります。しかし生じた赤字だけは、何としてもこれは始末するほかはないのであります。それについてはさつきも申す通りに、国が手を貸さなければ解決がつかないのであります。そこで私はこの全部を、たとえばこの場合は平衡交付金で始末をつけてしまえ、そういうことを言うのではありません。しかし一部はそういう解決方法もしなければなるまいし、あとはなしくずしでこれを解決して行くように、長期債にしてしまうとか、そういうことをとつて行かなければならぬと思うのであります。これは私は十分できることだし、しなければならぬことだと思う。この点については十分な御考慮がいると思うのです。われわれもこの問題については、目の前の問題として考えなければならぬと思つておるのであります。十分御考慮をお願いしたいと思います。そこで私は今申す通りに、地方財政の赤字の問題は、よく世間で冗費、濫費と申しますけれども、これは今の機構制度のもとでは、塚田大臣の言う通り、大体やむを得ない結果だというくらいに、同情的に見ておるのであります。問題は十分必要な財源を中央が与えないというところにあると私は思つております。いつでも中央の財政のしわ寄せが、地方財政に来るのが例であります。また国費第一主義で、地方財政は軽視されるのであります。たとえばここに目の前の一例を申しましても、減税国債というものが発行されるという予算になつております。二百億の減税国債、この国債について減税を認めるなら、どういうわけで地方債について減税を認めるのが悪いのであるか。国債だけに減税を認めるなら、地方債にもお認めになつたらどうか。地方債を買つた者に対しても、所得税を減じておやりになつたらどうか。その点はこういうことか私には了解ができないのであります。つまり国債だけを優位に置いて考えておる。ここにも一つ国庫財政優先主義の頭が現われておると思う。こういう区別をつけるのはどういう理由でありますか、お伺いいたしたい。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 大蔵省としては、地方財政に対して少しも軽視する意思は持つておりません。御承知のごとく、さつき古井さんもおつしやつたように、三千六百六億もいろいろなことで出しておるのでありまして、ほとんど日本の予算の三分の一強も地方財政に出しておるということは古井さん御承知の通りであります。一方で一千億の減税をする、他方では各種の要求があるという際でありますから、不自由を忍んでいただくという部分も相当出て来るということは、やむを得ないことと考えておるのであります。どうも十分行かぬ点については遺憾に思います。今の減税国債についてはよく申します通り、昭和二十八年度限りのものであり、しかもこれはいわば建設的の意味の特別会計をつくつて、それに向けるということになつておりますので、これはいわばまつたく例外でございますから、さようひとつ御了承願います。

古井喜實改進党

○古井委員 減税国債のような悪制度は、むろん二年も三年もやられてはたまつたものではありませんが、一年間にせよ国債だけはこれを消化するのを容易にするために減税というような特典を与える。地方債は、今回の予算の計画においても、交付公債がたしか百八十億になつておる。この百八十億の交付公債を地方がこなすことは容易でいのであります。よほど高い利息を払わねとこなせないと思う。しかも地方財政が非常に窮迫していることは先ほど来申す通りであります。どうしてこういう違いが起るか、ただいまのお話では私には少くも御説明のように伺えないのであります。一年限りのものだから例外だとおつしやるけれども、それなら一年だけ地方債にもお認めになつたらどうか、こういうふうに思われるのでありますが、なぜ区別をおつけになるか、これをひとつ得心の行くように御説明願いたいと思います。のみならず、ついででありますが、減税国債はなるほど国債の消化を容易にするために、減税というような特典を与えることは効果がありましよう。けれども、これは税金というものの自殺ではありますまいか。およそわれわれの解する税金のりくつからいえば、資力のあるものに税金をかけるのである。ところがこれは資力のあるものにかけないという税の行き方なんです。便利であつてもまつたく自殺的なことになるじやないか。便利だからといつて違い過ぎではないか。こういう、目的のためには手段を選ばず式の行き方は、悪制度だと思うのであります。そういう点についてもわれわれは得心の行きがたい理由をやまやま持つておりますが、それはとにかくとして、差別待遇の理由だけは、ひとつ最小限度得心の行くようにしていただきたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 減税国債の方は先ほども申しました通り、そのかわりそれを積み上げて、国が心要としておる基幹産業に投資するものであります。従いましてこの点が地方のものと違うのでありまして、国が心要とする基幹産業に投資するために、投資特別会計をつくつておる次第であります。しかしこの制度を私も続けてよいものとは考えておりませんから、まず二十八年度限りと、かように申し上げておるわけであります。

古井喜實改進党

○古井委員 投資特別会計のために、国がいるのであるからというお話でありますけれども、地方のやる仕事は大して心要がない仕事で、その方面だけが入用だと言わんばかりの御説明であります。これは絶対に間違いであります。地方だつて心要な仕事を十分にやれないで弱つておつて、最小限度をやるために財源がなくて起債を起すのであります。しかも消化に困つております。今のように国がやるんだとか投資特別会計であるからというのはりくつにならぬと思う。つまりそれでは理由の説明にならぬと思うのです。どういうものでございましようか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 私は今の説明で説明になると信じておりますが、どうも説明にならぬと仰せになれば、どうぞ私の申し上げたことで御理解を願いたいと思います。

古井喜實改進党

○古井委員 それ以上の説明がないということであれば、かたがたもつて減税国債に対する態度をきめるについて容易でありますから、この問題はこの程度にいたします。  それから次は、文教関係のことについて文部大臣にお伺いしたいと思います。  終戦後の文教行政の中心問題は教職員の身分、待遇、政治活動というふうな、教職員中心にこの文教行政が考えられておつたようであります。その間に教育内容を改善するとかいうような問題は等閑に付せられておる。またこの文教施設、学校の施設等については、ほとんど考慮が払われておらぬという状態だつたと思うのです。ことに私は遺憾しごくに思いますことは、この学校校舎の設備があのひどい状況にほつておかれておるということはまことに大問題だと思う。これは一日延ばしたからといつて得はないのでありまして、一日も早く直すことがこれは有利なんだ。延ばす理由は一つもないのであります。ところが現状はまことにひどい状況で、文部大臣も選挙でおまわりになつてごらんの通り、壁や天井の落ちかけた学校もあれば、まるで傾いている学校もある。それでちつと風や雨のひどい日はその教室が使えないで、民家に行つたり、ほかのところで教育をしているというところなんかもたくさんあります。今回の文部予算からすれば、わずかに四十八万坪という一番危険な校舎が四年かかつて直せる程度の、十二万坪の計画のように聞いておるのであります。それで今建築基準法でもつて使用の制限あるいは禁止を受けた校舎が、実に四十八万坪あるというお話であります。あたかもこの法律でもつて使つてはいけないと言われたそれだけの数字の四十八万坪、その四分の一ずつを四年かかつて改築しよう、こういう計画だそうであります。法律で禁止を受けないで危険きわまる状態に立つておるのが実に多い、百六十五万坪というお話でございます。来年になればまた危険校舎がふえて来るのであります。おそらく一年に三十何万坪という危険校舎が新しく発生するだろうということを言う人もありますが、今の十二万坪直しておる程度では、これはいつまでたつても切りがつかぬのであります。こういうふうにほつておけばおくほど不利であつて、延ばす理由が少しもないものは、これはもう論議の余地なしに、思い切つて力を入れられたらどうかと思うのであります。かかる不十分なる予算案を提案しておられるお考えがわからない。一体どういうおつもりでありましようか、この点をお伺いしたいと思います。同様な問題は、文部大臣も山陰の御出身でありますからよく御承知でありましようが、あの積寒湿潤地帯、半年くらいは外で体操ができい所の屋内体操場の問題も、同様に切実な問題だと思います。また戦災校舎の復旧の問題も同様に重要だと思います。こういう議論をしておる余地のない設備の問題は、何より先に急いでおやりになつたらどうか、こういうふうに考えますが、御所見をお伺いいたしたいと思います。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 学校の校舎その他教育施設が、現状きわめて不十分で、遺憾の状態にあることは御指摘の通りであります。元来戦後非常に窮乏しており、また戦時中あるいは空襲でやられて、また戦争中建築の統制、木材の統制等によつて修理も改築もできなかつた。こういう状態であるところへ、とにかく六三制と申しますか、義務教育の年限延長という、いわゆる教育改革というものが制度としてまず打出された。要するにそれでなくても非常に困つておるところへ、その制度が先に出て来て、施設がどうしてもこれにおつつき得ないということが現状であろうと思います。今古井君のおつしやつたように何をおいてもこれをやらなければならぬ。ことに老朽危険校舎、これは風でも吹けばどういう不祥事が起るかわからない、こういうことでありますから、これについても従来できるだけ早く復旧ができるようなことに文部当局としては努力して参つたのであります。ただこれにつきましては従来ある程度の起債のわくが認められておるというだけであります。補助の道も開かれていなかつたのであります。二十八年度の、先ごろの不成立予算において、ただいまお話になりましたように十二万坪程度の改築に必要とする経費の三分の一を国庫補助として、十二億円が計上せられた、この国庫補助の開かれたのは今度初めてであります。今度の二十八年度予算におきましても、この不成立予算を踏襲して、その金額が見積つて計上してあります。御指摘の通り、きわめて不十分でありますが、財政その他の事情、これによつて本年度におきましてはこの程度の計上にとどめざるを得なかつたのでありますが、今後これはぜひとも急速に復旧いたします。御指摘の通り、これを四年も五年もかかつてやつておつては、年々またあとからからと老朽危険校舎が出て来るのでありますから、いつになつたらこれが解決するか、現状のままでは容易ないと考えます。今後できるだけ努力したい、かように考えます。

古井喜實改進党

○古井委員 文部大臣にも少しも異存はない、できるだけ早く改築したいという考えであるようであります。実はこの解散前の内閣当時に、当時の岡野文部大臣に、私は教員の給料を地方費で払うかというような、そういう問題に血道を上げるよりも、校舎を一つでも直すことに力をお入れになつたらどうかということを、相当熱心に申し上げたのであります。大いにごもつともであるというようなことでありながら、今回の予算を見ると一つも考慮に入つておらぬという結果であります。私どもはこの予算はまことに不十分きわまるものだと思つておりますので、なるべく早く改築とか設備が整うように、お互いにわれわれの考え方にもぜひひとつ御協力を願いたいと思つております。  そこで次は義務教育費全額国庫負担の問題であります。半額国庫負担の制度はこれを恒久制度として行つて行こうというお考えであるか、あるいは暫定制度として行つて行こうというお考えであるか、この点を念のために初めにお伺いししておきたいと思います。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 義務教育費の全額国庫負担に関しましては、先の解散前の議会におきまして提案されておりますことは、御承知の通りであります。ただこれに関連いたしまして各種の論議もあり、また検討を要する点があろうと思います。従つて今日におきましては、全額国庫において負担すべきかいなか、これはなお今後の検討に待つということにいたしまして、さしあたり現行法である二分の一国庫負担の規定に基いて予算を計上したのであります。全額負担の問題は、なお今後よく検討をいたしたい、かように考えております。

古井喜實改進党

○古井委員 全額負担の問題は研究されるということでありますが、研究される価値はお考えになつておるようであります。また半額負担についてはとりあえず行つて行こうということでありますが、いずれにしても教育費を全額あるいは半額国負担するという理由、考え方は、どういうところにお置きになつているか、どういう理由、どういう考え方で、教育費を今の制度では半額国が負担するということにされるのか、言いかえて申しますと、義務教育は国が一体責任を負うべきことである、こういうことで、従つてこの経費も国が持つべきものである、こういう考え方にお立ちになつておるのか、それとも必ずしも国が責任を負うべきものというほどの意味はないけれども、地方団体が負担にたえないから、その負担を軽減するために半額国庫で負担しよう、こういう意味、つまり財政的な意味にお考えになつておるか、一体どういう考えでこの制度を是認されるのか、これをお伺いしたい。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 教育費の負担につきまして、これを理論上国において負担すべきものである、そこまでは私は考えておりません。しかしながら教育はいわゆる地方分権的な制度でありますけれども、これはもちろん国の重要な仕事でありまして、それに対して国が負担をするということは当然であります。しかしながら各地域々々の学校について見ますと、これはその地域々々の生徒、児童に対して教育するのでありまして、従つてその地方々々においてある程度負担するということも、またりくつがないことではないと思うのであります。従つてこれは必ず全額負担にしなければならぬ、あるいは半額負担で筋が通るのだというふうなことは、実は考えておらぬのであります。中央、地方の財政事情とも勘案してというふうに考えておる次第であります。     〔「それでは何もないじやないか。」と呼び、その他発言する者多し〕

尾崎末吉自由党

○尾崎委員長 静粛に願います。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 全額負担については、ただいま申し上げたように、なお検討いたしたい、さように考えております。

古井喜實改進党

○古井委員 全額国庫負担の法案をお出しになつた際に、こういうことを岡野前文部大臣はおつしやつております。義務教育は国民の基礎教育であり、国家的事業として営まれるものであるから、義務教育に対しては国の責任において行つて行くべきものである、こういうことがわが国の学制制定以来一貫してかわらない考え方だから、義務教育に対する国の責任を尽すために、全額負担を行いたいのだという御説明をなさつて来た。同じような考え方が、これは半額負担の場合も十分成り立ち得ることでもありますし、この点そういうふうな御説明もすでにあるということで、どうお考えになりますか、もう一ぺんお答えを願いたいと思います。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 お答えいたします。義務教育が国としてきわめて大事な事業である、従つて国においてその経費を負担する、この意味における前岡野大臣の言われましたことは、私もまつたく同様に考えておるのであります。ただ今申し上げましたように、それがただちに全額を負担しなければならぬということになりますか、あるいは半額負担で、中央地方の連帯支弁ということになりますか、これは必ずしも国の仕事であるから、国が負担するということと、すぐ全額負担が結びつくものとは考えておりません。

古井喜實改進党

○古井委員 そうすると、今の文部大臣のお考えから申しますと、半額国庫で負担するということは、国の責任だからという意味では必ずしもない。そうとすれば地方に財源を与えるために半額を負担してやるのだ、こういう結論になりそうであります。つまり地方の財源を緩和するために与えてやるのだ、筋として国が持つべきものだと必ずしも言うのではない。そうすれば結局国でやるのは財源を与えるためにやるのだという意味になると思うのでありますが、そういうことでありましようか。もし財源を与えるためというならば、財源の不足なところに対しては平衡交付金という財源を調整する制度があるのでありますから、平衡交付金という制度を維持して、財源が足らないならば、平衡交付金を増額して行くという行き方をなさつたらいいはずであると思います。その辺はどうなりましようか。先ほどのお考えからすると、疑問が起つて参りますが、お答えを願いたいと思います。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 ただいま申し上げましたように、国の大切な、また国において責任をとらなければならぬ事業であるから、国庫においてその費用を負担する。こういう点は今申し上げました通りでありまして、必ずしも地方の財源の助成とか、地方の財政関係を調整するという意味ではないのであります。ただ先ほど申し上げましたように、国において負担をするとしても、全額を負担するか、半額を負担するか、これは国において負担するといつても、ただちに全額負担というところまで行くかどうかということは、そのときの地方の財政の事情によりまして、地方でとうてい負担ができなければ国で負担しなければならぬ事情もありましよう。しかしながら国の大切な仕事であるから、その経費を負担するということが、ただちに全額負担というところまで行くものではないと思つておるのであります。

古井喜實改進党

○古井委員 その半額負担するのはどういうわけかというのであります。必ずしも全額負担しなくてもいいが、半額は負担しようと言うのでありますが、半額負担というのは、一体国が責任を持つべきものであるという、そういう考え方がもとになつてそうなるのか。そうではない、財政上地方の財政を助けてやりたい、こういう意味で半額持とうというのか、半額負担についてもそこはやはり問題として残るのであります。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 半額負担ということは、やはり国の大切な仕事であるから国が負担をする。その負担の限度を半額とする、こういうふうに解すべきものと思つております。ただ半額にするか、三分の一にするか、全額にするか、これはりくつで国が負担すべきものであるといつても、すぐ半額あるいは三分の一にするというりくつは出て来ないのでありますから、建前は、国の仕事であり、また国の大事な事業だから、負担するというのでありますが、その負担の限度は、そのときの地方の財政の事情等を勘案してきめられるという事情はあろうかと思います。であるからこれが地方の財政援助である、こういうふうには思つておらぬのであります。

古井喜實改進党

○古井委員 十分了解がつかぬのでありますが、国の大切な事業であるから半分負担するという説明が今あつたようであります。なぜ半額を負担するかといえば、国の大切な事業であるからだ、こういう説明が出て来たのであります。そうすると地方の財源が足りるからとか足らぬからというのではなくて、やはり国の大切な事業だからこういうことで半分持とうということに伺えるのでありますが、そういうことでありましようか。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 さような建前であります。

尾崎末吉自由党

○尾崎委員長 古井君にちよつと申し上げますが、申合せの時間が相当超過をしております。あとの質問者の都合もございますから、結論をお願いします。

古井喜實改進党

○古井委員 国の大切な事業であるから国が半額持つというのだ、こういうことにいたしますと、この富裕県というものに対して特例を設けて国が負担しないのか、こういうことをなさるのはどういう理由でありましようか。国が大切な事業で持つべきものならば、富裕府県もどこも半分は持つべきものである、こういうふうに思われるのでありますが、どうでありましようか。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 半額負担をするということは、ただいま申し上げました建前のもとに負担するのであります。しかしその負担額を半分にするか幾らにするかという、その限度をきめる場合には、やはり地方の財政の事情というものを頭の中に入れてきめておるものと思つておるのであります。ただいま不交付または減額交付の措置をとるということが、その趣旨に反するではないかというようなお尋ねだと思うのでありますが、御指摘の通り、半額を負担するという法律の建前でありますから、従つて一部富裕の府県に対してその法律に従つた支出額というものを交付しない。もしくは減額して交付するということは、現在の法律の建前から申すと、これは特例に属するものである。従つてこれは法律をもつて特例法を成立させなければできない。つまりこの前横路君の御質問もありましたが、現在の二分の一国庫負担法というものの趣旨に抵触すると思う。でありますから法律をもつてさような措置を講ぜざるを得ない、こう思うのであります。実際はただいま申し上げますように、二分の一負担ということは、表面は国庫負担の建前でありますが、実質においては地方の財政を勘案する。これは実情でありますから、従つて特殊の富裕府県につきましては、暫定的に地方の財政、税制の改革ができて、地方団体相互の間の財源の偏在というようなことが調整されるまでの間、一時的にさような措置をとる、こういうことであります。

古井喜實改進党

○古井委員 そうすると半額は国庫で持つのだという考え方は、その点からいうと、国の大事な仕事であるから半額持つのだということであるけれども、財政の事情によつては必ずしも持たぬでもいい、こういうことになつて来るのでありましようか。そうすると一種の財政援助的な意味をここに持つて来るのでまありすが、自まかないできるところはやらぬでもいいという考え方をとるならば、平衡交付金一本で行けばいいことになりそうな気がする。国が持つべきだというならば、どうもこれは富裕府県だから、財政上の余裕があるから持たないということは筋が通らぬと思います。半額負担に対する例外だから、特例だから法律でつくる。法律でつくることはあたりまえでありますが、そういう特例法をつくる理由があるかどうかということがここで問題になつて来る。その点がどうも十分な御説明のように伺えないのであります。一体国が財源がないというのであるか、富裕府県にやるだけの財源の余裕が国庫にないとおつしやるのか。国にそれだけの財源がないわけではないが、富裕府県にやれば財源が偏在する、こういうことになるのがおもしろくない、こういうふうにでもお考えになるのか、これは一体どう考えたらいいものか、実は了解がつかぬのであります。国に金がない。年間残り四十八億の金がないのだということは了解がつかぬ。それから財源が偏在するのだ、こういうことがおもしろくない、こうおつしやるのか。それならばそれで、いつになつたら負担金をもつても財源が偏在らないというようなことになるのか、また一体いつの日にどういう考え方で解決がつくものか、この辺を伺つてみなければならぬのであります。この辺をもう一ぺん伺つて次のことを伺つてみたいと思います。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 八月以降四十八億円、一年を通じて七十二億円に上るのでありますが、国の財政の都合もありまして、さような措置をとることはやむを得ないのであります。同時にこれを特定の富裕府県に限つて交付しない、もしくは減額するという点は、地方の財政の財源の状態にかんがみて特定府県にやる。根本は国の財政の事情もありましてやむを得ざる措置だと思います。

古井喜實改進党

○古井委員 十分了解がつかぬのでありますが、国の財政の都合でこの八月以降の分四十八億というのが出せない、国にその四十八億の財源がない、こういうことになるのでありましようか、それは国に財源がないわけではない。しかし平衡交付金をもらわなくもいいというような自まかないのできる富裕府県、そういうところに四十八億円やるというと、いわば財源が偏在し過ぎる。これはどうもおもしろくない。こういうことで、これはもうやらなくてもいい、やらないことにするがいいということになるのであるか、ちよつとのみ込めかねますので、くどいようですけれども、重ねて御答弁をお願いします。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 財源が偏在するということが好ましくないということもあると思います。しかし、根本は国の財政上やむを得ない、そうしてそれを特定の富裕府県から臨時の措置をとることが、同時に地方財政の調整をはかることにもなるかように御了承願います。

古井喜實改進党

○古井委員 大蔵大臣にお伺いしますが、一体四十八億という財源が、この程度の金額が、国の財政上絶対出せないのだ、こういうことにお考えになりますか。また国の財政上出す余裕がない、こういうことにお考えになりますかどうでありますか。これは大蔵大臣にお伺いしたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 この問題は、財源が偏在しておるので、財源の偏在を是正するまでの間の臨時立法としてやる、こういう考え方であります。従いまして、今大蔵省におきましても、中央、地方を通ずる税制の根本的調査会をつくつて、これも数日中に発足するのでありますが、そういうものをつくつて、財源の偏在を防ぐことにいたしまするから、さような後は、こういう措置はいらない。ほんのこれは臨時的な立法であります。

古井喜實改進党

○古井委員 大蔵大臣の御答弁で、四十八億のいわば財源がないという意味ではない、財源の偏在がおもしろくないのである、偏在というのは、どういうことかといえば、平衡交付金をもらわなくてもいいというようなところに財源を与えるということは偏在である。こういうことになるようであります。そうといたしますならば、四月から七月までの分を与えるということはおかしいことになりませんか。これは財源の偏在でありませんか。二十四億という金についてはどうお考えになるか。もともと平衡交付金を一つももらわなくてもいい、こういうところに二十四億を与えたのであります。そうするともしこの偏在がおもしろくないとおつしやるならば、二十四億は返還さすべきものではありませんか。これは偏在ではありませんか。私はもしこういう措置をとるならば、りくつだけから言えば、四月、五月暫定予算のときに、もうストツプをかけておかなければいかぬ、同時に法律をつくつておかなければならぬはずだつたと思うのです。まあ、参議院の緊急集会ということもありますから、実際の情勢は扱いかねたものかもしれません。しかし、それならば六月予算と同町に出すべきものだつたと思う。きようになつて出すということはおそいと思う。きよう出すならば、さかのぼつて四月からの二十四億を返せといわなければ、さもなければ、偏在論ならば、通らぬことになりはしませんか。これはどうお考えになりますか。ひとつ大蔵大臣にお伺いいたします。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 私ども、過去にさかのぼつてやることは穏当を欠く、こう思つたので、さかのぼらないことにいたした次第であります。

古井喜實改進党

○古井委員 財源の偏在でないとお考えになるのか、偏在でとお考えになるのか、偏在だけれども返させないと言われるのであるか、その点もう一ぺん伺いたい。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 財源の偏在を是正するまでの間だと考えております。

古井喜實改進党

○古井委員 四月から七月までの二十四億についてのことですが、二十四億富裕府県に与えたということは、やはりさつきおつしやつた意味の財源の偏在をしてしまつた、こういうことになりそうに思うのですが、これは偏在でないとお考えになるのか。富裕府県に与えないというのならば、四月から七月分として与えたのはおかしいことになりはしませんか。そこのところをどうお考えになるか、説明がつかないのではないかということを言つておるのです。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 その点のお答えは申し上げた通り、すでに与えたものをさかのぼつてとるということはいたさない、こういう考え方であります。

古井喜實改進党

○古井委員 それではまことに不合理な金を与えてしまつたが、与えたものだからしようがない、こういうことになるのでありますか、筋は通らないけれども、与えたものだからしかたがない、こういう考え方になるのでありますか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 立法措置によつてこの偏在を是正したい、かように考えておる次第であります。

古井喜實改進党

○古井委員 立法措置で是正したいというならば、返還させるという規定をおつくりにならないとおかしいではありませんか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 繰返し申す通り、さかのぼつてやる考えはありません。

古井喜實改進党

○古井委員 これはどうも右のりくつからいつても通らぬようなことになり、左のりくつからいつても通らぬようなことになると思うのでありまして、もし財源の偏在がおもしろくないからというお考えだとするならば、四月から七月分を返させなければならない、こういうことになりそうであります。それからそういう考え方でなくて別の考えになるというならば、さつき論じたような筋道になりそうなのであります。私は今ここでどつちの考え方がいいのだというようなことを結論的に申しておるのではないのであります。しかし、筋が通らない行き方ではないか。半分持つべきものだという考え方から行くならば、こういう特例法はつくらぬで、八月分以降は出すべきではないか。さもなくば、偏在がまずいという考えなら、返さすべきである。世間ではいろんなことを申しております。それはこういうことになるのを十分見越した上で、知らぬ半兵衛でもつて四月から七月までの金を大府県にやつてしまつた、そういう考えもあるという、ありもせぬことまで言つておる向きもあるのであります。これは岡野前文部大臣には御迷惑かどうかしりませんが、そういう議論をしておる向きもあるのであります。なぜかというと筋が通らぬからであります。そこに問題があるから、ないことでもいわれるのであります。私は右からいつても左からいつても筋が通らぬではないかというふうに考えるのであります。しかし、この問題はどうも納得が行かぬのでありますが、あとはわれわれがこれに対してどういう考えを立てるかということでありますので、この質問はこの辺でおいておきます。  そこで時間が大分来たという御注意でありますが、厚生次官がおいでになつておりますので、これはごく簡単にお伺いしておきたいことがあるのであります。

尾崎末吉自由党

○尾崎委員長 あとの質問者の通告がありますから、なるべく簡単に願います。

古井喜實改進党

○古井委員 厚生省関係の予算を拝見しますと、まことにすずめの涙ほどの金をあつちにつけ、こつちにつけるというわけで、いろんな事業はありますけれども、それぞれの事業に対して入れる金というものはまことに少い。われわれは社会保障制度であるとか、福祉社会の建設であるとか、こういう問題については、社会党の皆さんとともに非常な熱意を持つているのでありますが、この予算を見てまことに失望を感ずるわけであります。これをただ理論的に、こういう仕事がありはしないか、ああいう仕事がありはしないかということを申し上げるつもりはありませんが、どの地方に行つても、やかましい問題、非常に要望の強い問題が少くとも二つあると思うのであります。それは私は一つは保育所だと思う。保育所については昨年たしか予算の上で全国で百箇所ばかりの計画が載つておつたのであります。これを水増しして三、四百箇所全国で補助してつくらせたようでありますけれども、何しろ一万の町村に対してそんな税度の保育所を助成してつくらせたところで追いつきはしない。保育所の問題は、どこに行つてお聞きになつても、実に熱望しておる問題です。これについてはもう少し腰を入れてお考えになることは行かぬものだろうか、こういう感じがしておるのが一つであります。  いま一つは、昨年試験的に簡易水道の助成をやつてごらんになつたようであります。またこれに対して全国各地に非常な機運が起つておつて、簡易水道をやりたいという要望が実に強いことは、御承知の通りであります。これは農村の婦人の労力を節約する上からいつても大事でありますし、また水質が悪くて病気を次から次へと起している地方がありましたが、事情は私から申し上げるまでもなく御承知の通りであります。私が今まで一番各地でやかましく要望されて来ておるのが、一つは危険校舎の問題、それから厚生省関係係の保育所と簡易水道です。これもすずめの涙でなしに、思い切つて力を入れておやりになるようになさらぬといかぬと思うのでありますが、一体どういうお考えでありましようか。今年度はもう追いつかぬことでありましようが、少くとも来年度の予算はもう目の前に迫つております。どういうお考えでありますか、きようは厚生大臣はおいでにならぬようでありますから、機会があればもう一ぺん厚生大臣に伺つておきたいと思いますけれども、政務次官からお伺いします。

中山マサ自由党厚生政務次官

○中山政府委員 ただいま御質問になりました保育所の問題は、私も婦人の政務次官といたしまして非常に関心を持つておるわけでございます。ここに入つておりまする子供たちの親は、七〇%が両親が共かせぎの状態にございまするので、非常に要望が強いのでございます。昨年は百箇所ほどでございましたが、本年は百三十五箇所を予定いたしております。予算にいたしますと、昨年は一億一千万円でございましたのが、今年度は二億五千万円ほどの見込みを立ておるような次第でございます。私も各地方に行きまして、婦人の声といたしまして、ことに働く婦人の声としてはこれを盛んに聞いておりまして、何とかこの問題を打開して行くことが国民生活の安定のために非常に有効であるということを感じておるものでございます。  また簡易水道の問題のお話がございましたが、この上水道の普及の状態を受給しております人口別に見てみますと、都市におきまして七割、町村におきましてわずかに三%でございます。水の質が悪いため、またほんとうに水道を用いることができないために、トラホームだとか、あるいはいろいろのいまわしい赤痢だとか、そういうものがだんだんと蔓延いたしまして、非常に困つておるのが現状でございます。ことに長野県あたりから出て見えました御婦人の声を聞きますと、ほとんど一日の全部を水くみのために費しておる。年をとつて来ると、まだほんとうに老齢とも言われない者が、重い水を下げて一日行つたり来たりしているために、背中が曲つて来てしまう。こういうことを御婦人方から直接に訴えられますと、結局この三つの場面――悪い病気がはやる所、あるいは水質の悪い所あるいは遠距離までも水をくみに行かなければならない所、こういう三箇所を目標といたしまして、結局町村にいたしますれば四千二百箇所の町村でございます。人口にいたしまして千五百万人を相手といたしまして、長期の計画といたしましては六百億円を予想いたしまして、この問題を何とかして一日も早く解決をしたい。しかしなかなかこういうお金は、今の困憊したる国情ではやり切れませんので、今年は一億二千五百万円を予定いたしております。今度来るべき年におきましては、そのほとんど倍近い二億五千万円ほどでしたか、それだけのものがこのために予定されておりますので、国情が次第によくなるにつれまして、こういう問題も好転いたすことと思います。厚生省のことでございますから、議員の皆様方がこうせいこうせいとおつしやいましたら、ひとつその通りに善処して行きたいと思います。

古井喜實改進党

○古井委員 まことに御懇切な御答弁を伺つたのでありますが、お言葉の通りにぜひそうしていただきたいと思いますが、さつきお話のように、保育所は一年に全国百三十五箇所とおつしやつておりますが、全国に町村が約一万あるのであります。一万あるところの町村にはまた部落がたくさんありますから、もし一町村に三箇所つくれば三万という数がいるのであります。今までにできているところもありましようけれども、それを差引いてでも、おそらく二万五千箇所くらいはいるのではないでしようか。それに対して百三十五箇所では、二百年もかかつてできるくらいのまことに心細い計画になると思う。こういうばかげた計画は早く脱却していただきたい。  それから水道の問題でありますけれども、私はかねがね簡易水道が大事だということを思つておりましたやさきに、郷里の新聞を見ますとこういうことが書いてあります。「水田から飲料水」という大きな表題で「ほとんど若死、病気年中ひつきりなし」というのです。つまりたまたまそう思つているやさき、こういう新聞を見たのです。これは御参考にお目にかけてもよろしいのですけれども、飲料水が悪いために片つぱしから若死をする。「病気年中ひつきりなし」というのです。こういう状況でありますので、ぜひただいまのお話の通りに御努力を願いたいと思います。これで一応質問を打切りたいと思います。

尾崎末吉自由党

○尾崎委員長 八木一男君。

八木一男日本社会党(左)

○八木(一男)委員 まず大蔵大臣にお伺いしたいわけでございます。  さきの本予算委員会におきまして、小平委員からMSAを受入れた場合、経済的なまた財政的な援助についてはどういう影響があるかという御質問がありましたときに、まだはつきりわからないというような御返答であつたかと思いますが、現在でもそうでございましようか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 まだ内容は全然わかつておりません。従いまして、どういう影響があるかということは、ただいまのところちよつと申し上げることはできません。

八木一男日本社会党(左)

○八木(一男)委員 緒方副総理に総理大臣の代理としてお伺いしたいわけでございます。今の大蔵大臣の御答弁を伺つたわけでございますが、副総理としてはどういうお考えでありますか。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 お答えいたします。大蔵大臣が御答弁申し上げました通りでありますが、何かつけ加えることがございましたでしようか。

八木一男日本社会党(左)

○八木(一男)委員 ただどうでございましようか、というのです。――緒方副総理は、本予算委員会におきまして、先日社会党右派の今澄委員の御質問に対する御回答として、MSAを受入れる理由として、自衛力の増強に役立つ、それからもう一つ、わが国の経済をよくすると思う、この二つの理由をあげておられるわけです。私どもはこの二つの理由を並べて述べられるような緒方さんのお考えには非常に反対でございます。MSAの問題は、現在本会議においても、また各委員会においても非常に論ぜられております通り、日本の一番大事な法律であります憲法の問題に触れております。また内政干渉とか、将来外国派兵というような疑義も持たれ、十分にその危険が想像されますので、独立と平和の問題に非常に重大な影響のある問題でございます。その場合に、経済上でちよつと得するだろうからというようなことを、この重大な独立と平和の問題と並べて理由としてあげられるような態度は、この重大な問題について少しく間違いではないかと思うわけでございますが、それについて副総理のお考えを伺いたいと思います。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 MSAの問題は、御指摘のように、非常に重大な問題でありますので、先般交換公文を交換いたしまする前に、調べられる限りの調査を慎重にいたしまして、その上で疑点と感ずるところをアメリカ大使館を通してワシントンの意向を聞いたのであります。それによりまして、大体防衛問題は、その国の、日本の場合は、日本の経済事情、経済生活の安定というものがその前提であるということ、それからMSAのとりきめをかりにいたします場合に、それよつて現在の日米安全保障条約の期待する以上の義務を負わされることはないという点がわかりましたので、まだMSAを受諾する段階までは参りませんけれども、何と申ますか、お互いに意見の交換をし合つて、そうしてもし積極的に今申し上げたようなことができ、また消極的に日本の独立、あるいは自主性を害しないということがはつきりしたならば、受諾してもよくはないかということを考えておるわけであります。

八木一男日本社会党(左)

○八木(一男)委員 ただいまの問題についての御回答は非常に不満足でございます。今独立と平和の問題について、真剣に考えるというようなお話がございましたが、私どもはこれは言葉だけではないかと思うのでございますけれども、そのことをはつきりと覚えていただきまして、必ずMSAの問題について、常にその独立の問題と将来の平和の問題を念頭に置いて対処していただきたいということを最初に希望として申し上げておきます。まずこの経済的な問題を、MSAを取上げる二つの大きな理由のうちの一つとして取上げられておきながら、今大蔵大臣の御答弁によりますと、さらに重ねて副総理の御答弁によりますと、その影響はまだわからない。わからないというような不確かなことを取上げる理由にして、そうしてMSAを受入れよう、このようなことで政府としての責任が保てるかどうか、伺いたい。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 まだ受諾する段階にまで参つていないので、政府としては、ただ先ほど申し上げましたような見通しを持ちましたので、それで交換公文のごときも、その都度できるだけこれを公表いたしまして、国民の批判を受けながら、また国会にもできるだけその都度報告をいたしまして、国会を通して国民の理解を進めながら、話合い、交渉を進めて行こう、その上で、先ほど申し上げましたような満足な結論に行きましたならば、そこで受諾しようということであります。

八木一男日本社会党(左)

○八木(一男)委員 常に国会に報告されてこの問題を処理したいというお考えは、はつきりと今伺つておきますので、その通りに経過をすべて報告してやつていただけるものと、はつきりとここで伺つたことを記録にとどめておくことにいたします。  次に、経済問題をこのように取上げるべきであるということを大きな理由にしながら、その経済問題について見通しがつかない、このようなことは非常に不都合なことだと思うわけでございます。終戦後あの混乱期におきまして、わが国で非常に生活が困難であつたために、先がどうなつても、ちよつとでも金がもうかればいいというような考えが一般に彌漫しておりましたことは、われわれとしてお互いに非常に遺憾でございます。そのような空気が今の政府の中にもあるのではないか。ちよつとでももうかるかもしれないというようなことにすがりついて、国家の将来を非常に間違つた方向に向けるようなことにすぐとつつこうとするようなことは、大きな間違いであると思う。副総理がただいまこの理由を二つあげながら、その経済的な影響については御説明ができない。世の中のこのような、ただ何かもらえばいい、とればいいというようないじましい考えに内閣自体も支配されていないかどうか、この点についてはつきり伺いたい。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 そういういやらしい考えは少しも持つておりません。

八木一男日本社会党(左)

○八木(一男)委員 今後におきましても、得をするかもしれないというようなことで、いろいろな国の根本を誤るようなことのないように、厳重に吉田内閣においてやられることを、信用はなかなかできないのでございますが、特にこれからそういうふうにやられるように御忠告を申し上げておくわけでございます。ところで、その問題につきまして、経審長官から経済的な問題の影響について見通しを伺いたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 お答え申し上げます。まだ受けるとも受けないともきまりませんし、それから内容がいかがであるかということもわかりません。われわれ先般も経済の五箇年の見通しなんかしましたけれども、まつたくこれは除外してわれわれは経済の見通しをし、同時に自立して行こう、こう考えております。

八木一男日本社会党(左)

○八木(一男)委員 受けるとも受けないともきまつていない。これは当然の話であつて、吉田内閣は受けるつもりで今進めておるけれども、受けるか受けないかは国会においてきめるのであつて、まだきまつてないのはあたりまえの話であります。しかしそういうような交渉をしようという意図のときに、経済閣僚である経審長官あるいは大蔵大臣が、その自分の担当の部門について全然見通しがないというようなことは、その責任をとるという考え方ではないと思うわけでございます。今でも漠然としてどういう影響があるかくらいのことは、経審長官あるいは大蔵大臣は見通しておられると思うのでありますが、これについてもう一回お伺いします。

岡野清豪自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○岡野国務大臣 お答え申し上げます。私は今まで特需というものがあるために日本は今日の生活水準が保てて行けた。しかしこれは、日本のほんとうの経済自立のあり方ではない。それでございますから、この特需がなくても、われわれは自立経済はやつて行けるということを念願としまして、ただいまある特需でさえも、できるだけ今後これを勘定に入れないで、自立経済の方針を立てて行きたい、こう心がけております。従つてMSAにつきましては、私は今どういうふうになつて行くか内容もわかりませんし、それからまたどんな関係になりますか、これもわからないのでありますから、まつたく勘定に入れないで、自主独立の経済をやつて行きたい、こういう方向で経審長官といたしましては研究を進めておるわけであります。

八木一男日本社会党(左)

○八木(一男)委員 まつたく経審長官としての責任を果しておられないと思うわけでございますが、それでは一つ一つ問題をあげてお伺いをいたしたいと思います。  まず大蔵大臣にお伺いしたいと存じますが、巷間伝えられているようなMSAをもし受けるという場合には、保安隊の増強が要求されます。そしてその保安隊の経営の経費がふえると思うわけでありますが、それについての大蔵大臣の御意見を承りたい。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 MSAの内容につきましては、何ら承知いたしませんから、さような御質問には何らの御返答ができません。

八木一男日本社会党(左)

○八木(一男)委員 MSAの交渉を今開始しようと政府がされておるときに、これは外務大臣の所管ではございますが、条約締結は内閣の責任でございます。(「国会の責任だ」と呼ぶ者あり)執行するのは内閣がやるわけでございます。執行するのは内閣がやるといたしましても、その内閣の閣僚である大蔵大臣としてではなく、国務大臣として、小笠原さんとか岡野さん、もちろん副総理の緒方さんは、この問題についての見通しを十分に持つていられなければならないと思うわけでございます。外務大臣にこの交渉の経過をまかせきりで、MSAの内容をひとつも知らないということでは、国務大臣としての任務が勤まらないと思うわけでございますが、それについて小笠原さんの御意見を承りたい。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 アメリカにおけるMSAの法律の内容はよく知つております。しかしそれがどういうことになつて来ますか、その交渉の内容について、私どもはまだ何ら見通しを持つところまで行つておりませんから、正直に実は知らぬことは知らぬと申し上げるよりほかございません。

八木一男日本社会党(左)

○八木(一男)委員 正直にお答え願いましたそうでございまして、その言葉だけを受取りまして、それでは今後は御研究になつて、経済閣僚としての立場で、これは非常にぐあいが悪いというときには、MSAの締結に閣内で断じて反対されるのであろうということを期待するわけでありますが、それはどうですか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 研究することは今後怠らずやりたいと思います。それに基いての結論によつて、自分の所信を表明いたします。

八木一男日本社会党(左)

○八木(一男)委員 もしかりにMSA受諾の結果、保安隊が増強されるというようなことで経費が増大する、財政支出が増大するという場合に、小笠原さんとしてはどういう態度に出られますか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 どうも今日の場合、仮定の問題についてかれこれ申し上げるのは、ちよつとどうかと思います。

八木一男日本社会党(左)

○八木(一男)委員 小笠原さんといたされましては、保安隊というような日本の経済の再生産に間に合わないものに財政支出をふやすという考えについて、賛成であるか不賛成であるか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 二十八年度の予算につきましては、この程度必要なりと認めまするが、二十九年度以後の保安庁の予算その他につきましては、そのときに考えます。

八木一男日本社会党(左)

○八木(一男)委員 ちよつと御答弁の筋が違つておるのでありまして、そのような不生産的なものに支出をされるということは、大蔵大臣の立場として賛成であるか、反対であるか、ということを伺つておるのであります。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 今日の二十八年度予算に計上してある保安庁費は、国の存立の上に必要なりと考えております。

八木一男日本社会党(左)

○八木(一男)委員 では大蔵大臣は、現在以上保安庁経費をふやさないという御意見であると伺つてもよろしゆうございますか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 将来のことは将来について、私一存できめ得るものじやないから、よく相談いたします。

八木一男日本社会党(左)

○八木(一男)委員 次に経審長官にお伺いいたしますが、日本の経済の立場から、MSAを――私どもは非常に遺憾とするところでございますが、これを受けるということになつた場合に、世の中では、何らか援助があつて、日本の国は得をする、もうかるというふうに考えているらしく見受けるわけでございますが、それが完全兵器で供給されたときには、ドル稼ぎという意味だけでも、何も役に立たないと考えますが、経審長官はどうお考えになりますか。

岡野清豪自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○岡野国務大臣 お答え申し上げます。MSAをどういうふうにして受けるか、その内容がいかがであるかということがはつきりいたしませんから、断定ができません。しかし、もしかりに万一、これが生産された兵器か何かで来るといたしましたならば、日本の経済上にどういう影響をするかというお尋ねであろうと思いますが、これは私は、それを受ける受けぬがいい悪いの問題じやございませんで、経済上これを判断いたしますれば、もし日本に必要なものが来るならば、それだけ日本でつくる経費、すなわち国家予算を節約できるという消極的の利益があるだろうと考えます。

八木一男日本社会党(左)

○八木(一男)委員 今御答弁でぼやかされましたけれども、もし日本に不必要なものが、ただ物で入つて来るという場合に、ひとつも役に立たないと考えますが、どうでしようか。

岡野清豪自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○岡野国務大臣 お答え申し上げます。私はその内容がわからぬということを前提として申し上げたいと思います。必要であるかないかは、これからの交渉によつて、必要であればもらうし、不必要なものはもらわない、こう考えております。

八木一男日本社会党(左)

○八木(一男)委員 質問者の答弁に親切に答えていただきたいと思うわけでございますが、不必要なものが入つて来たときに、そのものが入つたというだけでは、日本経済にひとつもプラスにならないかどうかということを伺つている。

岡野清豪自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○岡野国務大臣 お答え申します。どうも言葉が仮定に落ちますが、不必要なものをよそからもらうということは、私として考えられないと思うのです。それだけのことでございます。

八木一男日本社会党(左)

○八木(一男)委員 現在の場合、向うから来る援助はほとんど完全兵器の援助だと思いますが、経審長官はどういうふうに考えておられますか。

岡野清豪自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○岡野国務大臣 お答え申し上げます。今まで来ているものでございますか、今後来る見込みのものでございますか。

八木一男日本社会党(左)

○八木(一男)委員 今後の……。

岡野清豪自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○岡野国務大臣 今後はわかりません。

八木一男日本社会党(左)

○八木(一男)委員 わかりません、わかりませんという御答弁でございますけれども、大分経済の練達家が国務大臣になつておられるわけでございまして、その答弁にははなはだ不満足です。わかつていながら、ごまかしているというふうにしか聞えないのでございますが、どうかひとついろいろな知恵をしぼつて、わかるだけの範囲で御親切に御答弁をお願いしたいと思います。もし、世の中に伝えられておりますように、完全兵器で参つた場合には、ドル稼ぎという意味におきましては全然プラスにならないということになるわけでそれ以外のものが来ることを財界一般では非常に期待しておるのでございますが、来た場合に、現在兵器生産が非常に出血受注で困つており、そしてそういうところから不渡り手形がどんどん出ているという現状を見ますと、そういう世の中の甘い考えは非常に間違つた考えであると私ども思うわけでございますが、それについてはどうお考えになりますか。

岡野清豪自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○岡野国務大臣 お答え申し上げます。私はまじめにお答え申し上げております。わからないのが事実なんですから、これはぜひ御了承願いたいと存じます。それから世間で、MSAが来たらどうとかこうとかいう声も、ちらほらございますが、しかし今日、日本の貿易に従事しておる人、また今まで従事しておつた人は、そう世界貿易というものを甘くは見ていない、こう考えます。同時にMSAで、完全兵器の形でなしに、日本にこれを注文しましてつくらせるというようなことになれば、おそらく国際価格というようなものにさや寄せしなければならない、こういうことになるだろうと思います。そういたしますと、われわれが考えております通りに、やはりコストの引下げということは全面的にやらなければならぬと同時に、そういう方面に向つても同じような原則が適用される、こう考えます。

八木一男日本社会党(左)

○八木(一男)委員 もしかりにドルが日本に入つて来て、それで日本で兵器を生産しろということになつた場合でも、非常に悪い影響があると私どもは考えておるわけでございます。そのようなことになりますと、その兵器産業の方に、たとえばいろいろの資材だとか電力とか使われて、岡野さんが非常に期待しておられる一般の貿易産業、平和産業のコストを下げようという努力にブレーキをかける、むしろ上げるような要素が考られると思うのでございますが、それについてはどうお考えになりますか。

岡野清豪自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○岡野国務大臣 お答え申し上げます。私この間の往復文書はよく覚えておりませんけれども、日本の経済に対して影響がないように考えてやる、こういうような返事が来ておつたと思います。これは外務大臣に聞いてみませんとよくわかりませんが、少くとも援助によつて日本の経済界が撹乱されるとか、もしくは経済の自立が脅かされるというようなことは向うもしたくないだろうし、われわれとしてもできないことであります。

八木一男日本社会党(左)

○八木(一男)委員 経審長官また大蔵大臣の御答弁は、MSAがわからない、わからないで逃げておられますが、当然経済の専門家でおありになります御両人に私から申し上げるまでもないわけでございますが、いろいろの悪影響が想像されるわけでございます。このMSAを受けた場合に、保安隊の増強が強制される。そのために兵器はたとい向うからただで貸してくれたとしましても、その経営費がふえる。軍隊は十五万に増さないと強弁されたとしましても、その兵器を入れる格納庫その他のものをつくるために費用がいる。そのような財政的な負担が直接に想像されるわけであります。次にまた、今申し上げましたように、そのように兵器生産に移るために、一般の貿易または平和産業がそのコストを下げようという日本の国の今の必死の運動にブレーキがかかるというようなおそれもあるわけであります。また日本の将来の経済自立に対中共貿易が非常に大事なものであるということは繰返し方々で言われておるわけでございまして、岡野通産大臣もこの問題については御熱心であると存ずるわけでございますが、今までMSAのこのような協定を結ばないうちでも、バトル法をイギリスやドイツよりもよけいに拡充して考えて、そして中共との貿易が非常にうまく行つていない。この貿易は今ぼやぼやしたら将来できなくなるわけでございます。もしドイツやイギリスの製品が中国にどんどん入る、建設資材が入る、それと同じ規格のものを入れなければ向うはやりにくい。将来日本がやろうとしても、そのやる時機を失うわけであります。部分品が入るとしても、なれた規格のものを使いたがる。一回貿易をして、それは不都合なことが起らないところを信用したがる、これは当然であります。もし日本の国が今ぼやぼやしていたら今経済自立に一番大事な地点を失つて困るわけであります。このMSAの協定をすることによつて、皆様方はそれは関係がないと先ほど本会議で外務大臣もおつしやいましたけれども、このような協定がないときから、イギリスやドイツよりも禁輸品目が多かつた。この事情から見て、このようなことをやつた場合にさらに多くなる、また少くなろうというような傾向をとどめるというようなことを危惧するわけでありますが、それに対して通産大臣としてのお考えを承りたい。

岡野清豪自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○岡野国務大臣 お答え申し上げます。まず問題は二つにわかれると思います。一つはMSAをかり受けるといたしますと、中共貿易の制限物資を増しやせぬかという御疑念でございますが、これはすでMSAにを受けておりますところの諸外国と共同歩調でわれわれはいわゆる共産圏に対する輸出の制限をしているわけでございますから、かりに日本がMSAを受けることになりましても、これには少くとも影響せぬ、そういう事実はございません。それからMSAを受けて、そうして資材がたくさん入つて来て、日本の経済を悪化させやせぬか、安易な考え方に陥りはせぬかということが起かるもしれぬ、こういうような御疑念だろうと思います。私はその点は御趣旨に同感でございます。特需があつたために合理化が十分できなかつたという御意見は、それが全部とは申しませんけれども、ある程度あつたと思います。そういう点におきまして私は今後特需がなくてもやつて行ける、いわんやMSAがなくてもやつて行かなければならぬ、こういうような意味で、まつたくの正常貿易で自立経済を確立して行きたいというのが私の念願でございまして、またそういう計画を立てつつある次第でございます。

八木一男日本社会党(左)

○八木(一男)委員 今の通産大臣の最後の御決意は私ども非常に同感するものでございまして、そのような御決意を最後まで徹底的に貫いていただきたいと考えるわけであります。MSAを受けることによつてそれは中共貿易その他に関係がないと言われましたが、先ほど本会議で和田議員の、MSAについていろいろと内政干渉を受けた事例がある、ヨーロツパにおいてはあまりないけれども、東南アジア諸国にあつたというような質問に対しまして、外務大臣は、日本ではその心配はないと言つておられます。しかしながらMSAを受けているドイツ、イギリスにおいては禁輸品目が少くて、受けておらない、何もそういう関係のない日本において今まで禁輸品目が多かつたというような点を考えますと、日本の立場はおそらく東南アジア諸国と同じように、アメリカの言うことを聞く、あるいは言うことを聞かなくとも、アメリカの鼻息をうかがつて、そうしてごきげんがいいようにいいようにとやつているように考えるわけでございまするが、そういう考え方のもとに立つて、今度さらにMSAを受けられた場合に、その傾向はますます増大する危険があると私ども考えますが、もう一回それについての通産大臣の御所見を伺いたい。

岡野清豪自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○岡野国務大臣 お答え申し上げます。これは私の考えでございますが、日本が制限物資、すなわち中共に対する輸出が非常に制限されているということは、こういう二つの事実だろうと思います。昨年の四月二十八日までは占領下にあつた。しかもその占領最中に朝鮮事変が起きて、中共に対して国連の決議ができた。こういうことでございましたので、日本はよその国と比較いたしまして、少し厳密と申しますか、きつい、きばしい制限を受けておつたのでございます。そこでわれわれといたしましては、昨年の九月と覚えておりますが、共産圏に対する戦略物資なんかのことをいろいろ寄つて話合つたところの会合に加入しまして、そうしてわれわれの主張を通しまして、できるだけ被占領下から惰性によつて禁輸物資がふえておつたのを解除する努力をしているわけであります。その努力の結果といたしまして、昨年中に九十何種目か解除せられ、今年になりまして六月の五日だかに何種目か解除されまして、われわれは今だんだんと努力している最中ございます。自然独立後の日本のあり方に返つて来るように私は考え、またそう努力しつつある次第であります。

八木一男日本社会党(左)

○八木(一男)委員 まだはなはだ不満足でございますが、岡野経審長官がさらに全面的な御努力をなさいまして、これに邁進されることを期待いたしまして、この問題は一応打ち切りたいと存じます。  さらに結論といたしまして、緒方副総理にお伺いいたしたいわけでございます。経済的な問題を先ほどいろいろと申し上げたわけでございまするが、特に経済援助はアメリカの上院では二箇年で打切る、軍事援助もあと一年、三箇年で打切るという決議をいたしておる。下院との調整がどうなるかわかりませんが、このようなMSA援助というものが、ごく近い将来において打切られるという傾向にあることは明らかだと存じますが、そういう場合に、日本の経済機構にいろいろ影響のあることをやりまして、また切りかえるときに、非常に間違つた、ぐあいの悪いことが起るのではないか。まず第一に、一ぺん兵器産業に切りかえた場合に、その産業がそこで打切られて、それができなかつた場合に、あとそこで不況の原因になる。またその産業を継続させるために、日本の財政が非常に苦しいのに、不生産的な兵器をどんどんつくつて、その産業を維持するために、無理をして保安隊を増強するというような傾向まで考えられるわけでございますが、この二年か三年しか続かないようなMSAの経済的な影響について、もしいい影響があると、ちよつとでも考えておいでになるのでしたら、この点について十分にお考えいただきまして、MSAの経済的影響は、世の中でいわれるような甘いものではない、日本の経済にとつて非常にいけないものである、将来の日本の経済自立にとつては、確かに絶対にいけないものであると経審長官が言われました通り、そのような観点に立つていただきまして、ほかのいろいろの独立の問題、平和の問題も、ともにあわせて考えていただきまして、このMSA援助の協定に際しまして、日本の国の将来が悪くなる方向に行きつつあると思うわけでありますが、十分にお考えいただきまして、そのような傾向をお考えの上にとめていただきたいと思うわけであります。その点に対する緒方さんの御意見を伺いたいと思います。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 MSAが何年続くか、将来どうなるかにつきましては、私としては、まだ何も見通しを持つておりません。ただ、今お話の、将来MSAが早くなくなつて、そのために日本で軍需工場を維持するために、保安隊を増強するというようなことは絶対にいたしません。

八木一男日本社会党(左)

○八木(一男)委員 今、緒方副総理、また経審長官、また大蔵大臣にいろいろ申し上げました点をよく心にとめていただきまして、日本の方向を誤らせないようにお願いいたしまして、一応この問題についてけりをつけることにいたします。  次に塚田郵政大臣にお伺いしたいと存じます。まず、塚田さんの御所管になつておられます郵政省の職員の問題でございます。郵政省の職員は、大臣が御承知の通り、通信の問題や、あるいは貯金の問題、保険の問題など非常に重大な仕事で、そうして骨の折れる仕事を毎日一生懸命やつておられるわけでございますが、この方々の給与が今非常に不当に低い状態にあることは、大臣が御承知の通りでございます。この原因は、もちろん二千九百二十円ベースを実施いたしましたときに、一般と同じように扱いまして、学歴や役職等に、その給与ベースの改訂の実施が偏重されておりましたために、現業官庁でありまして、学歴のある人が少い、役付が少いという郵政省の職員については、非常に不利な結果を生んだわけでございます。現にそのために、十四万六千人という昇給のできない頭打ちの人が、延べの員数として数えられるわけでございますが、こういう点は非常に気の毒だと思うのでございます。なお調整号俸の問題も二十五年に廃止されましたので、この方々にとつては非常に不利な状態であります。また特殊勤務手当は、国鉄の場合には一々スライドされておりますのに、この郵政の方々はスライドを受けておりません。国鉄の方々は四五倍であるのに、郵政の方々はそのような不利をこうむつておられるわけであります。そのために全逓の労働組合では、すべて今いわれております一万八千五百円ベースというような一般の賃金の値上り、その他最低賃金というような意味を含まない、ただ郵政職員が特別に不利をこうむつておる点だけを直してほしいというような要求案を提出されたわけでございます。これは二月のことでございますから、高瀬郵政大臣が御担当のときでございます。私どもは、当然このような特に不合理な状態に立つておられる方々については、政府は即時お考えいただいて、これを調停仲裁というようなものにゆだねないで、即座に解決されるのが至当であると思うわけでございます。何もそういう機関にかけるのがよいわけではありませんで、その前に当事者間でわかつていることである、特に郵政大臣の回答のところでも、郵政職員としての特殊性に基いてこのような不利な点がある、ほかの公共企業体の職員と比べても、非常に低いということを十分に認めておられるわけでございますから、その要求に対する反対の回答ではなくて、即時この問題については解決されるのが至当であると存じますが、高瀬郵政大臣の時代にその措置に出られなかつたことは非常に遺憾でございます。その結果として、御承知の通り調停申請になりまして、四月二十八日に調停案ができたわけでごいます。私は塚田郵政大臣は、部下の郵政省の職員の生活の問題、そうして生活に後顧の憂いなからしめて、大いにその仕事に邁進するというようなことについて非常に御関心を持たれ、非常に熱心でおありになるお方だと伺つておるわけでございますが、この調停案は、当然前の案に対するいろいろな政府側の意見も入れまして、一部を削りましてできたわけであります。しかもこれも一月間かかりまして、非常に慎重に検討されたりつぱな――組合側としては非常に不満ではございますが、政府側としては、当然受入れられてしかるべき調停案だと、私ども信じているわけでございます。それにつきまして、その後組合側はこれを受諾しておりますのに、政府側の御回答がないことは、私ども非常に遺憾なのでございます。政府内においても、いろいろ御事情があると存じますが、どうかこの郵政職員の立場に立たれまして、このことを即時承諾していただきたいと思うわけでございますがそれについての郵政大臣のお考えを伺いたいと思います。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○塚田国務大臣 調停案のいろいろ理由づけをいたしております内容は、私も調停案ができましてから、検討いたしまして、中には相当理由があつて、これは政府においても考えなければならないという点も、かなりあるというように私も考えております。頭打ちの問題も、それが郵政職員の給与を低くしておることは確かに言えると思うのでありますが、ただ頭打ちの問題は、郵政職員だけでなしに、一般に今の給与法の建前から、学歴が低いああいう人たちには、そういう扱いということになつておりまして、これは今の給与法全体のそういう人たちに対するものの考え方を、どうするかという問題にもなると思う。しかし総体といたしまして、私としましては、やはり郵政職員の現在の給与が絶対的にも低くて、必ずしも楽な生活をしておられない。さらにまた長い間郵政職員と同じ省の中で、同じ屋根の下で仕事をしておられた電通の職員とは電通の方が公社になつて非常に開いてしまつたということが、郵政職員の志気の上に、非常に影響しておるということも考えられますので、これは相当に理由がある。こういうことで予算ができますまでは、大蔵当局ともかなり折衝いたしたのでありますが、しかし大蔵当局にも財政面からのいろいろの理由がありまして、今一応政府のものの考え方として、この調停案はのむわけに行かない。従つて予算の中には計上はしてない、こういうことになつておるわけであります。しかし、そういうように一応政府の意向はまとまつたのでありますけれども、郵政大臣個人といたしましては、やはりこれは自分の下で働いていただいておる六万の従業員の立場も考え、また大蔵省のものの考え方も確かに理由があると思うのでありますが、また郵政省の調停案のものの考え方も理由があるので、非常に微妙なところで、のむわけには行かないということになつておるのでありますから、私も郵政大臣として、もう少し努力して、何とか大蔵省とか関係筋に了解を得るくふうはないものかということで、調停案を政府の態度としては一応のまないということで、予算に計上しないということになつておりながら、私としましては、まだ調停を拒否するという形式的な回答は出さずに努力をしておる、こういう段階でございます。

八木一男日本社会党(左)

○八木(一男)委員 郵政大臣の郵政職員に対するお心持、御努力に対しては非常にうれしく思うわけであります。何分郵政職員の方々は、現在たとえば電通の調停案が今度は組まれておりますので、同じ局に暮しておられる方々と比べまして、千円以上も少くなる。まこの調停案が通りましたときには、国鉄の一万三千五百円、専売の一万三千百円、それから電通の一万三千四百円、これが通りましたら、郵政職員の一万三千三百円というように、並行しておりますところを見ましても、決してこれは無理なことではなくて、調停案としては非常に適当な、政府としても十分におのみになれる調停案だと考えるわけでございますが、今後ともひとつ郵政大臣といたされましては、この問題を至急に、また調停案通り解決されるように、御努力をお願いしたいと思うわけでございます。また大蔵大臣もこの国庫の一般財政からの負担は七億というふうに計算されております。はね返りを考えますとわずか三、四億ということになりますので、いろいろな財政上の御都合がおありと存じますが、この下積みで非常に大事な仕事をやつておりますこの郵政職員の立場をお考えいただきまして、財政上のやりくりをどうかお考えになられて、この案に対して満足な御回答を郵政大臣からいただけるように、御協力をお願いしたいと思うわけでございます。

横路節雄日本社会党(左)

○横路委員 ちよつと関連して郵政大臣にお尋ねいたしますが、実は郵政大臣の御苦労のほどは私はよくわかるのです。私も新聞で見まして、郵政大臣が閣議で今の全逓の調停案の総額三十五億幾らについて非常に努力をしたが、遺憾ながら――大蔵大臣とは言いませんが、とにかく財政当局からだめだというように言われて、とうとう予算に組めなかつた。そこで私は郵政大臣にお尋ねいたしたいのですが、非常に郵政大臣の誠意のほどは今のお言葉でわかるのですが、五月の三十一日までが調停案について受諾するかしないかの期限である。それを郵政大臣としても、できれば二十八年度の予算編成の中に組みたいというお気持もあつたであろうと思うのです。そこでいろいろお話の結果、きようまで――たしかきようなのです。七月四日です。きようまで調停案を受諾するかどうかについて延期をされておる。そこで一体予算上にはどうなのかということなのです。私は郵政大臣としては受諾をしたいという気持で一ぱいだろうと思う。しかしきよう過すと一体これはどういうことになるのでしようか。仲裁裁定というところに持込めばこれから三月間かかつてしまいます。郵政大臣も明らかに十一月に予定されておる――予定は大蔵大臣は腹の中ではしているだろうと思う。補正予算のときまで持ち越すということであれば、これは非常に不当な圧迫であると思う。これは現に特定局においてもいわゆる電報等の関係、電信等の関係をやつておる者は、いわゆる電通関係とは同じ仕事をやりながら、千二百円程度低いことは明らかだ。そこでこのことは、私は郵政大臣の誠意のほどは、気持はわかるのですけれども、実際に調停案実施に伴うところの四月一日からのことについてどうなるのか、この点については少し具体的にお話をしていただきたい。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○塚田国務大臣 これは事態の成行き上、私のものの考え方を入れずに客観的に見て行きますれば、調停案の受諾をするかしないか、要するに回答を延期しておりまして日を過ぎておりますならば、自動的に仲裁に入つて行く、そういうことになつて、仲裁の結果がどういうぐおいになりますか、仲裁の結果を見て政府がさらに考えるということになることは申すまでもない。しかし私が調停案が提出されましたときに四十日延期いたしました。私の記憶では九日が最終日であると記憶しているのでありますが、四十日延ばしている間に何とかこれを片づけて、仲裁にかかるということになれば、これは時期としてもずつと遅れてしまいます。し、それまでにかりに今度の国会が終れば、次の国会ということになつてしまう。そういうようにならないようにというので、予算ができたあとも一生懸命に各方面に了解工作に努めておつた。それが今まで延び延びになつて来てしまつた、こういう状態であります。

横路節雄日本社会党(左)

○横路委員 私は郵政大臣にちよつと総体の金額のことについてお尋ねしたいのですが、三十五億というように総体の金額では言われておりますけれども、いろいろ郵政貯金その他の点で、実際には一般会計で見てもらうのは大体七億程度だ。しかも三十五億のべースアツプのはね上りで、税収入その他を見ると、実際は四億幾つかで、五億程度のものを一般会計から入れれば、いわゆる一応四月からの実施はできるのではないか、こういうような基礎的な数字についても、私たちは調停案の内容等からそういうふうに考えられるのでありますけれども、私たち予算修正をいたしますから、その点で実際に三十五億が、それも技術的な操作では五億程度でとどまるのではないだろうか、こういうふうに考えておるのですが、その点についてお尋ねいたします。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○塚田国務大臣 これは総体の額が三十五億七千万円ぐらいになる計算なんでありますが、それを郵政内部のいわゆるいろいろな特別会計、そういうものの中で消化すべきものと、一般会計から繰入れてもらうものと、これをわけますと、御指摘のように一般会計から入れてもらうものは七億ぐらいの数字で片づくという、そういう解決方法が一つは確かにあると思います。しかしその場合にもあとの約三十億はどこからどういうぐあいに出るかということでありますが、結局それは電信電話の公社からの繰入れをよけいしてもらいますとか、それから郵政特別会計の内部にあります予備費をその場合には使う、そういうふうないろいろな工作をいたしまして、最後にぎりぎりどうしても一般会計から入れてもらわねばならぬものが七億あるということになります。この三十五億七千万円のかりに給与の増額ができますと、その中から三十三億程度が勤労所得の対象になるものが出て参ります、この勤労所得の対象になる三十三億程度のものを頭に置きまして、その約一五%の勤労所得税を考慮すると、まあ五億近いものがはね返りとして、一般会計の中に入つて行くのじやないかということも考えられているのであります。

横路節雄日本社会党(左)

○横路委員 もう一つ郵政大臣にお尋ねいたしますが、七月九日までというお話ですが、七月九日が調停案の最終的な期限であるとすると、それを過ぎると三月かからなければならぬ。仲裁裁定に持ち込むということになると非常に困るわけであります。そこで私は、これは私の臆測ですが、七月の十三日に一応予算委員会としては本会議にこの予算案が上程される。その中には、まあこの問題についてはどういう形かで、ひとつ郵政職員の希望に沿うような修正の形で上程されるであろうということは想像される。そこで郵政大臣に私は希望して、ぜひその点お尋ねしておきたいことは、少くとも衆議院の本会議に予算案が、上程されるまでは、調停案受諾については拒否するというような回答だけはしていただきたくない。予算案が七月十三日か十五日に本会議にかかつたときに、その予算案の中を見て受諾するかしないかの態度をきめていただきたい。そういう御用意があるかどうか、ひとつお尋ねしてこれで最後にします。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○塚田国務大臣 これから十三日までのいろいろな政治情勢の判断がそれにからまつて来て、どういうぐあいにするかはきめなければならぬと思うのであります。私といたしましては少くとも今日まで拒否の回答をしないで来ました気持からすれば、そういうことは万々起らないだろうとかように考えております。

八木一男日本社会党(左)

○八木(一男)委員 この問題につきましては、郵政大臣の郵政職員に対する親心を信頼いたしまして、また大蔵大臣の実情に合つた方策によつてどしどしといいことをやられるというお気持を信じまして、ぜひそうしていただくようにお願いをして、この問題を打切りたいと思います。  次に厚生大臣がおられませんので、中山厚生政務次官にお伺いしたいと思います。日雇労働者健康保険法の問題でございますが、この前の十五特別国会におきまして、日雇労働者健康保険法を第四次吉田内閣として出されたわけでございます。この問題はもちろん政務次官よく御承知のことだと存じますが、今社会保障制度が非常に強く要望されておりますときに、それが十分でない。十分ではなくて、その要望される人としては非常に困つた状況にあるわけでございますが、その中でただ一つ健康保険だけがある程度のほんとうの実効を収めているのではないかと私ども考えているわけでございます。労働者の諸君はこの健康保険があるために、もし病気になつても一家心中をしなくてもいいというようなことでやや安んじて仕事についておられると思うわけでございますが、その労働者の中で、特に賃金べースが低くて、就労の不安定であります日雇い労働者について、この健康保険が適用を見ていないということは、非常に気の毒な状態である、また不公平であると思つているわけです。その点について竿頭一歩を進めまして、厚生省でその法案を出された点につきましては敬意を払うわけでございますが、厚生省の原案でありました三分の一の国庫負担がはずれましたために、その内容が非常に不満足なものになつております。たとえば傷病手当金というものがないために、お医者さんに見てもらつて薬をもらい、注射をしてもらい、安静にしろよと言われた場合でも、子供たちを養うためにはやはり職場に出まして、この人たちはおもに垂労働者でございますから、激しい労働をし、安静の方が薬よりもきくというような病気の状態のときに、ただお医者さんに見てもらつただけで安静にできないので、からだを悪くするというようなことで、この傷病手当金を入れてないことは、ほんとうに仏をつくつて魂を入れないということになるわけです。まだ分娩に関するいろいろの給付が入つておりませんので、この点婦人労働者にとつては非常に困つた状態だと思うわけであります。なおその他の保育とかいろいろなものも全部はずれております。また埋葬関係のものもはずれております。ですからこれは非常に不十分なものでございまして、特に生活保護費の方のお金をそつちにまわしてやつたというようなことも伺つておりますけれども、これでは名前だけよくて実質が伴つてないと思うわけでございますので、その点に関しまして厚生省のお考えを伺いたいと思います。

中山マサ自由党厚生政務次官

○中山政府委員 ただいま八木委員からお尋ねいただきました日雇い労働者の健康保険の問題でございますが、御案内の通りに、ただいままで全然この医療関係について、社会保険制度の恩典を受けていない人たちでございまして、まことにお気の毒に存じております。何とかしてこの方々にも保険制度をして差上げたいということを考えまして、前の国会で流産になりましたので、このたびこれを創設することにいたしまして、予算をここに提案をいたしたのでございますが、ただいま御指摘になりましたように、いろいろの難点がないということは言えないのでございます。しかしここになりますまでにはいろいろと折衝もいたしたのでございますけれども、国家財政の問題ともいろいろからみ合つておりますものでございますから、この程度でもひとつまず出しておいて、これから徐々に好転させて行かねばなるまいというような気持も手伝つておりまして、こういうことになつたのでございます。また国家財政がだんだんとよくなりますれば、こういう点もいろいろと考えて行かれるだろうと思います。何しろ五十万という日雇い労働者に対して全然何もないということは、まことに不行届きもはなはだしいと思いまして、今の御指摘の点もございますけれども、とにかくこのたび提案いたしましたよりなことになつておりますことを、御了承願いたいと思います。

八木一男日本社会党(左)

○八木(一男)委員 時間が迫つておりますし、さらにきようおいでにならなかつた建設大臣、外務大臣その他に対しても質問を留保いたしたいと存じますので、あと簡単に申し上げたいと思います。厚生大臣がおられませんのと、これ以上申し上げませんけれども、今難点がないでもないと言われましたけれども、実は難点だらけでございます。それはよく御研究になつていただけばわかります。それで社会党の両派から日雇労働者健康保険法案が出ておりますので、それと御比較になれば、いかに政府案の内容が貧弱であるか、内容に欠点があるかということがおわかりだと思いますので、よく御検討をお願いしたいと思うわけでございます。特にこの問題に関しましては、十五特別国会の厚生委員会で、この問題の社会党の修正案と、それから政府案との採決の際に討論が行われまして、自由党を代表して言われました委員の方からは、政府案の内容は非常に乏しい、両社会舘の案の方が非常によろしい、そのような内容にしなければならないけれども、予算案が衆議院において通つてしまつたあとだからしかたがない、われわれはこの修正案に賛成するけれども、可及的すみやかに社会党の五割国庫負担案の内容にまで高めてほしいという希望意見を、厚生委員会の討論中で与党の委員ですらも言われておつたわけでございますが、そのときは予算が通つておつた。少くとも衆議院だけは通つておつた。ですから、そういう議論も、非常に不当だと思いますけれども、ある立場があると思います。しかしその後予算は新しく出された、その予算案にこういう厚生委員会の意向の内容が一つも盛られておらなかつたことは非常に遺憾でございます。さらに五月の二十九日の本委員会におきまして、その問題につきまして、厚生大臣と大蔵大臣に私御質問申し上げまして、大蔵大臣から十分に考えてみようという御返答をいただいたわけでございます。考えていただくはずで期待しておりましたところが、そのお考えが一つもこの予算案に反映しておりません。今年は苦しいというお考えがあると存じますが、この日雇労働者健康保険法の政府原案の施行期日は十月一日になつております。ですから給付の始まるのは、二月かかりますから十二月一日、ですから三分の一あれば足りるわけです。われわれの言うような五割国庫負担が政府としては反対であつても、少くともその内容を高めなければならない。また予算について考えるというならば、そこで元の厚生省の原案である三分の一国庫負担なり、三割なり、あるいは二割五分なり、そのようなものが考えられてしかるべきであると存じますが、それが考えられておらなかつたのは、厚生当局の大蔵省に対する御交渉がはなはだ弱腰であつたというように思うわけでございます。先ほどの改進党の古井委員の御質問に対しまして、このような国情であるから御了承願いたいと、中山さんは言われましたけれども、このような貧乏な日本の現状でありますから、特に厚生関係は重視されなければならないという確信のもとに、大蔵省に堂々と交渉されまして、大蔵大臣もこういうことを重視してやつていただきたいと思います。  大体予算査定につきまして、このような総合的な問題につきまして、総合官庁が必要で、今のように大蔵省の立場が非常に強くて、主計局長がちよつと首をひねるとたいていの法案がだめになつてしまうというような現状ではいけないと思う。総合的に政策をきめる幾関が必要であると存じますが、今なくて、しかも実質的に大蔵省が方々の省の熱望を込めた案をばさりばさりとなたで打切つておるとよう状態は、非常に遺憾だと思いますので、どうかいろいろと各省の所管しておる事項も十分にのみ込んでいただいて、予算編成については考えていただきたい。これは主計局長もよく聞いておいていただきたい。そういうことで、今後の問題について、予算修正もございます。どうか大蔵大臣といたされましては、十分に考えると言われたお言葉をもう一回思い起していただきまして、この百万になんなんとして、そうして病気になつたら一家心中の一歩手前にあるような気の毒な人が、大蔵大臣の考え方で何人かの人が死ななくても済むということをよく考えていただきまして、ひとつこの問題の予算措置を講じていただくようにお願いをいたしまして、なお厚生大臣がおられるときにさらに御質問をいたすことにして、この副題に関する質問を終りたいと存じます。  さらに時間の関係がございますので、農林大臣にたいへん長くお待ち願いまして恐縮でございましたが、簡単に一問だけお伺いいたしたいと思います。六月の初旬におもにわが国の西日本を襲いましたあの長雨によりまして、非常に農作物は多大の被害をこうむりました。その被害について日本の農民の経営力を維持するため、また生活を救済するために、当然十分なる措置が講ぜられなければならないと私どもは考えているわけでございますが、農林大臣はいかにお考えでしようか。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 お答え申し上げま す。いわゆる台風第二号によります災害は、主として農業災害でございます。この災害地域の方々に対して、最近の激甚なる北九州を中心とする水害のために、その対策がおろそかになつて来ているのではないかという御懸念が非常に強いようでございます。私どもは今回の災害は今回の災害、第二号による災害は第二号による災害としてできるだけすみやかに処置を講じなければならないということで、この考えをもつて、これは大蔵当局においてもまつたく同感でございます。そういうことでできるだけ早く今回の水害と重複するものは、これはまた実際問題としては重複した対策を講じなければならぬと存じますけれども、最近の災害を受けられなかつた地域に対して、できるだけすみやかに対策を講じて参る考えでございます。

八木一男日本社会党(左)

○八木(一男)委員 具体的にはどのような方法でこれに対処されるか、また金額的にはどのくらいの程度のものを考えておられるか。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 これは各県々々から麦の減収がこれだけだ、菜種の減収がこれだけだというような報告を集計しますればかなりある。麦については四百万石以上というような減収が起るということになつております。しかし農林省の作報事務所等からの集計もほぼまとまりまして、ただいま最終的に数子を寄せ合つているわけであります。側をおきましても農家の次に来る再生産をどう確保して行くか、できた麦を売つて次の耕作の資金にする、あるい肥料を買うとかいうような次の資金に用うべきその財源を失われておるわけでありますから、従つてこの営農資金の融通ということは特に大事な点でございまして、その融通資金に対する利子の国からの補助というようなこと、あるいは水産等を含みました農業施設等の復旧につきましては、これは従来の災害でやつて参つております方式によつてやつて行くようにいたしたい。これは各党派におかれましても当時――今日もさようでございますが、御心配をいただいて対策を政府の方に示していただいて、御鞭撻を受けておるわけであります。できるだけそういう諸施策をとつて行かなければならないと存じます。

八木一男日本社会党(左)

○八木(一男)委員 各政党が共同してこの問題に当つておりますので、十分にいろいろの結論が出ておると思いますが、どうかそれを尊重していただきまして、全部を入れていただくように、いろいろの方案を至急に立てていただきたいと存ずるわけであります。いろいろの共済保険関係の救済を受けつれるる種目でございますけれども、それを受けられないいろいろな農作物もございますが、それに対しましても繁文縟礼でしやくし定規ではなくて、この問題についても特別な救済をはかるとか、また金額については、前にあれだけの凍霜害の被害のときにごくわずかしかまだ出ていない、そのような貧弱なものでなしに、思い切つてほんとうに農家の経営力を保ち、日本の農地を長くりつぱな状態で保つという意味におきまして、ひとつこの問題を農林大臣として勇敢に打出していただきまして、大蔵大臣を説き伏せていただきたいと思うわけでございます。前百億円の被害に対しまして、凍霜害でまだ五億八千万円というような措置しかできていない。今度は四百億円という被害が言われておりますときに、かような十億にも足りないような処置ではとうてい問題になりません。当然このような突発的に起つた問題につきましては、今からでも計画の予算に従わないで当然組みかえをするとか、また補正を組むとか、一時的にほかの金をまわしてでも後に補正で埋めるとか、そういうような強い信念をもつてこの問題をりつぱに解決しなければいけないと思うわけでございます。どうか農林大臣といたされましては、農民の立場におきまして徹底的にこの救済ができるように御努力をお願いいたしまして、一応質問を打切らしていただきます。なおきようおいでにならなかつた建設大臣その他につきましての質問は留保いたします。

尾崎末吉自由党

○尾崎委員長 本日はこの程度にいたしまして、次会は明後六日午前十時より開会いたします。  これにて散会いたします。     午後六時二十七分散会

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