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16回国会衆議院1953/07/23

農林委員会 第23号

発言数
50
登壇者
7
会派数
5
開催日
1953/07/23

会議録

井出一太郎改進党

○井出委員長 これより会議を開きます。  有畜農家創設特別措置法案を議題といたします。質疑に入ります。芳賀貢君。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 この法案につきましては、前国会において当委員会においても審議を行つたわけでありますが、解散によつて再びこれが審議を行うことになつたわけであります。その当時私も質疑の中で指摘した点があつたわけでありますが、今度は畜産局長もかわられておるので、なお二、三の点に対してただしたいと思うわけであります。  最初にお伺いしたいことは、有畜農家創設事業が昭和二十七年度から行われておるわけでありますが、二十八年度における有畜農家創設事業の実施の概要は、どういうようなお考えでこれを振興させようとなさるか、その点をまずお伺いしてみたいのであります。

大坪藤市農林事務官(畜産局長)

○大坪政府委員 お手元に資料として配付いたしておりまするが、当初二十二億の資金を創定いたしまして、有畜農家創設事業をやりましたが、大体その九七%程度消化いたしたのであります。当初は乳牛につきましては一万頭を予定しておりましたが、非常に希望が多くありましたので、繰合せまして一万五千頭といたしたのであります。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 関連してひとつお伺いしたい点は、農林当局においては、外国からの乳牛を入れておるわけですが、イラワラ・シヨートホーンという牛を、主として長崎県に導入したそうでありますが、この中に相当の不妊牛が来ておるというようなことを承知しておるわけであります。これらの問題について、優秀なる牛を外国から入れることは非常にけつこうでありますけれども、それがはたして日本の国内において、飼育管理の上からも適応性を持つておるかどうかということ等は、事前に十分研究調査して導入されておるわけでありますか、こういう問題の経緯について承知したいと思うのであります。

大坪藤市農林事務官(畜産局長)

○大坪政府委員 昨年、長崎県の依頼によりまして、濠州のイラワラ湖の地方から、イラワラ・シヨートホーンを七十五頭、政府の職員でありまする畜産局技官が濠州に酪農事情を視察に参りましたときに導入して参つたのでありまして、その中に相当数いわゆる不妊牛というものが出て参つたのでありますが、これにつきましては目下実情を調査中であるのであります。飼育管理につきましては、県の方といたしましても、私の方といたしましても、特別指導をいたしておるのでありまするが、現在までのところ七十一頭のうち、約三十頭近いものが不妊牛になつておると、こういうような事情になつております。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 これははたしてどちらの手落ちだと局長は判断されておりますか。

大坪藤市農林事務官(畜産局長)

○大坪政府委員 購買の事情を詳細に調べて見ますると、御承知のように、向うは完全放牧であるのであります。それを狩り集めまして、購買をいたすのでありまするが、一々妊娠をしているかしていないかということを実際問題として見るということが非常に困難な事情のようであるのであります。長崎県から依頼を受けましたので、まだ妊娠の経験のない、しかも分娩の経験のないいわゆる無経産無妊娠牛というものを導入して来るということで参りましたが、実際問題として、妊娠しているかどうか、そういうような点が非常に検討が困難なようであるのであります。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 私のお尋ねしているのは、この買付け先であるところの濠州において、すでに妊娠障害というような症状を持つておつたのがわからないで入つたか、また向うにおれば十分妊娠が可能であるけれども、この日本に来て非常に環境が違うような飼育とか管理とか、そういうようなことが影響を受けて、それらが原因になつて、こういうような症状が現われているのか、その点の判断はどういうようにお考えになつているかということをお伺いしておるのであります。

大坪藤市農林事務官(畜産局長)

○大坪政府委員 向うの濠州の方で飼育しておりまする場合には、ほとんど完全放牧でありまするが、こちらに参りますと、畜舎につなぎまして飼育する、こういうようなわけで、飼育の状態が違いますのと、粗飼料と申しますか、飼料の与え方が違いまするのと、気候風土が違つて参る、大体この三つが条件としてかわつておるということになりまするが、はたしてただいま御質問のように、向うで放牧しておれば妊娠をする、ところが内地の気候風土の変化のために妊娠しないような状態になつたか、その辺の事情を目下検討いたしておるわけでありまして、はつきりそれについて、どういうふうな結論というような結論はまだ出しておりません。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 今年度、遅くとも秋ごろまでには六百頭の輸入牝牛が来るわけであります。こういう場合においてもかような事例は一応予想されると思うわけでありますけれども、次ぎ次ぎに外国から高い、十二、三万円もする牛を入れて、来たのはその三割も四割も繁殖障害の牛であるということになると、この乳牛を外国から導入するという趣旨が、まつたくそれと反対の方向へ行くようなことになると思うわけでありますが、これにまた損害が実に伴うわけであります。そういうようなことを将来考えた場合において、これは非常に大きな問題であるというふうに考えるわけでございますが、今年の輸入牝牛の場合には、そういう懸念はないのでありますか。

大坪藤市農林事務官(畜産局長)

○大坪政府委員 ただいま御審議を願つております二十七年度予算に、当初は六百頭、その後予算の組みかえを受けまして、一割五分ばかり減ることになりますが、五百数十頭買うことにいたしまして、目下購買官の選定及びその輸送のことをいろいろ準備をいたしておるのであります。昨年度のイラワラ・シヨートホンの購買の実績に顧みまして、今年度は少くともそういうようなことがないように、購買官その他に綿密なる検査をして参るように特に指令を出しておる次第でございます。今年度は相当大量輸入を政府といたしまして初めてやるのでありますから、その点は非常に重大な問題でありますので、購買官の選定その他に慎重を期して、イラワラ・シヨートホーンのようなことのないようにいたしたい、かように考えております。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 そういう点に関しましては、今のお言葉の慎重を期するという点に期待を持つことにいたしまして、問題を次に移します。  今度の法案によると、有畜農家創設資金に対して政府が融資のあつせんを行うことになつておりますが、有畜農家創設に対しての希望は、むしろ政府資金の特別融資等を希望しておる面が非常に多いのでありますが、この法律によると、それらの道はまつたく講ぜられておらないようでありますけれども、政府は特別融資措置というようなことをどういうふうにお考えになつておりますか。

大坪藤市農林事務官(畜産局長)

○大坪政府委員 御承知のように本制度が生れて参りますまでにはいろいろの経過措置がありまして、特別会計で行つたらどうか、あるいは政府資金で行つたらばどうか、こういうようないろいろな考え方がありましたが、資金源を求めるのにこの措置の方が一番手取り早くて、しかも相当多額の資金が出るというような結論に到達いたしまして、本制度を創設することにいたしたのであります。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 むしろそれは有畜農家の創設、特に酪農の面に対して施策の重点が置かるべきだと思いますが、積極的にやる場合においては、微温的な融資のあつせんということより一段飛躍した施策が将来講ぜられるべきであると私は考えておるわけであります。  次にお伺いしたい点は、有畜農家創設計画を都道府県が策定するようなことになつておりますけれども、これに関連して、地域的な特殊立法の中においても、たとえば積寒地帯の法律などの中においても、市町村が農業振興計画を樹立する、そういうような総合化された農業振興計画の線に沿つて有畜農家の創設あるいは酪農振興の計画等が樹立された場合において、そういう末端の盛り上つた意欲の上に立つた計画を、政府が育成して実現に移してやるということこそ大事な点ではないかと思うわけでありますが、これによると、そういうような末端から盛り上る意欲に対する助長、育成という点は、むしろ抑圧されるような点もあるわけでありますが、そういう点についてはどういうふうにお考えになつておりますか。

大坪藤市農林事務官(畜産局長)

○大坪政府委員 有畜農家を創設いたしまする場合に、これを最も效果的にやりまけためには、地方の末端から盛り上つて来る力を活用し、利用することが一番効果的のように存ずるのであります。従つてその意味合いにおきまして、府県が中心となりまして、地方のそういう盛り上る力をとりまとめまして、政府と相談する、かようなかつこうに相なると思いますので、御指摘のような御心配はないじやないかと存ずる次第であります。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 特に畜産関係の領域には、ややもすると官僚が一つのなわ張りをもつてその支配権を温存させようとするような傾向がないわけではないのであります。そういう不安をかもさないようなことであれば、その点にも期待が持てるわけでありますが、でき得れば地方の酪農振興等に対する切実なる意欲というもの、しかも特殊性のある計画に対して助長をするという点に、運営の重点を置かれたいと思うわけであります。  次に、この融資の対象等の団体でありますが、その他政令で定める団体というようなことが規定されておりますが、具体的にどのような団体がその他政令で定める団体であるか、御説明願いたいのであります。

大坪藤市農林事務官(畜産局長)

○大坪政府委員 農業団体その他政令で定める団体ということに一応規定をいたしておりますが、現在のところそういう団体は想定いたしておりません。将来あるいはそういう団体が生れて来るではなかろうかという一応の想定のもとに、この規定をつくつているわけであります。現在はありません。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 現象面に全然現われておらないものを予見して法律を用意をすることは非常に用意周到でありますけれども、そういう場合、その予見される団体というものは、はたしてどういうような資格を持つたものを政令で定めるつもりでありますか。

大坪藤市農林事務官(畜産局長)

○大坪政府委員 今後生れて来ると申しますか、予想されるものといたしましては、任意団体と申しますか、法律に基かないような団体で、しかもその団体が相当強固に仕事の運営ができる、こういうようなものが生れて来ました場合には、その任意団体を指定する、こういうふうにいたしたいと存じております。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 それは相当含みのあるお言葉だと思いますが、私が率直にお尋ねしているのは、最近畜産組合法というものを政府は用意せられつあるということも聞いているわけでありますけれども、局長はこれらのものを予測して、あらかじめここに一つの伏線として条項の中に入れたように私は考えているわけでありますが、そういう畜産組合法というものをまたつくつて、ただでさえ農業団体が雑然として錯綜しておつて、それによつて力が減殺されているというような情勢の中に、またこれらの団体を用意しようとする意図を明確に持つておられるかどうか、お尋ねしたいのであります。

大坪藤市農林事務官(畜産局長)

○大坪政府委員 この法律といたしましてはそういうようなものは全然予定いたしておりません。ただ畜産組合の問題につきましては、畜産界その他いろいろな方面から一応の要望もありますので、私どもといたしましては慎重に検討いたしております。しかしこれは農業団体の従来のいろいろな問題、あるいは現在の農業協同組合等の問題がきわめて複雑であり、また非常に重大な問題でありますので、これは慎重に検討する、かような段階にとどまつているわけであります。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 さらにもう一度確認しておきたいのでありますが、畜産局長はそういう畜産組合というようなものが自然発生的にも生れていることを期待されているかどうか、そういうものは必要ないと思つておられるかどうか、これを率直にお伺いしたい。

大坪藤市農林事務官(畜産局長)

○大坪政府委員 法律制度の上に乗つかる畜産組合と申しますか、そういうような問題につきましては、法律そのものができなければそういう組合は成立しないのでありますが、農業協同組合の構成をかりましての畜産協同組合というようなものは現在もすでに相当あるのでありまして、これは農業協同組合として育成して行くようなことに相なると思うのであります。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 次に、法律の第四条の二に規定されていることで、家畜の貸付並びに購入の方法でありますが、これは従来は主として系統協同組合等が主体になつて行つた事業であります。今度は都道府県等が計画を立てて、直接購買して、それを貸しつける方法を講ぜられるわけでありますが、これらに対しては、従来のように協同組合、生産団体を主体として、これらの仕事を行わせるようなお考えであるか、または府県等の自治体が主体になつてこれをやろうとするのか、そういう点についてお伺いしたいのであります。

大坪藤市農林事務官(畜産局長)

○大坪政府委員 もちろん農業協同組合を中心といたしまして家畜を導入して参りたいと思うのであります。ただ農業協同組合がどうしても家畜の導入ができないような場合が生じて参りました場合に、府県がかわつて自己資金で導入するということはあり得るのでございますから、その道を開いておるだけの問題でありまして、全体といたしましては、協同組合中心に導入して参るということについては問題ないわけであります。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 有畜農家創設事業が始まつてから、価格が非常につり上つておる傾向にあるわけであります。これらのことは、これを生産して売る方の生産県側にとつては、高いほどけつこうでありますが、国内における無畜農家を解消するという立場からいうと、なるたけ適正妥当なる価格でこれを購買して、家畜を持つておらない農家に渡すというところに主点が置かるべきだと思うわけでありますが、これらの問題は、購買の方法とか何かによつて相当改善ができると思うのであります。各府県が競争して買付地に殺到してせり上げるような方法を、もう少し合理的に改善して、何か一元的な購買の方法等をお考えになつておるかどうかお伺いしたいのであります。特に生産団体等に対して、それを主体にしてやらせるという御意思がある場合においては、一例においては全販連等の系統を利用して、政府が背景になつてそれらに一括買上げの措置を行わせるというような措置は、どのように考えておられるか。

大坪藤市農林事務官(畜産局長)

○大坪政府委員 昭和二十七年の三月ごろ本措置がとられるということになりまして、ある程度家畜の価格が上りましたことは事実であります。その苦い経験にかんがみまして、できるだけ一箇所に家畜の買付が殺到しないように、各県別に供給県と需要県とをおのおの調査をいたしまして、供給県は大体何頭の乳牛にいたしますれば乳牛の県外搬出ができるか、あるいは各県から何頭購買をする、こういう計画を家畜の頭数を調べました上で政府として立てまして、一箇所に家畜の買付が殺到することのないように、また家畜の買付に参りましても、おおむねその県の供出能力と申しますか、県外搬出能力に即応するような需給がとれて行く数量にとどめておる次第であります。従つて昨年のように一箇所に買付が集中して、その結果値段が上るということは、本年は防止し得るのではなかろうかと考えておる次第であります。

井出一太郎改進党

○井出委員長 有畜農家創設特別法案に対する質疑は後刻続行することにいたします。     —————————————

井出一太郎改進党

○井出委員長 次に農業機械化促進法案を議題といたします。質疑に入ります、安藤覺君。

安藤覺自由党(分)

○安藤(覺)委員 この機械化法案において目的とするところは、農業を営む者が農機具を導入し、または農業を営む者が組織する営利を目的としない法人が、これを組織する者の共同利用に供する農機具を導入するのに必要とする資金につき、長期かつ低利の資金を確保するよう必要な措置を講ずるということが目的になつておるのでありますが、この場合においてはこのお言葉の内容は個人を対象とする場合がはつきりと意識せられておるのでありますかどうか。  それからもう一つ、必要な措置を確保するということについては、その必要な措置という内容は、具体的にどういうふうに構想しておられるのでありましようか、まずそれを承りたいと思います。

平野三郎自由党

○平野(三)委員 この法文といたしましては、個人を対象にしよいようにお考えになるかもしれませんが、実際においては個人に対しましては対象にいたしておるのであつて、現在におきましても、農業協同組合から代貸をすると申しますか、そういう形式をもつて実際には個人も対象にいたしておるわけであります。従いまして法の精神としてはお話の通りでありますから、さらにこれを明確にするために、本法案に対しまして御趣旨のような修正をいたす方がけつこうであれば、さようにいたすということも考えておるわけであります。  次に必要な措置と申しますのは、要するに低利資金を融通するということでございまして、現在でも予算的には農林漁業金融公庫の中に四億円のわくを設けてこれを行つておるわけでありますが、これをさらに法律で明確にするとこういう趣明であります。

安藤覺自由党(分)

○安藤(覺)委員 この機械に対するところの検査合格証をもらわなかつた機具については、爾来販売を禁止することになるのですか。それは合格証を持たないで販売することにおいては自由なんでありますか。

平野三郎自由党

○平野(三)委員 検査は依頼に応じてやるという建前になつておりますので、依頼をしないものまたは不合格になつたものといえども何ら禁止するというようなことはありません、自由であります。

安藤覺自由党(分)

○安藤(覺)委員 これがともすると合格品でないものは販売ができないということは、優勝劣敗上やむを得ないことでありますけれども、合格証を受けるということについて、そこに将来ともすればいとわしい姿が出て来る場合があろうと存じますが、これらの点について何らかあらかじめ予防すべき方策というものはお考になつておられますか。

平野三郎自由党

○平野(三)委員 本法の目的といたしましては、農民になるべく優良なる農機具を供給したい、そのために農民に識別を明らかにするためにこういう検査制度を設けよ、こういうわけでありまして、ただいまのお話にもございましたように、よいものであれば自然に売れまするし、悪いものは自然農民自身の批判によつて排除されるということであつて、これは自然の成行きにまかせるのがよいのではないか。しいて、検査を受けないものは禁止するとかいうような処置はとらずして、とにかくいいものだけを取上げて、それを農民に奨励して、自然の流れによつて目的を達成しよう、こういう考えでございます。

井出一太郎改進党

○井出委員長 他に質疑はありませんか——芳賀委員。一問に限つて許します。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 一問に限られておるので、徹底しないかもしれませんが、この農業機械化促進法に対する期待がどれだけ持てるかということは、大きな疑問があるのです。ここに参考資料として、もう今年のこれに類似するような雑多な予算の費目を向上したものが配付されていますが、これらのものを集めて、それを土台にしてやるというようなお考えかどうか知りませんけれども、この法案全体をながめて、日本の農業を近代化するための推進力としてこういう法案ができたということであれば、非常につこうでありますが、その後段の方に行くに従つて、機械をつくつて農機具の規格検査をやるとか何とか、そういうところにだんだん重点が移つてしまつて、ほんとうに日本の農業の近代化と生産性を高めるというねらいは、しまいの方に行くと薄れるというふうなきらいが十分あるわけです。特に農機具に対する共同利用施設の融資等の問題は、従来も農業振興計画とか、いろいろな分野においてすでに行われておるわけでありますが、この法案が通つた場合において既存のこういう農機具等に対する融資の道、そういう体系はどういうふうにかわるかということをひとつお伺いしたい。  もう一つは、先ほど安藤さんも触れられましたけれども、これはどの程度までの機械化を規定するか。非常に小さい自動耕耘機であるとか、そういう程度のものを言うのか、あるいはまたさらに相当の牽引力を持つたトラクターであるとかあるいは中型の牽引車であるとか、それらのものまで発展させて考えるかという点も、あまり明確でないと思うのであります。この理由の中には、自動耕転機とか、カルチベーター、二段耕転機、そういうようなものをやつておるので、主として内地における五反とか七反百姓の規模の中における機械化ということを考えておられることと思いますけれども、もう少し、世界的な水準と言つては大きくなりますけれども、もう少し広い規模の上に立つた、角度の上に立つた共同利用施設というような機械化という点に対しては、どういうような意図を持つておられるかという点。  それからもう一つは、地域的に、たとえば府県単位くらいに、その地域に即応した農業の形態それに即応するような農具の導入というらうな計画は、そういう末端の方から策定されて、それにこれらの促進の法案がマッチできるような態勢になると非常にいいと思うわけでありますが、それらの結びつきに対しても、この法案はあまりに重さを置いておらぬというようなことで、ほんとうに機械化を促進しようとする場合においては、農業機械化に対する計画に即応したようなものでなければ、実効が全然上らないのではないかと私は思つておる。従来のような農林省関係の、これに関連があればあると言えるような費用だけをここへ集めて、一応かつこうをつくるという程度では、この法案は、名前はいいけれども死物にすぎないのではないかと考えるのです。質問が抽象的になりましたけれども、以上三点につきましてお答え願いたいと思います。

平野三郎自由党

○平野(三)委員 この程度の法律では農業機械化の目的が十分達せられないのではないか、期待がすこぶる薄いのではないかという御趣旨でございまするが、その点は提案者といたしましてもまつたく同感でございます。ただ御承知の通り、現在農業機械化に対しましては、何ら法制的な根拠がないわけであつて、従つてとりあえず、不満足でありますけれども、この程度の法案をもつてまず橋頭堡を築いて、そうして漸次お話のような趣旨を実現するために今後努力して行く、まずそういう意味において一歩前進であるという考えのもとに、この法案を出したような次第でございます。従つて金融の面につきましては、現在やつておることを法制化したということではありますけれども、しかしながら、こういう法律ができますれば、現在行政的にやつております金融措置も、法的裏づけができるわけでありますから、来年度の予算の獲得等にあたりましても、さらに増額を要求するという根拠が出て参りまするし、まただんだんお話のございました農機具は、現在のところでは大体日本の国情に即するような、日本の零細な農業経営に適応するような程度の農機具を考えておるわけですが、将来はさらに大規模な機械の導入も実現して行く、あるいはまたそれぞれ末端からの積上げによつて、さらに大きな農業近代化の目的を達成して行くというようなことも進めて行く、こういう考えでおるわけでございまして、いずれさらに近い将来においてひとつ皆さんの御協力を得まして、一層これを進めて行くようにいたしたいと思うわけであります。当面といたしましては、はなはだ不十分ではございまするが、一歩前進という意味において、ぜひこの法案に御賛成願いたいと思うのであります。

井出一太郎改進党

○井出委員長 これにて質疑は終局いたしました。本案につきましては、川俣清音君より、各派共同提案にかかる修正案が提出されております。この際修正案の趣旨の説明を許します。川俣清音君。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 私は各派を代表いたしまして、共同修正案を提出いたしたいと存じます。    農業機械化促進法案に対する修正案   農業機械化促進法案の一部の次のように修正する。   第二条第一項中「肥培管理、」の下に「有害動植物の防除、家畜家きんの飼養管理、」を加える。   第四条中「国は、」の下に「農業を営む者が農機具を導入し又は」を加える。   第六条に次の一号を加える。   四 農機具の修理施設及び運営  理由は、本法案は農民の要望にこたえた法案でありますが、十分農民の要望にこたえ得たとは思われないのでありますけれども、また高度経営の進展をはからなければならないのでありまするが、もちろんこれでは不十分でありますが、将来に期待できるものがありますので賛成するのであります。しかしながら、今申し上げましたように、第二条について修正をいたしましたのは、定義の点でございます。いわゆる促進法の対象になる物件を拡大いたそうという考え方でございます。第四条の修正点は、融資の対象を二本建にいたしまして、農機具の機械化促進をはからんとするものでございます。六条は、国の補助対象を拡大いたしまして、発展過程のもとに、その障害をできるだけ除去いたしまして、修理の万全を期すことによつて、農機具の向上発展に寄与いたしたいというところからの修正条項であります。  簡単でありますが、修正の要領を申し上げまして、皆さんの御同意を得たいと思います。

井出一太郎改進党

○井出委員長 本修正案について質疑があれば、この際これを許します。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 これは政府当局に、関連してお伺いしたいのであります。本年度農業予算には自動耕転機を中心とした融資のわくが大体四億くらいと記憶しておりますが、この場合、その規格を大体二十馬力ぐらいまでの牽引力があるものを一応対象とするようなお考えがあるかないか。これは地域的にも、北海道のごときは、現在のような自動耕転機ではなかなか条件や能率の上に適合しない面が非常にあるわけです。もう少し規模の大きいものも拡大して適用に入れるかどうか。そういうお考えを、実はさつきお聞きしたかつたのですが、お伺いいたします。

塩見友之助農林事務官(農業改良局長)

○塩見政府委員 平野さんからお話のありましたように、資金源が非常に少いので、やりたくないような制限をやつておるわけですけれども、できるだけ広げたいと思つております。できれば資金源を広げて、機械化全体の趣旨に沿うように努力をして参りたいと思います。今の具体的な、馬力の問題につきましては、十分検討して広げるように努力したいと思います。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 大体最大の限界において御努力を願うということで了承しておきますが、さらにこの法案が通過した場合、すでに共同施設や何かで購入した分に対する無理な金繰りをしておる場合が非常に多い。そういう場合においても大体及ぶ限りこの適用の恩恵に入れてやるという必要があると思いますが、そういう配慮はどうでありますか。

塩見友之助農林事務官(農業改良局長)

○塩見政府委員 全体が資金源が足りないために農民の方には非常に御迷惑をかけているわけで、資金源が豊富にあれば当然その中に均霑させたいと思うものもたくさんあります。あまり昔に古くもどつたのではやはりいろいろ困る場合もありますけれども、そういうふうな状態にありますから、そういう点は弾力性をもつて、できる限りの救済をやりたいと思います。

井出一太郎改進党

○井出委員長 他に御発言がなければ修正案に対する質疑はこれをもつて終局いたします。  これより修正案及び原案を一括して討論に入ることになりますが、討論の通告もありませんので、これを省略してただちに採決に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井出一太郎改進党

○井出委員長 御異議なしと認めます。よつてさよう決しました。  それではこれより採決に入ります。まず各派共同提案の修正案について採決いたします。この修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕

井出一太郎改進党

○井出委員長 起立総員。よつて修正案は可決されました。  次にただいまの修正部分を除く原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕

井出一太郎改進党

○井出委員長 起立総員。よつて修正部分を除く原案の通り決しました。これにて本案は修正議決いたしました。  なお本案に関する委員会報告書の作成につきまして委員長に成一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井出一太郎改進党

○井出委員長 御異議なしと認めます。よつてさよう決しました。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時十五分散会

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