予算委員会 第9号
- 発言数
- 198 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1953/06/24
会議録
○尾崎委員長 これより会議を開きます。 昭和二十八年度一般会計予算外二案、並びに昭和二十八年度一般会計暫定予算補正(第2号)外二案、以上六件を一括議題として質疑を継続いたします。小山倉之助君。
○小山委員 大蔵大臣にお伺いをいたしますが、今回の二十八年度の予算は、不成立予算を踏襲したのでありまして、この時局に沿う予算ではないのであります。ところがこの不成立予算は、ちようど政局の波瀾から、政府の案というよりは、むしろ自由党の総合的な案であるように見えるのであります。従つて非常な総花式である。しこうしてまた選挙対策というものにこだわつたようなきらいもあるのでありまして、まつたく厖大なる予算である。この予算を組み立てるにつきましては、政府は国民の所得というものを過大評価したようなきらいがあるのじやないか、それに従つてまた予算も過大評価したきらいがないわけではないと見えるのであります。ところが朝鮮の戦乱が終りまして日本の貿易が不振となり、また従来濫費をした報いが参りまして物価が非常に高くなつた。物価が高くなつて来れば、従つてまた外国からの輸入もふえて来るから、それにつながつてまたぜいたく品も入つて来る。そういうようなわけで非常な困難に陥つて来ておるのであります。そこべ朝鮮の特需が減つて来た、かようなわけ合いでありまして、私どもの見るところによると、鉱工業の生産はだんだん下火になつて来ている。従つて法人の経理というものも非常に弱化しておる。中小工業者は破産に瀕しておるような状態である。不渡り手形はどんどんでき、勤労者の所得がふえて行きますが、物価の騰貴のためにまたこの勤労者の所得も実質的には減つておる。かような場合に、はたして予期の税収入が得られるかどうか、こういうことから非常に不安を覚えるのでありますが、政府はこの予算を遂行するについて十分なる確信を持つておられるかどうか、その点を伺いたいのであります。
○小笠原国務大臣 お答えいたします。二十八年度の本予算は、大体において不成立予算を基礎としたことは御指摘の通りでありますが、その後の情勢の推移も若干織り込んでありまして、ただ当面私どもは日本の財政経済に急激な変化がないと思いましたので、時勢の推移に応ずるだけの分を織り込んであるような次第であります。てこで方針といたしましては、第一に財政規模をできるだけ圧縮するという考え方で臨んだのでありまして、財政投融資と一般予算とを加えますと、合計した金額が不成立予算よりも数十億円似つておることは小山さん御承知の通りであります。さらに財政投融資の面につきましては、できるだけこれを拡大していろいろな産業活動に資したいという考え方で、これも若干拡大しましたことも御承知の通りであります。さらに一般の経費につきましても、これはできるだけ重点的に切り詰めるということをいたしまして、大きいものでは御承知のいわゆる防衛関係費の切詰めをいたしましたほか、保安庁経費などでは百十一億――もつとも百億ほどはいわゆる予算外国庫負担のものでありますけれども、十一億余の切詰めをし、一般のものにおいても旅費、庁費において四十億切り詰めるというようなぐあいにいたしておりまして、またその切り詰めたものにつきましては、大体これを民生の安定と産業の振興とに持つて参つておるような次第であります。 しからばことしの税収等はどうか、こういうことでございますが、私どもは今の国民所得を、不成立予算でもそう見ましたが、今度の予算でもそう見てありまする五兆八千二百億円、こういうふうにたしか見てあると思いましたが、この数字は経済審議庁において十分検討して出したものでありますし、御承知のように前年度よりも給与その他の面がふえており、また土産指数等もふえておりますので、こういう点はそう過大の見積りではないと考えております。それから税収につきましては、これは私どもいろいろな点から見まして、ことしは昭和二十六年度に見たような、四百数十億に上る自然増収というようなものはおそらく期待できない、またそういうことを予期してもおりませんが、しかしこの程度の税収は確保できる、かように考えておる次第であります。御指摘のように、いろいろ不渡り手形が出て困つておる面も出ておるのでございますけれども、全体を通じて見ますとまだ大体は横ばい、若干下押しぐらいのところでございまして、私どもは、今の国民所得あるいは税収等には、さまでの影響はなかろうと考えておる次第でございます。
○小山委員 過般の当局の御説明によりますと、国民所得は減らない、しかし大体不景気のために国民の収入が減つておるようである、ことに事業界の不振から影響する収入が減るようであるが、たとえば木材とかあるいは建設資材とか、そういうものが相当の収入源となるから、国民所得はあまり減らないということを述べられたと記憶しております。他の多くの商品の値段が下つて来て、ただセメントや建設材ぐらいのもので高いものと平均をとつて、なるべく国民所得を多く見積つて、従つて歳入を多く見積つて、国民所得が多いということを裏づけようとしてこの予算をつくつたように思われるのでありますが、私はその点に非常な疑問を持つのであります。その点はいかがでありますか。
○小笠原国務大臣 国民所得をどう計算したかということは、あるいは経済審議庁の長官からお話申し上げた方がよいかと存じますが、ごく大まかなことを数字で申しますと、勤労所得において大体二兆八千八百四十億円、これが前年度ですと二兆六千十億円、それから個人業主の所得として二兆三千二百八十億円、これが前年度でありますと二兆二千二百四十億円、それから個人賃貸利子所得は千六百億円、前年度が千三百億円、それから法人所得は四千三百九十億円、前年度が三千九百五十億円、営業所得は九十億円で、この方は前年度百八十億円に見ておりますが、営業不振のためこういうふうに見ております。そういたしまして五兆八千二百億円と出してある次第で、いろいろこの所得の内容を見ますと、大体この程度はあるものと推定して誤りないものと私どもは考えております。
○小山委員 私は貿易に関することをちよつとお伺いいたしたいのでありますが、貿易の不振から、内地の景気の振興に政府の方針は向けられたようであります。内地の購買力を増強いたします方法として、輸入原料でもつてできた品物を市場に氾濫させた。一方においては購買力を増強して、一方においては輸入を増進して来ました。これはアメリカのような内地の市場にたよる経済であればかようなことはあまり大きな影響を与えませんが、日本のような外国の百原料に依存しておる国におきまして大事な原料を内地の消費に向けて、そうしてここに購買力を起して物の動きを盛んにするということは、いわゆる仮装の景気であつて、いつかその影響が出て来るのであります。すなわち外貨を食いつぶしてしまうという結果に陥るのであります。そういう状況であるところに朝鮮事変が終つて特需が減るというようになりますと、前途暗濃たる気分を持たざるを得ないのでありまして、この物価騰貴を来しました結果、賃金の闘争が盛んとなり、そしてその賃金を上げたことも、結局実質的にはあまり効果がないというような結果を来しておるのでありまして、この点は物価政策に関することでありますが、政府は昨日の石橋君の御質問に対してお答えがありましたが、いろいろ施策がある。その施策だけではなかなか容易にそれ面復することはむずかしい。それは即効薬ではありません。生産を増強するというようなことは、一朝一夕に行くものではないのであります。私は、手取り早く予算措置を経ないでできる事柄がたくさんあると思う。御承知の通り基本的の産業としてその増強をはかるために、鉄や石炭に勢力を集中するといつても、たとえば石炭のごときは従坑一本ふやしてもただちにふえるものではない。ここに海外に安いものがある。安いものあれればやはりある程度これを入れるということは、一方においては内地の実業家連、企業家連の生産コストを下げるという意欲も出て来る、努力もするということになるのでありますから、たとえば石炭のごときは相当次量安いものを日本に輸入するということが、結局日本の産業の改良にも、企業合理化にもなる。さらに働き出すということにもなるのでありますから、かようなこともお考えになるかどうか。さらに、たとえば人造絹糸の増強をはかり、海外から輸入するコットンの量を減らして人造絹糸で間に合せようという場合にも、塩が専売であるために企業家が非常な煩いを受けておる。一方においては手続も非常に煩瑣だ、あるいはその買入れの値段もべらぼうに高くて日本のコストを下げることができない。かようなことは専売局の機構を改めるとか、その手続を改めるとか、予算措置でなくて改良のできる点であります。私はかようなほんのわずかな例を申し上げたにすぎませんが、かようなことについて十分平なる考慮をお払いにならなければ、結局長期にわたる政策だけで実行ができるものではない。今日はなるべく予算措置を経ないで実行のできる方面から物価の低下をはからなければならぬと思うのでありますが、大蔵大臣の御所見はいかがでありますか、お伺いいたします。
○小笠原国務大臣 大体仰せの点はごもつともに伺うのでありますが、私どもといたしましても、今御指摘になりました石炭の例で申しますと、石炭につきましては従坑の開、まだ税制の措置その他によりまして、これを国際価格にいくらかでも近づけるようにという努力を続けておりまして、従つて最近において相当価格は下つておることは小山さん御承知の通りであります。外表を入れておりますので、ちよつと実績を申し上げますと、昨年に入れましたのが強粘結炭で三千三百七十二万五千ドル、ガス用談で二百五十五万七千ドルというものを入れでおりますが、しかし今の石炭の状況のもとにおいて、なお非常に外表を入れて日本の石炭を下げるべきかどうかということになりますと、一気にそこまで持つて行くことは、日本の石炭状況を相当程度に発達させて行くのには少しどうか。特に現在炭価も下つておりますが、同時に国内の生産と需要とを見ますと、むしろ生産過剰の方に近づいておることは御承知の通りであります。従つて石炭等につきましては漸次これを持つて行くという方策を実はとつておるのでありまして、右左に一気にやるということは、やはり日本における石炭業に及ばず影響も考えなければなりませんので、さようなことにいたしておるのであります。大体小山さん御承知のことだが、経済政策は一気に百八十度の回転をさせるような政策に持つて行かずに、一つの目標を置いて徐々にこれを持つて参る、たとえば今ま石炭でございますれば、石炭はかれこれ一割近く下つておると思いますが、もう一割次の年度に下げるように持つて参る、あるいは鉄鋼につきましても大体そういう目安で、徐々にそれをいろいろな方面べ持つて参る。こういうぐあいでいわば経済界に大きな激動を与えずして目的を達して行く、そんなふうに持つて参りたい所存でやつておるのでございます。
○小山委員 私は石炭のことは一つの例にとつたのでありまして百万トンの石炭を入れてコストを下げたということは私はよく一承知しておるのでありますが、そういう種類のものを拾つて将来の対策を講ぜられんことを希望するのであります。 総理大臣は御多忙のようでありますから、私は総理大臣に対する御質問を申し上げたいと思います。これは大蔵大臣にもお答えを願いたいのでありますが、一時は、ドツジに反対し、ドツジを攻撃してドツジ。ラインを破ることが、日本の経済を復興させるが、ごとき言論さえ起つたのであります。何せ日本では外国を攻撃さえすれば英雄のごとく思う、愛国者のごとく思う。私は、今日アメリカ一辺倒ということをむやみに攻撃することについては、深き嫌悪を覚えるものであります。私は、決してアメリカに対する一辺倒を考えておるのじやない。一辺倒たらざるを得ない現在の時期におるのでありまして、ドツジ・ラインというものも必ずしも攻撃すべき筋合いのものばかりではない。その間には日本の経済を復興する一つの聖書のような感じを持つて読んだのでありますが、近来はようやくドツジ・ラインにまたもどるのではないかというような気分がするのでありまして、大蔵大臣の連日にわたる御答弁といい、また政府の施策といい、ほとんどドツジ・ラインにもどろうとするような傾向がありますが、総理大臣並びに大蔵大臣は、ドツジ・ラインについてどういうふうにお考えになりますか、簡単に御答弁をお願いいたしたのであります。
○吉田国務大臣 お答えいたします。ドツジ・ラインと申すのは日本語でありまして、ドツジの提案を要約してそうなつたものであろうと思います。ドツジが日本に勧告した当時の考え方は、いかにしてもインフレは恐るべきものである。インフレをやめるためには、すべての努力をここに集中すべきである。これが彼の考え方であります。いまなおインフレはいずれにしても避けなければならぬことは、ドツジ氏の言つた通り、もちろんであります。今日でもその考え方であります。これをすなわちドツジ・ラインといえば、これは別でありますが、いずれにしてもインフレは絶対に起さないようにするのが今日においてとるべき財政の道であろうと信じております。しかし詳細のことは大蔵大臣からお聞きを願います。
○小笠原国務大臣 ドツジ・ラインにつきましては、今総理のお話の通りであります。私どももその当時におきます日本のインフレーシヨンを遮断するのには、これはいわゆる超均衡予算といわれましたドツジ・ラインがきわめて適切であつたと思います。しかしそれによりまして、日本の経済に幾つかの安定の要素が加わつて参りました。たとえば生産の増加も起り、物価のある程度の安定も起り、民生のある程度の安定も起るというふうに、各種の安定要素等が加わつて参つておりますので、あの当時のような超均衡予算に出る必要はない。若干の弾力性を持つてやつて行く。すなわち過去の蓄積その他にしても、これが日本の民生安定、生産増加、結局国際均衡へ持つて行くところに使われるならば、その程度の弾力性を持つことはよろしい。こういう考え方で二十八年度の本予算等も編成されておるのであります。しかしながら日本をインフレーシヨンに持つて行つていかぬことは、これはもう申すまでもないことでありまして、いかなる場合においても、日本の物価はまだ国際的に高いから、できるだけそれを国際物価に近づけて、できるだけ国際競争力を持たすような政策をとらなければなりませんことも当然でございます。さればといつて日本を非常なデフレ傾向に持つて行くことも、今の場合どうか思われますので、私の言葉でよく申します、インフレにも絶対持つて行かぬ。しかしデフレにも持つて行かぬというのはその点でございます。いわゆる着実穏健な政策のもとにやつて参りたい。かように考えておる次第であります。
○小山委員 ドツジがもちろんインフレを防止するために、日本に強力なる進言をいたしましたことは、私もよく承知しております。しかしながら今日の貿易をどう盛んにするか、輸出の合理化をどういうふうに行つて行くかということについては、まつたくわれわれの学ぶべき点が非常に多いのであります。こういうことをよく学ぶことが、現内閣をして国家復興のために寄与せしむるゆえんであると私は考えます。外国人の意見であつても、日本に適当なものであればよろしい。決してインフレーシヨンを防止するだけの議論ではありません。日本の貿易をどうするか、日本の国民精神の作興をどうするか。日本の将来のレザーヴをどうするか、日本が世界の国家と協力するのにはどういうことをしなければならぬかということはよく示されておりますから、ただインフレーシヨン防止ということだけに気をつけられませんで、よくその趣旨を研究せられんことを私は希望いたします。 私は総理にお伺いいたしたいのでありますが、MSAの問題につきまして、一体ロシヤにMSAはあるのであろうかという質問を私は受けたのであります。ロシヤにもMSAがあると私は答えました。ロシヤのMSAはミユーチユアル・スローター・エイド、外国をしてお互いに殺し合う、外国人に力を貸してその国をお互いに取乱し相聞わせて、その間隙に乗じて世界を征服しようというのがロシヤのいわゆるMSAなんだ。われわれのここで論議しているMSAというのはミユーチユアル・セキリテイー・エイド、われわれの安全保障をどういうふうに解決して行くかという問題であります。ですからここにくどくどしく申し述べる必要はないのでありまして、このMSAはどういう発展の歴史を持つておつたか、にんな国防に関係しているのであります。その国防に関係しているというのは国防を強化して、しこうして口シヤの侵略を防止するということなんだ。一方においては積極的に戦争を避けるという、第三次戦争を避けるという、これがための防備をする意味合いであります。われわれは案保障条約を結んで行政協定をなし、さらに今や国防省の援助がすべてこのMSAにかわつたのでありますから、このMSAを受けるの、受けないのということは論議り外で払つて、どうしても世界の自由国家群と協力するためにはこれを受けることは当然なんだ、しかるにそれが軍備であるとか防衛軍であるとかいうようなことで、多くの時間を本会議においてもあるいは予算委員会においても論議されているのでありますが、私は今日はさようなことには触れません。ただ総理大臣にお伺いしたいのは、これは軍備ではないのだ、つまり国を守る強固なる軍隊の組織でないのだ、将来も軍備はしないのだ、そういうことをおつしやつてがんばつていることが、一体国民精神にどういう影響を与えているかということを私は心配する。これに呼応して社会党ことに左派のごときは防備がない方がよろしい、ない方がほんとうだ、軍隊なんかなくとも、結局安全の保障というものはできるのだ、軍隊を置けばかえつてロシヤから飛行機でもやつて来て日本が襲来されるおそれがある、こういうことで国民は戦争がきらいだということに迎合しているのであります。だれだつて戦争が好きな人はありません。ただより多き犠牲を防がんがために、少数の犠牲をもつてこれに当るというのが防備なんです。そういうことが国民の間に徹底していなければならぬのであります。しかるに自由党の内閣は、これは軍備の必要がない、軍ではない、そういうことを言つておりますと、国民の戦争のきらいな精神にアツピールすることになりまして、戦争がないのだから防備をずる必要はないじやないか。内閣総理大臣がかようなことを申すのに、共産党あるいは社会党の左派――右派の方はやや防備隊くらいは認めてもよろしいという考えに緩和されておるようでありますが、左派の言ようなことをいうことになると、今日の保安隊というものはまた一方においては防備の軍隊であるかどうか、国を守る軍隊であるかどうか。一体保安隊それ自身の考えも迷つておるだろうと思うのです。ですから要するに、日陰者なんです。国民は国を守ろうという精神がなく、保安隊は国のために命を捨てる場合もあるというその決意がつかなければ、これは国民の後援のない防備隊となるのでありまして、これはつまり国民の精神というものを萎摩させる、国を守るという精神が地を払つてしまおうとしております、ただその日その日の生活を送り、まつたくこの国を守るという気魄も熱意もないということになりまして、結局、片方は日陰者となり、片方はただ安易についてその日その日を送るというようなことになりますから、これは精神上の打撃が非常に大きい。やはり保安隊を保護しようという国民の精神があり、片方の保安隊は、国民の負託に沿うように努力するということがあつて初めてこの精神的な基礎ができる。今日その精神が破壊されているということは、政治上においては非常な罪悪である、そういうことはけしからぬことであると私は考えるのでありますが、総理大臣はそういう点についてどういうふうにお考えになるか。明確なる御答弁をお願いいたしたいのであります。
○吉田国務大臣 私は、軍備の必要はない、いらないものであるということはかつて申したことはありません。のみならず日本の独立、安全は日本国民みずからの手で守るべきものである。これは動かすべからざる独立国としての原則であると始終申しておるのであります。しかしながら今日は国力これを許さないから、やむを得ず安全保障条約によつて米国の援助を受け、また国内の治安は保安隊によつて維持する。決して国防不必要とか、いらないとかいうようなことはかつて申しておらないのみならず、積極的に日本の独立と安全は日本国民みずからの手によつていたすべきものであり、これは独立国として動かすべからざる原則であるが、今日は国力これを許さない。おもむろに国力の充実を待つて、みずから守るというところまで行きたいと思つておるのであります。決して国防、防衛無用論をかつて唱えたことはないのであります。現在の保安隊の性格等については保安大臣からお答えをいたします。
○木村国務大臣 ただいま総理から申されましたように、独立国家である以上は、みずからの手によつてみずからの国を守ることは当然の建前であるのであります。われわれも一日も早くその目の来らんことをこいねがつております。しかしながら現在のあらゆる情勢から考えましてことに財政的見地から見ますと、日本の今の状態におきましては、とうてい完全なる防衛力を持つことはできないのであります。そこでやむを得ず日本の防衛態勢といたしましては、アメリカの駐留軍によつて直接侵略を防止し、内地の治安については保安隊によつてこれを防備する。両々相まつて日本の防衛の全きを期する次第であります。しこうして保安隊はどこまでも国内の平和と秩序を維持することを任務といたすのでありますが、先日も申し上げました通り、かりに不幸にして集団暴徒が外部から来るような場合口におきましては、そのときにはわれわれの考えといたしまして当然予想されるものは、いわゆる内地における反乱、暴動であります。これは同時的に起るということはおよそ予想されるのであります。かようなときにおきましては保安隊も敢然としてこれに立ち向つて、国内の平和と秩序を守ることは当然な行き方であろうと考えております。かかるがゆえにただいま保安隊といたしましてはその装備、訓練において全きを期するべく日夜努力しておる次第であります。
○小山委員 私は総理大臣がただいま御答弁くださつたようなことを絶えず申されておるということはよく承知しております。しかし、それだけのものをなぜ防衛軍と言えないかということでありまして、こういうことはどつちかというと、国民に徹底させることが必要であります。国民に徹底させることは、同時に保安隊を強化させることになるし、保安隊も奮発することになり、国民もまたそういう気分になるのでありますが、議会において質問があつたときに、あるいはそういう問題が起つたときに、ただ消極的に答えておるだけであつては、私は今日の時勢に足りないのではないか、もう少し積極的に行くべき問題じやないかということを申し上げるのでありまして、総理大臣は消極的には絶えず金ができたらやるんだということを申しておることはよく承知しております。しかしそれはどの程度に行くのか。とにかく外国の援助を受けてやつて行くことですし、そういうことは今までたびたび繰返された問題でありますから、私はかようなことは申し上げません。 ただここに一つお伺いをいたしたいことは、朝鮮において李承晩大統領はこの休戦条約に反対いたしましてしかもアメリカのきめた捕虜を無断でこれを解放したというようなことは、この休戦条約に非常なさしつかえを起したのではないかと思われる。李承晩大統領としては、南北にわかれておれば、南の方は農業地帯であるし、北の方は工業地帯である。この農業地帯と工業地帯が一体となる、すなわち三十八度線は撤廃されてこそ朝鮮というものは独立の基礎ができるのであります。しかるに三十八度の線で休戦が行われた。その三十八度の線で休戦が行われるということになると、今までアメリカは百五十億ドルからの金を使い、あるいはまた十数万に上る尊い犠牲を払つて朝鮮人もこれに劣らない非常な犠牲を払つて戦つて来たのは、要するに、朝鮮の独立を希望したからでありますが、結局、朝鮮の統一、独立というものはできなくなつたのでありますから、私は朝鮮人の失望落胆はまことに名状すべからざるものがあると思うのであります。しかしこれをほかの方面から考えまして、もし朝鮮の兵隊がもつと訓練が行き届いておつたならば、これを率いるりつぱな将校があつたならば、またアメリカが十分な武器を朝鮮人に与えたならば、武器と朝鮮の軍隊の数とその訓練とによつてアメリカ軍と協力をしたならば、あるいは私は鴨緑江までこれを押しのけて、そして朝鮮の独立ができたことであろうと思うのであります。外国と協力するからと申しましても、その外国の都合ではいつでも撤兵して、あとはどうなろうと――というわけではないでありましようが、結局、三十八度の線でこれを保つて、そして軍隊を引いて、休戦をするということになれば、結局朝鮮の軍隊に力がなかつたのじやないか、またアメリカの協力も足りなかつたのではないか。もし朝鮮軍を信頼し、朝鮮軍に十分なる武器を与えたならば、朝鮮の統一ができたであろう。他の国にこれをまかせるとそういうことも起り得るのでありますから、私はやはり保安隊なら保安隊として国民の協力を得、保安隊自身も十分に国を守るという気魄をもつて行く態勢をつくることが、非常に必要ではないかと思うのであります。こういうことは他山の石として日本としては十分学ばなければならぬことであると存じますが、総理大臣並びに木村長官の御意見はいかがでありますか。
○木村国務大臣 ただいまの御意見まことに、ごもつともだと存じます。要は保安隊の志気高揚、これが最も大事であろうと私は考えております、いかに装備がよくても、これを使うものは結局人間であります。国民の支持を得てほんとうに信頼されるべき保安隊を育成し、そうしてこれを精神的に十分訓練いたしますと、私は国民の期待に沿い得るようになろうかと考えております。その点につきましてはぜひとも全国民の御支援をこの機会にお願いいたしたいと考えます。
○小山委員 そこで全国民の支援を得させることが必要なんです。しかるに保安隊というものは軍隊じやないとか、あるいは金ができたときにやるのだというようなあいまいなことを言つておつては、私は国民の協力は得られないと思う。軍隊なら軍隊でよろしい、軍隊でやるのだ、しかしその装備をどの程度にするか、アメリカの協力をどの程度にするか、その点については私は十分協議の余地があると思う。金がなければやらないでよろしい、金のある程度でやればよろしい、また金がなければその援助を受けることを堂々と要求してさしつかえない。まるで日陰者のような形においてどうして保安隊が強化されるか。国民に対してはすこぶるあいまいな態度でもつて、金があつたらやるということで、どうして国民の協力を得られるか、私はその点を憂慮するのでありますが、その点について一体確信を持つておるかどうか、今のような状態で一体確信を持つておるものかどうか、その点を伺いたいと思います。
○木村国務大臣 保安隊を軍隊と称さなくても、私はりつぱに国民の信頼を得らるべき実力と装備ができると確信をいたしております。現在におきましては、すなわち、いわゆる憲法第九条第二項の戦力に至らざるものであることは、かねがね申したところであります。しかしながら保安隊自体の任務は、わが国の平和と秩序を維持し、人命、財産を擁護することを目的といたしておる。これほど崇高な任務は私はないと思つております。まず何よりもわれわれは独立国家として行く以上は、国内の平和と秩序を維持することが大任務であります。この任務を保安隊、警備隊が双肩にになつておるのであります。この大目標に向つて着々と訓練あるいは質的に向上させて行けば、必ずや国民の期待に沿い得る、国民の信頼を得るものと確信してやまないのであります。
○小山委員 私は、この問題は数日にわたつてとりかわされたことでありまして、結局要領を得ないのでありますから、その点は申し上げませんが、ただ私どもの感じといたしましては、アメリカに対しては軍だと言つておる、アメリカも向うでは軍と言つておる、しかるに日本内地においては軍とおつしやらない、だからアメリカに対してはほんとうのことを言つて、国民に対してはほんとうのことを言わないといつたことが多いのであります。そういうことは今日までの論議になつた問題でありますが、保安隊はどういうものか国民はよく承知しておりません。また保安隊自身も、戦争があつたならば逃げるのだというようなことを言つておる保安隊の隊員もおるということを聞いておりますから、一体どういうことをするのか保安隊員自体もわかつておりません。私はこの点を心配するのでありまして、あえてあなたたちのことを責める意味ではないのであります。もつと明るくした方がよいのじやないか、もつと明白にした方がよいのじやないか、何となく国民はうそをつかれておる、向うにはほんとうのことを言つておるというような気分がみなぎつておるということだけを申し上げまして、私はこの点に関する質問は打切りたいと思います。最後の御答弁をお願いいたします。
○木村国務大臣 ただいまのお話によりますと、保安隊をアメリカが軍と称しておるということでありますが、軍と称してもかまいません。但し保安隊の内容、任務とするところは今申し上げました通りわが国の平和と秩序を維持することに(たしておる次第であります。しかしながら、くれぞれも申し上げたいのは、この任務こそ大事である、これほど崇高な任務はない、これを保安隊員は今まさに自覚いたしております。ただいま保安隊が事あつたときた逃げると言われましたが、さような者は一人もないということを私はここで申し上げます。保安隊員はきわめて志気旺盛であるということを重ねて申し上げます。
○小山委員 私は高遠な理想を申し上げる気分は毛頭ございません。すこぶる平穏なことを申し上げて大蔵大臣の御答弁を願いたいのであります。どうも国が非常に困難になりますと、大家を呼んでその大家の意見を聞こうという気分になると見えまして、インドネシアや中東における小国は、ドイツの経済を建て直したシヤハトを呼んで、その意見を聞いたということであります。そのシヤハトは何を言つたかというと、大蔵大臣がお述べになつたような各種の政策なんかは述べないようでありまして、結局働くことだ、第一の案も第二の案も第三の案も働くことだということを言つたと聞いておるのでありますが、私はやはりこの働くというところに、日本の復興の根拠を置かなければならぬと存じます。ドイツの復興は非常にすさまじい、奇蹟だと言われておるのでありますが、ドイツ人は、決してそれは奇蹟じやない、ただ勤労と貯蓄だ、こう申しておるのであります。ところが日本の現状から見ますと、どんなことを今までずつと考えて来たかをちよつと申し上げますと、財政投資をしてやる、金利を引下げてやると申しましても、その資本は法人の過去の欠損穴埋めに向けたり、高利で借りたといつても、それは滞納税を支払つたというようなことに使われることも多い。金を借りるためには役人や銀行の人々の招待費や贈りものに思われることもある。会社を強固にするというようなことは考えないで、まるで遊びごとのようにやつておるのは、今日を風擁しておる空気であります。国民の血税は大企業の救済のために消費された実例もないとは言えない。こういうことについて、大蔵省は十分調査をされておると思うのでありますが、ひとつほんとうの、結果のあがるような調査をしていただきたいし、大蔵大臣はこの補給金を与えることを差控えるという、数度にわたつて御意見がありましたが、まことにけつこうであります。この輸出の振興と見合いで、やはりこれは十分国民精神の作興というものは必要であつて、勤労と貯蓄というものを奨励して、事業界も個人も官公労働者も、すべての人がこの気持で行かなければならぬと考えます。 私は日本の外貨について考えたことがありますが、日本が外貨を得た経験は、私の知つている限りにおいては二度しかない。欧州大戦の後に、わずか山東に出兵したばかりで、あとは世界の七つの海を越えてわが国の船舶が働いた金であります、保険料というインヴイジブルなものも入つておる。そのほかはコマーシャル・べーシスじやない。悪かろうが、安かろうが、高かろうが、納期が遅れようが、日本の商品が売れて行つたのであります。そういう金がたまつたのがあの第一次大戦後における外貨の獲得であつた。ところがこれを田中内閣の時代シベリアへ出兵して九億というものを使つてしまつた。外貨がなくなつてしまいました。その後は今度は日本が軍隊を諸国へ動かして外国を占領して、ここに管理紙幣でもつて日本の富を獲得した。それ以来は今度の特需です。今度の特需といえども、朝鮮に戦争が起つたからこの特需というものがあつたのです。これもコマーシャル・べーシスじやない。とにかく需要があるのですから何でもかでも売れた。ちようど欧州大戦の当時と同じだつたのです。いわゆる世界の大市場において、日本人は安いものを供給し、りつぱなものを供給し、しこうして納期を誤らないということで、商業的基礎のもとにもうけた金は実は私はないと見ている。今度こそは第二の機会を恵まれたのでありますから、私は今度こそは日本の立ち直りをしなければならぬ、それがためにはやはり勤労と貯蓄なんです。ロンドンのエコノミストの記者が、この特需というものでまた第三次のぼたもちを夢みておるということをひやかしておます。日本人としてはまたこの特需とMSAの援助でもつて外貨を獲得しようと考えているのじやないか、こういうことを言つておるのでありますが、私は外人の批評といえども他山の石としてわれわれは反省しなければならぬ。今日のようなことをして行けば、結局外貨というものを、シベリア出兵の、ごとく食いつぶして行くのではないかということを憂えたのでありますが、大蔵大臣はこれに対しては強固なる意見を発表せられましたので、私は友人小笠原君に実は敬意を表した。どうぞこの外貨を日収も適当な、日本の輸出振興のために役立つ方面にお使いくださいまするよう、第一次大戦当時の田中内閣の大蔵大臣のまねをなさらぬよう、私は深厚なる希望を申し上げたいのであります。私はそのほか、たくさん申し上げたいのでありますが、時間が参つたので、私の質問はこれで終ります。
○小笠原国務大臣 小山さんが言われた、シヤハトのいわゆる一にも働け、二にも働け、三にも働け、これはわれわれ日本人、特に戦後やや勤労の心が鈍つているのではないかと思われる日本人にとつて、最も大切な教訓だと思います。但し働くのには働く職業と、また働くための経済機関とを与える必要があるので、従つて資本蓄積でまかなえない部分について、あるいは船舶、電力、鉄鋼その他、国が必要とする部分について、しかも船舶その他、仰せの通りに非常に国際貸借の上に役立つ部分について、財政投融資を行つているような次第であります。なお外貨は、今十億ドル台を割つて、九億数千万ドルになつておりますが、この外貨の使用方については、これは仰せの通りに、広い意味の特需の一年半分ぐらいにしか相当いたしておりません。この金の使い方が最も大切でありまして、私どももこれを使うのに、先ほどもちよつとお話がありましたが、日本産業の合理化に役立つような重要機械等こういうものを入れるのには使つておりますが、最もこれを有効適切に使いますように十分措置する考えでありまして、国民といたしましては、われわれはあ外貨の問題に碧ついては、最善の注意を払い、また今後日本産業のためにも、仰せになつた勤労意欲を最も向上させて、りつぱな経済繁栄を早くはかりたい、かように考えておる次第でございます。
○尾崎委員長 伊藤好道君、
○伊藤(好)委員 私は主として財政経済、金融関係のことに集中して、政府に御質問をいたしたいと思います。そこで最初に、世界経済の最近の情勢をどのように政府は見ておられるのでありますか、これは予算編成の大きな前提条件になりますので、この点について数点お尋ねいたしたいと思います。総理の施政方針にも、また閣僚諸公のお話の中にも、朝鮮の休戦問題から世界の平和への傾向が大きく動いて来たということは、政府も認められているところでございます。もちろん朝鮮の国内に反共捕虜の釈放問題であるとか、あるいはまた東ドイツにおける暴動のような事態がありまして、簡単に平和が達成されるなどということを、われわれも信ずる者ではありませんが、しかし何としても新しい平和への傾向が世界的に出て来たということは事実でございます。そこでそういうことと関連いたしまして、御承知のように世界の経済の至るところで困難な事態が参りつつあるようであります。ニユーヨークの株式なども著しく暴落しているようであります。こういうような事態に対して総理は、一般的でけつこうでございますが、どういうような御見解を持つておられるか、これを最初にお尋ねしておき」ます。
○吉田国務大臣 お答えいたします。朝鮮休戦を機会とし、またその他ソビエトの動きから考えてみて、世界の希望、世界あげての平和に対する希望、世界的輿論と申しますか、そういうような観点から申して、平和を望むという空気は、各国にみなぎつておる。この国際的輿論から見て、ソビエトの基本政策はどうであるか知りませんが、さしあたりのところ、平和攻勢といいますか、平和の回復に協力するという態度をとるであろうと、私は希望も加えて想像いたすのであります。そのために、あるいは武器製造が衰えて恐慌が起るとか、あるいは会社の株が下るということはあり得るのでありますが、これは一時の現象であり、平和の状態が打立てられれば、それだけ平和産業が興つて、平和産業が興隆することによつて世界が繁栄するということになれば、世界の情勢が平常な状態になる。その平常な状態のもとに平常的に世界の経済が進むことになるのではないか、またそうしたいものであると私は考えます。
○伊藤(好)委員 私は経済の問題について特に深く総理を追究いたそうとは思いませんが、事態の認識が非常に甘いのではないかと私は思うのでございます。 そこで話を転じまして、きのう実は岡崎外務大臣から、平和べの世界の動きに応じて、世界的に経済界が大きく動揺するといいますか、新しい困難な事態に面するのではないか、不景気が深刻になつて来るのではないかというような御質問が委員の間から出たのに対しまして、アメリカにおいては、非常に景気観測というような関係の問題が進んでおつていろいろそういう問題に対しても対処策を持つておるように自分は思うから、むしろ自信満々でそういう事態を迎えようとしておるのではないかというような意味の御発言があつたのでございますが、私はそれと反対に、むしろ非常な危惧を抱いておるのであります。もちろんトルーマン大統領の時代、さらに進んではルーズヴエルトのニユー・デイール派などの立場から行けば、これは相当の積極的な対策が立てられるはずでございますが、御存じのように、今のアメリカの政府は、それと反対の立場をとつているようであります。世界的に貿易が縮小しようとしておるときに、世界の最大の物の消費者であるアメリカが関税を引上げて、しかも万年出超国であるアメリカが関税を引上げて、そして輸入を押えようとしております。あるいはこういう事態に対して歳出を削減したり、またあとから触れますが、対外軍事援助についても実質的には削減しようとするような状態でございまして、従つて、今後のアメリカの経済が世界経済において演ずる役割が大きいだけに、アメリカのこの政策が、もちろん政治的平和の問題、戦争の問題に対しても同様でございますが、経済の面においても著しく危惧されると私は思うのでございますが、外務大臣はいかがでございますか。
○岡崎国務大臣 アメリカで、たとえば高関税政策を主張する人々がおることは事実でありますが、絹スカーフの価格の例にごらんになるように、必ずしも政府はこれに同調いたしておらないわけであります。またアメリカの一般的な政策が、貿易の拡大ということになつておることは、たとえばアイゼンハウアー大統領のメッセージの中にも明らかな通りでありまして、もちろん議会との関係で援助費等の多少の削減はありましても、しかも非常に多くの援助費を出しておる国は世界にアメリカ一つしかないのであつて、この努力はわれわれとしても非常に多としなけれけなら広ことたと私は考えております。お話のような点は、結局意見の相違になると思いますけれども、私が別の考えを持つておることは、先般申し上げた通りであります。
○伊藤(好)委員 私はアメリカ自身が自分の国の経済をよくしようとして、それぞれ特色のある政策をとろうとするであろうということは、これは否定するものではございません。現に最近の貿易を見ても、アメリカの輸出はたいへん好調のように私どもは見ておるわけでございます。ただその半面において、それだけにアメリカはやはり自分の国本位の政策をとりますために、アメリカの経済が世界経済の中で演じておる役割が大きいだけに、ほかの方がこれによつて受ける影響は非常に大きいのであります。たとえばアメリカから援助をもらつておる西欧諸国の貿易状態などを数字によつて洗つてみましても、やはり正常貿易に中心を置いた政策を最近とつておりますにかかわらず、なお輸出をふやすことができなくて、輸入の削減によつて幾らかでも貿易じりの改善をしなければならない事態になつておるとわれわれは見るのでありまして、従つて私どもの政府、外務大臣にお聞きしたいのは、こういう事態でありますから、経済方面からいつても、日本の経済の立場から、世界経済全体の線が下つたりあるいは悪くならないように、特に日本経済に対しても軍事援助というような形ではなくて、正常貿易の発展に対して、アメリカに善意のある考慮をひとつ要請してもらいたいというのがわれわれの立場あります。そういう点について今まで、たとえば中共貿易の禁輸品目の緩和などが多少あつたようでございますが、なお今日どういう対策をもつてアメリカと交渉されておりますか、この点をひとつお伺いいたします。
○岡崎国務大臣 おつしやる通り、アメリカは世界経済に非常に大きな影響を及ぼすべき立場にありますから、われわれとしても絶えず世界の貿易の伸張、日本の貿易の拡大等については、いろいろの問題について申入れをし、善処を促しております。しかしながら、日本としても、アメリカに頼むばかりが能ではないのでありまして、自分で自分の道を切り開いて行くということは当然でありますから、その面で特に努力をする必要があると考えております。
○伊藤(好)委員 私は先を急ぎますから、これ以上この点には触れませんが、アメリカに依存するとか、助けてもらうという意味ではなくして、世界不経済全体を向上させ、日本の経済の自立をはかる上から、アメリカが、変則的もしくは軍事的な関係ではなくて、貿易関係を通ずる積極的な、あるいは世界的な一つの方向に進んでくれるように、政府は格段の努力を払うべきではないかというのが私の立場であります。 問題を転じまして、今度は世界経済の最近の実態について、私は経済審議庁長官に御質問いたしたいと思います。というのは、アメリカの株式界を初めといたしまして世界の金融、信用関係にすでに相当の異変がございますが、さらに基礎的に掘り下げてみて、世界経済全体にわたつて、重要物資について生産過剰の傾向があるのではな炉ろうかこいうことを心配しておるのであります。もし株式界とか証券界を先頭にして、さらにその背後に、その基礎に、生産界においてもまた生産過剰があるということになれば、これは世界的な経済の大きな転換期ということになるはずでございまして従つてその意味で問題は大きいと思いますので、一つ、二つお尋ねをいたしたいと思います。 われわれの得た簡単な統計にによりましても世界は石炭、石油、セメント、銑鉄、鋼材、銅、亜鉛、鉛、すべて生産が非常にふえて参つておることは申すまでもありません。一九四八年から五二年の間に五割、三割、あるいは三割近くもふえておる品物は、これらの重要資材の中にたくさんあるわけでございます。しかもそれらの生産は、五二年の末ごろかちどうも停頓といいますか頭打ちといいますか、下つて来ておるようであります。こういうような事実を実は私はいくらか数字を持つておりますが、それを見ますと、やはり世界経済全体が、ここで大きく朝鮮の休戦などを契機といたしまして、非常に生産がふえて頭打ちになつて、大きく不景気になるといいますか、そういう傾向が見られるのではないかと思うのでございますが、これらについて政府の御所見を伺いたいのであります。
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。今の世界の大勢は、私こまかい数字をよく覚えておりませんが、一応申し上げますと、朝鮮休戦というものを織り込みまして将来を非常に危惧する念は世界の経済界には風廃しておるわけでございます。そこで生産過剰が今あるかと申しますと、私の感ずるところでは今生産過剰になつておるとは考えておりません。しかし将来を考えまして、あるいは生産過剰というものを危惧する、またそういう傾向が出て来るのではないかということも考えられます。しかし私どもといたしましては、日本はとにかく輸出貿易をやつて行かなければならないのでありますから、世界的に不況が来ましてもその情勢の中に乗り込んで行つて、われわれの生きる道を発見しなければならない、こういうことになると思います。御承知でありましようが、よく商売の上では株一の値段が上つたり下つたりしても、もうける者はもうけておるのであります。そういうことでございますから世界情勢の動向も考慮に入れるべきでござい手が、まず第一にわれわれが生きなければならない。この意味におきましては内地において産業の合理化なんかをしまして、世界的に進出して行きたい、こう考える次第であります。
○伊藤(好)委員 私はこれが終りましてから、日本のことについてお尋ねするつもりであります。しかもその世界との関係で見る場合に私の得ている資料では、アメリカは一九四八年から五一年にわずかに一〇%、イギリスは四%、日本は三六%、こういうふうに増加しておるのでありまして、こういう増加の仕方そのもののうちに、私は特に世界経済の中で困難な事態があると思いまして、後刻お尋ねをするつもりでございますが、私どもはそういうふうに見ております。 私がもう一つ言いたいことは、ただいま朝鮮休戦ということを言われましたが、私のただいま持つております資料は、ただそういう新しい材料が入つておりませんけれども一九五二年末までであります。昨年末までにすでに世界の生産は、物によつては上昇の傾向をやめてしまいまして、下りつつある。そこでさらにそういう問題が来るのでございますから、こういう事態について、政府は、特にこれからは正常貿易に重点を置くと一応は言つておられるのでありますから、私は政府においても十分御留意を促したい、こう思います。 それからいま一つこれは外務大臣がおられますから外務大臣にお尋ねしましよう。アメリカにおいて最近軍事費をむしろ削減する傾向が顕著だということを外務大臣は御存じでありますか。
○岡崎国務大臣 それは知つております。
○伊藤(好)委員 どの程度でございましようか。
○岡崎国務大臣 これは今数字を持ち合せておりませんが、そうえらい程度にはならないだろうと思つております。
○伊藤(好)委員 私の持つている簡単な資料によりましても、トルーマン大統領の時代と最近のアイク大統領になつてからとの間には、実績の見積りにおきましても、あるいは五四年度の軍事費自体におきましても、相当の顕著な削減が行われておるのでございます。たとえば実績の見積りでは四百六十三億ドルが四百三十八億ドルになつておりますし、また新規の計上では四百十三億ドルと予定されているものが、三百六十億ドルで、相当の削減のようであります。これはアメリカだけではなくて、イギリスもあるいはフランスも、その他主要な西欧諸国においても、実質的に軍事費の支出は減退しつつあるというのが実情だと思うのですが、その点はいかがですか。
○岡崎国務大臣 そういう傾向は認めております。
○伊藤(好)委員 その世界的大勢をお認めになれば、私はここで世界の問題について、日本の基本的な態度について総理大臣にお尋ねいたしたいと思います。ただいま申し上げましたように、生産過剰になりあるいは貿易について、私はあまり詳しく申し上げませんが、貿易も困難な事態に直面しておりますが、この際私どもが正常貿易によつて日本の経済を建て直そうとするのには、少くとも世界というものを前提として三つのことが行われるように、またそういうことをもたらすために日本としてできるだけの力を尽すことが大切だと思うのでございますが、いかがでございましよう。 その第一は、何といつても世界の不均衡の中心はドル不足でございまして、これはアメリカが従来の政策、特に今の大統領のもとにおける共和党の政策を修正して、米国がどんどん輸入を増加する、輸入増加について心配しない、こういう態度をとつてくれるようにわれわれからし向けて行くことが大事だと思います。もちろんこの前の大戦争のあとのように、戦債とか賠償問題が世界的に大きな問題にならない限りにおいて、アメリカは今度の大戦のあとでは確かにあの当時よりは理解のある態度をとつていると思います。しかし対日援助については、御存じのようにわれわれは借金と思つておりまいのに、借金であるかのようなことで、前国会おいてもいろいろ質疑が行われたのでございますが、一般的にはそういう傾向はいくらかいいようであります。しかし新政府のもとにおいては、アメリカの政策についてわれわれは非常な危惧の念を抱かざるを得ません。第二は、市場がないのでございますから、東西貿易に行く以外には道はないと思います。東西貿易――日本においては具体的に言えば中共貿易、これに対する積極的な態度、第三には通貨の自由化の問題であろうと思います。こういう三つの点で世界経済の回復をほかること以外に道はないと思います。これは大ざつぱな問題でございますから、当時現役の外交官として御活躍の総理は十分御存じであつたろうと思い補いま。総理の御所見を伺いま
○吉田国務大臣 お答えをいたします。米国は世界の経済を考慮して、輸入を抑制しないという、現にアイゼンハウアー大統領の方針、政府の方針を明らかにいたしております。 中共貿易については、私はかねて申します通り、中共貿易については多く期待を持つことは無理ではないか、これに対して私はいまなお自信を持つておらないのであります。それから貨幣の自由化でありますか、これはあまり私には問題が大き過ぎますから、大蔵大臣からお答えいたします。
○小笠原国務大臣 通貨の問題でありますが、伊藤さんも御存じのように、今世界通貨のコンヴアーテイビリテイについては、各国で大分話が進んでおります。ただ私どもが見ますとやはりイギリス、特にフランスでは少しまだ困難な事情にあるのではないか、こういうふうに考えております。しかし漸次そういう方向に進んでは参りましよう。しかし現在のところこの通貨の自由なるコンヴアーテイビリテイが行われると考えるのはまだちよつと早いじやないか、かように考えております。
○伊藤(好)委員 たいへんどうも御答弁私、満足いたしませんが、大分いろいろ質問したいことがございますからこの辺でこの問題を打切りますが、私が申し上げたいのは、アメリカはやはり高率関税の関税政策はなかなかやめそうなけはいにはないと思います。これは非常に世界的な困難な事情が起きればまた別でありますが、われわれはやめそうにないと思う。これはどうしてもヨーロツパからも、アジアからもアメリカの関税政策に対する是正の要求が各方面から起つて来て、そしていろいろ交渉折衝をしなければならないと思います。この点について政府の努力を私は要望するものであります。 それから通貨関係のことで申し上げれば、一番重要なことは、これは小笠原大蔵大臣も言つておられますが、通貨の価値を維持することだと思います。日本は今幸い十億ドルの外貨を持つております。しかしこれを今までの状態で行けば私は自然のうちにこれはなしくずしに使つてしまうということがはなはだ憂えられるわけでございます。従つてこの通貨の価値を維持していつでも通貨の自由交換ができる際にそれに加入する、あるいはむしろそういう傾向を促進する、こういう政策態度をとつていただきたいと思うのでございますが、いかがでございますか。
○小笠原国務大臣 日本が国際通貨基金などに加入したのもその前提だとでお申しますか、基本でございます。従いまして私どもは世界がそういう情勢になつて参りますときには、日本もこれに入るべきものであると考えておりますが、さつきちよつと申しました通りに、イギリスとかフランスを私がちよつと調べてみたところでは、まだ通貨の自由交換のところへは行きかねるのではないか、こういう感じがいたします。
○伊藤(好)委員 ヨーロツパではイギリス、西独、プランス、ベルギー、オランダ、スイス、デンマーク等ですでに自由市場があつてその間にはできておるようであります。またイギリスと西独、ベルギー、スイス、オランダとの間には個別に折衝があるようであります。 それからもう一つ、これもやはり今直面している、ただちに現実になるということではないのでございますが、しかし第二次大戦のあとですでに数十箇国の為替の切下げが行われた際であります。そして私の見るところでは、生産は世界的に困難な事態になり、貿易も困難な事態になり、こういつた事態で、このままではそういう傾向が見られます。ちよつと統計を見ましてもオーストリア、フランス、西ドイツ、イタリア、インドネシア、日本、こういうような諸国においては、昨年末においてもすでに相当よその国よりは幅の広い通貨の増発が行われているのであります。私はこまかい数字は申し上げませんが、行われているのであります。経済の弱い国であります。世界的に通貨の増発されておる――私は今ただちに危険であるとは思いません、しかし日本としては再軍備問題がしばしばこの国会でああいう形で論ぜられている段階において、そういう事態であるということについて、私は国会あるいは政府においても注意を促したいと思うのでありますが、その点でひとつ十分に私は最後に御注意を喚起したいと思います。 それから私は日本の経済のことについてお尋ねいたします。これはごく簡単で、やはり世界経済についてでありますが、一応総理にお尋ねをいたします。どうも総理は経済のことをこまかく知つておられるわけではないと思いますが、しかし大体の見当は正確に真相をつかんでおいてもらわなければ困ると思うのであります。そこで最初に大ざつぱに、総理は最近の日本の経済の状態をどう考えておられるかということについてお尋ねいたしたいと思います。たとえば一つ二つ材料を申し上げますれば、今日私は小笠原さんもただいまちよつと言われたと思いますが、石炭、鉄、肥料、重要産業には生産過剰の傾向が顕著であると思います。また農村においては商品作物にすでにその傾向が現われて、菜種は非常な増産を見て暴落していることは、これはお互いによく知つているところでございます。そうして勤労者の場合には〇・五の半期の手当を出すか出さないかということで今国会でもんでいる状態であります。これは財政の問題ではありますが、それを要求する勤労者の立場は非常につらいのであります。また農村関係といえば二重米価の問題、これは私あとでお尋ねしたいのでありますが、二重米価の問題が起きております。こういう事態で、しかも不渡り手形は小山君もお軒きになつたと思いますが非常に多い。不渡り手形というものは申し上げるまでもなく、単なる部分的のものならばいいけれども、きのう石橋さんもお触れになりましたように、他人資本の方が多い。しかもその他人資本は大体短期資本が半分も占めているというような、こういうような状態ではなかなか重要な問題だと思うのであります。そういう今日の事態、そうして朝鮮休戦を迎えて、今後日本経済を総理も正常貿易によつてつくると一応は言つておられるわけでありますが、この日本経済の状態について総理の御所信を承りたいと思います。
○吉田国務大臣 御指摘のような事情のあることは認めますが、これは一体そもそも何に原因するか、少し景気が悪ければ滞貨が生ずる、あるいはまた石炭その他の消費量が少くなつて行くというようなことは何によるかといえば、結局日本の経済の基礎が薄弱であるからだと言わざるを得ないのであります。また薄弱であるのが当然であつて、敗戦後、ことに日本のごとく領土の半分を奪われ、また生産その他については生産設備等相当に破壊されておる日本が、独立後わずか一、二年にしてからに経済の基礎が強固になるということは考えられないのである。しかしながら国民の努力によつて、経済の基礎を強固にするということを国民あげてこの点に力を集中いたして、国力の回復をはかるよりいたし方がないのであります。この脆弱なる経済の基礎において、時々刻々に移る世界情勢に従つてその影響を受ける、これはいたし方がないことであり、そのいたし方がない理由は、この経済の薄弱であるということに帰すべきであると思います。
○伊藤(好)委員 どうもただいまの総理のお話を承りますと、国民全体がやらなければならない、だからもし薄弱であるということになりますと、国民全体が責任がある、こういうような結論になるようであります。そうすると私は政府の責任とは何であろうかということを実は追究したいのであります。これは明らかであります。そして私はこれから政府の責任によつて今日の事態が来たということを、多少の客観的な材料で各大臣にお尋ねしたいのでございますが、総理はたいへんお疲れのようでありますから、非常に不満足でございますが、私は承つておくにとどめます。 そこで私は少し問題を具体的に追究してみたいと思います。不渡り手形の問題をまず第一に取上げたいと思うのでありますが、これは御存じのように単に二、三の会社に起きたということだけではなくて、小笠原大蔵大臣も御存じのように相当の大会社にも及んでいる。大体のところ今産業別にいえば鉄鋼関係の事業のように私は見ます。しかも私どもが非常に心配いたしますのは、その結果としてこの不渡り手形が方々に渡つておりまして、末端の中小の企業家が完全に参つてしまう。たとえば、例をあげるとこういうことになると思うのであります。大企業ならばこれは何といつたつて銀行が幾らかめんどうを見てくれます。しかし中小企業になるとそうは行かない。そこで中小企業の連中は、これはきのう石橋さんもお触れになりましたが、どうしてもやみの金融にたよらざるを得ないということになるのは、これはむしろこういう事態がどこから発生して来たかという、原因について考えれば、私は、政府に相当の責任があると言いたいのでございまして、こういう不渡り手形の増加の現象の原因もしくはこの事態は、何を意味しておるかということについて私は大蔵大臣にお聞きしたいと思います。
○小笠原国務大臣 不渡り手形のことについては私ども非常に心配しておるのでございますが、これはやはり、主として予算の通過等が遅れてそれで数箇月にわたつていわゆる暫定予算であつたというような問題も大きく働いておるのではないかと思います。しかし、何といつても朝鮮休戦による先の見通しに対する不安というようなものが一つ働いておるのではないか、かように考えておるのであります。
○伊藤(好)委員 将来の見通しといいますか、この恐慌の意味はどういう意味ですか。これはもうこのまま終息してしまうと見られますか、多少休みがあつても今後これは拡大すると見られますか、そういう見通しについて伺いたい。
○小笠原国務大臣 私どもはそう拡大するとは見ておりません。但し日本の経済が、さつきもお言葉がありましたように、非常に浅いのでございますから、従つて多少の動揺はございましようが、しかし私どもはそう拡大して行くものとは実は見ておらぬのであります。
○伊藤(好)委員 私も、ただこれがこのまま広がつて行くなどということは決して申しません。あるいは今後政府が臨時応急の措置でもとられれば、そのときはいくらか治まるかもしれぬと思います。しかし、たしか去年の春と記憶いたしますが、商社の恐慌がございまして、これが整理が進んでいるところもございますが、大体まだ進まないときにまたこんな事態が参りました。私は鉄が中心だと申しましたが、きのうもちよつとお話が出たと思いますが、某々々大鉄鋼会社でも金融には非常な困難をしておりまして、担当重役が全国をまわつて、中小銀行まであさつて、そうして幾らかでも融通を受けるというのが実情だということは、これは通産大臣もあるいは大蔵大臣もよく御承知だと思います。ある相当の会社においては、毎月二億円ないし三億円の赤字が出るというのが実情だということを、その当局者が言つておるということも私どもは聞いております。要するにそういう事態の上に起きた鉄鋼業関係を中心にした不渡り手形の問題であります。従つてこれは深刻でございましてわれわれはこれはやはり信用恐慌の一部じやないか、実は一つの姿じやないかとさえ感じておりますが、もう一度大蔵大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○小笠原国務大臣 日本経済の底が浅いために相当な打撃があることは事実でありますが、しかし今御指摘になつたようなそう深いものじやないと私は思います。なおもう少しよく模様を見まして、あるいはそういう措置をとらなければならぬようでありますれば措置をとりますが、ただいまのところ、日銀その他の取調べ及び報告を受けておりますが、さように深刻なところまでは実は見ておりません。
○伊藤(好)委員 それでは私は鉄について一つだけ根本的なことをお尋ねしますが、たとえば鉄が日本で非常に――非常にといいますか、相当の生産過剰の傾向を示して来たことの事実の他方においては、ヨーロツパでシユーマソ・プランができまして西ドイツに対する日本の輸出が減つてしまつた、あるいはまた日本の鉄が行つておつたようなインドやパキスタンなどが食われておる、こういうような事態も耳にするのでございます。こういう事態は必ずしもすぐ消えてなくなる事態ではございません。これはやはりどうして日本の重要産業を確立して行くかという根本的な政策を実行して初めて対抗し得るわけであります。従つて私は、事態を甘く見てはいけない、こういうふうに思うのでございますが、この点はいかがですか。
○小笠原国務大臣 私どもは、事態を甘くは見ておりませんが、しかし一方、南米その他に先般も八千万ドル、なおそのほかにも交渉しております。ああいう支払協定がアルゼンチンにも出ておりましてあれは主として鉄鋼生産品等が出て参ることになつておるのでありますから、一方に失うところがありますが、他方に得るところもあるので、さまで深刻には考えていない次第であります。
○伊藤(好)委員 こういうような立場から議論しておりますと見解の相違になるように思いますから、もう一つ議論を進めてみたいと思います。 私は世界についても一言言いましたが、日本の経済についても、基礎産業の方面――ただいま言いましたような、鉄だとか、石炭だとか、肥料だとか、その他の方面もそうですが、そういう方面では、何といつても生産過剰の傾向が顕著になりつつあると私は思います。こういうことを考えてみますというと、たとえば設備能力の拡張の程度などを調べてみましても、みな設備能力が拡張した基礎産業でございます。いわゆる重点的な産業でございます。しかもまた最近では、炭鉱あたりがいかにひどいか、人員の整理が行われつつあるようだし、小さい炭鉱が廃業してしまつて消えてなくなる、要するに没落する、こういう傾向も顕著であります。ところがこういう基礎産業に対しましては、御存じのように、これは政府が重点産業として増産をさせるために相当の金をつぎ込んでおると私は思います。おそらく今まで、いろいろな銀行だとか、株の募集だとか、社債の募集だとか等々と比較して、財政投資による空虚産業に対する金が入つた額は一番多いのではないかとさえ思うのであります。そうだとすれば、これは明らかに政府のそういう予算措置をも伴つたような政策が実を結んで増産できたのであります。そうしたならば、今日そういう事態で、それらの産業が非常に困難な立場に立つておりますことはもちろん予測し得ない事情もありましようが、私は、必ずしも何月幾日に大臣がどこでどういう言明をしたとは称しませんが、こういう全般的な一つの推論の上からいつて、やはりこれは第五次吉田内閣に至るまでの吉田内閣の産業政策の大きな間違いではなかつたかと思いますが、御見解はいかがですか。
○小笠原国務大臣 今例を鉄鋼、石炭におとりになわましたが、鉄鋼につきましては、ちようど二十六、七、八の三箇年間に約八百二十億円の金が投ぜられておるのであります。但しこれは、いずれも戦時中の非常に立ち遅れた鉄鋼の機械を近代化し合理化するために使われたものでありまして設備の拡張その他というよりも、近代化し合理化するためであります。そうやつてコスト引下げに主力が注がれていることは伊藤さんよく御存じだと思います。さらに石炭につきましても、縦坑の開鑿等を通じましてたしか四百九十億の金と思いますが、これを五箇年間にかけてやることになつておりますが、縦坑開鑿は、主として炭鉱を若返らせ、いわゆる石炭価格のコスト引下げに使われるものでありまして、拡張その他の意味で増産のことももちろんこれは必要でありますが、今の不況のもとをなしているものだとは断じて私は考えません。
○伊藤(好)委員 先国会でも大分問題になりましたが、石炭の炭住、あの住宅が今何にも使われていないで廃屋になつているようであります。これは政府の莫大な産業投資、財政からする産業投資が、もちろん一方で生産コストの引下げをもたらした一因であるということを、否定するものではございません。しかしそれにもかかわらず、政府の政策が長期にわたる計画、あるいは長期にわたる見通しを欠いたために、重要産業が今日困つておる。これは私は疑いない事実だと思うのであります。もちろん小笠原さんは大蔵大臣でなかつたのですから、小笠原さんの責任は追究いたしません。これは政府の無計画な方針の結果だと私は思う。情勢の見通しを誤つたということであると私は思います。たとえば、一例として菜種のことを申し上げますれば、政行が、菜種まいい作物だからつくれ。ようやく去年とことしと、できるようになつた。そこでことしは幸いにたくさんとれると思つていたら――もちろんこの間の凍霜害によつて若干の被害はございますが――そうしたら今度は値段が暴落してしまつて、どうにもならない、こういう事態なんです。これは農民にお聞きになればよくおわかりになりますが、率直に言つて政府の言うことを聞いたら、われわれはひどい目にあつたということを、正直な百姓が言つております。 私はここで資料の提出をお願いしておきたいと思います。それは重要基礎産業に対する財政投資の現在高であります。それから、返還された金額があればそれ、あるいはその利子、こういうような状況について、ひとつ資料をお願いいたします。それからこれに関連いたしまして、実はきのう石橋さんからオーバー・ローンの問題が出ました。中小企業は今非常に困つておると思いますが、その困つておる中小企業の反面において、このオーバー・ローンは二千数百億円という相当の金額に上つております。日本銀行の民間一般貸出しの実情といいますか、そういうことは、材料として出していただけましようか。
○小笠原国務大臣 多分出し得ると思いますが、あるいは銀行の何で、出し得ないものもあるかもしれません。たとえば、機密保持上どうしてもやむを得ないものがあれば出しませんが、あとさしつかえないものは必ず出します。
○伊藤(好)委員 これは今後の日本の金融政策の点からいいましても、非常に前要であると思(ますので、これも要求しておきます。私はただいま申しましたように、今日の日本経済の事態をもたらしたことについて、政府に非常に責任があると思うのでございます。従つてここで長期にわたつた経済対策を立てる必要があるということは、必ずしもわれわれだけでなくて、他の政党の諸君も強く主張しておるところであります。ただわれわれの立場は、生活の安定を基礎としたり、あるいは国有とかそういう問題を取上げて計画的にやりますし、そうでない立場の方は、自由企業制のもとでいろいろの施策を講ずるということになると思う。しかし国全体として、大きな長期にわたる総合対策の必要は自明である。部分的には政府もおやりになつている。この点については、前にも御質問された方がありますが、政府においては、それをやられる御用意がありますか。
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。先ほども仰せのごとく、見通しというものはなかなかむずかしいものでございまして、この点において、もし見通しを誤りますと、国民にたいへんな迷惑をかけることになるし、日本の経済に非常な害が起きます。しかし何と申しましても、こういうふうに資源の少い、輸出貿易によらなければならない、その輸出の原材料は外国から輸入しなければならない、こういうような経済情勢であり、同時にただいまのところでは、特需の将来の見通しなんかは、御意見のように将来大体減ずるにきまつております。そういう一番大事な危機に際しまして、われわれはある程度の将来の見通しについて、ハろいろな権威者の意見も聞きましようし、各般の情勢を調べましてれやらなければならぬと思います。私就任早々、いろいろ世界の経済情勢、内地の経済情勢、内外を合せてある程度の時期を見込みまして、それにどうやつて行つたらいいかという想を今練りつつある次第であります。これは政府の意見ではございませんが、私が事務当局に命じてやらした、つまらないものでございますが、いずれできましたら御発表申し上げ、また御批判も請いたいと思います。
○伊藤(好)委員 それは経済審議庁でつくられる総合計画でございますか。
○岡野国務大臣 さようでございます。経済審議庁でそういうものをつくつてみたいという考えを起しまして、それから事務当局に調査を命じまして、今せつかく検討中でございます。
○伊藤(好)委員 貿易の問題について二、三お尋ねいたします。最近通産省から貿易についての白書というようなものが出たようでありますが、一番私どもが注目すべきことは、やはり純粋の貿易上の支払い超過がふえておるということであろうと思います。前年に比べて、たしか二十七年度は一億一千万ドル以上の支払い超過がふえておる。こういう事態だろうと思います。そこで貿易については、もう対策は輸出と輸入の関係でございますから、そういう意味では簡単なんです。ところが政府はこれに対して、これはむろん複雑な点もあると思いますが、ポイントをとれば簡単なこの問題について、私は対策がないと思います。施政方針のどこを開いてみても、十分なあれはございません。これは言いかえれば、市場を拡大すること、これが一つでございます。それから生産費を切り下げて、新しい輸出市場を開拓すること、これは市場の切りかえと関連して問題になりましよう。第三は、不要不急のものはできるだけ押える。こういうことにほかならないと私は思うのであります。 そこで第一の市場の切りかえでございますが、政府の政策は東南アジアのようでございます。東南アジアということを言われております。中共に対しては否定的な態度であります。しかし東南アジアと日本との貿易の現状がどうなつておるかということについて通産大臣は御存じですか。
○岡野国務大臣 東南アジアにつきましては、外交交渉によりましていろいろ貿易協定もつくつておりますし、また市場の拡大をやる。また日英間におきまして、スターリング地域について今まで輸入制限がひどかつたのを緩和されたというようなことで、東南アジア市場方面というものは、われわれが一番努力して市場を開拓して行こうという希望の土地でございます。
○伊藤(好)委員 私は数字を一つあげてみましよう。インドネシアは二十六年度から二十七年度において、日本の輸出は四割七分に減つております。パキスタンは七一%であります。インドは七一%であります。タイは八〇%であります。こういう事態でございまして、昭和二十七年度において、私の知つておる限りでは、東南アジアの国に対する日本の輸出の実績は、確実に減つておるのであります。これに対してたとえば中共に対するものは、これは私が言わなくても、今年の見通しについてま、通重大臣ましばしばこの委員会においても、楽観的な、多少とも希望の持てることを言つておられます。しかし総理はこれに対して御存じのように、中共貿易を過小に評価しておられます。ところがたとえば香港貿易などを考えてみれば、これは明らかに、日本は昭和二十五年度に五千三百万ドル、二十六年度は六千二百万、ドル、あるいは二十七年度八千百万ドルというふうにどんどんふえおるのであります。この香港貿易がイギリスの仲介によることは明らかでありますが、こういうものとあわせてやはり中国というものをとれは、貿易市場としてどのような将来の見通しがあるかということは切らかだと思います。私はその意味で、政府はどうしてもここで日本の貿易を振興させ、そうして正常な貿易によつて自立をはかるというのならば、やはり中国に土台を置いて、広く東南アジア諸国を対象としたそういう市場の一つの切りかえといいますか、そういうところに新しく着眼した立場から政策を行つて行かなければならぬと思うのでありますが、これはいかがでございますか。
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。東南アジア方面の貿易は、御承知の通りに向うも購買力が減つておるものですから、そういう点におきまして少し支障があると思いますが、しかし今後といたしましては、われわれは購買力をつけ、またアメリカあたりのポイント・フオアでも出させるように促進するというような外交交渉をしなければならぬと思います。それから中共貿易でありますが、これは御承知の通り、われわれは国連協力の線ににどうしても沿わなければならない、国連協力の線に沿いながらできるだけ伸ばして行きたいということは、私はいつも申し上げておるのであります。そして中共市場というものは世界貿易の一環といたしまして、われわれは将来ぜひ進めて行かなければならぬと思います。しかし戦前における日本の商人が考えておつたような中共の内情ではないのであります。まず第一に貿易形態がかわつておりますし、また向うでいろいろな事業が起りまして、日本で戦前いろいろ出しておりました商品は、向うであまり需要がないというようなこともありますし、またわれわれの方でもらいたいというものがありますが、しかし何が何でも向うから持つて来なければならぬというふうなものではありません。一番つらいことは、われわれが売ろうと思うものがどうも向うへ入つて行かぬということでございますから、向うの希望するものに合うように、いろいろ国際的によく考えまして、その制限物資をだんだんと狭めて行きまして、われわれの商品がうんと向うべ出て行くようにやつて行きたいと思います。戦前は中共への輸出は満開支を含めて四億ドルにも達したのでありますが、なかなかそこまだ行きませんが、しかしいつも申しますように、輸出貿易第一主義で行く以上は、いくら少い市場であつてもこれを大きく伸ばして行つて、わずかずつでも数たくさんのものを出しまして、これをあわせて日本の国際収支に寄与したい、こう考えておる次第であります。
○伊藤(好)委員 はなはだ不満であります。日本は御存じのように西独やイギリス並に取扱いを受けていませんが、西独やイギリスなら硫安、亜鉛、鉄板あるいは相当の機械類でもみな入れておるのであります。これらは軽工業の輸出から重工業の輸出に移ろうとする日本にとつてはかつこうの輸出品目であります。もしこの取扱いだけでも実現すれば非常な成果が上るわけで、初めは通産大臣が非常な意気込みであつたにかかわらず、今日は中共貿易の意義を非常に狭めよう、制限されようとしておることについては、私は非常に不満でありますが、この点は私の意見を強調して、ひとつよく耳に入れておいていただきたいと思います。 それからいま一つの問題のコストの切下げの問題について、コストの切下げというと、政府方面では、あるいは保守党の諸君では、すぐスト禁で押える、賃金を引下げる、人員を整理するというようなことが問題になるようでございますが、私はそういう措置でないコストの引下げの問題について政府の御注意を喚起してここに政府の答弁を求めます。これはアリソン・アメリカ大使が二十三日の正午にたしか経営者団体連合会その他経済団体の前でお話になつたのですが、諸君は、私は単価を引下げ方法として賃金引下げを勧めているのではないことを御承知思う。私がこれを勧めないのは、われわれアメリカの国民は、労働者の能率と生産力を増進することにより賃金を引上げ、購買力を維持すると同時に、単価に占める労賃の割合を減少することができることを知つているからである、こういうふうに言つておられます。従つて私はコストの引下げという問題が決して労賃の引下げあるいは人員の整理ということでないという点を強調したいと思いますが、このコストの引下げについての通産大臣の御意見を伺いたい。
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。コストの切下げということにつきましては、すぐ労働者側の方面から賃金を減らされるのではないか、首切られるのではないか、こういうことがいつも言われます。しかしわれわれは乏しいながらも少いところをわけ合つて生きておるのでありまして、お互いに賃金を下げられるとか、あるいは首切りをされるということは、ただに本人もしくはそういう方の生活水準を弱めるだけではなく、国全体といたしまして社会問題になるわけでありますの出で、われわれはできるだけその方法は避けなければならぬことでございます。もう一つ経済面からいつても、これはお説の通りでございまして、購買力を内地と外地にわけましても、国内購買力が高進されれば、やはり物はたくさん必要であつて、売れて行く。しかもそれがたくさん売れれば、自然と物価が下つて来る。こういうことになるものですから、国内購買力を引上げる意味におきましても、賃金の引下げはすべきものではないと考えております。それではどうしたらコストの引下げができるかと仰せになりますれば、われわれといたしましてはいろいろの手があると思いますけれども、先ほど大蔵大臣が申しましたように、設備の近代化というようなことをして能率を上げる、またいろいろ材料を買うのに安い材料を買わせたり、こういう手もありましようし、またその他税法上とか金利の面におきまして処置量ることかあれば、そういう方面にも手を伸ばして、あらゆる方面で合理化してコストを切り下げたいと考えます。
○伊藤(好)委員 政府の答弁ははなはだ不満でありますが、時間が参つたようでありますから、資料の提出ともう一つして、それで質疑を打切りたいと思います。それはやみ米の問題でございますが、やみ米が高くなつて、東京あたりで最近は二百二十円もしていることは御存じではなかろうかと思うのです。この原因は一体何かということについて農林大臣の御所見を伺いたい。
○保利国務大臣 お答えいたします。最近特に京浜一帯のやみ米の価格が非常に上つて来ております。原因につきましては、今食糧庁及び関係当局で調べしおりますけれども、まだ的確に捕促することができないのであります。的確に捕促いたしまして、対策を講じたいと考えております。
○伊藤(好)委員 それでは私は簡単に一番大きな点だけを指摘しておきたいと思う。これは供出米が割当よりも三百万石ふえたわけであります。政府のいわゆる供出後の自由販売、去年の米の政策による結果でございます。そこでやみの市場に対する米の供給が減つたということが一応言えるかと思うのであります。他方都会の消費地においては、事実上米は自由販売になつておる、需給関係の逼迫ということが一つでしよう。そうして端境期に来たわけであります。だから一層そうでございます。ところでそのほかにこれに介在して大きな問題が一つあると思うのであります。それは要するに、業者が手持ちしている米が幾らあるか知りませんが、今収集しているのだろうと思うのですが、業者による価格のつり上げ政策が行われておるのではないかと思うのであります。米の自由販売についての一つの大きな問題と見られるのは、やはり米の中間商人といいますか、こういう連中が思惑をやつて、そうしてかつての米穀取引所が一番典型でございますが、生産農民の利益から離れて、あるいは消費者の利益から離れて米の値段が非常に左右されたという忌まわしい事実をわれわれは思い起すのでごごいますが、私はそういうことが相当り実は有力な原因の一つをなしておるりではなかろうかと思うのであります。政府においてはこの点についてもひとつ十分の調査を私は要求しておきふす。そこで私の結論は、今日こういうふうにやみ米が上つて参りますと、これは当然に今年の供出米の価格についてやはり考慮せざるを得なくなると思うのであります。しかもこの結果木が根本的に言えば、ただいま申しましたように供出後の自由販売にあるとすれば、これは自由党や政府の米穀政策の失敗がこの原因であろう、私はそういうふうに推測をしておきます。従つてこの結果は当然に二重米価制の問題が起り、統制撤廃ではなくして、逆に統制を強化しなければ事態を収拾できないということになるのではなかろうかとわれわれは推測しおりますが、時間がありませんから、そのことを一言申し上げておきます。 それから大蔵省に三つばかり資料の請求をいたしておきます。それは二十七年度の繰越額、未使用額はどれだけであるかという数字、二番目にはそれを契約済みであつて使用しておらないものと、契約ができなくて、従つて当然に使用しておらないもの、この二つにわけていただきたい。いま一つは、いろいろの関係がございますが、現行ベースをたとえば一万六千円に引上げた場合の所要の経費はどれくらいであるかということについての所管別の金額を資料としてお願いしたい。この資料の請求をして、私の質問はこれで打切ります。
○尾崎委員長 それでは午後一時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時三十三分休憩 ――――◇――――― 午後一時五十四分開議
○尾崎委員長 休憩前に引続き会議を開きます。 質疑を継続いたします。平野力三君。
○平野(力)委員 私は政府の食糧政策に関しまして大なる疑問を持つておるのであります。当予算委員会におきまして順を追うてこの政府の食糧政策並びに関連をいたしまするところの農業政策について質問をいたしたいと思います。 本論に入るに先立ちまして、まず最初に総理大臣にお伺いいたしたいのであります。それは予算委員会の中途において内田前農林大臣の辞任があつたわけでありますが、その辞任の理由といたしまするところは、現在問題と相なつておりまする麦の価格問題に関していろいろ意見の衝突から遂に辞任をせられた、こういうふうに報道されておるのでございますが、このことは大体その通りでございましようか。
○吉田国務大臣 お答えをいたします。私の受取つた内旧農林六百の辞表の理由は健康ということであります。
○平野(力)委員 辞表の表面上の理由が健康ということであつたということは、この前予算委員長もこの席上において述べられたのでありますが、しかしあらゆる報道機関を通じて、麦の問題に関し自由党の政務調査会長である池田さんとの間に意見の衝突を来した、こういうことがほとんど事実となつて報道されておるのであります。私はなぜこのことをお伺いするかと申しますと、これは単に内田さんがおやめになつたという簡単なる閣僚の更迭だけであるならば私はあえてこういう問題を問う必要はない、内閣の上においてどうのこうのということは私の関する限りではありませんが、しかし本問題は私どもの調べたところによりますると、米価審議会が麦の問題に対してある答申案をもつて臨んだ、農林省がこれを採用いたしまして内田農林大臣は農林省のこの意見を持つて閣議に臨んだところ、自由党の政務調査会長池田さんから横やりが入つてこれがつぶれた、よつて辞任をした。これは辞任をいたしました内田さんみずからの発表にもなつておるのでありまして、これは総理といたしましても別にお隠しになる必要はないことである。そうでありますればさように了承して、われわれは事実は事実の上に議論を進めたいと思います。いかがでありましようか。
○吉田国務大臣 私は事実を事実なりとして申しただけの話であつて、私への辞表には健康の理由でもつてやめたいということだつた。胆嚢炎でありましよう。また従来内田君の健康については多少私も心配を持つておりましたから、もつともだと思つて受理いたしたわけであります。
○平野(力)委員 ただいまの御答弁には不満であります。私はもちろん内田さんが御病気であつたことも知らぬことはない。まは内田さんが適当な農林大臣であつたと考えておるわけでもないのであります。しかし新聞による麦価の問題を中心として農林大臣が辞表を出されたということは、この麦価の問題自体が大きな政治問題になるのであります。吉田総理も自由党総裁として政策には関心を持つておられるわけであるし、また予算案を審議するにあたりましてのわれわれ議員といたしましても、麦価の問題はこれから順次お問いをして行く問題でありますので、池田さんが考えておられる農業政策、食糧政策と、内田農林大臣が農林省代表として閣議で述べられたことの食い違いというものは国民多大の関心のまとであり、われわれがこれから掘り下げてお伺いしなければならぬ問題でありますので、この麦価の問題もその問題の中に関連があることは御承知であろうと思いますが、農林大臣はなぜやめたかという問題についてはつきり御答弁願いたい。
○吉田国務大臣 重ねてはつきり申しますが、私の承知しておるところでは、健康上の理由と明らかに辞職願といいますか届に書いてあります。
○平野(力)委員 重ねてお伺いをいたしますが、私どもの調べたところによりますと、前内田農相が農林省代表として提案をいたしました麦価の改訂問題は、麦の買入れ価格の値上げであります。これに対する自由党の政務調査会、特に池田さんが反対せられた理由といたしましては、これは二重米価の前提でもる、言いかえるならば今度の米価審議会が答申をして、農林省が賛意を表した、この麦の値上げは二重米価べの前提であるから反対であるということを相当はつきりと報道機関が伝えておるのです。よつてその二重米価の前提であるところの麦の値上げに対して、現政府、自由党の政務調査会が反対であるかどうか、また農林大臣は農林省の意見を代表してはつきり述べたのでありますから、その内容といたしますものは二重価格に相当するものであつた、こう解釈するのでありますか、総理大臣はこの問題をどのように解釈なさいますか。
○吉田国務大臣 解釈は自由であります。しかしながら辞職の理由として私の承知いたしたところは今の通りであります。
○平野(力)委員 それではさらにお伺いいたしますが、麦価の改訂にあたつて内田前農林大臣の主張いたしました値上げというものに対しては、総理大臣は賛成なのか反対なのか、これは総理としてあるいは自由党の総裁としての政策問題でありますのでお管え願いたい。
○吉田国務大臣 私は内田君の麦価の問題に対する意見については十分承知いたしておりません。また閣議においても決定しておらないと承知いたしております。
○平野(力)委員 私は別にあげ足とり的な議論をして総理大臣にからもうと考えておるものではありませんが、そういう御答弁でありますれば、私は勢い総理にお問いするのであります。今回の総理の施政演説は相当鎚来の卸賃説とは違いまして、はつきりと国民生活の安定は食糧にある、こう断定せられて、その食糧の国内自給態勢をはかることが自分の施政演説の重点であると申しておられるのです。そのためには耕地の拡張、酪農の奨励、こういうこまかいところまで進んで総理が施政演説をせられたということにわれわれは多大の関心を持つたのです。従つて施政演説のこの御演説の中でこういう問題を触れておられるとするならば、農林大臣の辞表のことはこれで御答弁にならなければよいのでありますが、麦価の二重価格制というものに対して反対なのか賛成なのか、またこういうことについて総理としてどういう考え方を持つておられるかということをひとつはつきり御答弁願いたいと思います。
○吉田国務大臣 重大な問題でありますから、慎重審議いたした上で決定いたしますひそのために閣議でこの問題について慎重なる審議を続けておるわけであります。
○平野(力)委員 そうすると二重価格制という問題については、総理としては現在意見がない、決定しておらない、こう解釈してよろしゆうございますか。
○吉田国務大臣 私の意見は別として、政府及び閣議の決定はまだ見ておりません。
○平野(力)委員 保利新農林大臣に伺います。これは新聞を通じてのお話でありますので、あらためてここで伺うのですが、あなたは就任のごあいさつの中で、自由党並びに自分が新しい農林大臣として農林行政を担当する上においては、二重価格については反対である、その主義はとらない、こういう趣意の話があり、将来米は統制撤廃するのだ、こういう意味の新聞記事がありましたが、これは間違いですか、ほんとうですか。
○保利国務大臣 その問題は、私は言及しておりません。
○平野(力)委員 それではだんだんどうもお伺いしなければなりませんが、小笠原大蔵大臣は、当委員会におきまして米価の二重価格制には反対だという御発言があつた。これはその通りでしよう。
○小笠原国務大臣 その通りであります。しかし諸般の経済事情等を考慮して重大な問題であるからさらに検討すべきであるとつけ添えてあります。
○平野(力)委員 こういう重要な問題をいわゆる議会答弁的にあいまいにされるということははなはだ遺憾であります。これは繰返して申し上げるように、政府もこの議会に臨まれるのには、食糧問題について多大なる関心を払うと言つて出ておられるのでありますから、小笠原大蔵大臣は、私の耳に間違いがなければ、はつきりさようになることは二重価格制となるから反対だという根本的に二重価格制に反対の意見を述べたと思いますが、そうではないのか、もう一回ひとつお答え願います。
○小笠原国務大臣 ただいま申し上げた通り、私としては二毛価格制は現在のところではすべきでないと思うが、しかし重大な経済情勢等に影響のある問題であるからさらにとくと検討をしたい、こう申したことは速記録をごらんになればよくわかります。
○平野(力)委員 それでは将来問題が重要となれば二重価格制は採用もするのだ、こういう御意見と解釈してよろしゆうございますか。そういう解釈で次の質問の論旨を進めます。
○小笠原国務大臣 それは検討すると申しておるのでありましてとるともとらぬとも申しておるのではございませんから、その点はそういう御解釈はどうかと思います。
○平野(力)委員 私はここでこの貴重な時間を費して理論闘争をしようと思つておるのではありません。現実の政策の検討をしようと思つて予算に対する態度決定の上の論議をいたしておるのでありますから、そういう点はそういうあいまいなことをおつしやらずに、二重価格制反対なら反対、賛成なら賛成、将来二重価格制をとる場合もある、こういうようなことについて御答弁願いたいが、これはその程度にして次の質問をいたします。 次の問に吉田総理もお答えを願いたいと思いますが、麦の統制がはずれたのは昭和二十七年六月一日であります。これは御承知の通りであります。この統制をはずされたことが成功であつたか失敗であつたかということについての首相の判断を私は聞きたい。なぜさようなことを聞くかと申しますならば、当時私どもは米麦一体ということを非常に主張した。日本の食糧問題というものは、米は米、麦は麦として考えることはいけないのだ、米が統制されておるならば麦も統制をして米麦一体の食糧行政をなすべしという論をしたのに、当時吉田首相――もちろん農林大臣は広川さんであつたのでありますが、当時は吉田首相のもとの農林大臣でありますので、今日はどうであつても首相にも関係があるわけだと考えますが、これをはずされた。ところがこの麦の統制をはずされたことが、今日ただいま小笠原大蔵大臣をして二重価格の問題等についてそうであるかないかというようなあいまいな答弁をなさなければならぬ境地に追い込めたと思う。もしそれ麦の統制をはずさないで米麦一体の政策をとつて来ておるならば、こういう麦価問題の悲劇もなかつたのではないか、かように考えますが、この点について首相はいかように考えておりますか。
○吉田国務大臣 私はいずれの場合においても統制はなるべくはずしたいと考えておるのであります。従いまして米の問題についても統制をはずしたいと考えております。しかして麦の統制をはずしたことが成功であつたかなかつたかという言は、おのおの専門家あるいは関係者として議論はありましようが、私はすべての統制ははずしたい、できるものからはずして行きたい。麦もできたからはずしたのであります。
○平野(力)委員 総理のただいまの御答弁でありますると、統制を撤廃するということが根本理念であるとおつしやるならば、先ほどの二重価格制度の問題については――二重価格ということは統制なんですからね。現在のままから二重価格をとるとなれば、自由に放任するということからいえばあともどりするわけですから、従つて総理は二重価格に反対であつて、やはり米も麦も統制を撤廃するのだ、こういうイデオロギーだと考えてよろしゆうございますか。
○吉田国務大臣 あなたの御判断は御自由であります。しかし私としては、統制はなるべくできるものからはずして行きたいという考えでおります。
○平野(力)委員 それではひとつお伺いいたしますが、総理も、今日日本が約三百万トンの外米、外麦を輸入して生計を立てておることは御承知でありましよう。そのうち麦の輸入をいたしておりまするものは、小麦については百五十七万三千トン、大麦については六十二万トン、これは今度の予算にもこれを裏づけるものがあるのでありまして、これは間違いない。これだけの外国の麦を買つて、日本の食糧をまかなつておる。ところがこれは農林大臣にもひとつはつきり御答弁を願いたい。総理にも御答弁を願いたいのでありますが、このごろ私の調べたところによりますと、この一月から五月までに日本の国から八万六千六百四十四トンという小麦の粉が輸出されておる、このことを御承知ですか。
○保利国務大臣 食糧庁長官からお答えをさせてよろしゆうございますか。
○平野(力)委員 これはどちらでも責任ある人の御答弁を伺いたい。
○前谷政府委員 お答えいたします。昨年度におきましては、小麦粉につきましては価格の安定も見ておりましたし、また需給の状況の許す範囲内におきまして輸出を許可いたしたわけであります。輸出を許可いたしまして、その原料を払い下げる場合につきましては、もとより補給金をつけませんで、輸入原価に対しまして必要経費を加えまして払下げをいたしておるわけであります。
○平野(力)委員 重ねて総理にお伺いいたしますが、ただいま食糧庁長官の答弁によつて、私の指摘いたしました八万六千なにがしの麦を日本から輸出している。ところが先ほど申し上げたように、約二百万トンの麦を輸入している。これははつきりした矛盾なんです。これはだれが何と考えても、ないからといつて高いものを補給金を払い、また相当ドルを払つて輸入をいたしておりまするところのこの日本が、逆に八万六千トン――必ずしも大きな数量ではないとはいえ、しかし現実問題としては相当の量なんです。これをどこべやつておるかと申しますと、韓国、台湾、琉球、タイ、香港、こういうところへ輸出をいたしておる一月からの月別の報告、またどこのどういう機関で輸出をしておるかということも調べておるのでありますが、総理に根本的な問題で伺いたいと思いますことは、一方において食糧が足りないといつて貴重な外貨を払つて輸入しているときに、とにかくどういう形であろうとも、十万トン近いものが輸出されておることは、総理は矛盾だとは思われませんか。私は矛盾だと思う。
○保利国務大臣 ただいま食糧庁長官から申し上げましたように、内地食糧の需給上さしつかえにない範囲内においてその十七万トンの輸出を許可いたしております。しかしさればとて、これは国民食糧の全体から見まして、やはり国民の主食嗜好性はどうしても米食の方に片寄つている。しかしながら食糧全体を確保して参りますためには、外米のみでは足りませんし、外麦の確保ということは相当重大だと思います。従つてこれに関しては、もう絶対量を確保するということは、これはできるだけ手段を尽して確保しなければならぬ。しかし、それで確保してしかる後、需給の関係からもし余裕がそこに出て来ますならば、理論的には矛盾を感じましても、実際的にはこれを、そうまた大量なものになりますればこれは問題だと思いますけれども、この程度のことはやらしていただいてもいいのじやなかろうか、こういうふうに考えます。
○平野(力)委員 これは了承できません。これはおそらく私だけの疑問でありますまい。日本の国民だれ一人に聞いてみてもそうでしよう。今日麦を輸入するについては貴重なドルを使つておる。そうしてこの輸入食糧に対しては国民の関心が非常に高いときに、じや、何の理由でもつて、何のために八万六千トンというものを、こういう先ほど申し上げたような国々べ輸出をしなければならぬか、これは了解できませんな。八万六千トンというものが少いからといつて、もしあなた方がこれをよいとおつしやるならば、断じて違つております。それは大きな穴もちよつとしたものから始まるので、麦の統制問題、二重価格の問題、それから今の麦価問題を論ずるのも、こういうことになるからいかんと思うからである。何のために八万六千トンの輸出をやつておるか、農林大臣からはつきりお答え願いたい。
○保利国務大臣 個々の輸出許可がどういう条件のもとに行われましたか私はつまびらかにいたしませんが、ただドルで買つて来たものをまた売り渡しているのは、国民感情から言つてもどうか。それはドルで買つて来まして、売り渡したものはやはりドルで売り払つておりますから、その点については誤解のないように願います。
○平野(力)委員 私が問うておるのは、何の必要があつてこれを輸出しておるか、それの必要を聞いておるのです。
○保利国務大臣 個々の事情につきましては食糧庁長官から御説明をいたします。
○前谷政府委員 お答え申し上げます。原麦といたしまして十七万四千トンを輸出いたしておりまするが、大部分は韓国でございまして、御承知のように韓国の食糧不足に対して援助する意味で輸出を許可いたしたわけであります。
○平野(力)委員 ではタイとか琉球とか香港はどういうわけですか。
○前谷政府委員 琉球につきましても韓国と同様な理由でございます。台湾につきましては、米との関係で多少の輸出を認めたわけであります。また香港におきましてもごく少量の部分でございます。タイ国につきましては、よく調べて申し上げますが、大体ごく少量のものが出ておるものと思います。
○平野(力)委員 ただいまの食糧庁長官の答弁は不満であります。少量であるということが理由にならぬということを私は申し上げたのです。これは方針の問題なんです。それからタイについては知らぬから後で調べる――これは農林大臣ならあとで調べるという御説は今日の段階では了承するのです。しかし食糧庁長官が立つて、タイに対して輸出をしておる問題についてわからぬから調べる、これは了承できませんな。農林大臣どうでしようか。とにかくタイに向つて日本の麦を輸出をしているというのは何のためかという理由がはつきりしなければ、食糧管理の方法が成り立たない。
○保利国務大臣 お答えいたしますが、これは確かに考え方としまして平野さんのおつしやいますように、わざわざ外国から輸入して来た麦を搗精して出すというようなことを、今日の日本の食糧事情では考えるべきではなかろうと思います。ただしかし先ほど申しますように、麦の需給状況から見まして、せつかく加工いたした麦の中で多少輸出をいたしましても、国民食糧需給の上からいたしまして心配のない程度のことは、実際問題としてやりましても支障はない。こういうふうに考えます。
○平野(力)委員 ただいまの農林大臣の御答弁は、いよいよ出でて私は了承できいない。これは間違つておる。今後改めるという御答弁であるならば、私は了承――私がするというわけには参らぬかもしれないが、私個人としては、あなたが直すとおつしやるならば了承する。けれども間違つたことを何もよく御研究せずに、大見当で、何かりくつをつけた答弁で通ろうという態度については、私は了承できぬ。私の調べたところによれば、とにかく日本の製品も輸出をしておれば、外国から買つたものもまた輸出しておる。この数字は大体において一月から五月まででありますが、内麦五万三千トン、マニトバ二万三千トン、外麦三万二千トン、こういうことになつておる。もしこれに理由があるならば、しかしかような理由でこうだという御答弁がなければ、食糧管理として政府のなさつておることは大体信用できません。総理大臣いかがでしようか。総理にこまかいことを聞くようですが、総理に対しては行政整理その他について、後ほどもつとよくお伺いする。こういうことは矛盾したなら矛盾しておるとおつしやれば、これ以上追究しない。矛盾しておるなら、矛盾していてかまわないのです。
○保利国務大臣 確かに平野さんの言われるように、考え方としてはそういうふうにも考えますが、同時に今御指摘の地方から、外米の輸入の買付をしております。その買付先において、小麦の加工品を欲するという事情もありますれば、そこべ少量のものを需要に応じて輸出をいたしますことは、同時にまた外米の買付の上に非常な便宜もございますから、全体の勘定から行きますと、そういうことはやるべきでないというお気持は同感でございますけれども、その程度の必百要はやらしていただいてもよいのではないかと私は考えます。
○平野(力)委員 それは便宜主義的な御答弁としては了承できますが、食糧問題は非常に厳格であり、厳密なものでありまして現在はこれが八万六千トンでありますが、これを放つておけばこれは相当大きなものになる。しかも私の調べたところによりますと、こういうことになろうかと思う。実際これを輸出いたしておりますのは、大きな製粉会社が実務に当つておる。そういたしますと、製粉会社は内地の麦を買い、政府払下げの麦を買う。これは安いのです。そうして製粉会社が外国へ売るからもうかる。こういうふうにやつておるという疑いはどうしても濃厚なのです。そこに私は統制撤廃というものの矛盾と、麦価の問題が深刻であるということを言うのです。言いかえますならば、あなた方の方でどういう名目であろうと輸出を許可されるということであれば、日本の消費者に売るよりも外国に売つた方が高いから売るという、これを許可されるならば、食糧行政はここで根本的に狂うのです。これが狂わぬというようなお考えで、食糧問題をやつていらつしやるばらぼ、麦価の問題で内閣が動揺するりは、私から言わせればあたりまえなりです。従つてこの点については、ただいま農林大臣がここで食管長官に聞いて、一、二御答弁なさることでは了承できません。麦の統制を撤廃したことについては、こういうふうに輸入したもりのをまた製粉会社が輸出するという、食糧管理上誤解を受けるような方法になつて行きますから、ここに統制と強化して、ほんとうにレールに乗せることにならなければいかぬと思います。これわれわれが二重米価を主張する理由であり、麦価の問題についても、米価審議会の意見を主張するゆえんである。この根本論について農林大臣は一体何と考えられるか。なお今後もこういうことをやられるのか。またもとにもどそうとされるか、その方針をはつきりお答えを願いたい。
○保利国務大臣 内地食糧の需給が第一でありますから、内地食糧の需給確保につきまして最善を尽して行かなければならない。その需給関係に余裕が腐り、しかも外米買付先の現地等におきまして内地需給の余裕の範囲内において需要がありますならば、その程度は続けてもよかろうかと私は考えます。
○平野(力)委員 この点は答弁は了承できませんが、次の問題に関連してひとつお聞きいたします。 ここに私が持つております表は、やみ米価格調査日報という農林省の調査課からもらつたものです。これによりますと五月十五日に東京におけるやみ価格は百四十五円、六月十五日に百九十五円、六月十九日に二百二円、六月二十日に二百五円、これは聞くところによりますとどんどん上つて来るというのです。また関東の近県における生産地の茨城と栃木の数字が出ておりますが、茨城県において五月十五日に百十四円、これが六月十八日に百五十九円、栃木県においては五月十五日百八円のやみが六月二十一日に百六十七円、これは今日展開されている労働攻勢というものにも甚大なる関係がありますので、真剣に農林大臣はひとつお答えを願いたい。またこれは首相にもこの点についてお聞取りを願いたいのですが、この原因がどこにあるかということについては、農林大臣は先ほどわからぬとおつしやつた。しかし判断はつくのです。なぜ判断がつくかと申しますと私はこう思う。これは昨年食糧管理の方法といたしまして超過供出を行つたならば、その余の米は自由販売にするといういわゆる特別集荷制度というものを政府がおとりになつた。――これはもちろん広川農相時代でありますから、広川農相はいないから責任がないといえばそれまでで為りますが、吉田首相は当時も総理大臣でありますから当然責任があるわけです、この特別集荷制というものをしいた結果、供出を完了した米は自由に販売できるということから、米の移動というものが非常に自由になつた。私は当時広川農相にこれを警告したのです。これをお許しになれば必ず食糧管理の統制は乱れますよ、それは乱れぬと言う、乱れますと私は言つた。しかしこれは議論の水かけ論であるからやめたのですが、今この入梅時になつてやみ米が上る、やみ米というのは自然の米の価格なんです。それは普通のときにおきましても、米の値段というものは入梅時にはぐつと上る、一番端境期です。従つて今日やみ米がこのように上つているという原因は、米の統制の一番終りがゆるんだところにこういう原因があると断定し得るのだ、なぜ断定するか、それは一種の買占めが行われている。この買占めを行うがゆえにここに米の価格のつり上げというものが行われるのであつて、ここに米の食糧管理というものの一角が破れたと思う。破れぬとおつしやつてもこういうようにや米がどんどん上つて行く。これがひつきようするところ俸給生活者や都会の賃金生活者の賃金の問題に影響するということになれば、事態が飛天であるから私は問うのである。この原因について農林大臣、また首相はどういうお考でありましようか。
○保利国務大臣 先ほど伊藤さんからも同様の御質問がありました。私も昨日事務当局からこの推移を伺いましてしかも、今御指摘の状況が東京を中心とした特殊な現象と見えるような形で推移しているようでございますから、何らかそこに調査して見出す事情があるかどうか、至急取調べております。その点至急取調べをしました上、これの対策を講じて参りたいと思います。ただ米はなるほど御指摘のように漸騰いたしておりますが、もう一つの現象は麦の値段が全然動いてないという状態もありまして、これがどういう事情によるものか、事実的に事情を取調べておりますから、取調べました上で、これを申し上げたいと思います。
○平野(力)委員 重ねて申し上げますが、こういうやみ米の騰貴、また外国に向つて日本の麦が、その数量は必ずしも多からずといえども、相当量のものが順、次輸出されつつあるというような事態を考うるに至つて、日本の食糧問題に対して政府が責任を持つ立場から考うるならば、これは吉田首相が言われたように、統制が撤廃できるなら順次撤廃したいのだという御議論ではなくして、統制がゆるんでおつてそのために国民生活、ことに俸給生活者やあるいは生活能力の低い面の人たちに脅威を与えるということであるとするならば、食糧政策は統制を再び強化して、これらの間違いがないようにするということにならなければならないと私は信ずるのであります。保利農相はいかなる御見解をお持ちでありますか。
○保利国務大臣 お答えいたしますが、大体食糧管理方式にしましても、できるだけ統制方式を廃止して参りたいということが、ここ牧代の政府の努力して来た目標であるわけであります。従いまして私といたしましては、この方向をただいま変更する考えは持つておりませんので、必ずしもそれが失敗であるとは、私は考えておらないのであります。
○平野(力)委員 私はただいまの御答弁には不満足です。なぜかならば、間違つた現象が現われてそのことから、たとえばやみ米が騰貴するということは、単にやみ米が騰貴するのではなく、国民生活の現実に大きな不安がある。また先ほど申しました麦の問題等についても誤りがあるならば、そういう点をはつきりさせなければ、その麦を供出し、米を供出するところの農民からいえば、非常に不安だ、政府の政策について了解できないことになるのでありますから、ただいまの御答弁のような、こういう今事実が現われておつても、なお今までやつたことは成功であるというならば、そういうお考えははつきり捨てていただきたい。私は各委員会においてしばしば申し上げておりますが、間違つておつたのであれば、間違つたでかまわぬ、それをどう改めるかということを検討してやることが、政治であり進歩である。今までやつて来たことが明らかに間違いを指摘されても、それを言を左右にされて云云するというようなことは、ひとつやめていただきたい。 次にこの問題に関連して、現在の食糧問題の根本に向つてひとつ触れたいのでありますが、輸入食糧の根幹をなしておりますところの米、これはこのごろ農林省の会計課長の説明を聞きますとまた予算委員会におきましても、はつきり牧字も大蔵省から提示をされたのでありますが、昭和二十八年米穀年度において輸入米は九十万トン、これは総理もひとつよく聞いていていただきたい、輸入の米は九十万トン。これに対して支払いをいたしますところの金は六百九十億。まさに一トン七万七千円の米である。内地一石の計算にいたしますと、一万一千五百円という数字になつている。ところが二十七年度以来今日まで、農民が政府に向つて供出をいたしております米は七千五百円、外国から政府がお買いになる米と農民が政府に売る米との開きが明らかに一石について四千円。これは厳たる事実である。はつきりしている。ところがもう一つここに首相の頭に入れて御判断を願いたいと思うことは、この米と裏表をなしますところの硫酸アンモニャの輸出が昨年の十一月以来行われまして、昭和電工は四十六ドルで外国に売つている。またその他の会社においても五十一ドルで硫安を売つて来た。この四十六ドル、五十一ドルの硫安は内地十貴匁俵にして幾らであるかと申しますと、六百二十円ないし、六百九十円。ところが現在農民側が肥料メーカーから買つておりますところの硫安は九百円。その差三百円。私はいたずらに政府を攻撃せんとして、この席を拝借しているのじやない。言いかえるならば政府のなさつているところの食糧政策というものは、外国からは内地の農民より四千円も高い米を買つておられて、肥料の方は外国には六百円で売れるものを内地の農民には九百円で売つている。これは現実の事実である。古い話でない。こういう矛盾があつても、今まで自分らのやつて来た食糧行政、農業政策はこれで大体成功だというようなことをおつしやるならば、農民は目を怒らして、ほんとうに現内閣をうらむのであります。私は別にさつきから申し上げている通りに、感情を混えたり何も別にむやみなことを言うて演説せんとするものではございませんが、こういう具体的事実を議員が明示してどうかと言つたら、間違つておつたら間違つているから改めるという態度をひとつとつていただきたいのであります。どうぞ首相のこの点についての御答弁を願いたい。
○吉田国務大臣 お話のように政府が間違つたことをいたしたならば、改めるに決してやぶさかではありません。
○保利国務大臣 ただいまの外地から高い米を買つて、来て内地の米を安く買う、しかも肥料は外地に安く売つて、内地農民に高く売つているというこの矛盾は、矛盾としてだれしも感じているわけです。私どもはそういう意味におきましても、方向としては米の統制もできるだけ早く撤廃するように持つて行くことが、この矛盾を解決して行く道である、こういう考えをもつて今日まで努力をいたして来ているのであります。ただこの肥料代につきましては、これは前大臣からもお話があつたと思いますが、仰せの通り安く輸出をしない、一切輸出許可をしないということになるなれば、結果はどういうことになるか。これはもう当然減産なり何らかの措置をとられる。今輸出が安い、なるほどそれは矛盾を感じますが、安く輸出せられておりますけれども、しかしながらとにかく生産を上げて、海外市場に需要に応じて、できるだけ余分を輸出して行く、内地の農家の需要に応ずる価格もそれによつて幾らかの助けを受けて、価格が安くなつているとは申しませんけれども、今日のような価格が保たれているのじやないかと思います。しかしいずれにいたしましても、この問題はきわめて重大でございます。せつかく肥料対策委員会で、ただいま御検討願つておりますから、その結論が幸いに出ますならば、それによりまして急速に解決したいと考えるのであります。
○平野(力)委員 肥料対策委員会というお話がありましたが、実は前回の予算委員会のときに、政府は肥料対策委員会の結果に基いてということだつた。ここにいらつしやる大蔵大臣が当時通産大臣であり、広川さんが農林大臣であつた。当時私どもは肥料対策委員会というようなものだけでなく、こういう問題は議会は議会としてはつきりすべきでないか、こういう意見を述べた。また私は今日もそう思つておる。議会においてこういうような問題についてのはつきりした回答をすることが、国民代表たるわれイーの義務であつて、責任を肥料対策委員会に転嫁するということは、私は不同意である。そこであらためて伺う。こういうことになつたことについてこれは遺憾であれば遺憾であるという意思を表していただきたい。そこでよつて来たる原因がどこにあるかと申しますならば、これは私ははつきり政府当局といえども御承認になるだろうと思う。米は統制、肥料は自由、この跛行的なる経済状態というものが、こういうことになつた。肥料の方は御承知の通り昭和二十五年の八月に統制を撤廃されて米の方は今日も統制がある。私どもは肥料の統制をはずしたのはいかぬと言う。あなたは米が統制撤廃になれば、肥料も片づくような御意見もあつたが、それではあらためて伺いますが、米の統制撤廃を今ここでなさいますか。できないでしよう。米の統制撤廃は今はできない。そうすればどうするかといえば、勢い肥料の方にも統制を加えて米と肥料は車の両輪のごとき政策をとらなければならないと私は主張する、これはどうですか。
○保利国務大臣 私も就任早々でございますから、平野さんに十分お答えできませんけれども、肥料につきましても、いわゆる施設その他において合理化にいま少しく力を入れますならば、相当肥料コストを引下げて行けるという見通しもあるのでございますから、私はその面につきましては、そう遠くないうちに解決されて来るというふうに感じております。
○平野(力)委員 私は、保利農相は、この問題は就任早々だからということで、答弁をお逃げにならない方がいいと思う。それはどこへ米を幾ら売つたかというようなことは、就任早々だから食糧監理庁長官としてなら私は了承できるが、あなたも自由党の相当主要なる地位におられ、また吉田内閣の中では長くその政策の担当もして来られて、今私の申し上げておるようなことは、あなた自身も相当知つておられ、今回農林大臣をお引受けになるにしても、これらの問題についての根本的な腹構えぐらいはあつてお引受けになつたと思う。その根本的な腹構えというものは、米と肥料のあんばいというものをどうするのか。米の統制をはずすならはずす、二重米価をやるなら二重米価をやる、肥料を統制するなら統制する、そのどつちでもないようなことを肥料委員会に塗りつけてみたり、またしばらく待つてくれれば、何とかするということで、引下る私ではありません。その点ははつきりひとつここで明確な農林大臣の就任の抱負として、主義、イデオロギーを承りたい。
○保利国務大臣 主食の問題につきましては、先ほど申しましたように、今日まで政府としては統制を撤廃して行くという方向で努力をいたして参つておりますけれども、今日の食糧事情からいたしまして、これをただちに撤廃するということは困難であると考えております。肥料問題につきましては、これは逃げるということに言われますかもしれませんけれども、肥料対策委員会でせつかく各界の権威者が集まつて、心配をしていただいておりますから、でき得べくんば、その結論を得て政府としても対処したいと考えておる次第でございます。
○平野(力)委員 経済審議庁長官、通産大臣にお伺いいたしますが、肥料対策委員会においていろいろ論議されておることは、新聞でもわかつておりますし、われわれも専門的見地から、その報告を受けておりますが、容易に答えが出ぬのじやないですか。むしろ肥料対策委員会の一般意見としては、これは国会議員が国会においてもつと真剣に論争をして政府も国会の委員会を通じて答弁をして、そうし。こういう問題を処理することの方が妥当だという意見が、肥料対策委員会の中にもある。これを経済審議庁長官は通産大臣として、いかようにお考えでしようか。
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。お説ごもつともでございます。ただ私といたしましては、ごく近いうちに何か結論が出るような様子になつておりますので、少しお待ちを願えたらとも思つております。
○平野(力)委員 私はただいまの御答弁ではちよつと引下れないのです。肥料対策委員会が近く結論を出してくれるということは、これは御同様望ましいことであつて、その結論を私も急ぐものでありまするが、さてしからば通産大臣に伺いますが、肥料対策委員会が答えを出しましたら、あなたはその通りおやりになりますか、いかがでしようか
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。あの肥料対策委員会は諮問機関でございますから、その意見を十分尊重いたしまして、そうして私の判断として決定をいたしたいと思います。
○平野(力)委員 それだから私が前段として申し上げた。政府は米価審議会をつくられても、肥料対策委員会をつくられても、その意見を聞かない、参考にすると言われる。ところが参考にするようなものがこれからできるのだ。しかも新聞をごらんなさい。東畑案だとか藤山案といつて、ずいぶん出ておりまするが、よほど専門家の者があれを読んでみても、あの新聞記事はよくわからないのです。実はわからぬほど複雑なものである。そういう複雑な経過をたどつて出たものを、ただあなたが参考にすると言われたくらいで、国会が了承するようなことなら、国会の権威はございません。私は通産大臣の名誉にかけても、硫安についての問題は、この予算委員会においてある答えを出していただく。どういう答えを出していただくかといえば、米を統制しておるならば、まず硫安に対しても統制する。何らかの処置をもつて法的措置を講ずる。こういう基本論だけはこの委員会において御明示にならなければ、農民は安心をいたしません。いかがでしよう。
○岡野国務大臣 せつかく審議会が近いうちに、結論を出そうというふうになつておりますものですから、それを待ちまして、それから皆様方に御審議をお願いいたしたいと思います。
○平野(力)委員 私は委員会を通じて岡野通産大臣の答弁は、なかなか具体的であつて、要領を得ると思つておつたのですが、ただいまの御答弁はまことに心外です。あなたは普通の大臣とも違つて、業界についても相当な研究もあり、特に硫安工業というものは、日本の工業の相当動脈をなす大問題であるから、肥料対策委員会でやつたものを見てどうというのではなく、あなた御自身が硫安問題については、こういうような方針を持つておるということを、ここで御明示になると私は思つた。それでこそ岡野さんである。これは実際言えば詭弁ですよ。肥料対策委員会がやつた、それを参考にするというようなことでは私は了承できませんので、もう一回、肥料に対しては何らかの法的処置を講じて、米を統制しておるならば、肥料に対しても統制方式をとる、この根本論について御意見を伺いたい。なぜかとならば、高い安いという議論はこれからである。まず、高かろうが安かろうが、政府が硫安というものに対して一つの国策を遂行するということについては、米と同じように、ある程度の法的武器を持たなければ、輸出をするにも、内需をどれだけにするにも方法がつかぬという現状ですから、これは通産大臣、信念をもつて米と肥料は車の両輪のごとく国家の管理を行うという一つの法的処置を行うのだ、こういう御言明を願いたいと思います。いかがでしようか。
○岡野国務大臣 お答えを申し上げます。統制を撤廃するということは、先ほど総理からも申し上げましたように、われわれの内閣としてその主義方針でやつております。そういたしますと、この統制を撤廃するという方向に進みつつあるときに、肥料に対して統制をこれからして行くということは、私一個の考えをもつて申し上げるわけには参りませんので、御趣旨はよくわかりますが、しかし問題は政府の方針でございますから、その意味において私からお答え申し上げることはできません。
○平野(力)委員 あらためて伺いますが、肥料対策委員会において審議されつつある方向は、大体肥料に対するところの国家管理の方向なんです。これは硫安製造会社のメーカー側から出ておるものといえども、肥料を野放しにすべきものではない、輸出という面については相当国家の庇護を受けなければならぬ、コストを下げる面についてもこれこれの国家保護を受けなければならぬ、よつて野放しではないけないという一つの考え方がメーカー側にもある。いわんや全購連初の農民団体側においては、この際至急に法的措置を講ずべしということを言つておるのですから、あなたは審議会の意見が出たらしんしやくすると言われるが、この何らかの法的措置をとるということだけは、審議会の答えは出ておるんです。これは藤山案にいたしましても、東畑案にいたしましても出ておる。何々輸出会社をつくるということもこれは一種の統制なんです。従つてこういう方向に肥料がだんだん行きつつあるということは、お認め願わなければならぬと思うのですが、いかがでしよう。
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。方向としてはそういうふうに進んでおると思いますが、しかし審議会がせつかくあるのですから、その結論を得ましたら発表したいと思います。
○平野(力)委員 農林大臣に伺いますが、農林省においては硫安に対して法的措置を講ずる、こういう準備ができつつあるということを、正確な報道によつてわれわれは知つておる。またそういう、ことが過般の国会におきましても、前農相からそういう何らかの形において法的措置を農林省で考えておる、こういう意見があつたんですが、いかがでしようか。
○保利国務大臣 各製造工場の生産費を調べる必要があるじやないか、そういう手段を尽す意味において、法的措置を講じた方がいいのじやないかというような意見は確かにあるようでございますが、まだ私は詳しくは承知いたしておりません。
○平野(力)委員 確かにあるようだというのは、もう少し具体的に言うとどういうことなんですか、そういう政府案を得て、近く何らかの形で出そうというのですか。
○保利国務大臣 私はまだ事務当局からそれについて報告を受けておりませんが、ただ今耳にしますと、そういう法案といいますか、措置について用意をしたいという意見はあるようでございます。
○平野(力)委員 それでは次に通産大臣にひとつ伺いたいのですが、硫安というものを、あなたの根本的な考えとして食糧増産に重点を置く産業と考えられるか、これは輸出産業としての考え方もあるが、どちらに重点を置いて今後の方針をとつて行くか、このお考えをひとつ伺つておきたいと思います。
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。食糧の自給ということは、平野さんのお説の通り非常に大事な問題でございまして、われわれといたしましては農林省で考えておるのは、これはまだはつきりした性格のものではありませんけれども、五箇年に千七百万石も増産しようというほどの意気込みを見せて、そうしてやつておる事態でございまして、農業というものは、むろん国民生活上非常に必要なことで、増産に尽しておる次第でございます。その農産物を育て上げるのは、やはり肥料でございますから、むろん重点は、国内の農業に対して肥料をつくるということが重点でございます。ただ一言私がつけ加えておきたいことは、今私は内地で自給するということになつて食糧増産のために尽しておりまして、そのために肥料が非常に重点だと思いますけれども、もう一つ考えなければならぬことは、日本はまた輸出貿易で立つて行かなければならぬ。そこであの肥料と申しますものは、日本の内地の原材料をもつてつくり出して、そしてしかもその需要地がごく近い近隣のアジア諸国にたくさんあるのでございます。そこでどれが重いとかどれが軽いとかいうことは申しませんが、一番重いことはもちろん内地食糧のために重く考える。しかしもう一つ考えますことは、そういうふうに輸出貿易に資するために肥料の生産をうんとやる、そうして輸出をして行きたいわけである、こういうことでやつております。それでただいまとつております処置といたしましては、私の考えでは、経済上の議論でございますが、輸出をどんどんするということになればそれでたくさんできまずから、自然内地における値段も割安になる。輸出をとめてしまつて、内地需要だけということになりますと、値段はあまり安くならない、こう考えますので、どんどん操業度を増しましてたくさんつくつて、そうしてむろん第一には国内消費に当て余つたものを外国べ出す、こういう方向で行きたいと思います。ただいまのところ二百万トンくらい硫安ができているそうですが、内地では百五十万トンの消費、あと四、五十万トンは外国へ振り向けられるような状況でございますが、私はもつともつとたくさんつくつて生産コストを安くして、安く肥料を供給したいと考えております。
○平野(力)委員 それでは重ねて伺いますが、硫安一トンの生産費というものを、その後お調べになりましたか。
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。生産費というものは今なかなか当りにくいのでございます。と申しますことは、生産過程におきまして簡単に原単価だけはわかりますけれども、あとの間接諸費とかいうようなものは、なかなかわからないのです。今もし、お説のように統制にしてしまつて、政府がその経営の内容にまで立ち入つて調査でもいたしますれば、いろいろなことはわかると思いますけれども、しかし間接諸費の方は研究のしようがございませんから、どのくらいコストがかかるかという詳しいことはよう申し上げられません。
○平野(力)委員 私は重ねて農林大臣に伺いますが、これは総理にひとつ聞いていただきたいのです。われわれが寡聞ながら聞きいておるところによりますならば、昨年来農林省には食糧増産基本法なるものの立案があつて、日本の国内の食糧は日本でまかなう、これには積極的に乗り出す、こういう相当大がかりなかけ声があり、これが着着進められて来たと信ずるのであります。ところが今回出されておりまする二十八年度の予算を見ますと、それは申訳的には若干の食糧増産費がありまするが、いわゆる食糧増産基本法と称するような、こういう根本的なものから見れば、まるで九牛の一毛といつても過言でないように、予算削減なのである。これは一体総理は食糧増産基本法に要する相当なる費用が削減せられたということについて御承知なのか、これは大蔵大臣、総理大臣両方からお願いしたい。
○小笠原国務大臣 食糧につきましては、昨年に比べてたしか二割八分くらいの増額に相なつております。但し私どもは、この今の食糧対策費が、ほんとうに有効適切に使われるためには、相当農林省でがんばつてもらわなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
○平野(力)委員 昨年より何パーセントふえたというのでなくして、食糧増産基本法というものに沿うところの食糧五箇年計画の予算が、どういう理由で削られたか、その削られた理由を聞くんです。
○小笠原国務大臣 私は食糧増産基本法というものができておるというのは、実はまだ承知しておりませんが、食糧増産五箇年計画あるいは十箇年計画というものは見せられておるのであります。それに共いての必要なる予算措置はとつてございます。
○平野(力)委員 その食糧増産五箇年計画と称するものの予算でも、大蔵省は半分削つたのです。で、私はここで再びどうしても政府に問わなければならぬことは、一体首相は、先ほども申し上げた通りに、国民生活の根本は食糧であるという演説を今度の施政演説でなさつたことは、まことに演説としては大進歩である、また相当に傾聴に値すると思つたのでありますが、その予算の裏づけ、それに必要なる行政措置というものは、まつたく逆行しておる。これで一体さしつかえないのでありましようか。私は、真に日本の自立経済をはかるためには、何というても食糧増産というものと、日本人の食糧は日本人でまかなうという根本的なる政府の施策というものが、積極的にどこかに、法律なり、予算なり、あるいは施策に出ておらないと、どうしても不満足なんです。これはやらぬというのであれば、不満足でもいたし方ないのですが、一体どういうところにどれだけの努力が払われたか、ひとつ責任ある――どの閣僚でもよろしいのですが、もう少し食糧増産ということについて、政府の施策の熱意のあるところを、できれば総理からお願いしたい。食糧増産をやるということは施政演説にあるのですから……。
○吉田国務大臣 はつきり申しますが、食糧増産はいたします。その計画については、農林省において今検討いたしておると思いますが、その適当な計画ができましたら、断じていたしますから、その点は御安心ください。
○保利国務大臣 大体この食糧自給度の向上ということは、国民経済全体にとつて、経済自立達成の上の基本的な要件であるということは、もうこれはどなたも御異論のないことと思います。できれば一年でも早く自給ができるところへ進め上げたいというのが念願でありますが、政府としては、何とか十年計画くらいで自給ができるというところに持つて行きたい。さしあたりその中間目標として五箇年計画をして、五箇年計画によつて、おおよそ千五、六百万石の米換算の増産をはかりたい、そのためには今年度の予算が僅少に過ぎるのではないかという御指摘はごもつともであると存じますが、たとえば農地の拡張についての開墾、干拓等の面におきまして、はたして今日の干拓技術が十分であるかどうか。もつとこの経験者として先進国の技術等に考えることが必要でないかという面につきましても、至急検討いたしまして、何とか中間目標の五箇年計画は実効をあげて行くように努力をして参りたいと考えております。
○平野(力)委員 農林大臣は五箇年計画ということをおつしやつたが、この予算は五箇年計画にはなつておらぬのです。五箇年計画なしくずしです。五箇年計画を立て、予算を半分に削られても、それでも五箇年計画ということでは、実際米はできませんよ。これはほんとうに真剣に考えていただきたい。 私はここで通産大臣、大蔵大臣、両大臣にひとつ伺いたいのですが、政府ではこういう御研究ができておるかどうか。今硫安一トン輸出して取るところの外貨は大体五十ドル。と二ろが農民の常識としては、硫安一トン米二十石、これは農林省の試験場においてもうかんかんに研究されたことでありまして、もつと専門的に説明しますならば、総理にも了解できる数字も言いますが、時間がありませんので、硫安一トン米二千石で省略します。そうすると硫安一トン輸出して五十ドルの外貨をとつていらつしやるとき、荒地を開墾して硫安一トンたたき込めば二十石の米がとれる。二十石の外米の輸入が減つたとするとどうなるかといえば、二十石の米は大体三トン、一トン政府が買つていらつしやる外米は二百十三ドル、そういたしますと、硫安一トン内地の農地べたたき込めば――これは全然肥料の入つてないところです。全然肥料の入つていないところへたたき込んだならば、米が二十石とれる、そうすると二百十三ドルの三倍でありますから六百三十九ドルというものだけは輸入食糧の外貨が激つて来るのです。現在肥料審議会で、輸出産業として重大か、あるいは食糧増産で重大かということが論議されているということは、私も万々知つておりますが、首相御演説のように、何といつても日本の今日の自立というものは、食糧問題解決にありということに徹して政府が考えますならば、硫安一トン米二十石の原則を、この際ただちに農林大臣、通産大臣はやつてもらう意思がなければならぬ、政策はこういうところにある。ただ委員会をつくつて小田原評定をやつても、米は一石もできません。それより現実日本においては、高い安いは別として、二百万トンの硫安ができている。これをフルに土壌にたたき込んで、そうして外米たただちに百万石でも二百万石でも減らせば、外貨獲得の上において口日本の貿易はこうなる、これはできることです。これは硫安一トン米二十石という点から、硫安の輸出問題を通産大臣、農林大臣はどう考えているか。これは肥料審議会でないと言わないで、ここで御所見を伺いたい。
○岡野国務大臣 いろいろ審議会でそういうようなお話の出ていることもわかつておりますから、そういうことをやはりわれわれとしては参考としなければならぬ、こう考えておりますが、いずれ対策委員会の結論を経まして、取入れるものは取入れ、また捨てるものは捨てるということで善処いたしたいと思います。
○保利国務大臣 肥料をうんとたたき込んでと言われましても、農家の方でそれをたたき込むだけの技術も必要でございます。また一定量以上入れるわけに行かぬ、そういう上から行きまして、無論お話のように、今年度なら今年度、とにかく外地食糧に依存する度合いを極端に切り下げるために、一方増産費を極端に出させるということをやつてみましても、今年度の食糧というものはそれによつては動かないわけでございますから、当然財政の面から二画いたし、またそれは着実に増産の実をあげて行くように、着実な計画が必要である、着実な計画と財政との見合いで最高限に努力して参るという線で努力して行きたいと思います。
○尾崎委員長 平野君できるだけ結論をひとつ……。
○平野(力)委員 農林大臣の御答弁は、どうも私の問うていることに、はつきり答えていないのです。今通産大臣も、私の述べたことを肥料審議会でやつているとおつしやいましたが、肥料審議会は私の言つているように具体的にやつておらぬのです。日本の窒素肥料というものは、フルに使つた場合に、二百万トンいるのか二百五十万トンいるのかという全体の大きな数字について日本の硫安が幾らかということは、肥料対策委員会でやつている。私が言うのはそうでない。私は今日の現実なんですから、輸出するかしないか、滞貨があるかどうかといつて騒いでいる、こういうとき、どんどん港へは外国の高い米が入つて来ているのだから、その輸出を防ぐというならば、ただちにもつてこの硫安一トン二十石の原則を政府が取入れて、そうしてこれを実際の食糧増産の施策の上にやるのでなければ、私は首相の食糧増産の演説は、これは紙切れだ。農林大臣は、今肥料をやつてもどうかというが、そんなことはありません。開拓者が帰つて来て、荒地が一ぱいあつて、肥料さえやれば米のできるところ、作物のできるところが一ぱいある。私は一つ御指摘いたしますが、あなた方肥料の統制をはずしたことについて、はなはだ無関心であるが、はつきりここに出ている。この主要作付反別の異動というものをごらんなさい。肥料の統制をおはずしになつたのが昭和二十五年、昭和二十五年に大麦、裸麦、小麦の作付反別はどうなつているか、これははつきり農林省の統計に出ている。大麦については肥料を統制いたしましてから三年、二十七年までの間に三万三十三町歩耕地が減つておる。統制をはずしてから、大麦の作付が減つたのです。その次に裸麦はどうなつたかと申しますと、三年間に四万一千町歩減つておる。小麦は三万七千五百町歩減つておる。合計約十一万町歩減つておる。これはなぜ減つたかと申しますと、統制を撤廃して肥料が上つた、高い肥料が買えないというので転換した。何に転換したかといえば、菜種に転換した。菜種と食糧は違うのです。現在の日本においては、菜種をつくるか、大麦をつくるか、小麦をつくるかといえば、何といつても麦をつくつてもらわなければ困る。これくらいのことが政策の現実の面に現われて来ないのでは、農業政策、食糧政策といつて政府が御論じになりましても、農民が承知しない。私はこの点に対しまして、肥料対策委員会ができたら参考にするというようなことを言わないで、硫安問題についてはつきりした態度をとつていただきたいと思うのでありますが、さて通産大臣、あなたは肥料のコストがわからぬということをおつしやいましたが、ほんとうにわからぬのですか。
○岡野国務大臣 ただいまのところ、私はわかりません。
○平野(力)委員 こういう数字が私どもの方には出ておる。これは相当専門家のつくつたものです。現在公表さるべき硫安一トン二万三千円、ところが、この単価の計算は、硫安を一トンつくるのに、石炭の炭価を九百円と見ておる。電力を一キロ一円八十銭と見ての計算です。ところがこの石炭九百円というものは、専門的に検討を加えれば八百円に減らせる。あなたは専門家だから、このことはわかるでしよう。それから硫安製造会社が使つておりまする電力は真夜中の電力で、それを豊富に使える。深夜間電力を豊富に使えば一割は下げられる。そういたしますると、この公表されておりまするところの硫安一トン二万三千円というものが、二万一千円になる。ところが、この二万一千円の価格というものは、Bクラスの会社の価格で、Aクラスはこれより二千円安い。そういたしますと、Aクラスの硫安というものは一トン一万九千円、一万九千円でできますならばこれはどうであるかと申しますならば、内地農民に向つて一俵七百円で十分売れる。私はあなたのように行政機関を持たない一介の代議士でありますけれども、熱心に調べればこういうのが専門家の手から入つて来る。これは肥料会社に見せたつて、私はおそらく理論闘争に負けないと思う。あなたは通産大臣として、総理が食糧増産を演説したら、あなたがそれに向つてやるのは閣僚としての義務なんです。そうしますと、お題目の政策でなく、真剣に日本の自立経済は食糧増産にあるという信念があるならば、硫安のコストを通産大臣はわからぬといつて国会を乗り切ることは少し無理ではないか。ひとつ私の申し上げたことについて判断を願いたいが、いかん。
○岡野国務大臣 お答えを申し上げます。それは平野さんのことですから、お調べになつてはつきりおわかりになつたと思いますが、ただいまは自由主義経済のときでございまして、あなたの仰せのように、また法的根拠を持たせて統制でもするということになりますれば、政府としてはつきりしたことを申し上げられますが、ただいまのところは、各会社が自分自身で経理をしておる。中には多角経営をしておるところもあり、集いろいろな会社経営もあります。ただいま電力というようなことも言われましたが、しかし電力はいつもそういう調子で行くものではございませんで、ストライキもございましよう。そういうことを考えますと私はそう簡単に割切れたものではないと思います。ですから、お説としては拝聴いたしておきまして、よく調べることにいたします。
○平野(力)委員 ただいまの答弁は非常に思いつき答弁でありまして、私といたしましては、もう少し真剣な答弁を得たい思います。 首相に重ねて伺いますが、数々の論議を尽されましてわかるように、通産大臣が肥料一トンの生産費がわからないということでは私はよろしくないと思います。どうしてわからせるかということについては御異存はないでしよう。そうするとここに何らかの法的措置を講ずる、何らかの法的措置というのは統制です。総理のおつしやつておることととしても逆な政策をとらないと米ができないのです。総理はいかがでしようか。それでもあえて自説を固持されますか。
○吉田国務大臣 内閣の方針としては、先ほど申した通り、統制は漸次廃止したいと思います。
○尾崎委員長 ちよつと平野君に御了解を願いたいと思いますが、申合せの時間も相当過ぎておりますので、あとの質問者の都合もありますから、できるだけ結論をお急ぎ願います。
○平野(力)委員 私は別に長々と議論をしようとするものではありませんが、食糧増産という政府の一大眼目のもとに立つて、これがどうしても行われておらない。従つて終りに、こういう問題を二、三問いたいと思います。 食糧増産を阻害するものとしては幾多の事実があります。その一つについて外務大臣にお伺いいたしたいのでありますが、現在四国の高松の飛行場に、耕地にして約七十町歩、米をつくれば二千石くらいできる土地があります。(「外務大臣はおらぬぞ」と呼ぶ者あり)これは外交的な問題でありますが、できれば首相、ひとつおわかりであれば御答弁を願いたいと思います。これは大東亜戦争の終りごろに、軍がりつぱな耕地を徴用いたしまして、飛行場にした。ところが終戦になりまして連合軍の管理となり、しこうして講和条約によつて日本政府の所有になつた。しかし現在この飛行場は使つておらない。使つておりませんので、使わないならば農民に払い下げてもらえば、ここに明らかに米が二千石できるというので、熱心に嘆願しておる。これは私どもの方にも来ており、外務大臣、農林大臣のところにも香川県の農民がるる陳情いたしておるのでありますが、これではらちが明かない。こういう問題は、農林当局、外務省の逃げ口上として、駐留軍の許可がないからという言葉を用いられますが、一旦講和条約のもとに日本の所有になつた以上は、払い下げることは日本の政府でできると思います。もし駐留軍がいるというならば、行政協定あるいは日米安全保障条約の条文によつて日米合同委員会にかけてから処理されなければならないと思います。あるいはわずかに七十町歩とおつしやるかもしれませんが、こういうところが全国に九箇所もあるのであります。私は物事というものは、物に徹するということになれば、一寸の土地といえどもあけてはならないと思います。現に向うがいるというならば別問題ですが、あいておるこういうところは、すみやかに放棄されるところの手続をおとりになつていただけないものでしようか、いかがですか。
○吉田国務大臣 今日まで駐留軍の使用した土地で不要になつたものは、順次返しておるはずでありますが、事実は知りませんから、取調べてお答えいたします。
○平野(力)委員 事実はもう調べられておるのですが、使つてはいないのです。それで駐留軍がいるというならば、これは日米合同委員会にかかるべき問題じやないかと思います。合同委員会にもかけないで、ただ駐留軍がいるからというので払い下げないというところに、農民側の疑問があるのです。これの法的の解釈はどうなるのでありましようか。
○吉田国務大臣 重ねてお答えをいたしますが、私は事実を知らないからお答えはできません。調べた上でお答えいたします。
○保利国務大臣 御指摘の高松の飛行場につきましては、ただいま取調べますと、旧高松飛行場の用地は約百九十四町歩でありましたが、うち、滑走の地帯約五十町歩を残しまして、あとは返還されております。この返還地につきましては、六十戸の農家が耕作をいたしておられます。その五十町歩の現高松飛行場は、これは米軍の緊急使用に供するという条件として日本側に返還せられたようでございます。そういうわけでございますから、全面的に農地を解放するということはできないかと思いますけれども、飛行場の使用に支障を来さない限りは、今のお話のように、たとえば一寸の土地といえども農耕用に使えるようにということで、ただいま関係庁と協議をいたして、その実現をはかるようにいたしております。
○平野(力)委員 これは日米合同委員会にかけられましたか。
○保利国務大臣 ただいま緊急使用に供するということを条件として日米合同委員会にかかりまして、これの返還を受けておるような事実でございます。
○平野(力)委員 合同委員会にかけられたのですか。
○保利国務大臣 かけてこうなつたわけでございます。
○平野(力)委員 そうすると、合同委員会には農林省から出てそういう発言をせられましたか、これははなはだくどいようでありますが、やはりこういう問題がはつきりされないと食糧増産と言われないのですから……。
○保利国務大臣 農地局長から御説明いたさせます。
○平川政府委員 返還を受けますときは、合同委員会の方でそういう条件付で返還を得ていたのであります。ざらにただいまお話のありましたように、その一部をできる限りこちらの方の使用に供したいということで折衝いたしておるわけでございます。
○平野(力)委員 もう一点、この問題は法務大臣がいらつしやればわかることですが、これは大事なことです。青森県の赤石川という川をせきとめて、流域変更をして発電所をつくる。これは、灌漑水のために五百町歩の耕地がつぶれるという現実の問題で、地元で非常な騒ぎが起つておる。現在青森県の検察庁においては、この農繁期に農民を検挙し、かつ農民を起訴して裁判ざたにまでなつております。私はそういう問題についても、ただその地方に発電所ができれば電力ができるというのではなくて、農林省においても、この発電所建設の結果明らかに灌漑水がないために農村の五百町歩というものがつぶれるということであれば、これに対してどういう処置をとるべきであると考えておるのでありますか。これについてどういうようになつておるか、農林大臣並びに法務大臣から伺つておきたいのであります。
○保利国務大臣 農林省といたしましては、この既存の水利権が侵害を受けて耕作上非常な支障を来たすということになることは、非常に困る。しかしながら現地にいろいろの事情があることでございますから、水利権を許可せられた場合に条件がほぼついておるわけでございます。それがどういうふうになつておるか、至急県当局から報告をもらうように手配をいたしておるわけであります。
○三浦政府委員 お答えいたします。東北電力株式会社が、青森県の西津軽郡赤石村の上流にダムを設けまして流水をせきとめまして、発電所をつくる計画を立てまして、これを青森県が示しまして、昭和二十七年の十月に右許可になつたそうであります。ところがその許可に対して、村民が灌漑上非常に重大問題であるということで反対をしたために、村会におきましてあるいは賛成の決議をなし、あるいは反対の決議をしておつたのでありますが、本年の一月二十三日の村議会におきましては、将来における水利を保護するという条件をもつて賛成するという決議をしたのであります。その決議に基きまして村長及び村会議員全員が、二月一日に県当局並びに東北電力株式会社に、この条件の確約を求めるために陳情いたしたのでありますが、これに反対いたしまするところの村民の方々が非常に怒りましてその帰り道を待ち伏せして、村長並びに村会議員全部を村役場の二階に連れ込んで、あるいは胸を突きあるいは殴打する等の暴行を加え、さらにその役場の二階が非常に危険状態になつたので、そこから約五丁ばから離れた赤石中学校の講堂にさらに連れて行きまして、暴行脅迫を加え、前の決議を取消し、あるいは反対の議決をするように強要いたしまして、その旨の誓約書案をつきつけて、これに署名、捺印せしめた。ちようどその間午後二時ごろから午後八時くらいの間つるし上げになつたということであります。さらにその後三月六日に、一部の村民が村長を山の上の神社の拝殿内に連れ込みまして、さきの誓約書に基くところの村会の招集を迫り、また暴行、脅迫を加えた事件が起きたのであります。そのために青森地方検察庁におきましては、関係者の取調べをいたしておつたのでありますが、ちようど当時選挙中であつたので、五月二十一日から本格的に取調べをいたしまして、二十名の被疑者を検挙し、これが取調べをいたしまして、身柄はすべて釈放いたしまして、六月十五日にうち十一名に対しましては、暴力行為等処罰二関スル法律違反及び公務執行妨害罪によりまして、青森地方裁判所に対して公判を請求し、他の九名に対しましては情状によりまして起訴猶予した、こういう事案であります。
○平野(力)委員 ただいまの問題につきましては、法務大臣の代理の報告でわかつたのでありますが、言申し上げておきたいと思うことは、ともかく莫大なる外米依存によつて日本の経済が非常に困る。こういう問題を打開するということを、政府はただお題目だけでとなえるのではなくして、たとえば高松の飛行場にいたしましても、今御報告のあつた赤石川の問題でも、農繁期において、ともかく事のいかんを問わず農民を検束して、釈放したということでありますけれども、そういう事案の起らないように、総理は十分に注意されるべきではなかろうか、かように考えますとともに、最後に私は日本の将来の農業の方法として、どうしてもデンマーク式な方法をとらなければ、日本の食糧もできぬことは、衆目の一致をしていることなのであります。二男、三男対策、失業問題が大きな課題になつておりますが、私はこれは日本でできると信じております。 私は、最後に首相に申し上げたいのでありますが、デンマークが戦争に敗れて、ドイツにはキール軍港をとられ、また豊穣なるホルスタインをオーストリアにとられ、疲弊困憊のうちに立ち上つたものは何かといえば、銃で失つたものをくわの先で補え、これがデンマーク再建の根底なんだ。決して演説やその他のものではない。真実くわ先で補うという、食糧増産というところに今日のデンマークあることを考えれば、私は日本のあらゆる施策――物価の問題も、貿易の問題も、人心安定の問題も、食糧増産ということに、政府はほんとうに真剣になつていただきたい。またそうなるべきである。このことをかたく申し上げたい。委員長の時間がないという御注意でありますが、本来から申しますならば、私はまだ食糧増産を阻害する数々の材料を持つておりますが、委員長の時間制限でありますから、私は一応了承してやめますけれども、しかしこういう委員会はなるべく時間制限をしないようにお願いしたい。
○尾崎委員長 理事会の申合せであつたわけでありますから、御了承願います。黒田寿男君。
○黒田委員 私は本日は時間も十分ございませんので、対日MSA援助の問題に質問の範囲を限定いたしまして吉田総理大臣ほか関係大臣に質問をいたします。 質問に入ります前に、一言希望を申し上げておきたいと思うことがあるのであります。政府はMSA援助の問題に関しまして、従来までの各位の質問に対しましては、まだそれが交渉の経過に入つていないとか、米国の意向が十分にわかつていないとか、こういうような理由できわめて消極的な答弁しかしておいでにならないのであります。そこで私は、本日は私の質問事項の範囲を、この問題について政府にも明瞭にわかつておると、常識上考えられます事柄の範囲内に限定して質問をいたしたいと思いますから、どうか政府は答弁を回避なさらないようにお願いしたいと思います。 質問の第一は、これはわかり切つたことであると思いますけれども、念のために政府の考え方を承つておきたいと思います。それはMSA対日援助は軍事援助である。少くとも軍事援助を主とするものであると解してよいと思うがどうかという質問であります。この質問につきましては、いま少し具体的に説明した方が、私の質問の趣旨をももう少しはつきりさせることができると思いますので、若干の説明をつけ加えた上で、御答弁をお願いいたしたいと思います。わが国がMSA援助を受けるといたしましてその内容は米国及び日本の当局者が任意に決定できるものではないと私は思います。対日MSA援助は、他の国に対する援助と同様に、米国の相互安全保障法によつて規制せられておるものでありまして、相互安全保障法の規定にのつとり、その規定の範囲内で、各国のそれぞれの具体的場合に応じて具体的な援助内容が協定せられるものである、こう私どもは考えるのであります。従つてわが国に対するMSA援助の細目に関しましては、今後の交渉にまつべきものでありましようが、少くとも大綱は相互安全保障法それ自身によつてすでに規定されておるということができると思います。しからば相互安全保障法で規定されておる対外援助の内容は何かと申しますと、これは二種類にわけてあると私は考えます。普通にはアメリカの相互安全保障法に基いて行われる対外援助は、軍事援助、経済援助、技術援助の三種類であるというように説明されております。しかしこのような説明の仕方は私は適当でないと思う。私は相互安全保障法に掲げられております通りに説明した方が、より的確に援助の内容をつかめると思います。 〔委員長退席、西村(久)委員長代理着席〕 ここでは三種類に分類しないで、二種類に分類しておるのであります。すなわち第一は、広い意味の軍事援助、第二はいわば純粋な意味の経済ないし技術援助というわけ方であります。MSAでは援助の内容のわけ方に従いまして、被援助の資格条件をもそれに応じて定めておりますから、私はこのわけ方に従つて考えて行くことが事態をはつきりさせるものだと考えております。 そこで第一類の広い意味の軍事援助の内容は、第一は狭い意味の軍事援助、すなわち、大砲あるいは戦車、艦艇のような完成兵器を援助する、それから大砲や戦車や艦艇の操縦法を教える、または作戦の指導訓練、こういうことを行う。それから経済援助の中で純粋な経済援助を除いた、いわゆる防衛支持援助、すなわち被援助国の軍需工業に対する援助、これを具体的に言えば、工作機械とか戦略原料等を与えること、及び技術援助のうちの作戦指導に直結する技術協力援助、これであると思います。こういうものを含めたものがいわゆる軍事援助で、これが援助の第一類に規定されておるのでありまして、これは第五百十一条のaという項にそれが現わされております。第二類の援助は、先に申しましたような、経済援助のうちの純粋な経済復興援助あるいは救済、本来の意味の後進国に対する技術協力援助等であります。これが第五百十一条のbに規定されておる援助であります。 そこで日本がMSA援助を受けるとすれば、具体的にはこの二種類のうちのどちらであるか、こう考えてみれば問題がはつきりつかめると思います。どちらであるかといえば、今回の日本に対するMSA援助はほとんど軍事援助に限られておると見ることができます。何となれば援助国である米国が、すでに議会におきましてそのように決定しておるからであります。 そこで私は念のために総理大臣に質問をいたしますが、MSA援助問題の交渉が今日どのような段階にありましようとも、相互安全保障法の規定と、米国議会の審議の今日までの経過を見て、日本に対する援助の具体的な数額等のことは別といたしましても、援助の内容が軍事援助である、少くともそれを主要な内容としたものであるということは疑いのないことであると考えます。念のために総理の御見解をまず承つておきたいと思います。
○吉田国務大臣 この問題は私は詳しくありませんから、主管大臣からお答えいたさせます。
○岡崎国務大臣 今おつしやるような援助であろうと思います。しかしそれを軍事援助というふうに名前をつけられるのは私はどうかと思います。むしろもうとMSAの法案に忠実であるとおつしやるならば、a項の援助とでもおつしやつた方がいいと思いますが、その意味であります。
○黒田委員 言葉の使い方はどちらでもよろしいと思いますけれども、しかし外務省自身で最近御発行になりました雑誌の中でも、対日MSAの援助の内容は、主として軍事的なものである、軍事援助であるというように書いてありますから、この言葉が私は、最もよく内容に即しておりますし、また非常に援助の観念をはつきりさせる上に適当だ、五百十一条のaであるなどというようなことを言いましても、世間の人には何のことかわかりません。私はやはり私どものような言葉を使つた方がよろしいと思いまして、そう申したのであります。しかし内容においては私と同様に考えておいでになるようでありますから、それで私はけつこうであると思います。そこで対日MSA援助の内容がどういうものであるかということに関する見解では、私どもと政府とは相違がないと見てよろしいと考えます。 MSA援助の目的が、米国の安全保障を強化するとともに、被援助国の軍事的努力を促進するために行われるものであるということは、MSA法に明瞭に規定されておるところであります。そしてまた、このMSA法に基いて、わが国の受ける援助が、今申されましたように、軍事援助であるということも、ひとしくみんなが認めるところであります。まずこの点だけははつきりしたと私は思います。 この大前提がはつきりいたしましたので、そこで私には多大な疑問が次に起つて来るのであります。わが国が軍事援助を受けるためには、これを受け入れるだけの機関と申しますか、組織と申しますか、そういうものがなければならぬはずであります。軍事組織のないところには、軍事援助のしようがないではありませんか。われわれは保安隊は軍事組織であると思うのでありますけれども、政府はこれを否認しておいでになる。しからは一体他に何らかの軍事組織があつて、MSA軍事援助を受けるのかと考えてみても、そういうものは私ども何も発見することができません。一体軍事援助を受け入れる組織は何でありましようか。それとも今までにはないので、これから軍事組織を新たにつくり出すために軍事援助を受けるというのでありましようか。この点をお伺いしてみたいと思います。私どもは、そういうように無理な考え方をするよりも、既存の保安隊の力を増強させる、これが軍事援助を受ける意味となつておるのではないかと考えるのでありますが、そうでありましようか。保安隊が軍事援助を受けて、その力を増進させるということになりますならば、それは今でも保安隊が戦力であるかどうかという限界が非常に問題になつておるのに、それが、軍事援助によつてこれ以上に強化されるということになりますれば、だれが見ても、明らかに軍備の線に突入して行くということになるのであります。そしてこういうことは憲法を改正しないでできるものではありません。私は対日援助の内容が、主として軍事的な――主としてという言葉を私は使つておきましよう。多少経済援助もあると見てもよろしいけれども、主として軍事援助でありましよう。そういう軍事援助であるならば、わが国で受け入れる組織なり機関は何であるか。この点をお伺いいたしたいと思う。私どもにはわからぬ。これは総理大臣から御答弁を願います。
○岡崎国務大臣 これは政府としてはまだ具体的に何にも交渉しておりませんから、具体的の問題としては申され町ませんが、一般的に見ますと、世界のほとんど大部分の国は軍事力を持つております。軍隊を持つております。従いまして、アメリカが法律をつくるときに、ミリタリー・アシスタンスという字を使うのはあたりまえであると思います。そこでこれは英米法の基本的な見方からしましても、もし相手の国に軍隊がなければ、それに適応したやり方をするのは当然であろうと思います。現に五月五日のダレス国務長官の議会における証言を見ますと、日本に対しては、インターナル・セキユリテイ、つまり国内の安全と、ホーム・ディフェンス、これは自衛とでもいいますか、国内の防衛とでもいいますか、要するに国内の安全と自衛のために必要な武器取得の資金を提供する、こういうふうにいつておりますから、これは軍隊がなければ受けられないのだというようにお考えにならなくてもいいのじやないかと思いますが、正確のことはむろんわかりません。これは一応の法律的な解釈をわれわれがしてみただけであります。
○黒田委員 それでは、ついでに御質問申し上げますが、軍隊でなくても軍事援助は受けられるという。しからば日本では軍隊以外のいかなる組織がこの援助を受けるのでありますか。そのお答えがなかつたように思います。私どもは保安隊ではないかと思う。政府はどうお考えになつておいでになりましようか。軍隊でないにしても、何かそういう受入れの組織がなければ、あるいは新たにつくるという意図がなければ、いくらアメリカでも、軍事援助をしてくれるはずはないと思います。軍隊でないとすれば、それは何であるか。これをあわせて御質問申し上げます。 〔西村(久)委員長代理退席、委員長着席〕
○岡崎国務大臣 ただいまのような国内の安全と自衛のために援助をするということが、かりに事実となりますれば、お話のように、保安隊に対する援助ということになるかもしれないと思います。
○黒田委員 それは非常に注目すべき御答弁を承つたと思います。私にはMSA援助の受入れにつきましては、いろいろと疑問が起つて来る。これは私は決して議論のために議論をしておるのではございませんから、どうかそのおつもりでお聞き願いたいと思う。私は、アメリカから現在のような情勢のもとにおいて対日軍事援助を受けるということは、憲法上から申しましても、いろいろ難点があるように思う。この点だけは国民の一人といたしまして、できるだけ明らかにしておきたいと思いますので、次にそういう観点から二、三御質問申し上げてみたいと思います。なおこれは、岡崎外務大臣のお話でも、MSA援助に関しては、それは国会の承認を得べき協定となるのであるとおつしやつております。そして国会の承認を得べき条約については、私どもといたしましては、できるだけ事前審議をやりたいというのが理想でもありますし、憲法の精神でもあろうと思います。形式的にはまだ問題は議会にかかつておりませんけれども、ひとつ事前審議くらいのつもりで私どももいろいろな点をお聞きしてみたいと思いますから、政府もそのおつもりで率直にお答えを願いたいと思います。 そこで対日MSA援助が軍事援助であるといたしますれば、私どもに起つて参ります次の疑問は、わが国にはこのような援助を受け得る資格があるかないか、ないのではないか。MSA軍事援助を受けることは憲法に抵触するのではないか。憲法に抵触することなくして軍事援助を受けることができるか。私はできないと思います。私はこのことについて、援助を受ける資格という面から少し考えてみたいと思います。 相互安全保障法による援助を受けるためには、一定の資格が必要であること、及びその資格が何であるかということは、これからわが国とアメリカが話し合うべき筋合いのものではなくて、すでにその大綱、大筋、骨組は相互安全保障法で規定されておるのであります。私どもはそれ以外の資料によろうとは思いません。外務省もよく御存じの資料以外のものは用いないで質問を申し上げたいと思いますから、そのおつもりでお答え願います。 このMSAすなわち相互安全保障法では、軍事援助及び防衛支持の経済援助を受ける場合の資格と、狭い意味の経済及び技術援助を受ける場合の資格とを別々に内容を異にして規定をしております。これは岡崎外務大臣のお言葉の用い方に従いますれば、五百十一条のaとbとにわけてある、こう申し上げてよろしいと思いますが、そういうことになる。わが国の場合は、軍事援助及び防衛支持の経済援助を受けるのであります。ぼんやりと軍事援助であるとか、経済援助であるとか、技術援助であるというようなことを言いますと、混乱しますから、法律に従つてはつきり申しますと、わが国の場合は軍事援助及び防衛支持の経済援助を受けるということになる、これが岡崎国務大臣のいわれるところの五百十一条のaの意味であります。そこでこの中には、このMSAに列挙されている六項目の資格条項がありまして、これを満たさなければならなぬということになつている。ここが私は問題になると思うのであります。これは私の意見と申しますよりか、むしろここでは御教示を願いたいと思うのであります。先ほどちよつと外務大臣はお触れになりましたけれども、念のために、これは私の無学からの質問であるかもわかりませんが、御質問申し上げておきます。この六項目の資格条件のうち、第一に問題となりますものは、私は第三項の問題であると思います。それにアメリカが一方の当事国である多辺的または双務的の協定または条約に基いて自国が受諾した軍事的義務を履行することとありまして、この項目に同意することが被援助国の被援助資格の一つとなつておるのであります。私はここに問題があると思います。わが国は米国と軍事的義務を履行することを内容とするような双務協定または条約は締結していないのであるかどうか、これは私はあとからちよつと触れてみたいと思いますが、一般にはそういうものはないと言つておりますけれども、私はあるように思います。しかしそれはただいまは申しません。かりに締結してないといたしますれば、右に掲げられました条件を満たすことができなハもつであると見られて、被援助国たるの資格なしと解釈されるのでありますか。もしそのように解釈せられるということになりますれば、逆に、援助を受けるための条件を満たすためには新たに軍事的な義務の履行を内容とする双務協定または条約を締結しなければならぬことになると解しなければならないことになるのでありましようか。それともそうでなくて右の項目はそのように解釈すべきではなく、軍事的義務の履行を伴うような協定または条約を米国との間に締結している国の場合は、その軍事的義務を履行することに同意することがMSA軍事援助の受入れ条件になるけれども、そのような協定または条約のない国については軍事的義務の履行のしようがないかり、従つて軍事的義務の履行に同意するという条件はMSAを受け得る資格にはならぬ、そういうことは考えなくてもいいのだ、こういうように解釈すべきでありましようか。わが国の憲法との抵触を避けようといたしますれば、こうような解釈をした方がよろしいと思いますし、外務省も従来はこういう御解釈をなさつたようでもあります。ここは私の無知というところでありますが、私どもは外国の法律をあまり知りませんから、私どもがちよつと見たところでは、相互安全保障法の条文の書き方等からいたしまして、軍事的義務の履行を含む双務協定の存在と、それに基き軍事的義務を履行することに同意するということが、MSA軍事援助を受け得るための不可欠の条件になつているようにも思われるのであります。しかしこの点私にもはつきりしたことはわかりません。一応政府の御見解を承りたいと思います。
○岡崎国務大臣 これも話してみなければわからないのでありまして、今まだ話しておりませんからどうなるかそれはわかりません。
○黒田委員 私はただいまの外務大臣の御説明を納得いたしません。しかしこの点は私自身も確信を持ちません。問題点として残しておきたいと思います。 そこで次に起つて参ります疑問は、私はもう少し深刻であると思う。MSA援助が軍事援助であるといたしますれば、わが国にかかる援助を受け得る資格がないのではないか、こう私は考える。その考え方からいま一つ新しい問題を提起したいと思います。――委員長、総理がお帰りになりましたが、私はあとの質問で総理にお聞きしてみたいと思う点があるのですか……。
○尾崎委員長 その部分だけ御保留を願います。
○黒田委員 その部分と申されましても困ります。至るところで総理にも外務大臣にもお聞きしてみたいと思います。私は元来は総理大臣に主として聞きたいと思うのでありますけれども、総理がお話になりませんので、やむを得ず外務大臣にお聞きしておるのであります。どの部分を総理、どの部分を外務大臣と言われましても、わけることはできない。私は全部を保留さしていただきます。そして総理にそう長い時間をかけませんから、もう一度質問さしていただきたい、こう思いますが、どうでしようか。
○尾崎委員長 そうすると、きようはほかの大臣にはおやりになりませんか。
○黒田委員 重要な問題があると思いますので、私の希望としては総理も御出席になつていていただきたいと思います。だれが考えてみても、総理以外の方が適当だというような問題までも、総理にとは申しませんが、必要に応じてこれは重要な問題だと思いますものは総理に伺いたいと思いますので、次の機会を待つて、質問を続行させていただきたいと思います。
○尾崎委員長 ただいまの御連絡で御了解ができたように伺いましたので、総理はお帰りになりました。ほかの大臣に御質問がなければ明日……。
○黒田委員 岡崎外務大臣に失礼なことを申し上げるのではありませんけれども、問題の重要性のためにやはり総理がおいでくださる方が、私は適当だと思いますので、委員長に、できるだけ近い将来に、そう長くはかかりませんから……。
○尾崎委員長 きようの質問以外のところをお申出の通りにはからいます。
○黒田委員 それではきようはこれで中絶しておきます。
○尾崎委員長 それでは明二十五日午前十時より開会いたすこととし、本日はこれにて散会いたします。 午後三時五十八分散会