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16回国会衆議院1953/08/07

文部委員会 第24号

発言数
25
登壇者
6
会派数
3
開催日
1953/08/07

会議録

辻寛一自由党

○辻委員長 開会いたします。  当委員会は請願審査のためにさきに小委員会を設置いたしました。この際小委員長より小委員会における審査の結果報告を聴取いたすことにいたします。請願審査小委員長伊藤郷一君。

伊藤郷一自由党

○伊藤(郷)委員 簡単に御報告申し上げます。文部当局の説明を聴取するとともに昨日各小委員慎重審議の結果次の通りの結論に達しました。  請願日程中、第一、第三、第五、第八ないし第一三、第一五ないし第一七、第二九、第二二、第三七、第三九、第四〇、第四三、第五〇、第二五、第五六、第六〇、第六二ないし第六五、第六七ないし第六九、第七一ないし第八〇、第八四、第八五、第六七、第八九ないし第九三、第九五、第九六、第九九、第一〇二ないし第一一三、第一一五ないし第一一八、第一二一、第一二二、第二五、第一二六、第一三一、第一三二、第一三七、第一四二、第一四三、第一四九、第一五二ないし第一五四、第一六八、第一六九、第一七一ないし第一七五、第一七九ないし第一八一、第一八三、第一八四の各請願はいずれも委員の会議にはすることを要するものとして採択の院内閣に送付すべきものと議決し、請願日程中第一八、第一九、第二〇、第一一、第二四ないし第二六、第二八、第三〇、第三三ないし第三六、第四一、第四二、第四四、第四五、第四八、第五三、第五四、第五七、第五六、第七〇、第八一、第八八、第九四、第九八、第一二三、第一二四、第一二八、第二二第二八、第二二九、第一五一、第一七八の各請願はいずれも議決を要しないものと決し、他の各請願はいずれも保留すべきものとし、審査を延期いたした次第であります。  以上御報告いたします。

辻寛一自由党

○辻委員長 ただいま伊藤小委員長より御報告がありました。この際お諮りいたします。委員会としては小委員長の報告の通り決するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

辻寛一自由党

○辻委員長 御異議なしと認めます。よつてさように決しました。  なお陳情書の日程についてはその審査を延期いたすことにいたしたいと存じまするから、御了承をお願いいたします。     —————————————

辻寛一自由党

○辻委員長 次に義務教育費国庫負担法の臨時特例に関する法律案を議題といたします。これより提案理由の説明を聴取いたします。人達文部大臣。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 今回、政府から提出いたしました義務教育費国庫負担法の臨時特例に関する法律案について、提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。  現行の義務教育費国庫負担法は、昨年八月制定せられ、本年四月一日から施行せられたのでありますが、御承知の通り、この法律は、都道府県が負担する公立の義務教育諸学校の教職員給与費につきまして、原則として都道府県の実支出額の二分の一を国庫で負担すると規定しております。しかしながら現在この法律をそのまま実施した場合においては、従来国から平衡交付金の交付を受けなかつた都道府県が多額の国庫負担金の交付を受けることになり、地方団体の財政の不均衡を著しくいたすのであります。それは、この国庫負担制度を実施することから生ずる財政上の事情であるとはいうものの、現下の国及び地方を通ずる財政状況にかんがみる場合に、政府としてはこの事態に対する何らかの措置をとることが必要と考えるのであります。  そこで政府におきましては、さしあたり、国及び地方を通ずる財政上の必要な措置がとられるまでの間、義務教育費国庫負担金について臨時に特例の措置を講ぜんとするものであります。すなわち、地方財政平衡交付金法の規定による基準財政収入額が基準財政需要額を越える都道府県に対しましては、義務教育費国庫負担法第二条の規定に基き算定せられた国庫負担金の額から、基準財政収入額が基準財政需要額を越える額を控除して交付しようとするものであります。もつとも本年度におきましては、すでに現在義務教育費国庫負担法に従いまして、右のような都道府県に対しても義務教育費国庫負担金を交付いたしておりまするので、本年度については、このような都道府県に対する控除は、この法律施行後のことといたし、その額は原則として基準財政収入額が基準財政百需要額を越える額の十二分の八といたしたのであります。  以上がこの法律案を提案いたしました理由とその趣旨の大要であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御賛同賜らんことをお願い申し上げます。

辻寛一自由党

○辻委員長 次に補足説明を聴取いたします。田中政府委員。

田中義男文部事務官(初等中等教育局長)

○田中(義)政府委員 義務教育費国庫負担法の臨時特例に関する法律案の提案理由について補足説明をいたします。  この法律案は、二箇条からなるものでございます。第一条において、この法律制定の趣旨をうたい、第二条においてこの法律の実体的な規定を設けております。  第一条は、この法律が義務教育費国庫負担金に関して臨時に特別の措置を定めるものであることを規定しております。すなわち、国及び地方を通ずる財政の現状からいたしまして、義務教育費国庫負担法をそのまま実施することは適当でない状態にありますので、それに必要な財政調整の措置か講ぜられるまでの間、義務教育費国庫負担金について臨時特別の措置をいたすものであることを明らかにしております。  第二条は、地方財政平衡交付金法に規定する基準財政収入額が基準財政需要額を越える都道府県に対しては、義務教育費国庫負担法第二条及びこれに基く政令の定めるところによつて算定された義務教育費国庫負担金の額から、当該都道府県について算定された基準財政収入額が基準財政需要額を超過する額を控除する旨を規定いたしております。但し、この場合においては、控除する額は、義務教育費国庫負担金の額を限度とするものでありまして、基準財政収入額が基準財政需要額を越える額が義務教育費国庫負担金の額を越えるような場合においては、その義務教育費国庫負担金に相当する額だけを控除しようとするものであります。附則におきましては、この法律は公布の日から施行し、昭和二十八年度から適用することといたしておりますが、特に今年度につきましては、控除分についてその十二分の八を計算することといたしております。と申しますのは、すでに去る四月以来義務教育費国庫負担法に基いて、これらの地方団体に対しても国庫負担金を交付いたしておりますので、今年度は八月以降控除することとしてそれを十二分の八といたしたのであります。  附則第二項の但書は、この法律施行後におきまして給与改訂等特別の財政需要その他財政上の変動が生じた場合においては、十二分の八という率が必ずしも合理的とは申されない事情となつて参りますので、特に設けたものであります。  以上、逐条的に文部大臣の提案理由説明について補足いたした次第でございます。     —————————————

辻寛一自由党

○辻委員長 次に文部行政に関する件を議題とし、前会に引続き文部大臣に対する質疑を許します。町村金五君。

町村金五改進党

○町村委員 私は先般の委員会におきまして大臣からいろいろ文部行政一般についてお話を伺いたいと思つておつたのでありまするが、時間が足りませんでした。きようもまた時間があまりないようでありますから、本日は二点だけお伺いをしておきたいと思います。最近新聞の伝えるところによりますると、社会科協議会という団体がありまして、その団体におきましては、文部省が最近社会科から歴史科を独立させるという大体の方針をきめられたことに対しまして反対をしておるということが新聞に出ておるのであります。私はもちろん事の真相をつまびらかにいたしておらないのでありまするが、本日はこの歴史教育の問題につきまして、まず一言だげお尋ねをしてみたいと思うのであります。先日も私は西ドイツにおきます米国の教育調査団の報告を読んだ点について、私の所感の一端を申し上げたのでありますが、この歴史教育の面におきましても、ドイツにおける場合と日本における場合とにおいて非常な相違があるということで、私は、一驚を喫したような次第であります。すなわちドイツでは敗戦と同時に歴史教育というものに対します全国民の関心というものが非常に高まつておつたのでありますが、日本におきましては終戦後すでに数年、独立になりまして最近ようやくこの問題が朝野の論議の種になるというようなぐあいに、いかにも日本とドイツとの間に非常な相違があるということに深く考えさせられた次第であります。ドイツにおきましては終戦と同時に、政治家は申すに及ばず、あらゆる言論機関が敗戦の苦痛の中から、民族の歴史に対します愛着の必要性を叫び、民族自立の決意を全国民に要請したものであります。従つて敗戦直後におきまして何ら躊躇するところなく、いわゆるワイマール時代の歴史教科書を復刻いたしまして、これによつて歴史教育を続けて参り、さらにこの歴史というものに対する愛着というものは、結局民族再生の原動力という点において非常な強い関心を持つて歴史教育に当つているのであります。しかるに日本におきましては、占領行政の結果とは申しながら、何ら歴史教育の必要ということにつきまして、朝野ともにこれに対する十分な努力も払わず、占領軍のこういつた指示に対しましても少しも抵抗を示さぬ。むしろ進んで日本は歴史を忘れてしまつたというように申し上げても私は決して過言ではないように思うのであります。すなわち日本に対しまする調査団の勧告におきましても、あるいは客観的の歴史と神話とを分離し、歴史は歴史として教えるということはさしつかえがないということを認めているにかかわらず、これを一切無視してしまつている。また大正十五年版の歴史教科書を利用することはさしつかえがないということを言うているにもかかわりませず、これらはいずれも実施しないで、アメリカ式の社会科の中に一切を解消せしめてしまつたというところに、私どもは日本の当時の文部当局の考え方というものに対して非常な不満を感ぜざるを得ないのであります。最近文部大臣の諮問機関であります教育課程審議会の結論として伝えられるところによりますれば、この点について若干の改善が加えられることになり、文部省は学習指導要領というものを改正して、ただちにその指導に乗り出す意向であると聞いているのでありますが、その答申案を私はまだはつきり読みませんけれども、これの答申案として伝えられるところによりますと、歴史というものは高等学校において初めてこれを科目別に扱う、社会科から分科させるということをきめ、これを必須科目として教育することに答申が出ているようでありますが、小学校あるいは中学校では依然として必須科目としない、社会科の中でこれを行うにすぎないと言われているのであります。私はこの答申案というものも、もちろん従来の日本の歴史教育に比べてみますれば、多少の進歩ではございますけれども、私どもははなはだこれには不満足であります。むしろ義務教育の課程においてこそ歴史は独立科目として、これを必須科目として徹底した教育を行うということが当然であると私どもは考えるのであります。この点をひとつ伺いたいと思います。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 歴史教育はきわめて必要である。ことに今日の日本のような場合において特に重大であるという点につきましては、私は町村委員とまつたく同感であります。わが国の歴史教育が戦前と申しますか、昭和の初頭においてある程度歪曲されておつたというようなことが、これはあつたかもしれぬと思うのであります。しかしながら終戦後におきましては、往々にしてわが民族が努めて自分の過去を忘れ去らんとするがごとき傾向がある。またことさらに民族の歴史を悪く悪くと歪曲して、そうして民族としての自己否定であるがごとき観がありますが、私は非常に遺憾である。私はかくのごときことでわが国家の再建を考えるのは非常にむずかしい、こう思うのであります。今日学校教育におきまして、歴史教育を従来の形式におきましても内容におきましてもはつきりとした系統的な、基礎的な知識を与えまして、いい点についても悪い点についても民族の過去の足取りをはつきり認識することによつて、初めて健全な愛国心というものが育つて来るものであると私は確信をしているのであります。ところで御指摘のように、ただいまこういう見地から教育課程審議会に諮問をいたしまして、その答申を待つて——これが大体審議を尽されまして実は本日答申が提出されるように聞いております。これは何といいますか、専門家の手で審議されるのでありまして、もちろんその意味におきまして十分意見を尊重しなければならぬと考えております。どういう答申が参りますかまだ実ははつきり——大体もうわかつているのでありますが、私はまだつまびらかに検討はいたしておりませんが、社会科のうちとしてかりに取扱われるにいたしましても、現在の社会科の内容といいますか取扱い方といいますか、それをそのまま存置するという意味にはならぬのであります。私はこの点は実はあるいは間違つているかもしれませんが、社会科というものはいわゆる社会科学、ちようど理科の中の生物学、物理学、数学、そういうものを同じ学問の中に入れていると同じように、社会科の中におきましても歴史というものを従来とは違つた取扱い方をするということはその筋に反するものでもなく、またできないことではない、とこう思つているのであります。でこれを社会科と切り離したものにするとか、あるいは社会科というわくの中でするかということは、むしろ形式の問題ではないかと思うのであります。ただお話になりました義務教育の課程におきまして歴史を必ず習わせる、こういうことは私もまことに重大であると思います。なお審議会の答申につきましてよく検討してできるだけさようなことにいたしたいと私としては考えております。

町村金五改進党

○町村委員 ただいまの歴史教育につきましては、教育課程審議会の答申というものに文部省としては一切拘束をされて、それから一歩も出ることができないといつたようなものでございますか。それともこれは参考案としてお考えになるというふうなものでありますか、その点をひとつお伺いしたい。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 この審議会の法律上の性質は、文部大臣の諮問機関でありますから、その答申が文部大臣を拘束することはないものと推察しております。

町村金五改進党

○町村委員 私最後に伺いたいと思いますことは、先日もちよつと日教組の問題について承つたのでありますが、この点につきまして私の所見を申し上げて、大臣のお考えを承りたいのであります。  日教組は、教育倫理綱領というものを定めておるのでありまして、教師は労働者であり、教師は団結するということを規定いたしておるのであります。さらにその運動方針におきまして、教育労働者としての階級的立場を明らかにして闘うということをうたつておるのであります。最近私が見ました日教組が発行しました「新しく教師になつた人々へ」というパンフレットの中におきましては、われわれは労働者の側に立つて日本の横暴な資産階級のわがままと闘うのであるということをうたつておるのであります。すなわち日教組は単なる教員の待遇改善のための団体ではなくて、資本家に対立して階級闘争を行う労働階級の政治的団体であるということを明確にして行動を続けておるのであります。従いまして、この日教組の考え方と申しましようか、日教組のいわゆる教育者というものに対しまする考え方には、私どもは根本的な異論を持つものであり、また多数の国民も教員は労働者というふうには考えていないのでありまして、むしろ全国民的立場に立つて生徒の教育にあずかつていただきたいということを念願しておるのが、私は今日全国民の気持であると考えるのであります。従いまして、そういう見地から考えてみますると、日教組がかような機械的な階級的世界観に立ちまして、教員は労働者であるということを規定しておりますことに、私どもは衷心から不安を感じ、また不満を感ずる次第でございます。すなわち日教組は、かような根本的な考え方に基きまして、全国、五十万の教員をかような考え方にはめ込み、ときにはその思想あるいは行動の自申すらも制附する場合もあると伝えられ、あるいは強引な政治活動を行うような場合もあるのであります。しかもそれのみにとどまらず、かような考え方なり、かような方針というものは、生徒、児童に対しまする教育にまで及んでおるのであります。この影響はすでに随所に現われておるのでありまして、主ことに容易に看過しがたい事実であると私は考えます。今日父兄や国民が教育者に求めておりますものは、先生方が公正な立場に立つて、健全な思想と円満な常識を教育していただきたいということを心から念願をいたしておるのでありまして、決して階級的な世界観に立つた偏した知識と思想を教育してもらいたいということを考えていないものが大部分の国民であろうと考えます。事実教育者としてのたつとい使命を自覚いたしております者は、みずから労働者であるというこの考え方にも矛盾を感じ、また深く煩悶をしておる者も少くないことと私は考える次第でございます。  政府はさきにこの日教組の政治的偏向を是正する考えもあつたのかと存じまするが、山口県日教組の日記帳問題に関連いたしまして全国教育委員会に対して教育の中立性維持に関する次官通牒を発せられたのでありまするが、日教組がそのよつて立つところの教員が労働者であるという理念を根本的に改め、その性格法を変革しない限り、私は文部大臣の一片の通牒をもつてこの問題は解決し得るものでないと考えるのであります。この点は文部省も十分御承知のことであると私は考えます。従来政府は、この日教組の問題に対する対策といたしましては、往々にいたしまして法的措置をもつてその政治的偏向を矯正しようというような試みをやられたのでありまするけれども、しかし私は組合自体が、教育者としての崇高な使命にかんがみて、虚心坦懐に自己批判を行わない限りは、私は法的措置のみによつてかような大きな目的を達成することはとうていできないと考えます。今日薄給に悩んで働いておりまするところの教育者の方々が、自己の待遇改善のために団結するというその気持はもとよりわれわれわかるのであります。しかしながらそれだからと申しまして、今日の日教組のあり方がそのまま是認されるというわけにも参らないと私は考えます。この際文部省といたしましては、法的措置をもつて日教組に対するという考え方からさりに一歩前進されて、むしろ大臣が文教行政の最高責任者として、また全国父兄の輿望をになう立場にあられる者といたしまして、進んで日教組の幹部とひざをまじえて懇談し、崇高なる教育の使命と教員のよつて立つべき国民的立場について心から訴え、そうして日教組のあるべき本来の姿に立ち返らせるために最善の努力を試みられる必要がある、私はかように考えるのであります。この点につきまして文部大臣の御所見を伺つておきます。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 今日教職員の待遇はまことに貧弱であります。また戦争前の昔でも義務教育に当つておられた教職員の待遇はきわめて貧弱であつたのであります。これは自分としてはつとめて待遇の向上をして、教職員が安んじてこのたつとい自分の職務に専念することができるようにしなければならぬと常に考えておるのであります。ただ戦争前におきましては全般的に教職員の風潮が、薄給に甘んじながら次代の国民をつくるというそのたつとい使命といいますか、その天職というものをよく自覚して、そのたつとい使命に殉ずる、こういうことが少くとも全体の風潮であつたということが、とにかくわが国の教育が明治五年以後着々その成果をあげ得た大きな原因であると思うのであります。しかるに戦後におきましては、ただいま御指摘のありましたように、この教職員をもつて組織しているところの日教組が、資本家に対する階級闘争を目標に掲げまして、今日各種の政治活動をやつている。これは戦前と今日とを比べてまことにたいへんな相違であります。私はこれは喜ばしい現象とは決して思いません。と申しますのは、教職員諸君が政治活動をされるということ自体は別に非難すべきことではありますまい。しかしながら教職員が政治活動に没頭して、ことに階級闘争を呼号して立つ、大事な教育に当る人がそうなつては教育の中立性が維持できるかできぬかということは、これは紙一重のことであります。観念的に、あるいは理論上教育の中立性が維持せられておれば、教員そのものがどういう考え方をしようとさしつかえないじやないか、こういうことは言い得るのでありましようが、実際はそういうものではない。現に教育の中立性が脅かされている事例は、私は探せばいくらでもあるかと思うのであります。ただどうしたらばこの教育の中立性を完全に守り抜くことができるか、これは教職員の側において自覚されることが第一でありましよう。また教育の中立性を守るために、さらに立法手段に出ることが必要であるかもしれません。私としては就任後日も浅いのでありますが、とにかく、これはわが国の将来のいわば運命を決するところの重大なことであると考えますので、あらゆる検討をして、全力をあげてわが国の教育のあり方というものを確立することに努力したいと思つておるのであります。それがためには、ただいまお話になりましたような日教組の諸君とよく話合うということも、決して辞するものではありません。しかしながら今日の模様から見ますと、ただ何回か話合つただけで、これはなかなか解決するものでもないと私は思うのであります。なぜなれば、ただいま御指摘になりましたよりに、資本家に対する階級闘争という考え方に立つておるのでありますから、これはなかなか話合いでという問題ではないと私は思う。やはり全般的な社会情勢というものが教職員諸君あるいは日教組の幹部の諸君の気持をかえる、別な人生観に立つようになるということでなければ、なかなか一朝一夕には解決かできないものであると思うのであります。私は繰返して申しまするならば、教員個人がどういう政治的な考えを持つていようと、あえてそれにやかましく干渉すべき筋合いではないと思います。ただその結果として教育の中立性が侵されて、へんぱな片寄つた教育のもとに、次代の青年、次代の国民層が形づくられるという危険があるとするならば、これは場合によつては教職員の自粛を促し、自粛しなければ、さらに何かの方法をもつてこの最も大切な教育の中立性というものはあくまでも守られなければならぬ、これが守られなければ日本の国の前途は危い、かように考えておるのであります。

町村金五改進党

○町村委員 この問題についての質疑は私これで打切ります。  なお時間がないのでありまするが、先般大臣に御質問を申し上げて、時間の関係で大臣がお帰りになりまして御答弁いただけなかつた点を一つだけ御答弁いただきたい。それは大学教授の待遇の問題であります。その節も申し上げたのでありますが、最近人事院は政府に給与準則の改訂に関する勧告を提出され、大学教授の給与につきましても、多少改善が加えられているように見受けられるのでありますけれども、しかしながら私はその勧告をもつていたしましても、大学教授とした、あるいはまたわが国の学問の最高水準を行く研究者たるにふさわしいものでないことは申すまでもないと考えます。先ごろもこの委員会におきまして、大学教授の内職問題がたまたま論議されたのであります。私は先日も申し上げました通り、諸般の観点から大学教授の待遇には思い切つた改善を加えられる必要があると思います。この点先日御答弁をいただけなかつたので、ひとついただきたいと思います。これをもつて私の質疑を打切ります。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 御指摘の通り、今日の大学の教員の待遇は決して満足すべき状態にありません。しかしながらこれは一般の公務員の給与等いういろいろ関係がありまして、大学の教授だけを取上げまして、他のものと非常に懸隔のある待遇をすることは、必要ではありますけれども、実際問題としてはなかなかむずかしいのでありまして、私どもとしてはできるだけ大学教授の待遇を向上することに努力をいたして、大学教援が真に自分の研究、教育に専念できるようにしたいと考えております。

辻寛一自由党

○辻委員長 野原君。

野原覺日本社会党(左)

○野原委員 きようは最終の本委員会でございますので、いろいろ大臣に対して残された問題についてお尋ねをいたしたいと思うのでございますが、幸い町村委員から日教組に関連した問題なり、歴史教育についてのお尋ねがございまして、大臣が御答弁されましたので、私はこの点から最初に私のお尋ねをいたしたいと思うのであります。まず第一は、歴史教育の問題でございますが、私もまた決して歴史教育を否定するものではありません。いなむしろ今日の日本において歴史教育が最も必要であることを、私自身認めているものでございます。しかしながらややもすると、私どもが歴史教育という場合には、戦争前の日本歴史、国史教育、こういうようなことが先入主的に頭の中を走るのであります。こういう点について大臣は一体どういう内容の歴史教育をお考えでいらつしやるのか。あなたは歴史教育を盛んに主張せられているのでございますけれども、大臣が言うところの歴史教育とは、いわゆる過去の侵略的な日本人であつた、八紘一宇といつたような意味の日本人をつくるというような歴史教育であつてはならないと思うのでございますが、具体的にいつてどういう御配慮のもとに歴史教育を考えていらつしやるのか、念のためにお教え願いたいと思うのであります。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 私は先ほど町村君のお尋ねに対しても、その点ちよつと申し上げたのでありますが、戦争前の八紘一宇などというような歴史教育のやり方を復活しよう、こういう考えは毛頭持つておりません。私は前申しますように、教育がある考え方に片寄ることはよくない、戦争直前の学校教育はやはり片寄つて行われたという事実を認めている。でありますから私は戦争前の歴史教育をそのまま前の教科書を持つて来て教えよう、そういうことは毛頭考えておりません。今日までの研究の過程において、何人も異論のない明らかな史実というものを国民に教え、知らしたい、こういう気持であります。

野原覺日本社会党(左)

○野原委員 大臣はこの委員会におきまして、愛国心という言葉を盛んにお使いになられておるのでございますが、私もまた愛国心の点においては人後に落ちるものではないのでありますけれども、しかしここで私どもが考えなければならない点は、愛国心という場合にややもするとお互い国家主義的なものが先に立つて来るのであります。従つて一体愛国心の国とは何か、こういう点を十分にきわめないというと、とんでもないことになるのではないか。いつかも申したかもしれませんが、愛国心の国とはやはり何といつても国民だ、国民大衆だと思うのです。国民大衆を愛する心が愛国心だ。そうなりますと、国民大衆を愛するということは、結局国民大衆の幸福を願う心でなければならない。従つて私どもが愛国心を涵養するという意味で歴史教育を主張し、それを取上げる場合には、日本国民が今後ほんとうに仕合せなそして平和な国民であることができるような歴史教育を考えなければ、これは真の歴史教育の意味をなさない、このように思うのでございまするが、大臣は愛国心ということを具体的にどう考えていらつしやるのか、お教え願いたいと思います。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 愛国心については、ただいま野原君の申されましたように、国民大衆に対する愛の気持である、こう思います。さらに具体的に言えば、わが国土を愛し民族を愛する。そしてその国土を愛し民族を愛する気持は、自分のかつてなことばかり主張しないで、相携えて民族の繁栄をはかつて行きたい、こういう気持が私は愛国心であろうと思うのであります。歴史教育においてどういうやり方で子供に愛国心を鼓吹して行くかという意味のお話でありましたが、私は歴史教育というのは、まずわが民族の過去の足取りというものを、よきにつけあしきにつけ正確な事実を知らせる、こういうことに重点を置きたいのであります。どういう方向に子供をひつぱつて行くとか行かぬとかいうことは、これは直接に歴史教育の目的ではない。過去の民族の事実をはつきりつかむことによつて、はつきり知ることによつて、そこにおのずから国土を愛し民族を愛する気持がわき起るものであつて、こういうふうに子供を導いて行こうとか、こういう考え方に持つて行こうとか、そういうことが歴史教育のうちにおいて意図せられるべきものではないと私は思う。これはあなたが先ほど仰せになりました戦争直前の教育は、そういう点があつたかもしれません。しかし私は、そういうことに持つて行こうとは毛頭考えておらないのであります。

辻寛一自由党

○辻委員長 野原君、ちよつと待つてください。実は参議院の地方行政委員会から大臣を呼びに来ておりまして、法案の審議最中だそうでありますので、大臣にちよつと向うへ行つてもらいますから、そのあとにしてください。

野原覺日本社会党(左)

○野原委員 私の質問は町村さんに関連して聞いただけなんですから……。参議院の方は今大臣が出なければならぬことはないでしよう。     〔「そんなことはない」と呼ぶ者あ   り〕

辻寛一自由党

○辻委員長 暫時休憩いたします。     午後零時二十六分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた〕

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