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16回国会衆議院1953/10/22

農林委員会 第40号

発言数
115
登壇者
14
会派数
4
開催日
1953/10/22

会議録

井出一太郎改進党委員長

○井出委員長 これより会議を開きます。  平野三郎君より鼠害防除に関する件について発言を求められております。これを許します。平野君。

平野三郎自由党

○平野(三)委員 本年度の前古未曽有の凶作に対しましては、国をあげあらゆる措置を講じて、これが対策を講じなければならぬわけで、目下これがために各方面全面的に努力をいたしておるわけでありますが、その一環といたしまして、これは普通の年でも重大な問題でありますけれども、特にかような年におきましては、食糧の確保をはかるためにはねずみの食害によるところの防除対策について特段の措置を講ずる必要があると存ずるわけであります。これはもちろん野鼠につきましては、農林省においても従来やつておるところでありまして本年も特に予算的にも力を尽すことになつておりまするが、一般の鼠害につきましては、政府においては特に厚生省がこれを所管してこれに当つており、また国会といたしましても、厚生常任委員会において、これが適切なるところの善処を本委員会としては要望いたしたいと存じまするので、この際委員諸氏の御了承を求めて、本委員会の決議として厚生常任委員会並びに政府に対して申入れを行うようにいたしたいと存ずるのであります。  まず決議文を朗読いたします。    鼠害防除に関する件   ねずみの喰害に上る米穀類の損害は、年間五百万石を越えるものと推定され、更に野鼠による農作物及び森林に対する被害を加算するとその損害金額は実に一千億円に達するものと推定されている。   従つて食糧並びに森林資源確保上、これが駆除の徹底を期すべきこと勿論であるが、特に本年の如き異常の大凶作に際しては一粒の食糧と雖も確保する必要があるをもつて、この際速急にねずみ駆除に関する有効適切なる対策の確立を図るべきである。   右決議する。   昭和二十八年十月二十二日        衆議院農林委員会委員長においては幸いにして本委員会において決議が行われましたならば、その善処方を要望いたしまして趣旨の弁明を終る次第であります。

井出一太郎改進党委員長

○井出委員長 ただいまの平野君の御発言に対して御意見があれば発言を許します。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井出一太郎改進党委員長

○井出委員長 別に発言がなければ採決いたします。  ただいまの鼠害防除に関する件を本委員会の決議とするに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井出一太郎改進党委員長

○井出委員長 御異議なしと認めます。よつて本件の議長への報告その他関係当局に対する申入れについては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり]

井出一太郎改進党委員長

○井出委員長 さよう決しました。     ―――――――――――――

井出一太郎改進党委員長

○井出委員長 冷害等による凶作対策に関しまして議事を進めます。  質疑の通告がありますから順次これを許します。平野三郎君。

平野三郎自由党

○平野(三)委員 農林大臣にお尋ねをいたします。政府は近くその名も救農臨時国会に対処するわけでありまするが、これに対して政府は、補正予算をいかなる構想のもとに出されるか。いろいろ伝えられるところによりますると、政府としては、この国会は災害に限定をして、その他のものは第二次端正に譲るというような方針に聞いております。その中で特に私念のために伺つておきたいことは、国有林の特別会計の補正予算を、この臨時国会に出されるかどうか、もしいろいろな事情によつてこれが出されないということになりますると、相当の問題が起るわけでございます。ということは、今度の国会におきましては、冷害対策ということが中心になるわけでありまするが、国有林の特別会計の中には、ほとんど大部分この冷害対策が包含されるわけであります。ことに今回の凶作は北海道、東北その他高冷地に特にはなはだしいのであつて、この被害地には国有林がたくさんあるわけでありまするから、国有林がこの冷害対策に対して全面的に協力をする、こういうことが必要であり、これがために政府としても、おそらく国有林の特別会計の予算を補正をして、そうして二十九年度に行うことになつておるところの国有林の諸事業を本年繰上げて実施をする、あるいはまた国有林の施業案を組みかえて薪炭林の特別払下げを行つて、この冬山に対するところの製炭を行う。あるいは炭がまに対するところの助成の措置を講ずるということを、農林大臣も本委員会においてしばしば言明せられておるのでありまするから、必ずそうした措置を出されるということを確信いたすわけでありまするが、万一この国有林の補正予算が第二次の補正になるというようなことで、来るべき臨時国会に提出をされないというようなことになりまするならば、それがためにせつかく国会の要望いたしておりまするところの国有林の冷害対策に対する協力ということが、時期を失するというおそれがあるわけでありまするから、万一そういう場合があるといたしましても、政府としては、行政措置の許す範囲において、早急にこれらの当然行うべき予算措置の線に沿つて、すでにもうやつておられることと思いまするが、できるだけすみやかに、この国有林の活用によるところの冷害対策を行うべきであると思いまするけれども、その点についていかなる想構を持つておられるか、どういう方針をもつて進まれるお考えでありまするか、特に念のため伺つておく次第であります。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 国有林の問題につきましては、ただいま御質問の中にあります御意見のような趣意に沿うてやりたいと思つております。主として冷害凶作地は、ただいまお話のように高冷山間地帯でありまして、これがおしなべて激甚な被害を受けておるわけでございます。従つてまず農家の飯米を確保いたしますことと、現金収入の道をはかるということが、冷害対策の基本的なことだと考えておりますから、従つて地帯々々によつて、一応政府で決定いたしました予算はきわめてきゆうくつでありますけれども、できるだけこれを活用しまして適地適応の対策をして行かなければならぬ。そういう上から、隣接した国有林を活用すれば、相当の現金収入がそこから得られるではないかというような所に対しましては、相当思い切つた活用をやりたい、こういうことで私も、この間まわりました現地各県の責任者に対しましても、その趣意を十分お話をいたし、そして特に町村長の協力を一段と要すると思いますから、そういうこともできるだけ徹底するように申し上げて来ておるわけでございます。これは会計の補正を先にしなければできないということはなかろうと思います。お話のように、もう着々とその手配をいたしておりますから、各営林局ごとに各県、各町村と下におろして、ひとつ具体的に、それじやこの村ではこのくらいの国有林を活用するというような方向で進めさしております。そこまで進んでおります。そういうことで行政措置を十分にいたすことによりまして、とにかく国有林を活用して、被害農家の現金収入の道をはかるということには、最大の努力を払つて行きたいと考えております。

井出一太郎改進党委員長

○井出委員長 川俣君に関連質問を許します。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 大臣が会度東北をまわられた場合に、今お説のようなぐあいに、行政措置をとるのだ、あるいはこれに対する予算の裏づけもするのだというように、おまわりになりまして大分人心が安定したようにも見受けられる。その点に対しては一応敬意を表しておるのでありますが、それでははたして大臣が言明されたようなことが現実に行われるであろうかどうかということについては、疑問を持つておる。特に国有林野というものは、大臣十分御承知のように、東北の方に割合に多く存在するわけですが、これは今度冷害に当りましたようないわゆる高冷地、山間地の人々が、山を守り、山を育てて来たのであります。こういう山を守り、山を育てて来た者は、こういうときにこそ国有林の恩典にあずかりたい。これがおそらく長年の念願であつたろうと思う。この問題が片づかないと、結局国有林野を開放せよという問題が起つて来るわけですが、それをもあえてがまんをしながら今日まで守つて来ておりますのは、こういう災害のときにはおそらく何らかの手を打つてくれるであろうという、多くの期待があつたからこそであります。あの山間部において盗伐が行われる場合におきましても、だれが防いでおるかと言えば、山間民です。また山火事があつた場合に、まつ先にかけつけてこの山火事を防いでおるのも、山間民です。これらの者が冷害に当つた場合に、まつ先に何らかのあたたかい手を差延べてやらなければ、今後山は守りきれないと思う。そこでおそらくただいま大臣がおつしやつたような御説明があつたのだと思うのですが、今度の査定をお聞きしますと、冷害予算として約八億三千万円かを林野庁が要求いたしておるようでありますが、これらを第二次補正の方にまわすような向きが伝わつております。私はそういうようなことはないと思います。大臣も今そんなことはなさそうな御言明であつたのですが、もしもわれわれが不安を持つようなことがあれば、大臣はいかなる処置をおとりになるつもりでありますか。第二次補正の方にまわるようなことはないという言明を得まするならば、非常に安心いたすわけですが、この点についてももう一度御言明願いたい。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 国有林の活用といいますと、結局隣接地の薪炭源林を多少度を越えて切つてもしかたがない、切つた薪炭原木を炭に焼く炭焼かまの施設をどうするかというところに結着するのではないかと思うのですが、これは私はどうしてもやるという考えであります。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 もちろんそのことも、あなたが大いにやろうというから、これはよろしいのですが、このほかにまだ林野庁では大分予算を組んでいるのです。というのは、炭かまの問題から申しましても、大蔵省あたりの意向を開きますると、そんなに大きな計画をしたら、炭がばかに安くなつて、製炭する者が非常に困るのじやないかというような、よけいな御心配をされているようですが、目下大臣御承知の通り、炭がだんだん高くなつて、むしろ需給が逼迫しているのが現状です。ですから、多く出過ぎて安くなるなんてことを大蔵省が心配するのは、よけいな心配であつてむしろ国有林の払下げによるところの炭かまというものは、駅から交通の不便な所にまだ残つているのでありますから、なかなか運搬が困難であります。出過ぎたといいましても、市場まで運んで来るのに非常に不便な点さえあるのでありますから、出過ぎて価格が安くなるなんてことは予算削減のための手段だというふうに、大臣はよほどひとつお考えおき願わなければならぬと思う。  もう一つは、炭かまの問題ばかりではありません、これは林相から考えて参りましても、必ずしも炭の焼けるような所ばかりではありません。高冷地をいつても、必ずしも炭かまもつけ得られぬ場合もありましようし、そうでない地域の所もあります。そうして参りますと、そこには林産物の処分をするというようなこと、つまり伐採期限を早めて、あるいは処分をして、そこに賃金を落すというようなことも、計画をむしろ繰上げて実施しなければならぬものが出て来るだろう。これはあるいは行政据置としてできぬことはないでしようけれども、これはかたかた縛られていることでありますので、こういうところの予算も林野庁は要求いたしておるようであります。また林野庁独自の奥地林道等につきましても、林道の修理改修、あるいはそうした計画をもつと進めて行く新規事業というようなこともあり得るのでありまして、それらのことも計画されているようでありますが、これは降雪前に何でも収入の道を与えてやらなければならぬ。普通、農作物の収穫がありますれば、この方面に全力を注げないから、林道などというものは実際はなかなかできないのであります。今年はまことに不幸でありますけれども、そういう労力のあるのを活用いたしまして、長年計画された林道がなかなか進まないでおるのを、この際一気に解決する。一石二鳥ということで、賃金を与えると同時に、林野庁の持つておりますような林道計画を、さらに拡充して行くということが考えられなければならぬと思うのです。そういう点や、あるいは治山の費用、あるいは造林と申しましても、下払いであるとか、あるいは雑草とりであるとか、今いろいろな林野庁の事業があります。こういうことでありますると、これは比較的女や子供の手を使つてできるわけですから、こういうようなこともやり得るのです。ところが第二次補正なんてことになつて十二月になりますると、これはまたできなくなつて参りますから、どうかそういうことでなく、大体の大わくをはつきりきめられまして、一部第二次に残るというようなこともあるいはやむを得ない場合が起るかもしれませんが、できるだけ第二次補正なんと言わないで、今日のうちに計画を立てられることが、山村民に対する一番の安心の方法であると思う。この間も、廣川弘禪氏に言わせますと、山村民が山を守つたので、林野庁が守つたのではないというたんかを切つておら、れましたが、そのことは別といたしましても、何といたしましても山村民の援助がなければ林というものは立つて行きません。これだけの愛着を持つておるところの山村民に、この際あたたかい手を延べるという意味からも、どうしても第一次補正の中にこれを入れてもらわなければならぬと思います。大臣はそういう御意向でおられるようですけれども、答弁は何かあいまいですから、もう一度お聞きしたいと思います。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 今予算ははなはだどうも妙な形になつておるのですけれども、予算の総わくを縛られて、その中で何をやるかという査定をやろうというので、今やつておる最中でございます。従いまして今折衝の段階てございますから、予算の内容は何とも申し上げかねますけれども、お話の点は、私はこれは画一的にやるという考えは持つておらないのでございます。しかしAの村は、今お舌のようなことをやれば最も手近かに活用できるじやないかというような点は、十分考えておるわけでございまして、その点に関しましては、多少無理がありましてもやらしていただきたい、そして要望におこたえいたしたい、こういうふうに考えております。できるだけ予算の関係の措置も誤らないようにやりたいと思いますけれども、こういう際でございまして、このわくをぐつと縛られておりますから、実際の要請にこたえて行くには多少の無理がありましても、どうもやむを得ないのではないか。あるいはまた林野関係だけから申しますと、ほかの方でやるよりもこつちに移してやるという手もあるだろうと思いますし、そこらはひとつ十分御意見を達成できるように扱いたい、こういうふうに考えております。予算措置をどうでもこうでも必要だというものについては、やらなければならぬと思つております。

井出一太郎改進党委員長

○井出委員長 足立篤郎君。

足立篤郎自由党

○足立委員 農林大臣に伺いますが、伝えられる政府の補正予算案の大綱を見ますと、災害復旧費は三百億円という数字になつておりますが、この数字の中には六月、七月及び八月、九月、第十三号台風を含む土木災害、農地災害及び農作災害、これらのすべてに対する対策を含んでおるものと了解してよろしゆうございますか。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 今回一応わくを定めました補正予算案の対象は、六月以来の災害すべてでございまして、冷害、凶作につきましてもこの中に全部一応含めざるを得ないという形になると思います。御質問の通りであります。

足立篤郎自由党

○足立委員 大臣御承知の通り、今回の十三号台風につきましては、それまでの風水害と同様な被害ももちろんございますが、特に特異な現象といたしまして、数十年来見られなかつたところの潮による被害を受けております。これが営農対策は喫緊の要事であることは申し上げるまでもないのでありまして、冷害と同様な大きな打撃を農家は受けておるわけでございます。これに対する対策が、この三百億という数字の中にいかように盛られておるか、またこれから事務的に折衝なさろうとするならば、大臣は農林大臣という責任ある立場におきまして、いかなる対策を実現しようとしてこれからこの折衝に臨まれるお覚悟であるか、その御所信を伺つておきたいと思います。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 お答えいたします。十三号台風によりまして、東海地方一部が潮による深刻な被害を受けて、農耕地も集団的にさらわれ、原因のいかんにかかわらず、農家が農作物を失い、しかも農地を失つたというような状態に対しましては、こういう乏しい予算の中ではございますけれども、やはり重点的に施策を考えて行かなければならぬじやないかというような考えで、ただいまやりくりのめどをつけておるところでございます。しかし何さま総わくがこういうふうにきゆうくつになつておるものでございますから、非常に困難を感じております。これは率直に申し上げます。

足立篤郎自由党

○足立委員 もちろん具体的にはこれからの事務的折衝になると思いますが、三百億という大わくをきめられるのに、建設省関係と農林省関係が大体どの程度にわかれるものかというようなお話合いなしに、農林大臣がこの補正案大綱を御了承なさるはずがないと思う。大体のところをちよつとお教え願いたいと思います。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 これは私は妙なことを申し上げましたところでしようが、ございませんから、率直に申し上げます。私どもとしては、災害予算というものに対しては、その主つて立つところの基礎がなければならぬ、その基確なしに、財政上の事情からわくだけきめると言われてもはなはだ困るということで折衝したのですが、そういうことで紛糾しますし、結局総理の考えにおまかせするほかはないということになつてああいう形にきまつておるわけであります。従つて、これこれいるからこれこれ計上するという形ではなくして、財政上どうしてもこれこれしか支出ができないという形からこう来ておることは、これは率直に申し上げざるを得ない。そこでそれじや建設関係の予算と農林関係の予算のめどを全然つけなかつたかというと、御説の通りであります。それで今きようから農林のわくは大体こんなところだろうというようなところが始まつているところ大、これが実情でございます。そういうわけでございまして、その点はそういうふうにはつきり申し上げるよりはかなかろうと思いまする

足立篤郎自由党

○足立委員 農林省とされては、私ども農林委員の意見も、いろいろと今まで連絡され、お聞き願い、本日配付になりました要求案を見ましても、今申し上げた三百億に見合う要求額としては六月、七月災害で百五十六億、八月及び九月、台風十三号を含む災害で百八億、合計して二百六十四億という要求を、具体的な内容を盛つてされておるのであります。この二百六十四億が、建設省の厖大な土木災害復旧費を含めて三百億というような数字では、とうてい具体的な効果ある施策はできないと私は考えます。この点につきましては、政府当局におきましても、災害の実態を御考慮願いまして、さらに再検討を願うことにぜひともお願いをいたしたいと、私ども強く要望せざるを得ないのであります。  なお私は、この問題につきましてもう一つ具体的につつ込んで伺つてみたいと思います。八月、九月の災害対策の中に、第九項目で災害融資金利子補給一億九千万、融資額七十七億五千万という案が農林省でつくられておりますが、これについては、実は数日前に農林当局から、農林委員会として超党派的に談合いたしました際この内容をお聞きいたしまして、委員会としては、この融資の額ではとうてい営農対策の万全を期することはできないという結論に達しまして、昨日の委員会におきまして、これを増額して、このうち少くとも五十億円は営農資金として融資のわくをとるべきであるという決議をいたしたのでございます。その後伝え聞きますと、農林省においてはこれを百億円に増額しようというようなお話合いも内部的にあるやに聞いておりますが、本日十九日付で配付された資料によりますと、依然として元のままでございまして、これについての農林大臣の御決意を伺いたいのであります。なお付言して、私はなぜこういうことを申し上げるかという点を御了解願いたいと思いますが、今度の八月、九月及び十三号台風を含めての被害地区は、少くとも十県近くになります。しかも相当深刻なる被害を受けている県も多々あるのでございまして、これに対して七十七億の融資を考えられておりますが、さらにこれを内訳してみますと、六月、七月の災害対策の融資額と同様に、施設災害についての融資を約七割お考えになつていらつしやる。従つて冷害対策に考えられているような純粋な営農資金としては、約三割しか考えておらない。そうなりますと七十七億の原案のままで行きます場合には、この営農資金が九県ばかりの被害県に対して約二十五億しか出ないということでは、大災害にあつて農家が旱天の慈雨として待つておりますこの融資金に対してかえつて農家のあてがはずれまして、非常な落胆をさせるごとになりはしないか、救農どころではないと、私は強く考えます。これは今農林省事務当局で、二十五億という程度の数字が今までの基礎数字から出たとすれば、よろしくこの際その基礎数字なるものを思い切つてかえていただく必要がある。少くとも営農対策としては、冷害によろうと、風水害によろうと、塩害によろうと、一応ことしの収入が壊滅しまして、農家が経営に困窮するという事態については同じでございますから、むろん寒冷地帯におきましても単作地帯という不利な条件がございますが、こういう点は別途お考え願うことはけつこうでございますけれども、一応基準を合せてこの計算をはじいていただいて、最小限度農林委員会の決議の通り、純粋なる営農資金を五十億確保していただきたいと強く要望いたす次第でございます。大臣の御決意を伺いたいと思います。

小倉武一農林事務官(農林経済局長)

○小倉説明員 ただいまの台風十三号を主とする災害についての融資の問題でございますが、この融資の要求といたしましては、お話のように七十七億程度を考えておつたのでございますけれども、元の数字はどちらかと申しますと、私どもはそれでは少い、百億程度いるというふうに考えておつたのであります。従いまして一方農林委員会の御決議の次第もございまして、当初の要求、百億程度の要求をいたしたいというふうに考えております。なおその内訳の営農資金と経営資金と施設関係との比率のお話もございましたが、この点につきましても、われわれの一応百億と申し上げるにつきましては、それ相応の一応の基礎数字もあるのでありますけれども、営農資金、経済資金が若干少な目であるということもわれわれ考えておりまするので、できるだけこの内訳としても増額したい、かように大蔵省の方に話をいたしております。なお実行上もそういう点について、予算がきまれば特段の考慮をいたしたい、かように存じております。

足立篤郎自由党

○足立委員 ただいま小倉経済局長から御答弁のありました問題は、先ほど私申し上げました通り、冷害対策の面につきましては、単作地帯であるという不利をカバーするためにある程度の率をもつて増額されることは当然であろうと思いますが、その基本の計算基礎だけはぜひとも同一基準によつてはじかれるように強く要望しておきます。  さらに冷害対策の方に入つて行きたいと思いますが、本日伝えられております七十億円という予算のわくの中は、建設省関係の救農土木事業が十億、さらに厚生省、労働省関係の生活保護あるいは失業対策等の費用が十億、こういつたものが入つて参つておりまして、私ども農林委員会としては、超党派的にこの冷害対策は農林関係だけで少くとも百十億なければ完全なる施策はできないという観点に立ちまして、申合せをいたしておるのでありますが、私どもの申合せの数字と本日伝えられる数字とを比較してみますると、まさに雲泥の差があるわけでありまして、ただ唖然たらざるを得ないのであります。  特に内訳の三項になつております米の生産者価格、供出による損失、種子対策費等として、農林省関係わずかに十億の計上がなされておるのでありますが、この十億の資金をかりに農林大臣が握つたとして、一体いかなる冷害対策を実施なさるおつもりであるか、これによつて救農ができるという信念をお持ちかどうか、はつきりと伺つておきたいと思います。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 これは先ほども申しましたような事情から、予算のわくがきまつたわけでございますが、そこで本年の事情――凍霜害に始まり冷害に至る、この異常な災害に対して、これで一体満足なことをやれるかと言われれば、これはもうやれますということは、私は良心的に言えませんけれども、しかし同時に国の一面の事情も深く考慮をしないわけには参りませんし、ともあれどれだけのことができますか、もつとも今お話の七十億の冷害対策費で、あそこにこうだ、ここにこうだという割振りのようなものは、これは単なる目安として大蔵省が提示しておつたわけであります。そんなものはもちろん肯定いたすものではありませんけれども、しかし失業対策の面についても、あるいは経営保護の面においても、それは当然考えられなければならぬ問題でしようから、むろんその程度のものは最小限いるだろうと思います。それじやお話のように、土木事業に四十億なら四十億やつて、一般の対策として十億、そのわくでやれるのか。これはまあそこを彼此勘案して、その中においてできるだけ合理的な予算をつくらなきやならぬ、こういうことで今やつておるわけでございます。私どもの考えているその方向は、額は多いに越したことはないと申し上げたいわけでありますけれども、乏しき中においても、やらなければならぬことはひとつやれるようにやつて行きたい、こういうことで今予算折衝を願つておるわけであります。

足立篤郎自由党

○足立委員 私が今最もおそれることは、この冷害による農家の窮乏をとりあえず救う方法は、何としても営農資金の低利貸付以外にないと思つておりますが、これに対する予算が、はたして本日発表された予算大綱の中に含まれておるかどうかという点でございまして、伝え聞くところによりますと、これは含まれておらぬやに聞いております。政府としては、融資の方は先にしておいて、利子の補給等の予算は、いずれ法律がきまつてから後これを処理すればいいのではないかというような、甘い考え方があるようでございますが、くどくなりますが、今日のこの窮乏を救うには、まず相当大きな額の金が低利で農村に流れまして、これを営農資金として農村が救われるということでなければ、ほかのちびちびした対策を数々やりましても、あるいは救農土木事業も必要ではございますが、この土木事業の労務のできない人間はどうにもならないということになりますと、各町村どこにでもまんべんなく土木事業を割り振るということは事実上不可能であります。従つてまんべんなく救われる営農資金としては融資以外にない。しかもこの融資の利子補給の予算が、かりに伝えられるがごとく、今回のこの政府の予定しております第二次補正予算の中に含まれていないとするならば、それはゆゆしき問題であると思います。なるほど事務的にただりくつだけで言えば、これはあとから追つかけて組んでも間に合う問題ではありますが、これでは政治にはならない。やはり農家の災害による窮乏を救うために、安心して政府にまかせろという態度をとろうとするならば、少くとも事前にこれを組んで、それによつて法律案を国会に提出して、国会の協賛を得るという行き方をとらなければ、責任ある政府の行き方ではない、私はかように考えますが、農林大臣はいかにお考えでありますか。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 御所論はその通りだと思います。ただ来年三月までの時期になつて来ておりますし、そこで営農資金はできるだけ御融通の道をあけるようにしなければならぬ。問題は利子支払期において、そういう国の措置が、農家に直接支障のないようにいたすかどうかというところにかかつて来る。現実に営農資金を出すとするならば、営農資金が、一日も早く農家の手に渡るようにするというところが眼目でなければならぬと思います。そこでこれは予算の立て方からいえば、お話のように、これだけの営農資金を出せば、それに対して利子補給がこれだけだという予算を当然盛つて行くのは、仰せをまつまでもなくその通りであると思いますが、ただ実際の支払期になつて年度内に必ずしも来ないならば、法律でそれを保障し、それに支障なく予算措置をとれば、それも苦しいときの一つのやりくりとしては、やむを得ない場合もあろうか。このわずかの災害予算の中で、できるだけこれを効率的に使おうとしますと、しりは来年になつてもやむを得ないのじやないか、私は苦しまぎれにそういうようなことを考えておるわけであります。

足立篤郎自由党

○足立委員 御心情は私ども一応わかるのでありますが、やむを得ない、やむを得ないと言つて、何でもかでもあとまわしなら、救農国会なんかやる必要はない。それで今の融資の問題については、大臣のおつしやることも一応やりくりとしてはわかります。もしそうする御決意であれば、六月、七月については決定しておる百億、八月、九月については今経済局長からお話のあつた百億、冷害対策については二百億、いずれも三分五厘の低利で融資をするのであるということを、ここで言明していただきたいと思います。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 本来申しますと、ああいう従来にない措置を国会の方で立法せられましたのは、今年当初の災害が、あまりに例年に類を見ない激甚な災害である、従つてこの激甚な災害に対応する措置としてやられておるわけでございます。従いまして、たとえば東海の一部の、潮害をこうむつて農作物もろとも耕地がなくなつたとか、あるいは冷害のために収穫皆無になつたとかいうような所につきましては、これは問題なしにただいまお話のような措置を当然とつて行かなければならぬ、こういうふうに考えております。

足立篤郎自由党

○足立委員 どうもはつきりしないのですが、今冷害の融資については、金利まではここで言明できないというお気持であろうと私は想像するのです。それももつともなんですが、これは法律が出なければ明確になりません。法律が通るか通らないかということはわかりませんから、ここまで言明できないとすれば、少くとも今農林省が予定をしておる冷害についての二百億円、それから八月、九月の災害については、さつき小倉さんがおつしやつた百億円、六月、七月はすでに確定しておりますからこれは問題ない。この百億と冷害の二百億は、政府は、低利で融資するということだけは、ぜひとも本日言明していただきたいと思います。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 営農資金の利子補給の措置につきましては、どうしてもこれは国会の御審議をいただかなければならないわけであります。従いまして私どもも、災害の激甚の度合いによつてこれは考えるべきものだと思いますけれども、御審議の際にここは十分あやまちのないようにいたしたい。また六、七月災害にとりました措置とバランスを失しないようにやるということが大事であろう、こういうふうに考えております。

井出一太郎改進党委員長

○井出委員長 日野君。

日野吉夫日本社会党(右)

○日野委員 ただいまの融資に関連いたしまして、手取り早い救済の方法は融資以外にないという足立さんの言うことには、全幅的に賛成できるのであります。ことに今度の予算の関係におきましては、いろいろの問題が残つておりまするので、融資をするということは、一般的口金が行き渡りますし、災害にあいましても収入を金にかえた金額、これが手に入るならば、当面そう困ることがないのであります。その次には当然そういうことになるのでありまして、これがあとで関連しますけれども、共済の改正や災害救助法の適用で、その相当部分が農民の手に入るようになれば、償還が非常に楽に行く。ことにおもしろい点は、今足立さんも言つておられましたけれども、利子の補給というのは、きわめて少額の予算で操作ができる。大臣が今言われたように、あるいは一度にこれを計上しなくても、やりくりとして考えられる面もありますので、やはり相当額の融資によつてここを切り抜けて行く必要があるのじやないか。一昨日の農林委員会の決議にも、二百億の融資の問題が出ておりますが、できればもつとこのわくを広げてもいいのじやないか、そういうことによつてこの場合の救済ができるのじやないかと思うのでありますが、そういうことを考えておられるかどうか。もう一つ、春の凍霜害の場合でも、ずいぶん委員会で苦労してあの融資立法をつくつたのでありますが、実際の問題になりますと、二十億を三十億までわくを広げたにかかわらず、あの金は八億しか出ていない。どうして一体川ないのか。右の法律には、当時指摘いたしましたように、三割以上の被害のあつたもので都道府県知事、町村長の認めたものに貸すという一つの制約があつて、非常に融資を困難にしているという事情がある。この法律で金を借りることのできなかつたもう一つの大きな難点は、府県と市町村が利子補給の半額を持つ、こういうことが大分論議になりまして、とうとうそのままくつけられているのでありますが、これは財政に困つている府県あるいは市町村が、こうした金をあまり借りてもらいたくないということになるのでありまして、こういうことをするところに、せつかくわくをつくつて、これをもつて融資をしてやるといつても、実際は利用できないということになるのであります。もし融資をやられるとするならば、ほかの方との均衡もありますから、三割を二割に改めてほしいと思うのでありますが、こういうお考えがあるかどうか、共済の規定等についても、共済関係の諸君の一致した要求は、給付対象を三割から二割に下げてほしいというのが要望のようであります。それらとマッチするためにも、これを二割に下げてやるお考えがおありかどうか。さらに利子補給はやはり国が負う、そして府県、市町村には負わせない、そのかわりこのあとに損失補償というのがありますが、損失補償の場合は、かつてオホーツク海のあれでつくつた、五割は国が補償し三割は府県がこれを補償するということになりますと、これは貸倒れの出た場合のことでありまして、府県、市町村も貸倒れの出ることを望みませんから、回収について金融機関に協力するということになりまして、この問題は実際上はあまり問題にならぬ。ただ貸し出す場合に金融機関が安心して貸せる、八割の補償があるならば、まるまる損しても二割、こういうことになるのでありますから、こういうふうに改めて、もう少し借りやすいような形で貸してやる必要がある。結局今度の対策の大きな問題の一つとして、営農資金の融資が問題になりますならば、親切な政治のあり方は、できるだけ手続を簡便にし、借りやすいような形にして貸してやる、こういうことが一番望ましいのでありまして、農林大臣は、こうした方法で、従来の融資方法を一段とすつきりした、借りやすいものに直して御提案なさる御意思がおありかどうか、伺つておきます。

渡部伍良農林事務官(大臣官房長)

○渡部説明員 凍霜害に予定した二十億の融資が八億しか出てないじやないかというお話でありますが、これは融資期限が九月末日までになつておつたのであります。それと、初めての制度でありましたので、府県の手続が非尚に遅れておつたようであります。しかし二十億がむしろ不足するくらいな状況になつております。一時近県――埼玉県でありましたか、ここはいらぬということが伝わつたのであります。ところが現実に調べてみると、埼玉県よごれでは足りないと言つて来ておるのでありまして、その点は御心配なく山ております。ただ北海道の十勝沖、オホーツク海というのは予定通り出ておりません。おそらく六割か七割の程度しか出てないのじやないかと思います。今年の災害の方は、そういう心配はないようであります。  第二点の利子補給の負担を、地方公共団体には免除したらよいじやないかというお話でありますが、災害救済については、何と申しましても地方公共団体が第一線でやつていただかなければならないのでありまして、それに対してやはり責任を持つていただく必要がある、こういう趣旨から入れておるのであります。地方公共団体の負担分を府県と市町村でどういうふうにやるかという問題は、府県、市町村の負担力あるいは財政状態、いろいろありますので、市町村としては負担ができない点もあるかと思います。そういう点は府県で全額を持つていただいたらよいのじやないか、こういうことで府県と協議をしておりまして、その通りやつておると思います。従いまして、私の方では利子補給の負担を国だけということはぐあいが悪いと考えております。なお、その後そういう問題がいろいろありましたので、府県あるいは農業協同組合系統機関、あるいは市町村等の意見もいろいろ聞いておりますが、要するに金を借りるのでありますから、やはりそういう団体の方で本気になつて、親身にやつていただかなければ、手続としてやるべきものはやらなければ、そう手に入るわけでないということで、相当皆さんにも御理解願えておるように私どもでは考えておるのであります。とにかく国全体が困つておりますので、各方面で負担し合うという考えであります。

井出一太郎改進党委員長

○井出委員長 日野君に申し上げますが、農林大臣は参議院の農林委員会へ御出席の都合もあり、ここには四時半までの予定でございますから、それをお含みの上、あとに質問者もございますから、簡潔にお願いいたします。

日野吉夫日本社会党(右)

○日野委員 今の渡部官房長の答弁では、春の凍霜害の融資がほとんど二十億に達するということでありましたが、過般中金で調べましたところ、中金では八億、若干地方の信連を通して借りたのもあるであろうということであります。この点はあなたのおつしやるのとは逆で、十勝沖やオホーツク海にはフルに出ているはずであります。いずれこの点については、両方の資料でもつて御検討願いたい。要は農民が借りやすいように、府県や市町村が容易に協力できるような態勢のものにしたい、そうすることがやはり最もいい方法だ、こういうことを言つているのでありましてそういたしますと、従来のままあれをお守りになるおつもりなのですか。あれよりもつと進歩的な、知能的な改正の部分をわれわれは考慮しているのでありますが、これはいずれ共済の改正小委員会等とにらみ合せて十分研究して行きたいと思うのでありまして、この点は打ち切つておきます。  当面の問題として、集荷対策について農林大臣にちよつと伺いたいのであります。冒頭に書いてありますように、これは農手の借りかえ等を予定しておられる、こういうふうになつておりますが、農手の償還期間というのは必ずしも同一でありませんで、大体年内幾段階かになつておるようですが、間に合うかどうかということの心配がある。このごろの凶作地をまわつてよく調べてみますと、昨年の供出代金の半額に近い農手が出ておるところがある。こういうところがことし凶作のために供出が半額に減るならば、全部が農手借り替えにとられる。こういうことに左ると、供出を再償還のためにだけ出すということは希望いたしませんので、おそらく供出が遅れやしないか。この融資法が出てそれから手続きして借りる金では、農手借りかえに間に合わない。そこで今われわれは農手の一箇年すえ置き、そして利子は国が補償する、こういう考え方を持つているのでありますが、そういうお考えがあるかどうか。あわせて、もしこれが間に合わなかつた場合、一箇年でなくても、これを何箇月かに切つて延期するというような方法でもお考えでないか。農手対策について、これは重大な供出の対策にもなることでありますから、何かお考えがありましたならば伺つておをきたい。

渡部伍良農林事務官(大臣官房長)

○渡部説明員 農手の問題でありますが、これは私の方でできるだけ共済の支払いを早くやりたいということで、府県等の借りかえ、評価も早くやることを願つております。しかしながらそれもできないという府県が相当出ることが、想されますので、共済金の仮払いまたは概算払いも考えております。なおそれでも支払期に来た農手を落せないというのが出て来ると思います。それは一つは営農資金をできるだけ早く貸す。あるいはまたこれは中金と話をしておるのでありますが、とにかく制度的に農手を延ばすということはむずかしい、一年農手の支払いを延長するということはむずかしいから、農手の支払いが事実上遅れておる。おそくとも来年の一月までには供出もできるだろうし、共済金の支払いもできるだろうから、事実上延びるということでいいじやないか、それで処理しようじやないかという話をしておるのであります。しかしどうしてもすつきりしたいという考えであれば営農資金をはつきり借りかえて、来年の仕込みに資金が必要であれば、さらに新しい農手を発行してやつて行けばいいじやないか、こういうので、これは各団体等の陳情書にその条項が初めはみなあつたけれども、私の方では、そうやつたら片づくではないかということで、団体等の了承も得ておるつもりであります。

日野吉夫日本社会党(右)

○日野委員 今の営農資金の融資とそれから共済の概算払いですね。この二つのうちどつちか間に合うだろうという考えでありますが、私はどつちも間に合わぬじやないか、差迫つた農手の借りかえにこの二つの資金はどつちも間に合わぬ、そのほか何か別の手を考えておかなければ、これは重大な供出への支障になると思うのであります。間に合うお積りですか。

渡部伍良農林事務官(大臣官房長)

○渡部説明員 そういう点がありますので、制度的には手形の償還期限の延長ということをきめないけれども、事実上払えないというので延ばして行こう、こういう処置を講じようと思うのです。しかし一方ではできるだけ営農資金は早く、とにかく中金の方は少くとも現在だけは金が――来年の六、七月等の中金の資金が枯渇する時期は別として、現在は金が余つて困つておるのでありますから、そういう金に困るわけはないのであります。それは借入れの方の府県及び市町村で、農林省でしばしば言明し、すでに凍霜害以来の営農資金の融通法があるのだから、この融資の利率が三分五厘になるか六分五厘になるか、この問題はまだ未決でありますけれども、少くとも六分五厘の金が行くことだけは心配ないのだからそういう手続きをやつてくれ、こういうことを督励しておりますから、御懸念のような点は起らないと思います。

日野吉夫日本社会党(右)

○日野委員 心配がないと言われるけれども、どうも心配せざるを得ないんですが、期間を経過すると日歩四銭の利子がつくことは御存じでしような、農手の……。

渡部伍良農林事務官(大臣官房長)

○渡部説明員 事実上延ばして、それを制度的でなくやろうということは、延滞の高利の利息をとらないという前提で出ている、こういう考えでございます。

日野吉夫日本社会党(右)

○日野委員 延滞利子をとらないということはどこできめます。

渡部伍良農林事務官(大臣官房長)

○渡部説明員 これは中金で……。

日野吉夫日本社会党(右)

○日野委員 それは中金と了解済みですか。

渡部伍良農林事務官(大臣官房長)

○渡部説明員 つまりはつきり申し上げますと、元から延滞利子の全部をとらないというのでなしに、農手の利子は払つてくれ、増加分は負ける、こういう話であります。

日野吉夫日本社会党(右)

○日野委員 どうもそういうことでは、これは今店房長言つているようにすつきりしない。やはり何かひとつ明確な、延期するなら延期する、あるいは中金と折衝の結果、延利はどのくらい引き下げるとか、全然とらないとか、こういう明確なとりきめをしておかぬと安心できないのであつて、そういう手を適切に打つことが必要でないかと思うが、これに対するお考えはどうですか。

渡部伍良農林事務官(大臣官房長)

○渡部説明員 先ほど申し上げますように、今金がなくて営農資金がまわらないのというのでありますればこの問題もはつきり制度的にも考える必要があると思うのでありますが、先ほどからここで繰返して申し上げます通り、中金は現在金があるのですから、そうしてその金を融通するには、営農資金として今までの法律に準拠してやるのであり、利子支払いも六箇月後に払えばいいのですから、そういう制度を開いてありながら、それを組合で利用しないで、手形の支払いを延ばせということは、これはやはり單位組合がもつと勉強していただかなければならぬというつもりであります。私どもの方では、それも利用しないで、営農資金を延ばしてくれ延ばしてくれということだけではそう聞けないのであります。営農資金を今からでも出すと言つておるのでありますから、そこで問題は解決できると思つておるのです。

日野吉夫日本社会党(右)

○日野委員 その論議はあとでゆつくりいたします。大臣が言つておるように、適地適応の対策を必要とするけれども、同時にまた適時の対策も必要なのであります。適時に適当な対策をとつて行く必要があろうと思うのであります。  大臣にちよつと伺いますが、いよいよ臨時国会も開かれることになり、これは救農国会という銘を打つてあるのです。救農国会の花型役者は何といつても農林大臣であります。同時にまた吉田内閣のピンチに立たされたピンチ・ヒッターでもあるから、そういう意味で、過般の農林委員会の保利農政に対する一つの決議まで出ているのであるが、結果は遂にきようの新聞に発表されたようなことに終つておる。そこで結局問題は、農林委員会としては予算を修正する方向に向わなければならぬと思うのであるが、大臣はどうこれに対してお考えになられるか、まさか希望するとは言えないでしようが、どう考えられるかということ、もしこの窮状を打開する何かの方途があれば、ひとつ承つておきたい、こう思うのであります。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 先ほど申しますように、ただいま予算の款項目折衝の段階に立つておるわけでございます。どういう予算がお目にかけられるか、わくは一定のことになつております。それに対しましては、先ほど来申し上げましたところで私の考え方は大よそ御推察いただけるだろう、非常にきゆうくつを感じております。

井出一太郎改進党委員長

○井出委員長 井谷正吉君。

井谷正吉日本社会党(左)

○井谷委員 大臣にお伺いしたいのですが、それは今度の新しいかんしよの切りぼしの価格の問題であります。先日ちようど大臣おいでになつていませんでしたから、通産関係だけのお話を承りましたが、非常にわれわれにとりまして不満な回答であつたのであります。御承知のように九州、四国のかんしよ地帯の諸君が、九州、四国かんしよ対策協議会というものをつくりまして、本年の価格の決定の迫つておりまするこのときに、この協議会で決定をいたしました価格は、先般長官の方に出しているはずであります。もはや相当日たちが迫つて来たと思うのですが、本年の切りぼし価格はどの程度のお考えであるかということを、第一に承りたいのであります。そうしてまたいつごろ御決定になりますか。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷説明員 お答え申し上げます。御承知のように、本年産の澱粉切りぼしの買入れ価格につきましては、その原料の買入れ価格につきまして今月中に決定することになつておりますので、目下われわれの方でも検討いたしますと同時に、生産者団体の自主調整計画との関係もありますので、その方の意見も聞くように、今いろいろ打合せをしておるわけであります。御承知のように、農産物価格安定法といたしましては、基準年次のパリティ価格に需給条件を加味して決定することになつておりますので、先週におきまして大体かんしよの生産状況がわかりましたから、それに基いてさらに需給条件を加味いたしまして検討いたしておるわけでございますが、御承知のように農産物価格安定法に基きまして、まず自主調整を行いまして、その結果といたしまして政府がさらにそれを買い上げるということになつておるのでございます。昨年度の情勢を見ますと、政府の最低価格からいたしますと、大体そのまま――農協の手数料等はこの中に入らぬわけであります。自主調整計画をいたします建前上、やはりその計画との関連におきまして、一定の最低値段以上に市価が上まわるというところに初めて自主調整の価値があるわけでございますから、そういう面と組み合せまして、来週中には至急に決定いたしたいということで、現在まで生産者団体との間にいろいろ意見の交換をいたしておる次第でございます。

井谷正吉日本社会党(左)

○井谷委員 われわれの心配いたしますのは、昨年の買上げ価格より低くはないかといううわさが相当飛んでおります。この点についてどういうふうなお考えでありますか、承りたい。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷説明員 価格安定法の法律が通りました当時と現在と、それから昨年度におきましては、行政措置によつて一時価格を決定いたしたわけでございます。価格の立て方におきましてもおのずから違いがございますし、また同時に生産者の自主調整ということが、本年度においては主体になつておるわけでございます。従いまして、価格につきましては目下検討中でございますが、附加して申し上げたいと思いますことは、昨年度の状態を見ますと、昨年度におきましては、農協系統におきまして集荷いたしましたものが全部政府に参つておる。その間に何ら農業協同組合系統におきまする自主調整の機能というものは発揮し得ないような状態になつておるのであります。また政府が澱粉につきまして二千万貫の買入れを行いますし、また切りぼしかんしよにつきまして七百万貫の買入れを行つておりますが、これは全然現在におきましては政府の手持ちになつておるわけでございます。農産物価格安定法の趣旨といたしまして、やはり生産者団体の自主活動が十分発揮できるような方向において価格の問題も解決して参らなければならぬ、かように考えまして、現在生産者団体といろいろ打合せをいたしておるわけでありまして、菜週中には至急に決定いたしたい、その前には、また学識経験者の意見もいろいろ参考に承つておきたい、かように考えておるわけであります。

井谷正吉日本社会党(左)

○井谷委員 昨年買い上げられました七百万貫というものが、ことしの新しいいもの価格を圧迫するというようなことはないのですか。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷説明員 昨年度は農産物価格安定法に基きまして買つたのではございませんが、われわれといたしましては、農産物価格安定法の趣旨に基きまして、やはり市価を下まわつてこれを売るというふうな考え方は持つておりませんので、市価に影響を与えるような方法においての払下げということは、これは十分に注意いたしたい、かように考えております。

井谷正吉日本社会党(左)

○井谷委員 本年は相当食糧の不安な状態に入つて参つたのですが、生かんしよについて、これとにらみ合せて何かお考えがありますか。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷説明員 お話のように、本年の作柄からいたしましても、私たちは生かんしよが一般の生食用として出荷されることを相当期待されると思うのであります。そういたしますと、従来から生食用のものは相当原料価格よりも高く売れておることは、これは御承知の通りであります。こういう食糧不足の際でございますから、できるだけ生食用に出荷できるように指導はいたしたいというふうに考えておるわけでございます。同時に原料価格につきましても、やはり今月末までには原料基準価格として、これは全国一本の価格でございますが、各地によりましては、原料価格の場合におきましてもそれぞれ歩どまり等の関係において価格が違うかと思いますが、一応の基準価格というものは同時に決定発表いたしたい、かように考えております。

井谷正吉日本社会党(左)

○井谷委員 今飼料として入れられておるとうもろこしが、アルコール工場に相当まわつておることを御承知でございましようか。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷説明員 お話のように、昨年の外貨割当におきましては、大体とうもろこしの輸入は、飼料の需給を安定させるためにいわゆるAAシステム、自由輸入になつておつたわけであります。従いまして、AAシステムでございますから、これはその外貨割当の総わくの範囲内において自由輸入が認められておつたのであります。それが、御指摘のように現在まで入つておるものがあるわけでございます。これは今度の外貨割当からはAAシステムを改めまして、畜産団体の当事者にとうもろこしが渡るように資金割当にいたしたいということでやつております。従いまして、昨年度のようなAAシステムによる自由輸入によりましてアルコール工場等に行くということは、今後防止される、かように考えております。

井谷正吉日本社会党(左)

○井谷委員 最後に、これは希望でありますけれども、申し上げておきたいことは、戦争中も終戦後も、食糧増産ということで相当いもつくりは奨励されたわけであります。桑畑もみかん畑も掘り起して、どんどんいもをつくりましたが、今日いもが増産されるようになつて来ると、これは押えられて、いもはどうなつてもいい、こういうようなことであつては、われわれたいへん困るのでありまして大臣もわれわれの大臣でありますから、かような農研方面については十分検討願いたいということを申し添えまして、私の質問を終ります。

足鹿覺日本社会党(左)

○足鹿委員 今井谷委員から農産物価格安定法に関連して御質問がありました。私は一点だけ伺いますが、一昨日の本委員会において、冷害等による凶作対策に関する件の決議が二十四項目にわたつてできました。その二十四番目の「農産物価格安定法に関する附帯決議の趣旨を尊重し、自主的調整保管菜種の十三号台風に依る被害額につき至急、具体的補償措置を講ずること。」という決議が満場一致採択をされ、大臣なり長官もすでに御存じのことであろうと存じます。これは、必ずしもこれのみに限らない。他にも被害を受けた菜種等もあるでありましよう。しかしこれは政府との間に販売計画を立て、農協が自主的調整を行わんとして保管中のものも、たまたまこの十三号台風の被害を受けておるのであります。従つてこれは安定法の決定当時の附帯決議の趣旨を尊重されまして――金額は全体としては七千万前後と聞いておりますが、当該県が七府県くらいあるようでありまして、二万八千かますと大体踏まれておるようでありますが、これは当然安定法の趣旨に基いて補償の措置を講ずべきであると私ども考えて、この決議が採択になつておるのであります。この点について、安定法との関連またこれに対する御所信はどういうふうになつておりますか。わずかなことではあるが、法律に基いて自主的調整を行つた町村の組合が、これによつて致命的な打撃を受けておるのであります。これに対する補償の措置も何もないということになりますと、その組合にとつては致命的なものが来ると思う。これに対する救済措置というものは、当然講じられなければならないと考えますが、大臣なり長官、どちらでもけつこうですが、御答弁を煩わしたいと思います。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷説明員 農産物価格安定法の通過の際にそういう問題がありましたことは、私ども承知いたしているわけであります。法律の建前との関連のお問いでございますが、御承知のように、農産物価格安定法といたしましては、やはりその農産物の価格安定という建前からいたしまして、政府が一定価格で買い上げる措置を講ずる、こういう形になります。その法文上これを補償するという建前にはなつておらないことを御了承願いたい。その点についてはさらに調査をいたしますが、農産物価格安定法の建前としては、そういうものは補償し得ない建前になつていることを、ひとつ御了承願いたいと思います。

足鹿覺日本社会党(左)

○足鹿委員 農産物価格安定法自体からは、こういうものに対して補償の措置ができないことはよく存じておりますが、少くとも議員立法としてあの法律が急速に成立をした。その際の審議の過程等から考えてみまして、これは附帯決議の第四項に盛られてある天変地変による不可抗力に基くものでありますから、これはまだこの法律の発効が手間どつている間にこの被害を受けているという点で、やはり今後この安定法に期待する農民の気持を裏切らないためにも、また再建途上にある農業協同組合の経営の健全化のためにも、非常に重大な問題であろうと思うのです。やはりこれについては、適切な措置を講ずべきものだと考えますが、よく御検討になりまして、適当な措置を講じていただきたい。なお澱粉等について、すでにいもの買上げ時期が近づいております。去年のように、いもの出荷が済んでから行政措置として澱粉の買上げがきまつたのでは、業者のみを益して、実際の生産者には潤わない。そこで安定法が立案をされ、これが制定されたのでありますが、これに対して速急なる政府の態度、買上げ価格に対するところの方針というようなものが、どういうふうになつておりますか、この際関連してお尋ねをいたしておきます。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷説明員 足鹿さん十分御承知のように、農産物価格安定法の問題につきましては、あの価格決定方式によりまして、需給状況も加味いたしまして検討いたしておるわけでありますが、今明日にかけまして、生産者団体の意見を十分聴取いたしまして、それに基きましてさらに政府部内におきまして協議をいたしまして、できるだけ早くいたしたい。御説のように澱粉の買上げということは、本来は農産物でありまするいもの価格の安定という趣旨にあることはもちろんでございますので、その趣旨に沿いまして至急に善処いたしたい、かように考えておるわけでございます。どうかその点御了承願いたいと思います。

井出一太郎改進党委員長

○井出委員長 緒方副総理が間もなく見えるはずでございます。見えるまで暫時休憩いたします。     午後四時三十九分休憩      ――――◇―――――     午後四時五十九分開議

井出一太郎改進党委員長

○井出委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  冷害凶作対策に関する質疑を継続いたします。平野三郎君。

平野三郎自由党

○平野(三)委員 私はこういうことおを尋ねしたくなかつたのでありますが、しかし遺憾ながら一応お尋ねをせざるを得ませんことは、本委員会は昨日も緒方副総理の御出席を求めて、一日お待ちいたしましたが、遂に姿をお現わしにならなかつた。本日もけさから今まで待つて、ようやく御出席になるというようなことでは、何となく本委員会を軽視しておられるのではないかというような疑いを持たざるを得ないのであります。もちろんそういうことはございませんでしようし、またそうでないとおつしやいましようけれども、とにかく政府は、近く一週間という短期の国会を召集せられるのであります。しかもその名も救農臨時国会と銘うつてやるということは、来るべき国会こそはまことにわが農林委員会こそが焦点であるわけであつて、本委員会は休会中にもかかわらず、すでに連日にわたつてこの対策について検討いたしておるのであります。従つて今次の古今未曽有ともいうべき大凶作の対策について、政府はまずもつていかなる信念を持つて対処せられんとするのであるか。かような非常の事態に対しては、当然非常の手段に訴えなければならぬのであつて、実は農林大臣とせられては、しばしば本委員会に出席して、政府の所信を表明しておられるのであり、本委員会としても、農林大臣の進まれる方向に全面的に協力もしておるわけでありますが、今や政府の代表として、ことに内政を背負つて国民の前に立つておられる副総理とせられては、農林大臣とまつたく同一の見解をもうて進まれるのであるかどうか。まず私はその点につきまして、政府を代表しての副総理の御信念と、今後の御所信を伺いたいと存じます。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 私は、先日以来農林委員会のお呼出しにかかわらず、今日まで出席が遅れましたことに対しましては、劈頭にまずおわびを申し上げます。たたきのうは、終日予算にとられそうな気がいたしておりましたので、出席いたしかねますということを、実は委員長にもお断り申し上げておいたわけであります。今日は私の方が二時半のお約束をしておきながら、実は急に急ぐ要件がで、きたために遅れ、次々に澄延いたしまして今になつたような次第外れその点につきましては、私の方から率直におわびを申し上げる以外にございません。  それから、今こり未曽有の冷害に対して、農林大臣から応急の施策について委員会と同様の意見を開陳いたした。これは私も農林大臣からは一応承つております。私も実は農林行政につきましては、農林大臣がすべて政府を代表して委員会の御質問に答えておるという安心も持つておりまして、ほかの差迫つた要件にかかつておつたような次第であります。ただいま御質問の農林大臣のとりまする施策に対しましては、政府は全面的にこれを支持することは間違いないところでございます。

平野三郎自由党

○平野(三)委員 副総理は農林大臣とまつたく同一の所信をもつて進むという御答弁で、この点は了承いたします。しからばお尋ねを申し上げますけれども、昨日の閣議において決定をせられたと仄聞いたしまするところの今次補正予算案は、農林関係については、冷害対策費七十億というようなことのようでありますが、この七十億のうち建設関係の土木事業が十億、厚生労働関係のものが十億、合せて二十億を差引きますと、農林省所管のものは五十億ということになるわけ、あります。この五十億の内訳は、四十億が農林省所管の救農土木事業、残りの十億を一般の冷害対策の資金に充てる、こういうことのように伺つておりますが、さように了解してもよろしいのでありますかどうか、まずこの点を伺いたいと思います。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 それは初め一応大蔵省の案でありましたが、これについては農林大臣から意見がありまして、あらためて相談を、下るという話になつて、その後の結果は私もまだ聞いておりません。

平野三郎自由党

○平野(三)委員 そういたしますと、七十億というものはまだ確定したものでなく、多分に弾力性があるというふうに了解してよろしいわけでございますか。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 七十億というものは決定いたしたのであります。その内訳について農林大臣に意見がありますれば、その辺のところは聞いていないというわけであります。

平野三郎自由党

○平野(三)委員 たいへん話がおかしいですが、しからばお尋ね申し上げますが、この農林関係の冷害対策費十億という査定がありますが、農林大臣が本委員会でしばしば表明せられましたもの、並び農林省がわれわれの前に示しておりますところの冷害対策の項目の重要なるもの、絶対にこれは実行せざるを得ないというものを見ましても、営農資金に対するところの利子補給金が三億、副業の奨励が千五百万、飼料作物の種子代に対する助成金が二千万、製炭がまの助成が二千八百万、自作農創設資金に対する繰入金が十億、本年度の種子の確保のための助成金が八億六千万、農林漁業金融公庫に対する出資が十八億、麦の緊急増産に対するところの助成金が二億三千万、また冷害に対するところの当面の気象に対する技術の研究等のごときものも、これもわずかに五千万、こういう絶対のものを合せましても四十八億七千万という数字になるわけであります。まはほかにいろいろありますけれども、これらのものはまつたく削減するという余地のないものと思いますが、これを十億でもつてやるということは、一体どうすればできるのであるか、これを十億でやれということは、結局冷害対策を行わないと同じことでありまして、農林大臣の言われるところとまつたく背馳いたしておるわけであります。先ほど農林大臣とまつたく同一の見解であるというお話でありましたが、つい今し方の本委員会においても、農林大臣はこの七十億という数字は決してきまつたものではない、今日も閣議がまだあるわけであつて、折衝を続けているが、農林大臣としては、これではとうてい責任をもつてこの冷害対策に処することができないというはつきりした言明をしておられるのであります。また先般本委員会においても、大蔵大臣の出席はなかつたのでありますが、大蔵省の政府委員が大蔵大臣を代理して出席いたしまして、大蔵省としても、農林省と完全に同一の見解に立つているという意思の表明があつたことを思いますときに、七十億は動かすべからざるものであるというような御言明になりますと、唖然たるものがあるわけでありまして、さようなことではとうてい私は、政府が責任をもつてこの国会に臨むということは不可能であると断ぜざるを得ませんが、この点についてどうお考えになるか、一体絶対的にやらなければならない種子の確保であるとか、あるいは営農資金の利子補給であるとか、そうした絶対のものを合せて四十八億、これを一体十億でやれるのかどうか、その点をひとつはつきり伺いたいのであります。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 内訳については、私は率直のところ承知しておりません。冷害の対策費の七十億ということにつきましては、農林大臣は違つた意見を持つておられたのでありますが、いろいろ意見が出尽しました後に、結局総理に一任せざるを得ないことになりまして、総理の裁断でこういう結論を得たのであります。その点につきましては、災害復旧費のごときものも、これは私災害対策本部長として、率直に申して不十分と考えておりますけれども、結局財源の関係からこういう結論に至らざるを得なかつた、それと同じような意味で、農林大臣が農林の責任者として持つておられる意見と、その間には今御指摘になつたような性格があることは申し上げてさしつかえないと思います。

平野三郎自由党

○平野(三)委員 財源がないからというお話でありますが、財源はあるのです。今回の五百億というわくを動かせということをわれわれは要求しているわけではないのであります。すなわち農業保険に対するところの百三十億という財政支出を政府は認めておられるわけであるが、この百三十億の中の必要な金額を、金融でもつて一時まかなつておくというふうにすれば、総額五百億の線を何らくずすことなしに、これらの冷害対策が実行せられるわけであります。実は私は与党としてこういう内輪のことを申し上げたくはありませんけれども、けさの自由党の総務会において、大蔵大臣と私と論議をいたしましたときにも、はつきり大蔵大臣は、七十億という線を動かすことを考慮するということを言明いたしておるのでありまして、これは副総理はまだお聞きになつておらぬかもしれませんけれども、大蔵大臣はけさはつきりそういうことを言うておるわけであります。七十億という数字は十分動かせる根拠があるのであり、また吉田総理が裁断をせられたのも、五百億という総額について裁断をせられたわけであつて、その内部の運用ということについてまで総理が裁断をされたわけではないのでありますから、副総理のお考えいかんによつては、この百三十億円の農業保険金のうちの相当部分をこの七十億の方にまわして、そして農林大臣が言明しておられる通りのことができるわけなんですから、この点はぜひとも副総理の御努力を要望いたしまして一応質疑を終ります。

井出一太郎改進党委員長

○井出委員長 金子與重郎君。

金子與重郎改進党

○金子委員 今度の冷害の問題につきまして、その予算作成にあたつてのこまかい数字の問題につきましては、同僚委員から今お話がありましたから、その数字は省略いたしまして、ただここで副総理にお伺いしたいことは、農林大臣はこの農林委員会の審議の過程数回に及んで出席しております。われわれは今度の被害地を調査いたしました結果、あるいは数字として集まつて参りますもの等をにらみ合せまして、そして順次審議して参つたのでありますが、その審議の結果、私どものこの際なすべき一つの施策というもののわくと、それから先ほど来平野委員からお話がありましたわくとに非常に大きな開きがありますので、先ほども農林大臣に各委員から相当強く詰め寄つたのでありますが、結局におきまして大臣のお話は、不満である、これではできないと思う、しかしながら大わくが決定いたしたので、何ともやむを得ぬ、こういうふうなお話でありますが、大わくというのはどういう理由で、どこからきまつて来るのか。憲法か神様の御宣託のように動かすべからざるようなお話であつたのですけれども、そういう強力なわくというものはどこから出て来るのですか。その事情をお聞かせ願いたいと思います。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 十分なる御説明ができないかもしれませんが、政府としましては、二十八年度の予算に関連いたしまして補正を要するものを、今回提案した第一次補正以外に相当数持つておるのであります。これに対しまして大蔵当局と申しますか、政府といたしまして、今ぎりぎりの線まで来ておると考えられる、インフレの危険を誘致しない限度において財源を考えました場合に、結局七百二十八億という財源を求め得たのでありまするが、その際に今度第一次補正に計上しておりません補正を要する歳出、この予定歳出を財源として留保いたさなければならぬ関係上、今回の災害対策予算に対しまして、五百十億という数字以上の財源が見出せないという結論なのであります。これをもり一度繰返して申しますると、補正を要する全部の費目に対する財源のうち、第一次補正、すなわち災害対策に対しては五百十億以上盛れないという結論に達したのであります。

金子與重郎改進党

○金子委員 そこでこれは少々意見になつてはなはだ失礼でございますが、今わくを何か金城鉄壁のようなものが出たように再三農林大臣は言うのでありますが、その元種を今伺つてみますと、結論は財政の放出からインフレになることをおそれる、それが唯一の原因のように承知できるのでありますが、もちろん今日本の経済がインフレになりますところのいろいろの素因を持つておりますので、その点を健全な方向へ持つて行かなければならないということは、財政当局だけの考え方でなく、およそ政治の立場に立つておる者がいずれも憂えるところであると思いますので、私はその点を別に否定するものではありませんけれども、しかしながらインフレによつて国家の経済を危うく下るということが困ると同じように、というよりかむしろ副総理は、災害地をごらんになつておわかりだと思いまするが、あの農民が一箇年の収穫の金歯なり――単作地におきすとほとんど全量と言つていいくらいであります。ないしは半分なりというような天災を受けて、インフレのために生活が困難になる、物価騰貴のために生活が困難になるとか、貿易を振興しなければならぬとかいう前に、まずこの冬をどうして生きるかということ、そういうようなほんとうに押し詰つた立場にある国民層が相当度できておる。これは私が政治屋として農村におもねる言葉でなしに、私はそう考えるのであります。そういう事情があればこそ平野委員も言うように、私は非常時対策だと思うのであります。でありまするからして、これは政府でそう言つてもしかたがないんだと言えばそれまででありますが、これはその現実を考え、もう一つには、その次にこれをインフレにならないようにどうしたらいいかというふうに、二つにお考えになるわけには行かないものですか。まず大蔵当局の財政の大わくを、神様の御宣託のようなものをいただいたから、その中で処理するということでなくて、現実に出た非常時というものを取上げ、そうしてそれを取上げた結果がインフレになる傾向があるというならば、その方策としてどうするかというふうに――これは意見になつてはなはだ失礼でありますが、そういうふうに考えるような、私は今の時期は非常態勢だと思いますが、副総理は今の事態に対してどういうふうにお考えになつておりますか。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 ごもつともな意見だと存じます。私も実は災害対策本部長といたしまして、災害地も一応まわつて、これがいかに非常の災害であるかということもよく了承いたしておるのでありまして、今度の予算の会議の間にも、実はあまり項目の多い予算でないだけに、一日で済ましたいと思つておつたのが、私だけでなく各方面から、単にインフレの角度からだけでなく、いろいろな角度から意見が出まして、そのために三日費したわけでありまするが、結局今の国家財政の状態におきまして、一兆きつちりとはいわぬまでも、一兆の線、それを常識的に見て割つていないという線でないと、インフレになるおそれが強いという――あえて大蔵当局の意見と申しませんが、そういう根本的の見方を閣僚の一同も納得せざるを得ぬようなことになりまして、結局限られた財源の中から、どういうふうに災害対策あるいは冷害対策をやつて行こうかということになつたのが最後の結末で、このために――これは冷害ではありません、災害の方でありまするが、たとえば伊勢湾の周辺の堤防の決壊というようなものについては、建設当局の言うところでは二百億かかる、いかに少くしても最初に七十億はかかるというようなものが、この災害復旧費の中にとうてい盛り切れない。そこで建設省と現地の公共団体との間に、別な考えでとりまとめるというようなことをやつておるようなこともありまして結局はインフレの警戒というのが一番強くあつたことは事実でありますけれども、事実今お話になつたような意見も出尽しまして結局総理の裁断をまたなければならぬような始末になつた次第であります。

金子與重郎改進党

○金子委員 百姓の食えなくなつていることはよくわかるけれども、それよりももつと大きな問題は、一兆億円を越えればインフレになる、これはもつと困つたことだ、かいつまんで言えば、そういうふうな結論のように伺つておるのであります。ただそこで重々副総理もお考えだと思いますが、御承知のように、日本の農業というものは企業ではありません。なるほど形において一つの企業形態はなしておるようなものの、あの労働基準法を抜きにいたしまして、家族から年寄りまで一夏全労力をぶち込んで、しかもその上肥料代まで注入して、それが収入がなくなつたということになりますると、利潤のあるときに非常にもうかる事業であるならば、その蓄積というものもあるのでありますけれども、今日の農民は、土地は財産ではありません。農地法の立場から行きまして、貸借の自由と売買の自由がありませんから、もちろんこれは財産価値を持つておりません。そういう中にただ自家労力を投資してのみ生産があり、しかもその生産されたものが国家の一方的な価格で買われておるのでありまして、そうしますと結局一種の労働報酬によつて食つているんだということだけは確かなのであります。そうすると形のかわつた一種の労働者であります。もしも今の農民が、自分の井戸から水をくんで飲み、屋根が漏つてもがまんし、着物も着ずにいる、そういう生活でなしに――命を続けて行くということに弾力を持つ環境にあるから問題が起らないのであつて、もしこれが労働者のような賃金の形にあるようなものに対して、その半分でも三分の一でも収入減が来るならば、これにインフレどころの話じやない。国家にとても治まらぬほどの大騒ぎになりますよ。ああいう農民であればこそ、お願いします、頼みますと言つておりますけれども、これがほかの職業にこれだけの一つの経済的な食い違いが来たときには、これは重大な問題が起ると思うのであります。ただ一兆億円を越えればインフレになるのだということが神様の御託宣であるかのような、大きな動かすべからざるものだということに対しては、私どもとしては政治の面として承服できないのであります。そこで私どもでは、委員会といたしまして、各党党派を超越いたしまして、この問題に対して連日検討いたしました結果、二十二、三項目ばかりの必要な事業、それを一つ一つ積み上げて行くならば、厖大な数字になるが、そういうことでなしに、その点も考え、同時に今あなたのおつしやる国家予算のわくということも重々考えまして、一昨日とりあえず融資に対しては二百億円を下らないこと、応急の施策といたしましては農林関係の土木事業を加えて百十億円にとどめる、こういうような決議がなされて、その決議を私どもを代表して委員長からあなたの方へ報告、同時に申し入れをしたと思いますが、その結果につきまして、両院から申し入れを受けました政府のあなたの立場としては、どういうふうな感想で、それに対して何らか考慮いたす考え方でありますか。両院の申し入れを受けました後におけるあなたの今後の考え方について、御披瀝願いたいと存じます。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 一昨晩委員長から、当委員会におきまして御決定になつた対策に関するお書きものをちようだいいたしたのであります。これには冷害対策費として百十億の数字が掲げられておりまするが、これと農林当局の意見とは多少の食い違いが、率直に申してありました。さらにこの七十億との間には相当の開きがあるわけでありまするが、私としても、この七十億という数字は、災害復旧費の三百億と同様に不十分であると考えます。でありまするが、今申しましたような、そういうことにつきましても農林大臣は非常に激しく主張をされたのでありまするが、結局のところ先ほど申し上げましたような経過をもつて、こういう結論になつたのでありまして、当時不十分であると考えましたことは、今でもさように思つております。ただ、財源の関係上こういう結末になつたような次第であります。

金子與重郎改進党

○金子委員 当委員会の決議並びに当委員会の決議に賛意を表しました参議院の農林委員会、この二つの政府に対する申入れがあつたけれども、心持としては不十分と思うが、そのわくは動かすことはできぬというふうに了承いたしたのでありますが、そう上ますと、これは方法といたしましては、たとえば平野委員が先ほど申し上げたように、共済の金をことしにおいてこれだけ盛り込まなくも、これは一部分は融通においてもつくことであるという見解を、当委員会の各委員は皆持つておるのであります。もしあなたがそのわくということを非常に強くお考えになつて、そうして農村の今の実情というものを、気の毒だという言葉の以上やむを得ないんだということで解決するということといたしましても、かりに国会が開かれますれば、事冷害に関する限りは当委員会で審議することになると思いますが、私どもはこの百十億の線を出すということに対しても、これでは少いというような意見も相当たくさんありまして、そうしてほんとうにお互いが政府の立場になつて考えようじやないかというような、ほんとうに真剣な立場から、最後には委員長の仲裁まであるような騒ぎでここへ落着いたのでありますので、私どもとしては、今から申し上げることは決して虚勢でもなければ何でもない。政府がいかような予算を出されようとも、私どもも、政府と同じようにインフレもおそれますし、国家財政も無視するわけでありませんけれども、それと現在のこの農民の非常時態勢というものをにらみ合せたときに、今あなたの御説明した程度でかりに出されたとするならば、私どもはただちに、最近決議された線に修正するよりほかはないのであります。これは各党一致で決議したのでありますから、当然当院は満場一致でその修正案を通すと私は信じております。そういうことをやることの方がいいか、それともこれは、私どもには予算を作成するところの権利はありませんので、あなたの方にあることでありまするから、決して私は政府の権限を云々するのではありませんけれども、そういうことがはつきりわかつておるならば、やはり政治は、事前にもう少し話合つてまたお考えになつていただける方がいいのじやないか、こういう見解からこういうことを申し上げるのであります。もしそうでないならば、政府が災害予算を五十億はおろか一億出そうとも、二億出そうともこれは御随意である。われわれはわれわれで考えるというふうに行くのでありまするけれども、それではただ国会を通して、一方において、どうしてこの冬を過そうかというたくさんの被害農民を前に置いて、そうして国会が意見の相違で議論に火花を散らすようなことは、決して親切な政治じやない。こう信ずるがゆえにあえてこうして事前に委員会を開いて、あなたに私どもの真の気持をお伝えしまして、もしあなたの方で私どもの熱意なり、あるいは真意をくんでいただけるならば、政府といえども、この七十億も神様の御宣託じやないのだ、憲法でもないのだ、とするならば、考慮していただけるのじやないか。そうして困つておる農民の人たちに十のものを与えたい。しかしながら国家の財政もせい一ぱい、野党が考えても、与党が考えても、政府が考えても、この程度でかんべんしてくれ、そうしてお互いに苦しいところを忍んで行こうじやないか、こういうような態勢にあることが、私は国民に対する一番正しいことであり、結果がいいことになる、こう信ずるがゆえにあなたに申し上げておるわけなんであります。それ以上あなたがどうにもならぬというのであつたならば、私が申し上げることは不必要だと思いますので、私の質問はこれで打切ります。

井出一太郎改進党委員長

○井出委員長 芳賀貢君。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 私は緒方副総理に、副総理の立場よりも、むしろ災害対策本部長という立場における緒方さんに対して質問をいたしたいと思うのであります。  私は、たまたまかつて水害対策特別委員会の一委員として出席したのでありますが、水害対策特別委員会の最終の段階におきまして、緒方副総理は、二十四の議員立法をほんとうに施策の上に実現するためには、政治的な立場を賭しても努力するという実にりつぱな態度の表明があつたわけであります。このような決意と信念の上に立たなければ、何十年来にないような稀有のこの大災害を乗り切るということは、政治家としてはおそらくできないというふうに考えておるわけであります。その場合において、今次のこの最大の災害であるところの冷害に対して、副総理はどのような認識を持つておられるかということを、私は冒頭にお尋ねしたいのであります。そのことは、二十日の当委員会の決議が井出農林委員長を通じて緒方副総理に手交されまして、これを今次召集されるところの臨時国会に実現していただきたいという、率直な申入れがあつたというふうに考えるのであります。この二十四にわたるところの決議の内容というものは、これは決して単にありふれた当農林委員会の一片の決議ではないのであります。救農国会と銘打つて短期の臨時国会を召集し、しかも会期を一週間に限定して、このことだけを行うという場合においては、どうしても冷害等が中心になつた救農対策というものは柱として打立てられておらなければ、何ら救農臨時国会を召集する音義はないのであります。しかも当委員会は、最小不可欠の予算的数字を百十億という線にとどめまして、各党の政策や立場から言えば、当然これでは同調しがたい点があるのでありますけれども、緊急差迫つた被害地の農民の窮乏と不安を乗り切るためには、一日も早くこの措置が必要であるという立場の上に立つて、このような申入れを行つたのでありますが、政府の閣議決定によるところの発表を見ると、一応数字の土におきましては、七十億の冷害対策費が盛られておりますけれども、この点については同僚の各委員が発言されたように、これを分析した場合においては、救農事業費として四十億と、政府が売り渡す米麦の損失と、種子の確保に十億、五十億しかないのであります。これは百十億の農林委員会の要求に対する見合うべき五十億の予算にしかすぎぬということを考えた場合に、このことはおそらく当委員会の失望だけではなくして、全国におけるところの災害地の農民が、このことに対してどれだけぼう然自失し、唖然として、さらに痛憤の度を増すようなことになることは必然のことであります。緒方副総理は、水害対策委員会等においては熱情を傾けて努力を示されて来ておつたわけでありますが、すでに精魂を尽して、この冷害対策等に対しては、もうかき立てるべき熱情があるのかないのかということを、われわれは疑いたいのであります。この二十四項目を中心としたところの冷害対策の予算に対して、これは必然的に発展する様相というものは、政府がこのような原案を出されても、当然これは修正される運命を当初から持つておるのであります。そういうような将来への一つの見通しを確認された場合において、災害対策本部長の緒方副総理は、現段階においてどのようなお考えを持つておるか、その点をまずお伺いしたいのであります。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 災害対策委員会で私が始終申し上げておりましたのは、あの政令の基準等につきましていろいろ熱心な御意見の開陳があつた。政府の中にもいろいろな意見の食い違いがあつたのでありますが、その際私は、被災害者になつて考えなければならない、また委員会の御意向は十分に取入るべきであるという考えから、責任にもつて善処しますということを最後に申し上げたのでありまして、その考え方のもとに今政令の脱稿を急いでいるのであります。ただ私は、今度の災害は非常の災害であるだけに、しやくし定規のことばかり言つてはおれぬと思いますが、やはり国家財政が非常にあぶなくなるということも、基本的には考えなければならない。そこで災害対策委員会におきましても政令の基準――、委員会のいろいろの御意見けつこうであるが、最後に財政全般と見合せた場合に、これは財政に破綻を来すおそれがあるというふうなことになつたならば、あらためて御相談しなければならないということは、私は始終申し上げて参つたつもりであります。この冷害の対策費でありますが、私先ほども申し上げましたように、決して十分であるとは考えておりません。おりませんが、同時に予算は、先ほど平野委員からも御指摘がありましたが、閣議の決定はすでにいたしておるのでありまして、政府といたして、ここでこれを変更し得るということは申し上げかねるのであります。ただ国会の方におきまして、こういう冷害対策費ではどうにもいたしかたがないという意見もきつとおありだろうと思います。現に農林省の意見とも食い違つておるくらいでありますから、当然そういう意見もあると思いますが、それに対して政府がどういう態度をとるということも、この場合は差控えておきたいと思います。ただできることならば、五百十億というわくは、何とかしてこれをはみ出さぬようにいたしたい。その点につきましては、政府は相当検討に検討を経たあげくでありまするだけに、相当かたい決心を持つております。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 緒方副総理は、これ以上災害予算を膨脹させた場合には一兆億の線を越える。一兆億の線を越えるということ自体がインフレの要因になるということを言われておるわけでありますが、その場合において、インフレをおそれるという考え方はもちろんあり得ると思いますけれども、ほんとうに災害を受けて、たとえば六月、七月あるいは十三号台風までの災害というものは、非常に外観的な何かはなやかさが伴うような災害の様相をも持つておるわけでありますが、冷害というものは、一道十九県に及ぶというような非常な広汎な地域の中において、しかもその被害の実態というものは、ことごとく農作物に対する減収の形に上つて現われた被害であります。これは十月の五日の統計調査部における米の予想収穫高の試算をもつてしても、前年の収穫量上りも実に一千一百七十万石の減収である。五千四百五十万石程度しかとれないというようなこの事実、この一千一百万石の差のうちの七割程度は、この冷害地帯における稲作だけの減収であります。七百万石を、かりに一万円にしても、これは七百億という水稲だけの冷害に上るところの被害、それに畑地関係の冷害等を加えれば、優にこの冷害地帯の農家の災害に上るところの収入の減というものは一千億を越えるのであります。このような明白なる事実というものは、一般の災害などと違つて、明確な数字がすぐ出て来るのであります。このような積雪寒冷単作地帯の冷害を、何とかして切り抜けなければならぬという場合において、この程度の予算ではたして何がやれるかということであります。政府は救農をやると言つておられますけれども、救農をやる場合においても、これを失業対策的な意味でやるのか、あるいは土地改良等に重点を置いて、国が投資する予算が再生産に返つて来るというような効果的なねらいをもつてやろうとするのか、その点もわれわれは承知したいのでありますが、今朝の新聞によると、財界は、災害予算に対して政府が一応一兆億の線でこれを食いとめたことに対しては了承するけれども、国会の審議の中にあつて、国会と妥協するようなことがあつては断じてならぬ。この線はあくまで食いとむべきであるということと、野党においてもこれらのことが絶対にないように戒慎すべきであるというような財界の意思表示が、新聞に載つておるのであります。このことと、政府が言つておるところの一兆億を越えるとインフレになるということは、結局被害農民と財界の少数なる実力者をはかりにかけて、どつちにその比重を置くかという問題になつて来ると思うのであります。当然災害予算の中におきましても、たとえば種もみを確保する場合においても、これは権力者が弱者に対して憐愍の情をもつて与えるという考えであつてはならぬのであります。現在の政府がとつておるところの低米価政策によつて、寒冷地帯の劣悪な生産状態の中にあつて稲作栽培をする場合において、農家の経済を維持するためには、どうしても危険と知りながらも、おくての稲を選んで多量な肥料を投ずる、そういう場合に、この冷害にあつた場合においては非常に大きな災害をこうむるのであります。これらは当然現在の政府の農政に対する貧困から出発した問題であり、特に低米価の行き方なんかは、今度の災害に対する一つの重大なる要因をなしておるということが言い得るのであります。だからこの災害地の農民がかかる危険な栽培から脱却するために、できるだけその地域に適応した品種を選んで、寒冷に耐え得るところの多収耐病の品種をこの際更新しなければならぬという考え方は、当然個々の農家の中にも、また国家的な指導の立場からもこのことは行われなければならぬのであります。このような一つの農業経営の安全の方向へ向う機運をつくるために、国が相当の予算を投入するということは、結局今後の日本の食糧自給態勢の上においても、食糧増産の上においても、これはプラスになつてはね返つて来るのであります。  さらに土地改良等の問題にいたしましても、政府は常に食糧増産五箇年計画等を唱えておるけれども、この予算の中においても、公共事業費を七十億も削減する用意があるのであります。おそらくこの公共事業費の削減の中においては、農業関係の削減が大部分を占めておるというふうに考えるのでありますが、われわれの主張は、救農というような、そういう名前ではあるけれども、この際大幅に被害地域に対する土地改良を徹底的に行つて、それによつて明年からの再生産が可能になるような条件をつくる機運を、この場合に確立すべきであるという主張を持つておるのであります。そういう場合において、百十億程度の冷害地域に対する国家の財政支出があつて、何がインフレの要因になるということが言い得るのでありますか。平年よりも千百万石も米の収穫が足らない、この不足分は何によつて補うかということも問題になるわけであります。ただ外米だけに依存するというような安易な考え方だけをもしとるとすれば、これこそ輸入米に対する補給金の増大等によつて、むしろことにインフレの要因が誘発されるというふうに自分たちは考えるのであります。だから今後の災害対策等に対しても、これはかわいそうな農民を救うという考え方でなくて、この機会に政府の貧困なる農業政策を切りかえて、これによつて将来に対処する一つの機会をつくるという、明確なる立場の上に立つた施策が必要であるということをわれわれは主張したいのであります。この基本的な考えの上に立つて副総理の御所見を伺いたいのであります。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 いろいろ御意見でございましたが、結局今回の政府できめました補正予算が、災害に対しましても冷害に対しましても不十分であるということから、いろいろな議論が起つて来るのでありまして、その点不十分であるということは政府におきましても認めております。ただこれは本予算ですでに九千何百億という予算が決定した後で、従つて財源がきわめてきゆうくつであるために、こういう補正予算をつくらざるを得なかつたのでありますが、それだけにこれで年度内もちろん不十分でありましようが、次の二十九年度におきましては、私はあらゆる新しい要求をしりぞけても、この災害、冷害等を主にした相当大きな財源をこの方にさかざるを得ないし、またさきたいと考えておるのでありまして、この際といたしましては、別に財界の意見を気にしているわけではないのでありますけれども、繰返し繰返し申し上げるように、できれば予算の一つのわくを持つて行きたいという、その財源の関係からこういうきゆうくつな予算になつたのでありまして、その点は重々御了承をいただきたいとお願いする以外にないのであります。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 先ほど副総理は、保利農林大臣と副総理は考え方を同じうするというような御発言もありましたが、農林大臣は当委員会の関連のもとに絶えず出席されるわけでありますが、われわれが非常に不満に思うのは、農林大臣の確固たるこの冷害あるいは農業災害等に対する明確なる態度がないということであります。当然当該所管の大臣が、このような一つの危機を乗り切るためには相当重大なる政治的な決意の上に立つて行わるべきであるにかかわらず、まつたくわれわれは信を寄せる点において序しむ場合が多いのであります。どうかこの点に対しては、副総理は保利農林大臣と考え方を同じとなさる場合においては、ぜひこのような欠けた点を補つてあまりあるようにしていただきたいと思います。  さらに一言申し添えておきたいことは、この冷害地帯は、御承知のように単作地帯であります。一年中努力して一度しか作物がとれない。その作物がこの災害によつて非常に被害が多くて、あるいは皆無、あるいは半減という状態になつた場合において、次の収穫を得るまでには一年の日時がかかるのであります。西南暖地等においては、すぐ裏作ができるからしてその食いつなぎが、半年たてば間に合うわけでありますが、この単作地帯においては一年かかる。しかも東北あるいは北海道は、今月の末、来月に入ると、すでに雪空が迫つて雪が降るという状態に置かれておるのであります。作物がとれなくても、やはり冬越しには相当の燃料がいる。働きに出るためにも冬じたくが必要であるというような、このような特殊の生活条件の中における災害者に対して、一日も早く手を延べなければならぬということは、これは見解が一致しておると思うわけでありますが、こういう点について徹底した施策を講じなければ、常に政府が言つているように、国内における間接侵略云々というような再軍備論もありますけれども、被害農民を窮乏のどん底に陥れておいて、一兆億の線が出るとインフレになるからして、これ以上の予算は出せないというような考え方で、これを農民に押しつける場合において、そこからどのように現在の政治に対する不満と不信の念が起つて来るかということを、まずお考えを願つておきたいのであります。  本日の委員会は臨時国会開会までの間においては、おそらく最終の委員会でありまして、委員会に対する満足なる意思表示がない場合においては、当然われわれは臨時国会の中において、それぞれの立場の上に立つていかにして今国会をほんとうに災害を克服して、しかもこれをもつて日本の災害豊民が再生産の方向に立ち上ることのできるような力を与え得るかいなかというところに、われわれは努力を傾注したいということを特にお考え願いまして、最後に副総理のこれに対するお考えをお聞きしたいと思います。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 ただいまお述べになりましたこの災害に対する御意見は、私全然同感でありまして、にもかかわらずこういうきゆうくつな予算を組まなければならなかつた現在の状況をはなはだ遺憾に存じます。

井出一太郎改進党委員長

○井出委員長 足鹿覺君、関連質問を一問許します。

足鹿覺日本社会党(左)

○足鹿委員 私は全然観点をかえた質問を申し上げたいと思います。  先刻からインフレ論が副総理からも述べられております。この点について芳賀委員からもこれに対す見解が述べられたわけでありますが、この今度の予算対策の歳入面から見まして、今芳賀委員も触れられたように、既定経費節約分九十一億の中には、七十億の公共事業費を切つておる。これは当然農村方面にも関係のある公共事業費も含まれておると思う。また補助費を四億切つておる。この四億の補助費の中には、実に零細なものまでも締め上げておる。たとえば政府が昭和二十五年似来積雪寒冷単作地帯としての東北、北陸、山陰等に耐寒耐雪性の紫雲英の増殖をはかるために、特別な補助費をわずか一億三千万円組んでおります。本年度の予算にも組んでおつた。これを今度の冷害を受けた地帯に限られたこの予算のうち一割を削るというような、実にこまかいところにまで削減の手を延べておる。これは一方において救農国会を打出して、わずかな経費を与えんとし、裏面においては、そういう既定経費として相当の積雪寒冷単作地帯における自給肥料の増産、あるいは有畜農業の奨励上必要欠くべからざる飼料の確保の上に大きな成果を上げておる経費すら切らんとしておるではありませんか。こういうことは私どもは見のがすことはできないと思う。たといわずかな補助費であつても、むしろこれをふやして行くことが至当であるにもかかわらず、これらの既定経費を削つて、これの幾分をまたさらに冷害対策と銘を打つてまわすなどということは、私どもから見ますると、言い過ぎかは知りませんが、羊頭を掲げて狗肉を売るのではないかとすら感ぜざるを得ない。さらにまた既定経費の節減の中には、平和回復善後処理費七十億を削つておる。これについては内容がわかりませんから、具体的には私は申し上げませんが、続いて住宅公庫出資金からの繰入れ二十二億を切つておる。現在の国民の実情というものは住宅難にあえいでおるではありませんか。これは都市といわず、地方の中小都市においても、もつともつとふやしてもらいたいという訴えを政府は聞かれぬはずはありますまい。しかるに既定経費の節約分と、平和回復善後処理費の節約分と、住宅公庫の出資の二十二億を切ることによつて百八十三億をいわゆるたらいまわししようとしておられるではありませんか。こういういわゆる財源の措置の上に立つた矛盾きわまる今度の政府の予算編成方針は、はたして農村に対してどの程度の御認識を持つておいでになるのか。今まで補助施設を与えておきながら、これを一方において削つて、名目をかえてそれが何になるでありましようか。少くとも歳入面から見て、今救農臨時国会を目途として政府が立案をされたこの予算対策の矛盾に満ちた点を、この点からでも指摘できると私は思う。経費の不足の点については、他の同僚委員からるるお述べになりましたから私はあえて重複を避けますが、こういつた点について政府は何もお考えにならないのでありますか。事実この四億というような零細な補助費は、ほとんどこれは農村関係の補助費ではありませんか。そういうことを一方にしておきながら、わずか今度の冷害対策に十億のはした金を盛つて、それを種子確保対策、飯米対策の経費として組んでおられるようでありますが、一体それが何の意味を持つでありましよう。われわれは政府の誠意を疑わざるを得ません。いろいろ御尽力になつたでありましようが、今私が指摘した点は事実の認識の上に立つてであります。すでにこの積雪寒冷単作地帯の紫雲英採種圃設置費の一割削減については、その人たちが増額の陳情に出た際に、逆に削られておるということを知つて、そうして必死にこれの復活を叫んでおるではありませんか。そういつた点を副総理はよく御検討になつておいでになりますか。あまりにも事務的であり、あまりにもこれは冷酷に失しはしないか、そういう点を私は今度の予算対策を見て特に痛感したのでありますが、この一点について副総理の御所見を承り、少くともそういう従来の既定経費の節減の中の農村に関係のあるものについては、これは元へ復帰すべきである。むしろその中には冷害対策の一環として復活増額しなければならない性質のものも私はあると思う。そういう点についてはいかに御検討になつておるのでありますか、私はこの一点を伺いまして質疑を打切りたいと思います。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 インフレ回避ということの客観的の価値がどうであるかということについては、いろいろ意見があろうと考えます。政府は、先ほど来申しましたように、この際は何としてもインフレを避けたいという政策の上に立つております。その政策を堅持して行こうといたしますると、この補正予算に災害等やむを得ざる財源を出すためには、何としても既定経費の節約によつて一部の財源を捻出する以外に道がないのであります。そのために実は相当長い間かかつて、この既定経費の節約による財源の捻出を各省に要望いたしたのでありますが、各省も初めからそうむだな経費があるわけはないので、既定経費を節約するのにはなかなか骨な折れる。今御指摘のような金額も、これはそう簡単に出たのではないのでありまして、所管大臣におきましては、いろいろな角度からその既定経費を検討されて、この際災害、冷害対策等の財源にするのには、まあこの程度はやむを得ないであろうという専門的の責任の立場に立たれた、しかも全体の経費を捻出することはやむを得ないという立場から持ち出されたものでありまして、住宅公庫のお話がありましたが、これも庶民的の印象から申してどうであろうかということも、閣議でも問題になつたのでありますけれども、これは実情を申しますと、今資材が非常に高いために使い切れずにおることも事実でありまして、そのためにこの程度のものを財源に出すことは、実際上は支障を来さないというような責任者からの意見も出まして、こういう財源を出して参つたような次第で、今御指摘になりましたようなことは私どもも同様に感ずるのでありますが、政府のインフレを回避するという政策が是認されますならば、どうもある部分既定経費からしぼり出すことはいたし方ないというふうに感じておるのでございます。

井出一太郎改進党委員長

○井出委員長 川俣清音君。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 私は平野委員、金子委員並びに芳賀委員から、当農林委員会が重大な決意を持つて政府に要望いたしましたことにつきまして、すでにるる述べられておりますので、この点に関しては再び私から述べることを控えます。しかしながら、今日これほどおそくまでなお農林委員会が審議を進めておりますことは、目下冷害に悩み、災害に悩んでおるところの多くの農民の立場を考えまして、あえて緒方国務大臣に出席を求めておるわけであります。  そこで私はこの点から緒方国務大臣にお尋ねいたしたいのですが、先ほど農林大臣はこういう発言をいたしております。今度の冷害対策に対しては、実態を把握してこれに当てはまる施策をなすことが農林大臣の責任であると思う。であるが、上から財政のわくで実態に沿わないことを押しつけられておるので、自分は非常に困難な立場に立つている。こういう発言がありましたことは、おそらく閣議におきましても同様な発言が行われたことと思うのであります。この発言をあえて押えつけて吉田総理が裁断を下したそうでありますが、吉田総理の裁断は、農林大臣が実態を把握している以上に実態を把握して一体裁断されたとお考えになりますかどうか、この点をお伺いいたします。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 非常にお答えしにくい御質問でありますが、川俣委員も御経験があろうと考えますが、議論がどうしてもまとまらぬときに、閣議の場合には総理大臣でありますが、総理に一任するというときには、その決定はどの所管大臣にも不満が残されるということは、これはやむを得ないことであります。今御指摘になりました、農林大臣が自分の考えはことごとく曲げられて、非常に不満である。これは内輪話としてはそうであろうと考えますが、政府の全体の意思といたしましては、これはやむを得ない結論であつたというほかないのでありまして、総理大臣も農政の専門家でありませんけれども、その前の閣議、前々の閣議等におきまして、農林大臣が非常に熱心に――おそらく閣僚の中で一番はげしい議論をした一人と思いますが、その農林大臣が熱心に主張した農政上の立場というものは、むろん総理大臣の頭の中に入つておると思うのであります。にもかかわらず、この補正予算をきめる場合に、こういう決裁をされなければならなかつた事情があつたのでありまして、それはただインフレだけのことでないかと言われれば、主としてそうでありますが、政府といたしましては、この補正予算の際には、非常にきゆうくつで、災害復旧あるいは対策として十分でないということを政府全体としても認めながら、この程度の予算に押えざるを得なかつた次第であります。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 農林大臣が実態の把握が不十分であつて、そのために、大所高所からもつと実態を把握した総理大臣がこれに裁断を下すということでありますならば、その内閣の責任において私は妥当なこともあり得る、こういうように考えるのであります。しかしながら、農林大臣が実態を把握して、総理大臣の方が今日の実態を把握しておられないで、ただよそから聞いたとか、新聞だけで見られておつて裁断を下すとしますならば、これは大きなあやまちを犯すことになりはせぬかと懸念するのですが、やはり吉田総理大臣は実態を十分把握された上で裁断を下されたと、緒方国務大臣はお考えになりますかどうですか、この点をお伺いいたします。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 私はそう信じます。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 それでは一言お尋ねいたしたいのですが、これは吉田総理にかわつての御答弁をお願いいたしたいのですが、緒方大臣は、先ほど二十九年度の予算編成において、新しい要求が起きた場合においては、これをしりぞけて冷害災害等に交わすつもりであるという御答弁がありましたが、こういう考え方もやはり吉田総理の考え方と同じでありますかどうか。私どもは新しい要求が政府から出るのではないかというような懸念を持つておりますが、大体そういうことはないというふうに理解してよろしゆうございますか。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 それは防衛費についての御意見でないかと存じまするが、これは私はまだ何ら二十九年度の予算について話合いをしておりませんけれども、次の予算の重点はやはり災害、冷害、治山治水、それから防衛費、これだけは重点としてはやむを得ないのではないか、さように予想いたしております。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 そういたしますと、これは言葉じりをとらえるわけではありませんが、新しい要求を全部排除して参るということは、防衛費の問題だけは別だ、こういうふうに理解してよろしいのですか。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 新しい計画の事業を言うたつもりでございますので、防衛費の問題をわざと避けたわけではございません。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 時間がないから私はこれ以上この点では控えます。  そこで先ほどインフレ問題が出ておりましたが、これは緒方国務大臣にインフレ問題をここで繰返すことは、まことに私情において忍び得ない点があるのですが、一般の財政支出または財政投資が行われてインフレになるというふうに言われておりますが、それが一時的のものでありますならば、これは普通インフレとは言わないと思うのです。財政支出なり財政投資なりが恒久性をもつて参りまして、初めて永続性を示すところにインフレの危険を世間では問題にするのだと思う。ところが災害の場合とか冷害の場合は、これは放任しておきますと、生産が上つて参りませんために、むしろ財政支出あるいは財政投資以上に危険なる悪性インフレが生ずるというふうにお考えになりませんかどうか、この点についてのお考えをお伺いしたい。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 私は撒布超過になることがインフレの誘因になる点と考えまして、そういう点から今の既定の経費を節約いたしまして、それから車売益金等の財源と一緒に、できるだけ既定のものをしぼり出してやることが一番安全な道であろうと考えておるのであります。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 ここで角度をかえまして、実は東北、北海道あるいは関東地方におきましても、冷害あるいは十三号台風と闘いながら、みずからの飯米も喪失いたしまして、主食の自給の困難なるのに対しまして、相当の犠牲を払つて米の供出が目下行われておるようであります。これは農民の自覚はもちろんのことでありますが、県当局並びに町村当局がかなり積極的に供米運動を展開いたしておるようであります。そこである程度成績が上つておるのではないかと思われる。この供米運動をやつておる人々にはこういう宣伝をいたしておるようであります。幾分でも出るところのものは出したらどうだ。そのかわり同じ県内の山間部におるものは、何もとれないておるではないか。これに対しては政府は同情の手を差延べるのであるから、幾分の供出でもいいからせよということ、今日法律的の強制力を持たないにかかわらず、供出が行われておると思うのです。こういう方法を講じなければ、今日供出などというものはできません。政府の言うように、自分のかまどを健全に建てて行く上において、できるだけむだなものは出さぬ方がいいというようなことを考えますと、一番条件の悪い米を出して麦を食うというようなことは、政府のようなインフレをおそれるというようなことだけで行きますと、おそらく農民は利己的になりまして固くなりまして、目的の供出が不可能になつて参る。もしも供出が不可能になつて参りまして、予定のような一千九百万石あるいは一千八百万石が集まりませんければ、これはいかに政府が財政支出を押えて、あるいは財政投資を押えてインフレを押えるのだと申しましても、ここから大きな破綻が来ます。これは政府が何ともいたし方のない破綻である。こういう破綻を免らしめる施策が今日必要である。こういう私どもの見解は、緒方大臣は間違いたとお考えになりますかどうか、この点をお尋ねいたします。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 私、よくわかりませんが、次の二十九年度の予算の際に思い切つて経費をまかなうつもりでありますから、今の対策費の足らずまいは、その場合に臨んで、行政措置においてできるだけのことをいたして参りまするし、このわくはひとつお認めを願いたいと思います。

平野三郎自由党

○平野(三)委員 ただいま副総理は、ことし出さないが、来年は大幅に予算を計上するから了解してもらいたいというような御発言がありましたので、これに関連いたしまして二言お尋ねをいたします。私は、副総理は少し冷害に対する認識を誤つておられるのではないかと思います。ということは、災害と冷害とは根本的に違つておるということであります。災害の予算は本年度三百億、これはもちろん少額でありましようけれども、これは法律によつて当然出さなければならない金であり、もしことし少なければ来年はよけい出さなければならない。ことしよけい出せば来年の出し分は少くなる。これは法律ではつきりと自動的にきまつておるものであります。しかるに冷害対策というものは今のところ法的根拠はないわけであつて、予算をどれたけ計上するかどうかということによつて、この冷害対策はきまるわけでありますから、この点は非常に違うということをまず御認識願わなければなりません。同時にこの冷害は来年よけいやればよいということでは済まない。この冷害は、本年収穫皆無になつて農家がこの冬をいかにして行くかが、先ほど金子委員のお話の直り問題なのであつて、ことに来年の四、五月になれば麦の生産があるわけであり、政府は麦の緊急増産対策もやるということを言つておるわけでありますから、もちろん単作地帯については、これはずつと来年度も引続き冷害の影響は深刻であり、もちろん全般的にありますけれども、二毛作の地帯においては、ある程度緩和するということはあるわけなんです。問題は、この冬をいかにして生きて行くかということにあるわけでありますから、何としても冷害予算は来年度うんと出すからいいじやないかということでは済まされない。少くとも一般の土木災害とは非常に性質が違つておる。この点を御認識になつてこの補正予算に政府が対処されなければ、重大なあやまちを犯すということを私は指摘を申し上げておくのでありまして、この際最後に私は一点だけお尋ねいたしたいことは、これははなはだ政治的な含みのある質問で、御答弁が困難かもしれませんが、私はこの際、国家の非常時に対処する大問題でありますから、胸襟を開いて、また国会も超党派的に当つておるわけでありますから、裸になつてお答えをいただきたいと思いますことは、今の補正予算の冷害に対する七十億というのは絶対の線でない。もしこの数字で行きますならば、われわれは与党といえども、国会において修正に立たざるを得ないというはつきりした見通しを申し上げておきます。従つてみすみす修正されるようなものをあくまで堅持してやらなければならないのか。もし事前にある程度の話合いがついて、多少の増額によつて――決してそんなことでインフレになるものではありません。従つてそういう場合においては、この七十億という線をある程度考慮するという御意思があるかどうか。実はこれは非公式でありますけれども、先ほど私が申し上げましたように、大蔵大臣がすでに私に対して考慮するということを言明しておるのでありまして、大蔵大臣がそう言つておる以上、それでもなお副総理は、これはなお絶対な線であるということはなかろうと私は思うのでありますが、これはとにかく絶対のものではないという――政治は生きものでありますから、明日の閣議においてどういうふうにこれがかわつても、決して総理の裁断に影響を及ぼすものではない。先ほども申しますように、五百億という線を決してくずすわけではないのであつて、内部の操作によつて若干のゆとりというものはあり得るという点において副総理の冷害に対する認識をお改め願うと同時に、この点についての含みのあるお答えを期待してお伺いします。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 災害と冷害と多少混同してお答えしておつた点もあるようであります。今平野委員からお話になりました七十億でいいと思つているのかという点については、先ほど来申しておりますように、これは不十分であると考えております。しかし閣議の決定をその直後にかえるということも、行政の運営の秩序を維持する上において、これは絶対とは申しませんが、ここでお答えをいたしかねます。要するに政府といたしましては、そのわくをくずしたくないという気持、それから冷害、災害ともにこの対策費では不十分である気持、これは御想像の通りであります。

平野三郎自由党

○平野(三)委員 絶対でないということで了承します。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 平野委員から念を押されておりますので、大体質問も終りたいと思うのでありますが、先ほど緒方国務大臣は、冷害と災害とをやはり少し混同しておられたと思うのです。米の供出は、供出県の知事が供出によほど熱意を持たなければ米は集まつて参りません。そうするといかに五百十億で予算のわくを押えようといたしましても、今次米の供出が規定通り入りませんければ、実はそれ以上大きな穴が明く結果になるのではない伍これは見えすいおります。今日関東、東北の知事がどのくらい苦労しておるか。おそらこれらのものに期待をかけて、これらのものが入るのだから、お互いに県民が協力してあつて出そうではないか。これが唯一の供出の手段であります。この手段を押し流したら予定の数量は集まりませんよ。山間部は米が入らなければ、やはり県内の、同じ村の中の、米のとれた所から米の融通を受けることになります。どうしても飯米がないのだから――これは買うわけに行きません。あるいは麦の配給がありましても、麦だけで米がないということになりますと、村の親戚同士あるいは知合い同士がお互いにわけ合うということになつて参りますから、これは供出に乗つて参りません。供出に乗つて参らなければたいへんなことになります。治安の上から言いましても、また財政基盤の上から言いましても、大きなマイナスになつて参ります。わくを押えるどころじやありませんよ。こんな大きな穴が供出に明いて参りましたならば、とても五百十億で押えるわけには参りません。どうして食糧を完全に配給の手に乗せ、治安を確保して行くかということが、重大なる内閣の使命になつて来る。その上から言つても、知事や町村長に政府の施策が徹底し理解されて、それならばひとつ供出に骨を折ろうじやないかという、今の機運に乗つた施策をしないで、財政のわくがこれよりないのだから、出すものは出せということであつたならば、米は出て参りません。私はそこを憂慮しておる。農林委員会で超党派的にここに一致したということは、やはり今日の農業の状態を見て、そこに行くことを非常に恐れてこの決議がなつたと私は思うのです。緒方氏を初め吉田さんなどは、この点がおわかりにならないと思うのです。ただ五百十億で押えれば何とかインフレを防げるではないかということを言つておる。インフレは防げても、もつと大きな穴が明いて来るということを理解させなければならぬ。私は前にも申し上げたが、実態をつかんでおられなければたいへんなことですよ。単に吉田内閣の死命を制するばかりではない。将来日本の大きな穴になるということをお考えになりまして、平野委員の言われるように、もう一ぺん考慮願いたいということを念を押しまして私の質問を終ります。これに対する御答弁をお願いします。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 先ほど平野委員にお答えしたことを繰返すだけでありますが、今ここで閣議決定をその直後に翻すということにつきましては、私からお答えすることはいたしかねます。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 私は今ここでのお答えを強要してはおりません。これらのあつたことをお伝えになりまして善処されるかどうかということをお聞きしておるのです。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 確かに伝えます。

井出一太郎改進党委員長

○井出委員長 以上をもつて緒方副総理に対する質疑は終了いたしました。  この際委員長として一言いたしたいと存じます。  先ほど来副総理お聞き及びの通り、今回の救農国会に臨むべき冷害関係予算に対して各委員からきわめて不満の意思が表明されました。このことは、ただいま各党代表の発言の通り、まつたく超党派的に一致しておるところでありまして、与党代表たる平野委員からの強い発言に徴しても明らかであります。本委員会といたしましては、先週以来数回の委員会を開き、連日冷害凶作対策に腐心して参つたのでありますが、一昨日最後的のとりまとめをいたし、二十数項目にわたる対策を決議いたしました。あわせてその予算措置並びに金融措置をも全会一致決定いたしました。その内容は、一昨晩委員長より副総理にお伝え申し上げた通りであります。冷害凶作の範囲は二十数道県に及び、きわめて広範に、またきわめて深刻に、日本の半ばの地域をおおつております。冬空を控えて暗澹たる農民生活の実態に眼を注がずしては、政治はあり得ないと思うのであります。ただいま来開陳されました委員諸君の発言は、きわめて短時間でありましたが、惻々として胸を打つものがあるのであります。われわれとしましては、副総理がここにかんがみるところがありまして、財政の点もさることながら、救農の面において特段の施策を用いられんことを切望し、具体的に政府予算案の上に反映することを期待するものであります。  本日はこれにて散会いたします。     午後六時二十九分散会

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