内閣委員会 第4号
- 発言数
- 199 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1953/06/26
会議録
○稻村委員長 これより開会いたします。 保安隊及び警備隊に関する件について調査を進めます。質疑は通告順にこれを許します。鈴木義男君。
○鈴木(義)委員 木村保安庁長官にお尋ねいたしたいと思います。順序としてごく簡単でよろしいのでありますが、保安隊というものはいかなる存在目的を持つておるものであるか念のため承つておきたい。
○木村国務大臣 保安隊の任務は、しばしば申し上げました通り、保安庁法第四条に明記されておるごとく、国内の平和と治安を維持することを主たる目的とすることであります。
○鈴木(義)委員 それでは、国内の治安の保持を主たる目的とすると仰せられると、従たる目的があるようにも聞えるのでありますが、その従たる目的は何でありますか。
○木村国務大臣 私の主たる目的というのはすべてそのことが目的であるということであります。
○鈴木(義)委員 それでは、外敵に対して備えるという意味を持たないものと了解してよろしいのでありましようか。
○木村国務大臣 もとより今申し上げました通り、保安隊の性格は国内の平和と秩序を維持することが目的であります。不幸にして外敵が侵入して来た場合においては、もとより国内の平和と治安が乱されるのでありますから、その場合には私が常に申しますがごとく、日本のすべての機構もこれに向つて対処すべきものであろうと考えております。従つてさような場合には、やはり保安隊も出動すべきことは当然であろうと私は考えております。
○鈴木(義)委員 聞くところによりますと、保安隊員には戦時国際法を教えて、交戦法規——外国と戦う場合の法規でありますが、これを国内において戦う場合にも準用してさしつかえがあるとは申しませんが、そういう教育をしておるということでありますが、それは事実でありますか。
○木村国務大臣 知識科目としてやつておるように聞き及んでおります。しかしこれも一応の参考のためでありまして、やはりわれわれの一般常識として、さような科目を研究させておるということであろう、こう考えております。
○鈴木(義)委員 そこで、それでは主たる目的が国内治安の保持にあるといたしまして、もう少し具体的にわが国の当面する国内治安を乱す者は何があるのでありましようか。どういうものを想定しておられましようか。
○木村国務大臣 別にこれといつて対象はありませんが、われわれは常に国内の治安ということについて考えておるのであります。要するに大きな擾乱とか暴動とかいうような場合が起つて、日本の平和が乱される場合に対処すべく研究を続けておる次第であります。
○鈴木(義)委員 いやしくも国内治安の保持を任務としておる保安庁として、具体的にどういう治安を乱す者があり得るかということを考えておられないということは、考えられないのでありますが、もう少し具体的に、たとえば共産党あるいは共産主義者の一派が暴力革命に出る可能性ありと考えてやつておる、そういうことで仰せられなければならぬと思うのですが、いかがでありましようか。
○木村国務大臣 もとよりそういう場合も考えに置いておる次第であります。しかしそればかりではないのであります。
○鈴木(義)委員 かりに国内で治安を乱す者ということを考える場合に、まずわれわれは共産主義者の武装蜂起というようなことを想定するわけでございますが、そういうものに対するものとして現在のような保安隊の装備、人員、訓練というものが必要でありましようか。またそれだけでなく、外敵に対するというならこれはまた話は別になりますが、国内治安の保持だけならはたしてこれだけ必要でありましようか。
○木村国務大臣 もとより世界情勢を通覧いたしますと、いわゆる間接侵略、内地において大擾乱、反乱があつた場合には、多くは同時的に海外の集団暴徒が侵入することが予想されるのであります。これは外国においても往往例のあるところであります。そういう場合を考慮いたしますと一相当なわれわれは対処すべき準備が必要であると考えます。
○鈴木(義)委員 先般富士の裾野で行われました演習でありますが、ああいう演習はそのどちらの場合を想定してやつたものでありましようか。
○木村国務大臣 あれは別に集団暴徒その他ということを対象にしたわけでありません。とにかくふだんの訓練及び装備、編成、どういうぐあいに実際にやつて行けるか、また訓練がどのように進んでいるかということで、一応試験的に実施したものであります。
○鈴木(義)委員 次にお尋ねいたしたいのは、先般九州において新聞記者諸君に語つた内容でありますが、ここにもたくさん当時の新聞を私は持つて参つておりますが、長官として言われない部分もある、言われた部分もあるというふうに承つております。私も親しく新聞記者諸君から承つて、ここに質問をいたします。それは別に新聞記者に語つたとか語らぬとかいうような問題が重要な問題だからお聞きするのではなくして、内容がきわめて重大な内容でありますから、そこでそういう計画を持つておられるかどうかということを確かめるためにお尋ねをいたします。どうかひとつ御了承を願います。 今主として読売新聞の当時の長官談話というものを土台にしてお尋ねをいたします。長官は現在の保安隊、警備隊は相当規模の内乱や騒乱が起きても第三国の干渉がない限り、これを鎮圧する自信を持つておる。こういうことを語られたでありましようか。
○木村国務大臣 大体そういうことは申しております。ただいまの保安隊、警備隊の実力をもつていたしましては、とにかく内地において予想さるべき大反乱、擾乱に対しては一応の手当はできるという考えを持つておる、こう申しました。
○鈴木(義)委員 また事実外国の侵入や、いわゆる代理戦争の場合でも、保安隊、警備隊がこれに対応出動することは当然である、こういうことも仰せられたのでありますか。
○木村国務大臣 大体において申し上げました。要するに先刻も申し上げました通り、外国からの集団暴徒が侵入いたし、日本の国内の平和と治安が乱された場合においては、もとよりわれわれ個人としてもこれに立ち向うのは当然であるが、保安隊、警備隊も黙つておらない、こういうことを申し上げたのであります。
○鈴木(義)委員 保安庁が今日までに研究して来た警備計画の重点としていろいろ仰せられたわけでありますが、第一に予想される内乱やこれに付随して起り得る干渉などの規模、様相などの想定及び研究をやつて来た、こういうことを仰せられたでありましようか。
○木村国務大臣 現在そういうことを研究させているということを申しました。
○鈴木(義)委員 もしそうならばこれは非常に大事なことであり、国内治安のためにわれわれ国会議員としてぜひ承知しておきたいことでありますが、先ほど私が質問したのもその趣旨でありまして、もし公に語ることを好まれないならば秘密会を開いてでも、予想される内乱あるいはこれに付随して起り得る干渉等の規模、態様などの想定を承りたいと思うのでありますが、いかがでありましようか。
○木村国務大臣 まだ研究程度であります。その趣旨は、要するに警備計画を立てるにあたつてはそういうものをやはり頭に入れてやるべきである。従つてそういうことについてはただいま研究中である、こういう意味であります。
○鈴木(義)委員 そうすると内乱等が起つた場合に十分自信があると長官は仰せられたのでありますが、それはそういう確信を持つておられることは研究の結果でなければならぬと思うのでありますが、目下研究中であるということは矛盾するように思われるのです。厖大な、わが国において最高の国費を使つている機関であります。その長官としてこの問題については研究中というような言葉をもつてのがれることはできないはずでありまして、将来だんだん研究が深くなつて継続して行くことはもちろんでありますが、現在の段階における所信を国会に告げられることはむしろ義務ではないかと思うのであります。いかがでありますか。
○木村国務大臣 研究過程におきましてそういうことを発表することは私は差控えたいと思います。研究が進みまして警備計画が立案されました際にはもとより私は皆様のお耳に入れたい、こう考えております。
○鈴木(義)委員 次にわが国力から見てどの程度の予算を防衛力の増強に振り向けられるかという点を研究している、こういうことを新聞記者に語られたというのでありますが、事実でありましようか。事実であるならばどの程度の予算を振り向けられるとお考えになつているのでありましようか。
○木村国務大臣 これはこういう趣旨であります。国内の警備計画を立てるにおきましては保安庁だけではいけないのである。あるいは経済審議庁、大蔵省、通産省、運輸省等のいろいろの専門知識を借りて、そこで立てるべきである。ただわれわれの考えといたしましては一応漠然とながら頭に置いてやつてみたい、こういう気持で話したのであります。
○鈴木(義)委員 どうもそういう重要な点について結論をお持ちになつておらないというのに、新聞記者には十分そういうことを研究しているということをお話になつているということはいささか軽率、でなければ無責任のそしりを免かれないと思う。それは議論になりますから省略しておきますが、さらにその席上今後数年の間に地上、海上、空中の兵力を増強する、これは新聞によつて多少違いますけれども、保安隊は二十万人程度に増強する、警備隊用の艦船は十数万トン、飛行機はジエツト機を約半数含めて千数百機を用意するつもりであるというようなことを語られたでありましようか。
○木村国務大臣 そういう話は絶対にいたしません。
○鈴木(義)委員 数字を仰せられないといたましすれば、少くも地上、海上、航空の兵力を増強するということはお話になつたのではないのでありましようか。
○木村国務大臣 それは申しません。私はその話の前提といたしまして、現在の日本の財政力では保安隊員、警備隊員を、それは多少の補充の意味では増強することはあつても、原則としてはこれは増員はできない、しかし訓練の強化あるいは装備、編成の改善等によつてこれを強化して行きたい、こう申したのであります。
○鈴木(義)委員 そうすると抽象的にお話になつたというふうに承るわけでありますが、新聞ではこういうふうに、この計画の規模は経団連防衛生産委員会がつくつた防衛計画よりもはるかに小さいものである、経団連の防衛生産委員会の防衛計画というものを引合いに出されてそれよりはるかに小さいものであるというように長官は語つたというふうに載つているのでありますが、そういう語り方をなさつたのでありますか。
○木村国務大臣 こういう次第であります。今私の計画を立てている試案というものは、経団連が立てている計画とははるかに違つたものであるということは申した事実があります。
○鈴木(義)委員 これは数年以内にわが国が再軍備が実現するものと想定しての計画ではないのでありましようか。朝日新聞によりますとそういうふうに報じているのであります。長官は数年内に再軍備必至である、こういう想定のもとにこういう考え方をしているのかどうか。その点は長官御自身は再軍備は必至であるとお考えになつているのではないかとわれわれもと書き思わせられるのであります。ひとつ率直に語つていただきたいのであります。
○木村国務大臣 朝日新聞の保安庁専属の記者は随行いたさなかつたのであります。従つてさようなことは申したことはありません。私が再軍備論者であるかどうかは御判断にまかせるよりいたしかたありませんが、私は常々申しております通り、ただいまの日本の経済状態においては遺憾ながら再軍備は不可能であろう、従つて実質的に保安隊、警備隊をしつかりしたものにして行きたい。この趣旨であります。
○鈴木(義)委員 念のため申しておきますが、朝日新聞の記事は決して随行してとつた記事という意味ではない。つまりこの談話のごときものが出て来た源を推測して書いている記事であります。私は決してその場でそう言つたということを申したのではない。 それからこれはやはり談話の一部にあるのでありますが、毎年の徴募適齢者は満十八歳に適する者は約九十万人ある、そのうち一箇年に志願によつて採用し得る人員は十万から多くて十三万人と思われる、在隊年数を二箇年とすれば二十万人以上の隊員を常時保有することは今のようなやり方では容易ではない、いずれにしても志願の場合の増強には限界がある、こういうお話をされたのでありますか。
○木村国務大臣 確かに申しました。それはこういう意味であります。つまり今の保安隊、警備隊員の増員問題であります。この増員もなかなか容易じやない、志願すべき人には限度があり、これを多くふやして行こうとするには、これは志願制度ではとうていまかない切れない、要するに保安隊の今の人的増強というものはなかなか容易なものではない、こういう趣旨のことを申したのであります。
○鈴木(義)委員 そうするとこの話を突き詰めて行けば、強制徴募制ということをお考えになつておる、少くもサジエストしたとみなければならぬのであります。そういうふうに解してよろしいでありましようか。
○木村国務大臣 これは反対であります。今申し上げました通り、保安隊、警備隊の増強ということは、ただいま考えていないのであります。従つてさような徴募なんということは毛頭頭にございません。
○鈴木(義)委員 その話の中に、第九条の解釈について、この規定は、自衛のための戦力を保持することを否定するものでないとの一部の論理は傾聴すべきものである、こう語つたということになつております。そういうことを仰せられたように他の委員会でも答えられたように聞きますから、お答えをまたずに進みますが、傾聴すべきものであるという言葉は、語る人の賛意を包含しておると思うのです。長官はこの解釈に賛成であると解釈してよろしゆうございますか。
○木村国務大臣 私は傾聴に値するということは確かに申しました。最近にさような論文を私は見たのであります。もとより佐々木惣一博士のごときは、こういう説を前からとつていることは御承知の通りであります。最近におきまして、ある一学者が有力な議論を雑誌に発表しております。私はそれを読みまして、分析的になかなかうまく論理を進めておりますから、さような議論は大いに傾聴に値するということは確かに申したのであります。ただ傾聴に値するからといつて、それに賛成するということではありません。私は前々から申しております通り、憲法第九条第二項の戦力を持つことにすれば、どうしても憲法改正の問題が起つて来るのでありますから、憲法を改正せずして戦力は保持できない。この議論は今でも堅持しておるのであります。
○鈴木(義)委員 それならば、吉田総理は繰返し繰返し、わが国の憲法は自衛のためでも戦力を持つことは許しておらないのであるという解釈を公に表明しておられるのであります。また長官もその閣僚の一員として、そのことをよく御承知のはずであります。しかるにその反対の解釈が傾聴すべきものであるということを言われるのは、不謹慎ではないでありましようか。
○木村国務大臣 私は不謹慎とは思つておりませんが、不謹慎ととる方があるかもわかりません。議論は反対であつても、その分析、解説がきわめて巧妙にできておれば、これが一応傾聴に値するということは、これまで私がしばしば口にするところであります。私は傾聴に値するということだけをもつて、決して軽率とは考えていないのであります。
○鈴木(義)委員 たとえば芦田氏のごとき、りつぱに政治論としても、第九条で自衛のための戦力を持つことはできると主張しておる。改進党におかれましても、そういう主張のもとに再軍備をある程度やらなければならぬということを主張しておる。これが改進党内閣の閣僚であるならば、ふしぎではないのでありますが、吉田さんはあくまで反対の立場をとつておるのでありまして、そういう印象を与えるような言い方は、吉田内閣の閣僚としては不謹慎であると考えます。そのあとに持つて行つて、この戦力の係争については、休会明けの国会で政府は新たなる立場でこの問題に当面することになるだろう、こういうことを語られたということになつております。そういうことを語られたのであるかどうか。語られたのであるならば、新たなる立場とはどういうことを意味するのか。
○木村国務大臣 私はその点については記憶はありません。
○鈴木(義)委員 これは大切な点でありまして、その点は新聞記者が聞かないことを書いたのかどうか存じませんが、新たなる観点から問題になるであろうということを長官は語つたということです。私は、記憶にないと仰せられるのでありますから、記憶を喚起していただきたいと思つております。こういう談話を拝聴すると、ジエツト機や飛行機を充実するということをかりに言われないにしても、充実とか増強とか、そういう言葉の中に含まれるのでありまして、かつては原子爆弾とジエツト機のようなものがなければ戦力にならないと長官は言つた。今やジエツト機くらい入つても戦力にならないというような考え方から、この戦力論争について新たなる立場にお立ちになるのではないかというような印象を受けるのでありますが、それは誤解でありましようか。
○木村国務大臣 私はジエツト機あるいは原子爆弾を持たなければ戦力にならぬと言つたことはないのであります。私は、現にジエツト機や原子爆弾を持つておる国さえあるんじやないか、それに比較して日本の保安隊というものは、これはきわめて微々たるものであつて、とうてい戦力に足らざるものである、こういうことを言つたのであります。
○鈴木(義)委員 それは形式論理でありまして、そういうふうに言われれば、当然わが国のは戦力でないので、原子爆弾やジエツト機を持たなければ戦力にならないと聞くのが常識であります。まあしかし、それはしいて争いますまい。 次に、これも長官の言葉として載つているのですが、MSAの援助を受けると決定した場合、どんな装備に重点を置いて、いかなる編成の部隊をつくつたらよいかという点では、保安庁が当然意見を求められるだろうし、この点に関する限り、保安庁以外の官庁が検討する事項ではない、こういうことを語られたように載つておるのでありますが、そういうことをお話しになつたでありましようか。
○木村国務大臣 私はその点については、当然保安庁において立案に参画すべきであるということは申しました。但し、ほかの省でやるべきものでないとは申しません。
○鈴木(義)委員 大体その当時はまだMSAの援助も受けるか受けないかがきまつておらない。今でもきまつておらないはずなんですが、そのときに、受けるという仮定のもとに話をされることは、必ずしもよろしくないとは申しませんが、かりにこの場合を仮定してお話しになつたといたしましても、一体MSAというものは軍事的な義務を相手国に課するものである。この軍事的義務の内容が問題でありまして、これからお伺いをしたいと思いますけれども、そういうことを予定して、御承知の上で、この談話をなすつたものでありましようか。
○木村国務大臣 さようなことを予定して話したのではありません。鈴木君も御経験がありましようが、われわれが出張する際には、必ず記者諸君が随行して来るのであります。その場合にわれわれれといたしましては、別に新聞発表すべきときには、これは新聞の発表と申します。ただいろいろな問答があるのであります。新聞記者諸君からいろいろ雑談的に話を聞かれた場合に、雑談としてこれは言つておるのであります。取上げようは、いかように取上げられても、これはわれわれの関知するところではありません。発表として言つたのではありません。もとよりその当時MSAに対しては、われわれは何ら関知しておらないのであります。これは仮定論の仮定に基いて話をしたにすぎないのであります。
○鈴木(義)委員 いや、雑談として話したというようなことで責任を回避することはできないと思うのであります。私もむろん経験があります。いろいろの経験がありますが、しかし雑談で言うべきことと、雑談で言うべからざることとがあるわけです。かくのごとき日本の国家の最高政策に属することを、漫談的に語るというようなことがもしあるとするならば、これは非常に重大な責任問題であると思うのであります。私も在任中に誤つた報道をされて迷惑したことがありましたが、ただちに公式にそれは取消しの声明を発表いたしました。そして世の中もそれを納得してくれたのであります。長官の場合はそういうのではない。何か飛行場で男なら何とかと言つたというようなお話である。防衛とは言わない、警備と言つたのだ、五箇年と言わないで数箇年と言つたのだというようなことだけしか、取消しされておらないのであります。そこで私はくどいようでありますが、一言々々について御質問を申し上げるわけです。その一つ一つがきわめて重大な国策に関する問題である。これは漫談とか雑談とかいうわけには参らぬと思います。 そこでMSAに言及されました以上は、国務大臣としてMSAの援助を受けるべきか、受けるべきでないか、あるいは受ける場合にはどういう用意をすべきかについては、お考えを持つておられるはずであると思いますからお尋ねをするわけでありますが、御承知のようにMSAの五百十一条(a)の第三項には、これを受けた国は自国が受諾した軍事的義務を履行すること、こういうことがうたつてあるわけです。この軍事的義務という言葉は非常に広義なものでありまして、けさの新聞あるいは今すでに発表されたかと存じますが、アメリカの回答によれば日本の保安隊を海外に出兵させるようなことはしない、こういう保証をとりつけたそうであります。そんなことはあたりまえのことで、海外に派兵などされてはたまらない。しかし国内においてもいろいろな軍事的義務を現在負うておる。この義務が強化されることをわれわれはおそれておるわけであります。その点について長官の御所見を承りたいのであります。
○木村国務大臣 MSAの問題につきましては、外務省からアメリカの国務省に向けて照会をいたしました。今朝八時にそれに対して回答が来たようであります。先刻予算委員会において外務大臣からこれを発表いたしております。詳細の点はその問合せと回答によつて明白になつておろうと考えております。どうぞそれについて十分御検討をお願いしたいと思います。
○鈴木(義)委員 長官はその回答の内容はまだ御存じないのですか。
○木村国務大臣 まだ詳細には研究しておりません。
○鈴木(義)委員 しかし軍事的義務の内容についてどういうふうに示されておるかぐらいのことは、ここでお答え願えないでしようか。
○木村国務大臣 まだ詳細な点は私は見ておりません。これはもうプリントにできるはずでございますから、外務大臣からわれわれのところにも来るだろう、こう考えております。
○鈴木(義)委員 次に、このMSAの第五百十一条(a)の第四項によりますと、「自国の自衛力及び自由世界の防衛力の増進及び維持のために、自国の政治的及び経済的安定と両立して、自国の人力、資源、施設及び一般的経済状態が許す限り全面的寄与を行うこと。」こういうことになつておるのであります。これは抽象的でありますけれども、一旦MSAの援助を受けるときまつた後に、また実際に受けた後に、これが具体化されたはつきりした形で要求されて来ることを想定するものが多いのでありますが、その点は長官としてどういうふうにお考えでありましようか。
○木村国務大臣 ただいま申し上げました通り、それについての回答は来ておるようであります。これは詳細に研究した上で、私から述べることがあれば述べたいと考えております。
○鈴木(義)委員 それならお尋ねいたしますが、ダレス氏は、日本との安全保障条約の批准を求めるアメリカの上院外交委員会の公聴会の席上で、安保条約はこれからの第一歩だ、これは太平洋同盟によつて完結する、こういう証言をしておるのでありますが、御存じでありましようか。
○木村国務大臣 的確なる情報は私は持合せがありませんが、たしか新聞でそういうことがあつたように記憶しております。
○鈴木(義)委員 しかしわが国の陸海空三軍の最高長官として、アメリカの国務長官に現在なつておる人が、なる前とはいいながら、この条約は第一歩だ、太平洋同盟によつて完成するのであると言つたことをほのかに聞いておるという程度では、はなはだ心細いと思うのでありまして、かりにほのかに聞いておつても、行きつく運命がそこにあるというふうにお考えにならないのでありましようか。MSAは、わが国をはつきりこの二分されたる世界の二つの勢力の一方の構成分子にするということを予約するものであるとお考えにならないのでありましようか。
○木村国務大臣 太平洋同盟条約なんということは今われわれは頭養いておりません。ダレス氏がさようなことを真実言つたにいたしましても、これは必ずしもアメリカの確定した政策ではなかろうと私は考えております。
○鈴木(義)委員 どうも現内閣の御答弁はその日暮しでありましてきのうまではMSAなどは受けるか受けないかわからない、正式の交渉を受けていないからわからない。いよいよアメリカからきよう回答が来た、午前八時にプリントを渡す、受諾することになるだろう、するだろう、これからそういう方針で答弁することに切りかえるというようなことがけさの新聞に出ておる。そういうことでは、まことに国策を立てる者として無責任のそしりを免れないと思うのでありまして、やはりこういう太平洋同盟というものがMSAの終局の到達点であるというようなことを予想せずに、漫然MSAを論ずるというようなことは、民間の論議をする人ならとにかく、責任ある者として私ははなはだ遺憾に存ずるのであります。このMSAの援助を受諾した後に、量においてふえるかどうか存じませんが、陸海空の三軍の装備が一層充実されることは三才の児童でもわかることでありますが、わが国における唯一のこれらの管轄権は保安庁長官にある、こう解してよろしいでありましようか。
○木村国務大臣 保安庁法の命ずるところによつてわれわれはその職責を尽すだけのことであります。
○鈴木(義)委員 それから、やはりそのときの談話の一部でありますが、MSA援助を受けないということになれば、弾薬の補給など今日まで保安隊用として米軍が発注している分を除いては、将来その補給を受けられなくなることがないとはいえない。——大分まわりくどいのでありますが、その補給を受けられなくなることがないとはいえないというようなことを仰せられたのでありましようか。
○木村国務大臣 たしかそういう話をしたように記憶しております。つまり現在持つておる装備についてはどういう建前で行くかという話の末において、現在持つておるものについてアメリカから引続いて借りることにはなるだろうが、将来の点においてはやはり相当考えなくちやならぬ、あるいはMSAの援助を受けなければ、アメリカからそういうものを引続いてもらい得ないかもしれぬというようなことをたしか私は言つた記憶はあります。
○鈴木(義)委員 そうすると現在の保安隊はもちろん、将来の保安隊もアメリカの弾薬をもらつて防衛に当るということになるのでありましようか。
○木村国務大臣 必ずしもそうではありません。日本の財政の許す限りにおいては、私が常に申しておるように、日本でつくつたものを使用いたしたい、こう考えておる次第であります。
○鈴木(義)委員 それならば、このお話はむだなことを言つたことになるわけでありまして、わが国の資力の許す範囲でつくつた弾丸でやるというなら、何も将来その補給を受けられなくなることがないとは言えない、何となくたよりないようなことを仰せられたことはいかがかと存ずるのであります。それからその話の中で、朝鮮休戦が成立して米軍が撤退するとき、現在日本国内で余裕のある米軍施設に一時駐留することがあるかもしれない、こういうことを語られたのでありましようか。
○木村国務大臣 たしか話した記憶はあるようであります。要するに、休戦会談が成立して米軍が朝鮮から引揚げた場合において、その軍隊が日本に駐留せられる場合にどうなるだろうかという話があつたようであります。その場合には現在アメリカ駐留軍で使つておつて余裕のある分をおそらく使うことであろう、こう言つた記憶はあります。
○鈴木(義)委員 一時駐留することがあるかもしれない、その一時というのは、どのくらいの期間を指すのですか。
○木村国務大臣 そういう具体的のことは、私は頭に入れておりません、時がどれだけになるかというようなことは考えておりません。
○鈴木(義)委員 一体アメリカの軍隊が日本に駐留するのはどういう法的根拠に基いて、どういう手続で駐留しておるのでありますか、念のために伺つておきたい。
○木村国務大臣 ただいま申し上げたように、朝鮮から引揚げたアメリカの軍隊はいずれ本国に引揚げることでありましよう。しかしその一部は、あるいは引揚げ途上において日本で休養する場合もあるでしようから、その場合においては今余つておるアメリカ駐留軍の施設に収容することがあるであろう、こういう趣旨で申したのであります。
○鈴木(義)委員 これは何でもないようなことでありますが、非常に重大な問題であるからお尋ねをするわけであります。安保条約並びに行政協定に基いて、わが国にはアメリカの軍隊がわが国の承諾を得て駐留しておるわけであります。それでどれだけの軍隊を日本に置くかということについても、わが国が承知をして置くわけであります。ところが朝鮮の休戦が成立した場合、アメリカに帰る間ちよつと滞在する、それを拒絶することはよろしくないでありましよう。またそういう必要もないわけです。次の船を待つまでの間わが国に置くことはさしつかえないのでありまするが、そういう名のもとにどつと朝鮮におつた軍隊がわが国に一時と称して——一時にも一分から何年まであり得るのでありまして、滞在することになることをわれわれは恐れる、それをわが国の最高責任者があらかじめ御承知申し上げますというようなことを言われることは、はなはだ軽率不謹慎、いなそれ以上のものでないかと思うのであります。いかがでありましようか。
○木村国務大臣 私はさようなつもりで言つたのではありません。朝鮮の休戦会談が成立した場合において、アメリカの軍隊は必ず朝鮮から引揚げるで場あろう。これはアメリカの国民も一日も早くアメリカの青年たちをアメリカへ送還することを希望しておるのでございまして、その際において一部はあるいは日本で休養のためにとどまるかもしらぬ。その場合においてどういう施設を使うのであろうかということについての話であります。そこで現在アメリカ駐留軍の使用している施設にして余分のものは使用するであろう、こういう趣旨で話したのであります。
○鈴木(義)委員 それからその話の続きに、朝鮮で米軍が戦つていた今日までとは別の面から休戦が成立するのであるから、別の面から日本の防衛を考えなければならないと思う、こういうことを言われたようになつておるのであります。そういうことを言われたのでありましようか、言われたとするならば、別な面からとはどういうふうなお考えであるか承りたいのであります。
○木村国務大臣 その点については的確な記憶はありませんが、私の頭では、やはり休戦会談が成立いたしましたあかつきにおいて、将来朝鮮というものはどうなるかということは、われわれは常に考慮を払つて行かなければならね。従つてそのときの情勢によつて、また日本のそれに対処すべき方法を考えなくちやならぬじやないか、こういう頭を私は持つております。あるいはそういうことを申したかもわかりません。的確な記憶はありません。
○鈴木(義)委員 長官はそう言われまするが、この記事によると、ちやんと朝鮮の休戦ができて、いくさがなくなつた場合の防衛計画も考慮してあるから、休戦成立によつてこの保安庁の立てた計画が変更されるようなことはないと語つておられるようになつておるのであります。そうならば、朝鮮にいくさがなくなつた場合のわが国の防衛方針について当然考えておられたものと思うのでありまするが、あまり申したくない仮定でありますけれども、かりに朝鮮全土が共産化する場合、休戦が成立し、あるいは両軍が撤退をして、ただちにアメリカの盟邦としてわが国が共産圏と対決するつもりだ、そういう場合の防衛を考えているのだ、こういうふうにわれわれにはちよつととれるのであります。そういうふうにお考えになつておるのではないのでありましようか。
○木村国務大臣 さようなことではありません。私の申したのは、たしか記者諸君からは、朝鮮休戦会談によつて日本の保安隊なんかのあり方について変更すべきであろうかというような話の内容でありました。それに対して、それによつてはさしあたり今の保安隊の計画なんかはかえるつもりはない、こう申したように記憶しておるのであります。
○鈴木(義)委員 ではどう申したということはいましばらく離れて、この休戦が成立した後に、長官はわが国の防衛方針としてどういう構想を持つておられるか承りたい。
○木村国務大臣 的確な計画というものはまだ立つておりません。しかし朝鮮水域その他については、相当われわれは考慮を払わなければならぬ、こう考えております。
○鈴木(義)委員 次に防衛生産について、保安庁が必要とするすべての武器を国内で調達することは、本格的な防衛生産が起つてない現状から困難である、だが産業振興の観点から、なるべく国内で調達し、漸次生産技術の向上に努めるようにしたい、こういうふうに防衛生産について語られたようになつております。その点はいかがですか。
○木村国務大臣 確かに申した記憶はあります。私は常々日本の保安隊で使用する装備は日本でつくりたいと考えておるのであります。御承知の通り、日本の財政力がただいま許しません。財政の面において、日本の経済復興その他の見地からして、さような日の一日もすみやかならんことを期待しておるのでありす。
○鈴木(義)委員 これはわが国の財力が許さないことはだれでも知つておる。結局MSAの援助を受けるというような前提に立つて防衛生産を論ずるということになるのでありまするが、ここにもすでにMSAを受けるということが予定されていると思うのであります。これはいわゆる問うに落ちず語るに落ちたものであると思うのでありますが、一体わが国の産業構造として、こういう構造が望ましいことであると長官はお考えになつているのでありましようか。
○木村国務大臣 産業構造については、いろいろ議論がありましよう。しかしわれわれは日本の産業全体をいわゆる防衛生産の面に持つて行こうとは考えておりません。われわれは民生の安定ということが第一義である、こう考えております。しかしながら保安隊、警備隊に用いるくらいの装備は、必要であれば、日本でつくるようになることを期待しておるのであります。
○鈴木(義)委員 富士の裾野の保安隊の演習を見た者の談によりますると、純然たる軍隊の演習だと言うておるのであります。長官はあれを軍隊の演習でない、少くも軍隊類似のものでないと仰せられるのでありましようか。
○木村国務大臣 私は先刻申し上げました通り、日本において不幸にして、大動乱、大反乱が起つた場合にどういうふうにすべきかということを常々考えておるのであります。そこであの保安隊の富士の裾野における演習も、ふだんの訓練がどの程度まで進んでおるか、あるいは装備編成の点において改良すべき点がないだろうか、それを試験するためにやつたのであります。これは見る人いかんによつては、あるいは昔の軍隊の演習と見るかもわかりませんが、われわれはこの演習を、対外戦争をするというような心組みでやつたわけでは毛頭ないことをここに断言いたす次第であります。
○鈴木(義)委員 どうもそれは一つの詭弁であると思うのでありますが、この問題くらい国民に不明朗な感を与えているものはないと思う。軍隊を軍隊でない、あまりにも明らかな、目の前を通るのでありますから、うそもほどほどということがあります。十分考えてみなければならぬと思います。長官は原則として再軍備の必要を信じておられるのではないか、私は重ねてお伺いしたいのであります。かつてもはや何らか再軍備を打出すべき時期であると閣議で述べられて、吉田総理にたしなめられたとかいうことを承つております。そういうことが事実あつたかということをお伺いしても、あるいはお答えになることはむずかしいと思いまするが、少くも腹の中にそういう信念を持つて今の内閣にすわつておることは、矛盾をお感じにならないか。むしろ改進党内閣などにお入りになれば、矛盾を感ぜずにすわつておられるかと思うのであります。廣川弘禪君が、木村保安庁長官は閣議の際にからすをさぎだと言わねばならないのはつらいといつてひたいのあせをぬぐつていたということを、某氏に述懐しておられました。そういうことがおありになつたのではないか、お聞きするのは失礼でありますから、推察をいたしておきますが、かりにないとしても、この話はすこぶる長官の心事を洞察した適評であるように思うのであります。念のために重ねて長官の憲法解釈を承つておきたいと思います。自衛のためにでも戦力の保持を禁じていると御解釈になつているのでありますか、いま一度簡単でよろしゆうございますから……。
○木村国務大臣 まさにその通りであります。
○鈴木(義)委員 それならば、今のような軍隊類似のものを持つていろいろな非難攻撃を受けられるよりは、あなたの立場に立てば、私どもが賛成するかしないかは別問題として、法律家としての長官は、憲法改正を前提として、ここで九州で語られたようなことを語らるべき立場におありになると思う。憲法をこのままにしておきながら、一日々々と戦力、装備を増強して行くのは、国民を愚にするものであると言われてもしかたがないと思うのであります。その点に対する御所見を承りたいのであります。
○木村国務大臣 もとより保安隊、警備隊は、その目的は国内の平和と秩序を維持するにあるのでありまして、しかもその装備たるや、私は対外戦争なんかにおいて役立たないものと考えております。そこまで内容は進んでおりません。従つて憲法改正問題というのは起る余地がないと考えます。
○鈴木(義)委員 いろいろありますけれども、私一人でやつてもいけませんから、この辺でとどめておきます。
○稻村委員長 高瀬傳君。
○高瀬委員 ただいま鈴木義男君からいろいろ質問がありましたから、保安庁長官の考えている思想の全貌は私はいささかわかつたような気がします。しかしながら、保安隊というものは主として国内治安の維持にある、場合によつては自衛のためにも役立てる、こういうのでありますか。その点をひとつ……。
○木村国務大臣 もとより憲法の解釈問題といたしましても、自衛権は否定されていないのであります。万一外国から集団暴徒が侵入した場合においては、もとより日本の平和維持は乱れるのであります。私は常に申しておりますが、間接侵略と直接侵略とおそらく同時的に起るのではないかと考えております。そういう場合におきましては、もとより保安隊も出動することが当然な事理であろう、こう考えております。
○高瀬委員 それでは、保安隊というものは主として国内治安の維持ということでありますが、現在のような朝鮮の状況あるいは日本の置かれた国際的立場ということから考えて、保安隊の主たる目的は、国内治安の維持よりも、むしろ日本自衛のためにあるように私は受取れるのですが、その点はいかがでしようか。
○木村国務大臣 ただいまのところでは、保安庁法第四条によりまして、日本の国内平和と秩序を維持することを主たる目的としているのであります。
○高瀬委員 それでは保安庁長官に伺いますが、現在の朝鮮休戦をめぐつた国際情勢から勘案いたしまして、一体日本の置かれた立場、あるいは自衛の問題、あるいは日本の平和維持一そういう問題について保安庁長官はいかなる見解をお持ちになつておりますか、お伺いします。
○木村国務大臣 朝鮮が今後どうなるだろうかということは大きな課題であるのであります。そこで私はさようなことについて即断することはできませんが、しかしながら朝鮮水域については御承知の通り前々からこれは大いに警戒を要する点があるのであります。それらの点についてはわれわれは十分考慮を払わなくてはならぬ、こう考えております。
○高瀬委員 そうなりまするとやはりわが国のいわゆる共産勢力と直面する危険性が非常に多くなつて参りますので、わが国を自衛するという問題が非常に大きな問題として、国民の関心のみならず、指導者の間に起きて来ると思うのであります。従つてわが国を自衛するという方策について保安庁長官はいかなる見解をお持ちになつておるか。
○木村国務大臣 そこで常々申しておりまするように、自衛力の増強ということが考えられるのであります。そこでこの自衛力とは何であるかという問題が次に起るのであります。これはいわゆる物心両面における総合国力の向上だとわれわれは解しております。いわゆる国民の経済力はますます増強いたすと同時に——これは一面であります。それと同時にわれわれの面においての保安隊、警備隊の増強もこれまた一面であろうと考えておる次第であります。これがつまりいかに対処して行くかということは、今後大いにわれわれの考うべきことであると考えております。
○高瀬委員 そういたしますとわが国の自衛力の増強のために保安隊、警備隊を増強するのも一方法である。つまり保安庁長官としては警備隊、保安隊を増強することが日本の自衛力を高めるゆえんであるとお考えになつておると解釈してよろしゆうございますか。
○木村国務大臣 これは一つの希望でありまするが、自衛力の増強ということになりますると、私はそれは一方法であろうと考えております。
○高瀬委員 そういたしますると、明らかに現在の保安隊、警備隊では日本の自衛を十分にする資格は私はなかろうと思います。従つてそういう問題について将来何らかの方法で、保安庁長官は日本の自衛力強化に関する具体方策をとる御意思がありますかないですか、その点を伺います。
○木村国務大臣 これは各種の事情を十分検討いたしまして、そうしてもとより国会の審議を経なければならぬのでありまするから、われわれといたしましても国際情勢その他万般の事情を十分調査した上で御協議いたしたい、こう考えます。
○高瀬委員 それでは自衛力強化については保安庁長官は当面の責任者でありますから、責任をもつてそういう点については今後考慮して行く、こういうふうに私どもは解釈してよろしゆうございますか。
○木村国務大臣 その通りであります。
○高瀬委員 私は保安庁長官のかつての談話のことなんかあまり注意しておりませんから、その点は触れませんが、本日発表になりましたこのMSA援助の問題でありますが、これは新聞に書いてあります通り、政府としては非公式に受諾の意思を持つているようであります。このMSAを受入れるという問題について政府はどういう考えを——おそらく受入れるつもりでおるのでありましようが、当面の日本の国内の治安を維持する重大責任者として、保安庁長官はこのMSAを受入れた方がいいか、あるいはこんなものは必要ないというのか、その点はつきりと一度伺つておきたい。
○木村国務大臣 実は先刻申し上げましたように、外務省から国務省に対する照会の文書に対して、国務省から返書が来ております。私の手元にまだ参つておりませんが、それを十分検討いたしまして、決定すべきかどうかということをきめたいと考えております。
○高瀬委員 これはおそらくあなたに一番関係のある重大な問題だろうと思う。従つてこのMSAを保安庁長官として積極的に受入れろとか、あるいはこんなものは必要がないとかいう見解は当然お持ちだろうと思う。だからその積極的な見解を全然お持ちになつておらぬとはわれわれは了解しておりませんので、この際長官の責任あるそれに対する見解を伺つておきたい。
○木村国務大臣 今申し上げました通り、回答を十分吟味する必要があろうと考えております。
○高瀬委員 しかし回答といいましても、日本側からアメリカ側にMSAを受入れるかどうかという積極的な意見を申さなければこの問題は成立しないわけであります。保安庁長官の主管事項、特に武器貸与の問題おそらく経済援助もあるし、武器貸与の問題もあるし、いろいろな軍事援助の問題もあろうと思いますが、あなたに関する限りは非常に重大な、ほとんどMSA援助の大部分の問題があると思うのです。従つてこの点は保安庁長官としての見解をやはりはつきりと聞かなければわれわれは満足できない、いかがでしよう。
○木村国務大臣 御承知の通りMSA援助を受けるかどうかということについては、ただわれわれだけの問題ではありません。全日本の問題であろうと考えております。ことに財政面についていろいろ考慮すべき点があろうと思います。これは詳細に向うの回答を検討いたしたい、こう考えております。しかしこれは政府といたしましてもなるべく早急に結論をつけたい、こう考えております。
○高瀬委員 どうもその点がはつきりしないのですが、政府で結論をつける、いわゆるけじめをつける立場にあるのはあなた以外にはないと思う。従つていまだこれについてはつきりした見解がなくて、しろうとの閣議などで決定し、あなたはただ黙々として従うつもりなのであるか、それとも日本の国策を積極的に指導される御意思があるのか、この点は私非常に責任重大だと思うのです。ただ吉田内閣の閣僚がどういう議論をされるか知りませんが、そこで決定したから自分は保安庁長官としてこのMSAを受入れるのだ、こういうことでは非常に困るので、この際どうしても積極的に自分としてはこうやる、あるいはこれは受入れる必要がないのだ、こういう程度の見解は本委員会において当然聞いておかなければ今後われわれは非常に困ると思うのです。
○木村国務大臣 それだからこそ私は十分に検討いたしたい、こう考えております。
○高瀬委員 幾らやつても水かけ論になります。それでは私は一方的にこちらから言いますが、あなたはこのMSA援助を受入れる意思がある、こう解釈してよろしゆうございますか。
○木村国務大臣 私の意思のそんたくはごかつてでありますが、私はまだ決定いたしておりません。
○高瀬委員 こういうことをいつまでやつてもだめですから、一応あれしますが、私はこの間新町で保安隊の演習を見て参りました。河原でタンクの戦争をやつた、辻さんも行つておりました。あの性格を見ますと、どう考えてもあれは単なる国内治安を維持する警察に毛のはえたようなものとは思えない。もし国内秩序を維持するのなら、単に警察、今警察力は七万五千くらいから十二万くらいにふえておる、あれをどんどん増強させて行つて、しかもピストルを持つておる、あるいは戦車のようなものもある、あれを増強して行けばよいので、ああいうようなものをことさら多大の国費を使つて設置しておく必要がない、私はこう思うのですが、いかがですか。
○木村国務大臣 私はそうは考えておりません。ただ現在の日本の普通一般の人たちは国内がとにかく今おちついておるし、大したことがない。あつても去年のメーデー事件のようなものであるのじやなかろうか、こう考えておるでしようが、一体世界情勢なんかの動きを見まして、何どきどういうことがあるかわからない、われわれはそう考えておるのであります。この間の東独ベルリンにおきますあのデモ、あれもわれわれは大したものじやないと考えておりますが、それでも戦車なんかが出ておるのであります。われわれはよくこのいろいろな動きというものを考えまして対処すべきだと思つて、ふだんから準備しておく必要があろう、こう考えております。
○高瀬委員 どうも保安庁長官の御答弁では、将来必ず内外ともに大動乱みたいのが起きる。それが心配だから、ああいうものを持つておるというお話でありますが、一体あの程度でそういうことができるのかどうか。それから特に訓練上の問題からいつても、何が何だかわからない非常にぬえ的なものに武器を持たしておくので、特にその訓練する指導者が非常に困つておるようであります。実際、直接戦車を操縦する人でなくて、これを指導、教育する立場にある指導者の側が非常に困つておる。こういうような精神的な問題を解決せずに、国内治安を維持するとか、あるいは共産勢力が侵入して来たとき内外ともにこれを鎮圧するのだとかいつたところが、あの保安隊の中に全然魂が入つていない。何が何だかわからないで、ただ戦車をいじくれというからいじくる、バズーカ砲を撃つ練習をしろというからやる、こういう状態でありまして、私は非常な国費の浪費だ、国民生活の圧迫だと思うのですが、いかがですか。
○木村国務大臣 私はそうは考えておりません。今保安隊員の志気のお話がありましたが、私は今の保安隊員は相当自覚しておるのじやなかろうか、国内の平和と秩序を維持する任務についておるのであるからというこの精神がはつきりしておると考えておるのであります。必ずしも何が何だかわからぬというような状態ではないと私は考えております。
○高瀬委員 それでは伺いますが、一体あの保安隊なるものは、警察とどう違うのでありますか。
○木村国務大臣 御承知の通り、警察というのは日常の秩序保持の任に当つておるのでありまして、保安隊は警察力をもつてしてはとうてい対処することのできないような事態に備えるためにやつておるわけであります。
○高瀬委員 それではどうも保安庁の今の機構というものはすべてが仮定の上に立つておるので、私どもも非常に了解に苦しむのでありますが、そういうふうな漠然たる観念でなく、保安隊にはつきりした、いわゆる常識的に言うと、警察と保安隊とちよつとの相違だ、紙一重の相違だというものでなく、保安隊は保安隊、警察は警察とはつきりした性格を与える御意思がございますか。
○木村国務大臣 それは将来保安庁法の改正でも皆さんのお力によつてできますれば、なお一層明確になろうかとも考えております。
○高瀬委員 そういたしますと、この日本の国際情勢から見まして、将来保安隊を増強するお考えをお持ちになつておりますか。
○木村国務大臣 ただいまのところ日本の財政的その他の面からいたしまして、多少の——いわゆる船がふえますときには、それについての増員はいたさなければなりませんが、しかし原則といたしまして、ただいま保安隊員の増強ということは考えておりません。ただ訓練の強化と編成、装備の改善、充実によつてこれを補強して行きたい、こう考えております。
○高瀬委員 それでは伺いますが、おそらくMSAの援助を受けることは確かでありましようが、もしこの援助を受けたと仮定いたしまして、保安隊は今の状態で全然増強しない、こういう御意見でありますか。
○木村国務大臣 MSAの問題は、先ほども申し上げました通り、十分検討いたしたい、こう考えておる次第であります。それに関連してのことはただいま申し上げることは差控えたい、こう私は考えております。
○高瀬委員 この辺で打切ります。
○稻村委員長 島上善五郎君。
○島上委員 木村長官は九州で新聞記者と会見した際に、こういうことを言つたかどうか同いたいのであります。保安庁としては最悪の場合を考慮をして、わが国の防衛計画の立案を終つたが、長期計画は困難であり、数年間で陸海空の最小限度のものとしたその計画は経団連防衛生産委員会がさきに献策した防衛計画にはまだほど遠いものであるが、今その内容を発表することは差控えたい。こういうふうに新聞に載つておりますが、こういうふうに言われたんですか。
○木村国務大臣 陸海空軍その他の点は申しておりません。ただ経団連の立案したと称するものは、私の今考えているところとはほど遠いものであるということは申しております。
○島上委員 それから先ほど鈴木委員から聞かれたのですが、もう一ぺん念を押して、おきたいのです。最初においては、その内容を発表することを差控えたい暑い、だんだん聞かれているうちに、相当数字にわたるようなことを談話で発表したように新聞記事に載つております。数字は、先ほどの御答弁のように、全然発表しなかつたんですか。
○木村国務大臣 数字は絶対に発表しておりません。
○島上委員 そういたしますと、大新聞に一斉に載つた数字は各新聞ともほぼ一致しておりますが、あれはどこから出たものと長官はお考えになつておりますか。
○木村国務大臣 そういうことは私は存じません。
○島上委員 あの新聞記事が出まして、内外に相当大きなシヨツクを与えたと思うのです。この内外の大きなシヨツクが日本のためにいい結果となるか、それとも誤解を生む結果になつたか、どういうふうにお考えになつておりますか。
○木村国務大臣 それは私は申すことはできません。
○島上委員 それでは、あの新聞へ発表されました数字は、保安庁で立案して、吉田総理のもとにすでに提案したものと非常に違つているか、似通つたものであるか。それくらいのことはここで言えると思うのですが、いかがでしようか。
○木村国務大臣 それは申すことはできます。違つております。
○島上委員 ところが羽田へ帰つてからの談話は、これも違うとおつしやればそれまででありますが、数字は発表しないが、内容はほぼ同じものである、こういうことを言われております。そういうこともおつしやらなかつたんですか。
○木村国務大臣 その新聞談話の内容は、今鈴木委員がお問いになりましたようなあの談話です。この談話の内容は否定しているわけではないのです。ただ私は新聞で取上げた防衛五箇年計画なるものは、言つた覚えはありません。従つてその数字というものは全然発表したことはないのであります。
○島上委員 経団連の防衛生産委員会が献策したものとはほど遠い、これだけのことを言つておりますし、今伺いますると、新聞の発表の数字も違うということですが、国民は大体新聞に発表したものと同じか、あるいはそれに近いものではないか、こう解釈しているのですが、どうしてもあの数字は、たとえば秘密会等でも発表できないものでしようか。発表できなかつたら、その理由をお伺いしたい。
○木村国務大臣 それは私の心構えとして立てたものでありまして、省議できめたものでも何でもないのであります。一試案にすぎないものでありますから、発表は差控えたいと考えております。
○島上委員 先ほどの御答弁によりますと、鈴木委員に対してはただいま研究中である、こういう御答弁でしたが、さつき私が一番最初に聞いたところによりますれば、わが国の防衛計画の立案を終つた、そうしてその立案を総理大臣のところへ提案してあるということですが、この研究中ということと、立案が終つて総理大臣のところへ提案したということとの間に、何か矛盾があるような気がいたしますが、その間の事情をお伺いしたい。
○木村国務大臣 この正式の立案は今研究中であります。ただいま私の申し上げましたのは一試案として、私の心構えを明らかにしたというにすぎないのであります。その点において差異があります。
○島上委員 今のような志願制度では十万ないし十二、三万が限度であるということですが、それでは、あまりこまかい数字は発表できないということですが、吉田総理大臣のところに出された試案は、この十三万を越えるものであるか、十三万以内のものであるかということをお聞きしたい。
○木村国務大臣 これは私は申すことを差控えたいと考えております。
○島上委員 どうしても言えないとあればしかたがありませんが、そのときに十二、三万を越える場合には徴募制度をとらなければならぬであろう、こう語つておりますが、徴募制度ということは、要するにかつての徴兵制度のことでありますかどうか、それと同じものであるかどうかをお伺いしたい。
○木村国務大臣 徴募と申しますとやはり一種の強制徴募にならなければならぬのじやないかと考えております。
○島上委員 そういたしますと、木村長官は将来徴募制度をお考えになつていますか。吉田さんは今の保安隊を漸増という形で表現しておりますが、漸増ということは、急激な増加ではないがだんだんふやして行く、現在すでに十一万ですからだんだんふやして行つても、志願兵制度の限度を十二、三万といたしますれば、私どもにはどうも将来徴募制度を考えているとしか解釈できません。国民もまたそのように解釈していると思いますが、将来、その将来が三年先か五年先かは別といたしまして、将来は徴募制度を頭の中に描いているかどうか、どうですか。
○木村国務大臣 ただいまのところではさようなことは頭に描いておりません。
○島上委員 MSAの援助と関係がないとおつしやつておりますが、それではお伺いいたしますが、アメリカの民主党議員のマグナソンという人が五月末に日本に参りまして、MSAに関連して日本の政府の首脳者と会つたという事実がございますが、その際に木村長官はお会いになつたかどうか、またお会いにならなかつたら、お会いになつた人からその会見の話を聞いているかどうか。
○木村国務大臣 私は彼氏とは会つておりません。また何人が会つたということも聞いておりません。従いまして私は何も聞いておりません。
○島上委員 このマグナソン氏が六月四日に日本を離れる際にこういうことを言つております。MSAに関連して何らかの防衛計画を日本は提示する必要がある、こう言つておりますが、この談話を御承知になつておるかどうか。
○木村国務大臣 私は聞き及んでおりません。また彼が何を言おうとそれは正式のものではないと私は考えております。あればアメリカの国務省からあるべきであろうと私は考えております。
○島上委員 先だつての演習に関連いたしますが、先ほどの御答弁によりますれば、保安隊は国内治安の維持のためである、こういうことですが、今まで保安隊の演習で、国内治安の維持を構想して演習が行われたことがありますか。
○木村国務大臣 この演習は、大体今申し上げましたようにふだんの訓練、それから装備編成はどういう程度に将来改善すべき点があるかというようなことでやつておるのであります。富士山麓における演習におきましても、どれを目当にわれわれはやつてどうするかということの構想ではないのであります。
○島上委員 長官は、国内治安が乱れる、暴動その他の擾乱が起るという場合には、これは外国から集団的に入つて来る場合のことは別として、純然たる、国内でそういう保安隊が出動しなければならないような事態が万一起るといたしますれば、富士山のような場合、山をゲリラ部隊が占拠してそういう問題が起るのか、それとも工場地帯あるいは市街の密集地帯でそういう危険な事態が起るのか、どういうふうにお考えになつておりますか。
○木村国務大臣 これはいろいろのところで同時的に起るのではないかと私は考えております。ただここで申し上げたいのは、それではどうして富士山麓でやつたかというと、あそこは一般の人たちに迷惑をかける程度が一番少い。従つてあの場所を使うことが一番いいのじやないか、こういう考えでわれわれはやつた次第であります。
○島上委員 しかしもし、外敵の場合は別ですが、国内でそういう大きな擾乱等が起るといたしますれば、私ども普通常識的に考えますと、やはり市街地中心にそういうことが考えられるのです。今まで承りますと、市街地においては迷惑をこうむるということで、そういう配慮からしなかつたということはわかります。市街地で問題が起る場合のことを想定して演習を一ぺんもやつたことがないという話ですが、将来市街地の暴動等を想定して演習をおやりになる考えであるか。
○木村国務大臣 まことにごもつともな御意見でありますから、よく研究いたしたい、こう考えております。
○島上委員 そういたしますと、将来の市街戦を想定した演習もやるというふうに私ども解釈してよろしいですか。
○木村国務大臣 十分研究して、やるべきときには一般の人たちに迷惑をかけないようにして計画して参りたい、こう考えております。
○島上委員 一般の人に迷惑をかけないということはまことにけつこうな話ですが、しかし市街戦を想定してやる場合には迷惑をかけないではやれないと思うのです。そういたしますと将来も一般の人に迷惑をかけないようにやれば、やはり人里離れた山の中でやる、こういうことですか。
○木村国務大臣 全然迷惑をかけないということはできないでしよう。富士山麓でやつたときにおいてもやはりある程度の迷惑はかけているだろうと考えます。これは程度の問題でございまして、将来市街でやるような場合においてもなるたけ迷惑をかけない、こういう気持であります。
○島上委員 先ほど万一不幸にして外国から集団的に侵入する場合云々ということを言われておりましたが、万一不幸にして外国から集団的に侵入する場合には、どういう形で来るものとお考えになつておられますか。
○木村国務大臣 いろいろのことが考えられますが、私は戦争形態じやないと考えております。いわゆる集団暴徒の形で出て来る、こう考えております。
○島上委員 私ども軍事上のことはわかりませんが、外国から日本へ侵入するとなれば、船でもつて海から来るか、落下傘で国内におりるか、そういう場合しか考えられないのですが、それ以外の場合もお考えになつておるか。今言つた海から上陸して来る場合と落下傘でおりる場合と、その二つ以外は考えられないかどうか。
○木村国務大臣 ごもつともであります。日本は海国でありまするから、飛行機すなわち落下傘で来るか、あるいは海上から来るか、この二つよりほかにないのであります。ごもつともであります。
○島上委員 そういたしまするとせんだつての富士山麓の演習は、その落下傘でおりて来る場合のことを想定した演習なのでしようか。
○木村国務大臣 別に落下傘部隊がおりたという場合を想定してやつたわけでも何でもありません。
○島上委員 もし不幸にして外国から侵入するという場合がありますれば、一体どこの国から侵入するとお考えになつておりますか。
○木村国務大臣 われわれはどこの国という想定を持つてやることは、今差控えたいと思いますが、それは島上さんもおそらく御想像つくことであろう、こう考えております。
○島上委員 今の言葉からすると、まあ侵入して来るとすればソ連か中国だ、こうお考えになつておるように私推察します。しかし必ずしもソ連、中国ばかりではないと思う。それはソ連、中国が来るか来ないかということは一種の仮定であつて、これはどれだけ正確性があるかということはにわかに判断できない。しかしこれは集団的の侵入と言えるかどうか知りませんが、現に日本の国である、たしか島根県だと思いましたが、竹島という島々韓国が不法に占拠した。この韓国が竹島を占拠していることに対しては、私どもこれを実にけしからぬことだと用いますが、長官はどのようにお考えになりますか。
○木村国務大臣 まことに同感であります。けしからぬことだと考えております。
○島上委員 そうだとしますと、これに対して海上警備隊はいかなる措置をおとりになつたか。また今後おとりになるお考えでありますか。
○木村国務大臣 ただいま韓国に対して厳重な抗議を申し込んでおるのでありまして、この交渉いかんによりまして、いろいろ手を打ちたい、こう考えております。
○島上委員 そうしますと、現に竹島を不法に占拠しておる事実に対しては、あなたの管下にある海上警備隊は何の措置もしなかつたし、またする考えもないということですか。海上警備隊としては……。
○木村国務大臣 これは今申し上げました通り、韓国に対して厳重な抗議をやつ薫るのでありまして、われわれの方の警備隊の出動いたしますることは、これは最後の手段であります。それまでにあらゆる平和的の解決手段を講じたいと、今それらの方面において処置をいたしております。
○島上委員 そういたしますると、口頭なり文書なりでもつて厳重抗議を申し込んでおる。しかしそれからちが明かない場合には、つまり今のお言葉では、最後の手段としては海上警備隊の力を動かすというふうに解釈してよろしいですか。
○木村国務大臣 これは海上保安庁もありますし、あるいは警察もあることでありますから、それらの機構によつてできる限りの処置をつけて行きたい、こう考えております。私は海上警備隊を動かすまでに解決することを望み、また可能であろうと考える次第であります。
○島上委員 また演習のことにもどりますが、今度の演習の目的は、私ども現地へ行つて見て参りましたが、また伺つて参りましたが、それによりますと、完全編成の各種部隊に出動訓練を行い、保安隊の編成、装備、運用等の適否、改善などの資料を得ることが目的である、こう聞いておりますが、その通りでしようか。
○木村国務大臣 まさにその通りであります。
○島上委員 それで演習の結果は、こういう保安隊の編成、装備、運用等が適当か不適当かという結論が出たことと思いますが、その結論をお伺いいたしたい。
○木村国務大臣 せつかく今検討中であります。
○島上委員 ここには軍の専門家もおりますが、私どもの目で見たところでは、軍と軍の対抗演習、昔の師団の対抗演習と同じようなものである、こういうふうに見て参りましたが、そういう性質のものであるか。
○木村国務大臣 ただいま申し上げました通りいろいろの活動その他装備、編成の改善等について資料を得たいためにやつたのでありまして、昔の師団対抗演習というような意味でやつたものではございません。
○島上委員 先ほど鈴木委員も言われましたが、私ども現地へ行つて見て参りまして、あれは横から見ても縦から見ても完全に武装した軍隊としか見えない。また地元の人もみなそう言つている。それから演習を説明する保安隊の人も、最初は対抗部隊とか言つておりましたが、ときどき間違えて敵軍敵軍と言つておりました。どう見ても私どもは完全に武装した——その武装が近代的な意味において完全であるかどうかという議論は別といたしましても、軍隊として武装したものである、こう見ておりますが、長官は軍隊ではないと今でも御主張なさるのですか。
○木村国務大臣 一体軍隊という定義にもよりましようが、ここには辻さんのようなりつぱな専門家がいらつしやいますが、あれでもつて対外戦争をやれるなどということは思いも寄らぬと私は思います。これは純然たる国内の平和的秩序を維持するに足るだけのことでありまして、ほんとうの意味において対外戦争をやるというのなら、これはとんでもないことであると私は思います。
○稻村委員長 ちよつと島上君、きようはこれくらいにして、また明日続行して質問を続けることにいたしますから……。
○島上委員 それでは本日はここで終つてもいいです。
○稻村委員長 この際お諮りいたします。本日の保安庁関係の諸問題はこれで尽きるものでもありませんし、質疑の通告者もまだ残つておりますので、次会以後に取上げることといたし、本日はこの程度にして、次会は明日午前十時より理事会、十時半より委員会を開会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○稻村委員長 御異議がなければ、これにて散会し、明日午前十時より理事会、午前十時半より委員会を開会いたします。 午後零時三十分散会