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16回国会衆議院1953/07/30

通商産業委員会 第29号

発言数
106
登壇者
15
会派数
4
開催日
1953/07/30

会議録

大西禎夫自由党

○大西委員長 これより会議を開きます。  本日は、中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案、山手滿男君外十一名提出、衆法第一七号を議題といたし、参考人より意見を聴取いたします。  本日御出席の参考人は、東京大学教授鈴木竹雄君、早稲田大学教授末高信君、一橋大学教授大林良一君、損害保険協会企画課長鈴木讓一君、愛知共済生活協同組合理事情木隆人君、東京海上火災保険株式会社企画室長水澤謙三君、生活協同組合都民共済会副理事長伊藤今朝市君、以上七名であります。  この際参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。本日は酷暑の中を、御多忙中にもかかわりませず、本委員会のためにわざわざ御出席くださいまして、ありがとうございました。委員長より委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。本案に関しましては、それぞれの立場より忌憚ない御意見を承ることができますならば、本案審査のため、資するところ大なるものがあると存ずる次第であります。  それではこれより順次参考人より御意見の御開陳をお願いいたしますが、時間の関係もありますので、御一人大体十分程度でお願いいたします。なお委員の質疑は、原則といたしまして、参考人よりの御意見の御開陳が済みましてからお願いいたしたいと存じますから、さよう御了承願います。それでは鈴木竹雄君。

鈴木竹雄東京大学教授

○鈴木(竹)参考人 本日の御審議にお呼び出しをいただいたのでありますが、ただいまこの委員会で審議しておられまする法律案自体につきまして、私は十分に検討する余裕がございませんでしたが、私の所見を開陳させていただきたいと存じます。  現在各種協同組合法に基きまして、火災保険事業または類似の事業が行われておりますのを、どうしたらよいかということでこの御提案があつたことと存じます。はたして現行法のもとにおきまして、このような火災保険事業に類似いたしました事業が許されるものであるかどうかということは、相当問題であろうと存じます。提案理由にもありますように、それは組合員の福祉増進といつたようなものに入るというふうなお考えであるかと存じまするが、しかし保険業法に規定がありまするのは、その制約をやはり組合の事業して受けるのではないかと存じまするので、はたして適法なりやいなや問題であろうと存じます。これをいかに規制するかということは、相当問題であろうと存じますが、かりにこれを認めますにしても、はたして法律の形が、各種の協同組合法の改正という、協同組合法のわくの中で行くのがいいのか、それとも一般に、一つの保険組合法のようなものをつくつて行くのがいいかということは、大問題であろうかと存じます。いずれにいたしましても、保険事業てありまする以上、その性質から来る制約を受けなければならないと思うのであります。そのことはつまり協同組合法に盛ることによりまして、保険業法から完全に別途のものとして、その監督のごときも一般の保険事業と異なる立場においてなされるというふうなことは、妥当ではないのじやないかと存じます。中小企業等協同組合法の改正に次いで、あるいは他の協同組合法というようなものが漸次改正して行くということになりますならば、これを監督する省が通産省あるいは農林省といつたように、わかれて行くのではないかと存じますが、そのようなことはやはり妥当ではなくて、保険事業である限り、その監督については一本の線が貫かれて行かなければならないのじやないかと思うのであります。本法では通産大臣が監督をするというふうにしておりますが、先ほど申しましたような一本の保険組合法というものにして、大蔵大臣の専管というふうに持つて行くか、あるいは各種の協同組合法の改正の形で行くにしても、大蔵大臣の監督というものが非常に強い形で出て来なければならない筋合いのものではないかと存じます。時間の関係上個々の問題につきまして詳しくお話するいとまがございませんが、まず監督の点につきましてはそのように考えるのであります。  次に本法によります保険組合というものが、はたして基礎が確実なものと言えるかどうか。すなわち保険事業の性質として、保険契約者に当りますものが十分に保護されるかどうかということが問題になろうと存じます。本法案によりますと、地域組合と業種組合とが認められておりますが、その地域組合も都道府県単位になつております。一つの県におきまして大都市というものは幾つもないと思うのでありまして、そこに大火が起つたような場合を考えてみますと、相当大きな危険が出て来るのではないかと存じます。もちろんその場合に再保険につけることも考えられることでありますが、また予想もされておりますが、しかし再保険によつて円滑な保険金の支払いができるかどうかというふうなことは、相当疑問ではなかろうかと思います。しかもその再保険というものも、別に法律上強制されているわけではないのでありますから、その点につきましての大きな事故が起りました場合の危険があり得るのではないかということがおそれられるわけであります。  次に出資の総額を百万円以上とし、そうして一物件の保険金額を三百万円で押えておりますが、はたして出資総額百万円という組合におきまして、一物件の保険金額に三百万円というものをとつて安全に払えるものであるかどうかということも、疑問ではないかと思います。あるいは追徴をするとか、あるいは削減をするとかいうような問題が予想されるのでありますが、しかしこのようなことは組合員に不則の不利益を与えることになるわけでありまして、それが中小企業者であるだけに、なおさら組合員が法律に十分な認識を持たず、約束した金額は必ず払つてもらえるものというふうに考える可能性が非常に多いのであつて、それだけに彼らを保護する必要から推しまして、このような不安定なことでは、かえつて組合の健全な成長を害するおそれがあるのではないかと存じます。  次に再保険でありますが、この法案によりますと、商工組合中央金庫が再保険を引受けます。しかもそれは必ず引受けなければならないという強制された形をとり、しかもそれは損失が出た場合に国庫がこれを填補するという形をとつておるのでありますが、しかしこのような保険事業をやつて参りますときには、結局は国民の金によりまして国庫が負担するというふうなことが生じますが、これがはたして妥当であるかどうかということは疑問であろうと思うのであります。ことに商工中央金庫としては、その事業がうまく行つておりまする場合においても、国庫に対して何らの給付をいたしませんで、損失が生じた場合においては、その堀補を受けるということになるのでありまして、それは妥当ではないのではないか。再保険をするというのならば、むしろ自治的な形においてやつて行くということが望ましいのではないかと思うのであります。そうでありませんと、あるいは組合の保険事業そのものが、健全な基礎の上に立たないで、そうして万一の場合においては国庫の負担という形で解決されるということは、かえつて事業を健全化さないというおそれがあるのではないかを疑問とするものであります。その上に中央金庫といたしましては、この再保険を引受けるにつきまして、別に特別な要求がされておるわけではないようであります。そうであるといたしますと、一般の中央金庫の資力と申しますか、そういうものによつてこの再保険事業をまかなつて行くということになるわけであつて、それは中央金庫の一般の事業に弊害を及ぼすおそれがありはしないかということも考えられるのであります。要するに再保険を国庫の負担に持つて行くというふうなことをしないで、むしろ独立の再保険を引受けるような機関をつくり、自治的な形でもつて処理すべきではないかと思われるのであります。  次にこの法案によりますと、この保険組合では相互保険の形をとつておるように見えるのであります。しかしながら設立当時の組合員というものは出資をすることになつておりますが、一体この出資というものの性質は何であるのか。いわゆる相互会社における基金的なものなのか。しかしそうだといたしましても、この出資は組合員が脱退をいたしますと、出資自体が払いもどされて行くというふうな形になるのではないか。そうすれば脱退をすることによつて出資がどんどん減つて行くというふうなことになるわけであつて、その出資の総額というものは必ずしも安定したものでないということが言えるわけであります。しかしこの法案によりますと百万円以上でなければ事業を行い得ないとしておるのであります。これは設立のときと申しますか、開業のときだけの要件とも見えないのでありまして、後までもその出資の総額が百万円以上なければならないと思われるのでありますが、そうであるとして、先ほど申しましたように、組合員が脱退をして百万円以下になつたらどうなるのか。事業は行い得ないというふうなことになるのではないか。あとから組合員が加入しても、それは保険料を払い込むのでありまして、出資の払込みというふうなものはないようなのであります。そうだとすると、組合員が脱退をする結果として事業が行えなくなつて行く。しかもその脱退というものは法定の事由によつて脱退して行くということになりますと、この点について事業自体が相当不安定なものであると言えますし、また出資総額がそのような安定性のないものであるということも疑問だろうと思うのであります。  なお設立当初の組合員というものは、出資をいたしまするほかに、保険契約を必ず結ばなければならないものであるのか、保険契約というものは全然別のものであるのか、その点もどうもはつきりしないように思われます。また剰余金の分配のようなものにいたしましても、保険組合については払い込んだ保険料額に応じて分配をするということになつておりますけれども、出資したものについてはそれは一体分配があるのかないのか、その点も私が一読いたしましたところでは明確でないように思うのであります。また設立の認可を申請いたしますときにいろいろな書類を出せということがありますが、たとえば普通の保険約款のようなものは全然提出しなくてもいいものであるか。一般の保険事業と同じく、そのことが必要ではないかということも考えられるのであります。そうしてまた認可の申請がありまして、それを認可しなければならない場合の条件が、これも私の読み方が悪いのかもしれませんが、二十七条の四に書いてございまして、「左の各号の一に該当せず、且つ、その事業が健全に行われ公益に反しないと認められるときには、設立の認可をしなければならない」。そういたしますると、各号の一に該当していなければ、事業が健全に行われないような場合でも認可しなければならないというふうになるのか、あるいは該当していても健全に行われ公益に反しない場合は認可をしなければならぬのか。この二つの条件、上の条件と下の条件と両方満たされていないときに初めて認可を拒絶できるというふうになつているのかどうか。「且つ」ということはまたはという趣旨なのであるかどうか。その点もどうも私にははつきりしないのであります。その他につきましてもいろいろ問題があるかと存じます。たとえば業種組合にいたしましても、一体一定の業種というのはどの範囲のものがその業種になるのか。どんどん細分をして行くことが可能であるのか、それともある大きさのものにきまるのか。しかもその業種によつて一箇のものしかできないということになりますると、早いもの勝ちで、あるものがつくつてしまえばあとはどうにもならないということになりますると、かえつて組合の健全性というものを害するおそれがあるのじやないかというふうなことも思われるのであります。時間の関係上ざつと申し上げたのでありまするが、要するに私の存えでは、このような火災保険組合というふうなものを立法化して、そしてこれを適法なものとして行くということは一つの問題であろうと存じますが、しかしこれを適法化するにいたしましても、はたして保険組合法一本のもので行くのがいいのか、あるいは協同組合法の改正という形で行くのがいいのか。また協同組合法の改正という形で行くにしましても、こまかい点につきましていろいろな問題があるのじやないか。率直に申しますれば、この法案につきましては、もう少し再考慮をして、練り直した方がいいのではなかろうかというふうなことを考えるのであります。  私の一応の意見の開陳をいたした次第であります。

大西禎夫自由党

○大西委員長 委員の方に申し上げます。鈴木竹雄君は十一時よりの講義のために退席されるということでございますので、御質疑があればこの際お願いいたします。時間の関係上簡単にお願いいたします。末高さんは十二時までということでありますから……。

山手滿男改進党

○山手委員 お忙しいのに御出席をいただきましてありがとうございました。簡単に一、二お尋ねしておきたいのであります。今鈴木先生は、協同組合や何かでも、こういうものを認めた方がいいのか、あるいは保険業法一本で行つたのがいいのかということは、ある意味で決定的なお話でもなしに公述をされたように思うのであります。この法案の内容、こまかい技術的問題については異論があるように、今申されたことによつて了承いたしましたが、協同組合が火災保険をやるというようなことについては、根本的にはいけないというふうにお考えになるのか、やらしてもよいというふうにお考えになるのか、その点をお伺いしたい。

鈴木竹雄東京大学教授

○鈴木(竹)参考人 この問題につきましては、先ほど申しましたように、一本にするのがいいのか、いろいろわけて立法した方がいいのかということについては確定的意見は持つておりませんが、私としては協同組合にやらせること自体については絶対悪いとも思つておりません。しかしやらせる限りにおいてはやはり確実な堅実なものにして行かなければならないのじやないか。そうして何と申しますか、助成というふうなことも必要ではありましようけれども、それが度を過ぎるようなことになると、かえつて安易に流れて、健全な発達を来さないのではないかということを考えますので、その点について御考慮を煩わしたいと考えたわけであります。

山手滿男改進党

○山手委員 あれだけ発達した資本主義の国のアメリカで、火災保険協同組合が既成の保険会社の圧力に抗して、なおかつ非常にりつぱなものができておるという事実がありますが、ああいうものについて、どういうふうに先生はお考えですか。

鈴木竹雄東京大学教授

○鈴木(竹)参考人 それは要するに、何と申しますか、やはり自分たちの力をもつてつくり上げて行つたと思うのでありますね。ですから私はいけないということを申しているわけではないので、協同組合形式と申しますか、それでやつて悪いということを申しているわけではないのでございます。

中崎敏日本社会党(右)

○中崎委員 ただいまの御意見について二、三お聞きしておきたいのでありますが、まず第一に、出資の面において不安定だというのでありますけれども、これはあらゆる組合がそうなのであります。そうすると事実組合というものは資本の面において弱いということが言えると思うのでありますが、この保険の場合に限つてのみそういうふうに考えておられるのでありますか。

鈴木竹雄東京大学教授

○鈴木(竹)参考人 それは事業のいかんによると思うのであります。結局ほかの場合においてももちろん不安定ということが考えられますけれども、それが大きく現われて来るということは、保険事業であるがゆえに、その点についての考え方というようなものを厳格にして行く必要があるのではないか。あるいはそういう面を考えて行きますならば、保険金額を取扱う最高限というようなものを一律に三百万円というふうにきめるのがよいか、やはり出資とか、その他準備金というようなものを加えましたもの、その比率のような形でもつて――それも私こまかいことまで、どれくらいの比率がよいということまで申しておるわけではありませんが、そういう形でやつて行く。つまり組合の中にも強力なもの、そうでないものもあるというようなことで、初めのうちに、基礎の安定しないうちに非常に大きなものをとつて行くということになつては、事業者自体としても蹉跌を生ずるおそれがあるのではないかということを考えます。申し落した点でございますが、保険金額の最高限度というようなものも、ある意味のスライドというか、そういうことも考えられるのではないかというふうに思うのであります。

中崎敏日本社会党(右)

○中崎委員 大体において最高限度がきめてある。その範囲において実情に応じて三百万円申し込みたいといつても、君の方の実情は百万円しか保険ができないといつて押える方法があると思うのであります。これは運用によつてもいろいろ律るの募り事。ただ保険は、言われますように経済的に一つの大きな影響力があるものでありまして、破綻を来したら影響があるということが言えるのは金融についても同じであろうと思います。ところが現在信用組合や信用金庫というものは同じような方法でやられておる。員外預金まで信用組合においてはやられておる。その影響力は、金融の面においても組合保険の面においてもそう大きなかわりがない。そうしてすでにりつぱに成長しておるのが信用金庫であり、信用組合である。そういうことも現在あるということは御承知だと思いますが、私たちはそういう角度からこの出資という問題についていろいろの心配があるのでありますが、これを健全に育てて行けば行けるのであります。その裏づけとしていわゆる中央金庫に再保険をやらせるのがよいかどうかという問題でありますが、場合によればあるいは中央会というものを新しくつくつて、それによつて再保険をする、あるいは既存の保険協会、そういうものに再保険をさせる道を開いて行くという考え方もあるとおもうのであります。いずれにしても強力なものによつて再保険をすることによつて組合の危険を取除くという考え方があると同時に、もう一つには国家の補償が云々と言われておりますが、これは金融界においてもあるのです。たとえば中小企業について政府の方からいろいろな融資もしておりますが、そのほか民間の金融機関に対しても一つの政府補償の道が開かれておる。そういうふうなこともあるのでありますから、それと同じようにいわゆる弱体の中小企業をいかにして救うかという問題に対して、金融の面においては政府補償をされておると同じような意味合いにおいて、この保険の場合においてそれをやる。そういうふうな場合においては個人に対して一々政府の補償ということはどうかと思うから、こういうような組合の組織によつてその組合を国家が助成するのだ。弱いものを集団的にまとまつた場合において補償するのだという考え方の上に立つて、この国家補償ということを最後にうたつておる。それはあらゆる場合において国家補償をするということは問題でありますが、いよいよ困つた場合に国家の補償があるのだ、弱い組合を健全な組合に育てて行くのだという最後のうしろ立てであるという考え方の上に立つておるのでありますが、この点についてのお考えをお聞きしたい。

鈴木竹雄東京大学教授

○鈴木(竹)参考人 今おつしやいましたように、それは今までの法律であるものは認められているからこれを広げて行けばいいじやないかということは一つの考え方だと存じますが、しかしあるものに認められているということ自体もあるいは反省されるものかもしれませんし、それを広げて行く場合に、そしてまた金融の場合よりもつと大きな損害の出て来る、国家に対する迷惑といいますか、そういうことも非常に出て来るおそれもありますし、またそれはもちろん変なところに金を出せばそういう問題が起つて参りましようが、たとえば保険料率の決定などにいたしましてもそれを非常に安くしておいて、そうしてその結果十分な蓄積を組合の中にして行かないで、そういう形になつて行くということも困るのじやないか。そうして運営でやつて行けばよいという考え方も成り立ちますが、しかしその運営というものも、なかなか試験が来なければ勉強しないようなもので、強制されませんとやはり安易な形に流れて行く。やはりその運営いかんということは、それに一つのわくがなければ私はあぶないんじやないかという感じを持つのです。

中崎敏日本社会党(右)

○中崎委員 この点は時間の関係がありますからつつ込んで申しません。  最後にお聞きしたいのですが、この業種についてはつきりしない。これは経済界における常識といいますか、一般に業種といえば大体どういうものか、それにはおそらく一つの常識がある。ただ実際においてはなかなかわかりにくい面もありましようが、それはいわゆるこの経済界の常識に従つて判断して行けばいい。これはあらゆる問題について、はつきりした数みたいに一と二を足せば三というものではないのでありますから、そういう意味においては、大体業種というものは経済界の常識によつて行く、こういう考え方であります。  それからもう一つ、この練り直したいという考え方でありますが、これについては修正案も実は考えられてもいるわけなんでありますが、そうすれば一体大まかな線においてどういうふうに練り直すかという点心ついて、具体的にひとつ意見があつたらお聞きしたい。

鈴木竹雄東京大学教授

○鈴木(竹)参考人 第一の業種のことは、実は職業別電話番号簿というのがあります。その分類には大分類と小分類というのがありまして、あれを私見ておりまして、一体これはどつちになるのか。今常識とおつしやいますけれども、その常識というのがどうなのか、しかもそれが全国一本という形になつておりますと、そこに相当問題が起るんじやないかということを私考えたのであります。  それから今の、どういうふうに修正するかということでございますが、この点につきましては私今確たる案は持つておりませんので、はなはだ申訳ございませんが……。

大西禎夫自由党

○大西委員長 それでは次に末高信君。

末高信早稲田大学教授

○末高参考人 御指名にあずかりました末高であります。簡単に私の意見を申し述べたいと思います。  後に申し述べまする二、三の技術的な点を除きまして、私はこの法案に賛成いたします。そしてこの成立を望むものでございます。保険事業を規定いたしておりますところの保険業法というものは、昭和十四年に制定せられたものでありますが、少しく明治時代のことを振り返つてみたいと思います。  明治の初年、保険というものがわが国に導入せられてから後、しばらくの間はまつたく野放図、放任の状態であつたのであります。これに対して何らかの取締りをしなければならないというような機運がだんだん動いて参りまして、明治二十三年に制定せられましたところの旧商法の中に、保険事業の取締りが規定せられたのでございますが、しばらくの間それは実施を見なかつたのであります。その間だんだん、たとえば東京海上というような保険会社、また生命保険におきましては明治生命などという保険会社が、明治十二年あるいは明治十四年というような早い時代から逐次行われるようになりまして、健全な保険ももちろん行われたのでございますが、同時に類似保険が各地に跋扈いたしまして、相当の弊害を流したものでございます。従いましてこれらの類似保険を禁じなければならない、そういうような影響を是正しなければならないというところから、明治三十三年になりまして、ただいまの保険業法の前身が生れたのでございます。  この保険業法は、いわゆる実質監督主義という原理に基きまして、免許主義をとつておりまして、保険会社の経営形態というものは、株式会社と相互会社でなければならないとか、あるいはこれの事業を開始するためには、あらかじめ認可を受けなければならない等々、それからまたその日常の営業に対しましても、微に入り細をうがちましたところの、いろいろな監督規定が行われていたのでございます。ところがこの監督法規は、いわばあつものに懲りてなますを吹くというようなわけで、明治二十年代の終りから三十年代の初期にかけまして行われたところの類似保険の弊害に懲りてしまつた。従いまして非常に大きな株式会社または相互会社でなければ、これを経営することができないというふうにしたわけでございます。  ところが明治から大正にかけましてのわが国の保険というものは、かりに類似保険というものが計画せられましても、それは民衆の間に相互救済的な制度として、保険事業を小規模に経営して行こうという要求が高まつて来たわけでなくて、まつたくためにするところの人たちが一躍千金を夢みて、不正な方法でもつて金をもうけようというような人たちが二の類似保険をやりましたために、類似保険は非常な弊害をもたらしたわけでございます。  ところが私ども、お互いに相互救済をする、仲間同士他人の不幸を見ていられないというような、相互救済の精神というものは、おそらく人類の根本的な考え方の一つである考とえますので、だんだん国民の間にそういう自覚が高まつて参りますと、これを単に弾圧するだけではこれを押えて行くことができない。現に各地に行かれております、たとえば北海道であるとか、あるいは中国地方、北陸地方等に行われておりますところの、いわゆる類似保険というものは、民衆、国民のかくのごとき要望に根ざしたればこそ、あのようにほうはいとしてだんだん発展を遂げて来ておるのではなかろうか。そういうような事実に対しまして、私ども目をふさいでおることはできないと思うのであります。従いまして私は、根本的にはそういうような隣保共済の事業というものが、国民の間に漸次発展を遂げて行くということは望ましいことであり、それが合法的に合理的に、いわゆる私生子としてでなくて、りつぱな嫡子として――このごろ日本の民法ではこういう言葉はなくなつてしまつておりますが、私生子としてでなく、りつぱな嫡子として認められた制度として、こういうものが健全に発展して行くことが望ましいのではなかろうかと考えております。従いましてこの中小企業協同組合法を改正いたしまして、たとえば中小企業者の方が要望しておりまするところのかくのごとき火災保険事業を経営するところの道を開くということは当然のことではないか。むしろこれとともに消費生活協同組合法も改正せらるべきであり、また農業協同組合法も改正せらるべきでありまして、各種の共済事業、たとえば小型の生命保険であるとか、火災保険であるとか、その他各種の共済事業が行わるべきであると考えております。ただいま鈴木教授の御高説に対しまして御質問の形で出ておりますように、アメリカのような資本主義の国家におきましても、大会社に並びまして、いわゆるミユーチユアル・オーガニゼーシヨン、あるいはミユーチユアル・カンパニーというような相互形態が昔から行われております。これは相互救済、隣保共済の一つの形といたしまして発展をしている。特に株式会社によるところの火災保険会社が課するところの料率があまりにも高いというところから、私の記憶しておりますのでは、たとえばランバーミルというような、製材業者というような業種の方々が協同組合をつくりまして、各地に散在しておりまするところの製材業者の火災保険組合というようなものがありまして、しかもこれはお互いに連絡をとつて火災防止に極力尽力をする。アドヴアイスを与える。その方法を指示するというようなことをやつておりまするために、その事業は今日におきましては非常に盛大に、りつぱに行われているということを、私どもアメリカでもつて事実見ても参りましたし、文献等により孝じてこれを知つているのでございます。従いまして私は、いろいろな保険の企業形態、たとえば株式会社であるとか、今日認められているような大規模な相互会社の保険、相互救済の観念を中心とするところの各種の協同組合なんというようなものも、公法的に認めることによりまして、各種の企業形態がお互いに長短相補うというようなことを実現することがわが国の産業の健全なる発展、特に大資本によるところの独占的な偉力が今日各種の金融事業、特に保険事業等においては顕著に見てとられるのでございまするが、そういう点を是正するという点から申しましても、当然行わるべきごとではなかろうかと考えておるものでございます。あとで御質問でもありますればまたアメリカの事情等につきましては二、三お話を追加したいと思いますが、私は冒頭、二、三技術的な点におきまして意見があるということを申し上げたのでございますが、それをほんの二、三申し上げてみたいと考えるのであります。  それはこの法案の立案者と申しますか、少くともこの法案を執筆した方は、たいへん失礼な申分でありますが、保険のことをあまり御承知ないということは確かに言えるのではなかろうか。従いまして保険事業を担当しておる者にとりましては、先ほど鈴木教授も申されたように、不安の点、不満の点が多々あるのであります。たとえば出資百万円に対しまして、一つの物件について最高限度を一応三百万円に押え、あるいは組合員の引受け危険というものを三百万円としている。先ほどの議員の方のお話によりますと、それは一応最高限度をきめたんで、現実の取扱いは各種の組合、おのおのの組合の実情に応じて多少の制限をするというようなことを申されておるのでありますが、これは保険の数理の計算あるいは危険率の計算から申しますと、この点大いに専門家の御意見を多少参酌してお考えになる必要があるのではなかろうかと考えております。  第二点は、再保険の引受けをするところのものとして商工中央金庫というものが書かれておるようでございますが、商工中央金庫は商工業に対するところの金融機関であります。現に一般の事業といたしましても信託会社または銀行が火災保険、生命保険を経営することはいけない。世界各国とも大体そういうような方針をとつております。日本におきましても保険は独自の形態としてこれを経営しなければならない。銀行その他信託会社も保険を経営することが、たとえば富士銀行あるいは三菱信託というような大銀行、大信託におきましても、保険の経営はこれを禁じておるというようなことを考えて行きますと、金融機関として成立しておりますところの商工中央金庫をもつて再保険の機関とすることは妥当でないと思うのであります。やはり中央会というようなものを再保険の機関としてつくりまして、今中央会に課しておりますところの各種の調査であるとか、査定であるとか、あるいは予防であるとかいうような業務のほかに、再保険も中央会というようなところでもつて引受ける、それがための当初の資金のごときは、政府あるいは国家でもつて中小企業を育成しようという御決意をなさつたならば、これに対しまして政府出資といたしまして、その額が二億円を適当とするか、五億円を適当とするかということはここで申し上げることはできないのでありますが、数億円の金を出資いたしまして、健全なる再保険機関として保険数理の上から申しましても、当然これならば安定性があるというように、このものを別個におつくりになるということの方がすつきりせられるのではなかろうかと考えております。  それからこの法案を拝見いたしますと、保険業法の適用を全面的に排除いたしておりますが、これは私は適当でないと思うのであります。保険料率の点であるとか、あるいは特に資金の運用の点等につきましては、現在の保険業法を適用するとか、準用するとか、あるいは全面的に排除せられる必要があるならば、何か別に必要があるならばそれと符節を合せるような、つまり保険業法と符節を合せるような財産運用その他につきましては厳重なる制約をこれに課さなければならないというように考えるものでございます。  以上簡単でございますが私の意見を申し上げた次第でございます。

大西禎夫自由党

○大西委員長 次に大林良一君。

大林良一一橋大学教授

○大林参考人 すでに鈴木教授、末高教授の御意見が開陳されておりますので、あまり私のつけ加えることもないように思いますが、提案理由書並びに改正法律案を拝見して若干の気づいたことを申し述べてみたいと思います。  一般的な法案を拝見した印象といたしましては、今末高教授の話されたように、いかにも保険理論を知らない人がつくられた法案である、はなはだ心細いものであるという感じが強いのであります。こうした法案によつてつくられた保険事業が、はたしてりつぱな保険を引受ける能力があるか。将来大衆の生活問題に関して大きな社会的問題を起すような保険を引受ける能力があるか。さらにまた再保険を全然無能力者と思われるような金庫に頼むということもどうかと思う。しかもその結果において損失があつたならばこれを国庫に補償させるというのでは、結局無能力の息子に仕事をさせて、その結果をわれわれの税金でしりぬぐいをするということになりはせぬかといつた感じがもつぱら起きたのであります。  ところで法案の個々についての問題ありますが、第一に国家補償が問題になると思うのであります。鈴木先生がこの点はすでに詳しく述べておられますが、中小企業の協同組合に対する火災保険についてだけ国家補償をするとすれば、一体農業その他の人の火災保険はどうなるかという問題も起るのであります。それからさきに言いましたように、最後は国家に補償してもらうということになれば、勢い保険能力がないような保険団体もだんだんできて来て、あとは国家にまかせるということはどうかと思うのであります。元来保険というものは自分自身の資金の上に十分立ち得るものであります。保険理論から言うと、収入した保険料で支払い保険金並びに事業費を十分まかない得るような計算が立たなければならぬはずのものであります。しかしこういつた国家補償の裏に何かイデオロギー的なものがあるというなら、それはまた別の問題であります。たとえば私営事業権を全部否定するという問題があるならば、これはまた別の問題になるのであります。  第二に今申し上げた点と関係しますが、商工組合中央金庫をして再保険を行わせるというのは、生命保険よりも一層むずかしい損害保険の再保険技術をまつたく無視した暴挙である。あるいは保険理論の上から言つて、どうも想像できないことであります。のみならずそういつた形で、末高先生、鈴木先生からお話のあつたように、他の事業との兼業禁止の問題にも関係して来ることであります。この点でも賛成できないことであります。  それから第三は監督の問題でありますが、保険事業の監督はこの場合には通産大臣が行うことになつておりますが、専門家でない通産省においてはたして十分な監督ができるか。結局は官原のセクシヨナリズムを助長することになるだけのことである。保険行政の机一のためには、現在の場合におきましては、少くとも大蔵大臣の所管にすべきものではないか。そうして専門家による実質的な監督が行われなくなつては、弱体であるという中小企業家の生活浮沈に関するような火災事故の場合に、十分な支払い能力を保持させることはむずかしいのではないかと思うのであります。ちよつと例が違いますが、ドイツあたりでは、事業会社に長く勤めておつて退職した者の退職年金の経理まで保険監督局においてこれを監督しておる。結局は会社を離れた人の十分の生活保障をできるかできぬかという問題にもなるので、そこで私営保険にならつてこれを監督しているという例もあるのであります。  大体提案理由書並びに法案を拝見しての私の所感はそのようなものです。

大西禎夫自由党

○大西委員長 次に鈴木讓一君。

鈴木讓一損害保険協会企画課長

○鈴木(讓)参考人 私は今回のこの提案に対して全面的に反対をいたします。その反対理由として大体六つの点をあげたいと思うのであります。  第一の点については、先ほどから諸先生によつて指摘された通り、商工中金が再保険をして、その商工中金が損失をこうむつた場合に国が補償をするという点にあるのでございますが、この点は商工中金がなぜ火災保険組合の再保険を引受けなければならないのかという点にも非常に疑問があると同時に、現在火災保険の分野におきましては、現在の既存の民営の保険会社によりて、十分とは申せないかもしれませんが、相当程度にその機能を果しているという状況にあります。従つてこの面でわざわざ商工中金が再保険をする、あるいは国が補償をするという必要は、全然認められないというふうに考える次第であります。  それから第二に、保険事業そのものは、先ほども御指摘がありました通り、兼業を許さないのが大原則でございます。商工中金がいわゆる信用事業あるいは銀行業務を行つている上に、この火災保険事業をまた行うということは、現在の観点から申しまして、はなはだおもしろくないと思います。たとえば保険会社におきましても損害保険と生命保険は兼業を禁止せられております。同じ保険という名称でありながらも、この二つは兼業を禁止されておる。のみならず、損害保険と信用事業あるいは銀行業務を商工中金が兼業することは、納得できないと思うのであります。  第三に、この案によりますれば、火災保険組合というものができるのでありますが、その監督官庁が通産省である。こういうことは、しばしば申し上げておりますように、保険行政の不統一を来すということになります。現在民営の損害保険事業は大蔵省が監督しておりますが、同じような種類の火災保険事業を行う火災保険組合の監督が通産省であるということは、保険行政の混乱を来す、あるいは官庁間のセクシヨナリズムを醸成するということも考えられるのでありまして、この点においても賛成しがたい点があるのであります。  第四に、これもしばしば指摘されたところでありますが、この組合法案は保険業法の適用を排除しております。もし火災保険組合が保険事業と全然別のものをやるというならば、話はわかるのでありますが、火災保険事業を行う以上、保険業を監督する保険業法をことさらに排除したということは納得できない点であります。  第五に、多少こまかい問題になりますが、組合の出資額は百万円という額であります。これは常識的に考えましても、非常に少い、経済的な資金的な基盤が弱いということが言えるのであります。これに反して保険金額の最高限度は三百万円でありまして、かりに百万円に対して十万円の損害でありましても、三百万円の損害が起つた場合、すぐこの支払いにさしつかえる。では商工中金の再保険にする、国から補償してもらう、非常に簡単であります。このようなことによつて、われわれの血税の部分からこういつた損害が支払われるということは、はなはだ納得できないという点がございます。  第六に、民営保険会社の現在きめておる保険は、三百万円以下のものが大体九割九分に達しております。結局この保険組合とそれから民営保険会社の分野と完全にこれが競合するという面になるわけでございます。そういつた場合、結局この法案は民営保険会社に対して非常な影響を与えるものということが言えるのでありまして、この点からも私は本法案に反対するものでございます。

大西禎夫自由党

○大西委員長 委員各位に申し上げますが、末高教授、大林教授が時間を急がれるとのことでありますので、一応お二人に対する質疑がございますれば、この際お願いいたします。山手君。

山手滿男改進党

○山手委員 大林先生にお伺いしてみたいと思いますが、今御指摘の通り、この法案は決して保険専門屋がつくつたわけではございません。みなしろうとばかりでやつた、しろうとばかりでやつておるということは意味があるのであります。いわゆる既成の保険会社の考え方の中に溶け込んでおられる方々には、現在中小企業者なんかが四苦八苦して苦しんでおる、何とかして活路を見出して、できれば税金的なもの、あるいは保険料的なものを少くでも軽減して、立つて行きたい、切り抜けて行きたいという意欲がおわかりにならない。そのために、北海道で、愛知で、北陸で、各地で類似保険組合というものがどんどん今結成されて行つておる。それはしろうとばかりでやつておるのです。それでそういうものを野放しにしておきましたのでは、これは将来のためでもあるまいということで、これを健全に発達させよう、まずいかもわからない。既成の保険の考え方の上に立つておられる方から見るならば、きわめてずさんではあるけれども、現在あの人たちが野放しでやつておるよりも、これでやつた方が相当進歩したものである、こういう考えで行つておるのでございますが、ああいう現在北海道、愛知県、三重県、岐阜県というところで今起りつつある保険協同組合の動きというものについてどういうふうにお考えでございますか、一言御感想を承りたい。     〔委員長退席、小平委員長代理着席〕

大林良一一橋大学教授

○大林参考人 ただいまの御説はわれわれも一応うなずけるところがあるのであります。終戦以後の日本の、戦前からもあつたでありましようが、保険事業が最初から免許主義であつたために、独占的形式になつた。実質上の独占を伴うために、彼らの間では横暴を若干働いたということはあるいは認められるのであります。その後、ことにインフレ以後において、自分の経営の合理化をはからずに、保険料の引上げというようなことをやつたということが、中小企業のみならず、一般の火災保険を利用する者に不満を与えたということは考えられるのであります。それでそういつた保険会社の方から虐待される者が、みずからを助けるために、協同組合をつくつて、協同組合として保険をやろうという考えも必ずしも否定することはできないのじやないかと思います。

山手滿男改進党

○山手委員 先生の御説明によりますと、大体保険事業というものは、収入した保険料によつて全部ペイして行けるということでありますが、それはなるほどその通りであろうと思いますし、終戦当時あれだけ打ちのめされたようなかつこうになつておつた保険会社の皆さんが、自分の努力もありましようが、何といつても独禁法の適用を排除され、いろいろな非常な国家の庇護を受けて今日の盛大に至られたことも、私どもは事実そういう原則にのつとつておやりになつたことではあろうと思いますが、今日まで保険会社の皆さんがはじき出されて、適用されておいでになつた保険料率というものは非常に高いように私どもは考えております。先生はどういうふうに保険料の問題をお考えか、承りたいと思います。

大林良一一橋大学教授

○大林参考人 これは今私が実は火災保険を克明に専門に勉強しておるものではありませんので、今日の数字がはたして十分公正なものであるかどうかということははつきりしておりませんけれども、保険事業の成績表などを見ました結果、やはり損害率というものと実際の事業費の関係が、われわれとしてはかなり納得の行かない比例を持つておるということは、これは十分認められると思うのであります。将来においてこれが改善されるべきものだということは、損害率とそれから経営率の問題であります。これはもう少しその関係を改善する必要があるということは、私ばかりでなくほかの人も考えるだろうと思うのであります。

山手滿男改進党

○山手委員 時間がございませんから、私もう一点だけお聞きしてみたいと思います。さつきからいろいろ聞きますと、商工中金に再保険さすことが兼業の禁止の原則に反するというようなお話が出ておりますが、この法案から行きますと、特別会計をつくつて別個に計算をさすというふうないろいろなことを考えておりまして、混同させないわけであります。保険会社に収入される保険料というものが、従来中小企業者にどの程度還流しておつたか、保険会社は莫大な保険料を中小業者から取上げるのでありますが、その金が実際には中小企業者にどれだけ協力されて返つて来ておるか、まことに心細い。商工中金のごときものは中小企業者としては非常に喜んでおる金融機関である。しかしその金融債というものができなくて困つておるのですが、損保協会というものはそういうものには一顧も与えられないというようなことでずつと来ておる。やつぱり先ほどお話のありましたところの収入した保険料なんか適当に運用するためには、こういう全国的な組織や機関をつくつて、払つたものをまた自分たちの方に幾分でも余裕金が奉れば、還流させて行こうというところに一つのねらいがある。兼業禁止の原則に反するといういわゆるりくつからいいますと、何か悪いことをしておるように見えます。が、この特長というものは非常なものであると、われわれはしろうとでありますからしろうとなりに考えております。特に兼業禁止なんかということを言いますが、特別会計をつくつて別個に計算させて行きます。そういうことで私どもは何も問題はないと思つておりますが、それでもなおかつこれは悪いことであるとお考えであるかどうか。それから国家補償の点について非常な誤解があります。国家補償の点については、ちよつと赤字が出ればすぐ国家が損失補填をするように思つておられますけれども、これはこの法案から行きましても非常な誤解であると思う。現在の保険会社にいたしましても、関東の大震災のときは約六千万円国家が補償をつけております。ああいう非常な事態のときでありまして補償をされている。普通の保険会社は、原則としては保険業法には規定がないけれども、ああいう事態にあれだけのことを政府がやつてのけておるのです。この関東の大震災とか何とかというような場合を想定するならば、中小企業者のためには、最後のどどのつまりの場合においては、このくらいのことは政府が手を打つてやるということを、私どもは関東大震災のときどきらいのことを思つて、それをにらんでこの規定はつくつてあるのであつて、さつきから先生方が非常に御心配になつておるような、ちよつとでも赤字が出れば、すぐ血税で国家が補償をするとかいうようなお考えは、少しわれわれの立法意図とは違つておるわけでありまして、決してそういうことにはならないのだと思つておりますが、その点についてどういうふうにお考えか、両先生からもう一度伺つておきたいのであります。

大林良一一橋大学教授

○大林参考人 しまいの方の補償の問題でありますが、これは関東大震災のときには社会問題として取上げられ、保険会社は政府から金を借りて、やがてこれを返した最後の一線に至つた場合に補償をするということは、これはどこでもやらなければならぬことです。国家は当然のことなんでありますが、今のお話だと、そういつたときにだけ補償させるのだというのですが、そういつたことがこの文面では現われておらない。毎年の年度計算ごとにやるというふうに、われわれ普通の常識では感ぜられるのです。

末高信早稲田大学教授

○末高参考人 ただいま大林教授からもお話がございましたように、私ども法案を見ただけではその点はつきりしておりませんから、従いまして、たとえば保険金額の削減であるとか、あるいは保険料の追徴というようなものはどの程度までやつて、一般被保険者すなわち組合員はどの程度の責任を究極において負つておるのか、負い切れない場合はどういう場合とお考えになるか、そういう場合には国家が補償をするという点などを、私ども保険技術のことを幾らか知つております人間には、明確に御規定になることが必要ではなかろうかというふうに考えております。

小平久雄自由党

○小平委員長代理 永井勝次郎君。

永井勝次郎日本社会党(左)

○永井委員 末高先生にお尋ねします。協同組合でこういう事業をやろうというようなことは、これは自然発生的なものであるとわれわれは考えております。今までの損保会社は、独占のからの中でいろいろな国の補償を得て、そうしてかつてなことをやつて来た。相当に大衆を搾取して来た。これに対する非常な憤激があつて、しかも料金その他においてもかつてなことをやつておるし、その資金の運用の面についても、少しも中小企業を考えない、こういうところからも起つて来たのでありまして、そういう面からこれは保険企業としての面と、中小企業者の一つの自立態勢を確立する、こういう総合的な面から出ておるのだと思うのであります。独占企業としての従来の会社に、ただ陳情的にいろいろなことを言つたつていけないので、実際にこれを是正して行く方向は何かというので、イギリスにも協同組合の経営が起り、日本にもこういう形が出て来たので、今度は料率も下げて来た、サービスも漸次よくなつて来ておる、こういう一つの大きな間接的な効果があると思うのでありますが、従来の会社に対する先生の御批判と、それから若干の不備な点はありましても、これは決して一つの思いつきで、ただやつてみるのだというようなものではない。部分的にはいろいろなお是正して行く面もあるけれども、しかし大筋としては筋は通つている方向である、われわれはこう考えておるわけでありますが、これに対する先生のお考え、それから実際においてそう歴史は持つていないのでありますが、北海道の場合だつて、これは加入者が散在しているわけですから、一つの町で百戸や百五十戸の火災がありましても、その中における加入者というのは、現在のところでは二軒か三軒よりないので、大体特別な関係がない限り、大きな損害は現在見込めないというような状況です。そこで量的に非常に発展すれば、それに比例して細則なり法律改正なり、そういうもので十分これはカバーして行ける、筋としては違つた方向をとつていないのであるとわれわれは確信しておるのでありますが、これに対する御見解を承りたい。

末高信早稲田大学教授

○末高参考人 明治以来わが国の産業並びに経済の発展が、大体軍国主義を中心といたしまして巨大な産業を育成している。従いまして、その傾向が独占資本主義の方向に向いつつあつたということは、これは偽らざる真相であると考えます。保険事業につきましても、もちろん大蔵大臣の認可を受けてその保険事業を営むことができることになつているのでございますが、しかし現実の問題といたしまして、数百の保険会社がわが国において発生した二とはないのでありまして、届出あるいは認可の申請がありましても、いろいろの調査その他によりましてあらかじめこれを阻止するというようなことが行われておりまして、現在保険会社の数は、御承知の通りきわめて少数でございます。従いまして会社相互間には多少の競争はあるわけでありますが、しかし業界全体といたしましては、保険事業の経営について一種の独占的な地位にあるということは、これは何人も疑うことのできない事実であると存じます。これを是正して行くためには、先ほどお話がありましたように、単なる陳情であるとか運動であるとかいうことでこれが是正できるものでない。やはり諸外国にありますように、人類の一つの根本的な精神でありますところの協同の精神と申しますか、あるいは相互救済の精神に基くところの各種の保険組合というものができ、そこでいろいろくふうをし、料率も下げて行く、あるいは損害の防止に努めるごとによりまして、大火災を未然に防ぐというようなことに力を注ぐことによりまして、実力をもつて大会社の営業を批判するところの具体的な批判の存在が、やはり必要ではなかろうかというふうに、その点は私考えております。従いまして今の御質問の方とまつたく同じような考え方を持つております。  それから次のお尋ねの点は、間違つた筋でないと考えております。

小平久雄自由党

○小平委員長代理 加藤君にちよつと申し上げますが、末高教授は授業の関係で急がれるそうですから、ひとつ簡単にお願いします。

加藤清二日本社会党(左)

○加藤(清)委員 簡明にやりたいと思いますが、根が頑迷な頭の持主でありますので、恐れ入りますが、両先生に御指導いただきたいと存じます。  一つは、歴史的な御説明がございましたので、これに加えてイギリスの様子をぜひ承りたい、こう思うわけでございます。それはほかでもありませんが、アメリカもさようでございますが、イギリスも資本主義が非常に発達した、それと並行してロツチデールが行われて行つた。これは持たざるものの自己防衛の本能から発した自然発生的なものであると存じますが、その発生の段階においては、はたして最初から完全なものが生れていたかどうか、ただいま両先生は、学問の自由の立場から、いみじくもはつきりとこの法案が完全でないということをおつしやいました。その精神には非常に敬意を表するものでございますが、はたして学者的立場からいつて、発生当初から、完全を希望することができても、具体的事実としてそういうことが歴史的に行われているかいないか。赤子の時代から大学教育をすることが可能である良いなやという問題でございますが、そういう意味におきまして、もしこれが不完全であるとしても、それじや育て上げるという意味において、はたしていいか悪いか。育て上げようという気持があるかないか。これを他の諸外国の例と比較していただきまして御教示が願いたいと思うわけでございます。まず第一点はそれだけでございます。両先生にお願いいたします。

大林良一一橋大学教授

○大林参考人 外国のロツチデール組合その他の組合の初めにおいて万全なものができたかどうか。これは例がなかつたからなんであります。こういつた組合というものは先例がない。そこでやむを得ず自分で頭をひねつて、いろいろやつたことだろうと思います。われわれは保険の場合にはすでに二百年、三百年の歴史があるのであります。  それからもう一つの点は、これは経済政策一般の問題でありまして、中小企業を育成するにはこの保険で行かなければならないか、ほかの問題でやるかという問題がある。それでこれをお答えするには、まだはつきりしたことを言えないのであります。

加藤清二日本社会党(左)

○加藤(清)委員 それではそれについてお尋ねしますが、協同組合には保険事業が必要であるかないか。協同組合という狭い立場から考えて今日保険事業が具体的に行われておりますが、その保険事業が一この間カルテルを行うことが許されたわけです。ある程度わくが広がりましたね。あの問題を行うにあたつても、これだけを許しただけでは片手落ちである。中小企業の方もこれに対するところの対策を講ずべきであるということは、政府側も、ここに出られた学者の方々もみな一様にお答えになつていたことでございます。その一環の作業として、こういうことが、未分化ではあるけれども、行われている。大企業に比べてみればすべてが未分化な中小企業の組合に対してこういうものを与えて、今まさにほうはいとして起りつつあるそれを少しでもよいから高い地位に育て上げてやろうという、そういう気持ですね。それがいいとお思いになりますか、悪いとお思いになりますかということをお尋ねしているのです。

大林良一一橋大学教授

○大林参考人 私の言うのは今言う経済政策一般の問題になると思うのであります。ただやつていいか悪いかという問題になりますと、これは必ずしもやつて悪いとは言えないと思います。

末高信早稲田大学教授

○末高参考人 私は先ほどもすでに申し上げておりますように、自然発生的に、すでに北海道その他でもつて行われているのを、これを私生子のままでやらせるか、あるいは芽ばえのうちにつみとつてしまうか、これを育成して行くか、この三つの方針があると思うのでありますが、私はもちろんこれは育成すべきであるというふうに考えております。しかもそれが火災保険だけの問題にとどまらないで、先ほども申し上げましたように、農業協同組合であるとか消費生活協同組合等も、今それらの組合のやり得る事業は法律にもちろん列挙せられておりまして、その他組合員の厚生、福祉に関する事業というような項目でもつて、事実においてはある程度の損害の填補であるとかいう形の保険が行われていると思うのでありますが、それはやはりはつきり行い得るように、法律も中小企業協同組合法の改正と符節を合せてやるべきである。そういう意味においてまさに育成すべきであるというふうに考えております。というのは中小企業はわが国の産業の中の一つのにない手であつて、日本の現在置かれておるところの経済段階におきましては、巨大産業はいよいよますます大になるであろうと思いますが、それとともに中小企業の育成というものが今日の場合きわめて重要な一つの仕事である。その一環といたしまして、かくのごとき共済の制度、保険の制度が行い得るように法を改正すべきであると私は考えております。

中崎敏日本社会党(右)

○中崎委員 末高先生にお伺いいたしますが、この法案といたしましては中小商工業なるがゆえに通産大臣の管轄になつておる。保険事業であるから大蔵大臣の管轄監督に付すべきであるというように承りましたが、これが両方の管轄というふうなことになるとどうなりますか、その点をお伺いいたします。

末高信早稲田大学教授

○末高参考人 私は大蔵大臣所管であるべしというはつきりした意見は、この席上においてまだ一ぺんも申し上げておりません。保険事業としては技術的に見て非常に未熟の点があるということは再々申し上げましたが、私自身はやはり共管と申しますか、保険としての面、ことに資金の運用であるとか、追徴金であるとか、あるいは保険金額の削減であるとか、あるいはどういう場合には国家の補償が行われるのだというふうな、はつきりした線を打出すためにも、大蔵大臣が一応この問題について監督権を持つことが必要であろうと考えております。     〔小平委員長代理退席、委員長着席〕

加藤清二日本社会党(左)

○加藤(清)委員 私頭によくしみ込ませて確実にするためにお伺いするのでありますが、ただいまの両先生のお話は、結局この法案は簡単なものではない、自然発生的に今全国からほうはいとして起つておるところの、協同組合自体が保険事業をやろうとしておる、それを放任しておくよりも、それに対して何らかの手を差延べて、一層助けてやろうということ、言いかえれば、これを流産させずに日の目を見せてやつた方がいいのだという点では大体一致しておると考えてよろしゆうございますね。それで次にお尋ねしたいことがあるのでございます。それはほかでもありませんが、兼業禁止のことが両先生からも言われ、鈴木さんからもおつしやつておられたようでありますけれども、私考えまするに、規制の大きい保険事業の方々は、なるほど一つの会社では兼業はやつていらつしやらないでございましよう。しかしそこへ集まつた資金が一体どこへ流れて行つておるかというと、ほとんど大銀行へ行つておる。それにかてて加えて今度のカルテルのわくが広がつたということで、保険事業と銀行、金融事業とは、今後一層密接な関連において協力態勢がとられるということは火を見るよりも明らかだと思う。なるほど窓口は違つておつても、実質において共同経営が行われて行く。こういう状態下におきまして、中小企業はそういうことを行うにはほとんど困難な状態に置かれておる。その困難な状態を切り抜ける切抜け策がございましたらひとつお教えが願いたい。両先生どなたでもけつこうです。

末高信早稲田大学教授

○末高参考人 私から私一個の意見を申し述べます。保険につきまして兼業禁止の規定がある、ところが現実には財閥であるとかあるいは同系統の会社というものが多数存在いたしておりまして、それは法律的には単独の経営であつて他の事業兼営はしておらないけれども、実際彼らの仕事の実情は全部一緒になつているのではなかろうかという御意見に対しましては、それは現在の資本主義の社会におきまして認めざるを得ない事実であると考えます。従いまして兼業禁止によつてその事業の安定性を守るということもある程度のことでありまして、その程度を越えてはどうにもならぬ。たとえば昔保険会社の破産したものがたくさんあるのでありますが、それがいずれも同系統の財閥の破綻に端を発しまして、結局その保険会社の破綻があつたというようなことの事実を見ましても、現に御指摘の通りだと考えます。しかしさればといつてこれを野放図に、すべての事業を同一の企業形態でやつてよろしいということには、やはり結論はならないと思うのであります。やはり形の上におきましては、一応分離しておくということが――最後においては同じことでありましても、私ども形の上では分離すべきものではなかろうか。従いまして私は商工中金が再保険を引受けるよりも、むしろどうせ独立採算と申しますか、別勘定でもつて中金にやらせようというようなお考えであるならば、別個の体制を整えて、それに再保険をやらせるということの方が、少くとも形の上ではすつきりしているというふうに考えております。

大西禎夫自由党

○大西委員長 この際お諮りいたします。議員春日一幸君より委員外発言の申出があるので、この際これを許したいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大西禎夫自由党

○大西委員長 御異議なければ、これを許します。春日一幸君。

春日一幸日本社会党(右)

○春日一幸君 わが国における現行保険行政のあり方に対する批判と、それから保険事業の中に協同組合が介入していいか悪いかというこの関連について、末高先生にお伺いをいたしたいのでありますが、ただいま加藤君の質問に対して先生は、それはさしつかえないものと思うという御答弁でございましたが、これは何となく消極的にこれを排撃しようというニユアンスの非常にこもつた御答弁であるかのごとく承りました。そこで私のお伺いしたいことは、現在日本における営利会社としての火災保険の普及率、これはデータによりますと一七%であるといわれております。現在ただいまの公述によりますと、保険会社の代表の方が、すでに保険会社は非常に大きな義務を果しておるというお話でございましたけれども、一七%程度、これはただいまの御説明によりますと、すでに歴史も古い、五十年間にわたつて保険事業は国家のあらゆる保護を受けて発達して来た、その結果においてわずか一七%しか普及していない、こういうようなことでははたして大きな機能を果しておるものと言えるかどうか。この問題はアメリカが現在二〇〇%という大きな相互防衛、危険が起きた場合のカバー、こういうことが行われておるにかかわらず、日本においては実に一七%でしかない。今やこういう状態は何らかの政治力によつて、あるいは行政面を通じてこれが保険がカバーされるという措置が必要であると思われるが、先生はこれに対してどういうお考えを持つているのであるか、まずこの一点をお伺いをいたします。

末高信早稲田大学教授

○末高参考人 保険の普及率が低いということは、私どもとしてはもちろん賛成しないところであります。普及をはかることに賛成をいたすわけであります。

春日一幸日本社会党(右)

○春日一幸君 何人かがこの普及率の非常に渋滞をしていることを補わなければならぬと思うのであります。しかるところ現在の保険協会は独禁法の適用を排除されまして、例の保険料率算定に関する法律等でとほうもない高い保険料をかけておる。これはあたかも中小企業に対する税金に匹敵するものであります。中小企業におきましてはその不動産あるいは動産、これは生活手段であります。従つて万が一危険が起きましたときに、どうしても再起することのために保険をかけなければならぬが、しかしながらその保険が非常に高い。どんなに高いかと申しますと、今日大きな保険会社があらゆる不動産をたくさん持つておる。しかも保険準備金のごときは五百億円という厖大な資金を積み立てておる。一体この金はいかにして蓄積されたか。このことはすなわちあの独禁法を排除されたところの高いところの保険料率、このことはただいま皆さん方からこれは血税云々というようなお話がありましたが、中小企業者にとつて保険をかけなければ万一の場合のカバーができない。やむにやまれずそのような高い保険料を払わざるを得ざるの余儀なきに至つておる。しかしてこの今の五百億の金、さらにまた大きな保険会社の厖大な財産を築き上げるに至つたのであります。ここにわれわれは一考の低位にあるところの普及率を、何らかの政治力を通じてこれを普及せしめなければならぬ。すなわち中小企業にしろ一般国民にしろ、火災の起きたときに、何ら自力をもつて更生することのできないような状態におぐということは、これはまさしくその面において無政府にひとしいものと断ぜざるを得ない。従いまして今や何人かがこの普及率の欠陥を補わなければならぬが、その役割を背負つて立とうとするものが、まさにこの協同組合によるところの保険事業であると私どもは考えるのでありますが、これに対して末高教授はいかにお考えであるか、御見解を承りたいと思います。

末高信早稲田大学教授

○末高参考人 御見解にまつたく賛成でございます。

春日一幸日本社会党(右)

○春日一幸君 学界の権威からわれわれの意見に賛成を願いました。そこで私はさらにお伺いをいたしたいのであります。ただいま国家保険に対しては疑義があるというお説がいろいろございました。そこで伺いたいことは、現在におきましてあらゆる行政を通じて国家保険はすでに幾多の事例が行われておる。たとえば農災保険あるいは船舶保険、森林保険、あるいは大企業に対する利子補給――そういうものは匹敵しないかもしれませんが、天災地変に対するとか、あるいは不作為によるところの災害を救済するための保険制度は、これは国家財政を通じて現在行われておる。あに中小企業者に対して国家的なそういう財政の裏づけによる保険政策が行われて悪いという理由は一体どこにあるか。私がお伺いしたいことは、今や日本において中小企業は資金梗塞、それから営業不振、あらゆるそういう病患が錯綜して経営困難に陥つておる。従つて彼らは保険をかけることができない、なぜかけることができないか、料率が高いから……。そこでこれらの諸君が保険を安く、保険料率の安い状況において相互扶助したい、自己防衛をしたい。しかしながら万一その発達の過程において火災が起きた場合においては、その組合が火災の保険金を支払うことができない。だから今や政策として、こういうものに対して裏づけをするということは、他の森林保険、船舶保険、あるいはまた農災保険と同じようなテーマに基くものであつて、何ら怪しむに足らない。私は政策として堂々かくのごとき政策が伸張すべきものであると思うが、これに対して末高教授はいかにお考えでありますか。

末高信早稲田大学教授

○末高参考人 社会保険または労働保険としていろいろな保険が行われております。健康保険でも厚生年金保険でも、船員保険でも、そういうものは全部国家によつて育成せられておる。ところが営利的な仕事に対しましては、かくのごとき国家の育成を排除すべきであるかどうかということは問題になると思います。すでに御指摘の通り、森林保険であるとかあるいは収穫物の農業保険であるとかというものは、農業保険組合あるいは森林保険組合等を通じまして、再保険は結局最後の責任を国家で負うていることにおきまして、中小企業に対する損害の最後の責任を負つて悪いというりくつは私には見出し得ないものであります。

春日一幸日本社会党(右)

○春日一幸君 それに対して大林教授はどういうふうにお考えになつておりますか、御見解をお伺いいたします。

大林良一一橋大学教授

○大林参考人 中小企業の保護という問題が起つた場合には、これは保険の手段においてやるか、あるいはお尋ねの手段においてやるか、今のお話だと、いろいろ委員の方々の中には、金融の面からこれを推進しなければならないというような考え方の方もあられるようです。それから保険として考えるというような見方もあるようであります。元来保険は金融ではないのでありまして、正確に保険金としてやるということが第一義で、これがどういうように運用されるかということは、保険としては第二義的になるのであります。しかし中小企業においてはそのための資金を実は得たいというのがこの法案のねらいではないかと思います。そういうような意味で、資金を集めることの方に汲々としておつて実際の保険給付をすることについては、この法案には不十分である、そういうような考えをがわれわれにはあるのであります。  それから今中小企業を育成するために、他の農業、漁業と同じように補助するということが経済政策の上に必要であるかどうかという問題、これは査収政策の問題であつて、必ずしも否定も肯定もしないのであります。

春日一幸日本社会党(右)

○春日一幸君 否定も肯定もしないということでありますが、ただ問題としてお伺いをいたしたいことは、今や中小企業者たちが、お互いの掛金でもつて災害の起きたときには補償し合う。しかし現実にこれはもうかるであろう、余剰金を生むであろう、そのことは現在保険協会がいろいろの保険準備金を積立てておる、その結果等から勘案いたしまして、そういう推定が立ち得る、その金を一体どう運営するかという問題になるわけでありますが、現在中小企業者たちが――中小企業ばかりではありませんけれども、この保険金の総合、集積されたものが現在のところ大企業に偏重して流されておるが、ここで協同組合の規模を持つた保険事業が行われて、保険料金がやがて蓄積されて行つたならば、この金は中小企業者が出した金であるから、その金は中小企業方面に流して行きたいというような考え方が生れて来ることは当然である。従いましてそこに必然的に考え合わされて来たのが中金に対する融資の一つの使命として動いておる。この中金との結びつき、こういうぐあいに考え合わされて来たものであつて、コースはきわめて自然に進んで来ておるわけであります。今日中金においては独立会計を持つておるから、別途の機関を持つと同じではないかということになりますが、われわれが考え、また中小企業者たちが考えておることは、できるだけ経費を節減することによつて――そういう独立の機関を持つと独立の経費を伴つて来る。従つてそういう支出を排撃するために、既存の機関にこういうことを行わせることによつて、さらに効率を高めて行こうという趣旨にほかならないのであつて、これは必ずしも法規上とか、あるいは学問上どういう規制を受けるかしれませんけれども、趣旨はそこにあるようであります。しかもそのことは中小企業一般政策の中の一つとして、一つは危険をカバーする。一つは上つて来る余剰金を中小企業の資金源に活用しようとする。こういうことであつても、私は中金との結びつきは、こうまつも何ら矛盾撞着はないと考えておるのでありますが、これに対して大林教授はどういうふうにお考えになりますか、御見解をお伺いいたします。

大林良一一橋大学教授

○大林参考人 中小企業の金融公庫に資金を流してこれをまた自分の方に還元する、こういうことが目的であるということですか。

春日一幸日本社会党(右)

○春日一幸君 再保険をする場合、中金に金が集まるわけですね。そうすれば中金を通じてやがて中小企業に流れて行くではないかということなのです。

大林良一一橋大学教授

○大林参考人 それがうまく行けばいいのでありますが、しかし保険の本質から行けば、資金はこまかく有利に利用しなければならない。資金を有利に使用して初めで保険料を安くすることができるという点は、専門家がいて、これをやつた方がいいのではないかと思うのであります。  それから再保険の問題はまた別にいろいろこまかい問題があります。これは商工中金のできることではないというように考えるわけであります。

大西禎夫自由党

○大西委員長 時間が大分経過いたしましたので、次に進みたいと思います。清木隆人君。

清木隆人愛知共済生活協同組合理事

○清木参考人 私の意見は先ほどから末高教授から再三のお話があつた通りでありまして、別にそれ以上新たな意見はございません。ただ申し上げておきたいことは、春日先生から言われたように、保険の普及率が昭和十五年ごろ四四・七%であつたのが、現在の一七・八パーセントに落ちているということは、日本のような木造家屋の火災国においては、当然二〇〇%以上に行かなければならぬのが、今日そのように落ちている。しかも先ほど鈴木先生からお話がありましたが、三百万円以下が何パーセントかあるというお話でありますが、この保険の統計を見ますと、三万円以下、あるいは五万円以下、十万円以下というような保険が相当な比率を占めておるのであります。今日の日本のこの物価において保険をつける人が三万や五万の保険をつけているということは、いかに保険をつけたくてつけているのでないかということを、統計が明らかに示しておるのであります。これは組合法の発達によりまして、もつと保険を普及させなければならない。すでに過去七十年の歴史のある業者の保険では、日本の国民は火災から救われないというはつきりした証拠であると思うのであります。

大西禎夫自由党

○大西委員長 次に水澤謙三君。

水澤謙三東京海上火災保険株式会社企画室長

○水澤参考人 私は長年保険事業に携わつているものでございますが、だからといつて、火災保険組合を全面的に否定するものではございません。しかしながら過去の経験をもつて判断いたしますのに、組合形態によります火災保険事業はおのずから限度がございまして、これを本格的、大規模な火災保険事業を組合形態で行うことは無理ではないか。そのために非常に損害を組合員がこうむりまして、かえつて中小企業対策にならないのじやないかということをおそれるのであります。その理由を二、三申し上げますと、第一に火災保険事業というのは、非常にこれは危険な事業でありまして、この法案によりますと、百万円の出資金で三百万円の危険を引受けてもいいようになつておりますが、一つの火災があれば出資金をもつてはとても足りないのでありまして、こういうところは保険事業に携わる者にとつてはとうてい理解ができないのであります。またこの組合形態による保険は、全国的なものもございましようが、勢い地方的なものが相当出て来ると思いますが、そうなればいわゆる危険の密集ということがございまして、一つの村とか町とか市にお互い知り合つた者が組合員でありまして、そういう者が一つの保険組合に集まる、こういうことになりますと、三百万円でも百件集まれば三億円になるのでありまして、ますく支払い不能になるおそれが濃厚である。その場合に再保険で処理すればいいということになりますと、この再保険に商工中金を使うということは非常に疑問があるということは、私からは省略いたしますが、すでに皆さんから御意見があつた通りであります。なおこれにかわるべきものとして中央会あるいは連合会のごときものをつくつたらという御意見もございますが、これとても十分の資金の裏づけがなければ再保険をしても何にもならないのでありまして、国家が出資をするというようなことにでもなれば別でありますが、そうでなければなかなかうまく行かない。またかりに再保険をいたしましたとしても、それで問題が簡単に片づくのではないのでありまして、一つの火事があつた。その場合に保険金を支払うわけでありますが、これは即刻支払わなければいけないのでありまして、保険会社はその支払いの準備金を常にたくさんの現金あるいは預金の形で用意しております。それをそうではなしに、火事があつた場合に払えない。まず再保険の回収をしてから払うということでは保険事業としての体をなさないのであります。従つて再保険はあとで回収するものでありまして、まずとりあえず自己資金をもつて支払いをするというのが保険の原則であります。ことに相手が中小企業であります場合、焼けました場合に保険金の支払いを受けなければならぬのでありますが、これは一日を争う問題でありまして、とりあえず明日からでもバラツクを建てて復興しなければならぬというような場合に、再保険の回収を待つ、しかもその再保険の先は国家資金が入つているということであれば、なかなか手続にひまがとれて、復興が非常に遅れるということができるであろうと思います。そういう際に、相当焼けまして、すぐ隣りのうちは保険会社につけておつたからすぐ保険金をもらつて復興しておる。自分のところは保険組合だからまだ保険金がもらえないということになつてははなはだまずいのじやないか。つまり非常な危険な事業ということに対する考慮が十分でないのじやないかと第一に思います。  第二に、火災保険事業というものは非常に技術的な専門的なむずかしい事業でありまして、これはあらゆる点について言い得るのでありますが、たとえば保険会計というようなもの、この準備金の計算の仕方、大体利益であるとか損失であるとかいうことを計算するのも、普通の会計と違いまして非常にむずかしいのでありまして、経済の専門記者でも保険関係だけはわからないといつてよくあきらめておるくらいなものでありまして、こういうところを、しろうとであるたくさんの保険組合がうまくできるかどうか疑問であります。それからまた再保険のごときも技術的に非常にむずかしいものでありまして、再保険と申しましても非常にたくさんの種類がございます。その条件等も専門的な知識が必要でありまして、保険会社の場合には特に国際取引をいたして、それによつて危険の分散をしておりますが、そのために過去において、昭和九年でありましたか函館に大火があつて、ほとんど全部焼けてしまつたことがありましたが、その場合に国内だけの再保険の回収では支払い不能のはずでございましたが、外国から再保険を回収するということで支払いを完了しておるのであります。そういうような再保険の技術はなかなか取入れにくいのじやないかと思います。  それから損害が起つた場合に、その支払い並びに査定も技術的に非常にむずかしい問題でありまして、損害と申しましても家がまる焼けになれば全額払うのでありまして、多くの場合分損ということが非常に多いのでありまして、その場合全額払うかというとそうではない。分損の場合は比例担保というような原則がありまして、いろいろむずかしい計算をしなければなりません。これをいたずらに寛大に支払うということであれば、他の組合員に対して非常に不公平なことになりまして、これまた保険事業としての体をなさないことになります。そのほか投資面におきましても保険事業独特の投資の方法がありまして、資金の需要に応じて投資をするということでは結局投資の失敗に終りまして、組合員なり被保険者から預かつておる金をこげつかしてしまう。火災が起つたときに手元に金がないということになることは見えすいております。保険会社においても投資をいかにするか、逆に申しますと、保険事業として本来好ましくない方面に投資の要求が非常に強いのをいかにこれを断わるかということに非常な苦心を払つておりまして、はたして組合事業でそういう点がうまく行くかどうか心配するのであります。  第三にむずかしい点は、保険事業の一番大事な点はサービスでありまして、これは保険会社においては非常に激甚な競争の結果サービスの競争が行われておりまして、かつ全国的に非常に広範囲な営業網を持つております。それによつて支払いにおいても迅速にできる、また保険証券をつくつて渡してみたり、保険料の徴収というようなことも非常にむずかしい問題でなかなか集まらぬのでありますが、そういうものも長年の経験と広い営業網を持つことによつてどうにかやつておるのでありまして、この辺がうまく行くかどうか非常に疑問だと思います。  第四に、この案によりますと三百万円を限度としておりますが、この三百万円は先ほどもお話がありましたように、火災保険の保険会社の引受けておりますものの九九%に当るのでありまして、保険会社は大きなものばかり引受けておるとお思いかもしれませんが、実は非常に零細なものを集めておるのでありまして、三百万円以上のものというのはもう一%きりないというのであります。ということはこの保険組合と当該既存保険会社の保険の対象が全面的に競合するということでありますが、この場合に保険会社の中でも特に動産会社というのがありまして、小口を専門にやつているのがありますが、そういうところは非常に大打撃を受けます。そこで勢い組合保険と保険会社の間に競争が起りまして共倒れになりはしないか、保険会社も非常な損害を受けますが、そういう状態では保険組合はなかなか健全に発達しないのじやないか、そこで両者相補つて行くような考慮がこの法案に盛られなければならないのじやないか、こういう考えを持つておるのであります。結論といたしましては私は何も全面的に反対するわけではございませんが、組合保険自体に全面的に反対はいたしませんが、それをやる以上はよほど危険な事業であるということをお考えになりまして、慎重に案を練つていただきたい。保険会社との間の競争もある程度はやむを得ませんけれども、全面的に競合するというのはいかにもまずいやり方でありまして、お互いに相補うという方法があると信じます。そういう考慮を入れて慎重に案を練つていただきたい。そうしてせつかくできました保険組合が健全に発達するようにしていただきたい、こう考える次第であります。

大西禎夫自由党

○大西委員長 次に伊藤今朝市君。

伊藤今朝市生活協同組合都民共済会副理事長

○伊藤参考人 私は大体において本案に賛成で、本案の成立をぜひとも希望するものであります。ここに火災に対するわれわれ中小企業の根本理念をちよつと申し上げておきたいと思います。  われわれは火災の共済に対してはその掛金の中から余分なるところの搾取をされたくない。もう一つはそのかけた掛金がわれわれ中小企業の資金に還元するような制度をとりたい、そうして第三にはそういうことによつて中小企業の団結を一層強固にして行きたい、われわれはこういう三つのはつ三りとした理念の上に立つてこれを考えなければならぬと、こう考えるのであります。最近保険会社の料率が多少値下りになりましたから、多少違いまするけれども、昨年までの大体日本の六大保険会社の保険料の収入がどんなふうに行つているかという二とを統計的に見ますると“六大保険会社の公債に支払われるところの額というものは、大体において一九%ないし一七%であります。そのほかは費用が、その会社によつて違いますけれども、大体四〇%ないし四七%の募集費そのほかの費用が使われる、そのほかが利潤その他になつている、こういう状態でありまするから、保険会社の保険料は高くなるということは必然の結果であり、またこれは保険会社の立場からいいますれば、これは当然のことであるのであります。しかしながらわれわれ中小企業の立場におきましては、火災の保険の仕事はあくまで一つの救済事業であつて、こういう救済事業から利潤をとるということはこれはわれわれは肯定できない。従つてこれはあくまで相互扶助の精神に基くところの協同組合において、中小企業者自体が経営すべきものであるということを強調するのであります。最近におきまして、われわれ中小企業者の団体におきましても、これらの火災に対する共済事業というものが目ざましい発達をして参つております。御承知の通り北海道におきましては、すでに昨年の九月から発足いたしまして、現在の法律の範囲内で百五十万円の保険を――保険ではありませんけれども、共済事業を実行しておる。その他愛知県におきましても、福島県におきましても、岐阜県におきましても、現在の法律において共済事業としてこれが発達して来ておる。そのほか生活協同組合というもので相当に中小企業者間において、この事業が健全に発達して来ておるのであります。しかしながらこういうものを個々ばらばらにおいてやりますことは、この発達に阻害があると考えますので、この辺でひとつこれを完全なる法律の制定によりまして、本共済事業をして健全なるところの発達をさせるこいうことは、ちようど中小企業者の育成のために最も機宜を得たところのものであると私は考えるのであります。先ほどからいろいろ諸先生の御説も拝聴しておりましたが、ただこの法案におきまして、われわれ実際にこの中業に当つている者から見まして、資本金百万円で、三百万円の保険をやり得るということは少し無理ではないかしいう考えがありますので、この点につきましては一段の御研究を願いたいと考える次第であります。それからこれはわれわれの考え方といたしましては、あくまで現在の共済制度の発達したものであり、これを発達させる意味でこの法案ができるという考えに基きまして、監督は通産大臣の監督下に置いていただき、そうしてその集まりました資金は、やはり商工中金においてこれを運営するというようなことが、根本原理において一番いいことであると、こう考えるのであります。また今までのこの共済事業を全国でやつてみましたところのいろいろの経験から、さほど御心配になるような危険はないということを私はここに承認するものであります。私は昨年、農協、水産協、生活協同組合、しその他全国のこの共済事業に対する団体をつくりまして、その委員長もいたしておりまするが、これらの各種の組合の現状におきまして、実際においてさほど心配がなくやつて行けるものであるということの確信を私はいたしておるのでありますから、ぜひともこの法案について制定のできまするように希望する次第であります。

大西禎夫自由党

○大西委員長 以上をもつて参考人よりの御意見の開陳は終了いたしました。  質疑の通告がありますから順次これを議しまするが、時間も大分経過いたしておりまするので、御質疑は簡潔にお願いいたします。小平久雄君。

小平久雄自由党

○小平(久)委員 私は簡単に承りますから、お答えの方も結論だけでけつこうです。まだ鈴木さんと水澤さんにお尋ねしますが、鈴木さんは全面的に反対だとおつしやるし、水澤さんは必ずしも全面的に反対ではないが、既存の民営会社と両立ができるように配意してほしいというような御趣旨とも拝聴いたしました。そこで要するに今回こういつた法案が出たということは、これはたしかに既存の保険会社に対する考え方というものが、ここに残つていたものだとこう二言にして申せば言えると思うのであります。すなわち逆に申せば、現在の保険会社のやり方なりあり方というものに対しては、国民があまり納得をいたしておらぬということは犯されない事実だと思う。そこで承りますが、一体現在のこの保険会社のやつておることが、皆さん方はこれが少くとも現状においてはもうペストだ、これ以上この法案によつて要求されているようなことが達成し得る余地はないのだというふうにお考えになつておられるかどうか、この点をひとつ承りたい。  それから第二点として、特に鈴木さんは全面的反対なんですから、これは論外といたしましても、水澤さんは先ほど申した通り、何とかそこに両者が共存できるようにといつたような御意見のようでありますが、しからば具体的にこの保険組合の方の機構なりこの運営なりというものをどういうふうにしたならば、一体既存の会社と、それぞれ目的を達成しながら、共存ができるとお考えになつておるか、この点をひとつ具体的にお示しを願いたいと思います。  それから第三点として、この法案が出た一つの大きなねらいというものは、中小企業者から集めた保険料というものを結局中小企業者のために使いたい、こういうことが一つの大きなねらいになつておると思うのでありまするが、現状においては一体この中小企業者を対象とする皆さんがおやりになつている保険で集まる保険料の運営において、一体中小企業者のために具体的にどのくらい運営されておるかどうか。一例としては、たとえば商工中金債などは集まつた保険料の何パーセントくらい一体お使いになつているのか、そういう実情をひとつあわせてこの際承りたいと思います。

鈴木讓一損害保険協会企画課長

○鈴木(讓)参考人 第一の点でございますが、現在の民間の保険会社でやつております保険事業というものが、現在のままで完全なものであるとは私も思つておりません。すなわち火災保険の普及度がなお二〇%にすぎないということは、われわれの努力の足りない面も確かにございます。今後たとえば料率の引下げを行い、あるいは営業網と申しますか、これをもつと拡張いたしまして、津々浦々にまで常業網を立てるということが必要であると考えております。なお火災保険のみならず、地震保険あるいは水害保険といつたものも考えて、一般被保険者の大衆のために尽すべきであると思つております。決して現在の火災保険会社がやつておりますことかペストであるとは申しません。  それから第二の点でございますが、商工債券あるいは中小企業者にどれだけ資金が還流しているかという御質問でございます。この点につきましては統計の点がはつきりいたしません。たとえば各社の報告にいたしましても、中小企業者にどれだけ貸したかというような報告はございませんので、その点遺憾ながら申し上げかねるのでございます。そういうふうな統計の方式でございますので、はつきりしたことは申し上げられません。

水澤謙三東京海上火災保険株式会社企画室長

○水澤参考人 第一に私は組合保険に全面的に反対ではないと申しましたが、それはこの法案について言つているのではございませんで、組合形態による保険を認めないという立場をとつておらない、こういうのであります。この法書体は、いろいろな危険があるのに、その考慮が払われていないので反対でございます。鈴木君が言うのはこの法案に反対だというのでございます。  それから保険会社が今やつておることがベストでないことは私も同感であります。ひとつ御了解願いたいことは、現在の保険会社の火災保険でカバーできない範囲が非常にあるかというと、それはあまりない。生命保険におきましては、御承知のように、ごく小口の生命保険は生命保険会社で採算がとれないので、とりませんために、簡易保険というものができておりますが、火災保険は五万円でも十万円でも喜んで火災保険会社が引受けております。そういう意味でヴアキユアムはないのであります。先ほどアメリカの保険の話が出ましたが、フアーム・ミユーチユアルと申しまして、農場の保険組合でございますが、これは遠方にある農場で、やむを得ず保険組合組織によつおります。これはぽつんぽつんと大きな何エーカーという中に農家が立つておりますので、危険はないのでありますが、こういうものは保険組合ができるのはナチユラルであります。しかしわれわれの場合にはそういう事情はないように思います。ただ現在普及率が低いということは御承知の通りであります。そこで資金の還元の問題でありますが、これは数学的には私は存じませんが、商工中金債の引受けを拒むということは、保険会社当局は考えておらないのではないか。これは私当事者ではありませんが、そう思います。

小平久雄自由党

○小平(久)委員 重ねて水澤さんに承りますが、あなたは、組合方式による火災保険というものを、とにかく全面的に否定するわけじやない、但しこの法案に盛られているような内容のものはどうも不安だというお話でありますが、しからばかりに組合保険をやるとしますならば、この法案の不安なところをどんなふうにしたらよろしいと、あなた方の立場からいつてお考えになつておるか、そこのところを具体的にあなた方のお考えを聞きたいのです。

水澤謙三東京海上火災保険株式会社企画室長

○水澤参考人 そのお答えを申し落しまして失礼でございました。実は具体的にとおつしやられますと私も用意がないのでありますが、一つの考え方は、やはり組合保険というものは、一種の共済組合保険の形にしたものでございますから、共済という精神で行きたい。従つて三百万円とかなんとかいう大きなものをとるのではなしに、火災が起りましたときにお互いに助け合うという簡易な組織、従つて先ほど申し上げました、いろいろな保険技術を必要としない、再保険とかいろいろのことをそう心配しないでもいい簡易な保険、従つて引受金額のごときもかなり低い、見舞金ないし非常の急場に聞に合せるための救済資金、こういつたものを対象にすればうまく行くのではないか。そうでありませんと、本格的な保険というものは非常に危険であると思います。

小平久雄自由党

○小平(久)委員 水譯さんに承りますが、かりにこの再保険という機構を通じて、既存の会社とこの組合が結びつくというような方向は考えられませんか。少くともこの法案にのつとつた組合の保険では、不安でとても既存の民間保険会社では火災保険などは引受けられませんか。  もう一点これは清水さんにちよつとお答えを願いたいのですが、現在民間の保険会社がやつている保険料率と、この法案が成立してこれが出て来た場合の保険料率とは 一体どんな相違があるか。あるいは現在皆さんがおやりになつておる保険料率と現在の保険会社の料率というものは、具体的にどんなふうに違つておりますか。

水澤謙三東京海上火災保険株式会社企画室長

○水澤参考人 この法案そのものによつてできた保険組合と保険会社が再保険の契約をするということは、非常にむずかしいと思いますが、しかし同じ保険業法によつて同じ監督官庁によつて監督され、かつ保険料率のごときもある程度調和する保険であれば、そういうことも考えられるかもしれません。この場合誤解のないように申し上げたいと思うのですが、保険料率は現在のものでなければいかぬということは申し上げません。なお今保険料率が高いという話でありますけれども、これは終戦後二、三年は赤字であつたのでありますが、その当時は料率が高いという非難はなかつた。最近になつてややよくなつて来ると、高いという非難があります。しかしそれは当然なのでありまして、保険料率というものは過去の成績によつてほとんど自動的に調節されるものであります。現に最近どんどん下げております。従いまして組合保険との間に保険料率の調整ができなととは考えておりません。

清木隆人愛知共済生活協同組合理事

○清木参考人 この組合保険と既存の会社の保険料率の問題でありますが、現在の既存の会社の保険の募集方法に多大の不合理な点があるために、経費率において組合組織を利用すれば著しく安くなる可能性があることが一つと、もう一つは、保険料率がいたずらに高いということは、いわゆる危険の高いもののみがよけいに保険をつけまして、危険の低いものは逃避するという、ちようど貨幣におけるグレシヤムの法則と同じ法則が働きます上に、諸外国の例をもつていたしましても、どういう競争になつても、必ず営利会社の保険より二割か三割は組合の方が率が安くなるのが通則なのであります。

山手滿男改進党

○山手委員 鈴木さんと水澤さんは損保協会そのほかの直接の御関係者でありまして、この法案に必ずしも賛意を表されないことはよくわかるのでありますが、お話があつた点について二、三お伺いをしてみたいと思うのであります。  さつきから水澤さんからサービスの競争をやつて非常な努力をしておるというお話でございました。各保険会社間の競争がいろいろあることも私は承知をいたしておりますが、各保険会社に共通する問題で、中小企業に対するサービスと大企業に対するサービスの仕方とでは、現在の保険会社においても相当相違があるのではないか。たとえて言えば、現実に火災が起きたときに、保険の支払いのやり方について、あるいは保険料のかけ方について、同じように自分たちでとろうという競争はされるが、大企業と中小企業者に対してサービスの仕方に相当差異がある、こういうふうに私どもは考えておりますが、その点について、御両氏から承りたいと思います。

水澤謙三東京海上火災保険株式会社企画室長

○水澤参考人 大企業と中小企業についてサービスの相違があるということは、私はないと思います。少くとも火事がありました場合に、保険金の支払いの点ではむしろ小さい方が早く払えるのでありまして、大きな工場が焼ければ、調査にもなかなかひまを要しますが、小さい保険であるからなかなか払わないということは絶対にございません。ただサービスの点から申しますと、大きな契約者であれば勢い保険をください、保険をくださいと言つて、何回でもしつこく行くのに、小口であれば、そうは行かないという程度の差はあると思いますが、保険自体について差別待遇をするということはございません。

山手滿男改進党

○山手委員 保険の支払いの場合においても、今申し上げましたように、全焼であるとか全焼でないとかいうような水かけ論が、もらう方と出す方との間にいろいろ議論になりますが、大会社と中小企業者との間には現実の面において相当開きがあるということを私よく承知をいたしておりまして、これは例をあげろと言われれば、幾らでもあげますが、時間がないから、今は申し上げませんが、保険料の面においても非常な差異があると私は思う。と申しますのは、たとえて言えば、三菱なら三菱という大きなコンツエルンに対しては、その保険の面において三菱系の代理店を持つておる。御承知のように、代理店の手数料は、今日各保険会社において約一〇%から十二、三パーセントくらいをお払いになつておられると思いますが、それは三菱の社員が出て、三菱の屋根の下でこつそりとやるか、あるいはその付近でいわゆる保険会社の皆さん方の方の代理店を三菱の社員がおやりになつておる。そうして十万円の保険料を払うと、それが一万何千円かはその方の社員がこつそりと持つておいでになる。それが何十億という保険をかけて行つて、そして代理店手数料だけでも、大企業家の方はこつそり保険料を引下げて、割引きがされておるという現実である。ところが中小企業者の方は一つ一つ個々ばらばらに普通かけておつて、そういうような代理店の手数料的なものはごうも望むべくもない。一例をとつてみると、こういう現実がすでに行われておるだけでも、大企業の保険料というものと中小企業者の保険料というものとは実質的にすでに大きな開きがあると思うのでありますが、あなたはどうお考えになるか。

水澤謙三東京海上火災保険株式会社企画室長

○水澤参考人 現在火災保険契約は、ほとんど全部といつていいほど代理店契約で参りますので、保険会社としてはその代理店に対して規定の代理店手数料を支払つておるのでありまして、それを代理店がどういうふうにするかということは、私自身はよく知らないのでございますが、会社は少くとも差別待遇はいたしておりません。大きな契約であるからたくさん払うということはないのであります。

山手滿男改進党

○山手委員 一応表面的にはそういうふうに御説明になるであろうと思いますが、現実には、その一つだけをとつてみてもそうであります。そこで私がお伺いしたいのは、今日保険料が非常に高いと言われておる。そこで純保険料といわゆる附加保険料と、それから利益になつたり、いろいろ留保されるような面と、そういうものの比率について損保協会の方から具体的な数字で御説明を願いたい。

鈴木讓一損害保険協会企画課長

○鈴木(讓)参考人 火災保険の料率はいわゆる火災の発生度数というようなものから統計的に算出するものでございます。純保険料部分、附加保険料部分も、たとえば現在十万円の保険料の中で何パーセントが純保険料部分であり、何パーセントが附加保険料部分であるというふうに、明確にはちよつと規定できないのでございますが、大体において附加保険料部分が約四〇%、純保険料部分が大体六〇%というようなことになつてございます。かりに損害の発生率が過去の統計において五〇%になりますと、この純保険料部分が五十、附加保険料部分が五十というふうなことになりますが、大体において四十、六十に準じてやつているのであります。この四十の場合は代理店手数料、人件費、経費といつたようなものが含まれております。

山手滿男改進党

○山手委員 ただいま附加保険料が約四〇%で、純保険料が約六〇%という御説明でございますが、先年あるいは前年保険会社の方から現実にお払いになつた各社の統計というようなもの――現実にすでに歴史的にお払いになつていると思いますから、実際に払われた保険料と収入保険料との比をとつてみると、関東大震災とか福井の大震災とかいうふうなものがあつた場合を除いては、大体全国的な平年度の純保険料というものが出ると私は思うのでありますが、その純保険料が大体において六〇%などというものはとんでもない数字であると思つております。一五%くらいが現実にあなた方の方でお払いになつた純保険料であつて、さらにあなた方の方で今おつしやつている六%というわくの中には、いろいろの危険に対するあなた方の自己保険料というか、あるいはその他いろいろなものを含めておるのではないかと思いますが、その点はいかがでございますか。

鈴木讓一損害保険協会企画課長

○鈴木(讓)参考人 結局損害額は一年たつて計算を締め切つてみませんとはつきりした数字が出ないわけでございます。それからもう一つは、一年間だけでは統計がはつきり出ないということもございます。ですから、昨年度においてかりに二〇%のロスであつたとしても、この附加保険料がただちに八〇%とは言い得ないのでありまして、過去五年とか十年とかいつた統計をとりましてからはつきりものが言えるのではないかと思います。ですから、大体四十、六十というようなところを目安にして料率を算定して、現在六月一日から住宅保険料率を下げたのでありますが、それも大体そういつたような基準を頭に入れてした計算でございます。

山手滿男改進党

○山手委員 この附加保険料の面についてもさつき清木さんからお話のありましたような、いわゆる募集手数料とか、あるいは代理店の手数料とか、そのほかいろいろな面については、中小企業協同組合で保険をやることになるならば、ほとんど全面的にこれは軽減されるものであると私は考えております。のみならず平年でございまして、たいへんな、一地方をなめ尽すような大火災が起きる場合でなければ、大体において純保険料的なものは今保険会社で徴収をされている三割程度である。協同組合でこの保険をやるということになるならば、その程度まで引下げ得る、しかしそれだけではいけないから、幾分手心を加えて、大体半分にし得る。こういう目途でもつて、これも火災保険協同組合をつくつて行くということは、中小企業者にとつては大福音の一つであると考えております。それにつきまして、鈴木さんは全面的に損保協会の立場から反対であるとおつしやるのでありますが、さつき水澤さんのお話の中にも、何か全面的に競合し、相反発するのでなしに行ける方法はないかというふうな御意見もあつたように思いますが、何らか損保協会の方についてもつと譲歩して、折れて来られる意思はないかどうか、この際承つておきたいと思います。

鈴木讓一損害保険協会企画課長

○鈴木(讓)参考人 譲歩しろと申しますが、結局この法案に対しては反対である。別の形におきまして、保険組合法と申しますか、結局農業協同組合法あるいは消費生活協同組合法、これらの法律によつて現在火災保険類似組合ができておりますが、こういつたような中小企業のみならず、一般的な火災保険組合、これを規制するようなやり方の法律、こういつたものならば、あえて反対するものではないと思います。それからその条件としましては、やはり先ほど水澤さんのおつしやつたように、共済程度の規模において、保険金額その他において小規模の形で発足するというようなものであるならば、われわれといたしましても、あえて反対するものではない。ただ今回の中小企業等協同組合法のような形式では反対である、こういうことでございます。

山手滿男改進党

○山手委員 私どもの考えは全然逆であつて、こういう火災保険協同組合というようなものを認めて行くならば、現在の営利保険会社にはむしろフラスになると私どもは考えておる。その点について全然見解が相違をしておりますと申しますのは、さつきお話がありましたように、日本の火災保険の普及率は一七%か一八%程度である。米国は二〇〇%、英国その他欧州諸国も非常な普及率である。従つて保険料も非常に合理的に安くできておる。むしろ保険をかけないのは非常識だというふうな社会通念ができておる。日本では保険会社の外務員の方が一々三拝九拝されて、しかも比較的高い保険料を押しつけようとされるのですから、保険屋さんにはもう懲り懲りだというような気分に国民がなつておる。ところがこういう法案が通つて、自分たちは自分たちでやはりやらなければならぬ。しかも安い保険料で行けるのだということになりますと、保険思想がうんと普及をいたします。そうしてどんどんやはり保険をかけなければいかぬ。あなた方がおつしやるように、この組合だけでは金額も小さいし、もつと大きな保険をかけたいということになりますと、皆さんの方にも一口は乗る、それから片一方火災保険組合にも一口行くということになりますと、たちまちにして普及率が一八%や一九%から一〇〇%にも二〇〇%にもなつて参るであろうと私は思うのでありまして、保険思想の普及という面からいたしましても、この火災保険協同組合というものは、あなた方の方には非常にプラスになつて参るであろう。これに全面的に反対などということと私どもは了承が行かないのでありますが、その点どういうふうにお考えになりますか。

鈴木讓一損害保険協会企画課長

○鈴木(讓)参考人 ですから御説のように、単に小規模な、あるいは共済程度の保険組合というものが全国の農村にもできますれば、それはおつしやつたように、足りない分は、保険会社の方にも来るということで、保険の普及ということには役立つものであるというように私も考えます。

大西禎夫自由党

○大西委員長 次に齋木重一君。

齋木重一日本社会党(左)

○齋木委員 先ほど来先輩各位の御質問もあり、御答弁をいただいておりまするが、鈴木さん並びに水澤さんたちは、この組合がもしものときがあるというと、支払い金その他において迅速に行かない。保険会社で行けば迅速に行くということも一応言われたのでありまするが、はたして現在の保険会社が被害があつたときに迅速におやりになつておるとお思いになりますか。時間がないからざつくばらんに言うが、昭和二十三年の福井の大震災による火災が起きた場合におきまして、今にして五億何十万円の火災保険の請求訴訟事件をやつておることを保険協会も御存じであろうと思うのであります。びた一文も払つておりません。だから今地方裁判所において三年間にわたつて福井市の金を三百万円も使つて訴訟事件をやつております。これらは保険証書の中に、地震というようなものを虫めがねで見てもわからないような約款を一方的にきめておるが、火災保険を募集される場合に、そういつたことを説明して契約しておる保険外交員がはたしてあるかどうか。何もありません。説明もしなければ何もしないで保険の契約をやつておきながら、一旦ああいうようなことになると、見舞金どころの騒ぎではない。訴訟を起して今日三年にも四年にもなるが、びた一文の支払いもありません。そういうことではたして迅速な支払いができるかということを私ども考えるならば、協同組合的にこいつたようなことをやれば、相互的な問題でありますから、かえちてこの組合の方がいいと私は考えております。あの保険協会は鵜澤総門博士を陣頭に立てて、福井地方裁判所において応訴をいたしております。あれらは一体どういつたような迅速の支払い方法になつておるか、協会から一ぺんお聞きしたい。

鈴木讓一損害保険協会企画課長

○鈴木(讓)参考人 普通の火災でありましたならば迅速にお払いいたします。福井の問題は地震による火災で、保険会社の側としては責任がないというのでございまして、迅速にもゆつくりにも全然お払いする余地がないという点でお払いしてないわけでございまして、決して遅れているわけではないのであります。  それからなおその約款の文句が小さい、これはまことにその通りで、現在多少大きなものにもいたしております。  それから代理店あるいは外務員が一々丁寧に地震のときは払いませんというようなことを、全部の者が申し上げておるということも、私といたしましても保証できませんが、こういうような福井の大震災のようなものがございましたので、外務員、代理店に徹底いたさせまして、はつきり契約のときに言わせるということにして、会社側も努力しておるわけであります。

齋木重一日本社会党(左)

○齋木委員 私がこう申し上げますのは、そういうようなことを皆さん御答弁なさいますけれども、私も火災保険の代理店ををつたことがあるのであります。手数料一割五分は現金でくれる。ただいま先輩が言うたことく、大会社においてはみんなそこにいる者を優遇されておるということに結論としてはなるのでありますが、まだ外務員等において、私が代理店いたしましても、契約するときには必ずこれを明示してやらなければならぬということは、一言半句も指示を受けたこともなければ、教育を受けたこともありません。各保険会社がそういうようなことを指示したり教育したりして、火災保険の契約をやつたことは聞いておりません。そうして虫めがねで見るがごとき約款の中に、かつてに一方的に入れておいてこれをやらない、こういうようなことはあまりにも不親切であり、一方的なものであるということを私どもは痛感しておる。現に私ども浴場組合の連合会の顧問をやつておりますが、近畿地方におきましても、浴場組合は協同組合といたしまして、そういつたようなことをみずからがやつておる。近畿では大阪を中心といたしまして、福井市がすべての県の浴場組合を集めてみずからがやつております。ほうはいとして各地でこの協同組合によるところの保険の事業をやつておるし、われわれはまた指導もいたしております。それは高率であり、そういう無暴なことをやつておるということに対して、これは本能的に出て来た問題だと私は思うのであります。これに対して保険協会なり保険会社というものは、あまりに一方的な独断的なわが身かつてな行動をとつておることを如実に示しておると私どもは考えます。全面的に反対だということは、あなた方の立場上そうおつしやるのでしようけれども、心の中では、これはいいことをやつてくれるということを、人間である以上は考えていらつしやると思つております。福井では十一会社を相手にとつてやつておると思いますが、これに対して誠意を示していない。こういう点に対しては私どもは徹底的に闘うつもりでありますが、皆さんにおかれましても全面的に反対だと言われておると、こちらも全面的に右手を上げなければならないということになると思うのであります。あまりに親切がなさ過ぎるといいましようか、保険会社は独占的な考えを持つておることをわれわれは痛感いたしておるものであります。保険協会等はあの福井の問題等をどういうような処理をなさるか、今御答弁になつたようなことでつつぱなそうというお考えかどうか、お聞きいたしたいのであります。

鈴木讓一損害保険協会企画課長

○鈴木(讓)参考人 先ほど申し上げた通りでございまして、地震による火災にはお支払いしないという建前になつておるのでありますから、私の方でもお支払いしないことになつております。

大西禎夫自由党

○大西委員長 次に加藤清二君。

加藤清二日本社会党(左)

○加藤(清)委員 先ほど諸外国の例を比較してということをお尋ねしたのですが、さつき水澤さんが、アメリカの農災は広いところへ相手が来てくれないからというようなことをおつしやいました。イギリスはかたまつたところでもやはり組合がやつている、私は行つて見て来て知つております。インドでも協同組合が住宅組合までつくり、それについての火災保険をやろうということで、日本銀行の総裁に当るA・A・シヤヒードさんから、日本から保険業の専門家をこちらへ派遣してくれという依頼を受けましたので、私は帰つてからその仕事をやつたことも語意しております。日本にお、ては、私は実にふかしぎきわまることがあると思うので、この点をお教え願いたいと思いまするが、先ほど来兼業はいけないという話なんです、ほんとうにそうであるかどうかということをお尋ねするわけです。それだけじやおわかりにならぬといけませんから、具体的に申し上げまするが、日本の保険業は、政府の保護を受けて兼業をやつておるという答えがとつくに出ておる。と申しますることは、インドの住宅組合と日本の住宅金融公庫とを比べますると、同じように政府の保護を受けてやつておるのでございまするが、日本の住宅金融公庫によつて、国民が保護的政策によつて住宅を建てました、ところが建てると、とたんに保険にかけさせられる、しかもその保険金は、この住宅金融公庫の返済金と同時に銀行へ文句なしにとられて行く、ぼくのところはそんなものはいやだと言つても、これはきまつておるからだめだというてとられて行く。ところで過去において政府が住宅金融公庫に渡した金は、すでに数百億になつているということを御存じでございましよう。ところがこれに二倍するところのものを、受けたものが足して住宅をつくつているわけです。それに対する火災保険というものは、何もせぬと保険屋さんの方へ行く、窓口はどこかというと銀行なんです。これでもなお兼業をやつていないというのですか。私に言わせれば、いや、それをかけさせられておる人からいえば、保険屋さんと銀行屋さんとが一緒になつて、政府の保護のもとに商売をやつておる、こういうことになる。これなんかは、むしろ大会社がかければ、返しが来るというあなたのさつきのお話で行くと、代理店には一割五分かなんか知らぬが、利益をやるというお話なんです。そうすると銀行屋さんはもらつておるということになる。完全に結託しているわけです。それでも兼業はしていないとおつしやるのですか。これは一体どういうことなんですか。お二人さんどなたでもよろしゆうございますから、お教え願いたい。

水澤謙三東京海上火災保険株式会社企画室長

○水澤参考人 住宅金融公庫の保険については、私はつまびらかにいたさないのでございますが、兼業でないという意味は、この場合におきましても、保険会社が銀行業務を兼業していない、銀行もまた保険業務をやつておらないという意味で兼業ではない、こういうことであります。

加藤清二日本社会党(左)

○加藤(清)委員 それはそうおつしやるでしよう、それを認めるというわけには行かぬですから、心の中では認めていらつしやつても、そうですとはおつしやりにくいでしよう。あなたが政府委員だつたらカンカンやりますが、参考人の方にそういう御迷惑をかけてはいけませんから……。しかし具体的なそういう事実があるということだけは御存じなんでしよう。それが兼業であるかないかの判定は別として、銀行が現に住宅金融公庫の返済金と同時に保険金を徴収している事実があるということだけは御存じなんでしまう、もしないというなら私は保険金だけはやめますよ。

水澤謙三東京海上火災保険株式会社企画室長

○水澤参考人 それは具体的な事実は知りませんが、銀行が代理店としてそういうことをやつておるのだと思います。代理店の事業というものは保険事業ではないのであります。保険事業と申しますのは危険を引受ける事業でありまして、再保険を引受けるとか元請を引受けるわけであります。代理店は保険事業ではないわけであります。

加藤清二日本社会党(左)

○加藤(清)委員 そううふうに言葉の範疇から区別はなさるでありましようが、具体的事実として一緒にやつておることは事実です。これは事実は事実だから、これをたれも曲げるわけには行かぬ、それが事実でないとおつしやるなら銀行がうそを言うて保険金をまるどりふところに入れておるということになるわけです。これはないしよでやつておられるはずはない、相談の上でやつていらつしやると思います。十大銀行がそんな保険をかたとつて自分のふところに余分の金をとるというようなことはまさかおやりにならないだろうと思います。  次にもう一点だけでおしまいにいたしますが、保険会社の今日の普及状態からいつて、普及の範囲が一七彩だと聞いておりましたが、もし一ここに中小企業等の組合法の改正によつて別の保険事業が営まれたとした場合に、その一七%がふえると思いなさいますか、そのままだと思いなさいますか。

鈴木讓一損害保険協会企画課長

○鈴木(讓)参考人 見通しの問題としてははなはだむずかしいと思いますが、かりにこういうような法案ができて、この通りの火災保険組合ができるとすれば、二〇%はふえるということは考えられます。(「民間の分がふえるかふえないかという問題だよ」と呼ぶ者あり)民間の分、これも見通しの問題で、競合する面においては減るということも言えると思います。

加藤清二日本社会党(左)

○加藤(清)委員 組合が行います保険業というものは、私は既成の大きな保険屋さんが行つていらつしやる事業にはプラスにこそなれ、決してマイナスにはならぬという実例を持つておりますので、今その点は山手さんの言われた通りでございます。実は労働金庫ができます折にはやはり銀行屋さんはたいへん反対をなさいました。ところが公庫の領域というところへはまだまだ既成の銀行屋さんでは手が届いていないのです、そこのみが大体主体になる、もつとそれが普及して行けばやはり中小企業といえども大きなものをかけるときには組合あたりではちよつとたよりないから大きいところへかけようという気持になつて来る。この事実は労働金庫が全国的にほうはいとして起つた、ところが一向銀行の予金高が減つたという話を聞いておりません、むしろ今日になつてみると喜んで見えます事実がございます、これによつてもわかる。従いまして立場上お二人さんは御反対でございましようが、商売がたきは一ところで固まつておやりになることによつてお客様がふえるということもよく御存じでございましようから、そう御心配はいらぬ、商売がたきのできることはむしろ歓迎すべき結果を招来するという意味においてあまり反対なさらぬ方がよいじやないかとも思うわけですが、この点いかようにお考えになつていらつしやるか、私の質問はこれで終ります。

水澤謙三東京海上火災保険株式会社企画室長

○水澤参考人 私は別にこれが保険会社にとつてプラスになるとかマイナスになるとかいつて反対するわけではありません。この法案がこれでは健全に保険組合が発達しない、非常に危険であるという点を心配して申し上げたわけであります。

大西禎夫自由党

○大西委員長 次に春日一幸君。

春日一幸日本社会党(右)

○春日一幸君 本法を審議する上におきまして参考にいたしたいと思うのでありますが、現行保険料率算定法、それから保険募集取締規則、この二つの法律はいつごろできたか、それからこれができたときにおける大蔵省銀行局の保険課長は一体たれであつたか、これをちよつとお伺いしたいと思います。

鈴木讓一損害保険協会企画課長

○鈴木(讓)参考人 この法律の発布年月は失念いたしましたが、たしか二、三年前と思います。当時の保険課長は長崎正造でありました。

春日一幸日本社会党(右)

○春日一幸君 その当時における保険課長の長崎氏は、現在どこにおられますか。

鈴木讓一損害保険協会企画課長

○鈴木(讓)参考人 現在東京海上の企画室に勤務しております。

春日一幸日本社会党(右)

○春日一幸君 その当時の保険課長であり、しかも立法の責任者であつた――この保険料率算定法並びに保険募集取締規則、これは少くとも国民に体刑を約束していると思うのだが、この二つの法律をつくつた長崎氏は、現在東京海上保険会社の企画室長になつておられます。この長崎氏は、保険課へ入られる前には一体どこにおられましたか、これをあわせてお伺いいたします。

水澤謙三東京海上火災保険株式会社企画室長

○水澤参考人 東京海上におりました。

春日一幸日本社会党(右)

○春日一幸君 そういたしますと、独禁法を排除して、高額なとおぼしきほどの保険料率が算定され、さらにこれをせり下げて安くしたりなんかすれば体刑をもつて罰するというような重大な法律をつくられたところの当の責任者である大蔵省の保険課長が、かつて東京海上の社員であつた。社員であつた人が大蔵省の保険課長になつて、この二つの大きな法律を立法して、わが事なれりとして再び東京海上に帰つて行つた。そうしてその二つの法律の保護を受けて、現在保険会社が厖大な利潤を収めておる、こういうふうに了解してさしつかえありませんか。

大西禎夫自由党

○大西委員長 答弁できないんじやないですか。

春日一幸日本社会党(右)

○春日一幸君 それではそれを速記録におとどめ願うことにいたしまして、そこでお伺いいたしたいのでありますが、ただいま小平さんの、この法律がよいか悪いか、悪いならば一体どうしたらよいであろうか、こういう質問に対して、これはできるだけ簡易なものにしてはどうであろう、すなわち見舞金程度のものにして、これは三万であるか、五万であるか、あるいは二万程度を考えておられるかは知りませんけれども、ごく簡単なものにしたならばさしつかえないと思われるという水譯さんの御答弁でありました。そこで私はここにおいて考えられますことは、ごく簡易なものにするならばよいという、このことには、理由がなければならぬ。その理由について考えられることは二つある。その一つは、そんな三万や五万の見舞金程度ならば、現在の保険会社を何ら妨害するものではない。全然じやまにならぬから、かつてにやつてくれたつてちつとも迷惑じやないという考え方が一つ。それからもう一つは、その程度ならば保険金支払い能力に対して心配ないからであろうという二つの理由が私は考えられるわけであります。ところが他の一つの支払い能力に対する心配でありますが、これは法律案の中に示されておりまする通り、再保険の規定がある。しかも中金が再保険をして、そこに支払に能力のないときには国家がこれを補償するという法律の規定もある。従つてこの法律をそのまま執行して参りますならば、支払い能力に対する懸念は全然ない。従つて他の一つの理由というのは、われわれの商売にじやまにならぬ程度のものならばつくつてもらつてもいい、こういうことは、国会に対する参考人の公正な意見として拝承いたしかねる。だからもう少し適当なる理由がなければならぬ。われわれは現在商売をやつておるが、われわれに危害や影響を与えない程度のものなら幾らでもおつくりくださいということでは、これは国会に対する参考人としての公正な御意見として私はそのままいただきかねる。もう少し的確な理由を示して、どういうふうなものにしたならばよいのか、もう少し公正な理論的根拠の上に立つての御答弁をひとつお聞かせをいただきたいと思います。  それから他の一つでありますが、保険事業というものは非常にむずかしいのだ、だからしろうとがおやりになつたつてとてもできはしない。だからおやめなすつた方がよいだろう。やればたいへん危険を伴うのだ、こういう御意見でございます。しかしそれはあなたの御意見であるが、これはあまりに独断的であり独善的ではないかと思う。かつて銀行がありました。銀行の仕事は、あなたの方のお仕事と同じように、非常に複雑、デリケートであります。その後相互銀行ができ、あるいは信用金庫ができ、信用協同組合ができて、この銀行がやつておつたところのきわめて困難複雑な仕事を、これらの相互銀行、あるいは信用金庫、信用協同組合が堂々と行つているではないか。しかしてこれらの機関は、多くの対象をいつしか見出して、堂々と事業を進めて来ている。だから、おれでなければできない、ほかのものがやつたところでとても見込みがないというような御意見では、本法に対する反対の御意見にはならない。ただ、おれはえらいんだということになるでありましようけれども、組合がやがてできれば、そういうエキスパートの御参加を願い、知識を拝借して、そうしてそういう人々の知識と経験とをいただくことによつて、あたかも銀行と競合しながら、別にお互いそれぞれの持分を守つてさらに事業の進展をはかつて行く、これらの幾多の金融機関のあり方におけるがごとく、こういうようなことは何ら御懸念なく仕事が進めて行けるものであると私は考える。  それからもう一つ、お互い仲間同士であれば、インチキの査定を行う心配がある。たとえば全焼の場合は、問題はないけれども、半焼の場合は、損失のパーセンテージの認定に不正なことが行われるであろうというような御配慮もございました。しかしながら、協同組合がそれを行つて参りますとき、あなた方の会社ならばこれは公正であるけれども、協同組合ならばインチキをやるだろうという御想定も、これまた当らざるもはなはだしいものだと申し上げなければなりません。少くともお互いの仲間同士の共同の財産を守つて行くのに、その選ばれた代表者が、お互いの仲間の信託を裏切つて、その被害者のためにあるいは不公正な査定を行う、こういう考え方の上に立つて物事を御判断願うということは、それらの人々に対して非常に迷惑であろうと思います。さらにまた現在行われておる協同組合法、いろいろなその機関の諸君に対してこれははなはだしく失礼な形になると思いますので、これに対してもなお御再考を願わなければならぬと思う。  さらにサービスの問題について御批判がございましたけれども、これまた別の角度からのサービスでございますが、あなた方はやはり営利会社として一応攻める方と守る方との立場によつてのサービスでありましようけれども、仲間の共済的精神に従つてこの相互保険ということになりますと、できるだけサービスをして、そうしてこの組合のあり方を喜び合つて行きたい、その福祉をわかち合つて行きたいということが、運営の基本的な精神になつて来る。そこからいろいろのサービスが出発して来る。従つて協同組合においてのサービスの度合いというものは、営利会社におけるサービスの度合いよりも、これは申し上げるまでもなくはるかに優位にあるサービスというふうに考えなければならぬので、こういう問題についても、あなたの御意見はこの協同組合法に対して当らない批判であるように私は考える。  それから三百万円というものはたいへんなものであつて、営利会社が現在行つておる保険事業といえども、三百万円というような大きなものは一%しかない。だからこれは大き過ぎるというお話でありましたが、協同組合においても、三百万円ということは必ずしもみな三百万円とろうというのではない。三万円も五万円も十万円もある、そうしてマキシマムをこの程度の限界に置こう、こういうことでありまして、これはごく少数の場合においてその限界を示すにとどまるものであつて、それを基準として募集の対象に置くものではないのであります。従いまして、私どもはもとより共同防衛の立場と、やがてできる組合の内容を堅実化するためには、むろんその財産に匹敵しないような過大な保険をかけることは、これは定款等において厳重に規制して参りましよう。従つて三百万円というものが多いか少いかという問題はなお検討の余地がありましようが、これは法律の中に規定されておりまする通り、中小企業者の住む住宅、あるいは家財、そういうようなものがすべて生活手段というぐあいにまとめて三百万円を最高に置く、こういうことでありますから、この点についても誤解のないようにお願いをしたいと思います。  それからもう一つでありますが、これは最初に質問いたしましたことと関連いたしますが、保険料率算定法といい、保険募集取締規則といい、これは従来の金融閥が政府と結託しつつその事業を守り抜いて来た、壟断して来たというけはいが濃厚にある。さらに指摘したいことは、かりに現在保険事業を始めようと思えば、資本金を三千万円だか五千万円だか持つて、そうしてこれに対して再保険契約をして申請すれば許可するということになつておる。ところが実際新しい保険会社が一体その後できたかできないか、問題はここにあろうと思います。現実に保険事業を始めようと思つて、資本金の準備はした。しかしながら、申請の条件の中に再保険契約ということをあらかじめきめなければならぬので、そこで損保協会なりあるいは他の保険会社なりに、私の新しい会社と再保険してください、こういうふうに申請をして行つたものが、私は五指、十指を屈すると思う。ところが損保協会は、われわれの方はもはやマキシマムになつておるので、従つて新しい再保険を応諾するだけの余裕はありません、こういうぐあいに再保険に応諾しておりません。あるいは個々の会社に当つてみても、実情は、もはやわれわれのところは手一ぱいですから、どうかよその会社へというふうに、申合せをして再保険の契約を応諾しないのであります。従つて新規会社ができて来ない。こういうような独占禁止法を無視したような運営のあり方が、今日料率算定法によつて高額の係険料を国民に押しつけて、厖大利潤を確保して、そうして今日一七%か一八%の普及率しかないような状態に導いて来たのであろうと思うのであります。私はこのことは社会悪であり政治悪であると思う。少くとも国民は、この保険業法やいろいろの法律の保護を受けたいと思うのであるが、料率が高くて入れない。だから国民の八〇%以上のものが、野ざらしの危険な状態に置かれておる。こういうような危険な状態に置いてはいけないというのが、この協同組合法がいろいろの人々によつて主張されて来たところの根源をなすものであると私は思います。  私が以上申し述べましたことについて、どういうお考えであるか、御回答を願いたいと思います。

大西禎夫自由党

○大西委員長 この際参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。本日は酷暑の中を長時間にわたり、それぞれの立場から種々忌憚のない御意見をお述べいただきましてありがとうございました。本案審査のためいろいろ参考となる点の多いことを、厚く御礼申し上げる次第であります。  本日はこの程度にいたし、次会は明日午前十時より委員会、午後一時より農林委員会と連合審査会を開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時三十六分散会

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