通商産業委員会 第12号
- 発言数
- 31 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1953/07/06
会議録
○大西委員長 これより会議を開きます。 本日は、まず通商産業政策の基本方針に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありまするから順次これを許します。長谷川四郎君。
○長谷川(四)委員 通商局長にお伺いいたします。人絹糸の輸出に関する質問ですが、人絹糸が内地価格が現在ポンド二百八十円から二百九十円という価格だそうでございます。しかしこの価格であるにもかかわらず、インドとかあるいはパキスタン、さらに朝鮮向けに輸出されているものが非常な安値で出されているという話でございますが、事実であるかいなやを承りたいと思うのであります。
○牛場政府委員 私、はつきりした数字は存じませんが、あるいは少し安く出ておるのじやないかと思います。もちろん、繊維局長が参りましたらさらに詳しく御答弁できると思います。
○長谷川(四)委員 御存じなければお値段を申し上げましよう。朝鮮向けに五十万ポンド出ておるようだが、百七十五円で引合いになつております。国内で売られているものが二百八、九十円でもつて、輸出産業に専念をしている、しかも朝鮮に出しておるものが百七十五円という価格だ。またたとえばパキスタンとかインド方面に出しておるやつも、おそらく同様の価格であろうと思います。こういうことであつて、どうして日本の輸出産業なんというものが振興するはずがあるか。繊維なんというものは戦前に比較して何十万分の一しか今日輸出されていない。将来、非常に憂うべき状態の今日において、人絹糸がよその国にこう安値で出て行つて、国内の生産者がかくのごとき倍にも近いようなものを買い入れて、それを輸出しようといつて、どうして引合うはずがあるか、この価格というものに対して、根本的な考え方をひとつ局長から承らしていただきたい。
○牛場政府委員 現在いわゆるチェック・プライスというものを輸出値段について、各種の品目について施行いたしておりまして、人絹糸につきましても、やはりチェック・プライスによりまして、適正と認められる最低の値段をきめているわけでありまして、それを割るものにつきましては、政府としてこれをとめることになつておりますが、その範囲内にあります限り、現在のところ統制の方法がないわけでございます。
○長谷川(四)委員 もう少し丁寧にしてくれというわけではないけれども、あなたは日本の国の局長なんですから、もう少しお話をやわらかく、わかりやすく、すなわち二百八、九十円しているものを百七十五円でよその国に出さなければならぬ理由があるはずなのだから、そういう理由をもう少しわかりやすく知らせてもらうようなわけには、参りませんか。
○牛場政府委員 これは繊維局長の方からお答えした方がいいと思います。
○長谷川(四)委員 繊維局長に伺いますが、人絹糸の内需の今の価格が二百八十円から二百九十円だそうです。そして朝鮮向けに五十万ポンド出て行つたものが百七十五円であります。この一つでよろしゆうございますから、何がゆえに内需の価格とこれだけ違う価格をもつて朝鮮に輸出しなければならないか、この理由を聞かせていただきます。
○徳永政府委員 御承知のように、人絹の国内相場が上つておるのは、ごく最近の状況でございますが、ごく最近国内相場が上りました原因をずつと見てみますと、ある意味におきましてはちよつとよ過ぎるといいますか、輸出が非常に好調になりまして、輸出の伸びた程度に応じまして国内が少し減つ来たという事情から、そういうような一時的な需給関係の変則といいますか、そういう現象を呈した国内相場の割高という現象と思われます。概して申し上げますと、従来の人絹関係の織物及び糸として輸出されておりますものは、総生産月二千二百万ポンドくらいのうち五、六百万ポンドで、半分以下になつておるというのが従来の数字であつたのでありますが、三、四月ごろから輸出が比較的好調になりまして、五月くらいでは多分七百五十一万ポンドぐらいになつたと思います。そういうぐあいに輸出の割合がふえて参りまして、逆にその分だけ内需が激つたということです。需要がふえましたので、生産をふやせばいいではねいかという問題もあると思いますが、御承知のように人絹関係につきましては、現在の生産がほぼ能力一ぱいの生産になつておりまして、スフの関係の方はまだ余裕がございますけれども、人絹の方には生産の余力がないというような関係で、輸出が異常に伸びた数字が内需の品不足という現象を呈しまして、内需の糸と、いわばほかの品物とのバランスがはずれた。それぞれ繊維品でございますので、人絹糸とほかの品物の値段にある程度相対的な関係があるわけでありますけれども、人絹の特殊の需給関係、ことに内需の需給関係の反映で上つたということであります。輸出を割安に出したわけではございませんので、そのごろの相場から見て普通の相場であつたわけであります。ごく最近輸出がぐんぐん伸びて、内需が品不足になるぞというけはいから、内需の相場は御承知のように見越し的に動くわけでありますが、非常に急激に高騰したという現象でございます。輸出がこ調の子でぐんぐん続きますと、設備の増強ということも行われるかと思いますけれども、輸出の安定的な相場の見通しというものがまだはつきりいたしませんので、私どもこういう輸出の好調という状況が長続きすることを望みたいような、しかしまあそうもなかなか行くまいというような感じを持つておるわけでございまして、そこらの関係で、国内的な割高の問題は、一時的に輸出が出た関係の反射的なものでございますから、ある程度の時間の推移の間に自然におちつくようになるのではなかろうかというような感じがしておるわけであります。よほど全体の見通し困難な浮動性を持つた要素が主力をなしておりますので、この目先の事態だけを考えて、すぐ役所との関係でどうする、こうするということも、かえつて適当でないのではないかというように考えております。
○長谷川(四)委員 当時百七十五円で出したときは内需も同じような価格であつたという話であります。インド、パキスタン、朝鮮各地に出ております。が、そのときの月日と出した数量と価格とを近日中に資料として御提出を願います。 それからこういうような浮動性があるために、日本の国で生産されたものに対する引合いが非常に少い。これが日本の輸出不振の一大原因であるということは、私が申し上げるまでもなくよく御承知の通りであります。また輸出産業が日本国内でどれほどの重要性を持つているかということも御承知の通りであります。こういうときでありまするので、価格が高ければ高い価格が一貫されていなければならない。安い価格であるならば安い価格で一貫されていなければならない。こういうような点から考えて、国内の輸出を専業としている、すなわち輸出の証明がはつきり立つ者に限つては、一定の安定した価格をもつて原糸を渡す方法をあなたは考えたことがありますか。そのようにする御意思はあるかないかをひとつお伺いします。
○徳永政府委員 今輸出用の原糸をある程度安定した値段で出すような方法を考えろ意思はないかということでありますが、われわれの政策の着眼点といたしましては、そうあることは望ましい点だと考えております。先ほど申しましたような内需の現在の変則的な価格というものは、一時的なものであるような気むいたすのでありますけれども、輸出関係は国際的な競争上の価格もありまして、そう高くて売れるわけのものではありませんし、よそ並にしか売れないわけであります。そうなりますと、国内が高くて輸出用の原料として機屋さんが高いものを買わなければならぬということでは、商売ができない。輸出の人絹糸そのものは国際相場で出されるが、人絹織物は原料が高いので輸出ができないというようなことは、いわば加工度の低いものが輸出されて、加工度の高いものが人為的に出されないというかつこうになるわけでありまして、健全な姿ではないわけであります。その立場を同じ立場にするというような政策をわれわれは考えるべきではないかと思うわけでありまして、その意味では、ただいま御指摘になりました考え方というものは正しい着眼になるわけであろうと思います。ただ私どもそういうことは業界ともいろいろ相談もいたしておりますが、人絹織物の原料になる糸はだれの分をだれが手に入れたか、輸出品に使われた糸はたれのものであつたかというところ——人絹織物業界の従来の歴史的な事情というものがそう簡単につかみやすい状況にございませんので、それが一つの大きな悩みになつておると思います。メーカーがある程度下請けのような形で出されるようなものは、それは加工賃だけの問題でありまして、それで済んでおるわけでありますが、非常にはつきりしたものにつきましては、メーカーもある程度のそういう手加減というものはしておるであろうと思います。そこで私ども今それを可能にするようにという意味で、もう一歩先の問題になりますが、人絹なりスフ製造用の原料としてのパルプを輸入いたしておりますが、このパルプを輸出用の分に優先にわける、輸入パルプは国産品よりわずかながら安いものですから、そうしたい思つて、業界とも相談しておるのですが、その精神は結局輸出されたものには安いパルプが行き、従つて機屋さんが買う輸出品製造用の原料になる糸も、安い値段で行くようにということも私ども考えて、それの具体的な実施方法を業界といろいろ相談しおるのですが、今の具体的な輸出品になつた人絹織物の糸はどのメーカーのものであるかということがなかなかつかめない、確実に証明できないというそこの技術的な悩みに今突き当つて、実現がなかなか思うように行かないという状況であります。私ども今御指摘になつたと同じような思想で、何とか問題を克服したいと考えておるのですが、実際問題上そこまで到達するだけの自信を得ていないというのが現状でございます。
○長谷川(四)委員 何も高い価格で出せという意味でもない、安い価格で出せという意味でもないというので私は申し上げたのですが、いずれにしても、国をあげて輸出産業という点については重点を置かなければならないときであります。内需向けというものと輸出向けというものを、どのルートをたどつて、どのメーカーから出たかわからないということでありますが、役所でこれをやる気になれば、少しもむずかしいことでもなんでもないのであつて、また一般業者にそういう指示をしてさせることも決してむずかしいことではございません。今なおアラスカであれだけの工場を建設しようという今日であり、国家の資本というものも十分この中には償われて行くのでありまして、従つて国をあげての政治的折衝もその中に当然入つて行かなければならないものである。私はメーカーだけが金をもうけてはいけないというのではなくして、生産された価格、そのコストはどのくらいででき上つているということは、あなた方の方でも調べあがつているのだから、輸出に出した証明というその証明がついている以上は、当然わからなければならないし、輸出証明があり、また輸出されたものについてはもう一段の適正な価格をもつてこれを奨励して行くということが、今一にかかつて日本の国の繊維関係を担当する局長さんの大きな課題でなければならないと私は思う。国内の八千五百万の人間が着たりかぶつたりするものはどつちでもいい。そんなものに着眼を置く必要はない。そんなものは着ても着なくてもかまわない。もつと国家というものを中心にしてお考えになつてやつていただくならば、かく持つて行くべきではないだろうかと私は信ずる。そういうような考え方でもう少し輸出貿易という点を考え、輸出産業家というものをもう一段と考慮に入れて、国をあげて応援をしてやる、後援をしてやる、従つて輸出先を政治力をもつて開拓をしてやるということが、今のわれわれの使命荷ないだろうか。これはあなた方ばかりの問題でもない、前国会で言つた通り、日本の貿易云々ということを批判されることは、一にかかつて今の吉田内閣の責任ではないか、またわれわれ野党の責任ではないだろうかへこの委員会二十五名の絶対責任でなければならないと私は信じてやまない。こういうような点から考えまして、木で鼻をかんだような話でなく、どうやつたらやつて行けるかということをあなた方は専門に御研究なさつているのだから、こうやつて行つた方がいいという点で私たちがお役に立つ点があるならば、私たちはその面において大いに努力しなければならない。この委員会は何のために設けられているかという根本の精神に立脚して考えてみる必要があるのではないか。この委員会においていろいろ論議がかわされて、初めてそこから新しいものが開拓されて行くという点も十分あると私は思う。ただしろうとが何を言うのだという点だけで片ずけられない面があるのではないか。われわれはなるほどしろうとかもしれませんが、われわれのところへはあらゆる方面からいろいろの問題で陳情が来る。たとえば今申し上げましたように、二百八、九十円で買つているのに百七十五円で原糸が出て行つてどうして私たちは引合いましようというような、涙なくして聞かれないような陳情を受けたときには、あなた方はお役人でただぽかんと断われるかもしれませんが、われわれはそうは行かない。そういう理由はどこからかもし出されたかというような点等々に関して、もつと納得の行くような話を通商局長からも承りたい。局長さんといえばお役人でただぼんやりやつていればいいというわけでもありますまい。私たちはそんな考え方で委員会の構成メンバーになつているのでなくて、自分らのようなものでも、何とか懸命にこの二十五名がやつたらば幾分ずつでも伸張しやしないか、こういうような点をのみ毎日われわれは考慮しておるのであります。従つてこれらの問題に対しましても、もう一段と考えてみる心要があると私は思う。繊維局長も考えておるけれども、なかなか大ごどだ、なるほど非常な困難性を伴うであろう。しかし通商局長なんかよその国まで行つてつぶさに視察をして来ておるのだから、こういうような点について、輸出品も国内に対する価格というものも、ほうりつぱなしでやつておるところが、あなたの見た目であつたかどうか、ひとつ通商局長から承りましよう。 〔委員長退席、小平委員長代理着席〕
○牛場政府委員 輸出価格と国内価格と非常に違つて来ておるという問題は、私どもはなはだ遺憾だと思つておるのでありまして、これは主として繊維局の方の問題かもしれませんですが、私ども大いに協力いたしまして、輸出産業に悪影響の及ばないようにいたして行きたいと思います。なお各国の例はという御質問でございましたが、私ども知つております限り、各国とも価格統制を行つておる国は、共産圏の国は存じませんが、そのほかはあまりないように存じております。
○加藤(清)委員 今長谷川委員からいい質問が出ておりますが、肥料で出血輸出ということが盛んに言われておりますが、繊維においても同じごとが言えるわけです。国内には高く売つて、輸出は安く売つておる。そのために一体だれが困つておるかということは、すでにおわかりの通りでありまして、私はこの問題について今国会において慎重に討議をお願いしたいと思つております。いずれ繊維だけを取上げまして徹底的に討議をお願いしたいと思つておりますから、その辺のところを実態もよく御調査でございましようが、一層よく御研究いただきまして、その場限りの逃げ口上をおつしやらないように、ほんとうに今長谷川さんのおつしやる通り、業界を救うんだ、日本経済を立て直すんだという覚悟の上に御研究を進めておいていただきたい、こう思うわけでございます。
○長谷川(四)委員 通商局長さんは、内需に使うものも輸出に対しても別に何ら手を打つてない。あなたの見たよその国では、どこでも日本のやり方と同じだとおつしやるのでございましようか。
○牛場政府委員 ヨーロッパ諸国においては大体そのようであります。アメリカはもちろんそうであります。
○長谷川(四)委員 局長さんが日本の輸出産業をよりよく可能ならしむるために、莫大な日数を費して視察をして来た結果が、よその国と同じだということでは済まないので、たとえばアメリカの国と日本の国を比較してみて、日本の中小商工業者というような面の資本能力が那辺にあるかということも一考しなければなりますまい。従つてこういうような資本能力のないものであるから、こういうような価格も当然ここに現われているんだと思うので、そのいう点からまずお考えおきをいただかなければ、とうてい日本の輸出産業の振興なんというものは私は考え得られないのではないか、こういうように考えるのです。ですからあなたが見た国ではみなそうだというが、私はよその国を歩いて来ないからわかりませんが、あなたの言うことを信じます。そうだと思いますが、しかし日本の国内事情というものをよく考えてみて、よその国はこうであつても日本の国はかくしなければならないというような点があつたはずだと思う。そういう点についてお気ずきの点を、あなたの御視察の一端を大臣が来るまでゆつくりお述べください。
○牛場政府委員 私はとにかくなるべく経済を自由にして、輸出入貿易を自由にすることが一番いいことだと思います。とにかく国際的に値段で競争できないものは売れないのであります。ごとに日本は中小商工業者の間の競争が激しい、あるいは大企業と中小商工業者の力の差がはなはだしいということは確かにあると思います。この点は通商局といたしましても、私どもの管轄しておる範囲では、現在輸出取引法の改正案を提出しております。そのほか中小企業庁の方から中小企業安定法、これは議員提案だと思いますが、出て参ります。弱いものの力を打つて一丸といたしまして強いものに対抗する。そうして祖協力して、つり上げる方に向つては困りますが、引下げる方に向つて行くように努力して行きたい、こういうように私は考えております。
○長谷川(四)委員 日本の国の輸出されるものは、特定のものまでが全部価格は自由に放任しておくというようなお話ですか、はたしてそうでございましようか。
○牛場政府委員 現在ごく少数のものを除いて全部国内では自由になつております。少数のものにつきましてはチエツク・プライスを設けておるものもございますが、これは上限を押えるというのではなく、下限を押えるということであります。
○長谷川(四)委員 ごもつともの点もあるのですが、たとえば硫安の問題にしろ人絹糸の問題にしろ、業者が競うてこういうような安値でやるという業者だけの取引であつて、その上に役所がそういうようなさしず的なものは絶対しないのですか。
○徳永政府委員 繊維品に関します限り、輸出価格そのものに役所の方が関係しまして値段をどうこうしておるというものは、御承知の通り生糸だけでございます。それ以外のものは一切ございません。ただ制度としまして、経済條件を有利にしておるというものはあるわけでございます。これもわれわれは輸出振興の意味から、繊維の従来伸びておつた状況、最近になつて輸出が停滞しておる状況、また原料が輸入品であるという関係から見まして、ある程度の輸出を日本としてやらなければどうにもならぬのだという考え方からいたしております。御承知のようにこの関係につきましては、輸出をやれば輸出品用の原料は一〇〇%割当をするし、その他に一割二分五厘のインセンティヴをつけるというような仕組みにいたしております。他方内需は日本全体の需要を生産業者の設備に応じて割当てる、これを裏返して申しますと、輸出関係においては、業者の関係でいえばフル操業の経済條件ができ上ります。内需の関係におきましては五、六割の操業というような條件しかできません。その條件の差が輸出の方が有利であるということにはならぬわけです。羊毛にも同じようなことを適用いたしております。しかし具体的にどこ向けの値段を幾らにするとかいうことは、これは私ども何も干渉いたしておるわけではございません。
○長谷川(四)委員 そうすると、たとえば今度の人絹糸のポンド朝鮮向け百七十五円なんというものに対しては、大体業者の取引であつて、何ら繊維局長さんの知るところではない、こう了解してよろしゆうございますね。
○徳永政府委員 仰せの通りでございます。
○山手委員 関連して。今長谷川君からいろいろお話がありましたように、人絹糸の国内製品の割高という点を問題にしたわけでありますが、これは一八絹糸だけの問題じやない。綿糸もそうですし、いろいろなもの全部そうです。モーター一つとつても自動車一つとつても全部そうです。これは結局最近に至つてやむを得ざる事情があるのでありますが、通産省当局が為替管理を強化して割当制を厳重に励行して行くという方針をとつて来たことにその原因があるのであります。一人絹糸の問題ばかりじやない。この問題については通産大臣とひとつ徹底的に議論をしなければいかぬと私どもは思つておるのですが為替管理そのほか外貨の割当等について厳重なわくをきめたことが順次国内価格と輸出価格との——輸出も振興しなければいかぬということの非常な相反する命題をつくり上げたわけであります。こういう難局を切り抜けるためには、さつき通商局長が説明をいたしましたようにどうしても為替も外貨も全部自由にすること、一種の金解禁をやるのでなければこういう事態は切り抜けることができない。一種の金解禁をやつて、その裏打ちとして国民の税を今の三分の一くらいに減らして言いかえますと、行政整理も徹底的にやる。公正取引委員会も大動員をして、カルテル化を徹底的に抑圧をして行く、監視をするというふうな、あらゆる面において徹底した自由経済政策を遂行して行かなければ、私はこういう問題は解決しないと思う。ところが現在通産省当局は全然それとは逆の方向を行つておる。ところがここで問題になるのは、外貨あるいは為替というようなものに厳重なわくをはめておいて、しかも輸出振興をやれと言う。そうするとそのしわが国内の消費大衆に寄つて来ることは当然なんでありますが、どうしてもそれ避けようとするならば、一般論としして国内市場における統制の強化、計画性を持つたところの、もつともつと合理的な経済をやつて行かなければ、こういう一種の二重価格制、国内の消費者の犠牲において輸出を振興するという状態はとうてい打破することができないと思う。これについて先般来いろいろ議論をして来たのですが、通産大臣は何ら明確な回答を与えておらない。これは今日日本の産業政策の根本をゆるがすものでありまして、今長谷川君と通商局長との断片的な議論だけではこれは済まされない。今日独禁法の改正を見ようとしておるし、輸出取引漁においても、そのほかにも、断片的に、小出しに政府は出して来ておつて、矛盾をいよいよ激化させようとしておるのでありますが、こういう問題については、きようは通産省の各局長もみなおいででありますし、どういう考えを持つておるのか。こういう問題に手を打とうとしておるのか。これは大臣から答えさせなければ一人絹糸だけ、一自動車だけ、一綿糸だけという、そういう問題ではないと私は思つているのです。こういう基本問題を解明してからでなければ、政府がどういう態度であるか、どういう方針でやるのかわからないから、この委員会においていろいろな法案を審議することはほんとうはできないのです。審議するのが間違つておる。大臣がもつと先にここへ出て来て、そういうことはこうやるのだ、独占禁止法の修正にいたしましても、そういう問題については、こういうふうな案があるからごうやるのだということを、政府が政治的に腹をきめて説明してかからなければ、この法案は審議できない。私はそう思う。今の問題については通商局長が当面の責任者であり、為替あるいは外貨、そういう方面を握つておられるのでありますから、局長はそういう問題についてどう考えておるか、一般論としてまず御説明を願います。
○牛場政府委員 私から申し上げるには問題が大き過ぎるかと思いますが、今山手先生のおつしやいましたことは非常にごもつともであると思います。ことに為替の面の一端を預かつております私どもといたしましては、ほんとうに一番いい方策は自由貿易であり、自由為替であるということはよくわかつておるつもりでありますが、一方におきまして、御承知の通り、日本の貿易は非常に逆調でありまして、先般来この委員会でお話がありましたが、七億ドルないし八億ドルというものが逆調になつておるという事案があるのであります。それに対して日本の手持ち外貨は十分ではないということがあるのでありまして、どうしてもこの為替につきましてある程度制限を行わざるを得ないという現状であります。そこで不要不急品の抑制ということ、これは大臣も数回言われておりましたが、これについては私どもも十分意を用いておるつもりでございます。ただ必要な原材料という問題については、現在までそうこれを抑制するという建前でやつておるわけではございません。これは外貨予算の面をごらんになつてもわかると思います。昨年上半期の同期に比べまして、決して少い額になつておらないのであります。現在、原材料の不足という声が起つておりますが、これは一つは先行きに対する投機的な見方もあると思いますが、もう一つ内需がこの際非常に増加しておる状況がございますれば、これはあまり健全な状況ではないと考えざるを得ないのであります。人絹糸につきましては、これは原料は一切輸入しておりませんので、もし生産量に制限があるとすれば、生産能力の問題にすぎないと思います。綿糸、綿布、毛織物などにつきましても、これは戦前においては綿関係のごときは原料の輸入をしても、なおかつ輸出によつてそれをカバーして、さらにおつりが来ておつたという状況であります。ところが現在外貨の面から見ますれば、毎年これが入超になつておる。毛織物のごときは少しも外貨をこしらえおらない。われわれは貿易の逆調を直したいということを考えますときにおいては、こういう状況を直さなければならぬのであります。われわれは現在これを制限しようと思つておるわけではありませんが、貿易逆調を直そうとするためには、一方自由貿易に目標を置きながら、他方為替の使い方に十分意を用いるべきであるということを考えております。
○中崎委員 局長はしばしば自由貿易がいいということを言つております。目標としてはそうあつていいかもしれませんが、当面の目標としては、世界のどこにそういう自由な貿易がなされておる状況にあるか、ことにイギリス帝国のごときは、ああいう強いところの貿易統制のもとにおいて、ほとんど日本製品のごときは入ることを許さないというごとき苛酷な條件のもとに置かれておるわけです。そうして一方においては、日本には強い為替管理というようなものが行われざるを得ないという状態にあるのです。しかも物価というものは非常なコスト高に悩んでおる。いわゆる朝鮮事変以来、あまりに安易に特需にたより過ぎて、現在においては非常に周章狼狽しておるというのは、政府のそうした甘い考え方から来ておると思います。他の條件が同一であるとすればというような、そういう條件付きの考え方の上に立つておると思いますが、何ら他の條件の上において、そういう甘い安易なことは、どこにもないと考える。そういう考え方の上に立つて自由貿易がいいとか悪いとかいう考え方を持つておられるところに、非常に局長なり政府そのものの認識に足りないところがあるのじやないかと思いますが、その点について納得の行くような説明をしてもらいたいと思います。
○牛場政府委員 私が申し上げましたのは、理論的に自由貿易が一番いいということを申し上げたのでありまして、これがただちに施行でき得るというようなことを申し上げたわけではございません。現に私は為替管理ということが必要であるということを十分申し上げたつもりでございます。しかしながら世界情勢を見ますと、だんだん為替管理が緩和されて来ておることは事実であります。現にヨーロツパの決済同盟においては九割以上もお互いに輸入を自由にしておる。その結果、西独にしても、イタリアにしても、ある程度の復興を見ておるのであります。現在日本からの輸入につきましても、西欧、ドイツ、イタリアなどにおいても、ほとんど制限を置いておらない。繊維のごとき特殊なものを除いては日本からの輸入に制限を置いておらないのであります。われわれも一日も早くそういう状態になりたいということを申し上げたわけであります。
○加藤(清)委員 今、問題になつておる点でありますが、それは自由がい、とか、計画がいいとかいうことは感覚の相違でございまして、われわれは今日との経済状態をいかにしなければならないかということを、ここで研究しなければならないと思うのでありますが、それにつけても今日の政府は、自由貿易がよろしいと口に言いながら、すでに外貨割当でわくをつけ、今の繊維の例をとつても、原綿、原糸の輸入でわくをつけ、あまつさえ今度は独禁法の問題でなおいまだそれを脱却することができずにわくをかけておらなければならないという状況下にある。そこで政府としては一体どういうことを目標に進みつつあるのか、私らにはわけがわからぬようになつておる。一体どつちを目標にしておるのか。統制に向いているのか、あるいは今通商局長さんのおつしやるように自由の方に向いているのか。品で言つているのと、具体的に行われて行くのとは、どうも違つている。この辺の方針を明らかにしていただかないと、ただいま山手先輩委員からも話のありましたように、末梢的に出て来るところの小さな法案に対してどうこうということで、決定的な考え方は生れて来ぬように思いますが、一体このあたり大臣が出て来ぬということがすでに聞違つておりますけれども、代理として出ていらつしやる政務次官からなりとも、はつきりした見通しをこの際つけていただきたい。 〔小平委員長代理退席、委員長着席〕 ついでのことにお願いしておきたいことは、通商産業政策といい、輸出、輸入の貿易政策といい、これは一繊維局長の責任でもなければ、一通商局長の責任でもない。一番大きいのは、大体大蔵省がけしからぬ。また外務省もなつておらぬ。自由にする、自由にすると言いながら、通商貿易上一番必要なパス・ポートに制限を加えようとしておる。ますます制限を強化しつつあるのです。そういうことだつたら、十海の中で貿易をやらずに、いつそのことプールの中に入れてしまつて、プールの中で競争さした方が、結果はいいじやないかということも考えられる。いつそのこと思い切つて統制経済に逆もどりした方が、いいじやないかとも考えられるわけなんです。そこで政府としては、今国会において経済の目ざす方向をどちらにしようとしていらつしやるのか、その辺をはつきりしてもらいたい。
○古池政府委員 大臣はただいま予算委員会の方へ出席しておりますので、当委員会には欠席をいたさざるを得ないような状態になつておりますことを遺憾に思います。 私にかわつて答弁しろというお話でありますが、この問題は非常に重大な問題でありまして、私が申し上げることではたして御満足行くかどうか、はなはだその点不安でありますが、端的に私の所見を申し上げますならば、これは私がただいまここへ入つて参ります前にどういうような論議が行われておつたか存じませんので、あるいはそこに多少ちぐはぐな点ができるかもしれませんけれども、その点はあらかじめの御了承を願いまして、私どもといたしましては、究極の目標としては、あくまでわれわれが自由に活動し得るようにいたしたい。自由経済で行きたいというのが究極の目標であります。しかしそれにはやはりいろいろな條件の充足が必要である。たとえば、最も大きい問題は、物の需要供給のバランスがとれるかどうかという問題が根本であろうと思うのであります。それから国内の経済の問題と国際関係の経済の問題、これは非常なつながりは持つておりますけれども、ある程度は別個に考えてもいいところが出て来るのではないか。こんなふうにも考えますが、特に国際関係から申しますと、世界大戦争の創痍がいまだにいえておりません。従つて世界全体を通じて考えた場合には、非常な物の不足ないしは偏在があるのが現実の姿であります。従つてこれに応じて、為替問題にしてもある程度の調整をそこにとつて行かなければならないことは、たとい自由経済を主張する者といえどもやむを得ざる現実の問題であろうと思う。経済というものは生きものでありますから、現実の姿に応じて最も適当なる方策を講じて行くというのが政治の行き方ではなかろうかと考えます。でありますから、私どもとしてはあくまでも国内の自由経済、また国際貿易におきましても、事情の許す限り自由な経済というものを進めて行きたいと考えておりますけれども、しかし現状におきましては、理想通り完全に行かないことのあることは、これは申し上げるまでもないと思います。従つて将来の目標はどうかというお尋ねに対しましては、やはり統制経済ではなく、自由な経済の方に持つて行きたいということを申し上げます。
○大西委員長 大臣は予算委員会に出席中でありますので、大臣が出席できるようになりますまで暫時休憩いたします。 午前十一時二十六分休憩 ————◇————— 〔休憩後は開会に至らなかつた〕