農林委員会 第3号
- 発言数
- 61 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1953/05/29
会議録
○井出委員長 これより会議を開きます。 肥料問題につきまして調査を進めたいと思います。最近における肥料問題は、国内的にも対外的にもきわめて緊迫した事態を来しておりまして、先国会におきまして、本院は肥料価格安定に関する決議案を満場一致をもつて可決し、政府の善処方を要望し、政府もまた肥料対策委員会を設けて、肥料問題に関する基本的事項を審議せしめる等、これが対策に努力されているようでありますことは、先刻御承知の通りであります。本委員会といたしましては、本国会におきましても、肥料問題につきまして、議長の承認も得ましたので、引続き調査研究を続けるわけでありますが、本日は最初でありますので、まず政府当局より、最近における肥料事情及びこれが対策についての経過の御説明を求めたいと思います。経済審議庁岩武調整部長。
○岩武説明員 肥料問題につきましては、通産、農林両省にわたつている事項がたくさんございまして、従来経済審議庁におきまして調整いたしておるところでございますので、便宜審議庁におきましてとりまとめて御報告いたしたいと存じております。 肥料問題につきましては、昨年の十二月の終りに、当委員会におきまして、肥料価格の適正化並びに供給確保に関する件という御決議がございまして、その最後の項目に、「権威ある肥料審議会(仮称)を設置して、肥料の需給、価格、生産並びに輸出入等に対して検討を加え、肥料工業の育成発達と、農業生産の向上との一元的調整を図ること」という事項がございまして、その趣旨に沿いまして、昨年末閣議決定におきまして肥料対策の委員会を設けることに決定いたしまして、その後委員等の人選を進めました結果、大体成案を得まして、一月の終りに、肥料対策委員会の第一回の会合を持つに至つた次第でございます。委員の名簿等はお手元に配付してございまするが、大体メーカー側から四名、配給業者側から三名、消費者側から四名、そうしまして中立的な立場にある方五名、合計十六名で組織しておりまして、委員長には互選をもちまして日銀の一万田総裁がこれに当つておられます。肥料対策委員会は爾来四箇月間にわたりまして、随時会合を開いて審議を進めておりまするが、その経過を簡単に御報告いたしますると、まず当初は春肥に向う需要期でございまして、肥料価格が先高ぎみで、従来いろいろ行政措置をしておりました価格もなお上りぎみなような情勢でございましたので、まずこの春肥の価格をどうすべきかということが最初の委員会から問題になりまして、ことに消費者側の委員の方々から強い御要望がございまして、委員会としましてもそれを取上げまして審議したのでございまするが、安い高いということは一つには需給の関係がございまするが、なおコストの関係等もございまするので、一体コストはいかがなものであるのだろうかということで、その点につきましてメーカー側からの資料の提出を求め、またそれを検討いたしまするために、委員外に三人の専門家を委嘱しまして、いろいろ検討したことでございまするが、なかなか御案内のように化学工業のことでございまするので、ことに硫安の方はいろいろ総合的な化学工業で、企業の形態あるいは技術の複雑さとか、設備の関係等がまちまちの点が非常に多いのでございまするので、急速な結論は得られませんでしたが、片一方需要期の方はだんだん切迫いたしまするので、とりあえず従来政府側で実施しておりました安定帯価格を少し下げたらどうかということが委員会の結論としてきまりまして、その旨を政府側に勧告があつた次第でございます。 御参考までに申し上げまするが、その当時の安定帯価格は、昨年の九月末におきまして、これまた政府側の勧告に基きまして、メーカー側並びに配給業者側の間の協定でできました額でございまして、硫安につきましては一かます八百七十円から九百三十円というふうに、上下六十円の幅がありまする価格であつたわけでございます。その安定帯価格を少し下げるようにというのがこの肥料対策委員会の勧告の趣旨でございまして、それに基きまして政府側の方でいろいろ中に立ちましてあつせんしまして、両者の話合いを進めました結果、この価格を約四十円がらみ下げまして、八百二十五円から八百九十五円というふうに下げることに話がまとまりまして、これに基きまして春肥の荷渡しが行われて来たわけであります。 なおこの当時問題になつておりましたコストの点についてもその後いろいろ専門委員の検討の結果も出ましたが、要するに一つは専門委員あるいは委員会としましては、強制的に企業の内部に立ち入りまして帳簿その他を調べるという権能はございませんので、勢いメーカー側の協力を得てというような一定の制限がございまするのと、もう一つは、いろいろ当時準備せられておりましたコストの資料が比較的短かい期間でございましたので、肥料工業のようにいろいろ電力事情に左右されるとか、あるいは需要期の関係に左右されますものにつきましては波を打つことでございますので、ある長い期間の資料を見ないと的確な判断が下せないという事情もございまして、メーカー側の提出にかかる資料をなお検討する余地があると思うが、しかし現在の段階ではこれ以上的確に幾ら高いとか安いということは結論を出せないというような報告であつたわけであります。 なおこの安定帯価格引下げの当時、いわば価格引下げあるいはコスト引下げの一つの助けといたしまして、メーカー側からもう少し電力の割当量をふやしてもらいたい、あるいは金利の引下げ、あるいは石炭の輸入というような対案もございまして、いずれももつともなお話でございますので、そのうち電力につきましては、二十八年度の電気の割当計画におきまして、増加しました電力量を一番優先的に肥料の方に割当てておる次第でございます。金利の問題等につきましてはなお検討中でございます。 その次に起りました問題は輸出の問題でございまして、これはちようど東南アジアの諸国が日本の春肥の需要期と相応じまして需要期に入りまして、フイリピン、台湾、韓国等の方面から、あるいはその他の地域からもいろいろ輸出の引合いがございまして、かたがた従来から輸出の問題につきましては御案内のように、輸出貿易管理令で通産省の許可を得るようになつておりますが、その許可にあたりましては通産、農林両省で相談して協議して参るということになつておりますが、そういうような海外の需要旺盛にかんがみて、これをいかに処理すべきかというメーカー側からの提案もございましたし、また政府側としましても委員会の何らかの結論を期待しておるというような時期でございまして、これにつきまして委員会の方でも、いろいろ需給関係の資料を政府側に求めまして検討いたしました結果、肥料工業は御案内のように、ことに硫安におきましては、操業度の上下ということで相当コストの方も影響もございますので、かたがた東南アジア地域は大きく見ますれば、この化学肥料は大体日本が一番近いところでありますし、また日本の貿易としましても一番伸ばすべきところでございますので、まず内需を充足しまして余りがあるという見通しがあれば、これは出したらよいのじやないかというのが在来からの方向でございましたので、この需給資料につきまして委員会で検討いたしました結果、二十七肥料年度、つまり二十八年の七月末において相当多量の在庫を生ずる見込でございましたので、これはちようど春肥の需要を見ましても、なお年度末におきましては正常在庫以上のものが残るというような見通しでございました。しからばこの際有利な条件で輸出したらどうかということで、そういうような趣旨の勧告が出ました。これに基きまして政府側でいろいろ相談いたしました結果、とりあえず五月分としまして、当時引合いのありました韓国等に五万トン程度はよいのではないか、それからまたその後のものにつきましても引合いに応じて、実際の需給に混乱がないような範囲で許可して参ろうということにきめた次第でございます。 以上の春肥の安定帯価格の問題と輸出の数量問題の二点は、いわば時事問題でありまして、この二つがやつと片づきましたのでいよいよ設置の本論に入りまして、肥料工業の需給並びに価格の安定、それからなお価格の合理化による低下、需給調整と輸出の振興との関係という問題につきまして、肥料工業のいわば根本的な対策というものと取組んで参つた次第でございまして、これにつきましてはいろいろな意見も開陳されて参りましたが、一応問題を整理しまして、需給調整のやり方を中心としました小委員会と、それからコストの低下、合理化といつた問題を中心に審議いたしまする小委員会と二つの委員会を設けまして、問題をわけて現在進めております。 両委員会の現在までの段階を申し上げますと、需給調整の方におきましては、これは小委員長は東大の東畑教授でありますが、いろいろ需給調整のやり方につきまして、委員長の一応の試案の提示もございましたし、またメーカー側、全購連側等からも案の提出もございましたし、なお輸出業者の方からも正式にまとまつたのではありませんが、ある提案もあつた次第であります。いろいろ現在論議を重ねおりますが、なお大体の結論といつたものはまだ見出されない状況でございます。 それからコスト低下の方の問題でございますが、これはもつぱら硫安中心でございますが、これは比較的方向としましては、要するに設備並びに経営の合理化によりましてコストを下げて参る。しからばその具体的な方法としましては、どういうことがあるかということに相なりまして、設備の合理化という面につきましては、これはたとえば直接石炭を使つて参る方法であるとか、あるいはガス、蒸気を有効に償ういろいろ装置の更新でありますとか、あるいは新しい種類の肥料をつくることによりまして、コストを下げて参るというふうないろいろな提案がございまして、大体そういうふうな設備関係の改善に要します設備投資を必要とする額等も一応の示唆がございまして、設備の完成後は、五箇年程度かかる予定でございますが、コストにおきまして、一割近いものが下るというような一応の目安で、なおこの具体的なやり方につきまして検討を続けて行きたいと思います。それから経営の合理化ということでありますが、これはいろいろな問題がございますが、一つは操業度の上昇の問題もございまして、これにつきまして一番関係がありますのは電力の問題でございまするが、ちようど電力の五箇年開発計画の関係で、その規模並びにテンポとにらみ合せまして、大体肥料工業としましては、現在は硫安につきましては二百万トン程度の生産でございますが、これは今後コスト低下あるいは食糧増産等によりまする国内の消費増あるいは国外におきまする輸出の引合増等もありますので、もう二割程度は増産ということで、操業度を上げ、コストを下げて参るということも一応考えられる案でございますので、それにつきましていろいろ電力等も検討いたしましたが、大体は五箇年後にはその程度の電力の供給は可能だというふうな見通しでございますので、そういうふうな手を通じましてある程度操業度の上昇を考えております。 それから具体的な経営面におきましては、たとえば内部のいろいろな経理面なりあるいは事務管理の改訂の方式等もあります。この辺ではそう大きなコスト引下げは期待できないと思いますが、なお経理面におきましても、もしほんとうに必要であれば、あるいは長期的な設備資金の金利の引下げ、あるいは税制面におきまして、ある程度の改善といつたものがあるんではないかという点もありますので、経営と経理の面につきましても、なお検討を続けておる次第であります。 この需給調整と合理化の両方の小委員会にわかれて進んでおります。できるだけ早い機会に結論を得たいと思つて、いろいろ委員の方々にもお願いしておりますが、なにせいろんなむずかしい問題も存しておりますし、また複雑な事情もございますので、早急には結論を得られないような状況でございまするが、ちようど国会期でもございますし、われわれとしましても早く結論をいただきまして、政府におきましてもそれを検討いたしまして、国会の方の御審議もお願いしたいというふうに考えております。
○井出委員長 通産省の方で何か御発言はありませんか——なければ川俣清音君から発言を求められておりますから、これを許します。川俣君。
○川俣委員 私はまず第一に資料を要求したいと思います。それは二十七肥料年度における需給状況を詳しく知りたい。もつと詳しく申しますと、窒素系統を全部ひつくるめて各社別の見込み数量並びに実績を示していただきたい。さらに今後の輸出見込み数量、それから国内消費量の実績及び、需給状況、これらを印刷にして配付願いたいと思います。 これだけの資料をお願いすることにいたしまして、次に質問いたしたいのですが、先般行われました硫安工場の出荷ストが肥料の価格にどのような変動を起しておるか、またこれに対してどのような措置をとられたか、この点をお伺いいたします。
○柿手説明員 肥料のストは、一番大きいのは昭和電工川崎工場、それから東北肥料、日本水素等でございましたが、今なお続行しておりますのは、日産化学富山工場一社だけであります。お尋ねのストが肥料の市価に影響したかどうかということでありますが、先ほど調整部長からもお話申しましたように、そのストのあります前に春肥の安定帯価格の改訂も行われまして、全購連とメーカーとの間にそれぞれ春肥の契約を行つたあとでございましたので、ストによつて春肥の取引価格に著しい影響があつたというふうには考えておらないのであります。
○川俣委員 通産省は価格に何も影響を与えなかつたというふうに見ているという御答弁でしたが、実際の取引においては、非常に需要期を控えて円滑に肥料がまわりませんために、価格を引上げたということを聞いておるのですが、そういう事実はありませんか。もしあつた場合はどういう措置をされますか。
○柿手説明員 ストのために価格が特に高くなつたということにつきましては、私どものところにそういう訴えが来ていることは、ただいま承知しておらないのであります。
○川俣委員 もしそういう事実があつた場合には、どういう処置をとられるお考えですか、この点お聞きしたい。
○柿手説明員 今の肥料の取引につき序しては、特に法令でもつて配給なりあるいは価格についての規制はないのでありまして、法律的にどうこうということは、政府としては手はないと思います。事情によつて、私どもとしても、非常に不当なことがあれば道義的に処置したい、こういうように考えております。
○川俣委員 前国会において農林委員会から決議が出され、この決議に基いて政府が行政的措置をとるようにという要望が出ておるはずであります。この趣旨を体して行政が行われておるものと私どもは理解いたしておるのでありますが、この理解に基いて政府も小委員会をつくつて、とにかくも引下げて行こうという態度をとつておられる。価格が一応落ちついたあの線を、さらに上まわるような取引が行われておつたことについて、法律的根拠がないからやむを得ないというようなお考えでありますか、その点をお尋ねいたしたい。
○柿手説明員 先ほど申し上げましたように、その事情がどういう事情か存じませんが、法律的には、今価格あるいは配給について何らの規制がないのでありますから、これはできないと申し上げたのでありますが、事情によつて無理な点がありますれば、場合によつては政府が行政的にいろいろな措置をやりたいというふうに考えております。
○川俣委員 私どもの考え方から申しますと、法律上の根拠がないということから行政上非常にやりにくい、それで何か法制化の必要があるというふうに聞き取つてよろしいのですか。
○柿手説明員 繰返して申し上げますが、これは法律的に強制はできないという意味であります。しかし現在は、事情によりまして私どもの力の及ぶ範囲において、そういう制度はないけれども、何とかうまく解決する道があれば努力したいというふうに考えております。
○川俣委員 私の聞きたいのは、行政上どうにもならぬから、法制的に何か考えてほしいというふうに理解してよろしいかというのでありまして、法律の根拠がまつたくないために、通産行政といたしましてこれ以上手を打つことができないというふうに理解してよろしいというのなら、われわれはまたそのつもりでかからなければならぬと思いますが、この点を再度お聞きしておきます。
○柿手説明員 私の申し上げ方が悪いでしようか。要するにどういう事態か私承知しておらないのでありますが、社会的通念からいつて、非常に不当なことである、道徳的にひどい、それを何とかするという場合に、公定価格あるいは配給統制等があればそれは即座に権力でもつてできる。しかしそうでない現状においては、われわれは行政的な監督指導をするということしかできないのであります。
○川俣委員 どうも私の尋ねているのをそらしておられるようですが、そうではなくて、私は、現在通産省の持つておる行政的措置ではいかんともしがたい、こういうふうに解釈して、それでは立法化の手段をとらなければならないというふうに考えるが、それはどうか、こういうふうにお尋ねしておるのであります。
○柿手説明員 御質問の趣旨がちよつと私に解しかねるのであります。(「わからぬことないだろう」と呼ぶ者あり)私それは意見にわたりますから拝聴するにとどめたいと存じます。
○川俣委員 農林省にお尋ねいたします。出荷ストの結果肥料の需給が非常に不円滑になりまして、相当の齟齬を来したというふうに聞いておりますが、そういう点についてどういうふうにお考えになりますか。
○林田説明員 窒素肥料につきましては、あまり大した影響はございませんが、過燐酸の方につきまして、九州地区並びに中京地区におきまして相当影響が出ておるのでございます。九州地区におきましては、大体一万五千トンくらいの不足になつておりまして、中京地区は四千トンくらいの不足を見ております。これにつきまして、取急ぎましてメーカー側と全購連側と会合をいたし、また農林省、通産省といたしましても、行政的な指導によりまして、各メーカーにいろいろ協力を依頼いたしまして、スト以外のメーカーにおきましてそれだけ増産をしてもらうことにしまして、ただちに中京地区並びに九州地区にそれを送るというふうな手段をもちまして、施肥期には間に合うようにやつておる次第であります。
○川俣委員 そのために在来の価格にどんな変動を与えたというふうに認めておられるか、この点をお尋ねいたします。
○林田説明員 硫安につきましては、大体横ばいを続けております。従いまして、小売価格におきましてもそう変動はないものと存じております。過燐酸につきましては若干変動がございまして、四月よりも十貫かます当り五円くらい上昇しておる、そういうふうな状況であります。
○川俣委員 肥料対策小委員会において、メーカー側と学識経験者側案、東畑案と全購連案とが出ておりますが、これらの間において大きな相違があるのであります。政府はこれをどのようにまとめて行こうとするお考えであるか、まだきまつておりませんければ、その大きな相違点について政府側の見解を述べてほしいと思います。
○岩武説明員 お尋ねの点につきましては、農林省の方から資料がお手元に配付してあることと思いますが、政府側としましては、案をどういうふうに持つて行こうというような考えはございませんで、むしろ委員会の方で結論が出るのを待つておる次第であります。御案内のように、ごらんになりますれば大体わかると思いますが、全購連側の案とメ—カー側の案とにおきましても、価格の点あるいは調整機構の点につきまして差異がございますし、東畑小委員長試案との間におきましても、なお同じように価格その他において差異があります。ただ三者案で一致いたしておりますのは、在来から問題になつておりますような輸出価格と国内価格との差異を、何らかの形で団が少しめんどうを見たらどうかというようなところに共通点があるかと存じております。その点につきましても三者それぞれニユアンスも違うようでございますし、またお配りしてないと思いますが、輸出業者方面からの提案といたしましては、むしろ輸出入貿易の中で、つまり貿易業者のアカウントで、ある程度まかない得るのではないかというふうな、これはやや私的な意見かと存じまするが、そういうふうな提案もございました。この点を政府側としましてどういうふうに持つて行くかという点は検討はいたしておりまするが、結論を得ておりません。御案内のように、いろいろ国際的な事情もございまするし、あるいは国内の財政事情もございまするから、どういたしまするかという点は、なお委員会の結論を見ました上で検討いたしたいと考えます。
○川俣委員 大体了承できるのですが、政府が積極的にまとめようとするようなことは、この委員会をつくつた趣旨から困難である、こういう説明でありまして、その点は了承できるのですが、問題は、これだけかけ離れた案が三つ出ておりますが、これはおそらくなかなか答申案として出て来ないじやないかというふうな見通しを私どもは持つのでありますが、この見通しについてはどうでしようか。さらに結論が得られることを待つておられるということになりますると、相当長くかかるのじやないかという危惧もいたします。実際長く待つておるというようなわけには行かないので、われわれもここに相当な案を持たねばならないというふうになるのじやないかと思いますので、今の点をお尋ねいたしたのですが、近いうちにこれらの案がまとまつて答申ができるというふうに見解をとつておられるか、この点についてお尋ねいたします。
○岩武説明員 この点は、若干川俣さんの御意見もあるようでございますが、私どもといたしましては、むしろまとまつた案が出るのではないかというふうに実は見通しております。但しこまかい点におきましては、あるいは少数意見等もあることと思いますが、大体の考えの趣旨は三者そう大きな開きはありませんで、ただいわばニユアンスの点で、たとえば価格を少しきつく見るか、少し甘く見るかというふうな点、あるいは特殊な機構を設けるについても、若干の範囲が違う、あるいは設けなくても済むのじやないかという意見もございますが、根本的に違つておるところはそうございませんので、大体の方向は、いわば並行しているようなことではないかと見ておりまするから、せつかく東畑小委員長の方でもある線を出すように努力奔走しておられますので、私としましては、むしろまとまつた一本の案で答申があるだろうと期待いたしております。なお時期としましては、これは事柄の性質上、そう短兵急に意見をまとめてしまうというふうに行かない事情もございまするが、来月に入りまして、いろいろ両方の小委員会の行き方を調整しまして、委員会全体としての大体の方向も議論していただきまして、そうして、また両方の小委員会でその方向で固めて行こうというふうな段取りになつておりますので、いつまでというふうに、ここでお約束するわけにも参りませんが、そういつまでも長く、だらだらということにはならぬだろう、ことに委員長の一万田総裁も、もういいかげんで切り上げようじやないかというようなことでございますので、そうあと長くかからないで、ある方向でまとまるものだというふうに見ております。
○川俣委員 私はこういう委員会の本質といたしまして、これは数において採決して多数決だというようなことには、なかなか行かないのがこの委員会の本質だと思うのです。しかしものをまとめるためには採決をするというようなこともあり得ると思いますが、そういうことを考えると、議会のようにすべて割切つて多数決だというようなわけにはいかないのじやないか。従つてそういう採決をして来た答申案というものについては、なかなか政府がそれに基いた一本の答申案だというふうに考えて行政措置をとるということは非常に困難であろう、こういうふうなところからお尋ねいたしたのであります。まとまるという見解をとつておられますけれども、それがおそらく満場一致的な意味のまとまり方というふうに解釈できるならば、これは私どもはけつこうだと思うのであります。今の情勢では、なかなか採決にして何票何票というようなことであればこれはまとまる、そういう意味のまとまりならあるいは不可能ではないと思うのですが、なかなか満場一致的なところまでは、これだけの見解の相違があつてよくまとまるとは私は思われません。これは見解の相違でありますから、これ以上議論はいたしません。 そこで問題は、今後起つて参りまする国内食糧増産の上に、肥料というものは非常に重大でありますことは、私が申し上げるまでもない。こういう観点から、国内食糧自給の上から、肥料というものについての考え方を、さらに一段と国の全体の建前からとつて行かなければならないものであろうと思うのでありますが、そうして参りますと、単なる硫安だけでなくして、石灰窒素その他窒素系統のもの全部にわたらなければならないと思うのでありますが、この点について、ただ硫安工業協会というものがありますが、これは必ずしも硫安だけではなくて、硫安系統の工業会だと思いますが、硫安工業協会が相当今では統制が強化されておつて、各メーカーの自主性を相当阻害しておる向きもあるのじやないかというふうに思いますが、この点についての見解を……。これは通産省に……。
○柿手説明員 協会は事業者団体法に抵触しない範囲の活動をしておるのでありまして、御指摘の点は具体的にどういうことでございましようか。私どもとしては、現在硫安協会で活動しております範囲では、特に弊害があるというふうには考えておらないのであります。
○川俣委員 私の質問はこれで終ります。
○井出委員長 木村文男君。
○木村(文)委員 私はただいままで川俣君の御質問の内容、あるいはまたそれに対する両省の関係政府委員の御答弁の内容、こういうようなことを先ほどからずつと伺つておつたのでありますが、伺つておつてみますと、帰するところは、前国会におきましての委員会においてお尋ねいたしました四点に尽きると思うのです。この解決ができますると、すべてが今の肥料問題に対する肥料行政の大きな一つの道がつけられるのではないか、こう考えますので、その当時私がお尋ねをいたしましたことに対する御答弁をいただいたのでありまするが、そのときの私に対する公約がどの程度実現されておるか、どう持つて行つておるかということを今重ねてお尋ねいたしまして、御答弁を願いたいと思うのであります。その理由としては、裏にあるものは何であるかといいますと、硫安の価格を下げるとき、実にもみ抜きまして、いろいろと発言があつた、それはまつたく彌縫策であつた。一言で申し上げますると、あの当時、政府のあれは遺憾ながら失態であつた。私は与党のものでありますけれども、その言わざるを得ない。こういうような立場であつたとこう私は申し上げたい。それで今度先般決定されましたいわゆる硫安の国内価格と国際価格の差がなお六十五円残つておる。その六十五円の問題を解決するためにも、私のほんとうの真意はそこにある。しかし大まかに言うと、それの解決は大きな肥料問題の解決によつてすべてが解決できるとこう考えますので、その大きな問題に先に触れてみたいと思います。 第一に私がお尋ねいたしたいのは、政府が握つておかなければならないのは、すべての肥料の生産コストの明確化でなければならぬと私は思う。この点について、政府は今後生産コストをどういうふうにして明確化し、各メーカーを握つて行こうとするのか、この方針を承りたい。第二番に、そのためには出血の輸出の内容の明確化、これも要するに政府がすつかりと握つておかなければならない要素があると思いますが、それをどうして握ろうとするか、どういうようにしてこれに対処しているかということを伺いたい。第三番目は、国内の販売の状況を明確化することである。これはメーカーの内容を調査する必要がある。政府がそれをつかんでいないで肥料行政の確立はできないと私は思う。それをつかんでいないから、いろいろの派生的な問題が起きて来ると思います。第四番目には機構の改革の問題が出て来ると思います。たとえば現在は通産省、農林省、経済審議庁、そういつた各省にわたつてのいろいろの面におけるいわゆる責任の分担があると思いますが、この横の連絡が非常にとれていないことが一つの欠陥であろうと思う。そこでこれを一元化する必要があるのではないか。主管省、責任省というものをこの際きめる必要があると私は考えるが、政府にその方針がありやいなやということを承りたい。この四つの問題を解決いたしますと、大体において肥料行政の根本が確立せられると私は思います。この四点において非常に欠けるところがあるために、ただいま通産省の部長が答弁になりましたような、あいまいな、根本的なデータを持たない答弁が生まれて来る。今の川俣委員が質問せられたことは賛成のところでありますが、おそらくその道の非常なエキスパートであられる川俣委員にとつては実に遺憾であろうと思う。あの答弁では、私が聞いておりましても遺憾であります。内容がない答弁である。少くともこの委員会は、細部にわたつての答弁がほしいところであります。そうして政務官ではなく、事務当局の答弁であるとするならば、データなり、あるいはその具体的な要素を発表するのが委員会の機構でもあり、また政府委員の立場でもあらねばならないと私は思う。こういう意味合いからいたしましても、またその部長の答弁も、こういうことがはつきりと明確にされていないところから来る答弁であろうと私は遺憾に思うのであります。この四点を重ねて御質問いたしたいと思います。 もう一つ、大きな第二番といたしまして、これは小さい問題で、具体的な問題に入るのでありますが、先ほどちよつと触れたのでありますけれども、硫安の価格の問題についてであります。これは一応春肥に対しては安定帯価格がきまりましたが、先ほどの川俣委員の御質問に対しての農林省からの答弁によりますと、この各小委員会における三案が食い違つておる。しかしながらそのうちで大体において一致しているのは、硫安の価格差に対する何らかの政府補填が必要であるということだけであるというように思われる、こう述べられておりますが、私はここだと思います。これに対して三案は、あとの要綱につては非常いに食い違つておるけれども、価格差に対する補填、補給の問題については一致点を見出しているという場合において、政府はこの際どういう方針をこれに対してとられるお考えであるか。そのときになつて、秋肥の場合に処する、あるいはその次の春肥に処する場合、こういつた場合にうろたえた対策を講ずるようでは、農民大衆に対する為政者としての道に欠けていると私は思う。すべてこういう問題は、決してそのときだけに生ずる問題ではないのでありますから、あくまでも私は恒久的な対策が必要であろうと思う。そういう意味合いからいたしまして、どういう対策と方針をとろうとしているか。この三案をわれわれにまで提示したのでありますから、そこへ来るまでの間には政府の方針も一応話合いになつているかと思いますが、この点について確固たる方針を承りたいのであります。農家は御承知の通り生活、経営の面において非常に赤字経営であります。ここに出ております委員の方々は超党派的の立場において、利益代表的な立場において出ておられると思います。そういう面からいたしましても、われわれはできるだけ為行者に協力いたしまして、農民の現在の窮状を打開してやりたいというのがほんとうの気持であろうと思う。ただいままで私が御質問いたしましたことは、一課長、一部長、一局長の答弁よりも、主務大臣であり、責任のある、しかも農民のいわゆる代表とも言うべき内田大臣が幸いに列席されましたので、どうか政府委員は私が今まで御質問いたしましたことを逐一報告いたされまして、新任の、しかも責任のある立場において、経験のあられる農林大臣でもありますので、どうか明快なる御答弁を煩わしたいと思うのであります。
○井出委員長 この際農林大臣よりごあいさつをいたしたいとの申出がありますので、これを許します。内田農林大臣。
○内田国務大臣 一言ごあいさつを申し上げます。 私前回の当委員会においてさつそくごあいさつを申し上げるべきはずであつたのでございますが、昨年来三月ほど病臥いたしました胆嚢炎がちよびつと顔を出しましたので、医者の勧めによつて、二日間ほど休養すればなおるからというので、二日間ほど休養いたしましたので、そのために御無礼をいたしましたから、今日ごあいさつを申し上げます。 私はただいま前の経験もあるからというお言葉でございましたが、前の経験は戦時中の経験でございまして、あの際は敵の空襲がすぐやつて来るというときでございましたから、国家百年の大計などということよりか、その急場のしのぎをいかにするかということに専念いたしておつた時代でございました。今は国家永遠の食糧問題を解決しなければならぬときでありますから、おのずからその環境が違いますので、私は十分腰をおちつけて、ゆつくりと長い先を見通して農林行政を考慮いたしたいと存じている次第でございますから、何とぞ皆さんの御推進、御指導によつてこの重大なる職責を全ういたしたいと存じている次第でございます。何とぞ今後ともよろしくお願いいたします。 今のお尋ねにつきましては、今私は内容を存じませんから、内容を政府委員から聞きまして、適当な機会に、なるべく早くお答え申し上げます。 以上ごあいさつ申し上げます。
○木村(文)委員 大臣がせつかくお見えでございましたので……。
○井出委員長 木村君、大臣は参議院の方に行かれるそうです。
○木村(文)委員 行政府の最高の立場におられる方でありますのでお伺いしようと思いましたが、ちようど参議院の方にも出られる、あるいは今聞いたばかりでというお話でもございましたので、それでは事務的な意味において政府委員の一応の御答弁をお願い申し上げたいと思います。
○岩武説明員 われわれ事務当局の方からお答えするのもいかがかと存ずる問題もございますが、まず行政機構問題がございます。実は私の方でお答えするのも筋違いかと存じておりますが、現状は御承知のようなことで、生産の面は通産省、配給並びに消費の面は農林省ということになつておりまして、一応両省の分界がはつきりしております。なおいろいろな事項につきまして調整を要する事項は審議庁の方へ出しておるという状況でありまして、審議庁としましては、実はこれは取出すべき筋合いの問題でない事項もございまするが、ただ両省の意見調整、施策の総合という面でタツチしておるのであります。本来は責任の所在は通産、農林両省で一応の線が引かれたのでございますが、それ以外のことにつきましては、実は事務当局の方から御答弁するのもちよつとどうかと思います。 それから輸出赤字の補償の問題でございますが、これは先ほど川俣さんの御質問に対しまして私からお答えしましたように、現在の状況は三案の方では政府の何らかの施策を要望しておりますが、先ほど申し上げましたように、その必要もないという意見が若干ございまするのと、それからもう一つは、中立側の意見がいかがであろうかという点が、実はまだ大体の方向を見ておりませんので、その点もあるいは今後考える必要があろうかと思つております。ただ問題点としましては、政府側の方でまだ十分に検討を進め、あるいは結論を得ておりませんが、一応考えますところでは、先ほど申し上げましたように、海外に対する反響がどうあるだろうかという点、それからもう一つは、財政規模との関係でございます。この二点が今思いついておる一応の問題点でございます。なおこれはもう少し対策委員会の結論が具的になりましてから、さらに検討を進めたいと思つております。 それからコストの把握あるいは出血輸出の内容等について明確につかんでおらないのではないかという御指摘でございました。これは御指摘のようなところもございます。ただわれわれとしましては、コストの問題は現在お手元にあります案の中にも一応うたつておるものもございますように、政府が権限を持つて、あるいは政府にかわる機関が権限を持つて調査し、把握するし、なお出血輸出ともからみますが、そういう事態、会社の経理状況をはつきりさせる方が望ましいし必要だということでございますれば、その意に沿つて措置いたしたいと考えております。現在は御案内のように法的に権限を持つては措置しておりません。 それから国内販売の状況でございますが、これはちよつと御質問の趣旨がよくのみ込めませんでしたが、いろいろな販売系統なりそういうふうな配給面のことかと存じます。これも一応農林省におきまして、現在のような農業協同組合系統あるいは商人系統の状況等、いろいろ配給流通の面につきましては、ある程度のことは握つておるのでございますが、ただこれにつきまして、在来外地がありましたようなときの、つまり北鮮の肥料を考えましたときの配給系統は、中途で肥料公団で全国的に整理されまして、また統制撤廃後に現実の商人系統の配給網が復活して参つておるということでございます。それにつきましても、たとえば交錯輸送等の点で販売経費がよけいかかつておるじやないかというような点もあろうかと思いますので、この点につきまして、実は合理化委員会の方でもまずその点を考えてみたらどうかというふうなことで、これによるコストの引下げ等の点も検討しておる次第であります。
○木村(文)委員 それではもう一つだけ、政府としては硫安の価格を下げるという方針は堅持しますか。
○岩武説明員 御質問の通りでございます。これはただに輸出のみならず国内にとりましても、安いことはけつこうなことでございます。ただコストを下げ、価格を安くして参るにつきましては、いろいろな手段方法があろうと思いますので、その方向で現在合理化の委員会にわれわれの方からもいろいろな資料を出し、またメーカー側からも出してやつておるわけでございます。
○井出委員長 木村君に申し上げます。先ほどお聞き及びの通り、大臣の答弁は追つて機会を得て申し上げるそうであります。
○木村(文)委員 了承しました。
○井出委員長 芳賀貢君。
○芳賀委員 私は、本委員会の当初に、委員長から肥料問題に対する最近の情勢を聞くというようなお話もあつたので、もつぱらその点に重点を置いて質疑を進めたいと思います。 前特別国会から今日までわれわれが見て、この肥料問題が全然発展しておらぬということは非常に遺憾であります。その証左は、先ほどの政府委員の各発言を聞いてもほとんど抽象的であつて、まつたく具体性がないということを見てもそのことがうかがわれるわけであります。私のお伺いしたいことは、最近において肥料生産の状態がどういうような推移をたどつて滞るかというこの点、それから肥料対策委員会において最近輸出の勧告を行つたということがありますが、最近における輸出の引合い等はどういうようなことになつておるか、そういう点についてまず伺いたいと思います。
○柿手説明員 肥料の生産状況でございますが、まず窒素肥料から申し上げますと、昨年の八月からことしの七月までの二十七肥料年度の実績及びその残つております五、六、七の見込みを申し上げますと、この一箇年間に硫安系の肥料——硫安とか硝安とか尿素とかいうものでありますが、そういう肥料がこの四月までに約百四十八万トンできております。五月が十八万二千トン、六月が十八万六千トン、七月が十九万トンを推定いたしますと、去年の八月からことしの四月までの百四十八万トンの実績に今の推定を加えますならば、二百三万九千トンになります。それから石灰窒素の方は、同じく去年の八月からことしの四月までの実績が三十九万トンでありまして、五月の推定が四万五千トン、六月が三万五千トン、七月が三万三千トンと推定されるのであります。そういたしますと、年合計五十万三千トンになります。その硫安と石灰窒素を合計しますと、年二百五十四万一千トンでありまして、当初に計画いたしましたものよりも、年間十万トン以上の増産が実際に行われております。 硫安の輸出の引合いの状況でありますが、これはこの前の国会の当時に、四月までの輸出見込みが大体四十四万トン程度と申し上げておつたのでありますが、実際は四月までに三十七万三千トン程度の輸出があつたことになつております。その後の見込みは先ほど調整部長が説明いたしましたように、四月の末から五月にかけて輸出を許すことにいたしましたものが五万トンほどございます。それからずつと前からの契約で残つておるものの輸出がまだ三万トンぐらいはあると存じます。それから今後の輸出の引合いの状況でありますが、朝鮮等の民貿として数万トンの引合いはあると見込まれております。大体硫安につきましての実績及び状況はそうであります。 燐酸は過燐酸と溶成燐肥その他の二つにわかれますが、過燐酸の生産は四月までの実績と、五月九万五千トン、六月九万五千トン、七月十一万五千トンの推定を見込みまして年間合せて百三十二万二千トンであります。溶成燐肥その他で年間四十七万一千トンでありまして、そのうち五、六、七の推定は、おのおの三万五千トンであります。かようにいたしまして、生産の合計は百七十九万三千トンという状況であります。 燐酸の輸出につきましては、最近台湾から約三万トンの引合いがございまして、現在約二万トン程度の契約ができておるようであります。あともう一万トンが引合いされておると承知いたしております。 大体以上であります。
○芳賀委員 輸出の価格面の引合いはどのようになつておりますか。
○柿手説明員 最近の朝鮮の民貿はFOB平均六十四、五ドルであります。一番安いので六十三ドル五十セント以下はないように記憶しております。いいものは六十七ドルぐらいまでに行つておるようであります。
○芳賀委員 最近の新聞によると、台湾の国民政府との間に十九万トンくらいの硫安の輸出の契約が成り立つかもしれぬというような報道がありましたが、これは事実ですか。
○柿手説明員 国内にできるだけ安い肥料を供給するということのために、今いろいろな合理化方策その他を研究いたしておりますが、どうしても量産主義で行かないとコストは安くならないのでありまして、何とか輸出を有利にして行くということが肥料の価格を安くする一番大事な点でありますので、輸出をいかに有利にやつて行くかということについて、いろいろな研究をいたしておるのであります。そのうちでやはり戦前に朝鮮、台湾に相当の肥料を日本から送つておつたのであります。また台湾からは米、砂糖等の日本に必要なものも入れておるのでありまして、そういうところと提携して何とか肥料を増産して、その増産した分を買つてもらうというようなことのために、先般硫安業者のおも立つたものが使節団を組織しまして、向うへ行つて、硫安の輸出について向うの要路の人といろいろ話した。向うは統制がありまして、肥料等を買いつけるのに中央信託局というようなものがあつて、一まとめにやつております。また物を輸出する方面でも一まとめになつておりますので、話は非常にはつきりするというのでわざわざ出かけたのであります。その報告を先般聞いたのでありますが、向うとしてはやはり硫安に換算して四十万トンくらいはいるというので、少くとも三十万トンくらいはぜひとも日本からほしいということを——これは結局価格問題になるのでありますが、価格問題さえ片づけばぜひほしいということの程度までには話がはつきりしたのでありますけれども、最後の価格をそれでは幾らにするかという点につきましては、やはり日本が買います米とか砂糖とかいうものとの関連もありますので、日台貿易協定の一環としてきめなければならぬ問題であります。そういう最終の価格の点までは折合いがつかなくて、宿題にして持ち帰つております。とにかく価格で折合えば三十万トン程度のものは販路があるという程度の使節団のおみやげであつたのであります。
○芳賀委員 そのような状態にして、結局前特別国会においても国内の価格引下げをやる場合においては、前提としてどうしても相当量の輸出をしなければならぬということを、これはもうばかの一つ覚えみたいに常に繰返し繰返し聞かされて来たわけでありますが、今年度におきましても、やはり依然として出血輸出らしいものが先行して、国内の肥料生産もだんだん上昇しておる。しかしその反面においては、依然として国内の肥料価格というものは、実質的に引下げが行われておらぬということは事実であります。そういう場合において、肥料対策委員会というものに対して、政府当局はどのような期待を持つておるかということをお伺いしたいのであります。これは単にこういうような対策委員会というものを緩衝地帯に設けて、時をかせごうというような考え方で、長々と小田原評定をやつておるのかどうかということも、一応疑わなければならぬわけであります。そういう点に対する所見を聞かせてもらいたいと思います。
○岩武説明員 事務当局の方から御答弁いたしますのもいかがかと思いますが、一応三省の事務当局といたしましては、需給調整の問題については、御案内のように非常にむずかしい複雑な事情がございますので、ざつくばらんに申しますと、事務当局の方では手を上げた——というと語弊がございますが、これはという名案がなかなか浮かばないので、この際はぜひひとつ対策委員会で一応の数字を出していただいて、それを内閣の方と相談いたしまして実現しようじやないかという気持でおるわけでございます。従つて、御指摘がございましたけれども、荏苒時をかせいでおるという気持はごうもございません。先ほど御報告申し上げましたように、委員会の審議も見ておりますると、四月の初めまでは、実は当面の時事問題でありまする春肥の価格と輸出の量、この問題の処理に追われておりまして、四月に入つてからやつと本格的な需給調整の方式並びにコスト低下の問題と取組んで来たという事情でございまして、われわれとしましては、一日も早く結論の出るのを待つておるわけでございます。委員会の方も、通常のいわゆる審議会等と違いまして、ことしの一月の末以来本委員会が九回、大体において二週間おきぐらいに開いておるわけでございます。それから小委員会の方は、途中の休みの期間は別にしますと、大体一週間ごとぐらいに開いておるようなわけで、非常に各委員が精励され、しかも相当時間をかけて御討議願つておるわけでございますので、われわれとしましては、時間をかせいでいるというような気持はごうもございません。不日——といいましても、先ほど申しましたように比較的近い期間に答申が得られるものと期待しておるわけでございます。
○芳賀委員 肥料の価格の問題に対しては、すでに夏肥の時期、あるいは将来秋肥が迫つて来るわけですが、特にことしの場合は、全国的な凍霜害のために速効性肥料等の需要というものが非常にふえると思います。そういうものに対処してどういうような価格引下げを当面の問題として行うかということでありますが、前回における安定帯価格の引下げが約三十五円行われたということにはなつておりますけれども、実質的には改訂された安定帯価格の上限が取引価格であつたということを見ても、当面の問題として、今後の肥料価格を引下げるために、この安定帯価格というものがはたして実効をもたらすかどうかという点についてお伺いしたいと思います。
○柿手説明員 秋肥の安定帯価格をどうするかという問題、これはもうぼつぼつそういう時期になつて来るのであります。われわれはできれば今の肥料対策委員会で結論を得ていただきまして、その線に沿つて秋肥の安定帯価格もきまるようにやつて行きたいというふうに希望を持つております。これは先ほど調整部長も申し上げましたように、委員各位も非常に取急いでまとめたいという御意向があるようであります。われわれとしてもその御答申に基いて至急に対策の成案を得たいというふうに考えております。
○芳賀委員 私の最後に言わんとするところは、結局この肥料対策委員会だけに政府が期待を持つて価格問題の処理をはかろうとするか、あるいは適当の機会にこれに見切りをつけて、これを法制化したらどうかという先ほどの川俣委員の発言の趣旨と、底流をなすものは同じであります。それで現在の対策委員会の段階においては、東畑試案、全購連試案、硫安工業のこの三つの試案が出ておりますが、これは非常に対蹠的な性格を持つておるものであつて、これらが折衷されて一本にまとまるということがあり得ても、それは決して全国の農民大衆の納得できるようなものにはならぬということが、今から想像できるのであります。それでこの際議会の立場に立つたこの価格問題の解決、しかも基本的な解決等を政府当局は期待しておるか、おらぬかということを参考までに聞かしてもらいたい。
○岩武説明員 事務当局からお答えするのもいかがかと存じますが、ただお言葉がございました、途中で委員会の審議を打切つて、政府の考え方でというふうなことは、実はまだわれわれ事務当局の方としては考えておりません。上司におきましてあるいは別のお考えがあるかと存じますけれども、せつかく権威ある方々にお願いしているわけでありますから、われわれといたしましては一日も早く答申の得られるのを待つているという状況でございます。
○平野(三)委員 議事進行に関してお諮りいたしたいと思います。肥料問題は当面農政の最大課題でありまして、本委員会としてもまつ先にこの問題を取上げているわけであります。しかしこれは今に始まつた問題でなく、ことに前々国会以来、国会においてはこの問題の根本的解決のために努力をしておるわけでありますが、いまだに何ら結論を見ていないということは真に遺憾のきわみでございます。ことに最近における出血輸出等は、政府としては日本経済の全般的の立場からいろいろ御意見もありましようけれども、農民としては何としても納得しがたい問題であるわけであつて、やはり民主政治はただ政府の独善的な考え方によつて進むべきではないのであつて、ほんとうに全国民が納得し得る政治が必要である。こういう点から考えましても、どうしても早急に国会としてこの肥料問題に対する根本対策を樹立しなければならないと考え、特に本委員会の使命は重大であると存じます。政府はとりあえず肥料対策委員会というものをつくつて研究しておられるようでありますが、このような官製的な委員会においては、とうてい問題の解決は不可能であると考えます。対策委員会においてもいろいろ試案が出ておるようでありますが、いずれもこれはまちまちであつて、政府としてはどれを採択するかというようなことも何ら自信がないようであり、また本日は政府委員が出席して、委員各位から熱心な御質問がありましたけれども、とうていこれは事務当局によつて解決し得る問題ではないのであつて、これは本委員会として根本的に検討するためには、どうしても農林大臣、通産大臣、経済審議庁の長官、できれば内閣総理大臣の出席を求めて審議をしなければならぬ性質のものであると思いますが、しかるに政府の本問題に対する熱意は、はなはだ低調であるように思われます。昨日の本会議において農業災害補償法の成立を見た場合においても、農林大臣も農林政務次官も出席しないために、副総理から本会議において国民に陳謝をするというような場面もあつたことは、われわれ与党の委員としてはなはだ面目ないところであると思つておるわけであつて、どうしても本委員会に関係大臣が努めて出席をして、そうして熱心にこの委員諸君の態度に同調するように、特に委員長は野党に籍を置いておられる関係もあり、大いにその貫禄を見せていただきたいということをお願いすると同時に、この問題については、早急に肥料に対する小委員会を設置せられ、そうして小委員会で結論をつくつて、国会として政府を鞭撻しつ、独自の立場からこの結論をつくつて、そうして全農民に安心を与えると同時に、今後かような低迷した状態の続かないように、はつきりした結論をつくるよう努力すべきであると思う。それでこの意味において、小委員会をすみやかに設置せられて、その政策を進められるようにお諮りをする次第であります。
○井出委員長 ただいま平野君から、肥料に関する小委員会を本委員会の中に設置すべし、かような動議がございました。これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井出委員長 御異議なしと認めます。 なお小委員の員数、小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井出委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
○佐竹(新)委員 ただいま平野委員の方から、与党の方から特に言われたのでありまするが、この委員会におきましては、重要な農村問題が山積しておるのであります。しかるに本日農林大臣は、わずか一分間ばかり出席して退席された。われわれは大臣の農政に対するところの方針を十分に聞きたい、かように考えていたのであります。今後の委員会におきましては、事務当局では事務的なことのみであつて発言に対して責任がありません、やはり政治的な責任は、主務大臣が持たなくてはならない、そこで、どうしてもこういう重要な問題が山積しておるときには、農林大臣は、他の方面も忙しいかもしれない、あるいは参議院もあるかもしれないが、特に衆議院の農林委員会には出席さすように、委員長から特に御配慮願いたいと思います。
○井出委員長 了承いたしました。
○久保田(豊)委員 ただいま平野さんから御提案の、小委員会をつくることは非常にけつこうだと思うのです。しかしこの三案を見ましても、従来の経過を——私は初めてですから議会内における詳しいことは存じないのでありますが、われわれ農業問題に従来長く首をつつ込んでおる者から見ますると、この三案の内容を見ても、あるいはその他の場合におきましても、こういう点が一番われわれ百姓にはわからない。というのは、この肥料の対策というものは、そうなかなか簡単にできるものではないと思う。要するに応急策を今政府は考えておるのか、この委員会で取上げておるのか、恒久策を考えておるのか、これらの点がきわめて明確を欠いておる。われわれが決定すべき第一は、この点だろうと思います。相当長期にわたる恒久策をこの際立てるのか、応急策を立てるのか、あるいはこれらをどう結びつけるかという点についてはつきりしない。それからおそらくこの程度の対案なり、何か出て来る肥料問題の解決策では、おそらくは農民の満足は得られないと思います。従つて私は肥料問題の解決については、特に価格問題を中心にして考える場合において、二つの方策があると思う。一つは肥料コストの面なり、配給の面なり、あるいは肥料価格の面で解決する場合と、農産物全体の価格政策、あるいは生産政策として考える場合と、二つあると思う。この基本の点を政府はどつちを考えておるのか、この点がきわめて明らかでない。われわれ長く米価その他の問題に首をつつ込んで参りましたが、この点について、政府の考えも、各政党の考えもはつきりして来ない。この点をはつきりしなければ、肥料問題の解決はできないと思う。 さらにもう一つの点は、肥料対策の根本策に連関して、また最近の国内の経済事情、また国際間の経済事情と関連いたしまして、肥料工業というものをどのように国が将来持つて行くのか、この基本が何らはつきりしていない。こういう諸点がきわめてぼけておる点が、いつまでたつても肥料問題の基本的な解決策の出て来ない根本原因だと思う。従いまして、小委員会でもつて問題を取上げられる場合には、以上のような諸点を十分考えて、農林大臣以下、政府の少くも経済施策一般をあずかるところの各関係大臣の意識をはつきり統一する必要がある。またおそらく農林委員会においても、これらの諸点を明確にして小委員会に臨まない限り、私は具体的な対策、少くも農民が納得の行くような、あるいは現在は納得が行かなくても、将来明るい希望を持つような解決策が具体的に出て来ない。以上の諸点を十分お考えの上での、小委員会なり、今後の委員会の肥料問題に対する進め方を、私は委員長にお願いしたい。特に小委員会の開かれる前に、でき得れば農林大臣あるいは通産大臣あるいは経済審議庁の長官、もしくは総理大臣等にひとつこの席に来ていただいて、そうしてこれらの基本問題についてどういうふうに政府部内において意識を統一しておるかということを、はつきりお聞きしたいと考えます。以上希望を申し上げます。
○井出委員長 本日は肥料問題についての経過報告を聞く、こういうことにとどめてあつたわけでありますが、ただいまの平野君、佐竹君、久保田君、それぞれの御要望まことにもつともであります。従いまして、近く農林大臣を初め関係閣僚を招致いたしまして、政府の根本対策を聞く機会を持ちたいと思います。なお同時に先ほどの小委員会の設置、この問題もあわせて並行的に行つて参りたい、かように考えます。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時三十八分散会