農林委員会 第35号
- 発言数
- 166 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1953/10/03
会議録
○井出委員長 これより会議を開きます。 昨日延期いたしておりました東北地方の委員派遣の調査報告に関して川俣委員より発言の要求があります。これを許します。川俣清音君。
○川俣委員 私は東北班国政調査の報告を行いたいと思いますが、東北班は山形、秋田両県を対象といたしまして、佐藤善一郎君と川俣清音とが調査に当りました。しかしこの報告を申し上げることは、きようの時間の節約上これを速記録にとどめて調査報告を省略させていただきたいと思いますから委員長のおとりはからいを願いたいのでありますが、しかしながらこの結果を要訳いたしますると、われわれは単作穀倉地帯におきましては特に、一、耕種の改善。二、灌漑排水並びに防災温水ため池等を伴うところの土地改良事業の促進。三、改良普及員の質的向上と充実。四、牧野の改良による植林地の造成と有畜農家の創設の必要が痛感されますので、政府にその善処を要望いたしたいというのが調査の結論でございます。委員長において、これを速記録にとどめられますようおとりはからい願いたいと思います。
○井出委員長 ただいまの川俣委員の御報告は、お申出の通りこれを速記録にとどめまして、政府要路に送達いた したいと思います。 —————————————
○井出委員長 これより米価問題及び冷害対策に関しまして、昨日に引続き質疑を行います。吉川久衛君。
○吉川(久)委員 昨日、農林大臣はお忙しいようでございましたので、私のお尋ねした問題についてまだ全部お答えになつておりませんが、お忙しいから多分お忘れになつただろうと思いますから、お答えにならない部分を重ねてお尋ねをいたします。なお私は、同僚委員の各位が多数あとに控えておりますから、できるだけ遠慮しまして、簡単にお尋ねをいたします。 昨日お尋ねをいたしましたが、さしあたつての食糧確保のために、麦のまきつけの時期を控えております。これに対して種子とかあるいは肥料等、生産資材についてどんな手配をなさつておいでになりますのか、下僚にどういう手配を命じておりますか。なお食糧増産の国民運動でも展開しなければならないような情勢にございますが、農林大臣は何かこれについて具体的なお考えがございますか、まずこの点についてお伺いをいたします。
○保利国務大臣 今年の作況からいたしまして、麦の増産はきわめて必要と存じます。そういう上からいたしまして、生産に所要な生産材については事欠かないようにする。穂麦については、事務当局の話を聞きましても、そう心配はないようにお聞いております。なお足らざるところはもとより十分手当をしなければならない。国民運動的の増産運動についてのお考えはごもつともだと思つておりますが、こういう状態になくとも、日本の食糧問題を解決して参ります上におきましては、麦に対する生産者、消費者、両方とも認識を新たにして、食糧問題の解決に向わなければならないし、そういう上からいたしましても、麦の増産には特に力を入れて行かなければいかぬのじやないかという考えをもつて、私は事務当局にもそういうお願いをしておる次第であります。
○吉川(久)委員 米の足りないことははつきりしておりますので、この際麦の輸入計画をすみやかに具現しなければなりませんが、同時にできるだけ海外からの輸入を控え目にするために、国内での麦の増産はきわめて重要な問題であろうと思うのです。どうも今のお答えでは、何だかたよりない感じがいたします。御案内かもしりませんが、八ヶ岳の山麓の泉野村のごときは、子供が、麦の飯だけでもいいから、昼の弁当にもつと麦を入れてくれということを母親に迫つておるのを、私は見たり聞いたりして、涙なしには聞かれませんでした。またある村へ参りますと、婦人会員が、二番よもぎをつんで、できるだけ食い延ばしをやろうとしております。私の上伊那郡の藤沢村に参りますと、たつた一つ残された山を売つて、麦を買つて、五割ずつ米にまぜて食い延ばしをやつておるという事実がございます。このように、好むと好まざるとにかかわらず、農民が麦を入れて米の食い延ばしをやつているという自主的な涙ぐましい努力を考えましたときに、もう少し私は具体的な、積極的な農林省の麦の増産の施策があつてもいいのじやないかと思います。どうもお答えは非常にたよりにならない感じが私はいたしますので、何かここで麦の増産の国民運動でも展開してやるという御意思はございませんか。
○保利国務大臣 麦の食糧上の価値につきましては、まつたくその通りだと思つております。従いまして先ほど申し上げましたように、日本の食糧問題は、結局麦を取上げずして解決して行くことは絶対にできないことについては、私も感を等しうしておるわけであります。麦の増産につきましては、もとより私どもとしても、事務当局において遺漏なきを期して参りたいと思つておりますが、私は吉川さんの方に具体的な案があると思うのであります。そういう点も十分伺わせていただいて、単に私どもの狭い考えだけでなしにやつて行きたいという考えを持つておるわけでございます。これを国民運動的な規模、性格で行きますかどうか——ずいぶん従来戦前から、国民運動的なものは幾たびか経て来ておりますが、政府的なお声がかりで成功しておる運動はあまりないのじやないかという感じがしておりますので、その点も私どもは疑問にしておるわけであります。ただしかし、農業団体あたりにおいて強くこれを推進して、取上げていただくことになれば、非常にありがたいことじやないかと思つております。
○吉川(久)委員 なかなかたくみな御答弁を伺つたのでございますが、私にも一つの案がございます。いずれ大臣にあらためて具申したいと思つております。 それからこれは事務当局からあとでお答えいただけはけつこうでございますが、ついでながら伺つておきます。畑作あるいは裏作の麦の増産計画は、 —————————————
○井出委員長 これより米価問題及び冷害対策に関しまして、昨日に引続き質疑を行います。吉川久衛君。
○吉川(久)委員 昨日、農林大臣はお忙しいようでございましたので、私のお尋ねした問題についてまだ全部お答えになつておりませんが、お忙しいから多分お忘れになつただろうと思いますから、お答えにならない部分を重ねてお尋ねをいたします。なお私は、同僚委員の各位が多数あとに控えておりますから、できるだけ遠慮しまして、簡単にお尋ねをいたします。 昨日お尋ねをいたしましたが、さしあたつての食糧確保のために、麦のまきつけの時期を控えております。これに対して種子とかあるいは肥料等、生産資材についてどんな手配をなさつておいでになりますのか、下僚にどういう手配を命じておりますか。なお食糧増産の国民運動でも展開しなければならないような情勢にございますが、農林大臣は何かこれについて具体的なお考えがございますか、まずこの点についてお伺いをいたします。
○保利国務大臣 今年の作況からいたしまして、麦の増産はきわめて必要と存じます。そういう上からいたしまして、生産に所要な生産材については事欠かないようにする。穂麦については、事務当局の話を聞きましても、そう心配はないようにお聞いております。なお足らざるところはもとより十分手当をしなければならない。国民運動的の増産運動についてのお考えはごもつともだと思つておりますが、こういう状態になくとも、日本の食糧問題を解決して参ります上におきましては、麦に対する生産者、消費者、両方とも認識を新たにして、食糧問題の解決に向わなければならないし、そういう上からいたしましても、麦の増産には特に力を入れて行かなければいかぬのじやないかという考えをもつて、私は事務当局にもそういうお願いをしておる次第であります。
○吉川(久)委員 米の足りないことははつきりしておりますので、この際麦の輸入計画をすみやかに具現しなければなりませんが、同時にできるだけ海外からの輸入を控え目にするために、国内での麦の増産はきわめて重要な問題であろうと思うのです。どうも今のお答えでは、何だかたよりない感じがいたします。御案内かもしりませんが、八ヶ岳の山麓の泉野村のごときは、子供が、麦の飯だけでもいいから、昼の弁当にもつと麦を入れてくれということを母親に迫つておるのを、私は見たり聞いたりして、涙なしには聞かれませんでした。またある村へ参りますと、婦人会員が、二番よもぎをつんで、できるだけ食い延ばしをやろうとしております。私の上伊那郡の藤沢村に参りますと、たつた一つ残された山を売つて、麦を買つて、五割ずつ米にまぜて食い延ばしをやつておるという事実がございます。このように、好むと好まざるとにかかわらず、農民が麦を入れて米の食い延ばしをやつているという自主的な涙ぐましい努力を考えましたときに、もう少し私は具体的な、積極的な農林省の麦の増産の施策があつてもいいのじやないかと思います。どうもお答えは非常にたよりにならない感じが私はいたしますので、何かここで麦の増産の国民運動でも展開してやるという御意思はございませんか。
○保利国務大臣 麦の食糧上の価値につきましては、まつたくその通りだと思つております。従いまして先ほど申し上げましたように、日本の食糧問題は、結局麦を取上げずして解決して行くことは絶対にできないことについては、私も感を等しうしておるわけであります。麦の増産につきましては、もとより私どもとしても、事務当局において遺漏なきを期して参りたいと思つておりますが、私は吉川さんの方に具体的な案があると思うのであります。そういう点も十分伺わせていただいて、単に私どもの狭い考えだけでなしにやつて行きたいという考えを持つておるわけでございます。これを国民運動的な規模、性格で行きますかどうか——ずいぶん従来戦前から、国民運動的なものは幾たびか経て来ておりますが、政府的なお声がかりで成功しておる運動はあまりないのじやないかという感じがしておりますので、その点も私どもは疑問にしておるわけであります。ただしかし、農業団体あたりにおいて強くこれを推進して、取上げていただくことになれば、非常にありがたいことじやないかと思つております。
○吉川(久)委員 なかなかたくみな御答弁を伺つたのでございますが、私にも一つの案がございます。いずれ大臣にあらためて具申したいと思つております。 それからこれは事務当局からあとでお答えいただけはけつこうでございますが、ついでながら伺つておきます。畑作あるいは裏作の麦の増産計画は、どういう具体的なものがあるか、それをあとでけつこうでございますから伺いたいと思います。 それから、昨日平野委員の質問に対して、大臣のお答えになつた点について明らかにしておきたい問題がございますので、それを伺います。農林省の冷害対策要綱の第二でございますが、「被害農家に対する低利の営農資金の融通を確保するため利子補給及び損失補償の措置を講ずる。」とございます。これはもちろん特別立法でなければできない問題であろうと思いますけれども、この低利の営農資金の融通の方法であります。言うべくしてまことにやさしいのでありますが、一体具体的にはどういう制度を使い、どういう方法でこれを行うかというようなことになりますと、問題があるのではないかと思うのでございますが、どういうお考えがございますか。 これに関連をいたしまして、ただいま自作農創設維持資金が、ほんのすずめの涙ほどございますが、これは自作農創設のための資金としては、あるいは今の段階ではこれでよろしいかもしれません。しかしながら自作農の維持の資金とするならば、ただいまのようなあの資金の運用の方法というものは、これは違憲行為であります。明らかに脱法行為であります。こういうインチキな制度をもつて、転落せんとする農家を救済しようというその意図は、私ども了といたしますけれども、政府みずからがそういうインチキをいつまでも続けているということは、これはよくないことだと思いますので、この際政府はこの低利営農資金の融通確保のためにも、この制度を軌道に乗せて、これを高度に運用するというようなお考えがあるかどうか。これをいわゆる合理的な、合法的な一つの制度とするためには、これは土地を担保とするような一つの特殊な金融機関にするような必要があるのではないかと思いますけれども、こういう問題について農林大臣はどういうような御所見を持つておいでになりますか。あわせてこの自作農維持資金の運用の問題についても伺つておきたいと思います。
○保利国務大臣 冷害対策要綱の第二項に取上げられております問題、これは昨日申しますように、私ども農林当局としては、ぜひこういう施策を政府として講じてもらわなければならぬという考えでありまして、今日から災害対策本部で討議、御審議を願うこととして、できるだけこれだけはこういう方向でやつていただくように、私ども努力して参りたいと思つております。 そこで営農資金の第二項の問題は、これは従来の災害のあとのことにつきましても、やり方はいろいろあると思いますが、むろん県の力にもよつて参ると思いますけれども、こういう方向が政府としての考えで、国会においてもむろんその考えであるということになりますれば、その限度内において県がとりあえず立てかえをやつていただくというようなことも、この間の西日本の水害の各地におきまして各県でもやつておるような実情でございます。そういう緊急の処置は善後処置を十分に講じて参れば、機動的に——それはむろん県にその熱意なしにはできないと思いますけれども、これは各県それぞれたいへんな問題でありますから、御心配になつておると思いますが、そういうことはできる、こういうふうに考えます。あとの問題につきましては、これは官房長からお答え申し上げます。
○渡部説明員 自作農創設維持資金の今の売り渡して買いもどしをやる形式の金融の問題でありますが、この問題は、実際を見ますと必ずしも意図しておるところに十分行つていないようであります。というのは、比較的上層の農家の利用率が多くて、小規模の農家等の利用が少い。それは要するに信用の問題もありますし、農地改革以来一反歩の融資額を五千円とやつておるところに問題もあります。これは土地を担保にして資金を融通するためには、土地の移動を自由にせねばいかぬということが一つの前提条件になります。また土地の価格についても、実際の担保価格、現在の土地の離作料が三万円あるいは十万円といろいろな段階がありますが、それに相当する融通額がほしいという議論もあります。従いましてこれをどの程度にするかということは、現在の農地改革の成果を維持する上から言つて非常にむずかしい問題でありまして、現在われわれのところで検討いたしております。それよりも結局日本の農業経営の階層別の特性からいたしまして、半数以上を占める商品作物の生産の非常に少い農家に、どういう資金をどういうふうにして金融をつけるかという問題を解決すれば、今の自作農の問題も解けるものであると思いますので、昔のような連帯制度とか、あるいはさらにもつとより金利を引下げる、そういう問題につきまして検討を加えております。これはもう吉川先生よく御調査もできておると思いますが、農家経済調査の階層別のやつを見ますれば、大体内地——ことに関東以西で一町歩以上の農家ですと、相当の余剰と相当の蓄積をいたしておるのでありまして、かつまた農業外収入というのは非常に少い。ところが五反前後あるいは五反未満の農家になりますと、蓄積はもちろん収支が償うことは非常にむずかしい。従つて農業外収入の占める部分が非常に多いのであります。そういつた実態をつぶさに分析して、これに合うような金融制度を考えなければいかぬ。これはもう一つの現象としては、信用組合の系統機関あるいは中金系統で相当の貯蓄はふえて来ております。ところが一方では資金を借りたいという要望が非常に多いのであります。これは今言つた農家の階層別の分化が端的に現われているのじやないかという見方もできるのではないかと思います。そういつたものをさらに農家の方の必要な部面に還元するには、国家が相当の損失補償とかあるいは利子補給とか、そういつた介入を必要とするのじやないか。なおその上にどうしても金融なら償還が必要でありますので、その償還を確保する必要がありますので、借入者自体の責任を強化する、先ほど申しました連帯制度というようなものを考えなければいかぬ、そういうふうな構想で今研究を加えております。これは農林省のみならず、系統金融機関においても問題として取上げて、今検討を加えつあるのであります。できるだけ早く制度的なものとしてやりたい、こういうふうに考えます。
○吉川(久)委員 ただいま官房長のお答えによりますと、農林省自体もこの制度のはなはだ不完全といいますか、適当でないことをお認めになつて、何らかこれに対する新たなるもつと合理的といいますか、合法的な一つの方法を検討中であるということでございますが、これは私はすみやかにやつていただきませんと、今の農林中金は、これは日本銀行の何か出店みたいになつてしまいまして、非常な官僚でございまして、官僚以上の官僚ですよ。そうしてなかなかめんどうで、大きなものには融通はいたしてくれますけれども、農手の対象ともならないような零細農家なんかは、一瞥も与えてもらえないというのが現実でございます。こういうことで行けば、いよいよますます農地開放でせつかく平均化された農村が、また階級分化が行われるということになりますので、特にこれはひとつ、この冷害の時期を契機に、すみやかにこの具体化のために考えていただきたいと思います。ごらんの通り、農手を対象とするところの融資の方法は、これは供出できる農家に限られております。供出米を目当に農手が行われるのでありますが、供出のできない農家がたくさんございます。ことに今回の冷害によつて、今まで供出のできた農家であつても、本年は供出ができないということになれば、すでに差迫つた問題は、古いこの農手をどうするかという問題がございます。私は、これはもちろんたな上げをして、これに対して利子補給をする。そうして新たなる増産計画のためには、農協あたりにひとつ特別の融資のわくを提供することなくしては、次の生産を期待することはできない、こういう段階になつております。こういう問題について、大臣は今の御答弁はちつとも触れていないのであります。こういう点、もう係の方からよくお聞きになつて、御勉強家の農林大臣のことでございますから、十分おわかりだろうと思いますから、もう少しここで具体的にお答え願いたいと思います。
○渡部説明員 農手の決済の問題は、このたびの営農資金の融通で一応借りかえる、そうして新たな来年度の仕込み資金は農手でやつていただく、こういうふうな建前に一応考えております。なおその上に具体的な、協同組合として経営資金が足りないという問題が起きますれば、これは系統機関から別途に具体的に資金のあつせんをする、こういうふうにいたしたいと思つております。と申しますのは、供済金と営農資金が相当額西日本等の水害の例によりますれば行くことになります。そうしますと、直接農手の延長でなしに、農手は農手で決済しまして、なお今までのその他の仕入れ資金を払つて、来年の仕込み資金をまかなうのに大体間に合うのではないか。これは具体的に福岡県等から、またその上に協同組合の経営資金をまかなつてくれ、こういう話がありました。それは私の方では、一応今の営農資金と供済金の内で済む勘定になつておりますけれども、足りなければ幾らでも融通するから言つて来てくれということで、個別的に折衝しております。まだ具体的な例は出て来ておりません。しかしそれは協同組合の経営資金には貸さないというふうな建前にいたしまして、具体的に処理したいと思つております。
○吉川(久)委員 先を急ぎますが、次に同じく対策要綱の第四にございます。「被害農家の食糧不足に対しては、政府手持主要食糧の払下げについて、価格の引下げ及び代金延納の措置を講ずる。」とございます。価格はどういうところにめどを置かれるのかということと、それから農家の収入の道がほとんどございません。何か救農緊急土木事業のようなことを当然お考えになるものと思いますが、しかし、それの仕事の全然ないところも出て来るのではないかと思います。そういつたような場合に、かりに安い価格で払い下げるにいたしましても、その代金を支払うということは非常に困難でございます。そこで、これは現物で、できたときに返すというような、ことはお考えになつたことはございませんか。そういうことを私はやることが、むしろ安い価格で払い下げるというよりは適切であると思うのでございますが、この点はどうでございましよう。
○渡部説明員 これは同じく西日本の例の場合にやつたのでありますが、価格の引下げの点でありますが、大体生産者価格を考えておるのであります。それからこれのやり方は、県に払下げまして、県は市町村を通じて被害農家に貸し付けるわけであります。従つて代金の収受は、一応国と県とが直接の支払い関係、それから今度は県と農家ということになるわけです。そうしてその代金の延納を、この前は本会計年度一ぱいということでやつておりますが、このたびは秋でありますので、これをさらに延長する必要があると思います。従いまして現物を貸し付けたと大体同じかつこうになると思います。それから、初めは直接現物を貸し付けて、次の出来秋に現物で納めるという案があつたのでありますが、そうしますと来期の現物の価格と借り入れたときの現物の価格が違うおそれがありますので、これは府県等の要望が、むしろこういう方がいいということで、実質は現物を貸し付けたと同じことだが、あとの精算がめんどうでないから、代金延納のかつこうにしてくれという大多数の希望がありましたので、こういうかつこうにしたのであります。
○吉川(久)委員 官房長のお答えでもございますけれども、私はそれは被害農家の選択にまかせるということがいいのじやないかと思うのです。金で払える者は金で払い、現物で払つた方がいいという者は現物で払うということができるようになさつた方がいい、そういう御措置を私は要望をいたします。 それから最後に、昨日足鹿委員から、稲作品種改良の試験研究の問題について、非常に熱心な質疑がございましたが、日本の国の稲の品種改良は、英国のばらの品種改良の研究とともに、世界で最も進んでおると言われております。なお今年のような凶作にあたりますと、なお一層の研究の必要があろうと思います。これは私足鹿委員とまつたく同感でございます。しかしながら私は、せつかく改良された品種を、あるいはまた農業技術を、ほんとうに高度に有効に生かすということに欠けておる点はなかつたかしらということを考えさせられるのです。たとえて申せば、保温折衷苗しろ、温床苗しろ等の農業技術をもつてすれば、わせをこの中に取入れれば、ことしの冷害には相当に対抗できたのではないかと思うのです。しかるに、過去二、三箇年間豊作であつたからといつて、ことしこの新しい農業技術の苗しろの技術に、おくてのものをつつ込んで来るということを防ぐことのできなかつたということは、これは農業技術の貧困というよりは、私は指導性の欠如であると思います。この指導性の欠如に二つございますが、一つは気象観測について、農林省の技術陣営が勉強していなかつたということが一つ。それからもう一つは、農民を指導するのに、ただ自分たちの技術を抱いているだけで、からまわりをしている。そうしてほんとうに農民を敬服させるような、傾聴させるような日常の活動が、あるいは十分ではなかつたのではないかというような感じをわれわれは与させられております。しかも気象観測のごときは、これは国の制度として不十分な点もあります。かつては文部省の所管であつたものが、今は運輸省の所管になつております。これは戦争中の航空関係を担当いたしておりました運輸省の所管になつているものが、そのまま継続されているのです。戦争は済んだので、すみやかにこれは切りかえなければならないのです。ことに農林省は農業気象なんという問題についても、もう少し私は真剣にこれの問題を取上げなければならないと思うのでございますが、こういう問題について一体今までどの程度にお考えになつておいでになつたのか、私の知る範囲においては、ほとんどこの問題を取上げておいでにならないのではないかという感じがいたします。いろいろの学者の説を聞きましても、相当長期の予報が今日まで行われております。仙台の報告は、昨日改良局長が何だか不徹底のようなお話をされておりましたけれども、私の知る限りにおきましては、藤原咲平博士は、すでに一昨年、昭和二十八年、九年はこれは冷害の年であるということを予言をいたしております。しかしこういう科学者の予言を、何か新興宗教家の言うがごとき言葉のごとく、馬耳東風に過したという農林省の責任は、大きいと思うのです。政府の責任は大きいと思う。こういう問題について、もう少し技術を浸透するところの方法を、今後お考えになつておいでになると思いますが、どういうような具体的な方法をお考えになつておりますか。この気象観測の問題については、農林省に所属せしめるような農業気象観測の方途をお考えになつておいでになるかどうか。それからこの技術員の技術を浸透させるところの一つの指導の方策でございます。こういう問題も、この失敗にかんがみて、すみやかに対策をお立てになりませんと、また同じことを繰返えすおそれがございますので、これに対する御所見を伺つておきたい。 それからもう一つでございますが、農林省はとかく旧来の技術にとらわれて、新しい技術を取入れようといたしておりません。たとえば二四Dとか、ホリドールとか、太陽菌とかいうもの、これは二四Dやあるいはホリドールは単なる農薬として、農林省の技術陣営はこれを扱つておりますが、これがホルモン的な、一つの肥料的な影響を農作物に与えているということについてお認めにならないのです。従つてこれは農薬であるから肥料にはならないということで、これを全然度外視して、いつものような肥料を施しておりますから、ホリドールや二四Dを施しただけで肥料はプラスになつて過多になる。それが青立ちの原因になつている、あるいはいもちの原因になつていることまで御研究になつたことがあるのかどうなのか、私の知る限りにおいては御研究になつておりません。ことに太陽菌の問題等については、りつぱな学位を持つておいでになる方々が研究をしているのでございますけれども、これについて非常に冷淡な扱いをいたしております。篤農家やその他の人たちが新しい農業技術の問題を提唱されましても、今まで国立の試験場で取扱われなかつた問題は、ほとんどこれを拒否して受付けない、こういう狭量、独善、排他的な行動をとつている限り、日本の農業は私は進歩しないと思うのです。もう少し寛大な態度をとられて、そうして、私はこういう新しく生れて来たものも取上げて、国立の試験場あたりでもつと検討を進めるというだけの雅量を持つていただきたいと思います。私の郷里においては共産党の菊池謙一君等がミチユーリン農法を提唱いたしております。ヤロビ農法であります。これに対して、共産党が唱えておるからそんなものはだめだという態度をとらないで、共産党の言うことでもいいことであつたら、これは取上げたらいいと思います。ことにミチユーリン氏のごときはアメリカで農業技術の問題を提唱した人で、決してこれはソ連が採用したからといつて、えらく危険視する必要はないと思うのです。それよりは、もつと冷害の起らないような施策を推進をして、凶作などの起らないようにして、国民生活の安定を考えることの方が思想を悪化させない、きわめて重要な問題であろうと思うのですが、こういう問題について、農林大臣はどういうお考えを持つておりますか、この辺について確たる御所見を伺つて私の質疑を終りたいと思います。
○保利国務大臣 昨日も申し上げますように、昭和九年の冷害に際しましては、そういう冷害に対処できるような品種、あるいは技術の上においてもしなければならぬということで、眼の色をかえてやつたということを承知しております。それがやはりだんだん冷害が遠のいて参つておりますうちに、いろいろと国家としても不測の事態に当面するということもあり、その後冷害から遠ざかつておりましたので、冷害に対する感覚といいますか、薄くなつておつたということは、まぬかれ得ないところではないかと思います。一、二の兆候が確かにお話のようにあつたのではないか、ただ残念なことは、だんだん申されますように、昨日松岡委員からもお話がありましたが、長期気象に対する力の入れ方が足りない。これがどこで所管されましようとも——必ずしも農林省で所管する必要はないと私は思いますけれども、とにかく西日本の水害の跡を見ましても、あるいは二号台風の跡を見ましても考えられることは、やはり気象の問題、これがある程度的確に事前に予測することができましたならば、数度の大水害は、これはちよつとむずかしいかもしれません。前にわかつておつても、あれだけの雨が降ればどうにもならぬといつた場合もあつたろうと思いますが、二号台風のごときは、私はつくづぐそう思うのでありますけれども、麦をまるで流すために刈り倒したというようなこと、もしあれが一週間くらいの確実な気象予報ができますならば、あの災害はずいぶん軽微に済まし得たのではないかということを感じます。そういう上から、どうしても困難であつても、気象については特に国として力を入れる必要があるということを痛感いたして、そのことを主張いたしております。 なおこの技術指導の問題につきましては、私も全然同感でございますから、そういうふうに督励をいたして参るつもりでおります。日本の作物に対する技術研究というものは、農林省のと申しますか、国家の農業技術研究は相当高度のものであるということは、われわれが認めるのみならず、外国の学者等も高く認めておる。従つて農林省農業試験場等の今日までの成果というものは、私は非常に大きいと思うのでございますけれども、同時に今お話のように、やはり実際に積み上げてくふうして来られる民間の技術というものもおろそかにできない。そういう上から偏見を持つて、いや農林省の研究でやつて来たものでなければ取上げられぬというような、狭い考えはもういかぬのじやないか。しかしいずれにいたしましても、全国の農家にこれならば間違いない、これでおやりなさいということを折紙をつけてやる側においても、やはり研究者としての責任はあると私は思いますから、そういう点はむろん考えてやつていただいていると思いますけれども、この上とも今御指示のようなことで扱つてもらうように、私からも注意をいたすつもりでおります。
○井出委員長 足鹿覺君。足鹿覺君に申し上げますが、青木自治庁政務次官、後藤財政部長も見えておりますので、あわせ御質問を願います。
○足鹿委員 それでは大臣に最初二、三伺つてみたいと思います。昨日も改良局長に専門的な御質問を申し上げたのでありまして、大体尽きておると思いますが、大きい線でお尋ねしてみたいと思います。 今度の冷害といい、あるいは病虫害といい、その他の凶作の要素をなす各種の災害というものは、必ずしもこれは自然災害であるとは認められない。少くともそこには人為的な政府の施策の欠陥もあり、また一応の態勢はできておつても、財政的な措置が伴わないというような点から、農民の必死の努力にもかかわらず、このような大きな凶作の悲しむべき事態を引起したと思うのであります。これは今吉川委員もお尋ねになりましたから、重複を避けたいと思いますが、昨日われわれにお示しになつた冷害対策要綱なるものは、当面の対策に毛として重点が置かれておる。しかし今後の、従来やや手薄い感を深くしておつた冷害等に対する農業技術の面から見た基本的な構想というものは、来年度の予算にどういうような方針で盛つて行かれるお考えでありましようか。その大要について、あれば御発表を願いたい。 〔委員長退席、平野委員長代理着席〕
○保利国務大臣 来年度の予算はこれからでございますから、先ほど吉川君が言われましたように、技術指導、品種の改善については特に力を入れて参りたい。
○足鹿委員 その大綱について重点はどういうところに置いておられるのであるか。そう木で鼻をくくつたような御答弁では——私には一応その内容というものは想像がつきますが、この委員会を通じて全国の農民に、農林大臣としての深い決意を御発表になる必要が私はあると思う。それを伺つておるのです。もう少しまじめに御親切な御答弁を願いたい。何もないのですか。
○渡部説明員 少し技術的にこまかくなりますので……。昨日安田部長から申しましたように、品種を適地に適応さす、適地の固定の試験というようなこと、それから試験場の整備につきましては、これまたきのう申し上げましたように、終戦後進駐軍によつてめちやくちやになつたのを再整理をするつもりで、これには昨年も相当やつておるのでありますが、来年はしんからやろう。また稲の問題につきましては、特に東南アジア等米作国の注視の的になつておりますので、耐冷品種、それから風水害で流れぬような時期に収穫のできる品種、そういつたものまで広くやり、相当力を入れることにいたしております。
○足鹿委員 要するに、今までの国の施策、またそれを受けて立つ地方自治団体等において足らなかつた点、日本の農政の一番欠陥ともいうべき点は、低位生産地帯に対する集中的、重点的の施策に欠けておるところにあつたのではないか、そこから起る不測の災害を最小限度に食いとめ得なかつたということは、重要な反省をしなければならない点であろうと私は思う。いわゆる政府の食糧増産対策は流れましたが、あれについて見ても、西南暖地の増産方式というようなことに比較的力を入れられておつたようでありますが、実際において日本の穀倉地帯は、自然的な諸条件の悪いところによく農民ががんばつて成果を上げておる。たとえば積寒法の実施によつてかろうじて裏作ができるようになれば、ただちに税務署がそれに対して課税をするというような点で、いわゆる低位生産地帯が高度に発展して行こうという場合に、国としての総合施策が私は欠けておつたことが、この災害を非常に大きくした原因ではないかと思う。問題は低位生産地帯に対する重点的な施策を、しかも関係省とよく打合せをされまして、総合的にその成果が獲得できるようになさねばならないと、私は思う。そういう点について、少くともかくのごとき凶作を、人為的な面から最小限度に食いとめるために画期的な施策が伴わなければならないと思う。そういう点について、低位生産地帯に対する政府の重点施策の構想がありますか、あれば、その点をこの際聞いておきたい。
○渡部説明員 お話の通りでありまして、そのために種々の特殊法が出て来ております。これはこの特殊法によつて集中的に取上げるのに、従来の何というか、画一的、一般的助成方策から集中的な助成方策に持つて行くという切りかえに、役所の通弊と申しますか、相当ひまをとつております。たとえば積寒法につきましても、工業生産と違いまして、一挙に切りかえができません。そのためには、たとえば耕種改善の問題についても、品種はやはり二、三年はかからなければ普及できない。あるいはまた土壌の改良にしましても、客土の方法あるいは客土すべき土壌の種類、そういつたものを、つぶさにその土地その土地に合つたものをやらなければ、かえつて観念的には、あるいは技術的にはいいというのが、その土地に合わないで農民の不信を買うというような欠陥も出ておりますので、そういつたものを掘り下げて、具体的に処理する方向で進んで来ておるのであります。このためには昨日もお話がありましたように、どうしても農家のそれに対する知識の向上、あるいは意欲というものを増進させなければならないのでありますが、そのためには改良普及員の技能あるいは親切みの向上というようなものが、非常に重要な問題になつて来ますので、両々相まつてやつて行こう、こういうふうな考え方でおります。これは足鹿委員その他農林委員の各位は専門家でありますが、このたびの冷害でまだ正確な統計的な集計等は出ておりませんが、きのうもお話がありましたように、昭和九年に比べまして気象条件は非常に悪いにもかかわらず、局部的には先ほど来いろいろに意見がありまして、指導力の不足から大体冷温が来る年次にまわつているんだから、わせをつくつたらいいじやないか、こういうにもかかわらず、去年おくてをつくつてよかつたからおくてをつくつた。 〔平野委員長代理退席、井出委員長着席〕 これらはやはり指導力が徹底しなかつたということを率直に認めなければいけません。しかしそれはやはり農家のそれだけの知識と自発的に動くという心構えを持つてもらわなければいかぬのでありますから、そういつた面は昭和九年からちようど二十年になりますが、二十年の技術の進歩というものは、私個人はこれは三箇月後あるいは四箇月後になりますかもしれませんが、農林省としては反省のレポートを出す予定にしております。それらを元にして、さらに一層今後の対策の方向を立つて行きたい、こういうふうに考えております。
○足鹿委員 御答弁がどうもまだ具体性がないようでありますが、無理からぬことだと思いますが、三、四箇月後において真剣な反省資料をまとめて、今後の対策をやろうという点を明らかにされましたので、いずれまた他の機会があろうと思いますから、さらにこの点については一層の御研究と英断的な措置を、私は特に要望しておきたい。 これは大臣がきのうおいでにならなかつたので、改良局長からもきわめて懇切な答弁があつたのですが一言だけ大臣からお伺いしておきたい。今度の第十六国会で百七十億ばかりの行政費の節約をなされ、その及ぼす影響は農業試験研究機関等にも深刻にある。たとえば北海道の試験場のごときは、国と道とが一緒にやつている。そこで一千万円の削減を受けた。このために二十種に余る重要な基礎的な試験研究を停止あるいは繰延べをしなけばならない余儀なき事態に至つている。これはただ単に一つの北海道の事例にすぎませんが、全国にもそういう事例がたくさんあろうと思います。要するに行政費の節約というものを画一的にやつて行くところに、大きな矛盾があるのではないか。少くとも長期にわたつて一貫した方針のもとにやらなければ、その成果の上らない、特に農業技術あるいは農業生産力の基礎条件の整備というようなものにまでも、一律的に行整費天引というような行き方をとられることによつて、大きなつまずきが現実に来ている。そういうことについて、大臣としては一歩踏み込んで、さような画一性を是正して行かれることが必要ではないかと思うのです。そういう点についての御所信を承つておきたい。
○保利国務大臣 その点は私はもう足鹿さんとまつたく考えを同じゆうしております。行政費の節約は、何とかこの上ともはかつて行かなければならぬと思いますが、日本農業の基礎をなすところの、そういうふうな仕事に対して支障を来すというようなことは、何とか避けて行かなければならぬ。不都合を来さない範囲でやつていただいたつもりでございますけれども、あるいはお話のような点がありますれば、今後におきまして十分考えてみたいと思います。
○足鹿委員 少くとも同感であるということであるならば、そういう誤つた行き過ぎた行政費の天引き削減等については、部内の調整によらざる場合は、補正予算等によつて、来るべき臨時国会等においてこれを改めて行くという具体的の御所信をも私は聞きたいのです。そういうことを実は伺つたわけでありますが、もし御用意があるならば、具体的に、そういう矛盾をあえて天引きでやつてしまつた、しかしこれは大きな誤りであるということを大臣も御答弁になつておるわけでありますが、そういつたものについて、来るべき臨時国会において補正または適当な措置を講ぜられるかどうかということなんです。
○保利国務大臣 これは予算のことでございますから、予算は私が一人でこうします、ああしますということを申し上げましても、できないものはできないのです。そういう趣意につきましては、私どもも全然同感でございますから、できるだけ早く是正の措置をとりたいと考えております。
○足鹿委員 大臣と地方自治庁とにお伺いしたいのですが、昨日来の陳情を聞きましても、また私ども国政調査班として北海道、東北を調査いたしました実感から申し述べましても、今年の地方自治体の財政収入の面においては、この凶作あるいはその他の事情に基く財政収入が激減することは明らかであります。たとえば岩手県の——村名は忘れましたが、村税収入が六百万円ある。その六百万円の村税収入が、村長の概算で行けば、今年の場合どんなに内輪に見積つても三百万円程度は住民税の軽減、減免等を余儀なくされるであろうということを言つております。これは私ども国会議員に対する正式な陳情であります。これらの点について、この凶作地帯あるいは災害地帯に対して、自治庁は農林省と具体的に連絡をとつてどういうふうに今後処置されて行く方針であるか。たとえば平衡交付金の増額の問題、あるいは特別平衡交付金の増額の問題、あるいは起債わくの拡大の問題等、いろいろな措置が今から検討されなければ、地方自治体は非常な財政的危機に直面するであろうということは、一点疑うことができません。この点について自治庁は具体的にどう実態をつかみ、どういう御方針で措置される御所存でありましようか。その点についてお伺いしておきたい。
○青木説明員 今回の冷害また先般の十三号台風の被害の結果としての地方財政に対するしわ寄せの問題でありますが、私どもも災害の結果として、究極において地方財政に相当なしわ寄せが来ることは免れがたいと存じておりますので、それに対する対策は当然考えなければならぬと思つております。御承知のごとく、特別平衡交付金におきまして、普通交付金を算定した後におきまして、御指摘のような減収、それからまた新たなる財政需要が生じた場合には、平衡交付金法第十五条によつて特別平衡交付金でこれを見なければならぬ、かようなことに相なつております。しかし御指摘のごとく、特別平衡交付金は平衡交付金の総額の八%ということに限られておりますので、災害の程度がひどい場合、従つてまた地方財政の赤字がひどい場合は、特別平衡交付金の現在のわくの範囲内でまかなえるかどうか、こういう問題が当然起つて来ると思います。そういうことからいたしまして、先般の台風による災害につきましては、御承知のごとく国会におきまして特例の法律が出ましたので、あれによつて措置すれば、その方面は救済の道は考えられる、かように存じておるわけであります。冷害の場合におきまして、あの特例法が適用されて行くかどうか、これは将来の問題でありますが、現在のところといたしましては、特別平衡交付金のわくの中において処理するほかはないのではないか。しかしながら万一地方財政の赤字の程度が多くなつて来れば、当然特別に考えなければならぬ問題も起ると思います。しかしまだ地方税における減収がどれくらいになるか、究極においてしわ寄せが地方財政に参りますので、今のところは災害の程度を農林省の数字とにらみ合せて、これに対応するように計画を立てて行くほかはない、かように存じておるわけであります。
○井出委員長 足鹿委員に申し上げますが、大臣はちよつと退席しました。午後二時から間違いなく参ります。
○足鹿委員 まだ平衡交付金のわくを拡大する段階ではない、それは実態がつかめないからだ、こういう御答弁でありますが、こういう何十年に一回というような全国を通じての異常災害でありますから、これは非常に大きな問題でありまして、少くとも臨時国会に間に合わすような一つの構想でもつて、ある種の規模を与えてやらなければいけないと思う。これは速急におやりにならなければならないと思います。これ以上は申し上げませんが、私が現地で見聞した実例をもう一つ申し上げますと、六百万円の税収入のうちで三百万円は税金がとれない。こういうことでありますから、結局のところ三百万円程度しか残らない。しかも三百万円程度しか予想されないその収入のうちから、農薬等による病虫害防除に使つた村の経費が二百五十万円。二百万円程度まではまだ大体始末がつきそうだけれども、あとの五十万円は始末がつかぬというのが実態なんです。ちよつと現地を見ないと実感が伴いませんが、ともかくも異常なる努力でこの災害を防止しようと努めた涙ぐましいその結果が、さらに地方財政を圧迫しておる。これらの点についても、ただ単に平衡交付金の定められた基準のみをもつてしては律することはできないと思う。新たなる別途な措置が講じられない限り、この問題は解決しないと思う。この点もよく御検討になりまして、少くとも従来の基準にとらわれることなく、この異常なる場合に際しての措置を早急に、しかも大幅な対策を立てて行かれることを、私は強く要望したいと思う。 大蔵省の方も見えておりませんので、私の前半の質問はこの程度で、午後引続き一続けたいと思います。
○井出委員長 この際お諮りをいたします。昨日並びに本日の委員会において現地視察の御報告にもありましたごとく、また各被害地方の真剣な陳情にもうかがわれます通り、冷害、凶作の実情はきわめて深刻であります。ついてはこれに対処すべき立法措置、予算措置等のため、どうしても早期に臨時国会を開会すべき必要を認めるのであります。この際委員長といたしましては、委員各位の御同意を得まして、来るべき臨時国会は救農臨時国会ともいうべき性格のもとに早急に開催するよう、政府あるいは議長に申入れをいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井出委員長 御異議なしと認めます。その方法等については委員長に御一任願います。 暫時休憩をいたしまして、午後一時半より再開いたします。 午後零時三十八分休憩 ————◇————— 午後二時二十一分開議
○井出委員長 休憩前に引続き会議を開きます。 質疑を許します。足鹿覺君。
○足鹿委員 農林大臣に引続いてお尋ねをいたしたいのであります。昨日お示しになりましたこの対策要綱案でありますが、この中に一番重要と思われる点で全然触れておらない点がありますので、その点についての御所信をまずお尋ねをして、あと米価問題等について若干お尋ねいたします。 それは、この十二項目にわたる冷害対策のいずこにも見られない重要な点は、現地において私ども痛感したのでありますが、収入がまつたくない。従つてまず来年の営農対策もさることながら、現在の生活がやれない、従つてその生活資金の融資等もありますが、従来の例から見て、なかなかそれらでは切り抜けることが不可能である。従つて昭和九年の事例等から考えられることは、土地を手離すか、あるいは家畜を手離すか、それとも娘を売るかというどたんばに追い込められておるということは、決して誇大な宣伝ではないということを私見まして、そこで考えられることは、一応家畜を手離して行くのではないかという心配が多分にあるのであります。その家畜を確保して行くためには今後、来年の収入まで飼料の購入等相当な経費を要する。この点について営農上重大な問題に直面しておると思うのでありますが、それらの点については全然触れられておらない。この十二項目以外に、今私が一例をあげて指摘したような重要な点については、政府としてはどういうふうな対策をお考えになつておられますか、その点をお伺いしておきたい。
○保利国務大臣 個々の農家につきましても、またそれぞれ千差万態でいろいろの状態であろうと思います。極端な事例をとらえて、そこをしも十分でないというのは、それはいかなる場合にも起り得ると思いますけれども、一応私どもとして災害対策本部に持ち込んでおります対策といたしましては、こういう要綱に基いて、できるだけの資金的あるいは融資的裏打ちをして参るように考えておるわけでございます。ただいまの点につきましてはさらによく研究をいたしまして、対策を講ずるようにいたしたいと存じます。
○足鹿委員 まだたくさんありますが、あまり凶作問題に時間を費しておりますと他の重要な面に触れられませんから、一応凶作問題はこの程度で終りまして、本年産米の問題について、特に直前に迫つております早場米の問題をお尋ねしたい。米価審議会の答申は大臣も御存じのように、具体的な数字はあげておりません。あげてはおりませんが、早場米の供出期限を大幅に延長し、その金額を大幅に引上げるということを満場一致の採択によつて政府に答申を行つていることは、御存じの通りであります。現行で行けば、すでに明後日は第一期の早場米の期限になります。すでに対策ができていると思います。あまり小出しにしないで、思い切つた期日の延長を私どもは必要だと認めております。少くとも十五日程度の延長は、ことしの作況から見まして、ちようど適切な期限の延長ではないかと考えておりますが、明後日を控えて、早場米についての、政府のとつておられる答申案の尊重の具体的な点をお伺いしておきたい。
○保利国務大臣 米価審議会におきましても、知事、農業委員会議におきましても、この点はたいへん強調せられております。私どもとしましても、早場奨励金が絵に描いたもちにならないように、大体予定いたしております。予算のこともありますけれども、それがただ単に絵に描いたもちになつて実際に適応しないということに対しましては、さようなことはいたしませんと申し上げております。米価審議会の答申案もありまして、それに基きまして今日の実際の作況の遅れた事情、あるいは天候等の事情を見まして、大体第一期の期日を十月十五日、第二期を十月三十日、第三期を十一月、二十日、第四期を十二月十日という一応の処置を講ずる大体内部の準備を終つて、そのように手配をいたして、まずとにかくこれで対処してみる。奨励金の方は大幅に相当いたしませんか、相当いたしますか、大体三割上げで、これでひとつ御奮発を願いたいということにいたしております。御了承を得たいと思います。
○足鹿委員 大体十日間程度を予定しておられるようでありますが、それは本日中にでも正式に発表をせられるのでありますか。大体四期にわけられるということは少しけちくさいじやないかと思う。大体これは三期で十分ではないか、これは私の意見でありますが、それは別として、本日発表されますか。内部の打合せは済んでおるということでありますが、なおそれが実態に即さない場合はさらに延長等の措置を講ずる意思がありますかどうか。
○保利国務大臣 当委員会はこれは国会でございますから、私は発表しておるつもりであります。またそれを考えるか。私はひとつこれで各期御奮発願いたい。こう考えておるわけであります。
○川俣委員 関連して……。大体農林省の意図はわかつたのですが、おそらくこれは五日で締め切りますと、所定の予想いたしておりました供出がないというところから、延ばさなければならぬ結果が起きたと思うのです。そうすると、大臣は十五日で一応かんべんしてくれ、こういうことでございまして、一応それで供出を促進される意図であろうと思いますが、天候にはいかに大臣といえども勝ち得ないと思うのですが、そこで十五日になつてもなお所定の数量が出ない場合でも一応お打切りになるつもりですか。もし打切るとすれば、ここに予定の金額が残つて参りますが、それを次期に繰越すというようなことをお考えになつておりますか、この点いかがですか。
○保利国務大臣 このまま収納調製ができないという天候が続けば、これはどうも絵に描いたもちになるでしようが、ともあれ十日くらい延ばしまして、御承知のように端境期に面しておるわけでありますが、これでまあひとつ何とか御奮発を願つてお出しをいただきたい、こう考えております。
○足鹿委員 おそらく十日間の延長では第一期に該当するものはきわめて僅少であろうと思うのです。昨年同期の茨城県の早場を見ますと、昨日あたりをとつてみますと、十万石を越えておる。しかるに本年は七、八千石程度でとまつておるというふうに私どもは聞いております。おそらく十日間の延長をされたといたしましても、その一期に該当する事例というものはきわめて少いのではないか。結局農民の実質手取り米価をふやして行くという見地から考えた場合には、やはりこれは思い切つて、少くとも一期の期間をもつとずらす必要があるのではないか、これは意見でありますが、とりあえずそういう布置をとつたということでありますから、これ以上申し上げません。さらに延期の必要を痛感せられることが目睫の間に控えておることだけは私は申し上げておきたい。あまり小出しにしないで、そこに政治的な英断の措置をおとりになることが、現下の情勢にかんがみて必要ではないか、私はそういうふうに思つておるわけであります。 次に昨日私どもへ配付になりました二十八年産米の政府買上げに対する資料でありますが、はつきりしておきたいことは、新聞等の報道によりますと、また昨日農林大臣の御報告を聞いておりましても、七千七百円が基本米価であつて、五百円は凶作加算の概算払いであるのかないのかという点が、非常に明確を欠いておると思う。八千二百円というものを政府は基本米価として取扱つて行くのであるかどうか、その点をはつきりしていただきたい。
○保利国務大臣 これはいろいろ考え方があると思います。私としましては、従来の米価決定の方式に従いましてパリテイ指数と投下資本あるいは都市、農村の消費水準の比較調整をいたす特別加算、これが一応平年度における米価決定としては、従来やつて来ておるところであります。それに豊凶の度合いによる豊凶の加算あるいは減算をいたすかどうか、そこで凶作については凶作の度合いによつてこれを加算して参ります。こういう考え方、しかし凶作係数を加算したものが本年の基本米価であることはもう間違いない。平年度の基本米価というものはこういう形で算定いたします。しかし凶作減収の場合においてはこういう形で加算をいたします。従いまして二十八年産米については、凶作が相当著しゆうございますから、大体これでこの程度以上になつても以下になるという気づかいはないというところで、米価審議会の御答申もあり、そこで一応五百円といたしておるわけであります。ただしかし、これは足鹿委員に米価審議会で御論議いただきましたように、算定方式につきましては米価審議会の御意見を伺つて、そうしてこれをきめる、さらにこれが五百円をもつて足らない——おそらく五百円をもつて余るという場合は考えられないということで、米価審議会でも御答申いただいておるわけであります。従いまして米価審議会の意見を聞き、私どもの責任において決定する算定方式によつてこれが足りないという場合においては、これはまた追加払いをしなければなりません。その追加払いをしたそのものも二十八年産米の価格であることは間違いない、そういうふうに私は思つております。
○足鹿委員 そうしますと、本年の場合における豊凶係数から出たものは基本米価とみなす、そこで今のは概算払いであつて、さらに推定実収量がはつきりした場合には精算払いをする、その精算払いしたものはやはり基本米価に繰入れたものと、こういうふうに解釈してさしつかえありませんか。
○保利国務大臣 そうです。
○足鹿委員 その精算払いの時期はいつごろでありますか、そうしてこれは全国一本で行きますか、地区によつていろいろまた勘案をしますか、わかつたようなことでありますが、はつきりさしておいていただきたい。
○前谷説明員 お答え申し上げます。推定実収高の決定は大体本年末になろうかと思います。従いまして、その推定実収高の決定をまちまして、バツク・ペイと同時に、明年の六、七月になろうかと思いますが、その時期に価格改訂の措置をとりたい、こう思います。従いましてこれは政府の買上げ価格といたししまては、全国一本の価格として考えて参ることは当然であろうと思います。
○足鹿委員 パック・ペイの時期は来年の六、七月ころであるという長官の御意見でありますが、先般の米価審議会の際には、そういうことでは困る、一月ごろを目標にしてやるのだという御言明があつたのですが、覚えておいでになると思うのですが、来年の五、六月ごろというようなことでは、今日の飯米にも困る、生活資金にも事欠いておるような状態なのです。かてて加えて、いろいろな災害に対する復旧の経費の負担であるとか、いろいろな出費を多くしておるときに、どうも少し延び過ぎる感がするのですが、もつとバツク・ペイを繰上げて、そこを政治的な裁断を下し、あらゆる事務的な操作を推進して早めて行くということはできないものですか。
○保利国務大臣 米価審議会で御論議になりましたときに、私どもお答え申し上げましたのは、できるだけ早くこの作況をつかんで、そしてあとう限り納付分を概算払いで、それもすみやかに払いたい、そう申しておるのであります。米価審議会ですでに支払うようにという御意見があつたことは十分承知いたしております。いずれにいたしましても、これは審議会の御答申にもございますように、おおよそ減収加算の五百円というものは、減収加算額の大部分を占める。そこでこれはあなたの方に私からむしろ伺つてみたいのですが、バツク・ペイをする、あるいは減収加算の追加払いをする、それがたいへんなものであれば、これはその通りだと思いますが、しかしそれがわずかであつても農民からいえばたいへんなものですが、実際扱われる農業協同組合あたりの事務からいつても、ちびちびへ二度というなら一ぺんにする。しかしこれはその時期に見まして、私は、当然支払い価格が決定する、それを故意にバツク・ペイと一緒にしなければならぬと引延ばして行く気持は毛頭ありません。これは実際どつちが便宜かも考えて行きたい。御趣意は十分伺つて善処いたしたいと思います。
○足鹿委員 時間がありませんので、もつとこまかく尋ねたいのですが、先へ進みたいと思います。要するに、こういうふうに解釈すればいいのですか、物価指数の上昇、いわゆるパリテイがかわつたことによるバツク・ペイとは切り離してやるということなのですね。
○保利国務大臣 そうです。
○足鹿委員 一応その程度で、時間がありませんから、この問題を打切ります。 さらに本年の作況から見ました際に、審議会の際にも時間がなくて十分検討されなかつた大きな問題がある。それは検査規格の問題であります。これは先般も審議会の際に、私、政府資料によつて申し上げたのでありますが、昭和二十一年から二十七年をとつて比較をしてみますと、昭和二十一年には一等が三千八百十五万俵ある。それが昭和二十七年にはわずかに九万一千俵に減じておる。逆に四等は昭和二十一年にはなかつた、それが三千七百五十七万俵にふえておる、これは政府の資料でありますから間違いないと思いますが、さらに標準となつております三等にしてみましても、昭和二十一年に四百八十九万俵あつたものが、二十七年には二千八百十四万俵にふえておる。これは結局農家の実質手取り米価が、検査規格の厳重になるにつれて低下しておるということを示しておるのであります。この点について、政府は五等米を設ける意思あることを米価審議会でも明らかにされたが、五等米をつくる意思の有無と、またその五等米の検査規格の問題について、少くとも農民の要望というものは、五等米ができることによつては満足しない。実質的には五等米が四等米的な検査によつて実情に沿うような運営がなされることを期待しておると思う。ただ単なる五等米をつくる、そうして規格についてさらに従来と異なつた方針を持たれない限りは、むしろ逆に五等米をつくること自体によつて、農民の実質米価にさらにまたマイナスが来るということを心配しておると思うのですが、五等米をつくられる意思ありやいなや。また五等米をつくつたときの検査規格の緩和の具体的な政府の方針というものを伺いたい。
○前谷説明員 お答え申し上げます。五等米につきましては、規格を定めて本年買入れをいたしたいと思つております。その規格につきましては、大体整粒歩合でございますとか、もみの混入歩合でございますとか、あるいは色沢等につきましては、本年度の状況を十分考えて参りたい。水分等につきましても、四等と比較いたしまして、その点も十分考えてもらいたいという御要望があるわけでございますが、水分につきましては、これは御承知のように操作の面、乾燥の面、保管の面等から考えまして、その点に支障のないようにいたしたい、かように考えておるわけでございます。 なお先ほどもお話がございましたが、検査につきましては、昭和二十三年に初めて食糧管理法に基きまして、省令をもちまして検査を始めました。正式に法令に基きまして検査を行いましたのは、昭和二十六年の農産物検査法によりまして検査を行つたわけでございます。現在の等級割合は、昭和九年から十一年までの戦前の平常の場合におきまする等級割当とほぼ同様になつておることは、足鹿さんも御承知の通りであります。
○足鹿委員 最後にもう一点お尋ねをして質問を打切りたいと思いますが、検査規格の緩和問題は、これはりくつではなしに実際の問題であります。こういう凶作の場合は、数量そのものも少くなるが、米質そのものも非常に悪くなつて来る、これは申し上げるまでもないことでありまして、その実態にぴたりと合うような運営が検査員への指示、あるいは訓練という点でよほどうまく行かないと、かえつてこれはマイナスの起きる危険性もあることを私は特に指摘をしまして、十分配慮の上、末端によくこれを徹底して、いやしくも農家の実質米価がマイナスを受けることなきよう、万全の措置を講じていただきたい。 それから特別集荷制度は、新聞によると、一年間停止をする、こういうふうに伺つておりますが、いわゆる制度自体を残して一年門停止するという意味に私どもは見ておりますが、正式にこの機会に、特集米制度に対する政府の態度を明らかにしていただきたい。
○保利国務大臣 特集米制度のやり方につきましては、昨年産米の集荷に際しまして、相当プラスの面もあつたろうと思います。同時にマイナスの面もあつたろうと思いますが、いずれにいたしましても相当の貢献をいたしたことは認めなければならぬと思います。しかし同時に弊害の面もあるわけでございまして、ことしの作況から見まして、この制度のよしあしを私どもまだ断定をいたすことは時期ではないと考えますけれども、さきに当委員会の御意向もあり、また米価審議会の答申もありましたので、とにかく二十八年産米につきましては、いわゆる特集制度は行わないという考えで臨みたい、かように考えております。
○足鹿委員 まだ需給計画の改訂の問題あるいは現行配給米の確保問題等いろいろありますが、他の同僚議員からの御質疑があろうと思いますので、私はこれらは他の委員におまかせしたいと思います。 要するに政府の現在おとりになつておる本年度の供米政策、これに関連しての価格対策というようなものが非常に小出しであつて、たとえば、これは失礼な表現かはしりませんが、小さな商人が、何か相手の顔色をうかがつてちびりちびりと出して行くというような印象を受けて、そこに本年の凶作という異常な、何十年来の事態に対処する政治的英断に欠けるものがあることを私は痛感をするのでありまして、今後とも、この豊凶系数が明らかになり、また早場米等の時期、いろいろ現在の供米折衝の状況から判断をして、実情にマツチしないというようなときには、いわゆる陳情があつたり要請があつたりするのではなくして、ある一つの見通しを立てて、英断的な措置をとられることが、政府がほしいと思う本年度の米の確保の基本であると私どもは思う。ただ単に、これを政治的にもてあそんでこういう質問をするのではなくして、真にことしの食糧事情が容易ならざる事態に直面しておるという点からともに憂えておるのでありまして、そういう点については、もつと思い切つた決断力のある大臣の政治的な処断を特に要望を申し上げまして、あまり私だけが時間をとりましても恐縮でありますから、一応この程度で質問を打切つておきたいと思います。
○井出委員長 川俣清音君。
○川俣委員 大臣に短時間でありますが、主要な点をお尋ねいたしまして、他の点につきましては関係各政府委員から御答弁を願うことにいたしたいと思います。 第一は九州のこのたびの災害、また続いて起りました台風十三号の被害等を見ますと、戦前から戦後にかけまして国有林を初め民有林の伐採が非常にはげしかつたために、山林の荒廃から起つて参りまする被害というものが甚大であつたように思われるのであります。また台風十三号の被害につきまして、私どもつぶさに了知いたしてはおりませんけれども、おそらく今まででありまするならば、潮風を防ぐところの防風林が相当あつたはずである。それがだんだんとこういう防風林が切取られまして、潮風を農作物がまつすぐ受けるというようなところからの被害の増大をも、大体見当をつけられるのではないかと思うのであります。そうして参りますると、森林資源の造成、植林の造成ということが必要な題目として上つて来るわけであります。ところが問題は——大臣にお尋ねしたいのはこれなのですが、一方において九州災害、あるいは今の十三号等から見まして、どうしても保安林の整備を強化して行かなければならないということになると思うのです。ところが保安林の整備を強化して行くことになると、伐採制限ということになります。この伐採制限と、災害が起つて参りました結果、非常に木材の需要が増して参る。おそらく十三号台風の結果から木材の需要を高めて来るだろうと思う。一方においては木材の需要が高まつて参りまして、大きな国有林の木材の払い下げを要望する傾向がある。木材の価格引下げのために国有林野の払い下げが起つて来ます。一方これと逆に、保安林の整備強化ということになりますと、一方においては伐採利根、一方においては需要の面からして、価格騰貴を押えるために払い下げを強要して来るという、まつたく矛盾した中に今日立たせられておりますが、大臣はこれに対して、どのような方法で解決されようといたしておりますか。これは非常にむずかしい問題ですからこの点を……。
○保利国務大臣 お答えいたします。これは国土上の根本の問題だと私は思つております。もつともこの夏以来の数次の水害は、一概にもまたそう申し上げ得られない地帯もあるようでございまして、たとえば一時に、短時間に大雨量を伴いまして、これは地質や何かの関係からも出て来ておるようでございます。なお密生林がある地帯でも、非常に大きな山くずれ、地すべりをして、かえつて樹木が多かつたために被害度をそのために多くしておるという地帯もあるようであります。今年のこの水害というものは、まつたく異常の状態でございました。しかし概論いたしてみますれば、これは川俣さんのお話の通り、とにかく国土保全の第一要諦は、山をどうして治めるかというところにあるわけであります。しかしながら需要に応ずるためにはこのやせ山にすべてがかかつて来ておる。やせ山を守ろうとするのには一体どうするのだ、こういうところに非常な矛盾を感ずるわけでございますが、結論は、保安林を設定いたすにいたしましても、増強いたすにいたしましても、結局内需を、たとえば燃料なら燃料を押えるということはできないでしようから、燃料を他の資源によつてまかなつて行く、燃料転換の方途を講じて行く、あるいはまた用材等につきましては、すでにその緒につこうとしておるものの、なかなか困難なようですけれども、たとえばアラスカの森林資源等、とにかくその用途のいかんにかかわらず、外材にある程度期待をして行くということとあわせまして、しかも植栽の面につきましては、従来の樹種にこだわらず、たとえばユーカリ等がどの程度実際日本に大きく普及しまして、どのくらいの効果を上げますか、そういつた早成樹種をできるだけ取上げまして、とにかく何といつても植樹造林に全力を上げつつ、あるいは燃料その他の用途の転換を木以外に求めて行く、そして外材もできるだけ期待を持てるような措置をとつて、山を守つて行くということ以外になかろう、こういうふうに考えております。
○川俣委員 大体大臣の構想が朗らかになりましたが、私も大体それよりほかないと思う。ただ大臣にかぶさつて来るところの問題は、今のような、端的に言うと、木材の価格を引下げるために、物価の高騰を引下げるために、国有林の立木の払下げの強要というふうになつて現われると思うのです。これを防ぐということになりますると、他の、大臣以外の所管の方で十分この施策をとらせなければ、大臣の所管の方に重荷がかぶさつて来るということになると思う。これが非常に私は大きな問題だと思いまするので、お尋ねをいたしたのでありまするが、このままで行きますると、この大きな矛盾を解決しないままに進行いたしますると、大臣の説明のように、やせ山に非常な過重が加わる、一方において植林を急がなければならぬ、ところが予算上の制約を受けてなかなか進行しないという面も出て来ると思うのです。ところがこれは今日では、予算上の制約があるということでは回避できない事態に来ておると思いますので、これはよほど腹をきめられまして、大蔵省との折衝、閣議におけるところの大臣の主張というものを貫かなければ、悔いを百年に残すことになると思うのです。ただ防衛するだけでは足りないのでありまするから、薪炭林の払下げも目下においては必要であろうけれども、これにかわるべき施策を、他の所管において十分補うような方途を、閣議等において十分講ぜられなければならぬと思うのであります。 時間がありませんから、それだけ申し上げて、次は冷害並びに台風の結果、大凶作の形相が現われて参りました結果、収穫に非常な大きな激減を来すようであります。こうなつて参りますと、需給計画の上において、粗漏のないような措置を当然講じておられるであろうとは想像いたしますけれども、以下の点についてちよつとお尋ねいたしたいと思うのです。 こういう凶作になつて参りますと、国の全体の需給が非常に困難であるばかりでなく、各県の県内の需給というようなこともまた困難になつて参ります。そればかりでなく、今度は村の需給というものが非常に困難になつて来ると思うのです。特に平坦部でありますれば、有無相通ずるというようなことで、決してこれはやみではないでしようけれども、ある融通が行われると思うのです。ところが山間部でありますというと、簡単に融通ができないために、どうしても、供出しなければならないような、割当を受けたものが、これが供出に向け得られないで、村の中の窮民を救うと申しますか、窮民から奪取されると申しますか、懇願されるということになりましようか、そういう形態で、なかなか机上の供出と実際の供出とでは大きな隔たりが出て来るのじやないかということが憂えられるのであります。平面的にいうと、これだけの数量があつて、これだけのものがつかみ得る、こういうふうに計算はできるでありましようけれども、実際は飯米のない農民に対しましては、政府はいろいろな手を打たれるでありましようけれども、身近なところから確保するということが、当然自然的に現われて来るのではないかと思う。そういたしますれば、早くこの凶作の実態をつかんで、先に飯米を流してやりませんければ、結局当にいたしました供米を食われるということになる。これは、やみでありますれば、道徳的に取締られますけれども、村の中における窮民に貸し与えるといいますか、貸すものを取締る方法はないと思うのです。悪意というふうに考えません。村の者に食わせるものを取締るなんて、とてもできるものじやない。このために早く飯米の確保をいたしまして、輸送を講じなければならないと思いますけれども、この点に対する大臣の御答弁を願いたいと思います。
○前谷説明員 お答えいたします。川俣さんのお話のように、全国的な需給計画につきましては、われわれとしても目下慎重に検討いたしておりますが、具体的に各県の問題、また各村内の問題というふうなお話でございましたが、これが供出の問題には非常に関連がございます。われわれ各県と供出の問題につきまして御相談いたします場合にも、その問題はよく十分に御相談いたしておるわけでありまして、さしあたりの問題といたしましては、各県に麦の所要量につきまして、どれほどいるかということを問い合せておりまするし、また供出にあたりまして、御相談ができまして、それを手配するというような県もございますので、さしあたりといたしましては、至急精麦を政府から各県の御要望に応じて配給いたしたい、これによつて少くとも村内なり県内の供出なり、あるいは飯料に不足しないように、具体的に検討いたしております。
○川俣委員 この問題についてまだお尋ねしたい点もありますが、時間の制約がありますので、あとで食糧長官にさらにお尋ねいたしたいと思いますが、第二にお尋ねする点だけを先に申し上げたいと思います。 これは東北だけでなく、その他も同様だと思いますが、今度私の視察した東北を基準にいたして申し上げますと、だんだん山間奥地に行くごとに大体作況が悪いということが予想せられて、視察に行つてみますと、実は予想に反して割合に——もちろん程度でありますけれども、予想に反してやや良好なような所もあるわけです。これはまず改良普及員の努力にまつものが非常に大きいということを、気候その他から見まして、そういう気候を克服し、天然を克服いたしまして、実はよくあそこまで成績を上げたと思われるような町村もないとは言われないのでございまして、われわれはかなりそういう点に接したのであります。もちろんこれは土地改良事業あるいは暗渠排水等の事業が伴つてはおります。そういうものと相まつてはおりますが、改良普及員等の努力にまつ点が非常に大きい。ところがまた一方において、改良普及員ほど質に甲乙のあるものはないです。非常にでたらめとは申しかねるけれども、相当素質の低下しておる者もあり、また非常に尊敬すべき改良普及員もおる。今年のような異常な作況にあたりましては、特に改良普及員の質が露呈するという結果が出て来ておると思うのでありますが、大臣はこういう改良普及員につきましての質の向上のために、どのような方途を講じられるつもりでありますか。この点をひとつ伺いたい。
○保利国務大臣 改良普及員の実際の状況は、おそらく川俣さんのお話の通りじやないかと私も実は心配しております。これはいろいろの任務がございましようけれども、農村の改良普及員というものは、やはり技術が主体でなければならぬ。作況によつて農家の方が相談されても“いやこれはこういう農薬をやれとか、あるいはこういう手を入れろとかいうように、即座に相談に応じ得るような人でなければ、これは置いても実際役に立たぬというように私は思つております。しかし改良普及員制度ができましてから、年を経るごとにその効果はだんだんあがつて来ておるようであります。お話のように、初めは相当おそまつなところがあつたろうと存じますが、なお足らざるところは、技術の講習その他手配をいたしまして、こういう機会にできるだけ指導力を引上げるようにいたさなければならぬと考えます。
○川俣委員 大臣も大体私と見解を同じくされたのでありますが、結局結論として簡単に申し上げますると、今日の改良普及員に負わせられておる任務が非常に大きいにかかわらず、その素質において、その熱意において、非常に高低があるわけであります。これをどうして打開して行くかということになりますと、やはり少数の人員で効果をあげるということにいたしますれば、やはり質の向上を考えて行くよりほかに方法がない。一方、今政府において行政整理を考えておられますために、おそらく数の拡充というようことはなかなか困難な方向にあると思う。しからば質の向上だ。質の向上ということになりますれば、やはり研修制度を活用して行くほかはないと思うのです。ところが農林省は割合に研修制度に対しては熱意が足りないのじやないかというふうに考えておるのですが、この点について大臣はどうお考えになりますか。
○保利国務大臣 くろうとのあなたがそうごらんになつておれば、おそらくそうであろうと存じます。しかし改良普及員の持つております任務は、農家にとりましては非常に大事なことでございますから、研修と申しますか、講習と申しますか、来年度は相当大きくやつてみたい、そういう予算措置も講じてみたいと考えております。
○川俣委員 次に積寒法によります土地改良についてお尋ねいたしたいと思います。御承知の通り、今度の寒冷被害が大体山間地に多いことは、気象から申しましても当然なことでありましよう。また汐風等による場合ももちろんございまするが、東北の冷害を見ますると大体山間地が多いことになるわけであります。ところがこの山間地の土地改良によりまして、いわゆる低位生産地に対する施策といたしまして、また今日のような凶作の対策といたしまして、米価によらない施策が当然山間僻地には考慮されなければならないと思うのであります。そういう建前からいたしまして、小規模な土地改良によりまして、ある程度天然を克服する、いわゆる冷害を克服する措置が十分成績を上げておる所もあるわけであります。たとえば小規模な温水ダム的なものをつくりましたり、あるいは防災と温水ダムとを兼用いたしましたようなことによりまして、相当の成績を上げております。また暗渠排水等によりましても、同じ村でありながら、一面において暗渠排水をやりました所は、青立ちを防いで幾らかの実りを持つておりますが、一方はまだ青々としておるというところも現に見えるのであります。そういう点から考えますると、山間部でありますから、階段式になつておりましたり、大体集団の規模が小さいのでありまするから、小面積の土地改良ということがどうしても必要となつて来るのでありまするけれども、この点に関して、今度の冷害を機会に、いわゆる積寒法の二十町歩というような観念でなしに、ほんとうの積寒地と申しますのはやはり山間低位生産地だと思うのでありますが、これらに対する施策についてお考えがありますれば、この際承りたいと思います。
○保利国務大臣 これは積寒地帯の関係の方々から強くお話も従来あるわけであります。私どもとしてはそういう方向で努力をいたさなければならぬと思います。それは三町歩まででなければというようなことになつて参りますと、なかなかむずかしいようでございますが、御趣意の方向でできる限りひとつ努力をいたすつもりであります。
○川俣委員 大臣が努力をされるというのですから、それに期待いたしますが、要は大蔵省の考え方は、大規模にやることによつて、わずかの経費をもつて相当の高能率的な土地改良が行える、こういう大体の考え方を持つておるようであります。しかし山間僻地におきましては、小規模な割合に経費のかからない土地改良もまた考え得られるのです。必ずしも大きい面積の方が高能率であつて、小面積の方が高能率でないというようなことはあり得ないのです。というのは、山間僻地へ行つて参りますと、案外自己資金によつてすらも土地改良事業を行つておるのがある。自己資金によるということになりますれば、能率の上らないような土地改良をみずからやるわけはありません。そういうものを少し援助することによつて相当な成績を上げ得ると思う。この点についてはむしろ大蔵省の認識が足りないと思いますので、これは農林大臣において、特にこの点は強調してほしい点だと思うのです。私もあえて三町歩だとかなんとかこだわりませんけれども、小規模な面積に対しましては、わずかな予算によつてかえつて高能率な土地改良ができるということだけは、強調されて行かなければならぬであろうという点でございます。 さらに耕種改善について、さつき足鹿委員が触れたのでありますが、私もちよつとこれに触れておきたいと思います。今度の冷害状況から見まして、耕種改善の必要なことは、もう農林省も十分痛感されたと思いますし、また食糧何箇年計画という政府が立てておられます食糧計画によりましても、耕種の改善、土地改良というようなものをあげておられる。いつも耕種の改善ということを食糧増産の上に大きくあげておりながら、実は予算の面になつて参りますと、年々増額されるとか、あるいは一定の目標で耕種改善が行われるということよりも、そのときぞれによりまして、非常にでこぼこがあるように思われるのであります。ところが耕種改善というものは、どんなに金をつぎ込んでも、もちろん一年では成績の上るものではありません。従いまして試験場等については、相当の長期計画を持たなければ、耕種改善というものは行われない。一年の予算が厖大であることよりも、通算いたしました予算の量が決定するのでありますから、こういう点につきましては、今年度全体の予算の上から耕種改善の費用を軽減されましたり、あるいはせつかく耕種改善の方向に使われておりました過去の予算を全部放棄する結果になるような予算の削減につきましては、十分大臣は考慮されなければならぬと思いますけれども、なお念のためにこの点をお尋ねしておきます。
○渡部説明員 お話の通り、耕種改善計画につきましては、農林省としましては、たとえば品種改良は三割隔年更新でやつて行くとか、あるいは土壌の酸性あるいは秋落ちの防止については五箇年計画でやつて行く、病害虫の防除についても五箇年計画でやる、保温折衷苗しろについては三箇年でやるとか、それぞれ計画を立ててやつて来ておるのであります。その計画年度のうちに達成できなければ、さらに継続してやる、こういうことをやつておりますので、お説の通り、なお注意してやつて行きたいと思います。ただこれは、品種改良等につきましても、たしか昭和十五、六年に、戦争が進展するにつれて一ぺんやめたのであります。その後占領軍が来ましてからは、助成金政策というものが非常に変更を受けまして、われわれのそういつた耕種改善の計画がうまく行かなかつたのでありますけれども、その後順次そういつた計画でやりつつあるので、なお一層注意してやつて行きたいと思います。
○川俣委員 それは官房長の言われる通り、途中でブランクができたということによつて今日の耕種改善に大きなマイナスが来ておるわけであります。今後といえどもそういうブランクが現われないとは必ずしも言えないと思う。先ほど足鹿委員から説明のありましたような北海道あるいは秋田の試験場の研究等についても、行政費の削減によりまして——耕種改善の費用の削減でないと言われるかもしれませんけれども、耕種改善の費用の削減でないということになつても、形式上はそうであろうけれども、これはやはり行政費の削減によつて影響が来ないのだということは、おそらく官房長でも言えないと思う。私はそういう点をさしておるのでありまして、耕種改善の費用は確かに削減されないでありましようけれども、耕種の改善を達成するための費用が削減されますと同じ結果に陥るのでありますから、この点についての注意を喚起いたしたいのであります。 それから、もう時間がありませんので検査米についてお尋ねいたします。今年の作況から見まして、米の検査は容易ならぬ状態であろうと思うのです。政府は一定の規格を持つておられますけれども、長日数を要して育ち、低い積算温度を加えられました米において、良質のものが得られるとは考えられません。低温が加わり、湿度の高いうちに育つた軟弱の稲からできた米でありますから、期待するような良質なものの得られないことは、あまりにも明らかであろうと思うのです。そういたしますと、一方において一定数量の供米を確保しなければならないということと衝突することができて来ると思うのです。量を確保しようと思えば、質の低下もあえてこれを拒まないというような態度に出て来なければ、できないのではないか。絶対量がもしも足りないということになりますれば、何といいましても、量を確保する以外需給の調整はできぬと思いますので、本年はよほど検査の規格を下げて、量の確保ということに力を入れて行かなければならぬのではないか。しかしながら、懸念されますのは、六、七月ごろ高温になつて参りますと、米質の変化というようなことをかなり懸念されるのであろうとは思いますけれども、こういう冷害地帯における積算温度の低い、しかも軟弱な稲に育ちましたものでは、どうしても良質な米が得られないのでありますから、これを早食いするように、三月から四月までに大体消費できるような方向にあんばいするということによつて、これらの欠陥を除き得ると思うのでありますが、こういう点に対して、どんなようなお考えを持つておられますか、御意見をお伺いしたいと思います。
○前谷説明員 お答え申し上げます。お話のように、本年の作柄におきましては、検査の問題が非常に重要になるだろうと思います。われわれといたしましては、検査標準品の選定にあたりましては、昨年度と比べて、特にその地方の生産者の代表も参加していただきまして、この検査標準品の選定につきましては、本年の実情に合うように十分やつて参りたい。特に生産者の代表にも御通知申し上げて、そうして標準品の査定会議におきましては、お話のような点を慎重に考慮して参りたい、かように考えます。ただ本年度は水分等の問題がございますので、その保管なりあるいは輸送なりにつきましては、御指摘のような点を十分注意いたしまして、考えて参らなければならぬ、かように考えております。
○川俣委員 もう一つ。ところが今度秋田の実例を見ますと、去年と同じように、また百匁当りくらい増量させなければ検査をせないようなことを、検査員が流布いたしておるようでございます。かかることはないと思いますけれども、この点についてさらに徹底するような処置をお願いいたしまして、私の質問を終りたいと思います。
○前谷説明員 お答えいたします。実はその点につきましては、われわれ従来一俵六十キロということで、入れ目という問題につきましてよく御指摘がありますので、末端に徹底いたしますように注意いたしておりますが、今後さらに徹底するように注意いたします。
○井出委員長 安藤覺君。
○安藤(覺)委員 私は、同僚議員からも幾多質問が出ておりますし、時間もようやく切迫して参りましたので、時間を節約する意味におきまして、まず私の所見を陳述し、しこうしてその間当局の御所信を伺うという形をとりたいと思います。ゆえに私は、まずもつて私の所見を陳述申し上げることをお許しいただきたいと思うのであります。 昭和二十八年という年は、日本にとりまして、いかなる神の怒りに触れたのか、独立二年、ようやくその基礎を固むべき年であるにかかわらず、内憂外患こもごも至り、外にあつては朝鮮あるいは濠州のあの日本への大きなる圧迫、侮辱の問題も起きて、国民の怒りようやく高からんといたしております。内にあつては皆様方先般来御論議のごとく、まことに容易ならぬ天候異変による農作物の不作、凶作が現われておるのであります。このことは、保利農林大臣初め当局も、十分に認知しておられるところであり、また昨日来の同僚議員各位からの陳述、あるいは質疑等によつて十分知らるるところであります。しこうして私のここにお尋ねいたしたいと思いますことは、本年のような年におきましては、現実の収穫の上からは、人知を越した姿が現われるのではないかということであります。もちろん当局におかれて、九月十九日現在をもつてお示しになりましたような、ああした詳細な統計も出ているのでありますが、そうした詳細な統計をも飛躍した意外な結果が現われて来ることはないか。現にこれは統計上の問題ではなくして、まことに引続く天候異変による結果でありますが、第十三台風によつて、またしてもこれを大きく再調査せねばならぬような現実も現われているのでありまして、先般の統計調査の結果を無残にも踏みにじつてしまつているのであります。こうした結果が、北海道から南は九州に至るまで、あたかもじゆうたん爆撃したごとく、この地域だけは助かるかと思つておつたような比較的温暖な関東地帯さえも、遂にはその台風の余波を受ける、また低温冷気のために、比較的おくてのものを多くつくり上げておつたために、これの出穂が遅れ、開花が遅れ、その結果は十日、十五日、二十日というような遅れ方のために、通常でありまするならば、すでに実入りをしておるべきときにあの台風の発生を見て、容易ならぬ被害を受けたような結果になつておるのでありまして、最近における関東各地の稲が、日をふるごとにいよいよその台風の悪影響を現わして参りまして、ごらんになるごとく、東京の街頭の街路樹のあの葉のごとき姿を呈して来ておるのであります。たまたま老農夫は、彼岸花は実らない、こう申しておりましたところのものが、昨今の農業技術の向上によつて、比較的これを実らせるような状況になつておりましたにかかわらず、この台風の結果としては、ますますこの古い農夫たちの言葉を切実に思い出させるような結果になつて来ておるのであります。たとえば、例をきわめて手近な私の県である神奈川県にとつてみましても、先般の台風によつて北東部方面、川崎在方面におきましては、昨日も静岡県下に現われたと言われた、あのごとき白穂の姿が非常に多きを見ておるのであります。こうした台風の影響のみならず、全般的なる低温冷気は、全県下のみならず、全関東にわたつて非常な悪影響を現わしておるのでありまして、先ほど千葉県の陳情団の方が申されたごときことも、単にああした病害、虫害ということだけでなしに、一体に開花期が遅れておつたということが、大きな影響を現わしておると思うのであります。ことに晩生の旭系統のほうじようとか農林八号とかいうようなものが多く作付られている所ほど、重大なる影響を受けております。そしてこのことは今まで多く水陸とも米にのみ限られて論議されておるのでありますが、本年の作物の姿は、ただにこうした水陸稲だけに限りませず、かんしよ、落花生、さといも、あるいはあずき、大豆というようなものからタバコに至るまで、ことごとくこの低温冷害を受けているのでありまして、かんしよ等の補助作物の減収は、ただに人間のみならず、家畜の上にも大きな影響を及ぼして来るんじやないかと心配されるのであります。こういつた姿を思いますときに、まことに卑俗なことを申し上げるのでありますが、私はあの俚謡を思い出すのであります。浅い川ならひざまでまくれという歌でありますが、たわむれの曲としては、あるいは舞踊としては、浅い川の行き方でいいかもしれませんけれども、本年のこの凶作対策としては浅い川であつてはならないのじやないか。おそらく浅くて事が足りると思つておつたのが、ひざ以上にまくらなければならぬ。ひざばかりではない、遂に帯を解いて、まつ裸でぶつかつて行かなければならぬというのが本年の凶作対策でなければならぬのではないか。初めからすりばちの底におりて行くように、十日までに日照りが来れば、十三日までに日が照り出せば、十五日までに日が照り出せばと楽しんでおつたものが、いつまでたつても日が照つて来ない、ここに遅れても実るべかりしものが実らなくなつて来る。こういうことのために思わざる大きな凶作の姿を現実には現わして来るのではないかということが考えられるのでありまして、これについては、初めからむしろ裸になつて、思い切つた施策をもつてこれに臨んで行かれるということが必要ではないかと考えられるのであります。この点において農林大臣の御所信を伺いたいのであります。こうした考え方から行きますと、この供米割当などにつきましても、先ほどもちよつとお話が出たのでありますが、なるべく割当を急がずに、ほんとうに正確な数字を握つてから、確実な実態をつかまれてから割当てられるということが行われることがいいのじやないか。もしもこれが私が今言いますような、浅くてよいと思つてそこで割当をして、割当をしてしまつた以上はこれの改訂、改正は容易ではないというような姿を出して来ますと、そこに思わざる供出農民と政府との間においてトラブルを起し、紛糾を起して行くことになるのじやないかと心配されるのであります。ひいては後に来るべき生産意欲についても、大きなる支障を呼び起すのではないかということにも心配があるのであります。もとより農林大臣とされまして、早期供出ということから、割当を非常にお急ぎになるお気持はよくわかるのでありますけれども、事情先ほど来申し上げるがごとき姿でありとしますならば、そのはやらる気持を押えられても、十分に実態をつかまれることにまず専念していただき、しこうしてこの割当をなされるということがいいのではないか。もしやむを得ずして推定によるところの早期割当をせられるならば、その後においてもし実態が現われて来ましたときには、何の遅滞もなく、とらわれることなく、思い切つて補正される御決心がぜひいただきたいと思うのであります。 次にこうした対策の一つとして米価の改訂、奨励金の支出等が行われておるのでありますが、これは供出農家の手取りを増加させることにおいてまことにけつこうなことでありますが、日本の農村は御存じのごとく、その構成を見ますときに、六百五十万戸のうち、ほとんど半数のものが飯米農家であるのでありますし、また地域的に見ますれば、山村農家が非常に多いのであります。手近かなところを考えてみましても、神奈川県の足柄上下にしましても、両郡とも山村にかかる面が相当多い。あるいは津久井郡の全都、愛甲郡の半数というふうに、ほとんど山村にかかつて、その耕作面積は、三反、四反というところが非常に多いのであります。これらの農家というものは、米の供出によつて収入を増加せしめるということは、ほとんどないのであります。このことは、単に神奈川県のみならず、全日本のこの地理的形勢の上から考えてみて、決して少くない数字ではないかと思うのであります。これらの農家が米価のつり上げによつて、収入増を見ることができないのみならず、逆に還元配給を受けるべき農家であつたり、飯米農家であつたりすることによつて、米価のつり上げが、農家の大きなる負担となる部面も出て来るのであります。こういう点等も十分にお考えになりまして、そうして昨日お示しくださいましたところのこの冷害対策要綱は、おおむね私たちの考えまするところのものに符合いたしておりまして、多くの言葉を費す必要はないと思いますが、私がただいま申し上げるような、ほんとうにことしは容易ならぬ凶作なんだ。昔であつたならば、餓ふちまたに満ちるというような大きな凶作になつているのだ。ただ今日この世界的なる環境にありますことによつて、それは免れるであろうけれども、収穫という面から行けば、容易ならぬ凶作になつているのだという、深い根本的な認識をお持ちくださいませんと、せつかくここにおつくりくださいましたところの第一項から第十一項までのこの対策も、中途半端に終り、ほんとうに効果をあげることなき結果に相なるのじやないかということが憂えられるわけであります。この意味におきまして、農林大臣におかれては、米価の引上げによつて農家収入の増加を期せられましたが、一面においてはこのことがかえつてマイナスになる農家の相当量あることをも思い合わされて、ことにこの第二項に示されましたところの、低利なる営農資金の確保という項目については、格段なるお力をお注ぎくださいますとともに、できればここに次の作付に対しての、肥料の思い切つた低廉なる供給をせられる方途を講じていただくことができないのであろうかどうか。このことは何よりもこの冷害対策のもろもろの要綱中において、一番眼目をなすものではないか、かように考えておるのであります。 次に、私が以上申し上げましたごとき凶作の様相を呈するものといたしますれば、統計の示します数字と実際の収穫量との間に、大きな開きを来すようなことがありはしないか。もしそういうことになりますと、ここにいわゆる食料不安という声を大きくかもし出します。もしこの食糧不安という声が強くかもし出されて参りますと、現今の世相から参りますれば、内閣の一つや二つあつたのでは足りないのではないかと考えられるのであります。この点については、私は特に憂いを深くいたしておるのであります。ここにおいて私は、今回の凶作に対して保利農林大臣は、総理大臣やあなたの同僚であられる全閣僚に対して、ほんとうにこの凶作の深刻であることを、あなたみずからも持たれるとともに、他の同僚諸君にもお持たせくださつて、その根本的な認識のもとにおいて、昨日お示しになりましたこの十一項目の、徹底的なる実現を期せられんことを望んでやまないのでありますが、この認識についていかにお考えになつておられますか、農林大臣の御回答をいただきたいのであります。
○保利国務大臣 お答えいたします。安藤さんお話の通り、今年の天候は、自立経済達成の途上におきまして、相次ぐ不幸な事態を招いて、まことに残念に存じております。単に稲のみならず、春の凍霜害で、麦その他の農作物、自然の恵みによつて成育いたして参りますこれらの成果が、著しく不況に陥りましたことは、国としてまことに残念、かつまた農家の方にとりましても、深甚なる同情を嘆じ得ないわけでございます。そこでこういう中から、まだどういうふうに作況が推移して行くかわからぬ今日、予想し得ないような事態が起るかもわからぬから、もつとゆつくり構えて、作況が徹底的に確実になりてから供出の相談をしたらどうか。ごもつともに存じます。今年決して、あわてて早手まわしに供出の御相談をいたしているわけではございませんで、どちらかといえば、今年はもう遅れているわけでございます。しかもこれは申し上げるまでもなく、政府の独断的観測によりまして、それではじき出したものをお願いいたしているということではございませんので、できるだけ最近の作況に基いて、およそこれくらいは行くのではないかという、これは政治的判断も何もない、純技術的、事務的に集計予想せられますその数量にのつとつて、また県側の見る目は辻いますから、それぞれ双方突き合せて御相談をいたしているわけでございます。そういうわけでございますから、積み上げたもので、そのうち幾らくれといつているわけではないのでありまして、実際積み上げて見て、これが非常に違いがあるということになりますれば、昨日も申し上げましたように、当然補正をしなければならない。またそういうことでなければ、県側でもお引受けいただくこともできないわけでございます。そういうふうにやらしていただいて、消費者も今年の作況に対しては、非常に心配しておられるわけでございますから、できるだけそれに応ずる意味からも、ひとつ供出には格段の御協力をいただきたい、こういうふうに考えているわけでございます。 米価が、米価の形でなく、あるいは奨励金というような形で引上つて行く。これはむろん専業農家と申しますか、こういう方々に対しては、それはけつこうなことだけれども、飯米農家やその他にとつてははなはだ迷惑なことに結果がなるということは、これはその通りだと思います。ただこの米価問題には、私どもも今日におきましては非常な矛盾を感じております。いろいろの基本米価、いや何奨励金、何奨励金といつたような形で、結局受ける農家はどういう性質の金でありましても、一俵出した値に対する価格として、それを農家は受取るわけですから、米価問題はまさに根本的にひとつ考え直さなければならぬ段階にあるということは、私は米価審議会の御意見等も伺つて痛感いたしておるわけでございます。しかしながら、何と申しましても、農家経済の支柱をなしますものはやはり米でありますから、この米が適正な、妥当な価格をもつてきめられるということは、これは最も大切なことである。そういう上から生産農家にとりましては、今年の米の価格、あるいは奨励金等のつけ方は、むろん十分ではないというおしかりも受けますけれども、私どもの考えますところでは、大体この辺でいいんじやないだろうか、それで凶作地帯の収穫皆無になるとか、あるいは食べるものすらないというような所は、お米の値段が上つたがために非常な迷惑が来るのじやないか、これはその通りでございます。でございますから、反面におきまして、米価問題で凶作対策というわけにはもう参りません。私は昭和九年の冷害当時、東北各県をちようどまわる機会を得まして、あの深刻な惨状は今日でもまざまざと浮ぶのであります。従つて冷害地帯の様相に対しましては、想像いたしましても私はわかる。しかしできるだけ早い機会に私一度参るつもりでおります。そういう意味からいたしまして、この冷害対策を誤るようなことがあつてはならぬということで、先般来農林省でもいろいろ相談しまして、災害対策本部に持ち込んで、昨日申し上げましたようなことは、これはどうしてもやつてもらわなければならぬ政府全体の総合施策としてやらなければならぬということで努力をいたしておるわけであります。そういう考えでやつております。 また一つ肥料の問題を特にお取上げでございますが、非常に困難だと思いますが、よく私は事務当局とも研究いたしまして、対処いたしたいと考えております。
○安藤(覺)委員 御答弁をいただいたのでありますが、ただいまの、補正はなるべく急いではやらない。特に今年は急いでおるというよりも、遅れておるかもしれないほどだという御答弁でありましてけつこうなことであります。できるだけ確実な、これならばもう動かないというところの、せめてもそうした見通しのもとに立つて、しこうして後に調査されましたるところの数字をもつてお臨みを願いたいと思うのであります。しかもなおかつ相当な開きがあつたとしたならば、今のお言葉のごとく補正せらるるにやぶさかでないということをぜひとも御実現願いたいのであります。現にただいま——あるいはもうお帰りになつたかもしれませんが、先ほど北海道の方々が陳情においでになりまして、長官の七十五万石と引受けたのは、すでにそれが現実昨今になつてはおそらく半減せしめなければならないだろう、また農林委員の御調査においでくださつたときから、さらにまた一段悪くなつておるから、農林委員の再調査をぜひお願いするといつて懇請されておるような始末でありまして、こんなふうにしてずるずる底なしに悪くなつて行くのでありますからして、ただいまの御答弁は、ぜひとも忠実に御履行願いたい、かように思うのであります。 それから飯米農家の問題でございますが、この飯米農家も決して軽視できないのでありまして、自分の食うものだけしかとらぬということでございますが、一歩さらに減つて行きますれば、この飯米農家が消費農家になつてしまうのでありまして、結局国の米を食うということになります。また飯米農家といいましても、私自身の例を一つとつてみますれば、私は水田を持ちませんので、陸稲ばかりつくつておりますが、米においては私は飯米農家であります。三分の一半期私は配給を受ける者でございますが、麦、小麦につきましては七俵、十俵という数字を供出する状況にあります。飯米農家という形においてこういつた姿が非常に数多いのでありますから、この飯米農家の専業農家に比べて寄与する面が少いとはいえ、いろいろな形においてやはり大きく国家に寄与しており、ことに食糧政策には寄与しておるのでありますからして、この点につきましても、格段なるお心配りを願いたいと存ずるのであります。しこうしてただいまの保利農林大臣の立つておられる立場、臨んでおられる立場というものは、一面においては冷害対策、すなわち農家対策として、農業対策としての施策をされねばならない立場にあることはもとよりでありますが、同時にこの凶作によるところの極端な減収、この減収から来るところの食糧不安、これは農林大臣の作為、あるいは政治の悪さというようなことから来るのでなくして、いやおうなしに、天災地変から来るのではありますけれども、大きく全日本の国民の食糧の不安、あるいは安さというものがかかつておるのであり、またそれが大きく治安という問題に深刻につながつておるということに、さらに深き御考慮をお置きくださいまして、ただに農林大臣のみならず、全閣僚をしてこの認識に立たしめられますよう、そうしてその認識のもとにおいて根本的対策が講ぜられますよう、切にお願い申し上げてやまない次第であります。これで私は終ります。
○井出委員長 以上をもちまして、各党の第一陣の質疑は終りました。大臣の御都合もあり、時間がますます切迫しておりますが、あと芳賀君、日野君の質問を許します。時間の点もお含みくだすつて質疑を願いたいと思います。芳賀貢君。
○芳賀委員 私は第一に今年度の米価決定の経緯についてお伺いしたいのであります。米価審議会の答申によりますと、その答申の骨格をなしておる二点は、第一点は、現下の情勢にかんがみて、政府が諮問したところの生産者米価は不適当である、この点であります。第二点は、消費者米価は当分の間すえ置いて、そうして改訂する場合においては審議会を開くべきである。これにまた若干の附帯事項がついておるわけであります。政府は、この審議会の答申に対して米価の決定を行つたわけでありますが、基本米価の骨格は、パリテイ価格と特別加算額、それに今年度の減収加算を足して八千二百円という米価を発表したわけでありますが、政府が最初に考えたところの価格七千七百円に、ただ豊凶係数によつて生じたところの五百円の減収加算をしただけで、これでこの審議会の答申によるところの不適当であるというこの生産者価格を是正されたと考えておられるかどうか、その点をまずお伺いしたいのであります。
○保利国務大臣 まつたく御質問の通りでございます。私は米価審議会の審議過程、御論議の過程を終始拝聴いたしておりました。先ほどもちよつと申し上げましたように、基本米価がこれこれ、それに早期奨励金、超過奨励金、完遂奨励金というような、いろいろ半ば基本米価的な性格を持つものもあり、あるいは純然たる奨励金的な性格を持つもの、しかしそれがいずれにいたしましても農家の方に参るというときは、やはりそれ相当の米価として受取られる、そういうやり方はすでに生産農家が納得しないところじやないか。米価はやはり適正な米価として、ああいつたようなつぎはぎのような形にならない米価を設定すべきであるという御意見が、私は圧倒的であつたと思います。私もそういうふうな感は非常に深くいたしております。そういう意味においてこの七千七百円という基本米価、諮問いたしました価格は不適当である、そういう趣意の私は御答申であつたと思います。しかしながら附帯決議におきまして示されておりまするように、それを是正する措置としてああいう附帯決議がつけられていると思うわけでございます。そういうことを勘案いたしまして、米価審議会の御論議の実際と答申の実態とを勘案いたしまして、ああいう決定をいたしたわけであります。
○芳賀委員 私は基本米価の中に減収加算を入れるということ自体が、この基本価格としては筋が通らないというふうに考えておるわけであります。それからなお申し上げたいことは、今年度の冷害、凶作の地帯はほとんど寒冷単作地帯でありますが、これはやはり歴代政府のとつて来たところの米価の安さというところに、一つの原因があるのであります。もちろん冷害とか諸種の悪い条件を勘案した場合には、適応性のある品種を選んで、早生あるいは中生種を選んで、そこへ適応させれま、こういうような予想されないところの減収は生じなかつたかもしれませんが、問題はそういう確実性のある品種を選んだ場合には、反当の生産が下る、そのことは結局農家経済の上にマイナスになつて響いて来るのであります。それで安い米価と供出が強いということと、もう一つは農家経済を維持しなければならぬというこの三つの困難の中を、やはり冷静な判断で乗り越えて、晩生の多収穫の稲を、しかも規格を越えたような肥料の投入によつて、こういう年に見舞われた場合においては非常に困難と犠牲が累積されるということになるので、昨日大臣は、やはり冷害を受けるような地帯に対しては、適応する品種を選ばなければならぬということを言われたわけでありますが、そういう場合においては、特にその地帯の農家経済が成り立つような、いわゆる生産費を補償することができるような米価というものをまず配慮しておかないと、このことが行われないというように考えるわけであります。昨日たまたまタイ国の国会議員の代表が五名参りまして、タイ国は非常に良質な米を日本に売る用意があるけれども、しかし価格の面においては適正な合理的な値段で買つてもらわなければならぬということを言つております。この適正、合理的な価格というものは、日本の国内の米価から見ると非常に高いのであります。これと同じように日本の米作農民は、やはり政府に対しては適正な合理的な買上げの価格をきめてもらいたいということを、絶えず念願しておるというように考えられるわけでありますが、こういう点については、もう少し大胆率直に施策を進めてもらいたいというように、お願いしておくわけであります。 時間がありませんから次に移りますが、これと関連して、次は消費者米価の問題、あるいは消費者に対して現在だけの米の配給規格を確実に保つてやれるかどうかという点について、どれだけの自信を持つておられるかということをお伺いしたいのであります。昨日、安田部長の、九月十五日現在の中間的な報告によりましても、大体昨年度の実収高から見て八百七万石ぐらいの減収である。しかるにこれはその後に生じたところの十三号台風の被害面積が約三十三万町歩、それから冷害地帯における冷害の進度もまたその速度を加えて行くと思うのであります。こういうことになると、おそらく確実な実収の面においては、昨年度よりも九百万石あるいは一千万石近い減収というような結果になるかもしれぬのであります。こういうような異例な状態のもとにおいて、今後どういうように政府は食糧の需給計画を再編し、具体性を持たせるかということが問題になるわけでありますが、大臣は昨日、あまりに米がとれぬとか、こういう問題をこうしたいというようなことを言うと、外米を輸入するような場合にも非常な悪い影響があるので、これは慎重を期す必要があるということを言われましたが、しかし国民大衆の心配しているのは、やはり災害によつて非常に減収量が大きいという場合には、消費者に対してはたして従来の配給規準で米で配られるかどうかということに重大な心配を持つておるわけであります。そういう場合においては、やはり政府は確実な実収を把握した場合においては、すみやかに需給態勢を立てて、そうして国民の食生活の面に安心を与えるということをぜひやつてもらいたいと思うわけであります。そこで今年の特別の不足分は、外米依存だけではいかぬと思います。最近人造米の問題も非常に出ておりますが、これに対しても政府部内においては、農林当局と厚生省の間において、栄養価の問題で非常に見解の違いがある。はたして政府は米の足らぬかわりに人造米を考えておるのか。しかもこれは米のかわりということでなくて、麦に類するあるいは麦の代用として、こういうような粉食を固形化した人造米の形として提供しようとしておるのか、そういう点が全然わからないのであります。そういう点について、もう少し今後の需給に対する確固たる見通し、特に消費者に対しては今までの規制量を持続できるかどうかという問題と、人造米等に対する見解を明らかにしてもらいたいのであります。
○保利国務大臣 その通りでございまして、私はまつたくごもつともだと思います。今年の作況が昨年に比べまして、大体のお見通しとしてはそのくらいの見通しをつけなければならぬじやないか。そこで私が感じておりますことは、不幸な日本の稲作状況に比べて、その他の米作地帯及び食糧生産地帯が豊況であることは、非常に皮肉だと思つております。そこでこれは、国民の皆様が御承知のようなこういう作況のもと、特に消費者の方から強く要望されておるのは、配給量は絶対的に確保せよ、こういう強い要望が出て来るのは当然だと考えます。しかし、かつての天明飢饉だとかいうような年に比べてすら御論議があるような状態のもとにおいて、満足にいい米を腹一ぱい食う——今までが腹一ぱいではございませんから、これは実際無理な注文で、私は生産者も消費者も、やはりこの事態を大胆に見ていただかなければならぬと存じます。そういう点からいたしまして、しからばその減収した部分だけ全部無理をして外米を買つて行くか、これは国民経済からいいましても、全体として考えてみる必要があるのじやないか。もともと私が合成米のことを取上げたいと考えましたのは、実際昨年は豊作の関係もあつたと存じますが、末端配給所の実態を見ましても、ずいぶん大きな国民経済の犠牲を払つて持つて参ります外米が、末端の消費者で喜んでおられるかというと、必ずしもそうでない。しかも内地米がこれこれ、外地米がこれこれで需給計画は安泰でござる、こう申しておることが一体これはどうであろうか。極端に申せば、事例はいろいろあると思いますが、配給所あたりで配給をしたような形で、実はとんでもないところに外米が流れているというようなことは、これはどこにもあつたことじやないかという点からいたしまして、とにかく自立経済を達成して行きます上からいたしましても、まずい、高いという外地米にどうでも執着をもつて行くということは、これは一つ大いに反省をしなければならない。そういう上から行きまして合成米等の研究が進みまして、相当程度にこれがいただけるというならば、むろんこれは消費者の嗜好にもよりますから、これを押しつけるというわけには行きませんけれども、食糧事情に対する消費者の深い御認識から、これならば外米を入れるよりはいいというような方には、やつぱりそれを用いていただくというような方途をとることが、全体の施策として私は正しい方向ではないか、従つて本来申しますれば、先ほど来申し上げまするように、麦に対する食糧価値を、生産者も消費者側も双方これはひとつ見直してもらわなければ、日本の食糧問題というものは解決しない。元来申せば、原形のまま麦を消費していただくことが本筋であります。さらにまた畜産振興と相まつて、粉食の奨励によつて、麦の消費を増大しつ、食糧問題を解決して行くことが、私は本筋だと思う。どうしてもその方向に持つて行かなければならぬということは強く感じておるわけです。しかしまた一面、強い米食に対する現実の国民の嗜好性というものを無視することは、これはどうか。そこでたまたま合成米というものの研究が進んでおる。それもひとつそれじや食膳に供し得る機会を与えたらどうだろうかという意味において、むしろ私は、合成米を取上げたいと感じましたときは、今後内地農村において増産余力を持ちますところの小麦、澱粉等の消費を旺盛ならしめて、そうして外米の輸入を幾らかでも減じて行くという方向にこれが御協力をいただくならば、たいへん仕合せであるという意味において取上げました。たまたま本年の凶作にあいまして、いかにも凶作対策で合成米を取上げたかのごとき印象を与えているということは、本来言いますれば、私の趣意ではなかつたわけでございます。これもしかし、長々申し上げますけれども、いかなることがございましても、とにかく国民の生存を保持する、食糧に不安あらしめてはならない、これは申し上げるまでもないわけであります。しからば来米穀年度の需給計画はいかようなものを立てて行くか。私は、ただいま大幅の減収というものはもはや避けられぬ状態ではございますけれども、その避けられない状態から、生産者側あるいは県側におきましても、国民食糧に対する深い御認識から、強力に供出に御協力いただこうというこの状態におきまして、もう少し県側との供出御相談をいたしまして、そうして大体内地米の確保はこの程度であるという見通しをつけまして、明確な需給計画を打立てまして、そうして食糧不安なからしめるところの措置を講じて参りたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○芳賀委員 今年度の供出に対してちよつと触れたいと思いますが、最近東北あるいは北海道という方の供出の折衝が、大分困難しながらも進んでおるようでありますが、今年私どもがながめて、今までと違うというような感じを受ける点は、割当を受ける数字の中で、一つは義務供出の数量がどれだけ、もう一つは確保数量が幾らという、二つの並行した線が出ておるわけです。これはさつきも大臣がちよつと言われましたが、今年の米価の中に減収加算が加わつておる。しかもこれは凶作地帯があることによつてこういう加算が出たわけです。しかしそういうことになると、たとえば米価審議会の当時には九一という指数が基礎になつたと思いますが、それ以下のあるいは八〇、七〇というようなひどい減収地帯に対しては、これがあまり恩恵を及ぼしておらぬ。結局収穫が少いから供出量も少くなる。極端な場合には、全然飯米もとれぬから供出もできない。そういうことになると、平常に近いような収穫を得た地帯の農家が、この凶作によつて潤うことになる。ほんとうに凶作の打撃を受けた農家が、この米価によつてはそれほど恩恵を受けないというような場合があるわけです。もちろんこれは単一米価で行くのだから、地域的な配慮はできないかもしれませんが、こういう点をかみ合せて、何か政府は確保数量と義務供出数量との間において、そういうような幾分の配慮をしておるのではないかというふうにも見受けられるわけでございます。もちろん義務供出がある程度少くて超過が多いということになれば、農家の実質的な所得はふえるわけでありますが、しかし何かここに割切れないものがあるわけです。当然供出の責任額というものは、義務供出可能なる適正な供出によつて行われるのであつて、爾余の分は農家の自発的な意思とか、節米あるいは飢餓供出と称して、くず米や二番米を食つて、そうして良質の米を売つたり、あるいは一年中の保有を持てなかつたようなかつての時代の飢餓供出が再現するような場合には、超過が相当出まわるかもしれませんけれども、こういうような何かすつきりしないような印象を与える割当の方法というものは、どちらの方に期待的な数字を置いておるか。確保量に期待を置いて、そうして逆算して義務供出量を出しておるのか、あくまでも基本的に義務供出量を土台にしてやつておるのか、そういう点が自分たちには明確になつて来ないのであります。 それからもう一つは、供出をやる場合において、生産県と消費県に対する考慮の差があるのかないのかという点であります。消費県の消費者に対しては十五日分の米の配給しかないのであります。生産県においては二十日の配給がある。生産県におるのと消費県におる消費者においては、すでに五日の米の配給量が違うのでありますが、消費県の場合においては、こういうような凶作のときには、多量によその県から米をもらわなければならぬという立場にあるわけであります。それで府県の知事などそういう責任の立場に立つて、何か米の足らぬのを確保するのは知事の責任ででもあるような、そういう錯覚に陥つて、そうして無理な供出を引受ける、押しつけられる、政府当局もまたその弱み——といつては変でありますけれども、お前の所は消費県だからして、これくらいはどうしても出すべきであるというようなことで供出の決定が行われるとすると、これは非常に筋の通らないやり方ではないかというようにも考えるのであります。当然これは足らない所に米をやるのは、政府の普遍的な責任において行わるべきであつて、消費県の知事が責任において、しかも農民にそれを転嫁するような方法は、まさかとられておらないと思いますけれども、こういう点については慎重なる御配慮を願いたいと思います。 それから減収加算を割当数量の中において配慮する場合においては、これはもう少しみんなが納得できるような方法の中において、勘案してもらいたいということを申し上げたいのですが、これに対する御見解はどうですか。
○前谷説明員 お答え申し上げます。供出割当に関しましては、御承知のように生産量保有量等につきまして検討いたして、供出割当をいたすわけでございます。その間におきましていろいろ見解の違いもございまして議論をすることは、これは当然でございます。その結果といたしまして県側と意見が一致いたしまして、義務供出がきまつて参るわけでございます。こういう食糧事情でありますので、農家の節米等によりましてさらにふんばつていただいて、どの程度にそれを出していただけるかというような点につきまして、いろいろ各県と御相談をいたしておるわけでございまして、ただいまのような御懸念の点は、十分割当についてもわれわれ慎重に注意しておるわけでございますが、さらに今後の割当につきましても、御注意の点は十分注意して参りたいと思います。 なお消費県と生産県との間において手心があるのじやないか、われわれといたしましては、お話のように、全国的に消費者に対しましてはやはり配給の責任がある、同時に、また各府県におきましても、さらにこの問題はより関心事でございます。そういうことからいたしまして御協力を願つておるわけでありまして、特にそういう点について、消費県だからいじめるというふうなことはないわけでございます。そういう印象を与えないように、十分注意いたしておるつもりでございます。また今後ともに注意はいたしたいと思つております。
○芳賀委員 ただいまの長官の誠意を私は了承して、今後期待したいと思つております。 もう一点お伺いしたい点は、これは凶作対策に触れるわけでありますが、農林省の発表した要綱は、これはすでに閣議を経て発表されておるものと思いますが、そういう場合においても、この要綱を実施する場合においては、当然立法的な措置にまたなければ実施できない面と、それから現在政府の責任において処置できる問題と二つあると思いますが、たとえば低利営農融資の確保等の問題については、損失補償とか利子補給をやるというような点については、前例といたしましては春の凍霜害のときの特別措置法の融資、あるいは六月、七月の水害の特別措置法の融資、こういうような前例があるわけでありますが、今度の場合においては冷害凶作はもちろん、台風第十三号の被害の内容等も農作被害が中心であると思いますが、そういう場合においては、農林当局が中心になつて当委員会等に特別措置法等を用意されて、そうして徹底した策を進められるというお考えであるかどうか、そういう点も聞いておきたいのであります。 それからもう一つ、今度の冷害地帯は単作地帯でありますから、そういう関係で農業手形の使い方が非常に多いわけでございます。たとえば北海道だけでも八十億円、これは全国の三分の一ぐらいでありまして、東北等を入れるとおそらく全体の三分の二ぐらいが冷害地帯における農手の数量になるわけであります。こういう場合においては、当然一年きりで返さなければならぬ農手の返済期限というものも、十月、十一月に迫つておるわけであります。こういう場合において被害農家が一番心配しておる点は、肥料代を中心として借りておる、多額の農業手形をどういうふうにして処置したらいいかということだろうと思うのであります。それで御説明の中にも、こういう点は官房長から触れられておりますが、農業手形について被害農家が返済不能の場合においては、別途借りかえ資金とが何かによつてこれは心配のないようにするというような明確なる表明を、なるたけ早くしていただいて、そうして安心を与えられる必要があると思いますが、またこれを扱つているところの協同組合等においても、当然預金の払いもどし等は急激にふえると思いますが、そういう場合における弱小協同組合の健全化というものは、この際一番大事なことであるというようにも考えられるので、この被害農家に対する農手の処理の問題、それから協同組合に対する経営上の資金の確保の問題については、この点はあまり慎重を期して発表を延ばすよりも、拙速でもかまわぬから、はつきりした御表示を願いたいと思うのであります。 もう一つは、単作地帯では裏作で補いをつけるということができません。そうすると、来年秋まで何とか皆がしんぼうしなければならない。その場合に借金だけに依存するというような消極的な行き方でなく、何かたとえば土地改良であるとか、いろいろな今後の農業の生産性をあわせて高めることの可能のような事業を起して、これによつて農業外の収入を確保させるということも、これは資金の関係と農業外収入の確保、これらをあわせて行われるべきであると思いますが、こういう点に対しての御所信を承つておきたい。 もう一点ありますが、それは先ほどの人造米に関連して、農林省の今お考えになつておるのは、配合の率を小麦五割、澱粉四割、砕け米一割というように聞いておりますが、そういう場合においてばれいしよ澱粉が材料になるわけである。そういう場合において、現在ばれいしよ澱粉はすでに製造の時期に入つております。これは前の委員会で食糧庁長官にも質疑を行つたわけでありますが、なるたけ早くばれいしよ澱粉の買上げの価格等を発表してもらいたい。これも聞くところによると、今の市場からにらみ合せて、去年程度にも買えるかどうかわからぬというような実に情ない、自信のないようなお考えで迷つておられるというようにも聞いておるのでありますが、こういう点については、やはり価格安定法というような法律もあるので、この法律の精神というものは、その市場を維持するという安定法ではなくて、やはり生産者の立場を守るということが前提になつた安定法であるので、こういう点に対しては、今後農業団体等の意見等も十分徴して、時期を失わないようにやつてもらいたいのであります。人造米の採算がとれぬからばれいしよ澱粉の買上げ価格を下げるというような、そういう消極的な、農民の立場を忘れたような考え方でことしの買上げ価格を発表されるようなことであつては、これは大なる不信を招く原因であると思うので、そういう消費者に対する人造米の価格等に対しては、外米に対しては多額の輸入補給金を出しておるのだから、国内に対してそういうような補給の道等を通して、生産者から当然生産費を償うことのできるような、しかも凶作地帯のばれいしよ澱粉を相当程度に買い上げるというような決意の上に立つて、あわせて施策を進めていただきたい。この点に対して御所見をお伺いしたいと思います。
○渡部説明員 まず冷害対策の関係から申し上げますが、この対策は農林省で決定したのでありまして、まだ閣議にはかけておりません。これは目下冷害対策本部及び大蔵省、その他の関係省と予算措置その他についてこまかく打合せて後に、閣議決定まで持つて行きたいと思います。しかし大体の骨子につきましては、対策本部並びに大蔵省等についても、こまかい点を除いて大筋は了承を得ておりますので、この点はできるだけ早く関係方面に周知方をとりはからいたいと思つております。なお立法措置を要するのは二と四であります。これは凍霜害の場合は、政府提案で営農資金の法律を出しましたが、二号台風、それから西日本水害等では議員提案になつております。いずれにしましても国会の御意見を十分伺いまして、案を立てるようにいたしたいと思います。 それから農手の借りかえの問題でありますが、これは昨日大臣からお話がありましたが、営農資金の融通で大体借りかえができることになると思つております。但し、今度の場合は農手の償還期間が期近になつておりますので、県によつて措置の仕方がまずくなる心配もありますので、法律ができる前に、この二号による営農資金の流し方について、系統機関その他の農手の金融機関に対して金も流しまして、あらかじめ営農資金を流すような措置を講ずる必要があると思いますので、この点は遺憾のないように措置いたしたいと思います。 それから超過払い資金の問題でありますが、これは当然そういうのを予想して、幸いに中金の金は相当たくさんあるときでありますから、全然御心配をかけないようにいたしたいと思います。但し、この問題は、きのうも指導連の会議で、指導連の関係者の方には申し上げておきましたが、要するに單位組合の活動を敏速にやつていただかないと、農家に迷惑をかけることになるので、單位組合の活動については、今後もなお督励をして行きたいと思います。 それから冷害地の特性として、これから来年の植付期間まで、お話のよう一に農業作業がなくなるのでありますが、公共事業、土地改良事業その他の点、あるいは国有林野事業等の点につきましては、地元の賃金収入をできるだけ多くするように、事業の繰上げあるいは追加実施ということについて、具体的に今検討を進めております。
○前谷説明員 お答え申し上げます。澱粉の価格の問題につきましては、芳賀さんの御承知のように安定法の関係でございまして、パリテイ価格に需給条件その他の事情を考慮してきめるということになつておりますので、もちろんこの条項に従いまして今月中に定めて参りたい、かように考えておるわけであります。お話のございましたように、この規定によりまして生産者団体の意見も十分聞くということになつておりますから、実施調整団体であります生産者団体の意見を十分聞きまして、できるだけすみやかに決定いたしたいと思います。
○井出委員長 吉川君から関連質問の申出があります。一問に限りこれを許します。吉川君。
○吉川(久)委員 私この際農林大臣にお願いを申し上げておきます。ただいまの官房長のお答えの中に、これは農林省の要綱であつて、まだ閣議決定を経ていないということであります。どうも折々何か大蔵省の農政局じやないかといわれるような向きもございますが、この冷害対策の問題については、超党派でやるということを大体話し合つております。この次は十月の十四、十五日の二日間に本委員会を開会することになつておりますので、その前に閣議を経ていただくように大臣にお願いをいたしておきます。そのときにこの農林省案が大分ゆがめられるようでございましたら、この委員会には少し考えがございますから、その点をひとつ大臣お答えを願いたい。
○保利国務大臣 これは昨日でしたかけさほどでしたか申し上げましたように、農林省当局としては、今回の冷害に対する方策として、まだあるかもしれませんけれども、とにかくこれだけは今度やらなければならぬと相談をしてきめました。折からちようど、これは一農林省だけで及ぶところではないわけでございますが、同時にまた西日本の水害が起きましたときには、内閣全体としての責任において水害対策本部をつくつたわけであります。それと対応する意味におきまして災害対策本部をつくりました。その議を絡まして閣議の決定に持つて行く。官房長も申し上げましたように、災害対策本部もただいまこれを取上げて、大体はこの線で実施し得るという自信を持つております。あとは要するに肉づけをどうやつて行くかというところだけであります。次回の委員会までにどこまで発展し得ますか、この問題は現実の実態とも即応して参るわけでありますから、発表いたしてある対策要綱はそういう性質のものであることだけ御説明申し上げます。
○井出委員長 松岡委員から関連質問を一問に限つて求められております。これを許します。松岡俊三君。
○松岡委員 私は、この際冷害地帯の民心に対し安心を与えるに非常に効果のあることは、つなぎ資金についてただいま同僚諸君のお尋ねがございましたが、この額としては、どのくらいをとりあえず放出する考えであるか、これを御発表願えれば安心度が非常に強いと思います。これを私はお願いしたいと思います。
○保利国務大臣 これは御承知のように、何と申しましても実際の被害地帯の町村、町村を積み上げて県として、自分の県の被害農家に対してはこのくらいのものがいるんだということが積み上げられて来て、私どもとして申し上げ得るわけでございます。大づかみにこれを言いますれば、とにかく相当の巨額です。
○松岡委員 そうじやなく、決して追究しませんから、とりあえずこのくらいを見ておるという大よそのところを御発表願うことが、民心に非常ないい影響があろうと思いますので、それを……。
○保利国務大臣 これは実際積み上つて来て、そうして道庁や県から参りましたものが集計されて来るわけであります。しかし、どつちに行きますか、従来の春以来の状態から、各種の災害のあとから振返りまして、百億内外は見込まなければならないと思つております。
○松岡委員 つなぎ資金として百億円を政府が出そうという決意のあることをはつきり今承りました。農民諸君はさぞ安心することであろうと私は喜んでおります。
○保利国務大臣 ただいま申し上げましたのは、いわゆる営農資金のことでございまして、つなぎ資金にもいろいろございますから、そこはむろん御承知のことと思います。
○松岡委員 よくわかりました。
○井出委員長 日野君。
○日野委員 大部時間の制約を受けていますから、簡単に質問しますが、昨日来ここで聞いています作報の報告、それから陳情、各党代表の現地調査の結果等がまつたく食い違つておる。しかもその幅が相当のものと見られる。こういうことでございまして、このことは改めて調査をやり直して数を出すかもしれませんが、完全な一致ということは、非常な困難な問題になつて来るのではないかと思われるのでありますが、農林大臣は、国会が済むとすぐ九州へ水害地の見舞いに行かれて、本年は平年作五千五百万石は大丈夫だ、こういうようなことを言われた。非常にまじめな勉強家であつて、ほかの大臣のようにあまりはつたりをやらない農林大臣ということに、世間が受取つているものでありますから、結局作報の部下諸君が、農林大臣の発表を裏付けるための一つの努力をしたのではないかというふうにも考えられておるので、この問題についての一致点を見ることが、作況の実態をつかむということは非常に困難であるけれども、今とりあえず供出の割当、さらに次に来る補正の供出意欲に関する問題から、食糧需給計画を立てる場合の基本の問題としてこれをつかんでおかないと、農政全体が暗礁に乗り上げるという心配を持つのでありますが、きのうどなたからの質問でしたか、農林大臣は自由党の方から何の相談も受けていない、こういうことを言つておられたが、その後相談なされたか、きのうの新聞では人造米の問題ではただちに調査をされて、きようは適切な発表をやられておる。ああいう迅速な手段をとつて、あらゆる方法で完全一致は見られなくても、了解の行く一つの線を出さなければ、今後の問題に難航を続ける。完全な計画を立てて示さなければ、きのう食糧問題は大丈夫だと胸をたたかれたようなお話があつたけれども、これはその言明だけでは承知できない。やはり需給計画という一つの計数を裏づけなければならないのであるから、こういう場合のために備えても、作況の実態をつかむということは、これは絶体に必要であると思うが、いろいろの問題はあるけれども、農林大臣は、作況をつかむためにどういう努力をしておられるか、豊凶係数という問題も出ておりますので、今後どういう方針でそれらについてのいかなる調査を試みられ、供出あるいは補正、今後の計画に備えられるか、そういうものかありましたら、一応伺つてみたいと思うわけであります。
○保利国務大臣 作況を正確に把握することは、これはきわめて大事な、すべての施策の根底になるものでございますから、これはもうあるがままの姿において、できるだけ正確に把握するということでなければならないと思います。それで趣意からいたしまして、全国的に同様の方法をもつて調査をして、国の責任において一応——これもとても十分とは申し得ませんけれども、今日の状態と機構のもとにおきましては、農林省の統計事務所の調査を私ども政府としては信頼をいたして参りたいと思うわけなんであります。しかし、それではそれが完全なものであるかと申しますと、これはもう私が喋弁申し上げるまでもなく、正確だとは存じません。より比較的正確なものをつかみ得ているではないか、つかみ得る形になつておるわけでございます。しかし誤解はむろんないと思いますけれども、供出の相談をいたしますのに、積極的にも消極的にも、その統計、集計のやり方に政治的考慮を加えるというようなことは、私は断じていたしません。われわれ今日まで、これは統計部長もおりますけれども、まあ供出の相談に都合のいい数字をつくり上げるというような相談を持ちかけることも、むろんいたすべきことではなく、またさようなことは断じていたしません。従いましてあるがままの姿をできるだけ正確につかむ。しかも全国同様の調査方法によつてつかむ。それによつてでき上つたものに対して、それがどういう結果になりましようとも、これはその結果に基いて対策を講じて行くべきものであるという考えで、この統計を私どもは見ておるわけであります。しかし、それは作物でございますから、作況も移つて参りますし、こういうような変化の多いときには、どうも何か前にやつたのは、つくりごとではなかつたかというような誤解を受ける場合もあろうかと存じますが、やつておりますことはそういうことをやつておりまして、今後もそういうようにやつて参るつもりであります。
○日野委員 昨日来しばしば問題になつております気象観測の科学的の根拠と、なお全国的な組織を持つておられる農業委員会と、いろいろ各府県と、この報告の中には作付面積の相違等も相当あるので、こうしたものの一致をはかつて行くところの一つの措置は、やはり講ずべきものと私は考えておるのであつて、数字に対して政治的考慮を払えという意味のことは申しておりません。結局了解点に達せざる一つの施策というものは、決して完全な農政の遂行を意味するものでない、私はそういう観点から、この点を一応できるだけ近い、納得の行く線の発見に努力すべきであるということを申し上げているのでありま場す。そういたしますと、きのう来十三項目——あとで農薬を加えていますから……。これは各同僚から質問は尽されております。ただこれは時期を失しますと、せつかくの名案も役に立たなくなりまするので、これに対して時宜に即した処置をとるために対策本部をつくられておるという話でありますが、一応対策本部の構成を伺つておきたい。せつかくの案も第一、第二とも適当な時期にやられないと、共済法を改正する、概算払いをやるといつたつて、いつやるのか。今松岡さんから強い要求がありましたつなぎ資金の問題でも、いつこれを出すのか、適時にやられなければ効果がないのでありまして、迅速にやるために対応する一つの対策本部が必要だろうと思うので、一応対策本部の構成を伺いたいということと、たくさんありますが、私どもから考えますと、日本の農民の災害をなくするために、これらを一本の基本法にまとめて運営することが、最も知能的な運用の仕方じやないか。たとえば過般の北九州の水害の対策委員会は、二十四の臨時立法をつくつておる。これはまさに混乱して運営に困りやしないか、こういうものを農業災害という基本法にまとめますならば、一本で運営できる。これには基金特別会計の制度と災害審査委員会、そうした機関をもつて運営いたすならば十分できると思うので、基本法の構想は時間があればゆつくり検討したいのでありますけれども、時間が許しませんのであとに譲りますが、とりあえず営農資金の融資に対する臨時立法の処置はとられなければならぬと思うが、農林省の管轄内だけでも条件、内容の違つた融資の臨時立法が五つある。こういうものを一本に統合して、これでもつて来年度の営農にさしつかえのないように、早急に営農資金を貸し与えるという方法を考える必要がないかどうか、そういう意思を農林大臣持つていられるかどうかということをひとつ伺いたい。 それからみんな触れない点といたしまして、こういう災害のしわ寄せが、たとえば現金難に陥つた貧農、あるいは食糧難に陥つた貧農等が協同組合にすがつて、一切の災害のしわ寄せが協同組合にされるという危険が現実に起つておるが、これらに対する施策が何かあればちよつと伺いたい、こう思うわけであります。
○保利国務大臣 先般の特別国会で主として西日本の水害の対策として講ぜられました、もろもろの臨時立法、これはもちろん数十数来といういろいろの水害に対応するために手配せられたものでありますが、その後数十年来ぶりの災害というものが相次いで出て来たのであります。当時としては、今回の冷害とても深刻に広汎に襲来するとは考え及ばなかつたのであります。端的に申しますれば、二十四の臨時立法の実施についてすら困難を感じているのが現状でございます。これはいろいろ具体的な災害処置に対しての御構想をお持ちのようでございますし、とくとまた他日伺います。いずれにいたしましても、ほとんど毎年災害を受けないことはない地勢に置かれているわけでありますから、従つて災害のこれらの一連の処置を合せた恒久基本法が必要であるということは、私も全然同感であります。そういう意味からこれは今後国会側ともよく御相談をして研究して行きたいというふうに考えております。その他につきましては、官房長から説明いたさせます。
○渡部説明員 融資の問題でありますが、これは第二項の関係で、営農資金の方は立法措置がいるのであります。立法措置ができるまでは、具体的に県が中金、信連あるいは県金庫等になつている銀行等と話まして、今までの場合も同じでありますが、法律が出れば当然その分は法律の適用を受けるということになつておりますので、先に具体的に話合いをつけてやつて来ております。また県から来た場合にはぐずぐずするな、早くやれ、こういうことでやつております。それをあとで法律的に何というか、合法的なものにして行く、こういうのであります。これは私の方では県知事、あるいは関係団体がそういつた措置を打つぐあいによつて、災害度を判定するバロメーターにもしておるのでありますが、もうどんどん気のきいた県ではやつております。ただ冷害の場合には、多少風水害の場合と違いまして、県の方でもやはり収穫に対する希望をお出しになつて、はつきりしているところばかりではないものですから、手の打ちようが遅れておるようであります。たとえば十、号台風のでは、もうすでに中金に対して資金を県から申し込んでいるのがありますが、冷害の場合はまだそういうところまで行つていないのが実情でございます。しかしこれは先ほど申し上げましたように、もう大体はつきりしておるのであるから、県の方に通知を出しまして、遺憾のないようにいたしたいと思います。
○井出委員長 日野君、まだありますか。
○日野委員 時間がありませんから、その点簡単に省略しておきます。 さつき自治庁の諸君とも話したのだが、この場合もし平衡交付金か、何かでこれを見てやるというようなことがあれば、府県は政府に対して融資やいろいろの要求をしているのでありますから、法律が出る見込みさえあればただちに貸出しをやるので、融資が非常に順調に行く方法等もありますが、これはあとに譲ります。問題は、結局において大蔵省と農林省との予算の折衝にかかると思うのでありますが、けさの新聞等を見ましても、大蔵省は一兆に局限しようというようなことで、何もかも圧縮しようと考えているようでありまして、もし凶作対策を本気になつてやろうとするならば、これは重大なる決意をもつて農林大臣は大蔵省と折衝に当らなければならぬと思うのでありますが、きようの答弁を通して、非常に熱心な、強い熱意をもつて当ろうとする意図が見えますので、私はなお一層日本の農民の生活を守り、安心して食糧生産に携われるため十分なる対策を立ててやりたい。そのためには農林大臣の重大なる決意と、とりあえず大蔵省に対して予算の折衝に遺憾なぎを期されんことを希望いたしまして、私の質問を終りたいと思います。 —————————————
○井出委員長 この際お諮りいたします。先ほどの理事会におきまして、今回の激甚な冷害及び先月末の台風に上る農業災害に関しまして、委員を派遣して実情を調査し、その対策について万全を期するとともに、農業災害補償制度の再検討にも資したいとの意見が出ました。御承知の通し、閉会中における委員派遣に関しましては、議院運営委員会の決定事項との関係もありますが、緊急かつ重大な問題でありますので、一応委員長において議長と協議をいたしまして、その上で委員長において承認申請書を提出いたしたいと思いますが、この点委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井出委員長 御異議なしと認めます。 なお、派遣委員の選定、派遣地名、日時等につきましても、あらかじめ委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井出委員長 御異議なしと認め、さようとりはからうことにいたします。 —————————————
○井出委員長 さらに一言付言いたしますと、昨日の理事会において、今般の冷害凶作対策については、本委員会が中心となつてこれが樹立をなすべきであるという意見の一致が見られました。先ほど来農林大臣も不退転の決意を示されておりますので、本委員会といたしましては、十分バツク・アップをいたしまして、所期の目的を完徹いたしたいと考えます。従いまして、ただいま申し上げました現地調査も、その準備の意味に御理解を願いまして、派遣委員の帰京を待ちまして、本月十四、十五両日委員会を開く予定でおります。
○金子委員 ただいま委員長からお話のありました点、ことに最後の、今度の冷害あるいは病虫害によるところの凶作状態に対する対策として、本委員会が中心になつて取上げて行こうというような理事会の決定であり、また委員長のお話の通りだと思います。そこで、私この際二、三申し上げたいのは、この中旬に行われます委員会においては、きようの各位の熱心な質問や、あるいは当局の熱意のある御答弁は一応了承したのでありますが、悲しいかな基礎的な数字を持つておりませんので、観念的な一つの考え方だけで終つておるのでありますが、これは十四日、十五日の委員会で具体案を予算化する方向まで持つて行くということに対しては、一面から行けば、時間的に無理だという点もありますけれども、しかし災害地の立場を考えれば、それでも遅きに失するということになりますので、この際当局に少々御無理願つて、十四日、十五日の委員会までに、資料をできるだけ多く出していただきたい。ことに私今ここで思いついた四、五の問題だけを申し上げておきます。 まず第一に、農林統計の問題でありますが、九月三十日現在における収穫予想を、各県を激励しまして、この次の委員会までには一応の資料を出していただきたいということであります。これは非常に無理だというふうな事態も私もわかるのでありますが、しかしこれは統計調査の従来からの考え方、また今後の考え方として一つ御注意申し上げておくことは、なるほど統計調査というものは確実でなければならないと同時に、速度が遅ければ何にもならないのでありまして、たとえば米価審議会が始まるにしても、ことしのこういつた予想はできない。今度こういうふうな凶作になりましても、現実の問題はわかるけれども、それに対する的確な予想というものはわからない。予想であるから、的確であるべきはずはないけれども、将来の問題には常に一つの仮定を置いて、現実はこうあるべきだということを、この統計調査の方針としてとつておりますならば、そういうことを何年か続けて行きますと、その仮定のとり方はこういうとり方が一番得だということが当然出て参るわけであります。そうなりますと、政治の実際と統計というものがいつも生かして使える。そうでありませんと、時期はずれになつてから数字が出たんでは、それは政治的に役に立たぬということになりますし、ことにこういうふうな場合には必要なことでありますので、この点を研究された上、さいぜんの九月三十日の数字を——それは責任をどうという意味でなしに、一つの計画を立てる基礎でありますので、ぜひともこれを出していただきたい。 それから第二番目には、営農資金の融資という問題と、非常に重要な問題は共済金の支払いであります。おそらく農業共済はことしはもう基金はありません。従つて破産状態に入ると思います。破産状態に入りましても、これは法令に定まつておりますので、一応これは払わなければならぬし、また払うべきであります。そうしますと、ことしの収穫予想というものもあくまで予想という意味であるから、そこで今年度のこの凶作状態において、概算でもよろしいから、各県ごとに、共済金はどれだけ支払われる予想だという数字を、一応まとめてほしいのであります。これがまとまりませんと、一体営農資金をどれだけ出したらいいかということと関連して、非常に重要な問題があると思います。 それから営農資金の問題に対しまして、今大臣は、さしあたりどうなるかわからないけれども、大体百億くらいはどうしても必要じやないかという御覚悟でありますが、これにつきまして、相当期間もありますので、概算でもよろしいから、その点だけは各県に至急指令されまして、どのくらい要求するのだ——それは要求額をみなやれるかどうかは別として、一応政治的な参考資料として、各県の意向を問うてもらいたい。これを第三にお願いします。 それからその次に、本年度の食糧の需給推算を一応発表してもらいたい。これは推算計画でいいです。たとえばこのくらい足りなくなりはせぬかということが、この十五日ころまでに大体わかりませんか。供出の割当が概算終らなければやむを得ぬが、しかしこれは重要な問題でありますから……。
○保利国務大臣 これは一旦こちらで終りましたら、国会へ御相談します。
○金子委員 どういうような形かで、大体私たちが常識的につかめる範囲の作業を進めてもらいたい、こういうことであります。 それからこれは恒久策の一端なんでありますが、私ども不幸にして数字の問題について自信がありませんから、先ほど農林大臣の御意図にもあつたようでありますし、私どももそれを非常に重要視している問題は、来年度の食糧として、米がとれる前に、七月にまず米代用品をつくる、すなわち麦をつくるということになる。そうすると、食糧事情を緩和するという意味におきまして、半年前に裸、大麦をどれだけ増産できる余地があるか。これはもちろん小麦から裸、大麦に転作するということを考えてよろしいのであります。それは大麦をつくる方が得だというそろばんが出れば、農民は大麦並びに裸麦を大いにつくります。そこで政府が今までの情勢から、大麦、裸、いわゆる飯用麦に対して、財政的にあるいは生産増強の上に施策をかりにとつたとしたときに、どのくらいまで一体大麦、裸というものができるかという一つの計画を、政府の考え方でよろしいですが、立てて、それを参考資料に出してもらいたい。 その次に、最後に重要な問題ですが、資金融資の問題でありますが、これは要求することは簡単でありますけれども、一体どのくらい融通できる金があるか、いわゆる今の農林中金のふところ状態はどうなつておるか、預金部のふところ状態はどうなつておるか、この資金わくの資料、当時における現況、それを一覧表にしてこの次の委員会に出していただきたい。 大体これのほかにもあると思いますが、今さしあたり私思いついているのがこんな程度でありますので、このほかに関係する資料をひとつできるだけ準備していただきたいということを、この際お願いいたします。 それから最後に、大臣が非常に苦境に立たれて、大蔵省との予算折衝で、たとえば今委員の諸君のお話にもあつたように、重大問題になると思いますが、困ることに災害予算をたくさん要求しますと、大蔵省は経常予算を削つて来るのです。それで災害予算をとつたおかげで経常予算が減ると、来年度の仕事にも影響して来るということもございますので、これはその点につきましては万遺憾ないと思いますが、われわれは、過去の経験によつて非常にこれは悩みでありますから、特にこれは大臣の腕前によりをかけてお願いして、それで私の結論にしたいと思います。 —————————————
○井出委員長 次に吉川久衛君より長野県における硫黄採掘に伴う鉱毒による農林被害と補償の問題につきまして、質疑をいたしたいとの申出がありますので、これを許します。吉川久衛君。
○吉川(久)委員 私は去る十六特別国会におきまして、菅平の鉱毒問題について、農林委員会におきましてお尋ねをしたのでございますが、爾来農林省と厚生省の御協力をいただきました。また通産省のきわめて理解ある賢明なる御措置によりまして、これは地元の人々の希望通り不許可と相なつたことは、まことに私は喜ばしいことでございまして、政治というものはかくあるべきものであるということを痛感をいたしまして、この席で私は、関係された各位に感謝の意を表するものであります。 さてまたこのたび八ヶ岳の硫黄採掘問題に関連をいたしまして、若干の質疑を試みたいと思います。鉱山保安局長にお伺いいたしますが、八ヶ岳の硫黄鉱業株式会社というものがありまして、長野県の南佐久郡南牧村の地積に鉱業権を持つているという事実をお認めでございますか。それからその鉱区の含有量がどのくらいのものであるか。それから八ヶ岳から流れておりますところの湯川という川がございますが、そこの鉱床の露出面あるいは崩壊面よりの流出水、雨水によつて鉱毒水が流れ出ております。この湯川の流域には魚族や昆虫類の棲息を見ない現状でございまして、その千曲川に合流するまでの途中における流水のP・Hが四・五であると言われておりますが、しかもその流域に約三十町歩の水田がございまして、その鉱毒水のために往時から農民は灌漑水に困りまして、別の谷川から水を使用しているというような事実があるのでございますが、それをお認めでございますか。その点をまずお伺いをいたします。
○吉岡説明員 通産省の鉱山保安局長の吉岡でございます。鉱山の災害の防止と鉱害の予防の関係を担当しております。ただいまお尋ねの点でございますが、八ヶ岳硫黄は昭和二十六年に鉱業権を得まして、開発の計画を進めております。現在はその準備としてまだ探鉱をやつている程度でございます。硫黄の品位といたしましては二三%、まあ普通と申しますか、特に非常にいいという程度ではございません。それから現在の計画といたしましては、大体月産約百トンの製品を出すという計画でございまして、これは日本火薬が火薬製造のための自家用の原料としまして開発をはかつておるのであります。この会社も日本火薬の系統ということになつております。開発の規模といたしましては、比較的小規模のものというふうにお考えになつてよかろうと思います。 それから鉱害の問題でございますが、そういうわけで現在のところ、まだこの鉱山自体として稼行をやつておりませんので、この開発自体に伴う鉱害は現在のところ発生いたしておりません。ただ御承知のように、硫黄の鉱床は大体その地帯一帯が硫黄分を含んで一般に酸性になつておりますので、ただいまお話のように、湯川の酸度は、御承知のように七が中性でありますが、それに対して四・主ないし四・六、上流の所ではその程度でございます。それから湯川と千曲川の合流点におきましては、大体五ないし五・一という状況でございます。ただ水量が、千曲川は合流点におきまして湯川に対して約十倍の水量を持つております。さらに下流の方に参りますと、たくさんの支流が流れ込みますので、下流の方では数十倍ということになりますので、千曲川に入りました以降におきましては、大体中性になつておる。千曲川の合流点以下におきましては、六・八から七・一で大体中性になつておる、こういう現状でございます。
○井出委員長 吉川君、ちよつと申し上げますが、ただいま吉岡局長のほかに、小泉鉱業課長、藤田東京通産局鉱山保安監督部長、楠本厚生省環境衛生部長、農林省小林農地課長、柴田林野庁長官、これだけお見えになつております。
○吉川(久)委員 千曲川においては中性になつておるということでございますが、千曲川を使用する小海村という村がございますが、ここでは魚類の棲息が年々減少をいたしております。それからバケツ類のごときものは、一年半で腐蝕をして用をなさないというような被害が現われております。 ただいま会社の計画では、湯川の下流地域で製錬所を持とうという計画があるようでありますが、もしここで採掘が本格的に始まるといたしますと、千曲川は今局長は中性であるとおつしやいましたけれども、小海村のあたりですでに今申し上げた状況でございますので、本格的に採掘を始めれば、私は大いに憂慮する状態が出て来るのではないかと思うのでございますが、こういう点について、厚生省の楠本環境衛生部長さんはどういうようにお考えになりますか。
○楠本説明員 お答え申し上げます。実はこの問題は出先の府県から連絡を受けまして承知をいたして、近く係官を派遣いたしまして実地調査をいたしてから考えたい、かように考えておりますが、今まで府県からの連絡の材料によりまして考えますと、現在お話の通り湯川の水が酸性に傾いておりますのは、必ずしも硫黄工業のためではなく、むしろ最近山が荒れましてそのためにあの辺一帯に硫化鉄が多いので、その硫化鉄によるところの汚濁というように考えております。しかも上流に行くときわめて汚濁の度がはげしく、調査の結果によりますとP・H度二・一と申しますから、きわめて悪質の状況にあるわけであります。それが次第に水量が増すために稀釈されまして、千曲川流域におきましては、ただいま御指摘のような数字にあると思うのでございます。そこで現在いまだ本格的な事業を始めない前に、すでに刻々濁りつつあるわけでありますから、今の想像では、よほど注意をしないとその辺の汚染度はさらに一層高まりまして、千曲川、小海辺までの被害は避けられないものと考えております。しかしながらいまだ鉱山の規模、施設の状況等もつぶさに承知をいたしておりません。また当然使われると思います石石灰がその辺にあるかどうか。これは中和に石灰石を使いますので、付近における石灰石の有無ということが、この問題にきわめて関係が深いのでありますが、その辺もいまだ十分な調査ができておりません。また一方、中和した水が、土壌の性質によりましては再び還元して母性を持ち、いわゆる根腐れ病と称するものを発生しやすくなるものでありますが、これらの点に関しましても、まだ土壌調査を十分に行つておりませんので、この辺もいまだ確たることを申し上げられないわけでありますけれども、しかしながらいずれにいたしましても、現在すでに被害の状況は飽和点になつておる。しかもこれは必ずしも硫黄山のためではなく、地質の関係から来ておることを考えますれば、よほど注意しなければならぬものと考えております。いずれ近く係官を派遣いたしまして、本格的な調査をいたしたいと考えております。
○吉川(久)委員 土壌調査をやつてないといいますが、これはおそらく農林省の農地局でこの点は御存じだろうと思います。農地局の小林課長さん御存じでありますか。
○小林説明員 まだこの件につきましては私の方で存じておりません。今の菅平の件につきましては十分調査をやつておられましたが、八ケ岳の件について最終的にどうこうという結論には、私の方としてまだ達しておりません。
○吉川(久)委員 ただいまの厚生省の御説明によりますと、中和をする措置を講ずればこれはある程度防げるようなお話でございます。その中和剤は石灰石をもつてすると言われておりますが、私の知る限りでは、この地区からは石灰石は手に入りません。相当遠い所から持つて来なければならない。しかも厚生省の局長さんのお答えでは、二三%ぐらいの含有量だということでございますから、これが中和のために遠い所から石灰を運んでおるようなことでは、おそらく採算がとれないのではないかと思います。しかも中和をいたしましても、土地によつては土地の還元性というもので再び酸性が現われるということになりますと、御案内でございましようが、千曲川の上流でおそらくこの被害を受けると予想する地域は、この流域十七箇町村、水田二千町歩、米の収穫が平年作で六万石といわれております。この地域が被害を受けることになりますと、これはきわめて重大な問題であると思います。しかも千曲川の水系にはあゆ、はや、ふなとか、ことにこの地方の特産としては佐久のこいといつて東京でも有名でございますが、戦争以来大部収獲が減りまして、年産七万貫といわれておりますが、戦前は年産三十万貫といわれております。この有名な佐久のこいの漁業がまつたくできないということになりますと、これに従事する水産組合員が千五百を越えておりますが、これらの人々の生活に及ぼす影響はきわめて大きいのでございます。ことにこの川の水を取入れてこれを飲用水とする村もございます。あるいはまた非常に荒れ川でございまして、近年災害防止のいろいろの工事をセメントを用いて施行しておりますが、こういう鉱毒がセメント工事などに及ぼす影響はどうなるか。それから飲料水等によつて人畜に及ぼす影響はどの程度のものであるか。こういう点について農地局と厚生省の環境衛生部長さんにお答えを願いたいと思います。
○楠本説明員 人畜に対する被害を申し上げますが、もちろんこれは悪くなつた場合を予期してのことでありまして、今ただちにさような被害が現われておるという意味ではありません。現在私どもが水道水として使用しますのには、一定の許容限度というものがございまして、大体これが六から七というあたりをつかんでおります。従つて現在ではすでに千曲川の湯川との合流点地帯においては、水道を引くにはふさわしくないという程度でございます。 なお人体にどれくらいの障害があるかと申しますと、今の程度ですと、大体非常によごれておりますのは上流の方で、あまり支障がないわけでありますが、しかしながら下流等になりますと、私実はまだ調査いたしてございませんので、県からの報告によりますと、若干最近汚濁が増したために、下痢症の者が多くなつたということを聞いておりますが、しかしながらそれはとにかくとして、総括的にはかような酸性度の強いものにありましては、疲労感が早く、抵抗力がなくなる、あるいは下痢を起す、あるいはさらにひどくなりますと、ちよつと脚気様の症状を呈するというようなことに相なります。なお家畜に対しましても、もちろんこれはよくないことでございまして、たとえば乳牛等が、酸性度の強いものですと、搾乳量が減つて来るというようなことが報告されております。しかしながら現在の状況は、先ほども申し上げましたように、これは山が荒れたために自然に汚濁が増して来るという意味でありまして、必ずしもボーリングその他によるものではないというふうに理解をいたしております。
○吉川(久)委員 通産省のそろばんに合うかどうかのお答えをひとつ。
○吉岡説明員 採算の点でございますが、先ほど申し上げましたように、この鉱山は日本火薬が火薬製造のための自家用原料を確保したいという意味で稼行ずるわけでございますので、これの販売を直接目的にするわけでないという点から、御承知のように日本火薬は相当の企業でございますので、その点は心配はないと考えております。それから御参考にちよつと経過を申し上げたいと思いますが、採掘並びに製錬の計画をいたします際には、その施設につきまして認可をとることになつております。これは私の方の現場の機関であります鉱山保安監督部に提出いたしまして認可をとるということになつております。それでその計画によりますと、先ほど厚生省の方からお話がございましたように、作業場で、これは大体露天掘りの計画でございますので、その辺で雨の場合等の水の流れることを予想いたしまして、その水を全部集めまして、作業場の下手の方に石灰の中和設備を設けて中和いたしまして放流する。製錬所につきましても同様に中和設備を設けるという計画になつております。それから地元の方に対しましては、数回にわたりましていろいろ懇談しておるようでありまして、南牧村につきましては、本年の六月に懇談会を開きまして、地元側の御要望もありまして、七月に早稲田大学、信州大学、岐阜大学、それから農林省の農業技術研究所の担当官、県庁の関係の方、それに私どもの方の関係官並びに地元側、会社等三十数名でもちまして、採掘の現場から湯川の沿岸製錬所の予定地等の調査をいたしたのでございます。この結果、特に学者の方から報告書をつくつていただきまして、これを県庁でまとめていただくということになつておりまして、まだ実は報告は来ておらないような状況でございます。それから会社側といたしましても、一応私どもといたしましては、鉱害の防止は可能であるという考えを持つておりますが、やはり何と申しましても、地元と十分御了解の上で円滑に作業をやりたいという考えを持つておるのでありまして、その話合いのつくまでは、当分実際の操業はしないというふうに現在のところ行つておるようでございます。大体現状はそういうことになつております。
○井出委員長 吉川君に申し上げますが、農林大臣がちよつと時間をお急ぎですが、もし大臣にお聞きの点がございますれば……。
○吉川(久)委員 吉岡局長にもう一つ伺いたいのですが、今のお答えの中に、これは硫黄そのものを売買するのでないから、これは火薬の原料にするのだから、その点で採算がとれるのだ、こういうことでありますが、中和に石灰を非常に要するのであります。これは、私専門家でございませんからよく知りませんが、私どもよく行つて見ているところによると、大体三日に一回くらいずつとりかえるんじやないかと思うのであります。相当な数量がいるのであります。それをあの山の中に運んで、それでもなおかつ採算がとれるかということについて、私は疑問を持つのでございます。それから菅平の場合もそうでございましたが、保安林を会社がむちやくちやに濫伐をいたして、たいへんあそこで問題を起しております。これについて、林野庁では、何かこの山についてお調べになつたことはございましようか。そして、この問題が、もし発掘が実現するということになつた場合に、どういうような御処置をおとりになるおつもりなのか、その辺をお伺いいたしたい。
○吉岡説明員 採算の点でございますが、これは会社も商売でありますから、十分考えていると思います。硫黄の需給関係も、現在は必ずしもそう逼迫しておるとも申し上げられないかと思いますが、やはり通産省といたしましては、現在の約倍くらいの増産計画を、具体的なものとして持つております。さらにそれよりも大きな計画も、将来の問題としては考えているようでございます。それで若干量の輸出もございますし、会社といたしましては、将来の需給関係等考慮の上で、やはり自家用原料を確保したい、こういう結論に至つたのではないかと考えます。 それから石灰の中和の問題でございますが、これは抗内掘りをいたしますと、抗内水の非常に多いような所は、相当の水が出るわけでありますが、先ほど申しましたように、会社の計画としては、露天掘りでございますので、抗内掘りに比べますと、比較的酸性の程度も少く、また水の量も比較的少いのではないか、大体今のところ専門家の意見を聞きますと、そういうふうに言つております。会社といたしましては、そういう点を考えて着手をしたいという気持を持つておるようでございます。
○柴田説明員 お答えいたします。実はまだ県からも報告を聞いておりませんし、具体的に林野庁として調査には入つておりませんが、もしお話のごとくだといたしますれば、保安林につきましては施業指定を厳重にいたしておるのでございまして、県に委託して監督をしていただいておることになつております。さつそく調査をやりまして、なお今後の実施に関しまして監督の強化をはかつて、重要な水源地帯の保安林の確保をはからなければならぬ、かように存じております。早急に調査する考えでございます。
○吉川(久)委員 今まで私の伺つたところによりますと、問題はこれは通産省の方のごらんになるところでは、会社がこの鉱業権を持つているし、会社は会社なりに採算がとれるという建前で今いろいろの調査を命じているが、それの結論を得れば、やがてやるようになるかもしれぬ、こういうことになると思います。ところが厚生省の方のお話によりますと、この耕地の土壌の還元性というのが非常に問題になると思うのであります。もしそうであるとするならば、この流域十七箇町村の水田二千町歩、六万石の米の収穫に大きな影響をもたらし、しかも千五百水産組合員の生活に脅威を及ぼすというような重大問題になります。通産省の鉱山保安局長さんは、中和が完全にできるようなことをおつしやいますが、私の長野県におきまして、下高井郡においては実はそういう施設をやつているにもかかわらず、非常な災害をこうむつて大騒ぎをいたして、そうして灌漑水のごときを、この千曲川から非常な金をかけて揚水をしている、こういう問題がございます。しかもこの佐久平のごときは、この鉱毒水のない川の水を揚げるという場所はございません。従つてそういう措置を講ずることは全然不可能でありますので、もしこれを敢行されるとするならば、これは重大な問題になると思います。従いまして九月十七日に硫黄採掘絶対反対の郡民大会が開かれまするや、普通の大会ならば八百人か千人か千五百人ぐらいしか集まらないのでございますが、この日の大会には、実に八千人の住民が集まつた。そうして代表者を県会に送つて、県会ではこの反対陳情を県議会において採択をいたしております。こういう重大な問題で、住民が非常な不安を感じておりますので、これは通産省としては十分お考えを願わなければならないと思います。しかも今農林省では、本年は特に凶作で食糧の需給の推算さえ容易に立たないということで、農林大臣は頭を悩ましておいでになるようでございますが、たまたまお見えでございますから、農林大臣として、また国務大臣として、台閣に列しておられる政府の責任者として、この問題についてどういうようにお考えになりますか、所見を伺つておきたいと思います。
○保利国務大臣 先ほど来の御質問の案件につきましては、私は実はただいま伺いましただけでございます。伺いましただけから考えましても、関心を払わざるを得ないと考えております。と申しますのは、おおよそ想定被害面積一千町歩といわれますが、かりに千町歩の開墾、干拓をいたしますために、国がどれだけの大きい犠牲を払つているかということから考えますと、りつぱな耕地が、もし鉱毒のために荒されるというようなことは、これは国家経済の上からいつてもよほど考えてもらわなければならぬ。工場、鉱山の鉱毒と農作との関係につきまして、まだこれならば安心だということは私ども申し上げ得ない現状におきましては、特にこの問題は関心を払わざるを得ない、十分に調査をいたしまして対処いたしたい、こういうように考えております。
○川俣委員 ちよつと関連してお尋ねしたいのです。鉱山保安局長の言葉じりを決してとらえる意味ではございませんが、今の防毒施設については鉱山保安監督部長が許可を与えておるというのですが、私どもの了解いたすところによりますと、大体鉱業法の建前からいたしまして、すでに施業案なるものが出されまして、地方の通産局長がこの許可を与えておるはずだと思います。あなたの説明によりますると、監督部長が与えておるというようなことになつておりますが、これは特別な取扱いをされたのですかどうですか。
○吉岡説明員 お話のように、施業案につきまして通産局長に認可を申請するわけでございますが、通産局長はその場合保安の問題につきまして監督部長に協議する、それで監督部長の了解のもとに通産局長の名前で認可をする、こういうことになつております。 それから私の申し上げましたのは、その施業案という以外に、さらに具体的にこの排水の処理の施設でありますとか、製錬設備については、その設備の認可制度を鉱山保安法でしいておりますので、一層具体的にその点の監督をする、こういうことでございます。
○川俣委員 私はこの問題は非常に重大だと思うのです。なるほど今日日本の科学工業が異常な発展を遂げようとする場合において、硫黄の採掘に相当の重点を置かるることは私どもこれを認めます。従来の鉱物採取の上におきまして、とかく硫黄が十分な資源開発ができておらなかつたのでありますが、戦後急激に硫黄の採掘が増大いたしておりますことも、われわれの認めるところでございます。問題は、私は今の説明によりますと、小規模な計画であるからこれを寛大に取扱つてもいいのじやないかというお考えのように見受けるのです。しかしながら鉱業法の根本は、どんなに規模が小さかろうとどうであろうと、採掘権を与えるということになりますと、これは公益上に及ぼす大きな影響を当然考えなければならぬ。ではなぜ試掘権を二年に切つたのだ。あの二年に切つた理由がわからない。おそらくあれは公益上大きな影響を与えるものであるからして、二年ぐらいに切つておかなければ、いたずらに鉱業権の上に大きな影響を与えるから切られたのだ。そうでなければ、あの二年に切られた意味がないじやないですか。ところが鉱業権を持つているものは何年でもやつてもいいという考え方を非常に強調されておるようですが、その点どうなんですか。
○吉岡説明員 私どもの仕事は通産省の中にございますが、この保安の問題を確保して参るということが任務でございますので、そういう意味合いから特に一局を独立に設けまして、また出先の機関を、御承知のように、通産省一般といたしましては各地に通産局があるわけでございますが、それと別個に鉱山保安監督部というものを設けておりますので、私は川俣先生と同じ気持で処理しておるつもりでおります。その点はひとつ御了承を願いたいと思います。
○川俣委員 私と同じような考え方だということは、おそらく鉱業権というものは公益的な性格が非常に盛られているというお考えに立つておると思うのです、そういうふうにいたしますれば、これは化学工業会社あるいは火薬会社であるからして採算が合うであろうから、これを見のがしてもいいという議論にはならない。これは採算が合うか合わないかの問題ではないのです。採算が合うか合わないかということは、企業の自主性として私は認めてもいい。採算が合わないから防毒施設を完備させなければならないとか、採算が合わないから防毒施設に対して寛大であつてもいいということにはならないと思う。どんな有力な会社であろうと無力な会社であろうと、鉱業法は厳としてそういうものに対する一つの防備施設というものを、当然加味しなければならないということを規定しておるはずです。この鉱業権の採掘権の認可につきまして、鉱物の利用と同時に、当然除害設備の計画を示さなければ許可を与えていないのであります。どのくらいの計画になつておるのか。保安部でありますれば当然その計画が妥当であるかどうかということを御検討になつているはずだ。どの程度の設備をしておるか。あなたは石灰を入れれば中和ができるというお話でありますが、今まで石灰を入れて中和しただけでは農作物に被害がないというような断定が最近下されていないはずであります。それでもなお石灰を入れることによつて農作物に被害がないということを、今日保安部においてはそういう決定をしておるのですか、その点をつけ加えてお聞きしたい。
○吉岡説明員 規模は小さいから寛大に考えておるのじやないかというお話でございますが、そういうことは決してないわけでございまして、先ほど申しましたように、地元の不安を抱かれるお気持も十分了解できますので、十分御納得を得た上で実施するということに現在しておるわけでありまして、本月の五日に県庁でさらに地元側と会社側、県庁とで懇談の会を設けるということにもなつております。 それから石灰の中和の問題でございますが、これはたいへん技術的な問題でむずかしいかと思いますが、全然元にもどつて効果がないというようには考えておりません。ただ中和いたしましても若干硫酸根と申しますか、そういうものが残るのではないかというような学説もあるようでございまして、はつきりした結論はまだ出ておらぬようであります。しかし相当量の石灰を投じまして中和いたしますと、まあ大体普通の実害をとめるという程度のことは、これは可能であると考えておる次第でございます。
○川俣委員 私はどうもあなたがまだ十分鉱害について御研究になつていないのじやないかということを感ずるのです。というのは石灰につきまして、前に西原試験所がかつて住友鉱山の委託を受けて、米丸博士が石灰を使つた場合の反応について相当な研究をしております。十数年かかつたわけです。この資料は通産省もお持ちのはずです。農林省も持つておるはずです。これに基いて、たとえば小坂鉱山、尾去沢鉱山というものは相当苦心をいたしまして、防毒施設をいたしております。何べんいかにやりましても、あなたは御存じでないかもしれませんが、石灰を入れまして中和ができるというが、ところが中和されるということは、やはり石灰水が田へ入るのです。田へ入つて参りますと耕土の下に石灰の層ができます。石灰の層ができますと排水が悪くなつて、さらに微量なPHでありましても被害がだんだんふえて参ります。そのくらいのことを御研究にならないで除害設備ができた、石灰を入れれば中和ができたというような簡単な御答弁であなたは済みますか。せつかく鉱業法がわざわざ改正せられまして、除害設備を厳重にしなければならないということから、別個に独立の局が設けられたはずです。独立の局が設けられてそのくらいのことが研究されてないで、これでたいてい大丈夫でしようというような御返事があるということは、非常に無責任だ。最近通産省も鉱業権に対しては非常に無責任だと思う。通産省はもう一回考え直さなければならぬ。御承知の通り、鉱業権の設定の出願には、鉱床についての説明と鉱害についての具体的な記述を要することを規定いたしております。この規定に基いて当然やらなければならぬ任務を怠つておるのではないか。どのような鉱床についての説明が行われ、これだけの鉱床であれば確かに日本の化学工業を援助するだけの鉱量を持つ。このくらいの鉱量を出すにはどのぐらいの被害を与えても、あえて公共に反しないというようなデータをお持ちでありますれば、その御説明を承りたい。そうでなしに、ただ鉱業権を持つておるのだからそのまま採掘を認めるというような態度については、私はそういうことでは納得できないのです。これは鉱業権を蹂躪するものだから、もつとよく御説明を願わなければならぬ。
○吉岡説明員 現在のところ私どもは、先ほど申しました設備で防止ができると考えておるわけでございますが、先刻申しましたように、関係の学者にも調査をお願いし、またかりにそれで実害なしとして作業を開始いたしましても、常時巡回監督その他でPHの測定等をやらせることになつておりますので、認可すればもうしつ放しで、あとは監督の手段がないということではありません。もし実害がありますれば、その際にはさらに措置がとれると思います。どうも十分御了解いただけないではなはだ困るのでございますが、私どもはそのための部局でございますので、そういう気持でやつております。昨日も地元の方がお見えになりましたので、よくお話をしておきました。ただやはり問題は、御指摘のように、科学技術の問題でございますので、そういう専門の権威者に十分検討していただきまたその御意見によつて設備をいたしまして、それで予防できるという結論に達した場合におきましては、やはり資源の開発をはかる意味で御了承願いたいというふうに申しております。まだ現在のところは、地元とそういうふうに御了解を得べく話をしておるという現状でございます。
○川俣委員 それでは私の質問に対する答弁としては不十分です。もちろんあなたからの御説明では十分じやないでしようが、鉱政課長見えておりますか。
○吉岡説明員 鉱山局の鉱業課長が来ております。
○川俣委員 鉱業課長でけつこうです。本件の採掘権の設定出願にあたりましては、鉱床についての説明及び鉱毒についての具体的な記述がなされているはずだと思います。これはいつごろ出されて、どの程度の鉱床についての説明が行われ、どの程度について除外設備が具体的に記述されていたか、その記述された通りの現状であるのか、この点を伺いたい。というのは、確かに鉱山の開発が必要だというような抽象的なことはよくわかりますよ。この鉱山を開発いたしまして、鉱物を得るだけの利益と国家的な損失とを考えてみなければならぬ。その上に立つて初めて鉱業権というものが設定されなければならぬはずなんです。鉱業権の設定の申出があつたから、すぐ採掘権を与えるべきはずのものじやないはずです。昔の試掘権の時代とよほど違うと思うのです。試掘権はやや採掘権に類するだけの権限を持つておつたのでありますが、これは非常な大変革を行つておる。従いまして今日の採掘権におきましては、慎重に許可を与えなければならぬはずです。どうなつておるのでしようか。
○吉岡説明員 鉱業権の二十六年にと申しましたのは、現在の鉱業権者が鉱業権を譲り受けておるわけでございます。鉱業権の登録は、昨日聞きますところでは、たしか昭和十六年というふうに言つております。鉱業権の登録をいたします際には、通産局長は関係の府県を通じまして、関係地方の市町村等の意見を聞きまして、その上で登録をするということになつております。もちろんその際に鉱床の——要するに鉱業権の設定をする一番の基本は、一体それだけの鉱量があるかどうか、価値があるかどうかということが、判断の一番の基本でございますので、その点はその際に十分判断されて登録されたものと考えております。実際に稼行いたします際には、先ほど申しましたように、さらに具体的の施業案、さらに個々の鉱害防止の施設につきまして、通産局長とか監督部長の具体的な認可を受ける、実際に実行に着手いたしました以降は、巡回監督によつて監督し、必要があれば命令を出す、こういう形になつておりますので、その点ちよつと御参考に申し上げておきたいと思います。
○川俣委員 どうもそれでは説明にならぬと思う。鉱業権は鉱区内の鉱物を合理的に開発し、その利用について公共の利益を保護増進するように行使しなければならないというのが、大体鉱業権の解釈の通念です。この通念をおそらく逸脱はいたしておられないと思う。そういたしますれば、どの程度の鉱量があり、どの程度の開発計画に基いてどの程度の資金がつぎ込まれ、どの程度の鉱量が出て来る。その鉱量と下にあります一千町歩の被害とをにらみ合せまして、これを勘案いたしまして初めて鉱業権の設定が行われなければならぬはずのものです。これが今日たやすく開発というようなことによつて、少しの運動がありますと、簡単にこれに採掘権を設定させるようなことは、そもそも私は誤りだと思う。また鉱業権の譲渡にあたりましても、なぜ譲渡されるかというようなことをよく勘案しなければならぬはずだと思う。そういうことを何も考えることなしに、一ぺん採掘権が設定されますと、あたかも私有物のごとく転々しますところに問題が起つて来る。従いまして今日もしそれほどあなたが説明せられるのでありますならば、その根本であります一体どのくらいの鉱量を認めておられるか、この程度のものは開発できるということをお認めになつて、数量をつかんでおられるのですか、つかんでなくても鉱業権の自主性に基いて自由にやらせようというようなお考えなんですか、その点はつきりしないのです。はつきりした鉱量をつかんで、そうしてそのためにはこれだけの鉱量を出すのであるから国家的な利益も大きい。従つて下の地域に幾分の被害を与えてもなお採掘の必要があるというお認めの上に立つての御答弁とは思われない。ただ部分的に、これくらいの石灰を入れればいいだろうというような簡単なお返事です。そうではないと思う。この点どうです。
○小泉説明員 ただいま御質問がございましたが、この山の鉱業権は戦争前に採掘権を持ち、その後戦争中でございましたが、昭和十九年に、硫黄は平和産業であるということで当時の軍需省が休山を命じたことがございます。その後終戦後硫黄は紙、パルプ繊維、人絹、そういう方面の平和産業に役立つということで再開をしたのでございます。そういう経緯をいろいろ持つておつたのでございますが、この山に採掘権を持ちました当時——大分昔のことでございますので、私よく存じませんので恐縮ですが、現在私が知つております範囲では、この山は鉱量大体十数万トンというふうに伺つております。特にこの山で採掘して——硫黄の製錬というと非常に問題がございまして、原始的な製錬方法をやつておるのでございますが、この山におきましては、連続式の焼取製錬という最も新しい製錬方法を使いまして、日本の低品位と申しますか、日本に恵まれた地下資源の硫黄を大いに採掘して行きたいという計画でございます。採掘権を得ました当時のいきさつをよく存じませんので、御質問の点に十分なお答えをしかねるのでございます。御答弁にならないと思うのですけれども……。
○川俣委員 どうもこれは答弁にならないですよ。戦時中に出した重要鉱物増産法という臨時的な法律がありましたので、その当時は採掘権及び試掘権については、非常な国の要請によつて簡単に許可をいたした例がたくさんあると思います。しかしながら今日鉱業法が改正せられて、これらの重要鉱物増産法は今無効になつておる。一体その当時設定された鉱業権をそのままあなた方がお認めになつて、その上に立つてすべての計画、すべての判定をなさるところに大きな誤りがあるじやないかということが、指摘の第一点なんです。古くから採掘権を持つておるのである、現在持つておる人はその譲渡を受けたのであるというけれども、それはかつての重要鉱物増産法で、そのときは多分硫黄が入つてなかつたと思いますが、あとで指定鉱産物として追加になつたと思います。従つて割合簡単に鉱業権が取得できたと思う。その簡単にできた採掘権を今新しく譲渡を受けてやらるる場合において、もつと計画を緻密に判断をされて、そうして許可を与え、指導を与えて行かなければならぬじやないか、そういう点について非常にずさんではないか。 もう一つのもつと大きい意味は、一体鉱物の開発が必要といいますけれども、これは国の産業の上に寄与するために開発が必要なんであつて、他の産業を破壊してもいいという考え方は、どんなにしても鉱業法から出て来るはずがないのです。今農林大臣がいかにして農産物の増産をはかろうかということで非常な苦労をしておられる。財政の不足の中においてどうして開田をしようとか、あるいは何を増産をするかということで非常な努力を払い、非常に大きな財政的支出をして食糧増産をはかつておられる。国家財政を大きく使用いたしております食糧、一方においてわずかな鉱産物開発のために農産物の生産の上に犠牲を払つてもいいということは、どうしても考えられないのです。あなた方は鉱物の開発が主であつて、他の産業が侵されてもいいというお考えなんですか、その点もう一度伺いたい。もし局長でだめでしたら、あらためて大臣においでを願つて、どうしてもこの点は明らかにしなければならぬ。これは重大なことです。
○吉岡説明員 鉱害の発生を冒してまで鉱産物の増産をはかればいいという考えは毛頭持つておりませんので、御指摘のような点はさらに一層慎重に処置いたしたいと思います。
○川俣委員 これは委員長にひとつ御相談ですが、鉱山局長もおいでを願つてやらなければならぬし、それからもし大臣が見えなければ事務次官でもけつこうですから、おいでを願つて、これは最後までやりたいと思います。これは食糧増産の上に大きな問題です。これは単に八ヶ岳だけの問題じやないと思う。最近森林資源におきましても、むやみに試掘を行われました結果、相当山が荒廃いたしておるという事情もある。またがつて採掘権をとりまして、今放任しておるような事態もある。これがまた下の農地及びその存在しておりますところの山の荒廃にも非常な影響を与えておる。単に八ヶ岳だけじやないと思う。従つてこれは本委員会といたしまして、もつと重大に取扱いたいと思いますから、そのようなおとりはからいを願いたいと思います。
○井出委員長 了承いたしました。他に御質疑はありませんか——中澤茂一君。
○中澤委員 林野庁長官が急がれておるようですから、一点質問を申し上げておきます。 この鉱山の採掘に製錬所を設けるのですが、その製錬所は国有地でなければできないのです。そういうお話があつたか、またお話のあつた場合それを許可する方針であるかどうか、この二点だけ御答弁願いたいと思います。
○柴田説明員 まだ製錬施設をこしらえるために国有林を使用するという御協議をいただいておりませんが、その際に完全に鉱害を防止するという技術的な検討ができない場合は、特にあの地帯は重要な保安を要する森林地帯だと存じまするので、了承できない場合は国有林地内に工事の施設を承認しないつもりでおりますことを御了承願いたいと思います。
○中澤委員 川俣委員の言われたように、鉱山保安局長の言うことは、私に言わせると絶対にでたらめです。現に長野県の上高井郡における鉱害というものは、あそこへ行つてみるとわかる。須坂から下高井郡の延徳まで、約四、五千町歩の中にある川は全部まつ赤に染まつておる。たしか昭和二十二年か二十三年と思いましたが、われわれはこの鉱害を何とかしなければ食糧増産上困るということで、農民団体として鉱山局にも行つて話をしておる。ここには幾つの山があるかというと、御承知のように小串鉱山という三井系の山が、群馬と長野の境の嬬恋村の地籍にある。この鉱山から流れる上高井郡全体を汚濁しておるところの坑内水——この間約七里あるのですが、これが下へ下つて来て、全部の川がごらんになればわかるようにまつ赤になつておる。しかもこの川のそばの水をかけなければどうにもならないので、ほとんど稲が根腐れ病で枯死してしまう。そこで昨年の土地改良に、延徳は長野平で一番の米の増産地ですから、迂回水路をつくつて若干でも鉱毒を除こうというので、厖大な費用を使つて努力しておる。この小串鉱山と、いま一つ米子鉱山というのがある。これは須坂町からほど遠くないところにある。それからいま一つこの小串と米子の中間に横手鉱山というのがある。この三つの鉱山が上高井全郡から下高井郡南部にかけて鉱毒を及ぼしておる。川俣委員の言われたように、鉱害というものに対しても、私は鉱山局はあまりでたらめ過ぎると思う。もちろんこれを設定した当初は、先ほどおつしやるように鉱毒防除を十分にやるというようなことを必ずおつしやつて設定したと思う。そこで今になつて戸の鉱毒を何とか救わなければならぬというので、われわれがいくら言つても、何らこれに対して措置をとつてないじやないか、どういう措置をとうたか、それを明らかにしてもらいたい。
○吉岡説明員 鉱害の問題につきましては、古くからの鉱業法によります鉱業警察規則によつて一応やる形にはなつておつたのでございますが、御指摘のようにこれが非常にはつきり具体的になりましたのは、昭和二十四年に鉱山保安法というものができまして、それ以降は相当本格的に態勢がとり得る形ができた、こういう事情でございます。それでただいま御指摘のように上高井郡の小串、米子、横手、三つございますが、御承知のように小串鉱山が鉱量におきましても生産量におきましても、ほとんど九〇以上でございます。これにつきましてはお話のように、ちようど長野県と群馬県との境にありますが、群馬県の方は御承知のように、草津その他の温泉地帯は非常な強酸性で、どうにもしかたがないような地帯でございますので、小串鉱山としては群馬県側に約千三百メートルばかりの坑道を切りまして、坑内水を全部群馬県の非常な強酸性の温泉の川の方に流すという計画を立てまして、ちようどこれが今年の十月一日に完成いたしました。従いまして今後は小串鉱山からの坑内水は一切長野県側に放流せられない、こういうことになります。それから米子鉱山につきましては、これも昭和九年から灌漑水路を別に設けまして、これを二十六年の十月にさらに改修をいたしまして、その方で灌漑用水を確保しておる。それから坑内水の方はP・Hが三でございまして、これは毎分七立米程度出ております。これはただ沈澱させまして米子川に放流させておるわけでありますが、米子川としては米子川自体のP・Hが四でありまして、水量は毎分四十四立米ということになつておりまして、本来の水質とそう違いがない。しかし灌漑用水は先ほど申しましたような方法で、別途に水路を開きまして、確保いたしておるわけであります。それから横手鉱山はこれはごく規模も小さく、また昨年来硫黄の採掘を中止いたしまして、硫化鉱だけをやつております。水量も毎分〇・一立米というふうにほとんど問題にならぬ程度でございますが、将来本格的にさらにやり出すということになればこれも措置を考えなければならぬと思います。ただ排水の流れております松川は非常に強酸性でございまして、一般に川の水を灌漑用水に使用をしておらないというように承知をいたしております。
○中澤委員 おそまきながらそういう処置をしたということに対しては一応認めておきますが、しかし米子鉱山の場合などは、いずれにしても鉱業権者がないところです、この中から出て来るところの抗内水というものは、いやでも応でも川に入つて来る、これの鉱山主がない、そういう状態です、あの上高井郡の鉱害は、郡民としては泣いても泣き切れない、水道などを引こうとしてもP・Hが強くて、特殊な濾過装置を持たなければあの川の水は水道に引けない、そういうように鉱害で非常な惨状を呈しておる、これは農作物に対しては、松川の沿岸もそうですが、米子川の沿岸も放棄したところは御承知のようにあんなにたくさんある、あの水をかけたら全部腐つてしまう、どうしても灌漑の方法がないからあの沿岸を放棄した。昭和二十五年に松川沿岸で二十五町歩だつたと思いますが、放棄しておる。そういうような惨状であるのです。だから川俣委員の言われたように、もちろんわれわれも、何でも掘ることがいかぬというのじやない。これは地下資源の開発を大いにやらなければいかぬが、掘つてしまえばおれの方はかまわない。あとは百姓がどんなに迷惑しようが、鉱山を掘つてしまえばかまわないというようなセクト主義があなた方の頭の中にあるから、それを徹底的に払拭してもらわなければいかぬ。それで現実にわれわれが、農民団体としてこの問題に昭和二十二年の食糧不足のときから取組んでおつて、この現実の七年間のわれわれの経験から言うならば、現在の八ヶ岳の問題は黙視できない。これは中和するとか中和しないとか、そういう理論じやない。事実掘つて鉱毒が流れ込んで来れば、いやでも応でもああいう被害が出るのです。しかも小串鉱山は私も現に行つて見ております。あの間七里あります。七里の間を谷川の水が縫つて来て、なおかつあの惨害を与えておる。この現実から考えるならば、私はこの問題は農民団体として絶対無視できないと思う。当農林委員会において取上げていただいたし、五日の日いろいろお話合いがある。どういう防除設備をするか。近代的だというが、しからばそういう近代的な防除設備をしたならば絶体被害を与えないということを、局長、言明できたらひとつ御答弁願いたい。
○吉岡説明員 絶対被害を与えないという確信がなければ、私の方としては認可をしない。また認可後におきましても常時巡回、監督をやり、P・Hの測定、その他をやつておるわけでございますので、その点は責任をもつてさように申し上げます。しかしお話のように、やはりこの問題は、上高井郡の方に非常に以前からの御指摘のような問題がございまして、これが現実に最近においてようやく解決された状況でございますので、そういうことでは実際に地元の方が不安を抱かれるのは御無理はないと思います。従つて最近において先ほど申しましたような解決ができましたので、今後そういう状況をよく地元の方もごらんになり、また学者の意見、報告、その他によりまして、技術的にも大丈夫であるという了解を得ていただいた上で着手させる、こういうことにいたしたいと思つております。
○中澤委員 いま一点。上高井の問題も今後完全に防除するように努力してくれる、今後も防除設備は完全でなければ許可しない方針だ、それを承つて大分安心したのです。それについて今までの横手鉱山の問題は、うわさに聞くところによると、新しい鉱脈を見つけて大規模の開鑿をするというような——これは実はうわさですから、どこまで真実であるかわれわれは知りませんが、そういううわさを聞いておる。もしこの横手鉱山を、再び現在掘つているやつを、新しい鉱脈が見つかつて大いに掘るということになつたならば、——ごらんになつたかどうか、一体あの松川の惨害はどうしてくれる。これに対しても、これは御答弁願わなくてもいいから、もし拡張設備をして掘るならば、完全に防除設備をやらないと、ほんとうに昔の田中正造翁のごとくわれわれは闘いますから、あらかじめその点だけ御承知おき願います。
○川俣委員 同僚の中澤委員から、防除設備が完全であれば鉱業権をそのまま続行することを容認するようなきらいのある質問があつたと思います。それでは非常に誤解を招く。私が前に述べましたのは、いやしくも鉱業権の基本になつておりますのは施業案である。この施業案というものを十分尊重しないで今日まで来ておるのですから、この法律に基いた施業案さえ遵法しない当局に対して、今後監督いたしますからそれでかんべんしてください、巡回いたしますからそれで容認してくださいというような態度に対しては、私は承服できない、当然鉱業権の基本となつております施業案さえ十分実行させることができないで、その後に監督いたしますから、巡回いたしますからなどというようなことによつては、とうてい防げるものじやない。この点については、きようは時間がありませんから、この程度で打切りますが、これは続行させていただきたいと希望いたします。
○井出委員長 本問題に対する質疑応答を伺つておりまして感じますことは、通産当局の答弁は委員諸君を納得せしめておらぬようであります。当局の研究もまた不十分であるやに見受けられます。ことに戦争中に与えられた採掘権が、最近において無検討のまま譲渡されておる。その間経済その他の諸条件が非常に変化しておるにもかかわらず、むぞうさに許可せられておるというふうにも見受けられるのでございます。従いまして、本日は時間の関係もありますので一応留保いたしますが、川俣委員から先ほど委員長に要望がございましたごとく、あるいはさらに通産省の大臣あるいは次官、鉱山局長等につきましても、一応質疑を留保されておるわけであります。従つてきようの委員諸君の質疑を、十分通産当局においては体されて、善処をせられたいと考えます。また厚生省及び農林省におかれましては、まだ調査ができ上つておらないようでありますが、これもひとつ本委員会に調査でき次第御報告を願いたいと思います。 本日はたいへんおそくなりましたが、これにて散会いたします。 午後六時二十六分散会