通商産業委員会 第10号
- 発言数
- 85 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1953/07/03
会議録
○大西委員長 これより会議を開きます。 本日はまず武器等製造法案を議題といたし、これより質疑入にります。質疑の通告がありまするから、順次これを許します。山口シヅエ君。
○山口(シ)委員 武器等製造法案に関して通産大臣に質疑申し上げたいと存じます。 武器等製造法案は、前国会におきまして、前後二箇月間、本委員会の慎重な審議を経たものでありまして、一応は論じ尽された感があります。しかしながら必ずしも明白になつていない重要な事項があると思われますので、私はこれらの点につきまして政府当局の御所見を承りたいと思うのでございます。 第一は、本法案第十六条、契約の届出についてでございます。不当な単価の契約、いわゆる出血受注による経済界の混乱を防止することは、本法案制定の重要なる目的の一つであることは申すまでもございません。ところで、本法案のままで、はたして所期の目的が達せられるとお考えになりましようか。本法案では受注価格をあらかじめ届け出させ、これが著しく不当であつて、それがために経済界に混乱を引起す心配があるときは、政府はこれに戒告をすることができることになつておりますが、この戒告に応じなかつた者に対しましては、罰則の適用も何もございません。届出を怠りました者や、虚偽の届出をいたした者は、本法案第三十三条によりまして、十万円以下の罰金に処せられますが、戒告に応じない者に対しましては、何ら制裁規定がないのでございます。はたしてこれで適正な契約に改訂せしめることができるでございましようか。多数の業者の中には、仕事にあぶれたために、設備、装置や従事員を遊ばせるよりは、安くても注文をとつた方が損がないという考え方で、不当に安い単価の契約を結ぶ場合があることを考えなければなりません。当該企業だけを考えますれば、そうすることによつて、休業をするよりも得でございましようし、損失が少いでございましよう。しかしながら業界全般から見れば、あくまでもこれは出血受注であり経済界を欄乱するものであることは申すまでもございません。これらは要するに特殊の事情のもとに受注者がみずから進んで出血受注に応ぜんとするものでございますが、さらにこれらとは別に、発注者の側におきまして契約単価を不当に安くたたかんとする場合も考えられるのでございます。さような場合におきましても、許可制でありますれば、これをたてにとりまして、許可が得られないという理由によりまして、発注者の強要を免れることも考えられるのではないのでございましようか。そこで政府にお聞きいたしたいことは、まずいわゆるこの出血受注なるものが現実にあるかいかがかということでございます。世間では出血受注による経済界の混乱を云々する声がすこぶる高いものがあるようでございます。またそれなればこそ政府も本法案の必要を認められる次第でございましようし、また武器の製作ではありませんけれども、沖縄の駐留軍土建工事なども、例外なく赤字であると言われておるようでございますが、この真相ははたしていかがでございましようか。 次は出血受注が現実にあるとするならば、また従来なくとも今後あり得るとするならば、本法案のごとき単なる戒告だけでよくこれを防ぐことができるでございましようか。もし防止し得る自信がおありでございますならば、その具体的内容を、納得の行くまで御説明を願いたいと考えております。 さらに、これを単なる戒告だけではなく、製造設備と同様に許可制とするお考えはないでございましようか。許可制にすれば、目的達成上効果的であること申すまでもございませんが、ほかに何か弊害があるために許可制となさらないのでございましようか、まずこの三点についてお伺いを申し上げたいと存じます。
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。 御趣旨しごくごもつともでありまして、一応傾聴すべき御議論と存じますが、私どもといたしましては、契約というものは私契約でございますので、できるだけ自由に契約をしていただきたくということの方が、業者も張合いもございましようし、また競争しまして、相当な値段の安定もするだろうと考えますが、今まで新聞等で見ますと、なるほど出血受注があつたとかなんとかいうようなことがございまして、これはわれわれといたしましても、お説の通り非常に敏感に感じている次第でございます。先ほどの沖縄の問題でございますが、これがはたして出血になつているかどうかということは私よく存じませんけれども、少くともある程度向うの予定しておつた価格よりは少し安いくらいの程度において注文を受けたことは事実じやないかと考えます。 そこで私どもの考えますことは、まず第一に、契約は私契約であるから、官庁が許可をするというようなことで、あまり何もかも縛つてしまつて、思うように仕事ができないようにすることはどうかと考えまして、原案の通りにしている次第でございます。それになさましては、武器の種類とかなんとかいうようなその生産分野をきめまして、企業の濫立を防止し、無用の競争をさせないように、まず根本的にその生産業者を許可制によつて縛つておりますから、大体そういうことはないのじやないかとも私は考えます。 それから戒告と申しますことは、これは法制上の戒告でございますから、限られている業者があつて、しかもその中で何か出血受注とか、もしくは不当な契約をするというような調子で戒告を受けた、こういうことになりますと、信用上その会社なり業者があと仕事をして行くのに非常にぐあいが悪いのじやないかと思います。戦後世の中が非常に苦しくなつておりますので、自分の信用なんかどうでもいいというようなことを考えないとも限りませんけれども、昔の日本の道徳から行きましても、もしうそをついたらお笑いくだされ候で、それでりつぱに信用が保てて行けた。それから私どもの考えておりますのは、商売人というのは、やはりその事業で信用を失うということが何よりも一番の痛手でございますから、戒告されて信用を失うことは、もう二度と再び立つことのできないという極端な考えになるかもしれませんので、この点で私は一応届出をさせまして、それでもしもいけないようなことがあつたら戒告で押えて行く、こういうふうに考えております。大体私の考えといたしましてはそういうふうにやつておりますから、ただいまこれを許可制に直そうという感じは私持つておりません。
○山口(シ)委員 ただいまの大臣の御答弁は、私の質問に対する御答弁といたしましてはまことに不満な点が多々ございますのですが、御当局の御意向としては許可制を設ける御意思がないとはつきり御答弁なさつたように存じます。私は製造業者というものは非常に信用を重んずるものであることは、私自身も小さいながらも仕事をいたしておりますのでよく存じておりますが、業者が非常に信用を重んじ、それによつてすべてが行われていると解釈するならば、むしろこのような法律はは不必要であると私は考えるものでございます。大臣もお時間のないことでございますから、あとの質問は次会にさせていただくといたしましても、次会にはもう少し私の納得の行く御答弁をいただきたいと考えるものでございます。 さらに当局といたしましては、すでは御承知のことと存じますが、一昨々日の新聞であつたと存じます。某会社が不当な単価で銃弾を受注したために、他の業者に非常な迷惑をかけたという記事が載つていたようでありますが、通産省はこれに対して戒告を与えたということも載つていたようでございますが、この問題は同業者の濫立による弊害ではなくして、二つの会社の協定が守れなかつたために起つた事件のように思われますが、御当局はその実情とその後の経過について、もし詳しく御存じのようでございましたならば、この機会に御説明を願いたいと考えます。
○岡野国務大臣 新聞に出ておりましたことは今調査中でございます。まだ私詳しい報告を受けておりませんのでちよつと御答弁申しかねますから、いずれ調査いたしましてから御答弁申し上げます。
○山口(シ)委員 それではその御答弁も次会に御用意願います。
○葦澤政府委員 大臣のただいま御答弁なされました通りなんでございます。今御指摘の御質問はおそらく読売新聞に載りました日平産業のことだろうと思いますが、かねてああいうような話がありましたので、通産省としましては日平産業に出頭をしてもらいまして、その間の事情をよく説明をしてもらうように日平産業に申入れをいたしておるのでありますが、まだ日平産業の方から、その当事者の、十分に説明をなし得る者が出張中であるとかいうような理由で、現在まだ私どものところに参つておりません。そういうような事情で、読売新聞に載りましたような事態がはたして真相であるかどうかということを確認する段階に至つていないのであります。まして新聞紙上に、通産省として戒告する、その方針決定というような見出しがあつて記事が出ておりますが、そういつた戒告というような方針についても何ら決定をいたしておらないわけでございまして、その記事は終りの方に行きまして、戒告する事態になるかもしれぬというような結びになつておつたというふうに承知いたしておる次第でございまして、記事それ自身も一貫して読みますと、通産省はまだそういつた事態の究明と戒告という方針も決定してないということは、全体を読みますとこの記事から読みとれるようなふうになつておるように私ども読んでおります。そういつた意味におきまして、ただいま大臣から御答弁なさいました通り、通産省としては何ら内容について確認してないという状況なのであります、補足的に説明をさせていただいた次第でございます。
○山口(シ)委員 それでは実情御調査のあり次第に御報告いただきたいと存じます。 次に製造設備に関して御質問を申し上げたいと存じます、事業の濫立による過度の競争から来る経済界の混乱を防止することが本法案の最大の目的であることは、提案理由の説明によつても明白でございます。はたしてしからば政府は本法の立案にあたりまして、国際情勢の推移に伴う軍拡競争の盛衰について当然考慮せられたことと思うのでございますが、武器製造事業について、国民経済との均衡を保たしめるために、いかなる方法によつてこれら国際情勢の変化に順応せしめられるお考えでございましようか。国際情勢いよく険悪となり、いわゆる冷戦がさらに発展いたしまして第三次大戦となるか、また熱戦にならずとも、少くとも軍拡競争が今日よりもさらに熾烈化する場合には、製造許可を追加することによりまして、簡単に解決することができるでございましよう。しかしながらこれが逆に平穏化する場合には、いかに善処せられるお考えでございましようか。政府はおそらく現状を基礎として、これとつり合いのとれた程度の製造能力を公認せられるのでございましようが、ソビエトの平和攻勢、朝鮮休戦等による外部よりの注文が減少いたし、製造能力過剰となつたときには、いかに善処せんとするお考えでございましようか。第二章の製造許可並びに取消しに関する条文中、かかる場合の考慮が払われていないようにも思われるのでございますが、いかがでございましようか。元来武器の製造がわが国の経済上ぜひとも必要な事業であり、しかもその前途たるや必ずしも安定していない。情勢の変化によつては公認製造能力が著しく過大となり、不当な競争のために出血受注を余儀なくさせられたり、あるいは需要皆無のために投下資本の償却半ばにして、事業を閉鎖しなければならなくなるような心配も考えなければならないと思うのでございます。その際は政府といたしまして、第十国会に御提出になられましたニッケル製錬事業助成臨時措置法、このように指定業者が前途の不安なく事業を営むことができますように特別の措置を講ずべきではございませんか。しかるに武器製造業に関しましては、かような特別の措置を講じていないのは、要するに将来注文が減少する心配がない。すなわち朝鮮休戦その他によつて軍拡競争が下火となるといたしましても、国内再軍備あるいは防衛力増強のための注文によつて、少くとも現状におけると同様の注文は確保できるというお見通しのようでございますが、そこで政府にお尋ねいたしたいと思いますことは、第一に今後国際情勢の変化によつて需要が減退して、製造能力過剰となつた場合に、いかなる方法でこれらを善処なさるおつもりであるか。次に需要が減退しないと考えておられるならば、その御推定の根拠を教えていただきたいということ、最後にニッケル製錬事業助成臨時措置法と同様に扱われないその理由についてお示しを願いたいと考えます。
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。将来の見通しをされて、細心な御注意を承りましたことは、お人柄として私非常に敬意を表する次第であります。その通りわれわれといたしましても非常に前途の見通しにつきましては注意深く、また検討を続けて来たわけでございます。ただ将来朝鮮休戦というものができまして、その後どうなつて行くかということにつきましては、私の愚見でございますが、まずいわゆる世界のほんとうの熱戦というものはだんだんと遠ざかつて行きまして、しかし冷戦は続くでございましよう。従つて冷戦は続きますけれども、軍拡がすぐ急激にスローダウンするということはあるいはないかもしれません。ある程度のスローダウンをして、同時に国際競争場裡において貿易の競争激化が出て来る、こういうことは見通しができると思います。そこでわれわれといたしまして一番関心を持ちますことは、この兵器の生産ということにつきまして、ただいまの注文というものが一体どのくらいの程度まで続いて行くかということを、まず現実に私はここで考えなければならぬ、こう考えます。アメリカの方面におきましても、この前、二年くらいは特需は続くだろうということを声明したこともございます。それから駐留軍からの連絡によりましても、今後数月間は今年度程度の注文は続いて行く、こういうことを言つておりますので、ただいまの生産設備の規模のいうものは、ある程度持続できるんだろうと考えておる次第でございまして、今急に兵器生産について非常な不況が来まして、業者がみなばたばた倒れるというようなことはなかろうという見通しを強くしているわけでございます。 それからニッケルに対する特別措置ということもございましたが、この数年の間は、そういう見通しによつてそういうことは出て来ないと考えております。しかしながら世の中というものはどう変化して行くかわからないものでございますから、もし必要がありますれば、あるいはそういうようなことが必要に迫られることがないとも限りませんが、しかし私どもの考えといたしましては、まずないだろうと考えております。もし万一ありといたしますれば、私は相当考えなければならぬと考えておる次第でございます。
○山口(シ)委員 大臣の答弁は了といたします。政府がそのようなお心構えでいる以上は、何をか言わんやでございます。但し第一の質疑に対しましては、後日納得の行く御答弁がいただきたいと考えております。山口の質疑を終ります。
○大西委員長 それでは小平久雄君。
○小平(久)委員 私は武器製造法案につきまして、特に本案が前国会に提出された当時とただいまとでは大分内外の情勢がかわつておる、そういう点で若干御質問いたしてみたいと思います。ただ質問の順序といたしまして、前回提案されました法案と今回の案とにつきまして、大体同じようでありますが、どういう点が違つておるのか、この点を先に局長でけつこうですから、一応総括的にお答えを願います。
○葦澤政府委員 前回の法案との差異でございますが、本質的な差異は私どもはないと考えておりますが、一点技術的な意味合いにおいて改正をいたしております。 すなわち新設、増設につきまして許可を要するということにしておるのでありますが、移転をいたしまして工場をつくります場合には、前法案におきましては、やはり一種の新設であるという解釈で参つたのでありますが、立法技術上やはり移転は明確に別の規定を設ける方が妥当であるという法制局の意見もその後ありまして、解釈を明文上明瞭に、移転の場合においても許可を要するということにいたしておるわけであります。 この点が前法案とかわりました点でございます。
○小平(久)委員 ただいまの局長の御説明の通り、本法案そのものは本質的に何ら異なつておらない、一点だけ技術的なる訂正が行われたというだけのようでありますが、私はここで次に大臣にお尋ねをいたしたいと思うのであります。 先ほども申しましたが、前回会において本法案を提案いたしました当時は、なるほど朝鮮の休戦交渉等も行われておりましたが、武器製造事業そのものの対象は、主として朝鮮事変に伴ういわゆる特需である、その特需をめぐつて業界に濫立の傾向が見られる、こういう情勢下において、この法案が提案をされたのであります。しかるに今日におきましては、朝鮮における停戦ということも、ほとんどもう既定の事実のごとくなつておる。今後この特需がどの程度続くかということも、世上いろいろ伝えられておりまするが、しかしながら何と申しましても、この朝鮮事変をめぐる特需というものは、今後わが国の武器生産の中心ではないという段階に来ておるのじやないかと私は考えるのであります。特に言うまでもなくMSA援助の受入れということにつきましても、政府は交渉を開始しようというところまで来ておる。こういう段階に来ますると、どうも武器生産事業そのものの性格というものは、本案を前国会に提出いたしました当時と本質的に非常に違つて来ておるのじやないかというふうに私は考えるのでありますが、その辺につきましての大臣の所見を承りたいと思います。
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。これはむろん朝鮮の特需があつたということも一つの何でございましようが、われわれといたしましても、保安隊の武器というものがアメリカから支給されておつたのを、これの一部分を日本の生産でやつておる次第であります。いずれにいたしましても、ただいまの見通しといたしましては、この特需というものは少くとも数年は保証しよう、こういうようなアメリカの方の申出であります。私はこれを信じてやつて行つたらいいのじやないか、こう考える次第でありまして、先ほど申し上げましたように、まだ世界の見通しも画然とどうなつて行くかわかりませんものですから、注文する方でまだ注文はやめないのだといえば、それを信じてやつて行きたい、こう考えております。
○小平(久)委員 朝鮮事変当時から出ましたいわゆる特需というものが今後若干続くであろうということはお説の通りと思いますが、ただ武器製造の中心というものが朝鮮事変をめぐる武器の需要ということよりも、むしろ国内の警備力あるいは防衛力と申しますか、そういう点から来る需要、その方に中心が移つて行くのではないかということはお認めになられましようか。
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。MSAの問題が今盛んに論議されておりますが、あの内容がわかれば確たるお答えができますが、まだその内容がわかりませんものですから、はつきりと御答弁申し上げられません。しかし極東においてアメリカで必要とするものを日本に注文してくれるという以上は数年間は注文が続くであろう、こういう考えでわれわれは将来覧通しておるわけであります。
○小平(久)委員 大臣の御見解は一応了承しますが、ただ私の感ずるところでは、今後むしろ国内の保安隊用といつたなうなものを中心として、さらにまたMSA援助の受入れということが契機となりまして、あるいは東南アジア向け等の生産、こういつたものが逐次増すのではないか。そういう点から考えて武器生産の性格そのものが若干というか、むしろ相当かわつて来るのではないかという気がいたすのであります。そういう見地からしますと、前国会に提出いたしました法案というものが、単に事業の濫立を防ぐといつた面からする消極的なる業界に対する援助と申しますか、それを考えておる。しかるに今日の段階におきましては、やはりその通りの考え方でこの法案があつてよろしいのかどうかという点に若干の疑問を抱くのでありますが、この点につきまして所見を伺いたいと思います。
○岡野国務大臣 これは御説しごくごもつともでございますが、ただ問題といたしましては、われわれはこの前法案を出しますときには、今問題となつてありますところのMSAというものは考慮に入れていないでやつたわけです。その当時におきましても、やはりこの法律を出しまして、濫立を防ぐという必要があつたものでございますから、もしかりにMSAの援助というものが完成武器で日本の方へ来るというようなことになりますれば別問題でございますが、しかしそのうち幾らかでも日本へ生産をお願いするとか何とかいうことありますれば一まずくこういう法律を出しておいて、製造業者を保護して、濫立を防いで不正な競争を避けるということが必要じやないかと考えまして、むしろMSAがはつきりいたしますと、すつきりした答弁ができるのですが、それがわかりませんものですから、ちよつと確たることを御答弁申し上げかねますが、しかし少くともMSAが問題となりまして、少しでも注文があれば、その当時よりは少しふえる。同時に向うといたしましては、数年間はやはり相当な注文を出すのだということを内諾しておりますから、大体これでいいのではないかと思います。
○中崎委員 議中進行について。大臣の答弁は非常に声が小さくて聞きかねるのです。もう少し元気を出して活発にやつてもらいたい。 それから関連質問を一つしたいのですが、今の大臣の答弁によりますと、MSAの内容がまだどういうふうになるかわからぬから、なかなか説明がしかねるという一点張りです。ところが今の答弁によりますと、この法案の内客を改訂したいという意図は、一つにはMSAというものは以前は考えなかつたが、今度はそれを考慮してやるという、それならMSAの問題がはつきりするまではこの法案の審議はできないということになるのだが、大臣はどういうふうに考えるか。
○岡野国務大臣 MSAの問題がはつきりしますれば、ますますこの法案の必要が多くなる、こういうわけでございます。MSAの問題がないといたしましても、いわゆるこの前出しましたときには、MSAということは考えに入れていなかつたのでありますが、考えに入れておらない当時におきましても、これだけの法律を出して、濫立を防いで、不正な競争を避けなければならないという趣旨は今もつてかわりません。ということは、ここ数年間は今まで通り注文があるという見込みを持つておりますから、それで一向この法律をMSAにかけて出すとか出さぬとかということには触れないと、かように考えております。
○中崎委員 関連して……。ところでこの法案が必要であるということは、MSAのことは前から考えて提案しておられるのだから、政府の意向としてはわかります。ところがMSAの内容いかんによつては、この法案の内容をさらに掘り下げて検討いたしまして、必要に応じては内容をまたかえなければならぬ場合もあり得るのじやないかということを聞いておるのです。
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。大体におきまして、私はMSAの問題がどういうふうになりましても、この法案ですべてのことがやつて行ける、こういう見込みを持つております。
○小平(久)委員 大臣もお急ぎのようでございますから、二、三の点をごく簡単にお伺いいたします。 そこで大分MSA援助受入れの点が問題になつておるのでありますが、いよいよ政府もMSAの交渉を申し込まれて、アメリカもこれをすでに応諾したいという段階にあるわけでありますが、これがいよいよ交渉に入りますならば、また援助を受けるということが具体化いたしますならば、やはり一番大きな影響を受けますものは、また従つて最も緊密な関連のありますものは、この武器生産の業界であろうと考えるのであります。従いまして通産当局といたしましては、このアメリカとの交渉に臨むにあたりましてはどういう点に特に配慮をして交渉に臨もうかという点はすでに御研究ではないかと思います。そういう点につきまして当局のお考えをまずお伺いいたしたいと思うのであります。それと同時に、これは将来の問題でありますが、いよいよ受入れが決定したと仮定いたしまして、このMSAの援助の受入れを実際どういうふうにして運営するか、こういう機構についても新聞紙上等にも伝えられておる向きもありますが、当局としてはどのようにお考えになつておられるか。大体この二点を大臣から承りまして、あとはまた局長からでも伺いたいと思います。
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。MSAに対する態度と申しますと、ただいまのところ、外務省でいよいよこの受入れのために会談しようと申入れましたら、向うで会談に応じようということになつたことだけ聞いております。その会談に対してどういうようにやつて行くかは、まだきまつておりませんので、政府としても一致した意見がございません。外務省の向うに対するある程度の下交渉というようなことでございまして、どういうような交渉を始めるかまだこれはわかつておりません。ただ通産直といたしまして、これに対してどういうように考えておるか、これは私は前々からも考えておるのでありますが、国際収支の関係上、通商上の関係から、収支のバランスを合せるという意味におきまして、わずかながらでも輸出貿易、外貨の獲得がほしいということが私の信念でございますから、もし日本の憲法等に何ら故障なく外国から外貨が入るということなら、これは国際収支上好ましいことに違いございません。その点においては喜んでおるわけでございます。しかし、はたしてどういうような形になつて来るか、先ほども申し上げますように軍事援助になるのか、経済援助になるのか、技術援助で来るのか、そこがはつきりいたしませんから、その結果によつて、ある程度通産省の態度もきめなければならぬと思います。通産省といたしましては、できるだけ日本に外貨が落ちるような形においてMSAがあつてほしいという希望を持つております。 それから、これに対する受入れ態勢の問題でありますが、先般新聞か何かに出ておつたと思いますが、緒方副総理が中心になつて、いろいろ財界の人の名前が載つておりましたが、あれはまつたく事実無根でございまして、あるいは経団連あたりで何とかそういう希望があつてのことじやないかと思いますが何らわれわれは関知しておりませんし、緒方副総理に聞きましても、まるで寝耳に水のようなことが新聞に出たと言つておりましたが、受入れ態勢については、緒方副総理を主とする新聞報道のごときものはない。しかし今後受入れにつきましては、先ほど申し上げましたように、いかなる形において入つて来るかによつて、政府といたしましては適当な態勢をとらなければならぬ。これが事実でございます。まだそれは未定の事実でございますから、御了承を願います。
○小平(久)委員 大臣の御答弁によりますと、アメリカとの交渉はまだこれから入るところである、ただ通産当局としては、ドルが多少でも多くかせげるような方法において御援助のあることを希望する、こういうことですが、これはどうもあまりに常識的な考え方であつて、少くとも武器生産事業を扱つておる通産当局としては、もう少し具体的に、どういう種類の武器をとか、またどの程度の量においてとか、そういう点をもう少し御研究になつておるのじやないかと思うのですが、いかがでありますか。
○葦澤政府委員 MSA問題につきましては、われわれもまだ上司の方からも、また他の方からも、具体的にどういう研究をする必要があるという、何らの知らせも受けておりません。ただわれわれ新聞紙上等で一応考えておるところだけのもので、結局大臣が申されましたところを補足的に申し上げる以外にないと思うのであります。問題は、大臣の申されましたところのものは、域外調達にどのくらいこちらが応ずるかということでありまするが、それは完成した武器に関して申しますと、完成した、武器を向うがどのくらに持つて来るか、域外調達としての武器の調進が日本においてどのくらいあるのか、こういうことになろうかと思うわけであります。完成した武器がどのくらい来るか、どういう種類のものが望ましいかということは、むろん国内において生産のできないものについてのことになろうかと思いますが、その具体的な種類、内容においては、われわれといたしまして、まだどうこうといつたことを申し上げる段階でもありませんし、むしろこういう問題は、これを実際に使用いたします保安庁の問題であろうかと思いますが、そういう、日本においてできないものはやむを得ませんが、日本においてできるものにつきましては、現在の産業、現在の工業の運営によりましてこの調達を見ますことが望ましいということを考えておるような次第でございます。
○小平(久)委員 ただいまの局長の御答弁から考えましても、今後のMSAが具体化するにしても、国内の保安庁の使用するものが中心になるのじやないか、そうお考えになつておるのじやないかと思うのであります。そこで、この点は先ほど私が指摘した通りなのでありますが、大体保安隊の武器の需要というものに対しましては、通産当局としては、どの程度の連絡をおとりになつておられるのか。例の警備五箇年計画とか何とかやかましく言われておりますが、そういつた厳密な意味ではなくとも、少くとも今回のMSAの交渉に入るにつけても、通産当局として、保安隊が年度別に大体どういつた種類の武器を、どの程度の量がいるのだというくらいのことは、まずしつかり握つておつて、こちらから、この程度のものは域外買付なら域外買付でやつてほしいということ、これは交渉をする以上は、当然積極的にすべきだと思う。あちらの出ようを待つていて、それから応待するというような消極的な態度ではなくして、受入れようという方針がきまつた以上は、私は積極的にやらなくてはいけない、こう考えるのでありますが、保安隊用の武器の需要状況等について、通産当局がどの程度御承知になつておるか、でき得れば、その内容について御説明を願いたいと思います。
○葦澤政府委員 ただいまの御意見まことにごもつともと存じますが、ただいまの段階におきましては、まだ保安庁の方から具体的な需要内容というような打合せを受けておりません。交渉の進むに従いまして、御説のような連絡がいろいろ行われるだろうと存じておる次第でございます。ただ、いずれにいたしましても、需要先が非常に武器については限定されて来ることは当然でございまして、ただいまは御承知のように、特需というものが、従つて駐留軍というものが、武器の需要先の大部分でございますが、MSAが、どういうふうに進展するかわかりませんが、かりに進展いたしましても、武器の需要が非常に多数、各種方面にわたるというようなことは想像されませんので、需要先はおのずから非常に限定されて来ることだろうということは間違いないように思われますので、この法案の骨子とするところのものは、今のような御所見にもかかわらず、私どもは変更の要がないのじやないかというふうに考えられるわけであります。
○中崎委員 ただいまの答弁ですが、日本の武器の製造については、MSAと関連して大した期待が持てぬというふうに解釈していいのですか。
○葦澤政府委員 MSAに対する期待が持てるか持てないかということではないのであります。武器の需要先というものが多数、不特定の方面に起るということでなくて、特定された需要先であるという趣旨のことを申し上げたので、期待が持てるか持てないかということは、おそらく産業として非常に有益であるかどうかということになるかと思いますが、そういう点を申し上げたのではないのであります。
○中崎委員 先ほどのお話によると、相当広汎な範囲の種類あるいは数量にわたつて——MSAがかりにできたとしても、大きな注文が来るとは考えられないというお話であるような印象を受けたのです。そうすると、MSAは、声だけは大きく騒いでも、日本の武器製造を中心とする産業界には、ほとんど影響はないというように聞いたのだが、その通りかということを聞いておるのです。
○葦澤政府委員 ただいまお尋ねのような御印象を、私の発言においておくみとりになられたということは、あるいは私の方の申し違いかと思いますが、MSAまだの有益であるか、大した期待が持てるか持てないかということについては、私たち何ら申し上げてないつもりでございます。
○中崎委員 そうすると、先ほどの質問に対する何らの答弁になつていないと私は解釈するのですが、もう少しそれをはつきりしてもらいたい。
○古池政府委員 MSAの援助を受けるか受けないか、またかりに受けるとすると、その場合の内客あるいは条件がどういうものであるかということは、御承知のように、今後の折衝いかんによると存ずるのであります。従いまして、その会談の結果、多量の発注が日本の製造事業の方にあるのか、あるいはまた非常に多量の発注ではないが、相当の発注があるのかというような、その程度の問題は、その会談の結果においてきまるわけでありまして、ただいまの製造法案は、このような場合において、その発注に応じて許可その他の処分の場合には適切な措置がとり得るような仕組みになつておりまするので、先ほど来局長から答弁申し上げましたこともその点は矛盾はない、かように私は考えております。
○小平(久)委員 最後にあと一点だけ承つておきたいと思いますが、先ほど山口委員から、朝鮮の事態にかんがみて、今後の武器の需要が減少するのではないかというような点に触れての御質問がありましたが、かりにMSAの援助というものが実現を見ましても、少くとも現状をもつてしまするならば、世界における武器生産というものは従来ほどの緊急性は持たなくなつて来ると思う。先ほどの大臣の御答弁によりましても、その程度は別としても、逐次スローダウンするのではないかいうような言葉がありましたが、そういつたぐあいで、この特需を中心として業界が濫立をしたというような環境も、非常に違つた環境になつて来るのではないか。アメリカを初めとする各国の武器生産の能力にもむしろ若干のゆとりすら出て来るのではないかということが考えられるのであります。一方国内におきましては、本年度の予算等を通じまして、むしろインフレの傾向すらあるのではないかということが心配されておるわけであります。そうしますと、国内的に考えますならば、武器生産原価の引下げというようなことはおそらく考えられない。一方先ほど申し上げました通り、むしろ武器の緊急必要性というものがだんだんゆるんで来る、しかもまた外国における製造の能力というものにもゆとりができて来る、こういうような内外の情勢を予想しますと、MSAがたとい実現いたしました後においても、わが国の兵器産業が受注するにあたつての受注単価は、あるいは従来以上にすら引下げられるのではないか、これは予定単価の点において、あるいは実際の契約の点において一言にして言えば、相当引下げられるのではないかという気がいたすのであります。一方また事業の濫立というようなことも、特需の起つた当時のような事態はもう当分あるいは起きないのではないかということが考えられます。そうなつて来ますと、どうも本法案をつくろうという根本が若干くずれたような気がしますし、また出血受注を避けて行こうということとは逆に、どうしても請負をすればますく出血をしいられるのではないかというような先行きが感ぜられるのでありますが、この点について当局の御所見を承つておきたいと思います。
○古池政府委員 ただいまの御説、まことにこれはむずかしい問題だと思うのであります。今後の国際情勢その他の見通しいかんということにかかわることでありまして、われわれの念願するところは、もとより国際社会の平和にあることは申すまでもないのでありまして、戦争というような不祥事がさらに将来先の方に延びれば延びるほど、われわれとしては非常に喜ばしいことと考えるわけであります。しかしながらまた一面から言えば、そういう戦争を先に延ばし、戦争の危険をできるだけ少くするという意味合いにおいて、やはりある程度の国の自衛力というものはしつかりしておかなければならぬという考え方も出て来るのでありまして、ただいまお話のような傾向もあるいはまた一つの見方としては考えられるかもしれませんが、しかしそれかといつて、今後の日本の武器製造事業をただほつておくということも適切ではない。やはりそこに合理化をはかり、また二重投資、二重設備というものは避けまして、世界の情勢とマッチしながら、わが国の事業も相当に健全なる発達をさせて行くということは、これは政府としても考えねばならぬ問題だろうと思います。今回の武器等製造法を提案しましたのも、さような意味合いでございます。ただいまの御説はまことに私もむずかしい問題であると考えて、そういう見通しの問題については確かに御同感する点もありますけれども、しからばといつてこの法案のような措置が必要じやないとまでは考えられないと思います。
○小平(久)委員 政務次官の御答弁を伺つたのでありますが、局長に先ほどちよつとお尋ねした受注単価の問題については今後一体どんなふうにお考えになつているか。ぼくの考え方からすると、むしろ従来以上に引下げられるのではないかというような気がするのですが、局長としてはどのような見通しを持つておるか、その点だけでけつこうですから……。
○葦澤政府委員 武器の受注単価の問題でありますが、これは需要先、つまり武器を発注いたしますものが非常に限定されておりまして、現在においても数えるほどしかない。生産したいというものが非常に多いわけでありますから、ここへ殺到いたしまして、ことに入札制度ということになつておりますと、先を競つて安値を出して受注をとるという傾向は、やはり今後も私は継続すると思います。ただ入札制度がなくなりまして、かりに一つの調達機関がみずから随意契約によつてこれを調達するというような場合になつて参りますと、事態はかわつて来ると思います。入札の競争面からする安値受注という事態はなくなるかと思います。ただしかし、一つのお尋ねの趣旨として、武器生産をもうすぐにいたして参つておる。融資を受け、これが償却等いろいろ考えて事業は進んでおるわけでありまするが、こういう事態がこのまま推移して参りまして、お互いに経営の万全を期してコストの低減が産業自体の内部において武器までに及ぶかということも一点あろうかと思いますが、そういう面につきましては、やはり産業の経験と申しますか、経営の経験と申しますか、そういうものが長じて参りますれば、現在よりは低減する可能性があるというふうに考えておるわけであります。
○大西委員長 それでは次に加藤清二君。
○加藤(清)委員 私はこの武器等製造法につきまして、大体この企業が発展する可能性があるかないか、国際収支の上から考えて見て、これがはたしてわが国にプラスであるかマイナスであるかという観点に立つて二、三お尋ねいたしたいと存じますが、その前に委員長にまずお尋ねいたしたいことがあるのであります。それはほかでもありませんが、きのうも私はお願いしたことでございますが、見ておると、もうすでに武器等製造法というものは、みんな御存じであるので、尋ねる必要がないというゆえに出席がないのか、きよう採決をやりますと、一体どういうことになるか。採決のときになると、のこのことどこからか出て来る。そうではなく、ほんとうに真剣に討議をしなければならぬときになると、どこかへ逃げて行つてしまう。これでもつてほんとうの討議ができるのかできないのか、それから賛成、不賛成をする場合に、ほんとうのことを知つておつて手をあげなさるのか、あるいはどこかからの命令によつて手をあげるのか、ちよつとふしぎになつて来るのです。そこでこれは出席しても、せぬでもいいのか、その点をひとつはつきりしていただきたいと思います。
○大西委員長 でき得る限り出席していただくように委員長として努力いたします。
○加藤(清)委員 きよう採決ということになつたらどういうことになるでしようかね。それで定足数に不足するような会で審議を進めて行つた。ほとんどがそういう形になつておる。ところが私ほかの委員会にも所属しておりますが、選挙法の改正というようなところになると、みんなわあつと見えて、てんやわんやで大騒ぎしておやりになる。私は相手があるほどおもしろいと思う。だからいずれにしても研究する場合に、もう少し御熱心にやつていただけないかと思います。それで反対する者の意見もよく聞いていただかないと、何がゆえに反対しているかということがわからない。社会党は何でも初めから反対するのだ、こういうふうによく言われるのですが、何でも反対するのではない。だから何がゆえに反対するのかというところもよく掘り下げて研究していただきたい。そうすればお互いが相手方を理解し合うという点にもまことにけつこうなことじやないかと思うわけであります。そこで今後こういう状態でいいのか、悪いのか。委員長としては、こういう状況が普通とお考えになつているのか、もしそうでなかつたとしたら、どのようになさろうとお考えになつているのかお尋ねしたい。
○大西委員長 できる限りあなたの御趣旨に沿つて行きたい、かように考えております。
○加藤(清)委員 次に、まずこの法案がここへ提出されまする前に、最初は兵器という名前がついておつたらしい、ところが途中でいろいろお考えの末、武器というように名前がかえられたと私は聞いております。これは事実その席におつた人から聞いたのでありますが、武器と兵器とどう違うか、内容を見ますると、タンクをつくつたり、機関銃をつくつたり、大砲をつくつたりということですから、こういうものは称して兵器というじやないですか。ところがあえて武器という。武器と聞きますると、これは刀剣、やり、よろいのたぐいを武器というように私らは昔流に考える。そこでなぜあえて近代兵器をつくりながらも武器と名をつけなければならなかつたのか、そこらあたりにこの法案の底を流れる意図があるではないかと存ずるので、お尋ねするわけでございます。
○葦澤政府委員 武器と共に兵器の日本語の言葉使いは、どうも私どももいろいろ研究をいたしてみたのでありまするが、武器と兵器の区別の定義というものはないようでございます。ただ法案の立案にあたりまして兵器という字でお互い呼んでみたり、あるいは武器という字で呼んでみたりしたことは、事実であります。それほど区別はないものだというふうに私どもは思うのであります。そこでなぜ武器ということに法案をきめたかと申しますと、実は保安庁法に武器という字をすでに日本の法律において使つておるわけです。日本の法律と申しますと、新憲法の施行された後の法律において武器という字が使用されておりますので、それによりまして武器という字を使用することにしたわけでございます。と申しますのは、武器と兵器の間に明確な区別がないので、なぜ兵器という新しい字を使つたかということに、もし使えばなるのでありまして、新しい言葉を使用いたしますと、やはりそこには観念と背景を持つているのではないかという御議論も立つのは、私どももつともだと存じます。そういう新しい観念と背景を持つていないがゆえに、前通りの言葉の使用で参るということで武器にいう字を使用いたしているわけでございます。
○加藤(清)委員 兵器という言葉が新しい言葉であるという観念がすでにおかしい。なぜなれば戦時中は武器廠と言わずかに兵器廠と旨つていた。武器という言葉は近代兵器をつくり、それを保管する場合にはもうすでに使われておりました言葉であつて、これは社会通念であります。これは国語学的にどうとかこうとか言うのではございません。私は今日の政府が知らず知らずのうちに兵器をつくり、知らず知らずのうちに軍隊をつくり、おたまじやくしに足がはえたということを今日世の中の人がよく言う。そういうことはどうカバーをしてみたつて国民の目で見ればやがてわかることなんです。従つてこういう際に言葉も法の精神を表わすには重要な言葉ではないか、法の精精の底を流れる気持を表わすには打つてつけの言葉があるにもかかわらず、あえて逆コースの言葉、いわゆる古典的な言葉をお使いになつたという腹の底があまりにも見えすいているような気がするので、お尋ねするわけなんです。決して新しいとか、古いとかいうことではございません。 次にこの法案はすでに前国会に提出されたものと今国会に提出されたものと相違ありやいなや、もし相違があつたとするならば、どういう情勢の変化のゆえにかわつたか、その点をまずお尋ねいたしたい。
○葦澤政府委員 どうも武器と兵器の言葉で腹を見すかしたという御説、私どもよくわかりませんのですけれども、新しいとか、古いとかいう御議論もあろうと思いますが、現在の新憲法下の法律上にはまだ兵器という言葉を使つていませんので、兵器という言葉を使えば、現在の法律上の言葉としては新しい言葉になるわけでございますということを申し上げただけでございます。その点は御了承願いたいと思います。 改正をされました点につきましては、先ほど御説明を申し上げたのでありますが、実態的には変更いたしておらないのでありまして、移転をいたしましたときに、許可がいるといことを明文をもつて書きました点が改正になりました点であります。これは前の法案におきましては新設の中に移転は含まれるという解釈であつたのでありますが、明確にした方がよろしいという立法技術上の要請がありましたので、新しくつけ加えたわけでございます。これは何ら背景と申しますか、基調において変更のあつたものではございません。
○加藤(清)委員 それではこの企業がはたして成り立つか成り立たないか。将来この企業の発展性があるやいなやという問題についてお尋ねをしたいと存じます。 まず今年の発注高が大体一億ドルと聞いておりますが、それは正しいのですか、間違いですか。
○葦澤政府委員 現在のところ約六千五百万ドルとお考えになつていただいてけつこうだと思います。
○中崎委員 議事進行について。この法案は審議を非常に急ぐのですかどうですか、政府の方に聞きたいのです。どういう希望を持つておられるか。
○古池政府委員 当初法案を提出いたしました際に申し上げましたように、なるべくすみやかに御可決あらんことをお願いいたす次第であります。
○中崎委員 先ほど加藤君から注意がありましたが、これはだらだらやつておるのならいいのだけれども、そういう急ぐ法案をこういう状態においては審議できませんから、定足が十分になるまで休憩を要求します。
○大西委員長 ただいま休憩の動議が出ましたが、いたがいたしましようか。
○小平(久)委員 御動議ごもつともの点もありますが、この法案も提案されてから時日がたつておりますし、また御出席な委員もいろいろ御都合もあると思いますので、今後努めて出てもらうようにして、このまま審議を進められるように願います。
○大西委員長 ただいまの小平君の御意見に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大西委員長 御異議なければ、さようとりはからいます。加藤君。
○加藤(清)委員 先輩議員中崎先生のおつしやることもごもつともでございますけれども、その他の先輩議員の仰せもあることでありますから、それでは続けさしていただきます。 実は私がお尋ねしたいことは、発注の将来の見通しでございます。ことし一年間の発注量を大体一億ドルと押えれば、それ以上上まわることはないということです。ところが去年もそれ以上あつた。来年はあるかないかわからない。今日この法律がなくても、すでに兵器製造ということは行われているはずなんです。この法律がここで審議されている最中でも、すでに所々方々の工場ではつくられている。にもかかわりませず、こういう法律を前の国会にも出し、今度の国会に出し、人数が少くてもあえて強行突破しなければならないというその理由、なぜこういう法律をつくらなければならないのかというその理由をまず承りたい。
○古池政府委員 大臣が参るべきでありまするけれども、他の委員会の出席あるいは本会議その他のために、加藤さんの御質問のときにたまたま出席をしない場合があつたのでありますが、この点はどうぞさような事情を御了察をいただきたいと存じます。 ただいまのお尋ねの件でありますが、なるほど現在武器を製造しておる業者があることはもとよりであります。しかし終戦以来相当長らくの間武器の製造は禁止されておりました。この禁止が解除されて、正規に製造を始めた人が出て来たのでありまして、今後日本といたしましては、これが濫立と申しますか、あまり自由にできます場合には、相当の設備あるいは資本も要する事業でありまするがゆえに、ここらで政府としては何らかの措置を講じ、監督をして、むだな設備のないように、二重投資のないように、合理化をはかり、かつまた公安の確保ということに努めて行かなければならぬ、これが今回のこの法案提案の趣旨でございます。なお受注額その他の数に関することは、局長から十分に御説明をさせますから、さように御了承願いたいと思います。
○加藤(清)委員 濫立を避ける、二重投資を避けるというお言葉は、この前の答弁とかわつておりませんが、これは関連いたしまして、あとで御質問したいと思います。 それでは、今年は大体一億ドルと押えても、しからば来年は一体どうなるのか、再来年は一体どうなるのかということの見通しがついておりますか、おりませんか。もしついておるとするならば、一体どの程度の金額になりますか、それをお伺いしたい。
○葦澤政府委員 今後の武器の発注の見込量についてのお尋ねでありますが、現在御承知のように武器の発注先は駐留軍が大部分でございますので、この意向が見通しの上においては非常に重要な点になるのでありますが、それとの現在までの話合いでは、来年も大体同程度の発注をするだろうということを申しておるのであります。再来年その翌年というように、さらに先になりますとむろんわかりませんが、そう変化がないだろうということを聞いておるのであります。ただお尋ねの趣旨は、あるいは私どもが先まわりして申し上げるのはどうかと思いますけれども、MSAの問題があるのではないかという感じがいたします。MSAの事業内容がしからばどうなるかということは、先ほど来も御質疑がありましたが、具体的にそれをどう考えるかという段階に達しておりませんので、その点を御了承願いたいと思います。
○加藤(清)委員 私の質問の趣旨は、MSAもございまするけれども、最初に申し上げましたように、企業が成り立つか成り立たないかというところにウエイトがございまするので、先ほど小平先輩議員からもお尋ねがありましたが、もし万一アメリカの発注がなくなつた後に、日本の保安隊の注文を、日本みずからの手によつて、今後指定される工場に発注する用意があるかないか、それについてお尋ねいたします。
○葦澤政府委員 今後保安庁が発注いたします額につきましては、どれくらいあるのか、まだ現在のところ私ども承知しておりませんが、かりに発注をなされるということになりますれば、これを受ける用意というものは、現在の設備その他において支障ないものと存じております。
○加藤(清)委員 その将来性についてお尋ねいたします。
○葦澤政府委員 保安庁の武器の発注計画と申しますか警備計画、従つて武器の所要計画というものをまだ私ども承知いたしておりませんので、どういうふうになるかということを今の段階においては申し上げるわけには参りませんが、武器の製造の面から見まするならば、やはり相当の時期にわたりまして発注量がある程度計画的に示されるならば、製造する側においてもそれを見合いましていろいろ準備を整えることができますので、非常に便宜であるということは私どももとより承知をいたしておりまするが、まだそういう明確なものを知る段階になつていない状態を御了承願いたいと思います。
○加藤(清)委員 濫立及び二重投資を避けるために、この法案をつくつて、ある程度業者の規制をしようというのがこの法律案の趣旨であるとただいま承つたわけでございます。ところで、それに従いましてつくらせたということこ相なりますと、これは政府のある程度の責任が生じて来ると存じますが、この点政府は責任を感ずるのですか感じないのですか。——意味がわからなければもつと先へ進めてもけつこうです。
○葦澤政府委員 政府がつくらせた責任と申しますと、その責任に対して政府がどういう処置をとるべきかということかと思いますが、政府が慫慂をいたしましてぜひつくれというわけのものではございません。つくりたいものが許可を受けてつくるのでございますので、従来ありました特別会社とか、政府がみずから出資してつくらしたというようなものと違いますので、その責任の度合というものについては、おつしやるような意味の政府の責任ということはそうないのじやないか。ただ許可されてつくつて、よろしいと言われたものが将来どうなるかという問題は、むろん製造に従事いたしますものにしますと非常に重要な事柄でありまして、発注が全然なくなつて事業を閉鎖しなければならぬかどうか、あるいは他に転業する必要があるかどうかというような問題が出て参りましたときには、先ほど大臣からもその点について御説明がありましたが、その場合に事態に即しまして適切な措置をとりたいというふうに考えておるわけでございます。
○加藤(清)委員 葦澤局長ともあろう人がそういう言葉を発せられるとちよつと問題が生ずると思います。なぜならば、これはほかにたとえてみましよう。入学試験によく似ている。この前の論議のときに入学試験談義が起きた。それを小笠原さんもはつきり認めておられる、発注する人が非常に多い。入学志願者が非常に多い。それをふるいにかけてある程度入れてやる、こういうわけなのです。それで希望があつて入つて来たのだからあとはどうなつてもしようがない、こういう考え方が通産省にあるがゆえに今日裸で困つていて首つりが行われるのです。希望があつたからやらしてやつたのだ、やつたのだからあとの責任は知らないのだ、こういうことだつたら、入学希望があつたから入れてやつたのだから、それを育てる責任はないというのと同じことなのです。通産省は業界の指導育成強化の重責をになつておられるはずなのです。それがその経過も見届けずに、希望のあるときだけ世話をするということで終つている状況なるがゆえに、ガチヤ万コラ千時代にはじやんじやんつくらせておいて、今日それがいけなくなつたからあと知らぬ顔、こういうことになつて来る。それで私は将来よりも今日の問題についてお尋ねをいたしましよう。 来年の発注量は大体わかつた。再来年のはわからない、こういうことになつて参りますと、今次官のおつしやられました濫立とか二重投資を避けるためにやらせる、こういうことでございまするが、これはけつこうな考え方だ。これは賛成なのです。ところが武器、兵器をつくるにあたつての設備資金は、先般の国会では国家が補償しない、自己資本で設備する。そうなりました場合に、設備に要した、必要なものの減価償却を何年間に行うとよろしゆうございますか。設備が非常にたくさんいるこの企業において、減価償却の見通しができないときに、せつかくつくりました兵器、武器の価格を一体どの程度に設定したらいいとお考えでございますか。ここらあたりに今日の出血受注という原因が包蔵されているのではないか。そのおかげでこの工場に働く方々の賃金の問題、首切りの問題もここに端を発している。私は諸々方々の工場をまわつて知つておる。そこでつくらせるというならば、将来の見通しがあるかないかくらいのことははつきりさしてもらいたい。私はこの前の国会の折に、この問題を小笠原大臣に尋ねましたところ、やはり来年、再来年はわからぬということだつた。それではせめて今年だけはわかりますかと言つたら、今年は大丈夫だと、こういう話なのです。ところがどうです。その言葉をおつしやつた半年先の今日において、朝鮮休戦と捕虜交換のおかげでもうこの企業はだめだということになつて、株ががた下りになつたじやありませんか。そうしてはつきり名前まで言つてもよろしゆうございますが、日平さんのごときは工場活況で、豊川の工場まで買いましようというておつたのが、さたやみということになつた。また人を雇つたところが、その首を切らなければならぬということになつて来た。せつかく厖大な組織を持つて研究していらつしやる政府が、もう少し親切味を発揮して、将来の見通しはかくかくであるぐらいの、正確な見通しを指示するぐらいの親切心はあつても罰は当らぬと思いますが、いかがでございましようか。
○葦澤政府委員 ただいま加藤さんの武器製造業者に対する非常な御支援、御鞭撻、まことに恐縮に存ずる次第であります。私が申し上げました政府の責任について何もしちやいないじやないか、けしからぬじやないかというおしかり、まことに恐縮に存ずるわけでありますが、私の申し上げました趣旨は、株を政府がみずから持つとか、あるいは従前のような特別会社というように特別な法律をつくつて、みずから政府がやつておつた事業と、政府の責任の度合いは違つて来る。しかしながら現在の法案がもし通つて、許可された事業として、閉鎖とか何とかいうような事態になりましたならば、大臣がそのときに対する考え方について述べられました通り、ニッケル特別助成法というような法案も引合いに出されて御説明になつたのでありまするが、特別な処置がとられるはずだ、こう申し上げたので、全然しちやおらぬという無責任な態度はけしからぬじやないかというおしかりは、御熱意の余りと私は非常にありがたくは存じますが、そこはひとつ私の言葉が足らなかつたのであれば、御了承をお願いしておきたいと存ずるのであります。 次に武器の製造につきまして、むろん償却をある程度短かくいたしまして——需要の先の見通しというものがそう明確なものではございませんので、普通の事業と違いまして、償却を短かくして事業の成立を可能ならしめるということは通産省においても考えておりまして、大蔵省とこれが折衝をいたしておるわけでありますが、私どもは現在の事態において、すでに武器製造事業が、一部に伝えられるようなところもありますけれども、全面的にこれがすでに閉鎖しなければならぬというような状況になつておるとは考えておりません。そこは事実の見方の相違かもしれませんが、そういう事態が今後どう変化するかということはむろん重要なことでありまするが、今おつしやるように、すでに武器製造事業は成り立たない状況にあるのだというふうには考えておりません。
○加藤(清)委員 私は局長さんにつつ込んでどうこうというわけじやなく、実は大臣の責任を問いたいのであります。あなたのやり方がどうとかこうとかいうのではなくして、由来通産省のやり方なるものが、おぼれんとする者はわらをもつかむというわけで、新しい仕事があると、わつとついて来る。それに対して、最初のめんどうは見るが、あとは知らぬ顔だ。そのおかげで自分の会社の将来の見通しとか、あるいは将来の計画を立てることのできない小さい組織の会社、つまり中小企業、そういうものがばたばたと無計画のゆえに倒れて行く。こういうものに対してほんとうに親切に手を引いてやつていただきたい。これが私の言わんとする趣旨でございます。あしからずお願いいたします。 それから、もう一つお尋ねいたしたいことがございます。今の注文の仕方は入札制であると一記憶しておりますが、この入札の場合に、法律は日本の法律が適用されるものでございまするか、アメリカの法律が適用されるものでございますか。
○葦澤政府委員 駐留軍の発注制度についてのお尋ねでございますが、おつしやる通り入札制度をとつております。この入札制度は向うの法律体制のもとにおいて入札をいたしておるわけでございます。
○加藤(清)委員 そこに大きな問題があると存じます。なぜならば、過去における発注の様子を調べてみますと、最初に発注したところが、同じ注文を受けたいという業界が非常にたくさんある。私どもはもつと安くやりましようという、そのおかげか何か、それをそのまませつかく入札したのをキャンセルして、二、三割方安い方に発注を向ける。次にまた同じ物件を同じ時期にもつと安く入れようとする人があると、また前のをキャンセルして次のをやらせる。それかあらぬか、でき上つたものは機関銃の台座ががたがたして、あとでクレームをつきつけられたりする。出血と申しましようか、普通ならばもつと行けるものを、それよりも五割安くらいの注文を余儀なくされなければならない、こういう状況なのです。これに対して、ほんとうに日本の法律が適用されるものならば、向うの都合によつてキャンセルした場合には、こちらが何ら関係がなければ、倍額請求ができるはずになつておると思います。にもかかわりませず、それを泣きの涙で、泣寝入りをしなければならない。あまりにも値段をたたかれたので、でき上つたものがうまく行かなかつた、その場合におけるキャンセルは、またぞろ自分の会社で負担をしなければならない。日本の業界にとつてはまさにこれ踏んだりけつたりで、ほんとうに日本が独立したというならば、こういうものに対しては日本の法律が適用できないものか。だからこそ日本は独立していないんだ、植民地政策が行われているんだと言われても何ともいたし方がないという状況ではないでございましようか。これについて日本の政府としてはどうお考えになり、将来これをどうしようとなさるのか、この点についてお伺いいたします。これは大臣に伺いたいと思います。
○古池政府委員 大臣がおりませんので私からお答えいたしますが、ただいま御承知のように日本政府が適当なりと認める業者を向うに推薦してやりまして、そうしてその推薦者の中で入札するという仕組みになつているわけであります。これは御承知の通り、最初におきましてはそういう制度ではなかつたわけであります。そこに一歩日本政府の意思というものが入るようになつた、これは一段階前進したものと考えます。なおそういう場合に不当なやり方がかりにあるとすれば、これに対しては日本政府は十分に抗議を申し込むという段階に今あるわけでありまして、向うが注文し、こちらが受けるわけでありますから、国際的な問題であつて、これは日本の法律ばかりを押しつけるわけには行かぬ。また向うのやり方に悪いところがあれば、どんどんこちらから抗議して、それを修正して行くというやり方が実際問題としては、今のところやむを得ないのじやないか。なお実施面において悪い点はどんどん直して行くという態度を今後もとつて参りたいと考えております。
○加藤(清)委員 これは岡崎大臣にも尋ねたいことですが、ほんとうに日本人であるならば、日本の業者の立場に立つて交渉するという気持を持つていただきたいものだ。岡崎さんあたりの答弁を聞いておりますと、向うがこう言うからこうだ。国際連合がこう言うから、われわれはやむを得ぬ、この間は通産大臣の答弁の中にもありました。いつまでたつたらそれが解決できるのか。このままでおつたら、言葉じや独立したと言うておるけれども、実際独立してはいないんだ。これはガットに加入しなければいけないということであれば、もちろんガットに加入する努力は続けてはいらつしやるであろうけれども、早急にこれを解決するところの熱意を持つていただきたいと思うのです。大体ここの通産委員会のような、こんな熱の入れ方だつたら、この問題は百年たつても解決できませんよ。私はどうかして早くこういう状態をほんとうに元にもどして、ほんとうに独立した経済——日米経済協力が必要であるならば、それもいいでございましよう。これは対等の立場における日米経済協力、今日の日米経済協力は、向うの言うままになるという経済協力であつて、決して独立経済を推進するところの行き方になつていないと思う。これをぜひひとつ——この面ばかりではございません、ほかの輸出入の問題、ほかの注文の問題もみなあるのです。これをぜひ解決していただきたい。幸いにして、これがほかの外国からも注文があるというならば別ですけれども、独立を与えてくれたアメリカさんだけなんでしよう。だから交渉の仕方によつては、まだまだ有利に展開できるじやないか。それができなかつたら、ごめんこうむりますと言うたらいい。できるはずなんです。アメリカとしては援助までしてやろう、こういうことを言うておるわけですから、もう少しきつく出られたつていいじやないか。私はアメリカ人との交渉を何度もして、その経験を持つております。ですから、どんどんもう少し強腰で押される必要があるのではないかと思います。 次にお尋ねしたい点は、日本の業者が政府の推薦を受けたといたします。そうして発注を受けた。ところが今日の状態では、ほとんどその会社自体でこれを完成するということはできない工場の設備状況になつております。そこで必ずこれをそれぞれの子会社なり、兄弟会社に下請をさせるということに相なつておりまするが、この下請をさせる場合に、すでに過去においていろいろな問題が生じております。それに対して政府としては、どのように指導し、どのようにこれがスムーズに行くようになさろうとしていらつしやいますのか、その点をお伺いしたいのでございます。
○古池政府委員 まず第一の、早く日本は独立経済を確立せねばならないのじやないか、そのためにはアメリカから援助を受けておることはやむを得ぬが、できるだけそういう援助も早く打切つて、自立経済を確立しよう、こういう御意見は、まつたく私も同感でありまして、ぜひ日本としては、一日も早くそういうふうな状況に持つて来させたい、これはまつたく御同感であります。 それから次の、大企業とその下請をやつておる中小企業との関連問題でありますが、これは単にただいま問題になつております武器製造業だけではなく、その他の工業におきましても、多数そういう関係のあることは、御承知の通りであります。何と申しましても、日本は中小企業が非常に大きなウエートを持つておる国でありまするから、中小企業を育成し、発展させなければ、結局日本全体の経済の発展ということも期し得ないというような問題があるわけであります。従つて親工場と申しますか、大企業とその下請をやつておる中小企業との間における、たとえば代金支払いの問題であるとか、あるいは注文の合理化の問題であるとか、そういうふうな観点におきましても、十分政府としてはその間に介在して、不当に中小企業者が大企業者から虐待をされないように、いわゆる搾取と申しますか、不利益な状態を押しつけられないように、極力今までもやつて来ておりまするし、今後もその線に沿つて、日本の中小企業者をあくまでも健全な事業として発展させ、日本の経済の自立に寄与せしめたいと考えております。
○加藤(清)委員 私はこの際せつかく政府がこういう法案をつくつてやられるというならば——私は根本的にはこの法案には反対するものでございまするけれども、これに関連して、武器以外のものでもそうでございまするが、その政府の恩恵と申しましようか、政府の指導と申しましようか、そういうものが直接政府とつながり得るところの大口の業者には手が届くのでございますけれども、それを実際つくるのは、これの下請工場であり、下請の中小企業である。ここまで及んでい百ない、いや及んでいるかもしれないけれども、その末端に行くほど及び方が少い。こういう状況に対して、私こての際政府の奮起を促したい、こう思うものでございます。なぜなれば、この仕事は糸へんのようにおとなしい仕事と違う。この間も東京で工場がぽかんとはぜた。花火工場がはぜたというから、おかしなことだ、花火工場があんなにはぜるはずがないと思つて見に行きました。すると擬装弾をつくつていたという。擬装弾とは何かと調べてみますと、元をたぐつてみたら、結局大きい工場から発注を受けたものであつた。この武器等製造法に重大な関係のあるものであつたということがわかつたのであります。ところが受け方が非常に粗雑であり、乱雑であり、中小企業としても態勢を整えていなかつた。そのおかげで葬式を出すことさえもできなかつた。十何人かの若いさおとめが煙とともに吹き飛んで行つちやつた。これに対する慰藉料なども出ない。なぜそうなつていたかというと、これは受ける元が大体出血受注をしているおかげで、その下請に至つては、もうまつたくお話にならないほどみじめな状態で受けさせられているから、工員に対する福利施設も、あるいは技術者を養成することも、とうていでき得ない状態になつておる。こういうことなんです。あるいはまた、急な注文が入つたために、急げ急げで、にわか仕込みの人を雇つた。いろいろ原因はありますけれども、ここにわれわれが特に考えなければならないことは、政府の指導方針いかんによつて、末端で、罪もない方々が経済的な災いをこうむるだけにとどまらず、命にまでも関係を及ぼす。幸いにして助かつたとしても、片手がちぎれた、片足が吹き飛んだということになつて、非常な家庭悲劇までも起し得る原因をはらんだ仕事なんです。そこで政府といたしましては、ぜひこれらの事どももよくわきまえられて、業者の代表がもうかるからというので、てんやわんやでやつて来たから、それはいいことだと言うて、簡単に考えられたら、これは国民的悲劇を生むもとになります。今日の状態では、この工場でできた製品を集積する場所がすでに問題になつている。一時集積するところ、これをたくわえる弾薬庫の地所の取合いが問題になつているという状況下にあるわけでございます。こういう問題について政府としてはいかなる見解を持ち、いかなる施策を講じてこれに対処せんとせられまするのか、それについてお尋ねするわけでございます。
○古池政府委員 まず第一番に中小企業者を育成し、これをかわいそうな境遇に追い込まないようにすべきであるというお説はまことにごもつともで、政府も中小企業庁を中心にいたしまして、もつばら中小企業者の保護育成のためには渾身の努力を払つておる次第であります。機構といたしましては、本省の中小企業庁からさらに各地方の通商産業局あるいはまた各府県の経済部その他と連絡を密にいたしまして、十分に遺漏のないように努力はいたしておりますけれども、しかし何と申しましても全国の事業者の九〇%以上は中小企業者である、こういう実態の日本におきましては、たまには目の届かない場合も出て来ることもあるのでありまして、そういう点ははなはだ遺憾でございますので、今後はできる限りそういうことのないように極力注意を密にいたして参りたいと考えております。今国会におきましても、中小企業の関係の法案を若干提出しておりますので、どうかこれらの法案につきましても御審議を願いまして、ぜひ少しずつでも前進してこの線を強く打出して参りたいと考えておるのでありますから、御援助を願いたいと存じます。 さらにこの契約によつて不当な事態が起らないかという問題につきましては、この法案の第十六条におきまして、その契約の内容を届けさせて、政府が十分に審査するという建前になつておりますので、その際契約の内容等において不当な点がございまするならば十分これを注意をいたす、こういうふうにいたして参りたいと考えております。 なお武器等の保管のための設備というような問題も十分に注意をして考えなければならない問題でありますので、これは第五条に規定いたしてありますようなわけで、省令をもちましてある一定の要件を定めて、そういう要件を充足しなければ事業者も許可をしないというような方針をとつて、でき得る限り万全の措置をとりたいと考えております。この点も御了承を願いたいと思います。
○加藤(清)委員 もうあと二、三点ございますけれども、それでは集積所ができますね。そのおかげで危険物なるがゆえに周囲が非常に迷惑をこうむる。それからまたその弾薬庫ができますね。そのおかげで、ちようどこの間の内灘みたいなもので、せつかくのうちの田地田畑が取上げられるという状況になつて来るわけでございますが、これに対して一体どのようにお考えになつていらつしやるのか。私はこういう点からいつて、最初に申し上げましたように、国際収支の上からプラス、マイナスを考えた場合に、はたしてそれをつくることが日本経済の上にプラスになるか、マイナスになるかという点、プラスになる点はたいへんよく研究になつていらつしやるようでございますけれども、マイナスになる点をどの程度に考察し、これをどの程度に、あるものは未然に防ぎ、当然起り得るものに対しては一体どうするかという点をもう一度確たる信念を伺つておきたい。これはあとにも影響して来る。もうすでに今日問題になつておる。
○古池政府委員 これはまことに重大な問題でありまして、非常に危険な弾薬庫が近所にあれば、国民としては非常に迷惑しごくであります。それはよくわかつておるのであります。それかといつて火薬をつくり、あるいは武器を製造する以上は、これを一定のところに保管し、または集積するということも不可欠の必要な問題であります。従いまして政府としてはかような弾薬庫を設置する場合におきましては、十分にその危険を最小限度に食いとめられるような点に考慮をいたしまして、でき得る限り国民に迷惑を及ぼさないように慎重なる態度をもつて進めて参りたいと考えております。
○加藤(清)委員 この問題につきましては内灘にも関連を持つと存じますが、内灘で早く試射を開始しなければならぬということで、この武器製造会社、弾薬製造会社の要望が強硬に訴えられ、行われたということを私は聞いております。これは製造しておる工場の方々とも私は話合いまして、それができたけれども、工場に山になつておる、この状況を何とかしてもらわなければならぬという逆な陳情も受けております。だからそう言われるのも一面無理ないことと存じますけれども、そういうものの運搬、鉄道に関係する運搬、それから港に集積されるその集積所、それがすぐには徴発されなくて、ある程度倉庫にしまわれておる問題、これについて年柄年中そのおかげで争いが起き、そのおかげでからだが吹き飛んで行くという人があるわけなんです。そのために家庭悲劇が起つておる。私は火薬製造所の工場も、火薬を利用して弾薬をつくつている工場も地元にありますので、またそれを集積されなければならないという状態、その結果から周囲の人が非常な迷惑というよりも、仕事の上にまで影響される。たとえば港においてはそれが集積されるおかげで他の仕事ができなくなつて来る。こういう状況にあるのでございます。そこでこういう問題に関して誠心誠意めんどうをみるというだけでなくして、片や武器等製造法をつくるというならば、それから生じ得るところの、そこから思考し得る問題については、当然政府としては考えもし、手だてもされるのが責任であり、任務であると存ずるので、それをこの法案につけ加えられる意思ありやいなや、これについて承りたい。
○古池政府委員 ただいまの御意見はまことはごもつともな点でございます。武器につきましては先ほどもちよつと触れましたが、武器保管のための設備がどういう要件を必要とするかという点につきましては、さらにこの法律を受けまして、当省の省令において詳細なるものをきめて、でき得る限り公の安寧というものを保護し、国民に迷惑を及ぼさないようにいたしたいと考えております。さらにまた火薬につきましては、火薬類取締法がございますので、その方でもまた十分に今の御趣旨に沿うように努力をして参りたいと考えております。
○加藤(清)委員 最後に政府にもう一つ承りたいことは、先ほども局長さんの御答弁もありましたように、この仕事についてはいろいろな意見も考えもあるけれども、この仕事をやりたいという希望者は非常に多いということは事実でございます。その通りでございます。それでその非常に多いものをこの法案によつてふるいにかけよう、いわば入学試験をやつて落第生をつくろう、こういうことなんです。結果から見るとそういうことになるわけです。ところで何がゆえにそれほどそこへ希聖者が殺到しているかという点に考慮をめぐらされたことがあるかないか、希望者の顔ぶれを見ますると、この顔ぶれはもともと兵器をつくつていた工場もございまするけれども、それよりも何よりも多いのは、終戦後ずつと平和産業に従事していた方々が多いように見ます。すなわち織機をつくつていたとか、紡機をつくつていた、こういう同じ重工業にしても平和産業の製作機をつくつていた工場が非常に多いようでございます。この工場が先祖伝来の工場設備と技術と叡知を持ちながら何かゆえに新しい仕事に転換を余儀なくされなければならないかという問題でございます。この問題は通産省としては当然すでに御研究もあそばされ、それぞれの将来のめんどうの見方についてもお考えおきくださつたことと存じます。すでに私は前の国会におきまして、この問題を小笠原前通産相にお尋ねしましたところ、ごもつともだからこの点は極力努力する、こういうお答えでございました。はたしてその事務引継ぎが行われているやいなや、通産省としてはその問題をどうお考えになつているか、ただ希望者が非常に多いからというので喜んで、それだけをめんどう見ておれば、またぞろこの仕事にとりついた方々が二年先、三年先に今日と同じように転換を余儀なくされなければならないということであるとすのならば、通産行政は遺憾ながら行き当りばつたりの、その場主義であると言われても答弁のしようがないじやないか、こう思うのでございます。そこでこの点についておぼれんとする者わらをもつかむ、餓鬼が施餓鬼の旗取りをするように集まつて来ているが、そのよつて来つたところの原因に対してどう手だてをするかという問題についてお尋ねをするわけでございます。
○古池政府委員 ただいまのお尋ねはなかなかむずかしい間葉と思うのでありまするが、元来日本の経済は大体において自由経済を本則として、その上に立てられておると思うのであります。企業家はそれぞれ、やはりある人は繊維を好む、またある人は化学工業に関心を持つというようなわけで、自分が特に研究をし、また関心を持つような企業をそのときそれの情勢に応じて企画して行かれるのではないかと思うのであります。従いまして武器を製造しようという企業家は、一体どういう人の中から出るかということは、一概に言えないと思うのでありまするが、紡機なり、その他の比較的大規模な機械を製造しておられるような人でありますると、同じ機械メーカーのことでありまするから、武器製造の方に転換するということも割合しやすいのではないかと思います。また機械をすきな人であれば、工作機械にしてもやはり他の種類の機械をつくるということにもおのずから興味を感じて来るということは、人間として自然の道行きであろうと思いますので、その程度のことは私も承知しておりますけれども、それ以上どういう動機でもつて始められたか、すなわち今武器を製造すれば大いにもうかるからやろうというつもりなのかどうか、その辺の心理の内容まではちよつとわかりかねるのであります。しかしいずれにしましても、通産省としてはどの企業も日本の企業はあくまで円満に健全に発達をして行かなければならないのでありまするから、そういう観点から注意すべき点があれば事業者に注意をし、ただいま申しましたような趣旨に沿うように今後万全の措置を講じて参りたいと思います。
○加藤(清)委員 えらい時間をとつて済みませんでした。次官の答弁を聞いておりますと、今後全部行うようにおつしやるのでございますが、個々の答弁とか、個々の理論闘争ということはいずれでもいいのです。要はその業界が繁栄し、輸出振興ができ、ほんとうに日本の経済のバランスがとれるということが当面のわれわれの任務じやないか、通産委員に籍を置く者の任務ではないかと思うのでございます。従いましてわれわれは社会党に籍は置いておりますけれども、党が別だとか、政府のことに何でもかでも反対するというのではございません。今日武器等製造法に業界がわんさと集つて行く。だからこれは大いにけつこうなことだというだけであるならば、問題はあまりにも大き過ぎて、考え方があまりにも小さ過ぎる。なぜというと、今年の額は大体大きく見積つて一億ドルだと局長もお答えになつていらつしやる。ところが糸へん産業はどう考えても去年は十二億のうちの四〇%を占めている五億ドル余なんです。内地の需要を考えてみたら、もつとそれ以上になる。それがあえてこちらに転換を余儀なくされなければならないということは、繊維産業が景気が悪いということである。これに対して政府としてはせつかく先祖伝来習い覚えた職業であるとすれば、その職に甘んじて、ほんとうに昔のように機織唄でも歌いながら仕事ができるというような状況に置いてやる。また武器等製造法施行で、幸いにしてその希望がかなえられたというならば、その職に将来甘んじて行けるというような施策を講ずることがよい政治ではないかと思うわけでございます。今日詳細にわたつて私はその具体策を次官並びに局長と討議したいのでございますけれども、あまり時間が長くなつても、みなさん御退屈でございましようから、この程度にとどめまして、私は詳細にわたつては後日に譲りたいと存じます。なろうことならばほんとうにこの通産委員会は今日の日本の経済を救うにあたつて、一致協力して、この際行き当りばつたりでなくて、長期計画を立て、その業に国民が安んじて行けるという方策をこの際つくり出したいものだ、こういう熱情にかられて申し上げた次第でございます。終ります。
○大西委員長 本日はこの程度にいたし、明日午前十時より開会いたし、中小企業金融公庫法案に対する質疑を行いたいと存じまするからさよう御了承を願います。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時五十一分散会