農林委員会 第21号
- 発言数
- 115 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1953/07/21
会議録
○井出委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、参議院送付にかかる開拓融資保証法案を議題といたし、質疑を行います金子與重郎君。
○金子委員 開拓者の経済的な基礎が薄弱であつて、しかも一応入植いたしました開拓者が、今後いかなる方法で経済的に基礎的な安定をするかということに対しては、非常な重要な問題でありますので、この際、開拓融資保証法を出して、資金関係に一手を打つて行くということは適切なことでありますが、問題は日本農業の特質といたしまして、企業的に成り立たない。一般の旧農耕地でさえ企業採算としては成り立たないという大きな宿命を持つておるのでありますが、その上に開拓者は、比較的地質におきましても環境におきましても、すべて経済的な面から見て不利な状態にあることは、これは現実の問題であります。従つてこれらの融資の面にあたつて一番問題になりますのは、利子の利率の問題でありますが、今度の開拓融資に対する利率の問題に対して、政府はどういうふうな見解と、どういうふうな行き方をするか、具体的に御説明願いたいと思います。
○平川政府委員 利子の問題はこの法案に直接にはうたつておりませんが、この機会に農林中央金庫とも交渉をいたしまして、農林中央金庫といたしましては、現在日歩二銭六厘でこの短期融資をいたしておりますが、これを二銭四厘までは無条件に下げるごとに同意をする、しかしわれわれといたしましては、二銭四厘でもなお不十分である、さらに二銭二厘ぐらいまでこれを下げてもらいたいという折衝をいたしております。これにつきましては、他の農業手形その他との関係もありますので、中金側といたしましては、二銭二厘まで下げるについては、日本銀行の適格手形にとつてもらうというような点について、さらに一応交渉をいたした上で決定いたしたい、こういうことでございまして、われわれといたしましては、一銭二厘ぐらいまでぜひ下げたい、かように考えております。ただ若干そういう問題が残つておるわけであります。
○金子委員 そうしますと、特別な利子補給なり何らかの工作をせなんでも、一つのやり方で農手並には行くという見通しでありますか。
○平川政府委員 農手の方は中金としては二銭でございますが、そこまでは実は無理と思います。但し農手の方は、末端に参ります場合には二銭五厘になつております。こちらの方は開拓協同組合を通します関係上、中金から二銭二厘で出ますれば、少くとも農手よりは安く行くというように考えております。
○金子委員 それが矛盾なんです。たとえば今の協同組合系統を通つておりますものは、中間において利ごやというものを若干持つておるのでありますけれども、今の開拓関係の融資には、中間機関というものがただで行つているものがたいへんある。これは実際問題として、今開拓している人たちは長くやる意気込みでやつておりますから、こういう状態で間に合うけれども、これを恒久的にやるということになると、一つの事務なり仕事をするということになりますと、ただできるということはありませんので、従つて今までの基金のあり方や何かが、直接中間利ざやというものがなくやつているからといつて、それだから末端に行けば大差はないというふうな問題は、今までもあつたのでありますが、この場合も中間機関というものがこの金を取扱つて、相当とは行かなくとも、ある程度までの手数料がないと現実にやつて行けないのですから、手数料をつけてもその線に行けるという考え方でないといかぬと思う。その点はどうお考えになりますか。
○平川政府委員 この保証協会に対する政府の出資金というものがございまして、これが利子を補うわけであります。この利子は中央及び地方の保証協会の事務費に充てたい、一応私どもはそれでまかなえるのではないかと思つておりますが、しかし、もしまかない得ないといたしましても、この中間の事務費に該当すべき利ざやというものは、現在の農手の系統機関がとつておりますような大きなものは、とうていいらないのでありまして、利子収入もあることでありますので、かりにとるといたしましても、せいぜい一厘か二厘で済むのではないか、従つて末端においては農手が二銭五厘でありますのに対して、かりに中金から二銭二厘で出しますればどう悪くても農手よりは悪くなる気づかいは絶対にない、かように考えております。
○井出委員長 他に御質疑はありませんか——なければ、これにて質疑は終局いたしました。 お諮りいたします。これより討論を省略して、ただちに採決いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井出委員長 御異議なしと認めます。 これより開拓融資保証法案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔総員起立〕
○井出委員長 起立総員。よつて本案は原案通り可決すべきものと決しました。 —————————————
○井出委員長 次に、土地改良法の一部を改正する法律案を議題といたし、前会に引続き質疑を行います。川俣清音君。
○川俣委員 これについて農地局長の御答弁を得て十分審議いたしたいと思うのです。第一の問題として提起いたしたいのは、農業に関する法律が出るたびごとに、または改正される場合、その一つ一つを見ると、いずれももつともな方策が盛られてあつて、まことに時宜に適したものだと思われるし、また農民の期待に沿うものだと思われるのでありますが、これらの法律が末端に行つて行われる場合におきましては、少しばかりの予算が各方面から流れて来て、ほんとうに実の成るような結果が来ていない場合が多いのであります。この法律も改正されました結果、かなり今までの手続を簡素化して、事業目的を達成しようという意図でありますことはよくわかりますが、問題は、手続を簡素にするということも必要でありますが、簡素にした場合に、それに伴うところの予算化ができていなければ、どんなに手続を簡素にいたしましても、目的が達成できないと思うのであります。この予算について簡素化から来るところの——簡素化というものは事業を達成させようとするところから簡素化するのだと思うのでありますが、さてこの簡素化する目的であるところの事業の発展を願うとしますれば、どのように予算を多く組まれたかという点を、御説明願いたいと思うのであります。
○平川政府委員 手続を簡素にいたしますについて、そのために特別に何か事務費をよけい要するということはないのじやないかと私どもは考えております。これに伴つて特別の予算措置は別に講じておりません。
○川俣委員 今まで手続を非常にむずかしくとつたのは、私は反面において予算を持つてないから予算削減の上からもいろいろと制肘を加えておつたように見えるのです。たとえば積寒法にいたしましても、いろいろな手続を経なければ予算獲得ができないというふうに確かに法文上の欠陥はあつたけれども、予算は十分に伴つてない、土地改良を設定いたしたいというような希望に十分沿い得ない。それでは現在までこういう希望があつたのに対して、予算面から言つて一体何パーセントくらいその希望を満たしていたのですか。
○平川政府委員 何パーセントというほど正確には申し上げかねますけれども、現在までのたとえば団体営等あるいは積寒法に基く土地改良の事業にいたしましても、これの審査というような面につきましては申請のあるものはすべて審査をいたしております。ただ問題は、事業費の方が非常に制約を受けておるために、せつかく申請を受け、しかもそれが計画から見て、採択してよろしい事業であるというふうに判定いたしましても、事業費の関係でできないということでございまして、申請そのものに対する審査はすべていたしておるわけであります。
○川俣委員 私の言うのは、すなわち事業費が十分盛られていなければ簡素にしても——簡素にしたから十分予算がついて来るであろうと思つて期待しておるのだろうと思う。問題は簡素にすることは予算が伴うと思つて期待いたしておるので、法文上の期待じやないと思うのです。結局事業費がこれだけついて来るというところに期待があるので、簡素化されることにもちろん期待を持ちますけれども、それは予算が伴うからそこに期待があるのだというふうに私どもは見るのですが、局長はそう思わぬのですか。ただ法文を簡素化すればそれで目的は達成したのだというふうにお考えになつているのですか。今日農民の要望、各府県の要望は、法律上の簡素化でなくて、簡素に申請したならばただちに事業費がついて来るというところに期待があるのだと私は思うのですが、そうはお考えになつておらないのですか。
○平川政府委員 これはもちろん御意見の通り、農民の一番の希望と申しますか、これは希望の事業が急速に達成され、それに必要な事業費が迅速に交付されるというところにあると思います。ただこの問題は一応予算の問題でありまするから、やはりこれだけの事業を国策の中で特に重点を置いてやらなければならぬ。そのためにこれだけの予算を組まなければならぬという問題として考えておりますので、この手続の方は一応予算とはもちろん矛盾もしませんし、必ずしも何と申しますか、予算が多い方がいいし、手続は簡素な方がいい、こういう関係にあると思います。そういう意味におきまして、予算は予算で今後またできるだけ十分にとれるように進めて参りたいと思います。同時にせつかく金があるのに、逆に手続が煩瑣なために、事務的に遅れるという面を防ぐ意味において、やはりこの改正が意味があるのじやないか、かように考えております。
○川俣委員 手続が非常に複雑なために、せつかくの申請が事業の目的を達成するために時期が遅延する。それを何とか救済しなければならないというお考え方は、私はもつともだと思うのです。しかしそれが百パーセントの希望を満たし得る場合においてのみ、これは確かに仰せの通りなのです。どうせ申請したつて全部の要望が達成できない。各府県からの要望におそらく二〇%程度より沿い得ないだろう。あるいは二五%より沿い得ないであろう。簡素化することに私は反対でないけれども、簡素化しただけで目的を達成するというような考え方について、もう一ぺん考えてほしい、こういうことを言つておるのであつて、簡素化そのものについては反対じやない。簡素化するからには、おそらく多くの農民はこれによつて期待通りの金がすみやかに来るであろう。申請されたものに伴つて国の補助があるであろう、こういうことに期待をかけておるのであつて、事務はむずかしい、手続が非常に複雑だということは、金の来ることが遅いということと同時に、それよりももつと予算化が希望されておるというふうに考えるべきだと私は思うのです。大体土地改良法というのはいい法律だといわれておりますのは、法律がいいのではなくな事業がよろしいのであつて、事業が達成しなければ法律などは無意味だということになる。従いまして積寒法が出て参つたり、あるいは傾斜地の問題が出たり、海岩砂丘地の問題が出て来たり、灌漑畑地の問題を取上げなければならない。これはこの法律でやれるのです。この法律でやれないと思いますか、やれると思いますか。その点どうお考えになりますか。
○平川政府委員 それはまさにこの法律で十分できると思います。
○安藤(覺)委員 関連して……。川俣委員の言つておられるこの法律のみならず、すべての法律がそうでありますけれども、末端に行つてまつたく農民の食につきにくいものになつてしまう。この法律においても同様な姿が現われて来る。これについては当委員会において現われた気持というもの、立法するほんとうの精神というものは、末端に徹底していないのじやないか。この意味においてこの法律が正しく施行されているかどうか、そしてよりよくこの法律の目的が達成するように要請されているかどうかということについて、本省の方から随時督励員ともいうべきものを派遣せられて、あるいは会議を招集せられて、徹底させるような考え方を持つておられないかどうか、その点だけを一点承りたい。
○平川政府委員 末端におきまして法律がその趣旨とするところを正しく運営いたしますように、適当なるときにある程度巡回的に係官を派遣いたしますとか、あるいは系統の農地事務局あるいは府県の係官を集めまして、趣旨の徹底に努めるとか、ことに改正当時におきましては、ある程度念入りに全国的に一応趣旨の徹底をはかりたいと思つております。
○川俣委員 今の局長の答弁によりますと、積寒法にいたしましても、あるいは砂丘地にいたしましても、砂地にいたしましても、灌漑畑地にいたしましても、この法律でやれるという御説明です。私もそういう見解を持つております。しからばなぜそういう法律案が出て来るのか、この法律案が一つあればいいのに、なぜ出て来るかという問題です。これはこの法律に予算の裏づけがないためにいろいろな法律が出て来るのです。予算獲得のために出て来るのです。そうお思いにならないですか、この法律が不備なために出て来るとお思いになりませんか、予算が不足のために、予算獲得のためにこういう特別立法が出て来るとお思いになりませんか、その点お伺いいたします。
○平川政府委員 やはり予算がそういう施設に対して十分つかない。それを法律の力によつて予算がはつきりするようにしたい、こういう御趣旨だろうと思います。
○川俣委員 私はそういう意味で、この法律をわざわざ簡素化されましても、予算が多くついて来なければ、簡素化した意味は達成できないのじやないか、こういうお尋ねをさつきからいたしておるわけです。簡素化が目的でなくて、簡素化に伴つて予算が増額されて来るということでなければますます希望に沿い得ない結果が出て来る。今まで十件出たものが十二件、十五件と出て来る形になるだろうとう思。今までは手続が非常に複雑であり、いろいろな問題がありましたために、相当制約を受けておつた。今後それが簡素化してますます出て来るのは好ましいことです。土地改良の上から多くの申請の出て来ることは好ましいことです。しかしながらその割合がだんだん予算の面からいつて制約を受けて来るということでありますれば、法律ではたくさん出ることを奨励しながら、予算の面から制約するということでは、その目的が達成できないのじやないか、その点をいかがお考えですか。
○平川政府委員 まさにこれは御意見の通りでありまして、私どもといたしましても、事業費の予算は現在の程度ではいかぬ。これを十分拡充する必要があると考えておるわけです。ただこれは予算の折衝の問題になりますが、明年度におきましてはことにこれに力をつぎ込みたい、かように考えております。
○川俣委員 委員長、今お聞きの通り、局長の説明ではその趣旨はよくわかるので、予算化が問題だ、こういうことになります。そうなりますと、これは局長だけの御答弁では不十分なのでありまして、その点では大臣の御出席をお願いしなければならないと思います。大臣の御出席があつてから討論するようにあとの手続をお願いをいたしておきます。質問は続行いたします。 今度は部分の問題ですが、法文の上から二、三の問題をお尋ねいたしたいと思います。今まで、総代のときに、総代は五百人以上でなければならなかつたのを、今度は三百人にかえられたのであります。それも私は運営上かくあるべきだと思うのですが、さらにこれを二百人とか百人にできないのか、どういうところから三百人というふうに限定されたのか。五百人以上の組合員でなければならなかつたのを三百人とされたということは、私は全体の運営の上から必ずしも悪いことではなくて、むしろ好ましいことだと思うのですが、さらにこれを二百人とか百人にできない理由はどこにあるか、この点の御説明を願いたいと思います。
○平川政府委員 これは別に三百人が絶対というわけのものでもないと思うのであります。ただ農民の意思が正しく反映することのために必要な限度というものを考えておりまして、たとえば総代会を設けますにしても、総代の数は何十人以上というふうに、その程度のものは置かなければならないということになつております。一方便宜という点からいえば、なるべく少いところまで総代制を認めるということにもなりますが、あまり少いところまで一挙に下げるということは、農民の意思を正しく代表するという意味において、あまりに疎になつてしまうのではないかというような意見も法制局等にございまして、一応この程度まで引下げるということにいたしたわけであります。
○川俣委員 これは土地改良区の実際の例ですが、実は二百人でも百人くらいでも総代会を設けておるところがあるのです。法律に基かないというふうにあなた方はお考えになるかもしれないが、実際の運用としては行われておるわけです。しからばそういう運用が行われておるのであるからして、やはりこの条項に規定することの方が正しい運用ができるのではないかという考え方をいたすのでありますが、この点いかがですか。
○平川政府委員 これは、二百人とか百五十人とかいうような場合には、形式は総会でありましても、委任をすることができることになつておりまして、一人が数人分の委任を受けて総会を開くということで、実際上は総代会という目的を達しておる、かように考えております。
○川俣委員 問題はそこにあるのです。委任を受けるというところに問題があるのです。従いまして、その委任というものが、非常に信頼を受けた場合もありまするし、あるいは一つの策動によつて行われる場合も起つて来るわけです。だから法制化の必要があるのではないか、こういう点なんでして、この点についてもう少し御研究願いたいと思う。これは実際に行われておるのであります。むしろ法制化しておらないために弊害が出て来る面が大きいのじやないか、こういうところから御考慮を願わなければならない。こういうことですから、これは御考慮をお願いしておきたいと思います。 次は、今度の修正で利害関係人の意見をかなり粗略にしておるような傾向があります。私どもは、今までこういう問題は一利害関係人からのいろいろな異議がありましたために、なかなか仕事がうまく行かなかつたということも認めるのでありますが、それをこう粗略にするというと、また弊害が出て来るのではないかという考え方をいたすのでありますが、その点はどういうふうにお考えになりますか。
○平川政府委員 利害関係人の発言の機会を奪つたということはございません。ただ手続が、従来は予備審査、本審査と二段階ございました。それが実は簡素化の一つのやかましい題目になつておつたわけであります。予備審査というのが、あまりにめんどうな、本格的な手続を要求しておりましたために、これを簡素にしてもらいたいという要求が、非常に強かつたのでありまして、今回の改正では、その予備審査というものを、事業の適否の認定をいたすということにとどめまして、本格的な異議の申立てというようなことをして持つて来ないでもよろしい。そのかわり本審査のときに、この利吉関係人の異議というようなものは、正式に一定の手続をとる機会を与えております。そのときだけにいたしたい、かようにいたしたのでありまして、利害関係人がそのために何か発言の機会を失うというような、そういう弊害はないかと思つております。
○川俣委員 利害関係人の意見を聞くというふうになつておつたり、あるいは利害関係人の同意を得なければならないというふうになつておるが、同意と意見を聞くというのと、どこに相違があるのですか。
○平川政府委員 同意はこれはまつたく同意でありますから、利害関係人が反対であるという場合には、いけないわけであります。意見を聞くことは、その意見を参考に聞くということでありまして、その意見が反対であつても、必ずしもその通りにしなければならぬということはない。しかし尊重はもちろんいたさなければなりませんけれども、絶対にそれが反対であればできないというものではないというところが違うわけであります。
○川俣委員 それではさらにこの問題についてお尋ねいたしますが、設立の場合には利害関係人の意見を聞くのですが、事業変更の場合には利害関係人の意見を聞かないでもよろしいのですか。この点がどうも明瞭でないようでありますが……。
○平川政府委員 変更の場合にも利害関係人の意見を聞くというふうになつております。四十八条の第二項に、地域内の組会員の同意を得なければ、重要部分を変更することはできないという趣旨がうたつてあります。
○川俣委員 それは、組合員の同意は得なければならぬでしようが、利害関係人の点はどうなつておりますか。
○平川政府委員 第三項で準用いたしております第九条、この規定によりまして、その意見を聞くことになると思うのであります。
○川俣委員 次に、農業委員会が交換分合計画を決定できることになつておりますが、その農業委員会の交換分合計画の決定と本法との関係を、一体どのようにお考えになつておるか、この点お尋ねいたしたいのですが、土地改良区の設定計画がなされる場合に、農業委員会の意見を聞くことが必要だという規定も別にないようであります。しかしながら交換分合の計画と土地改良の事業とは非常に関係が深いのでありますから、交換分合の計画だけは農業委員会の意見を聞いてこの土地改良の方はあえて聞く必要はないという見解はどこから生ずるのですか。
○平川政府委員 市町村農業委員会に対しましても、やはり利害関係人として意見を述べる機会が与えられておるわけであります。
○川俣委員 農業委員会は交換分合の計画ができるわけですね。ところが土地改良の方はできない。広い意味からいうと文換分合もまた土地改良の一部であります。その一部はできるが全体はできないという理由がはつきりしないのです。土地改良の方はただ意見を聞くだけだが、交換分合の方は計画が決定できるわけです。一部は決定権を持つておつて、全部には決定権がないというこの区別をされたのはどういうわけですか。
○平川政府委員 土地改良の事業自体になりますと、これは一種の事業でございますから、土地改良区というような経済的な事業のできるような主体にだけやらせることはやらせる。ただ土地の権利関係の変更というような交換分合——見方によりましては、お話のように、これが基本であるということも言えますけれども、事業の性質としては、交換分合であるとか、あるいは土地改良の跡始末の換地処分であるとかいうような権利関係の問題につきましては、これは農業委員会にやらせることも可能で、けつこうだと思います。ただ事業自体になりますと、これはやはりそういう経済行為のできるような主体にやらせたい、こういう考えであります。
○川俣委員 農業委員会が実行団体となり得ないから、土地改良の事業に参加することはできない、こういう御答弁ですが、私のお尋ねしているのは、交換分合の計画が決定できる、従つて土地改良区の設定の計画もできなければならぬと思うが、これは私は強要するのじやないのですよ。土地改良の一部であるところの交換分合計画は決定できる。しからば土地改良区の設定計画等もできてもいいのじやないのか。もしこれができないとすれば、交換分合の方もやめさすべきではないか、こういう意味なので、必ずしも農業委員会に全部やらせなければならないという意味でお尋ねしたのではないのです。土地改良区の設定及び設計計画というものと、交換分合の設定計画というものとは、不可分な部分もかなり出て来るわけです。こういう場合に、なぜその計画について、片方には権限を持たし、一方においては権限を制約するのか。この制約している理由がわからない、こういう意味でお尋ねしているのです。
○平川政府委員 これはやはり土地改良事業全体として見ますと、原則としては土地改良区というものが、土地改良の交換分合を含めました広い意味における土地改良事業全体の主体として、そのために守門的に設けられる主体でございますから、これが第一次の主体として本体であるあると考えておるわけであります。ただしかしながら、事柄の性質によりまして、たとえば協同組合にやらしてもいいものもあろうし、また農業委員会にやらしてもいいものもある、あるいは市町村にやらしてもいいものもあるとわれわれは考えておるわけです。あくまでも土地改良区がこれの第一次的な事業主体としてのものである。本体である。しかしただいま交換分合については農業委員会がやることを認めてもいいじやないか。しかしさればといつて、その場合におきましても土地改良区が行うことをもちろん認めておるわけです。しかし協同組合や、あるいは農業委員会にも、ことに交換分合については、やらしていいじやないか、こういう考え方であります。
○川俣委員 そうすると、交換分合は事業主体になつてもいいというような御答弁ですが、私は実はそこまで問い詰めておるのではないのです。問題は、交換分合の計画は農業委員会が決定するわけです。土地改良の中にどうしても権利の移動が行われて来るわけです。従いまして問題は、土地改良の中に権利の移動に伴うところの問題が含まれておる。交換分合の点についてだけ農業委員会は決定できる。その他の点についてはただ意見を聞けばいいというだけでは、どうも統一がないのではないか。土地改良には必ず権利の移動が伴う。権利の移動が伴わないものはありません。水利権にいたしましても、あるいは土地の地番の移動がかなり行われるわけです。道路等によりまして権利の一部が喪失したり、あるいは造成したり、いろいろな変化が来るわけです。権利に関係のない土地改良というものはありません。そこで農業委員会には交換分合の計画ができる。土地改良の事業主体の問題ではないのです。計画を農業委員会が決定できないというのはどういう理由によるのか。この理由を聞けばいいので、私はこうしなければならないという、強要ではないのです。理由がはつきりしない。もしも土地改良というふうなことは事業主体がやるべきである。こういうことになりますれば、交換分合だつて手業主体がやればいいのではないか、こういうことになりはせぬか。ちよつと中途はんぱに農業委員会を使う点についてどういうようにお考えになつておるか、こういう意味です。御答弁を願います。
○平川政府委員 そういう御意見でありますと、あるいは農業委員会がこの交換分合だけについては主体になれるということが行き過ぎではないかといつたふうにも考えられるのでありますが、土地改良事業全体として見まして、これは事業をも含めて、その計画の決定についても事業主体が計画をきめるのが、もちろん一番いいわけでありますから、そういう意味で、計画も事業の実施も含めて土地改良を行うのを本体とする。しかし逆に、お話の中にちよつとありましたように、換地計画等になりますと、これは必ず伴う場合が多いのじやないか。その場合については、五十二条におきまして、六項、七項等に、逆に農業委員会の同意を得なければならぬということを入れておるわけであります。しかし農業委員会に対する関係としては、そういう換地計画の場合に委員会の同意を得るというようなことを一方で規定しておけば、主体としては、やはり計画の主体も事業の主体も、土地改良区を立てる方がすべての組織がそれに最もマツチするようにできる。それが最もよろしいという考えでつくつて参つたのであります。しかし例外的に、たとえば協同組合だけでやつてもよろしい、あるいは農業委員会にも、交換分合だけならばやらしてもいいじやないか、こういうことで、例外的に認めておる、こういう考え方であります。
○川俣委員 局長の答弁は、どうも私の質問していることの要点を十分把握されてないようでありまして、私の質問の仕方にもよるかもしれませんが、私は初めからこうしなければならないというような意見でお尋ねしているのじやないのです。私は事業主体が市町村であつたり農業協同組合であることにはあえて反対しない。また事業主体というものはかくあるべきだと思うのですが、問題は計画なんです。土地改良区を設定する場合には、かなり利害関係が出て来て、これは必ず農業委員会の意見を聞かなければならぬような問題が計画の中に出て来るわけです。私は農業委員会がある以上は——これがなければ別ですが、ある以上は、現在農業委員会が動いておるといたしますれば、土地の移動、権利の移動等について、あとで意見を聞かなければならぬということになつて来る。やはり最初から十分な設計、計画の中に意見を織り込んで計画されるべきじやないかというのが私の最後の問い詰めたいところなんです。農業委員会の現在のあり方についてはいろいろ意見がありますが、この農業委員会法がある以上、土地の権利について発言権を持つている以上は、土地改良区の設定についてはこの意見を入れなければならないのじやないか。こういう考え方でお尋ねいたしておる。農業委員会のあり方についてはまた意見が別ですが、現在あるままの姿とすればこれらの意見を入れて計画されなければならぬのじやないか。事業主体が事業のやりよいように計画する場合、権利にいろいろの関係を持つて来る意見というものを入れて設計がなされなければならぬのじやないか。私はこういう意見なんですが、この点はいかがですか。
○平川政府委員 やはり土地改良事業を行います場合には、その改良によつて利益を受け、あるいは負担をいたすべきような農民の意思が最も反映するような組織が必要なわけであります。そういう意味から申しますと、やはり土地改良区というものはそういう目的のためにつくられておりまして、一番それに適合しておるわけであります。しかしお話のごとく、その計画について、農業委員会というものが現在あるわけでありますが、これらの意見を聞くことがよろしいし、これは利害関係について意見を述べる機会を与えてある。またそれが権利関係と換地処分というようなことに関係のある場合には、農業委員会の同意を得なければならぬという制度を設けておる。要するに農業委員会というものがまた別の目的を持つて、ある意味からいえばもつと広い意味の仕事をいたしておる。そのために適当な選出方法をもつて構成されておる機構でございますから、土地改良の目的からいたしますれば、最もこれにマッチした組織を持つておる土地改良区というものを表に立てて、そうしていろいろ村に関係のある機構の意向を徴するチヤンスを与えておる。しかし土地改良事業の中でも、先ほど申しましたようないろいろな組合あるいは委員会等にまかせてよろしいような部分的なものについては例外的にこれを認める。こういう考え方でありまして、多少考え方の違いということにもなろうかと存じますが、そういう考え方では、一つの統一した考え方をとつておるつもりでございます。
○川俣委員 どうも局長は農業委員会の現在の機構及び任務を十分御理解にならないところからする御答弁じやないかと思うのです。私は農業委員会が事業主体にならなければならないというような質問をいたしておるのじやないのです。たまたま交換分合が事業主体的な地位を持つということもあるけれども、これは例外であるというふうには私も認める。その意味ではなくて、土地改良という内容の中には農道の変更あるいは水路の変更等が行われまして、水路の変更が行われますると、当然土地の所有権の問題とぶつかつて来るわけです。問題は、農業委員会というものはこういう土地問題の紛争をも取扱うのでありますから、単なる利害関係人だというふうに見られるのは農業委員会のあり方に対する十分な認識がないのじやないか。これは利害関係人というよりも、そういう利害の衝突の調整機関でもあるわけです。その調整機関を利害関係人と見るのは私はおかしいのじやないかと思う。裁判所を利害関係人と見るのと同じで、調停機関を利害関係人だと規定して、それで十分な意見が反映するのだと見るところに私は無理があると思う。一方農業委員会の委員はこの中の組合員である場合が多い。だから利害関係人だと見るのはどうも実際に当てはまらないところが出て来る。農業委員会の意見を利害関係人の意見として聞かなければないという考え方でなしに、今のように土地紛争に対する調停役を受持つており、その紛争に介在しなければならないものでありますから、それらの設計については、それらの意見を初めから取入れてなすべきではないか。こういう意味でお尋ねしておるのであります。
○平川政府委員 あるいはそういう意味で農業委員会の意見をまず聞くという制度も成り立つかと思います。それも一つのあるいはよい制度かもしれません。その点研究いたしてみますが、さしあたりの私どもの現在出しております案の考え方といたしましては、農業委員会が農業委員会として農地改良なりその他のいろいろの目的、事業についての権限を持つておりますことと相対しまして、土地改良区というものが本来土地改良事業を目的としておる。そのために必要な人間をみな合理的に集める、その意思が適正に反映されるような機構をもつてこれがつくられておるわけであります。その他の、極端に申せば、土地改良区だけをこの土地改良事業の計画主体、事業主体として、それ一本で行くという考え方も土地改良の建前としてはあり得ると思うのであります。その場合において、その計画自体については、あるいは農業委員会の意見を聞く、あるいはその他の意見を聞く機会を与える構成というものはもちろん考えられるわけであります。この案については農業委員会というものは、一応利害関係人の中に入れて考えておりますけれども、これをさらに独立した何かもつと重要なる段階としてその意見を聞く制度を設けるべし、これは一つの御意見であろうかと思います。しかしさればといつて農業委員会をこの土地良長事業の計画を決定する機構としてまつ先に立てる、あるいは土地改良区と同等に立てるということについては、多少行過ぎじやないだろうか。私どもといたしましては、一応それは土地改良区にやらせて、農業委員会等についてはこれに対して意見を述べる機会を与える。その与え方が利害関係人という程度では少し薄弱ではないか、こういう御意見かと思いますが、一応そういうことで意見を述べる機会を与えまして、しかしお話の中にありますような、土地の権利関係に影響のあるものについてははつきりと委員会の同意がなければならぬ、こういう制度にいたすことによつて大体適正な運用ができるのではないか、かように考えたわけであります。
○川俣委員 どうも私の問わんとするところと答弁とは食い違つておるのですけれども、時間がかかりますから、この点はほんとうはもうちよつとお聞きしたいのですが省略したいと思います。 もう一点これに関連して……。手続が簡素化されたことは私は非常に望ましいことだと思うのです。なぜ今までこんなにやかましい規定をつくつておつたか、こういう問題が出て来るわけです。蛇足であつたのか、またこの規定がなければならなかつたと考えておつたのか。そこで簡素化するからには、何らか自主的な解決をどこかに望んでおらなければならないと思う。それでは前にもどりまして、一体前の注文は蛇足であつたのか、あるいはこういう規定を入れなければならないとお考えになつておつたのでありますか、この点をお尋ねいたします。
○平川政府委員 これは理論的に考えますと、予備審査の手続で第一段階をやつて、さらに本審査をやる、これがいわゆる技術的な検討をいたす方法としては万全を期するゆえんである、こういう考え方はあり得るかと思うのであります。実際問題としましては、率直に申しますと、この法案をつくりますときには、司令部の指示によつてつくつておりました。この点についてはやや複雑ではありますけれども、手続を完璧にするというような点に当時の司令部としては非常に強い関心を持つておりましたので、強い指示があつたのであります。しかし実際問題として運用いたしてみますと、特に従来の日本の国情、農村の実情からいたしまして、これは複難過ぎる。むしろこの点は簡略にしても、かつ技術的に欠陥が生ずるようなことのないように、一応とにかく技術的にもちやんと目を通す。また利害関係人もちやんと発言の機会を得るということは、これほど複雑にせんでもできるのではないか。そこで予備審査の問題とかあるいは総代会の問題とか、これらをこの程度に簡素にしても、ちつともさしつかえないじやないか、こういうことが地方からもいろいろ強い意見として叫ばれて参りました。また実際私どもも数年の運用の結果、これで十分であると考えまして、改正をいたしましたわけであります。
○川俣委員 かえなければならないという理由はるる述べられた。その点はよく了承いたします。この前私がなぜこういう厳重な規定を置いたかということについて、当時は占領下であつたからという御答弁だけでは承服できない。このくらいの問題で強要されたから、それをのんだということにはならないと思います。強要したところの目的がどこにあつたと理解されておるのか、その理解がとぼしいと思います。私はこういうふうに理解いたします。局長にかわつて答弁するようなことになりましようが、強要したのは、おそらく個人の権利を十分尊重するという建前を強く表現しておるのだと思うのです。従つて手続を非常に複雑にしておるものだと思うのです。今度の改正は、全体の事業の成績を早く上げさせようというところに簡素化のねらいがあると思います。個人の権利と土地改良区全体の権利との間において、今度のねらいは、全体の利益を主にして建直されたのである。前の方は全体の利益もあるけれども、まず先に個人の権利を十分尊重しなければならないということろにかなり重点があつた、こう見るべきではないかと思いますが、どうなんですか。
○平川政府委員 御指摘のような点も確かにあると思います。それから先ほどもちよつと触れましたように、たとえば予備審査とかいうような手続を厳重にいたしておるという点については、そういう関係の個人の利益を擁護するということのほかに、事業自体を技術的に間違いのないように、慎重な手続を経させるという意味があつたかと思うのであります。そういう点については、これはりくつの上からいつて、そういうことが悪いということはございません。そこでそういう利益もあり得るというので、賛成をいたしておつたわけでありますけれども、それが実際運用してみると、手続上あまりに過重な負担になつているということでございます。
○川俣委員 どうも局長の答弁はおかしいですよ。認可を与えたり補助を与えたりするのですから、その計画が不十分であるから予備期間を置いたのだという御答弁にはおかしいと思います。当然許可したり認可したりして補助を与えるのでありますから、その前提となるものは、十分な調査なり、検討なりが行われなければならぬはずであります。この点は改正されようとされまいと同じであると思います。予備審査があるから十分の検討を加えて補助を出される、あるいは認可が与えられるというべきものではないと思います。予備審査がなくても、その点では同様だと思うのです。予備審査があつたのは、利害関係人と申しますか、組合員の意向を十分出させる機会を与え、異議の機会、紛争を調整する期間として予備期間があつたと思うのです。すなわち終戦後の個人の権利の尊重が非常に高く評価された時代においては、こういう手続をとらなければならなかつたと思うのです。そういう意味でありますから、これらを簡素化したからには、やはりどこかに問題が残つておると見なければならない。簡素化したからすぐ問題が解消したのではない。こういう複雑な規定を置かなければならないほどの問題があつたのが、なくなつたから簡素化したのではなく、こういう予備期間を置かなくても、内部的な関係において解決せられるであろうという期待がなければ、私は簡素化の意味はなさないと思う。予備審査の対象がなくなつたために簡略にしたのではないと思う。それよりも事業を主体に、遂行をすみやかならしめるために予備審査を省略したのだけれども、問題はやはり残つておる。その問題の解決を法律の上で解決するのではなくして、実際の面で解決しようということであろうと思うのですが、そうではないのですか。
○平川政府委員 それは確かにお話のように、法律の面において簡素になつた部分は、事実の面においてこれを補つて行かなければならぬと思うのであります。ただ必要最少限度の個人の権利、利害関係人の意向が十分反映するという程度のことはこれを確保しておる。だが従来の予備審査等の手続は、非常に慎重を期しておりまして、これならばお話のように個人の権利を守るのに間違いないという点に非常に重点が置かれておつた。今後はその点は必要最少限度の手続にいたしたわけでありますから、運用面においてこれを補つて行く、間違いなくこれを運用して行く必要がぜひあろうかと思います。しかし、法律的にいつて、必要最少限度のそういう機会を個人に与える、あるいは審査の万全を期するだけのチヤンスを持つておるということについては、欠くるところはないと思つております。
○川俣委員 法律を簡素化したから、法律が不十分になつたのではないかということについて私は答弁を求めておるのではないのです。こんなに複雑にしておつたからには、複雑にしておつた理由があつただろう。その実体がなくなつたために簡素化するというのではなく、実体の事業成績をもつとすみやかに上げるようにするために、そちらに重点を置いて簡素化されたものだと思う。従つて予備審査をしなければならないという客観情勢の実体が消滅したために簡素化したのではないだろう。しからばそれらの実体はまだ残されておる。残されておる問題を、この土地改良区の組合員等の関係において適宜に自主的に解決されることに期待を置いて簡素化されたものと思う。実体がなくなつたから簡素化されたのではないと思う。土地改良区の中において、自主的にある程度解決されるであろうという期待がなければ法文を簡素化された理由にはならない。実体がなくなつたから簡素化したというならわかります。しかし、実体はまだ残つておる。残つておるけれども、改良区の事業をすみやかに達成する上から、それらのものが残つておつても、さらにそちらの方の重点を置いて簡素化したという説明であれば私は了承するのでありますが、これはどうですか。
○平川政府委員 それはその通りだと思います。お話は事業を迅速に進めるために、手続を必要最少限度にしてやつて、しかも一方においては前の複雑な手続をやつておつたことによつてカバーされておつたいろいろな事柄を、これは実際の運用においてそういうことをやつて参るという御趣旨だろうと思いますが、その通りだと思います。
○川俣委員 では次に移りますが、土地改良区の事業主体は、農協の土地改良区にある。それを今度あらためて市町村から熱望のあつた今までの紛争を一応解決する意味において、市町村設立の土地改良区を認めていただいたことは、実際に合う計画であろうと思うのです。ところがこのように農協の行う土地改良区があり、または組合的な土地改良区があり、町村が設立する土地改良区があるというように、一つの町村にこういう三つのものが出ることが予想せられるのであります。こういう点がありますので、おそらく町村の設立の土地改良区というものを認めてほしいという要望は、これらのものの解決をもねらつての希望であつたかと思うのですが、将来農協の行う土地改良区あるいは組合的な土地改良区、町村の設立する土地改良区等の合併、併合等については、どのようにお考えになつておるか、どのような方策をおとりになる予定でありますか、その点をお尋ねしたい。
○平川政府委員 これは先ほど申しましたように、土地改良区が行うということが一般的に申せば一番適切である。そのために特別の制度を設けておるわけであります。それが一番適切であると思いますが、村々の事情によりまして、あるいは農協のやつておる、あるいは市町村がやるということも例外的に認められておるということに考えておるわけでありまして、お話のような三者間の問題といたしましては、できれば土地改良区が行うように三者で仕向けて行くということが、土地改良区のある場合においては一番適切かと思います。これは村々の実情によることであります。その間の三者の調節については、これらが矛盾相剋したりすることのないように指導して参るようにいたしたいというふうに考えます。
○川俣委員 それではこうした事態におきましては土地改良区一本に調整して行くような方策をとつて指導して行かれる、こういうふうに了解してよろしゆうございますか。
○平川政府委員 それでけつこうであります。
○川俣委員 次にお尋ねいたしたいのですが、これは言葉の名称の問題になると思うのですけれども、土地改良事業を行つておる間においては土地改良区というような名称が適当なのでありますが、土地改良が一応完成いたしまして、あとの管理に入る場合に、それでもなお土地改良区というような表現が持続されなければならぬわけですけれども、この問題は一応事業と管理とを区別してといいますか、切り離すことが必要ではないかと思うのです。完成してある程度権利が確定いたしましたならば、今度は土地改良区でなくて、むしろ土地管理区というように表現をかえて、おもに大きな水利、灌漑排水等を管理する管理区に変更されて、規定を別段に設けるか、あるいはこれを類例されて、そのような管理方式をあらためてとられることが妥当ではないかという見解を持ちますが、これに対する見解をひとつお示し願いたいと思います。
○平川政府委員 確かにお話のごとく改良事業自体とその事後の管理とはかなり性質の違うものでありますから、あるいは御説のようなことが考えられるかと存じます。ただいまのところは、改良事業自体の負担があとあとまでもずつと残つて参るというような関係もございますので、一つの改良区であとの管理までもずつとやつて参る、こういう体系に考えておりますが、少くとも事業内容はかなりかわつて来るわけであります。御趣旨の点についてはなお研究さしていただきたいと存じます。
○川俣委員 研究されるということでありますから、私はこの点についてくどく申し上げませんが、国あるいは県の改良事業等が完成してしまうと、これはまつたく事業内容のかわつた管理事業になるわけです。従いまして土地改良事業というような名称に必ずしもこだわるわけではないけれども、実態のかわつた管理方式が出て参りますから、事業の負担等が継承するような法律的の条例は必要であろうと思いますが、やはり明確に管理事業に入るならば、管理事業としての実態を伴うような法制化が必要であろう、こういうふうに特に思うわけです。これは村の土地改良区はまだ問題はありませんが、国の改良事業は必ずこれはどこかに委議するわけですから、委譲されてもなお土地改良区というようなことの表現はぴんと来ない。これはいつか終るであろうというような、むしろ管理に十分な認識を持たないようなおそれも出て参つておりますので、何とかもう少し事業をしたいようなものが残つておるところ、また大体国がやつたもので、小さいところの水利等についてこれは幾分改良区が残りますけれども、これらのものはむしろ管理に属することだと思うので、むしろ管理規定を設けまして、管理条項を設けまして、一定の段階が終つたならばその管理条項に基くというふうに改廃して行くということが望ましいと思うのでありまして、次の国会等にそれらの改正が政府から出されるということを期待いたして、その点についての質問は終ります。 次の問題は農地局と農業改良局と二りあるために、これは土地改良ということでありませんけれども、農業改良普及事業の中にも、農民の知識あるいは技術あるいは気象調査あるいは雨量調査、あるいは土質調査というようなものが農業改良事業の中に含まれてお台。これは土地改良と密接不可分の関係なんです。雨量なり土質なり気象というものは密接なものなんです。また農事試験場というようなものも土地改良とはかなり関係の深いものなんです。こういう関係の深いものを、局が別だからというのでわざわざ二本建にしておられるようでありますが、目的はもちろん非常な隔たりがあります。ねらいどころはもちろん違います。農業改良普及事業というものはおもに技術員を養成したり、農民の生活改善をいたしましたりするのでありますけれども、何といつても農民の生活改善の基礎になりますものは耕地であります。この耕地の問題を解決せないで農民の生活の改善はなかなか容易なことではありません。だからといつて非常に関係が深いかといえば、それほどでない部分もありますけれども、やはり基礎になりますのは耕地でありますから、耕地の土質あるいは雨量等が考えられなければ土地改良事業も全きを得ないわけです。ところがこういう農業改良普及事業の専門技術員または普及技術員というようなものがあつておのおの活動いたしておるわけでありますが、これらを独立して活動させておるのでありますが、土地改良事業等につきましてもこれを活用することが考えられなければならないと思う。政府では小さく幾つも幾つも関係を分配いたしますけれども、末端において活動しておる部面はその村ではありませんか。それを幾つも予算がわかれて来て、わずかの経費で仕事をしておるということになる。むしろこういう農業改良普及員等を活用しながら土地改良事業を行うようにさせることが必要ではないとか思いますけれども、この点についてはどんなふうにお考えになつておりますか。
○平川政府委員 これはまさに御指摘の通りでありまして、われわれもその点において非常に両者密接な関係があります。にもかかわらずとかくこの関係が連絡密接を欠くといううらみを感じておるわけであります。これにつきましては特に最近におきましてはその点の欠陥に非常に強く注目をいたしまして、両者の関係を密接にすべくいろいろな手段を講じております。両者の門において、土地改良の事前あるいは事後についての農業技術の関係等についての意思の疏通をはかる等、これを本局両者においても密接にはかつております。また試験場等の助力を求めることについても、農地関係の各部局において地方の試験場等の助力を求めることをやつておりますし、またそれについて試験場側として、大いに助力を与えることについて改良局も指導をしてくれ、こういうことにだんだんとなつております。
○川俣委員 だんだんなつているというお説でありますが、私はもつとすみやかな調整が必要だと思うのであります。特に問題になつております砂丘地にいたしましても、傾斜地にいたしましても、今後問題になる灌漑畑にいたしましても、試験場の指導が得られなければ、完全な土地改良区の事業としては成り立たないと思います。おそらく今までの勘の農業から科学の農業に切りかえて行くという指導をされていると思うのです。日本古来の長い経験からする勘の農業といいますか、農民の伝統的な経験、習慣によるところの農業からなかなか脱し切れないのを、科学の農業に切りかえて行つて増産に役立たせよう、こういうことから土地改良区の設定なども最近出て来ておると思うのでありまして、むしろ長い経験の慣習とは時には衝突するかもしれませんけれども、やはり科学的な指導が必要であろうと思うのです。特に民主化されました結果、数の決定が必ずしも科学的であるわけではない。むしろ多数の決定の方が非科学的である場合もあり得るわけです。数の決定が円満に行く場合においては尊重されなければならぬけれども、必ずしも科学的なものだとは言い切れないのですから、こういう点について、試験場等の試験成績、普及事業等の成績を、十分土地改良区がくみ入れてやつて行かなければならない時期に到達したと思いますから、この点についてはさらに十分その活用が望ましいと思うのです。また目の財政資金の有効的な使用の面から見ましても、これらを活用することが試験場の成績の評価をさらに大ならしめるものでもあると思うのでありまして、この点について一段の考慮がされなければならないと思うのであります。一応こういう点を希望として述べまして、残余の問題は、予算の問題がありますので、大臣の出席を求めて続行いたしたいと思います。この点は局長も当事者でありますから、予算獲得のためには奮闘されておるだろうと思いますけれども、奮闘しておる局長にお尋ねしても十分な回答は得られないと思うので、大臣の出席の際に続行いたしたいと思います。
○井出委員長 承知いたしました。次に久保田豊君。
○久保田(豊)委員 私は簡単に具体的な点について二、三お尋ねいたしたいと思います。 その一つは四十八条です。前には、利害関係のある農民の三分の二以上が出席をして、しかも三分の二以上の議決を経なければならないとあつたのを、単に三分の二以上の同意を得ればいいということにかわつたわけなのですが、これはことに事業をやる方の人から言いますと、非常に簡単でいいと思うのです。それはどういうことかというと、同意のとり方いかんによつては、ほとんど知らないうちに実行される可能性があるから非常にいいのであります。特に農林大臣が必要と認めてやる場合に三分の二以上の同意にした根拠、またこの同意を具体的にはどういうふうにとるつもりかを伺いたい。この同意というものは、ほとんど末端の農民は何にもわからずに判を押させるということに必ずなる。そしてあとでいよいよ勘定のときになつて、負担がよけいになつたり、土地の移動、配分をする場合にそういうはずではなかつたがということになる危険性が非常に多い。手続は非常に簡便になつたと思うが、なぜこういう規定を設けなければならぬのか。また同意というのを具体的にはどのように実際には施行して行くつもりか。こういう点を四十八条と八十七条に関連して、特に八十七条の場合は、何にもわからないうちにやられて、あとで農家が汲々とする場合が必ず出て来るように推測されるので、特にこういうふうに書いた理由、並びに具体的にやる場合にこれをどういうふうにやるかということの考えがあれば、お聞かせいただきたいと思います。
○平川政府委員 これは率直に申しまして、先ほどお話のような弊害があろうかと存じております。ただ実際問題といたしますと、この計画変更の手続が三分の二以上の出席及び三分の二以上の議決ということは、実際問題として非常に金もかかり、非常に組合員みんなが迷惑をする。中には、計画変更と認められるべきようなものを、設計変更のような形において変更して来る例が非常に多いわけでありますが、そういうことでは何にもならないのでありまして、やはり計画変更に当るべきものは計画変更として手続を得させたい。しかしあまりに酷な条件、手続を課しますと、それが組合自体に対しても非常な出費になるし、また実際上非常に困難で、迷惑を組合員に及ぼすということからいたしまして、そういう設計変更のような手続で出て参る事例が非常に多かつたのであります。ここは非常にむずかしいところでございますが、運用を誤たなければ、その方が便利であり、実際的ではなかろうかというのでございまして、そういう問題のありそうな、一部に負担がよけいかかるというような場合については、特に県なり国の方でもよく注意をいたしまして、むぞうさに三分の二の同意がとられているというおそれがないかどうか、この辺もよく検討いたし、変更の内容によつて特に負担が多いというときには特に注意をいたしたい。ただ実際問題といたしまして、計画の変更に当るものが、このむずかしい手続のために、設計変更といつたような形で出て来る事情を聞いてみますと、これを改めるのには何万円とかかつてたいへんなのだということが非常に多いのであります。そういうことからこういうふうに改正したのでありますが、その点については注意をいたしたいと思います。
○久保田(豊)委員 非常に金がかかるということですが、実際は金がかからないのです。いいかげんにごまかしてやるからそういうことになる。私どもも実際にやつて来たが、決してそういうふうに金はかからない。同意ということになると、何が何だかわからないうちに結局判をとつちやつて、これでみんなが同意したからというかつこうになりがちなんですが、同意ということの内容を省令その他できめる場合に、その手続なりなんなりを、いわゆる一部のボスがかつてなことをしないように、農民が計画の変更によつて自分が負担をしなければならぬ負担なり、あるいは土地その他についての移動が出て来るわけですから、そういうことをはつきりのみ込んだ上で同意の行えるような措置を具体的にとらないと、このままでやる場合には非常にまずいことになる。この点注意をしてもらいたいということを特にお願いをしておきます。 それからもう一点は、九十六条で町村を今度は事業主体にすることになつた。これは私どもは賛成でありますが、この政府の原案のうちには、町村会の議決を経て、あとは利害関係人三分の二以上の同意を経て実行するということになつておるが、問題はそうではないと思う。これはあとの運営が非常に問題です。土地改良の事業には権利、義務の移動に伴つて負担が必ず出て来るのであります。しかも管理その他の運営がうまく行かない場合には、片方においては赤字になり、片方においては農民の負担を増すことになる。私は長く町村長をやつて来たので、よくこういう事情を承知しておるのですが、この運営をただ単に町村の検査を経て、町村長に一任するという考えなのか、私はそれは非常に危険だと思う。下手にまごつきますと、それによつて、土地改良に関するいろいろの経理の内容もほとんどわからぬ。しかも負担だけは税金と同様の形でとられることになる。この点を実際にどういうように考えておるか。法律にそう詳しく規定することはできないにしても、実際の場合においては非常にこれは問題になる。私は根本には賛成だが、具体的な将来の運営管理をどのようにやるつもりであるか、これをはつきり聞いておきたい。
○平川政府委員 法律といたしましては、市町村の普通の機構で、こういう決議等を経て、ただ利害関係人、資格者の三分の二以上の同意ということで行つて参るわけであります。ただ実際問題といたしまして、お話のごとく市町村については、特別に土地改良事業と密接な関係を持つ機構というものはないわけであります。この場合には、あとの運用の問題といたしまして、たとえば市町村農業委員会のようなものの十分な活用をはかるといつたような、市町村長の専断に陥らないような、そういう機構を考えたい。これは実際運用上の指導でございますが、そういうことを考えたいと思つております。
○久保田(豊)委員 その点は特に注意をしてもらいたい。法律の中の運営機構について、それは総代会なり何なりはいいとしても、総会では問題がはつきりしない。実際に役員と機構をどうするかはつきりしないと、ほとんどこれは無意味になると思う。多くの農村において、村会というものは必ずしも農民の利害ばかりを反映するものではない。特に平地や山村等においては、所によつては半分近くは非農民が入つておる場合が非常に多い。そういう連中が何もわからずに、村長の意思でやられると非常に困る。そこでどうしても一面においては法律の中に、役員なりその他の運営機構についての基本を入れるべきだと思う。具体的にどうだという点は私も考えておりません。もしどうしてもこれに当面間に合わないというなら、施行細則なり何なりによつて、はつきりその点をしないと、農民の側にとつても非常な不利になると思うので、この点を善処していただきたいと思います。 そこでそれに連関して、あと二点ばかり直接法案には関係ないが、特に聞いておきたい。過般農林大臣が来たときもお伺いしたが、はつきりいたさなかつた。というのは、この中でも数人の者がやる場合には、農協の形においてやる場合が多い。今農林省では土地改良に対する補助金の限度を二十町歩というところに置いておるように私は承つておるが、これをもつと引下げる必要があると思う。特に山村なり段階地の土地改良の場合は、どうしても十町歩くらいにしなければならぬ。今の農地の中では、やはり部落々々によつて二十町歩以下の用排水系統が続いておる場合がある。そのために非常な水利費をかけたり何かする場合があつて、こういつたことを対象とする場合もあるのであります。そういう点で、私はこの二十町歩というのは、限度が非常に高過ぎると思う。もう少し団体営と別の、たとえば共協営とかいう一つの新しい観念で、もう少し簡便にやれるような、そうして小面積を対象にしてやるような限度もちろん五町歩がいいか十町歩がいいか研究する余地があるが、その程度のものをやつた方がいいと思う。新しい範疇の土地改良事業のわくはその面から考える必要があると思うが、それは今までのように、国営県営、団体営、その次に共協営というような形の一つの範疇をつくつてやる方が、比較的効果が上るのではないかということが考えられるが、その点は農林省としてはどのように考えておるか、もう一回はつきり伺いたい。
○平川政府委員 これはある意味から言うと、むずかしい問題でございまして、改良する方の立場から申しますと、二十町歩というのもまだ限度が大き過ぎるということは確かにその通りだと思います。ただ一面国の金を出して国から直接補助をする対象といたしまして、非常にこまかいところまで手を出すことについて疑問もあるわけであります。ことに最近非常に問題になつております補助金の費途の問題等につきましても、非常にこまかいのをやりますと手が届かないわけであります。やはり災害復旧のこまかいものというようなものに、いわゆる会計検査の批難事項に当るものが非常にたくさん出て来ております。農林省の調べといたしましては、十町歩くらいの団地までは一応調べがあるのであります。あまりこまかいところまで国が直接補助金を配るということは、一面においてそういう金の費途の監督が十分に行かないという面がある。現在これに対しては長期融資の道をとつております。これの金利を下げて長期融資をするということも一つの道ではなかろうかと思います。それからもう一つ考えられますのは、今県単位の事業もあるわけであります。こまかいものについては県単位でやつぱり目が届くわけですから、県が県単位で助成をする、五町歩、三町歩いろいろあると思いますが、そういうものについては国としては資金の融資をする、もし助成をすれば県単位で助成をする、そのかわり国の方の助成は大きいところにつぎ込む。どうせ実を申せば、改良関係の予算というものが非常に不十分なわけでありまして、全体として、われわれの合理的と考えられる要求から見ましても、二分の一ないし三分の一という程度に現在相なつておるわけであります。その金をいずれにつぎ込むのがより合理的であるかということになりますと、まず大きいもの、少くとも今の二十町歩以上のものに国としては助成をして、それ以下のものについては国としては資金の融資をする、そのほかに県単位で助成するようにしたらどうか。現在の予算なりあるいは実際の会計検査等の実績からも考え合せまして、現在われわれはその程度に考えておりますけれども、さればといつて二十町歩以下についてこれで十分であるとも考えておらない。この点についてはどう解決したいいか、なかなかめんどうな問題だと思つております。思つておりますが、一応そういう考え方で整理をしておるわけであります。
○久保田(豊)委員 今の局長の考えには私どもは反対であります。なるほど大きなものにまとめて出すということもむろん確かにある。しかし小さなものであまり金をかけぬでも、早急に效果の上るという地帯が相当あるのであります。しかしそれは融資という観念ではとうてい割切れない問題である。やはり少額といえども国が補助するという形にしてやつた方が、非常に効果が早いと思う。今金がないからしようがないというかもしれぬが、一応そういう観念で出発をして、だんだん金をとる算段をしなければどつちにしてもしようがないと思いますので、この点を根本的にもう一度考え直してもらいたい。 それからそれとやつばり連関した問題で、土地改良区の運営で非常に問題になるのは、例の災害復旧の問題であります。土地改良で一番困る問題は、毎年災害があるというので、多くの場合において、灌漑排水なり耕地整理を一度やつてしまえばあとはいいということには行かないので、年々の水かけその他の負担よりは、実際農家としては災害復旧に要する経費が非常によけいいる。ところが政府からくれる金は非常に額が少い。少い上に持つて来て調査がおそくねる。それでその間は農協その他から金融を受けていなければやれない。しかもそれが認められるやら認められないやらわからぬというような点が非常に多いわけです。そこでどうしても土地改良区の運営を完全にうまくやつて行くには、災害復旧に要する予算を少しよけいとるということが一番根本です。そうして補助率をもう少し高くするということが一番大事だと思う。実際にやつているのはどうかというと、災害復旧でもらつてこつちで負担しなければならぬが、負担ができないから、多くは人足代くらいを出してごまかすよりほかには土地改良の経営ができない。こういう問題にぶつかつているものですから、過般いろいろ新聞等にも出ておつた通り、会計検査院等から来れば、ほとんど全部が不正だということになつて文句を言われる。しかしやる方から見ると、そんなに農民には負担はかけられない。金はちよつと、しかもあとでしか来ない。しかたがないから、設計などをごまかしてやつておく。そうするとすぐまた災害が出て来る。こういうことを毎年繰返しておるわけです。これではとうてい土地改良区そのものもうまく参りませんし、耕地の維持そのものが非常に困難だと思う。これはもちろん大蔵省等からいろいろ文句はあると思うが、農林省としては、法律をいくらうまくかえたつて、そういう方がうまく行かなければ何にもならぬわけです。この点は根本的に再検討する必要があるのではないかと私は考えるわけですが、これらに対する局長の意見はどうですか、ひとつ聞いておきたいと思います。
○平川政府委員 災害の問題は非常にめんどうな問題でありまして、お話のように、負担をする農民の側から言えば、災害を受けているわけでありますから、負担力は非常に乏しい。しかし一面から申しますと、一時に非常に大量に発生するものですから、監督なり、指導なり、あるいは査定なりの目が届かない。そこでお話のような会計検査の関係の批難事事から申しますと、災害復旧が圧倒的でございます。二十六年、二十七年等におきましては、私ども閉口するほどたくさん批難事項が出ておるわけです。これがほとんど災害復旧です。しかし国費を濫費していいということはどうしても言えないわけでありますから、これはやはり厳格に規定を守つた運用をしてもらわなければ困る。それには今のようなやり方ではわれわれはいくら勉強いたしましても、とうてい、いわゆる批難事項というものは防ぎ切れないのじやないかというふうにも考えられるわけであります。それから一方これは実際問題として、率直に申上げますと、中には災害の復旧計画として、いわゆる普通の改良事業が便乗して来るということもあるのであります。やはりこれを防がなければならぬわけです。現在では若干補助率が高いというだけで、しかも普通の改良事兼の方は予算の関係上なかなか採択にならない。災害の方は非常に緊急性がありますので、審査等も粗雑にして採択をするという関係で、普通の改良のときにはなかなか採択されなかつたのが、災害でもつてすつと通つて来る、かえつてその場合の方が補助率が高いというようなことがございまして、理論上は災害については負担力もないのだし、補助率も大いに上げて、予算を優先的にそこへつけて、これをまずやらなければならないということは申すまでもないのでありますが、そういういろいろな実際問題がございますので、やはり補助率はころ合いのところでということに現在は振つておるわけであります。私どももこれについてはいろいろ検討しておりますけれども、これはここまで補助率をどうしたらよいという見当はまだついておりません。ただ復旧事業について、これが予算の関係で長年かかる。ことにおそい。そのために一時金をよそから借りてまでやらなければならぬ。この問題はどうしても解決しなければならぬ問題である。しかもこれは解決するに何の弊害も間違いもないものである。そこでこれは予算が十分つきさえすればできることでありますから、われわれとしては、罹災後少くとも三年後には完了すべしと言つております。ただ現在の状態においては、五年くらいに延びていることは御承知の通りである。少くとも復旧年限を早める、おそくも三年くらいには復旧を完了するということはぜひやりたいと考えております。 —————————————
○井出委員長 次に農産物価格安定法案を議題といたし、質疑に入ります。芳賀貢君。
○芳賀委員 私は各派共同提案にかかる農産物価格安定法案の内容について若干の質疑を行うと同時に、これに関連して政府当局の所信を伺いたいと思うのであります。 この法律案は、米麦以外の農産物に対して国が正常なる価格の維持をするというところに大きなねらいがあるわけですが、これらのことを現在の情勢の中において国の法律をもつて規定して実施するということは、ある意味において、歴史的なものであるということを言い得るのであります。それだけにこの法律案の持つ性格というものは、あくまでその基本的な性格の上に立つて的確に行われるという要素が必要であると思うのでありますが、 〔委員長退席、足鹿委員長代理着席〕 第一番に提案者にお伺いしたいことは、この法律案の目的とするところは、米麦に次ぐ重要なる農産物の正常な価格の維持ということがうたわれておりますけれども、その基本をなすものは、この法律案によつて重要農産物の生産を確保し、生産を増強させるというような積極的なねらいがあるかどうか、あるいはまた単に消極的な、すでに変質的な過剰生産のような様相の中にある農産物を、重要農産物と指定してこの法律を適用するという意図であるか、この点に対してお伺いしたいのであります。
○足立委員 この法案の目的とするところは、すでに芳賀君も御承知の通り、農産物の価格を安定したいというのが目的でございます。それで価格が不安定になる要素につきましてはいろいろな場合があるわけでありまして、国内で過剰生産に陥りまして物が余るという場合には、価格が暴落をする。なおまた過剰生産でなくても、外国から農産物が多量に輸入されまして、その価格が国内価格水準よりも安い場合には、国内の価格がそれによつて暴落をするという場合があるわけであります。今回この法案の内容に取上げましたかんしよ及び菜種の問題につきましては、今私が申し上げた原因の両方にまたがりまして、いろいろの影響を受けて、放任いたします場合には非常に価格の波動を来すというおそれがあるわけでありまして、現にこの数年間の動きを見ましても、その著しい波動をいたしているような次第でございます。従いましてこれに対して、この法案の趣旨に盛られましたような諸種の対策を実施いたしまして価格を安定し、農家が安心をして生産にいそしむことができるようにしたいというのが法案のねらいでありまして、ただいま質問の眼目になつております増産をはかるところまでの積極的な意図があるかどうかという問題につきましては、場合によれば増産をはかる基礎にもなるわけでございます。現在の状況から申しますと、ものによりましては、今著しい増産をはかられたのでは、価格の安定に非常に困難を生ずるという場合もあるわけでございますから、その辺は臨機応変な処置によりまして、価格の安定をはかり、農家が安心して生産にいそしみ、なおかつ農家の経済を安定しようという趣旨でございますから、芳賀君の何でもかんでも増産をはかれという御趣旨の御質問であれば、それにそのまま沿わない点もあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、日本の農業が、外国の生産物の圧迫によつて非常な危険にさらされることのないように、あらゆる面から処置をとつて行きたいという趣旨でございます。
○芳賀委員 私のお伺いしたいことは、この法律の持つ一番の目的というものは、現在のわが国の食糧情勢を考えてみても、米麦等は外国から三百万トン程度を輸入しなければ絶対量が足りないというような情勢の中において、むしろこういう足らないところの食糧生産に対して、これが大きな側面的な助力ができるというような、不可分の関係の中に置かるべき性質のものであると考えるのであります。そういうふうな点から考えると、この重要農産物としての一つの定義には、やはり食糧農産物を中心として、不足するところの農産物の価格の安定をはかつて、その安定の上に立つて生産が確保される。しかも必要とする場合においては、それによつて生産が伸びるというような積極的なねらいを持つ必要があるのではないかというふうに考えるわけでありますが、この法律の内容、特に買入れ品目等を見た場合においては、そういうような積極的な意図がまつたくうかがわれないように考えるので、基本的には重要農産物というものをどういうように定義づけるかということを、お伺いしたいのであります。
○足立委員 ただいま芳賀君の御質問の点でございますが、たとえばかんしよ等について見まする場合に、今のまま放任いたしますと、すでに昨年度政府の行政措置として貿い上げました澱粉が七百万貫ストツクいたしております。かような状態でもしも本年度放任いたしておきます場合には、増産どころではない、思い切つた減産をやらなければ価格の維持はとうていできないという状態でございまして、これは戦争中から永年作物を無理やりに転換せられまして、畑作地帯ではかんしよをつくる以外にないという、やむを得ざる宿命的な地域もあるわけでございますから、こういつた地域の農民を救う意味からいたしましても、この法案の意義はまことに大きい。また逆に申しますと、これ以上積極的に増産を奨励する法案ではないかもしれませんが、現在まで増産をはかつて参りました生産を、少くとも維持して、安心して農家がその生産にいそしむことができるという性格を持つた法案であると私は信じております。
○芳賀委員 提案者の御説明はまだ核心に触れておらぬようであります。そうしますと、重要農産物というものは、ここに明記されたような、たとえば「甘しよ生切干、甘しよでん粉、馬鈴しよでん粉及びなたね」というようなものが米麦に次ぐわが国の重要農産物であるかどうかということをお伺いしたいのであります。
○足立委員 数字的な問題に入つて参りますので、政府の方から補助的な説明をしてもらいたいと思います。
○芳賀委員 今お尋ねしたのは、数字的な問題でない。米麦に次ぐ重要農産物としてこれらの四品目が、はたして順位的に見ても、妥当適切なものであるかどうかということです。
○足立委員 農家経済にとりまして、米麦に次いで重要なる農産物であるという法案の規定に、かんしよあるいは菜種というものが適合するかどうかという御質問でございます。単に農家の経済に及ぼす影響という点だけで見ますと、全国には地方によりましていろいろな特徴がございますので、地域的に見ますれば、かんしよあるいは菜種以上に農家経済に大きな影響を持つた農産物も多々あろうかと思います。しかし全国的にまんべんなくつくられます農産物で、しかも米麦に次いで経済的に大きな影響を持つておるというのは、まずこの辺ではないかということが第一点でございます。なおまたここに取上げました理由は、先ほども申し上げましたように、そういう農産物であつて、しかも生産事情あるいは外国からの輸入事情から見て、国内の農産物が価格の著しい変動を来しやすい危険にさらされておるという実態を見て、その必要があるからこういう法案をつくり、これに盛りこんで安定をしようということを第一次的に考えたのでございまして、将来他の農産物で、あるいは地域的にはこれ以上重要な関係を持つておるものもあろうかと思います。こういつたものが価格について著しい変動を来すおそれが生じました場合には、当然これに取入れなければならないというふに私ども考えておる次第でございます。
○芳賀委員 この法律案が通つた場合においては、当然政府の責任においてこの法律のねらいとするところが実行に移され、最大の効果をあげなければならぬのでありますが、この法律が出る前に、政府は食管特別会計の中においてかんしよ、ばれいしよ澱粉等の買上げを昭和二十七年度に行つたわけでありますが、これらのものを予算的に見ると、二十八年度においては大体二十二億六千万円程度の澱粉の買上げを予定されておりますし、前年度においては大体八億三千万円程度の予算を持つておつたわけでありますが、前年度における澱粉の買上げ等が澱粉の価格支持に対してどのような効果を現わしたかという点。それからもう一点は、現在の澱粉の需給情勢等もあわせて食糧庁長官からお伺いしたいと思います。
○前谷政府委員 お答え申し上げます。芳賀委員のお話のように、昨年度から今年度にかけまして、澱粉の政府買入れを行つたわけであります。昨年の二月におきまして、澱粉の政府買入れを行いますと同時に、生産者団体におきまして自主的調整も行われたわけでございます。その当時におきましては、澱粉の価格は、かんしよ澱粉にいたしますと、千六百円程度であつたわけでございますが、そのときの政府の買入れ価格は、品質によつて違つて参りますが、千八百円から千九百円というようになつておつたわけでございます。政府が買い入れると同時に、生産者団体におきまする自主的調整と相まちまして、だんだんに価格の支持が徹底いたしまして、政府の買入れ価格に近い線において支持されておるというのが現状でございます。
○芳賀委員 私は決してそういうふうに考えておらないわけでございます。その理由といたしましては、政府が二十六年度産の澱粉を買い上げる場合においては、基本価格をかんしよ澱粉が十貫一袋で二千円、ばれいしよ澱粉は十二貫一袋で二千五百円という基本価格を一応設定したわけであります。ところが二十七年度産の買上げに対する基本価格は、かんしよ澱粉に対して百五十円、ばれいしよ澱粉に対しては百八十円安い基本価格を設定した。そういうことになると、当然生産物であるところの澱粉に対しても、その原料生産物、いわゆるかんしよであるとか、ばれいしよそのものの原料の価格等に至大なる影響を持つわけでございますが、決して現在の経済情勢の中において、かんしよあるいはばれいしよだけが、価格が原料価値において低落しておるというようなことにはならぬと思うわけであります。米においても麦においても急速に上昇してはおらないが、やや上まわつたような横ばい状態を示しておる場合において、なぜにこういうような買上げ価格の決定を行うか。もう一つは政府が買上げを行う場合の規格の問題でありますが、地方における食糧事務所が生産者から買上げをする場合の検査等級と、政府がこれを買入れる場合の検査等級とにおいては、規格が違うようなことが実質的に行われておるわけでありますが、こういうことになると、表面の価格差以上に、規格の面においてまた一袋について百円程度の価格差が出るという状態は、真にこれによつて価格の支持をしようとする政府のまじめな意図があるのか、あるいはまた前提としてあくまでも食管特別会計の赤字を出さないように、表面だけ糊塗すればいいというようなお考えであるか、そういう点をお伺いしたいのです。
○前谷政府委員 御承知のように価格の支持という問題につきましては、農産物の性質上、その農産物が零細農家でありまするし、また出まわり期等も一定しておりまするし、また需要に対する弾力性がないというような、農産物特有の原因があるわけでございまして、もし辰産物の需給関係におきまして、純粋に需給の面のみで価格が決定されるということになりますと、それは普通の工産物と同様に、ある場合におきましては、法律も規定いたしておりますような、水準というようなことも言い得られるかとも存じまするが、農産物におきましては、純粋に需給条件のみから価格が決定されるのではなくて、農家の零細性と申しますか、そういう事情あるいはまた農家の農産物の特有でありまする出まわり期に一時に殺到するというな問題、あるいはまた生産が需要にマツチして、それを十分調整するという弾力性がないというような、いろいろ特有の原因からいたしまして、需給関係から離れて価格が下つて来るということが多々あるわけであります。従いまして、そういう面を調整することによつて、農家の経済なり、生産なりというものが、安定して参るというふうに考えておる次第でございまして、御指摘の澱粉価格につきましても、二十六年度の場合と二十七年度の場合とにおきましては、需給条件の変化もございましたので、その需給条件の変化を考えまして、正常な価格水準がどこであろうかということを考えたわけでございます。 〔足鹿委員長代理退席、委員長着席〕
○芳賀委員 今度の法律案によると、たとえば澱粉等の貿上げをやる場合においても、原料基準価格というものを一応農業パリテイ指数あるいは生産費、需給事情等の経済情勢を勘案して主務大臣が決定することになると思いますが、そういうことになる場合において、米麦の価格を決定するような場合においても、米価審議会等が持たれて、そこで十分真剣なる討論を重ねて、価格的にも正確な答申を行つてさへも、政府はこれを実施する能力を持つておらない場合において、何ら審議機関等の設置が行われないで、この法律の期待するような買上げ価格の決定あるいは買上げ数量の決定等が行われると提案者は考えておられるかどうか、伺いたい。
○足立委員 昨年からこの法案につきましては、各党間でいろいろ論議がかわされ、政府もこの法案の準備をいたしておつたことは御承知の通りであります。今回この法案をつくり上げます場合に、実は今まで考えられておりました方式とその方式を大分かえて参りまして、特にこの法案のみそとも申し上ぐべき点は、一時的に生産者団体に自主的な調整をやらせる。これはもちろん農林大臣の承認あるいは勧告のもとにやらせることになりますので、支持すべき価格等につきましては、農林大臣の定むるところに従つて、その実行に当るわけでございますが、これに対して政府は資金のあつせんをして、生産者団体がその任務を達成するに遺漏なきを期するということになつております。従いまして生産者団体が自主的調整に当ります場合、その年における需給の状況その他を考えまして、この辺の価格で行けば農家の経済も安定するし、需給の安定のためにも役立つであろうという線が出て来るわけでざいます。今申し上げたように今回の法案は、こういつた点に著しい特徴を持つておりますので、この価格の決定にあたりましては、別に審議会を設けるという構想もございましたけれども、まず第一次的に生産者団体の意見を尊重して農林大臣が定めるという行き方が最も具体的に実情に触れるのではないか、それが当を得たものではないかと考えまして、この法案に書かれております通りの規定をいたしたような次第であります。
○芳賀委員 ただいまの提案者の御説明によると、非常に政府が民主的な寛大性を持つておるということを前提として、それに期待を持つておられるようでおりますが、われわれは決してそういうような安易な考えは持つておらないのでございます。御指摘になつた生産者団体に自主性を持たせるということは、もちろん現在の政府の持つておる財政面において、思い切つた買上げ等によるところのてこ入ればできないと思うのであります。そういう場合において、大きく取上げる問題は、生産者団体が自主的にこの価格の調整を行う任務を果すというのは考えられるわけですが、これらの問題に対しても、たとえば生産者団体に対しても相当の効果を上げ得るだけの資金の融通等、政府は積極的にあつせんする用意がなければ、それに対する期待も出て来ないわけですが、前国会においても東畑食糧庁長官は、これらのことは生産者団体に大きく期待して市場価格の維持をはかりたいということを言つておられたことを記憶しておりますが、政府は本年度までの澱粉の価格維持に対して、どのような生産者団体に対する融資等のあつせんを行つたか、お伺いいたします。
○前谷政府委員 澱粉につきましては、農業協同組合におきまして、約千三百万貫の澱粉を買い上げ自主的な調整をはかる、あるいはまた澱粉工業連合会におきまして、三百万貫の澱粉の自主的な調整をはかるという計画のもとに農業協同組合の系統の団体に対しては、農林中央金庫より常に必要な資金のあつせんをして来ましたし、また工業組合系統に対しましては商工中央金庫より、それぞれの機構を通じまして、資金のあつせんをいたしまして、現在その実施中でございます。
○芳賀委員 次に、聞くところによると、政府は生切りぼしを買い上げておるということですが、そういう点についてお伺いいたしたいと思います。
○前谷政府委員 ただいまの御質問は、生切りぼしを買い上げたかどうかということだと思いますが、生切りぼしにつきましては、御承知のように現在の食糧管理法のもとにおきまして、これを買い上げるということは、法律の建前上困難であります。澱粉と同時に生産者団体の自主的な協力を得まして、これに農林中央金庫よりの資金のあつせんをいたしまして、現在の生産者団体におきまして自主的な調整をはかつておる次第でございます。法律が決定になりましてから初めて政府はこれに対しまして買入れをし得る権能ができるわけであります。
○芳賀委員 提案者にお伺いしますが、提案者の意図される生切りぼしの買上げは、これは食糧として処理しようとするか、あるいはもちろんそうでないということは言えないかもしれませんが、現在の食糧情勢の中において、こういう原始的な生切りぼしが不可決なものであるという要請は行われておらぬと思いますが、なおこの買上げ等にあたつては、貯蔵等も非常に季節的にも困難の度を加えると思いますし、どこへ買い上げて処置の重点をかけるか、あるいはこの処理等に対してはどういうような考えを持つておられるか、お伺いしたいのであります。
○足立委員 生切りぼしの問題につきましては、今回も非常に議論のあつたことは、御質問なさつておられる芳賀君御承知と思いますが、その議論のありました問題点は、これが長期貯蔵に耐え得ないという点でございます。従いまして政府当局におきましても、関係機関におきましても、相当異論のあつた点でございますが、私どもといたしましては、昨年度行政措置として澱粉を貿い上げたのでありますが、時期の遅れた点もございまして、原料基準価格が必ずしも維持されていない。結局農家は買いたたかれて、あとから澱粉だけを政府が買い上げたという結果が生じたきらいがあるのでありまして、これは澱粉業者を保護するという法律の趣旨ではないのでありますから、さようなことのないようにするためには、澱粉は長期貯蔵に耐え得ますので、最もかつこうな加工品でございますので、これを買い上げることは当然でございますが、同時により直接的に農家の庭先を出ますかんしよの価格を安定するような処置は必要だ。どうしてもこの際生切りぼしを買い上げなければかんしよの価格を直接的に維持することは不可能である、かように考えまして、相当の難点がありましたけれども、この法案に相当無理をして盛り込んだような次第でございます。従いましてこの処理につきましては最も注意を要する問題でございまするが、主として醸造用にまわしたい。特に政府がアルコール工場等も相当数運営いたしておりますので、こういつたアルコール工場の原料にはこれを優先的に使わせまして、この消化をはかつて行きたい、かように考えておるような次第でございます。
○芳賀委員 この生切りぼしの問題は、もちろん内地の零細農家、特に加工工場をその辺に持たないという場合には、買い上げる性質のものであると思いますが、今の御説明によつてその処理方が食糧よりもむしろ工業用のアルコール等の原料に考えていられると思いますが、これを原料とした場合の採算度といいますか、そういう点について食糧庁長官は御研究になつておられますか。
○前谷政府委員 生切りぼし等につきましても、この価格の決定いたしました買入れ価格によりまして、それを売却いたしまする場合には、法律の規定に従いまして、買入れ価格または時価を下らないということになつておるわけであります。これはその関係におきまして政府が負担を生ずるかどうか、またそれを売つた場合におきまして、その採算価格がどうなるかということは、もちろん買入れ価格にも関連することではございますけれども、売渡し価格といたしましては買入れました価格と時価とを下らないように売りたい、その結果として場合によりますと、そこに食糧特別会計として損失が生ずるというようなことがあり得るのも法律の建前上、法律の趣旨を尊重いたしまする場合にはやむを得ない場合があろうかと存じます。
○芳賀委員 次に私は菜種と麦類の作付の関連の上に立つて御質問をしたいと思うわけであります。統計調査部長が見えておらぬようでありますが、こういうような一つの農業政策が出る場合においては、当然これの裏づけになるように、あるいは全国的な農作物の作付の趨勢であるとか、それが市場価格の変動によつてどういうように毎年変化をもたらし得るかというような、重要な資料というものが当然統計調査部あたりから事前に提出されてしかるべしと思いますけれども、相当広汎な一つの陣容は持つておるようでありますけれども、当委員会等においても、非常は貴重なる資料等がいまだ統計調査部からあまり送付されておらぬようなことは、遺憾とするところであります。特に聞くところによると、安田部長所用のために休んでいるというようなことでは、連日国会では炎暑の中でやつている場合において、どういうような用件か知らぬけれども、これは怠慢でないかと思いますので、この点は委員長からも御注意を願いたいと思います。 私は二十六年から二十七、二十八年にわたる麦類と菜種の作付がどのような趨勢をたどつているかということを、一応資料を調べてみたのでありますが、麦類の場合においては、二十六年度においては田作、これは裏作になると思いますが、大体七十七万町歩、畑作が八十九万町歩で百六十六万町歩であります。二十七年度には田作が七十三万四千町歩、畑作が八十六万八千町歩で合計百六十万町歩であります。二十八年度には田作が七十一万七千町歩、畑作が八十五万一千町歩、合せて百五十六万八千町歩であります。度数の作付面積が漸減しているという傾向です。二十六年度と二十八年度と比較すると、田作において六万三千町歩、畑作において四万町歩、合計十万三千町歩作付面積が減つているという数字が出て来ている。その反面に菜種の場合には、二十六年度田作が九万二千町歩、畑作が五万二千町歩、合計十四万四千町歩であります。二十七年度には田作が十三万三千町歩で、畑作が八方四千町歩、合せて二十一万七千町歩、二十八年度には田作が十四万七千町歩で畑作が九万三千町歩、約二十四万町歩であります。そうすると、菜種の場合は二十六年度より二十八年度の方が田作においては五万五千町歩ふえております。畑作においては四万町歩余もふえております。合せて菜種の方は二十六年度より二十八年度は九万六千町歩ふえている。こういうことを対比した場合において、一方では麦類の作付がだんだんと減つて、その減つた数字が菜種の増反の面に現われて来るということは明確にうかがわれますし、その数字も大体同じであります。これらのことを考えますと、国内における麦類の生産というものは、まだ飽和点に通しておらないのであります。菜種の場合においては作付が累増するということは、むしろ裏作として麦類をつくるよりも、菜種をつくつた方が採算度が上である、あるいは土地条件等において、相当の湿地帯においても菜種は十分成育するというような条件にも恵まれているので、こういう傾向をたどつていると思うのでありますが、こういうような一つの相関性の上に立つて菜種を相当数買い上げて価格支持を行うというような場合において、今度疫類と菜種等の相関性の上に立つた見通しはどういうふうになるかということを、これは食糧庁にも関係がありますが、統計調査部の担当の方が来ていれば、的確な御説明をいただきたいと思います。
○前谷政府委員 今芳賀委員の御指摘のように、麦作の関係、菜種作の関係はその通りでございます。相当部分は麦が菜種にかわつたということは指摘されるかと思います。全部とは言えないかと思いますが、傾向としてそういうことのあることは御説の通りでございます。御承知のように、麦は戦時中海外との交通の杜絶というふうな関係で、相当不適地にまでつくつて参つたというような事情でございまして、現在においても、戦前でありまする昭和十五、六年に対比して、麦の作付が減つてはおらないというのが現実でございまするし、また一方におきまして、反収の上においてもだんだん上つて参ろということで、戦時中あるいは戦後の非常に食糧不屈の状態において、ある程度不適地における麦の作付も現実の問題として要請されて参つたわけでございまするが、だんだんに食糧事情も緩和いたしますと同時に、農家といたしましても、その労力配分の問題なり土地の効率的な利用という面からいたしまして、自然に自主的な作付プランテーシヨンが行われることだろうと思いまするので、そういう点におきましては、それぞれの面において十分考えて参らなければならないわけでありますが、われわれ食糧庁といたしましても、もちろん主要食糧の麦につきましては、一方農林省全体として増産計画をやることは当然でございまするし、またその価格についても適正な価格においてこれの生産の増強をはかつて参るということは当然のことと考えております。
○芳賀委員 これは非常に重要な問題だと思うわけなのです。食糧政策の上からいつても、国内における麦や大豆等が国際価格に比較して割高であるから、安いものを外国から買つた方がいいというような安易な考え方をもし長官が持つておられるのだとすると、これは日本の食糧行政の上においてまつたく逆コースだと考えております。外国の農産物事情と比べて日本の農産物は、米は別でありますが、国際的にもなかなか太刀討ちはできないと思う。そういう場合において、いかにして日本の農業を守つて、国際競争にも耐え得る力をつけるかというところに政策の基本があると思うわけでありまして、ただ採算上あるいは国家の財政上これを安易に考えるということは、どうしても避けなわればならない。たとい国内の現在の麦や大豆が割高であつても、生産を局めてコストを引下げるというようなことを、なかなかいろいろ行う余地があると思います。ことに畑作の場合においては、そういうような余地はずいぶん残されておると私は考えておるわけであります。菜種に関連して申し上げますが、これは提案者にお伺いします。普遍性のないようなものは一応取上げておらないということを言われましたが、私は大豆の問題を一つ拾い上げて、これが全国的に見て普遍性のある重要農産物であるかどうかということをお伺いしたいのであり瀞す。その前に数字を申し上げますと、大豆の場合においては、昭和二十五年には四十一万七千町歩作付が行われておる。二十六年度には四十二万六千町歩、二十七年度には四十一万三千町歩、大体四十万町歩をちよつと出たくらいの平均の作付の数字がずつと流れております。この場合地方的でない証左は、この中で生産高においても反別においても一番主たるものを占めておる北海道においては、二十六年度においては八万七千町歩であります。二十七年度が八万八千町歩、二十八年度が七万七千町歩、こういうような比率をもつておるわけであります。もう一つは、大豆の場合は国内消費高に間に合わないという点であります。一九五〇年には十七万七千トンの大豆輸入をやつており、五一年には三十一万八千五百トン、五二年には十六万七千トン、これはやはり国内において不足しているから外団から輸入しておるということになるわけであります。現在国内価格と輸入価格とでは国内の方が割高ではありますけれども、こういうような点からいつても、大豆という農産物が蛋白給源として、あるいは油脂原料として、米麦に次ぎ三位に位するくらいの重要農産物であるということを私は指摘したいのでありますが、これらに対する提案者の御所見はどうでありますか。はたして普遍性のないものであるかどうか。重要度の少いものであるか。価格支持の緊迫度がまだ薄いと考えておられると思うけれども、この法案の基本的な立場に立つた農産物としての重要度合いと、普遍性に対する御所見を伺いたいのであります。
○足立委員 ただいまの大豆の問題に触れます前に、菜種と麦との問題につきまして、提案者としての所見を申し上げてみたいと思います。 先ほど芳賀委員から指摘されました、麦の作付けが菜種に転換をしているのではないか、これは芳賀委員と私は同感でございまして、この傾向がまずく増大されて、幸いにして油脂資源が国内でまかなえる時代が来たといたしましても、一方主要な食糧である麦が減産をいたしまして、それがために貴重な外貨を使つて外国の食糧に依存をするということになりましてはたいへんな事態でございます。従いまして、最初の芳賀委員の増産をする意図がこの法案にあるかどうかという御質問に対しまして、私がまことに歯切れの悪い答弁をいたしたのでありますが、この菜種の問題がありますからなかなかその点が割り切れなかつたのであります。しかしながら、菜種が増産をされまして、油脂資源が国内に豊富になり、従つて大豆の輸入等もこれによつて相当抑制をされて参つておりますことは数字でも明らかであります。たとえば二十七年度実績を見ましても、輸入による大豆油が四万六千五百トンでございます。国内産の大豆油はわずかに二千五百トンという数字でございます。二十八年度の需給計画におきましては、この輸入が、大豆にいたしまして八万トンを抑制し得るということになつております。実は菜種は、表面に現われております数字以上に増生されているのではないかと思いますので、この八万トンはもつともつと抑制できるではないかということが想像されますから、この面におきまして、菜種の増産は非常に大きな効果を発揮いたしまして、外貨の節約にも役立つていると思われるわけでありますが、先ほど申しました通り、麦がどんどん転作されて行くということになりますと、これは重大な問題でありますので、やはり支持いたします価格にいたしましても、現在の価格が正しいかどうかということは別にいたしまして、一応政府で需給調節をやつて、間接統制をやつて買入れ価格を決定いたしておりますので、この買入れ価格と比較いたしまして菜種の方が著しく有利であるように決定したとするならば、これは自己撞着と申しますか、政策上の矛盾が来る、かように考えますので、価格を支持します点につきましても、おのずからこの辺の兼合いの点が微妙でございますが、そういつた点を兼合いにして価格を決定しなければならぬのではないかということを提案者として考えている次第であります。 なお大豆の点でございますが、ただいま数字で申し上げました通り、国産の大豆はごくわずかな量でございまして、従来ほとんど輸入にまつておつたわけであります。 満州大豆が来ました時代にはきわめて低廉でありまして、国内の蛋白資源としてもあるいは油脂資源としても恵まれておつてわけでございますが、最近はアメリカの高い大豆を買わなければならないという点に非常に悩みがあるわけでございます。社会党が主張されておりますように、中共貿易が盛んになりまして、中共の安い大豆がどんどん入つて来るということになりますと、これは保護関税を設けて——先日も委員会で決議いたしましたように、こんにやくに対する関税を引上げておりますが、あのような処置をとらなければならない事態も起るのじやないか。あるいはまたこの法案に大豆を盛りこんで、国産の大豆を保護するというような処置をとらなければならないのじやないかというふうに考えておりますが、ただいま芳賀委員の御質問の大豆に普遍性があるかないか、これは私は普遍性はあると思います。全国どこでもつくつております。しかしいわゆるしら畑あるいは裏作にいたしましても、そつくり大豆に使つて大量生産を計画している個々の農家は比較的少いのでありまして、北海道あたりは別でございますが、何といいましても地域的に偏在していることはいなめない事実であります。しかし地域的に偏在しているからこの価格安定法に入れないと、ただちにそれだけの理由をもつて申すのではなくして、芳賀委員も御指摘の通り、今私が申し上げた数字で明らかなごとく、現在幸か不幸か輸入する大豆も高い。それにつられて、大豆の価格の変動等を見ましても、昭和二十五、六年の平均で大豆が一升五十一円八十八銭でございましたのが、二十七年度におきましては七十一円三十九銭〇二十五、六年度の平均を一〇〇といたしますと、二十七年度わずか一年で一三七・六と指数が向上しておりまして、他の農産物に例を見ないような向上率でございます。かような観点からいたしまして、現在はこの農産物価格安定法に大豆をただちに取入れる必要はないと私どもは考えた次第でありまして、その必要が起つたときに処置をすればいい、かように考えておるような次第であります。 なおよく御理解願うために申し上げますが、この農産物の価格安定法は価格支持の法案でございまして、需給調節、間接統制をやろうという趣旨のものではないわけであります。もちろん輸入を制限したりいろいろな処置によりまして、間接的には需給調節に役立つことは事実でございますが、現在麦について政府がやつておりますような、間接統制というような強い内容を持つた法案ではないのでありまして、価格を支持するという意味の法案であることを御了承願いたいと思う次第でございます。
○芳賀委員 もう若干質問しておきますのは、今提案者のお言葉の中に、社会党あるいは中共貿易というようなお話がありましたが、私の法律に対する不満は、各党共同提案であつて、いわゆる最大公約数になつて一応曲りなりにもかつこうができているということからいたしまして、各党の基本的な政策の面からこれを解明しているのではないのであります。そういうような私の質問にもかかわらず、足立委員がかような発言をされるということは非常に遺憾でありますが、これらの論争を必要とするならば他日いつでも行いたいと思いますけれども、これはこの場合にふさわしくない発言であると私は思うわけであります。先ほど私が言いました大豆の普遍性というものは、国内における重要農産物としての普遍的の価値があるのではないかということである。たとえば北海道等の方に極限されているようなお話もありましたけれども、北海道における畑作農業という一つの特質の中において、大豆の作付というものはいかに重要性を持つておるかということをもう少し御研究を願いたいのであります。決して一地区に限定した理解の上に立つて私は発言しているのではないのであります。また価格が何とか市場的に維持されておるからという考え方でこれを切つたというのであるなら別でありますけれども、切りぼしいもや菜種に比べて重要度が低いというようなことである場合においては、これは絶対に譲ることのできない点であります。 もう一つ申し上げたいのは、これはかつて大臣に対する基本政策の質問の中でも申し上げましたけれども、アメリカの下院においては、麦類の価格が現在支持制度をとつておるわけですが、現在の価格を支持することが困難である。それで大体作付面積の切下げを行うことにしなければ、現在の支持価格を二〇%くらい切り下げざるを得ないということを法律によつて上院の方にも送付して、そうして生産者団体に勧告を行うような気配があるわけであります。そういう点から考えた場合において、特に日本の貧弱なる国家財政の中において一定の価格支持を行うという場合においては、やはり生産に対する計画性、生産の調節というようなことは可能なる範囲において行うべきであると私は考えるのであります。それを行わない場合においては、今現われて来ているところの麦と菜種問題であるとか、いろいろな問題が出て来まして、国の食糧生産と背反したような方向に価格支持の効果が行かないとも限らないわけでありますが、提案者はこういうような点においても、今後政府に善処方を伝えるような御意思はございましようか。
○足立委員 芳賀委員とまつたく同感でありまして、芳賀委員、また皆さん方の御協力も得て、今後ひとつ善処いたしたいと思います。
○芳賀委員 私は結論的にこの法案の中で物足らぬような点だけを指摘して質疑を終りたいと思いますが、結局自主的な調節に対して、これはなまぬるい政府の施策に期待を持つことはできないのであります。こういう点が、法案の中において明確性を非常に欠いておるという点が一点、それからかんしよの切りぼし等の処理についてはどういうように政府が責任をもつてこれに善処するか、あるいはまたアルコールの専売特別会計等との関連の中においてどういうような処理をするかというような点に対しても問題があると思うのであります。それからまた国内の農産物の価格を維持すると、それに加えて国内の重要農産物の生産の高揚をはかるために、外国から輸入されておるところのこれに関係を持つ農産物あるいは砂糖や、その原料等の輸入に対して、どういうような抑制の手段を講ずるかというような問題、あるいはまたこの法律案の趣旨は生産者団体に多くの期待と責任を持たせて価格の調整を行ういうことも明示されておるわけでありますが、そういうような過程の中において、生産者団体がこれらの政府の勧告や、承認に基いて農産物を保管管理しておるというような過程において、今次の災害等のような現象が生じた場合における損失の負担はどこにその責任の帰趨があるかというような問題が一つ、もう一つは今論議の中心ともなるだろうところの大豆の問題でありますが、これらは現存では必要はないということでありますが、これは私は現在必要があると考えて論理を進めて来たわけでありますが、見解の差で絶対多数の前にどうすることもできませんが、おそらくこれは財政等の関係、あるいは大蔵当局との了承を得ることができなかつた、力関係においてこういうものが取上げておらないというように私は考えておるので、遅くても明年度の生産される大豆等に対してはこの法案の中に品目として規定するようなことも必要であると考えるわけであります。特に法律は、政令等によつて品目をきめるのであるが、この法律案はその骨子の中に品目を限定しているところに私は一つの不満を持つているわけでありますが、これらの品目の追加等はごく近い将来において行うべきであるということを私は期待しておるわけですが、これに対する考え方、それから最後に価格の決定、買上げ数量の決定等に対しては、これはさつき足立委員が生産者団体の相談に政府が乗るから心配ないということを言われましたが、これは絶対に現在の政府に対してそういう信頼を寄することはできないのであります。この法案の一番の欠陥は、何としても審議的な機関を設けないというところに大きな欠陥があるのであつて、これらに対しては、当然米麦等の買上げ農産物を総合的に一貫したところの抜本的な農産物に対する買上げの審議機関、調整機関等を将来設くべきであるというふうに私は考えておるわけでありますが、将来当委員会等においてこれらの機関を設置し、あるいは農産物全体の価格安定のために根本的な法律案の制定等の必要があると考えるわけであります、以上の諸点に対して提案者並びに政府当局の責任ある御所見を承つてそれで質問を終ります。
○足立委員 価格の決定の問題につきまして、私から答えいたしまして、残余を政府側から補助的な御答弁を願うことといたします。審議会を設置したらどうかという御意見は、当面としては、私先ほどお答えいたしました通り、考えておらぬわけでございますが、近い将来におきまして、この価格支持制度というものがもつと幅の広い、もつと徹底した制度になりまして、これが日本の農家経済を安定しますための、より力強いものに育つて来ると期待をいたしております。そういつた段階におきましては、当然総合的なバランスを考えて、価格を決定するということになつて来なければならない、さような場合には、おそらく農産物価格審議会というようなものができ上らなければ、その任務を達成することはできないと考えておるような次第でございますので、この法案は恒久的な立法ではございますが、また将来大きなる見通しのある法案ではございますが、今回いろいろな問題のありましたのを、各派で話合いまして、歩み寄つてここに調整をとり、いわば種まきをするような法案でございますので、いろいろな御不満の点もあろうかと思いますが、その点は御了解願いまして、これでひとつやつてみて、だんだん法案の趣旨が理解をされ、これが成長して参りますれば、今芳賀委員のおつしやつたようなことにもなろうかと思つておるような次第でございますので、よろしく御協力をいただきたいと思います。
○前谷政府委員 芳賀委員から御意見のございました、生産者団体における自主的調整に対する措置でございまするが、これはもちろん政府の行政を通じまして、法律を要しないでも、いろいろな点におきまして、やり得る措置がございますので、またわれわれといたしましては、現に澱粉につきましても、相当の効果を上げ得たと考えておりまするが、さらに十分その点につきましては、今後実施の面に当つて、御意見のように留意をいたして参りたい、かように考えております。なお切りぼしの問題でございますが、お話のように、切りぼしの出まわり時期というものは相当期間が短かいというような点もございますので、これにつきましては、十分自主調整と相まちまして、また政府が保管いたします場合には、保管の倉庫の選定あるいは燻蒸等についても十分留意をいたしたい、かように考えるわけでございます。なお国内農産物の生産の維持向上の問題につきましては、芳賀委員も御承知のように、いろいろな面におきまして一土地改良の問題なり、あるいは耕種改善なりにおきまして、それぞれ農産物の重要度に応じまして、その政策が進められておるわけでございまして、作付面積の問題よりも、むしろ御指摘のように、今後の海外の農産物との関係におきましては、そのコストを引下げると申しますか、反当収量を上げると申しますか、コストの引下げで対抗して参らなければならないことは御説の通りなんでございまして、そういう点につきましては、一般の増産政策において十分考えなければならない点だろうと思います。それで生産者団体の損失の負担の問題等につきましても、実施の面におきましては、十分検討いたしたい、かように考えておるわけであります。
○井出委員長 他に御質疑はありませんか。——他に御質疑もなければ、引続きこれより討論に入ります。金子與重郎君。
○金子委員 ただいま提案になつております農産物価格安定法につきまして、この法律が日本の農業の特異性にかんがみましても、零細農家に対して、その生産物の最低の価格を支持してやるということは非常に重要な問題でありまして、ことにアメリカのような相当規模の農業においてすら実施されておる制度でありますので、今日この法案が当然こういう考え方をもちまして、実施されることは、当然過ぎるほどの問題でありますが、ただここに問題になりますのは、今日本で、実施しておりますところの麦の統制撤廃後の政府の最低価格支持も、これも農産物価格安定法の一つでありますし、また繭に対しますところの政策も、繭糸価に対する安定法も、これと同じ意味の性質を持つておりますので、そういう観点からいたしますと、もう少し農産物の価格安定という一つの政策は、大きな基本的なものとして、画期的に取上げなければならない時期が来ておるのじやないか、そこでそれの一つの芽ばえとして、ここに農産物価格安定法という形で、別な角度から打出して、やがてはこれに対する経理の面におきましても、一つの特別会計を持つというところまで行かなければならないものだ、こう考えております。そこでこの法案の今後の実施あるいは今後のこの法案の改正の方向というものに対しては、まだまだたくさんの残されたものがあると存じておりますので、この際私はさしあたり、この農産物価格安定法を施行するにあたりましての附帯決議をつけて、賛成したいと思うのであります。 ここに附帯決議の案文を読み上げます。 農産物価格安定法案に対する附帯決議案 農産物価格安定法の制定に当り、政府は、左記事項に留意し、もつてその運用の適正を期すべきである。 記 一 農産物等の価格の安定をはかることは、生産者団体の本来の使命であるにかんがみ、政府は、まずもつて、これら生産者団体が自主的販売調整を行うに必要な低利資金の斡旋等必要な措置をとるものとし、政府の買入は生産者団体の自主的活動の助長をはかる考えの下に行うこと。 二 特に甘しよ切干については、長期貯蔵が困難な事情にかんがみ、極力、生産者団体をして販売調整を行わしめ、糖蜜の輸入を抑制し、自主調整品をアルコール専売特別会計で買い上げる等の措置をとり、政府買入に伴い財政負担とならないよう留意すること。 三 政府は、価格安定の目的を達成するため必要がある場合は、本法の対象品目に対する競合物資の輸入制限等適切な対策を併せ講ずること。 四 生産者団体が本法に定める農産物の需給調整のため農林大臣の勧告又は承認に基きこれを保管した場合、その農産物等が、天災、地変等の不可抗力により損害を蒙つたとき、政府は適切な救済措置を講ずること。 五 本法に定められた以外の大豆その他の農産物であつて、今後特に価格安定措置を必要とするものが生じた場合は、情勢に応じてこれを追加すること。 六 農産物等の政府買入価格の決定については、米価審議会に報告すること。 以上でありますが、何とぞ委員諸君の御同意を得まして、この附帯決議によりまして、今後の運営に全きを期したいと存ずるのであります。
○井出委員長 政府側の所見を求めます。
○前谷政府委員 ただいまの金子委員の御討論にございました附帯決議につきましては、農林大臣にも十分御報告いたしまして、御趣旨の点を実現するようにいたしたいと思います。
○井出委員長 これにて討論は終局いたしました。 これより農産物価格安定法案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔総員起立〕
○井出委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決すべきものと決しました。 次に先ほどの附帯決議について採決いたします。この附帯決議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井出委員長 御異議なしと認め、この附帯決議を付するに決しました。 なおお諮りいたします。本日議決いたしました両案に関する衆議院規則第八十六条の規定による委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井出委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 本日はこれにて散会いたします。 午後一時二十二分散会