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16回国会衆議院1953/07/31

農林委員会通商産業委員会連合審査会 第1号

発言数
100
登壇者
10
会派数
4
開催日
1953/07/31

会議録

井出一太郎改進党

○井出委員長 これより農林委員会、通商産業委員会連合審査会を開会いたします。  臨時硫安需給安定法案及び硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法案の両案を一括議題といたし、連合審査を進めます。  両案の趣旨につきましては、各位のお手元に配付いたしました提案理由説明書によつてごらん願うことにいたしましてこれよりただちに質疑に入りたいと思いますから御了承願います。     —————————————

井出一太郎改進党

○井出委員長 質疑は理事会の申合せによりまして、農林、通産委員交互に行うこととし、本日のところはお一人当り三十分の限度においていたしたいと思いますので、この点御了承の上簡潔にお願いいたします。まず足立篤郎君。

足立篤郎自由党

○足立委員 質疑に入ります前に、次会の連合審査会までに通産当局から資料をいただきたいと存じますので、私の希望を申し上げておきます。終戦時における国内の硫安の製造能力は、工場別にどのような状態にあつたか、またその当時の各工場別の生産費はどの程度であつたか。なおその後今日まで各工場の合理化が促進されて来たのでありますが、その合理化促進の過程はどのようになつておるか、この実態につきまして、わかつておるだけお知らせをいただきたいと思います。特に工場別の、合理化のために投下された資本の額、なおまた、その投下された資本によつてどのように工場施設が合理化され、増産能力を発揮しつつあるか、投下資本に対する増産能力の発揮の状態、なおその結果コストがどの程度現在引下げられて来ておるか、こういつた点は、貨幣価値が違いますので、物価指数等をかけ合せて試算をしていただいて、参考に供していただきたいと思うわけであります。なお投下されました資本のうち、政府があつせんしたものはどの程度あるか、なおまた統制経済巻時、通産省がもつぱら所管されまして補給金を出しておつたのでありますが、この実態と結果はどうなつておるかというような点につきまして、できるだけ詳細に資料をとりまとめて、この法案審議の必要上、ぜひともいただきたいと存じますので、まずもつてお願いをいたしておきます。次回の連合審査会は、ただいまの理事会の予定では、来週の火曜日ということでございますが、それまでに今私が申し上げた資料を提出していただけるかどうか、その点御所見を伺いたいと思います。

古池信三自由党通商産業政務次官

○古池政府委員 ただいま御要求になりました資料は、さつそく帰りまして、できる限り整えて提出をいたしたいと考えます。

足立篤郎自由党

○足立委員 次に質問に入りますが、現在世界中でおもなる硫安の輸出国と目される国々における硫安の生産費は、ドル換算でどのようになつておりますか。また東洋市場で今日本と争つております西ドイツの実態についてお調べになつたことがあるか、特に伺いたいのは、西ドイツが東洋市外確保のために、特にダンピングを行つておる形跡があるかどうかという点につきまして、通産御当局の御答弁を願いたいと思います。

中村辰五郎通商産業事務官(軽工業局長)

○中村(辰)政府委員 お答えいたします。西独におきます硫安の生産コストでございますが、これは生産コスト自体は、先般通産省の係官がドイツに出張いたした場合に、すみやかに調査を依頼いたしましたが、コストについてはお話できないということをきつく断られたような事情もございますし、また生産コストにつきましての権威ある出版物その他も入手できない事情でございまして、明確に西独のコストを判定することは困難でございますが、私どもの入手いたしました考え方としましては、大体西独の国内で販売されております価格をもとにいたしまして考慮いたしておるのでございます。大体国内で四十五ドルから五十ドルの範囲で動いておる、こう考えているのではないかと見ております。最近は四十五ドルを割ると見ていいのではないかと思います。ただ西独の硫安コストと日本とを比較いたす場合に、コストの差違がどういう点に強く現われておるかという資料といたしまして、調べたものをちよつと申し上げておきたいと思います。  実は石炭について申し上げることが、一番適当かと考えます。石炭につきましては、先般のシューマン・プランの発足以来、ドイツではトン当り大体四千三百八十円、これはコークス原料炭でございまして、以前はもう少し低かつたように了承しておりましたが、最近の調べによりますとただいま申し上げました通りでございます。ボイラー炭につきましてはドイツは日本と情勢を異にしておりまして、ドイツでは褐炭を利用いたしております。この褐炭の価格は大体二千円見当と考えられます。コークスは六千九百円程度でございます。これに対しまして日本の石炭価格を考えますると、粘結炭で七千二百円見当が現状かと考えられます。コークスは大体一万円と考えてよろしいかと思います。この石炭の価格の相違がコストの重要なる因子をなしております関係もございまして、私は西独の今日東洋に参つて売られておる価格が、この価格の差から見ましてはたしてダンピングであるかどうかということを考える場合に、国内価格の四十五ドルを前提といたしまして、船運賃を考慮した価格を考えますと、簡単にダンピングであるというぐあいに結論を下し得ないのじやないか。やはりコストには相当安い原因が伏在しておる、こういうふうに考えます。

足立篤郎自由党

○足立委員 私は今国際価格と国内価格の差異を生ずる根本的な原因について第二問に伺おうと思つておりましたところ、その一部分をお答えなさつたのであります。石炭についての差異は了承いたしましたが、電気その他の原材料につきましておわかりになつている点がありましたら、なるべく詳しくお知らせいただきたいと思います。

中村辰五郎通商産業事務官(軽工業局長)

○中村(辰)政府委員 電力について申し上げたいと思います。肥料の使つておりますのは大口電力と申しますもので、日本は現在二円八十三銭程度でございます。英国が三円九十一銭、米国が三円六十銭見当でございます。これはちよつと古い年度のものでございますが、英国、米国ともに現在も移動いたしておりません。これは英米に旅行された者の話を確認いたして申し上げるのであります。なお西独につきましては、ただいま申し上げました英国並とお考え願いたいと思います。なおここに付言いたしますが、日本の大口電力の二円八十三銭と申しますのは、将来の電源開発とか、そういつたようなものについての要素を織り込んだものではございません。現状のものであります。

足立篤郎自由党

○足立委員 そうしますと、電力については国際基準よりも日本の方が安いと見ていいのでありますか。

中村辰五郎通商産業事務官(軽工業局長)

○中村(辰)政府委員 現状では安いと考えてよろしいのであります。

足立篤郎自由党

○足立委員 過日私ども農林委員会の肥料に関する小委員会に提出されました資料を拝見いたしますと、電解法による場合とガス法による場合との比較が出ておりました。その説明によると、電解法による方がコストとしては安いのであるけれども、総掛費といいますか、間接経費の面が、フルに運転していないために割高になつて、現状においてはガス法よりもかえつて結果が高くなつて来ているという説明で、私どもとしても非常に奇異の感に打たれたのでありますが、ただいま通産御当局の説明を伺つても、石炭は国内においてははるかに国際価格を上まわつておる、電解においては逆にはるかに安いという結果になつておるわけでありますが、こういつた根本的な事情があるにもかかわらず、私どもが過日拝見をしたコストの内容につきまして、電解による工場の出されたコストというもの、特に間接費の関係等を現状におきまして、通産御当局は妥当なりとお認めになるのでありますか。その辺の御所信を伺いたいと思います。

中村辰五郎通商産業事務官(軽工業局長)

○中村(辰)政府委員 御指摘の点につきましては、第一には電解の操業度、ガス法の操業度の差が、ガス法については現在においては大体九〇%を越えるような情勢であります。雷解法については六〇%以下でございまして、これは年間を通じての数字でございます。そういう操業度の差異が間接費その他に影響いたしまして、電解法が御指摘のようにコークス法に比して不利だというように数字が出ておる一つの理由と考えられるのであります。しかし先般肥料対策委員会に出ましたコストにつきましては、通産省といたしましてはこれが具体的な内容の検討という点に立ち至りますと、究極には価格の強制調査というようなことをいたしませんと、権威あるお答えを実はいたしかねるのであります。本国会に需給安定法を提案いたしました一つの重点は、この価格調査権を確立するという点にあるのでありまして、その点を一応申し添えさせていただきたいと思います。

足立篤郎自由党

○足立委員 私にこういつた技術的方面はしろうとでございますので、この機会に、多年この方面に携わつて来られた通産当局にはつきりした御見解を承つておきたいと思うのであります。この電解法とガス法の問題でありますが、かりに双方がフルに運転をして、そして原材料が正常価格であるという場合、つまり電力と石炭との価格のバランスが正常な状態に置かれておるという状態を仮定してみた場合に、この電解法によるのと、ガス法によるのとコストはどのように違うべきでしようか。何パーセントくらいの差異があつてしかるべきものであるかという御見解を承りたい。

柿手操六通商産業事務官(軽工業局化学肥料部長)

○柿手政府委員 その問題は、電解法とガス法のそれぞれの原材料費のところで比較すると、現在の電力と現在の石炭、コークスの価格においてどのくらいの差異か一応わかると思うのでありますが、固定費の方ではそういう操業度において非常に左右されるのであります。原材料費のところではむろん操業度によつて原単位の非常によい場合と悪い場合とありますけれども、概数的な観察としては、原材料費のトン当たりの相違が現在の原材料の物価の状況においては大体比較できると思うのであります。それでこの前の春の肥料対策委員会に、肥料の十四社の電解法とガス法との平均コストのデータを提出されておるのでありますが、それによりますと、電解法の工場の平均原材料費は一万二千百十二円であります。ガス法の原材料費は平均一万四千四百五十八円であります。従いまして二千三百四十六円ばかりガス法の方が原材料が高い。操業度がおおむね同じであれば、まず二千数百円はガス法の方が高いと、大体大ざつぱに推定してよろしいのではないか、かように考えます。

足立篤郎自由党

○足立委員 国内で今できております硫安が、電解法によつてできるものと、ガス法によつてできるものとの割合はどうなつておりますか、また外国ではどのような事情になつておりますか。

柿手操六通商産業事務官(軽工業局化学肥料部長)

○柿手政府委員 現在の日本の電解法とガス法との能力の比は、大体七五%はガス法で、二五%が電解法というふうに大ざつぱではありますがなつております。外国の場合は電解法は少いのじやないかと思います。詳しいパーセンテージまではわかりません。

足立篤郎自由党

○足立委員 西ドイツは……。

柿手操六通商産業事務官(軽工業局化学肥料部長)

○柿手政府委員 西ドイツはガス法の方が多くて、電解法の方が少いと思います。

足立篤郎自由党

○足立委員 ただいま電解法とガス法との現状におけるコストの開きというものは二千数百円だという御説明でございますが、これはやはり操業度というものが非常に影響して来ますので、私がさつき申し上げた仮定の上に立つて、大ざつぱに、専門家の立場であなた方がどれくらいと、パーセンテージでけつこうですから、一割あるいは二割雷解法の方が安いのだという試算をなさつたことがありますか。常識的にどのくらいを押えたらいいんだというような研究をなさつたことがありますか。

柿手操六通商産業事務官(軽工業局化学肥料部長)

○柿手政府委員 それは電力その他電解法と石炭法との原材料の単価の変動で、それは想定すれば計算できますが、今お尋ねのようなことは試算したことはないのでありますが、今の物価の状況におきましては、大体御説明申し上げましたように、一割程度は安いというふうに考えております。

足立篤郎自由党

○足立委員 私の伺いたいのは、ただ現状を伺つておるのではなくて、合理化促進の法案が出ておりますから、今後合理化をするんだ。それには技術的に見通しなしに、ただ合理化を叫んでもしようがありませんので、西欧諸国と対抗できるような安いコストでつくるためには、石炭は非常に高い。そうすると補給金でもつけない限りは安い価格の硫安ができないということで、手を上げてしまうわけでありますから、電解法に切りかえてやれば、これだけコストが安くなるのだという指針なしに合理化の促進はできないと思いますから、伺つておるのです、そういう趣旨でお答えをいただきたい。

中村辰五郎通商産業事務官(軽工業局長)

○中村(辰)政府委員 ただいまの御質問にお答えいたします。これは御質問にもございましたように、一つの仮定を前提といたしまして、実は国際価格との競争の問題を片ずけるには、政府はいかなる施策をしたらいいかという根本問題でございますが、これを一つの計画としまして数字的に申し上げますれば、これはただいま申しましたように、現実にどう動くかということとやや遊離する点もあるかと思いますが、お聞きとり願いたいと思います。硫安工業のコスト低下の第一問題としましては、硫安工業それ自体の合理化をまずやりたい、こういうことを考えまして、昭和二十八年度を第一年度といたしまして、向う五箇年間、特に最初の三年間に設備投資に集中をいたしまして、効果をできるだけ早く出したいという意味合いで考えておるわけであります。この財政投資の目標といたします意味は、資金効率のいいものを選びまして、大体設備の総額として百六十億を考えます。財政投資は大体開銀に依存するのが政府の現在の方針でございますので、このうち五〇%程度を開銀融資に期待いたしたいと思います。この計画を推進して、結論にはどの程度に下るかと申しますと、一トンに対しまして二千四百円程度の値下がりを期待できる。五箇年投資でありますから、完全には六年目に出るわけですが、六年目の数字で申し上げますと、二千五百二十八円、かます当たり九十五円程度下る、こういう考え方であります。  それから石炭の値下りの問題ですが、これはただいま申されましたドイツのものと日本のものとを比較いたしますと、これは根本的にドイツ並に石炭価格はできないと思います。それで通産省の事務当局では、縦坑開鑿工事及び機械化ということを考えておりますが、これによりますと、石炭の価格は大体二割下るというふうに想定しておりまして、これを硫安の方に考えて参りますと、大体千六百六十五円程度下るのではないかと考えられます。なお電力の問題でございますが、電力による操業度の上昇をどの程度に考慮するかという一つの仮定を入れなければなりませんが、大体現在コークス法の操業度は九〇%前後であります。これを技術的に最大限度行くとして、九八%でガス法を持つて参るという想定をいたします。それから電解法の問題でありますが、今後の電源開発が大体ダム式を中心とした開発計画でありますので、その点から申しますと、電解法の操業は、今日よりも相当有利になるのではないかと考えます。しかし、そういう電源開発を前提といたしましても、操業度と申すものは、年間を平均いたしますと、大体七五%程度が適当ではないか。こういう二つの前提をとりまして、生産額は二百八十五、六トンになる。量のふえることも一つの前提にいたしますが、同時に電力料金が今後の開発のために相当割高になりますので、これを全電力量に配分いたしまして、値上りが五年の後には大体二五%程度料金が上るのではないかと考えまして、操業度の上昇による利益が電力料金の今申しました程度の値上りを勘案いたしまして、操業度上昇によるコストの値下りは大体金三百五十円くらいではないかと考えます。以上を寄せたものが大体今日考えております硫安工業の合理化方策の基幹をなす問題でございまして、トン当り五千五百円程度の価格引下げということを、一応今のようなラインで考えますと可能ではなかろうかと考えております。

足立篤郎自由党

○足立委員 前提になります話を長くしておりますと、時間が切れてしまいますから次に移りますが、今度の法案に出ております輸出会社は、法案に出ておりますことはさておきまして、どのように運営なさるつもりか、特に質問申し上げたい重点は、国際価格は現在安い。これは事実のようであります。そういたしますと、赤字が出る。その赤字は一体どれくらいになるか。これに対してこの輸出会社なるものは、どのようにしてこの赤字を克服して行くか。将来この赤字を政府で補給せよというような問題が起つたときに、政府はどう対処するのか。あるいは赤字を克服するためには、貿易上の特権を認めるというような話も聞いておりますが、それについて政府はどのようにお考えになつておるかというような点につきまして、一つ一つ質問しておりますと長くなりますから、ひとつ総まくりで御説明願いたいと思います。

中村辰五郎通商産業事務官(軽工業局長)

○中村(辰)政府委員 輸出会社の運営の問題につきましては、基本的には、この輸出の現在の情勢が一応限定されて続くものと見まして考えますと、輸出会社は当初におきましては当然赤字が出ると思います。ただ、ただいま申し上げましたような硫安工業、あるいは関連産業の合理化を推進して参りますことによりまして、この会社もいずれ黒字になり得るという見通しを立てておるわけであります。同時に今の貿易上の特権の問題でございますが、本来こういつた会社にありまして、その赤字を貿易上の特権によつて埋めるという一つの基本的な考え方でございますが、たとえばバーターというようなものを一つ取上げて考えてみましても、これは合理化を促進するという建前からいたしますと、万やむを得ない場合の措置というぐあいに私は考えたいのでございまして、そういう意味合いから、この会社に対する特権というものについては、強く与えようというような考え方でなく運営して参りたい。自主的に赤字処理の建前としましては、あくまでも合理化を推進して、収支を何箇年か本会社存立中には合理化をいたしまして、できるだけ赤字を漸減さして参ると同時に、企業としては黒字というような態勢に持つて行く手段にいたしたいと考えております。収支の考え方でございますが、一面輸出価格をどの程度に見るかということ、並びに現在のコストがどこまで適正であるかという点が一つの問題点でございますが、先ほども申し上げましたように、生産コストを的確につかんでおりません現状で、この収支を明らかにするというようなことはなかなか困難かと考えております。両法案の成立後におきまして、そういつた点も明確化すると思います。そういう意味合いにおきまして、先ほど申し上げました硫安工業の操業度維持並びに内需に対する価格上の安定と同時に、輸出による赤字を転嫁させないというような、制度的な確立をここに期待して、両案を提案した次第でございます。黒字、赤字の数字の点につきましては、正確にはそういつた調査の上で明確化いたしたいと思います。

足立篤郎自由党

○足立委員 私がはつきり伺いたいのは、政府が今回の硫安の輸出会社に関する法案をお出しになるのに、貿易上の特権を与えることによつて、この赤字をなるべく克服して行くのだという説明を、関係者からも公の席上で伺つております。この貿易上の特権とは、他の貿易業者と比べていかなる特権を与えるのか。これを具体的にお示し願いたいと思います。巷間伝えられるところによると、うつかりすると、かような特権を与えることによつて、不急不要物資、普通ならば外貨の割当のない、たとえばバナナのような物資を割高に輸入して割高に輸出をする、こういう実例もあるという話を聞いておりますが、さようなことは通産省は御存じないのですか、事実あるのですか。こういつた点をあわせて御説明いただきたいと思います。

中村辰五郎通商産業事務官(軽工業局長)

○中村(辰)政府委員 ただいまのこの会社に対して、バーター的な意味において特権を与えるかどうかという問題でございますが、先ほども申し上げましたように、輸出会社に対して特定の、そういうようなことを行うということを建前といたしまして考えることは、もちろん合理化の促進を阻害する面もございますし、同時にそういつた利益を与えることが、硫安の輸入国に対してかえつて輸出引合い上の不利を招くというようなことが考えられますので、もし行うといたしましても、万やむを得ない何かの場合と考えておりまして、どういう物資をバーターとしてやらせるかというようなことは、情勢というものを十分考えた場合でなければ結論し得ない問題でございまして、今日そういつた御質問のようなことを明らかにいたしていることはございません。

足立篤郎自由党

○足立委員 それでは結局その都度輸出会社、あるいは硫安メーカーが悲鳴をあげて、通産省に泣きつく。その都度検討をして認めるものは認めるということになるのですが、こういつた問題は、私の考えでは、やはり基本的な線がはつきりしておらないと、輸出貿易の管理をなすつていらつしやる通産省の立場としても非常に困る問題が起きるのではないか。むしろ国会で明らかにして、国会で認められた線はいつでもやり、それ以上の特権は認めないということの方が、話がきちんとしていいのではないか。今までのお答えですと、かえつていらざる疑惑を招くような結果になりはしないかということを憂慮いたしますがゆえに伺つているのでありますが、はつきり伺えないでしようか。

中村辰五郎通商産業事務官(軽工業局長)

○中村(辰)政府委員 ただいまの硫安会社に対しまして、どうしてもこのバーターを考えなければならないような事態が起きたといたしましても、このバーターによります輸入というものは、既定の輸入のわく内で処理いたしますもので、御質問の点にございましたような、不急不要物資を入れてどうするというような結果に相なるものとは考えておりません。

足立篤郎自由党

○足立委員 私は実は最も重要な問題を残しているのでありますが、特にこの輸出会社というもの——輸出に現在困つております産業は、ひとり硫安だけではないのであります。硫安は大部分が国内で消費され、一部を輸出する。ところが原材料を貴重なドルを使つて輸入をして日本で加工をして、大部分外国へ出さなければならないという重要産業において、輸出に行き悩んでいるといつた産業が、当然こういう輸出会社、独占会社ができれば、これを範として輸出の振興をはかりたいということで、猛烈な運動が起つて来るだろうと思うのであります。こういつた問題に対する今後の政策を、政府としてどういうようにお考えになるかという基本的な問題を伺いたいのであるが、今日は通産大臣もお見えになり化せんので、この問題は後日に譲り、時間もありませんので、残余の質問を留保して、本日の私の質疑を終了いたします。

井出一太郎改進党

○井出委員長 永井勝次郎君。

永井勝次郎日本社会党(左)

○永井委員 農林大臣にお尋ねをいたしたいと存じます。今日問題になつている肥料問題は、年産二百万トン内外の肥料生産に対して、国内消費が百五十万トン、輸出が大体五十万トン内外、この五十万トン内外の輸出が世界市場において出血となり、その圧迫を国内の農民に転嫁しているという問題が、今回起つて参りました肥料問題の内容であろうと考えるのであります。われわれはこういう条件の中で肥料を国の重要な産業として、一面輸出産業としてこれを正常に発達せしめ、一面食糧増産の重要な一部として肥料生産を健全に発達せしめなければならない。こういう企業の内容において、二つの異なつた性格のものを一つの企業の中で調和させて行く、また国内的、国際的いろいろ諸情勢、そういう客観的な条件の相反したものを一つの企業の中で、あるいは配給の中で調整して行くというところに今回の問題の重点があると考えるわけでありますが、これに対して農林大臣はどのようにお考えになつておられるか、承りたいと存じます。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 御質問の御趣意が私には的確に捕捉できませんが、肥料問題をどういう線で解決をして行こうと私ども考えているかということを申し上げたいと思います。  御承知のように、戦争によつて肥料工場というか、非常な打撃を受けて、ほとんど荒廃状態に陥つている食糧増産の声が非常にやかましい。要請が強い、肥料工場はやられて肥料はない。それにこたえて、終戦後の肥料課題として硫安百万トンの増産、百五十万トンの増産ということを目標として……。(「それはわかつている」と呼ぶ者あり)ところが内需に耐え得る数量をいつの間にか突破して、二百万トンというような大きな生産が上るようになつた。ところが内需をオーバーするような生産ができるようになつたときには、全体の国際価格に非常な立ちおくれが来て、内需だけで事が済んでいるときはそう大した関心を呼び起す問題ではなかつたわけですが、事一たび外へ出て、国際競争において非常な低位に立つて来て、そこで数量よりも合理化、価格の問題はどうかというところで、問題が非常にやかましくなつて来た。お話のように、外に対しては出血輸出をして、内需に対してその損失を転嫁せしめておるじやないかという疑いすら起させるようになつた。今度そういう上から行きまして、政府としましても、硫安肥料はどこでも第一に内需に応ずるという趣意の上から、かなり国家的助成を今日まで払つて来ておる。従つて内需を確保するということはこれはもう当然のことであります。しかしそれが国際価格に比して今日非常に割高になつておる。この矛盾を一体、どう解決して行くか。しかも相出の生産力を持ち得るようになつておるのを、それじやもう一ぺん内需の線でやめておくか、こういうわけにはむろん参らない。日本の産業構造の上から行きましても、とにかく肥料工業の持つ前途というものは、資源的に見ましても非常に有望な、また東洋の農夫方面の肥料の需要くらいは、日本の肥料工業がこれを受けて立つくらいのところにならなければならぬ。この両様のところに、できるだけ早い時期に割切つた姿に持つて行きたいというのが、今日の肥料法案を提出したゆえんであります。従つて一面におきましては内需に対する数量と、価格の安定を確保しつ、外に対しては、むろんこれは内需との関係におきましてもそうでありますけれども、できるだけ大急ぎで合理化を促進して、そうして輸出の面においても競争力に耐え得るようなところに持つて行きたい、こういうねらいの上に実は立てたのであります。

永井勝次郎日本社会党(左)

○永井委員 大臣は私の質問が悪かつたのかもしれませんが、正しく把握していない。日本の肥料は、明治十七年品に生産し始めてずつと時代々々によつていろいろ変遷をして来ておりますが、常に政府の助成のもとに庇護されて今日の大をなして来ている。ことに終戦後においては傾斜生産で、特に重点を置いて何したために復旧が早かつた。肥料問題は今日突如として——大臣が今言うように出血輸出というような形で、あるいは国内需要を上まわつた生産を持つて来たから、こういう問題が突如として起つたものではなく、肥料の問題というのは幾たびか対立の経過をたどつて今日まで来ておるのであります。農民とメーカーと中間にはさまつた商人との利害衝突、それを中心とした政治的な取引、議会におけるそれぞれの時代のいろいろな力関係で、あるいは法律の問題となり、あるいは経済的な問題となり、いろいろな変遷をして今日まで参つておりますことは、私は大臣の説明をお関するまでもなく承知しておるのであります。そういうように肥料の問題は、常に農民とメーカーと商人との利害の衝突の繰返しである。その繰返しは、政治的な力と結びついて、メーカーが常に農民を押えつけて来た、農民を搾取して来たのが肥料の今日までの、歴史なのである。そういう歴史を背景として今日この肥料の問題というものが起つて来た。今度の肥料問題の特段性は何かというと、出血輸出という問題である。その出血輸出を国内の農民に転嫁しているという問題である。従つて今度のこの肥料問題に対する対世としては、この農民に対する転嫁という問題の解決と、歴史的に長い間変遷し来つた多年にわたる農民搾取の事実を——一面は輸出産業であり、一面以国内の需要である、しかも食糧増産というのは終戦後における、また国際値勢がこういうふうになつて来た現在の段階においては至上命令である。こういうところで特に国内の需要の面における肥料の対策を確立して行かなければならない。この問題にこたえるのが今度の対策であると私は考えるのであります。その意味において、今度のこの二つの法案というものは、この肥料問題解決に要請している条件に適応するかどうか、その条件を満すものであるかどうか、こういうことを大臣に伺つておるのであります。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 その二つの要請におこたえしたいということでこの法案を提案しているわけであります。そこで、おそらく問題は、この輸出会社という考えを取上げたところに大きな論難があろうかと思います。私はそういう上から行きましても、むしろ輸出構機につきましては、ばらばらでやつたらいいじやないかとか、あるいは組合でやつたらいいじやないかとか、あるいは公団的なものをつくつたらいいじやないかとか、いろいろな意見があつたようでありますけれども、そういう問題を割切つた姿において、少くとも輸出の面から来るマイナスを内需に転嫁せしめないという割切つた姿に持つて行くためには、むしろ会社案を採用することの方かいいんじやないかという考えで、この法案を出しておるのであります。

永井勝次郎日本社会党(左)

○永井委員 今度の法案は、単に問題になつた肥料問題に対する方法論だけをきめておるのであります。価格を公定する、あるいは企業の合理化によつて値段を下げる、こういう方法論だけを何しているのであつて、過去六箇月間にわたつて審議会をつくつて、コストを引下げる条件はどこにあるのか、価格の点において生産原価がはたし、どうなつているのか、こういういろいろな事実の究明かなされて、その究明なされた事実の診断の上に立つ方法輪というものが正確に出て来なければならない。ところがその方法論が生れて来る基礎となるべき原価計算がはたしてどれくらいなのか、あるいはこういうふうな不合理な、農民を多年搾取して来た原因がどこにあるのか、あるいはどういう点を重点的に合理化されて、どういうふうになるのかといろ、この方法論の生れて来る前の問題に対する事実の究明が少しも明らかにされておらないのであります。しかも突如としてこの法案が出て来たというならよろしいのでありますが、政府は、少くとも六箇月の長期にわたつて対策委員会をつくつて、そこで全知全能を拙めて努力を傾注して、国会に対しては、対策委員会が審議しているからその結論を待つてくれ、こういうことを要求して来た。その六箇月の審議の経過を通して明らかにされたものは何というと、明らかにされたものは何もない。結局生産原価はわかりませんでした。現在の機構の中では生産原価をつかむ方法はございません。だからこういうことで公定価格あるいは合理化によつてこういうふうにして、今後は皆さんの要請におこたえします、こういう方法論でこれをごまかそうとしいる。この方法論の生れて来る前提件としては、事実というものが明らかにされなければならない。生産原価どうであつたかははたして農民に転嫁しなかつたのかどうか、転嫁していたのかどうか、この点の問題を明らかにされなければなりませんが、この点対する大臣の見解はいかがでありまか。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 肥料問題は、できるだけ内需の確保をして、しかもその確保した内需の肥料の価格ができるだけ安く講ぜられるように持つて行くというのが、肥料政策の根本でなければならぬと思う。そういう上から行きますれば、つかめない形に、実情になつているものを先につかんで行かなければ話にならぬのじやないかと言われるようですけれども、つかまんがためにこの法案をお願いしているのであります。だからつかみました上で、一面においては合理化法案によつて肥料工業の合理化促進をはかつて、できるだけ国家の力も加えて、そうしてコストの引下げをして安い肥料をつくつていただくように、外に対しては、東洋の市場までも脅やかされて来ているところを何とか確保して行くようにいたそうという、二つの面にこたえたいというのでこの提案をいたしたのであります。

永井勝次郎日本社会党(左)

○永井委員 今日肥料問題に対する農民の感情は、九百円の肥料が八百円ならけつこうなのだ、七百五十円ならけつこうなのだ、こういう金額の多少の問題でございません。食糧増産が重要であると政府が声をかげながら、米の価格は公定で、生産費よりも安く買い入れて、その重要な因子である肥料においては、出血輸出の赤字を農民に転嫁して知らぬ顔をしている、こういう政府に対する不信と、悪辣なる業者の搾取に対する感情の響きが肥料問題として提起されております。その問題を解決する基礎となるものは、高い安いの問題、金額の問題ではなくして、転嫁したかしないか、その基準となるべき生産原価はごうだつたのだ。従つて今後こういうふうにやるのだ、こういう問題が提起されなかつたならば、農民感情はこれを理解するものではありません。農民は政府を信頼してない。業者を信頼してない。だから問題は、生産の合理化をやります、公定価格をやりますというかわり、特にいろいろな手練手管をつかう前に、ガラス張りの中で事案はこうなのだという、事案を示すことがいろいろな言葉を使つて弁解する必要は何もない。事実はこうなのだという事実を与えるごとによつて、問題が早く雲散霧消するのであります。そういう問題を第二にしておいて、方法論だけで将来はこうなるのだ、こういうごまかしをしておるというところにわれわれは非常な不満を持つて、この法案の生れ方、それからまた今後における運営のごまかしがここにあるのだと、われわれはこう考えるのであります。  そこでお尋ねをいたすのでありますが、農林大臣は、今度の農林省におけるところの需給調整の法案はこれでよろしいといたしましても、肥料の輸出会社をつくる、そうして今後公定価格で引取つて、そうして赤字をたな上げしておいて、合理化によつてそれを埋めて行くんだ、こういうやり方によつて農民にその輸出による赤字が転嫁されない。それから正しい農民への一つの経済操作の中で、業者のメーカーなり、あるいは肥料商人のしわ寄せを農民の頭に転嫁されない。こういう組織が完全にでき上り、そういう経済的な運営が可能であるとお考えになつておるかどうか、この点を伺いたいと思います。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 はたして通常言われております出血輸出でありますかいなか、これにも疑問があると思います。あるいはまたその結果が内地農民に転嫁せられて、不当に高い内地の価格になつておるというような誤解もあるいは正解かもしれません。いずれにいたしましても、原料におきましては、生産コストがどうなつておるか、中間経費がどうなつておるか、これが的確に捕捉しがたいのでございますから、転嫁せられておるということに対して、いや転嫁していないということを断言し得る材料はないと思います。しかしながら出血輸出をして、しかも会社が立つているわけであるから、内需に転嫁して立つているわけではないかと言われても一言もないことになろう。しかしまた同時に、それでは内需の百五十、百六十万トンの生産で打ちとめておつて、操業の短縮等をして、それでは内地価格というものが今日の価格で保たれておるかといえば、これは保たれないという説の方が非常に多い。でございますから、いずれにしてもそういうふうな割切れざる形になつておりますから、その点に対してはつきり、決して生産コストの上に立つて、適正な価格以上に内地農民に御負担をかけないようにはつきりいたしますために、割切つたこの会社案を一面につくつて、輸出会社でたな上げする——損失分をむしろ経理上各メーカーで処理した方がいいじやないかという御意見もおありのようですけれども、そうすることがまた合理化を促進して行く要因にもなるという御意見もあるようでございますけれども、そうしますと、個々の会社に経理上の処理をさせれば、なるほど合理化という一つの促准の材料になるかもしれませんけれども、同時にそれはまた内需に転嫁しておるという誤解を強く抱かしめることになりますから、従つてこの輸出会社に損失の分はたな上げをする。しかも輸出会社に対して、経営上の運用によりましてできるだけその損失をカバーしつ、一面合理化を促進してこれを吸収して行くようにすることが、内地農民の利益を守る上から言つても大切ではないか、こういうふうな考えを立てております。

永井勝次郎日本社会党(左)

○永井委員 大臣にお尋ねしますが、出血輸出の赤字分を農民に転嫁したのか、はつきりはしない。またこれが高いのか、安いのかもはつきりしない。そういう議論で行くならば適正価格ということもわからない。だからそういうものをはつきりするために今言つたような基礎となる因子の究明、真実の究明というものが必要ではないか、そういうものを究明しないでおいて、その次の問題をどうやる、こうやるといつても解決するものではない。そういう一つの事実が究明できないのかどうか、今日の段階では、たとえば生産原価というものは調べ上げることができないのでありますかどうか。調べ上げるというよりも、会社がこれを拒否しておるためにできないとか、あるいはうその届出をしておるからできないとか、あるいは現在の法律のもとにおいては、会社の経理内容までを政府が調べることができないから、それを明らかにすることができないとか、そういう現在明らかになるべき生産原価というものがわからないままになつている理由はどこにあるのか、これを大臣から承りたい。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 法制上、有権的にそれを明らかにする道は今日はございません。しかしまあ産業行政の当局において、合理化等を今日までも決してゆるがせにして来ておるわけではないし思いますから、従つて合理化等を推進せしめて行く、また指導行政の衝に立つておるところからいえば、お前のところはもう少し合理化しなければいかぬじやないか、どういうふうなつているのだ、そういう点で多少の資料を得るというにはあるかもしれませんが、その経理を点検して、コストを見るというようなことは今日の制度のもとではできていないわけでございますから、そういう制度を開いて、そうして事実を明らかにして、内地の価格に対する割切れざる形にもこたえて行きたいと思います。

永井勝次郎日本社会党(左)

○永井委員 そういたしますと、自由党内閣は、自由主義経済が経済の正しい、量も効率的な発展の基礎であると、従来自由経済を筋金として通して来たのでありますが、こういうやり方は自由経済の原則のどういう部分に……、自由主義経済の発展としてこれを認めるのか、あるいは自由主義の否定としてこういう法案を認めるのか、これをひとつ大臣から伺いたい。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 私は学者じやございませんから、そういう議論はわかりませんけれども、要するに内地のこの肥料価格の適正な解決をはかつて行くためには、こういう処置をとる必要があり、それが自由経済とどうなるかこうなるかということは、私の頭ではわかりません。

永井勝次郎日本社会党(左)

○永井委員 私は政府が機関を設けて、六箇月かかつても肥料の生産原価ひとつ明確にすることができないという、こういう自由主義経済の組織の中で、またその帳簿も調べることができないのだと、こういうことを公然と天下に、大臣がこの議場を通して公表できるほど無責任な、この一私企業の利潤搾取のままにまかしておいて、少しもそれに対する制約や何かができないという、この状態から見ましても、現在までできないものが、今度のこういう組織を、かりに自由主義経済を否定して、自分は間違つていた、自由経済では、正しい一つの肥料メーカーの暴利を抑制する道はないのだというので、心を改めてこの法案を出して参られましたことは、一つの進歩であるとわれわれは考えるわけでありますけれども、しかしこういう形において、はたして今後の肥料の問題を正しく発展せしめることができるかどうか、私は非常に危ぶむのであります。こういう形を通して、また百六十億の合理化資金を投じて、あるいは肥料輸出会社にたな上げしておつて、そうしてこれを財政投資で埋める、こういう形によつてこれをごまかしてしまうのではないか。こういう形ではどうにも正しい一つの合理化を促進し、国際市場において肥料の輸出を、西独なりベルキーなりの各国と競争して太刀打ちできるような諸条件というものは私はないと思う。政府が今日公言しているような合理化を二年や三年のうちに、しかも肥料企業一つの分野においてこれを合理化するだけではなくして、これの関連産業として電気もあるいは石炭も、広汎なこれに関連するところのケミカルの産業分野において合理化をやつて行くのだ、こういう条件がこの二、三年で達成できるとはわれわれは考えられないのでありますが、この方法によつて、中途半端なこの方法の中で、またメーカーの利益を擁護するというような底意を持ちながらつくつているこの法案の中で、大臣ははたして農林大臣にかけている農民の信頼にこたえる一つの結果が期待できるとお考えになるかどうか。期待できるとお考えになるならば、その具体的な根拠、抽象論でなしに、こういう形によつてこういうふうになるのだという、その具体的な根拠をお示し願いたいと思う。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 当面といたしましては、内需の価格が適正な価格で農民の手に渡るということにいたしたい。しかしてこの合理化を促進することによつて、できるだけ国際価格に近いところに持つて行つて、安い肥料を確保するというねらいをもつてこの法案を出しているわけであります。ただ私は自由主義の後退とか自由経済のどうとか言われますけれども、私どもはやはりこの日本の置かれておりまする情勢が、何といつても輸出貿易第一だ、貿易産業第一だという上から行きまして、これはやはりできるだけ自由競争の考えをもつて行かなければ、とうてい産業の発展なんということはできない、そういう考えは一貫して持つております。

永井勝次郎日本社会党(左)

○永井委員 自由競争でやるというならば、百六十億の合理化資金なんかの投資は必要ではない。しかもそのうちの半分は財政投資をやろう、そういう必要性はどこにある。大臣が認めて、自由主義経済でなければだめだという考えを持ちながら、こういう形によつて百六十億の合理化資金を私企業につぎ込む。そしてそのうちの八十億を国家の財政投資をやるという根拠はどこにあるのですか。どういう理由によつてこれをやるのですか。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 私の申し上げ方が悪かつたかもしれませんけれども、合理化も政府が強制してやるのでなしに、業者が合理化する熱意がなければできないわけです。従つてあくまでも業者の自由意思に基いて合理化を促進して、国家が助成をはかつて行くということの考えにおいては、この点は少しも間違いはなかろうと思います。

井出一太郎改進党

○井出委員長 永井君、申合せの時間が参つております。

永井勝次郎日本社会党(左)

○永井委員 ではもう一つ。私はまだまだ今度の法案の重点は、価格の公定をどういうふうに、何が適正価格かという問題と、この企業合理化の問題とありますが、ただいま大臣のお話のようであるとすると、金だけはやるのだ、しかしこれをどういうふうにしてやるかということは、私企業だから企業者の自由意思に基くのだ、こういうことになると、一体合理化によるところの肥料問題の解決の責任というものはどこにあるのですか。私の企業のメーカー側にあるのですか。これを伺います。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 それは肥料工業を継続しておやりになつて行こうというならば、勉強してください、という勧告をするわけでしよう。そうして企業合理化をやるから、これこれのめんどうを見てくれないかということに対しては、できるだけの助成をして行く、こういう考えであります。

井出一太郎改進党

○井出委員長 井上良二君。

井上良二日本社会党(右)

○井上委員 昨年、肥料が国内需要をまかないまして輸出ができる情勢になりましてから、輸出問題をめぐつて、肥料問題というものが非常に大きな問題になりました。爾来約十箇月の長い間にわたつて、この問題は国会を通じていろいろ論議をされて参りました。その結論として、ただいま通産、農林両委員会に、肥料問題に関する両案が提出されておるのでありますが、この法案を見まして、私どもは政府としては一つの進歩であると考えております。従来肥料に対する無方針が初めて一つの軌道に乗つて行つて、政府の方針によつて肥料を動かして行こうという、肥料に対する明確な線がここに打出されたということは、私ども肥料問題を扱つて来た者としましては、非常に喜ばしい傾向であろうと思います。ただこの法案を見ましてわれわれが考えますことは、いかにしてこれを具体的に効果あらしめる法的処置を貫くかということが問題として残つて参るのではないかと思います。そこでこの際、特に私どもがこの法案を見まして、この法案が規定してあります法的効果をあげるためには、政府といたしまして非常なる決意を要すると私は考えております。と申しますのは、硫安工業全部を政府が国家管理するという立場で臨みますならば、これは仕事は非常に楽でございます。またこれに関連する電力、石炭、硫化鉱、鉄等の産業と金融を総合的な計画を立てて押えて行くということで肥料を管理するということなら、これはまた楽でございます。ところが私企業でありますものを国策に沿わそうとし、一つの協力を求める法的効果をねらうということは、なかなかやつかいなことになりはせぬかと思います。一つは価格を引下げるための措置としての生産費の調査の問題、さらにまた今度は合理化その他によつての増産の結果、どれだけ国内百需要を押えて余つたものを海外に出すかという需給の調節の上にも、いろいろ問題が起つて参ります。そこで私どもいろいろこの法案を検討して、特に農林大臣にこの際伺いたいのは、この法案の中心をなしております需給計画と生産費の調査の問題であります。その結果出て来る最高価格決定といいますか、価格統制の問題であります。この点から考えて、肥料産業のうちで特に硫安工業だけを押えて、はたして政府の計画しておるような安定した肥料価格になると、一体農林大臣はお考えでございますか。たとえ通産委員会にかけられております硫安工業の合理化の案の内容をいろいろと検討を加えて参りまして、硫安工業自身に対しての合理化なり近代化を推し進めることによつて、予定通り五年目に約十ドル以上の開きを縮めるだけの効果があがると農林省はお考えになつておりますか。このことは国内価格の安定の上に重大な関係がありますから、まずそれを先にあなたから伺いたいのであります。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 専門的なことは私にはわかりませんけれども、ただいま考えておりまするような合理化が促進をされますならば、大体五年後には十ドルぐらいの引下げは可能である。それを目標として法の運用をはかつて参りたい、行政措置を講じて参りたい、こういう考えであります。

井上良二日本社会党(右)

○井上委員 これは大臣は通産省との関係で十分御検討をする時間がまだないかも存じませんが、大体通産委員会の法案審議の経過におきまして、五年後においては、合理化によつて大体六ドルくらい価格差を縮めることができるということを言われております。それにまず石炭、あるいはまた電力の割当その他の対策を総合的に考えて十ドルくらいまで行きはせぬか。こういうところが大体の目分量ではないかと思つております。ところが硫安工業自身の内部における合理化、近代化の問題は、非常に限られた問題でありまして、この面の効率はそれほど大きく考えられない。それよりももつとわれわれが期待をしなければならぬのは電力であり、石炭であり、硫化鉱であります。この肥料産業、特に硫安工業に対しては、年間の需給計画をちやんと立てて、しかもそれに対して生産費の調査を権力的に行い、法的根拠をもつて最高価格まで押えようということで、国内価格の安定のためにも、外国へ輸出する肥料も、そこまで統制的権力を振うのに、硫安工業の価格形成のうちの一番大きい要素である石炭と電力と硫化鉱に対して、何らの手を加えぬというのはどういうわけですか。これは片手落ちと思われませんか。これは国務大臣としてお答えを願いたい。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 今お話のように、設備の改善等によつて大体六、七割の引下げの原因になり、石炭や電力等の合理化並びに増強をはかることによりまして三、四割引下げに持つて行きたいというわけでございますから、石炭の合工理化につきましても、これは御承知のように今当局において炭価の引下げについては努力を払つております。電力につきましても、電源開発を強力に推し進めておりますから、これも決して空疎な基礎の上に立つて申し上げているわけではございません。問題はそつちの方が非常に大きいの、だとおつしやいますけれども、硫安工場の施設の改善、経営の合理化ということがやはり一番大きい要素を占めておる。そこに向つてこの法律のねらつておる措置を強く講じて参りたいと考えております。

井上良二日本社会党(右)

○井上委員 これは私率直に申し上げますと、この法案のねらつておりますのは、結局は海外での競争に勝ち抜くための硫安工業の合理化の問題であり、それからまた逆算をして、国内価格をどうするとか、需給調整をどうするとかいうことから、大体の考え方というものは来ているのでしよう。そう考え不在すと、さきに通産省の方からの御答弁がございましたけれども、政府は現に日本の国際における競争相手である西独なら西独の硫安の生産費を押えていないのです。現実にどのくらいでできるておるか、また今後どうなつて行くかということについての相手方の情勢をちやんとはつきり押えておつて、そこでわれわれもこれに歩調を遅らせないように、これに勝ち抜く対策を講じて行く、こういうことが必要だと私は思う。ところがドイツの方における市場価格はわかつておるけれども、現実の生産コストの内容については全然わかつていない。これはまたわからぬのが当然かもわかりません。けれども、ドイツのいろいろな諸条件を検討し、今後のドイツにおける合理化なり近代化の方向なりテンポを、われわれはおよそそろばんに置いていなければならぬのに、政府のやつているのは、現在の位置が不動なものとして、これから五年後にはこうなつて行くという相手の進歩発達ということは、ちよつと忘れておるというてはいかぬけれども、どうもそこまで行きおつたら議論ができぬよつて、今日の市場価格をこうしておけということでおるじやないか。そういう点から、これはやはり相手のあることですから、相手がどうかわつて行くかということをわれわれは見抜いて、それに対する対応策を国策として樹立する方針をきめなければいかぬところがその国策が立つていない。そこに大きな問題があるのではないかと思うのです。と申しますのは、われわれがここでいか国内の価格がどうこう言うてみたつて、この国際価格がどうなるかということはあなたの所管であり、それが国内価格に重要なる影響を持つて来ます。そこでかりにこの法案が通りまして、現実の状態のもとで輸出しようとすると、現実に十五、六ドルの開きが出て来ます。海外は十五、六ドル安いのです。そうして国内は十五、六ドル高いものを買わされておる。この価格差をあなたは農民から質問を受けたときに、政治的にどう答弁しますか。五年先になつたら必ず国際競争に勝ち抜くだけに安くするから、今は少々困るであろうけれども、政府としても国際価格に追いつくために全力を上げているの、だから、農産物の価格その他であんばいするによつて、ひとついましばらく高いのはがまんしてくれと言うのには、国際価格に勝ち抜くだけの不動の態勢が確立されていなければならぬ。それもせずに現下の開きは十五、六ドルもするであろうというのじや、純朴な農民のあの純情な気持を納得さすわけには参りませんよ。農林大臣は農産物の増産を引受けている重大な責任にありますから、その場合にこの国際価格との価格差をどう一体農民に納得させますか。それを一ぺん私どもにお教えを願いたい。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 そういう点につきまして、むろんお話のように、非常に進んで参ります肥料工業の立遅れを、かりに現状を目標として追つかけてみても、追つかければまた向うが進むということで、もう一つ先を越した計画を立てなければいかぬじやないかという御意見も出て来るわけでありますけれども、今日はとにかく実際問題として、農民の素朴の感情から行きましても、また現実の輸出競争に打ち勝つて参りますためにも、とにかく現状のところにどう追いついて行くかということが、さしあたりの問題だと思う。従いまして、今日まで幾らかこれは手ぬるいといえば手ぬるいかもしれませんけれども、同時にまた戦後異常な発展を遂げて来ました肥料工業ですから、合理化の問題におきましても、政府の施策と当業者の熱意いかんによりましては、ほとんど無から今日までになし遂げたくらいの工業界でございますから、合理化の上でも必ず成功して行くという確信を私は抱くものであります。従つて、できるだけ早く国際価格に近寄るように合理化を強力に推進して参る、そして内需の数量の画、価格の面でも十分農民の御期待にも沿い得るようなところに持つて行かなければならない。これは肥料工業のみならず、おそらくは全体の問題にも関連して来ると思いますけれども、特に肥料工業の関係は、お話のように、全国農民を対象としているものでありますから、特に努力をいたして参りたい、こういうふうに考えております。

井上良二日本社会党(右)

○井上委員 私今申しました国際価格との価格差の問題は、農民の納得するところとならぬというところから、自由党とし余しても、また自由党を背景にする吉田内閣としても、これは物の考え方といいますか、立つております政治的な立場といいますか、その性格から申しまして、どつちかというと、こんな法律を自由党内閣が出すべきものじやありません。しかし出さなければならぬというところに肥料問題のれずかしさがあり、ここにやはり方向としては、どうしても肥料を一定の需給計画の上から行つて公定して行かなければならぬ、つまり一つの大きなわくをはめることになるわけですね。そうなつて来ますと、肥料だけで事は済まぬことになつてしまう。これは私ここであなたにお約束しておきます。あなたが将来どういうお偉い人になるかわかりませんが、今後五年も後に、もしこの計画で国際競争に勝ち抜くだけ価格が下つたら、私はお目にかかりません。断じて下りません。電力、石炭、硫化鉱、運賃、金融等に対する総合的な一貫した政策が確立されてないのに、どうして一体この値段が下りますか。硫安工業だけに一定の統制的なわくをはめるというのなら、年間硫安工業はガス法で百六十万トンつくらなければならぬ、電解法でもつて少くとも四十八万トンか五十万トンつくらなければならぬ、この硫安工業に必要な所要の石炭はこれ、だけはどうしてもいる、コークスはこれだけいる、だからこれだけの石炭に対しては市価の何割で、外国の石炭と同値でこの硫安工業にまわす、あるいはまた電力も、電解法にどうしても必要だから、何パーセントなら何パーセントの必要な量だけは硫安工業の方にまわす、硫化鉱に対し、あるいは金融に対して、現に金融でもそうじやありませんか。かりに勧銀の融資を仰いでごらんなさい。年一割以上になりましよう。そんな高い金利をもつて、一体あなたやつて行けますか。かりに百六十億を融資されるとして、一割でもつて幾らの利子を払わなければならぬか、十六億の利子になります。そういうようなべらぼうなことは考えられません。そういう点から私どもは考えて、これはとしても石炭、電力、これに関連する金利問題、あるいは運賃問題、こういう問題を総合的に考えなければならぬのに、何ゆえにこの方面を断ち切つたか。単に政府の融資しておるところの炭鉱の縦坑の近代化に対して、こういうように金をつぎ込んでおるから、石炭はこのくらい安くなるであろうと思うておるだけだ。私は絶対にそんなことは当てになりません。また電力におきましても、なかなかそう簡単に参りません。そういう点から、私は少くとも硫安工業がそれほど重要な産業であり、また現実に火のつくように東亜の市場が諸外国において荒されておる事実から考えて、国策的にこの市場はどうしても守りたいというのなら、ここに非常手段を講じても、輸出するものに大幅に補助金を出すか、それでなかつたならば、そこに太刀打ちできるだけのコスト引下げに対して非常的な処置を講ずるか、その二つをとらなければ問題は解決しません。ところがどつちもやらない。そこでよく聞くと、輸出会社も、硫安会社みずからの自己負担において、出血が出ました場合には——一年に出血は少しじやありません。少くとも三、四十万トン輸出をいたしますと、どんな少くても十二、三億の赤字が出ましよう。これらの出血したものをたな上げしておくという話らしいが、たな上げしておいて、しりをだれが見て参るか。実際には、そのたな上げする間の金利はだれが払うのです。現にあなたの所管の国内用の保留分、約一割に相当する十万トン余りに対しては、年間保有したうちに生ずる損失については、国が補填すると法律に暑いてあるのです。国内の自分たちに都合のいいものを持つておるものには、ちやんと補填すると書いておきながら、大事な外国の市場を守ろうとする場合は、これはいかぬというのはどういうわけだ。国務大臣、そんなことがありますか。もう一ぺんよくわかるようにお聞かせ願いたい。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 肥料工業にそういう措置をとるならば、その措置を有効ならしめるために、関連しているものについて、やはり同様の措置を講じて行かなければ、十分の目的が達成されないのじやないかという御意見のようでございます。計画経済といいますか、そういう立場に立つておられる方は、必ずそうおつしやるわけであります。また自由党内閣がこの案を出すべきことじやないと言われますけれども、自由党内閣だから私はこういう案が出て来ると思うのであります。内需の安定をはかつて、そうして食糧増産の基本的な一つの条件であります硫安需給安定をはかつて参るという考え方の上に立つて、この案を出しておるわけであります。そういうふうにこの法案をごらんいただきたいと思います。  輸出会社のたな上げした分のしりはだれが持つんだ、それは国で持つべしという御意見もあり、あるいはメーカーで持つべしという意見もあり、いろいろ意見もありましたけれども、この国で持つべしという意見につきましては、それならば内需に対して国が負担をして行けという意見もあります。いずれにいたしましても、この輸出会社の損失分につきましては、そのしりを国で負担して行くという考え方は、政府としてはとつていないわけであります。企業だけの面からいいますと、お話のように、相当厖大な赤字が出て来るかと思います。しかし輸出会社の運用により止して、その損失をできるだけカバーして、そうして一面また合理化を極力推進いたしまして、この輸出会社の経理上、五箇年の間ではございますけれども、できるだけその赤字を少からしめるという措置を講じて参る。そうしてもしその会社が清算する場合におきましては、それぞれの出資者においてこれを負担して行くという考え方の上に立つておるわけでございます。

井上良二日本社会党(右)

○井上委員 私は最も公正な立場に立つて、日本の輸出を振興しなければ、狭いところでこれだけの人間をかかえて、日本人としては国際的な生活水準へ近づくことはできません。肥料というものが非常に重要な輸出品であるという点を考えて、これを国内に影響なしにどうしたら一体うまく輸出できるかということについて、真剣にわれわれは検討しなければならぬと考えております。そういう点から私は申しておるのであります。  ただ一点、今大臣は非常にあいまいの態度でございますが、この硫安合理化が進みまして、価格が下るという見通しのもとに、輸出会社から出て参ります赤字については、またその金利についても、全然政府はめんどう見ない。非常な情勢の変化があれば別だか、そうでない限りはめんどうを見ないということを言い切れますか。これをあなたはこの際国務大臣として明確にされていただきたい。  それから最後に一点ただしておきたいのは、この生産業者の生産費を権力を持つて調査をするというのですが、一体これは通産、農林両省でやろうということでありますが、私企業の内容にわたつて、国家管理していない事業形態に対して、一体どういう手段と方法をもつて具体的に生産費をつかみ、押えることができますか。これは従来物価庁が物価を安定する目的をもつて、それぞれのものの価格をきめる、生産費を検討いたしましたときも、いろいろ問題があつたことはありますが、この価格算定は非常にやつかいな問題でございまして、特に私企業に対して公の調査をやるという場合、その時間的な関係や人数や経費等の関係がございまして、なかなか正確に押えることは困難であるということが言われておるのであります。そういう立場から、一体農林省はどういう考え方をもつて、どういう方法で具体的にこの原価計算の実情をよくつかんで、生産費を抑えることを具体的に一どうしよというのか、これがこの法案の一番の骨子であり中心になつておる問題でありますから、この問題に対して、たとえば各丁場別に相当専門家を配置して、年間そこに経営状態を査察するという方法もありましよう、あるいはまた専門の人に依頼をして、専門的に調査をさす方法もありましよう、私企業に対して一体具体的にどうして押えよとするのか。たとえば税務署が税金をとりに立るということで、相当大きな会社は全部二重帳簿を持つておるということは御存じの通りであります。二重帳簿による原価計算の提示をされたのでは佃もなりませんから、そういう点、われわれは業者を疑うわけではありませんけれども、やはり営利を目的にする会社としては当然のことでありますので、そういうことをできるだけさせたいようにするにはどうしたらよいか、法律をもつてやるといつても、やるのは人間であります。これは非常にむずかしいが、この問題に対して政府はどう決意をされておるか、この際伺いたいと思います。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 前政の、輸出会社の損失並びに金利等について国がめんどうを見ないというお尋ねでございます。先ほども申し上げましたように、輸出会社の経営、運営については、国としてできるだけの助成はいたして参る、たとえば資金のあつせん等できるだけのことはいたしますが、しかし金利を負担しますとか、あるいは損失を国家で補填するとかいうようなことはいたさないで参るつもりでおります。生産費調査が非常にむずかしいということは、私もその通りだと思つておあます。これはどうしてもメーカー側の積極的な協力を得なければ、実際お証のように三重帳簿とかなんとかいうめんどうなことをやられたのでは、なかなか的確なことはできないわけであります。そこをメーカー側も、この肥料工業がやはり内地農民を対象として営まれておる工大6あるという深い認識のもとに、この点に対しては積極的に御協力をいただくことを私は期待しておるわけであります。それから生産費の調査にあたりまして、政府内部におきましても、これはあつちこつちで、いや通産省だ、農林省だというようなことをせぬで、責任を持つてどこか一省でやればいいじやないかという御意見も、相当強くあるわけです。しかし今井上さんの言われるような要請にこたえる上から行きましても、これは農林、通産のエキスパートが相共同して携わられるということによつて、より正確なものをつかみ得る可能性が多いのではないかという考えのもとに、こういう結論に達しておるわけであります。具体的には生産費調査の原価計算の要綱を内部的につくりまして、絶対とは言い得ないまでも、できるだけ正確な生産費をつかむように努力をいたしたい、こういうふうに考えております。

井出一太郎改進党

○井出委員長 加藤清二君。

加藤清二日本社会党(左)

○加藤(清)委員 私はきわめてしろうとでございますから、ぽつりぽつりとお尋ねをいたしますので、するする逃げないように、まつ正面から御指導をいただきたいということをまずお願いして、お尋ねをするわけでございます。  だんだんお話を承つておりますと、私ちよつと頭が変になつたのです、暑さのせいかもしれませんが、農林大臣さんのお答えと通産大臣さんのお答えとがよく似ておる。ところか農林大臣さんは、肥料のメーカーの立場に立つていらつしやるのか、それともお百姓の立場に立つてものを考えていらつしやるのか、ちよつとわからなくなりかけて来た、そこでそういう点を中心にして、二、三お尋ねしたいと存じます。  まず第一番に、内地のお百姓さんが高く買わされておる、輸出が安い、これは何とか調整しなければならぬだろう、何とか安うしなければならぬという声が、お百姓の中からどんどん起きて参りまして、それにこたえて肥料対策委員会ができたはずでございますが、私はこの法案の中に、内地の肥料かおかげで安うなりますという文字を見出すことができないのでございますが、恐れ入りまするが。そういうことが第何条に占いてあるか、お教え願いたい。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 この法案は先ほど来申し上げておりますように、今日内需、外需の面において素朴な農民感情から割切れない点がある、輸出から来るところのマイナスを農民が負担しておるのじやないか、そういうことはございませんようにしたいということが第一点でございます。  第二点は、そうしつつ、できるだけ肥料工業の合理化をはかつて価格を引下げて参りたい、そういう考えの上に立つております。

加藤清二日本社会党(左)

○加藤(清)委員 先ほど永井先輩かお尋ねしたことに関連がございますが、この会社の原価計算書なるものの提出されていないのは、それを調べることかできないのか、調べたけれども、向うが教えてくれなかつたのか、その点をお尋ねいたします。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 専門的なことでございますから、政府委員からお答えいたします。

小倉武一農林事務官(農林経済局長)

○小倉政府委員 ただいまお尋ねの硫安の原価につきましては、先般来対策審議会でメーカーの方から提出願いました資料につきまして、専門の方々にいろいろ検討していただいたのでございますが、結論を申しますれば、的確な結論を得なかつたのであります。

加藤清二日本社会党(左)

○加藤(清)委員 実はこの問題につきましては、この前の国会で藤山愛一郎さん以下協会の面々が来られました折に私は質問いたしましたが、高いとか安いとかいうてみたつて、原価計算書ではつきりしたものを見なければたれにも断定することはできない、そこでぜひそれを提出してもらいたいということを申し述べましたら、それはもう隠してはおりません、肥料対策委員会の方へ出すことになつておりますので、そちらの方から取寄せて見ていただけばけつこうです、ということでした。そこで私は、その折にぜひこの通産委員の方へもその資料を提出されることを要求しておきましたけれども、いまだにそれが提出されておりません。そこでそれは提出を要求する権限がないので、それが行われていないのか、ないしは提出要求をしたけれども、向うが拒否したので出て来なかつたのか、その点を私は聞きたいのでございます。いずれでございますか。

中村辰五郎通商産業事務官(軽工業局長)

○中村(辰)政府委員 コストの調査につきまして、先般肥料対策委員会において、尋問の方を依嘱しまして、非常に慎重に検討を遂げたのでありますが、やはり資料の説明につきましては、メーカーからいろいろ聞いた模様でございます。しかし調べる立場の対策委員会の尋問委員としまして、その結論が、自分の名において権威あるコストである、こう考える立場から考えますると、やはり制度として強制調査の前提のもとに、疑問と思う点はあくまでも追究してやれる能勢がございませんと、結論を出すことが困難である、こういうぐあいは考えられたのでございます。

加藤清二日本社会党(左)

○加藤(清)委員 それでは、藤山さんが出しますとおつしやつたことはうそでございますか。

中村辰五郎通商産業事務官(軽工業局長)

○中村(辰)政府委員 藤山委員は肥料対策委員会に、コストの調査に関します資料を提案いたしております。その提案した資料は、通産委員会並びに農林委員に、資料として配付してあるわけでございます。

加藤清二日本社会党(左)

○加藤(清)委員 私が要求しましたのは、各会社別の原価計算書でございます。

中村辰五郎通商産業事務官(軽工業局長)

○中村(辰)政府委員 私はそのときの応答の詳細は知りませんが、コストの内容については、各社がこれを公表するということは、おそらく困難かと思います。と申しますのは、経理の内容を公表いたすということは、現在の金融あるいは業務の運営の観点からいたしまして、最も企業の秘密とするところでございまして、おそらくは、この当時の応答の内容は詳しく存じませんが、各社のそれぞれの内容を提出するというようなことは、なかつたのではなかろうかと想像いたします。

加藤清二日本社会党(左)

○加藤(清)委員 私は経理内容の全般を要求したのでなくして、原価計算書を要求したのでございますが、それは別といたします。そんなことをここであなたと論議したつて始まりませんから…。  それではわかり切つたことだけ、これならばわかるだろということだけをお尋ねしたいのでございます。肥料メーカーの設備資金及び融資についてでございますが、それが政府から一体どの極度に出されているのか、過去のことでけつこうでございます。これを大臣にお尋ねいたします。

中村辰五郎通商産業事務官(軽工業局長)

○中村(辰)政府委員 終戦後の財政投資は六十八億でございます。三月末現在の貸出し残が四十億に相なつておると思います。

加藤清二日本社会党(左)

○加藤(清)委員 それでは次にお尋ねいたしますが、これだけは大臣さんにお答え願いたいと思います。農林中金から肥料メーカーに貸し出されている貸出額、ないしは今日の貸出残でもけつこでございます。

小倉武一農林事務官(農林経済局長)

○小倉政府委員 農林中金から余裕金の運用といたしまして金融している分がありますが、ただいま残高が幾らになつておるか、手元に資料がございませんので、後刻調べまして提出したいと思います。

加藤清二日本社会党(左)

○加藤(清)委員 恐れ入りますが、ぜひ資料を御提出いただきたい。私は大体それを知つております。大体知つておりますが、それが誤りますと、私の理論の根拠が誤る、そうするとそれから発展する理論がまた間違う、こういうことになるので、念のためお願いする次第でございます。この問題をメーカーの方にお尋ねいたしましたところ、たいへん莫大な数字をおつしやいまして、非常にごやつかいに相なつておりまするから、そこでお百姓さんのためにも、そうかつてなふるまいはできません旨の御答弁があつたはずでございます。そこでお尋ねしたいことは、農林中金のお金というものは、御承知の通り、各地方の信連から集まり集まつて来た金が、東京にたくわえられたはずでございます。愛知県だけでも、少いときで四十億、多いときには六十億くらい農林中金に集まつて来ております。それをお百姓さんが借りに行きますと、なかなか貸してもらえません。ところが昭電その他が借りに行きますというと、これはよく貸してもらえるはずであります。話に聞くと、政府のお世話があるからだということでございます。そとで政府としては、政府みずからすでに六十億の余も金の世話をし、残が四十億あるという話。それ以上の金が農林中金から出ておる。農林中金の金は、お百姓さんの金です。こいうことなんです。そうなりますと、これはよほど御恩返しをしても決して罰は当らないと思うわけです。農民の方がいろいろ肥料に対して苦情を入れたり、注文をつけるのは無理からぬことだと存じまするが、この点大臣さんはいかようにお考えでございますか。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 肥料工業に農林中金からまわしている金は、農林中金の余裕金をまわしておるわけであります。むろんこれはお話のように、農林中金の資金というものは、そういう性質のものではございますけれども、農林債券の発行による資金調達の面で、百六、七十億あると思います。だから、そうばかりとも言えないと思います。そういう点をお含みいただきたいと思います。

加藤清二日本社会党(左)

○加藤(清)委員 その意味はよくわかりますが、私がとしてもこれを尋ねなければならぬ理由のものは、大体銀行が金を貸す場合に、会社の経理内容を知らずに金を貸すということがあるでありましようか。普通の民間の会社に市中銀行が金を貸すという場合には、その経理内容を知らずに貸すとか、あるいはそこでつくつておるところの原価計算書を知らずに貸すという場合があり得るでありましようか。その点いかがでございますか。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 私は銀行におつたことはありませんからわかりませんけれども、大体間違いないというところにしか銀行は貸さぬと思います。

加藤清二日本社会党(左)

○加藤(清)委員 お答えの通りでございまして、審査部がきちつと審査をいたし属して、原価計算書だけでなくして、生産から設備から一切合財調べた上に、なおその上に別なことまで調べて貸すことに相なつておるということは、一般常識でございますから、大臣ならずともだれでも知つておるはずでございます。そこで農林中金が会社へ金を貸しておるということなんです。お百姓さんから集めた金を、会社に貸しておるということです。そうなると、その際に農林中金は肥料メーカーの業態とかコストとかいうものを調べずに貸しているとおつしやいますのか、調べてから貸しているわけでございますか。大臣さんの監督下にある中金についてお尋ねするわけでございます。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 間違いがありますかどですか、農林中金が肥料工業に融資をするというのは本筋ではないわけであります。従つて農林中金から融資いたします場合には、市中銀行が保証してまわしておるわけでございましようから、その銀行がやはりそれぞれ審査して、それで大丈夫だからあなたの方の余裕金をまわしてくれということでまわしているだろと思います。

加藤清二日本社会党(左)

○加藤(清)委員 かりに市中銀行が保証いたしましてその裏づけを農林中金がやるといたしましても、農林中金、つまり裏づけをする銀行が市中銀行の審査をそのままのみにしたとか、趣旨だけを聞いてそれでよろしいという判を押すというよな、そういうずさんなことはやつていないと思います。もしやつているなら、そんなけつこうなことはないのですから、私はこれから借りようと思います。しかしそれはやつてないと思います。現に私は体験して知つているのですから。現にそこへは出ているはずでございます。原価計算書にはきつと出ている。いやそれよりも経理内容は出ているはずです。それを農林省は調べることができない。だからそれを将来調べるために、このような法律をつくつて、調べるところの根拠をつくるのだ、こうおつしやるが、すでに調べなければならない条件というものが過去において具体的に行われている。お百姓さんから集めた金を人に貸すのです。市中銀行が自分の金を貸すのには審査はしつかりやるはずでございます。貸していけない、本筋でないところへ金を貸すのですから、審査は一層厳密をきわめているはずであると心得ておりますが、そこで行われているところの書類が、農林省で取上げられないということは私は解せないと思いますが、そういうことは間々あるのでございましようか。それともこれは特例でございましようか。大臣さんにお尋ねいたします。

小倉武一農林事務官(農林経済局長)

○小倉政府委員 お尋ねのような硫安会社に対します農林中金の貸出しは、もちろん設備資金ではございませんで、主として短期のものでございます。それにつきましては、先ほど大臣から御答弁がございましたような銀行保証があつたり、あるいは手形を担保にするというようなことでございますので、一般の市中銀行が相当長期にわたるような設備資金を貸すといつた場合と違いまして、そう精密な会社の経理内容ないしは製品の原価について調査するというようなことは、必ずしも必要がございませんので、硫安の原価がわかるような審査までは、おそらくやつておらないように思います。

加藤清二日本社会党(左)

○加藤(清)委員 そうすると、貸してはいけない——というよりも、筋道以外のところへ金が貸されている。その貸し方は、貸してもよいところへ金を貸すよりももつと厳密でなければならないと心得ていたにもかかわらず、それは裏返しにされて、貸すべきところへ貸すときには厳密な審査をやりまくつて、そしてこれはオミットをくわしておいて、筋道以外のところへ大金を貸すときには、審査はずさんに行われた、こうおつしやられるのでございますか。あなたの答弁から行きますとそういうことになりますね。それでよろしゆうございますか。

小倉武一農林事務官(農林経済局長)

○小倉政府委員 お尋ねの趣旨でございますが、中金が硫安会社に対して融資をいたします場合は、たとえば全購連がメーカーから肥料を買うその全購連の振り出した手形を割引くといつた形で行われておる場合が多うございまして、単に取引がないのに運転資金を貸すとか、あるいは設備資金を貸すといつたような場合はないのであります。

加藤清二日本社会党(左)

○加藤(清)委員 時間がないので残念に思いますけれども、あなたの答弁と私の質問とは食い違つておる。だから最初に言つたのです。そんなのらりくらりと——私は正面から聞くから正面から答えていただきたい。片方は審査が厳密に行われておる。お百姓さんが青田売りをする場合は、七俵とれるべき場合に三俵に見積られるのです。ころが片方は全購連が買うからという注文書だけで行く。あなたのおつしやつた通りなんだ。事実なんです。だからそれだけ答えていただけばけつこうです。注文書でやつたから安全だ、私はそういうことを聞いておるのではない。現に片方は、確実にとれるというものでありながら厳密に行われ、片方は全購連の買いますという契約書だけで出されておる。そういう事実があることははつきりしておるのです。私はいいかげんなことを聞いておるのじやありません。しつかり調査した上に十つての質問でございます。あなたは語るに落ちたということで、今そうおつしやいましたかち、何をか日わんやであります。  次にお尋ねいたしますが、この会社から税を取立てる場合でございますが、これもやはり政府の行われることと存じます。その場合一体どのようなことが基準で行われておるのか。原価計算書がわからなければ、どれだけ生産量があつて、どれだけ幾らで売つて、幾らもうかつたということはわからないはずでございます。にもかかわらずここに向つて税が取立てられておるはずでございます。その場合政府は、一体どのような態度でこの徴税に向われますか、これは大臣さんからお答え願いたい。税をとるのは別な官庁でございましようが、あなたの指導育成しなければならぬところの管轄下の問題でありますから、御承知のはずと思います。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 税の問題でございますから、それはひとつ大蔵大臣にでもお聞きいただきたいと思います。

加藤清二日本社会党(左)

○加藤(清)委員 それではこの問題は大蔵大臣からぜひ明答をいただくようこの際注文をつけておきます。  普通の場合でしたら、間違いますとこれは更正決定ということになります。それだけもうけてないといつても、お前のところはもうけておるからといつてばさつとやられるでしよう。大きい会社に限つてコストがわからない。法律ではこれを調べる権限はございません。その品物が高いのか安いのか研究する上に必要な資料を提出させることができない。こいうことではたしてほんとうの仕事ができるのかできないのか、こういうずさんな分析調査の上に立つて、はたして正しい価格決定ができるでございましようか。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 先ほどお答えいたしましたように、農林、通産の共管をもつて、できるだけひとつ正確な生産費を調べ上げたいということが法の建前になつておりますから、努力をいたしたいと思つております。

加藤清二日本社会党(左)

○加藤(清)委員 そこで今度の事件についてお尋ねしたいと思います。それはほかでもございませんが、大臣さん御存じの通り、方々でたんぼが大水を食いましたね。そこでこれを補うのにはとしてもカリ肥料の補給をしないと二化めい虫にやられて、またぞろ供出米を減らしてくれという運動がどんどん行われて来るような結果を招来するということは、大臣さんようく御存じでございましよう。ところがこのカリ肥料を、先般私はたつた十トンでよろしい、それだけなかつたら五トンでよろしい、こういうわけで調べてみましたところ、一軒もあるということを言うてくれませんでした。私の名前を使わずに、別の名前を使つてやつた。私は東京のこの事務所で電話をかけた。行きました。それでもだめでした。地方へ出張しました。それでもだめでした。ところで私は、それはおかしいというので、通産委員会においてこれに対する材料費の外貨割当をやつているかいないかということを尋ねてみました。そうしたら、それは過去においてやつているという答弁でございました。そこで蓄えられた資料はと見て、販購連の蓄積量、あの在庫品を調べてみました。食い違つておりました。これは一体どういうことでございますか、大臣さん。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 本年の天候と、特にまたお話のよな水害等によりまして、カリ肥料の需要はきわめて旺盛であります。これの手当が十分に行きませんと、懸念せられる面もございます。農林省としましては、水害が起きましてすぐ、このカリ肥料の需要に応ずるために、かなり窮屈になつておりましたが、化成会社の手持ちになつております原料のカリを五十トンほど放出を願つて、これは放出していただいた。それで緊急手当をいたしますとともに、外貨割当を願つて、三万トンの緊急輸入をいたして、手配をいたしておるわけであります。何とか需要に応ずるようにしなければいかぬというので、苦心をいたしております。

加藤清二日本社会党(左)

○加藤(清)委員 私のお尋ねしておりまするのは、今度新しく外貨を割当てられたそのことについてではございません。過去外貨を割当てられた。そうしたら、それがどこかになければならない。それが輸出されてなくなつたというなら別であります。しかし外貨割当量と、それによつて原材料を購入してつくつたそれが、すでに使われてしまつておれば別でございますが、販購連にあるということであつたら——販購連の量を聞きました。私の仲間に販購連の専務がおりますから、調べてもらいました。ところが食い違つている。ということはどういうことかといと、会社にあるにもかかわらず、ないと称して値のつり上るのを待つたではないかと悪く解釈をされまするし、のどから手の出るほどお百姓さんのほしいものがかりにあるにもかかわらず、それがスムーズにお百姓さんの手に渡らないような状況であつては、いかに統制がないといえども、外貨を割当してもらつたものはひもがついておるはずです。それに対して大臣さんとしてはどうお考えになり、将来これに対してどう対処しなさろうとするのか。なるほど追肥だからいい、追肥をけつこうだ、遅れてもいいとおつしやるかもしれませんが、それでもやはりおそいよりも早いほど二化めい虫のわく率が少いということは、専門のあなただからようく御存じのはずでございます。そこでお尋ねするわけでございます。大臣さんにお尋ねいたします。

小倉武一農林事務官(農林経済局長)

○小倉政府委員 ただいまのお話の通り、九州に水害が起るというような事態がございましたので、各方面からカリの需要が非常に起つて参りまして、そこでこれに対応する在庫というものは非常に少かつたのでございますので、一々の個々の取引につきまして個個にやつておつたのでは、計画的に必要なところに行くというふうに必ずしも参りませんので、あるいは場合によりましてはお尋ねのような場合があつたかと思いますが、全購連等をして計画的に災害地に出すという方針をとつておつたものでありますから、そういう御指摘のようなこともあつたかと思います。

井出一太郎改進党

○井出委員長 加藤君、時間です。

加藤清二日本社会党(左)

○加藤(清)委員 あともう一点だけ……。そういうことがあつたと正直にお認めになれば、あとは何をか言わんやだ、済んだことは何と言つても始まりませんから……。ただ私それについて心配しますことは、ただいま農林大臣さんのおつしやつた数量は、この前私が別な会で質問いたしました折に、九州の水害だけは間違いなくまかなえる。また同じ質問をここにおる同僚の議員さんがお尋ねになつたときも、過去の水害、つまり九州以前の水害には決して不便をいたさせないようにする、こういうお話でございました。それで数量はよいのかといつた、あとからまた水害が起り得る可能性があるが、これはどうだと聞いたら、それはまたそのときだというお話のように記憶しております。ところで案の定、それ以後紀州に水害があり、あるいは濃尾平野にも水入りがあり、方々にカリ肥料の必要性が生じて来たということをすでに御調査済みと存じますし、また情報が集まるに従つて減るということはなくして、ふえて来るであろうと思いますが、それに対する手立てというものがはたして万全を期せられておるかどうかという点を、大臣さんにお聞き、したい。それと同時に、も時間がないそうでありますから、この法案に関してお尋ねいたしますが、どうも肥料が今年の秋肥から安定帯価格であつた九百六十円から二十円というものが急に七百円にどう考えても下るとは考えられない。この安定帯価格たるや、メーカーにとつてはきわめて安定帯価格であつたかもしれないが、お百姓さんにとつては、特に統制がはずれてから肥料は二倍という値上りをした。にもかかわらず米価というものは依然としてすえ置きされておる。お百姓さんにとつてはこの安定帯価格は泣きの涙の値段だ、この法案をあすから施行したからというのですぐ下るといのか、下らないというのか。もし下らないとするならば、この際イギリスで行つておりますように、硫安消費者、しかもこれは、使いこなしてしまうのじやなくしてそれがもとになつて再生産の基となる。こういう肥料に対しては先進国のイギリスのように、せめてお百姓さんに対して硫安一かますについて幾ら幾らというよな補助金になるものを与えるというお気持で、予算を盛られるときにやられたのかやられないのか。もしそれがやられてないとするならば、補正予算にでも組む勇気があるのかないのか。麦の値段の差額いかんによつて大臣のいすを棒に振つた、勇気ある先輩もいらつしやつたはずでございますので、そのあとをお引受けなさつた大臣さんは、ほんとうにお百姓さんのためにどの程度のことをお考えになつていらつしやるか。この際ちよつとお漏らしいただきまして、あとの質問は次に留保いたしまして終ります。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 緊急輸入をいたしておりますカリが、八月の中ごろには第一船が到着するはずでございます。次次に到着しまして、何とか需要に応じ得るのじやないかというようなところで苦心をいたしておるわけでございます。肥料について補給金を出すというような考えは私は持つておりません。

井上良二日本社会党(右)

○井上委員 さいぜん重要なる問題を一つ落しておりましたので……。それは、この法案は、硫安だけを目がけておるようでありますが、他の肥料に対してはどうするつもりか。たとえば最近この硫安の法案が出て、そしてこれが厳密な生産費調査が行われて公定価格がきまる、こうなりますと製造メーカーの方は、またこれを扱います商人の方でもそうでございましようが、うまみがなくなつちまいますね。公定にたると大体価格変動がそうありませんから……。そうなりますとここで化成肥料をつくる傾向がふえて行こうと思います。現に数社すでに化成肥料をつくります工場の増設にかかつておるところがあるのであります。そうなりますと一体何のために硫安の公定をし、これが原価計算を押えるかということがわからなくなつて来ます。すでに今お話になりました過燐酸の問題にいたしましても、これが化成肥料の方に相当流れておつて、現実に不足を来しておる事実を農林省はよく御存じでありましよう。そういう点からこの化成肥料に対して、特に硫安を中心とした化成肥料への移行について、どう一体押えて行こうとするのか。これは非常に今後重要な問題になつて来ます。だからたとえば現行年間二百二十万トンなら二百二十万トン生産をされる、来年は二百二十五万トンか三十万トンになるかという年次計画をされて、これに必要な所要資金はこれだけ、そして輸出に対してはこうするという国の助成方策をしておきながら、そのできたものが逆に他の方向に流れるということになると、これは国として非常なことになつて来ますから、だから大体政府がそれを指定し、特に資金その他によつて今後生産の合理化をはかつて、コスト引下げについて政府の保護助成を得る、また輸出その他において保護助成を得るところの製造メーカーは、化成肥料の製造は禁止するというところまで行きますか。そう行かぬとこの筋が通らぬことになつて来ますが、これに対してどういう対策を講じておりますか。硫安に公定をきめて他のものを野放にしてあるのですから、ここでえらいでこぼこが起つて参ります。これをどう一体押えて行こうとするか。これはまた農林省として非常な頭痛の種になる問題でありますし、われわれ肥料政策を扱うものとしても、そういう横道へ肥料が流れるということになると、たいへんな問題になつて来まして、せつかくあなた方に協力して国の肥料政策を立てようとしても、結局うまいしるだけ吸われて、残るのは骨と皮ということでは何にもならぬのでありますが、そこは大臣よく慎重に御検討願つて御答弁いただきたいと思いますが、いかがでございますか。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 ごもつともでございまして、その点につきましてはごもつともの懸念もございますから、農林当局と通産当局との指導方につきまして打合せをし、そういう打合せの上で適当な措置をとつて行きます。

井出一太郎改進党

○井出委員長 本日はこの程度をもつて散会いたします。     午後五時四分散会

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